JP2003003181A - 構造hクラスレート水和物の生成方法 - Google Patents
構造hクラスレート水和物の生成方法Info
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- JP2003003181A JP2003003181A JP2001185920A JP2001185920A JP2003003181A JP 2003003181 A JP2003003181 A JP 2003003181A JP 2001185920 A JP2001185920 A JP 2001185920A JP 2001185920 A JP2001185920 A JP 2001185920A JP 2003003181 A JP2003003181 A JP 2003003181A
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Abstract
(57)【要約】 (修正有)
【課題】 大量の天然ガスを貯蔵・輸送すること可能と
する方法、すなわち構造Hクラスレート水和物を緩やか
な温度、圧力条件によって効率的に生成する方法の提
供。 【解決手段】 耐圧容器1内に水9と、水より密度が小
さく、かつ水に不溶の液状ゲスト物質7とを水を下側に
して積層させ、容器内の残りの気相に天然ガス6を充填
し、加圧し、天然ガス気相中にノズル5から天然ガス−
水に不溶の液状ゲスト物質(MCH)界面に向けて水を
噴霧して構造Hクラスレート水和物8を生成する。
する方法、すなわち構造Hクラスレート水和物を緩やか
な温度、圧力条件によって効率的に生成する方法の提
供。 【解決手段】 耐圧容器1内に水9と、水より密度が小
さく、かつ水に不溶の液状ゲスト物質7とを水を下側に
して積層させ、容器内の残りの気相に天然ガス6を充填
し、加圧し、天然ガス気相中にノズル5から天然ガス−
水に不溶の液状ゲスト物質(MCH)界面に向けて水を
噴霧して構造Hクラスレート水和物8を生成する。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ゲスト物質(水和
物を構成する水以外の物質)気相中への水の噴霧による
クラスレート水和物を生成する方法に関する。本発明
は、メチルシクロヘキサンなどの炭素数5〜8のパラフ
ィン炭化水素又はシクロアルカン類、特にメチルシクロ
ヘキサンを液状ゲスト物質として使用して構造Hクラス
レート水和物を生成する方法に関する。
物を構成する水以外の物質)気相中への水の噴霧による
クラスレート水和物を生成する方法に関する。本発明
は、メチルシクロヘキサンなどの炭素数5〜8のパラフ
ィン炭化水素又はシクロアルカン類、特にメチルシクロ
ヘキサンを液状ゲスト物質として使用して構造Hクラス
レート水和物を生成する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】クラスレート水和物は、水以外のゲスト
物質、例えばメタンガスを取り込んだ、かご状に構成さ
れた水素結合水分子よりなる結晶状化合物の一般名であ
り(Themal Science & Engineering Vol.7 No.2[199
9]、P.35)、クラスレート水和物として構造I水和物、
構造II水和物及び構造H水和物の3種類が知られている
(Thermal Science & Engineering Vol.7, No.2[199
9], P.37) 。また、ロジャース等(R.Rogers et al.,1
996年)が、ゲスト物質(水和物を構成する水以外の物
質)気相中への水の噴霧による構造I水和物の生成を初
めて実現した(Proc. 2nd Intnl. Conf. on Natural Ga
s Hydrates, p.423 〜429 )。また、上記方法により構
造I水和物の生成を確認するとともに、噴霧した大部分
の水は水和物に転化することなく、容器内に残存するこ
とも報告されている(K.Fukumoto, et al, AIChE Journ
al, in press)。
物質、例えばメタンガスを取り込んだ、かご状に構成さ
れた水素結合水分子よりなる結晶状化合物の一般名であ
り(Themal Science & Engineering Vol.7 No.2[199
9]、P.35)、クラスレート水和物として構造I水和物、
構造II水和物及び構造H水和物の3種類が知られている
(Thermal Science & Engineering Vol.7, No.2[199
9], P.37) 。また、ロジャース等(R.Rogers et al.,1
996年)が、ゲスト物質(水和物を構成する水以外の物
質)気相中への水の噴霧による構造I水和物の生成を初
めて実現した(Proc. 2nd Intnl. Conf. on Natural Ga
s Hydrates, p.423 〜429 )。また、上記方法により構
造I水和物の生成を確認するとともに、噴霧した大部分
の水は水和物に転化することなく、容器内に残存するこ
とも報告されている(K.Fukumoto, et al, AIChE Journ
al, in press)。
【0003】従来、純粋なメタンガスからは、構造I水
和物が生成され、メタンガス中にプロパンガス等の若干
の他成分が含まれる場合には構造II水和物が生成され、
これらのガスに加えて分子径0.75〜0.98nmのパラフィ
ン炭化水素やシクロアルカン類などの第三物質が含まれ
る場合には、構造H水和物が生成されるとされている。
ところで、水和物の生成及び貯蔵に必要な温度及び圧力
条件は構造I水和物よりも構造H水和物の方が緩やかで
あり(Fluid Phase Equilibria 150-151(1998), 383-39
2、特にp.389 Fig.5 参照)、前記の両構造物を比較し
た場合、構造H水和物の天然ガス含有量は構造I水和物
より少なくなるが、その生成・保管・輸送に必要となる
温度・圧力条件などの貯蔵条件は構造H水和物の方が構
造I水和物よりも緩くなることも、コカー等(A.A.Khok
har et al.)の報告から明らかにされている(Fluid Ph
ase Equilibria 150-151(1998) 383-392, 特にP.389 Fi
g.5 参照)。
和物が生成され、メタンガス中にプロパンガス等の若干
の他成分が含まれる場合には構造II水和物が生成され、
これらのガスに加えて分子径0.75〜0.98nmのパラフィ
ン炭化水素やシクロアルカン類などの第三物質が含まれ
る場合には、構造H水和物が生成されるとされている。
ところで、水和物の生成及び貯蔵に必要な温度及び圧力
条件は構造I水和物よりも構造H水和物の方が緩やかで
あり(Fluid Phase Equilibria 150-151(1998), 383-39
2、特にp.389 Fig.5 参照)、前記の両構造物を比較し
た場合、構造H水和物の天然ガス含有量は構造I水和物
より少なくなるが、その生成・保管・輸送に必要となる
温度・圧力条件などの貯蔵条件は構造H水和物の方が構
造I水和物よりも緩くなることも、コカー等(A.A.Khok
har et al.)の報告から明らかにされている(Fluid Ph
ase Equilibria 150-151(1998) 383-392, 特にP.389 Fi
g.5 参照)。
【0004】上述するように、より多くの天然ガスを貯
蔵できるのが構造I水和物であり、貯蔵条件の緩やかな
のが構造H水和物であるが、両構造物を生成して天然ガ
スの貯蔵や輸送を考えた場合、一長一短である。すなわ
ち、構造I水和物の生成には、一般に一種類のゲスト物
質で十分であり、水とゲスト物質との接触が容易に接触
が行えるので、構造I水和物の利用を目的とした研究
は、従来より盛んに行われているが、これに対して構造
H水和物の生成には、水と二種類のゲスト物質(例えば
メタンと石油類の特定物質)が必要であり、とりわけ石
油類は水と混合しないために、三種類の物質の相互接触
が困難となり、構造H水和物の利用を目的とした研究は
ほとんどない。
蔵できるのが構造I水和物であり、貯蔵条件の緩やかな
のが構造H水和物であるが、両構造物を生成して天然ガ
スの貯蔵や輸送を考えた場合、一長一短である。すなわ
ち、構造I水和物の生成には、一般に一種類のゲスト物
質で十分であり、水とゲスト物質との接触が容易に接触
が行えるので、構造I水和物の利用を目的とした研究
は、従来より盛んに行われているが、これに対して構造
H水和物の生成には、水と二種類のゲスト物質(例えば
メタンと石油類の特定物質)が必要であり、とりわけ石
油類は水と混合しないために、三種類の物質の相互接触
が困難となり、構造H水和物の利用を目的とした研究は
ほとんどない。
【0005】上記のように、従来、生成容器内で、水と
クラスレ−ト水和物形成性物質(例えばメタン)とを反
応させてメタンクラスレ−ト水和物を製造する技術は多
数報告(特開2000-256226 号公報、特開2000-256227 号
公報、特開2000-256224 号公報、特開2000-264850 号公
報、特開2000-264851 号公報、特開2000-264852 号公
報)されており、水に水溶性有機化合物を含有させるこ
とにより、クラスレート生成温度をより高温側に、クラ
スレート生成圧力をより低圧側に遷移させることも提案
されている(特開2000-39900号公報)。一方、構造Hク
ラスレ−ト水和物の生成については、実験室レベルでの
生成が行われている(Fluid Phase Equilibria 150-151
(1998), 383-392)にすぎず、工業的規模において構造H
水和物が生成されることを示した例は未だ知られていな
い。
クラスレ−ト水和物形成性物質(例えばメタン)とを反
応させてメタンクラスレ−ト水和物を製造する技術は多
数報告(特開2000-256226 号公報、特開2000-256227 号
公報、特開2000-256224 号公報、特開2000-264850 号公
報、特開2000-264851 号公報、特開2000-264852 号公
報)されており、水に水溶性有機化合物を含有させるこ
とにより、クラスレート生成温度をより高温側に、クラ
スレート生成圧力をより低圧側に遷移させることも提案
されている(特開2000-39900号公報)。一方、構造Hク
ラスレ−ト水和物の生成については、実験室レベルでの
生成が行われている(Fluid Phase Equilibria 150-151
(1998), 383-392)にすぎず、工業的規模において構造H
水和物が生成されることを示した例は未だ知られていな
い。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上述するように、天然
ガスの水和物貯蔵に適する構造I水和物及び構造H水和
物のうち、貯蔵条件の緩やかな構造H水和物の天然ガス
含有量は構造I水和物より劣っており、これらメタン水
和物の生成・貯蔵・輸送に必要となる温度・圧力条件に
ついて、過去に報告された水和物生成方法は、いずれも
構造I水和物に関するものであり、構造H水和物の大量
生成方法は報告されていない。そこで、本発明は、従来
技術の問題点を解決し、構造H水和物を用いた大量の天
然ガスの貯蔵・輸送のために、構造Hクラスレート水和
物を大量、かつ連続的に生成させる方法を提供すること
を目的とするものである。
ガスの水和物貯蔵に適する構造I水和物及び構造H水和
物のうち、貯蔵条件の緩やかな構造H水和物の天然ガス
含有量は構造I水和物より劣っており、これらメタン水
和物の生成・貯蔵・輸送に必要となる温度・圧力条件に
ついて、過去に報告された水和物生成方法は、いずれも
構造I水和物に関するものであり、構造H水和物の大量
生成方法は報告されていない。そこで、本発明は、従来
技術の問題点を解決し、構造H水和物を用いた大量の天
然ガスの貯蔵・輸送のために、構造Hクラスレート水和
物を大量、かつ連続的に生成させる方法を提供すること
を目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、耐圧容器内に
おいて、水と、メタンより分子量が大きく、かつ水に不
溶の液状ゲスト物質、例えばメチルシクロヘキサン(以
下、MCH)とを水を下にして積層させ、容器内の残り
の気相に主としてメタンガスからなる天然ガスを充填
し、加圧し、天然ガス気相中から天然ガス−水に不溶の
液状ゲスト物質界面に向けて水を噴霧することによって
構造Hクラスレート水和物を生成せしめる方法を要旨と
するものである。なお、天然ガスは、耐圧容器内に、適
時、補給する。
おいて、水と、メタンより分子量が大きく、かつ水に不
溶の液状ゲスト物質、例えばメチルシクロヘキサン(以
下、MCH)とを水を下にして積層させ、容器内の残り
の気相に主としてメタンガスからなる天然ガスを充填
し、加圧し、天然ガス気相中から天然ガス−水に不溶の
液状ゲスト物質界面に向けて水を噴霧することによって
構造Hクラスレート水和物を生成せしめる方法を要旨と
するものである。なお、天然ガスは、耐圧容器内に、適
時、補給する。
【0008】すなわち、本発明の上記要旨は、下記の構
成を基本とするものである。 (1)耐圧容器内に水と、水より密度が小さく、かつ水
に不溶の液状ゲスト物質とを水を下側として積層させ、
容器内の残りの気相には天然ガスを充填・加圧し、天然
ガス気相中から天然ガス−水に不溶の液状ゲスト物質界
面に向けて水を噴霧することを特徴とする構造Hクラス
レート水和物の生成方法。 (2)天然ガスが、メタンであることを特徴とする上記
(1)に記載の構造Hクラスレート水和物の生成方法。 (3)液状ゲスト物質が、分子径0.75〜0.98n
mのパラフィン炭化水素類又はメチルシクロアルカン類
より選ばれた少なくとも一成分を使用することを特徴と
する上記(1)又は(2)に記載の構造Hクラスレート
水和物の生成方法。 (4)容器内に反応原料を連続的に供給し、反応生成物
を連続的に回収する手段を設けた耐圧容器を使用するこ
とを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載の
構造Hクラスレート水和物の生成方法。
成を基本とするものである。 (1)耐圧容器内に水と、水より密度が小さく、かつ水
に不溶の液状ゲスト物質とを水を下側として積層させ、
容器内の残りの気相には天然ガスを充填・加圧し、天然
ガス気相中から天然ガス−水に不溶の液状ゲスト物質界
面に向けて水を噴霧することを特徴とする構造Hクラス
レート水和物の生成方法。 (2)天然ガスが、メタンであることを特徴とする上記
(1)に記載の構造Hクラスレート水和物の生成方法。 (3)液状ゲスト物質が、分子径0.75〜0.98n
mのパラフィン炭化水素類又はメチルシクロアルカン類
より選ばれた少なくとも一成分を使用することを特徴と
する上記(1)又は(2)に記載の構造Hクラスレート
水和物の生成方法。 (4)容器内に反応原料を連続的に供給し、反応生成物
を連続的に回収する手段を設けた耐圧容器を使用するこ
とを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載の
構造Hクラスレート水和物の生成方法。
【0009】本発明では、構造Hクラスレート水和物の
生成に必要となる3種類の物質を積層(下層から順に
水、MCH、天然ガス)させ、天然ガス相中から天然ガ
スとMCHとの界面に向けて水を噴霧して構造Hクラス
レート水和物を生成させ、水和物に未転化の水を容器外
部に引きだし、熱交換器で水和物の生成熱を除去した
後、再度、水を噴霧することを特徴とするものである
が、天然ガスとともに用いる液状ゲスト物質としては、
水に不溶で、かつ、メタンより大きな分子量を有する、
分子径0.75〜0.98nmのパラフィン炭化水素類
又はメチルシクロアルカン類より選ばれた少なくとも一
成分を使用することができる。例えばMCHの外に、1-
1 ジメチルシクロヘキサン、2-2 ジメチルブタン、メチ
ルシクロペンタン、エチルシクロペンタン、エチルシク
ロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン等の炭素
数5〜8程度のパラフィン炭化水素が適当である。
生成に必要となる3種類の物質を積層(下層から順に
水、MCH、天然ガス)させ、天然ガス相中から天然ガ
スとMCHとの界面に向けて水を噴霧して構造Hクラス
レート水和物を生成させ、水和物に未転化の水を容器外
部に引きだし、熱交換器で水和物の生成熱を除去した
後、再度、水を噴霧することを特徴とするものである
が、天然ガスとともに用いる液状ゲスト物質としては、
水に不溶で、かつ、メタンより大きな分子量を有する、
分子径0.75〜0.98nmのパラフィン炭化水素類
又はメチルシクロアルカン類より選ばれた少なくとも一
成分を使用することができる。例えばMCHの外に、1-
1 ジメチルシクロヘキサン、2-2 ジメチルブタン、メチ
ルシクロペンタン、エチルシクロペンタン、エチルシク
ロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン等の炭素
数5〜8程度のパラフィン炭化水素が適当である。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明の上記構成と作用を説明す
ると、容器内に水とゲスト物質のMCHとを積層させ、
容器内の残りの気相をメタンで充填し、2.5MPa程度
に加圧する。水が最下層、その上にMCH層、さらにそ
の上にメタン層が位置するような積層状態になる。容器
内のメタン気相中において、メタン−MCH界面に向け
て水を噴霧する。噴霧した水滴のほとんどは、メタン−
MCH(気−液)界面直下でメタン気泡を内包した二相
滴となる。生成した二相滴は、自重でMCH−水(液−
液)界面まで移動する。さらに、二相滴は、程なく破裂
し、メタンの気泡とMCHの液滴を水層中に放出する。
液−液界面直下には界面張力により捕らえられたメタン
の気泡とMCHの液滴が多数存在する。すなわち、この
段階で水層内には、構造H水和物の生成に必要な三種類
の物質である、水、メタン及びMCHが存在することに
なる。水和物は、メタンの気泡を覆う形で生成する。
ると、容器内に水とゲスト物質のMCHとを積層させ、
容器内の残りの気相をメタンで充填し、2.5MPa程度
に加圧する。水が最下層、その上にMCH層、さらにそ
の上にメタン層が位置するような積層状態になる。容器
内のメタン気相中において、メタン−MCH界面に向け
て水を噴霧する。噴霧した水滴のほとんどは、メタン−
MCH(気−液)界面直下でメタン気泡を内包した二相
滴となる。生成した二相滴は、自重でMCH−水(液−
液)界面まで移動する。さらに、二相滴は、程なく破裂
し、メタンの気泡とMCHの液滴を水層中に放出する。
液−液界面直下には界面張力により捕らえられたメタン
の気泡とMCHの液滴が多数存在する。すなわち、この
段階で水層内には、構造H水和物の生成に必要な三種類
の物質である、水、メタン及びMCHが存在することに
なる。水和物は、メタンの気泡を覆う形で生成する。
【0011】上述する液−液界面直下で生成した水和物
に覆われたメタンの気泡は、集合体を形成し、構造Hク
ラスレ−ト水和物層へと変化していく。水和物に変化し
ない水は、容器下部から引き出され、外部の熱交換器で
水和物の生成熱を除去した後、再度、容器内に噴霧され
る。これにより構造H水和物の連続生成が可能となり、
時間とともに水和物層の厚みが増し、容器内には構造H
クラスレ−ト水和物で満たされることになる。上記操作
において水の噴霧と循環を行う際に、吉川らの先行技術
(特開平2000-256226 号公報) では、メタンと水の接触
面積を増大させる目的で、メタン雰囲気中に水を噴霧し
ているが、本発明では構造H水和物の生成に必要な三種
類の物質を直接的にMCH−水界面直下で相互接触させ
るように水を噴霧する点で明確に相違する。
に覆われたメタンの気泡は、集合体を形成し、構造Hク
ラスレ−ト水和物層へと変化していく。水和物に変化し
ない水は、容器下部から引き出され、外部の熱交換器で
水和物の生成熱を除去した後、再度、容器内に噴霧され
る。これにより構造H水和物の連続生成が可能となり、
時間とともに水和物層の厚みが増し、容器内には構造H
クラスレ−ト水和物で満たされることになる。上記操作
において水の噴霧と循環を行う際に、吉川らの先行技術
(特開平2000-256226 号公報) では、メタンと水の接触
面積を増大させる目的で、メタン雰囲気中に水を噴霧し
ているが、本発明では構造H水和物の生成に必要な三種
類の物質を直接的にMCH−水界面直下で相互接触させ
るように水を噴霧する点で明確に相違する。
【0012】上記操作を図面によってさらに詳細に説明
する。図1は、本発明法の実施にあたって、液状ゲスト
化合物としてMCH(メチルシクロヘキサン)を用いて
構造Hクラスレート水和物を製造する装置の概要を示す
図、図2は、上記装置を用いて構造Hクラスレ−ト水和
物が生成するときの経時変化を模式的に示す図である。
する。図1は、本発明法の実施にあたって、液状ゲスト
化合物としてMCH(メチルシクロヘキサン)を用いて
構造Hクラスレート水和物を製造する装置の概要を示す
図、図2は、上記装置を用いて構造Hクラスレ−ト水和
物が生成するときの経時変化を模式的に示す図である。
【0013】以下の例は、ゲスト化合物としてMCHの
例で説明するが、本発明の液状ゲスト化合物は上述する
ようにMCHに限定されるものではない。先ず、図1に
示すように内容積1リットル程度の耐圧容器1内に水9
とMCH7とを充填する。耐圧容器1の底部に水9が沈
層し、さらにその上層にMCH7が積層する。容器1内
の残りの気相にはメタン6を充填するようにする。耐圧
容器1内を2.5MPa程度に加圧する。メタンは、メタ
ンボンベ10から、反応量に応じて補給されるようにな
っている。次にメタン6の気相中に、容器上部のノズル
5から、メタン−MCHの界面に向けて水を円錐状に均
一に噴霧する。
例で説明するが、本発明の液状ゲスト化合物は上述する
ようにMCHに限定されるものではない。先ず、図1に
示すように内容積1リットル程度の耐圧容器1内に水9
とMCH7とを充填する。耐圧容器1の底部に水9が沈
層し、さらにその上層にMCH7が積層する。容器1内
の残りの気相にはメタン6を充填するようにする。耐圧
容器1内を2.5MPa程度に加圧する。メタンは、メタ
ンボンベ10から、反応量に応じて補給されるようにな
っている。次にメタン6の気相中に、容器上部のノズル
5から、メタン−MCHの界面に向けて水を円錐状に均
一に噴霧する。
【0014】ノズルから水を円錐状に均一に噴霧した水
滴のほとんどは、図2に示すようにメタン−MCH(気
−液)界面直下でメタン気泡を内包した二相滴となり、
自重でMCH−水(液−液)界面まで落下する。二相滴
は、程なく破裂し、メタンの気泡とMCHの液滴を水層
中に放出する。液−液界面直下には界面張力により捕ら
えられたメタンの気泡とMCHの液滴が多数存在する。
この段階で、水層内には水、メタン及びMCHからなる
構造Hクラスレ−ト水和物が、メタンの気泡を覆う形で
生成する。液−液界面直下で、構造H水和物に覆われた
メタン6の気泡は、集合体を形成し、水和物層8へと変
化していく。構造H水和物に変化しない水9は、図1に
示すように容器1の底部の取出し口から取り出される。
取り出された水は、反応装置外の高圧送液ポンプ4を経
て熱交換器3で水和物の生成熱を除去した後、容器内に
還流され、再度、ノズル5から噴霧される。これにより
構造H水和物の連続生成が可能となり、時間経過(図2
(a)→(c))にともない水、メタン及びMCHから
なる水和物層の厚みが増し、容器内が構造Hクラスレ−
ト水和物で満たされることになる。消費されたメタンの
量に対応してメタンボンベよりメタンを補給する。
滴のほとんどは、図2に示すようにメタン−MCH(気
−液)界面直下でメタン気泡を内包した二相滴となり、
自重でMCH−水(液−液)界面まで落下する。二相滴
は、程なく破裂し、メタンの気泡とMCHの液滴を水層
中に放出する。液−液界面直下には界面張力により捕ら
えられたメタンの気泡とMCHの液滴が多数存在する。
この段階で、水層内には水、メタン及びMCHからなる
構造Hクラスレ−ト水和物が、メタンの気泡を覆う形で
生成する。液−液界面直下で、構造H水和物に覆われた
メタン6の気泡は、集合体を形成し、水和物層8へと変
化していく。構造H水和物に変化しない水9は、図1に
示すように容器1の底部の取出し口から取り出される。
取り出された水は、反応装置外の高圧送液ポンプ4を経
て熱交換器3で水和物の生成熱を除去した後、容器内に
還流され、再度、ノズル5から噴霧される。これにより
構造H水和物の連続生成が可能となり、時間経過(図2
(a)→(c))にともない水、メタン及びMCHから
なる水和物層の厚みが増し、容器内が構造Hクラスレ−
ト水和物で満たされることになる。消費されたメタンの
量に対応してメタンボンベよりメタンを補給する。
【0015】
構造H水和物の生成時の好適な生成条件を例示
すると以下のとおりである。容器内の圧力を2〜3MP
a、温度を0〜4℃の範囲に調節し、図2(a)のよう
にメタン気相中からメタン−MCH界面に向けて、30〜
90cm3/min.、0.5〜4℃の水を噴霧する。生成した水和
物は、耐圧容器から順次取出す。また、MCH−水から
分別回収する機構を設け、反応により消耗する水、MC
H及びメタンを耐圧容器に所定量づつ連続して供給する
機構を付設すれば、完全に連続操業を行なうことが可能
となり、生産効率が高くなる。
構造H水和物の生成時の好適な生成条件を例示
すると以下のとおりである。容器内の圧力を2〜3MP
a、温度を0〜4℃の範囲に調節し、図2(a)のよう
にメタン気相中からメタン−MCH界面に向けて、30〜
90cm3/min.、0.5〜4℃の水を噴霧する。生成した水和
物は、耐圧容器から順次取出す。また、MCH−水から
分別回収する機構を設け、反応により消耗する水、MC
H及びメタンを耐圧容器に所定量づつ連続して供給する
機構を付設すれば、完全に連続操業を行なうことが可能
となり、生産効率が高くなる。
【0016】
【実施例】実施例に基いて本発明の実施態様を具体的に
説明するが、本発明はこれらに限定されるものではな
い。本発明の効果を確認するために発明を実施する実験
装置を作成した。図1に概要を示す耐圧容器1の本体
は、内径80mm、高さ190mm 、容積955cm3 のステンレス
鋼(SUS316)製である。容器内の上部にはスプレーノズ
ル5が設けられ、容器内側壁には温度測定装置が組込ま
れている。上記装置を使用して、容器内圧力と温度を変
化させたときの構造H水和物の生成量(g/min)を
調べた。
説明するが、本発明はこれらに限定されるものではな
い。本発明の効果を確認するために発明を実施する実験
装置を作成した。図1に概要を示す耐圧容器1の本体
は、内径80mm、高さ190mm 、容積955cm3 のステンレス
鋼(SUS316)製である。容器内の上部にはスプレーノズ
ル5が設けられ、容器内側壁には温度測定装置が組込ま
れている。上記装置を使用して、容器内圧力と温度を変
化させたときの構造H水和物の生成量(g/min)を
調べた。
【0017】耐圧容器内に収納される水の量は、500 〜
600cm3、MCHは、約100cm3であり、容器内の上部に
は、圧力約2.5MPaのメタンガスを封入するようにする。
スプレーノズルから、毎分10〜90cm3 の水を平均粒径
130μmの水滴として反応域に円錐状に噴霧する。容器
下部から、未反応の水を引き出して、高圧送液ポンプ4
に循環し、熱交換器3により水和熱を除去した後、スプ
レーノズル5に供給して反応に使用する。反応域の温度
は1〜1.5℃に維持される。実験結果を表1に示す。
600cm3、MCHは、約100cm3であり、容器内の上部に
は、圧力約2.5MPaのメタンガスを封入するようにする。
スプレーノズルから、毎分10〜90cm3 の水を平均粒径
130μmの水滴として反応域に円錐状に噴霧する。容器
下部から、未反応の水を引き出して、高圧送液ポンプ4
に循環し、熱交換器3により水和熱を除去した後、スプ
レーノズル5に供給して反応に使用する。反応域の温度
は1〜1.5℃に維持される。実験結果を表1に示す。
【0018】
【表1】
【0019】
【発明の効果】上述するように、本発明では、効率よく
天然ガスの構造Hクラスレ−ト水和物を生成することが
可能となり、LNG、CNG、構造I水和物より緩やか
な温度、圧力条件で、天然ガスの貯蔵・輸送が可能とな
るので、産業上極めて有用であり、社会的な貢献度はき
わめて大きい。
天然ガスの構造Hクラスレ−ト水和物を生成することが
可能となり、LNG、CNG、構造I水和物より緩やか
な温度、圧力条件で、天然ガスの貯蔵・輸送が可能とな
るので、産業上極めて有用であり、社会的な貢献度はき
わめて大きい。
【図1】本発明に使用する装置の概要を示す模式的断面
図
図
【図2】水を円錐状に噴霧したときの構造H水和物の生
成状態を示す模式的説明図
成状態を示す模式的説明図
1 耐圧反応容器
2 恒温水槽
3 熱交換器
4 高圧送液ポンプ
5 スプレ−ノズル
6 メタン
7 メチルシクロヘキサン
8 構造Hクラスレ−ト水和物
9 水
10 メタンボンベ
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(72)発明者 森 康彦
神奈川県横浜市金沢区六浦3丁目38番17号
Claims (4)
- 【請求項1】 耐圧容器内に水と、水より密度が小さ
く、かつ水に不溶の液状ゲスト物質とを水を下側として
積層させ、容器内の残りの気相には天然ガスを充填・加
圧し、天然ガス気相中から天然ガス−水に不溶の液状ゲ
スト物質界面に向けて水を噴霧することを特徴とする構
造Hクラスレート水和物の生成方法。 - 【請求項2】 天然ガスが、純メタン又はメタンを主成
分とする混合ガスであることを特徴とする請求項1に記
載の構造Hクラスレート水和物の生成方法。 - 【請求項3】 液状ゲスト物質が、分子径0.75〜
0.98nmのパラフィン炭化水素類又はメチルシクロ
アルカン類より選ばれた少なくとも一成分を使用するこ
とを特徴とする請求項1又は2に記載の構造Hクラスレ
ート水和物の生成方法。 - 【請求項4】 容器内に反応原料を連続的に供給し、反
応生成物を連続的に回収する手段を設けた耐圧容器を使
用することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに
記載の構造Hクラスレート水和物の生成方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001185920A JP2003003181A (ja) | 2001-06-20 | 2001-06-20 | 構造hクラスレート水和物の生成方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001185920A JP2003003181A (ja) | 2001-06-20 | 2001-06-20 | 構造hクラスレート水和物の生成方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2003003181A true JP2003003181A (ja) | 2003-01-08 |
Family
ID=19025426
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2001185920A Pending JP2003003181A (ja) | 2001-06-20 | 2001-06-20 | 構造hクラスレート水和物の生成方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2003003181A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006176467A (ja) * | 2004-12-24 | 2006-07-06 | Keio Gijuku | 構造hハイドレートの製造方法及び装置 |
JP2006176709A (ja) * | 2004-12-24 | 2006-07-06 | Keio Gijuku | ガスハイドレート生成方法及び装置 |
RU2643370C1 (ru) * | 2017-06-16 | 2018-02-01 | Федеральное государственное бюджетное учреждение науки Объединенный институт высоких температур Российской академии наук (ОИВТ РАН) | Установка для производства гидрата метана |
WO2021143277A1 (zh) * | 2020-01-15 | 2021-07-22 | 华南理工大学 | 一种利用 h 型水合物储氢的方法 |
-
2001
- 2001-06-20 JP JP2001185920A patent/JP2003003181A/ja active Pending
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006176467A (ja) * | 2004-12-24 | 2006-07-06 | Keio Gijuku | 構造hハイドレートの製造方法及び装置 |
JP2006176709A (ja) * | 2004-12-24 | 2006-07-06 | Keio Gijuku | ガスハイドレート生成方法及び装置 |
RU2643370C1 (ru) * | 2017-06-16 | 2018-02-01 | Федеральное государственное бюджетное учреждение науки Объединенный институт высоких температур Российской академии наук (ОИВТ РАН) | Установка для производства гидрата метана |
WO2021143277A1 (zh) * | 2020-01-15 | 2021-07-22 | 华南理工大学 | 一种利用 h 型水合物储氢的方法 |
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