JP2003001652A - セルロースエステル積層フィルムの製造方法 - Google Patents

セルロースエステル積層フィルムの製造方法

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JP2003001652A
JP2003001652A JP2001186787A JP2001186787A JP2003001652A JP 2003001652 A JP2003001652 A JP 2003001652A JP 2001186787 A JP2001186787 A JP 2001186787A JP 2001186787 A JP2001186787 A JP 2001186787A JP 2003001652 A JP2003001652 A JP 2003001652A
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Katsusuke Nagashima
克祐 長嶋
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】ドープを支持体上に共流延して少なくとも
2層からなるウェブを形成し積層フィルムを得る溶液流
延製膜法によるセルロースエステル積層フィルムの製造
方法である。支持体上の未乾燥状態のウェブの厚み中央
より支持体側の部分でのセルロースエステルと紫外線吸
収剤と微粒子と可塑剤の総含有量の平均を、同ウェブの
厚み中央より外側の部分での上記総含有量の平均よりも
高くする。 【効果】支持体上でウェブの乾燥効率が上がり、ウェブ
がカールを生じにくくなり、レターデーション等の光学
物性の劣化も抑制される。流延中にキャストダイリップ
に乾燥ドープの塊が生じにくく、これに起因する「押さ
れ」故障やウェブ側部の破断が減少する。最外層の流延
巾を大きくすることでキャストダイリップにおける乾燥
ドープ塊の発生を一層少なくすることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、セルロースエステ
ルをベースとし、さらに紫外線吸収剤と微粒子と可塑剤
を含むドープを、周回するエンドレスベルト状またはド
ラム状の金属支持体上にダイから流延する溶液流延法製
膜法に関し、より詳しくは、ドープを支持体上に共流延
して少なくとも2層からなるウェブを形成し、液晶画像
表示装置用部材、とくに偏光板の保護フィルムに用いら
れるセルロースエステル積層フィルムを得る方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】液晶画像表示装置は、低電圧かつ低消費
電力でIC回路への直結が可能であり、しかも薄型化が
可能であるから、ワードプロセッサーやパーソナルコン
ピュータ等の表示装置として広く使用されている。液晶
画像表示装置の基本的な構成は、液晶セルの両側に偏光
板を設けたものである。偏光板は、一定方向の偏波面の
光だけを通すので、液晶画像表示装置においては、電界
による液晶表示装置の配向の変化を可視化させる重要な
役割を担っており、偏光板の性能によって液晶画像表示
装置の性能が大きく左右される。
【0003】偏光板の保護フィルムはセルロースエステ
ルからなり、表面をアルカリ鹸化して一軸延伸されかつ
ヨウ素染色されたポリビニルアルコールフィルムからな
る偏光膜の片面または両面に、ポリビニルアルコールの
ような粘着剤を介して貼り合わされる。液晶画像表示装
置は一層薄型化する傾向にあるため、偏光板に使用せら
れるセルロースエステルフィルムもより薄手のフィルム
が必要とされてきている。
【0004】従来、セルロースエステルフィルムは、例
えばつぎのような溶液流延製膜法により製造される。ま
ず、セルロースエステルをこれを溶解する良溶媒および
溶解しない貧溶媒の混合溶媒に溶解し、これに紫外線吸
収剤や可塑剤、さらにフィルムの滑り性改善用の微粒子
を添加してセルローストリアセテート溶液(以下「ドー
プ」という)を調製し、鏡面処理された表面を有する周
回ステンレス製エンドレス支持体上に該ドープをダイか
ら流延してドープ膜(このように、ドープを支持体に流
延して形成した膜を、以下「ウェブ」という)を得、こ
れを支持体上で乾燥させた後これから剥離し、乾燥工程
へ送ってさらに温風で乾燥し、得られたセルロースエス
テルフィルムを巻取機に巻き取る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】このようなセルロース
エステルフィルムの製造においては、常にフィルムの生
産性向上が求められる。生産性を向上するには支持体の
駆動を高速化すればよいのであるが、そうすると支持体
からウェブを剥離する際にウェブが綺麗に剥がれずに支
持体面に一部残ってしまう。このように剥離残が生じる
と、これが後から来るウェブに連られてロールへ送ら
れ、ロールに他の異物が付いたりして、これらの異物が
柔らかいウェブを押して傷や凹みを生じさせる「押さ
れ」故障が発生する。また、高速化の結果、ウェブ中に
含まれる溶媒量が大きい時点で剥離されたウェブは、搬
送中の収縮が大きいため、光学物性の劣化を来たす。支
持体上でのウェブの乾燥速度を高めると、ウェブがカー
ルを生じ、厚み方向のレターデーション等の光学物性が
劣化する。支持体上での乾燥速度を高めずに製膜を高速
化するためにドープを濃縮すると、流延中にキャストダ
イリップに乾燥ドープの塊が生じ易く、その破片がウェ
ブに付着し、やはり「押され」故障を引き起こす。この
塊がウェブ側部に発生すると、側部が乱れライン中での
破断の原因になる。
【0006】製膜速度を上げるには、残留溶媒量ができ
るだけ多いうちにウェブを剥離する方法(ゲルキャステ
ィング)が知られている。その方法としては、ドープ中
にセルロースエステルに対する貧溶媒を加え、ドープ流
延後これをゲル化する方法、エンドレス支持体の温度を
下げてドープをゲル化する方法、ドープ中に金属塩を加
える方法等がある。エンドレス支持体上でドープをゲル
化させ膜を強くすることによって、剥離を早め製膜速度
を上げることができる。しかし、ゲル化のために貧溶媒
を添加すると剥離後の乾燥速度が遅くなり、長大な乾燥
工程が必要となってします。
【0007】また、支持体上での乾燥はウェブの厚み方
向に表裏非対称で進行し、ウェブに含まれる可塑剤は乾
燥に連れて支持体側へ移動する。その結果でき上がった
フィルムの厚み方向に可塑剤の分布が生じ、表裏で化学
的性質が異なるフィルムができてしまう。このような厚
み方向の可塑剤分布は高湿下でのカール劣化や、偏光板
加工時の加工性の劣化の原因となる。特に製膜速度を高
くした時この分布は顕著であり生産性向上を阻害する。
【0008】また、支持体上でのウェブの乾燥中にウェ
ブ表面より紫外線吸収剤剤がブリードアウトし、ロール
に付着してこれも「押され」故障を招く。紫外線吸収剤
の析出は支持体上のウェブの外面側に多く発生しがちで
ある。
【0009】また、セルロースエステルフィルム中には
滑り性(耐ブロッキング)の改善や耐傷性の改善のため
に、種々の微粒子を含有させたり、塗布したりする(特
開昭62−37113号、特開昭61−94725号公
報参照)。しかしながら、滑り性を上げるためにフィル
ム中に微粒子を多く添加すると、滑り性や耐傷性は改善
されるが、フィルムのクリア性を表す濁度が悪化する嫌
いがある。
【0010】本発明は上述した諸問題すべてを解決すべ
く工夫されたものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、ドープを支持
体上に共流延して少なくとも2層からなるウェブを形成
し積層フィルムを得る溶液流延製膜法において、支持体
上の未乾燥状態のウェブの厚み中央より支持体側の部分
でのセルロースエステルと紫外線吸収剤と微粒子と可塑
剤の総含有量の平均を、同ウェブの厚み中央より外側の
部分での上記総含有量の平均よりも高く、好ましくは2
〜10質量%高くすることを特徴とするセルロースエス
テル積層フィルムの製造方法である。
【0012】ドープ全体中の上記総含有量の平均は、好
ましくは20〜40質量%である。
【0013】乾燥後に得られた積層フィルムにおいて上
記総含有量の高い層の厚みのウェブ全厚に対する比を1
/2以上、好ましくは3/4〜19/20とする。
【0014】上記総含有量の高い層の流延巾を上記総含
有量の低い層の流延巾よりも狭くすることが好ましい。
【0015】乾燥後に得られた積層フィルムの全厚は好
ましくは20〜60μmである。
【0016】本発明において、支持体上の未乾燥状態の
ウェブの厚み中央より支持体側の部分での紫外線吸収剤
の含有量の平均を、同ウェブの厚み中央より外側の部分
での紫外線吸収剤の含有量の平均よりも高くすることが
好ましい。
【0017】また、ウェブを構成する複数の層のうち最
外層における紫外線吸収剤の含有量を、その他の層にお
ける紫外線吸収剤の含有量よりも低くすることが好まし
い。
【0018】本発明において、支持体上の未乾燥状態の
ウェブの厚み中央より支持体側の部分での微粒子の含有
量の平均を、同ウェブの厚み中央より外側の部分での微
粒子の含有量の平均よりも低くすることが好ましい。
【0019】また、ウェブを構成する複数の層のうち最
外層における微粒子の含有量を、その他の層における微
粒子の含有量よりも高くすることが好ましい。
【0020】さらに、ウェブを構成する複数の層のうち
最も支持体側の層における微粒子の含有量を、最外層を
除くその他の層における微粒子の含有量よりも高くする
ことが好ましい。
【0021】本発明において、支持体上の未乾燥状態の
ウェブの厚み中央より支持体側の部分での可塑剤の含有
量の平均を、同ウェブの厚み中央より外側の部分での可
塑剤の含有量の平均よりも低くすることが好ましい。
【0022】
【発明の実施の形態】まず、本発明によるセルロースエ
ステル積層フィルムの製造方法に使用する原料につい
て、説明をする。
【0023】ドープのベースをなすセルロースエステル
は、リンターパルプ、ウッドパルプおよびケナフパルプ
の群から選ばれ、セルロースに無水酢酸、無水プロピオ
ン酸または無水酪酸を常法により反応して得られるもの
であってよい。なかでもセルロースの水酸基に対する全
アシル基の置換度が2.5〜3.0であるセルロースト
リアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、
セルロースアセテートブチレートおよびセルロースアセ
テートプロピオネートブチレートが好ましい。上記セル
ロースエステルのアセチル基の置換度は、少なくとも
1.5であることが好ましい。セルロースエステルのア
シル基の置換度の測定は、ASTMのD−817−91
に準じて実施することができる。セルロースエステルの
分子量は、数平均分子量として70,000〜300,
000、とくに80,000〜200,000が、フィ
ルムに成形した場合の機械的強度上好ましい。通常、セ
ルロースエステルは反応後の水洗等処理後においてフレ
ーク状であり、その形状で使用されるが、粒径を0.0
5〜2.0mmの粒状とすることにより溶媒への溶解を
早めることができる。
【0024】セルロースエステルフィルム中には紫外線
吸収剤が含ませる。紫外線吸収剤としては、液晶の劣化
防止の点から波長370nm以下の紫外線の吸収能に優
れ、かつ良好な液晶表示性の点から波長400nm以上
の可視光の吸収が可及的に少ないものが好ましい。波長
370nmでの透過率は好ましくは10%以下、より好
ましくは5%以下、さらに好ましくは2%以下に抑えら
れる。上記紫外線吸収剤の具体例としては、オキシベン
ゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サ
リチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、
シアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物等
が挙げられ、着色の少ないベンゾトリアゾール系化合物
が特に好ましい。市販のベンゾトリアゾール系紫外線吸
収剤の例は、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)
製のチヌビン109、チヌビン171、チヌビン32
6、チヌビン327、チヌビン328等がある。紫外線
吸収剤は2種以上用いてもよい。紫外線吸収剤のドープ
への添加方法は、アルコール、メチレンクロライド、酢
酸メチル、ジオキソランなどの有機溶媒に紫外線吸収剤
を溶解してから添加しても、直接ドープ組成中に添加し
てもよい。無機粉体のように有機溶剤に溶解しないもの
は、有機溶剤とセルロースエステルの混合物中にディゾ
ルバーやサンドミルでこれを分散し、この分散液をドー
プに添加する。紫外線吸収剤の使用量は、セルロースエ
ステルに対し0.5〜20質量%であってよく、好まし
くは0.6〜5.0質量%、より好ましくは0.6〜
2.0質量%である。
【0025】セルロースエステルフィルム中には、滑り
性ないしは耐ブロッキング性や耐傷性の改善のためにマ
ット剤その他の微粒子が含まれる。このような微粒子の
具体例としては、例えば、二酸化ケイ素、二酸化チタ
ン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシ
ウム、カオリン、タルク、焼成ケイ酸カルシウム、水和
ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネ
シウム、リン酸カルシウム等の無機微粒子や架橋高分子
微粒子が挙げられる。なかでも二酸化ケイ素はフィルム
のヘイズを小さくできるので好ましい。微粒子の2次粒
子の平均粒径は好ましくは0.01〜1.0μmで、そ
の含有量はセルロースエステルに対して好ましくは0.
005〜0.3質量%である。二酸化ケイ素のような微
粒子は有機物により表面処理されている場合が多いが、
このようなものはフィルムのヘイズを低下できるため好
ましい。表面処理用の有機物としては、ハロシラン類、
アルコキシシラン類、シラザン、シロキサンなどが挙げ
られる。微粒子の平均粒径は、大きい方がマット効果は
大きく、反対に平均粒径の小さい方は透明性に優れる。
微粒子の一次粒子の平均粒径は好ましくは5〜50n
m、より好ましくは7〜14nmである。微粒子は、セ
ルロースエステルフィルム中で通常凝集体として存在
し、セルロースエステルフィルム表面に好ましくは0.
01〜1.0μmの凹凸を生成させる。市販の二酸化ケ
イ素の微粒子の例は、アエロジル(株)製のAEROS
IL 200、200V、300、R972、R972
V、R974、R202、R812,OX50、TT6
00等であり、とくにAEROSIL200V、R97
2、R972V、R974、R202、R812が好ま
しい。マット剤は2種以上併用してもよい。
【0026】セルロースエステルフィルム中には、フタ
ル酸エステル、リン酸エステルなどの可塑剤が含まれ
る。リン酸エステル系可塑剤としては、トリフェニルホ
スフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルジフ
ェニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェー
ト、ジフェニルビフェニルホスフェート、トリオクチル
ホスフェート、トリブチルホスフェート等、フタル酸エ
ステル系としては、ジエチルフタレート、ジメトキシエ
チルフタレート、ジメチルフタレート、ジオクチルフタ
レート、ジブチルフタレート、ジ−2−エチルヘキシル
フタレート等、グリコール酸エステル系としては、トリ
アセチン、トリブチリン、ブチルフタリルブチルグリコ
レート、エチルフタリルエチルグリコレート、メチルフ
タリルエチルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリ
コレート等が挙げられる。フタル酸エステル系やグリコ
ール酸エステル系の可塑剤がとくに好ましい。2種類以
上の可塑剤を併用してもよい。リン酸エステル系の可塑
剤の使用比率は好ましくは50質量%以下であり、この
範囲ではセルロースエステルフィルムは加水分解を引き
起こしにくくかつ耐久性に優れる。可塑剤のセルロース
エステルに対する添加量は好ましくは0.5〜30質量
%、より好ましくは2〜15質量%である。
【0027】つぎに上記原料を含むドープの調製方法に
ついて述べる。セルロースエステルに対する良溶媒を主
とする有機溶媒に溶解釜中でフレーク状のセルロースエ
ステルを攪拌しながら溶解してドープを形成する。溶解
方法としては、常圧で行う方法、主溶媒の沸点以下の加
熱下で行う方法、主溶媒の沸点以上で加熱加圧して行う
方法、特開平9−95544号、特開平9−95557
号および特開平9−95538号の各公報に開示されて
いるような冷却溶解法で行う方法、特開平11−213
79号公報開示されているような高圧で行う方法等があ
る。溶解後ドープを濾材で濾過し、脱泡してポンプで次
工程に送る。ドープ中のセルロースエステルの濃度は好
ましくは10〜40質量%、より好ましくは15〜30
質量%である。上述した添加剤のうち有機ポリマーをド
ープ中に含ませるには、予め有機溶媒に該ポリマーを溶
解してから添加してもよいし、ドープに直接添加しても
よい。この場合、ポリマーがドープ中で白濁したり、相
分離したりしないようにする。
【0028】ドープの調製に使用する有機溶媒として
は、セルロースエステルの良溶剤と貧溶剤の混合物が生
産効率の点で好ましい。良溶剤と貧溶剤の混合比率の好
ましい範囲は良溶剤70〜98質量%、貧溶剤2〜30
質量%である。良溶剤とは、使用するセルロースエステ
ルを単独で溶解するものをいい、貧溶剤とは、単独では
溶解しないものをいう。セルロースエステルに対する良
溶媒としては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸アミル、
ギ酸エチル、アセトン、シクロヘキサノン、アセト酢酸
メチル、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、
4−メチル−1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサ
ン、2,2,2−トリフルオロエタノール、2,2,
3,3−ヘキサフルオロ−1−プロパノール、1,3−
ジフルオロ−2−プロパノール、1,1,1,3,3,
3−ヘキサフルオロ−2−メチル−2−プロパノール、
1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパ
ノール、2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−1−プ
ロパノール、ニトロエタン、2−ピロリドン、N−メチ
ル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾ
リジノン、塩化メチレン、ブロモプロパン等が挙げられ
る。なかでも酢酸メチル、アセトンまたは塩化メチレン
が好ましいが、最近の環境問題から非塩素系の有機溶媒
の方が好ましい。また、上記有機溶媒に、メタノール、
エタノール、ブタノール等の低級アルコールを併用する
と、セルロースエステルの有機溶媒への溶解性が向上し
たり、ドープ粘度が低減できるので好ましく、なかでも
沸点が低く、毒性の少ないエタノールがとくに好まし
い。貧溶剤としては、メタノール、エタノール、n−ブ
タノール、シクロヘキサン、アセトン、シクロヘキサノ
ン等が挙げられる。
【0029】つぎに、ドープを支持体上に共流延して少
なくとも2層からなるウェブを形成し積層フィルムを得
る溶液流延製膜法について、説明をする。
【0030】本発明で適用される共流延は、ドープを異
なったダイに通して2層または3層構成にする逐次多層
流延方法、2つまたは3つのスリットを有するダイ内で
ドープを合流させ2層または3層構成にする同時多層流
延方法、逐次多層流延と同時多層流延を組み合わせた多
層流延方法のいずれであってもよい。
【0031】例えば、2層以上のセルロースエステル積
層フィルムの製造においては、セルロースエステルを溶
剤に溶解したドープと微粒子および少量のセルロースエ
ステルを含む溶液とをインラインミキサーで混合、分散
して作製したドープAと、セルロースエステルが溶解し
ているドープB(必要に応じて、別途、インラインで添
加された紫外線吸収剤等を含む)とを、複数のスリット
を有するダイスリットを用いて、ドープBがベルト状の
支持体上に流延されるようにして、共流延(キャスト工
程)し、次いで、ウェブを加熱して溶剤の一部を除去
(支持体上の乾燥工程)した後、ベルト状の支持体から
剥離し、剥離したフィルムをフィルム乾燥工程にて乾燥
することにより、セルロースエステル積層フィルムが得
られる。
【0032】エンドレス支持体上での乾燥工程では、ウ
ェブをエンドレス支持体上で加熱し、溶媒を蒸発させ
る。溶媒を蒸発させるには、ウェブ側およびエンドレス
支持体の裏側から温風を送る方法、エンドレス支持体の
裏側から加熱液体により加熱する方法、輻射熱によりウ
ェブ側からとエンドレス支持体の裏側から加熱する方
法、これらを組み合わせる方法等がある。
【0033】剥離工程では、エンドレス支持体上で有機
溶媒を蒸発させ、エンドレス支持体が一周する前に、剥
離を助ける剥離ロールでウェブを剥離する。この工程の
後、ウェブは乾燥工程に送られる。エンドレス支持体か
らウェブを剥離する剥離点でのウェブの残留溶媒量(下
記式)があまり大き過ぎると剥離し難かったり、逆にエ
ンドレス支持体上で充分に乾燥させてから剥離すると、
途中でウェブの一部が剥がれたりすることがあるので、
残留溶媒量10〜150質量%でウェブを剥離する。残
留溶媒量が多い時点で剥離する場合、ウェブが柔らか過
ぎると剥離時平面性を損なったり、剥離張力による縦す
じが発生し易いので、経済速度と品質との兼ね合いで残
留溶媒量が決められる。
【0034】本発明で用いる残留溶媒量は、下記の式で
表せる。
【0035】 残留溶媒量(質量%)={(M−N)/N}×100 ここで、Mはウェブの任意時点での質量、NはMのもの
を110℃で3時間乾燥させたときの質量である。
【0036】本発明の方法により得られたセルロースエ
ステル積層フィルムは、光学等方性に優れて汚れもない
ので、液晶表示装置の部材、例えば、偏光板用保護フィ
ルム、位相差板、反射板、光学補償フィルム、視野角向
上フィルム、防眩フィルム、無反射フィルムおよび帯電
防止フィルムに使用せられる。なかでも偏光板用保護フ
ィルムに適している。
【0037】偏光板は、従来公知の方法により製造する
ことができる。一例を挙げると、セルロースエステルフ
ィルムを40℃の2.5mol/lの水酸化ナトリウム
水溶液で60秒間表面鹸化処理し、3分間水洗して乾燥
させて表面鹸化した偏光板用保護フィルムを得る。別に
120μmの厚さのポリビニルアルコールをヨウ素1質
量部、ホウ酸4質量部を含む水溶液100質量部に浸漬
し、50℃で4倍に縦方向に延伸して偏光膜を得る。こ
の偏光膜の片面または両面に上記表面鹸化処理したセル
ロースエステルフィルムを完全鹸化型のポリビニルアル
コール5質量%水溶液よりなる粘着剤により貼り合わせ
て偏光板となすのである。
【0038】本発明のセルロースエステル積層フィルム
の製造方法を図1および図2で示される工程図を参照し
ながら、説明する。
【0039】図1は、本発明のセルロースエステル積層
フィルムの製造装置の一例を示す工程図であり、図2
は、図1のスリットダイ(6) の断面図を示す。
【0040】セルロースエステルをベースとする第1ド
ープを第1ドープ槽(16) に、第2ドープを第2ドープ
槽(1) に、第1添加剤槽(15)および第2添加剤槽(17)に
第1添加剤および第2添加剤をそれぞれ投入する。
【0041】第1ドープ槽(16)の第1ドープはポンプ(4
b)により、第1添加剤槽(15)の第1添加剤は送液ポンプ
(4a)によりそれぞれインラインミキサー(5a)へ送られて
互いに混合され、この混合物はスリットダイ(6) の第3
スリット(13)に送られる。第2ドープ槽(1) の第2ドー
プは送液ポンプ(4c)により、第2添加剤槽(17)の第2添
加剤は送液ポンプ(4d)によりそれぞれインラインミキサ
ー(5b)へ送られて互いに混合され、この混合物はスリッ
トダイ(6) の第1および2スリット(14)(12)に送られ
る。
【0042】スリットダイ(6) から出る3層の積層ドー
プにおいて、外側の第3槽は第1ドープと第1添加剤含
有液の混合物で構成され、支持体側の第1層および中央
の第2層は第2ドープと第2添加剤含有液の混合物で構
成される。これら3層を流延口(11)から共流延し、ドラ
ム(7) により連続的に移動するベルト状の支持体(8)上
に乗せ移動する。流延された3層からなるウェブは、支
持体上を移動中に加熱されて、溶剤の一部が除去(支持
体上の乾燥工程)された後、剥離ローラ(9) によりベル
ト状の支持体から剥がされ、剥離フィルム(10)はフィル
ム乾燥工程にて乾燥され、セルロースエステル積層フィ
ルムが得られる。
【0043】第1添加剤および第2添加剤としては、紫
外線吸収剤、微粒子および可塑剤から本発明に適合する
ものが少なくとも1つ(同じものでもよい)選ばれ、本
発明に適合する含有量で使用される。
【0044】
【発明の実施の形態】つぎに、本発明の実施例を図面に
基づいて説明する。実施例1〜はそれぞれ請求項1〜4
に、実施例5は請求項12に、実施例6は請求項5に、
実施例7、8は請求項7、8に、実施例9は請求項9、
10にそれぞれ相当する。
【0045】下記の成分; アセチル置換度2.88のセルローストリアセテート (数平均分子量150,000) 100質量部 可塑剤 トリフェニルホスフェート 10質量部 溶媒 メチレンクロライド 521質量部 エタノール 45質量部 を密閉容器に投入し、撹拌しながら溶媒にセルロースト
リアセテート(以下TACと略記する)と可塑剤を溶解
させてドープAを調製した。上記成分の割合を変え、同
様にしてドープB〜Eを調製した。これらをまとめて表
1に示す。
【0046】
【表1】
【0047】表1中、TACはセルローストリアセテー
ト、MCはメチレンクロライド、ETはエタノールを意
味する。
【0048】表2に示す紫外線吸収剤(UV剤)含有液
と微粒子含有液を調製した。
【0049】
【表2】
【0050】表2中、TACはセルローストリアセテー
ト、UV剤は紫外線吸収剤としてのチヌビン326、微
粒子はアエロシジル(株)製の二酸化ケイ素「AERO
SIL 200V」、MCはメチレンクロライドを意味
する。
【0051】実施例1 図1に示す給液ラインを備えたセルロースエステル積層
フィルムの製造装置において、ドープ槽(1) にドープC
を、ドープ槽(16)にドープBをそれぞれ投入した。ドー
プCは、送液ポンプ(4c)によりインラインミキサー(5b)
を経てスリットダイ(6) の第1および2スリット(14)(1
2)に送り、ドープBは、ポンプ(4b)によってインライン
ミキサー(5a)を経てスリットダイ(6) の第3スリット(1
3)に送った(図2参照)。
【0052】スリットダイ(6) から出る3層の積層ドー
プにおいて、支持体側の第1層および中央の第2層はド
ープCで構成され、外側の第3槽はドープBで構成され
た。これら3層を流延口(11)から共流延し、ドラム(7)
により連続的に移動するベルト状の支持体(8) 上に乗せ
移動した。流延された3層からなるウェブは、支持体上
を移動中に加熱されて、溶剤の一部が除去(支持体上の
乾燥工程)された後、剥離ローラ(9) によりベルト状の
支持体から剥がされ、剥離フィルム(10)はフィルム乾燥
工程にて乾燥され、セルロースエステル積層フィルムが
得られた。得られた積層フィルムの第1層、第2層およ
び第3槽の厚みはそれぞれ10μm、15μmおよび1
5μmであった。
【0053】この実施例では、支持体上の未乾燥状態の
ウェブの厚み中央より支持体側の部分でのセルロースエ
ステルと可塑剤の総含有量の平均は、同ウェブの厚み中
央より外側の部分での上記総含有量の平均よりも1.6
質量%高く、平均総含有量は19.6質量%、得られた
積層フィルムの全厚と高総含有量層の厚比は1:0.6
3であった。
【0054】実施例2 ドープ槽(1) にドープDを、ドープ槽(16)にドープAを
それぞれ投入した点を除いて、実施例1と同じ操作を繰
り返した。
【0055】この実施例では、未乾燥状態のウェブの厚
み中央より支持体側の部分でのセルロースエステルと可
塑剤の総含有量の平均は、ウェブの厚み中央より外側の
部分での上記総含有量の平均よりも4.2質量%高く、
平均総含有量は19.6質量%、得られた積層フィルム
の全厚と高総含有量層の厚比は1:0.63であった。
【0056】実施例3 ドープ槽(1) にドープEを、ドープ槽(16)にドープBを
それぞれ投入した点を除いて、実施例1と同じ操作を繰
り返した。
【0057】この実施例では、未乾燥状態のウェブの厚
み中央より支持体側の部分でのセルロースエステルと可
塑剤の総含有量の平均は、ウェブの厚み中央より外側の
部分での上記総含有量の平均よりも3.7質量%高く、
平均総含有量は21.0質量%、得られた積層フィルム
の全厚と高総含有量層の厚比は1:0.63であった。
【0058】実施例4 得られた積層フィルムの第1層、第2層および第3槽の
厚みをそれぞれ10μm、20μmおよび10μmとし
た点を除いて、実施例3と同じ操作を繰り返した。
【0059】この実施例では、未乾燥状態のウェブの厚
み中央より支持体側の部分でのセルロースエステルと可
塑剤の総含有量の平均は、ウェブの厚み中央より外側の
部分での上記総含有量の平均よりも2.7質量%高く、
平均総含有量は21.7質量%、得られた積層フィルム
の全厚と高総含有量層の厚比は1:0.75であった。
【0060】実施例5 ドープ槽(1) にドープC´を、ドープ槽(16)にドープB
´をそれぞれ投入した点を除いて、実施例1と同じ操作
を繰り返した。
【0061】この実施例では、未乾燥状態のウェブの厚
み中央より支持体側の部分での可塑剤の総含有量の平均
は、ウェブの厚み中央より外側の部分での上記含有量の
平均よりも4.2質量%高かった。
【0062】実施例6 第3槽すなわち最外層の流延巾を他の2層より20mm
広くした点を除いて、実施例1と同じ操作を繰り返し
た。
【0063】実施例7 図1に示す給液ラインを備えたセルロースエステル積層
フィルムの製造装置において、ドープ槽(1) にドープC
を、ドープ槽(16)にドープBを、UV槽(15)およびUV
槽(17)に紫外線吸収剤含有液(I) をそれぞれ投入した。
【0064】ドープ槽(1) のドープCは送液ポンプ(4c)
により、UV槽(17)の紫外線吸収剤含有液(I) は送液ポ
ンプ(4d)によりそれぞれインラインミキサー(5b)へ送ら
れて互いに混合され、この混合物はスリットダイ(6) の
第1および2スリット(14)(12)に送られた。ドープ槽(1
6)のドープBはポンプ(4b)により、UV槽(15)の紫外線
吸収剤含有液(I) は送液ポンプ(4a)によりそれぞれイン
ラインミキサー(5a)へ送られて互いに混合され、この混
合物はスリットダイ(6) の第3スリット(13)に送られ
た。
【0065】スリットダイ(6) から出る3層の積層ドー
プにおいて、支持体側の第1層および中央の第2層はド
ープCと紫外線吸収剤含有液(I) の混合物で構成され、
紫外線吸収剤比はそれぞれ0.15、0.08であり、
外側の第3槽はドープBと紫外線吸収剤含有液(I) の混
合物で構成され、紫外線吸収剤比は0.08であった。
これら3層を流延口(11)から共流延し、ドラム(7) によ
り連続的に移動するベルト状の支持体(8) 上に乗せ移動
した。流延された3層からなるウェブは、支持体上を移
動中に加熱されて、溶剤の一部が除去(支持体上の乾燥
工程)された後、剥離ローラ(9) によりベルト状の支持
体から剥がされ、剥離フィルム(10)はフィルム乾燥工程
にて乾燥され、セルロースエステル積層フィルムが得ら
れた。得られた積層フィルムの第1層、第2層および第
3槽の厚みはそれぞれ10μm、15μmおよび15μ
mであった。
【0066】この実施例では、未乾燥状態のウェブの厚
み中央より支持体側の部分での紫外線吸収剤の含有量の
平均は、ウェブの厚み中央より外側の部分での紫外線吸
収剤の含有量の平均よりも高い。
【0067】実施例8 支持体側の第1層および中央の第2層における紫外線吸
収剤比をそれぞれ0.13、0.13とし、外側の第3
槽における紫外線吸収剤比を0.05とした点を除い
て、実施例7と同じ操作を繰り返した。すなわち、この
実施例では、最外層における紫外線吸収剤の含有量が、
その他の層における紫外線吸収剤の含有量よりも低くな
された。
【0068】実施例9 第1層をドープCと微粒子含有液(II)の混合物から構成
し、第2層をドープCから構成し、第3層をドープBと
微粒子含有液(II)の混合物から構成し、得られた積層フ
ィルムの第1層、第2層および第3槽の厚みをそれぞれ
10μm、15μmおよび15μmとし、第1層および
第3槽の微粒子比をいずれも0.1とした点を除いて、
実施例1と同じ操作を繰り返した。すなわち、この実施
例では、最外層における微粒子の含有量が、その他の層
における微粒子の含有量よりも高くなされた。
【0069】比較例1 第1層をドープBから構成し、第2層をドープEから構
成し、第3層をドープBから構成し、得られた積層フィ
ルムの第1層、第2層および第3槽の厚みはそれぞれ5
μm、30μmおよび5μmとした点を除いて、実施例
1と同じ操作を繰り返した。
【0070】この比較例では、未乾燥状態のウェブの厚
み中央より支持体側の部分と外側の部分とでセルロース
エステルと可塑剤の総含有量の平均は同じである。得ら
れた積層フィルムの全厚と高総含有量層の厚比は1:
0.75であった。
【0071】比較例2 第1、第2および第3層における紫外線吸収剤比をいず
れも0.1とした点を除いて、実施例7と同じ操作を繰
り返した。
【0072】比較例3 ドープ槽(1) およびドープ槽(16)にいずれもドープCを
投入した点を除いて、実施例9と同じ操作を繰り返し
た。
【0073】実施例および比較例で得られたセルロース
エステル積層フィルムの槽構成を表3にまとめて示す。
【0074】
【表3】
【0075】表3中、添加剤含有液とは表2に示すUV
剤含有液(I)および微粒子含有液(II)を意味し、添
加剤比とはドープに対するUV剤または微粒子の質量比
を意味する。乾燥フィルム厚は乾燥工程を経た後で得ら
れた積層フィルムにおける各層の厚みである。
【0076】評価試験 実施例および比較例で得られたセルロースエステル積層
フィルムを下記の項目について性能評価した。
【0077】a)カール:製膜直後のフィルムから30
mm×2mmのサンプルを切り出し、サンプルの曲率を
計測した。
【0078】得られたカール値は次の通りであった。
【0079】
【表4】
【0080】b)乾燥ドープ塊の生成:長時間のドープ
流延の間にキャストダイリップに乾燥ドープの塊が生じ
るまでの時間を測定した。
【0081】実施例6では、製膜操作を24時間以上続
けても乾燥ドープの塊の生成は認められなかった。各層
の流延幅が等しい実施例1の場合に比べ、乾燥ドープ塊
の生成がさらに抑えられた。
【0082】c)押され:24時間連続製膜後に1m×
1mの正方形のフィルムサンプルを観察し、汚れの大き
さおよび数を求めた。
【0083】実施例7のフィルムでは、10μm以下の
汚れ、10〜20μmの汚れがそれぞれ1〜3個観察さ
れた。実施例8のフィルムでは、10μm以下の汚れが
1〜3個観察され、10〜20μmの汚れは観察されな
かった。比較例2のフィルムでは、10μm以下の汚
れ、および10〜20μmの汚れが合計5〜15個観察
された。
【0084】d)マット効果:動摩擦係数の測定および
ヘイズ(濁度)値の測定によりフィルムのマット性を評
価した。
【0085】フィルム表面と裏面の間の動摩擦係数は、
JIS−K−7125(1987)に準じ、つぎのよう
にして求めた。フィルムの表裏面が接触するようにサン
プルを切り出し、これに200gのおもりを載せ、サン
プル移動速度100mm/分、接触面積80mm×20
0mmの条件で重りを水平引っ張り、重りが移動中の平
均荷重(F)を測定し、下記式より動摩擦係数(μ)を
求めた。
【0086】 動摩擦係数=F(gf)/おもりの重さ(gf)
【0087】ヘイズ(濁度)値の測定は、フィルムのサ
ンプルを4枚重ね合わせて、ASTM−D1003−5
2に従って行った。
【0088】得られた結果は次の通りである。
【0089】
【表5】
【0090】
【発明の効果】本発明では、支持体上の未乾燥状態のウ
ェブの厚み中央より支持体側の部分でのセルロースエス
テルと紫外線吸収剤と微粒子と可塑剤の総含有量の平均
を、同ウェブの厚み中央より外側の部分での上記総含有
量の平均よりも高くするので、支持体上でウェブの乾燥
効率が上がり、ウェブがカールを生じにくくなり、レタ
ーデーション等の光学物性の劣化も抑制される。
【0091】また、本発明では、流延中にキャストダイ
リップに乾燥ドープの塊が生じにくく、これに起因する
「押され」故障やウェブ側部の破断が減少する。さらに
最外層の流延巾を大きくすることでキャストダイリップ
における乾燥ドープ塊の発生を一層少なくすることがで
きる。
【0092】本発明では、ウェブの厚み中央より支持体
側の部分での紫外線吸収剤の含有量の平均を、その他の
部分より高くすることにより、紫外線吸収剤のブリード
アウト減少し、「押され」故障を防ぐことができる。
【0093】本発明では、ウェブの厚み中央より支持体
側の部分での可塑剤の含有量の平均を、その他の部分よ
り高くすることにより、可塑剤の膜厚方向の分布を小さ
くすることができる。その結果、高湿でのカールが起こ
りにくくなり、表面加工性も改善される。
【0094】本発明では、ウェブの厚み中央より支持体
側の部分での微粒子の含有量の平均を、その他の部分よ
り高くすることにより、微粒子の添加効果を高めること
ができる。これは、乾燥収縮が大きい層で乾燥後のフィ
ルム表面に出現する微粒子の数、実効大きさが大きいた
めである。その結果、微粒子の添加量を減らすことがで
き、フィルムのクリア性を表す濁度の悪化を防止するこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のセルロースエステル積層フィルムの製
造装置の一例を示す工程図である。
【図2】本発明の製造方法で用いられるスリットダイの
断面図である。
【符号の説明】
(1) ,(16):ドープ槽 (1a):ドープ (2) :微粒子添加液槽 (2a):微粒子添加液 (3) ,(15),(17):UV槽 (3a):紫外線吸収剤添加液 (4a),(4b),(4c),(4d):ポンプ (5a),(5b):インラインミキサー (6) :スリットダイ (7) :ドラム (8) :ベルト状の支持体 (9) :剥離ローラ (10):剥離フィルム (11):流延口 (12):第2スリット (13):第3スリット (14):第1スリット

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ドープを支持体上に共流延して少なくと
    も2層からなるウェブを形成し積層フィルムを得る溶液
    流延製膜法において、支持体上の未乾燥状態のウェブの
    厚み中央より支持体側の部分でのセルロースエステルと
    紫外線吸収剤と微粒子と可塑剤の総含有量の平均を、同
    ウェブの厚み中央より外側の部分での上記総含有量の平
    均よりも高くすることを特徴とするセルロースエステル
    積層フィルムの製造方法。
  2. 【請求項2】 支持体上の未乾燥状態のウェブの厚み中
    央より支持体側の部分でのセルロースエステルと紫外線
    吸収剤と微粒子と可塑剤の総含有量の平均を、ウェブの
    厚み中央より外側の部分での上記総含有量の平均よりも
    2〜10質量%高くする請求項1記載のセルロースエス
    テル積層フィルムの製造方法。
  3. 【請求項3】 ドープ全体中の上記総含有量の平均が2
    0〜40質量%である請求項1または2記載のセルロー
    スエステル積層フィルムの製造方法。
  4. 【請求項4】 乾燥後に得られた積層フィルムにおいて
    上記総含有量の高い層の厚みのウェブ全厚に対する比を
    3/4〜19/20とする請求項1〜3のいずれかに記
    載のセルロースエステル積層フィルムの製造方法。
  5. 【請求項5】 上記総含有量の高い層の流延巾を上記総
    含有量の低い層の流延巾よりも狭くする請求項1〜4の
    いずれかに記載のセルロースエステル積層フィルムの製
    造方法。
  6. 【請求項6】 乾燥後に得られた積層フィルムの全厚が
    20〜60μmである請求項1〜5のいずれかに記載の
    セルロースエステル積層フィルムの製造方法。
  7. 【請求項7】 支持体上の未乾燥状態のウェブの厚み中
    央より支持体側の部分での紫外線吸収剤の含有量の平均
    を、同ウェブの厚み中央より外側の部分での紫外線吸収
    剤の含有量の平均よりも高くする請求項1記載のセルロ
    ースエステル積層フィルムの製造方法。
  8. 【請求項8】 ウェブを構成する複数の層のうち最外層
    における紫外線吸収剤の含有量を、その他の層における
    紫外線吸収剤の含有量よりも低くすることを特徴とする
    請求項1記載のセルロースエステル積層フィルムの製造
    方法。
  9. 【請求項9】 支持体上の未乾燥状態のウェブの厚み中
    央より支持体側の部分での微粒子の含有量の平均を、同
    ウェブの厚み中央より外側の部分での微粒子の含有量の
    平均よりも低くする請求項1記載のセルロースエステル
    積層フィルムの製造方法。
  10. 【請求項10】 ウェブを構成する複数の層のうち最外
    層における微粒子の含有量を、その他の層における微粒
    子の含有量よりも高くすることを特徴とする請求項1記
    載のセルロースエステル積層フィルムの製造方法。
  11. 【請求項11】 ウェブを構成する複数の層のうち最も
    支持体側の層における微粒子の含有量を、最外層を除く
    その他の層における微粒子の含有量よりも高くすること
    を特徴とする請求項1記載のセルロースエステル積層フ
    ィルムの製造方法。
  12. 【請求項12】 支持体上の未乾燥状態のウェブの厚み
    中央より支持体側の部分での可塑剤の含有量の平均を、
    同ウェブの厚み中央より外側の部分での可塑剤の含有量
    の平均よりも低くする請求項1記載のセルロースエステ
    ル積層フィルムの製造方法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
TWI381929B (zh) * 2006-08-24 2013-01-11 Konica Minolta Opto Inc An optical film, a method for producing the same, and a polarizing plate using the same

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