JP2002531132A - 改良された効率を有するアグロバクテリウム媒介植物形質転換法 - Google Patents

改良された効率を有するアグロバクテリウム媒介植物形質転換法

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チヨン,ミン
フライ,ジヨイス
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Abstract

(57)【要約】 本発明は、植物のための迅速な形質転換及び再生の系に関する。特に、本発明は、植物組織調製系に関する。その形質転換法は、改良された農業経済学的品質を有する稔性植物の作製のための効率的かつ信頼性のある方法である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 発明の背景 本発明は、植物バイオテクノロジーの分野に関する。より詳細には、本発明は
、単子葉植物又は双子葉植物のゲノムへ遺伝子成分を組み込む方法に関する。特
に、トウモロコシ、ダイズ、イネ及びコムギを遺伝学的に形質転換するための再
現性のある系が本明細書に提供される。最も具体的には、コムギを形質転換する
ための系がある。
【0002】 本発明の方法は、アグロバクテリウムを再生可能な植物の細胞又は組織と共培
養する際の新規な条件を含む。例示的な方法は、多様な選択可能又はスクリーニ
ング可能なマーカー系を使用して、多数の異なる植物種を用いて、核酸を異なる
再生可能組織へ導入するための、アグロバクテリウム媒介形質転換を使用する改
良された方法を含む。本発明は、稔性トランスジェニック植物、特にコムギも提
供する。他の態様において、本発明は、安定的に形質転換された稔性の植物、配
偶子及びこれらの植物由来の子孫の作製に関する。
【0003】 過去十年の間に、組換えDNA技術により、広範な生物に由来する遺伝子を穀
類植物へ移入することが可能となった。この進歩により、害虫、病気及び除草剤
に対する植物の抵抗力を改良したり、植物産物の品質を変化させるため生合成過
程を修飾したりするための非常に大きな機会が与えられた(Knutsonら,
1992;Piorerら,1992;Vasilら,1992)。しかしなが
ら、経済的に重要な植物の生産性の高い作製に適した、効率のよいアグロバクテ
リウム媒介形質転換法の利用可能性は、限定されている。
【0004】 植物形質転換のため多くの方法が試みられてきたが、高度に効率的な方法はほ
んの少数である。植物細胞のDNA形質転換のための方法には、アグロバクテリ
ウム媒介植物形質転換(例えば、米国特許第5,416,011号及び第5,5
69,834号及び国際特許公開第97/48814号を参照のこと)が含まれ
る。さらに、プロトプラスト形質転換、花粉への遺伝子移入、生殖器官への注入
、未成熟胚への注入、及び粒子撃ち込みが、植物の形質転換のため利用されてい
る。特定の植物系にとって利用可能な形質転換法の数にも関わらず、いくつかの
異なる穀類及び多様な再生可能組織へ適用可能な、植物へ遺伝子を導入する方法
を入手することは有利であろう。
【0005】 細胞へのDNA導入のためのいくつかの技術が、当業者に周知であり、それら
は、(1)化学的方法(Graham and van der Eb,197
3;Zatloukalら,1992)、(2)微量注入(Capecchi,
1980)、電気穿孔(Wong and Neuman,1982;From
mら,1985;米国特許第5,384,253号)及び遺伝子銃(Johns
ton and Tang,1994;Fynanら,1993)のような物理
的方法、(3)ウイルスベクター(Clapp,1993;Luら,1993;
Eglitis and Anderson,1988)並びに(4)受容体媒
介メカニズム(Curielら,1992;Wagnerら,1992)を含む
カテゴリーに分類されうる。
【0006】 最近まで、いくつかの単子葉植物種のため利用される方法には、単離されたプ
ロトプラストへの直接的なDNA移入及びマイクロプロジェクタイル(micr
oprojectile)媒介DNA輸送(Shimamotoら,1989;
Frommら,1990)が含まれていた。リポソーム、PEG及び電気穿孔を
介してDNAをプロトプラストへ輸送するプロトプラスト法は、イネにおいて広
範に使用されている。いくつかの研究室において多数のトランスジェニック植物
が回収されているが(Shimamotoら,1989;Dattaら,199
0)、プロトプラスト法には長期にわたる胚形成懸濁培養物の樹立が必要である
。プロトプラストから再生した植物の中には、長期にわたる懸濁培養のために、
不稔性で表現型が異常なものが存在する(Daveyら,1991;Rhode
sら,1988)。米国特許第5,631,152号は、単子葉植物及び双子葉
植物の形質転換及び再生のための、迅速かつ効率的なマイクロプロジェクタイル
撃ち込み法(microprojectile bombardment)を記
載している。
【0007】 さらに最近、アグロバクテリウム媒介形質転換を介して単子葉植物種を形質転
換することが成功している。国際特許公開第97/48814号は、安定的に形
質転換された稔性コムギを作製するための方法を開示している。その方法は、多
様な外植片を使用した、短期間でのトランスジェニックコムギ植物の回収を記載
している。アグロバクテリウム媒介形質転換は、撃ち込み法に代わる実行可能な
方法を提供し、その方法はトランスジェニック系の迅速な分子的分析も可能にす
る。
【0008】 現在のアグロバクテリウム媒介法を利用した植物形質転換系の主要な欠点には
、遺伝子型又は種の多様性及び外植片の制限による、系の作製効率及び形質転換
の問題が含まれる。国際特許公開第94/00977号は、単子葉植物を形質転
換するための方法を記載しているが、その方法は、ある単子葉植物のためには新
鮮に培養された未成熟胚を使用し、異なる単子葉植物のためには培養された未成
熟胚又はカルスを使用することに依存している。いずれの系においても、外植片
は新鮮なうちに単離されなければならず、その方法は、労力を要し、遺伝子型及
び外植片による制限を受ける。高効率の形質転換を達成するため、特定の株又は
ベクターの使用に依存している報告もある。一つの報告においては、高効率の形
質転換を達成するために、特別なスーパーバイナリーベクターを使用しなければ
ならない(Ishidaら,1996)。
【0009】 当分野における形質転換法の数にも関わらず、単子葉植物及び双子葉植物の両
方に適用可能な方法はほとんど開発されていない。本発明は、アグロバクテリウ
ム媒介形質転換法の改良を提供する。その方法は、従来の方法と比較して、高い
形質転換効率により証明されるように、標的DNAを植物へ輸送する効率が高く
、労力の節約及び費用面での利点を提供する。
【0010】 発明の概要 本発明は、一つ又は複数の遺伝子成分の導入により修飾されたゲノムを有する
稔性トランスジェニック植物を作製する方法を提供し、その方法は、 (a)該植物のゲノムへ導入することが望まれるDNA組成物を含む遺伝子成
分を導入する工程、 (b)外植片の重量を減少させる条件下で、再生可能な植物の細胞又は組織と
、アグロバクテリウムとを共培養する工程、 (c)形質転換された細胞系を同定又は選択する工程、及び (d)それらから稔性トランスジェニック植物を再生させる工程 を含む。
【0011】 図面の簡単な説明 図1は、pMON15715を示す図である。
【0012】 図2は、pMON18365を示す図である。
【0013】 図3は、pMON25457を示す図である。
【0014】 発明の詳細な説明 本発明は、任意の植物種を用いて使用されうる。本発明は、単子葉植物種に特
に有用である。本発明を実施するために特に好ましい種には、コムギ、トウモロ
コシ、イネ及びダイズが含まれる。
【0015】 本発明は、稔性トランスジェニック植物、及び植物の細胞又は組織を形質転換
し、形質転換された細胞又は組織を分化した形質転換植物へと再生させるための
方法を提供する。本発明に係る形質転換法を開始するには、まず、植物の細胞又
は組織へ挿入すべき遺伝子成分を選択することが必要である。遺伝子成分には、
本発明に係る方法を使用して植物の細胞又は組織へ導入される任意の核酸が含ま
れうる。遺伝子成分には、非植物DNA、植物DNA又は合成DNAが含まれう
る。
【0016】 好ましい実施形態において、遺伝子成分は、以下の型の遺伝子成分のうちの少
なくとも一つ又は複数を含む、組換え二本鎖プラスミド又はベクター分子のよう
なDNA組成物へ取り込まれる。
【0017】 (a)RNA配列の生成を引き起こす、植物細胞において機能するプロモータ
ー、 (b)農業経済学的に有益な産物をコードするRNA配列の生成を引き起こす
構造DNA配列、 (c)RNA配列の3’末端へのポリアデニル化ヌクレオチドの付加を引き起
こす、植物細胞において機能する3’非翻訳DNA配列。
【0018】 ベクターは、植物の細胞又は組織の形質転換を助長し、所望の(一つ又は複数
の)遺伝子の発現を制御する多数の遺伝子成分を含有しうる。
【0019】 1つの好ましい実施形態において、遺伝子成分はmRNAを発現するように配
向し、そのmRNAは一つの実施形態においてタンパク質へと翻訳されうる。二
本鎖型で存在する植物構造コーディング配列(遺伝子、cDNA、合成DNA又
はその他のDNA)の発現は、RNAポリメラーゼ酵素によるDNAの一方の鎖
からのメッセンジャーRNA(mRNA)の転写、及びそれに続く核内でのmR
NA初期転写物のプロセシングを含む。このプロセシングには、mRNAの3’
末端へポリアデニル化ヌクレオチドを付加する3’非翻訳領域が関与している。
【0020】 所望の遺伝子成分を含有するプラスミド又はベクターを調製するための手段は
、当分野において周知である。植物を形質転換するために使用されるベクター、
及びそれらのベクターを作成する方法は、米国特許第4,971,908号、第
4,940,835号、第4,769,061号及び第4,757,011号に
記載されており、これらは完全に本明細書に参照と組み込まれる。ベクターは、
典型的には、これらに限定されないが、プロモーター配列、リーダー配列、イン
トロン配列及びターミネーター配列のような制御因子を含む、多数の遺伝子成分
からなる。制御因子は、それらが調節する配列又は(一つ又は複数の)遺伝子に
対する因子の近接度に応じて、シス制御因子又はトランス制御因子とも呼ばれる
【0021】 DNAのmRNAへの転写は、通常「プロモーター」と呼ばれるDNAの領域
により制御される。プロモーター領域は、DNAと会合し、DNA鎖の一方を鋳
型としてmRNAへの転写を開始して、対応する相補的なRNA鎖を作成するよ
う、RNAポリメラーゼにシグナルを伝達する塩基配列を含有する。
【0022】 植物細胞において活性を有する多数のプロモーターが文献に記載されている。
そのようなプロモーターには、これらに限定されないが、アグロバクテリウムツ
メファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)の腫
瘍誘導プラスミド上に保持されたノパリンシンターゼ(NOS)及びオクトピン
シンターゼ(OCS)のプロモーター;カリフラワーモザイクウイルス(CaM
V)の19S及び35Sのプロモーター並びにゴマノハグサモザイクウイルス(
figwort mosaic virus)(FMV)35Sプロモーターの
ようなカリモウイルスのプロモーター;増強型CaMV35Sプロモーター(e
35S);並びにリブロース二リン酸カルボキシラーゼの小サブユニット(ss
RUBISCO、極めて多量に存在する植物ポリペプチド)由来の光により誘導
可能なプロモーターを含む。これらのプロモーターは全て、植物において発現さ
れている様々な型のDNA構築物を作出するために使用されている。例えば、国
際特許公開84/02913号を参照のこと。
【0023】 転写活性を増強するため(米国特許第5,106,739号)、又は所望の転
写活性、誘導可能性、及び組織もしくは発達段階特異性を組み合わせるため、プ
ロモーターハイブリッドを構築することもできる。植物において機能するプロモ
ーターは、記載(Poszkowskiら,1989;Odellら,1985
)されているような誘導可能プロモーター、ウイルスプロモーター、合成プロモ
ーター、構成性プロモーター、並びに時間的に制御されたプロモーター、空間的
に制御されたプロモーター、空間・時間的に制御されたプロモーター(Chau
ら,1989)である。組織により増強された、組織特異的な、又は発達段階的
に制御されたその他のプロモーターも当分野において既知であり、本発明の実施
において有益であると企図される。
【0024】 プロモーターは、植物及び植物DNAウイルスのような多様な起源から入手す
ることができ、これらに限定されないが、CaMV35Sプロモーター及びFM
V35Sプロモーター、並びにssRUBISCO遺伝子のような植物遺伝子か
ら単離されたプロモーターを含む。下記のように、選択された特定のプロモータ
ーは、目的の遺伝子産物を有効量産生させるために十分な発現を引き起こすこと
ができることが好ましい。
【0025】 本発明のDNA構築物(即ち、キメラ/組換え植物遺伝子)において使用され
るプロモーターは、所望により、調節特性に影響を与えるよう修飾されうる。プ
ロモーターは、オペレーター領域とのライゲーション、ランダムな、又は調節さ
れた突然変異導入等により誘導されうる。さらに、遺伝子発現の上昇を補助する
ための複数の「エンハンサー配列」を含有するよう、プロモーターを改変するこ
ともできる。そのようなエンハンサー配列の例は、ケイら(Kayら(1987
))により報告されている。
【0026】 本発明のDNA構築物により産生されたmRNAは、5’非翻訳リーダー配列
を含有していてもよい。この配列は、遺伝子を発現するよう選択されたプロモー
ターに由来していてもよく、mRNAの翻訳を増加させるため特異的に修飾され
うる。5’非翻訳領域は、ウイルスRNA、適当な真核生物遺伝子、又は合成遺
伝子配列からも得られる。そのような「エンハンサー」配列は、得られたmRN
Aの翻訳効率を増加させるか、又は改変するために望ましいかもしれない。本発
明は、非翻訳領域が、プロモーター配列に付随している5’非翻訳領域の両方に
由来している構築物に限定されない。むしろ、非翻訳リーダー配列は、無関係の
プロモーター又は遺伝子に由来するものであってもよい(例えば、米国特許第5
,362,865号を参照のこと)。発現を増強するか、又は遺伝子の転写もし
くは翻訳に影響を与えるよう作用するその他の遺伝子成分も、遺伝子成分として
企図される。
【0027】 キメラ構築物の3’非翻訳領域は、転写終結因子、又はそれと等価な機能を有
する因子、及びRNAの3’末端へのポリアデニル化ヌクレオチドの付加を引き
起こすよう植物において機能するポリアデニル化シグナルを含有しているべきで
ある。適当な3’領域の例は、(1)ノパリンシンターゼ(NOS)遺伝子のよ
うなアグロバクテリウム腫瘍誘導(Ti)プラスミド遺伝子、及び(2)ダイズ
貯蔵タンパク質遺伝子及びリブロース−1,5−二リン酸カルボキシラーゼ遺伝
子の小サブユニット(ssRUBISCO)のような植物遺伝子のポリアデニル
化シグナルを含有する3’転写非翻訳領域である。好ましい3’領域の例は、エ
ンドウ由来のssRUBISCO E9遺伝子に由来するものである(参照とし
て完全に本明細書に組み込まれる欧州特許出願第385,962号)。
【0028】 典型的には、ポリアデニル化部位の数百塩基対下流に位置するDNA配列が、
転写を終結させるようはたらく。そのDNA配列は、本明細書において転写終結
領域と呼ばれる。その領域は、転写されたメッセンジャーRNA(mRNA)の
効率的なポリアデニル化のために必要であり、3’非翻訳領域として知られる。
RNAポリメラーゼは、ポリアデニル化が起こる部位を通ってコーディングDN
A配列を転写する。
【0029】 一つの好ましい実施形態において、ベクターは、選択可能、スクリーニング可
能又はスコア化可能なマーカー遺伝子を含有する。これらの遺伝子成分は、形質
転換植物の同定において機能する産物、又は所望の利用性を有する産物を産生す
るため、本明細書において機能的遺伝子成分とも呼ばれる。選択装置として機能
するDNAは、再生可能な植物組織において機能して、毒性化合物に対する耐性
を植物組織に付与するであろう化合物を産生する。選択可能、スクリーニング可
能又はスコア化可能なマーカーとして使用するための目的遺伝子には、これらに
限定されないが、β−グルクロニダーゼ(GUS)遺伝子、グリーン蛍光タンパ
ク質(GFP)遺伝子、ルシフェラーゼ(LUX)遺伝子、抗生物質又は除草剤
に対する耐性遺伝子が含まれるであろう。トランスポゾン及び関連する抗生物質
耐性遺伝子の例には、トランスポゾンTns(bla)、Tn5(nptII)
、Tn7(dhfr);ペニシリン:カナマイシン(及びネオマイシン、G41
8、ブレオマイシン);メトトレキサート(及びトリメトプリム);クロラムフ
ェニコール;及びテトラサイクリンが含まれる。
【0030】 植物における選択可能マーカーのための有用な特徴は、微生物の使用に関する
報告(Advisory Committee on Novel Foods
and Processes、1994年7月)に概説されている。これらに
は、以下のものが含まれる。
【0031】 i)最少数の非形質転換組織を有する厳密な選択、 ii)再生を有意に妨害しない多数の独立した形質転換イベント、 iii)多数の種への適用、及び iv)マーカーの存在に関して組織をスコア化するためのアッセイの利用可能
性。
【0032】 前述のように、カナマイシン(nptII)、ハイグロマイシンB(aphI
V)及びゲンタマイシン(aac3及びaacC4)に対する耐性を含む、いく
つかの抗生物質耐性マーカーが、これらの要件を満たしている。
【0033】 多数の選択可能マーカー遺伝子が当分野において既知である。本発明において
使用するための特に好ましい選択可能マーカー遺伝子には、カナマイシン(De
keyserら,1989)等の抗生物質及びグリホサート(Della−Ci
oppaら,1987)等の除草剤のような化合物に対する耐性を付与する遺伝
子が含まれるであろう。その他の選択装置も、使用可能であり、本発明の範囲内
である。
【0034】 本発明は、前記のような選択可能又はスクリーニング可能なマーカー及び関連
制御因子を、特定の所望の形質を付与するために十分なように発現される一つ又
は複数の核酸と共に含有する、任意の適当な植物形質転換プラスミド又はベクタ
ーを用いて使用されうる。本発明により企図される適当な目的構造遺伝子の例に
は、これらに限定されないが、昆虫又は害虫に対する耐性、除草剤耐性のための
遺伝子、収量、栄養増強、環境もしくはストレスに対する耐性、又は植物の生理
、生長、発達、形態もしくは(一つもしくは複数の)植物産物の任意の所望の変
化のような品質改良のための遺伝子が含まれるであろう。
【0035】 又は、DNAコーディング配列は、内因性遺伝子の発現の標的された阻害を引
き起こす非翻訳可能RNA分子をコードすることにより、例えばアンチセンスも
しくは共抑制により媒介されるメカニズムを介して、これらの表現型に影響を与
えるものであってもよい(例えば、Birdら,1991を参照のこと)。RN
Aは、所望の内因性mRNA産物を切断するよう操作された触媒性RNA分子(
即ち、リボザイム)であってもよい(例えば、Gibson and Shil
litoe,1997)。従って、目的の表現型又は形態の変化を発現するタン
パク質又はmRNAを産生する遺伝子はいずれも、本発明の実施のため有用であ
る。
【0036】 本発明により包含される方法により導入されうる核酸の例には、例えば、他の
種に由来するDNA配列もしくは遺伝子、又はさらには、同じ種に由来するか、
もしくは同じ種に存在するが、古典的な生殖又は育種の技術ではなく遺伝子操作
法により受容細胞へと組み込まれる遺伝子もしくは配列が含まれる。しかし、外
因性という用語は、形質転換される細胞に通常は存在しない遺伝子、又は形質転
換DNAセグメントに見出されるような形態、構造等では存在しない遺伝子、又
は通常存在するが異なる発現が望ましい遺伝子をさすものとする。従って、「外
因性」の遺伝子又はDNAという用語は、類似の遺伝子がそのような細胞に既に
存在するか否かに関わらず、受容細胞へと導入される任意の遺伝子又はDNAセ
グメントをさすものとする。外因性DNAに含まれるDNAの型には、植物細胞
に既に存在するDNA、他の植物に由来するDNA、異なる生物に由来するDN
A、又は遺伝子のアンチセンスメッセージを含有するDNA配列、もしくは遺伝
子の合成物もしくは修飾物をコードするDNA配列のような外部で生成したDN
Aが含まれうる。
【0037】 本開示を参照することにより、その他の可能な選択可能又はスクリーニング可
能なマーカー遺伝子、制御因子、及びその他の目的配列が、数多く当業者に明ら
かとなろう。従って、上記の記述は、網羅的ではなく例示的であるものとする。
【0038】 植物形質転換ベクター又は構築物の構築の後、in vitroでDNA組成
物として調製された該核酸分子を、大腸菌のような適当な宿主へ導入し、アグロ
バクテリウムのような他の適当な宿主へと接合させるか、又はコンピテントなア
グロバクテリウムへと直接形質転換する。これらの技術は、当業者に周知であり
、ダイズ、ワタ及びコムギを含む多数の植物系に関して記載されている(例えば
、参照として完全に本明細書に組み込まれる、米国特許第5,569,834号
及び第5,159,135号並びに国際特許公開第97/48814号を参照の
こと)。
【0039】 本発明は、一つ又は複数の遺伝子成分を植物へ導入するための細菌株の使用を
包含する。当業者は、アグロバクテリウム媒介形質転換法の有益性を認識してい
るであろう。好ましい株には、これらに限定されないが、アグロバクテリウムツ
メファシエンス株C58、植物細胞へのDNAの移入を媒介するために使用され
るノパリン株、LBA4404のようなオクトピン株、又はアグロピン株、例え
ばEHA101、EHA105又はEHA109が含まれるであろう。植物形質
転換のためのこれらの株の使用が、報告されており、その方法は当業者に周知で
ある。
【0040】 本発明は、再生可能な細胞又は組織を用いて使用されうる。当業者は、再生可
能な植物組織とは、一般に、外因性DNAの挿入及び適切な培養条件の後に、分
化した植物を形成することができる組織をさすことを理解している。そのような
組織には、これらに限定されないが、カルス組織、胚軸組織、子葉、根及び葉が
含まれうる。例えば、再生可能な組織には、葯(Zhou and Konza
k、1989)、小胞子(Ziauddinら,1992)、花部(Barce
loら,1994)及び葉組織(Congerら,1987)に由来するカルス
又は胚様体が含まれうる。例えばコムギにおいては、コムギ小穂から未成熟胚を
単離することができる。その他の組織も、本発明の実施において有益であると企
図される。
【0041】 本発明の一つの実施形態において、胚形成カルス組織が出発外植片材料として
使用される。胚形成カルスは、未成熟胚から作製される。これらのカルスは、未
成熟胚を単離し、炭水化物及び植物生長制御物質を含有する栄養培地上で培養す
ることにより作製されうる。
【0042】 特定の穀類の形質転換のための胚形成カルス又はその他の標的組織は、当業者
に既知の多数の方法により単離されうる。例えば、参照として完全に本明細書に
組み込まれる国際特許第97/48814号は、コムギ未成熟胚及び胚形成カル
スの単離を記載している。コムギ未成熟胚の単離は、ウィークスら(Weeks
ら(1993))及びベイシルら(Vasilら(1993))によっても記載
されている。
【0043】 同様に、トウモロコシの未成熟胚は、適当な培養培地上で予備培養され、アグ
ロバクテリウム接種のため使用されうる。ダイズにおいては、例えば、葉組織か
ら懸濁細胞培養物を発生させ、アグロバクテリウム接種の前に長期にわたり維持
することができる。胚軸切片も、ダイズのための外植片として企図され、当業者
に既知のように、発芽した実生から調製されうる。
【0044】 本発明のもう一つの実施形態は、予備培養された細胞又は組織を出発材料とし
て使用することである。本明細書において使用されるように、予備培養とは、ア
グロバクテリウム接種の前に、植物組織の生長を支持する適切な培地中で細胞又
は組織を培養することを意味する。アグロバクテリウム接種前の再生可能な細胞
又は組織の予備培養は、長期間、例えば7日間以上行いうる。より好ましくは、
予備培養期間は6日以下である。さらに好ましくは、予備培養期間は約1時間か
ら4日のような比較的短い期間である。最も好ましくは、予備培養期間は約1か
ら3日である。予備培養のための適当な培地の例には、これらに限定されないが
、これらに限定されないがピクロラム(pichloram)及び2,4−Dを
含む付加的な栄養及び/又は植物生長制御因子が補充した、MS基本培地(Mu
rashige and Skoog,1962)又はN6基本培地(Chuら
,1978)が含まれるであろう(表2参照)。当業者は、適切に補充された場
合、植物組織の生長及び発達を支持する多様な組織培養培地に精通している。こ
れらの組織培養培地は、市販の調製物として購入するか、又は当業者が特別に調
製し修飾することができる。そのような培地の例には、これらに限定されないが
、然るべく補充された、ガンボルグの培地(Gamborgら,1968)、マ
カウンの木本培地(McCown and Loyd,1981)、ニッシュ及
びニッシュの培地(Nitsch and Nitsch,1969)並びにシ
ェンク及びヒルデブラントの培地(Schenk and Hildebran
dt,1972)が含まれるであろう。当業者は、形質転換及び再生において使
用するための培地、並びに栄養及び生長制御物質のような培地補充物質が、通常
、特定の標的目的穀類のため最適化されることを承知している。
【0045】 再生可能植物組織が単離された後、方法の次の工程は、遺伝子成分の植物組織
への導入することである。この過程は、本明細書において「形質転換」とも呼ば
れる。植物細胞が形質転換され、独立に形質転換された各植物細胞が選択される
。独立した形質転換体は植物細胞系と呼ばれる。遺伝子成分を再生可能植物組織
へと挿入するための多数の方法が報告されており、使用可能である。
【0046】 主にアグロバクテリウムツメファシエンスの使用により、双子葉植物を形質転
換し、トランスジェニック植物を入手するための方法が、ワタ(米国特許第5,
004,863号、米国特許第5,159,135号、米国特許第5,518,
908号、国際特許公開第97/43430号)、ダイズ(米国特許第5,56
9,834号、米国特許第5,416,011号、McCabeら,1988、
Christouら,1988)、アブラナ属植物(Brassica)(米国
特許第5,463,174号)及びラッカセイ(Chengら,1996、De
Kathen and Jacobsen,1990)を含む多数の穀類に関
して公開されている。
【0047】 電気穿孔、粒子撃ち込み及びアグロバクテリウムを使用した単子葉植物の形質
転換も、報告されている。形質転換及び植物再生は、アスパラガス(Byteb
ierら,1987)、オオムギ(Wan and Lemaux,1994)
、トウモロコシ(Rhodesら,1988、Ishidaら,1996、Go
rdon−Kammら,1990、Frommら,1990、Kozielら,
1993、Armstrongら,1995)、エンバク(Somersら,1
992)、イネ(Toriyamaら,1988、Zhang and Wu,
1988、Zhangら,1988、Battraw and Hall,19
92、Christouら,1991、Parkら,1996)、サトウキビ(
Bower and Birch,1992)、ヒロハノウシノケグサ(Wan
gら,1992)及びコムギ(Vasilら,1992、Weeksら,199
3)において達成されている。
【0048】 本発明は、アグロバクテリウム媒介形質転換を利用する。本発明の一つの利点
は、標準的なバイナリーベクターが、本発明における実験と共に使用されうる点
である。形質転換は、試験した全ての植物系において達成された。他の報告され
たトウモロコシの系においては、高い形質転換を達成するためにスーパーバイナ
リーベクターが必須であることが示されているため(Ishidaら,1996
)、スーパーバイナリーベクターが必要でないという事実は有益性を増加させる
【0049】 再生可能組織にアグロバクテリウムを接種し、接種された外植片を、共培養期
間中に外植片の重量が減少するように処理する。アグロバクテリウム接種後の再
生可能な細胞又は組織の処理は、接種された外植片の重量を減少させ、DNA移
入過程を助長する任意の方法を含む。
【0050】 本発明の特に好ましい実施形態は、アグロバクテリウム接種後の外植片の重量
を減少させるため、制限された又は減少した水分条件を使用する。共培養中に外
植片の重量を減少させるための可能な方法には、これらに限定されないが、共培
養中の外植片への外因性水分を制限すること、共培養中に真空を適用することに
より外植片の重量を減少させること、例えばマンニトール、ソルビトール、ラフ
ィノースもしくはポリエチレングリコール又はそれらの組み合わせの使用により
培地の浸透圧(osmotic potential)を増加させること、蒸発
もしくは送風により外植片の重量を減少させるため外植片を空気乾燥させること
、又は例えば乾燥環境中に外植片を置くことにより共培養中の外植片から水分を
抽出する化学的手段が含まれうる。適当な乾燥剤の例には、これらに限定されな
いが、酸化カルシウム又は硫酸が含まれるであろう。
【0051】 アグロバクテリウム接種された外植片の重量を減少させる一つの好ましい方法
は、共培養中の該外植片への水分供給を制限することである。共培養とは、本明
細書において使用されるように、外植片にアグロバクテリウム培養物を接種した
時点から、アグロバクテリウム増殖を阻害する化合物の添加により、又はそのよ
うな過程によりアグロバクテリウムの増殖を抑制する時点までを意味する。アグ
ロバクテリウムを接種された外植片は、ゲル化剤を含有する培地を含有しないペ
トリ皿のような組織培養容器内に置かれる。一つの実施形態において、外植片は
、これらに限定されないが、ペトリ皿内に置かれたフィルター紙を含む、適当な
ブロッティング材料の上に置かれる。
【0052】 目的のプラスミド又はベクターを保持するアグロバクテリウム株は、株及びベ
クターのための選択的抗生物質を補充されたルリアブルタニ(Luria Bu
rtani)(LB)のような、適切な培養培地上で培養される。当業者は、ア
グロバクテリウムの増殖のための手順及び適当な培養条件、並びにその後の接種
手順に精通している。接種のために使用されるアグロバクテリウム培養物の密度
及びアグロバクテリウム細胞と外植片との比率は、系によって異なっていてもよ
く、従って任意の形質転換法のためのこれらのパラメータの最適化が予想される
。典型的には、アグロバクテリウム培養物を、画線培養されたプレート又はグリ
セロールストックから接種し、一晩増殖させ、細菌細胞を洗浄し外植片の接種に
適した培養培地中に再懸濁させる。本発明のための適当な接種培地には、これら
に限定されないが、1/10MS塩を含むCM4C培地(表2)又は減少した塩
濃度を有する修飾CM4C培養培地が含まれる。いくつかの場合において、これ
らに限定されないが、シルウェット(Silwet)(L77)(Wites、
Hudson、Ohio)又はプルロニック(pluronic)F68(Si
gma、St.Louis、MO)を含む界面活性剤を、低濃度で接種培地へ添
加してもよい。洗浄され再懸濁したアグロバクテリウム細胞懸濁液と共に外植片
をインキュベートする。接種は、一般的には、約20℃〜28℃、好ましくは約
23℃〜28℃の温度で、約1分から約3時間実施される。
【0053】 共培養期間中に外植片と共にインキュベートされる添加された液体の量は、培
養容器のサイズ、出発外植片のサイズ/重量、及び外植片/プレートの数によっ
て様々である。添加された液体の量は、60×20mmの培養プレートの場合、
0μLから1000μL、好ましくは0μLから500μLの範囲であり得る。
共培養期間は、約1時間から約1週間、好ましくは約1日から4日、より好まし
くは約1日から3日の範囲であり得る。共培養期間後、アグロバクテリウムを接
種された外植片の重量は、約50%以下減少している。より好ましくは、アグロ
バクテリウムを接種された外植片の重量は、最大約40%減少している。さらに
好ましくは、アグロバクテリウムを接種された外植片の重量は、最大30%減少
している。
【0054】 共培養期間後、アグロバクテリウムを接種された外植片を、アグロバクテリウ
ム増殖を阻害するための薬剤を含有する適切な培地上で培養する。アグロバクテ
リウムを接種された外植片を、そのような培地上で、一般的には1日から14日
、好ましくは2日から7日培養する。当業者は、アグロバクテリウム増殖を阻害
するための適切な培地成分を承知している。そのような培地成分には、これらに
限定されないが、カルベニシリン又はセフォタキシムのような抗生物質が含まれ
るであろう。
【0055】 アグロバクテリウム増殖を阻害するための培養工程の後、好ましくは外植片を
選択培地上に置く前に、これらに限定されないが、β−グルクロニダーゼ(GU
S)をコードする遺伝子のようなスクリーニング可能マーカー遺伝子を含む形質
転換ベクター上に含まれる遺伝子の存在を検出する一過性アッセイにより、それ
らをDNA輸送効率について分析する。選択された外植片の数に対する青色スポ
ット(GUS発現を示す)の総数を、DNA移入効率の陽性の相関として使用す
る。共培養中の最適な重量減少量及び形質転換効率の両方が、一過性に予測され
、続いて、安定的な形質転換体の高効率産生により確認される。
【0056】 好ましい実施形態において、選択剤なしにアグロバクテリウム増殖を阻害する
ための抗生物質を含有する非選択培地上でのインキュベーションの後、これらに
限定されないが、選択剤を含有するカルス誘導培地を含む、選択増殖培地上で外
植片を培養する。典型的な選択剤には、これらに限定されないが、ゲネチシン(
G418)、パロモマイシンのような抗生物質、又はグリホサートのようなその
他の化学物質が含まれる。続いて、形質転換された苗木の作製に適した再生培地
へ培養物を移す。当業者は、植物の形質転換及び再生のため、各植物系について
実行し最適化することができる多数の型の培地及び移入要件を承知している。従
って、本発明において開示されたそのような培地及び培養条件を、修飾するか、
又は栄養的に等価な成分、もしくは選択及び再生のための類似の手順と置換する
ことが可能である。
【0057】 続いて、作製された形質転換体を、形質転換ベクター上に含まれる特定の目的
核酸の存在又は欠如を決定するため分析する。分子的分析には、これらに限定さ
れないが、サザンブロット(Southern,1975)又はPCR(ポリメ
ラーゼ連鎖反応)分析が含まれうる。これら及びその他の周知の方法が、開示さ
れた方法により作製された形質転換植物の安定性を確認するため実施されうる。
これらの方法は、当業者に周知であり、報告されている(例えば、Sambro
okら,1989を参照のこと)。
【0058】 当業者は、本発明により提供された方法及び組成物の多くの利点を認識するで
あろう。以下の実施例は、本発明の好ましい実施形態を例証するために含まれる
。実施例に開示された技術は、本発明の実施において良好に機能することが本発
明者らにより発見された技術を表しており、本発明の実施のための好ましい形態
を構成するものと見なされうることを当業者は認識すべきである。しかし、本開
示を参照することにより、開示された特定の実施形態に多くの変更を加えること
が可能であり、それでも本発明の本旨及び範囲を逸脱することなく類似の結果が
得られることを、当業者は認識すべきである。
【0059】 実施例 実施例1 プラスミドベクターの構築 当業者に既知の標準的な分子生物学的技術を使用して、プラスミドベクターを
構築した。多数のアグロバクテリウム媒介植物形質転換ベクターが記載されてい
る(Klee and Rogers,1989)。簡単に説明すると、本明細
書に記載の植物形質転換ベクターは、これらに限定されないが、植物ゲノムへの
核酸分子の移入を促進するための一つ又は複数のT−DNA境界配列、複製因子
、選択可能マーカー、並びに一つ又は複数の目的遺伝子を含む、一つ又は複数の
核酸配列を含む。pMON25457(図3)は、(一つ又は複数の)コーディ
ング領域の上流に位置するトウモロコシ熱ショックタンパク質(hsp70)イ
ントロンも含有する。pMON15715(図1)及びpMON18365(図
2)は、ソラナムツベロサム(Solanum tuberosum)由来のイ
ントロン(ST−LS1INT)を含有する。実施例において使用したベクタ
ーの基本的特徴が表1に要約されており、プロモーター/コーディング配列/3
’非翻訳領域のように記載されている。
【0060】 表中の略語は、以下の通りである。FMVは、ゴマノハグサモザイクウイルス
由来のプロモーター(米国特許第5,378,619号)であり、e35Sプロ
モーターは、−90から−300の領域の重複を含有する、カリフラワーモザイ
クウイルス(CaMV)の35S RNA由来の35Sプロモーターの修飾物で
あり、nosプロモーターは、アグロバクテリウムツメファシエンスpTiT3
7に由来する。GUS遺伝子は、大腸菌由来のβ−グルクロニダーゼコーディン
グ配列であり、nptII遺伝子は、ネオマイシンホスホトランスフェラーゼを
コードし、nos3’領域はアグロバクテリウムツメファシエンスpTiT37
のNOS遺伝子のための下流非翻訳配列及びポリAシグナルを含有する。関連制
御因子と共に目的遺伝子としてのCP4遺伝子を使用して、いくつかのグリホサ
ート耐性構築物も試験した。
【0061】
【表1】
【0062】 実施例2 予備培養されたコムギの未成熟胚(PCIE)を使用した形質転換 1.外植片の調製 受粉後13〜15日目に、未成熟穀果(コムギ小穂)から、コムギ(トリチカ
ムアエスチバヌ(Triticum aestivum)L)cvボブホワイト
(Bobwhite)の未成熟胚を単離し、CM4C(表2)上で1〜6日間培
養した。胚形成カルス無しの胚を、アグロバクテリウム接種のため選択した。
【0063】
【表2】
【0064】 2.アグロバクテリウムの培養及び接種 バイナリーベクターを保持する無毒化アグロバクテリウム株C58(ABI)
を、全ての実験に使用した。アグロバクテリウムの培養を、グリセロールストッ
クから、又は新鮮に画線培養されたプレートから開始し、対数増殖期中期(mi
d−log phase)(約OD660=1〜1.5)になるまで、50mg
/Lカナマイシン、50mg/Lストレプトマイシン及びスペクチノマイシン、
並びに25mg/Lクロラムフェニコールを200μMアセトシリンゴン(AS
)と共に含有する液体LB培地(pH7.0)(Miller,1972)中で
振とう(およそ150rpm)しながら26℃〜28℃で一晩増殖させた。アグ
ロバクテリウム細胞を接種培地に再懸濁させ、密度をOD660が1になるよう
調整した。CM4C培地中で培養された未成熟胚を、ペトリ皿1枚当たり10m
L又は細胞培養クラスタープレート1枚当たり5mLの接種培地を含有する、無
菌ペトリ皿(16×20mm)又は6穴細胞培養プレート(Costar Co
rporation、Cambridge、MA)のウェルに移した。等量のア
グロバクテリウム細胞懸濁液を、アグロバクテリウム細胞の最終濃度がOD60 0.5となるよう添加した。大部分の実験において、プルロニックF68を最
終濃度0.01%で接種混合物へ添加した。アグロバクテリウムと未成熟胚(I
E)との比率は、約10mL:20〜200IEであった。接種のための条件は
、約23℃〜26℃の温度で、約5〜60分間であった。
【0065】 3.共培養 接種期間後、社内の真空装置を使用することにより、残存しているアグロバク
テリウム細胞を外植片から除去した。無菌ワットマンNo.1フィルター紙(ペ
トリ皿のサイズに適合する)1枚を、さらなる液体又は寒天補充培地を含まない
60×15又は60×20mmの各ペトリ皿に置いた。200マイクロリットル
の滅菌水をフィルター紙の中央に置いた。2〜3分後、接種された未成熟胚をプ
レートに置いた。通常20〜50個の外植片を1群として分類し(サイズ約1c
m及び60〜80mg/群)、プレート1枚当たり4〜5群とした。プレートを
直ちにパラフィルムで覆い、次いで暗所で24℃〜26℃で2〜3日間共栽培し
た。
【0066】 4.DNAの輸送、アグロバクテリウムの増殖及び外植片の重量に対する共培
養中の水分の効果 選択の2〜3日遅延の後、DNA輸送の効率を、一過性GUS発現により測定
した。DNA輸送に対する共培養中の水分の効果を、予備培養された外植片を使
用して試験した。表3に示されるように、300μL以下の水を共培養プレート
に添加した場合、外植片の重量は約20%〜35%減少した。有意に多い一過性
GUS発現も観察された。400μL以上の水を添加した場合、外植片の重量は
増加し、比較的少ないGUSスポットが外植片上に観察された。短時間(5〜3
0分)の接種を、共培養プレート中の500μL以上の水と組み合わせて使用し
た場合には、一過性GUS発現は有意に減少した。共培養のため300μL未満
の水を使用した場合には、GUS発現を示す青色のスポットが、全ての未成熟胚
の胚盤組織の表面上に、特に、活発な細胞分裂を示す範囲に均一に分散していた
。対照的に、500μL以上の水を共培養中に添加した場合には、30%〜50
%の未成熟胚のみがGUS発現を示した。
【0067】
【表3】
【0068】 5.選択及び再生 遅延培地上で2〜3日後、未成熟胚を25mg/L G418及び500mg
/Lのカルベニシリンが補充されたCM4Cへ移した。2〜3週間後、胚を小片
(およそ2mm)に破壊し、第一再生培地である、25mg/L G418及び
250mg/Lカルベニシリンを含むMMS.2C培地(表2)へ継代した。再
生培地への移動の際、各カルス片をいくつかの小片(およそ2mm)へとさらに
分割した。移動後2週間目に、若い苗条及び生存カルス組織を、第二再生培地で
ある、同濃度のG418及びカルベニシリンを含むMMS0C(表2)へ移した
。比較的大きい組織片を、前記のような小片へと分離した。後に真の形質転換体
であることが確認された苗木は、活発に生長し、この培地上で強い根系を形成さ
せた。強い根毛、10本以上の短く強い根、又は二次根を有する植物を、さらな
る増殖及び選択のための二次再生培地を含有するサンデーカップ(Sundae
cups)(Sweetheart Cup Company、Chicag
o、IL)に移した。この時点で、GUS組織化学的アッセイのため、いくつか
の苗木から葉試料を採取した。サンデーカップでの増殖期間中、非形質転換体の
大部分が死滅するか、又はG418に対する感受性の徴候を示した。強い根系を
有し活発に生長するG418に対して高度に耐性の植物を、土壌に移した後、サ
ンデーカップの頂部まで生長させた。同じ胚に由来する植物は全て、同じイベン
トからの同胞種であると見なした。
【0069】 6.形質転換効率 再生した植物は、可視の異常を示さず、稔性であった。全ての植物を、GUS
組織化学的アッセイにより試験した。多くのトランスジェニックイベントが作製
された。12回の異なる実験からの合計1519個の外植片について、99個の
トランスジェニックイベントが作製され、平均形質転換効率は6.5%であった
。接種期間の長さ及び接種に使用したアグロバクテリウムの密度を含む、試験し
た異なるパラメータについて、形質転換効率の範囲は1.4%から19%であっ
た。
【0070】 7.トランスジェニック植物の検出及び分析 高輝度高出力(HID)シルバニア(Sylvania)光源(GTE Pr
oducts Corp.、Manchester、NH)から供給される80
0molm−2−1の16時間光周期を有する環境的に調節された生長チャン
バー内で植物を生長させた。日/夜温度は、18/16℃であった。接種から植
物の大部分を土壌に移すまでには約2.5から3ヶ月かかり、可視の異常は観察
されなかった。各植物を以下の方法のうちの一つ又は複数により検査した。
【0071】 1)植物の異なる部分を使用したGUS組織化学的比色アッセイ(Jeffe
rson,1987)。
【0072】 2)チェングらの文献(Chengら(1997))に記載のような葉漂白ア
ッセイ。
【0073】 3)サザンハイブリダイゼーション分析(Southern,1975)も実
施した。当業者に既知の標準的な方法(例えば、Roger and Bend
ich,1985に記載の方法を参照のこと)を使用して、被検植物の葉組織か
らゲノミックDNAを単離する。DNAを単離した後、当業者に既知のプロトコ
ル及び方法を使用してサザン分析を実施することができる。
【0074】 実施例3.NptII選択を使用したコムギの胚形成カルスの形質転換 1.外植片の調製 この研究を通して、春播きコムギ、トリチカムアエスチバムcv.ボブホワイ
トを使用した。ストック植物を前記と同様の生長条件下で環境的に調節された生
長チャンバー内で生長させた。開花後13〜15日目に植物から未成熟穀果(小
穂)を収集した。未成熟胚(IE)を無菌的に切開し、暗所で23〜25℃で、
CM4又はCM4Cカルス誘導培地(表2)上で10〜30日間培養した。
【0075】 2.アグロバクテリウムの培養 アグロバクテリウムの培養及び採取のプロトコルは、実施例2の記載と同様で
あり、pMON18365を使用した。
【0076】 3.接種 カルス誘導培地(CM4又はCM4C)で培養した未成熟胚を、アグロバクテ
リウム細胞懸濁液を含むペトリ皿(25×100mm)に移した。アグロバクテ
リウムと胚形成カルス組織(EC)との比率は、アグロバクテリウム約30mL
:EC30であった。界面活性剤シルウェット(L77)(Witco Cor
poration、Hudson、OH)又はプルロニックF68(Sigma
、St.Louis、MO)を、0.01〜0.02%の濃度で接種培地へ添加
した。接種は、暗所で、23℃〜25℃で、2〜3時間実施した。
【0077】 4.共栽培 接種後、社内の真空装置を使用して、液体培養物中の余分なアグロバクテリウ
ムを外植片から除去した。無菌ワットマンNo1.フィルター紙1枚を60×2
0mmの各ペトリ皿に置いた。接種培地又は無菌水50マイクロリットルをフィ
ルター紙の中央に置いた。1から2分後、接種された胚形成カルス(10〜30
日間培養された各未成熟胚に由来)を液体培地又は水のうねに置いた。通常、約
10〜12個の外植片を、各プレートのフィルター紙上の円内に置いた。プレー
トをパラフィルムで覆い、暗所で、24℃から25℃で、3日間共栽培を進めた
【0078】 5.DNA輸送の効率 選択の2〜3日遅延の後、DNA輸送の効率を、一過性GUS発現アッセイに
より測定した。アグロバクテリウムを接種された外植片への水分を制限した全て
の実験において、比較的高レベルのGUS発現が観察された。表4に示されるよ
うに、200μL未満の液体培地を共培養プレートに添加した場合には、有意に
多い一過性GUS発現が観察された。400μL以上の培地を添加した場合には
、40個未満のGUSスポットが外植片上に可視であった。
【0079】
【表4】
【0080】 6.選択及び植物の再生 CM4C培地(表2)上で2〜5日後、アグロバクテリウムを接種された胚形
成カルスを、25mg/L G418及び500mg/Lカルベニシリンを含有
するCM4又はCM4C(表2)へ移した。各胚形成カルスを5又は6片に分離
し、各片を単一の外植片として処理した。胚形成カルスをカルス誘導のため2〜
3週間培養した後、第一再生培地へ移した。その後の培養法は、実施例2の概説
と同様である。
【0081】 7.トランスジェニック植物の検出及び分析 T植物を実施例2の記載と同様にして分析した。
【0082】 8.形質転換効率 前記のようにして植物をアッセイした後、各実験におけるトランスジェニック
イベントの数を決定した。10回の異なる実験から、全部で515個の初期外植
片から53個の陽性トランスジェニックイベントが得られた。形質転換効率は3
.6%から37.7%の範囲であり、平均10%であった。処理パラメータには
、界面活性剤の型並びに共培養期間中のプレート内の水の濃度及び量が含まれて
いた。
【0083】 9.トランスジェニック植物の子孫分析 T子孫におけるGUS遺伝子及びNPTII遺伝子の分離を、葉組織におけ
るGUS組織化学的アッセイ、又はT実生におけるパロモマイシン噴霧試験の
いずれかにより分析した。各T植物から採取されたT種子を2”のポットに
植え、前記のストック植物と同様の条件下で生長させた。3葉段階の植物に、2
%(w/v)パロモマイシンを含有する0.2%Tween20(いずれもシグ
マ社(Sigma Chemical Co.、St.Louis、MO)より
入手可能)を噴霧した。1週間後、植物をパロモマイシン感受性について評価し
た。機能的NPTII遺伝子を有する植物は漂白されず、機能的NPTII遺伝
子を有しない植物は漂白されたスポットを示した。次いで、χ検定によりデー
タを分析し、機能的なGUS遺伝子座又はNPTII遺伝子座の数を決定した(
表5)。例えば、耐性植物対感受性植物の比率が3:1であれば、単一の機能的
nptII遺伝子座がこのトランスジェニックイベントに存在する。比率が3:
1より大きいのであれば、複数の機能的イベントが存在する。
【0084】
【表5】
【0085】 実施例4 グリホサート選択を使用したコムギの形質転換 1.外植片の調製 ストック植物の生長、未成熟胚の単離、及び誘導培養のための手順は、実施例
2の記載と同様であった。外植片は、胚形成カルス組織を含まない3〜6日間予
備培養された未成熟胚(PCIE)、又は10〜30日間培養された胚形成カル
ス組織のいずれかであった。
【0086】 2.アグロバクテリウムの調製、接種、共栽培及びT−DNA輸送 プロトコルは実施例2及び3の記載と同様であった。
【0087】 3.選択及び植物の再生 3日間の共栽培後、アグロバクテリウムを感染させたPCIE及び胚形成カル
スを、500mg/Lカルベニシリンが補充されたCM4C培地(表2)へ移し
、約7日間培養した。PCIE外植片は、この培地上で胚形成カルスを形成した
。次いで、外植片を、暗所で、2mMグリホサート及び500mg/Lカルベニ
シリンを含むCM4C選択培地へ1週間移した。全てのカルスを、約80μEの
光条件でのさらに2週間の選択のため、0.1mMグリホサート及び250mg
/Lカルベニシリンが補充されたMMS0.2C(表2)へ移した。この培養期
間の完了時に緑色のスポット又は苗条が形成された。全ての胚形成カルスを、第
二再生培地である、500mg/Lカルベニシリン及び0.02mMグリホサー
トが補充されたMMS0C(表2)へ移した。L−トリプトファン及びL−フェ
ニルアラニン(10−7mM/アミノ酸)を含む芳香族アミノ酸を、選択を助長
するためこの培地へ添加した。2週間毎に、これらの組織を新鮮な培地に移した
。培養期間中の任意の時点で、伸長した分裂組織及び根を有する苗木を、胚形成
カルスから再生させることができた。根系が確立された後、植物を土壌に移し、
続いてアッセイした。同じPCIE又はカルスに由来する植物は、全て同じトラ
ンスジェニックイベントからの同胞種であると見なした。
【0088】 4.植物のトランスジェニック性質の確認 トランスジェニック植物は、グリホサート選択に耐えて生存し、実施例2に記
載と同様の環境的条件の生長チャンバー内で生長した。通常、グリホサート選択
(グリホサート選択に耐えて生存する植物を全て形質転換体と見なした)又はサ
ザンハイブリダイゼーション(Southern,1975)のいずれかにより
、トランスジェニック植物を検査した。
【0089】 5.形質転換効率 グリホサート耐性トランスジェニック植物も、本発明のアグロバクテリウム形
質転換法を使用して作製された。10〜14日齢のカルス組織及び3〜6日間予
備培養された未成熟胚の両方を外植片として使用した。全ての推定トランスジェ
ニック植物が、前記のアッセイ法により陽性であることが確認された。12回の
実験からの平均形質転換効率は4.6%であった(全部で2844個の外植片が
131個のトランスジェニックイベントを生じた)。形質転換効率の範囲は3.
3%から6.7%であった。
【0090】 6.トランスジェニック植物の子孫分析 T世代におけるCP4遺伝子及びGUS遺伝子の分離を、葉組織及び根組織
におけるGUS組織化学的アッセイ又は3〜6葉段階における1エーカー当たり
64〜128オンスのRoundup(登録商標)噴霧試験のいずれかにより試
験した。データをχ検定により分析し、機能的なCP4遺伝子座及びGUS遺
伝子座の数を決定した。21個の系を分析した(17個のCP4、4個のGUS
)。CP4系のうち、11個の系の子孫が3:1分離比(耐性:感受性)を示し
、5個の系が15:1の比率を示し、1個の系が1:1の比率を示した。GUS
系のうち、4個の系の子孫が3:1の比率(陽性:陰性)を示し、2個の系が1
:1の比率を示し、1個の系が15:1の比率を示した。500個を越える子孫
を分析した。
【0091】 実施例5.トウモロコシの胚形成カルスの形質転換 1.外植片の調製 トウモロコシ(ジーメイズ(Zea mays)L.)の三系交雑種(Pa9
1×H99)×A188及び近交系H99の未成熟胚(1から1.5mm長)を
、1.5mg/l 2,4−Dが補充された培地D(Duncanら,1985
)(培地D−1.5D)中で暗所で27℃で14日間培養した。
【0092】 2.アグロバクテリウムの調製、接種及び共培養 pMON25457を保持する無毒化アグロバクテリウム株EHA101(H
oodら,1986)を、トウモロコシ形質転換に使用した。アグロバクテリウ
ムの培養は、実施例2の記載と同様にして開始させ、増殖させ、採取したが、細
胞の選択は異なる抗生物質(100mg/Lのゲンタマイシン及びカナマイシン
)を用いて行った。接種のため、細胞密度をOD660が0.5から1.0にな
るよう調整した。胚形成カルス(14日間予備培養)をアグロバクテリウム懸濁
細胞中に、暗所で、23℃から25℃で3時間浸した。通常、0.01%シルウ
ェット(W77)を接種混合物中に含ませた。接種後、前記のようにしてアグロ
バクテリウム細胞を接種プレートから除去し、外植片を実施例2及び3の記載と
同様にして共培養した。通常、50〜300μLの水を各共培養プレートに添加
した。500μL以上の水を共培養プレートに添加する処理を、対照として使用
した。
【0093】 3.植物の再生及びトランスジェニック植物の同定 遅延培地(500mg/Lカルベニシリンを含む培地D−1.5D)上で3日
後、予備培養しアグロバクテリウムを感染させた未成熟胚又は胚形成カルスを、
段階的な選択のためパロモマイシンが補充された、500mg/Lカルベニシリ
ンを含む前記のような修飾培地Dへ移した。外植片を25mg/Lパロモマイシ
ンを用いて1週間選択し、次いで破壊し、2又は3週間の間隔で、50mg/L
、100mg/L及び200mg/Lの濃度のパロモマイシンを含む培地へ継代
した。生存組織を、0.5mg/Lベンジルアデニン(BA)が補充された培地
DからなるBAパルス培地へ移した。5日後、胚形成カルスを、植物再生のため
のMS基本培地へ移した。トランスジェニック植物を、組織化学的GUSアッセ
イにより同定した。表6は、GUS発現に対する共培養中の水分枯渇の効果を示
す。
【0094】
【表6】
【0095】 実施例6.ダイズの懸濁細胞及び予備培養された胚軸外植片の形質転換 1.外植片の調製 1mg/L 2,4−D及び0.1mg/Lベンジルアデニン(BA)が補充
されたMS基本培地上で、ダイズcv.A3237の葉組織から誘導されたカル
スから懸濁細胞培養を開始させた。接種前、懸濁細胞をこの培地上で2ヶ月間維
持した。細胞を液体培養物から採取し、アグロバクテリウムを接種した。胚軸切
片は、cv.A3237の5日齢の発芽した実生から調製した。胚軸を約0.5
cmの切片に切り離した。接種前、外植片を、様々な培地上で5日間予備培養し
た。
【0096】 2.アグロバクテリウムの調製、接種及び共培養 バイナリーベクターpMON15715を保持する無毒化アグロバクテリウム
株ABIを、全てのダイズ実験に使用した。アグロバクテリウムの培養は、前記
と同様にして開始させ、増殖させ、採取した。接種のため、細胞密度をOD66 が0.1から1.0になるよう調整した。外植片をアグロバクテリウム溶液中
に15分から30分間浸し、感染した外植片を、1枚のフィルター紙が置かれた
ペトリ皿(100×20mm、100×15mm、又は60×20mm)で共培
養した。水分の効果を試験するための共培養期間中、水又は液体培地を排除し、
共培養中に水又は液体培地500μL又は1000μLを使用する対照を設定し
た。共培養は、暗所で、23℃〜25℃で3日間実施した。
【0097】 3.DNA輸送の効率 500mg/Lカルベニシリンを含む修飾MS培地(ピーナッツPと命名)上
での選択の2日遅延の後、外植片をGUSアッセイにより分析した。有意に多い
一過性GUS発現(およそ50倍)が、対照と比較して、懸濁細胞を使用した水
分制限処理において示された。アグロバクテリウムを接種された外植片への水分
を制限することの、DNA輸送に対する陽性効果は、胚軸外植片においても観察
された。その効果は、表7に示されるような異なる予備培養培地条件下でより明
白であった。
【0098】
【表7】
【0099】 参考文献 下記の参考文献及び本明細書に引用された全ての参考文献が、本明細書におい
て使用された方法論、技術及び/又は組成物を補足し、説明し、そのバックグラ
ウンドを提供し、又は教示する程度に、参照として本明細書に組み込まれる。
【0100】
【表8】
【図面の簡単な説明】
【図1】 pMON15715を示す図である。
【図2】 pMON18365を示す図である。
【図3】 pMON25457を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZW ),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU, TJ,TM),AE,AL,AM,AT,AU,AZ, BA,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,C R,CU,CZ,DE,DK,DM,EE,ES,FI ,GB,GD,GE,GH,GM,HR,HU,ID, IL,IN,IS,JP,KE,KG,KP,KR,K Z,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV,MA ,MD,MG,MK,MN,MW,MX,NO,NZ, PL,PT,RO,RU,SD,SE,SG,SI,S K,SL,TJ,TM,TR,TT,TZ,UA,UG ,UZ,VN,YU,ZA,ZW Fターム(参考) 2B030 AA02 AB03 AD20 CA06 CA17 CA19 CB02 CD03 CD07 CD09 CD13 CD14 CD17 4B024 AA08 BA12 CA02 DA01 FA02 GA11 4B065 AA88X AB01 BC33 CA29 CA31 CA53

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)植物のゲノムへ導入することが望まれる一つ又は複数
    の遺伝子成分を、再生可能な植物の細胞又は組織と該遺伝子成分を含有するアグ
    ロバクテリウムとを共培養することにより導入する工程、 (b)該アグロバクテリウムを接種された外植片の重量を減少させる条件下で
    、工程(a)の該アグロバクテリウムと再生可能な植物の細胞又は組織とを共培
    養する工程、 (c)形質転換された細胞系を同定又は選択する工程、及び (d)それらから稔性トランスジェニック植物を再生させる工程 を含む、稔性トランスジェニック植物を作製する方法。
  2. 【請求項2】 再生可能な細胞又は組織が、工程(a)の前に予備培養され
    る、請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 共培養のための条件が、アグロバクテリウムを接種された外
    植片から水分を制限又は除去することを含み、このとき、外植片の重量を50%
    以下減少させる、請求項1に記載の方法。
  4. 【請求項4】 アグロバクテリウムを接種された外植片の重量を最大40%
    減少させることを含む、請求項3に記載の方法。
  5. 【請求項5】 アグロバクテリウムを接種された外植片の重量を最大30%
    減少させることを含む、請求項3に記載の方法。
  6. 【請求項6】 アグロバクテリウム接種後の水分の制限又は除去の期間が1
    時間よりも長い、請求項3に記載の方法。
  7. 【請求項7】 アグロバクテリウム接種後の水分の制限又は除去の期間が1
    時間から約6日である、請求項3に記載の方法。
  8. 【請求項8】 アグロバクテリウム接種後の水分の制限又は除去の期間が約
    1日から約4日である、請求項3に記載の方法。
  9. 【請求項9】 アグロバクテリウム接種後の水分の制限又は除去の期間が約
    1日から約3日である、請求項3に記載の方法。
  10. 【請求項10】 トランスジェニック植物が単子葉植物である、請求項1に
    記載の方法。
  11. 【請求項11】 トランスジェニック植物が双子葉植物である、請求項1に
    記載の方法。
  12. 【請求項12】 単子葉植物がコムギ、トウモロコシ又はイネである、請求
    項10に記載の方法。
  13. 【請求項13】 単子葉植物がコムギである、請求項10に記載の方法。
  14. 【請求項14】 単子葉植物がトウモロコシである、請求項10に記載の方
    法。
  15. 【請求項15】 単子葉植物がイネである、請求項10に記載の方法。
  16. 【請求項16】 双子葉植物がダイズである、請求項11に記載の方法。
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