JP2002534353A - 高脂血症の遺伝子治療のための方法および化合物 - Google Patents

高脂血症の遺伝子治療のための方法および化合物

Info

Publication number
JP2002534353A
JP2002534353A JP2000531065A JP2000531065A JP2002534353A JP 2002534353 A JP2002534353 A JP 2002534353A JP 2000531065 A JP2000531065 A JP 2000531065A JP 2000531065 A JP2000531065 A JP 2000531065A JP 2002534353 A JP2002534353 A JP 2002534353A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
apo
gene
oligonucleobase
sequence
composition
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2000531065A
Other languages
English (en)
Inventor
スティーア,クリフォード,ジェイ.
クレン,ベスティ,ティー.
バンディオパッド−ヒャイ,パラミタ,ティー.
ロイ−チョードゥリー,ジャンタ
Original Assignee
リージェンツ オブ ザ ユニバーシティー オブ ミネソタ
アルバート アインシュタイン カレッジ オブ メディシン オブ イエシバ ユニバーシティ
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by リージェンツ オブ ザ ユニバーシティー オブ ミネソタ, アルバート アインシュタイン カレッジ オブ メディシン オブ イエシバ ユニバーシティ filed Critical リージェンツ オブ ザ ユニバーシティー オブ ミネソタ
Publication of JP2002534353A publication Critical patent/JP2002534353A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K48/00Medicinal preparations containing genetic material which is inserted into cells of the living body to treat genetic diseases; Gene therapy
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12QMEASURING OR TESTING PROCESSES INVOLVING ENZYMES, NUCLEIC ACIDS OR MICROORGANISMS; COMPOSITIONS OR TEST PAPERS THEREFOR; PROCESSES OF PREPARING SUCH COMPOSITIONS; CONDITION-RESPONSIVE CONTROL IN MICROBIOLOGICAL OR ENZYMOLOGICAL PROCESSES
    • C12Q1/00Measuring or testing processes involving enzymes, nucleic acids or microorganisms; Compositions therefor; Processes of preparing such compositions
    • C12Q1/68Measuring or testing processes involving enzymes, nucleic acids or microorganisms; Compositions therefor; Processes of preparing such compositions involving nucleic acids
    • C12Q1/6876Nucleic acid products used in the analysis of nucleic acids, e.g. primers or probes
    • C12Q1/6883Nucleic acid products used in the analysis of nucleic acids, e.g. primers or probes for diseases caused by alterations of genetic material
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K48/00Medicinal preparations containing genetic material which is inserted into cells of the living body to treat genetic diseases; Gene therapy
    • A61K48/0008Medicinal preparations containing genetic material which is inserted into cells of the living body to treat genetic diseases; Gene therapy characterised by an aspect of the 'non-active' part of the composition delivered, e.g. wherein such 'non-active' part is not delivered simultaneously with the 'active' part of the composition
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K48/00Medicinal preparations containing genetic material which is inserted into cells of the living body to treat genetic diseases; Gene therapy
    • A61K48/005Medicinal preparations containing genetic material which is inserted into cells of the living body to treat genetic diseases; Gene therapy characterised by an aspect of the 'active' part of the composition delivered, i.e. the nucleic acid delivered
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P3/00Drugs for disorders of the metabolism
    • A61P3/06Antihyperlipidemics

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Genetics & Genomics (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • Biotechnology (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Proteomics, Peptides & Aminoacids (AREA)
  • Veterinary Medicine (AREA)
  • Pharmacology & Pharmacy (AREA)
  • Public Health (AREA)
  • Animal Behavior & Ethology (AREA)
  • Epidemiology (AREA)
  • Zoology (AREA)
  • Wood Science & Technology (AREA)
  • Analytical Chemistry (AREA)
  • Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
  • General Engineering & Computer Science (AREA)
  • Pathology (AREA)
  • Microbiology (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • Immunology (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Biophysics (AREA)
  • Nuclear Medicine, Radiotherapy & Molecular Imaging (AREA)
  • Diabetes (AREA)
  • Hematology (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Obesity (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)
  • Pharmaceuticals Containing Other Organic And Inorganic Compounds (AREA)
  • Medicinal Preparation (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
  • Saccharide Compounds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 本発明は、3種類のアポリポタンパク質Apo A1、Apo BおよびApo Eをコードする遺伝子に特定の変異を導入することに関する。Apo A1の改変は、ジスルフィド架橋されたApo A1ホモ二量体およびApo A1/A2ヘテロ二量体が形成されるようにシステイン残基を導入するものである。Apo Bの改変は、トランケートされたApoBタンパク質を生成させる停止コドンまたはフレームシフト突然変異を導入するものである。Apo Eの改変は、防御的として同定されている特定の点突然変異を導入するものである。被験者の肝臓においてこれらの改変型タンパク質を産生させると、アテローム性動脈硬化を発症する被験者のリスクが減少する。ある実施形態においては、遺伝子の変異がキメラな混合RNA/DNA二本鎖オリゴヌクレオチドの使用により導入される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 本出願は、1998年2月12日に出願した出願第60/074,497号および1998年6月30日
に出願した出願第09/108,006号の優先権の利益を主張するものである。
【0002】1. 発明の分野 本発明は、アポリポタンパク質B(Apo B)、アポリポタンパク質E(Apo E)および
アポリポタンパク質A1(Apo A1)をコードする遺伝子に遺伝子改変を導入すること
による、病気を引き起こす遺伝子欠損の修正ならびに病気の予防のために組換え
原性(recombinagenic)オリゴヌクレオ塩基(oligonucleobases)を使用するための
方法および組成物に関する。
【0003】2. 発明の背景 2.1 培養細胞において遺伝子改変をもたらすためのキメラ突然変異ベクターの 使用 本明細書中に刊行物または特許出願を含めることは、該刊行物またはもしある
とすれば該出願の発明が、本発明より先に生じたものであること、または本発明
者ら以外の者の着想からもたらされたものであることを容認するものではない。
【0004】 公表された組換え原性オリゴヌクレオ塩基の例は、キメラ突然変異ベクター(C
MV)またはキメラプラストと呼ばれている。というのは、それらが2'-O-修飾型リ
ボヌクレオチドおよびデオキシリボヌクレオチドの両方を含んでいるからである
【0005】 相補的デオキシリボヌクレオチドおよびリボヌクレオチドを有し、バクテリオ
ファージM13mp19の断片に相同な配列を含むオリゴヌクレオチドが、Kmiec, E.B.
ら, 1994年11月, Mol. and Cell. Biol. 14, 7163-7172に記載されている。この
オリゴヌクレオチドは、リボヌクレオチドからなる単一の連続セグメントを有し
ている。Kmiecらは、このオリゴヌクレオチドが、トウモロコシ黒穂菌(Ustilago
maydis)由来のREC2相同性対合酵素(homologous pairing enzyme)に対する基質
であることを示した。
【0006】 1995年6月15日に国際公開された国際公開公報WO95/15972号およびその対応米
国特許第5,565,350号('350特許)には、真核細胞における遺伝子改変の導入のた
めの二本鎖CMVが記載されている。トウモロコシ黒穂菌遺伝子およびマウスras遺
伝子の具体例が報告されている。後者の具体例は、NIH 3T3細胞においてras遺伝
子をうまく突然変異させることにより軟寒天中で細胞のコロニーの増殖をもたら
す(「形質転換」)ために、ras遺伝子にトランスフォーミング突然変異を導入
するように設計されている。'350特許には、NIH 3T3の形質転換の最大比率が0.1
%未満であること、すなわちras二本鎖CMVに曝された細胞106個当たり形質転換体
が約100個未満であることが報告されている。トウモロコシ黒穂菌系においては
、形質転換体の比率は約600/106であった。ヒトbcl-2遺伝子に突然変異を誘導
するように設計されたキメラベクターが、Kmiec, E.B., 1996年2月, Seminars i
n Oncology 23, 188に記載されている。
【0007】 K-rasのコドン12の突然変異を修復するように設計された二本鎖CMVが、Kmiec,
E.B., 1995年12月, Advanced Drug Delivery Reviews 17, 333-40に記載されて
いる。二本鎖CMVがヒト膵臓腺癌から誘導された細胞系Capan2で試験されており
、LIPOFECTIN(商標名)を用いて二本鎖CMVをCapan2細胞に導入している。二本鎖C
MV導入の24時間後、細胞を採取してゲノムDNAを抽出し、K-rasのコドン12を含む
断片をPCRで増幅し、変換率を対立遺伝子特異的プローブを用いたハイブリダイ
ゼーションにより概算している。修復率は約18%であると報告されている。
【0008】 肝臓/骨/腎臓型アルカリホスファターゼをコードする遺伝子における突然変
異を修復するように設計された二本鎖CMVが、Yoon, K.ら, 1996年3月, Proc. Na
tl. Acad. Sci. 93, 2071に報告されている。アルカリホスファターゼ遺伝子を
、プラスミドによってCHO細胞に一時的に導入している。6時間後、二本鎖CMVを
導入している。プラスミドが二本鎖CMVの導入の24時間後に回収され、分析され
ている。この結果から、アルカリホスファターゼ遺伝子の約30〜38%が二本鎖CMV
によって修復されていることが示されている。
【0009】 E. B. Kmiec, A., Cole-StraussおよびK. YoonのWO97/41411およびその対応米
国特許第5,760,012号、ならびに論文Cole-Strauss, A.ら, 1996年9月, SCIENCE
273, 1386には、造血細胞の遺伝子病、例えば、鎌状赤血球症、サラセミアおよ
びゴーシェ病の治療に用いられる二本鎖CMVが開示されている。E.B. Kmiecの199
6年6月17日に出願された米国特許出願第08/664,487号には、特定の部位特異的突
然変異誘発に使用するための非天然ヌクレオチドを有する二本鎖CMVが記載され
ている。Kmiecおよびその同僚の特許出願およびいくつかの刊行物に記載された
二本鎖CMVは、DNA:DNAホモ二本鎖の中央のセグメントおよびRNA:DNAハイブリッ
ド二本鎖または2'-OMe-RNA:DNAハイブリッド二本鎖の隣接セグメントを含んでい
る。
【0010】 Kmiecおよびその同僚の研究は、CMVに曝された場合に有糸分裂活性のある細胞
、すなわち増殖細胞に関するものであった。Kmiecおよびその同僚は、CMVを予備
形成リポソームまたは脂質小胞と混合したCMV/リポソーム巨大分子キャリアー
複合体を用いている。そのような複合体においては、CMVはリポソームの表面に
付着していると考えられる。
【0011】 Krenら, 1997年6月, Hepatology 25, 1462-1468には、非複製性1次組織培養ラ
ット肝細胞において凝固IX因子遺伝子を突然変異させるためのCMVの使用の成功
が報告されている。Krenら, 1998年3月, Nature Medicine 4, 285には、同遺伝
子に遺伝子欠損を導入するためのCMVのin vivo使用が報告されている。
【0012】 2.2 in vivoおよびin vitroトランスフェクションのためのポリエチレンイミ
ン巨大分子キャリアーの使用 核酸を真核細胞にin vivoおよびin vitroで導入するために分枝鎖ポリエチレ
ンイミンがキャリアーとして用いられている(Boussif, O.ら, 1995, Proc. Natl
. Acad. Sci. 92, 7297; Abdallah, B.ら, 1996, Human Gene Therapy 7, 1947;
Boletta A.ら, 1997, 8, 1243-1251)。DNAを培養HepG2悪性肝細胞癌細胞系に導
入するためのガラクトシル化ポリエチレンイミンのin vitro使用が、Zantaら, 1
997年10月1日, Bioconjugate Chemistry 8, 839-844に報告されている。トラン
スフェリン受容体を用いて試験遺伝子を培養細胞に導入するための、タンパク質
リガンドであるトランスフェリンのポリエチレンイミンへの結合およびその使用
が、Kircheis, R.ら, 1997, Gene Therapy 4, 409-418に記載されている。分枝
鎖ポリエチレンイミンは、広範なpK’を有する第2級および第3級アミノ基を含み
、したがってこれらのポリエチレンイミンは、ポリリシンがほとんどまたは全く
バッファリング能を持たないpH、すなわち約8未満で、実質的なバッファリング
能を有する(Tang, M.K., & Szoka, F.C., 1997, Gene Therapy 4, 823-832)。核
酸を細胞に導入するためのキャリアーとしてのポリエチレンイミンなどの分枝鎖
ポリアルカニルイミン(polyalkanylimines)の使用がJ-P. BehrらのWO96/02655に
記載されている。
【0013】 遺伝子をトランスフェクトするための直線状ポリエチレンイミンのin vivoお
よびin vitroの使用の成功がFerrari,S.ら, 1997, Gene Therapy 4, 1100-1106
に報告されている。直線状ポリアルカニルイミンおよび核酸を含む組成物がS.St
einらの国際公開公報WO93/20090号に開示されている。
【0014】 2.3 in vivoトランスフェクションのためのリポソームキャリアーの使用 外来タンパク質をコードするDNAを細胞に導入するためのリポソームまたは脂
質小胞の使用が記載されている。封入DNA技術が知られているが、最も頻繁に用
いられている技術では、DNAを封入するというよりもむしろDNAを正に荷電したリ
ポソームの表面に付着させている。米国特許第4,235,871号および第4,394,448号
が関連している。この分野は、Smith, J.G.ら, 1993, Biochim. Biophy. Acta 1
154, 327-340およびStaubinger, R.M.ら, 1987, Methods in Enzymology 185, 5
12に概説されている。in vivoで肝細胞をトランスフェクトするためのリポソー
ム中のカチオン性脂質DOTAPの使用がFabrega, A.J.ら, 1996, Transplantation
62, 1866-1871に記載されている。成体マウスの種々の細胞をトランスフェクト
するためのカチオン性脂質含有リポソームの使用がZhu, N.ら, 1993, Science 2
61, 209に記載されている。トランスフェクションのためにDNA封入リポソームを
形成するためのホスファチジルセリン含有脂質の使用がFraley, R.ら, 1981, Bi
ochemistry 20, 6978-87に記載されている。
【0015】 2.4 肝細胞特異的トランスフェクションのためのアシアロ糖プロテイン受容体 の使用 米国特許第5,166,320号および5,635,383号には、DNA、ポリカチオン性巨大分
子キャリアーおよびアシアロ糖プロテイン受容体に対するリガンドの複合体を形
成することによる肝細胞のトランスフェクションが開示されている。1つの実施
形態においては、巨大分子キャリアーはポリリシンである。in vivoで肝細胞を
トランスフェクトするためのラクトシルセレブロシド含有リポソームの使用がNa
ndi, P.K.ら, 1986, J. Biol. Chem. 261, 16722-16722に記載されている。肝細
胞をレポータープラスミドでトランスフェクトするためのアシアロフェチュイン
標識リポソームの使用がHaraら, 1995, Gene Therapy 2, 764-788に記載されて
いる。培養肝細胞をトランスフェクトするためのガラクトシル化ポリエチレンイ
ミンの使用がZanta M-A.ら, abst. pub. 1997年10月1日, Bioconjugate Chem.,
8, 839-844に記載されている。
【0016】 2.5 Apo B100、Apo B48および血清LDLの低下 肝臓および腸リポタンパク質分泌:肝臓および腸は両方とも脂質運搬のための
リポタンパク質を産生し、輸送する。リポタンパク質は、それぞれ超低密度リポ
タンパク質(VLDL)およびキロミクロンと呼ばれている。VLDLとキロミクロンは、
大きさとその主要なタンパク質成分が異なる。VLDLの主要タンパク質は4536個の
アミノ酸からなるApo B100であり、キロミクロンの主要タンパク質はApo B100の
N-末端の2152個のアミノ酸からなるApo B48である。Apo B48とApo B100は、単一
の遺伝子によりコードされており、その転写産物は、アポリポタンパク質B mRNA
エディティング酵素(APOBE)と呼ばれる配列特異的シチジンデアミナーゼによっ
てヌクレオチド6666(コドン2179)が改変される。この酵素の作用によりCがUに変
換され、停止コドンが生じる。
【0017】 Apo B100を含むVLDLおよびApo B48を含むキロミクロンは両方とも脈管系中ト
リグリセリドを送達部位に輸送する。しかしながら、トリグリセリドの加水分解
および送達の後、VLDLはLDLに変換されるが、キロミクロンは変換されない。高
レベルの循環LDLおよび高比率のLDL:HDLは、アテローム性動脈硬化のリスクを増
大させる。よって、Apo B48とApo B100の比を増大させると有利な効果が得られ
ることが示唆されている。
【0018】 哺乳動物の多くの種、例えばラットおよびマウスにおいて、肝臓と腸の両方に
ついての脂質分泌物の大部分がApo B48を含んでいる。そのような種はLDL:HDLの
比が著しく低い(Creve J.ら, 1995, Proc. Zool. Soc., Calcutta, 47, 93-100)
。ヒトおよびウサギのようなその他の動物においては、肝細胞がAPOBEを欠いて
おり、したがって肝細胞はVLDLのみを産生する。
【0019】 ヒトにおいてアテローム性動脈硬化を低下させるための戦略の一つは、アポリ
ポタンパク質Bエディティング酵素(APOBEC-1)の触媒部分についての遺伝子を構
成プロモーターの支配下に導入し、Apo B100転写産物をApo B48転写産物に変換
することである。正常かつ遺伝的に高脂血症のWatanabeウサギの肝細胞における
APOBEC-1の一過性発現は、LDLのレベルの一時的な低下をもたらす(Greeve, J.ら
, 1996, J. Lipid Res. 37, 2001-17)。しかしながら、APOBEC-1の制御されてな
い産生は突然変異誘発性であり、肝細胞増殖および肝細胞癌を引き起こし得る(Y
amanaka, S.ら, 1995, Proc. Natl. Acad. Sci. 92, 8483-8487)。
【0020】 トランケートされたApo B100をコードする遺伝子に対してホモ接合性であるか
、混合型へテロ接合体である個体が確認されている(Malloyら, 1981, J. Clin.
Invest. 67, 1441; Hardman, D.A.ら, 1991, J. Clin. Invest. 88, 1772)。こ
れらの個体は、低LDLであるか、LDLを持たない。例えば、ヌクレオチド5391〜53
94の欠失によりフレームシフト突然変異および短縮型Apo B(B37)が生じる。この
ような患者は、ほとんどの場合無症状である(Steinberg, D.ら, 1979, J. Clin.
Invest. 64, 292; Young, S.G.ら, 1988, Science 241, 591; Young, S.G., 19
87, J. Clin. Invest. 79, 1831。概説:Linton, M.F., 1993, J. Lipid. Res.
34, 521; Kane, J.P. & Havel, R.J., 1995, 第57章, THE METABOLIC BASIS OF
INHERITED DISEASE, Scriverら編(McGraw Hill, ニューヨーク))。同様に、3000
人に1人という多くの人々が血清コレステロールレベルが100mg/dl以下である。
というのは、その個人はトランケートされたApo B遺伝子に対してヘテロ接合性
であるからである(前掲p.1866)。
【0021】 Apo B31よりも短いApo Bが生じるトランケーションは広まっていない。トラン
ケートされたApo B86、87および90が確認されている。Apo B86およびApo B87は
、LDLと関連していないが、Apo B90は関連している。各突然変異は、低β-リポ
タンパク症と関連している(Linton, M.L.ら, 1990, Clin. Res. 38, 286A(abstr
.); Tennyson, G.E.ら, 1990, Clin. Res. 38, 482A(abstr.); Kruhl, E.S.ら,
1989, Arteriosclerosis 9, 856)。
【0022】 2.6 Apo E多型性およびIII型高脂血症 アポリポタンパク質Eは、Apo B48を含むリポタンパク質のLDL受容体に対する
主要なリガンドである。ヒトApo Eには互いに1個または2個のアミノ酸が異なる3
個の対立遺伝子形態、すなわちApo E2(Cys112Cys158)、Apo E3(Cys112Arg156)お
よびApo E4(Arg112Arg158)がある。対立遺伝子の出現率(prevalence)にはかなり
地理的な変動がある。アフリカを除いて、E2が4%〜12%、E3が70%〜85%、E4が7.5
%〜25%である。スーダンでは、出現率はそれぞれ8.1%、61.9%、29.1%である(Mah
ley, R.W.&Rall, S.C., Jr., 1995, 第61章, THE METABOLIC BASIS OF INHERITE
D DISEASE, Scriverら編(McGraw Hill, ニューヨーク))。したがって、北アメリ
カおよびヨーロッパの人口の約1%がApo E2/2ホモ接合性である。これらのホモ接
合性のうち、約2%〜10%がIII型高脂血症を示す。しかしながら、逆に、顕著なII
I型高脂血症を発症していないApo E2/2ホモ接合体は、平均LDL関連コレステロー
ルよりも低い(Davignon, J., 1988, Arteriosclerosis 8, 1)。
【0023】 E4対立遺伝子は、メジャーな病気、アルツハイマー病の発病率の増大および冠
状動脈疾患のリスクの増大にも関連している(Roses, A.D., 1996, Ann. NY Acad
. Sci. 802, 50-57; Okumoto, K., & Fujiki, Y., 1997, Nature Genetics 17,
263; Kuusi, T.ら, 1989, Arteriosclerosis 9, 237)。Apo E遺伝子転写開始部
位の5'からの領域491ntにおける多型性も、アルツハイマー病のリスクの増大に
独立して関連している。-491-A遺伝子型に対してホモ接合性の個体はアルツハイ
マー病のリスクが増大するが、-491T遺伝子型に対してホモ接合性またはヘテロ
接合性の個体はそのリスクは増大しない(Bullido, M.J.ら, 1998, Nature Genet
ics 18, 69-71)。
【0024】 大部分の個体におけるE2対立遺伝子は、血清コレステロールおよびLDLの最低
レベルに関連している。しかしながら、環境ストレスまたは遺伝的ストレスに曝
されているE2/E2ホモ接合性の人々の約5%がIII型高脂血症を発症する。最も一般
的なストレッサーは、甲状腺機能低下症、未治療真性糖尿病、アルコール中毒、
および著しい体重増加である。ストレッサーを取り除くことにより、通常、高脂
血症をコントロールすることができる。III型高脂血症に罹った極めて少数の患
者は突然変異Apo E遺伝子を有する(Mahley & Rall, 前掲, 表61-5)。
【0025】 2.7 Apo A1およびHDL 高密度リポタンパク質(HDL)は、コレステロールおよびリン脂質を肝臓外周辺
位置から肝臓に輸送する。特に、HDLは、脈管内皮細胞から脂質沈着物を除去す
ると考えられ、HDL-コレステロール(HDL-C)のレベルと冠状動脈の病気のレベル
との間に観察された負の相関はこの機能によるものであると考えられる(Eisenbe
rg, S., 1984, J. Lipid Research 25, 1017; Goudon, D.J.ら, 1986, Circulat
ion 74, 1217)。HDLは、243アミノ酸タンパク質である4つのApo A1分子を含む
発生期のHDL粒子として肝臓および腸で分泌される。発生期のHDLは、遊離のコレ
ステロールを細胞膜および/またはその他のリポタンパク質から物理的に引き寄
せる。得られた粒子は、Apo A1、リン脂質、およびコレステロールを含む。その
ような粒子はレシチン:コレステロールアシルトランスフェラーゼ(LCAT)(これ
は遊離のコレステロールをコレステロールエステルにエステル化する)の基質で
ある。より疎水性のコレステロールエステルが存在すると、初めに発生期のHDL
がより安定な成熟HDL3に変換され、続いてHDL3粒子に変換される。
【0026】 コレステロールエステルトランスファータンパク質は、HDL3およびHDL2粒子か
らエステル化されたコレステロールを取り外し、それらをLDLに移し、そしてLDL
受容体により肝細胞に移す。
【0027】 HDLのレベルを低下させるApo A1の2つの突然変異が発見されている。この突
然変異は、アルギニンをシステインアミノ酸に置換するミスセンス突然変異であ
る(Weisgraber, K.H.ら, 1983, J. Biol. Chem. 258, 2508(apo A1 milano(Arg-
Cys)173); Bruckert, E.ら, 1997, Atherosclerosis 128, 121(apo A1 R151C(Ar
g-Cys)151))。この突然変異は優性であり、すなわち、HDLレベルは該突然変異に
対してヘテロ接合性である罹患した(affected)個体では低下している。このこと
については、突然変異apo A1タンパク質がホモダイマーを形成するのみならず、
野生型apo A2分子(これはHDL中に見出される少量のアポリポタンパク質である)
とシステイン連結ヘテロダイマーを形成するためであるという説明がなされる。
【0028】 驚くべきことに脂質特性、すなわち低HDLおよび高トリグリセリドは通常アテ
ローム性動脈硬化の促進と関連した特性であるが、該突然変異はアテローム性動
脈硬化と関連しておらず、むしろアテローム性動脈硬化を防ぐものと考えられる
【0029】 防御のメカニズムは確立されていない。apo A1 milanoキャリアーの大掛かり
な(N-33)既往伝染病学的研究により、これらの個体においては冠状動脈疾患の発
病率が低いが、この事実の意義は、Limone sul Garda村の罹患していない居住者
における同様の発病率の低さとの関係において考察されなければならない(Guala
ndri, V.ら, 1985, Am. J. Hum. Gen. 37, 1083)。in vitro研究は、突然変異ap
o A1が血漿膜コレステロールの補充においてあまり有効ではないことを示してい
る(Bielicki, J.K.ら, 1997, Arterioscler Thromb Vasc Biol 17, 1637)。野生
型apo A1ではなく外因性apo A1 milanoのリン脂質との複合体の形態での投与は
、アテローム性動脈硬化の公認モデル系において防御性を示す直接的な証拠があ
る(Ameli, S.ら, 1994, Circulation 90, 1935; Shah, P.K.ら, 1998, Circulat
ion 97, 780)。
【0030】3. 発明の概要 本発明は、被験個体の遺伝子において特定の遺伝子改変を導入することからな
る治療および/または予防方法に関する。1つの実施形態においては、特定の遺
伝子改変はApo B100の合成を遮断し、それによってLDLコレステロールのレベル
を低下させる。別の実施形態においては、特定の改変がApo E4対立遺伝子をApo
E3またはApo E2対立遺伝子に変換し、これはアテローム性動脈硬化およびアルツ
ハイマー病のリスクの減少と関連している。さらに別の実施形態においては、本
発明は、肝細胞の遺伝子における遺伝性遺伝子欠損によって引き起こされる病気
に罹った個体の該欠損の修復に関する。
【0031】 本発明はさらに、apo A1をコードする遺伝子において突然変異を生じさせるこ
とによってアテローム性動脈硬化を治療および/または予防する方法ならびにそ
のような突然変異の誘導に有用な化合物を包含する。本発明の実施に有用な突然
変異は、シスチンを形成するシステイン残基を挿入する突然変異であり、ホモダ
イマーおよびapo A2含有ヘテロダイマーの形成がもたらされる。
【0032】 本発明の実施形態は、被験個体の肝細胞のゲノムに特定の遺伝子改変を生じさ
せ得ることが今や知られているか今後開発される、任意のオリゴヌクレオチドま
たはその類似体もしくは誘導体(以下「組換え原性オリゴヌクレオ塩基」という
)、例えば米国特許第5,565,350号、5,731,181号および5,760,012号に記載され
ているような例えばキメラ突然変異ベクター(CMV)を用いて行い得る。あるいは
、組換え原性オリゴヌクレオ塩基は、1998年5月12日に出願された米国特許出願
第09/078,063号および09/078,064号(これらはそれぞれ参照により本明細書に組
み込まれる)に記載されたようなヘテロ二本鎖突然変異ベクターまたは非キメラ
の突然変異ベクターであり得る。
【0033】 好ましい実施形態においては、組換え原性オリゴヌクレオ塩基は、特異的リガ
ンドに結合される巨大分子キャリアーと複合体を形成している。このリガンドは
、クラスリン被覆膜孔を通って肝細胞のエンドソームに取り込ませる細胞表面受
容体に結合するように選択される。そのようなリガンドを結合する細胞表面受容
体は、本明細書では「クラスリン被覆膜孔受容体」と呼ぶ。肝臓クラスリン被覆
膜孔受容体としては、例えば、低密度リポタンパク質(LDL)受容体およびアシア
ロ糖プロテイン受容体が挙げられる。
【0034】 特定の実施形態においては、巨大分子キャリアーは、1)直径25nm〜400nmの水
性コア脂質小胞であって水性コアがCMVを含むもの、2)脂質コアを有する直径25n
m〜400nmの脂質ナノスフェアであって、脂質コアがCMVの脂質親和性塩を含むも
の、または3)CMVのポリカチオン性塩であり得る。そのような塩についてのポリ
カチオンとしては、例えば、ポリエチレンイミン、ポリリシンおよびヒストンH1
が挙げられる。1つの実施形態においては、ポリカチオンは、500ダルトンより
大きく1.3Mdより小さい質量平均分子量を有する直線状ポリエチレンイミン(PEI)
塩である。あるいは、ポリカチオンは分枝鎖ポリエチレンイミンであり得る。
【0035】4. 図面の簡単な説明 (図面の簡単な説明については下記参照)5. 定義 本発明は、下記の定義にしたがって理解されるべきである。
【0036】 「オリゴヌクレオ塩基」は、ヌクレオ塩基のポリマーであり、このポリマーは
ワトソン・クリック塩基対合により相補配列を有するDNAにハイブリダイズし得
る。
【0037】 「ヌクレオ塩基」は、塩基、すなわちプリン、ピリミジンまたはその誘導体も
しくは類似体を含む。ヌクレオ塩基としては、「ペプチドヌクレオ塩基」、ペプ
チドヌクレオ塩基のサブユニット、およびモルホリンヌクレオ塩基ならびにヌク
レオシドおよびヌクレオチドが挙げられる。「ヌクレオシド」は、ペントースフ
ラノシル成分、例えば任意に置換リボシドまたは2'-デオキシリボシドを含むヌ
クレオ塩基である。ヌクレオシドは、いくつかの連結成分の一つによって連結さ
れ得るものであり、この連結成分はリンを含んでも含まなくてもよい。非置換ホ
スホジエステル連結によって連結されているヌクレオシドは「ヌクレオチド」と
呼ばれる。
【0038】 「オリゴヌクレオ塩基鎖」は、1つの5'末端および3'末端を有し、これらの末
端はポリマーの最終ヌクレオ塩基である。特定のオリゴヌクレオ塩基鎖は、全タ
イプのヌクレオ塩基を含み得る。「オリゴヌクレオ塩基化合物」は、相補的であ
り、ワトソン・クリック塩基対合によってハイブリダイズする1個以上のオリゴ
ヌクレオ塩基を含む化合物である。ヌクレオ塩基はデオキシリボ型またはリボ型
のいずれかである。「リボ型ヌクレオ塩基」は、2'炭素がヒドロキシル、アルキ
ルオキシまたはハロゲンで置換されたメチレンであるヌクレオ塩基を含むペント
ースフラノシルである。デオキシリボ型ヌクレオ塩基は、リボ型ヌクレオ塩基以
外のヌクレオ塩基であり、ペントースフラノシル成分を含まないヌクレオ塩基全
てを含む。
【0039】 「オリゴヌクレオ塩基ストランド」は、一般的に、オリゴ核酸鎖と、オリゴ核
酸鎖のセグメントまたは領域の両方を包含する。オリゴヌクレオ塩基ストランド
は、3'末端および5'末端を有する。オリゴヌクレオ塩基ストランドがある1本の
鎖と同一の範囲にある場合、該ストランドの3'および5'末端は、該鎖の3'末端お
よび5'末端でもある。
【0040】 「領域」はオリゴヌクレオ塩基の一部分である。その配列は、何らかの特定の
起源、例えばヒトβグロビン遺伝子の断片の配列を持つ少なくとも15ヌクレオチ
ドの領域を有するCMVから誘導される。「セグメント」は、何らかの特徴的な構
造上の特色を有するCMVの一部分である。所与のセグメントまたは所与の領域は
、2'‐デオキシヌクレオチドおよびリボヌクレオチドの両方を含み得る。しかし
ながら、「リボ型セグメント」または「2'-デオキシリボ型セグメント」は、そ
れぞれリボ型および2'-デオキシリボ型ヌクレオ塩基のみを含む。
【0041】6. 発明の説明 6.1. キメラな突然変異ベクターの構造 キメラな突然変異ベクター(CMV)は、オリゴヌクレオ塩基、すなわちヌクレオ
塩基のポリマーからなり、該ポリマーは適当な配列を有するDNAとプリンおよび
ピリミジンのワトソン・クリック(Watson-Crick)塩基対を形成する(ハイブリ
ダイズする)。各CMVは、それぞれお互いに相補的である少なくとも15ヌクレオ
塩基の第1および第2のストランドに分割されている。該ストランド(複数)は
共有結合で連結されていてよいが、必要条件ではない。ヌクレオ塩基は、プリン
またはピリミジンまたはその類似体もしくはそれらの誘導体である塩基を含有す
る。ヌクレオ塩基には2つの型がある。リボ型ヌクレオ塩基は、2'-ヒドロキシ
ル、置換2'-ヒドロキシルまたは2'-ハロ置換リボースを有するリボヌクレオシド
である。リボ型ヌクレオ塩基以外の全てのヌクレオ塩基は、デオキシリボ型ヌク
レオ塩基である。したがって、デオキシ型ヌクレオ塩基は、ペプチドヌクレオ塩
基を含む。本明細書においては、デオキシリボ型ヌクレオ塩基とハイブリダイズ
する少なくとも3個の連続したリボ型ヌクレオ塩基を含有する組換え原性ヌクレ
オ塩基のみを、CMVと考える。
【0042】 第1および第2のストランドの配列は、標的遺伝子と相同性のある、すなわち
標的遺伝子の断片と同じ配列を有する2つ以上の領域、および標的遺伝子と異な
りかつ標的遺伝子に遺伝子改変を導入する1つ以上の領域(「ミューテーター(m
utator)領域」)からなる。ミューテーター領域は相同性領域の間に位置する。
本発明のある実施様態においては、それぞれのフランキング相同性領域は、ハイ
ブリッド二本鎖を形成する、少なくとも3リボ型ヌクレオ塩基長、好ましくは少
なくとも6リボ型ヌクレオ塩基長、さらに好ましくは少なくとも10リボ型ヌクレ
オ塩基長、しかし25個を超えず、好ましくは20個を超えず、さらに好ましくは15
個を超えないリボ型ヌクレオ塩基長のリボ型セグメントを含有する。ハイブリッ
ド二本鎖を形成するリボ型オリゴヌクレオ塩基セグメントはミューテーター領域
に隣接している必要はない。本発明のある実施様態においては、リボ型オリゴヌ
クレオ塩基セグメントは、デオキシリボ型ヌクレオ塩基を含んでなる相同性領域
の一部分により、ミューテーター領域から分離されている。これらの実施様態に
おいては、ミューテーター領域もまた、デオキシリボ型ヌクレオ塩基から構成さ
れる。したがって、ミューテーター領域と1つまたは両方の相同性領域の一部分
がホモ二本鎖の介在セグメントを形成し、これがハイブリッド二本鎖の2つのセ
グメントを分離する。
【0043】 相同性領域の全長は、好ましくは少なくとも16ヌクレオ塩基長であり、さらに
好ましくは、約20ヌクレオ塩基〜約60ヌクレオ塩基長である。
【0044】 好ましくは、ミューテーター領域は20個以下の塩基、さらに好ましくは6個以
下の塩基、そして最も好ましくは3個以下の塩基からなる。ミューテーター領域
の長さは、CMVの相同性領域と相同の標的遺伝子の領域を分離する配列の長さと
異なることが可能であり、その結果、標的遺伝子の挿入または欠失を生じる。CM
Vを使って標的遺伝子に欠失を導入するときは、ミューテーター領域内に確認可
能な塩基はない。むしろ、該変異は標的遺伝子内で分離された2つの相同性領域
の並置(juxtaposition)により行われる。本発明の目的では、標的遺伝子に欠
失を導入するCMVのミューテーター領域の長さが欠失の長さであるとみなされる
。ある実施様態においては、ミューテーター領域は6個から1個までの塩基または
さらに好ましくは3個から1個までの塩基の欠失である。複数の分離した突然変異
を単一CMVにより導入することができ、その場合、複数のミューテーター領域が
同じCMV内に存在する。あるいは、複数のCMVを同時に使って、単一遺伝子内に複
数の遺伝子改変を導入するか、または、代わりに同じ細胞の複数の遺伝子に遺伝
子改変を導入することができる。本明細書では、ミューテーター領域はまた、異
種領域(heterologous region)とも呼ばれる。
【0045】 ある実施様態においては、CMVは40〜100ヌクレオ塩基の1本のオリゴヌクレオ
塩基鎖である。代わりの実施様態においては、CMVは、それぞれ20〜100塩基の第
1および第2のオリゴヌクレオ塩基鎖を含んでなり、第1鎖は第1ストランドを
含んでなり第2鎖は第2ストランドを含んでなる。第1鎖と第2鎖は、ヌクレオ
塩基以外により共有結合で連結していてよく、または代わりにワトソン・クリッ
ク塩基対合のみによって組み立てられていてもよい。代わりの実施様態において
は、CMVは、単一のオリゴヌクレオ塩基鎖からなる第1ストランド、および、第
1ストランドに相補的でかつリンカーにより第1ストランド鎖に連結される2つ
のオリゴヌクレオ塩基鎖からなる第2ストランドである。第2のストランドの2
つの鎖の組合わせた長さは第1のストランドの長さである。
【0046】 リンカー:第1および第2のストランドの共有結合は、ポリエチレングリコー
ル、ポリ-1,3-プロパンジオールまたはポリ-1,4-ブタンジオールのようなオリゴ
アルカンジオールにより作ることができる。2つのハイブリダイズした核酸スト
ランドを結合するのに適した様々なリンカーの長さは、当業者には理解されてい
る。6個から3個までのエチレンユニットおよび末端ホスホリル部を有するポリエ
チレングリコールリンカーが適当である。Durand, M.ら, 1990, Nucleic Acid R
esearch 18, 6353; Ma, M. Y-X.ら, 1993, Nucleic Acids Res. 21, 2585-2589
を参照すること。好ましい代わりのリンカーはビス-ホスホリルプロピル-trans-
4,4'-スチルベンジカルボキシアミドである。参照により本明細書に組み入れら
れる、Letsinger, R.L.ら, 1994, J. Am. Chem. Soc. 116, 811-812; Letsinger
, R.L.ら, 1995, J. Am. Chem. Soc. 117, 7323-7328を参照すること。このよう
なリンカーは、通常の固相合成を使ってCMV中に挿入することができる。あるい
は、CMVのストランドは、別々に合成し、その後、ハイブリダイズし、そして、L
etsinger R.Lらの1997年2月13日付け国際公開公報WO 97/05284に記載のように、
チオホリルを含有するスチルベンジカルボキシアミドを使って、ストランド間の
結合を形成することができる。
【0047】 さらなる代わりの実施様態においては、リンカーは、ヌクレアーゼ耐性ヌクレ
オ塩基、例えば2'-O-メチル,2'-O-アリルまたは2'-F-リボヌクレオチドからなる
1本のストランドのオリゴヌクレオ塩基であることができる。テトラヌクレオチ
ド配列TTTT、UUUUおよびUUCGおよびトリヌクレオチド配列TTT、UUU、またはUCG
は特に好ましいヌクレオチドリンカーである。
【0048】 ヌクレオチド:代わりの実施様態においては、本発明は、デオキシヌクレオチ
ドまたはデオキシヌクレオシドおよび2'-O-置換リボヌクレオチドまたはリボヌ
クレオシドを含んでなるCMVを使い実施することができる。適当な置換基は、Kmi
ec出願により教示された置換基、C1-5アルカンを含む。代わりの置換基は、参照
により本明細書に組み入れられる米国特許第5,334,711号(Sproat)により教示
された置換基および特許公報EP 629387およびEP 679657(まとめてMartin出願)
により教示された置換基を含む。本明細書では、Martin出願またはSproatに記載
されたリボヌクレオチドの2'-フルオロ、クロロまたはブロモ誘導体または置換
された2'-Oを有するリボヌクレオチドは、「2'-置換リボヌクレオチド」と名付
けられる。特に好ましい2'-置換リボヌクレオチドの実施様態は、2'-フロロ、2'
-メトキシ、2'-プロピルオキシ、2'-アリルオキシ、2'-ヒドロキシルエチルオキ
シ、2'-メトキシエチルオキシ、2'-フルオロプロピルオキシ、および2'-トリフ
ルオロプロピルオキシ置換リボヌクレオチドである。さらに好ましい実施様態に
おいては、2'-置換リボヌクレオチドは、2'-フロロ、2'-メトキシ、2'-メトキシ
エチルオキシ、および2'-アリルオキシ置換ヌクレオチドである。
【0049】 2'-置換リボヌクレオシドも類似して定義される。2'-置換リボヌクレオシドの
特定の好ましい実施様態は、2'-フロロ、2'-メトキシ、2'-プロピルオキシ、2'-
アリルオキシ、2'-ヒドロキシルエチルオキシ、2'-メトキシエチルオキシ、2'-
フルオロプロピルオキシ、および2'-トリフルオロプロピルオキシ置換リボヌク
レオチドである。2'-置換リボヌクレオシドのさらに好ましい実施様態は、2'-フ
ロロ、2'-メトキシ、2'-メトキシエチルオキシ、および2'-アリルオキシ置換ヌ
クレオチドである。
【0050】 用語「ヌクレアーゼ耐性リボヌクレオシド」は、2'-置換リボヌクレオチドを
含む2'-置換リボヌクレオシドおよびリボヌクレオチド以外の全ての2'-ヒドロキ
シルリボヌクレオシドも包含する。好ましい実施様態においては、CMVは好まし
くは、少なくとも3個、そしてより好ましくは6個のヌクレアーゼ耐性リボヌクレ
オシドを含む。ある好ましい実施様態においては、CMVはヌクレアーゼ感受性リ
ボヌクレオシドを含有しない。代わりの実施様態においては、全ての他のリボヌ
クレオシドはヌクレアーゼ耐性である。プリンまたはピリミジンに対するある特
定の2'-ブロッキング基は、はるかに容易に合成することができる。CMVのある実
施様態では、リボヌクレオシドプリンのみまたはリボヌクレオシドピリミジンの
みがヌクレアーゼ耐性である。
【0051】 非キメラ突然変異オリゴヌクレオ塩基を含む組換え原性オリゴヌクレオ塩基お
よび改良CMVおよびそれらの真核生物細胞および無細胞系(cell-free systems)
における使用は、参照により本明細書にその全文が組み入れられる1998年5月12
日に出願された米国特許出願番号09/078,063および1998年5月12日に出願された
番号09/078,064に記載されている。これらの突然変異オリゴヌクレオ塩基は、本
特許出願に記載したCMVと同じ方法で使うことができる。
【0052】 6.2. キメラな突然変異ベクターの遺伝子特異的構造 図1は、本発明のある実施様態によるCMVの図を示す。図において、セグメン
ト「a」および「c-e」は、CMVの標的遺伝子特異的セグメントである。セグメン
ト「a」および「c-e」の配列はお互いに相補体(complement)である。セグメン
ト「f」および「h」の配列もまたお互いに相補体であるが、特定の標的遺伝子と
は関係がなく、3'および5'末端を保護する目的でハイブリダイゼーションの安定
性を保証するために単に選択されたものである。3'および5'末端のさらなる保護
は、5'および3'のほとんどのヌクレオチド間結合ホスホロチオアート、ホスホナ
ートまたは任意の他のヌクレアーゼ耐性結合を作ることによって達成できる。セ
グメント「f」および「h」の配列は、5'-GCGCG-3'またはその並び換えであって
よい。セグメント「g」および「b」は、2つのストランドを共有結合する任意の
リンカー、例えば4個の不対ヌクレオチドまたはポリエチレングリコールのよう
なアルコキシオリゴマーであってよい。セグメント「g」および「b」はヌクレオ
塩基以外のものから構成される場合でも、セグメント「a」、「c-f」および「h
」はそれぞれオリゴヌクレオ塩基鎖である。
【0053】 ワトソンクリック塩基対合によりセグメント「a」の相補的部分とハイブリッ
ド二本鎖を形成するリボ型ヌクレオ塩基セグメントは、「c」および「e」セグメ
ントである。セグメント「a」は遺伝子のコードまたは非コードストランドのい
ずれかの配列を有することができる。
【0054】 表Iは配列番号4-21を有し、また表IIIは配列番号22-25および54-58を有し、こ
れらは本発明を実施するために使うことができる配列の例である。それぞれの事
例のミューテーター領域は下線を引き、太字とした。表Iの配列から選択された
配列を用いたセグメント「a」を有するCMVを使って本発明を実施することができ
る。あるいは、セグメント「a」は表Iの配列の相補体の配列を有することができ
る。本明細書で、CMVまたは他の型の組換え原性オリゴヌクレオ塩基は、CMVのい
ずれかのストランドまたは組換え原性オリゴヌクレオ塩基がチミン塩基をウラシ
ル塩基で置換した配列またはリボ-型ヌクレオ塩基を含む配列を含有する場合、
チミン塩基をウラシル塩基で置換した配列を含む。したがって、例えば、配列5'
-agucuggaugGGTAAgccgcccuca-3'(配列番号26)を有するCMVは、配列番号4の配
列を有すると考えられ、ここで小文字はリボ型ヌクレオ塩基を示し、大文字はデ
オキシリボ型ヌクレオ塩基を示す。
【0055】 被験者を、Apo BまたはApo Eに特異的な組換え原性オリゴヌクレオ塩基を用い
て、以下のIX因子の例のガイダンスによって治療することができる。さらに特定
すれば、組換え原性オリゴヌクレオ塩基を、分割用量にて、表現型効果、すなわ
ち、LDLコレステロール低下の程度の評価および副作用の観察を確認できる間隔
で投与することができる。被験者の空腹時LDL血清コレステロールの、年齢整合
集団の第5パーセンタイルレベル(80-90mg/dl)未満への低下を、治療終点とし
て使うことができるし;代わりに、空腹時LDL血清コレステロールの、平均年齢
整合正常値(100-140mg/dl)未満への低下を使うことができる。投与回数と投与
量を変更して表現型効果の程度を調節することができる。特定の遺伝子改変の逆
転が望ましい場合は、特定の改変を逆転するのに適当な配列を有する組換え原性
オリゴヌクレオ塩基を投与し、未改変のApo BまたはApo E遺伝子の画分を増加さ
せることができる。投与量および投与回数の変更および逆転組換え原性オリゴヌ
クレオ塩基の投与により、被験者の改変型遺伝子数の調節が可能になり、予め定
めた量の表現型改変がもたらされ得る。
【0056】 6.2.1 Apo B遺伝子の特定の改変 配列番号1はApo Bアミノ酸配列を有し、配列番号2はApo B cDNA配列を有す
る。
【0057】 被験者の血清コレステロールそして特にLDL関連コレステロールのレベルは、
被験者の肝Apo B遺伝子に突然変異を誘導することにより低下させることができ
る。該突然変異は、アミノ酸1433(Apo B 31)とアミノ酸3974(Apo B 87)の間
のApo B翻訳産物の停止を起こす任意の突然変異であることができる。(本明細
書におけるApo Bのアミノ酸番号は、4553アミノ酸一次翻訳産物、すなわち、成
熟Apo B 100に27アミノ酸リーダー配列を加えたもの指す。成熟Apo B 100は4536
アミノ酸からなり、成熟Apo B 48は2152アミノ酸からなる。)好ましくは、翻訳
産物はアミノ酸1841(Apo B 40)および2975(Apo 65)の間で停止する。翻訳産
物は、フレームシフト突然変異を導入することにより、すなわち、該遺伝子に1
個または2個のヌクレオチドを付加するか、または欠失させるか、あるいは停止
コドン(TAA、TAGまたはTGAのような)を導入することにより、停止させること
ができる。好ましい停止コドンはTAAである。突然変異の導入をモニターするた
めに、制限酵素の基質であるパリンドローム配列を導入するかまたは除去する突
然変異を起こさせることが好ましい。
【0058】 CMVの配列は、それぞれ、アミノ酸1433(nt 4425)および3974(nt 12,048)をコ
ードするヌクレオチドの間に位置しそして好ましくはアミノ酸1841(nt 5649)お
よび2975(nt 9051)をコードするヌクレオチドの間に位置するApo B遺伝子の断片
を用いて、少なくとも10個のヌクレオ塩基そして好ましくは少なくとも12個のヌ
クレオ塩基の2つの相同性領域を有するように選択される。本明細書において、
nt 6666はコドン2180の第1ヌクレオチドで、APOBEにより変換されるヌクレオチ
ドである。好ましい実施様態では、2つの相同性領域はApo B遺伝子の配列中で1
個のヌクレオ塩基により分離され、その場合、CMVはApo B遺伝子に1個の塩基置
換を導入する。あるいは、2つの相同性領域はApo B遺伝子中で隣接していて、C
MV中で1または2個のヌクレオ塩基により分離されており、Apo B遺伝子に対するC
MVの作用により1または2個の塩基挿入をもたらすことができる。あるいは、相同
性領域は、Apo B遺伝子中で、CMVの配列から欠失された1個または2個のヌクレオ
チドにより分離されており、CMVの作用により遺伝子中の1個または2個の塩基欠
失をもたらすことができる。
【0059】 Apo B cDNAのヌクレオチド4425-12,048は、エキソン26(nt 4342-11913)、エ
キソン27(nt 11914-12028)およびエキソン28(nt 12029-12212)によりコード
される;表1および本明細書に参照により組み入れられるGENBANK受託番号19828
を参照すること。改変がnt 11913の位置3'で行われる場合、エキソン/イントロ
ン境界に注意しなければならない。CMVの相同性領域がエキソンでなくイントロ
ンの配列と連続するようにエキソン/イントロン境界の10-15ヌクレオチド内に
配置された突然変異が同定されなければならない。
【0060】 相同性領域は、それぞれ10〜約15ヌクレオ塩基長であってよく;2つの領域は
同じ長さである必要はない。グアニンまたはシトシン塩基を含有するヌクレオ塩
基の含量が設計で考慮される(GC含量)。相同性領域が12個以下のヌクレオ塩基
を含有する場合、GC含量は少なくとも33%、好ましくは少なくとも50%である。GC
含量が33%より少ない場合、相同性領域の長さは好ましくは13、14または15ヌク
レオ塩基である。
【0061】 この節に記載した本発明の実施様態を実行するのに十分なCMVについて、表1
は18例の実施様態である配列番号4-21を含み、表IIIは9例の実施様態である配列
番号22-25および54-58を含む。適当なCMVを、配列番号4-10、12、および16-20の
nt 3-23を使って作ることができる。配列番号11および13-15はGC含量がより低く
;本発明の実施に十分な、配列番号11および13-15の残基3-25を含むCMVを作るこ
とができる。
【0062】 6.2.2 Apo E遺伝子の特定の改変 さらなる実施様態においては、本発明は、Apo E遺伝子に特定の改変を導入す
ることからなる。E4ホモ接合性の個人は、アテローム性動脈硬化症、特に冠状動
脈疾患、およびアルツハイマー病のリスクが増加している。したがって、本発明
の1つの実施様態は、残基112におけるArg→Cys置換の導入であって、E4対立遺
伝子をE3対立遺伝子に変換し、場合によっては残基158における該導入であって
被験者の肝細胞のApo E遺伝子のE3またはE4対立遺伝子をE2対立遺伝子に変換す
ることである。該置換は、配列番号22および配列番号23またはそれらの相補体の
nt 3-23の配列を含有するオリゴヌクレオ塩基、そしてさらに好ましくは配列番
号22および配列番号23またはそれらの相補体を含有するオリゴヌクレオ塩基を使
って導入することができる。さらに、遺伝子または環境ストレッサーを欠く個人
においては、E2対立遺伝子はLDLレベルの低下およびアテローム性動脈硬化症お
よび冠状動脈疾患のリスクの減少をもたらす。したがって、E3/E3個人における
これらのリスクは、(Arg→Cys)158置換を導入して個人Apo E遺伝子をE2対立遺
伝子に変換することによって減少させることができる。
【0063】 III型高脂血症を患うApo E2/E2ホモ接合性個人は、Cys→Arg158置換を行うこ
とによりE2対立遺伝子をE3対立遺伝子に変換して治療することができる。このよ
うな置換は、配列番号24またはその相補体のnt 3-23の配列を含有するオリゴヌ
クレオ塩基、そしてさらに好ましくは配列番号24またその相補体を含有するオリ
ゴヌクレオ塩基を使って行うことができる。
【0064】 Apo E対立遺伝子とは関係なく、-491-Aに対してホモ接合性である個人はアル
ツハイマー病を発症するリスクが増加する。Bullido, M.J.ら, 1998, Nature Ge
netics 18, 69-71を参照すること。これらの個人は配列番号25のnt 3-23の配列
を含有するオリゴヌクレオ塩基を用いて有利に治療することができる。
【0065】 6.2.3 Apo BおよびApo E遺伝子の突然変異の修復 配列番号3はApo EゲノムDNA配列を有する。
【0066】 本発明のさらなる実施様態は、低βリポタンパク症および異βリポタンパク血
症をそれぞれ起こすApo BおよびApo E遺伝子の突然変異を修復するためのCMVの
使用に関する。CMVの相同性領域がエキソンでなくイントロンの配列と連続する
ようにエキソン/イントロン境界の10-15ヌクレオチド内に位置する突然変異が
同定されなければならない。エキソンとイントロンの境界を示すApo E4のゲノム
配列は、パイクら(Paikら, 1985, Proc. Natl. Acad. Sci., 82, 3445、本明細
書に参照により組み入れられる)により与えられている。Apo B遺伝子のエキソ
ン/イントロン境界は表IIに、Apo Bのゲノム配列に対するGENBANK受託番号とと
もに与えられている。
【0067】 6.2.4 Apo A1遺伝子の特定の改変 Apo A1は243アミノ酸タンパク質である。アミノ酸99-230は、66塩基対原型配
列の6つのタンデム複製物によりコードされる。複製物は、コンセンサス配列に
対して80%〜64%相同性である。理論に制限されることなく説明すれば、アミノ酸
120〜230のコンフォメーションは、らせん状であると考えられる。アミノ酸の配
列は、該らせんが両親媒性であり、すなわち、らせんは疎水性の面および極性ア
ミノ酸を含有する親水性の面を有する。
【0068】 本発明の実施に最も適当な突然変異は、極性アミノ酸のシステインによる置換
である。特に適当な突然変異は他の極性アミノ酸の次に位置するアルギニン残基
であり、それは、apo A1(CGC)に使われるアルギニンコドンを一塩基変化によ
りTGCシステインコドンに変換できるからである。したがって、本発明による突
然変異のための特に適当な部位はアルギニン149、151、153、171および173であ
る。
【0069】 6.3 in vivo使用に適した製剤 CMVおよび巨大分子キャリアーの製剤の先行技術は、CMVの能力が低くかつCMV
が細胞外酵素から保護されていないので、in vivo使用での利用は限られている
。本発明は、従来技術の制限を克服する3種類の代わりの巨大分子キャリアーを
提供する。キャリアーは、単層リポソームおよび脂質ナノスフェアとも名付けら
れる水性コア脂質小胞、ポリエチレンイミン(PEI)である。
【0070】 キャリアーは、それぞれ、さらに、標的細胞の細胞表面タンパク質に相補性の
あるリガンドを備えることができる。このようなリガンドは、標的細胞へのCMV
の摂取の量と特異性の両方を増加するために有用である。本発明のある実施様態
においては、標的細胞は肝細胞であり、リガンドはアシアロ糖タンパク質受容体
と結合するガラクトース糖またはラクトース二糖である。
【0071】 6.3.1 ポリカチオン性キャリアー 本発明は、細胞にin vitroでまたは被験者にin vivoで投与した時に非毒性で
ある任意のポリカチオンを使って実施することができる。適当な例は、ポリリシ
ン、ポリアルギニンのようなポリ塩基性アミノ酸、ヒストンH1のような塩基性タ
ンパク質、および分枝鎖ポリエチレンイミン :(-NHCH2CH2-)x[-N(CH2CH2NH2)CH2CH2-]Y のような合成ポリマーを含む。
【0072】 本発明は、約500ダルトンより大きな、好ましくは、約10Kdとさらに好ましく
は約25Kdの間より大きな平均分子量(光散乱により測定した質量平均分子量)を
有する任意の分枝鎖ポリエチレンイミン(PEI)を用いて実施することができる
。適性の上限はPEIの毒性と溶解度により決定される。約1.3Mdより大きな分子量
のPEI材料は、毒性と不溶性のために適性が低下する。細胞をDNAでトランスフェ
クトするためのキャリアーとして高分子量PEIを使用することは、バウシフら(B
oussif, O.ら,1995, Proc. Natl. Acad. Sci. 92, 7297)が記載しており、これ
は本明細書に参照により組み入れられる。バウシフの方法により、PEI溶液を調
製することができる。
【0073】 CMVキャリアー複合体は、CMVの水溶液とPEIの中性水溶液をCMVリン酸塩当たり
PEI窒素を9〜4の比で混合して作る。好ましい実施様態においては、その比は6で
ある。該複合体は、例えば、pH 7.0で0.15 M NaCl中のPEIの10mM溶液をCMVと混
合して、100〜500nMの最終CMV濃度にすることにより形成し得る。
【0074】 さらに、クラスリン被覆膜孔受容体に対するリガンドをポリカチオンまたはポ
リカチオンのある画分に結合することができる。ある実施様態においては、該リ
ガンドは、ラクトース、ガラクトース、またはN-アセチルガラクトサミンのよう
なアシアロ糖タンパク質受容体と結合する糖類または二糖類である。リガンドを
結合するために任意の技術を使うことができる。リガンドのポリエチレンサブユ
ニットに対する最適の比は、CMVを蛍光標識して蛍光CMV/分子キャリアー/リガ
ンド複合体を対象組織に直接注入し、そしてクレンら(Klenら, 1997, Hepatolo
gy 25, 1462-1468)の方法により蛍光摂取の程度を測定することにより決定する
ことができる。
【0075】 好結果は、窒素当たり0.4-0.8のラクトシル部の比を有するラクトシル化PEIと
無改変PEIの1:1混合物を使って得ることができる。該混合物を、CMVリン酸塩当
たり4と9の間のPEI窒素の比で使う。オリゴヌクレオチドリン酸塩と窒素の比は
好ましくは1:6である。好結果は、25Kdおよび500Kdの質量平均分子量を有するPE
Iを用いて得ることができ、これらはアルドリッチ・ケミカル社(Aldrich Chemi
cal Co.)からそれぞれカタログ番号40,872-7および18197-8で市販されている。
フェラーリら(Ferrarri S.ら, 1997, Gene Therapy 4, 1100-1106)が記載し、
商標EXGEN 500TMで販売されている直鎖PEIは、分枝鎖PEIと比較して毒性が低い
ので、本発明の実施に特に適している。
【0076】 代わりの実施様態においては、ポリカチオンキャリアーは、クラスリン被覆膜
孔受容体に対するリガンドで置換することができるヒストンH1のような塩基性タ
ンパク質であってよい。ヒストンとCMVの1:1(w/w)の混合物を本発明の実施に
使うことができる。
【0077】 6.3.2 キャリアーに有用な脂質 本発明の脂質小胞および脂質ナノスフェアキャリアーに組み込む脂質の選択は
重要でない。脂質ナノスフェアは、半精製した脂質生物学的調製物、例えば、ダ
イズ油(Sigma Chem. Co.)および卵ホスファチジルコリン(EPC)(Avanti Pol
ar Lipids)を使って構築することができる。脂質ナノスフェアおよび/または
脂質小胞の調製に有用な他の脂質は、中性脂質、例えば、ジオレオイルホスファ
チジルコリン(DOPC)、およびジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(
DOPE)、アニオン性脂質、例えば、ジオレオイルホスファチジルセリン(DOPS)
およびカチオン性脂質、例えば、ジオレオイルトリメチルアンモニウムプロパン
(DOTAP)、ジオクタデシルジアミドグリシルスペルミン(DOGS)、ジオレオイ
ルトリメチルアンモニウム(DOTMA)およびDOSPER(1,3-ジ-オレオイルオキシ-2
-(6-カルボキシ-スペルミル)-プロピル-アミドテトラアセテート(Boehringer-Ma
nnheimから市販される)を含む。本発明で使うことができる脂質のさらなる例は
、ガオら(Gao, X.およびHuany, L., 1995, Gene Therapy 2, 710)に記載され
ている。糖リガンドは糖セレブロシド、例えばラクトシルセレブロシドまたはガ
ラクトセレブロシド(Avanti Polar Lipids)の形で加えることができる。
【0078】 特定の脂質の選択は重要でない。水素化EPCまたはリゾレシチンをEPCの代わり
に使うことができる。DPPC(ジパルミトイルホスファチジルコリン)を混合して
送達系の効率および/または安定性を改良することができる。
【0079】 6.3.3 脂質ナノスフェアキャリアーの構築 脂質ナノスフェアを、次のプロセスにより構築することができる。リン脂質の
メタノールまたはクロロホルムメタノール溶液を小さい試験管に加え、溶媒を窒
素気流により除去して脂質フィルムを残す。CMVの生理食塩水溶液をカチオン性
脂質のエタノール溶液と混合することによって、CMVの脂質親和性塩を作る。好
結果は、カチオン性種がCMVアニオン(リン酸塩)に対して約4倍モル過剰である
ときに得ることができる。脂質親和性CMV塩溶液を脂質フィルムに加え、静かに
ボルテックス攪拌し、続いてリン脂質と重量が等しい中性脂質の量を加える。CM
Vの濃度は、脂質の全量の約3%(w/w)までとすることができる。
【0080】 中性脂質の添加した後、該エマルジョンを、4℃で約1時間、明らかな分離の
徴候のない乳濁液が形成されるまで、超音波処理する。該懸濁液を最終直径が約
50nmに達するまで、ポリカーボネートフィルターを通して押し出す。標的細胞が
細網内皮性細胞であるとき、脂質ナノスフェアの好ましい直径は約100-200 nmで
ある。CMVを運ぶ脂質ナノスフェアは、その後洗浄し、製薬上許容される担体ま
たは組織培養培地中に置く。脂質ナノスフェアの容量は、約2.5mgCMV/500μlナ
ノスフェア懸濁液である。
【0081】 6.3.4 脂質小胞の構築 脂質のクロロホルムメタノール溶液を試験管に入れ、溶媒を窒素気流により除
去して、脂質フィルムを作る。CMVの生理食塩水溶液を加えて、CMVの量が脂質量
の20%と50%(w/w)の間でかつ水溶媒の量が最終混合物中の脂質量の約80%(w/w)で
あるようにする。リポソームを含有する液を静かにボルテックス攪拌した後、最
終直径約50nmに達するまで、連続的にさらに微細なポリカーボネートフィルター
膜を通過させる。逐次的にさらに微細なポリカーボネートフィルターを通過させ
ることにより多層リポソームは単層リポソーム、すなわち小胞に変換される。標
的細胞が細網内皮性細胞であるときは、脂質ナノスフェアの好ましい直径は約10
0-200nmである。CMVを運ぶ脂質ナノスフェアは、その後洗浄し、製薬上許容され
る担体または組織培養培地中に置く。
【0082】 CMVは小胞の水コア中に捕捉される。加えたCMVの約50%が捕捉される。
【0083】 基本的な方法の変法は、CMVリン酸塩当たり約4 PEIイミンの比でPEI/CMV縮合
物(condensate)を含有する水溶液の作製を含んでなる。該縮合物は、リポソーム
が正に帯電しているとき、すなわち、脂質小胞が、アニオン性脂質(DOPS等)のア
ニオン濃度より大きなカチオン性脂質(DOTAP、DOTMAまたはDOSPER等)のカチオ
ン濃度を含有するときに、特に有用である。脂質小胞の容量は脂質小胞懸濁液の
500μl当たり約150μgCMVである。
【0084】 好ましい実施様態においては、脂質小胞は、アニオン性リン脂質、DOPS、およ
びDOPEまたはDOPCのような中性脂質の混合物を含有する。脂質小胞を作るために
使うことができる他の負に帯電したリン脂質は、ジオレオイルホスファチジン酸
(DOPA)およびジオレイルホスファチジルグリセロール(DOPG)を含む。さらに
好ましい実施様態においては、中性脂質はDOPCであり、DOPS:DOPCの比は2:1と1
:2の間、好ましくは約1:1である。帯電した脂質が10%未満しか存在しないと、小
胞は融合して脂質小胞が不安定となるので、負に帯電した脂質の中性脂質に対す
る比は1:9より大きくあるべきである。
【0085】 トランスフェクトした標的細胞にいくつかの容易に検出可能な産物を発現する
長さ約5.0kbのプラスミドを用いて標的細胞集団をトランスフェクトする製剤を
使うことにより、特定の脂質小胞製剤を試験することができる。もしプラスミド
をPEIと約9〜4:1のイミン:リン酸塩比で縮合させると、該プラスミドを用いて
細胞をトランスフェクトするために脂質小胞を使うことができる。細胞をプラス
ミドを用いてトランスフェクトする脂質小胞製剤の容量は、CMVを細胞中に導入
して核変異(transmutation)を導入する製剤の能力を示す。
【0086】 ある特定の脂質、特にポリカチオン性脂質は、ある特定の細胞系および一次細
胞培養に毒性をもつことがある。脂質小胞の製剤はこのような毒性のある脂質を
避けるように調節しなければならない。
【0087】 クラスリン被覆膜孔受容体に対するリガンドは様々な方法により、脂質小胞に
導入することができる。ラクトセレブロシドまたはガラクトセレブロシドのよう
なセレブロシドを脂質混合物中に導入し、小胞中に取り込ませて、アシアロ糖タ
ンパク質受容体のためのリガンドを作製することができる。
【0088】 代わりの実施様態においては、脂質小胞はさらに、小胞の脂質二重層中に自身
を挿入する統合膜タンパク質を含んでなる。ある特定の実施様態においては、該
タンパク質は、二者択一的にセンダイウイルスまたは日本血球凝固ウイルス(He
magglutinating Virus of Japan)(HVJ)と名付けられたウイルスからの融合原
性(fusigenic)タンパク質(F-プロテイン)である。DNAを肝、心筋および内皮細
胞に導入するためのF-タンパク質含有脂質小胞の調製と使用は報じられている。
例えば、米国特許第5.683,866号、国際特許出願PCTJP97/ 00612(WO 97/31656と
して公開された)を参照すること。また、Ramani, K.ら, 1996, FEBS Letters 4
04, 164-168; Kaneda, Y.ら, 1989, J. Biol. Chem. 264, 121126-12129; Kaned
a, Y.ら, 1989, Science 243, 375; Dzau, V.J.ら, Proc. Natl. Acad, Sci. 93
, 11421-11425; Aoki, M.ら, 1997, J. Mol. Cardiol. 29, 949-959、も参照す
ること。
【0089】 6.4 製剤のin vivo使用 本発明のCMVは、非経口的に直接、標的器官に50と250μg/gmの間の用量で投与
することができる。標的器官が肝、筋または腎であるとき、CMV/巨大分子キャ
リアー複合体を該器官に直接、注射することができる。標的器官が肝であるとき
、循環を一時的に妨げて、肝の肝静脈または門脈中への静脈注射を使うことがで
きる。あるいは、CMV/巨大分子複合体はさらにラクトシルまたはガラクトシル
糖のような肝標的リガンドを含んでなり、静脈経由でCMV/巨大分子複合体の全
循環への投与を可能にすることができる。
【0090】 標的器官が肺またはその組織、例えば、細気管支上皮であるとき、CMV/巨大
分子複合体をエーロゾルにより投与することができる。リポソーム/DNA複合体
の小粒子エーロゾル送達は、シュワルツら(Schwarz L.A.ら, 1996, Human Gene
Therapy, 7731-741)に記載されている。
【0091】 例えば、フォン・ウィルブラント病(von Willebrand's Disease)におけるよ
うに標的器官が血管内皮であるとき、CMV/巨大分子複合体を全身循環中に直接
、送達することができる。リポソームを循環系内皮細胞を通して血管外遊出させ
る能力を有するリガンドを備えたリポソームの使用により、他の器官を標的にす
ることができる。
【0092】 酵素欠陥に対しては、患部組織細胞の約1%の遺伝子を修正することにより治療
効果を得ることができる。肝細胞のような実質細胞が長い生命を有する組織にお
いては、CMVによる治療を繰返し実施して増加した治療効果を得ることができる
【0093】7. 実施例 7.1 CMV/巨大分子キャリアー複合体 7.1.1 脂質ナノスフェアー 材料 卵ホスファチジルコリン(EPC)、DOTAPおよびガラクトセレブロシド(Gc) (Avan
ti Polar Lipids);ダイズ油(Sigma Chemical Co.);ジオクタデシルジアミドグ
リシルスペルミン(DOGSR) (Promega)。
【0094】方法 EPC、DOTAPおよびGcをあらかじめ所定の濃度でクロロホルムまたは無水メタノ
ールに溶かし、小さいガラス瓶に入れて、−20℃の乾燥した容器内で使用時まで
保存した。EPC(40-45mg)、DOTAP(200μg)およびGc(43μg)溶液を分割量に分けて
小さい10×75mmホウケイ酸管に入れ、窒素気流下で溶媒を除去した。CMVを0.15M
NaCl(80-125μg/250-300μl)で希釈し、DOGS(10mg/mlのエタノール溶液)を、加
えたCMVの重量の3-5倍の250-300μlの0.15M NaClで希釈した。二つの溶液をボル
テックスミキサーで穏やかに撹拌して内容物を混合した後、CMV溶液をDOGS溶液
にゆっくりと加えた。管に静かに栓をして2、3回上下逆さにすることによって内
容物を混合した。DOGS-複合体溶液を乾燥した脂質、次いでダイズ油(40-45mg)に
加え、混合物をボルテックスミキサーにより高速で2、3秒撹拌して、4℃に室
温が調節された室内で1時間、FS-15(Fisher Scientific)音波処理槽で音波処理
した。時々、管を槽から出してボルテックスミキサーで混合した。均一な外観の
乳状の懸濁液が形成されたら(油滴の分離が見られない)、孔径50nmまでの一連
のポリカーボネート膜を通してこれを押し出した。調製物は使用時まで4℃で保
存し、使用前にボルテックスミキサーで混合した。
【0095】 7.1.2 マイナスに荷電した標的脂質小胞 材料 ジオレオイルホスファチジルコリン(DOPC)、ジオレオイルホスファチジルセリ
ン(DOPS)、ガラクトセレブロシド(Gc)またはラクトシルセレブロシド、(Avanti
Polar Lipids)。
【0096】方法 DOPS、DOPCおよびGcを1:1:0.16のモル比で(脂質総量500μg)、クロロホルム:
メタノール(1:1 v/v)に溶解した後、窒素気流下で乾燥して均一な脂質薄膜を得
た。CMVを500μlの0.15M NaClで希釈した(およそ100-250μg/500μl)。この溶
液を室温で上記の脂質薄膜に加えた。ボルテックスミキサーによる穏やかな撹拌
と加温(37-42℃の水浴で)を交互に繰り返すことによって脂質を完全に分散さ
せた。均一な乳状の懸濁液が形成された後、LiposofastRミニ押出機を用いて一
連のポリカーボネート膜(孔径0.8、0.4、0.2、0.1および0.05μm)を通してこれ
を押し出した。押し出しはそれぞれの孔径について5から7回おこなった。調製
後、脂質小胞を4℃で使用時まで保存した。これらの条件下で、脂質小胞は少な
くとも1か月間は安定であった。最終生成物は凍結乾燥してもよい。
【0097】 7.1.3 中性の標的脂質小胞 材料 ジオレオイルホスファチジルコリン(DOPC)、ジオレオイルホスファチジルエタ
ノールアミン(DOPE)、ガラクトセレブロシド(Gc)またはラクトシルセレブロシド
、(Avanti Polar Lipids)。
【0098】方法 DOPC、DOPEおよびGc(モル比1:1:0.16)またはDOPC:Gc(1:0.08)をクロロホルム
:メタノール(1:1 v/v)に溶解した後、窒素気流下で乾燥して均一な脂質薄膜を
得た。オリゴヌクレオチド(またはキメラ分子)を500μlの0.15M NaClで希釈し
た(およそ100-250μg/500μl)。この溶液を室温で上記の脂質薄膜に加えた。ボ
ルテックスミキサーによる穏やかな撹拌および加温(37-42℃の水浴で)を繰り返
すことにより脂質を完全に分散させた。均一な乳状の懸濁液が形成された後、Li
posofastRミニ押出機を用いて一連のポリカーボネート膜(孔径0.8、0.4、0.2、
0.1および0.05μm)を通してこれを押し出した。押し出しはそれぞれの孔径につ
いて5から7回おこなった。調製後、脂質小胞を4℃で使用時まで保存した。こ
の調製物のサイズの脂質小胞は約5日間安定であった。
【0099】 7.1.4 プラスに荷電した標的脂質小胞 材料 ジオレオイルホスファチジルコリン(DOPC)、ジオレオイルトリメチルアンモニ
ウムプロパン(DOTAP)、ガラクトセレブロシド(Gc)またはラクトシルセレブロシ
ド、(Avanti Polar Lipids)。ポリエチレンイミン(PEI) (分子量800Kd)、Fluka
Chemicals。
【0100】方法 DOPC、DOTAPおよびGc(モル比6:1:0.56) (脂質総量500μg)をクロロホルム:メ
タノール(1:1 v/v)に溶解した後、窒素気流下で乾燥して均一な脂質薄膜を得た
。PEIを水を用いて45mg/100mlの濃度に希釈した。溶液のpHをHClを用いて約7.6
に調節した。このPEI保存溶液は毎回新しく調製し、これはおよそ50nmolアミン/
μlと当量であった。CMVを0.15M NaClで希釈して、250μl中に約125μgの濃度と
なるようにした。PEIをさらに250μlの0.15M NaClで希釈して、オリゴヌクレオ
チド/キメラリン酸1モルあたりおよそ4モルのPEIアミンが存在するようにした
。PEI溶液をCMV溶液に滴下して(どちらも室温で)、5-10分間ボルテックスミキ
サーで撹拌した。次いで、PEI複合体溶液を脂質薄膜に加えて、上記の方法で脂
質を分散した。均一な乳状の懸濁液が形成された後、LiposofastRミニ押出機を
用いて一連のポリカーボネート膜(孔径0.8、0.4、0.2、0.1および0.05μm)を通
してこれを押し出した。押し出しはそれぞれの孔径について5から7回おこなっ
た。調製後、脂質小胞を4℃で使用時まで保存した。これらの条件下で脂質小胞
は少なくとも1か月間安定である。より長期で改善された安定性を得るために、
最終生成物を凍結乾燥してもよい。
【0101】 7.1.5 ラクトシル化PEI/PEI複合体 PEI(25kDa)は、Aldrich Chemical(Milwaukee、WI)より購入した。PEI(800kDa)
は、Fluka Chemicals(Ronkonkoma、NY、USA)より購入した。PEIのラクトシル化
は、先に記載されたオリゴ糖のタンパク質へのコンジュゲーションの方法を修正
しておこなった。簡単に述べると、PEI(0.1から1.2Mモノマー)を酢酸アンモニウ
ム(0.2M)またはTris緩衝液(0.2M) (pH7.6)に溶かした溶液3から5mlに、7から8mg
のシアノ水素化ホウ素ナトリウム(Sigma Chemical Co., St.Louis, MO)および約
30mgのラクトース一水和物(Sigma Chemical Co., St.Louis, MO)を加えてインキ
ュベートした。反応は、堅く栓をしたポリプロピレン管の中で、37℃の振とう水
浴中でおこなった。10日後、反応混合物を蒸留水(500ml)で透析した。透析は水
を1〜2回替えて48時間おこなった。精製された複合体を0.2μmのフィルターで
無菌濾過して、4℃で保存した。PEIと結合した糖(ガラクトースとして)の量を
フェノール-硫酸法によって決定した。
【0102】 ラクトシル化PEI中の遊離アミン(一次および二次)のモル数を以下のように
して決定した。PEIの0.02M保存溶液を用いて標準曲線を作成した。保存溶液のい
くつかの分割量をガラス管に入れ、脱イオン水を用いて1mlに希釈した後、それ
ぞれの管に50μlのニンヒドリン試薬(Sigma Chemical Co., St.Louis, MO) を加
えてボルテックスミキサーで10秒間激しく撹拌した。室温で10から12分間発色反
応を進行させた後、Beckman DU-64分光計で485nmのO.D.を測定した(4分以内に
)。L-PEIサンプルの20から50μl分割量を上記のように処理して、標準曲線から
遊離アミンのモル数を決定した。ラクトシル化PEI(L-PEI)複合体は以下のように
して調製された。RNA/DNAリン酸mmolあたり1当量の、L-PEIとして3mmolのアミ
ンおよびPEIとして3mmolのアミンを混合し、必要ならば0.15M NaClで希釈した。
混合物をキメラ溶液に滴下して、ボルテックスミキサーで5分間撹拌した。
【0103】 キメラオリゴヌクレオチドとPEIまたはL-PEIとの完全な結合を証明するために
、複合化していないキメラおよび複合化したキメラのゲル分析(4% LMPアガロー
ス)をおこなった。キメラの複合化によってもたらされるヌクレアーゼによる分
解に対する保護の程度を決定するために、サンプルをRNアーゼおよびDNアーゼで
処理した。クロロホルムフェノールによる抽出後、ヘパリン(50ユニット/μg核
酸)を用いて複合体を分解し、生成物を4% LMPアガロースゲル上で分析した。
【0104】 7.2 PEI/CMVに仲介されるラットおよびヒトファクターIXの改変の証明 材料。 ウシ胎児血清はAtlanta Biologicals, Inc. (Atlanta, GA)より入手した
。ターミナルトランスフェラーゼ、フルオレセイン-12-dUTP、ExpandTM高精度PC
Rシステム、dNTPおよび高純度PCR鋳型調製キットはBoehringer Mannheim Corp.(
Indianapolis, IN)より入手した。ReflectionTM NEF-496オートラジオグラフィ
ーフィルムおよびReflectionTM NEF-491増感スクリーンは、DuPont NENR Resear
ch Products(Boston, MA)より入手した。ポリエチレンイミン(PEI)800kDaは、Fl
uka Chemical Corp. (Ronkonkoma, NY)より入手した。[γ-32P]ATPは、ICN Bioc
hemicals, Inc.(Costa Mesa, CA)より入手した。pCRTM2.1は、Invitrogen(San D
iego, CA)より入手した。OPTIMEMTM、Dulbeccoの改変Eagle培地、WilliamのE培
地およびオリゴヌクレオチド365-Aおよび365-CはLife Technologies, Inc. (Gai
thersburg, MD)より入手した。30,000モル重量カットオフのスピンフィルターは
Millipore Corp. (Bedford, MA)より購入した。DilおよびSlowFadeTMアンチフェ
ード(antifade)封入剤は、Molecular Probes, Inc.(Eugene, OR)より入手した。
T4ポリヌクレオチドキナーゼはNew England Biolabs, Inc. (Beverly, MA)より
購入した。MSI MagnaGraph膜は、Micron Separations, Inc. (Westboro, MA)よ
り購入した。PCR増幅に用いたプライマーはOligos Etc, Inc. (Wilsonville, OR
)より入手した。塩化テトラメチルアンモニウムは、Sigma Chemical Company(St
.Louis, MO)より購入した。他のすべての化学物質は分子生物学または試薬等級
であり、Aldrich Chenical Company(Milwaukee, WI)、Curtin Matheson Scienti
fic, Inc. (Eden Prairie, MN)、およびFisher Scientific(Itasca, IL)より購
入した。
【0105】オリゴヌクレオチド合成。 キメラRNA/DNAオリゴヌクレオチドHIXF、RIXFおよびR
IXRを合成した。 ABI 394合成機を用いて、DNAおよび2'-O-メチルRNAホスホラミ
ダイトヌクレオシドモノマーからCMVを調製した。DNAホスホラミダイトの環外ア
ミン基を、ベンゾイル(アデノシンおよびシチジン)およびイソブチリル(グア
ノシン)によって保護した。2'-O-メチルRNAホスホラミダイト上の保護基は、ア
デノシンに対してはフェノキシアセチル、シチジンに対してはイソブチリル、グ
アノシンに対してはジメチルホルムアミドであった。合成後に、塩基保護基をエ
タノール/濃水酸化アンモニウム中、55℃で20時間加熱することによってはずし
た。粗オリゴヌクレオチドを7M尿素を含む15%ポリアクリルアミドゲル上で電気
分解し、UVシャドウイングを用いてDNAを可視化した。キメラ分子をゲル切片か
ら溶出し、沈殿によって濃縮し、G-25スピンカラムを用いて脱塩した。精製され
たオリゴヌクレオチドの95%以上が完全な長さを有していた。
【0106】 野生型および「変異体」ラットファクターIXの配列は以下の通りである。
【0107】 RIXR、RIXFおよびHIXR CMVの構造は以下の通りである。
【0108】 キメラオリゴヌクレオチド 大文字はデオキシリボヌクレオチドで、小文字は2'OMe-リボヌクレオチドであ
る。非相同領域のヌクレオチドに下線を引いた。
【0109】細胞培養、トランスフェクションおよび肝細胞の単離。 HuH-7細胞を、10%(v/v)
熱不活性化ウシ胎児血清を含むDulbeccoの改変Eagle培地で、37℃の加湿したCO2 雰囲気下で培養した。トランスフェクションの24時間前に、35mm培養皿あたり1
×105の細胞を塗布した。トランスフェクションの時に、細胞をOPTIMEMTM培地で
2回すすぎ、1mlの同じ培地の中でトランスフェクションをおこなった。トラン
スフェクションの18時間後に20%(v/v)熱不活性化ウシ胎児血清を含むDulbeccoの
改変Eagle培地2mlをそれぞれの35mm培養皿に加えて、さらに30時間細胞を培養し
た後にDNA単離のために細胞を収集した。PEI(800kDa)の10mM保存溶液、pH7.0を
調製した。簡単に述べると、キメラリン酸あたり9当量のPEI窒素となる10mM PE
Iを、最終濃度が150nM(4μg)、300nM(8μg)および450nM(12μg)のいずれかにな
るように100μlの0.15M NaCl中に溶かしたものによって、キメラオリゴヌクレオ
チドをトランスフェクトした。18時間後にさらに2mlの培地を加えてキメラ濃度
をそれぞれ50nM、100nM、および150nMに減少させて、さらに30時間培養した。 H
uH-7賦形剤対照トランスフェクションには、HuIXFトランスフェクションに用い
られたものと同じ量のPEIを利用したが、オリゴヌクレオチドを同じ体積の10mM
トリス-HCl pH7.6に代えた。
【0110】 250gの雄Sprague-Dawleyラット(Harlan Sprague-Dawley, Inc., Indianapolis
, IN)から、先に記載された2段階のコラゲナーゼ潅流(Fanら、Oncogene 12:190
9-1919、1996、この文献を参照により本明細書に組み入れる)によって一次ラッ
ト肝細胞を単離して、PrimariaTMプレートに、35mm培養皿あたり4×105細胞の密
度で塗布した。培養物を、10%熱不活性化FBS、26mM炭酸水素ナトリウム、23mM H
EPES、0.01U/mlインシュリン、2mM L-グルタミン、10nMデキサメタゾン、5.5mM
グルコース、100U/mlペニシリンおよび100U/mlストレプトマイシンを補足したWi
lliamのE培地で培養した。塗布の24時間後に、肝細胞を同じ培地で2回洗浄し、
1mlの新しい培地を加えて、HuH-7細胞と同じ濃度のPEI/キメラオリゴヌクレオチ
ド複合体を用いて細胞をトランスフェクトした。18時間後、さらに2mlの培地を
加えて、その6または30時間後に細胞を収集した。
【0111】キメラオリゴヌクレオチドの肝臓への直接注入。 雄のSprague-Dawleyラット(175
g)を標準的な12時間明暗サイクルで飼育し、標準的な研究室用飼料を随意に与え
た。上記ラットを麻酔して、中央線を切開して肝臓を露出させた。鉗子を肝静脈
および門脈のこれらが尾状葉に入る位置に置き、75μgの1:9キメラ/PEI複合体を
最終的な体積が250-300μlとなるように尾状葉に直接注入した。尾状葉を15分間
結紮したままにしておいた後、鉗子を取り除くことによって血流を復活させた。
切開を縫合した後、動物を麻酔から覚まし、餌と水を随意に与えた。同じ体積の
Tris-HCl pH7.6をキメラオリゴヌクレオチドと置き換えることによって、賦形剤
による対照実験をおこなった。注入の24および48時間後に、動物を殺して尾状葉
を取りだし、注入部位周辺の組織を切り取ってDNAの単離に用いた。DNAを単離し
、ラットファクターIX遺伝子の末端エキソンをPCRによって増幅した。
【0112】キメラ分子の核への取り込み。 キメラ重複部位の3'末端を、末端トランスフェラ
ーゼおよびフルオレセイン-12-dUTPを製造者の指示に従って用いて標識した後、
標識していないオリゴヌクレオチドと2:3の比で混合した。上記の方法でトラン
スフェクションをおこない、24時間後に細胞を4%パラホルムアルデヒド(w/v)を
含むpH7.4のリン酸緩衝生理食塩水に、室温で10分間固定した。固定後、Dilを0.
32Mスクロースに溶かして5μMとした溶液を用いて、製造者の指示に従って細胞
を10分間対比染色した。0.32Mスクロース、次いでpH7.4のリン酸緩衝生理食塩水
で洗浄した後、SlowFadeTMアンチフェード(antifade)封入剤をリン酸緩衝生理食
塩水に溶かしたものを用いて細胞にカバーグラスを載せ、MRC1000共焦点顕微鏡(
BioRad, Inc., Hercules, CA)を用いて検査した。本来の位置の肝臓の尾状葉に
、上記の方法で蛍光標識したキメラを注入し、注入の24時間後に取り出した。葉
を縦方向に二等分し、OCTを用いて包理して凍結した。凍結切片を厚さ約10μmに
切り、4%パラホルムアルデヒド(w/v)を含むpH7.4のリン酸緩衝生理食塩水を用い
て室温で10分間固定した。固定後、Dilを0.32Mスクロースに溶かして5μMとし
た溶液を用いて製造者の指示に従って細胞を10分間対比染色した。0.32Mスクロ
ース、次いでpH7.4のリン酸緩衝生理食塩水で洗浄した後、SlowFadeTMアンチフ
ェード封入剤を用いて切片にカバーグラスを載せ、MRC1000共焦点顕微鏡(BioRad
, Inc.)を用いて検査した。核にキメラが存在することを証明するために、一連
の固定した細胞および組織切片を1μmごとに作った。
【0113】DNAの単離およびクローニング。 トランスフェクションの24および48時間後に細
胞をこすって収集した。高純度PCR鋳型調製キットを製造者の指示に従って用い
て、100-150塩基対よりも大きいゲノムDNAを単離した。500ngの単離したDNAを用
いて、ヒト肝臓ファクターIX遺伝子中の第8エキソンの317-nt断片のPCR増幅を
おこなった。用いたプライマーは、5'-CATTGCTGACAAGGAATACACGAAC-3'(配列番
号34)および、5'-ATTTGCCTTTCATTGCACACTCTTC-3'(配列番号35)で、それぞれ
ヒトファクターIX cDNAのヌクレオチド1008-1032および1300-1324に対応する。
プライマーを58℃で20秒間アニールし、伸長は72℃で45秒間、変性は94℃で45秒
間実施した。サンプルをExpand Hi-fidelityTMポリメラーゼを用いて30サイクル
増幅した。ラットファクターIX遺伝子の374-nt断片のPCR増幅を、一次肝細胞ま
たは肝臓尾状葉のいずれかから単離された500ngのDNAを用いておこなった。用い
たプライマーは、5'-ATTGCCTTGCTGGAACTGGATAAC-3'(配列番号36)および5'-TTG
CCTTTCATTGCACATTCTTCAC-3'(配列番号37)で、それぞれラットファクターIX cD
NAのヌクレオチド433-457および782-806に対応する。プライマーを59℃で20秒間
アニールし、伸長は72℃で45秒間、変性は94℃で45秒間実施した。サンプルをEx
pand Hi-fidelityTMポリメラーゼを用いて30サイクル増幅した。ヒトおよびラッ
ト両方のファクターIX遺伝子からのPCR増幅生成物をTAクローニングベクターpCR TM 2.1に製造者の指示に従ってサブクローニングし、結合した材料を、凍結した
応答能のある大腸菌(Escherichia coli)を形質転換するために用いた。
【0114】コロニーハイブリダイゼーションおよびシークエンシング。 塗布の18から20時間
後に、コロニーをMSI MagnaGraph ナイロンフィルター上に持ち上げ、製造者の
指示に従って複製およびハイブリダイゼーションのための処理をおこなった。フ
ィルターを、17-マー、オリゴヌクレオチドプローブ365-A(5'-AAGGAGATAGTGGGGG
A-3')(配列番号38)または365-C(5'-AAGGAGATCGTGGGGGA-3')(配列番号39)(ここ
で下線を引いたヌクレオチドは変異誘発の標的である)を用いて24時間ハイブリ
ダイズした。 [γ-32]ATP(>7,000Ci/mmol)およびT4ポリヌクレオチドキナーゼ
を製造者の指示に従って用いて、プローブを32P末端標識した。1%SDS、5X Denha
rdt'sおよび200μg/ml変性音波処理魚精子DNAを含む2X塩化ナトリウムクエン酸
ナトリウム中、37℃でハイブリダイゼーションをおこなった。ハイブリダイゼー
ション後、フィルターを1X塩化ナトリウムリン酸EDTA、0.5%SDSですすぎ、次い
で3M塩化テトラメチルアンモニウム、2mM EDTA、pH8.0、0.1%SDSを含む50mMの T
ris-HCl、pH8.0中で54℃で1時間洗浄した。NENR Reflectionフィルムにより、
増感スクリーンを用いて-70℃でオートラジオグラフィーをおこなった。Qiagen
minprep kit(Chatsworth, CA)を用いて、365-Aまたは365-Cとハイブリダイズし
たと同定されたコロニーからプラスミドDNAを調製し、mp13逆プライマーを用い
て、ABI 370Aシークエンサー(Perkin-Elmer, Corp., Foster City, CA)で自動シ
ークエンシングをおこなった。
【0115】in vivoの結果 キメラオリゴヌクレオチドを蛍光標識したものを用いて、肝臓の尾状葉への直
接注入が実用可能かどうかを決定した。結果は、尾状葉内の注入部位に隣接する
肝細胞において、単離された一次肝細胞およびHuH-7細胞で観察されるものと同
様の蛍光標識されたキメラ分子の取り込みが見られることを示していた。細胞中
にいくつかの斑点状に物質が存在したが、標識された物質は主として核に検出さ
れた。実際に、注入部位から最も離れた肝細胞においては核のみが標識されてい
ることが観察された。標識されていないPEI/RIXFキメラ複合体および賦形剤対照
を同様のプロトコールを用いて尾状葉に直接注入し、注入の24および48時間後に
動物を殺した。方法の項に記載したように肝臓DNAを単離して、標的となるnt交
換部位を含む374nt配列のPCR増幅をおこなった。サブクローニングおよび大腸菌
(Escherichia coli)のPCR増幅物質での形質転換に続いて、形質転換したコロニ
ーの複製フィルターリフトをおこなった。フィルターを、365-A(野生型)また
は365-C(ファクターIX変異)のいずれかに特異的な32P-標識17-マー、オリゴヌ
クレオチドとハイブリダイズして、方法の項に記載されたようにハイブリダイゼ
ーション後の処理をおこなった。RIXFキメラ分子を肝臓に直接注入されたラット
は、24および48時間の両方で1%のA-C変換頻度を示した。これに対して、賦形剤
対照では365-Cプローブとのハイブリダイゼーションは見られなかった。RIXF処
理した動物から得られた365-Cプローブとハイブリダイズしたコロニーを培養し
、プラスミドDNAを単離して、A→C変換を立証するためにシークエンシングをお
こなった。増幅された374-nt断片の末端はプライマーと正確に一致し、観察され
た唯一のヌクレオチドの変化は標的交換部位のA→Cであった。
【0116】 7.3 ラット第IX因子のラクトシル化PEI/CMV媒介改変の立証 7.3.1 結果 上記6.1.5の節に記載したようにして、RIXRオリゴヌクレオチドを使用してラ
クトシル化PEI及びPEIの混合物に複合化したCMVを調製した。また第IX因子の同
じ領域の相補鎖に対するCMVも構築した(RIXRC)。
【0117】キメラオリゴヌクレオチドによるSer365における標的ヌクレオチドの変換 蛍光標識キメラ分子の核局在化により、単離されたラット肝細胞中の効率的な
トランスフェクションが示された。その後、800kDa PEIをキャリアとして使用し
て同等な濃度の非標識キメラ分子因子RIXRC及びRIXRにより培養肝細胞をトラン
スフェクトした。さらに、ビヒクル対照トランスフェクションを同時に行った。
トランスフェクションの48時間後、細胞を回収し、6.1.5の節に記載したように
してDNAを単離し、ハイブリダイゼーション用に処理した。Ser365におけるA→C
標的ヌクレオチド変換は、第IX因子遺伝子のエクソン8のPCR増幅及びクローン化
374-nt配列の2つのコロニーリフトのハイブリダイゼーションにより判定した(Sa
rkar, B. Koeberl, D.D. & Somer, S.S., “Direct Sequencing of the activat
ion peptide and the catalytic domain of the factor IX gene in six specie
s,” Genomics, 6, 133-143, 1990)。野性型365-Aと変換365-Cとの間を区別する
のに使用した17量体オリゴヌクレオチドプローブ(5’-AAGGAGATAGTGGGGGA-3’(
配列番号40)及び5’- AAGGAGATCGTGGGGGA-3’(配列番号41))は、前記cDNA配列の
ヌクレオチド710〜726に対応する。
【0118】 標的ヌクレオチドの変換の全体的な頻度は、365-Cオリゴヌクレオチドとハイ
ブリダイズするクローンの数を両方のオリゴヌクレオチドプローブとハイブリダ
イズするクローンの合計数で除することにより計算した。結果はRIXRCについて
表IIIにまとめた。Ser365におけるA→C変換はRIXRまたはRIXRCによりトランスフ
ェクトされた一次肝細胞においてのみ見られた。RIXRまたはRIXRCによりトラン
スフェクトされた肝細胞において同様の変換頻度が見られた。ビヒクルによりト
ランスフェクトされた細胞及びその他のキメラオリゴヌクレオチドによりトラン
スフェクトされたものはいずれも365-Cオリゴヌクレオチドプローブとハイブリ
ダイズするクローンを生成しなかった(発表されていない所見)。さらに、未処理
肝細胞から単離され0.5〜1.5μgのオリゴヌクレオチドの存在下でPCR増幅された
DNAに由来するクローンに対しては365-Cオリゴヌクレオチドプローブはハイブリ
ダイゼーションを示さなかった。単離された肝細胞におけるA→C変換率は、6.1.
5の節に記載したようにラクトシル化PEI誘導体を使用すると用量依存的であり、
19%までの高さであった。並行してラクトシル化PEIによりトランスフェクトされ
た培養細胞から単離されたRNAのRT-PCR及びハイブリダイゼーション分析により
、11.9〜22.3%の範囲のA→C変換頻度が示された。
【0119】 未処置肝臓におけるキメラオリゴヌクレオチドによる部位指向的ヌクレオチド交
換 またフルオレセイン標識オリゴヌクレオチドを使用して、肝臓の尾状葉に直接
注射した後のキメラ分子の細胞取込みを判定した。その結果、尾状葉における注
射部位に隣接する肝細胞は、単離されたラット肝細胞に見られたものと同様の蛍
光標識キメラの取込みを見せたことが示された。肝細胞の細胞質にいくらかの点
状物質が存在していたが、核には標識物質が主として存在していた。実際に、注
射部位から最も遠い領域においては核の標識のみが観察された。その後、非標識
RIXRキメラオリゴヌクレオチド及びビヒクル対照を25kDa PEIの尾静脈注射によ
りin vivoで投与し、肝臓組織を注射5日後に回収した。肝臓DNAを単離し、一次
肝細胞とともに使用したものと同じプライマーを使用して、標的ヌクレオチド交
換部位にわたる374-nt配列のPCR増幅にかけた。サブクローニングとPCR増幅物質
による大腸菌の形質転換の後、形質転換コロニーの2つのフィルターによる釣り
上げ(lift)を行った。フィルターを、365-A(野性型)あるいは365-C(変異体)のい
ずれかに特異的な同じ32P-標識17量体オリゴヌクレオチドとハイブリダイズさせ
、ハイブリダイゼーション後の処理を行った。RIXRキメラオリゴヌクレオチドの
100μgで処理したラットは13.9%〜18.9%の範囲のA→C変換頻度を示したが、2回
の注射により合計350μgの投与を受けたものは40%の変換を示した。これに対し
、ビヒクル対照は365-Cプローブとハイブリダイゼーションを示さなかった。単
離されたRNAのRT-PCRハイブリダイゼーションでは高投与量肝臓において26.4%〜
28.4%のA→C変換頻度が示された。ビヒクル処理ラットのAPTTは対照値(131.84%
±32.89%)の89.7%〜181.9%の範囲であり、一方オリゴヌクレオチド処理動物のAP
TTは48.9%〜61.7%(53.8%±4.8%)の範囲であった。
【0120】 Hepesバッファー(50 mM Hepes/100 mM NaCl/0.02% NaN3, pH 7.4)中のラット
試験血漿の1/10希釈物のAPTT時間を、正常動物(n=9)及び2回注射動物(n=3)の両
方について測定した。2つずつのサンプルについて、6〜8週齢の12匹の正常雄性
ラットからのプールされた血漿の希釈物(1:10〜1:80)についてのAPTTの結果から
作成した対数-対数標準曲線から第IX因子活性を求めた。正常ラットのAPTTの結
果は対照値(平均=131.84%±32.89%)の89.7%〜181.9%の範囲であり、一方、2回注
射動物のAPTTの結果は49.0%〜61.7%(平均53.8%±5.8%)であった。正常ラットの
秒で表したAPTT凝集時間は60.9秒〜81.6秒の範囲(平均=71.3秒±7.3秒)であり、
一方、2回注射ラットのAPTT時間は92.3秒〜98.6秒(平均=96.3±2.9秒)であった
【0121】単離肝細胞及び未処置肝臓における変異第IX因子遺伝子の配列分析 野性型及び変異遺伝子の直接の配列決定を行い、in vitro及びin vivoでの研
究におけるフィルターハイブリダイゼーションからの結果を確認した。未処置肝
臓及び単離肝細胞からの365-Aまたは365-Cのいずれかにハイブリダイズする少な
くとも10個の別々のクローンを分析した。配列決定の結果によれば、365-Aにハ
イブリダイズするコロニー(図6上)は野性型IX配列、すなわち報告されているcDN
A配列のSer365においてAを示した。これに対し、365-Cオリゴヌクレオチドプロ
ーブにハイブリダイズする因子RIXRCトランスフェクト一次肝細胞から得たコロ
ニーはSer365においてCに変換されていた。Ser365における同じA→C変換が、17
量体365-Cオリゴヌクレオチドプローブとハイブリダイズするトランスフェクト
ラット肝臓から得られたクローンに見られた。第IX因子遺伝子の374-nt PCR増幅
領域の全体を全てのクローンについて配列決定したところ、Ser365における示し
た変化以外の変化は検出されなかった。さらに、一次肝細胞及び未処置肝臓の両
方から得られた374-nt PCR増幅ゲノムDNAの開始点及び終末点は、増幅工程に使
用したプライマーのものに完全に一致しており、クローン化し配列決定したDNA
は非分解キメラオリゴヌクレオチドではなくゲノムDNAから得られたものである
ことが示された。
【0122】
【表1】 7.3.2 材料及び方法 キメラオリゴヌクレオチドのin vivoデリバリー 雄性Sprague-Dawleyラット(Harlan Sprague-Dawley, Inc.)(-50 g)を標準的な
12時間の明暗サイクル下、標準的な実験用飼料を自由摂取させて飼育した。ビヒ
クル対照及びキメラリン酸あたり6当量のPEI窒素の比率のラクトシル化25 kDa P
EIを300μlの5%デキストロース中のものとして投与した(Abdallah, B. et al.,
“A powerful nonviral vector for in vivo gene transfer into the adult ma
mmalian brain: polyethylenimine, Human Gene Therapy, 7, 1947-1954, 1996)
。アリコートを100μgの単回投与量または150μgもしくは200μgの分割投与量で
尾静脈注射により毎日投与した。注射の5日後、肝臓組織を切除し、DNA及びRNA
を単離した。DNAは前記のように単離し(Kren, B.T., Trembley, J.H & Steer, C
.J. “Alterations in mRNA stability during rat liver regeneration,” Am.
J. Physiol., 270, G763-G777, 1996)、ラット第IX因子遺伝子のエクソン8のPC
R増幅を行った。RNAを単離し、RNAexol及びRNAmate(Intermountain Scientific
Corp., Kaysville, UT)を使用し、製造者によるプロトコールに従って、ゲノムD
NAと同じ領域のRT-PCR増幅を行った。
【0123】第IX因子活性アッセイ 0.105 Mクエン酸ナトリウム/クエン酸中0.1容量の2回目の尾静脈注射の20日後
、ビヒクル処理ラット(n=9)及びオリゴヌクレオチド処理ラット(n=3)から血液サ
ンプルを採取した。2,500 x g、次いで15,000 x gで遠心分離した後、得られた
血漿を-70℃で貯蔵した。活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)アッセイに
より第IX因子活性を測定した。簡単に説明すると、50μlのAPTT試薬(DADE, Miam
i, FL)、50μlのヒト第IX因子欠損血漿(George King Biomedical, Overland, KS
)及び50μlのHepesバッファー(50 mM Hepes/100 mM NaCl/0.02% NaN3, pH 7.4)
中のラット試験血漿の1/10希釈物をST4凝集計(American Bioproducts, Parsippa
ny, NJ)中37℃で3分間インキュベートした。Hepesバッファー中の33 mM CaCl2
50μlを加えることにより凝集を開始させた。2つずつのサンプルについて、正常
雄性ラット(n=12)からのプールされた血漿の希釈物(1:10〜1:80)についてのAPTT
の結果から作成した対数-対数標準曲線より第IX因子活性を求めた。
【0124】DNA/RNA単離及びクローニング トランスフェクションの48時間後、細胞を廃棄することにより回収した。高純
度PCR鋳型調製物キット(Boehringer Mannheim, Corp., Indianapolis, IN)を使
用して100〜150塩基対よりも大きいゲノムDNAを単離した。RNAは、RNAzolTM B(T
el-Test, Inc., Friendswood, TX)を使用し、製造者のプロトコールに従って単
離した。ラット第IX因子遺伝子の374-nt断片のPCR増幅は、一次肝細胞または肝
臓組織からの単離されたDNAの300 ngにより行った。プライマーは、5’-ATTGCCT
TGCTGGAACTGGATAAAC-3’(配列番号42)及び5’-TTGCCTTTCATTGCACATTCTTCAC-3’(
配列番号43)(Oligos Etc., Wilsonville, OR)として設計し、これらはラット第I
X因子cDNAのヌクレオチド433-457及び782-806にそれぞれ相当する。プライマー
を59℃で20秒間アニールし、延長を72℃で45秒間行い、変性を94℃で45秒間行っ
た。Expand Hi-fidelityTMポリメラーゼ(Boehringer Mannheim, Corp)を使用し
てサンプルを30サイクル増幅した。肝細胞及び未処置肝臓第IX因子遺伝子の両者
からのPCR増幅産物をTAクローニングベクターpCRTM 2.1(Invitrogen, San Diego
, CA)にサブクローニングし、結合物質を使用して凍結コンピテント大腸菌を形
質転換した。PCRアーチファクトを排除するため、PCR増幅反応に先立って0.5、1
.0及び1.5μgのオリゴヌクレオチドと300 ngの対照DNAをインキュベートした。
さらに、1.0 μgのキメラのみを「鋳型」としてPCR増幅に使用した。
【0125】 RT-PCR増幅はTitianTM単一管RT-PCRシステム(Boehringer Mannheim, Corp.)を
使用して行った。DNA PCR増幅に使用したものと同じプライマーを使用して製造
者のプロトコールに従った。DNA汚染物を排除するために、RNAサンプルをRQ1 DN
アーゼフリーRNアーゼ(Promega Corp., Madison, WI)で処理し、RNアーゼ処理RN
AサンプルのRT-PCR陰性対照を前記RT-PCR反応と並行して行った。PCR反応物のそ
れぞれを同じTAクローニングベクターに結合し、凍結コンピテント大腸菌に形質
転換した。
【0126】コロニーハイブリダイゼーション及び配列決定 プレートに塗布した18〜20時間後、MSI MagnaGraphナイロンフィルター上にコ
ロニーを釣り上げ、製造者が推奨するようにしてレプリカし、ハイブリダイゼー
ション用に処理した。フィルターを17量体オリゴヌクレオチドプローブ365-A (5
’-AAGGAGATAGTGGGGGA-3’)(配列番号44)または365-C(5’-AAGGAGATCGTGGGGGA-3
’)(配列番号45)(Life technologies, Inc., Gaithersburg, MD)と24時間ハイブ
リダイズさせた。下線を付したヌクレオチドは変異誘発の標的である。プローブ
は、(γ-32P)ATP(>7,000 Ci/mmol)及びT4ポリヌクレオチドキナーゼ(New Englan
d Biolabs, Inc., Beverly MA)を使用して32P-末端標識した。1% SDS、5 X デン
ハート及び200μg/ml変性超音波処理魚精子DNAを含む2X塩化ナトリウムクエン酸
ナトリウム中、37℃でハイブリダイゼーションを行った。ハイブリダイゼーショ
ンの後、フィルターを1X塩化ナトリウムリン酸ナトリウムEDTA、0.5% SDS中でリ
ンスし、その後3 M塩化テトラメチルアンモニウム、2 mM EDTA、pH 8.0、0.1% S
DSを含む50 mMトリス-HCl、pH 8.0中、54℃で1時間洗浄した(Melchior, W.B. &
Von Hippel, P.H. “Alteration of the relative stability of dA.dT and dG.
dC base pairs in DNA,” Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 70, 298-302, 1973)。
増感スクリーンを使用して-70℃においてNEN(登録商標)Reflectionフィルムによ
りオートラジオグラフィーを行った。Qiagenミニプレップキット(Chatsworth, C
A)を使用して365-Aまたは365-Cとハイブリダイズするものとして同定されたコロ
ニーからプラスミドDNAを調製し、mp13フォワード及びリバーズプライマー並び
に遺伝子特異的プライマー、ラット第IX因子cDNAのヌクレオチド616〜638に対応
する5’-GTTGACCGAGCCACATGCCTTAG-3’(配列番号46)を使用し、ABI 370Aシーケ
ンサー(Perkin-Elmer, Corp., Foster City, CA)を使用して自動配列決定した。
【0127】 7.4 ヒトにおけるLDLレベル低下に有用なCMVの例 配列番号5の配列を含む配列を有するApo Bの修飾に適するCMVを下記に示す。
【0128】 Apo B 41/UR (mut→WT) (配列番号47) 配列番号12の配列を含む配列を有するApo Bの修飾に適するCMVを下記に示す。
【0129】 Apo B 5/U88 (mut→WT) (配列番号48) 7.5 GunnラットにおけるCRIGLER-NAJJAR様変異の修正 Gunnラットと呼ばれる高ビリルビン血症を有する変異ラットは、ビリルビン-
ウリジンジホスホグルクロネートグルクロノシルトランスフェラーゼをコードす
る遺伝子(UGT1A1)に単一のヌクレオチドの欠失を有する(Roy Chowdhury, J., et
al., 1991, J. Biol. Chem. 266, 18294)。Crigler-Najjar症候群I型を有する
ヒト患者もUGT1A1遺伝子に変異を有し、生涯にわたる高ビリルビン血症を生じ、
その結果脳障害を生じる(Bosma, P.J., et al., 1992, FASEB J. 6, 2859; Jans
en, P.L.M., et al., Progress in Liver Diseases, XIII, Boyer, J.L., & Ock
ner, R.K., editors (W.B. Saunders, Phil. 1995), pp125-150)。Gunnラット変
異を修正するために設計されたCMVであるCN3の構造を下記に示す。
【0130】 CN3 (mut→WT) (配列番号49) キャリアを、6.2.2の節の負に荷電したグリコシル化脂質ビヒクルまたはオリ
ゴヌクレオチドホスフェートのイミンに対する比を1:4としたラクトシル化PEIキ
ャリアとした以外は上記のプロトコールに従い、Gunnラット一次培養肝細胞を15
0 nM CN3により処理した。その結果、負に荷電したリポソームでは8.5%が変換さ
れ、ラクトシル化PEIキャリアでは3.6%が変換された。
【0131】 上記したように25 kDa Lac-PEIまたは負に荷電したGc脂質ビヒクル(Gc-NLV)と
複合化したCN3を1 mg/kgでGunnラットに注射した。第IX因子について記載した手
順に従ってクローニング及びハイブリダイゼーションを行うことにより遺伝子変
換率を測定した。下記に示す結果は、UGT1A1のコピーの約15%〜25%が変換された
ことを示している。
【0132】 上記のようにGunnラットに25 kDa Lac-PEIと複合化したCN3の1 mg/kgを5日間
連続して注射した。最後の注射の25日後、血清ビリルビンは6.2 mg/dlから3.5 m
g/dlに低下し、さらに25日間そのレベルにあった。
【0133】 7.6 イヌにおける第IX因子変異の修正 イヌのChapel Hill系統は(G→A)1477変異を有し、これはこの動物における血
友病を生じる。この系統を使用して一次培養肝細胞を得た。この変異を修正する
4種のCMVを合成した。
【0134】 DIX1 (mut→WT) (配列番号50) DIX2 (mut→WT) (配列番号51) DIX3 (mut→WT) (配列番号52) DIX4 (mut→WT) (配列番号53) DIX1は、2’-O-メチルRNAによる介在DNAセグメントの置換及びテトラウラシル
によるテトラチミジンリンカーの置換によりDIX3と異なっている。DIX4は、変異
ベクターが変異誘発領域にミスマッチを含むことにおいてDIX3と異なる。DIX4に
おいては、5’ストランド(下)は所望の(野性型)配列をコードし、3’ストランド
(上)は標的配列、すなわち変異配列を有する。
【0135】 肝細胞を、25 kDa Lac-PEIまたはガラクトセレブロシド含有水性コアの負に荷
電した脂質ビヒクル(Gc-NLV)に複合化した360 nM DIX1で処理した。結果を下記
表に示す。
【0136】 DIX2〜DIX4のそれぞれを上記のように一次培養イヌ肝細胞についても試験した
。その結果、DIX2はあまり機能せず、これはおそらく低い(25%)GCパーセンテー
ジによるものと考えられる。その後の実験においてDIX3の結果は約15%の変換を
示し、並行した実験においてDIX1は10%の変換を示し、DIX4はDIX1とほぼ同等の
結果を示した。
【0137】
【表2】
【表3】
【表4】
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、本発明において有用なCMVの1つの実施形態の概略図である。
【図2】 図2A〜2Cは、ヒトAPO E遺伝子のゲノム配列をエキソンの翻訳とともに示
す図である。イントロンは小文字で、エキソンは大文字で示す。
【図3】 図3A〜3Gは、ヒトAPO A1遺伝子の配列(配列番号59)を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61P 3/06 A61P 3/06 C07H 21/04 C07H 21/04 C12N 15/09 ZNA C12N 15/00 ZNAA (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SZ,UG,ZW),EA(AM ,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM) ,AL,AM,AU,BA,BB,BG,BR,CA, CN,CU,CZ,EE,GE,HU,IL,IS,J P,KP,KR,LC,LK,LR,LT,LV,MG ,MK,MN,MX,NO,NZ,PL,RO,SG, SI,SK,SL,TR,TT,UA,US,UZ,V N,YU (72)発明者 スティーア,クリフォード,ジェイ. アメリカ合衆国 55116−1339 ミネソタ 州、セント.ポール、パインハスルト ア ベニュー 1924 (72)発明者 クレン,ベスティ,ティー. アメリカ合衆国 55454 ミネソタ州、ミ ネアポリス,29 アベニュー エス.810 (72)発明者 バンディオパッド−ヒャイ,パラミタ,テ ィー. アメリカ合衆国 19067 ペンシルバニア 州,ヤードリー,コーナーストーン ドラ イブ 23208 (72)発明者 ロイ−チョードゥリー,ジャンタ アメリカ合衆国 10804−3435 ニューヨ ーク州,ニュー ロッチェル,ウッドホロ ー レーン 139 Fターム(参考) 4B024 AA01 BA65 CA01 DA03 EA02 GA13 HA01 HA17 4C057 MM01 4C076 AA61 AA65 BB13 CC21 DD63 DD68 EE25 EE41 EE53 4C084 AA13 NA14 ZC332 4C086 AA01 AA02 EA16 MA02 MA03 MA04 MA05 NA14 ZC33

Claims (52)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被験者の肝細胞のApo B遺伝子を改変することを含む被験者
    の血液中のLDLを低下させる方法であって、改変型Apo B遺伝子の転写産物がイン
    フレーム停止コドンを含み、その結果として該改変型遺伝子が1433個以上で3974
    個より少ないアミノ酸を有するタンパク質をコードするようにApo B遺伝子を改
    変する、上記方法。
  2. 【請求項2】 被験者のApo B遺伝子の改変がLDLレベルに及ぼす影響を調べ
    、続いて被験者の改変型Apo B遺伝子の数を調整するステップをさらに含む、請
    求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】 前記改変型遺伝子が1841個以上で2975個より少ないアミノ酸
    を有するタンパク質をコードする、請求項1記載の方法。
  4. 【請求項4】 前記改変型遺伝子が配列番号1の断片の配列を有するタンパ
    ク質をコードし、該断片が少なくともアミノ酸1-1841でアミノ酸1-2975より小さ
    い、請求項1〜3のいずれか1項記載の方法。
  5. 【請求項5】 配列番号2のヌクレオチド4342-11913から選択される少なく
    とも10ヌクレオ塩基の配列をそれぞれ有する第1および第2の相同領域を含む組
    換え原性オリゴヌクレオ塩基を投与することを含み、その結果としてApo B遺伝
    子の改変が生じる、請求項1〜4のいずれか1項記載の方法。
  6. 【請求項6】 被験者の絶食時のLDL血清コレステロールを140 mg/dl以下に
    低下させる、請求項1〜5のいずれか1項記載の方法。
  7. 【請求項7】 オリゴヌクレオ塩基を含むヒトApo B遺伝子を改変するため
    の組成物であって、該オリゴヌクレオ塩基が、 a. 第1および第2の相同領域であって、それぞれが少なくとも8ヌクレオ塩
    基長で、合わせて少なくとも20ヌクレオ塩基長であり、かつそれぞれが配列番号
    2のヌクレオチド5649-9051の配列の断片と相同である第1および第2の相同領
    域、および b. 第1および第2の相同領域間に配置された異種領域、 を含み、Apo B遺伝子への該異種領域の配列の導入が該遺伝子によりコードされ
    たタンパク質のトランケーションをもたらす、上記組成物。
  8. 【請求項8】 第1および第2の相同領域がそれぞれハイブリッド二本鎖の
    少なくとも3個連続したヌクレオ塩基対を含む、請求項7記載の組成物。
  9. 【請求項9】 第1および第2の相同領域の長さの合計が60ヌクレオ塩基長
    より少ない、請求項7または8記載の組成物。
  10. 【請求項10】 前記相同領域が合わせて9〜25ヌクレオ塩基対のハイブリ
    ッド二本鎖を含む、請求項7〜9のいずれか1項記載の組成物。
  11. 【請求項11】 前記相同領域のGC含量がそれぞれ少なくとも33%である、
    請求項7〜10のいずれか1項記載の組成物。
  12. 【請求項12】 前記相同領域のGC含量が少なくとも50%である、請求項7
    〜10のいずれか1項記載の組成物。
  13. 【請求項13】 前記オリゴヌクレオ塩基の配列が配列番号4〜21のいずれ
    か1つの少なくとも21ヌクレオ塩基断片の配列またはその相補配列を含む、請求
    項7〜10のいずれか1項記載の組成物。
  14. 【請求項14】 前記オリゴヌクレオ塩基の配列が配列番号4〜21のいずれ
    か1つの少なくとも25ヌクレオ塩基断片の配列またはその相補配列を含む、請求
    項7〜10のいずれか1項記載の組成物。
  15. 【請求項15】 さらに、 a. 水性担体、および b. i. 水性コアを有する脂質小胞であって、水性コアが前記オリゴヌクレオ
    塩基を含むもの、 ii. 前記オリゴヌクレオ塩基の脂質親和性塩を含む、脂質ナノスフェア、 iii.平均分子量が500ダルトン〜1.3Mdのポリカチオンであって、前記オリ
    ゴヌクレオ塩基と塩を形成するもの、 からなる群より選択される巨大分子キャリアー、 を含む、請求項7〜14のいずれか1項記載の組成物。
  16. 【請求項16】 巨大分子キャリアーがさらにクラスリン被覆膜孔受容体の
    リガンドを含む、請求項15記載の組成物。
  17. 【請求項17】 クラスリン被覆膜孔受容体がトランスフェリン、ニコチン
    酸、カルニチン、インスリンおよびインスリン様増殖因子-1の各受容体からなる
    群より選択される、請求項16記載の組成物。
  18. 【請求項18】 クラスリン被覆膜孔受容体がアシアロ糖タンパク質受容体
    である、請求項16記載の組成物。
  19. 【請求項19】 巨大分子キャリアーが負に荷電した水性コア脂質小胞であ
    る、請求項15〜18のいずれか1項記載の組成物。
  20. 【請求項20】 水性コア脂質小胞がさらにセレブロシドを含む、請求項1
    6〜18のいずれか1項記載の組成物。
  21. 【請求項21】 水性コア脂質小胞がジオレオイルホスファチジルコリンと
    ジオレオイルホスファチジルセリンを含む、請求項15〜20のいずれか1項記
    載の組成物。
  22. 【請求項22】 巨大分子キャリアーが融合原性Fタンパク質を含む水性コ
    ア脂質小胞である、請求項16、18、19および21のいずれか1項記載の組
    成物。
  23. 【請求項23】 前記オリゴヌクレオ塩基が、 a. 第1および第2の相同領域であって、合わせて16ヌクレオ塩基長以上で60
    ヌクレオ塩基長より少なく、かつ哺乳動物の標的遺伝子と相同である第1および
    第2の相同領域、および b. 第1および第2の相同領域間に配置されかつ1ヌクレオ塩基長以上で20ヌ
    クレオ塩基長より少ない異種領域であって、該標的遺伝子に対して異種でありか
    つ変異を含む異種領域、 を含む、請求項15〜22のいずれか1項記載の組成物。
  24. 【請求項24】 (Arg→Cys)112、(Arg→Cys)158および(Cys→Arg)158から
    なる群より選択される置換を導入することにより被験者の肝細胞のApo E遺伝子
    を改変することを含む、被験者の治療および/または予防方法。
  25. 【請求項25】 前記被験者がApo E4についてホモ接合性であり、前記改変
    が置換(Arg→Cys)112を含む、請求項24記載の方法。
  26. 【請求項26】 配列番号22からなる配列を有するキメラ突然変異ベクター
    を投与することを含む、請求項24または25記載の方法。
  27. 【請求項27】 前記治療または予防が被験者の絶食時の血清LDLコレステ
    ロールレベルを低下させることを含み、前記改変が置換(Arg→Cys)158を含む、
    請求項24記載の方法。
  28. 【請求項28】 配列番号23からなる配列を有するキメラ突然変異ベクター
    を投与することを含む、請求項24または27記載の方法。
  29. 【請求項29】 前記被験者がIII型高脂血症を患っており、前記改変が置
    換(Cys→Arg)158を含む、請求項24記載の方法。
  30. 【請求項30】 配列番号24からなる配列を有する組換え原性オリゴヌクレ
    オ塩基を投与することを含む、請求項24または29記載の方法。
  31. 【請求項31】 配列番号22〜25のいずれか1つの少なくとも21ヌクレオ塩
    基断片の配列またはその相補配列を有する組換え原性オリゴヌクレオ塩基を含む
    、ヒトApo E遺伝子を改変するための組成物。
  32. 【請求項32】 被験者の肝細胞のApo A1遺伝子を改変することを含む被験
    者のアテローム性動脈硬化を軽減する方法であって、改変されたApo A1タンパク
    質が二量体を形成するようにApo A1遺伝子を改変する、上記方法。
  33. 【請求項33】 被験者のApo A1遺伝子の改変がLDLレベルに与える影響を
    調べ、続いて被験者の改変型Apo A1遺伝子の数を調整するステップをさらに含む
    、請求項32記載の方法。
  34. 【請求項34】 前記改変型遺伝子が残基149、151、153、171および173か
    らなる群より選択される位置にアルギニンからシステインへの置換を有するタン
    パク質をコードする、請求項32記載の方法。
  35. 【請求項35】 配列番号54、55、56、57および58の少なくとも20ヌクレオ
    チドの配列を含む組換え原性オリゴヌクレオ塩基を投与することを含む、請求項
    34記載の方法。
  36. 【請求項36】 被験者に、 a) 前記組換え原性オリゴヌクレオ塩基、 b) 水性担体、および c) i. 水性コアを有する脂質小胞であって、水性コアが前記オリゴヌクレオ
    塩基を含むもの、 ii. 前記オリゴヌクレオ塩基の脂質親和性塩を含む、脂質ナノスフェア、 iii.平均分子量が500ダルトン〜1.3Mdのポリカチオンであって、前記オリ
    ゴヌクレオ塩基と塩を形成するもの、 からなる群より選択される巨大分子キャリアー、 を含む組成物を投与するステップを含む、請求項35記載の方法。
  37. 【請求項37】 巨大分子キャリアーが負に荷電した水性コア脂質小胞であ
    る、請求項36記載の方法。
  38. 【請求項38】 巨大分子キャリアーがさらにクラスリン被覆膜孔受容体の
    リガンドを含む、請求項36記載の方法。
  39. 【請求項39】 クラスリン被覆膜孔受容体がアシアロ糖タンパク質受容体
    である、請求項38記載の方法。
  40. 【請求項40】 被験者に、 a) 組換え原性オリゴヌクレオ塩基、 b) 水性担体、および c) (i) 水性コアを有する脂質小胞であって、水性コアが前記オリゴヌクレ
    オ塩基を含むもの、 (ii) 前記オリゴヌクレオ塩基の脂質親和性塩を含む、脂質ナノスフェア
    、 (iii) 平均分子量が500ダルトン〜1.3Mdのポリカチオンであって、前記オ
    リゴヌクレオ塩基と塩を形成するもの、 からなる群より選択される巨大分子キャリアー、 を含む組成物を投与することを含む、請求項32記載の方法。
  41. 【請求項41】 巨大分子キャリアーが負に荷電した水性コア脂質小胞であ
    る、請求項40記載の方法。
  42. 【請求項42】 巨大分子キャリアーがさらにクラスリン被覆膜孔受容体の
    リガンドを含む、請求項40記載の方法。
  43. 【請求項43】 クラスリン被覆膜孔受容体がアシアロ糖タンパク質受容体
    である、請求項42記載の方法。
  44. 【請求項44】 配列番号54、55、56、57および58からなる群より選択され
    る配列を有する断片からなる配列を含むオリゴヌクレオ塩基を含む、ヒトApo A1
    遺伝子を改変するための組成物。
  45. 【請求項45】 さらに、 a) 水性担体、および b) (i) 水性コアを有する脂質小胞であって、水性コアが前記オリゴヌクレ
    オ塩基を含むもの、 (ii) 前記オリゴヌクレオ塩基の脂質親和性塩を含む、脂質ナノスフェア
    、 (iii) 平均分子量が500ダルトン〜1.3Mdのポリカチオンであって、前記オ
    リゴヌクレオ塩基と塩を形成するもの、 からなる群より選択される巨大分子キャリアー、 を含む、請求項44記載の組成物。
  46. 【請求項46】 巨大分子キャリアーがさらにクラスリン被覆膜孔受容体の
    リガンドを含む、請求項45記載の組成物。
  47. 【請求項47】 クラスリン被覆膜孔受容体がトランスフェリン、ニコチン
    酸、カルニチン、インスリンおよびインスリン様増殖因子-1の各受容体からなる
    群より選択される、請求項46記載の組成物。
  48. 【請求項48】 クラスリン被覆膜孔受容体がアシアロ糖タンパク質受容体
    である、請求項46記載の組成物。
  49. 【請求項49】 巨大分子キャリアーが負に荷電した水性コア脂質小胞であ
    る、請求項45〜48のいずれか1項記載の組成物。
  50. 【請求項50】 水性コア脂質小胞がさらにセレブロシドを含む、請求項4
    6〜48のいずれか1項記載の組成物。
  51. 【請求項51】 水性コア脂質小胞がジオレオイルホスファチジルコリンと
    ジオレオイルホスファチジルセリンを含む、請求項45〜50のいずれか1項記
    載の組成物。
  52. 【請求項52】 巨大分子キャリアーが融合原性Fタンパク質を含む水性コ
    ア脂質小胞である、請求項46、48、49および51のいずれか1項記載の組
    成物。
JP2000531065A 1998-02-12 1998-08-28 高脂血症の遺伝子治療のための方法および化合物 Pending JP2002534353A (ja)

Applications Claiming Priority (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US7449798P 1998-02-12 1998-02-12
US60/074,497 1998-02-12
US09/108,006 US6524613B1 (en) 1997-04-30 1998-06-30 Hepatocellular chimeraplasty
US09/108,006 1998-06-30
PCT/US1998/017908 WO1999040789A1 (en) 1998-02-12 1998-08-28 Methods and compounds for the genetic treatment of hyperlipidemia

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2002534353A true JP2002534353A (ja) 2002-10-15

Family

ID=26755731

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000531065A Pending JP2002534353A (ja) 1998-02-12 1998-08-28 高脂血症の遺伝子治療のための方法および化合物

Country Status (8)

Country Link
US (1) US6524613B1 (ja)
EP (1) EP1054595A4 (ja)
JP (1) JP2002534353A (ja)
KR (1) KR20010034493A (ja)
CN (1) CN1299234A (ja)
AU (1) AU9295898A (ja)
CA (1) CA2320965A1 (ja)
WO (1) WO1999040789A1 (ja)

Families Citing this family (34)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6271360B1 (en) 1999-08-27 2001-08-07 Valigen (Us), Inc. Single-stranded oligodeoxynucleotide mutational vectors
AR025996A1 (es) * 1999-10-07 2002-12-26 Valigen Us Inc Plantas no transgenicas resistentes a los herbicidas.
FI111014B (fi) * 2000-07-03 2003-05-15 Atso Raasmaja Kationisten lipidien ja kationisten polymeerien synergiaan perustuva geenitransfektion menetelmä
US20040052840A1 (en) * 2000-06-20 2004-03-18 Shunichiro Kubota Preparations for oligonucleotide transfer
JP4081436B2 (ja) * 2001-06-20 2008-04-23 大日本住友製薬株式会社 核酸導入を促進させる方法
ES2421532T3 (es) * 2001-06-21 2013-09-03 Dynavax Tech Corp Compuestos inmunomoduladores quiméricos y métodos de uso de los mismos
US7785610B2 (en) 2001-06-21 2010-08-31 Dynavax Technologies Corporation Chimeric immunomodulatory compounds and methods of using the same—III
US20040034223A1 (en) * 2002-02-07 2004-02-19 Covalent Partners, Llc. Amphiphilic molecular modules and constructs based thereon
CN1646501A (zh) * 2002-02-07 2005-07-27 科瓦伦特合伙责任有限公司 纳米膜和薄膜组合物
US20040106741A1 (en) * 2002-09-17 2004-06-03 Kriesel Joshua W. Nanofilm compositions with polymeric components
JP2006248978A (ja) * 2005-03-10 2006-09-21 Mebiopharm Co Ltd 新規なリポソーム製剤
NZ704098A (en) 2006-01-12 2015-02-27 Incima Ipco B V Epsps mutants
UA107442C2 (uk) 2006-06-28 2015-01-12 Nucelis Inc Суміш жирних кислот та її застосування
WO2008017411A2 (en) * 2006-08-08 2008-02-14 Epigenomics Ag A method for methylation analysis of nucleic acid
EP3584325A1 (en) 2007-10-05 2019-12-25 Cibus Europe B.V. Mutated acetohydroxyacid synthase genes in brassica
KR20110023862A (ko) 2008-05-23 2011-03-08 시부스 오일즈, 엘엘씨 효모를 사용한 스쿠알렌 생산
EP2733212B1 (en) 2008-09-26 2018-09-05 BASF Agrochemical Products, B.V. Herbicide-resistant ahas-mutants and methods of use
US8153606B2 (en) * 2008-10-03 2012-04-10 Opko Curna, Llc Treatment of apolipoprotein-A1 related diseases by inhibition of natural antisense transcript to apolipoprotein-A1
ES2625154T3 (es) 2009-11-23 2017-07-18 Nucelis Llc Métodos y composiciones para producir escualeno empleando levaduras
US20120122223A1 (en) 2010-08-03 2012-05-17 Cibus Us Llc Mutated protoporphyrinogen ix oxidase (ppx) genes
UA112969C2 (uk) 2010-08-03 2016-11-25 Сібас Юс Ллс Рослина, стійка до одного або більше ррх-інгібуючих гербіцидів, яка містить мутантний ген протопорфіриноген ix оксидази (ррх)
EP2426204A1 (en) 2010-09-02 2012-03-07 Ludwig-Maximilians-Universität München Spontaneous nodule organogenesis in plants
WO2012028673A1 (en) 2010-09-02 2012-03-08 Ludwig-Maximilians-Universitaet Muenchen Spontaneous organogenesis in plants
US8962564B2 (en) 2010-11-08 2015-02-24 Amicus Therapeutics, Inc. Variant, recombinant beta-glucocerebrosidase proteins with increased stability and increased retained catalytic activity
US20130177629A1 (en) 2011-12-22 2013-07-11 Nuvo Research Gmbh Liposomal compositions
US20150209281A1 (en) 2012-07-18 2015-07-30 Onyx Therapeutics, Inc. Liposomal compositions of epoxyketone-based proteasome inhibitors
PE20151922A1 (es) 2013-03-14 2016-01-16 Cibus Us Llc Genes de aleno oxido sintasa 2 (aos2) mutados
EP2966984B1 (en) 2013-03-15 2022-03-02 Cibus US LLC Targeted gene modification using oligonucleotide-mediated gene repair
US9957515B2 (en) 2013-03-15 2018-05-01 Cibus Us Llc Methods and compositions for targeted gene modification
IL307456A (en) 2013-03-15 2023-12-01 Cibus Us Llc Methods and compositions for increasing the efficiency of targeted gene modification using oligonucleotide-mediated gene repair
CN106455514A (zh) 2014-03-14 2017-02-22 希博斯美国有限公司 采用寡核苷酸介导的基因修复提高靶向基因修饰的效率的方法和组合物
WO2017138986A1 (en) 2016-02-09 2017-08-17 Cibus Us Llc Methods and compositions for increasing efficiency of targeted gene modification using oligonucleotide-mediated gene repair
WO2018087720A1 (en) 2016-11-14 2018-05-17 Novartis Ag Compositions, methods, and therapeutic uses related to fusogenic protein minion
EP3737766A4 (en) 2018-01-09 2021-11-24 Cibus US LLC BREAK-PROOF GENES AND MUTATIONS

Family Cites Families (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US4772549A (en) * 1986-05-30 1988-09-20 Biotechnology Research Partners, Ltd. Polymorphisms related to lipid metabolism: ApoB, ApoCII, ApoE, ApoAIV
US5166320A (en) 1987-04-22 1992-11-24 University Of Connecticut Carrier system and method for the introduction of genes into mammalian cells
US5635386A (en) 1989-06-15 1997-06-03 The Regents Of The University Of Michigan Methods for regulating the specific lineages of cells produced in a human hematopoietic cell culture
AU681997B2 (en) 1991-09-05 1997-09-18 University Of Connecticut, The Targeted delivery of poly- or oligonucleotides to cells
EP0733059B1 (en) 1993-12-09 2000-09-13 Thomas Jefferson University Compounds and methods for site-directed mutations in eukaryotic cells
FR2722506B1 (fr) 1994-07-13 1996-08-14 Rhone Poulenc Rorer Sa Composition contenant des acides nucleiques, preparation et utilisations
US5631423A (en) 1995-03-25 1997-05-20 Quatro Corporation Method for resonant measurement
US5767337A (en) * 1995-07-31 1998-06-16 Duke University Creation of human apolipoprotein E isoform specific transgenic mice in apolipoprotein deficient "knockout" mice
EP0863748A4 (en) * 1995-10-11 1999-11-03 Kevin Jon William LIPOSOMAL COMPOSITIONS AND METHODS OF USE
US5760012A (en) 1996-05-01 1998-06-02 Thomas Jefferson University Methods and compounds for curing diseases caused by mutations
US5731181A (en) * 1996-06-17 1998-03-24 Thomas Jefferson University Chimeric mutational vectors having non-natural nucleotides
US5683866A (en) 1996-05-09 1997-11-04 Sarkar; Debi P. Process for producing a targeted gene

Also Published As

Publication number Publication date
AU9295898A (en) 1999-08-30
EP1054595A4 (en) 2001-08-08
WO1999040789A1 (en) 1999-08-19
CA2320965A1 (en) 1999-08-19
US6524613B1 (en) 2003-02-25
KR20010034493A (ko) 2001-04-25
EP1054595A1 (en) 2000-11-29
CN1299234A (zh) 2001-06-13

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2002534353A (ja) 高脂血症の遺伝子治療のための方法および化合物
AU749410B2 (en) In vivo use of recombinagenic oligonucleobases to correct genetic lesions in hepatocytes
US5631237A (en) Method for producing in vivo delivery of therapeutic agents via liposomes
Bandyopadhyay et al. Nucleotide exchange in genomic DNA of rat hepatocytes using RNA/DNA oligonucleotides: targeted delivery of liposomes and polyethyleneimine to the asialoglycoprotein receptor
AU2023200490A1 (en) Use of exonucleases to improve CRISPR/Cas-mediated genome editing
KR20210021943A (ko) 미립자 제형용 동결 방지제
JP2019516351A (ja) Crispr/cas構成成分のための脂質ナノ粒子製剤
JPH09508100A (ja) 核酸を含む組成物、調製および使用
US20190142972A1 (en) Compositions and Methods for Treatment of Diseases Associated with Trinucleotide Repeats in Transcription Factor Four
WO2001075092A2 (en) CpG REDUCED PLASMIDS AND VIRAL VECTORS
US20090238883A1 (en) Liver-specific nanocapsules and methods of using
JP2002524473A (ja) プラスミドベクターのメチル化
JP2022513657A (ja) LNPでの使用に最適化された、CAS9をコードするmRNA
US20220288237A1 (en) Compositions and methods for modulating apolipoprotein b (apob) gene expression
US20220259597A1 (en) Oligonucleotide antagonists for rna guided genome editing
JP2002508956A (ja) 遺伝子送達のための方法および組成物
US20220356472A1 (en) Methods and compositions for type 2 diabetes therapy
US11235070B2 (en) Nanoparticles comprising protein-polynucleotide complexes and for delivering protein based complexes
WO2022004765A1 (ja) ゲノム編集用組成物
US20050079615A1 (en) Non-viral linear DNA vectors and methods for using the same
US20020137717A1 (en) Use of chimeric mutational vectors to change endogenous nucleotide sequences in solid tissues