JP2003011065A - 研削用砥石およびその製造方法並びにそれを用いた研削方法 - Google Patents

研削用砥石およびその製造方法並びにそれを用いた研削方法

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JP2003011065A
JP2003011065A JP2001197823A JP2001197823A JP2003011065A JP 2003011065 A JP2003011065 A JP 2003011065A JP 2001197823 A JP2001197823 A JP 2001197823A JP 2001197823 A JP2001197823 A JP 2001197823A JP 2003011065 A JP2003011065 A JP 2003011065A
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grinding wheel
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ground
amorphous carbon
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Shiro Miura
司朗 三浦
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 研削速度が大きく、自生作用および加工持続
性に優れ、良好な研削加工面が得られる研削用砥石を提
供する。 【解決手段】 結合材がビトリファイドボンドの研削用
砥石で、ダイヤモンドおよび立方晶窒化ホウ素から選ば
れる少なくとも1種類の砥粒と、結合材であるビトリフ
ァイドボンドと、ムライト、ジルコニア、コージライ
ト、炭化ケイ素、アルミナおよび無機質中空状物質から
なる群より選ばれる少なくとも1種類の骨材と、補助剤
である非晶質炭素とを含んでなり、砥粒、骨材および非
晶質炭素が、ビトリファイドボンド中に海島状に分布し
ていることを特徴とするものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば半導体材
料、フェライト、ガラス材料、セラミックおよび水晶な
どの硬脆材料あるいは各種金属材料である被研削物の研
削加工に特に有効な研削用砥石に関するものであり、さ
らに詳しくは、研削速度が大きく、自生作用および加工
持続性に優れ、良好な研削加工面が得られる結合材がビ
トリファイドボンドを主原料としたビトリファイド砥石
である研削用砥石およびその製造方法、並びにそれを用
いた研削方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、硬脆材料の研削に用いられる研
削用砥石は、ダイヤモンド、立方晶窒化ホウ素(cub
ic boron nitride)等の砥粒を結合材
中に分散固定したものである。そして、その結合材の種
類によって、陶磁器質材料を主原料としたビトリファイ
ド砥石、フェノール樹脂やポリイミド樹脂等の合成樹脂
材料を主原料としたレジン砥石、銅や錫等の金属材料を
主原料としたメタル砥石等に大別される。
【0003】これらのうち、ビトリファイド砥石につい
ては、結合材として硬度が高いビトリファイドボンドを
使用しており、一般に研削速度が大きく砥石としての寿
命は長い。しかしながら、結合強度が強すぎるため、砥
石に十分な自生作用、つまり切刃として切れ味の低下し
た砥粒を周囲の結合材とともに脱落させることにより新
規な砥粒を露出させて切れ味を蘇らせること(適度の研
削により砥石の表面が削られることによって目詰まりに
よる研削力の低下を防ぐこと)が発現されない。また、
研削加工時において砥石と被研削物の間に生じる抵抗
(研削抵抗)が大きくなるため、「研削焼け」やスクラ
ッチ等の表面欠陥が発生したり、加工初期の研削速度が
維持されず加工持続性が低いという問題点があった。
【0004】なお、一般に自生作用が大きいと、表面粗
さが小さくスクラッチやチッピング(欠け)等の表面欠
陥も比較的少ない研削面が得られるが、砥石としての摩
耗が激しく寿命が短くなるという傾向がある。逆に、自
生作用が小さいと、砥石の摩耗は少なく寿命は長くなる
が、表面粗さが大きくなったり「研削焼け」やスクラッ
チ等の表面欠陥が発生することがあり、砥石の気孔率や
結合材と砥粒との組み合わせを調整する必要がある。こ
れにより、研削性能の維持および向上を図ることができ
る。
【0005】そこで、砥石の結合強度を調整する目的
で、気孔調整材としてアルミナ中空体または砂糖粒を含
む改善案や、フェノール樹脂またはエポキシ樹脂等の熱
硬化性樹脂を用いこれらを酸化雰囲気下において焼結す
る改善策が提案されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、本発明
者らの知る限り、これらの改善案による研削用砥石は、
結合力の調整が十分でなく、結合が弱すぎる場合には、
摩耗が著しく砥石としての寿命が短かったり、十分な研
削速度が得られないという問題があった。逆に、結合が
強すぎる場合には、砥石に十分な自生作用が発現され
ず、研削加工が進むに連れて研削抵抗が大きくなって、
研削加工面にスクラッチ等の表面欠陥が発生したり、加
工初期の研削速度が維持されず加工持続性が低いという
問題は十分に解決されていなかった。
【0007】本発明は、上記のような課題を解決するた
めになされたもので、硬脆材料および金属材料からなる
被研削物の研削加工において、研削速度が大きく、砥石
としての適度な寿命を有しながら自生作用に優れ、長時
間の研削においても目詰まりによる研削速度の低下が極
めて少ない優れた加工持続性を有し、良好な研削加工面
を得ることのできる研削用砥石およびその製造方法、並
びにそれを用いた研削方法を提供することを目的とした
ものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明に係る研削用砥石
は、結合材にビトリファイドボンドを主原料とした研削
用砥石であって、(A)ダイヤモンドおよび立方晶窒化
ホウ素から選ばれる少なくとも1種類の砥粒と、(B)
結合材であるビトリファイドボンドと、(C)ムライ
ト、ジルコニア、コージライト、炭化ケイ素、アルミナ
および無機質中空状物質からなる群より選ばれる少なく
とも1種類の骨材と、(D)補助剤である非晶質炭素と
を含んでなり、(A)の砥粒、(C)の骨材および
(D)の補助剤である非晶質炭素が、(B)の結合材で
あるビトリファイドボンド中に海島状に分布しているこ
とを特徴とするものである。
【0009】本発明に係る研削用砥石の製造方法は、
(a)ダイヤモンドおよび立方晶窒化ホウ素から選ばれ
る少なくとも1種類の砥粒と、(b)結合材であるビト
リファイドボンドと、(c)ムライト、ジルコニア、コ
ージライト、炭化ケイ素、アルミナおよび無機質中空状
物質からなる群より選ばれる少なくとも1種類の骨材
と、(d)炭化による残炭分が50%以上の合成樹脂材
料が主原料である補助剤とを主成分として混合し、混合
物を所定の砥石形状に圧縮成型し、この成型物を非酸化
雰囲気下で、かつ500〜1100℃の範囲内の処理温
度で焼結することを特徴とする製造方法である。
【0010】本発明に係る研削用砥石を用いた研削方法
は、前記(A)〜(D)の砥粒、結合材、骨材および補
助剤を含んでなり、(A)の砥粒、(C)の骨材および
(D)の補助剤である非晶質炭素が、(B)の結合材で
あるビトリファイドボンド中に海島状に分布している研
削用砥石を用いて、硬脆材料または金属材料からなる被
研削物を研削することを特徴とする研削方法である。
【0011】本発明に係る研削用砥石を用いた研削方法
は、前記(a)〜(d)の砥粒、結合材、骨材および補
助剤を主成分として混合し、混合物を所定の砥石状に圧
縮成型して、成型物を焼結する製造方法を用いて製造さ
れた研削用砥石を用い、硬脆材料または金属材料からな
る被研削物を研削することを特徴とする研削方法であ
る。
【0012】以下、本発明をさらに詳細に説明する。な
お、以下の説明は本発明の理解を容易にするためのもの
であり、本発明を限定するものではない。
【0013】<砥粒>本発明に係る研削用砥石の成分の
1つである砥粒としては、被研削物に対して硬度の高い
物質、すなわちダイヤモンドおよび立方晶窒化ホウ素か
ら選ばれる少なくとも1種類である。
【0014】このうち、ダイヤモンドは、金剛石とも呼
ばれ、ダイヤモンド構造をとり、鉱物中で最も硬度が高
く優れた研削力を有する。天然鉱物として産出されるダ
イヤモンドもあるが、研削材としての用途であれば、一
般に工業用ダイヤモンドと称され人工的に作られた合成
ダイヤモンドの微粉末が使用されている。合成ダイヤモ
ンドには、単結晶ダイヤモンドと多結晶ダイヤモンドが
あり、その製造方法は以下の3つに大別される。
【0015】1つ目は静的超高圧法(静圧法とも呼ばれ
る)によるもので、高温・高圧の金属溶媒中においてグ
ラファイトより合成する方法であり、2つ目は動的超高
圧法(衝撃法とも呼ばれる)によるもので、爆発による
高温・高圧を利用した合成方法である。一般に、これら
2つの方法により合成されるダイヤモンドの粒子径は1
mm以下であり、特にサブミクロンの微粒子にあって
は、同サイズの天然ダイヤモンド微粉末に比べ、粒子強
度および研削力の点で優れているという特徴を有する。
3つ目は、金属をバインダーとして微細な単結晶ダイヤ
モンドを固め、超高圧焼結して焼結多結晶ダイヤモンド
を合成する方法で、焼結法と呼ばれている。この焼結法
による多結晶ダイヤモンドの合成時には、使用する金属
粒子や合成によって生じるカーボンなどのダイヤモンド
以外の炭素粒子が発生するが、それらの不純物が少ない
ものの方がより粒子強度が高く研削速度も大きくなると
いう特徴がある。
【0016】一般に、多結晶ダイヤモンドを用いて研削
用砥石を製造し研削加工を行った場合、同サイズの単結
晶ダイヤモンドを用いた場合に比べ、研削加工面に与え
るダメージが少なく発生する表面欠陥も少ない。このた
め、良好な研削加工面が得られやすい。その一方で、単
結晶ダイヤモンドに比べ、研削力が低く、ダイヤモンド
微粉末自体の価格が4〜6倍程度高価であるため、研削
用砥石を製造する上でコストアップの要因となる。な
お、本発明に係る研削用砥石はこれらいずれの性状のダ
イヤモンドを用いることもできる。
【0017】立方晶窒化ホウ素は、窒化ホウ素の一種
で、窒化ホウ素には他に六方晶型(hBN)、菱面体晶
型(rBN)およびその他形態的に異なるものがある。
立方晶窒化ホウ素は、ダイヤモンドと同じ結晶構造を有
し硬度もダイヤモンドに次いで高いため、その研削速度
も大きく、機械加工における切削工具等に広く使用され
ている。その製造方法もダイヤモンド同様、グラファイ
トと同じ構造を持つhBNより静圧法により合成され
る。
【0018】また、本発明に係る研削用砥石は、骨材と
して後述する炭化ケイ素およびアルミナも砥粒として使
用することができる。従って、例えば骨材としてジルコ
ニアを使用する場合、ダイヤモンド、立方晶窒化ホウ
素、炭化ケイ素およびアルミナからなる群より選ばれる
少なくとも1種類を、本発明に係る研削用砥石の砥粒と
して使用することができる。
【0019】研削用砥石に含有される砥粒の粒子径は、
研削速度や研削加工面の品質、研削用砥石を作製する際
の作業性に影響を及ぼす。よって、十分な研削速度を維
持し、研削加工面の表面粗さを小さくし、スクラッチの
発生を最小限に抑えるという観点から、砥粒の粒子径は
電気抵抗試験法(JIS R6002)に基づくマルチ
サイザーII(商品名、ベックマンコールター社(米国)
製)を使用し求められる平均粒子径で、1〜200μm
であり、好ましくは2〜100μmである。
【0020】また、砥粒の含有量は、用いられる砥粒の
種類によって異なる。ただし、十分な研削速度を維持
し、かつ自生作用を活性化させ、求められる研削加工面
品質を達成するという観点から、砥粒の含有量は、焼結
前の研削用砥石の全体積に対して1〜50%であり、好
ましくは5〜30%である。砥粒の含有量が上記の範囲
を超えて多すぎると、砥石中に占める他の結合材等の成
分割合が小さくなるため、砥粒の保持力が弱くなり摩耗
しやすくなって研削用砥石としての寿命が短くなるとと
もに、特にダイヤモンドを使用した場合は、コストが大
きく上昇する。逆に、含有量が上記の範囲を超えて少な
すぎると、砥石が摩耗しにくくなため自生作用が十分に
発現されず大きな研削速度を得ることが困難になり、研
削抵抗が大きくなることにより研削加工面にスクラッチ
等の表面欠陥が生じることがある。
【0021】<結合材>本発明に係る研削用砥石の成分
の1つである結合材としては、ビトリファイドボンドで
ある。ビトリファイドボンドは、SiO2 、Al
2 3 、B2 3 、アルカリ金属およびアルカリ土類金
属酸化物等の成分を含むものであり、代表的なビトリフ
ァイドボンドとしては、ホウケイ酸ガラスフリット、ア
ルミノホウケイ酸ガラスおよびその他があるが、500
〜700℃の範囲に軟化点を有するものが好ましい。こ
のようなビトリファイドボンドとしては、ガラスパウダ
ーUP−142BまたはガラスパウダーUP−FKK
(ともに商品名、株式会社ユニオン製)がある。これら
のビトリファイドボンドは、それ自体が軟化することに
より砥粒や骨材を結合し、砥石を形成する役割を果たす
ものである。
【0022】また、ビトリファイドボンドの含有量は、
用いられるビトリファイドボンドの種類によっても異な
るが、焼結前の研削用砥石の全体積に対して20〜90
%であり、好ましくは25〜85%、さらに好ましくは
30〜80%である。ビトリファイドボンドの含有量が
上記の範囲を超えて多すぎると、研削抵抗が大きくなる
ため研削加工面にスクラッチ等の表面欠陥が生じること
がある。逆に、含有量が上記の範囲を超えて少なすぎる
と、砥粒や骨材の保持力が弱くなって摩耗しやすくな
り、研削用砥石としての寿命が短くなる。
【0023】<骨材>本発明に係る研削用砥石の成分の
1つである骨材としては、ムライト、ジルコニア、コー
ジライト、炭化ケイ素、アルミナおよび無機質中空状物
質からなる群より選ばれる少なくとも1種類である。
【0024】ムライトは、高温下で唯一安定なアルミノ
ケイ酸塩であり、化学組成としては3Al2 3 ・2S
iO2 〜2Al2 3 ・SiO2 の範囲のものが存在
し、斜方晶系で無色透明の結晶である。
【0025】ジルコニア、すなわち酸化ジルコニウム
(ZrO2 )は、無色の結晶でひずんだ蛍石構造をと
る。単斜晶系と等軸晶系があり、熱伝導率が低く高融点
である。MgO、CaO、希土類酸化物などを数%添加
したものは安定化ジルコニアと呼ばれ、立方晶系の蛍石
構造をとり、比較的電気伝導率が高い。部分安定化ジル
コニアとよばれる一部分を安定化したジルコニアは、機
械的性質に優れている。本発明に係る研削用砥石は、こ
れらいずれの性状のジルコニアを用いることもできる。
【0026】コージライトは、一般にカオリン、マグネ
サイトまたは粘土などの天然原料、もしくはアルミナ、
マグネシアまたはシリカなどの人工原料を調合して、約
1300〜1400℃の処理温度で焼成することにより
製造される磁器質の物質で、化学式は2MgO・2Al
2 3 ・5SiO2 である。熱膨張が小さくて熱衝撃に
強く、耐酸・耐アルカリ性並びに高温および高周波の電
気絶縁性が高いという特長を有する。
【0027】炭化ケイ素微粉末は、完全に純粋なもので
あれば無色透明の結晶であるが、工業的には多少不純物
を含んだものが広く使用され、一般に緑色炭化ケイ素と
黒色炭化ケイ素に分類される。これらはいずれもα型の
炭化ケイ素結晶であり、通常、電気抵抗炉などで200
0℃以上の条件下でケイ石とコークスを熱反応させるこ
とにより製造される。緑色炭化ケイ素は、六方晶の結晶
構造を有し、ダイヤモンドに次ぐ硬度を有するとされて
いる。また、黒色炭化ケイ素は、緑色炭化ケイ素と比較
すると硬度は若干小さいが、靱性は優れているという特
徴を有する。本発明に係る研削用砥石は、これらいずれ
の性状の炭化ケイ素を用いることもできる。
【0028】アルミナには、α−アルミナ、β−アルミ
ナ、δ−アルミナ、θ−アルミナ、κ−アルミナおよび
その他形態的に異なるものがある。研削用砥石に用いら
れるアルミナの製造方法としては、水酸化アルミニウム
のようなアルミニウム化合物を焼結した焼結アルミナ粒
子や、それらを更に溶融させた溶融アルミナ粒子等が知
られており、いずれも得られた粒子を粉砕・分級するこ
とで粒子径の整えられた微粒子を得ることができる。用
いられるアルミナ粒子の中でも、特に硬度の高いもの、
つまりα−アルミナ粒子あるいはα−アルミナを主成分
とするアルミナ粒子が好ましい。代表的なアルミナに
は、通称アランダムと呼ばれるAや、白色アルミナ質研
磨材であるWA、板状アルミナであるPWA(いずれも
商品名、株式会社フジミインコーポレーテッド製)があ
る。本発明に係る研削用砥石は、これらいずれの性状の
アルミナを用いることもできる。
【0029】無機質中空状物質には、ガラスバルーン、
シラスバルーン、炭素系バルーン、アルミナ系バルー
ン、石炭灰バルーンおよびその他がある。これらの無機
質中空状物質は、焼結時において、無機質中空状物質の
軟化または異状膨張などによる砥石の変形を極力発生さ
せないために、その軟化点がビトリファイドボンドの固
有焼成温度よりも50℃以上、好ましくは100℃以上
高いことが望ましい。また、無機質中空状物質は、研削
加工時においてその直径および壁厚が容易に破壊されて
砥石の自生作用を阻害しないものである必要があり、ビ
ッカース平均硬度Hvは300〜1000である。ま
た、これら無機質中空状物質の熱膨張係数は、粒子間応
力によってボンドブリッジにクラックを発生させないた
めに、ビトリファイドボンドのそれとほぼ同程度である
ことが好ましい。
【0030】骨材の含有量は、焼結前の研削用砥石の全
体積に対して1〜50%であり、好ましくは1〜40
%、さらに好ましくは1〜30%である。骨材の含有量
が上記の範囲を超えて多すぎると、研削用砥石中に占め
る他の結合材等の成分割合が小さくなるため、砥粒の保
持力が弱くなり摩耗しやすくなって研削用砥石としての
寿命が短くなる。逆に、含有量が上記の範囲を超えて少
なすぎると、摩耗しにくくなるため自生作用が十分に発
現されず大きな研削速度を得ることが困難になり、研削
抵抗が大きくなることによって研削加工面にスクラッチ
等の表面欠陥が生じることがある。
【0031】<補助剤>本発明に係る研削用砥石の成分
の1つである補助剤としては、非晶質炭素である。これ
は、成型時において、合成樹脂材料として砥粒、ビトリ
ファイドボンドおよび骨材のまとまり、すなわち成型性
を助ける成型助剤の役割をなす。また、合成樹脂材料が
非酸化雰囲気下で焼結されることにより、焼結後には非
晶質炭素となり、ビトリファイドボンドと砥粒および骨
材が必要以上に強固に結合することを防止し、研削用砥
石として適度な自生作用を発現させるとともに、高い研
削速度を実現させて、スクラッチ等の表面欠陥の発生が
少なく、表面粗さの小さな研削加工面を得ることを可能
とするものである。この非晶質炭素は、合成樹脂材料の
炭化によって得られるものであり、使用する合成樹脂材
料としては、炭化の段階において体積変化の少ないも
の、すなわち焼成後の砥石強度が高くなる傾向にある炭
化焼成時の残炭分の多いものがよく、炭化時の残炭分が
50%以上のフェノール樹脂であることが好ましい。こ
のようなフェノール樹脂としては、粒状フェノール・ホ
ルムアルデヒド樹脂であるベルパールS890(商品
名、カネボウ株式会社製)がある。
【0032】補助剤である非晶質炭素の含有量は、焼結
後の研削用砥石の全体積に対して1〜40%であり、好
ましくは1〜30%、より好ましくは1〜20%であ
る。この割合は、研削用砥石中における非晶質炭素の割
合であるため、原料である合成樹脂材料(フェノール樹
脂)の配合割合とは異なる。よって、例えば炭化により
原料である合成樹脂材料の体積が50%減少することが
分かっていれば、原料混合時には2倍の量の合成樹脂材
料を添加する必要がある。なお、非晶質炭素の含有量が
上記の範囲を超えて多すぎると、砥粒の保持力が弱くな
り摩耗しやすくなるため、研削用砥石としての寿命が短
くなる。逆に、含有量が上記の範囲を超えて少なすぎる
と、摩耗しにくくなるため、自生作用が十分に発現され
ず大きな研削速度を得ることが困難になり、研削抵抗が
大きくなることによって研削加工面にスクラッチ等の表
面欠陥が生じることがある。
【0033】<研削用砥石およびその製造方法>本発明
に係る研削用砥石は、上記各成分、すなわちダイヤモン
ドおよび立方晶窒化ホウ素から選ばれる少なくとも1種
類の砥粒と、結合材であるビトリファイドボンドと、ム
ライト、ジルコニア、コージライト、炭化ケイ素、アル
ミナおよび無機質中空状物質からなる群より選ばれる少
なくとも1種類の骨材と、補助剤である非晶質炭素とが
所定の割合で含有され、砥粒、骨材および補助剤である
非晶質炭素が、結合材であるビトリファイドボンド中に
海島状に分布しているものであり、その製造方法は、上
記各成分である砥粒、結合材、骨材および補助剤の原料
を、製造後において所定の割合になるように混合し、圧
縮成型によって所定の砥石形状に成型し、この成型物を
非酸化雰囲気中で焼結することにより補助剤の原料であ
る合成樹脂材料を炭化させ、非晶質炭素化させることを
含んでなる。
【0034】このようにして得られた非晶質炭素は、ビ
トリファイドボンドと砥粒および骨材とを適度に結合す
る役割をなすものであり、従来の気孔調整材としてアル
ミナ中空体や砂糖粒を含むビトリファイド砥石や、フェ
ノール樹脂またはエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を用
い、これらを酸化雰囲気下において焼結したビトリファ
イド砥石に比べて、半導体材料、フェライト、ガラス材
料、セラミックおよび水晶などの硬脆材料並びに各種金
属材料の研削加工において、研削速度が大きく、砥石と
しての適度な寿命を有しながら自生作用に優れており、
長時間の研削においても目詰まりによる研削速度の低下
が極めて少なく、スクラッチ等の表面欠陥の発生も少な
く表面粗さの小さな研削加工面を得ることができる。ま
た、研削用砥石中における非晶質炭素の割合が極めて大
きく、成型時には合成樹脂材料(フェノール樹脂)とし
て存在し焼結の工程で炭化されるため、非晶質炭素の結
合材であるビトリファイドボンドの焼結を妨げることが
なく、結合材の幅広い選択が可能となる。また、研削用
砥石中における非晶質炭素の割合が大きくなると、製造
時における合成樹脂材料(フェノール樹脂)の割合も大
きくなるため、これにより圧縮成型時の成型性を助ける
とともに、研削時の砥石の硬度を向上させ、砥石の自生
作用を促進するという利点があり、さらに研削された被
研削物に対しても高精度な研削面を得ることが可能とな
る。
【0035】本発明に係る研削用砥石の製造方法におい
ては、上記各成分(原料)を均一に混合し、その混合物
を圧縮成型により所望の砥石形状に成型して焼結する。
上記各成分を均一に混合するのは、製造後において砥粒
および非晶質炭素を砥石中に均一、かつ非晶質炭素を連
続または不連続に分散させた海島状の分布状態を作り出
すためであり、このような海島構造にすることより、研
削速度が大きく、砥石としての適度な寿命を有しながら
自生作用に優れており、長時間の研削においても目詰ま
りによる研削速度の低下が極めて少なく、スクラッチ等
の表面欠陥の発生が少なく表面粗さの小さな研削加工面
を得ることができる。
【0036】成型方法は、押込成型法および平押成型法
等いずれの手法を用いることも可能であるが、押込成型
法が好ましい。また、砥石形状はペレット状、セグメン
ト状またはカップ状など、用途、目的に応じて様々な大
きさ、形状に成型することが可能である。
【0037】成型時の温度は、100〜250℃であ
り、好ましくは120〜200℃である。成型温度が上
記の範囲を超えて高すぎると、フェノール樹脂の硬化が
急激に進行しすぎて、均質な砥石が得られないことがあ
る。逆に成型温度が上記の範囲を超えて低すぎると、合
成樹脂材料が溶解しにくく硬化に時間を要するととも
に、合成樹脂材料が均一に分散しないことがある。
【0038】成型時の圧力は、500〜2000kg/
cm2 であり、好ましくは800〜1500kg/cm
2 である。成型圧力が上記の範囲を超えて高すぎると、
成型機械が大掛かりなものとなる上、成型物が緻密にな
りすぎて本発明の効果が十分に発現されないことがあ
る。逆に成型圧力が上記の範囲を超えて低すぎると、成
型物の結合が不十分となるため、焼結後の砥石は摩耗し
やすくなり研削用砥石としての寿命が短くなることがあ
る。
【0039】焼結工程、つまり焼結時の環境、処理(昇
温)スピード、処理(保持)温度および処理(保持)時
間は、砥石としての性能を大きく左右する要素であり、
本発明に係る研削用砥石の成分の1つである非晶質炭化
の原料、つまり合成樹脂材料であるフェノール樹脂を炭
化するのに十分であることが必要である。
【0040】焼結時の環境は、合成樹脂材料を非晶質炭
素化するため非酸化雰囲気下、つまり不活性雰囲気中あ
るいは還元雰囲気中で焼結する必要があり、焼結時にお
いて炉内に不活性ガスを流すことが好ましい。使用する
不活性ガスは特に限定されないが、一般に入手が容易な
窒素やアルゴンを用いることが好ましい。不活性ガスの
流量は、炉の形状や大きさにより異なるが、一般に0.
1〜10リットル/分であり、好ましくは1〜5リット
ル/分である。不活性ガスの流量が上記の範囲を超えて
多すぎると、更なる効果は期待できず不経済であり、逆
に不活性ガスの流量が上記の範囲を超えて少なすぎる
と、合成樹脂材料が酸化されて非晶質炭素として残存し
ないため、本発明の効果が得られなくなる。
【0041】焼結の処理(昇温)スピードは、10〜2
00℃/時であり、好ましくは30〜150℃/時であ
る。処理スピードが上記の範囲を超えて大きすぎると、
焼結時に熱ムラが生じて均質な砥石ができないことがあ
る。逆に処理スピードが上記の範囲を超えて小さすぎる
と、焼結に多大な時間を要して不経済である。
【0042】焼結の処理(保持)温度は、500〜11
00℃であり、好ましくは500〜900℃である。処
理温度が上記の範囲を超えて高すぎると、砥粒にダイヤ
モンドを使用した場合、ダイヤモンドが炭化してしまっ
て大きな研削速度が得られない。逆に処理温度が上記の
範囲を超えて低すぎると、ビトリファイドボンドが十分
に軟化しないため、砥石の結合が弱くなったり砥石が固
まらなかったりすることがある。
【0043】焼結の処理(保持)時間は、0.5〜5時
間であり、好ましくは1〜3時間である。処理時間が上
記の範囲を超えて長いと不経済であり、逆に処理時間が
上記の範囲を超えて短いと、焼結時に熱ムラが生じて均
質な砥石ができないことがある。
【0044】<研削方法>本発明に係る研削方法は、上
記各成分、すなわちダイヤモンドおよび立方晶窒化ホウ
素から選ばれる少なくとも1種類の砥粒と、結合材であ
るビトリファイドボンドと、ムライト、ジルコニア、コ
ージライト、炭化ケイ素、アルミナおよび無機質中空状
物質からなる群より選ばれる少なくとも1種類の骨材
と、補助剤である非晶質炭素とが所定の割合で含有さ
れ、砥粒、骨材および補助剤である非晶質炭素が、結合
材であるビトリファイドボンド中に海島状に分布してい
る研削用砥石を用いて硬脆材料または金属材料からなる
被研削物を研削することを含んでなる。
【0045】この研削方法は、従来の研削用砥石(ビト
リファイド砥石)を用いた研削方法に比べて、砥石中に
含まれる非晶質炭素の割合を変えることにより砥石の自
生作用を任意に設定できるため、研削速度が大きく、砥
石としての適度な寿命を有しながら自生作用に優れてお
り、長時間の研削においても目詰まりによる研削速度の
低下が極めて少なく加工持続性に優れ、スクラッチ等の
表面欠陥の発生が少なく、表面粗さの小さな研削加工面
を得ることができる。
【0046】本発明に係る研削方法においては、研削対
象となる被研削物として半導体材料、フェライト、ガラ
ス材料、セラミックおよび水晶などの硬脆材料、あるい
は金属材料などが挙げられる。また、使用することがで
きる研削機としては、平面研削機、円筒研削機、クリー
プフィード研削機等があるが、平面研削機が好ましく、
その中でも特に両頭研削機が好ましい。すなわち被研削
物の両面を砥石で挟み、その表裏を同時に研削する場合
において、被研削物が脆性材料である場合は、研削時の
圧力を高くすることができないため、非晶質炭素の含有
量の高い、すなわち自生作用に優れた研削用砥石を用い
ることで、低い加工圧力でも安定した研削加工を継続し
て行うことが可能となる。もちろん、通常の平面研削に
おいても、その他の場合においても優れた効果を持つこ
とは言うまでもない。
【0047】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て、実施例を用いて具体的に説明する。なお、本発明は
その要旨を越えない限り、以下に説明する実施の形態に
限定されるものではない。
【0048】
【実施例】実施例1〜3および比較例1,2 <研削用砥石の作成>砥粒として単結晶ダイヤモンド
(平均粒子径4.0μm)と、結合材としてビトリファ
イドボンド(商品名:ガラスパウダーUP−142B、
株式会社ユニオン製)と、骨材としてアルミナ粉末(平
均粒子径3.0μm、商品名:WA#4000、株式会
社フジミインコーポレーテッド製)と、補助剤である非
晶質炭素の原料としてフェノール樹脂粉末(商品名:ベ
ルパールS890、カネボウ株式会社製)とを、焼結後
の体積割合が表1に示す値となるように計量し、各成分
が均一に混ざり合うようV型混合機にて混合した。つい
で、この混合物を成型圧力1000kg/cm2 、成型
温度約180℃の条件で圧縮成型し、直径が12mmで
厚さが5mmの円筒形のペレット状とした。この成型物
を下記条件で焼結し、実施例1〜3および比較例1,2
の各研削用砥石を作製した。なお、比較例1は補助剤で
あるフェノール樹脂粉末を含まないものであり、比較例
2は焼結において窒素ガスを使用せず大気中で焼結した
ものである。焼結条件 焼結炉 :チューブ炉(光洋サーモシステム株式会社製) 処理速度 :50℃/時 処理温度 :700℃(保持時間:1時間) 炉内雰囲気 :窒素(ガス流量:3リットル/分)
【0049】
【表1】
【0050】<研削用工具の作成>作製した実施例1〜
3および比較例1,2の各研削用砥石70個を、直径1
6cmの鋳鉄製平面研磨皿の一方の面に、エポキシ系接
着剤(商品名:クイックセット、コニシ株式会社製)を
用いそれぞれ均一に接着し、各研削用砥石の表面を被研
削物に均一に接触するよう平坦に削り揃えて、実施例1
〜3および比較例1,2に対応する各研削用工具を作製
した。
【0051】<研削試験>次に、作製した実施例1〜3
および比較例1,2に対応する各研削用工具を用いて、
被研削物として青板ガラスの表面を下記条件で研削加工
した。なお、この研削加工は、被研削物の円盤状青板ガ
ラスを1枚、5分間研削する工程を1バッチとし、これ
を6バッチ行った。研削条件 試験機 :オスカータイプレンズ研磨機 (商品名:HJ2−35B、宇田川鉄工株式会社製) 被研削物 :円盤状青板ガラス (直径65mm、厚さ5mm、日本板硝子株式会社製) 被研削物前加工面:炭化ケイ素微粉末によるラッピング仕上げ (商品名:GC#400、株式会社フジミインコーポレー テッド製) 研削バッチ数 :6回 加工圧力 :青板ガラスに対して4kg 研削用工具回転数:400rpm 研削加工冷却液 :市水に水溶性の研削液を約5%添加 (商品名:スーパールビエイト、八千代マイクロサイエン ス株式会社製) 研削加工時間 :5分間
【0052】1回目の研削加工中、試験機に取り付けた
電流計により各研削用工具の電流値を測定し、比較例1
に対応する研削用工具を用いて研削加工を行った際の電
流値を100とした場合における各研削用工具の電流値
を求め、これより各研削用工具毎の研削抵抗を求めてそ
の値より評価を行った。その評価基準は以下の通りであ
る。研削抵抗の評価基準 ◎:80未満 ○:80以上100未満 ×:100以上
【0053】次に、研削加工後のそれぞれの青板ガラス
の重量を測定し、研削加工前の重量との重量減を求め、
その重量減と各青板ガラスの比重および面積とから研削
量を求めた。そして、研削加工を行った6回全てについ
て測定を行い、計30分間の累積研削量より研削速度を
求めるとともに、6回目の研削量を1回目のそれで除す
る{(6回目の研削量)÷(1回目の研削量)×100
[%]}ことにより加工持続性を求め、それぞれの結果
から評価を行った。その評価基準は以下の通りである。研削速度の評価基準 ◎:100μm/30分以上 ○:75μm/30分以上100μm/30分未満 ×:75μm/30分未満加工持続性の評価基準 ◎:75%以上 ○:50%以上75%未満 ×:50%面未満
【0054】さらに、被研削物である青板ガラスの研削
加工面裏側に、黒色着色剤を含んだエポキシ樹脂を均一
に塗り、完全に乾燥させた。そして、これにより研削加
工面のスクラッチを観察する際に邪魔になる被研削加工
面裏側の傷を排除し、暗室内にてスポットライト(山田
光学工業株式会社製、50万ルクス)で研削加工面を照
射して、目視にて研削加工後の全青板ガラス表面を観察
し、スクラッチ数をカウントしてその平均から面当たり
のスクラッチ数を求め、その値から評価を行った。その
評価基準は以下の通りである。スクラッチの評価結果 ◎:5本/面未満 ○:5本/面以上10本/面未満 ×:10本/面以上
【0055】最後に、各研削用工具による研削加工後の
各青板ガラスの研削加工面において、以下の条件で表面
粗さ(Rmax)を測定し、6回の平均から各研削用工
具毎の表面粗さを求め、この値から評価を行った。その
評価基準は以下の通りである。測定条件 測定器 :サーフコム14000D(東京精密株式会社製) 縦倍率 :10000倍 横倍率 :20倍 測長 :10mm 測定スピード:0.1mm/秒 カットオフ :λc=0.08mm表面粗さの評価基準 ◎:1.75μm未満 ○:1.75μm以上2.0μm未満 ×:2.0μm以上
【0056】以上、前記研削抵抗、研削速度、加工持続
性、スクラッチおよび表面粗さの評価結果を表1に示
す。
【0057】表1から明らかなように、実施例1〜3は
いずれも比較例1、2より研削抵抗が小さく、研削速度
が大きく、加工持続性も高かった。そして、スクラッチ
の発生が少なく、表面粗さが小さい研削加工面が得られ
た。これは、研削用砥石に非晶質炭素が含まれている
と、砥粒であるダイヤモンドと骨材であるアルミナ粉末
が結合材であるビトリファイドボンドによって適度な硬
さで結合されるため、研削加工がスムーズに行えて、研
削加工面にスクラッチを発生させず、表面粗さの小さい
高精度の研削加工が得られることがわかる。また、実施
例1〜3は、非晶質炭素が含まれない比較例1のように
硬い砥石ではないため、ある程度の硬度を有するが脆性
が上がっているとも言え、砥石としての適度な寿命を有
しながら自生作用に優れ、長時間の研削加工においても
目詰まりによる研削速度の低下が極めて少ない加工持続
性を有する研削用砥石が得られることがわかる。さら
に、非酸化雰囲気下で焼結した実施例1〜3は、大気中
で焼結した比較例2とは異なって補助剤であるフェノー
ル樹脂粉末が焼結後に非晶質炭素となる。このため、結
合材であるビトリファイドボンドと砥粒である単結晶ダ
イヤモンドおよび骨材であるアルミナ粉末が必要以上に
強固に結合せず、砥石として適度な自生作用と大きな研
削速度とを発現し、スクラッチ等の表面欠陥の発生を少
なくし、表面粗さの小さな研削加工面を得ることができ
ることがわかる。
【0058】
【発明の効果】以上のように本発明に係る研削用砥石
は、結合材にビトリファイドボンドを主原料とした研削
用砥石であって、(A)ダイヤモンドおよび立方晶窒化
ホウ素から選ばれる少なくとも1種類の砥粒と、(B)
結合材であるビトリファイドボンドと、(C)ムライ
ト、ジルコニア、コージライト、炭化ケイ素、アルミナ
および無機質中空状物質からなる群より選ばれる少なく
とも1種類の骨材と、(D)補助剤である非晶質炭素と
を含んでなり、(A)の砥粒、(C)の骨材および
(D)の補助剤である非晶質炭素が、(B)の結合材で
あるビトリファイドボンド中に海島状に分布しているの
で、研削速度が大きく、砥石としての適度な寿命を有し
ながら自生作用に優れ、長時間の研削においても目詰ま
りによる研削速度の低下が極めて少なくて加工持続性に
優れており、スクラッチ等の表面欠陥の発生が少なく表
面粗さの小さな研削加工面が得られる研削が行える研削
用砥石を得ることができる。
【0059】また、本発明に係る研削用砥石は、(D)
の補助剤である非晶質炭素が、主原料である合成樹脂材
料を焼結しその炭化により得られるものであるので、砥
石としての適度な寿命を有しながら自生作用に優れ、研
削速度が大きく、長時間の研削においても目詰まりによ
る研削速度の低下が極めて少なくて加工持続性に優れて
おり、スクラッチ等の表面欠陥の発生が少ない表面粗さ
の小さな研削加工面を得ることができる。また、研削用
砥石中における非晶質炭素の割合が極めて大きく、成型
時には合成樹脂材料として存在し焼結の工程で炭化され
るため、非晶質炭素の結合材であるビトリファイドボン
ドの焼結を妨げることがなく、結合材の幅広い選択が可
能となる。
【0060】さらに、本発明に係る研削用砥石は、合成
樹脂材料が、フェノール樹脂であるので、炭化の段階に
おいて体積変化が少なく、すなわち焼成後の砥石強度が
高くなる傾向にある炭化焼成時の残炭分が50%以上と
多く、砥石としての適度な寿命を有しながら自生作用に
優れ、研削速度が大きく、長時間の研削においても目詰
まりによる研削速度の低下が極めて少なくて加工持続性
に優れており、スクラッチ等の表面欠陥の発生が少な表
面粗さの小さな研削加工面を得ることができる。また、
研削用砥石中における非晶質炭素の割合が極めて大き
く、成型時には合成樹脂材料として存在し焼結の工程で
炭化されるため、非晶質炭素の結合材であるビトリファ
イドボンドの焼結を妨げることがなく、結合材の幅広い
選択が可能となる。さらに、研削用砥石中における非晶
質炭素の割合が大きくなると、製造時における合成樹脂
材料の割合も大きくなるため、これにより圧縮成型時の
成型性を助けるとともに、研削時の砥石の硬度を向上さ
せ、砥石の自生作用を促進するという利点があり、さら
に研削された被研削物に対しても高精度な研削面を得る
ことが可能となる。
【0061】本発明に係る研削用砥石の製造方法は、
(a)ダイヤモンドおよび立方晶窒化ホウ素から選ばれ
る少なくとも1種類の砥粒と、(b)結合材であるビト
リファイドボンドと、(c)ムライト、ジルコニア、コ
ージライト、炭化ケイ素、アルミナおよび無機質中空状
物質からなる群より選ばれる少なくとも1種類の骨材
と、(d)炭化による残炭分が50%以上の合成樹脂材
料が主原料である補助剤とを主成分として混合し、混合
物を所定の砥石形状に圧縮成型し、成型物を非酸化雰囲
気下で、かつ500〜1100℃の範囲内の処理温度で
焼結する方法である。これにより、補助剤として含まれ
る非晶質炭素を焼結により失うことがなく、砥粒および
骨材の結合を任意に調節することができ、研削速度が大
きく、砥石としての適度な寿命を有しながら自生作用に
優れ、長時間の研削においても目詰まりによる研削速度
の低下が極めて少なくて加工持続性に優れており、スク
ラッチ等の表面欠陥の発生が少なく表面粗さの小さな研
削加工面を得ることができる。
【0062】本発明に係る研削用砥石を用いた研削方法
は、前記(A)〜(D)の砥粒、結合材、骨材および補
助剤を含んでなり、(A)の砥粒、(C)の骨材および
(D)の補助剤である非晶質炭素が、(B)の結合材で
あるビトリファイドボンド中に海島状に分布している研
削用砥石を用いて、硬脆材料または金属材料からなる被
研削物を研削する方法であるので、硬脆材料および金属
材料において研削加工を行っても、研削速度が大きく、
自生作用および加工持続性に優れており、良好な研削加
工面を得ることができる。また、前記研削用砥石を用い
て、平面研削機、円筒研削機、クリープフィード研削機
等、機種を問わず硬脆材料または金属材料について研削
加工を行うことが可能であり、特に両頭研削機、すなわ
ち被研削物の両面を砥石で挟み、その表裏を同時に研削
する場合において、低い加工圧力でも安定した研削加工
を継続的に行うことができる。
【0063】本発明に係る研削用砥石を用いた研削方法
は、前記(a)〜(d)の砥粒、結合材、骨材および補
助剤を主成分として混合し、混合物を所定の砥石状に圧
縮成型して、成型物を焼結する製造方法を用いて製造さ
れた研削用砥石を用い、硬脆材料または金属材料からな
る被研削物を研削する方法であるので、硬脆材料および
金属材料において研削加工を行っても、研削速度が大き
く、自生作用および加工持続性に優れており、良好な研
削加工面を得ることができる。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 結合材にビトリファイドボンドを主原料
    とした研削用砥石であって、(A)ダイヤモンドおよび
    立方晶窒化ホウ素から選ばれる少なくとも1種類の砥粒
    と、(B)結合材であるビトリファイドボンドと、
    (C)ムライト、ジルコニア、コージライト、炭化ケイ
    素、アルミナおよび無機質中空状物質からなる群より選
    ばれる少なくとも1種類の骨材と、(D)補助剤である
    非晶質炭素とを含んでなり、前記(A)の砥粒、前記
    (C)の骨材および前記(D)の補助剤である非晶質炭
    素が、前記(B)の結合材であるビトリファイドボンド
    中に海島状に分布していることを特徴とする研削用砥
    石。
  2. 【請求項2】 前記(D)の補助剤の非晶質炭素が、主
    原料である合成樹脂材料を焼結しその炭化により得られ
    るものであることを特徴とする請求項1記載の研削用砥
    石。
  3. 【請求項3】 合成樹脂材料が、フェノール樹脂である
    ことを特徴とする請求項2記載の研削用砥石。
  4. 【請求項4】 (a)ダイヤモンドおよび立方晶窒化ホ
    ウ素から選ばれる少なくとも1種類の砥粒と、(b)結
    合材であるビトリファイドボンドと、(c)ムライト、
    ジルコニア、コージライト、炭化ケイ素、アルミナおよ
    び無機質中空状物質からなる群より選ばれる少なくとも
    1種類の骨材と、(d)炭化による残炭分が50%以上
    の合成樹脂材料が主原料である補助剤とを主成分として
    混合し、該混合物を所定の砥石形状に圧縮成型し、該成
    型物を焼結することを特徴とする研削用砥石の製造方
    法。
  5. 【請求項5】 前記(d)の補助剤の主成分である合成
    樹脂材料が、フェノール樹脂であることを特徴とする請
    求項4記載の研削用砥石の製造方法。
  6. 【請求項6】 非酸化雰囲気下で、かつ500〜110
    0℃の範囲内の処理温度で焼結することを特徴とする請
    求項4または5記載の研削用砥石の製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項1乃至3のいずれかに記載された
    研削用砥石を用いて、硬脆材料または金属材料からなる
    被研削物を研削することを特徴とする研削方法。
  8. 【請求項8】 請求項4乃至6のいずれかに記載の製造
    方法を用いて製造された研削用砥石を用い、硬脆材料ま
    たは金属材料からなる被研削物を研削することを特徴と
    する研削方法。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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