JP2003002763A - コンクリートの防食方法、および防食用混合剤等 - Google Patents
コンクリートの防食方法、および防食用混合剤等Info
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Abstract
食剤、および防食方法を提供することにある。 【解決手段】本発明の防食用混合剤または防食剤含有セ
メントによれば、硫酸もしくはその塩をストロンチウム
塩、鉛塩、またはバリウム塩と反応させて不溶性化合物
として固定化することにより、コンクリートの腐食を効
果的に防止できる。水溶液として塗布すれば、有効成分
をコンクリートに容易に浸透させることができる。ま
た、硫酸と直接に接触するコンクリート表層に防食剤を
存在させることにより、効果的に腐食を防止することが
できる。さらに、生成した不溶性硫酸塩がコンクリート
の表層に沈着し、バリア層の役割を果たすため、硫酸が
それ以上奥へ浸透することが防止され、腐食防止効果を
いっそう向上させることができる。
Description
食方法、および防食用混合剤等に関するものである。
水道施設に使用されるコンクリートにおいて、硫酸によ
る腐食が起こる場合があり、問題となっている。
じることが知られている。まず、下水中に含まれる硫酸
塩や硫黄化合物を、嫌気性の硫酸塩還元細菌が生化学的
還元により硫化物へと変え、この中の硫化水素が気相へ
放散される。次に、この放散された硫化水素はコンクリ
ート気相部の表面結露水中で硫黄酸化細菌により酸化さ
れ、最終的に硫酸が生成される。この硫酸がコンクリー
ト中の反応生成物である水酸化カルシウム等と反応して
硫酸カルシウムを生成し腐食する。また、この生成され
た硫酸カルシウムは、モノサルフェートやアルミン酸カ
ルシウムと反応し、エトリンガイトを生成し、このとき
の膨張によりさらに激しく腐食が進む。
ートの表面に例えばエポキシ樹脂等による被覆を施すこ
とによって、硫酸のコンクリートへの腐食を防止すると
いう対策がとられている。
際には、高圧洗浄等により腐食部分をはつりとった後、
耐酸モルタルや抗菌剤入りモルタル等で補修することに
よって、耐久性の向上が図られている。
の表面を被覆する方法では、被覆材のピンホールや端部
などの欠陥部が生じ、この部分から硫酸が侵入して腐食
が進行するケースが多い。
も、高圧洗浄等によるはつりにおいて腐食部分を完全に
除去できない場合がある。このような場合に、硫酸カル
シウム等が残留したはつり部をそのままモルタル等で補
修を行ってしまうと、残留した硫酸カルシウムがエトリ
ンガイトを生成し膨張を引き起こす場合がある。
ものであり、その目的は、効果的にコンクリートの耐久
性を向上できる防食方法、および防食用混合剤等を提供
することにある。
コンクリートの耐久性を向上できる防食方法、および防
食用混合剤を開発すべく鋭意研究してきたところ、硫酸
もしくはその塩と反応して不溶性の化合物を生成する化
合物を、コンクリート表面に塗布、あるいはセメント中
に含有させることにより、コンクリートの腐食を効果的
に防止できることを見出した。本発明は、かかる新規な
知見に基づいてなされたものである。
鉛塩、およびバリウム塩のうちいずれか一種以上を有効
成分とするコンクリートの防食用混合剤、防食剤含有セ
メント、およびこれらを用いたコンクリートの防食方法
を提供するものである。
塩もしくはバリウム塩は、硫酸もしくはその塩と反応し
て不溶性の化合物を生成するものであれば特に制限はな
く、ストロンチウム塩としては、例えば塩化ストロンチ
ウム、ヨウ化ストロンチウム、臭化ストロンチウム、硝
酸ストロンチウム、酢酸ストロンチウム、炭酸ストロン
チウム等が好ましく使用できる。鉛塩としては、硝酸鉛
(II)、酢酸鉛(II)、炭酸鉛(II)等が好ましく使用で
きる。また、バリウム塩としては、塩化バリウム、臭化
バリウム、ヨウ化バリウム、硝酸バリウム、炭酸バリウ
ム等が好ましく使用できる。これらの化合物は単独で使
用されてもよく、2種以上の化合物を混合して使用され
てもよい。
という観点から、ストロンチウム塩が特に好ましい。さ
らに、ストロンチウムイオン、鉛イオン、バリウムイオ
ンと対となる陰イオンが、例えばヨウ素イオンのように
殺菌性を備えたものである場合には、コンクリート表面
における硫黄酸化細菌等の殺菌や増殖を抑制する作用も
併せて期待できるため、より好ましい。これらの観点か
ら、本発明の目的を達成するためにヨウ化ストロンチウ
ムが最も好適である。
ートの腐食を防止するためには、この防食用混合剤を水
溶液状としてコンクリート表面に塗布することが効果的
である。塗布方法には特に制限はなく、例えば噴霧、は
け塗り等により行うことができる。また、防食用混合剤
を粉末状としてセメントにあらかじめ含有させておいて
もよく、混練時にセメントに添加してもよい。これらの
方法は、新たにコンクリート構造物を建造する場合に使
用することもでき、既に建造されたコンクリート構造物
に対して補修、あるいは耐酸性の向上を目的として使用
することもできる。
リートへの塗布量は、使用する有効成分の種類、あるい
は水溶液の濃度、下地の状態等により変動し、一概に制
限されないが、例えば有効成分としてヨウ化ストロンチ
ウムを使用した場合には、3Nの水溶液で1m2 あたり
100g以上が好ましい。
有させる場合の添加量は、使用する有効成分の種類によ
り変動し、一概に制限されないが、例えば有効成分とし
てヨウ化ストロンチウムを使用した場合には、粉体全体
に対して5重量%以上が好ましい。
コンクリートの種類としては特に制限はなく、セメント
として例えば通常のポルトランドセメントの他、ジェッ
トセメント、アルミナセメント、高炉セメント、シリカ
セメント、フライアッシュセメント等の混合セメント等
を、また骨材として例えば砂、砂利、砕砂、砕石、人工
軽量骨材或いはコンクリート用スラグ骨材等を含むもの
を用いて、周知の方法で混練し、成形したものに適用す
ることができる。その他、添加物として例えば発泡剤、
減水剤、流動化剤、分離低減剤、凝結促進剤、早強剤、
膨張剤、防錆剤、着色剤、ポリマーディスパージョン等
が添加されていてもよい。
防食剤含有セメントは、単独で使用してもよいが、他の
方法と併用することもできる。特に、樹脂等により表面
を被覆する方法と併用することが効果的である。
剤または防食剤含有セメントによれば、硫酸もしくはそ
の塩をストロンチウム塩、鉛塩、またはバリウム塩と反
応させて不溶性の化合物として固定化することにより、
コンクリートの腐食を効果的に防止できる。
ンチウム塩、鉛塩、バリウム塩のうちいずれか一種以上
を含む水溶液をコンクリートの表面に塗布する。このよ
うに水溶液として塗布すれば、有効成分をコンクリート
に容易に浸透させることができる。また、水溶液をコン
クリートの表面に塗布することにより、硫酸と直接に接
触するコンクリート表層に有効成分を集中的に分布させ
ることができ、効果的に腐食を防止することができる。
さらに、生成した不溶性硫酸塩が、コンクリートの表層
に沈着することによりバリア層の役割を果たし、硫酸が
それ以上奥へ浸透することが防止される。特に、硫酸カ
ルシウムの場合はエトリンガイトを生成するためバリア
の効果が弱いのに比べ、硫酸ストロンチウム等は反応に
寄与しないため継続的に強いバリア効果が期待でき、こ
れにより腐食防止効果をいっそう向上させることができ
る。
形態について、図1〜図5を参照しつつ詳細に説明す
る。
が硫酸により腐食されている様子を示した。このコンク
リート1を補修する際には、まず、膨張・脆弱化してい
る腐食部分3をはつり取る。
する(図2)。防食剤水溶液5としては、例えば3Nの
ヨウ化ストロンチウム水溶液を使用することができる。
これにより、防食剤水溶液5中のストロンチウムイオン
と、はつり部4に残留している硫酸もしくはその塩とを
反応させて不溶性の硫酸ストロンチウムを生成させ、固
定化する。
埋めることにより、コンクリート1の壁面2を元通りの
形状に修復する(図3)。ここで、モルタル6として、
防食剤含有セメントを用いたもの、もしくは防食用混合
剤を添加して混練したものを使用すれば、さらなる防食
効果を期待できる。
全体に、再度、防食剤水溶液5を噴霧し、コンクリート
1の表層に浸透させる。(図4)。
脂等による樹脂被覆材7を施すことによって、補修が完
了する。
残留する硫酸もしくはその塩を不溶化して固定化してい
るため、コンクリート1のはつり部4とモルタル6との
境目付近で生成するエトリンガイトによる膨張を抑制で
きる。
溶液5を噴霧している。このため、樹脂被覆材7の施工
不良によるピンホールや端部ができたとしても、そこか
ら侵入する硫酸をコンクリート1の表面に存在するスト
ロンチウムイオンが不溶性の硫酸ストロンチウムとして
固定化、消費する。これにより、コンクリート1の腐食
が防止される。また、防食剤水溶液5中に、殺菌作用を
有するヨウ素イオンが含まれているため、このヨウ素イ
オンが硫黄酸化細菌等の殺菌や増殖を抑制することによ
って、硫酸の発生を抑えることができる。
クリート1の表層に沈着してバリア層の役割を果たし、
硫酸がそれ以上奥へ浸透することが防止される。このた
め、腐食防止効果をいっそう向上させることができる。
さらに詳細に説明する。
7.5gを反応させて水で1Lとし、3Nのヨウ化スト
ロンチウム水溶液を調整した。これを防食剤水溶液とし
た。
モルタルとし、JISR5201−1996に準拠して
練り込んだモルタルを7×7×2cmの型枠で成型し
た。脱型は48時間後とし、その後5日間20℃水中で
養生を行い、材令14日まで20℃、65%RH中で養
生したものを試験片とした。
液を200g/m2となるようにはけ塗りし、約1時間
常温で乾燥させた。
樹脂をはけ塗りし、約300μmのアクリル樹脂層12
で被覆した。
りモルタル片の対角線に外表面からモルタル片11の表
面に達する×字形の切れ込み部13を設け、これを試験
片10とした(図6参照)。また、防食剤水溶液を塗布
しない以外は上記試験片10と同様の方法で、対照片を
作製した。
10%硫酸水溶液14に浸漬し、20℃で10日間放置
した(図7参照)。放置後、試験片10および対照片を
取り出して硫酸を拭き取り、モルタル片11の表面に切
れ込み部13に沿って生じた腐食部分15の幅Lを、そ
れぞれ各方向に3カ所測定して平均した(図8参照)。
アクリル樹脂層の切れ込み部から侵入した硫酸がモルタ
ル片の表面を大きく腐食していた。一方、試験片におい
ては、腐食部分の幅は1.0mm以下であり、防食剤を
塗布することによって腐食が著しく抑制されていること
がわかった。
施形態によって限定されるものではなく、均等の範囲に
まで及ぶものである。
様子を示す斜視図
図
霧する様子を示す斜視図
示す斜視図
図
Claims (3)
- 【請求項1】 ストロンチウム塩、鉛塩、およびバリウ
ム塩からなる群より選ばれる少なくとも一種を含む水溶
液をコンクリートの表面に塗布することにより前記コン
クリートの表面付近に存在する硫酸もしくはその塩を不
溶性の化合物として固定化するコンクリートの防食方
法。 - 【請求項2】 ストロンチウム塩、鉛塩、およびバリウ
ム塩からなる群より選ばれる少なくとも一種を含み、コ
ンクリートの表面付近に存在する硫酸もしくはその塩と
不溶性の化合物を形成するコンクリート防食用混合剤。 - 【請求項3】 ストロンチウム塩、鉛塩及びバリウム塩
からなる群より選ばれる少なくとも一種を含有する防食
剤含有セメント。
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2001
- 2001-06-25 JP JP2001191830A patent/JP3842078B2/ja not_active Expired - Fee Related
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