JP2002525130A - ヒトb型肝炎ウイルス(hbv)dnaポリメラーゼのインビトロ活性分析法、該分析法を用いる各種血清サンプルの活性分析法およびhbvdnaポリメラーゼのインヒビターのスクリーニング法、ならびにhbvdnaポリメラーゼの産生方法 - Google Patents

ヒトb型肝炎ウイルス(hbv)dnaポリメラーゼのインビトロ活性分析法、該分析法を用いる各種血清サンプルの活性分析法およびhbvdnaポリメラーゼのインヒビターのスクリーニング法、ならびにhbvdnaポリメラーゼの産生方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ヒトB型肝炎ウイルスDNAポリメラーゼを簡便にインビトロ分析する。 【解決手段】 ヒトB型肝炎ウイルス(HBV)DNAポリメラーゼのインビトロ活性の分析法であって、サンプルからのHBV DNAポリメラーゼをPCR増幅するときの5’オリゴヌクレオチドとして、SP6ウイルスプロモーターが導入されたオリゴヌクレオチドを用い、放射標識剤の存在下にPCR生成物を直接的に転写し翻訳し、HBV DNAポリメラーゼのプライミングを測定する方法を提供する。更に、そのような分析法を用いて各種の血清サンプルの活性を分析して、HBV DNAポリメラーゼの阻害剤をスクリーニングし、および/またはヒトHBV DNAポリメラーゼのDNAプライミング活性を抑制する抗HBV剤の機能をスクリーニングする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ヒトB型肝炎ウイルス(HBV)DNAポリメラーゼのインビトロ
活性分析法、該分析法を用いる各種血清サンプルの活性分析法およびHBV D
NAポリメラーゼのインヒビターのスクリーニング法、ならびにHBV DNA
ポリメラーゼの産生方法に関する。
【0002】
【従来の技術とその課題】
ポリメラーゼは生物にとってきわめて重要な酵素の1つである。ポリメラーゼ
は、核酸の合成およびそれらをタンパク質の合成に必要な他の核酸に変化させる
のに関与する。したがって、ポリメラーゼは、あらゆる種類の細胞に存在し、こ
れにはB型肝炎ウイルス(HBV)の原因となるDNAウイルスも含まれる。
【0003】 HBVは、最も知られた感染症の1種である肝炎の原因となり、これが進行し
た肝細胞癌(HCC)は世界中で最も知られた癌の1種である。現在HBVの感
染と疾病を予防する現在までの最も効果的な方法は、HBVに対する免疫を施す
ことである。現在許可されているHBVワクチンは主要表面抗原(HBsAg)
から成るものであり、天然型(血漿由来)または組換型(酵母細胞から精製)の
いずれかの形態がある。ワクチンによって誘起された抗体は、HBsAgの12
4から147の残基に位置する最も抗原性の高い「a」エピトープに結合して、
HBV複製に対して効果的な中和をもたらすことが見出されている。
【0004】 そのようなワクチン接種プログラムによりHBVの集団的な感染は減少したが
、「a」エピトープ内に位置する変異体も増加している。ワクチンによって誘起
されたこれらのHBV変異体は、現在の免疫系に基く診断システムから逃れるこ
とができ且つ独立して複製する能力を有する点において、興味深い。
【0005】 HBsAgの「a」エピトープ上の変異は、オーバーラップHBV DNAポ
リメラーゼにおけるアミノ酸の置換、特に逆転写酵素ドメイン内の位置に置換を
もたらすという事実は、ワクチンによって誘起された変異体は、ウイルス複製に
とって重要な因子である逆転写酵素活性を変化させているということを示してい
るのかも知れない。
【0006】 HBVは、RNA中間体の逆転写によりゲノムを複製するDNAウイルスであ
る。このRNAプレゲノム(ゲノム前駆体)のヌクレオキャプシドへのパッケジ
ングおよび複製の開始は、主として、HBV DNAポリメラーゼとエンキャプ
シデーションシグナルとの相互作用に依存する。RNAプレゲノムにはエンキャ
プシデーションシグナルの2種類のコピーが存在する。プライミング反応に対し
ては、5’コピーのみが鋳型として機能する。マイナス鎖DNA合成が開始され
た後、未知の機構によりDNAオリゴマー(4ヌクレオチド)がRNAプレゲノ
ムの3’端に移され、それに相補的な配列とハイブリダイズする。しかる後、R
NA鋳型の5’末端に向かって逆転写が続行する。HBV DNAポリメラーゼ
とRNAプレゲノムの相互作用は、DNAポリメラーゼのN末端に位置するチロ
シン残基とエンキャプシデーションシグナル内の特定のヌクレオチドとの共有結
合として生じる。HBV逆転写酵素は、大きなDNAポリメラーゼ内の4つのド
メインの1つである。他のドメインとは、i)N末端タンパク質(これは、該ポ
リメラーゼがRNAプレゲノムに共有結合するのに関与する)、ii)突然変異に
寛容なスペーサー領域、iii)mRNA中間体の分解に関与するRNAseHドメイ
ンである。
【0007】 他のポリメラーゼと同様に、HBV DNAポリメラーゼのインビトロ活性の
検出結果を利用して、下記の3つのようなことを行うことができる。 ・複製性ウイルスとして新たに単離されたウイルスの特性を把握し既知の他のウ
イルスとの相違を評価すること。これは、特に、表面抗原の変異型と関係する。
・感染患者の被検物質からウイルスが単離されたことを確認する。 ・抗ウイルス剤と成り得るようなポリメラーゼインヒビターのインビトロ性能を
評価すること。
【0008】 ウイルスの複製および他のウイルスタンパクの非存在下におけるHBV DN
Aポリメラーゼのインビトロ活性を測定するには各種の手法が確立されている。
興味深い発見の一つは、HBV DNAポリメラーゼのプライミング活性が検出
できるようになるためには、N末端タンパク質のみならず、機能的な逆転酵素ド
メインも必要であるということである。したがって、これらの手法の共通の特徴
の1つは、HBV DNAポリメラーゼ活性の指標となるHBV DNAポリメ
ラーゼのプライミング活性を検出することである。
【0009】 そのような手法の内、2つはアヒルHBV(DHBV)ポリメラーゼを利用す
るものであり、そしていずれの手法においても、逆転写酵素活性が鋳型に依存し
タンパク質をプライミングすることを示している。DHBV法のうちの一方は、
DHBV DNAポリメラーゼのインビトロ翻訳を利用して機能的DNAポリメ
ラーゼを含有するリゼート(溶解物)を得るものであり、もう一方は、DHBV
DNAポリメラーゼの活性な融合タンパク質を酵母のレトロトランスポゾンT
yl由来のウイルス様粒子内にパッケージするものである。活性なDNAポリメ
ラーゼは、そのプライミング活性によって測定されており、プライミングヌクレ
オチドの存在下における放射標識化タンパク質(すなわち、DHBV DNAポ
リメラーゼに対する[α−32P])が指標とされる。最近、ヒトHBV DNAポ
リメラーゼに関して同様の分析法(アッセイ)が報告されている。報告されてい
る全てのコンストラクトにおいて、エンキャプシデーションシグナルを含有する
ポリメラーゼの350塩基対の3’非コード領域が含まれており、これがインビ
トロ活性の分析に重要である旨指摘されている。
【0010】 ヒトHBV DNAポリメラーゼのインビトロ活性の分析法(アッセイ)の直
接的な応用の一つは、新規な抗ウイルス剤をスクリーニングすることであろう。
慢性的なHBV感染の抗ウイルス剤療法には未だ課題が残されており、幾つかの
臨床試験が示すところによれば、インターフェロンまたはヌクレオシドアナログ
に対して持続的な応答を示すのは被検患者の30〜40%にすぎない。長期HB
Vキャリヤーおよび免疫無防備患者においては、この応答比率は更に低くなって
しまう。多くの患者が該ウイルスの感染を取り除くことができずに、肝臓病の進
行および(原発性)肝細胞癌(HCC)になる大きな危険性を有しているので、
HBVを除去する化学療法に対する新しいプロトコールの設計が求められている
。さらに、ヒトHBV表面抗原変異に対するそのような薬剤による抗ウイルス作
用を評価することに特に関心がもたらされている。
【0011】 しかしながら、これまでに確立されたヒトHBV DNAポリメラーゼのイン
ビトロ活性分析法を用いる抗ウイルス試験には制限が存する。その制限の一つは
、これまでに確立されている全ての手法において、ウイルスのポリメラーゼプロ
モーター(例えばSP6またはT7)の制御下にあるようにプロモーター(例え
ばSP6またはT7)の制御下にあるようにHBV DNAポリメラーゼのコー
ド領域をプラスミド(例えばpGEM−T)に配置するクローニング工程が必要
とされていることである。HBVの変異が多数であることを考慮すると、このよ
うな煩雑な操作は実用的でない。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明に従えば、先ず、ヒトB型肝炎ウイルス(HBV)DNAのインビトロ
活性を分析する方法であって、サンプルからHBV DNAポリメラーゼをPC
R増幅する際の5’オリゴヌクレオチドとして、SP6ウイルスポリメラーゼプ
ロモーターが導入されたオリゴヌクレオチドを用いること、真核細胞を含まない
リゼート中でPCR生成物を直接転写し翻訳させること、および、放射性標識剤
の存在下にHBV DNAポリメラーゼのプライミングを測定することから成る
方法が提供される。
【0013】 さらに、本発明の第2の視点に従えば、本発明に従う上記の分析法を用いる、
各種血清サンプルの活性分析法および/またはHBV DNAポリメラーゼのイ
ンヒビター(阻害剤)のスクリーニング法が提供される。
【0014】 本発明の第3の視点に従えば、本発明に従う上記の分析法を用いる、ヒトHB
V DNAポリメラーゼのDNAプライミング活性に対する阻害能を有する抗H
BV薬剤の試験および/またはスクリーニング法が提供される。この方法は好ま
しくは次の工程を含む。 a)所定量のアッセイバッファー(分析緩衝液)に溶かした少なくとも1つのサ
ンプルを調製し、各サンプルに、鋳型として線状PCR生成物、および、ステム
ループ構造を形成することのできる配列を含むHBVマイナス鎖合成のRNA鋳
型を用いて無真核細胞(真核細胞を含まない)リゼート(溶解液)中でインビト
ロ翻訳されたヒトHBV DNAポリメラーゼタンパク質を含有させる工程、 b)前記アッセイバッファーと等量のアッセイバッファーに溶かしたコントロー
ル(対照)サンプルを調製し、該コントロールサンプルに、鋳型として線状PC
R生成物、および、(ヒトHBV DNAポリメラーゼの結合およびプライミン
グに必須である)ステムループ構造を形成することのできる配列を含むHBVマ
イナス鎖合成のRNA鋳型を用いてインビトロ翻訳されたヒトHBV DNAポ
リメラーゼタンパク質を含有させる工程、 c)それらのサンプルをインキュベートして、DNAポリメラーゼおよび放射性
標識剤から成るコンプレックス(複合体)を得る工程、 d)アッセイバッファーからコンプレックスを分離する工程、および e)分離された各コンプレックス中の放射性標識剤の量を測定して、ヒトHBV
DNAポリメラーゼのDNAプライミング活性を検知する工程。
【0015】 上記の工程c)、d)およびe)は下記の工程と置き換えることもできる。 c)上述したような試験管とコントロール用試験管のそれぞれを、前記HBVマ
イナス鎖DNAに導入された第1のヌクレオチドを含む放射標識された三リン酸
ヌクレオチドの等量を用いて、前記ヒトHBV DNAポリメラーゼのDNAプ
ライミング活性に好適な条件下にインキュベートして、前記DNAポリメラーゼ
と前記放射標識された三リン酸ヌクレオチドから成るコンプレックスを形成させ
る工程; d)ニトロセルロース膜を用いたろ過により、前記試験管およびコントロール用
試験管のそれぞれのアッセイバッファーから前記コンプレックスを分離する工程
; e)分離された各コンプレックス中の放射標識三リン酸ヌクレオチドの量を測定
して、ヒトHBV DNAポリメラーゼのDNAプライミング活性を検知する工
程; f)前記試験管およびコントロール用試験管の各々のニトロセルロース膜に結合
して残存している分離コンプレックス中の放射標識三リン酸ヌクレオチドのそれ
ぞれの量を比較し、試験管の分離コンプレックス中の放射標識三リン酸ヌクレオ
チドの量の減少をコントロール用試験管と比較したものから、抗HBV薬剤によ
る、ヒトHBV DNAのポリメラーゼのDNAプライミング活性に対する阻害
能を調べる工程。
【0016】 本発明は、B型肝炎ウイルス(HBV)DNAポリメラーゼに対する簡便な活
性アッセイ(分析法)に関し、この分析法は従来の分析法よりも迅速に行うこと
ができる。本発明の方法では、オリゴヌクレオチド内にSP6ウイルスポリメラ
ーゼプロモーターを導入し、次にこれを、血清サンプルからHBV DNAポリ
メラーゼをPCR増幅するに際して5’オリゴヌクレオチドとして用いる。全コ
ード領域およびエンキャプシデーションシグナルを有する3’非コード領域を含
有するPCR生成物が、コムギ胚無細胞エクストラクト中で直接転写され翻訳さ
れる。中間体であるRNA鋳型へのHBV DNAポリメラーゼのプライミング
が、該酵素の活性の鍵となる指標であり、放射標識された[α−32P]dTTPの
存在下にこのプライミングを測定する。本発明の用途には、各種の血清サンプル
(主要表面抗原が変異したHBVを有するものを含む)の活性をアッセイするこ
と、およびHBV DNAポリメラーゼの阻害剤をスクリーニングすることが挙
げられる。
【0017】 本発明は、血清サンプルから増幅した線状DNA鋳型から直接的にヒトHBV
DNAポリメラーゼ活性をインビトロ分析する簡便な方法を提供するものであ
る。5’末端にSP6ウイルスポリメラーゼプロモーターを含有する線状DNA
鋳型の転写と翻訳を結合することにより、一般にコムギ胚無細胞系内で、活性分
析に関与するタンパク質が産生される。
【0018】 既述したような目的および他の目的を達成するため、本発明に従えば、血清サ
ンプルから増幅された線状DNAフラグメントから直接的にHBV DNAポリ
メラーゼを産生する方法が提供される。得られるタンパク質を[α−32P]dTT
Pのような放射性標識剤の存在下に分析し、B型肝炎ウイルスの複製にきわめて
重要な過程であるプライミング活性を調べる。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明は、HBV DNAポリメラーゼ活性に特異的な簡便、高感度且つ迅速
な分析法を提供するものである。本発明は、次の工程から成り血清サンプルから
HBV DNAポリメラーゼ活性を検出する方法が含まれる。 ・フェノール/クロロホルムを用いて血清からHBV DNAをワンステップで
抽出する。 ・HBV DNAポリメラーゼのコード領域(2400塩基対)およびその3’
非コード領域(310塩基対)をPCR増幅する。5’オリゴヌクレオチドは、
5’近辺にSP6ウイルスポリメラーゼを含むようにする。 ・PCR増幅生成物を鋳型としてHBV DNAポリメラーゼをインビトロ翻訳
する。 ・翻訳されたHBV DNAポリメラーゼを含有する抽出物について放射標識さ
れたプライミングヌクレオチドの存在下に活性分析する。
【0020】 本発明は、さらに、上記の方法を実施するための試薬、ポリメラーゼ活性や表
面抗原が変異したHBV変異体のポリメラーゼ活性に対する物質の阻害効果を測
定する方法も提供する。
【0021】 本発明に従えば、血清サンプルが、非特定のDNAポリメラーゼ活性を有する
HBV変異体を含有してもよい。本発明は、その定性的な測定を可能にする。D
NAポリメラーゼ活性の定量的測定が必要な場合には、本発明の活性分析法を更
に進展させる(すなわち、プライミングされたDNAポリメラーゼをニトロセル
ロース膜上で測定すればよい)。DNAポリメラーゼに対する或る分子の阻害能
を測定しようとする場合には、プライミングされたDNAポリメラーゼの量を阻
害性分子の存在しないコントロール(対照)用サンプルから得られた量と比較す
ればよい。
【0022】 本発明の特徴を更に理解できるように、添付図面を参照しながら実施例に沿っ
て本発明を説明する。
【0023】 図1は、ヒトHBVのゲノム構造を線状化して示すものである。本発明のPC
R増幅においては、ヒトHBV DNAポリメラーゼのコード領域(ボックス)
およびその3’非コード領域(赤線)が含まれるようにした。下方の数字は、Ge
nBankで定義されているように、adwから成る野性型ヒトHBVゲノムにおける位
置を表すものである。矢印は、PCR増幅に用いたオリゴヌクレオチドの位置と
方向を示し、それぞれの配列を矢印の上方(5’)および下方(3’)に示した
。HBV DNAポリメラーゼの開始部分(コード領域の最初の27塩基)にマ
ッチングする配列に加えて、SP6ウイルスプロモーター(ATTTAGGTGACACTATAG
AACTC)を5’オリゴヌクレオチドに導入する。5’センスオリゴヌクレオチド
の位置は、2309位から2335位までであり(矢印)、一方、3’アンチセ
ンスオリゴヌクレオチドは1917から1940の領域を含むものである(矢印
)。
【0024】 図2は、野性型HBVを有する血清から単離したウイルスDNAを用いて増幅
したPCR生成物の電気泳動パターンを示す写真である。所期の2800塩基対
から成るサイズを有するフラグメントは矢印で示されている。更に、「M」レー
ンには、分子サイズマーカー(1kbのDNAラダー、MBI Fermentas)の
泳動位置が示されている。
【0025】 図3は、[35S]メチオニンの存在下にPCR増幅生成物から直接、コムギ胚リ
ゼート中でインビトロ翻訳された野性型HBV DNAポリメラーゼを示すオー
トラジオグラフである。所期の90キロダルトン(kD)の[35S]標識化ヒトH
BV DNAポリメラーゼは矢印で示されている。左側に示しているのは、分子
サイズマーカー(Rainbowプロテイン泳動マーカー、Amersham製)の位置である
【0026】 図4は、[α−32P]dTTPの存在下における野性型HBV DNAポリメラ
ーゼ(コムギ胚リゼート中で合成)のインビトロのプライミング活性を示すオー
トラジオグラフである。所期のように90キロダルトンから成る[α−32P]dT
TP標識化ヒトHBV DNAポリメラーゼは矢印で示している。左側に示して
いるのは、分子サイズマーカー(Rainbowプロテイン泳動マーカー、Amersham製
)の位置である。
【0027】 図5は、[α−32P]dTTP存在下における野性型(レーン1)ならびに表面
抗原変異体‘S’145(レーン2)および‘S’126(レーン3)のHBV
DNAポリメラーゼのインビトロのプライミング活性を示すオートラジオグラ
フである。3種類のウイルス株の全てについて、所期の90キロダルトンから成
る[α−32P]dTTP標識化ヒトHBV DNAポリメラーゼは矢印で示されて
いるものである。左側に示しているのは、分子サイズマーカー(Rainbowプロテ
イン泳動マーカー、Amersham製)の位置である。
【0028】 図6は、野性型のヒトHBV DNAポリメラーゼに対するヌクレオチドアナ
ログの抗プライミング効果をまとめたものである。各カラムは、ニトロセルロー
ス膜に残存する放射標識化されたHBV DNAポリメラーゼ(cpmにより測
定)を表す。コントロールとは、ヌクレオチドアナログの非存在下におけるヒト
HBVポリメラーゼのインビトロのプライミング活性を示す。特定のヌクレオチ
ドアナログ存在下における活性分析の結果はそれぞれに応じて示しているとおり
である(すなわち、+ddTTPとはddTTP存在下の活性分析の結果である
)。ddTTPまたはddATPのいずれかの存在下においてインキュベーショ
ンが行なわれた場合には、コントロールの場合に比べて、明らかな抗プライミン
グ効果が存しない。対照的に、ddGTP、ddCTPについては、阻害(抑制
)効果が認められている。本発明による結果と同様の抗プライミング効果がラミ
ブジン(lamivudine)〔3’−チアシチジンの(−)エノンチオマーであり、H
BV複製の活性なHBVキャリヤーの治療のために臨床的に広く用いられている
シトシンジデオキシヌクレオチドアナログ〕を添加した場合に認められる。一般的説明 野性型のHBVのウイルスDNAをフェノール/クロロホルムにより血清サン
プルから抽出する。特定のオリゴヌクレオチドを用いて(図1参照)本発明の第
1の工程としてPCR増幅を行なう。5’センスヌクレオチドは、HBV DN
Aポリメラーゼのコード領域の最初の27個のヌクレオチドにマッチしており、
且つ、その近辺端にSP6プロモーターを有する。3’アンチセンスオリゴヌク
レオチドは、HBV DNAポリメラーゼの停止コドンの300塩基下流にマッ
チング領域を有する。得られる線状DNA増幅生成物(2800塩基対)(図2
)を、メーカー(米国Promega)のマニュアルに従い、直接、コムギ胚油無細胞
系内でインビトロ転写/翻訳に供する。
【0029】 [35S]メチオニンの存在下に合成すると、図3に示されるように843個のア
ミノ酸から成るポリメラーゼポリペプチドとして予期される約90kDの分子サ
イズのタンパク質生成物がインビトロ翻訳によって得られる。この結果は、DH
BV DNAポリメラーゼ活性アッセイに関する以前の報告と一致しており、そ
して、更に重要なことには、線状PCR増幅生成物を鋳型として用いることによ
りヒトHBV DNAポリメラーゼが適切に翻訳されたということを示している
【0030】 ヒトHBV DNAポリメラーゼ活性を分析するために、放射標識されたアミ
ノ酸(すなわち、[35S]メチオニン)の非存在下に新たに合成されたポリメラー
ゼを含有するインビトロ翻訳反応混合物を、dATP、dCTP、dGTPおよ
び放射標識された[α−32P]dTTPを含有する溶液中でインキュベートする。
プライミングされるポリメラーゼに導入されるヌクレオチドを標識(ラベル)す
るには、ヌクレオチドの分析分野で従来より用いられている任意のタイプのラベ
ル(例えば、蛍光ラベルや吸光ラベル)を用いることができるが、放射性ラベル
を使用するのが好ましい。[α−32P]dTTPは、他の3種類のヌクレオチドに
比べてプライミング特異性が高いので本発明ではこれを用いる。
【0031】 使用するラベル(標識)のタイプに応じて、放射標識されプライミングされた
ポリメラーゼ生成物の検出は任意の適当な手段によって実施することができる。
これには、通常、プライミングされた放射標識化ポリメラーゼ生成物から標識化
モノヌクレオチド(すなわち、[α−32P]dTTP)を分離する工程が含まれる
。本発明においては、プライミング反応の生成物は、SDS−ポリアクリルアミ
ドゲル電気泳動により分析することが好ましい。図4は、[α−32P]dTTPの
存在下における野性型HBV DNAポリメラーゼに対するプライミング活性分
析の結果を示すものである。オートラジオグラフィ−に供したときに所期のサイ
ズのタンパク質バンドが検出されることにより、HBV DNAポリメラーゼの
プライミング活性が示されている。
【0032】 ニトロセルロース膜を用いるろ過によりポリメラーゼ活性分析を行なうことも
可能である。好適な条件下では、ニトロセルロース膜上に保持されている極少量
の非結合[α−32P]dTTPにより、プライミングされた放射標識化ポリメラー
ゼの結合を定量的に知ることができる。
【0033】 以下に実施例により本発明を更に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定
されるものではない。
【0034】
【実施例】実験方法一般 野性型のHBVを保有する血清から以下のようにウイルスDNAを単離した。
200μlの血清サンプルを400μlの溶解バッファー(塩化トリス10mM
、pH7.4、EDTA1mM、ドデシル硫酸ナトリウム2%)、および25μ
lのプロテイナーゼK(20mg/ml)に添加し、65℃で3時間インキュベ
ートした。次に、フェノール/クロロホルムによりウイルスDNAを抽出し、エ
タノールで沈殿させた。5’オリゴヌクレオチドは、センスオリゴヌクレオチド
AAATTTAGGTGACACTATAGAATATGCCCCTATCTTATCAACACTTCC)であり、その近辺端に
SP6プロモーターを含有し(下線を施した配列)、また、HBV DNAポリ
メラーゼのコード領域の開始領域にマッチング領域を有した(野性型HBVゲノ
ムの2309から2340位)。3’オリゴヌクレオチドは、アンチセンスオリ
ゴヌクレオチド(ACAGTAGCTCCAAATTCTTTATAAGGGTCA)であり、これは、HBV
DNAポリメラーゼの停止コドンの300塩基対下流にマッチング領域を有した
(野生型HBVゲノムの1940から1911位)。したがって、得られたPC
R生成物は、既発表の報告におけるものより短い(50塩基対)ものであった。
[α−32P]dTTP(3000Ci/mmole)および[35S]メチオニン(1
000Ci/mmole)はAmershamから入手した。非標識のdATP、dCT
PおよびdGTPはPromegaから入手した。
【0035】 特に註記しない限り、ポリメラーゼ活性の測定は、100mMのトリスHCl
(pH7.5)、10mMのMgCl2、30mMのNaCl、10%のグリセ
ロール、4mMのジチオスレイトール、各100μMの非標識デオキシリボヌク
レオチド三リン酸(dATP、dCTPおよびdGTP)および5μCiの[α
32P]dTTPを含有する溶液中で行なった。この反応系を30℃で30分間
インキュベートし、その後、トリシンドデシル硫酸ナトリウム−ポリアクリルア
ミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)サンプルバッファー(米国Novex製)8
5μlに5μlのアリコートを添加し、さらに、10%SDS−PAGE上で1
0μlを分析した。電気泳動の後、ゲルを10%メタノール+10%酢酸中に浸
漬することにより固定化し、真空乾燥した。乾燥ゲルをX線フィルムに露光し、
レーザーデンシトメトリーによりシグナルを定量した。実施例1:HBV表面抗原変異体のポリメラーゼ活性分析 本発明に従うヒトHBV DNAポリメラーゼの簡便な分析法の直接的な用途
の一つは、主要表面抗原が変異したHBV変異体(特にワクチン接種(すなわち
、‘s’145)によって誘起された変異体)の相対的活性を評価することであ
る。そのようなHBV変異体を含有する血清サンプルから上記のようにしてウイ
ルスDNAを抽出した。本発明で用いる変異体は、‘s’145(グリシンから
アルギニンへの変異)および‘s’126(スレオニンからアラニンへの変異)
を含み、これらの変異は現在適用されている検出系を免れることができ独立して
複製することができるものである。同じオリゴヌクレオチド対を用い、該ウイル
スDNAを鋳型としTaqポリメラーゼ(米国Promega製)を用いてDNAサー
マルサイクラー(米国CetusのPerkin-Elmer製)で35サイクルのPCR増幅を
行なった。各サイクルは、変性温度(94℃)で1.5分間、アニ−リング温度
(53℃)で2分間、および伸長温度(72℃)で4分間とした。
【0036】 SP6を含有し且つ各変異HBVから増幅されたPCR生成物をコムギ胚無細
胞系に添加した。メーカー(米国のPromega)によって与えられた指示に従って
、連結したインビトロの転写/翻訳を実施した。略述すると、SP6RNAポリ
メラーゼ、アミノ酸混合物([35S]メチオニンは不存在)、RNAseインヒビ
ターおよび反応バッファーが補足されたコムギ胚抽出物25μlに、10μlの
PCR生成物を添加し、得られた反応混合物を30℃で60分間インキュベート
した。こうして得られ翻訳されたHBV DNAポリメラーゼを含有する抽出物
を「実験方法一般」に記載した溶液に添加し、上述したようにポリメラーゼ活性
を分析した。図5の分析結果が示すように、変異‘S’145(レーン2)また
は‘S’126(レーン3)のいすれかのHBV DNAポリメラーゼは、野性
型酵素(レーン1)に類似のプライミング活性を有する。このような方法の代わ
りに、レーザーデンシメトリーによって定量的な測定を行ってもよく、これによ
って、プライミングされた放射標識化ポリメラーゼの強さを比較することができ
る。実施例2:ヒトHBV DNAポリメラーゼのインヒビター試験 ヒトHBV DNAポリメラーゼに対するインヒビター(阻害剤)をスクリー
ニングすることは、HBV感染に対する新しい治療剤を提供することになると考
えられる。ポリメラーゼ活性を効果的に阻害すれば、HBVウイルスの複製が抑
制されるからである。本発明に従う簡便な活性アッセイ(分析法)によれば、主
要表面抗原が変異したHBV変異体のDNAポリメラーゼに対して、新たに見出
された分子が奏する阻害効果を迅速に分析することができる。すなわち、候補と
なる阻害剤を、先ず、既述したように本発明に従ってPCR増幅されインビトロ
翻訳された野性型のヒトHBV DNAとともにインキュベートした。インキュ
ベーションは[α−32P]dTTPの存在下で且つ他の条件は上述したのと同じに
して行なった。阻害効果の測定は、SDS−PAGE分析の後にレーザーデンシ
メトリーを行うか、または、ろ過の後に、ニトロセルロース膜に結合した放射標
識化HBV DNAポリメラーゼの量を測定することにより行なう。ここで注目
すべきことは、このような抗ウイルス剤の阻害機能の分析法は、HBV変異体(
ワクチンによって誘起される変異‘S’145を含む)にも簡単に適用できるこ
とであり(図5)、これも本発明に包含されるものである。さらに、上述したア
ッセイに従う阻害機能の分析法は、他の系、例えば、HBV産生細胞系およびト
ランスジェニック動物モデルにも拡張できる。
【0037】 標識されたハイブリッドHBV DNAポリメラーゼ生成物の検出は、用いた
標識(ラベル)の種類に応じて、任意の適当な手段により行なうことができる。
一般的に、これには、標識されたヒトHBV DNAポリメラーゼから標識され
たモノヌクレオチドを分離する工程が含まれる。好ましい態様においては、サン
プル混合物(この時点では、標識されたヒトHBV DNAポリメラーゼと標識
された過剰のモノヌクレオチドを含有している)をニトロセルロース膜を通して
ろ過することによって、検出を行なう。結合されていない過剰の標識化モノヌク
レオチドはニトロセルロース膜を通りぬけるが、標識されたハイブリッドポリメ
ラーゼ反応性生物はニトロセルロース膜上に捕獲される。上述の本発明に従う簡
略な分析法におけるように標識(ラベル)が放射性標識である場合には、次に、
プレートを読み取るシンチレーションカウンターを用いて、フィルターに結合さ
れた放射活性の量を定量することができる。このような測定は、電気泳動工程を
包含しないという点において従来のものよりきわめて有利である。
【0038】 本発明においては、HBV DNAポリメラーゼ活性を阻害することのできる
以下のようなヌクレオチドアナログを分析して、それらのプライミング活性を分
析する。すなわち、ddTTP、ddGTP、ddCTP、ddATPおよびラ
ミブジン(lamivudine)である。分析条件は、「実験方法一般」に記述したのと
同じである。略述すると、分析混合物中のヌクレオチドの代わりに、特定のヌク
レオチドアナログの抗プライミング試験における対応するヌクレオチドアナログ
を用いる(すなわち、dGTPは、ddGTPの抗プライミング活性測定用のd
dGTPと置換しなければならない)。反対に、ddTTP(放射標識されたヌ
クレオチドはdTTPである)やラミブジンの抗プライミング活性を試験する場
合には、ヌクレオチドを置換しない。インキュベーションが終了した時点で、反
応混合物を静かにドッティングすることにより2×2cmのニトロセルロース膜
に移す。次に、トリスHCl(pH7.5)、100mMのNaCl、20mM
のMgCl2および0.5%ウシ血清アルブミン400mlでニトロセルロース
膜を洗うことにより、結合されていない標識化dTTPを分離する。その後、ニ
トロセルロース膜に結合している放射標識された残存ヒトHBV DNAポリメ
ラーゼをプレート読み取りシンチレーションカウンターを用いて定量する。図6
の結果が示すように、ddCTPおよびddGTPの存在下においては、対照の
分析(ヌクレオチドアナログが存在しない)に比べて、[32p]で標識されたヒト
HBV DNAポリメラーゼの量が有意に低下しており、したがって、それらが
抗プライミング活性を有することを示している。対照的に、ddTTPまたはd
dATPのいずれについても抗プライミング活性は認められない。
【0039】
【発明の効果】
本発明は、ヒトHBV DNAポリメラーゼの簡便な活性分析法に基づくもの
である。本発明に従えば、クローニングを必要とすることなく血清サンプルから
直接的にヒトHBV DNAポリメラーゼを測定することができる。したがって
、本発明によれば、数が増加している、主要表面抗原の変異するHBV変異体の
迅速な評価と監視が可能となる。さらに、本発明は、そのようなHSV変異体、
特に、肝臓疾病に関連しワクチン接種によって誘発されるHBV変異体(例えば
、‘S’145)や、最終的には肝臓疾患に罹ると考えられる無症候性患者に見
出されるようなHBV変異体に対する抗ウイルス剤の阻害効果を調べるための簡
単に利用できる分析法を与えるものである。
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】 ヒトHBVのゲノム構造を線状化して示すものである。
【図2】 野性型HBVを有する血清から単離したウイルスDNAを用いて増幅したPC
R生成物の電気泳動パターンを示す写真である。
【図3】 コムギ胚リゼート中でインビトロ翻訳された野性型HBV DNAポリメラー
ゼを示すオートラジオグラフである。
【図4】 野性型HBV DNAポリメラーゼのインビトロのプライミング活性を示すオ
ートラジオグラフである。
【図5】 野性型および表面抗原が変異したHBV DNAポリメラーゼのインビトロの
プライミング活性を示すオートラジオグラフである。
【図6】 野性型のヒトHBV DNAポリメラーゼに対するヌクレオチドアナログの抗
プライミング効果をまとめたものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G01N 33/15 C12N 15/00 ZNAA 33/50 G01N 27/26 315Z (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SL,SZ,UG,ZW),E A(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ ,TM),AL,AM,AT,AU,AZ,BA,BB ,BG,BR,BY,CA,CH,CN,CU,CZ, DE,DK,EE,ES,FI,GB,GD,GE,G H,GM,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP ,KE,KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR, LS,LT,LU,LV,MD,MG,MK,MN,M W,MX,NO,NZ,PL,PT,RO,RU,SD ,SE,SG,SI,SK,SL,TJ,TM,TR, TT,UA,UG,US,UZ,VN,YU,ZW (72)発明者 チェン・ウェイ・ニン シンガポール 080104 スポッティスウッ デ パーク ロード ナンバー 22−114 ブロック 104 シンガポール ミニス トリー オブ ヘルス ディパートメント オブ クリニカル リサーチ ランサム リサーチ ラボラトリー シニア リサ ーチ サイエンティスト (72)発明者 リム・ゲック・コウ シンガポール 426180 ロロン ジー テ ロッククラウ 16 シンガポール ミニス トリー オブ ヘルス ディパートメント オブ クリニカル リサーチ ランサム リサーチ ラボラトリー シニア メディ カル テクノロジスト (72)発明者 リォン・アイ・リン シンガポール 760263 ナンバー 12− 161イーシュン ストリート 22 ブロッ ク 263 シンガポール ミニストリー オブ ヘルス ディパートメント オブ クリニカル リサーチ ランサム リサー チ ラボラトリー ラボラトリー テクニ シャン Fターム(参考) 2G045 BB50 BB51 DA13 FB01 FB05 FB08 4B024 AA03 AA11 BA10 CA02 CA20 DA20 EA10 FA02 GA11 HA11 4B050 CC03 DD01 EE01 LL01 LL03 LL05 4B063 QA01 QA05 QQ28 QQ61 QR08 QR32 QR39 QR42 QR49 QR62 QR78 QR90 QX07 (54)【発明の名称】 ヒトB型肝炎ウイルス(HBV)DNAポリメラーゼのインビトロ活性分析法、該分析法を用い る各種血清サンプルの活性分析法およびHBVDNAポリメラーゼのインヒビターのスクリーニ ング法、ならびにHBVDNAポリメラーゼの産生方法

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ヒトB型肝炎ウイルス(HBV)DNAのインビトロ活性を
    分析する方法であって、サンプルからHBV DNAポリメラーゼをPCR増幅
    する際の5’オリゴヌクレオチドとして、SP6ウイルスプロモーターが導入さ
    れたオリゴヌクレオチドを用いること、真核細胞を含まないリゼート中でPCR
    生成物を直接転写し翻訳させること、および、放射性標識剤の存在下にHBV
    DNAポリメラーゼのプライミングを測定することを含むことを特徴とする分析
    法。
  2. 【請求項2】 放射性標識剤が放射標識された三リン酸ヌクレオチドである
    請求項1に従う分析法。
  3. 【請求項3】 放射標識された三リン酸ヌクレオチドがdTTPまたはその
    アナログである請求項2に従う分析法。
  4. 【請求項4】 放射性標識剤がアッセイバッファーである請求項1,2また
    は3に従う分析法。
  5. 【請求項5】 ポリアクリルアミドゲル電気泳動により、コンプレックスが
    アッセイバッファーから分離される請求項4に従う分析法。
  6. 【請求項6】 ろ過により、コンプレックスがアッセイバッファーから分離
    される請求項4に従う分析法。
  7. 【請求項7】 サンプルが血清サンプルである請求項1〜6のいずれかに従
    う分析法。
  8. 【請求項8】 血清サンプルが、ヒトHBV野性型ウイルスまたは表面抗原
    変異体(例えば、ワクチンエスケープ、平常個体群およびB型肝炎罹患者由来の
    もの)を含有する請求項7に従う分析法。
  9. 【請求項9】 請求項1〜8のいずれかに従う分析法を用いる、各種血清サ
    ンプルの活性分析法。
  10. 【請求項10】 請求項1〜8のいずれかに従う分析法を用いる、HBV
    DNAポリメラーゼのインヒビターのスクリーニング法。
  11. 【請求項11】 請求項1〜8のいずれかに従う分析法を用いる、ヒトHB
    V DNAポリメラーゼのDNAプライミング活性に対する阻害能を有する抗H
    BV薬剤の試験および/またはスクリーニング法。
  12. 【請求項12】 次の工程を含む請求項11の方法。 a)所定量のアッセイバッファーに溶かした少なくとも1つのサンプルを調製し
    、各サンプルに、鋳型として線状PCR生成物、および、ステムループ構造を形
    成することのできる配列を含むHBVマイナス鎖合成のRNA鋳型を用いて無真
    核細胞リゼート中でインビトロ翻訳されたヒトHBV DNAポリメラーゼタン
    パク質を含有させる工程、 b)前記アッセイバッファーと等量のアッセイバッファーに溶かしたコントロー
    ルサンプルを調製し、該コントロールサンプルに、鋳型として線状PCR生成物
    、および、ヒトHBV DNAポリメラーゼの結合およびプライミングに必須で
    ある、ステムループ構造を形成することのできる配列を含むHBVマイナス鎖合
    成のRNA鋳型を用いてインビトロ翻訳されたヒトHBV DNAポリメラーゼ
    タンパク質を含有させる工程、 c)それらのサンプルをインキュベートして、DNAポリメラーゼおよび放射性
    標識剤から成るコンプレックスを得る工程、 d)アッセイバッファーからコンプレックスを分離する工程、および e)分離された各コンプレックス中の放射性標識剤の量を測定して、ヒトHBV DNAポリメラーゼのDNAプライミング活性を検知する工程。
  13. 【請求項13】 分離したコンプレックス中の放射性標識剤の量を比較する
    ことを含む請求項12の方法。
  14. 【請求項14】 工程c)、d)およびe)が下記の工程と置換される請求
    項12の方法。 c)前記の試験管とコントロール用試験管のそれぞれを、前記HBVマイナス鎖
    DNAに導入された第1のヌクレオチドを含む放射標識された三リン酸ヌクレオ
    チドの等量を用いて、前記ヒトHBV DNAポリメラーゼのDNAプライミン
    グ活性に好適な条件下にインキュベートして、前記DNAポリメラーゼと前記放
    射標識された三リン酸ヌクレオチドから成るコンプレックスを形成させる工程;
    d)ニトロセルロース膜を用いたろ過により、前記試験管およびコントロール用
    試験管のそれぞれのアッセイバッファーから前記コンプレックスを分離する工程
    ; e)分離された各コンプレックス中の放射標識三リン酸ヌクレオチドの量を測定
    して、ヒトHBV DNAポリメラーゼのDNAプライミング活性を検知する工
    程; f)前記試験管およびコントロール用試験管の各々のニトロセルロース膜に結合
    して残存している分離コンプレックス中の放射標識三リン酸ヌクレオチドのそれ
    ぞれの量を比較し、試験管の分離コンプレックス中の放射標識三リン酸ヌクレオ
    チドの量の減少をコントロール用試験管と比較したものから、抗HBV薬剤によ
    る、ヒトHBV DNAのポリメラーゼのDNAプライミング活性に対する阻害
    能を調べる工程。
  15. 【請求項15】 鋳型として線状PCR生成物を用いる線状DNAフラグメ
    ントから直接、HBV DNAポリメラーゼを産生する方法。
  16. 【請求項16】 5’センスオリゴヌクレオチドにSP6ポリメラーゼプロ
    モーターを導入することを含む請求項15に従う方法。
  17. 【請求項17】 5’センスオリゴヌクレオチドが、ヒトHBV DNAポ
    リメラーゼ遺伝子のコード領域の最初の30のヌクレオチドを含み、SP6プロ
    モーターが該オリゴヌクレオチドにおいてHBV配列の上流に位置している請求
    項16に従う方法。
  18. 【請求項18】 ヒトHBV DNAポリメラーゼ遺伝子の停止コドンの上
    流300塩基対に位置する3’アンチセンスオリゴヌクレオチドを合成すること
    を含む請求項15に従う方法。
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