JP2003002770A - 高熱伝導性複合材料及びその製造方法 - Google Patents
高熱伝導性複合材料及びその製造方法Info
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Abstract
な、低熱膨張係数(4.5〜10×10−6/K)で高
熱伝導率(≧200W/mK)を具備したSiC−Cu
系高熱伝導性複合材料を、低コストで提供する。 【解決手段】 この複合材料は、骨格構造をなす多孔質
のSiCプリフォームを体積割合で20〜75%有し、
それにCuを溶浸させることにより構成され、上記両者
の界面に、反応防止層を有する構造を持つ。反応防止層
は、炭素、あるいはCr、Nb、Ta、Wの中から選ば
れる少なくとも一種の元素の炭化物からなる0.01〜
10ミクロンの薄膜により形成される。
Description
デバイス等のヒートシンク材料及びパッケージ材料とし
て最適な、低熱膨張性でかつ高い熱伝導性を有するSi
C−Cu系複合材料及びその製造方法に関するものであ
る。
素子からの発熱量は増加している。素子の温度上昇は誤
作動や故障の原因ともなるので、放熱技術の開発には多
くの努力が費やされており、材料の面でも各種の高い熱
伝導性を有する材料の開発が進められてきた。しかし、
近年の熱放散材に対する要求はますます高まっており、
場合によっては250W/mKを越える高い熱伝導率が
要求されるなど、新しい材料の開発が求められている状
況にある。
れた状態で使われるので、熱伝導率が高いのみならず、
熱膨張により接合面で破断しないように、半導体素子や
パッケージと同程度の熱膨張係数を有するものでなけれ
ばならない。特に、半導体素子に使われるシリコンやG
aAsの熱膨張係数は、それぞれ、4.2×10−6/
K、6.5×10−6/Kであり、またパッケージ材料
として良く用いられるAl2O3の熱膨張係数は6.5
×10−6/Kであるので、当該材料は同程度の低い熱
膨張係数をも具備していなければならない。
求される部位に良く用いられる材料にW−Cu複合材料
がある。この系では、それぞれが高い熱伝導率を有し、
Wは低い熱膨張係数(4.5×10−6/K)を有し、
しかも両者の反応、あるいは相互固溶は非常に少ないの
で、Wの含有量が高い組成で低い熱膨張係数と高熱伝導
率を具備する複合材料を得ることができる。しかし、熱
伝導率は高々200W/mK程度であり、前述の要求特
性を満たし得ない。
率を有する材料として注目されている材料に、炭素繊維
−Cu複合材料がある。特に黒鉛化した高弾性炭素繊維
は繊維方向の熱伝導率が非常に高く、1000W/mK
を越えるといわれている。また、繊維方向では熱膨張係
数も非常に小さい。しかし、横方向の熱伝導率は非常に
低く、かつ、熱膨張係数も非常に大きいという欠点を有
する。このように特性に異方性があるので、例えば薄板
のヒートシンクを考えると、通常、厚み方向への高い熱
伝導と横方向の低い熱膨張が要求されるが、炭素繊維で
は繊維方向にのみ両者が満たされるので、3次元織りな
どの工夫が必要となる。この多次元織り炭素繊維材料は
ポーラスであるので、それにCuをその融点以上の温度
で加圧溶浸することによって、緻密な炭素繊維−Cu複
合材料を得ることができる。このようにして300W/
mKに近い熱伝導率と7×10−6/K程度の低い熱膨
張係数を等方的に兼ね備えた材料が得られることが報告
されている。しかし、当該材料は製造コストが非常に高
くなることは明らかである。
C−Al複合材料(例えば、特開平02−236244
号、特開平10−231175号)がある。同材料は、
低密度で低製造コストという大きな特徴を有し、かつ熱
伝導率も比較的に高く、熱膨張係数も低いが、その構成
要素のSiCとAlの熱伝導率が高々250W/mK程
度であるので、200W/mK以上の複合材料を得るの
は容易ではない。
いCuを組み合わせた複合材料が提案されている(例え
ば、特開平08−279569号)。しかし、SiCと
Cuはその製造時に反応し、Cuのケイ化物と炭素を生
じ、それによって熱伝導率は大幅に減じる。そのため、
例えば米国特許第6,110,577号においては、製
造に必要な温度をなるべく低温で、かつ速やかに複合化
を行い、反応を少なめにする方法、並びにそれにより得
られたSiC−Cu系複合材料が提案されている。しか
しながら、極少量でもCu中にSiが固溶すると、熱伝
導率が大幅に低下するため、同材料は構成要素のそもそ
もの高い熱伝導率を発揮し得ないものである。
デバイス、電子機器の高速化、大規模化に対応できる低
い熱膨張係数と高い熱伝導率を低コストで提供できるも
のでないため、新しい材料の出現が求められている。
を充たすためになされたものであり、従って、本発明の
目的は、高熱伝導性と低熱膨張係数を具備し、電子機器
や半導体デバイス用熱放散材料として適した低コストの
高熱伝導性複合材料を提供することにある。より具体的
には、本発明の目的は、既存パッケージ材料等に対応し
た低熱膨張係数(4.5〜10×10−6/K)を有
し、かつ高い熱伝導率(≧200W/mK)を具備した
複合材料を提供することにある。本発明の別の具体的な
目的は、SiC−Cu系複合材料における上記反応の問
題を解決し、低熱膨張係数、高熱伝導率の複合材料を低
コストに提供することにある。
Cu系複合材料の上述した問題について鋭意検討を重ね
た結果、次の技術的事項を見出し、この知見に基づいて
本発明を完成するに至った。
く依存するので、高熱伝導率を得るためには、SiCと
Cu間の反応を抑えるのみならず、各相の純度を極力高
く保つ必要がある。従って、製造時におけるSiCとC
uの反応を防止するための手段について考慮する必要が
ある。そして、当該手段について検討した結果、SiC
とCuの界面に薄い反応防止層を有する構造を複合材料
に持たせるのが有効であり、しかも、当該反応防止層を
構成する物質としては、SiC及びCuと反応せず、か
つ、両相への固溶量も少ない元素あるいは化合物を選択
しなければならず、これについて詳細な検討を進めた結
果、上記物質として、炭素、あるいはCr、Nb、T
a、Wの中から選ばれる少なくとも一種の元素の炭化物
が優れており、これによって、高熱伝導率化を達成し得
ることを見出した。なお、Reも有効であるが、価格が
高い点に問題を有する。
固な骨格構造を有する組織とすることで、所期の低熱膨
張係数(4.5〜10×10−6/K)を達成すること
ができる。
の高熱伝導性複合材料は、骨格構造をなす多孔質のSi
Cプリフォームを体積割合で20〜75%有し、それに
Cuを溶浸させることにより構成され、上記両者の界面
に、SiC及びCuと反応せず、かつ、両相への固溶量
も少ない元素あるいは化合物の薄い反応防止層を形成し
たことを特徴とするものである。本発明の好ましい実施
形態においては、上記反応防止層として、炭素、あるい
はCr、Nb、Ta、Wの中から選ばれる少なくとも一
種の元素の炭化物からなる0.01〜10ミクロンの薄
膜が形成される。また、上記高熱伝導性複合材料は、熱
膨張係数が4.5〜10×10−6/Kで、熱伝導率が
200W/mK以上であることが望まれる。
高熱伝導性複合材料の製造方法は、骨格構造をなす多孔
質のSiCプリフォームの内外表面に、SiC及びCu
と反応せず、かつ、両相への固溶量も少ない元素あるい
は化合物の薄い反応防止層をコーティングしたうえで、
該プリフォームにCuを加圧溶浸させることを特徴とす
るものである。上記構成を有する高熱伝導性複合材料及
びその製造方法によれば、既存パッケージ材料等に対応
した低熱膨張係数(4.5〜10×10−6/K)と高
熱伝導性(≧200W/mK)とを具備し、電子機器や
半導体デバイス用熱放散材料として適した複合材料を低
コストで得ることができる。
熱伝導性複合材料は、SiCプリフォームの作成、反応
防止層のコーティング、Cuの加圧溶浸という過程を経
て製造されるものである。
のSiC原料粉末を用い、通常よく行われる金型成形な
どの成型法により成形して得ることができる。あるい
は、その後、若干の焼結固化、若しくは表面のシリカ除
去のために、2000℃以下の高温で仮焼処理したもの
を用いても良い。しかし、高熱伝導率を得るためには、
なるべく高純度で結晶性の良いSiCより構成されるプ
リフォームとすべきである。このようなSiCプリフォ
ームは、市販の原料粉を用いて成形体を作成した後、2
200℃以上で高温保持するところの、いわゆる再結晶
法により作成することができる。その場合、例えば、S
iCの40ミクロン以上の粗粉と5ミクロン以下の微粉
を混合したものを用いると、微粉が優先的に昇華再結晶
するので、Cuの加圧溶浸に適した比較的粗い空隙構造
を有し、かつ、低熱膨張係数をもたらす連続した強固な
SiCの骨格構造を有するものを得ることができる。
は、高純度のSiとCの等モル比の混合粉末を1400
℃以上で加熱し、SiCを生成させる反応焼結法があ
る。この場合、炭素源としては高純度炭素粉とともに、
フェノール樹脂やピッチ等の熱処理により炭素を生成す
るものを用いた方が、成形性やプリフォーム密度の高い
ものが得られる点で望ましい。また、炭素源として炭素
繊維を用いることもでき、その場合、連結したSiCに
よる優れたプリフォームが得られる。
の骨格構造にも依るが、低熱膨張係数と高熱伝導率を得
るためには、体積割合で20〜75%でなければなら
ず、より望ましくは30〜70%が良い。SiCプリフ
ォームが体積割合で20%以下である場合には、熱膨張
係数が10×10−6/K以下とすることが出来ず、ま
たその体積割合が75%を超えると高い熱伝導率を得る
ことが困難となる。
フォームの外部及び内部の表面、すなわち、当該プリフ
ォームとそれに溶浸させるCuとの間の界面に、反応防
止層をコーティングする。反応防止層としては、炭素、
あるいはCr、Nb、Ta、Wの中から選ばれる少なく
とも一種の元素の炭化物が適している。反応防止層とし
て炭素を用いる場合は、メタンなどの熱分解による方法
が容易である。すなわち、ポーラスな当該SiCプリフ
ォームを減圧(5kPa程度)したメタン気流中に置
き、1400℃程度に加熱すると、1時間ほどで1ミク
ロン程度の薄い炭素が均一にコーティングできる。
脂などの熱分解に依っても良い。例えば、フェノール樹
脂をアルコールに溶解し、それにSiCプリフォームを
十分浸漬したのち、取り出し、乾燥させ、それを不活性
雰囲気中、500℃程度で炭素化することで、緻密な薄
膜コーティングを得ることができる。薄膜の膜厚につい
ては10ミクロン程度以下に抑えた方が良い。これは、
当該コーティング層は一般に熱伝導率が低いので、反応
防止のために必要な最低限の厚みとした方が良いからで
ある。下限については理論的には0.01ミクロン程度
有れば十分であるが、作成の容易さと膜厚の均一性の問
題から、実際上必要な膜厚は0.1〜3ミクロン程度と
考えられる。
のCVD(気相反応)法を用いることができる。例え
ば、Cr等の金属塩化物の蒸気と炭化水素の気相反応に
より、炭化物の薄膜を生成することができる。
を有する多孔質のSiCプリフォームに、金属基複合材
料の製造に従来から一般的に利用されている加圧溶浸法
により、高温でCuの融液を加圧溶浸させ、目的の複合
材料を得る。なお、反応防止層として炭素膜を用い、例
えばCrを0.3原子%以下添加したCuを溶浸するこ
とで、炭素とCrの反応により濡れを改善させ、良好な
接合を得ることができる。この場合、膜厚にも依存する
が、界面には、C及びクロム炭化物により構成される反
応防止層ができる。
料は、低熱膨張係数、高熱伝導率を有し、しかも、比較
的に低コストで製造でき、主として電子機器や半導体デ
バイスにおけるヒートシンク材料やパッケージ材料とし
て最適なものである。
するが、本発明はこれらの例によって何ら限定されるも
のではない。
C粉末と平均粒径2ミクロンのSiC粉末を7:3の割
合で混合したものを、ボールミルを用いてよく混合し
た。この混合粉末を金型を用いて成形し、1気圧のアル
ゴン中、2200℃において1時間焼結し、70%程度
の相対密度を有するSiCプリフォームを得た。
し、5kPaの減圧メタン気流中で、1400℃におい
て1時間保持し、反応防止層としての炭素のコーティン
グを行った。コーティングは1ミクロン程の厚みで、プ
リフォーム内部まで一様にコーティングされていた。
ォームを黒鉛型内に設置し、4MPaの一軸加圧下で、
1200℃で融解したCuを加圧溶浸し、複合材料を得
た。得られた複合材料は、連結したSiCの骨格を70
体積%程度含み、残部がマトリックスとしての30体積
%程度のCuよりなり、両者の界面は一様な厚みの炭素
薄膜を有する構造を持っていた。両相の元素分析の結
果、SiCとCuの間の反応は炭素薄膜コーティングに
より効果的に防止されていることがわかった。そして、
レーザーフラッシュ法による熱伝導率の測定を行った結
果、200W/mK以上の高い熱伝導率を有することが
わかった。また、室温から500℃までの熱膨張を測定
した結果、6×10−6/K程度の低い熱膨張係数を有
することがわかった。
るが、界面に炭素をコーティングせずに作成したSiC
プリフォームに、同じ条件下でCuを加圧溶浸し、複合
材料を得た。得られた複合材料では、SiCとCuの反
応が顕著に起こっており、測定された熱伝導率も100
W/mK以下の低いものであった。
C粉末を30重量部、平均粒径10ミクロンのSi粉末
を49重量部、平均粒径6ミクロンの炭素粉末を11重
量部の割合で混合したものを、ボールミルを用いてよく
混合した。この混合粉末を金型を用いて成形し、1気圧
のアルゴン中、1600℃において1時間焼結し、50
%程度の相対密度を有するSiCプリフォームを得た。
に溶かし、10%の溶液を調整した。同溶液に、SiC
プリフォームを浸漬した後、取り出して十分乾燥し、電
気炉にてアルゴン中、室温から1000℃まで1時間か
けて昇温する事により、樹脂を炭素化した。得られたS
iCプリフォームは3ミクロン程の炭素でコーティング
されていた。
ォームを黒鉛型に設置し、実施例1と同様な条件下でC
uを加圧溶浸し、複合材料を得た。但し、この場合、C
rを0.3原子%溶解したCuを溶浸材として用いた。
格構造と残部がCuよりなり、両者の界面は炭素と若干
のCr3C2より構成される構造を持つものであった。
Claims (4)
- 【請求項1】骨格構造をなす多孔質のSiCプリフォー
ムを体積割合で20〜75%有し、それにCuを溶浸さ
せることにより構成され、 上記両者の界面に、SiC及びCuと反応せず、かつ、
両相への固溶量も少ない元素あるいは化合物の薄い反応
防止層を形成したことを特徴とする高熱伝導性複合材
料。 - 【請求項2】反応防止層を、炭素、あるいはCr、N
b、Ta、Wの中から選ばれる少なくとも一種の元素の
炭化物からなる0.01〜10ミクロンの薄膜により形
成したことを特徴とする請求項1に記載の高熱伝導性複
合材料。 - 【請求項3】熱膨張係数が4.5〜10×10−6/K
で、熱伝導率が200W/mK以上である請求項1また
は2に記載の高熱伝導性複合材料。 - 【請求項4】骨格構造をなす多孔質のSiCプリフォー
ムの内外表面に、SiC及びCuと反応せず、かつ、両
相への固溶量も少ない元素あるいは化合物の薄い反応防
止層をコーティングしたうえで、該プリフォームにCu
を加圧溶浸させることを特徴とする高熱伝導性複合材料
の製造方法。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN111235421A (zh) * | 2020-01-16 | 2020-06-05 | 长安大学 | 一种采用无压浸渗制备高体积分数SiC颗粒增强Cu基复合材料的方法 |
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KR102478654B1 (ko) | 2017-07-11 | 2022-12-16 | 한국재료연구원 | 계면 물질을 포함하는 복합재료 및 이의 제조방법 |
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2001
- 2001-06-15 JP JP2001180968A patent/JP3837474B2/ja not_active Expired - Lifetime
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