JP2002520010A - カドヘリン媒介機能を調節するための化合物および方法 - Google Patents

カドヘリン媒介機能を調節するための化合物および方法

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JP2002520010A JP2000559146A JP2000559146A JP2002520010A JP 2002520010 A JP2002520010 A JP 2002520010A JP 2000559146 A JP2000559146 A JP 2000559146A JP 2000559146 A JP2000559146 A JP 2000559146A JP 2002520010 A JP2002520010 A JP 2002520010A
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パトリック ドハーティー,
オレスト ダブリュー. ブラシュック,
バーバラ ジェイ. グール,
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アドヘレックス テクノロジーズ インコーポレイテッド
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Abstract

(57)【要約】 カドヘリン媒介機能を増強または阻害するための調節薬剤および方法を提供する。この調節薬剤は、少なくともHAV結合モチーフ、そのアナログまたはペプチド模倣物、あるいはこのようなモチーフに特異的に結合する抗体またはそのフラグメントを含む。調節薬剤は、カドヘリンおよび/または他の接着分子によって認識される、1以上の細胞接着認識配列をさらに含み得る。このような調節薬剤は、標的化剤、薬物および/または支持体材料に結合されてもよいが、必要ではない。 カドヘリン媒介機能を増強または阻害するための調節薬剤および方法を提供する。この調節薬剤は、少なくともHAV結合モチーフ、そのアナログまたはペプチド模倣物、あるいはこのようなモチーフに特異的に結合する抗体またはそのフラグメントを含む。調節薬剤は、カドヘリンおよび/または他の接着分子によって認識される、1以上の細胞接着認識配列をさらに含み得る。このような調節薬剤は、標的化剤、薬物および/または支持体材料に結合されてもよいが、必要ではない。

Description

【発明の詳細な説明】
(技術分野) 本発明は、一般に、カドヘリン媒介性プロセスを調節するための方法、そして
より詳細には、細胞接着のような機能を阻害もしくは増強するための、カドヘリ
ン細胞接着認識配列を含む調節薬剤の使用またはそのような配列を特異的に認識
する抗体の使用に関する。
【0001】 (発明の背景) 細胞接着は、組織の統合性を維持するためならびに体内の物理的バリアおよび
透過性のバリアを生成するために重要な複雑なプロセスである。すべての組織は
、別個の区画に分割され、これらの各々は、類似する細胞型に接着する特定の細
胞型から構成される。このような接着は、細胞内結合(すなわち、互いに接着す
る接着性細胞の表面における容易に規定可能な接着部位)(これはまた、接着結
合、細隙結合(ギャップジャンクション)およびベルトデスモソームとしても知
られる)の形成を引き起こす。そのような結合の形成は、物理的バリアおよび透
過性のバリアを生じ、これは、細胞および他の生物学的物質がある組織画分から
別の組織画分への自由な通過を制限する。例えば、すべての組織の血管は、内皮
細胞から構成される。血液中の成分が所定の組織画分へと入るために、それらの
成分はまず、血管の内腔からその血管の内皮細胞によって形成されるバリアを通
過しなければならない。同様に、物質が腸を経由して体内に入るためには、その
物質はまず、その組織の内皮細胞によって形成されるバリアを通過しなければな
らない。血液が皮膚を通過して入るために、上皮細胞および内皮細胞の両方の層
と交叉しなければならない。
【0002】 細胞接着は、特定の細胞表面接着分子(CAM)によって媒介される。CAM
には多くの異なるファミリー(これは、免疫グロブリン、インテグリン、セレク
チンおよびカドヘリンのスーパーファミリーを含む)が存在し、そして各細胞型
は、これらの分子の独特の組合せを発現する。カドヘリンは、迅速に拡張してい
る、カルシウム依存性のCAMのファミリーである(Munroら、Cell
Adhesion and Invasion in Cancer Meta
stasis、P.Brodt編、17−34頁、RG Landes.Co.
(Austin TX、1996))。古典的カドヘリン(CAD省略する)は
、一般に、同種親和性(ある細胞の表面上のCADが別の細胞の表面上の同一の
CADに結合する)相互作用を通じて細胞接着を促進する一体型膜糖タンパク質
であるが、CADはまた、特定の環境下で、および低親和性で、互いに異種型の
複合体を形成し得るようである。カドヘリンは、異なる細胞型上に発現された異
なるCADを有する、上皮細胞、内皮細胞、神経細胞およびガン細胞の接着を調
節することが示されている。N(神経)カドヘリンは、主に、神経細胞、内皮細
胞および種々のガン細胞型によって発現される。E(上皮)カドヘリンは、主に
、上皮細胞によって発現される。他のCADはP(胎盤)カドヘリン(これは、
ヒト皮膚において見出される)およびR(網膜)カドヘリンである。古典的カド
ヘリンの詳細な説明は、Mundo SBら、1996、Cell Adhes
ion and Invasion in Cancer Metastasi
s、P.Brodt編、17−34頁(RG Landers Company
、Austin TX)に提供されている。
【0003】 CADの構造は、一般に類似する。図1に例示されるように、CADは、5つ
の細胞外ドメイン(EC1〜EC5)、原形質膜(PM)を横断する単一の疎水
性ドメイン(TM)、および2つの細胞質ドメイン(CP1およびCP2)から
なる。カルシウム結合モチーフであるDXNDN(配列番号1)、DXD、およ
びLDRE(配列番号2)は、細胞外ドメイン全体を通して散在する。第1の細
胞外ドメイン(EC1)は、古典的カドヘリン細胞接着認識(CAR)配列であ
るHAV(His−Ala−Val)とともに、CAR配列のいずれかの側にあ
る隣接配列(特異性を付与する際に役割を果たし得る)を含む。CAR配列を含
む合成ペプチド、およびこのCAR配列に対する抗体は、CAD依存性プロセス
を阻害することが示されている(Munroら、前出;Blaschukら、J
.Mol.Biol.211:679−82、1990;Blaschukら、
Develop.Biol.139:227−29、1990;Alexand
erら、J.Cell.Physiol.156:610−18、1993)。
しかし、古典的カドヘリンのEC1ドメインの三次元解析および結晶構造の決定
(Overduinら、Science 267:386−389、1995;
Shapiroら、Nature 374:327−337,1995)は、H
AV以外のアミノ酸残基がカドヘリン同士の間の相互作用を媒介することに直接
関与し得ることを示唆する。
【0004】 細胞接着は、特定の正常の生理学的機能には必要とされないが、細胞接着のレ
ベルが所望されない状況が存在する。例えば、多くの病理(例えば、自己免疫疾
患、ガンおよび炎症性疾患)は、異常な細胞接着を含む。細胞接着はまた、移植
拒絶において役割を果たし得る。そのような状況において、細胞接着の調節が所
望され得る。
【0005】 さらに、細胞接着から生じる透過性のバリアは、体内の特定の組織および腫瘍
への薬物の送達について困難を生じる。例えば、皮膚パッチは、皮膚を通じて薬
物を投与するための簡便なツールである。しかし、皮膚パッチの使用は、上皮細
胞および内皮細胞のバリアのため、小さな疎水性分子に限定される。同様に、上
皮細胞は、毛細血管を薬物に対して殆ど不透性にし、そして血液脳関門は、薬物
が中枢神経系へと標的化されることを妨害する。さらに、多くの固形腫瘍は、抗
腫瘍性の薬物および抗体の内部細胞への送達を制限する内部バリアを発達させる
【0006】 そのようなバリアを横切る薬物の通過を容易にするための試みは、一般に、イ
ンビボでバリアを横切って分子を輸送するキャリアタンパク質または特定のレセ
プターに依存する。しかし、そのような方法は、低い内因性輸送速度または薬物
を伴うキャリアタンパク質の貧弱な機能発揮に起因してしばしば不十分である。
改良された効率が、細胞接着を破壊する種々の化学薬剤を用いて達成されている
が、そのような薬剤は、代表的に所望されない副作用を伴い、投与のために侵襲
性の手順を必要とし得、そして不可逆的な効果をもたらし得る。
【0007】 従って、当該分野において、そのような不利なしに、細胞接着を調節し、そし
て透過性のバリアを横切った薬物送達を改良する化合物について必要性が存在す
る。本発明は、この必要性を満たし、そして他の関連する利点をさらに提供する
【0008】 (発明の要旨) 本発明は、カドヘリン媒介性機能を調節するための組成物および方法を提供す
る。特定の局面において、本発明は、カドヘリンCAR配列であるHAVに結合
し得る細胞接着調節薬剤を提供する。ここで、この薬剤は、抗体もその抗原結合
フラグメントも含まない。
【0009】 関連する局面において、本発明は、細胞接着調節薬剤を提供する。この薬剤は
、(a)HAV−BM配列またはそのペプチド模倣物;(b)HAV−BM配列
をコードするポリヌクレオチド;または(c)HAV−BM配列に特異的に結合
する抗体またはその抗原結合フラグメントを含む。ここで、この薬剤は、カドヘ
リン媒介性プロセスを調節する。特定の詳細な実施態様において、HAV−BM
配列は、以下である:(a)Ile/Val−Phe−Aaa−Ile−Baa
−Caa−Daa−Ser/Thr−Gly−Eaa−Leu/Met(配列番
号3)(ここで、Aaa、Baa、Caa、DaaおよびEaaは、独立して、
アミノ酸残基からなる群より選択される);(b)Trp−Leu−Aaa−I
le−Asp/Asn−Baa−Caa−Daa−Gly−Gln−Ile(配
列番号4)(ここで、Aaa、Baa、CaaおよびDaaは、独立して、アミ
ノ酸残基からなる群より選択される);または(c)上記配列のいずれかのアナ
ログであって、少なくとも7つの連続するアミノ酸残基を保持する、アナログ(
ここで、このアナログがカドヘリン媒介性プロセスを調節する能力は減少しない
)。例えば、細胞接着調節薬剤は、HAV−BM配列を含み得、この配列は以下
からなる群より選択される:
【0010】
【化4】 ならびに上記の配列のアナログであって、少なくとも7つの連続する残基を保持
する、アナログ(例えば、INPISGQ(配列番号22)、LNPISGQ(
配列番号23)、IDPVSGQ(配列番号24)またはKIDPVNGQ(配
列番号25)(ここで、このアナログがカドヘリン媒介性プロセスを調節する能
力は減少しない)。あるいは、調節薬剤は、HAV−BM配列を含み得る。この
HAV−BM配列は、以下からなる群より選択されるペプチドの少なくとも5つ
の連続する残基を含む:INPISGQ(配列番号22)、LNPISGQ(配
列番号23)、NLKIDPVNGQI(配列番号20)およびWLKIDPV
NGQI(配列番号13)。例えば、この薬剤は、以下からなる群より選択され
る配列を含み得る:PISGQ(配列番号26)、PVNGQ(配列番号27)
、PVSGR(配列番号28)、IDPVN(配列番号29)、INPIS(配
列番号30)およびKIDPV(配列番号31)。そのような調節薬剤において
、HAV−BM配列は、直鎖状ペプチド、または環状ペプチド内に存在し得る。
特定の調節薬剤は、以下の式の1つを有する環状ペプチドを含む:
【0011】
【化5】 ここで、X1およびX2は任意であり、そして存在する場合、独立して、アミノ酸
残基からなる群およびそれらの組合せから選択され、ここで、その残基は、ペプ
チド結合によって結合され、そして、ここで、X1およびX2は、独立して、0〜
10個の残基の大きさの範囲であり、その結果、X1およびX2内に含まれる残基
の合計は、1〜12の範囲であり;ここで、Y1およびY2は、独立して、アミノ
酸残基からなる群から選択され、そして、Y1とY2との間に共有結合が形成され
;そしてここで、Z1およびZ2は任意であり、そして存在する場合、独立して、
アミノ酸残基からなる群およびそれらの組合せから選択され、ここで、その残基
は、ペプチド結合によって結合される。そのような環状ペプチドは、改変を含み
得る。例えば、Y1は、Nアセチル基を含み得、そして/またはY2は、C末端ア
ミド基を含み得る。環状化は、種々の方法(例えば、ジスルフィド結合、アミド
結合またはチオエーテル結合を介した、Y1とY2との共有結合)のいずれかにお
いて達成され得る。
【0012】 特定の実施態様において、上記に記載されるような調節薬剤は、薬物、固体支
持体、検出可能なマーカーまたは標的化剤の1つ以上に結合され得る。
【0013】 他の実施態様において、上記のような調節薬剤は、さらに、以下の1つ以上を
含み得る:(a)HAV−BM配列以外の細胞接着認識配列(ここで、この細胞
接着認識配列は、どのHAV−BMともリンカーによって分離されている);お
よび/または(b)HAV−BM配列以外の細胞接着認識配列に特異的に結合す
る抗体またはその抗原結合フラグメント。例えば、この接着分子は、カドヘリン
、インテグリン、オクルジン(occludin)、N−CAM、デスモグレイ
ン、デスモコリン、クラウジン、結合接着分子(JAM)、フィブロネクチン、
ラミニン、および他の細胞外マトリクスタンパク質からなる群より選択され得る
【0014】 さらなる局面において、本発明は、上記のような細胞接着調節薬剤を、薬学的
に受容可能なキャリアと組み合わせて含む薬学的組成物を提供する。そのような
組成物は、さらに、1つ以上の薬物および/または細胞接着のモジュレーターを
含み得る。ここで、このモジュレーターは、以下の1つ以上を含む:(a)HA
V−BM配列以外の細胞接着認識配列を含むペプチド;および/または(b)H
AV−BM配列以外の細胞接着認識配列に特異的に結合する抗体またはその抗原
結合フラグメント。例えば、この接着分子は、カドヘリン、インテグリン、オク
ルジン、N−CAM、デスモグレイン、デスモコリン、クラウジン、JAM、フ
ィブロネクチン、ラミニン、および他の細胞外マトリクスタンパク質からなる群
より選択され得る。
【0015】 本発明は、さらに、他の局面において、カドヘリンが媒介する機能を調節する
ための方法を提供する。この方法は、カドヘリン発現細胞を、上記のような細胞
接着調節薬剤と接触させる工程を包含する。カドヘリン媒介性機能としては、細
胞接着、軸索成長、シュワン細胞移動およびシナプス安定性が挙げられる。カド
ヘリン発現細胞としては、上皮細胞、内皮細胞、神経細胞、腫瘍細胞およびリン
パ球が挙げられる。そのような局面において、この細胞接着調節薬剤は、カドヘ
リン媒介性機能を阻害または増強し得る。
【0016】 他の局面において、本発明は、哺乳動物における所望されない細胞接着を減少
するための方法を提供する。この方法は、上記のような調節薬剤を哺乳動物に投
与する工程を包含する。ここで、この調節薬剤は、カドヘリン媒介性の細胞接着
を阻害する。この細胞は、上皮細胞、内皮細胞、神経細胞、腫瘍細胞およびリン
パ球からなる群より選択され得る。
【0017】 本発明は、さらに、他の局面において、哺乳動物の皮膚を通じた薬物の送達を
増強するための方法を提供する。この方法は、哺乳動物の上皮細胞を、薬物およ
び上記のような調節薬剤と接触させる工程を包含する。ここで、この接触させる
工程は、上皮細胞を横切った薬物の通過を可能にするに十分な条件下および時間
に亙って行われる。そして、ここで、この調節薬剤は、カドヘリン媒介性細胞接
着を阻害する。この調節薬剤は、その薬物に連結されてい得るがこれは必要では
なく、そして、特定の実施態様において、その哺乳動物の血流へと通過し得る。
この接触させる工程は、その調節薬剤およびその薬物を含む皮膚パッチを介して
実施され得る。
【0018】 さらなる局面において、哺乳動物における薬物の腫瘍への送達を増強するため
の方法が提供される。この方法は、哺乳動物に上記のような調節薬剤を投与する
工程を包含する。ここで、この調節薬剤は、カドヘリン媒介性の細胞接着を阻害
する。適切な腫瘍としては、膀胱の腫瘍、卵巣の腫瘍およびメラノーマが挙げら
れるがそれらに限定されない。そして、その調節薬剤は、腫瘍へと、または全身
に投与され得る。
【0019】 他の局面において、本発明は、哺乳動物においてガンを処置するためおよび/
または転移を阻害するための方法を提供する。この方法は、上記のような調節薬
剤を哺乳動物に投与する工程を包含する。ここで、この調節薬剤は、カドヘリン
媒介性の細胞接着を阻害する。この哺乳動物は、ガン腫、白血病またはメラノー
マのようなガンに罹患してい得、そしてこの調節薬剤は、その腫瘍に、または全
身に投与され得る。
【0020】 本発明は、さらに、他の局面において、カドヘリン発現細胞におけるアポトー
シスを誘導するための方法を提供する。この方法は、カドヘリン発現細胞を、上
記のような調節薬剤と接触させる工程を包含する。ここで、この調節薬剤は、カ
ドヘリン媒介性の細胞接着を阻害する。
【0021】 他の局面において、哺乳動物における新脈管形成を阻害するための方法が提供
される。この方法は、哺乳動物に、上記のような調節薬剤を投与する工程を包含
する。ここで、この調節薬剤は、カドヘリン媒介性の細胞接着を阻害する。
【0022】 本発明は、さらに、他の局面において、哺乳動物の中枢神経系への薬物送達を
増強するための方法を提供する。この方法は、哺乳動物に、上記のような調節薬
剤を投与する工程を包含する。ここで、この調節薬剤は、カドヘリン媒介性の細
胞接着を阻害する。
【0023】 さらなる局面において、本発明は、哺乳動物における創傷治癒を容易にするた
めの方法を提供する。この方法は、哺乳動物における創傷を、上記のような調節
薬剤と接触させる工程を包含する。ここで、この調節薬剤は、カドヘリン媒介性
細胞接着を増強する。
【0024】 他の局面において、哺乳動物において移植された外来組織の接着を増強するた
めの方法もまた提供される。この方法は、哺乳動物における外来組織の移植部位
を、上記のような調節薬剤と接触させる工程を包含する。ここで、この調節薬剤
は、カドヘリン媒介性細胞接着を増強する。このような外来組織は、皮膚移植物
または器官移植物であり得る。特定の実施態様において、この調節薬剤は、支持
材料に連結されている。
【0025】 本発明は、さらに、他の局面において、軸索の成長を増強および/または指向
させるための方法を提供する。この方法は、ニューロンを、上記のような調節薬
剤と接触させる工程を包含する。ここで、この調節薬剤は、カドヘリン媒介性細
胞接着を増強する。
【0026】 他の局面において、本発明は、哺乳動物において脊髄損傷を処置するための方
法を提供する。この方法は、哺乳動物に上記のような調節薬剤を投与する工程を
包含する。ここで、この調節薬剤は、カドヘリン媒介性細胞接着を増強する。
【0027】 さらなる局面において、哺乳動物における多発性硬化症のような脱髄性神経疾
患を処置するための方法もまた提供される。この方法は、哺乳動物に上記のよう
な調節薬剤を投与する工程を包含する。特定の実施態様において、この調節薬剤
は、シュワン細胞、稀突起膠細胞前駆体細胞および/または稀突起膠細胞を用い
た移植によって投与される。
【0028】 さらなる局面において、哺乳動物の免疫系を調節するための方法が提供される
。この方法は、哺乳動物に上記のような調節薬剤を投与する工程を包含する。こ
こで、この調節薬剤は、カドヘリン媒介性細胞接着を阻害する。
【0029】 他の局面において、本発明は、哺乳動物における妊娠を予防するための方法を
提供する。この方法は、哺乳動物に上記のような調節薬剤を投与する工程を包含
する。ここで、この調節薬剤は、カドヘリン媒介性細胞接着を阻害する。
【0030】 哺乳動物において血管透過性を増強するための方法がさらに提供される。この
方法は、哺乳動物に上記のような調節薬剤を投与する工程を包含する。ここで、
この調節薬剤は、カドヘリン媒介性細胞接着を阻害する。
【0031】 さらなる局面において、本発明は、哺乳動物において、シナプス安定性を阻害
するための方法を提供する。この方法は、哺乳動物に上記のような調節薬剤を投
与する工程を包含する。ここで、この調節薬剤は、カドヘリン媒介性細胞接着を
阻害する。
【0032】 本発明は、さらに、サンプルにおけるカドヘリン発現細胞の存在を検出するた
めの方法を提供する。この方法は、以下の工程を包含する:(a)サンプルを、
HAV−BM配列に結合する抗体またはその抗原結合フラグメントと、抗体−カ
ドヘリン複合体の形成が可能になるに充分な条件下および時間に亙って、接触さ
せる工程;ならびに(b)抗体−カドヘリン複合体のレベルを検出し、そしてそ
れからサンプル中のカドヘリン発現細胞の存在を検出する工程。この抗体は、支
持体材料または蛍光マーカーのような検出可能なマーカーに連結されてい得る。
特定の実施態様において、この検出する工程は、蛍光活性化細胞選別(FACS
)を用いて行われる。
【0033】 本発明はまた、さらなる局面において、経皮薬物送達を増強するためのキット
を提供する。このキットは以下を備える:(a)皮膚パッチ;および(b)上記
の調節薬剤。この皮膚パッチには、調節薬剤が浸透され得、そしてそのキットは
、さらに、薬物を備え得る。
【0034】 サンプルにおいてカドヘリン発現細胞の存在を検出するためのキットもまた提
供される。そのようなキットは、以下を備え得る:(a)HAV−BM配列に特
異的に結合する、抗体またはその抗原結合フラグメント;および(b)検出試薬
【0035】 他の局面において、本発明は、カドヘリン媒介性の細胞接着を調節し得る化合
物を同定するための方法を提供する。この方法は以下の工程を包含する:(a)
HAV−BM配列に特異的に結合する抗体またはその抗原結合フラグメントを、
試験化合物と接触させる工程;および(b)その試験化合物に結合した抗体また
はフラグメントのレベルを検出し、そこから、カドヘリン媒介性の細胞接着を調
節し得る化合物を同定する工程。
【0036】 他の局面において、哺乳動物において血液サンプリングを容易にするための方
法もまた提供される。この方法は、哺乳動物の上皮細胞を、上記の細胞接着調節
薬剤と接触させる工程を包含する。ここで、この調節薬剤は、カドヘリン媒介性
の細胞接着を阻害し、そしてここで、その接触させる工程は、1つ以上の血液成
分が、その上皮細胞を横切って通過することを可能にするに十分な条件下および
時間に亙って行われる。その接触させる工程は、その調節薬剤を含む皮膚パッチ
を介して行われ得る。そして、この皮膚パッチは、さらに、目的の血液成分を検
出するための試薬を含み得る。特定の実施態様において、その上皮細胞は、皮膚
細胞または歯肉細胞である。
【0037】 関連する局面において、本発明は、哺乳動物の皮膚または歯肉を介して血液を
サンプリングするためのキットを提供する。このキットは以下を備える:(a)
皮膚パッチ;(b)カドヘリンCAR配列を含む環状ペプチドを含む細胞接着調
節薬剤;および(c)目的の血液成分を検出するための試薬。この皮膚パッチに
は、その細胞接着調節薬剤が浸透してい得る。
【0038】 他の局面において、本発明は、HAV−BM配列と相互作用する化合物につい
てスクリーニングするための方法を提供する。この方法は以下の工程を包含する
:(a)HAV−BM配列と候補化合物とを接触させる工程;および(b)その
候補化合物がHAV−BM配列と結合する能力を評価し、そこから、その候補化
合物がHAV−BM配列と相互作用するか否かを決定する工程。特定の実施態様
において、その候補化合物がHAV−BM配列と結合する能力は、アフィニティ
ーカラムまたはウェスタンブロット分析を用いて評価される。特定の実施態様に
おいて、この候補化合物は、発現ライブラリーにおいてポリヌクレオチドによっ
てコードされるか、またはその候補化合物は、細胞タンパク質であり、そして工
程(b)は、細胞全体を用いて行われる。
【0039】 本発明のこれらおよび他の局面は、以下の詳細な説明および添付の図面を参照
すれば明らかである。本明細書において開示された全ての参考文献は、本明細書
において、その全体が、各々が援用のために個々に注記されたかのように、参考
として援用される。
【0040】 (発明の詳細な説明) 上記のように、本発明は、細胞接着のようなカドヘリン媒介性プロセスを調節
するための方法を提供する。本発明は、古典的カドヘリン中の、以前には未知の
細胞接着認識(CAR)配列の同定に基づく。このCAR配列は、本明細書にお
いて、「HAV結合モチーフ」(または「HAV−BM」)という。HAV−B
Mは、HAV CAR配列および/または隣接する領域と、同種親和性および異
種親和性相互作用において、直接的に相互作用するようである。なお、本明細書
中「SEQ ID NO:」とは、「配列番号」と同義である。
【0041】 一般に、カドヘリン媒介性細胞接着を調節するために、古典的カドヘリンを発
現する細胞を、インビボまたはインビトロのいずれかにおいて細胞接着調節薬剤
(本明細書において、「調節薬剤」ともいう)と接触させる。調節薬剤は、以下
に記載するように、1つ以上のさらなるCAR配列(古典的カドヘリン由来であ
っても、他の接着分子由来であってもよい)を有するか、または有さない、1つ
以上のHAV−BM配列(天然の配列であっても、そのアナログであってもよい
)またはそのような配列のペプチド模倣物を含み得る。HAV−BM配列は、直
鎖状ペプチド中に存在しても、環状ペプチド中に存在してもよい。あるいは、ま
たはさらに、調節薬剤は、1つ以上のHAV−BM配列を含有するペプチドをコ
ードするポリヌクレオチド(その結果、コードされたペプチドは、インビボで産
生される)、および/またはHAV−BM配列を特異的に結合する物質(例えば
、抗体またはその抗原結合フラグメント)を含み得る。
【0042】 本明細書において提供される特定の方法は、カドヘリン媒介性細胞接着を阻害
するかまたは増強する、細胞接着調節薬剤を使用する。細胞接着の阻害は、例え
ば、所望されない細胞接着によって特徴付けられる疾患または他の状態を処置す
るため、あるいは特定の組織または腫瘍への薬物の送達を促進するために、一般
に使用され得る。他の局面において、本明細書において提供される方法を使用し
て、細胞接着を増強し得る(例えば、縫合を補充または置換するため、あるいは
創傷治癒を促進するため)。なおさらなる局面において、軸索成長を増強および
/または指向するための方法が提供される。
【0043】 (細胞接着調節薬剤) 上記のように、本明細書において使用する場合、用語「細胞接着調節薬剤」と
は、古典的カドヘリンに結合し得る化合物を(すなわち、古典的カドヘリン内の
1つ以上のアミノ酸残基と検出可能に相互作用し、その結果カドヘリン媒介性プ
ロセスが、本明細書に記載されるように調節される化合物)一般にいう。好まし
くは、調節薬剤は、古典的カドヘリンCAR配列HAV内またはその近傍に結合
する(すなわち、薬剤は、HAV配列内に存在する1つ以上のアミノ酸残基、お
よび/または天然のカドヘリン中のHAV配列内の10アミノ酸残基内、そして
より好ましくは5アミノ酸残基内に存在する1つ以上のアミノ酸残基と、検出可
能に相互作用する)。特定の実施態様内において、調節薬剤は、以下の少なくと
も1つを含有する: (a)HAV−BM配列(すなわち、天然のHAV−BM配列またはそのアナ
ログ)、あるいはそのペプチド模倣物; (b)HAV−BM配列をコードするポリヌクレオチド;あるいは (c)HAV−BM配列に特異的に結合する抗体またはその抗原結合フラグメ
ント。
【0044】 調節薬剤は、HAV−BM配列(直鎖状ペプチド内または環状ペプチド内)、
ペプチド模倣物、ポリヌクレオチドまたは抗体の全体からなり得るか、あるいは
さらに、さらなるペプチド領域および/または非ペプチド領域を含み得る。
【0045】 「HAV−BM配列」は、天然に存在するカドヘリン、またはカドヘリン媒介
性プロセスを調節する能力が減少していないそのような配列のアナログ内に存在
するHAV−結合配列である。そのような配列は、一般に、少なくとも5つのア
ミノ酸残基、好ましくは6〜16アミノ酸残基を含み、そして本明細書において
提供される公知のHAV−BM配列に対する配列相同性に基づいて、そしてHA
V配列に結合するそのような配列を含むペプチドの能力および本明細書において
記載される代表的なアッセイにおいて、カドヘリン媒介性機能を調節する能力に
基づいて同定され得る。特定の実施態様において、HAV−BM配列は、以下で
ある: (a)
【0046】
【化6】 (配列番号3)、ここで、Aaa、Baa、Caa、DaaおよびEaaは、ア
ミノ酸残基からなる群から独立して選択されるか; (b)
【0047】
【化7】 (配列番号4)、ここで、Aaa、Baa、CaaおよびDaaは、アミノ酸残
基からなる群から独立して選択されるか;または、 (c)少なくとも7つの連続するアミノ酸残基を保持する、任意の上記の配列
のアナログ。
【0048】 代表的な、公知のHAV−BM配列を、表1において提供する。これらの配列
は、本発明によって包含されるHAV−BM配列の範囲を限定することを意図し
ない。特に、調節薬剤は、そのような配列の一部または他のアナログを含み得る
が、ただし、そのアナログがカドヘリン媒介性機能を調節する能力は、実質的に
減少しない。
【0049】 (表1−代表的なHAV−BM配列)
【0050】
【表1】 特定の具体的な実施態様において、HAV−BM配列は、
【0051】
【化8】 を含有する。例えば、HAV−BM配列として、
【0052】
【化9】 が挙げられるが、これらに限定されない。
【0053】 他の実施態様において、HAV−BM配列は、以下のペプチドの1つの少なく
とも5つの連続する残基を含み得る:
【0054】
【化10】 例えば、調節薬剤は、配列
【0055】
【化11】 を含み得る。上記のように、上記の任意の実施態様において、HAV−BM配列
は、
【0056】
【化12】 (ここで、環化を下線で示す)のような環状ペプチド内に存在し得る。
【0057】 他のHAV−BM配列としては、天然の配列が改変された配列が挙げられる。
例えば、ペプチド
【0058】
【化13】 は、HAV−BM配列を含む。
【0059】 上記のように、本発明はさらに、本明細書において具体的に記載されていない
他のカドヘリン由来の天然のHAV−BM配列を意図する。さらなる天然のHA
V−BM配列は、本明細書に提供される1つ以上の天然のHAV−BMとの配列
類似性に基づいて同定され得る。一般に、天然のHAV−BM配列は、本明細書
において提供される天然のHAV−BMの少なくとも3アミノ酸残基を保持する
べきであり、そして全体で少なくとも7つのアミノ酸残基が、同一であるか、ま
たは保存的置換を含むべきである。「保存的置換」は、アミノ酸が、類似の性質
を有する別のアミノ酸に置換された置換であり、その結果ペプチド化学の当業者
が、ポリペプチドの2次構造およびヒドロパシー(hydropathic)の
性質が実質的に変化しないことを予測する。アミノ酸置換は、一般に、残基の極
性、電荷、溶解度、疎水性、親水性および/または両親媒性の性質における類似
性に基づいてなされ得る。例えば、負に荷電したアミノ酸としては、アスパラギ
ン酸およびグルタミン酸が挙げられ;正に荷電したアミノ酸としては、リジンお
よびアルギニンが挙げられ;ならびに類似した親水性値を有する非荷電極性ヘッ
ド(head)基を有するアミノ酸としては、ロイシン、イソロイシンおよびバ
リン;グリシンおよびアラニン;アスパラギンおよびグルタミン;ならびにセリ
ン、トレオニン、フェニルアラニンおよびチロシンが挙げられる。保存的な変化
を代表し得るアミノ酸の他の群としては:(1)ala、pro、gly、gl
u、asp、gln、asn、ser、thr;(2)cys、ser、tyr
、thr;(3)val、ile、leu、met、ala、phe;(4)l
ys、arg、his;および(5)phe、tyr、trp、hisが挙げら
れる。天然のHAV−BMの重大な決定的な特性は、HAV配列に結合する能力
、およびカドヘリン媒介機能を調節する能力である。このような能力は、本明細
書に提供される代表的なアッセイを使用して評価され得る。
【0060】 上記のように、本明細書において記載される調節薬剤は、天然のHAV−BM
配列、またはそのアナログもしくはペプチド模倣物を含み得る。アナログは、一
般的に、天然のHAV−BMの少なくとも3アミノ酸残基を保持し、そしてHA
V配列に結合し、そして下記のようなカドヘリン媒介性機能を調節する。特に、
アナログは、古典的カドヘリンに結合して、そして本明細書において提供される
アッセイの少なくとも1つにおいて、少なくとも天然のHAV−BM配列と同程
度に、カドヘリン媒介性機能を調節するべきである。ペプチド模倣物は、HAV
配列に結合し、そして下記のカドヘリン媒介性機能を調節するような、HAV−
BM配列と構造的に類似する、非ペプチド性化合物である。このようなペプチド
模倣物は、ペプチドの三次元構造を評価する技術に基づいて設計され得る。例え
ば、核磁気共鳴(NMR)およびコンピューター技術を使用して、HAV−BM
配列の高次構造を決定し得る。NMRは、ペプチジル化合物および非ペプチジル
化合物の両方の構造的な分析のために広範に使用される。核オーバーハウザー増
強(Nuclear Overhauser Enhancement)(NO
E)、結合定数および化学シフトは、化合物の高次構造に依存する。NOEデー
タは、空間を通じてのプロトンの間のプロトン間距離を提供し、そしてこれを使
用して、HAV−BM配列についての最も低いエネルギーの高次構造を算出し得
る。次いで、この情報を使用して、好ましい高次構造のペプチド模倣物を設計し
得る。直鎖状ペプチドは、溶液中で多くの高次構造をとる。高次構造制限技術を
使用することにより、活性な高次構造のペプチドを固定することが可能である。
高次構造制限は、i)メチルのようなアルキル基の導入(これは、自由結合ロー
テーション(free bond rotation)を立体的に制限する);
ii)不飽和の導入(これは、末端置換基とジェミナル置換基との相対的な位置
を固定する);および/またはiii)環化(これは、側鎖の相対的な位置を固
定する)によって達成され得る。1つ以上のアミド結合が、これらに限定されな
いが、−CH2NH−、−CSNH−、−CH2S−、−CH=CH−、−CH2
CH2−、−CONMe−などのような同じ大きさまたは容積を有するアイソス
ター(isostere)、置換基または基によって置換されて、HAV−BM
配列のペプチド模倣物が合成され得る。これらの骨格アミド結合はまた、環構造
の一部でもあり得る(例えば、ラクタム)。HAV−BM配列の1つ以上の側鎖
官能基が、(同じサイズまたは容積を有することを必要としないが)同様の生物
学的応答を引き起こす同様の化学的特性および/または物理的特性を有する基に
よって置換され得て、HAV−BM配列のペプチド模倣物が設計され得る。以下
に記載される実施態様において、アナログまたはペプチド模倣物は、HAV−B
M配列に置換され得ることが理解されるべきである。
【0061】 調節薬剤、またはそのペプチド部分は、一般に、5〜約1000アミノ酸残基
を含み得、好ましくは、6〜50残基を含み得る。非ペプチドリンカーが使用さ
れる場合、調節薬剤の各CAR配列は、一般に、5〜50残基長のサイズにわた
り、好ましくは5〜25残基にわたり、より好ましくは5〜16残基にわたり、
そしてなおより好ましくは5または6〜10残基にわたるペプチド内に存在する
【0062】 調節薬剤、またはそのペプチド部分は、直鎖ペプチドまたは環状ペプチドであ
り得る。用語「環状ペプチド」は、本明細書で使用される場合、(1)2つの非
隣接残基間の分子内共有結合、および(2)ペプチド環の中に存在する、少なく
とも1つのHAV−BM配列またはそのアナログ、を含むペプチドまたはその塩
をいう。分子内結合は、骨格から骨格の結合、側鎖から骨格の結合、または側鎖
から側鎖の結合であり得る(すなわち、末端残基または内部残基の、直鎖ペプチ
ドの末端官能基および/または側鎖官能基は、環化を達成するために連結され得
る)。好ましい分子内結合としては、ジスルフィド結合、アミド結合およびチオ
エーテル結合が挙げられるが、これらに限定されない。上記のように、1つ以上
のHAV−BM配列またはそのアナログに加えて、調節薬剤は、さらなるCAR
配列を含み得る。このさらなるCAR配列は、カドヘリンCAR配列、および/
またはCAR配列を特異的に認識する抗体もしくは抗体フラグメントであっても
、なくてもよい。抗体およびその抗原結合フラグメントは、代表的には、調節薬
剤の非環状部分内に存在する。
【0063】 環状ペプチド環の大きさは、一般的に、4残基〜約15残基、好ましくは5〜
10残基の範囲である。さらなる残基は、HAV−BM配列のN末端および/ま
たはC末端側上に存在し得、そしてアミノ酸置換および/または他の改変を伴っ
てまたは伴わないで、天然のHAV−BM配列に隣接した配列に由来し得る。H
AV−BM配列のN末端および/またはC末端側上に存在し得るさらなる残基が
、アミノ酸置換および/または他の改変を伴ってまたは伴わないで、1つ以上の
天然に存在するカドヘリン内のHAV−BM配列に隣接する配列に由来し得る。
内因性のN−、E−、P−、およびR−カドヘリンのHAV−BMについて隣接
する配列が、図2および3、ならびに配列番号32〜49において示される。あ
るいは、CAR配列の片側または両側に存在するさらなる残基が、内因性配列と
無関係であり得る(例えば、環化、精製、または他の操作を促進する残基および
/または標的化または他の機能を有する残基)。
【0064】 特定の好ましい実施態様において、調節薬剤は、以下の構造の1つを有する環
状ペプチドを含む:
【0065】
【化14】 これらの構造において、X1およびX2は任意であり、そして存在する場合には
、アミノ酸残基およびそれらの組合わせ(ここでは、残基は、ペプチド結合によ
って連結される)から独立して選択される。一般に、X1およびX2は、X1およ
びX2内に含まれる残基の合計が1〜12の範囲であるように、独立して、0〜
10残基のサイズの範囲である。Y1およびY2は、アミノ酸残基から独立して選
択され、そして残基Y1とY2との間に共有結合が形成される。Z1およびZ2は任
意であり、そして存在する場合には、アミノ酸残基およびそれらの組合わせ(こ
こでは、残基は、ペプチド結合によって連結される)から独立して選択される。
このような構造の代表的な例は、図4A〜4Eに提供される。
【0066】 一方または両方の側にHAV−BM配列を隣接する配列を含む調節薬剤は、1
以上の特異的なカドヘリンによって媒介される細胞接着に対して特異的であり得
、このことは、組織型特異性および/または細胞型特異性を生じる。特異性を付
与する適切な隣接配列には、1以上の天然に存在するカドヘリンに存在する内因
性配列が挙げられるが、これに限定されない。所望の特異性を有する調節薬剤は
、本明細書中に提供される代表的なスクリーニングを使用して同定され得る。
【0067】 上記のように、複数のCAR配列は、調節薬剤内に存在し得る。調節薬剤内に
存在するCAR配列の総数は、1から大きい数(例えば、100)、好ましくは
1〜10、およびより好ましくは1〜5の範囲であり得る。調節薬剤内に含まれ
得るCAR配列は、接着分子(すなわち、細胞表面上のレセプターを介して細胞
接着を媒介する分子)によって特異的に結合される任意の配列である。接着分子
は、古典的なカドヘリンではないカドヘリン遺伝子スーパーファミリーのメンバ
ー(例えば、HAV配列および/または古典的カドヘリンについて上記に列挙し
た1以上の他の特徴を含まないタンパク質)(例えば、デスモグレイン(Dsg
)およびデスモコリン(Dsc));インテグリン;免疫グロブリンスーパー遺
伝子ファミリーのメンバー(例えば、N−CAM);および他の未分類の膜貫通
タンパク質(例えば、オクルジン(occludin)、ならびに細胞外マトリ
クスタンパク質(例えば、ラミニン、フィブロネクチン、コラーゲン、ビトロネ
クチン、エンタクチン、およびテネイシン)を含む。特定の実施態様において、
調節薬剤内の封入に好ましいCAR配列は、以下を含む:インテグリンによって
結合されるArg−Gly−Asp(RGD)(Cardarelliら、J.
Biol.Chem.267:23159〜64、1992を参照のこと);α
6β1インテグリンによって結合されるTyr−Ile−Gly−Ser−Ar
g(YIGSR;SEQ ID NO:66);N−CAMによって結合される
KYSFNYDGSE(SEQ ID NO:67);N−CAMヘパリン硫酸
結合部位IWKHKGRDVILKKDVRF(SEQ ID NO:68)、
オクルジンCAR配列LYHY(SEQ ID NO:70);連結(junc
tional)接着分子CAR配列DPKおよび/または1以上の非古典的カド
ヘリンCAR配列(例えば、VEカドヘリンCAR配列DAE、Dsc CAR
配列IEK、VERおよびIER、Dsg CAR配列INQ、INRおよびL
NK;ならびにクラウジン(claudin)CAR配列IYSY(SEQ I
D NO:95)。
【0068】 特定の実施態様において、別の好ましいCAR配列は、OBカドヘリンCAR
配列DDKである。以下のようなこの配列を含む種々のペプチドが含まれ得る:
【0069】
【化15】 特定の好ましい実施態様において、このようなペプチドの少なくとも1つの末端
アミノ酸残基が、改変される(例えば、N末端アミノ基が、例えば、アセチル化
またはアルコキシベンジル化によって改変され、そして/またはアミドもしくは
エステルが、C末端に形成される)。特定の好ましい調節薬剤は、NおよびC末
端の残基に、N−Ac−IFVIDDKSG−NH2(SEQ ID NO:8
4)のような改変を含む。前述の配列の任意のアナログもまた、使用され得る。
アナログは、一般的に、少なくとも50%のネイティブなOBカドヘリンCAR
配列を保持し、そしてOBカドヘリン媒介性細胞接着を調節する。
【0070】 リンカーは、調節薬剤内のCAR配列および/または抗体配列を分離するため
に使用され得るがそうである必要はない。あるいは、リンカーはまた、以下に記
載されるような分子または材料を支持するように、1以上の調節薬剤に付着する
ために使用され得る。リンカーは、CAR配列を含まずかつ少なくとも2つのペ
プチド配列に共有結合され得る、任意の分子(ペプチドおよび/または非ペプチ
ド配列ならびに単一のアミノ酸または他の分子を含む)であり得る。リンカーを
使用して、HAV−BM含有ペプチドおよび他のペプチドまたはタンパク質配列
は、頭部から尾部(head−to−tail)に(すなわち、リンカーは、各
ペプチド配列のカルボキシル基またはアミノ基に共有結合され得る)、頭部から
側鎖に、および/または尾部から側鎖に結合され得る。1以上のリンカーを含む
調節薬剤は、直線状または分枝状構造を形成し得る。1つの実施態様において、
分枝状構造を有する調節薬剤は、3つの異なるCAR配列(例えば、RGD、Y
IGSR(SEQ ID NO:66)およびHAV−BM配列)を含む。別の
実施態様において、分枝状構造を有する調節薬剤は、RGD、YIGSR(SE
Q ID NO:66)、HAV−BM配列およびKYSFNYDGSE(SE
Q ID NO:67)を含み得る。第3の実施態様において、分枝状構造を有
する調節薬剤は、HAV−BM配列、LYHY(SEQ ID NO:70)お
よびDsgまたはDsc CAR配列を含む。
【0071】 リンカーは、好ましくは、0.1〜10,000nm間、より好ましくは約0
.1〜400nmの間のCAR配列間の距離を生じる。認識部位間の分離距離は
、一般に、調節薬剤の所望の機能に従って、決定され得る。細胞接着のインヒビ
ターについては、HAV−BM配列の間のリンカー距離は、小さくすべきである
(0.1〜400nm)。細胞接着のエンハンサーについては、HAV−BM配
列の間のリンカー距離は、400〜10,000nmにすべきである。このよう
な目的に使用され得る1つのリンカーは、(H2N(CH2nCO2H)mまたは
その誘導体であり、ここでnは、1〜10の範囲であり、そしてmは、1〜40
00の範囲である。例えば、グリシン(H2NCH2CO2H)またはそのマルチ
マーが、リンカーとして使用される場合、各々のグリシン単位は、分子モデリン
グ技術を使用して、他のアミノ酸に結合された場合、その最も低いエネルギー立
体配座の算定によって決定される、2.45Å、または0.245nmの結合距
離に対応する。同様に、アミノプロパン酸は、3.73Åの結合距離に対応し、
アミノブタン酸は、4.96Åに対応し、アミノペンタン酸は、6.30Åに対
応し、そしてアミノヘキサン酸は、6.12Åに対応する。使用され得る他のリ
ンカーは、当業者に明らかであり、そして例えば、、2,3−ジアミノプロパン
酸、リジンおよび/またはオルニチンの反復単位に基づくリンカーを含む。2,
3−ジアミノプロパン酸は、側鎖アミノまたは末端アミノが結合に使用されるか
否かに依存して2.51または3.11Åのいずれかの結合距離を提供し得る。
同様に、リジンは、2.44または6.95Åのいずれかの結合距離、およびオ
ルニチンは、2.44または5.61Åの結合距離を提供し得る。ペプチドおよ
び非ペプチドリンカーは、一般に、当該分野において公知の任意の適切な方法を
使用して、調節薬剤中に取り込まれ得る。
【0072】 細胞接着を阻害する調節薬剤は、代表的に、互いに隣接し得る(すなわち、介
在配列を含まない)か、または近接して(すなわち、ペプチドおよび/または非
ペプチドリンカーによって分離され、約0.1〜400nmの範囲のCAR配列
間の距離を生じる)、1つのHAV−BM配列または複数のHAV−BM配列を
含む。1つのこのような実施態様において、調節薬剤は、2つのHAV−BM配
列を含む。このような調節薬剤は、1以上の異なる接着分子(他のCAMを含む
がこれらに限定されない)、および/またはこのような配列に結合する1以上の
抗体またはそのフラグメントについてのCAR配列をさらに含み得る。リンカー
は、HAV−BM配列から、および/または互いに、このようなCAR配列およ
び/または抗体配列を分離するために使用され得るが、使用される必要はない。
このような調節薬剤は、一般的に、複数の接着分子によって媒介される細胞接着
を同時に破壊することが所望される方法において使用され得る。特定の好ましい
実施態様において、第2のCAR配列は、フィブロネクチンに由来し、そしてイ
ンテグリン(すなわち、RGD;Cardarelliら、J.Biol.Ch
em.267:23159〜23164、1992を参照のこと)によって認識
されるか、またはオクルジンCAR配列(例えば、LYHY;SEQ ID N
O:70)である。1以上の抗体またはそれらのフラグメントは、同様に、この
ような実施態様において使用され得る。
【0073】 細胞接着を増強する調節薬剤は、上記のようなリンカーによって結合される、
複数のHAV−BM配列、および/またはこのような配列に特異的に結合する抗
体を含み得る。細胞接着の増強はまた、さらに以下に考察されるような、分子ま
たは材料を支持するために、複数の調節薬剤の付着によって達成され得る。この
ような調節薬剤は、複数の接着分子によって媒介される細胞接着を増強するため
に、1以上異なる接着分子(他のCAMを含むがこれらに限定されない)および
/またはこのような配列に結合する1以上の抗体もしくはそのフラグメントにつ
いて1以上のCAR配列をさらに含み得る。
【0074】 上記のように、調節薬剤は、ペプチド結合によって結合されるアミノ酸残基の
みを含むポリペプチドもしくはその塩であり得るか、または非ペプチド領域(例
えば、リンカー)を含み得る。調節薬剤のペプチド領域は、L−アミノ酸、D−
アミノ酸、またはそれらの任意の組合せの残基を含み得る。少なくとも1つのア
ミノ基および少なくとも1つのカルボキシル基が分子中に存在する場合、アミノ
酸は、天然の供給源または非天然の供給源由来であり得;α−アミノ酸およびβ
−アミノ酸が、一般には好ましい。タンパク質中に通常見出される20個のL−
アミノ酸は、従来の3文字表記または1文字表記によって本明細書中で識別され
る。
【0075】 調節薬剤はまた、任意の広範な種々の側鎖改変および/または置換(例えば、
メチル化、ベンジル化、t−ブチル化、トシル化、アルコキシカルボニル化など
)を有すかまたは有さない、稀なアミノ酸(例えば、4−ヒドロキシプロリンも
しくはヒドロキシリジン)、有機酸またはアミドおよび/あるいは通常のアミノ
酸の誘導体(例えば、カルボン酸エステル化(例えば、ベンジル、メチルもしく
はエチルエステル)またはアミド化されたC末端を有するアミノ酸、および/ま
たはN末端アミノ基の改変(例えば、アセチル化もしくはアルコキシカルボニル
化)を有するアミノ酸)を含み得る。好ましい誘導体は、C末端アミド基を有す
るアミノ酸を含む。調節薬剤を伴って存在し得る、通常のアミノ酸以外の残基と
しては、2−メルカプトアニリン、2−メルカプトプロリン、オルニチン、ジア
ミノ酪酸、α−アミノアジピン酸、m−アミノメチル安息香酸およびα,β−ジ
アミノプロピオン酸が挙げられるが、これらに限定されない。
【0076】 本明細書中に記載されるようなペプチド調節薬剤(および調節薬剤のペプチド
部分)は、当該分野で周知の方法(化学合成法および組換えDNA法を含む)に
よって合成され得る。約50残基の長さまでの調節薬剤について、化学合成は、
固相ペプチド合成技術を使用して実施され得る。ここで、ペプチド結合は、1つ
のアミノ酸のα−アミノ基の、他のアミノ酸のα−カルボキシル基との、水分子
の脱離を伴う直接的な縮合を通じて生じる。直接的な縮合によるペプチド結合の
合成は、上記で明確に記載されるように、第1のアミノ酸のアミノ基の反応特性
および第2のアミノ酸のカルボキシル基の反応特性の抑制を必要とする。マスク
されている置換基は、不安定なペプチド分子の崩壊を誘導することなく、それら
の容易な除去を可能にしなければならない。
【0077】 固相ペプチド合成は、有機合成の間の支持のために、不溶性のポリマーを使用
する。ポリマーによって支持されたペプチド鎖は、中間の工程での面倒な精製の
代わりに、簡単な洗浄および濾過の工程の使用を可能にする。固相ペプチド合成
は、一般的には、Merrifieldら、J.Am.Chem.Soc.85
:2149、1963の方法に従って実施され得る。この方法は、保護されたア
ミノ酸を使用して樹脂支持体上に直鎖状のペプチド鎖をアセンブルする工程を包
含する。固相ペプチド合成は、代表的には、BocまたはFmocストラテジー
のいずれかを利用する。Bocストラテジーは、1%の架橋されたポリスチレン
樹脂を使用する。α−アミノ機能についての標準的な保護基は、tert−ブチ
ルオキシカルボニル(Boc)基である。この基は、25%のトリフルオロ酢酸
(TFA)のような強酸の希釈溶液を用いて除去され得る。次のBoc−アミノ
酸は、代表的には、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)を使用してアミ
ノアシル樹脂に対してカップリングされる。アセンブリの完了後、ペプチド−樹
脂は、無水HFで処理されて、ベンジルエステル結合を切断され、そして遊離の
ペプチドが遊離される。側鎖官能基は、通常、ベンジルから誘導されたブロッキ
ング基によって、合成の間ブロックされ、これもまたHFによって切断される。
次いで、遊離のペプチドは、適切な溶媒を用いて樹脂から抽出され、精製され、
そして特徴付けられる。新しく合成されたペプチドは、例えば、ゲル濾過、HP
LC、分配クロマトグラフィー、および/またはイオン交換クロマトグラフィー
によって精製され得、そして例えば、質量スペクトル分析またはアミノ酸配列分
析によって特徴付けられ得る。Bocストラテジーにおいては、C末端がアミド
化されたペプチドは、ベンズヒドリルアミン樹脂またはメチルベンズヒドリルア
ミン樹脂を使用して得ることが可能であり、これらは、HFでの切断の際に直接
的にペプチドアミドを生じる。
【0078】 上記で議論される手順においては、側鎖ブロッキング基およびペプチド−樹脂
結合の選択性は、酸溶解性切断の速度の差異に依存する。オルトガノールシステ
ムが導入されており、ここで、側鎖ブロッキング基およびペプチド樹脂結合は、
合成の各工程でα−保護基を除去するために使用される試薬に対して完全に安定
である。これらの最も一般的な方法は、9−フルオレニルメチルオキシカルボニ
ル(Fmoc)アプローチを含む。この方法においては、側鎖保護基およびペプ
チド−樹脂結合は、N−α−Fmoc基を切断するために使用される第二アミン
に対して完全に安定である。側鎖の保護およびペプチド−樹脂結合は、穏やかな
酸溶解によって切断される。塩基との繰り返される接触によって、Fmoc化学
に不適切なMerrifield樹脂が作成され、そして樹脂に連結されたp−
アルコキシベンジルエステルが、一般的に使用される。脱保護および切断は、一
般的に、TFAを使用して達成される。
【0079】 当業者は、固相合成においては、脱保護およびカップリング反応が、完全に進
行しなければならず、そして側鎖ブロッキング基が、合成全体を通じて安定でな
ければならないことを認識している。さらに、固相合成は、一般的には、ペプチ
ドが小さい容量で作成される場合に、もっとも適切である。
【0080】 N末端のアセチル化は、樹脂からの切断の前に、無水酢酸と最終的なペプチド
とを反応させることによって達成され得る。C−アミド化は、Boc技術を使用
するメチルベンズヒドリルアミン樹脂のような適切な樹脂を使用して達成される
【0081】 N−アセチル化および/またはC−アミド化を用いるかまたは用いない、直鎖
状のペプチドの合成後、所望される場合は、当該分野で周知の任意の種々の技術
によって、環化(cyclization)が達成され得る。1つの実施態様に
おいて、結合は、反応性のアミノ酸側鎖間で生成され得る。例えば、ジスルフィ
ド架橋は、任意の種々の方法を使用してペプチドを酸化することによって、2つ
のチオール含有残基を含む直鎖状ペプチドから形成され得る。このような1つの
方法において、チオールの空気酸化は、塩基性または中性の水性溶媒のいずれか
を用いて数日の間にわたってジスルフィド結合を生成し得る。ペプチドは、凝集
および分子間の副反応を最小化するために、高度に希釈して使用される。この方
法は、緩慢であるという不利益を受けるが、しかし、副生成物としてH2Oを生
産するのみという利点を有する。あるいは、強力な酸化剤(例えば、I2および
3Fe(CN)6)は、ジスルフィド架橋を形成するために使用され得る。当業
者は、Met、Tyr、TrpまたはHisの鋭敏な側鎖を酸化しないように注
意を払わなければならないことを理解する。この方法によって生成される環状ペ
プチドは、標準的な技術を用いる精製を必要とするが、この酸化は、酸性pHに
おいて適用可能である。酸化剤はまた、遊離のシステインの早発の非特異的酸化
を避けるために、適切なS−保護化直鎖状前駆体の同時的な脱保護/酸化を可能
にする。
【0082】 DMSOは、I2およびK3Fe(CN)6とは異なり、上記の求核性アミノ酸
の酸化可能な副反応を生じない、穏やかな酸化剤である。DMSOは、全ての濃
度においてH2Oと混和性であり、そして酸化は、酸性から中性pHで、無害な
副産物を伴って実施され得る。メチルトリクロロシラン−ジフェニルスルホキシ
ドは、他の求核性アミノ酸に影響を及ぼすことなく、システインのS−Acm、
S−TacmまたはS−t−Buの同時的な脱保護/酸化のために、酸化剤とし
て代わりに使用され得る。分子間ジスルフィド結合形成を生じるポリマー生成物
は存在しない。このような酸化方法における使用のために適切なチオール含有残
基としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:システイン、β,β
−ジメチルシステイン(ペニシラミンまたはPen)、β,β−テトラメチレン
システイン(Tmc)、β,β−ペンタメチレンシステイン(Pmc)、β−メ
ルカプトプロピオン酸(Mpr)、β,β−ペンタメチレン−β−メルカプトプ
ロピオン酸(Pmp)、2−メルカプトベンゼン、2−メルカプトアニリンおよ
び2−メルカプトプロリン。
【0083】 別の実施態様において、環化は、アミド結合の形成によって達成され得る。例
えば、ペプチド結合は、末端官能基(すなわち、環化に先立つ直鎖状ペプチドの
アミノ末端およびカルボキシ末端)の間で形成され得る。別のこのような実施態
様において、直鎖状ペプチドは、D−アミノ酸を含む。あるいは、N末端アセチ
ル基および/またはC末端アミドを含むかまたは含まない、1つの末端と残基の
側鎖とを連結させること、または2つの側鎖を使用することによって、環化が達
成され得る。ラクタム結合を形成し得る残基は、リジン、オルニチン(Orn)
、α−アミノアジピン酸、m−アミノメチル安息香酸、α,β−ジアミノプロピ
オン酸、グルタミン酸またはアスパラギン酸を含む。
【0084】 アミド結合を形成するための方法は、当該分野で周知であり、そして化学的な
反応性の十分に確立された原理に基づく。1つのこのような方法において、カル
ボジイミド媒介ラクタム形成は、カルボン酸のDCC、DIC、EDAC、また
はDCCIとの反応によって達成され得、これは、遊離のアミノ基とすぐに反応
して環化を完了し得るO−アシルウレアの形成を生じる。O→Nの転移から生じ
る不活性なN−アシルウレアの形成は、N−ヒドロキシ化合物(例えば、1−ヒ
ドロキシベンゾトリアゾール、1−ヒドロキシスクシンイミド、1−ヒドロキシ
ノルボルネンカルボキサミド、またはエチル2−ヒドロキシイミノ−2−シアノ
アセテート)との反応によって、O−アシルウレアを活性なエステルに転換する
ことによって回避され得る。O→Nの転移を最小化することに加えて、これらの
付加物はまた、環化の間の触媒として作用し、そしてラセミ化の低減を補助する
。あるいは、環化は、アジド法を用いて実行され得、ここでは反応性のアジド中
間体がヒドラジドを経由してアルキルエステルから生成される。末端エステルの
ヒドラジン分解は、アシル化成分における側鎖カルボキシル官能基の保護のため
に、t−ブチル基の使用が必要である。この限定は、ジフェニルホスホリル酸(
DPPA)(これはアジドを直接的にカルボキシル基との反応に提供する)を使
用することによって克服され得る。アジドのこの遅い反応性およびその不均一化
によるイソシアネートの形成は、この方法の有用性を限定する。ラクタム形成の
混合無水物法は、反応副産物の除去が容易であるために広範に使用されている。
その無水物は、アルキルクロロホルメートまたはピバロイルクロリドとのカルボ
ン酸アニオンの反応に際して形成される。次いで、アミノ成分の攻撃は、アルコ
キシ基の電子供与効果によってか、または間違ったカルボニル基に対する攻撃を
妨害するピバロイルクロリドt−ブチル基の立体的な障害によってアシル化成分
のカルボニル炭素に導かれる。リン酸誘導体を有する混合無水物もまた、首尾よ
く使用される。あるいは、環化は、活性化されたエステルを用いて達成され得る
。エステルのアルコキシ炭素上の電子吸引置換基の存在は、アミノ分解に対する
その感受性を増大させる。p−ニトロフェノール、N−ヒドロキシ化合物、およ
びポリハロゲン化フェノールのエステルの高い反応性は、これらの「活性エステ
ル」を、アミド結合の合成において有用にした。ここ2〜3年の間に、有益なカ
ップリング試薬として、ベンゾトリアゾリルオキシトリス−(ジメチルアミノ)
ホスホニウムヘキサフルオロホスホネート(BOP)およびその同属種の開発が
見られた。それらの性能は、一般的には、十分に確立されたカルボジイミドアミ
ド結合形成反応の性能に優る。
【0085】 さらなる実施態様において、チオエーテル結合は、チオール含有残基の側鎖と
、適切に誘導体化されたα−アミノ酸との間に形成され得る。例として、リジン
側鎖は、カルボジイミドカップリング法(DCC、EDAC)を通してブロモ酢
酸にカップリングされ得、次いで上述の任意のチオール含有残基の側鎖と反応し
て、チオエーテル結合を形成する。ジチオエーテルを形成するために、任意の2
つのチオール含有側鎖が、DMF中のジブロモエタンおよびジイソプロピルアミ
ンと反応し得る。
【0086】 より長い調節薬剤については、合成のためには組換え方法が好ましい。このよ
うな方法において、特定の宿主細胞に適切であると当業者に公知である種々の発
現ベクターのいずれかを用いて、調節薬剤の全てまたは部分が、生細胞中で合成
され得る。適切な宿主細胞は、細菌、酵母細胞、哺乳動物細胞、昆虫細胞、植物
細胞、藻類および他の動物細胞(例えば、ハイブリドーマ、CHO、ミエローマ
)を含み得る。この様式において発現されるDNA配列は、内因性のカドヘリン
もしくは他の接着分子の部分をコードし得る。このような配列は、既知のcDN
A配列またはゲノム配列に基づいて調製され得る(Blaschukら、J.M
ol.Biol.211:679−682,1990を参照のこと)か、または
既知のカドヘリンの配列に基づいて設計されたプローブを用いて適切なライブラ
リーをスクリーニングすることによって単離された配列から調製され得る。この
ようなスクリーニングは、一般的には、Sambrookら、Molecula
r Cloning:A Laboratory Manual、Cold S
pring Harbor Laboratories、Cold Sprin
g Harbor、NY、1989(およびそこに引用される参考文献)に記載
されるように行われ得る。ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)もまた、当該分野で
周知の方法においてオリゴヌクレオチドプライマーを用いて、内因性の接着分子
の全体または部分をコードする核酸分子を単離するために利用され得る。所望の
調節薬剤をコードする核酸分子を生成するために、内因性カドヘリン配列が、周
知の技術を使用して改変され得る。例えば、4つ以上のCAR配列をコードする
部分が、上記のようにリンカーをコードする核酸領域による分離を伴ってか、ま
たは伴わずに連結され得る。あるいは、所望の核酸配列の部分は、周知の技術を
用いて合成され得、次いで、調節薬剤をコードする配列を形成するために互いに
連結され得る。
【0087】 上記のように、HAV−BM配列に代わって(または加えて)、調節薬剤は、
HAV−BM配列に特異的に結合する抗体(または、それらの抗原結合フラグメ
ント)を含み得る。本明細書中で使用される場合、抗体(または、それらの抗原
結合フラグメント)は、その配列を含むペプチドと検出可能なレベルで反応し、
そして異なるCAR配列、またはカドヘリンCAR配列および/もしくは隣接配
列中のアミノ酸残基の順番が変化している配列を含むペプチドと検出可能には反
応しない場合に、HAV−BM配列(隣接アミノ酸を含むか、または含まない)
に「特異的に結合する」といわれる。このような抗体結合特性は、Newton
ら、Develop.Dynamics 197:1−13、1993によって
記載されているように、ELISAを用いて評価され得る。
【0088】 ポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体が、慣用的な技術を使用して、
HAV−BM配列に対して惹起され得る。例えば、HarlowおよびLane
、Antibodies:A Laboratory Manual、Cold
Spring Harbor Laboratory、1988を参照のこと
。1つのこのような技術において、HAV−BM配列を含む免疫原は、最初に、
広範な種々の哺乳動物(例えば、マウス、ラット、ウサギ、ヒツジ、またはヤギ
)のいずれかに注射される。より小さな免疫原(すなわち、約20アミノ酸未満
)は、キャリアタンパク質(例えば、ウシ血清アルブミン、またはキーホールリ
ンペットヘモシアニン)に結合されるべきである。1回以上の注射の後に、動物
から定期的に採血する。次いで、CAR配列について特異的なポリクローナル抗
体は、例えば、適切な固体支持体に結合された調節薬剤またはその抗原性部分を
使用するアフィニティークロマトグラフィーによってそのような抗血清から精製
され得る。
【0089】 HAV−BM配列について特異的なモノクローナル抗体は、例えば、Kohl
erおよびMilstein、Eur.J.Immunol.6:511−51
9、1976の技術、ならびにその改良型を使用して調製され得る。手短には、
これらの方法は、上記のように、免疫された動物から得られた脾臓細胞から、所
望の特異性を有する抗体を産生し得る不死化細胞株の調製を包含する。その脾臓
細胞は、例えば、ミエローマ細胞融合パートナー(好ましくは、免疫された動物
と同系のもの)との融合によって不死化される。単一コロニーが選択され、そし
てそれらの培養上清が、調節薬剤またはその抗原性部分に対する結合活性につい
て試験される。高い反応性および特異性を有するハイブリドーマが好ましい。
【0090】 モノクローナル抗体は、収量を増強させるために、当該分野で公知の種々の技
術の使用ありまたは使用なしで、増殖しているハイブリドーマコロニーの上清か
ら単離され得る。夾雑物は、慣用的な技術(例えば、クロマトグラフィー、ゲル
濾過、沈殿、および抽出)によって抗体から除去され得る。所望の活性を有する
抗体は、一般的に、標的カドヘリンが局在している組織切片、細胞、または他の
サンプルの免疫蛍光分析を使用して同定され得る。
【0091】 好ましい実施態様では、このようなモノクローナル抗体は、特定のカドヘリン
に特異的である(例えば、抗体はEカドヘリンに結合するが、Nカドヘリンに有
意に結合しない、またはその逆)。このような抗体は、所望の特異性を生じるの
に十分な隣接配列を(最小のHAV−BM配列に加えて)含む免疫原を用いて、
上記のように調製され得る。特定の抗体の特異性を評価するために、本明細書中
に記載されるような代表的なアッセイおよび/または従来の抗原結合アッセイが
用いられ得る。このような抗体は、一般に、本明細書中に記載されるように治療
、診断およびアッセイの目的のために用いられ得る。例えば、このような抗体は
、特定のカドヘリン発現細胞に対して薬物を標的とするために、薬物に連結され
得、そして哺乳動物に投与され得る。
【0092】 特定の実施態様において、抗体の抗原結合フラグメントの使用が好ましくあり
得る。このようなフラグメントは、Fabフラグメントを含み、これは、標準的
な技術を用いて調製され得る。手短には、免疫グロブリンは、プロテインAビー
ズカラムのアフィニティークロマトグラフィーによってウサギ血清から精製され
得(HarlowおよびLane、Antibodies:A Laborat
ory Manual、Cold Spring Harbor Labora
tory、1988;特に309頁を参照のこと)、そしてパパインによって消
化され、FabおよびFcフラグメントを産生する。FabおよびFcフラグメ
ントは、プロテインAビーズカラムのアフィニティークロマトグラフィーによっ
て分離され得る(HarlowおよびLane、1988、628−29頁)。
【0093】 特定の実施態様において、抗体は上記のような、増強された接着が望ましい方
法において用いら得る。例えば、抗体は、インビトロまたはインビボで軸索成長
を増強および/または指向するために、上記の方法において使用され得る。抗体
は、管状神経ガイド(tubular nerve guide)の管腔におい
て使用され得るか、またはファイバー神経ガイド、縫合糸、または他の固体支持
体に付着され得、そしてペプチド調節薬剤について上記のように用いられ得る。
抗体投薬量は、軸索成長を増強するまたは指向するのに十分であり、そして投与
方法および処置されるべき状態に伴って変化する。
【0094】 抗体はまた、上記のように様々な状況において(例えば、創傷治癒を増強する
および/または瘢痕組織を減少するために、ならびに/あるいは皮膚移植術もし
くはプロテーゼインプラントにおいて細胞接着を容易にするために)複数のカド
ヘリン発現細胞に結合する「生物学的接着剤」として用いられ得る。一般に、創
傷部位、移植部位、またはインプラント部位へ投与されるマトリックス連結抗体
の量は、創傷の重篤度および/または創傷、移植片、もしくはインプラントの性
質に伴って変化するが、上記のように変化し得る。抗体はまた、上記のように、
組織培養またはバイオリアクターにおける使用のために、種々の支持物質のいず
れかに連結され得る。
【0095】 抗体(または、好ましくは、その抗原結合フラグメント)はまた、細胞接着の
阻害が望ましい状況で使用され得る。このような抗体またはフラグメントは、例
えば、MSのような脱随性疾患の処置のために、または上記のように、腫瘍細胞
間の相互作用を阻害するために用いられ得る。Fabフラグメントの使用は、一
般に好ましい。
【0096】 (調節薬剤活性の評価) 上記のように、ネイティブのHAV−BM配列、ならびにそれらのアナログお
よび模倣物は、古典的カドヘリン、好ましくはHAV配列内または付近に結合し
、そしてカドヘリン媒介応答を調節する。カドヘリン配列に結合する能力は、一
般に、当業者に公知の任意の結合アッセイを用いて評価され得る。例えば、Jo
nssonら、Biotechniques 11:520−27、1991に
おいて議論されるようにPharmaciaバイオセンサー機器が使用され得る
。分子とのペプチドの相互作用を測定する技術の特定の例は、Williams
ら、J.Biol.Chem.272、8539−8545、1997に見出さ
れ得る。リアルタイムBIA(Biomolecular Interacti
on Analysis)は、光学現象表面プラズモン共鳴を使用して、生体分
子相互作用をモニタリングする。その検出は、生体特異的界面での高分子の質量
濃度の変化に依存する。これは、次には、試験分子またはペプチド(リガンドと
いわれる)の、バイオセンサーチップの表面への固定化、続いて、リガンドへの
相互作用分子(分析物といわれる)の結合に依存する。チップへの結合は、リア
ルタイムで、恣意的な共鳴の単位(RU)において測定される。
【0097】 例えば、表面プラズモン共鳴実験は、BIAcore XTMバイオセンサー(
Pharmacia Ltd.、BIAcore、Uppsala、Swede
n)を用いて実行され得る。CM5センサーチップのパラレルフローセルは、製
造業者のプロトコルに従って、10mM 酢酸ナトリウム、pH 4.0中で、
ストレプトアビジン(200μg/ml)を用いて、アミンカップリング法を使
用して誘導体化され得る。リガンドの約2100〜2600共鳴単位(RU)が
固定化され得、これは、約2.1〜2.6ng/mm2の濃度に相当する。次い
で、このチップは、公知または推定のHAV−BM、あるいはそれらのアナログ
もしくは模倣物を含むペプチドで被覆され得る。いかなる非特異的結合ペプチド
も除去される。
【0098】 結合を決定するために、試験分析物(例えば、HAV−含有ペプチドのような
カドヘリンペプチド)は、泳動緩衝液中に配置され得、そして試験フローセルお
よびコントロールフローセルを同時に通過させ得る。遊離の緩衝液の流れた時間
の後、表面に結合したままのいかなる分析物をも、例えば、0.1% SDSの
パルスを用いて取り除き、シグナルをベースラインに戻し得る。誘導体化したセ
ンサーチップへの特異的結合は、コントロールフローセル応答から試験フローセ
ル応答を減算することによりこのシステムによって自動的に決定され得る。一般
的に、HAV−BM、もしくはそれらの模倣物またはアナログは、このようなア
ッセイ中で検出可能なレベルでHAV−含有ペプチドに結合する。好ましくは、
結合のレベルは、少なくとも、類似の条件下で本明細書中で提供されるネイティ
ブのHAV−BMについて観察されるレベルである。
【0099】 カドヘリン媒介機能を調節する能力は、典型的なカドヘリン応答に対するペプ
チドの効果を測定するために設計された、種々のインビトロアッセイのいずれか
を使用して評価され得る。上記のように、調節薬剤は、カドヘリン媒介機能を増
強または阻害可能であり得る。細胞接着を調節するための薬剤の能力は、一般に
1つ以上の以下の効果をアッセイすることによってインビトロで評価され得る:
(1)軸索の成長、(2)シュワン細胞−星状細胞接着、(3)星状細胞単層上
のシュワン細胞の移動、(4)内皮細胞間の接着、(5)上皮細胞間の接着(例
えば、正常なラット腎臓細胞および/またはヒト皮膚)ならびに/もしくは(6
)癌細胞間の接着。1つ以上のこれらの代表的なアッセイにおいて、試験細胞の
調節薬剤との接触が識別可能な細胞接着の破壊を生じる場合、一般的に、調節薬
剤は細胞接着のインヒビターである。調節薬剤が、以下に記載されるように軸索
の成長を増強し得るか、あるいは支持物質(例えば、組織培養プラスチック)に
付着された調節薬剤に対する上皮細胞接着を評価するためのプレートアッセイに
よって判断されたときに、細胞接着を促進し得る場合、細胞接着を増強する調節
薬剤(例えば、複数のHAV−BM配列を含む薬剤および/または支持物質に連
結された薬剤)は、細胞接着のモジュレーターであると見なされる。
【0100】 代表的な軸索成長アッセイにおいて、ニューロンは、Nカドヘリンを発現する
細胞(例えば、3T3繊維芽細胞)の単層上で培養され得る。このような細胞上
で増殖したニューロン(適切な条件下で、そして十分な時間の間で)は、Nカド
ヘリンを発現しない3T3細胞上で培養したニューロンから伸長した軸索と比較
して、代表的には、平均で2倍の長さの軸索を伸長する。例えば、ニューロンは
、DohertyおよびWalsh、Curr.Op.Neurobiol.4
:49−55,1994;Williamsら、Neuron 13:583−
594,1994;Hallら、Cell Adhesion and Com
mun.3:441−450,1996;DohertyおよびWalsh、M
ol.Cell.Neurosci.8:99−111,1994;およびSa
fellら、Neuron 18:231−242,1997によって本質的に
記載されるような、NカドヘリンをコードするcDNAでトランスフェクトされ
た3T3細胞の単層上で培養され得る。手短には、コントロール3T3線維芽細
胞およびNカドヘリンを発現する3T3線維芽細胞の単層を、8チャンバーウェ
ル組織培養スライドの個々のウェル中の80,000細胞のオーバーナイト培養
によって樹立し得る。出生3日後のマウス脳から単離された3000の小脳ニュ
ーロンを、コントロール培地(SATO/2%FCS)中の、または種々の濃度
の調節薬剤またはコントロールペプチドを補充した培地中の、種々の単層上で1
8時間培養し得る。次いで、培養物を固定し、そしてニューロンおよびその軸索
に特異的に結合するGAP43について染色し得る。各々のGAP43陽性ニュ
ーロン上の最も長い軸索の長さを、コンピューターで補助された形態計測によっ
て測定し得る。
【0101】 Nカドヘリン媒介細胞接着を調節する調節薬剤は、このような軸索の生長を阻
害または増強し得る。上記の条件下では、神経の細胞接着を破壊する500μg
/mLの調節薬剤の存在は、調節薬剤の非存在または陰性コントロールペプチド
の存在下における軸索の長さに比較して、少なくとも50%の平均軸索長の減少
を生じるはずである。あるいは、神経の細胞接着を増強する500μg/mLの
調節薬剤の存在は、少なくとも50%の平均軸索長の増加を生じるはずである。
【0102】 星状細胞へのシュワン細胞の接着における調節薬剤の効果は、一般に細胞接着
アッセイを用いて評価され得る。簡単には、Di−Iを用いて蛍光標識されたシ
ュワン細胞は、星状細胞表面(例えば、星状細胞の単層を用いて被覆したカバー
ガラス)に配置され、そして約1mg/mLの濃度の調節薬剤の存在下または非
存在下で振盪台上で(例えば、25rpm30分間)インキュベートされ得る。
次いで、細胞は(例えば、Hanks培地中で)洗浄され、非付着細胞を除去し
得る。次いで、付着した細胞は、固定され得、そして(例えば、蛍光顕微鏡を用
いて)計数され得る。一般に、1mg/mLの調節薬剤は、少なくとも50%の
細胞接着の増加または減少を生じる。このアッセイは、Nカドヘリン媒介細胞接
着に対する調節薬剤の効果を評価する。
【0103】 シュワン細胞の移動は、一般に、ミクロ倒立カバーガラス(micro−in
verted coverslip)アッセイを用いて評価され得る。このアッ
セイにおいて、高密度なシュワン細胞培養物が、カバーガラスフラグメント上で
樹立され、そしてフラグメント縁から離れるシュワン細胞の移動が測定される。
簡単には、Di−Iを用いて蛍光標識したシュワン細胞が、カバーガラスのポリ
リジンおよびラミニン被覆したフラグメント上に配置され得、そして表面に16
〜18時間結合され得る。次いで、細胞は(例えば、Hanks培地中で)洗浄
され得、非付着細胞が除去され、次いで星状細胞被覆表面上で細胞が下向きに倒
立され得る。次いで、培養物は、約1mg/mLの濃度にて調節薬剤の存在下ま
たは非存在下でさらに2日間インキュベートされ、そして固定される。次いで、
カバーガラスフラグメントの縁からの最大移動距離が、測定され得る。1mg/
mLのレベルで、調節薬剤は、少なくとも50%の最大移動距離の増加または減
少を生じる。このアッセイは、Nカドヘリン媒介細胞接着における調節薬剤の効
果を評価する。
【0104】 特定の細胞接着アッセイにおいて、カドヘリンを発現する細胞に対する調節薬
剤の添加は、細胞接着の破壊を生じる。「カドヘリン発現細胞」は、本明細書中
で使用される場合、免疫細胞化学プロトコール(例えば、Blaschukおよ
びFarookhi、Dev.Biol.136:564−567、1989)
のような標準的な技術を使用して、検出可能なレベルで、細胞表面上に少なくと
も1つのカドヘリンを発現する任意の型の細胞であり得る。カドヘリン発現細胞
は、内皮細胞、上皮細胞、および/または癌細胞を含む。例えば、このような細
胞は、調節薬剤の非存在下で細胞接着を可能にする標準的な条件下で、プレート
され得る。調節薬剤(例えば、500μg/mL)の存在下において、細胞接着
の破壊は、互いからの細胞の退縮を観察することによって、目視で24時間以内
に決定され得る。
【0105】 1つのこのようなアッセイにおいて用いるために、ウシ肺動脈内皮細胞が、滅
菌切除そして0.1%コラゲナーゼ(II型;Worthington Enz
ymes,Freehold,NJ)中での消化によって収集され得る。細胞は
、10%ウシ胎仔血清および1%抗菌、抗真菌物質を補充したダルベッコ最小必
須培地において、空気中7%のCO2において37℃にて維持され得る。培養物
は、トリプシンEDTA中で毎週継代され得、そして20,000細胞/cm2
で組織培養プラスチック上に播種され得る。内皮培養物は、1週間の培養で用い
られ得る。これは、培養のコンフルエンシーが確立された約3日後である。この
細胞は、カバーガラス上に播種され得、そして調節薬剤またはコントロール化合
物(例えば、500μg/ml)を用いて(例えば、30分間)処理され得、次
いで1%パラホルムアルデヒドで固定され得る。上記のように、細胞接着の破壊
は、互いからの細胞の退縮を観察することによって、目視で24時間以内に決定
され得る。このアッセイは、Nカドヘリン媒介細胞接着における調節薬剤の効果
を評価する。
【0106】 別のこのようなアッセイにおいて、正常なラット腎臓(NRK)細胞に対する
調節薬剤の効果が評価され得る。代表的な手順に従って、NRK細胞(ATCC
#1571−CRL)を、10%FCSを有するDMEMを含む35mm組織培
養フラスコあたり10〜20,000細胞でプレーティングし得、そして定期的
に継代培養する(Lairdら、J.Cell Biol.131:1193−
1203、1995)。細胞を収集し得、そして1mmカバーガラスを含む35
mm組織培養フラスコ中に再プレーティングし得、そして50〜65%コンフル
エントまでインキュベートし得る(24〜36時間)。この時点において、カバ
ーガラスを24ウェルプレートに移し得、新鮮なDMEMで1回洗浄し得、そし
て例えば1mg/mLの濃度の調節薬剤に24時間暴露し得る。次いで、新鮮な
調節薬剤を添加し得、そして細胞をさらに24時間放置し得る。細胞を100%
メタノールで10分間固定し得、次いでPBSで3回洗浄し得る。カバーガラス
を、2% BSA/PBS中に1時間ブロックし得、そしてマウス抗Eカドヘリ
ン抗体(Transduction Labs、1:250希釈)の存在下でさ
らに1時間インキュベートする。一次抗体および二次抗体は、2% BSA/P
BS中に希釈され得る。一次抗体中でのインキュベーションに次いで、カバーガ
ラスをPBS中で各5分間で3回洗浄し得、そしてフルオレセインに結合された
ロバ抗マウス抗体(1:200に希釈されている)で1時間インキュベートし得
る。PBS中でさらに洗浄(3×5分)後、カバーガラスを、マウントし、そし
て共焦点顕微鏡によって観察し得る。
【0107】 調節薬剤の非存在下で、NRK細胞は、細胞が多角形形態を表示する栗石形態
を有する特徴的な密着単層を形成する。Eカドヘリン媒介細胞接着を破壊する調
節薬剤を用いて処理されるNRK細胞は、1mg/mLの調節薬剤で48時間以
内の処理において、非多角形および細長い形態(すなわち、繊維芽細胞様形態)
と考えられ得る。間隙が、このような細胞のコンフルエントな培養において見ら
れる。さらに、1mg/mLのこのような調節薬剤は、Eカドヘリンの細胞表面
染色において、免疫蛍光顕微鏡によって判断されるように、48時間以内に少な
くとも75%の容易に明らかな減少を再現可能に誘導する(Lairdら、J.
Cell Biol.131:1193−1203,1995)。
【0108】 第3の細胞接着アッセイが、接着性の上皮細胞層および/または内皮細胞層の
透過性に対する調節薬剤の効果を評価することに関与する。例えば、ヒト皮膚に
対する透過性の効果が、評価され得る。このような皮膚は、天然の供給源に由来
し得るか、または合成的であり得る。このようなアッセイにおける使用のための
ヒト腹部の皮膚は、一般的に、死後24時間以内の剖検でヒトから得られ得る。
手短には、調節薬剤(例えば、500μg/ml)および試験マーカー(例えば
、蛍光マーカーOregon GreenTMおよびRhodamine Gre
enTM Dextran)を、滅菌緩衝液(例えば、リン酸緩衝液、pH 7.
2)中に溶解し得、そしてマーカーが皮膚を通じ、そしてレセプター溶液(例え
ば、リン酸緩衝液)中へ透過する能力が、Franz Cell装置(Fran
z、Curr.Prob.Dermatol.7:58−68、1978;Fr
anz,J.Invest.Dermatol.64:190−195、197
5)を使用して測定され得る。皮膚を通してのマーカーの透過性は、実験の開始
から、例えば、6、12、24、36、および48時間後に評価され得る。一般
的に、ヒト皮膚の透過性を増強する調節薬剤は、500μg/mL調節薬剤の存
在下で、6〜48時間後のレセプター区画中のマーカーの量の、統計学的に有意
な増加を生じる。このアッセイは、Eカドヘリン媒介細胞接着に対する調節薬剤
の効果を評価する。
【0109】 (調節薬剤の改変および処方物) 本明細書に記載される調節薬剤は、1つ以上の付加的な分子に連結され得るが
、必ずしもその必要性はない。特に、以下に記載するように、特定の適用につい
ては、複数の調節薬剤(これは、同一であり得るが、必ずしもその必要はない)
を、支持体材料(例えば、支持体分子(例えば、キーホールリンペットヘモシア
ニン)または固体支持体(例えば、ポリマーマトリックス(これは、超薄膜のよ
うな膜または微細構造として処方され得る))、容器の表面(例えば、組織培養
プレートの表面またはバイオリアクターの内部表面)、またはビーズもしくは他
の粒子(これは、ガラス、プラスチック、もしくはセラミックを含む種々の材料
から調製され得る))に結合させるために有益であり得る。特定の適用について
、生分解性支持体材料(例えば、セルロースおよびその誘導体、コラーゲン、ス
パイダーシルク(spider silk)、または任意の種々のポリエステル
(例えば、ヒドロキシ酸および/またはラクトンに由来するもの)、または縫合
糸)が好ましい(米国特許第5,245,012号を参照のこと)。特定の実施
態様において、他のCAR配列(例えば、HAV、RGD、またはLYHY(配
列番号70)を含む調節薬剤および分子は、ポリマーマトリックスのような支持
体に、好ましくは、交互のパターンで結合され得る。
【0110】 調節薬剤を支持体材料に結合する適切な方法は、その支持体の組成および意図
される用途に依存し、そして当業者に容易に明らかである。結合は、一般に、非
共有結合(例えば、吸着または親和性)、または好ましくは、共有結合(これは
、調節薬剤と支持体の官能基との間の直接結合であり得るか、または架橋剤によ
る結合であり得る)を介して達成され得る。調節薬剤の吸着による結合は、適切
な緩衝液中で、適切な時間の間での固体支持体との接触によって達成され得る。
接触時間は、温度に伴って変化するが、一般に、約5秒と1日との間、そして代
表的には、約10秒と1時間との間である。
【0111】 調節薬剤の、分子または固体支持体への共有結合は、一般に、まず支持体材料
を、調節薬剤上の官能基(例えば、ヒドロキシル基またはアミノ基)とも反応す
る二官能性試薬と反応させることによって達成され得る。例えば、調節薬剤は、
適切なポリマー性支持体またはベンゾキノンを使用したコーティングに、支持体
上のアルデヒド基と調節薬剤上のアミンおよび活性水素との縮合によって、また
は支持体上のアミノ基と調節薬剤上のカルボン酸との縮合によって、結合され得
る。結合を生成する好ましい方法は、グルタルアルデヒドを使用してアミノ基を
介するものである。調節薬剤は、エステル結合を介してセルロースに連結され得
る。同様に、アミド結合は、キーホールリンペットヘモシアニンのような他の分
子または他の支持体材料への結合に適切であり得る。他のCAR配列を含む複数
の調節薬剤および/または分子は、例えば、等モル量のこのような分子がマトリ
ックス支持体と混合され、そしてランダムにカップリングし得るランダムカップ
リングによって、結合され得る。
【0112】 本明細書中で記載される調節薬剤は、特定の組織または細胞に優先的に結合し
得、従って、インビボで所望の部位を標的化するのに十分であり得るが、特定の
適用がさらなる標的化剤を含むことが、有益であり得る。従って、標的化剤もま
た、あるいは代替的に、調節薬剤に連結され、1つ以上の特定組織に対する標的
化を容易にし得る。本明細書中で使用される場合、「標的化剤」は、調節薬剤に
連結した場合、調節薬剤の標的組織への輸送を増強し、そうして調節薬剤の局所
濃度を増大させる任意の物質(例えば、化合物または細胞)であり得る。標的化
剤には、抗体またはそのフラグメント、レセプター、リガンド、および標的組織
の細胞もしくは標的組織の近傍の細胞に結合する他の分子が含まれる。公知の標
的化剤には、血清ホルモン、細胞表面抗原に対する抗体、レクチン、接着分子、
腫瘍細胞表面結合リガンド、ステロイド、コレステロール、リンホカイン、線維
素溶解酵素、ならびに所望の標的部位に結合する薬物およびタンパク質が含まれ
る。標的化剤として作用し得る多くのモノクローナル抗体の間では、抗TAC、
または他のインターロイキン2レセプター抗体;250キロダルトンのヒト黒色
腫結合プロテオグリカンと反応性である9.2.27およびNR−ML−05;
ならびに汎癌腫(pancarcinoma)糖タンパク質に反応性であるNR
−LU−10が挙げられる。抗体標的化剤は、インタクトな分子(分子全体)、
そのフラグメント、またはその機能的等価物であり得る。抗体フラグメントの例
は、F(ab’)2、Fab’、Fab、およびF[v]フラグメントであり、
これらは、従来の方法によってか、または遺伝子工学もしくはタンパク質工学に
よって産生され得る。結合は、一般に、共有結合であり、そして、例えば、直接
縮合もしくは他の反応によって、または二官能性もしくは多官能性リンカーによ
って、達成され得る。他の実施態様において、調節薬剤をコードするポリヌクレ
オチドを標的組織へと標的化し、それにより調節薬剤の局所濃度を増加すること
もまた可能であり得る。このような標的化は、周知の技術(レトロウイルス感染
およびアデノウイルス感染を含む)を使用して達成され得る。
【0113】 特定の実施態様のために、薬物を調節薬剤に連結することもまた、あるいは代
替的に、有益であり得る。本明細書で使用される場合、用語「薬物」は、疾患ま
たは他の望ましくない状態を予防あるいは処置するために、哺乳動物への投与の
ために意図される任意の生物活性剤をいう。薬物には、ホルモン、成長因子、タ
ンパク質、ペプチド、および他の化合物が含まれる。本発明の状況内でのある特
定の薬物の使用が、以下に議論される。
【0114】 本発明の特定の局面において、本明細書に記載される1つ以上の調節薬剤が、
薬学的組成物内に存在し得る。薬学的組成物は、1つ以上の薬学的もしくは生理
学的に受容可能なキャリア、希釈剤、もしくは賦形剤と組み合わせて1つ以上の
調節薬剤を含む。このような組成物には、緩衝液(例えば、中性緩衝化生理食塩
水またはリン酸緩衝化生理食塩水)、糖質(例えば、グルコース、マンノース、
スクロース、またはデキストラン)、マンニトール、タンパク質、ポリペプチド
、もしくはグリシンのようなアミノ酸、抗酸化剤、EDTAもしくはグルタチオ
ンのようなキレート剤、アジュバント(例えば、水酸化アルミニウム)、および
/または保存剤が含まれる。なお他の実施態様において、本発明の組成物は、凍
結乾燥物として処方され得る。1つ以上の調節薬剤(単独、または標的化剤およ
び/もしくは薬物との組み合わせで)は、周知の技術を使用してリポソーム内に
カプセル化され得るが、必ずしもその必要性はない。本発明の組成物は、任意の
適切な投与の様式(例えば、局所的、経口的、経鼻、静脈内、頭蓋内、腹腔内、
皮下、または筋肉内の投与を含む)のために処方され得る。
【0115】 特定の実施態様のために、以下に議論されるように、薬学的組成物は、カドヘ
リン以外の1つ以上の分子によって媒介される細胞接着のモジュレーターをさら
に含み得る。このようなモジュレーターは、一般に、HAV−BM配列および抗
体の代わりに、1つ以上の非カドヘリンCAR配列および/またはそれに対する
抗体を使用して、上記のように調製され得る。このような組成物は、以下のよう
な複数の細胞接着分子によって媒介される細胞接着を阻害することが望ましい状
況に特に有用である:古典的カドヘリン(例えば、DsgおよびDsc)ではな
いカドヘリン遺伝子スーパーファミリーの他のメンバー;インテグリン;N−C
AMのような免疫グロブリンスーパー遺伝子ファミリーのメンバー;および分類
されていない膜貫通タンパク質(例えば、オクルジン(occuldin)なら
びに細胞外マトリックスタンパク質(例えば、ラミニン、フィブロネクチン、コ
ラーゲン、ビトロネクチン、エンタクチン、およびテネイシン)。このようなモ
ジュレーターにおける使用に好ましいCAR配列は、HAV、RGD、YIGS
R(配列番号66)、KYSFNYDGSE(配列番号67)、DscまたはD
sg CAR配列、クラウジンCAR配列、JAM CAR配列および/あるい
はLYHY(配列番号70)を含む。
【0116】 薬学的組成物は、調節薬剤に連結され得るかまたはその組成物内で遊離であり
得る1つ以上の薬物もまた含み得るか、あるいは代替的に含み得る。以下に記載
される種々の目的のために、実質的に任意の薬物が本明細書に記載される調節薬
剤と組み合わせて投与され得る。調節薬剤とともに投与され得る薬物の型の例に
は、鎮痛剤、麻酔剤、抗狭心症剤、抗菌剤、抗生物質、抗ガン剤(例えば、タキ
ソールまたはマイトマイシンC)、抗炎症剤(例えば、イブプロフェンおよびイ
ンドメタシン)、駆虫剤、抗うつ剤、解毒剤、制吐剤、抗ヒスタミン剤、抗高血
圧剤、抗マラリア剤、微小管阻害剤(例えば、コルヒチンまたはビンカアルカロ
イド)、抗偏頭痛剤(antimigraine)、抗菌剤、抗精神病剤(an
tiphsycotics)、解熱剤、防腐剤、抗シグナル伝達剤(例えば、プ
ロテインキナーゼCインヒビターまたは細胞内カルシウム移動のインヒビター)
、抗関節炎剤、抗トロンビン剤、抗結核剤(antituberculotic
s)、鎮咳剤、抗ウイルス剤、食欲抑制剤、心臓作用剤、化学的依存剤(che
mical dependency drug)、瀉下剤、化学療法剤、冠状動
脈血管拡張剤、大脳血管拡張剤もしくは末梢血管拡張剤、避妊剤、抑制剤、利尿
剤、去痰剤、成長因子、ホルモン剤、催眠剤、免疫抑制剤、麻薬拮抗剤、副交感
神経作用剤、鎮静剤、刺激剤、交感神経作用剤、毒素(例えば、コレラ毒素)、
トランキライザー、および尿抗感染剤(urinary antiinfect
ives)が含まれる。
【0117】 画像化目的のために、任意の種々の診断剤が、調節薬剤に連結されてか、また
は組成物中で遊離の状態でのいずれかで、薬学的組成物中に取り込まれ得る。診
断剤には、患者における生理学的機能を解明するが、他の生理学的機能を一般に
影響を受けないままにするために投与される任意の物質が含まれる。診断剤には
、金属、放射性同位体、および放射線不透過性剤(例えば、ガリウム、テクニチ
ウム、インジウム、ストロンチウム、ヨウ素、バリウム、臭素、およびリン含有
化合物)、放射線透過性剤、造影剤、色素(例えば、蛍光色素および発色団)、
および比色定量もしくは蛍光定量反応を触媒する酵素が含まれる。一般的に、こ
のような薬剤は、上記の種々の技術を用いて、結合され得、そして任意の配向で
存在し得る。
【0118】 本明細書に記載される組成物は、徐放処方物(すなわち、投与の後に調節薬剤
の徐放をもたらすカプセルまたはスポンジのような処方物)の一部として投与さ
れ得る。このような処方物は、一般に、周知の技術を使用して調製され得、そし
て例えば、経口、直腸、または皮下への移植により、あるいは所望の標的部位で
の移植により、投与され得る。徐放処方物は、キャリアマトリックス中に分散さ
れた調節薬剤および/または速度制御膜によって囲まれたリザーバ内に含まれた
調節薬剤を含有し得る(例えば、欧州特許出願第710,491A号を参照のこ
と)。このような処方物内での使用のためのキャリアは、生体適合性であり、そ
して生分解性でもあり得る。好ましくは、その処方物は、調節薬剤放出の比較的
定常なレベルを提供する。徐放処方物内に含有される調節薬剤の量は、移植の部
位、放出の速度および予想される持続時間、ならびに処置されるかまたは予防さ
れるべき状態の性質に依存する。
【0119】 本発明の薬学的組成物は、処置(または予防)されるべき疾患に適切な様式で
投与され得る。適切な投薬量および適切な持続時間および投与の頻度は、患者の
状態、患者の疾患のタイプおよび重篤度、ならびに投与の方法のような要因によ
って決定される。一般に、適切な投薬量および処置レジメンは、治療的利点およ
び/または予防的利点を提供するのに十分な量の調節薬剤を提供する。本発明の
特に好ましい実施態様において、本明細書で記載される調節薬剤または薬学的組
成物は、0.001〜50mg/kg体重の範囲の投薬量で、好ましくは、0.
1〜20mg/kgで、単回または複数回の一日当たりの用量のレジメンで投与
され得る。局所投与のために、クリームは、代表的には、0.00001%〜1
%、好ましくは、0.0001%〜0.002%の範囲の調節薬剤の量を含む。
流体組成物は、代表的には、約10ng/ml〜5mg/ml、好ましくは、約
10μg〜2mg/mlの調節薬剤を含む。適切な投薬量は、一般に、実験モデ
ルおよび/または臨床試験を使用して決定され得る。一般に、有効な治療を提供
するのに十分な最小投薬量の使用が好ましい。患者は、一般に、当業者に周知の
、処置されるかまたは予防されるべき状態に適切なアッセイを使用して治療効果
についてモニターされ得る。
【0120】 (調節薬剤を使用する治療方法) 一般に、本明細書に記載される調節薬剤および組成物は、カドヘリン発現細胞
(すなわち、E−カドヘリン、N−カドヘリン、P−カドヘリン、R−カドヘリ
ンおよび/またはHAV−BM配列を含む他のカドヘリン(今はまだ未発見のカ
ドヘリンを含む)のうちの1つ以上を発現する細胞)の接着を調節するために使
用され得る。このような調節は、インビトロおよび/またはインビボで、好まし
くは、ヒトのような哺乳動物において行われ得る。上記のように、カドヘリン媒
介細胞接着の破壊を含む目的のための調節薬剤は、HAV−BM配列、近接した
複数のHAV−BM配列、および/またはHAV−BM配列を認識する抗体(ま
たはその抗原結合フラグメント)を含み得る。他の接着分子によって媒介される
細胞接着を破壊することもまた所望される場合、調節薬剤は、さらに、このよう
な接着分子(および/またはこのような配列に結合する抗体もしくはそのフラグ
メント)によって結合された一つ以上のCAR配列(好ましくは、リンカーによ
って、互いに分離され、そしてHAV−BM配列から分離されている)を含み得
る。上記のように、このようなリンカーは、一つ以上のアミノ酸を含んでいても
よいし、含んでいなくてもよい。細胞接着を増強するために、調節薬剤は、複数
のHAV−BM配列または抗体(またはフラグメント)(好ましくは、リンカー
によって分離された)を含み得るか、および/または上記のように単一の分子も
しくは支持体材料に連結され得る。
【0121】 本明細書で記載されるような細胞接着の破壊を含む特定の方法は、それらがカ
ドヘリン発現細胞の障壁を超えての、大きく、そして/または荷電した分子の通
過を可能にする点において、従来技術に対して利点を有する。以下により詳細に
記載されるように、本明細書に記載される調節薬剤はまた、種々の他の状況にお
いて、細胞接着を破壊するか、または増強するために使用され得る。本明細書に
記載される方法の各々において、一つ以上の調節薬剤が、一般に、単独で、また
は薬学的組成物中において投与され得る。本明細書に記載される各特定の方法に
おいて、上記のように、標的化剤は、標的部位で調節薬剤の局所濃度を増大させ
るために利用され得る。
【0122】 一般的に、細胞接着を調節する方法において、カドヘリン発現細胞は、カドヘ
リン媒介機能の阻害または増強が可能になるに十分な条件下および時間、調節薬
剤と接触される。カドヘリン発現細胞には、上皮細胞、内皮細胞、神経細胞、腫
瘍細胞およびリンパ球が挙げられるが、これらに限定されない。このような接触
は、本明細書中で提供される薬学的組成物の投与により、インビトロまたはイン
ビボで達成され得る。
【0123】 特定の局面において、細胞接着が消失する方法が提供される。1つのこのよう
な局面において、本発明は、哺乳動物において、本明細書に記載のように、調節
薬剤を投与することによって、望ましくない細胞接着を減少するための方法を提
供する。望ましくない細胞接着は、例えば、腫瘍細胞間、腫瘍細胞と正常細胞と
の間、または正常細胞間で、外科手術、傷害、化学療法、疾患、炎症、または細
胞生存能力もしくは機能を危険にさらす他の状態の結果として生じ得る。このよ
うな方法における使用のために好ましい調節薬剤は、以下の配列のうちの1つ以
上を含むものが挙げられる:INPISGQ(配列番号22)、LNPISGQ
(配列番号23)、IDPVSGQ(配列番号24)、KIDPVNGQ(配列
番号25)、PISGQ(配列番号26)、KIDPVN(配列番号50)、 VNGQ (配列番号51)、PISGQ(配列番号52)、PVSGR(配列番
号53)、KIDPV(配列番号54)、KIDPVN(配列番号55)、ID PVN (配列番号56)、INPIS(配列番号57)、CPVNGQC(配列
番号58)、CPISGQC(配列番号59)、CPVSGRC(配列番号60
)、CKIDPVNC(配列番号61)、CIDPVNC(配列番号62)、 INPISC (配列番号63)、またはCKIDPVC(配列番号85)、CI NPC (配列番号86)またはCINPIC(配列番号87)(ここで、環化が
下線により示されている)。調節薬剤は、あるいは、またはさらに、前述の配列
の1つの誘導体を含み得る。さらに、調節薬剤は、配列RGD(これは、インテ
グリンによって結合される)、配列LYHY(配列番号70)(これは、オクル
ジンにより結合される)、JAM CAR配列、クラウジンCAR配列および/
または1つ以上のHAVおよび/もしくは非古典的カドヘリンCAR配列を含み
得る。好ましくは、このような配列は、リンカーを介してHAV−BM配列から
分離された。あるいは、細胞接着(例えば、インテグリンおよび/またはオクル
ジンに媒介される)の別々の調節薬剤は、調節薬剤と組み合わせて、同じ薬学的
組成物内で、または別々にのいずれかで、投与され得る。調節薬剤の局所投与が
一般に好ましいが、他の手段もまた利用され得る。好ましくは、局所投与のため
の流体組成物(例えば、生理食塩水を含む)は、上記の量の調節薬剤を含み、そ
してより好ましくは、10μg/mL〜1mg/mLである。クリームは、一般
に、上記のように処方され得る。外科分野における局所投与は、外科手術の終わ
りの創傷の洗浄により、または手術期間後の外科用ドレーンの使用による断続的
または連続的洗浄として、または外科手術が行われる必要のない場合に炎症、傷
害、もしくは疾患の領域に特異的に挿入されるドレーンの使用により、与えられ
得る。あるいは、非経口または経皮投与が、類似の結果を達成するために使用さ
れ得る。
【0124】 別のこのような局面において、哺乳動物の皮膚を通じての薬物の送達を増強す
る方法が提供される。薬物の経皮的送達は、薬物の比較的定常的な血液レベルを
維持するために使用され得る都合の良い、そして非侵襲的な方法である。一般に
、皮膚を介する薬物送達を容易にするためには、微小血管系の上皮細胞(ケラチ
ノサイト)と内皮細胞との間の接着を乱すことが必要である。現在利用可能な技
術を使用して、小さな、荷電していない分子のみが、インビボで皮膚を介して送
達され得る。本明細書に記載される方法は、同じ程度の限定に供されない。従っ
て、広範な種々の薬物が、全身性投与または局所投与のために、皮膚の上皮細胞
層および内皮細胞層を介して移送され得る。このような薬物は、メラノーマに送
達され得るか、または体内の他の部位への送達のために哺乳動物の血流に進入し
得る。
【0125】 皮膚を介する薬物の送達を増強するために、本明細書で記載されるような調節
薬剤および薬物が、皮膚表面と接触される。このような方法において使用される
のに好ましい調節薬剤には、以下の配列のうちの1つ以上を含むものが挙げられ
る:INPISGQ(配列番号22)、LNPISGQ(配列番号23)、ID
PVSGQ(配列番号24)、KIDPVNGQ(配列番号25)、PISGQ
(配列番号26)、KIDPVN(配列番号50)、PVNGQ(配列番号51
)、PISGQ(配列番号52)、PVSGR(配列番号53)、KIDPV
配列番号54)、KIDPVN(配列番号55)、IDPVN(配列番号56)
INPIS(配列番号57)、CPVNGQC(配列番号58)、CPISG QC (配列番号59)、CPVSGRC(配列番号60)、CKIDPVNC
配列番号61)、CIDPVNC(配列番号62)、CINPISC(配列番号
63)、またはCKIDPVC(配列番号85)、CINPC(配列番号86)
またはCINPIC(配列番号87)(ここで、環化が下線により示されている
)。調節薬剤は、あるいは、またはさらに、前述の配列の1つの誘導体を含み得
る。1つ以上のDscまたはDsg CAR配列と連結された、カドヘリンCA
R配列HAV−BMを含む多官能性調節薬剤もまた、上皮細胞接着を破壊するた
めに使用され得る。このような調節薬剤はまた、または代替的に、フィブロネク
チンCAR配列RGD(これは、インテグリンにより認識される)、JAM C
AR配列、クラウジンCAR配列および/またはオクルジンCAR配列LYHY
(配列番号70)を含み得る。あるいは、細胞接着の別々のモジュレーターは、
調節薬剤と組み合わせて、同じ薬学的組成物中かまたは別々にのいずれかで、投
与され得る。
【0126】 接触は、一般には、クリームもしくはゲルとして処方された組成物内での、ま
たは経皮適用のための任意の種々の皮膚接触デバイス(例えば、欧州特許出願第
566,816A号;米国特許第5,613,958号;米国特許第5,505
,956号に記載されるもの)を使用しての、調節薬剤の直接適用によって達成
され得る。皮膚パッチは、都合の良い投与の方法(特に徐放処方物のための)を
提供する。このようなパッチは、膜(これを介して薬物が拡散する)によって皮
膚から分離された調節薬剤および薬物のリザーバを含み得る。他のパッチ設計に
おいて、調節薬剤および薬物は、ポリマーまたは接着マトリックス内に溶解また
は懸濁され得、次いで、これらは患者の皮膚と直接接触される。次いで、この調
節薬剤および薬物は、マトリックスから皮膚へと拡散し得る。調節薬剤および薬
物は、同じ組成物もしくは皮膚パッチ内に含まれ得るか、または別々に投与され
得るが、同じ時間および同じ部位での投与が好ましい。一般に、皮膚を介して投
与される調節薬剤の量は、処置されるべきまたは予防されるべき状態の性質に伴
って変化するが、上記のように変化し得る。このようなレベルは、使用されるデ
バイスの適切な調整によって、または上記のように処方されたクリームを適用す
ることによって、達成され得る。皮膚を介して標的組織への薬物の移入は、例え
ば、Franz細胞装置を使用して、インビトロ研究に基づいて予想され得、そ
してインビボで当業者に明らかな適切な手段によって評価され得る。例として、
投与された薬物の経時的な血清レベルのモニタリングは、皮膚を介する薬物移入
の簡単な測定を提供する。
【0127】 本明細書に記載される経皮的薬物送達は、薬物送達の定常速度が所望される状
況において、薬物の血液レベルのゆらぎを回避するために特に有用である。例え
ば、モルフィンは、外科手術の直後に一般に使用される鎮痛剤である。断続的に
非経口形態(筋肉内、静脈内)で投与された場合、患者は、通常、最初の1時間
は眠気を感じ、次の2時間は良好であり、そして最後の1時間は疼痛を感じる。
なぜなら、血液レベルが、注入後に迅速に上昇し、再注入について指示されてい
る4時間の間隔に達する前に、所望のレベルより下に下がるからである。本明細
書に記載されるように経皮投与は、長期(例えば、数日)の定常的なレベルの維
持を可能にし、これは、同時に適切な疼痛制御および精神的な覚醒を可能にする
。インスリンは、別のこのような例を提供する。多くの糖尿病患者は、食事のと
きにそれらの必要性とは異なるインスリンの定常的な基底レベルを維持すること
を必要とする。基底レベルは、本明細書に記載されるように、インスリンの経皮
投与を使用して維持され得る。抗生物質はまた、しばしば毒性の原因となる高レ
ベル(例えば、代表的に、高すぎるゲンタマイシンのレベルは、腎毒性を生じる
)を回避しながら、定常速度で投与され得、適切な殺菌血液レベルを維持し得る
【0128】 本発明の方法による薬物送達はまた、薬物投与のより都合の良い方法を提供す
る。例えば、非経口的に薬物を新生児および乳児に投与することは、しばしば、
カテーテル処置するために受容可能な内径(caliber)の静脈を見出すこ
とに関連する困難性のために、特に困難である。しかし、新生児および乳児は、
しばしば、成人と比較して、比較的大きな皮膚表面を有する。経皮的薬物送達は
、このような患者のより簡単な管理を可能にし、そして現在、病院でのみ与えら
れ得るケアの特定のタイプを自宅で与えられることを可能にする。静脈のカテー
テル処置に伴う一般的に類似の困難性を有する他の患者は、化学療法を行ってい
る患者か、または透析を行っている患者である。さらに、長期の治療を行ってい
る患者にとって、本明細書に記載される経皮的投与は、非経口的投与よりも都合
がよい。
【0129】 本明細書に記載される経皮的投与はまた、非経口的使用が現実的でない状況に
おいて、胃腸管が迂回されることを可能にする。例えば、代表的には胃腸管で消
化される、治療用小ペプチドおよびタンパク質の適切な投与方法についての増大
する必要性が存在する。本明細書に記載される方法は、このような化合物の投与
を可能にし、そして長期にわたる簡単な投与を可能にする。長期の腸閉塞または
薬物吸収を制限する特定の胃腸疾患のために、その胃腸管を介する吸収に問題を
有する患者もまた、本明細書に記載される経皮適用のための薬物処方物から利益
を得ることができる。
【0130】 さらに、コンプライアンスを維持することが困難である多くの臨床的状況が存
在する。例えば、精神的問題を有する患者(例えば、アルツハイマー病または精
神病を有する患者)は、もし定常的な薬物の送達速度が、一日の特定の時間にそ
れらの医薬を摂る能力に依存しなければならないことがなく提供されれば、管理
するのがより容易である。それらの薬物を指示されたとおりに摂ることを単に忘
れる患者もまた、もし彼らが単に皮膚パッチを定期的に(例えば、3日ごとに)
つけなければならない場合には、忘れることはより少なくなるようである。高血
圧症の患者のように、症状を有さない疾患を有する患者は、特に、指示されたと
おりにその医薬をとることを忘れる危険性がある。
【0131】 複数の薬物を摂る患者のために、皮膚パッチのような経皮適用のためのデバイ
スが、頻繁に一緒に使用される薬物と組み合わせて処方され得る。例えば、多く
の心臓疾患患者は、ジゴキシンをフロセミドと組み合わせて投与される。両方の
薬物と単一の皮膚パッチとの組み合わせは、投与を容易にし、間違いの危険性を
減少させ(適切な時間に正確なピルを摂ることが、老齢者にとってはしばしば混
乱を生じる)「こんなに多くのピル」を摂る心理的緊張を減少させ、不規則な活
動のために投薬を省略することを減少させ、そしてコンプライアンスを改善させ
る。
【0132】 本明細書に記載される方法は、特に、ヒトに適用可能であるが、動物への成長
因子またはホルモンの投与(例えば、受精能の制御のため)のような、種々の獣
医学的使用も有する。
【0133】 上記のように、本明細書に提供される方法に従って、広範な種々の薬物が投与
され得る。経皮的に投与され得る薬物分類のいくつかの例には、以下が含まれる
:全てのNSAID、インドメタシン、プレドニソンなどのような抗炎症性薬物
(例えば、関節炎および他の状態において);モルフィン、コデイン、デメロー
ル(Demerol)、アセトアミノフェン、およびこれらの組み合わせ(例え
ば、コデインおよびアセトアミノフェン)を含む鎮痛剤(特に、外科手術後のよ
うに経口吸収が可能でない場合、および非経口投与が都合が良くないかまたは所
望でない場合);バンコマイシンのような抗生物質(GI管によって吸収されな
い、そして頻繁に静脈内投与される)またはINHおよびリファンピシン(例え
ば、結核のため)の組み合わせ;ヘパリンのような抗凝固剤(GI管によって良
好に吸収されない、そして一般に、非経口的に投与され、血液レベルにおける変
動を生じ、高レベルでは出血する危険性の増加および低レベルでは効力を有さな
い危険性を有する)およびワルファリン(GI管によって吸収されるが、手順後
の通常の腸閉塞のために、腹部の外科手術の直後には投与され得ない);アミト
リプチリン、イミプラミン、プロザック(prozac)などのような抗うつ剤
(例えば、アルツハイマー疾患の場合のようにコンプライアンスが問題である場
合か、または安定な血液レベルを維持することが、抗コリン作用性副作用の有意
な減少および患者のより良好な耐性を生じる状況において);利尿剤およびβ遮
断剤(同じパッチによって投与され得る;例えば、フロセミドおよびプロパノー
ル)のような抗高血圧剤(例えば、コンプライアンスを改善しそして血液レベル
の変動に関連する副作用を減少させるため);ハロペリドールおよびクロルプロ
マジンのような抗精神病剤(例えば、コンプライアンスを促進し、そしてケア提
供者および家族員がその薬物が摂られたことを確認することをより容易にするた
め);ならびに抗不安剤または鎮静剤(例えば、経口投与後の高血液レベルに関
連する覚醒の減少を回避し、そして治療レベルを一定に維持することによって一
日を通して連続的な利益を可能にするため)。
【0134】 多くの他の薬物(天然に存在するホルモンおよび合成ホルモン、成長因子、タ
ンパク質ならびにペプチドを含む)は、本明細書に記載のように投与され得る。
例えば、インスリンおよびヒト成長ホルモン、エリスロポエチンのような成長因
子、インターロイキン、およびインターフェロンが皮膚を介して送達され得る。
【0135】 哺乳動物の皮膚を介しての薬物の投与のためのキットはまた、本発明内におい
て提供される。このようなキットは、一般に、一つ以上の調節薬剤と組み合わせ
てか、またはそれとともに含浸させての、経皮適用(例えば、皮膚パッチ)のた
めのデバイスを含む。薬物は、さらに、このようなキット内に包含され得る。
【0136】 関連する局面において、本明細書に記載される調節薬剤の使用は、内皮細胞お
よび上皮細胞の層の透過性を増大させ、それにより、受動的拡散による血液区画
のサンプリングを容易にする。このような方法は、血液中を循環する特定の分子
のレベルの検出および/または測定を可能にする。一般に、血液区画をサンプリ
ングするために、微小血管系の上皮細胞(ケラチノサイト)と内皮細胞との間の
接着を妨害することが必要である。現在利用可能な技術を使用して、小さな非荷
電の分子のみが、皮膚を介してインビボで検出され得る。本明細書に記載される
方法は、同じ程度の限定を受けない。従って、広範な種々の血液成分が、上皮細
胞層および内皮細胞層を横切ってサンプリングされ得る。このようなサンプリン
グは、このようないかなる細胞層(皮膚および歯ぐきを含む)を横切って達成さ
れ得る。
【0137】 例えば、本明細書に記載される皮膚パッチによる一つ以上の調節薬剤の皮膚へ
の適用により、パッチが、血清の代表的なサンプルを含有する少量の流体を蓄積
するためのスポンジのように機能することが可能となる。次いで、そのパッチは
、特定された時間後に除去され、そして目的の化合物(例えば、医薬、ホルモン
、成長因子、代謝物、またはマーカー)のための適切な技術によって分析される
。あるいは、パッチは、試薬とともに含浸され、特定の物質(例えば、酵素)が
検出された場合に色が変化することを可能にし得る。この様式で検出され得る物
質には、コカインのような非合法の薬物、HIV酵素、グルコース、およびPS
Aが含まれるが、これらに限定されない。この技術は、家庭用試験キットとして
特に有利である。
【0138】 患者の血液のサンプリングを容易にするために、本明細書中に記載されるよう
な調節薬剤が、皮膚表面と接触させられる。多機能な調節薬剤(一つ以上のOB
カドヘリンCAR配列DDK、クラウジン(claudin)CAR配列、Ds
cおよび/またはDsg CAR配列に可能に連結されたHAV−BM配列を含
む)をまた使用して、上皮細胞接着を破壊し得る、このような調節薬剤はまた、
あるいは代替的に、インテグリンによって認識される、フィブロネクチンCAR
配列RGD、クラウジンCAR配列、JAM CAR配列、および/またはオク
ルジン(occludin)CAR配列LYHY(SEQ ID NO:70)
を含み得る。あるいは、非古典的カドヘリン媒介細胞接着の別々のモジュレータ
ーは、同じ薬学的組成物内にかまたは別々にかのいずれかで調節薬剤と組み合わ
せて投与され得る。
【0139】 本明細書に記載されるように、経皮薬物送達のための接触が達成され得る。調
節薬剤および血液成分をアッセイするための薬剤は、同じ組成物または皮膚パッ
チ中に含まれ得るが、含まれる必要はない。一般的に、皮膚を介して投与される
調節薬剤の量は、上記のように変化し得る。このようなレベルは、使用されるデ
バイスを適切に調整することによって、または上記のようなクリーム処方物を適
用することによって達成され得る。血液成分の皮膚を介する移入は、例えば、F
ranz細胞装置を使用して、インビトロ研究に基づいて予想され得、そしてイ
ンビボで、当業者に明らかな適切な手段によって、評価され得る。
【0140】 例えば、哺乳動物の皮膚または歯ぐきを介する血液成分のサンプリングのため
のキットもまた、本発明内において提供される。このようなキットは、一般に、
一つ以上の調節薬剤と組み合わせたか、またはそれとともに含浸させた経皮適用
のためのデバイス(すなわち、皮膚パッチ)を含む。血液成分の検出のための試
薬は、このようなキット内にさらに含まれ得る。
【0141】 さらなる局面において、哺乳動物における腫瘍への薬物の送達を増強するため
の方法が提供され、この方法は、調節薬剤を薬物と組み合わせて腫瘍を有する哺
乳動物に投与する工程を包含する。このような方法内での使用のための調節薬剤
には、例えば、以下の配列の1つ以上を含む、E−カドヘリンおよび/またはN
−カドヘリンによって媒介される細胞接着を破壊するように設計されたものが含
まれる:
【0142】
【化16】 (ここで、下線により環化が示される)。調節薬剤は、上記の配列の一つの誘導
体を、代替的にか、またはさらに含み得る。隣接するNカドヘリン特異的配列を
有するHAV−BM配列に対してリンカーを介して連結された、隣接するEカド
ヘリン特異的配列を有するHAV−BM配列を含む二機能性調節薬剤もまた、好
ましい。好ましくは、調節薬剤のペプチド部分は、6〜16アミノ酸を含む。な
ぜなら、より長いペプチドは、水溶液中に溶解することが困難であり、そしてペ
プチダーゼによって分解される可能性がより高いからである。
【0143】 1つの特に好ましい実施態様において、調節薬剤は、複数の接着分子によって
媒介される細胞接着を破壊することが可能である。例えば、単分岐した調節薬剤
(または単一分子または支持体材料に結合された複数の薬剤)は、Eカドヘリン
、Nカドヘリン、オクルジン、DscおよびDsg媒介細胞接着を破壊し得、そ
れにより付着結合、接着結合、およびデスモソームを破壊する。そのような薬剤
は、HAV−BM配列ならびにDsgまたはDsc CAR配列;JAM CA
R配列;クラウジンCAR配列;OBカドヘリンCAR配列DDK;およびオク
ルジンCAR配列LYHY(SEQ ID NO:70)の1つ以上を含み得る
。そのような薬剤は、細胞接着の多機能性破壊剤として役立つ。あるいは、非古
典的カドヘリン媒介細胞接着の別々のモジュレーターが、調節薬剤と組み合わせ
て、同じ薬学的組成物中において、または別々にのいずれかで投与され得る。好
ましい抗体調節薬剤には、NカドヘリンHAV−BM配列またはEカドヘリンH
AV−BM配列のいずれかに対して指向されるFabフラグメントが含まれる。
オクルジンCAR配列GVNPTAQSSGSLYGSQIYALCNQFYT
PAATGLYVDQYLYHYCVVDPQE(SEQ ID NO:69)
に対して指向されるFabフラグメントはまた、調節薬剤中に組み込まれ得るか
、または同時に投与される別々のモジュレーター内にのいずれかが使用され得る
【0144】 好ましくは、調節薬剤および薬物は、投与前に同じ組成物または薬物送達デバ
イス内に処方される。一般に、調節薬剤は、任意の腫瘍への薬物の送達を増強し
得、そして投与方法は、標的腫瘍の型に基づいて選択され得る。例えば、上記の
ような注射または局所投与は、黒色腫および他のアクセス可能な腫瘍について好
ましくあり得る(例えば、原発性卵巣腫瘍からの転移は、この組成物で腹腔をフ
ラッシュすることによって処置され得る)。他の腫瘍(例えば、膀胱腫瘍)は、
調節薬剤および薬剤(例えば、マイトマイシンC)の腫瘍部位内への注射によっ
て処置され得る。他の例では、組成物は、全身的に投与され得、そして任意の種
々の特異的な標的剤を使用して腫瘍に対して標的され得る。適切な薬物が、処置
されるべき癌の型に基づいて当業者によって同定され得る(例えば、膀胱癌に対
してマイトマイシンC)。一般に、投与される調節薬剤の量は、投与方法および
腫瘍の性質に伴い、先に提供された代表的な範囲内、好ましくは、約1μg/m
L〜約2mg/mL、そしてより好ましくは、約10μg/mL〜1mg/mL
の範囲内で変化する。標的腫瘍への薬物の移動は、当業者に明らかな適切な手段
によって評価され得る。薬物はまた、標準的な画像化技術を使用して標的腫瘍へ
の移動の直接的な観察を可能にするために、標識され得る(例えば、放射性核種
を使用して)。
【0145】 関連する局面において、本発明は、哺乳動物において癌を処置し、そして/ま
たは転移を阻害するための方法を提供する。癌腫は細胞の固形の塊であり、制御
不能に増殖し、血管を介する栄養を必要とする。新しい毛細管の形成は、腫瘍増
殖および転移の出現に必須である。本明細書中に記載されるような調節薬剤の投
与は、そのような血管の増殖を破壊し得、それにより癌に有効な治療を提供し、
および/または転移を阻害する。調節薬剤はまた、白血病を治療するために使用
され得る。このような方法での使用のための好ましい調節薬剤は、例えば、以下
の配列の1つ以上を含む、N−カドヘリンおよび/またはE−カドヘリン媒介細
胞接着を破壊する調節薬剤を含む:
【0146】
【化17】 (ここで、下線により環化を示す)。調節薬剤は、上記の配列の一つの誘導体を
、代替的にか、またはさらに含み得る。好ましくは、このような調節薬剤のペプ
チド部分は、6〜16アミノ酸を含む。さらに、調節薬剤は、インテグリンによ
って認識される配列RGD、JAM CAR配列、クラウジンCAR配列、オク
ルジンCAR配列LYHY(SEQ ID NO:70)、OB−カドヘリンC
AR配列DDK、DscまたはDsg CAR配列、および/またはオクルジン
CAR配列LYHY(SEQ ID NO:70)を含み得る。好ましくはこの
ような配列は、リンカーを介してHAV−BM配列から分離される。あるいは、
インテグリン媒介細胞接着および/またはオクルジン媒介細胞接着の別々のモジ
ュレーターは、同じ薬学的組成物内にかまたは別々にかのいずれかで調節薬剤と
組み合わせて投与され得る。
【0147】 調節薬剤は、単独(例えば、皮膚を介して)で、または薬学的組成物中で投与
され得る。黒色腫および特定の他のアクセス可能な腫瘍については、上記のよう
な注射または局所投与が好ましくあり得る。卵巣癌については、1以上の調節薬
剤を含む組成物で腹腔をフラッシュすることによって、卵巣腫瘍細胞の転移を防
ぎ得る。他の腫瘍(例えば、膀胱腫瘍、気管支腫瘍、または気管腫瘍)は、その
腔内へのその調節薬剤の注射によって処置され得る。他の例において、組成物は
、全身的に投与され得、そして上記のような、任意の種々の特定の標的剤を使用
して腫瘍へ標的され得る。一般に、投与される調節薬剤の量は、投与方法および
癌の性質に依存して変化するが、先に同定された範囲内で変化し得る。癌処置ま
たは転移の阻害の効果は、周知の臨床観察(例えば、血清腫瘍マーカー(例えば
、CEAまたはPSA)のレベル)を使用して評価され得る。
【0148】 さらに別の関連する局面において、本発明は、カドヘリン発現細胞においてア
ポトーシスを誘導するための方法を提供する。一般に、癌に罹患する患者は、こ
のような処置から利益を受け得る。このような方法での使用のための特定の好ま
しい調節薬剤は、以下の一つ以上の配列を含む:
【0149】
【化18】 (ここで、環化を下線により示す)。調節薬剤は、上記の配列の一つの誘導体を
、代替的にか、またはさらに含み得る。さらなるCAR配列(例えば、HAV、
RGD、Dsc CAR配列、Dsg CAR配列、JAM CAR配列、クラ
ウジンCAR配列および/またはLYHY(SEQ ID NO:70))を含
む調節薬剤もまた好ましい。上記のように、このようなさらなる配列は、リンカ
ーを介してHAV−BM配列から分離される。あるいは、インテグリン媒介細胞
接着の別々のモジュレーターは、同じ薬学的組成物内にかまたは別々にかのいず
れかで調節薬剤と組み合わせて投与され得る。投与は、局所的であり得るか、注
射を介するか、または他の手段によるものであり得、そして標的剤の添加は、特
に投与が全身性である場合に、有利であり得る。投与および投薬の適切な形態は
、アポトーシスの誘導が所望される細胞の位置および性質に依存するが、一般に
、投薬量は、上記のように変化し得る。生検は、アポトーシスの誘導のレベルを
評価するために行われ得る。
【0150】 さらに関連する局面において、調節薬剤は、哺乳動物における新脈管形成(す
なわち、既存の血管からの血管の増殖)を阻害するために使用され得る。新脈管
形成の阻害は、例えば、癌または関節炎のような疾患に罹患する患者において有
利であり得る。新脈管形成の阻害のために好ましい調節薬剤としては、1つ以上
の以下の配列:
【0151】
【化19】 を含む調節薬剤が挙げられる。ここで、環化は、下線によって示される。あるい
は、または、さらに、調節薬剤は、上述の配列の1つの誘導体を含み得る。さら
に、新脈管形成の阻害における使用のための調節薬剤は、配列RGD(これは、
インテグリンによって認識される)、OB−カドヘリンCAR配列 DDK、J
AM CAR配列、クラウジン(claudin)CAR配列、および/または
オクルジンCAR配列LYHY(配列番号70)を含み得、これらの配列は、リ
ンカーを介してHAV−BM配列から分離される。あるいは、インテグリン媒介
細胞接着またはオクルジン媒介細胞接着の別々のモジュレーターが、同じ薬学的
組成物中で、または別々でのいずれかで、調節薬剤と組み合わせて投与され得る
【0152】 新脈管形成に対する特定の調節薬剤の効果は、一般的に、血管形成に対する薬
剤の効果を評価することによって決定され得る。このような決定は、一般的に、
例えば、ニワトリ(chick)絨毛尿膜アッセイ(Iruela−Arisp
eら、Molecular Biology of the Cell 6:3
27−343、1995)を用いて実行され得る。手短には、調節薬剤は、1つ
以上の濃度でのビトロゲン(vitrogen)から構成されるメッシュ中に埋
め込まれ得る(例えば、約1〜100μg/メッシュの範囲)。次いで、このメ
ッシュはニワトリ絨毛尿膜に適用され得る。24時間後、調節薬剤の効果が、コ
ンピューターで補助された形態計測分析を用いて決定され得る。調節薬剤は、3
3μg/メッシュの濃度で、少なくとも25%の新脈管形成を阻害するはずであ
る。
【0153】 上記のような標的化剤の添加は、特に投与が全身性である場合に、有利であり
得る。投与および投薬量の適切な形態は、予防または処置されるべき状態に依存
するが、一般に、注射による投与が適切である。投薬量は、上記のように変化し
得る。阻害の効果は、腫瘍がその増殖を維持し得ないことを評価することによっ
て全体的に、そして腫瘍の末梢での神経の非存在を観察することによって顕微鏡
的に評価され得る。
【0154】 本発明はまた、哺乳動物の中枢神経系への薬物送達を増強するための方法を提
供する。血液/脳関門は、ほとんどの神経活性剤に大部分非透過性であり、そし
て哺乳動物の脳への薬物送達は、しばしば侵襲性の手順を必要とする。しかし、
本明細書中に記載のような調節薬剤を使用して、送達は、例えば、調節薬剤−薬
物−標的化剤の組み合わせの全身投与、調節薬剤(単独で、あるいは薬物および
/または標的化剤と組み合わせて)の頸動脈への注射、または患者の頭部への調
節薬剤を含む皮膚パッチの適用によるものであり得る。このような方法における
使用のための特定の好ましい調節薬剤は、1つ以上の以下の配列:
【0155】
【化20】 を含む。ここで、環化は、下線によって示される。あるいは、または、さらに、
調節薬剤は、上述の配列の1つの誘導体を含み得る。HAV−BM配列およびオ
クルジンCAR配列LYHY(配列番号70)、JAM CAR配列および/ま
たはクラウジンCAR配列(好ましくは、リンカーによって結合される)を含む
多官能性調節薬剤もまた好ましい。あるいは、オクルジン媒介細胞接着の別々の
モジュレーターは、同じ薬学的組成物中で、または別々でのいずれかで、調節薬
剤と組み合わせて投与され得る。好ましくは、このような調節薬剤のペプチド部
分は、6〜16アミノ酸を含む。調節薬剤は、N−カドヘリンHAV−BM配列
に対して指向する抗体またはFabフラグメントをさらに含み得る。オクルジン
CAR配列GVNPTAQSSGSLYGSQIYALCNQFYTPAATG
LYVDQYLYHYCVVDPQE(配列番号69)に対して指向するFab
フラグメントもまた使用され、調節薬剤中に取り込まれ得るか、または別のモジ
ュレーターとして同時に投与され得るかのいずれかである。
【0156】 一般に、投与される調節薬剤の量は、投与方法および処置または予防されるべ
き状態の性質に伴い変化するが、代表的には上記のように変化する。中枢神経系
への薬物の移動は、当業者に明らかな適切な手段(例えば、磁気共鳴画像法(M
RI)またはPETスキャン(陽子射出断層撮影法))によって評価され得る。
【0157】 特定の他の局面において、本発明は、カドヘリン発現細胞の接着を増強するた
めの方法を提供する。特定の実施態様において、調節薬剤は、固体支持体に結合
され得、この支持体は、複数の調節薬剤を含むマトリクスを生じる。1つのこの
ような実施態様において、支持体は、調節薬剤および他のCAR配列を含む分子
が付着されるポリマーマトリクスである(例えば、調節薬剤およびRGD配列を
含む分子は、同じマトリクスに、好ましくは、交互パターンで付着され得る)。
このようなマトリクスは、複数の細胞接着分子によって媒介される接着を増強す
ることが望ましい状況において使用され得る。あるいは、調節薬剤自体は、上記
のようにリンカーによって分離される複数のHAV−BM配列または抗体(もし
くはそのフラグメント)を、含み得る。いずれにせよ、この調節薬剤は、種々の
状況で複数のカドヘリン発現細胞に結合するための「生物学的接着剤」として機
能する。
【0158】 1つの局面において、このような調節薬剤は、創傷治癒を促進し、そして/ま
たは哺乳動物の瘢痕組織を減少するために使用され得る。適切な調節薬剤を生成
するために、リンカーを介して、支持体へ、および/または互いに結合され得る
ペプチドとしては、1つ以上の以下の配列:
【0159】
【化21】 を含むペプチドが挙げられるが、これらに限定されない。ここで、環化は、下線
によって示される。あるいは、または、さらに、調節薬剤は、上述の配列の1つ
の誘導体を含み得る。生体適合性および生分解性マトリクス(例えば、セルロー
スまたはコラーゲン)に結合される調節薬剤は、特に好ましい。このような方法
での使用のために、調節薬剤は、遊離アミノ基またはヒドロキシル基を有するべ
きである。HAV−BM配列、フィブロネクチンCAR配列RGD(これは、イ
ンテグリンによって認識される)、OB−カドヘリンCAR配列DDK、JAM
CAR配列および/またはDscもしくはDsg CAR配列を含む多官能性
の調節薬剤もまた、創傷治癒の強力な刺激物質および瘢痕組織を減少するための
強力な刺激物質として使用され得る。このような薬剤はまた、またはあるいは、
オクルジンCAR配列LYHY(配列番号70)および/またはクラウジンCA
R配列を含み得る。あるいは、インテグリン媒介細胞接着、Dsc媒介細胞接着
、Dsg媒介細胞接着および/またはオクルジン媒介細胞接着の1つ以上の別々
のモジュレーターは、同じ薬学的組成物中で、または別々でのいずれかで、調節
薬剤と組み合わせて投与され得る。
【0160】 調節薬剤は、一般に、創傷に対して局所的に投与され、ここで、この調節薬剤
は創傷の閉鎖を促進し得、そして縫合を増強し得るか、または代替さえし得る。
同様に、マトリクス結合調節薬剤の投与は、外来組織インプラント(例えば、皮
膚移植および補綴インプラント)において細胞接着を促進し得、そしてコラーゲ
ン注射の持続時間および有用性を延長し得る。一般に、創傷部位、移植片部位ま
たはインプラント部位へ投与されるマトリクス結合調節薬剤の量は、創傷の重症
度および/または創傷、移植片またはインプラントの性質に伴って変化するが、
上記のように変化し得る。
【0161】 別の局面において、1つ以上の調節薬剤は、例えば、バイオリアクターにおけ
る使用のために、組織培養プレートまたは他の細胞培養支持体の内部表面に結合
され得る。そのような連結は、上記の任意の適切な技術によって行われ得る。こ
の様式で結合している調節薬剤は、一般に、カドヘリン発現細胞を固定するため
に使用され得る。例えば、1つ以上の調節薬剤でコーティングしたディッシュま
たはプレートを使用して、種々のアッセイおよびスクリーニングにおいてカドヘ
リン発現細胞を固定し得る。バイオリアクター(すなわち、細胞またはオルガノ
イドの大規模産生のためのシステム)内では、一般的に、調節薬剤を使用して、
細胞付着を改善し得、そして細胞増殖を安定化させ得る。また、調節薬剤をバイ
オリアクター内で使用して、例えば、哺乳動物胎仔細胞の分散集団に由来する高
度に分化したオルガノイドの形成および機能を支持し得る。調節薬剤のバイオマ
トリクスを含むバイオリアクターもまた使用して、特定のタンパク質の産生を容
易にし得る。
【0162】 本明細書において記載される調節薬剤は、種々のバイオリアクター構成におい
て使用され得る。一般に、バイオリアクターは、大多数の接着細胞を支持するに
十分な内部表面積を有するように設計される。この表面積は、メンブレン、チュ
ーブ、マイクロタイターウェル、カラム、中空繊維、ローラーボトル、プレート
、ディッシュ、ビーズまたはそれらの組合せを用いて提供され得る。バイオリア
クターは、区画化され得る。バイオリアクター内の支持体材料は、当該分野で公
知の任意の適切な材料であり得、好ましくは、その支持体材料は、水に溶解もせ
ず、膨潤もしない。好ましい支持体材料は、以下を含むがそれらに限定されない
:合成ポリマー(例えば、アクリル、ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、
ポリテトラフルオロエチレン、ナイロン、ポリウレタン、ポリアミド、ポリスル
ホンおよびポリ(エチレンテレフタレート);セラミックス;ガラスおよびシリ
カ。
【0163】 本発明はまた、さらなる局面において、神経学的成長を増強および/または指
向するための方法を提供する。1つのこのような局面において、軸索成長は、1
つ以上の調節薬剤をニューロンに接触させることによって、増強および/または
指向され得る。このような方法での使用のための好ましい調節薬剤は、ポリマー
マトリクスまたは他の支持体に結合され、そして/または1つ以上のリンカーに
よって分離された複数のHAV−BM配列を含む。支持体材料に(および/また
は適切な調節薬剤を生成するためにリンカーを介して互いに)結合され得るペプ
チドとしては、1つ以上の以下の配列:
【0164】
【化22】 を含むペプチドを含むが,これらに限定されない。ここで、環化は、下線によっ
て示される。特定の好ましい調節薬剤は、1つ以上の、以下:
【0165】
【化23】 を含む。
【0166】 あるいは、または、さらに、調節薬剤は、上述の配列の1つの誘導体を含み得
る。さらに、HAV、RGDおよび/またはYIGSR(配列番号66)(これ
らはインテグリンに結合される)、ならびに/またはN−CAM CAR配列K
YSFNYDGSE(配列番号67)を含む調節薬剤は、軸索成長をさらに促進
し得る。抗体またはそのフラグメントを含む調節薬剤は、本発明のこの局面にお
いて、リンカーまたは支持体材料の使用を伴なわずに使用され得る。好ましい抗
体調節薬剤としては、N−カドヘリンHAV−BM配列に対して指向するFab
フラグメントが挙げられる。N−CAM CAR配列KYSFNYDGSE(配
列番号67)に対して指向するFabフラグメントもまた、調節薬剤中に取り込
まれ得るか、または別のモジュレーターとして同時に投与され得るかのいずれか
で使用される。
【0167】 使用される調節薬剤の接触を達成する方法および調節薬剤の量は、ニューロン
の位置ならびに所望されるその増殖の範囲および性質に依存する。例えば、ニュ
ーロンは、支持体材料(例えば、縫合糸、線維神経ガイドまたは他の補綴デバイ
ス)に結合された調節薬剤に、軸索成長がその支持体材料にそって指向されるよ
うに、(例えば、移植によって)接触され得る。あるいは、管状神経ガイドが使
用され得、ここで、この神経ガイドの管腔は、調節薬剤を含む組成物を含む。イ
ンビボで、このような神経ガイドまたは他の支持された調節薬剤は、例えば、切
断された神経接合部の増殖を促進するために、および/または脊髄損傷を処置す
るために、周知の技術を使用して移植され得る。支持体の構造および組成が、処
置される特定の損傷に適切であるべきであることは当業者に明らかである。イン
ビトロで、ポリマーマトリクスは、例えば、米国特許第5,510,628号に
記載されるように、パターン化された表面上で神経の増殖を指向するために同様
に使用され得る。
【0168】 別の局面において、1つ以上の調節薬剤が、哺乳動物における脱髄性神経学的
疾患の治療のために使用され得る。稀突起神経膠細胞死によって特徴付けられる
、多くの脱髄性疾患(例えば、多発性硬化症)が存在する。星状細胞上のシュワ
ン細胞の移動はN−カドヘリンによって阻害されるので、本明細書に記載される
ようなN−カドヘリン媒介細胞接着を破壊する調節薬剤は、シュワン細胞と共に
中枢神経系に移植される場合、シュワン細胞の移動を促進し得、そしてシュワン
細胞の置換療法の実施を可能にし得る。
【0169】 処置に適切な多発性硬化症の患者は、臨床的に明確なMSまたは臨床的に推定
されるMSの診断を確立する判断基準によって同定され得る(Poserら、A
nn.Neurol.13:227,1983を参照のこと)。予防的治療につ
いての候補患者は、遺伝的因子(例えば、HLA型DR2aおよびDR2b)の
存在、または再発性弛張型の初期疾患の存在によって同定され得る。
【0170】 シュワン細胞移植片は、標準的な技術を使用して調節薬剤と共に脳内に直接的
に移植され得る。このような方法における使用のために好ましいペプチド調節薬
剤としては、1つ以上の以下の配列:
【0171】
【化24】 を含むペプチド調節薬剤が挙げられる。ここで、環化は、下線によって示される
。あるいは、または、さらに、調節薬剤は、上述の配列の1つの誘導体を含み得
る。調節薬剤は、HAV、RGDおよび/またはYIGSR(配列番号66)(
これらはインテグリンに結合される)、ならびに/またはN−CAM CAR配
列KYSFNYDGSE(配列番号67)をさらに含み得る。好ましい抗体調節
薬剤としては、N−カドヘリンCAR配列KYSFNYDGSE(配列番号67
)に対して指向するFabフラグメントが挙げられる。このような抗体およびフ
ラグメントは、上記で議論されるような標準的技術を使用して調製され得る。適
切な量の調節薬剤は、一般に、上記のような範囲であり、好ましくは、約10μ
g/mL〜約1mg/mLの範囲である。
【0172】 あるいは、調節薬剤は、脱髄性疾患に罹患していないドナー由来の稀突起神経
膠前駆細胞(OP)と共に移植され得る。CNSの有髄細胞は、稀突起神経膠細
胞である。成熟稀突起神経膠細胞および稀突起神経膠細胞系列の未成熟細胞(例
えば、稀突起神経膠細胞2型星状細胞前駆体)は、移植に使用されてきたが、O
Pがより広く使用されている。OPは、高度に運動性であり、そして移植部位か
ら病変領域へ移動し得、病変領域で、OPは成熟ミエリン形成稀突起神経膠細胞
に分化し、そして脱髄性軸索の修復に寄与し得る(例えば、Grovesら、N
ature 362:453−55,1993;Baron−Van Ever
coorenら、Glia 16:147−64,1996を参照のこと)。O
Pは、当該分野で公知の慣用技術(例えば、MilnerおよびFrench−
Constant,Development 120:3497−3506,1
994を参照のこと)を使用して、CNSの多くの領域(脳、小脳、脊髄、視神
経、および嗅球を含む)から単離され得る。OPの実質的により多くの収量が、
成体組織よりむしろ胚性組織または新生児組織から得られる。OPは、ヒト胚性
脊髄および確立されたニューロスフェア(neurosphere)の培養物か
ら単離され得る。ヒト胎児組織は、MSのような脱髄性疾患の、将来の、広範囲
の移植治療のためのドナーOPの潜在的に価値のある、かつ再生可能な供給源で
ある。
【0173】 OPは、「均一の型の(homotypic)凝集体」または「スフェア(s
phere)」として培養される場合、インビトロで増殖され得る(Avell
ana−Adalidら、J.Neurosci.Res.45:558−70
.1996)。スフェア(時折、「オリゴスフェア(oligosphere)
」または「ニューロスフェア」とも称する)は、OPが、PDGFおよびFGF
のような増殖因子の存在下の懸濁液中で増殖される場合に形成される。OPは、
機械的解離によってスフェアから収集され得、そして培養物中での新しいスフェ
アの引き続く移植または確立のために使用され得る。あるいは、スフェア自体が
、移植され得、OPの「病巣のリザーバ」を提供する(Avellana−Ad
alidら、J.Neurosci.Res.45:558−70.1996)
【0174】 OPの代替的供給源は、CNS幹細胞に由来するスフェアであり得る。近年、
ReynoldsおよびWeiss、Dev.Biol.165:1−13,1
996は、胚性神経上皮由来のEGF応答性細胞から形成されるスフェアを記載
した。このスフェアは、インビボで神経上皮によって示される多能性を保持する
ようである。これらのスフェアから解離された細胞は、EGFの非存在下で接着
基材上にプレートされた場合、ニューロン、稀突起神経膠細胞、および星状膠細
胞に分化し得、これは、未分化胚性神経上皮由来のEGF応答性細胞が、CNS
幹細胞を示し得ることを示唆する(ReynoldsおよびWeiss,Dev
.Biol.165:1−13、1996)。CNS幹細胞由来のスフェアは、
インビボでの移植のためにインビトロで操作され得るOPの代替的供給源を提供
する。CNS幹細胞から構成されるスフェアは、さらにインビボでのOPの生存
、移動、および分化の増加を導く微小環境を提供し得る。
【0175】 MSの処置のためのニューロスフェアの使用は、このスフェアからの細胞移動
を増強する調節薬剤によって促進され得る。調節薬剤の非存在下で、スフェア内
の細胞は、互いに強く接着し、そしてスフェア外への移動は妨げられる。本明細
書中に記載されるようなN−カドヘリン媒介細胞接着を破壊する調節薬剤は、中
枢神経系内にニューロスフェアを用いて注射される場合、細胞移動を改善し得、
そしてOP置換療法の効果を増加し得る。
【0176】 ニューロスフェア(neurosphere)移植片は、標準的な技術を使用
し、調節薬剤とともに中枢神経系に直接移植され得る。このような方法に使用さ
れる好ましいぺプチド調節薬剤は、以下の配列を1つ以上包含する薬剤を含む:
【0177】
【化25】 (ここで、下線は環化を示す)。調節薬剤は代替的に、またはさらに、上記配列
のうちの1つの誘導体を含み得る。これらの配列またはその誘導体のうちの1つ
以上を包含する調節薬剤がまた、好ましい。好ましい抗体調節薬剤は、N−カド
ヘリンHAV−BM配列(例えば、INPISGQ(SEQ ID NO:22
))に関するFabフラグメントを包含する。このような抗体およびフラグメン
トは、上記のような標準的な技術を使用して調製され得る。調節薬剤の適切な量
は、一般に、上記の範囲であり、好ましくは約10μg/mLから約1mg/m
Lの範囲である。
【0178】 あるいは、調節薬剤は単独または薬学的組成物内で投与され得る。投与の期間
および頻度は、患者の状態、ならびに患者の疾患の型および重症度などの要因に
よって決定される。本発明の特に好ましい実施態様において、調節薬剤または薬
学的組成物は、0.1mg/kg〜20mg/kgの範囲の投薬量で投与され得
るが、適切な投薬量は、臨床試験によって決定され得る。投与方法には、注射(
静脈内またはクモ膜下腔内(すなわち、脳脊髄液内に直接的に)が挙げられる。
調節薬剤または薬学的組成物は、薬物(例えば、免疫調節薬)をさらに含有し得
る。
【0179】 多発性硬化症の効果的な処置は、以下の任意の判断基準によって証明され得る
:EDSS(拡大された障害状態の規模)、増悪の発症、またはMRI(磁気共
鳴画像)。EDSSは、MSに起因する臨床的障害を類別するための手段であり
(Kurtzke,Neurology 33:1444,1983)、そして
一段階の減少は、本発明の状況における効果的な処置を定義する(Kurtzk
e,Ann.Neurol.36:573−79,1994)。増悪は、MSに
起因する新規な症状の発症として定義され、そして適切な新規な神経学的異常に
付随して生じる(Sipeら、Neurology 34:1368,1984
)。治療は、処置群およびプラシーボ群との間の増悪のない患者の比または割合
において統計学的に有意な差異が存在するか、またはコントロール群と比較して
、処置群において第一の増悪までの時間もしくは期間、および重症度における統
計学的に有意な差異が存在する場合、効果的であるとみなされる。MRIは、ガ
ドリニウム−DTPA−増強化画像化を使用して活性な病変を測定するか(Mc
Donaldら、Ann.Neurol.36:14,1994)またはT2
重みつき技術を使用して病変の位置および程度を測定するために使用され得る。
MS病変の存在、位置および程度は、標準的な技術を使用して放射線医師によっ
て決定され得る。治療に起因する改善は、ベースラインと比較した個々の患者に
おいて、またはプラシーボ群に対する処置群において統計学的に有意な改善が存
在する場合に、確立される。
【0180】 予防の状況における調節薬剤の効力は、再発の割合およびEDSSのような臨
床的測定に基づいて判断され得る。他の判断基準は、MRIでのT2画像の領域
および容積における変化、ならびにガドリニウム増強画像によって決定された病
変の数および容積における変化を含む。
【0181】 さらなる局面において、本明細書において記載される調節薬剤は、いくつかの
方法のいずれかで哺乳動物の免疫系を調節するために使用され得る。カドヘリン
は、未熟なB細胞およびT細胞(胸腺細胞および骨髄の前B細胞)、ならびに活
性化されたBリンパ球およびTリンパ球の特定のサブセットならびにいくつかの
血液悪性疾患において発現される(Leeら、J.Immunol.152:5
653−5659,1994;Munroら、Cellular Immuno
l.169:309−312,1996;Tsutsuiら、J.Bioche
m,120:1034−1039,1996;Cepekら、Proc.Nat
ul.Acad.Sci.USA 93:6567〜6571,1996)。調
節薬剤は、一般に、免疫応答の間または悪性リンパ球の散在の間の細胞性相互作
用内における特定の工程を調節するために使用され得る。
【0182】 例えば、本明細書において記載される調節薬剤を用いて、過剰生成以外は正常
なT細胞の過剰生成を伴う疾患を処置し得る。任意の特定の理論に拘束されるこ
とを望まないが、成熟中のT細胞およびB細胞のサブセットに対するカドヘリン
の相互作用は、プログラム化された細胞死からのこれらの細胞の保護に寄与する
と考えられる。調節薬剤はそのような相互作用を減少させ、これによってプログ
ラム化された細胞死の誘発がもたらされ得る。従って、調節薬剤を使用して、特
定の型の糖尿病および慢性関節リウマチ(特に、胸腺の前T細胞におけるカドヘ
リン発現が最大である幼い子供)を処置し得る。
【0183】 調節薬剤はまた、特定の皮膚障害(例えば、皮膚性リンパ腫)、急性B細胞白
血病ならびに体液免疫系およびイムノグロブリンの生成が関与する過剰な免疫反
応(例えば、アレルギー性応答および抗体媒介性移植片拒絶)に罹患した患者に
投与され得る。さらに、循環しているカドヘリン陽性悪性細胞を有する患者(例
えば、化学療法剤または放射線療法が骨髄および他のリンパ組織における悪性細
胞の主要部分を除去するレジメンの間)は、調節薬剤を用いた処置から利益を受
け得る。そのような処置はまた、末梢血幹細胞を用いた移植を受ける患者に利益
であり得る。
【0184】 そのような方法における使用に好ましい調節薬剤は、E−カドヘリンおよび/
またはN−カドヘリン媒介性細胞接着を破壊する薬剤を包含し、例えば、それら
の薬剤は以下の配列のうち、1つ以上を包含する:
【0185】
【化26】 (ここで、下線は環化を示す)。調節薬剤は、代替的に、またはさらに、上記配
列のうちの1つの誘導体を含み得る。さらに、好ましい調節薬剤は、追加のCA
R配列(例えば、HAV、RGDおよび/またはKYSFNYDGSE(SEQ
ID NO:67))を1つ以上を含み得る。上記のように、このような追加
の配列は、リンカーを介したHAV−BM配列から分離され得る。あるいは、イ
ンテグリン−媒介性細胞接着の分離モジュレーター(separate mod
ulator)は、調節薬剤と組み合せて、同一の薬学的組成物内にか、あるい
は別々のいずれかで投与され得る。
【0186】 上記の方法において、この調節薬剤は、好ましくは全身的に投与(通常注射に
よる)か、または局所的に投与される。調節薬剤は、標的薬剤に結合され得る。
例えば、骨髄に対する標的化が有益であり得る。適切な投薬量は、カドヘリンを
発現するB細胞および/またはT細胞の集団において統計学的に有意な減少、な
らびに/あるいは処置される疾患の臨床症状の改善をもたらすに充分である。代
表的な投薬量は、一般に上記の範囲である。
【0187】 さらなる局面において、本発明は、哺乳動物妊娠を予防するための方法および
キットを提供する。一般に、E−カドヘリン機能の破壊は、栄養膜の接着を妨害
し、続いて、それらが融合して合胞体層を形成することを妨害する。1つの実施
態様において、本明細書中に記載される1つ以上の調節薬剤は、任意の種々の周
知の避妊デバイス(例えば、膣内挿入に適切なスポンジ)(例えば、米国特許第
5,417,224号を参照のこと)または皮下移植のためのカプセルへと組み
込まれ得る。しかし、他の投与形態(適切な標的薬剤に結合された調節薬剤のた
めの経皮投与を含む)が可能である。このような方法における使用について好ま
しい調節薬剤は、以下の配列の1つ以上を包含する薬剤を含む:
【0188】
【化27】 (ここで、下線は環化を示す)。調節薬剤は、代替的に、またはさらに、上記配
列のうちの1つの誘導体を含み得る。さらに、好ましい調節薬剤は、追加のCA
R配列(例えば、HAV、DDKおよび/またはRGDを1つ以上含み得る。上
記のように、このような追加の配列は、リンカーを介したHAV−BM配列から
分離され得る。あるいは、インテグリン−媒介性細胞接着の分離モジュレーター
は、調節薬剤と組み合せて、同一の薬学的組成物内にか、あるいは別々のいずれ
かで投与され得る。
【0189】 避妊デバイスへの組込みのために適切な方法は、そのデバイスの型に依存し、
そして当該分野において周知である。そのようなデバイスは、子宮領域への調節
薬剤の投与を容易にし、そしてその調節薬剤の徐放を提供し得る。一般に、調節
薬剤は、そのような避妊デバイスを介して、0.1〜50mg/kgの範囲の投
薬量で投与され得るが、適切な投薬量は、尿中のhCGレベルをモニターするこ
とによって決定され得る。hCGは、胎盤で産生され、そしてこのホルモンのレ
ベルは、妊婦の尿中で上昇する。尿中hCGレベルは、周知の技術を用いた放射
線免疫アッセイによって評価され得る。妊娠を防ぐためのキットは、一般に、1
つ以上の調節薬剤を浸透させた避妊デバイスを含む。
【0190】 あるいは、1つの以上の調節薬剤の徐放処方物が、妊娠を防ぐために哺乳動物
において、代表的には、皮下に移植され得る。そのような移植は、周知の技術を
用いて行われ得る。好ましくは、移植された処方物は、上記のような投薬量を示
すが、最小限の有効投薬量は、当業者によって、例えば、女性の尿中のhCGレ
ベルの評価を用いて、決定され得る。
【0191】 本発明はまた、1以上の調節薬剤または薬学的組成物を投与することによって
、哺乳動物における血管透過性(vasopermeability)を増加す
るための方法を提供する。血管内において、内皮細胞の接着(N−カドヘリンに
よって媒介される)は、血管透過性の減少をもたらす。従って、N−カドヘリン
媒介性接着を減少する本明細書中に記載されるような調節薬剤は、血管の透過性
を増加するために使用され得る。特に好ましい調節薬剤は、以下の配列を1つ以
上包含する薬剤を含む:
【0192】
【化28】 (下線は、環化を示す)。調節薬剤は、代替的にか、またはさらに上記配列のう
ちの1つの誘導体を含み得る。さらに、好ましい調節薬剤は、オクルジンCAR
配列LYHY(SEQ ID NO:70)、JAM CAR配列、クラウジン
CAR配列および/またはOB−カドヘリン配列DDKを含み得る。上記のよう
な、追加の配列は、リンカーを介するHAV配列から分離され得る。あるいは、
オクルジン媒介性細胞接着の分離モジュレーターは、1つ以上の調節薬剤と組み
合せて、同一の薬学的組成物内に、または別々のいずれかで投与され得る。
【0193】 特定の実施態様において、このような方法における使用に好ましい調節薬剤は
、内皮細胞の接着および腫瘍細胞の接着の両方を減少することが可能なぺプチド
を含む。このような調節薬剤を使用して、抗腫瘍治療剤または診断剤(例えば、
モノクローナル抗体)の、内皮細胞の透過性バリアおよび腫瘍のバリアを介した
透過が促進され得る。例えば、調節薬剤は、E−カドヘリンHAVまたはHAV
−BM配列をさらに含み得る。あるいは、N−カドヘリンおよびE−カドヘリン
媒介性接着を破壊することが可能な分離調節薬剤が同時に投与され得る。
【0194】 1つの特に好ましい実施態様において、調節薬剤は、複数の接着分子によって
媒介される細胞接着をさらに破壊し得る。このような薬剤は、HAV−BM配列
、ならびにRGD配列、Dsc CAR配列、Dsg CAR配列およびまたは
オクルジンCAR配列LYHY(SEQ ID NO:70)を含み得る。ある
いは、HVA−BM配列以外のCAR配列を含む分離調整因子細胞接着は、調節
薬剤と組み合わせて、同一の薬学的組成物内で、または別々のいずれかで投与さ
れ得る。
【0195】 調節薬剤を用いる処置は、例えば、抗腫瘍治療剤また診断剤(例えば、モノク
ローナル抗体または他の高分子)、抗菌剤または抗炎症剤の投与前に、患者に全
体の用量を増加することなく、標的腫瘍、生物体、または炎症の近傍にこのよう
な薬剤の濃度を増加するために適切であり得る。このような方法での使用のため
の調節薬剤は、調節薬剤の局所的濃度をさらに増加するために標的剤と結合され
得るが、標的剤の非存在下でさえ、血管作用性剤の全身投与は、他の組織と比較
して特定の腫瘍の灌流を増加する。適切な標的剤としては、腫瘍細胞または構造
的に異常な血管の成分に特異的に結合する抗体または他の分子が挙げられる。例
えば、標的剤は、フィブリン分解産物、または、細胞酵素(例えば、壊死組織ま
たは炎症組織の顆粒球あるいは他の細胞によって放出されるペルオキシダーゼ)
に結合する抗体であり得る。
【0196】 静脈内注射または経皮投与を介する投与は、一般に、好ましい。効果的な投薬
量は、一般に、引き続いて投与された診断剤または治療剤の局在化を、治療の臨
床的効力または診断の正確性を統計的に有意な程度に改善する程度まで増加する
のに十分なものである。比較は、等しい用量の診断剤または治療剤が投与される
、処置された腫瘍の宿主動物と未処置の腫瘍の宿主動物との間で行われ得る。一
般に、投薬量は、上記に記載のような範囲である。
【0197】 さらなる局面によれば、本明細書中に記載される調節薬剤は、シナプスの安定
性の阻害を制御するために使用され得、その結果、シナプスの形成性が増大する
。この局面において、1つ以上の調節薬剤の投与は脳内の修復プロセス、ならび
に学習および記憶に有利であり得、ここで神経の形成性は、シナプスのリモデリ
ングの重要な初期の事象である。細胞接着分子、特にN−カドヘリン、およびE
−カドヘリンは、シナプスを安定化するように機能し得、そしてこの機能の損失
は、学習および記憶に関するシナプスのリモデリングにおける初期段階であると
考えられる(Dohertyら、J.Neurobiology,26,437
−446,1995;MartinおよびKandel,Neuron,17:
567−570,1996;FannonおよびColman,Neuron,
17:423−434,1996)。カドヘリン機能を阻害する調節薬剤を1つ
以上投与することによるカドヘリン機能の阻害は、学習および記憶を刺激し得る
。このような方法における使用のために好ましい調節薬剤は、E−カドヘリンお
よび/またはN−カドヘリン媒介性細胞接着を破壊する薬剤を含み、このような
薬剤は以下の配列を1つ以上含む:
【0198】
【化29】 (ここで下線は環化を示す)。調節薬剤は、代替的に、またはさらに、上記配列
のうちの1つの誘導体を含み得る。さらに、好ましい調節薬剤は、追加のCAR
配列(例えば、配列RGD、これはインテグリンおよび/またはN−CAM C
AR配列KYSFNYDGSE(SEQ ID NO:67)によって結合され
る)を1つ以上含み得る。上記のように、このような追加の配列は、リンカーを
介したHAV−BM配列から分離され得る。あるいは、インテグリンおよび/ま
たはN−CAM媒介性細胞接着の分離モジュレーターは、調節薬剤と組み合せて
、同一の薬学的組成物内にか、または別々のいずれかで投与され得る。このよう
な局面に関して、投与は、標準的な技術を使用した送達ビヒクル(例えば、リポ
ソーム)へのカプセル化、ならびに注射(例えば、頚動脈内)を介しても良い。
あるいは、調節薬剤は血液脳関門の破壊物(disrupter)に結合され得
る。一般に、投薬量は上記の範囲である。
【0199】 (抗HAV−BM抗体を使用するアッセイ) 本発明の他の局面は、診断目的およびアッセイ目的のために、HAV−BM配
列に対して惹起された抗体を使用する方法を提供する。そのようなポリクローナ
ル抗体およびモノクローナル抗体は、従来の技術および上記のような技術を用い
てペプチドに対して惹起され得る。抗体を使用するアッセイは、代表的に、カド
ヘリン(遊離または細胞の表面上で)の存在または非存在を検出するための抗体
、または適切な生物学的サンプル(例えば、患者から得られた腫瘍もしくは正常
な組織の生検、血液、リンパ節、血清もしくは尿のサンプル、または他の組織、
それらのホモジネートもしくは抽出物)においてEC1ドメインまたはEC4ド
メインを含むタンパク質分解性フラグメントを用いることを包含する。
【0200】 サンプル中の標的分子を検出するための抗体を用いることについて当業者に公
知の種々のアッセイ形式が存在する。例えば、HarlowおよびLane、A
ntibodies:A Laboratory Manual,Cold S
pring Harbor Laboratory、1988を参照のこと。例
えば、このアッセイは、ウェスタンブロット形式において行われ得る。ここで、
生物学的サンプルからのタンパク質調製物は、ゲル電気泳動に供され、適切なメ
ンブレンに移され、そしてその抗体と反応させる。次いで、そのメンブレン上の
この抗体の存在は、下記のように適切な検出試薬を用いて検出され得る。
【0201】 別の実施態様において、このアッセイは、標的カドヘリン、またはEC1ドメ
インもしくはEC4ドメインを含みかつCAR配列を包含するタンパク質分解フ
ラグメントに結合し、そしてそれをそのサンプルの残りから取り除くように固体
支持体上に固定された抗体の使用を包含する。次いで、結合したカドヘリンは、
レポーター基を含む第二の抗体または試薬を用いて検出され得る。あるいは、競
合アッセイが利用され得る。ここでは、カドヘリンは、レポーター基を用いて標
識され、そしてそのサンプルとその抗体とのインキュベーション後に固定された
抗体と結合させる。そのサンプルの成分が標識されたカドヘリンのその抗体に対
する結合を阻害する程度は、固定された抗体とそのサンプルとの反応性の指標で
ある。そして、その結果、これは、そのサンプル中のカドヘリンのレベルの指標
となる。
【0202】 固体支持体は、抗体が付着され得る当業者に公知の任意の物質(例えば、マイ
クロタイタープレート中の試験ウェル、ニトロセルロースフィルターまたは別の
適切なメンブレン)であり得る。あるいは、その支持体は、ビーズまたはディス
ク(例えば、ガラス、ガラスファイバー、ラテックスまたはプラスチック(例え
ば、ポリスチレンまたはポリ塩化ビニル))であり得る。この抗体は、当業者に
公知の種々の技術を用いて固体支持体上に固定され得、これは、特許および科学
文献において充分に記載されている。
【0203】 特定の実施態様において、サンプルにおけるカドヘリンの検出のためのアッセ
イは、2抗体のサンドイッチアッセイである。このアッセイは、まず、固体支持
体(一般にはマイクロタイタープレートのウェル)に固定された抗体を生物学的
サンプルと接触させて、その結果、そのサンプル内のカドヘリンが固定された抗
体に結合させるようにする(室温で30分のインキュベーション時間が一般に充
分である)ことによってなされ得る。次いで、結合していないサンプルを、固定
したカドヘリン抗体複合体から除去し、そしてそのカドヘリンの異なる部位に結
合し得る第二の抗体(レポーター基(例えば酵素、色素、放射性核種、発光基、
蛍光基またはビオチン)を含む)を添加する。次いで、その固体支持体に結合し
たままの第二の抗体の量は、特定のレポーター基について適切な方法を用いて決
定される。そのレポーター基を検出するために使用される方法は、そのレポータ
ー基の性質に依存する。放射性基については、シンチレーション計数またはオー
トラジオグラフ方法が一般に適切である。分光学的方法を使用して、色素、発光
基および蛍光基を検出し得る。ビオチンは、異なるレポーター基(一般に、放射
性基もしくは蛍光基または酵素)に結合したアビジンを用いて検出され得る。酵
素レポーター基は、一般に、(一般に、特定の時間の間の)基質の添加、続いて
、その反応産物の分光学的分析または他の分析によって検出され得る。標準物ま
たは標準的な添加物を使用して、周知の技術を用いて、サンプル中のカドヘリン
のレベルを決定し得る。
【0204】 本発明はまた、そのようなイムノアッセイにおける使用のためのキットを提供
する。そのようなキットは、一般に、上記のように1つ以上の抗体を含む。さら
に、キットの1つ以上のさらなる区画または容器は、一般に、イムノアッセイに
おいて使用される試薬、緩衝液および/または洗浄溶液のような成分を内包する
【0205】 さらなる局面において、調節薬剤もしくは抗体(またはそのフラグメント)を
使用して、インビトロでの細胞同定および選別、あるいはインビボでの画像化を
容易にし得る。このことは、異なるカドヘリン(または異なるカドヘリンのレベ
ル)を発現する細胞の選択を可能にする。好ましくは、そのような方法における
使用のための調節薬剤もしくは抗体は、検出マーカーに連結される。適切なマー
カーは、当該分野において周知であり、そして放射性核種、発光基、蛍光基、酵
素、色素、イムノグロブリン定常ドメインおよびビオチンを包含する。1つの好
ましい実施態様において、蛍光マーカー(例えば、フルオレセイン)に連結され
た調節薬剤が、その細胞と接触され、これは次いで、蛍光活性化細胞選別(FA
CS)によって分析される。
【0206】 抗体もしくはそのフラグメントはまた、コンビナトリアルライブラリーまたは
他の非ペプチドベースのライブラリーのスクリーニングにおいて使用されて、カ
ドヘリン媒介細胞接着を調節し得る他の化合物を同定し得る。このようなスクリ
ーニングは、一般に、ELISAまたはその調節薬剤の形状および構造に類似す
る形状および構造を有する化合物を検出するための当業者に周知の他の方法を用
いて行われ得る。一般に、そのようなスクリーニングは、抗体と、試験化合物を
産生する発現ライブラリーとを接触させる工程、および候補化合物に結合した抗
体のレベルを検出する工程を包含し得る。その抗体がより高い親和性を有する化
合物は、さらに、本明細書において記載されるように特徴付けられて、カドヘリ
ン媒介細胞接着を調節する能力を評価し得る。
【0207】 (HAV−BM結合化合物の同定) 本発明はさらに、HAV−BM配列に結合する化合物を同定するための方法を
提供する。そのような薬剤は、一般的に、HAV−BM配列を含むポリペプチド
と相互作用するのに十分な条件下および時間で、本明細書中で提供されるような
ポリペプチドを候補化合物もしくは候補薬剤と接触させることによって、同定さ
れ得る。次いで、任意の種々の周知の結合アッセイを行って、候補化合物がその
ポリペプチドと結合する能力を評価し得る。一般的に、HAV−BM配列を含ま
ない類似したポリペプチドよりも有意に大きいレベルでポリペプチドに結合する
候補化合物は、HAV−BM配列と結合する化合物と考えられる。好ましくは、
この候補化合物は、HAV−BM配列を含まないポリペプチドについて検出され
るシグナルのレベルより上で、少なくとも3つの標準偏差である、結合アッセイ
内のシグナルを生じる。このアッセイの設計に依存して、HAV−BM配列を含
むポリペプチドは溶液中では遊離し得、固体支持体に付着し得、細胞表面上に存
在し得るか、またはその細胞内に位置し得る。大規模なスクリーニングは、自動
化により実施され得る。
【0208】 特定の実施態様において、ポリぺプチドは、固体支持体物質上に固定され得、
そしてこのポリペプチドを用いて、例えば、細胞もしくは組織の抽出物由来の結
合化合物をアフィニティー精製し得る。ポリぺプチドが付着され得るこの固体支
持体物質は、当業者に公知の任意の物質であり得る。例えば、この固体支持体は
、マイクロタイタープレート中の試験ウェル、またはニトロセルロースフィルタ
ー、または他の適切なメンブランであり得る。あるいは、その支持体は、ビーズ
またはディスク(例えば、ガラス、ガラスファイバー、ラテックスまたはプラス
チック物質(例えば、ポリスチレンまたはポリ塩化ビニル))であり得る。この
ポリペプチドは、当業者に公知の種々の技術を用いて固体支持体上に固定され得
、これは、特許および科学文献において充分に記載されている。本発明の文脈に
おいて、用語「固定化」とは、吸着のような非共有結合および共有結合(これは
、支持体上でポリペプチドと官能基との間での直接的な結合であり得るか、また
は架橋剤による結合であり得る)の両方をいう。吸着は、ポリぺプチドを適切な
緩衝液中で、適切な時間の間固体支持体と接触させることによって、達成され得
る。接触時間は、温度に伴って変化するが、代表的には約1時間と1日との間で
ある。ポリペプチドの固体支持体への共有結合はまた、一般的には、まず支持体
を、支持体および官能基(例えば、ヒドロキル基もしくはアミノ基)の両方と反
応する二官能性試薬と、ポリペプチド上で、周知技術を用いて反応させることに
よって達成され得る。
【0209】 あるいは、ポリペプチドは、細胞全体と共にインキュベートされ得、次いで相
互作用したタンパク質は、標準的技術を用いてポリペプチドに架橋し得る。その
ようなポリペプチドは、検出可能なマーカー(例えば、放射性核種)で標識され
得るか、またはそのようなマーカーに結合する検出試薬(例えば、抗体)を用い
て続いて検出され得る。他のアッセイにおいて、cDNA発現ライブラリーは、
標識されたポリペプチドを用いてスクリーニングされて、その標識されたポリペ
プチドと相互作用するタンパク質をコードするポリヌクレオチドを同定し得る。
同様に、酵母ツーハイブリッド系を用いて、相互作用しているタンパク質を同定
し得る。他のアッセイは、ウェスタンブロット形式で行われ得、ここで、生物学
的サンプル(例えば、細胞抽出物または組織抽出物)からのタンパク質調製物は
、ゲル電気泳動に供され、適切なメンブレンに移され、そしてそのポリペプチド
と反応される。次いで、そのメンブレン上のこのポリペプチドの存在は、ポリペ
プチドまたは適切な検出試薬(例えば、抗体)に結合される標識を用いて検出さ
れ得る。上記のアッセイの全ては、当業者に周知であり、そして標準的なプロト
コルに従って行われ得る。これらのアッセイは、単に代表的であり、そして結合
を評価するように設計される他のアッセイもまた使用され得るようである。
【0210】 HAV−BM配列に結合する化合物(または、そのような化合物をコードする
ポリヌクレオチド)の同定の後、標準的な構造解析が行われ得る。一般的に、ポ
リヌクレオチドは、DNAポリメラーゼIのKlenowフラグメントとして、
Sequenase(登録商標)(US Biochemical Corp.
、Cleveland OH)Taqポリメラーゼ(Perkin Elmer
、Foster City CA)または耐熱性T7ポリメラーゼ(Amers
ham、Chicago、IL)のような酵素を用いる周知技術を用いて、配列
決定され得る。Perkin ElmerおよびPharmaciaのような供
給業者から入手可能な装置を用いた自動化配列決定システムが使用され得る。タ
ンパク質は、標準的な技術を用いて部分的に配列決定され得、そしてその配列情
報を用いて、そのタンパク質をコードするcDNA分子を検索し得る(例えば、
変性オリゴヌクレオチドを用いたPCRまたはハイブリダイゼーションスクリー
ニングを使用して)。
【0211】 以下の実施例は、例示のために提供され、そして限定のために提供されるので
はない。
【0212】 (実施例) (実施例1:代表的な調節薬剤の調製) 本実施例は、代表的なペプチド調節薬剤の固相合成を例示する。
【0213】 これらのペプチドを、431A Applied Biosystemsペプ
チド合成機で、p−ヒドロキシメチルフェノキシメチルポリスチレン(HMP)
樹脂および標準的なFmoc化学を用いて合成した。合成および脱保護後、これ
らのペプチドを、Sephadex G−10カラムで脱塩し、そして凍結乾燥
した。これらのペプチドを、分析用HPLCによって純度について分析した。そ
して、各々の場合において、単一のピークが観察された。ペプチドを、ジメチル
スルホキシド(DMSO)中または水中の10〜25mg/mLのストック溶液
として作製し、そして使用前に−20℃で保存した。
【0214】 (実施例2:マウスの小脳ニューロンが軸索を伸長させる能力の破壊) N−カドヘリンおよびN−CAMは、軸索の成長(outgrowth)を制
御し得るCAMとして、確立されている(DohertyおよびWalsh、C
urr.Op.Neurobiol.4:49〜55、1994;Willia
msら、Neuron 13:583〜594、1994;Hallら、Cel
l Adhesion and Commun.3:441〜450、1996
;DohertyおよびWalsh、Mol.Cell.Neurosci.8
:99〜111、1996;Saffellら、Neuron 18:231〜
242、1997)。N−カドヘリンまたはN−CAMをコードするcDNAを
用いてトランスフェクトされた3T3細胞の単層上で培養したニューロンは、ト
ランスフェクトされていない親3T3細胞(通常、コントロール3T3細胞と呼
ばれる)上で培養されたニューロンより長く軸索を伸長させる。トランスフェク
トされたN−CAMおよびN−カドヘリンにより刺激される軸索応答は、最初は
、3T3細胞中のトランスフェクトされたCAMと、ニューロン中の対応するC
AMとの間の、トランスの(trans)同種親和性結合相互作用に依存するこ
とが、決定されている。本実施例は、N−カドヘリンによって刺激される、軸索
の成長を破壊するための、代表的な調節薬剤の使用を例示する。
【0215】 ニューロンを、実質的に、DohertyおよびWalsh、Curr.Op
.Neurobiol.4:49〜55,1994;Williamsら、Ne
uron 13:583〜594、1994;Hallら、Cell Adhe
sion and Commun.3:441〜450、1996;Doher
tyおよびWalsh、Mol.Cell.Neurosci.8:99〜11
1、1994;Safellら、Neuron 18:231〜242、199
7により記載されるようにN−カドヘリンをコードするcDNAによりトランス
フェクトされた3T3細胞の単層上で、培養した。簡単に言えば、コントロール
3T3線維芽細胞の単層、およびN−カドヘリンを発現する3T3線維芽細胞の
単層を、8チャンバウェル組織培養スライドの個々のウェル中の80,000個
の細胞を一晩培養することによって、確立した。出生3日後のマウス脳から単離
された3000の小脳ニューロンを、コントロール培地(SATO/2%FCS
)中、または種々の濃度の評価するべき試験ペプチドを補充した培地中の、種々
の単層上で18時間培養した。次いで、これらの培養物を固定化し、そしてニュ
ーロンおよびその軸索に特異的に結合するGAP43について染色した。次いで
、各々のGAP43陽性ニューロン上の最も長い軸索の長さを、コンピューター
で補助された形態計測によって測定した。それぞれのデータ点について、100
〜160のニューロンから測定を行い、そして与えられる値は、平均±その平均
からの標準誤差を示す。
【0216】 1つの調節薬剤は、H−WLKIDPVNGQI−OH(配列番号13)(ヒ
トN−カドヘリン由来のECD4 HAV−BMおよびいくらかの隣接配列を含
む、11アミノ酸ペプチド)であった。このペプチドを、N−CAD−CHD2
と称す。図5は、種々の濃度の調節薬剤を含む培地中の、3T3細胞またはN−
カドヘリンを発現する3T3細胞の単層上で培養されたニューロンについての、
軸索の成長の応答を示す。このペプチドの非存在下においては、軸索は、N−カ
ドヘリン単層上で、顕著に長かった。このペプチドは、125μg/mlおよび
250μg/mlの濃度で、N−カドヘリン応答を完全に阻害した。
【0217】 平均軸索長をさらに、直鎖状ペプチドH−WLKIDPVNGQI−OH(配
列番号13;N−CAD−CHD2と称す)を250μg/mlの濃度で含む培
地中で、3T3細胞、N−カドヘリンを発現する3T3細胞、NCAMを発現す
る3T3細胞、およびL1を発現する3T3細胞の単層上で培養したニューロン
について、測定した。図6に示すグラフは、これらの結果をまとめる。軸索の成
長は、このペプチドの非存在下での3T3細胞上での成長と比較すると、細胞接
着分子であるN−カドヘリン、N−CAM、またはL1のいずれかを発現する3
T3細胞上において、約2倍の長さであった。N−カドヘリンを発現する3T3
細胞上での軸索の成長のみが、ペプチドH−WLKIDPVNGQI−OH(配
列番号13)によって阻害された。従って、このペプチドは、N−カドヘリンの
機能の特異的なインヒビターである。
【0218】 異なる調節薬剤が軸索の成長を阻害する能力もまた評価した。表2は、N−A
c−INPISGQ−NH2(配列番号22;ヒトN−カドヘリンのEC1由来
)、ならびに特定のアミノ酸が変化した特定のコントロールペプチド(N−Ac
−INPASGQ−NH2(配列番号88)、N−Ac−INAISGQ−NH2 (配列番号89)およびN−Ac−LNPISGQ−NH2(配列番号90))
の、軸索の成長に対する影響を示す。これらのペプチドを、異なる濃度で試験し
た。ラットニューロンを、3T3細胞、またはN−カドヘリンを発現する3T3
細胞の単層上で、20時間増殖させた。次いで、これらの培養物を固定化し、そ
して平均軸索長を、それぞれの処置に対して少なくとも150個のニューロンに
ついて測定することにより、決定した。これらの結果を、N−カドヘリンを発現
する3T3細胞上に対する軸索の成長の%阻害で示す。これらのペプチドは、N
−カドヘリンを発現しない3T3細胞上に対して、軸索の成長を阻害しなかった
【0219】 (表2:代表的な調節薬剤の、N−カドヘリンを発現する3T3細胞上での軸
索の成長に対する効果(%阻害))
【0220】
【表2】 同様の実験(表3に示す)を実施し、ヒトN−カドヘリンのEC1由来の種々
の環状ペプチド調節薬剤の、軸索の成長に対する効果を評価した。
【0221】 (表3:環状ペプチド調節薬剤の、N−カドヘリンを発現する3T3細胞上で
の軸索の成長に対する効果)
【0222】
【表3】 これらのペプチド調節薬剤の特異性をさらに評価するために、100μg/m
lで、軸索の成長の原因となる種々の分子によってトランスフェクトされた3T
3細胞の単層上で、軸索の成長の阻害を評価した。これらの結果(表4に示す)
は、N−カドヘリンに媒介される軸索の成長に対する高レベルの特異性を例示す
る。
【0223】 (表4:代表的なペプチド調節薬剤の、軸索の成長に関与する種々のタンパク
質を発現する3T3細胞上での軸索の成長に対する効果(%阻害))
【0224】
【表4】 さらなる実験を、上に記載のように実施して、ヒトN−カドヘリンのEC4由
来のペプチド調節薬剤の活性を評価した。表5は、軸索の成長に対する、配列I
DPVN(配列番号29)を含む薬剤、ならびにこの配列内に置換を有する薬剤
の効果を示す。N−Ac−WLKIDPVNGQI−NH2(配列番号13)に
ついてのEC50(mM)は、0.046であった。
【0225】 (表5:ペプチド調節薬剤の、軸索の成長に対する効果)
【0226】
【表5】 これらの結果は、HAV−BM配列を含む調節薬剤が、N−カドヘリンの機能
の、効果的かつ特異的なインヒビターであることを実証する。
【0227】 (実施例3:N−カドヘリンに結合する調節薬剤) 本実施例は、代表的な調節薬剤がN−カドヘリンに結合する能力を例示する。
【0228】 ペプチドH−WLKIDPVNGQI−OH(配列番号13)を、N−カドヘ
リン−FcキメラまたはヒトIgG1でコートしたフローセル上を、250、5
00または1000μg/mlのいずれかの濃度で、通過させた。図7は、この
ペプチドの、N−カドヘリンFcキメラでコートしたフローセルへの会合を、コ
ントロールフローセル(ヒトIgG1でコートしたもの)に対する結合を自動的
に差し引いて示すグラフである。
【0229】 (実施例4:代表的な調節薬剤の、腫瘍細胞接着に対する効果) 本実施例は、調節薬剤が腫瘍細胞接着を破壊する能力を例示する。
【0230】 ヒト卵巣癌細胞(SKOV3)の単層培養物を、ペプチドN−Ac−INPI
SGQ−NH2(配列番号22)の存在下および非存在下で増殖させた。図8A
は、ペプチドの非存在下で増殖させた細胞を示す。図8Bは、1mg/mLのN
−Ac−INPISGQ(配列番号22)の存在下で培養した24時間後の細胞
を示す。SKOV3細胞は、お互いに後退し、そしてこのペプチドの存在下で培
養すると、集合した(round−up)。
【0231】 上記より、本発明の特定の実施態様が本明細書において、本発明の例示の目的
のために記載されているが、種々の改変が、本発明の趣旨および範囲を逸脱する
ことなくなされ得ることが明らかである。
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、古典的なCADの構造を示す図である。5個の細胞外ドメインが、E
C1−EC5で示され、形質膜(PM)を横切る疎水性ドメインが、TMで示さ
れ、そして2つの細胞質性ドメインが、CP1およびCP2で示される。カルシ
ウム結合モチーフは、DXNDN(配列番号1)、DXDおよびLDRE(配列
番号2)で示される。CAR配列であるHAVは、EC1中に示される。配列I
NPISGQ(配列番号22)およびLKIDPVNGQI(配列番号21)を
、それぞれ、EC1およびEC4中に示す。細胞質性のタンパク質であるβ−カ
テニン(β)、α−カテニン(α)、およびα−アクチニン(ACT)(これら
は、CADと細糸(MF)との間の相互作用を媒介する)もまた、示される。
【図2】 図2は、哺乳動物の古典的なカドヘリンEC1ドメインのアミノ酸配列を提供
する:ヒトのN−カドヘリン(配列番号32)、マウスのN−カドヘリン(配列
番号33)、ウシのN−カドヘリン(配列番号34)、ヒトのE−カドヘリン(
配列番号35)、マウスのE−カドヘリン(配列番号36)、ヒトのP−カドヘ
リン(配列番号37)、マウスのP−カドヘリン(配列番号38)、ヒトのR−
カドヘリン(配列番号39)、およびマウスのR−カドヘリン(配列番号40)
【図3】 図3は、哺乳動物の古典的なカドヘリンEC4ドメインのアミノ酸配列を提供
する:ヒトのN−カドヘリン(配列番号41)、マウスのN−カドヘリン(配列
番号42)、ウシのN−カドヘリン(配列番号43)、ヒトのE−カドヘリン(
配列番号44)、マウスのE−カドヘリン(配列番号45)、ヒトのP−カドヘ
リン(配列番号46)、マウスのP−カドヘリン(配列番号47)、ヒトのR−
カドヘリン(配列番号48)、およびマウスのR−カドヘリン(配列番号49)
【図4A】 図4A−4Eは、代表的な環状ペプチド調節薬剤(配列番号51〜63および
85)の構造を提供する。
【図4B】 図4A−4Eは、代表的な環状ペプチド調節薬剤(配列番号51〜63および
85)の構造を提供する。
【図4C】 図4A−4Eは、代表的な環状ペプチド調節薬剤(配列番号51〜63および
85)の構造を提供する。
【図4D】 図4A−4Eは、代表的な環状ペプチド調節薬剤(配列番号51〜63および
85)の構造を提供する。
【図4E】 図4A−4Eは、代表的な環状ペプチド調節薬剤(配列番号51〜63および
85)の構造を提供する。
【図5】 図5は、種々の濃度の直鎖状ペプチドH−WLKIDPVNGQI−OH(配
列番号13;N−CAD−CHD2と称する)を含有する培地中における、3T
3細胞の単層、またはN−カドヘリンを発現する3T3細胞の単層上で培養され
たニューロンについて測定された軸索の平均長さを示すグラフである。
【図6】 図6は、250μg/mlの濃度で直鎖状ペプチドH−WLKIDPVNGQ
I−OH(配列番号13;N−CAD−CHD2と称する)を含有する培地中に
おける、3T3細胞の単層、N−カドヘリンを発現する3T3細胞の単層、NC
AMを発現する3T3細胞の単層、またはL1を発現する3T3細胞の単層のい
ずれかにおいて培養されたニューロンについて測定された軸索の平均長さを示す
グラフである。
【図7】 図7は、N−カドヘリン−FcキメラまたはヒトIgG1でコートされたフロ
ーセルに対する、種々の濃度でのペプチドH−WLKIDPVNGQI−OH(
配列番号13)の結合を示すグラフである。ペプチドH−WLKIDPVNGQ
I−OH(配列番号13)を、250、500、または1000μg/mlのい
ずれかの濃度で両方のフローセルを通過させた。結果は、コントロールフローセ
ル(ヒトIgG1でコート)に対する結合を自動的に引き算した場合、N−カド
ヘリンFcキメラでコートされたフローセルに対するペプチドの会合を示す。
【図8】 図8Aおよび8Bは、ペプチドN−Ac−INPISGQ−NH2(配列番号
22)の存在下(図8B)または非存在下(図8A)におけるヒト卵巣癌細胞(
SKOV3)の単層培養物を示す写真である。図8Bは、1mg/mLのN−A
c−INPISGQ(配列番号22)の存在下で培養された24時間後の細胞を
示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61P 17/02 A61P 35/00 25/00 43/00 35/00 111 43/00 C07K 7/06 111 7/64 C07K 7/06 14/705 7/64 16/18 14/705 C12N 15/00 ZNAA 16/18 A61K 37/02 (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SL,SZ,UG,ZW),E A(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ ,TM),AE,AL,AM,AT,AU,AZ,BA ,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,CU, CZ,DE,DK,EE,ES,FI,GB,GD,G E,GH,GM,HR,HU,ID,IL,IN,IS ,JP,KE,KG,KP,KR,KZ,LC,LK, LR,LS,LT,LU,LV,MD,MG,MK,M N,MW,MX,NO,NZ,PL,PT,RO,RU ,SD,SE,SG,SI,SK,SL,TJ,TM, TR,TT,UA,UG,US,UZ,VN,YU,Z A,ZW (72)発明者 ブラシュック, オレスト ダブリュー. カナダ国 エイチ3ゼット 1エヌ2 ケ ベック, ウエストマウント, ドゥ メ ゾヌーブ ウエスト 4998, アパートメ ント 1520 (72)発明者 グール, バーバラ ジェイ. カナダ国 ケイ0ジー 1ジェイ0 オン タリオ, ケントビル, アール.アー ル. ナンバー4, ドネリー ドライブ 2890 Fターム(参考) 4B024 AA01 BA21 BA80 CA05 HA01 4C076 AA72 BB31 CC29 CC41 4C084 AA02 BA01 BA18 BA26 BA28 BA42 DA40 MA32 MA63 NA05 ZA012 ZA022 ZA362 ZA862 ZA892 ZB072 ZB112 ZB212 ZB262 4C085 AA13 CC32 DD88 EE01 EE06 GG10 4H045 AA10 AA30 BA10 BA16 BA35 EA21 EA22 EA28 EA50 EA51 FA33 FA58

Claims (74)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 カドヘリンCAR配列HAVに結合し得る細胞接着調節薬剤
    であって、ここで、該薬剤は、抗体またはその抗原結合フラグメントを含まない
    、調節薬剤。
  2. 【請求項2】 細胞接着調節薬剤であって、以下: (a)HAV−BM配列またはそのペプチド模倣物; (b)HAV−BM配列をコードするポリヌクレオチド;あるいは (c)HAV−BM配列に特異的に結合する抗体またはその抗原結合フラグメン
    ト; を含み、 ここで、該薬剤は、カドヘリン媒介プロセスを調節する 調節薬剤。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載の調節薬剤であって、前記HAV−BM配列
    が: (a)Ile/Val−Phe−Aaa−Ile−Baa−Caa−Daa−S
    er/Thr−Gly−Eaa−Leu/Met(配列番号3)であって、ここ
    で、Aaa、Baa、Caa、DaaおよびEaaは、独立して、アミノ酸残基
    からなる群より選択されるか; (b)Trp−Leu−Aaa−Ile−Asp/Asn−Baa−Caa−D
    aa−Gly−Gln−Ile(配列番号4)であって、ここで、Aaa、Ba
    a、CaaおよびDaaは、独立して、アミノ酸残基からなる群より選択される
    か;または (c)少なくとも7つの連続するアミノ酸残基を保持する、上記配列のいずれか
    のアナログであって、ここで、該アナログがカドヘリン媒介プロセスを調節する
    能力が減少されない、アナログ である、調節薬剤。
  4. 【請求項4】 前記HAV−BM配列が、INPISGQ(配列番号22)
    、LNPISGQ(配列番号23)、IDPVSGQ(配列番号24)またはI
    DPVNGQ(配列番号94)である、請求項3に記載の調節薬剤。
  5. 【請求項5】 請求項3に記載の細胞接着調節薬剤であって、ここで、HA
    V−BM配列が、以下: 【化1】 および少なくとも7つの連続する残基を保持する上記配列のアナログであって、
    ここで、該アナログがカドヘリン媒介プロセスを調節する能力が減少されない、
    アナログからなる群より選択される、調節薬剤。
  6. 【請求項6】 前記HAV−BM配列が、INPISGQ(配列番号22)
    、LNPISGQ(配列番号23)、NLKIDPVNGQI(配列番号20)
    およびWLKIDPVNGQI(配列番号13)からなる群より選択されるペプ
    チドの少なくとも5つの連続する残基を含む、請求項2に記載の調節薬剤。
  7. 【請求項7】 前記薬剤が、PISGQ(配列番号26)、PVNGQ(
    配列番号27)、PVSGR(配列番号28)、IDPVN(配列番号29)、
    INPIS(配列番号30)およびKIDPV(配列番号31)からなる群より
    選択される配列を含む、請求項6に記載の調節薬剤。
  8. 【請求項8】 前記薬剤が、6〜16アミノ酸残基の範囲の大きさであるペ
    プチド内に存在する、HAV−BM配列またはそのアナログを含む、請求項2に
    記載の調節薬剤。
  9. 【請求項9】 前記薬剤が、直鎖状ペプチド内に存在するHAV−BM配列
    を含む、請求項2に記載の調節薬剤。
  10. 【請求項10】 前記薬剤が、環状ペプチド内に存在するHAV−BM配列
    を含む、請求項2に記載の調節薬剤。
  11. 【請求項11】 請求項10に記載の調節薬剤であって、ここで、前記環状
    ペプチドは、以下: 【化2】 からなる群より選択される式を有し、 ここで、X1およびX2は任意であり、そして存在する場合、アミノ酸残基およ
    びその組み合わせからなる群より独立して選択され、ここで該残基は、ペプチド
    結合によって連結され、かつここで、X1およびX2内に含まれる残基の合計が、
    1〜12の範囲であるように、X1およびX2は、独立して、0〜10残基の範囲
    の大きさであり; ここで、Y1およびY2はアミノ酸残基からなる群より独立して選択され、ここ
    で、残基Y1とY2との間で、共有結合が形成され;そして ここで、Z1およびZ2は任意であり、そして存在する場合、アミノ酸残基およ
    びその組み合わせからなる群より独立して選択され、ここで該残基は、ペプチド
    結合によって連結される 調節薬剤。
  12. 【請求項12】 Z1が存在せず、かつY1がNアセチル基を含む、請求項1
    1に記載の調節薬剤。
  13. 【請求項13】 Z2が存在せず、かつY2がC末端アミド基を含む、請求項
    11に記載の調節薬剤。
  14. 【請求項14】 Y1およびY2が、ジスルフィド結合を介して共有結合され
    る、請求項11に記載の調節薬剤。
  15. 【請求項15】 請求項14に記載の調節薬剤であって、ここで、Y1およ
    びY2が、ペニシラミン、β,β−テトラメチレンシステイン、β,β−ペンタ
    メチレンシステイン、β−メルカプトプロピオン酸、β,β−ペンタメチレン−
    β−メルカプトプロピオン酸、2−メルカプトベンゼン、2−メルカプトアニリ
    ン、2−メルカプトプロリンおよびこれらの誘導体からなる群より独立して選択
    される、調節薬剤。
  16. 【請求項16】 Y1およびY2が、システイン残基またはその誘導体である
    、請求項14に記載の調節薬剤。
  17. 【請求項17】 Y1およびY2が、アミド結合を介して共有結合される、請
    求項11に記載の調節薬剤。
  18. 【請求項18】 前記アミド結合が、残基側鎖間で形成される、請求項17
    に記載の調節薬剤。
  19. 【請求項19】 前記アミド結合が、1つの末端官能基と1つの残基側鎖と
    の間で形成される、請求項17に記載の調節薬剤。
  20. 【請求項20】 請求項17に記載の調節薬剤であって、ここで: (a)Y1が、リジン、オルニチンおよびそれらの誘導体からなる群より選択さ
    れ、かつY2が、アスパラギン酸、グルタミン酸およびそれらの誘導体からなる
    群より選択されるか;または (b)Y2が、リジン、オルニチンおよびそれらの誘導体からなる群より選択さ
    れ、かつY1が、アスパラギン酸、グルタミン酸およびそれらの誘導体からなる
    群より選択される 調節薬剤。
  21. 【請求項21】 Y1およびY2が、チオエーテル結合を介して共有結合され
    る、請求項11に記載の調節薬剤。
  22. 【請求項22】 Y1およびY2が、各々トリプトファンまたはその誘導体で
    あって、その結果、前記共有結合が、δ1δ1−ジトリプトファンまたはその誘導
    体を生成する、請求項11に記載の調節薬剤。
  23. 【請求項23】 請求項10に記載の調節薬剤であって、ここで、前記環状
    ペプチドは 【化3】 からなる群より選択される、調節薬剤。
  24. 【請求項24】 前記HAV−BM配列が、N末端修飾またはC末端修飾を
    含むペプチド内に存在する、請求項2に記載の調節薬剤。
  25. 【請求項25】 前記薬剤が、HAV−BM配列に結合する、抗体またはそ
    の抗原結合フラグメントを含む、請求項2に記載の調節薬剤。
  26. 【請求項26】 薬物に結合された、請求項1または請求項2に記載の調節
    薬剤。
  27. 【請求項27】 固体支持体に結合された、請求項1または請求項2に記載
    の調節薬剤。
  28. 【請求項28】 前記固体支持体が、ポリマーマトリクスである、請求項2
    7に記載の調節薬剤。
  29. 【請求項29】 前記固体支持体が、プラスチック皿、プラスチック管、縫
    合糸、膜、超薄膜、バイオリアクターおよびマイクロカプセルからなる群より選
    択される、請求項28に記載の調節薬剤。
  30. 【請求項30】 請求項1または請求項2に記載の調節薬剤であって、以下
    : (a)HAV−BM配列以外の細胞接着認識配列であって、ここで、該細胞接着
    認識配列は、任意のHAV−BM配列からリンカーによって分離される、細胞接
    着認識配列;および/または (b)HAV−BM配列以外の細胞接着認識配列に特異的に結合する、抗体また
    はその抗原結合フラグメント の1以上をさらに含む、調節薬剤。
  31. 【請求項31】 前記接着分子が、カドヘリン、インテグリン、オクルジン
    、N−CAM、デスモグレイン、デスモコリン、クラウジン、JAM、フィブロ
    ネクチン、ラミニンおよび他の細胞外マトリクスタンパク質からなる群より選択
    される、請求項30に記載の調節薬剤。
  32. 【請求項32】 検出可能なマーカーによって結合された、請求項1または
    請求項2に記載の調節薬剤。
  33. 【請求項33】 標的化剤に結合された、請求項1または請求項2に記載の
    調節薬剤。
  34. 【請求項34】 請求項1または請求項2に記載の細胞接着調節薬剤を、薬
    学的に受容可能なキャリアと組み合わせて含む、薬学的組成物。
  35. 【請求項35】 薬物をさらに含む、請求項34に記載の組成物。
  36. 【請求項36】 前記細胞接着調節薬剤が、徐放性処方物内に存在する、請
    求項34に記載の組成物。
  37. 【請求項37】 請求項34に記載の薬学的組成物であって、該組成物は、
    細胞接着のモジュレーターをさらに含み、ここで、該モジュレーターが、以下 (a)HAV−BM配列以外の細胞接着認識配列を含むペプチド;および/また
    は (b)HAV−BM配列以外の細胞接着認識配列に特異的に結合する、抗体また
    はその抗原結合フラグメント の1以上をさらに含む、薬学的組成物。
  38. 【請求項38】 前記接着分子が、カドヘリン、インテグリン、オクルジン
    、N−CAM、デスモグレイン、デスモコリン、クラウジン、JAM、フィブロ
    ネクチン、ラミニンおよび他の細胞外マトリクスタンパク質からなる群より選択
    される、請求項36に記載の薬学的組成物。
  39. 【請求項39】 カドヘリン媒介機能を調節するための方法であって、カド
    ヘリン発現細胞に、請求項1または請求項2に記載の細胞接着調節薬剤を接触さ
    せる工程を包含する、方法。
  40. 【請求項40】 前記細胞が、上皮細胞、内皮細胞、神経細胞、腫瘍細胞お
    よびリンパ球からなる群より選択される、請求項39に記載の方法。
  41. 【請求項41】 前記カドヘリンが、E−カドヘリンである、請求項39に
    記載の方法。
  42. 【請求項42】 前記カドヘリンが、N−カドヘリンである、請求項39に
    記載の方法。
  43. 【請求項43】 前記カドへリン媒介機能が、細胞接着、軸索成長、シュワ
    ン細胞移動およびシナプス安定性からなる群より選択される、請求項39に記載
    の方法。
  44. 【請求項44】 前記細胞接着調節薬剤が、カドヘリン媒介機能を阻害する
    、請求項39に記載の方法。
  45. 【請求項45】 前記細胞接着調節薬剤が、カドヘリン媒介機能を増強する
    、請求項39に記載の方法。
  46. 【請求項46】 請求項39に記載の方法であって、ここで、前記調節薬剤
    が、以下: (a)Ile/Val−Phe−Aaa−Ile−Baa−Caa−Daa−S
    er/Thr−Gly−Eaa−Leu/Met(配列番号3)であって、ここ
    で、Aaa、Baa、Caa、DaaおよびEaaは、独立して、アミノ酸残基
    からなる群より選択されるか; (b)Trp−Leu−Aaa−Ile−Asp/Asn−Baa−Caa−D
    aa−Gly−Gln−Ile(配列番号4)であって、ここで、Aaa、Ba
    a、CaaおよびDaaは、独立して、アミノ酸残基からなる群より選択される
    か;および (c)少なくとも7つの連続するアミノ酸残基を保持する、上記配列のいずれか
    のアナログであって、ここで、該アナログ部分がカドヘリン媒介プロセスを調節
    する能力が減少されない、アナログ からなる群より選択されるHAV−BM配列を含む、調節薬剤である、方法。
  47. 【請求項47】 請求項39に記載の方法であって、ここで、前記調節薬剤
    が、INPISGQ(配列番号22)、LNPISGQ(配列番号23)、NL
    KIDPVNGQI(配列番号20)およびWLKIDPVNGQI(配列番号
    13)、あるいは上記ペプチドのいずれかのアナログまたはペプチド模倣物から
    なる群より選択されるペプチドの、少なくとも5つの連続する残基を含むHAV
    −BM配列を含む、方法。
  48. 【請求項48】 請求項47に記載の方法であって、ここで、前記HAV−
    BM配列が、PISGQ(配列番号26)、PVNGQ(配列番号27)、PV
    SGR(配列番号28)、IDPVN(配列番号29)、INPIS(配列番号
    30)およびKIDPV(配列番号31)からなる群より選択される配列を含む
    、方法。
  49. 【請求項49】 請求項39に記載の方法であって、ここで、前記細胞接着
    調節薬剤が、以下: (a)HAV−BM配列以外の細胞接着認識配列であって、ここで、該細胞接着
    認識配列は、任意のHAV−BM配列からリンカーによって分離される、細胞接
    着認識配列;および/または (b)HAV−BM配列以外の細胞接着認識配列に特異的に結合する、抗体また
    はその抗原結合フラグメント の1以上をさらに含む、方法。
  50. 【請求項50】 前記細胞接着調節薬剤が、薬学的に受容可能なキャリアを
    含む薬学的組成物内に存在する、請求項39に記載の方法。
  51. 【請求項51】 請求項50に記載の方法であって、ここで、前記薬学的組
    成物は、細胞接着のモジュレーターをさらに含み、ここで、該モジュレーターは
    、以下: (a)HAV−BM配列以外の細胞接着認識配列であって、ここで、該細胞接着
    認識配列は、任意のHAV−BM配列からリンカーによって分離される、細胞接
    着認識配列;および/または (b)HAV−BM配列以外の細胞接着認識配列に特異的に結合する、抗体また
    はその抗原結合フラグメント の1以上をさらに含む、方法。
  52. 【請求項52】 哺乳動物において所望しない細胞接着を減少させるための
    方法であって、該方法は、請求項1または請求項2に記載の調節薬剤を哺乳動物
    に投与する工程を包含し、ここで、該調節薬剤は、カドヘリン媒介細胞接着を阻
    害する、方法。
  53. 【請求項53】 前記細胞が、上皮細胞、内皮細胞、神経細胞、腫瘍細胞お
    よびリンパ球からなる群より選択される、請求項52に記載の方法。
  54. 【請求項54】 哺乳動物の皮膚を通じた薬物の送達を増強するための方法
    であって、該方法は、哺乳動物の上皮細胞に薬物および請求項1または請求項2
    に記載の調節薬剤を接触させる工程を包含し、ここで、該接触工程は、該上皮細
    胞を横切る薬物の通過を可能にするための条件および十分な時間で行われ、かつ
    ここで、該調節薬剤は、カドヘリン媒介細胞接着を阻害する、方法。
  55. 【請求項55】 哺乳動物の腫瘍への薬物の送達を増強するための方法であ
    って、該方法は、哺乳動物に請求項1または請求項2に記載の調節薬剤を投与す
    る工程を包含し、ここで、該調節薬剤は、カドヘリン媒介細胞接着を阻害する、
    方法。
  56. 【請求項56】 哺乳動物において癌を処置する、および/または転移を阻
    害するための方法であって、該方法は、哺乳動物に請求項1または請求項2に記
    載の調節薬剤を投与する工程を包含し、ここで、該調節薬剤は、カドヘリン媒介
    細胞接着を阻害する、方法。
  57. 【請求項57】 カドヘリン発現細胞においてアポトーシスを誘導するため
    の方法であって、該方法は、カドヘリン発現細胞に請求項1または請求項2に記
    載の調節薬剤を接触させる工程を包含し、ここで、該調節薬剤は、カドヘリン媒
    介細胞接着を阻害する、方法。
  58. 【請求項58】 哺乳動物において新脈管形成阻害するための方法であって
    、該方法は、哺乳動物に請求項1または請求項2に記載の調節薬剤を投与する工
    程を包含し、ここで、該調節薬剤は、カドヘリン媒介細胞接着を阻害する、方法
  59. 【請求項59】 哺乳動物の中枢神経系への薬物の送達を増強するための方
    法であって、該方法は、哺乳動物に請求項1または請求項2に記載の調節薬剤を
    投与する工程を包含し、ここで、該調節薬剤は、カドヘリン媒介細胞接着を阻害
    する、方法。
  60. 【請求項60】 哺乳動物において創傷治癒を促進するための方法であって
    、該方法は、哺乳動物中の創傷に請求項1または請求項2に記載の調節薬剤を接
    触させる工程を包含し、ここで、該調節薬剤は、カドヘリン媒介細胞接着を増強
    する、方法。
  61. 【請求項61】 哺乳動物内に移植された外来組織の接着を増強するための
    方法であって、該方法は、哺乳動物中の外来組織の移植部位に請求項1または請
    求項2に記載の調節薬剤を接触させる工程を包含し、ここで、該調節薬剤は、カ
    ドヘリン媒介細胞接着を増強する、方法。
  62. 【請求項62】 軸索成長を増強および/または指向させるための方法であ
    って、該方法は、ニューロンに請求項1または請求項2に記載の調節薬剤を接触
    させる工程を包含し、ここで、該調節薬剤は、カドヘリン媒介細胞接着を増強す
    る、方法。
  63. 【請求項63】 哺乳動物において脊髄損傷を処置するための方法であって
    、該方法は、哺乳動物に請求項1または請求項2に記載の調節薬剤を投与する工
    程を包含し、ここで、該調節薬剤は、カドヘリン媒介細胞接着を増強する、方法
  64. 【請求項64】 哺乳動物において脱髄性の神経学的疾患を処置するための
    方法であって、哺乳動物に請求項1または請求項2に記載の調節薬剤を投与する
    工程を包含する、方法。
  65. 【請求項65】 哺乳動物の免疫系を調節するための方法であって、該方法
    は、哺乳動物に請求項1または請求項2に記載の調節薬剤を投与する工程を包含
    し、ここで、該調節薬剤は、カドヘリン媒介細胞接着を阻害する、方法。
  66. 【請求項66】 哺乳動物において妊娠を妨げるための方法であって、該方
    法は、哺乳動物に請求項1または請求項2に記載の調節薬剤を投与する工程を包
    含し、ここで、該調節薬剤は、カドヘリン媒介細胞接着を阻害する、方法。
  67. 【請求項67】 哺乳動物において血管透過性を増加するための方法であっ
    て、該方法は、哺乳動物に請求項1または請求項2に記載の調節薬剤を投与する
    工程を包含し、ここで、該調節薬剤は、カドヘリン媒介細胞接着を阻害する、方
    法。
  68. 【請求項68】 哺乳動物においてシナプス安定性を阻害するための方法で
    あって、該方法は、哺乳動物に請求項1または請求項2に記載の調節薬剤を投与
    する工程を包含し、ここで、該調節薬剤は、カドヘリン媒介細胞接着を阻害する
    、方法。
  69. 【請求項69】 サンプル中のカドヘリン発現細胞の存在を検出するための
    方法であって、該方法は、以下: (a)サンプルを、抗体−カドヘリン複合体の形成を可能にするための条件およ
    び十分な時間で、HAV−BM配列に結合する抗体またはその抗原結合フラグメ
    ントに接触させる工程;および (b)抗体−カドヘリン複合体のレベルを検出し、そこからサンプル中のカドヘ
    リン発現細胞の存在を検出する工程 を包含する、方法。
  70. 【請求項70】 経皮薬物送達を増強するためのキットであって、以下: (a)皮膚パッチ;および (b)請求項1または請求項2に記載の調節薬剤 を備える、キット。
  71. 【請求項71】 サンプル中のカドヘリン発現細胞の存在を検出するための
    キットであって、以下: (a)HAV−BM配列に特異的に結合する抗体またはその抗原結合フラグメン
    ト;および (b)検出試薬 を備える、キット。
  72. 【請求項72】 カドヘリン媒介細胞接着を調節し得る化合物を同定するた
    めの方法であって、以下: (a)HAV−BM配列に特異的に結合する抗体またはその抗原結合フラグメン
    トに、試験化合物を接触させる工程;および (b)該試験化合物に結合する抗体またはフラグメントのレベルを検出し、そこ
    からカドヘリン媒介細胞接着を調節し得る化合物を同定する工程 を包含する、方法。
  73. 【請求項73】 哺乳動物において血液サンプリングを容易にするための方
    法であって、該方法は、哺乳動物の上皮細胞に請求項1または請求項2に記載の
    細胞接着調節薬剤を接触させる工程を包含し、ここで、該調節薬剤は、カドヘリ
    ン媒介細胞接着を阻害し、かつここで、該接触工程は、該上皮細胞を横切る1以
    上の血液成分の通過を可能にするための条件および十分な時間で行われる、方法
  74. 【請求項74】 哺乳動物の皮膚または歯肉を介して血液をサンプリングす
    るためのキットであって、以下: (a)皮膚パッチ; (b)カドヘリンCAR配列を含む環状ペプチドを含む細胞接着調節薬剤;およ
    び (c)目的の血液成分を検出するための試薬 を備える、キット。
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