JP2002533419A - Na,K−ATPaseをコードするアデノウイルスベクターを使用する、肺水腫のための遺伝子治療 - Google Patents

Na,K−ATPaseをコードするアデノウイルスベクターを使用する、肺水腫のための遺伝子治療

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Abstract

(57)【要約】 インビボのNa,K−ATPaseのレベルを増大させるために、Na,K−ATPaseサブユニット遺伝子を肺上皮細胞に移入することによって哺乳動物肺水腫を遺伝子治療するための方法および組成物が提供される。組換えアデノウイルスベクターは、Na,K−ATPaseサブユニット遺伝子の、肺上皮細胞への移入を媒介する。このベクターは、Na,K−ATPaseサブユニット遺伝子を発現するcDNAに連結する、ウイルス誘導されたプロモーターエレメントからなる発現制御配列を使用する。これらの遺伝子は、上皮膜を横切る水の移動の原因となる経上皮の浸透圧勾配を生成でき、それによって、哺乳動物肺における肺水腫のクリアランスを生じ得ることが示された。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 (発明の背景) インビボでのNa,K−ATPaseのレベルを増加させる目的で、Na,K
−ATPaseサブユニット遺伝子の、肺上皮細胞への移入による、肺水腫の遺
伝子治療のための、方法および組成物が提供される。
【0002】 心臓性および非心臓性の肺水腫は、毎年数百万の人々に影響を与え、かなりの
罹病率および死亡率をもたらす(Large State Peer Revi
ew、1997)。これらの人々の肺胞は、肺毛細管からの液体で満たされ、こ
れは、体循環への酸素移動を損なう(Hallら、1986)。この一連の事象
は、低酸素血症、光炭酸ガス症をもたらし、そして矯正的な対策がとられない場
合には、死をもたらす。
【0003】 不運なことに、肺水腫を処置する特定の処置または満足に効果のある処置は、
利用可能ではない。現在の治療は、全く補助的であり、そして肺毛細管の静水圧
を減少させるための利尿治療を含む。この治療は、水腫の蓄積を減少させること
が示されているが、肺水腫のクリアランスには影響を与えない(Sznajde
rら、1986)。多くの場合において、この治療は、不適切に低い左心室の拡
張期終期容量、減少した心拍出量、低血圧、および減少した末梢酸素送達をもた
らす。肺がそれ自体を乾燥状態に保つ能力を改善または再構築する治療は、肺水
腫に関連する罹病率を減少させ得る(Matthayら、1990;Vergh
eseら、1999)。
【0004】 水腫は、スターリングの式により表されるように、毛細血管透過性および/ま
たは静水圧の増加の結果として、肺胞内に蓄積する(Staub、1980)。
逆に、水腫は、肺胞の気腔からのNa+の能動的な移動の結果として、肺胞から
クリアランスされる。このNa+移動は、Na,K−ATPaseの作用に起因
し、これらは、2型肺胞上皮(AT2)細胞の基底外側表面に位置する。これら
のATPaseは、経上皮浸透圧の勾配を生じさせ、これは、肺胞気腔から細胞
透過経路または傍細胞経路を介しての流体の移動を引き起こす。
【0005】 能動的Na+移動の結果生じる肺水腫クリアランスは、生存動物モデル、単離
されたラットの肺、およびヒトにおいて実証されてきた(Matthayおよび
Wiener−Kronish、1990;Efforsら、1989;ならび
にGoodmanら、1983)。肺の液体クリアランスにおける能動的Na+
移動の役割を支持することは、単離されたラットの肺での実験であり、これは、
肺の液体クリアランスが、低体温により(能動的移送の阻害を介して)完全に停
止し、そしてアミロライド(Na+チャネルインヒビター)およびウアバイン(
Na,K−ATPaseインヒビター)の両方によって減少することを実証した
【0006】 Na,K−ATPaseは、これらが細胞容量および細胞内pHの維持に必須
である全ての真核生物細胞において発現される。これらはまた、ヒトの身体の全
体での多くの移送および分泌の上皮におけるベクトル性イオン移動のために重要
である。特に、これらのATPaseは、肺胞上皮において発現され、ここでこ
れらは、2型肺胞細胞の基底外側の面に存在する。
【0007】 Na,K−ATPase分子は、十分に制御されたヘテロダイマーである。細
胞表面での内因性Na,K−ATPase発現は、堅く調節され、そして細胞内
Na+または細胞容量のいずれかの変化に依存する。増加したNa,K−ATP
ase活性のための刺激が減少するにつれて、これはタンパク質キナーゼA(P
KA)および/またはタンパク質キナーゼC(PKC)を介してリン酸化され、
後期エンドソーム内への内在化をもたらし、構築された潜在的に機能性のNa,
K−ATPaseの細胞質の貯蔵を生じさせる。必要であれば、小胞を含むこれ
らのNa,K−ATPaseは、細胞膜に迅速に漸増して、Na+濃度または細
胞容量が変化すると、即座の要求に応じ得る。さらに、構築されていないNa,
K−ATPaseサブユニットタンパク質の細胞内プールが、細胞外小器官内に
存在し、そしてまた、迅速な構築および細胞膜への漸増のために利用可能である
。他者の研究の結果は、さらなる外因性Na,K−ATPaseの必要性がない
はずであることを提案する。
【0008】 Na,K−ATPaseは、高エネルギーホスフェートを利用して、細胞内N
+を細胞外K+と交換する。ベクトル性Na+移動の実施に加えて、Na,K−
ATPaseは、細胞容量および細胞内pHを調節し、そして脱分極可能細胞に
おける膜貫通電位の原因である。機能性Na,K−ATPaseは、2つのサブ
ユニットαおよびβからなる。両方のサブユニットが、正常なNa,K−ATP
ase機能のために必要である。各サブユニットの3つのアイソフォームが、単
離され、そしてクローン化されている。αサブユニットは、ATPase活性を
有し、そしてNa+/K+交換の原因である。βサブユニットは、ヘテロダイマー
構築および寿命、ならびに形質膜への往来(trafficking)を制御す
る。全ての細胞がこれらのタンパク質を発現するが、アイソフォーム発現(例え
ば、α1/β1、α1/β2、α2/β1)は、発達的に調節され、そして組織によっ
て異なる。α1サブユニット、α2サブユニット、およびβ1サブユニットは、ラ
ットの肺で発現される主要なサブユニットである。
【0009】 亜急性高酸素症(85%のO2×7日間)に曝露したラットの肺は、肺水腫ク
リアランスを増加させた(Oliveraら、1994)。これらの知見は、増
加したAT2細胞および全肺Na,K−ATPase発現に関連した。急性高酸
素症(100%のO2×64時間)に曝露したラットは、Na,K−ATPas
e発現を減少させ、そして肺液体クリアランスを減少させた。従って、Na,K
−ATPaseの発現および機能は、高酸素症による肺傷害に続く肺液体クリア
ランスに匹敵する。
【0010】 組換え遺伝子技術は、肺傷害の処置に適用されていない。可能なアプローチは
、遺伝子移入に有用な複製欠損アデノウイルスを使用することである。アデノウ
イルスは、呼吸性上皮に向性であり、非複製細胞に高効率で感染し、そして宿主
ゲノムに組込まれない。十字形遺伝子(E1a)の非存在は、アデノウイルスがE 1a を発現する細胞の外側で複製することを不可能にする。従って、アデノウイル
スは、E1aを発現しない真核細胞の感染に続いて成長しない。これらの組換えベ
クターは、アデノウイルスにより形質導入される細胞において目的の遺伝子の高
レベルの過渡的な発現を可能にする強力なプロモーターを用いて構築され得る。
【0011】 治療のための遺伝子を移入するためにアデノウイルスを使用することの問題は
、初期(第1および第2)の世代のアデノウイルスが、有意な宿主応答を引き起
こし、これがヒト遺伝子治療のためのこれらの使用を制限することが報告されて
いることである。これらの炎症性効果は、部分的には、形質導入された細胞の細
胞表面でのアデノウイルス抗原の発現に起因する。これらの抗原は、細胞傷害性
T細胞応答を引き起こし、これは、形質導入された細胞の排除をもたらす。肺に
おける多くの遺伝子の送達および短期間の発現に適したベクターは、高能力の、
ヘルパーウイルス依存性のアデノウイルスであり得、これらは、アデノウイルス
タンパク質を発現する遺伝子を含まない。その結果、抗アデノウイルス宿主応答
の多くが、それ自体で優位であるようなこれらのベクターの使用によって、撤廃
されることが予測される。これらのベクターはまた、インビボで細胞に遺伝子移
入し得る。それ自体で、これらのベクターは、組換えタンパク質の産生のために
有用である。
【0012】 目的は、アデノウイルスを使用して、肺疾病(肺水腫を含む)の遺伝子治療を
開発することである。現在利用可能な肺水腫の処置は、肺が過剰の流体を肺胞気
腔から、他の器官に影響を与えずに除去する能力に影響を与えることができない
。従って、肺水腫のための特定の処置はいずれも、現在使用可能ではない。肺水
腫に特異的に影響を与える処置の開発は、複雑な機能性タンパク質を、肺胞上皮
細胞に送達することを必要とする。現在、肺胞上皮でのNa,K−ATPase
のような移送タンパク質の高効率の過剰発現が可能である薬学的送達システムは
、遺伝子移入以外に、存在しない。
【0013】 複製欠損アデノウイルスは、以前に、ヒト遺伝子移入研究のために使用された
。これらの大部分が、第I段階での研究であり、遺伝性状態および癌の処置に焦
点を当て、そして限定された結果を得た。急性状態または生命を脅かす状態の処
置に関する遺伝子治療は、報告されていない。肺水腫のような後天性状態のため
のこれらのベクターの使用は、これらのベクターの新たな用途を示す。
【0014】 (発明の要旨) 本発明は、組換え遺伝子技術を使用して、哺乳動物の肺の後天性疾患において
、肺水腫を減少させるための、方法および組成物に関する。アデノウイルスは、
後天性の、急性/短期間の肺の疾患の処置のために好ましいベクターである。本
発明の方法は、以下の工程を包含する: (a)(i)アデノウイルスタンパク質をコードするヌクレオチド配列を有さ
ないアデノウイルス;および (ii)遺伝ベクターを有さない肺細胞におけるレベルと比較して過剰発現
のレベルでNa,K−ATPaseサブユニット遺伝子をコードする、ヌクレオ
チド配列、 を含む組換え遺伝ベクターを得る工程、ならびに (b)サブユニット遺伝子の発現が可能な条件下で、インビボで、肺の上皮細
胞にこの遺伝ベクターを移入する工程。
【0015】 本発明はまた、組換え遺伝ベクターに関し、この組換え遺伝ベクターは、以下
を含む: (a)アデノウイルスタンパク質をコードするヌクレオチド配列を有さない、
アデノウイルス;および (b)遺伝ベクターを有さない肺細胞におけるレベルと比較して過剰発現のレ
ベルでNa,K−ATPaseサブユニットをコードする、ヌクレオチド配列。
【0016】 本発明の1つの局面は、組換え遺伝ベクターが移入された宿主細胞であって、
このベクターは、以下を含む: (a)アデノウイルスタンパク質をコードするヌクレオチド配列を有さない、
アデノウイルス;および (b)遺伝ベクターを有さない肺細胞におけるレベルと比較してインビボで過
剰発現のレベルでNa,K−ATPaseサブユニットをコードする、ヌクレオ
チド配列。
【0017】 適切な宿主細胞としては、上皮細胞、特に、肺上皮細胞が挙げられる。宿主細
胞におけるベクターからの遺伝子の発現は、インビトロまたはインビボで起こり
得るが、臨床使用にためには後者が好ましい。本発明は、インビボでのNa,K
−ATPase活性を増加させ、そして肺の液体クリアランスを改善する目的で
、Na,K−ATPaseサブユニット遺伝子を肺上皮細胞に移入させ、この遺
伝子を発現させるための、方法および組成物を提供する。これらの方法および組
成物は、肺水腫の遺伝子治療の目的で、内因性肺胞移送プロセスを増強するよう
設計される。実験データは、インビトロおよびインビボでのNa,K−ATPa
seの活性の増強は、1つのみのサブユニットの過剰発現を必要とすることを示
す(Factorら、1998 aおよびb)。速度限定サブユニットは、細胞
型、器官、および種によって変動する。3つの可能なサブユニットのうちの1つ
の選択が好ましく、そして種および細胞型によって変動する。単一のサブユニッ
トを使用することが望ましい。なぜなら、これはアデノウイルスの構築および増
殖を単純化し、アデノウイルス設計の最適化を可能にし、そして1つ以上のトラ
ンスジーンを合成するために必要な細胞代謝応答を最小にするからである。例え
ば、アデノウイルスにより媒介される遺伝子移入およびβ1サブユニット遺伝子
またはα2サブユニット遺伝子の発現は、ラット細胞においてNa,K−ATP
ase活性を増加させ、そしてラットの肺において肺の液体のクリアランスを増
加させ、一方でα1サブユニット遺伝子の移入は、ヒトの肺細胞またはサルの肺
における能動的なNa+移送の変化に影響を与えるために、必要である。
【0018】 (発明の詳細な説明) 本発明は、動物およびヒトにおける肺水腫のインビボでの処置のための治療方
法、ならびにこの方法をもたらす組成物を提供する。本方法は、組換え遺伝子(
特に、Na,K−ATPaseをコードするDNAヌクレオチド配列)をインビ
ボにて肺胞上皮細胞へと導入する工程を包含する。これらの細胞は、組換え遺伝
子を転写および翻訳し、それにより、重要な膜貫通輸送分子の発現を増加させ、
そして肺胞気腔から液体をクリアリングする、肺の能力を増強する。
【0019】 本発明の方法は、肺胞上皮細胞への遺伝子の導入を媒介するための組換えヒト
アデノウイルスベクターの使用を含む。本発明の組換えアデノウイルスベクター
は、上皮細胞への遺伝子移入において、他の非ウイルス性ベクター(例えば、陽
イオン性脂質)に対して優れた結果を生成すると報告されている(Brodyお
よびCrystal,1994)。詳細には、本発明の方法は、肺胞および気管
上皮細胞へのNa,K−ATPase遺伝子の移入を媒介する組換えアデノウイ
ルスベクターの使用を含む。
【0020】 本発明のベクターは、α1、α2および/またはβ1Na,K−ATPaseサ
ブユニットタンパク質を発現するcDNA分子に連結されたウイルス由来プロモ
ーターエレメントからなる発現制御配列を用いる。これらのタンパク質は、上皮
膜を横切る水の移動を担う経上皮浸透圧勾配を生成し得ることが示された。これ
らのベクターによって生成されるトランスジェニックタンパク質(Na,K−A
TPase)は、肺胞水腫クリアランスをもたらすために必要な能動溶質輸送を
担うことが示されている膜貫通輸送分子である。Na,K−ATPase発現ア
デノウイルスの多数の試験は、Na,K−ATPase活性を増加させるために
は、培養中のヒト肺上皮細胞(A549)およびカニクイザルはα1サブユニッ
トまたはβ1サブユニットの過剰発現を必要とするが、一方、ラット肺胞上皮細
胞および肺はα1サブユニットの過剰発現を必要とすることを示した。従って、
律速サブユニットは細胞型および種によって変化し、そしてNa,K−ATPa
se機能の増強は、1つの律速サブユニットの過剰発現を必要とする。
【0021】 Na,K−ATPaseサブユニットタンパク質をコードするヌクレオチド配
列を過剰発現することは、水腫クリアランスの増加をもたらしたことは、予想外
であった。なぜなら、Na,K−ATPaseサブユニットタンパク質は肺細胞
に既に存在し、何人かによって、急な刺激には応答しない「ハウスキーピング」
遺伝子であると考えられているからである(Suzuki−Yagawaら,1
992)。Na+経上皮移動は、頂部細胞膜および基底細胞膜の両方で輸送分子
の機能に依存する。頂部Na+チャネルは、Na+の侵入のための受動的通路であ
る。これは、膜結合性ヘテロ三量体Gタンパク質によって、リン酸化および脱リ
ン酸化に応答して開口および閉口する、強固に調節されたチャネルである。これ
は、何人かによって、指向性Na+輸送を制御する際の律速調節エレメントであ
ると考えられている。
【0022】 本発明の新たな世代の、高能力のヘルパーウイルス依存性アデノウイルスベク
ター系を開発して、より前の世代のアデノウイルスについて見られたアデノウイ
ルス誘導性宿主応答を減少させた。これらの炎症応答は、感染細胞におけるアデ
ノウイルスタンパク質の発現に起因し、細胞傷害性T細胞応答および感染細胞の
クリアランスをもたらした(von Ginkelら,1997)。アデノウイ
ルスタンパク質をコードする全ての遺伝子の除去は、アデノウイルス感染細胞の
宿主媒介除去を制限するこの炎症応答を有意になくし、第1世代および第2世代
のアデノウイルスベクターについて以前に観察された(Morsyら,1998
;Schiednerら,1998)よりも長期の導入遺伝子発現をもたらすと
予想される。これらのヘルパーウイルス依存性ベクターを生成するために必要な
ヘルパーウイルスおよび細胞(293Cre4)は、Merckから、材料移動
の同意によって得られた。Na,K−ATPase cDNAおよびプロモータ
ーエレメントを含むDNAベクター(ヘルパーウイルスプラスミド)は、野生型
ヒトアデノウイルス5型のヒトの固有DNAおよびフラグメントを用いて、本発
明者らによって構築されている。これらの小片は、Na,K−ATPase発現
ヘルパーウイルス依存性アデノウイルスの構築に必要である。
【0023】 本発明に好適な高能力の、ヘルパーウイルス依存性ベクターは、アデノウイル
スタンパク質をコードするDNA配列をコードしない(Mitaniら,199
5;Parksら,1996,1997)。従って、「漏れた(leaky)」
アデノウイルスタンパク質発現に起因した宿主応答は、生じないようである。こ
れは、α1アンチトリプシン遺伝子およびレプチン遺伝子をマウスにおいて過剰
発現するために類似のベクターを用いた近年の刊行物において確認された(Mo
rseら,1998;Schiednerら,1998)。第1世代アデノウイ
ルスを与えたマウスとは対照的に、高能力のヘルパーウイルス依存性アデノウイ
ルスを与えたマウスの肝臓は、「(未感染の)コントロールと」組織学的に「区
別できず」、そして肝細胞酵素レベルの上昇は観察されなかった。本報告は、有
意な宿主応答を誘導しない、少量のヘルパーアデノウイルスが、付随して投与さ
れたことを示した。炎症の減少は、導入遺伝子発現の持続時間を延長するアデノ
ウイルス形質導入細胞の喪失を弱めることもまた報告された(Morsyら,1
998;Schiednerら,1998)。
【0024】 近年のデータは、アデノウイルスレセプターが、気道細胞への遺伝子移入を制
限する気管上皮細胞の基底外側局面に位置することを示す(Fasbender
ら,1998;Zabnerら,1997)。これらのレセプターは、肺胞上皮
細胞の頂部表面に発現されるようである。従って、アデノウイルスベクターは、
(気道とは対照的に)肺胞遺伝子移入という目的に比類なく適切である。他の肺
遺伝子移入ストラテジーは、効率的とはいえ、この時点では、高い遺伝子移入効
率、生成の容易さおよび肺胞上皮についての相対的特異性の組み合わせを提供し
ない。この特性の独特の組み合わせに起因して、組換えアデノウイルスは、肺水
腫についての遺伝子治療のために好ましいベクターである。
【0025】 本発明の実施のために適切なプロモーターとしては、ヒトサイトメガロウイル
ス由来の前初期プロモーターを含む構成的プロモーターエレメントが挙げられる
。このウイルスプロモーターエレメントは、ヒトおよび他の種のα1、α2および
/またはβ1Na,K−ATPaseサブユニット遺伝子についてのcDNAを
含む発現制御配列に連結される。さらなる調節配列としては、ヒトSV40 t
イントロンまたはヒト成長ホルモンポリアデニル化シグナルおよび他の転写制御
シグナル(例えば、スプライスドナー部位−スプライスアクセプター部位)が挙
げられる。
【0026】 本明細書中に記載される発明は、全ての野生型タンパク質をコードするアデノ
ウイルス遺伝子を欠損する、ヘルパーウイルス依存性アデノウイルスベクターの
使用を用いる。これらのベクターは、Na,K−ATPase cDNA、続く
ポリアデニル化配列(例えば、SV40tイントロン)に連結されている構成的
プロモーターまたは誘導性プロモーターを含む発現カセットのクローニングによ
り生成される。次いで、この発現カセットは、ヒト5型アデノウイルスの左側お
よび右側の反転(inverted)末端反復(ITR)を含むシャトルベクタ
ー中に挿入される。ヒト5型アデノウイルス由来のパッケージングシグナルは、
左側のITRの3’端に近接する。American Tissue Type
Collection(Stoutら、1985、Ansorgeら、199
0)から入手したヒトヒポキサンチングアニンホルホリボシルトランスフェラー
ゼ(hGPRT)遺伝子由来の10〜12kbのイントロンDNAは、ITRの
間にある。全長Na,K−ATPase cDNAを含む発現カセットが、シャ
トルベクターのヒトイントロンDNA内に挿入される。制限エンドヌクレアーゼ
消化によりその骨格から切り出される場合、このシャトルベクターの5’端は、
アデノウイルス野生型反転末端反復およびアデノウイルスパッケージングシグナ
ルを含む。このベクターの3’端は、アデノウイルス野生型反転末端反復からな
る。シャトルベクター(pHV10α1、pHV10α2、pHV12β1)を含
むNa,K−ATPaseサブユニット遺伝子は、組換えヘルパーアデノウイル
スであるadLC8cluc(Parksら、1996)を用いて、HEK29
3cre細胞中に同時トランスフェクトされる。このアデノウイルスは、パッケ
ージングシグナルに隣接する2loxP部位を含む。adLC8clucの残部
は、以前に記載された(Parksら、1996)第1世代E1a-欠失組換え
アデノウイルスベクター(Factorら、1998aおよびb)と同様である
。creリコンビナーゼを発現する細胞(HEK293cre4、Graham
、1996)中にトランスフェクトした場合、パッケージングシグナルは、効率
的に切り出され、これにより、新しく合成されたadLC8clucがアデノウ
イルスキャプシド中にパッケージングされることを不可能にする。adLC8c
lucゲノムの残部は、Na,K−ATPaseサブユニット遺伝子含有シャト
ルベクターであるpHV10α1、pHV10α2、pHV12β1のヘルパーウ
イルス依存性アデノウイルスベクターへのDNA配列のレスキューを可能にする
に必要なタンパク質をコードするアデノウイルス遺伝子を含む。従って、生成さ
れるアデノウイルスは、hvα1、hvα2、およびhvβ1である。これらのヘ
ルパーウイルス依存性アデノウイルスは、HEK293細胞のコンフルエントな
15cm組織培養プレートに3pfu/細胞で感染させることによって増殖され
る。細胞病理学的効果(CPE)の発生後に、細胞を採取し、濃縮し、そして6
サイクルの凍結および融解により熱的に破壊した。得れらた細胞溶解物は、連続
的なCsCl密度勾配超遠心分離を通して、精製前に高速遠心分離により細胞片
を取り除かれる。得られたウイルスを、10mM Tris HCl pH7.
4/1mM MgCl/10%グリセロールに対して透析して、10%グリセロ
ール中での−70℃での貯蔵の前に、CsClを除去する(McGroryら、
1988、Factorら、1998、Factorら、1998)。ヘルパー
ウイルス依存性アデノウイルスは、光学密度に基づいて力価測定される。予測さ
れるcDNAの存在は、PCRにより確認される。adLC8clucの存在は
、アガロース下で増殖したHEK293細胞の感染後のプラーク生成数によって
、そしてルミノメーターにおける細胞溶解物でのルミネセンスの測定によってア
ッセイされる。野生型アデノウイルスは、A549細胞におけるプラーク生成数
によって、そしてE1a DNA配列に対するPCRによってアッセイされる。
【0027】 多くの形態のATPaseが存在し、従って、適切なATPaseの選択は、
本発明の成功のための基準の一部であった。調節エレメントの選択もまた、重要
である。第1世代の複製欠損アデノウイルスを使用する予備的研究は、内因性調
節エレメントがトランスジェニックNa,K−ATPaseサブユニットの寿命
に有害に影響していることを示した。この知見は、全ての5’調節エレメントお
よび3’調節エレメントが除去されたcDNAの使用を用いたその後の設計につ
ながった。同様に、ベクターにより首尾よく移入され得る大きさの制約は、相同
組換えし得るベクターが生成されるまで、全ての5’非翻訳配列を除去し、そし
て3’非翻訳配列の量を次第に低減させる、いくつかのα1およびα2含有シャト
ルベクターの構築を必要とした。
【0028】 接着性上皮を横切るベクトル性Na+移動は、部分的に、先端の(apica
l)Na+チャネルによって調節される。この十分に研究されたポリマー輸送分
子は、厳密に制御され、そして浸透圧勾配または静水圧勾配に対する水の移動を
もたらす、上皮を横切る(transepitheilial)浸透勾配の生成
に必要とされるベクトル性Na+移動のレギュレーターであると仮定される。従
って、本発明における個々のNa,K−ATPaseサブユニット遺伝子の過剰
発現は、先端のNa+チャネル発現において同時に増加することなく、アデノウ
イルス媒介性遺伝子移入の後に、Na,K−ATPase機能および水腫クリア
ランスの増大を生じた。
【0029】 肺胞気腔への本発明のアデノウイルスベクターの広範な送達が可能な送達スト
ラテジーとしては、機能的界面活性剤ベースの小胞、および残気容積(resi
dual volume)へと終期呼気(end−expiratory)肺容
積を駆動し、そして生理学的を超える(supra−physiologic)
吸息を引き起こして、小胞およびウイルスの広範な分布を生じる、終期呼気胸圧
縮を含む、アデノウイルスの気管内点滴注入のための新しい方法論の使用が挙げ
られる(Katkinら、1997、Factorら、1998aおよびb)。
これらの方法としては、残気容積へと終期呼気肺容積を駆動することを目的とす
る、安全な気管内挿管法および胸圧縮ストラテジーの使用が挙げられる。これら
の方法は、動物が、胸圧縮を止めた後に、肺の全ての分節にアデノウイルスの広
範な散布をもたらす深く/力強く吸息することを引き起こす。この発生は、ヘル
パーウイルス依存性アデノウイルスベクターを使用するヒト遺伝子治療のための
重要な因子である。
【0030】 (実施例) 以下の実施例は、本発明の方法および組成物の実施形態を示す。
【0031】 (実施例1:インビトロでのラット肺胞上皮細胞およびヒト肺胞上皮細胞への
アデノウイルス媒介性Na,K−ATPase遺伝子移入) 第1世代のヒト5型複製欠損アデノウイルスは、E1a、およびこれらの組換
えウイルスがこれらを欠くアデノウイルスDNA配列を発現する細胞の外側で複
製する能力を損なうE1bの全てまたは部分にわたる配列を欠失している。ベク
ターadβ1において、ヒトサイトメガロウイルス由来の初期即時性プロモータ
ー/エンハンサーエレメントを使用して、cDNAから下流のSV40tイント
ロンポリアデニル化を有するラットβ1Na,K−ATPase遺伝子の転写を
駆動した。他の同一なアデノウイルス含有ラットα1cDNA(adα1)、E.
coli lacZ遺伝子(adβ−gal)またはcDNAなし(adNul
l)もまた、本実施例および以下の実施例において使用した。
【0032】 これらのウイルスを、当業者に公知の技術を使用して生成した(Factor
ら、1998aおよびb;McGrory、1988)。この技術としては、ヒ
ト型アデノウイルスゲノム(シャトルベクター)の左端の部分に隣接したNa,
K−ATPaseサブユニットをコードするcDNAを含む発現カセットを含む
プラスミド、およびアデノウイルスキャプシドのパッケージング限界を超えるア
デノウイルスゲノムを含むプラスミドの使用が挙げられる。これらのプラスミド
を、ヒト胎児性腎臓細胞(HEK294)中に同時トランスフェクトした。これ
らの2つのプラスミドの間での相同組換えは、アデノウイルスキャプシドに一致
する適切な大きさのアデノウイルスゲノムを生成する。相同組換えを、HEK2
93細胞における代表的な細胞病理学的効果(CPE)の存在により検出した。
高力価の組換えアデノウイルスを、当業者に公知の方法を使用して、HEK29
3細胞における増幅によって調製した。ウイルスを、連続的塩化セシウム超遠心
分離、続いて等張性の生理学的緩衝液に対する透析によって脱塩することによっ
て細胞溶解物から精製した。従って、生成したウイルスを、コンフルエントに満
たない(sub−confluent)HEK293細胞の感染後に生成された
プラークを計数することによって力価測定した。野生型アデノウイルスの混入を
、A549細胞でのアデノウイルスの連続的希釈により生成されるプラーク生成
数によって、およびE1a DNA配列に対するPCRを通してアッセイした。
所望のcDNAの存在を、PCRによって再確認した。
【0033】 本実施例についての2型肺胞上皮細胞(AT2)細胞を、当業者に公知の方法
を使用して、200〜230gm雄性Sprague−Dawleyラットから
単離した。この方法としては、エラスターゼ消化およびIgGでコーティングさ
れたプレート上でのパンニング(panning)による精製が挙げられる(D
obbsら、1986;Ridgeら、1997;Factorら、1998b
)。アデノウイルス遺伝子の移入に対する感受性について試験するために、AT
2細胞を、組織培養処理したプラスチックワイヤにプレートし、そしてadβ−
galでの感染前に24時間接着させた。図1は、5または10pfu/細胞の
adβ−galを感染させ、そして48時間後にX−galで染色したラットA
T2細胞を示す。非感染(偽)細胞(左の顕微鏡写真)と比較すると、adβ−
galは、10pfu/細胞を使用した場合に、95%よりも多くの細胞におい
てβ−ガラクトシダーゼを産生した(右の顕微鏡写真)。これらの顕微鏡写真は
、組換えアデノウイルスがインビトロで肺胞上皮細胞中に非常に効率的に遺伝子
を移入し得ることを示す。トランスジーン活性化について試験するために、AT
2細胞に、5または10pfu/細胞のadβ1を感染させ、そして同様の力価
のadβ−galを感染させたAT2細胞に対して、および偽感染細胞に対して
比較した。感染の24時間後に、トランスジーン活性化を、ノーザンブロット分
析(放射性標識したラットβ1Na,K−ATPase cDNAプローブを使
用する)およびウエスタンブロッティング(抗イヌβ1抗体および西洋ワサビペ
ルオキシダーゼ免疫検出法を使用する)を通して測定した。5または10pfu
/細胞のadβ1を感染させたAT2細胞は、β1mRNAおよびタンパク質にお
ける著しい増加を有した(図2)。
【0034】 同様に処理した細胞を、1、5または10pfu/細胞のadβ1を感染させ
たAT2細胞におけるNa,K−ATPase活性の測定のため使用した。これ
らの細胞は、ウアバイン感受性86Rb+取り込みにおいて250%までの増加を
有し、このことにより、β1Na,K−ATPaseサブユニット遺伝子のアデ
ノウイルス媒介遺伝子移入がインビトロで肺胞上皮細胞におけるNa,K−AT
Pase活性を増強し得ることが確認された。他の実験において、AT2細胞に
、adα1を感染させ、そしてNa,K−ATPaseにおける変化は、全くみ
られなかった。図3は、ラットβ1サブユニットcDNA(adβ1)を発現する
複製欠損アデノウイルスを感染させたラットAT2細胞を示す。K+アナログ(8 6 Rb+)のウアバイン感受性取り込みとして示されるNa,K−ATPase機
能が、5または10pfu/細胞を感染させた細胞において250%程度まで増
加された。E.coli lacZ(adβ−gal)を発現するウイルスによ
る感染は、これらの細胞におけるNa,K−ATPase機能を変化させなかっ
た。
【0035】 実施例1に開示されるアデノウイルスベクターを使用して、ヒト肺胞上皮細胞
株(A549)に感染させ、α1Na,K−ATPaseを発現するアデノウイ
ルスベクターであるadα1の機能性を実証した。これらの細胞は、ヒト気管支
肺胞細胞癌腫に由来した。そしてこれらの細胞は、AT2細胞といくらかの特徴
を共有する。A549は、肺胞上皮機能を研究するために広範に使用されている
(Factorら、1998b;MasonおよびWilliams 1980
;Smith.1999)。
【0036】 A549細胞を、組織培養処理されたプラスチック製品(plasticwa
re)上に配置し、そしてアデノウイルスを用いた感染前に、24時間付着させ
た。細胞を1〜200pfu/細胞のadα1またはadβ1で感染させ、そして
細菌酵素のβガラクトシダーゼ(adβ−gal)を産生するE.coli l
acZ遺伝子を発現する以外は同一のアデノウイルスを同じ用量用いて感染させ
た細胞と比較した。感染の48時間後、導入遺伝子活性化およびタンパク質産生
をノーザンブロット(ラットα1およびβ1 Na,K−ATPaseサブユニッ
ト特異的な放射性標識cDNAプローブを用いる)およびウエスタンブロット分
析(University of Southern Californiaの
Dr.K.Sweadnerより提供される、モノクローナル抗ラットα1
a,K−ATPaseサブユニット抗体を用いる)を用いて測定した。コントロ
ール細胞およびadβ1またはadβ−galで感染させた細胞と比較した場合
、adα1感染細胞は、有意なレベルのα1mRNAおよびα1タンパク質を有し
た。Na,K−ATPase機能を、これらの細胞においてK+アナログ(86
+)のウアバイン感受性取り込みを測定することによってアッセイした。ad
α1感染細胞は、>10pfu/細胞で感染させたA549細胞において250
%まで上昇したNa,K−ATPase活性を有した。adβ1およびadβ−
galは、これらのインビトロ実験においてNa,K−ATPase機能に影響
しなかった。(ad=アデノウイルス)。
【0037】 ラットα1サブユニットは、ウアバインに対して非常に耐性である(IC50
10-3M)が、ヒトα1アイソフォームは、ウアバインに対して感受性である(
IC50=10-5M)。α1サブユニット過剰発現の効果の特異性を証明するため
に、A549細胞を、連続した濃度のウアバイン(1×10-11〜1×10-3
)の存在下でのNa,K−ATPase活性(86Rb+取り込み)の測定前に、
25pfu/細胞のadα1で感染させた。阻害曲線をコンピューター援用非線
形回帰分析を用いて描いた。adα1感染A549細胞が、ウアバイン阻害曲線
を有する結果が示され、右へ移動した阻害曲線は、減少したウアバイン感受性を
示す。非線形回帰分析を用いて分析されたadα1感染細胞からのデータにより
、2つのウアバイン感受性パターンの存在を示唆する二相性パターンが明らかと
なった。さらなる分析により、2ログより多く異なる2つのIC50が明らかとな
り、2つのα1Na,K−ATPaseアイソフォーム(ウアバイン感受性ヒト
およびウアバイン感受性ラット)の存在が確認された。これらの曲線の非線形回
帰分析は、これら各アイソフォームの相対的な寄与の推定を可能にした。この分
析により、トランスジェニックα1アイソフォームが、測定されたNa,K−A
TPase活性全体の60%に寄与することが示された。これは、感染されなか
った細胞に見出された上記のNa,K−ATPase活性において観察された上
昇の全ての原因となる。
【0038】 これらの結果により、adα1ベクターの機能性が確認され、そしてこれらの
結果は、ラット上皮実験と対照的に、ヒト肺胞上皮細胞が、Na,K−ATPa
se活性を上昇するためにα1サブユニットの過剰発現を必要とすることを示唆
する。
【0039】 他の研究が、ラットα2cDNA(adα2)を発現するアデノウイルスベクタ
ーを用いて実施された。このウイルスは、ヒト肺胞上皮細胞株(A549細胞)
を感染させるために使用された(Ridgeら、1999)。100pfu/細
胞で感染されたA549細胞は、Na,K−ATPase mRNA(ラットサ
ブユニット特異的オリゴヌクレオチドプローブを用いたrtPCRを介して測定
し、そしてGAPDH mRNAに対して規準化した)および発現(モノクロー
ナル抗ラットα2抗体を用いたウエスタンブロット分析を介して測定した)にお
いて有意な上昇を有した。ウアバイン感受性86Rb+取り込みを用いて測定され
たNa,K−ATPase活性は、cDNAを発現する以外は同一のアデノウイ
ルス(adNull)で感染させたA549細胞と比較して、>200%上昇さ
れた。
【0040】 (実施例2:インビボにおけるラット肺へのアデノウイルス媒介遺伝子移入) Na,K−ATPaseサブユニット遺伝子過剰発現が、肺水腫クリアランス
の達成に必要な経上皮の浸透勾配(transepithelial osmo
tic gradient)に影響し得るかどうかを試験するために、正常な2
80〜300gmの雄性Sprague−Dawleyラットを、実施例1に開
示されるベクターで感染させた。必要である最適な用量を決定するための用量応
答実験に続いて、ラットに、4×109pfu/動物を与えた。
【0041】 250〜300gmの雄性Sprague−Dawleyラットを、14gの
アンギオカテーテル(angiocatheter)を用いる経口気管内挿管の
前に、ペントバルビタールを用いて軽く鎮静させた。選択した用量のアデノウイ
ルスを、800mlの50%界面活性剤/50%透析緩衝液の混合物(Surf
anta,Abbott Laboratories,Columbus,OH
)中で懸濁した。200mlのアデノウイルス溶液を点滴注入する直前に、残存
した肺の量にアプローチするためおよびラットが呼気することを刺激するために
、各ラットの胸郭を、円周的に圧迫した。5分間隔で動物の90°回転を点在さ
せた、4回の点滴注入を、アデノウイルスの不変の送達を促進するために使用し
た。アデノウイルスビヒクルの気管内点滴注入の直後に、ラットの圧迫をやめ、
その動物が深く、力強い吸息を取ることを可能にし、これはアデノウイルスベク
ターの広範囲に及ぶ、末端の分散を促進した。この送達スキームの効率を試験す
るために、4匹のラットに、核標的されたE.coli lacZ遺伝子を発現
し、そして細菌酵素のβガラクトシダーゼ(adβ−gal)を産生する、4×
109pfuのアデノウイルスを与えた。72時間後、これらの動物の肺を回収
し、固定し、そしてβガラクトシダーゼ発現の証明のために、X−gal(βガ
ラクトシダーゼに対する基質)を用いて染色した(Jaffeら,1992;M
astrangeliら、1993)。図4は、界面活性剤に基づくビヒクルに
おけるアデノウイルスの気管点滴注入を介した、4×109pfuのadβ−g
alを与えられたラットの肺のX−gal染色の背側図および腹側図を示す。播
種性の送達および導入遺伝子発現を、肺全体にわたる青色の存在によって確認し
た。これらの肺のX−gal染色により、各adβ−gal肺の全ての葉および
区(segment)における広範囲におよぶβガラクトシダーゼ発現が明らか
となり、使用される送達スキームが、インビボにおけるアデノウイルス媒介Na
,K−ATPase過剰発現の研究に必要な、広範囲におよぶウイルス送達を可
能にすることを確認した。
【0042】 Na,K−ATPase過剰発現が、肺胞水腫クリアランスに影響し得るかど
うかを決定するために、ラットを4×109pfuのadα1またはadβ1のい
ずれかで感染させた。感染の7日後、肺胞水腫クリアランスを、十分に確立され
た単離された肺調製を用いて測定した(Oliveraら、1993、1994
;Barnardら、1997;Sznajderら、1995;Rutsch
manら、1993)。コントロールと比較すると、adβ1は、肺水腫クリア
ランスを>100%上昇した。図5は、4×109pfuのadα1で感染させた
ラット中の肺液体(lung liquid)クリアランスが、感染の7日後に
>100%上昇されることを示す。α1サブユニットのアデノウイルス媒介過剰
発現は、肺液体クリアランスを変化させなかった。抗イヌβ1Na,K−ATP
ase抗体を用いたこれらの肺の免疫染色は、adβ1を与えられたラットの肺
胞上皮においてのみ、高レベルのβ1タンパク質の発現を示した。図6は、偽感
染されたかまたは4×109pfuのadα1もしくはadβ1で感染されたかの
いずれかのラット肺の顕微鏡写真(200×)を示す。肺を、抗イヌβ1Na,
K−ATPaseサブユニット抗体を用いて感染の7日後に免疫染色した。右の
写真に見出され得るように、adβ1は、気管の点滴注入を介して送達され、全
ての肺胞上皮細胞においてβ1タンパク質発現の顕著な上昇を生じた。これは、
界面活性剤に基づくアデノウイルス送達系の使用が、肺胞上皮におけるトランス
ジェニックタンパク質の過剰発現を達成し得ることを示す。これらの結果は、単
一Na,K−ATPaseサブユニット、β1Na,K−ATPase遺伝子の
過剰発現が、インビボにおいてNa,K−ATPaseの発現および機能を増大
し得ることを示す。
【0043】 (実施例3:急性肺傷害(急性高酸素症)のモデルにおけるアデノウイルス媒
介Na,K−ATPaseサブユニット遺伝子過剰発現の試験) 64時間、100%のO2に曝露されたラット肺(急性高酸素症)は、Na,
K−ATPase発現を低下し、そして肺水腫クリアランスを減少した(Oli
veraら、1995)。100%のO2で処理された肺から単離されたAT2
細胞は、Na,K−ATPase発現および機能において類似した減少を有する
。従って、Na,K−ATPase発現は、急性肺傷害のこのモデルのAT2細
胞およびラット肺における機能と平行する。高酸素症のラットは、急性の病気で
あり、高い死亡率(72時間で、>50%)、体重減少を有し、そして有意な胸
水を有する(Crapoら、1980)。アデノウイルス媒介のNa,K−AT
Paseサブユニット遺伝子の過剰発現は、肺胞上皮におけるNa,K−ATP
aseの発現および機能の回復が、後の急性高酸素症肺傷害に見出される肺水腫
クリアランスにおける減少を弱め得るかどうか決定するために、使用された。
【0044】 雄性Sprague−Dawleyラットに、4×109pfuのadα1、a
dβ1、またはcDNAを含まない以外は同一のアデノウイルス(adNull
)を与えた。これらのベクターは、実施例2に開示されるように気管の点滴注入
を介してラットに送達され、続いて7日間回復された。次いでこれらを、液体で
充填された単離された肺調製物を用いた肺水腫クリアランスの測定前に、64時
間100%の基準気圧酸素に曝露した。この方法は、22Na+3H−マンニトー
ルおよびEvan’s Blue Taggedアルブミンを含む等張性の等浸
透圧性溶液の、気腔への点滴注入を包含する。脈管構造を、FITC−タグ化(
FITC−tagged)アルブミンを含む類似した等張溶液を用いて、一定の
圧力で還流する。肺を、温度およびpHが正常な生理学的範囲内に維持される、
等張性の緩衝化塩溶液からなる浴槽中に浸す。60分の実験期間にわたる肺胞E
van’s Blue Albuminの濃度における変化を使用して、肺液体
クリアランスを算定する。気腔部と血管部との間の標識された物質の移動を用い
て、肺胞透過性および内皮透過性を測定する(Factorら、1998b、O
liverら、1993、Oliverら、1994、Oliverら、199
5、Barnardら、1997、Sznajderら、1995、Rutsc
hmanら、1993)。引き続く研究において、Na,K−ATPase過剰
発現が、肺水腫クリアランスおよび急性高酸素症の肺損傷の間の生存に影響する
ことを見出した。adα1、adNullおよび非感染コントロールと比較した
場合、感染した高酸素症ラットにおける肺水腫のクリアランスは、300%を超
えるまで増加した。図7は、肺の液体クリアランスが、Na,K−ATPase
β1サブユニット遺伝子(adβ1)を過剰発現するアデノウイルスに感染させ
たラットにおける急性高酸素症の64時間後に、300%まで増加することを示
す。adNull動物およびadα1動物における肺の液体クリアランスには、
非処置化高酸素症コントロールとの違いはなかった。これらの結果は、Na,K
−ATPase過剰発現が、急性の肺損傷の存在下で肺胞上皮機能を回復するこ
とを示唆する。
【0045】 生存研究を、感染したadβ1ラットにおいて行った。成体の雄Spragu
e−Dawleyラットを、4×109pfuのadβ1に感染させ、そして7日
間回復させた後、14日目まで100%の基準気圧のO2に暴露させた。adβ1 感染したラットの全ては、14日の実験期間の終わりまで生存した(図8)。a
dα1およびadNull群における生存には、界面活性剤コントロールまたは
未処置コントロール(生存のメジアン=約4日)との違いはなかった。他の群と
異なり、adβ1動物は、それらの体重を十分に維持し、そして胸水を有さなか
ったように見えた。従って、Na,K−ATPaseサブユニット遺伝子の過剰
発現は、肺水腫クリアランス、および急性肺損傷の間の生存を改善する。これら
の結果はまた、肺胞上皮におけるNa,K−ATPase機能の重要性について
のさらなる支持を提供する。
【0046】 (実施例4:うっ血性心不全(高血圧肺水腫)のラットモデルにおけるNa,
K−ATPase過剰発現の影響) 左心房圧の上昇は、ラット肺における肺水腫を発症する。このモデルは、うっ
血性心不全に起因する肺水腫の研究のために以前に用いられた。15cmH2
の左心房圧の存在下での、液体に満たされた(fluid−filled)単離
された肺調製物を用いる、肺水腫クリアランスの測定は、50%を超えるクリア
ランスの低下を示す。さらに、低分子の溶質に対する肺胞の透過性を、これらの
動物において、わずかに増加させる。Na,K−ATPaseおよび先端のNa + チャネルインヒビターを用いる実験は、能動的輸送のこの低下が、部分的に、
これらの動物において見出されたクリアランスの低下を説明することを示唆する
【0047】 成体の、雄Sprague−Dawleyラットを、本明細書中で開示される
ように、4×109pfuのadβ1かまたはadNullのいずれかに感染させ
た。感染の7日後、これらの肺を単離し、そして肺水腫クリアランスを15cm
2Oの左心室(肺静脈)圧の存在下で測定した。0cmH2Oの左心室圧を用い
て研究した非感染コントロールと比較して、肺水腫クリアランスは、adNul
lおよび非感染コントロールにおいて50%まで低下した。adβ1感染した動
物における水腫クリアランスは、15cmH2Oの左心室圧で研究した他の動物
と比較して100%を超えるまで増加した。図9は、Na,K−ATPase
β1サブユニット遺伝子のアデノウイルス媒介過剰発現が、うっ血性心不全のラ
ットモデルにおける上昇した左心室圧の存在下でのラット肺において、4×10 9 pfuのアデノウイルスの気管内滴注の7日後に、肺水腫クリアランスを正常
に戻すことを示す。従って、Na,K−ATPaseサブユニット過剰発現が、
うっ血性心不全のモデルにおいてさえ、肺水腫クリアランスを維持し得る。
【0048】 (実施例5:霊長類肺におけるNa,K−ATPase過剰発現の効果) Na,K−ATPase過剰発現が、霊長類肺における肺水腫クリアランスに
影響し得るか否かを決定するために、アデノウイルスを正常な成体カニクイザル
に投与した。1×1010pfuのadα1またはadβ1を含む10mmの50%
界面活性剤/50%生理食塩水ビヒクルを、これらのサルの右下肺葉の後肺底区
に送達した。ウイルスを有さない同容量の界面活性剤/生理食塩水ビヒクルを、
内部コントロールとして用いるためにこれらの同じサルに右下葉の後肺底区に送
達した。このサルを、3日間回復させた後、肺水腫クリアランスの測定した。E
van’sブルータグ化アルブミントレーサー溶液を含む、20mlの等張性緩
衝化塩溶液を、右下葉および左下葉の後肺底区に送達した。10分後100μl
のトレーサー溶液を、Evan’sブルーアルブミン濃度のベースライン測定の
ために吸引した。6分後、最終吸引を行った。Evan’sブルーアルブミン濃
度の変化を用いて、肺水腫クリアランスを計算し、そしてサルを回復させた。
【0049】 偽感染した左下葉と比較して、肺水腫クリアランスは、adα1に感染させた
後に6倍を越えるまで増加した。上記に列挙したラット実験と異なり、adβ1
は、この霊長類モデルにおける肺水腫クリアランスに影響しなかった。このデー
タは、ヒト肺胞上皮細胞(A549)由来の上記に列挙した研究を実証し、そし
てα1サブユニットが、霊長類、そしておそらくヒト肺胞上皮における律速なサ
ブユニットであり得ることを示唆する。
【0050】 (実施例6:ヒト肺上皮細胞をインビトロで形質導入するための、高能力、複
製不能アデノウイルスベクターを用いる、Na,K−ATPaseサブユニット
過剰発現の効果) アデノベクター依存性高能力ヘルパーウイルスが、Na,K−ATPase機
能に、インビトロで影響し得るか否かを試験するために、ヒト肺上皮細胞(A5
49)を、ヒトNa,K−ATPase α1cDNA(hvα1)を発現する高
能力ヘルパーウイルス依存性アデノウイルスに感染させた。細胞を、8×1010 ウイルス粒子のhvα1に感染させた。感染の48時間後のNa,K−ATPa
se活性をウアバイン感受性86Rb+取込みを測定することにより確認した。c
DNA(hvNull)を発現しない類似のウイルスに感染させた細胞と比較し
て、hvα1に感染させたA549細胞は、約250%まで増加したNa,K−
ATPase活性を有した。これらの細胞のウエスタンブロット分析は、ヒトN
a,K−ATPaseα1サブユニットタンパク質レベルのおいて有意な増加を
示した。これらの結果は、A549細胞においてアデノベクターを発現する第1
世代のNa、ATPaseを用いてみられた結果に類似する。これらはまた、高
能力、ヘルパーウイルス依存性アデノベクターが、能動的Na+輸送をインビト
ロで増強し得ることを示す。
【0051】 (材料および方法) (ヘルパーウイルス依存性アデノウイルスベクターの産生) 本明細書中に記載される発明は、全てのアデノウイルスタンパク質コード遺伝
子を欠くヘルパーウイルス依存性アデノウイルスベクターの使用を用いる。これ
らはのベクターは、アデノウイルスITR’sおよびイントロンDNAに隣接す
る発現カセットを含むNa K−ATPaseサブユニットを含む、シャトルプ
ラスミドの、HEK293cre4細胞へのトランスフェクション、続いてトラ
ンス位でアデノウイルスタンパク質配列を提供する複製欠損アデノウイルスとの
感染により産生され、それによりシャトルプラスミド由来のDNA配列を含むゲ
ノムを含む組換えアデノウイルスの産生を可能にする。ヘルパーウイルスのパッ
ケージング配列は、loxP部位に隣接する。Creリコンビナーゼ(例えば、
HEK293cre4)を発現する細胞に感染させる場合は、loxP部位間の
配列(すなわち、パッケージングシグナル)を切除して、それを非パッケージ化
可能にする。このウイルスはまた、引き続くヘルパーウイルス依存性アデノウイ
ルスの産生および使用の工程において、このアデノウイルスによる汚染の容易な
検出を可能にする、ホタルルシフェラーゼ遺伝子を含む。
【0052】 (1.pCMVα1、pCMVα2、およびpCMVβ1の産生) ヒトα1、α2、またはβ1 Na,K−ATPaseサブユニット遺伝子に関
する全長cDNAを、pcDNA3(Stratagene)またはpCI(I
nvitrogen)のポリクローニング部位へと挿入した。これらのベクター
は、ヒトサイトメガロウイルス最初期プロモーターおよびヒトSV40ウイルス
または成長ホルモンポリアデニル化シグナルのいずれかを含む。これらの発現カ
セット内のPme1エンドヌクレアーゼ部位を、標準的DNAクローニング技術
を用いて除去した。このように生成されたシャトルプラスミドベクター(pCM
Vα1、pCMVα2、およびpCMVβ1と命名した)は、ヒトサイトメガロウ
イルス最初期プロモーターエレメント、ヒトNa,K−ATPase cDNA
およびポリアデニル化シグナルを含む発現カセットを含む。
【0053】 (2.pHV10およびpHV12の産生) 開示されるシャトルプラスミドは、E.coliの複製起源およびアンピシリ
ン耐性遺伝子(例えば、pBluescript SK+(Stratagen
e))を含む真核生物発現ファージミド骨格を用いる。ポリクローニング部位へ
挿入されるものは、左ITRおよびパッケージングシグナル(ヒトアデノウイル
ス5型地図単位0−1.2に対応する)および右ITR(地図単位99.6−1
00に対応する)である。これらのフラグメントを、テンプレートとして初代複
製不能(incombetent)アデノウイルスを用いるPCRを介して生成
した。これらの要素の間には、ヒトHGPRT遺伝子由来の10.3kbまたは
12kbのイントロンDNA(それぞれ、pHV10およびpHV12)がある
。これらのプラスミドを産生するために用いられる10.3kbフラグメントを
、ヒトhGPRT遺伝子のEcoRI消化により得た。12kbフラグメントを
、ヒトHGPRT遺伝子の1.7kb BgIIIフラグメントを10kb E
coRIフラグメント遺伝子内のBgIII部位へと挿入することにより得た。
pCMVα1、pCMVα2、およびpCMVβ1由来の発現カセットを含むNa
,K−ATPaseを、標準的なDNAクローニング法を用いて、制限エンドヌ
クレアーゼ消化によりそれらの骨格から切除し、そしてイントロンDNA内に(
センス方向またはアンチセンス方向で)挿入して、シャトルベクター、PHV1
0α1、pHV10α2、およびpHV12β1を生成させる。
【0054】 (3.hvα1、hvα2、およびhvβ1の産生) pHV10α1、pHV10α2およびpHV12β1の、それぞれ14.6k
b、14.8kb、および15.0kbのヘルパーウイルス依存性ベクター部分
を、Pme1を用いる制限エンドヌクレアーゼ消化を介してその骨格から切除し
、そして低融点アガロースを用いるアガロースゲル電気泳動を介して分離する。
市販のシステム(Wizard Preps,Promega,Madison
,WI)を使用して、このゲルからフラグメントを取り出す。次いで、これらの
フラグメントを、製造業者の指導(Lipofectin,Gibco−BRL
,Bethesda,MD)を通して脂質ベースの方法論を用いて、HEK29
3cre4細胞にトランスフェクトする。完全細胞培地を吸引し、そしてリポフ
ェクションの前に、抗生剤または抗真菌剤なしの限定培地に交換する。2時間後
に、完全培地を添加する。15cmの組織培養処理したプラスチック皿で増殖し
たHEK293cre4細胞のコンフルエントに満たない層(lawn)(75
〜80%のコンフルエント)を使用する。HEK293cre4細胞は、アデノ
ウイルスE1aおよびcreリコンビナーゼ遺伝子(Parksら、1996)
の両方を発現する安定な形質転換体である。トランスフェクト後の約18〜24
時間、これらの細胞を、1pfu/細胞のパッケージング不能E1aアデノウイ
ルス(adLC8cluc)に感染させる。adLC8clucのパッケージン
グ配列は、IoxP部位に隣接する。cre発現細胞において発現する場合、I
oxP部位の間のDNA配列を切除する。adLC8clucからのパッケージ
ング配列の除去が、アデノウイルスキャプシドへの挿入を不可能にする(例えば
、パッケージできない)。adLC8clucゲノムの残部は、アデノウイルス
キャプシドを産生するアデノウイルスタンパク質遺伝子をトランスで提供し、こ
のアデノウイルスキャプシドに、pHV10α1、pHV10α2、およびpHV
12β1由来のヘルパーウイルス依存性パッケージング可能DNAを挿入し得る
。シャトルベクターから切除されたDNAフラグメントの大きさは、パッケージ
ングし得ると予想されるもの未満である(ParksおよびGraham,19
97)。2つのヘルパーウイルス依存性ベクターの、野生型アデノウイルスゲノ
ムサイズの75%と105%との間である単一のゲノムへの自発的連結(コンカ
テマー化(concatamerization))は、HEK293cre4
細胞で自発的に起こり、野生型アデノウイルスタンパク質コード配列を欠くヘル
パーウイルス依存性アデノウイルスベクターの産生に有効な方法を作製する(M
orsyら、1998)。pHV10α1、pHV10α2、およびpHV12β 1 を、コンカテマー化の後で30kbを超えないアデノウイルスゲノムを産生す
るように慎重に設計した。これらのベクターの質量は、実質的にadLC8cl
ucのゲノム未満である。これが、adLC8clucの予想外の混入/キャリ
ーオーバーからのヘルパー依存性アデノウイルスの、超遠心分離を介する効率的
な分離を可能する。このように産生されるNa,K−ATPaseを含む、ヘル
パーウイルス依存性アデノウイルスは、hvα1、hvα2およびhvβ1である
【0055】 (4.hvα1、hvα2およびhvβ1の伝播) トランスフェクトおよび感染の24時間後、HEK293cre4細胞を収集
し、そして−70℃での凍結および37℃での解凍を6サイクル行って熱的分裂
させる。得られた粗ウイルス溶解物から、低速遠心分離(4℃で、800×g×
10分間)によって細胞細片を取り除き、得られた上清を、adLC8cluc
の3pfu/細胞で同時に感染させた、HEK293cre4細胞のコンフルエ
ントな層を含む15cmの組織培養処理した皿を感染させるために使用する。2
4時間後に、細胞を再び収集し、そして熱的分裂させる。このサイクルを4〜5
回繰り返す。次いで、この細胞を、−70℃での凍結および37℃での解凍を6
サイクル行って溶解する。得られたウイルス溶解物から、遠心分離(4℃で、8
00×gを10分間)によって細胞細片を取り除く。得られた上清を、1.40
g/mlの密度を有する2.5mlのCsCl溶液の上端に、1.25g/ml
の密度を有する2.5mlのCsCl溶液を層状にすることで作製されるCsC
l勾配上に、層状にする(両方の溶液は、10mMのTris−HCl(pH7
.4)、1mNのMgCL2から作製し、使用前にオートクレーブによって滅菌
する)。この勾配を、スイングバケツローター(例えば、Beckman SW
41ti)中、150,000×g(35,000rpm)で、1時間20℃で
遠心分離する。この遠心分離チューブの外側をイソプロピルアルコールで消毒し
、得られた遠心分離チューブの底に最も近いバンドを、(滅菌した(20g)を
使用して、このチューブの壁を通して)吸引する。次いで、この吸引液を、1.
33g/mlの密度を有する滅菌したCsCl溶液8mlの上に層状にし、そし
て150,000×g(Beckman SW41ti、35,000rpm)
で、18時間20℃で遠心分離する。得られたバンドを、上記のように吸引する
。(Factorら、1998 aおよびb)10%グリセロールを含む滅菌リ
ン酸緩衝化生理食塩水の1lに対して、一定に攪拌しながら4℃で4時間透析し
、この透析液を時間ごとに交換することによって、CsClを取り出す。260
nmでの光学密度読み取り(10D=1012ウイルス粒子)、およびNa,K−
ATPaseサブユニット特異的抗体(Upstate Biotechnol
ogy,Waltham,MA)を使用するラット2型肺胞肺胞上皮細胞の免疫
細胞化学によって、系列濃度のhvα1、hvα2またはhvβ1での感染に続い
て、ヘルパーウイルス依存性ベクターの力価を定量する。感染性ヘルパーウイル
ス依存性粒子の数を決定するために、Na,K−ATPaseサブユニットの増
大した発現を示す細胞の数を数える。HEK293細胞の感染に続くプラーク産
生カウントを通して、そして照度計を使用する細胞溶解物の発光の測定によって
、adLC8clucの存在をアッセイする。ヒトA549細胞の感染に続くプ
ラーク生成のカウントの測定によって、そしてE1a特異的オリゴヌクレオチド
プライマーを使用するPCRを通して、野生型アデノウイルスの存在をアッセイ
する。
【0056】 (引用刊行物)
【0057】
【表1】
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、0(偽)、5または10pfu/細胞のベクターadβ−galで感
染させたラットAT2細胞を示す顕微鏡写真である;遺伝子発現についてのX−
gal染色を、感染後48時間で行った。
【図2】 図2は、ラットβ1Na,K−ATPaseサブユニット遺伝子に対応する、
放射性標識したcDNAプローブを用いたノーザンブロット分析を示す(パネル
A);パネルBは、ポリクローナル抗イヌβ1Na,K−ATPase抗体を用
いた肺全体の組織のウェスタンブロットを示す。
【図3】 図3は、ラットAT2細胞へのアデノウイルス媒介Na,K−ATPaseβ 1 遺伝子移入後のNa,K−ATPase機能を示す;Na,K−ATPase
機能を、偽感染コントロールに対する放射性標識したK+アナログ、86Rb+のウ
アバイン感受性取り込みとして測定した(*p<0.001、Student
t検定)。
【図4】 図4は、界面活性剤に基づくビヒクルにおけるアデノウイルスの気管点滴注入
を介して4×109pfuのadβ−galを与えたラットの肺のX−gal染
色の背側および腹側の図を示す。
【図5】 図5は、偽感染コントロールに対する、4×109pfuのadβ1で感染させ
たラットにおける肺の液体クリアランスを示す(*p<0.001、Stude
nt t検定)。
【図6】 図6は、偽感染したかまたは4×109pfuのadα1もしくはadβ1で感
染させたかのいずれかのラット肺の顕微鏡写真(200倍)を示す;肺を、抗イ
ヌβ1Na,K−ATPaseサブユニット抗体を用いて、感染後7日目に免疫
染色した。
【図7】 図7は、未処置コントロールに対する、Na,K−ATPaseβ1サブユニ
ット遺伝子(adβ1)を過剰発現するアデノウイルスに感染させたラットにお
ける64時間の急性高酸素症後の肺の液体クリアランスを示す(*p<0.00
2、Student t検定)。
【図8】 図8は、4×109pfuのadβ1で感染させ、そして100%基準気圧O2
に暴露する前に7日間回復させたラットの生存率を示す。
【図9】 図9は、15cmH2Oの左心房圧にて研究した、偽感染コントロールに対す
る、上昇した左心房圧の存在下で測定したadβ1感染ラットにおける肺の液体
クリアランスを示す(*p<0.001、Student t検定)。
【図10】 図10は、アデノウイルス遺伝子をコードせず、そしてヒトNa,K−ATP
aseα1サブユニットcDNAを含む、高能力アデノウイルスベクターに感染
させたヒト肺胞上皮細胞におけるNa,K−ATPase活性を示す。活性を、
ウアバイン感受性86Rb+取り込みとして測定した。データは、hvNull感
染コントロール 対 hvNullα1感染コントロールに対して正規化されて
表わされる(*p<0.001、Student t検定)。
【手続補正書】
【提出日】平成13年7月6日(2001.7.6)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項】 前記上皮細胞が肺胞である、請求項1に記載の方法。
【請求項少なくとも1つのサブユニットがラットにおいて過剰発現さ れ、そしてα1 である、請求項1に記載の方法。
【請求項】 以下: (a)アデノウイルスタンパク質をコードする全てのヌクレオチド配列を欠失 したアデノウイルス;ならびに (b)該遺伝ベクターを有しない肺細胞におけるレベルと比較して、過剰発現 のレベルで少なくとも1つのNa,K−ATPaseサブユニットをコードす るヌクレオチド配列、 を含む、組換え遺伝ベクター。
【請求項外因性調節エレメントをさらに含む、請求項に記載のベク
ター。
【請求項】 組換え遺伝ベクターを用いてトランスフェクトされた宿主細
胞であって、該ベクターが、以下: (a)アデノウイルスタンパク質をコードする全てのヌクレオチド配列を欠失 したアデノウイルス;ならびに (b)該遺伝ベクターを有しない肺細胞におけるレベルと比較して、過剰発現 のレベルで少なくとも1つのNa,K−ATPaseサブユニットをコードす るヌクレオチド配列、 を含む、宿主細胞。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12N 15/09 A61K 37/02 (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZW ),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU, TJ,TM),AE,AL,AM,AT,AU,AZ, BA,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,C R,CU,CZ,DE,DK,DM,EE,ES,FI ,GB,GD,GE,GH,GM,HR,HU,ID, IL,IN,IS,JP,KE,KG,KP,KR,K Z,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV,MA ,MD,MG,MK,MN,MW,MX,NO,NZ, PL,PT,RO,RU,SD,SE,SG,SI,S K,SL,TJ,TM,TR,TT,TZ,UA,UG ,US,UZ,VN,YU,ZA,ZW Fターム(参考) 4B024 AA01 BA11 CA04 DA02 DA03 EA02 FA15 FA20 GA11 HA17 4B065 AA91X AA93X AA93Y AA95Y AB01 AC14 BA02 CA31 CA44 4C084 AA13 CA53 ZA59 4C087 AA01 AA03 BC83 CA12 NA14 ZA59

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 罹患した哺乳動物肺の肺水腫を低減するための方法であって
    、該方法は、以下: (a)以下を含む組換え遺伝ベクターを得る工程 (i)アデノウイルスタンパク質E1a、E1b、E3をコードするヌク レオチド配列を欠失したアデノウイルス;および (ii)該遺伝ベクターを有しない肺細胞におけるレベルと比較して、過 剰発現のレベルでNa,K−ATPaseサブユニットをコードするヌク レオチド配列;ならびに (b)Na,K−ATPaseサブユニットをコードする該ヌクレオチド配列 が過剰発現できる条件下で、該遺伝ベクターを該肺の上皮細胞に移入する工程 、 を包含する、方法。
  2. 【請求項2】 前記アデノウイルスが高能力であり、そしてヘルパーウイル
    ス依存性である、請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 前記上皮細胞が肺胞である、請求項1に記載の方法。
  4. 【請求項4】 コードされた前記サブユニットが、a1、a2、および/また
    はb1である、請求項1に記載の方法。
  5. 【請求項5】 以下: (a)アデノウイルスタンパク質E1a、E1bおよびE3をコードするヌク レオチド配列を欠失したアデノウイルス;ならびに (b)該遺伝ベクターを有しない肺細胞におけるレベルと比較して、過剰発現 のレベルでNa,K−ATPaseサブユニットをコードするヌクレオチド配 列、 を含む、組換え遺伝ベクター。
  6. 【請求項6】 調節エレメントをさらに含む、請求項5に記載のベクター。
  7. 【請求項7】 組換え遺伝ベクターを用いてトランスフェクトされた宿主細
    胞であって、該ベクターが、以下: (a)アデノウイルスタンパク質E1a、E1bおよびE3をコードするヌク レオチド配列を欠失したアデノウイルス;ならびに (b)該遺伝ベクターを有しない肺細胞におけるレベルと比較して、過剰発現 のレベルでNa,K−ATPaseサブユニットをコードするヌクレオチド配 列、 を含む、宿主細胞。
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US09/470,007 1999-12-22
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