JP2002523043A - 機能性ヒトプリン受容体p2x2をコードする核酸ならびにそれの製造方法および使用 - Google Patents

機能性ヒトプリン受容体p2x2をコードする核酸ならびにそれの製造方法および使用

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JP2002523043A JP2000566421A JP2000566421A JP2002523043A JP 2002523043 A JP2002523043 A JP 2002523043A JP 2000566421 A JP2000566421 A JP 2000566421A JP 2000566421 A JP2000566421 A JP 2000566421A JP 2002523043 A JP2002523043 A JP 2002523043A
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リンチ,ケビン・ジエイ
バーガード,エドワード・シー
メツツガー,ランデイ・イー
ニフオラトス,ウエンデ
トーマ,エドワード・ビイ
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Abstract

(57)【要約】 ヒトP2Xプリン性受容体ポリペプチドが提供される。ヒトP2X受容体ポリペプチドをコードする核酸分子ならびにそのような核酸分子を有するベクターおよび宿主細胞も提供される。さらに、P2X受容体ポリペプチドの製造方法も提供され、そのようなポリペプチドおよびそれを発現する宿主細胞を用いてP2X受容体に対する活性を有する化合物をスクリーニングする方法も提供される。さらに、この受容体の態様が関与する治療用途が想到される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 (技術分野) 本発明は、受容体蛋白ならびにそれをコードするDNA分子およびRNA分子
に関する。詳細には本発明は、ヒト受容体P2Xをコードする核酸配列に関す
る。本発明はまた、それによってコードされた受容体を用いてそれと相互作用す
る化合物を確認する方法に関するものでもある。本発明はさらに、P2X受容
体との反応性を有する化合物に対する拮抗薬および作働薬として作用する化合物
ならびにその反応性の測定に利用される方法に関するものでもある。本発明には
さらに、その受容体の態様が関与する治療方法も関与する。
【0002】 (背景技術) P2受容体は、細胞外ヌクレオチドについてのメタボトロピック(metabotrop
ic)ヌクレオチド受容体またはイオノトロピック受容体として分類されている。
メタボトロピックヌクレオチド受容体(通常は、P2YまたはP2Yと称され
、「n」はサブタイプを示す下付整数である)は、膜内外信号伝達の異なった基
本的手段に基づいたものであるという点でイオノトロピック受容体(通常P2X
またはP2Xと称される)とは異なると考えられている。P2Y受容体はG蛋
白結合系を介して機能するが、P2X受容体はリガンド依存性イオンチャンネル
である。これらP2X受容体のリガンドはATPないしは他の天然ヌクレオチド
、例えばADP、UTP、UDPもしくは2−メチルチオATPなどの合成ヌク
レオチドである。
【0003】 少なくとも7種類のP2X受容体およびそれらをコードするcDNA配列がこ
れまで確認されている。P2XcDNAはラット精管の平滑筋からクローニン
グされており(Valera et al. (1994) Nature 371: 516-519)、P2XcDN
AはPC12細胞からクローニングされている(Brake et al. (1994) Nature 3
71: 519-523)。他の5種類のP2X受容体は、P2XおよびP2Xとのそ
れらの配列の類似性によってcDNAライブラリーで認められている(P2X3: Le
wis et al. (1995) Nature 377:432-435, Chen et al. (1995) Nature 377:428-
431; P2X4: BueIl et al. (1996) EMBO J. 15: 55-62, Seguela et al. (1996)
J. Neurosci. 16:448-455, Bo et al. (1995) FEBS Lett. 375: 129-133, Soto
et al. (1996) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 93: 3684-3688, Wang et al. (199
6) Biochem. Biophys. Res. Commun. 220: 196-202; P2X5: Collo et al. (1996
) J. Neurosci. 16: 2495-2507, Garcia-Guzman et al. (1996) FEBS Lett. 388
: 123-127; P2X6: Collo et al. (1996), supra, Soto et al. (1996) Biochem.
Biophys. Res. Commun. 223: 456-460; P2X7: Surprenant et al. (1996) Scie
nce 272: 735-738)。ラットP2X受容体のアミノ酸配列の比較については、ブ
エルらの報告を参照する(Buell et al. (1996) Eur. J. Neurosci. 8: 2221-22
28)。
【0004】 天然P2X受容体は、ATPによって活性化される急速活性化・非選択的カチ
オンチャンネルを形成する。ラットP2XとラットP2XはNaとK
対して同等の透過性を有するが、Csに対しては大幅に低い。P2X受容体に
よって形成されるチャンネルは高いCa2+透過性を有する(PCa/PNa
4)。クローン化ラットP2X、P2XおよびP2X受容体は天然受容体
で認められるものと同等のCa2+透過性を示す。しかしながら、P2X受容体
がイオン孔を形成したりATPに結合する機構は未解明である。
【0005】 上皮、免疫、筋肉およびニューロンなどの各種組織および細胞種が1以上の型
のP2X受容体を発現する。ラット中枢神経系にP2X受容体が広く分布して
いることから、中秋神経系におけるP2X介在事象における役割が示唆される
。しかしながら、個々のP2X受容体の役割についての研究は、受容体サブタイ
プ特異的な作働薬および拮抗薬がないために困難である。例えば、ATP依存性
チャンネルの研究に有用なある作働薬はα,β−メチレン−ATP(α,βme
ATP)である。しかしながらP2X受容体はその作働薬に対する感度が異なっ
ており、P2XとP2Xはそれぞれα,βmeATP感受性および非感受性
である。さらに、α,βmeATPのP2X受容体への結合は常にチャンネル開
放を生じるとは限らない。ラット脳における支配的な形のP2X受容体であるP
2XおよびP2X受容体は、スラミンやPPADSによって遮断することが
できない。これら2種類のP2X受容体はα,βmetATPによる活性化も受
けず、従って現在使用可能な薬理的手段を用いた研究が困難である。
【0006】 P2受容体の治療的役割は例えば、嚢胞性線維症(Boucher et al. (1995) in
: Belardinelli et al. (eds) Adenosine and Adenine Nucleotides: From Mole
cular Biology to Integrative Physiology (Kluwer Acad., Norwell MA) pp.52
5-532)、糖尿病(Loubatieres-Mariani et al. (1996) in: Belardinelli et a
l. (eds), supra, pp.337-345)、免疫疾患および炎症疾患(Di Virgilio et al
. (1995) in: Belardinelli et al. (eds), supra, pp.329-335)、癌(Rapapor
t (1993) Drug Dev. Res. 28: 428-431)、便秘および下痢(Milner et al. (19
94) in: Kamm et al. (eds) Constipation and Related Disorders: Pathophysi
ology and Management in Adults and Children (Wrightson Biomedical, Brist
ol) pp.41-49)、癲癇、抑鬱および加齢関連変性疾患などの行動障害(Williams
(1993) Drug. Dev. Res. 28: 438-444)、避妊および不妊(Foresta et al. (1
992) J. Biol. Chem. 257: 19443-19447)ならびに創傷治癒(Wang et al. (199
0) Biochim. Biophys. Res. Commun. 166: 251-258)に関して示唆されている。
【0007】 従って当業界においては、各P2X受容体サブタイプに対する特異的作働薬
および拮抗薬、詳細にはin vivoで有効な薬剤、ならびにP2X受容体特異的
な作働薬化合物および拮抗薬化合物の確認方法が必要とされている。
【0008】 (発明の開示) 本発明はヒトP2X受容体に関するものである。
【0009】 1実施態様において、DNA分子またはそれの断片であって、該DNA分子が
ヒトP2X受容体またはそれのサブユニットをコードするものが提供される。
【0010】 別の実施態様において、そのようなDNA分子またはそれの断片を有する組換
えベクターが提供される。
【0011】 別の実施態様において本発明は、単独または多重体の形でのヒトP2X受容
体ポリペプチドに関するものである。
【0012】 さらに他の実施態様において本発明は、前記DNAによってコードされたメッ
センジャーRNA、前記DNAもしくはそれの断片を有するベクターでトランス
フォーメーションまたはトランスフェクションされた組換え宿主細胞、ならびに
そのような細胞を用いた組換えP2Xポリペプチドの製造方法に関するもので
ある。
【0013】 さらに別の実施態様において本発明は、細胞中でヒトP2X受容体もしくは
それのサブユニットを発現して結果的にP2Xを含む受容体を得る方法に関す
るものである。
【0014】 さらに別の実施態様において本発明は、そのような細胞を用いて上記P2X 含有受容体と調節その他の相互作用を行う治療効果を有する可能性のある化合物
を確認する方法に関するものである。
【0015】 別の実施態様においては、ATP作働薬または拮抗薬などのP2X調節剤が
関与する治療的使用が想到される。
【0016】 本発明のこれらおよび他の実施態様については当業者であれば、本明細書の開
示内容を考慮することで容易に理解できよう。
【0017】 (図面の簡単な説明) 図1は、ラットP2X受容体の領域と相同性であるポリペプチドをコードす
るヒト胎児結腸組織由来のcDNAクローンの部分配列を示している(配列番号
1)。
【0018】 図2は、cDNAクローンの全配列(配列番号2)を描いたものであり、下線
を施した配列は図1の配列との重なりを示している。
【0019】 図3a〜eは図2のcDNA用のプライマーと市販のRACEプライマーを描
いたものであり、3aはGSP1(配列番号3)の図であり、3bはGSP2(
配列番号4)の図であり、3cはGSP3(配列番号5)の図であり、3dはア
ンカープライマー(配列番号6)の図であり、3eはユニバーサル増幅プライマ
ー(配列番号7)の図である。
【0020】 図4は、ヒト下垂体組織からのポリA RNAを用いた5’RACE反応によ
って産生された約600bpの産生物(配列番号8)を描いたものである。
【0021】 図5は、ゲノムプライマーの図である(配列番号9および配列番号10)。
【0022】 図6はhP2X RT−PCRプライマーの図である(配列番号11および
配列番号12)。
【0023】 図7a〜dは、予想される開始部位から終止部位までの完全な転写解読枠を含
む4種類のcDNAの図である(それぞれ配列番号13、配列番号14、配列番
号15および配列番号16)。
【0024】 図8a〜dは、図7のヌクレオチドによってコードされる予想アミノ酸配列の
図である(配列番号17、配列番号18、配列番号19および配列番号20)。
【0025】 図9は、前記予想アミノ酸配列のアライメントを示した図である(配列番号1
7、配列番号18、配列番号19および配列番号20)。
【0026】 図10は、hP2Xチャンネルの電気生理学的特徴を示す図である。
【0027】 (発明を実施するための最良の形態) 本発明の実施においては別段の断りがない限り、当業界の範囲内にある分子生
物学、微生物学、組換えDNA技術、電気生理学および薬理学の従来の技術を用
いるものである。そのような技術は文献において十分に説明されている(例えば
、Sambrook, Fritsch & Maniatis, Molecular cloning: A Laboratory Manual,
Second Edition (1989),. DNA Cloning, Vols. I and II (D.N. Glover Ed. 198
5): Perbal, B., A Practical Guide to Molecular Cloning (1984); the serie
s, Methods In Enzymology (S. Colowick and N. Kaplan eds., Academic Press
, Inc.); Transcription and Translation (Hames et al. eds. 1984); Gene Tr
ansfer Vectors For Mammalian Cells (J. H. Miller et al. eds. (1987) Cold
Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, N.Y.); Scopes, Protein Pu
rification: Principles and Practice (2nd ed., Springer-Verlag); and PCR:
A Practical Approach (McPherson et al. eds. (1991) IRL Press参照)。
【0028】 上記・下記を問わず本明細書に引用の全ての特許、特許出願および刊行物は、
引用によってその全体が本明細書に含まれるものであり、当業界の一般的な状況
を代表するものである。
【0029】 本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、「一つの」および「
その」という単数形は、記載内容において明瞭に他の説明がない限り複数表示を
含むものである。そこで例えば、「一つのプライマー」と記載されている場合に
はそのようなプライマーを2個以上含むものであり、「一つのアミノ酸」と記載
されている場合には複数のそのようなアミノ酸を含むという具合である。
【0030】 本発明を説明するにおいて以下の用語を用い、それらは以下に示した定義のも
のとする。
【0031】 「P2受容体」という用語は、天然・合成を問わずリガンドATPおよび/ま
たは他のプリンもしくはピリミジンヌクレオチドのプリン作働性受容体を指す。
P2受容体は一般に、「P2X」または「P2Y」受容体に下位分類される。こ
れらの種類はその薬理、構造および信号伝達機構において異なっている。P2X
受容体は一般にリガンド依存性イオンチャンネルであるが、P2Y受容体は一般
にG蛋白結合系を介して作用する。さらに理論に拘束されるものではないが、P
2X受容体は受容体ポリペプチドの多重体を有すると考えられており、その多重
体は同一または異なるサブタイプのものであることができる。結果的に、「P2
X受容体」という用語は適宜に、個々の受容体サブユニットもしくは複数サブユ
ニットならびにそれによって構成されるホモメリックおよびヘテロメリック受容
体を指す。
【0032】 「P2X」という用語は、nが1以上であるP2X受容体サブタイプを指す
。本発明の時点では7以上のP2X受容体サブタイプが単離および/または特
性決定されている。
【0033】 「P2X受容体作働薬」とは、P2X受容体に結合しそれを活性化する化
合物である。「活性化する」とは、1以上の薬理的、生理的または電気生理的応
答の誘発を意味する。そのような応答には受容体特異的細胞脱分極の上昇などが
あり得るが、それに限定されるものではない。
【0034】 「P2X受容体拮抗薬」とは、P2X受容体に結合し、作働薬がその受容
体を活性化させるのを防止する化合物である。純粋な拮抗薬は受容体を活性化す
るものではないが、一部の物質では作働薬と拮抗薬の特性が混在している場合が
ある。
【0035】 本明細書で使用される「ポリヌクレオチド」という用語は、リボヌクレオチド
またはデオキシリボヌクレオチドのいずれであっても、あらゆる長さのポリマー
型のヌクレオチドを意味する。この用語は、分子の一次構造のみを指すものであ
る。そこでこの用語には二本鎖および一本鎖のDNAならびに二本鎖および一本
鎖のRNAが含まれる。それにはまた、メチル化および/またはキャッピングな
どによる修飾型および未修飾型のポリヌクレオチドが含まれる。
【0036】 「変異体」という用語は、1以上のヌクレオチドの挿入、欠失または置換にお
いて関連する野生型の配列と異なるオリゴヌクレオチド配列を指すのに用いられ
る。構造的に保存的な突然変異によるものでない場合(下記参照)、そのような
変異体オリゴヌクレオチドは「蛋白変異体」として発現され、その用語は本明細
書で使用される場合、1以上のアミノ酸の挿入、欠失または置換において野生型
のポリペプチドと異なるポリペプチド排列を指す。蛋白変異体は野生型と比較し
て、一次構造(アミノ酸配列)において異なるが、二次構造や三次構造あるいは
機能においては大きく異なる場合と異ならない場合がある。
【0037】 「突然変異体」という用語は、遺伝子または染色体の変化の結果として新たな
遺伝形質または表現型を示す生物または細胞を指す。しかしながら「突然変異体
」が変異体の蛋白もしくはオリゴヌクレオチドを指すのに使用される場合があり
、「突然変異」が変異体の基礎となる変化を指す場合がある。
【0038】 「ポリペプチド」と「蛋白」は本明細書においては互換的に使用され、ペプチ
ド結合を介して連結したアミノ酸の分子鎖を示す。この用語は生成物の具体的な
長さを指すものではない。そこでペプチド、オリゴペプチドおよび蛋白はポリペ
プチドの定義に含まれるものである。これらの用語には、ポリペプチドの翻訳後
変性、例えばグリコシル化、アセチル化、リン酸化などが含まれる。さらに、ポ
リペプチドの意味には、蛋白断片、類縁体、突然変異もしくは変異体蛋白、融合
蛋白などが含まれる。ただしそのような断片等が所期の用途に必要な結合その他
の特性を保持する場合である。
【0039】 本明細書で使用される「機能的に保存的な突然変異」とは、誘導体ポリペプチ
ドをコードするポリヌクレオチドにおける変化であって、その誘導体を与えるポ
リペプチドと比較して活性が実質的に変化しないものを指す。そのような誘導体
は例えば、実質的に特性に影響しない関連分子でのアミノ酸の挿入、欠失または
置換を有することができる。例えばその誘導体は、全体的な電荷、疎水性/親水
性、側鎖部分および/または置換されたアミノ酸(例:Gly/Ala、Val
/Ile/Leu、Asp/Glu、Lys/Arg、Asn/Gln、Thr
/SerおよびPhe/Trp/Tyr)の立体的嵩高さを保存する置換などの
保存的アミノ酸置換を含むことができる。
【0040】 「構造的に保存的な突然変異体」という用語は、ヌクレオチド配列において変
化を有するが、変性変異体を生じるポリヌクレオチドがコードするポリペプチド
と同じアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを指す
。これは、複数のコドンすなわち3種類のヌクレオチドの配列によって特異的ア
ミノ酸がコードされることから、すなわち遺伝暗号の変質のために起こり得るも
のである。
【0041】 「組換え宿主細胞」、「宿主細胞」、「細胞」、「細胞系」および単細胞体と
して培養される微生物またはそれより高等な真核細胞系を指す他のそのような用
語は、DNAが細胞に導入される方法または細胞のその後の位置とは無関係に、
組換えベクターその他の転移DNAの受容器として用いることができるまたは用
いられた細胞を指す。それらの用語には、トランスフェクションされた元の細胞
の後代を含むものである。一次培養における細胞と卵母細胞などの細胞も受容器
として用いることができる。
【0042】 「ベクター」とは、別のポリヌクレオチド部分が結合して、例えば結合した部
分の複製および/または発現を生じるレプリコンである。この用語には、発現ベ
クター、クローニングベクターなどが含まれる。
【0043】 「コード配列」とは、mRMAに転写されるないしはポリペプチドに翻訳され
るポリヌクレオチド配列である。コード配列の範囲は、5’末端の翻訳開始コド
ンと3’末端の翻訳終止コドンによって決定される。コード配列にはmRNA配
列、cDNA配列および組換えポリヌクレオチド配列などがあり得るが、これら
に限定されるものではない。変異体または類縁体は、コード配列の一部の欠失に
よって、配列の挿入によって、ないしは配列内の1以上のヌクレオチドの置換に
よって得ることができる。部位指向的突然変異誘発などのヌクレオチド配列変更
の技術は当業者には公知である(例えば、Sambrook et al., supra; DNA Clonin
g, Vols. I and II, supra; Nucleic Acid Hybridization, supra参照)。
【0044】 「機能可能な形で連結」とは、記載されている要素がその所期の形で機能でき
るような関係にある状況を指す。そこで例えば、コード配列に「機能可能な形で
連結」した調節配列は、調節配列と同等の条件下でコード配列の発現が行われる
ような形で連結している。コード配列は、ポリヌクレオチドの転写の方向を決定
する調節配列に機能可能な形で連結され、それによってそのポリヌクレオチドが
宿主細胞で発現されるようにすることができる。
【0045】 「トランスフェクション」という用語は、挿入に使用される方法や挿入される
ポリヌクレオチドの分子型とは無関係に、宿主細胞への外因性ポリヌクレオチド
の挿入を指す。ポリヌクレオチドの挿入自体と外因性ポリヌクレオチドから構成
されるプラスミドもしくはベクターの挿入が含まれる。外因性ポリヌクレオチド
は、細胞によって直接転写および翻訳したり、例えばプラスミドなどの非組み込
みベクターとして維持することができたり、あるいは別法として宿主ゲノム中に
安定に組み込むことができる。「トランスフェクション」とは一般に、真核細胞
に関して使用されるものであり、「トランスフォーメーション」という用語は原
核細胞へのポリヌクレオチドの挿入を指すのに使用される。真核細胞の「トラン
スフォーメーション」は、癌状態または腫瘍形成状態の形成を指すのに用いられ
る場合もある。
【0046】 ポリヌクレオチドまたはポリペプチドに言及する場合の「単離」という用語は
、示された分子が他の同様の生理的巨大分子が実質的に存在しない状態で存在す
ることを意図している。本明細書で使用される「単離」という用語は、組成物の
75重量%以上、より好ましくは85重量%以上、さらに好ましくは95重量%
以上、最も好ましくは98重量%以上が単離ポリヌクレオチドもしくはポリペプ
チドであることを意味する。特定のポリペプチドをコードする「単離ポリヌクレ
オチド」とは、対象とするポリペプチドをコードしない他の核酸分子を実質的に
含まないポリヌクレオチドを指す。しかしながらその分子は、本明細書で定義の
機能的および/または構造的に保存的な突然変異を含むことができる。
【0047】 本明細書で使用される「被験サンプル」とは、P2X受容体源である個人の
身体の要素を意図するものである。その被験サンプルには、本明細書に記載の本
発明の方法によって評価することができる生物サンプルを含むものであり、全血
などの体液、組織および細胞標本を含むものである。
【0048】 以下の1文字アミノ酸略称を本明細書本文を通じて使用している。
【0049】 アラニン:A;アルギニン:R アスパラギン:N;アスパラギン酸:D システイン:C;グルタミン:Q グルタミン酸:E;グリシン:G ヒスチジン:H;イソロイシン:I ロイシン:L;リジン:K メチオニン:M;フェニルアラニン:F プロリン:P;セリン:S トレオニン:T;トリプトファン:W チロシン:Y;バリン:V
【0050】 ヒトP2X受容体、それの変異受容体またはポリペプチドサブユニットをコ
ードするポリヌクレオチドならびにその受容体の製造方法が本発明で提供される
。本発明には、P2X受容体だけでなく、その受容体および該受容体を発現す
る細胞を用いた化合物のスクリーニング方法も含まれる。さらに、その受容体の
検出方法で用いることが出来るポリヌクレオチドおよび抗体、ならびにそれらの
方法で有用な試薬が提供される。前記受容体およびそれの発現を調節する上で有
用な化合物およびポリヌクレオチドも以下に記載に開示されたように提供される
【0051】 好ましい1実施態様において前記ポリヌクレオチドは、ヒトP2X受容体ポ
リヌクレオチドまたは保存的アミノ酸置換を有するそれの蛋白変異体をコードす
る。
【0052】 ヒトP2X受容体をコードするDNAおよびそれの変異体は、合成または併
用技術によって製造されるゲノムまたはcDNAから誘導することができる。次
にそのDNAを用いてヒトP2X受容体を発現させることができるか、あるい
はそのDNAを当業界で公知の方法を用いたRNA製造の鋳型として(Sambrook
et al., supra参照)または他のP2Xコードヌクレオチド配列に選択的にハ
イブリダイゼーションできることからそれの存在を検出することができる分子プ
ローブとして用いることができる。
【0053】 P2X受容体をコードするcDNAは適切なDNAライブラリーから得るこ
とができる。cDNAライブラリーはグルンスタインらの報告(Grunstein et a
l. (1975) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 73: 3961に記載の手順を用いて調べる
ことができる。そうして得られたcDNAを次に、ポリメラーゼ連鎖反応(「P
CR」)およびプライマー配列を用いて修飾および増幅することで、ヒトP2X 受容体をコードするDNAを得ることができる。
【0054】 より詳細にはPCRは、DNA分子内の所望の配列の反対の末端に一致する短
いオリゴヌクレオチドプライマー(一般に長さ10〜20ヌクレオチド)を用い
る。プライマー間の配列は知る必要はない。最初の鋳型はRNAまたはDNAで
あることができる。RNAを用いる場合、それを最初にcDNAに逆転写する。
次にそのcDNAを熱などの公知の方法を用いて変性させ、適切なオリゴヌクレ
オチドプライマーをモル過剰で加える。
【0055】 プライマー延長はデオキシヌクレオチドトリホスフェートまたはヌクレオチド
類縁体の存在下にDNAポリメラーゼを用いて行う。得られる生成物は、元の鎖
の新たに合成された構成要素に共有結合的に連結した個々のプライマーを5’末
端に有する。複製分子を再度変性させ、生成物が十分に増幅されるまでプライマ
ーなどでハイブリダイゼーションする。そのようなPCR法は例えば、米国特許
4965188号、4800159号、4683202号、4683195号(
これらはその全内容が引用によって本明細書に含まれるものとする)に記載され
ている。PCRの生成物をクローニングし、プライマー延長鎖の分離によって誘
導されるP2X受容体DNAを含むクローンを選択する。選択は、ハイブリダ
イゼーションプローブとしてのプライマーを用いて行うことができる。
【0056】 さらに別形態として、ヒトRNAを原料とするRT−PCR(逆転写酵素−ポ
リメラーゼ連鎖反応)を用いて、P2X受容体DNAを得ることができると考
えられる。ヒトRNAは、従来の方法を用いて、脳、脊髄、子宮または肺などの
P2X受容体が発現される細胞もしくは組織から得ることができる。例えば一
本鎖cDNAは、標準的な逆転写酵素法を用いて鋳型としてのヒトRNAから合
成され、そのcDNAをPCRを用いて増幅する。それはヒト組織RNA鋳型か
らのP2X受容体変異体形成の唯一の例である。
【0057】 合成ヌクレオチドは、ワーナーの報告(Warner (1984) DNA 3: 401)に記載の
ものなどの自動オリゴヌクレオチド合成装置を用いて製造することができる。所
望に応じて、反応に関して標準的な条件を用いて、32P−ATP存在下にポリ
ヌクレオチドキナーゼで処理することで合成鎖の32P標識を行うことができる
。ゲノムライブラリーまたはcDNAライブラリーから単離されるものを含むD
NA配列は、ゾラーの報告(Zoller (1982) Nucleic Acids Res. 10: 6487)に
記載の部位指向的突然変異形成などの公知の方法によって修飾することができる
。すなわち、修飾すべきDNAを1本鎖配列としてファージに取り込ませ、プラ
イマーとして修飾すべきDNA部分に対して相補的であってそれ自体の配列に所
望の修飾を有する合成オリゴヌクレオチドを用いてDNAポリメラーゼによって
二本鎖DNAに変換する。ファージの各鎖の複製を含む形質転換細菌の培養物を
寒天で平板培養してプラークを得る。理論的には、新たなプラークの50%が突
然変異配列を有するファージを含み、残りの50%が最初の配列を有する。プラ
ークの複製物を、未修飾配列とではなく正しい鎖とのハイブリダイゼーションに
適した温度および条件で標識合成プローブにハイブリダイゼーションする。ハイ
ブリダイゼーションによって確認された配列を回収・クローニングする。別法と
して、ハイブリダイゼーションによる野生型と変異体との識別が困難である場合
には、配列分析によってクローンを確認する必要がある場合がある。いずれの場
合も、DNAは配列確認されると考えられる。
【0058】 一旦製造されたら、P2X受容体をコードするDNAをクローニングベクタ
ーまたは好適な宿主細胞で複製するための発現ベクター中に組み込むことができ
る。ベクターの構築では当業界で公知の方法を用いる。一般に部位特異的DNA
開裂は、市販酵素の製造業者が言及している条件下で好適な制限酵素で処理する
ことで行う。制限酵素とともにインキュベートした後、蛋白を抽出によって除去
し、DNAを沈殿によって回収する。開裂した断片は例えば、当業者に公知の方
法に従って、ポリアクリルアミドまたはアガロースゲル電気泳動を用いて分離す
ることができる。
【0059】 付着性末端開裂断片を、混合物中に存在する適切なデオキシヌクレオチド三リ
ン酸(dNTPs)存在下に大腸菌DNAポリメラーゼ1(Klenow)を用いて末
端平滑化することができる。S1ヌクレアーゼ処理を行って、一本鎖DNA部分
の加水分解を行うこともできる。T4 DNAリガーゼおよびATPを用い、標
準的な緩衝液および温度条件を用いることで連結を行う。別法として、望ましく
ない断片の制限酵素消化を用いて連結を防止することができる。
【0060】 標準的なベクター構築には特異的抗体抵抗要素が含まれる。連結混合物は好適
な宿主にトランスフォーメーションし、良好な形質転換体を抗生物質抵抗性その
他のマーカーによって選択する。次に、クレウェルらが報告している(Clewell
et al. (1972) J. Bateriol. 110: 667)クロラムフェニコール増幅に通常従う
当業者に公知の方法に従って、形質転換体からのプラスミドを得ることができる
。通常は制限酵素分析および/または配列決定によって、DNAの単離・分析を
行う。配列決定は、サンガーらの公知のジデオキシ法(Sanger et al. (1977) P
roc. Natl. Acad. Sci. USA 74: 5463)でさらにメッシングらの報告(Messing
et al. (1981) Nucleic Acid Res. 9: 309)にも記載されている方法によって、
あるいはマキサムら報告の方法(Maxam et al. (1980) Meth. Enzymol. 65: 499
)によって行うことができる。GC豊富領域で認められる場合がある帯域圧縮(
band compression)に伴う問題は、バールら報告の方法(Barr et al. (1986) B
iotechniques 4: 428)に従って、例えばT−デアゾグアノシンまたはイノシン
を用いることで克服される。
【0061】 クローニングベクターまたは発現ベクターと考えられる本発明のベクターを用
いて宿主細胞を遺伝子操作する。そのベクターは、プラスミド、ウィルス粒子、
ファージなどの形態であることができる。操作宿主細胞を、プロモーターの活性
化、形質転換体/トランスフェクション体の選択またはサブユニットコードポリ
ヌクレオチドの増幅のために適宜に調製した従来の栄養培地で培養することがで
きる。温度、pHなどの培養条件は、発現用に選択される宿主細胞について用い
たものと同様であり、当業者には明らかであろう。
【0062】 指定の宿主と適合性である適切な制御配列を用いる場合には、原核および真核
宿主細胞のいずれも所望のコード配列の発現に用いることができる。例えば、原
核宿主の中でも大腸菌が非常に多くの場合で使用される。さらに例えば、原核細
胞の発現制御配列には、オペレータ部分およびリボソーム結合部位を有していて
も良いプロモーターなどがあるが、これに限定されるものではない。原核宿主と
適合性である転移ベクターは例えば、アンプリジンおよびテトラサイクリン抵抗
性を与えるオペロンを含むプラスミドpBR322ならびにやはり抗生物質抵抗
性マーカーを与える配列を含む各種pUCベクターから誘導することができる。
これらのマーカーを用いて、選択によって良好な形質転換体を得ることができる
。一般に使用される原核制御配列には、ラクトースオペロン系(Chang et al. (
1977) Nature 198: 1056)、トリプトファンオペロン系(Goeddel et al. (1980
) Nucleic Acid Res. 8: 4057)およびラムダ由来PIプロモーターおよびN遺
伝子リボソーム結合部位(Shimatake et al. (1981) Nature 292: 128)、tr
pおよびlac UV5プロモーターの配列由来のハイブリッドTacプロモー
ター(De Boer et al. (1983) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 292: 128)などが
あるが、これらに限定されるものではない。以上の系は特に大腸菌と適合性であ
る。しかしながら、バチルス株やシュードモナス株などの他の原核宿主を所望に
応じて用いることができる。
【0063】 真核宿主には、培養系中の酵母および哺乳動物細胞などがある。Pichia pasto
ris、Saccharomyces cerevisiaeおよびS. carlsbergensisが一般に使用される酵
母宿主である。酵母適合性ベクターは、栄養要求突然変異体に原栄養性を与えた
り、あるいは野生型株に重金属に対する抵抗性を与えることで良好な形質転換体
の選択を可能とするマーカーを有する。酵母適合性ベクターは、複製の2−μ起
源(Broach et al. (1983) Meth. Enzymol. 101: 307)、すなわちCEN3とA
RS1の組合せその他の宿主細胞ゲノム中への適切な断片の組み込みを生じる配
列などの複製を確実に行うための手段を用いることができる。酵母ベクターに対
する制御配列は当業界で公知であり、3−ホスホグリセレートキナーゼ用プロモ
ーターなどの糖分解酵素の合成用のプロモーターなどがあるが、それに限定され
るものではない(例えば、Hess et al. (1968) J. Adv. Enzyme Reg. 7: 149, H
olland et al. (1978) Biochemistry 17: 4900およびHitzeman (1980) J. Biol.
Chem. 255: 2073参照)。例えば、有用な制御系をいくつか挙げると、グリセル
アルデヒド−3−ホスフェートデヒドロゲナーゼ(GAPDH)プロモーターま
たはアルコールデヒドロゲナーゼ(ADH)調節可能プロモーターあるいはコウ
センスらの報告(Cousens et al. Gene (1987) 61: 265-275)に記載のハイブリ
ッド酵母プロモーターADH2/GAPDH、やはりGAPDHから誘導される
ターミネーターならびに分泌が望ましい場合には酵母アルファ因子からのリーダ
ー配列を有するものがある。さらに、機能可能な形で連結される転写調節領域お
よび転写開始領域は、野生型生物には自然にはないような形のものであることが
できる。
【0064】 発現のための宿主として利用可能な哺乳動物細胞系は当業界では公知であり、
寄託所(例えばAmerican Type Culture Collection)から入手可能である。これ
らには、HeLa細胞、ヒト胎児腎臓(HEK)細胞、チャイニーズ・ハムスタ
ー卵巣(CHO)細胞、ハムスター仔腎臓(BHK)細胞などがあるが、これら
に限定されるものではない。哺乳動物細胞用の好適なプロモーターも当業界では
公知であり、シミアンウイルス(SV40)、ラウス肉腫ウィルス(RSV)、
アデノウィルス(ADV)、ウシ乳頭腫ウィルス(BPV)およびサイトメガロ
ウィルス(CMV)などのウィルスプロモーターなどがある。哺乳動物細胞はさ
らに、ターミネーター配列およびポリA付加配列を必要とする場合がある。発現
を増加させるエンハンサー配列も含まれていても良く、遺伝子の増幅を起こす配
列も望ましい場合がある。それらの配列は当業界では公知である。哺乳動物細胞
での複製に好適なベクターには、ウィルスレプリコンまたはP2X受容体をコ
ードする適切な配列の宿主ゲノムへの組み込みを行う配列などがあり得る。その
ような哺乳動物発現系の例が、ゴパラクリシュナンらの報告(Gopalakrishnan e
t al. (1995), Eur. J. Pharmacol.-Mol. Pharmacol. 290: 237-246)に記載さ
れている。
【0065】 他の真核系も公知であり、ブリッグスらの報告(Briggs et al. (1995) Neuro
pharmacol. 34: 583-590)またはシュテーマーーの報告(Stuhmer (1992) Meth.
Enzymol. 207: 319-345)に記載のような標準的な方法を用いる両生動物細胞や
、サマーズらの報告(Summers and Smith, Texas Agricultural Experiment Sta
tion Bulletin No. 1555 (1987))に記載の方法を用いる昆虫細胞のようなその
ような系にポリヌクレオチドを導入する方法などがある。
【0066】 バキュロウィルス発現系を用いて、昆虫宿主細胞で高レベルの組換え蛋白を生
じさせることができる。この系によって高レベルの蛋白発現が可能となり、しか
も哺乳動物細胞の場合と同様に、翻訳後にその蛋白を処理する。これらの発現系
は、バキュロウィルス感染後に発現されて昆虫細胞中のクローニング遺伝子の発
現を推進するウィルスプロモーターを用いる(O’Reilly et al. (1992) Baculo
virus Expresion Vectors: A Laboratory Manual, IRL/Oxford University Pres
s)。
【0067】 トランスフェクションは宿主細胞へのポリヌクレオチドの導入を行うための公
知の方法によって行うことができ、例えばポリヌクレオチドをウィルスに導入し
、宿主細胞によるポリヌクレオチドの直接取り込みによってウィルスによる宿主
細胞の形質導入を行う方法などがあり、それらの方法は当業者には公知である。
選択されるトランスフェクション法はトランスフェクションされる宿主によって
決まり、ルーティニア(routineer)が決める。
【0068】 受容体の発現は、その受容体に対する放射性リガンドを用いることで検出する
ことができる。しかしながら、当業界で公知の放射性リガンド結合法を用いて受
容体を検出することができる(例えば、Winzor et al. (1995) Quantitative Ch
aracterization of Ligand Binding, Wiley-Less, Inc., NY; Michel et al. (1
997) Mol. Pharmacol. 51: 524-532)。別法として、抗体または機能測定、すな
わち当業者には公知の方法を用いるATP刺激細胞脱分極を用いることで発現を
検出することができる。例えば、作働薬刺激Ca2+流入または作働薬刺激Ca 2+ 流入の拮抗薬による阻害を、COS、CHOまたはHEK細胞などの組換え
P2X受容体cDNAでトランスフェクションした哺乳動物細胞で測定するこ
とができる。別法として、自然にはP2受容体を発現しない細胞でCa2+流入
を測定することができる。例えば、組換え技術を用いて1321N1ヒト星状細
胞腫細胞系を得て、P2X受容体を一時的もしくは安定に発現している。
【0069】 P2X受容体を回収し、硫酸アンモニウムもしくはエタノール沈殿、酸抽出
、アニオンもしくはカチオン交換クロマトグラフィー、ホスホセルロースクロマ
トグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、ヒドロキシアパタイトクロ
マトグラフィーまたはレクチンクロマトグラフィーなどの公知の方法によって同
じものを発現する組換え宿主細胞培養物から精製する。蛋白の形態完成において
、蛋白再重畳段階を必要に応じて用いることができる。最後に高速液体クロマト
グラフィー(HPLC)を最終精製段階に用いることができる。
【0070】 本発明のヒトP2X受容体ポリペプチドまたはそれの断片は、例えば固相ペ
プチド合成などの化学合成などの当業界で公知の従来法によって合成することも
できる。一般にその方法では、固相または液相の合成法を用いる(例えば、固相
ペプチド合成についてはJ. M. Stewart and J. D. Young, Solid Phase Peptide
Synthesis, 2nd Ed., Pierce Chemical Co., Rockford,IL (1984)およびG. Bar
any and R. B. Merrifield, The Peptides: Analysis, Synthesis, Biology, ed
itors E. Gross and J. Meienhofer, Vol.2, Academic Press, New York, (1980
), pp.3-254;ならびに従来の溶液合成についてはM. Bodansky, Princiles of P
eptide Synthesis, Springer-Verlag, Berlin (1984)およびE. Gross and J. Me
ienhofer, Eds., The Peptides: Analysis, Synthesis, Biology, supra, Vol.1
参照)。
【0071】 ある好ましい系では、それぞれヒトP2X受容体をコードするDNAまたは
それに由来するRNAを、アフリカツメガエル卵母細胞などの細胞に直接注射す
ることで発現させることができる。この方法を用いると、そのDNAまたはmR
NAによってコードされたヒトP2X受容体の機能性を以下のようにして評価
することができる。受容体をコードするポリヌクレオチドを、機能性受容体サブ
ユニットへの翻訳のために卵母細胞に注射する。発現変異体ヒトP2X受容体
の機能は、電圧固定などの電気生理学的技術などの各種技術によって卵母細胞で
評価することができる。
【0072】 組換え宿主細胞で発現される受容体を用いて、P2X活性を調節する化合物
を確認することができる。その点に関して、受容体を発現する細胞またはその細
胞からの膜に対する化合物の親和性を測定することで、受容体に親和性を示す化
合物の結合の特異性を明らかにする。これは、細胞、細胞膜または単離受容体に
対する標識(例えば、放射能標識)化合物の特異的結合を測定することで、ある
いは化合物が標準的な標識リガンドの特異的結合に取って代わる能力を測定する
ことで行うことができる(Michel et al., supra参照)。変異体受容体の発現お
よび上記細胞もしくは膜に結合したりあるいはそれらへの標識リガンドの結合を
阻害する化合物のスクリーニングは、受容体に対して高い親和性を有する化合物
を迅速に選択する方法を提供するものである。その化合物は、受容体の作働薬、
拮抗薬または調節剤であり得る。
【0073】 さらに発現受容体を用いて、P2X受容体活性を調節する化合物のスクリー
ニングを行うことができる。P2X活性を調節する化合物の確認方法の一つは
、ヒトP2X受容体ポリペプチドを発現する細胞を提供する段階、その細胞と
被験化合物を組み合わせる段階、P2X受容体活性に対する被験化合物の効果
を測定する段階を有するものである。その細胞としては、細菌細胞、哺乳動物細
胞、酵母細胞、両生動物細胞、昆虫その他の受容体を発現する細胞があり得る。
好ましくはその細胞は、哺乳動物細胞または両生動物細胞である。そこで例えば
被験細胞について、例えば細胞脱分極の刺激のような適切な応答を誘発する能力
または作働薬もしくは拮抗薬に対する応答を調節する能力を評価する。
【0074】 さらに、P2X受容体を調節する能力を有する化合物は、癲癇、疼痛、抑鬱
、神経変性疾患などの中枢神経系もしくは末梢神経系の状態などの(これらに限
定されるものではない)いくつかの障害、ならびに神経筋疾患などの骨格筋の障
害における治療薬となり得ると考えられる。
【0075】 さらに、DNAまたはそれに由来するRNAを用いて、P2X受容体を発現
するDNAに関するオリゴヌクレオチドプローブを設計することができる。本明
細書で使用される場合、「プローブ」という用語は、標的ポリヌクレオチドに存
在する核酸配列に対して相補的な核酸配列を有する上記で定義のポリヌクレオチ
ドからなる構造を指す。プローブのポリヌクレオチド領域は、DNAおよび/ま
たはRNA、および/または合成ヌクレオチド類縁体からなるものであることが
できる。そのようなプローブは、野生型情報とP2X変異体を識別するための
in vitroハイブリダイゼーションアッセイで有用であると考えられる。ただし、
野生型と変異型のP2X受容体をコードする配列間に存在する相違が小さいこ
とを考慮すると、そのような識別を行うことができる方法を設計することは困難
である可能性がある。別法として、PCRに基づくアッセイを用いて、配列分析
のためのサンプルRNAまたはDNAの増幅を行うことができると考えられる。
【0076】 さらに、P2Xポリペプチドまたはそれの断片を用いて、当業界で公知の方
法を行ってモノクローナル抗体を得ることができる。以下に説明する組換え技術
を用いて、P2X受容体または関連する断片を得ることができる。すなわち、
受容体または断片を発現する組換え細胞を培養して、回収および単離可能な量の
受容体または断片を得ることができる。別法として、P2Xポリペプチドまた
はそれの断片を、当業界で公知の従来のポリペプチド合成法を用いて合成するこ
とができる。P2Xポリペプチドに対して特異性および選択性を示すモノクロ
ーナル抗体は、例えば蛍光部分、放射性標識、酵素、化学発光標識などの測定可
能かつ検出可能な部分で標識し、in vitroアッセイで用いることができる。その
ような抗体を用いて野生型または変異型のP2X受容体ポリペプチドを確認し
て、免疫診断を行うことができると考えられることは理論的に立証されている。
例えば、抗体を形成して脳組織におけるアミロイドb1〜40v.1〜42が検
出されている(Wisniewski et al. (1996) Biochem. J. 313: 575-580;Suzuki
et al. (1994) Science 264: 1336-1340; Gravina et al. (1995) J. Biol. Che
m. 270: 7013-7016; and Turnet et al. (1996) J. Biol. Chem. 271: 8966-897
0も参照)。
【0077】 ヒトP2X受容体の調節剤に関する治療適応症 ATPおよび他のヌクレオチドによるP2X受容体の活性化は、細胞膜内外
でのイオン勾配を調節し、Ca2+、NaおよびKなどのカチオンの細胞質
ゾル濃度を調節し、細胞膜電位の調節において何らかの役割を果たすことで特異
的な生理効果を有する。
【0078】 疼痛 ラットP2X受容体は、脊髄ならびに節状神経節および背根神経節(Brake
et al., Nature 371: 519-523 (1994))で発現され、分布は疼痛伝達の役割と一
致している。具体的にはP2X受容体サブユニットは単独で発現される場合に
は機能的チャンネルを形成し、感覚神経で発現される別のP2X受容体であるP
2X受容体と同時発現される場合には自然の感覚チャンネルで認められる電流
と同様の性質を有する機能性異種多重体チャンネルを形成することもできる(Le
wis et al., Nature 377: 432-435 (1995))。ラット節状神経節での研究からは
、P2X/P2XヘテロメリックチャンネルとP2Xホモメリックチャン
ネルの両方がATP電流に寄与することが明らかになっている(Virgino et al.
, J. Physiol (Lone) 510: 27-35 (1988); Thomas et al., J. Physiol (Lond)
509 (Pt 2): 411-417 (1998))。P2X受容体とP2X/P2X受容体を
活性化するATPは、脊髄背角ならびに知覚神経節からの一次求心神経において
興奮神経伝達物質として機能する(Holton and Holton, J. Physiol. (Lond) 12
6: 124-140 (1954))。脊髄における背根神経節神経末端でのP2X受容体のA
TP誘発活性化が、侵害受容信号伝達に関与する主要な神経伝達物質であるグル
タミン酸の放出を刺激する(Gu and MacDermott, Nature 389: 749-753 (1997)
)。そこで、損傷を受けた細胞から放出されるATPが、侵害受容神経末端また
は感覚神経上でP2X受容体またはP2X/P2X受容体を活性化するこ
とで疼痛を喚起する。これは、ヒト水ぶくれベースモデルで皮膚内投与ATPに
よる疼痛誘発(Bleehen, Br J. Pharmacol 62: 573-577 (1978))ならびに動物
モデルにおいてP2X受容体拮抗薬が鎮痛性であるという報告(Driessen and S
tarke, Naunyn Schmiederbergs Arch Pharmacol 350: 618-625 (1994))と一致
している。この証拠は、P2Xが侵害受容において機能すること、ならびにヒ
トP2X受容体の調節剤が鎮痛薬として有用であることを明瞭に示唆している
【0079】 そこでP2X受容体を遮断またはそれの活性化を阻害する化合物は、疼痛刺
激を遮断する役割を果たす。ATPなどの通常P2X受容体を活性化する化合
物に対する拮抗薬は疼痛伝達を良好に遮断するものと考えられる。
【0080】 神経内分泌系疾患 細胞外ATPは、下垂体細胞からのプロラクチンおよび黄体形成ホルモンなど
のホルモンの分泌を誘発する(Chen et al., Proc Natl Acad Sci USA 92: 5219
-5223 (1995); Nunez et al., Am J. Physiol 272: E1117-E1123 (1997))(Car
ew et al., Cell Calcium 16: 227-235 (1994))(Villalobos et al., Am J Ph
ysiol 273: C1963-C1971 (1997))。さらにATPは、インシュリン、プロラク
チンおよび黄体形成ホルモンなどのホルモンとともに、さらには副腎クロム親和
性細胞からのカテコールアミン類と同時に放出されることから、それら組織にお
けるホルモン放出のパラクリン調節剤として作用することができる(Chen et al
., Proc Natl Acad Sci USA 92: 5219:5223 (1995); Tomic et al., J Biol Che
m 271: 21200-21208 (1996); Nunez et al., Am J Physiol 272: E1117-E1123 (
1997))(Leitner et al., Endocrinology 96: 662-667 (1975)); Hollins and
Ikeda, J Neurophysiol 78: 3069-3076 (1997))。ヒトP2X受容体は神経内
分泌組織で認められており、具体的にはヒトP2X受容体cDNAは下垂体組
織RNAからクローニングされている。さらに、P2X受容体RNAおよび蛋
白がラット下垂体組織で検出されている(Brake et al., Nature 371: 519-523
(1994))(Housley et al., Biochem Biophys Res Commun 212: 501-508 (1995)
; Tomic et al., J Biol Chem 271: 21200-21208 (1996); Vulchanova et al.,
Proc Natl Acad Sci USA 93: 8063-8067 (1996))。明らかにP2X受容体は
ATPによる活性化を介してホルモン分泌に関与している。そこで、ATPに対
する作働薬または拮抗薬は、ホルモン放出の調節において有効であると考えられ
る。そこで、P2X受容体に作用する医薬品は、その腺からのホルモン分泌を
調節するのに有用である可能性がある。
【0081】 聴覚障害および前庭障害 細胞外ATPは、内耳のニューロンおよび表皮細胞の刺激剤として作用する(
Housley, Mol Neurobial 16: 21-48 (1998))。モルモット蝸牛外リンパ区画へ
のATPの潅流は、聴覚神経化合物活動電位および感覚毛細胞の先端表面を通過
する妥当な変換電流などの聴覚パラメータを阻害する(Bobbin and Thompson, A
nn Otol Rhinol Laryngol 87: 185-190 (1978))。蝸牛内リンパへのATP潅流
によっても感覚電流変換および蝸牛内電位が阻害され、それらの効果はP2受容
体拮抗薬であるスラミンおよびリアクティブブルー2(reactive blue 2)によ
って遮断される(Munoz et al., Hear Res 90: 119-125 (1995))。スラミンは
また、連続音刺激時に起こるコルティ器官の二次電気生理学的・物理的カップリ
ングにおける減衰を遮断し、P2活性化がその事象において何らかの役割を果た
すことが示唆される(Kujawa et al., Hear Res 78: 181-188 (1994); (Housley
, Mol Neurogiol 16: 21-48 (1998))。ATPはさらに前庭系機能にも影響する
。ATPは前庭求心神経放電を刺激し、その応答はP2拮抗薬であるスラミンお
よびリアクティブブルー2によって遮断される(Aubert et al., Neuroscience
62-963-974 (1994); Aubert et al., Neuroscience 64: 1153-1160 (1995))。
ATP類縁体を用いるオートラジオグラフィー結合試験では、聴覚組織上のP2
受容体の存在が示されている(Mockett et al., Hear Res 84: 177-193 (1995)
)。ラット聴覚系の組織ではP2X受容体メッセンジャーRNAが局在してい
た。この受容体のメッセージ変異体がいくつか、蝸牛、蝸牛神経節、ディーター
細胞、クリスタ(christa)膨大部およびコルティ器官などの各種前庭組織およ
び聴覚組織で認められている(Glowatzki et al., Proc R Soc Lond B Biol Sci
262: 141-147 (1995); Housley et al., Biochem Biophys Res Commun 212: 50
1-508 (1995); Salih et al., Neuroreport 9: 279-282 (1998); Chen and Bobb
in, Br J Pharmacol 124: 337-344 (1998); Housley et al., J Comp Neurol 39
3: 403-414 (1998))。ATPによって機能的に調節される聴覚系および前庭系
のこれら組織におけるP2X受容体発現の証拠は、その受容体が聴覚機能およ
び前庭機能において何らかの役割を有することを示している。ノイズへの曝露が
ATPに対する外毛細胞の応答を変化させることが明らかになっているように、
耳におけるP2受容体の機能変化は病理的示唆を有するものであり(Chen et al
., Hear Res 88: 215-221 (1995))、P2X受容体調節剤は聴覚機能および前
庭機能の障害で有用である可能性がある。そこで、ATP作働薬および拮抗薬は
、聴覚機能および前庭機能におけるP2X受容体の調節に影響する。
【0082】 その他 ATPは消化管のニューロンにおける強力な神経伝達物質であり、腸ニューロ
ンからのATP介在信号はP2X受容体に特徴的であるように思われる(Zhou
and Galligan, J Physiol (Lond) 496 (Pt 3): 719-729 (1996))。さらに、結
腸組織由来のライブラリーからヒトP2XESTが発見されたことで、その受
容体が消化管機能において何らかの役割を果たすことが示唆される。P2X
また、ATPが血管緊張に影響することが明らかになっている血管平滑筋組織で
も発現される(Nori et al., J. Vasc Res 35: 179-185 (1998))(Kennedy et
al., Eur J Pharmacol 107: 161-168 (1985))。
【0083】 以下には、本発明の実施に関する具体的な実施態様の例を示す。これらの実施
例は例示のみを目的に示されるものであって、いかなる形でも本発明の範囲を制
限するものではない。
【0084】 実施例1 P2Xポリペプチドをコードすると考えられるヒトcDNA配列の確認 ラットP2X受容体の予想アミノ酸配列(Genbank受託番号1352688
)を用いて、同様のポリペプチドをコードすると考えられるヒトDNA配列を調
べた。DNA配列を6種類全ての可能な読み取り枠にダイナミックに翻訳するこ
とで蛋白配列によるヌクレオチドデータベースの照会を可能とするTBLAST
Nデータベース検索ツール(Altschul (1993) J. Mol. Evol. 36: 290-300)を
用いた。Lifeseqデータベース(Incyte Pharmaceuticals, Inc., Palo A
lto California, CA)の検索により、ラットP2X受容体の領域と高い相同性
を有するポリペプチドをコードしたヒト胎児結腸組織由来のcDNAクローンの
部分配列が明らかになった。この配列のデータベース記入を図1および配列番号
1に示してある。
【0085】 ラットP2X受容体のものに関してのこの配列の位置から、このcDNAク
ローンが受容体の部分コード配列のみを有することが予想された。このcDNA
クローンを注文し、そのクローンを図2および配列番号2に示したように完全に
配列決定した。留意すべき点として、図2では下線を施した配列はオリジナルの
データベース記入との重なりを示している。
【0086】 このcDNAの非コード配列に対してプライマーを設計して、図3および配列
番号3〜7に示した欠落コード配列を確認するための5’RACE法ができるよ
うにした。ポリAとヒト下垂体組織由来のRNAを用い、市販の系(GibcoBRL,
Gaithersburg, MD)を用いて5’RACE反応を行った。約600bpの生成物
をクローニングし、図4および配列番号8に示したように配列決定した。この生
成物は、P2X受容体と相同性の転写解読枠についての追加の配列情報を含むこ
とが認められたが、完全な受容体cDNAの予想開始コドンであると考えられる
ものまで延長しなかった。
【0087】 インサイト(Incyte)クローン1310493から編集された配列とRACE
生成物に基づいて1対のプライマーを設計・合成し、図5に示した。これらのプ
ライマーをゲノムシステムズ(Genome Systems, St. Louis, MO)に送り、PC
Rで用いてヒトゲノムDNAのP1バクテリオファージライブラリーを調べた。
ゲノムシステムズから2つのクローンが確認・取得された。クローン18860
に含まれるヒトP2X遺伝子を、直接およびベクターpBluescript
II SKへのサブクローニング後の両方で配列決定した。
【0088】 実施例2 新規なP2受容体をコードするヒトcDNAの単離 ヒトP2Xメッセージの予想される開始コドンおよび終止コドン周囲の配列
に関する情報を用いてオリゴヌクレオチドプライマーを設計・合成して、mRN
Aの完全な転写解読枠のRT−PCRができるようにした。これらプライマーh
P2X5’およびhP2X3’の配列を図6に示してある。これらのプライ
マーを用いて、以下のように逆転写−PCR反応でヒトP2X受容体の転写解
読枠を増幅した。下垂体組織由来のポリA+RNA(1μg)(Clonetech, Inc
. Palo Alto, CA)およびオリゴdTプライマー10ピコモルを最終容量12μ
LのdHO中で混合した。この混合物を加熱して70℃とし10分間経過させ
、氷上で1分間冷却した。10×PCR緩衝液(200mM Tris−HCl
pH8.4、500mM KCl)2μL、25mM MgCl2μL、10
mM dNTP混合液1μLおよび0.1Mジチオトレイトール2μLという成
分を加えた。反応液を42℃で2分間加熱して平衡とし、その後スーパースクリ
プト(Superscript)II逆転写酵素1μL(200単位)を加え、インキュベ
ーションをさらに50分間42℃で続けた。70℃で15分間インキュベーショ
ンすることで反応を終了させ、氷上で冷却した。RnaseH(1μL;2単位
)を加え、混合物を37℃で20分間インキュベートし、その後氷上で保管した
【0089】 増幅において校正熱安定性ポリメラーゼ(Cloned Pfu DNA Polymerase, Strat
agene Inc. La Jolla, CA)を用いて、高忠実性増幅を行った。反応混合物の構
成はcDNA 2μL、10×クローニングPfuポリメラーゼ反応緩衝液(2
00mM Tris−HCl(pH8.8)、100mM KCl、100mM
(NHSO、20mM MgSO、1%Triton X−100
、1mg/mLヌクレアーゼを含まないウシ血清アルブミン)5μL、dNTP
混合液1μL、5’hP2Xプライマー1μL(10pmol)、3’hP2
プライマー1μL(10pmol)およびdHO 39μLであった。反
応液を95℃で1時間加熱し、80℃で2分間維持し、その間にクローニングP
fuポリメラーゼ1μL(2.5単位)を加えた。94℃で15秒間、60℃で
20秒間および72℃で5分間という条件下で反応を35周期行った。循環反応
を行った後、反応液を70℃で10分間インキュベートした。反応生成物を0.
8%アガロースゲルで分離し、約1.5kbの生成物を切り取り、精製した(Qi
aquickゲル精製システム、Qiagen, Inc., Chatsworth, CA)。DNAをdH
50μLで溶出し、凍結乾燥し、dHO 10μLに再懸濁させた。DNA
をdHO 50μLで溶出し、凍結乾燥し、dHO 15μLに再懸濁させ
た。精製PCR生成物3μLを、やはりpCRscript Amp SK(+
)ベクター0.5μL(5ng)、pCRscript10×反応緩衝液1μL
、10mM ATP 0.5μL、Srf I制限酵素1μL(5単位)、T4
DNAリガーゼ1μL(4単位)およびdHO 3μLを含むpCRscr
iptクローニング系(Stratagene)を用いる連結反応で用いた。反応液を室温
で1時間インキュベートし、次に65℃で10分間インキュベートした。この反
応液1μLを用いて、標準的な製造業者プロトコールに従って非常に有能なDH
−5−α(Gibco BRL)のトランスフォーメーションを行った。得られたクロー
ンを制限分析によってスクリーニングし、蛍光染料ターミネーター試薬(Prism,
Perkin Elmer Applied Biosystems)およびシーケンサー(Applied Biosystems
310 DNAシーケンサー)を用いて配列決定した。予想される開始コドンから終止
コドンまでの完全な転写解読枠を含む3種類のcDNAを単離した(図7、hP
2X2b、c、d)。ラットP2X受容体との構造的類似性に基づいて、hP
2X2dのヌクレオチド1〜666(開始コドンのアデニンをヌクレオチド#1
として用いて)とhP2X2cのヌクレオチド595〜1349と結合させるこ
とで第4の種類(hP2X2a、図7a)を作った。これらcDNAによってコ
ードされる予想ポリペプチドを図8に示してある。予想されるアミノ酸配列の並
びを図9に示してある。
【0090】 図3 アフリカツメガエル卵母細胞における組換えP2X受容体の発現および電気
生理学的分析 ヒトP2X受容体の機能を評価するため、pCRscriptベクター上に
存在するT7細菌プロモーターおよびアンビオンからの試薬(Ambion, Message
Machine; Ambion, Inc., Austin Tx.)を用いてクローンからRNAを合成した
【0091】 1.卵母細胞の準備と注射 成体雌カエル(アフリカツメガエル)に手術に先だって0.2%トリカインに
よる麻酔を施した。手術中、片方の卵巣の切片を摘出し、2mg/mLのコラゲ
ナーゼ(SigmaIA型)の低Ca2+バルト溶液(88mM NaCl、2.5
mM KCl、1.0mM MgCl、10mM Na−HEPES(pH7
.4)および10μg/mLのゲンタマイシンを含有)中で1〜2時間撹拌する
ことで、上に重なっている胞細胞から卵母細胞を露出させた。約50%の細胞を
露出させた後、段階VおよびVIの卵母細胞の選択を行った。hP2X2a−d RNA 50ngの細胞質注射を、ガラス微小電極を用いて露出卵母細胞に行っ
た。細胞当たり1種類のみの受容体サブタイプRNAを注射した。注射から1〜
2日後に卵母細胞を用いて記録を行い、通常のバルト液(インキュベーション培
地;90mM NaCl、1.0mM KCl、0.66mM NaNO、0
.74mM CaCl、0.82mM MgCl、2.4mM NaHCO 、2.5mMピルビン酸Na、10mM Na−HEPES(pH7.4)お
よび10μg/mLのゲンタマイシン)中で16〜19℃に維持した。
【0092】 2.記録溶液および化学薬品 標準記録溶液にはmM単位で96 NaCl、2.0 KCl、1.8 Ba
Cl、1.0 MgCl、5.0ピルビン酸Naおよび5.0 Na−HE
PES(pH7.4)を含有させた。一部の実験ではBaClをCaCl
1mM)に置き換えたが、受容体の薬理的特性にはあまり影響はなかった。全て
の卵母細胞溶液を10倍原液から蒸留HOで希釈した。作働薬および拮抗薬の
濃厚原液を蒸留HOで調製し、記録液で連続希釈して所望の最終濃度とした。
化学薬品と作働薬(ATPおよびα,βme−ATP)はいずれもシグマ社から
入手した(Sigma Chemical Company)。
【0093】 3.電気生理的記録 増幅器(Axoclamp-2A)を用いる2電極電圧固定法を用いて膜内外電流を記録
し、pCLAMPソフトウェア(Axon Instruments)を用いて回収・分析を行っ
た。電極(1.5〜2.0M’Ω)に120mM KClを充填した。ATPお
よびα,βme−ATPに対する応答は、卵母細胞を−60mVで電圧固定しな
がら室温で常法にて記録した。作働薬は、潅流室中の卵母細胞近くに位置するコ
ンピュータ制御小径薬剤投与ピペットを用いて投与した。ATP活性化内部電流
のピーク振幅を用いてEC50値を求めた。
【0094】 4.結果 hP2X2aおよびhP2X2b受容体−hP2X2aまたはhP2X2b
容体を発現する卵母細胞へのATPの一時的外部投与によって、正味内部電流に
おける濃度依存性上昇が生じた(図10、パネルAおよびB)。ピーク内部電流
はATP濃度を上げると上昇し、それは作働薬結合の確率上昇従って受容体活性
化と一致していた。4種類のhP2X2a細胞についての濃度−応答曲線により
、平均ATP EC50が16μMであり、ヒル係数(n)が1.5であるこ
とが明らかになった。3種類のhP2X2b細胞についての濃度−応答曲線から
、平均ATP EC50が20μMであり、nが1.5であることが明らかに
なった。両方の受容体サブタイプとも可逆的非脱感作応答動態を示した。
【0095】 別のP2X受容体作働薬であるαβメチレン−ATP(αβMe−ATP)を
投与しても、100μMの濃度ではhP2X2aおよびhP2X2bのいずれの
受容体にも影響はなかった。
【0096】 5.hP2X2cおよびhP2X2d受容体 hP2X2dまたはhP2X2dRNAを注射した卵母細胞へのATP(30
μM)の一時的外部投与には効果がなかった(図10、パネルCおよびD)。
【0097】 6.結論 hP2X2a−d受容体機能を分析するための電気生理学的アプローチを用い
て本発明者らは、2種類の受容体サブタイプ(hP2X2aおよびhP2X2b )をATPによって選択的に活性化することができ、αβMe−ATPではでき
ないことを示した。これらの応答はまた非脱感作性でもある。単独で発現される
hP2X2cおよびhP2X2dサブタイプはATPには反応しなかった。これ
らのデータは機能性ホモメリック組換えhP2X2aおよびhP2X2bイオン
チャンネル受容体の形成を裏付けるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 ラットP2X受容体の領域と相同性であるポリペプチドをコードするヒト胎
児結腸組織由来のcDNAクローンの部分配列を示している。
【図2】 cDNAクローンの全配列を描いたものであり、下線を施した配列は図1の配
列との重なりを示している。
【図3】 A〜Eは図2のcDNA用のプライマーと市販のRACEプライマーを描いた
ものである。
【図4】 ヒト下垂体組織からのポリA RNAを用いた5’RACE反応によって産生
された約600bpの産生物を描いたものである。
【図5】 ゲノムプライマーの図である。
【図6】 hP2X RT−PCRプライマーの図である。
【図7】 A〜Dは、予想される開始部位から終止部位までの完全な転写解読枠を含む4
種類のcDNAの図である。
【図8】 A〜Dは、図7のヌクレオチドによってコードされる予想アミノ酸配列の図で
ある。
【図9】 前記予想アミノ酸配列のアライメントを示した図である。
【図10】 hP2Xチャンネルの電気生理学的特徴を示す図である。
【手続補正書】
【提出日】平成13年2月21日(2001.2.21)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正内容】
【特許請求の範囲】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61P 27/16 C07K 14/705 4C084 C07K 14/705 16/28 4H045 16/28 C12N 1/19 C12N 1/19 1/21 1/21 C12P 21/02 C 5/10 C12Q 1/02 C12P 21/02 1/68 A C12Q 1/02 G01N 33/15 Z 1/68 33/50 Z G01N 33/15 33/53 D 33/50 M 33/53 33/566 33/577 B 33/566 C12P 21/08 33/577 (C12P 21/02 C // C12P 21/08 C12R 1:91) (C12P 21/02 (C12P 21/02 C C12R 1:91) C12R 1:19) (C12P 21/02 C12N 15/00 ZNAA C12R 1:19) 5/00 B (72)発明者 バーガード,エドワード・シー アメリカ合衆国、イリノイ・60048、リバ テイビル、バーデイツク・ストリート・ 609 (72)発明者 メツツガー,ランデイ・イー アメリカ合衆国、イリノイ・60031、ガー ニー、サラトウガ・コート・225 (72)発明者 ニフオラトス,ウエンデ アメリカ合衆国、イリノイ・60625、シカ ゴ、ウエスト・ウイルソン・2208 (72)発明者 トーマ,エドワード・ビイ アメリカ合衆国、イリノイ・60660、シカ ゴ、ノース・ウインチエスター・6116 Fターム(参考) 2G045 AA34 AA35 AA40 CB01 CB21 DA12 DA13 DA14 DA36 DA77 FB02 FB03 4B024 AA01 AA11 BA63 CA01 CA04 CA09 CA11 CA12 DA02 EA04 GA12 GA18 HA14 4B063 QA01 QA18 QQ61 QQ79 QR42 QR48 QR60 QR77 QR80 QS05 QS36 QS39 QX05 4B064 AG20 AG27 CA02 CA10 CA19 CA20 CC24 DA01 DA13 4B065 AA26X AA90X AA93Y AB01 BA02 BA04 CA24 CA44 CA46 4C084 AA02 AA07 DC50 NA14 ZA022 ZA082 ZA342 ZA662 4H045 AA20 AA30 CA40 CA45 DA50 EA50 FA74

Claims (49)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ヒトP2X受容体ポリペプチドまたはそれの変性変異体を
    コードする単離ポリヌクレオチド。
  2. 【請求項2】 前記ポリヌクレオチドがポリデオキシリボ核酸(DNA)で
    ある請求項1に記載のポリヌクレオチド。
  3. 【請求項3】 前記ポリヌクレオチドがポリリボ核酸(RNA)である請求
    項1に記載のポリヌクレオチド。
  4. 【請求項4】 前記DNAが配列番号2、配列番号13、配列番号14、配
    列番号15および配列番号16からなる群から選択される請求項2に記載のポリ
    ヌクレオチド。
  5. 【請求項5】 請求項1または4に記載のポリヌクレオチドを有する宿主細
    胞。
  6. 【請求項6】 前記細胞が細菌細胞、哺乳動物細胞、酵母細胞および両生動
    物細胞からなる群から選択される請求項5に記載の宿主細胞。
  7. 【請求項7】 前記細胞が両生動物細胞である請求項6に記載の宿主細胞。
  8. 【請求項8】 前記細胞が哺乳動物細胞である請求項6に記載の宿主細胞。
  9. 【請求項9】 ポリヌクレオチドの転写方向を制御することで該ポリヌクレ
    オチドを宿主細胞で発現させるようにする制御配列に機能可能な形で連結した請
    求項1に記載のポリヌクレオチドを有する発現ベクター。
  10. 【請求項10】 前記ヒトP2X受容体ポリペプチドが配列番号17、配
    列番号18、配列番号19および配列番号20からなる群から選択される請求項
    9に記載の発現ベクター。
  11. 【請求項11】 請求項9に記載の発現ベクターを有する宿主細胞。
  12. 【請求項12】 前記細胞が細菌細胞、哺乳動物細胞、酵母細胞および両生
    動物細胞からなる群から選択される請求項11に記載の宿主細胞。
  13. 【請求項13】 前記細胞が両生動物細胞である請求項12に記載の宿主細
    胞。
  14. 【請求項14】 前記細胞が哺乳動物細胞である請求項12に記載の宿主細
    胞。
  15. 【請求項15】 請求項10の発現ベクターを有する宿主細胞。
  16. 【請求項16】 前記細胞が細菌細胞、哺乳動物細胞、酵母細胞および両生
    動物細胞からなる群から選択される請求項15に記載の宿主細胞。
  17. 【請求項17】 前記細胞が両生動物細胞である請求項16に記載の宿主細
    胞。
  18. 【請求項18】 前記細胞が哺乳動物細胞である請求項16に記載の宿主細
    胞。
  19. 【請求項19】 ヒトP2X受容体ポリペプチドの製造方法において、 (a)前記ポリペプチドの産生を可能とする条件下で発現ベクターを含む宿主
    細胞を培養する段階であって、前記発現ベクターが、前記ポリヌクレオチドの転
    写の方向を制御する制御配列に機能可能な形で連結しているヒトP2X受容体
    ポリヌクレオチドまたはそれに対する変性変異体をコードするポリヌクレオチド
    を有する段階;ならびに (b)前記ポリペプチドを回収する段階 を有することを特徴とする方法。
  20. 【請求項20】 ヒトP2X受容体ポリペプチドの製造方法において、 (a)前記ポリペプチドの産生を可能とする条件下で発現ベクターを含む宿主
    細胞を培養する段階であって、前記発現ベクターが、前記ポリヌクレオチドの転
    写の方向を制御する制御配列に機能可能な形で連結しているポリヌクレオチドを
    有し、前記ポリヌクレオチドが配列番号17、配列番号18、配列番号19およ
    び配列番号20からなる群から選択されるヒトP2X受容体ポリペプチドをコ
    ードする段階;ならびに (b)前記ポリペプチドを回収する段階 を有することを特徴とする方法。
  21. 【請求項21】 単離・精製ヒトP2X受容体ポリペプチドにおいて、該
    ヒトP2X受容体が配列番号17、配列番号18、配列番号19および配列番
    号20からなる群から選択されるアミノ酸配列を有することを特徴とするポリペ
    プチド。
  22. 【請求項22】 P2X受容体活性を調節する化合物を確認する方法にお
    いて、 (a)ヒトP2Xポリペプチドを含むP2X受容体を発現する細胞を提供
    する段階、 (b)被験化合物を前記P2X受容体とを混合する段階ならびに (c) (i)前記P2X受容体または前記P2X受容体を発現する細胞の活性化
    に対する被験化合物の効果、あるいは (ii)前記細胞または前記P2X受容体への被験化合物の結合 のいずれかを測定する段階 を有することを特徴とする方法。
  23. 【請求項23】 前記宿主細胞が細菌細胞、哺乳動物細胞、酵母細胞および
    両生動物細胞からなる群から選択される請求項22に記載の方法。
  24. 【請求項24】 段階(c)(ii)の前記測定を、検出可能な部分によっ
    て発生する信号を測定することで行う請求項22に記載の方法。
  25. 【請求項25】 前記検出可能な部分が、蛍光標識、放射能標識、化学発光
    標識および酵素からなる群から選択される請求項24に記載の方法。
  26. 【請求項26】 段階(c)(i)の前記測定を、放射能標識イオン、発色
    試薬、蛍光プローブまたは電流によって生じる信号を測定することで行う請求項
    22に記載の方法。
  27. 【請求項27】 前記宿主細胞が哺乳動物細胞である請求項23に記載の方
    法。
  28. 【請求項28】 前記宿主細胞が両生動物細胞である請求項23に記載の方
    法。
  29. 【請求項29】 前記ヒトP2Xポリペプチドが配列番号17、配列番号
    18、配列番号19および配列番号20からなる群から選択される請求項22に
    記載の方法。
  30. 【請求項30】 被験サンプル中のP2X受容体の標的ポリヌクレオチド
    を検出する方法において、 (a)前記標的ポリヌクレオチドを1以上のヒトP2X受容体特異的ポリヌ
    クレオチドプローブもしくはそれの補体と接触させて標的−プローブ複合体を形
    成する段階;ならびに (b)被験サンプル中の標的−プローブ複合体の存在を検出する段階 を有することを特徴とする方法。
  31. 【請求項31】 被験サンプル中のヒトP2X受容体mRNAのcDNA
    を検出する方法において、 (a)逆転写を行ってcDNAを形成する段階; (b)段階(a)から得られたcDNAを増幅する段階;ならびに (c)被験サンプル中のヒトP2X受容体の存在を検出する段階 を有することを特徴とする方法。
  32. 【請求項32】 前記検出段階(c)が、測定可能な信号を発生させること
    ができる検出可能部分を利用する段階を有する請求項31に記載の方法。
  33. 【請求項33】 ヒトP2X受容体由来であって、ヒトP2X受容体ポ
    リペプチドをコードする核酸に選択的にハイブリダイズすることができる精製ポ
    リヌクレオチドまたはそれの断片において、前記ポリヌクレオチドが配列番号2
    、配列番号13、配列番号14、配列番号15および配列番号16またはそれの
    一部からなる群から選択されることを特徴とする精製ポリヌクレオチド。
  34. 【請求項34】 前記ポリヌクレオチドが組換え技術によって製造される請
    求項33に記載の精製ポリヌクレオチド。
  35. 【請求項35】 ヒトP2X受容体ポリヌクレオチドによってコードされ
    るポリペプチドにおいて、前記ポリペプチドが配列番号17、配列番号18、配
    列番号19および配列番号20またはそれらの一部からなる群から選択されるこ
    とを特徴とするポリペプチド。
  36. 【請求項36】 組換え技術によって製造される請求項35に記載のポリペ
    プチド。
  37. 【請求項37】 合成技術によって製造される請求項35に記載のポリペプ
    チド。
  38. 【請求項38】 ヒトP2X受容体に特異的に結合するモノクローナル抗
    体において、配列番号17、配列番号18、配列番号19および配列番号20ま
    たはそれらの免疫反応性断片からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するこ
    とを特徴とするモノクローナル抗体。
  39. 【請求項39】 被験サンプル中のヒトP2X受容体を検出する方法にお
    いて、 (a)結果的に複合体が形成されるだけの時間および条件下でヒトP2X
    容体に特異的に結合する抗体またはそれの断片と前記被験サンプルとを接触させ
    る段階;ならびに (b)前記抗体を含む得られた複合体を検出する段階を有し; 前記抗体が、配列番号17、配列番号18、配列番号19および配列番号20
    またはそれらの断片からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するヒトP2X 受容体アミノ酸に特異的に結合することを特徴とする方法。
  40. 【請求項40】 疼痛を緩和する治療方法において、 (a)疼痛を有する患者を確保する段階;ならびに (b)該患者に対して有効量のP2X作働性化合物を投与する段階 を有することを特徴とする治療方法。
  41. 【請求項41】 神経内分秘障害を治療する治療方法において、 (a)神経内分秘障害を有する患者を確保する段階;ならびに (b)該患者に対して有効量のP2X作働性化合物を投与する段階 を有することを特徴とする治療方法。
  42. 【請求項42】 聴覚障害および前庭障害を治療する治療方法において、 (a)聴覚障害および前庭障害からなる群から選択される障害を有する患者を
    確保する段階;ならびに (b)該患者に対して有効量のP2X作働性化合物を投与する段階 を有することを特徴とする治療方法。
  43. 【請求項43】 消化管障害を治療する治療方法において、 (a)消化管障害を有する患者を確保する段階;ならびに (b)該患者に対して有効量のP2X作働性化合物を投与する段階 を有することを特徴とする治療方法。
  44. 【請求項44】 ある化合物がP2X受容体に対する作働薬であるか拮抗
    薬であるかを決定する方法において、 (a)表面に発現されたP2X受容体を有する哺乳動物細胞と前記化合物と
    を接触させる段階; (b)前記細胞と前記化合物との相互作用から生理効果が生じるか否かを確認
    する段階;ならびに (c)前記化合物が作働薬であるか拮抗薬であるかを決定する段階 を有することを特徴とする方法。
  45. 【請求項45】 あるリガンドがP2X受容体に結合するか否かを決定す
    る方法において、 (a)表面に発現されたP2X受容体を有する哺乳動物細胞とリガンドとを
    接触させる段階; (b)該リガンドの存在を検出する段階;ならびに (c)前記受容体がP2X受容体に結合するか否かを確認する段階 を有することを特徴とする方法。
  46. 【請求項46】 疼痛を緩和する治療方法において、 (a)疼痛を有する患者を確保する段階;ならびに (b)該患者に対して有効量のP2X拮抗性化合物を投与する段階 を有することを特徴とする治療方法。
  47. 【請求項47】 神経内分秘障害を治療する治療方法において、 (a)神経内分秘障害を有する患者を確保する段階;ならびに (b)該患者に対して有効量のP2X拮抗性化合物を投与する段階 を有することを特徴とする治療方法。
  48. 【請求項48】 聴覚障害および前庭障害を治療する治療方法において、 (a)聴覚障害および前庭障害からなる群から選択される障害を有する患者を
    確保する段階;ならびに (b)該患者に対して有効量のP2X拮抗性化合物を投与する段階 を有することを特徴とする治療方法。
  49. 【請求項49】 消化管障害を治療する治療方法において、 (a)消化管障害を有する患者を確保する段階;ならびに (b)該患者に対して有効量のP2X拮抗性化合物を投与する段階 を有することを特徴とする治療方法。
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