JP2002529020A - Ofdm信号における波高率の低減 - Google Patents

Ofdm信号における波高率の低減

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Abstract

(57)【要約】 無線通信システムを動作させる方法は、2つ以上の局の間のデータのパケットの伝送のために直交信号を用いる。送信機においてはデータが差動位相変調技術、例えばDQPSKにより複数の直交搬送波上に符号化される。該搬送波は、離散フーリエ逆変換により単一の信号に組み合わされ、送信される信号の波高率を低減するために送信される前に所定の振幅においてクリップされる。1つ以上の前記搬送波の位相は各データパケットの前にランダムにされ、従って、別の波高率が同一パケットの再送のためにもたらされるだろう。このことは、クリッピングに起因する低減されたS/N比のためにパケットを送信することが困難である場合に正常に再送することを確実にする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【技術分野】
本発明は、データのパケットの伝送のために直交信号伝送技術を用いる無線通
信システムに関する。本発明は、斯様なシステムにおいて用いる送信機、斯様な
システムを動作させる方法、及び斯様なシステムにおいて送信される信号にも関
する。本明細書は、直交周波数分割多重(Orthogonal Frequency Division Mult
iplexing)(OFDM)を用いるシステムについて記載しているが、斯様な技術は直
交信号を送信する他のシステム、例えば符号分割多元接続(CDMA)に等しく適用
できることを理解されたい。
【0002】
【背景技術】
多搬送波変調(MultiCarrier Modulation)(MCM)又は離散的マルチトーン変
調(Discrete MultiTone Modulation)(DMT)としても知られるOFDMは、1つの
高いビットレートの搬送波ではなく幾つかの低いビットレートの搬送波を並列に
変調することによりデータが高速で送信される技術である。OFDMは、スペクトル
的に効率が良く、高性能デジタル無線リンクのために効果的であることが示され
ている。応用分野は、コンピュータシステムの間の高速、短距離の無線リンクの
ための無線非同期転送モード(Wireless Asynchronous Transfer Mode)(WATM
)、高品質オーディオ信号のためのデジタルオーディオ放送(Digital Audio Br
oadcasting)(DAB)、マイクロ波ビデオ配信システム(Microwave Video Distr
ibution System)(MVDS)及びユニバーサルモバイル通信システム(Universal
Mobile Telecommunication System)(UMTS)等の将来のモバイル無線システム
を含む。
【0003】 伝送のための無線周波数(RF)信号の重要な特性は、AC波形の自身の2乗平均
平方根(Root Mean Square)(RMS)値に対するピーク値の比として規定される
波高率(crest factor)である。OFDMシステムにおいて波高率は、(搬送波の数
と各搬送波上の信号の振幅との積であるピーク値をもたらすように)搬送波の各
々における信号が同相であることが可能であるため高くなり得るが、(よりずっ
と低い平均値をもたらすように)平均して位相はランダムに分散されるだろう。
例えば、16搬送波OFDMシステムにおいてはピーク電力(peak power)が平均伝
送電力(mean transmission power)の16倍であり得る。
【0004】 斯様な信号を歪みなしで送信しようとする場合、良好な線形性を備える高い仕
様の送信機が必要とされる。一般に、斯様な送信機は乏しいDC/RF電力変換効率
を持ち、該変換効率は過大な熱量の生成をもたらす恐れがあり、該送信機が携帯
機器に内蔵される場合にバッテリ寿命にも悪影響を及ぼす。そこで、波高率を低
減するために種々のアプローチが研究されている。
【0005】 1つの技術は、ある一定の位相変調状態の組み合わせが搬送波に加えられるの
を防ぐことである。しかしながら、これは、各シンボルが持つ利用可能状態が少
なくなるので、所与の量のデータに対してより多くのシンボルが送信される必要
があるという不利な点を持つ。斯様な技術は周知であり、一例は波高率を4から
1.9に低減する4搬送波OFDMシステムに対する3/4レート方式(3/4 rate s
cheme)である。米国特許第US-A-5,636,247号はこの種のより高度な技術につい
て記載している。16搬送波システムに適用される場合13/16レート方式(
13/16 rate scheme)を用いて3dBの波高率低減を達成することが出来る。
【0006】 他の方法は、米国特許第US-A-5,610,908号において記載されており、当該方法
においては、多くの密に離間された搬送波が(この場合にはQPSKを用いて)変調
され、次いで、通例の通りに高速フーリエ逆変換(IFFT)により時間領域に変換
される。次いで、信号が、制限され、高速フーリエ変換(FFT)により周波数領
域に変換し戻され、ここで位相及び振幅の調整が該信号の幾つかになされても良
い。次いで、該信号はIFFTで時間領域に変換し戻される。ここからは、伝送は通
常どおりに進行する。2048搬送波OFDMシステムの例が与えられていて、最初
に9.38dBの波高率を持つ20個のランダム信号のシミュレーションが波高
率を3.4dBに低減することが出来るということを実証した。
【0007】 上記の技術は波高率を低減することが出来るが、これらの技術が(定包絡線変
調(constant envelope modulation)に対応する)ユニティー(unity)まで波
高率を低減することは出来ないことが分かる。波高率を低減するための他の既知
の技術はクリッピングであり、ベースバンドの信号では、信号ピークを除去し、
波高率を低減するために一定レベルで振幅がクリップされる。クリッピングは、
非線形プロセスであるからその使用において幾らかの注意が必要とされるが、実
施するには簡単な技術である。
【0008】 128搬送波OFDMシステムにおけるクリッピングの効果は、X Li及びL J Cimi
niによりProceedings of the 47th IEEE Vehicular Technology Conference, Ma
y 1997, 頁1634乃至頁1638で開示されている論文“Effects of Clipping and Fi
ltering on the Performance of OFDM”において記載されている。この論文にお
いては、クリッピングレベルを平均電力レベルの約1.5倍に設定することが、ビ
ット誤り率における大幅な増大なしに波高率における大幅な低減を提供するとい
うことが示されている。
【0009】 先行技術において取り組まれていないクリッピングの使用での問題は、他のOF
DMシンボルは影響されないが、ある一定のOFDMシンボルがクリッピングにより悪
影響を及ぼされることである。多くの悪影響を及ぼされたシンボルがパケットに
おいて送信される場合、受信機が該パケットを復調することに失敗し、その再送
を要求することになるだろう。送信元は前記パケットを繰返し送信し、同じ問題
が起こるだろう。従って、ある一定のパケットは、誤りなしに受信される可能性
が非常に低いであろう。
【0010】
【発明の開示】
本発明の目的は、ある一定のパケットが非常に送信しがたいという問題を改善
することにある。
【0011】 本発明の第1の特徴によれば、無線通信システムを動作させる方法であって、
差動位相変調により複数の直交搬送波上にデータを符号化し、該位相変調された
信号を組み合わせ、波高率を制限するために該組み合わされた信号をクリップし
、及び該クリップされた信号をデータパケットとして少なくとも2つの局の間で
送信する方法であり、パケットの送信の前に少なくとも1つの前記搬送波の初期
位相をランダムにすることを特徴とする方法が提供される。
【0012】 本発明の第2の特徴によれば、直交信号を送信する送信機であって、複数の直
交搬送波上にデータを変調するための差動位相変調手段、該位相変調された信号
を組み合わせるための手段、前記組み合わされた信号の波高率を制限するための
クリップ手段、及び前記クリップされた信号を送信するための送信手段を有する
送信機であり、パケットの送信の前に少なくとも1つの前記搬送波の初期位相を
ランダムにするための手段が設けられることを特徴とする送信機を提供される。
【0013】 本発明の第3の特徴によれば、複数の本発明に従って作られる送信機を有する
無線通信システムが提供される。
【0014】 本発明の第4の特徴によれば、複数の直交搬送波を有する無線信号であって、
データのパケットが差動位相変調により該搬送波上に符号化され、自身の波高率
を制限するためにクリップされる信号であり、データパケットのはじめに少なく
とも1つの前記搬送波の初期位相がランダムにされることを特徴とする信号が提
供される。
【0015】 本発明は、先行技術には存在しない、OFDM信号を有する搬送波の初期位相状態
を変動させることにより、シンボルの繰り返しが異なる波高率をもたらすだろう
という認識に基づいている。
【0016】 本発明の実施例を、一例として、添付の図を参照して述べる。
【0017】
【本発明を実施するための最良の形態】
図1に示されているシステムは、2つの局102及び104を有し、各々送受
信機を含み、それら局の間の双方向無線通信リンクを備える。局102及び10
4は特定の応用分野に依存する種々のタイプのものがあり得る。例えば、WATMシ
ステムにおいては第1局102がパーソナルコンピュータで、第2局104がプ
リンタであり得る。他の例においては、UMTSシステムにおいては第1局102が
セルラー式電話で、第2局104がセルラー式基地局であり得る。図示された全
ブロックの動作パラメータは制御器(図示せず)により制御される。ビットスト
リーム202は媒体アクセス制御(Medium Access Control)(MAC)層から渡さ
れる、送信されるべきデータを有する。このデータは、まず、符号化ブロック(
ENC)204に渡され、符号化ブロック204は、伝送のために用いられている
変調方式に適した形式において所要のストリームのシンボル、例えば差動4相位
相変調(Differential Quadrature Phase Shift Keying)(DQPSK)を用いよう
とする場合は2ビットシンボルを生成する。
【0018】 インタリーバ(interleaver)(INT)206は、このストリームの入力シンボ
ルを取得し、各シンボルをその並列出力線の関連の出力線上に出力する。各出力
線は送信のためのOFDM搬送波に対応し、故に、搬送波の数、図2においては8つ
と同数のインタリーバ206からの出力線がある。
【0019】 次いで、インタリーバ206からの出力データ線の各々におけるシンボルは、
所要の変調方式、例えばDQPSKを用いる変調器(MOD)208により変調される。
次いで、変調されたデータは、IDFTブロック210により離散フーリエ逆変換さ
れ(即ち、高速フーリエ逆変換され)、該ブロックはまた出力データをシリアル
ストリームに再び組み合わせる。
【0020】 このシリアルデータストリームは、如何なる振幅のピークも含む送信されるべ
き波形のデジタル表現であり、次に信号の振幅を所要の最大レベルに制限するク
リッピングブロック(CLP)212に渡される。OFDMシンボルの間の保護周波数
帯が、データがD/A変換器(DAC)216に渡される前に、シンボル間の干渉の問
題を低減するためにエキステンダーブロック(EXT)214により付加される。
次いで、出力信号は無線送信手段218に渡され、無線送信手段218は該出力
信号を所要の周波数に変換し、それを送信のために増幅する。
【0021】 図3は、変調器208からの出力データ線のうちの2本における連続した位相
状態を示しており、変調器208は時間で差動符号化されるDQPSKを用いている
。各位相状態に対して4つのとり得る値があり、これにより2ビットシンボルを
符号化する。各出力OFDMシンボルにおける各搬送波においての第1位相状態30
2及び312は、この搬送波及びシンボルに対する初期位相基準(initial phas
e reference)を規定する。
【0022】 従って、第1搬送波を考えると、第1状態302に対する第2状態304の位
相が第1の2ビットシンボルの値を符号化し、同様に第2状態304に対する第
3状態306の位相が第2のシンボルの値を提供し、第3状態306に対する第
4状態308の位相が第3のシンボルを符号化する。第2搬送波上のシンボルは
さまざまな状態312、314、316及び318の間の位相差を用いて同様に
符号化される。
【0023】 先行技術の変調器においては、各搬送波の初期位相状態302及び312が、
各OFDMシンボルのはじめに所定の値に設定される。これは、所与のOFDM信号が常
に同じ位相状態の組み合わせで送信されるという効果を持つ。しかしながら、斯
様な方式はかなりの不利な点を持つ。シンボルがクリッピングにより悪影響を及
ぼされる場合、クリッピングがシンボルのS/N比をかなり低減していることを意
味し、シンボルは不正確に受信されることになるだろう。1つ以上の悪影響を及
ぼされたシンボルがパケットにおいて受信機に送信される場合、該受信機はパケ
ットを正確に復調することに失敗するだろう。この誤りの結果として、受信機は
自動再送要求(ARQ)メッセージを生成し、前記パケットが繰返し送信されるだ
ろう。しかしながら、クリッピングの結果として同じく低減されたS/N比を持つ
同じOFDMシンボルが生成されるだろう。従って、パケットが再び誤って受信され
るということが起こることになるだろう。
【0024】 本発明による方法は、各OFDMシンボルのはじめにおいて搬送波の初期位相をラ
ンダムにすることによりこの問題を回避する。これは当業者にとって既知のさま
ざまな方法においてなされ得る。一例は、パケット中の搬送波上の最後に送信さ
れたシンボルの状態を次のパケット中の関連の搬送波上の第1のシンボルのため
の基準位相として用いることである。
【0025】 初期位相のランダム化の効果は、パケットが再送される際に異なる組合わせの
位相状態が用いられるだろうということである。従って、問題を含む(problema
tic)OFDMシンボルの各々は、異なる波高率及び(少数の組み合わせの位相状態
だけが、受信困難をもたらす程十分乏しいS/N比を持つようにクリッピングレベ
ルが選択されるので)改善されたS/N比を持つことになるだろう。従って、再送
されるパケットはより正確に受信されることになるだろう。全ての初期搬送波を
ランダムにする必要はないが、より多くの初期搬送波がランダムにされると再送
が成功する可能性がより高くなる。
【0026】 本発明はDQPSK変調に関して記載されているが、広範囲の他の変調方式に適用
され得るということを認識されたい。各搬送波に対する位相基準が各OFDMシンボ
ルのはじめにおける搬送波の状態であるという特性を選択された変調方式が持つ
ことが、必要であることの全てである。
【0027】 本発明はOFDM以外の直交変調技術、例えばCDMAに適用可能であるということも
認識されたい。
【0028】 本発明の開示を読むことにより、他の変形例が、当業者にとって明らかとなる
であろう。斯様な変形例は、無線通信システム及びその構成部分において既知で
ある、及び本明細書で既に記載されているフィーチャに代えて又は付加して用い
られ得る他のフィーチャを含んでも良い。
【0029】 本明細書及び特許請求の範囲において、構成要素の前につけられた“一つの”
という語句は、複数の斯様な構成要素の存在を除外するものではない。さらに、
“有する”という語句は、ここで列挙されたもの以外の他の構成要素及び工程の
存在を除外するものではない。
【0030】 産業上の適用
【0031】 本発明は、WATM、DAB、MVDS及びUMTSを含む直交信号の伝送を必要とする広範
囲のシステムに適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明によるシステムのブロック概略図である。
【図2】 本発明に従って作られる送信機の実施例の一部のブロック図であ
る。
【図3】 本発明によるOFDMシステムにおける連続した2つの搬送波の位相
状態の図である。
【符号の説明】
202 入力ビットストリーム 204 符号化ブロック 206 インタリーバ 208 変調器 210 IDFTブロック 212 クリップブロック 214 エキステンダーブロック 216 D/A変換器 218 無線送信手段
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (71)出願人 Groenewoudseweg 1, 5621 BA Eindhoven, Th e Netherlands

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 無線通信システムを動作させる方法であって、差動位相変調
    により複数の直交搬送波上にデータを符号化し、該位相変調された信号を組み合
    わせ、波高率を制限するために該組み合わされた信号をクリップし、及び該クリ
    ップされた信号をデータパケットとして少なくとも2つの局の間で送信する方法
    であり、パケットの送信の前に少なくとも1つの前記搬送波の初期位相をランダ
    ムにすることを特徴とする方法。
  2. 【請求項2】 少なくとも1つの前記搬送波の前記初期位相が、当該搬送波
    上の最後に送信されたシンボルの状態に関連付けられることを特徴とする請求項
    1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 少なくとも1つの前記搬送波の前記初期位相が、同一パケッ
    トの繰返し送信において異なることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  4. 【請求項4】 直交信号を送信する送信機であって、複数の直交搬送波上に
    データを変調するための差動位相変調手段、該位相変調された信号を組み合わせ
    るための手段、前記組み合わされた信号の波高率を制限するためのクリップ手段
    、及び前記クリップされた信号を送信するための送信手段を有する送信機であり
    、パケットの送信の前に少なくとも1つの前記搬送波の初期位相をランダムにす
    るための手段が設けられることを特徴とする送信機。
  5. 【請求項5】 少なくとも1つの前記搬送波の前記初期位相を、当該搬送波
    上の最後に送信されたシンボルの状態に関連して設定するための手段が設けられ
    ることを特徴とする請求項4に記載の送信機。
  6. 【請求項6】 少なくとも1つの前記搬送波の前記初期位相を、同一パケッ
    トの繰返し送信において異なる状態に設定するための手段が設けられることを特
    徴とする請求項4に記載の送信機。
  7. 【請求項7】 請求項4乃至6の何れか一項に記載の送信機を複数有するこ
    とを特徴とする無線通信システム。
  8. 【請求項8】 複数の直交搬送波を有する無線信号であって、データのパケ
    ットが差動位相変調により該搬送波上に符号化され、自身の波高率を制限するた
    めにクリップされる信号であり、データパケットのはじめに少なくとも1つの前
    記搬送波の初期位相がランダムにされることを特徴とする信号。
  9. 【請求項9】 少なくとも1つの前記搬送波の前記初期位相が当該搬送波上
    の最後に送信されたシンボルの状態に関連付けられることを特徴とする請求項8
    に記載の信号。
  10. 【請求項10】 少なくとも1つの前記搬送波の前記初期位相が同一パケッ
    トの繰返し送信において異なることを特徴とする請求項8に記載の信号。
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