JP2002530078A - 哺乳動物のコンドロモジュリン様タンパク質 - Google Patents

哺乳動物のコンドロモジュリン様タンパク質

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ロク,シー
アール. プレスネル,スコット
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ザイモジェネティクス,インコーポレイティド
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Abstract

(57)【要約】 本発明は哺乳動物のコンドロモジュリン様ポリペプチドに対応するポリヌクレオチドおよびポリペプチド分子に関連する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 発明の背景 コンドロモジュリン(chondromodulin) −I(Chm-I)は、ウシ軟骨に基づい
て記述された1つの因子である〔Hiraki et al. BBRC, 175;971-977(1991),H
iraki et al. J. Biol. Chem. 271:22657-22662 (1996)。Chm-Iは、最初ウシ
の鼻軟骨から精製された18キロダルトン(KD)の糖タンパク質として報告された
。精製されたタンパク質の完全アミノ酸配列はNeame et al. J. Biol. Chem. 26
5;9628-9633 (1990)により報告された。
【0002】 その後、2つのアミノ酸残基だけが異なっているこのタンパク質の多形変異体
であると考えられているものをコードするcDNAが、Hiraki et al., BBRC, 175:9
71-977 (1991)によりウシ胎児骨端軟骨cDNAライブラリから単離された。Hirai
et al.によりウシChm-Iに対するヒトのオルトログが発見された。1994年5月11
日付で提出された欧州特許出願第EP-624645-A号。
【0003】 ヒトとウシのChm-Iは、高い構造配列保存度を共有している。ウシChm-Iは、
クラスIIの細胞表面タンパク質が共通の特長をもつ335アミノ酸前駆体ポリペプ
チドとして産生される。最も注目すべきこととして、前駆体ポリペプチドは、疎
水性の推定上の膜内外ドメイン(TMD)配列が後に続く非古典的リーダー配列を有
する。前駆物質ポリペプチドのタンパク質分解による分割は、カルボキシル末端
の121のアミノ酸残基から成る成熟活性タンパク質を発生させる。成熟タンパク
質配列の前にはプロセシングシグナル(Arg-Glu-Arg-Arg,配列番号10)が先行
している。
【0004】 成熟したウシ及びヒトのChm-Iは、2つのドメインを有する。1つのドメイン
は、成熟タンパク質のアミノ末端半分をカバーする。アミノドメインはむしろ親
水性をもち、全ての潜在的グリコシル化部位を含み、カルボキシ末端ドメインよ
りも低い配列保存度を示す。カルボキシ末端ドメインは、疎水性領域及び8個の
システイン残基を含む。このドメインは、ウシ及びヒトChm-Iにおいて高レベル
で保存されている。
【0005】 この領域では残基は98%同一である。成熟Chm-Iのカルボキシ末端ドメインは
、プロティナーゼ耐性がきわめて高いものであることが示されてきており、密に
折畳まれていると考えられる、Neame et al., J. Biol. Chem.265;9628-9633 (1
990)。COS−1細胞内のChm-I前駆体タンパク質をコードするcDNAの発現により
、未変性成熟タンパク質と構造的かつ機能的に同一であると思われる培養上清内
の処理済みChm-Iタンパク質が産生される。
【0006】 ウシChm-Iの転写体は、軟骨性組織内でのみ発見される。高い転写体レベルは
、軟骨細胞内に確認され、特に増殖性軟骨ゾーン内の細胞内で豊富である。Hira
ki et al., J. Biol.Chem.,272:32419-32426 (1997)。Chm-I発現は、発達す
る骨の中の軟骨無血管ゾーンに特異的に局在化され、石灰化軟骨内でも骨性組織
又は周囲の軟骨組織内でも発現されない。免疫組織化学的研究により、Chm-Iタ
ンパク質がその写しと同時局在化することがわかっている。
【0007】 Chm-Iは、ある数の骨及び軟骨関連生物活性を有する。Chm-Iは、骨芽細胞増
殖を刺激することが示されてきた、Mori et al. FEBS Lett., 406:310-314 (199
7)。ウシChm-Iは、基本線維芽細胞成長因子(FGF)の存在下で培養成長平板軟
骨細胞のDNA合成を刺激することが示されている、Hiraki et al., BBRC,175:971
-977 (1991)。
【0008】 それは、FGF−2と相乗作用して寒天培養中の成長平板軟骨細胞のコロニー形
成を刺激する自己分泌軟骨細胞コロニー刺激因子として機能すると思われる、In
oue et al. BBRC,241:395-400 (1997)。最近では、Chm-Iは、内皮細胞成長阻
害物質として同定されてきている、Hiraki et al. FEBS Lett,415:321-324 (199
7)及びHiraki et al., J. Biol.Chem., 272:32419-32426 (1997)。この発見事
実は、Chm-Iが軟骨内形成中の血管侵入及び軟骨内の無血管化の維持において調
節の役目をもつことを示唆している。 軟骨、筋肉、心臓及び間葉組織系列全般の細胞を促進する付加的成長因子を発
見する必要性が存在する。
【0009】 発明の説明 本発明は、新規のポリペプチド及び関連する組成物及び方法を提供することに
よりこの必要性に対処している。1つの態様の範囲内では、本発明は、哺乳動物
のZchm1と呼ばれるコンドロモジュリン様のタンパク質をコードする単離された
ポリヌクレオチドを提供する。シグナル配列をもつヒトZchm1ポリペプチドは、
配列番号1及び配列番号2に示されているような最初のMetを伴う317個のアミノ
酸という長さのアミノ酸配列で構成されている。配列番号2のアミノ酸残基34〜
48が、同じく配列番号3により定義される膜内外ドメインを構成することができ
る。
【0010】 同様に配列番号4によっても定義される配列番号2のアミノ酸残基31〜50によ
って、代替的膜内外ドメインを構成することも可能である。位置213〜214にある
リシン残基は、アミノ酸残基214、リシンとアミノ酸残基215、グリシンの間の可
能性ある分割部位を表わす。こうして同じく配列番号5により定義されている配
列番号2のアミノ酸残基317までアミノ酸残基215、グリシンから延びる成熟Zchm
−1 ポリペプチドが産生されることになる。一変形形態においては、成熟配列
は、同じく配列番号6により定義された配列番号2のアミノ酸残基317までアミ
ノ酸残基255、フェニルアラニンから延びている。
【0011】 Zchm−1のその他の可溶形態として、同じく配列番号11により定義された配列
番号2のアミノ酸残基202から、アミノ酸残基311まで延びる配列、及び同じく配
列番号12によって定義された配列番号2のアミノ酸残基311までアミノ酸残基48
から延びている配列が内含される。 本発明の第2の態様の範囲内では、(a)転写プロモータ、(b)Zchm1 ポ
リペプチドをコードするDNAセグメント及び (c)転写ターミネータを含む発現
ベクターにおいて、プロモータDNAセグメントとターミネータが作動的にリンク
された発現ベクターが提供されている。 本発明の第3の態様の範囲内では、以上で開示されたような発現ベクターが中
に導入される培養された真核性細胞において、DNAセグメントによりコードされ
るタンパク質ポリペプチドを発現する細胞が提供されている。
【0012】 本発明のさらなる態様においては、ペプチド結合によって接合された第1の部
分と第2の部分で基本的に構成されたキメラポリペプチドが提供されている。キ
メラポリペプチドの第1の部分は、基本的に(a)配列番号2内で示されている
ようなZchm1ポリペプチド、(b)配列番号2の対立遺伝子変異体及び(c)前
記(a)又は(b)と少なくとも99%同一であるタンパク質ポリペプチドで構成されて
いる。キメラポリペプチドの第2の部分は基本的に、親和性タグといったような
もう1つのポリペプチドから成る。1実施形態においては、この親和性タグは免
疫グロブリンFc ポリペプチドである。本発明は同様に、キメラポリペプチドを
コードする発現ベクター及びキメラポリペプチドを産生するようにトランスフェ
クションを受けた宿主細胞をも提供している。
【0013】 本発明の付加的な態様においては、以上で開示されているようなZchm1 ポリ
ペプチドに特定的に結合する抗体と同様、Zchm1 ポリペプチドに対する抗体を
中和する抗イディオタイプ抗体も提供されている。 本発明の付加的な実施形態は、上述のアミノ酸配列をもつZchm1のエピトープ
支持部分のアミノ酸配列をもつペプチド又はポリペプチドに関する。本発明のZc
hm1ポリペプチドのエピトーブ支持部分のアミノ酸配列をもつペプチド又はポリ
ペプチドには、少なくとも9個、好ましくは少なくとも15個そしてさらに好まし
くは少なくとも30〜50個のアミノ酸を伴うこのようなポリペプチドの部分を内含
するが、上述の本発明のポリペプチドの全アミノ酸配列以下の任意の長さのエピ
トープ支持ポリペプチドも同様に、本発明の中に内含されている。
【0014】 かかるポリペプチドの例としは、配列番号2、5、6、11、12及び16〜22から
成るポリペプチドがある。同様に請求されているのは、もう1つのポリペプチド
又は担体分子に融合されたこれらのポリペプチドのいずれかである。 発明について詳述するに先立ち、それを理解する上で、以下の用語を定義する
ことが有益であるかもしれない。すなわち、
【0015】 「親和性タグ」という語は本書では、第2のポリペプチドの精製又は検出を提
供するか又は基質に対する第2のポリペプチドの付着のための部位を提供するべ
く、第2のポリペプチドに付着させることのできるポリペプチドセグメントを表
わすのに使用されている。原則として、1つの抗体又はその他の特異的結合作用
物質が入手可能なあらゆるペプチド又はタンパク質を、親和性タグとして使用す
ることができる。
【0016】 親和性タグとしては、ポリヒスチジントラクト、プロテインA,Nilsson et a
l., EMBO J. 4:1075 (1985);Nilsson et al., Methods Enzymol. 198:3 (1991
)、グルタチオンSトランスフェラーゼSmith 及び Johnson, Gene67:31 (1988
),Glu-Glu 親和性タグ,Grussenmeyer et al., Proc. Natl. Acad, Sci. USA
82;7952-4 (1985)、物質P、FlagTMペプチド、Hopp et al., Biotechnology 6:
1204-1210 (1988)、ストレプトアビジン結合ペプチド又はその他の抗原エピト
ープ又は結合ドメイン。一般には、Ford et al., タンパク質の発現及び精製2:9
5-107 (1991)を参照。親和性タグをコードするDNAは、商業的供給業者(例えば
Pharmacia Biotech, Piscataway, NJ)から入手可能である。
【0017】 「対立遺伝子変異体」という語は、ここでは、同じ染色体遺伝子座を占める1
つの遺伝子の2つ以上の代替的形態のいずれかを表わすのに用いられる。対立遺
伝子の変動は、天然には突然変異を通して発生し、個体群内部での表現型多形現
象を結果としてもたらす可能性がある。遺伝子突然変異は沈黙性であっても(コ
ードされたポリペプチドの変化は全く無い)、或いは改変されたアミノ酸配列を
もつポリペプチドをコードすることもできる。対立遺伝子変異体は同様にここで
は、1つの遺伝子の対立遺伝子変異体によりコードされたタンパク質を表わすの
にも用いられる。
【0018】 「アミノ末端」及び「カルボキシ末端」という語は、ここでは、ポリペプチド
内の位置を表わすのに使用されている。状況が許すかぎり、これらの用語は、近
接性又は相対的位置を表わすべくポリペプチドの特定の配列又は部分を基準にし
て使用されている。例えば、1つのポリペプチド内で基準配列に対しカルボキシ
末端に位置づけされた或る配列は、基準配列のカルボキシ末端に近接して確認さ
れるが、必ずしも完全ポリペプチドのカルボキシ末端にあるというわけではない
【0019】 「相補体/抗相補体対」という語は、適切な条件下で、非共有的に結びつけら
れて安定した対を形成する同一でない半分のことを表わしている。例えば、ビオ
チン及びアビジン(又はストレプトアビジン)は、補体/抗補体対のプロトタイ
プ成員である。その他の補体/抗補体対の例としては、レセプタ/リガンド対、
抗体/抗原(又はハプテン又はエピトープ)対、センス/アンチセンスポリヌク
レオチド対などがある。補体/抗補体対のその後の解離が望まれる場合、補体/
抗補体対は好ましくは、109M-1未満の結合親和性を有する。
【0020】 「ポリヌクレオチド分子の相補体」という語は、基準配列と比較した場合に相
補的ペース配列及び逆配向を有するポリヌクレオチド分子である。例えば、配列
5’ATGCACGGG3’は5’CCCGTGCAT3’と相補的である。 「コンティグ」という語は、もう1つのポリヌクレオチドに対し同一の又は相
補的な配列の隣接する広がりをもつポリヌクレオチドを意味している。隣接する
配列は、その全体で又はポリヌクレオチドの部分的広がりに沿ってポリヌクレオ
チド配列の一定の与えられた広がりを「オーバラップする」と言われる。例えば
、ポリヌクレオチド配列5’-ATGGCTTAGCTT-3’に対する代表的コンティグは、5
’-TAGCTTgagtct-3’及び3’-gtcgacTACCGA-5’である。
【0021】 「縮重ヌクレオチド配列」という語は、(ポリペプチドをコードする基準ポリ
ヌクレオチド分子と比べて)単数又は複数の縮重コドンを内含するヌクレオチド
配列を意味する。縮重コドンは、異なるヌクレオチドトリプレットを含有するが
、同じアミノ酸残基をコードする(すなわちGAU及びGACトリプレットは各々Asp
をコードする)。 「発現ベクター」という語は、その転写を提供する付加的セグメントに作動的
にリンクされた問題のポリペプチドをコードするセグメントを含む、線状又は環
状のDNA分子を表わすのに用いられる。このような付加的なセグメントは、プロ
モータ及びターミネータ配列を内含し、同時に単数又は複数の複製起点、単数又
は複数の選択可能マーカー、エンハンサー、ポリアデニル化シグナルなども内含
することができる。発現ベクターは一般にプラスミド又はウイルスDNAから誘導
されるか又は、両方の要素を含有することができる。
【0022】 「単離された」という語は、ポリヌクレオチドに対し適用された場合、そのポ
リヌクレオチドがその天然の遺伝子環境から取出されており、かくしてその他の
外来性の又は望ましくないコーディング配列を含まず、かつ遺伝的に工学処理さ
れたタンパク質産生システム内での使用に適した形をしている、ということを意
味している。このような単離された分子は、その天然の環境から分離されたもの
であり、cDNA及びゲノミッククローンを内含する。本発明の単離されたDNA分子
は、それが通常結びつけられているその他の遺伝子を含まないが、プロモータ及
びターミネータといったような天然に発生する5’及び3’の未翻訳領域を内含
することができる。結びつけられた領域の同定は、当業者にとっては明白であろ
う(例えばDynan 及びTijan, Nature 316;774-78 (1985)参照)。
【0023】 「単離された」ポリペプチド又はタンパク質というのは、血液及び動物組織以
外といったその天然の環境以外の条件で発見されるポリペプチド又はタンパク質
である。好ましい形態においては、単離されたポリペプチドは実質的に、その他
のポリペプチド、特に動物由来のその他のポリペプチドを含まない。精製度の高
いつまり95%以上、より好ましくは99%以上の純度をもつ形のポリペプチドを提
供することが好ましい。この状況下で用いられた場合、この「単離された、とい
う語は、2量体又は交互にグリコシル化又は誘導された形といった代替的な物理
的形態での同じポリペプチドの存在を除外するわけではない。
【0024】 「作用可能に連絡された」という語は、DNAセグメントに言及している場合、
セグメントが、その意図された目的に合わせて機能するような形、例えば、転写
がプロモータ内で開始し、コーディングセグメントを通してターミネータへと進
行するような形で配置されているということを表わす。 「オルトログ」という語は、異なる種からのポリペプチド又はタンパク質の機
能的相対物である1つの種から得られたポリペプチド又はタンパク質を意味する
。オルトログ間の配列差異は、種分化の結果である。 「パラログ」というのは、1つの生体により作られる、全く異なるものの構造
的には関連するタンパク質である。パラログは、遺伝子重複を通して発生すると
考えられている。例えば、a−グロビン、b−グロビン及びミオグロビンは互い
にパラログである。
【0025】 「ポリヌクレオチド」は、5’末端から3’末端まで読取られたデオキシリボ
ヌクレオチド又はリボヌクレオチド塩基の1本鎖または2本鎖の重合体である。
ポリヌクレオチドは、RNA及びDNAを内含し、天然供給源から単離されても、in v
itroで合成されても、又は天然及び合成分子の組合せから調製されてもよい。ポ
リヌクレオチドのサイズは、塩基対(「bp」と略される)、ヌクレオチド(「nt
」と略される)又はキロベース(「kb」と略される)として表現される。状況が
許す場合には、後者の2つの語は、1本鎖又は2本鎖であるポリヌクレオチドを
記述することができる。
【0026】 2本鎖分子にこの語が適用される場合には、これは全体的長さを表わすために
用いられ、「塩基対」という語と等価であると理解されることになる。当業者で
あれば、2本鎖ポリヌクレオチドの2本のストランドがわずかに長さの異なるも
のであり、又その末端は酵素分割の結果として付着末端でありうる、ということ
を認識することだろう。かくして2本鎖ポリヌクレオチド分子内の全てのヌクレ
オチドは、対合していなくてよい。このような未対合末端は一般に長さが20ntを
超えないものである。
【0027】 「ポリペプチド」は、天然又は合成のいずれの形で産生されたかに関わらず、
ペプチド結合により接合されたアミノ酸残基の重合体である。約10個未満のアミ
ノ酸残基のポリペプチドは一般に「ペプチド」と呼ばれる。 「プロモーター」という語は、ここでは、RNAポリメラーゼの結合及び写しの
開始を提供するDNA配列を含有する遺伝子の一部分を表わすため、その技術分野
で認知された意味で用いられている。プロモーター配列は一般に遺伝子の5’非
コーディング領域内に発見されるが、つねにそうであるわけではない。
【0028】 「タンパク質」というのは、単数又は複数のポリペプチド鎖を含む巨大分子で
ある。タンパク質は同様に、炭水化物基といったような非ペプチド成分を含むこ
ともできる。炭水化物及びその他の非ペプチド置換基は、中でタンパク質が産生
される細胞によってタンパク質に添加され得、細胞のタイプと共に変動すること
になる。タンパク質はここでは、それらのアミノ酸バックボーン構造に関して定
義づけされる;炭水化物基といったような置換基は一般に特定されないが、それ
でも存在しうる。
【0029】 「レセプター」という語は、生物活性分子(すなわちリガンド)に結合し、細
胞に対するリガンドの効果を媒介する細胞関連タンパク質を表わす。膜結合レセ
プターは、細胞外リガンド結合ドメイン及び、シグナル形質導入に標準的に関与
する細胞内エフェクタードメインを含む多重ドメイン構造によって特徴づけされ
る。レセプターに対するリガンドの結合は、細胞内のその他の分子とエフェクタ
ードメインの間の相互作用をひき起こすレセプタ内の立体配座変化を結果として
もたらす。この相互作用が今度は、細胞の代謝の改変を導く。
【0030】 レセプター−リガンドの相互作用にリンクされる代謝事象としては、遺伝子転
写、リン酸化、脱リン酸化、サイクリックAMP産生、細胞カルシウムの動員、膜
脂質の動員、細胞付着、イノシトール脂膜の加水分解及びリン脂質の加水分解が
含まれる。一般に、レセプタは、膜結合、シトゾル又は核レセプタであるか;単
量体レセプター(例えば甲状腺刺激ホルモンレセプター、ベータアドレナリン作
動性レセプター)又は多量体レセプター(例えばPDGFレセプター、成長ホルモン
レセプター、IL−3レセプター、GM−CSFレセプター、G−CSFレセプター、エリ
スロポイエチンレセプター及びIL−6レセプター)でありうる。
【0031】 「分泌シグナル配列」という語は、より大きなポリペプチドの一成分として、
それが合成される細胞の分泌経路を通してより大きなポリペプチドを導くポリペ
プチド(「分泌ペプチド」)をコードするDNA配列を意味する。より大きなポリ
ペプチドは一般に、分泌経路を通過中に分泌ペプチドを除去するように分割され
る。
【0032】 「スプライス変異体」という語は、ここでは、1つの遺伝子から転写されたRN
Aの代替的形態を表わすために用いられている。スプライス変異は、転写されたR
NA分子内部のそしてさほど一般的ではないが別々に転写されたRNA分子間の代替
的スプライシング部位の使用を通して自然に発生し、同じ遺伝子から転写された
複数のmRNAを結果としてもたらすことができる。スプライス変異体は、アミノ酸
配列を改変したポリペプチドをコードすることができる。スプライス変異体とい
う語は、ここでは、遺伝子から転写されたmRNAのスプライス変異体によってコー
ドされたタンパク質を表わすためにも使用される。
【0033】 精密でない分析方法(例えばゲル電気泳動法)によって決定された重合体の分
子量及び長さは、概略値であるものとして理解される。かかる値が「約」X又は
「およそ」Xと表現されている場合、記述されたXの値は±10%の誤差で正確で
あるものと理解される。 本発明は、新規のポリペプチド及び関連する組成物及び方法を提供することに
よりこの必要性に対処している。1つの態様の範囲内では、本発明は、哺乳動物
のZchm1と呼ばれるコンドロモジュリン様のタンパク質をコードする単離された
ポリヌクレオチドを提供する。シグナル配列をもつヒトZchm1ポリペプチドは、
配列番号1及び配列番号2に示されているような最初のMetを伴う317個のアミノ
酸という長さのアミノ酸配列で構成されている。配列番号2のアミノ酸残基34〜
48が、同じく配列番号3により定義される膜内外ドメインを構成することができ
る。
【0034】 同様に配列番号4によっても定義される配列番号2のアミノ酸残基31〜50によ
って、代替的膜内外ドメインを構成することも可能である。位置213〜214にある
リシン残基は、アミノ酸残基214、リシンとアミノ酸残基215、グリシンの間の可
能性ある分割部位を表わす。こうして同じく配列番号5により定義さている配列
番号2のアミノ酸残基317までアミノ酸残基215、グリシンから延びる成熟Zchm−
1 ポリペプチドが産生されることになる。一変形形態においては、成熟配列は
、同じく配列番号6により定義された配列番号2のアミノ酸残基317までアミノ
酸残基255、フェニルアラニンから延びている。
【0035】 古典的リーダー配列が無くアミノ末端疎水性配列つまり膜内外ドメインが存在
することが、クラスIIの細胞表面タンパク質の構造的特長である。こうして、Zc
hm−1を、その膜内外ドメインを介して細胞膜上に定着させ、そのカルボキシル
末端を外向きにして配向させることができる。ウシのChm-I前駆体タンパク質は
、細胞表面上で同じ形態をとるものと考えられている。Hiraki et al. BBRC,175
:971-977 (1991)。
【0036】 Zchm−1配列とウシ及びヒト前駆体Chm-Iのアラインメントは、カルボキシ末
端の63のアミノ酸残基の大部分の中に常駐する主要な類似性領域を明らかにして
いる。配列番号2のこのZchm−1領域(残基255〜316)は、ウシ及びヒトChm-I
の成熟及び処理済み形態のカルボシキ末端ドメインに対応し、65%の配列同一性
を示す。このZchm−1領域の8個のシステイン位置のうち7個(Cys265,Cys266
、Cys269、Cys276、Cys280、Cys300、及びCys306)は、ウシ及びヒトChm-I内で
同一であり、残された唯一のシステイン残基(Cys292)はChm-I内でアミノ末端
に向かって4つの残基位置によりオフセットされている。高度の配列保存とシス
テイン位置のほぼ完璧な保存の結果として、残基255〜317がウシChm-Iについて
演繹された2つの考えられるジスルフィド結合パターンのうちの1つをとること
になるということが予測される、Neame et al., J. Biol Chem.,265:9628-9633
(1990)。
【0037】 Zchm1とChm-Iの間のアミノ酸配列の保存は、配列番号2のZchm−1残基255
に先行する配列について急速に少なくなる。ウシ及びヒトChm-Iの類似の領域は
、同じくヒトとウシのChm-I間で保存度が比較的低い成熟タンパク質のN末端ド
メインに対応する。Chm-Iでの配列保存の減少は、タンパク質のこの領域そして
恐らくはZchm−1の領域が機能的に比較的重要性の低いものである可能性がある
ということを示唆している。
【0038】 成熟ウシ及びヒトChm-Iを発生させる保存された2塩基性分割部位はZchm−1
内に存在せず、配列番号2のアミノ酸残基213〜214には代替的な2塩基性分割部
位が存在しうる。Zchm−1内には、この部位以外にChm-Iの分割部位に対応する
明らかな代替的処理部位は全く存在しない。従って、成熟Zchm−1ポリペプチド
は膜結合タンパク質でありうる。その成員がタンパク質分解処理に対する感受性
に応じて可溶性をもつか又は膜であるような、腫瘍壊死因子といった成長因子の
系統群の例が存在する。
【0039】 ポリヌクレオチド: 本発明は同様に、本書で開示されているZchm1ポリペプチドをコードするDNA
及びRNA分子を内含するポリヌクレオチド分子をも提供している。当業者であれ
ば、遺伝子コードの縮重から考えて、これらのポリヌクレオチド分子の間で多大
な配列変動が考えられるということを直ちに認識するだろう。 本発明のポリヌクレオチド(一般にはcDNA配列)は、本書で記述されているポ
リペプチドをコードする。本発明のポリペプチドをコードするcDNA配列は、一連
のコドンで構成されており、ポリペプチドの各アミノ酸残基は1つのコドンによ
りコードされ、各コドンは3つのヌクレオチドで構成されている。アミノ酸残基
は、以下のようなそのそれぞれのコドンによってコードされる。
【0040】 アラニン(Ala)はGCA、GCC、GCG又はGCTによってコードされる。 システイン(Cys)はTGC又はTGTによりコードされる。 アスパラギン酸(Asp)はGAC又はGATによってコードされる。 グルタミン酸(Glu)は、GAA又はGAGによってコードされる。 フェニルアラニン(Rhe)はTTC又はTTTによりコードされる。 グリシン(Gly)はGGA、GGC、GGG又はGGTによりコードされる。 ヒスチジン(His)は、CAC又はCATによってコードされる。 イソロイシン(Ile)は、ATA、ATC又はATTによってコードされる。 リシン(Lys)は、AAA又はAAGによってコードされる。
【0041】 ロイシン(Leu)は、TTA、TTG、CTA、CTC、CTG又はCTTによってコードされる
。 メチオニン(met)は、ATGによってコードされる。 アスパラギン(Asn)は、AAC又はAATによりコードされる。 プロリン(Pro)は、CCA、CCC、CCG又はCCTによってコードされる。 グルタミン(Gln)は、CAA又はCAGによりコードされる。 アルギニン(Arg)は、AGA、AGG、CGA、CGC、CGG又はCGTによりコードされる
【0042】 セリン(Ser)は、AGC、AGT、TCA、TCC、TCGまたはTCTによりコードされる。 トレオニン(Thr)は、ACA、ACC、ACG又はACTによりコードされる。 バリン(Val)は、GTA、GTC、GTG又はGTTによりコードされる。 トリプトファン(Trp)はTGGによってコードされる。 チロシン(Tyr)はTAC又はTATによってコードされる。
【0043】 本発明に従うと、本書に記述されている通りにポリヌクレオチドが請求される
場合、請求されるのはセンスストランド、アンチセンスストランド及びそのそれ
ぞれの水素結合により合わせてアニーリングされたセンス及びアンチセンスの両
方のストランドをもつ2本鎖としてのDNAの両方であると理解される、というこ
とを認識すべきである。同様に請求されているのは、本発明のポリペプチドをコ
ードし、本書に記述されたcDNAによってコードされた伝令RNA(nRNA)である。
伝令RNA(mRNA)は、各々のチミンヌクレオチド(T)がウラシルヌクレオチド
(U)によって置換されるという点を除いて、本書で定義づけされているものと
同じコドンを用いてポリペプチドをコードすることになる。
【0044】 当業者であれば、同様に、異なる種が「優先コドン利用」を示し得る、という
ことも認識するだろう。一般に、Grantham, et al, Nuc. Acids Res,8:1893-191
2(1980);Haas, et al. Curr. Biol.6:315-324(1996);Wain-Hobson, et al., G
ene 13:355-364(1981);Grosjean and Fiers, Gene18:199-209(1982);Holm, Nuc.
Acids Res.14:3075-3087(1986);Ikemura, J. Mol. Biol 158:573-597(1982)を
参照のこと。本書で使用する「優先コドン利用」又は「優先コドン」は、或る種
の細胞内で最も頻繁に用いられかくして各アミノ酸をコードする考えられるコド
ンの1つ又は複数の代表に有利に作用する。
【0045】 タンパク質翻訳コドンを意味する専門用語である。例えば、アミノ酸トレオニ
ン(Thr)は、ACA、ACC、ACG又はACTによってコードされ得るが、哺乳動物細胞
では、ACCが最も一般的に使用されるコドンである; その他の種、例えば昆虫細
胞、酵母、ウイルス又は細菌においては、異なるThrコドンが優先されるかもし
れない。特定の種のための優先コドンを、当該技術分野において認知のさまざま
な方法によって本発明のポリヌクレオチド内に導入することが可能である。優先
コドン配列の組換え型DNA内への導入は、例えば、タンパク質の翻訳を特定の細
胞型又は種の中でより効率良いものにすることによって、タンパク質の産生を増
強することができる。優先コドンを含む配列をテストし、さまざまな種の中での
発現のために最適化し、本書に開示されているように機能性についてテストする
ことが可能である。
【0046】 本発明の好ましい実施形態においては、単離されたポリヌクレオチドは、配列
番号1の類似サイズの領域又はそれと相補的な配列に対し、緊縮性条件下でハイ
ブリッド形成することになる。一般に、緊縮性条件は、定義されたイオン強度及
びpHで特定の配列についての熱融点(Tm)よりも約5℃低いものとなるように
選択される。Tmは、(定義されたイオン強度及びpHの下で)標的配列の50%が
完全に整合したプローブに対しハイブリッド形成する温度である。標準的緊縮性
条件は、塩濃度がpH7で最高約0.03M,温度が少なくとも60℃である条件である
【0047】 前述のとおり、本発明の単離されたポリヌクレオチドには、DNA及びRNAが内含
されている。DNA及びRNAを調製する方法は、当該技術分野において周知のもので
ある。一般に、RNAは、大量のZchm1 RNAを製造する組織又は細胞から単離され
ている。かかる組織及び細胞は、ノーゲンブロット法 Thomas, Proc. Natl. Aca
d. Sci. USA 77:5201(1980)によって同定され、骨髄及び筋肉を含む。全RNAは
、グアニジンHCl抽出とそれに続くCsCl勾配内での遠心分離による単離を用いて
調製可能である、Chirgwin et al., Biochemistry 18:52-94(1979)。
【0048】 Poly(A)+RNAは、Aviv及びLeder, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 69:1408-14
12(1972)の方法を用いて、全RNAから調製される。相補的DNA(cDNA)は、既知
の方法を用いてpoly(A)+RNAから調製される。変形形態では、ゲノミックDNA
を単離することができる。このときZchm1ポリペプチドをコードするポリヌクレ
オチドが同定され、例えばハイブリダイゼーション又はPCRにより単離される。
【0049】 Zchm1をコードする全長クローンを従来のクローニング手順によって得ること
ができる。相補的DNA(cDNA)クローンが好ましいが、一部の利用分野(例えば
遺伝子導入動物内での発現)については、ゲノミッククローンを使用するか又は
cDNAクローンを修飾して少なくとも1つのゲノミックイントロンを内含させるこ
とが好ましいかもしれない。cDNA及びゲノミッククローンを調製するための方法
は、周知のものであり、当業者のレベル内にあり、それにはライブラリをプロー
ブ探査又はプライミングするための本書中で開示された配列又はその一部の使用
が内含されている。発現ライブラリは、Zchm1に対する抗体、レセプタフラグメ
ント又はその他の特異的結合パートナを用いてプローブ探査することができる。
【0050】 本発明のポリヌクレオチドは、DNA合成装置を用いて合成することもできる。
現在、選択されている方法はホスホアミダイト法である。化学的に合成された2
本鎖DNAが、遺伝子又は遺伝子フラグメントの合成といったような利用分野のた
めに必要とされる場合には、各々の相補的ストランドが別々に作られる。短かい
遺伝子(60〜80bp)の産生は、技術的に容易なことであり、相補的ストランドを
合成し次にそれらをアニールすることによって達成することができる。
【0051】 しかしながら、より長い(>300bp)遺伝子の産生のためには、化学的DNA合成
中の各サイクルのカップリング効率が100%となることは稀であることから、特
別な戦略に頼らなくてはならない。この問題を克服するため、合成遺伝子(2本
鎖)が、長さ20〜100ヌクレオチドの1本鎖フラグメントからモジュール形で組
立てられる。Glick 及び Pasternak, 分子バイオテクノロジー、組換え型DNA原
理及び応用(ASM Press, Washington, D.C. 1994);Itakura et al., Annu. Re
v. Biochem. 53:323-356(1984)及び Climie et al., Prod. Natl. Acad. Sci.
USA 87:633-637(1990)を参照のこと。
【0052】 本発明はさらに、その他の種からの相対物であるポリペプチド及びポリヌクレ
オチド(オルトログ)を提供する。これらの種には、哺乳動物、鳥類、両生類、
は虫類、魚類、昆虫及びその他の脊椎及び無脊椎動物種が含まれるが、それらに
制限されるわけではない。特に有利であるのは、マウス、ブタ、ヒツジ、ウシ、
イヌ、ネコ、ウマ、及びその他の霊長類ポリペプチドを含む、その他の哺乳動物
種からのZchml ポリペプチドである。ヒトZchmlのオルトログは、従来のクロー
ニング技術と組合わせて、本発明により提供される情報及び組成物を用いてクロ
ーニングすることができる。
【0053】 例えば、cDNAは、本書で開示されているようなZchm1を発現する組織又は細胞
型から得られたmRNAを用いてクローニングできる。適切なmRNA供給源は、本書で
開示された配列から設計されたプローブを用いてノーザンブロットをプローブ探
査することによって同定可能である。このとき、陽性の組織又は細胞系統のmRNA
からライブラリが調製される。このとき、開示された配列に基づいて単数又は複
数の縮重プローブセット又は完全な又は部分的なヒトcDNAを用いてプローブ探査
することなどによるさまざまな方法により、Zchm1をコードするcDNAを単離する
ことができる。
【0054】 cDNAは、本書に開示された代表的なヒトZchml配列から設計されたプライマを
用いて、ポリメラーゼ連鎖反応つまりPCR(Mullis, 米国特許第4,683,202号)を
用いてもクローニング可能である。付加的な方法においては、宿主細胞を形質転
換又はトランスフェクションするためにcDNAライブラリを使用することができ、
問題のcDNAの発現をZchml ポリペプチドに対する抗体を用いて検出することがで
きる。ゲノミッククローンの単離に対して類似の技術を応用することもできる。
【0055】 当業者であれば、配列番号1に開示された配列がヒトZchm1の単一の対立遺伝
子を代表していること、そして対立遺伝子の変異及び代替的スプライシングが発
生すると予測されることを認識することだろう。この配列の対立遺伝子変異体は
、標準的手順に従って、異なる個体からcDNA又はゲノミックライブラリをプロー
ブすることによってクローニングできる。沈黙突然変異を含むもの及び突然変異
の結果アミノ酸配列変化がもたらされるものを含めた、配列番号1に示されてい
るDNA配列の対立遺伝子変異体は、配列番号2の対立遺伝子変異体であるタンパ
ク質と同様、本発明の範囲内に入る。
【0056】 Zchml ポリペプチドの特性を保持する代替的にスプライシングされたmRNAから
生成されたcDNAは、かかるcDNA及びmRNAによってコードされるポリペプチドと同
様、本発明の範囲内に内含される。これらの配列の対立遺伝子変異体及びスプラ
イス変異体は、当該技術分野において既知の標準的手順に従って異なる個体又は
組織からのcDNA又はゲノミックライブラリをプローブ探査することによってクロ
ーニングできる。
【0057】 本発明は同様に、配列番号2のポリペプチド及びそのオルトログと実質的に相
同である単離されたZchml ポリペプチドをも提供する。本書では「実質的に相同
な」という用語は、配列番号2に示された配列又はそのオルトログに対する50%
,好ましくは60%,より好ましくは少なくとも80%の配列同一性をもつポリペプ
チドを表わすのに用いられている。かかるポリペプチドは、配列番号2又はその
オルトログに対しより好ましくは少なくとも90%の同一性、最も好ましくは95%
以上の同一性をもつことになる。配列同一性の百分率は、従来の方法によって決
定される。
【0058】 例えば、Altschul et al., Bull. Math. Bio. 48:603-616(1986)及びHenikoff
and Henikoff, Proc. Natl. Acad. Sci. USA89:10915-10919(1992)を参照のこ
と。簡単に言うと、表1に示されているようにHenikoff and Henikoff(同上)
の「BLOSUM62」評点マトリクス(アミノ酸は標準的一文字コードで表わされてい
る)及び、10というギャップ開放ペナルティ、1というギャップ拡張ペナルティ
を用いてアラインメント得点を最適化するように2つのアミノ酸配列が整列させ
られる。次に同一性百分率を以下の通りに計算する:
【0059】
【数1】
【0060】
【表1】
【0061】 ポリヌクレオチド分子の配列同一性は、以上で開示されているような比率を用
いて類似の方法により決定される。 変異体Zchml ポリペプチド又は実質的に相同なZchml ポリペプチドは、単数又
は複数のアミノ酸の置換、欠失又は付加をもつものとして特徴づけされる。これ
らの変化は、好ましくはわずかなもの、すなわち、ポリペプチドの折畳み又は活
性に著しい影響を与えない保存的アミノ酸置換(表2参照)及びその他の置換、
標準的には1個乃至約30個のアミノ酸の小さな欠失及び、アミノ末端メチオニン
残基、最高約20〜25残基の小さいリンカーペプチドは親和性タグといったような
小さなアミノ又はカルボキシ末端拡張である。
【0062】 かくして、本発明は、少なくとも90%,好ましくは少なくとも95%、より好ま
しくは99%以上配列番号4の対応領域と同一である配列を含む、20〜30個のアミ
ノ酸残基のポリペプチドを内含する。親和性タグを含むポリペプチドは、さらに
、Zchml ポリペプチドと親和性タグの間のタンパク質分解分割部位を含むことが
できる。好ましいこのような部位としては、トロンビン分割部位及びXa因子の分
割部位が含まれる。
【0063】
【表2】
【0064】 本発明はさらに、その他のさまざまなポリペプチド融合〔及び単数又は複数の
ポリペプチド融合を含む関連多量体タンパク質〕を提供する。例えば、米国特許
第5,155,027及び5,567,584号に開示されているように、2量体化タンパク質に対
する融合としてZchml ポリペプチドを調製することができる。この点で好ましい
2量体化タンパク質は、免疫グロブリン定常領域ドメインを内含する。免疫グロ
ブリン−Zchml ポリペプチド融合は、さまざまな多量体Zchml類似体を産生する
ため、遺伝的に工学処理された細胞の中で発現され得る。補助的ドメインをZchm
l ポリペプチドに融合させて、それらを特異的細胞、組織又は巨大分子(例えば
コラーゲン)に標的づけすることが可能である。
【0065】 例えば、標的細胞の表面上でレセプタに特異的に結合するリガンドにZchml ポ
リペプチドを融合することによって、Zchml ポリペプチド又はタンパク質を、予
め定められた細胞型に標的づけすることが可能であろう。このようにして、ポリ
ペプチド及びタンパク質を、治療又は診断目的で標的づけすることができる。Zc
hml ポリペプチドを、精製及び標的ドメインのための親和性タグといったような
2つ以上の半分に対し融合させることができる。ポリペプチド融合は同様に、特
にドメイン間に単数又は複数の分割部位を含むこともできる。Tuan et al., 結
合組織研究34:1〜9(1996)を参照のこと。
【0066】 本発明のタンパク質は同様に、天然に発生しないアミノ酸残基を含むこともで
きる。天然に発生しないアミノ酸としては、制限的な意味なく、トランス−3−
メチルプロリン、2,4−メタノプロリン、シス−4−ヒドロキシプロリン、ト
ランス−4−ヒドロキシプロリン、N−メチルグリシン、アロ−トレオニン、メ
チルトレオニン、ヒドロキシエチルシステイン、ヒドロキシエチルホモシステイ
ン、ニトログルタミン、ホモグルタミン、ピペコール酸、チアゾリジンカルボン
酸、デヒドロプロリン、3−及び4−メチルプロリン、3,3−ジメチルプロリ
ン、第3−ロイシン、ノルバリン、2−アザフェニルアラニン、3−アザフェニ
ルアラニン、4−アザフェニルアラニン及び4−フルオロフェニルアラニンが含
まれている。当該技術分野では、天然に発生しないアミノ酸残基をタンパク質内
に取込むための複数の方法が知られている。例えば、化学的にアミノアシル化さ
れたサプレッサtRNAを用いてナンセンス突然変異が抑圧されるようなin vitro
系を利用することが可能である。
【0067】 アミノ酸及びアミノアシル化tRNAを合成するための方法は、当該技術分野に
おいて既知である。ナンセンス突然変異を含むプラスミドの転写及び翻訳が、E.
coli S30抽出物及び市販の酵素及びその他の試薬を含む無細胞系の中で実施され
る。タンパク質はクロマトグラフィによって精製される。例えば、Robertson et
al., J. Am. Chem. Soc. 113:2722(1991);Ellman et al., Methods Enzymol. 2
02:301(1991;Chung et al., Science 259:806-809(1993);及び Chung et al.,
Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90;10145-1019(1993)を参照のこと。第2の方法
では、突然変異を受けたmRNA及び化学的にアミノアシル化されたサプレッサtRNA
のマイクロインジェクションによりXenopus の卵母細胞内で翻訳が実施される、
Turcatti et al., J. Biol. Chem. 271:19991-19998(1996)。
【0068】 第3の方法においては、置換されるべき天然アミノ酸(例えばフェニルアラニ
ン)が存在せず、天然に発生しない所望のアミノ酸(例えば2−アザフェニルア
ラニン、3−アザフェニルアラニン、4−アザフェニルアラニン、又は4−フル
オロフェニルアラニン)が存在する状態で、E. coli 細胞が培養される。天然に
発生しないアミノ酸は、その天然相対物の代りにタンパク質内に取り込まれる。
Koide et al., Biochem.33:7470-7476(1994)を参照のこと。天然に発生するア
ミノ酸残基は、in vitro化学的修飾により、天然に発生しない種に変換すること
ができる。化学的修飾を部位特異的突然変異誘発と組合わせて、置換の範囲のさ
らに拡張することも可能である、Wynn及びRichards, Protein Sci.2:395-403(19
93)。
【0069】 限られた数の非保存的アミノ酸、遺伝子コードによりコードされていないアミ
ノ酸、天然に発生しないアミノ酸及び非天然アミノ酸を、Zchm1アミノ酸残基の
代りに用いることもできる。 本発明のポリペプチドの必須アミノ酸は、部位特異的突然変異誘発又はアラニ
ン走査突然変異誘発といったような、当該技術分野において既知の手順に従って
同定可能である、Cunningham and wells, Science 244:1081-1085(1989);Bass e
t al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88:4498-502(1991)。後者の技術において
は、単一アラニン突然変異が分子内の全ての残基において導入され、分子の活性
にとって危険なアミノ酸残基を同定するべく、以下で開示されているように、結
果として突然変異体分子は生物活性についてテストされる。
【0070】 同様に、Hilton et al., J. Biol. Chem. 271:4699-708,1996も参照のこと。
リガンドレセプタ相互作用の部位は同様に、推定的接触部位アミノ酸の突然変異
と合わせて、核磁気共鳴、結晶構造解析、電子回折又は光学的親和性標識といっ
たような技術により、決定されるような構造の物理的分析によっても、決定可能
である。例えばVos et al., Science 255:306-312(1992);Smith et al., J. Mol
. Biol. 224:899-904(1992);Wlodaver et al., FEBS Lett. 309:59-64(1992)を
参照のこと。
【0071】 Reidhaar-Olson及びSauer, Science 241:53-57(1988)又はBowie 及びSauer, P
roc. Natl. Acad. Sci. USA 86:2152-2156(1989)といったような既知の突然変
異誘発及びスクリーニング方法を用いて、多数のアミノ酸置換を行なうことがで
きる。簡単に言うと、これらの著者は、ポリペプチド内の2つ以上の位置を同時
にランダム化し、機能的ポリペプチドについて選択し、次に突然変異誘発された
ポリペプチドを配列決定して各位置で許容可能な置換スペクトルを決定するため
の方法を開示している。使用可能なその他の方法としては、例えばLowman et al
., Biochem. 30:10832-10837(1991);Landner et al., 米国特許 No. 5,223,409;
Huse, WIPO Publication WO 92/06204)及び領域特異的突然変異誘発、Derbyshi
re et al., Gene 46:145(1986);Ner et al., DNA 7:127(1988)が含まれる。
【0072】 開示されたZchml DNA及びポリペプチド配列の変異体は、Stemmer, Nature 370
:389-391(1994),Stemmer, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91:10747-10751(1994)
及びWIPO Publication WO 97/20078によって開示されているようにDNAシャッフ
リングを通して生成することができる。簡単に言うと、変異体DNAは、ランダム
に導入された点突然変異を結果としてもたらすPCRを用いた再組立てを後に伴う
親DNAのランダムフラグメント化によるin vitro相同組換えによって生成される
【0073】 この技術は、プロセス内に付加的な変異可能性を導入するべく、異なる種から
のDNA又は対立遺伝子変異体といったような親DNAの系統群を使用することにより
修正することができる。所望の活性についての選択又はスクリーニングとそれに
続く突然変異誘発及び検定の付加的な反復は、同時に不利な変化に反対して選択
しながら所望の突然変異について選択することによって、配列の急速な「進化」
を提供する。
【0074】 本書で開示されているような突然変異誘発方法は、宿主細胞内のクローニング
され突然変異誘発を受けたポリペプチドの活性を検出するべく高処理量の自動化
されたスクリーニング方法と組合わせることができる。活性ポリペプチドをコー
ドする突然変異誘発を受けたDNA分子は、宿主細胞から回収し近代的な機器を用
いて迅速に配列決定できるものである。これらの方法は、問題のポリペプチド内
の個々のアミノ酸残基の重要性を急速に見極めることを可能にし、未知の構造の
ポリペプチドに応用することができる。
【0075】 本書で論述されている方法を用いると、当業者であれば、野生型Zchmlタンパ
ク質の特性を保持するか又は配列番号2のさまざまなポリペプチドフラグメント
又は変異体を同定及び/又は調製することができる。 変異体及び融合タンパク質を含むあらゆるZchml ポリペプチドについて、当業
者であれば、以上の表1及び2に記されている情報を用いてその変異体をコード
する完全に縮重するポリヌクレオチド配列を容易に生成することができる。
【0076】 タンパク質の製造 全長ポリペプチド,生物活性をもつフラグメント及び融合ポリペプチドを内含
する本発明のZchm1ポリペプチドは、従来の技術に従って、遺伝子的に工学処理
された宿主細胞の中で産生することができる。適切な宿主細胞は、外因性DNAで
形質転換又はトランスフェクションされ培養中で成長できるような細胞型であり
、細菌、真菌細胞及び培養された高等真核細胞を含む。真核細胞、特に多細胞生
体の培養細胞が好ましい。クローニングされたDNA分子を操作し外因性DNAをさま
ざまな宿主細胞内に導入するための技術が、Sambrook et al., 分子クローニン
グ:実験室マニュアル第2版、(Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold
Spring Harbor, NY,1989),及びAusubel et al., eds., 分子生物学の現行プロ
トコル(John Wiley and Sons, Inc., NY,1987)によって開示されている。
【0077】 一般に、Zchml ポリペプチドをコードするDNA配列は、発現ベクター内で、転
写プロモータ及びターミネータを一般に内含する、その発現に必要なその他の遺
伝子要素に、作動的にリンクされている。ベクターは同様に、単数又は複数の選
択可能マーカー及び単数又は複数の複製起点を一般に内含することになるが、当
業者であれば、或る種の系内では、別々のベクター上に選択可能マーカーを提供
できること、又外因性DNAの複製が、宿主細胞ゲノム内への組込みによって提供
されうることを認識するであろう。プロモータ,ターミネータ,選択可能マーカ
ー、ベクター及びその他の要素の選択は、当業者のレベルの範囲内に入る日常的
設計の問題である。このような要素が数多く文献に記述されており、商業的供給
業者を通して入手可能である。
【0078】 宿主細胞の分泌経路内にZchml ポリペプチドを誘導するため、(リーダー配列
、プレプロ配列又はプレ配列としても知られている)分泌シグナル配列が、発現
ベクター内に提供されている。分泌シグナル配列は、Zchmlのものであってもよ
いし、或いは又はもう1つの分泌タンパク質(例えばt−PA)から誘導されても
又新規に合成されてもよい。分泌シグナル配列は、Zchml DNA配列に作動的にリ
ンクされている。
【0079】 すなわち2つの配列は、正しい読取り枠内で接合され、宿主細胞の分泌経路内
に新たに合成されたポリペプチドを導くように位置づけされる。分泌シグナル配
列は、一般に、問題のポリペプチドをコードするDNA配列に対し5’のところに
位置づけされているが、或る種の分泌シグナル配列は、問題のDNA配列内のその
他の場所に位置づけすることができる(例えば、Welch et al., 米国特許 No. 5
,037,743;Holland et al., 米国特許 No. 5,143,830を参照のこと)。
【0080】 あるいは、本発明のポリペプチド内に含まれる分泌シグナル配列は、分泌経路
内にその他のポリペプチドを導くために使用される。本発明は、このような融合
ポリペプチドを提供する。本発明の融合ポリペプチドの中に含まれている分泌シ
グナル配列は、好ましくは、分泌経路内に付加的なペプチドを導くべく付加的な
ペプチドにアミノ末端で融合されている。かかる構成体は、当該技術分野におい
て既知の数多くの応用分野をもつ。例えば、これらの新しい分泌シグナル配列融
合構成体は、レセプターといったような通常分泌されないタンパク質の活性成分
の分泌を導くことができる。かかる融合は、分泌経路を通してペプチドを導くた
めin vivo 又はin vitroで使用することができる。
【0081】 培養された哺乳動物細胞は、本発明において適切な宿主である。哺乳動物の宿
主細胞内に外因性DNAを導入するための方法には、リン酸カルシウム媒介トラン
スフェクション、Wigler et al., Cell 14:725(1978);Corsaro 及び Pearson, S
omatic Cell Genetics 7:603(1981);Graham 及び Van der Eb, Virology 52;456
(1973),電気穿孔法、Neumann et al., EMBO J. 1:841-845(1982),DEAE−デキ
ストラン媒介トランスフェクション(Ausubel et al., 同上。及びリポゾーム媒
介トランスフェクション、Hawley Nelson et al., Focus 15:73(1993);Ciccaron
e et al., Focus 15:80(1993),及びウイルスベクター Miller 及び Rosman, B
ioTechniques7:980(1989);Wang and Finer, Nature Med. 2:714(1996)が含まれ
る。
【0082】 培養された哺乳動物細胞内の組換え型ポリペプチドの産生は、例えば、Levins
on et al., 米国特許 No.4,713,339;Hagen et al., 米国特許 No. 4,784,950;Pa
lmiter et al., 米国特許 No.4,579,821;及びRingold, 米国特許 No.4,656,134
によって開示されている。適切な培養された哺乳動物としては、COS−1(ATCC
No. CRL 1650),COS−7(ATCC No. CRL1651),BHK(ATCC No. CRL 1632),B
HK570(ATCC No. CRL 10314),293(ATCC No. CRL 1573;Graham et al., J. Ge
n. Virol. 36:59(1977)及びチャイニーズハムスタ卵巣(CHO-K1;ATCC No. CCL
61)細胞系統が含まれる。
【0083】 追加の適切な細胞系統も当該技術分野において知られており、American Type
Culture Collection, Rockville, Maryland といったような公共の寄託機関から
入手可能である。一般に、SV−40又はサイトメガロウイルスからのプロモータと
いった強力な転写プロモータが好まれる。例えば米国特許No. 4,956,288を参照
のこと。その他の適切なプロモータとしては、メタロチオネイン遺伝子(米国特
許 No. 4,579,821及び4,601,978)からのもの及びアデノウイルス主要後期プロ
モータが含まれる。
【0084】 外因性DNAが中に挿入された哺乳動物細胞の培養について選択するためには、
一般に薬物選択が用いられる。かかる細胞は、一般に、「トランスフェクタント
」と呼ばれる。選択的作用物質の存在下で培養され、その後代に対し問題の遺伝
子を渡すことのできる細胞は、「安定したトランスフェクタント」と呼ばれる。
好ましい選択可能マーカーは、抗生物質ネオマイシンに対する耐性をコードする
遺伝子である。選択は、G−418などのようなネオマイシンタイプの薬物の存在
下で実施される。問題の遺伝子の発現レベルを増大させるために、選択系を用い
ることができ、これは「増幅」と呼ばれるプロセスである。
【0085】 増幅は、低レベルの選択的作用物質の存在下でトランスフェクタントを培養し
、その後、導入された遺伝子の産物を高レベルで産生する細胞を選択するため選
択的作用物質の量を増大させることによって実施される。好ましい増幅可能なマ
ーカーは、メトトレキセート耐性を付与するジヒドロフォレートレダクターゼで
ある。その他の薬物耐性遺伝子(例えば、ハイグロマイシン耐性、多薬物耐性、
ピュロマイシンアセチルトランスフェラーゼ)も同様に使用可能である。CD4,C
D8,クラスIのMHC,胎盤アルカリホスファターゼといったような細胞表面タン
パク質又は、緑色螢光タンパク質といったような、改変された表現型を導入する
代替的マーカーを使用して、FACS選別又は磁気ビード分離技術といったような手
段によりトランスフェクションを受けていない細胞からトランスフェクションを
受けた細胞を選別することもできる。
【0086】 植物細胞、昆虫細胞及び鳥類細胞を含め、その他の高等真核細胞を宿主として
使用することも可能である。植物細胞内で遺伝子を発現するためのベクターとし
てのアグロバクテリウム・リゾゲネス(Agrobacterium rhizogenes)の使用につ
いては、Sinkar et al., J. Biosci. (Bangalore) 11:47(1987)によって再考さ
れている。昆虫細胞の形質転換及びその中での外来性ポリペプチドの産生は、Gu
arino et al., 米国特許 No. 5,162,222及びWIPO公報WO94/06463により開示され
ている。昆虫細胞を、一般にオートグラファ・カリホルニカ(Autographa calif
ornica)核多角体病ウイルス(AcNPV)から誘導された組換え型バキュロウイル
スに感染させることができる。
【0087】 Zchm1ポリペプチドをコードするDNAを、次の2つの方法のうちの1つによりA
cNPVポリヘドリン遺伝子コーディング配列の代わりにバキュロウイルスゲノム内
に挿入させる。第1の方法は、AcNPV配列によってフランキングされたZchml を
含むトランスファベクターと野生型AcNPVの間の相同なDNA組換えという伝統的な
方法である。適切な昆虫細胞、例えばSF9細胞を、野生型AcNPVに感染させ、AcNP
Vポリヘドリン遺伝子プロモータ、ターミネータ及びフランキング配列に作動的
にリンクされたZchml ポリヌクレオチドを含むトランスファベクターでトランス
フェクションする。
【0088】 King, L.A. Possee, R.D., バキュロウイルス発現ベクター:実験室ガイド(
Chapman & Hall, London) ;O'Reilly, D.R. et al., バキュロウイルス発現ベ
クター:実験室マニュアル(Oxford University Press, New York, New York,19
94);及びRichardson, C.D., Ed.,バキュロウイルス発現プロトコル、分子生物
学的方法(Humana Press, Totowa, NJ 1995)を参照のこと。昆虫細胞内の自然
の組換えは結果として、ポリヘドリンプロモータによって駆動されたZchm1を含
有する組換え型バキュロウイルスをもたらす。当該技術分野において一般に使用
される方法により、組換え型ウイルス株を作製する。
【0089】 組換え型バキュロウイルスを作製する第2の方法では、Luckow, V.A, et al.,
J Virol 67:4566(1993)により記述されたトランスポゾンベースの系が利用さ
れる。この系は、Bac-to-Bacキット(Life Technologies Rockville, MD)の形で
販売されている。この系は「バクミド」と呼ばれる大型プラスミドとしてE.coli
内に維持されたバキュロウイルスゲノム内にZchml ポリペプチドをコードするDN
Aを移動させるために、Tn7トランスポゾンを含むトランスファベクター pFastBa
c1TM(Life Technologies)を利用する。pFastBaclTMトランスファベクターは
、この場合Zchm1である問題の遺伝子の発現を駆動するべくAcNPVポリヘドリン
プロモータを利用する。しかしながらpFastBaclTMは、著しい程度まで修飾する
ことができる。
【0090】 ポリヘドリンプロモータを除去し、早期にバキュロウイルス感染において発現
されており分泌タンパク質を発現するのに有利であることが示されてきたバキュ
ロウイルス塩基性タンパク質プロモータCPcorp6,9又はMPプロモータとして知ら
れている)で置換することが可能である。Hill-Perkins, M.S.及びPossee, R.D.
, J Gen Virol 71:971(1990);Bonning, B.C. et al., J Gen Virol 75:1551(1
994);及びChazenbalk, G.D., 及びRapoport, B., J Biol Chem 270:1543(1995
)を参照のこと。このようなトランスファベクター構成体においては、塩基性タ
ンパク質プロモータの短い又は長いバージョンを使用することができる。
【0091】 その上、昆虫タンパク質から誘導された分泌シグナル配列で未変性Zchm1分泌
シグナル配列を置換するトランスファベクターを構築することが可能である。例
えば、エクジステロイドグリコシルトランスフェラーゼ(EGT),ミツバチメリ
チン(Invitrogen, Carlsbad, CA) 又はバキュロウイルスgp67(PharMingen, Sa
n Diego, CA)を構成体中で使用して未変性Zchm1分泌シグナル配列を置換する
ことができる。さらに、トランスファベクターは、例えばGlu-Glu エピトープタ
グGrussenmeyer, T. et al., Proc Natl Acad Sci.82:7952(1985)といったよう
な、発現されたZchm1ポリペプチドのC−又はN末端にあるエピトープタグをコ
ードするDNAとの枠内融合を内含することができる。
【0092】 当該技術分野において既知の技術を用いて、Zchm1を含むトランスファベクタ
ーがE.coliへと形質転換され、組換え型バキュロウイルスを表わす中断されたla
cZ遺伝子を含有するバクミドについてスクリーニングされる。組換え型バキュロ
ウイルスゲノムを含有するバクミドDNAは、一般的技術を用いて単離され、例え
ばSf9細胞といったSpodoptera frugiperda 細胞をトランスフェクションするた
めに使用される。Zchm1を発現する組換え型ウイルスがその後産生される。当該
技術分野において一般に使用される方法により、組換え型ウイルス株が作製され
る。
【0093】 この組換え型ウイルスは、宿主細胞,標準的にはヤガ属スポドプテラ・フルギ
ペルダ(Spodoptera frugiperda)から誘導された細胞系統を感染させるために
用いられる。一般に、Glick 及び Pasternak, 分子バイオテクノロジー;組換え
型DNAの原理と応用(ASM Press, Washington D.C.,1994)を参照のこと。もう1
つの適切な細胞系統は、Trichoplusia ni(米国特許#5,300,435)から誘導され
たHigh Five 0(商標)細胞系統(Invitrogen)である。細胞を成長させ維持す
るためには、市販の無血清培地が使用される。適切な培地は、Sf9細胞について
はSf900II(商標)(Life Technologies)又はESF921(商標)(Expression Sys
tems)であり、T.ni細胞については、Ex-cell 0405(商標)(JRH Biosciences,
Lenexa, KS) 又はExpress Five0(商標)(Life Technologies)である。
【0094】 細胞は、約2〜5×105細胞の接種密度から1〜2×106細胞の密度まで成長さ
せられ、その時点で組換え型ウイルス株が、0.1〜10,より標準的には3近くの
感染多重度(MOI)で添加される。組換え型ウイルスの感染を受けた細胞は、標
準的に、感染から12〜72時間後に組換え型Zchm1ポリペプチドを産生し、さまざ
まな効率で培地中にそれを分泌する。培養は通常、感染から48時間後に収獲され
る。培地(上清)から細胞を分離するためには、遠心分離が使用される。Zchm1
ポリペプチドを含む上清は、通常孔径0.45μmの微小孔フィルタを通してろ過さ
れる。使用される手順は、一般に、入手可能な実験室マニュアルの中で記述され
ている(King, L.A. 及び Possee, R.D., 同書. ;O'Reilly, D.R. et al., 同
書;Richardson, C.D., 同書)。上清からのZchml ポリペプチドのその後の精製
は、本書に記述された方法を用いて達成できる。
【0095】 酵母細胞を含む菌類(fungal) 真菌細胞も同様に、本発明の範囲内で使用可能
である。この点で特に有利な酵母種としては、サッカロミセス・セレビシエー(
Saccharomyces cerevisiae), ピキア・パストリス(Pichia pastoris),及びピ
キア・メタノリカ(Pichia methanolica)が含まれる。外因性DNAでサッカロミ
セス・セレビシエー(S.cerevisiae)細胞を形質転換しそこから組換え型ポリペ
プチドを産生するための方法は、例えば、Kawasaki, 米国特許 No. 4,599,311;K
awasaki et al., 米国特許 No.4,931,373;Brake, 米国特許 No.4,870,008;Welch
et al., 米国特許 No. 5,037,743;及びMurray et al., 米国特許 No.4,845,075
によって開示されている。形質転換された細胞は、選択可能マーカー、一般的に
は薬物耐性又は特定の栄養物(例えばロイシン)の不在下で成長する能力によっ
て決定される表現型により選択される。
【0096】 サッカロミセス・セレビシエー(Saccharomyces cerevisiae)の中で使用する
ための好ましいベクター系は、形質転換された細胞をグルコース含有培地内での
成長により選択できるようにするKawasaki et al.(米国特許 No. 4,931,373)に
よって開示されたPOT1ベクター系である。酵母中で使用するのに適したプロモー
タ及びターミネータとしては、解糖酵素遺伝子(例えばKawasaki, 米国特許 No.
4,599,311;Kingsman et al., 米国特許 No.4,615,974;及びBitter, 米国特許
No. 4,977,092を参照)及びアルコールデヒドロゲナーゼ遺伝子からのものが含
まれる。同様に米国特許 Nos.4,990,446;5,063,154;5,139,936及び4,661,454も
参照のこと。
【0097】 ハンゼヌラ・ポリモルファ(Hansenula polymorpha), シゾサッカロミセス・
ポンベ(Schizosaccharomyces pombe), クルイベロミセス・ラクチス(Kluyver
omyces lactis), クルイベロミセス・フラギリス(Kluyveromyces fragilis),
ウスティラゴ・マイディス(Ustilago maydis), ピキア・パストリス(Pichia
pastoris), ピキア・メタノリカ(Pichia methanolica), ピキア・グイレル
モンディー(Pichia guillermondii)及び キャンディダ・マルトサ(Candida m
altosa)を含めたその他の酵母のための形質転換系が、当該技術分野において知
られている。例えば Gleeson et al., J. Gen. Microbiol. 132:3459(1986)及
びCregg, 米国特許 No.4,882,279を参照のこと。
【0098】 McKnight et al., 米国特許 No.4,935,349の方法に従って、アスペルギルス(
Aspergillus)細胞を利用することが可能である。アクレモニウム・クリソゲナ
ム(Acremonium chrysogenum)を形質転換するための方法がSumino et al., 米
国特許 No.5,162,228によって開示されている。ニューロスポラ(Neurospora)
の形質転換方法が、Lambowitz, 米国特許 No.4,486,533によって開示されている
【0099】 組み換えタンパク質産生用宿主としてのピキア・メタノリカ(Pichia methano
lica)の使用についてはWIPO公開WO 97/17450、WO 97/17451、WO 98/ 02530およ
びWO 98/02565で開示されている。ピキア・メタノリカ(P. methanolica)の形
質転換に使用するDNA分子は一般に2本鎖の環状プラスミドとして調製されるが、
形質転換前に直鎖状にしておくのが好ましい。ピキア・メタノリカ(P. methano
lica)によるポリペプチドの産生では、プラスミド中のプロモーターとターミネ
ーターはピキア・メタノリカ(P. methanolica)遺伝子、たとえばピキア・メタ
ノリカ(P. methanolica)アルコール利用遺伝子(AUG1またはAUG2)のものであ
ることが好ましい。有用なプロモーターとしては他に、ジヒドロキシアセトン合
成酵素(DHAS)遺伝子、蟻酸脱水素酵素(FMD)遺伝子およびカタラーゼ(CAT)
遺伝子のプロモーターがある。
【0100】 宿主染色体へのDNAの組み込みを容易にするには、プラスミドの全発現セグメ
ントが両端を宿主DNA配列で挟まれるようにするのが好ましい。ピキア・メタノ
リカ(Pichia. methanolica)への使用に適した好ましい選択マーカーはホスホ
リボシル-5-アミノイミダゾール・カルボキシラーゼ(AIRC; EC 4.1.1.21)をコ
ードするピキア・メタノリカ(P. methanolica)ADE2遺伝子であり、この酵素は
ade2宿主細胞がアデニンの不在下で増殖することを可能にする。メタノールの使
用を極力抑えるのが望ましい大規模な工業的プロセスでは、両方のアルコール利
用遺伝子(AUG1とAUG2)を除去した宿主細胞を使用するのが好ましい。分泌タン
パク質の産生では、液胞型プロテアーゼ遺伝子(PEP4とPRB1)を欠く宿主細胞が
好ましい。
【0101】 目的のポリペプチドをコードするDNAを含むプラスミドのピキア・メタノリカ
(P. methanolica)への導入を容易にするにはエレクトロポレーション法を用い
る。ピキア・メタノリカ(P. methanolica)の形質転換は、電界強度を2.5〜4.5
kV/cm好ましくは約3.75 kV/cmとし、時定数(t)を1〜40ミリ秒、最も好ましく
は約20ミリ秒とする指数減衰型パルス電界を使用するエレクトロポレーションで
行うのが好ましい。
【0102】 原核宿主細胞もまた、細菌である大腸菌(Escherichia coli)、バチルス(Ba
cillus)などのような種類の菌株を含めて、本発明の範囲内の有用宿主細胞であ
る。これらの宿主を形質転換させその内部でクローニングされた外来DNA配列を
発現させる技法は技術上周知である(たとえば前掲Sambrook et al.を参照)。
大腸菌(E. coli)などのような細菌でZchm1ポリペプチドを発現させると、ポリ
ペプチドは細胞質内に一般的には不溶性顆粒として保持されるか、または細菌の
分泌配列によって細胞周辺腔へと導かれよう。前者の場合、細胞を溶解し、顆粒
を回収して、たとえばイソチオシアン酸グアニジンまたは尿素を用いて変性させ
る。
【0103】 変性したポリペプチドは次いで、この変性剤の希釈、たとえば尿素と還元およ
び酸化グルタチオン混合物の溶液での透析とその後の緩衝食塩溶液での透析によ
り、リフォールディングし二量体化することができる。後者の場合ポリペプチド
は、細胞を(たとえば超音波処理または浸透圧衝撃により)破壊して細胞周辺腔
から内容物を放出させてタンパク質を回収し、もって変性処理とリフォールディ
ングを不要にするという方法により、細胞周辺腔から可溶性の機能的形態で回収
することができる。
【0104】 形質転換またはトランスフェクション後の宿主細胞は通常の方法に従って、選
択された宿主細胞の増殖に必要な栄養素と他の成分を加えた培地で培養する。適
当な培地は合成培地や天然培地を含めて技術上周知であり、一般に炭素源、窒素
源、必須アミノ酸、ビタミン、ミネラルなどを含む。また、培地には必要に応じ
て増殖因子または血清を含めてもよい。この増殖用培地は一般に、外来DNAを入
れた細胞に合わせて、たとえば薬剤選択により、または発現ベクター上に担持さ
れるかあるいは宿主細胞に同時トランスフェクションされた選択マーカーによっ
て補完される必須栄養素の欠乏により、選択する。
【0105】 ピキア・メタノリカ(P. methanolica)細胞は十分な炭素源、窒素源および微
量栄養源を含む培地で、約25℃〜35℃の温度で培養する。液体培地の場合には小
フラスコの振とうまたは発酵槽のスパージングなどのような通常の手段で十分に
曝気する。ピキア・メタノリカ(P. methanolica)用の好ましい培地はYEPD[2%
D-グルコース、2% Bacto(商標)Peptone (Difco Laboratories、Detroit, MI)
、1% Bacto(商標)酵母抽出物(Difco Laboratories)、0.004%アデニンおよび0.
006% L-ロイシン]である。
【0106】 タンパク質の単離 本発明のポリペプチドは純度80%以上、もっと好ましくは純度90%以上、さらに
もっと好ましくは純度95%以上、そして特に好ましくは不純物の巨大分子、特に
他のタンパク質および核酸に関して99.9%超の医薬品純度まで精製し、病原菌お
よび発熱菌が含まれないようにするのがよい。好ましくは、精製ポリペプチドが
他ポリペプチド、特に動物由来の他ポリペプチドを実質的に含まないようにする
【0107】 発現組み換えZchm1ポリペプチド(またはキメラZchm1ポリペプチド)は分画お
よび/または精製法および手段を使用して精製することができる。試料の分画に
は硫酸アンモニウム沈殿法および酸またはカオトロープ抽出法を使用してもよい
。好ましい精製法はヒドロキシアパタイト、サイズ排除、FPLCおよび逆相高速液
体クロマトグラフィーなどである。適当なクロマトグラフィー媒体は誘導体デキ
ストラン、アガロース、セルロース、ポリアクリルアミド、特殊シリカなどであ
る。PEI、DEAE、QAEおよびQ誘導体が好ましい。
【0108】 好ましいクロマトグラフィー媒体はフェニル、ブチルまたはオクチル基で誘導
した媒体[Phenyl-Sepharose FF(Pharmacia)、Toyopearl butyl 650(Toso Ha
as、Montgomeryville, PA)、Octyl Sepharose(Pharmacia)など]またはポリ
アクリル樹脂[Amberchrom CG 71(Toso Haas)など]である。適当な固形担体
は使用条件下で不溶性であるガラスビーズ、シリカベース樹脂、セルロース樹脂
、架橋アガロースビーズ、ポリスチレンビーズ、架橋ポリアクリルアミド樹脂な
どである。これらの担体は、アミノ基、カルボキシル基、スルフフィドリル基、
ヒドロキシル基および/または糖質部分などによるタンパク質の結合を可能にす
るような反応性基で修飾してもよい。
【0109】 カップリング化学の例は、臭化シアン活性化、N-ヒドロキシスクシニミド活性
化、エポキシド活性化、スルフフィドリル活性化、ヒドラジド活性化、それにカ
ルボジイミドカップリング化学用のカルボキシルおよびアミノ誘導体などである
。これらや他の固形基材は技術上周知であり、広く使用されているし市販もされ
ている。受容体ポリペプチドを担体に結合させる方法は技術上周知である。特定
の方法の選択は方案設計の問題であり、選択する担体の性質にも左右される。た
とえば、Affinity Chromato-graphy: Principles & Methods(Pharmacia LKB Bi
otechnology, Uppsala, Sweden, 1988)を参照。
【0110】 本発明のポリペプチドはその性質を利用して単離することができる。たとえば
、ポリヒスチジン標識を含むタンパク質などヒスチジン濃厚タンパク質の精製に
は固定化金属イオン吸着(IMAC)クロマトグラフィーを使用することができる。
要するに、まずゲルに2価の金属イオンを注入してキレートを生成させ[Sulkows
ki, Trends in Biochem. 3:1(1985)]、ヒスチジン濃厚タンパク質をこのマトリ
ックスに吸着させ(その親和性は使用金属イオン次第で異なろう)、競合溶出、
pHの引き下げ、または強キレート剤の使用により溶出するというものである。
【0111】 他の精製法としてはレクチン・アフィニティクロマトグラフィーおよびイオン
交換クロマトグラフィーによるグリコシル化タンパク質の精製などがある。Meth
ods in Enzymol., Vol. 182, “Guide to Protein Purification”, M. Deutsch
er, (ed.), pp.529-539(Acad. Press, San Diego, 1990)。本発明のさらなる
実施態様では精製を容易にするために目的ポリペプチドとアフィニティ標識(た
とえば、免疫グロブリンの一ドメインであるマルトース結合タンパク質)の融合
体を構築してもよい。
【0112】 さらに、技術上周知の方法により、本発明のZchm1の領域またはドメインを用
いてポリペプチド融合体またはハイブリッドZchm1タンパク質を構築する[前掲S
ambrook et al.;前掲Altschul et al.;Picard, Cur. Opin. Biology, 5:511(1
994)]。これらの方法は、目的ポリペプチドのより大きなドメインまたは領域の
生物学的重要性を決定できるようにする。その種のハイブリッドは反応速度論、
結合を変化させ、基質特異性を制約または拡大し、あるいはポリペプチドの組織
および細胞局在を変化させるであろうし、また未知の構造のポリペプチドに適用
することができる。
【0113】 融合タンパク質は技術上周知の方法を用いて、融合タンパク質の各構成要素を
調製してからそれらを化学的に結合することにより調製することができる。ある
いは、融合タンパク質の両構成要素を正しい読み枠内にコードするポリヌクレオ
チドを周知の方法を用いて生成させ、本書に記載する方法により発現させること
ができる。たとえば、本発明のZchm1において生物学的機能を付与するドメイン
の一部または全部を他ファミリーメンバーからの機能的等価ドメインと交換して
もよい。
【0114】 かかるドメインは分泌シグナル配列、同ファミリー内の保存および有意ドメイ
ンまたは領域を含むが、それだけに限らない。かかる融合タンパク質は、構築さ
れる融合体次第で本発明のポリペプチドまたは他の既知ファミリータンパク質と
同じであるかまたは類似する生物学的な機能的特徴を備えるものと期待されよう
。さらに、かかる融合タンパク質は本書で開示するような他の諸性質を示すこと
もあろう。
【0115】 Zchm1ポリペプチドまたはその断片は化学合成で調製してもよい。Zchm1ポリペ
プチドは単量体でも多量体でもよいし、グリコシル化の有無やPEG付加の有無は
問わず、また開始メチオニンアミノ酸残基を含んでも含まなくてもよい。 ポリペプチドの化学合成 ポリペプチド、特に本発明のポリペプチドは純固相合成、部分固相法、フラグ
メント縮合または古典的な溶液合成によっても合成可能である。ポリペプチドは
好ましくは固相ペプチド合成により、たとえばMerrifield, J. Am. Chem. Soc.
85:2149(1963)に記載されている要領で調製する。
【0116】 検定法 本発明の分子の活性は種々の検定法を用いて測定することができる。Zchm1は
培養細胞を用いてin vitroで、または本発明の分子を適当な動物モデルに投与す
ることによりin vivoで、測定することができる。たとえば、Zchm1トランスフェ
クション(または同時トランスフェクション)後の発現宿主細胞はアルギン酸環
境に包理し受容動物に注入(移植)することができよう。トランスフェクション
した哺乳動物細胞または一次哺乳動物細胞を閉じ込める手段としては、アルギン
酸塩-ポリ-L-リシンによるマイクロカプセル封入、選択透過膜によるカプセル封
入および拡散透過室がある。
【0117】 これらのタイプの非免疫原「カプセル封入」またはマイクロ環境はマイクロ環
境への栄養移動を可能にし、また閉じ込められた細胞から分泌または放出される
タンパク質や他の巨大分子が環境障壁を透過して受容動物体内へと拡散すること
を可能にする。何よりも重要なのは、カプセルまたはマイクロ環境が受容動物の
免疫反応から、異物としての包理細胞を隠蔽、遮蔽することである。こうしたマ
イクロ環境は注入細胞の寿命を(裸細胞の場合の)数時間または数日間から(包
理細胞の場合の)数週間へと延ばすことができる。
【0118】 本発明のタンパク質を検定するもう1つのin vivo法ではウィルス送達系を使用
する。この目的に適したウィルスはアデノウィルス、ヘルペスウィルス、レトロ
ウィルス、ワクシニアウィルスおよびアデノ随伴ウィルス(AAV)などである。
アデノウィルスは2本鎖DNAウィルスであるが、異種核酸送達用の遺伝子導入ベク
ターとしての研究が現在のところ最も進んでいる[T.C. Becker et al., Meth.
Cell. Biol. 43: 161(1994); J.T. Douglas and D.T. Curiel, Science & Medic
ine 4: 44(1997)を参照]。
【0119】 アデノウィルス系には次のようにいくつかの利点がある:アデノウィルスは(i
)比較的大きなDNAインサートを受け入れることができる;(ii)高力価へと増殖さ
せることがでる;(iii)多様な種類の哺乳動物細胞に感染する;および(iv)多様
なプロモーターを含むきわめて多数の利用可能ベクターとの併用が可能。また、
アデノウィルスは血流中で安定的であるため、静脈注射で投与することができる
【0120】 アデノウィルスゲノムを部分的に欠失させれば、より大きな(7 kbまでの)異
種DNAインサートの受け入れが可能になる。これらのインサートは直接結合によ
り、または同時トランスフェクションしたプラスミドとの相同的組み換えにより
、ウィルスDNAに組み込むことができる。例示の系ではウィルスベクターから必
須のE1遺伝子を除去してあるため、このウィルスは宿主細胞(たとえばヒト293
細胞株)からE1遺伝子が提供されない限り複製しない。
【0121】 アデノウィルスは手付かずの動物に静脈内投与されると、主に肝臓を標的にす
る。アデノウィルス送達系がE1遺伝子を欠いていれば、ウィルスは宿主細胞内で
複製することができない。しかし、宿主の組織(肝臓など)はこの異種タンパク
質を発現し、プロセッシング(し、また分泌シグナル配列が存在する場合には、
分泌)することになろう。分泌タンパク質は高血管化肝臓内で循環系に入ること
になるため、感染動物への効果が測定可能になる。
【0122】 このアデノウィルス系はin vitroタンパク質産生にも使用できる。アデノウィ
ルスに感染した非ヒト293細胞を細胞分裂が急速には進行しないような条件下で
培養すると、この細胞はタンパク質を長時間にわたって産生することができる。
たとえば、BHK細胞を増殖させて細胞工場内に集め、次いで目的の分泌タンパク
質をコードするアデノウィルスベクターに接触させる。次に、感染細胞をあまり
細胞分裂を起こさずに生き延びられるようにする無血清条件下で、増殖させる。
【0123】 あるいは、アデノウィルスベクターに感染した293細胞を浮遊培養で比較的高
い細胞密度に増殖させ、多量のタンパク質を生産させることもできる(Garnier
et al., Cytotechnol. 15: 145, 1994を参照)。いずれのプロトコールでも、発
現、分泌された異種タンパク質は細胞培養上清から繰り返し単離することができ
る。感染293細胞産生プロトコールでは、非分泌タンパク質もまた効果的に得ら
れよう。
【0124】 アゴニストとアンタゴニスト Zchm1の組織分布観察に照らして見ると、アゴニスト(天然リガンド/基質/
補因子などを含む)とアンタゴニストはin vitro、in vivo両用途で大きな可能
性をもつ。たとえば、Zchm1およびアゴニストは合成培地の成分として有用であ
り、単独でまたは他のサイトカインおよびホルモンと組み合わせて使用し、細胞
培養に広く使用されている血清の代用とすることが可能である。
【0125】 アンタゴニスト アンタゴニストもまたリガンド−受容体相互作用部位の特性記述のための研究
試薬として、また前立腺がんの治療に有用である。Zchm1活性阻害物質(Zchm1ア
ンタゴニスト)としては抗Zchm1抗体および可溶性Zchm1受容体、さらには他のペ
プチド性および非ペプチド性の物質(リボザイムを含む)などがある。Zchm1ポ
リペプチドはその活性阻害物質(アンタゴニスト)の特定にも使用できる。Zchm
1の活性を阻害する化合物を特定するには試験化合物を本書で開示した生物学的
または生化学的検定法にかける。
【0126】 本書で開示した検定法とは別に、受容体結合またはZchm1依存細胞応答の刺激
/阻害を測定するための様々な検定法で検体を試験しZchm1活性の阻害を調べる
ことができる。たとえば、Zchm1応答性細胞株にZchm1刺激細胞経路に応答するリ
ポーター遺伝子カセットを導入することができる。この種のリポーター遺伝子カ
セットは技術上周知であり、一般に検定法で検出可能なタンパク質、たとえばル
シフェラーゼをコードする遺伝子に作動可能に結合されたZchm1-DNA応答配列か
ら成る。
【0127】 DNA応答配列にはcAMP応答配列(CRE)、ホルモン応答配列(HRE)、インスリン応
答配列(IRE)(Nasrin et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87:5273, 1990)お
よび血清応答配列(SRE)(Shaw et al., Cell 56: 563, 1989)があるが、それだ
けに限らない。cAMP応答配列についてはRoestler et al., J. Biol. Chem. 263(
19):9063, 1988およびHabener, Molec. Endocrinol. 4 (8):1087, 1990で概説さ
れている。ホルモン応答配列についてはBeato, Cell 56:335, 1989で概説されて
いる。検体となる候補化合物は溶液、混合物または抽出物を含めて試験し、ター
ゲット細胞上でのZchm1ポリペプチド活性阻害能を調べる。
【0128】 これはZchm1のリポーター遺伝子発現刺激の低下によって裏付けられる。この
種の検定法は細胞表面受容体へのZchm1の結合を直接阻む化合物、および受容体
−リガンド結合後の細胞経路内の諸過程を阻む化合物を検出することになろう。
あるいは、検出可能なラベル(たとえば125I、ビオチン、西洋ワサビペルオキシ
ダーゼ、FITCなど)で標識したZchm1を使用して化合物または他の検体を試験し
て、受容体へのZchm1の結合を直接阻むかどうかを調べることもできる。この種
の検定法では、標識Zchm1の受容体への結合を阻害する検体の力が阻害活性を示
唆することになり、それは二次検定法で確認できる。結合検定法で使用される受
容体は細胞受容体、または単離、固定化された受容体であろう。
【0129】 Zchm1ポリペプチドは、免疫グロブリン重鎖の定常領域、一般的には(2つの定
常領域ドメインをもち、可変領域を欠く)Fcフラグメントとの融合体として発現
させることもできる。こうした融合体をつくる方法は米国特許No. 5,155,027お
よびNo. 5,567,584で開示されている。こうした融合体は一般に多量体分子とし
て分泌されるが、そこではFc部分が互いにジスルフィド結合し、また2つの非Ig
ポリペプチドが互いに近接配列している。この種の融合体はリガンドのアフィニ
ティ精製に使用することができる。検定法への使用では、このキメラはFc領域を
介して担体に結合してELISA法に使用する。
【0130】 Zchm1リガンド結合ポリペプチドはまた、リガンドの精製にも使用できる。Zch
m1ポリペプチドは、使用条件下で安定的であるアガロース、架橋アガロース、ガ
ラス、セルロース樹脂、シリカベース樹脂、ポリスチレン、架橋ポリアクリルア
ミドのビーズなどのような固形担体に固定化する。ポリペプチドを固形担体に結
合する方法は周知技術であり、アミン化学、臭化シアン活性化、N-ヒドロキシス
クシニド活性化、エポキシド活性化、スルフヒドリル活性化、ヒドラジド活性化
などがある。得られる媒体は一般にカラム形に作り、リガンドを含む液体を1回
以上カラムに通してリガンドを受容体Zchm1ポリペプチドに結合させる。次いで
、塩濃度変化、カオトロピック剤(グアニジンHCl)またはpHを利用してリガン
ド−受容体結合を破壊する。
【0131】 リガンド結合受容体(または抗体、補体/抗補体ペアの一方)またはその結合
フラグメント、および市販のバイオセンサー装置(BIAcore, Pharmacia Biosens
or, Piscataway, NJ)を使用する検定法の採用が好都合であろう。かかる受容体
、抗体、補体/抗補体ペアの一方またはフラグメントは受容体チップの表面に固
定化する。この装置の使用についてはKarlsson, J. Immunol. Methods 145:229(
1991)およびCunningham and Wells, J. Mol. Biol. 234:554(1993)が開示してい
る。受容体、抗体、補体/抗補体ペアの一方またはフラグメントは、フローセル
内の金皮膜に結合しているデキストラン繊維に、アミンまたはスルフヒドリル化
学を用いて共有結合させる。
【0132】 検体はセルを通過させる。リガンド、エピトープまたは補体/抗補体ペアの他
方が検体中に存在すれば、それは固定化された受容体、抗体、またはペアの一方
にそれぞれ結合し、基材の屈折率を変化させるので、その変化を金皮膜の表面プ
ラスモン共鳴の変化として検出する。この方法では、オン・レートおよびオフ・
レートが求められるので、それを基に結合親和力を計算し、または結合の化学量
論比を評価することができる。リガンド結合受容体ポリペプチドはまた、技術上
周知の他の検定法にも使用できる。たとえば、結合親和力を求めるためのスキャ
ッチャード解析法(Scatchard, Ann. NY Acad. Sci. 51:660, 1949を参照)や熱
量測定法(Cunningham et al., Science 253:545, 1991; Cunningham et al., S
cience 245:821, 1991)などである。
【0133】 Zchm1ポリペプチドはまた、Zchm1エピトープ、ペプチドまたはポリペプチドに
結合する抗体の産生にも使用できる。Zchm1ポリペプチドまたはその断片は、動
物に接種して免疫反応を誘発するための抗原(免疫原)となる。適当な抗原はSE
Q ID NOs:2-24によってコードされるZchm1ポリペプチドであろう。この免疫反応
に由来する抗体は本書で説明する要領で単離、精製することができる。
【0134】 ポリクローナルおよびモノクローナル抗体の産生、単離法は技術上周知である
。たとえば、Current Protocols in Immunology, Cooligan et al., (eds.), Na
tional Institutes of Health, John Wiley and Sons, Inc., 1995; Sambrook e
t al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Second Edition, Cold Spri
ng Harbor, NY, 1989; Hurrell, J.G.R. ed., Monoclonal Hybridoma Antibodie
s: Techniques and Applications, CRC Press, Inc., Boca Raton, FL, 1982を
参照。
【0135】 当業者には自明であろうが、ポリクローナル抗体は種々の温血動物たとえばウ
マ、ウシ、ヤギ、ヒツジ、イヌ、ニワトリ、ウサギ、マウス、ラットなどにZchm
1ポリペプチドまたはその断片を接種することにより産生させることができる。Z
chm1ポリペプチドの免疫原性はアジュバント、たとえばミョウバン(水酸化アル
ミニウム)またはフロイント完全/不完全アジュバントなどの使用により高める
ことができる。
【0136】 免疫法に有効なポリペプチドには融合ポリペプチド、たとえばZchm1またはそ
の一部と免疫グロブリンポリペプチドまたはマルトース結合タンパク質との融合
体なども含まれる。このポリペプチド免疫原は完全長分子でもその一部分でもよ
い。ポリペプチド部分が「ハプテン様」である場合には、かかる部分を高分子キ
ャリヤー[キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)、ウシ血清アルブミン(BSA)
または破傷風トキソイドなど]と連結または結合すると免疫法には好都合である
【0137】 本書で使用する用語「抗体」はポリクローナル抗体、アフィニティ精製ポリク
ローナル抗体、モノクローナル抗体、および抗原結合フラグメント、たとえばF(
ab’)2およびFabタンパク質分解フラグメントなどを含む。遺伝子組み換えした
手付かずの抗体またはフラグメント、たとえばキメラ抗体、Fvフラグメント、1
本鎖抗体などや、合成抗原結合ペプチドおよびポリペプチドも含まれる。
【0138】 非ヒト抗体は、非ヒトCDRsをヒト枠組みおよび定常領域に結合することにより
、または非ヒト可変ドメイン全体を組み込む(随意に、露出残基の置換によりヒ
ト様表面で非ヒト可変ドメインを「覆い」、「化粧張りした」抗体とする)こと
により、ヒト化することができる。場合によっては、ヒト化した抗体はヒト可変
領域枠組みドメイン内に非ヒト残基を保持し、固有の結合特性を強めることもあ
る。抗体は、ヒト化により生物学的半減期が長くなり、また投与時にヒトに対す
る免疫反応の弊害が緩和されよう。
【0139】 ここで述べる有用抗体の産生または選別のための他の方法としてはZchm1タン
パク質またはペプチドに対するリンパ球のin vitro接触、およびファージまたは
類似ベクターに作り込んだ抗体ディスプレーライブラリーの(たとえば、固定化
または標識Zchm1タンパク質またはペプチドの使用による)選別などがある。Zch
m1ポリペプチド結合ドメインをもつ可能性のあるポリペプチドをコードする遺伝
子はファージ上に並べたランダムペプチドライブラリー(ファージディスプレー
)またはE. coliなどのようなバクテリア上に並べたランダムペプチドライブラ
リーのスクリーニングによって得ることができる。
【0140】 この種のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列は多様な方法により、た
とえばランダム突然変異誘発法およびランダムポリヌクレオチド合成法などによ
り、得ることができる。これらのランダムペプチドディスプレーライブラリーは
、既知ターゲットと相互作用するペプチドのスクリーニングに使用することがで
きる。この既知ターゲットは、リガンドまたは受容体などのようなタンパク質す
なわちポリペプチド、生体または合成高分子、または有機または無機物質であり
うる。
【0141】 かかるランダムペプチドディスプレーライブラリーを作成しスクリーニングす
る手法は技術上周知であり(Lander et al., US Patent No. 5,223,409; Lander
et al., US Patent No. 4,946,778; Lander et al., US Patent No. 5,403,484
; Lander et al., US Patent No. 5,571,698)、かかるライブラリーをスクリー
ニングするためのランダムペプチドディスプレーライブラリーおよびキットはCl
ontech(Palo Alto, CA)、Invitrogen Inc.(San Diego, CA)、New England Biola
bs, Inc. (Beverly, MA)、Pharmacia LKB Biotechnology Inc.(Piscataway, NJ)
などから市販されている。
【0142】 ランダムペプチドディスプレーライブラリーを本書で開示したZchm1配列を使
用してスクリーニングすればZchm1に結合するタンパク質を特定することができ
る。Zchm1ポリペプチドと相互作用するこれら「結合性タンパク質」は細胞の標
識付けやアフィニティ精製による相同ポリペプチドの単離に使用することができ
るし、また薬剤、毒素、放射性核種などに直接または間接に結合することができ
る。
【0143】 これらの結合性タンパク質は、発現ライブラリーのスクリーニングや活性の中
和などを目的とした分析法にも使用できる。さらに、ポリペプチド循環濃度の測
定、潜在的な病理または病気の指標としての可溶性ポリペプチドの検出または定
量を目的とした診断的検定法にも使用できる。これらの結合性タンパク質はまた
in vitroおよびin vivoでZchm1「アンタゴニスト」として作用することで、Zchm
1の結合、Zchm1仲介細胞間相互作用およびシグナル伝達を遮断することもできる
【0144】 抗体は(1)閾値の結合親和力を示す、および/または(2)関連ポリペプチド分子
とあまり交差反応しないという条件を満たす場合に、特異的に結合すると考えら
れる。第1に、本書では抗体がZchm1ポリペプチド、ペプチドまたはエピトープに
対し、106M-1以上、好ましくは107M-1以上、もっと好ましくは108M-1以上、最も
好ましくは109M-1以上の結合親和力(Ka)で結合する場合には、抗体は特異的に
結合するとみなす。当業者は抗体の結合親和力を、たとえばスキャッチャード解
析法により容易に求めることができる。
【0145】 第2に、抗体が関連ポリペプチド分子とあまり交差反応しない場合、たとえば
標準ウェスタンプロット法により既知の関連ポリペプチドではなくZchm1ポリペ
プチドを検出する場合にも(Ausubel et al., ibid.)、抗体は特異的に結合す
るとみなす。既知の関連ポリペプチドの例はオルトログ、あるタンパク質ファミ
リー(たとえばIL-16)のメンバーである同じ種に由来するタンパク質、Zchm1ポ
リペプチド、および非ヒトZchm1などである。さらに、抗体を既知の関連ポリペ
プチドに「照らしてスクリーニング」し、Zchm1ポリペプチドに特異的に結合す
る集団を単離することもできる。たとえば、Zchm1に対して産生された抗体を、
不溶性マトリックスに付着した関連ポリペプチドに吸着させる。
【0146】 その場合、Zchm1に特異的な抗体は適当な緩衝条件下でマトリックスを貫流し
よう。こうしたスクリーニングによって、密接に関連するポリペプチドに対して
非交差反応性のポリクローナルおよびモノクローナル抗体の単離が可能になる[
Antibodies: A Laboratory Manual, Harlow and Lane (eds.), (Cold Spring Ha
rbor Laboratory Press, 1988); Current Protocols in Immunology, Cooligan
et al., (eds.), National Institutes of Health (John Wiley and Sons, Inc.
, 1995)]。
【0147】 特異的抗体のスクリーニングと単離は技術上周知である。Fundamental Immuno
logy, Paul (eds.)(Raven Press, 1993); Getzoff et al., Adv. in Immunol. 4
3:1-98(1988); Monoclonal Antibodies: Principles and Practice, Goding, N.
W. (eds.), (Academic Press Ltd., 1996); Benjamin et al., Ann. Rev. Immun
ol. 2: 67-101(1984)を参照。
【0148】 Zchm1タンパク質またはポリペプチドに特異的に結合する抗体の検出には、技
術上周知の様々な検定法を利用することができる。検定法の例はAntibodies: A
Laboratory Manual, Harlow and Lane (eds.),(Cold Spring Harbor Laboratory
Press, 1988)に詳しく記載されている。その代表例は並流免疫電気泳動法、放
射免疫測定法、放射免疫沈降法、酵素結合免疫吸着法(ELISA)、ドットブロッ
トまたはウェスタンブロット法、阻害または競合法、サンドイッチ法などである
。さらに、野生型対変異型Zchm1タンパク質またはポリペプチドへの結合に応じ
て抗体をスクリーニングすることもできる。
【0149】 Zchm1に対する抗体は、Zchm1を発現する細胞の標識付け、アフィニティ精製に
よるZchm1の単離、Zchm1ポリペプチドの循環濃度を測定するための診断的検定、
潜在的病理または病気の指標としての可溶性Zchm1の検出または定量、FACSを採
用する分析方法、発現ライブラリーのスクリーニング、抗イディオタイプ抗体の
産生などに、また中和抗体として、またはZchm1のin vitroおよびin vivo活性を
遮断するためのアンタゴニストとして、使用できよう。
【0150】 適当な直接標識またはラベルは放射性核種、酵素、基質、補因子、阻害剤、蛍
光マーカー、化学発光マーカー、磁粉などであるし、間接標識またはラベルでは
ビオチン−アビジンまたは他の補体/抗補体ペアが媒介として使用されよう。こ
こでいう抗体はまた、薬剤、毒素、放射性核種などに直接または間接に結合し、
それらの結合体をin vivo診断または治療用途に使用することもできる。さらに
、Zchm1またはその断片に対する抗体をin vitroで使用して種々の検定法、たと
えばウェスタンブロット法や技術上周知の他の方法で変性Zchm1またはその断片
を検出することもできる。
【0151】 生体活性複合体 ここでいう抗体、結合性タンパク質またはポリペプチドは薬剤、毒素、放射性
核種などに直接または間接に結合して複合体となり、それらの複合体はin vivo
診断または治療用途に使用することができる。たとえば、本発明のポリペプチド
または抗体は、対応する抗補体分子(たとえば、それぞれ受容体または抗原など
)を発現する組織または器官の特定や治療に使用できる。特に、Zchm1ポリペプ
チドまたは抗Zchm1抗体、あるいはそれらの生体活性断片または部分は検出可能
または細胞傷害性分子に結合させて、抗補体分子を発現する細胞、組織または器
官をもつ哺乳動物に送達することができる。
【0152】 適当な検出可能分子はポリペプチドまたは抗体に直接または間接に結合させる
ことができ、放射性核種、酵素、基質、補因子、阻害剤、蛍光マーカー、化学発
光マーカー、磁粉などを含もう。適当な細胞傷害性分子はポリペプチドまたは抗
体に直接または間接に結合させることができ、細菌または植物毒素(たとえば、
ジフテリア毒素、シュードモナス(Pseudomonas)外毒素、リシン、アブリンな
ど)、さらには治療用放射性核種、たとえばヨウ素131、レニウム188、イットリ
ウム90などを含もう(これらはたとえば、ポリペプチドまたは抗体に直接付着さ
せるか、またはキレート構造部分を介して間接的に付着させる)。
【0153】 ポリペプチドまたは抗体はまた細胞傷害性薬剤、たとえばアドリアマイシンに
結合させることもできる。検出可能または細胞傷害性分子を間接的に結合させる
場合、検出可能または細胞傷害性分子は多数の補体/抗補体ペアの一方に結合さ
せることができるが、ペアの他方はポリペプチドまた抗体部分に結合させる。こ
れらの目的では、ビオチン/ストレプタビジンが補体/抗補体ペアの一例となる
【0154】 別の態様では、ポリペプチド−毒素融合タンパク質または抗体−毒素融合タン
パク質を(たとえば、がん細胞または組織の治療を目的とした)ターゲット細胞
または組織の阻害または除去に使用することができる。あるいは、ポリペプチド
が複数の機能ドメイン(すなわち活性化ドメインまたはリガンド結合ドメイン、
それに加えてターゲッティングドメイン)をもつ場合、ターゲティングドメイン
だけを含む融合タンパク質が検出可能分子、細胞傷害性分子または補体分子を目
的の細胞または組織に送達するのに適するだろう。
【0155】 この単一ドメイン融合タンパク質が補体分子を含む場合には、抗補体分子を検
出可能または細胞傷害性分子に結合することができる。かかるドメイン−補体分
子融合タンパク質はこうして、包括的な抗補体−検出可能/細胞傷害性分子複合
体の細胞/組織特異的送達のための包括的なターゲティング手段となる。
【0156】 別の態様では、Zchm1ポリペプチドまたは抗Zchm1抗体がたとえば高増殖性の血
液または骨髄細胞をターゲットにする場合にZchm1−サイトカイン融合タンパク
質または抗体−サイトカイン融合タンパク質を使用して、ターゲット組織(たと
えば血液および骨髄のがん)のin vivo傷害機能を強化することができる。一般
にHornick et al., Blood 89:4437, 1997を参照。そこには、所望作用部位への
サイトカインのターゲッティングを(したがってサイトカイン局部濃度の上昇を
)可能にする融合タンパク質について記載されている。
【0157】 適当なZchm1ポリペプチドまたは抗Zchm1抗体は望ましくない細胞または組織(
すなわち、腫瘍または白血病)をターゲットにし、また融合体中のサイトカイン
は効果細胞によるターゲット細胞の溶解を促進する。この目的のための適当なサ
イトカインはたとえばインターロイキン2および顆粒球マクロファージコロニー
刺激因子(GM- CSF)などである。
【0158】 さらに別の実施態様では、Zchm1ポリペプチドまたは抗Zchm1抗体が血管細胞ま
たは組織をターゲットにする場合に、かかるポリペプチドまたは抗体に放射性核
種を、特にβ放出体を結合することにより、再狭窄を抑えることができる。その
ような治療法は放射線療法を実施する臨床医にとっては危険が少なくなる。たと
えば、イリジウム192含浸リボンをステント処置した患者血管内に、必要な線量
が照射されるまで留置すると、プラセボリボンを留置した対照群と比較して、血
管内の組織成長の鈍化と管腔径の拡大が見られた。
【0159】 さらに、治療群では血行再開後の血管再生およびステント血栓症が著しく減っ
た。本書で述べたような放射性核種を結合した生体活性結合体のターゲティング
でも類似の結果が予測される。 本書で述べた生体活性ポリペプチドまたは抗体結合体は静脈内、動脈内、また
は腺管内的に送達することができるし、また所期の作用部位に局部的に導入して
もよい。
【0160】 ポリヌクレオチド/ポリペプチドの用途 本発明のポリペプチドは細胞の、特に間葉細胞、筋原細胞、軟骨形成細胞およ
び内皮細胞の増殖または分化調節因子として使用できる。Zchm1製剤は骨または
軟骨の修復が必要な部位に入れることができる。Zchm1は修復の必要な筋肉また
は内皮細胞に投与することもできる。このポリペプチドの代わりに下記の要領で
Zhm1遺伝子を投与することもできる。
【0161】 遺伝子治療 Zchm1ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、Zchm1活性の増強または
阻害が望まれる遺伝子治療用途に有用である。哺乳動物がZchm1遺伝子を突然変
異させているかまたは欠失している場合には、Zchm1遺伝子をその哺乳動物の細
胞に導入することができる。一実施態様では、Zchm1ポリペプチドをコードする
遺伝子ウィルスベクターにin vivo導入する。その種のベクターとしては弱毒ま
たは欠損ウィルスがあり、これには単純ヘルペスウィルス(HSV)、パピロマウィ
ルス、Epstein Barrウィルス(EBV)、アデノウィルス、アデノ随伴ウィルス(AAV)
などが含まれるが、それだけに限らない。
【0162】 好ましいのはウィルス遺伝子を完全にまたはほぼ完全に欠く欠損ウィルスであ
る。欠損ウィルスは細胞に導入しても感染力をもたない。欠損ウィルスを使用す
れば特定の局在部位内の細胞に他細胞への感染の心配もなく投与することができ
る。ベクターの具体例には欠損単純ヘルペスウィルス1(HSV1)ベクター[Kaplitt
et al., Molec. Cell. Neurosci. 2:320(1991)]、弱毒アデノウィルスベクタ
ー[Stratford-Perricaudet et al., J. Clin. Invest. 90:626 (1992)]、およ
び欠損アデノ随伴ウィルス[Samulski et al., J. Virol. 61:3096(1987); Samu
lski et al., J. Virol. 63:3822(1989)]などがあるが、それだけに限らない。
【0163】 別の実施態様ではZchm1遺伝子をレトロウィルスベクターに導入することがで
きる。その要領は、たとえばAnderson et al., 米国特許No. 5,399,346; Mann e
t al., Cell 33:153, 1983; Temin et al., 米国特許No. 4,650,764; Temin et
al., 米国特許No. 4,980,289; Markowitz et al., J. Virol. 62:1120(1988); T
emin et al., 米国特許No. 5,124,263; Dougherty et al.による1995年3月16日
の国際特許公開No. WO 95/07358;およびKuo et al., Blood 82:845(1993)などに
記載されている。あるいは、リポソームを利用したリポフェクションによりこの
ベクターをin vivo導入することも可能である。
【0164】 マーカーをコードする遺伝子のin vivoトランスフェクションに使用するリポ
ソームの調製には合成カチオン性脂質の使用が可能である[Felgner et al., Pr
o. Natl. Acad. Sci. USA 84:7413(1987); Mackey et al., Proc. Natl. Acad.
Sci. USA 85: 8027(1988)]。リポフェクションによって特定の器官に外来遺伝
子をin vivo導入する方法にはある種の実際的な利点がある。その1つは特定細
胞へのリポソームの分子ターゲッティング、特に特定細胞へのトランスフェクシ
ョンの絞り込みである。
【0165】 たとえば、特定細胞種へのトランスフェクションの絞り込みは膵臓、肝臓、腎
臓および脳などのような細胞異質性組織では特に有利であろう。脂質はターゲッ
ティング目的のために他分子と化学結合させてもよい。ターゲットとなるペプチ
ド(ホルモンまたは神経伝達物質など)、抗体などのようなタンパク質、または
非ペプチド分子は脂質と化学結合させることができる。
【0166】 生体からターゲット細胞を取り出し、ベクターを裸のDNAプラスミドとして導
入し、次いで形質転換させた細胞を生体に戻すことが可能である。遺伝子治療用
の裸のDNAベクターは技術上周知の方法、たとえばトランスフェクション、エレ
クトロポレーション、マイクロインジェクション、形質導入、細胞融合、DEAEデ
キストラン法、リン酸カルシウム法、遺伝子ガンの使用またはDNAベクター輸送
体の使用などにより所望の宿主細胞に導入することができる。たとえば、Wu et
al., J. Biol. Chem. 267:963(1992); Wu et al., J. Biol. Chem. 263:14621-4
, 1988などを参照。
【0167】 Zchm1遺伝子の転写を阻害する(たとえば細胞のin vivo増殖を阻害する)には
アンチセンス法を使用することができる。Zchm1をコードするポリヌクレオチド
(配列番号:1のポリヌクレオチドなど)の断片に対して相補的であるポリヌク
レオチドを、Zchm1をコードするmRNAに結合しmRNAの翻訳を阻害するように設計
する。こうしてできたアンチセンスポリヌクレオチドを使用してZchm1ポリペプ
チドをコードする遺伝子の細胞培養での、または生体内での発現を阻害する。
【0168】 本発明はまた、診断分野での用途が見込まれる試薬を提供する。たとえば、Zc
hm1遺伝子、Zchm1 DNAまたはRNAもしくはその部分配列を含むプローブを使用し
て、Zchm1遺伝子が染色体遺伝子座11p15.4上に存在するかどうか、または突然変
異が起きているかどうかを調べることができる。このZchm1遺伝子座における検
出可能な遺伝子異常は異数性、遺伝子コピー数変異、挿入、欠失、制限酵素認識
部位変異、転位などであるが、それだけに限らない。こうした異常は本発明のポ
リヌクレオチドを使用して、分子遺伝学的手法、たとえば制限酵素断片長多型(
RELP)解析法、PCR法を使用する短縦列反復(STR)解析法、および技術上周知の
その他の遺伝子連鎖解析法により検出することができる(Sambrook et al.前掲;
Ausubel et al.前掲; Marian, Chest 108:255, 1995)。
【0169】 Zchm1遺伝子を発現するよう遺伝子組み換えしたマウス(いわゆるトランスジ
ェニックマウス)とZchm1遺伝子機能が完全に欠如したマウス(いわゆるノック
アウトマウス[Snouwaert et al., Science 257:1083(1992)])もまた生成され
よう[Lowell et al., Nature 366:740-42(1993)]。これらのマウスはZchm1遺
伝子およびそれによってコードされるタンパク質のin vivo系での研究に使用可
能である。
【0170】 染色体上の定位 放射線ハイブリッドマッピングは哺乳動物染色体の高分解能隣接地図を作成す
るために開発された体細胞遺伝学的手法である[Cox et al., Science 250:245(
1990)]。遺伝子配列に関する部分的な、または完全な知見がえられれば、放射
線ハイブリッドマッピングパネルとの併用に適したPCRプライマーが設計できる
。放射線ハイブリッドマッピングパネルは、Stanford G3 RH PanelやGeneBridge
4 RH Panel(Research Genetics, Inc., Huntsville, AL)などのような全ヒト
・ゲノムをカバーするものが市販されている。
【0171】 これらのパネルはPCR法をベースにした染色体上の迅速な定位および目的領域
内の遺伝子、配列標識部位(STS)および他の非多型および多型遺伝子マーカー
の順序付けを可能にする。これには、目的の新発見遺伝子とすでにマップ上に載
っているマーカーとの間の正比例的な物理的距離の確定などが含まれる。遺伝子
位置に関する正確な知見は数多くの目的に役立ちうる。
【0172】 たとえば、(1)ある配列が既存コンティグの一部をなすかどうかを判定し、ま
たYACs、BACsまたはcDNAクローンなどのような様々な形態の追加的な周辺遺伝子
配列を獲得すること、(2)同一染色体領域との連鎖を示す遺伝病の有力候補遺伝
子を提供すること、および(3)特定遺伝子がどのような役割を果たすかを見極め
るのに役立つマウスなどのようなモデル生物の相互参照、などである。Zchm1遺
伝子は染色体領域11p15.4にマップされた。
【0173】 配列標識部位(STS)は染色体上の定位に独立に使用することもできる。STSは
ヒト・ゲノムに固有のDNA配列であり、特定の染色体または染色体領域の基準点
として使える。STSは、他の諸々のゲノム配列が存在する中でこの部位を特異的
に検出するためのPCRに使用される一対のオリゴヌクレオチドプライマーによっ
て規定される。STSはDNA配列だけに基づくため、GenBankのDatabase of Sequenc
e Tagged Sites (dbSTS)(National Center for Biological Information, Nati
onal Institutes of Health, Bethesda, MD. http://www.ncbi.nlm.nih.gov)な
どのような電子データベース内で完全に記載することができるし、目的の遺伝子
配列で検索することによりこの短い目印としてのゲノムSTS配列内に収められた
マッピングデータを求めることができる。
【0174】 本発明のタンパク質は製薬に使用する場合には、通常の方法による非経口投与
、とくに静脈または皮下投与用に調製する。静脈投与は静脈内ボーラスによるか
、または一般に1ないし数時間にわたる輸液によろう。一般に、製剤はZchm1タン
パク質に製薬上許容しうる賦形剤、たとえば生理食塩水、緩衝食塩水、5%デキス
トロース水溶液などを混ぜたものとなろう。製剤にはさらに、1種以上の佐剤、
保存料、可溶化剤、緩衝剤、ウィルス表面でのタンパク質喪失を防ぐためのアル
ブミンなども含まれよう。
【0175】 製剤方法は周知技術であり、たとえばRemington: The Science and Practice
of Pharmacy, Gennaro, ed.(Mack Publishing Co., Easton, PA, 19th ed., 19
95)に記載されている。用量は一般に1日当たり0.1〜100 μg/kg-患者体重、好
ましくは0.5〜20 mg/kgであろうが、厳密な用量は臨床医が一般基準に沿って、
病状の性質や重さ、患者の特性などを勘案しながら決定することになろう。用量
の決定は普通の技術的熟練の範囲内である。本発明のタンパク質は1週間未満、
しばしば1〜3日間の急性治療、あるいは数か月または数年にわたる慢性治療を目
的に投与することができよう。特に、これらの製剤は骨または軟骨の修復に使用
することができる。
【0176】 有用な研究用ツール 本発明により提供されるポリヌクレオチドは種々の研究目的に使用することが
できる。これらのポリヌクレオチドは、分析、特性記述または治療を目的とした
組み換えタンパク質を発現させるために;対応するタンパク質を優先的に(構成
的に、または組織分化または発達または疾病状態の特定段階で)発現させる場と
なる組織のマーカーとして;サザン法ゲル上の分子量マーカーとして;(標識し
た場合に)関連遺伝子位置をマップするための染色体マーカーとして;
【0177】 潜在的な遺伝的障害の特定を目的とした患者の内在性DNA配列と比較するため
に;ハイブリダイゼーションによって新規の関連DAN配列を発見するためのプロ
ーブとして;遺伝子指紋法用のPCRプライマーを設計するための情報源として;
他の新規ポリヌクレオチドを発見する過程で既知配列を「除外」するためのプロ
ーブとして;DNA免疫法で抗タンパク質抗体を産生させるために;また抗DNA抗体
を生じさせるための、または他の免疫反応を引き出すための抗原として、使用す
ることができる。
【0178】 ポリヌクレオチドがあるタンパク質をコードし、そのタンパク質が他タンパク
質と(たとえば、受容体−リガンド相互作用で)結合するかまたは潜在的に結合
する場合には、そのポリヌクレオチドは[Gyuris et al., Cell 75:791-803(199
3)などに記載されているような]相互作用トラップ検定に使用して、結合相手と
なる他タンパク質をコードするポリヌクレオチドを特定するたことが、またはそ
の結合相互作用の阻害剤を特定することができる。
【0179】 本発明によって提供されるタンパク質も同様に、抗体を生じさせるために、ま
たは他の免疫反応を誘発するために;生体液中のタンパク質(またはその受容体
)の濃度を定量するための(標識試薬を含む)試薬として;標識抗体を使用する
組織マーカーとして;また相関受容体またはリガンドを単離するために、使用す
ることができる。このタンパク質は、他タンパク質に(受容体−リガンド相互作
用などで)結合する、または潜在的に結合する場合、結合相手の他タンパク質の
特定に、または結合相互作用の阻害剤の特定に使用することができる。これらの
結合相互作用に絡むタンパク質はまた、結合作用のペプチドまたは低分子阻害剤
またはアゴニストのスクリーニングにも使用可能である。 これらの有用な「研究用ツール」はいずれも、市販用の「研究用品」としての
試薬またはキットへと発展させることができる。
【0180】 サイトカインと細胞増殖/分化活性 本発明のタンパク質は、サイトカイン−細胞増殖(誘発または阻害)または細
胞分化(誘発または阻害)活性を示すか、あるいはある種の細胞集団内における
他サイトカインの産生を誘発するであろう。今日までに発見された多数のタンパ
ク質因子は、諸々の既知サイトカインを含めて、1種類以上の因子に依存する細
胞増殖検定法で活性を示してきたので、それらの検定法はサイトカイン活性を確
認する便利な手段となっている。
【0181】 本発明のタンパク質の活性は32D、DA2、DA1G、T10、B9、B9/11、BaF3、MC9/G
、M+ (preB M+)、2E8、RB5、DA1、123、T1165、HT2、CTLL2、TF-1、Mo7eおよびC
MXを含むがそれだけに限らない細胞株を対象とする通常の多数の因子依存細胞増
殖検定法のいずれによっても裏付けられる。
【0182】 本発明のタンパク質の活性は種々の手段により、とりわけT細胞または胸腺細
胞増殖検定法、サイトカイン産生または脾臓細胞・リンパ節細胞または胸腺細胞
増殖に関する検定法、造血およびリンパ球生成細胞の増殖・分化検定法、および
直接的なT細胞作用だけでなく抗原提示細胞(APC)/T細胞相互作用などに影響
を及ぼすタンパク質をも増殖とサイトカイン産生を測定することで特定するよう
なT細胞クローンの対抗原反応に関する検定法により、測定されよう。
【0183】 免疫検定法としては他に、T細胞依存免疫グロブリン反応およびアイソタイプ
スイッチの検定法(T細胞依存抗体反応を調節しTh1/Th2プロフィールに影響を及
ぼすタンパク質を特定する);混合リンパ球培養反応(MLR)検定法(Th1およびCT
L応答を主に生成するタンパク質を特定する);樹状細胞依存検定法(ナイーブT
細胞を活性化する樹状細胞によって発現されるタンパク質などを特定する);リ
ンパ球存続/アポトーシス検定法(スーパー抗原誘発後にアポトーシスを防ぐタ
ンパク質とリンパ球ホメオスタシスを調節するタンパク質とを特定する);B細
胞機能検定法および初期ステップのT細胞関与・発達に影響をタンパク質の検定
法などがある。
【0184】 以上述べた検定法は以下の参考文献に記載されている: Current Protocols in Immunology(John Wiley and Sons, Toronto, 1997); Takai et al., J. Immunol. 137:3494-3500(1986); Bertagnolli et al., J. Immunol. 145:1706-1712(1990); Bertagnolli et al., Cell. Immunol. 133:327-341(1991); Bertagnolli et al., J. Immunol. 149:3778-3783(1992); Bowman et al., J. Immunol. 152 :1756-1761(1994); de Vries et al., J. Exp. Med. 173:1205-1211 (1991); Moreau et al., Nature 336:690-692(1988); Greenberger et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 80:2931-2938(1983); Weinberger et al., Proc. Natl. Acad. Sci. 77:6091-6095(1980); Weinberger et al., Eur. J. Immunol. 11:405-411(1981); Takai et al., J. Immunol. 140:508-512(1988); Maliszewski, J. Immunol. 144:3028-3033(1990); Herrmann et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 78:2488-2492(1981); Herrmann et al., J. Immunol. 128: 1968-1974(1982); Handa et al., J. Immunol. 135:1564-1572 (1985);
【0185】 Bowmanet et al., J. Virology 61:1992-1998; Brown et al., J. Immunol. 153:3079-3092(1994); Maliszewski, J. Immunol. 144 :3028-3033(1990); Guery et al., J. Immunol. 134:536-544(1995); Inaba et al., J. Exp. Med. 173:549-559(1991); Macatonia et al., J. Immunol. 154:5071-5079(1995); Porgador et al., J. Exp. Med. 182:255-260(1995); Nair et al., J. Virol. 67:4062-4069(1993); Huang et al., Science 264:961-965(1994); Macatonia et al., J. Exp. Med. 169:1255-1264(1989);
【0186】 Bhardwaj et al., J. Clin. Invest. 94:797-807(1994); Inaba et al., J. Exp. Med. 172:631-640(1990); Darzynkiewicz et al., Cytometry 13: 795-808(1992); Gorczyca et al., Leukemia 7:659-670(1993); Gorczyca et al., Can. Res. 53: 1945-1951(1993); Itoh et al., Cell 66:233-243(1991); Zacharchuk, J. Immunol. 145:4037-4045(1990); Zamai et al., Cytometry 14:891-897(1993); Gorczyca et al., Inter. J. Oncol. 1: 639-648(1992); Antica et al., Blood 84:111-117(1994); Fine et al., Cell. Immunol. 155:111-122(1994); Galy et al., Blood 85: 2770-2778(1995);および Toki et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88:7548-7551(1991).
【0187】 免疫刺激/抑制活性 本発明のタンパク質はまた免疫刺激または免疫抑制活性を示すであろうが、そ
れはその検定法が本書に記載されているものだけに限らない。本発明のタンパク
質は種々の免疫不全または疾患[重度複合免疫不全症(SCID)を含む]の治療、た
とえばTまたはBリンパ球の成長および増殖調節(促進または抑制)、ナチュラル
キラー(NK)細胞や他細胞集団の細胞溶解活性の調節などに有効であろう。これら
の免疫不全は遺伝性であるか、またはウィルス、細菌または真菌感染に起因する
か、あるいは自己免疫疾患に由来しよう。本発明のタンパク質はこうした疾患の
治療または免疫系の改善に使用できる可能性がある。
【0188】 血液新生 本発明のタンパク質は血液新生の促進、たとえば赤血球細胞、巨核球、および
骨髄性細胞(単球/マクロファージなど)の増殖促進に有効であろう。幹細胞の
増殖または分化に関連する検定法には以下に記載のものなどがある:
【0189】 Freshney, M.G., in Culture of Hematopoietic Cells, Frshney, R.I. et al
., (Eds.)(Wiley-Liss, Inc., New York, N.Y., 1994); Johansson et al., Cell. Bio. 15:141-151(1995); Keller et al., Mol. & Cell. Bio. 13:473-486(1993); McClanahan et al., Blood 81:2903-2915(1993); Hirayama et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89:5907-5911(1992);および Neben et al., Exp. Hematol. 22:353-359(1994).
【0190】 細胞の再生または修復 本発明のタンパク質は骨、靭帯、腱、ニューロン、皮膚などを含む任意の多様
な組織の修復または再生に使用できよう。組織再生の検定法には、たとえば国際
特許公開No. WO 95/16035(骨、軟骨、腱); WO 95/ 05846(ニューロン); WO 91/0
7491(皮膚、内皮)に記載のものがある。
【0191】 アクチビン/インヒビン活性 本発明のタンパク質はまた、アクチビンまたはインヒビン関連活性を示すであ
ろう。インヒビンは糖タンパク質であり、血しょう中を循環しゴナドトロピン放
出ホルモン(GnRH)の刺激による下垂体の卵胞刺激ホルモン(FSH)分泌を阻害す
る。アクチビンは反対の作用をもち、FSH分泌を刺激する。したがって、本発明
のタンパク質はメスの哺乳動物の排卵能を低減させまたオスの哺乳動物の精子形
成を低減させるインヒビンの働きに基づく避妊薬などとして有効であろう。アク
チビン/インヒビン活性の検定法は以下の文献に記載されている: Vale et al., Endocrinology 91:562-572(1972); Ling et al., Nature 321:779-782(1986); Vale et al., Nature 318: 659-663(1985); Forage et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 83:3091 -3095(1986). 以下、非限定的な実施例により本発明についてさらに具体的に説明する。
【0192】 実施例1Zchm1の発見と発現プラスミドの構築 Zchm1 cDNAはS字結腸腸管膜腫瘍、mets混合ミューラー腫瘍cDNAライブラリー
で発見された。このライブラリーは61歳女性の複式子宮完全摘出術および左右卵
管卵巣摘出、それに伴う局所リンパ節切除に際して摘出されたS字結腸腸管膜腫
瘍組織から単離した1 μgのポリA RNAを使用して構築された。病理学的には、グ
レード4の転移性悪性混合ミューラー腫瘍がS字結腸腸管膜の2部位に存在してい
た。この腫瘍は子宮の異種組織型グレード4悪性混合ミューラー腫瘍に随伴して
おり、子宮筋層全体に固い浸潤塊を形成し奬膜表面に及んでいた。この腫瘍の異
種要素は横紋筋筋原細胞と未熟軟骨から成った。
【0193】 この腫瘍はまた子宮下部に及び、頚管壁内へと広がっていた。子宮筋層と頚管
壁には広範囲のリンパ管内および血管内蔓延が認められた。右総腸骨リンパ節(
7個中の)1個と右外腸骨リンパ節(7個中の)1個にグレード4の転移性悪性混合
ミューラー腫瘍が認められ、転移は腺がんが主体であった。陽性のエストロゲン
およびプロゲステロン受容体もあった。 cDNA合成はNotI-オリゴ(dT)プライマーを使用して開始した。2本鎖cDNAを平
滑末端にしてEcoRIアダプターに接合し、NotIで消化し、サイズ選択し、プラ
スミドのNotIおよびEcoRI部位に導入してクローン化した。コンドロモジュリ
ン遺伝子と相同の配列を発見するためにcDNAライブラリーに由来する発現配列タ
グ(EST)を調べた。
【0194】 配列番号:15のESTの発見、クローンの獲得、配列決定により配列番号:1のZ
chm1遺伝子がもたらされた。Zchm1の読み取り枠をベクターpZP9CEEに導入してク
ローン化し、哺乳動物細胞で発現させられるようにした。pZP9CEEはpZP9 (ATCC
98668)にglu-gluエピトープタグをコードするDNAを挿入したものであった。たと
えば、Grussenmeyer, T. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. 82:7952(1985)を参
照。ベクターへの導入を容易にするために、PCRを用いてSalI部位とBam HI部
位を、それぞれZchm1開始コドンの上流と翻訳終結コドンの下流に創出した。
【0195】 PCRに用いた反応系は、10 μlの天然Pfu DNAポリメラーゼ緩衝液、dATP、dGTP
、dTTPおよびdCTP(Pharmacia LKB Biotechnology Inc., Piscataway, NJ)をそ
れぞれ10 mM含む1 μlのデオキシヌクレオチド三リン酸溶液、5 μlの7 pmole/
μlプライマーZC18149(配列番号:7)、5 μlの7 pmole/μlプライマーZC18150
(配列番号:8)、74 μlの水、3 μlの10 ng/μl XhoI消化pSLZchm1-3鋳型(Zch
m1 cDNAを入れたプラスミド)、および2 μlの2.5 U/μl天然Pfu DNAポリメラー
ゼ(Stratagene Cloning Systems, La Jolla, CA)を含んでいた。
【0196】 このPCRは13サイクル(95℃で20秒および72℃で1.5分)実施し、その後72℃で
5分間保温した。増幅産物はフェノール/クロロホルム、クロロホルムで逐次抽
出し、PELLET PAINT(商標)担体(Invitrogen, Carlsbad, CA)と0.3 M酢酸ナト
リウムの存在下でエタノールで沈殿させた。ペレットを10μlの水に再懸濁させ
、4 μlの2X TANGO(商標)緩衝液(MBI Fermentas, Inc.)と1 μlの10 U/μl Sa
lI(MBI Fermentas)を添加した。37℃で30分間の消化を行った。
【0197】 この反応は65℃で15分間保温して終結させ、次いで0.3 M酢酸ナトリウムの存
在下でエタノール沈殿させた。得られたペレットを10 μlの水に再懸濁させ、4
μlの2X TANGO(商標)緩衝液と1 μlの10 U/μl Bam HI(MBI Fermentas, Inc.
)を添加した。37℃で30分間の消化を行った。反応を終結させてフェノールとク
ロロホルムで抽出し、次いで0.3 M酢酸ナトリウムの存在下でエタノール沈殿さ
せた。
【0198】 前述の単離cDNAインサートをXhoIとBam HIで消化し脱リン酸処理したpZP9CE
Eベクターに接合した。この接合DNAをMAXIMUM EFFICIENCY DH10B(商標)コンピ
テント細胞(Life Technologies, Gaithersburg, MD)に導入した。得られたプラ
スミドpSLZchm1-8は完全長天然Zchm1ポリペプチドをコードする。
【0199】 この組み換えタンパク質の検出と精製を容易にするために、Zchm1のC末端にGl
uタグを付加した。天然Zchm1終結コドンは部位指定突然変異誘発によって除去し
、pZPCEEベクター配列によってコードされるGluアフィニティタグへのZchm1 C末
端の読み枠内融合が実現しうるようにした。突然変異Zchm1コード配列をコード
するcDNA断片は30 ngのXhoI消化pSLZchm103鋳型から5’プライマー配列番号:7
と3’突然変異誘発プライマーZC18987(配列番号:9)を使用してPCRによって得た
【0200】 pZP9CEEへの導入を容易にするために、プライマー配列番号:7および配列番号:
9はそれぞれ制限酵素認識部位SalIおよびBam HIを組み込む。PCRとpZP9CEEへ
の導入のための条件はpSLZchm1-8の構築に関して前述したものと同じである。得
られるプラスミドpSLZchmCT-1は、C末端にGluタグをもつ完全長Zchm1ポリペプチ
ドをコードする。
【0201】 実施例2ノーザンブロット法 pSLZchm1-3から精製した683 bpのEcoRI/Bg1II断片をランダムプライミング
により32Pで標識した。この標識Zchm1プローブを多組織Northern Blots(Clontec
h)とハイブリダイズした。ブロットを50℃で0.1X標準酢酸ナトリウム(SSC)緩衝
液中で洗浄し、増感紙を使用してX線フィルムに5日間感光させた。ノーザンブロ
ットの解析により1.4 kb Zchm1転写産物が骨格筋と骨髄から精製されたポリA mR
NA試料中に存在することが証明された。
【0202】 実施例3染色体上の定位 Zchm1遺伝子座は染色体11p15.4にマップされる。それは“GeneBridge 4 Radia
tion Hybrid Panel”(Research Genetics, Inc., Huntsville, AL)を使用して第
11染色体にマップされた。このGeneBridge 4 Radiation Hybrid Panelは93個の
各放射線ハイブリッドクローンに由来するPCR増幅適性DNA、および2個の対照DNA
(HFL供与体とA23受容体)を含む。公開WWWサイト(http://www-genome.wi.mit.
edu/cgi-bin/contig/rhmapper.pl)を利用すれば、GeneBridge 4 Radiation Hyb
rid Panelを使用して構築されたWhitehead Institute/MIT Center for Genome R
esearchのヒト・ゲノム放射線ハイブリッドマップ(“WICGR”放射線ハイブリッ
ドマップ)に対する相対的なマッピングが可能になる。
【0203】 “GeneBridge 4 RH Panel”によるZchm1のマッピングでは、96ウェルのPCR増
幅適性マイクロタイタープレート(Stratagene, La Jolla, CA)に20 μlの反応液
を用意し、“RoboCycler Gradient 96”サーマルサイクラー(Stratagene)にかけ
た。95のPCR反応液はそれぞれ2 μl 10X KlenTaq PCR反応緩衝液(Clontech Labo
ratories, Inc., Palo Alto, CA)、1.6 μl DNTPsミックス(各2.5 mM。PE Appl
ied Biosystems, Foster City, CA)、1 μlセンスプライマー(ZC 18,314) 5’C
CG CGT CGT TGA ACC TTT 3’(配列番号:13)、1 μlアンチセンスプライマー(ZC
18,315) 5’ GGG CCA CCC ACC AGT TAC 3’(配列番号:14)、2 μl REDILOAD(
商標)(Research Genetics, Inc.)、0.4 μl 50X Advantage KlenTaq Polymeras
e Mix(Clontech Laboratories, Inc.)、個別ハイブリッドクローンまたは対照に
由来する25 ngのDNAおよび水で合計20 μlとした。
【0204】 反応液は等量の鉱油をオーバーレイしてシールした。PCRサイクラー条件は次
のとおりであった:最初の1サイクル−95℃で5分間の変性;40サイクル−95℃で
1分間の変性、66℃で1分間のアニーリング、72℃で1.5分間の伸長;最後の1サイ
クル−72℃で7分間の伸長。反応液は2%アガロースゲル(Life Technologies, Inc
.)電気泳動で分離した。
【0205】 その結果、Zchm1は枠組みマーカーD11S922由来の17.8 cR#3000を第11染色体WI
CGRハイブリッドマップ上にマップすることが判明した。近位および遠位枠組み
マーカーはそれぞれD11S922およびD11S932であった。周辺マーカーの使用により
Zchm1は総合LDB第11染色体マップ(The Genetic Location Database, University
of Southhampton, WWWサイト:http:// cedar.genetics.soton.ac.uk/public#h
tml/)の11p15.4領域に定位される。
【配列表】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZW ),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU, TJ,TM),AE,AL,AM,AT,AU,AZ, BA,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,C R,CU,CZ,DE,DK,DM,EE,ES,FI ,GB,GD,GE,GH,GM,HR,HU,ID, IL,IN,IS,JP,KE,KG,KP,KR,K Z,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV,MD ,MG,MK,MN,MW,MX,NO,NZ,PL, PT,RO,RU,SD,SE,SG,SI,SK,S L,TJ,TM,TR,TT,UA,UG,UZ,VN ,YU,ZA,ZW (72)発明者 プレスネル,スコット アール. アメリカ合衆国,ワシントン 98407,タ コマ,ノース パジェット サウンド ア ベニュ 2902 Fターム(参考) 4B024 AA01 AA11 BA21 BA45 CA04 CA12 DA02 EA04 GA11 HA01 HA11 HA17 4H045 AA10 AA11 BA10 CA41 DA01 DA76 EA20 EA50 FA72 FA74

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 配列番号:2, 3, 4, 5, 6, 11および12よりなる群から選択
    されるポリペプチドをコードする単離ポリヌクレオチド。
  2. 【請求項2】 配列番号:2, 3, 4, 5, 6, 11および12よりなる群から選択
    されるポリペプチド。
  3. 【請求項3】 配列番号:2, 3, 4, 5, 6, 11および12よりなる群から選択
    されるポリペプチドに特異的に結合する抗体。
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