JP2003002299A - ペイロードセミアクティブ制振装置及びその制御装置 - Google Patents
ペイロードセミアクティブ制振装置及びその制御装置Info
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Abstract
ドに加わる多自由度の振動に対して効果的に制振できる
ようにする。 【解決手段】 ペイロード取付部材の下面とペイロード
アダプタの上面との間に配置した緩衝体8と、一端がペ
イロード取付部材の下面近傍に接続され、他端がペイロ
ードアダプタの外側に接続され、且つ機軸Zに対する傾
斜角αと、機軸Zを通り直径方向に延びる面に対する傾
斜角βとを備えて機軸Zを中心に対称に複数配置された
可変減衰ダンパ9と、ペイロードの機軸Z方向の加速度
と、機軸直角面での直角2軸X,Y方向の加速度と、各
軸X,Y,Z周りの回転方向の加速度とを検出する加速
度センサと、各加速度センサで検出した状態量から求め
た理論制御力により各可変減衰ダンパ9の減衰力を制御
する演算制御器11とを備える。
Description
いは帰還型宇宙飛行体などの輸送機に備えられるペイロ
ード(人工衛星)を、振動を抑制して支持することを目
的とした、減衰力を制御可能な可変減衰ダンパを有する
ペイロードセミアクティブ制振装置及びその制御装置に
関するものである。
ット或いは帰還型宇宙飛行体などの宇宙空間への輸送機
を介して宇宙に送り出される。
を示したもので、一段ロケット1の先端に設けられた分
割可能な周囲のコンポーネント2,2内に、二段ロケッ
ト3を収容した多段ロケットである。その二段ロケット
3の先端部には、ペイロードアダプタ4と称される支持
部材が設けられており、該ペイロードアダプタ4に設け
られた固定部材5上に、ペイロード取付部材6を介して
ペイロード7が配置されている。そして、ペイロード7
は、ペイロード取付部材6に内蔵された切り離し機構に
よって切り離しが行われるようになっている。
のエンジンを着火して一段ロケット1全体を上空の所定
の高さまで打ち上げた後、その一段ロケット1の先端の
周囲のコンポーネント2,2を左右に開いて二段ロケッ
ト3を露出させ、次にこの二段ロケット3のエンジンを
着火して一段ロケット1から分離し、この二段ロケット
3側のエンジンの燃焼によって自ら推進して軌道上に達
した後、その先端部に搭載されたペイロード7を、ペイ
ロード取付部材6から切り離して軌道上に投入すること
で、ペイロード7の打ち上げが達成される。
宙飛行体などの宇宙空間へペイロード7を輸送する輸送
機では、エンジンや空気摩擦、誘導制御などの原因によ
り輸送機本体の機軸、機軸に対して直交する軸、又はこ
れら軸に対して回転する方向に振動が発生する。
間への輸送機においては、搭載されるペイロードは輸送
機本体側と剛に結合しているため、輸送機本体側で発生
した振動の伝達によってペイロードに振動が発生し、ペ
イロードに悪影響を及ぼす虞がある。即ち、輸送機本体
側の振動による過大な振動、衝撃によりペイロードが故
障する、もしくは、ペイロードを包囲するコンポーネン
トと接触するといった問題が考えられるため、これらの
問題が生じないように、ペイロードの支持剛性を上げる
ことによって、ペイロードに発生する振動レベルを抑制
するなどの処置がなされてきた。しかし、ペイロードに
加えられる振動レベル自体を低減することはできなかっ
た。
ペイロードの振動抑制を実施しようとした場合には、以
下のような課題が存在する。 1.ペイロードを何らかの手段により緩衝した場合に
は、緩衝体の結合により、ペイロードに多自由度の振動
が発生する。即ち、ペイロードは機軸方向、機軸直角方
向(水平方向)、各軸周りの回転方向に振動し、更にペ
イロードにはロッキング及び共振が発生する。 2.ペイロードを包囲するコンポーネントとの相互間隔
は非常に狭いため、ロッキング及び共振の発生によっ
て、ペイロードがコンポーネントに接触するなどの問題
が発生する虞がある。 3.ペイロードの振動抑制は高周波領域まで考慮する必
要がある。 4.ペイロードを能動的に制振するためには、ペイロー
ドの振動を検出するセンサを設置する必要があるが、輸
送機飛行時における大きな低周波域での加速度の影響を
受けずに、高周波領域の振動を精度良く検出できるセン
サが必要である。 5.ペイロードの振動を抑制するために、ペイロードの
重量を支持して緩衝する緩衝体と、可変減衰ダンパと
を、ペイロードとペイロードアダプタの相互間に併用し
て備える場合、輸送機の設計上、緩衝体はできる限り小
型・軽量化することが要求されるが、緩衝体を小型にす
ると、可変減衰ダンパの設置スペースを充分確保できな
くなり、そのために制振のために必要な可変減衰ダンパ
の設置角を自由に取れなくなる問題がある。
は、ペイロード及び制振装置の特性を考慮して、制御、
共振、ロッキングの抑制及び高周波領域での振動レベル
の低減を、制御対象とする任意の自由度に対して同時に
しかも確実に制御できる制振装置及び制御装置を開発す
ることが要求される。
くなしたもので、機能的に優れた装置構成を実施するこ
とによって、ペイロードに加わる多自由度の振動に対し
て効果的に制振することができるようにしたペイロード
セミアクティブ制振装置及びその制御装置を提供するこ
とを目的としている。
容するペイロード7をペイロードアダプタ4に制振して
支持させるためのペイロードセミアクティブ制振装置で
あって、ペイロード取付部材6の下面とペイロードアダ
プタ4の上面との間の周方向に複数備えてペイロード7
の荷重を支持し、且つ輸送機の振動を遮断する緩衝体8
と、一端がペイロード取付部材6の下面近傍に接続さ
れ、他端がペイロードアダプタ4の外側に接続され、且
つ機軸Zに対する傾斜角αと、機軸Zを通り直径方向に
延びる面Z’に対する傾斜角βとを備えて複数配置さ
れ、ペイロード7の振動の減衰効果を高めるための可変
減衰ダンパ9と、前記ペイロード7の機軸Z方向の加速
度と、機軸直角面での直角2軸X,Y方向の加速度と、
ペイロードのX,Y,Z軸周りの回転方向の加速度とを
検出する加速度センサSa1z,Sa2z,Sa3z,
Sa4z、Sa1x,Sa2y,Sa3x,Sa4y
と、各加速度センサSa1z,Sa2z,Sa3z,S
a4z、Sa1x,Sa2y,Sa3x,Sa4yで検
出した状態量から求めた理論制御力により前記各可変減
衰ダンパ9の減衰力を制御する演算制御器11と、を備
えたことを特徴とするペイロードセミアクティブ制振装
置、に係るものである。
z,Sa2z,Sa3z,Sa4z、Sa1x,Sa2
y,Sa3x,Sa4yが、検出周波数領域を選定でき
る圧電型加速度計であってもよく、又、X,Y,Z軸周
りの各回転方向の加速度を直接検出するようにした回転
計を備えていてもよく、又、緩衝体8は、積層ゴムであ
ってもよく、又、可変減衰ダンパ9は、油圧式可変減衰
ダンパ9aであってもよい。
下面近傍に接続され、他端がペイロードアダプタ4の外
側に接続され、且つ機軸Zに対する傾斜角αと機軸Zを
通り直径方向に延びる面Z’に対する傾斜角βとを有し
て配置した複数の可変減衰ダンパ9と、ペイロード7の
機軸Z方向の加速度と、機軸直角面での直角2軸X,Y
方向の加速度と、X,Y,Z軸周りの回転方向の加速度
を検出する加速度センサSa1z,Sa2z,Sa3
z,Sa4z、Sa1x,Sa2y,Sa3x,Sa4
yと、各可変減衰ダンパ9の相対変位を検出する相対変
位センサDと、各可変減衰ダンパ9が発生する実減衰力
を検出する力センサPと、各加速度センサSa1z,S
a2z,Sa3z,Sa4z、Sa1x,Sa2y,S
a3x,Sa4yにより検出される状態量に基づいて可
変減衰ダンパ9の減衰力を制御する演算制御器11と、
を設けたペイロードセミアクティブ制振装置の制御装置
であって、前記演算制御器11が、機軸Z方向の加速度
と、機軸直角面での直角2軸X,Y方向の加速度と、
X,Y,Z軸周りの回転方向の加速度を検出する加速度
センサSa1z,Sa2z,Sa3z,Sa4z、Sa
1x,Sa2y,Sa3x,Sa4yの状態量から、検
出各点での制御すべき振動の動的成分を求める信号処理
手段13と、信号処理手段13で得た状態量から、機軸
Z方向、機軸直角面での直角2軸X,Y方向、X,Y,
Z軸周りの回転方向の各自由度の振動を抑制するための
理論制御力を演算する各自由度の理論制御力演算手段1
4と、各自由度の理論制御力演算手段14で得られた各
自由度の理論制御力を、各可変減衰ダンパ9に振り分け
る振り分け手段15と、振り分け手段15で振り分けた
各自由度の理論制御力を重ね合わせて、各可変減衰ダン
パの目標減衰力を発現させるための理論制御力を導出す
る重ね合わせ手段16と、重ね合わせ手段16からの理
論制御力を、相対変位センサDから作成される可変減衰
ダンパ9の相対速度と比較して目標減衰力の再現の可否
を判定する判定手段17と、力センサPからの可変減衰
ダンパ9が発生する実減衰力を入力しており、前記判定
手段17において目標減衰力が再現できる場合には、目
標減衰力に実減衰力を追随させるように可変減衰ダンパ
9を制御し、目標減衰力が再現できない場合には、目標
減衰力と実減衰力との差が最小になるように可変減衰ダ
ンパ9の実減衰力を最小に制御する減衰力追従手段18
と、を有することを特徴とするペイロードセミアクティ
ブ制振装置の制御装置、に係るものである。
回転方向の加速度を直接検出するようにした回転計を備
えていてもよい。
る。
るため、ペイロード及び制振装置の特性を考慮し、ペイ
ロードと制振装置からなるシステムが有する多自由度の
振動に対して、各自由度ごとに任意の応答特性を設定で
きる。
度振動レベルを大幅に低減することができ、更に、共
振、ロッキングを効果的に抑制することができることに
より、ペイロードの変位によってペイロードを包囲する
コンポーネントに接触するのを防止することができ、ペ
イロードに緩衝体を結合した場合にも安全に輸送するこ
とができる。
に低減できるので、ペイロードの内部機器への悪影響を
大幅に低減できる。
材の下面近傍に接続し、他端をペイロードアダプタの外
側に接続したことにより、緩衝体の高さ寸法を小型にし
ても可変減衰ダンパの傾斜角を自由にとって可変減衰ダ
ンパによる減衰力を適確に発現させることができる。
きる圧電型加速度計を用いることにより、高周波領域の
振動を適確に抽出できる。
直接検出する回転計を備えると、演算制御器による演算
操作を簡略化することができる。
イロードの荷重支持と、輸送機本体から伝達される振動
の遮断を効果的に行える。
用いることにより、大きな押し引き方向の減衰力を応答
性良く作用させられる。
を図面に基づいて説明する。
クティブ制振装置の形態例を示す配置構成図である。ペ
イロードセミアクティブ制振装置は、ペイロード7に切
り離し可能に取付られている截頭円錐形状を有している
ペイロード取付部材6の下面と、ペイロードアダプタ4
の截頭円錐形状を有している固定部材5の上面との間
に、緩衝体8としての積層ゴムを周方向に複数配置して
いる。
0゜ピッチで3点に配置しており、機軸Z方向を向くよ
うに内側に傾斜させた状態で設置される。積層ゴムによ
る緩衝体8は、ペイロード7の荷重支持と、輸送機本体
から伝達される振動を遮断する機能を有しており、更
に、前記したように傾斜配置とすることで、ペイロード
7のロッキングにより発生する変位を低減し、ペイロー
ド7とペイロード7を包囲するコンポーネント2との接
触を防止する。
アダプタ4との間に複数(図2では6本)の可変減衰ダ
ンパ9を配置し、該可変減衰ダンパ9の一端(上端)は
ペイロード取付部材6の下面近傍に接続し、他端(下
端)はペイロードアダプタ4の外側に接続している。こ
の時、固定部材5は截頭円錐形状を有しているので、こ
の截頭円錐形状の固定部材5外側の傾斜面に、固定ブラ
ケット10を介して接続する。
衝体8及び可変減衰ダンパ9を含めた制振装置の振動を
減衰するためのものであり、機軸Z方向と、機軸直角面
での直角2方向X,Yと、X,Y,Z軸周りの回転方向
に対する減衰を行えるように、図2に示す如く、ペイロ
ード7の略重心W方向を向くように機軸Zに対して傾斜
角αを有して設けられている。更に、可変減衰ダンパ9
は、図3に示す如く、機軸Zを通り直径方向に延びる面
Z’に対して傾斜角βを有していて、機軸Zを中心に対
称に配置されている。
取付部材6の下面とペイロードアダプタ4の固定部材5
の上面との間に配置しようとした場合には、前記傾斜角
αと傾斜角βを確保するために、ペイロード取付部材6
と固定部材5との間隔を大きく保持させる必要があり、
このために上記間隔内に設置する積層ゴムによる緩衝体
8の高さ寸法が大きくなって緩衝体8の大型・重量化の
問題を生じることになる。一方、このために、前記間隔
を小さくして可変減衰ダンパ9の長さ寸法を小型化しよ
うとした場合には、可変減衰ダンパ9の伸縮時に前記傾
斜角αと傾斜角βが大きく変化することになり、よって
可変減衰ダンパ9の伝達力の方向(ベクトル)が変化し
てしまい、目的とする制御量に誤差が生じることにな
る。
ンパ9の他端(下端)を、ペイロードアダプタ4の外側
に接続すると、ペイロード取付部材6とペイロードアダ
プタ4との間隔を小さくしても可変減衰ダンパ9の傾斜
角αと傾斜角βを自由に選定することができ、しかも緩
衝体8を小型・軽量化することができるので好適であ
る。
衰ダンパ9aを採用している。この油圧式可変減衰ダン
パ9aは、外部からの指令制御値(指令電圧)によりサ
ーボ弁を介してスプール開度を調整することが可能であ
り、これにより発生減衰力を制御することができる。可
変減衰ダンパ9には、大きな押し引き方向の減衰力を応
答性良く作用できるものが要求されるが、この点前記油
圧式可変減衰ダンパ9aの採用は好適と言える。しか
し、可変減衰ダンパ9はこれに限定されるものではな
い。
は、機軸Z直角面における直角2軸X,Y方向の4点の
検出点に、機軸Z方向の加速度センサSa1z,Sa2
z,Sa3z,Sa4zと、X,Y方向の加速度センサ
Sa1x,Sa2y,Sa3x,Sa4yを設け、各加
速度センサSa1z,Sa2z,Sa3z,Sa4z、
Sa1x,Sa2y,Sa3x,Sa4yの検出信号
(状態量)を演算制御器11に入力している。
側度)を検出する相対変位センサDを設けており、その
各相対変位センサDからの相対変位の検出値(状態量)
を演算制御器11に入力している。
衰力を検出する力センサPを設けており、その各力セン
サPからの実減衰力の検出値(状態量)を演算制御器1
1に入力している。力センサPは、可変減衰ダンパ9が
出す力を検出するためのものであり、よって可変減衰ダ
ンパ9のペイロードアダプタ4に対する取付部に設置し
た力センサであってもよく、又、油圧式可変減衰ダンパ
9a内の圧力を検出する油圧計であってもよい。
方向の加速度を直接検出するセンサは備えられていない
が、機軸Z方向の加速度センサSa1z,Sa2z,S
a3z,Sa4zと、X,Y方向の加速度センサSa1
x,Sa2y,Sa3x,Sa4yにて検出した検出信
号から、演算制御器11にて演算により回転X,Y,Z
軸周りの回転方向の加速度を求めることができる。又、
この方法以外に、X,Y,Z軸周りの各回転方向の加速
度を直接検出できるようにした回転計をペイロード取付
部材6に設置して、この回転計の検出信号を演算制御器
11に取り込むようにしてもよい。このように回転計を
備えると、演算制御器11による演算操作を簡略化する
ことができる。
a1z,Sa2z,Sa3z,Sa4z、Sa1x,S
a2y,Sa3x,Sa4yで検出した状態量から、理
論制御力を求めて制御指令値12(指令電圧)により前
記各可変減衰ダンパ9の減衰力を制御するようになって
いる。
手法の概要を、前記図1、図2及び図4、図5のフロー
チャートを参照して説明する。
3z,Sa4z、Sa1x,Sa2y,Sa3x,Sa
4yで検出した検出各点での検出信号(状態量)が、ま
ず演算制御器11の信号処理手段13に入力されて、次
のような演算を行う。
的成分を導出するには、加速度センサSa1x及びSa
3xにより検出した状態量から図6に示すように、x方
向に関する絶対加速度A1x、A3xを計測する。次
に、この絶対加速度を加えて1/2倍することで、ペイ
ロード取付部材6のx方向の絶対加速度Axが求められ
る。求められたAxには、輸送機打ち上げに関する静加
速度、及び、輸送機の固有振動による準静的な加速度成
分が含まれており、ペイロード7の振動を抑制する理論
的な制御力を作成するためには、ペイロード7及び制振
装置からなるシステムの動的な振動加速度を抽出する必
要がある。そこで、フィルタFi−xBにより信号処理
を実施する。このフィルタ処理により、低周波領域に存
在する静的な打ち上げ加速度及び、輪送機の機体の固有
振動などによる準静的な加速度成分と、高周波領域に存
在する観測ノイズを除去し、抑制対象とする振動の動的
加速度A’xを抽出する。この動的加速度をフィルタF
i−xIにより擬似的に積分することで、x方向の動的
な絶対速度が算出される。
を用いてy方向の動的な絶対速度A’yを、Sa1z,
Sa3zによりA’zを導出する。
度は、加速度センサSa3zとSa1z、Sa4zとS
a2z、Sa2yとSa4yの検出値の差を1/2倍
し、設置変形距離で除することにより回転方向絶対加速
度A’tx,A’ty,A’tzが導出される。この後
の信号処理方法は、上述した並進方向加速度の場合と同
様で、ペイロード取付部材6の中心位置の絶対速度の振
動の動的成分を抽出することができる。
z,Sa3z,Sa4z、Sa1x,Sa2y,Sa3
x,Sa4yとして、圧電型加速度計を用いると、低周
波領域に存在する輸送機飛行時の加速度及び、輪送機の
機体の固有振動などによる準静的な加速度成分を除去
し、振動制御すべき高周波数領域のみを効果的に選定し
て検出できる利点がある。例えば、輸送機の飛行時の加
速度は、通常略5Hz以下と低いため、例えば5Hz以
上の振動を圧電型加速度計で検出することにより、静的
及び低周波数の加速度を計測することがなく、よって、
計測した信号中のペイロードの振動が大きく検出されて
より正確な計測ができる。同時に、ペイロードの振動が
大きく検出されるために、計測ノイズが加わった場合に
も、より正確な計測ができる。又、計測容量が小さい計
測機器とすることができる。
振動の動的成分の絶対速度に基づき、各自由度の振動を
抑制するための理論制御力演算手段14により各自由度
に対する理論制御力を作成する。本形態例では、制御系
設計に関してスカイフック理論を適用した場合、共振の
抑制と高周波領域での振動遮断というペイロードの振動
遮断に関して有効な特性を得ることができる。同理論を
適用した場合、振動を抑制するための理論制御力はその
振動の絶対速度に比例した力として作成される。図6に
示すように、例えば、x方向の振動を抑制する制御力F
xは、信号処理によって作成されたx方向の絶対速度
V’xに制御ゲインKxを乗じることで、導出される。
同様に、他の自由度に対する制御力も、上記のように導
出した各自由度の絶対速度に対して制御ゲインを乗ずる
ことで求められる。
とで求められた制御力は、ペイロードの振動を抑制する
ために必要なシステム全体の制御力であるために、実際
に各可変減衰ダンパ9が出力すべき制御力とは異なる。
振り分け手段15により、各可変減衰ダンパ9の配置位
置・角度を考慮した力分布マトリクスを作成し、前記制
御力を分配する。制御力の分配により、例えばx方向の
制御力Fxは、FIxからF6xまで6つの各可変減衰
ダンパ9が発生すべき制御力に分配される。同様に他の
自由度に対する制御力も分配されるため、6自由度を制
御する制御力は合計36個の制御力に分けられる。
手段16により重ね合わされる。例えば、F1x+F1
y+…+F1tzとなるように各可変減衰ダンパ9に関
して、各自由度の分配された制御力を重ね合わせること
で、同時に多自由度を制御するために各可変減衰ダンパ
9が発現すべき目標減衰力を得るために必要な理論制御
力(F1からF6)を導出することができる。
は判定手段17に入力されており、判定手段17は、前
記理論制御力と、相対変位センサDから作成される可変
減衰ダンパ9の相対速度とを比較して、目標減衰力の再
現の可否を判定するようになっている。
が発生する実減衰力を入力する減衰力追従手段18が設
けられており、該減衰力追従手段18は、前記判定手段
17において目標減衰力が再現できる場合(理論制御力
が相対速度より大きくて差が正の場合)には、目標減衰
力に実減衰力を追随させるように制御指令値12により
可変減衰ダンパ9を制御し、又、目標減衰力が再現でき
ない場合(理論制御力が相対速度より小さくて差が負の
場合)には、目標減衰力と実減衰力との差が最小になる
ように制御指令値12により可変減衰ダンパ9の実減衰
力を最小に制御するようにしている。図5中dは、相対
変位センサDから作成した可変減衰ダンパ9の相対速度
の信号を処理する信号処理手段、pは、力センサPから
作成される可変減衰ダンパ9の実減衰力の信号を処理す
る信号処理手段である。
らの制御指令値12(指令電圧)によって、サーボ弁を
介してスプール開度を調整することが可能である。従っ
て、このスプール開度調整により、油路を流動する油の
抵抗を調整し減衰力を変化させることができる。
パ9の実減衰力が不足する場合は、スプール開度を狭め
る方向に信号を出力し、反対に目標減衰力に対して可変
減衰ダンパ9の実減衰力が過大な場合は、スプール開度
を広げる方向に信号を出力することで、目標減衰力と可
変減衰ダンパ9の発生する実減衰力との誤差を最小とす
るように制御する。
御力は可変減衰ダンパ9の相対速度に対する抵抗力とし
ての減衰力だけであるために、可変減衰ダンパ9が伸長
状態にある場合は、可変減衰ダンパ9の伸長を妨げる方
向の力しか発生することはできず、伸長を促進する方向
の力を発生することはできず、同様に、収縮状態にある
場合は、可変減衰ダンパ9の収縮を促進するような力を
発生することはできない。したがって、可変減衰ダンパ
9により発生することができる制御力の方向は可変減衰
ダンパ9の伸縮状態、つまり可変減衰ダンパ9の相対速
度の方向により一意に決定される。このため、目標減衰
力の方向と可変減衰ダンパ9の発生できる制御力の方向
が異なり、制御力を実現できない場合がある。
セミアクティブ制御を実施する際には、目標滅衰力を再
現できるかどうかを判定し、再現できる場合には、目標
減衰力に可変減衰ダンパ9の発生減衰力を追従させるよ
うな制御操作を行い、再現できない場合には、目標減衰
力と実減衰力との誤差を最小とするために、スプール開
度を最も広げた状態とする信号を発生し、実減衰力を最
小とするような制御操作を実行する必要がある。
目標制御力を再現できる場合には、可変減衰ダンパ9の
発生減衰力を目標減衰力に追従させ、再現できない場合
には、その誤差が最小化されるために、目標減衰力値と
可変減衰ダンパ9から発生される実減衰力値との誤差が
最小となり、設計者が制御系設計時に想定した制御特性
に近い制御特性を可変減衰ダンパ9により実現すること
ができる。
に、可変減衰ダンパ9の応答遅れを考慮した位相進み・
遅れ補償を行うことで、応答遅れによる振動抑制効果の
低下を防止することができ、より高性能を実現すること
ができる。
けて説明したが、理論制御力の導出手法に関しては、制
御系設計手法として1つの手段によりまとめて実施して
もよいことは勿論である。
結果の例を図7〜図9に示す。解析モデルは図1、図2
に示したような3次元6自由度モデルとしたが、ペイロ
ードは簡易解析のため、中実円柱の剛体としてモデル化
している。解析結果としては、輸送機の機軸及びその直
角方向の軸に対して加速度外乱(入力外乱)を印加した
際の、本形態を適用した場合の応答Aと、パッシブ方式
を採用した場合の応答Bを示す。結果から分かるよう
に、減衰係数を変化させることのできないパッシブ方式
の応答Bと比べて、本形態を適用した場合の応答Aは、
機軸直角方向、機軸方向、機軸直角軸周り回転方向とも
に大きくペイロードの応答を低減していることが確認で
きる。特に、機軸直角方向と機軸直角軸周り回転方向の
応答は、ペイロードとペイロードを包囲するコンポーネ
ントとの接触問題に関わるため、これらの応答低減は重
要な特性であると言うことができる。
ィブ制振装置の制御装置によれば、演算制御器11の設
計を任意に行うことができるため、ペイロード及び制振
装置の特性を考慮し、ペイロードと制振装置からなるシ
ステムが有する多自由度の振動に対して、各自由度ごと
に任意の応答特性を設定することができる。即ち、ペイ
ロードに発生する多自由度の振動を選択的に同時制御す
ることができる。
振動レベルを大幅に低減することができ、更に、共振、
ロッキングを効果的に抑制することができることにより
ペイロードの変位によるペイロードを包囲するコンポー
ネントとの接触を防止することができ、ペイロードに緩
衝体を結合した場合にも安全に輸送することができる。
に減衰できるので、ペイロードの内部機器への悪影響を
大幅に低減できる。
ものではなく、ペイロード打上用ロケットの一例を示し
たもので、一段ロケットの先端に設け本発明の要旨を逸
脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論
である。
し得る。
できるため、ペイロード及び制振装置の特性を考慮し、
ペイロードと制振装置からなるシステムが有する多自由
度の振動に対して、各自由度ごとに任意の応答特性を設
定できる効果がある。
加速度振動レベルを大幅に低減することができ、更に、
共振、ロッキングを効果的に抑制することができること
により、ペイロードの変位によってペイロードを包囲す
るコンポーネントに接触するのを防止することができ、
ペイロードに緩衝体を結合した場合にも安全に輸送する
ことができる効果がある。
果的に減衰できるので、ペイロードの内部機器への悪影
響を大幅に低減できる効果がある。
付部材の下面近傍に接続し、他端をペイロードアダプタ
の外側に接続したことにより、緩衝体の高さ寸法を小型
にしても可変減衰ダンパの傾斜角を自由にとって可変減
衰ダンパによる減衰力を適確に発現させることができる
効果がある。
定できる圧電型加速度計を用いることにより、高周波領
域の振動を適確に抽出できる効果がある。
度を直接検出する回転計を備えると、演算制御器による
演算操作を簡略化できる効果がある。
り、ペイロードの荷重支持と、輸送機本体から伝達され
る振動の遮断を効果的に行える効果がある。
パを用いることにより、大きな押し引き力を応答性良く
作用させられる効果がある。
構成外観例を示す斜視図である。
置構成例を示す透視斜視図である。
る。
制御装置における制御手法を示すフローチャートであ
る。
ローチャートである。
出するフローチャートである。
一例を示す断面図である。
サ Sa1x,Sa2y,Sa3x,Sa4y 加速度セン
サ D 相対変位センサ P 力センサ X,Y,Z 軸 Z’ 面 α 傾斜角 β 傾斜角
Claims (7)
- 【請求項1】 輸送機内に収容するペイロード(7)を
ペイロードアダプタ(4)に制振して支持させるための
ペイロードセミアクティブ制振装置であって、 ペイロード取付部材(6)の下面とペイロードアダプタ
(4)の上面との間の周方向に複数備えてペイロード
(7)の荷重を支持し、且つ輸送機の振動を遮断する緩
衝体(8)と、 一端がペイロード取付部材(6)の下面近傍に接続さ
れ、他端がペイロードアダプタ(4)の外側に接続さ
れ、且つ機軸Zに対する傾斜角(α)と、機軸Zを通り
直径方向に延びる面(Z’)に対する傾斜角(β)とを
備えて複数配置され、ペイロード(7)の振動の減衰効
果を高めるための可変減衰ダンパ(9)と、 前記ペイロード(7)の機軸Z方向の加速度と、機軸直
角面での直角2軸X,Y方向の加速度と、ペイロードの
X,Y,Z軸周りの回転方向の加速度とを検出する加速
度センサ(Sa1z)(Sa2z)(Sa3z)(Sa
4z)(Sa1x)(Sa2y)(Sa3x)(Sa4
y)と、 各加速度センサ(Sa1z)(Sa2z)(Sa3z)
(Sa4z)(Sa1x)(Sa2y)(Sa3x)
(Sa4y)で検出した状態量から求めた理論制御力に
より前記各可変減衰ダンパ(9)の減衰力を制御する演
算制御器(11)と、 を備えたことを特徴とするペイロードセミアクティブ制
振装置。 - 【請求項2】 加速度センサ(Sa1z)(Sa2z)
(Sa3z)(Sa4z)(Sa1x)(Sa2y)
(Sa3x)(Sa4y)が、検出周波数領域を選定で
きる圧電型加速度計であることを特徴とする請求項1に
記載のペイロードセミアクティブ制振装置。 - 【請求項3】 X,Y,Z軸周りの各回転方向の加速度
を直接検出するようにした回転計を備えたことを特徴と
する請求項1に記載のペイロードセミアクティブ制振装
置。 - 【請求項4】 緩衝体(8)が、積層ゴムであることを
特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のペイロード
セミアクティブ制振装置。 - 【請求項5】 可変減衰ダンパ(9)が、油圧式可変減
衰ダンパ(9a)であることを特徴とする請求項1〜4
のいずれかに記載のペイロードセミアクティブ制振装
置。 - 【請求項6】 一端がペイロード取付部材(6)の下面
近傍に接続され、他端がペイロードアダプタ(4)の外
側に接続され、且つ機軸Zに対する傾斜角(α)と機軸
Zを通り直径方向に延びる面(Z’)に対する傾斜角
(β)とを有して配置した複数の可変減衰ダンパ(9)
と、 ペイロード(7)の機軸Z方向の加速度と、機軸直角面
での直角2軸X,Y方向の加速度と、X,Y,Z軸周り
の回転方向の加速度を検出する加速度センサ(Sa1
z)(Sa2z)(Sa3z)(Sa4z)(Sa1
x)(Sa2y)(Sa3x)(Sa4y)と、 各可変減衰ダンパ(9)の相対変位を検出する相対変位
センサ(D)と、 各可変減衰ダンパ(9)が発生する実減衰力を検出する
力センサ(P)と、 各加速度センサ(Sa1z)(Sa2z)(Sa3z)
(Sa4z)(Sa1x)(Sa2y)(Sa3x)
(Sa4y)により検出される状態量に基づいて可変減
衰ダンパ(9)の減衰力を制御する演算制御器(11)
と、 を設けたペイロードセミアクティブ制振装置の制御装置
であって、前記演算制御器(11)が、 機軸Z方向の加速度と、機軸直角面での直角2軸X,Y
方向の加速度と、X,Y,Z軸周りの回転方向の加速度
を検出する加速度センサ(Sa1z)(Sa2z)(S
a3z)(Sa4z)(Sa1x)(Sa2y)(Sa
3x)(Sa4y)の状態量から、検出各点での制御す
べき振動の動的成分を求める信号処理手段(13)と、 信号処理手段(13)で得た状態量から、機軸Z方向、
機軸直角面での直角2軸X,Y方向、X,Y,Z軸周り
の回転方向の各自由度の振動を抑制するための理論制御
力を演算する各自由度の理論制御力演算手段(14)
と、 各自由度の理論制御力演算手段(14)で得られた各自
由度の理論制御力を、各可変減衰ダンパ(9)に振り分
ける振り分け手段(15)と、 振り分け手段(15)で振り分けた各自由度の理論制御
力を重ね合わせて、各可変減衰ダンパの目標減衰力を発
現させるための理論制御力を導出する重ね合わせ手段
(16)と、 重ね合わせ手段(16)からの理論制御力を、相対変位
センサ(D)から作成される可変減衰ダンパ(9)の相
対速度と比較して目標減衰力の再現の可否を判定する判
定手段(17)と、 力センサ(P)からの可変減衰ダンパ(9)が発生する
実減衰力を入力しており、前記判定手段(17)におい
て目標減衰力が再現できる場合には、目標減衰力に実減
衰力を追随させるように可変減衰ダンパ(9)を制御
し、目標減衰力が再現できない場合には、目標減衰力と
実減衰力との差が最小になるように可変減衰ダンパ
(9)の実減衰力を最小に制御する減衰力追従手段(1
8)と、 を有することを特徴とするペイロードセミアクティブ制
振装置の制御装置。 - 【請求項7】 X,Y,Z軸周りの各回転方向の加速度
を直接検出するようにした回転計を備えていることを特
徴とする請求項6に記載のペイロードセミアクティブ制
振装置の制御装置。
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