JP2003010310A - 頭蓋骨用骨補填材料および補填方法 - Google Patents

頭蓋骨用骨補填材料および補填方法

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JP2003010310A
JP2003010310A JP2001195221A JP2001195221A JP2003010310A JP 2003010310 A JP2003010310 A JP 2003010310A JP 2001195221 A JP2001195221 A JP 2001195221A JP 2001195221 A JP2001195221 A JP 2001195221A JP 2003010310 A JP2003010310 A JP 2003010310A
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skull
craniotomy
filling
tcp
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Akira Inoue
晃 井上
Hiroyuki Irie
洋之 入江
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 頭蓋開頭術における骨弁を開頭部へ固定する
とともに、上記骨弁の頭蓋骨への骨癒合を促進させ、か
つ、美容整形的に術後の陥没が起こらない頭蓋骨充填材
を提供すること。 【解決手段】 開頭手術の際に切り出される頭蓋骨片
を、施術後に開頭部へ固定して該開頭部を修復するため
の頭蓋骨用骨補填材であって、頭蓋骨と頭蓋骨片との欠
損部もしくは空隙部に充填される、気孔率50〜90
%、連通する気孔径50〜1000μmと5μm以下の
気孔を有するリン酸カルシウム多孔体もしくは多孔質顆
粒と、充填された前記多孔体もしくは多孔質顆粒の上面
を覆う、生体内吸収性有機材料もしくは生体適合性の高
い材料からなる膜との組み合せからなることを特徴とす
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、頭蓋骨用骨補填材
およびその補填方法に係り、特に、脳神経外科、形成外
科分野における開頭手術の際に切り出される頭蓋骨片
を、施術後に開頭部へ固定して該開頭部を修復するため
の、リン酸カルシウム多孔体もしくは多孔質顆粒を含む
頭蓋骨用骨補填材料に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、脳腫瘍、頭蓋内血腫や脳出血
等の脳神経外科領域における治療では、頭蓋骨開頭術、
つまり、患者の頭蓋骨の一部を骨片として切離して開頭
部を形成し、この開頭部から脳組織へ報刀を施す手術が
行われている。これらの場合、開頭の際、まず頭皮を切
開して頭蓋骨を露出させ、該頭蓋骨の所望の開頭位置に
ドリルで数箇所の穿孔を形成し、この穿孔の間を骨切り
用線鋸又はクラニオトームで切開することにより、上記
所望の位置の骨片を切除して開頭部を得て、さらに内部
の硬膜を切開して脳組織に対する施術を行うのが一般で
ある。
【0003】上述のように、脳組織へ施術された後、上
記頭蓋骨の開頭部を修復する場合、上記開頭部を上記骨
片にて固定したうえ、穿孔部をバーホールボタンにて補
填することが多い。特許第2917544号公報や特公
平7−108303号公報では、多孔性リン酸カルシウ
ム化合物からなる円錐台形状とすることで、穿孔部に充
填しやすく生体適合性の良好な充填材が提案されてい
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
たバーホールボタンは、穿孔部の充填材としての作用は
得られるが、バーホールボタンにより充填された穿孔部
の隙間の僅かな凹凸、もしくは骨切り用線鋸又はクラニ
オトームで切開した開頭線の隙間の凹凸を修復すること
は困難である。
【0005】特に、生体適合性に優れた骨補填材として
使用されている水酸アパタイト(以下、HAP)は、骨
形成の足場になるものの、吸収性が極めて低いため、補
填したHAPは長期間異物として残留してしまう。その
ため、治療後の患部及び外周部には陥没が生じて、外観
上及び治療効果上、問題とされている。特に、今日で
は、治療後の皮膚の凹凸を極力少なくすることが望まれ
ており、上述したバーホールボタンでは、美容整形的に
課題が残る。
【0006】本発明は、上記従来の問題点を解決するた
めになされたもので、頭蓋開頭術における骨弁を開頭部
へ固定するとともに、上記骨弁の頭蓋骨への骨癒合を促
進させ、かつ、美容整形的に術後の陥没が起こらない頭
蓋骨充填材を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明は、 開頭手術の際に切り出される頭蓋骨片
を、施術後に開頭部へ固定して該開頭部を修復するため
の頭蓋骨用骨補填材であって、頭蓋骨と頭蓋骨片との欠
損部もしくは空隙部に充填される、気孔率50〜90
%、連通する気孔径50〜1000μmと5μm以下の
気孔を有するリン酸カルシウム多孔体もしくは多孔質顆
粒と、充填された前記多孔体もしくは多孔質顆粒の上面
を覆う、生体内吸収性有機材料もしくは生体適合性の高
い材料との組み合せからなることを特徴とする頭蓋骨用
骨補填材を提供する。
【0008】また、本発明は、開頭手術の際に切り出さ
れる頭蓋骨片を、施術後に開頭部へ固定して該開頭部を
修復する頭蓋骨用骨補填材料の補填方法であって、切り
出された頭蓋骨片を開頭部へ固定した後、頭蓋骨と頭蓋
骨片との欠損部もしくは空隙部に、気孔率50〜90
%、連通する気孔径50〜1000μmと5μm以下の
気孔を有するリン酸カルシウム多孔体もしくは多孔質顆
粒を充填する工程、および前記充填されたリン酸カルシ
ウム多孔体もしくは多孔質顆粒上を、シート状、ゲル状
もしくは硬化性状の生体吸収性有機材料で覆う工程を具
備することを特徴とする頭蓋骨用骨補填材の補填方法を
提供する。
【0009】以下、本発明について、より詳細に説明す
る。
【0010】HAPに代表されるリン酸カルシウムは、
生体適合性が高く、骨欠損部などに充填する場合、その
周辺に直接新生骨を形成することが知られている。その
中でも、β−TCPは、生体適合性、骨形成に優れてい
るうえ、生体吸収性にも優れ、骨欠損部などに充填する
場合、経時的に自家骨に置換するという特徴がある。
【0011】本発明で使用されるβ−TCP多孔体もし
くは多孔質顆粒は、気孔率50〜90%、連通する気孔
径50〜1000μmと5μm以下の気孔を有するもの
であって、メカノケミカル法で作製したβ−リン酸三カ
ルシウム(以下、β−TCP)粉末を原料として作製さ
れることが好ましい。なお、β−TCPは、一般的に骨
伝導能と生体吸収性の性質を併せ有するが、その合成プ
ロセスによりその性能は左右され、メカノケミカル法に
より合成されたβ−TCPが最も骨補填材として優れて
いる。
【0012】多孔質の気孔性状は、β−TCP内部への
細胞の進入などに寄与する50〜1000μmの気孔
と、生体内での吸収を効率良くさせる5μm以下の気孔
の両方を有することが必要である。このようなβ−TC
Pを成分とした多孔体もしくは多孔質顆粒は、頭蓋骨用
骨補填材として最適である。
【0013】本発明では、このようなβ−TCP多孔体
もしくは多孔質顆粒と、生体内吸収性有機材料もしくは
生体適合性の高い材料との組合せを頭蓋骨の骨補填材料
として用いる。生体内吸収性有機材料としては、フィブ
リン、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、乳酸−グリコール
酸共重合体、コラーゲン、ゼラチン、キチン−キトサ
ン、ヒアルロン酸、アルギン酸、およびこれらの変性体
からなる群から選ばれた少なくとも1種が挙げられ、生
体適合性の高い材料としては、テフロン(登録商標)を
挙げることが出来る。
【0014】本発明の頭蓋骨用骨補填材を用いた補填
は、次のようにして行われる。即ち、頭蓋開頭術により
脳組織へ施術し、硬膜を縫合した後、開頭部に頭蓋骨の
開頭時の骨片を嵌め合わせる。その際、骨片周囲には穿
孔の欠損や骨切り部の隙間が生じている。この骨欠損や
隙間に、β−TCP多孔体もしくは多孔質顆粒を補填す
る。その後、補填したβ−TCP多孔体もしくは多孔質
顆粒の上に生体内吸収性材料あるいは非吸収性の生体適
合性材料よりなる膜を覆うように被せて縫合する。
【0015】このように補填されたβ−TCP多孔体も
しくは多孔質顆粒は、下面に硬膜、側面に頭蓋骨切断
面、上面には生体内吸収性材料あるいは非吸収性の生体
適合性材料で囲まれるため、十分に血流を確保すること
ができるとともに、補填部への軟部組織など骨形成を阻
害する組織の進入を防止することができる。そのため、
β−TCPの吸収とβ−TCPを足場とした骨形成が効
率良く進行し、経時的に補填部が自家骨に置換される。
【0016】本発明の頭蓋骨用骨補填材料およびそれを
用いた補填方法によると、骨片の頭蓋骨への骨癒合を促
進させ、かつ、美容整形的に術後の陥没が起こらないと
いう優れた効果を得ることが出来る。
【0017】また、骨欠損部や隙間にβ−TCPを補填
した後、フィブリノーゲン、トロンビンからなるフィブ
リン糊のように硬化材料を噴霧して、補填したβ−TC
P上部に膜を形成してもよい。
【0018】この場合においても、β−TCPの気孔は
塞がれることなく存在するため、補填後、経時的にβ−
TCPは自家骨に置換される。
【0019】また、以上説明した補填方法では、β−T
CP多孔体もしはく多孔質顆粒に、BMP(Bone
Morphogenetic Protein)、FG
F(Fibroblast Growth Facto
r)、TGF−β(Transforming Gro
wth Factor−β)、IGF(Insulin
−like Growth Factor)、PDGF
(Platelet−Derived Growth
Factor)、VEGF(VascularEndo
thelial cell Growth Facto
r)などの骨形成因子を複合させて補填することもでき
る。
【0020】このように、骨形成因子を複合させる方法
によると、β−TCP単独で補填するよりも骨形成を促
進することが出来る。上記骨形成因子をβ−TCPに複
合する方法は、特に設定しないが、緩衝液などに溶解さ
せた骨形成因子を所望のβ−TCPにしみ込ませるなど
の方法が容易である。
【0021】また、β−TCPに骨髄細胞を複合させて
補填することもできる。この方法によっても、前記骨形
成因子を複合させる方法と同様に、骨形成を促進するこ
とが出来る。骨髄細胞の複合方法としては、患者の腸骨
などから採取した骨髄を、補填するβ−TCPにしみ込
ませることが最も容易な方法である。
【0022】骨髄細胞の他の複合方法として、事前に患
者の骨髄を採取し、10〜14日間15%FBS含有M
EM培地にて初期培養を行い、補填するβ−TCPに細
胞を播種し、10nMのデキサメタゾン、10mMのβ
−グリセロホスフェート、および50μg/mlのアス
コルビン酸の存在下で培養し、骨髄細胞複合β−TCP
とすることもできる。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態として
の、種々の実施例を示す。 [実施例1]原料とするβ−TCP粉末を、メカノケミ
カル法により以下のようにして作製した。
【0024】即ち、炭酸カルシウム粉末とリン酸水素カ
ルシウム2水和物粉末を1:2のモル比になるように秤
量し、これに純水を加えてスラリーを調製した。このス
ラリーをボールミルにて約24時間磨砕反応させた後、
乾燥し、更に750〜900℃で焼成して、β−TCP
粉末を得た。
【0025】このようにして得られたβ−TCP粉末を
用いて、多孔質顆粒を作製した。即ち、得られたβ−T
CP粉末に、純水、解膠剤、およびポリオキシエチレン
アルキルエーテル系あるいはポリオキシエチレンアルキ
ルフェニルエーテル系の界面活性剤を所定量加えた。こ
れをミキサーなどで混合し、発泡させ、乾燥した後、1
000〜1100℃で焼成した。その結果、50〜80
%の気孔率、50〜1000μm及び5μm以下の気孔
分布を有するβ−TCP多孔体を作製することができ
た。
【0026】更に、このβ−TCP多孔体を粉砕して、
顆粒を得た。なお、顆粒径は特に限定されるものではな
いが、好ましくは0.1〜10mm、より好ましくは、
0.5〜5mmとなるように作製するのがよい。
【0027】以上のように作製したβ−TCP多孔質顆
粒を、次のように、頭蓋骨用骨補填材として使用した。
まず、頭蓋開頭術により脳組織へ施術し、硬膜を縫合し
た後、開頭部に頭蓋骨の開頭時の骨片を嵌め合わせた。
その際、骨片周囲には穿孔の欠損や骨切り部の隙間が生
じた。この骨欠損や隙間にβ−TCP多孔質顆粒を補填
した。その後、補填したβ−TCP多孔質顆粒の上に、
生体内吸収性材料あるいは非吸収性の生体適合性材料よ
りなる膜を覆うように被せて縫合した。
【0028】このように補填されたβ−TCP多孔質顆
粒は、下面に硬膜、側面に頭蓋骨切断面、上面には生体
内吸収性材料あるいは非吸収性の生体適合性材料で囲ま
れるため、十分に血流を確保することができるととも
に、補填部への軟部組織など骨形成を阻害する組織の進
入を防止することができた。そのため、β−TCPの吸
収とβ−TCPを足場とした骨形成が効率良く進行し、
経時的に補填部が自家骨に置換された。
【0029】以上のように、本実施例によると、骨片の
頭蓋骨への骨癒合を促進させ、かつ、美容整形的に術後
の陥没が起こらないという優れた効果が得られた。
【0030】[実施例2]本実施例では、実施例1と同
じ形態のβ−TCP多孔質顆粒と、噴霧可能な容器に収
容されたフィブリノーゲン溶液、トロンビン溶液からな
るフィブリン糊で構成される材料を頭蓋骨用骨補填材と
して使用した。
【0031】頭蓋開頭術により脳組織へ施術し、硬膜を
縫合した後、開頭部に頭蓋骨の開頭時の骨片を嵌め合わ
せた。その際、骨片周囲には穿孔の欠損や骨切り部の隙
間が生じた。この骨欠損や隙間にβ−TCP多孔質顆粒
を補填した。
【0032】その後、補填したβ−TCP多孔質顆粒の
上にフィブリン糊を噴霧し、表層部を固めた。このよう
にして、補填したβ−TCP多孔質顆粒の上部をフィブ
リン糊で固めているため、補填部は、十分に血流を確保
することができるとともに、補填部への軟部組織など骨
形成を阻害する組織の進入を防止することができた。そ
のため、β−TCPの吸収とβ−TCPを足場とした骨
形成が効率良く進行し、経時的に補填部が自家骨に置換
された。
【0033】以上のように、骨片の頭蓋骨への骨癒合を
促進させ、かつ、美容整形的に術後の陥没が起こらない
という効果が得られた。
【0034】次に、本発明の有用性を評価するため、以
下の実験を行った。
【0035】体重3〜3.5kgの日本白色家兎(コン
ベンショナル)18羽を用い、その頭蓋頭頂骨の左右2
箇所に直径7mmの骨欠損を電動ドリルにて作製し、β
−TCP多孔質体からなる顆粒約60mgで補填した。
使用したβ−TCP多孔質体は、気孔率約75%、焼成
温度1050℃のβ−TCP多孔体を0.5〜1.5m
mの粒径に加工したものである。
【0036】また、頭頂骨の骨欠損の作製において、骨
膜を可及的に残して骨欠損を作製し、また、生体組織接
着剤として一般的に用いられているフィブリン糊を用い
て顆粒が散らばることを防止するなどの操作を行った。
コントロール群として無補填群(骨欠損のみ)を作製し
た。その実験条件を下記に示す。
【0037】 A群 β−TCP顆粒補填、フィブリン糊使用 B群 β−TCP顆粒補填、骨膜温存有り C群 β−TCP顆粒補填、骨膜温存せず D(コントロール)群 補填無し、骨膜温存有り 施術後、6週および12週飼育した後に屠殺し、頭頂骨
を摘出した後、非脱灰標本をToluidine bl
ue染色法にて作製し、形成した骨面積率及び補填した
β−TCPの面積率を計測した。面積率は、顕微鏡にて
非脱灰Toluidine blue染色標本の補填部
を観察・デジタル画像として取り込み後、画像処理ソフ
トにて2値化して計測した。
【0038】また、同様に、酒石酸抵抗性酸フォスファ
ターゼ(以下、TRAP)染色法及びアルカリフォスフ
ァターゼ(以下、ALP)染色法による非脱灰標本を作
製し、組織観察を行った。フィブリン糊は、(財)化学
及び血清療法研究所製の、献血由来、生体組織接着剤ボ
ルヒールを用いた。
【0039】施術後、6週および12週の非脱灰標本の
写真(×2)を図1に示す。図1から、6週では、多く
のβ−TCPが吸収されず残っており、その周辺から骨
形成していることがわかる。特に、骨膜を温存していな
いC群では、補填内部ではほとんど骨形成していない。
これに対し、12週では、β−TCPの吸収もより進ん
で、その面積率は減少していた。形成された新生骨は骨
梁様な形態に成熟していた。また、コントロール群で
は、6週、12週を通じて骨形成はほとんどされていな
いことがわかる。
【0040】画像解析により求めたβ−TCP、新生骨
の面積率をそれぞれ図2、図3に示す。図2から、各実
験群のβ−TCPの面積率は、12週で有意に減少して
いることがわかる。図3から、新生骨の面積率も、12
週では6週に比べ減少していることがわかる。これは、
活発な骨形成の後、新生骨はリモデリングにより成熟な
骨梁へと変化している過程であり、数値としての面積率
は減少しているものと考えられる。なお、コントロール
群との比較で、6週における骨形成は実験群の方が多い
ことが確認できる。
【0041】図4に、同一検体のToluidine
blue染色、TRAP染色及びALP染色による非脱
灰標本写真(×40)を示す。TRAP染色写真から、
β−TCPを吸収する破骨細胞が、ALP染色写真か
ら、骨形成する骨芽細胞が観察でき、β−TCP補填部
では、活発な吸収・骨形成が行われていた。
【0042】[実施例3]β−TCP多孔質顆粒の代わ
りに円盤状β−TCP多孔体を用い、この円盤状β−T
CP多孔体に、骨成長因子として、BMP、FGF、T
GF−β、IGF、PDGF、VEGFを複合させた。
骨成長因子の複合方法は、特に限定されるものではない
が、本実施例では、緩衝液などに溶解した成長因子をβ
−TCP多孔体にしみ込ませることにより行った。
【0043】この骨成長因子複合β−TCPを用いて、
実施例1及び実施例2と同様にして、骨欠損や隙間に補
填した。
【0044】その結果、骨成長因子は骨形成を促進させ
るため、骨片の頭蓋骨への骨癒合をより促進させ、かつ
美容整形的に術後の陥没が起こらないという優れた効果
が得られた。
【0045】[実施例4]β−TCP多孔質顆粒の代わ
りに円盤状β−TCP多孔体を用い、この円盤状β−T
CP多孔体に、次のようにして骨髄細胞を複合させた。
即ち、事前に患者の骨髄を採取し、10〜14日間15
%FBS含有MEM培地にて初期培養を行い、補填する
β−TCPに細胞を播種し、10nMのデキサメタゾ
ン、10mMのβ−グリセロホスフェート、50μg/
mlのアスコルビン酸の存在下で培養し、骨髄細胞複合
β−TCPを得た。
【0046】この骨髄細胞複合β−TCPを用いて、実
施例1及び実施例2と同様にして、骨欠損や隙間に補填
した。
【0047】その結果、骨髄細胞は骨形成を促進させる
ため、骨片の頭蓋骨への骨癒合をより促進させ、かつ、
美容整形的に術後の陥没が起こらないという優れた効果
が得られた。
【0048】
【発明の効果】以上、詳細に説明したように、本発明に
よれば、頭蓋開頭術における骨弁を開頭部へ固定すると
ともに、上記骨弁の頭蓋骨への骨癒合を促進させ、か
つ、美容整形的に術後の陥没が起こらない頭蓋骨充填材
を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】6週および12週の非脱灰標本を示す写真。
【図2】画像解析により求めたβ−TCPの面積率を示
す特性図。
【図3】画像解析により求めた新生骨の面積率を示す特
性図。
【図4】同一検体のToluidine blue染
色、TRAP染色及びALP染色による非脱灰標本を示
す写真。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4C060 LL13 4C081 AA02 AA14 AB04 BA12 CA17 CD04 CD08 CD09 CD12 CD15 CD27 CD28 CD29 CF01 CF02 DA01 DA02 DB03 DB05 DB06

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】開頭手術の際に切り出される頭蓋骨片を、
    施術後に開頭部へ固定して該開頭部を修復するための頭
    蓋骨用骨補填材であって、 頭蓋骨と頭蓋骨片との欠損部もしくは空隙部に充填され
    る、気孔率50〜90%、連通する気孔径50〜100
    0μmと5μm以下の気孔を有するリン酸カルシウム多
    孔体もしくは多孔質顆粒と、充填された前記多孔体もし
    くは多孔質顆粒の上面を覆う、生体内吸収性有機材料も
    しくは生体適合性の高い材料との組み合せからなること
    を特徴とする頭蓋骨用骨補填材。
  2. 【請求項2】前記リン酸カルシウム多孔体もしくは多孔
    質顆粒が、メカノケミカル法で作製したβ−リン酸三カ
    ルシウムからなることを特徴とする請求項1に記載の頭
    蓋骨用骨補填材。
  3. 【請求項3】前記リン酸カルシウム多孔体もしくは多孔
    質顆粒に、BMP、FGF、TGF−β、IGF、PD
    GF、およびVEGFからなる群から選ばれた少なくと
    も1種の成長因子を複合させたことを特徴とする請求項
    1に記載の頭蓋骨用骨補填材。
  4. 【請求項4】前記生体内吸収性有機材料が、フィブリ
    ン、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、乳酸−グリコール酸
    共重合体、コラーゲン、ゼラチン、キチン−キトサン、
    ヒアルロン酸、アルギン酸、これらの変性体の少なくと
    も一つを成分とする生体内吸収性有機材料からなるシー
    ト状、ゲル状もしくは硬化性状であることを特徴とする
    請求項1に記載の頭蓋骨用骨補填材。
  5. 【請求項5】開頭手術の際に切り出される頭蓋骨片を、
    施術後に開頭部へ固定して該開頭部を修復する頭蓋骨用
    骨補填材料の補填方法であって、 切り出された頭蓋骨片を開頭部へ固定した後、頭蓋骨と
    頭蓋骨片との欠損部もしくは空隙部に、気孔率50〜9
    0%、連通する気孔径50〜1000μmと5μm以下
    の気孔を有するリン酸カルシウム多孔体もしくは多孔質
    顆粒を充填する工程、および前記充填されたリン酸カル
    シウム多孔体もしくは多孔質顆粒上を、シート状、ゲル
    状もしくは硬化性状の生体吸収性有機材料で覆う工程を
    具備することを特徴とする頭蓋骨用骨補填材の補填方
    法。
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