JP2003001374A - 生分解性樹脂を用いたロストワックス鋳造原型 - Google Patents

生分解性樹脂を用いたロストワックス鋳造原型

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JP2003001374A
JP2003001374A JP2001180292A JP2001180292A JP2003001374A JP 2003001374 A JP2003001374 A JP 2003001374A JP 2001180292 A JP2001180292 A JP 2001180292A JP 2001180292 A JP2001180292 A JP 2001180292A JP 2003001374 A JP2003001374 A JP 2003001374A
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Munetetsu Shimizu
宗哲 清水
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Abstract

(57)【要約】 【課題】複雑な形状の鋳造品を精度良く形成することが
できるとともに、油煙やすすの影響のない良質な製品を
提供することができ、しかもコストの低減を可能とした
生分解性樹脂を用いたロストワックス鋳造原型を提供す
ることを目的とする。 【解決手段】所定の形状に成形された生分解性樹脂から
なることを特徴とする生分解性樹脂を用いたロストワッ
クス鋳造原型。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、生分解性樹脂を用
いたロストワックス鋳造原型に係り、複雑な形状の鋳造
品を容易かつ精度良く形成することができ、油煙やすす
が発生しないため、良質な鋳造品を得ることができる生
分解性樹脂を用いたロストワックス鋳造原型に関する。
【0002】
【従来の技術】鋳造品を成形するための鋳造にあたって
は、ワックス原型を用いたロストワックス鋳造法が一般
に採用されている。すなわち、種々のワックス(蝋)を
削ったり変形加工したりしてワックスモデルを作り、ワ
ックスモデルにスプルー(湯道)を付けた上、石膏等で
型取りして鋳造型を作成する。そして加熱してワックス
モデルを融解して除去し、その空洞部分に溶融金属を注
入するものである。この場合、ワックスとしてワックス
(蝋)が用いられているが、手作業で原型に加工してい
るため、非常に効率が悪いという問題があり、現在では
樹脂モデルが主流となっている。特に光硬化性樹脂を用
いた光造形法によってワックスモデルが作成されるよう
になってきている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】この光硬化性樹脂に光
造形法を適用して作成した樹脂モデルは、繰り返し同じ
製品を精度よく作成することができるという利点はある
ものの、加熱して融解除去する際に油煙やすすが発生し
て得た製品に悪影響を及ぼすという問題点があった。
【0004】しかも、光硬化性樹脂を用いた光造形のた
めの装置が非常に高価であり、光を照射して薄い層を順
次形成していかなければならないために光造形の工程に
多大な時間を要し、最終的な製品コストにも影響が出て
しまって高価になってしまうという問題点もあった。
【0005】この発明はこのような点を考慮してなされ
たものであり、複雑な形状の鋳造品を精度良く形成する
ことができるとともに、油煙やすすの影響のない良質な
製品を提供することができ、しかもコストの低減を可能
とした生分解性樹脂を用いたロストワックス鋳造原型を
提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】すなわちこの発明の生分
解性樹脂を用いたロストワックス鋳造原型は、所定の形
状に成形された生分解性樹脂からなることを特徴とする
ものである。
【0007】この発明の生分解性樹脂を用いたロストワ
ックス鋳造原型は、生分解性樹脂が、約100〜300
℃の融点を備えていることをも特徴とするものである。
【0008】この発明の生分解性樹脂を用いたロストワ
ックス鋳造原型は、生分解性樹脂が、成形時および鋳造
時の加熱温度で気泡を生じない性質を備えていることを
も特徴とするものである。
【0009】この発明の生分解性樹脂を用いたロストワ
ックス鋳造原型は、生分解性樹脂を構成する脂肪族ポリ
エステルが、ポリ(アルファ・ヒドロキシ酸)(PLL
A)−ポリ乳酸、ポリ(ベータ・ヒドロキシブチレー
ト)(PHB)、ポリ(オメガ・ヒドロキシアルカノエ
ート)(PCL)、ポリ(ブチレンサクシネート)(P
BS)を含むことをも特徴とするものである。
【0010】この発明の生分解性樹脂を用いたロストワ
ックス鋳造原型は、得ようとする鋳造原型が、貴金属装
身具のためのロストワックス鋳造原型であることをも特
徴とするものである。
【0011】本発明によれば、生分解性樹脂を用いるこ
とにより、複雑な形状の鋳造品を精度良く形成すること
ができるとともに、油煙やすすの影響のない良質な製品
を提供することができ、しかもコストの低減を可能とし
た生分解性樹脂を用いたロストワックス鋳造原型を提供
することができるようになった。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照してこの発明の
生分解性樹脂を用いたロストワックス鋳造原型の実施の
形態について説明する。以下図面はこの発明を装身具、
特に指輪に適用した場合について説明している。すなわ
ち、図1はこの発明の生分解性樹脂を用いたロストワッ
クス鋳造原型の1実施例を示す斜視図、図2はこの発明
の生分解性樹脂を用いたロストワックス鋳造原型の他の
実施例を示す斜視図、図3はロストワックス鋳造工程を
示すフローチャートである。
【0013】図1において、1はリング状の指輪本体、
2は指輪本体1上に形成される種々のモチーフを描いた
装飾部を示す。この指輪本体1および装飾部2はそれぞ
れ、生分解性樹脂を用いて所定の形状に成形されてい
る。
【0014】上記指輪本体1や装飾部2の形状や構造は
適宜決定することができるが、特に装飾部2のモチーフ
として、文字や図形、記号等を形成するときは、非常に
鮮明な造形を得ることができるので、従来例を見ない新
しい装身具としての用途を開拓することができる。
【0015】次に図2の実施例は、ペンダントトップや
ブローチ、あるいはネクタイ止め等の用途に用いること
ができる生分解性樹脂を用いたロストワックス鋳造原型
11を示す。いずれにしても、従来のプラスチック成形
の技術を用いて生分解性樹脂を所定の形状に成形するこ
とができ、しかもそれをロストワックスモデルとしてそ
のまま利用することができるのである。
【0016】この発明においては、上記生分解性樹脂
が、約100〜300℃の融点を備えていることが望ま
しい。約100℃以下の融点のものは、精度保持に難点
があり、また約300℃以上の融点のものは生分解性樹
脂の鋳造原型11のセラミックス鋳型からの溶出に手間
がかかるという問題がある。
【0017】もちろん、上記生分解性樹脂は、成形時お
よび鋳造時の加熱温度で気泡を生じない性質を備えてい
ることが必要である。すなわち、このような気泡は巣と
なって欠陥商品を作り出してしまうからである。このよ
うな性質は、生分解性樹脂の組成(分子量や樹脂変性等
による)、気泡除去作用のある成分の配合等によって付
与することができる。
【0018】この発明に適用可能な生分解性樹脂とは、
自然界において微生物が関与して環境に悪影響を与えな
い低分子化合物に分解されるプラスチックをいう。この
ような生分解性樹脂は、完全分解型のものと部分分解型
のものに分類することができる。完全分解型の生分解性
樹脂としては、でん粉と変性ポリビニルアコール、でん
粉とポリカプロラクトン、またはキトサンとセルロース
の複合体からなる天然高分子系の樹脂、微生物生ポリエ
ステルまたは微生物由来セルロースからなる発酵生産樹
脂、および脂肪属ポリエステルからなる化学合成樹脂が
挙げられる。また部分分解型のプラスチックとしては、
ポリエチレンにでん粉を混入した樹脂、およびポリカプ
ロラクトンと汎用樹脂のアロイが挙げられる。
【0019】上記のうち生分解性樹脂を構成する脂肪族
ポリエステルとしては、ポリ(アルファ・ヒドロキシ
酸)(PLLA)−ポリ乳酸、ポリ(ベータ・ヒドロキ
シブチレート)(PHB)、ポリ(オメガ・ヒドロキシ
アルカノエート)(PCL)、ポリ(ブチレンサクシネ
ート)(PBS)を含むことができる。もちろん、融点
の条件や成形時および鋳造時の加熱温度で気泡を生じな
い性質を備えていることが必要である。
【0020】上記生分解性樹脂を用いたロストワックス
鋳造原型の利用に際しては、図3のフローチャートのよ
うな工程を経て種々の金属あるいは貴金属の鋳造に使用
される。
【0021】以下図3のフローチャートに基いて説明す
る。 1.鋳造原型に適した配合の生分解性樹脂の調製 樹脂の組成は、必要な性質に適合するよう、すなわち鋳
造原型の強度の向上や表面状態の改良、巣の発生の防止
等の観点から、種々の生分解性樹脂を所定の比率で配合
したり、それらの目的に合致した成分や充填剤を配合す
ることによって行なわれる。 2.生分解性樹脂による原型の成形 成形方法は問わないが、必要とする強度や精度について
は充分吟味する必要がある。なお、写真製版の技術を応
用して所定の原型に成形することも可能である。 3.樹脂原型を基にセラミック鋳型の制作 ゲル化したセラミックを入れた容器に樹脂原型を押し込
んだりすることによって、樹脂原型を基にセラミック鋳
型を制作する。セラミック鋳型の素材としては石膏が代
表的なものであるが、素材は石膏のみに限られるもので
はない。 4.樹脂原型をセラミック鋳型より溶出 樹脂原型を埋め込んだセラミック鋳型を加熱して樹脂原
型を溶出する。加熱温度は用いる生分解性樹脂の性質に
応じて適宜決定することができる。 5.セラミック鋳型を焼成(強度の発現) セラミック鋳型を素焼き程度の温度に加熱して焼成す
る。 6.セラミック鋳型を鋳型加熱用炉内にて予熱 セラミック鋳型を予熱する。この予熱は、注湯時の溶湯
とのなじみをよくするために必要である。 7.セラミック鋳型に溶湯を注湯 予熱したセラミック鋳型に金属あるいは貴金属の溶湯を
注湯する。 8.型ばらしして製品取出し(完成) 最後にセラミック鋳型を分解して製品を取出す。
【0022】また、上記実施例は、鋳造方法の一つとし
ての装身具のロストワックス鋳造を行う場合について説
明したが、本発明の鋳造方法を通常の金属のロストワッ
クス鋳造法に適用することができる。また、鋳造品は金
や銀、プラチナ等の貴金属を用いたり、また金属の場合
はアルミニウムに限ることなく、鉛、亜鉛、マグネシウ
ム、マンガン、あるいはこれらの合金についても適宜用
いることができる。
【0023】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
生分解性樹脂を用いることにより、複雑な形状の鋳造品
を精度良く形成することができるとともに、油煙やすす
の影響のない良質な製品を提供することができ、しかも
コストの低減を可能とした生分解性樹脂を用いたロスト
ワックス鋳造原型を提供することができるようになっ
た。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の生分解性樹脂を用いたロストワック
ス鋳造原型の1実施例を示す斜視図である。
【図2】この発明の生分解性樹脂を用いたロストワック
ス鋳造原型の他の実施例を示す斜視図である。
【図3】ロストワックス鋳造工程を示すフローチャート
である。
【符号の説明】
1 指輪本体 2 種々のモチーフを描いた装飾部 11 生分解性樹脂を用いたロストワックス鋳造原型

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】所定の形状に成形された生分解性樹脂から
    なることを特徴とする生分解性樹脂を用いたロストワッ
    クス鋳造原型。
  2. 【請求項2】生分解性樹脂が、約100〜300℃の融
    点を備えている請求項1に記載の生分解性樹脂を用いた
    ロストワックス鋳造原型。
  3. 【請求項3】生分解性樹脂が、成形時および鋳造時の加
    熱温度で気泡を生じない性質を備えている請求項1また
    は2に記載の生分解性樹脂を用いたロストワックス鋳造
    原型。
  4. 【請求項4】生分解性樹脂を構成する脂肪族ポリエステ
    ルが、ポリ(アルファ・ヒドロキシ酸)(PLLA)−
    ポリ乳酸、ポリ(ベータ・ヒドロキシブチレート)(P
    HB)、ポリ(オメガ・ヒドロキシアルカノエート)
    (PCL)、ポリ(ブチレンサクシネート)(PBS)
    を含む請求項1ないし3のいずれかに記載の生分解性樹
    脂を用いたロストワックス鋳造原型。
  5. 【請求項5】得ようとする鋳造原型が、貴金属装身具の
    ためのロストワックス鋳造原型である請求項1ないし4
    のいずれかに記載の生分解性樹脂を用いたロストワック
    ス鋳造原型。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN104475681A (zh) * 2014-12-12 2015-04-01 贵州安吉航空精密铸造有限责任公司 一种大型复杂光敏树脂铸造模壳的快速脱蜡方法
CN105537511A (zh) * 2015-12-15 2016-05-04 铜陵铜官府文化创意股份公司 以树蜡为主体的铸造蜡及其制备方法
CN106001409A (zh) * 2016-07-01 2016-10-12 青岛西班港环保科技有限公司 一种快速逆向及3d打印大型熔模铸造方法

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