JP2002530147A - 可動適合型インサートを有する膝人工関節 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 可動適合型インサートを有する膝人工関節は、４つの良好に特殊化した部分、即ち脛骨部分（１）と、大腿の膝蓋部分（２）と、ヒトの膝の半月板の代わりをするもう１つの部分とを提供する。大腿および脛骨部分は、金属部分である。これに対し、インサートと呼ばれ、膝蓋および半月板の代わりをする部分は、プラスチック材料、特に超高分子量のポリエチレン製であり、その上部には大腿突起の幾何形状を再現し、またその下側の平坦な部分はタッピング（８）を有し、脛骨トレイ（５，１９）上にはピボット（４，１８）が設けられている。脛骨部分（１，１７）は、プラテン（５，１９）と、人工関節の移植後の回転を防止する十字形状のピンとを備える。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】 本発明の可動適合型インサート対象を有する膝関節の人工関節は、インサート
のピボット回転を可能にし、これはプラスチック製ピースの円筒形タッピング内
に挿入される。

【０００２】 膝の人工関節は、悪化した膝関節と置換することを予定された移植体である。
膝の人工関節（３部品タイプの）は、１つの大腿部品と、１つの脛骨部品と、１
つの膝蓋部品とから構成される。大腿部品は金属材料からなり、一般に突起の解
剖学的湾曲を再現する。脛骨部品は一般に、金属製脛骨トレイと、シャフトと、
接触面を形成するプラスチック材料（ポリエチレン）のスペーサまたはインサー
トとから構成される。

【０００３】 現在のところ、この種の人工関節の主たる問題点は、それが弛緩したときに、
外科手術によって新たなものと交換される必要があることである。

【０００４】 上記の弛緩は、一方では、静止期の骨−移植体に伝達された高い応力に起因し
、そして他方では、人工関節が取り付けられた骨を退化させる摩耗によって生じ
た粒子に起因する。

【０００５】 可動ポリエチレン製インサートを有する膝人工関節の設計は、それ故、脛骨部
品と骨の間の力を低減する目的を有し、そして同様の湾曲（適合性）を有する接
触表面の使用によるポリエチレンの摩耗の減少は、それ故、より小さな接触圧力
を達成する。

【０００６】 従来から知られているこの種の膝人工関節は、その上を２つのプラスチック製
ピースが独立して駆動する脛骨トレイを有するものから構成される。これらのプ
ラスチック製ピースは一般には、脛骨トレイ内に作られた側面が曲がったガイド
上をスライドし、そして十字型靱帯または後十字型靱帯だけの保存の場合に対し
て指示される。

【０００７】 ２つの独立した可動インサートを有する人工関節の主たる不便さは、プラスチ
ック製ピースが金属製の脛骨ピースから外れるために、それらが脱臼問題を引き
起こすことである。これは、それらが移動を制限するための人工的なバンパーを
有しないで、直接周囲の環境に依存するからである。

【０００８】 これら人工関節の他の不便さは、あるピースの他のピースに対する相対的移動
がガイドによってなされ、それ故に外科技術が非常に複雑になる点である。これ
は、ガイドの２つの部分のいずれかを変位させるどのような小さな欠陥でも、そ
れらが働く間に結合および性能問題を生ずるためである。

【０００９】 他のタイプの人工関節は、両方の靱帯が犠牲にされる場合に、回転する１ピー
スのプラスチック製インサートを有するものである。両方の構成で延伸される表
面は完全に一致している。このシステムには変形があり、またスライド板を有す
るこの人工関節は、自由なグレードを提供する。

【００１０】 このタイプのインサートには、インサートと回転中心またはトレイとの間に規
則的な接触領域が存在し、前記最後の点はトレイとインサートとの間のスライド
システムに依存する。

【００１１】 もう１つのタイプの人工関節は、円筒形表面によって延伸では総合適合を示し
、そしてプラテンを有するインサートのスライドは、インサートが回転するとき
に、同時に、インサートのコーンがそのハウジング上でも回転するように、脛骨
部品内に形成されたハウジング内のインサートのベースの円錐形長円形状によっ
て達成される。

【００１２】 これらの場合には、インサートのコーンとその金属製ハウジングとの間に、屈
曲−延伸運動中の膝関節に生じる内皮−外皮運動の規則的接触の区域が現れる。

【００１３】 回転する１ピースのポリエチレン製インサートを備え、延伸および屈曲で総合
適合を示す他の１つの人工関節も存在する。ここでは、延伸の接触は中央支持体
の区域に配置されているのに対し、関節が屈曲されるので、大腿突起と同様の半
径をそれらの後部に有するポリエチレン製インサートのいくつかの横方向バンド
が接触する。

【００１４】 唯一のピボット中心と屈曲および延伸の総合適合とを有するこれらのインサー
トはまた、それらが前後運動の可能性を有しないので、非常に精密な外科技術を
必要とする。

【００１５】 上述した全ての不便さは、本発明の可動適合型インサートを有する膝人工関節
を使用することによって回避される。この人工関節では、プラスチック製インサ
ートの表面は、他の設計と比較して、２つの大腿突起の幾何学形状の優れた部分
を再現し、両者の間の接触表面は大きく増加し（適合という用語の定義）、人工
関節が取り付けられた骨の衰退を生じさせる規則的な接触延伸を回避し、また休
止期のインサート−大腿部品間に存在する剪断応力の効果を低減し、両者の間の
脱臼を回避する。その完全に平坦な下側部分に、インサートはタッピングを有し
、そこに脛骨トレイ上のピボットが収容される。

【００１６】 これに対し、脛骨部分は、プラテンと、移植後は部品の脛骨軸上での回転を回
避するキール形状のシャフト（断面）とからなる。その優れた部分には、円筒形
ピボットが中央１／３に設けられている。

【００１７】 プラスチック製インサートの表面上を、大腿部品の突起の表面がスライドして
ヒトの膝の屈曲運動を再現する。インサートの下側部分に配置されたタッピング
は、脛骨プラテンの円筒形ピボット内に適合し、アッセンブリ、大腿部品および
インサート全体の脛骨部品上での相対運動を可能にする。

【００１８】 提案された発明の利点は次の通りである。

【００１９】 プラスチック部品と大腿部品との間の接触表面の適合は、延伸において総合的
に、そして屈曲において部分的に、接触応力の、従って摩耗の低減へと導き、こ
のようにして移植体の有効寿命を延長し、またその不快さをかなり軽減する。

【００２０】 前後運動の軽い許容性は、大腿部品とプラスチック部品との間に存在する幾何
学と、金属製トレイのピボットが導入されるインサートの下側部分の円筒形タッ
ピングで支持された回転運動のおかげである。

【００２１】 外科手術中に関節の軽い整列欠陥を修正することを可能にする前後運動の範囲
は、厳格な技術をさほど必要とせず、従って干渉を容易にして、患者に対しさほ
どリスクを求めないですむ。

【００２２】 このインサートは、脛骨トレイに関してその相対移動を操縦する如何なるガイ
ドをも負担せず、その上、より大きな移動能力を有し、外科技術を容易にする。
このインサートは、不必要で損傷を与える応力（剪断応力および規則性張力）か
ら自由である。

【００２３】 この開示のより良好な理解を容易にし、その一部を形成するために、以下では
一連の説明をするための、しかしながら限定するものではない、図面が示される
。

【００２４】 提案した図１および２に示されるように、１ピースのポリエチレンのインサー
ト（２）を有する脛骨部品（１）の部分の第１のアッセンブリがある。その接触
表面（３）は、その下側領域に大腿部品の湾曲を再現し、その湾曲は関節の全延
伸の間に接触する区域に整列して、双方の部品間にある中間的な横方向の変位を
可能にする。プラスチック製部品（２）の下面（１５）は平坦で滑らかであり、
脛骨部品（１）のトレイ（５）の他の平坦な円滑表面（６）上をスライドする。

【００２５】 この膝人工関節のデザインは、脛骨インサート（１）のピボット（４）と共に
、大腿部品、脛骨インサート（１）およびトレイ（５）の間の相対運動を決定す
る大腿の突起表面に適合する半径を有する表面（３）が設けられたインサート（
２）のデザインを含む。

【００２６】 ポリエチレン製インサート（２）は、その下面で金属製脛骨トレイ（５）の円
滑表面（６）上を回転運動によってスライドする。このポリエチレン製インサー
トには、下側孔タッピング（８）が設けられている。金属製トレイ（５）に結合
したピボット（４）は、部品間の移動を制限し、自由な回転を可能にする。

【００２７】 この中央ピボットは、インサート（２）の孔タッピング（８）と協動して、プ
ラスチック製適合インサートを脛骨トレイ（５）上で回転可能にすると共に、下
記の２つの異なるシステムによって後者に結合される。

【００２８】 １つの方法は、脛骨トレイ上への直接加工であり、即ち一体的な鋳造部品から
開始し、これによりピボット（４）とトレイ（５）が上述したように同一ピース
となるものである。

【００２９】 もう１つの方法は、調整および自動センタリング湾曲コーン（９）、回転防止
ピン（１０）および内部クランプコーン（１１）を有するシリンダ（１８）と、
クランプコーン（１３）に設けられた部分的にねじ切りされたネジと、回転防止
スロット（２０）、ネジ孔、および調整および自動センタリング湾曲コーン（２
１）を有するトレイ（１９）と含むシステムである。

【００３０】 両方のシステムで同じ性能および応用形態を得られるが、違いは脛骨トレイ上
へピンを結合する手段によって与えられる。

【００３１】 第２のシステムでは、ピン（１８）は金属製トレイ（１９）上に配置され、ト
レイ（１９）の調整コーン（２１）は、ピン（１８）の調整コーン（９）に適合
するように適応される。シリンダのピボット（１０）は、トレイ（１９）のスロ
ット（２０）内に適合するように適応される。次に、ネジはシリンダ（１８）の
内部に導入され、そのネジ孔（７）を介してトレイ（１９）に螺合される。かく
して、トレイの調整コーン（２１）とステム（１８）のコーン（９）の間、並び
にネジ頭部の下側部分のコーン（１３）とピン（１８）の内部コーン（１１）と
の間には２重の座が存在し、かくしてピボットの回転を防止し、コーンとトレイ
との間に直立性を達成する。この結果、システムの弛緩を防止する完全なブロッ
クが達成される。

【００３２】 この膝人工関節は、ピボットと脛骨トレイが１つの同じピースである場合は、
脛骨トレイ（５）の軸（１４）に関する回転運動と、インサート（２）上の大腿
部品の前後運動とを可能にする。また、上述したように搭載されている場合は、
脛骨トレイ（１９）上に置かれたピボット（１８）の軸（１４）が回転軸となる
。

【００３３】 この前後運動は、大腿部品がそれ自身の上で回転するときに生ずる。この運動
に続いて、その適合突起表面をプラスチック部分またはインサート（２）の適合
突起表面（３）上で、インサートの安定化ロッド（４，１８）が大腿部品のカム
と結合するように、スライドさせる。この剪断力が持続するので、両方の表面は
それらの後部を僅かに上昇させてスライドし、前記前後運動を描く。

【００３４】 初期位置に復帰するには、この移動を生じた伸張を停止することだけが必要と
される。

【００３５】 一方で、回転は、この運動の回転軸として作用するピボット（４，１８）上で
自由であり、この回転の限界としてヒトの解剖学的に適切な限界を有し、そして
この人工関節の設計に障害となるときがない。

【００３６】 同時に、金属製トレイ（５，１９）とプラスチック（２）との間の結合は、そ
の軸方向移動を制限する、従って同じ解剖学的条件がそのような変位を制限する
バンパーやアンカーなしに、ピボット（４，１８）をプラスチック部品の内部ハ
ウジング（８）内へ挿入することである。この移動はこの膝人工関節の役割を果
たす異なる部分の設計や製造の特性によって影響されない。

【００３７】 本発明の実用的応用と同様に、性質が十分に描かれているので、我々は、以下
のように請求される特性に実質的に影響しない限り、本発明の形状と材質が修正
されることを追加する必要だけがある。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明の人工関節対象の一実施例の金属およびプラスチック部分
の斜視図である。

【図２】 プラスチック製インサートの図である。

【図３】 ピボットが金属トレイに固定された脛骨部品の金属トレイの立面
および平面図である。

【図４】 ピボットが金属トレイに固定された脛骨部品のピンの立面および
側面図である。

【図５】 ピボットが金属トレイに固定された脛骨部品のロックネジの立面
および側面図である。

【図６】 ピボットが金属トレイに固定された脛骨部品の取付組立部品の立
面および分解図である。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 デイ グラシア カステロ デイ オリバ レス， ハビィアー スペイン国 イー46988 パターナ ポリ ゴノ インダストリアル フェンテイ デ ル ヂャロ カレ イーズラーズ バレイ アーレイス 50 Ｆターム(参考） 4C097 AA07 BB01 CC17 MM07

Claims (13)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 退化した膝関節と置換することを予定された、単独の軸に関
   して回転運動をする、可動適合型インサートを有する膝人工関節であって、大腿
   部品と、脛骨部品（１）と、膝蓋部品（２）とからなる膝人工関節において、 前記人工関節は、中央ピボット（４）を受ける研磨された表面（６）を有する
   金属製トレイ（５）上をスライドする１ピースの研磨された表面（１５）を有す
   る適合プラスチック製インサート（２）を有し、 前記プラスチック製インサート（２）は、その下側部分にハウジング（８）を
   組み込み、これにより前記ハウジング内でのピボット（４）の自由な長手方向の
   スライド運動を可能にし、 前記人工関節は、大腿の突起表面に対して表面を一致させる半径を有する突起
   表面（３）を有し、脛骨トレイ（３）のピボット（４）と組み合わせて大腿部品
   と脛骨インサート（１）との間の相対運動を決定することを特徴とする可動適合
   型インサートを有する膝人工関節。
2. 【請求項２】 中央ピボット（４）は、インサート（２）の円筒形孔（８）
   内に収容されることを特徴とする請求項１の可動適合型インサートを有する膝人
   工関節。
3. 【請求項３】 トレイ（５）に関するインサート（２）の回転軸は、ピボッ
   ト（４）の軸（１４）に対応することを特徴とする請求項１および２の可動適合
   型インサートを有する膝人工関節。
4. 【請求項４】 インサート（２）は、ピボット（４）が孔（８）に挿入され
   ているために、前記ピボット（４）の軸方向軸（１４）に沿って長手方向に移動
   することを特徴とする請求項１，２および３の可動適合型インサートを有する膝
   人工関節。
5. 【請求項５】 前後運動は、大腿部品がそれ自身の上で回転するときに起こ
   り、その突起および適合表面がプラスチック製部分（２）の適合突起表面（３）
   上をスライドして、安定化ロッド（４）がバンパーとして、また大腿部品のカム
   のガイドとして作用し、この力が持続する限り、両方の表面はその後方部分で僅
   かに下降しながらスライドし、かくして前記前後運動を解剖学的な膝と同様に行
   うことを特徴とする請求項１の可動適合型インサートを有する膝人工関節。
6. 【請求項６】 脛骨部品（１）は、一体的に鋳込まれた１ピースの要素から
   なり、ピボット（４）およびトレイ（５）は同じピースであることを特徴とする
   請求項１の可動適合型インサートを有する膝人工関節。
7. 【請求項７】 膝の退化した関節と置換することを予定された、単独の軸に
   関して回転運動をする、可動適合型インサートを有する膝人工関節であって、大
   腿部品と、脛骨部品（１７）と、膝蓋部品（２）とからなる膝人工関節において
   、 前記人工関節は、中央ピン（１８）を組み込んだ研磨された表面（１６）を有
   する金属製トレイ（１９）上をスライドする研磨された表面（１５）を有する１
   ピースの適合プラスチック製インサート（２）を有し、 前記プラスチック製インサート（２）は、その下側部分にハウジング（８）を
   組み込み、これにより前記ハウジング内へのピン（１８）の自由な長手方向のス
   ライド運動を可能にし、 前記人工関節は、大腿の突起表面に一致する表面を生成する半径を有する突起
   表面（３）を有し、脛骨トレイ（１９）のピボット（１８）と共に大腿部品と脛
   骨インサート（１７）との間の相対運動を決定することを特徴とする可動適合型
   インサートを有する膝人工関節。
8. 【請求項８】 ピボットと脛骨トレイとの間の固定が、 調整および自動センタリングコーン（９）、回転防止ピン（１０）および下側
   調整コーン（１１）を有するピン（１８）と、 部分的にねじ切りされた有頭ネジと、 回転防止スロット（２０）、ネジ孔（７）、および調整および自動センタリン
   グコーン（２１）を有するトレイ（１９）と によって達成されることを特徴とする請求項７の可動適合型インサートを有する
   膝人工関節。
9. 【請求項９】 シリンダの回転防止ピン（１０）をトレイのスロット（２０
   ）内に適合させることによって、トレイの調整コーンがピンの調整コーンと適合
   するようにピン（１８）はトレイ（１９）上に搭載され、ネジ（１２）をピン（
   １８）内部に導入してそれをネジ孔（７）を介して脛骨部品（１７）に螺合させ
   ることによって２重の支持座をトレイ（１９）の調整コーン（２１）とピン（１
   ８）の調整コーン（９）との間に存在させ、かくしてピボットの回転を防止し、
   またコーンとトレイの間の直立性を達成し、システムが弛緩することを防止する
   完全なブロックを達成することを特徴とする請求項７および８の可動適合型イン
   サートを有する膝人工関節。
10. 【請求項１０】 中央ピン（１８）は、インサート（２）の円筒形孔（８）
    内に収容されることを特徴とする請求項７の可動適合型インサートを有する膝人
    工関節。
11. 【請求項１１】 トレイ（１９）に関するインサート（２）の回転軸は、ピ
    ン（１８）の軸（１４）に対応することを特徴とする請求項７，８，９および１
    ０の可動適合型インサートを有する膝人工関節。
12. 【請求項１２】 インサート（２）は、前記ピボットが孔（８）に挿入され
    ている事実に起因して、前記ピボット（４）の軸方向軸（１４）に沿って長手方
    向に移動することを特徴とする請求項７，８，９，１０および１１の可動適合型
    インサートを有する膝人工関節。
13. 【請求項１３】 前後運動は、大腿部品がそれ自身の上で回転するときに起
    こり、その突起および適合表面がプラスチック製部分（２）の適合突起表面（３
    ）上をスライドして、安定化ロッド（１８）がバンパーとして、また大腿部品の
    カムのガイドとして作用し、この力が持続する限り、両方の表面はその後方部分
    で僅かに下降しながらスライドし、かくして前記前後運動を解剖学的な膝と同様
    に行うことを特徴とする請求項１の可動適合型インサートを有する膝人工関節。