図1A~1Cは、PGM共役酵素アッセイを示す一連のパネルである。図1Aは、連続的なNADH依存性の吸光度アッセイによって測定される、反応の時間経過(1時間)を示すグラフである。340nmで測定される吸光度は、NADHがNAD+に酸化されると低下し、事前の酵素反応において形成されたピルビン酸に依存する。図1Bは、アッセイの線形相が最初の15分にわたって生じることを示すグラフである。図1Cは、7つのPGMオルソログおよびピルビン酸キナーゼ(PK)-FLuc対照についての生物発光エンドポイントHTSアッセイのキャリブレーションを示すグラフである。生物発光アッセイで生じる光は、ATPおよび酸素によるルシフェリンの酸化に基づき、事前の酵素反応で生じたATPに依存する。酵素濃度(Bm iPGM、5nM;Ce iPGM、5nM;Di iPGM、10nM;Ec iPGM、10nM;Ov iPGM、20nM;Hs dPGM、5nM;Ec dPGM、4nM)は、5分のアッセイ時間後にほぼ等価のRLUをもたらすように調整した。白いバーは、バックグラウンド測定のための「PGMなし」対照である。エラーバーは、24の反復のSDである。
図1A~1Cは、PGM共役酵素アッセイを示す一連のパネルである。図1Aは、連続的なNADH依存性の吸光度アッセイによって測定される、反応の時間経過(1時間)を示すグラフである。340nmで測定される吸光度は、NADHがNAD+に酸化されると低下し、事前の酵素反応において形成されたピルビン酸に依存する。図1Bは、アッセイの線形相が最初の15分にわたって生じることを示すグラフである。図1Cは、7つのPGMオルソログおよびピルビン酸キナーゼ(PK)-FLuc対照についての生物発光エンドポイントHTSアッセイのキャリブレーションを示すグラフである。生物発光アッセイで生じる光は、ATPおよび酸素によるルシフェリンの酸化に基づき、事前の酵素反応で生じたATPに依存する。酵素濃度(Bm iPGM、5nM;Ce iPGM、5nM;Di iPGM、10nM;Ec iPGM、10nM;Ov iPGM、20nM;Hs dPGM、5nM;Ec dPGM、4nM)は、5分のアッセイ時間後にほぼ等価のRLUをもたらすように調整した。白いバーは、バックグラウンド測定のための「PGMなし」対照である。エラーバーは、24の反復のSDである。
図2A~2Cは、種依存性のPGM触媒メカニズム、ならびに2-ホスホグリセレートおよび3-ホスホグリセレート(2-PG、3-PG)を検出するためのアッセイ方法を示す一連のパネルである。図2Aは、ヒト補因子依存性PGM(dPGM、上部)のホスホヒスチジン酵素/2,3-ホスホグリセリン酸中間体、およびC.elegansの補因子非依存性PGM(iPGM、下部)のホスホセリン酵素中間体を示す、PGMによって触媒される異性化を示す概略図である。図2Bは、カイネティックNADH吸光度(生じたピルベートからの)アッセイおよびエンドポイント生物発光(生じたATPからの)アッセイにおいて使用される共役酵素を示す概略図である。吸光度アッセイのための共役酵素および基質は、エノラーゼ、2-PG、ピルビン酸キナーゼ、ホスホエノールピルビン酸(PEP)、ADP、乳酸デヒドロゲナーゼ、ピルビン酸、およびNADHである。生物発光アッセイのための共役酵素および基質は、エノラーゼ、2-PG、ピルビン酸キナーゼ、ホスホエノールピルビン酸(PEP)、ADP、ルシフェラーゼ、ATP、およびルシフェリン(LH2)である。吸光度アッセイの生成物は、ラクテートおよびNAD+である。生物発光アッセイの生成物は、オキシルシフェリン(L)、CO2、および光(hν)である。図2Cは、2-PG/3-PGの直接的な検出において使用されるグラジエント溶離移動境界キャピラリー電気泳動(gradient elution moving boundary capillary electrophoresis)(GEMBE)デバイスの概略図(左)、およびホスホグリセリン酸異性体について検出される電流の一次導関数(右)である。
図2A~2Cは、種依存性のPGM触媒メカニズム、ならびに2-ホスホグリセレートおよび3-ホスホグリセレート(2-PG、3-PG)を検出するためのアッセイ方法を示す一連のパネルである。図2Aは、ヒト補因子依存性PGM(dPGM、上部)のホスホヒスチジン酵素/2,3-ホスホグリセリン酸中間体、およびC.elegansの補因子非依存性PGM(iPGM、下部)のホスホセリン酵素中間体を示す、PGMによって触媒される異性化を示す概略図である。図2Bは、カイネティックNADH吸光度(生じたピルベートからの)アッセイおよびエンドポイント生物発光(生じたATPからの)アッセイにおいて使用される共役酵素を示す概略図である。吸光度アッセイのための共役酵素および基質は、エノラーゼ、2-PG、ピルビン酸キナーゼ、ホスホエノールピルビン酸(PEP)、ADP、乳酸デヒドロゲナーゼ、ピルビン酸、およびNADHである。生物発光アッセイのための共役酵素および基質は、エノラーゼ、2-PG、ピルビン酸キナーゼ、ホスホエノールピルビン酸(PEP)、ADP、ルシフェラーゼ、ATP、およびルシフェリン(LH2)である。吸光度アッセイの生成物は、ラクテートおよびNAD+である。生物発光アッセイの生成物は、オキシルシフェリン(L)、CO2、および光(hν)である。図2Cは、2-PG/3-PGの直接的な検出において使用されるグラジエント溶離移動境界キャピラリー電気泳動(gradient elution moving boundary capillary electrophoresis)(GEMBE)デバイスの概略図(左)、およびホスホグリセリン酸異性体について検出される電流の一次導関数(右)である。
図3Aおよび3Bは、GEMBEでのホスホグリセリン酸の分離を示す一連のパネルである。図3Aは、2-PGおよび3-PGの溶離についての電流(上部)および一次導関数(下部)のプロットを示す。図3Bは、C.elegans iPGM(上部)およびB.malayi iPGM(下部)についての、GEMBEで測定される3-PGから2-PGへの変換についての時間経過を示す。左側の軸、(●)2-PG、(〇)3-PGの変換%;右側の軸、2-PGの3-PGに対する比率(+)。
図4A~4Cは、RaPID選択からのDNA配列の配列アラインメントを示す一連のパネルである。図4Aは、B.malayi iPGMに対するDYライブラリーでの選択の第4および第5のラウンドから同定されたDNA配列のアラインメントである。配列4-6、配列番号23;配列4-9、配列番号24;配列4-7、配列番号25;配列4-13、配列番号26;配列5-13、5-15、4-17、4-18、および5-10、配列番号27;配列4-3、配列番号28;配列4-8、配列番号29。図4Bは、C.elegans iPGMに対するDYライブラリーでの選択の第6および第7のラウンドから同定されたDNA配列のアラインメントである。配列6-1、配列番号30;配列6-4および6-5、配列番号31;配列6-6および6-7、配列番号32;配列6-9、配列番号30;配列6-11、配列番号31、配列6-12、配列番号30;配列6-13および7-1、配列番号31;配列7-2、配列番号33;配列7-3、配列番号34;配列7-4、配列番号35;配列7-5、配列番号31;配列7-6および7-7、配列番号30;配列7-9および7-10、配列番号31;配列7-12、配列番号30;配列7-13、配列番号31;配列7-14、配列番号36;配列7-15、配列番号33;配列6-14、7-8、および7-11、配列番号37。図4Cは、C.elegans iPGMに対するLYライブラリーでの選択の第5および第6のラウンドから同定されたDNA配列のアラインメントである。配列5-1、5-2、5-3、5-5、5-8、5-9、5-10、5-13、5-14、配列番号38;配列5-16、配列番号39;配列5-19、配列番号38;配列5-20、配列番号39;配列5-21および5-22、配列番号38;配列5-24、配列番号39;配列5-28、5-30、6-1、6-2、6-3、6-4、6-5、および6-6、配列番号38;配列6-7、配列番号40;配列6-8および6-9、配列番号38;配列6-11、配列番号39;配列6-12、配列番号41;配列6-13、配列番号42;配列6-14、配列番号40;配列6-15、配列番号43;配列6-16、配列番号39;配列5-26、配列番号44。第2のまたは第3のコドン塩基にある変異は、それぞれ紫または赤で色付けられている。
図5は、MALDI-TOF/TOFによるCe-2のMSMSスペクトルおよびフラグメントの分析である。b型、y型、およびc型フラグメントイオンを、数によって示す。Ce-2の親イオン[M+H]+は、1790.66である。Ce-2のペプチド配列(配列番号2)を示す。
図6A~6Dは、アポC.elegans iPGMの結晶およびCe-2dとの複合体状の結晶を示す一連のパネルである。図6Aは、Wizard 3-4 D11から得られた単斜晶系P iPGM(iPGM-m)の最初の試料のデジタル画像であり、図6Bは、Hampton Additive HT screen D7から観察された結晶を示すデジタル画像である。図6Cは、Index HT F7から得られた直方晶系P iPGM(iPGM-o)の結晶のデジタル画像である。図6Dは、Ce-2dとの共複合体の結晶のデジタル画像である。
図7A~7Cは、C.elegans iPGM-mの非対称ユニットセルの一連のリボン図である。図7Aは、サブユニットA(マゼンタ)およびB(シアン)を示す、C.elegans iPGM-mの非対称単位の図である。Mn2+およびZn2+イオンは、青色の球で表されている。図7Bは、重ね合わせられたサブユニットA(マゼンタ)およびB(シアン)を示すC.elegansのアポiPGM-mのNCS二量体サブユニットの比較を示す図(上部)、ならびに、水平方向に90°回転させた同一の図(下部)である。図7Cは、C.elegans iPGM-m(マゼンタ)およびC.elegans iPGM-o(シアン)の重ね合わせを示す図である。
図8A~8Cは、C.elegans iPGMの、Bacillus anthracisおよびBacillus stearothermophilus iPGMとの比較を示す、一連のリボン図である。図8Aは、サブユニットA(マゼンタ)を示すC.elegansのアポiPGM-mと、重ね合わされたBacillus anthracisからのiPGM(灰色、PDB:2IFY)との重ね合わせを示す。Mn2+およびZn2+イオンは、球で表される。図8Bは、サブユニットA(マゼンタ)を示すC.elegans iPGM-mと、重ね合わされたBacillus stearothermophilusからのiPGM(緑色、PDB:1O98)との重ね合わせを示す。図8Cは、図8Bと同一の図を示すが、水平方向に90°回転されている。矢印は、トランスフェラーゼドメイン内の立体構造上の違いを示している。
図9A~9Cは、iPGM内の金属イオン結合部位を示す一連の図である。図9Aは、3σで輪郭を描いたC.elegans iPGM・Ce-2d複合体の金属結合部位での、位相異常差分(phased anomalous difference)マップ(メッシュ)を示す。図9Bは、C.elegans iPGM・Ce-2d複合体における金属の配位を示す。タンパク質とMn2+(大きな黒ずんだ球)イオン、Zn2+(大きな淡い球)イオン、および水(小さな球)との接触が示される。図9Cは、iPGM・Ce-2dについてのMg2+の結合部位を示す。Mg2+イオンは大きな球で、水分子は小さな球で示される。
図10A~10Eは、iPGM大環状ペプチド阻害剤の薬理学的-系統学的関係を示す一連のパネルである。図10Aは、親和性選択から得られたCe-2大環状分子(macrocycle)の構造の図であり、Ce-2dを得るためのトランケーションおよびCys14Ser置換の位置を示す。チオエーテル結合およびD-チロシンが強調されている。図10B~10Dは、酵素共役生物発光アッセイを使用する、iPGMオルソログおよびdPGMアイソザイムにおけるCe-2(図10B)、Ce-2d(図10C)、およびCe-2S(図10D)の特徴付けのためのIC50濃度-応答曲線を示す一連のグラフである。プロットは個々の実験(N≧3)の代表であり、エラーバーは、技術的反復の標準偏差値である。挿入図は、0.5nM、5nM、50nM、0.5μM、および5μMのC.elegans iPGMの、Ce-2での滴定である。図10Eは、PGMの7種のオルソログのアミノ酸配列アラインメントについて構築された系統樹である。1,000の反復に基づくブートストラップ値のパーセンテージを、分枝ノードにおいて示す。
図10A~10Eは、iPGM大環状ペプチド阻害剤の薬理学的-系統学的関係を示す一連のパネルである。図10Aは、親和性選択から得られたCe-2大環状分子(macrocycle)の構造の図であり、Ce-2dを得るためのトランケーションおよびCys14Ser置換の位置を示す。チオエーテル結合およびD-チロシンが強調されている。図10B~10Dは、酵素共役生物発光アッセイを使用する、iPGMオルソログおよびdPGMアイソザイムにおけるCe-2(図10B)、Ce-2d(図10C)、およびCe-2S(図10D)の特徴付けのためのIC50濃度-応答曲線を示す一連のグラフである。プロットは個々の実験(N≧3)の代表であり、エラーバーは、技術的反復の標準偏差値である。挿入図は、0.5nM、5nM、50nM、0.5μM、および5μMのC.elegans iPGMの、Ce-2での滴定である。図10Eは、PGMの7種のオルソログのアミノ酸配列アラインメントについて構築された系統樹である。1,000の反復に基づくブートストラップ値のパーセンテージを、分枝ノードにおいて示す。
図10A~10Eは、iPGM大環状ペプチド阻害剤の薬理学的-系統学的関係を示す一連のパネルである。図10Aは、親和性選択から得られたCe-2大環状分子(macrocycle)の構造の図であり、Ce-2dを得るためのトランケーションおよびCys14Ser置換の位置を示す。チオエーテル結合およびD-チロシンが強調されている。図10B~10Dは、酵素共役生物発光アッセイを使用する、iPGMオルソログおよびdPGMアイソザイムにおけるCe-2(図10B)、Ce-2d(図10C)、およびCe-2S(図10D)の特徴付けのためのIC50濃度-応答曲線を示す一連のグラフである。プロットは個々の実験(N≧3)の代表であり、エラーバーは、技術的反復の標準偏差値である。挿入図は、0.5nM、5nM、50nM、0.5μM、および5μMのC.elegans iPGMの、Ce-2での滴定である。図10Eは、PGMの7種のオルソログのアミノ酸配列アラインメントについて構築された系統樹である。1,000の反復に基づくブートストラップ値のパーセンテージを、分枝ノードにおいて示す。
図11A~11Cは、BmおよびCe環状ペプチドのiPGM阻害活性、ならびにCe-2およびCe-2dのGEMBE分析についての、一連の代表的な濃度応答曲線(CRC)である。図11Aは、Bm-1(上部)、Bm-4(中央)、およびCe-3(下部)についての、一連のCRCである。図11Bは、Ce-2についてのCRCを示す。双曲線応答からの有意な偏差は、このプロットのiPGMデータにフィットさせるために、5パラメータのHillの方程式を要した。iPGMオルソログおよびdPGMアイソザイムからのデータは、酵素共役生物発光アッセイから決定された。iPGM濃度は、C.elegans、B.malayiでは5nM、D.immitis、E.coliでは10nM、O.volvulusでは20nM、およびE.coli、H.sapiens dPGMでは5nMであった。プロットは、表3に列挙する実験的反復の代表であり、エラーバーは、表3に記載するように定義される。図11Cは、大環状ペプチドCe-2およびCe-2dのGEMBE分析を示すグラフである。阻害剤Ce-2(四角)またはCe-2d(菱形)で処理した、緑色:B.malayi iPGM、青色:C.elegans iPGM、琥珀色:E.coli iPGM、黒色:H.sapiens dPGMである。実験的反復からのpEC50値(N):Ce-2-(Bm iPGM)8.37±0.04(2);(Ce iPGM)8.36±0.03(1);(Ec iPGM)8.49±0.03(3);(Hs dPGM)明らかな活性なし;Ce-2d -(Bm iPGM)7.21±0.19(1);(Ce iPGM)8.49±0.02(1);(Ec iPGM)8.50±0.02(3);(Hs dPGM)明らかな活性なし。エラーバーは、実験的反復の標準偏差値である。
図11A~11Cは、BmおよびCe環状ペプチドのiPGM阻害活性、ならびにCe-2およびCe-2dのGEMBE分析についての、一連の代表的な濃度応答曲線(CRC)である。図11Aは、Bm-1(上部)、Bm-4(中央)、およびCe-3(下部)についての、一連のCRCである。図11Bは、Ce-2についてのCRCを示す。双曲線応答からの有意な偏差は、このプロットのiPGMデータにフィットさせるために、5パラメータのHillの方程式を要した。iPGMオルソログおよびdPGMアイソザイムからのデータは、酵素共役生物発光アッセイから決定された。iPGM濃度は、C.elegans、B.malayiでは5nM、D.immitis、E.coliでは10nM、O.volvulusでは20nM、およびE.coli、H.sapiens dPGMでは5nMであった。プロットは、表3に列挙する実験的反復の代表であり、エラーバーは、表3に記載するように定義される。図11Cは、大環状ペプチドCe-2およびCe-2dのGEMBE分析を示すグラフである。阻害剤Ce-2(四角)またはCe-2d(菱形)で処理した、緑色:B.malayi iPGM、青色:C.elegans iPGM、琥珀色:E.coli iPGM、黒色:H.sapiens dPGMである。実験的反復からのpEC50値(N):Ce-2-(Bm iPGM)8.37±0.04(2);(Ce iPGM)8.36±0.03(1);(Ec iPGM)8.49±0.03(3);(Hs dPGM)明らかな活性なし;Ce-2d -(Bm iPGM)7.21±0.19(1);(Ce iPGM)8.49±0.02(1);(Ec iPGM)8.50±0.02(3);(Hs dPGM)明らかな活性なし。エラーバーは、実験的反復の標準偏差値である。
図11A~11Cは、BmおよびCe環状ペプチドのiPGM阻害活性、ならびにCe-2およびCe-2dのGEMBE分析についての、一連の代表的な濃度応答曲線(CRC)である。図11Aは、Bm-1(上部)、Bm-4(中央)、およびCe-3(下部)についての、一連のCRCである。図11Bは、Ce-2についてのCRCを示す。双曲線応答からの有意な偏差は、このプロットのiPGMデータにフィットさせるために、5パラメータのHillの方程式を要した。iPGMオルソログおよびdPGMアイソザイムからのデータは、酵素共役生物発光アッセイから決定された。iPGM濃度は、C.elegans、B.malayiでは5nM、D.immitis、E.coliでは10nM、O.volvulusでは20nM、およびE.coli、H.sapiens dPGMでは5nMであった。プロットは、表3に列挙する実験的反復の代表であり、エラーバーは、表3に記載するように定義される。図11Cは、大環状ペプチドCe-2およびCe-2dのGEMBE分析を示すグラフである。阻害剤Ce-2(四角)またはCe-2d(菱形)で処理した、緑色:B.malayi iPGM、青色:C.elegans iPGM、琥珀色:E.coli iPGM、黒色:H.sapiens dPGMである。実験的反復からのpEC50値(N):Ce-2-(Bm iPGM)8.37±0.04(2);(Ce iPGM)8.36±0.03(1);(Ec iPGM)8.49±0.03(3);(Hs dPGM)明らかな活性なし;Ce-2d -(Bm iPGM)7.21±0.19(1);(Ce iPGM)8.49±0.02(1);(Ec iPGM)8.50±0.02(3);(Hs dPGM)明らかな活性なし。エラーバーは、実験的反復の標準偏差値である。
図12Aおよび12Bは、大環状ペプチドアナログの一連の図である。図12Aは一連の環状ペプチドを示し、図12Bは一連の直鎖状ペプチドを示す。ヒドロキシル基およびメチル基は、置換を示すために影が付けてある。
図12Aおよび12Bは、大環状ペプチドアナログの一連の図である。図12Aは一連の環状ペプチドを示し、図12Bは一連の直鎖状ペプチドを示す。ヒドロキシル基およびメチル基は、置換を示すために影が付けてある。
図13Aおよび13Bは、Ce-2の大環状ペプチドアナログについてのPGMパネル活性を示す一連のグラフである。図12Aは、Ce-2S(Cys14Ser置換)およびCe-2a-g(C末端アミノ酸トランケーションアナログ)の活性を示す一連のグラフである。図13Bは、直鎖状ペプチドCe-L2、Ce-L2d、およびCe-2tailの活性を示す一連のグラフである。B.malayi iPGM(黒四角)、C.elegans iPGM(上向き黒三角)、O.volvulus iPGM(下向き黒三角)、D.immitis iPGM(黒ひし形)、E.coli iPGM(黒丸)、H.sapiens dPGM(白四角)、E.coli dPGM(上向き白三角)、およびPK-FLuc(黒丸)。プロットは、表3に列挙する実験的反復の代表であり、エラーバーは、2つの技術的反復の標準偏差値である。
図13Aおよび13Bは、Ce-2の大環状ペプチドアナログについてのPGMパネル活性を示す一連のグラフである。図12Aは、Ce-2S(Cys14Ser置換)およびCe-2a-g(C末端アミノ酸トランケーションアナログ)の活性を示す一連のグラフである。図13Bは、直鎖状ペプチドCe-L2、Ce-L2d、およびCe-2tailの活性を示す一連のグラフである。B.malayi iPGM(黒四角)、C.elegans iPGM(上向き黒三角)、O.volvulus iPGM(下向き黒三角)、D.immitis iPGM(黒ひし形)、E.coli iPGM(黒丸)、H.sapiens dPGM(白四角)、E.coli dPGM(上向き白三角)、およびPK-FLuc(黒丸)。プロットは、表3に列挙する実験的反復の代表であり、エラーバーは、2つの技術的反復の標準偏差値である。
図14は、C.elegans(配列番号45)、B.malayi(配列番号46)、O.volvulus(配列番号47)、D.immitis(配列番号48)、E.coli(配列番号49)、S.aureus(配列番号50)、B.anthracis(配列番号51)、L.mexicana(配列番号52)、およびT.brucei(配列番号53)からのiPGMオルソログの配列アラインメントである。Ce-2dの5Å以内の残基は、オレンジ色に色付けられている。C.elegans iPGMとE.coli iPGMとの間で同一の残基は、黄色に色付けられている。灰色はヒンジ領域を示し、緑色および青色は金属イオンとリガンド結合するアミノ酸である。
図15A~15Cは、iPGM・Ce-2d複合体の非対称単位の構造を示す、一連の図である。図15Aは、サブユニットA(マゼンタ)およびB(シアン)を示すiPGM・Ce-2dの非対称単位を示す。Mn2+およびZn2+イオンは、それぞれ青色および黄褐色の球で表され、各サブユニットに結合した環状ペプチドは、灰色の球として描かれている。図15Bは、Ce-2dペプチドについての番号付けを伴う、サブユニットA(マゼンタ)と会合したペプチドについての、3σで輪郭を描いた電子密度マップ(メッシュ、Fo-Fc省略)を示す。残基Tyr11は、アミドとしてキャップされている。図15Cは、Ce-2dのC末端のαヘリックス構造を示す。側鎖を伴う骨格トレースは、示されるαヘリックスの形成に関与する。
図16A~16Eは、Ce-2dが開いた立体構造のiPGMを捕捉することを示す一連の図である。図16Aは、C.elegans iPGMへのCe-2d大環状分子の結合様式を示す非対称単位の1つのサブユニットを示す。Mn2+およびZn2+イオンは、それぞれ青色および黄褐色の球で表され、結合した大環状分子は、5Å以内のiPGM残基によって規定される空洞内のCPK空間充填球(透き通った球(transparent sphere))として描かれている。図16Bは、C.elegans iPGM-o(シアン)、C.elegans iPGM-m(黄褐色)、およびC.elegans iPGM・Ce-2d(アクアマリン)の重ね合わせを示す。Ce-2dペプチドは円筒として表される。図16Cは、静電気的表面として表されるiPGMの裂け目内に位置する大環状分子(円筒)を示す。図16Dは、5つのチロシン残基(1、3、7、9、および11)の「キャッピング」方向を示す、Ce-2dのCPK空間充填描写を示し、図16Eは、Tyr1およびTyr9のedge-to-face相互作用を示す。さらなる残基が示されている。
図17A~17Eは、Ce-2d・iPGM相互作用を示す一連のパネルである。図17Aは、C.elegans iPGMとCe-2dとの間の水素結合相互作用(黒色の破線)を示す。図17Bは、直接的な相互作用および水(球)媒介性の接触を示す。図17Cは、Tyr11のC末端アミドとZn2+およびMn2+イオンの中心との間の距離を示す。図17Dは、C.elegans iPGM_Ce-2dの構造と、2-ホスホグリセリン酸が結合した形態のStaphylococcus aureus iPGMの構造とを重ね合わせたものを示す(PDB:4NWX)。以下のS.Aureus:C.elegans残基対をアラインメントに使用した:123His147、153~154Asp177~178、191Arg216、185Arg210、257Arg284、および260Arg287。Ce-2dおよび2-PGは、CPK空間充填モデルとして示される。紫色の球はS.aureus iPGMのMn2+イオンであり、青色および黄褐色の球は、それぞれC.elegans iPGMのMn2+およびZn2+イオンである。図17Eは、図17Dからの拡大された一領域であり、2-PGおよびCe-2dの相対的位置を、透き通ったファンデルワールス表面と2-PGの周りに集まるアラインメント残基側鎖とを伴う、円筒モデルとして示す。
図17A~17Eは、Ce-2d・iPGM相互作用を示す一連のパネルである。図17Aは、C.elegans iPGMとCe-2dとの間の水素結合相互作用(黒色の破線)を示す。図17Bは、直接的な相互作用および水(球)媒介性の接触を示す。図17Cは、Tyr11のC末端アミドとZn2+およびMn2+イオンの中心との間の距離を示す。図17Dは、C.elegans iPGM_Ce-2dの構造と、2-ホスホグリセリン酸が結合した形態のStaphylococcus aureus iPGMの構造とを重ね合わせたものを示す(PDB:4NWX)。以下のS.Aureus:C.elegans残基対をアラインメントに使用した:123His147、153~154Asp177~178、191Arg216、185Arg210、257Arg284、および260Arg287。Ce-2dおよび2-PGは、CPK空間充填モデルとして示される。紫色の球はS.aureus iPGMのMn2+イオンであり、青色および黄褐色の球は、それぞれC.elegans iPGMのMn2+およびZn2+イオンである。図17Eは、図17Dからの拡大された一領域であり、2-PGおよびCe-2dの相対的位置を、透き通ったファンデルワールス表面と2-PGの周りに集まるアラインメント残基側鎖とを伴う、円筒モデルとして示す。
図18Aおよび18Bは、Cd-2dのLeu10が占有する疎水性ポケットを示す図である。図18Aは、Leu10および緑色のチオエーテル結合を有するB因子(B-factor)のα鎖(金色)として示される、Ce-2d大環状分子の5Å以内のC.elegans iPGM残基(透き通った球の下の水色の鎖)を示す。iPGMのAla334残基は、CPK空間を充填するものとして示され、Mn2+およびZn2+イオンは、それぞれ青色および黄褐色の球として表される。図18Bは、iPGMの側鎖をより明らかに表示するために透明の球を除いた図18Aを示す。
図19A~19Cは、薬理学的-系統学的なCe-2大環状分子シリーズとiPGMオルソログとの関係の根底にある、構造的基礎を示す一連のパネルである。図19Aは、Ce-2大環状分子トランケーションシリーズのIC50とiPGMオルソログとの間の関係を示すグラフである。検出可能な阻害活性を有さないアナログは、不活性であると示される。値は表3からのものであり、IC50=10-pIC50である場合、pIC50から変換される。エラーバーは、所与のペプチドについて決定された正規分布したIC50のlogのSD値を表す。図19Bは、iPGMオルソログの一部の選択されたアミノ酸配列のアラインメントを示す(配列番号45~49;図14で示す完全なアラインメント)。Ce-2dの5Å以内のiPGM残基はオレンジ色に色付けられている。C.elegans iPGMとE.coli iPGMとの間で同一の残基は黄色に色付けられており、灰色はヒンジ領域を示し、緑色および青色は金属イオンとリガンド結合するアミノ酸である。図19Cは、示された選択側鎖(Tyr3、Pro4、チオエーテル結合、およびC末端Tyr11アミド)を有する、B因子によってスケーリングされたワーム状のα鎖(金色)の描写として示される、Ce-2d大環状分子の5Å以内のC.elegans iPGMの残基(透き通った球の下の水色の鎖)から形成された空洞を示す図である。iPGMのAla334残基が、CPK空間を充填するものとして示される。Ce-2d結合空洞の静電気的表面も示されている。
図19A~19Cは、薬理学的-系統学的なCe-2大環状分子シリーズとiPGMオルソログとの関係の根底にある、構造的基礎を示す一連のパネルである。図19Aは、Ce-2大環状分子トランケーションシリーズのIC50とiPGMオルソログとの間の関係を示すグラフである。検出可能な阻害活性を有さないアナログは、不活性であると示される。値は表3からのものであり、IC50=10-pIC50である場合、pIC50から変換される。エラーバーは、所与のペプチドについて決定された正規分布したIC50のlogのSD値を表す。図19Bは、iPGMオルソログの一部の選択されたアミノ酸配列のアラインメントを示す(配列番号45~49;図14で示す完全なアラインメント)。Ce-2dの5Å以内のiPGM残基はオレンジ色に色付けられている。C.elegans iPGMとE.coli iPGMとの間で同一の残基は黄色に色付けられており、灰色はヒンジ領域を示し、緑色および青色は金属イオンとリガンド結合するアミノ酸である。図19Cは、示された選択側鎖(Tyr3、Pro4、チオエーテル結合、およびC末端Tyr11アミド)を有する、B因子によってスケーリングされたワーム状のα鎖(金色)の描写として示される、Ce-2d大環状分子の5Å以内のC.elegans iPGMの残基(透き通った球の下の水色の鎖)から形成された空洞を示す図である。iPGMのAla334残基が、CPK空間を充填するものとして示される。Ce-2d結合空洞の静電気的表面も示されている。
図19A~19Cは、薬理学的-系統学的なCe-2大環状分子シリーズとiPGMオルソログとの関係の根底にある、構造的基礎を示す一連のパネルである。図19Aは、Ce-2大環状分子トランケーションシリーズのIC50とiPGMオルソログとの間の関係を示すグラフである。検出可能な阻害活性を有さないアナログは、不活性であると示される。値は表3からのものであり、IC50=10-pIC50である場合、pIC50から変換される。エラーバーは、所与のペプチドについて決定された正規分布したIC50のlogのSD値を表す。図19Bは、iPGMオルソログの一部の選択されたアミノ酸配列のアラインメントを示す(配列番号45~49;図14で示す完全なアラインメント)。Ce-2dの5Å以内のiPGM残基はオレンジ色に色付けられている。C.elegans iPGMとE.coli iPGMとの間で同一の残基は黄色に色付けられており、灰色はヒンジ領域を示し、緑色および青色は金属イオンとリガンド結合するアミノ酸である。図19Cは、示された選択側鎖(Tyr3、Pro4、チオエーテル結合、およびC末端Tyr11アミド)を有する、B因子によってスケーリングされたワーム状のα鎖(金色)の描写として示される、Ce-2d大環状分子の5Å以内のC.elegans iPGMの残基(透き通った球の下の水色の鎖)から形成された空洞を示す図である。iPGMのAla334残基が、CPK空間を充填するものとして示される。Ce-2d結合空洞の静電気的表面も示されている。
図20Aおよび20Bは、Ce-2d上へのCe-2のC末端残基のモデリングを示す一対の図である。図20Aは、環状ペプチドの5Å以内の残基から形成されたC.elegans iPGM残基(透き通った球)の空洞内の、B因子によってスケーリングされたワーム状のα鎖(金色)の描写として、Ce-2d大環状分子を示す。Ce-2のC末端残基-Gly12-Thr13-Cys14-Gly15を、iPGM・Ce-2d複合体上にモデリングし、Ce-2dから延びる黄褐色の棒として示す。結合空洞の静電気的表面も示す。図20Bは、CPKモデルを使用する、Ce-2のファンデルワールス半径を示す。Cys14スルフヒドリルは黄色で示されている。
図21は、Ce-2dコア構造に基づく、例示的な環状iPGM阻害剤ペプチドおよびアナログを示す概略図である。
図22Aおよび22Bは、様々な濃度の3-PG基質にわたって試験したCe-2(右)およびCe-2d(左)についての濃度応答曲線(図22A)およびIC50の変動(図22B)を示す一連のプロットである。連続的なNADH依存性の吸光度アッセイによって測定された基質添加後の15分。使用したC.elegans iPGM濃度は、Ce-2およびCe-2dでそれぞれ約5および約15nMであった。吸光度値を酵素なし対照に対して正規化し、IC50値を推定する目的で、4パラメータロジスティックフィットを使用して、GraphPad Prismにおいてプロットした。エラーバーは、4回の反復の標準偏差を表す。この研究において計算した場合、3-PGのKM=200μM。
図22Aおよび22Bは、様々な濃度の3-PG基質にわたって試験したCe-2(右)およびCe-2d(左)についての濃度応答曲線(図22A)およびIC50の変動(図22B)を示す一連のプロットである。連続的なNADH依存性の吸光度アッセイによって測定された基質添加後の15分。使用したC.elegans iPGM濃度は、Ce-2およびCe-2dでそれぞれ約5および約15nMであった。吸光度値を酵素なし対照に対して正規化し、IC50値を推定する目的で、4パラメータロジスティックフィットを使用して、GraphPad Prismにおいてプロットした。エラーバーは、4回の反復の標準偏差を表す。この研究において計算した場合、3-PGのKM=200μM。
図23A~23Cは、C.elegans培養アッセイにおけるCe-2およびCe-2dのin vivoでの活性を示す一連のグラフである。L1期のC.elegansを、5μM(図23A)または10μM(図23B)のCe-2またはCe-2dに1、2、および7日間曝露した。L4期のC.elegansを、50μMのCe-2、50μMのCe-2d、またはDMSOに曝露した(図23C)。データは、3組の試料の平均±s.d.を表す。
図23A~23Cは、C.elegans培養アッセイにおけるCe-2およびCe-2dのin vivoでの活性を示す一連のグラフである。L1期のC.elegansを、5μM(図23A)または10μM(図23B)のCe-2またはCe-2dに1、2、および7日間曝露した。L4期のC.elegansを、50μMのCe-2、50μMのCe-2d、またはDMSOに曝露した(図23C)。データは、3組の試料の平均±s.d.を表す。
配列表
本明細書および添付の配列表において提供される核酸配列およびアミノ酸配列は、37 C.F.R.1.822において定義される、ヌクレオチド塩基およびアミノ酸についての標準的な文字略記を使用して示される。各核酸配列の一方の鎖のみが示されるが、相補鎖は、いかなる参照によっても、提示される鎖に含まれることが理解される。
配列番号1~4は、C.elegans iPGMでのRaPIDスクリーニングで同定された環状ペプチドのアミノ酸配列である。
配列番号5および6は、配列番号2に基づく、修飾された環状ペプチドのアミノ酸配列である。
配列番号7~9は、配列番号2に基づく、直鎖状ペプチドのアミノ酸配列である。
配列番号10~16は、B.malayi iPGMでのRaPIDスクリーニングで同定された環状ペプチドのアミノ酸配列である。
配列番号17~22は、配列番号2に基づく、修飾された環状ペプチドのアミノ酸配列である。
配列番号23~29は、B.malayi iPGMに対するRaPID選択によって同定された核酸配列である。
配列番号30~44は、C.elegans iPGMに対するRaPID選択によって同定された核酸配列である。
配列番号45~53は、iPGMオルソログのアミノ酸配列である。
配列番号54~69は、配列番号2に基づく、さらなる修飾された環状ペプチドのアミノ酸配列である。
詳細な説明
線虫の生存に必須であるがヒトには存在しない酵素が、介入のための潜在的な標的となる。必須の線虫遺伝子は、自由生活性線虫であるCaenorhabditis elegansの比較ゲノム研究を使用して同定されている。その結果、フィラリア寄生虫におけるいくつかの新規な薬物標的が提案されている。最高位のものには、補因子非依存性ホスホグリセリン酸ムターゼ(iPGM)(EC 5.4.2.1)がある。C.elegansおよびB.malayiにおけるipgmをサイレンシングすると、線虫は死亡し(Zhangら、J. Biol. Chem. 279巻:37185~37190頁、2004年;Singhら、Infect. Dis. Poverty 2巻:5頁、2013年)、このことは、線虫の生存能力におけるこの酵素の重要性、したがって、駆虫薬標的としてのその潜在性を実証している。
PGMは、解糖経路および糖新生経路における2-および3-ホスホグリセレート(PG)の相互変換を触媒する。これらの経路は異なる生物の間で高度に保存されているが、2つの明確に異なるPGMアイソエンザイム、すなわち、iPGMおよび補因子依存性ホスホグリセリン酸ムターゼ(dPGM)が存在することは公知である。酵素はアミノ酸配列類似性を有さず、その触媒メカニズムは異なる。iPGMはおよそ510のアミノ酸から構成され、ホスホセリン中間体を経るモノホスホグリセレート上へのホスホリル基の分子内移動を触媒し、線虫における唯一のPGMである(Jedrzejasら、EMBO J. 19巻:1419~1431頁、2000年;Jedrzejasら、J. Biol. Chem. 275巻:23146~23153頁、2000年)。逆に、dPGMは、およそ250のアミノ酸から構成される、ヒトにおける酵素の形態であり、ホスホリルヒスチジン中間体を経るモノホスホグリセレートと補因子(2,3-ジホスホグリセレート)との間のホスホリル基の分子間移動を触媒する(Rigdenら、J. Mol. Biol. 315巻:1129~1143頁、2002年)。PGMの2つの形態は、明確に異なるアイソザイムであるが、各アイソザイムファミリーのアミノ酸配列は、存在する場合、細菌から高等真核生物まで保存されている(Jedrzejasら、Prog. Biophys. Mol. Biol. 73巻:263~287頁、2000年)。iPGM酵素およびdPGM酵素の完全に異なる構造および触媒メカニズムは、線虫酵素に対する高い選択性を有する阻害剤の発見のために非常に有望である。さらに、iPGMの間の一次配列および触媒特性における高い類似性は、単一の阻害剤が様々な寄生生物および微生物の酵素に対して効果的であり得ることを示す。しかし、iPGMは、「ドラッガブルでない(undruggable)」とみなされており、それは、ハイスループットスクリーニング(HTS)では、これまで、この酵素の効力の弱い阻害剤が2つしか同定されていないためである(Crowtherら、PLoS Neglected Tropical Diseases 8巻:e2628頁、2014年)。
本明細書では、iPGMに対する強力かつアイソザイム選択的な阻害を示す一連の環状ペプチドおよびアナログが開示される。開示されるiPGM阻害剤の同定は、「ドラッガブルでない」というこの標的の呼称を覆し、新規な抗微生物治療薬を提供する。本明細書において一部の場合では「イプグリセルミド(ipglycermide)」と呼ばれる親ペプチドは、そのそれぞれが同族のmRNA鋳型上に提示される、一兆個の環状ペプチドメンバーを含有するライブラリーから同定された。これらのペプチドは、固有のラリアット構造を有する。一部の例では、環ペプチドは、チオエーテル結合によって閉じられている、その1つがD-チロシンである8つのアミノ酸残基からなり、テールペプチドは、C末端領域の、その1つがL-システイン(Cys)である7つの残基からなる。構造-活性関係の研究によって、環ペプチドがiPGMオルソログへの結合に関与する一方で、テールペプチド領域は阻害的薬理学の性質およびオルソログ選択性に関与することが明らかになった。
I.略記
dPGM 補因子依存性ホスホグリセリン酸ムターゼ
GEMBE グラジエント溶離移動境界キャピラリー電気泳動
HTS ハイスループットスクリーニング
iPGM 補因子非依存性ホスホグリセリン酸ムターゼ
PEP ホスホエノールピルビン酸
PG ホスホグリセレート
PGM ホスホグリセリン酸ムターゼ
PK ピルビン酸キナーゼ
RaPID ランダムな非標準的ペプチド組み込みによる発見
II.用語
別段の記載がない限り、技術用語は、従来の使用法に従って使用される。分子生物学における一般用語の定義は、Oxford University Pressによって発行されたBenjamin Lewin、Genes VII、2000年(ISBN019879276X);Blackwell Publishersによって発行されたKendrewら(編)、The Encyclopedia of Molecular Biology、1994年(ISBN0632021829);および、Wiley, John & Sons, Inc. によって発行されたRobert A. Meyers(編)、Molecular Biology and Biotechnology: a Comprehensive Desk Reference、1995年(ISBN0471186341);および他の類似の参考文献において見出すことができる。
別段の説明がない限り、本明細書において使用される全ての技術および科学用語は、本開示が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるものと同一の意味を有する。単数形の用語「a」、「an」、および「the」は、文脈から別段のことが明らかに示されない限り、複数形の指示対象を含む。同様に、語「または」は、文脈から別段のことが明らかに示されない限り、「および」を含むものとする。したがって、「AまたはBを含む」は、A、またはB、またはAおよびBを含むことを意味する。さらに、核酸またはポリペプチドについて与えられた全ての塩基サイズまたはアミノ酸サイズおよび全ての分子量または分子質量の値は近似値であり、説明のために提供されることを理解されたい。本明細書において記載されるものに類似のまたは等しい方法および材料を、本開示の実施または試験において使用することができるが、適切な方法および材料は以下に記載される。本明細書において言及される全ての刊行物、特許出願、特許、および他の参考文献は、参照によってその全体が組み込まれる。データベースの受託番号を伴う配列または構造は、別段の記載がない限り、示されたデータベースに2016年8月11日の時点で存在するものとして、参照によって本明細書に組み込まれる。矛盾が生じる場合、用語の説明を含み、本明細書が優先される。さらに、材料、方法、および実施例は例示的なものにすぎず、限定することを意図したものではない。
本開示の様々な実施形態の概説を容易にするために、以下に具体的な用語の説明を提供する。
アナログまたは誘導体:開示されるペプチドと1つまたは複数の位置で異なる化合物。アナログには、例えば、化学構造における増加(アルキル鎖の長さの違いなど)、分子断片、1つもしくは複数の官能基によって異なる構造、またはイオン化の変化によって異なる、親化合物と化学構造が異なる分子が含まれる。誘導体には、例えば1つの原子または原子群が別の原子または原子群で置き換えられている場合、親構造に由来する生物学的に活性な分子が含まれる。
環状ペプチド:少なくとも一部分が環構造を形成するペプチド。一部の例では、環状ペプチドは完全に環状であり、例えば、ヘッドトゥーテールの環化を有する。他の例では、環状ペプチドは、例えば側鎖とN末端、側鎖とC末端、側鎖と側鎖、または骨格と骨格とでの環化によって形成される、環構造および直鎖状ペプチド構造の両方を含む。特定の非限定的な例では、環状ペプチドは、N末端の環構造(例えば、側鎖とN末端とでの環化によって形成される)およびC末端の直鎖状部分(「テール」とも呼ばれる)を含む。
有効量:所望の効果を達成するために十分な特定の作用物質(agent)の分量、例えば、実質的な細胞毒性作用を被験体において引き起こすことなく疾患を阻害または処置するために十分な作用物質の量。例えば、これは、例えば微生物(寄生虫または細菌など)による感染、微生物の症候、または微生物の伝染を低減させるために有用な、iPGM阻害剤の量であり得る。
疾患を阻害または処置すること:「阻害すること」は、例えば疾患のリスクがある被験体において、疾患、障害、または状態の完全な発症を低減または遅延させる(またはさらには予防する)ことを指す。「処置」は、疾患または病態が発症し始めた後にその兆候または症候を改善する治療的介入を指す。本明細書において使用される場合、疾患、病態、または症候に関連する用語「改善すること」は、処置の任意の観察可能な有利な効果を指す。有利な効果は、例えば、感染しやすい被験体における疾患の臨床的症候の発病の遅延、疾患の一部のもしくは全ての臨床的症候の重症度の低減、疾患の進行の減速、疾患の再発数の低減、被験体の全体的な健康もしくは良好な状態の向上、または、当業者に公知の、特定の疾患に特異的な他のパラメータによって、証明することができる。
単離された:「単離された」生体構成成分(核酸、タンパク質、ペプチド、または病原体など)は、他の生体構成成分(細胞残屑、または他のタンパク質もしくは核酸など)から実質的に分離または精製されている。「単離されて」いる生体構成成分には、標準的な精製方法によって精製されたこれらの生体構成成分が含まれる。用語はまた、組換え核酸、ペプチド、または病原体、および化学合成された核酸またはペプチドも包含する。用語「単離された」(または「富化された」または「精製された」)は、完全に純粋である必要はなく、少なくとも50%単離された、例えば、少なくとも75%、80%、90%、95%、98%、99%、またはさらには100%単離された分子(ペプチドなど)を含み得る。
微生物:顕微鏡を介してのみ見ることができる生物。微生物には、細菌、原生動物、藻類、および真菌、ならびに顕微鏡的な多細胞生物、例えば線虫が含まれる。
線虫:回虫(roundworm)と一般に呼ばれる、Nematoda門のメンバー。線虫には、自由生活性種(土壌線虫であるC.elegansなど)および寄生性種が含まれる。ヒトに寄生する種には、回虫(ascarid)(例えば、Ascaris lubricoides)、フィラリア、鉤虫(例えば、Ancylostoma duodenaleまたはNecator americanus)、ぎょう虫、および鞭虫が含まれる。例示的な種には、ヒトにおいてリンパ浮腫、水瘤、および極端な場合、象皮症を引き起こす、Brugia malayi、Wuchereria bancrofti、およびBrugia timoriが含まれる。Onchocerca volvulusは、オンコセルカ症(「河川盲目症」)および重度の皮膚炎を引き起こす。寄生性線虫はまた、イヌおよびネコ(例えば、Dirofilaria immitis、イヌ糸状虫)、ブタ(Trichinella spiralis)、およびヒツジ(例えば、Haemonchus contortus)を含む伴侶動物および家畜にも感染する。昆虫および植物に寄生する線虫種も存在する。
薬学的に許容される担体:本開示において有用な薬学的に許容される担体(ビヒクル)は、従来の通りである。Remington: The Science and Practice of Pharmacy、The University of the Sciences in Philadelphia、Lippincott, Williams, & Wilkins編、Philadelphia、PA、第21版(2005年)は、単独のまたは追加の医薬品と組み合わせた1つまたは複数のiPGM阻害剤ペプチドなどの1つまたは複数の治療用化合物または分子の薬学的送達に適した組成物および製剤を記載している。
一般に、担体の性質は、用いられる特定の投与様式に依存する。例えば、非経口製剤は通常、水、生理食塩水、平衡塩溶液、水性デキストロース、グリセロールなどの薬学的および生理学的に許容される流体を含む注射可能な流体を、ビヒクルとして含む。固体組成物(例えば、粉剤・散剤(powder)、丸剤、錠剤、またはカプセル剤の形態)では、従来の無毒の固体担体には、例えば、医薬グレードのマンニトール、ラクトース、デンプン、またはステアリン酸マグネシウムが含まれ得る。生物学的に中性の担体に加えて、投与する医薬組成物は、微量の無毒の補助物質、例えば、湿潤剤または乳化剤、防腐剤、およびpH緩衝剤など、例えば酢酸ナトリウムまたはソルビタンモノラウレートを含有し得る。
ホスホグリセリン酸ムターゼ(PGM):3-ホスホグリセレートから2-ホスホグリセレートへの可逆的変換を触媒する酵素。2つのクラスのPGMが存在する。補因子非依存性PGM(iPGM)(EC5.4.2.12)および補因子依存性PGM(dPGM)(EC5.4.2.11)。iPGMは、限定はしないが、植物、藻類、真菌、線虫、および一部の細菌(一部のグラム陽性細菌など)を含む生物において見出される。この酵素は、ホスホセリン中間体を経る2-PGおよび3-PGの異性化を触媒する。dPGMは、限定はしないが、脊椎動物、軟体動物、甲殻類、昆虫、藻類、真菌、および一部の細菌(一部のグラム陰性細菌など)を含む生物において見出される。dPGMは、ホスホヒスチジン中間体を経る2-PGおよび3-PGの異性化を触媒する。
PGMの核酸配列およびアミノ酸配列は、公開されている。例示的なPGMアミノ酸配列には、GenBankに2016年8月11日の時点で存在するものとして、その全てが参照によって本明細書に組み込まれる、GenBank受託番号NP_871851(Caenorhabditis elegans)、AAQ97626(Brugia malayi)、AAV33247(Onchocerca volvulus)、AEA91534(Dirofilaria immitis)、NP_002620(H.sapiens)、ならびにP37689およびP62707(E.coli)が含まれる。当業者であれば、さらなるPGM配列およびそのバリアントを同定することができる。
被験体:生存する、例えば哺乳動物および鳥類を含むカテゴリーである多細胞脊椎動物の生物。哺乳動物という用語には、ヒトおよび非ヒト哺乳動物の両方が含まれる。同様に、用語「被験体」には、ヒトおよび獣医学または実験室用の被験体の両方、例えば、ヒト、非ヒト霊長類、マウス、ラット、イヌ、ネコ、ヒツジ、ブタ、ウマ、およびウシ(cow)が含まれる。
III.PGMのペプチド阻害剤
本明細書では、PGM(例えば、iPGM)の活性を阻害するペプチドが開示される。一部の例では、ペプチドは、dPGMと比較してiPGMの活性を選択的にまたは特異的に阻害する。一部の例では、iPGMを選択的にまたは特異的に阻害する(例えば、その活性を低下させる)作用物質は、iPGMの活性を低下させるがdPGMの活性は実質的に低下させない化合物である。例えば、選択的なiPGM阻害剤は、iPGMの活性を低下させ得るが、dPGMに対しては如何なる評価可能な活性も示し得ない。他の例では、iPGMの選択的阻害剤は、それがdPGMの活性を低下させるよりも、iPGMの活性を少なくとも2倍高く(例えば、少なくとも5倍高く、少なくとも10倍高く、少なくとも20倍高く、50倍高く、100倍高く、500倍高く、1000倍高く、2000倍高く、5000倍高く、10,000倍高く、またはそれを超えて)低下させる作用物質である。特定の作用物質がiPGMを選択的にまたは特異的に阻害するという決定は、PGM活性を決定するための通常の手順を使用してまたは適合させることにより容易に行うことができる。iPGMおよびdPGMの活性を測定する例示的な方法は、以下の実施例1に記載する。
一部の実施形態では、開示されるペプチドは、iPGMの活性を100μMもしくはそれより低い、例えば、50μMもしくはそれより低い、10μMもしくはそれより低い、5μMもしくはそれより低い、1μMもしくはそれより低い、500nMもしくはそれより低い、100nMもしくはそれより低い、50nMもしくはそれより低い、10nMもしくはそれより低い、5nMもしくはそれより低い、1nMもしくはそれより低い、または100pMもしくはそれより低いIC50で阻害する。他の例では、開示されるペプチドは、iPGMの活性を約1pM~100μM、例えば、約5pM~10nM、約10pM~50nM、約100pM~100nM、約1nM~100nM、約10nM~1μM、約100nM~10μM、または約1μM~100μMのIC50で阻害する。
特定の例では、ペプチドは環状ペプチドである。しかし、一部の例では、iPGM活性を阻害する直鎖状ペプチドもまた本明細書において開示される。一部の実施形態では、ペプチドは、長さが6~20アミノ酸(例えば、長さが、6~15、8~20、または10~20アミノ酸、例えば、長さが、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20アミノ酸)である。一部の例では、iPGM阻害剤ペプチドは、6~15アミノ酸(例えば、7~13、8~12、9~11、または10~15アミノ酸、例えば、6、7、8、9、10、11、12、13、14、または15アミノ酸)の環部分、および1~9アミノ酸(例えば、1~5、2~7、または4~8アミノ酸、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、または9アミノ酸)の直鎖状部分を有する。具体的な非限定的な例では、iPGM阻害剤ペプチドは、8アミノ酸の環状部分、および3~7アミノ酸の直鎖状部分を有する。以下で議論するように、ペプチドのアナログまたは誘導体(修飾されたアミノ酸配列、および/またはN末端、C末端、ペプチド骨格、もしくは側鎖に修飾を有するペプチドなど)もまた、本明細書において開示される。一部の実施形態では、ペプチドまたはそのアナログもしくは誘導体には、薬学的に許容される塩またはエステルが含まれる。
一部の実施形態では、PGM阻害剤は、以下の環状ペプチドを含むかまたはそれらからなる。
他の実施形態では、PGM阻害剤は、以下の直鎖状ペプチドを含むかまたはそれからなる:
YDYPGDYSYLYGTCG(配列番号7)。
本明細書において開示される具体的な例では、環状ペプチドの環部分は、ペプチド内のシステイン残基とN末端のクロロアセチル基との間のチオエーテル結合を形成することによって生成される(例えば、表2、6、8、および9、ならびに図12Aおよび21において示されるように)。しかし、さらなるリンカーを利用して、環状ペプチドを形成することができる。例えば、一部の例では、ペプチドの環部分は、芳香族または脂肪族リンカーを使用して形成される。例えば、ペプチドの環状部分は、1~6炭素鎖などの脂肪族リンカーを使用して形成することができる。他の例では、結合は、芳香族基を含み得る。
さらに、本明細書において開示される具体的な例では、環状ペプチドは、側鎖とN末端とでの環化によって形成される(例えば、表2、6、8、および9、ならびに図12Aおよび21において示されるように)。しかし、当業者には、さらなるタイプの環化(ヘッドトゥーテール、側鎖と側鎖、側鎖とC末端、または骨格と骨格とでの環化など)も環状iPGM阻害剤ペプチドを形成するために利用することができることが認識されよう。
また、本明細書において記載されるものなどのiPGM阻害剤のアナログまたは誘導体も開示される。アナログには、例えば、化学構造における増加(アルキル鎖の長さの違いなど)、分子断片、1つもしくは複数の官能基によって異なる構造、またはイオン化の変化によって異なる、親化合物と化学構造が異なる分子が含まれる。誘導体には、例えば1つの原子または原子群が別の原子または原子群で置き換えられている場合、親構造に由来する生物学的に活性な分子が含まれる。したがって、一部の例では、アナログまたは誘導体には、1つまたは複数のアミノ酸の置換、欠失、および/または付加によって開示されるペプチドと異なる化合物が含まれる。アナログまたは誘導体にはまた、ペプチドのN末端、C末端、ペプチド骨格、および/またはアミノ酸側鎖での1つまたは複数の原子または原子群の1つまたは複数の修飾、例えば、置換、付加、および/または欠失によって開示されるペプチドと異なる化合物も含まれる。さらに、アナログまたは誘導体には、ペプチドの1つまたは複数のアミノ酸の変化と原子または原子群の1つまたは複数の変化の組合せが含まれ得る。
一部の例では、開示されるペプチドのアナログは、ペプチドの環化を可能にする修飾を含む。したがって、非限定的な一例では、アナログは、ペプチド内のシステイン残基へのチオエーテル結合(thioether bond)を経てペプチドの環化を可能にする、N末端アセチル基(例えば、N末端クロロアセチル)を含む。他の例では、ペプチド(配列番号1~22または54~69のいずれか1つなど)は、C末端アミドの修飾を含む。一部の例では、ペプチドは全てL-アミノ酸を含むが、他の例では、アナログは1つまたは複数のD-アミノ酸を含む。特に、非限定的な例では、アナログは、Ce2またはCe-2dなどのD-チロシン(例えば、D-N-クロロアセチルチロシン)を、N末端アミノ酸として含む。
さらに別の例では、開示されるペプチドのアナログには、1つもしくは複数のアミノ酸の置換、1つもしくは複数のアミノ酸の欠失(限定はしないが、トランケーション変異体を含む)、および/または1つもしくは複数のアミノ酸の付加を有するペプチドが含まれる。別の例では、開示されるペプチドの誘導体は、システイン残基(開示されるペプチドのいずれか1つの直鎖状部分におけるシステイン残基など)のスルフヒドリル基の、ヒドロキサム酸、ジケト酸、または金属イオンキレーターでの置換を含む。さらなる例では、ペプチドは、安定性(例えば、タンパク質分解に対する耐性)を増大させるための修飾、例えば、ペプチドの直鎖状部分における1つまたは複数のN-メチルアミドを含む(表9で示すものによって例示される)。さらに別の例では、炭素鎖(1~8炭素鎖など)が、本明細書において開示される環状ペプチドのいずれかのC末端に付加される。さらに別の例では、アミノアルキルチオール(C1~C8アルキルなど)が、本明細書において開示される環状ペプチドのいずれかのC末端に付加される。一部の例では、C末端炭素鎖またはアミノアルキルチオールは、C末端に遊離チオール、アルキルチオエステル(C1~C9)、またはアルキル酸を含む。例示的なアナログを図21に示す。これらは、Ce-2dのコア構造に関して示されたものであるが、対応する修飾を、本明細書において開示されるペプチドのいずれかに行うことができる。修飾または置換の任意の組合せが、本明細書において企図される。
さらなる例では、開示されるペプチドのアナログは、1つまたは複数の(例えば1つ、2つ、3つ、4つ、または5つの)チロシン残基の、4-F-Pheまたは4-MeO-Pheでの置き換えを含む。一部の例では、チロシン残基は、開示されるペプチド(配列番号1など)のTyr1、Tyr3、Tyr9、またはTyr11に対応する。さらなる例では、チロシン残基は、開示されるペプチド(配列番号2など)のTyr7に対応する。本明細書において開示される他のペプチドにおける対応するチロシン残基は、当業者によって同定され得る。他の修飾は、負の電荷を低減させることによって、例えば、Asp2をAsnもしくはHisで置き換えることによって、および/またはアルキルリンカーに第三級アミンなどの正の電荷を含めることによって、分子の塩基度を増大させることを含む。
開示されるペプチドおよびアナログまたは誘導体は、1つまたは複数の薬学的に許容される塩またはエステルの形態であり得る。開示されるペプチドの薬学的に許容される塩には、ナトリウム、カリウム、アルミニウム、カルシウム、リチウム、マグネシウム、亜鉛などの陽イオンから、ならびにアンモニア、エチレンジアミン、N-メチル-グルタミン、リシン、アルギニン、オルニチン、コリン、N,N’-ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、ジエタノールアミン、プロカイン、N-ベンジルフェネチルアミン、ジエチルアミン、ピペラジン、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、およびテトラメチルアンモニウムヒドロキシドなどの塩基から形成されるものが含まれる。塩は、標準的な手順によって、例えば、遊離酸と適切な有機または無機塩基とを反応させることによって、調製することができる。代表的な塩基には、水酸化アンモニウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化第一鉄、水酸化亜鉛、水酸化銅、水酸化アルミニウム、水酸化第二鉄、イソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、エタノールアミン、2-ジメチルアミノエタノール、2-ジエチルアミノエタノール、リシン、アルギニン、およびヒスチジンなどが含まれる。一態様では、反応は、単独のまたは不活性の水混和性有機溶媒と組み合わせた水の中で、約0℃~約100℃の温度で、例えば室温で行われる。使用する化合物のモル比は、任意の特定の塩にとって望ましい比率をもたらすように選択される。一部の例では、ペプチドは、中性の塩を得るために、およそ1当量の薬学的に許容される塩基で処理することができる。薬学的に許容される塩はまた、遊離酸、塩基、および両性イオンの形態も含む。適切な薬学的に許容される塩についての記載は、Handbook of Pharmaceutical Salts, Properties, Selection and Use、Wiley VCH(2002年)で見出すことができる。
薬学的に許容されるエステルには、限定はしないが、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロペンテニル、シクロペンタジエニル、シクロヘキセニル、シクロヘキサジエニル、フェニル、ピリジニル、およびベンジルなどが含まれる。薬学的に許容されるエステルは、例えば、化合物を、適切な量のカルボン酸、エステル、酸塩化物、酸無水物、または、対応する薬学的に許容されるエステルをもたらす混合無水作用物質で処理することによって調製することができる。薬学的に許容されるエステルを調製するために使用することができる典型的な作用物質には、例えば、酢酸、無水酢酸、塩化アセチル、ハロゲン化ベンジル、ベンズアルデヒド、塩化ベンゾイル、メチルエチルアンヒドリド、メチルフェニルアンヒドリド、およびヨウ化メチルなどが含まれる。非限定的な一例では、開示されるペプチドの薬学的に許容されるエステルは、システインエステル(システインアルキルエステル、システインエチルエステル、またはN-アセチルシステインエステルなど)または図21で示すエステルである。
IV.障害を処置または阻害する方法
本明細書では、本明細書において記載されるPGMの阻害剤を使用する、障害(感染など)を処置または阻害する方法が開示される。一部の実施形態では、方法は、iPGMなどのPGMを発現する生物による感染および/またはその生物によって引き起こされる疾患を処置または阻害することを含む。iPGMを発現する生物には、限定はしないが、線虫、真菌、細菌(グラム陽性細菌およびグラム陰性細菌を含む)、トリパノソーマ、原生動物寄生虫、蠕虫、植物、および藻類が含まれる。一部の非限定的な例では、方法は、線虫(限定はしないが、Brugia malayi、Brugia timori、Wuchereria bancrofti、Onchocerca volvulus、Ascaris lubricoides、Ancylostoma duodenale、Necator americanus、Loa loa、Mansonella streptocerca、Mansonella perstans、Mansonella ozzardi、Dirofilaria immitis、Trichinella、Parafilaria bovicola、Onchocerca dermatan、Onchocerca ochengi、Onchocerca dukei、Stenofilaria assamensis、およびParafilaria multipapillosaを含む)による感染を処置または阻害することを含む。他の非限定的な例では、方法は、iPGMを発現するグラム陽性細菌(限定はしないが、Staphylococcus aureus、Streptococcus pneumoniae、およびBacillus anthracisを含む)による感染を処置または阻害することを含む。他の例では、方法は、iPGMを発現する生物、例えば、トリパノソーマ(Trypanosoma bruceiまたはTrypanosoma cruziなど)もしくは原生動物寄生虫(Leishmania mexicana、L.major、L.tropica、L.aethiopica、L.braziliensis、L.donovani、Plasmodium falciparum、P.vivax、P.ovale、P.malariae、またはP.knowlesiなど)、Babesia、またはGiardiaによって引き起こされる感染および/または疾患を処置または阻害することを含む。別の例では、方法は、Escherichia coliを含む、iPGMを発現するグラム陰性細菌による感染を処置または阻害することを含む。一部の例では、感染および/または疾患は、iPGMのみを発現する生物によって引き起こされるが、他の例では、感染および/または疾患は、iPGMおよびdPGMの両方を発現する生物によって引き起こされる。
特定の例では、方法は、被験体に、有効量の、本明細書において開示される1つまたは複数のiPGM阻害剤ペプチドを含む組成物を投与することを含む。一部の例では、被験体は、線虫、蠕虫、トリパノソーマ、原生動物寄生虫、または細菌の1つまたは複数に感染している。特定の例では、被験体は、限定はしないが、リンパ系フィラリア症(例えば、リンパ浮腫、水瘤、および/または象皮症)、皮下フィラリア症(皮膚炎および/または失明など)、または漿膜腔フィラリア症を含む、線虫によって引き起こされる疾患を有する。他の例では、被験体は、心臓フィラリア症(例えばイヌまたはネコにおけるイヌ糸状虫)、寄生虫性の出血性皮膚炎(ウシ(cattle))、皮内オンコセルカ症(onchocercosis)(ウシ)、「夏季出血(summer bleeding)」(ウマ、Parafilaria multipapillosaによって引き起こされる)、または旋毛虫症(trichnosis)を有する。他の例では、被験体は、限定はしないが、アフリカ睡眠病(またはナガナ病、ウシにおける)、シャーガス病、リーシュマニア症、ジアルジア症、バベシア症、またはマラリアを含む、原生動物寄生虫によって引き起こされる疾患を有する。さらに別の例では、被験体は、限定はしないが、Staphylococcus aureus、Bacillus anthracis、またはStreptococcus pneumoniaeによる感染を含む、細菌感染を有する。
一部の実施形態では、被験体は、iPGMの1つまたは複数の環状ペプチド阻害剤、例えば、配列番号1~6、10~22、および54~69のいずれか1つのアミノ酸配列を有する1つもしくは複数の環状ペプチド(例えば、表2、6、8、もしくは9、または図12A~12Bもしくは21に示す環状ペプチドの1つまたは複数)、またはそのアナログもしくは誘導体、またはその薬学的に許容される塩もしくはエステルを含む、有効量の組成物を投与される。他の例では、被験体は、iPGMの1つまたは複数の直鎖状ペプチド阻害剤、例えば、配列番号7~9のアミノ酸配列を有する1つもしくは複数のペプチド、またはそのアナログもしくは誘導体、またはその薬学的に許容される塩もしくはエステルを含む、有効量の組成物を投与される。他の例では、被験体は、本明細書において開示されているものなどの、1つまたは複数の環状ペプチドiPGM阻害剤および1つまたは複数の直鎖状ペプチドiPGM阻害剤を含む、有効量の組成物を投与される。特定の非限定的な例では、被験体は、ペプチドCe-2(N末端とCys8との間での環化を有する配列番号2)、またはそのアナログもしくは誘導体、またはその薬学的に許容される塩もしくはエステルを含む、有効量の組成物を投与される。
開示されるペプチドは、当業者に公知の任意の手段によって、例えば、筋肉内、皮下、腹腔内、または静脈内注射によって投与することができるが、さらに経口、経鼻、または肛門投与も企図される。開示されるペプチドはまた、局所的に、経皮的に、または局部注射によって投与することができる。一部の実施形態では、投与は、経口的、静脈内注射による、または局所的である。ペプチドを、感染を阻害または処置するために利用できる時間を延ばすために、ペプチドは、埋植物(implant)、油性注射として、または微粒子系として提供することができる。微粒子系は、ミクロ粒子、マイクロカプセル、ミクロスフェア、ナノ粒子、ナノカプセル、または類似の粒子であり得る。当業者であれば、ペプチドを被験体に投与する方法を認識している。例えば、Banga、「Parenteral Controlled Delivery of Therapeutic Peptides and Proteins」、Therapeutic Peptides and Proteins、Technomic Publishing Co., Inc.、Lancaster、PA、1995年を参照されたい。
一部の例では、提供されるペプチドは、ヒトまたは動物被験体に投与するための薬学的に許容される担体またはビヒクルと組み合わされる。一部の実施形態では、1つより多くの開示されるペプチド(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、またはそれより多いペプチド)を組み合わせて、単一の調製物を形成することができる。適切な薬学的に許容される担体、ビヒクル、または賦形剤の例には、無菌の水性または非水性の溶液、懸濁液、および/またはエマルジョンが含まれる。非水性溶媒の例には、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブオイルなどの植物油、およびオレイン酸エチルなどの注射可能な有機エステルが含まれる。水性担体には、水、食塩水および緩衝媒体を含むアルコール性/水性の溶液、エマルジョン、または懸濁液が含まれる。非経口ビヒクルには、塩化ナトリウム溶液、リンゲルデキストロース、デキストロースおよび塩化ナトリウム、乳酸リンゲル液、または固定油が含まれる。静脈内のビヒクルには、流体および栄養補充物、および電解質補充物(リンゲルデキストロースに基づくものなど)などが含まれる。例えば、抗微生物剤、抗酸化剤、キレート剤、および不活性ガスなどの、防腐剤および他の添加物もまた存在し得る。
本明細書において提供されるペプチドおよび医薬組成物は、様々な経路、例えば、頬側および舌下を含む経口、直腸、非経口、エアロゾル、経鼻、静脈内、筋肉内、皮下、皮内、および局所的な経路を介して投与することができる。これらは、限定はしないが、溶液、エマルジョンおよび懸濁液、ミクロスフェア、粒子、ミクロ粒子、ナノ粒子、およびリポソームを含む、様々な形態で投与することができる。
別の実施形態では、ペプチドまたは医薬組成物を、処置を必要とするエリアに局部的に投与することが望ましい場合がある。これは、例えば、限定するものではないが、局部的もしくは領域的な注入もしくはかん流、局所的適用、注射、カテーテル、坐剤、または埋植物(例えば、多孔質、非多孔質もしくはゼラチン質の材料、例えば膜、例えばシラスティック(sialastic)膜、または線維から形成された埋植物)などによって達成することができる。
具体的な実施形態では、1つまたは複数の開示されるペプチドは、埋植物にコーティングするまたは浸透させるかのいずれかによって会合させることができる。一例では、埋植物を、部分的にまたは完全にペプチドでコーティングしてよい。ペプチドは、連結剤(linking agent)を含む任意の化学的または機械的な結合または力によって、埋植物に付着させることができる。あるいは、コーティングを、シラン基などを介して表面に直接結合させて(繋いで)もよい。他の例では、埋植物に、当業者に公知の方法によって少なくとも1つのペプチドを浸透させて、埋植物の複数の表面(外表面および内表面など)がペプチドを含むようにしてもよい。さらなる実施形態では、埋植物に、開示されるペプチドに加えて、生物学的利用性をさらに高めるための材料をコーティングするかまたは浸透させてもよい。適切なコーティングの例は、薬物適用コーティング、薬物溶出コーティング、親水性コーティング、または平滑化コーティングである。
一実施形態では、投与は、処置される組織の部位での直接的な注射によるものであり得る。別の実施形態では、医薬組成物は、小胞で、特にリポソームで送達される(例えば、Langer、Science 249巻:1527~1533頁、1990年;Treatら、Liposomes in the Therapy of Infectious Disease and Cancer、Lopez-BeresteinおよびFidler(編)、Liss、N.Y.、353~365頁、1989年を参照されたい)。
さらに別の実施形態では、医薬組成物は、制御放出系で送達することができる。一実施形態では、ポンプを使用することができる(例えば、Langer Science 249巻:1527~1533頁、1990年;Sefton Crit. Rev. Biomed. Eng. 14巻:201~240頁、1987年;Buchwaldら、Surgery 88巻:507~516頁、1980年;Saudekら、N. Engl. J. Med. 321巻:574~579頁、1989年を参照されたい)。別の実施形態では、ポリマー材料を使用することができる(例えば、Rangerら、Macromol. Sci. Rev. Macromol. Chem. 23巻:61~64頁、1983年;Levyら、Science 228巻:190~192頁、1985年;Duringら、Ann. Neurol. 25巻:351~356頁、1989年;およびHowardら、J. Neurosurg. 71巻:105~112頁、1989年を参照されたい)。Langer(Science 249巻:1527~1533頁、1990年)による概説において論じられているものなどの、他の制御放出系もまた、使用することができる。
例えば、錠剤、トローチ剤、舐剤、水性もしくは油性懸濁剤、分散性の粉剤・散剤もしくは顆粒剤、エマルジョン ハードもしくはソフトカプセル剤、またはシロップ剤もしくはエリキシル剤などの、経口使用のための医薬組成物もまた製剤化することができる。このような組成物は、医薬組成物を製造するための当技術分野で公知の標準的な方法に従って調製することができ、薬学的に優れた、かつ味の良い調製物を提供するために、甘味剤、香味剤、着色剤、および保存剤の群から選択される1つまたは複数の作用物質を含有し得る。錠剤は、例えば、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、ラクトース、リン酸カルシウム、またはリン酸ナトリウムなどの不活性希釈剤;トウモロコシデンプンまたはアルギン酸などの顆粒化剤および崩壊剤;デンプン、ゼラチン、またはアカシアなどの結合剤;およびステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、またはタルクなどの滑沢剤を含む、適切な無毒の薬学的に許容される賦形剤と混ぜられた活性成分を含有する。錠剤はコーティングされていなくてよく、または錠剤は、消化管における崩壊および吸収を遅延させ、それによってより長い期間にわたって作用を持続させるために、公知の技術によってコーティングすることができる。例えば、モノステアリン酸グリセリルまたはジステアリン酸グリセリルなどの時間遅延材料を用いることができる。経口使用のための医薬組成物はまた、活性成分が不活性固体希釈剤、例えば、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、またはカオリンと混合された、ハードゼラチンカプセル剤として、あるいは、活性成分が水、またはピーナッツ油、液体パラフィン、もしくはオリーブオイルなどの油性媒体と混合された、ソフトゼラチンカプセル剤として提示され得る。
ペプチドは、単位剤形として都合よく提示し、従来の薬学的技術を使用して調製することができる。このような技術は、活性成分と薬学的担体(複数種可)または賦形剤(複数種可)とを組み合わせる(bringing into association)ステップを含む。一般に、製剤は、活性成分と液体担体とを均一かつ密接に組み合わせることによって調製される。非経口投与に適した製剤は、抗酸化剤、緩衝剤、静菌剤、および/または製剤を意図するレシピエントの血液と等張にする溶質を含有し得る、水性および非水性の無菌の注射液剤;ならびに、懸濁化剤および増粘剤を含み得る水性および非水性の無菌の懸濁剤を含む。製剤は、単位用量または複数回用量の容器、例えば、密封されたアンプルおよびバイアル中で提供してもよく、また、使用の直前に無菌の液体担体、例えば注射用水の添加のみを要する、フリーズドライの(凍結乾燥された)状態で保管することができる。注射液剤および懸濁剤は、当業者によって一般的に使用される無菌の粉末、顆粒、および錠剤から調製することができる。
ある特定の実施形態では、単位投薬量の製剤は、投与される成分の一用量もしくは一単位、または適切なその分割を含有するものである。上記で特に言及した成分に加えて、本明細書に包含される製剤が当業者によって一般的に使用される他の作用物質を含み得ることを理解されたい。
有効となるペプチド(複数種可)の量は、処置される障害または状態の性質、および障害または状態のステージに依存する。有効量は、標準的な臨床的技術によって決定することができる。製剤において用いられる正確なペプチド(複数種可)の用量はまた、投与経路にも依存し、健康管理医の判断および各被験体の状況に従って決定されるべきである。このような投薬量範囲の例は、単回または分割用量で1μg/kg~200mg/kg体重(例えば、約5μg/kg~1mg/kg、約10μg/kg~5mg/kg、約100μg/kg~20mg/kg、約0.2~100mg/kg、約0.5~50mg/kg、約1~25mg/kg、約5~75mg/kg、約50~150mg/kg、または約100~200mg/kg)である。投薬量範囲の別の例は、単回または分割用量で1μg/kg~100mg/kg体重(例えば、約1~100μg/kg、10μg/kg~1mg/kg、100μg/kg~5mg/kg、1~10mg/kg、約5~25mg/kg、約20~50mg/kg、約40~80mg/kg、または約60~100mg/kg)である。例えば、適切な用量は、約0.1mg/kg、約0.2mg/kg、約0.5mg/kg、約0.75mg/kg、約1mg/kg、約2mg/kg、約5mg/kg、約7.5mg/kg、約10mg/kg、約15mg/kg、約25mg/kg、約50mg/kg、約75mg/kg、または約100mg/kgである。単位剤形もまた可能であり、例えば、用量当たり0.01mg、0.05mg、0.1mg、0.25mg、0.5mg、1mg、2mg、5mg、10mg、15mg、20mg、25mg、50mg、100mg、150mg、200mg、500mg、または最大1000mgである。しかし、より高いまたはより低い他の投薬量もまた使用することができ、それはin vitroおよび/またはin vivoでの試験によって決定することができる。
任意の特定の被験体に対する投薬の具体的な用量レベルおよび頻度は変化し得、具体的な化合物の活性、その化合物の代謝の安定性および作用の長さ、処置される特定の疾患または障害、年齢、体重、全体的健康、性別、食事、投与の様式および時間、排泄速度、ならびに/または投与される任意の薬物の組合せを含む、様々な因子に依存する。処置は、数日間または数週間から数ヶ月、またはさらには数年の期間にわたる、化合物(複数種可)の毎日もしくは毎日複数回、毎週、隔月、または毎月の用量を必要とし得る。
本開示の医薬組成物は、処置期間の全体にわたってほぼ同一の用量で、漸増用量レジメンで、または負荷用量投薬計画(regime)(例えば、負荷用量が維持用量の約2~5倍である投薬計画)で投与することができる。一部の実施形態では、用量は、処置の途中で、処置される被験体の状態、疾患もしくは状態の重症度、療法に対する見かけの応答、および/または当業者によって判断される他の因子に基づいて変更される。
開示されるペプチドは、単独で、または記載された状態を処置するために使用される他の組成物もしくは薬物との組合せ療法で使用することができる。このような組合せ療法には、限定はしないが、関与する薬物の同時のまたは逐次的な投与が含まれる。例えば、線虫の処置では、ペプチド製剤は、現在使用されている抗フィラリア療法、例えば、ジエチルカルバマジン、アルベンダゾール、レバミゾール、ドキシサイクリン、および/またはイベルメクチンの任意の1つまたは複数と組み合わせて投与することができる。同様に、細菌感染の処置では、ペプチド製剤は、1つまたは複数の抗生物質と組み合わせて投与することができる。当業者であれば、処置される感染または疾患に基づいて適切な組合せ療法を同定することができる。
以下の実施例は、ある特定の特色および/または実施形態を説明するために提供される。これらの実施例は、本開示を記載される特定の特色または実施形態に限定するものと解釈されるべきではない。
(実施例1)
材料および方法
PGM酵素の調製:全てのPGM酵素をpET21a(+)内にクローニングし、Escherichia coli株C2566/T7 Express(fhuA2 lacZ::T7 gene1[lon]ompT gal sulA11 R(mcr-73::miniTn10--TetS)2[dcm]R(zgb-210::Tn10--TetS)endA1 Δ(mcrC-mrr)114::IS10)(New England Biolabs)内で発現させ、以前に記載されているように発現させ、精製した(Raverdyら、Mol. Biochem. Parasitol. 156巻:210~216頁、2007年;Zhangら、J. Biol. Chem. 279巻:37185~37190頁、2004年)。簡潔に述べると、可溶性の組換えiPGMを産生するための最適な条件は、37℃での0.6OD600までの培養物の成長、0.1mMのIPTGでの、16℃での一晩の誘導を伴うものであった。Hisタグ付けされたタンパク質を、5mlのHiTrap(商標)キレート化HPカラム(GE Healthcare、Pittsburgh、PA)上で、AKTA FPLCを製造者の指示に従って使用して、精製した。試料を適用した後、カラムを5カラム容積の緩衝液A(20mMのNaPO4、300mMのNaCl、10mMのイミダゾール、pH7.4)で、その後、10カラム容積の92%緩衝液A:8%緩衝液B(20mMのNaPO4、300mMのNaCl、400mMのイミダゾール、pH7.4)で洗浄した。次いで、タンパク質を40~400mMのイミダゾールに等しい直線勾配(8~100%)の緩衝液Bを使用して溶離した。
iPGM-His6Xを含有する画分をプールし、透析緩衝液(40mMのトリス-HCl、200mMのNaCl、および50%グリセロール、pH7.5)に対して透析し、使用するまで-20℃で保管した。タンパク質の純度を、4~20%SDS-PAGEによって推定し、タンパク質濃度を、ブラッドフォードアッセイを使用して決定した。タンパク質濃度は、10mg/mlまたはそれより高かった。
この研究において使用したPGMをコードする配列は、以下のNCBI(GenBank)受託番号を有する。GenBankに2016年8月11日の時点で存在するものとして、その全てが参照によって本明細書に組み込まれる、C.elegans iPGM、ロングフォーム、NP_871851.1;C.elegans iPGM、ショートフォーム、NP_491896.1;B.malayi iPGM AAQ97626.1;O.volvulus iPGM、AAV33247.1;Dirofilaria immitis iPGM、AEA91534.1;Homo sapiens dPGM、NP_002620.1;E.coli iPGM、P37689.1;およびE.coli dPGM、P62707.2。
iPGMおよびdPGMのアッセイ:ホスホグリセリン酸ムターゼ活性を、連続的なまたはエンドポイントのアウトプットアッセイとしてのいずれかで測定した。連続的なアッセイは、この研究において使用されるPGMのオルソログおよびアイソザイムのために1536ウェルマイクロタイタープレートフォーマットにここでは適合させた、C.elegansおよびB.malayi iPGMについて以前に記載されているような(Zhangら、J. Biol. Chem. 279巻:37185~37190頁、2004年;Whiteら、Eur. J. Biochem. 207巻:709~714頁、1992年)一連の共役酵素を介して供給されるピルベートを使用して340nmの吸光度でモニタリングされる、NADHの乳酸デヒドロゲナーゼ酸化に基づくものであった。連続的なアッセイから決定された初速度の条件を使用して、阻害剤を評価するためのPGMプロファイリングパネルのためにエンドポイント生物発光アッセイフォーマットを較正した。
1536ウェルフォーマットのカイネティックアッセイ:簡潔に述べると、解糖性PGM触媒による3-ホスホグリセレート(3-PG)から2-ホスホグリセレート(2-PG)への順方向変換を、共役酵素反応を経るNADHの消費をモニタリングすることによって間接的に測定した。4μLのそれぞれのPGM酵素を、底が透明の黒色1536ウェルプレート(カタログ番号789092-F、Greiner Bio-One North America)内、pH8.0のアッセイ緩衝液中に、BioRaptr(商標)FRDマイクロ流体ワークステーション(Beckman Coulter、Brea、CA)で分配して、最終濃度を30mMのトリス-HCl、5mMのMgSO4、20mMのKCl、および0.08%BSAとした。2μlの3-PG基質を、共役酵素アッセイ緩衝液中の各酵素溶液に、BioRaptr(商標)FRDを使用して添加し、最終アッセイ濃度を3mMのADP、500μMのNADH、0.3単位のエノラーゼ、0.3単位のピルビン酸キナーゼ、および0.3単位の乳酸デヒドロゲナーゼとした。いくつかのPGMについての3-PGの見かけのKmを確認するために、4μLのB.malayi iPGM酵素、C.elegans iPGM酵素、またはH.sapiens dPGM酵素を上記のように分配し、最終濃度をpH8.0のアッセイ緩衝液中1nMとした。2μlの、0.083~2.0mMの範囲の3-PG基質の11ポイント滴定シリーズを、共役酵素アッセイ緩衝液中の各酵素溶液に添加した。60分の時間経過を、図1Aで示すように、各酵素-基質溶液について、340nmの吸光度で、Infinite(登録商標)M1000 PROマイクロプレートリーダー(Tecan Group Ltd)で読み取った。NADHの消費を、GraphPad Prismソフトウェア(GraphPad Software,Inc.)で、酵素-基質滴定のそれぞれについて時間(秒)に対する吸光度(340nm)としてプロットし、各基質濃度についての線形相の傾きを、それぞれの酵素について計算した(図1B)。各酵素-基質反応についての初速度(vi)を決定し、モル基質濃度に対してプロットして、ミカエリス-メンテン(Menton)曲線を作成し、一方、速度およびモル基質濃度の逆数を、GraphPad Prismでラインウィーバー-バークグラフとして再プロットし、見かけのKm値を、各それぞれの酵素について推定した。
1536ウェルフォーマットの発光アッセイ:ピルビン酸キナーゼ(PK)によって触媒されるホスホエノールピルベート(PEP)からピルベートへの変換から生じるATPを、PGM酵素パネルの発光出力を設定するために利用した。最終濃度が1~5nMの範囲の、様々な濃度のB.malayi iPGM酵素、C.elegans iPGM酵素、およびH.sapiens dPGM酵素を、BioRaptr(商標)FRDワークステーションを使用して、1536ウェル白色/ソリッドボトムプレート(カタログ番号789173-F、Greiner Bio-One North America)のそれぞれのウェル内の、全容積が4μlの上記のアッセイ緩衝液中に分配した。推定されたKm濃度で調製された2μlの3-PG基質溶液を、上記のように各酵素溶液に添加し、最終アッセイ濃度を0.4mMの3-PG、3mMのADP、0.3単位のエノラーゼ、および0.3単位のPKとした。酵素-基質溶液を室温で5分間インキュベートし、4μlのKinase-Glo(登録商標)Plus試薬(Promega Corporation、Madison、WI)を、BioRaptr(商標)FRDワークステーションで各反応物に添加し、プレートを室温で10分間、光から保護しながらインキュベートし、ルシフェラーゼに基づくATP検出の読み出しを、ViewLux(登録商標)プレートリーダー(PerkinElmer、Waltham、MA)によって測定した。PGM酵素選択性パネルをさらなるPGMに拡張するため、O.volvulus iPGM酵素、D.immitis iPGM酵素、E.coli iPGM酵素、およびE.coli dPGM酵素の発光測定値を、0.4mmol/Lの基質の存在下で1~20nMから滴定された各酵素について、上記のように測定した。パネル全体の比較的等価な発光RLUを生じた各PGMについての酵素濃度を、大環状ペプチドおよびペプチドアナログのプロファイリングのために選択した。
ピルビン酸キナーゼ(PK)共役酵素を、酵素パネルにおけるさらなる特異性対照として含めた。0.3単位(約930nM)または0.15単位(約460nM)のPK濃度を、先に記載したように、全容積が4μlの上記アッセイ緩衝液中で、1536ウェルの白色/ソリッドボトムプレートのそれぞれのウェルに分配した。3-PG基質に等しい濃度で調製された2μlのPEP基質溶液を、上記のようにPK酵素溶液に添加し、最終アッセイ濃度を0.4mMのPEPおよび3mMのADPとした。このアッセイのプロファイルのためのプロトコールを表1に示す。
SPPS環状ペプチドを、7つの酵素のPGMパネル全体のバックグラウンドに対してロバストかつ均一なシグナルをもたらすように設計された、表1に記載する初期アッセイ条件下で試験した。濃度応答曲線(CRC)を、4または5パラメータのHillの方程式(以下)を使用してフィットさせた。モデルの選択を、各オルソログ条件に対するextra-sum-of-squares F検定によって決定した。環状ペプチドの大部分は双曲線応答を示し、急なHill勾配を有するかまたは5パラメータフィットを要するものを、より低いiPGM濃度を用いるアッセイ条件で再評価した。
5パラメータのHillの方程式:
式中、
式中、S0はゼロ濃度でのシグナルであり、Smaxは無限濃度でのシグナルであり、nはHill勾配であり、LogEC
50は最大半量シグナルでの濃度のlogであり、Xは濃度のlogであり、Sは非対称パラメータである。
C.elegans iPGMの滴定:1536ウェルフォーマットの発光アッセイ(上記)を、Ce-2のIC50に対する酵素濃度を評価するために適合させた。10nM~50pMの濃度範囲のC.elegans iPGMを、最終濃度が3.83μM~0.27pMのCe-2の16ポイント1:3希釈にわたって試験し、一方、1μM~50nMの酵素濃度範囲を、最終濃度が3.83μM~117pMのCe-2の16ポイント1:2希釈にわたって試験した。1nM~50pMのC.elegans iPGMの濃度を、0.4mMの3PG基質溶液と15分間、室温でインキュベートし、標準的なアッセイ設定(1秒曝露、中ゲイン、低速、2×ビニング)のViewLuxプレートリーダーで読み取った。100nM~5nMの酵素濃度を、0.4mの3PG基質溶液と5分間、室温でインキュベートし、標準的なアッセイ設定のViewLuxで読み取った。500nMおよび1μMの酵素濃度を、基質と5分間、上記のようにインキュベートしたが、ViewLuxプレートリーダーの設定は、曝露過度をなくすために低減させた(1秒曝露、中ゲイン、中速、2×ビニング)。アッセイでは、16ポイント化合物分配プレートからの23nLのペプチド滴定シリーズを、1536ピンツール(Wako)を使用して1536ウェルアッセイプレート(カタログ番号789092-F、Greiner Bio-One North America)に同時に移し、最終濃度範囲を3.8μM~0.27pMとした。
グラジエント溶離移動境界電気泳動(GEMBE):GEMBEを、基質ならびに生成物である2-PGおよび3-PGの無標識測定を介して、酵素iPGMの活性を直接的にモニタリングするために使用した。注文製の器具を、グラジエント溶離移動境界電気泳動を行うために使用した(Strychalskiら、Anal. Chem. 83巻:6316~6322頁、2011年)。分離チャネルは、カスタム機械加工された200μLの試料リザーバーおよび2000μLの緩衝液リザーバーを接合する5cmの長さのキャピラリー(360μmのOD、15μmのID)からなった。緩衝液リザーバーのヘッドスペースの圧力を、Series 600自動圧力キャリブレーター(Mensor、San Marcos、TX)を使用して調節した。白金電極をリザーバー内に挿入して、分離チャネル間で電圧を印加した。キャピラリーを、試料リザーバーからおよそ2cmに位置する検出スポットを有するTraceDec(登録商標)容積結合非接触性電気伝導度検出器(Innovative Sensor Technologies、Strasshof、Austria)に通した。緩衝液リザーバーに電気泳動緩衝液(30mMのトリス-HCl、pH8.0、20mMのMgCl2)を満たし、酵素反応物を混合し、試料リザーバー内で直接泳動した。電気泳動緩衝液中のマグネシウム濃度を、GEMBEエレクトロフェログラム(electopherogram)での2-PGシグナルと3-PGシグナルとの間の分解能を最適化するように選択した(Schaeperら、J. Capillary Electrophor. 3巻:215~221頁、1996年)(図2Cおよび図3A~3B)。
標準的な自由エネルギーから予測される、2-PGの3-PGに対する平衡比は、室温でおよそ1:7である(Clarkeら、Biochem. J. 139巻:491~497頁、1974年)。その結果として、GEMBEアッセイでは、シグナルの典型的な変化は、2-PGで開始し3-PGに変換した反応で、3-PGで開始し2-PGに変換した反応よりおよそ11倍大きい。補因子非依存性の酵素(B.malayi iPGM、C.elegans iPGM、およびE.coli iPGM)では、ムターゼ反応はGEMBEアッセイでは可逆的であることが分かった。したがって、これらの酵素を用いる反応は、シグナルを最大化するために、純粋な2-PGで開始し、2-PGの3-PGへの変換をモニタリングして行った。補因子依存性の酵素であるH.sapiens dPGMでは、ムターゼ反応はGEMBEアッセイで不可逆的であることが分かり、かなり速い反応速度が3-PGから2-PGへの変換で見出された。その酵素を用いる反応は、したがって、純粋な3-PGで開始し、3-PGから2-PGへの変換をモニタリングした。
生成物および基質の分析的分離を以下のように行った。緩衝液リザーバーの圧力を、分離間および試料のロード中、30kPaで維持した。試料をロードし、GEMBE分離を開始したら(以下に記載するように)、圧力を20kPaに30秒間下げ、高電圧をオフにした。次いで高電圧(+2kV)をオンにし、圧力を750Pa~2500Paの間の開始圧力にさらに下げ、およそ14秒間、一定に保持した。これらの結果は、名目上は同一の特性を有する異なるキャピラリーを使用して、数ヶ月間にわたり得た。キャピラリーの電気浸透圧特性および内径のわずかな差が原因で、最適な開始圧力は、分析セット間で変化した。次いで圧力を2-PGおよび3-PGの両方が検出されるまで(216秒~240秒)12.5Pa/sの速度で下げた。次いで圧力を20kPaに上げ、10秒間、一定に保持した。高電圧をオフにし、圧力を30kPaに少なくとも30秒間上げ、その後、次のGEMBE分離を開始した。GEMBE分離を各試料に対して5回または6回反復して、およそ25分の期間にわたり基質から生成物への変換をモニタリングした。
2-PGおよび3-PGのストック溶液を、電気泳動緩衝液(30mMのトリス-HCl、pH8.0、20mMのMgCl2)中に4mMの濃度で調製した。酵素希釈緩衝液を、30mMのトリス-HCl、pH8.0、20mMのMgCl2、6.4mg/mLのBSAで調製した。阻害剤溶液を、DMSO中で、2倍連続希釈によって、濃度が少なくとも100倍の範囲を網羅するように調製した。PGM酵素のストック溶液は50%グリセロール中にあり、-20℃で保管した。使用した最終酵素濃度は、GEMBEアッセイと類似の反応速度をもたらすように選択した。各酵素反応混合物をロードする前に、試料リザーバーを電気泳動緩衝液ですすいだ。
Ce-2およびCe-2dでのGEMBE測定では、酵素反応物を以下に従って混合し、開始した:C.elegans iPGM、B.malayi iPGM、E.coli iPGM、およびH.sapiens dPGMのワーキング溶液を、酵素希釈緩衝液での、93、136、62、および125μMのストックの、それぞれ47、34、250、および21nMの酵素濃度への容積希釈によって調製した。反応を開始するために、159μLの電気泳動緩衝液を試料リザーバーに添加し、その後、DMSO中の1μLの阻害剤溶液(または阻害剤なし対照では純粋なDMSO)、および20μLの酵素ワーキング溶液を添加した。混合は、激しいピペッティングで達成した。酵素を添加した5分後、20μLの基質(2-PGまたは3-PG)ストック溶液を添加し、試料を再びピペッティングで混合した。基質を添加した45秒後、第1の分析的分離を開始した。反応物中の全構成成分の最終濃度は、30mMのトリスHCl、20mMのMgCl2、0.64mg/mLのBSA、400μMの基質、0.5%v/vのDMSO,195pM~2.5μMの範囲の阻害剤、および3.4nMのB.malayi iPGM、4.6nMのC.elegans iPGM、25nMのE.coli iPGM、または2.1nMのH.sapiens dPGMのいずれかであった。
GEMBEデータの分析および反応速度の計算は、以前に報告されたものと類似であった(Rossら、Anal. Chem. 80巻:9467~9474頁、2008年)。簡潔に述べると、各エレクトロフェログラム(例えば図3Aを参照されたい)についての時間データに対する検出器シグナルを、3つの相補誤差関数および二次式ベースライン(quadratic baseline):
の合計からなる関数形式にフィットさせた。3つの誤差関数は、酵素ストック溶液中に存在する2-PG、3-PG、および未知の種に対応する。キャリブレーション測定は、C
2およびC3について結果として得られたベストフィット値が、分析物2-PGおよび3-PGの濃度にそれぞれ比例することを示した。次いで、変換パーセントを
から計算した。反応速度を、各試料での最初の4つのGEMBE分離について、反応時間データに対する変換パーセントへの線形フィットの傾きによって決定した。反応速度を、阻害剤なし対照からの反応速度によって正規化した。データを、IC
50を決定するために、Prism GraphPadを使用して4パラメータのHillの方程式にモデリングした。
大環状ライブラリーの設計:2つのチオエーテル-大環状ペプチドライブラリーを、Flexible in vitro Translation(FIT)系(Gotoら、Nat. Protoc. 6巻:779~790頁、2011年)を使用して、N-(2-クロロアセチル)-L-チロシン(ClAcLY)またはN-(2-クロロアセチル)-D-チロシン(ClAcDY)のいずれかをイニシエーターとして用いて、構築した。対応するmRNAライブラリーを、AUG(ClAcL/DY)イニシエーターコドンと、それに続く、ランダムなタンパク質構成性アミノ酸残基をコードする4~12NNKランダムコドン(N=G、C、A、またはU;K=GまたはU)と、それに続く、Cysを割り当てる固定されたUGCコドンとを有するように設計する。個々の形質転換ステップ(以下を参照されたい)の効率の定量的な評価に基づく大環状分子の理論的多様性は、少なくとも1012である。in vitroでの翻訳の後、チオエーテル結合が、イニシエーターL/DTyr残基のN末端ClAc基と下流のCys残基のスルフヒドリル基との間で自然発生的に形成された。
親和性選択および富化:親和性選択を、ランダムな非標準的ペプチド組み込みによる発見(RaPID)系を用いることによって、B.malayi iPGM(His10タグ付けされた)に対するDYライブラリーおよびC.elegans iPGM(His10タグ付けされた)に対するD/LYライブラリーで独立して行った。mRNAライブラリーであるClAc-L-Tyr-tRNAfMet
CAUおよびClAc-D-Tyr-tRNAfMet
CAUを、報告されているように調製した(Hayashiら、ACS Chem. Biol. 7巻:607~613頁、2012年;Hipolitoら、Molecules 18巻:10514~10530頁、2013年)。1μMのmRNAライブラリーを、T4 RNAリガーゼを使用して、25℃で30分間、1.5μMのピューロマイシンリンカーとライゲートし、精製した。次いで、1.4μMのmRNA-ピューロマイシンコンジュゲートおよび50μMのClAc-L-Tyr-tRNAfMet
CAUまたはClAc-D-Tyr-tRNAfMet
CAUをメチオニン欠損FIT系において使用して、それぞれのペプチドライブラリーを作成した。in vitroでの翻訳反応を37℃で30分間行い、追加のインキュベーションを25℃で行った。EDTA溶液(200mM、15μL)の添加後、反応溶液を37℃で30分間インキュベートして、大環状化を容易にし、前洗浄したSephadex G-25カラムに供して塩を除去した。脱塩されたペプチド-mRNA溶液をDynabeads(登録商標)His-tag Isolation & Pulldown磁気ビーズ(ThermoFisher Scientific)に適用して、望ましくないビーズ結合体を除去した。このプロセスはプレクリアランスと呼ばれ、2回(trice)反復した。プレクリアランスの後、ペプチド-mRNA溶液を、B.malayi iPGMまたはC.elegans iPGMを固定したDynabeadsと30分間、4℃でインキュベートして、iPGM結合体を得た。このプロセスは、正の選択と呼ばれる。ビーズ上の選択された融合ペプチド-mRNAを、M-MLV逆転写酵素(Promega、Madison、WI)によって1時間、42℃で逆転写した。融合ペプチド-cDNAを、1×PCR反応緩衝液を使用することによってビーズから単離し、5分、95℃で加熱した。溶離したcDNAの量を、定量PCRによって測定した。残りのcDNAをPCRによって増幅し、精製し、mRNAに転写し、次の選択ラウンドのためのライブラリーとした。ライブラリー調製、プレクリアランス、および正の選択が、1ラウンドの富化プロセスであった。有意なcDNA富化が、B.malayi iPGMおよびC.elegans iPGMについてそれぞれ第6ラウンドおよび第7ラウンドで観察された。回収されたcDNAを、TA-クローニングを使用して、pGEM-T-Easyベクター(Promega)にライゲートした。ベクターをDH5αコンピテント細胞にクローニングした。個々のクローンを選び取り、配列決定した(図4A~4C)。
大環状分子およびアナログの化学合成:以前に記載されているように(Morimotoら、Angew Chem. Int. Ed. Engl. 51巻:3423~3427頁、2012年;Yamagataら、Structure 22巻:345~352頁、2012年)、Fmoc固相ペプチド合成によって、Syro Wave(商標)自動ペプチド合成装置(Biotage、Charlotte、NC)を使用して、大環状分子を化学合成した。簡潔に述べると、クロロアセチル基またはアセチル基を、自動合成の後に、それぞれ環状または直鎖状ペプチドアナログを形成させるために、N末端アミド基にカップリングさせた。ペプチドを、92.5%トリフルオロ酢酸(TFA)、2.5%水、2.5%トリイソプロピルシラン、および2.5%エタンジチオールの溶液によって切断し、ジエチルエーテルによって沈殿させた。環化反応を行うために、ペプチドペレットを、水中の10mLのDMSO/0.1%TFA(1:1)に溶解し、トリエチルアミンを添加することによってpH>8に調整し、1時間、25℃でインキュベートした。この環化反応を、TFAを添加してペプチド懸濁液を酸性化することによってクエンチした。次いで、ペプチドを、逆相HPLC(RP-HPLC)によって精製し、分子質量を、microflexまたはultraflex機器(Bruker Daltonics、Billerica、MA)を使用して、MALDI-TOF質量分析によって検証した(図5および表2)。
全てのペプチドは、Syro Wave自動ペプチド合成装置(Biotage)を使用して、Fmoc固相ペプチド化学合成(SPPS)によって、25μmoleのスケールで化学合成した。まず、NovaPEG Rink Amide樹脂を、周囲温度で30分間、回転させながら、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)とインキュベートし、DMFで5回洗浄した。各Fmoc保護されたアミノ酸のカップリングを、DMF中の0.5MのFmoc保護されたアミノ酸300μL、0.5Mの2-(1H-ベンゾトリアゾール-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HBTU)および1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)300μL、ならびに0.5MのN,N-ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)150μLの溶液を満たした樹脂上で行い、1時間、周囲温度で反応させた。樹脂を1mLのDMFで5回洗浄した後、Fmoc脱保護を、樹脂をDMF(vol/vol)中の40%ピペリジン600μLとインキュベートすることによって行い、30分間、周囲温度で反応させた。各ペプチドを、Fmoc保護されたアミノ酸のカップリングおよびFmoc脱保護ステップを適切に反復することによって、表6および8における配列に対応する適切に保護されたアミノ酸モノマーを使用して合成した。樹脂上の合成されたペプチドのN末端α-アミノ基を、N-メチルピロリドン(NMP)中の0.5MのクロロアセチルN-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)エステル500μLの溶液と、回転させながら60分間、周囲温度でインキュベートすることによってクロロアセチル化した。Ce-L2およびCe-L2dの合成のために、N末端α-アミノ基を、NMP中の0.5Mの無水酢酸および0.25MのDIPEAの500μL溶液と、回転させながら60分間、周囲温度でインキュベートすることによってアセチル化した。樹脂を5×1mLのDMFで洗浄した後、ペプチドを完全に脱保護し、2mLのトリフルオロ酢酸(TFA)、水、トリイソプロピルシラン(TIS)、およびエタンジチオール(EDT)(92.5:2.5:2.5:2.5)の溶液と、回転させながら3時間、周囲温度でインキュベートすることによって樹脂から切断し、ジエチルエーテルで沈殿させた。ペプチドペレットを水中のDMSO/0.1%TFA(1:1)10mLに溶解し、トリエチルアミン(TEA)を添加することによって>8にpH調整し、周囲温度で1時間インキュベートして、N末端のクロロアセトアミド基とシステインスルフヒドリル基との間のチオエーテル結合の形成を介して環化を強化した。ペプチドの質量および環化を、MALDI-TOF MS分析によって確認した。環化反応を、TFAを添加してペプチド懸濁液を酸性化することによってクエンチした。次いでペプチドを逆相HPLCによって精製し(表4)、分子質量を、microflexまたはautoflex機器(Bruker Daltonics)を使用して、MALDI-TOF MS分析(表4)によって検証した。環の接合をMSMSスペクトルおよびフラグメント分析によって確認した(図5)。
PGMオルソログにわたる大環状ペプチドの特徴付け:大環状ペプチド溶液を、DMSO中に5mMの濃度で調製し、11ポイント1:3シリーズまたは16ポイント1:2シリーズとして滴定した。11ポイント滴定シリーズでは、化合物分配プレートを、NCATS化合物管理によって、1536ウェルポリプロピレン製ディープウェルのv底プレート(Greiner Bio-One、#782270)内で、単一の混交型の行型パターンで、大環状ペプチドごとに調製し、5mM~84.7nMの濃度範囲がもたらされた。16ポイント滴定シリーズでは、化合物分配プレートを、384ウェルポリプロピレン製ディープウェルのv底プレート(Greiner Bio-One、#781270)のペプチドごとに単一カラムを置き入れ(hand down)、1536ウェルポリプロピレン製ディープウェルのv底プレートに、マルチチャネルピペットで、5mM~152.6nMの濃度範囲で2組ずつ移すことによって調製した。各大環状ペプチドを、上記のKinase-Glo Plus共役酵素アッセイにおける、5つのiPGMオルソログ、2つのdPGMアイソザイム、およびPK-FLuc対照にわたって特徴付けした。アッセイでは、11ポイント化合物分配プレートまたは16ポイント化合物分配プレートのいずれかからの23nLのペプチド滴定シリーズを、1536ウェルアッセイプレート(カタログ番号789092-F、Greiner Bio-One North America)に、1536ピンツール(Wako)を使用して同時に移して、それぞれ19.2μM~0.33nMまたは19.2μM~0.58nMの最終濃度範囲とした。
曲線フィッティング:全ての濃度応答曲線レポーターを、シグモイド用量応答(可変傾斜)曲線フィッティング関数:
を用いて、GraphPad Prism 5を使用して作成した。
誤差の分析:試験した示されるPGM活性の50%の阻害をもたらす環状ペプチドまたは環状ペプチドアナログの濃度を、表3においてpIC50値として報告する。各ペプチドを試験した独立した実験の数を、表3の最後の列において「N」の下に示す。不活性なペプチドは1回試験した。図10Bにおけるエラーバーの標準偏差(SD)を報告した全ての実験は、2つの技術的反復で行い、N≧3の独立した実験の代表的なプロットである。図19Aを構築するために使用したデータは表3からのものであり、pIC50(ここで、IC50=10-pIC50)から変換された。エラーバーは、所与のペプチドについて決定された、正規分布したIC50のlogのSD値を表し、その結果、IC50low=10-(pIC50+SD)、かつIC50high=10-(pIC50-SD)である。
排除基準:データポイントは、値がSouthallら、(Handbook of Drug Screening、442~464頁、2009年)において記載されている基準に基づいて外れ値であると決定されれば、曲線フィットから排除される。データポイントが曲線フィットから排除される潜在的理由には、例えば、化合物の移動の、またはアッセイ試薬を1536ウェルアッセイプレートの試験ウェルに分配する際の、分かっている失敗が含まれる。濃度応答曲線において排除される必要のあるデータポイントは、この研究においてはなかった。
サイズ排除クロマトグラフィー:試料を、AKTA(登録商標)Pureクロマトグラフィー系(GE Healthcare Bio-Sciences、Pittsburgh、PA)を使用して、Superdex(登録商標)75 16/600カラム上で分析および分画した。500μLの試料を、30mMのトリス、150mMのNaCl、および2mMのMgSO4を含有する緩衝液中で1mL/分で、4℃で溶離した。溶離プロファイル吸光度を、280および500nmでのインライン検出で記録し、2mLの画分を96ディープウェルプレートに収集した。
ポリアクリルアミドゲル電気泳動:タンパク質(10μL/レーン)を、1×トリスランニング緩衝液中のCriterion(商標)TGX(商標)12%プレキャストポリアクリルアミドミニスラブゲル(Bio-Rad、Hercules、CA)上で、周囲温度で、200Vで45分間、電気泳動した。試料、すなわち、サイズ排除カラム画分からの100μLのアリコートと33μLの4×Laemmeli試料緩衝液(Bio-Rad 161-0747)±2%βMEとを、10分間、95℃で加熱した。ゲルを30分間、50%メタノール10%酢酸中で固定し、次いで、クマシーブリリアントブルーG-250コロイドタンパク質染色(Sigma-Aldrich B8522)で一晩染色し、Bio-Rad ChemiDoc(商標)画像化系またはHPフラットベッドスキャナーで画像化した。分子量ラダーは、Bio-Radカタログ番号161-0376であった。
系統樹の構築:7つのPGMオルソログのタンパク質配列を、Clustal Omega多重配列アラインメント分析(ワールドワイドウェブ上で、ebi.ac.uk/Tools/msa/clustalo/で入手可能である)を使用してアラインした。配列アラインメントの受託番号は、GenBankに2016年8月11日の時点で存在するものとして、その全てが参照によって本明細書に組み込まれる、NP_871851.1(Caenorhabditis elegans)、AAQ97626.1(Brugia malayi)、AAV33247.1(Onchocerca volvulus)、AEA91534.1(Dirofilaria immitis)、NP_002620.1(Homo sapiens)、P37689.1(Escherichia coli 2,3-ビスホスホグリセレート非依存性ホスホグリセリン酸ムターゼ)、およびP62707.2(Escherichia coli 2,3-ビスホスホグリセレート依存性ホスホグリセリン酸ムターゼ)である。Pearson/FASTAアラインメントを、ツリー構築のために、RAxML BlackBox(ワールドワイドウェブ上で、genome.jp/tools/raxmlで入手可能である)にアップロードした。不均質性の比率のガンマモデル、および最大尤度サーチを伴うBLOSUM62タンパク質置換マトリクスを、ツリー構築のために適用した。外群はツリールーティングのために選択しなかった。高速アルゴリズムブートストラッピング分析を、1,000の反復で行った。
結晶化およびデータの収集:C末端ヘキサヒスチジンタグに及び、C末端ヘキサヒスチジンタグを有する、Caenorhabditis elegans由来の精製された完全長のアポiPGMを、200mMのNaCl、20mMのトリス、pH7.5、2mMのTCEP中、11.6mg/mLに濃縮した。ペプチド複合体を調製するための、残基M19からI539に及ぶ、Caenorhabditis elegans由来のiPGMの別の試料を、結晶化スクリーニングのために、150mMのNaCl、30mMのトリス、pH8.0中、10.8mg/mLに濃縮した。Ce-2d環状ペプチド複合体を調製するために、ペプチドCe-2dの50mMのストック溶液をDMSO中に調製し、1:1.5(タンパク質:環状ペプチド)モル比で混合し、氷上で30分間インキュベートし、その後、スクリーニングした。全ての結晶化実験は、Compact 300(Rigaku Reagents)シッティングドロップ蒸気拡散プレートで、20℃で、等容積のタンパク質、および75μLの前記タンパク質に対して平衡化した結晶化溶液を使用して行った。
アポiPGM:天然のC.elegans iPGMでは、2つの結晶形態に相当するプレートクラスターを形成した結晶が得られた。単斜晶系P結晶(C.elegans iPGM-m)が、Wizard 3-4スクリーン(Rigaku Reagents)条件D11(30%(w/v)PEG 5000 MME、100mMのMES、pH6.5、200mMの硫酸アンモニウム)からおよそ4週間で得られた(図6A)。試料を、Additive Screen HT(Hampton Research)を使用するリファインメントスクリーニングに供した。およそ2週間後、単一板状結晶(図6B)が、30%(w/v)PEG 5000 MME、100mMのMES、pH6.5、200mMの硫酸アンモニウム、100mMのグアニジン-HClからなる条件で観察された。直方晶系P格子(C.elegans iPGM-o)に属する第2の結晶形態が、Index HT(Hampton Research)条件F7(25%(w/v)PEG 3350、100mMのBis-トリス、pH6.5、200mMの硫酸アンモニウム)から6ヶ月後に観察された(図6C)。試料を、75%結晶化溶液および25%PEG 400から構成される新鮮なドロップに移し、液体窒素中で保管した。
iPGM・Ce-2d複合体:Ce-2dと1:1.5比で調製されたC.elegans Met19 iPGMによって、Crystal Screen HT(Hampton Research)条件A6(30%(w/v)PEG 4000、100mMのトリス、pH8.5、200mMのMgCl2)から7日後に、針形態を示す結晶が得られた(図6D)。試料を、80%結晶化溶液および20%グリセロールから構成される新鮮なドロップに移し、液体窒素中で保管した。
構造の解明およびリファインメント:X線回折データを、Dectris Pilatus 6Mピクセルアレイ検出器を使用して、Advanced Photon Sourceビームライン17-IDで収集した。強度を、Autoproc(Vonrheinら、Acta Crystallogr. D、67巻:293~302頁、2011年)を介して、XDS(Kabsch、J. Appl. Crystallogr. 21巻:67~71頁、1988年;Kabsch、Acta Crystallogr. D、66巻:125~132頁、2010年)を使用して積分し、Laueクラス分析およびデータスケーリングをAimless19で行い、これは、最も高い確率のLaueクラスが、iPGM-mでは2/mであり、iPGM-oではmmmであることを示唆した。マシューズ係数(Matthewsら、J.Mol.Biol.33巻:491頁、1968年)は、C.elegansのiPGM-mおよびmmm iPGM-oでそれぞれ(Vm=2.7Å3/Da、%溶媒=54%)および(Vm=2.5Å3/Da、%溶媒=50%)の非対称単位の2つの分子があることを示した。iPGM-mの構造の解明を、Balbes(Longら、Acta Crystallogr. D.、64巻:125~132頁、2008年)での分子の置き換えによって行い、これによって、事前に決定されたiPGM構造(PDB:1O98;Rigdenら、J. Mol. Biol. 328巻:909~920頁、2003年)を使用してサーチモデルを作成した。サーチは空間群P2およびP21で行い、最高の解は、このポイントから順方向に使用された後者の空間群で得られた。Refmac(Murshudovら、Acta Crystallogr. D、53巻:240~255頁、1997年)でのモデルの最初のリファインメントは、34%/37%のR/Rfreeで収束した。iPGM-oでは、分子の置き換えは、PDB 2IFY(Nukuiら、Biophys. J. 92巻:977~988頁、2007年)をサーチモデルとして使用して、222ポイントの対称を伴う全ての考えられる空間群内で、Phaser(Mccoyら、J. Appl. Crystallogr. 40巻:658~674頁、2007年)を使用して行った。最高の解は、空間群P212121内で得られた。モデルを、Phenix(Adamsら、Acta Crystallogr. D、66巻:213~221頁、2010年)での自動モデル構築によって改善した。
iPGM・Ce-2dについての構造の解明を、iPGM-oの単一サブユニットをサーチモデルとして使用して、分子の置き換えによって行った。サーチは、非対称単位の2つの分子について空間群P2およびP21内で行い(Vm=2.3Å3/Da、%溶媒=47%)、最高の解は、このポイントから順方向に使用されたP2で得られた。モデルの最初のリファインメントを、Refmac(Murshudovら、Acta Crystallogr. D、53巻:240~255頁、1997年)で行い、Apr/warp(Langerら、Nat. Protoc. 3巻:1171~1179頁、2008年)での自動モデル構築によって改善した。その後のリファインメントおよび手動のモデル構築は、それぞれPhenixおよびCoot(Emsleyら、Acta Crystallogr. D、66巻:486~501頁、2010年)で行った。無秩序側鎖は、電子密度が観察され得るポイントまでトランケートした。構造の検証を、Molprobity(Chenら、Acta Crystallogr. D、66巻:12~21頁、2010年)で行い、図を、CCP4MGパッケージ(Pottertonら、Acta Crystallogr. D、60巻:2288~2294頁、2004年)を使用して調製した。iPGM構造の重ね合わせを、CCP4(Winnら、Acta Crystallogr. D、67巻:235~242頁、2011年)インターフェースを介して、GESAMT(Krissinelら、J. Mol. Biochem. 1巻:76~85頁、2012年)を使用して行った。関連する結晶学的データを表4に提示する。
結晶学的分析:iPGM-mの最後のモデルは、各サブユニットのドメインA(図7A)内にモデリングされた2つのMn2+およびZn2+イオンを有する2つのサブユニットからなり、N末端の最初の20残基およびC末端の最後の13残基は無秩序であり、モデリングされ得なかった。2つのサブユニットはほぼ同一であり、GESAMT(Krissinelら、J. Mol. Biochem. 1巻:76~85頁、2012年)を使用してアラインされた517残基について、Cα原子間で0.58ÅのRMSD偏差を有している(図7B)。直方晶系形態の結晶(C.elegans iPGM-o)をおよそ6ヶ月後に得、iPGM-mよりも高い分解能まで回折した。同様に、NおよびC末端残基は、iPGM-oでも無秩序であった。iPGM-oのサブユニットは構造的に非常に類似しており、アラインされた520残基について、Cα原子間で0.77ÅのRMSD偏差を有していた。さらに、iPGM-oおよびiPGM-mの構造は非常に類似しており、アラインされた495残基について、Cα原子間で1.85ÅのRMSD偏差を有していた。しかし、ホスファターゼドメインは格段に近くアラインされ、一方、トランスフェラーゼドメインはわずかなシフトを示し(図8C)、これは、このドメインの立体構造上の柔軟性に起因するものであり得る。iPGM-oの構造もまた、iPGM-mに類似の様式で結合する基質結合部位に2つの金属イオンを含有する(以下を参照されたい)。
C.elegans iPGM-mの構造と他のアポiPGMの構造との比較:C.elegansのiPGM-mの、Bacillus anthracis由来のiPGM(PDB:2IFY)との重ね合わせによって、Cα原子間で2.76ÅのRMSDを得た(476残基がアラインされた)。重ね合わせからの偏差は2つの構造間である程度大きかったものの、全体的な折り畳みは2つの構造間で非常に類似していた(図8A~8C)。C.elegans iPGM-mの構造もまた、基質に結合したBacillus stearothermophilus由来のiPGM(PDB:1O98)の構造と比較した。重ね合わせによって、Cα原子間で1.07ÅのRMSDを得た。しかし、282残基のみがトランスフェラーゼドメインの残基についてアラインされ得、それは、基質の結合によって、ホスファターゼドメインにおける大きな立体構造上の変化が生じたためである(図8B)。
金属イオン部位:正の電子密度(Fo-Fc)の大きなピークが、リファインメントの後に、ホスファターゼドメインの金属結合部位において観察された(図9A)。この領域は、Asp426およびHis430(部位1)、ならびにAsp37、Ser86、Asp467、およびHis468(部位2)が占めている。これらの部位をMg2+イオンとしてリファインすると、残った正の電子密度が観察され、このことは、より大きな金属イオンが存在することが示唆された。Mn2+イオンを各部位でモデリングにより、部位1ではおよそ17Å2のB因子が結果として生じたが、部位2は、いくらかの正の電子密度およびおよそ7Å2のB因子を含有していた。さらに、部位2での周りの残基とイオンとの間の配位距離はおよそ1.9Å~2.0Åであり、これは、Mn2+イオンで予想される(2.1Å~2.2Å)よりも短い。位相異常差分マップを、1.0000Åの波長で収集したデータを使用して計算し、それにより、図9Aに示すように、部位1(5.7σ)および部位2(11.7σ)のピーク高さを得た。Zn2+イオンは、配位距離および異常シグナル、ならびにE.coliのアルカリホスファターゼドメインに対するiPGMホスファターゼドメインの相同性(Jedrzejas Prog. Biophys. Mol. Biol. 73巻:263~287頁、2000年)に基づくと、部位2を占め得る。1.0000Åの波長での理論上の異常シグナルは、Zn2+イオンおよびMn2+イオンでそれぞれ2.6e-および1.4e-である。さらに、データを、Mn2+吸収端の低エネルギー側にある、1.9016Åの波長で収集した。この波長での理論上の異常シグナルは、Zn2+イオンおよびMn2+イオンでそれぞれ1.1e-および0.49e-である。位相異常差分マップを、1.9016Åのデータを使用して計算したところ、部位1ではピークは生じなったが、およそ5σのピークが部位2で観察された。部位1および部位2でのMn2+およびZn2+イオンのその後のリファインメントでは、それぞれ、残った正の電子密度は得られず、このことはさらに、これらの部位への割り当てを証拠付けた。C.elegans iPGMによるこれらの金属の配位を図9Bに示し、距離を表5に列挙する。結晶化溶液から、Mg2+の結合部位もまた、図9Cに示すように観察されたことに留意されたい。
データベースの寄託:配位および構造因子は、その全てが参照によって本明細書に組み込まれる以下の受託コードで、Worldwide Protein Databankに寄託されている:C.elegansのアポiPGM-m(PDB 5KGM)、C.elegansのアポiPGM-o(PDB 5KGL)、および複合体C.elegans Met19 iPGM・Ce-2d(PDB 5KGN)。
(実施例2)
親和性が高いiPGMリガンドの同定
Genzyme CorporationおよびNational Center for Drug Screening in Shanghaiによる、380,000の化合物の組合せライブラリーからiPGMに対する低分子阻害剤を得る,最近報告された試みの結果、見かけの金属イオンキレーターである、2つの効力の弱い化合物のみが得られた(Crowtherら、PLoS Neglected Trop. Dis. 8巻:e2628頁、2014年)。金属イオン配位子の外側での低分子阻害に対するiPGMの見かけの無反応性、およびアルカリホスファターゼスーパーファミリー酵素クラスの化学種をマイクロモル濃度以下での最適化の潜在性でHTSから同定することの困難さ(Narisawaら、J. Bone Miner. Res. 22巻:1700~1710頁、2007年)を考慮して、本発明者らは、この課題に、RaPID(ランダムな非標準的ペプチド組み込みによる発見)と呼ばれる、in vitroディスプレイ系を使用する親和性選択の補完的な方法を介して取り組んだ。
RaPID系によって、本発明者らは、一兆の固有のメンバーにおける大環状ペプチド集団の番号付けの多様性を利用すること、およびあまり豊富ではない親和性の高いリガンドを富化し、増幅することが可能になった(Bashiruddinら、Curr. Opin. Chem. Biol. 24巻:131~138頁、2015年)。この特定の選択キャンペーンでは、本発明者らは、L-またはD-チロシン(L/D-Tyr)のいずれかで開始されるチオエーテル-環状ペプチドライブラリーを利用し、これらの組換え酵素のC末端にあるHis6タグを介して磁気ビーズ上に個別に固定された2つのタンパク質標的、B.malayi iPGMおよびC.elegans iPGMに対する親和性の高いリガンドの選択を行った。69個のRaPID由来のクローンからの配列アラインメント(図4A~4C)によって、7~13アミノ酸の間の範囲の環サイズおよび1~7アミノ酸のC末端テールを有するラリアット構造の大環状ペプチドに対応する、11の独立した配列ファミリーが結果として得られた(表6)。
RaPIDによって単離された環状ペプチドが、そのカルボキシル末端でピューロマイシンを介してコードmRNAに繋がれることに留意されたい。環状ペプチドによるその標的への結合の間の、結合を容易にする、または可能な生産的な標的-環状ペプチド相互作用をブロックするための、繋がれた核酸のあらゆる効果は、mRNAディスプレイ技術の固有の特性である。核酸を介してもたらされる有意な結合の寄与は、固相ペプチド合成ステップによって作製された試料では存在しない。
(実施例3)
環状ペプチドPGM阻害剤の機能的評価
in vitroでの選択に由来する環状ペプチドの活性を効率的にプロファイルするために、寄生虫標的であるB.malayiのiPGMおよびフィラリアオルソログ(Onchocerca volvulus、Dirofilaria immitis)、対応するモデル生物であるC.elegansのiPGMオルソログ、ならびにH.sapiens抗標的dPGMアイソザイムを含む、様々な種に由来するいくつかのホスホグリセリン酸ムターゼ酵素を評価した。E.coli由来のiPGM酵素およびdPGM酵素の両方もまた含まれた。PGMによって触媒される3-PGから2-PGへの変換についての、低容積の、1536ウェルプレートフォーマットカイネティックおよびエンドポイントアッセイを開発した(図2A)。各アッセイは、生成物である2-PGを、ホスホエノールピルベート(PEP)を経て、それぞれエノラーゼおよびピルビン酸キナーゼを介してピルベートおよびATPにさせる、共役酵素アプローチを利用した(Feraudiら、J. Clin. Chem. Clin. Biochem. 21巻:193~197頁、1983年)。カイネティック吸光度のアウトプットを、ピルベートのラクテートへの変換を介する、乳酸デヒドロゲナーゼ媒介性のNADH濃度変化を使用して達成した(図2B)(Fuadら、Metallomics 3巻:1310~1317頁、2011年;Whiteら、Eur. J. Biochem. 207巻:709~714頁、1992年)。生物発光のエンドポイントアッセイでは、生成されたATPは、ホタルルシフェラーゼおよびルシフェリンによる光生成において使用される(図2B、表1)。連続的なNADH依存性吸光度アッセイを使用して、この研究において使用している7つのPGMオルソログおよびアイソザイムのそれぞれについて、相対活性および3-PG KMを決定した。これらの酵素および条件のそれぞれを使用して、5分間のインキュベーションの後にシグナル対バックグラウンドの比率が3.5~5.4倍であった生物発光のエンドポイントアッセイを較正した(図1Cおよび表7)。
標的酵素に対する化合物および環状ペプチドを直接評価するため、グラジエント溶離移動境界電気泳動(GEMBE)(Shackmanら、Anal. Chem. 79巻:565~571頁、2007年;Strychalskiら、Anal. Chem. 81巻:10201~10207頁、2009年)を使用して、3-PGを2-PGから電気泳動分離を行った(図2C、図3A)。方法は、基質ならびに生成物である3-PGおよび2-PGの直接的な無標識測定を提供する(図3B、上部)。異性体のベースライン分離は、等モル量の3-PGおよび2-PGについての一次導関数プロット(図3B、下部)で明らかであった。確立された分離条件を使用して、2-PGから3-PGへの変換の時間経過を、C.elegans iPGMおよびB.malayi iPGMで実証した。GEMBEは、ロースループットであるが、この研究において記載されるiPGM阻害剤の活性についての理想的なオルトゴナルな検証を提供する。
(実施例4)
iPGM阻害剤の強力かつ選択的なクラスの同定
寄生生物標的であるB.malayiのiPGMを最初に大環状ペプチドライブラリーに対して選別して、テトラデカペプチドからウンデカペプチドによって表される7つの大環状分子であるBm-1~Bm-7を得た(表6)。これらの環状ペプチドをコードする核酸配列(図4A~4C)から、7つのPGMオルソログおよびアイソザイムのパネルの酵素活性の阻害剤としての評価のために十分な量を合成した(表6)。PGMパネルにわたってBm-1~7について得られた濃度応答曲線によって、選択的な、中程度に強力な大環状シリーズが主に明らかになった。Bm-2(これについてのRaPID選択は、再合成された環状ペプチドには存在しない繋がれた核酸による影響を受けている可能性がある)以外の全てが、高ナノモル濃度から低マイクロモル濃度の範囲でiPGMオルソログを阻害し(表6)、iPGM酵素対dPGM酵素について、完全な選択性をさらに示した。これらの環状ペプチドは2つの群を含んでおり、一方は、短い1~2アミノ酸のテールを伴う12または13アミノ酸の大きな環を有し(Bm-1~Bm-3)、2つめは、3~4アミノ酸の間のC末端伸長を伴う7員環を有しており(Bm-4~Bm-7)、7つのペプチド全てが、最後から2番目の位置でシステインを含有していた。Bm-4は、環状ペプチドの中でも、より短い、強力なウンデカペプチドクラスの配列に相当していたため、Bm-4を、C末端トランケーションアナログを介するさらなる研究のための鋳型として選択した。さらに、テールシステインの遊離スルフヒドリル基の重要性を調べるために、Cys10をSerで置き換えた。興味深いことに、Cys10Serの置き換え、および末端のGly11以外全ての排除によって、不活性な大環状分子が結果として生じた(表3)。
Bmシリーズの環状ペプチドは、比較的効力が弱かった。さらに、B.malayiは、結晶学的構造を決定することが難しいことが証明されている。しかし、結晶は、C.elegans iPGMで成功裏に得られ、そのことは、大環状分子-iPGM相互作用を導く設計ルールの推論に向けてこのオルソログをRaPID標的化する動機付けとなった。C.elegansモデル生物のiPGMを使用する第2の親和性選択実験によって、ペンタデカペプチド、イプグリセルミドA(Ce-1)およびB(Ce-2、図10A)、またはテトラデカペプチド(Ce-3、Ce-4)のいずれかの、4つの大環状ペプチドが得られた。対応するB.malayi由来のシリーズの環系でそうであるように、大環状分子は、dPGMアイソザイムに対して完全に不活性である。これらの2つ、Ce-1およびCe-2、イプグリセルミドAおよびBは、それぞれ、エンドポイントプロファイリングアッセイで使用した初期条件(すなわち、C.elegans、B.malayiの[iPGM]では5nM、D.immitis、E.coliでは10nM、O.volvulusでは20nMである)下で低nM活性(2~20nM)を名目上示す、iPGMオルソログの非常に強力な阻害剤であり、これを、図11A~11Bで示す、選択されたPGMについてのGEMBEに基づくアッセイにおいて要約した。Ce-2についての5nMおよびそれより高い酵素濃度で観察された急な濃度応答曲線(図10B~10D、11A、11B)から、[E]>リガンドのKdである条件下で生じ、ひいては効力の過小評価をもたらす、酵素の化学量論上の滴定が示唆される。このことは、濃度応答曲線の双曲線応答、およびiPGM濃度を5nM未満とするとイプグリセルミドBのIC50が左側にシフトすることによって裏付けられた(図10B)。高iPGM濃度での化学量論上の結合を説明するための二次方程式モデルを使用して、図10Bにおける濃度応答曲線のファミリーを使用して、イプグリセルミドBについて有効なKdが73±15pMであることを推定した。
(実施例5)
イプグリセルミドB(Ce-2)アナログは、iPGMオルソログに対する薬理学的-系統学的関係を規定する
Ce-2を、C末端トランケーション/置換シリーズを伴う構造活性関係研究のための鋳型として選択し、活性に必要な最小配列を規定するために使用した。この環状ペプチドをまた、直鎖状アナログを調査するために使用して、配列の立体構造上の制約から、親和性に対する効果を決定した(表8および図12A~12Bを参照されたい)。Ce-2の直鎖状配列のほとんどを除去すると、結果としてiPGM阻害活性が失われたかまたは大きく弱まったが(Ce-2eからCe-2g)、トランケートされたアナログであるCe-2aからCe-2dは、結果としてiPGMオルソログの中でも、活性の範囲を広げた。特に注目すべきは、C.elegans iPGMおよびE.coli iPGMに対して、アナログCe-2dのナノモル濃度活性は保持されるが、B.malayi、O.volvulus、およびD.immitisに対する活性は、マイクロモル濃度範囲のIC50に近似してくることである(図10Bおよび図13A~13B)。オルソログの活性のこの分離は、これらの酵素のアミノ酸配列間の系統発生上の差に非常に対応している(図10C)。
Ce-2以外では、Gly14トランケーションから結果として生じたCe-2aのみが、iPGMオルソログに対するナノモル濃度以下の効力を保持し(表8)、このことから、Cys14が高親和性結合における鍵となる決定基であることが指摘された。Ce-2におけるCys14をSerで等配電子的に置き換えてCe-2Sを生成させることによって、C.elegans iPGMおよびE.coli iPGMに対する阻害活性がおよそ100倍低下し(約10nMのIC50)、そしてCe-2dに匹敵して、C.elegansおよびE.coliのiPGMと、B.malayi、O.volvulus、およびD.immitisのiPGMとの間で100倍の効力の分離が引き起こされた(図10B)。これらの結果は、Ce-2の高親和性結合が、iPGMの触媒中心での硫黄-遷移金属イオンの相互作用を恐らく伴う、そのCys14チオールに依存することを示す。最後に、Cys14は重要な結合相互作用に寄与するが、大環状コアを欠き、単にCe-2の残基9~14(Ce-2tail)のみを含むペプチドは、全てのPGMに対して不活性であった(表8、図13B)。ペプチドの大環状化のエントロピー寄与が大きいことは、Ce-L2の測定可能な活性があるiPGMについて、Ce-2と、Cys8Ser置換によって生じた直鎖状形態のCe-2(Ce-L2)との間のIC50を比較することによって実証された。C.elegans iPGM、O.volvulus iPGM、およびE.coli iPGMからの最も信頼性のあるデータ(図13Bおよび表8を参照されたい)によって、大環状分子の形成によるランダムな状態の低減に起因する、2000~10,000倍の間の親和性の増強が計算されたが、チオエーテル結合を置き換える水素間の潜在的な立体的衝突も同様に、阻害活性のこの大きな減少に寄与し得る。直鎖状形態のCe-2dに由来する関連するペプチドであるCe-L2dは、全てのiPGMに対して完全に不活性であったが、このことは、Ce-2大環状分子に対する高い親和性結合を生じるために共に必要な2つの機能的なラリアット大環状分子サブドメインである環系およびC末端の重要性をさらに裏付けた。
(実施例6)
線虫のiPGMの構造
iPGMは、二核金属酵素のアルカリホスファターゼファミリーに構造的に関連するホスファターゼドメインが2つのヒンジペプチドによってホスホトランスフェラーゼドメインに接続されている(Jedrzejasら、EMBO J. 19巻:1419~1431頁、2000年)、単量体の二ドメイン酵素である。X線結晶構造は、2つのトリパノソーマ類およびいくつかの細菌種に由来する酵素について得られている(Jedrzejasら、EMBO J. 19巻:1419~1431頁、2000年;Mercaldiら、FEBS J. 279巻:2012~2021頁、2012年;Nowickiら、J. Mol. Biol. 394巻:535~543頁、2009年;Nukuiら、Biophys. J. 92巻:977~988頁、2007年)。
大環状分子とiPGMオルソログとの間の薬理学的-系統学的関係を媒介する分子相互作用を描写する構造モデルを開発するために、本発明者らは、Ce-2とB.malayi iPGMおよびC.elegans iPGMとを共結晶化することを試みたが、結晶を得ることはできなかった。Ce-2との事前に形成されたiPGM結晶を浸漬させることによって結晶が粉々になったが、天然C.elegans iPGMの単斜晶系P格子(iPGM-m)および直方晶系P格子(iPGM-o)(図6A~6C)という2つのアポ結晶形態が得られ、線虫のiPGMの最初の構造を提供した(表4および図7A~7C)。iPGMオルソログ間の一次アミノ酸配列の相同性から予想されるとおり、C.elegans iPGMは、細菌由来の他のiPGMに非常に類似している(図14)。単斜晶系のC.elegansのアポiPGM(PDB:5KGM)構造を、Bacillus anthracisのアポiPGM(PDB:2IFY)と重ね合わせると、Cα原子間で2.76ÅのRMSDが得られた(476残基がアラインされた)。重ね合わせからの偏差は、2つの構造間でかなり大きいが、全体的な折り畳みは非常に類似している(図8A~8C)。単斜晶系のC.elegans iPGMの構造をまた、基質を結合したBacillus stearothermophilus由来のiPGM(PDB:1O98)の構造と比較した。重ね合わせによって、Cα原子間で1.07ÅのRMSDが得られた。しかし、282残基のみが、トランスフェラーゼドメイン内の残基でアラインすることができ、それは、基質結合によってホスファターゼドメインにおいて立体構造が大きく変化するためである(図8A~8C)。他のiPGMと同様に、Mn2+が2つのホスファターゼドメイン金属イオン結合部位の一方を占めているが、アルカリホスファターゼにおけるように、Zn2+イオンは、C.elegans iPGMの第2の結合部位で見出された。これらの遷移金属イオンの同一性を、1.0000Åおよび1.9016Åの波長で収集されたデータから計算された位相異常差分マップから検証した。これらの金属イオンは、図9A~9Cに示すように、ヒスチジンおよびアスパラギン酸の三つ組を表5に列挙する配位距離で接触させ、触媒性Ser86求核試薬はZn2+イオンに対して配位する。
(実施例7)
iPGM・大環状複合体の共結晶構造から、ロックド・オープン阻害メカニズムが明らかになる
アポiPGM構造から、C.elegans iPGMに固有のN末端の18アミノ酸が無秩序であることが観察された。C.elegans iPGMからトランケートされた18アミノ酸のN末端を使用する、その後の結晶化の努力において、サイジングクロマトグラフィーによって精製された、事前に形成されたCe-2複合体、およびCe-2dとの混合物を調製した。後者によって、1.95Åに回折する針様の結晶が結果として得られた(図6Dおよび表4)。iPGM・Ce-2d複合体の最後のモデル(PDB:5KGN)は、非対称単位に2つの分子を含有しており(図15A)、ヒンジペプチドならびに隣接したホスファターゼおよびトランスフェラーゼドメイン表面から形作られたポケットに包まれた大環状分子とのドメイン間の結合様式を明確に示す(図16A)。非対称単位の2つのサブユニットはほぼ同一であり、RMSD偏差は、アラインされた520残基についてCα原子間で0.20Åである。したがって、全てのその後の分析を、モデルのサブユニットAを使用して行った。iPGM・Ce-2dの構造を、前述のアポiPGM-mおよびiPGM-o(PDB:5KGL)の構造と比較した。重ね合わせによって、それぞれ1.98Å(503残基)および2.05Å(502残基)のRMSD偏差が得られた。RMSD偏差は幾分大きいが、全体的な構造は著しく類似しており(図16B)、iPGMの高い柔軟性に起因して二次構造のエレメントがわずかに変位している。Ce-2d環状ペプチドの結合を提供する(accommodate)空洞は、全ての構造の間で非常に類似しており、ペプチドの結合を提供する上で劇的な立体構造上の変化は観察されなかった。むしろ、親大環状分子を発見するためにここで使用される親和性選択アプローチから予想され得るように、ペプチドがこの空洞内で最適にフィットすることが明らかになる。iPGMのこの領域は、図16Cに示すように、Ce-2dの極性残基を提供する、幾分負の非対称に荷電したポケットを形成する。Ce-2dは、表面の全面積、接触面積、および溶媒曝露面積に関する情報を提供するAreaimolを使用して計算すると(Leeら、J. Mol. Biol. 55巻:379~400頁、1971年)、432.1Å2の全表面積を有し、全部で127.1Å2の面積でiPGMと接触する。全Ce-2dペプチド表面の比較的小さな領域が、iPGMに直接接触し(127.1Å2)、残りの面積(305Å2)は、ホスファターゼドメインとトランスフェラーゼドメインとの間の開いたポケット内に位置するため、溶媒に曝露される。分子量(1501.6)およびその27の環原子に基づいて、Ce-2dは、大きな大環状分子に分類することができる。その表面の29%が埋もれており、Ce-2dの溶媒は、同等の大きさの大環状分子よりもわずかに広い表面積を曝露する。環状ペプチドの電子密度は、幾分無秩序であった末端のチロシン側鎖を除いて全ての残基で突出していたが、C末端の4残基は短いα-ヘリックスを形成する(図15Bおよび15C)。Ce-2dのCPK描写から(図16Cおよび16D)、チロシン側鎖3、7、および11の配向は、環状ペプチドを包むように見え得るが(図16D)、チロシン側鎖1および9は、edge-to-face相互作用に関与する(図16E)。Ce-1では、His7でTyr7が置き換えられ、類似の活性を維持している(表6)。3つの余分な環状C末端残基であるTyr9、Leu10、およびTyr11は、コア大環状分子の近くに折り畳まれ(wrapped)、Tyr11のカルボキサミドはこのコンパクトな構造の外表面上で見ることができ、金属イオン活性部位に向けている(図16Eおよび図17A~17C)。特に、Ce-2dのTyr11残基のC末端アミドは、Mn2+イオンおよびZn2+イオンからそれぞれ6.5Åおよび8.4Åである(図17C)。したがって、Ce-2(およびCe-1)のより長いC末端をこの空洞から潜在的に延ばし、Cys14をいずれかの金属イオンまでの配位距離内で位置させることが可能である。
Ce-2d大環状分子は、図17Aおよび17Bに示し、表5に詳述するように、C.elegans iPGMとの直接的な水素結合、および水を媒介する接触を形成する。これらの鍵となるH結合の2つは、C末端テール残基である、Tyr9、およびTyr11のカルボキサミドを用いて作られる。他には、Ce-2d環系残基と、一方はAsp2と直接的に、もう一方はTyr3のヒドロキシルを介して水を媒介する、2つのH結合を形成するiPGM Arg289が含まれるが(図17B)、二股のGly5のカルボニルのH結合は、Gln101およびAsp102を介してiPGMとの間で生ずる(図17B)。疎水性相互作用もまた観察され、例えば、大環状分子のLeu10は、iPGMのIle103、Leu78、およびLeu82によって形成された小さなポケット内に位置するが(図18A~18B)、酵素のIle99は、環状ペプチド残基であるTyr9、Leu10、およびTyr7の3.5Åまたはそれ未満以内にある。
ホスホグリセレートに関するCe-2d結合の配向を調査するために、本発明者らは、S.aureus iPGM 2-PG結合物およびC.elegans iPGM Ce-2d結晶構造を、His、Asp、Argのホスホグリセレート結合残基を両構造内のアラインメントポイントとして使用して、重ね合わせた(図17Dおよび17E)。モデルでは、大環状分子をホスホグリセレートとオーバーラップしない位置に配置し、これは、イプグリセルミドのアロステリックな結合様式を裏付ける。この結果は、Ce-2dおよびCe-2のIC50が3-PG基質濃度に対して独立していることと一致する(図22A~22B)。
図19Aで観察された、Ce-2シリーズのiPGMオルソログの選択性の根底にあるメカニズムについての洞察を得るために、Ce-2d大環状分子の5Å以内の残基からの結合空洞(図19Bで示すタンパク質配列アラインメントにおいてオレンジ色の影が付けてある)を規定した。これらのアミノ酸によって規定された空洞内で、Ce-2dは、B因子によってスケーリングされたワーム状のα鎖(金色)の描写として示され、いくつかの側鎖、Tyr3、Pro4、Tyr11アミド、およびチオエーテル結合は緑色で示されており(図19C)、そこから、いくつかの目立った所見が得られた。先に論じたように、Cys14を越えたCe-2のトランケーションによって、Tyr11がC末端残基となるまで効力が約10倍低下し(Ce-2b、c)、その時点では、C.elegans iPGMおよびE.coli iPGMについての効力が回復したが(Ce-2d)、B.malayi、O.volvulus、およびD.immitisオルソログについてはごくわずかであった。阻害効力の向上は恐らく、Ce-2dのC末端Tyr11のアミドと、ホスファターゼドメインの高度に保存されたGlu87とによって可能になった、新たなH結合の結果であった(図19C)。Tyr11のその後の除去によって、結果として効力がほぼ100倍低下し、それは恐らく、Tyr11アミド-Glu87 H結合の喪失による。トランケーションを継続すると、大環状分子が実質的に不活化した(Ce-2f、g)。C.elegans iPGMオルソログおよびE.coli iPGMオルソログと、B.malayi iPGMオルソログ、O.volvulus iPGMオルソログ、およびD.immitis iPGMオルソログとの間のCe-2dの阻害効力が大きくかけ離れていることについての考えられる説明は、一部、C.elegans iPGMおよびE.coli iPGMのヒンジ2内のAla334による媒介であり得るが、B.malayi iPGMオルソログ、O.volvulus iPGMオルソログ、およびD.immitis iPGMオルソログではグルタメートによって置換えられているためであり得る。Ala334は、Ce-2dのPro4およびTyr3から<2.5Åであり、したがって、グルタミン酸残基が占めるより大きな容積は、部分的にのみTyr11アミドのH結合によって代償される、立体的衝突を生じさせ得る。図14において黄色で強調されている、C.elegans iPGMおよびE.coli iPGMと、B.malayi iPGM、O.volvulus iPGM、およびD.immitis iPGMとの間の結合空洞の外側の配列の差もまた、オルソログ選択性に寄与し得る。
イプグリセルミドB(Ce-2)の進行性C末端トランケーションから、Cys14がpan-オルソログの効力および急なHill係数(>1)を大環状分子にもたらしたことが明らかになった。この所見は、潜在的な触媒部位金属イオン配位子としてのシステイニルチオレートの機能と一致し、本明細書における結晶学的知見によって示唆される、iPGM活性部位でのボーダーラインのハード/ソフトルイス酸Zn2+、および関連する金属酵素、例えばE.coli APにおけるその存在(Christiansonら、Ann. Rev. Biochem. 68巻:33~57頁、1999年)を伴って、特に妥当である。トランケーションまたはCys14Ser置換の結果としてのスルフヒドリル側鎖の喪失によって、濃度応答曲線のHill勾配(<1)の傾きがさらに大きくなり、iPGMオルソログの間での効力の差別化がなされる(図13A)。以下のような明らかな対応が、iPGMの効力と系統学的関係との間で見られ得る(図10Cから決定される):IC50
Ce=IC50
Ec>>IC50
Bm>IC50
Di≒IC50
Ov。総合すると、これらの結果は正の協同的結合メカニズムを示唆し、それによって、環状配列およびC末端伸長の大部分がiPGMに結合し、Cys14のスルフヒドリルを金属イオン部位への配位距離以内に位置させる。このメカニズムは、急なHill勾配に反映される階段状のまたは超高感度の濃度応答プロファイルをもたらす結合様式と一致する(Shoichet J. Med. Chem. 49巻:7274~7277頁、2006年;Zhangら、Open Biol. 3巻:130031頁、2013年)。図20A~20Bに示すように、iPGM・Ce-2d結晶構造上へのCe-2のC末端の4つのアミノ酸残基のモデリングは、Cys14のチオレートをMn2+イオンの配位距離内に位置させる。Zn2+イオンとの相互作用は、酵素における立体構造上の調整を必要とする可能性があり、これは恐らく、Ce-2で浸漬させる際のC.elegansのアポiPGM結晶の不安定性の説明となる。
(実施例8)
メチル化されたペプチドアナログによるiPGMの阻害
ペプチドの直鎖状部分上の1つまたは複数のメチル化されたアミド結合を含む、Ce-2(配列番号2)の一連のアナログを合成した。ペプチドを表9に示す。アナログの活性は、実施例1に記載したように決定し、結果を表10に示す。
(実施例9)
N末端L-アミノ酸およびD-アミノ酸の比較
N末端L-またはD-アミノ酸を有するペプチドを合成し、実施例1に記載したように、PGMの阻害について試験した。Ce-2およびCe-2dは、上述したように、N末端D-N-クロロアセチルチロシンを有する。全てL-アミノ酸(N末端L-N-クロロアセチルチロシンを有する(L-Tyr1-Ce2およびL-Tyr1-Ce-2d))を有する同一のペプチドもまた試験した。表11に示すように、全てL-アミノ酸を有するペプチドは、Ce-2およびCe-2dの活性の大部分を保持していた。Homo sapiens dPGMまたはE.coli dPGMに対する活性はほとんど観察されなかった。
(実施例10)
C.elegansに対するペプチドの効果の評価
C.elegans株N2(野生型)を化合物の試験に使用した。ワームは標準的な方法を使用して扱った。ワームは、線虫成長培地(NGM)プレート上で、20℃のインキュベーター内で培養し、生きたEscherichia coli株OP50を餌として与えた。E.coli OP50細胞を一晩、37℃で前培養し、その後、NGMプレートの表面上に広げた。同時に、卵の漂白を介して得られたL1 C.elegansの同調液体培養物、および顕微鏡下でNGMプレートからピックアップした個々のL4を、試験に使用した。20のL1または1つのL4のいずれかを、96ウェルプレートの個々のウェル内で、死滅したE.coli HB101を飼料源として補充した100μLのS培地中に入れた。化合物を異なる濃度でウェルに添加し、ワームと共に、20℃で、最大7日間インキュベートした。ワームの健康に対する化合物の効果を、飼料の消費、発育、および繁殖によって測定した。飼料の消費は、SpectraMax M5マイクロプレートリーダーを使用してモニタリングした、OD600nmの読み取りの減少によって測定した。ワームの発育およびF1子孫の産生を、顕微鏡下で視覚的にモニタリングした。
図23Aおよび23Bは、C.elegansを5μMまたは10μMのCe-2またはCe-2dに1~7日間曝露した効果を示す。顕微鏡検査は、ペプチドの存在下でF1子孫の数がわずかに減少したことを示した。50μMのペプチドへの曝露では、成虫期に対する効果はほとんど示されなかった(図23C)。これらの2つのペプチドではin vivoの有効性はほとんど観察されなかったが、他のペプチド、投与様式、または寄生性種の培養条件にさらに似せて模倣する代替の培養条件(例えば、無菌成長条件)は、より大きな効果を有し得る。
(実施例11)
C.elegansに対するペプチド効果のさらなる評価
C.elegansは、実施例10に記載したように扱い、培養した。化合物を、標準的な技術を使用して、C.elegansにマイクロインジェクトする。ワームの発育およびF1子孫の産生を、実施例9に記載したようにモニタリングする。活性化合物を、発育、ワームの生存能力(例えば、生存能力の低下)、および子孫の産生に対する影響によって同定する。
本開示の原理が適用され得る多くの考えられる実施形態を考慮して、説明された実施形態は例にすぎず、本発明の範囲を限定するものと解釈すべきではないことが認識されるべきである。むしろ、本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲によって規定される。本発明者らは、したがって、本発明者らの発明として、これらの特許請求の範囲および趣旨に含まれる全てのものを特許請求する。