JP2002534316A - 船舶を推進させる装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 本発明は、回転推進装置（９ａ，９ｂ，１０ａ，１０ｂ）と、少なくともひとつのプロペラを回転駆動する電気モータ（１３）とが取付けられている格納容器（５）を備えた船舶（１）に関する。格納容器は、船舶（１）の構造（２）に取付けられて軸線（４）を中心として回転する吊下配向支柱（３）の片方の端部に固定された、長手方向に配置されたシャフト（８）を備える。格納容器（５）のシャフト（８）は少なくとも一対の相反回転するプロペラ（９，１０）を支持する。各プロペラは格納容器のシャフト（８）を中心として回転するように取付けられてなるロータ支持体と一体的になっていて、少なくともロータ要素が格納容器のシャフト（８）のまわりに固定されてなるロータ支持体（１５）の内部に配置された少なくともひとつのステータ（１６）に対向するように配置されて支持され、ロータ支持体（１５）が格納容器（５）の少なくとも一部を構成する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】

本発明は、船、潜水艦、油プラットホーム、又ははしけなどの船舶を推進する
ための装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】

船ないしより一般に船舶のための推進装置であって、海や外洋などの大量の水
に少なくとも部分的に沈ませるようなものは公知である。

【０００３】 そのような推進装置は格納容器を備えていて、同格納容器にはモータで駆動さ
れる少なくともひとつの回転推進プロペラが取付けられている。格納容器は、傾
船形状を有し、一般的に船舶の長手方向に対して垂直である方向を中心として回
転するように取付けられてなる支柱の端部に固定されていて、船舶はその長手方
向に水を通り過ぎて移動する。このため、支柱は船舶の構造によって支持されて
、支柱と格納容器との配向を調節できるようにピボット装置と関連する。

【０００４】 プロペラないしプロペラのの回転を駆動するために、電気モータや歯車付モー
タユニットであって、船舶の構造の部分をなしていて、少なくともひとつの出力
シャフトを吊下配向支柱の内部に配置されて備えて、これが格納容器まで延在し
て、プロペラに固定されたシャフトが歯車列を介して駆動されるようなものを使
用することが提案された。

【０００５】 そのような装置は、特にモータを船舶の内部に収容することが必要であり、吊
下配向支柱の全長に沿ってモータトルクをある程度の距離に伝達することが必要
であるという事実のために不都合を有する。格納容器に配置されたシャフトを駆
動するように角部をまわることができる歯車列を提供することも必要である。

【０００６】 従って、少なくともひとつのモータを格納容器に組込んで構成されるような推
進装置を使用することが提案された。そのような装置は、特に船舶内に配置され
る駆動モータとプロペラへ回転を伝達する部材とを不要にすることを可能にする
。

【０００７】 そのようなモータを格納容器に組込んで使用する事例においては、格納容器の
一部を中心として回転するように取付けられてなるモータのロータに直接プロペ
ラを固定することが可能である。この事例では、モータのステータはロータの取
付けられる格納容器の一部のまわりに固定されて、ロータと対面する。一般的に
、ロータは２つのステータ部品の間に取付けられて、スラストベアリングに対面
し、スラストが格納容器へそしてこれを介して船へ伝達されるようにする。格納
容器は全体が傾船形状の外部ケーシングを有し、その内部にはプロペラを駆動す
る電気モータのステータ部品とロータ部品とが取付けられる。格納容器のケーシ
ングは、ステータに固定されたプロペラの通路となるような少なくともひとつの
環状の開口を有して、格納容器が沈んでいる大量の水の通路になる。

【０００８】 他方では、相反回転するような１又は複数の対を構成する推進プロペラ、すな
わちプロペラが反対方向に回転すると共に代わるがわるに反対の配向に配置され
たプロペラ翼を有するようなものを使用することは非常に有利である。この結果
、推進装置の出力は増加する。

【０００９】 電気モータを格納容器に組込んで使用することは、一対の相反回転プロペラに
よって推進力が提供されるときに特に望ましくて、一対のプロペラの相反回転プ
ロペラを駆動するモータのステータに、モータのロータが反対方向に回転するよ
うに電力を供給するだけでよい。これは特に、格納容器の支持体に作用するねじ
れ力を避ける。しかしながら、公知技術によって知られているモータを組込んだ
格納容器の構造は、ひとつの又はいわんや数組の対をなす相反回転プロペラによ
って推進力が提供される例においては、極めて複雑である。

【００１０】

【発明が解決しようとする課題】 従って、本発明の目的は、船舶を同船舶の長手方向へ推進させるための装置で
あって、格納容器を備え、同格納容器には少なくともひとつの回転推進プロペラ
とプロペラを駆動するための少なくともひとつの電気モータとが取付けられ、格
納容器を吊下及び配向させるための少なくともひとつの支柱が船舶の長手方向に
対して概略垂直に備えられ、同支柱は長手方向に対して垂直である軸線を中心と
してピボットするように、第１の端部にて船舶の構造の部分に取付けられて、第
２の端部にて格納容器に固定されているような推進装置を提供することにあり、
この推進装置は、少なくともひとつの対の相反回転プロペラで推進力が提供され
る事例において、格納容器の構造を著しく簡単にすることを可能にする。

【００１１】

【課題を解決するための手段】

このために、格納容器は、概略長手方向に向けられるようにして吊下配向支柱
の第２の端部に固定されてなるシャフトを有し、同シャフトに少なくとも一対の
相反回転プロペラが取付けられていて、各プロペラは、格納容器のシャフトを中
心として回転するように取付けられてなるロータ支持体に固定されて、少なくと
もひとつのロータ要素が格納容器のシャフトのまわりに固定されてなるロータ支
持体の内部に配置された少なくともひとつのステータに対面するように配置され
て支持され、ロータ支持体が格納容器のケーシングの少なくとも一部を構成する
。

【００１２】 本発明をより良く理解できるように、本発明の１の実施形態を２つの対の相反
回転プロペラを備えた格納容器の事例について、添付図面を参照しつつ例示とし
て以下に説明する。

【００１３】

【発明の実施の形態】

図１では、船の構造の下部２を全体として符号１にて示している。構造の下部
２は、これを貫通するように開口を有していて、同開口に吊下配向支柱３の上端
部分が係合して、この支柱は垂直に配置されて、垂直軸線４を中心として構造２
に対して回転できるように取付けられている。船１を推進させるための格納容器
５は吊下配向支柱３の下端に固定される。船舶１の構造２には配向手段６が固定
されていて、支柱の垂直軸線４を中心として、吊下配向支柱３及び格納容器５を
配向させる。

【００１４】 格納容器５は、格納容器の軸線７に対して概略平行である船の略長手方向へ船
を推進させる。

【００１５】 本発明では、格納容器５は格納容器に対して固定された管状形状である長手シ
ャフト８を軸線７上に有していて、この格納容器に船１を推進する２つの組立体
９及び１０が取付けられる。

【００１６】 格納容器５は、シャフト８の軸線方向端部に固定された傾船要素１１及び１２
を備える。

【００１７】 推進組立体９と１０とのそれぞれは、第１の推進ユニット９ａ及び１０ａと、
第２の推進ユニット９ｂ及び１０ｂとをそれぞれ構成する。

【００１８】 推進組立体の第１の推進ユニットと第２の推進ユニットとは相反回転プロペラ
を構成し、すなわち、プロペラが互いに反対方向に回転して、プロペラの翼１４
が反対方向に向けられている。しかしながら、それらの全体的な構造に関しては
、推進ユニット９ａ、９ｂ、１０ａ、１０ｂは同一である。従って、ひとつだけ
の推進ユニットについて図１及び図２を参照して説明する。

【００１９】 推進ユニット（例えば９ａ）は、電気駆動モータ１３とモータ１３のロータ支
持体１５に固定された翼からなるプロペラとを備えていて、同モータのステータ
は環状形状に作られてなるロータ支持体１５の内部に配置される。ロータ支持体
１５は、格納容器のシャフト８上にて軸線７を中心として回転できるように、２
つのベアリング１７及び１７’を介して取付けられている。

【００２０】 選択的には、図２に示す如く、ロータ支持体１５は２つの部分から作って、結
合領域１９に沿って互いに結合してもよい。ロータ支持体の２つの部分のそれぞ
れは円形の端板を備え、同端板の内面にはロータ要素１８が固定されるが、同要
素は例えば永久磁石から構成されていて端板の表面上に円周方向に配置され、格
納容器の軸線７を中心としていて、この軸線はモータ１３の回転軸線でもある。

【００２１】 ステータ１６は、格納容器のシャフト８のまわりに固定されたディスク形状の
ステータ支持体２０を備え、同支持体上に、好ましくは磁気コアと関連する巻線
からなるステータ要素２１が固定される。ステータ要素２１は、ステータ支持体
２０の円周方向に配置され、ステータ支持体の両面において、ロータ要素１８に
対面するように位置決めされている。モータ１３は二重の円盤状構造のモータを
構成する。ステータ巻線２１は軸線方向に向いた磁場、すなわち軸線７を中心と
して回転するモータの回転軸線７に平行であるような磁場を発生するように駆動
される。

【００２２】 ステータへの電力の供給により、ロータを可変で調節可能な速度で運転できる
。

【００２３】 推進組立体例えば９の２つの推進ユニット９ａ、９ｂの２つの駆動モータのス
テータは反対方向に回転する磁場を作るように駆動されて、推進組立体９ａと９
ｂとは反対方向に回転する。ステータへの電力の供給によって、ロータ支持体と
ロータ支持体の外側面に取付けられている翼とが一体的に回転する。

【００２４】 各組立体９及び１０の推進ユニット、これらのユニットは相反回転プロペラを
構成する、の反対方向の回転が２つの相反回転プロペラの間にて純粋に軸線方向
の流体流れを得ることを可能にする。従って、推進装置の損失が低減されて、さ
らに、管状のスピンドル８からなる格納容器の支持体のねじれが避けられる。そ
の結果、推進モータの効率はかなり改良される。

【００２５】 各推進組立体の相反回転プロペラは、同一速度でないしは極わずかに異なる速
度で反対方向に回転する。

【００２６】 プロペラ９ａ及び１０ａは、矢印２２にて示す船の航行方向の上流側のプロペ
ラを構成して、推進プロペラを構成し、組立体９及び１０のプロペラ９ａ及び１
０ａのすぐ下流側のプロペラは整流プロペラを構成する。

【００２７】 整流プロペラ９ｂ及び１０ｂは、推進プロペラの速度と同一の速度にて又は極
わずか異なる速度で回転して、推進プロペラと同じ電力を吸収する。

【００２８】 推進ユニット９ａ、９ｂ、１０ａ、及び１０ｂのためのそれぞれの駆動モータ
組立体は互いに独立的に制御されて、所望の方向及び所望の速度にてプロペラを
回転させる。

【００２９】 さらに、格納容器は、格納容器のケーシングがただ傾船要素１１及び１２とプ
ロペラの翼１４を支持するロータ支持体１５とだけから構成されているので、特
に組立てるのが簡単である。ステータ支持体は格納容器のシャフト８に直接固定
されて、ロータ支持体はそれ自体がベアリングを介して格納容器のシャフトのま
わりに固定されていて、同ベアリングが推進力を格納容器と船へ伝達する。

【００３０】 さらに、格納容器のケーシングの一部を構成しているロータ支持体は必ずしも
防水に作る必要はなくて、船が水中を移動する水の圧力に耐える必要がない。ロ
ータ支持体１５は開口２３などを有していて、これを通して海水が通ることがで
きる。従って、モータ１３の要素は海水に耐えられる絶縁を備えなければならな
い。同期タイプの推進モータの事例では、永久磁石からなるロータ要素には、複
合材料のシートや塗料又は樹脂などを伴なうタイプの特別な保護を磁石に提供す
ることが必要である。

【００３１】 スラストベアリングから構成されるベアリング１７及び１７’によって、推進
力を格納容器と船へ伝達することができる。これらのベアリングは海水中で動作
する流体潤滑式ベアリングの形態で作られる。また海水中で動作する流体潤滑式
ベアリングの形態で作られた単一の複動式スラストベアリングを使用することも
可能であろう。

【００３２】 ロータ支持体１５が格納容器のケーシングとモータの骨組との一部を構成する
と共に、ロータ要素とステータとが海水中に沈められるので、モータの冷却は非
常に効果的である。この強力な冷却は推進モータのサイズを小さくすることを可
能にする。

【００３３】 図３は、本発明による推進装置の実施形態の変形例を示している。図１と図３
において対応する要素には同一の符号を付している。

【００３４】 図３の変形例では、シャフト８は３つの部分８ａ、８ｂ、及び８ｃから作られ
ていて、これらは推進装置が組立てられるときに互いに結合される。

【００３５】 シャフトの中央部分８ａは吊下配向支柱３に固定されて推進ユニット９ｂと１
０ａとを支持し、右手側部分８ｂは推進ユニット９ａを支持し、左手側部分８ｃ
は推進ユニット１０ｂを支持する。

【００３６】 前記実施形態と同様に、推進組立体９及び１０は相反回転プロペラからなる。
推進組立体のひとつは単一のプロペラを有してもよい。

【００３７】 図３に示した変形例では、推進装置をモジュール設計にて生産できる。

【００３８】 もちろん、本発明による推進装置は、格納容器のシャフトがいかなる数の推進
組立体を支持して構成されてもよくて、これらの推進組立体のそれぞれは電気モ
ータで駆動される２つの相反回転プロペラを備える。

【００３９】 本発明による推進装置は、あらゆるタイプの船に使用できると共に、油プラッ
トホームやはしけなどのあらゆるタイプの少なくとも部分的に水没する設備に使
用できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 図１は、船舶の下部と同船舶を推進する格納容器とを一部破断し
て示す側立面図である。

【図２】 図２は、図１の一部を拡大して示した図である。

【図３】 図３は、別例の実施形態による船舶の下部と同船舶を推進する格
納容器とを一部破断して示す側立面図である。

Claims (7)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 船舶（１）を船舶（１）の長手方向（２２）へ推進させるた
   めの装置であって、格納容器（５）を備え、同格納容器には少なくともひとつの
   回転推進プロペラ（１４）とプロペラ（１４）を駆動するための少なくともひと
   つの電気モータ（１３）とが取付けられ、格納容器（５）を吊下及び配向させる
   ための少なくともひとつの支柱（３）が船舶の長手方向（２２）に対して概略垂
   直に備えられ、同支柱は長手方向（２２）に対して垂直である軸線（４）を中心
   としてピボットするように、第１の端部にて船舶（１）の構造（２）の部分に取
   付けられて、第２の端部にて格納容器（５）に固定されているような推進装置に
   おいて、格納容器（５）は、概略長手方向に向けられるようにして吊下配向支柱
   （３）の第２の端部に固定されてなるシャフト（８）を有し、同シャフトに少な
   くとも一対の相反回転プロペラ（９ａ，９ｂ，１０ａ，１０ｂ）が取付けられて
   いて、各プロペラは、格納容器（５）のシャフト（８）を中心として回転するよ
   うに取付けられてなるロータ支持体（１５）に固定されて、少なくともひとつの
   ロータ要素（１８）が格納容器（５）のシャフト（８）のまわりに固定されてな
   るロータ支持体（１５）の内部に配置された少なくともひとつのステータ（２０
   ，２１）に対面するように配置されて支持され、ロータ支持体（１５）が格納容
   器（５）のケーシングの少なくとも一部を構成することを特徴とする推進装置。
2. 【請求項２】 相反回転プロペラを構成する２つの推進ユニット（９ａ，９
   ｂ，１０ａ，１０ｂ）を少なくとも２組（９，１０）備えていることを特徴とす
   る請求項１記載の推進装置。
3. 【請求項３】 各環状のロータ支持体（１５）は２つの端板を備え、その内
   面にはロータ要素（１８）が、ロータ支持体の軸線（７）を中心として円周に配
   置されて固定されていると共に２つの組のステータ要素（２１）に対面して配置
   されていることを特徴とする請求項２記載の推進装置。
4. 【請求項４】 各環状のロータ支持体（１５）は少なくともひとつのスラス
   トベアリング（１７，１７’）を介して格納容器（５）のシャフト（８）に取付
   けられていることを特徴とする請求項１乃至３のいずれか１項に記載の推進装置
   。
5. 【請求項５】 ロータ支持体（１５）はその壁面に流体の通路となる開口（
   ２３）を有していて、船舶が移動する流体中に電気モータ（１３）が完全に沈め
   られていることを特徴とする請求項４記載の推進装置。
6. 【請求項６】 ロータ支持体が格納容器のシャフト（８）上にて回転するよ
   うに取付ける１又は複数のスラストベアリング（１７，１７’）は、海水中にて
   動作する流体潤滑式のスラストベアリングから構成されていることを特徴とする
   請求項５記載の推進装置。
7. 【請求項７】 格納容器のシャフト（８）の端部に配置されてなる格納容器
   （５）のケーシングの部分（１１，１２）は、格納容器を傾船させる要素を構成
   していることを特徴とする請求項１乃至６のいずれか１項に記載の推進装置。