JP2002521065A - Herg−長期qt症候群遺伝子中の突然変異およびそのゲノム構造 - Google Patents

Herg−長期qt症候群遺伝子中の突然変異およびそのゲノム構造

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Abstract

(57)【要約】 本発明は、長期QT症候群と関連する遺伝子であるHERGのゲノム構造の決定に関する。15のイントロン/エキソン連結の配列が決定され、この情報は増幅用のプライマーを考案し、遺伝子の全てのエクソンを横切る配列決定に有用である。このことは、長期QT症候群を引起こすことが知れられている突然変異の存在または不存在を判定するのに有用である。また、長期QT症候群と関連することが見出されたHERG中の多くの新たな突然変異も開示する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 本願は、補助金番号P50-HL52338-02下の政府援助でなされた。合衆国政府は本
発明におけるある種の権利を有し得る。 関連出願の相互参照 本願は、それに対して優先権主張され、出典明示して本明細書の一部とみなす
、1998年7月27日に出願された出願番号09/122,847号の一部継続出願である。
【0002】 発明の背景 本発明は、長期QT症候群(LQT)の診断方法に指向される。LQTはHE
RG、SCN5A、KVLQT1およびKCNE1を含む特定の遺伝子と関連付
けられている。LQTは遺伝性であって、上記遺伝子中の特定の突然変異に起因
し得、またはそれは、例えば、心臓不整脈を治療するために投与する薬剤を用い
る治療や、抗ヒスタミン剤もしくはエリスロマイシンのごとき抗生物質のごとき
他のタイプの薬物療法を用いた治療の結果、獲得され得る。LQTの獲得形態は
疾病のより優勢な形態である。HERG遺伝子がLQTの獲得形態に関与してい
るKチャンネルをコードすることが以前に示されている。心臓不整脈を予防す
るために薬物を摂取した患者におけるKレベルの上昇はLQTの獲得形態が発
病する機会を低下し得、それを予防的測定として用い得ることが示されている。
また、今や、この知見を用いてこのKチャネルを活性化し得、心臓不整脈を治
療するために現在用いられている薬剤と結合して投与し得る薬剤を開発し得る。
チャンネルの活性化はLQTおよびトルサード・ド・ポワンツが発病する危
険性を低下させるにちがいない。
【0003】 本明細書中で用いる刊行物および他の材料は、発明の背景を説明し、実施に関
するさらなる詳細を供し、出典明示して本明細書の一部とみなし、簡便性のため
に、各々、添付する参考文献リストにグループ化する。
【0004】 心臓不整脈による突然死は全自然死の11%と概算されると考えられるが、不
整脈の根底に存在する機作はほとんど理解されていない(Kannel,1987;Willic
hら,1987)。長期QT症候群(LQT)の1つの形態は、心室不整頻ぱく、特
にトルサード・ド・ポワンツおよび心室細動から意識の突然消失、失神および発
作を引起す遺伝性心臓不整脈である(Ward,1964;Romano,1965;Schwartzら,
1975;Mossら,1991)。この疾患は通常若年期のほか、健康な個人でも起こる(
Ward,1964;Romano,1965;Schwartz,1975)。大部分のLQT遺伝子は心電図
におけるQT間隔の明白な延長、異常な心臓再分極の徴候を運搬している(Vinc
entら,1992)。LQTの臨床的な特徴は、エピソード心臓不整脈、特に、この
不整脈における心電図の特徴的な波形性質について命名された、トルサード・ド
・ポワンツから生じる。トルサード・ド・ポワンツは、心室細動、特に致死不整
脈に変性し得る。LQTは一般的な診断ではないが、心室不整脈は非常に一般的
であり;300,000人の合衆国市民が毎年突然死亡している(Kannelら,198
7;Willichら,1987)。そして、多くの症例において、根底にある機作は異常心
臓再分極とし得る。したがって、LQTは、分子レベルで生命を脅かす心臓不整
脈を研究するユニークな機会を提供する。この疾患のより一般的な形態は“獲得
LQT”と呼ばれ、多くの異なる要因、特にある種の薬物療法および血清K
ベルの低下(低カルシウム血症)を伴う治療によって誘導し得る。
【0005】 この疾患の遺伝型の常染色体優性型および常染色体劣性型が報告されている。
常染色体劣性LQT(ジャービル−ラング−ニールセン症候群としても知られて
いる)は先天的神経性難聴と関連付けられている;この形態のLQTは稀である
(JervellおよびLange−Nielsen,1957)。常染色体優性LQT(ロマノ−ワー
ド症候群)はより一般的であり、他の表現型異常と関連付けられていない。遺伝
性LQTに酷似する疾患も、通常は薬理療法の結果として獲得され得る(Schwar
tzら,1975;Zipes,1987)。
【0006】 1991年に、常染色体優性LQTとHARSにおける多型性との間における完全
な連鎖が報告された(Keatingら,1991a;Keatingら,1991b)。この発見により
、LQT1は染色体11p15.5に位置決定され、幾つかの家族における前症
候的診断が可能となった。常染色体優性LQTは、以前は遺伝的に均一であると
考えられており、研究された最初の7の家族は11p15.5に連鎖された(Kea
tingら,1991b)。1993年に、LQTに遺伝子座不均一性が存在することが見出
された(Benhorinら,1993;Curranら,1993b;Towbinら,1994)。その後、2
のさらなるLQT遺伝子座:染色体7q35−36上のLQT2(9家族)およ
び3p21−24上のLQT3(3家族)が同定された(Jiangら,1994)。こ
れらの遺伝子座におけるLQTに寄与する遺伝子がその後同定された。これらは
、KVLQT1(LQT1)、HERG(LQT2)およびSCN5A(Wangら
,1996;Curranら,1995;Wangら,1995;米国特許第5,599,673号)である。後
に、KCNE1(LQT5)も長期QT症候群と関連付けられた(Splawskiら、
1997;Duggalら,1998)。これらの遺伝子は心臓活動電位の発生に関与するイオ
ンチャンネルをコードする。突然変異はチャンネル機能喪失および遅延型心細胞
再分極に通じ得る。心筋内のチャンネル発現の領域的不均一性のため、異常な心
再分極は不整脈の基礎を創生する。KVLQT1およびKCNE1は内耳におい
ても発現されている(Neyroudら,1997;Vetterら,1996)。これらの遺伝子の
同型接合または複合異型接合突然変異は聾(deafness)およびジャーベル・ラン
ゲ−ニールセン症候群の重篤な表現型を引起し得ることが示されている(Neyrou
dら,1997;Splawskiら,1997;Schultze−Bahrら,1997;Tysonら,1997)。耳
における機能性チャンネルの消失は明らかに内リンパの生成を破壊し、聾に通じ
る。幾つかの家族では、知られている遺伝子座へ連鎖されていないままであり、
これはLQTについてのさらなる遺伝子座不均一性を示唆している。この不均一
性の度合は、異なるLQT遺伝子が、相互作用して心臓再分極および不整脈危険
性を調節するタンパク質をコードし得ることを示唆している。
【0007】 現在、LQTの前症候診断は心電図上のQT間隔の遅延に基づいている。0.
44秒よりも長いQTc(心速度に対して補正したQT間隔)は、伝統的に個人
を罹っていると分類する。しかしながら、大部分のLQT患者は心電図を有して
いない若年であるか、さもなくば健全な個人である。さらに、遺伝的研究により
、QTcは感受性でも特異的でもないことが示されている(Vincentら,1992)
。遺伝子キャリアーおよび非キャリアーについてのQTc間隔のスペクトルは重
複し、誤分類に通じる。非キャリアーは長期QT間隔を有し得、罹っていると診
断される。逆に言えば、幾分かのLQT遺伝子キャリアーは<0.44秒のQT
c間隔を有しているが、なお不整脈に対する高い危険性の状態にある。正確な前
症候診断は、LQTの有効な遺伝子−特異的な治療について重要である。
【0008】 突然変異分析を用いる遺伝子スクリーニングは前症候診断を改善し得る。突然
変異の存在は、罹った個人を決定的に区別し、小さな家族および散発的な症例に
おいてでさえ、LQTの根底をなす遺伝子を同定するであろう。LQT−関連突
然変異の同定を促進するために、本発明者らは、HERGのゲノム構造を決定し
、各エキソンを増殖するためのプライマー・ペアを設計した。一本鎖DNA高次
構造多型(SSCP)解析により、HERG中のさらなる突然変異を同定した。
【0009】 1994年に、WarmkeおよびGanetzkyは新規なヒトcDNA、ヒト・エーテル
a−go−go関連遺伝子を同定した(HERG、WarmkeおよびGanetzky,1994)。
HERGは体細胞ハイブリッド・パネルのPCR分析によってヒト第7染色体に
位置決定された(WarmkeおよびGanetzky,1994)。HERGによってコードされ
るタンパク質の機能は知られていないが、それはカリウム・チャンネルに対する
推定アミノ酸配列相同性を有する。HERGはカルシウム調節カリウム・チャン
ネルをコードするキイロショウジョウバエ(Drosophila)エーテルa-go-go遺伝
子(eag)に対する相同性によって海馬cDNAライブラリーから単離された(B
ruggemannら,1993)。HERGはeagのヒト相同物ではないが、〜50%のアミ
ノ酸配列相同性しか共有していない。HERGの機能は知られていないが、それ
は心臓で強く発現しており、心臓活動電位の再分極において重要な役割を演じ、
LQTに連鎖していると仮定された(Curranら,1995)。
【0010】 獲得LQTは、通常、心臓Kチャンネルを遮断する薬物療法を用いる治療か
ら生じる(Roden,1988)。LQTと最も一般的に関連する薬物療法は、その薬
理学的活性のスペクトルの一部分として心臓早期活性化−遅延整流K電流、I Kr を遮断する抗不整脈薬(例えばキニジン、ソタロール)である。他の薬剤も
獲得LQTを引起し得る。これらには、抗ヒスタミン剤およびエリスロマイシン
のごとき幾つかの抗生物質が含まれる。IKrは単離された心筋細胞において特
徴付けされており(Balserら,1990;Follmerら,1992;SanguinettiおよびJurk
iewicz,1990;Shibasaki,1987;T. Yangら,1994)、活動電位の再分極を開始
することにおいて重要な役割を有することが知られている。
【0011】 HERGの生理学的な役割を明確にするため、完全長cDNAをクローン化し
、チャンネルをアフリカツメガエル(Xenopus)卵母細胞で発現させた。発生し
た電流の電圧固定解析により、HERGがIKrとほぼ同一の生物物理学的特徴
を有するKチャンネルをコードしていることが明らかとなった。これらのデー
タはHERGがIKrチャンネルについての主要サブユニットをコードすること
を示唆しており、幾つかの形態の遺伝および薬物−誘導LQTの間の機作的連鎖
を供している。
【0012】 発明の概要 HERGゲノム構造を決定し、それが15のエキソンを含み、55キロベース
にわたってひろがっていることを示す。プライマー・ペアは長期QT症候群と関
連し得る突然変異について全ての15のエキソンの分析を許容するように示す。
長期QT症候群と関連するHERG中の多くの新たな突然変異も示す。
【0013】 図面の簡単な説明 図1A−1D:HERG cRNAを注射したアフリカツメガエル卵母細胞に
おいて電位差を脱分極させる工程によって誘起した電流。図1A:−50から1
0mVまで10mVインクリメントで加えた4秒パルスによって活性化した電流
。パルスの間の電流は、保持電位への帰還の際のテイル電流のごとく、電圧に伴
って漸進的に上昇した。保持電位は−70mVであった。挿入図は電圧パルス・
プロトコールを図示している。図1B:10mVインクリメントで加えた、0か
ら+40mVの試験パルスで活性化した電流。パルスの間の電流の大きさは、電
圧と共に漸進的に低下し、一方テイル電流は+10mVで飽和した。電流が遅い
不活性化を示さなかったことは注記しておく。図1C:4秒パルスの間に記録さ
れたピークHERG電流に対する電流−電圧の関係(n=10)。図1D:HE
RGチャンネル活性化の電圧−依存性。4秒パルス後に−70mVでテイル電流
の増幅を測定し、ついで最大電流に対して標準化した。データはBolzmann係数:
I=1/(1+exp[(Vt−V1/2)k])、式中、I=相対テイル電流、V=試
験電位、V1/2は電流の1/2活性化に要する電圧であり、kは傾き係数であ
る(V1/2=−15.1±0.6mVであり;k=7.85±0.2mV、n=
10である)に適合した。
【0014】 図2A−D:HERG電流活性化および脱活性化の動力学 図2A:活性化電流は、−50から+20mV(10mV段階)にランクされ
る試験電位に対する3.25秒パルスによって活性化した。電流および対応する
単一指数適合(I=A+A−t/t)を重ねている。図2B:HERG電
流の脱活性化。電流は+20mVへの1.6秒パルスによって活性化し、つづい
て−40から−100mV(10mV段階)にランクされる試験電位に戻した。
脱活性化電流および対応する二重指数適合(Itail=A+AMP・ex
−t/tf+AMP・exp−t/ts)を重ねている。電流は漏れを引い
たものではなかった。図2C:活性化(n=15)および迅速な脱活性化(n=
11)の電圧−依存性動力学。図2D:試験電位(n=11)の関数としてのH
ERG電流脱活性化の早い(AMP)および遅い(AMP)要素の時間定数
(t、t)および相対的増幅。相対的増幅は、逆転電位に近い小さな電流の
大きさのため、−80および位置90mVでは測定しなかった。
【0015】 図3A−C:HERG電流の逆電位は、K−選択性チャンネルについて予想
されたごとく[K]で変化した。図3A:テイル電流は、+20mVへのパル
スの後のND96溶液に浸した卵母細胞において―105ないし−80mVの電
位(5mV段階で加えた)で誘起した。テイル電流の概算逆転電位は−97mV
であった。電流は漏れを引いたものではなかった。図3B:テイル電流は、修飾
ND96溶液([K]=10mM)に浸した同一の卵母細胞における−75か
ら−50mVの電位(5mV段階で加えた)で誘起した。テイル電流の逆転電位
は−65mVであった。図3C:HERG電流の逆転電位(Erev)は[K] の関数として変化する。Erevは、試験電位の関数としてテイル電流増幅の
プロットからゼロ−インターセプトを決定することによって各卵母細胞につき測
定した。データは、2mM[K](n=15)を除いて、5の測定の平均値を
示す。点線は、完全K+−選択的チャンネルについてのネルンスト等式によって
予想した関係である。実線曲線は、ゴールドマン−ホジキン−カッツの電流式(
Goldman,1943;HodgkinおよびKatz,1949):Erev=58log{(r[Na] +[K])/(r[Na]+[K])}に対するデータの適合を示す。こ
の適合から決定したKに対するNaの相対的透過率(r)は0.007であ
った。
【0016】 図4A−E:細胞外KによるHERG電流の活性化。図4A−C:10mM
KCl(A)、2mM KCl(B)を含有する修飾ND96溶液に浸した卵
母細胞における、またはKClを添加していないND96溶液に5分後に取り替
えた卵母細胞における−50から+20mVのランクの試験電位への4秒パルス
によって誘起した電流。図4D:パネルA−Cに示す電流に対する電流−電圧の
関係。図4E:HERG電流増幅は、[K]の関数として変化する。電流は、
+20mV(n=4−6)の試験電位で測定した。実線はデータに対する直線適
合である(IHERG=189+37.5・[K])。低位および高位の[K] におけるこの関係は[K]の直線関係になると予想されないであろうことは
注記しておく。
【0017】 図5A−D:迅速不活性化から生じたHERG整流。図5A:+40mVへの
260m秒パルスで活性化した([K]=10mM)した後の、+20、0、
−40および−70から−120mV(10mV段階で)の試験電位で記録した
電流。電流は、10kHzのサンプリング比率で記録した。活性化パルスの最後
の30m秒につづく90m秒テイル電流のみを示す。P/3減法を用いて漏れ電
流を除去し;テイル電流の最初の2m秒を空けた。脱活性化はそれがテイル電流
の正味動力学に著しく寄与しなかったほど十分に遅かったため、幾つかの電位で
記録したテイル電流(+20から−60mV)は、単一指数関数と適合した。よ
り負の電位(−70から−120mV)においては、電流は不活性化からの回復
に重複した脱活性化の早い相につき算出した二重関数と適合した。データに対す
る適合を、電流軌跡上に重ねている。図5B:前記したテイル電流の適合から決
定した迅速な不活性化からの回復についての時定数。図5C:完全活性化HER
G I−V関係。HERG電流の最大伝導率(118μS)は、−90と−12
0mVとの間の電位における電流振幅への一次適合の傾きから決定した。図5D
:HERG電流の迅速不活性化の電圧依存性。各電位における整流係数(rectif
ication factor)、Rは、パネル(C)にプロットした電流振幅を用いて算出し
た:
【数1】 R=[G・n・(V−Erev)]/IHERG
【0018】 式中、G=HERGの最大伝導性(118μS);n=+40mVにおける活性
化変数(1.0);V=試験電位;Erev=逆転電位(−73mV)。デー
タはボルツマン式:1/(1+exp[(Erev−V1/2)/k])で適合させ
た。V1/2の値は−49mVであって、傾き係数(k)は+28mVであった
【0019】 図6A−D:HERG電流はLa3+によって遮断される。図6A:−50か
ら+50mVにランク付けされる電位への4秒パルスによって活性化した対照電
流。電流は漏れを引かなかった。図6B:卵母細胞を10μMのLaClに暴
露した後の同一パルスのプロトコールで誘起した電流。図6C:4秒試験パルス
の最後に測定したHERG電流のI−V関係。図6D:等時間活性化曲線は、試
験電位の関数としてのテイル電流振幅のプロットから決定した。データをボルツ
マン関数に適合させて、スムースな等時間活性化曲線を得た。La3+は活性化
の50%点(half-point)を−16mVから+23mVにシフトさせた。
【0020】 図7:HERGの物理マップおよびエキソン構成。HERGのゲノム領域には
、ほぼ55キロベースが包含される。全HERG転写配列を含有する重複コスミ
ドクローンを示す。ゲノム・クローンに対するHERGエキソンの位置を示す。
エキソンのサイズおよび距離は一定比率の拡大で描かれていない。
【0021】 図8A−B:HERGコード配列ならびに5'および3'非翻訳配列のゲノム組
構成。イントロンの位置を矢印で示す。6の推定膜スパンニング・セグメント(
spanning segment)(S1ないしS6S)ならびに推定ポア(Pore)および
環状ヌクレオチド結合(cNBD)領域に下線を引く。アスタリスク・マークは
終止コドンである。図8A−Bの核酸およびタンパク質は、各々、配列番号:3
および配列番号:4である。
【0022】 図9A−E:5の新たなLQT家族の家系図構造および遺伝子型分析。QT間
隔の遅延ならびに失神、発作または発育不全突然死の病歴を含むLQTの特徴的
な特徴を示す個人を、黒塗り円(女性)または四角(男性)によって示す。罹ら
なかった個人は、白抜き円または四角によって示す。不明確な表現型を有する個
人、または表現型データが入手できなかった個人は点刻する。斜線を付けた円ま
たは四角は、死亡した個人を示す。LQT2に連鎖する多型マーカーについての
ハプロタイプを各個人の下側に示す。これらのマーカーには(セントロメアから
テロメアに)D7S505、D7S636、HERG5−11、HERG3−8
、D7S483が含まれる(Gyapayら,1994;Wangら,1995)。疾病表現型と同
時分離するハプロタイプは、ボックスで示す。組換え事象は、水平の黒線で示す
。ローカル・インスティチューショナル・レビュー・ボード・ガイドラインに準
じて、全ての個人またはその保護者からインフォームド・コンセントを得た。ハ
プロタイプ分析は、これらの血縁におけるLQT表現型が染色体7q35−36
上のマーカーに連鎖していることを示している。
【0023】 図10A−C:2の家族におけるLQTと関連するHERG遺伝子内欠失。K
2287の家系図構造(図10A)、プライマー・ペア1−9を用いたPCR増
幅の結果(図10A)、正常および突然変異L2278HERG遺伝子のDNA
配列決定の結果(図10B)、ならびにHERGタンパク質の推定構造上の欠失
の効果(図10C)を示す。143bpの異常フラグメントがこの血縁の罹った
メンバーで観察され、これが疾病に関連する遺伝子内欠失の存在を示しているこ
とは注記しておく。正常および異常PCR産物のDNA配列は27bpの欠失(
△I500−F508)を画定する。この突然変異は、第3の膜スパンニング・
ドメイン(S3)中の9アミノ酸の枠内(in-frame)欠失を引起こす。欠失した
配列を示す。
【0024】 図11A−C:K2595の家系図構造を示す(図11A)。死亡した個人は
斜線によって示す。プライマー・ペア1−9を用いたSSCP解析の結果を、各
個人の下側に示す(図11A)。異常なSSCPコンフォマー(conformer)が
この家族における疾病と同時分離することは注記しておく。DNA配列は、単一
塩基対欠失を示す(△1261)(図11B)。この欠失は、フレームシフトに
つづく12アミノ酸下流に終止コドンを生じる(図11C)。欠失ヌクレオチド
は矢印で示す。
【0025】 図12A−I:HERG点突然変異は、3のLQT血縁において同定された。
K1956(図12A)、K2596(図12C)およびK2015(図12E
)の家系図構造を示す。各家系図の下側に、プライマー・ペア5−11(K19
56)(図12B)、プライマー・ペア1−9(K2596)(図12D)およ
びプライマー・ペア4−12(K2015)(図12F)を用いたSSCP解析
の結果を示す。異常なSSCPコンフォーマーは各血縁において疾病と同時分離
している。正常および異常なコンフォーマーのDNA配列分析により、K195
6中のポジション1682におけるCからTへの置換が明らかにされた。この突
然変異は、コドン561における非常に保存されたアラニン残基に代るバリンの
置換を生じる(A561V)(図12G)。K2596の解析により、ポジショ
ン1408におけるAからGへの置換が明らかにされた(アンチセンス鎖上のT
からCへの置換を示す)(図12D)。この突然変異は、第2の膜スパンニング
・ドメイン中の保存されたアスパラギンに代るアスパラギン酸の置換を生じる(
N470D)(図12H)。K2015の解析により、GからCへの置換(アン
チセンス鎖上のCからGへの置換を示す)が明らかにされた(図12F)。この
突然変異は、イントロンIIIのスプライス−ドナー配列中で生じている(Curran
ら,1995を参照されたし)(本明細書中のイントロン9)(図12I)。コード
配列は上方のケースであって、イントロン配列は下方のケースである。GからC
への置換がスプライス−ドナー部位を破壊することは注記しておく。(HERG, M
−eag, elk, WarmkeおよびGanetzky, 1994; R-eag; Ludwigら, 1994)。
【0026】 図13A−E:LQTと関連するHERGミスセンス突然変異。SSCP解析
からの結果およびアミノ酸配列に対する突然変異の効果を各家系図の下に示す。
異常なSSCPコンフォーマー(矢印によって示す)が疾病表現型と同時分離し
ていることは注記しておく。 図14A−C:LQTの散発性症例におけるHERGのデ・ノボ突然変異。K
2269の家系図構造(図14A)およびSSCP解析(プライマー・ペア14
−16)(図14A)は、LQTの散発性症例における異常なコンフォーマーを
示している。DNA配列解析により、cDNA配列のポジション1882におけ
るGからAへの置換が同定された(アンチセンス鎖上のCからTへの置換を示す
)(図14B)。この突然変異がコドン628における高度に保存されたグリシ
ン残基に代るセリンの置換(G628S)を生じることは注記しておく(図14
C)。このアミノ酸配列はカリウム・イオン選択性について重要であることが知
られている。
【0027】 図15:心臓における強力な発現を示すHERG mRNAのノザンブロット
分析。ノザンブロット(Clonetech社製、poly A+ RNA、2mg/レーン)を、コ
ード配列のヌクレオチド679から2239を含むHERG cDNAを用いて
釣上げた(probed)。〜4.1および4.4kbの2の心臓mRNAが示された。
肺から抽出したmRNAのバックグラウンドが高いが、特異的なバンドは全く同
定されなかった。
【0028】 配列表の概要 配列番号:1はHERG cDNAの核酸コード領域のみである。 配列番号:2は配列番号:1によってコードされるHERGタンパク質である
。 配列番号:3はHERG cDNAの核酸であり、完全コード領域ならびに幾
分かの5'および3'非翻訳領域を含む。 配列番号:4は配列番号:3によってコードされるHERGタンパク質である
。 配列番号:5および6は、%相同性の計算値を実証するために用いた仮定核酸
である。 配列番号:7および8は、HERGの3'UTRを増幅するためのプライマー
である。 配列番号:9−25は、SSCP解析用のプライマー・ペアである(表3)。 配列番号:26−55は、HERGのイントロン/エキソン境界である(表4
)。 配列番号:56−95は、HERGエキソンを増幅するためのプライマーであ
る(表5)。 配列番号:96−97はK2287の欠失を示す(図10C)。 配列番号:98−101は、K2595における欠失の効果を示す(図11C
)。 配列番号:102−116は、ヒト、マウス、ラットおよびキイロショウジョ
ウバエ(Drosophila)からのHERGの領域の比較である(図12G−Hおよび
14C)。
【0029】 発明の詳細な説明 本発明は、HERGのゲノム構造ならびにLQTと関連するHERG中に新た
に見出された突然変異に指向される。さらに、本発明は、LQTを引起すHER
G遺伝子変異型の存在について、ヒトをスクリーニングする方法に指向される。
今やLQTはより早期(すなわち、病徴が現れる前に)かつより明確に検出し得
るため、遺伝性LQTを有すると同定された個人において、より良好な治療選択
肢が利用可能であろう。 本発明は、突然変異を同定するためにHERG遺伝子をスクリーンニングする
方法を提供する。さらにかかる方法は、HERG遺伝子の部分を増幅する工程を
含み得、およびさらには、HERG遺伝子の該部分の増幅用のプライマーである
一連のポリヌクレオチドを供する工程を含む。この方法は、LQTの診断または
LQTの予測のいずれかに使用するための突然変異を同定するのに有用である。
【0030】 長期QT症候群は、心臓不整脈、具体的にはトルサード・ド・ポワンツおよび
心室細動により突然死を引起こす遺伝性または後天性の疾患である。LQTは以
前に4の遺伝子座:染色体11p15.5上のKVLQT1、7q35−36上
のHERG、3p21−24上のSCN5Aおよび染色体21q22.1−22.
2上のKCNE1、にマッピングされた。
【0031】 HERG遺伝子が遺伝性LQTを引起すことに関与するという証拠は、異常な
HERG遺伝子産物または異常なレベルの遺伝子産物を作る罹った血縁メンバー
から抽出したDNA中に配列を発見することによって得られる。かかるLQT感
受性対立遺伝子は、大きな血縁において疾病と同時分離するであろう。それらは
、また、一般集団中の個人におけるよりもLQTを有する非−血縁個人において
遥かに高い頻度で存在するであろう。鍵となるのは、遺伝子産物の正常な機能に
対して明らかな破壊を引起すのに十分に重大である突然変異を見出すことである
。これらの突然変異は多くの形態をとり得る。最も重篤な形態は、異常なタンパ
ク質をコードする遺伝子を生じ、またはタンパク質発現を顕著に変化させるであ
ろうフレームシフト突然変異または大きな欠失であろう。より重篤性の低い破壊
的突然変異には、システイン残基へのまたはそれからの、塩基性アミノ酸から酸
性アミノ酸へのまたはその逆の、疎水性アミノ酸から親水性アミノ酸へのまたは
その逆の変化のごとき、産生されるタンパク質に対して重大な効果を有するであ
ろう小さな枠内欠失および非保存的塩基対置換、あるいは二次または三次のタン
パク質構造に影響するであろう他の突然変異が含まれるであろう。サイレント突
然変異または保存的アミノ酸置換を生じるものは、一般的に、タンパク質機能を
破壊するとは予想されないであろう。
【0032】 本発明の診断および予測方法によれば、野生型HERG遺伝子の変化が検出さ
れる。加えて、当該方法は、野生型HERG遺伝子を検出し、この遺伝子座にお
ける突然変異の結果としてLQTの発生の欠如を確認することによって行い得る
。“野生型遺伝子の変化”には、コード領域および非コード領域中の欠失、挿入
および点突然変異を含む全ての形態の突然変異が包含される。欠失は、遺伝子全
体または遺伝子の一部分のみのものとなり得る。点突然変異は終止コドン、フレ
ームシフト突然変異またはアミノ酸置換を生じ得る。体細胞突然変異とは、ある
種の組織でのみ発生し、生殖細胞系で遺伝されないものである。生殖系列突然変
異は、身体の組織のいずれかに見出され得、遺伝される。点突然変異事象は、m
RNAの発現の損失または低下に通じる、遺伝子のプロモーター中のごとき調節
領域中に発生し得る。点突然変異は、HERG遺伝子産物の発現の損失またはm
RNA安定性もしくは翻訳効率における低下に通じる、適当なRNAプロセシン
グをも廃止し得る。
【0033】 遺伝性LQTの存在は、HERG遺伝子の突然変異につきヒトのいずれかの組
織を試験することによって確認し得る。例えば、生殖系列HERG突然変異を遺
伝している個人はLQTを発症しがちであろう。このことは、個人の身体のいず
れかの組織からのDNAを試験することによって判定し得る。最も単純には、採
血し得るし、DNAは血液の細胞から抽出し得る。加えて、出生前診断は、HE
RG遺伝子の突然変異について胎児細胞、胎盤細胞または羊膜細胞を試験するこ
とによって行い得る。野生型HERG対立遺伝子の変化は、例えば点突然変異に
よるかまたは欠失によるかにかかわりなく、本明細書中に論じたいずれかの方法
によって検出し得る。
【0034】 DNA配列変異を検出するために用い得る幾つかの方法が存在する。手動配列
決定または自動化蛍光配列決定かのいずれかの直接DNA配列決定により、配列
変異を検出し得る。もう1つのアプローチは、一本鎖DNA高次構造多型アッセ
イ(SSCP)(Oritaら,1989)である。この方法では全ての配列変化が検出
されない、特にDNAフラグメントのサイズが200bpよりも大きい場合には
検出されないが、最適化して大部分のDNA配列変異を検出し得る。検出感度の
低下は不利であるが、SSCPを用いて可能である処理量の増大は、研究ベース
の突然変異検出について直接配列決定を魅力的な、価値ある別法としている。つ
いで、SSCPゲル上でシフトした移動度を有するフラグメントを配列決定して
、DNA配列変異の正確な性質を決定する。2の相補的DNA鎖間の誤対合の検
出に基づく他のアプローチには、クランプド変性ゲル電位泳動(clamped denatu
ring gel electrophoresis)(CDGE)(Sheffieldら, 1991)、ヘテロデュ
プレックス解析(heteroduplex analysis)(HA)(Whiteら,1992)および化学
的誤対合切断(chemical mismatch cleavage)(CMC)(Grompeら,1989)が
含まれる。前記した方法はいずれも大きな欠失、重複または挿入を検出せず、あ
るいはそれらはタンパク質の転写または翻訳に影響する調節突然変異を検出しな
いであろう。タンパク質切頭アッセイまたは非対称アッセイのごときこれらのク
ラスの突然変異を検出し得るであろう他の方法は、特定のタイプの突然変異しか
検出せず、ミスセンス突然変異は検出しないであろう。DNA配列変異を検出す
る現在利用可能な方法のレビューは、Grompe(1993)による最近のレビューに見
出し得る。突然変異が分かったら、対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチド(AS
O)ハイブリダイゼーションのごとき対立遺伝子特異的な検出アプローチを利用
して、同一突然変異について多数の他の試料を迅速にスクリーニングし得る。か
かる技術は、金ナノ粒子で標識したプローブを利用して、目に見える色彩結果を
得ることができる(Elghanianら,1997)。
【0035】 DNA配列中の多型を検出するための迅速な予備的解析は、1またはそれを超
える制限酵素を用いて、好ましくは多数の制限酵素を用いて切断したDNAの一
連のサザンブロットを考察することによって行い得る。各ブロットには、一連の
正常な個人および一連のLQT症例が含まれる。(HERG遺伝子座に近いかま
たはそれを含む配列を用いて釣上げた場合に、対照DNAとは長さにおいて異な
る)ハイブリダイズするフラグメントを示すサザンブロットは、可能な突然変異
を示している。非常に大きな制限フラグメントを生成する制限酵素を用いる場合
には、ついでパルスフィールドゲル電気泳動(PFGE)を用いる。
【0036】 点突然変異の検出は、HERG対立遺伝子を分子クローニングし、当該技術分
野でよく知られている技術を用いて対立遺伝子を配列決定することによって行い
得る。また、遺伝子または遺伝子の一部分は、例えばPCRまたは他の増幅技術
によって増幅し、増幅した遺伝子または増幅した遺伝子の部分を配列決定し得る
。 感受性対立遺伝子の存在を確認するためのより完全な、しかしなお間接的な試
験のための6のよく知られた方法が存在する:1)一本鎖DNA高次構造解析(
SSCP)(Oritaら,1989);2)変性グラジエントゲル電気泳動(DGGE
)(Wartellら,1990;Sheffieldら,1989);3)RNアーゼ保護アッセイ(Fi
nkelsteinら,1990;Kinszlerら,1991);4)対立遺伝子−特異的オリゴヌク
レオチド(ASOs)(Connerら,1983);5)イー・コリ(E.coli)mutS
タンパク質のごとき、ヌクレオチド誤対合を認識するタンパク質の使用(Modric
h,1991);および6)対立遺伝子−特異的PCR(RuanoおよびKidd,1989)。
対立遺伝子−特異的PCRについては、その3'末端で特定のHERG突然変異
にハイブリダイズするプライマーを用いる。特定の突然変異が存在しない場合に
は、増幅産物は観察されない。欧州特許出願公開番号0332435号およびNewtonら
,1989に開示されているごとき、増幅耐性突然変異系(Amplification Refracto
ry Mutation System)(ARMS)も用い得る。遺伝子の挿入および欠失は、ク
ローニング、配列決定および増幅によっても検出し得る。加えて、遺伝子または
周辺のマーカー遺伝子用の制限断片長多型(RFLP)プローブを用いて、多型
フラグメント中の対立遺伝子または挿入の変化を評価し得る。かかる方法は罹っ
た個人に見出される突然変異の存在についてその個人の親族をスクリーニングす
るのに特に有用である。当該技術分野で知られている挿入および欠失を検出する
ための他の技術を用い得る。
【0037】 最初の3の方法(SSCP、DGGEおよびRNアーゼ保護アッセイ)におい
ては、新たな電気泳動バンドが現れる。配列変化が一本鎖中の相違、分子内塩基
ペアリングを発生するため、SSCPは異なって移動するバンドを検出する。R
Nアーゼ保護には、突然変異ポリヌクレオチドの2またはそれを超えるフラグメ
ントへの切断が含まれる。DGGEは、変性グラジエントゲルを用いて、野生型
配列と比較した突然変異配列の移動速度における相違を検出する。対立遺伝子−
特異的オリゴヌクレオチド・アッセイにおいては、特異的な配列を検出するオリ
ゴヌクレオチドを設計し、アッセイはハイブリダイゼーション・シグナルの有無
を検出することによって行う。mutSアッセイにおいては、突然変異配列と野
生型配列との間のヘテロデュプレックス中にヌクレオチド誤対合が含まれる配列
にのみ該タンパク質が結合する。
【0038】 本発明によれば、誤対合は、2の鎖が100%相補的ではないハイブリダイズ
した核酸デュプレックスである。全体相同性の欠如は、欠失、挿入、逆位または
置換に起因し得る。誤対合検出を用いて、遺伝子中またはそのmRNA産物中の
点突然変異を検出し得る。これらの技術は配列決定よりも感度が低いが、それら
は多数の試料に対して行うのにより単純である。誤対合切断技術の一例は、RN
アーゼ保護法である。本発明の実施においては、該方法はヒト野生型HERG遺
伝子コード配列に相補的である標識リボプローブの使用を含む。リボプローブと
個人から単離したmRNAまたはDNAのいずれかとを一緒にアニーリングさせ
、その後デュプレックスRNA構造中の幾つかの誤対合を検出することができる
酵素RNアーゼAで消化する。RNアーゼAによって誤対合が検出された場合に
は、それが誤対合の部位を切断する。ついで、アニーリングしたRNA調製物が
電気泳動ゲルマトリックス上で分離された場合に、誤対合が検出され、RNアー
ゼAによって切断されている場合には、リボプローブおよびmRNAまたはDN
Aについての完全長デュプレックスRNAよりも小さなRNA産物が見られるで
あろう。リボプローブはmRNAまたは遺伝子の完全長である必要はなく、いず
れかのセグメントとし得る。リボプローブがmRNAまたは遺伝子のセグメント
しか含まない場合には、多数のこれらのプローブを用いて誤対合につき全mRN
A配列をスクリーニングすることが望ましいであろう。
【0039】 同様の様式で、酵素または化学的切断を介して、DNAプローブを用いて誤対
合を検出し得る。例えば、Cottonら,1988;Shenkら,1975;Novackら,1986を
参照されたし。別法として、誤対合は、対合デュプレックスに対する誤対合デュ
プレックスの電気泳動移動度におけるシフトによっても検出し得る。例えば、Ca
riello,1988を参照されたし。リボプローブまたはDNAプローブのいずれかを
用いれば、突然変異を含み得る細胞性mRNAまたはDNAをハイブリダイゼー
ション前にPCRを用いて増幅し得る(後記を参照されたし)。HERG遺伝子
のDNA中の変化は、特に変化が欠失および挿入のごとき大きな再配列である場
合には、サザン・ハイブリダイゼーションを用いても検出し得る。
【0040】 PCRを使用することによって増幅したHERG遺伝子のDNA配列は、対立
遺伝子−特異的プローブを用いてもスクリーニングし得る。これらのプローブは
、その各々が公知の突然変異を収容している遺伝子配列の領域を含む核酸オリゴ
マーである。例えば、1のオリゴマーは、遺伝子配列の部分に対応する、約30
ヌクレオチド長とし得る。一連のかかる対立遺伝子−特異的プローブの使用によ
り、PCR増副産物をスクリーニングして、遺伝子中の以前に同定された突然変
異の存在を同定し得る。増幅HERG配列と対立遺伝子特異的プローブとのハイ
ブリダイゼーションは、例えば、ナイロン・フィルター上で行い得る。高ストリ
ンジェンシー・ハイブリダイゼーション条件下における特定のプローブに対する
ハイブリダイゼーションは、対立遺伝子特異的プローブ中と同様に組織中に同一
の突然変異が存在することを示している。
【0041】 マイクロチップ技術を介して新たに開発された核酸解析の技術も、本発明に適
用可能である。この技術においては、逐語的に、何千もの異なるオリゴヌクレオ
チド・プローブをシリコン・チップ上にアレイで構築する。分析すべき核酸を蛍
光標識し、チップ上のプローブにハイブリダイズさせる。また、これらの核酸マ
イクロチップを用いて核酸−タンパク質相互作用を研究することも可能である。
この技術を用いれば、突然変異の存在を判定しもしくは解析すべき核酸を配列決
定することさえでき、あるいは関心の遺伝子の発現レベルを測定することができ
る。当該方法は、多くの、数千さえのプローブの同時の平行プロセシングのうち
の1つであって、解析速度をおびただしく上げ得る。この技術を用いる幾つかの
論文が発表されている。これらのうちの幾つかは、Haciaら,1996;Shoemakerら
,1996;Cheeら,1996;Lockhartら,1996;DeRisiら,1996;Lipshutzら,1995
である。この方法は、乳ガン遺伝子BRCA1中の突然変異につき人々をスクリ
ーニングするためにすでに用いられている(Haciaら,1996)。この新たな技術
は、Chemical and Engineering中のnew article(Borman,1996)にレビューさ
れており、論説の主題になっている(Editorial,Nature Genetics,1996)。Fo
dor(1997)も参照されたし。
【0042】 候補遺伝子座中の突然変異についての最も完成した試験は、患者からのゲノム
HERG配列と対照集団からのものとを直接比較することである。別法として、
例えばPCRによって増幅した後にメッセンジャーRNAを配列決定し得、それ
によって候補遺伝子のエキソン構造を決定する必要性がなくなる。 HERGのコード領域の外側となる患者からの突然変異は、遺伝子の付近また
は中のイントロンおよび調節配列のごとき、非コード領域を調べることによって
検出し得る。非コード領域中の突然変異が重要であるという初期の指摘は、対照
個人と比較して患者中の異常なサイズまたは豊富なメッセンジャーRNA分子を
明らかにしたノザンブロット実験から出てきているのかもしれない。
【0043】 HERG mRNA発現の変化は、当該技術分野で知られているいずれかの技
術によって検出し得る。これらには、ノザンブロット分析、PCR増幅およびR
Nアーゼ保護が含まれる。mRNA発現の低下は、野生型遺伝子の変化を示す。
野生型遺伝子の変化は、野生型HERGタンパク質の変化につきスクリーニング
することによっても検出し得る。例えば、HERGと免疫反応性のモノクローナ
ル抗体を用いて組織をスクリーニングし得る。血族抗原の欠如は突然変異を示す
であろう。突然変異対立遺伝子の産物に特異的な抗体を用いて、突然変異遺伝子
産物を検出することもできるであろう。かかる免疫アッセイは、当該技術分野で
知られているいずれの簡便な形式でも行い得る。これらには、ウエスタン・ブロ
ット、免疫組織化学アッセイおよびELISAアッセイが含まれる。変化したH
ERGタンパク質を検出するいずれかの方法を用いて、野生型HERG遺伝子の
変化を検出し得る。タンパク質結合性判定のごとき機能性アッセイを用い得る。
加えて、HERGの生化学的機能を検出するアッセイを用い得る。突然変異HE
RG遺伝子産物を見出すことは、野生型HERG遺伝子の変化を示す。
【0044】 突然変異HERG遺伝子または遺伝子産物は、血清、便、尿および唾液のごと
き他のヒト身体試料中にも検出し得る。組織中の突然変異遺伝子または遺伝子産
物を検出するための前記で論じたものと同じ技術を、他の身体試料に適用し得る
。かかる身体試料をスクリーニングすることによって、遺伝性LQTについて単
純な早期の診断を達成し得る。
【0045】 本発明のプライマー・ペアは、PCRを用いる特定のHERG対立遺伝子のヌ
クレオチド配列を決定するのに有用である。一本鎖DNAプライマーのペアは、
遺伝子自体の増幅DNA合成を開始するために、第7染色体上のHERG遺伝子
の中またはそれを取り囲む配列にアニーリングし得る。これらのプライマーの完
全セットにより、遺伝子コード配列、すなわちエキソンの全ヌクレオチドの合成
が許容され得る。好ましくは、プライマーのセットにより、イントロンおよびエ
キソン配列の双方の合成が許容される。対立遺伝子特異的プライマーも用い得る
。かかるプライマーは特定のHERG突然変異対立遺伝子にのみアニーリングし
、したがって、鋳型としての突然変異対立遺伝子の存在下でのみ産物を増幅する
であろう。
【0046】 増幅した配列のつづくクローニングを促進するために、プライマーはその5'
末端に添付した制限酵素部位配列を有し得る。したがって、プライマーの全ヌク
レオチドは、制限酵素部位を形成するのに必要な幾つかのヌクレオチドを除いて
、HERG配列またはHERGに近接する配列由来である。かかる酵素および部
位は当該技術分野でよく知られている。プライマー自体は、当該技術分野でよく
知られている技術を用いて合成し得る。一般的に、プライマーは、市販されてい
るオリゴヌクレオチド合成機を用いて作製し得る。得られたHERGのcDNA
配列(WarmkおよびGanetzky,1994)、特定のプライマーのデザインは当該技術
分野でよく知られている。本発明は、これに、イントロン/エキソン境界上のデ
ータを示し、それによってプライマーを設計して全エキソン領域の配列完全に増
幅し配列決定し得ることが加わる。
【0047】 本発明のよって供される核酸プローブは、多数の目的に有用である。それは、
ゲノムDNAに対するサザン・ハイブリダイゼーションおよび前記にすでに論じ
た点突然変異を検出するためのRNアーゼ保護法に用い得る。プローブを用いて
PCR増幅産物を検出し得る。それらは、他の技術を用いてHERG遺伝子また
はmRNAとの誤対合を検出することもできる。
【0048】 野生型HERG遺伝子を有する個人が遺伝性LQTを有しないことを発見した
。しかしながら、HERG遺伝子産物の機能を妨害する突然変異はLQTの病理
に関与しない。したがって、機能損失または変化した機能を有するタンパク質を
産生する変化した(または突然変異)HERG遺伝子の存在は、心臓不整脈の危
険性を増大させるLQTを直接引起す。HERG遺伝子突然変異を検出するため
に、生物試料を調製し、分析すべき対立遺伝子の配列と野生型対立遺伝子の配列
との間の相異につき分析する。突然変異HERG対立遺伝子は、前記した技術の
いずれかによって最初に同定し得る。ついで、突然変異対立遺伝子を配列決定し
て、特定の突然変異対立遺伝子の特異的な突然変異を同定する。別法として、突
然変異対立遺伝子は、慣用技術を用いて、突然変異(変化した)タンパク質を同
定することによって最初に同定し得る。ついで、突然変異対立遺伝子を配列決定
して、各対立遺伝子について特異的な突然変異を同定する。ついで、突然変異、
とりわけ変化した機能のタンパク質に通じるものを、本発明の診断および予測法
に用いる。 本発明は、LQTおよび/またはトルサード・ド・ポワンツを発病する機会を
低下させるためにKで患者を治療する方法も提供する。細胞外K([K+] )によるHERGの変調は生理学的重要性を有し得る。迅速な心速度(heart ra
te)または虚血の間は、Kが細胞内の裂け目内に蓄積する(Gintantら,1992
)。[K]におけるこの上昇は、正味再分極電流に対するHERGの寄与を増
大させるであろう。したがって、高心速度の、または虚血の初期相の間の活動電
位の変調において、HERGはなおより重要となり得る。
【0049】 定義 本発明は以下の定義を用いる: “ポリヌクレオチドの増幅”は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、連結増幅
(またはリガーゼ連鎖反応、LCR)およびQ−ベータレプリカーゼの使用に基
づく増幅方法のごとき方法を利用する。また、鎖置換増幅(SDA)、好熱性S
DA、および核酸配列ベース増幅(3SRまたはNASBA)も有用である。こ
れらの方法は当該技術分野でよく知られており、広く実施されている。例えば、
(PCRについては)米国特許第4,683,195号および第4,683,202号ならびにInni
sら,1990;(LCRについては)WuおよびWallace,1989;(SDAについては)
米国特許第5,270,184号および第5,455,166号ならびにWalkerら,1992;(好熱性
SDAについては)Spargoら,1996、ならびに3SRおよびNASBAについて
は米国特許第5,409,818号、Fahyら,1991およびCompton,1991を参照されたし。
PCRを行うための試薬およびハードウェアは市販されている。HERG領域か
らの配列を増幅するのに有用なプライマーは、好ましくはHERG領域中または
その中の標的領域を挟む領域中の配列に相補的であって、特異的にハイブリダイ
ズする。増幅によって生成したHERG配列は直接的に配列決定し得る。別法と
して、あまり望ましくないが、増幅した配列(群)は配列分析の前にクローン化
し得る。酵素的に増幅したゲノム・セグメントの直接クローニングおよび配列分
析方法は、Scharfら,1986によって記載されている。
【0050】 “分析物ポリヌクレオチド”および“分析物鎖”とは、標的配列を含有すると
予想される一本鎖または二本鎖ポリヌクレオチドをいい、生物試料を含む種々の
タイプの試料中に存在し得る。 “抗体” 本発明は、HERGポリペプチドおよびそのフラグメントまたはH
ERG領域からのポリヌクレオチド配列に特異的に結合することができる、ポリ
クローナル抗体および/またはモノクローナル抗体ならびにそれらのフラグメン
ト、ならびにそれらの免疫学的結合等価物をも提供する。“抗体”なる語は、均
一な分子基、または複数の分子基から構成される血清生成物のごとき混合物の双
方をいうために用いる。ポリペプチドは、ペプチド合成機で合成的に調製し、担
体分子(例えば、鍵穴カサガイ・ヘモシアニン)にカップリングし、数ヶ月にわ
たりウサギに注射し得る。ウサギ血清は、HERGポリペプチドまたはフラグメ
ントに対する免疫反応性について試験する。モノクローナル抗体は、タンパク質
ポリペプチド、融合タンパク質またはそれらのフラグメントでマウスを注射する
ことによって生成し得る。モノクローナル抗体は、ELISAによってスクリー
ニングし、HERGポリペプチドまたはそのフラグメントとの特異的免疫反応性
について試験されるであろう。HarlowおよびLane,1988を参照されたし。これら
の抗体は、アッセイならびに医薬において有用であろう。
【0051】 十分量の目的のポリペプチドを得たら、それを種々の目的に用い得る。典型的
な用途は、結合性につき特異的な抗体の生成である。これらの抗体は、ポリクロ
ーナルまたはモノクローナルのいずれかとし得、当該技術分野でよく知られてい
るイン・ビトロ(in vitro)またはイン・ビボ(in vivo)技術によって生成し得
る。ポリクローナル抗体の生成については、適当な標的免疫系、典型的にはマウ
スまたはウサギを選択する。実質的に精製した抗原は、動物に適した方法および
免疫学者によく知られた他のパラメータによって決定した様式で免疫系に提示す
る。注射用の典型的な部位は、フットパッド中、筋肉内、腹膜内または皮内的で
ある。もちろん、マウスまたはウサギを他の種に置き換え得る。ついで、目的の
特異性に調整した、ポリクローナル抗体を当該技術分野で知られている技術を用
いて精製する。
【0052】 免疫学的応答は、通常、免疫アッセイを用いてアッセイする。普通、かかる免
疫アッセイには、例えば同一細胞によって生成されるおよび抗原として同一の様
式で生成される抗原の起源の幾分かの精製が含まれる。種々の免疫アッセイ法が
当該技術分野でよく知られている。例えば、HarlowおよびLane,1988またはGodi
ng,1986を参照されたし。
【0053】 10−8−1、または好ましくは10−9ないし10−10−1またはよ
り強力なアフィニティーを有するモノクローナル抗体は、典型的には、Harlowお
よびLane,1988またはGoding,1986に記載されている標準的な手法によって生成
されるであろう。簡単には、適当な動物を選択し、目的の免疫化プロトコールが
それに続く。適当な期間の後に、かかる動物の脾臓を取出し、適当な選抜条件下
にて、個々の脾臓細胞を典型的には不死化ミエローマ細胞に融合させる。その後
に、細胞を別々にクローン分離し、各クローンの上清を抗原の目的の領域に特異
的な適当な抗体のその生成について試験する。
【0054】 他の好適な技術には、抗原性ポリペプチドに対するリンパ球のイン・ビトロ(
in vitro)暴露、または別法として、ファージまたは同様なベクター中の抗体の
ライブラリーの選抜が含まれる。Huseら,1989を参照されたし。本発明のポリペ
プチドおよび抗体は修飾するかまたはしないで用い得る。頻繁には、ポリペプチ
ドおよび抗体は、共有的または非共有的に、検出可能なシグナルを供する物質に
結合することによって標識するであろう。広範な種々の標識およびコンジュゲー
ト技術が知られており、科学文献および特許文献の双方に多数報告されている。
好適な標識には、放射性核種、酵素、基質、補助因子、インヒビター、蛍光剤、
化学ルミネセンス剤、マグネティック粒子等が含まれる。かかる標識の使用を教
示する特許には、米国特許第3,817,837号;第3,850,752号;第3,939,350号;第3
,996,345号;第4,277,437号;第4,275,149号および第4,366,241号が含まれる。
また、組換え免疫グロブリンも生成し得る(米国特許第4,816,567号を参照され
たし)。
【0055】 “結合パートナー”とは、高い特異性でリガンド分子を結合することができる
分子をいい、例えば、抗原と抗原−特異的な抗体または酵素とそのインヒビター
のごときである。一般的に、特異的結合パートナーは、単離条件下にて分析物コ
ピー/(ポリヌクレオチド・ハイブリダイゼーションの場合においては)相補鎖
デュプレックスを固定させるのに十分なアフィニティーで結合しなければならな
い。特異的な結合パートナーは当該技術分野で知られており、例えば、ビオチン
およびアビジンまたはストレプトアビジン、IgGおよびプロテインA、膨大な
公知のレセプター−リガンド結合物ならびに相補的ポリヌクレオチド鎖が含まれ
る。相補的ポリヌクレオチド結合パートナーの場合においては、パートナーは通
常少なくとも約15塩基長であって少なくとも40塩基長とし得る。15塩基よ
りも短い長さ(例えば、8塩基)、15ないし40塩基、および40塩基よりも
長いものも用い得ることは当業者によってよく認識される。ポリヌクレオチドは
、DNA、RNAまたは合成ヌクレオチド・アナログより構成し得る。さらなる
結合パートナーは、例えば本明細書中に記載するごとき2−ハイブリッド酵母ス
クリーニング・アッセイを用いて同定し得る。
【0056】 “生物試料”とは、個人からの分析物ポリヌクレオチドまたはポリペプチドを
含有すると予想される組織または流体の試料をいい、限定されるものではないが
、例えば血漿、血清、髄液、リンパ液、皮膚の表面切片、呼吸管、消化管および
尿生殖器管、涙、唾液、血液細胞、ガン、器官、組織およびイン・ビトロ(in v
itro)細胞培養構成物の試料が含まれる。 “コードする” ポリヌクレオチドは、その天然の状態で、または当業者によ
く知られている方法によって操作した場合に、それが転写および/または翻訳さ
れてmRNAおよび/もしくはポリペプチドまたはそれらのフラグメントを生成
し得る場合には、ポリペプチドを“コードする”という。アンチセンス鎖はかか
る核酸の相補体であって、コード配列はそれから推定可能である。 “単離した”または“実質的に純粋な” “単離した”または“実質的に純粋
な”核酸(例えば、RNA、DNAまたは混合ポリマー)とは、天然のヒト配列
またはタンパク質、例えばリボソーム、ポリメラーゼ、多くの他のヒトゲノム配
列およびタンパク質を自然に伴う他の細胞コンポーネントから実質的に分離され
たものである。この語は、その天然に発生した環境から取り出された核酸配列ま
たはタンパク質を包含し、組換えまたはクローン化DNA単離体ならびに化学合
成アナログまたは不均一系によって生物学的に合成したアナログが含まれる。
【0057】 “HERG対立遺伝子”とは、HERG遺伝子座の正常な対立遺伝子ならびに
LQTを引起す変異を運搬しているHERGの対立遺伝子をいう。 “HERG遺伝子座”、“HERG遺伝子”、“HERG核酸”または“HE
RGポリヌクレオチド”とは、各々、その全てがHERG領域中に存在し、正常
な組織中で発現されているような、そのある種の対立遺伝子がLQTを生じる、
ポリヌクレオチドをいう。HERG遺伝子座は、コード配列、介在配列、ならび
に転写および/または翻訳を制御する調節要素を含むことが意図される。HER
G遺伝子座はDNA配列の全対立遺伝子変異を含むことが意図される。
【0058】 これらの用語は、核酸に適用する場合には、例えばタンパク質融合物または欠
失を含む、ヒトHERGのポリペプチド、フラグメント、ホモログまたは変異型
をコードする核酸をいう。本発明の核酸は、天然HERG−コード遺伝子に由来
するかまたはそれと実質的に同様かのいずれかである配列、または天然HERG
−コード遺伝子またはその一部分と実質的な相同性を有する配列を所有するであ
ろう。
【0059】 HERG遺伝子または核酸には、HERGポリヌクレオチドのアミノ酸配列に
対して効果を有しないサイレント対立遺伝子、ならびにその機能に実質的に影響
しないHERGポリペプチドのアミノ酸配列変異型に通じる対立遺伝子を含む、
HERG遺伝子の正常な対立遺伝子が含まれる。これらの用語は、HERGポリ
ペプチドの機能に悪影響する1またはそれを超える突然変異を有する対立遺伝子
も含む。突然変異は、HERG機能の部分的または完全な消失を生じる、HER
Gポリポリペプチドのアミノ酸配列中に有害な変化を生成するHERG核酸配列
中の変化、または効果的なHERG発現の消失もしくは異常な形態のHERGポ
リペプチドの生成を生じる核酸配列中の変化となり得る。
【0060】 HERG核酸は配列番号:1(HERG cDNAのコード領域)または配列
番号:3(5'UTRおよび3'UTRを含むcDNA)に示すものとし得、ある
いはそれは前記した対立遺伝子または示した配列の1またはそれを超えるヌクレ
オチドの1またはそれを超える付加、挿入、欠失および置換である変化によって
示されるものとは異なる変異型または誘導体となり得る。ヌクレオチド配列に対
する変化はタンパク質レベルのアミノ酸変化、さもなくば遺伝コードによって決
定するアミノ酸変化を生じ得る。
【0061】 したがって、本発明による核酸は、配列番号:1および3に示す配列とは異な
る配列を含み得、なお、配列番号:2および4に示す同アミノ酸配列を有するポ
リペプチドをコードし得る。すなわち、本発明の核酸には、遺伝コードの結果と
して縮重である配列が含まれる。一方、コードされるポリペプチドは、配列番号
:2および4に示すアミノ酸配列からの1またはそれを超えるアミノ酸残基で異
なるアミノ酸配列を含み得る。配列番号:2および4に示すアミノ酸配列のアミ
ノ酸配列変異型、誘導体または対立遺伝子であるポリペプチドをコードする核酸
も、本発明によって提供される。
【0062】 HERG遺伝子は、(a)(i)高ストリンジェントな条件下(Ausubelら,1
992)で配列番号:2または配列番号:4に記載のアミノ酸配列をコードするD
NA配列の相補体にハイブリダイズする、および(ii)HERGに機能的に等
価である遺伝子産物をコードする、いずれのDNA配列、あるいは(b)(i)
適度にストリンジェントな条件のごとき(Ausubelら,1992)、より低くストリ
ンジェントな条件下で配列番号:2または配列番号:4に記載のアミノ酸配列を
コードするDNA配列の相補体にハイブリダイズする、および(ii)HERG
に機能的に等価である遺伝子産物をコードする、いずれかのDNA配列をもいう
。本発明は、本明細書中に記載する配列の相補体である核酸分子をも含む。
【0063】 本発明のポリヌクレオチド組成物には、RNA、cDNA、ゲノムDNA、合
成形、および混合ポリマー、センスおよびアンチセンス鎖の双方が含まれ、当業
者により容易に理解されるごとく、化学的または生化学的に修飾し得、あるいは
非−天然または誘導化ヌクレオチド塩基を含み得る。かかる修飾には、例えば、
標識、メチル化、アナログでの1またはそれを超える天然に発生する置換、非電
荷結合(例えば、ホスホン酸メチル、ホスホトリエステル、ホスホロアミデート
、カルバメート他)、電荷結合(例えば、ホスホロチオエート、ホスホロジチオ
エート他)、ペンダント基(例えば、ポリペプチド)、インターカレーター(例
えば、アクリジン、ソラレン他)、キレート剤、アルキル剤、および修飾結合(
例えば、アルファ−アノマー核酸他)のごときヌクレオチド間修飾が含まれる。
また、水素結合およびその他の化学的相互作用を介して設計した配列に結合する
その能力においてポリヌクレオチドを模倣する合成分子も含まれる。かかる分子
は当該技術分野で知られており、例えば、その中で分子の骨格中のリン酸結合の
代わりにペプチド結合が用いられているものが含まれる。
【0064】 本発明は、HERG領域の全部または一部分を含む組換え核酸を提供する。組
換え構築物は宿主細胞で自律的に複製することができる。別法として、組換え構
築物は、宿主細胞の染色体DNAに組み込まれ得る。かかる組換えポリヌクレオ
チドには、その起源または操作によって、1)天然ではそれと関連するポリヌク
レオチドの全部または一部分と関連しない;2)天然ではそれに結合するもの以
外のポリヌクレオチドに結合する;または3)天然では発生しない、ゲノム、c
DNA、半合成または合成起源のポリヌクレオチドが含まれる。本発明による核
酸がRNAを含む場合には、示した配列に参照して、Tに代えてUを用いて、R
NA等価物を参照すると解釈しなければならない。
【0065】 したがって、天然に発生しない他の配列を含む組換え核酸が本発明によって提
供される。野生型配列も用い得るが、それはしばしば、例えば欠失、置換または
挿入によって変化されるであろう。種々のタイプのcDNAまたはゲノミック・
ライブラリーは、本発明の核酸の天然起源としてスクリーニングし得、あるいは
かかる核酸はゲノムDNAまたは他の天然起源に内在する配列の、例えばPCR
による増幅によって提供され得る。cDNAライブラリーの選択は、通常、目的
タンパク質のmRNAに富む組織起源に対応する。ファージ・ライブラリーが普
通は好ましいが、他のタイプのライブラリーも用い得る。ライブラリーのクロー
ンをプレート上にひろげ、スクリーニング用の基体に移し、変性させ、ついで目
的の配列の存在について釣上げる。
【0066】 本発明において用いるDNA配列は、通常、少なくとも約5コドン(15ヌク
レオチド)、より通常には少なくとも約7−15コドン、および最も好ましくは
、少なくとも約35コドンを含むであろう。1またはそれを超えるイントロンも
存在し得る。このヌクレオチドの数は、通常、HERGをコードする配列と特異
的にハイブリダイズするであろう首尾よいプローブに必要なほぼ最小限の長さで
ある。この文章において、8ヌクレオチドほども短いオリゴマー、より一般的に
は8−17ヌクレオチドを、とりわけチップ技術と連結して、プローブに使用し
得る。
【0067】 核酸操作用の技術は、例えば、Sambrookら,1989またはAusubelら,1992に一般
的に記載されている。制限酵素等のごとき、かかる技術を適用するのに有用な試
薬は当該技術分野で広く知られており、New England BioLabs社、Boehringer Ma
nnheim社、Amersham社、Promega社、U.S.Biochemicals社、New England Nuclear
社のごとき業者および多数の他の供給源から市販されている。本発明の融合タン
パク質を生成するために用いる組換え核酸配列は、天然または合成配列由来とし
得る。多くの天然遺伝子配列が、適当なプローブを用いて種々のcDNAからま
たはゲノミック・ライブラリーから入手可能である。GenBank,National Instit
utes of Healthを参照されたし。
【0068】 本明細書中で用いるHERGの遺伝子座または領域または対立遺伝子の“一部
分”は、少なくとも約8ヌクレオチド、または好ましくは約15ヌクレオチド、
またはより好ましくは少なくとも約25ヌクレオチドの最小限サイズを有すると
定義され、少なくとも約40ヌクレオチドの最小限サイズを有し得る。この定義
には、8−40ヌクレオチドの範囲の全てのサイズならびに40ヌクレオチドを
超えるものが含まれる。したがって、この定義には、8、12、15、20、2
5、40、60、80、100、200、300、400、500ヌクレオチド
の核酸、またはこれらの値の範囲内のいずれかの数のヌクレオチド(例えば、9
、10、11、16、23、30、38、50、72、121他のヌクレオチド
)を有する核酸、または500を超えるヌクレオチドを有する核酸が含まれる。
本発明は、配列番号:1または配列番号:3、その相補体または機能的に等価な
核酸配列由来の少なくとも8ヌクレオチドを有する全ての新規な核酸を含む。本
発明は、先行技術に存在する核酸を含むものではない。すなわち、本発明は、配
列番号:1または配列番号:3由来の少なくとも8ヌクレオチドを有する全ての
核酸を含むが、但し、先行技術に存在する核酸は含まない。
【0069】 “HERGタンパク質”または“HERGポリペプチド”とは、HERG遺伝
子座、変異型またはそれらのフラグメントによってコードされたタンパク質また
はポリペプチドをいう。“ポリペプチド”なる語は、アミノ酸およびその等価物
のポリマーをいうのであって、特定の長さの生成物をいうものではない;したが
って、ペプチド、オリゴペプチドおよびタンパク質がポリペプチドの定義の中に
含まれる。この語は、例えば、グリコシル化、アセチル化、リン酸化等のような
ポリペプチドの修飾をいうものではなく、あるいはそれを排除する。定義の中に
含まれるのは、例えば、(例えば、非天然アミノ酸他を含む)1またはそれを超
えるアミノ酸のアナログを含むポリペプチド、置換結合を有するポリペプチドな
らびに天然および非天然に発生する当該技術分野で公知の他の修飾である。通常
、かかるポリペプチドは、天然HERG配列に対して少なくとも約50%相同で
あり、好ましくは約90%を超えて相同であり、より好ましくは少なくとも約9
5%相同であろう。また、高または低ストリンジェンシー条件下でHERGをコ
ードする核酸にハイブリダイズするDNAによってコードされるタンパク質、な
らびにHERGタンパク質(群)に対する抗血清によって回収された酷似するポ
リペプチドまたはタンパク質も含まれる。
【0070】 HERGポリペプチドは、単離および/または精製形態の、それと天然には関
連する材料を含まないまたは実質的に含まないものとし得る、配列番号:2また
は配列番号:4に示したものとし得る。ポリペプチドは、原核生物細胞中の発現
によって生成するかまたは合成的に生成する場合には、グリコシル化のごとき天
然の翻訳後プロセシングを欠き得る。別法として、本発明は、HERGポリペプ
チドの配列変異型、対立遺伝子または誘導体であるポリペプチドにも指向される
。かかるポリペプチドは、1またはそれを超えるアミノ酸の1またはそれを超え
る付加、置換、欠失または挿入によって、配列番号:2または配列番号:4に記
載のものとは異なるアミノ酸配列を有し得る。好ましいかかるポリペプチドはH
ERG機能を有する。
【0071】 置換変異型は、典型的には、タンパク質内の1またはそれを超える部位で1の
アミノ酸から他のものへの交換を含み、他の機能または特性を消失することなく
、タンパク質加水分解切断に対する安定性のごとき、1またはそれを超えるポリ
ペプチドの特性を変調するように設計し得る。アミノ酸置換は、関与する残基の
極性、電荷、溶解性、疎水性、親水性、および/または好熱的性質における類似
性に基づいて作成し得る。好ましい置換は、保存的、すなわち1のアミノ酸を同
様な形態および電荷のもので置換えたものである。保存的置換は当該技術分野で
よく知られており、典型的には、以下のグループ内の置換が含まれる:グリシン
、アラニン;バリン、イソロイシン、ロイシン;アスパラギン酸、グルタミン酸
;アスパラギン、グルタミン;セリン、トレオニン;リシン、アルギニン;およ
びチロシン、フェニルアラニン。
【0072】 ある種のアミノ酸は、例えば、抗体の抗原結合領域または基質分子上の結合部
位もしくはHERGポリペプチドと相互作用するタンパク質上の結合部位のごと
き、構造との相互作用結合能力のかなりの消失なしに、タンパク質構造中で他の
アミノ酸に置換し得る。タンパク質の生物学的機能活性を決めるのはタンパク質
の相互作用能力および性質であるため、ある種のアミノ酸置換をタンパク質配列
およびその基礎をなすDNAコード配列中に作成し得、それにもかかわらず、同
様な特性を有するタンパク質を得ることができる。かかる変化を作成することに
おいて、アミノ酸のハイドロパシー・インデックスを考慮し得る。タンパク質に
相互作用的生物機能を付与することにおける疎水性アミノ酸インデックスの重要
性は、一般的に当該技術分野で理解されている(KyteおよびDoolittle,1982)
。別法として、同様なアミノ酸の置換は、親水性に基づいて効果的に作成し得る
。タンパク質の相互作用的生物機能を付与することにおける親水性の重要性は、
一般的に当該技術分野で理解されている(米国特許第4,554,101号)。ポリペプ
チドを設計することにおいて疎水性インデックスまたは親水性を用いることは、
米国特許第5,691,198号にさらに論じられている。
【0073】 相同性について比較したポリペプチド配列の長さは、一般的に、少なくとも約
16アミノ酸、通常、少なくとも約20残基、より通常には少なくとも約24残
基、典型には少なくとも約28残基、および好ましくは約35を超える残基であ
ろう。 “作動可能に結合した”とは、かく記載したコンポーネントがその意図する様
式で機能することを許容する関係で存在する並びをいう。例えば、プロモーター
がコード配列の転写または発現に影響する場合、該プロモーターはコード配列に
作動可能に結合している。 ペプチド模倣物または模倣物なる語は、HERGポリペプチドの本質的な生物
活性を有する物質をいうことを意図する。ペプチド模倣物は、タンパク質二次構
造のエレメントを模倣するペプチド含有分子とし得る(Johnsonら,1993)。ペ
プチド模倣物の使用の背後に存在する根本的理由は、主として、タンパク質のペ
プチド骨格が、抗体と抗原、酵素と基質または足場タンパク質のもののごとき、
分子相互作用を促進するように、アミノ酸側鎖を方向付けるために存在すること
である。ペプチド模倣物は、天然分子と同様な分子相互作用を許容するように設
計される。模倣物は、必ずしもペプチドでなくてもよいが、それは天然HERG
ポリペプチドの本質的な生物活性を保持しているであろう。
【0074】 “プローブ” LQTへの素因であるHERG対立遺伝子と関連するポリヌク
レオチド多型性は、ストリンジェントないし適度にストリンジェントなハイブリ
および洗浄条件下で、標的配列のポリヌクレオチドと安定なハイブリッドを形成
するポリヌクレオチド・プローブとのハイブリダイゼーションによって検出され
る。プローブが標的配列に対して完全に相補的であろうと予想される場合には、
高ストリンジェンシー条件を用いるであろう。幾つかの誤対合が予想される場合
、例えば、プローブが完全に相補的ではないであろうという結果でもって変異型
が予想される場合には、ハイブリダイゼーション・ストリンジェンシーを低下し
得る。非特異的/偶然の結合を除外、すなわちノイズを最小限化する条件を選択
する。(本明細書全体を通して、“ストリンジェント”条件を用いると単純に述
べられている場合には、“高ストリンジェンシー”条件を用いたと読むことを意
味する)。かかる指摘は中性DNA多型性ならびに突然変異を同定するため、こ
れらの指摘は、HERG感受性対立遺伝子の検出を示すためにさらなる分析を必
要とする。
【0075】 HERG対立遺伝子用のプローブは、HERG領域の配列、そのcDNA、機
能的等価配列、またはそれらの相補体由来とし得る。プローブは、HERG領域
の全体または一部分にひろがるいずれの好適な長さのものであってもよく、それ
は領域に対する特異的なハイブリダイゼーションを許容する。標的配列がプロー
ブのものと同一の配列を含む場合には、ハイブリッドはストリンジェント条件下
でさえ比較的安定であろうため、プローブを例えば8−30塩基対の範囲の短い
ものとし得る。ある程度の誤対合がプローブとで予想される場合、すなわち、プ
ローブが変異型領域にハイブリダイズするであろうと予想される場合には、必要
な特異性で標的配列にハイブリダイズするより長いプローブを用い得る。
【0076】 プローブは、標識またはレポーター分子に結合した単離ポリヌクレオチドを含
み、標準的な方法によって配列類似性を有する他のポリヌクレオチド配列を単離
するために用い得る。プローブを調製および標識する技術については、例えばSa
mbrookら,1989またはAusubelら,1992を参照されたし。他の同様なポリヌクレ
オチドは、相同ポリヌクレオチドを用いることによって選択し得る。別法として
、これらまたは同様なポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、遺伝子コ
ードの縮重を使用することによって合成または選択し得る。種々のコドン置換を
、例えばサイレント変化(それによって、種々の制限部位を生成する)によって
導入し、あるいは特定の系に対する発現を最適化し得る。突然変異を導入して、
ポリペプチドの特性を修飾し、おそらくポリペプチドの分解または代謝速度を変
化させ得る。
【0077】 本発明の合成オリゴヌクレオチドまたは他のポリヌクレオチドを含むプローブ
は、天然発生または組換え一本鎖もしくは二本鎖ポリヌクレオチド由来とし得、
あるいは化学合成し得る。プローブは、ニック・トランスレーション、クレノウ
・フィル-イン反応、または当該技術分野で知られている他の方法によっても標
識し得る。 HERGをコードするポリヌクレオチド配列からの、少なくとも約8のヌクレ
オチド、通常少なくとも約15のヌクレオチドを有し、かつ約9kbよりも小さ
い、通常約1.0kbよりも小さいポリヌクレオチド配列の部分が、プローブと
して好ましい。したがって、この定義には、8、12、15、20、25、40
、60、80、100、200、300、400または500ヌクレオチドのプ
ローブ、またはこれらの値の範囲内のいずれかの数(例えば、9、10、11、
16、23、30、38、50、72、121他のヌクレオチド)のヌクレオチ
ドを有するプローブ、あるいは500を超えるヌクレオチドを有するプローブが
含まれる。該プローブを用いて、HERGをコードするmRNAが細胞または組
織中に存在するか否かを判定することもできる。本発明は、配列番号:1または
配列番号:3由来の少なくとも8のヌクレオチドを有する全ての新規なプローブ
、その相補体または機能的に等価な核酸配列を含む。本発明は、先行技術に存在
するプローブを含むものではない。すなわち、本発明は、配列番号:1または配
列番号:3由来の少なくとも8のヌクレオチドを有する全てのプローブを含むが
、但し、それには先行技術に存在するプローブは含まれない。
【0078】 同様な考察およびヌクレオチド長は、HERG遺伝子の全体または一部分の増
幅に用い得るプライマーにも適用し得る。したがって、プライマーについての定
義には、8、12、15、20、25、40、60、80、100、200、3
00、400、500ヌクレオチドのプライマー、またはこれらの値の範囲内の
いずれかの数のヌクレオチド(例えば、9、10、11、16、23、30、3
8、50、72、121他のヌクレオチド)を有するプライマー、あるいは50
0を超えるヌクレオチド、あるいは500ないし9000のいずれかの数のヌク
レオチドを有するプライマーが含まれる。このプライマーを用いて、HERGを
コードするmRNAが細胞または組織中に存在するか否かを判定することもでき
る。本発明は、HERG遺伝子を増幅するための、HERG遺伝子座由来の少な
くとも8のヌクレオチドを有する全ての新規なプライマー、その相補体または機
能的に等価な核酸配列が含まれる。本発明は、先行技術に存在するプライマーを
含むものではない。すなわち、本発明は、少なくとも8のヌクレオチドを有する
全てのプライマーを含むが、但し、先行技術に存在するプライマーは含まない。
【0079】 “タンパク質修飾またはフラグメント”は、一次構造配列に実質的に相同であ
るが、例えば、イン・ビボ(in vivo)またはイン・ビトロ(in vitro)の化学お
よび生化学修飾を含むかまたは異常なアミノ酸を取入れた、HERGポリペプチ
ドまたはそのフラグメントに関する本発明によって供される。かかる修飾には、
例えば、当業者によって容易に認識されるであろう、アセチル化、カルボキシル
化、リン酸化、グリコシル化、ユビキチン化、例えば放射性核種での標識ならび
に種々の酵素的修飾が含まれる。ポリペプチドを標識する種々の方法およびかか
る目的につき有用な種々の置換または標識は当該技術分野でよく知られており、 32 Pのごときラジオアイソトープ、標識化抗リガンドに結合するリガンド(例
えば、抗体)、発蛍光団、化学ルミネセンス剤、酵素、ならびに標識リガンドに
対する特異的結合ペア・メンバーとして作用し得る抗リガンドが含まれる。標識
の選択は、必要な感度、プライマーとのコンジュゲーションの容易性、安定性要
件、および入手可能な機器に依存する。ポリペプチドを標識する方法は当該技術
分野でよく知られている。Sambrookら,1989またはAusubelら,1992を参照され
たし。
【0080】 実質的に完全長のポリペプチドに加えて、本発明は、ポリペプチドの生物学的
に活性なフラグメントを提供する。重要な生物活性には、HERGポリペプチド
に特徴的な、リガンド結合性、免疫学的活性および他の生物活性が含まれる。免
疫学的活性には、標的免疫系における免疫学的機能、ならびにHERGタンパク
質のエピトープに対する競合物(competitor)または置換抗原のいずれかとして
作用する、結合するための免疫学的エピトープの共有性の双方が含まれる。本明
細書中で用いる“エピトープ”とは、ポリペプチドの抗原決定基をいう。エピト
ープには、エピトープにユニークな空間コンホメーションで3のアミノ酸が含ま
れ得る。一般的に、エピトープは、少なくとも5のかかるアミノ酸、およびより
通常には、少なくとも8−10のかかるアミノ酸からなる。かかるアミノ酸の空
間コンホメーションを決定する方法は、当該技術分野で知られている。
【0081】 免疫学的目的のため、タンデム−リピート・ポリペプチド・セグメントを免疫
原として用い、それによって非常に抗原性の高いタンパク質を作成し得る。別法
として、かかるポリペプチドは特異的結合についての非常に効率的な競合物とし
て作用するであろう。HERGポリペプチドまたはそのフラグメントに対して特
異的な抗体の生成を以下に記載する。 本発明は、HERGポリペプチドおよびフラグメントを含む融合ポリペプチド
をも提供する。相同ポリペプチドは、2またはそれを超えるHERGポリペプチ
ド配列間またはHERGと関連タンパク質との配列の間の融合物とし得る。同様
にして、誘導タンパク質の特性または活性の組合せを示すであろう異種融合物を
構築し得る。例えば、リガンド−結合性のまたは他のドメインは異なる新たな融
合ポリペプチドまたはフラグメント間で“交換”し得る。かかる相同または異種
の融合ポリペプチドは、例えば、変化した強さまたは特異性の結合性を示し得る
。融合パートナーには、免疫グロブリン、細菌β−ガラクトシダーゼ、trpE
、プロテインA、β−ラクタマーゼ、アルファ・アミラーゼ、アルコール・デヒ
ドロゲナーゼおよび酵母アルファ接合因子が含まれる。Godowskiら,1988を参照
されたし。 融合タンパク質は、典型的には、下記するごときいずれかの組換え核酸法によ
って作成し得、あるいは化学合成し得る。ポリペプチドを合成する技術は、例え
ばMerrifield,1963に記載されている。
【0082】 “タンパク質精製”とは、HERGをコードする組換え核酸で形質転換した細
胞からのごとき、他の生物材料からHERGポリペプチドを単離するための種々
の方法をいい、当該技術分野でよく知られている。例えば、かかるポリペプチド
は、例えば本発明によって提供される抗体、を用いた免疫アフィニティー・クロ
マトグラフィーによって精製し得る。タンパク質精製の種々の方法は当該技術分
野でよく知られており、Deutscher,1990およびScopes,1982に記載されている
ものが含まれる。 “単離した”、“実質的に純粋な”および“実質的に均一な”なる語は、その
天然の状態でそれに付随するコンポーネントから分離されたタンパク質またはポ
リペプチドを説明するために相互交換的に用いる。モノメリック(monomeric)
タンパク質は、少なくとも約60ないし75%の試料が単一のポリペプチド配列
を示す場合は実質的に純粋である。実質的に純粋なタンパク質は、典型的には、
約60ないし90%W/Wのタンパク質試料、より通常には約95%を超えて、
および好ましくは約99%を超えて純粋であろう。タンパク質の純度または均一
度は、タンパク質試料のポリアクリルアミドゲル電気泳動につづくゲル染色時の
単一のポリペプチド・バンドの視覚化のごとき、当該技術分野でよく知られてい
る多数の方法によって示し得る。特定の目的のため、より高い分解能を、精製に
用いられている当該技術分野でよく知られているHPLCまたは他の方法を用い
ることによって得ることができる。
【0083】 HERGタンパク質は、その天然状態でそれに付随する天然の夾雑物からそれ
を分離した場合には、天然に関連するコンポーネントを実質的に含まない。した
がって、化学合成したか、またはそれからそれが天然に生じる細胞とは異なる細
胞系で合成したポリペプチドは、その天然に関連するコンポーネントを実質的に
含まないであろう。タンパク質は、当該技術分野でよく知られているタンパク質
精製技術を用いて、単離することによって天然に関連するコンポーネントを実質
的に含まないものとし得る。 単離し、操作した遺伝子配列の発現産物として産生されるポリペプチドは、相
同細胞型中で発現させた場合でさえ、本明細書中で用いるごとき“単離ポリペプ
チド”である。合成的に作成した形態または異種細胞によって発現された分子は
、本来的に単離分子である。
【0084】 “組換え核酸”とは、天然に発生しない、または配列の2の他の分離したセグ
メントの人工的組合せによって生成した核酸である。この人工的組み合わせは、
しばしば、化学合成法、または例えば遺伝子工学技術による核酸の単離セグメン
トの人工的な操作のいずれかによって行う。かかるものは、通常、コドンを、同
一または保存的アミノ酸をコードする縮重コドンで置換えるために行われ、一方
、典型的には配列認識部位を導入するかまたは除去する。別法として、目的の機
能の核酸セグメントを一緒に結合して、目的の機能組み合わせを生成するために
もそれを行う。
【0085】 “調節配列”とは、普通は遺伝子座のコード配列の100bp内の配列をいう
が、それはコード領域からより遠くに離れていることもあり、それは(遺伝子の
転写、およびメッセンジャーRNAの翻訳、スプライシング、安定性等を含む)
遺伝子の発現に影響する。 “実質的相同性または類似性” 他の核酸(またはその相補鎖)と(適当なヌ
クレオチドの挿入または欠失を有して)最適に並べた場合に、ヌクレオチド塩基
の少なくとも約60%、通常は少なくとも約70%、より通常には少なくとも約
80%、好ましくは少なくとも約90%、およびより好ましくは少なくとも約9
5−98%のヌクレオチド塩基にヌクレオチド配列の同一性が存在する場合には
、核酸またはそのフラグメントは、もう1のものに“実質的に相同である”(“
または実質的に類似である”)。 2の異なる核酸の間の相同性を決定するためには、BLASTNプログラム“
BLAST 2 sequences”を用いて%相同性を決定する。このプログラムは、
インターネット上でNational Center for Biotechnology Information (NCBI)か
ら公共用途で入手可能である(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/gorf/bl2.html)(
Altschulら,1997)。用いるべきパラメーターは、括弧内のデフォルト・パラメ
ーターで、以下のどの組み合わせが最高の算出%相同性を与えるかである:
【0086】 プログラム-blastn マトリックス-0 BLOSUM62 対合に対するリワード- 0 または 1 (1) 誤対合に対するペナルティー-0, -1, -2 または-3 (-2) オープンギャップ・ペナルティー- 0, 1, 2, 3, 4 or 5 (5) 伸長ギャップ・ペナルティー-0 or 1 (1) ギャップ x ドロップオフ-0 or 50 (50) 予測-10
【0087】 種々の他の結果と一緒に、このプログラムは完全鎖を横切る(across)または
対合する2の核酸の領域を横切る%同一性を示す。プログラムは、比較する2の
鎖のアライメントおよび同一性を結果の一部として示す。鎖が同じ長さのもので
ある場合には、同一性は核酸の完全長を横切って計算されるであろう。鎖が等し
くない長さのものである場合には、短い方の核酸の長さを用いるべきである。核
酸がそれらの配列の部分を全く同様に横切るがそれらの配列の残りを異なって横
切る場合には、blastnプログラム“BLAST2 Sequences”は類似部分のみを
横切る同一性を示し、これらの部分は別個に報告される。本明細書中の相同性を
決定する目的について、%相同性とは比較する2の配列のうちの短い方をいう。
いずれか1の領域が異なる%同一性で異なるアライメントで示される場合には、
最高の相同性を与えるアライメントを用いるべきである。平均化は、配列番号:
5および6のこの例におけるごとく行う。
【0088】
【化1】
【0089】 プログラム“BLAST 2 Sequences”は、選択したパラメータに依存して
これら2の核酸の異なるアライメントを示す。例えば、配列番号:5および6を
比較するために4セットのパラメータを選択し(ギャップ x ドロップオフは全
ケースにつき50とした)、結果を表1に示す。
【0090】
【表1】
【0091】 表1に示すごとく選択したパラメータのセットのいずれもが、必ずしもこれらの
配列を比較するためのパラメータの最良のセットであるとは限らないことは注意
すべきである。%相同性は、同一性を示す各領域につき、領域内の短い方の鎖の
塩基のフラクションとその領域についての%同一性を乗じ、これら全てを一緒に
加算ことによって算出される。例えば、表1に示す第1セットのパラメータを用
いれば、配列番号:5が短い方の配列(63塩基)であり、同一性の2の領域が
示される。第1のものは配列番号:6に対して92%同一性を有する配列番号:
5の塩基4−29(26塩基)を含み、第2のものは配列番号:6に対して10
0%同一性を有する配列番号:5の塩基39−59(21塩基)を含む。塩基1
−3、30−38および60−63(16塩基)は、配列番号:6といずれかの
同一性を有すると示されていない。%相同性は:(26/63)(92)+(2
1/63)(100)+(16/63)(0)=71.3%相同性として算出さ
れる。示した各4セットのパラメータを用いて算出した相同性の%を表1に掲載
する。他の幾つかのパラメータの組み合わせも可能であるが、それらは簡潔性の
ために掲載しない。各セットのパラメータが異なる算出%相同性となることが示
されている。最高%相同性を与える結果を用いるべきであるため、ただこれら4
セットのパラメータに基づいて、配列番号:5および6は87.1%の相同性を
有するというであろう。再度、他のパラメータを用いれば配列番号:5および6
についてのより高い相同性を示し得るが、簡潔性のため、全ての可能な結果は示
さない。
【0092】 別法として、選択的ハイブリダイゼーション条件下で、核酸またはそのフラグ
メントがもう1の核酸(またはその相補鎖)にハイブリダイズするであろう場合
には、鎖またはその相補体に対する実質的な相同性または(類似性)が存在する
。特異性の全体的欠如よりも実質的により選択的であるハイブリダイゼーション
が起こる場合には、ハイブリダイゼーションの選択性が存在する。典型的には、
少なくとも約14ヌクレオチドのストレッチにわたって、少なくとも約55%、
好ましくは少なくとも約65%、より好ましくは少なくとも約75%、および最
も好ましくは少なくとも約90%の相同性が存在する場合には、選択的ハイブリ
ダイゼーションが生じるであろう。Kanehisa,1984を参照されたし。相同性比較
の長さは、記載したごとく、より長いストレッチにわたるとし得、ある種の具体
例においては、少なくとも約9ヌクレオチド、通常には少なくとも約20ヌクレ
オチド、より通常には少なくとも約24ヌクレオチド、典型的には少なくとも約
28ヌクレオチド、より典型的には少なくとも約32ヌクレオチド、および好ま
しくは少なくとも約36またはそれを超えるヌクレオチドのストレッチにわたる
ものとしばしばされよう。
【0093】 核酸ハイブリダイゼーションは、当業者によって容易に理解されるごとく、塩
基の組成、相補鎖の長さ、およびハイブリダイズした核酸間のヌクレオチド塩基
誤対合の数に加えて、塩濃度、温度、または有機溶媒のごとき条件によって影響
されであろう。ストリンジェントな温度条件には、一般的に、30℃を超える、
典型的には37℃を超える、および好ましくは45℃を超える温度が含まれるで
あろう。ストリンジェントな塩濃度は、普通には1000mMより低い、典型的
には500mMより低い、および好ましくは200mMより低いものであろう。
しかしながら、パラメータの組み合わせは、いずれの単一のパラメータの測定よ
りも遥かに重要である。ストリンジェンシー条件は、核酸の長さおよび核酸の塩
基組成に依存し、当該技術分野でよく知られている技術によって決定し得る。We
tmurおよびDavidson,1968を参照されたし。
【0094】 プローブ配列も、ある種の条件下でデュプレックスDNAに特異的にハイブリ
ダイズして、トリプレックスまたは他のより高次元のDNA複合体を形成し得る
。かかるプローブの調製および好適なハイブリダイゼーション条件は当該技術分
野でよく知られている。
【0095】 “実質的に相同”または“実質的に同一”なる語は、ポリペプチドについてい
う場合には、問題のポリペプチドまたはタンパク質が全体的に天然に発生するタ
ンパク質またはその一部分と、少なくとも約30%同一、通常には少なくとも約
70%同一、より通常には少なくとも約80%同一、好ましくは少なくとも約9
0%同一、およびより好ましくは少なくとも約95%同一を示すことを示す。 ポリペプチドに関する相同性は、典型的には、配列解析ソフトウェアを用いて
測定する。例えば、Genetics Computer Group, University of Wisconsin Biote
chnology Center, 910 University Avenue, Madson, Wisconsin 53705の Sequen
ce Analysis Software Packageを参照されたし。タンパク質解析ソフトウェアは
、種々の置換、欠失および他の修飾にあてた相同性の測定を用いて類似配列をマ
ッチさせる。保存的置換には、典型的には、以下のグループの置換が含まれる:
グリシン、アラニン;バリン、イソロイシン、ロイシン;アスパラギン酸、グル
タミン酸;アスパラギン、グルタミン;セリン、トレオニン;リシン、アルギニ
ン;およびフェニルアラニン、チロシン。
【0096】 “実質的に同様な機能”とは、野生型HERG核酸または野生型HERGポリ
ペプチドに参照した、修飾核酸または修飾タンパク質の機能をいう。修飾ポリペ
プチドは、野生型HERGポリペプチドに対して実質的に相同であって、実質的
に同一の機能を有するであろう。修飾ポリペプチドは変化したアミノ酸配列を有
し得、かつ/または修飾アミノ酸を含み得る。機能の同様性に加えて、修飾ポリ
ペプチドは、より長い半減期のごとき他の有用な特性を有し得る。修飾ポリペプ
チドの機能(活性)の同様性は、野生型HERGポリペプチドの活性と実質的に
同一となり得る。別法として、修飾ポリペプチドの機能(活性)の同様性は、野
生型HERGポリペプチドの活性よりもより高いものとなり得る。修飾ポリペプ
チドは、慣用技術を用いて合成するか、あるいは修飾核酸によってコードさせて
、慣用技術を用いて産生させる。修飾核酸は慣用技術によって調製する。野生型
HERG遺伝子機能と実質的に同様な機能を有する核酸は、前記した修飾タンパ
ク質を産生する。
【0097】 ポリペプチド“フラグメント”、“部分”または“セグメント”とは、少なく
とも約5ないし7の隣接アミノ酸、しばしば少なくとも約7ないし9の隣接アミ
ノ酸、典型的には少なくとも約9ないし13の隣接アミノ酸、および最も好まし
くは、少なくとも約20ないし30またはそれを超える隣接アミノ酸のアミノ酸
残基のストレッチである。 本発明のポリペプチドは、可溶性である場合には、固相支持体、例えばニトロ
セルロース、ナイロン、カラム充填材(例えば、セファロース(Sepharose)ビ
ーズ)、マグネティック・ビーズ、ガラスウール、プラスチック、金属、ポリマ
ーゲル、細胞または他の基体にカップリングさせ得る。かかる支持体は、例えば
、ビーズ、ウェル、ディップスティックまたはメンブレンの形態をとり得る。
【0098】 “標的領域”とは、増幅および/または検出する核酸の領域をいう。“標的配
列”なる語は、目的条件下でそれとプローブまたはプライマーが安定なハイブリ
ッドを形成するであろう配列をいう。 本発明の実施は、別段指摘しない限り、化学、分子生物学、微生物学、組換え
DNA、遺伝学および免疫学の慣用技術を用いる。例えば、Maniatisら,1982;
Sambrookら,1989;Ausubelら,1992;Glover,1985;Anand,1992;Guthrieお
よびFink,1991を参照されたし。ヒト第1染色体のマッピングを含むヒト遺伝子
マッピング用の技術および材料の一般的議論は、例えばWhiteおよびLalouel,19
88に提供されている。
【0099】 組換えまたは化学合成核酸;ベクター、形質転換、宿主細胞の調製 大量の本発明のポリヌクレオチドは、好適な宿主細胞中の複製によって産生し
得る。目的フラグメントをコードする天然または合成ポリヌクレオチド・フラグ
メントは、原核生物または真核生物細胞に導入し、そこで複製することができる
、組換えポリヌクレオチド構築物、通常はDNA構築物に取り込ませる。通常、
ポリヌクレオチド構築物は、酵母または細菌のごとき単細胞宿主中の複製に好適
であろうが、(ゲノム内へ組込ませるか組込ませないで)培養哺乳動物もしくは
植物または他の真核生物セルラインへの導入も意図し得る。本発明の方法によっ
て作製した核酸の精製は、例えば、Sambrookら,1989またはAusubelら,1992に
記載されている。
【0100】 本発明のポリヌクレオチドは、例えばBeaucageおよびCaruthers,1981によっ
て記載されているホスホルアミダイト法またはMatteucciおよびCaruthers,1981
によるトリエステル法による化学合成によって生成することもでき、市販の自動
化オリゴヌクレオチド合成機で行い得る。二本鎖フラグメントは、相補鎖を合成
し、適当な条件下で該鎖を共にアニーリングさせるか、または適当なプライマー
配列とDNAポリメラーゼを用いて相補鎖を付加するかのいずれかによって、化
学合成の一本鎖生成物から得ることができる。
【0101】 原核生物または真核生物宿主に導入するために調製したポリヌクレオチド構築
物は、目的ポリペプチドをコードする意図するポリヌクレオチド・フラグメント
を含み、および、好ましくはポリペプチドをコードするセグメントに作動可能に
結合した転写および翻訳開始調節配列も含むであろう、宿主によって認識される
複製系を含み得る。発現ベクターは、例えば、複製起点または自律複製配列(A
RS)ならびに発現制御配列、プロモーター、エンハンサー、およびリボソーム
結合部位、RNAスプライス部位、ポリアデニル化部位、転写ターミネーター配
列およびmRNA安定化配列のごとき必要なプロセシング情報部位を含み得る。
かかるベクターは、当該技術分野でよく知られており、例えば、Sambrookら,19
89またはAusubelら,1992に論じられている標準的な組換え技術によって調製し
得る。
【0102】 適当なベクターおよび他の必要なベクター配列は、宿主中で機能するように選
択され、適当な場合には、HERG遺伝子と天然に関連するものを含み得る。セ
ルラインと発現ベクターとの作動可能な組合せの例は、Sambrookら,1989または
Ausubelら,1992に記載されており;またMetzgerら,1988も参照されたし。多く
の有用なベクターが当該技術分野で知られており、Stratagene社、New England
Biolabs社、Promega Biotech社等のごとき業者から得ることができる。trp、
lacおよびファージ・プロモーター、tRNAプロモーターおよび解糖酵素プ
ロモーターのごときプロモーターを原核生物宿主で用い得る。有用な酵母プロモ
ーターには、メタロチオネイン、3−ホスホグリセリン酸キナーゼまたはエノラ
ーゼもしくはグリセルアルデヒド3−リン酸デヒドロゲナーゼ、マルトースおよ
びガラクトース利用に寄与する酵素他のごとき他の解糖酵素のプロモーター領域
が含まれる。酵母発現において使用するのに好適なベクターおよびプロモーター
は、Hitzemanら,EP 73,675Aにさらに記載されている。適当な非−天然哺乳動物
プロモーターには、SV40からの初期および後期プロモーター(Fiersら,197
8)またはモロニー白血病ウイルス、マウス腫瘍ウイルス、ニワトリ肉腫ウイル
ス、アデノウイルスII、ウシ乳頭腫ウイルスまたはポリオーマ由来のプロモー
ターが含まれ得る。昆虫プロモーターは、バキュロウイルス由来とし得る。加え
て、構築物は、遺伝子の複数コピーを生成し得るように、増幅性遺伝子(例えば
、DHFR)に結合し得る。適当なエンハンサーおよび他の発現制御配列に関し
ては、Enhancers and Eukaryotic Gene Expression, Cold Spring Harbor Press
, Cold Spring Harbor, New York (1983)も参照されたし。また、例えば、米国
特許第5,691,198号;第5,735,500号;第5,747,469号および第5,436,146号も参照
されたし。
【0103】 かかる発現ベクターは自律的に複製し得るが、それらは当該技術分野でよく知
られている方法によって、宿主細胞のゲノムに挿入することによっても複製し得
る。 発現およびクローニングベクターは、選択マーカー、ベクターで形質転換した
宿主細胞の生存または増殖に必要なタンパク質をコードする遺伝子を含むようで
ある。この遺伝子の存在は、インサートを発現する宿主細胞のみの増殖を保証す
る。典型的な選択遺伝子は、a)抗生物質または他の毒性物質、例えばアンピシ
リン、ネオマシン、メトトレキサート他に対する抵抗性を付与する、b)栄養要
求性欠損を補う、またはc)複合培地から利用できない必須栄養素を供給する(
例えば、BacilliについてはD−アラニンラセマーゼをコードする遺伝子)、タ
ンパク質をコードする。適当な選択マーカーの選択は宿主細胞に依存し、異なる
宿主に対する適当なマーカーは当該技術分野でよく知られている。
【0104】 注目する核酸を含有するベクターはイン・ビトロ(in vitro)で転写し、得ら
れたRNAをよく知られている技術、例えばインジェクション(Kuboら,1988を
参照されたし)によって宿主細胞に導入し、あるいはベクターは、エレクトロポ
レーション;塩化カルシウム、塩化ルビジウム、リン酸カルシウム、DEAE−
デキストランまたは他の物質を用いるトランスフェクション;マイクロプロジェ
クタイル・ボンバード法;リポフェクション;インフェクション(ベクターがレ
トロウイルス・ゲノムのごとき感染性因子である場合);ならびに他の方法を含
む、細胞宿主のタイプに依存して変化する、当該技術分野でよく知られている方
法によって宿主細胞に直接的に導入し得る。一般的には、Sambrookら,1989およ
びAusubelら,1992を参照されたし。とりわけ前記したものを含む当該技術分野
で知られているいずれかの方法によってポリヌクレオチドを宿主細胞に導入する
ことを、本明細書中で“形質転換”という。前記した核酸が導入された細胞は、
かかる細胞の子孫をも含むことを意味する。
【0105】 大量の本発明の核酸およびポリヌクレオチドは、和合性の原核生物または真核
生物宿主細胞において、ベクターまたは他の発現担体中でHERG核酸またはそ
の一部分を発現させることによって調製し得る。バチルス・ズブチルス(Bacill
us subtilis)またはシュードモーナス(Pseudomonas)のごとき他の原核生物も
用い得るが、最も一般的に用いられる原核生物宿主はエスシェリキア・コリ(Es
cherichia. coli)株である。
【0106】 哺乳動物、あるいは酵母、糸状菌、植物、昆虫または両生類もしくは鳥類種の
ごとき他の真核生物宿主細胞も、本発明のタンパク質の産生に有用となり得る。
培養における哺乳動物細胞の繁殖はそれ自体よく知られている。JakobyおよびPa
stan(編),1979を参照されたし。例えばより高い発現性、望ましいグリコシル
化パターンまたは他の特徴を提供するためには他のセルラインが適当となり得る
ことは熟練者によって理解されるが、一般的に用いられる哺乳動物セルラインの
例はVEROおよびHeLa細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞
、ならびにWI38、BHKおよびCOSセルラインである。一般的に用いられ
る昆虫セルラインの例はSF9である。
【0107】 クローンは、ベクター構築物のモードに依存するマーカーを用いることによっ
て選抜する。マーカーは同一または異なるDNA分子、好ましくは同一DNA分
子上に存在し得る。原核生物宿主においては、形質転換体は、例えばアンピシリ
ン、テトラサイクリンまたは他の抗生物質に対する抵抗性によって、選択し得る
。温度感受性に基づく特定の生成物の産生も適当なマーカーとして作用し得る。
【0108】 本発明のポリヌクレオチドで形質転換した原核細胞または真核細胞は、本発明
の核酸およびポリペプチドの生成のみならず、例えば、HERGポリペプチドの
特徴を研究することにおいても有用であろう。 本明細書中に開示するHERG遺伝子配列に基づくプローブおよびプライマー
を用いて、他の種の相同HERG遺伝子配列およびタンパク質を同定する。これ
らの遺伝子配列およびタンパク質は、それらを単離した種についての本明細書中
に記載する診断/予測、治療および薬剤スクリーニング法に用いる。
【0109】 使用方法:薬剤スクリーニング 本発明は、種々の薬剤スクリーニング技術のいずれかにHERGポリペプチド
またはその結合性フラグメントを用いることによって化合物をスクリーニングす
るのに特に有用である。 かかる試験に用いるHERGポリペプチドまたはそのフラグメントは、溶液中
で遊離しているか、固体支持体に固定されているか、または細胞表面に運ばれて
いるかのいずれかで存在し得る。薬物スクリーニングの1の方法は、好ましくは
競合結合アッセイにおいて、ポリペプチドまたはフラグメントを発現している組
換えポリヌクレオチドで安定に形質転換した真核生物または原核生物宿主細胞を
利用する。かかる細胞は、可変または固定形態で、標準結合アッセイに使用し得
る。例えば、HERGポリペプチドまたはフラグメントと試験すべき剤との間の
複合体の形成について測定することができ、あるいはHERGポリペプチドまた
はフラグメントと公知のリガンドとの間の複合体の形成が試験すべき剤によって
妨害される程度を調べ得る。
【0110】 かくして、本発明は、かかる剤とHERGポリペプチドまたはそのフラグメン
トとを接触させて、当該技術分野でよく知られている方法によって、(i)剤と
HERGポリペプチドまたはフラグメントとの間の複合体の存在について、また
は(ii)HERGポリペプチドまたはフラグメントとリガンドとの間の複合体
の存在についてアッセイすることを含む薬剤のスクリーニング方法を提供する。
かかる競合結合アッセイにおいては、HERGポリペプチドまたはフラグメント
は典型的には標識する。遊離HERGポリペプチドまたはフラグメントは、タン
パク質:タンパク質複合体で存在するものから分離し、遊離(すなわち非複合体
形成)標識の量は、各々、HERGに対する試験すべき剤の結合性またはHER
G:リガンド結合性のその妨害の測定値である。また、遊離よりむしろ、結合し
たHERGの量を測定することもできる。また、HERGよりむしろ、リガンド
を標識し、試験すべき薬物の存在または不存在下でHERGに結合したリガンド
の量を測定することも可能である。
【0111】 薬剤スクリーニングのもう1つの技術は、HERGポリペプチドに対して好適
な結合アフィニティーを有する化合物の高処理量スクリーニングを提供し、Geys
en(国際公開 WO84/03564)に詳記されている。簡単に述べると、多数の異なる
小ペプチド試験化合物を、プラスチック・ピンまたは他の表面のごとき固体基体
上で合成する。ペプチド試験化合物をHERGポリペプチドと反応させ、洗浄す
る。ついで、結合したHERGポリペプチドを当該技術分野でよく知られている
方法によって検出する。
【0112】 精製HERGは、前記した薬剤スクリーニング技術で使用するためのプレート
上に直接コートし得る。しかしながら、ポリペプチドに対する非−中和抗体を用
いて抗体を捕捉して、固相上にHERGポリペプチド固定化し得る。 本発明は、HERGポリペプチドに特異的に結合することができる中和抗体を
、HERGポリペプチドまたはそのフラグメントに結合する試験化合物と競合さ
せる競合薬剤スクリーニングアッセイの使用をも考慮している。この様にして、
抗体を用いて、HERGポリペプチドの1またはそれを超える抗原決定基を共有
するいずれかのペプチドの存在を検出し得る。 前記スクリーニング法は、HERGのみを用いるアッセイに限定されるもので
はなく、HERG−タンパク質複合体を研究することにも適用可能である。この
複合体の活性に対する薬剤の効果を分析する。
【0113】 これらの方法に従って、以下のアッセイが薬剤候補をスクリーニングするため
に用い得るアッセイの例である。 突然変異HERG(それ自体または融合タンパク質の一部分として)を、野生
型HERGが結合する野生型タンパク質(それ自体または融合タンパク質の一部
分として)と混合する。この混合は、薬剤の存在下および薬剤の不存在下の両方
で行い、突然変異HERGと野生型タンパク質との結合量を測定する。結合量が
該薬剤の不存在下よりも該薬剤の存在下の方がより多い場合には、該薬剤はHE
RG中の突然変異から生じたLQTを治療するための薬剤候補である。
【0114】 野生型HERG(それ自体または融合タンパク質の一部分として)を、野生型
HERGが結合する野生型タンパク質(それ自体または融合タンパク質の一部分
として)と混合する。この混合は、薬剤の存在下および薬剤の不存在下の双方で
行い、野生型HERGと野生型タンパク質との結合量を測定する。結合量が該薬
剤の不存在下よりも該薬剤の存在下の方がより多い場合には、該薬剤はHERG
中の突然変異から生じたLQTを治療するための薬剤候補である。
【0115】 HERG(それ自体または融合タンパク質の一部分として)に結合する野生型
タンパク質としての突然変異タンパク質を、野生型HERG(それ自体または融
合タンパク質の一部分として)と混合する。この混合は、薬剤の存在下および薬
剤の不存在下の双方で行い、突然変異タンパク質と野生型HERGとの結合量を
測定する。結合量が該薬剤の不存在下よりも該薬剤の存在下の方がより多い場合
には、該薬剤はタンパク質をコードする遺伝子中の突然変異から生じたLQTを
治療するための薬剤候補である。
【0116】 本発明のポリペプチドは、コンビナトリアル・ライブラリー技術の結果として
開発されたスクリーニング化合物にも用い得る。コンビナトリアル・ライブラリ
ー技術は、ポリペプチドの活性を変調させる能力について潜在的な膨大な数の異
なる物質を試験する効率的な方法を提供する。かかるライブラリーおよびその用
途は当該技術分野で知られている。ペプチド・ライブラリーの使用が好ましい。
例えば、WO 97/02048号を参照されたし。 簡単には、ポリペプチドの活性を変調させる物質をスクリーニングする方法に
は、好適な反応培地中で1またはそれを超える試験物質をポリペプチドと接触さ
せ、処理したポリペプチドの活性を測定し、その活性を試験物質または物質群で
処理していない匹敵する反応培地中のポリペプチドの活性と比較することを含み
得る。処理ポリペプチドと非処理ポリペプチドとの間の活性の差は、関連試験物
質または物質群の変調効果を暗示する。 活性の変調についてスクリーニングする前、ならびにしている間に、試験物質
を、例えば、酵母2−ハイブリッド系(例えば、Bartleら,1993;Fieldsおよび
Song,1989;ChevrayおよびNathans,1992;Leeら,1995)で、ポリペプチドと
相互作用する能力についてスクリーニングし得る。この系は、ポリペプチドの活
性を変調する実際の能力について物質を試験する前の粗いスクリーニングとして
用い得る。別法として、該スクリーニングを用いて、ミオシン、アクチンまたは
ジストロフィンのごときHERG特異的結合パートナーへの結合性について試験
物質をスクリーニングし、またはHERGポリペプチドの模倣物を見出すことが
できるであろう。
【0117】 ポリペプチド活性を変調またはそれに影響する物質を同定した後に、その物質
をさらに調べ得る。さらに、それは、調製物、すなわち製造物または処方、ある
いは医薬、医薬組成物または薬剤のごとき組成物で製造および/または使用し得
る。これらは、個人に投与し得る。
【0118】 かくして、本発明は、ポリペプチド活性のモジュレーターとして核酸分子を用
いて同定される物質のみならず、本明細書中に開示するものと一致して、かかる
物質を含む医薬組成物、医薬、薬剤または他の組成物、かかる物質を含むかかる
組成物を投与することを含む方法、かかる組成物を、例えばLQTを治療する(
予防的治療をも含み得る)ために患者に投与することを含む方法、例えばLQT
を治療するために、投与する組成物の製造におけるかかる物質の使用、ならびに
、かかる物質と医薬上許容される賦形剤、ビヒクルまたは担体、および所望によ
り他の成分とを混合することを含む医薬組成物の製造方法をも包含する種々の態
様に及ぶ。
【0119】 ポリペプチド機能のモジュレーターとして同定した物質は、本来、ペプチドま
たは非−ペプチドとし得る。非−ペプチド“小分子”はしばしば多くのイン・ビ
ボ(in vivo)医薬用途に好ましい。したがって、(特に、ペプチドの場合)物質
の模倣物または擬似物を医薬用途に設計し得る。 公知の医薬上有効な化合物に対する模倣物の設計は、“リード”化合物に基づ
く医薬の開発の公知のアプローチである。このことは、有効化合物が合成するこ
とが困難であるか高価となる場合、あるいはそれが特定の投与方法に好適でない
場合(例えば純粋なペプチドは、それが消化管中のプロテアーゼによって迅速に
分解されがちなため口腔組成物に好適でない有効剤である)に、このことは望ま
しい。模倣物の設計、合成および試験は、一般的に、標的特性について多数の分
子をランダムにスクリーニングすることを避けるために用いる。
【0120】 所定の標的特性を有する化合物から模倣物を設計するために一般的にとられる
幾つかの工程が存在する。第1に、標的特性を決定することにおいて極めて重要
および/または重要である化合物の特定の部分を決定する。ペプチドの場合にお
いては、このことは、ペプチド中のアミノ酸残基を全体的に変化させることによ
って、例えば、順次各残基を置換することによって、行い得る。ペプチドのアラ
ニン・スキャンを一般的に用いて、かかるペプチド・モチーフを清澄にする。化
合物の活性領域を構成するこれらの部分または残基は、その“ファーマココア”
として知られている。
【0121】 ファーマココアを見出したら、線源からの範囲からのデータ、例えば分光光学
的技術、x線回折データおよびNMRを用いてその物理学的特性、例えばステレ
オケミストリー、結合性、サイズおよび/または電荷、に従ってその構造をモデ
ルする。コンピュータ解析、同様なマッピング(原子間の結合よりもむしろ、フ
ァーマココアの電荷および/または容積をモデルする)および他の技術をこのモ
デリング工程で用い得る。 このアプローチの変形において、リガンドとその結合パートナーの三次元構造
をモデルする。これは、リガンドおよび/または結合パートナーが結合の際にコ
ンホメーションを変化させ、模倣物の設計においてこのことを考慮するモデルを
許容する。
【0122】 ついで、ファーマココアを擬似する化学基が移植される鋳型分子を選択する。
鋳型分子およびそれに移植した化学基は、模倣物が合成しやすく、薬理学的に許
容できるようであり、かつイン・ビボ(in vivo)で分解されないが、リード化合
物の生物活性は保持するように、慣用的に選択し得る。別法として、模倣物がペ
プチドに基づく場合には、ペプチドを環化させることによってさらなる安定性を
達成し、その剛直性を増大し得る。ついで、このアプローチによって見出された
模倣物または模倣物群は、それらが標的特性を有するか否か、またはそれらがそ
れをどの程度まで示すかを理解するためにスクリーニングし得る。ついで、さら
なる最適かまたは修飾を行って、イン・ビボ(in vivo)または臨床試験用の1ま
たはそれを超える最終模倣物に到達し得る。
【0123】 使用方法:核酸診断および診断キット 個人をLQTに素因させるHERG対立遺伝子の存在を検出するために、血液
のごとき生物試料を調製し、HERGの感受性対立遺伝子の存在または不存在に
ついて分析する。LQTまたは予後インジケーターとしての存在を検出するため
に、生物試料を調製し、HERGの突然変異対立遺伝子の存在または不存在につ
いて分析した。これらの試験の結果および解釈情報を、試験個人へのコミュニケ
ーションのためにヘルスケア・プロバイダーに戻す。かかる診断は、診断研究室
によって行い得、あるいは別法として、診断キットを製造し、ヘルスケア・プロ
バイダーまたは自己診断用に個人に販売し得る。 最初に、スクリーニング法には、関連HERG配列の増幅が含まれる。本発明
のもう1つの好ましい具体例において、該スクリーニング方法には非−PCRベ
ースの戦略が含まれる。かかるスクリーニング方法には、当該技術分野でよく知
られている二段階標識増幅法が含まれる。PCRおよび非−PCRベースのスク
リーニング戦略は双方とも、高レベルの感度で標的配列を検出し得る。
【0124】 今日用いられている最もなじみ深い方法は標的増幅である。ここでは、標的核
酸配列をポリメラーゼを用いて増幅する。ポリメラーゼ−作動増幅を用いる1つ
の特に好ましい方法は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)である。ポリメラーゼ
連鎖反応および他のポリメラーゼ−作動増幅アッセイは、ポリメラーゼ−作動増
幅サイクルの使用を通してコピー数の100万倍を超える増加を達成し得る。増
幅したら、得られた核酸を配列決定し、またはDNAプローブ用の基体として用
い得る。 プローブを用いて標的配列の存在を検出する場合には、血液または血清のごと
き分析すべき生物試料を処理し、望むなら、核酸を抽出し得る。試料核酸は種々
の方法で調製して、標的配列の検出、例えば変性、制限分解、電気泳動またはド
ット・ブロッティングを促進し得る。分析物核酸の標的領域は、通常、少なくと
も部分的に一本鎖であって、プローブの標的配列とハイブリッドを形成しなけれ
ばならない。配列が本来一本鎖である場合には、変性は必要でないであろう。し
かしながら、配列が二本鎖である場合には、該配列はおそらく変性させる必要が
あるであろう。変性は当該技術分野で知られている種々の方法によって行い得る
【0125】 分析物核酸およびプローブは、プローブ中の標的配列と分析物中の推定評定配
列との安定なハイブリッド形成を促進する条件下でインキュベートする。分析物
に結合させるために用いるプローブの領域は、ヒト第7染色体の標的化領域に完
全に相補的にし得る。したがって、偽陽性を予防するためには、高ストリンジェ
ンシー条件が望ましい。しかしながら、高ストリンジェンシー条件は、プローブ
がゲノムにユニークである染色体の領域に相補的である場合にのみ用いる。ハイ
ブリダイゼーションのストリンジェンシーは、温度、イオン強度、塩基組成、プ
ローブ長、およびホルムアミド濃度を含む、ハイブリダイゼーションの間および
洗浄工程の間の多くの因子によって決る。これらの因子は、例えばManiatisら,
1982およびSambrookら,1989に概説されている。ある種の環境下においては、ト
リプレックス、クアドラプレックス他のごとき、より高次のハイブリッドの形成
が、標的配列を検出する方法を供するために望ましいこともあり得る。
【0126】 いずれにせよ、得られたハイブリッドの検出は、通常、標識プローブを用いる
ことによって行う。別法として、プローブは非標識とし得るが、直接または間接
的に標識したリガンドと特異的に結合させることによって検出し得る。好適な標
識、ならびにプローブおよびリガンドを標識する方法は当該技術分野で知られて
おり、例えば、公知の方法(例えば、ニック・トランスレーション、ランダム・
プライミングまたはキネーシング(kinasing))によって取り込ませ得る放射性
標識、ビオチン、蛍光基、化学ルミネセンス基(例えば、ジオキセタン、特に活
性化ジオキセタン)、酵素、抗体、金ナノ粒子等が含まれる。この基本的スキー
ムの変形は当該技術分野で知られており、外来材料および/または標識基からの
シグナルを増幅させるものから、検出すべきハイブリッドの分離を促進する種々
の変形が含まれる。多数のこれらの変形は、例えばMatthewsおよびKricka,1988
;Landegrenら,1988;Mifflin,1989;米国特許第4,868,105号;およびEPO公開
番号225,807号にレビューされている。
【0127】 前記したごとく、非−PCRベースのスクリーニングアッセイも、本発明に考
慮されている。この手法は、核酸プローブ(または、正常なホスホジエステルに
代るホスホン酸メチルのごときアナログ)を低レベルのDNA標的にハイブリダ
イズさせる。このプローブは、共有結合がハイブリダイゼーションの特異性を妨
害しないように、プローブと共有結合した酵素を有し得る。ついで、この酵素−
プローブ−コンジュゲート−標的核酸複合体を、プローブを含まない酵素コンジ
ュゲートから単離し、酵素検出のために基質を添加する。酵素活性は、感度で1
−10の上昇を生じる発色またはルミネセント出力における変化として観
察される。オリゴデオキシヌクレオチド−アルカリホスファターゼ・コンジュゲ
ートの調製に関する例、およびハイブリダイゼーション・プローブとしてのその
用途に関してはJablonskiら,1986を参照されたし。
【0128】 二工程標識増幅法は当該技術分野で知られている。これらのアッセイは、(ジ
ゴキシゲニン、ビオチン等のごとき)小さなリガンドがHERGを特異的に結合
することができる核酸プローブに結合するという原理で働く。対立遺伝子特異的
なプローブもこの例の範囲内に意図され、例示的な対立遺伝子特異的なプローブ
には、この開示の素因突然変異を包含するプローブが含まれる。 1つの例において、核酸プローブに結合した小リガンドは、抗体−酵素コンジ
ュゲートによって特異的に認識される。この例の1つの具体例において、ジゴキ
シゲニンを核酸プローブに結合する。ハイブリダイゼーションは、化学ルミネセ
ンス基質を代謝させる抗体−アルカリホスファターゼ・コンジュゲートによって
検出する。この具体例による核酸プローブを標識する方法に関しては、例えばMa
rtinら,1990を参照されたし。第2の例においては、小リガンドは、第1のリガ
ンドに特異的に複合体形成(complexing)することができる第2のリガンド−酵
素コンジュゲートによって認識される。この例のよく知られている具体例は、ビ
オチン−アビジン型の相互作用である。核酸プローブを標識するための方法およ
びビオチン−アビジンをベースとするアッセイに関しては、Rigbyら,1977およ
びNguyenら,1992を参照されたし。
【0129】 本発明の核酸プローブアッセイがHERGを検出することができる核酸プロー
ブのカクテルを用いるであろうことも本発明の趣旨の範囲内に考慮される。かく
して、細胞試料中のHERGの存在を検出するための1つの例において、遺伝子
に相補的な1を超えるプローブを用い、特に、異なるプローブの数は択一的に2
、3または5の異なる核酸プローブ配列である。もう1つの例において、患者の
HERG遺伝子配列中の突然変異の存在を検出するために、これらの遺伝子に相
補的な1を超えるプローブを用い、ここにカクテルはHERG中に変化を有する
患者の集団中に同定される対立遺伝子−特異的突然変異に結合することができる
プローブを含む。この具体例において、いずれの数のプローブをも用い得、好ま
しくはLQTへの個人の素因を作るものとして同定された腫瘍遺伝子突然変異に
対応するプローブが含まれるであろう。
【0130】 使用方法:ペプチド診断および診断キット LQTの存在は、野生型HERGポリペプチドの変化に基づいても検出し得る
。かかる変化は、慣用技術による配列分析によって判定し得る。より好ましくは
、抗体(ポリクローナルまたはモノクローナル)を用いて、HERGペプチド中
の相異またはHERGペプチドの不存在を検出する。抗体を生起し、精製する技
術は当該技術分野でよく知られており、いずれのかかる技術を選択して、本発明
に特許請求した調製を達成し得る。本発明の好ましい具体例において、抗体は溶
液からHERGタンパク質を免疫沈降させ、ならびにポリアクリルアミド・ゲル
のウエスタンまたはイムノブロット上のこれらのタンパク質と反応するであろう
。もう1つの好ましい具体例において、免疫組織化学技術を用いて、抗体はパラ
フィンまたは凍結組織切片中のHERGタンパク質を検出するであろう。 HERGまたはそれらの突然変異を検出する方法に関連する好ましい具体例に
は、モノクローナルおよび/またはポリクローナル抗体を用いる、サンドイッチ
アッセイ酵素結合免疫ソルベントアッセイ(ELISA)、ラジオイムノアッセ
イ(RIA)、イムノラジオメトリックアッセイ(IRMA)およびイムノ酵素
アッセイ(IEMA)が含まれる。例示的なサンドイッチアッセイは出典明示し
て本明細書の一部とみなす、米国特許第4,376,110号および第4,486,530号中で、
Davidらによって記載されている。
【0131】 使用方法:合理的ドラッグデザイン 合理的ドラッグデザインの目標は、例えば、より活性または安定な形態のポリ
ペプチドであるか、または例えばポリペプチドの機能をイン・ビボ(in vivo)で
高めるか妨害する薬剤を形成する目的で、目的の生物学的に活性なポリペプチド
の構造アナログまたはそれと相互作用する小分子(例えば、アゴニスト、アンタ
ゴニスト、インヒビター)の構造アナログを作成することである。例えば、Hodg
sonら,1991を参照されたし。1つのアプローチにおいて、まず目的のタンパク
質(例えば、HERGポリペプチド)の三次元構造をx線結晶学によるか、コン
ピュータ・モデリングによるか、または最も典型的には組合せアプローチによっ
て決定する。あまり頻繁にあることではないが、ポリペプチドの構造に関する有
用な情報は、相同タンパク質の構造に基づいてモデリングすることによって得る
ことができる。合理的ドラッグ・デザインの例は、HIVプロテアーゼ・インヒ
ビターの開発である(Ericksonら,1990)。加えて、ペプチド(例えば、HER
Gポリペプチド)はアラニン・スキャンによって分析する(Wells,1991)。こ
の技術においては、アミノ酸残基をAlaで置換し、ペプチドの活性に対するそ
の効果を判定する。ペプチドの各アミノ酸残基をこの様にして分析して、ペプチ
ドの重要な領域を決定する。
【0132】 機能アッセイによって選抜した標的−特異的抗体を単離し、ついでその結晶構
造を解像することも可能である。原則的に、このアプローチにより、二次的ドラ
ッグ・デザインが基礎とし得るファーマココアが得られる。機能的で、薬理学的
に活性な抗体に対する抗−イディオ抗体(抗−ids)を生成することによって、
タンパク質結晶学を全く迂回することが可能である。鏡像の鏡像として、抗−id
sの結合部位は、元の受容体のアナログであると予想されよう。ついで、抗−ids
を用いて、ペプチドの化学的または生物学的に生成したバンクからペプチドを同
定し、単離し得るであろう。ついで、選択したペプチドはファーマコアとして作
用するだろう。
【0133】 かくして、例えば、改善されたHERGポリペプチド活性または安定性を有す
る、またはHERGポリペプチド活性のインヒビター、アゴニスト、アンタゴニ
スト他として作用する薬物を設計し得る。クローン化HERG配列の入手可能性
によって、x−線結晶学のごとき分析研究を行うために有用な十分な量のHER
Gポリペプチドを作成し得る。加えて、本明細書中に記載するHERGタンパク
質配列の知見は、x−線結晶学の代わりまたはそれに加えて、コンピュータ・モ
デリング技術を用いることに案内するであろう。
【0134】 使用方法:遺伝子療法 本発明により、突然変異HERG対立遺伝子を運搬する細胞に野生型HERG
機能を供給する方法も提供される。かかる機能を供給することは、レシピエント
細胞の正常機能化を許容するだろう。野生型遺伝子または遺伝子の一部分は、遺
伝子が染色体外に残るようなベクターで、細胞に導入し得る。かかる状況におい
ては、遺伝子は染色体外の場所から細胞によって発現されるであろう。より好ま
しくは、細胞中に存在する内因性突然変異遺伝子と野生型遺伝子またはその一部
分とが組換わるように、突然変異細胞に野生型遺伝子またはその一部分を導入す
る状況である。かかる組換えには、遺伝子突然変異の修正を生じる二重組換え事
象を必要とする。組換え用および染色体外維持用の双方の遺伝子を導入するため
のベクターは当該技術分野で知られており、いずれの好適なベクターも用い得る
。エレクトロポレーション、リン酸カルシウム共沈およびウイルス導入のごとき
DNAを細胞に導入するための方法は当該技術分野で知られており、方法の選択
は実施者の能力範囲内である。
【0135】 前記に一般的に論じたごとく、HERG遺伝子またはフラグメントは、適用可
能な場合には、細胞におけるかかる遺伝子の発現産物の量を増加させるために、
遺伝子療法に用い得る。また、それは、突然変異遺伝子が“正常”レベルで発現
されているが遺伝子産物が完全に機能的でない心細胞中でさえ、所与のLQT遺
伝子の発現のレベルを増大させるのに有用となり得る。 遺伝子治療は、一般的に受入れられている方法に従って、例えばFriedman(19
91)またはCulver(1996)によって記載されているごとく、行われるであろう。
患者からの細胞は、まず、前記した診断方法によって分析して、細胞中のHER
Gポリペプチドの産生を確認するであろう。発現制御エレメントに連鎖したHE
RG遺伝子のコピーを含み、細胞の内側で複製することができるウイルスまたは
プラスミド・ベクター(下記のさらなる詳細を参照されたし)を調製する。ベク
ターは細胞の内側で複製することができる。別法として、ベクターは複製欠損と
することができ、それは遺伝し治療において使用するためにヘルパー細胞中で複
製する。米国特許第5,252,479号および国際公開WO98/07282号および米国特許第
5,691,198号;第5,747,469号;第5,436,146号および第5,753,500号に開示されて
いるごとき、好適なベクターが知られている。ついで、ベクターを患者に注射す
る。トランスフェクトした遺伝子が各標的細胞のゲノムに不変的に取り込まれな
い場合には、治療を定期的に繰返さなければならない。
【0136】 当該技術分野で知られている遺伝子移入系は、本発明の遺伝子治療の実施に有
用となり得る。これらには、ウイルスおよび非ウイルス移入法が含まれる。多種
のウイルスが遺伝子移入ベクターまたは遺伝子移入ベクターを調製するための基
礎として用いられており、それには、パポーバウイルス(例えば、SV40,Ma
dzakら,1992)、アデノウイルス(Berker,1992;Berknerら,1988;Gorziglia
およびKapikian,1992;Quantinら,1992;Rosenfeldら,1992;Wilkinsonおよ
びAkrigg,1992;Stratford−Perricaudetら,1990;Schneiderら,1998)、ワ
クシニアウイルス(Moss,1992;Moss,1996)、アデノ随伴ウイルス(Muzyczka
,1992;Ohiら,1990;RussellおよびHirata,1998)、HSVおよびEBVを含
むヘルペスウイルス類(Mardolskee,1992;Johnsonら,1992;Finkら,1992;B
reakefieldおよびGeller,1987;Freeseら,1990;Finkら,1996)、レンチウイ
ルス(Naldiniら,1996)、シンドビスおよびセムリキ森林ウイルス(Berglund
ら,1993)、ならびに鳥類の(BandyopadhyayおよびTemin,1984;Petropoulos
ら,1992)、げっ歯類の(Miller,1992;Millerら,1985;Sorgeら,1984;Man
nおよびBaltimore,1985;Millerら,1988)およびヒト起源の(Shimadaら,199
1;Helsethら,1990;Pageら,1990;BuchschacherおよびPanganiban,1992)レ
トロウイルスが含まれる。大部分のヒト遺伝子治療プロトコールは、アデノウイ
ルスおよびアデノ随伴ウイルスも用いられているが、無力化したげっ歯類のレト
ロウイルスに基づいている。
【0137】 当該技術分野で知られている非ウイルス性遺伝子移入法には、リン酸カルシウ
ム共沈法(Grahamおよびvan der Eb, 1973;Pellicerら,1980);例えば、μイ
ンジェクションのような機械的技術(Andersonら,1980;Gordonら,1980;Brin
sterら,1981;CostantiniおよびLacy,1981);リポソームを介する膜融合媒介
移入(Felgnerら,1987;WangおよびHuang,1989;Kanedaら,1989;Stewartら
,1992;Nabelら,1990;Limら,1991);ならびに直接DNA取込みおよび受容
体−媒介DNA移入(Wolffら,1990;Wuら,1991;Zenkeら,1990;Wuら,1989
;Wolffら,1991;Wagnerら,1990;Wagnerら,1991;Cottenら,1990;Curiel
ら,1992;Curielら,1991)。ウイルス−媒介遺伝子移入は、リポソーム・デリ
バリーを用いる直接イン・ビボ遺伝子移入と組合せて、ウイルス・ベクターを腫
瘍細胞に指向させるが周りの非分裂細胞には指向させないことが許容される。別
法として、レトロウイルスベクター・プロデューサー(producer)・セルライン
を腫瘍に注射し得る(Culverら,1992)。その場合、プロデューサー細胞の注射
により、ベクター粒子の連続した供給源が提供されるであろう。この技術は、手
術不可能な脳腫瘍を患う患者における使用につき認可されている。
【0138】 生物学的遺伝子移入法と物理学的遺伝子移入法とを組合せるアプローチにおい
ては、いずれかのサイズのプラスミドDNAを、アデノウイルス・ヘキソンタン
パク質に特異的なポリリシン−コンジュゲート抗体と組合せ、得られた複合体を
アデノウイルス・ベクターに結合する。この場合、三分子複合体を用いて、細胞
に感染させる。アデノウイルス・ベクターにより、効果的な結合、内在化、およ
びカップリングしたDNAが損傷される前のエンドソームの分解が許容される。
アデノウイルスベースのベクターをデリバリーする他の技術に関しては、Schnei
derら(1998)および米国特許第5,691,198号;第5,747,469号;第5,436,146号お
よび第5,753,500号を参照されたし。
【0139】 リポソーム/DNA複合体は、直接イン・ビボ遺伝子移入を媒介し得ることが
示されている。標準的なリポソーム調製物では遺伝し移入プロセスは非特異的で
あるが、例えば、直接イン・サイチュ(in situ)投与に従って、局在化したイ
ン・ビボ取込みおよび発現が腫瘍デポジットで報告されている(Nabel,1992)
。 遺伝子治療の文章における発現ベクターは、その中にクローン化されたポリヌ
クレオチドを十分に発現する配列を含有する構築物を含むことを意味する。ウイ
ルス発現ベクターにおいては、構築物には当該構築物のパッケージングを支持す
るのに十分なウイルス配列が含まれる。ポリヌクレオチドがHERGをコードす
る場合には、発現によりHERGが産生されるであろう。ポリヌクレオチドがア
ンチセンス・ポリヌクレオチドまたはリボザイムをコードする場合には、発現に
よりアンチセンス・ポリヌクレオチドまたはリボザイムが産生されるであろう。
したがって、この文章において、発現はタンパク質が合成されることを必要とし
ない。発現ベクターにクローン化したポリヌクレオチドに加えて、ベクターには
、真核生物細胞におけるプロモーター機能も含まれる。クローン化したポリヌク
レオチド配列は、このプロモーターの制御下にある。好適な真核生物プロモータ
ーには、前記したものが含まれる。発現ベクターには、本明細書中に記載した選
択マーカーおよび他の配列のごとき配列も含まれ得る。
【0140】 DNAを心臓組織に直接標的化する遺伝子移入技術が好ましい。受容体−媒介
遺伝子移入は、例えば、ポリリシンを介して(通常は共有的に超コイル化したプ
ラスミドの形態の)DNAをタンパク質リガンドにコンジュゲートすることによ
って行う。リガンドは、標的細胞/組織タイプの細胞表面上の対応するリガンド
受容体の存在に基づいて選択する。これらのリガンド−DNAコンジュゲートは
、望なら血液に直接注射して、DNA−タンパク質コンジュゲートの受容体結合
および内在化が起こる標的組織に指向させ得る。DNAの細胞内破壊の問題を克
服するためには、アデノウイルスの同時感染を含めてエンドソーム機能を破壊し
得る。当該治療は以下の通りである:HERG感受性対立遺伝子を運搬する患者
を、その心臓先駆細胞の幾つかまたは全てが機能性正常HERG対立遺伝子の少
なくとも1のさらなるコピーを受けるように、遺伝子デリバリーで治療する。こ
の工程において、治療した個人は、LQTの危険性が正常対立遺伝子の存在によ
って感受性対立遺伝子の効果が押しとどめられる程度まで低下する。
【0141】 使用方法:ペプチド治療 HERG活性を有するペプチドを、突然変異または欠失HERG対立遺伝子を
運搬する細胞に供給することができる。タンパク質は、例えば公知の発現ベクタ
ーを用いて、細菌中のcDNA配列を発現させることによって産生し得る。別法
として、HERGポリペプチドはHERG−産生哺乳動物細胞から抽出し得る。
加えて、合成化学の技術を用いてHERGタンパク質を合成し得る。かかる技術
のいずれかにより、HERGタンパク質を含む本発明の調製物が提供され得る。
該調製物は、実質的に他のヒトタンパク質を含まない。このことは、微生物中ま
たはイン・ビトロで合成することによって容易に達成される。 活性HERG分子は、マイクロインジェクションによってかまたはリポソーム
を使用することによって細胞に導入し得る。別法として、ある種の活性分子は、
能動的または拡散によって細胞によって取り込まれ得る。HERG活性を有する
分子の供給は、LQTの部分的な反転に通じるにちがいない。HERG活性を有
する他の分子(例えば、ペプチド、薬剤または有機化合物)を用いてもかかる反
転に作用し得る。実質的に同様な機能を有する修飾ポリペプチドもペプチド治療
に用いる。
【0142】 使用方法:形質転換した宿主 治療剤をテストするための動物は、完全な動物の突然変異の後に、または生殖
細胞または接合体の処理後に選択できる。かかる処理は、通常、別の動物種から
の突然変異体HERG対立遺伝子の挿入、ならびに分裂した相同遺伝子の挿入を
含む。あるいは、動物の内因性HERG遺伝子は、従来技術(Capecchi、198
9;ValanciusおよびSmithiesら、1991;Hastyら、1991;Shinkaiら、
1992;Mombaertsら、1992;Philpottら、1992;Snouwaertら、19
92;Donehowerら、1992)を用いて、挿入または欠失の突然変異、または
他の遺伝子変更によって破壊できる。試験物質が動物に投与された後、LQTの
存在が評価されるに違いない。試験物質がLQTの出現を防止するか、あるいは
抑制する場合、試験物質はLQTの治療のための候補治療剤である。これらの動
物モデルは、潜在的な治療製品用の非常に重要な試験ビヒクルを供する。
【0143】 HERG遺伝子突然変異とLQTとの間の関連の同定は、個人の初期の前症候
性スクリーニングがLQTの発生についての危険度を識別するのを可能とする。
かかる個人を識別するために、HERG対立遺伝子は、突然変異につき直接的に
または対立遺伝子のクローニング後のいずれかでスクリーニングされる。対立遺
伝子はいずれかの適当な技術、限定するものではないが、以下の方法のうちの一
つを用いて、正常な対立遺伝子からの核酸配列の差の存在につき試験される:蛍
光的in situ ハイブリダイゼーション(FISH)、直接的DNA配列決定、P
FGE分析、サザーン・ブロット分析、一本鎖コンホメーション分析(SSCP
)、連鎖分析、RNアーゼ保護分析、対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチド(A
SO)、ドット・プロット分析およびPCR−SSCP分析。また、最近開発さ
れた技術のDNAマイクロチップ技術が有用である。例えば、(1)クローン化
した対立遺伝子および正常なHERG遺伝子の両方のヌクレオチド配列または適
当な断片(コード配列またはゲノム配列)を決定し、次いで比較し、あるいは、
(2)HERG遺伝子または遺伝子断片のRNA転写体を、試験されるべき個人
からの一本鎖の全ゲノムDNAとハイブリダイズし、得られたヘテロ二本鎖をリ
ボヌクレアーゼA(RNアーゼA)で処理し、変性ゲル上で泳動させていずれか
のミスマッチを検出する。これらの方法のうちの2つは以下の手順により行うこ
とができる。
【0144】 試験されるべき個人のおけるHERG遺伝子の対立遺伝子は、従来技術を用い
てクローニングされる。例えば、血液サンプルは個人から得られる。この試料中
の細胞から単離されたゲノムDNAは、約20kbの平均断片サイズに部分的に
消化される。18−21kbの範囲にある断片が単離される。得られた断片は、
適当なベクターに連結される。次いで、クローンの配列が決定され、正常なHE
RG遺伝子と比較される。
【0145】 別法として、ポリメラーゼ鎖反応(PCR)を5'領域またはHERG遺伝子
のエクソンについてのプライマー・ペアを用いて行う。また、PCRは、正常な
HERG遺伝子のいずれかの配列に基づいたプライマーを用いて行ってもよい。
例えば、イントロンのうちの1つのプライマー・ペアを調製し、利用できる。最
終的に、また、RT−PCRをmRNAに行ってもよい。増幅産物は、いずれか
の差を識別するために従来技術を用いて、一本鎖コンホメーション分析(SSC
P)によって分析し、いずれかの差を識別し、次いで、これらを配列決定し、正
常な遺伝子配列と比較する。
【0146】 適当なプライマー・ペアの使用および増幅産物の分析を用いて個人のDNAを
増幅することによって、例えば、対立遺伝子に特異的なオリゴヌクレオチド・プ
ローブを用いるドット・ブロットによって共通のHERG遺伝子変異体につき迅
速にスクリーニングできる。
【0147】 第ニの方法はRNアーゼAを用いて、正常なHERG遺伝子と不完全な遺伝子
との間の差の検出を助ける。この比較はプローブとしてHERG遺伝子の小さな
(約500bp)制限断片を用いる工程において行われる。最初に、HERG遺
伝子は制限酵素で消化され、該遺伝子配列を約500bpの断片に切断する。こ
れらの断片は個々に電気泳動ゲル上で分離され、ゲルから精製され、両配向にて
、SP6ベクター(例えばpSP64またはpSP65)にクローニングされる
。HERG遺伝子断片の挿入を含むSP6ベースのプラスミドは、[α−32
]GTPの存在下にて、当該技術分野においてよく知られたSP6転写系を用い
てin vitroにて転写され、遺伝子の両鎖の放射性標識RNA転写体を得
る。
【0148】 個々に、これらのRNA転写体を用いて、従来技術を用いて対立遺伝子DNA
とヘテロ二本鎖を形成する。個人からのHERG断片とHERG対立遺伝子サブ
クローンとの間の配列差のためにRNA:DNAヘテロ二本鎖において生じたミ
スマッチの結果、RNアーゼAで処理した場合に、RNA鎖が切断される。かか
るミスマッチは個人の対立遺伝子における点突然変異または小さな欠失の結果で
あり得る。RNA鎖の切断は、2個以上の小さなRNA断片を得、それは、RN
Aプローブ自体より変性ゲルにおいて速く泳動する。
【0149】 見出されるいかなる差も、HERG遺伝子の分子変異体、およびLQTの必然
的な存在を有する個人を識別するだろう。これらの変異体は多数の形態を取り得
る。大部分の重篤な形態は、遺伝子を異常な蛋白質にコードさせるフレームシフ
ト突然変異または大きな欠失であり、またはかなり蛋白質発現を改変するもので
ある。ほとんど重篤でない破壊性の突然変異は、小さなインフレーム欠失および
非保存性の塩基対置換を含み、それは、システイン残基へのまたはそれからの変
化、塩基性から酸性アミノ酸への変化またはその逆、疎水性から親水性アミノ酸
への変化またはその逆、または二次または三次の蛋白質構造に影響する他の突然
変異のごとき、産生された蛋白質に対してかなりの効果を有するであろう。サイ
レント突然変異または保存的にアミノ酸置換を生じるものは、一般的に蛋白質機
能を破壊することは期待されなかった。
【0150】 医薬組成物および投与経路 本発明のHERGポリペプチド、抗体、ペプチドおよび核酸は、医薬組成物中
に処方され、それは通常の医薬調合技術によって調製される。例えば、Remingto
n's Pharmaceutical Science、18版(1990、Mack Publishing社、イース
トン、PA)を参照されたし。該組成物は、活性薬剤のうちの1つに加えて、医薬
上許容される賦形剤、担体、緩衝剤、安定剤または当該技術分野においてよく知
られた他の物質を含有できる。かかる物質は、無毒であり、有効成分の効力に干
渉しないであろう。担体は、例えば、静脈内、経口、髄腔内、神経弓上、非経口
的に、投与に望ましい製剤の形態に依存して非常に様々な形態を取り得る。
【0151】 経口投与では、該化合物は、カプセル、丸剤、錠剤、ロゼンジ、メルト、散剤
、懸濁剤または乳剤のような固体または液体の製剤に処方できる。経口的投与形
態の組成物を調製するのに、(例えば、懸濁剤、エリキシル剤および液剤のごと
き)経口液体製剤の場合には、例えば、水、エチレングリコール、油、アルコー
ル、矯味剤、保存剤、着色剤、懸濁化剤等のごときいずれの通常の医薬上の媒体
;(例えば、散剤、カプセル剤および錠剤のごとき)経口固体製剤の場合には、
デンプン、糖、希釈剤、顆粒化剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤等のごとき担体を用
いてもよい。投与における容易さのために、錠剤およびカプセル剤は、最も有利
な経口投与単位形態を示し、その場合には、固体医薬担体は明確に使用される。
所望ならば、錠剤は、標準的技術によって糖コーティングされるか腸コーティン
グできる。活性薬剤は、胃腸管を通って通過し、同時に脳血液関門を横切って通
過するのを可能とするために、それを安定化させるようにカプセル化できる。例
えば、WO96/11698を参照されたし。
【0152】 非経口投与では、該化合物は、医薬担体に溶解し、液剤または懸濁剤のいずれ
で投与してもよい。適当な担体の例示は、水、生理食塩水、ブドウ糖溶液、果糖
溶液、エタノール、または動物、植物または合成の起源の油である。また、該担
体は、他の成分、例えば、保存剤、懸濁化剤、安定化剤、緩衝剤等を含有できる
。化合物が髄腔内投与される場合、それらは脳脊髄液に溶解できる。
【0153】 活性薬剤は、好ましくは、治療上有効量で投与される。投与された実際の量お
よび投与の速度および時間経過は、治療されるべき疾患の性質および重篤度に依
存するであろう。処置の処方、例えば、投与量、時期等の決定は、開業医または
専門家の責任内にあり、典型的には、治療されるべき疾患、個々の患者の疾患,
送達部位、投与方法および医師に知られた他の因子を考慮に入れる。手法および
プロトコールの例は、Remington's Pharmaceutical Scienceに見出すことができ
る。
【0154】 あるいは、ターゲティング療法を用いて、抗体または細胞に特異的なリガンド
のごときターゲティング・システムの使用によって、あるタイプの細胞に活性薬
剤をより明確に送達できる。ターゲティングは、例えば、薬剤が受入れられない
毒性であるか、あるいはそれが余りにも高用量を必要とするか、あるいは標的細
胞に入ることができないならば、様々な理由のために望ましい。
【0155】 これらの薬剤を直接投与する代わりに、それらは、例えば、前記のウイルス・
ベクター中で、または患者への埋込みのために設計された、米国特許第5,55
0,050号に記載され、PCT出願番号WO92/19195、WO94/2
5503、WO95/01203、WO95/05452、WO96/0228
6、WO96/02646、WO96/40871、WO96/40959、お
よびWO97/12635に公開されたごとき細胞ベースの送達システムにおい
て、標的細胞において産生できる。該ベクターは、治療されるべき特定の細胞に
ターゲッティングでき、標的細胞により特異的な組織である調節要素を含有でき
る。細胞ベースの送達システムは、所望の標的部位にて、患者の体に埋込むよう
に設計され、活性薬剤のためのコード配列を含有する。別法として、該薬剤は、
治療されるべき細胞において産生されたか、あるいはそれにターゲティングされ
た活性薬剤によって、活性形態に変換するための前駆体形態において投与できる
。例えば、EP 425,731AおよびWO90/07936を参照されたし。
【0156】 LQTおよびトルサード・ド・ポワンツを防止する方法。 LQTが発生には様々な経路がある。特定の遺伝子、例えば、HERGにおけ
る突然変異は、LQTを引起し得る。また、様々な薬物のうちのいずれでの処置
も、LQTを引起し得る。これらの薬物は、心臓の不整脈を治療するのに取られ
るべきもの、および抗ヒスタミン剤、およびリスロマイシンのようないくらかの
抗生物質を含めた他の薬物も含む。LQTが突然変異(遺伝的または家族性のL
QT)の結果であるか、あるいは薬物誘導(後天性LQT)であるかに拘らず、
それはイオンチャネルに対する効果のためである。薬物は、その主要なサブユニ
ットはHERGによってコードされるKチャネルIKrと相互作用し、それに
よって、心細胞のKフローに影響する。また、HERGにおける突然変異は、
このチャネルを通ってKフローに影響できる。これは、長期QT症候群を生じ
させ、トルサード・ド・ポワンツに導きかねない。細胞外Kの上昇は、HER
G電流の増加を惹起することが判明した。これは、細胞外Kの増加が外方への
の流れについての化学的駆動力を低下させ、従って、外方への電流を増加さ
せるよりむしろ減少させることが期待されるであろうために、外方の奇異な効果
である。この観察は、細胞外Kの増加がKチャネルを活性化することを示す
。この活性化合物は、HERGの突然変異の結果または薬物治療の結果として、
該チャネルの少なくとも部分的な不活性化から発生しかねないLQTを防止でき
る。ヒトの血清中で測定された正常な細胞外の生理的K濃度は、約3.5−4.
5mMの範囲にある。3−5mMの範囲の値は、頻繁に見られ、2−3または5
−7mMの範囲の値はほとんど見られない。時々、2mM未満または7mMを越
える値が見られる。5mMの細胞外K濃度でのHERG電流が、2mMで見ら
れた電流より40%大きいことが判明した。細胞外のKレベルの増加によるこ
のKチャネルの増強は、有益である。急速な心拍数または虚血の間に、K
細胞内間隙に蓄積する。細胞外Kの上昇は、外方電流を増加させ、それによっ
て、細胞内蓄積を低下させる。LQTの遺伝的な形態を持つ人々または後天的な
LQTを惹起しかねない薬物治療中の者における細胞外Kレベルのモニタリン
グは、医師が正常より低く、または正常な細胞外Kレベルを持つその患者にK を加える処方を可能とするであろう。少なくとも正常レベルの3.5−4.5m
M、好ましくは、前記の正常レベルないし4.5−5.5mM、最も好ましくは、
約5mM Kまで細胞外Kレベルを増加させることによって、LQTおよび
/またはトルサード・ド・ポワンツの発生が阻害されるであろう。LQTの原因
のこの新しい知識は、遺伝的または後天性のLQTを発生する危険度を患者にお
いて細胞外Kレベルをモニターし、低いまたは正常な細胞外Kレベルを持つ
者にKを投与するシステムに導くであろう。かかる治療は、LQTおよび/ま
たはトルサード・ド・ポワンツの防止に導くであろう。
【0157】 理論的に、心臓ナトリウムチャネル遺伝子における突然変異は、LQTを引起
しかねない。電圧ゲート制御されたナトリウム・チャネルは、心室筋細胞中の急
速な脱分極を媒介し、活動電位のプラトー相の間に小さな電流も導く(Attwell
ら、1979)。ナトリウム・チャネル機能の微妙な異常(例えば、遅延したナ
トリウム・チャネル不活性化またはチャネル不活性化で変更された電圧依存性)
は、心臓の再分極化を遅らせ、QT延長および不整脈に導き得る。1992年に
は、Gellensと共同研究者が心臓のナトリウム・チャネル遺伝子、SCN5Aを
クローニングし、特徴付けた(Gellensら、1992)。 この遺伝子の構造は、以前に2016個のアミノ酸の大きな蛋白質をコードする
ナトリウム・チャネルと特徴づけられた他のものに同様であった。これらのチャ
ネル蛋白質は、4つの相同性ドメイン(DI−DIV)を含み、その各々は、推
定上の6つの膜スパンニング・セグメント(S1−S6)を含有する。SCN5
Aは、染色体3p21にマップされ、それをLQT3についての優れた候補遺伝
子とし(Georgeら、1995)、SCN5Aにおける後期の突然変異は、LQT
に関連していることが示された(Wangら、1995)。
【0158】 HERGの突然変異、心臓のカリウム・チャネル遺伝子は、遺伝的なLQTの
第7染色体連鎖形態を生じる(詳細は実施例において供される)。HERGにお
いて識別された突然変異、およびナトリウム・チャネル・アルファ・サブユニッ
トの生物物理学は、第7染色体に連鎖した遺伝的LQTが、優位なネガティブな
突然変異および機能的チャネルにおいて得られた低下に起因することを示唆する
【0159】 LQTの前症候的な診断は、心電図上のQT延長の識別に依存してきた。不運に
も、心電図は、若く健康な個人においてまれにしか行われない。さらに、多くの
LQT遺伝子保持者は、比較的正常なQT間隔を有し、疾病の第1の徴候は、致
命的な心臓の不整脈(Vincentら、1992)であるかもしれない。4つのLQ
T遺伝子が今や同定されたので、この疾患の遺伝試験は企図できる。これは、継
続的な突然変異の分析およびさらなるLQT遺伝子の同定を必要とするであろう
。より多くの詳細な表現型の分析で、LQTの様々な形態間の表現型の差を発見
できる。これらの差は、診断および治療のために有用であり得る。
【0160】 HERG、KVLQT1、SCN5AおよびKCNE1遺伝子の突然変異の間の
関連および遺伝的なLQTの同定は、個人の初期の前症候的スクリーニングがL
QTを発生する危険度をそれらの者で識別することを可能にする。かかる個人を
識別するために、対立遺伝子は、直接的にまたは対立遺伝子をクローニング後の
いずれかの突然変異につきスクリーニングされる。対立遺伝子は、いずれかの適
当な手法、限定されるものではないが、以下の方法のうちの一つを用いて、正常
な対立遺伝子からの核酸配列の差の存在につき試験される:蛍光的in situ ハイ
ブリダイゼーション(FISH)、直接的DNA配列決定、PFGE分析、サザ
ーン・ブロット分析、一本鎖コンホメーション分析(SSCP)、連鎖分析、R
Nアーゼ保護分析、対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチド(ASO)、ドット・
プロット分析およびPCR−SSCP分析。例えば、(1)クローン化した対立
遺伝子および正常なHERG遺伝子の両者のヌクレオチド配列または適当な断片
(コード配列またはゲノム配列)を決定し、次いで比較し、あるいは、(2)H
ERG遺伝子または遺伝子断片のRNA転写体を、試験されるべき個人からの一
本鎖の全ゲノムDNAとハイブリダイズし、得られたヘテロ二本鎖をリボヌクレ
アーゼA(RNアーゼA)で処理し、変性ゲル上で泳動していずれかのミスマッ
チを検出する。これらの方法のうちの2つは以下の手順により行うことができる
【0161】 試験されるべき個人のおけるHERG遺伝子の対立遺伝子は、従来技術を用い
てクローニングされる。例えば、血液サンプルは個人から得られる。この試料中
の細胞から単離されたゲノムDNAは、約20kbの平均断片サイズに部分的に
消化される。18−21kbの範囲にある断片が単離される。得られた断片は、
適当なベクターに連結される。次いで、クローンの配列が決定され、正常なHE
RG遺伝子と比較される。
【0162】 別法として、ポリメラーゼ鎖反応(PCR)を5'領域またはHERG遺伝子
のエクソンについてのプライマー・ペアを用いて行う。また、PCRは、正常な
HERG遺伝子のいずれかの配列に基づいたプライマーを用いて行ってもよい。
例えば、イントロンのうちの1つのプライマー・ペアを調製し、利用できる。最
終的に、また、RT−PCRをmRNAに行ってもよい。増幅産物は、いずれか
の差を識別するために従来技術を用いて、一本鎖コンホメーション分析(SSC
P)によって分析し、いずれかの差を識別し、次いで、これらを配列決定し、正
常な遺伝子配列と比較する。
【0163】 適当なプライマー・ペアの使用および増幅産物の分析を用いて個人のDNAを
増幅することによって、例えば、対立遺伝子に特異的なオリゴヌクレオチド・プ
ローブを用いるドット・ブロットによって共通のHERG遺伝子変異体につき迅
速にスクリーニングできる。
【0164】 第二の方法はRNアーゼAを用いて、正常なHERG遺伝子と不完全な遺伝子
との間の差の検出を助ける。この比較はプローブとしてHERG遺伝子の小さな
(約500bp)制限断片を用いる工程において行われる。最初に、HERG遺
伝子は制限酵素で消化され、該遺伝子配列を約500bpの断片に切断する。こ
れらの断片は個々に電気泳動ゲル上で分離され、ゲルから精製され、両配向にて
、SP6ベクター(例えばpSP64またはpSP65)にクローニングされる
。HERG遺伝子断片の挿入を含むSP6ベースのプラスミドは、[α−32
]GTPの存在下にて、当該技術分野においてよく知られたSP6転写系を用い
てin vitroにて転写され、遺伝子の両鎖の放射性標識RNA転写体を得
る。
【0165】 個々に、これらのRNA転写体を用いて、従来技術を用いて対立遺伝子DNA
とヘテロ二本鎖を形成する。個人からのHERG断片とHERG対立遺伝子サブ
クローンとの間の配列差のためにRNA:DNAヘテロ二本鎖において生じたミ
スマッチの結果、RNアーゼAで処理した場合に、RNA鎖が切断される。かか
るミスマッチは個人の対立遺伝子における点突然変異または小さな欠失の結果で
あり得る。RNA鎖の切断は、2個以上の小さなRNA断片を得、それは、RN
Aプローブ自体より変性ゲルにおいて速く泳動する。
【0166】 見出されるいかなる差も、HERG遺伝子の分子変異体、およびLQTの必然
的な存在を有する個人を識別するだろう。これらの変異体は多数の形態を取り得
る。大部分の重篤な形態は、遺伝子を異常な蛋白質にコードさせるフレームシフ
ト突然変異または大きな欠失であり、またはかなり蛋白質発現を改変するもので
ある。ほとんど重篤でない破壊性の突然変異は、小さなインフレーム欠失および
非保存性の塩基対置換を含み、それは、システイン残基へのまたはそれからの変
化、塩基性から酸性アミノ酸への変化またはその逆、疎水性から親水性アミノ酸
への変化またはその逆、または二次または三次の蛋白質構造に影響する他の突然
変異のごとき、産生された蛋白質に対してかなりの効果を有するであろう。サイ
レント突然変異または保存的にアミノ酸置換を生じるものは、一般的に蛋白質機
能を破壊することは期待されなかった。
【0167】 遺伝子試験は、医師が誕生にて、またはその以前にて、遺伝的LQTについて
の危険度のある個人を識別するのを可能とする。LQTの前症候的な診断は、こ
れらの疾患の予防を可能とするであろう。ベータ・アドリナリン遮断剤を含めた
既存の医学的治療は、疾患に関連した問題の開始を防止し、遅延できる。最後に
、本発明は、全ての自然死の11%を占める心臓頻拍性不整脈のような共通の心
臓疾患の原因および治療の発明者らの理解を変化させる。既存の診断は、心電図
からのQT間隔の測定に注目してきた。この方法は、長期QT症候群の存在の十
分に正確な指標ではない。本発明は疾病の存在のより正確な指標である。
【0168】 HERGと後天性LQTとの間の関連 HERGは、IKrに類似する内方整流特性を持つKチャネルをコードする
。 HERGの生理学的特性を決定するために、全長cDNAをクローニングし、
特徴付けした。これはXenopus卵母細胞における発現のために調製された。発現
されたチャネルの特性は、標準的2−微小電極電圧クランプ技術を用いてcRN
A注入の2−6日後に卵母細胞において試験した。HERG電流は、試験電位>
−50mVに応じて活性化された。HERG電流の大きさは、−10mV(図1
A)まで試験電位につれて次第に増加し、次いで、試験電位とともに次第に>0
mVに(図1B)減少した。電流(尾部電流(tail current))の非活性化は、
−70mVの保持電位まで膜のリターンの後に調べられた。尾部電流の増幅は、
脱分極の後に次第に増加し、+で10mVにて飽和した。10個の卵母細胞につ
き測定されたHERG電流−電圧(I−V)関連は、図1Cに示される。ピーク
外部電流は、脱分極の増加とともに減少し、それはHERGが内方整流器である
ことを示した。チャネル活性化の電圧依存性は、試験電位の関数として尾部電流
の相対的な増幅をプロットすることにより調べられた(図1D)。HERGは、
−15.1mVの電位で半値の活性化に達した。これらのデータは、HERGを
、IKrとほとんど同一の活性化および整流特性の電圧依存性を持つ整流器K チャネルと定義する(SanguinettiおよびJurkiewicz、1990; Shibasaki、
1987; Yangら、1994)。これらの特性は、他の心臓の電流と異なる。
【0169】 HERGをさらに特徴付けるために、経時的な電流の活性化および非活性化が
測定された。経時的な電流の開始(活性化)は、単一指数関数と最良に適合した
(図2A)。活性化の速度は、−40から+50mVまでの試験電位にて変化の
増加につれて増大した。電流の非活性化は、IKrと同様に、二指数関数に最良
の適合した(図2B)(Chinn、1993; Yangら、1994)。HERGの電
流の活性化についての時間定数、および非活性化の早い相は、試験電位のベル型
関数であった(図2C)。非活性化の早い成分の相対的な増幅は、−30mVで
の0.77から−120mVでの0.2まで変化した(図2D)。HERG電流の
キネティックスは、IKrより遅いが(SanguinettiおよびJurkiewicz、199
0; Shibasaki、1987; Yangら、1994)、同一の電圧依存性を示す。
【0170】 HERG電流は細胞外Kによって活性化される。 HERGのK選択性は、異なる濃度のKCl(0.5−20mM)を含むN
D96溶液に入れた卵母細胞において、電流の逆電位を測定することにより決定
された。尾部電流は、+20mVまでのパルスによって電流の活性化後に、可変
の試験電位で測定された(図3Aおよび3B)。尾部電流を内方から外方電流に
逆にした電圧は、逆電位、Erevと定義された。これは、[K>5mM
についてのネルンストの方程式によって予測されるように、細胞外K濃度([
)で変化した([Kの10倍増加につき58mVの変化)。E ev は、ゴールドマン−ホジキン−カッツの電流方程式によってよく記載された
方法において[Kの全範囲にわたって変更された(図3C)。これらのデ
ータは、HERGが143のファクターだけ、Naに優先してK対して選択
的に透過性であることを示す。
【0171】 心臓のIKrの顕著な特徴は、[Kによるその調節である(Sanguinett
iおよびJurkiewicz、1992)。HERG電流の大きさに対する[K
効果は、図4A−Cに示される。HERG電流は、[Kに正比例して増加
するが、I−V関連の形は変更されなかった(図4D)。HERG電流の[K依存性は、0.5ないし20mM KClを含む溶液に入れた卵母細胞におい
て、+20mVにてのピーク外方電流を比較することにより測定された。この範
囲にわたって、HERGの電流の増幅は、[Kの一次関数として変化した
(図4E)。大部分の他のK電流と異なり、外方のHERG電流の大きさは、
細胞外Kの除去で奇異に低下する。
【0172】 HERG電流の整流は急速なチャネル不活性化に起因する。 IKrの内方整流は、活性化よりも急速である電圧依存性の不活性化に起因す
ると仮定される(SanguinettiおよびJurkiewicz、1990; Shibasaki、19
87)。競合する2つのプロセスの最終結果は、外方Kの流れについての定常
状態の活性化変数および電気化学的駆動力から予測されたものに対して低下した
電流の大きさである。チャネルが経時的な不活性化より急速な速い非活性化から
回復するために、ピーク尾部電流が強い脱分極(図1参照)の後に類似した整流
を示さないと仮定される。この解釈が正確であるならば、尾部電流の開始の間に
速い不活性化から経時的回復を測定することが可能であろう。図5は、この実験
の結果を示す。尾部電流は、いくつかの試験電位にて記録し、各々は、+40m
Vまでの前パルスによって先行された(図5A)。速い不活性化からの回復につ
いての時間定数の電圧依存性は、図5Bにプロットされる。回復は、−30mV
(t=18.6ミリ秒)にて最も遅く、試験電位の増加または低下につれてより速
くなる。不活性化からの回復についての時間定数および膜電位間のベル型関連は
、HERGの電流の活性化および非活性化の電圧依存性を記述する関係と同一電
圧(−30mV)でピークとなった(図2C)。(それが活性化よりはるかに速
く生じるので)速い不活性化の開始は定量化できないが、図4B(−20ないし
+20mV)の曲線の下行性の脚が、急速な不活性化の電圧依存性も示すようで
ある。これらのデータは、HERG電流の内方整流が経時的な活性化より非常に
急速である不活性化プロセスに起因することを示す。
【0173】 チャネル整流の電圧依存性は、HERG電流(図5C)につき完全に活性化さ
れたI−V関連とオーム伝導につき期待されたI−V関連との比較によって決定
された。図5Cの点線は、−90ないし−120mVにて測定された電流の増幅
の線形の適合から推定され、それは内方整流の不存在(オーム伝導)下にて生じ
るI−V関連を示した。この線の勾配は、この卵母細胞におけるHERGの最大
コンダクタンス(118マイクロ秒)を定義し、それを用いて、チャネル整流の
電圧依存性を計算する(図5D)。整流は−49mVにて半値であり、その関連
は、28mVの勾配係数を有した。半分の点は、ウサギ結節細胞におけるIKr に非常に類似し、その勾配係数は、モルモット筋細胞におけるIKrにほぼ同一
であった(表2)。
【0174】 いずれかの所与の試験電位(V)での定常状態のHERG電流は以下に定義で
きる: IHERG=G・n・R(V−Erev) ここに:G=HERG電流の最大コンダクタンス;n=活性化変数;R=整流変数
;Erev=逆電位。
【0175】 HERG電流はランタンとコバルトによってブロックされるが、メタンスルホン
アニリドまたは環状ヌクレオチドによって影響されない。 心筋細胞のIKrは、10−100μMのランタン(La3+)、2mMのコ
バルト(Co2+)(Balserら、1990;SanguinettiおよびJurkiewicz、1
990)、およびE−4031(SanguinettiおよびJurkiewicz、1990)も
しくはMK−499(Lynchら、1994)のごときnM濃度のいくつかのメタ
ンスルホンアニリド不整脈治療薬によってブロックされる。HERG電流がこれ
らのカチオンおよび薬物によってもブロックされるかどうかを決定した。0mV
の試験電位にて、10μMのLa3+はHERG電流を92±3%低下させた(
n=4、図6)。La3+の遮断作用の少なくとも一部は、I−V関連のピーク
(図6C)および同一時間の活性化曲線(図6D)の双方における40mVポジ
ティブ・シフトによって示されるごとく、ネガティブな膜表面電荷のスクリーニ
ングに起因した(SanguinettiおよびJurkiewicz、1990)。また、HERG
は、2mMのCo2+(n=2)によって部分的にブロックされた(52%)。
しかしながら、また、1μMの濃度でのE−4031および、MK−499のい
ずれも、これらの薬物において4時間まで卵母細胞を培養した後でさえ、HER
G電流をブロックしなかった。HERGチャネルは、そのカルボキシル末端に近
いドメインに結合する環状ヌクレオチドに相同性のセグメントを含む(Warmkeお
よびGanetzky、1994)。HERGが環状ヌクレオチドに感受性があるかを決
定するために、発現したHERG電流に対する8−Br−cAMPおよび8−B
r−cGMPの効果を試験した。
【0176】
【表2】
【0177】 内因性環状ヌクレオチドのこれらの膜浸透性アナログは、Xenopus卵母細胞にお
いて発現した他のチャネルの大きさを増大させることが示された(Blumenthalお
よびKaczmarek、1992; Bruggemannら、1993)。いずれの化合物も、適
用の30分間以内に1mMの濃度にて、チャネル活性化の電流の大きさまたは電
圧依存性に対して有意な効果はなかった(データは示さず)。
【0178】 HERGは、心臓のIKrのサブユニットをコードする。 前記の結果は、HERGが心臓のIKrチャネルの主要なサブユニットをコー
ドすることを示す。卵母細胞において発現したHERGは、心筋細胞におけるI Kr を規定する大部分の区別される特性を共有する電流を誘導する(表2)。こ
れらは以下を含む:1)0mV付近のピークを持つI−V関連の内方整流;2)
活性化の電圧依存性;3)[Kによる電流の奇異な調節;および4)La 3+ もしくはCo2+によるブロック。活性化のキネティックスおよびHERG
電流の非活性化は、室温で測定された、マウスAT−1細胞のIKrよりかなり
遅い(Yangら、1994)。この差は、いくらかの内因性因子またはさらなるチ
ャネル・サブユニットが心臓の細胞のIKrチャネルのゲーティングを調節する
ということを示すかもしれない。さらに、HERGは8−Br−cAMPによっ
て活性化されず、イソプロテレノールが心筋細胞におけるIKrを増加させない
という発見と一致する(Sanguinettiら、1991)。したがって、卵母細胞中
のHERGサブユニットのコアセンブリは、おそらくホモ四量体(homotetramer
)として、心臓のIKrの主要な生物物理学の特性を再構築できる(MacKinnon
、1991)。他のチャネルがこれらのすべての特性を共有するとは限らない。
【0179】 HERG電流とIKrとの間の唯一の主要な差は、単離された心筋細胞におけ
るIKrの強力でかつ特異的なブロッカーのメタンスルホンアニリド薬(E−4
031、MK−499)によってHERGがブロックされないということである
(lynchら、1994;SanguinettiおよびJurkiewicz、1990)。これは、I Kr チャネルおよびメタンスルホンアニリド受容体は別々であるが、相互作用す
る蛋白質であることを示唆する。同様の現象は、最近哺乳動物の心臓から単離さ
れたKATPチャネルについて記載されてきた(Ashfordら、1994)。この
チャネル(rcKATP−1)がHEK293細胞において発現される場合、それ
は細胞内のヌクレオチドによる調節を含めた天然のチャネルの生物物理学的特性
(Ashfordら、1994)をすべて有している。しかしながら、そのチャネルは
、心筋細胞中のKATPチャネルを阻害する薬物のグリベンクラミドによってブ
ロックされない(Ashfordら、1994)。ドフェチリド(dofetilide)または
MK−499のごとき既知の高親和性プローブを生化学的に用いて、メタンスル
ホンアニリド受容体を単離することは可能かもしれない。メタンスルホンアニリ
ド受容体を持つHERGチャネルの共発現は、これらの2つの分子間の相互作用
の詳細な試験を可能にするであろう。
【0180】 HERG整流の機序は急速なチャネル不活性化である。 IKrのユニークな特徴はI−V関連の内方整流である。心臓の内方整流器、
Krはさらに強い内方整流を示すが、これはよりネガティブな電圧範囲を越え
て生じる。正常な生理的条件の下にて、ピークの外方のIKIは−60mVにて
生じ、一方、IKrは0mVにてピークとなる。IKI整流の機序は、細胞内の
Mg2+(Vandenberg、1987)およびスペルミン(Faklerら、1995)に
よる電圧依存性ゲーティング機序および外方電流のブロックの双方に起因する。
対照的に、それはIKr整流のその内方整流が活性化よりはるかに速く生じた電
圧依存性の不活性化にに起因すると仮定された(Shibasaki、1987)。速い
不活性化のキネティックスは、筋細胞の巨視的な電流の記録において解析するこ
とが困難であり、したがって、単一のチャネル活性のキネティックスに基づいて
計算された(Shibasaki、1987)。この試験では、室温にての大きなシグナ
ル−対−ノイズ比および比較的遅いチャネルゲーティングのキネティックスのた
めに、巨視的なHERG電流の不活性化からの経時的な回復につき解析すること
が可能であった。速い不活性化の急速な開始および回復形態は、HERGについ
てのI−V関連の著しい内方整流を説明する。例えば、+20mVの試験電位で
は、HERGは、230ミリ秒の時間定数で活性化するが、同時に12ミリ秒の
時間定数で不活性化する。かくして、電流の活性化が、かなりのレベルに達する
前に完了し、その結果、電流の増幅が非常に低下する。不活性化からの回復は、
脱分極に対して速く生じ、その尾部電流の増幅は再極性化の後に有意には影響し
ない。発明者らの発見は、IKr(およびHERG)についての整流の機序が、
急速な電圧依存性の不活性化であるというShibasalciの仮説を支持する。
【0181】 HERG電流の整流、−49mVにて半値(V1/2)であり、28mVの勾
配係数を有した。HERG整流の勾配係数は、モルモット筋細胞において測定さ
れたIKrに類似した(22mV)。HERG整流のV1/2は、モルモット(
表2)において推定されたよりネガティブであった。しかしながら、モルモット
筋細胞におけるIKr整流の電圧依存性は、ネガティブな試験電位での非常に大
きなIKIとの重なりのために、測定するのは困難であった。HERGを発現し
ているウサギ結節細胞および卵母細胞中の電流をオーバーラップさせる欠如は、
チャネル整流の電圧依存性のより正確な測定を可能とし、これらの判定は類似し
た(表2)。発現したHERGの単一のチャネル分析は、電圧依存性ゲーティン
グおよび速い不活性化のより詳細な記載を可能とするであろう。
【0182】 HERG電流の[K依存性は、心臓の活動電位の持続を調節できる。 [Kの上昇は、外方のHERG電流の増加を引起した。[Kの増
加が外方のKの流れについての化学的駆動力を低下させ、したがって、外方の
電流を増加させるよりむしろ、減少させることが期待されるので、これは奇異な
結果である。同一現象は、IKrについて記載されてきたが(Sanguinettiおよ
びJurkiewicz(1992); SampsおよびCarmeliet、1989)、IKI以外
のいずれの他の心臓のチャネルについても記載されていない。しかしながら、I KI は過分極でほとんど即座に活性化されるが、HERGはIKrのように、脱
分極によって比較的ゆっくり活性化され、過分極によって活性化されない。
【0183】 [KによるHERG(およびIKr)の調節は生理的重要性を有し得る
。急速な心拍数または虚血の間に、Kは細胞内間隙に蓄積する(Gintantら、
1992)。[Kにおけるこの上昇は、正味の再分極電流に対するHER
G(IKr)の寄与を増加させるだろう。したがって、HERG(IKr)は、
高い心拍数の活動電位持続の調節において、または虚血の初期の相の間により重
要でありさえする。
【0184】 [KによるHERG調節の機序はまだ知られていないが、他のクローン
化したKチャネル、RCK4につき記載されたものと類似するかもしれない。
また、RCK4の増幅は、[Kの上昇と共に増加する(Pardoら、199
2)。単一のチャネル分析は、[Kの上昇が開くことができるチャネル数
を増加させるが、単一チャネル伝導率、平均開口時間またはゲーティング時間に
効果がなかったことを明らかにした(Pardoら、1992)。さらに、チャネル
の細孔付近に位置した単一のリジンのチロシン残基への置換(K533Y)が、
この効果を消失させたことが実証された。電流における類似した[K依存
性の増加は、Shaker Bチャネルの細孔領域の付近の単一アミノ酸の置換によって
生じた(Lopez−Barneoら、1993)。将来の実験は、Kが類似した機序に
よって単一のHERGチャネルを調節するかどうかを決定するであろう。
【0185】 HERGの突然変異、およびIKrの薬物誘導されたブロック:遺伝的および後
天性LQTの間の機序的な連結。 遺伝的LQT、および障害のより一般的な(薬物誘発された)後天性形態は、
トルサード・ド・ポワンツ、多形性の心室頻拍性不整脈と関連する。HERGに
おける突然変異が、HERG機能の優位なネガティブ阻害によってのように、第
7染色体連鎖LQTを引起すことが最近示された(Curranら、1995)。後天
性および遺伝的LQTを説明するいくつかの異なる機序があるだろうことは注目
されるべきである。例えば、SCN5A、心臓のナトリウム・チャネル遺伝子に
おける突然変異が第3染色体に連鎖したLQTを引起すことは最近実証された(
Wangら、1995)。HERGがIKrチャネルを形成するという発見は、ある
種の薬物によるIKrのブロックが家族性LQTにおいて観察されるのと同一の
不整脈(トルサード・ド・ポワンツ)を誘発できるという観察について論理的な
説明を供する。
【0186】 本発見は、重要な臨床的な意味合いを有するかもしれない。生理的範囲の[K
]の変化がかなりHERG電流の増幅を調節したことが判明した。例えば、
2mMのレベルから5mMの新しいレベルまでの[Kの上昇は、HERG
電流を40%まで増加させた。共通の臨床上の問題の穏やかな低カリウム血症は
、HERG電流に対してかなりの効果を有するであろう。これは、低カリウム血
症と後天性LQTの間の関連を説明できる(Roden、1988)。さらに、低カ
リウム血症自体は心室の不整脈に関連してきた(Curryら、1976)。それら
が適度に心臓の活動電位を延長し、それによって、リ・エントラント(re-entra
nt)不整脈を阻害するので、IKrを減少させる薬物治療(例えば、ソタロール
(sotalol)、ドフェチリド)は有効な抗不整脈剤となり得る。しかしながら、
低カリウム血症の状況では、この効果が誇張され、過剰な活動電位延長およびト
ルサード・ド・ポワンツの誘導に導くであろう。これらの抗不整脈薬物治療剤を
与えられた患者、または後天性LQTを引起しかねない他の薬物を与えられた患
者、および第7染色体連鎖したLQTを持つ個人における血清中[K]の適度の
上昇は、LQTおよびトルサード・ド・ポワンツを防止するのを助けるであろう
【0187】 まとめると、HERGが、IKrチャネルを形成する主要なサブユニットをコ
ードすることが実証された。本発見は、第7染色体に連鎖したLQTの分子的機
序および疾患のある種の後天性形態が、同一のイオンチャネルの機能障害に起因
し得ることを示唆する。
【0188】 さらに、本発明は、以下の実施例において詳述され、それは例示の方法によっ
て供され、いずれの方法においても本発明を制限することを意図しない。当該技
術分野においてよく知られた標準的手法または以下に詳細に記載された手法が利
用される。
【0189】 実施例1 表現型の評価方法 LQT血族は、北アメリカ中の医学診療所から確認された。表現型の基準は、
従来の試験(Keatingら、1991a; Keatingら、l991b; Keating、19
92)において用いたものと同一であった。個人は、心拍数(QTc; 新聞、1
920)につき修正されたQT間隔に基づいたLQT、および意識喪失、発作お
よび異常な突然死の存在につき調べられた。通知された同意は、地域施設レビュ
ー・ボード・ガイドライン(local institutioonal review boad guideline)に
従って、各個人またはその保護者から得られた。表現型のデータは遺伝子型につ
いての知識なくして解釈された。影響されるように、0.45秒以上の修正され
たQT間隔(QTc)を持った症候性の個人、および0.47秒以上のQTcを持
った無症候性の個人に割当てて分類された。割当てられないものとして、0.4
1秒以下のQTcを持つ無症候性の個人が分類された。 不明確なものとして、0.41と0.47秒との間のQTcを持つ無症候性の個人
、および0.44秒以下のQTcを持った症候性の個人が分類された。
【0190】 実施例2 リンケージ分析 ペアのリンケージ分析は、LINKAGE v5.1におけるMLINKを用いて行われた(La
thropら、1985)。浸透度につき0.90およびLQT遺伝子頻度につき0.
001の推定値を用いた。遺伝子頻度は、男性と女性の間で等しいと仮定した。
【0191】 実施例3 HERGのゲノムおよびcDNAクローンの単離 HERGプローブは、ヒトゲノムDNAおよびプライマー・ペア1−10、6
−13および15−17を用いてPCR反応の産物を用いて生成した(表3)。
これらの産物をクローニングし、高い特異的活性まで放射性標識し、それを用い
てヒトゲノムP1ライブラリーをスクリーニングした(Sternberg、1990)
。ポジティブなクローンを精製し、特徴付けし、FISHとDNA配列分析のた
めに用いた。ドメインS1−S3およびイントロンIを含有するHERGゲノム
クローン(Curranら、1995)(ここに、イントロン6)を用いて、ヒトの海
馬のcDNAライブラリー(Stratagene、ライブラリー#936205)の約1
個の組換え体をスクリーニングした。HERGコード配列のヌクレオチド3
2−2398を含有した単一の、部分的に処理されたcDNAクローンが同定さ
れた。このライブラリーの第二のスクリーニングはこのcDNAのコード部分を
用いて行った。このスクリーニングは、3'非翻訳領域(UTR)を通るヌクレ
オチド1216からのHERGコード配列を含み、ポリA領域を含有した第二
のクローンを生成した。これらの2つのcDNAは、2089位でのXhoI部位を
用いて連結した。HERGの5'領域を回収するために、ヒトの心臓cDNAラ
イブラリー(Stratagene、ライブラリー#936207)の約10個のクロー
ンは、複合海馬のcDNAでスクリーニングした。ヌクレオチド2133を通る
5'−UTRを含む単一のクローンを単離した。このクローンをBgIII部位(ヌ
クレオチド1913)で複合した海馬と結合させて、全長HERG cDNAを
得た。
【0192】 実施例4 HERGのYACベースのマッピング HERGの3'非翻訳領域(プライマー5'GCTGGGCCGCTCCCCTTGGA3'(配列番
号:7)および5'GCATCTTCATTAATTATTCA3'(配列番号:8)を用いて、309
bpの産物を得る)に特異的なPCRアッセイを用いて、ヒトの第7染色体に高
度に富化したYACクローンのコレクションをスクリーニングした(Greenら、
印刷中)。2つのポジティブなYACクローンを同定し(yWSS2193およ
びyWSS1759)、両者は、遺伝的マーカーD7S505(Greenら、19
94)につきポジティブなYACを含む大きなコンティグ内に含まれた。
【0193】 実施例5 蛍光的in Situハイブリダイゼーション 中期染色体スプレッドは、コルセミド停止、低張の処理および酢酸−メタノー
ル固着の標準的手順によって正常に培養されたリンパ細胞(46X、Y)から調製
した。HERG P1クローン16B4は、標準的方法により、ビオチン−14−
dATP(BioNickシステム、Gibco−BRL)の組込みによって標識し、中期スプレッ
ドにハイブリダイズして、ストレプトアビジン−Cy3で検出した(Lichterら
、1988)。第7染色体を識別するために、ジゴキシゲニン標識した動原体に
特異的なα−サテライトプローブ(Oncor)を共にハイブリダイゼズし、抗ジゴ
キシゲニン−FITCで検出した。染色体は、DAPIで対染色し、顕微鏡写真
機で直接的に視覚化した。
【0194】 実施例6 SSCP分析 ゲノムDNA試料をPCRによって増幅し、(Oritaら、1989; Ptacekら
、1991)記載のごときSSCP分析に用いた。この試験につき用いられたプ
ライマー・ペアを表3に示す。アニーリング温度は、全PCR反応につき58℃
であった。反応物(10μl)を40μlの0.1%SDS/1mM EDTAお
よび30μlの95%フォルムアミド染料で希釈した。希釈した産物を94℃ま
たは100℃にて5または10分間加熱することによって変性させ、各試料の3
−5μlを4℃の7.5%または10%のいずれかの未変性のポリアクリルアミ
ド・ゲル(50 アクリルアミド:1 ビス−アクリルアミド)上の電気泳動によ
って分離した。電気泳動は、40−50ワットにて、2ないし5時間行った。ゲ
ルは、3MMろ紙に移し、乾燥させ、−80℃にて12−36時間、X線フィル
ムに曝露した。
【0195】
【表3】
【0196】 実施例7 SSCPコンフォーマーの配列分析。 正常および異常型のSSCPコンフォーマーは、乾燥ゲルから直接的に切断し
、37℃または65℃のいずれかで30分間100μlの蒸留水中に溶出した。
溶出した10μlのDNAは、オリジナルのプライマー・ペアを用いて、第二の
PCR反応についての鋳型として用いた。産物を2%の低溶融温度アガロースゲ
ル(FMC)中で分別し、DNA断片を精製し、サイクリック・シークエンシン
グにより直接的に配列決定した(WangおよびKeating、1994)。あるいは、
精製したPCR産物を(Marchuckら、1990)記載されたごときT−ベクター
を用いて、pBluescript II SK(Stratagene)にクローニングした。プラスミ
ドDNA試料を精製し、SequiThermポリメラーゼ(Epicentre Technologies)ま
たは従前に記載(Curranら、1993a)のごとき方法を用いて、ジデオキシ・
チェーン・ターミネーション法によって配列決定した。
【0197】 実施例8 エクソン/イントロン境界決定 ヒトのコスミッド・ライブラリーのスクリーニングは、約55kbにわたる、
全てのエクソンを包含する2つのコスミッドを与えた(図7)。全てのゲノムの
クローンは、cDNA配列決定に対して設計されたプライマーを用いて、配列決
定した。HERGコスミッドは、Applied Biosystemsモデル373A DNAシ
ークエンサーでジデオキシ・チェーン・ターミネーション法によって配列決定し
た。正確なエクソン/イントロン境界は、cDNA、ゲノム配列および既知のプ
ライス部位コンセンサス配列の比較によって決定した。
【0198】 エクソン/イントロン境界は、そのcDNAに対して設計されたプライマーを
持つコスミッドを配列決定することにより決定した。配列決定は、100bp(
エクソン11)から553bp(エクソン15)までの範囲のサイズを持つ15
個のエクソン(図8)の存在を明らかにした(表4参照)。イントロン供与体お
よび受容体のスプライス部位は、一様なGTおよびAGか逸脱しなかった。単一
のペアのプライマーは、大部分のエクソンのために設計され、重なる産物を持つ
2つのペアは、エクソン4、6および7のために設計された(表5)。イントロ
ンの側面にある反復性DNA配列により、ネスティドPCRを用いて、エクソン
1および11を増幅した。プライマーのこのセットを用いて、突然変異のための
HERGの全コード配列をスクリーニングできる。
【0199】
【表4】
【0200】
【表5】
【0201】 実施例9 PCRプライマーのデザインおよびPCR反応条件 該HERG遺伝子のエキソンを増幅するためのプライマーを実験上またはOL
IGO4.0(NBI)を用いてデザインした。増幅条件は: (1)94℃3分間に引続き、94℃10秒間、58℃20秒間および72℃
20秒間の30サイクル、および72℃にて5分間の伸長。 (2)(1)と同一条件であるが、反応物は10%グリセロールおよび4%ホ
ルムアミドの最終濃度を有し、鉱油で覆った。 (3)94℃3分間に引続き、94℃10秒間、64℃20秒間および72℃
20秒間の5サイクル、および94℃10秒間、62℃20秒間および72℃2
0秒間の30サイクル、および72℃にて5分間の伸長。 HERGのエキソン1および11の入れ子PCRにおいて、当該初期反応物か
らの2μLアリコートを第2の反応に用いた。
【0202】 実施例10 ノーザン解析 poly−A mRNAの〜2μg/レーンを含有する多重組織ノーザンブ
ロットをClontechより入手した(Human MTN blot 1)。該コード配列のヌクレオ
チド679〜2239を含有する高特異的活性(>1.5×10cpm/μg
DNA)、記載された無作為六量体開始によって[Feinberg and Vogelstein,
1983]、放射線標識HERGのcDNAフラグメントを調製した。プローブを該
ハイブリダイゼーション溶液に5×10cpm/mlの最終濃度にて添加した
。ハイブリダイゼーションを20mlのQuickhyb(Stratagene)中で42℃にて
24時間行った。最終洗浄を0.1%SDS/0.1×SSCの溶液中で65℃
にて30分間行った。
【0203】 実施例11 HERGの連鎖解析 LQT2は染色体7q35〜36上のマーカーに連鎖された 3つの既知のL
QT遺伝子座(LQT1、LQT2、LQT3)の相対頻度を決定するために、
連鎖解析をこの疾患を持つ家族において行った。5つのLQT家族を確認し、遺
伝子型で特徴付けした(図13)。これらの家族は関係がなく、家系が異なり、
メキシコ人(スパニッシュ)、ドイツ人、イギリス人およびデンマーク人を含ん
でいた。各場合において、常染色体優性な遺伝パターンが血統の調査によって示
唆された。罹患した個人は、心電図上のQT延長の存在および、いくつかの場合
には、失神または未発育突然死(aborted sudden death)の履歴によって確認し
た。どの患者も先天性の神経性聴力損失の徴候、稀な常染色体劣性形態のLQT
に関する発見、または他の遺伝子型異常を有しなかった。該既知のLQT座に連
結合した多型性マーカーでの遺伝子型解析は、これらの家族における疾患遺伝子
型が染色体7q35〜36上の多型性マーカーに結合されたことを示した(図1
4)。これらの5家族についての最大組合せ2点ロッドスコア(maximum combin
ed two-lod score)はD7S636にて5.13であった(θ=0.0;表6)
。以前の研究[Jiangら, 1994; Wangら, 1995]と組合せると、該14個の染色
体7−結合家族についての最大組合せ2点ロッドスコアは、同様にD7S636
にて26.14であった(θ=0.0;表6)。ハプロタイプ解析は以前の研究
と一致し、LQT2をD7S505とD7S483との間に配置し(図14;Wa
ngら, 1995)、この遺伝子を染色体7q35〜36に対して位置決定した。
【0204】 染色体7q35〜36に対するHERGマップ HERGは、以前染色体7に
対してマップされた[WarmkeおよびGanetzky, 1994]。この遺伝子の候補性を試
験するために、HERGの位置決定を2つの物理的マッピング技術を用いて改善
した。第1に、HERGを染色体7に対して構築された一組の酵母人工染色体(
YAC)コンティグ上にマップした[Green et al., 1994]。HERGは、LQ
T2に強く結合した多型性マーカーであるD7S505として、同一のYACに
対して位置決定した(表6)。第2に、HERGを含有するP1ゲノムクローン
での蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)を用いて、HER
Gを染色体7q35〜36に対してマップした。
【0205】 HERGが該LQT座に遺伝子学的に結合しているかどうかを決定するために
、SSCP解析を用いてHERG内の多型性を確認し、連鎖解析を該染色体7−
結合家族において行った。2つの異常SSCPコンフォマーがプライマー・ペア
5〜11、および3〜8を用いて、患者および対照からのDNAサンプルにおい
て確認された。3つのコンフォマーをクローン化し、配列決定した。一つの異常
コンフォマーは、コドン489(DNAヌクレオチド1467、実測へテロ接合
性=0.37)の3位にてのCからTへの置換を生じた。別の異常コンフォマー
はコドン564(cDNAヌクレオチド1692、実測へテロ接合性=0.44
)の3位にてのAからGへの置換を生じた。いずれの置換もHERGの予測した
アミノ酸配列に影響しなかった。HERG多型性を染色体7−結合家族における
遺伝子型解析に用いた(図9)。これらの家族のいずれにおいても、HERGと
LQTとの間に組換えイベントは何も確認されなかった。該14家族に対する最
大組合せロッドスコアは9.64(θ=0.0;表6)であった。これらのデー
タは、HERGが完全にLQT2に結合していることを示している。
【0206】
【表6】
【0207】 2家族におけるLQTに関係するHERG遺伝子内欠失。 HERGがLQT
2であるという仮説を調べるために、SSCP解析を用いて、罹患した個人にお
ける突然変異につきスクリーンした。HERGの遺伝子構造は未知なので(研究
のこの部分は、該遺伝子の完全イントロン/エキソン構造を決定する前に行われ
た)、オリゴヌクレオチドプライマー・ペアを公開された[Warmke and Ganetzk
y, 1994]HERG cDNA配列からデザインした(表3)。ほとんどの場合、
予測したサイズの単一産物が生成した。しかしながら、プライマー・ペア1〜1
0、6〜13、および15〜17について、予測したサイズより大きな産物が得
られ、イントロン配列の存在を示している。この可能性を調べるため、これら大
きめの産物をクローン化し、配列決定した。DNA配列解析は、該cDNA配列
配列番号:1の1557/1558、1945/1946、および2398/2
399に3つのイントロンを確認した(図15)。これらの境界は、HERGを
含有するHERGゲノムクローンの直接DNA配列決定によって確認された(デ
ータ示さず)。SSCP解析を容易にするため、さらなるプライマーをイントロ
ン配列用にデザインした。
【0208】 前に示したごとく、プライマー・ペア3〜8を用いるSSCP解析はHERG
内にAからGへの多型性を確認した(cDNAヌクレオチド1692)。このS
SCP多型性を用いる親族2287(K2287)の解析はヌル対立遺伝子と一
致する遺伝子型パターンを規定した(図13)。これらの発見に対する可能性の
ある説明は、多重誤遺伝(multiple misinheritances)を含み、可能性は以前の
遺伝子型解析、DNA試料誤差、塩基対の置換または欠失によって支持されない
。該遺伝子型データは小欠失のためであるという仮説を調べるため、K2287
のPCR解析は、プライマーの以前の組に側面を接する新たなプライマー・ペア
(3〜9)を用いて繰り返した。これらの実験はK2287の罹患したメンバー
において170bpおよび143bpの2つの産物を確認した(図10Aおよび
10B)。対照的に、170bpの単一産物のみがこの親族の罹患していないメ
ンバーにおいて観察された。さらに、200人を超える罹患していない個人から
のDNA試料において170kbの単一の産物のみが見られた。該143bpお
よび170bp産物を罹患した個人II−2からクローン化した。該異常PCR
産物の直接配列解析は1498位から始まる27bp欠失(ΔI500〜F50
8)の存在を明らかにした。この欠失はHERGの第3の膜スパニングドメイン
(spanning domain)(S3)を崩壊させる。
【0209】 HERGがLQT2であるという仮説をさらに調べるため、さらなるSSCP
解析をさらなる親族において行った。該プライマー・ペア1〜9を用いるSSC
P解析は、K2595の罹患した個人において異常コンフォマーを確認した(図
11A)。200人を超える罹患していない個人の解析はこの例外を示さなかっ
た。正常および異常コンフォマーをクローン化し、配列決定して、1261位に
ての単一塩基欠失(Δ1261)を明らかにした。この欠失は第1の膜スパニン
グドメイン(S1)をコード化する配列におけるフレームシフトを生じ、12個
以内のアミノ酸の新たな停止コドンを生じる(図11B)。2つのLQT家族に
おけるHERGの遺伝子内欠失の確認は、HERG突然変異はLQTを引起し得
ることを示す。
【0210】 LQTに関連する7つのHERG点突然変異。 さらなるHERG突然変異を
確認するため、さらなるSSCP解析を関連する親族および散発性症例において
行った。3つの異常コンフォマーをK1956,K2596およびK2015の
罹患したメンバーにおいて確認し(図12A、12Cおよび12D)、5つの他
の親族(K1663、K2548、K2554、K1697およびK1789)
も異常なバンドを示した(図13A〜E)。各場合において、正常および異常コ
ンフォマーをクローン化し、配列決定した。K1956において、(この段落の
すべてのデータにつき塩基1から始まる出発コドンを持つ)1682位にてのC
からTへの置換を確認した。この突然変異はコドン561にての高度に保存され
たアラニンの代りのバリンへの置換(A561V)を生じ、該HERGタンパク
質の第5の膜スパニングドメイン(S5)を変化させる(図12B)。K259
6において、AからGへの置換を1408位にて確認した。この突然変異は、コ
ドン470にての高度に保存されたアスパラギンの代りのアスパラギン酸への置
換(N470D)を生じ、第2の膜スパニングドメイン(S2;図12D)に位
置する。K2015において、GからCへの置換が確認された。この置換はイン
トロンIII(イントロン9)のスプライス−ドナー配列を崩壊させ、環状ヌク
レオチド結合ドメインに影響する(図12F)。K1663はG572Cを生じ
るG1714T突然変異を有し、K2548はN588Dを生じるA1762G
突然変異を有し、K2254およびK1697の両方は、A614Vを与えるC
1841T突然変異を有し、また、K1789はV630Aを生じるT1889
C突然変異を有していた。200人を超える罹患していない個人からのDNA試
料においては異常コンフォマーは一つも確認されなかった。 上記の研究に準じ、さらなる研究はHERGのいくつかのさらなる突然変異を
明らかにし、それらはLQTと診断された患者には見られた、200人の罹患し
ていない人々には見られなかった。これらのさらなる突然変異を表7に示す。
【0211】
【表7】
【0212】
【表8】
【0213】
【表9】
【0214】 LQTの散発性症例におけるHERGの新規の突然変異。 HERG突然変異
がLQTを生じることを実証するため、SSCP解析を用いて、散発性症例にお
ける突然変異につきスクリーンした。プライマー・ペア4〜12はK2269の
罹患した個人II−1において異常コンフォマーを確認した(図14A)。この
コンフォマーはいずれの両親においても、200人を超える罹患していない個人
においても確認されなかった。該異常コンフォマーの直接DNA配列決定は18
82位にてGからAへの置換を確認した。この突然変異はコドン628にて高度
に保存されたグリシンの代りのセリンへの置換を生じ(図14B)、ポア形成ド
メインを変化させる。9つの情報性のあるSTR多型性を用いるこの親族の遺伝
子型解析は母系および父系であることを確認した。散発性症例における新規な突
然変異の確認はHERGがLQT2であることを立証した。K1697およびK
1789における突然変異も新規に生じた。高度に多型性の短いタンデムリピー
トを用いて両方の症例において母系および父系を確認した(データ示さず)。
【0215】 HERGは心臓において発現される。 HERGは、元来、海馬cDNAライ
ブラリーから確認された[Warmke and Ganetzky, 1994]。HERG mRNAの
組織分布を決定するため、部分的cDNAクローンを単離し、ノーザン解析に用
いた。ノーザン解析は心臓mRNAに対して最も強いハイブリダイゼーションを
示し、脳、肝臓、および膵臓において弱い信号であった(図15)。非特異的ハ
イブリダイゼーションも肺において見られ、おそらく、ゲノムDNA汚染のため
であろう。心臓mRNAに観察されたバンドのサイズは、HERGの予測したサ
イズと一致した。〜4.1および4.4kbの2つのバンドを確認し、おそらく
、代りのスプライシングまたは別の関係するmRNAの存在のためであろう。こ
れらのデータは、HERGが心臓において強く発現されることを示し、LQTに
おけるその関わりと矛盾しない。
【0216】 HERGにおける突然変異はLQTの一原因である。 HERGにおける突然
変異は染色体7−結合形態のLQTを引起すと結論付け得る。いくつかの系統の
証拠がこの結論を裏付ける。第1に、連鎖解析を用いて、14家族においてLQ
T座(LQT2)を染色体7q35〜36に対してマップした。第2に、物理的
および遺伝子的マッピングを用いて、HERGを同一の染色体領域にLQT2と
して配置した。第3に、HERGは心臓において発現されることを実証した。第
4に、2家族において、LQTに関するHERGの遺伝子内欠失を確認した。第
5に、LQT患者において、4つのHERG点突然変異を確認した。最後に、3
つの点突然変異は、新規に、カリウム選択性ポアドメインをコード化する高度に
保存された領域内に発生した。
【0217】 該データは、染色体7−結合LQTについてのもっとらしい分子メカニズムを
示唆する。HERGの機能は知られていなかったが、その予想アミノ酸配列の解
析は、それがカリウムチャネルα−サブユニットをコード化することを示す。カ
リウムチャネルは4つのα−サブユニットから形成され[MacKinnon, 1991]、
ホモ−またはヘテロ四量体のいずれかである[Covarrubiasら, 1991]。これら
の生物理的観察は、正常および突然変異HERGα−サブユニットの組合せが異
常HERGチャネルを形成し得るであろことを示唆する。これは、HERG突然
変異がありウムチャネル機能に対して優勢な負の効果を有する可能性を提起する
【0218】 確認された突然変異は優勢負メカニズムと一致する。2つの突然変異は未成熟
停止コドンおよび切出しタンパク質(Δ1261およびスプライス−ドナー突然
変異)を生じる。第1の場合、アミノ末端および第1の膜スパニングドメイン(
S1)の部分のみが残存する。第2の場合、該タンパク質のカルボキシル末端が
切出され、全ての膜スパニングドメインを無傷のままにする。HERGは該カル
ボキシル末端付近に環状ヌクレオチド結合ドメインを含有し、両方の突然変異に
おいて、このドメインを欠失する。もう一つの突然変異において、9つのアミノ
酸のインフレーム欠失は第3の膜スパニングドメイン(ΔI500〜F508)
を崩壊させる。2つのミスセンス突然変異も膜スパニングドメインに影響し、そ
れらは該S5ドメイン中のA561VおよびS2中のN470Dである。両方の
突然変異は、カリウムチャネルのeag家族において保存されたアミノ酸に影響
し、該タンパク質の二次構造を変化させるようである。新規突然変異、G628
S、はポア−形成ドメインに発生する。このドメインは、全てのカリウムチャネ
ルα−サブユニットにおいて高度に保存される。この突然変異は、イオン選択性
にとって重要であるとして知られている保存されたアミノ酸に影響する。この置
換をShakerH4に導入したとき、カリウムイオン選択性が失われた[Hagi
nbotham et al., 1994]。上で論じたごとく、これらの突然変異はHERG機能
の損失を誘発し得る。
【0219】 該データはLQTにおける不整脈のメカニズムについての暗示を有する。LQ
Tについての2つの仮説が以前提案されている[Schwartz et al., 1994]。あ
る者は左自律神経支配の優勢が異常心臓再分極および不整脈を引起すことを示唆
する。この仮説は、イヌにおいて右星状神経節の除去により不整脈を誘発し得る
という発見によって裏付けられる。さらに、秘話的な証拠は、何人かのLQT患
者をβ−アドレナリン作動性ブロッキング剤によって、および左星状神経節切除
によって効果的に治療されることを示唆する[Schwartz et al., 1994]。LQ
T−関連不整脈についての第2の仮説は、心臓−特異的イオンチャネル遺伝子ま
たは、心臓イオンチャネルを調節する遺伝子における突然変異が遅延筋細胞再分
極を引起すことを示唆する。遅延筋細胞再分極はL−型カルシウムチャネルの再
活性化を促進し得、二次消極を生じ得る[January and Riddle, 1989]。これら
の二次消極はトルサード・ド・ポアンツ不整脈のもっともらしい細胞メカニズム
である[Surawicz, 1989]。この仮説は、カリウムチャネルの薬学的ブロックが
、ヒトおよび動物モデルにおけるQT延長および再分極−関連不整脈を誘発し得
るという観察によって裏付けられる[Anzelevitch and Sicouri, 1994]。LQ
Tの一形態が心臓カリウムチャネル遺伝子における突然変異に起因するという発
見が筋細胞仮説を裏付ける。
【0220】 HERGにおける環状ヌクレオチド結合ドメインの存在は、変化した自律神経
活性とLQTにおける不整脈との間の連関についてのメカニズムを示唆する。β
−アドレナリン受容体活性化は、細胞内cAMPを増大し、L−型Ca2+チャ
ネル機能を向上させる。環状AMPもHERGを活性化し、それによって、ネッ
ト外部電流を増加させ、筋細胞再分極の速度を加速することができる。HERG
の優勢−負突然変異はcAMPによるHERG機能の正常な調節を妨げ、それに
よって、L−型Ca2+チャネル機能への支配的効果を許容するであろう。その
結果としての不均衡は、促進された交換神経緊張(sympathetic tone)がCa チャネル−依存性二次消極、トルサード・ド・ポアンツの有望な細胞メカニズ
ムを誘発し得るというもっともらしさを増加させるであろう。β−アドレナリン
作動性ブロッキング剤はL−型Ca2+チャネルに対するcAMPの効果を妨げ
ることによって作用し得、おそらく、何人かのLQT患者においてβ−ブロッカ
ーの有益な効果を説明するであろう。
【0221】 この研究は、重要な臨床的暗示を有しているであろう。近年、前兆診断が大家
族において連鎖解析を用いて可能になった。LQTのほとんどの症例が散発性で
あり、そのため、連鎖解析を用いる遺伝子試験は実行できない。連続した突然変
異解析がLQTについての遺伝子試験を容易にするものであろう。LQTの他の
形態に対応する遺伝子の同定および特徴付けは一般化した診断試験の発展に必要
である。向上した診断キャパシティーは合理的な診断を可能にするであろう。例
えば、染色体7−結合LQT患者は、ピナシジルのようなカリウムチャネル活性
化剤に反応するであろう。
【0222】 実施例12 HERGに対するポリクローナル抗体の生成 HERGコード配列のセグメントをE.coli中で融合タンパク質として発
現させる。該過剰発現タンパク質をゲル溶出によって精製し、それを使用して、
[Harlow and Lane, 1998]によって記載されたものに類似する手順を用いてウサ
ギおよびマウスに免疫する。この手順は、種々の他のタンパク質に対してAbs
を発生することが示されている(例えば、[Kraemer et al., 1993]を参照)。
【0223】 簡単には、HERGコード配列のストレッチをプラスミドPET5A(Novage
n, Inc., Modison, WI)中で融合タンパク質としてクローン化する。IPTGで
の誘導後、予測した分子量を持つ融合タンパク質の過剰発現をSDS/PAGE
によって確認する。融合タンパク質を電気溶出によって該ゲルから精製する。該
タンパク質のHERG融合産物としての同定を当該N−末端にてのタンパク質配
列決定により確認する。次に、該精製タンパク質をウサギにおいて免疫原として
用いる。ウサギを完全フロイント・アジュバンド(Freund's adjuvant)中の1
00μgの該タンパク質で免疫し、先ず完全フロイント・アジュバント中の10
0μgの免疫原で、引続いてPBS中の100μgの免疫原で、3週間の間隔を
おいて2回ブーストする。血漿を含有する抗体をその後の2週間で収集する。
【0224】 この手順を繰り返して、該HERG遺伝子の突然変異形態に対する抗体を生成
する。これらの抗体を野生型HERGと組合せて用いて、種々の組織および体液
中の突然変異形態の存在および相対レベルを検出する。
【0225】 実施例13 HERGに特異的なモノクローナル抗体の生成 モノクローナル抗体を以下のプロトコルに準じて生成する。マウスを無傷HE
RGまたは、よく知られたごとく、グルタルアルデヒドまたはEDCを用いてキ
ーホール・リンペット・ヘモシアニンにコンジュゲートしたHERGペプチド(
野生型または突然変異体)を含む免疫原で免疫する。
【0226】 該免疫原をアジュバントと混合する。各マウスは10ないし100μgの免疫
原の4回の注射を受け、4回目の注射後、血液サンプルを該マウスから採取して
、当該血漿が該免疫原に対する抗体を含有しているかを決定する。血漿力価をE
LISAまたはRIAによって定量する。該免疫原に対する抗原の存在を示す血
漿を持つマウスをハイブリドーマ産生につき選択する。
【0227】 脾臓を免疫マウスから取出し、単一細胞懸濁液を調製する([Harlow and Lan
e, 1988]を参照)。細胞融合を基本的に[Kohler and Milstein, 1975]によっ
て記載されたごとく行う。簡単には、P3.65.3ミエローマ細胞(American
Type Culture Collection, Rockville, MD)を[Harlow and Lane, 1988]によ
って記載されたごとくポリエチレングリコールを用いて免疫脾臓細胞で融合する
。細胞を2×10細胞/ウェルの密度にて96ウェル組織培養プレートに塗布
する。個々のウェルを増殖について調査し、増殖したウェルの上清を野生型また
は突然変異HERG標的タンパク質を用いるELISAまたはRIAによってH
ERG特異的抗体の存在につき調べる。陽性ウェル中の細胞を膨張させ、サブク
ローン化してモノクローナル性を証明し確認する。
【0228】 所望する特異性を有するクローンを膨張させ、マウスの腹水としてか、あるい
は中空ファイバーシステム中で増殖させて、キャラクタリゼーションおよびアッ
セイ展開に充分量の抗体を産生する。
【0229】 実施例14 HERGについてのサンドイッチアッセイ モノクローナル抗体をプレート、チューブ、ビーズ、または粒子のごとき固体
表面に付着させる。好ましくは、該抗体を96−ウェルELISAプレートのウ
ェル表面に付着させる。該HERGペプチド/タンパク質(野生型または突然変
異体)を含有する100μl試料(例えば、血漿、尿、組織細胞ゾル)を該固体
相抗体に添加する。該試料を室温にて2時間インキュベートする。次に、該試料
液体をデカントし、該固体相をバッファーで洗浄して未結合物質を除去する。1
00μlの(該HERGペプチド/タンパク質についての異なる決定因子に対す
る)第2のモノクローナル抗体を該固体相に添加する。この抗体をディテクター
分子(例えば、125I、酵素、蛍光発色団、または発色団)で標識し、該第2
の抗体を持つ固体相を室温にて2時間インキュベートする。該第2の抗体をデカ
ントし、該固体相をバッファーで洗浄して未結合物質を除去する。
【0230】 結合した標識の量は、該試料中に存在するHERGペプチド/タンパク質の量
に比例し、それを定量する。別個のアッセイを該野生型HERGに特異的なモノ
クローナル抗体ならびにHERGにおいて確認された各々の突然変異に特異的な
モノクローナル抗体を用いて行う。
【0231】 実施例15 HERG発現プラスミドの構築およびcRNAの転写 アフリカツメガエル卵母細胞におけるHERG発現を容易にするため、該HE
RGcDNAをpoly−A発現ベクターにサブクローン化し、該5’および
3’UTRを最小限の長さまでに縮小する。最終HERG発現構築物はpSP6
4プラスミドベクター(Promega)中のヌクレオチド−6ないし3513までの
cDNA配列を含有する。発現実験に使用する前に、該HERG構築物を制限マ
ッピングおよびDNA配列解析によって特徴付けする。卵母細胞に注入する相補
的RNAはEcoRIでの該発現構築物の線状化後にmCAP RNA Capp
ing Kit(Stratagene)で調製する。
【0232】 実施例16 卵母細胞の単離およびRNAの注入 アフリカツメガエルを15〜30分間0.2% トリカイン中に浸して麻酔し
た。卵巣葉をCa2+−無しND96溶液中の2mg/mlタイプ1Aコラゲナ
ーゼ(Sigma)で1.5時間消化して、卵胞細胞を除去した。段階IVおよびV
卵母細胞[Dumont, 1972]をHERG cRNA(0.05mg/ml、50n
l)で注入し、次いで、50μg/ml ゲンタマイシンおよび1mM ピルビン
酸塩を補給したバース液中で18℃にて培養した。バース液は(mMで):88
NaCl、1 KCl、0.4 CaCl、0.33 Ca(NO)2、1
MgSO、2.4 NaHCO、10 HEPES;pH7.4を含有する。
【0233】 実施例17 卵母細胞の2−マイクロ電極電圧クランプ 断らない限り、卵母細胞はND96溶液に浴した。この溶液は(mMで):9
6 NaCl、2 KCl、1 MgCl、1.8 CaCl、5 HEPES
;pH7.6を含有する。いくつかの実験において、KClをNaClで等モル
置換によって変化させた。電流を室温(21〜23℃)にて標準二マイクロ電極
電圧クランプ技術を用いて記録した。ガラスマイクロ電極を3M KClで満た
し、それらの先端を破壊して、電圧−記録電極に対して1〜3MΩおよび電流−
通過電極に対して0.6〜1MΩの先端抵抗を得た。卵母細胞をDagan T
EV−200増幅器で電圧クランプした。電圧命令をpClampソフトウェア
(ver.6, Axon Instruments)、486DX2パーソナルコンピュータおよびT
L−1 D/Aインターフェース(Axon Instruments)を用いて発生させた。電
流信号を四極ベッセルフィルターの低域カットオフ周波数(−3db)の2〜4
倍に等しい速度にてデジタル的にサンプリングした。断らない限り、電流をリー
クおよびキャパシタンスにつき、標準オンラインP/3リーク控除を用いて補正
した。卵母細胞膜電位は、1〜3パルス/分の速度にて印加するテストパルス間
で−70mVに保った。データ解析は、電流軌跡の指数適合を含み、pCLAM
Pを用いて行った。ボルツマン関数またはゴールドマン−ホジキン−カッツ定フ
ィールド式(Goldman-Hodgkin-Katz constant field equation)への適切なデー
タのフィットはカレイダグラフ(Synergy Software)を用いて行った。データは
平均±SEM(n=卵母細胞数)で表記する。
【0234】 本発明は、この特許出願において、本発明の好ましい具体例の詳細を参照する
ことによって開示してきたが、該開示は、限定的な意味合いではなく例示するこ
とを意図するものと理解されるべきであり、同時に、本発明の精神および添付し
た特許請求の範囲において、修飾が当業者に容易に思い浮かぶであろうことを意
図する。
【0235】 文献リスト Altschul, S. F.ら (1997). Nucl. Acids Res. 25, 3389-3402. Anand, R. (1992). Techniques for the Analysis of Complex Genomes, (Acade
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【0236】
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、HERG cDNAを注射したアフリカツメガエル卵母細胞おいて電
位差を脱分極させる工程によって誘起した電流を示す図である。
【図2】 図2は、HERG電流活性化および脱活性化の動力学を示す図である。
【図3】 図3は、HERG電流の逆電位がK−選択性チャンネルについて予想された
ごとく[K]で変化したことを示す図である。
【図4】 図4は、細胞外KによるHERG電流の活性化を示す図である。
【図5】 図5は、迅速不活性化から生じたHERG整流を示す図である。
【図6】 図6は、HERG電流がLa3+によって遮断されることを示す図である。
【図7】 図7はHERGの物理学的マップおよびエキソン体系化を示す図である。
【図8】 図8は、HERGコード配列ならびに5'および3'非翻訳配列のゲノム体系化
を示す図である。
【図9】 図9は、5の新たなLQTファミリーの家系図および遺伝子型分析を示す図で
ある。
【図10】 図10は、2のファミリーにおけるLQTと関連するHERG遺伝子内欠失を
示す図である。
【図11】 図11は、K2595の血縁構造、プライマー・ペア1−9を用いたSSCP
解析の結果、および、異常なSSCPコンフォーマー(conformer)がこの家族
における疾病と同時分離することを示す図である。
【図12】 図12は、3のLQT血縁において同定されたHERG点突然変異を示す図で
ある。
【図13】 図13は、LQTと関連するHERGミスセンス突然変異を示す図である。
【図14】 図14は、LQTの散発性症例におけるHERGのデ・ノボ突然変異を示す図
である。
【図15】 図15は、心臓における強力な発現を示すHERG mRNAのノザンブロッ
ト分析を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12N 1/19 C12N 1/21 4H045 1/21 C12Q 1/02 5/10 1/68 A C12Q 1/02 G01N 33/15 Z 1/68 33/50 Z G01N 33/15 33/53 D 33/50 M 33/53 33/566 33/577 B 33/566 C12P 21/08 33/577 C12N 15/00 ZNAA // C12P 21/08 5/00 A B (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SL,SZ,UG,ZW),E A(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ ,TM),AE,AL,AM,AT,AU,AZ,BA ,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,CU, CZ,DE,DK,EE,ES,FI,GB,GD,G E,GH,GM,HR,HU,ID,IL,IN,IS ,JP,KE,KG,KP,KR,KZ,LC,LK, LR,LS,LT,LU,LV,MD,MG,MK,M N,MW,MX,NO,NZ,PL,PT,RO,RU ,SD,SE,SG,SI,SK,SL,TJ,TM, TR,TT,UA,UG,UZ,VN,YU,ZA,Z W (72)発明者 イゴア・スプラウスキ アメリカ合衆国02134マサチューセッツ州 オールストン、チェスター・ストリート97 番、アパートメント・エイ−2 Fターム(参考) 2G045 AA35 BA14 BB14 BB24 CB01 DA13 DA36 FA20 FB02 FB03 FB05 FB12 4B024 AA01 AA11 BA53 CA01 CA04 CA09 DA01 DA02 DA06 DA11 DA12 EA04 GA11 HA12 HA15 HA17 4B063 QA01 QA05 QA18 QA19 QQ03 QQ08 QQ43 QQ89 QR14 QR32 QR55 QR62 QR80 QR82 QS25 QS34 QS38 QX04 4B064 AG27 CA10 CA20 CC24 DA13 4B065 AA19X AA26X AA41X AA58X AA72X AA88X AA90X AA92X AA93Y AB01 AB05 AC14 BA02 BA08 CA24 CA25 CA44 CA46 4H045 AA10 AA11 AA30 BA10 CA40 DA75 DA76 EA23 EA50 FA72 FA73 FA74 HA07

Claims (30)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 変化を含む配列番号:1の核酸を含む単離されたDNAであ
    って、該変化がポジション1714のT、ポジション1762のG、ポジション
    1841のT、ポジション1955のC、および表7に掲載する全ての突然変異
    よりなる群から選択されることを特徴とする単離されたDNA。
  2. 【請求項2】 配列番号:1の核酸にハイブリダイズしないであろう条件下
    で、請求項1記載の単離されたDNAにハイブリダイズする核酸プローブ。
  3. 【請求項3】 請求項2記載のプローブをDNAまたはRNAの患者の試料
    にハイブリダイズさせることを含み、ハイブリダイゼーション・シグナルの存在
    が長期QT症候群の指標であることを特徴とする長期QT症候群を引起す突然変
    異を診断する方法。
  4. 【請求項4】 患者のDNAまたはRNAを増幅させ、該増幅させたDNA
    またはRNAを請求項2記載のプローブとハイブリダイズさせることを特徴とす
    る請求項3記載の方法。
  5. 【請求項5】 該ハイブリダイゼーションをイン・サイチュ(in situ)で
    行うことを特徴とする請求項3記載の方法。
  6. 【請求項6】 該アッセイを核酸マイクロチップ技術を用いて行うことを特
    徴とする請求項3記載の方法。
  7. 【請求項7】 一本鎖DNA高次構造多型解析技術を用いることを含む長期
    QT症候群を引起す突然変異を診断する方法であって、ここに当該方法が: 1)配列番号:56および57; 2)配列番号:58および59; 3)配列番号:60および61; 4)配列番号:62および63; 5)配列番号:64および65; 6)配列番号:66および67; 7)配列番号:68および69; 8)配列番号:70および71; 9)配列番号:72および73; 10)配列番号:74および75; 11)配列番号:76および77; 12)配列番号:78および79; 13)配列番号:80および81; 14)配列番号:82および83; 15)配列番号:84および85; 16)配列番号:86および87; 17)配列番号:88および89; 18)配列番号:90および91; 19)配列番号:92および93;および 20)配列番号:94および95; よりなる群から選択されるプライマー・ペアを用いることを特徴とする方法。
  8. 【請求項8】 HERG遺伝子またはRNAの領域を増幅させ、ついで増幅
    させた遺伝子またはRNAを配列決定することを含む長期QT症候群を引起す突
    然変異を診断する方法であって、ここに長期QT症候群が以下の群:配列番号:
    1の塩基1714のT、配列番号:1の塩基1762のG、配列番号:1の塩基
    1841のT、配列番号:1の塩基1889のCならびに表7に示す突然変異、
    のいずれか1またはそれを超える突然変異によって示されることを特徴とする方
    法。
  9. 【請求項9】 患者のDNAまたはRNAと野生型DNAまたはRNAプロ
    ーブとの間の誤対合を同定することを含む長期QT症候群を引起す突然変異を診
    断する方法であって、ここに該プローブがDNAまたはRNAの領域にハイブリ
    ダイズし、ここに該領域が以下の群:配列番号:1の塩基1714のT、配列番
    号:1の塩基1762のG、配列番号:1の塩基1841のT、配列番号:1の
    塩基1889のCならびに表7に示す突然変異を含む領域、のいずれか1である
    ことを特徴とする方法。
  10. 【請求項10】 該誤対合をRNアーゼ・アッセイによって同定することを
    特徴とする請求項9記載の方法。
  11. 【請求項11】 突然変異HERGポリペプチドに結合するが、野生型HE
    RGポリペプチドには結合しない抗体であって、ここに該突然変異ポリペプチド
    が長期QT症候群を引起こし、ここに該突然変異ポリペプチドが配列番号:2の
    ポリペプチドであって、該ポリペプチドが:アミノ酸残基572のシステイン、
    アミノ酸残基588のアスパラギン酸、アミノ酸残基614のバリン、アミノ酸
    残基630のアラニンおよび表7に示す突然変異よりなる群から選択される突然
    変異を有することを特徴とする抗体。
  12. 【請求項12】 該抗体がモノクローナル抗体であることを特徴とする請求
    項11記載の抗体。
  13. 【請求項13】 患者の試料と請求項11記載の抗体とを反応させることに
    よる患者中の突然変異HERGポリペプチドの存在についてのアッセイよりなる
    長期QT症候群を診断する方法であって、陽性反応の存在が長期QT症候群の指
    標であることを特徴とする方法。
  14. 【請求項14】 該抗体がモノクローナル抗体であることを特徴とする請求
    項13記載の方法。
  15. 【請求項15】 該アッセイがイムノブロッティングを含むことを特徴とす
    る請求項13記載の方法。
  16. 【請求項16】 該アッセイが免疫組織化学的技術を含むことを特徴とする
    請求項13記載の方法。
  17. 【請求項17】 長期QT症候群を引起こす突然変異を含む単離されたHE
    RGポリペプチドであって、ここに該突然変異が、アミノ酸残基572のシステ
    イン、アミノ酸残基588のアスパラギン酸、アミノ酸残基614のバリン、ア
    ミノ酸残基630のアラニン、または表7に示す突然変異であることを特徴とす
    る単離されたHERGポリペプチド。
  18. 【請求項18】 HERGポリペプチドを含む長期QT症候群を診断する方
    法であって、ここに該ポリペプチド中の突然変異が長期QT症候群の指標であり
    、ここに該突然変異が、アミノ酸残基572のシステイン、アミノ酸残基588
    のアスパラギン酸、アミノ酸残基614のバリン、アミノ酸残基630のアラニ
    ンおよび表7に示す突然変異よりなる群から選択されることを特徴とする方法。
  19. 【請求項19】 1)配列番号:56および57; 2)配列番号:58および59; 3)配列番号:60および61; 4)配列番号:62および63; 5)配列番号:64および65; 6)配列番号:66および67; 7)配列番号:68および69; 8)配列番号:70および71; 9)配列番号:72および73; 10)配列番号:74および75; 11)配列番号:76および77; 12)配列番号:78および79; 13)配列番号:80および81; 14)配列番号:82および83; 15)配列番号:84および85; 16)配列番号:86および87; 17)配列番号:88および89; 18)配列番号:90および91; 19)配列番号:92および93;および 20)配列番号:94および95 よりなる群から選択される核酸のペア。
  20. 【請求項20】 請求項19記載のプライマー・ペアから選択されるプライ
    マーのペアを用いることを含む、HERGのエキソンを増幅させる方法。
  21. 【請求項21】 配列番号:3を含む単離された核酸。
  22. 【請求項22】 a)突然変異を有するHERGを発現する第1セットの細
    胞を浸漬溶液に入れて第1の誘導K電流を測定し、ここに該突然変異が、アミ
    ノ酸残基572のシステイン、アミノ酸残基588のアスパラギン酸、アミノ酸
    残基614のバリン、アミノ酸残基630のアラニン、または表7に示す突然変
    異であり; b)該第1の誘導K電流を測定し; c)野生型HERGを発現する第2セットの細胞を浸漬溶液に入れて第2の誘
    導K電流を測定し; d)該第2の誘導K電流を測定し; e)工程(a)の浸漬溶液に薬物を添加し; f)工程(e)における細胞の第3の誘導K電流を測定し;ついで g)第3の誘導K電流が、第1の誘導K電流よりも第2の誘導K電流に
    より類似するか否かを判定することを含むHERG中の突然変異を有する個人を
    治療するのに有用である薬剤のスクリーニング方法であって、ここに該突然変異
    が、アミノ酸残基572のシステイン、アミノ酸残基588のアスパラギン酸、
    アミノ酸残基614のバリン、アミノ酸残基630のアラニン、または表7に示
    す突然変異を生じるものであって、ここに第1の誘導K電流よりも第2の誘導
    電流により近い第3の誘導K電流を生じる薬剤が該個人を治療するのに有
    用であることを特徴とするスクリーニング方法。
  23. 【請求項23】 該第1セットの細胞の細胞を突然変異HERGでトランス
    フェクトし、ここに該突然変異HERGがアミノ酸残基572のシステイン、ア
    ミノ酸残基588のアスパラギン酸、アミノ酸残基614のバリン、アミノ酸残
    基630のアラニン、または表7に示す突然変異を有するHERGタンパク質を
    コードすることを特徴とする請求項22記載の方法。
  24. 【請求項24】 該第2セットの細胞の細胞を野生型HERGをコードする
    核酸でトランスフェクトすることを特徴とする請求項22記載の方法。
  25. 【請求項25】 該第1セットの細胞または該第2セットの細胞をトランス
    ジェニック動物から得ることを特徴とする請求項22記載の方法。
  26. 【請求項26】 請求項1記載の単離されたDNAを含むベクター。
  27. 【請求項27】 請求項26記載のベクターでトランスフェクトした細胞。
  28. 【請求項28】 請求項1記載のDNAでトランスフェクトした細胞。
  29. 【請求項29】 請求項1記載のDNAを含む非ヒト・トランスジェニック
    動物。
  30. 【請求項30】 請求項26記載のベクターを含む非ヒト・トランスジェニ
    ック動物。
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