JP2002522011A - Gタンパク質共役型受容体14273レセプター - Google Patents

Gタンパク質共役型受容体14273レセプター

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JP2002522011A JP2000557364A JP2000557364A JP2002522011A JP 2002522011 A JP2002522011 A JP 2002522011A JP 2000557364 A JP2000557364 A JP 2000557364A JP 2000557364 A JP2000557364 A JP 2000557364A JP 2002522011 A JP2002522011 A JP 2002522011A
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グラクスマン,マリア・アレクサンドラ
ツアイ,フオング−イング
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ミレニアム・フアーマシユーチカルズ・インコーポレーテツド
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Abstract

(57)【要約】 本発明はGタンパク質共役型受容体のスーパーファミリーに属するレセプターに関する。本発明はまた、該レセプターをコードするポリヌクレオチドにも関する。本発明は、さらに、レセプター媒介性の障害の診断および治療の標的として該レセプターのポリペプチドおよびポリヌクレオチドを使用する方法に関する。本発明は、さらに、診断および治療のためのアゴニストおよびアンタゴニストを同定するための該レセプターのポリペプチドおよびポリヌクレオチドを使用する薬物スクリーニング方法に関する。本発明は、さらに、該レセプターのポリペプチドおよびポリヌクレオチドに基づくアゴニストおよびアンタゴニストを包含する。本発明は、さらに、該レセプターのポリペプチドおよびポリヌクレオチドの製造手順に関する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 (関連出願) 本出願は、これにより引用によりそっくりそのまま本明細書に組込まれる、1
998年6月30日に申請されかつ「新規Gタンパク質共役型受容体14273
レセプター(14273 RECEPTOR,A NOVEL G−PROTE
IN COUPLED RECEPTOR)」と題された同時係属中の米国特許
出願第09/107,761号(代理人処理予定番号5800−4)の一部継続
出願である。
【0002】 (発明の分野) 本発明はGタンパク質共役型受容体のスーパーファミリーに属する新たに同定
されたレセプターに関する。本発明はまた、該レセプターをコードするポリヌク
レオチドにも関する。本発明は、さらに、レセプター媒介性の障害の診断および
治療の標的として該レセプターのポリペプチドおよびポリヌクレオチドを使用す
る方法に関する。本発明は、さらに、診断および治療のためのアゴニストおよび
アンタゴニストを同定するための該レセプターのポリペプチドおよびポリヌクレ
オチドを使用する薬物スクリーニング方法に関する。本発明は、さらに、該レセ
プターのポリペプチドおよびポリヌクレオチドに基づくアゴニストおよびアンタ
ゴニストを包含する。本発明は、さらに、該レセプターのポリペプチドおよびポ
リヌクレオチドの製造手順に関する。
【0003】 (発明の背景) Gタンパク質共役型受容体 Gタンパク質共役型受容体(GPCR)は、細胞内のシグナルの伝達を司るタ
ンパク質の主要な一分類を構成する。GPCRは、3個の構造ドメイン、すなわ
ちアミノ末端細胞外ドメイン、膜貫通ドメイン(7個の膜貫通セグメント、3個
の細胞外ループおよび3個の細胞内ループを含有する)、ならびにカルボキシ末
端細胞内ドメインを有する。GPCRの細胞外部分へのリガンドの結合に際して
シグナルが細胞内で伝達され、それは該細胞の生物学的もしくは生理学的特性の
変化をもたらす。GPCRは、Gタンパク質およびエフェクター(Gタンパク質
により調節される細胞内酵素およびチャンネル)と一緒に、細胞内のセカンドメ
ッセンジャーの状態を細胞外の入力に結びつけるモジュラーシグナル伝達系の成
分である。
【0004】 GPCRの遺伝子および遺伝子産物は疾患の潜在的原因物質である(シュピー
ゲル(Spiegel)ら、J.Clin.Invest.92:1119−1
125(1993);マクシック(McKusick)ら、J.Med.Gen
et.30:1−26(1993))。ロドプシン遺伝子およびV2バソプレシ
ンレセプター遺伝子中の特定の欠損は、多様な形態の色素性網膜炎(ネイザンス
(Nathans)ら、Annu.Rev.Genet.26:403−424
(1992))および腎性尿崩症(ホルツマン(Holtzman)ら、Hum
.Mol.Genet.2:1201−1204(1993))を引き起こすこ
とが示されている。これらのレセプターは、中枢神経系および末梢の生理学的過
程の双方に決定的に重要である。進化の解析は、これらのタンパク質の先祖が、
もともと、複雑な身体の設計図(body plan)および神経系と提携して発達したこ
とを示唆している。
【0005】 GPCRタンパク質スーパーファミリーは5つのファミリー、すなわち、ロド
プシンおよびβ2−アドレナリン作動性レセプターにより典型的に表され、そし
て現在は200を越える独特のメンバーにより代表されているレセプター、ファ
ミリーI(ドールマン(Dohlman)ら、Annu.Rev.Bioche
m.60:653−688(1991));副甲状腺ホルモン/カルシトニン/
セクレチンレセプターファミリー、ファミリーII(ジャップナー(Juppn
er)ら、Science 254:1024−1026(1991);リン(
Lin)ら、Science 254:1022−1024(1991));代
謝共役型グルタミン酸レセプターファミリー、ファミリーIII(中西、Sci
ence 258:597:603(1992));D.ディスコイデウム(D
.discoideum)の化学走性および発達で重要なcAMPレセプターフ
ァミリー、ファミリーIV(クライン(Klein)ら、Science 24
1:1467−1472(1988));ならびにSTE2のような真菌の交配
フェロモンレセプター、ファミリーV(クルジャン(Kurjan)、Annu
.Rev.Biochem.61:1097−1129(1992))に分割す
ることが可能である。
【0006】 7個の推定の疎水性セグメントを提示しかつGPCRに無関係であるようであ
る少数の他のタンパク質もまた存在し;それらはGタンパク質に共役することが
示されていない。ドロソフィラ属(Drosophila)は、1種の光レセプ
ター特異的タンパク質、すなわち7膜貫通セグメントタンパク質bride o
f sevenless(boss)を発現する。これは広範囲に研究されてお
り、そしてGPCRであるという証拠を示さない(ハート(Hart)ら、Pr
oc.Natl.Acad.Sci.USA 90:5047−5051(19
93))。ドロソフィラ属(Drosophila)の遺伝子frizzled
(fz)もまた7個の膜貫通セグメントをもつタンパク質であると考えられてい
る。bossと同様、fzはGタンパク質に共役することが示されていない(ヴ
ィンソン(Vinson)ら、Nature 338:263−264(198
9))。
【0007】 Gタンパク質は、α、βおよびγサブユニット(これらはグアニンヌクレオチ
ドを結合する)より構成されるヘテロ三量体タンパク質の1つのファミリーを代
表する。これらのタンパク質は、通常、細胞表面レセプター、例えば7個の膜貫
通セグメントを含有するレセプターに連結されている。GPCRへのリガンド結
合の後に、コンホメーションの変化がGタンパク質に伝達され、これは、α−サ
ブユニットに結合型GDP分子をGTP分子と交換させかつβγ−サブユニット
から解離させる。GTP結合型の形態のα−サブユニットは、典型的に、エフェ
クター調節部分として機能し、cAMP(例えばアデニルシクラーゼの活性化に
よる)、ジアシルグリセロールもしくはイノシトールリン酸のようなセカンドメ
ッセンジャーの産生をもたらす。ヒトでは20を越える多様な型のα−サブユニ
ットが既知である。これらのサブユニットは、βおよびγサブユニットのより少
ないプールと会合する。哺乳動物のGタンパク質の例は、Gi、Go、Gq、G
sおよびGtを包含する。Gタンパク質は、ロディシュ(Lodish)ら、M
olecular Cell Biology,(サイエンティフィック アメ
リカン ブックス インク(Scientific American Boo
ks Inc.)、ニューヨーク州ニューヨーク、1995)に広範囲に記述さ
れており、その内容は引用により本明細書に組込まれる。GPCR、Gタンパク
質、ならびにGタンパク質に連結されるエフェクターおよびセカンドメッセンジ
ャー系は、The G−Protein Linked Receptor F
act Book、ワトソン(Watson)ら編、アカデミック プレス(A
cademic Press)(1994)に総説されている。
【0008】 GPCRは薬物の作用および開発の主要な一標的である。従って、以前に未知
のGPCRを同定しかつ特徴づけることは、製薬学的開発の分野にとって価値あ
ることである。本発明は、以前に同定されていないヒトGPCRを提供すること
により現状の技術を前進させる。
【0009】 (発明の要約) 新規GPCRを同定することが本発明の一目的である。
【0010】 GPCR媒介性の障害の治療および診断に応用可能なレセプターアッセイの試
薬もしくは標的として有用である新規GPCRポリペプチドを提供することが、
本発明のさらなる一目的である。
【0011】 GPCR媒介性の障害の治療および診断に応用可能なレセプターアッセイの試
薬もしくは標的として有用でありかつ組換え法により新規レセプターポリペプチ
ドを製造するのに有用である新規GPCRレセプターポリペプチドに対応するポ
リヌクレオチドを提供することが、本発明のさらなる一目的である。
【0012】 本発明の特定の一目的は、アゴニストおよびアンタゴニストとして作用しかつ
新規レセプターの発現を調節する化合物を同定することである。
【0013】 本発明のさらなる特定の一目的は、GPCR関連性の障害の治療および診断の
ためにレセプターの発現を調節する化合物を提供することである。
【0014】 本発明は、従って、14273レセプターと呼称される新規GPCRの同定に
基づく。
【0015】 本発明は、配列番号1(ヒト)および配列番号4(マウス)に示されるアミノ
酸配列、もしくは____にATCC番号____として寄託されたcDNA(
「寄託されたcDNA」)によりコードされるアミノ酸配列を有するポリペプチ
ドを包含する単離された14273レセプターポリペプチドを提供する。
【0016】 本発明はまた、配列番号2(ヒト)および配列番号5(マウス)もしくは寄託
されたcDNAに示される配列を有する単離された14273レセプター核酸分
子も提供する。
【0017】 本発明はまた、配列番号1もしくは配列番号4に示される、または寄託された
cDNAによりコードされるアミノ酸配列に本質的に相同であるアミノ酸配列を
有する変異体ポリペプチドも提供する。
【0018】 本発明はまた、配列番号2もしくは配列番号5または寄託されたcDNAに示
されるヌクレオチド配列に本質的に相同である変異体核酸配列も提供する。
【0019】 本発明はまた、配列番号1もしくは配列番号4に示されるポリペプチド、およ
び配列番号2もしくは配列番号5に示されるヌクレオチドのフラグメント、なら
びに該ポリペプチドもしくは核酸の本質的に相同なフラグメントも提供する。
【0020】 本発明はまた、該レセプターの核酸分子およびポリペプチドを発現するための
ベクターおよび宿主細胞、ならびにとりわけ組換えベクターおよび宿主細胞も提
供する。本発明は、とりわけ、障害と相互に関連づけられる特定の変異体を含有
することによりレセプター関連性の疾患のモデルを提供する宿主細胞を提供する
【0021】 本発明はまた、該ベクターおよび該宿主細胞の作成方法、ならびにレセプター
の核酸分子およびポリペプチドを製造するためのそれらの使用方法も提供する。
【0022】 本発明はまた、該レセプターのポリペプチドおよびフラグメントを選択的に結
合する抗体も提供する。
【0023】 本発明はまた、該レセプターポリペプチドの活性を調節する化合物のスクリー
ニング方法も提供する。調節は、ポリペプチドレセプターのレベル、または該レ
セプターポリペプチドを発現する核酸(RNAもしくはDNA)の発現を制御す
るレベルでであることができる。
【0024】 本発明はまた、該レセプターポリペプチドの発現に関連する症状を治療するこ
とを包含する、とりわけスクリーニングされた化合物を使用するレセプターポリ
ペプチドの活性の調節方法も提供する。
【0025】 本発明はまた、生物学的サンプル中の該レセプターのポリペプチドもしくは核
酸分子の存在およびレベルを決定するための診断アッセイも提供する。
【0026】 本発明はまた、該レセプターのポリペプチドもしくは核酸分子中の突然変異の
存在を決定するための診断アッセイも提供する。
【0027】 (発明の詳細な説明) レセプターの機能/シグナル経路 14273レセプタータンパク質はシグナル伝達経路に参画するGPCRであ
る。本明細書で使用されるところの「シグナル伝達経路」は、GPCR(142
73タンパク質)へのリガンドの結合に際しての細胞の機能/活性の調節(例え
ば刺激もしくは阻害)を指す。こうした機能の例は、シグナル伝達経路に参画す
る細胞内分子、例えばホスファチジルイノシトール4,5−ビスリン酸(PIP 2 )、イノシトール1,4,5−三リン酸(IP3)およびアデニル酸シクラーゼ
の動員;原形質膜の分極;分子の産生もしくは分泌;細胞成分の構造の変化;細
胞の増殖、例えばDNAの合成;細胞の移動;細胞の分化;ならびに細胞の生存
を包含する。
【0028】 該レセプタータンパク質により媒介される応答は細胞の型に依存する。例えば
、いくつかの細胞では、該レセプタータンパク質へのリガンドの結合は、ホスフ
ァチジルイノシトールもしくは環状AMPの代謝および回転による化合物の放出
、チャンネルのゲーティング、細胞の接着、移動、分化、などのような活性を刺
激することができる一方で、他の細胞では、リガンドの結合は異なる結果を生じ
させることができる。該レセプタータンパク質により調節される細胞の活性/応
答に関係なく、該タンパク質はGPCRであり、そして、Gタンパク質と相互作
用して、細胞中で例えばホスファチジルイノシトールもしくは環状AMPの代謝
および回転により多様な細胞内シグナル伝達経路において1種もしくはそれ以上
の二次的シグナルを生じさせることが普遍的である。
【0029】 本明細書で使用されるところの「ホスファチジルイノシトールの回転および代
謝」は、ホスファチジルイノシトール4,5−ビスリン酸(PIP2)の回転お
よび代謝に関与する分子ならびにこれらの分子の活性を指す。PIP2は、原形
質膜の細胞質小葉(cytosolic leaflet)中に見出されるリン脂質である。レセプ
ターへのリガンドの結合は、いくつかの細胞中で原形質膜酵素ホスホリパーゼC
を活性化し、それは順にPIP2を加水分解して1,2−ジアシルグリセロール
(DAG)およびイノシトール1,4,5−三リン酸(IP3)を生じさせる可
能性がある。IP3は、一旦形成されると小胞体表面まで拡散することが可能で
あり、そこでそれはIP3レセプター、例えばIP3結合部位を含有するカルシウ
ムチャンネルタンパク質を結合することが可能である。IP3の結合はチャンネ
ルの開放を誘導することが可能であり、カルシウムイオンを細胞質中に放出させ
る。IP3はまた、特異的キナーゼによりホスホリル化されて、細胞外媒体から
細胞質中へのカルシウム進入を引き起こす可能性のある分子、イノシトール1,
3,4,5−四リン酸(IP4)を形成することが可能である。IP3およびIP 4 は、その後、それぞれ不活性の産物、イノシトール1,4−二リン酸(IP2
およびイノシトール1,3,4−三リン酸に非常に迅速に加水分解される可能性
がある。これらの不活性の産物は、PIP2を合成するために細胞により再利用
される可能性がある。PIP2の加水分解により産生される他のセカンドメッセ
ンジャー、すなわち1,2−ジアシルグリセロール(DAG)は細胞膜中に留ま
り、ここでそれは酵素プロテインキナーゼCを活性化するようはたらく可能性が
ある。プロテインキナーゼCは、通常、細胞の細胞質中で可溶性と見出されてい
るが、しかし、細胞内カルシウム濃度の上昇に際して、この酵素は原形質膜に移
動することができ、ここでそれはDAGにより活性化される可能性がある。多様
な細胞中でのプロテインキナーゼCの活性化は、グリコーゲン合成酵素のホスホ
リル化、もしくは多様な転写因子、例えばNF−κBのホスホリル化のような多
様な細胞応答をもたらす。本明細書で使用されるところの「ホスファチジルイノ
シトールの活性」という語法は、PIP2もしくはその代謝物の1つの活性を指
す。
【0030】 該レセプターが参画するかも知れない別のシグナル伝達経路はcAMP回転経
路である。本明細書で使用されるところの「環状AMPの回転および代謝」は、
環状AMP(cAMP)の回転および代謝に関与する分子、ならびにこれらの分
子の活性を指す。環状AMPは、ある種のGタンパク質共役型受容体のリガンド
に誘導される刺激に応答して産生されるセカンドメッセンジャーである。cAM
Pシグナル伝達経路においては、GPCRへのリガンドの結合が酵素アデニルシ
クラーゼの活性化につながる可能性があり、それがcAMPの合成を触媒する。
新規に合成されたcAMPは、順に、cAMP依存性プロテインキナーゼを活性
化する可能性がある。この活性化されたキナーゼは、電圧開閉型(voltage-gated
)カリウムチャンネルタンパク質もしくは関連タンパク質をホスホリル化し、そ
して活動電位の間のカリウムチャンネルの開放の不能につながる可能性がある。
カリウムチャンネルの開放の不能はカリウムの外へ向かう流れの減少をもたらし
、これは通常、ニューロンの膜を再分極して、持続性の膜の脱分極につながる。
ポリペプチド 本発明は、新規のGタンパク質共役型のタンパク質レセプターの発見に基づく
。とりわけ、発現される配列標識(expressed sequence tag)(EST)を、Gタ
ンパク質共役型受容体の配列に対する相同性に基づいて選択した。このESTを
使用してそれが含有する配列に基づくプライマーを設計し、また、それを使用し
てヒト胎児脳のcDNAライブラリーからcDNAを同定した。陽性のクローン
の配列を決定し、そして重なり合うフラグメントを集成した。集成された配列の
分析は、クローン化されたcDNA分子がGタンパク質共役型受容体をコードす
ることを示した。このレセプターのアミノ酸配列は、ガラニンレセプター、ケモ
カインレセプターおよびソマトスタチンとの相同性を示す。
【0031】 ガラニンは29アミノ酸の小型の神経内分泌ペプチドである。主要な生物学的
機能は、成長ホルモンの放出を促進し、ブドウ糖誘発性のインスリン放出を阻害
し、認識機能を損ない、摂食挙動を刺激し、そして消化管の運動性を調節するこ
とである。ガラニンの背景および機能については、米国特許第5,756,46
0号を参照されたい。また、ガラニンおよびガラニンレセプターの機能に関する
教示については、第WO 98/15570号も参照されたい。これらの文書は
これらの教示について、引用により本明細書に組込まれる。
【0032】 本発明は、従って、図1(配列番号1)に示される推定アミノ酸配列を有する
、もしくは寄託されたcDNA、ATCC番号____によりコードされるアミ
ノ酸配列を有する新規GPCRに関する。本発明はまた、図7(配列番号4)に
示される推定アミノ酸配列を有する、もしくは寄託されたcDNA、ATCC番
号____によりコードされるアミノ酸配列を有する新規ヒトGPCRに対応す
るマウスの真正物(ortholog)にも関する。
【0033】 寄託は、微生物の寄託の国際的承認に関するブダペスト条約(Budapes
t Treaty on the International Recogn
ition of the Deposit of Microorganis
ms)の約定のもとで維持されよう。寄託は当業者に対する便宜として提供され
、また、寄託が35 U.S.C.§112で必要とされるということの容認で
ない。寄託された配列、ならびに該配列によりコードされるポリペプチドは、引
用により本明細書に組込まれ、そして万一配列決定の誤りのようないかなる論争
の場合にも本明細書の記述で支配する。
【0034】 詳細な記述の多くはヒトレセプターのポリペプチドもしくは核酸にとりわけ向
けられる。しかしながら、この記述はマウスの真正物にもまた当てはまるが、但
し、セグメント、ドメイン、フラグメント、抗原部位などのような特定の領域が
、本明細書の図面中のマウスの真正物について提供される配列の詳細およびドメ
イン分析に従って改変されるとみられることを条件とすることが理解される。従
って、記述が包括的に14273レセプターを指す場合には、本記述はマウスお
よびヒト双方のレセプターを指す。記述が必然的にヒトレセプターに制限される
とみられる場合(例えば、特定のフラグメント、セグメントもしくはドメインの
呼称におけるような)には、マウスの真正物に関する対応する詳細を確かめるた
めに、図7〜12を参照すべきである。
【0035】 「14273レセプターポリペプチド」もしくは「14273レセプタータン
パク質」は、配列番号1もしくは配列番号4の、または寄託されたcDNAによ
りコードされるポリペプチドを指す。しかしながら、「レセプタータンパク質」
もしくは「レセプターポリペプチド」という用語は、本明細書に記述される多数
の変異体、ならびに完全長の14273ポリペプチドおよび変異体由来のフラグ
メントをさらに包含する。
【0036】 従って、本発明は、単離もしくは精製された14273レセプターのポリペプ
チドおよび変異体、ならびにそれらのフラグメントを提供する。
【0037】 ヒト14273ポリペプチドは、3個の主要な構造ドメインを示す361残基
のタンパク質である。アミノ末端細胞外ドメインは、配列番号1の残基1ないし
ほぼ45内であることが同定されている。膜貫通ドメインは、配列番号1のほぼ
46からほぼ321までの残基内にあることが同定されている。カルボキシ末端
細胞内ドメインは、配列番号1のほぼ322から361までの残基内にあること
が同定されている。膜貫通ドメインは膜にわたる7個のセグメントを含有する。
膜貫通セグメントは、ほぼアミノ酸46からほぼアミノ酸66まで、ほぼアミノ
酸75からほぼアミノ酸98まで、ほぼアミノ酸113からほぼアミノ酸134
まで、ほぼアミノ酸156からほぼアミノ酸177まで、ほぼアミノ酸209か
らほぼアミノ酸227まで、ほぼアミノ酸266からほぼアミノ酸289まで、
およびほぼアミノ酸297からほぼアミノ酸321までに見出される。膜貫通ド
メイン全体にわたる領域内に、3個の細胞内ループおよび3個の細胞外ループが
ある。3個の細胞内ループは、ほぼアミノ酸67からほぼアミノ酸74まで、ほ
ぼアミノ酸135からほぼアミノ酸155まで、およびほぼアミノ酸228から
ほぼアミノ酸265までに見出される。3個の細胞外ループは、ほぼアミノ酸9
9からほぼアミノ酸112まで、ほぼアミノ酸178からほぼアミノ酸208ま
で、およびほぼアミノ酸290からほぼアミノ酸296までで見出される。
【0038】 膜貫通ドメインは、残基135−137にGPCRシグナル伝達シグネチャE
RMを包含する。該配列は、GPCR中の不変のアミノ酸、残基136のアルギ
ニンを包含する。
【0039】 BLAST検索に基づけば、最高の相同性はガラニンレセプターに対し示され
た。ガラニンレセプターは、GAL I、GAL IIおよびGAL IIIレ
セプターを包含する。有意の相同性が、ケモカインレセプターおよびソマトスタ
チンレセプターでもまた見出された。
【0040】 本明細書で使用されるところのポリペプチドは、それが組換えおよび非組換え
細胞から単離される場合にそれが細胞性物質を本質的に含まない、またはそれが
化学的に合成される場合は化学的前駆物質もしくは他の化学物質を含まない場合
に、「単離された」もしくは「精製された」と言われる。しかしながら、ポリペ
プチドは、細胞中でそれが通常会合しない別のポリペプチドに結合される可能性
があり、そしてなお「単離された」もしくは「精製された」とみなされる可能性
がある。
【0041】 レセプターポリペプチドは均質まで精製することが可能である。しかしながら
、ポリペプチドが均質まで精製されていない調製物が有用でありかつ単離された
形態の該ポリペプチドを含有するとみなされることが理解される。決定的な特徴
は、かなりの量の他の成分の存在下であってもなお、該調製物が該ポリペプチド
の所望の機能を見込むことである。従って、本発明は多様な程度の純度を包含す
る。
【0042】 一態様において、「細胞性物質を本質的に含まない」という語法は、約30%
(乾燥重量で)未満の他のタンパク質(すなわち混入タンパク質)、約20%未
満の他のタンパク質、約10%未満の他のタンパク質もしくは約5%未満の他の
タンパク質を有するレセプターポリペプチドの調製物を包含する。該レセプター
ポリペプチドが組換え的に産生される場合は、それはまた培養培地を本質的に含
まないこともできる。すなわち、培養培地はタンパク質調製物の体積の約20%
未満、約10%未満、もしくは約5%未満に相当する。
【0043】 「化学的前駆物質もしくは他の化学物質を本質的に含まない」という語法は、
それがそれの合成で関与する化学的前駆物質もしくは他の化学物質から分離され
ている該レセプターポリペプチドの調製物を包含する。一態様において、「化学
的前駆物質もしくは他の化学物質を本質的に含まない」という語法は、約30%
(乾燥重量で)未満の化学的前駆物質もしくは他の化学物質、約20%未満の化
学的前駆物質もしくは他の化学物質、約10%未満の化学的前駆物質もしくは他
の化学物質、または約5%未満の化学的前駆物質もしくは他の化学物質を有する
ポリペプチドの調製物を包含する。
【0044】 一態様において、該レセプターポリペプチドは配列番号1もしくは配列番号4
に示されるアミノ酸配列を含んで成る。しかしながら、本発明は配列変異体もま
た包含する。変異体は、ある生物体の同一の遺伝子座によりコードされる本質的
に相同なタンパク質、すなわち対立遺伝子変異体を包含する。変異体は、ある生
物体の他の遺伝子座由来がだしかし配列番号1もしくは配列番号4の14273
レセプタータンパク質に対する本質的相同性を有するタンパク質もまた包含する
。変異体はまた、14273レセプタータンパク質に本質的に相同だがしかし別
の生物体から生じるタンパク質、すなわち真正物も包含する。変異体は、化学合
成により製造される14273レセプタータンパク質に本質的に相同であるタン
パク質もまた包含する。変異体は、組換え法により製造される14273レセプ
タータンパク質に本質的に相同であるタンパク質もまた包含する。しかしながら
、変異体は本発明の前に開示されたいかなるアミノ酸配列も除外することが理解
される。
【0045】 本明細書で使用されるところの2種のタンパク質(もしくは該タンパク質の一
領域)は、該アミノ酸配列が最低約50〜55%、55〜60%、典型的には最
低約70〜75%、より典型的には最低約80〜85%、そして最も典型的には
最低約90〜95%もしくはそれ以上相同である場合に本質的に相同である。本
発明の本質的に相同なアミノ酸配列は、より十分に下述されるとおり、配列番号
2もしくは配列番号5に示される配列の核酸配列もしくはその部分にストリンジ
ェントな条件下でハイブリダイズする核酸配列によりコードすることができる。
【0046】 2種のアミノ酸配列もしくは2種の核酸配列の同一性パーセントを決定するた
めに、至適な比較の目的上、配列を整列する(例えば、至適な整列のため第一お
よび第二のアミノ酸もしくは核酸配列の一方もしくは双方にギャップを導入する
ことが可能であり、また、非相同配列は比較の目的上無視することができる)。
好ましい一態様において、比較の目的上整列される参照配列の長さは、参照配列
の長さの最低30%、好ましくは最低40%、より好ましくは最低50%、なお
より好ましくは最低60%、そしてなおより好ましくは最低70%、80%もし
くは90%である(例えば、100アミノ酸残基を有する本明細書のアミノ酸配
列に第二の配列を整列させる場合、最低140、好ましくは最低180、より好
ましくは最低250、なおより好ましくは最低290、そしてなおより好ましく
は最低320アミノ酸残基を整列させる)。その後、対応するアミノ酸位置もし
くはヌクレオチド位置のアミノ酸残基もしくはヌクレオチドを比較する。第一の
配列中の位置が、第二の配列中の対応する位置と同一のアミノ酸残基もしくはヌ
クレオチドにより占有されている場合には、それらの分子はその位置で同一であ
る(本明細書で使用されるところのアミノ酸もしくは核酸の「同一性」は、アミ
ノ酸もしくは核酸の「相同性」と同等である)。2種の配列の間の同一性パーセ
ントは、ギャップの数を考慮に入れた、それらの配列により共有される同一の位
置の数、および2種の配列の至適の整列のために導入することが必要である各ギ
ャップの長さの関数である。
【0047】 本発明はまた、より低い程度の同一性を有するがしかし14273ポリペプチ
ドにより実施される同一の機能の1種もしくはそれ以上を実施するように十分な
類似性を有するポリペプチドも包含する。類似性は保存されたアミノ酸置換によ
り決定される。こうした置換は、ポリペプチド中の所定の一アミノ酸を同様の特
徴の別のアミノ酸により置き換えるものである。保存的置換は、表現型上、沈黙
であることがありそうである。脂肪族アミノ酸Ala、Val、LeuおよびI
leの間での1つについて別のものの置き換え(replacement);ヒドロキシル残
基SerおよびThrの相互交換、酸性残基AspおよびGluの交換、アミド
残基AsnおよびGlnの間の置換(substitution)、塩基性残基LysおよびA
rgの交換、ならびに芳香族残基Phe、Tyrの間の置き換えが、保存的置換
として典型的にみられる。どのアミノ酸変化が表現型上沈黙であるようであるか
に関する指針は、ボウイー(Bowie)ら、Science 247:130
6−1310(1990)に見出される。
【0048】
【表1】
【0049】 配列の比較、ならびに2種の配列の間の同一性パーセントおよび類似性の決定
は、数学的アルゴリズムを使用して達成することができる。(Computat
ional Molecular Biology、レスク(Lesk,A.M
.)編、オックスフォード ユニバーシティ プレス(Oxford Univ
ersity Press)、ニューヨーク、1988;Biocomputi
ng:Informatics and Genome Projects、ス
ミス(Smith,D.W.)編、アカデミック プレス(Academic Press)、ニューヨーク、1993;Computer Analysis
of Sequence Data.Part I、グリフィン(Griff
in,A.M.)とグリフィン(Grrifin,H.G.)編、ヒューマナ プレス(Humana Press)、ニュージャージー、1994;Sequ
ence Analysis in Molecular Biology、フ
ォン・ハイニェ(von Heinje,G)、アカデミック プレス(Aca
demic Press)、1987;およびSequence Analys
is Primer、グリブスコフ(Gribskov,M.)とデヴリュー(
Devereux,J.)編、M ストックトン プレス(M Stockto
n Press)、ニューヨーク、1991)。好ましい一態様において、2種
のアミノ酸配列の間の同一性パーセントは、ブロッサム(Blossom)62
マトリックスもしくはPAM250マトリックスのいずれか、ならびに16、1
4、13、10、8、6もしくは4のギャップ重み(gap weight)および1、2、
3、4、5もしくは6の長さ重み(length weight)を使用して、GCGソフトウ
ェアパッケージ中のGAPプログラム(http://www.gcg.com
で入手可能)に組込まれているニードルマン(Needleman)とヴンシュ
(Wunsch)(J.Mol.Biol.(48):444−453(197
0))のアルゴリズムを使用して決定する。なお別の好ましい態様において、2
種のヌクレオチド配列間の同一性パーセントは、NWSgapdna.CMPマ
トリックス、ならびに40、50、60、70もしくは80のギャップ重みおよ
び1、2、3、4、5もしくは6の長さ重みを使用して、GCGソフトウエアパ
ッケージ中のGAPプログラム(デヴリュー(Devereux,J.)ら、N
ucleic Acids Res.12(1):387(1984))(ht
tp://www.gcg.comで入手可能)を使用して決定する。別の態様
において、2種のアミノ酸もしくはヌクレオチドの配列の間の同一性パーセント
は、PAM120重み残基表(weight residue table)、12のギャップ長ペナル
ティ(gap length penalty)および4のギャップペナルティ(gap penalty)を使用
し、ALIGNプログラム(バージョン2.0)に組込まれているマイヤース(
E.Meyers)とミラー(W.Miller)のアルゴリズム(CABIO
S、4:11−17(1989))を使用して決定する。
【0050】 本発明の核酸およびタンパク質配列は、公的データベースに対する検索を実施
して、例えば他のファミリーメンバーもしくは関連する配列を同定するための「
クエリ配列」としてさらに使用することが可能である。こうした検索は、アルチ
ュル(Altschul)ら(1990)J.Mol.Biol.215:40
3−10のNBLASTおよびXBLASTプログラム(バージョン2.0)を
使用して実施することが可能である。NBLASTプログラム、スコア=100
、語長(wordlength)=12でBLASTヌクレオチド検索を実施して、本発明の
核酸分子に相同なヌクレオチド配列を得ることが可能である。XBLASTプロ
グラム、スコア=50、語長=3でBLASTタンパク質検索を実施して、本発
明のタンパク質に相同なアミノ酸配列を得ることが可能である。比較の目的上、
ギャップをつけられた整列を得るために、アルチュル(Altschul)ら、
(1997)Nucleic Acids Res.25(17):3389−
3402に記述されるとおりギャップト(Gapped)BLASTを利用する
ことが可能である。BLASTおよびギャップトBLASTプログラムを利用す
る場合、それぞれのプログラム(例えばXBLASTおよびNBLAST)のデ
フォルトのパラメータを使用することが可能である。http://www.n
cbi.nlm.nih.govを参照されたい。
【0051】 変異体ポリペプチドは、1個もしくはそれ以上の置換、欠失、挿入、逆位、融
合および短縮、もしくはこれらのいずれかの組み合わせによりアミノ酸配列が異
なる可能性がある。
【0052】 変異体ポリペプチドは、完全に機能的である可能性があるか、または1種もし
くはそれ以上の活性の機能を欠く可能性がある。従って、本場合には、変異は例
えばリガンド結合、膜会合、Gタンパク質結合およびシグナル伝達に対応する領
域の1個もしくはそれ以上の機能に影響を及ぼす可能性がある。
【0053】 完全に機能的な変異体は、典型的に、保存的変異、または決定的でない残基も
しくは決定的でない領域中の変異のみを含有する。機能的変異体は、機能の変化
をもたらさないかもしくは無意味な変化をもたらす、類似のアミノ酸の置換もま
た含有する可能性がある。あるいは、こうした置換は若干の程度、機能に正にま
たは負に影響を及ぼすかも知れない。
【0054】 機能的でない変異体は、典型的に、1個もしくはそれ以上の非保存的アミノ酸
の置換、欠失、挿入、逆位もしくは短縮、または決定的な残基もしくは決定的な
領域中の置換、挿入、逆位もしくは欠失を含有する。
【0055】 変異体は、示されたとおり、天然に存在する可能性があるか、もしくは、該レ
セプターポリペプチドに有用かつ新規の特徴を提供するように組換え手段もしく
は化学合成により作成することが可能である。これは、タンパク質の凝集を予防
することにより製薬学的製剤からの免疫原性を予防することを包含する。
【0056】 有用な変異は、リガンド結合の特徴の変化をさらに含んで成る。例えば、一態
様は、リガンドの結合をもたらすがしかし放出をもたらさないかもしくはより遅
い放出をもたらす、結合部位の変異を必要とする。同一部位でのさらなる有用な
一変異は、リガンドに対するより高い親和性をもたらす可能性がある。有用な変
異はまた、別のリガンドに対する親和性を提供する変化も包含する。別の有用な
変異は、結合を可能にするがしかしリガンドによる活性化を予防するものを包含
する。別の有用な変異は、適切なGタンパク質による抑制されたもしくは増大さ
れた結合、または該レセプターが通常会合するものと異なるGタンパク質による
結合を提供する、膜貫通Gタンパク質結合シグナル伝達ドメイン中の変異を包含
する。別の有用な変異は、その中の1個もしくはそれ以上のドメインまたは下位
領域が、別のGタンパク質共役型受容体からの1種もしくはそれ以上のドメイン
または下位領域に機能を果たして(operationally)融合されている融合タンパク
質を提供する。
【0057】 機能に必須であるアミノ酸は、部位特異的突然変異誘発もしくはアラニン走査
(alanin-scanning)突然変異誘発(カニンガム(Cunningham)ら、S
cience 244:1081−1085(1989))のような当該技術分
野で既知の方法により同定することが可能である。後者の処置は該分子中のすべ
ての残基に単一のアラニン突然変異を導入する。その後、生じる突然変異体分子
を、レセプター結合もしくはインビトロのような生物学的活性、またはインビト
ロ増殖活性について試験する。リガンドとレセプターの結合に決定的に重要であ
る部位は、結晶化、核磁気共鳴もしくは光親和性標識(スミス(Smith)ら
、J.Mol.Biol.224:899−904(1992);デフォス(d
e Vos)ら Science 255:306−312(1992))のよ
うな構造解析によってもまた決定することが可能である。
【0058】 本質的な相同性は、核酸もしくはアミノ酸配列全体、またはこれらの配列のフ
ラグメントに対してであることができる。
【0059】 本発明は、従って、14273レセプタータンパク質のポリペプチドフラグメ
ントもまた包含する。フラグメントは、配列番号1もしくは配列番号4に示され
るアミノ酸配列に由来することができる。しかしながら、本発明は、本明細書に
記述されるような14273レセプタータンパク質の変異体のフラグメントもま
た包含する。
【0060】 本明細書で使用されるところのフラグメントは、アミノ酸1−127からの最
低6個の連続するアミノ酸、アミノ酸1からほぼアミノ酸184までの最低9個
のアミノ酸、アミノ酸1からほぼアミノ酸210までの10個より多いアミノ酸
、およびアミノ酸1からほぼアミノ酸291までの32個より多いアミノ酸を含
んで成る。特定のフラグメントは、アミノ酸123−132、134−141、
162−167、177−186、203−237、238−242、244−
259、261−292、295−323、332−337、339−345、
および347−351から見出されるものより大きいフラグメントもまた包含す
る。
【0061】 フラグメントは、該タンパク質の生物学的活性、例えばGタンパク質もしくは
リガンドに結合する能力の1種もしくはそれ以上を保持することが可能である。
フラグメントは、レセプターの抗体を生じさせる免疫原としてもまた有用である
可能性がある。
【0062】 生物学的に活性のフラグメントは、1個のドメインもしくはモチーフ、例えば
細胞外もしくは細胞内のドメインもしくはループ、1個もしくはそれ以上の膜貫
通セグメント、またはそれらの部分、Gタンパク質結合部位、またはGPCRシ
グネチャ、グリコシル化、ミリストイル化、アミド化およびホスホリル化部位、
ならびにロイシンジッパーパターン、L[a−z]{6}L[a−z]{6}L
[a−z]{6}L部位を示す部位を含むことが可能である。こうしたペプチド
は、例えば、長さが6、10、15、20、30、35、36、37、38、3
9、40、50、100もしくはそれ以上のアミノ酸であることができる。
【0063】 ヒトレセプターの可能なフラグメントは、限定されるものでないが:1)配列
番号1のほぼアミノ酸1ないしほぼアミノ酸45のアミノ末端細胞外ドメイン全
体を含んで成る可溶性ペプチド、もしくはそれらの部分;2)配列番号1のほぼ
アミノ酸322からアミノ酸361までのカルボキシ末端細胞内ドメイン全体を
含んで成るペプチド、もしくはそれらの部分;3)ほぼアミノ酸46からほぼア
ミノ酸321までの膜貫通ドメイン全体にわたる領域を含んで成るペプチド、も
しくはそれらの部分;4)ほぼアミノ酸46からほぼアミノ酸66まで、ほぼア
ミノ酸75からほぼアミノ酸98まで、ほぼアミノ酸113からほぼアミノ酸1
34まで、ほぼアミノ酸156からほぼアミノ酸177まで、ほぼアミノ酸20
9からほぼアミノ酸227まで、ほぼアミノ酸266からほぼアミノ酸289ま
で、およびほぼアミノ酸297からほぼアミノ酸321までの特定の膜貫通セグ
メントのいずれか、もしくはそれらの部分;5)ほぼアミノ酸67からほぼアミ
ノ酸74まで、ほぼアミノ酸135からほぼアミノ酸155まで、ほぼアミノ酸
228からほぼアミノ酸265まで、ほぼアミノ酸99からほぼアミノ酸112
まで、ほぼアミノ酸178からほぼアミノ酸208まで、およびほぼアミノ酸2
90からほぼアミノ酸296までの、3個の細胞内ループもしくは3個の細胞外
ループのいずれか、もしくはそれらの部分を挙げることができる。フラグメント
は、1個もしくはそれ以上の膜貫通セグメントおよび付随の細胞外もしくは細胞
内ループ、または1個もしくはそれ以上の膜貫通セグメント、およびカルボキシ
末端ドメインを含む付随の細胞内もしくは細胞外ループと組み合わせられたアミ
ノ末端ドメインのような、上のフラグメントの組み合わせをさらに包含する。従
って、上のフラグメントのいずれも組み合わせられる可能性がある。他のフラグ
メントはほぼアミノ酸37から361までの成熟タンパク質を包含する。他のフ
ラグメントは、本明細書に記述される多様な機能的部位、およびGPCRシグネ
チャ配列を含有する配列を含有する。例えば、フラグメントは、5、10、15
、20、30、40、50もしくは100までのアミノ酸を包含するように、機
能的部位から一方向もしくは双方向に伸長することが可能である。さらに、フラ
グメントは、上に挙げられた特定のドメインのサブフラグメントを包含すること
が可能であり、これらのサブフラグメントはそれらが由来するドメインの機能を
保持する。
【0064】 フラグメントは、抗原性フラグメント、ならびにとりわけ図3および9で高抗
原性指標を有することが示されるものもまた包含する。
【0065】 従って、可能なフラグメントは、リガンド結合部位を特定するフラグメント、
グリコシル化、アミド化、ホスホリル化もしくはミリストイル化部位を特定する
フラグメント、膜会合を特定するフラグメント、Gタンパク質との相互作用およ
びシグナル伝達を特定するフラグメント、ならびにロイシンジッパー部位を特定
するフラグメントを包含する。これにより、適切な機能を提供するもしくは適切
な機能が同定されることを可能にする別個のフラグメントを意図している。好ま
しい一態様において、フラグメントはリガンド結合部位を含有する。
【0066】 本発明は免疫原性の特性をもつフラグメントもまた提供する。これらは、14
273レセプタータンパク質および変異体のエピトープ担持部分を含有する。こ
れらのエピトープ担持ペプチドは、レセプターのポリペプチドもしくは領域もし
くはフラグメントに特異的に結合する抗体を生じさせるのに有用である。これら
のペプチドは最低6、12、最低14、もしくは最低約15ないし約30の間の
アミノ酸を含有する可能性がある。
【0067】 抗体を生じさせるのに使用することが可能である抗原性ポリペプチドの制限し
ない例は、アミノ末端細胞外ドメイン、もしくは細胞外ループのいずれか由来の
ペプチドを包含する。高抗原性指標を有する領域を図3および9に示す。しかし
ながら、細胞内で作成された抗体(「イントラボディ(intrabody)」
)もまた包含される。これは細胞内レセプターペプチド領域を認識するとみられ
る。
【0068】 しかしながら、本発明が関するフラグメントは、本発明の前に開示されている
かも知れないフラグメントを包含するとして解釈されるべきでない。
【0069】 (本発明の前に開示されているかも知れない変異体およびフラグメントを包含
する)レセプターポリペプチドは、GPCRに関する生物学的アッセイに有用で
ある。こうしたアッセイは、GPCR関連性の症状の診断および治療に有用な既
知のGPCRの機能もしくは活性もしくは特性のいずれかを必要とする。
【0070】 エピトープを担持するレセプターおよびポリペプチドは、いずれかの慣習的手
段により製造することができる(ホーテン(Houghten,R.A.)、P
roc.Natl.Acad.Sci.USA 82:5131−5135(1
985))。同時の複数のペプチド合成が米国特許第4,631,211号に記
述されている。
【0071】 フラグメントは、別個(他のアミノ酸もしくはポリペプチドに融合されない)
であることができるか、またはより大きなポリペプチド内にあることができる。
さらに、いくつかのフラグメントは単一のより大きなポリペプチド内に含まれる
可能性がある。一態様において、宿主中での発現のため設計されたフラグメント
は、レセプターフラグメントのアミノ末端に融合された異種のプレポリペプチド
およびプロポリペプチド領域、ならびに該フラグメントのカルボキシル末端に融
合された付加的領域を有することが可能である。
【0072】 従って、本発明はキメラもしくは融合タンパク質を提供する。これらは、該レ
セプタータンパク質に本質的に相同でないアミノ酸配列を有する異種タンパク質
に効果をもたらして連結されたレセプタータンパク質を含んで成る。「効果をも
たらして連結される」は、レセプタータンパク質および異種タンパク質が同じ読
み枠で融合されることを示す。異種タンパク質は該レセプタータンパク質のN末
端もしくはC末端に融合することが可能である。
【0073】 一態様において、融合タンパク質はレセプター機能それ自体に影響を及ぼさな
い。例えば、融合タンパク質は、レセプター配列がGST配列のC末端に融合さ
れているGST融合タンパク質であることができる。他の型の融合タンパク質は
、限定されるものでないが、酵素融合タンパク質、例えばβ−ガラクトシダーゼ
融合、酵母の2ハイブリッドGAL融合、ポリHis融合およびIg融合を挙げ
ることができる。こうした融合タンパク質、とりわけポリHis融合は、組換え
レセプタータンパク質の精製を助長する可能性がある。ある種の宿主細胞(例え
ば哺乳動物宿主細胞)においては、異種シグナル配列を使用することにより、タ
ンパク質の発現および/もしくは分泌を増大させることが可能である。従って、
別の態様において、融合タンパク質はそのN末端に異種シグナルを含有する。
【0074】 第EP−A−O 464 533号は、免疫グロブリンの定常領域の多様な部
分を含んで成る融合タンパク質を開示する。Fcは治療および診断で有用であり
、そして、従って、例えば改良された薬物動態特性(第EP−A 0232 2
62号)をもたらす。薬物の発見においては、例えばヒトタンパク質が、アンタ
ゴニストを同定するための高スループットスクリーニングアッセイの目的上、F
c部分と融合されている。べネット(Bennett)ら(J.Mol.Rec
og.8:52−58(1995))およびヨハンソン(Johanson)ら
(J.Biol.Chem.270、16:9459−9471(1995))
。従って、本発明は、レセプターポリペプチド、および多様なサブクラスの免疫
グロブリン(IgG、IgM、IgA、IgE)の重鎖もしくは軽鎖の定常領域
の多様な部分を含有する可溶性の融合タンパク質もまた包含する。ヒトIgG、
とりわけIgG1の重鎖の定常部分が免疫グロブリンとして好ましく、ここでは
融合がヒンジ領域で起こる。いくつかの用途のためには、融合タンパク質がその
意図された目的上使用された後、例えば融合タンパク質が免疫感作のための抗原
として使用されるはずである場合に、Fcを除去することが望ましい。特定の一
態様において、Fc部分は切断配列により単純な方法で除去することが可能であ
り、この切断配列もまた組込まれかつ第Xa因子で切断されることが可能である
【0075】 キメラもしくは融合タンパク質は、標準的組換えDNA技術により製造するこ
とが可能である。例えば、異なるタンパク質配列をコードするDNAフラグメン
トを、慣習的技術に従って同じ読み枠で一緒に連結する。別の態様において、融
合遺伝子は、自動化DNA合成機を包含する慣習的技術により合成することがで
きる。あるいは、その後にアニーリングかつ再増幅してキメラ遺伝子配列を生じ
させることが可能である2個の連続的な遺伝子フラグメントの間に相補的オーバ
ーハングを生じさせるアンカープライマーを使用して、遺伝子フラグメントのP
CR増幅を実施することができる(アウスベル(Ausubel)ら、Curr
ent Protocols in Molecular Biology、1
992を参照されたい)。さらに、既に融合部分をコードしている(例えばGS
Tタンパク質)多くの発現ベクターが商業的に入手可能である。融合部分を該レ
セプタータンパク質に同じ読み枠で連結するようなこうした発現ベクターに、レ
セプタータンパク質をコードする核酸をクローン化することが可能である。
【0076】 別の形態の融合タンパク質はレセプター機能に直接影響を及ぼすものである。
従って、レセプタードメイン(もしくはそれらの部分)の1個もしくはそれ以上
が別のGタンパク質共役型受容体もしくは他の型のレセプターからの相同なドメ
イン(もしくはそれらの部分)により置き換えられているレセプターポリペプチ
ドが、本発明により包含される。従って多様な並べ換えが可能である。アミノ末
端細胞外ドメインもしくはその下位領域(例えばリガンド結合)を、別のリガン
ド結合レセプタータンパク質からのドメインもしくは下位領域で置き換えること
が可能である。あるいは、膜貫通ドメイン全体、あるいは7個のセグメントもし
くはループまたはそれらの部分のいずれか、例えばGタンパク質結合/シグナル
伝達を置き換えることが可能である。最後に、カルボキシ末端細胞内ドメインも
しくは下位領域を置き換えることが可能である。従って、本来のドメインもしく
は下位領域の1個もしくはそれ以上が置き換えられているキメラレセプターを形
成することが可能である。
【0077】 単離されたレセプタータンパク質は、それを天然に発現する細胞から、それを
発現するように変えられている細胞から(組換え)精製することが可能であるか
、もしくは既知のタンパク質合成法を使用して合成することが可能である。レセ
プター関連性の疾患と相互に関連付けられる変異体は、冒された組織もしくは危
険にさらされている個体から単離することができる。あるいは、こうした変異体
は、化学合成もしくは部位特異的突然変異誘発により製造することが可能である
【0078】 一態様において、タンパク質は組換えDNA技術により製造する。例えば、該
レセプターポリペプチドをコードする核酸分子を発現ベクターにクローン化し、
発現ベクターを宿主細胞に導入し、そしてタンパク質を宿主細胞中で発現させる
。その後、標準的なタンパク質精製技術を使用する適切な精製スキームにより、
タンパク質を細胞から単離することが可能である。
【0079】 ポリペプチドは、しばしば、20の天然に存在するアミノ酸と普遍的に称され
る20種のアミノ酸以外のアミノ酸を含有する。さらに、プロセシングおよび他
の翻訳後修飾のような天然の過程、もしくは当該技術分野で公知の化学的修飾技
術により、末端アミノ酸を包含する多くのアミノ酸を修飾することができる。ポ
リペプチド中で天然に発生する普遍的修飾は、基本的教科書、詳細なモノグラフ
および研究論文に記述されており、そしてそれらは当業者に公知である。
【0080】 従って、該ポリペプチドは、置換されたアミノ酸残基が遺伝暗号によりコード
されるものでない、置換基が包含されている、成熟ポリペプチドが該ポリペプチ
ドの半減期を増大させる化合物(例えばポリエチレングリコール)のような別の
化合物と融合されている、あるいは、リーダーもしくは分泌配列、または成熟ポ
リペプチドの精製のための配列もしくはプロタンパク質配列のような付加的なア
ミノ酸が成熟ポリペプチドに融合されている、誘導体もしくは類似物もまた包含
する。
【0081】 既知の修飾は、限定されるものでないが、アセチル化、アシル化、ADP−リ
ボシル化、アミド化、フラビンの共有結合、ヘム部分の共有結合、ヌクレオチド
もしくはヌクレオチド誘導体の共有結合、脂質もしくは脂質誘導体の共有結合、
ホスファチジルイノシトールの共有結合、架橋、環化、ジスルフィド結合形成、
脱メチル化、共有結合の架橋の形成、シスチンの形成、ピログルタミン酸の形成
、ホルミル化、γ−カルボキシル化、グリコシル化、GPIアンカー形成、ヒド
ロキシル化、ヨウ化、メチル化、ミリストイル化、酸化、タンパク質分解性プロ
セシング、ホスホリル化、プレニル化、ラセミ化、セレノイル化、硫酸化、アル
ギニル化のような、タンパク質へのアミノ酸の転写RNA媒介性の付加、および
ユビキチン化を挙げることができる。
【0082】 こうした修飾は当業者に公知であり、かつ、学術論文にきわめて詳細に記述さ
れている。いくつかのとりわけ普遍的な修飾、例えばグリコシル化、脂質結合、
硫酸化、グルタミン酸残基のγ−カルボキシル化、ヒドロキシル化およびADP
−リボシル化は、Proteins−Structure and Molec
ular Properties、第2版、クレイトン(T.E.Creigh
ton)、W.H.フリーマン アンド カンパニー(W.H.Freeman
and Company)、ニューヨーク(1993)のような最も基礎的な
教科書に記述されている。ヴォルト(Wold,F.)、Posttransl
ational Covalent Modification of Pro
teins、ジョンソン(B.C.Johnson)編、アカデミック プレス
(Academic Press)、ニューヨーク 1−12(1983);ザ
イフター(Seifter)ら(Meth.Enzymol.182:626−
646(1990))およびラタン(Rattan)ら(Ann.N.Y.Ac
ad.Sci.663:48−62(1992))によるような多くの詳細な総
説が、この主題について入手可能である。
【0083】 また公知であるとおり、ポリペプチドは常に全く直鎖状ではない。例えば、ポ
リペプチドはユビキチン化の結果として分枝状であってよく、また、それらは、
一般に、天然のプロセシング事象および天然に起こらない人的操作によりもたら
される事象を包含する翻訳後事象の結果として、分枝をもつもしくはもたない環
状であってよい。環状の、分枝状のおよび分枝した環状のポリペプチドは、非翻
訳の天然のプロセシングおよび合成的方法により合成することができる。
【0084】 修飾は、ペプチドバックボーン、アミノ酸側鎖およびアミノもしくはカルボキ
シル末端を包含するポリペプチドのどこでも発生する可能性がある。共有結合の
修飾によるポリペプチドのアミノもしくはカルボキシル基または双方の封鎖は、
天然に存在するポリペプチドおよび合成ポリペプチドで普遍的である。例えば、
タンパク質分解的プロセシング前の大腸菌(E.coli)で産生されたポリペ
プチドのアミノ末端残基は、ほとんど不可避的にN−ホルミルメチオニンである
ことができる。
【0085】 修飾は、該タンパク質がどのように産生されるかの関数である可能性がある。
例えば、組換えポリペプチドについて、修飾は、宿主細胞の翻訳後修飾能力およ
びポリペプチドのアミノ酸配列中の修飾シグナルにより決定されることができる
。従って、グリコシル化を所望する場合には、グリコシル化する宿主、一般に真
核生物細胞中でポリペプチドを発現させるべきである。昆虫細胞は、しばしば、
哺乳動物細胞と同一の翻訳後グリコシル化を実施し、そして、この理由上、昆虫
細胞発現系は、天然のグリコシル化パターンを有する哺乳動物タンパク質を効率
的に発現するよう開発されている。類似の考慮が他の修飾に当てはまる。
【0086】 ある所定のポリペプチドのいくつかの部位で同一のもしくは変動する程度で、
同一の型の修飾が存在することができる。また、ある所定のポリペプチドは1以
上の型の修飾を含有することができる。 ポリペプチドの用途 該レセプターポリペプチドは、14273レセプターのタンパク質、領域もし
くはフラグメントに特異的な抗体を産生させるのに有用である。高い抗原性指標
スコアを有する領域を図3および9に示す。例えば、抗体を調製するのに、病気
に罹った組織から単離された、修飾されたレセプターポリペプチドを使用するこ
とができ、この抗体はその後、病気に罹った組織中でのインビトロもしくはイン
ビボでの遺伝子発現のスクリーニング、遺伝子発現の調節、およびレセプターポ
リペプチドに関連する障害の治療に有用である。ある障害に直接関係があること
が見出される場合は、化学合成もしくは部位特異的突然変異誘発のような技術に
より製造される修飾されたレセプターポリペプチドを、スクリーニングおよび調
節のための抗体を製造するのにもまた使用することが可能である。
【0087】 (本発明の前に開示されているかも知れない変異体およびフラグメントを包含
する)該レセプターポリペプチドは、GPCRに関する生物学的アッセイに有用
である。こうしたアッセイは、GPCR関連性の症状の診断および治療に有用な
既知のGPCRの機能もしくは活性もしくは特性のいずれかを必要とする。
【0088】 該レセプターポリペプチドは、細胞に基づく系もしくは細胞を含まない系での
薬物スクリーニングアッセイでもまた有用である。細胞に基づく系は、天然、す
なわち生検もしくは細胞培養物中で拡張されたような該レセプタータンパク質を
通常に発現する細胞であることができる。しかしながら、一態様において、細胞
に基づくアッセイは該レセプタータンパク質を発現する組換え宿主細胞を必要と
する。
【0089】 薬物スクリーニングアッセイをトランスジェニック動物モデルで実施すること
もまた可能である。従って、天然に存在する突然変異体、もしくは実験室で作成
された突然変異体は、薬物スクリーニングの基礎として役立つトランスジェニッ
ク動物を創製するのに使用することが可能である。本モデルは、ある所定の薬物
の影響に対するインビボ環境の全体的影響の評価でとりわけ有用である。これら
の動物は、特定の突然変異体に対する影響を確かめることに加えて、全体的系に
対する影響を確かめることが可能であるように、疾患の動物モデルとして役立つ
可能性がある。
【0090】 該ポリペプチドはレセプター活性を調節する化合物を同定するのに使用するこ
とが可能である。該レセプターに結合する能力について候補化合物をアッセイす
るための高スループットスクリーニングで、14273タンパク質、ならびに適
切な変異体およびフラグメントの双方を使用することが可能である。レセプター
活性に対する該化合物の影響を決定するため、これらの化合物を機能的レセプタ
ーに対してさらにスクリーンニングすることが可能である。所望の程度まで該レ
セプターを活性化(アゴニスト)もしくは不活性化(アンタゴニスト)する化合
物を同定することができる。
【0091】 「アゴニスト」および「アンタゴニスト」という用語は、応答を高めるもしく
は減少させる化合物を表す。アゴニストの一形態として、化合物は内在性の化合
物と同一部位に結合し、そして通常は内在性の作用物質と同等なもしくはより大
きな程度、同一型のシグナルを生じさせる。別の形態のアゴニストは、第一のア
ゴニストと異なる部位に結合し、独力でシグナルを生じさせないが;しかしなが
ら、内在性の作用物質もまたその部位に結合する場合に、高められたシグナルを
生じさせる。これはアロステリック作用と呼ばれている。1つの形態のアンタゴ
ニストは、内在性の作用物質により使用されている部位に結合し、そしてその内
在性の作用物質により生じられるシグナルを減少もしくは封鎖する。別の形態の
アンタゴニストは、第二の形態のアゴニストと同様にアロステリック部位に結合
するが、しかし、内在性の作用物質により生じられる減少されたシグナルを生じ
させる。第三の形態のアンタゴニストは、膜中に溶解するかもしくは膜を横断し
、そして膜内もしくは細胞内側で内在性の作用物質により生じられたシグナルを
遮る。従って、アンタゴニストは、「インバースアゴニスト」の非存在下で測定
されるシグナル伝達活性に関してレセプターのシグナル活性を低下させる負の固
有の活性を有する負のアゴニストもしくはインバースアゴニストを包含する。こ
うしたアンタゴニストは、固有の活性、およびレセプターの基礎的活性に対する
影響を有しないアンタゴニストと識別される。従って、例えば、インバースアゴ
ニストはレセプターの確認を変えることが可能であり、それによりリガンドとの
相互作用を低下させるもしくは排除する。ミリガン(Milligan)ら、T
IPS 16:10(1995)を参照されたい。
【0092】 該レセプターポリペプチドは、レセプタータンパク質と通常は該レセプタータ
ンパク質と相互作用する標的分子との間の相互作用を刺激もしくは阻害する能力
について化合物をスクリーニングするのに使用することができる。標的は、リガ
ンド、もしくは該レセプタータンパク質が通常相互作用するシグナル経路の一成
分(例えば、Gタンパク質、またはcAMPもしくはホスファチジルイノシトー
ルの回転および/またはアデニル酸シクラーゼもしくはホスホリパーゼCの活性
化に関与する他の相互作用物質(interactor))であることができる。該アッセイ
は、該レセプタータンパク質もしくはフラグメントに標的分子と相互作用させ、
そして該タンパク質と標的との間の複合体の形成を検出させるか、またはイオン
流入、Gタンパク質のホスホリル化、環状AMPもしくはホスファチジルイノシ
トールの回転、およびアデニル酸シクラーゼもしくはホスホリパーゼCの活性化
のようなシグナル伝達の関連する効果のいずれかのような該レセプタータンパク
質および標的との相互作用の生化学的結果を検出させる条件下で、候補化合物と
該レセプタータンパク質を組み合わせる段階を包含する。
【0093】 該レセプターポリペプチドは、それらが細胞中で過剰発現される場合に細胞に
基づくアッセイで有用である。従って、該レセプターを過剰発現するこうした細
胞は、過剰発現について調節もしくは補償することが可能である化合物を同定す
るのに有用である。該レセプターを過剰発現する細胞は天然の供給源由来である
可能性があるか、もしくは、慣例の組換え法により創製することが可能である。
【0094】 該レセプターポリペプチドはまた、細胞上で構成的に活性化される場合に細胞
に基づくアッセイで化合物をスクリーニングするのにも有用である。構成的に活
性化されたレセプターを発現するこうした細胞は、レセプター活性化を調節する
化合物をスクリーニングするのに有用である。こうした細胞は天然の供給源由来
である可能性があるか、もしくは、当該技術分野で公知である組換え手段により
創製することが可能である。例えば、シェール(Scheer)ら、J.Rec
eptor Signal Transduction Res.17:57−
73(1997);米国特許第5,750,353号を参照されたい。
【0095】 候補化合物は、例えば、1)Igをつながれた(tailed)融合ペプチド、ならび
にランダムペプチドライブラリー(例えばラム(Lam)ら、Nature 3
54:82−84(1991);ホーテン(Houghten)ら、Natur
e 354:84−86(1991)を参照されたい)、ならびにD−および/
もしくはL−配置のアミノ酸から作成された組み合わせ(combinatorial)化学由
来の分子ライブラリーを包含する可溶性ペプチドのようなペプチド;2)ホスホ
ノペプチド(例えば、無作為かつ部分的に変性の指図されたホスホノペプチドラ
イブラリー(random and partially degenerate, directed phosphopeptide libr
aries)、例えばソンヤン(Songyang)ら、Cell 72:767−7
78(1993)を参照されたい);3)抗体(例えば、ポリクローナル、モノ
クローナル、人化、抗イディオタイプ、キメラおよび一本鎖抗体、ならびにFa
b、F(ab’)2、Fab発現ライブラリーのフラグメント、および抗体のエ
ピトープ結合フラグメント);ならびに4)小型の有機および無機分子(例えば
、組み合わせおよび天然産物のライブラリーから得られた分子)を包含する。
【0096】 1つの候補化合物は、可溶性の完全長レセプター、もしくはリガンド結合につ
いて競争するフラグメントである。他の候補化合物は、突然変異体のレセプター
、もしくはレセプター機能に影響を及ぼしそして従ってリガンドについて競争す
る突然変異を含有する適切なフラグメントを包含する。従って、例えばより高い
親和性でリガンドについて競争するフラグメント、もしくはリガンドを結合する
がしかし放出を可能にしないフラグメントが、本発明により包含される。
【0097】 本発明は、レセプター活性を調節(刺激もしくは阻害)する化合物を同定する
ための他の終点を提供する。該アッセイは、典型的に、レセプター活性を示すシ
グナル伝達経路中の事象のアッセイを必要とする。従って、レセプタータンパク
質依存性のシグナルカスケードに応答してアップレギュレートもしくはダウンレ
ギュレートされている遺伝子の発現をアッセイすることが可能である。一態様に
おいて、こうした遺伝子の調節領域を、ルシフェラーゼのような容易に検出可能
であるマーカーに操作可能に連結することが可能である。あるいは、レセプター
タンパク質のホスホリル化、もしくはレセプタータンパク質の標的もまた測定す
ることが可能である。
【0098】 該タンパク質の異常なレベルもしくは突然変異により引き起こされる障害を終
点の基礎として使用することができることもまた理解される。従って、該レセプ
ターに作用する化合物に応答した障害の発生もしくはその経過における特別の逸
脱が、終点としてはたらくことが可能である。
【0099】 該レセプターにより媒介される生物学的もしくは生化学的機能のいずれかを終
点アッセイとして使用することが可能である。これらは、本明細書、これらの終
点アッセイ標的および当業者に既知の他の機能について引用により組込まれる、
本明細書に引用される参考文献に記述される生化学的もしくは生化学的/生物学
的事象の全部を包含する。
【0100】 化合物の結合および/もしくは活性化もまた、キメラレセプタータンパク質[
ここで、アミノ末端細胞外ドメインもしくはその部分、膜貫通ドメイン全体ある
いは7個の膜貫通セグメントのいずれかまたは細胞内もしくは細胞外ループのい
ずれかのような下位領域、およびカルボキシ末端細胞内ドメインもしくはその部
分を、異種ドメインもしくは下位領域により置き換えることが可能である]を使
用することによりスクリーニングすることが可能である。例えば、本来のレセプ
ターにより認識されるものと異なるGタンパク質と相互作用するGタンパク質結
合領域を使用することが可能である。従って、異なる組のシグナル伝達成分が活
性化についての終点アッセイとして利用可能である。あるいは、膜貫通部分全体
あるいは(膜貫通セグメントまたは細胞内もしくは細胞外ループのような)下位
領域を、アミノ末端細胞外ドメインおよび/もしくはGタンパク質結合領域が由
来する宿主細胞と異なる宿主細胞に特異的な膜貫通部分全体もしくは下位領域で
置き換えることが可能である。これは、レセプターが由来する特定の宿主細胞以
外でアッセイを実施させる。あるいは、アミノ末端細胞外ドメイン(および/も
しくは他のリガンド結合領域)は、異なるリガンドを結合し、従って異種のアミ
ノ末端細胞外ドメイン(もしくは領域)と相互作用するがしかしなおシグナル伝
達を引き起こす試験化合物をアッセイに提供するドメイン(および/もしくは他
の結合領域)により置き換えることが可能である。最後に、本来のシグナル伝達
経路の一部である転写調節配列に操作可能に連結された容易に検出可能なコーデ
ィング領域を含有するレポーター遺伝子により活性化を検出することが可能であ
る。
【0101】 該レセプターポリペプチドは、該レセプターと相互作用する化合物を発見する
よう設計された方法の競争結合アッセイでもまた有用である。従って、ある化合
物を、該化合物をレセプターポリペプチドと結合または別の方法で相互作用させ
る条件下で該ポリペプチドに曝露する。可溶性レセプターポリペプチドもまた混
合物に添加する。試験化合物が可溶性のレセプターポリペプチドと相互作用する
場合、それは形成される複合体の量もしくはレセプター標的からの活性を低下さ
せる。この型のアッセイは、該レセプターの特定の領域と相互作用する化合物が
探求されている場合にとりわけ有用である。従って、目的の領域に対応するペプ
チド配列を含有するように、標的レセプター領域と競争する可溶性ポリペプチド
を設計する。
【0102】 細胞を含まない薬物スクリーニングアッセイを実施するためには、レセプター
タンパク質、もしくはフラグメント、またはその標的分子のいずれかを固定して
、タンパク質の一方もしくは双方の複合体形成されない形態からの複合体の分離
を助長し、ならびにアッセイの自動化を適応することが望ましい。
【0103】 マトリックス上でタンパク質を固定するための技術を薬物スクリーニングアッ
セイで使用することが可能である。一態様において、マトリックスにタンパク質
を結合させるドメインを加える融合タンパク質を提供することができる。例えば
、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ/14273融合タンパク質を、グル
タチオンセファロースビーズ(シグマ ケミカル(Sigma Chemica
l)、ミズーリ州セントルイス)もしくはグルタチオン誘導体化マイクロタイタ
ープレート上に吸着することができ、これをその後(例えば35S−標識された)
細胞ライセートおよび候補化合物と組み合わせ、そして該混合物を複合体形成に
伝導性の条件下で(例えば、塩およびpHについて生理学的条件で)インキュベ
ーションする。インキュベーション後に、ビーズを洗浄していかなる結合されな
い標識も除去し、そしてマトリックスを固定し、かつ、放射標識を直接、もしく
は複合体を解離させた後に上清中で測定する。あるいは、複合体をマトリックス
から解離させ、SDS−PAGEにより分離し、そして、標準的電気泳動技術を
使用して、ビーズ画分中に見出されるレセプターに結合するタンパク質のレベル
をゲルから定量することが可能である。例えば、該ポリペプチドもしくはその標
的分子のいずれかを、当該技術分野で公知の技術を使用してビオチンおよびスト
レプトアビジンの結合を利用して固定することが可能である。あるいは、該タン
パク質と反応性であるがしかしその標的分子への該タンパク質の結合を妨害しな
い抗体をプレートのウェルに誘導体化し、そして該タンパク質を抗体結合により
該ウェル中に捕捉することが可能である。レセプターに結合するタンパク質およ
び候補化合物の調製物を、レセプタータンパク質を提示するウェル中でインキュ
ベーションし、そして該ウェル中に捕捉された複合体の量を定量することが可能
である。GSTで固定される複合体について上述されたものに加え、こうした複
合体の検出方法は、該レセプタータンパク質の標的分子と反応性の、もしくはレ
セプタータンパク質と反応性でありかつ標的分子と競争する抗体を使用する複合
体の免疫検出;ならびに標的分子に関連する酵素活性の検出を頼みとする酵素結
合アッセイを包含する。
【0104】 これらの薬物スクリーニングアッセイに従って同定されたレセプタータンパク
質活性のモジュレーターを使用して、14273タンパク質を発現する細胞を治
療することにより、該レセプター経路により媒介される障害をもつ被験者を治療
することが可能である。これらの治療方法は、こうした治療の必要な被験者に、
タンパク質活性のモジュレーターを、本明細書で記述されるような製薬学的組成
物で投与する段階を包含する。
【0105】 該レセプターポリペプチドはまた、疾患、もしくは該レセプタータンパク質に
より媒介される疾患に対する素因を診断するための標的を提供するのにも有用で
ある。従って、細胞、組織もしくは生物体における該レセプタータンパク質の存
在もしくはレベルの検出方法が提供される。該方法は、相互作用を検出すること
ができるようなレセプタータンパク質と相互作用することが可能な化合物と生物
学的サンプルを接触させることを必要とする。
【0106】 レセプタータンパク質を検出するための1つの作用物質は、レセプタータンパ
ク質に選択的に結合することが可能な抗体である。生物学的サンプルは、被験者
から単離された組織、細胞、および生物学的液体、ならびに被験者内に存在する
組織、細胞および液体を包含する。
【0107】 該レセプタータンパク質は、変異体レセプタータンパク質を有する患者におけ
る活性の疾患もしくは疾患に対する素因を診断するための標的もまた提供する。
従って、レセプタータンパク質を生物学的サンプルから単離し、異常なレセプタ
ータンパク質をもたらす遺伝子突然変異の存在についてアッセイすることが可能
である。これは、アミノ酸の置換、欠失、挿入、再配列(異常なスプライシング
事象の結果として)および不適切な翻訳後修飾を包含する。分析方法は、変えら
れた電気泳動の移動度、変えられたトリプシンペプチド消化、細胞に基づくもし
くは細胞を含まないアッセイにおける変えられたレセプター活性、リガンドもし
くは抗体結合パターンの変化、変えられた等電点、直接アミノ酸配列決定、およ
びタンパク質中の突然変異を検出するのに有用な既知のアッセイ技術のいずれか
の他者を包含する。
【0108】 レセプタータンパク質の検出のためのインビトロ技術は、酵素免疫測定法(E
LISA)、ウェスタンブロット、免疫沈降法および免疫蛍光法を包含する。あ
るいは、該タンパク質は、標識された抗レセプター抗体を被験者に導入すること
により被験者でインビボで検出することが可能である。例えば、抗体は、被験者
でのその存在および位置を標準的画像形成技術により検出することが可能である
放射活性マーカーを用いて標識することができる。被験者において発現されたレ
セプタータンパク質の対立遺伝子変異体を検出する方法、およびサンプル中のレ
セプタータンパク質のフラグメントを検出する方法がとりわけ有用である。
【0109】 該レセプターポリペプチドは薬ゲノム学的分析でもまた有用である。薬ゲノム
学は、冒されたヒトでの変えられた薬物配置および異常な作用による、薬物に対
する応答の臨床上重要な遺伝的変異を取り扱う。例えば、アイヒェルバウム(E
ichelbaum,M.)、Clin.Exp.Pharmacol.phy
siol.23(10−11):983−985(1996)、およびリンダー
(Linder,M.W.)、Clin.Chem.43(2):254−26
6(1997)を参照されたい。これらの変異の臨床的転帰は、代謝での個体の
変異の結果として、ある個体での治療薬の重症の毒性、もしくはある個体での薬
物の治療の失敗をもたらす。従って、個体の遺伝子型が、治療薬が身体に作用す
る方法もしくは身体が該化合物を代謝する方法を決定する可能性がある。さらに
、薬物代謝酵素の活性は、薬物作用の強度および持続期間の双方に影響を与える
。従って、個体の薬ゲノム学は、個体の遺伝子型に基づいた予防的もしくは治療
的治療のための有効な化合物およびこうした化合物の有効投薬量の選択を可能に
する。いくつかの薬物代謝酵素での遺伝子多形の発見は、若干の患者が期待され
た薬物効果を得ない、誇張された薬物効果を示す、もしくは標準的な薬物投薬量
から重大な毒性を経験する理由を説明した。多形は、大量代謝体(extensive met
abolizer)の表現型および過小代謝体(poor metabolizer)の表現型で表現されて
いる可能性がある。従って、遺伝子多形は、1集団でのレセプター機能の1種も
しくはそれ以上が別の集団でのものと異なっているレセプタータンパク質の対立
遺伝子のタンパク質変異体につながるかも知れない。従って、該ポリペプチドは
、治療の様式に影響を及ぼす可能性のある遺伝的素因を標的に確かめさせる。従
って、リガンドに基づく治療において、多形は、アミノ末端細胞外ドメイン、お
よび/またはリガンド結合においてより活性もしくはより活性が小さい他のリガ
ンド結合領域、そしてレセプターの活性化を生じさせるかも知れない。従って、
リガンドの投薬量は、必ず、多形を含有する所定の1集団内で治療効果を最大に
するように改変されるとみられる。遺伝子型分類に対する一代替として、特定の
多形のポリペプチドを同定することが可能である。
【0110】 該レセプターポリペプチドは、臨床試験および他の治療の間の治療効果を監視
するのにもまた有用である。従って、遺伝子発現、タンパク質レベルもしくはレ
セプターの活性を増大もしくは減少させるよう設計されている作用物質の治療上
の有効性を、終点の標的として該レセプターポリペプチドを使用して、治療の経
過にわたって監視することが可能である。
【0111】 該レセプターポリペプチドは、レセプター関連性の障害を治療するのにもまた
有用である。従って、治療方法は、リガンド結合について競争する可溶性レセプ
ターもしくはレセプタータンパク質のフラグメントの使用を包含する。これらの
レセプターもしくはフラグメントは、有効な競争を提供するように、リガンドに
対するより高い親和性を有する可能性がある。 抗体 本発明はまた、14273レセプタータンパク質ならびにその変異体およびフ
ラグメントに選択的に結合する抗体も提供する。抗体は、それが該レセプタータ
ンパク質と本質的に相同でない他のタンパク質にもまた結合する場合でさえ、選
択的に結合するとみなされる。これらの他のタンパク質は、該レセプタータンパ
ク質の1つのフラグメントもしくはドメインと相同性を共有する。特定の領域に
おけるこの保存は、相同配列によって双方のタンパク質に結合する抗体を生じさ
せる。この場合、該レセプタータンパク質に対する抗体結合がなお選択的である
ことが理解されるとみられる。
【0112】 抗体を生じさせるためには、単離されたレセプターポリペプチドを免疫原とし
て使用して、ポリクローナルおよびモノクローナル抗体製造のための標準的技術
を使用して抗体を生じさせる。完全長のタンパク質もしくは抗原性のペプチドフ
ラグメントのいずれかを使用することができる。高抗原性指標を有する領域を表
3および9に示す。
【0113】 抗体は、好ましくは、これらの領域、もしくはこれらの領域中の別個のフラグ
メントから製造する。しかしながら、本明細書に記述されるようなペプチドのい
ずれの領域からも抗体を調製することが可能である。好ましいフラグメントは、
リガンド結合を低下させるかもしくは完全に予防する抗体を生じさせる。抗体は
、レセプター全体、またはレセプターの部分、例えば細胞内カルボキシ末端ドメ
イン、アミノ末端細胞外ドメイン、膜貫通ドメイン全体もしくは特定のセグメン
ト、細胞内もしくは細胞外ループのいずれか、または上のいずれかの部分に対し
て発生させることが可能である。抗体はまた、リガンド結合の部位、Gタンパク
質結合の部位、またはグリコシル化、ホスホリル化、ミリストイル化もしくはア
ミド化される部位のような特定の機能的部位に対しても発生させることができる
【0114】 抗原性フラグメントは、典型的に、最低6個の連続するアミノ酸残基を含んで
成ることができる。しかしながら、抗原性ペプチドは、最低12、最低14アミ
ノ酸残基、最低15アミノ酸残基、最低20アミノ酸残基、もしくは最低30ア
ミノ酸残基を含むことが可能である。一態様において、フラグメントはタンパク
質の表面上に配置される領域、例えば親水性領域に対応する。しかしながら、こ
れらのフラグメントは、本発明の前に開示されているかも知れないいずれかのフ
ラグメントを包含するとして解釈されるべきでない。
【0115】 抗体はポリクローナルもしくはモノクローナルであることができる。無傷の抗
体、もしくはそのフラグメント(例えばFabもしくはF(ab’)2)を使用
することが可能である。
【0116】 検出は、検出可能な物質に抗体を結合する(すなわち物理的に連結する)こと
により助長することが可能である。検出可能な物質の例は、多様な酵素、補欠分
子団、蛍光物質、発光物質、生物発光物質および放射活性物質を包含する。適す
る酵素の例は、ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、β−ガラク
トシダーゼもしくはアセチルコリンエステラーゼを包含し;適する補欠分子団複
合体の例は、ストレプトアビジン/ビオチンおよびアビジン/ビオチンを包含し
;適する蛍光物質の例はウンベリフェロン、フルオレセイン、フルオレセインイ
ソチオシアナート、ローダミン、ジクロロトリアジニルアミンフルオレセイン、
ダンシルクロリドもしくはフィコエリトリンを包含し;発光物質の一例はルミノ
ールを包含し;生物発光物質の例はルシフェラーゼ、ルシフェリンおよびエクオ
リンを包含し、そして適する放射活性物質の例は125I、131I、35Sもしくは3
Hを包含する。
【0117】 適切な免疫原性調製物は、天然の、組換え的に発現されたタンパク質、もしく
は化学的に合成されたペプチド由来であることができる。 抗体の用途 下述される抗体の用途は、好ましくは、レセプター関連性の疾患により冒され
た細胞由来の改変されたレセプタータンパク質から作成される抗体に当てはまり
、これらは、該疾患を治療もしくは診断するため特異的に使用することが可能で
ある。
【0118】 抗体は、アフィニティークロマトグラフィーもしくは免疫沈降法のような標準
的技術によりレセプタータンパク質を単離するのに使用することが可能である。
抗体は、細胞からの天然のレセプタータンパク質、および宿主細胞で発現された
、組換え的に産生されたレセプタータンパク質の精製を助長することが可能であ
る。
【0119】 抗体は、生物体中の多様な組織の間および正常の発生の経過にわたって、細胞
もしくは組織中のレセプタータンパク質の存在を検出してレセプターの発現のパ
ターンを決定するのに有用である。
【0120】 抗体は、発現の豊富およびパターンを評価するため、インシトゥで、インビト
ロで、または細胞ライセートもしくは上清中でレセプタータンパク質を検出する
のに使用することが可能である。
【0121】 抗体は、発生の間の異常な組織分布もしくは異常な発現を評価するのに使用す
ることが可能である。
【0122】 完全長のレセプタータンパク質の循環するフラグメントの抗体検出を使用して
、レセプターの回転を同定することができる。
【0123】 さらに、抗体は、疾患の活性段階ででのような疾患状態、もしくはレセプター
機能に関連する疾患への素因をもつ個体でレセプター発現を評価するのに使用す
ることが可能である。不適切な組織分布、発生の発現、もしくは該レセプタータ
ンパク質の発現のレベルにより障害が引き起こされる場合、正常なレセプタータ
ンパク質に対して該抗体を製造することが可能である。障害がレセプタータンパ
ク質中の特定の突然変異を特徴とする場合、この突然変異体タンパク質に特異的
な抗体を使用して、特定の突然変異体レセプタータンパク質の存在についてアッ
セイすることが可能である。しかしながら、細胞内で産生された抗体(「イント
ラボディ(intrabody)」)もまた包含され、これらは細胞内のレセプ
ターペプチドの領域を認識するとみられる。
【0124】 抗体はまた、生物体の多様な組織における細胞の正常なおよび異常な細胞レベ
ル下の局在を評価するのにも使用することが可能である。抗体は、レセプター全
体、またはレセプターの部分、例えばアミノ末端細胞外ドメインもしくは細胞外
ループの部分に対して発生させることが可能である。
【0125】 診断的用途は、遺伝子試験でのみならず、しかしまた治療の様式の監視でも適
用することが可能である。従って、治療が、レセプターの発現レベル、または異
常なレセプターおよび異常な組織分布の存在もしくは発生の発現の是正を最終的
に目標としている場合は、該レセプターもしくは適切なフラグメントに対し向け
られた抗体を使用して治療の効力を監視することが可能である。
【0126】 加えて、抗体は薬ゲノム学的分析で有用である。従って、多形のレセプタータ
ンパク質に対して製造された抗体を使用して、治療の様式の改変を必要とする個
体を同定することが可能である。
【0127】 抗体はまた、電気泳動の移動度、等電点、トリプシンペプチド消化、および当
業者に既知の他の物理的アッセイにより分析される異常なレセプタータンパク質
の免疫学的マーカーとして、診断ツールとしても有用である。
【0128】 抗体は組織型分類にもまた有用である。従って、特定のレセプタータンパク質
が特定の組織での発現と相互に関連付けられている場合は、このレセプタータン
パク質に特異的である抗体を使用して組織型を同定することができる。
【0129】 抗体は法廷の同定でもまた有用である。従って、個体が特定の多形のタンパク
質をもたらす特定の遺伝子多形と相互に関連付けられている場合は、多形のタン
パク質に特異的な抗体を同定の助けとして使用することが可能である。
【0130】 抗体は、レセプター機能の阻害、例えばリガンド結合の封鎖にもまた有用であ
る。
【0131】 これらの用途は、治療がレセプター機能の阻害を必要とする治療的情況でもま
た適用することが可能である。抗体は、例えばリガンド結合を封鎖するのに使用
することが可能である。抗体は、機能に必要とされる部位を含有する特定のフラ
グメントもしくは細胞と関連する無傷のレセプターに対して製造することができ
る。
【0132】 本発明はまた、生物学的サンプル中のレセプタータンパク質の存在の検出のた
め抗体を使用するためのキットも包含する。該キットは、標識されたもしくは標
識可能な抗体のような抗体、および生物学的サンプル中でレセプタータンパク質
を検出するための化合物もしくは作用物質;サンプル中のレセプタータンパク質
の量を測定するための手段;ならびに、サンプル中のレセプタータンパク質の量
を標準品と比較するための手段を含む可能性がある。化合物もしくは作用物質は
適する容器中に包装することが可能である。キットは、レセプタータンパク質を
検出するために該キットを使用するための説明書をさらに含むことができる。 ポリヌクレオチド 寄託された完全長のcDNAを配列決定することにより、配列番号2および配
列番号5のヌクレオチド配列を得た。従って、寄託されたクローンの配列は、2
者の間のいかなる不一致に関しても支配しており、また、配列番号2および配列
番号5の配列へのいかなる言及も、寄託されたcDNAの配列への言及を包含す
る。
【0133】 特別に開示されたcDNAは、コーディング領域ならびに5’および3’非翻
訳配列を含んで成る。
【0134】 ヒト14273レセプターのcDNAは長さがおよそ1743ヌクレオチドで
あり、かつ、長さがおよそ361アミノ酸残基である1個の完全長のタンパク質
をコードする。配列番号1および配列番号4のアミノ酸配列の構造解析、ハイド
ロパシー(hydropathy)プロットを図3および9に提供する。これらの図は、7個
の膜貫通セグメント、アミノ末端細胞外ドメインおよびカルボキシ末端細胞内ド
メインの推定構造を示す。
【0135】 本明細書で使用されるところの「膜貫通セグメント」という用語は、原形質膜
にわたる疎水性へリックスを包含する1個の構造的アミノ酸モチーフを指す。膜
貫通ドメイン全体はほぼアミノ酸46からほぼアミノ酸321までにわたる。7
個のセグメントが膜を横断し、また、このドメイン中には3個の細胞内ループお
よび3個の細胞外ループが存在する。
【0136】 本発明は、14273レセプタータンパク質をコードする単離されたポリヌク
レオチドを提供する。「14273ポリヌクレオチド」もしくは「14273核
酸」という用語は、配列番号2および配列番号5もしくは寄託されたcDNAに
示される配列を指す。「レセプターポリヌクレオチド」もしくは「レセプター核
酸」という用語は、14273ポリヌクレオチドの変異体およびフラグメントを
さらに包含する。
【0137】 「単離された」レセプター核酸は、該レセプター核酸の天然の供給源中に存在
する他の核酸から分離されているものである。好ましくは、「単離された」核酸
は、該核酸が由来する生物体のゲノムDNA中の核酸に天然に隣接する配列(す
なわち、該核酸の5’および3’端に配置される配列)を含まない。しかしなが
ら、例えば約5kbまでの若干の隣接するヌクレオチド配列が存在する可能性が
ある。重要な点は、該核酸が、組換え発現、プローブおよびプライマーの調製、
ならびに該レセプター核酸配列に特異的な他の用途のような本明細書に記述され
る特定の操作にかけられることができるように、それが隣接配列から単離されて
いることである。
【0138】 さらに、cDNA分子のような「単離された」核酸分子は、組換え技術により
製造される場合は他の細胞性物質もしくは培養培地、または化学的に合成される
場合は化学的前駆物質もしくは他の化学物質を本質的に含まない可能性がある。
しかしながら、該核酸分子は他のコーディング配列もしくは調節配列に融合され
、そしてなお単離されているとみなされる可能性がある。
【0139】 例えば、ベクター中に含有されている組換えDNA分子は単離されているとみ
なされる。単離されたDNA分子のさらなる例は、異種宿主細胞中に維持されて
いる組換えDNA分子、もしくは溶液中の(部分的にもしくは本質的に)精製さ
れたDNA分子を包含する。単離されたRNA分子は、本発明の単離されたDN
A分子のインビボもしくはインビトロのRNA転写物を包含する。本発明の単離
された核酸分子は合成で製造されるこうした分子をさらに包含する。
【0140】 該レセプターポリヌクレオチドは、成熟タンパク質および付加的なアミノもし
くはカルボキシル末端のアミノ酸、または(例えば成熟形態が1以上のポリペプ
チド鎖を有する場合は)成熟ポリペプチドの内部のアミノ酸をコードすることが
可能である。こうした配列は、前駆体から成熟形態までのタンパク質のプロセシ
ングである役割を演じ、タンパク質の転送(trafficking)を助長し、タンパク質
の半減期を延長もしくは短縮し、またはとりわけアッセイもしくは製造のための
タンパク質の操作を助長することができる。インシトゥで一般的であるが、付加
的アミノ酸が細胞の酵素により成熟タンパク質からプロセシングされることがで
きる。
【0141】 該レセプターポリヌクレオチドは、限定されるものでないが、成熟ポリペプチ
ド単独をコードする配列、成熟ポリペプチドおよびリーダー配列もしくは分泌配
列のような付加的コーディング配列をコードする配列(例えばプレプロもしくは
プロタンパク質配列)、付加的コーディング配列を含みもしくは含まない成熟ポ
リペプチドおよび付加的な非コーディング配列、例えばイントロン、ならびに転
写、mRNAプロセシング(スプライシングおよびポリアデニル酸化シグナルを
包含する)、リボソーム結合およびmRNAの安定性である役割を演じる転写さ
れるがしかし翻訳されない配列のような非コーディング5’および3’配列をコ
ードする配列を挙げることができる。加えて、該ポリヌクレオチドは、例えば精
製を助長するペプチドをコードするマーカー配列に融合することができる。
【0142】 レセプターポリヌクレオチドは、mRNAのようなRNAの形態、あるいは、
クローニングにより得られるかまたは化学的合成技術もしくはそれらの組み合わ
せにより製造されるcDNAおよびゲノムDNAを包含するDNAの形態にある
ことができる。核酸、とりわけDNAは二本鎖もしくは一本鎖であることができ
る。一本鎖核酸はコーディング鎖(センス鎖)もしくは非コーディング鎖(アン
チセンス鎖)であることができる。
【0143】 1種のレセプター核酸は、ヒト脳cDNAに対応する配列番号2に示されるヌ
クレオチド配列、もしくは配列番号5に示されるマウスの真正物を含んで成る。
【0144】 一態様において、該レセプター核酸はコーディング領域のみを含んで成る。
【0145】 本発明は、さらに、遺伝暗号の縮重により配列番号2もしくは配列番号5に示
されたヌクレオチド配列と異なり、そしてそうして配列番号2もしくは配列番号
5に示されたヌクレオチド配列によりコードされるものと同一のタンパク質をコ
ードする、変異体のレセプターポリヌクレオチドおよびそれらのフラグメントを
提供する。
【0146】 本発明はまた、本明細書に記述される変異体ポリペプチドをコードするレセプ
ター核酸分子も提供する。こうしたポリヌクレオチドは、対立遺伝子変異体(同
一遺伝子座)、相同物(異なる遺伝子座)および真正物(異なる生物体)のよう
な天然に存在するものであることができるか、または、組換えDNA法もしくは
化学合成により構築することができる。こうした天然に存在しない変異体は、ポ
リヌクレオチド、細胞もしくは生物体に適用されるものを包含する突然変異誘発
技術により作成することができる。従って、上で論考されたとおり、変異体はヌ
クレオチドの置換、欠失、逆位および挿入を含有する可能性がある。
【0147】 変異は、コーディング領域および非コーディング領域のいずれかもしくは双方
に存在する可能性がある。変異は、保存的および非保存的双方のアミノ酸置換を
生じさせる可能性がある。
【0148】 真正物、相同物および対立遺伝子変異体は当該技術分野で公知の方法を使用し
て同定することが可能である。これらの変異体は、配列番号2もしくは配列番号
5に示されるヌクレオチド配列もしくはこの配列のフラグメントに50%、最低
約55%、典型的には最低約70〜75%、より典型的には最低約80〜85%
、そして最も典型的には最低約90〜95%もしくはそれ以上相同であるレセプ
ターをコードするヌクレオチド配列を含んで成る。こうした核酸分子は、配列番
号2もしくは配列番号5に示されるヌクレオチド配列または該配列のフラグメン
トにストリンジェントな条件下でハイブリダイズすることが可能であるとして容
易に同定することが可能である。ストリンジェントなハイブリダイゼーションは
、それが、ポリA配列、あるいは全部のもしくは大部分のタンパク質、全部のG
PCRまたは全部のファミリーIのGPCRに共通の配列、あるいはいかなる遺
伝子にも特異的でないゲノム全体に分散して見出される配列、例えばホモポリマ
ー伸長のような一般的相同性による場合は、本質的相同性を示さないことが理解
される。さらに、変異体は、本発明の前に開示されていたかも知れない核酸配列
のいずれも包含しないことが理解される。
【0149】 本明細書で使用されるところの「ストリンジェントな条件下でハイブリダイズ
する」という用語は、ハイブリダイゼーションおよび洗浄の条件を記述すること
を意図しており、そこでは、相互に最低50%、55%相同なレセプターをコー
ドするヌクレオチド配列が典型的には相互にハイブリダイズされたまま留まる。
該条件は、相互に最低約65%、最低約70%、または最低約75%もしくはそ
れ以上相同な配列が典型的には相互にハイブリダイズされたまま留まるようであ
ることができる。こうしたストリンジェントな条件は当業者に既知であり、かつ
、Current Protocols in Molecular Biol
ogy、ジョン ワイリー アンド サンズ(John Wiley & So
ns)、ニューヨーク(1989)、6.3.1−6.3.6に見出すことが可
能である。ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件の一例は、約45℃
での6×塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)中でのハイブリダイゼ
ーション、次いで50〜65℃での0.2×SSC、0.1%SDS中での1回
もしくはそれ以上の洗浄である。一態様において、配列番号2の配列にストリン
ジェントな条件下でハイブリダイズする単離されたレセプター核酸分子は、天然
に存在する核酸分子に対応する。本明細書で使用されるところの「天然に存在す
る」核酸分子は、天然に存在する(例えば天然のタンパク質をコードする)ヌク
レオチド配列を有するRNAもしくはDNA分子を指す。
【0150】 さらに、本発明は、完全長のレセプターポリヌクレオチドのフラグメントを含
んで成るポリヌクレオチドを提供する。該フラグメントは一本鎖もしくは二本鎖
である可能性があり、そしてDNAもしくはRNAを含む可能性がある。該フラ
グメントは、コーディング配列もしくは非コーディング配列のいずれかに由来す
ることができる。
【0151】 一態様において、単離されたレセプター核酸フラグメントは長さが最低5ヌク
レオチドであり、かつ、長さが1−410、118−1295もしくは1630
−1743ヌクレオチドからの配列に由来し、そして配列番号2もしくは配列番
号5のヌクレオチド配列を含んで成るヌクレオチド分子にストリンジェントな条
件下でハイブリダイズする。他の態様において、該核酸は、長さが最低10、1
5、20、30、40、50、100、250もしくは500ヌクレオチドまた
はそれ以上である。
【0152】 別の態様において、該フラグメントは13より大きい約410から約442ま
で、26より大きい442−473、44より大きい605−745、17より
大きい745−857、23より大きい857−924、23より大きい925
−1118、そして25より大きい1295−1630の連続するヌクレオチド
を含んで成る。
【0153】 別の態様において、単離されたレセプター核酸は、アミノ酸1からアミノ酸3
21までのコーディング領域全体をコードする。別の態様において、単離された
レセプター核酸は、ほぼアミノ酸36からアミノ酸321までの成熟タンパク質
に対応する配列をコードする。他のフラグメントは、コーディング領域の一部も
しくは全部を包含しかつ5’もしくは3’非コーディング領域のいずれかもしく
はこれらの領域の双方に伸長するヌクレオチド配列を包含する。他のフラグメン
トは、本明細書に記述されるアミノ酸フラグメントをコードするヌクレオチド配
列を包含する。さらなるフラグメントは、本明細書に記述される特定のドメイン
もしくは部位のサブフラグメントを包含する可能性がある。フラグメントは、上
述された特定のアミノ酸配列に対応する核酸配列もしくはそれらのフラグメント
もまた包含する。本発明の核酸フラグメントは、本発明の前に開示されていたか
も知れないフラグメントを包含するとして解釈されるべきでない。
【0154】 レセプター核酸フラグメントは、本明細書に記述されるドメイン、また記述さ
れる下位領域、および特定の機能的部位に対応する配列をさらに包含する。レセ
プター核酸フラグメントは、上述されたドメイン、セグメント、ループおよび他
の機能的部位の組み合わせもまた包含する。従って、例えば、あるレセプター核
酸はアミノ末端細胞外ドメインおよび1個の膜貫通フラグメントに対応する配列
を包含する可能性がある。当業者は、可能である多くの並べ換えを認識している
とみられる。
【0155】 しかしながら、レセプターフラグメントは該遺伝子全体を包含しないいかなる
核酸配列も包含することが理解される。
【0156】 レセプター核酸フラグメントは、1からほぼ45までのアミノ酸残基を包含す
るアミノ末端細胞外ドメインを含んで成るポリペプチド、膜貫通ドメインにわた
る領域を含んで成るポリペプチド(ほぼ46からほぼ321までのアミノ酸残基
)、カルボキシ末端細胞内ドメインを含んで成るポリペプチド(ほぼ322から
ほぼ361までのアミノ酸残基)、およびGタンパク質レセプターシグネチャを
コードするポリペプチド(135−136もしくはほぼ125からほぼ145ま
での周囲のアミノ酸残基)をコードする核酸分子、7個の膜貫通セグメント、細
胞外もしくは細胞内ループ、グリコシル化、ホスホリル化、ミリストイル化およ
びアミド化部位のいずれかをコードする核酸分子を包含する。ドメインの位置が
コンピュータ分析により予測されている場合、当業者は、これらのドメインを構
成するアミノ酸残基がドメインを特定するのに使用される基準に依存して変動す
る可能性があることを認識するとみられる。
【0157】 本発明はまた、本明細書に記述されるレセプタータンパク質のエピトープ担持
領域をコードするレセプター核酸フラグメントも提供する。
【0158】 単離されたレセプターポリヌクレオチド配列、およびとりわけフラグメントは
、DNAのプローブおよびプライマーとして有用である。
【0159】 例えば、レセプター遺伝子のコーディング領域は、既知のヌクレオチド配列を
使用してオリゴヌクレオチドプローブを合成して単離することが可能である。そ
の後、標識されたプローブを使用して、cDNAライブラリー、ゲノムDNAラ
イブラリー、もしくはmRNAをスクリーニングしてコーディング領域に対応す
る核酸を単離することが可能である。さらに、レセプター遺伝子の特定の領域を
クローン化するためのPCR反応でプライマーを使用することが可能である。
【0160】 プローブ/プライマーは、典型的に、本質的に精製されたオリゴヌクレオチド
を含んで成る。該オリゴヌクレオチドは、典型的に、配列番号2もしくは配列番
号5のセンスもしくはアンチセンス鎖または他のレセプターポリヌクレオチドの
最低約10、12、典型的には約25、より典型的には約40、50もしくは7
5の連続するヌクレオチドにストリンジェントな条件下でハイブリダイズするヌ
クレオチド配列の一領域を含んで成る。プローブは、さらに、標識、例えば放射
性同位元素、蛍光化合物、酵素もしくは酵素補助因子を含んで成る。 ポリヌクレオチドの用途 該レセプターポリヌクレオチドは、プローブ、プライマーに、および生物学的
アッセイで有用である。本明細書に記述されるアッセイでのように、GPCRの
特性もしくは機能を評価するために該ポリヌクレオチドを使用する場合は、完全
なcDNAの全部のもしくは全部未満が有用である可能性がある。この場合には
、本発明の前に既知であったかも知れないフラグメントでさえ包含する。従って
、例えば、アゴニストもしくはアンタゴニスト活性の評価のような、GPCRの
機能に特異的に向けられたアッセイは、既知のフラグメントの使用を包含する。
さらに、レセプターの機能を評価するための診断方法もまた、本発明の前に既知
であったかも知れないフラグメントを包含するいずれかのフラグメントを用いて
実施することが可能である。同様に、レセプターの機能不全の治療を巻き込む方
法においては、当該技術分野で既知であったかも知れないものを包含する全部の
フラグメントを包含する。
【0161】 該レセプターポリヌクレオチドは、配列番号1もしくは配列番号4に記述され
るポリペプチドをコードする完全長のcDNAおよびゲノムクローンを単離する
ため、ならびに、配列番号1もしくは配列番号4に示される同一のポリペプチド
を産生する変異体もしくは本明細書に記述される他の変異体に対応するcDNA
およびゲノムクローンを単離するためのcDNAおよびゲノムDNAのハイブリ
ダイゼーションプローブとして有用である。変異体は、配列番号1もしくは配列
番号4に示されるポリペプチドが単離された同一の組織および生物体、同一の生
物体からの異なる組織、または異なる生物体から単離することが可能である。こ
の方法は、発生的に支配されておりそして従って生物体の発生の多様な点で同一
の組織もしくは異なる組織で発現されているかも知れない遺伝子およびcDNA
を単離するのに有用である。
【0162】 プローブは、該レセプターをコードする遺伝子の長さ全体に沿ったいずれかの
配列に対応する可能性がある。従って、それは5’非コーディング領域、コーデ
ィング領域および3’非コーディング領域由来である可能性がある。しかしなが
ら、該プローブは本発明の前に既に記述されたフラグメントを包含しないとみら
れることが理解される。
【0163】 該核酸プローブは、例えば、配列番号1もしくは配列番号4の完全長のcDN
A、または長さが最低10、12、15、30、50、100、250もしくは
500ヌクレオチドかつmRNAもしくはDNAにストリンジェントな条件下で
特異的にハイブリダイズするのに十分なオリゴヌクレオチドのようなそれらのフ
ラグメントであることができる。
【0164】 本明細書に記述されるポリヌクレオチドのフラグメントはまた、本明細書に記
述されるより大きなフラグメントもしくは完全長のポリヌクレオチドを合成する
のにも有用である。例えば、mRNAのいずれかの部分にフラグメントをハイブ
リダイズさせることが可能であり、そしてより大きなもしくは完全長のcDNA
を製造することが可能である。
【0165】 該フラグメントはまた、所望の長さおよび配列のアンチセンス分子を合成する
のにも有用である。
【0166】 該レセプターポリヌクレオチドはまた、レセプターポリヌクレオチドのいずれ
かの所定の領域を増幅するためのPCRのプライマーとしても有用である。
【0167】 該レセプターポリヌクレオチドはまた組換えベクターの構築にも有用である。
こうしたベクターは、該レセプターポリペプチドの一部分もしくは全部を発現す
る発現ベクターを包含する。ベクターは、レセプター遺伝子および遺伝子産物の
インシトゥの発現を変えるために細胞のゲノム中へのような別のポリヌクレオチ
ド配列中に組込むのに使用される挿入ベクターもまた包含する。例えば、内在性
のレセプターのコーディング配列は、相同的組換えを介して、1個もしくはそれ
以上の特異的に導入された突然変異を含有するコーディング領域の全部もしくは
一部で置き換えることが可能である。
【0168】 該レセプターポリヌクレオチドはまた、該レセプタータンパク質の抗原性部分
を発現するのにも有用である。
【0169】 該レセプターポリヌクレオチドはまた、インシトゥハイブリダイゼーション法
によって該レセプターポリヌクレオチドの染色体の部分を決定するためのプロー
ブとしても有用である。
【0170】 該レセプターポリヌクレオチドプローブはまた、組織分布、例えば、遺伝子の
重複が起こっているかどうか、および、重複が組織の全部で起こっているかもし
くは組織のあるサブセットでのみ起こっているかどうかに関して、該レセプター
をコードする遺伝子およびそれらの変異体の存在のパターンを決定するのにも有
用である。該遺伝子は、天然に存在することができるか、または、細胞、組織、
もしくは生物体に外因性に導入されていることができる。
【0171】 該レセプターポリヌクレオチドはまた、本明細書に記述されるポリヌクレオチ
ドをコードする遺伝子から産生されるmRNAの全部もしくは一部に対応するリ
ボザイムを設計するのにも有用である。
【0172】 該レセプターポリヌクレオチドはまた、該レセプターのポリヌクレオチドおよ
びポリペプチドの一部もしくは全部を発現する宿主細胞を構築するのにも有用で
ある。
【0173】 該レセプターポリヌクレオチドはまた、該レセプターのポリヌクレオチドおよ
びポリペプチドの全部もしくは一部を発現するトランスジェニック動物を構築す
るのにも有用である。これらの動物はGPCR関連性の障害のモデル系として有
用である。こうした動物モデルは、その後、疾患の発症もしくは進行に対する、
レセプター遺伝子もしくは遺伝子産物によるそれらの影響について化合物を試験
するのに使用することが可能である。
【0174】 該レセプターポリヌクレオチドはまた、該レセプターポリペプチドの一部もし
くは全部を発現するベクターを作成するのにも有用である。
【0175】 該レセプターポリヌクレオチドはまた、レセプター核酸発現のレベルを測定す
るためのハイブリダイゼーションプローブとしても有用である。従って、該プロ
ーブは、細胞、組織および生物体におけるレセプター核酸の存在を検出する、も
しくはそのレベルを測定するのに使用することが可能である。そのレベルが測定
される核酸はDNAもしくはRNAであることができる。従って、本明細書に記
述されるポリペプチドに対応するプローブは、所定の細胞、組織もしくは生物体
中での遺伝子のコピー数を評価するのに使用することが可能である。これは、該
レセプター遺伝子の増幅が存在している場合にとりわけ適切である。
【0176】 あるいは、該プローブは、染色体外要素上のような、もしくはレセプター遺伝
子が例えば均質に染色される領域として通常は見出されない染色体中に組込まれ
たような、レセプター遺伝子の余分のコピーの位置を評価するためにインシトゥ
ハイブリダイゼーションの情況で使用することが可能である。
【0177】 これらの使用は、正常の結果に関してレセプター発現の増加もしくは減少を伴
う障害の診断に適切である。
【0178】 mRNAの検出のためのインビトロ技術は、ノーザンハイブリダイゼーション
およびインシトゥハイブリダイゼーションを包含する。DNAを検出するための
インビトロ技術は、サザンハイブリダイゼーションおよびインシトゥハイブリダ
イゼーションを包含する。
【0179】 被験者からの細胞のサンプル中のレセプターをコードする核酸、例えばmRN
AもしくはゲノムDNAのレベルを測定すること、またはレセプター遺伝子が突
然変異されているかどうかを決定することによるような、レセプタータンパク質
を発現する細胞もしくは組織を同定するための診断試験キットの一部として、プ
ローブを使用することが可能である。
【0180】 核酸発現アッセイは、レセプター核酸の発現を調節する化合物を同定するため
の薬物スクリーニングに有用である。
【0181】 本発明は、従って、該レセプター遺伝子の核酸発現を伴う障害を治療するのに
使用することが可能である化合物の同定方法を提供する。該方法は、典型的には
、該レセプター核酸の発現を調節する化合物の能力をアッセイすること、そして
従って望ましくないレセプター核酸発現を特徴とする障害を治療するのに使用す
ることができる化合物を同定することを包含する。
【0182】 該アッセイは細胞に基づく系および細胞を含まない系で実施することが可能で
ある。細胞に基づくアッセイは、該レセプター核酸を天然に発現する細胞、もし
くは特定の核酸配列を発現するように遺伝子的に工作された組換え細胞を包含す
る。
【0183】 あるいは、候補化合物は患者もしくはトランスジェニック動物でインビボでア
ッセイすることが可能である。従って、該ヌクレオチド配列のレベルの増大もし
くは変化をもたらす変異体のレセプター核酸を、候補化合物の標的としてはたら
くようにトランスジェニック動物に導入することが可能である。突然変異は天然
に存在することができるか、もしくは、実験室で創製することができる。
【0184】 レセプター核酸の発現についてのアッセイは、mRNAレベルのような核酸レ
ベルの直接アッセイ、または(環状AMPもしくはホスファチジルイノシトール
の回転のような)シグナル経路に関与する副次的化合物を必要とする可能性があ
る。さらに、レセプタータンパク質シグナル経路に応答してアップレギュレート
もしくはダウンレギュレートされる遺伝子の発現もまたアッセイすることが可能
である。この態様においては、これらの遺伝子の調節領域をルシフェラーゼのよ
うなレポーター遺伝子に操作可能に連結することが可能である。
【0185】 従って、レセプター遺伝子の発現のモジュレーターは、細胞を候補化合物と接
触させそしてmRNAの発現を測定する一方法で同定することが可能である。候
補化合物の存在下でのレセプターのmRNAの発現のレベルを、該候補化合物の
非存在下でのレセプターのmRNAの発現のレベルと比較する。その後、この比
較に基づいて、該候補化合物を核酸発現のモジュレーターとして同定することが
可能であり、そして、例えば異常な核酸発現を特徴とする障害を治療するのに使
用することができる。mRNAの発現が、候補化合物の非存在下でよりもその存
在下で統計学的に有意により大きい場合は、該候補化合物を核酸発現の刺激物質
として同定する。核酸発現が、候補化合物の非存在下でよりもその存在下で統計
学的に有意により少ない場合は、該候補化合物を核酸発現の阻害物質として同定
する。
【0186】 従って、本発明は、薬物スクリーニングによりレセプター核酸の発現を調節す
る遺伝子モジュレーターとして同定された化合物を使用する、標的としての核酸
での治療方法を提供する。調節は、核酸発現のアップレギュレーション(すなわ
ち活性化もしくは作動(agonization))またはダウンレギュレーション(抑制も
しくは拮抗(antagonization))双方を包含する。
【0187】 あるいは、レセプター核酸の発現のモジュレーターは、該薬物もしくは小分子
が該レセプター核酸の発現を阻害する限りは、本明細書で記述されるスクリーニ
ングアッセイを使用して同定される小分子もしくは薬物であることができる。
【0188】 該レセプターポリヌクレオチドはまた、臨床試験もしくは治療計画において、
該レセプター遺伝子の発現もしくは活性に対する調節性化合物の有効性を監視す
るのにも有用である。従って、遺伝子発現のパターンは、化合物、とりわけそれ
に対し患者が抵抗性を発生させる可能性のある化合物での治療の継続的有効性に
ついての指標としてはたらくことが可能である。遺伝子発現パターンは、化合物
に対する冒された細胞の生理学的応答を示すマーカーとしてもまたはたらくこと
が可能である。従って、こうしたモニタリングは、それに対して患者が抵抗性に
なっていない化合物の増大された投与もしくは代替化合物の投与のいずれかを可
能にするとみられる。同様に、核酸発現のレベルが望ましいレベルの下に低下す
る場合、該化合物の投与は比例して減少させることが可能である。
【0189】 該レセプターポリヌクレオチドはまた、レセプター核酸の量的変化について、
およびとりわけ病状につながる定量的変化での診断的アッセイでも有用である。
該ポリヌクレオチドは、レセプター遺伝子の突然変異およびmRNAのような遺
伝子発現産物を検出するのに使用することが可能である。該ポリヌクレオチドは
、該レセプター遺伝子中の天然に存在する遺伝子の突然変異を検出するため、そ
してそれにより突然変異をもつ被験者が該突然変異により引き起こされる障害の
危険にさらされているかどうかを決定するためのハイブリダイゼーションプロー
ブとして使用することが可能である。突然変異は、遺伝子中の1個もしくはそれ
以上のヌクレオチドの欠失、付加、もしくは置換、逆位もしくは転座のような染
色体再配列、異常なメチル化パターンのようなゲノムDNAの修飾、または増幅
のような遺伝子コピー数の変化を包含する。機能不全を伴う突然変異された形態
のレセプター遺伝子の検出は、疾患がレセプタータンパク質の過剰発現、過小発
現もしくは変えられた発現から生じる場合は、活性の疾患もしくは疾患に対する
罹病性の診断ツールを提供する。
【0190】 レセプター遺伝子中に突然変異をもつ個体は、多様な技術により核酸レベルで
検出することが可能である。ゲノムDNAを直接分析することが可能であるか、
もしくは、分析前にPCRを使用することにより増幅することが可能である。R
NAもしくはcDNAを同一の方法で使用することが可能である。
【0191】 ある種の態様における突然変異の検出は、アンカーPCRもしくはRACE
PCRのようなポリメラーゼ連鎖反応(PCR)(例えば米国特許第4,683
,195号および第4,683,202号を参照されたい)、あるいはライゲー
ション連鎖反応(LCR)(例えば、ランデグラン(Landegran)ら、
Science 241:1077−1080(1988);および中沢(Na
kazawa)ら、PNAS 91:360−364(1994)を参照された
い)でのプローブ/プライマーの使用を必要とし、その後者は該遺伝子中の点突
然変異を検出するためにとりわけ有用である可能性がある(エイブラヴァヤ(A
bravaya)ら、Nucleic Acids Res.23:675−6
82(1995)を参照されたい)。この方法は、患者から細胞のサンプルを収
集すること、サンプルの細胞から核酸(例えばゲノム、mRNAもしくは双方)
を単離すること、遺伝子のハイブリダイゼーションおよび増幅が(存在する場合
)発生するような条件下で遺伝子に特異的にハイブリダイズする1種もしくはそ
れ以上のプライマーと該核酸サンプルを接触させること、そして増幅産物の存在
もしくは非存在を検出すること、または増幅産物の大きさを検出しそして該長さ
を対照サンプルと比較することの段階を包含する可能性がある。欠失および挿入
は、正常の遺伝子型と比較された増幅される産物の大きさの変化により検出する
ことが可能である。点突然変異は、正常のRNAもしくはアンチセンスDNA配
列に増幅されたDNAをハイブリダイズさせることにより同定することができる
【0192】 あるいは、レセプター遺伝子中の突然変異は、例えばゲル電気泳動により決定
される制限酵素消化パターン中の変化により直接同定することが可能である。
【0193】 さらに、配列特異的リボザイム(米国特許第5,498,531号)を使用し
て、リボザイム切断部位の発生もしくは喪失により、特定の突然変異の存在につ
いて評価することが可能である。
【0194】 完全に合った配列は、ヌクレアーゼ切断消化アッセイもしくは溶融温度の差異
により不適合の配列と識別することが可能である。
【0195】 特定の位置での配列変化は、RNアーゼおよびS1保護もしくは化学的切断法
のようなヌクレアーゼ保護アッセイよってもまた評価することが可能である。
【0196】 さらに、突然変異体のレセプター遺伝子と野性型遺伝子との間の配列の差異は
直接DNA配列決定により決定することができる。診断アッセイ((1995)
Biotechniques 19:448)を実施する場合は、質量分析法に
よる配列決定(例えばPCT国際特許公開第WO 94/16101号;コーエ
ン(Cohen)ら、Adv.Chromatogr.36:127−162(
1996);およびグリフィン(Griffin)ら、Appl.Bioche
m.Biotechnol.38:147−159(1993)を参照されたい
)を包含する多様な自動化配列決定処置を利用することが可能である。
【0197】 遺伝子中の突然変異を検出するための他の方法は、切断剤からの保護を使用し
てRNA/RNAもしくはRNA/DNA二重鎖中の不適正塩基を検出する方法
(マイヤース(Myers)ら、Science 230:1242(1985
));コットン(Cotton)ら、PNAS 85:4397(1988);
サレーバ(Saleeba)ら、Meth.Enzymol.217:286−
295(1992))、突然変異体および野性型の核酸の電気泳動の移動度を比
較する方法(織田(Orita)ら、PNAS 86:2766(1989);
コットン(Cotton)ら、Mutat.Res.285:125−144(
1993)および林(Hayashi)ら、Genet.Anal.Tech.
Appl.9:73−79(1992))、ならびに変性剤の勾配を含有するポ
リアクリルアミドゲル中の突然変異体もしくは野性型のフラグメントの移動を変
性勾配ゲル電気泳動を使用してアッセイする方法(マイヤース(Myers)ら
、Nature 313:495(1985))を包含する。点突然変異を検出
するための他の技術の例は、選択的オリゴヌクレオチドハイブリダイゼーション
、選択的増幅および選択的プライマー伸長を包含する。
【0198】 該レセプターポリヌクレオチドはまた、必ずしも疾患を引き起こさない一方で
それにもかかわらず治療の様式に影響を及ぼす遺伝子型について個体を試験する
のにも有用である。従って、該ポリヌクレオチドは、個体の遺伝子型と、治療に
使用される化合物に対する個体の応答との間の関係(薬ゲノム学的関係)を研究
するのに使用することが可能である。本場合において、例えば、リガンドに対す
る変えられた親和性をもたらすレセプター遺伝子の突然変異は、レセプターを活
性化するリガンドの標準的濃度で過剰のもしくは低下された薬物効果をもたらす
可能性がある。従って、本明細書に記述されるレセプターポリヌクレオチドは、
治療に適切な化合物もしくは投薬計画を選択するために、個体での該レセプター
遺伝子の突然変異の含有を評価するのに使用することが可能である。
【0199】 従って、治療に影響を及ぼす遺伝子の変異を表すポリヌクレオチドは、個体の
治療を特別に調整するのに使用することができる診断標的を提供する。従って、
これらの多形を含有する組換え細胞および組換え動物の産生は、治療化合物およ
び投薬量計画の有効な臨床的設計を可能にする。
【0200】 該レセプターポリヌクレオチドはまた、配列が個々の染色体でかつ染色体上の
特定の位置に同定される場合の染色体の同定にも有用である。第一に、インシト
ゥもしくは他の染色体特異的ハイブリダイゼーションにより、DNA配列を染色
体に合わせる。所望の種からの個々の染色体を含有する体細胞ハイブリッドのP
CRスクリーニングに使用することが可能であるPCRプライマーを調製するこ
とにより、配列を特定の染色体と相互に関連付けることもまた可能である。該プ
ライマーに相同な遺伝子を含有する染色体を含有するハイブリッドのみが、増幅
されたフラグメントを生じさせることができる。染色体フラグメントを使用して
下位局在化(sublocalization)を達成することができる。他の戦略は、標識され
た流動選別された(flow-sorted)染色体でのプレスクリーニング、および染色体
特異的ライブラリーへのハイブリダイゼーションによる前選択を包含する。さら
なるマッピング戦略は、伝統的に使用されているものより短いプローブでのハイ
ブリダイゼーションを可能にする蛍光インシトゥハイブリダイゼーションを包含
する。染色体マッピングのための試薬を使用して、単一の染色体もしくは染色体
上の単一部位に個々に印をつけることが可能であるか、または、複数の部位およ
び/もしくは複数の染色体に印をつけるために一団の試薬を使用することが可能
である。マッピングの目的上、該遺伝子の非コーディング領域に対応する試薬が
実際には好ましい。コーディング配列は、遺伝子ファミリー内で保存されること
がよりありそうであり、従って染色体マッピングの間の交差ハイブリダイゼーシ
ョンの機会を増加させる。
【0201】 該レセプターポリヌクレオチドはまた、少量の生物学的サンプルから個体を同
定するのにも使用することが可能である。これは、例えば、個体を同定するため
の制限断片長多形(RFLP)を使用して実施することができる。従って、本明
細書に記述されるポリヌクレオチドは、RFLPのDNAマーカーとして有用で
ある(米国特許第5,272,057号を参照されたい)。
【0202】 さらに、該レセプター配列は、個体のゲノム中の選択されたフラグメントの実
際のDNA配列を決定する代替技術を提供するために使用することが可能である
。従って、本明細書に記述されるレセプター配列は、該配列の5’および3’端
からの2個のPCRプライマーを調製するのに使用することが可能である。その
後、これらのプライマーを使用して、その後の配列決定のため個体からのDNA
を増幅することが可能である。
【0203】 この様式で調製された個体からの対応するDNA配列の一団は、独特の個体の
同定を提供することが可能である。なぜなら、各個体は独特の一組のこうしたD
NA配列を有することができるからである。ヒトでの対立遺伝子の変異は各50
0塩基あたり約1回の頻度で発生することが推定。対立遺伝子の変異はこれらの
配列のコーディング領域で若干の程度まで、そして非コーディング領域ではより
大きな程度まで発生する。該レセプター配列は、個体および組織からのこうした
同定配列を得るために使用することが可能である。該配列はヒトゲノムの独特の
フラグメントを表す。本明細書に記述される配列のそれぞれは、若干の程度まで
、それに対して個体からのDNAを同定の目的上比較することが可能である標準
として使用することが可能である。
【0204】 該配列からの一団の試薬を使用して個体についての独特の同定データベースを
生じさせる場合、その個体からの組織を同定するのにそれらの同一の試薬を後で
使用することが可能である。該独特の同定データベースを使用して、極めて少量
の組織サンプルから、個体(生存もしくは死亡した)の陽性の同定を行うことが
可能である。
【0205】 該レセプターポリヌクレオチドはまた、法廷の同定手順で使用することも可能
である。PCR技術を使用して、単一の毛包、体液(例えば血液、唾液もしくは
精液)のような非常に少量の生物学的サンプルから採取されたDNA配列を増幅
することが可能である。増幅された配列は、その後標準と比較して、該サンプル
の起源の同定を可能にすることができる。
【0206】 該レセプターポリヌクレオチドは、従って、ヒトゲノムの特定の遺伝子座に標
的を定められたポリヌクレオチド試薬、例えばPCRプライマーを提供するのに
使用することが可能であり、それは、例えば別の「同定マーカー」(すなわち、
特定の個体に独特である別のDNA配列)を提供することにより、DNAに基づ
く法廷の同定の信頼性を高めることが可能である。上述されたとおり、実際の塩
基配列情報は、制限酵素で生じられたフラグメントにより形成されるパターンに
対する1つの正確な代替として同定に使用することが可能である。非コーディン
グ領域に標的を定められた配列は、非コーディング領域中でより多くの多形が存
在し、この技術を使用して個体を識別することをより容易にするため、とりわけ
有用である。フラグメントは最低10塩基である。
【0207】 該レセプターポリヌクレオチドは、さらに、特定の組織を同定するために例え
ばインシトゥハイブリダイゼーション技術で使用することができるポリヌクレオ
チド試薬、例えば標識されたもしくは標識可能なプローブを提供するのに使用す
ることが可能である。これは、法廷病理学者に未知の起源の組織が提示される場
合に有用である。レセプターのプローブの一団を使用して、種および/もしくは
器官の型により組織を同定することが可能である。
【0208】 同様の様式で、これらのプライマーおよびプローブを使用して汚染について組
織培養物をスクリーニングする(すなわち、培養物中の異なる型の細胞の混合物
の存在についてスクリーニングする)ことが可能である。
【0209】 あるいは、該レセプターポリヌクレオチドは、アンチセンスもしくはリボザイ
ム構築物によってレセプター遺伝子配列の転写もしくは翻訳を封鎖するために直
接使用することが可能である。従って、異常に高いもしくは望ましくないレセプ
ター遺伝子発現を特徴とする障害において、核酸を直接治療に使用することが可
能である。
【0210】 該レセプターポリヌクレオチドは、従って、細胞、組織および器官におけるレ
セプター遺伝子発現を制御するためのアンチセンス構築物として有用である。D
NAのアンチセンスポリヌクレオチドを転写に関与する遺伝子の領域に相補的で
あるように設計して、転写そしてこれゆえにレセプタータンパク質の産生を予防
する。アンチセンスのRNAもしくはDNAポリヌクレオチドはmRNAにハイ
ブリダイズするとみられ、そして従ってmRNAのレセプタータンパク質への翻
訳を封鎖するとみられる。
【0211】 核酸発現を阻害するのに有用なアンチセンス分子の例は、開始コドンもまた包
含する配列番号2もしくは配列番号5の5’非翻訳領域のフラグメントに相補的
なアンチセンス分子、および配列番号2もしくは配列番号5の3’非翻訳領域の
フラグメントに相補的であるアンチセンス分子を包含する。
【0212】 あるいは、レセプター核酸の発現を減少させるために、1つの分類のアンチセ
ンス分子を使用してmRNAを不活性化することが可能である。従って、これら
の分子は、異常なもしくは望ましくないレセプター核酸発現を特徴とする障害を
治療することが可能である。この技術は、mRNAの翻訳される能力を減弱させ
るmRNAの1個もしくはそれ以上の領域に相補的なヌクレオチド配列を含有す
るリボザイムによる切断を必要とする。可能な領域は、コーディング領域、なら
びにとりわけ触媒、およびリガンド結合のようなレセプタータンパク質の他の機
能的活性に対応するコーディング領域を包含する。
【0213】 該レセプターポリヌクレオチドはまた、レセプター遺伝子発現が異常である細
胞を含有する患者での遺伝子治療のためのベクターも提供する。従って、エクス
ビボで工作されてかつ患者に戻されている患者の細胞を包含する組換え細胞を個
体に導入し、該細胞は、ここで、個体を治療するための所望のレセプタータンパ
ク質を産生する。
【0214】 本発明はまた、生物学的サンプル中のレセプター核酸の存在を検出するための
キットも包含する。例えば、該キットは、標識されたもしくは標識可能な核酸の
ような試薬、または生物学的サンプル中のレセプター核酸を検出することが可能
な作用物質;サンプル中のレセプター核酸の量を測定するための手段;およびサ
ンプル中のレセプター核酸の量を標準と比較するための手段を含むことが可能で
ある。該化合物もしくは作用物質は適する容器中に包装することが可能である。
該キットは、さらに、レセプターのmRNAもしくはDNAを検出するためにキ
ットを使用するための説明書を含むことができる。 ベクター/宿主細胞 本発明はまた、レセプターポリヌクレオチドを含有するベクターも提供する。
「ベクター」という用語は、該レセプターポリヌクレオチドを輸送することが可
能である運び屋(vehicle)、好ましくは核酸分子を指す。ベクターが核酸分子で
ある場合、該レセプターポリヌクレオチドはベクター核酸に共有結合される。本
発明の本局面で、ベクターは、プラスミド、一本鎖もしくは二本鎖ファージ、一
本鎖もしくは二本鎖のRNAもしくはDNAウイルスベクター、またはBAC、
PAC、YACもしくはMACのような人工的染色体を包含する。
【0215】 ベクターは宿主細胞中で染色体外要素として維持されることができ、そこでそ
れが複製しそして該レセプターポリヌクレオチドの付加的なコピーを産生する。
あるいは、ベクターが宿主細胞ゲノム中に組込み、そして宿主細胞が複製する場
合に該レセプターポリヌクレオチドの付加的なコピーを産生することができる。
【0216】 本発明は、該レセプターポリヌクレオチドの維持のためのベクター(クローニ
ングベクター)もしくは発現のためのベクター(発現ベクター)を提供する。該
ベクターは、原核生物細胞もしくは真核生物細胞、または双方で(シャトルベク
ター)機能することが可能である。
【0217】 発現ベクターは、ポリヌクレオチドの転写が宿主細胞中で可能にされるような
、ベクター中で該レセプターポリヌクレオチドに操作可能に連結されているシス
に作用する調節領域を含有する。ポリヌクレオチドは、転写に影響を及ぼすこと
が可能な別個のポリヌクレオチドで宿主細胞中に導入される可能性がある。従っ
て、第二のポリヌクレオチドが、ベクターからの該レセプターポリヌクレオチド
の転写を可能にするようにシス調節制御領域と相互作用するトランスに作用する
因子を提供してもよい。あるいは、トランスに作用する因子は宿主細胞により供
給されてよい。最後に、トランスに作用する因子はベクターそれ自身から産生さ
れることが可能である。
【0218】 しかしながら、いくつかの態様においては、該レセプターポリヌクレオチドの
転写および/もしくは翻訳が細胞を含まない系で起こる可能性があることが理解
される。
【0219】 本明細書に記述されるポリヌクレオチドが操作可能に連結されることが可能で
ある調節配列は、mRNAの転写を指図するプロモーターを包含する。これらは
、限定されるものでないが、バクテリオファージλからのleftプロモーター
、lac、TRP、および大腸菌(E.coli)からのTACプロモーター、
SV40からの初期および後期プロモーター、CMVの前初期プロモーター、ア
デノウイルスの初期および後期プロモーター、ならびにレトロウイルスのLTR
を挙げることができる。
【0220】 発現ベクターは、転写を促進する制御領域に加え、リプレッサー結合部位およ
びエンハンサーのような転写を調節する領域もまた包含することができる。例は
、SV40のエンハンサー、サイトメガロウイルスの前初期エンハンサー、ポリ
オーマのエンハンサー、アデノウイルスのエンハンサーおよびレトロウイルスの
LTRエンハンサーを包含する。
【0221】 発現ベクターは、転写の開始および制御のための部位を含有することに加え、
転写終止に必要な配列および転写された領域においては翻訳のためのリボソーム
結合部位もまた含有することが可能である。発現のための他の調節制御要素は、
開始および終止コドンならびにポリアデニル酸化シグナルを包含する。当業者は
、発現ベクターで有用である多数の調節配列を認識しているであろう。こうした
調節配列は、例えば、サンブルック(Sambrook)ら、Molecula
r Cloning: A Laboratory Manual.第2版、コ
ールド スプリング ハーバー ラボラトリー プレス(Cold Sprin
g Harbor Laboratory Press)、ニューヨーク州コー
ルドスプリングハーバー、(1989)に記述されている。
【0222】 レセプターポリヌクレオチドを発現させるのに多様な発現ベクターを使用する
ことが可能である。こうしたベクターは、染色体、エピソームおよびウイルス由
来のベクター、例えば細菌プラスミド、バクテリオファージ、酵母エピソーム、
酵母の人工的染色体を包含する酵母染色体要素、バキュロウイルス、SV40の
ようなパポーバウイルス、ワクシニアウイルス、アデノウイルス、ポックスウイ
ルス、偽狂犬病ウイルスおよびレトロウイルスのようなウイルス由来のベクター
を包含する。ベクターは、プラスミド由来のもののようなこれらの起源およびバ
クテリオファージの遺伝子要素、例えばコスミドおよびファージミドの組み合わ
せに由来してもまたよい。原核生物および真核生物の宿主に適切なクローニング
ベクターおよび発現ベクターは、サンブルック(Sambrook)ら、Mol
ecular Cloning: A Laboratory Manual.
第2版、コールド スプリング ハーバー ラボラトリー プレス(Cold Spring Harbor Laboratory Press)、ニューヨ
ーク州コールドスプリングハーバー、(1989)に記述されている。
【0223】 調節配列は、1種もしくはそれ以上の宿主細胞で構成的発現を提供することが
できるか(すなわち組織特異的)、あるいは、温度、栄養素添加物、またはホル
モンもしくは他のリガンドのような外来性因子によるような1種もしくはそれ以
上の細胞型での誘導可能な発現を提供することができる。原核生物および真核生
物の宿主での構成的および誘導可能な発現を提供する多様なベクターは当業者に
公知である。
【0224】 該レセプターポリヌクレオチドは、公知の方法論によりベクター核酸中に挿入
することが可能である。一般に、最終的に発現されるであろうDNA配列は、1
種もしくはそれ以上の制限酵素でDNA配列および発現ベクターを切断し、そし
てその後該フラグメントを一緒に連結することにより、発現ベクターに結合する
。制限酵素消化およびライゲーションの手順は当業者に公知である。
【0225】 適切なポリヌクレオチドを含有するベクターは、公知の技術を使用して増殖も
しくは発現のため適切な宿主細胞に導入することが可能である。細菌細胞は、限
定されるものでないが、大腸菌(E.coli)、ストレプトミセス属(Str
eptomyces)およびネズミチフス菌(Salmonella typh
imurium)を挙げることができる。真核生物細胞は、限定されるものでな
いが、酵母、ドロソフィラ属(Drosophila)のような昆虫細胞、CO
S、HEK 293およびCHO細胞のような動物細胞、ならびに植物細胞を挙
げることができる。樹立細胞系のいずれか、もしくは樹立されることが可能ない
ずれかの細胞が、該レセプターポリヌクレオチドの長期の組換え発現を生じさせ
るために有用であることが理解される。しかしながら、いくつかの態様において
は、非樹立細胞で同様に組換え発現を得ることが有用である。
【0226】 本明細書に記述されるとおり、該ポリペプチドを融合タンパク質として発現す
ることが望ましいことができる。従って、本発明は、該レセプターポリペプチド
の産生を見込む融合ベクターを提供する。融合ベクターは、組換えタンパク質の
発現を増大させ、組換えタンパク質の可溶性を増大させ、そして例えば親和性精
製のリガンドとして作用することによりタンパク質の精製で補助することが可能
である。所望のポリペプチドを最終的に融合部分から分離することが可能である
ように、融合部分の接合部にタンパク質分解性切断部位を導入してよい。タンパ
ク質分解性酵素は、限定されるものでないが、第Xa因子、トロンビンおよびエ
ンテロキナーゼを挙げることができる。典型的な融合発現ベクターは、標的組換
えタンパク質にそれぞれグルタチオンS−トランスフェラーゼ(GST)、マル
トースE結合タンパク質もしくはプロテインAを融合するpGEX(スミス(S
mith)ら、Gene 67:31−40(1998))、pMAL(ニュー
イングランド バイオラブス(New England Biolabs)、
マサチューセッツ州ビバリー)およびpRIT5(ファルマシア(Pharma
cia)、ニュージャージー州ピスカタウェイ)を包含する。適する誘導可能な
非融合大腸菌(E.coli)発現ベクターの例は、pTrc(アマン(Ama
nn)ら、Gene 69:301−315(1988))およびpET 11
d(シュトゥディエール(Studier)ら、Gene Expressio
n Technology: Methods in Enzymology 185:60−89(1990))を包含する。
【0227】 宿主細胞が組換えタンパク質をタンパク質分解的に切断する能力が損なわれて
いるという遺伝子的背景を提供することにより、組換えタンパク質の発現を宿主
細菌中で最大にすることが可能である(ゴッテスマン(Gottesman,S
.)、Gene Expression Technology: Metho
ds in Enzymology 185、アカデミック プレス(Acad
emic Press)、カリフォルニア州サンディエゴ(1990)119−
128)。あるいは、目的のポリヌクレオチドの配列を、特定の宿主細胞、例え
ば大腸菌(E.coli)の優先的なコドンの使用頻度を提供するよう変えるこ
とが可能である(和田(Wada)ら、Nucleic Acids Res.
20:2111−2118(1992))。
【0228】 該レセプターポリヌクレオチドは、酵母中で機能的である発現ベクターによっ
てもまた発現することが可能である。酵母、例えばS.セレビシエ(S.cer
evisiae)中での発現のためのベクターの例は、pYepSec1(バル
ダリ(Baldari)ら、EMBO J.6:229−234(1987))
、pMFa(クルジャン(Kurjan)ら、Cell 30:933−943
(1982))、pJRY88(シュルツ(Schultz)ら、Gene 5
4:113−123(1987)およびpYES2(インヴィトロジェン コー
ポレーション(Invitrogen Corporation)、カリフォル
ニア州サンディエゴ)を包含する。
【0229】 該レセプターポリヌクレオチドは、例えばバキュロウイルス発現ベクターを使
用して昆虫細胞中で発現することもまた可能である。培養された昆虫細胞(例え
ばSf9細胞)中でのタンパク質の発現に利用可能なバキュロウイルスベクター
は、pAc系列(スミス(Smith)ら、Mol.Cell Biol.3:
2156−2165(1983))およびpVL系列(ルクロウ(Lucklo
w)ら、Virology 170:31−39(1989))を包含する。
【0230】 本発明のある態様においては、本明細書に記述されるポリヌクレオチドを、哺
乳動物発現ベクターを使用して哺乳動物細胞中で発現する。哺乳動物発現ベクタ
ーの例は、pCDM8(シード(Seed,B.)Nature 329:84
0(1987))およびpMT2PC(カウフマン(Kaufman)ら、EM
BO J.6:187−195(1987))を包含する。
【0231】 本明細書に列挙される発現ベクターは、該レセプターポリヌクレオチドを発現
するのに有用であると見られる、当業者に利用可能な公知のベクターの例のみと
して提供される。当業者は、本明細書に記述されるポリヌクレオチドの維持増殖
もしくは発現に適する他のベクターを認識しているとみられる。これらは、例え
ば、サンブルック(Sambrook,J.)、フリッチュ(Fritsh,E
.F.)とマニアティス(Maniatis,T.)Molecular Cl
oning: A Laboratory Manual.第2版、コールド スプリング ハーバー ラボラトリー(Cold Spring Harbor
Laboratory)、コールド スプリング ハーバー ラボラトリー
プレス(Cold Spring Harbor Laboratory Pr
ess)、ニューヨーク州コールドスプリングハーバー、1989に見出される
【0232】 本発明はまた、本発明に記述される核酸配列が逆の向きでベクター中にクロー
ン化されているがしかしアンチセンスRNAの転写を可能にする調節配列に操作
可能に連結されるベクターも包含する。従って、コーディングおよび非コーディ
ング双方の領域を包含する、本明細書に記述されるポリヌクレオチド配列の全部
もしくは一部分に対するアンチセンス転写物を製造することが可能である。この
アンチセンスRNAの発現は、センスRNAの発現に関して上述されたパラメー
タのそれぞれの支配下にある(調節配列、構成的もしくは誘導可能な発現、組織
特異的発現)。
【0233】 本発明はまた、本明細書に記述されるベクターを含有する組換え宿主細胞にも
関する。従って、宿主細胞は、原核生物細胞、酵母のような下等真核生物細胞、
昆虫細胞のような他の真核生物細胞、および哺乳動物細胞のような高等真核生物
細胞を包含する。
【0234】 哺乳動物細胞は、細胞機能に対する与えられた突然変異の影響、与えられた突
然変異の機能の確認、与えられた突然変異を含有する細胞に対する影響について
の化合物の試験、トランスジェニック動物もしくは冒された患者のような被験体
への導入のためのエクスビボでの組換え細胞の創製のための細胞の試験系を包含
する。
【0235】 組換え宿主細胞は、当業者に容易に利用可能な技術により本明細書に記述され
るベクター構築物を細胞中に導入することにより調製する。これらは、限定され
るものでないが、リン酸カルシウムトランスフェクション、DEAE−デキスト
ラン媒介性トランスフェクション、陽イオン脂質媒介性トランスフェクション、
電気穿孔法、形質導入、感染、リポフェクション、およびサンブルック(Sam
brook)ら(Molecular Cloning: A Laborat
ory Manual.第2版、コールド スプリング ハーバー ラボラトリ
ー(Cold Spring Harbor Laboratory)、コール
ド スプリング ハーバー ラボラトリー プレス(Cold Spring Harbor Laboratory Press)、ニューヨーク州コールド
スプリングハーバー、1989)に見出されるもののような他の技術を挙げるこ
とができる。
【0236】 宿主細胞は1種以上のベクターを含有することが可能である。従って、多様な
ヌクレオチド配列を同一細胞の異なるベクター上に導入することが可能である。
同様に、該レセプターポリヌクレオチドは、単独で、もしくは発現ベクターにト
ランスに作用する因子を提供するもののような該レセプターポリヌクレオチドに
関係しない他のポリヌクレオチドとともにのいずれかで、導入することが可能で
ある。1種以上のベクターを1個の細胞に導入する場合、ベクターは、独立に導
入することができるか、共導入することができるか、もしくはレセプターポリヌ
クレオチドベクターに結合することができる。
【0237】 バクテリオファージおよびウイルスベクターの場合には、感染および形質導入
の標準的手順によりパッケージングされたもしくは被包化されたウイルスとして
これらを細胞中に導入することが可能である。ウイルスベクターは複製能力があ
ることができるか、もしくは複製欠損であることができる。ウイルス複製が欠損
している場合、複製は欠損を補う機能を提供する宿主細胞中で発生させることが
できる。
【0238】 ベクターは、一般に、組換えベクター構築物を含有する細胞の下位集団の選択
を可能にする選択可能なマーカーを包含する。該マーカーは、本明細書に記述さ
れるポリヌクレオチドを含有する同一のベクターに含有させることが可能である
か、もしくは、別個のベクター上にあることができる。マーカーは、原核生物宿
主細胞についてはテトラサイクリンもしくはアンピシリン耐性遺伝子、また、真
核生物宿主細胞についてはデヒドロ葉酸還元酵素もしくはネオマイシン耐性を包
含する。しかしながら、表現型の形質についての選択を提供するいかなるマーカ
ーも有効であることができる。
【0239】 細菌、酵母、哺乳動物細胞、および適切な調節配列の制御下の他の細胞中で成
熟タンパク質を製造することが可能である一方で、細胞を含まない転写および翻
訳系もまた、本明細書に記述されるDNA構築物由来のRNAを使用してこれら
のタンパク質を産生させるのに使用することが可能である。
【0240】 ポリペプチドの分泌が望ましい場合は、適切な分泌シグナルをベクター中に組
込む。シグナル配列は、レセプターポリペプチドに対し内在性、もしくはこれら
のポリペプチドに対し異種であることができる。
【0241】 ポリペプチドが媒体中に分泌されない場合には、凍結融解、超音波処理、機械
的破壊、溶解剤の使用などを包含する標準的破壊手順により、該タンパク質を宿
主細胞から単離することが可能である。その後、該ポリペプチドを回収し、そし
て、硫酸アンモニウム沈殿、酸抽出、陰イオンもしくは陽イオン交換クロマトグ
ラフィー、ホスホセルロースクロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラ
フィー、アフィニティークロマトグラフィー、ヒドロキシルアパタイトクロマト
グラフィー、レクチンクロマトグラフィーもしくは高速液体クロマトグラフィー
を包含する公知の精製法により精製することが可能である。
【0242】 本明細書に記述されるポリペプチドの組換え産生での宿主細胞に依存して、該
ポリペプチドは細胞に依存する多様なグリコシル化パターンを有する可能性があ
るか、もしくは、細菌で産生される場合のようにグリコシル化されないことがで
きることもまた理解される。加えて、該ポリペプチドは、宿主媒介性の過程の結
果として、いくつかの場合には最初の修飾されたメチオニンを包含するかも知れ
ない。 ベクターおよび宿主細胞の用途 本明細書に記述されるポリペプチドを発現する宿主細胞、およびとりわけ組換
え宿主細胞は多様な用途を有する。第一に、該細胞はレセプタータンパク質もし
くはポリペプチドを製造するのに有用であり、これらはさらに精製されて所望の
量のレセプタータンパク質もしくはフラグメントを製造することが可能である。
従って、発現ベクターを含有する宿主細胞はポリペプチド製造に有用である。
【0243】 宿主細胞は、レセプターもしくはレセプターフラグメントを巻き込む細胞に基
づくアッセイを実施するにもまた有用である。従って、天然のレセプターを発現
する組換え宿主細胞は、レセプターの機能を刺激もしくは阻害する化合物につい
てアッセイするのに有用である。これは、リガンド結合、転写もしくは翻訳のレ
ベルでの遺伝子発現、Gタンパク質相互作用およびシグナル伝達経路の成分を包
含する。
【0244】 宿主細胞はまた、これらの機能が冒されているレセプターの突然変異体を同定
するのにも有用である。突然変異体が天然に存在しかつ病状を生じさせる場合に
は、突然変異を含有する宿主細胞は、天然のレセプターに対するそれらの影響に
より示されていないかも知れない突然変異体のレセプターに対する所望の影響(
例えば刺激もしくは阻害機能)を有する化合物をアッセイするのに有用である。
【0245】 組換え宿主細胞はまた、異種アミノ末端細胞外ドメイン(もしくは他の結合領
域)によって活性化するもしくは活性化を抑制する化合物を評価するために本明
細書に記述されるキメラポリペプチドを発現させるためにも有用である。あるい
は、膜貫通ドメイン全体(もしくはその部分)にわたる異種領域を使用して、い
ずれかの所定の宿主細胞に対する所望のアミノ末端細胞外ドメイン(もしくは他
の結合領域)の影響を評価することが可能である。この態様においては、特定の
宿主細胞と適合する膜貫通ドメイン全体(もしくはその部分)にわたる領域を使
用してキメラベクターを作成する。あるいは、異種カルボキシ末端細胞内(例え
ばシグナル伝達)ドメインを、宿主細胞中に導入することが可能である。
【0246】 さらに、多様な機能の1種もしくはそれ以上を増大もしくは減少(例えばリガ
ンド結合もしくはGタンパク質結合)させるように工作されている突然変異体の
レセプターを設計し、そして個体中でレセプタータンパク質を増加させるもしく
は置き換えるのに使用することが可能である。従って、宿主細胞は、異常なレセ
プターを置き換えるもしくは異常なレセプターを提供することにより、治療の恩
恵を提供する可能性があり、これが治療の結果を提供する。一態様において、該
細胞は異常に活性であるレセプターを提供する。
【0247】 別の態様において、該細胞は異常に不活性であるレセプターを提供する。これ
らのレセプターは、個体中の内在性レセプターと競争する可能性がある。
【0248】 別の態様において、リガンドについて内在性レセプターと競争するために、活
性化されることが不可能であるレセプターを発現する細胞を個体中に導入する。
例えば、過剰のリガンドが治療の様式の一部である場合には、治療の特定の時点
でこのリガンドを不活性化することが必要であるかも知れない。リガンドについ
て競争するがしかしレセプターの活性化により冒される可能性のない細胞を提供
することは、有益であるとみられる。
【0249】 宿主細胞ゲノム中の内在性レセプターのポリヌクレオチド配列のインシトゥ変
化を可能にする相同的組換え宿主細胞もまた製造することが可能である。この技
術は、第WO 93/09222号、第WO 91/12650号および米国第
5,641,670号により完全に記述されている。簡潔には、あるレセプター
遺伝子に対し近位もしくは遠位のレセプターのポリヌクレオチドもしくは配列に
対応する特定のポリヌクレオチド配列を、遺伝子の発現に影響を及ぼすことが可
能である相同的組換えにより、宿主細胞ゲノム中に組込ませる。一態様において
、内在性配列の発現を増大させるかもしくは減少させるのいずれかである調節配
列を導入する。従って、通常はそれを産生しない細胞中でレセプタータンパク質
を産生させることが可能であるか、もしくはレセプタータンパク質の増大された
発現が、該タンパク質を特定のレベルで普通に産生する細胞をもたらすことが可
能である。あるいは、遺伝子全体を欠失させることが可能である。なおさらに、
突然変異体のレセプタータンパク質を産生させるために、該遺伝子のいずれかの
所望の領域中に特定の突然変異を導入することが可能である。こうした突然変異
は、例えば、リガンド結合部位もしくはGタンパク質結合部位のような特定の機
能的領域中に導入することが可能である。
【0250】 一態様において、宿主細胞は、受精卵もしくは胚幹細胞であることができ、こ
れらは変えられたレセプター遺伝子を含有するトランスジェニック動物を生じさ
せるのに使用することが可能である。あるいは、宿主細胞は、幹細胞、もしくは
特定のサブセットの細胞を生じさせる他の初期組織前駆体であることができ、か
つ、動物中にトランスジェニック組織を生じさせるのに使用することが可能であ
る。相同的組換えベクターの記述については、トーマス(Thomas)ら、C
ell 51:503(1987)もまた参照されたい。胚幹細胞系にベクター
を(例えば電気穿孔法により)導入し、そして、導入された遺伝子が内在性レセ
プター遺伝子で相同的に組換わっている細胞を選択する(例えば、リ(Li,E
.)ら、Cell 69:915(1992)を参照されたい)。その後、選択
された細胞を動物(例えばマウス)の胚盤胞に注入して凝集キメラを形成させる
(例えば、ブラッドリー(Bradley,A.)Teratocarcino
mas and Embryonic Stem Cells: A Prac
tical Approach、ロバートソン(E.J.Robertson)
編(IRL、オックスフォード、1987)中、pp.113−152を参照さ
れたい)。キメラ胚をその後、適する偽妊娠の雌性里親動物(pseudopregnant fe
male foster animal)中に移植することが可能であり、そして胚を出産予定日ま
で維持し出産させることが可能である。該動物の全部の細胞がトランスジーン(t
ransgene)の生殖系列の伝播により相同的に組換えられたDNAを含有する動物
を繁殖させるのに、それらの生殖細胞中に相同的に組換えられたDNAをもつ子
孫を使用することが可能である。相同的組換えベクターおよび相同的組換え動物
の構築方法は、ブラッドリー(Bradley,A.)(1991)Curre
nt Opinion in Biotechnology 2:823−82
9、ならびに、PCT国際特許公開第WO 90/11354号;第WO 91
/01140号および第WO 93/04169号にさらに記述される。
【0251】 遺伝子的に工作した宿主細胞を使用して、非ヒトのトランスジェニック動物を
生じさせることが可能である。トランスジェニック動物は、好ましくは哺乳動物
、例えばラットもしくはマウスのようなげっ歯類であり、ここでは該動物の細胞
の1個もしくはそれ以上がトランスジーンを包含する。トランスジーンは、それ
からトランスジェニック動物が発生する細胞のゲノム中に組込まれかつトランス
ジェニック動物の1種もしくはそれ以上の細胞型もしくは組織中の成熟動物のゲ
ノム中に留まる外来性DNAである。これらの動物は、レセプタータンパク質の
機能を研究し、ならびにレセプタータンパク質の活性のモジュレーターを同定お
よび評価するのに有用である。
【0252】 トランスジェニック動物の他の例は、非ヒトの霊長類、ヒツジ、イヌ、雌牛、
ヤギ、ニワトリ、および両生類を包含する。
【0253】 一態様において、宿主細胞はレセプターポリヌクレオチド配列が導入されてい
る受精卵もしくは胚幹細胞である。
【0254】 トランスジェニック動物は、例えば微小注入法、レトロウイルス感染により受
精卵の雄性前核に核酸を導入し、そして偽妊娠の雌性里親動物中で卵を発生させ
ることにより産生させることが可能である。該レセプターヌクレオチド配列のい
ずれも、マウスのような非ヒト動物のゲノム中にトランスジーンとして導入する
ことが可能である。
【0255】 発現ベクターで有用な調節配列もしくは他の配列のいずれも、トランスジェニ
ック配列の一部を形成することが可能である。これは、すでに包含されていない
場合は、イントロン配列およびポリアデニル酸化シグナルを包含する。組織特異
的調節配列(1個もしくは複数)をトランスジーンに操作可能に連結して、レセ
プタータンパク質の発現を特定の細胞に向かわせることが可能である。
【0256】 胚の操作および微小注入を介するトランスジェニック動物、とりわけマウスの
ような動物の発生方法は、当該技術分野で慣習的になっており、そして、例えば
、双方ともレダー(Leder)らによる米国特許第4,736,866号およ
び第4,870,009号、ワグナー(Wagner)らによる米国特許第4,
873,191号、ならびにホーガン(Hogan,B.)、Manipula
ting the Mouse Embryo、(コールド スプリング ハー
バー ラボラトリー プレス(Cold Spring Harbor Lab
oratory Press)、ニューヨーク州コールドスプリングハーバー、
1986)に記述される。他のトランスジェニック動物の製造に類似の方法を使
用する。トランスジェニック創始体(founder)動物は、そのゲノム中のトランス
ジーンの存在、および/または該動物の組織もしくは細胞中でのトランスジーン
のmRNAの発現に基づいて同定することが可能である。その後、トランスジェ
ニック創始体動物を使用して該トランスジーンをもつ付加的な動物を産ませるこ
とが可能である。さらに、トランスジーンをもつトランスジェニック動物は、他
のトランスジーンをもつ他のトランスジェニック動物にさらに交配することが可
能である。トランスジェニック動物はまた、該動物全体もしくは該動物の組織が
本明細書に記述される相同的組換え宿主細胞を使用して生じられている動物も包
含する。
【0257】 別の態様において、トランスジーンの調節された発現を見込む選択された系を
含有するトランスジェニック非ヒト動物を産生させることが可能である。こうし
た系の一例は、バクテリオファージP1のcre/loxP組換え酵素系である
。cre/loxP組換え酵素系の記述については、例えばラクソ(Lakso
)ら PNAS 89:6232−6236(1992)を参照されたい。組換
え酵素系の別の例は、S.セレビシエ(S.cerevisiae)のFLP組
換え酵素系である(オゴルマン(O’Gorman)ら Science 25
1:1351−1355(1991))。トランスジーンの発現を調節するのに
cre/loxP組換え酵素系を使用する場合は、Cre組換え酵素および選択
されたタンパク質の双方をコードするトランスジーンを含有する動物が必要とさ
れる。こうした動物は、例えば、選択されたタンパク質をコードするトランスジ
ーンを含有する一方、および組換え酵素をコードするトランスジーンを含有する
他方の2種のトランスジェニック動物を交尾させることによる「二重」トランス
ジェニック動物の構築により提供することが可能である。
【0258】 本明細書に記述される非ヒトのトランスジェニック動物のクローンもまた、ヴ
ィルムート(Wilmut,I.)ら Nature 385:810−813
(1997)ならびにPCT国際特許公開第WO 97/07668号および第
WO 97/0669号に記述される方法に従って製造することが可能である。
簡潔には、トランスジェニック動物から1個の細胞、例えば1個の体細胞を単離
し、そして成長周期を出てかつG0期に進入するよう誘導することが可能である
。その後、静止状態の細胞を、例えば電気パルスの使用により、静止状態の細胞
が単離される同一の種の動物からの除核卵母細胞に融合し得る。その後、それが
桑実胚もしくは胚盤胞に発生するような再構築された卵母細胞を培養し、そして
その後偽妊娠の雌性里親動物に移す。本雌性里親動物から生まれた子孫は、細胞
、例えば体細胞が単離される動物のクローンとなることができる。
【0259】 本明細書に記述されるポリペプチドを発現する組換え細胞を含有するトランス
ジェニック動物は、本明細書に記述されるアッセイをインビボの情況で実施する
のに有用である。従って、インビボに存在しかつリガンド結合、レセプターの活
性化およびシグナル伝達に影響を与える可能性がある多様な生理学的因子は、イ
ンビトロの細胞を含まないアッセイもしくは細胞に基づくアッセイから明らかで
ないかも知れない。従って、リガンド相互作用、レセプター機能およびリガンド
の相互作用に対する特定の突然変異体レセプターの影響、ならびにキメラレセプ
ターの影響を包含するインビボのレセプター機能をアッセイするのに、非ヒトの
トランスジェニック動物を提供することが有用である。1種もしくはそれ以上の
レセプター機能を本質的にもしくは完全に排除する突然変異であるヌル突然変異
(null mutation)の影響を評価することもまた可能である。 製薬学的組成物 レセプター核酸分子、タンパク質(とりわけアミノ末端細胞外ドメインのよう
なフラグメント)、タンパク質のモジュレーター、および抗体(本明細書で「有
効成分」ともまた称される)を、被験体、例えばヒトへの投与に適する製薬学的
組成物に組込むことが可能である。こうした組成物は、典型的に、核酸分子、タ
ンパク質、モジュレーター、もしくは抗体、および製薬学的に許容できる担体を
含んで成る。
【0260】 本明細書で使用されるところの「製薬学的に許容できる担体」という語法は、
製薬学的投与と適合するいずれかのおよび全部の溶媒、分散媒、コーティング、
抗菌剤および抗真菌剤、等張剤および吸収遅延剤などを包含することを意図して
いる。製薬学的有効成分のためのこうした媒体および作用物質の使用は当該技術
分野で公知である。いずれかの慣習的媒体もしくは作用物質が該有効成分と不適
合性である限りを除き、本発明の組成物中でこうした媒体を使用することが可能
である。補足の有効成分もまた該組成物中に組込むことが可能である。本発明の
製薬学的組成物はその意図される投与経路と適合するように処方される。投与経
路の例は、非経口、例えば静脈内、皮内、皮下、経口(例えば吸入)、経皮(局
所)、経粘膜および直腸投与を包含する。非経口、皮内もしくは皮下適用に使用
される溶液もしくは懸濁剤は、以下の成分、すなわち、注射用蒸留水のような滅
菌の希釈剤、生理的食塩水溶液、固定油、ポリエチレングリコール、グリセリン
、プロピレングリコールもしくは他の合成溶媒;ベンジルアルコールもしくはメ
チルパラベンのような抗菌剤;アスコルビン酸もしくは重亜硫酸ナトリウムのよ
うな抗酸化剤;エチレンジアミン四酢酸のようなキレート剤;酢酸塩、クエン酸
塩もしくはリン酸塩のような緩衝剤、および塩化ナトリウムもしくはブドウ糖の
ような張性の調節のための作用物質を包含する可能性がある。pHは、塩酸もし
くは水酸化ナトリウムのような酸もしくは塩基で調節することができる。非経口
製剤は、アンプル、使い捨てシリンジ、またはガラスもしくはプラスチックで作
成された複数用量のバイアル中に封入することが可能である。
【0261】 注入可能な使用に適する製薬学的組成物は、滅菌の水性溶液(水溶性の場合)
もしくは分散剤、および滅菌の注入可能な溶液もしくは分散剤の即座の調製のた
めの滅菌粉末を包含する。静脈内投与のための適する担体は、生理学的生理的食
塩水、静菌水、クレモフォール[Cremophor]EL(商標)(BASF
、ニュージャージー州パーシッパニー)もしくはリン酸緩衝生理的食塩水(PB
S)を包含する。全部の場合で該組成物は滅菌でなくてはならず、そして容易な
注射可能性(syringablity)が存在する程度まで流動性であるべきである。それは
、製造および貯蔵の条件下で安定でなくてはならず、また、細菌および真菌のよ
うな微生物の汚染作用に対し保存されなければならない。担体は、例えば、水、
エタノール、多価アルコール(例えばグリセロール、プロピレングリコールおよ
び液体ポリエチレングリコールなど)、ならびにそれらの適する混合物を含有す
る溶媒もしくは分散媒であることができる。適正な流動性は、例えばレシチンの
ようなコーティングの使用、分散剤の場合には必要とされる粒子径の維持、およ
び界面活性剤の使用により維持することが可能である。微生物の作用の予防は、
多様な抗菌剤および抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノー
ル、アスコルビン酸、チメロサールなどにより達成することができる。多くの場
合、等張剤、例えば糖類、マンニトールのような多価アルコール、ソルビトール
、塩化ナトリウムを組成物中に包含することが好ましいであろう。注入可能な組
成物の持続的吸収は、吸収を遅延させる作用物質、例えばアルミニウムモノステ
アレートおよびゼラチンを組成物中に包含することにより達成することが可能で
ある。
【0262】 滅菌の注入可能な溶液は、必要とされるように、上に挙げられた成分の1種も
しくは組み合わせを含む適切な溶媒中に有効成分(例えば、レセプタータンパク
質もしくは抗レセプター抗体)を必要とされる量で組み込むこと、次いで濾過滅
菌により製造することが可能である。一般に、分散剤は、基本的分散媒および上
に挙げられたものからの必要とされる他の成分を含有する滅菌ベヒクル中に有効
成分を組み込むことにより製造する。滅菌の注入可能な溶液の製造のための滅菌
粉末の場合、好ましい製造方法は真空乾燥および凍結乾燥であり、それらは、そ
の以前に滅菌濾過された溶液から、いずれかの付加的な所望の成分を含む有効成
分の粉末を生じる。
【0263】 経口組成物は一般に不活性の希釈剤もしくは可食担体を包含する。それらはゼ
ラチンカプセル中に封入することが可能であるか、もしくは錠剤に圧縮すること
が可能である。経口の投与のため、胃を耐えるために作用物質を腸溶の形態に含
有することが可能であるか、もしくは、既知の方法により消化管の特定の領域で
放出されるようにさらに被覆もしくは混合することが可能である。経口の治療的
投与の目的上、有効成分を賦形剤とともに組み込み、そして錠剤、トローチ剤も
しくはカプセル剤の形態で使用することが可能である。経口組成物は、含嗽剤と
しての使用のため液体の担体を使用してもまた製造することができ、ここでは、
液体担体中の有効成分を経口で適用し、そしてシュッと音をたて(swished)かつ
喀出するかもしくは飲み込む。製薬学的に適合する結合剤および/もしくは補助
物質を組成物の一部として包含することが可能である。錠剤、丸剤、カプセル剤
、トローチ剤などは、以下の成分、すなわち、微晶質セルロース、トラガカント
ガムもしくはゼラチンのような結合剤;デンプンもしくは乳糖のような賦形剤、
アルギン酸、プリモゲル(Primogel)もしくはコーンスターチのような
崩壊剤;ステアリン酸マグネシウムもしくはステローツ(Sterotes)の
ような滑沢剤;コロイド状二酸化ケイ素のような滑走剤(glidant);ショ糖もし
くはサッカリンのような甘味料;またはペパーミント、サリチル酸メチルもしく
はオレンジ調味料のような矯味矯臭剤、あるいは類似の性質の化合物のいずれか
を含有することができる。
【0264】 吸入による投与のためには、有効成分は、適する噴射剤、例えば二酸化炭素の
ような気体を含有する加圧容器もしくは分注器、またはネブライザーからエアゾ
ルスプレーの形態で送達する。
【0265】 全身投与はまた経粘膜もしくは経皮手段によることもできる。経粘膜もしくは
経皮投与のためには、浸透されるべき障壁に対する適切な浸透剤を製剤中で使用
する。こうした浸透剤は当該技術分野で公知であり、そして、例えば経粘膜投与
のためには洗剤、胆汁酸塩およびフシジン酸誘導体を包含する。経粘膜投与は鼻
スプレーもしくは坐剤の使用により達成することが可能である。経皮投与のため
には、有効成分を、当該技術分野で公知のような軟膏剤(ointment)、軟膏剤(sal
ve)、ゲル剤もしくはクリーム剤に処方する。
【0266】 有効成分はまた、直腸送達のために(例えばカカオバターおよび他のグリセリ
ドのような慣習的坐剤基剤を含む)坐剤もしくは保持浣腸の形態でも調製するこ
とが可能である。
【0267】 一態様において、有効成分は、埋込物および微小被包化送達系を包含する制御
放出製剤のような、身体からの迅速な排泄に対し有効成分を保護するであろう担
体を含んで調製する。エチレンビニルアセテート、ポリ無水物、ポリグリコール
酸、コラーゲン、ポリオルトエステルおよびポリ乳酸のような生物分解性の生物
適合性ポリマーを使用することができる。こうした製剤の製造方法は当業者に明
白であろう。これらの素材はまた、アルザ コーポレーション(Alza Co
rporation)およびノヴァ ファーマシューティカルズ インク(No
va Pharmaceuticals,Inc)から商業的に得ることができ
る。製薬学的に許容できる担体として、リポソーム懸濁剤(ウイルス抗原に対す
るモノクローナル抗体に感染した細胞に標的を向けられたリポソームを包含する
)もまた使用することが可能である。これらは例えば米国特許第4,522,8
11号に記述されるような当業者に既知の方法に従って製造することができる。
【0268】 投与の容易さおよび投薬量の均一性のために、経口もしくは非経口の組成物を
投薬単位形態で処方することがとりわけ有利である。本明細書で使用されるとこ
ろの「投薬単位形態」は、治療されるべき被験者の単位投薬量として適する物理
的に別個の単位を指し;各単位は、必要とされる製薬学的担体と共同して所望の
治療効果を生じさせるよう計算された予め決められた量の有効成分を含有する。
本発明の投薬単位形態の仕様は、有効成分の独特の特徴および達成されるべき特
定の治療効果、ならびに個体の治療のためのこうした有効成分の調合の技術に固
有の限界により支配され、かつ、それらに直接依存する。
【0269】 本発明の核酸分子は、ベクター中に挿入しそして遺伝子治療ベクターとして使
用することができる。遺伝子治療ベクターは、例えば静脈内注入、局所投与(米
国第5,328,470号)もしくは定位注入(例えばチェン(Chen)ら、
PNAS 91:3054−3057(1994)を参照されたい)により被験
者に送達することが可能である。遺伝子治療ベクターの製薬学的製剤は、許容で
きる希釈剤中に遺伝子治療ベクターを包含することが可能であるか、もしくは遺
伝子送達ベヒクルが埋め込まれる遅延放出マトリックスを含むことができる。あ
るいは、完全な遺伝子送達ベクター、例えばレトロウイルスベクターを組換え細
胞から無傷で製造することが可能である場合、該製薬学的製剤は、遺伝子送達系
を生じさせる1個もしくはそれ以上の細胞を包含することができる。
【0270】 製薬学的組成物は、投与のための説明書と一緒に容器、パックもしくは分注器
中に包含することが可能である。
【0271】 本発明は多くの異なる形態で具現化することができ、そして、本明細書に示さ
れる態様に制限されるとして解釈すべきでなく;むしろ、これらの態様は、本開
示が当業者に本発明を完全に伝達することができるように提供されている。本発
明が関する技術分野の当業者は、前述の記述に提示されている教示の恩恵を有す
る本発明の多くの改変および他の態様を思い浮かべるであろう。特定の用語を使
用したが、それらは別に示されない限り当該技術分野でのように使用している。
【図面の簡単な説明】
【図1】 発明にかかる、ヒト14273のヌクレオチド配列(配列番号2)および推定
14273のアミノ酸配列(配列番号1)を示す。アミノ酸1−45はアミノ末
端細胞外ドメインを構成し、アミノ酸46−321は膜貫通ドメインにわたる領
域を構成し、そしてアミノ酸322−361はカルボキシ末端細胞内ドメインを
構成することが予測される。膜貫通ドメインは、7個の膜貫通セグメント、3個
の細胞外ループおよび3個の細胞内ループを含有する。膜貫通セグメントは、ほ
ぼアミノ酸46からほぼアミノ酸66まで、ほぼアミノ酸75からほぼアミノ酸
98まで、ほぼアミノ酸113からほぼアミノ酸134まで、ほぼアミノ酸15
6からほぼアミノ酸177まで、ほぼアミノ酸209からほぼアミノ酸227ま
で、ほぼアミノ酸266からほぼアミノ酸289まで、およびほぼアミノ酸29
7からほぼアミノ酸321までに見出される。膜貫通ドメイン全体にわたる領域
内に、3個の細胞内ループおよび3個の細胞外ループがある。3個の細胞内ルー
プは、ほぼアミノ酸67からほぼアミノ酸74まで、ほぼアミノ酸135からほ
ぼアミノ酸155まで、およびほぼアミノ酸228からほぼアミノ酸265まで
に見出される。3個の細胞外ループは、ほぼアミノ酸99からほぼアミノ酸11
2まで、ほぼアミノ酸178からほぼアミノ酸208まで、およびほぼアミノ酸
290からほぼアミノ酸296までに見出される。 膜貫通ドメインは、残基135−137に、GPCRシグナル伝達シグネチャ
DRYに相当する配列ERMを包含する。該配列は、GPCR中の不変のアミノ
酸、残基136のアルギニンを包含する。
【図2】 発明にかかる、とりわけ7膜貫通セグメントのロドプシンスーパーファミリー
(配列番号3)に対する高スコアを示す、タンパク質パターンのプロサイト(P
rosite)データベースに対するヒト14273レセプターの比較を示す。
下線をつけられた領域は、GPCRシグネチャに対応する配列、およびとりわけ
GPCRで保存されているアルギニン残基の位置を示す。最も普遍的に保存され
ている配列は、アスパラギン酸、アルギニン、チロシン(DRY)トリプレット
(triplet)である。DRYはシグナル伝達に関係している。アルギニンは不変で
ある。アスパラギン酸はいくつかのGPCR中で保存的に配置される。本場合に
おいて、アルギニンは配列ERM中で見出され、これはレセプターのロドプシン
スーパーファミリーのGPCR中のDRYもしくは不変のアルギニンの位置に合
う。
【図3】 発明にかかる、ヒト14273のアミノ酸配列の分析、すなわち、αβターン
およびコイル領域;親水性;両親媒性領域;フレキシブル領域;抗原性指標;な
らびに表面確率プロットを示す。
【図4】 発明にかかる、7個の膜貫通セグメントを示すヒト14273レセプターの疎
水性プロットを示す。
【図5】 発明にかかる、特定の機能的部位に対応するアミノ酸のヒト14273の読み
取り枠の分析を示す。グリコシル化部位はほぼアミノ酸21−24および322
−325から見出される。環状AMPおよび環状GMP依存性のプロテインキナ
ーゼのホスホリル化部位はほぼアミノ酸239−242で見出される。プロテイ
ンキナーゼCのホスホリル化部位はほぼアミノ酸237−239および350−
352から見出される。カゼインキナーゼIIのホスホリル化部位はほぼアミノ
酸256−259から見出される。N−ミリストイル化部位はほぼアミノ酸57
−62、72−77および343−348から見出される。アミド化部位はほぼ
アミノ酸150−153で見出される。ロイシンジッパーパターンはほぼアミノ
酸106−127に示される。加えて、位置がGPCRシグネチャに対応しかつ
不変のアルギニンを含有するアミノ酸は、アミノ酸135−137の配列ERM
に見出される。
【図6】 発明にかかる、メムサット(Memsat)の(A)推定プロセシングされて
いないペプチドの予測されたセグメント(B)推定成熟ペプチドの膜貫通セグメ
ントにより予測されたヒト14273レセプターの膜貫通セグメントを示す。推
定成熟ペプチドの番号付けは最初の36アミノ酸の除去について補正されている
【図7】 発明にかかる、14273のヌクレオチド配列(配列番号5)および推定14
273のアミノ酸配列(配列番号4)のマウスの真正物を示す。アミノ酸1−4
5はアミノ末端細胞外ドメインを構成し、アミノ酸46−321は膜貫通ドメイ
ンにわたる領域を構成し、そしてアミノ酸322−361はカルボキシ末端細胞
内ドメインを構成することが予測される。膜貫通ドメインは、7個の膜貫通セグ
メント、3個の細胞外ループおよび3個の細胞内ループを含有する。膜貫通セグ
メントは、ほぼアミノ酸96からほぼアミノ酸66まで、ほぼアミノ酸77から
ほぼアミノ酸98まで、ほぼアミノ酸113からほぼアミノ酸134まで、ほぼ
アミノ酸156からほぼアミノ酸177まで、ほぼアミノ酸209からほぼアミ
ノ酸227まで、ほぼアミノ酸266からほぼアミノ酸289まで、およびほぼ
アミノ酸297からほぼアミノ酸321までに見出される。膜貫通ドメイン全体
にわたる領域内に、3個の細胞内ループおよび3個の細胞外ループがある。3個
の細胞内ループは、ほぼアミノ酸67からほぼアミノ酸76まで、ほぼアミノ酸
135からほぼアミノ酸155まで、およびほぼアミノ酸228からほぼアミノ
酸265までに見出される。3個の細胞外ループは、ほぼアミノ酸99からほぼ
アミノ酸112まで、ほぼアミノ酸178からほぼアミノ酸208まで、および
ほぼアミノ酸290からほぼアミノ酸296までで見出される。 膜貫通ドメインは、残基135−137に、GPCRのシグナル伝達シグネチ
ャDRYに対応する配列ERMを包含する。該配列は、GPCR中の不変のアミ
ノ酸、残基136のアルギニンを包含する。
【図8】 発明にかかる、とりわけ7膜貫通セグメントのロドプシンスーパーファミリー
(配列番号3)に対する高スコアを示す、タンパク質パターンのプロサイト(P
rosite)データベースに対するマウス14273レセプターの比較を示す
。下線をつけられた領域は、GPCRシグネチャに対応する配列、およびとりわ
けGPCRで保存されているアルギニン残基の位置を示す。最も普遍的に保存さ
れている配列は、アスパラギン酸、アルギニン、チロシン(DRY)トリプレッ
トである。DRYはシグナル伝達に関係している。アルギニンは不変である。ア
スパラギン酸はいくつかのGPCR中で保存的に配置される。本場合において、
アルギニンは配列ERM中で見出され、これはレセプターのロドプシンスーパー
ファミリーのGPCR中のDRYもしくは不変のアルギニンの位置に合う。
【図9】 発明にかかる、マウス14273のアミノ酸配列の分析、すなわち、αβター
ンおよびコイル領域;親水性;両親媒性領域;フレキシブル領域;抗原性指標;
ならびに表面確率プロットを示す。
【図10】 発明にかかる、7個の膜貫通セグメントを示すマウス14273レセプターの
疎水性プロットを示す。
【図11】 発明にかかる、特定の機能的部位に対応するアミノ酸のマウス14273の読
み取り枠の分析を示す。グリコシル化部位はほぼアミノ酸21−24および32
2−325から見出される。環状AMPおよび環状GMP依存性のプロテインキ
ナーゼのホスホリル化部位はほぼアミノ酸239−242で見出される。プロテ
インキナーゼCのホスホリル化部位はほぼアミノ酸237−239および350
−352から見出される。カゼインキナーゼIIのホスホリル化部位はほぼアミ
ノ酸40−43および256−259から見出される。N−ミリストイル化部位
はほぼアミノ酸57−62、72−77および343−348から見出される。
アミド化部位はほぼアミノ酸150−153に見出される。ロイシンジッパーパ
ターンはほぼアミノ酸106−127に示される。加えて、位置がGPCRシグ
ネチャに対応しかつ不変のアルギニンを含有するアミノ酸は、アミノ酸135−
137の配列ERMに見出される。グリコサミノグリカン結合部位はほぼアミノ
酸148−151で見出される。
【図12】 発明にかかる、メムサット(Memsat)の(A)推定プロセシングされて
いないペプチドの予測されたセグメント(b)推定成熟ペプチドの膜貫通セグメ
ントにより予測されたマウス14273レセプターの膜貫通セグメントを示す。
推定成熟ペプチドの番号付けは最初の36アミノ酸の除去について補正されてい
る。
【手続補正書】特許協力条約第34条補正の翻訳文提出書
【提出日】平成12年8月15日(2000.8.15)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【発明の名称】 Gタンパク質共役型受容体14273レセプター
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】 (関連出願) 本出願は、これにより引用によりそっくりそのまま本明細書に組込まれる、1
998年6月30日に申請されかつ「新規Gタンパク質共役型受容体14273
レセプター(14273 RECEPTOR,A NOVEL G−PROTE
IN COUPLED RECEPTOR)」と題された同時係属中の米国特許
出願第09/107,761号(代理人処理予定番号5800−4)の一部継続
出願である。
【0002】 (発明の分野) 本発明はGタンパク質共役型受容体のスーパーファミリーに属する新たに同定
されたレセプターに関する。本発明はまた、該レセプターをコードするポリヌク
レオチドにも関する。本発明は、さらに、レセプター媒介性の障害の診断および
治療の標的として該レセプターのポリペプチドおよびポリヌクレオチドを使用す
る方法に関する。本発明は、さらに、診断および治療のためのアゴニストおよび
アンタゴニストを同定するための該レセプターのポリペプチドおよびポリヌクレ
オチドを使用する薬物スクリーニング方法に関する。本発明は、さらに、該レセ
プターのポリペプチドおよびポリヌクレオチドに基づくアゴニストおよびアンタ
ゴニストを包含する。本発明は、さらに、該レセプターのポリペプチドおよびポ
リヌクレオチドの製造手順に関する。
【0003】 (発明の背景) Gタンパク質共役型受容体 Gタンパク質共役型受容体(GPCR)は、細胞内のシグナルの伝達を司るタ
ンパク質の主要な一分類を構成する。GPCRは、3個の構造ドメイン、すなわ
ちアミノ末端細胞外ドメイン、膜貫通ドメイン(7個の膜貫通セグメント、3個
の細胞外ループおよび3個の細胞内ループを含有する)、ならびにカルボキシ末
端細胞内ドメインを有する。GPCRの細胞外部分へのリガンドの結合に際して
シグナルが細胞内で伝達され、それは該細胞の生物学的もしくは生理学的特性の
変化をもたらす。GPCRは、Gタンパク質およびエフェクター(Gタンパク質
により調節される細胞内酵素およびチャンネル)と一緒に、細胞内のセカンドメ
ッセンジャーの状態を細胞外の入力に結びつけるモジュラーシグナル伝達系の成
分である。
【0004】 GPCRの遺伝子および遺伝子産物は疾患の潜在的原因物質である(シュピー
ゲル(Spiegel)ら、J.Clin.Invest.92:1119−1
125(1993);マクシック(McKusick)ら、J.Med.Gen
et.30:1−26(1993))。ロドプシン遺伝子およびV2バソプレシ
ンレセプター遺伝子中の特定の欠損は、多様な形態の色素性網膜炎(ネイザンス
(Nathans)ら、Annu.Rev.Genet.26:403−424
(1992))および腎性尿崩症(ホルツマン(Holtzman)ら、Hum
.Mol.Genet.2:1201−1204(1993))を引き起こすこ
とが示されている。これらのレセプターは、中枢神経系および末梢の生理学的過
程の双方に決定的に重要である。進化の解析は、これらのタンパク質の先祖が、
もともと、複雑な身体の設計図(body plan)および神経系と提携して発達したこ
とを示唆している。
【0005】 GPCRタンパク質スーパーファミリーは5つのファミリー、すなわち、ロド
プシンおよびβ2−アドレナリン作動性レセプターにより典型的に表され、そし
て現在は200を越える独特のメンバーにより代表されているレセプター、ファ
ミリーI(ドールマン(Dohlman)ら、Annu.Rev.Bioche
m.60:653−688(1991));副甲状腺ホルモン/カルシトニン/
セクレチンレセプターファミリー、ファミリーII(ジャップナー(Juppn
er)ら、Science 254:1024−1026(1991);リン(
Lin)ら、Science 254:1022−1024(1991));代
謝共役型グルタミン酸レセプターファミリー、ファミリーIII(中西、Sci
ence 258:597:603(1992));D.ディスコイデウム(D
.discoideum)の化学走性および発達で重要なcAMPレセプターフ
ァミリー、ファミリーIV(クライン(Klein)ら、Science 24
1:1467−1472(1988));ならびにSTE2のような真菌の交配
フェロモンレセプター、ファミリーV(クルジャン(Kurjan)、Annu
.Rev.Biochem.61:1097−1129(1992))に分割す
ることが可能である。
【0006】 7個の推定の疎水性セグメントを提示しかつGPCRに無関係であるようであ
る少数の他のタンパク質もまた存在し;それらはGタンパク質に共役することが
示されていない。ドロソフィラ属(Drosophila)は、1種の光レセプ
ター特異的タンパク質、すなわち7膜貫通セグメントタンパク質bride o
f sevenless(boss)を発現する。これは広範囲に研究されてお
り、そしてGPCRであるという証拠を示さない(ハート(Hart)ら、Pr
oc.Natl.Acad.Sci.USA 90:5047−5051(19
93))。ドロソフィラ属(Drosophila)の遺伝子frizzled
(fz)もまた7個の膜貫通セグメントをもつタンパク質であると考えられてい
る。bossと同様、fzはGタンパク質に共役することが示されていない(ヴ
ィンソン(Vinson)ら、Nature 338:263−264(198
9))。
【0007】 Gタンパク質は、α、βおよびγサブユニット(これらはグアニンヌクレオチ
ドを結合する)より構成されるヘテロ三量体タンパク質の1つのファミリーを代
表する。これらのタンパク質は、通常、細胞表面レセプター、例えば7個の膜貫
通セグメントを含有するレセプターに連結されている。GPCRへのリガンド結
合の後に、コンホメーションの変化がGタンパク質に伝達され、これは、α−サ
ブユニットに結合型GDP分子をGTP分子と交換させかつβγ−サブユニット
から解離させる。GTP結合型の形態のα−サブユニットは、典型的に、エフェ
クター調節部分として機能し、cAMP(例えばアデニルシクラーゼの活性化に
よる)、ジアシルグリセロールもしくはイノシトールリン酸のようなセカンドメ
ッセンジャーの産生をもたらす。ヒトでは20を越える多様な型のα−サブユニ
ットが既知である。これらのサブユニットは、βおよびγサブユニットのより少
ないプールと会合する。哺乳動物のGタンパク質の例は、Gi、Go、Gq、G
sおよびGtを包含する。Gタンパク質は、ロディシュ(Lodish)ら、M
olecular Cell Biology,(サイエンティフィック アメ
リカン ブックス インク(Scientific American Boo
ks Inc.)、ニューヨーク州ニューヨーク、1995)に広範囲に記述さ
れており、その内容は引用により本明細書に組込まれる。GPCR、Gタンパク
質、ならびにGタンパク質に連結されるエフェクターおよびセカンドメッセンジ
ャー系は、The G−Protein Linked Receptor F
act Book、ワトソン(Watson)ら編、アカデミック プレス(A
cademic Press)(1994)に総説されている。
【0008】 GPCRは薬物の作用および開発の主要な一標的である。従って、以前に未知
のGPCRを同定しかつ特徴づけることは、製薬学的開発の分野にとって価値あ
ることである。本発明は、以前に同定されていないヒトGPCRを提供すること
により現状の技術を前進させる。
【0009】 (発明の要約) 新規GPCRを同定することが本発明の一目的である。
【0010】 GPCR媒介性の障害の治療および診断に応用可能なレセプターアッセイの試
薬もしくは標的として有用である新規GPCRポリペプチドを提供することが、
本発明のさらなる一目的である。
【0011】 GPCR媒介性の障害の治療および診断に応用可能なレセプターアッセイの試
薬もしくは標的として有用でありかつ組換え法により新規レセプターポリペプチ
ドを製造するのに有用である新規GPCRレセプターポリペプチドに対応するポ
リヌクレオチドを提供することが、本発明のさらなる一目的である。
【0012】 本発明の特定の一目的は、アゴニストおよびアンタゴニストとして作用しかつ
新規レセプターの発現を調節する化合物を同定することである。
【0013】 本発明のさらなる特定の一目的は、GPCR関連性の障害の治療および診断の
ためにレセプターの発現を調節する化合物を提供することである。
【0014】 本発明は、従って、14273レセプターと呼称される新規GPCRの同定に
基づく。
【0015】 本発明は、配列番号1(ヒト)および配列番号4(マウス)に示されるアミノ
酸配列を有するポリペプチドを包含する単離された14273レセプターポリペ
プチドを提供する。
【0016】 本発明はまた、配列番号2(ヒト)および配列番号5(マウス)に示される配
列を有する単離された14273レセプター核酸分子も提供する。
【0017】 本発明はまた、配列番号1もしくは配列番号4に示されるアミノ酸配列に本質
的に相同であるアミノ酸配列を有する変異体ポリペプチドも提供する。
【0018】 本発明はまた、配列番号2もしくは配列番号5に示されるヌクレオチド配列に
本質的に相同である変異体核酸配列も提供する。
【0019】 本発明はまた、配列番号1もしくは配列番号4に示されるポリペプチド、およ
び配列番号2もしくは配列番号5に示されるヌクレオチドのフラグメント、なら
びに該ポリペプチドもしくは核酸の本質的に相同なフラグメントも提供する。
【0020】 本発明はまた、該レセプターの核酸分子およびポリペプチドを発現するための
ベクターおよび宿主細胞、ならびにとりわけ組換えベクターおよび宿主細胞も提
供する。本発明は、とりわけ、障害と相互に関連づけられる特定の変異体を含有
することによりレセプター関連性の疾患のモデルを提供する宿主細胞を提供する
【0021】 本発明はまた、該ベクターおよび該宿主細胞の作成方法、ならびにレセプター
の核酸分子およびポリペプチドを製造するためのそれらの使用方法も提供する。
【0022】 本発明はまた、該レセプターのポリペプチドおよびフラグメントを選択的に結
合する抗体も提供する。
【0023】 本発明はまた、該レセプターポリペプチドの活性を調節する化合物のスクリー
ニング方法も提供する。調節は、ポリペプチドレセプターのレベル、または該レ
セプターポリペプチドを発現する核酸(RNAもしくはDNA)の発現を制御す
るレベルでであることができる。
【0024】 本発明はまた、該レセプターポリペプチドの発現に関連する症状を治療するこ
とを包含する、とりわけスクリーニングされた化合物を使用するレセプターポリ
ペプチドの活性の調節方法も提供する。
【0025】 本発明はまた、生物学的サンプル中の該レセプターのポリペプチドもしくは核
酸分子の存在およびレベルを決定するための診断アッセイも提供する。
【0026】 本発明はまた、該レセプターのポリペプチドもしくは核酸分子中の突然変異の
存在を決定するための診断アッセイも提供する。
【0027】 (発明の詳細な説明) レセプターの機能/シグナル経路 14273レセプタータンパク質はシグナル伝達経路に参画するGPCRであ
る。本明細書で使用されるところの「シグナル伝達経路」は、GPCR(142
73タンパク質)へのリガンドの結合に際しての細胞の機能/活性の調節(例え
ば刺激もしくは阻害)を指す。こうした機能の例は、シグナル伝達経路に参画す
る細胞内分子、例えばホスファチジルイノシトール4,5−ビスリン酸(PIP 2 )、イノシトール1,4,5−三リン酸(IP3)およびアデニル酸シクラーゼ
の動員;原形質膜の分極;分子の産生もしくは分泌;細胞成分の構造の変化;細
胞の増殖、例えばDNAの合成;細胞の移動;細胞の分化;ならびに細胞の生存
を包含する。
【0028】 該レセプタータンパク質により媒介される応答は細胞の型に依存する。例えば
、いくつかの細胞では、該レセプタータンパク質へのリガンドの結合は、ホスフ
ァチジルイノシトールもしくは環状AMPの代謝および回転による化合物の放出
、チャンネルのゲーティング、細胞の接着、移動、分化、などのような活性を刺
激することができる一方で、他の細胞では、リガンドの結合は異なる結果を生じ
させることができる。該レセプタータンパク質により調節される細胞の活性/応
答に関係なく、該タンパク質はGPCRであり、そして、Gタンパク質と相互作
用して、細胞中で例えばホスファチジルイノシトールもしくは環状AMPの代謝
および回転により多様な細胞内シグナル伝達経路において1種もしくはそれ以上
の二次的シグナルを生じさせることが普遍的である。
【0029】 本明細書で使用されるところの「ホスファチジルイノシトールの回転および代
謝」は、ホスファチジルイノシトール4,5−ビスリン酸(PIP2)の回転お
よび代謝に関与する分子ならびにこれらの分子の活性を指す。PIP2は、原形
質膜の細胞質小葉(cytosolic leaflet)中に見出されるリン脂質である。レセプ
ターへのリガンドの結合は、いくつかの細胞中で原形質膜酵素ホスホリパーゼC
を活性化し、それは順にPIP2を加水分解して1,2−ジアシルグリセロール
(DAG)およびイノシトール1,4,5−三リン酸(IP3)を生じさせる可
能性がある。IP3は、一旦形成されると小胞体表面まで拡散することが可能で
あり、そこでそれはIP3レセプター、例えばIP3結合部位を含有するカルシウ
ムチャンネルタンパク質を結合することが可能である。IP3の結合はチャンネ
ルの開放を誘導することが可能であり、カルシウムイオンを細胞質中に放出させ
る。IP3はまた、特異的キナーゼによりホスホリル化されて、細胞外媒体から
細胞質中へのカルシウム進入を引き起こす可能性のある分子、イノシトール1,
3,4,5−四リン酸(IP4)を形成することが可能である。IP3およびIP 4 は、その後、それぞれ不活性の産物、イノシトール1,4−二リン酸(IP2
およびイノシトール1,3,4−三リン酸に非常に迅速に加水分解される可能性
がある。これらの不活性の産物は、PIP2を合成するために細胞により再利用
される可能性がある。PIP2の加水分解により産生される他のセカンドメッセ
ンジャー、すなわち1,2−ジアシルグリセロール(DAG)は細胞膜中に留ま
り、ここでそれは酵素プロテインキナーゼCを活性化するようはたらく可能性が
ある。プロテインキナーゼCは、通常、細胞の細胞質中で可溶性と見出されてい
るが、しかし、細胞内カルシウム濃度の上昇に際して、この酵素は原形質膜に移
動することができ、ここでそれはDAGにより活性化される可能性がある。多様
な細胞中でのプロテインキナーゼCの活性化は、グリコーゲン合成酵素のホスホ
リル化、もしくは多様な転写因子、例えばNF−κBのホスホリル化のような多
様な細胞応答をもたらす。本明細書で使用されるところの「ホスファチジルイノ
シトールの活性」という語法は、PIP2もしくはその代謝物の1つの活性を指
す。
【0030】 該レセプターが参画するかも知れない別のシグナル伝達経路はcAMP回転経
路である。本明細書で使用されるところの「環状AMPの回転および代謝」は、
環状AMP(cAMP)の回転および代謝に関与する分子、ならびにこれらの分
子の活性を指す。環状AMPは、ある種のGタンパク質共役型受容体のリガンド
に誘導される刺激に応答して産生されるセカンドメッセンジャーである。cAM
Pシグナル伝達経路においては、GPCRへのリガンドの結合が酵素アデニルシ
クラーゼの活性化につながる可能性があり、それがcAMPの合成を触媒する。
新規に合成されたcAMPは、順に、cAMP依存性プロテインキナーゼを活性
化する可能性がある。この活性化されたキナーゼは、電圧開閉型(voltage-gated
)カリウムチャンネルタンパク質もしくは関連タンパク質をホスホリル化し、そ
して活動電位の間のカリウムチャンネルの開放の不能につながる(可能性がある
)。カリウムチャンネルの開放の不能はカリウムの外へ向かう流れの減少をもた
らし、これは通常、ニューロンの膜を再分極して、持続性の膜の脱分極につなが
る。 ポリペプチド 本発明は、新規のGタンパク質共役型のタンパク質レセプターの発見に基づく
。とりわけ、発現される配列標識(expressed sequence tag)(EST)を、Gタ
ンパク質共役型受容体の配列に対する相同性に基づいて選択した。このESTを
使用してそれが含有する配列に基づくプライマーを設計し、また、それを使用し
てヒト胎児脳のcDNAライブラリーからcDNAを同定した。陽性のクローン
の配列を決定し、そして重なり合うフラグメントを集成した。集成された配列の
分析は、クローン化されたcDNA分子がGタンパク質共役型受容体をコードす
ることを示した。このレセプターのアミノ酸配列は、ガラニンレセプター、ケモ
カインレセプターおよびソマトスタチンとの相同性を示す。
【0031】 ガラニンは29アミノ酸の小型の神経内分泌ペプチドである。主要な生物学的
機能は、成長ホルモンの放出を促進し、ブドウ糖誘発性のインスリン放出を阻害
し、認識機能を損ない、摂食挙動を刺激し、そして消化管の運動性を調節するこ
とである。ガラニンの背景および機能については、米国特許第5,756,46
0号を参照されたい。また、ガラニンおよびガラニンレセプターの機能に関する
教示については、第WO 98/15570号も参照されたい。これらの文書は
これらの教示について、引用により本明細書に組込まれる。
【0032】 本発明は、従って、図1(配列番号1)に示される推定アミノ酸配列を有す
規GPCRに関する。本発明はまた、図7(配列番号4)に示される推定アミ
ノ酸配列を有する新規ヒトGPCRに対応するマウスの真正物(ortholog)にも関
する
【0033】 細な記述の多くはヒトレセプターのポリペプチドもしくは核酸にとりわけ向
けられる。しかしながら、この記述はマウスの真正物にもまた当てはまるが、但
し、セグメント、ドメイン、フラグメント、抗原部位などのような特定の領域が
、本明細書の図面中のマウスの真正物について提供される配列の詳細およびドメ
イン分析に従って改変されるとみられることを条件とすることが理解される。従
って、記述が包括的に14273レセプターを指す場合には、本記述はマウスお
よびヒト双方のレセプターを指す。記述が必然的にヒトレセプターに制限される
とみられる場合(例えば、特定のフラグメント、セグメントもしくはドメインの
呼称におけるような)には、マウスの真正物に関する対応する詳細を確かめるた
めに、図7〜12を参照すべきである。
【0034】 「14273レセプターポリペプチド」もしくは「14273レセプタータン
パク質」は、配列番号1もしくは配列番号4のポリペプチドを指す。しかしなが
ら、「レセプタータンパク質」もしくは「レセプターポリペプチド」という用語
は、本明細書に記述される多数の変異体、ならびに完全長の14273ポリペプ
チドおよび変異体由来のフラグメントをさらに包含する。
【0035】 従って、本発明は、単離もしくは精製された14273レセプターポリペプチ
ドおよび変異体、ならびにそれらのフラグメントを提供する。
【0036】 ヒト14273ポリペプチドは、3個の主要な構造ドメインを示す361残基
のタンパク質である。アミノ末端細胞外ドメインは、配列番号1の残基1ないし
ほぼ45内であることが同定されている。膜貫通ドメインは、配列番号1のほぼ
46からほぼ321までの残基内にあることが同定されている。カルボキシ末端
細胞内ドメインは、配列番号1のほぼ322から361までの残基内にあること
が同定されている。膜貫通ドメインは膜にわたる7個のセグメントを含有する。
膜貫通セグメントは、ほぼアミノ酸46からほぼアミノ酸66まで、ほぼアミノ
酸75からほぼアミノ酸98まで、ほぼアミノ酸113からほぼアミノ酸134
まで、ほぼアミノ酸156からほぼアミノ酸177まで、ほぼアミノ酸209か
らほぼアミノ酸227まで、ほぼアミノ酸266からほぼアミノ酸289まで、
およびほぼアミノ酸297からほぼアミノ酸321までに見出される。膜貫通ド
メイン全体にわたる領域内に、3個の細胞内ループおよび3個の細胞外ループが
ある。3個の細胞内ループは、ほぼアミノ酸67からほぼアミノ酸74まで、ほ
ぼアミノ酸135からほぼアミノ酸155まで、およびほぼアミノ酸228から
ほぼアミノ酸265までに見出される。3個の細胞外ループは、ほぼアミノ酸9
9からほぼアミノ酸112まで、ほぼアミノ酸178からほぼアミノ酸208ま
で、およびほぼアミノ酸290からほぼアミノ酸296までで見出される。
【0037】 膜貫通ドメインは、残基135−137にGPCRシグナル伝達シグネチャE
RMを包含する。該配列は、GPCR中の不変のアミノ酸、残基136のアルギ
ニンを包含する。
【0038】 BLAST検索に基づけば、最高の相同性はガラニンレセプターに対し示され
た。ガラニンレセプターは、GAL I、GAL IIおよびGAL IIIレ
セプターを包含する。有意の相同性が、ケモカインレセプターおよびソマトスタ
チンレセプターでもまた見出された。
【0039】 本明細書で使用されるところのポリペプチドは、それが組換えおよび非組換え
細胞から単離される場合にそれが細胞性物質を本質的に含まない、またはそれが
化学的に合成される場合は化学的前駆物質もしくは他の化学物質を含まない場合
に、「単離された」もしくは「精製された」と言われる。しかしながら、ポリペ
プチドは、細胞中でそれが通常会合しない別のポリペプチドに結合される可能性
があり、そしてなお「単離された」もしくは「精製された」とみなされる可能性
がある。
【0040】 レセプターポリペプチドは均質まで精製することが可能である。しかしながら
、ポリペプチドが均質まで精製されていない調製物が有用でありかつ単離された
形態の該ポリペプチドを含有するとみなされることが理解される。決定的な特徴
は、かなりの量の他の成分の存在下であってもなお、該調製物が該ポリペプチド
の所望の機能を見込むことである。従って、本発明は多様な程度の純度を包含す
る。
【0041】 一態様において、「細胞性物質を本質的に含まない」という語法は、約30%
(乾燥重量で)未満の他のタンパク質(すなわち混入タンパク質)、約20%未
満の他のタンパク質、約10%未満の他のタンパク質もしくは約5%未満の他の
タンパク質を有するレセプターポリペプチドの調製物を包含する。該レセプター
ポリペプチドが組換え的に産生される場合は、それはまた培養培地を本質的に含
まないこともできる。すなわち、培養培地はタンパク質調製物の体積の約20%
未満、約10%未満、もしくは約5%未満に相当する。
【0042】 「化学的前駆物質もしくは他の化学物質を本質的に含まない」という語法は、
それがそれの合成で関与する化学的前駆物質もしくは他の化学物質から分離され
ている該レセプターポリペプチドの調製物を包含する。一態様において、「化学
的前駆物質もしくは他の化学物質を本質的に含まない」という語法は、約30%
(乾燥重量で)未満の化学的前駆物質もしくは他の化学物質、約20%未満の化
学的前駆物質もしくは他の化学物質、約10%未満の化学的前駆物質もしくは他
の化学物質、または約5%未満の化学的前駆物質もしくは他の化学物質を有する
ポリペプチドの調製物を包含する。
【0043】 一態様において、該レセプターポリペプチドは配列番号1もしくは配列番号4
に示されるアミノ酸配列を含んで成る。しかしながら、本発明は配列変異体もま
た包含する。変異体は、ある生物体の同一の遺伝子座によりコードされる本質的
に相同なタンパク質、すなわち対立遺伝子変異体を包含する。変異体は、ある生
物体の他の遺伝子座由来がだしかし配列番号1もしくは配列番号4の14273
レセプタータンパク質に対する本質的相同性を有するタンパク質もまた包含する
。変異体はまた、14273レセプタータンパク質に本質的に相同だがしかし別
の生物体から生じるタンパク質、すなわち真正物も包含する。変異体は、化学合
成により製造される14273レセプタータンパク質に本質的に相同であるタン
パク質もまた包含する。変異体は、組換え法により製造される14273レセプ
タータンパク質に本質的に相同であるタンパク質もまた包含する。しかしながら
、変異体は本発明の前に開示されたいかなるアミノ酸配列も除外することが理解
される。
【0044】 本明細書で使用されるところの2種のタンパク質(もしくは該タンパク質の一
領域)は、該アミノ酸配列が最低約50〜55%、55〜60%、典型的には最
低約70〜75%、より典型的には最低約80〜85%、そして最も典型的には
最低約90〜95%もしくはそれ以上相同である場合に本質的に相同である。本
発明の本質的に相同なアミノ酸配列は、より十分に下述されるとおり、配列番号
2もしくは配列番号5に示される配列の核酸配列もしくはその部分にストリンジ
ェントな条件下でハイブリダイズする核酸配列によりコードすることができる。
【0045】 2種のアミノ酸配列もしくは2種の核酸配列の同一性パーセントを決定するた
めに、至適な比較の目的上、配列を整列する(例えば、至適な整列のため第一お
よび第二のアミノ酸もしくは核酸配列の一方もしくは双方にギャップを導入する
ことが可能であり、また、非相同配列は比較の目的上無視することができる)。
好ましい一態様において、比較の目的上整列される参照配列の長さは、参照配列
の長さの最低30%、好ましくは最低40%、より好ましくは最低50%、なお
より好ましくは最低60%、そしてなおより好ましくは最低70%、80%もし
くは90%である(例えば、100アミノ酸残基を有する本明細書のアミノ酸配
列に第二の配列を整列させる場合、最低140、好ましくは最低180、より好
ましくは最低250、なおより好ましくは最低290、そしてなおより好ましく
は最低320アミノ酸残基を整列させる)。その後、対応するアミノ酸位置もし
くはヌクレオチド位置のアミノ酸残基もしくはヌクレオチドを比較する。第一の
配列中の位置が、第二の配列中の対応する位置と同一のアミノ酸残基もしくはヌ
クレオチドにより占有されている場合には、それらの分子はその位置で同一であ
る(本明細書で使用されるところのアミノ酸もしくは核酸の「同一性」は、アミ
ノ酸もしくは核酸の「相同性」と同等である)。2種の配列の間の同一性パーセ
ントは、ギャップの数を考慮に入れた、それらの配列により共有される同一の位
置の数、および2種の配列の至適の整列のために導入することが必要である各ギ
ャップの長さの関数である。
【0046】 本発明はまた、より低い程度の同一性を有するがしかし14273ポリペプチ
ドにより実施される同一の機能の1種もしくはそれ以上を実施するように十分な
類似性を有するポリペプチドも包含する。類似性は保存されたアミノ酸置換によ
り決定される。こうした置換は、ポリペプチド中の所定の一アミノ酸を同様の特
徴の別のアミノ酸により置き換えるものである。保存的置換は、表現型上、沈黙
であることがありそうである。脂肪族アミノ酸Ala、Val、LeuおよびI
leの間での1つについて別のものの置き換え(replacement);ヒドロキシル残
基SerおよびThrの相互交換、酸性残基AspおよびGluの交換、アミド
残基AsnおよびGlnの間の置換(substitution)、塩基性残基LysおよびA
rgの交換、ならびに芳香族残基Phe、Tyrの間の置き換えが、保存的置換
として典型的にみられる。どのアミノ酸変化が表現型上沈黙であるようであるか
に関する指針は、ボウイー(Bowie)ら、Science 247:130
6−1310(1990)に見出される。
【0047】
【表1】
【0048】 配列の比較、ならびに2種の配列の間の同一性パーセントおよび類似性の決定
は、数学的アルゴリズムを使用して達成することができる。(Computat
ional Molecular Biology、レスク(Lesk,A.M
.)編、オックスフォード ユニバーシティ プレス(Oxford Univ
ersity Press)、ニューヨーク、1988;Biocomputi
ng:Informatics and Genome Projects、ス
ミス(Smith,D.W.)編、アカデミック プレス(Academic Press)、ニューヨーク、1993;Computer Analysis
of Sequence Data.Part I、グリフィン(Griff
in,A.M.)とグリフィン(Grrifin,H.G.)編、ヒューマナ プレス(Humana Press)、ニュージャージー、1994;Sequ
ence Analysis in Molecular Biology、フ
ォン・ハイニェ(von Heinje,G)、アカデミック プレス(Aca
demic Press)、1987;およびSequence Analys
is Primer、グリブスコフ(Gribskov,M.)とデヴリュー(
Devereux,J.)編、M ストックトン プレス(M Stockto
n Press)、ニューヨーク、1991)。好ましい一態様において、2種
のアミノ酸配列の間の同一性パーセントは、ブロッサム(Blossom)62
マトリックスもしくはPAM250マトリックスのいずれか、ならびに16、1
4、13、10、8、6もしくは4のギャップ重み(gap weight)および1、2、
3、4、5もしくは6の長さ重み(length weight)を使用して、GCGソフトウ
ェアパッケージ中のGAPプログラム(http://www.gcg.com
で入手可能)に組込まれているニードルマン(Needleman)とヴンシュ
(Wunsch)(J.Mol.Biol.(48):444−453(197
0))のアルゴリズムを使用して決定する。なお別の好ましい態様において、2
種のヌクレオチド配列間の同一性パーセントは、NWSgapdna.CMPマ
トリックス、ならびに40、50、60、70もしくは80のギャップ重みおよ
び1、2、3、4、5もしくは6の長さ重みを使用して、GCGソフトウエアパ
ッケージ中のGAPプログラム(デヴリュー(Devereux,J.)ら、N
ucleic Acids Res.12(1):387(1984))(ht
tp://www.gcg.comで入手可能)を使用して決定する。別の態様
において、2種のアミノ酸もしくはヌクレオチドの配列の間の同一性パーセント
は、PAM120重み残基表(weight residue table)、12のギャップ長ペナル
ティ(gap length penalty)および4のギャップペナルティ(gap penalty)を使用
し、ALIGNプログラム(バージョン2.0)に組込まれているマイヤース(
E.Meyers)とミラー(W.Miller)のアルゴリズム(CABIO
S、4:11−17(1989))を使用して決定する。
【0049】 本発明の核酸およびタンパク質配列は、公的データベースに対する検索を実施
して、例えば他のファミリーメンバーもしくは関連する配列を同定するための「
クエリ配列」としてさらに使用することが可能である。こうした検索は、アルチ
ュル(Altschul)ら(1990)J.Mol.Biol.215:40
3−10のNBLASTおよびXBLASTプログラム(バージョン2.0)を
使用して実施することが可能である。NBLASTプログラム、スコア=100
、語長(wordlength)=12でBLASTヌクレオチド検索を実施して、本発明の
核酸分子に相同なヌクレオチド配列を得ることが可能である。XBLASTプロ
グラム、スコア=50、語長=3でBLASTタンパク質検索を実施して、本発
明のタンパク質に相同なアミノ酸配列を得ることが可能である。比較の目的上、
ギャップをつけられた整列を得るために、アルチュル(Altschul)ら、
(1997)Nucleic Acids Res.25(17):3389−
3402に記述されるとおりギャップト(Gapped)BLASTを利用する
ことが可能である。BLASTおよびギャップトBLASTプログラムを利用す
る場合、それぞれのプログラム(例えばXBLASTおよびNBLAST)のデ
フォルトのパラメータを使用することが可能である。http://www.n
cbi.nlm.nih.govを参照されたい。
【0050】 変異体ポリペプチドは、1個もしくはそれ以上の置換、欠失、挿入、逆位、融
合および短縮、もしくはこれらのいずれかの組み合わせによりアミノ酸配列が異
なる可能性がある。
【0051】 変異体ポリペプチドは、完全に機能的である可能性があるか、または1種もし
くはそれ以上の活性の機能を欠く可能性がある。従って、本場合には、変異は例
えばリガンド結合、膜会合、Gタンパク質結合およびシグナル伝達に対応する領
域の1個もしくはそれ以上の機能に影響を及ぼす可能性がある。
【0052】 完全に機能的な変異体は、典型的に、保存的変異、または決定的でない残基も
しくは決定的でない領域中の変異のみを含有する。機能的変異体は、機能の変化
をもたらさないかもしくは無意味な変化をもたらす、類似のアミノ酸の置換もま
た含有する可能性がある。あるいは、こうした置換は若干の程度、機能に正にま
たは負に影響を及ぼすかも知れない。
【0053】 機能的でない変異体は、典型的に、1個もしくはそれ以上の非保存的アミノ酸
の置換、欠失、挿入、逆位もしくは短縮、または決定的な残基もしくは決定的な
領域中の置換、挿入、逆位もしくは欠失を含有する。
【0054】 変異体は、示されたとおり、天然に存在する可能性があるか、もしくは、該レ
セプターポリペプチドに有用かつ新規の特徴を提供するように組換え手段もしく
は化学合成により作成することが可能である。これは、タンパク質の凝集を予防
することにより製薬学的製剤からの免疫原性を予防することを包含する。
【0055】 有用な変異は、リガンド結合の特徴の変化をさらに含んで成る。例えば、一態
様は、リガンドの結合をもたらすがしかし放出をもたらさないかもしくはより遅
い放出をもたらす、結合部位の変異を必要とする。同一部位でのさらなる有用な
一変異は、リガンドに対するより高い親和性をもたらす可能性がある。有用な変
異はまた、別のリガンドに対する親和性を提供する変化も包含する。別の有用な
変異は、結合を可能にするがしかしリガンドによる活性化を予防するものを包含
する。別の有用な変異は、適切なGタンパク質による抑制されたもしくは増大さ
れた結合、または該レセプターが通常会合するものと異なるGタンパク質による
結合を提供する、膜貫通Gタンパク質結合シグナル伝達ドメイン中の変異を包含
する。別の有用な変異は、その中の1個もしくはそれ以上のドメインまたは下位
領域が、別のGタンパク質共役型受容体からの1種もしくはそれ以上のドメイン
または下位領域に機能を果たして(operationally)融合されている融合タンパク
質を提供する。
【0056】 機能に必須であるアミノ酸は、部位特異的突然変異誘発もしくはアラニン走査
(alanin-scanning)突然変異誘発(カニンガム(Cunningham)ら、S
cience 244:1081−1085(1989))のような当該技術分
野で既知の方法により同定することが可能である。後者の処置は該分子中のすべ
ての残基に単一のアラニン突然変異を導入する。その後、生じる突然変異体分子
を、レセプター結合もしくはインビトロのような生物学的活性、またはインビト
ロ増殖活性について試験する。リガンドとレセプターの結合に決定的に重要であ
る部位は、結晶化、核磁気共鳴もしくは光親和性標識(スミス(Smith)ら
、J.Mol.Biol.224:899−904(1992);デフォス(d
e Vos)ら Science 255:306−312(1992))のよ
うな構造解析によってもまた決定することが可能である。
【0057】 本質的な相同性は、核酸もしくはアミノ酸配列全体、またはこれらの配列のフ
ラグメントに対してであることができる。
【0058】 本発明は、従って、14273レセプタータンパク質のポリペプチドフラグメ
ントもまた包含する。フラグメントは、配列番号1もしくは配列番号4に示され
るアミノ酸配列に由来することができる。しかしながら、本発明は、本明細書に
記述されるような14273レセプタータンパク質の変異体のフラグメントもま
た包含する。
【0059】 本明細書で使用されるところのフラグメントは、アミノ酸1−127からの最
低6個の連続するアミノ酸、アミノ酸1からほぼアミノ酸184までの最低9個
のアミノ酸、アミノ酸1からほぼアミノ酸210までの10個より多いアミノ酸
、およびアミノ酸1からほぼアミノ酸291までの32個より多いアミノ酸を含
んで成る。特定のフラグメントは、アミノ酸123−132、134−141、
162−167、177−186、203−237、238−242、244−
259、261−292、295−323、332−337、339−345、
および347−351から見出されるものより大きいフラグメントもまた包含す
る。
【0060】 フラグメントは、該タンパク質の生物学的活性、例えばGタンパク質もしくは
リガンドに結合する能力の1種もしくはそれ以上を保持することが可能である。
フラグメントは、レセプターの抗体を生じさせる免疫原としてもまた有用である
可能性がある。
【0061】 生物学的に活性のフラグメントは、1個のドメインもしくはモチーフ、例えば
細胞外もしくは細胞内のドメインもしくはループ、1個もしくはそれ以上の膜貫
通セグメント、またはそれらの部分、Gタンパク質結合部位、またはGPCRシ
グネチャ、グリコシル化、ミリストイル化、アミド化およびホスホリル化部位、
ならびにロイシンジッパーパターン、L[a−z]{6}L[a−z]{6}L
[a−z]{6}L部位を示す部位を含むことが可能である。こうしたペプチド
は、例えば、長さが6、10、15、20、30、35、36、37、38、3
9、40、50、100もしくはそれ以上のアミノ酸であることができる。
【0062】 ヒトレセプターの可能なフラグメントは、限定されるものでないが:1)配列
番号1のほぼアミノ酸1ないしほぼアミノ酸45のアミノ末端細胞外ドメイン全
体を含んで成る可溶性ペプチド、もしくはそれらの部分;2)配列番号1のほぼ
アミノ酸322からアミノ酸361までのカルボキシ末端細胞内ドメイン全体を
含んで成るペプチド、もしくはそれらの部分;3)ほぼアミノ酸46からほぼア
ミノ酸321までの膜貫通ドメイン全体にわたる領域を含んで成るペプチド、も
しくはそれらの部分;4)ほぼアミノ酸46からほぼアミノ酸66まで、ほぼア
ミノ酸75からほぼアミノ酸98まで、ほぼアミノ酸113からほぼアミノ酸1
34まで、ほぼアミノ酸156からほぼアミノ酸177まで、ほぼアミノ酸20
9からほぼアミノ酸227まで、ほぼアミノ酸266からほぼアミノ酸289ま
で、およびほぼアミノ酸297からほぼアミノ酸321までの特定の膜貫通セグ
メントのいずれか、もしくはそれらの部分;5)ほぼアミノ酸67からほぼアミ
ノ酸74まで、ほぼアミノ酸135からほぼアミノ酸155まで、ほぼアミノ酸
228からほぼアミノ酸265まで、ほぼアミノ酸99からほぼアミノ酸112
まで、ほぼアミノ酸178からほぼアミノ酸208まで、およびほぼアミノ酸2
90からほぼアミノ酸296までの、3個の細胞内ループもしくは3個の細胞外
ループのいずれか、もしくはそれらの部分を挙げることができる。フラグメント
は、1個もしくはそれ以上の膜貫通セグメントおよび付随の細胞外もしくは細胞
内ループ、または1個もしくはそれ以上の膜貫通セグメント、およびカルボキシ
末端ドメインを含む付随の細胞内もしくは細胞外ループと組み合わせられたアミ
ノ末端ドメインのような、上のフラグメントの組み合わせをさらに包含する。従
って、上のフラグメントのいずれも組み合わせられる可能性がある。他のフラグ
メントはほぼアミノ酸37から361までの成熟タンパク質を包含する。他のフ
ラグメントは、本明細書に記述される多様な機能的部位、およびGPCRシグネ
チャ配列を含有する配列を含有する。例えば、フラグメントは、5、10、15
、20、30、40、50もしくは100までのアミノ酸を包含するように、機
能的部位から一方向もしくは双方向に伸長することが可能である。さらに、フラ
グメントは、上に挙げられた特定のドメインのサブフラグメントを包含すること
が可能であり、これらのサブフラグメントはそれらが由来するドメインの機能を
保持する。
【0063】 フラグメントは、抗原性フラグメント、ならびにとりわけ図3および9で高抗
原性指標を有することが示されるものもまた包含する。
【0064】 従って、可能なフラグメントは、リガンド結合部位を特定するフラグメント、
グリコシル化、アミド化、ホスホリル化もしくはミリストイル化部位を特定する
フラグメント、膜会合を特定するフラグメント、Gタンパク質との相互作用およ
びシグナル伝達を特定するフラグメント、ならびにロイシンジッパー部位を特定
するフラグメントを包含する。これにより、適切な機能を提供するもしくは適切
な機能が同定されることを可能にする別個のフラグメントを意図している。好ま
しい一態様において、フラグメントはリガンド結合部位を含有する。
【0065】 本発明は免疫原性の特性をもつフラグメントもまた提供する。これらは、14
273レセプタータンパク質および変異体のエピトープ担持部分を含有する。こ
れらのエピトープ担持ペプチドは、レセプターのポリペプチドもしくは領域もし
くはフラグメントに特異的に結合する抗体を生じさせるのに有用である。これら
のペプチドは最低6、12、最低14、もしくは最低約15ないし約30の間の
アミノ酸を含有する可能性がある。
【0066】 抗体を生じさせるのに使用することが可能である抗原性ポリペプチドの制限し
ない例は、アミノ末端細胞外ドメイン、もしくは細胞外ループのいずれか由来の
ペプチドを包含する。高抗原性指標を有する領域を図3および9に示す。しかし
ながら、細胞内で作成された抗体(「イントラボディ(intrabody)」
)もまた包含される。これは細胞内レセプターペプチド領域を認識するとみられ
る。
【0067】 しかしながら、本発明が関するフラグメントは、本発明の前に開示されている
かも知れないフラグメントを包含するとして解釈されるべきでない。
【0068】 (本発明の前に開示されているかも知れない変異体およびフラグメントを包含
する)レセプターポリペプチドは、GPCRに関する生物学的アッセイに有用で
ある。こうしたアッセイは、GPCR関連性の症状の診断および治療に有用な既
知のGPCRの機能もしくは活性もしくは特性のいずれかを必要とする。
【0069】 エピトープを担持するレセプターおよびポリペプチドは、いずれかの慣習的手
段により製造することができる(ホーテン(Houghten,R.A.)、P
roc.Natl.Acad.Sci.USA 82:5131−5135(1
985))。同時の複数のペプチド合成が米国特許第4,631,211号に記
述されている。
【0070】 フラグメントは、別個(他のアミノ酸もしくはポリペプチドに融合されない)
であることができるか、またはより大きなポリペプチド内にあることができる。
さらに、いくつかのフラグメントは単一のより大きなポリペプチド内に含まれる
可能性がある。一態様において、宿主中での発現のため設計されたフラグメント
は、レセプターフラグメントのアミノ末端に融合された異種のプレポリペプチド
およびプロポリペプチド領域、ならびに該フラグメントのカルボキシル末端に融
合された付加的領域を有することが可能である。
【0071】 従って、本発明はキメラもしくは融合タンパク質を提供する。これらは、該レ
セプタータンパク質に本質的に相同でないアミノ酸配列を有する異種タンパク質
に効果をもたらして連結されたレセプタータンパク質を含んで成る。「効果をも
たらして連結される」は、レセプタータンパク質および異種タンパク質が同じ読
み枠で融合されることを示す。異種タンパク質は該レセプタータンパク質のN末
端もしくはC末端に融合することが可能である。
【0072】 一態様において、融合タンパク質はレセプター機能それ自体に影響を及ぼさな
い。例えば、融合タンパク質は、レセプター配列がGST配列のC末端に融合さ
れているGST融合タンパク質であることができる。他の型の融合タンパク質は
、限定されるものでないが、酵素融合タンパク質、例えばβ−ガラクトシダーゼ
融合、酵母の2ハイブリッドGAL融合、ポリHis融合およびIg融合を挙げ
ることができる。こうした融合タンパク質、とりわけポリHis融合は、組換え
レセプタータンパク質の精製を助長する可能性がある。ある種の宿主細胞(例え
ば哺乳動物宿主細胞)においては、異種シグナル配列を使用することにより、タ
ンパク質の発現および/もしくは分泌を増大させることが可能である。従って、
別の態様において、融合タンパク質はそのN末端に異種シグナルを含有する。
【0073】 第EP−A−O 464 533号は、免疫グロブリンの定常領域の多様な部
分を含んで成る融合タンパク質を開示する。Fcは治療および診断で有用であり
、そして、従って、例えば改良された薬物動態特性(第EP−A 0232 2
62号)をもたらす。薬物の発見においては、例えばヒトタンパク質が、アンタ
ゴニストを同定するための高スループットスクリーニングアッセイの目的上、F
c部分と融合されている。べネット(Bennett)ら(J.Mol.Rec
og.8:52−58(1995))およびヨハンソン(Johanson)ら
(J.Biol.Chem.270、16:9459−9471(1995))
。従って、本発明は、レセプターポリペプチド、および多様なサブクラスの免疫
グロブリン(IgG、IgM、IgA、IgE)の重鎖もしくは軽鎖の定常領域
の多様な部分を含有する可溶性の融合タンパク質もまた包含する。ヒトIgG、
とりわけIgG1の重鎖の定常部分が免疫グロブリンとして好ましく、ここでは
融合がヒンジ領域で起こる。いくつかの用途のためには、融合タンパク質がその
意図された目的上使用された後、例えば融合タンパク質が免疫感作のための抗原
として使用されるはずである場合に、Fcを除去することが望ましい。特定の一
態様において、Fc部分は切断配列により単純な方法で除去することが可能であ
り、この切断配列もまた組込まれかつ第Xa因子で切断されることが可能である
【0074】 キメラもしくは融合タンパク質は、標準的組換えDNA技術により製造するこ
とが可能である。例えば、異なるタンパク質配列をコードするDNAフラグメン
トを、慣習的技術に従って同じ読み枠で一緒に連結する。別の態様において、融
合遺伝子は、自動化DNA合成機を包含する慣習的技術により合成することがで
きる。あるいは、その後にアニーリングかつ再増幅してキメラ遺伝子配列を生じ
させることが可能である2個の連続的な遺伝子フラグメントの間に相補的オーバ
ーハングを生じさせるアンカープライマーを使用して、遺伝子フラグメントのP
CR増幅を実施することができる(アウスベル(Ausubel)ら、Curr
ent Protocols in Molecular Biology、1
992を参照されたい)。さらに、既に融合部分をコードしている(例えばGS
Tタンパク質)多くの発現ベクターが商業的に入手可能である。融合部分を該レ
セプタータンパク質に同じ読み枠で連結するようなこうした発現ベクターに、レ
セプタータンパク質をコードする核酸をクローン化することが可能である。
【0075】 別の形態の融合タンパク質はレセプター機能に直接影響を及ぼすものである。
従って、レセプタードメイン(もしくはそれらの部分)の1個もしくはそれ以上
が別のGタンパク質共役型受容体もしくは他の型のレセプターからの相同なドメ
イン(もしくはそれらの部分)により置き換えられているレセプターポリペプチ
ドが、本発明により包含される。従って多様な並べ換えが可能である。アミノ末
端細胞外ドメインもしくはその下位領域(例えばリガンド結合)を、別のリガン
ド結合レセプタータンパク質からのドメインもしくは下位領域で置き換えること
が可能である。あるいは、膜貫通ドメイン全体、あるいは7個のセグメントもし
くはループまたはそれらの部分のいずれか、例えばGタンパク質結合/シグナル
伝達を置き換えることが可能である。最後に、カルボキシ末端細胞内ドメインも
しくは下位領域を置き換えることが可能である。従って、本来のドメインもしく
は下位領域の1個もしくはそれ以上が置き換えられているキメラレセプターを形
成することが可能である。
【0076】 単離されたレセプタータンパク質は、それを天然に発現する細胞から、それを
発現するように変えられている細胞から(組換え)精製することが可能であるか
、もしくは既知のタンパク質合成法を使用して合成することが可能である。レセ
プター関連性の疾患と相互に関連付けられる変異体は、冒された組織もしくは危
険にさらされている個体から単離することができる。あるいは、こうした変異体
は、化学合成もしくは部位特異的突然変異誘発により製造することが可能である
【0077】 一態様において、タンパク質は組換えDNA技術により製造する。例えば、該
レセプターポリペプチドをコードする核酸分子を発現ベクターにクローン化し、
発現ベクターを宿主細胞に導入し、そしてタンパク質を宿主細胞中で発現させる
。その後、標準的なタンパク質精製技術を使用する適切な精製スキームにより、
タンパク質を細胞から単離することが可能である。
【0078】 ポリペプチドは、しばしば、20の天然に存在するアミノ酸と普遍的に称され
る20種のアミノ酸以外のアミノ酸を含有する。さらに、プロセシングおよび他
の翻訳後修飾のような天然の過程、もしくは当該技術分野で公知の化学的修飾技
術により、末端アミノ酸を包含する多くのアミノ酸を修飾することができる。ポ
リペプチド中で天然に発生する普遍的修飾は、基本的教科書、詳細なモノグラフ
および研究論文に記述されており、そしてそれらは当業者に公知である。
【0079】 従って、該ポリペプチドは、置換されたアミノ酸残基が遺伝暗号によりコード
されるものでない、置換基が包含されている、成熟ポリペプチドが該ポリペプチ
ドの半減期を増大させる化合物(例えばポリエチレングリコール)のような別の
化合物と融合されている、あるいは、リーダーもしくは分泌配列、または成熟ポ
リペプチドの精製のための配列もしくはプロタンパク質配列のような付加的なア
ミノ酸が成熟ポリペプチドに融合されている、誘導体もしくは類似物もまた包含
する。
【0080】 既知の修飾は、限定されるものでないが、アセチル化、アシル化、ADP−リ
ボシル化、アミド化、フラビンの共有結合、ヘム部分の共有結合、ヌクレオチド
もしくはヌクレオチド誘導体の共有結合、脂質もしくは脂質誘導体の共有結合、
ホスファチジルイノシトールの共有結合、架橋、環化、ジスルフィド結合形成、
脱メチル化、共有結合の架橋の形成、シスチンの形成、ピログルタミン酸の形成
、ホルミル化、γ−カルボキシル化、グリコシル化、GPIアンカー形成、ヒド
ロキシル化、ヨウ化、メチル化、ミリストイル化、酸化、タンパク質分解性プロ
セシング、ホスホリル化、プレニル化、ラセミ化、セレノイル化、硫酸化、アル
ギニル化のような、タンパク質へのアミノ酸の転写RNA媒介性の付加、および
ユビキチン化を挙げることができる。
【0081】 こうした修飾は当業者に公知であり、かつ、学術論文にきわめて詳細に記述さ
れている。いくつかのとりわけ普遍的な修飾、例えばグリコシル化、脂質結合、
硫酸化、グルタミン酸残基のγ−カルボキシル化、ヒドロキシル化およびADP
−リボシル化は、Proteins−Structure and Molec
ular Properties、第2版、クレイトン(T.E.Creigh
ton)、W.H.フリーマン アンド カンパニー(W.H.Freeman
and Company)、ニューヨーク(1993)のような最も基礎的な
教科書に記述されている。ヴォルト(Wold,F.)、Posttransl
ational Covalent Modification of Pro
teins、ジョンソン(B.C.Johnson)編、アカデミック プレス
(Academic Press)、ニューヨーク 1−12(1983);ザ
イフター(Seifter)ら(Meth.Enzymol.182:626−
646(1990))およびラタン(Rattan)ら(Ann.N.Y.Ac
ad.Sci.663:48−62(1992))によるような多くの詳細な総
説が、この主題について入手可能である。
【0082】 また公知であるとおり、ポリペプチドは常に全く直鎖状ではない。例えば、ポ
リペプチドはユビキチン化の結果として分枝状であってよく、また、それらは、
一般に、天然のプロセシング事象および天然に起こらない人的操作によりもたら
される事象を包含する翻訳後事象の結果として、分枝をもつもしくはもたない環
状であってよい。環状の、分枝状のおよび分枝した環状のポリペプチドは、非翻
訳の天然のプロセシングおよび合成的方法により合成することができる。
【0083】 修飾は、ペプチドバックボーン、アミノ酸側鎖およびアミノもしくはカルボキ
シル末端を包含するポリペプチドのどこでも発生する可能性がある。共有結合の
修飾によるポリペプチドのアミノもしくはカルボキシル基または双方の封鎖は、
天然に存在するポリペプチドおよび合成ポリペプチドで普遍的である。例えば、
タンパク質分解的プロセシング前の大腸菌(E.coli)で産生されたポリペ
プチドのアミノ末端残基は、ほとんど不可避的にN−ホルミルメチオニンである
ことができる。
【0084】 修飾は、該タンパク質がどのように産生されるかの関数である可能性がある。
例えば、組換えポリペプチドについて、修飾は、宿主細胞の翻訳後修飾能力およ
びポリペプチドのアミノ酸配列中の修飾シグナルにより決定されることができる
。従って、グリコシル化を所望する場合には、グリコシル化する宿主、一般に真
核生物細胞中でポリペプチドを発現させるべきである。昆虫細胞は、しばしば、
哺乳動物細胞と同一の翻訳後グリコシル化を実施し、そして、この理由上、昆虫
細胞発現系は、天然のグリコシル化パターンを有する哺乳動物タンパク質を効率
的に発現するよう開発されている。類似の考慮が他の修飾に当てはまる。
【0085】 ある所定のポリペプチドのいくつかの部位で同一のもしくは変動する程度で、
同一の型の修飾が存在することができる。また、ある所定のポリペプチドは1以
上の型の修飾を含有することができる。 ポリペプチドの用途 該レセプターポリペプチドは、14273レセプターのタンパク質、領域もし
くはフラグメントに特異的な抗体を産生させるのに有用である。高い抗原性指標
スコアを有する領域を図3および9に示す。例えば、抗体を調製するのに、病気
に罹った組織から単離された、修飾されたレセプターポリペプチドを使用するこ
とができ、この抗体はその後、病気に罹った組織中でのインビトロもしくはイン
ビボでの遺伝子発現のスクリーニング、遺伝子発現の調節、およびレセプターポ
リペプチドに関連する障害の治療に有用である。ある障害に直接関係があること
が見出される場合は、化学合成もしくは部位特異的突然変異誘発のような技術に
より製造される修飾されたレセプターポリペプチドを、スクリーニングおよび調
節のための抗体を製造するのにもまた使用することが可能である。
【0086】 (本発明の前に開示されているかも知れない変異体およびフラグメントを包含
する)該レセプターポリペプチドは、GPCRに関する生物学的アッセイに有用
である。こうしたアッセイは、GPCR関連性の症状の診断および治療に有用な
既知のGPCRの機能もしくは活性もしくは特性のいずれかを必要とする。
【0087】 該レセプターポリペプチドは、細胞に基づく系もしくは細胞を含まない系での
薬物スクリーニングアッセイでもまた有用である。細胞に基づく系は、天然、す
なわち生検もしくは細胞培養物中で拡張されたような該レセプタータンパク質を
通常に発現する細胞であることができる。しかしながら、一態様において、細胞
に基づくアッセイは該レセプタータンパク質を発現する組換え宿主細胞を必要と
する。
【0088】 薬物スクリーニングアッセイをトランスジェニック動物モデルで実施すること
もまた可能である。従って、天然に存在する突然変異体、もしくは実験室で作成
された突然変異体は、薬物スクリーニングの基礎として役立つトランスジェニッ
ク動物を創製するのに使用することが可能である。本モデルは、ある所定の薬物
の影響に対するインビボ環境の全体的影響の評価でとりわけ有用である。これら
の動物は、特定の突然変異体に対する影響を確かめることに加えて、全体的系に
対する影響を確かめることが可能であるように、疾患の動物モデルとして役立つ
可能性がある。
【0089】 該ポリペプチドはレセプター活性を調節する化合物を同定するのに使用するこ
とが可能である。該レセプターに結合する能力について候補化合物をアッセイす
るための高スループットスクリーニングで、14273タンパク質、ならびに適
切な変異体およびフラグメントの双方を使用することが可能である。レセプター
活性に対する該化合物の影響を決定するため、これらの化合物を機能的レセプタ
ーに対してさらにスクリーンニングすることが可能である。所望の程度まで該レ
セプターを活性化(アゴニスト)もしくは不活性化(アンタゴニスト)する化合
物を同定することができる。
【0090】 「アゴニスト」および「アンタゴニスト」という用語は、応答を高めるもしく
は減少させる化合物を表す。アゴニストの一形態として、化合物は内在性の化合
物と同一部位に結合し、そして通常は内在性の作用物質と同等なもしくはより大
きな程度、同一型のシグナルを生じさせる。別の形態のアゴニストは、第一のア
ゴニストと異なる部位に結合し、独力でシグナルを生じさせないが;しかしなが
ら、内在性の作用物質もまたその部位に結合する場合に、高められたシグナルを
生じさせる。これはアロステリック作用と呼ばれている。1つの形態のアンタゴ
ニストは、内在性の作用物質により使用されている部位に結合し、そしてその内
在性の作用物質により生じられるシグナルを減少もしくは封鎖する。別の形態の
アンタゴニストは、第二の形態のアゴニストと同様にアロステリック部位に結合
するが、しかし、内在性の作用物質により生じられる減少されたシグナルを生じ
させる。第三の形態のアンタゴニストは、膜中に溶解するかもしくは膜を横断し
、そして膜内もしくは細胞内側で内在性の作用物質により生じられたシグナルを
遮る。従って、アンタゴニストは、「インバースアゴニスト」の非存在下で測定
されるシグナル伝達活性に関してレセプターのシグナル活性を低下させる負の固
有の活性を有する負のアゴニストもしくはインバースアゴニストを包含する。こ
うしたアンタゴニストは、固有の活性、およびレセプターの基礎的活性に対する
影響を有しないアンタゴニストと識別される。従って、例えば、インバースアゴ
ニストはレセプターの確認を変えることが可能であり、それによりリガンドとの
相互作用を低下させるもしくは排除する。ミリガン(Milligan)ら、T
IPS 16:10(1995)を参照されたい。
【0091】 該レセプターポリペプチドは、レセプタータンパク質と通常は該レセプタータ
ンパク質と相互作用する標的分子との間の相互作用を刺激もしくは阻害する能力
について化合物をスクリーニングするのに使用することができる。標的は、リガ
ンド、もしくは該レセプタータンパク質が通常相互作用するシグナル経路の一成
分(例えば、Gタンパク質、またはcAMPもしくはホスファチジルイノシトー
ルの回転および/またはアデニル酸シクラーゼもしくはホスホリパーゼCの活性
化に関与する他の相互作用物質(interactor))であることができる。該アッセイ
は、該レセプタータンパク質もしくはフラグメントに標的分子と相互作用させ、
そして該タンパク質と標的との間の複合体の形成を検出させるか、またはイオン
流入、Gタンパク質のホスホリル化、環状AMPもしくはホスファチジルイノシ
トールの回転、およびアデニル酸シクラーゼもしくはホスホリパーゼCの活性化
のようなシグナル伝達の関連する効果のいずれかのような該レセプタータンパク
質および標的との相互作用の生化学的結果を検出させる条件下で、候補化合物と
該レセプタータンパク質を組み合わせる段階を包含する。
【0092】 該レセプターポリペプチドは、それらが細胞中で過剰発現される場合に細胞に
基づくアッセイで有用である。従って、該レセプターを過剰発現するこうした細
胞は、過剰発現について調節もしくは補償することが可能である化合物を同定す
るのに有用である。該レセプターを過剰発現する細胞は天然の供給源由来である
可能性があるか、もしくは、慣例の組換え法により創製することが可能である。
【0093】 該レセプターポリペプチドはまた、細胞上で構成的に活性化される場合に細胞
に基づくアッセイで化合物をスクリーニングするのにも有用である。構成的に活
性化されたレセプターを発現するこうした細胞は、レセプター活性化を調節する
化合物をスクリーニングするのに有用である。こうした細胞は天然の供給源由来
である可能性があるか、もしくは、当該技術分野で公知である組換え手段により
創製することが可能である。例えば、シェール(Scheer)ら、J.Rec
eptor Signal Transduction Res.17:57−
73(1997);米国特許第5,750,353号を参照されたい。
【0094】 候補化合物は、例えば、1)Igをつながれた(tailed)融合ペプチド、ならび
にランダムペプチドライブラリー(例えばラム(Lam)ら、Nature 3
54:82−84(1991);ホーテン(Houghten)ら、Natur
e 354:84−86(1991)を参照されたい)、ならびにD−および/
もしくはL−配置のアミノ酸から作成された組み合わせ(combinatorial)化学由
来の分子ライブラリーを包含する可溶性ペプチドのようなペプチド;2)ホスホ
ノペプチド(例えば、無作為かつ部分的に変性の指図されたホスホノペプチドラ
イブラリー(random and partially degenerate, directed phosphopeptide libr
aries)、例えばソンヤン(Songyang)ら、Cell 72:767−7
78(1993)を参照されたい);3)抗体(例えば、ポリクローナル、モノ
クローナル、人化、抗イディオタイプ、キメラおよび一本鎖抗体、ならびにFa
b、F(ab’)2、Fab発現ライブラリーのフラグメント、および抗体のエ
ピトープ結合フラグメント);ならびに4)小型の有機および無機分子(例えば
、組み合わせおよび天然産物のライブラリーから得られた分子)を包含する。
【0095】 1つの候補化合物は、可溶性の完全長レセプター、もしくはリガンド結合につ
いて競争するフラグメントである。他の候補化合物は、突然変異体のレセプター
、もしくはレセプター機能に影響を及ぼしそして従ってリガンドについて競争す
る突然変異を含有する適切なフラグメントを包含する。従って、例えばより高い
親和性でリガンドについて競争するフラグメント、もしくはリガンドを結合する
がしかし放出を可能にしないフラグメントが、本発明により包含される。
【0096】 本発明は、レセプター活性を調節(刺激もしくは阻害)する化合物を同定する
ための他の終点を提供する。該アッセイは、典型的に、レセプター活性を示すシ
グナル伝達経路中の事象のアッセイを必要とする。従って、レセプタータンパク
質依存性のシグナルカスケードに応答してアップレギュレートもしくはダウンレ
ギュレートされている遺伝子の発現をアッセイすることが可能である。一態様に
おいて、こうした遺伝子の調節領域を、ルシフェラーゼのような容易に検出可能
であるマーカーに操作可能に連結することが可能である。あるいは、レセプター
タンパク質のホスホリル化、もしくはレセプタータンパク質の標的もまた測定す
ることが可能である。
【0097】 該タンパク質の異常なレベルもしくは突然変異により引き起こされる障害を終
点の基礎として使用することができることもまた理解される。従って、該レセプ
ターに作用する化合物に応答した障害の発生もしくはその経過における特別の逸
脱が、終点としてはたらくことが可能である。
【0098】 該レセプターにより媒介される生物学的もしくは生化学的機能のいずれかを終
点アッセイとして使用することが可能である。これらは、本明細書、これらの終
点アッセイ標的および当業者に既知の他の機能について引用により組込まれる、
本明細書に引用される参考文献に記述される生化学的もしくは生化学的/生物学
的事象の全部を包含する。
【0099】 化合物の結合および/もしくは活性化もまた、キメラレセプタータンパク質[
ここで、アミノ末端細胞外ドメインもしくはその部分、膜貫通ドメイン全体ある
いは7個の膜貫通セグメントのいずれかまたは細胞内もしくは細胞外ループのい
ずれかのような下位領域、およびカルボキシ末端細胞内ドメインもしくはその部
分を、異種ドメインもしくは下位領域により置き換えることが可能である]を使
用することによりスクリーニングすることが可能である。例えば、本来のレセプ
ターにより認識されるものと異なるGタンパク質と相互作用するGタンパク質結
合領域を使用することが可能である。従って、異なる組のシグナル伝達成分が活
性化についての終点アッセイとして利用可能である。あるいは、膜貫通部分全体
あるいは(膜貫通セグメントまたは細胞内もしくは細胞外ループのような)下位
領域を、アミノ末端細胞外ドメインおよび/もしくはGタンパク質結合領域が由
来する宿主細胞と異なる宿主細胞に特異的な膜貫通部分全体もしくは下位領域で
置き換えることが可能である。これは、レセプターが由来する特定の宿主細胞以
外でアッセイを実施させる。あるいは、アミノ末端細胞外ドメイン(および/も
しくは他のリガンド結合領域)は、異なるリガンドを結合し、従って異種のアミ
ノ末端細胞外ドメイン(もしくは領域)と相互作用するがしかしなおシグナル伝
達を引き起こす試験化合物をアッセイに提供するドメイン(および/もしくは他
の結合領域)により置き換えることが可能である。最後に、本来のシグナル伝達
経路の一部である転写調節配列に操作可能に連結された容易に検出可能なコーデ
ィング領域を含有するレポーター遺伝子により活性化を検出することが可能であ
る。
【0100】 該レセプターポリペプチドは、該レセプターと相互作用する化合物を発見する
よう設計された方法の競争結合アッセイでもまた有用である。従って、ある化合
物を、該化合物をレセプターポリペプチドと結合または別の方法で相互作用させ
る条件下で該ポリペプチドに曝露する。可溶性レセプターポリペプチドもまた混
合物に添加する。試験化合物が可溶性のレセプターポリペプチドと相互作用する
場合、それは形成される複合体の量もしくはレセプター標的からの活性を低下さ
せる。この型のアッセイは、該レセプターの特定の領域と相互作用する化合物が
探求されている場合にとりわけ有用である。従って、目的の領域に対応するペプ
チド配列を含有するように、標的レセプター領域と競争する可溶性ポリペプチド
を設計する。
【0101】 細胞を含まない薬物スクリーニングアッセイを実施するためには、レセプター
タンパク質、もしくはフラグメント、またはその標的分子のいずれかを固定して
、タンパク質の一方もしくは双方の複合体形成されない形態からの複合体の分離
を助長し、ならびにアッセイの自動化を適応することが望ましい。
【0102】 マトリックス上でタンパク質を固定するための技術を薬物スクリーニングアッ
セイで使用することが可能である。一態様において、マトリックスにタンパク質
を結合させるドメインを加える融合タンパク質を提供することができる。例えば
、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ/14273融合タンパク質を、グル
タチオンセファロースビーズ(シグマ ケミカル(Sigma Chemica
l)、ミズーリ州セントルイス)もしくはグルタチオン誘導体化マイクロタイタ
ープレート上に吸着することができ、これをその後(例えば35S−標識された)
細胞ライセートおよび候補化合物と組み合わせ、そして該混合物を複合体形成に
伝導性の条件下で(例えば、塩およびpHについて生理学的条件で)インキュベ
ーションする。インキュベーション後に、ビーズを洗浄していかなる結合されな
い標識も除去し、そしてマトリックスを固定し、かつ、放射標識を直接、もしく
は複合体を解離させた後に上清中で測定する。あるいは、複合体をマトリックス
から解離させ、SDS−PAGEにより分離し、そして、標準的電気泳動技術を
使用して、ビーズ画分中に見出されるレセプターに結合するタンパク質のレベル
をゲルから定量することが可能である。例えば、該ポリペプチドもしくはその標
的分子のいずれかを、当該技術分野で公知の技術を使用してビオチンおよびスト
レプトアビジンの結合を利用して固定することが可能である。あるいは、該タン
パク質と反応性であるがしかしその標的分子への該タンパク質の結合を妨害しな
い抗体をプレートのウェルに誘導体化し、そして該タンパク質を抗体結合により
該ウェル中に捕捉することが可能である。レセプターに結合するタンパク質およ
び候補化合物の調製物を、レセプタータンパク質を提示するウェル中でインキュ
ベーションし、そして該ウェル中に捕捉された複合体の量を定量することが可能
である。GSTで固定される複合体について上述されたものに加え、こうした複
合体の検出方法は、該レセプタータンパク質の標的分子と反応性の、もしくはレ
セプタータンパク質と反応性でありかつ標的分子と競争する抗体を使用する複合
体の免疫検出;ならびに標的分子に関連する酵素活性の検出を頼みとする酵素結
合アッセイを包含する。
【0103】 これらの薬物スクリーニングアッセイに従って同定されたレセプタータンパク
質活性のモジュレーターを使用して、14273タンパク質を発現する細胞を治
療することにより、該レセプター経路により媒介される障害をもつ被験者を治療
することが可能である。これらの治療方法は、こうした治療の必要な被験者に、
タンパク質活性のモジュレーターを、本明細書で記述されるような製薬学的組成
物で投与する段階を包含する。
【0104】 該レセプターポリペプチドはまた、疾患、もしくは該レセプタータンパク質に
より媒介される疾患に対する素因を診断するための標的を提供するのにも有用で
ある。従って、細胞、組織もしくは生物体における該レセプタータンパク質の存
在もしくはレベルの検出方法が提供される。該方法は、相互作用を検出すること
ができるようなレセプタータンパク質と相互作用することが可能な化合物と生物
学的サンプルを接触させることを必要とする。
【0105】 レセプタータンパク質を検出するための1つの作用物質は、レセプタータンパ
ク質に選択的に結合することが可能な抗体である。生物学的サンプルは、被験者
から単離された組織、細胞、および生物学的液体、ならびに被験者内に存在する
組織、細胞および液体を包含する。
【0106】 該レセプタータンパク質は、変異体レセプタータンパク質を有する患者におけ
る活性の疾患もしくは疾患に対する素因を診断するための標的もまた提供する。
従って、レセプタータンパク質を生物学的サンプルから単離し、異常なレセプタ
ータンパク質をもたらす遺伝子突然変異の存在についてアッセイすることが可能
である。これは、アミノ酸の置換、欠失、挿入、再配列(異常なスプライシング
事象の結果として)および不適切な翻訳後修飾を包含する。分析方法は、変えら
れた電気泳動の移動度、変えられたトリプシンペプチド消化、細胞に基づくもし
くは細胞を含まないアッセイにおける変えられたレセプター活性、リガンドもし
くは抗体結合パターンの変化、変えられた等電点、直接アミノ酸配列決定、およ
びタンパク質中の突然変異を検出するのに有用な既知のアッセイ技術のいずれか
の他者を包含する。
【0107】 レセプタータンパク質の検出のためのインビトロ技術は、酵素免疫測定法(E
LISA)、ウェスタンブロット、免疫沈降法および免疫蛍光法を包含する。あ
るいは、該タンパク質は、標識された抗レセプター抗体を被験者に導入すること
により被験者でインビボで検出することが可能である。例えば、抗体は、被験者
でのその存在および位置を標準的画像形成技術により検出することが可能である
放射活性マーカーを用いて標識することができる。被験者において発現されたレ
セプタータンパク質の対立遺伝子変異体を検出する方法、およびサンプル中のレ
セプタータンパク質のフラグメントを検出する方法がとりわけ有用である。
【0108】 該レセプターポリペプチドは薬ゲノム学的分析でもまた有用である。薬ゲノム
学は、冒されたヒトでの変えられた薬物配置および異常な作用による、薬物に対
する応答の臨床上重要な遺伝的変異を取り扱う。例えば、アイヒェルバウム(E
ichelbaum,M.)、Clin.Exp.Pharmacol.phy
siol.23(10−11):983−985(1996)、およびリンダー
(Linder,M.W.)、Clin.Chem.43(2):254−26
6(1997)を参照されたい。これらの変異の臨床的転帰は、代謝での個体の
変異の結果として、ある個体での治療薬の重症の毒性、もしくはある個体での薬
物の治療の失敗をもたらす。従って、個体の遺伝子型が、治療薬が身体に作用す
る方法もしくは身体が該化合物を代謝する方法を決定する可能性がある。さらに
、薬物代謝酵素の活性は、薬物作用の強度および持続期間の双方に影響を与える
。従って、個体の薬ゲノム学は、個体の遺伝子型に基づいた予防的もしくは治療
的治療のための有効な化合物およびこうした化合物の有効投薬量の選択を可能に
する。いくつかの薬物代謝酵素での遺伝子多形の発見は、若干の患者が期待され
た薬物効果を得ない、誇張された薬物効果を示す、もしくは標準的な薬物投薬量
から重大な毒性を経験する理由を説明した。多形は、大量代謝体(extensive met
abolizer)の表現型および過小代謝体(poor metabolizer)の表現型で表現されて
いる可能性がある。従って、遺伝子多形は、1集団でのレセプター機能の1種も
しくはそれ以上が別の集団でのものと異なっているレセプタータンパク質の対立
遺伝子のタンパク質変異体につながるかも知れない。従って、該ポリペプチドは
、治療の様式に影響を及ぼす可能性のある遺伝的素因を標的に確かめさせる。従
って、リガンドに基づく治療において、多形は、アミノ末端細胞外ドメイン、お
よび/またはリガンド結合においてより活性もしくはより活性が小さい他のリガ
ンド結合領域、そしてレセプターの活性化を生じさせるかも知れない。従って、
リガンドの投薬量は、必ず、多形を含有する所定の1集団内で治療効果を最大に
するように改変されるとみられる。遺伝子型分類に対する一代替として、特定の
多形のポリペプチドを同定することが可能である。
【0109】 該レセプターポリペプチドは、臨床試験および他の治療の間の治療効果を監視
するのにもまた有用である。従って、遺伝子発現、タンパク質レベルもしくはレ
セプターの活性を増大もしくは減少させるよう設計されている作用物質の治療上
の有効性を、終点の標的として該レセプターポリペプチドを使用して、治療の経
過にわたって監視することが可能である。
【0110】 該レセプターポリペプチドは、レセプター関連性の障害を治療するのにもまた
有用である。従って、治療方法は、リガンド結合について競争する可溶性レセプ
ターもしくはレセプタータンパク質のフラグメントの使用を包含する。これらの
レセプターもしくはフラグメントは、有効な競争を提供するように、リガンドに
対するより高い親和性を有する可能性がある。 抗体 本発明はまた、14273レセプタータンパク質ならびにその変異体およびフ
ラグメントに選択的に結合する抗体も提供する。抗体は、それが該レセプタータ
ンパク質と本質的に相同でない他のタンパク質にもまた結合する場合でさえ、選
択的に結合するとみなされる。これらの他のタンパク質は、該レセプタータンパ
ク質の1つのフラグメントもしくはドメインと相同性を共有する。特定の領域に
おけるこの保存は、相同配列によって双方のタンパク質に結合する抗体を生じさ
せる。この場合、該レセプタータンパク質に対する抗体結合がなお選択的である
ことが理解されるとみられる。
【0111】 抗体を生じさせるためには、単離されたレセプターポリペプチドを免疫原とし
て使用して、ポリクローナルおよびモノクローナル抗体製造のための標準的技術
を使用して抗体を生じさせる。完全長のタンパク質もしくは抗原性のペプチドフ
ラグメントのいずれかを使用することができる。高抗原性指標を有する領域を表
3および9に示す。
【0112】 抗体は、好ましくは、これらの領域、もしくはこれらの領域中の別個のフラグ
メントから製造する。しかしながら、本明細書に記述されるようなペプチドのい
ずれの領域からも抗体を調製することが可能である。好ましいフラグメントは、
リガンド結合を低下させるかもしくは完全に予防する抗体を生じさせる。抗体は
、レセプター全体、またはレセプターの部分、例えば細胞内カルボキシ末端ドメ
イン、アミノ末端細胞外ドメイン、膜貫通ドメイン全体もしくは特定のセグメン
ト、細胞内もしくは細胞外ループのいずれか、または上のいずれかの部分に対し
て発生させることが可能である。抗体はまた、リガンド結合の部位、Gタンパク
質結合の部位、またはグリコシル化、ホスホリル化、ミリストイル化もしくはア
ミド化される部位のような特定の機能的部位に対しても発生させることができる
【0113】 抗原性フラグメントは、典型的に、最低6個の連続するアミノ酸残基を含んで
成ることができる。しかしながら、抗原性ペプチドは、最低12、最低14アミ
ノ酸残基、最低15アミノ酸残基、最低20アミノ酸残基、もしくは最低30ア
ミノ酸残基を含むことが可能である。一態様において、フラグメントはタンパク
質の表面上に配置される領域、例えば親水性領域に対応する。しかしながら、こ
れらのフラグメントは、本発明の前に開示されているかも知れないいずれかのフ
ラグメントを包含するとして解釈されるべきでない。
【0114】 抗体はポリクローナルもしくはモノクローナルであることができる。無傷の抗
体、もしくはそのフラグメント(例えばFabもしくはF(ab’)2)を使用
することが可能である。
【0115】 検出は、検出可能な物質に抗体を結合する(すなわち物理的に連結する)こと
により助長することが可能である。検出可能な物質の例は、多様な酵素、補欠分
子団、蛍光物質、発光物質、生物発光物質および放射活性物質を包含する。適す
る酵素の例は、ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、β−ガラク
トシダーゼもしくはアセチルコリンエステラーゼを包含し;適する補欠分子団複
合体の例は、ストレプトアビジン/ビオチンおよびアビジン/ビオチンを包含し
;適する蛍光物質の例はウンベリフェロン、フルオレセイン、フルオレセインイ
ソチオシアナート、ローダミン、ジクロロトリアジニルアミンフルオレセイン、
ダンシルクロリドもしくはフィコエリトリンを包含し;発光物質の一例はルミノ
ールを包含し;生物発光物質の例はルシフェラーゼ、ルシフェリンおよびエクオ
リンを包含し、そして適する放射活性物質の例は125I、131I、35Sもしくは3
Hを包含する。
【0116】 適切な免疫原性調製物は、天然の、組換え的に発現されたタンパク質、もしく
は化学的に合成されたペプチド由来であることができる。 抗体の用途 下述される抗体の用途は、好ましくは、レセプター関連性の疾患により冒され
た細胞由来の改変されたレセプタータンパク質から作成される抗体に当てはまり
、これらは、該疾患を治療もしくは診断するため特異的に使用することが可能で
ある。
【0117】 抗体は、アフィニティークロマトグラフィーもしくは免疫沈降法のような標準
的技術によりレセプタータンパク質を単離するのに使用することが可能である。
抗体は、細胞からの天然のレセプタータンパク質、および宿主細胞で発現された
、組換え的に産生されたレセプタータンパク質の精製を助長することが可能であ
る。
【0118】 抗体は、生物体中の多様な組織の間および正常の発生の経過にわたって、細胞
もしくは組織中のレセプタータンパク質の存在を検出してレセプターの発現のパ
ターンを決定するのに有用である。
【0119】 抗体は、発現の豊富およびパターンを評価するため、インシトゥで、インビト
ロで、または細胞ライセートもしくは上清中でレセプタータンパク質を検出する
のに使用することが可能である。
【0120】 抗体は、発生の間の異常な組織分布もしくは異常な発現を評価するのに使用す
ることが可能である。
【0121】 完全長のレセプタータンパク質の循環するフラグメントの抗体検出を使用して
、レセプターの回転を同定することができる。
【0122】 さらに、抗体は、疾患の活性段階ででのような疾患状態、もしくはレセプター
機能に関連する疾患への素因をもつ個体でレセプター発現を評価するのに使用す
ることが可能である。不適切な組織分布、発生の発現、もしくは該レセプタータ
ンパク質の発現のレベルにより障害が引き起こされる場合、正常なレセプタータ
ンパク質に対して該抗体を製造することが可能である。障害がレセプタータンパ
ク質中の特定の突然変異を特徴とする場合、この突然変異体タンパク質に特異的
な抗体を使用して、特定の突然変異体レセプタータンパク質の存在についてアッ
セイすることが可能である。しかしながら、細胞内で産生された抗体(「イント
ラボディ(intrabody)」)もまた包含され、これらは細胞内のレセプ
ターペプチドの領域を認識するとみられる。
【0123】 抗体はまた、生物体の多様な組織における細胞の正常なおよび異常な細胞レベ
ル下の局在を評価するのにも使用することが可能である。抗体は、レセプター全
体、またはレセプターの部分、例えばアミノ末端細胞外ドメインもしくは細胞外
ループの部分に対して発生させることが可能である。
【0124】 診断的用途は、遺伝子試験でのみならず、しかしまた治療の様式の監視でも適
用することが可能である。従って、治療が、レセプターの発現レベル、または異
常なレセプターおよび異常な組織分布の存在もしくは発生の発現の是正を最終的
に目標としている場合は、該レセプターもしくは適切なフラグメントに対し向け
られた抗体を使用して治療の効力を監視することが可能である。
【0125】 加えて、抗体は薬ゲノム学的分析で有用である。従って、多形のレセプタータ
ンパク質に対して製造された抗体を使用して、治療の様式の改変を必要とする個
体を同定することが可能である。
【0126】 抗体はまた、電気泳動の移動度、等電点、トリプシンペプチド消化、および当
業者に既知の他の物理的アッセイにより分析される異常なレセプタータンパク質
の免疫学的マーカーとして、診断ツールとしても有用である。
【0127】 抗体は組織型分類にもまた有用である。従って、特定のレセプタータンパク質
が特定の組織での発現と相互に関連付けられている場合は、このレセプタータン
パク質に特異的である抗体を使用して組織型を同定することができる。
【0128】 抗体は法廷の同定でもまた有用である。従って、個体が特定の多形のタンパク
質をもたらす特定の遺伝子多形と相互に関連付けられている場合は、多形のタン
パク質に特異的な抗体を同定の助けとして使用することが可能である。
【0129】 抗体は、レセプター機能の阻害、例えばリガンド結合の封鎖にもまた有用であ
る。
【0130】 これらの用途は、治療がレセプター機能の阻害を必要とする治療的情況でもま
た適用することが可能である。抗体は、例えばリガンド結合を封鎖するのに使用
することが可能である。抗体は、機能に必要とされる部位を含有する特定のフラ
グメントもしくは細胞と関連する無傷のレセプターに対して製造することができ
る。
【0131】 本発明はまた、生物学的サンプル中のレセプタータンパク質の存在の検出のた
め抗体を使用するためのキットも包含する。該キットは、標識されたもしくは標
識可能な抗体のような抗体、および生物学的サンプル中でレセプタータンパク質
を検出するための化合物もしくは作用物質;サンプル中のレセプタータンパク質
の量を測定するための手段;ならびに、サンプル中のレセプタータンパク質の量
を標準品と比較するための手段を含む可能性がある。化合物もしくは作用物質は
適する容器中に包装することが可能である。キットは、レセプタータンパク質を
検出するために該キットを使用するための説明書をさらに含むことができる。 ポリヌクレオチド 全長のcDNAを配列決定することにより、配列番号2および配列番号5の
ヌクレオチド配列を得た
【0132】 別に開示されたcDNAは、コーディング領域ならびに5’および3’非翻
訳配列を含んで成る。
【0133】 ヒト14273レセプターのcDNAは長さがおよそ1743ヌクレオチドで
あり、かつ、長さがおよそ361アミノ酸残基である1個の完全長のタンパク質
をコードする。配列番号1および配列番号4のアミノ酸配列の構造解析ハイドロ
パシー(hydropathy)プロットを図3および9に提供する。これらの図は、7個の
膜貫通セグメント、アミノ末端細胞外ドメインおよびカルボキシ末端細胞内ドメ
インの推定構造を示す。
【0134】 本明細書で使用されるところの「膜貫通セグメント」という用語は、原形質膜
にわたる疎水性へリックスを包含する1個の構造的アミノ酸モチーフを指す。膜
貫通ドメイン全体はほぼアミノ酸46からほぼアミノ酸321までにわたる。7
個のセグメントが膜を横断し、また、このドメイン中には3個の細胞内ループお
よび3個の細胞外ループが存在する。 。
【0135】 本発明は、14273レセプタータンパク質をコードする単離されたポリヌク
レオチドを提供する。「14273ポリヌクレオチド」もしくは「14273核
酸」という用語は、配列番号2および配列番号5に示される配列を指す。「レセ
プターポリヌクレオチド」もしくは「レセプター核酸」という用語は、1427
3ポリヌクレオチドの変異体およびフラグメントをさらに包含する。
【0136】 「単離された」レセプター核酸は、該レセプター核酸の天然の供給源中に存在
する他の核酸から分離されているものである。好ましくは、「単離された」核酸
は、該核酸が由来する生物体のゲノムDNA中の核酸に天然に隣接する配列(す
なわち、該核酸の5’および3’端に配置される配列)を含まない。しかしなが
ら、例えば約5kbまでの若干の隣接するヌクレオチド配列が存在する可能性が
ある。重要な点は、該核酸が、(組換え発現、プローブおよびプライマーの調製
、ならびに該レセプター核酸配列に特異的な他の用途のような本明細書に記述さ
れる)特定の(操作)にかけられることができるように、それが隣接配列から単
離されていることである。
【0137】 さらに、cDNA分子のような「単離された」核酸分子は、組換え技術により
製造される場合は他の細胞性物質もしくは培養培地、または化学的に合成される
場合は化学的前駆物質もしくは他の化学物質を本質的に含まない可能性がある。
しかしながら、該核酸分子は他のコーディング配列もしくは調節配列に融合され
、そしてなお単離されているとみなされる可能性がある。
【0138】 例えば、ベクター中に含有されている組換えDNA分子は単離されているとみ
なされる。単離されたDNA分子のさらなる例は、異種宿主細胞中に維持されて
いる組換えDNA分子、もしくは溶液中の(部分的にもしくは本質的に)精製さ
れたDNA分子を包含する。単離されたRNA分子は、本発明の単離されたDN
A分子のインビボもしくはインビトロのRNA転写物を包含する。本発明の単離
された核酸分子は合成で製造されるこうした分子をさらに包含する。
【0139】 該レセプターポリヌクレオチドは、成熟タンパク質および付加的なアミノもし
くはカルボキシル末端のアミノ酸、または(例えば成熟形態が1以上のポリペプ
チド鎖を有する場合は)成熟ポリペプチドの内部のアミノ酸をコードすることが
可能である。こうした配列は、前駆体から成熟形態までのタンパク質のプロセシ
ングである役割を演じ、タンパク質の転送(trafficking)を助長し、タンパク質
の半減期を延長もしくは短縮し、またはとりわけアッセイもしくは製造のための
タンパク質の操作を助長することができる。インシトゥで一般的であるが、付加
的アミノ酸が細胞の酵素により成熟タンパク質からプロセシングされることがで
きる。
【0140】 該レセプターポリヌクレオチドは、限定されるものでないが、成熟ポリペプチ
ド単独をコードする配列、成熟ポリペプチドおよびリーダー配列もしくは分泌配
列のような付加的コーディング配列をコードする配列(例えばプレプロもしくは
プロタンパク質配列)、付加的コーディング配列を含みもしくは含まない成熟ポ
リペプチドおよび付加的な非コーディング配列、例えばイントロン、ならびに転
写、mRNAプロセシング(スプライシングおよびポリアデニル酸化シグナルを
包含する)、リボソーム結合およびmRNAの安定性である役割を演じる転写さ
れるがしかし翻訳されない配列のような非コーディング5’および3’配列をコ
ードする配列を挙げることができる。加えて、該ポリヌクレオチドは、例えば精
製を助長するペプチドをコードするマーカー配列に融合することができる。
【0141】 レセプターポリヌクレオチドは、mRNAのようなRNAの形態、あるいは、
クローニングにより得られるかまたは化学的合成技術もしくはそれらの組み合わ
せにより製造されるcDNAおよびゲノムDNAを包含するDNAの形態にある
ことができる。核酸、とりわけDNAは二本鎖もしくは一本鎖であることができ
る。一本鎖核酸はコーディング鎖(センス鎖)もしくは非コーディング鎖(アン
チセンス鎖)であることができる。
【0142】 1種のレセプター核酸は、ヒト脳cDNAに対応する配列番号2に示されるヌ
クレオチド配列、もしくは配列番号5に示されるマウスの真正物を含んで成る。
【0143】 一態様において、該レセプター核酸はコーディング領域のみを含んで成る。
【0144】 本発明は、さらに、遺伝暗号の縮重により配列番号2もしくは配列番号5に示
されたヌクレオチド配列と異なり、そしてそうして配列番号2もしくは配列番号
5に示されたヌクレオチド配列によりコードされるものと同一のタンパク質をコ
ードする、変異体のレセプターポリヌクレオチドおよびそれらのフラグメントを
提供する。
【0145】 本発明はまた、本明細書に記述される変異体ポリペプチドをコードするレセプ
ター核酸分子も提供する。こうしたポリヌクレオチドは、対立遺伝子変異体(同
一遺伝子座)、相同物(異なる遺伝子座)および真正物(異なる生物体)のよう
な天然に存在するものであることができるか、または、組換えDNA法もしくは
化学合成により構築することができる。こうした天然に存在しない変異体は、ポ
リヌクレオチド、細胞もしくは生物体に適用されるものを包含する突然変異誘発
技術により作成することができる。従って、上で論考されたとおり、変異体はヌ
クレオチドの置換、欠失、逆位および挿入を含有する可能性がある。
【0146】 変異は、コーディング領域および非コーディング領域のいずれかもしくは双方
に存在する可能性がある。変異は、保存的および非保存的双方のアミノ酸置換を
生じさせる可能性がある。
【0147】 真正物、相同物および対立遺伝子変異体は当該技術分野で公知の方法を使用し
て同定することが可能である。これらの変異体は、配列番号2もしくは配列番号
5に示されるヌクレオチド配列もしくはこの配列のフラグメントに50%、最低
約55%、典型的には最低約70〜75%、より典型的には最低約80〜85%
、そして最も典型的には最低約90〜95%もしくはそれ以上相同であるレセプ
ターをコードするヌクレオチド配列を含んで成る。こうした核酸分子は、配列番
号2もしくは配列番号5に示されるヌクレオチド配列または該配列のフラグメン
トにストリンジェントな条件下でハイブリダイズすることが可能であるとして容
易に同定することが可能である。ストリンジェントなハイブリダイゼーションは
、それが、ポリA配列、あるいは全部のもしくは大部分のタンパク質、全部のG
PCRまたは全部のファミリーIのGPCRに共通の配列、あるいはいかなる遺
伝子にも特異的でないゲノム全体に分散して見出される配列、例えばホモポリマ
ー伸長のような一般的相同性による場合は、本質的相同性を示さないことが理解
される。さらに、変異体は、本発明の前に開示されていたかも知れない核酸配列
のいずれも包含しないことが理解される。
【0148】 本明細書で使用されるところの「ストリンジェントな条件下でハイブリダイズ
する」という用語は、ハイブリダイゼーションおよび洗浄の条件を記述すること
を意図しており、そこでは、相互に最低50%、55%相同なレセプターをコー
ドするヌクレオチド配列が典型的には相互にハイブリダイズされたまま留まる。
該条件は、相互に最低約65%、最低約70%、または最低約75%もしくはそ
れ以上相同な配列が典型的には相互にハイブリダイズされたまま留まるようであ
ることができる。こうしたストリンジェントな条件は当業者に既知であり、かつ
、Current Protocols in Molecular Biol
ogy、ジョン ワイリー アンド サンズ(John Wiley & So
ns)、ニューヨーク(1989)、6.3.1−6.3.6に見出すことが可
能である。ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件の一例は、約45℃
での6×塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)中でのハイブリダイゼ
ーション、次いで50〜65℃での0.2×SSC、0.1%SDS中での1回
もしくはそれ以上の洗浄である。一態様において、配列番号2の配列にストリン
ジェントな条件下でハイブリダイズする単離されたレセプター核酸分子は、天然
に存在する核酸分子に対応する。本明細書で使用されるところの「天然に存在す
る」核酸分子は、天然に存在する(例えば天然のタンパク質をコードする)ヌク
レオチド配列を有するRNAもしくはDNA分子を指す。
【0149】 さらに、本発明は、完全長のレセプターポリヌクレオチドのフラグメントを含
んで成るポリヌクレオチドを提供する。該フラグメントは一本鎖もしくは二本鎖
である可能性があり、そしてDNAもしくはRNAを含む可能性がある。該フラ
グメントは、コーディング配列もしくは非コーディング配列のいずれかに由来す
ることができる。
【0150】 一態様において、単離されたレセプター核酸フラグメントは長さが最低5ヌク
レオチドであり、かつ、長さが1−410、118−1295もしくは1630
−1743ヌクレオチドからの配列に由来し、そして配列番号2もしくは配列番
号5のヌクレオチド配列を含んで成るヌクレオチド分子にストリンジェントな条
件下でハイブリダイズする。他の態様において、該核酸は、長さが最低10、1
5、20、30、40、50、100、250もしくは500ヌクレオチドまた
はそれ以上である。
【0151】 別の態様において、該フラグメントは13より大きい約410から約442ま
で、26より大きい442−473、44より大きい605−745、17より
大きい745−857、23より大きい857−924、23より大きい925
−1118、そして25より大きい1295−1630の連続するヌクレオチド
を含んで成る。
【0152】 別の態様において、単離されたレセプター核酸は、アミノ酸1からアミノ酸3
21までのコーディング領域全体をコードする。別の態様において、単離された
レセプター核酸は、ほぼアミノ酸36からアミノ酸321までの成熟タンパク質
に対応する配列をコードする。他のフラグメントは、コーディング領域の一部も
しくは全部を包含しかつ5’もしくは3’非コーディング領域のいずれかもしく
はこれらの領域の双方に伸長するヌクレオチド配列を包含する。他のフラグメン
トは、本明細書に記述されるアミノ酸フラグメントをコードするヌクレオチド配
列を包含する。さらなるフラグメントは、本明細書に記述される特定のドメイン
もしくは部位のサブフラグメントを包含する可能性がある。フラグメントは、上
述された特定のアミノ酸配列に対応する核酸配列もしくはそれらのフラグメント
もまた包含する。本発明の核酸フラグメントは、本発明の前に開示されていたか
も知れないフラグメントを包含するとして解釈されるべきでない。
【0153】 レセプター核酸フラグメントは、本明細書に記述されるドメイン、また記述さ
れる下位領域、および特定の機能的部位に対応する配列をさらに包含する。レセ
プター核酸フラグメントは、上述されたドメイン、セグメント、ループおよび他
の機能的部位の組み合わせもまた包含する。従って、例えば、あるレセプター核
酸はアミノ末端細胞外ドメインおよび1個の膜貫通フラグメントに対応する配列
を包含する可能性がある。当業者は、可能である多くの並べ換えを認識している
とみられる。
【0154】 しかしながら、レセプターフラグメントは該遺伝子全体を包含しないいかなる
核酸配列も包含することが理解される。
【0155】 レセプター核酸フラグメントは、1からほぼ45までのアミノ酸残基を包含す
るアミノ末端細胞外ドメインを含んで成るポリペプチド、膜貫通ドメインにわた
る領域を含んで成るポリペプチド(ほぼ46からほぼ321までのアミノ酸残基
)、カルボキシ末端細胞内ドメインを含んで成るポリペプチド(ほぼ322から
ほぼ361までのアミノ酸残基)、およびGタンパク質レセプターシグネチャを
コードするポリペプチド(135−136もしくはほぼ125からほぼ145ま
での周囲のアミノ酸残基)をコードする核酸分子、7個の膜貫通セグメント、細
胞外もしくは細胞内ループ、グリコシル化、ホスホリル化、ミリストイル化およ
びアミド化部位のいずれかをコードする核酸分子を包含する。ドメインの位置が
コンピュータ分析により予測されている場合、当業者は、これらのドメインを構
成するアミノ酸残基がドメインを特定するのに使用される基準に依存して変動す
る可能性があることを認識するとみられる。
【0156】 本発明はまた、本明細書に記述されるレセプタータンパク質のエピトープ担持
領域をコードするレセプター核酸フラグメントも提供する。
【0157】 単離されたレセプターポリヌクレオチド配列、およびとりわけフラグメントは
、DNAのプローブおよびプライマーとして有用である。
【0158】 例えば、レセプター遺伝子のコーディング領域は、既知のヌクレオチド配列を
使用してオリゴヌクレオチドプローブを合成して単離することが可能である。そ
の後、標識されたプローブを使用して、cDNAライブラリー、ゲノムDNAラ
イブラリー、もしくはmRNAをスクリーニングしてコーディング領域に対応す
る核酸を単離することが可能である。さらに、レセプター遺伝子の特定の領域を
クローン化するためのPCR反応でプライマーを使用することが可能である。
【0159】 プローブ/プライマーは、典型的に、本質的に精製されたオリゴヌクレオチド
を含んで成る。該オリゴヌクレオチドは、典型的に、配列番号2もしくは配列番
号5のセンスもしくはアンチセンス鎖または他のレセプターポリヌクレオチドの
最低約10、12、典型的には約25、より典型的には約40、50もしくは7
5の連続するヌクレオチドにストリンジェントな条件下でハイブリダイズするヌ
クレオチド配列の一領域を含んで成る。プローブは、さらに、標識、例えば放射
性同位元素、蛍光化合物、酵素もしくは酵素補助因子を含んで成る。 ポリヌクレオチドの用途 該レセプターポリヌクレオチドは、プローブ、プライマーに、および生物学的
アッセイで有用である。本明細書に記述されるアッセイでのように、GPCRの
特性もしくは機能を評価するために該ポリヌクレオチドを使用する場合は、完全
なcDNAの全部のもしくは全部未満が有用である可能性がある。この場合には
、本発明の前に既知であったかも知れないフラグメントでさえ包含する。従って
、例えば、アゴニストもしくはアンタゴニスト活性の評価のような、GPCRの
機能に特異的に向けられたアッセイは、既知のフラグメントの使用を包含する。
さらに、レセプターの機能を評価するための診断方法もまた、本発明の前に既知
であったかも知れないフラグメントを包含するいずれかのフラグメントを用いて
実施することが可能である。同様に、レセプターの機能不全の治療を巻き込む方
法においては、当該技術分野で既知であったかも知れないものを包含する全部の
フラグメントを包含する。
【0160】 該レセプターポリヌクレオチドは、配列番号1もしくは配列番号4に記述され
るポリペプチドをコードする完全長のcDNAおよびゲノムクローンを単離する
ため、ならびに、配列番号1もしくは配列番号4に示される同一のポリペプチド
を産生する変異体もしくは本明細書に記述される他の変異体に対応するcDNA
およびゲノムクローンを単離するためのcDNAおよびゲノムDNAのハイブリ
ダイゼーションプローブとして有用である。変異体は、配列番号1もしくは配列
番号4に示されるポリペプチドが単離された同一の組織および生物体、同一の生
物体からの異なる組織、または異なる生物体から単離することが可能である。こ
の方法は、発生的に支配されておりそして従って生物体の発生の多様な点で同一
の組織もしくは異なる組織で発現されているかも知れない遺伝子およびcDNA
を単離するのに有用である。
【0161】 プローブは、該レセプターをコードする遺伝子の長さ全体に沿ったいずれかの
配列に対応する可能性がある。従って、それは5’非コーディング領域、コーデ
ィング領域および3’非コーディング領域由来である可能性がある。しかしなが
ら、該プローブは本発明の前に既に記述されたフラグメントを包含しないとみら
れることが理解される。
【0162】 該核酸プローブは、例えば、配列番号1もしくは配列番号4の完全長のcDN
A、または長さが最低10、12、15、30、50、100、250もしくは
500ヌクレオチドかつmRNAもしくはDNAにストリンジェントな条件下で
特異的にハイブリダイズするのに十分なオリゴヌクレオチドのようなそれらのフ
ラグメントであることができる。
【0163】 本明細書に記述されるポリヌクレオチドのフラグメントはまた、本明細書に記
述されるより大きなフラグメントもしくは完全長のポリヌクレオチドを合成する
のにも有用である。例えば、mRNAのいずれかの部分にフラグメントをハイブ
リダイズさせることが可能であり、そしてより大きなもしくは完全長のcDNA
を製造することが可能である。
【0164】 該フラグメントはまた、所望の長さおよび配列のアンチセンス分子を合成する
のにも有用である。
【0165】 該レセプターポリヌクレオチドはまた、レセプターポリヌクレオチドのいずれ
かの所定の領域を増幅するためのPCRのプライマーとしても有用である。
【0166】 該レセプターポリヌクレオチドはまた組換えベクターの構築にも有用である。
こうしたベクターは、該レセプターポリペプチドの一部分もしくは全部を発現す
る発現ベクターを包含する。ベクターは、レセプター遺伝子および遺伝子産物の
インシトゥの発現を変えるために細胞のゲノム中へのような別のポリヌクレオチ
ド配列中に組込むのに使用される挿入ベクターもまた包含する。例えば、内在性
のレセプターのコーディング配列は、相同的組換えを介して、1個もしくはそれ
以上の特異的に導入された突然変異を含有するコーディング領域の全部もしくは
一部で置き換えることが可能である。
【0167】 該レセプターポリヌクレオチドはまた、該レセプタータンパク質の抗原性部分
を発現するのにも有用である。
【0168】 該レセプターポリヌクレオチドはまた、インシトゥハイブリダイゼーション法
によって該レセプターポリヌクレオチドの染色体の部分を決定するためのプロー
ブとしても有用である。
【0169】 該レセプターポリヌクレオチドプローブはまた、組織分布、例えば、遺伝子の
重複が起こっているかどうか、および、重複が組織の全部で起こっているかもし
くは組織のあるサブセットでのみ起こっているかどうかに関して、該レセプター
をコードする遺伝子およびそれらの変異体の存在のパターンを決定するのにも有
用である。該遺伝子は、天然に存在することができるか、または、細胞、組織、
もしくは生物体に外因性に導入されていることができる。
【0170】 該レセプターポリヌクレオチドはまた、本明細書に記述されるポリヌクレオチ
ドをコードする遺伝子から産生されるmRNAの全部もしくは一部に対応するリ
ボザイムを設計するのにも有用である。
【0171】 該レセプターポリヌクレオチドはまた、該レセプターのポリヌクレオチドおよ
びポリペプチドの一部もしくは全部を発現する宿主細胞を構築するのにも有用で
ある。
【0172】 該レセプターポリヌクレオチドはまた、該レセプターのポリヌクレオチドおよ
びポリペプチドの全部もしくは一部を発現するトランスジェニック動物を構築す
るのにも有用である。これらの動物はGPCR関連性の障害のモデル系として有
用である。こうした動物モデルは、その後、疾患の発症もしくは進行に対する、
レセプター遺伝子もしくは遺伝子産物によるそれらの影響について化合物を試験
するのに使用することが可能である。
【0173】 該レセプターポリヌクレオチドはまた、該レセプターポリペプチドの一部もし
くは全部を発現するベクターを作成するのにも有用である。
【0174】 該レセプターポリヌクレオチドはまた、レセプター核酸発現のレベルを測定す
るためのハイブリダイゼーションプローブとしても有用である。従って、該プロ
ーブは、細胞、組織および生物体におけるレセプター核酸の存在を検出する、も
しくはそのレベルを測定するのに使用することが可能である。そのレベルが測定
される核酸はDNAもしくはRNAであることができる。従って、本明細書に記
述されるポリペプチドに対応するプローブは、所定の細胞、組織もしくは生物体
中での遺伝子のコピー数を評価するのに使用することが可能である。これは、該
レセプター遺伝子の増幅が存在している場合にとりわけ適切である。
【0175】 あるいは、該プローブは、染色体外要素上のような、もしくはレセプター遺伝
子が例えば均質に染色される領域として通常は見出されない染色体中に組込まれ
たような、レセプター遺伝子の余分のコピーの位置を評価するためにインシトゥ
ハイブリダイゼーションの情況で使用することが可能である。
【0176】 これらの使用は、正常の結果に関してレセプター発現の増加もしくは減少を伴
う障害の診断に適切である。
【0177】 mRNAの検出のためのインビトロ技術は、ノーザンハイブリダイゼーション
およびインシトゥハイブリダイゼーションを包含する。DNAを検出するための
インビトロ技術は、サザンハイブリダイゼーションおよびインシトゥハイブリダ
イゼーションを包含する。
【0178】 被験者からの細胞のサンプル中のレセプターをコードする核酸、例えばmRN
AもしくはゲノムDNAのレベルを測定すること、またはレセプター遺伝子が突
然変異されているかどうかを決定することによるような、レセプタータンパク質
を発現する細胞もしくは組織を同定するための診断試験キットの一部として、プ
ローブを使用することが可能である。
【0179】 核酸発現アッセイは、レセプター核酸の発現を調節する化合物を同定するため
の薬物スクリーニングに有用である。
【0180】 本発明は、従って、該レセプター遺伝子の核酸発現を伴う障害を治療するのに
使用することが可能である化合物の同定方法を提供する。該方法は、典型的には
、該レセプター核酸の発現を調節する化合物の能力をアッセイすること、そして
従って望ましくないレセプター核酸発現を特徴とする障害を治療するのに使用す
ることができる化合物を同定することを包含する。
【0181】 該アッセイは細胞に基づく系および細胞を含まない系で実施することが可能で
ある。細胞に基づくアッセイは、該レセプター核酸を天然に発現する細胞、もし
くは特定の核酸配列を発現するように遺伝子的に工作された組換え細胞を包含す
る。
【0182】 あるいは、候補化合物は患者もしくはトランスジェニック動物でインビボでア
ッセイすることが可能である。従って、該ヌクレオチド配列のレベルの増大もし
くは変化をもたらす変異体のレセプター核酸を、候補化合物の標的としてはたら
くようにトランスジェニック動物に導入することが可能である。突然変異は天然
に存在することができるか、もしくは、実験室で創製することができる。
【0183】 レセプター核酸の発現についてのアッセイは、mRNAレベルのような核酸レ
ベルの直接アッセイ、または(環状AMPもしくはホスファチジルイノシトール
の回転のような)シグナル経路に関与する副次的化合物を必要とする可能性があ
る。さらに、レセプタータンパク質シグナル経路に応答してアップレギュレート
もしくはダウンレギュレートされる遺伝子の発現もまたアッセイすることが可能
である。この態様においては、これらの遺伝子の調節領域をルシフェラーゼのよ
うなレポーター遺伝子に操作可能に連結することが可能である。
【0184】 従って、レセプター遺伝子の発現のモジュレーターは、細胞を候補化合物と接
触させそしてmRNAの発現を測定する一方法で同定することが可能である。候
補化合物の存在下でのレセプターのmRNAの発現のレベルを、該候補化合物の
非存在下でのレセプターのmRNAの発現のレベルと比較する。その後、この比
較に基づいて、該候補化合物を核酸発現のモジュレーターとして同定することが
可能であり、そして、例えば異常な核酸発現を特徴とする障害を治療するのに使
用することができる。mRNAの発現が、候補化合物の非存在下でよりもその存
在下で統計学的に有意により大きい場合は、該候補化合物を核酸発現の刺激物質
として同定する。核酸発現が、候補化合物の非存在下でよりもその存在下で統計
学的に有意により少ない場合は、該候補化合物を核酸発現の阻害物質として同定
する。
【0185】 従って、本発明は、薬物スクリーニングによりレセプター核酸の発現を調節す
る遺伝子モジュレーターとして同定された化合物を使用する、標的としての核酸
での治療方法を提供する。調節は、核酸発現のアップレギュレーション(すなわ
ち活性化もしくは作動(agonization))またはダウンレギュレーション(抑制も
しくは拮抗(antagonization))双方を包含する。
【0186】 あるいは、レセプター核酸の発現のモジュレーターは、該薬物もしくは小分子
が該レセプター核酸の発現を阻害する限りは、本明細書で記述されるスクリーニ
ングアッセイを使用して同定される小分子もしくは薬物であることができる。
【0187】 該レセプターポリヌクレオチドはまた、臨床試験もしくは治療計画において、
該レセプター遺伝子の発現もしくは活性に対する調節性化合物の有効性を監視す
るのにも有用である。従って、遺伝子発現のパターンは、化合物、とりわけそれ
に対し患者が抵抗性を発生させる可能性のある化合物での治療の継続的有効性に
ついての指標としてはたらくことが可能である。遺伝子発現パターンは、化合物
に対する冒された細胞の生理学的応答を示すマーカーとしてもまたはたらくこと
が可能である。従って、こうしたモニタリングは、それに対して患者が抵抗性に
なっていない化合物の増大された投与もしくは代替化合物の投与のいずれかを可
能にするとみられる。同様に、核酸発現のレベルが望ましいレベルの下に低下す
る場合、該化合物の投与は比例して減少させることが可能である。
【0188】 該レセプターポリヌクレオチドはまた、レセプター核酸の量的変化について、
およびとりわけ病状につながる定量的変化での診断的アッセイでも有用である。
該ポリヌクレオチドは、レセプター遺伝子の突然変異およびmRNAのような遺
伝子発現産物を検出するのに使用することが可能である。該ポリヌクレオチドは
、該レセプター遺伝子中の天然に存在する遺伝子の突然変異を検出するため、そ
してそれにより突然変異をもつ被験者が該突然変異により引き起こされる障害の
危険にさらされているかどうかを決定するためのハイブリダイゼーションプロー
ブとして使用することが可能である。突然変異は、遺伝子中の1個もしくはそれ
以上のヌクレオチドの欠失、付加、もしくは置換、逆位もしくは転座のような染
色体再配列、異常なメチル化パターンのようなゲノムDNAの修飾、または増幅
のような遺伝子コピー数の変化を包含する。機能不全を伴う突然変異された形態
のレセプター遺伝子の検出は、疾患がレセプタータンパク質の過剰発現、過小発
現もしくは変えられた発現から生じる場合は、活性の疾患もしくは疾患に対する
罹病性の診断ツールを提供する。
【0189】 レセプター遺伝子中に突然変異をもつ個体は、多様な技術により核酸レベルで
検出することが可能である。ゲノムDNAを直接分析することが可能であるか、
もしくは、分析前にPCRを使用することにより増幅することが可能である。R
NAもしくはcDNAを同一の方法で使用することが可能である。
【0190】 ある種の態様における突然変異の検出は、アンカーPCRもしくはRACE PCRのようなポリメラーゼ連鎖反応(PCR)(例えば米国特許第4,683
,195号および第4,683,202号を参照されたい)、あるいはライゲー
ション連鎖反応(LCR)(例えば、ランデグラン(Landegran)ら、
Science 241:1077−1080(1988);および中沢(Na
kazawa)ら、PNAS 91:360−364(1994)を参照された
い)でのプローブ/プライマーの使用を必要とし、その後者は該遺伝子中の点突
然変異を検出するためにとりわけ有用である可能性がある(エイブラヴァヤ(A
bravaya)ら、Nucleic Acids Res.23:675−6
82(1995)を参照されたい)。この方法は、患者から細胞のサンプルを収
集すること、サンプルの細胞から核酸(例えばゲノム、mRNAもしくは双方)
を単離すること、遺伝子のハイブリダイゼーションおよび増幅が(存在する場合
)発生するような条件下で遺伝子に特異的にハイブリダイズする1種もしくはそ
れ以上のプライマーと該核酸サンプルを接触させること、そして増幅産物の存在
もしくは非存在を検出すること、または増幅産物の大きさを検出しそして該長さ
を対照サンプルと比較することの段階を包含する可能性がある。欠失および挿入
は、正常の遺伝子型と比較された増幅される産物の大きさの変化により検出する
ことが可能である。点突然変異は、正常のRNAもしくはアンチセンスDNA配
列に増幅されたDNAをハイブリダイズさせることにより同定することができる
【0191】 あるいは、レセプター遺伝子中の突然変異は、例えばゲル電気泳動により決定
される制限酵素消化パターン中の変化により直接同定することが可能である。
【0192】 さらに、配列特異的リボザイム(米国特許第5,498,531号)を使用し
て、リボザイム切断部位の発生もしくは喪失により、特定の突然変異の存在につ
いて評価することが可能である。
【0193】 完全に合った配列は、ヌクレアーゼ切断消化アッセイもしくは溶融温度の差異
により不適合の配列と識別することが可能である。
【0194】 特定の位置での配列変化は、RNアーゼおよびS1保護もしくは化学的切断法
のようなヌクレアーゼ保護アッセイよってもまた評価することが可能である。
【0195】 さらに、突然変異体のレセプター遺伝子と野性型遺伝子との間の配列の差異は
直接DNA配列決定により決定することができる。診断アッセイ((1995)
Biotechniques 19:448)を実施する場合は、質量分析法に
よる配列決定(例えばPCT国際特許公開第WO 94/16101号;コーエ
ン(Cohen)ら、Adv.Chromatogr.36:127−162(
1996);およびグリフィン(Griffin)ら、Appl.Bioche
m.Biotechnol.38:147−159(1993)を参照されたい
)を包含する多様な自動化配列決定処置を利用することが可能である。
【0196】 遺伝子中の突然変異を検出するための他の方法は、切断剤からの保護を使用し
てRNA/RNAもしくはRNA/DNA二重鎖中の不適正塩基を検出する方法
(マイヤース(Myers)ら、Science 230:1242(1985
));コットン(Cotton)ら、PNAS 85:4397(1988);
サレーバ(Saleeba)ら、Meth.Enzymol.217:286−
295(1992))、突然変異体および野性型の核酸の電気泳動の移動度を比
較する方法(織田(Orita)ら、PNAS 86:2766(1989);
コットン(Cotton)ら、Mutat.Res.285:125−144(
1993)および林(Hayashi)ら、Genet.Anal.Tech.
Appl.9:73−79(1992))、ならびに変性剤の勾配を含有するポ
リアクリルアミドゲル中の突然変異体もしくは野性型のフラグメントの移動を変
性勾配ゲル電気泳動を使用してアッセイする方法(マイヤース(Myers)ら
、Nature 313:495(1985))を包含する。点突然変異を検出
するための他の技術の例は、選択的オリゴヌクレオチドハイブリダイゼーション
、選択的増幅および選択的プライマー伸長を包含する。
【0197】 該レセプターポリヌクレオチドはまた、必ずしも疾患を引き起こさない一方で
それにもかかわらず治療の様式に影響を及ぼす遺伝子型について個体を試験する
のにも有用である。従って、該ポリヌクレオチドは、個体の遺伝子型と、治療に
使用される化合物に対する個体の応答との間の関係(薬ゲノム学的関係)を研究
するのに使用することが可能である。本場合において、例えば、リガンドに対す
る変えられた親和性をもたらすレセプター遺伝子の突然変異は、レセプターを活
性化するリガンドの標準的濃度で過剰のもしくは低下された薬物効果をもたらす
可能性がある。従って、本明細書に記述されるレセプターポリヌクレオチドは、
治療に適切な化合物もしくは投薬計画を選択するために、個体での該レセプター
遺伝子の突然変異の含有を評価するのに使用することが可能である。
【0198】 従って、治療に影響を及ぼす遺伝子の変異を表すポリヌクレオチドは、個体の
治療を特別に調整するのに使用することができる診断標的を提供する。従って、
これらの多形を含有する組換え細胞および組換え動物の産生は、治療化合物およ
び投薬量計画の有効な臨床的設計を可能にする。
【0199】 該レセプターポリヌクレオチドはまた、配列が個々の染色体でかつ染色体上の
特定の位置に同定される場合の染色体の同定にも有用である。第一に、インシト
ゥもしくは他の染色体特異的ハイブリダイゼーションにより、DNA配列を染色
体に合わせる。所望の種からの個々の染色体を含有する体細胞ハイブリッドのP
CRスクリーニングに使用することが可能であるPCRプライマーを調製するこ
とにより、配列を特定の染色体と相互に関連付けることもまた可能である。該プ
ライマーに相同な遺伝子を含有する染色体を含有するハイブリッドのみが、増幅
されたフラグメントを生じさせることができる。染色体フラグメントを使用して
下位局在化(sublocalization)を達成することができる。他の戦略は、標識され
た流動選別された(flow-sorted)染色体でのプレスクリーニング、および染色体
特異的ライブラリーへのハイブリダイゼーションによる前選択を包含する。さら
なるマッピング戦略は、伝統的に使用されているものより短いプローブでのハイ
ブリダイゼーションを可能にする蛍光インシトゥハイブリダイゼーションを包含
する。染色体マッピングのための試薬を使用して、単一の染色体もしくは染色体
上の単一部位に個々に印をつけることが可能であるか、または、複数の部位およ
び/もしくは複数の染色体に印をつけるために一団の試薬を使用することが可能
である。マッピングの目的上、該遺伝子の非コーディング領域に対応する試薬が
実際には好ましい。コーディング配列は、遺伝子ファミリー内で保存されること
がよりありそうであり、従って染色体マッピングの間の交差ハイブリダイゼーシ
ョンの機会を増加させる。
【0200】 該レセプターポリヌクレオチドはまた、少量の生物学的サンプルから個体を同
定するのにも使用することが可能である。これは、例えば、個体を同定するため
の制限断片長多形(RFLP)を使用して実施することができる。従って、本明
細書に記述されるポリヌクレオチドは、RFLPのDNAマーカーとして有用で
ある(米国特許第5,272,057号を参照されたい)。
【0201】 さらに、該レセプター配列は、個体のゲノム中の選択されたフラグメントの実
際のDNA配列を決定する代替技術を提供するために使用することが可能である
。従って、本明細書に記述されるレセプター配列は、該配列の5’および3’端
からの2個のPCRプライマーを調製するのに使用することが可能である。その
後、これらのプライマーを使用して、その後の配列決定のため個体からのDNA
を増幅することが可能である。
【0202】 この様式で調製された個体からの対応するDNA配列の一団は、独特の個体の
同定を提供することが可能である。なぜなら、各個体は独特の一組のこうしたD
NA配列を有することができるからである。ヒトでの対立遺伝子の変異は各50
0塩基あたり約1回の頻度で発生することが推定。対立遺伝子の変異はこれらの
配列のコーディング領域で若干の程度まで、そして非コーディング領域ではより
大きな程度まで発生する。該レセプター配列は、個体および組織からのこうした
同定配列を得るために使用することが可能である。該配列はヒトゲノムの独特の
フラグメントを表す。本明細書に記述される配列のそれぞれは、若干の程度まで
、それに対して個体からのDNAを同定の目的上比較することが可能である標準
として使用することが可能である。
【0203】 該配列からの一団の試薬を使用して個体についての独特の同定データベースを
生じさせる場合、その個体からの組織を同定するのにそれらの同一の試薬を後で
使用することが可能である。該独特の同定データベースを使用して、極めて少量
の組織サンプルから、個体(生存もしくは死亡した)の陽性の同定を行うことが
可能である。
【0204】 該レセプターポリヌクレオチドはまた、法廷の同定手順で使用することも可能
である。PCR技術を使用して、単一の毛包、体液(例えば血液、唾液もしくは
精液)のような非常に少量の生物学的サンプルから採取されたDNA配列を増幅
することが可能である。増幅された配列は、その後標準と比較して、該サンプル
の起源の同定を可能にすることができる。
【0205】 該レセプターポリヌクレオチドは、従って、ヒトゲノムの特定の遺伝子座に標
的を定められたポリヌクレオチド試薬、例えばPCRプライマーを提供するのに
使用することが可能であり、それは、例えば別の「同定マーカー」(すなわち、
特定の個体に独特である別のDNA配列)を提供することにより、DNAに基づ
く法廷の同定の信頼性を高めることが可能である。上述されたとおり、実際の塩
基配列情報は、制限酵素で生じられたフラグメントにより形成されるパターンに
対する1つの正確な代替として同定に使用することが可能である。非コーディン
グ領域に標的を定められた配列は、非コーディング領域中でより多くの多形が存
在し、この技術を使用して個体を識別することをより容易にするため、とりわけ
有用である。フラグメントは最低10塩基である。
【0206】 該レセプターポリヌクレオチドは、さらに、特定の組織を同定するために例え
ばインシトゥハイブリダイゼーション技術で使用することができるポリヌクレオ
チド試薬、例えば標識されたもしくは標識可能なプローブを提供するのに使用す
ることが可能である。これは、法廷病理学者に未知の起源の組織が提示される場
合に有用である。レセプターのプローブの一団を使用して、種および/もしくは
器官の型により組織を同定することが可能である。
【0207】 同様の様式で、これらのプライマーおよびプローブを使用して汚染について組
織培養物をスクリーニングする(すなわち、培養物中の異なる型の細胞の混合物
の存在についてスクリーニングする)ことが可能である。
【0208】 あるいは、該レセプターポリヌクレオチドは、アンチセンスもしくはリボザイ
ム構築物によってレセプター遺伝子配列の転写もしくは翻訳を封鎖するために直
接使用することが可能である。従って、異常に高いもしくは望ましくないレセプ
ター遺伝子発現を特徴とする障害において、核酸を直接治療に使用することが可
能である。
【0209】 該レセプターポリヌクレオチドは、従って、細胞、組織および器官におけるレ
セプター遺伝子発現を制御するためのアンチセンス構築物として有用である。D
NAのアンチセンスポリヌクレオチドを転写に関与する遺伝子の領域に相補的で
あるように設計して、転写そしてこれゆえにレセプタータンパク質の産生を予防
する。アンチセンスのRNAもしくはDNAポリヌクレオチドはmRNAにハイ
ブリダイズするとみられ、そして従ってmRNAのレセプタータンパク質への翻
訳を封鎖するとみられる。
【0210】 核酸発現を阻害するのに有用なアンチセンス分子の例は、開始コドンもまた包
含する配列番号2もしくは配列番号5の5’非翻訳領域のフラグメントに相補的
なアンチセンス分子、および配列番号2もしくは配列番号5の3’非翻訳領域の
フラグメントに相補的であるアンチセンス分子を包含する。
【0211】 あるいは、レセプター核酸の発現を減少させるために、1つの分類のアンチセ
ンス分子を使用してmRNAを不活性化することが可能である。従って、これら
の分子は、異常なもしくは望ましくないレセプター核酸発現を特徴とする障害を
治療することが可能である。この技術は、mRNAの翻訳される能力を減弱させ
るmRNAの1個もしくはそれ以上の領域に相補的なヌクレオチド配列を含有す
るリボザイムによる切断を必要とする。可能な領域は、コーディング領域、なら
びにとりわけ触媒、およびリガンド結合のようなレセプタータンパク質の他の機
能的活性に対応するコーディング領域を包含する。
【0212】 該レセプターポリヌクレオチドはまた、レセプター遺伝子発現が異常である細
胞を含有する患者での遺伝子治療のためのベクターも提供する。従って、エクス
ビボで工作されてかつ患者に戻されている患者の細胞を包含する組換え細胞を個
体に導入し、該細胞は、ここで、個体を治療するための所望のレセプタータンパ
ク質を産生する。
【0213】 本発明はまた、生物学的サンプル中のレセプター核酸の存在を検出するための
キットも包含する。例えば、該キットは、標識されたもしくは標識可能な核酸の
ような試薬、または生物学的サンプル中のレセプター核酸を検出することが可能
な作用物質;サンプル中のレセプター核酸の量を測定するための手段;およびサ
ンプル中のレセプター核酸の量を標準と比較するための手段を含むことが可能で
ある。該化合物もしくは作用物質は適する容器中に包装することが可能である。
該キットは、さらに、レセプターのmRNAもしくはDNAを検出するためにキ
ットを使用するための説明書を含むことができる。 ベクター/宿主細胞 本発明はまた、レセプターポリヌクレオチドを含有するベクターも提供する。
「ベクター」という用語は、該レセプターポリヌクレオチドを輸送することが可
能である運び屋(vehicle)、好ましくは核酸分子を指す。ベクターが核酸分子で
ある場合、該レセプターポリヌクレオチドはベクター核酸に共有結合される。本
発明の本局面で、ベクターは、プラスミド、一本鎖もしくは二本鎖ファージ、一
本鎖もしくは二本鎖のRNAもしくはDNAウイルスベクター、またはBAC、
PAC、YACもしくはMACのような人工的染色体を包含する。
【0214】 ベクターは宿主細胞中で染色体外要素として維持されることができ、そこでそ
れが複製しそして該レセプターポリヌクレオチドの付加的なコピーを産生する。
あるいは、ベクターが宿主細胞ゲノム中に組込み、そして宿主細胞が複製する場
合に該レセプターポリヌクレオチドの付加的なコピーを産生することができる。
【0215】 本発明は、該レセプターポリヌクレオチドの維持のためのベクター(クローニ
ングベクター)もしくは発現のためのベクター(発現ベクター)を提供する。該
ベクターは、原核生物細胞もしくは真核生物細胞、または双方で(シャトルベク
ター)機能することが可能である。
【0216】 発現ベクターは、ポリヌクレオチドの転写が宿主細胞中で可能にされるような
、ベクター中で該レセプターポリヌクレオチドに操作可能に連結されているシス
に作用する調節領域を含有する。ポリヌクレオチドは、転写に影響を及ぼすこと
が可能な別個のポリヌクレオチドで宿主細胞中に導入される可能性がある。従っ
て、第二のポリヌクレオチドが、ベクターからの該レセプターポリヌクレオチド
の転写を可能にするようにシス調節制御領域と相互作用するトランスに作用する
因子を提供してもよい。あるいは、トランスに作用する因子は宿主細胞により供
給されてよい。最後に、トランスに作用する因子はベクターそれ自身から産生さ
れることが可能である。
【0217】 しかしながら、いくつかの態様においては、該レセプターポリヌクレオチドの
転写および/もしくは翻訳が細胞を含まない系で起こる可能性があることが理解
される。
【0218】 本明細書に記述されるポリヌクレオチドが操作可能に連結されることが可能で
ある調節配列は、mRNAの転写を指図するプロモーターを包含する。これらは
、限定されるものでないが、バクテリオファージλからのleftプロモーター
、lac、TRP、および大腸菌(E.coli)からのTACプロモーター、
SV40からの初期および後期プロモーター、CMVの前初期プロモーター、ア
デノウイルスの初期および後期プロモーター、ならびにレトロウイルスのLTR
を挙げることができる。
【0219】 発現ベクターは、転写を促進する制御領域に加え、リプレッサー結合部位およ
びエンハンサーのような転写を調節する領域もまた包含することができる。例は
、SV40のエンハンサー、サイトメガロウイルスの前初期エンハンサー、ポリ
オーマのエンハンサー、アデノウイルスのエンハンサーおよびレトロウイルスの
LTRエンハンサーを包含する。
【0220】 発現ベクターは、転写の開始および制御のための部位を含有することに加え、
転写終止に必要な配列および転写された領域においては翻訳のためのリボソーム
結合部位もまた含有することが可能である。発現のための他の調節制御要素は、
開始および終止コドンならびにポリアデニル酸化シグナルを包含する。当業者は
、発現ベクターで有用である多数の調節配列を認識しているであろう。こうした
調節配列は、例えば、サンブルック(Sambrook)ら、Molecula
r Cloning: A Laboratory Manual.第2版、コ
ールド スプリング ハーバー ラボラトリー プレス(Cold Sprin
g Harbor Laboratory Press)、ニューヨーク州コー
ルドスプリングハーバー、(1989)に記述されている。
【0221】 レセプターポリヌクレオチドを発現させるのに多様な発現ベクターを使用する
ことが可能である。こうしたベクターは、染色体、エピソームおよびウイルス由
来のベクター、例えば細菌プラスミド、バクテリオファージ、酵母エピソーム、
酵母の人工的染色体を包含する酵母染色体要素、バキュロウイルス、SV40の
ようなパポーバウイルス、ワクシニアウイルス、アデノウイルス、ポックスウイ
ルス、偽狂犬病ウイルスおよびレトロウイルスのようなウイルス由来のベクター
を包含する。ベクターは、プラスミド由来のもののようなこれらの起源およびバ
クテリオファージの遺伝子要素、例えばコスミドおよびファージミドの組み合わ
せに由来してもまたよい。原核生物および真核生物の宿主に適切なクローニング
ベクターおよび発現ベクターは、サンブルック(Sambrook)ら、Mol
ecular Cloning: A Laboratory Manual.
第2版、コールド スプリング ハーバー ラボラトリー プレス(Cold Spring Harbor Laboratory Press)、ニューヨ
ーク州コールドスプリングハーバー、(1989)に記述されている。
【0222】 調節配列は、1種もしくはそれ以上の宿主細胞で構成的発現を提供することが
できるか(すなわち組織特異的)、あるいは、温度、栄養素添加物、またはホル
モンもしくは他のリガンドのような外来性因子によるような1種もしくはそれ以
上の細胞型での誘導可能な発現を提供することができる。原核生物および真核生
物の宿主での構成的および誘導可能な発現を提供する多様なベクターは当業者に
公知である。
【0223】 該レセプターポリヌクレオチドは、公知の方法論によりベクター核酸中に挿入
することが可能である。一般に、最終的に発現されるであろうDNA配列は、1
種もしくはそれ以上の制限酵素でDNA配列および発現ベクターを切断し、そし
てその後該フラグメントを一緒に連結することにより、発現ベクターに結合する
。制限酵素消化およびライゲーションの手順は当業者に公知である。
【0224】 適切なポリヌクレオチドを含有するベクターは、公知の技術を使用して増殖も
しくは発現のため適切な宿主細胞に導入することが可能である。細菌細胞は、限
定されるものでないが、大腸菌(E.coli)、ストレプトミセス属(Str
eptomyces)およびネズミチフス菌(Salmonella typh
imurium)を挙げることができる。真核生物細胞は、限定されるものでな
いが、酵母、ドロソフィラ属(Drosophila)のような昆虫細胞、CO
S、HEK 293およびCHO細胞のような動物細胞、ならびに植物細胞を挙
げることができる。樹立細胞系のいずれか、もしくは樹立されることが可能ない
ずれかの細胞が、該レセプターポリヌクレオチドの長期の組換え発現を生じさせ
るために有用であることが理解される。しかしながら、いくつかの態様において
は、非樹立細胞で同様に組換え発現を得ることが有用である。
【0225】 本明細書に記述されるとおり、該ポリペプチドを融合タンパク質として発現す
ることが望ましいことができる。従って、本発明は、該レセプターポリペプチド
の産生を見込む融合ベクターを提供する。融合ベクターは、組換えタンパク質の
発現を増大させ、組換えタンパク質の可溶性を増大させ、そして例えば親和性精
製のリガンドとして作用することによりタンパク質の精製で補助することが可能
である。所望のポリペプチドを最終的に融合部分から分離することが可能である
ように、融合部分の接合部にタンパク質分解性切断部位を導入してよい。タンパ
ク質分解性酵素は、限定されるものでないが、第Xa因子、トロンビンおよびエ
ンテロキナーゼを挙げることができる。典型的な融合発現ベクターは、標的組換
えタンパク質にそれぞれグルタチオンS−トランスフェラーゼ(GST)、マル
トースE結合タンパク質もしくはプロテインAを融合するpGEX(スミス(S
mith)ら、Gene 67:31−40(1998))、pMAL(ニュー
イングランド バイオラブス(New England Biolabs)、
マサチューセッツ州ビバリー)およびpRIT5(ファルマシア(Pharma
cia)、ニュージャージー州ピスカタウェイ)を包含する。適する誘導可能な
非融合大腸菌(E.coli)発現ベクターの例は、pTrc(アマン(Ama
nn)ら、Gene 69:301−315(1988))およびpET 11
d(シュトゥディエール(Studier)ら、Gene Expressio
n Technology: Methods in Enzymology 185:60−89(1990))を包含する。
【0226】 宿主細胞が組換えタンパク質をタンパク質分解的に切断する能力が損なわれて
いるという遺伝子的背景を提供することにより、組換えタンパク質の発現を宿主
細菌中で最大にすることが可能である(ゴッテスマン(Gottesman,S
.)、Gene Expression Technology: Metho
ds in Enzymology 185、アカデミック プレス(Acad
emic Press)、カリフォルニア州サンディエゴ(1990)119−
128)。あるいは、目的のポリヌクレオチドの配列を、特定の宿主細胞、例え
ば大腸菌(E.coli)の優先的なコドンの使用頻度を提供するよう変えるこ
とが可能である(和田(Wada)ら、Nucleic Acids Res.
20:2111−2118(1992))。
【0227】 該レセプターポリヌクレオチドは、酵母中で機能的である発現ベクターによっ
てもまた発現することが可能である。酵母、例えばS.セレビシエ(S.cer
evisiae)中での発現のためのベクターの例は、pYepSec1(バル
ダリ(Baldari)ら、EMBO J.6:229−234(1987))
、pMFa(クルジャン(Kurjan)ら、Cell 30:933−943
(1982))、pJRY88(シュルツ(Schultz)ら、Gene 5
4:113−123(1987)およびpYES2(インヴィトロジェン コー
ポレーション(Invitrogen Corporation)、カリフォル
ニア州サンディエゴ)を包含する。
【0228】 該レセプターポリヌクレオチドは、例えばバキュロウイルス発現ベクターを使
用して昆虫細胞中で発現することもまた可能である。培養された昆虫細胞(例え
ばSf9細胞)中でのタンパク質の発現に利用可能なバキュロウイルスベクター
は、pAc系列(スミス(Smith)ら、Mol.Cell Biol.3:
2156−2165(1983))およびpVL系列(ルクロウ(Lucklo
w)ら、Virology 170:31−39(1989))を包含する。
【0229】 本発明のある態様においては、本明細書に記述されるポリヌクレオチドを、哺
乳動物発現ベクターを使用して哺乳動物細胞中で発現する。哺乳動物発現ベクタ
ーの例は、pCDM8(シード(Seed,B.)Nature 329:84
0(1987))およびpMT2PC(カウフマン(Kaufman)ら、EM
BO J.6:187−195(1987))を包含する。
【0230】 本明細書に列挙される発現ベクターは、該レセプターポリヌクレオチドを発現
するのに有用であると見られる、当業者に利用可能な公知のベクターの例のみと
して提供される。当業者は、本明細書に記述されるポリヌクレオチドの維持増殖
もしくは発現に適する他のベクターを認識しているとみられる。これらは、例え
ば、サンブルック(Sambrook,J.)、フリッチュ(Fritsh,E
.F.)とマニアティス(Maniatis,T.)Molecular Cl
oning: A Laboratory Manual.第2版、コールド スプリング ハーバー ラボラトリー(Cold Spring Harbor
Laboratory)、コールド スプリング ハーバー ラボラトリー プレス(Cold Spring Harbor Laboratory Pr
ess)、ニューヨーク州コールドスプリングハーバー、1989に見出される
【0231】 本発明はまた、本発明に記述される核酸配列が逆の向きでベクター中にクロー
ン化されているがしかしアンチセンスRNAの転写を可能にする調節配列に操作
可能に連結されるベクターも包含する。従って、コーディングおよび非コーディ
ング双方の領域を包含する、本明細書に記述されるポリヌクレオチド配列の全部
もしくは一部分に対するアンチセンス転写物を製造することが可能である。この
アンチセンスRNAの発現は、センスRNAの発現に関して上述されたパラメー
タのそれぞれの支配下にある(調節配列、構成的もしくは誘導可能な発現、組織
特異的発現)。
【0232】 本発明はまた、本明細書に記述されるベクターを含有する組換え宿主細胞にも
関する。従って、宿主細胞は、原核生物細胞、酵母のような下等真核生物細胞、
昆虫細胞のような他の真核生物細胞、および哺乳動物細胞のような高等真核生物
細胞を包含する。
【0233】 哺乳動物細胞は、細胞機能に対する与えられた突然変異の影響、与えられた突
然変異の機能の確認、与えられた突然変異を含有する細胞に対する影響について
の化合物の試験、トランスジェニック動物もしくは冒された患者のような被験体
への導入のためのエクスビボでの組換え細胞の創製のための細胞の試験系を包含
する。
【0234】 組換え宿主細胞は、当業者に容易に利用可能な技術により本明細書に記述され
るベクター構築物を細胞中に導入することにより調製する。これらは、限定され
るものでないが、リン酸カルシウムトランスフェクション、DEAE−デキスト
ラン媒介性トランスフェクション、陽イオン脂質媒介性トランスフェクション、
電気穿孔法、形質導入、感染、リポフェクション、およびサンブルック(Sam
brook)ら(Molecular Cloning: A Laborat
ory Manual.第2版、コールド スプリング ハーバー ラボラトリ
ー(Cold Spring Harbor Laboratory)、コール
ド スプリング ハーバー ラボラトリー プレス(Cold Spring Harbor Laboratory Press)、ニューヨーク州コールド
スプリングハーバー、1989)に見出されるもののような他の技術を挙げるこ
とができる。
【0235】 宿主細胞は1種以上のベクターを含有することが可能である。従って、多様な
ヌクレオチド配列を同一細胞の異なるベクター上に導入することが可能である。
同様に、該レセプターポリヌクレオチドは、単独で、もしくは発現ベクターにト
ランスに作用する因子を提供するもののような該レセプターポリヌクレオチドに
関係しない他のポリヌクレオチドとともにのいずれかで、導入することが可能で
ある。1種以上のベクターを1個の細胞に導入する場合、ベクターは、独立に導
入することができるか、共導入することができるか、もしくはレセプターポリヌ
クレオチドベクターに結合することができる。
【0236】 バクテリオファージおよびウイルスベクターの場合には、感染および形質導入
の標準的手順によりパッケージングされたもしくは被包化されたウイルスとして
これらを細胞中に導入することが可能である。ウイルスベクターは複製能力があ
ることができるか、もしくは複製欠損であることができる。ウイルス複製が欠損
している場合、複製は欠損を補う機能を提供する宿主細胞中で発生させることが
できる。
【0237】 ベクターは、一般に、組換えベクター構築物を含有する細胞の下位集団の選択
を可能にする選択可能なマーカーを包含する。該マーカーは、本明細書に記述さ
れるポリヌクレオチドを含有する同一のベクターに含有させることが可能である
か、もしくは、別個のベクター上にあることができる。マーカーは、原核生物宿
主細胞についてはテトラサイクリンもしくはアンピシリン耐性遺伝子、また、真
核生物宿主細胞についてはデヒドロ葉酸還元酵素もしくはネオマイシン耐性を包
含する。しかしながら、表現型の形質についての選択を提供するいかなるマーカ
ーも有効であることができる。
【0238】 細菌、酵母、哺乳動物細胞、および適切な調節配列の制御下の他の細胞中で成
熟タンパク質を製造することが可能である一方で、細胞を含まない転写および翻
訳系もまた、本明細書に記述されるDNA構築物由来のRNAを使用してこれら
のタンパク質を産生させるのに使用することが可能である。
【0239】 ポリペプチドの分泌が望ましい場合は、適切な分泌シグナルをベクター中に組
込む。シグナル配列は、レセプターポリペプチドに対し内在性、もしくはこれら
のポリペプチドに対し異種であることができる。
【0240】 ポリペプチドが媒体中に分泌されない場合には、凍結融解、超音波処理、機械
的破壊、溶解剤の使用などを包含する標準的破壊手順により、該タンパク質を宿
主細胞から単離することが可能である。その後、該ポリペプチドを回収し、そし
て、硫酸アンモニウム沈殿、酸抽出、陰イオンもしくは陽イオン交換クロマトグ
ラフィー、ホスホセルロースクロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラ
フィー、アフィニティークロマトグラフィー、ヒドロキシルアパタイトクロマト
グラフィー、レクチンクロマトグラフィーもしくは高速液体クロマトグラフィー
を包含する公知の精製法により精製することが可能である。
【0241】 本明細書に記述されるポリペプチドの組換え産生での宿主細胞に依存して、該
ポリペプチドは細胞に依存する多様なグリコシル化パターンを有する可能性があ
るか、もしくは、細菌で産生される場合のようにグリコシル化されないことがで
きることもまた理解される。加えて、該ポリペプチドは、宿主媒介性の過程の結
果として、いくつかの場合には最初の修飾されたメチオニンを包含するかも知れ
ない。 ベクターおよび宿主細胞の用途 本明細書に記述されるポリペプチドを発現する宿主細胞、およびとりわけ組換
え宿主細胞は多様な用途を有する。第一に、該細胞はレセプタータンパク質もし
くはポリペプチドを製造するのに有用であり、これらはさらに精製されて所望の
量のレセプタータンパク質もしくはフラグメントを製造することが可能である。
従って、発現ベクターを含有する宿主細胞はポリペプチド製造に有用である。
【0242】 宿主細胞は、レセプターもしくはレセプターフラグメントを巻き込む細胞に基
づくアッセイを実施するにもまた有用である。従って、天然のレセプターを発現
する組換え宿主細胞は、レセプターの機能を刺激もしくは阻害する化合物につい
てアッセイするのに有用である。これは、リガンド結合、転写もしくは翻訳のレ
ベルでの遺伝子発現、Gタンパク質相互作用およびシグナル伝達経路の成分を包
含する。
【0243】 宿主細胞はまた、これらの機能が冒されているレセプターの突然変異体を同定
するのにも有用である。突然変異体が天然に存在しかつ病状を生じさせる場合に
は、突然変異を含有する宿主細胞は、天然のレセプターに対するそれらの影響に
より示されていないかも知れない突然変異体のレセプターに対する所望の影響(
例えば刺激もしくは阻害機能)を有する化合物をアッセイするのに有用である。
【0244】 組換え宿主細胞はまた、異種アミノ末端細胞外ドメイン(もしくは他の結合領
域)によって活性化するもしくは活性化を抑制する化合物を評価するために本明
細書に記述されるキメラポリペプチドを発現させるためにも有用である。あるい
は、膜貫通ドメイン全体(もしくはその部分)にわたる異種領域を使用して、い
ずれかの所定の宿主細胞に対する所望のアミノ末端細胞外ドメイン(もしくは他
の結合領域)の影響を評価することが可能である。この態様においては、特定の
宿主細胞と適合する膜貫通ドメイン全体(もしくはその部分)にわたる領域を使
用してキメラベクターを作成する。あるいは、異種カルボキシ末端細胞内(例え
ばシグナル伝達)ドメインを、宿主細胞中に導入することが可能である。
【0245】 さらに、多様な機能の1種もしくはそれ以上を増大もしくは減少(例えばリガ
ンド結合もしくはGタンパク質結合)させるように工作されている突然変異体の
レセプターを設計し、そして個体中でレセプタータンパク質を増加させるもしく
は置き換えるのに使用することが可能である。従って、宿主細胞は、異常なレセ
プターを置き換えるもしくは異常なレセプターを提供することにより、治療の恩
恵を提供する可能性があり、これが治療の結果を提供する。一態様において、該
細胞は異常に活性であるレセプターを提供する。
【0246】 別の態様において、該細胞は異常に不活性であるレセプターを提供する。これ
らのレセプターは、個体中の内在性レセプターと競争する可能性がある。
【0247】 別の態様において、リガンドについて内在性レセプターと競争するために、活
性化されることが不可能であるレセプターを発現する細胞を個体中に導入する。
例えば、過剰のリガンドが治療の様式の一部である場合には、治療の特定の時点
でこのリガンドを不活性化することが必要であるかも知れない。リガンドについ
て競争するがしかしレセプターの活性化により冒される可能性のない細胞を提供
することは、有益であるとみられる。
【0248】 宿主細胞ゲノム中の内在性レセプターのポリヌクレオチド配列のインシトゥ変
化を可能にする相同的組換え宿主細胞もまた製造することが可能である。この技
術は、第WO 93/09222号、第WO 91/12650号および米国第
5,641,670号により完全に記述されている。簡潔には、あるレセプター
遺伝子に対し近位もしくは遠位のレセプターのポリヌクレオチドもしくは配列に
対応する特定のポリヌクレオチド配列を、遺伝子の発現に影響を及ぼすことが可
能である相同的組換えにより、宿主細胞ゲノム中に組込ませる。一態様において
、内在性配列の発現を増大させるかもしくは減少させるのいずれかである調節配
列を導入する。従って、通常はそれを産生しない細胞中でレセプタータンパク質
を産生させることが可能であるか、もしくはレセプタータンパク質の増大された
発現が、該タンパク質を特定のレベルで普通に産生する細胞をもたらすことが可
能である。あるいは、遺伝子全体を欠失させることが可能である。なおさらに、
突然変異体のレセプタータンパク質を産生させるために、該遺伝子のいずれかの
所望の領域中に特定の突然変異を導入することが可能である。こうした突然変異
は、例えば、リガンド結合部位もしくはGタンパク質結合部位のような特定の機
能的領域中に導入することが可能である。
【0249】 一態様において、宿主細胞は、受精卵もしくは胚幹細胞であることができ、こ
れらは変えられたレセプター遺伝子を含有するトランスジェニック動物を生じさ
せるのに使用することが可能である。あるいは、宿主細胞は、幹細胞、もしくは
特定のサブセットの細胞を生じさせる他の初期組織前駆体であることができ、か
つ、動物中にトランスジェニック組織を生じさせるのに使用することが可能であ
る。相同的組換えベクターの記述については、トーマス(Thomas)ら、C
ell 51:503(1987)もまた参照されたい。胚幹細胞系にベクター
を(例えば電気穿孔法により)導入し、そして、導入された遺伝子が内在性レセ
プター遺伝子で相同的に組換わっている細胞を選択する(例えば、リ(Li,E
.)ら、Cell 69:915(1992)を参照されたい)。その後、選択
された細胞を動物(例えばマウス)の胚盤胞に注入して凝集キメラを形成させる
(例えば、ブラッドリー(Bradley,A.)Teratocarcino
mas and Embryonic Stem Cells: A Prac
tical Approach、ロバートソン(E.J.Robertson)
編(IRL、オックスフォード、1987)中、pp.113−152を参照さ
れたい)。キメラ胚をその後、適する偽妊娠の雌性里親動物(pseudopregnant fe
male foster animal)中に移植することが可能であり、そして胚を出産予定日ま
で維持し出産させることが可能である。該動物の全部の細胞がトランスジーン(t
ransgene)の生殖系列の伝播により相同的に組換えられたDNAを含有する動物
を繁殖させるのに、それらの生殖細胞中に相同的に組換えられたDNAをもつ子
孫を使用することが可能である。相同的組換えベクターおよび相同的組換え動物
の構築方法は、ブラッドリー(Bradley,A.)(1991)Curre
nt Opinion in Biotechnology 2:823−82
9、ならびに、PCT国際特許公開第WO 90/11354号;第WO 91
/01140号および第WO 93/04169号にさらに記述される。
【0250】 遺伝子的に工作した宿主細胞を使用して、非ヒトのトランスジェニック動物を
生じさせることが可能である。トランスジェニック動物は、好ましくは哺乳動物
、例えばラットもしくはマウスのようなげっ歯類であり、ここでは該動物の細胞
の1個もしくはそれ以上がトランスジーンを包含する。トランスジーンは、それ
からトランスジェニック動物が発生する細胞のゲノム中に組込まれかつトランス
ジェニック動物の1種もしくはそれ以上の細胞型もしくは組織中の成熟動物のゲ
ノム中に留まる外来性DNAである。これらの動物は、レセプタータンパク質の
機能を研究し、ならびにレセプタータンパク質の活性のモジュレーターを同定お
よび評価するのに有用である。
【0251】 トランスジェニック動物の他の例は、非ヒトの霊長類、ヒツジ、イヌ、雌牛、
ヤギ、ニワトリ、および両生類を包含する。
【0252】 一態様において、宿主細胞はレセプターポリヌクレオチド配列が導入されてい
る受精卵もしくは胚幹細胞である。
【0253】 トランスジェニック動物は、例えば微小注入法、レトロウイルス感染により受
精卵の雄性前核に核酸を導入し、そして偽妊娠の雌性里親動物中で卵を発生させ
ることにより産生させることが可能である。該レセプターヌクレオチド配列のい
ずれも、マウスのような非ヒト動物のゲノム中にトランスジーンとして導入する
ことが可能である。
【0254】 発現ベクターで有用な調節配列もしくは他の配列のいずれも、トランスジェニ
ック配列の一部を形成することが可能である。これは、すでに包含されていない
場合は、イントロン配列およびポリアデニル酸化シグナルを包含する。組織特異
的調節配列(1個もしくは複数)をトランスジーンに操作可能に連結して、レセ
プタータンパク質の発現を特定の細胞に向かわせることが可能である。
【0255】 胚の操作および微小注入を介するトランスジェニック動物、とりわけマウスの
ような動物の発生方法は、当該技術分野で慣習的になっており、そして、例えば
、双方ともレダー(Leder)らによる米国特許第4,736,866号およ
び第4,870,009号、ワグナー(Wagner)らによる米国特許第4,
873,191号、ならびにホーガン(Hogan,B.)、Manipula
ting the Mouse Embryo、(コールド スプリング ハー
バー ラボラトリー プレス(Cold Spring Harbor Lab
oratory Press)、ニューヨーク州コールドスプリングハーバー、
1986)に記述される。他のトランスジェニック動物の製造に類似の方法を使
用する。トランスジェニック創始体(founder)動物は、そのゲノム中のトランス
ジーンの存在、および/または該動物の組織もしくは細胞中でのトランスジーン
のmRNAの発現に基づいて同定することが可能である。その後、トランスジェ
ニック創始体動物を使用して該トランスジーンをもつ付加的な動物を産ませるこ
とが可能である。さらに、トランスジーンをもつトランスジェニック動物は、他
のトランスジーンをもつ他のトランスジェニック動物にさらに交配することが可
能である。トランスジェニック動物はまた、該動物全体もしくは該動物の組織が
本明細書に記述される相同的組換え宿主細胞を使用して生じられている動物も包
含する。
【0256】 別の態様において、トランスジーンの調節された発現を見込む選択された系を
含有するトランスジェニック非ヒト動物を産生させることが可能である。こうし
た系の一例は、バクテリオファージP1のcre/loxP組換え酵素系である
。cre/loxP組換え酵素系の記述については、例えばラクソ(Lakso
)ら PNAS 89:6232−6236(1992)を参照されたい。組換
え酵素系の別の例は、S.セレビシエ(S.cerevisiae)のFLP組
換え酵素系である(オゴルマン(O’Gorman)ら Science 25
1:1351−1355(1991))。トランスジーンの発現を調節するのに
cre/loxP組換え酵素系を使用する場合は、Cre組換え酵素および選択
されたタンパク質の双方をコードするトランスジーンを含有する動物が必要とさ
れる。こうした動物は、例えば、選択されたタンパク質をコードするトランスジ
ーンを含有する一方、および組換え酵素をコードするトランスジーンを含有する
他方の2種のトランスジェニック動物を交尾させることによる「二重」トランス
ジェニック動物の構築により提供することが可能である。
【0257】 本明細書に記述される非ヒトのトランスジェニック動物のクローンもまた、ヴ
ィルムート(Wilmut,I.)ら Nature 385:810−813
(1997)ならびにPCT国際特許公開第WO 97/07668号および第
WO 97/0669号に記述される方法に従って製造することが可能である。
簡潔には、トランスジェニック動物から1個の細胞、例えば1個の体細胞を単離
し、そして成長周期を出てかつG0期に進入するよう誘導することが可能である
。その後、静止状態の細胞を、例えば電気パルスの使用により、静止状態の細胞
が単離される同一の種の動物からの除核卵母細胞に融合し得る。その後、それが
桑実胚もしくは胚盤胞に発生するような再構築された卵母細胞を培養し、そして
その後偽妊娠の雌性里親動物に移す。本雌性里親動物から生まれた子孫は、細胞
、例えば体細胞が単離される動物のクローンとなることができる。
【0258】 本明細書に記述されるポリペプチドを発現する組換え細胞を含有するトランス
ジェニック動物は、本明細書に記述されるアッセイをインビボの情況で実施する
のに有用である。従って、インビボに存在しかつリガンド結合、レセプターの活
性化およびシグナル伝達に影響を与える可能性がある多様な生理学的因子は、イ
ンビトロの細胞を含まないアッセイもしくは細胞に基づくアッセイから明らかで
ないかも知れない。従って、リガンド相互作用、レセプター機能およびリガンド
の相互作用に対する特定の突然変異体レセプターの影響、ならびにキメラレセプ
ターの影響を包含するインビボのレセプター機能をアッセイするのに、非ヒトの
トランスジェニック動物を提供することが有用である。1種もしくはそれ以上の
レセプター機能を本質的にもしくは完全に排除する突然変異であるヌル突然変異
(null mutation)の影響を評価することもまた可能である。 製薬学的組成物 レセプター核酸分子、タンパク質(とりわけアミノ末端細胞外ドメインのよう
なフラグメント)、タンパク質のモジュレーター、および抗体(本明細書で「有
効成分」ともまた称される)を、被験体、例えばヒトへの投与に適する製薬学的
組成物に組込むことが可能である。こうした組成物は、典型的に、核酸分子、タ
ンパク質、モジュレーター、もしくは抗体、および製薬学的に許容できる担体を
含んで成る。
【0259】 本明細書で使用されるところの「製薬学的に許容できる担体」という語法は、
製薬学的投与と適合するいずれかのおよび全部の溶媒、分散媒、コーティング、
抗菌剤および抗真菌剤、等張剤および吸収遅延剤などを包含することを意図して
いる。製薬学的有効成分のためのこうした媒体および作用物質の使用は当該技術
分野で公知である。いずれかの慣習的媒体もしくは作用物質が該有効成分と不適
合性である限りを除き、本発明の組成物中でこうした媒体を使用することが可能
である。補足の有効成分もまた該組成物中に組込むことが可能である。本発明の
製薬学的組成物はその意図される投与経路と適合するように処方される。投与経
路の例は、非経口、例えば静脈内、皮内、皮下、経口(例えば吸入)、経皮(局
所)、経粘膜および直腸投与を包含する。非経口、皮内もしくは皮下適用に使用
される溶液もしくは懸濁剤は、以下の成分、すなわち、注射用蒸留水のような滅
菌の希釈剤、生理的食塩水溶液、固定油、ポリエチレングリコール、グリセリン
、プロピレングリコールもしくは他の合成溶媒;ベンジルアルコールもしくはメ
チルパラベンのような抗菌剤;アスコルビン酸もしくは重亜硫酸ナトリウムのよ
うな抗酸化剤;エチレンジアミン四酢酸のようなキレート剤;酢酸塩、クエン酸
塩もしくはリン酸塩のような緩衝剤、および塩化ナトリウムもしくはブドウ糖の
ような張性の調節のための作用物質を包含する可能性がある。pHは、塩酸もし
くは水酸化ナトリウムのような酸もしくは塩基で調節することができる。非経口
製剤は、アンプル、使い捨てシリンジ、またはガラスもしくはプラスチックで作
成された複数用量のバイアル中に封入することが可能である。
【0260】 注入可能な使用に適する製薬学的組成物は、滅菌の水性溶液(水溶性の場合)
もしくは分散剤、および滅菌の注入可能な溶液もしくは分散剤の即座の調製のた
めの滅菌粉末を包含する。静脈内投与のための適する担体は、生理学的生理的食
塩水、静菌水、クレモフォール[Cremophor]EL(商標)(BASF
、ニュージャージー州パーシッパニー)もしくはリン酸緩衝生理的食塩水(PB
S)を包含する。全部の場合で該組成物は滅菌でなくてはならず、そして容易な
注射可能性(syringablity)が存在する程度まで流動性であるべきである。それは
、製造および貯蔵の条件下で安定でなくてはならず、また、細菌および真菌のよ
うな微生物の汚染作用に対し保存されなければならない。担体は、例えば、水、
エタノール、多価アルコール(例えばグリセロール、プロピレングリコールおよ
び液体ポリエチレングリコールなど)、ならびにそれらの適する混合物を含有す
る溶媒もしくは分散媒であることができる。適正な流動性は、例えばレシチンの
ようなコーティングの使用、分散剤の場合には必要とされる粒子径の維持、およ
び界面活性剤の使用により維持することが可能である。微生物の作用の予防は、
多様な抗菌剤および抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノー
ル、アスコルビン酸、チメロサールなどにより達成することができる。多くの場
合、等張剤、例えば糖類、マンニトールのような多価アルコール、ソルビトール
、塩化ナトリウムを組成物中に包含することが好ましいであろう。注入可能な組
成物の持続的吸収は、吸収を遅延させる作用物質、例えばアルミニウムモノステ
アレートおよびゼラチンを組成物中に包含することにより達成することが可能で
ある。
【0261】 滅菌の注入可能な溶液は、必要とされるように、上に挙げられた成分の1種も
しくは組み合わせを含む適切な溶媒中に有効成分(例えば、レセプタータンパク
質もしくは抗レセプター抗体)を必要とされる量で組み込むこと、次いで濾過滅
菌により製造することが可能である。一般に、分散剤は、基本的分散媒および上
に挙げられたものからの必要とされる他の成分を含有する滅菌ベヒクル中に有効
成分を組み込むことにより製造する。滅菌の注入可能な溶液の製造のための滅菌
粉末の場合、好ましい製造方法は真空乾燥および凍結乾燥であり、それらは、そ
の以前に滅菌濾過された溶液から、いずれかの付加的な所望の成分を含む有効成
分の粉末を生じる。
【0262】 経口組成物は一般に不活性の希釈剤もしくは可食担体を包含する。それらはゼ
ラチンカプセル中に封入することが可能であるか、もしくは錠剤に圧縮すること
が可能である。経口の投与のため、胃を耐えるために作用物質を腸溶の形態に含
有することが可能であるか、もしくは、既知の方法により消化管の特定の領域で
放出されるようにさらに被覆もしくは混合することが可能である。経口の治療的
投与の目的上、有効成分を賦形剤とともに組み込み、そして錠剤、トローチ剤も
しくはカプセル剤の形態で使用することが可能である。経口組成物は、含嗽剤と
しての使用のため液体の担体を使用してもまた製造することができ、ここでは、
液体担体中の有効成分を経口で適用し、そしてシュッと音をたて(swished)かつ
喀出するかもしくは飲み込む。製薬学的に適合する結合剤および/もしくは補助
物質を組成物の一部として包含することが可能である。錠剤、丸剤、カプセル剤
、トローチ剤などは、以下の成分、すなわち、微晶質セルロース、トラガカント
ガムもしくはゼラチンのような結合剤;デンプンもしくは乳糖のような賦形剤、
アルギン酸、プリモゲル(Primogel)もしくはコーンスターチのような
崩壊剤;ステアリン酸マグネシウムもしくはステローツ(Sterotes)の
ような滑沢剤;コロイド状二酸化ケイ素のような滑走剤(glidant);ショ糖もし
くはサッカリンのような甘味料;またはペパーミント、サリチル酸メチルもしく
はオレンジ調味料のような矯味矯臭剤、あるいは類似の性質の化合物のいずれか
を含有することができる。
【0263】 吸入による投与のためには、有効成分は、適する噴射剤、例えば二酸化炭素の
ような気体を含有する加圧容器もしくは分注器、またはネブライザーからエアゾ
ルスプレーの形態で送達する。
【0264】 全身投与はまた経粘膜もしくは経皮手段によることもできる。経粘膜もしくは
経皮投与のためには、浸透されるべき障壁に対する適切な浸透剤を製剤中で使用
する。こうした浸透剤は当該技術分野で公知であり、そして、例えば経粘膜投与
のためには洗剤、胆汁酸塩およびフシジン酸誘導体を包含する。経粘膜投与は鼻
スプレーもしくは坐剤の使用により達成することが可能である。経皮投与のため
には、有効成分を、当該技術分野で公知のような軟膏剤(ointment)、軟膏剤(sal
ve)、ゲル剤もしくはクリーム剤に処方する。
【0265】 有効成分はまた、直腸送達のために(例えばカカオバターおよび他のグリセリ
ドのような慣習的坐剤基剤を含む)坐剤もしくは保持浣腸の形態でも調製するこ
とが可能である。
【0266】 一態様において、有効成分は、埋込物および微小被包化送達系を包含する制御
放出製剤のような、身体からの迅速な排泄に対し有効成分を保護するであろう担
体を含んで調製する。エチレンビニルアセテート、ポリ無水物、ポリグリコール
酸、コラーゲン、ポリオルトエステルおよびポリ乳酸のような生物分解性の生物
適合性ポリマーを使用することができる。こうした製剤の製造方法は当業者に明
白であろう。これらの素材はまた、アルザ コーポレーション(Alza Co
rporation)およびノヴァ ファーマシューティカルズ インク(No
va Pharmaceuticals,Inc)から商業的に得ることができ
る。製薬学的に許容できる担体として、リポソーム懸濁剤(ウイルス抗原に対す
るモノクローナル抗体に感染した細胞に標的を向けられたリポソームを包含する
)もまた使用することが可能である。これらは例えば米国特許第4,522,8
11号に記述されるような当業者に既知の方法に従って製造することができる。
【0267】 投与の容易さおよび投薬量の均一性のために、経口もしくは非経口の組成物を
投薬単位形態で処方することがとりわけ有利である。本明細書で使用されるとこ
ろの「投薬単位形態」は、治療されるべき被験者の単位投薬量として適する物理
的に別個の単位を指し;各単位は、必要とされる製薬学的担体と共同して所望の
治療効果を生じさせるよう計算された予め決められた量の有効成分を含有する。
本発明の投薬単位形態の仕様は、有効成分の独特の特徴および達成されるべき特
定の治療効果、ならびに個体の治療のためのこうした有効成分の調合の技術に固
有の限界により支配され、かつ、それらに直接依存する。
【0268】 本発明の核酸分子は、ベクター中に挿入しそして遺伝子治療ベクターとして使
用することができる。遺伝子治療ベクターは、例えば静脈内注入、局所投与(米
国第5,328,470号)もしくは定位注入(例えばチェン(Chen)ら、
PNAS 91:3054−3057(1994)を参照されたい)により被験
者に送達することが可能である。遺伝子治療ベクターの製薬学的製剤は、許容で
きる希釈剤中に遺伝子治療ベクターを包含することが可能であるか、もしくは遺
伝子送達ベヒクルが埋め込まれる遅延放出マトリックスを含むことができる。あ
るいは、完全な遺伝子送達ベクター、例えばレトロウイルスベクターを組換え細
胞から無傷で製造することが可能である場合、該製薬学的製剤は、遺伝子送達系
を生じさせる1個もしくはそれ以上の細胞を包含することができる。
【0269】 製薬学的組成物は、投与のための説明書と一緒に容器、パックもしくは分注器
中に包含することが可能である。
【0270】 本発明は多くの異なる形態で具現化することができ、そして、本明細書に示さ
れる態様に制限されるとして解釈すべきでなく;むしろ、これらの態様は、本開
示が当業者に本発明を完全に伝達することができるように提供されている。本発
明が関する技術分野の当業者は、前述の記述に提示されている教示の恩恵を有す
る本発明の多くの改変および他の態様を思い浮かべるであろう。特定の用語を使
用したが、それらは別に示されない限り当該技術分野でのように使用している。
【図面の簡単な説明】
【図1】 発明にかかる、ヒト14273のヌクレオチド配列(配列番号2)および推定
14273のアミノ酸配列(配列番号1)を示す。アミノ酸1−45はアミノ末
端細胞外ドメインを構成し、アミノ酸46−321は膜貫通ドメインにわたる領
域を構成し、そしてアミノ酸322−361はカルボキシ末端細胞内ドメインを
構成することが予測される。膜貫通ドメインは、7個の膜貫通セグメント、3個
の細胞外ループおよび3個の細胞内ループを含有する。膜貫通セグメントは、ほ
ぼアミノ酸46からほぼアミノ酸66まで、ほぼアミノ酸75からほぼアミノ酸
98まで、ほぼアミノ酸113からほぼアミノ酸134まで、ほぼアミノ酸15
6からほぼアミノ酸177まで、ほぼアミノ酸209からほぼアミノ酸227ま
で、ほぼアミノ酸266からほぼアミノ酸289まで、およびほぼアミノ酸29
7からほぼアミノ酸321までに見出される。膜貫通ドメイン全体にわたる領域
内に、3個の細胞内ループおよび3個の細胞外ループがある。3個の細胞内ルー
プは、ほぼアミノ酸67からほぼアミノ酸74まで、ほぼアミノ酸135からほ
ぼアミノ酸155まで、およびほぼアミノ酸228からほぼアミノ酸265まで
に見出される。3個の細胞外ループは、ほぼアミノ酸99からほぼアミノ酸11
2まで、ほぼアミノ酸178からほぼアミノ酸208まで、およびほぼアミノ酸
290からほぼアミノ酸296までに見出される。 膜貫通ドメインは、残基135−137に、GPCRシグナル伝達シグネチャ
DRYに相当する配列ERMを包含する。該配列は、GPCR中の不変のアミノ
酸、残基136のアルギニンを包含する。
【図2】 発明にかかる、とりわけ7膜貫通セグメントのロドプシンスーパーファミリー
(配列番号3)に対する高スコアを示す、タンパク質パターンのプロサイト(P
rosite)データベースに対するヒト14273レセプターの比較を示す。
下線をつけられた領域は、GPCRシグネチャに対応する配列、およびとりわけ
GPCRで保存されているアルギニン残基の位置を示す。最も普遍的に保存され
ている配列は、アスパラギン酸、アルギニン、チロシン(DRY)トリプレット
(triplet)である。DRYはシグナル伝達に関係している。アルギニンは不変で
ある。アスパラギン酸はいくつかのGPCR中で保存的に配置される。本場合に
おいて、アルギニンは配列ERM中で見出され、これはレセプターのロドプシン
スーパーファミリーのGPCR中のDRYもしくは不変のアルギニンの位置に合
う。
【図3】 発明にかかる、ヒト14273のアミノ酸配列の分析、すなわち、αβターン
およびコイル領域;親水性;両親媒性領域;フレキシブル領域;抗原性指標;な
らびに表面確率プロットを示す。
【図4】 発明にかかる、7個の膜貫通セグメントを示すヒト14273レセプターの疎
水性プロットを示す。
【図5】 発明にかかる、特定の機能的部位に対応するアミノ酸のヒト14273の読み
取り枠の分析を示す。グリコシル化部位はほぼアミノ酸21−24および322
−325から見出される。環状AMPおよび環状GMP依存性のプロテインキナ
ーゼのホスホリル化部位はほぼアミノ酸239−242で見出される。プロテイ
ンキナーゼCのホスホリル化部位はほぼアミノ酸237−239および350−
352から見出される。カゼインキナーゼIIのホスホリル化部位はほぼアミノ
酸256−259から見出される。N−ミリストイル化部位はほぼアミノ酸57
−62、72−77および343−348から見出される。アミド化部位はほぼ
アミノ酸150−153で見出される。ロイシンジッパーパターンはほぼアミノ
酸106−127に示される。加えて、位置がGPCRシグネチャに対応しかつ
不変のアルギニンを含有するアミノ酸は、アミノ酸135−137の配列ERM
に見出される。
【図6】 発明にかかる、メムサット(Memsat)の(A)推定プロセシングされて
いないペプチドの予測されたセグメント(B)推定成熟ペプチドの膜貫通セグメ
ントにより予測されたヒト14273レセプターの膜貫通セグメントを示す。推
定成熟ペプチドの番号付けは最初の36アミノ酸の除去について補正されている
【図7】 発明にかかる、14273のヌクレオチド配列(配列番号5)および推定14
273のアミノ酸配列(配列番号4)のマウスの真正物を示す。アミノ酸1−4
5はアミノ末端細胞外ドメインを構成し、アミノ酸46−321は膜貫通ドメイ
ンにわたる領域を構成し、そしてアミノ酸322−361はカルボキシ末端細胞
内ドメインを構成することが予測される。膜貫通ドメインは、7個の膜貫通セグ
メント、3個の細胞外ループおよび3個の細胞内ループを含有する。膜貫通セグ
メントは、ほぼアミノ酸96からほぼアミノ酸66まで、ほぼアミノ酸77から
ほぼアミノ酸98まで、ほぼアミノ酸113からほぼアミノ酸134まで、ほぼ
アミノ酸156からほぼアミノ酸177まで、ほぼアミノ酸209からほぼアミ
ノ酸227まで、ほぼアミノ酸266からほぼアミノ酸289まで、およびほぼ
アミノ酸297からほぼアミノ酸321までに見出される。膜貫通ドメイン全体
にわたる領域内に、3個の細胞内ループおよび3個の細胞外ループがある。3個
の細胞内ループは、ほぼアミノ酸67からほぼアミノ酸76まで、ほぼアミノ酸
135からほぼアミノ酸155まで、およびほぼアミノ酸228からほぼアミノ
酸265までに見出される。3個の細胞外ループは、ほぼアミノ酸99からほぼ
アミノ酸112まで、ほぼアミノ酸178からほぼアミノ酸208まで、および
ほぼアミノ酸290からほぼアミノ酸296までで見出される。 膜貫通ドメインは、残基135−137に、GPCRのシグナル伝達シグネチ
ャDRYに対応する配列ERMを包含する。該配列は、GPCR中の不変のアミ
ノ酸、残基136のアルギニンを包含する。
【図8】 発明にかかる、とりわけ7膜貫通セグメントのロドプシンスーパーファミリー
(配列番号3)に対する高スコアを示す、タンパク質パターンのプロサイト(P
rosite)データベースに対するマウス14273レセプターの比較を示す
。下線をつけられた領域は、GPCRシグネチャに対応する配列、およびとりわ
けGPCRで保存されているアルギニン残基の位置を示す。最も普遍的に保存さ
れている配列は、アスパラギン酸、アルギニン、チロシン(DRY)トリプレッ
トである。DRYはシグナル伝達に関係している。アルギニンは不変である。ア
スパラギン酸はいくつかのGPCR中で保存的に配置される。本場合において、
アルギニンは配列ERM中で見出され、これはレセプターのロドプシンスーパー
ファミリーのGPCR中のDRYもしくは不変のアルギニンの位置に合う。
【図9】 発明にかかる、マウス14273のアミノ酸配列の分析、すなわち、αβター
ンおよびコイル領域;親水性;両親媒性領域;フレキシブル領域;抗原性指標;
ならびに表面確率プロットを示す。
【図10】 発明にかかる、7個の膜貫通セグメントを示すマウス14273レセプターの
疎水性プロットを示す。
【図11】 発明にかかる、特定の機能的部位に対応するアミノ酸のマウス14273の読
み取り枠の分析を示す。グリコシル化部位はほぼアミノ酸21−24および32
2−325から見出される。環状AMPおよび環状GMP依存性のプロテインキ
ナーゼのホスホリル化部位はほぼアミノ酸239−242で見出される。プロテ
インキナーゼCのホスホリル化部位はほぼアミノ酸237−239および350
−352から見出される。カゼインキナーゼIIのホスホリル化部位はほぼアミ
ノ酸40−43および256−259から見出される。N−ミリストイル化部位
はほぼアミノ酸57−62、72−77および343−348から見出される。
アミド化部位はほぼアミノ酸150−153に見出される。ロイシンジッパーパ
ターンはほぼアミノ酸106−127に示される。加えて、位置がGPCRシグ
ネチャに対応しかつ不変のアルギニンを含有するアミノ酸は、アミノ酸135−
137の配列ERMに見出される。グリコサミノグリカン結合部位はほぼアミノ
酸148−151で見出される。
【図12】 発明にかかる、メムサット(Memsat)の(A)推定プロセシングされて
いないペプチドの予測されたセグメント(b)推定成熟ペプチドの膜貫通セグメ
ントにより予測されたマウス14273レセプターの膜貫通セグメントを示す。
推定成熟ペプチドの番号付けは最初の36アミノ酸の除去について補正されてい
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12N 1/21 C12P 21/02 C 4H045 5/10 C12Q 1/68 A C12P 21/02 G01N 33/15 Z C12Q 1/68 33/50 Z G01N 33/15 33/53 D 33/50 C12P 21/08 33/53 C12N 15/00 ZNAA // C12P 21/08 5/00 A (31)優先権主張番号 09/261,599 (32)優先日 平成11年2月26日(1999.2.26) (33)優先権主張国 米国(US) (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SL,SZ,UG,ZW),E A(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ ,TM),AE,AL,AM,AT,AU,AZ,BA ,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,CU, CZ,DE,DK,EE,ES,FI,GB,GD,G E,GH,GM,HR,HU,ID,IL,IN,IS ,JP,KE,KG,KP,KR,KZ,LC,LK, LR,LS,LT,LU,LV,MD,MG,MK,M N,MW,MX,NO,NZ,PL,PT,RO,RU ,SD,SE,SG,SI,SK,SL,TJ,TM, TR,TT,UA,UG,US,UZ,VN,YU,Z A,ZW Fターム(参考) 2G045 AA35 AA40 BB20 CB01 DA12 DA13 DA14 DA36 DA77 FB02 FB03 4B024 AA11 BA63 CA04 DA01 DA02 DA05 DA11 EA04 GA11 4B063 QA01 QA13 QA18 QQ02 QQ42 QQ53 QR55 QS34 4B064 AG20 AG26 CA19 CC24 DA13 4B065 AA01X AA57X AA87X AA93Y AB01 AC14 BA02 CA24 CA46 4H045 AA10 AA11 BA10 CA40 DA50 DA76 EA50 FA72 FA74

Claims (20)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)配列番号1もしくは配列番号4に示されるアミノ酸配
    列; (b)ATCC寄託番号____に含有されるcDNAによりコードされるアミ
    ノ酸配列; (c)配列番号1もしくは配列番号4に示されるアミノ酸配列の対立遺伝子変異
    体のアミノ酸配列; (d)ATCC寄託番号____に含有されるcDNAによりコードされるアミ
    ノ酸配列の対立遺伝子変異体のアミノ酸配列; (e)配列番号1もしくは配列番号4に示されるアミノ酸配列の配列変異体のア
    ミノ酸配列であって、該配列変異体が、配列番号2もしくは配列番号5に示され
    る核酸分子にストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸分子によりコ
    ードされる; (f)ATCC寄託番号____に含有されるcDNAクローンによりコードさ
    れるアミノ酸配列の配列変異体のアミノ酸配列であって、該配列変異体が、AT
    CC寄託番号____に含有されるcDNAにストリンジェントな条件下でハイ
    ブリダイズする核酸分子によりコードされる; (g)配列番号1もしくは配列番号4に示されるアミノ酸配列のフラグメントで
    あって、該フラグメントが最低33の連続するアミノ酸を含んで成る; (h)ATCC寄託番号____に含有されるcDNAによりコードされるアミ
    ノ酸配列のフラグメントであって、該フラグメントが最低33の連続するアミノ
    酸を含んで成る; (i)配列番号1もしくは配列番号4に示される、ほぼアミノ酸36からほぼア
    ミノ酸361までの成熟レセプターポリペプチドのアミノ酸配列; (j)ATCC寄託番号____に含有されるcDNAクローンによりコードさ
    れる、ほぼアミノ酸36からほぼアミノ酸361までの成熟ポリペプチドのアミ
    ノ酸配列; (k)ほぼアミノ酸1からほぼアミノ酸45までの、配列番号1もしくは配列番
    号4に示されるポリペプチドのアミノ酸配列; (l)ATCC寄託番号____に含有されるcDNAによりコードされるポリ
    ペプチドのほぼアミノ酸1からほぼアミノ酸45までのアミノ酸配列; (m)(a)〜(l)のポリペプチドのいずれか1つのエピトープ担持領域のア
    ミノ酸配列 より成る群から選択されるアミノ酸配列を有する単離されたポリペプチド。
  2. 【請求項2】 請求項1(a)〜(m)記載のポリペプチドに選択的に結合
    する単離された抗体。
  3. 【請求項3】 (a)配列番号2もしくは配列番号5に示されるヌクレオチ
    ド配列; (b)ATCC寄託番号____に含有されるcDNAのヌクレオチド配列; (c)配列番号1もしくは配列番号4に示されるアミノ酸配列をコードするヌク
    レオチド配列; (d)ATCC寄託番号____に含有されるcDNAによりコードされるアミ
    ノ酸配列をコードするヌクレオチド配列;および (e)(a)、(b)、(c)もしくは(d)のヌクレオチド配列のいずれかに
    相補的なヌクレオチド配列 より成る群から選択されるヌクレオチド配列を有する単離された核酸分子。
  4. 【請求項4】 (a)配列番号2もしくは配列番号5に示されるヌクレオチ
    ド配列にストリンジェントな条件下でハイブリダイズする、配列番号1もしくは
    配列番号4に示されるアミノ酸配列の配列変異体のアミノ酸配列をコードするヌ
    クレオチド配列; (b)ATCC寄託番号____に含有されるcDNAによりコードされるアミ
    ノ酸配列の配列変異体のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列であって、
    該配列変異体の核酸配列が、ATCC寄託番号____に含有されるcDNAに
    ストリンジェントな条件下でハイブリダイズする;および (c)(a)もしくは(b)のヌクレオチド配列のいずれかに相補的なヌクレオ
    チド配列 より成る群から選択されるヌクレオチド配列を有する単離された核酸分子。
  5. 【請求項5】 (a)配列番号1もしくは配列番号4に示されるアミノ酸配
    列のフラグメントをコードするヌクレオチド配列であって、該フラグメントが最
    低33の連続するアミノ酸を含んで成る; (b)ATCC寄託番号____に含有されるcDNAによりコードされるアミ
    ノ酸配列のフラグメントをコードするヌクレオチド配列であって、該フラグメン
    トが最低33の連続するアミノ酸を含んで成る; (c)(a)もしくは(b)のヌクレオチド配列のいずれかに相補的なヌクレオ
    チド配列 より成る群から選択されるヌクレオチド配列を有する単離された核酸分子ポリヌ
    クレオチド。
  6. 【請求項6】 請求項3〜5のいずれかの核酸配列を含んで成る核酸ベクタ
    ー。
  7. 【請求項7】 請求項6記載のベクターを含有する宿主細胞。
  8. 【請求項8】 (a)〜(m)のポリペプチド配列のいずれかをコードする
    ヌクレオチド配列を宿主細胞に導入すること、および、タンパク質が該核酸から
    発現される条件下で該宿主細胞を培養することを含んで成る、請求項1記載のポ
    リペプチドのいずれかの製造方法。
  9. 【請求項9】 サンプル中の請求項1記載のポリペプチドのいずれかの存在
    の検出方法であって、サンプル中のポリペプチドの存在の検出を特異的に可能に
    する作用物質と前記サンプルを接触させること、およびその後ポリペプチドの存
    在を検出することを含んで成る前記方法。
  10. 【請求項10】 前記作用物質が前記ポリペプチドとの選択的な物理的会合
    が可能である、請求項9記載の方法。
  11. 【請求項11】 前記作用物質が前記ポリペプチドに結合する、請求項10
    記載の方法。
  12. 【請求項12】 前記作用物質が抗体である、請求項11記載の方法。
  13. 【請求項13】 前記作用物質がリガンドである、請求項12記載の方法。
  14. 【請求項14】 請求項9記載の方法に使用される試薬を含んで成るキット
    であって、該試薬が前記ポリペプチドに特異的に結合する作用物質を含んで成る
    キット。
  15. 【請求項15】 サンプル中の請求項3〜5のいずれかの核酸配列のいずれ
    かの存在の検出方法であって、ストリンジェントな条件下で該核酸配列にハイブ
    リダイズするオリゴヌクレオチドと該サンプルを接触させること、および該オリ
    ゴヌクレオチドが該サンプル中の核酸配列に結合するかどうかを決定することを
    含んで成る方法。
  16. 【請求項16】 その存在が検出される核酸がmRNAである、請求項15
    記載の方法。
  17. 【請求項17】 請求項15記載の方法に使用される試薬を含んで成るキッ
    トであって、該試薬が、ストリンジェントな条件下で該核酸分子のいずれかにハ
    イブリダイズする化合物を含んで成るキット。
  18. 【請求項18】 ポリペプチドのフラグメントが接触される、請求項17記
    載の方法。
  19. 【請求項19】 請求項1記載のポリペプチドのいずれかに結合する作用物
    質の同定方法であって、該ポリペプチドに結合する作用物質と該ポリペプチドを
    接触させること、および該ポリペプチドに結合された作用物質と形成される複合
    体をアッセイすることを含んで成る前記方法。
  20. 【請求項20】 請求項1記載のポリペプチドのいずれかの活性の調節方法
    であって、作用物質に該ポリペプチドの活性を調節させる条件下で請求項1のポ
    リペプチドのいずれかを該作用物質と接触させることを含んで成る方法。
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