JP2002517251A - タンキラーゼ、trfi結合タンパク質 - Google Patents

タンキラーゼ、trfi結合タンパク質

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JP2002517251A JP2000553596A JP2000553596A JP2002517251A JP 2002517251 A JP2002517251 A JP 2002517251A JP 2000553596 A JP2000553596 A JP 2000553596A JP 2000553596 A JP2000553596 A JP 2000553596A JP 2002517251 A JP2002517251 A JP 2002517251A
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seq
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ランゲ ティティア デ
スーザン スミス
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ザ ロックフェラー ユニヴァーシティ
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Abstract

(57)【要約】 本発明は脊椎動物の固有の蛋白質、タンキラーゼを開示する。タンキラーゼはテロメア反復配列結合因子1(TRF1)に結合する。タンキラーゼをコードする核酸もまた開示される。タンキラーゼを使用する薬剤をスクリーニングする方法もまた含まれる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】政府の支援 本発明につながる研究は、少なくとも一部は、国立衛生研究所(NIH)の基金番
号No. GM 49046の支援により行われた。従って、米政府は本発明に一定の権利を
有するものである。
【0002】発明の技術分野 本発明は、総体的には、テロメア反復配列結合因子1(TRF1)に結合する独特な
脊椎動物タンパク質であるタンキラーゼ、タンキラーゼをコードしている核酸、
及びそれを使用する治療的方法に関する。更にタンキラーゼは、加齢及び血管拡
張性失調症のような特定の疾患に関係したテロメア短小化に反作用することがで
きるような医薬品開発において特定の用途を有する。
【0003】発明の背景 テロメアは、染色体末端に発見された末端構造エレメントであり[Muller、The
Collecting Net-Woods Hole、13:181-195 (1939)] 、これは天然の二本鎖DNA末
端を、分解、融合及び染色体−内部DNAによる組換えから保護する[McClintock、
Genetics、26:234-282 (1941);Lundbladら、Cell、87:369-375 (1996)]。更に
テロメアは、核の構築において役割を果たし[Agardら、Nature、302:676-681 (1
983);Rabl、Morphol. J.、10:214-330 (1885)]、かつ他方で累進的に短小化さ
れた末端配列を生じるであろうDNAポリメラーゼによる線状DNAの連続複製の結果
生じる末端−複製の問題点の解決法を提供する[Watson、Nature、239:197-201 (
1972)]と考えられている。テトラヒメナにおいて、欠陥のあるテロメア機能は、
細胞質分裂における欠損及び細胞死につながる[Yuら、Nature、344:126-132 (19
90)]。同様に酵母において、1個のテロメアの喪失は、細胞周期の停止及び染色
体の不安定性[Sandell及びZakian、Cell、75:729-741 (1993)]、並びに全般的(g
eneralized)テロメア短小化を受け最終的には老化する細胞[Lundblad及びSzosta
k、Cell、57:633-643 (1989);Singer及びGottschling、Science、266:404-409
(1994)]をもたらす。
【0004】 リボ核タンパク質逆転写酵素であるテロメラーゼは、3'テロメア末端への適当
なGが豊富な配列の追加のための適当な鋳型として内部RNA成分を用いて、テロメ
アを延長することができる[Greider及びBlackburn、Cell、43:405-413 (1985)]
。この活性は、ポリメラーぜが染色体末端を複製できないことを補償するが、テ
ロメア維持の他の機構も操作することができる[Plutaら、Nature、337:429-433
(1989)]。
【0005】 テロメアは、染色体DNA末端を延長する鎖においてGが豊富であるような、典型
的には5〜8塩基対長の反復配列のタンデム配列を含む。これらの反復単位は、テ
ロメア機能にとって必要かつ十分であるように見える[Lundblad及びSzostak、Ce
ll、57:633-643 (1989);Szostakら、Cell、36:459-568 (1982)]。単一ゲノムの
全てのテロメアが、同じ反復配列で構成され、かつこれらの配列は種を越えて高
度に保存されている。例えば、Oxytricha染色体は、TTTTGGGG反復配列を末端と
し[Klobutcherら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、78:3015-3019 (1981)]、テト
ラヒメナは(TTGGGG)nの配列を利用し[Blackburnら、J. Mol. Biol.、120:33-53
(1978)]、及び植物染色体は配列(TTTAGGG)nを保持する[Richardsら、Cell、53:1
27-136 (1988)]。トリパノソーマ及び哺乳類を含む全脊椎動物のテロメアは、反
復配列TTAGGGを有する[Blackburnら、Cell、36:447-458 (1984);Brown、Nature
、338:774-776 (1986);Crossら、Nature、338:771-774 (1989);Moyzisら、Pro
c. Natl. Acad. Sci. USA、85:6622-6626 (1988);Van der Ploegら、Cell、36:
459-468 (1984)]。この6個の塩基対配列は、染色体末端の長いタンデム配列にお
いて反復され、これはマウスでは100kb程度の長さであり、ヒトにおいては2〜30
kbの間を変動する[de Lange、Telomere Dynamics and Genome Instability in H
uman Cancer、In Telomeres、Blackburn及びGreider編集、Cold Spring Harbor
Press;265-295 (1995)]。
【0006】 ヒトの体細胞組織の発達時にテロメアは、累進的短小化を受け;これとは対照
的に、精子のテロメアは、ドナーの年齢と共に増加する[Broccoliら、Proc. Nat
l. Acad. Sci. USA、92:9082-9086 (1995);de Lange、Proc. Natl. Acad. Sci.
USA、91:2882-2885 (1994)]。ヒト体細胞組織の染色体の全てではないがほとん
どで、分裂毎に末端TTAGGG反復配列が失われ、例えば皮膚及び血液においては年
間およそ15〜40塩基対が失われる。ヒトテロメアは誕生時には6〜10kbの間であ
るので、この短縮がどのような作用を持つかは不明である。他方で、TTAGGG反復
配列の何キロベースが、最適なテロメア機能に必要であるかもまだわかっていな
い。
【0007】 培地で増殖した初代ヒト繊維芽細胞は、老化段階で分裂を停止する前に、1回
の倍化(PD)につきテロメアDNAの約50塩基対を失っている[Allsoppら、Proc. Nat
l. Acad. Sci. USA、89:10114-10118 (1992)]。重要なことは、細胞が通過する
分裂回数とそれらの最初のテロメア長の間に優れた相関があることである。実際
この相関関係は、初代細胞の複製の可能性を制限する分子時計を表していること
が示唆されている[Harleyら、Nature (ロンドン)、345:458-460 (1990);Harley
ら、Exp. Gerontol、21:375-382 (1992)]。従って、ヒト体細胞の不死化は、テ
ロメアの短小化を休止する機構に関連している[Bodnarら、Science、279:349-35
2 (1998)]。
【0008】 テロメア動態(dynamics)の変化も、ヒト細胞の悪性転換において役割を果たし
ているように見える[Counterら、EMBO J.、11:1921-1929 (1992);Counterら、P
roc. Natl. Acad. Sci. USA、91:2900-2904 (1994);Kimら、Science、266:2011
-2015 (1994)]。例えば、腫瘍細胞のテロメアは、概して対応する正常細胞のも
のよりも有意に短い[de Langeら、Mol. Cell Biol.、10:518-527 (1990)]。テロ
メラーゼ活性化は、ヒト細胞の不死化にとって必須の工程であるように見える[d
e Lange、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、91:2882-2885 (1994);Counterら、EMB
O J.、11:1921-1929 (1992);Counterら、Proc. Natl. Acad. Sci.、91:2900-29
04 (1994);Kimら、Science、266:2011-2015 (1994);Bodnarら、Science、279:
349-352 (1998)]。
【0009】 Hanishら[Proc. Natl. Acad. Sci. USA、91:8861-8865 (1994)]は、TTAGGG種(
seed)配列からヒトテロメアを形成するための必要要件を試験し、かつテロメア
形成は、in vitroにおけるテロメア配列を伸長するヒトテロメラーゼの能力とは
無関係であり、かつ相同的組換えの結果のようには見えないことを発見した。む
しろ、テロメア形成の配列依存性は、in vitroにおける、間期及び有糸分裂期の
ヒト及びマウスのテロメアに関連しているテロメアTTAGGG反復配列結合タンパク
質であるTRF1の結合要件に一致している。
【0010】 実際にいくつかの観察結果が、テロメア長制御機構の存在を示唆している。哺
乳類のテロメアは、種特異的な長さの設定を示し[Kipling及びCooke、Nature、3
47:400-402 (1990)]、これは生殖細胞系におけるテロメア長制御機構を示してい
る。哺乳類細胞は更に、個々のテロメア長を測定しかつ調節する機構も有する。
例えばテロメア種配列の実験において、個々の新たに形成されたテロメアの最終
長は、宿主細胞テロメア長に一致する[Barnettら、Nucl. Acids Res.、21:27-36
(1993);Hanishら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、91:8861-8865 (1994)]。高
レベルのテロメラーゼにもかかわらずそれらテロメアが安定した長さの設定に維
持されているようなテロメア長調節も、いくつかのヒト細胞株において明らかで
ある[Counterら、EMBO J.、11:1921-1929 (1992)]。従って細胞は、個々のテロ
メア、恐らく染色体末端のTTAGGG反復配列に結合したタンパク質に関連している
であろう過程をモニタリングしかつ調節することができる。
【0011】 恐らくTTAGGG結合タンパク質によって媒介された別の過程は、テロメアの保護
的キャップ機能である。テロメアは、DNA損傷をモニタリングする細胞の監視シ
ステムから保護される。従って細胞は、天然の染色体末端(テロメア)を二本鎖の
破錠(DNA損傷の結果)から区別することができる。 哺乳類のテロメアで唯一分かっているタンパク質成分は、間期及び中期染色体
のテロメアに局在している二本鎖(duplex)TTAGGG反復配列結合因子であるTRFタ
ンパク質である[Zhongら、Mol. Cell. Biol.、13:4834-4943 (1992);Chongら、
Science、270:1663-1667 (1995);Luderusら、J. Cell Biol.、135:867-881 (19
96);Broccoliら、Hum. Mol. Genetics、6:69-76 (1997);Smith及びde Lange、
Trends in Genetics、13:21-26 (1997) を検証のために参照のこと;Broccoliら
、Nature Gen.、17:231-235 (1997);Bilaudら、Nature Gen.、17:236-239 (199
7);van Steenselら、Cell、92:401-413 (1998)]。今までのところ、TRF1及びTR
F2のわずかに2種のヒトテロメアDNA結合タンパク質が同定されている[1998年3月
31日に発行された米国特許第5,733,730号、及び1997年9月26日に出願された米国
特許出願第08/938,052号、及び1998年2月4日に出願された第09/018,636号、それ
らの全体が本願明細書に参照として組入れられている]。
【0012】 TRF1は、HeLa細胞から二本鎖TTAGGG−反復配列結合タンパク質として単離され
た[Chongら、Science、270:1663-1667 (1995)]。 この因子は、3種の認識可能
なドメインを含む:酸性N−末端ドメイン、二量体化ドメイン、及びMyb及びホメ
オドメインDNA−結合フォールドに類似したC−末端の三重ヘリックス束(three h
elix bundle)[Bianchiら、EMBO J.、16:1785-1794 (1997);Chongら、Science、
270:1663-1667 (1995);Konig及びRhodes、Cell、85:125-136 (1996)において検
証;Smith及びde Lange、Trends in Genetics、13:21-26 (1997)]。第二の因子
であるTRF2は、二量体化ドメイン及びC−末端MybモチーフにおいてTRF1と関連し
ているが、そのN−末端は、酸性というよりもむしろ塩基性である点で異なる[Bi
laudら、Nature Gen.、17:236-239 (1997);Broccoliら、Nature Gen.、17:231-
235 (1997)]。それらの二量体化ドメインが関係しているにもかかわらず、これ
らのタンパク質は、互いに相互作用することはなく[Broccoliら、Nature Gen.、
17:231-235 (1997)]、かつ恐らく主にホモ二量体として存在するであろう。両方
のタンパク質は、in vitroにおいて二本鎖TTAGGG反復配列に特異的に結合し、か
つin vivoにおいてテロメアに位置している。これら2種のTRFは、遍在して発現
されており、最新の証拠は、ほとんどのヒトテロメアが、細胞周期の全期間を通
じて同時に結合した両因子を含むことを示している [Broccoliら、Nature Gen.
、17:231-235 (1997);Chongら、Science、270:1663-1667 (1995);Smith及びde
Lange、Trends in Genetics、13:21-26 (1997)]。2種の他の二本鎖テロメア反
復配列結合タンパク質が同定されている;S. cerevisiaにおけるRap1p[Shore、T
rends Gen.、10:408-412 (1994)において検証]及びS. pombeにおけるTaz1p[Coop
erら、Nature、385:744-474 (1997)]である。両方共Myb型DNA−結合ドメインを
有する[Cooperら、Nature、385:744-747 (1997);Konigら、Cell、85:125-136 (
1996)]。加えて、Taz1pは、TFR1との全般的に弱い相同性を示し、かつその酸性
の性質は共有している[Cooperら、Nature、385:744-747 (1997)]。
【0013】 最近の研究は、TRF2が、端−端融合を阻害することによるテロメアの保護的活
性において重要な役割を果たすことを示している[van Steenselら、Cell、92:40
1-413 (1998)]。先の研究は、TRF1がテロメアの生物学において様々な役割を果
たし、テロメア長維持の負のレギュレータとして機能することを示している[van
Steensel及びde Lange、Nature、385:740-743 (1997)]。従って、テロメラーゼ
−ポジティブ腫瘍細胞株におけるTRF1の長期間の過剰発現は、累進的テロメア短
小化を生じる。逆に、テロメアからのTRF1の除去は(ドミナントネガティブ変異
体の発現を通じて)、テロメア伸長を誘導した。これらの実験において、TRF1は
、細胞抽出物中のテロメラーゼ活性を検出できるようには改変しなかった。これ
らの知見を基に、TRF1が、個々のテロメアのレベルでテロメラーゼを負に調節し
;テロメアでの TRF1量の増加は、テロメラーゼにとって負のシグナルを形成す
る一方で、減少は、テロメラーゼに正のシグナルを送ることが提唱された[van S
teensel及びde Lange、Nature、385:740-743 (1997)]。興味深いことに、テロメ
ア長調節の同様の機構が、Taz1p及びRap1pがテロメア長の負のレギュレータとし
て機能することがわかっている酵母に存在する。酵母のテロメア長調節の場合の
ように、TRF1がテロメラーゼによるテロメア合成を制御する機構は完全には分か
っていない[Conradら、Cell、63:739-750 (1990);Cooperら、Nature、385:744-
747 (1997);Lustigら、Science、250:549-553 (1990);Marcandら、Science、2
75:986-990 (1997);McEachern及びBlackburn、Nature、376:403-409 (1995)]。
【0014】 実際に、テロメアのホメオスタシスは、延長化活性及び短小化活性のバランス
に関連している。テロメラーゼの触媒サブユニットは延長化活性をもたらす一方
で、テロメア結合タンパク質TRF1を含む他のタンパク質は、テロメア長の平衡を
達成することに関連している。最近、Bodnarら[Science、279:349-352 (1998)]
は、極めて低レベルのテロメラーゼ活性は、テロメア短小化の妨害には不十分で
あり;幹細胞が、低いが検出可能なテロメラーゼ活性を有し、寿命を通じてそれ
らのテロメアの短小化を示し続けるという知見に一致する結果が示されている。 従って、追加のタンパク質、好ましくはテロメアのホメオスタシスに関連した
酵素を単離する必要性がある。更に、このようなタンパク質を特徴付ける必要性
がある。加えて、このようなタンパク質を調節し、その結果テロメア長のホメオ
スタシスの重要な過程にエフェクターとして作用することができる物質を同定す
るための医薬品のスクリーニングを設計しかつ開発することが必要である。 本願明細書へのあらゆる参照としての引用は、このような参照が本明細書の「先
行技術」として利用できることの承認として記載されるものではない。
【0015】発明の概要 本発明は、TRF1に結合するタンパク質であるタンキラーゼをコードしている単
離された及び/又は組換え核酸を提供する。別の実施態様において、この核酸は
タンキラーゼ−関連タンパク質をコードしている。ある実施態様において、この
核酸は、タンキラーゼ又は、配列番号:2のアミノ酸配列と少なくとも25%の同
一性を有するアミノ酸配列を含むタンキラーゼ−関連タンパク質をコードしてい
る。別の実施態様において、この核酸は、以下のドメインの少なくとも2個、好
ましくは3個及びより好ましくは全てを含むタンキラーゼ又はタンキラーゼ−関
連タンパク質をコードしている:好ましくは該タンパク質末端のアミノ末端に位
置するヒスチジン、プロリン及びセリンのホモポリマー域(tract)からなるドメ
イン(HPS)、アンキリン−特異性反復配列コンセンサスドメイン(ANK)、不稔(ste
rile)αモチーフ(SAM)モチーフ、及びポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼ(PARP)
−関連ドメイン。好ましくは、これらのドメインの順番は、配列番号:2のアミ
ノ酸配列を有するヒトタンキラーゼにおいて認められたものと同じである。タン
キラーゼは、好ましくは動物のタンパク質であり、より好ましくは脊椎動物のタ
ンパク質であり、かつ更により好ましくは哺乳類のタンパク質である。最も好ま
しい実施態様において、タンキラーゼはヒトタンパク質である。このような実施
態様のひとつにおいて、タンパク質は、約142-キロダルトンであり、かつ24個の
ANK反復配列、SAMモチーフ、PARP−関連ドメイン、並びにプロリン、ヒスチジン
及びセリンが豊富なN−末端ドメイン(HPS)を有する。
【0016】 別のこのような実施態様において、タンキラーゼは、核膜画分において相対的
に濃縮され、かつ例えば0.5 M NaCl及び8M尿素による抽出後も核膜に結合し続け
ているような、核膜に密に結合しているタンパク質である。この種の特定の実施
態様において、核酸は、配列番号:2のアミノ酸配列を含むヒトタンパク質であ
るタンキラーゼをコードしている。この種の関連する実施態様において、核酸は
、保存的アミノ酸置換を伴う配列番号:2のアミノ酸配列を含むタンキラーゼを
コードしている。更なる特定の実施態様において、核酸は、配列番号:1のコー
ド配列を含んでいる。本発明の組換え及び/又は単離された核酸は全て、更に異
種ヌクレオチド配列を含むことができる。
【0017】 本発明は更に、例えばTRF1の酸性ドメインに結合することができるタンキラー
ゼ断片をコードしているヌクレオチド配列を含む組換えDNA分子のような、核酸
を提供する。好ましい実施態様において、この断片は、タンキラーゼのANK反復
配列コンセンサスドメインの少なくとも一部を含む。この種の特定の実施態様に
おいて、核酸は、配列番号:2のアミノ酸436位から796位を含むタンキラーゼ断
片をコードしている。この種の関連する実施態様において、核酸は、保存的アミ
ノ酸置換を伴う配列番号:2のアミノ酸436位から796位を含むタンキラーゼ断片
をコードしている。 別の実施態様において、核酸は、配列番号:2のアミノ酸18
1位から1005位を含むタンキラーゼ断片をコードしている。この種の関連した実
施態様において、核酸は、保存的アミノ酸置換を伴う配列番号:2のアミノ酸181
位から1005位を含むタンキラーゼ断片をコードしている。更に別のこの種の実施
態様において、核酸は、配列番号:2のアミノ酸336位から1163位を含むタンキラ
ーゼ断片をコードしている。この種の関連した実施態様において、核酸は、保存
的アミノ酸置換を伴う配列番号:2のアミノ酸336位から1163位を含むタンキラー
ゼ断片をコードしている。
【0018】 別の実施態様において、核酸、例えば組換えDNA分子は、PARP−関連ドメイン
を含むタンキラーゼ断片をコードしているヌクレオチド配列を含んでいる。この
ような実施態様のひとつにおいて、核酸は、配列番号:2のアミノ酸1159位から1
314位を含むタンキラーゼ断片をコードしているヌクレオチド配列を含む。この
ような別の実施態様において、核酸は、保存的アミノ酸置換を伴う配列番号:2
のアミノ酸1159位から1314位を含むタンキラーゼ断片をコードしているヌクレオ
チド配列を含む。 更に別の実施態様において、核酸、例えば組換えDNA分子は、SAMモチーフを含
むタンキラーゼ断片をコードしているヌクレオチド配列を含む。あるこのような
実施態様において、核酸は、配列番号:2のアミノ酸1023位から1088位を含むタ
ンキラーゼ断片をコードしているヌクレオチド配列を含む。このような別の実施
態様において、核酸は、保存的アミノ酸置換を伴う配列番号:2のアミノ酸1023
位から1088位を含むタンキラーゼ断片をコードしているヌクレオチド配列を含む
。本発明の全ての核酸について当てはまることであるが、タンキラーゼ断片をコ
ードしている組換えDNA分子は全て、更に異種のヌクレオチド配列を含むことが
できる。
【0019】 更に別の実施態様において、核酸、例えば組換えDNA分子は、HPSドメインを含
むタンキラーゼ断片をコードしているヌクレオチド配列を含む。あるこのような
実施態様において、核酸は、配列番号:2のアミノ酸1位から180位を含むタンキ
ラーゼ断片をコードしているヌクレオチド配列を含む。このような別の実施態様
において、核酸は、保存的アミノ酸置換を伴う配列番号:2のアミノ酸1位から18
0位を含むタンキラーゼ断片をコードしているヌクレオチド配列を含む。 本発明は更に、短縮型タンキラーゼをコードしているヌクレオチド配列を含む
核酸、例えば組換えDNA分子も提供する。あるこのような実施態様において、ヌ
クレオチド配列は、配列番号:2のアミノ酸残基1-640位のコード配列を含む。別
の実施態様において、ヌクレオチド配列は、配列番号:2のアミノ酸残基1-881位
のコード配列を含む。ある実施態様において、このヌクレオチド配列は、配列番
号:8又は保存的アミノ酸置換を伴う配列番号:8をコードしている。この種の特
定の実施態様において、核酸は、配列番号:7のヌクレオチド配列を有する。別
の実施態様において、ヌクレオチド配列は、配列番号:10又は保存的アミノ酸置
換を伴う配列番号:10をコードしている。この種の特定の実施態様において、核
酸は、配列番号:9のヌクレオチド配列を有する。
【0020】 タンキラーゼ、短縮型タンキラーゼを含むその断片、タンキラーゼ−関連タン
パク質、及びその断片をコードしているヌクレオチド配列にハイブリダイズする
核酸も、本発明に含まれる。このような実施態様のひとつにおいて、核酸は、少
なくとも約24個のヌクレオチド、好ましくは少なくとも約48個のヌクレオチド、
及びより好ましくは少なくとも約96個のヌクレオチドである。好ましいこの種の
実施態様において、核酸は、本願明細書に記されたヒトタンキラーゼ活性の少な
くとも1種の、好ましくは2種以上の及びより好ましくは全ての機能活性を有する
タンキラーゼをコードしている。特定の実施態様において、核酸は、中等度にス
トリンジェントな条件下で、配列番号:1にハイブリダイズする。好ましいこの
種の実施態様において、核酸は、高度にストリンジェントな条件下で、配列番号
:1にハイブリダイズする。
【0021】 本発明は更に、配列番号:1の連続的(consecutive)ヌクレオチドを約 15個以
上、好ましくは約24個以上、及びより好ましくは約36個以上含む核酸を提供する
。好ましいこの種の実施態様において、核酸は、本願明細書において記されたヒ
トタンキラーゼの、少なくとも1種の機能活性、好ましくは2種、より好ましくは
全ての機能活性を有するタンキラーゼをコードしている。 加えて、本発明は、本発明の単離された及び/又は組換え核酸のためのヌクレ
オチドプローブも提供する。この種の好ましい実施態様において、ヌクレオチド
プローブは、配列番号:1である。プローブとして使用することができる別の核
酸は、配列番号:11のヌクレオチド配列を含む。プローブとして使用することが
できる更に別の核酸は、配列番号:12のヌクレオチド配列を含む。
【0022】 本発明の核酸は全て、発現制御配列に機能的に連結された組換えDNA分子に含
まれ得る。本発明は更に、本発明の組換えDNA分子を含む発現ベクターを提供す
る。加えて本発明は更に、本発明の発現ベクターを含む細胞において、組換えタ
ンキラーゼタンパク質又はその断片を発現する方法も提供する。このような実施
態様のひとつは、適当な細胞の培養培地において、該細胞による組換えタンキラ
ーゼ又はその断片の発現を提供するような条件下で、細胞を培養することを含む
。このような方法は、更に、組換えタンキラーゼ又はその断片を精製する工程を
含む。組換えタンキラーゼ又はその断片の精製された形も、本発明の一部として
含まれる。ある好ましい実施態様において、核酸は配列番号:2をコードしてい
る。別の好ましい実施態様において、核酸は、配列番号:2のアミノ酸436位から
796位を含むタンキラーゼ断片をコードしている。
【0023】 別の本発明の態様は、単離された及び/又は組換えの、TRF1に結合するタンパ
ク質であるタンキラーゼを提供する。別の実施態様において、単離された及び/
又は組換えタンパク質は、タンキラーゼ−関連タンパク質である。ある実施態様
において、タンキラーゼ又はタンキラーゼ−関連タンパク質は、配列番号:2と
少なくとも25%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。別の実施態様において、
タンキラーゼ又はタンキラーゼ−関連タンパク質は、以下のドメインの少なくと
も2種、好ましくは3種、及びより好ましくは全てを含む:好ましくは該タンパク
質末端のアミノ末端に位置するヒスチジン、プロリン及びセリンのホモポリマー
域からなるドメイン(HPS)、アンキリン−特異性反復配列コンセンサスドメイン(
ANK)、不稔αモチーフ(SAM)モチーフ、及びポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼ(P
ARP)−関連ドメイン。タンキラーゼは、好ましくは動物のタンパク質であり、よ
り好ましくは脊椎動物のタンパク質であり、及び更により好ましくは哺乳類のタ
ンパク質である。最も好ましい実施態様において、タンキラーゼはヒトタンパク
質である。このような実施態様において、タンパク質は、約142-キロダルトンで
あり、かつ約24個のANK反復配列、SAMモチーフ、プロリン、ヒスチジン及びセリ
ンがリッチなアミノ−末端(すなわちHPSドメイン)、並びにPARP−関連ドメイン
を有する。別のこのような実施態様において、タンキラーゼは、核膜画分におい
て相対的に濃縮され、かつ例えば0.5 M NaCl及び8M尿素による抽出後も核膜に結
合し続けているような、核膜に密に結合しているタンパク質である。
【0024】 本発明の別の実施態様は、配列番号:2のアミノ酸配列を含むヒトタンパク質
であるタンキラーゼを提供する。関連するこの種の実施態様において、タンキラ
ーゼは、保存的アミノ酸置換を伴う配列番号:2のアミノ酸配列を含む。本発明
は更に、本発明のタンキラーゼタンパク質のタンパク質分解性断片を提供する。
本発明は更に、本願明細書において記されたタンキラーゼのように機能する配列
番号:2由来の約12個以上、好ましくは約24個以上、及びより好ましくは約36個
以上の連続的なアミノ酸を含むタンパク質を提供する。
【0025】 本発明は更に、TRF1の酸性ドメインに結合することができるタンキラーゼ断片
を提供する。好ましい実施態様において、この断片は、タンキラーゼのANK反復
配列コンセンサスドメインの少なくとも一部を含む。この種の特定の実施態様に
おいて、 タンキラーゼ断片は、配列番号:2のアミノ酸の436位から796位を含む
。これに関連する実施態様において、タンキラーゼ断片は、保存的アミノ酸置換
を伴う配列番号:2のアミノ酸の436位から796位を含む。別のこのような実施態
様において、タンキラーゼ断片は、配列番号:2のアミノ酸の181位から1005位を
含む。この種の関連する実施態様において、タンキラーゼ断片は、保存的アミノ
酸置換を伴う配列番号:2のアミノ酸の181位から1005位を含む。更に別のこの種
の実施態様において、タンキラーゼ断片は、配列番号:2のアミノ酸の336位から
1163位を含む。これに関連する実施態様において、タンキラーゼ断片は、保存的
アミノ酸置換を伴う配列番号:2のアミノ酸の336位から1163位を含む。
【0026】 更に別の実施態様において、タンキラーゼ断片は、HPSドメインを含む。ある
このような実施態様において、タンキラーゼ断片は、配列番号:2のアミノ酸の1
位から180位を含む。このような別の実施態様において、タンキラーゼ断片は、
保存的アミノ酸置換を伴う配列番号:2のアミノ酸の1位から180位を含む。 更に別の実施態様において、タンキラーゼ断片は、PARP−関連ドメインを含む
。このようなある実施態様において、タンキラーゼ断片は、配列番号:2のアミ
ノ酸の1159位から1314位を含む。これに関連する実施態様において、タンキラー
ゼ断片は、保存的アミノ酸置換を伴う配列番号:2のアミノ酸の1159位から1314
位を含む。
【0027】 更に別の実施態様において、タンキラーゼ断片は、SAMモチーフを含む。この
ようなある実施態様において、タンキラーゼ断片は、配列番号:2のアミノ酸の1
023位から1088位を含む。このような別の実施態様において、タンキラーゼ断片
は、保存的アミノ酸置換を伴う配列番号:2のアミノ酸の1023位から1088位を含
む。更に本発明の組換え及び/又は単離されたタンキラーゼタンパク質及び断片
は全て、キメラ及び/又は融合ペプチド又はタンパク質の一部であることもでき
る。 本発明は、短縮型タンキラーゼも提供する。このような実施態様のひとつにお
いて、短縮型タンキラーゼは、配列番号:2のアミノ酸残基1-640位を含む。別の
実施態様において、短縮型タンキラーゼは、配列番号:2のアミノ酸残基1-881位
を含む。ある実施態様において、短縮型タンキラーゼは、配列番号:8又は保存
的アミノ酸置換を伴う配列番号:8のアミノ酸配列を含む。更に別の実施態様に
おいて、短縮型タンキラーゼは、配列番号:10又は保存的アミノ酸置換を伴う配
列番号:10のアミノ酸配列を含む。
【0028】 本発明は更に、短縮型タンパク質を含むタンパク質及びその断片、並びに本発
明のタンパク質のタンパク質分解断片に対する抗体を提供する。あるこのような
実施態様において、抗体はポリクローナル抗体である。別の実施態様において、
抗体はモノクローナル抗体である。更に別の実施態様において、抗体はキメラ抗
体である。本発明は更に、本発明のモノクローナル抗体を産生する不死化細胞株
も提供する。 本発明は更に、トランスジェニックなノックアウト動物を提供する。好ましい
この種の実施態様において、ノックアウト動物はマウスである。ある実施態様は
、個体の対立遺伝子からの機能的タンキラーゼ発現を妨げるような、タンキラー
ゼをコードしている内因性対立遺伝子の破壊を含む。 別の実施態様において、
破壊は、タンキラーゼをコードしている両方の内因性対立遺伝子において生じ、
ノックアウト動物が機能的内因性タンキラーゼを発現することを妨げる。これら
のトランスジェニック動物を、医薬品のスクリーニングなどに使用することがで
きる。
【0029】 別の本発明の態様は、タンキラーゼ及びTRF1の結合を妨害する医薬品の候補を
選択する方法である。このような実施態様のひとつは、候補医薬品を、TRF1の酸
性ドメインを含む第一のタンパク質又はペプチド、およびTRF1の酸性ドメインと
結合することができるタンキラーゼ断片を含む第二のタンパク質又はペプチドと
、候補医薬品が存在しない場合には第一のタンパク質又はペプチド及び第二のタ
ンパク質又はペプチドが結合するような条件下で接触する工程、並びに第一のタ
ンパク質又はペプチド及び第二のタンパク質又はペプチドの間の結合を検出する
工程を含む;ここで、候補医薬品は、医薬品の存在下で測定された結合の量が、
それが存在しない場合よりも少なく測定される場合に選択される。好ましくは、
この断片は、タンキラーゼのANK反復配列コンセンサスドメインの少なくとも一
部を含む。
【0030】 本発明は更に、タンキラーゼのPARP(及び/又はARP)活性を調節することがで
きる候補医薬品を選択する方法を提供する。このような調節剤は、アゴニスト又
はアンタゴニストのいずれかであることができる。アゴニストとして選択される
候補医薬品は、PARP (又はARP)活性の増加を引き起こす一方で、アンタゴニスト
(例えばインヒビター)として選択される候補医薬品は、PARP(及び/又はARP)活
性を低下する。このような実施態様のひとつは、候補医薬品を、PARP活性を有す
るタンキラーゼ又はタンキラーゼ断片、NAD+及びポリADP−リボシル化基質と、
候補医薬品が存在しない場合はタンキラーゼ(又はその断片)が基質をポリADP−
リボシル化するような条件下で接触することを含む。その後基質 (例えばヒスト
ン) のポリADP−リボシル化状態を測定する。候補医薬品は、医薬品の存在下で
測定された基質のポリADP−リボシル化状態が、非存在下で測定された値を下回
る場合には、アンタゴニストとして選択される。候補医薬品は、医薬品の存在下
で測定された基質のポリADP−リボシル化状態が、非存在下で測定された値を上
回る場合には、アゴニストとして選択される。
【0031】 本発明は更に、非腫瘍細胞の寿命を延長する及び/又は腫瘍細胞の増殖を阻害
する方法を提供する。このような実施態様のひとつは、タンキラーゼインヒビタ
ーを投与することを含む。この種のある特定の実施態様において、インヒビター
は、3−アミノベンズアミドである。好ましいこの種の実施態様において、細胞
はヒト細胞である。 更に別の本発明の態様は、ヒトタンキラーゼ遺伝子と相同な配列の同定法を含
む。このような実施態様のひとつは、 遺伝子のコード領域のヌクレオチド配列
の一部を含む核酸ライブラリーから得た核酸によってコードされたアミノ酸と、
配列番号:2の相同性を決定することを含む。この決定は、コンピュータ解析を
使って行うことが好ましい。その後配列番号:2と実質的に相同なタンパク質を
コードしている部分的ヌクレオチド配列を含む核酸が、選択される。次にこの遺
伝子のコード領域の配列が決定される。配列が、配列番号:2と実質的に相同な
アミノ酸配列を有するタンパク質をコードしている場合に、配列は、本発明のヒ
トタンキラーゼ遺伝子に対し相同であると同定される。
【0032】 この方法のある実施態様において、コード領域の配列の決定は、該核酸を有す
るプラスミド挿入断片のシークエンシングにより行われる。この場合、挿入断片
は、該核酸を含む。別の実施態様において、この方法は更に、コード領域を含む
組換えDNAを構築することを含む。このような実施態様のひとつにおいて、組換
えタンパク質は、組換えDNAの発現によって作成される。好ましいこの種の実施
態様において、タンキラーゼ活性がアッセイされる。このような実施態様のひと
つにおいて、アッセイされた活性は、組換えタンパク質のTRF1への結合能である
。 別の実施態様において、組換えタンパク質がヒトタンキラーゼ活性を有する場
合に、この配列はヒトタンキラーゼ遺伝子と相同であると同定される。これらの
方法で得られる組換えDNA分子及び組換えタンキラーゼも本発明の一部である。
【0033】 本発明は更に、タンパク質を核に輸送する方法を提供する。この方法は、タン
キラーゼがTRF1によって核に運搬されるような機構の同定により生じる。更に詳
細に述べると、本発明は、問題のタンパク質又はペプチド及びTRF1の酸性ドメイ
ンに結合することができるタンキラーゼ断片をコードしているヌクレオチド配列
を提供する。最低でもタンキラーゼ断片は、ANK反復配列コンセンサスドメイン
の少なくとも一部を含んでいる。特に有用な本発明のこの部分の態様は、問題の
タンパク質がテロメアに局在することができることである。このようなタンパク
質は、グリーン蛍光タンパク質のようなマーカーとして、もしくは例えばRNase
、DNase又はプロテインキナーゼさえも含むようなその特定の活性について用い
ることができる。この種の好ましい実施態様において、核酸は、配列番号:2の
アミノ酸436位から796位を含むタンキラーゼ断片をコードしている。別のこの種
の実施態様において、核酸は、保存的アミノ酸置換を伴う配列番号:2のアミノ
酸436位から796位を含むタンキラーゼ断片をコードしている。 本発明のこれら及び他の態様は、以下の図面及び詳細な説明を参照として、一層
理解されるであろう。
【0034】発明の詳細な説明 新規テロメアタンパク質であるタンキラーゼ(TRF1相互作用性アンキリン)は、
TRF1とのツーハイブリッドスクリーニングにより同定されている。タンキラーゼ
は、明らかにされた第三の哺乳類のテロメアタンパク質であり、かつこれは先に
同定された因子であるTRF1及びTRF2とはいくつかの点が異なる。例えば、タンキ
ラーゼの推定アミノ酸配列は、TRF1及びTRF2とは完全に無関係の新たなドメイン
構造(organization)を示している。加えて、タンキラーゼは、TRF1及びTRF2のよ
うにテロメアDNAとの結合によるのではなく、むしろTRF1とのタンパク質−タン
パク質相互作用を通して、テロメアに局在する。以下に例示するように、ヒトタ
ンキラーゼは、TRF1結合部位を含む24個のアンキリン反復配列(アンキリンファ
ミリーの特徴である)、不稔αモチーフ(SAM)タンパク質相互作用モチーフ、及び
DNA修復及びゲノム安定性に関連した酵素であるポリ(ADP−リボース)ポリメラー
ゼ(PARP)の触媒ドメインと有意に相同であるC−末端ドメインの領域を保持する
。タンキラーゼは、テロメア長維持の負のレギュレータであるテロメアタンパク
質TRF1に結合する。
【0035】 HeLa細胞におけるタンキラーゼcDNAの発現は、テロメア染色パターンを明らか
にしたが、これはタンキラーゼがTRF1と同時トランスフェクションされた場合に
のみ認められ、このことは、テロメアへのタンキラーゼ局在化とTRF1合成の間の
関連の可能性を示している。内因性タンパク質の細胞レベル下分布の分析は、間
期及び有糸分裂期に、タンキラーゼは、TFR1と共にテロメアへ同時局在化するこ
とを示していた。タンキラーゼは、そのテロメアの位置に加えて、間期には核膜
孔複合体に、及び有糸分裂期には中心体に位置する。 タンキラーゼは、そのPARPとの強力な相同性が示されたので、酵素として機能
することは驚くべきことではなく、かつこのことは真核細胞テロメアと結合した
テロメラーゼ以外の酵素活性の第一の指標を示している。実際にタンキラーゼの
PARP−関連ドメインは、TRF1によるテロメア長の調節に関連していて、かつテロ
メアに対するTRF1の作用を直接修飾するであろう。
【0036】 ごく最近になって、テロメア動態が、細胞の生活環において大きい役割を果た
すことが明らかになっている。テロメア長の調節は、加齢の過程で、更には癌及
び他のヒト疾患において意味を持つ。例えば、血管拡張性失調症における突然変
異は、末梢血リンパ球における加速されたテロメア短小化を疾病素因とすること
が最近わかった[Metealfeら、Nature Genetics、13:350−353 (1996)]。 テロメアは、ヒト体細胞組織の発達時に累進的短小化を受ける。このようなテ
ロメア短小化は、実際には細胞増殖を制限し、加齢につながる。一貫して、初代
ヒト繊維芽細胞が培地において経験する細胞分裂の回数は、それらの最初のテロ
メア長によって決まる。この相関関係は、初代細胞の複製の可能性を制限する分
子時計に対応し、かつヒト体細胞の不死化が正常なテロメアの短小化を停止しな
ければならない機構に関係していることを示している。このことは、in vitro又
はin vivoのいずれかにおけるテロメア伸長の良好な誘導が、加齢過程のこの態
様の反作用であること、及び更にヒトの細胞及び組織の寿命を延長することがで
きることを意味している。この能力において、タンキラーゼは、TRF1 の作用を
阻害することによって、反作用物質として作用することができる。
【0037】 他方、癌細胞は、それらのテロメアを特定の長さに維持する能力を有するよう
に見える。驚くべきことではないが、多くの癌細胞が、酵素テロメラーゼを有し
、これは伸長されたテロメアに作用し、これによりさもなければ正常細胞の分裂
中に生じるであろうテロメアの短小化に反作用する。現在、製薬業界の多大な努
力が、癌の化学療法における標的としてのテロメラーゼに集中されている。この
方法の理論的裏付けは、テロメラーゼの阻害は、腫瘍におけるテロメア短小化に
つながるはずであり、かつこの過程が実際に癌細胞の増殖を停止すると予想され
るということである。加えて、癌細胞のテロメアは、総じて対応する正常細胞の
ものよりも有意に短い。このテロメア長の減少は、癌細胞のゲノムの不安定さの
要因であるかもしれない。タンキラーゼは、調節酵素として作用することができ
ることの証拠があるので、タンキラーゼの阻害は、恐らく腫瘍細胞を含む細胞の
損傷という結果をもたらすであろう[McEachern及びBlackburn、Nature、376:403
-409 (1995)]。
【0038】 ヒトにおいて、テロメアの維持は、テロメラーゼ−発現細胞においてテロメア
を安定化する負のフィードバック機構によって制御される。TRF1は、テロメア長
の調節において役割を果たしている。TRF1は、少なくとも一部は、テロメアに結
合しかつテロメラーゼが触媒したテロメア伸長を阻害することによって、調節に
おいてその役割を発揮している。本願明細書に記したように、TRF1は、タンキラ
ーゼに対する結合パートナーであることによっても、テロメア長を調節するかも
しれない。テロメラーゼ−ポジティブ腫瘍細胞株におけるTRF1の長期間の過剰発
現は、段階的かつ累進的テロメア短小化をもたらす一方で、TRF1の特異的インヒ
ビターであるA-TRFをコードしているドミナントネガティブ対立遺伝子の発現は
、内因性TRF1のテロメアへの結合を阻害し、これによりテロメア伸長が可能にな
る。重要なことは、TRF1に対するタンキラーゼの親和性が、TRF1がテロメアに結
合すると増すように見えることである。
【0039】 テロメアへのTRF1結合の阻害は、in vitroにおいてテロメラーゼを発現してい
る細胞のテロメア伸長をもたらすことが示されている。このデータを基に、TRF1
のin vivo阻害は、テロメラーゼを発現している細胞においてテロメア伸長を生
じるであろう。テロメラーゼは、骨髄細胞、末梢血T及びB細胞、及び基底ケラチ
ノサイトのような自己再生する組織において発現される。これらの細胞において
、及びテロメラーゼを発現している他の正常ヒト細胞において、タンキラーゼ活
性によるTRF1の阻害は、テロメア伸長及び付随する寿命の延長につながる。 無数の本発明の組換えタンキラーゼを含む細胞の治療的用途に加えて、本願明
細書において説明された方法によって得られる、少なくとも一部はタンキラーゼ
活性の調節剤の存在に起因する、延長された寿命を有する細胞は、更に生物工学
的産物の作製のようなex vivo用途においても重要であることができる。実際、
テロメア長を操作することができる細胞は、テロメアの構造、機能及び動態の基
本的分析並びにテロメラーゼの機能及び調節の分析にとって、重要な道具である
。加えて、テロメア長の操作は、テロメア動態及び細胞寿命の間の関係に関する
洞察を提供する。テロメアホメオスタシスに関係した新規タンパク質の説明は、
医薬品の設計及び遺伝子操作に関する新たな道を提供する。
【0040】 更に詳細に述べると、Bodnerら[Science、279:349-352 (1993)]によってテロ
メアの維持及び細胞老化の間に示された直接の相関関係は、例えば、本発明によ
って提供された組成物及び方法は、(1) 皮膚繊維芽細胞における細胞外マトリッ
クスのホメオスタシスの喪失による皮膚の萎縮[Takedaら、Arch. Dermatol.、13
0:87 (1994)];(2)年齢に関連した黄斑変性[Boutonら、J. Neurosci.、15:4992
(1995)];並びに(3)アテローム硬化症[Kumazakiら、J. Med. Sci.、42:97 (1993
)]の防止及び/又は治療において直接役割を果たし得ることを示している。加え
て、Bodnerら[前掲]は、延長された寿命を有する細胞が、組換えタンパク質とし
ての生物工学的産物の作製において重要なex vivo用途を有することができるこ
とを指摘している。更に、本発明の内容による正常なヒト細胞におけるin vitro
細胞寿命の延長も、実験室において多数の正常ヒト細胞を作出する用途を有する
。多数のヒト細胞は、ex vivo遺伝子治療において使用される細胞群の作出を含
む、組織(例えば火傷罹病者の皮膚)及び更には幹細胞の形成において重要である
ことができる。
【0041】 従って本願明細書において使用される場合、以下の用語は下記に記した定義を
有する: 本願明細書において使用される用語「タンキラーゼ」は、用語「タンキリン」
と互換性を持って使用され、かつTRF1と、より詳細にはTRF1のN-末端酸性ドメイ
ンと結合親和性を有するタンパク質を意味する。タンキラーゼは、以下に説明す
るように、アンキリン−特異性反復配列コンセンサスドメイン(ANK)、不稔αモ
チーフ(SAM)モチーフ;及びポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼ(PARP)−関連ドメ
インを含む。これは好ましくはプロリン、ヒスチジン及びセリンが豊富なドメイ
ン(HPS)を有し、及びより好ましくはこのHPSドメインは、該タンパク質のアミノ
末端に位置する。タンキラーゼは更に、ADP−リボシル化の受容体/基質として
機能するTRF1及び/又はタンキラーゼのいずれかとの、in vitroにおけるPARP活
性を有する。以下に詳細に例証するように、ヒトタンキラーゼは、配列番号:1
のヌクレオチド配列によってコードされた配列番号:2のアミノ酸配列を有する
。タンキラーゼは、下記に定義したタンキラーゼ−関連タンパク質の特定の種で
ある。
【0042】 本願明細書において使用される「タンキラーゼ−関連タンパク質」は、配列番
号:2を有するヒトタンンキラーゼの最初の一員としてとしてここに説明される
、ヒトタンキラーゼに類似したその構造によって、タンパク質ファミリーの一員
として同定されるタンパク質である。最低でも、「タンキラーゼ−関連タンパク
質」は、ヒトタンキラーゼと共通の少なくとも2個の構造的及び/又は機能的ド
メイン(例えば、HPS、ANK、SAM又はPARP−様ドメイン)を含むか、あるいは約130
0個のアミノ酸残基の連続ブロックを通じて配列番号:2のアミノ酸配列を有する
ヒトタンキラーゼとのおよそ少なくとも25%のアミノ酸同一性を有し、好ましく
はこれら2種のアミノ酸配列の間の対応を変更することができるか、あるいは配
列番号:2のアミノ酸配列を有するヒトタンキラーゼと少なくともおよそ25%の
相同性を有するかするいずれか特定の欠失又は挿入を考慮し、これは、好ましく
はデフォルトのフィルター条件下でAdvanced Blast検索(www.ncbi.nlm.nih.gov
)で決定されたものと同等、好ましくは同一であるような、標準のコンピュータ
解析による配列番号:2とのタンキラーゼ−関連タンパク質のアミノ酸配列の類
似点の割合として決定される。好ましい実施態様において、「タンキラーゼ−関
連タンパク質」は、これらの特性の2種以上を有する。加えてこのタンパク質は
好ましくは、ヒトタンキラーゼと共通の少なくとも3種のドメインを有し、かつ
より好ましくは、これらの4種のドメイン全てを有する。この種の最も好ましい
実施態様において、これらのドメインの順番は、本願明細書に示されたヒトタン
キラーゼの順番と一致する。同様に、タンキラーゼ−関連タンパク質は、約1300
個のアミノ酸残基の連続ブロックを通じて、配列番号:2のアミノ酸配列を有す
るヒトタンキラーゼとの好ましくは少なくとも約50%のアミノ酸同一性、より好
ましくは少なくとも約75%の、及び更により好ましくは少なくとも約90%のアミ
ノ酸同一性を有する。あるいは、タンキラーゼ−関連タンパク質が、配列番号:
2のアミノ酸配列を有するヒトタンキラーゼとの少なくとも約50%のアミノ酸相
同性を、より好ましくは少なくとも約75%及び更により好ましくは少なくとも約
90%のアミノ酸相同性を有することも好ましく、この相同性は、前述の標準のコ
ンピュータ解析により決定される。タンキラーゼ−関連タンパク質は、好ましく
は、例えばTRF1のようなTRFと結合し、ADP−リボシル化活性を有し及び/又はテ
ロメア機能における役割を発揮するような、ヒトタンキラーゼの少なくとも1種
おいて機能する。より好ましくは、タンキラーゼ−関連タンパク質は、TRF1のよ
うなTRFに結合し、ADP−リボシル化活性を有し、かつテロメア機能において役割
を発揮する。
【0043】 本願明細書において使用される「ANK」ドメインは、24個のアンキリン−特異
的反復配列を含むタンパク質ドメインである[Bork、Proteins、17:363-374 (199
3);Michaely及びBennett、Trends Cell Biol.、2:127-129 (1992);及びBennet
t、J. Biol. Chem.、267:8703-8706 (1992)]。 本願明細書において使用される「SAM」ドメインは、不稔性αモチーフ、すなわ
ち発達過程に関与したタンパク質の多様なグループの1〜3コピーにおいて認めら
れた65−70のアミノ酸ドメインである[Pointing、Protein Science、4:1928-193
0 (1995);Schultzら、Protein Science、6:249-253 (1997)]。 本願明細書において使用される「PARP−様」ドメインは、Domenighiniら[Mol.
Microbiol.、14:41-50 (1994)及びRufら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、93:74
81-7485 (1996)]によって説明されるような、PARPドメインに相当するタンパク
質ドメインである。 本願明細書において使用される「HPS」ドメインは、約150個又はそれ以下の連続
するアミノ酸の領域に含まれるタンパク質ドメインであり、ここにおいてヒスチ
ジン、プロリン、及びセリンのホモポリマーのラン(又は域)が認められる。ポリ
マーランは、最低でも5個の連続するプロリン、又は5個の連続するヒスチジン、
又は5個の連続するセリンを含む。HPSドメインは、配列番号:2のアミノ酸配列
のN−末端領域に示されている。
【0044】 テロメア反復配列結合因子1であるTRF1は、テロメア伸長の負のレギュレータと
して作用することによってテロメア維持の調節において役割を果たすが、これは
、テロメアの末端に認められる特異的テロメア反復配列に結合する二量体タンパ
ク質である[1998年3月31日に発行された米国特許第5,733,730号、及び1997年9月
26日に出願された米国特許出願第08/938,052号、及び1998年2月4日に出願された
第09/018,636号、これらは全体が本願明細書に参照として組入れられている]。
脊椎動物において、テロメア反復配列は、TTAGGGである。TRF1は、3個の個別の
構造的ドメインである、特異的テロメア反復配列に結合するタンパク質領域を包
含するDNA結合ドメイン、それと対をなす(geminate)パートナーと結合し二量体
を形成する単量体領域を包含している二量体化ドメイン、及び以下に説明するタ
ンキラーゼと結合するN−末端酸性領域を有している。
【0045】 用語「テロメア反復配列結合因子2」又は「TRF2」は、テロメア末端において
正確な構造を維持するために必要なテロメアタンパク質であり、かつこれにより
端−端融合に対して保護される[1997年9月26日に出願された米国特許出願第08/9
38,052号;及び1998年2月4日に出願された第09/018,636号]。従ってTRF2は、細
胞分裂周期を通じての良好な進行において役割を果たす。このように、TRF2は、
ヒト体細胞においてテロメアに起因した主要機能に関連し、かつ従って、正常及
び形質転換されたヒト細胞において、テロメア機能の喪失及びテロメアの短小化
を随伴する増殖停止において役割を果たす。TRF2は、3種の個別の構造的ドメイ
ンである、特異的テロメア反復配列に結合するタンパク質領域を包含するDNA結
合ドメイン、それと対をなすパートナーと結合し二量体を形成する単量体領域を
包含している二量体化ドメイン、及びN−末端塩基性領域を有している。
【0046】 本願明細書において使用される「改変されたTRF」(A-TRF)は、TRFに結合しヘ
テロ二量体を形成する修飾された脊椎動物TRFである[1997年2月14日に出願され
た米国特許出願第08/800,264号、及び1998年2月4日に出願された第09/018,628号
で、本願明細書に参照として組入れられている]。得られるヘテロ二量体は、TRF
テロメア反復配列に対する結合親和性が、対応するTRFホモ二量体のものよりも
測定可能な程低い。従って、A-TRFは、対応するTRFのそのテロメア反復配列結合
部位への結合を阻止及び/又は妨害する。「A-TRF1」は、改変されたTRF1である
一方で、「A-TRF2」は改変されたTRF2である。
【0047】 本願明細書において使用される「およそ」及び「約」は、値が示された値の10
%以内であることを意味するように使用され、すなわち「およそ」140個のアミ
ノ酸残基を有するタンパク質断片は、126〜154個のアミノ酸残基を有する。 本願明細書において使用される「結合する」は、第三の分子に対してよりも、互
いに選択性を示す2種以上の分子を生じるような特異的相互作用の全てを含む。
これは、共有結合、イオン結合及び水素結合の全てを含むが、溶媒選択性のよう
な非特異的会合は含まない。 本願明細書において使用される用語「相同物」は、共通の進化的起源を有する
がそれらがの異なる種を起源とするために異なるようなタンパク質間の関係を意
味する。例えばニワトリのTRF2 は、ヒトTRF2の相同物である。
【0048】タンキラーゼをコードしている遺伝子 本発明は、完全長を含む、好ましくは脊椎動物由来の、又はいずれかの種、好
ましくは動物、より好ましくは哺乳類の、更により特定するとヒト起源のタンキ
ラーゼから天然に生じる、タンキラーゼ又はタンキラーゼ−関連タンパク質をコ
ードしている遺伝子の単離を考察している。 本発明において、当該技術分野において通常の分子生物学的、微生物学的、及
び組換えDNA技術が使用される。これについては、Sambrook、Fritsch及びManiat
isの「分子クローニング:実験マニュアル」第2版(1989)、Cold Spring Harbor
Laboratory Press、コールドスプリングハーバー、ニューヨーク(以後「Sambroo
kら、1989」と記す);「DNAクローニング:実際の手法」第I及びII巻、(D.N. Gl
over編集、1985);「オリゴヌクレオチド合成」(M.J. Gait編集、1984);「核酸
ハイブリダイゼーション」[B.D. Hames & S .J. Higgins編集(1985)];「転写と
翻訳」[B.D. Hames & S.J. Higgins編集(1984)];「動物細胞培養」[RI. Freshn
ey編集(1986)];「不死化細胞及び酵素」[IRL Press (1986)];B. Perbal、「分
子クローニング実践指針」(1984);F.M. Ausubelら、編集「分子生物学最新プロ
トコール」、John Wiley & Sons, Inc. (1994)を参照のこと。
【0049】 従って、本願明細書において使用される場合、下記の用語は以下に記した定義
を有するものである。 本願明細書において使用される用語「遺伝子」は、ポリペプチドをコードしてい
るヌクレオチド集合体を意味し、cDNA及びゲノムDNAの核酸を含む。 「ベクター」は、結合したセグメントの複製を生じるように、それに別のDNAセ
グメントが結合することができるような、プラスミド、ファージ又はコスミドの
ようなレプリコンである。「レプリコン」は、in vivoにおいてDNA複製の自律的
単位として機能する、すなわちそれ自身の制御下で複製が可能であるような、い
ずれかの遺伝子要素(例えば、プラスミド、染色体、ウイルス)である。 「カセット」は、特異的制限部位においてベクターに挿入することができるDN
Aセグメントを意味する。このDNAセグメントは、問題のポリペプチドをコードし
、かつカセット及び制限部位は、転写及び翻訳に適したリーディングフレームに
おいてカセットの挿入を確実にするよう消化される。
【0050】 細胞は、外因性又は異種DNAにより、このようなDNAが細胞内に導入される場合
に、「トランスフェクション」される。細胞は、トランスフェクションされたDN
Aが表現型の変化に影響する場合に、外因性又は異種DNAにより「形質転換」され
る。好ましくは、形質転換DNAは、細胞のゲノムを形成している染色体DNAに組み
込まれる(共有結合的連結)。 「異種」DNAは、天然には細胞内、又は細胞の染色体部位には位置しないDNAを
意味する。好ましくは、異種DNAは、細胞に対し外来性の遺伝子を含む。 本願明細書において使用される「異種ヌクレオチド配列」は、組換え法により本
発明のヌクレオチド配列に付加され、天然には全く生じない核酸を形成するよう
なヌクレオチド配列である。このような核酸は、キメラ及び/又は融合タンパク
質をコードすることができる。従って、異種ヌクレオチド配列は、調節及び/又
は構造特性を含むペプチド及び/又はタンパク質をコードすることができる。別
のこのような実施態様において、異種ヌクレオチドは、組換え核酸が発現された
後本発明のヌクレオチド配列によってコードされたタンパク質又はペプチドの検
出手段として機能するタンパク質又はペプチドをコードすることができる。更に
別のこのような実施態様において、異種ヌクレオチドは、本発明のヌクレオチド
配列の検出手段として機能することができる。異種ヌクレオチド配列は、制限部
位、調節部位、プロモーターなどを含む非コード配列を含むことができる。
【0051】 「核酸分子」は、リボヌクレオシド(アデノシン、グアノシン、ウリジン又は
シチジン;「RNA分子」)又はデオキシリボヌクレオシド(デオキシアデノシン、
デオキシグアノシン、デオキシチミジン、又はデオキシシチジン;「DNA分子」)
のリン酸エステル重合体、又はそれらのホスホエステル類似体、例えばホスホ
ロチオエート又はチオエステルなどで、一本鎖型又は二本鎖ヘリックス状のいず
れかのものを意味する。二本鎖DNA−DNA、DNA−RNA及びRNA−RNAのヘリックスが
可能である。用語核酸分子、特にDNA又はRNA分子は、その分子の一次及び二次構
造のみを意味し、特定の三次構造を限定するものではない。従って、この用語は
、とりわけ線状又は環状DNA分子(例えば制限断片)、プラスミド、及び染色体に
認められた二本鎖DNAを含む。特定の二本鎖DNA分子の構造についての考察におい
て、常法に従い、本願明細書において、DNAの非転写鎖に沿った5'から3'方向の
配列(すなわちmRNAと相同な配列を有する鎖)のみを示し、配列を説明することが
できる。しかし、特に記さない限りは、核酸の呼称は、前述の非転写鎖及びそれ
に対応する相補鎖の両方を含む。このような呼称は、配列番号:を含む。「組換
えDNA分子」は、分子生物学的操作を受けたDNA分子である。
【0052】 核酸分子は、適当な温度及び溶液のイオン強度の条件下で、核酸分子の1本鎖
型が他の核酸分子にアニーリングされる場合に、例えばcDNA、ゲノムDNA、又はR
NAのような別の核酸分子に「ハイブリダイズすることができる」(Sambrookら、
前掲を参照のこと)。温度及びイオン強度の条件は、ハイブリダイゼーションの
「ストリンジェンシー」を決定する。相同的核酸の予備的スクリーニングにおい
ては、Tm 55°に対応する、低ストリンジェンシーのハイブリダイゼーション条
件、例えば5x SSC、0.1% SDS、0.25%ミルク、及びホルムアミド非含有;又は3
0%ホルムアミド、5x SSC、0.5% SDSなどを使用することができる。中等度のス
トリンジェンシーハイブリダイゼーション条件は、より高いTmに対応し、例えば
、40%ホルムアミド、5x 又は6x SCCである。高ストリンジェンシーハイブリダ
イゼーション条件は、最高のTmに対応し、例えば50%ホルムアミド、5x又は6x S
CCである。ハイブリダイゼーションは、2種の核酸が相補的配列を含むことを必
要とするが、ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーに応じて、塩基間の
ミスマッチが起こり得る。核酸のハイブリダイゼーションに適したストリンジェ
ンシーは、核酸の長さ及び相補性の程度、当該技術分野において周知の変数によ
って決まる。2種のヌクレオチド配列間の類似性又は相同性の程度がより大きく
なると、これらの配列を有する核酸のハイブリッドのTm値がより大きくなる。核
酸ハイブリダイゼーションの相対的安定性(比較的高Tmに相当する)は、下記の順
で低下する:RNA:RNA、DNA:RNA、DNA:DNA。長さが100以上のヌクレオチドのハイ
ブリッドに関して、Tm計算式が誘導されている(Sambrookら、前掲、9.50-10.51
を参照)。比較的短い核酸、すなわちオリゴヌクレオチドとのハイブリダイゼー
ションに関して、ミスマッチの位置は、より重要であり、かつオリゴヌクレオチ
ドの長さはその特異性を決定する(Sambrookら、前掲、11.7-11.8を参照)。好ま
しくは、ハイブリダイズできる核酸の最小の長さは、少なくとも約12ヌクレオチ
ドであり;好ましくは少なくとも約16ヌクレオチドであり;及びより好ましくは
、この長さは少なくとも約24ヌクレオチドであり;最も好ましくは36ヌクレオチ
ドである。
【0053】 特定の実施態様において、用語「標準のハイブリダイゼーション条件」は、Tm
が55℃で、前述の条件を利用するものを意味する。好ましい実施態様において、
Tmは、60℃であり、より好ましい実施態様において、Tmは65℃である。 「相同的組換え」は、染色体へのベクターの外来DNA配列の挿入を意味する。
好ましくは、このベクターは、相同的組換えにとって特異的染色体部位を標的と
する。特異的相同的組換えのためのベクターは、ベクターの染色体への相補的結
合及び挿入を可能にするために、染色体配列と相同な十分な長さ領域を有するで
あろう。より長い相同領域、より大きい配列類似性の程度は、相同的組換えの効
率を増大することができる。 DNA「コード配列」は、適当な調節配列の制御下に置かれた場合に、in vitro
又はin vivoにおいて細胞のポリペプチドに転写及び翻訳される二本鎖DNA配列で
ある。コード配列の境界は、5' (アミノ)末端の開始コドン及び3' (カルボキシ)
末端の翻訳停止コドンで決定される。コード配列は、原核細胞配列、真核細胞mR
NA由来のcDNA、真核細胞(例えば哺乳類) DNAのゲノムDNA配列、更には合成DNA配
列を含むことができるが、これらに限定されるものではない。コード配列が真核
細胞において発言されることを意図する場合は、ポリアデニル化シグナル及び転
写終結配列が、通常コード配列の3' 側に配置される。
【0054】 転写及び翻訳制御配列は、プロモーター、エンハンサー、ターミネーターなど
のような、宿主細胞におけるコード配列の発現のために提供されるDNA調節配列
である。真核細胞において、ポリアデニル化シグナルは、制御配列である。 「プロモーター配列」は、細胞におけるRNAポリメラーゼとの結合及び下流(3'
方向)のコード配列の転写開始が可能なDNA調節領域である。本発明を定義する目
的では、プロモーター配列は、転写開始部位によりその3'末端結合され、かつ上
流(5'方向)に延長され、バックグラウンド上の検出可能なレベルで転写を開始す
るために必要な最小数の塩基又は要素を含む。プロモーター配列内には、転写開
始部位(便宜上例えばヌクレアーゼS1を使ったマッピングにより決定される)、更
にはRNAポリメラーゼの結合に寄与するタンパク質結合ドメイン(コンセンサス配
列)が認められるであろう。 細胞においてRNAポリメラーゼがコード配列をmRNAに転写する場合、コード配
列は、転写及び翻訳の制御配列の「制御下」にあり、その後これはRNAのトラン
ススプライシングを受け、かつコード配列によりコードされたタンパク質に翻訳
される。
【0055】 「シグナル配列」は、細胞表面で発現されるべきタンパク質のコード配列の始
まり部分に含まれる。この配列は、成熟ポリペプチドのN−末端のシグナルペプ
チドをコードしており、ポリペプチドのトランスロケーションを宿主細胞に指示
するものである。用語「トランスロケーションシグナル配列」は、本願明細書に
おいて、この種のシグナル配列を意味する。トランスロケーションシグナル配列
は、真核細胞及び原核細胞に固有の様々なタンパク質と結合して認めることがで
き、かつしばしば両生物種において機能する。 本願明細書において使用される用語「配列相同性」は、その文法的な全ての形
において、スーパーファミリー(例えば、免疫グロブリンスーパーファミリー)由
来のタンパク質を含む「共通の進化の起源」有するタンパク質間、並びに異なる
種に由来する相同タンパク質(例えばミオシン軽鎖など)間の関係を意味する[Ree
ckら、Cell、50:667 (1987)]。 従って用語「配列類似性」は、その文法的な全ての形において、共通の進化の
起源を共有しないタンパク質の核酸又はアミノ酸配列の間の同一性の程度又は相
応度を意味する[Reeckら、1987、前掲]。しかし一般的利用及び当該の用途にお
いて、用語「相同である」が「高度に」などの副詞で修飾される場合、これは配
列類似性を意味するが、共通の進化の起源は意味しない。
【0056】 特定の実施態様において、DNA配列の所定の長さにわたってヌクレオチドの少
なくとも約50%(好ましくは少なくとも約75%、及び最も好ましくは少なくとも
約90又は95%) が一致する場合に、2種のDNA配列は、「実質的に相同」又は「実
質的に類似」である。実質的に相同な配列は、配列データバンクから入手できる
標準のソフトウェアを用いた配列の比較、又は特定のシステムを決定するための
例えばストリンジェントな条件下でのサザンハイブリダイゼーション実験におけ
る配列の比較により確定される。適当なハイブリダイゼーション条件の決定は、
当該技術分野内である。例えば、Maniatisら、前掲;「DNAクローニング」、第I
& II巻、前掲;「核酸ハイブリダイゼーション」、前掲を参照のこと。
【0057】 同様に、特定の実施態様において、2種のアミノ酸配列は、アミノ酸の30%以
上が同じ場合、又はアミノ酸の約60%以上が類似している場合(機能的に同一)に
、「実質的に相同」又は「実質的に類似」である。好ましくは、類似の又は相同
の配列は、例えばGCG(Genetics Computer Group, Program Manual for the GCG
Package、7版、マジソン、ウイスコンシン州)パイルアッププログラムを用い、
デフォルトのパラメータを用いて、整列することにより確定される。 本願明細書において使用される用語「相応する」は、正確な位置は類似性又は
相同性が調べられる分子と同じであるか又は異なるかにかかわらず、類似又は相
同の配列を意味する。従って用語「相応する」は、所定の配列範囲(例えば50ヌ
クレオチド)に及ぶ配列の類似性を意味するが、アミノ酸残基又はヌクレオチド
塩基対の番号付けを意味するものではない。
【0058】 タンキラーゼ又はタンキラーゼ関連タンパク質(ゲノムDNA又はcDNAを問わな
い)をコードする遺伝子は、特にヒトcDNA又はゲノムライブラリーからのあらゆ
る起源から分離し得る。本明細書に開示されたヌクレオチド情報を有するタンキ
ラーゼ遺伝子を得る方法は当技術分野で公知である〔例えば、Sambrookらの上記
文献, 1989を参照のこと〕。 それ故、あらゆる動物細胞がタンキラーゼ遺伝子の分子クローニングのための
核酸源として潜在的に利用し得る。DNAはクローン化DNA(例えば、DNA“ライブ
ラリー”)から当技術分野で知られている通常の操作により、化学合成により、
cDNAクローニングにより、又は所望の細胞から精製された、ゲノムDNA、もしく
はその断片のクローニングにより得られてもよい〔例えば、Sambrookらの上記文
献, 1989;Glover, D.M.(編集), 1985, DNA Cloning: A Practical Approach,
MRL Press, Ltd., Oxford, U.K. I, II巻を参照のこと〕。ゲノムDNAから誘導
されたクローンはコーディング領域に加えて調節領域及びイントロンDNA領域を
含んでもよい。cDNAから誘導されたクローンはイントロン配列を含まないであろ
う。どのような起源であろうとも、遺伝子が遺伝子の増殖に適したベクターに分
子クローン化されるべきである。
【0059】 ゲノムDNAからの遺伝子の分子クローニングにおいて、DNA断片が生成され、そ
の幾つかが所望の遺伝子をコードするであろう。DNAは種々の制限酵素を使用し
て特定の部位で開裂されてもよい。また、マンガンの存在下でDNAseを使用してD
NAを断片化してもよく、又はDNAが、例えば、音波処理により物理的にせん断し
得る。次いで線状DNA断片がアガロース及びポリアクリルアミドゲル電気泳動及
びカラムクロマトグラフィーを含むが、これらに限定されない通常の技術により
サイズに応じて分離し得る。 DNA断片が一旦生成されると、所望のタンキラーゼ遺伝子を含む特定のDNA断片
の同定が幾つかの方法で達成し得る。例えば、タンキラーゼ遺伝子もしくはその
特定のRNA、又はこれらの断片の一部の量が入手でき、精製、標識し得る場合、
生成されたDNA断片が標識プローブへの核酸ハイブリダイゼーションによりスク
リーニングし得る〔Benton及びDavis, Science, 196:180 (1977); Grunstein及
びHogness, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 72:3961 (1975)〕。例えば、タン
キラーゼタンパク質について得られた部分アミノ酸配列情報に相当するオリゴヌ
クレオチドの組が調製され、タンキラーゼをコードするDNAのプローブとして使
用し得る。タンキラーゼに高度に特異である断片が選択されることが好ましい。
プローブに対し実質的な相同性を有するこれらのDNA断片がハイブリダイズする
であろう。上記のように、相同性の程度が大きい程、更に厳しいハイブリダイゼ
ーション条件が使用し得る。特別な実施態様において、厳しいハイブリダイゼー
ション条件が相同のタンキラーゼ遺伝子を同定するのに使用される。
【0060】 例えば、遺伝子が本明細書に開示されたタンキラーゼの電気泳動で等電点のア
ミノ酸組成、又は部分アミノ酸配列を有するタンパク質生成物をコードする場合
、更なる選択が遺伝子の性質に基づいて行い得る。こうして、遺伝子の存在がそ
の発現産物の物理的性質、化学的性質、又は免疫学的性質に基づくアッセイによ
り検出し得る。例えば、適当なmRNAをハイブリッド選択するcDNAクローン、又は
DNAクローンが選択でき、これらは、例えば、同様又は同じ電気泳動移動、等電
点集中もしくは非平衡pHゲル電気泳動挙動、タンパク質分解消化地図、又はタン
キラーゼについて知られている抗原性を有するタンパク質を生成する。 また、タンキラーゼ又はタンキラーゼ関連タンパク質遺伝子はmRNA選択、即ち
、核酸ハイブリダイゼーション続いてin vitro翻訳により同定し得る。この操作
において、ヌクレオチド断片がハイブリダイゼーションにより相補mRNAを分離す
るのに使用される。このようなDNA断片は入手し得る精製タンキラーゼDNAに相当
してもよく、又は部分アミノ酸配列情報から設計された合成オリゴヌクレオチド
であってもよい。分離されたmRNAの生成物のin vitro翻訳産物の免疫沈澱分析又
は機能性アッセイ(例えば、タンキラーゼ活性)がmRNAひいては所望の配列を含
む相補DNA断片を同定する。加えて、特定のmRNAがタンキラーゼに対し特異的に
誘導される固定された抗体への細胞から分離されたポリソームの吸着により選択
されてもよい。
【0061】 ヒトタンキラーゼのヌクレオチド配列、配列番号1はまた部分又は完全長核酸
配列を含むコンピュータデータベースを使用してその他の種からの高度に相同性
の遺伝子、又は少なくとも一つの相同ドメインを有するタンパク質について研究
するのに使用し得る。例えば、ヒトESTが研究し得る。ヒトタンキラーゼ配列が
、例えば、GCGソフトウェア及びブラスト検索プログラムを使用して、例えば、G
enBank中でヒト配列と比較し得る。次いで高度に相同性の配列又はその部分との
マッチが得られる。 同定された配列がESTである場合、ESTを含むインサートが得られ、次いで完全
に配列決定される。次いで得られる配列が配列番号1に代えて、かつ/又はそれ
と一緒に使用されてタンキラーゼ相同物(又はタンキラーゼドメイン相同物)の
コーディング領域を含むその他のESTを同定し得る。例えば、マッチドESTを含む
プラスミドがcDNAインサートを放出するために制限酵素で消化し得る。プラスミ
ドが完全長相同物を含まない場合、消化産物が、例えば、アガロースゲルに流さ
れて精製でき、インサートに相当するバンドがゲルから切断され、精製し得る。
このような精製インサートはおそらく重なり領域を含み、これらはプライマー(
これらはタンキラーゼオープンリーディングフレームの外部に配置されることが
好ましい)を使用してPCR反応の鋳型として合わされる。増幅はベクターにつな
がれて、例えば、TAクローニング(インビトロゲン)によりE coli誘導体を形質
転換するのに使用し得る予想された生成物を生じるべきである。得られる完全長
タンキラーゼ相同物は発現ベクターに入れられ、次いで発現された組換えタンキ
ラーゼがTRF1結合活性についてアッセイし得る。
【0062】 また、マッチしたEST相同物断片を含むプラスミドはコンピテント細菌(例え
ば、ギブコBRL、ガイザーズブルグMdからのもの)を形質転換するのに使用し得
る。細菌は線状に塗られて、次いで一夜にわたって増殖し得る。プラスミドプレ
プが行われ(例えば、キアゲン社、サンタ・クラリタCA)、プラスミドが同時の
制限消化により消化し得る。消化の生成物は、例えば、アガロースゲルでサイズ
により分離され、精製し得る。これらのゲルから切断された相当するバンドがつ
ながれて完全長タンキラーゼcDNAを形成し、コンピテント細菌を形質転換するの
に使用され、得られるプラスミドが精製し得る。 放射能標識タンキラーゼcDNAは選択されたmRNA(吸着されたポリソームからの
もの)を鋳型として使用して合成し得る。次いで放射能標識mRNA又はcDNAがプロ
ーブとして使用されてその他のゲノムDNA断片の中から相同タンキラーゼDNA断片
を同定し得る。
【0063】 また、本発明は本発明のタンキラーゼのドメインをコードする遺伝子を含むク
ローニングベクターに関する。このような誘導体及び類似体の生成及び使用は本
発明の範囲内である。 修飾タンキラーゼは機能上均等の分子を与える置換、付加又は欠失を行うこと
によりタンキラーゼをコードする核酸配列を変化することによりつくられる。タ
ンキラーゼに対しテロメア延長に関する増進又は増大された効果を有するこのよ
うな誘導体がつくられることが好ましい。例えば、好ましいタンキラーゼは天然
形態よりもTRF1をしっかりと結合し得る。 ヌクレオチドコーディング配列の縮重のために、タンキラーゼ遺伝子と実質的
に同じアミノ酸配列をコードするその他のDNA配列(その保存置換を含むものを
含む)が本発明の実施に使用し得る。これらとして、修飾対立遺伝子、その他の
種からの修飾相同遺伝子、及びその配列内の同じアミノ酸残基をコードし、こう
してサイレント変化を生じる異なるコドンの置換により変化されるタンキラーゼ
遺伝子の全部又は部分を含むヌクレオチド配列が挙げられるが、これらに限定さ
れない。同様に、本発明のタンキラーゼ誘導体として、一次アミノ酸配列として
、機能上均等なアミノ酸残基が配列内の残基に代えて使用されて保存アミノ酸置
換をもたらす変化された配列を含むタンキラーゼタンパク質のアミノ酸配列の全
部又は部分を含む誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。こうして、こ
のような置換が保存置換として定義される。
【0064】 例えば、配列内の一種以上のアミノ酸残基は同様の極性を有する別のアミノ酸
(これは機能均等物として作用し、サイレント変化をもたらす)により置換し得
る。配列内のアミノ酸の置換はそのアミノ酸が属するクラスのその他の員から選
ばれてもよい。例えば、無極性(疎水性)アミノ酸として、アラニン、ロイシン
、イソロイシン、バリン、プロピン、フェニルアラニン、トリプトファン及びメ
チオニンが挙げられる。芳香族環構造を有するアミノ酸はフェニルアラニン、ト
リプトファン及びチロシンである。極性中性アミノ酸として、グリシン、セリン
、スレオニン、システイン、チロシン、アスパラギン、及びグルタミンが挙げら
れる。正に帯電される(塩基性)アミノ酸として、アルギニン、リシン及びヒス
チジンが挙げられる。負に帯電される(酸性)アミノ酸として、アスパラギン酸
及びグルタミン酸が挙げられる。このような変化はポリアクリルアミドゲル電気
泳動、又は等電点により測定して見掛分子量に有意に影響すると予想されないで
あろう。
【0065】 特に好ましい保存置換は −Argに代えてLys及びその逆(その結果、正の電荷が維持し得る); −Aspに代えてGlu及びその逆(その結果、負の電荷が維持し得る); −Thrに代えてSer(その結果、遊離-OHが維持し得る);及び −Asnに代えてGln(その結果、遊離NH2が維持し得る)。 アミノ酸置換はまた特に好ましい性質を有するアミノ酸を置換するために導入
し得る。例えば、Cysは別のCysとのジスルフィドブリッジに潜在的な部位で導入
し得る。Proはその特に平面状の構造のために導入されてもよく、これがタンパ
ク質の構造中にβターンを誘導する。
【0066】 本発明のタンキラーゼ誘導体及び類似体をコードする遺伝子は当技術分野で知
られている種々の方法により生成し得る。それらの生成をもたらす操作は遺伝子
レベル又はタンパク質レベルで行い得る。例えば、タンキラーゼ遺伝子配列は当
技術分野で知られている多数の戦略〔Sambrookらの上記文献, 1989〕のいずれか
により天然タンキラーゼクローンから生成し得る。その配列は適当な部位で一種
以上の制限エンドヌクレアーゼで開裂され、続いて所望により更に酵素修飾され
、分離され、in vitroでつながれる。タンキラーゼの誘導体又は類似体をコード
する遺伝子の生成において、修飾された遺伝子は、所望の活性がコードされる遺
伝子領域中に、翻訳停止シグナルにより中断されない、タンキラーゼ遺伝子と同
じ翻訳リーディングフレーム内に留まることを確実にするように注意が払われる
べきである。
【0067】 更に、タンキラーゼをコードする核酸配列は翻訳配列、開始配列、及び/又は
終結配列を生じ、かつ/又は分解するために、又はコーディング領域中に変化を
生じ、かつ/又は新しい制限エンドヌクレアーゼ部位を形成し、もしくは既存の
ものを分解して、in vitro修飾を更に促進するために、in vitro突然変異又はin
vivo突然変異により生成し得る。このような突然変異はタンキラーゼ遺伝子産
物の特定の性質を更に増進することが好ましいであろう。in vitro部位誘導突然
変異誘発〔Hutchinson, C.ら, J. Biol. Chem., 253:6551 (1978); Zoller及びS
mith, DNA, 3:479-488 (1984); Oliphantら, Gene, 44:177 (1986); Hutchinson
ら, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 83:710 (1986)〕、TAB(登録商標)リン
カー(ファーマシア)の使用等を含むが、これらに限定されない当技術分野で知
られている突然変異誘発に関するあらゆる技術が使用し得る。PCR技術が部位誘
導突然変異誘発に好ましい(Higuchi, 1989,“Using PCR to Engineer DNA”, P
CR Technology: Principles and Applications for DNA Amplification, H. Erl
ich編集, Stockton Press, 6章, 61-70頁を参照のこと)。タンパク質への非天
然アミノ酸の部位特異的とり込みに関する一般的な方法がChristopher J. Noren
, Spencer J. Anthony-Cahill, Michael C. Griffith, Peter G. Schultz, Scie
nce, 244:182-188 (1989年4月)に記載されている。この方法が非天然アミノ酸
との類似体をつくるのに使用し得る。
【0068】 次いで同定され、分離された遺伝子が適当なクローニングベクターに挿入し得
る。当技術分野で知られている多数のベクター−宿主系が使用し得る。可能なベ
クターとして、プラスミド又は修飾ウイルスが挙げられるが、これらに限定され
ないが、ベクター系は使用されるヒト細胞と適合性である必要がある。ベクター
の例として、E. coli、ラムダ誘導体の如きバクテリオファージ、又はpBR322誘
導体もしくはpUCプラスミド誘導体の如きプラスミド、例えば、pGEXベクター、p
mal-c、pFLAG等が挙げられるが、これらに限定されない。クローニングへの挿入
は、例えば、DNA断片を相補付着末端を有するクローニングベクターにつなぐこ
とにより行い得る。しかしながら、DNAを断片化するのに使用される相補制限部
位がクローニングベクター中に存在しない場合、そのDNA分子の末端が酵素で修
飾されてもよい。また、あらゆる所望の部位がヌクレオチド配列(リンカー)を
DNA末端につなぐことにより生じられてもよい。これらのつながれたリンカーは
制限エンドヌクレアーゼ認識配列をコードする特定の化学合成されたオリゴヌク
レオチドを含んでもよい。組換え分子が形質転換、トランスフェクション、感染
、エレクトロポレーション等により宿主細胞に導入でき、その結果、遺伝子配列
の多くのコピーが生成される。クローン化遺伝子はシャトルベクタープラスミド
に含まれることが好ましく、これはクローニング細胞、例えば、E. coli中で発
現を与え、適当な発現細胞系へのその後の挿入のための精製を促進する(このよ
うなことが所望される場合)。例えば、シャトルベクター(これは一種より多い
型の生物中で複製し得る)はE. coliプラスミドからの配列を酵母2μプラスミ
ドからの配列と連結することによりE. coli及びサッカロミセス・セレビジエの
両方中の複製のために調製し得る。 別法において、所望の遺伝子が“ショットガン”アプローチにおける好適なク
ローニングベクターへの挿入後に同定され、分離されてもよい。例えば、サイズ
分別による、所望の遺伝子の濃縮(enrichment)がクローニングベクターへの挿入
の前に行い得る。
【0069】 タンキラーゼポリペプチドの発現 タンキラーゼ、もしくはタンキラーゼ関連タンパク質、又はこれらのキメラタ
ンパク質を含む機能上均等な誘導体をコードするヌクレオチド配列が適当な発現
ベクター、即ち、挿入されたタンパク質コーディング配列の転写及び翻訳に必要
な要素を含むベクターに挿入し得る。このような要素が本明細書中“プロモータ
ー”と称される。こうして、本発明のタンキラーゼをコードする核酸は本発明の
発現ベクター中でプロモーターと機能し得る形で会合される。cDNA配列及びゲノ
ム配列の両方がクローン化され、このような調節配列の制御下で発現し得る。ま
た、発現ベクターは複製開始点を含むことが好ましい。
【0070】 必要な転写シグナル及び翻訳シグナルが組換え発現ベクターに用意され、又は
それらが相当するタンキラーゼ領域及び/又はその隣接領域をコードする天然遺
伝子により供給されてもよい。分子生物学又はタンパク質化学の当業者は、本開
示に鑑みて、本明細書に記載されたようにして発現されたタンパク質をアッセイ
する方法を容易に知り、このような修飾タンパク質が実際にタンキラーゼである
か否かを測定するであろう。潜在的な宿主−ベクター系として、ウイルス(例え
ば、ワクチニアウイルス、アデノウイルス等)で感染された哺乳類細胞系;ウイ
ルス(例えば、バキュロウイルス)で感染された昆虫細胞系;酵母ベクターを含
む酵母の如き微生物;又はバクテリオファージ、DNA、プラスミドDNA、もしくは
コスミドDNAで形質転換された細菌が挙げられるが、これらに限定されない。ベ
クターの発現要素はそれらの濃度及び特異性を変化する。利用される宿主−ベク
ター系に応じて、幾つかの好適な転写要素及び翻訳要素のいずれか一つが使用し
得る。
【0071】 本発明の組換えタンキラーゼ又はタンキラーゼ関連タンパク質、もしくは機能
上均等な誘導体、或いはキメラ構築物は組換えによるコーディング配列の組み込
み後に染色体発現し得る。これに関して、幾つかの増幅系のいずれかが高レベル
の安定な遺伝子発現を得るのに使用し得る〔Sambrookらの上記文献, 1989を参照
のこと〕。例えば、相同組換えによる染色体組み込みは、抗体産生プラズマ細胞
を不死化するように永久発現が必要とされる場合に望ましい。その他の実施態様
において、例えば、移植のための細胞のin vitro増殖について、プラスミドによ
るような一時的トランスフェクションが好ましい。このようにして、細胞がin v
itroで無限に増殖し得るが、in vivoで再導入された場合に最終的に分化するで
あろう。 タンキラーゼをコードする核酸を含む組換えベクターを含む細胞が細胞による
タンキラーゼの発現を与える条件下で適当な細胞培地中で培養される。 クローニングベクターへのDNA断片の挿入について既に記載された方法のいず
れもが適当な転写/翻訳調節シグナル及びタンパク質コーディング配列からなる
遺伝子を含む発現ベクターを構築するのに使用し得る。これらの方法として、in
vitro組換えDNA技術及び合成技術並びにin vivo組換え(遺伝子組換え)が挙げ
られる。
【0072】 タンキラーゼ又はタンキラーゼ関連タンパク質の発現は当技術分野で知られて
いるあらゆるプロモーター/エンハンサー要素により調節し得るが、これらの調
節要素は発現に選ばれた宿主中で機能性である必要がある。タンキラーゼ遺伝子
発現を調節するのに使用し得るプロモーターとして、SV40早期プロモーター領域
〔Benoist及びChambon, Nature, 290:304-310 (1981)〕、ラウス肉腫ウイルスの
3'長末端繰り返し体中に含まれるプロモーター〔Yamamotoら, Cell, 22:787-797
(1980)〕、ヘルペスチミジンキナーゼプロモーター〔Wagnerら, Proc. Natl. A
cad. Sci. U.S.A., 78:1441-1445 (1981)〕、メタロチオネイン遺伝子の調節配
列〔Brinsterら, Nature, 296:39-42 (1982)〕;原核生物発現ベクター、例えば
、β-ラクタマーゼプロモーター〔Villa-Kamaroffら, Proc. Natl. Acad. Sci.
U.S.A., 75:3727-3731 (1978)〕、又はtacプロモーター〔DeBoerら, Proc. Natl
. Acad. Sci. U.S.A., 80:21-25 (1983)〕;また“Useful proteins from recom
binant bacteria”, Scientific American, 242:74-94 (1980)を参照のこと;
【0073】 酵母又はその他の菌類からのプロモーター要素、例えば、Gal 4プロモーター、A
DC(アルコールデヒドロゲナーゼ)プロモーター、PGK(ホスホグリセロールキ
ナーゼ)プロモーター、アルカリ性ホスファターゼプロモーター;並びに動物転
写調節領域(これらは組織特異性を示し、トランスジェニック動物に利用されて
いた):エラスターゼI遺伝子調節領域(これは膵臓腺房細胞中で活性である)
〔Swiftら, Cell, 38:639-646 (1984); Ornitzら, Cold Spring Harbor Symp. Q
uant. Biol., 50:399-409 (1986); MacDonald, Hepatology, 7:425-515 (1987)
〕;インスリン遺伝子調節領域(これは膵臓β細胞中で活性である)〔Hanahan,
Nature, 315:115-122 (1985)〕、免疫グロブリン遺伝子調節領域(これはリン
パ系細胞中で活性である)〔Grosschedlら, Cell, 38:647-658 (1984); Adames
ら, Nature, 318:533-538 (1985); Alexanderら, Mol. Cell. Biol., 7:1436-14
44 (1987)〕、マウス乳癌ウイルス調節領域(これは睾丸細胞、乳房細胞、リン
パ系細胞及びマスト細胞中で活性である)〔Lederら, Cell, 45:485-495 (1986)
〕、アルブミン遺伝子調節領域(これは肝臓中で活性である)〔Pinkertら, Gen
es and Devel., 1:268-276 (1987)〕、α-フェトプロテイン遺伝子調節領域(こ
れは肝臓中で活性である)〔Krumlaufら, Mol. Cell. Biol., 5:1639-1648 (198
5); Hammerら, Science, 235:53-58 (1987)〕、α1-アンチトリプシン遺伝子調
節領域(これは肝臓中で活性である)〔Kelseyら, Genes and Devel., 1:161-17
1 (1987)〕、β-グロビン遺伝子調節領域(これはミエロイド細胞中で活性であ
る)〔Mogramら, Nature, 315:338-340 (1985); Kolliasら, Cell, 46:89-94 (1
986)〕、ミエリン塩基性タンパク質遺伝子調節領域(これは脳中の乏突起膠細胞
中で活性である)〔Readheadら, Cell, 48:703-712 (1987)〕、ミオシンL鎖-2
遺伝子調節領域(これは骨格筋中で活性である)〔Sani, Nature, 314:283-286
(1985)〕、及び性線刺激ホルモン放出ホルモン遺伝子調節領域(これは視床下部
中で活性である)〔Masonら, Science, 234:1372-1378 (1986)〕が挙げられるが
、これらに限定されない。
【0074】 本発明のタンキラーゼをコードする核酸を含む発現ベクターは四つの一般的な
アプローチ:(a)所望のプラスミドDNA又は特定のmRNAのPCR増幅、(b)核酸ハイブ
リダイゼーション、(c)選択マーカー遺伝子機能の存在又は不在、及び(d)挿入さ
れた配列の発現を含む多くの手段により同定し得る。第一アプローチにおいて、
核酸がPCRにより増幅されて増幅産物の検出を与え得る。第二アプローチにおい
て、発現ベクターに挿入された外来遺伝子の存在が挿入されたマーカー遺伝子に
相同である配列を含むプローブを使用して核酸ハイブリダイゼーションにより検
出し得る。第三アプローチにおいて、組換えベクター/宿主系がベクター中の外
来遺伝子により生じた或る種の“選択マーカー”遺伝子機能(例えば、β-ガラ
クトシダーゼ活性、チミジンキナーゼ活性、抗生物質に対する耐性、形質転換表
現型、バキュロウイルス中の吸蔵体形成等)の存在又は不在に基いて同定され、
選択し得る。別の例において、タンキラーゼをコードする核酸がベクターの“選
択マーカー”遺伝子配列内に挿入される場合、タンキラーゼインサートを含む組
換え体がタンキラーゼ遺伝子機能の不在により同定し得る。第四アプローチにお
いて、組換え発現ベクターが組換え体により発現された遺伝子産物の活性、生化
学的特性、又は免疫学的特性についてアッセイすることにより同定し得るが、但
し、発現されたタンパク質が機能上活性なコンホメーション、即ち、TRF1を結合
するタンキラーゼの能力を呈することを条件とする。
【0075】 多種の宿主/発現ベクター組み合わせが本発明のDNA配列を発現するのに使用
し得る。有益な発現ベクターは、例えば、染色体DNA配列、非染色体DNA配列及び
合成DNA配列のセグメントからなってもよい。好適なベクターとして、SV40の誘
導体及び既知の細菌プラスミド、例えば、E. coliプラスミドcol E1、pCR1、pBR
322、pMal-C2、pET、pGEX〔Smithら, Gene, 67:31-40 (1988)〕、pMB9及びそれ
らの誘導体、プラスミド、例えば、RP4;ファージDNAS、例えば、ファージλの
多数の誘導体、例えば、NM989、及びその他のファージDNA、例えば、M13及び繊
維状一本鎖ファージDNA;酵母プラスミド、例えば、2μプラスミド又はその誘
導体;真核生物細胞に有益なベクター、例えば、昆虫細胞又は哺乳類細胞に有益
なベクター;プラスミド及びファージDNAの組み合わせから誘導されたベクター
、例えば、ファージDNA又はその他の発現調節配列を使用するために修飾された
プラスミド等が挙げられる。
【0076】 例えば、バキュロウイルス発現系において、非融合導入ベクター、例えば、pV
L941 (BamH1クローニング部位;サマーズ)、pVL1393 (BamH1、SmaI、XbaI、EcoR
1、NotI、XmaIII、BglII、及びPstIクローニング部位;インビトロゲン)、pVL13
92 (BglII、PstI、NotI、XmaIII、EcoRI、XbaI、SmaI、及びBamH1クローニング
部位;サマーズ及びインビトロゲン)、及びpBlueBacIII (BamH1、BglII、PstI、
NcoI、及びHindIIIクローニング部位、可能な青色/白色組換えスクリーニング
を含む;インビトロゲン)(これらに限定されない)、及び融合導入ベクター、
例えば、pAc700 (BamH1及びKpnIクローニング部位、その中でBamH1認識部位が開
始コドンで始まる;サマーズ)、pAc701及びpAc702 (pAc700と同じであるが、異
なるリーディングフレームを有する)、pAc360 (ポリヘドリン開始コドンの下流
のBamH1クローニング部位36塩基対;インビトロゲン(195))、及びpBlueBacHisA,
B, C (三つの異なるリーディングフレーム、BamH1、BglII、PstI、NcoI、及びH
indIIIクローニング部位、プロボンド精製のためのN末端ペプチド、及びプラー
クの青色/白色組換えスクリーニングを含む;インビトロゲン(220))(これらに
限定されない)の両方が使用し得る。
【0077】 本発明における使用に意図される哺乳類発現ベクターとして、誘導プロモータ
ー、例えば、ジヒドロフォレートレダクターゼ(DHFR)プロモーターを含むベクタ
ー、例えば、DHFR発現ベクター、又はDHFR/メトトレキセート同時増幅ベクター
、例えば、pED (PstI、SalI、SbaI、SmaI、及びEcoRIクローニング部位、そのベ
クターはクローン化遺伝子及びDHFRの両方を発現する;Kaufman, Current Proto
cols in Molecular Biology, 16.12 (1991)を参照のこと)を含むあらゆる発現ベ
クターが挙げられる。また、グルタミンシンセターゼ/メチオニンスルホキシム
同時発現ベクター、例えば、pEE14 (HindIII、XbaI、SmaI、SbaI、EcoRI、及びB
clIクローニング部位、この場合、そのベクターはグルタミンシンターゼ及びク
ローン化遺伝子を発現する;セルテク)が挙げられる。別の実施態様において、
エプスタインバールウイルス(EBV)の制御下でエピソーム発現を誘導するベクタ
ー、例えば、pREP4 (BamH1、SfiI、XhoI、NotI、NheI、HindIII、NheI、PvuII、
及びKpnI部位、構成PSV-LTRプロモーター、ハイグロマイシン選択可能マーカー
;インビトロゲン)、pCEP4 (BamH1、SfiI、XhoI、NotI、NheI、HindIII、NheI、
PvuII、及びKpnIクローニング部位、構成hCMV即時型遺伝子、ハイグロマイシン
選択可能マーカー;インビトロゲン)、pMEP4 (KpnI、PvuI、NheI、HindIII、Not
I、XhoI、SfiI、BamH1クローニング部位、誘導メタロチオネインIIa遺伝子プロ
モーター、ハイグロマイシン選択可能マーカー;インビトロゲン)、pREP8 (BamH
1、XhoI、NotI、HindIII、NheI、及びKpnIクローニング部位、RSV-LTRプロモー
ター、ヒスチジノール選択可能マーカー;インビトロゲン)、pREP9 (KpnI、NheI
、HindIII、NotI、XhoI、SfiI、及びBamHIクローニング部位、RSV-LTRプロモー
ター、G418選択可能マーカー;インビトロゲン)、及びpEBVHis (RSV-LTRプロモ
ーター、ハイグロマイシン選択可能マーカー、プロボンド樹脂により精製可能か
つエンテロキナーゼにより開裂されるN末端ペプチド;インビトロゲン)が使用
し得る。本発明における使用のための選択可能な哺乳類発現ベクターとして、pR
c/CMV (HindIII、BstXI、NotI、SbaI、及びApaIクローニング部位、G418選択;
インビトロゲン)、pRc/RSV (HindIII、SpeI、BstXI、NotI、XbaIクローニング部
位、G418選択;インビトロゲン)その他が挙げられる。本発明による使用のため
のワクチニアウイルス哺乳類発現ベクター(Kaufmanの上記文献, 1991を参照の
こと)として、pSC11 (SmaIクローニング部位、TK-及びβ-gal選択)、pMJ601 (S
alI、SmaI、AflI、NarI、BspMII、BamHI、ApaI、NheI、SacII、KpnI、及びHindI
IIクローニング部位;TK-及びβ-gal選択)、及びpTKgptF1S (EcoRI、PstI、SalI
、AccI、HindII、SbaI、BamHI、及びHpaクローニング部位、TK又はXPRT選択)が
挙げられるが、これらに限定されない。
【0078】 酵母発現系がまた本発明に従って使用されてタンキラーゼタンパク質を発現し
得る。例えば、二つだけ挙げると、非融合pYES2ベクター(XbaI、SphI、ShoI、No
tI、GstXI、EcoRI、BstXI、BamH1、SacI、KpnI、及びHindIIIクローニング部位
;インビトロゲン)又は融合pYESHisA, B, C (XbaI、SphI、ShoI、NotI、BstXI、
EcoRI、BamH1、SacI、KpnI、及びHindIIIクローニング部位、プロボンドで精製
され、かつエンテロキナーゼで開裂されるN末端ペプチド;インビトロゲン)が
本発明に従って使用し得る。 特定の組換えDNA分子が一旦同定され、分離されると、当技術分野で知られて
いる幾つかの方法がそれを増殖するのに使用し得る。好適な宿主系及び増殖条件
が一旦確立されると、組換え発現ベクターが或る量で増殖され、調製し得る。既
に説明されたように、使用し得る発現ベクターとして、いくつかのみ挙げると、
下記のベクター又はそれらの誘導体:ヒト又は動物のウイルス、例えば、ワクチ
ニアウイルス又はアデノウイルス;昆虫ウイルス、例えば、バキュロウイルス;
酵母ベクター;バクテリオファージベクター(例えば、λ)、並びにプラスミド
DNAベクター及びコスミドDNAベクターが挙げられるが、これらに限定されない。
【0079】 加えて、挿入された配列の発現を調節し、又は遺伝子産物を所望の様式で修飾
し、プロセシングする宿主細胞株が選ばれてもよい。異なる宿主細胞はタンパク
質の翻訳及び後翻訳のプロセシング及び修飾(例えば、グリコシル化、切断〔例
えば、シグナル配列の〕)に特徴的かつ特異的なメカニズムを有する。適当な細
胞系又は宿主系が発現された外来タンパク質の所望の修飾及びプロセシングを確
実にするために選ばれる。例えば、細菌系中の発現は非グリコシル化コアタンパ
ク質生成物を生成するのに使用し得る。酵母中の発現はグリコシル化生成物を生
成し得る。真核生物細胞中の発現が異種タンパク質の“天然”グリコシル化及び
折り畳みの可能性を増大し得る。更に、哺乳類細胞中の発現はタンキラーゼ活性
を再生し、又は構成するための手段を与え得る。更に、異なるベクター/宿主発
現系はプロセシング反応、例えば、タンパク質分解切断に異なる程度に影響し得
る。 ベクターは当技術分野で知られている方法、例えば、トランスフェクション、
エレクトロポレーション、マイクロインジェクション、導入、細胞融合、DEAEデ
キストラン、リン酸カルシウム沈殿、リポフェクション(リソソーム融合)、遺
伝子銃の使用、又はDNAベクタートランスポーター〔例えば、Wuら, J. Biol. Ch
em. 267:963-967 (1992); Wu及びWu, J. Biol. Chem., 263:14621-14624 (1988)
; 1990年3月15日に出願されたHartmutらのカナダ特許出願第2,012,311号を参照
のこと〕により所望の宿主細胞に導入される。
【0080】 遺伝子治療及びトランスジェニックベクター タンキラーゼ又は不活性誘導体を含むその誘導体をコードする遺伝子はウイル
スベクター中でin vivo、ex vivo、又はin vitroで導入し得る。このようなベク
ターとして、弱毒化又は欠陥DNAウイルス、例えば、単純ヘルペスウイルス(HSV)
、パピローマウイルス、エプスタインバールウイルス(EBV)、アデノウイルス、
アデノ関連ウイルス(AAV)等が挙げられるが、これらに限定されない。欠陥ウイ
ルス(これらはウイルス遺伝子を完全に又は殆ど完全に欠いている)が好ましい
。欠陥ウイルスは細胞へ導入された後は感染性ではない。欠陥ウイルスベクター
の使用は、ベクターがその他の細胞を感染し得ることを気にしないで、特定の局
在領域における細胞への投与を可能にする。例えば、毛細管拡張性運動失調の治
療では、Tリンパ球が特異的に標的とし得る。特別なベクターの例として、欠陥
ヘルペスウイルス1(HSV1)ベクター〔Kaplittら, Molec. Cell. Neurosci. 2:32
0-330 (1991)〕、弱毒化アデノウイルスベクター、例えば、Stratford-Perricau
detらにより記載されたベクター〔J. Clin. Invest. 90:626-630 (1992)〕、及
び欠陥アデノ関連ウイルスベクター〔Samulskiら, J. Virol. 61:3096-3101 (19
87); Samulskiら, J. Virol. 63:3822-3828 (1989)〕が挙げられるが、これらに
限定されない。
【0081】 in vitro投与について、適当な免疫抑制処理がウイルスベクター、例えば、ア
デノウイルスベクターと一緒に使用されてウイルスベクター及びトランスフェク
トされた細胞の免疫不活性化を回避することが好ましい。例えば、免疫抑制サイ
トカイン、例えば、インターロイキン-12(IL-12)、インターフェロン-γ(IFN-γ
)、又は抗CD4抗体がウイルスベクターに対する体液性又は細胞性の免疫応答を阻
止するのに投与し得る〔例えば、Wilson, Nature Medicine, (1995)を参照のこ
と〕。加えて、最小数の抗原を発現するように操作されているウイルスベクター
を使用することが有利である。
【0082】 別の実施態様において、遺伝子が、例えば、Andersonらの米国特許第5,399,34
6号;Mannら, Cell 33:153 (1983); Teminらの米国特許第4,650,764号;Teminら
の米国特許第4,980,289号;Markowitzら, J. Virol. 62:1120 (1988); Teminら
の米国特許第5,124,263号;1995年3月16日に公開されたDoughertyらの国際特許
公開WO 95/07358;及びKuoら, Blood 82:845 (1993)に記載されたようにレトロ
ウイルスベクター中で導入し得る。 標的化遺伝子デリバリーが1995年10月に公開された国際特許公開WO 95/28494
に記載されている。 また、ベクターはリポフェクションにより導入し得る。過去10年間にわたって
、in vitroの核酸の封入及びトランスフェクションのためのリポソームの使用が
増大しつつあった。リポソーム媒介トランスフェクションで見られる難点及び危
険を制限するように設計された合成陽イオン脂質がマーカーをコードする遺伝子
のin vivoトランスフェクションのためのリポソームを調製するのに使用し得る
〔Felgnerら, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 84:7413-7417 (1987); Mackeyら
, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 85:8027-8031 (1988)を参照のこと〕。陽イ
オン脂質の使用は負に荷電された核酸の封入を促進し、また負に荷電された細胞
膜との融合を促進し得る〔Felgner及びRingold, Science 337:387-388 (1989)〕
。外因性遺伝子をin vivoで特定臓器に導入するためのリポフェクションの使用
は或る種の実用的な利点を有する。特定の細胞へのリポソームの分子ターゲッテ
ィングは利益の一つの領域に相当する。特別な細胞型へのトランスフェクション
の誘導は細胞不均一性を有する組織、例えば、膵臓、肝臓、腎臓、及び脳中で特
に有利であることが明らかである。脂質はターゲッティングの目的のためにその
他の分子に化学的にカップリングされてもよい〔Mackeyらの上記文献, 1988を参
照のこと〕。標的ペプチド、例えば、ホルモンもしくは神経伝達物質、及びタン
パク質、例えば、抗体、又は非ペプチド分子がリポソームに化学的にカップリン
グし得る。
【0083】 また、ベクターを裸DNAプラスミドとして導入することが可能である。遺伝子
治療のための裸DNAベクターが当技術分野で知られている方法、例えば、トラン
スフェクション、エレクトロポレーション、マイクロインジェクション、トラン
スダクション、細胞融合、DEAEデキストラン、リン酸カルシウム沈殿、遺伝子銃
の使用、又はDNAベクタートランスポーターの使用により所望の宿主細胞に導入
し得る〔例えば、Wuら, J. Biol. Chem. 267:963-967 (1992); Wu及びWu, J. Bi
ol. Chem. 263:14621-14624 (1988); 1990年3月15日に出願されたHartmutらの
カナダ特許出願第2,012,311号を参照のこと〕。 更なる実施態様において、本発明は、とりわけ、TRF1調節配列の制御下にタン
キラーゼをコードする遺伝子、及びTRF1をコードする遺伝子及び/又はTRF1増進
遺伝子を含む遺伝子治療発現ベクターを用意することにより特定のDNA認識配列
の制御下のタンキラーゼ及びTRF1及び/又はTRF1増進遺伝子の同時発現を提供す
る。一実施態様において、これらの要素が別々のベクターに用意される。
【0084】 一般的なタンパク質精製操作 本発明のタンキラーゼを精製するための初期工程は、例えば、硫酸アンモニウ
ム分別における塩溶又は塩析;溶媒排除分別、例えば、エタノール沈殿;トリト
ンX-100、トウィーン-20等の如き洗剤を使用して膜結合タンパク質を除くための
変性剤抽出;又は高塩抽出を含んでもよい。また、タンパク質の可溶化がジメチ
ルスルホキシド及びヘキサメチルホスホルアミドの如き非プロトン性溶媒を使用
して行われてもよい。加えて、高速超遠心分離が単独で、又はその他の抽出技術
と一緒に使用されてもよい。
【0085】 一般に良好な二次分離工程又は精製工程はリン酸カルシウムゲルもしくはヒド
ロキシアパタイト;又は固相結合を使用する固相吸収を含む。固相結合は陰イオ
ン交換樹脂、例えば、ジエチルアミノエチル(DEAE)、もしくはジエチル〔2-ヒド
ロキシプロピル〕アミノエチル(QAE)セファデックス又はセルロース;或いは陽
イオン交換樹脂、例えば、カルボキシメチル(CM)もしくはスルホプロピル(SP)セ
ファデックス又はセルロースによるイオン結合により行われてもよい。固相結合
の別の手段として、疎水性相互作用の利用、例えば、フェニルセファロースの如
き固体担体及び高塩緩衝液の使用;例えば、TRF1のN末端酸性ドメインを活性化
担体に置くことを使用するアフィニティー結合;例えば、活性化担体に結合され
たタンキラーゼの抗体を使用するイムノ結合;並びに特定の色素又はレクチン等
を含むものを含むその他の固相担体が挙げられる。精製操作の終了時にしばしば
使用される更なる固相担体技術はサイズ排除、例えば、セファデックスゲル及び
セファロースゲル、又はサイズ排除膜フィルターを使用する加圧もしくは遠心分
離膜技術に頼る。
【0086】 固相担体分離は一般に低速遠心分離又はカラムクロマトグラフィーによりバッ
チ式で行われる。FPLCのような関連技術を含む高速液体クロマトグラフィー(HPL
C)が現在液体クロマトグラフィーを行う最も普通の手段である。また、サイズ排
除技術は低速遠心分離の助けにより行われてもよい。 加えて、ゲル電気泳動技術の如きサイズ透過技術が使用されてもよい。これら
の技術は一般に管、スラブ中で、又は毛管電気泳動により行われる。 タンパク質精製を伴う殆ど全ての工程が緩衝液を使用する。特に明記されない
限り、一般に25-100 mM濃度の緩衝剤塩が使用される。低濃度緩衝剤は一般に5-2
5 mM濃度を意味する。高濃度緩衝剤は一般に0.1-2M濃度の緩衝剤の濃度を意味す
る。典型的な緩衝剤が殆どの生化学カタログから購入でき、古典的な緩衝剤、例
えば、トリス、ピロリン酸塩、モノリン酸塩及びジリン酸塩並びにグッド緩衝剤
〔Good, N.E.ら, Biochemistry, 5:467 (1966); Good, N.E.及びIzawa, S., Met
h. Enzymol., 24B:53 (1972);並びにFergunson, W.J.及びGood, N.E., Anal. Bi
ochem., 104:300 (1980)〕、例えば、Mes、Hepes、Mops、トリシン及びChesを含
む。 これらの技術の全てを行うための物質は種々の源、例えば、ミズーリー、セン
トルイスにあるシグマ・ケミカル社から入手し得る。
【0087】 タンキラーゼに対する抗体 本発明によれば、タンキラーゼ又は組換え起源、もしくは化学合成により生成
されるタンキラーゼ関連タンパク質、或いは天然源から分離されたタンキラーゼ
又はタンキラーゼ関連タンパク質;及び融合タンパク質を含むこれらの誘導体又
は類似体が、以下に例示されるように、タンキラーゼ又はタンキラーゼ関連タン
パク質を認識する抗体を生成するための免疫原として使用し得る。このような抗
体として、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、キメラ抗体、一本鎖抗体
、Fabフラグメント抗体、及びFab発現ライブラリーが挙げられるが、これらに限
定されない。本発明の抗タンキラーゼ抗体は交差反応性であってもよく、即ち、
それらは異なる起源から誘導されたタンキラーゼを認識し得る。ポリクローナル
抗体が交差反応性の大きい可能性を有する。また、本発明の抗体はタンキラーゼ
の単一形態、例えば、配列番号2のアミノ酸配列を有するタンキラーゼに特異的
であってもよい。
【0088】 当技術分野で知られている種々の操作がタンキラーゼ又はその誘導体もしくは
類似体のポリクローナル抗体の産生に使用し得る。抗体の産生について、ウサギ
、マウス、ラット、ヒツジ、ヤギ等(これらに限定されない)を含む種々の宿主
動物がタンキラーゼ、又はその誘導体(例えば、融合タンパク質の)による注射
により免疫し得る。一実施態様において、タンキラーゼが免疫原性キャリヤー、
例えば、ウシ血清アルブミン(BSA)又はキーホールリンペットヘモシアニン(KLH)
に結合し得る。フロイント(完全及び不完全)アジュバント、無機ゲル、例えば
、水酸化アルミニウム、表面活性物質、例えば、リゾレシチン、プルロニックポ
リオール、ポリアニオン、ペプチド、油エマルション、キーホールリンペットヘ
モシアニン、ジニトロフェノール、及び潜在的に有益なヒトアジュバント、例え
ば、BCG(カルメットゲラン桿菌)及びコリネバクテリウム・パルブム(Coryneba
cterium parvum)(これらに限定されない)を含む種々のアジュバントが宿主種
に応じて免疫応答を増大するのに使用し得る。
【0089】 タンキラーゼ、又はその類似体、もしくは誘導体に対して誘導されるモノクロ
ーナル抗体の調製について、培養中の連続細胞系による抗体分子の生成を与える
あらゆる技術が使用し得る。これらとして、Kohler及びMilsteinにより最初に開
発されたハイブリドーマ技術〔Nature, 256:495-497 (1975)〕、並びにトリオー
マ技術、ヒトB細胞ハイブリドーマ技術〔Kozborら, Immunology Today, 4:72 (
1983); Coteら, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 80:2026-2030 (1983)〕、及
びヒトモノクローナル抗体を産生するためのEBV-ハイブリドーマ技術〔Coleら,
Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy, Alan R. Liss, Inc., 77-96頁(19
85)〕が挙げられるが、これらに限定されない。本発明の付加的な実施態様にお
いて、モノクローナル抗体が最近の技術〔PCT/US90/02545〕を利用して無菌動物
中で産生し得る。実際に、本発明によれば、タンキラーゼに特異性のマウス抗体
分子からの遺伝子を適当な生物学的活性のヒト抗体分子からの遺伝子と一緒にス
プライシングすることによる“キメラ抗体”の産生のために開発された技術〔Mo
rrisonら, J. Bacteriol., 159:870 (1984); Neubergerら, Nature, 312:604-60
8 (1984); Takedaら, Nature, 314:452-454 (1985)〕が使用し得る。このような
抗体が本発明の範囲内にある。このようなヒト抗体又はヒト化キメラ抗体がヒト
疾患又は障害(以下に記載される)の治療における使用に好ましい。なぜならば
、ヒト抗体又はヒト化抗体がおそらく異種間の抗体よりも免疫応答、特にアレル
ギー反応をそれら自体では極めて誘導しそうにないからである。
【0090】 本発明によれば、一本鎖抗体の産生について記載された技術〔Hustonの米国特
許第5,476,786号及び同第5,132,405号;米国特許第4,946,778号〕が、例えば、
タンキラーゼ特異性一本鎖抗体を産生するのに適し得る。本発明の付加的な実施
態様はFab発現ライブラリーの構築について記載された技術〔Huseら, Science,
246:1275-1281 (1989)を利用してA-タンキラーゼ、又はその誘導体、もしくは類
似体に対し所望の特異性を有するモノクローナルFabフラグメントの迅速かつ容
易な同定を可能にする。 抗体分子のイディオタイプを含む抗体フラグメントが既知の技術により生成し
得る。例えば、このようなフラグメントとして、抗体分子のペプシン消化により
生成し得るF(ab')2フラグメント;F(ab')2フラグメントのジスルフィドブリッジ
を還元することにより生成し得るFab'フラグメント、及び抗体分子をパパイン及
び還元剤で処理することにより生成し得るFabフラグメントが挙げられるが、こ
れらに限定されない。
【0091】 抗体の産生において、所望の抗体についてのスクリーニングは当技術分野で知
られている技術、例えば、ラジオイムノアッセイ、ELISA(酵素結合イムノソル
ベント検定法)、“サンドイッチ”イムノアッセイ、イムノラジオメトリックア
ッセイ、ゲル拡散プレシピチン反応、イムノ拡散アッセイ、in situイムノアッ
セイ(例えば、コロイド金、酵素又は放射性同位元素を使用する)、ウェスタン
ブロット、沈降反応、凝集アッセイ(例えば、ゲル凝集アッセイ、赤血球凝集ア
ッセイ)、補体固定アッセイ、免疫蛍光アッセイ、プロテインAアッセイ、及び
免疫電気泳動アッセイ等により行い得る。一実施態様において、抗体結合が一次
抗体の標識を検出することにより検出される。別の実施態様において、一次抗体
への二次抗体又は試薬の結合を検出することにより一次抗体が検出される。更な
る実施態様において、二次抗体が標識される。多くの手段がイムノアッセイで結
合を検出するのに当技術分野で知られており、本発明の範囲内にある。例えば、
タンキラーゼの特異性エピトープを認識する抗体を選択するために、このような
エピトープを含むタンキラーゼ断片に結合する生成物について生成されたハイブ
リドーマをアッセイし、タンキラーゼと交差反応しないものを選択し得る。特別
な起源からのタンキラーゼに特異性の抗体の選択について、その特定の起源によ
り発現され、又はそれから分離されたタンキラーゼとの陽性結合に基づいて選択
することができる。 以上の抗体は本明細書に記載され、又は当技術分野で知られている検出技術の
いずれかを使用して、例えば、ウェスタンブロッティング、in situタンキラー
ゼ画像化、適当な生理学的サンプル中のそのレベルの測定等についてタンキラー
ゼの局在化及び活性に関する当技術分野で知られている方法に使用し得る。 特別な実施態様において、タンキラーゼの活性に作用又は拮抗する抗体が生成
し得る。このような抗体はリガンドを同定するための以下に記載されるアッセイ
を使用して試験し得る。
【0092】 標識 本発明のタンキラーゼ、タンキラーゼの抗体、配列番号1にハイブリダイズす
る核酸(例えば、プローブ)、並びにタンキラーゼが結合する特定のヌクレオチ
ド配列を含む核酸は標識し得る。好適な標識として、酵素、発蛍光団(例えば、
二三の発蛍光団を挙げると、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、フィコ
エリトリン(PE)、テキサスレッド(TR)、ローダミン、遊離又はキレート化ランタ
ニド系列塩、特にEu3+)、発色団、放射性同位元素、キレート剤、色素、コロイ
ド金、ラテックス粒子、リガンド(例えば、ビオチン)、及び化学発光剤が挙げ
られる。対照マーカーが使用される場合、同じ標識又は異なる標識が受容体及び
対照マーカーについて使用し得る。 放射性標識、例えば、放射性同位元素3H、14C、32P、35S、36Cl、51Cr、57Co
58Co、59Fe、90Y、125I、131I、及び186Reが使用される場合、現在知られてい
る利用できる計測手順が利用し得る。このような標識はまたタンキラーゼとの結
合研究に使用される核酸プローブに適しているかもしれない。標識が酵素である
場合、検出は当技術分野で知られている比色技術、測光分析技術、測蛍光分析技
術、電流測定技術又はガス計量技術のいずれかにより行い得る。
【0093】 直接標識は本発明に従って使用し得る標識の一例である。直接標識は、その自
然状態で、裸眼で、又は光学フィルター及び/又は適用される刺激、例えば、蛍
光を促進するための紫外線の助けにより容易に目視できる物と定義されている。
本発明に従って使用し得る着色標識の例の中に、金属ゾル粒子、例えば、金ゾル
粒子、例えば、Leuvering(米国特許第4,313,734号)により記載されたゾル粒子
;色素ゾル粒子、例えば、Gribnauら(米国特許第4,373,932号)及びMayら(WO
88/08534)により記載されたもの;染色ラテックス、例えば、Mayの上記文献、S
nyder(EP-A 0280559及び0281327)により記載されたもの;又はCampbellら(米
国特許第4,703,017号)により記載されたようなリポソームに封入された色素が
挙げられる。その他の直接標識は放射性ヌクレオチド、蛍光部分又はルミネセン
ト部分を含む。これらの直接標識装置に加えて、酵素を含む間接標識がまた本発
明に従って使用し得る。種々の型の酵素結合イムノアッセイ、例えば、アルカリ
性ホスファターゼ及びホースラディッシュペルオキシダーゼ、リゾチーム、グル
コース-6-ホスフェートデヒドロゲナーゼ、ラクテートデヒドロゲナーゼ、ウレ
アーゼが当技術分野で知られており、これら及びその他がEva EngvallによりEnz
yme Immunoassay ELISA and EMIT in Methods in Enzymology, 70:419-439 (198
0)及び米国特許第4,857,453号に詳しく説明されていた。
【0094】 好適な酵素として、アルカリ性ホスファターゼ及びホースラディッシュペルオ
キシダーゼが挙げられるが、これらに限定されない。 加えて、タンキラーゼ又はその断片は1997年4月29日に出願された米国特許第
5,625,048号及び1997年7月24日に公開されたWO 97/26333(これらの夫々が本明
細書に参考としてそのまま含まれる)に記載されたような緑蛍光タンパク質の如
きマーカータンパク質を含むように修飾し得る。 本発明における使用のためのその他の標識として、磁性ビーズ又は磁気共鳴像
形成標識が挙げられる。 別の実施態様において、リン酸化部位が、例えば、Sidney Pestkaの欧州特許
第0372707号(出願番号89311108.8)、又はFoxwellらの1995年10月17日に発行さ
れた米国特許第5,459,240号に記載されたように、32Pによる標識のために本発明
の抗体に生じられる。 本明細書に例示されるように、抗体を含むタンパク質が代謝標識により標識し
得る。代謝標識は代謝標識、例えば、〔35S〕-メチオニン又は〔32P〕-オルトリ
ン酸塩で補給された培地の存在下でタンパク質を発現する細胞のin vitroインキ
ュベーション中に起こる。〔35S〕-メチオニンによる代謝(又は生合成)標識に
加えて、本発明は〔14C〕-アミノ酸及び〔3H〕-アミノ酸(トリチウムが非不安
定位置で置換されている)による標識を更に意図している。
【0095】 遺伝子治療及びトランスジェニックベクター 一実施態様において、タンキラーゼ又はその構造/機能ドメインをコードする
遺伝子がウイルスベクターにin vivo導入される。このようなベクターとして、
弱毒化又は欠陥DNAウイルス、例えば、単純ヘルペスウイルス(HSV)、パピローマ
ウイルス、エプスタインバールウイルス(EBV)、アデノウイルス、アデノ関連ウ
イルス(AAV)等が挙げられるが、これらに限定されない。欠陥ウイルス(これら
はウイルス遺伝子を完全に又は殆ど完全に欠いている)が好ましい。欠陥ウイル
スは細胞へ導入された後は感染性ではない。欠陥ウイルスベクターの使用は、ベ
クターがその他の細胞を感染し得ることを気にしないで、特定の局在領域におけ
る細胞への投与を可能にする。こうして、あらゆる組織が特異的に標的とし得る
。特別なベクターの例として、欠陥ヘルペスウイルス1(HSV1)ベクター〔Kaplit
tら, Molec. Cell. Neurosci. 2:320-330 (1991)〕、弱毒化アデノウイルスベク
ター、例えば、Stratford-Perricaudetらにより記載されたベクター〔J. Clin.
Invest. 90:626-630 (1992)〕、及び欠陥アデノ関連ウイルスベクター〔Samulsk
iら, J. Virol. 61:3096-3101 (1987); Samulskiら, J. Virol. 63:3822-3828 (
1989)〕が挙げられるが、これらに限定されない。
【0096】 in vitro投与について、適当な免疫抑制処理がウイルスベクター、例えば、ア
デノウイルスベクターと一緒に使用されてウイルスベクター及びトランスフェク
トされた細胞の免疫不活性化を回避することが好ましい。例えば、免疫抑制サイ
トカイン、例えば、インターロイキン-12(IL-12)、インターフェロン-γ(IFN-γ
)、又は抗CD4抗体がウイルスベクターに対する体液性又は細胞性の免疫応答を阻
止するのに投与し得る〔例えば、Wilson, Nature Medicine, (1995)を参照のこ
と〕。加えて、最小数の抗原を発現するように操作されているウイルスベクター
を使用することが有利である。 別の実施態様において、遺伝子が、例えば、Andersonらの米国特許第5,399,34
6号;Mannら, 1983, Cell 33:153; Teminらの米国特許第4,650,764号;Teminら
の米国特許第4,980,289号;Markowitzら, J. Virol. 62:1120 (1988); Teminら
の米国特許第5,124,263号;1995年3月16日に公開されたDoughertyらの国際特許
公開WO 95/07358;及びKuoら, 1993, Blood 82:845に記載されたようにレトロウ
イルスベクター中で導入し得る。 標的化遺伝子デリバリーが1995年10月に公開された国際特許公開WO 95/28494
に記載されている。
【0097】 あるいはまた、ベクターはリポフェクションによりin vivo導入し得る。過去1
0年間にわたって、in vitroの核酸の封入及びトランスフェクションのためのリ
ポソームの使用が増大しつつあった。リポソーム媒介トランスフェクションで見
られる難点及び危険を制限するように設計された合成陽イオン脂質がマーカーを
コードする遺伝子のin vivoトランスフェクションのためのリポソームを調製す
るのに使用し得る〔Felgnerら, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 84:7413-7417
(1987); Mackeyら, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 85:8027-8031 (1988)を参
照のこと〕。陽イオン脂質の使用は負に荷電された核酸の封入を促進し、また負
に荷電された細胞膜との融合を促進し得る〔Felgner及びRingold, Science 337:
387-388 (1989)〕。外因性遺伝子をin vivoで特定臓器に導入するためのリポフ
ェクションの使用は或る種の実用的な利点を有する。特定の細胞へのリポソーム
の分子ターゲッティングは利益の一つの領域に相当する。特別な細胞型へのトラ
ンスフェクションの誘導は細胞不均一性を有する組織、例えば、膵臓、肝臓、腎
臓、及び脳中で特に有利であることが明らかである。脂質はターゲッティングの
目的のためにその他の分子に化学的にカップリングされてもよい〔Mackeyらの上
記文献を参照のこと〕。標的ペプチド、例えば、ホルモンもしくは神経伝達物質
、及びタンパク質、例えば、抗体、又は非ペプチド分子がリポソームに化学的に
カップリングし得る。
【0098】 また、ベクターを裸DNAプラスミドとしてin vivo導入することが可能である。
遺伝子治療のための裸DNAベクターが当技術分野で知られている方法、例えば、
トランスフェクション、エレクトロポレーション、マイクロインジェクション、
トランスダクション、細胞融合、DEAEデキストラン、リン酸カルシウム沈殿、遺
伝子銃の使用、又はDNAベクタートランスポーターの使用により所望の宿主細胞
に導入し得る〔例えば、Wuら, J. Biol. Chem. 267:963-967 (1992); Wu及びWu,
J. Biol. Chem. 263:14621-14624 (1988); 1990年3月15日に出願されたHartmu
tらのカナダ特許出願第2,012,311号を参照のこと〕。 本発明の好ましい実施態様において、上記の遺伝子治療ベクターはベクター中
に挿入されたタンキラーゼの配列と機能し得る形で会合された転写調節配列を使
用する。即ち、本発明の特定の発現ベクターが遺伝子治療に使用し得る。 このような発現ベクターは治療タンキラーゼ遺伝子の発現を調節するのに特に
有益である。一実施態様において、本発明はたとえ低レベルであってもタンキラ
ーゼ遺伝子の構成的発現を意図している。一般にAndersonらの米国特許第5,399,
346号を参照のこと。
【0099】 アンチセンス、遺伝子ターゲッティング及びリボザイム タンキラーゼの機能活性がトランスジェニックに評価し得る。これに関して、
トランスジェニックマウスモデルが使用し得る。タンキラーゼ遺伝子がトランス
ジェニックマウスを使用して相補性研究に使用し得る。ウイルスベクター、又は
候補遺伝子の野生型遺伝子座に相当するコスミドクローン(又はファージクロー
ン)を含むトランスジェニックベクターが分離されたタンキラーゼ遺伝子を使用
して構築し得る。コスミドは公表された操作〔Jaenisch, Science, 240:1468-14
74 (1988)〕を使用してトランスジェニックマウスに導入し得る。遺伝的な意味
において、トランスジーンがサプレッサー突然変異として作用する。 また、タンキラーゼ遺伝子の発現が中断されているトランスジェニック動物モ
デルが調製し得る。遺伝子発現は、機能性タンパク質が発現されない場合に、本
発明に従って中断される。遺伝子産物の表現型効果を評価するための一つの通常
の方法は11/7/95に発行された米国特許第5,464,764号;及び1998年7月7日に発
行された米国特許第5,777,195号(これらの両方が本明細書に参考としてそのま
ま含まれる)に記載されたようにノックアウト技術を使用して遺伝子を欠失する
ことである。
【0100】 また、本発明はタンキラーゼの発現に翻訳レベルで干渉するために使用し得る
アンチセンスヌクレオチド及びリボザイムの調製に及ぶ。このアプローチはその
mRNAをアンチセンス核酸でマスクし、又はそれをリボザイムで開裂することによ
り特定のmRNAの翻訳を阻止するためにアンチセンス核酸及びリボザイムを利用す
る。 アンチセンス核酸は特定のmRNA分子の少なくとも一部に相補性であるDNA分子
又はRNA分子である〔Weintraub, Sci. Amer. 262:40-46 (1990); Marcus-Sekura
, Nucl. Acid Res, 15:5749-5763 (1987); Marcus-Sekura Anal. Biochem., 172
:289-295 (1988); Bryschら, Cell mol. Neurobiol., 14:557-568 (1994)を参照
のこと〕。使用されるアンチセンス分子はmRNAの実質的な部分に相補性であるこ
とが好ましい。細胞中で、アンチセンス分子がそのmRNAにハイブリダイズして、
二本鎖分子を生成する。細胞はこの二本鎖形態のmRNAを翻訳しない。それ故、ア
ンチセンス核酸はタンパク質へのmRNAの発現に干渉する。DNAアンチセンス核酸
が使用されることが好ましい。何とならば、このようなRNA/DNA二重らせんがRNa
se Hに好ましい基質であるからである。AUG開始コドンにハイブリダイズする約1
5より大きいヌクレオチド及び分子のオリゴマーが特に有効であるが、全mRNAに
実質的に相補性である更に大きい分子がおそらく有効である。アンチセンス方法
はin vitro〔Marcus-Sekura, Anal. Biochem., 172:289-295 (1988); Hamborら,
Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 85:4010-4014 (1988)〕及びin situ〔Arimaら
, Antisense Nucl. Acid Drug Dev. 8:319-327 (1988); Houら, Antisense Nucl
. Acid Drug Dev. 8:295-308 (1998); 1998年3月10日に発行された米国特許第5
,726,020号;及び1998年3月24日に発行された米国特許第5,731,294号(これら
の全てが参考としてそのまま含まれる)〕で多くの遺伝子の発現を抑制するのに
使用されていた。
【0101】 リボザイムはDNA制限エンドヌクレアーゼと若干同様の様式で他の一本鎖RNA分
子を特異的に開裂する能力を有するRNA分子である。リボザイムは或る種のmRNA
がそれら自体のイントロンを切除する能力を有するという観察から発見された。
これらのリボザイムのヌクレオチド配列を修飾することにより、研究者らはRNA
分子中の特定のヌクレオチド配列を認識し、それを開裂する分子を操作すること
ができた〔Cech, JAMA, 260:3030-3034 (1988); Cech, Biochem. Intl, 18:7-14
(1989)〕。それらは配列特異性であるので、特別な配列を有するmRNAのみが不
活性化される。 研究者らは二つの型のリボザイム、テトラヒメナ型及び“ハンマーヘッド”型
を同定していた〔Haselhoff及びGerlach, Nature 334:585-591 (1988)〕。テト
ラヒメナ型リボザイムは4塩基配列を認識し、一方、“ハンマーヘッド”型は11
-18塩基配列を認識する。認識配列が長い程、それは標的mRNA種中で排他的に生
じやすい。それ故、ハンマーヘッド型リボザイムが特定のmRNA種を不活性化する
のにテトラヒメナ型リボザイムよりも好ましく、18塩基認識配列が短い認識配列
よりも好ましい。 こうして、本明細書に記載されたDNA配列はタンキラーゼに対するアンチセン
ス分子、及びタンキラーゼ及びそれらのリガンドについてmRNAを開裂するリボザ
イムを調製するのに使用し得る。
【0102】 キット 本発明の更なる実施態様において、考えられる標的細胞中の所定のテロメア結
合活性又は所定のテロメア延長活性可能性の存在又は不在を測定するために、医
療スペシャリストによる使用に適した商用試験キットが調製し得る。先に説明し
た試験技術によれば、このようなキットの一つのクラスは少なくとも標識タンキ
ラーゼ又はその結合パートナー、例えば、それに特異性の抗体、及び、勿論、選
択された方法、例えば、“競合”、“サンドイッチ”、“DASP”等に応じた指示
を含むであろう。キットはまた周辺試薬、例えば、緩衝剤、安定剤等及び/又は
指示を含んでもよい。
【0103】 薬物スクリーニング タンキラーゼの構造に基づくアゴニスト及びアンタゴニストの合理的な設計に
加えて、本発明は当技術分野で知られている種々のスクリーニングアッセイを使
用して特定のアンタゴニスト又はアゴニストを同定する別法を更に意図している
。 それ故、当技術分野で知られているあらゆるスクリーニング技術がタンキラー
ゼのアゴニスト又はアンタゴニストをスクリーニングするのに使用し得る。本発
明は小分子リガンド又はリガンド類似体及び擬態についてのスクリーン、並びに
in vivoでタンキラーゼに結合し、それに作用又は拮抗する天然リガンドについ
てのスクリーニングを意図している。例えば、天然産物ライブラリーがタンキラ
ーゼ活性に作用又は拮抗する分子について本発明のアッセイを使用してスクリー
ニングし得る。
【0104】 例えば、本発明は本発明のタンキラーゼのポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ活
性をモジュレートする薬剤の同定方法を提供する。特別な実施態様において、ポ
リ(ADP-リボース)ポリメラーゼ活性は潜在的なアゴニスト及び/又はアンタゴニ
ストの存在下及び不在下でα-32PNAD+、タンキラーゼのタンパク質基質(例えば
、ヒストン、もしくはTRF1、又はこれらの断片)、タンキラーゼ(又は活性PARP
ドメインを含むその断片)を使用して測定される。PARP活性は生成された32P標
識タンパク質基質の量の関数として測定し得る。また、非放射性NAD+が使用でき
、標識タンパク質基質がPARP標識タンパク質に特異性である抗体を使用して測定
し得る。一実施態様において、タンパク質基質がニトロセルロースフィルターに
置かれ、アッセイが活性ブロットである〔Simoninら, J. Biol. Chem., 265:192
49-19256 (1990)〕。別の実施態様において、標識タンパク質基質が溶液アッセ
イ〔Simoninら, J. Biol. Chem., 268:13454-13461 (1993)〕後に沈殿され(例
えば、トリクロロ酢酸により)、かつ/又はSDSゲルに置かれる。
【0105】 タンキラーゼの一次配列及びその他のタンパク質中に含まれるドメインとの幾
つかのドメインの類似性の知識はまたタンパク質のインヒビター又はアンタゴニ
ストとしての手がかりを与え得る。アンタゴニストの同定及びスクリーニングは
、例えば、X線結晶学、中性子回折、核磁気共鳴測光分析、及び構造決定のため
のその他の技術を使用して、タンパク質の構造特性を測定することにより更に促
進される。これらの技術はアゴニスト及びアンタゴニストの合理的な設計又は同
定を与える。 別のアプローチは組換えバクテリオファージを使用して大きいライブラリーを
生成する。“ファージ法”〔Scott及びSmith, 1990, Science 249:386-390 (199
0); Cwirlaら, Proc. Natl. Acad. Sci., 87:6378-6382 (1990); Devlinら, Sci
ence, 249:404-406 (1990)〕を使用して、非常に大きいライブラリーが構築し得
る(106-108化学物体)。第二のアプローチは主として化学方法を使用し、その
うちのGeysen方法〔Geysenら, Molecular Immunology 23:709-715 (1986); Geys
enら, J. Immunologic Method 102:259-274 (1987)〕及びFodorらの方法〔Scien
ce 251:767-773 (1991)〕が例である。Furkaら〔14th International Congress
of Biochemistry, 5巻, Abstract FR:013 (1988); Furka, Int. J. Peptide Pro
tein Res. 37:487-493 (1991)〕、Houghton〔1986年12月に発行された米国特許
第4,631,211号〕及びRutterら〔1991年4月23日に発行された米国特許第5,010,1
75号〕がアゴニスト又はアンタゴニストとして試験し得るペプチドの混合物を生
成する方法を記載している。
【0106】 別の局面において、合成ライブラリー〔Needelsら, Proc. Natl. Acad. Sci.
USA 90:10700-4 (1993); Ohlmeyerら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:10922-1
0926 (1993); Lamらの国際特許公開WO 92/00252; Kocisらの国際特許公開WO 942
8028、これらの夫々が本明細書に参考としてそのまま含まれる〕等が本発明のタ
ンキラーゼのリガンドについてスクリーニングするのに使用し得る。 また、タンキラーゼの組換え形態を発現する細胞への可溶性リガンドの結合に
関するアッセイが行い得る。可溶性リガンドは組換えポリペプチド又は合成ポリ
ペプチドとして容易に用意し得る。 スクリーニングはタンキラーゼ、又はその断片、例えば、TRF1を結合するのに
必要とされるタンキラーゼの部分を発現する組換え細胞を用いて、又は、例えば
、上記のように組換え生成された精製タンパク質を使用して行い得る。例えば、
TRF1を結合する標識タンキラーゼ、可溶性タンキラーゼ又は可溶化タンキラーゼ
の能力が以上の文献に記載されたようにしてライブラリーをスクリーニングする
のに使用し得る。
【0107】 一つのこのような例において、ファージライブラリーが使用し得る。宿主E. c
oliに感染された時に、約10-15アミノ酸のランダムペプチド配列を生成するファ
ージライブラリーが構築されていた〔Parmley及びSmith, Gene, 73:305-318 (19
88), Scott及びSmith, Science, 249:386-249 (1990)〕。詳しくは、ファージラ
イブラリーは低融点LBアガー中で許容E. coliと低希釈で混合され、次いでこれ
がLBアガープレートの上に注がれる。プレートを37℃で或る時間の期間にわたっ
てインキュベートした後、E. coliのローン中の小さい透明な、活性ファージ増
殖及びE. coliの溶解に相当するプラークが形成される。代表的なこれらのファ
ージが乾燥フィルターをアガープレートの上に置くことによりナイロンフィルタ
ーに吸収される。フィルターが配向についてマークされ、除去され、洗浄液に入
れられて残りの吸収部位がブロックされる。次いでフィルターが、例えば、TRF1
結合ドメインを含むタンキラーゼの放射性断片を含む溶液に入れられる。特定の
インキュベーション期間後に、フィルターが十分に洗浄され、オートラジオグラ
フィーのために現像される。次いでタンキラーゼの放射性TRF1結合ドメインに結
合するファージを含むプラークが同定し得る。これらのファージが更にクローン
化され、次いで、例えば、TRF1へのタンキラーゼの結合を妨げるそれらの能力に
ついて再試験される。ファージが一旦精製されると、ファージの中に含まれる結
合配列が通常のDNA配列決定技術により決定し得る。DNA配列が一旦知られると、
これらの配列に相当する合成ペプチドが生成し得る。
【0108】 別の実施態様において、放射性タンキラーゼ断片はPARP関連ドメインを含み得
る。放射性PARP関連ドメインに結合するファージを含むプラークが同定され、更
にクローン化され、タンキラーゼのPARP活性を妨げるそれらの能力について再試
験し得る。再度、ファージが一旦精製されると、ファージ中に含まれる結合配列
が通常のDNA配列決定技術により決定し得る。DNA配列が一旦知られると、これら
の配列に相当する合成ペプチドが生成し得る。 これらのペプチドが、例えば、TRF1へのタンキラーゼ結合に干渉するそれらの
能力について試験し得る。 一種以上の有効なペプチドがin vivoモデル中、最終的にはヒト中の使用のた
めに多量に合成されてテロメア延長を刺激し得る。合成ペプチド生成は比較的労
力集中ではなく、容易に製造され、品質管理され、こうして、多量の所望の生成
物が実に安価に生成し得ることが強調されるべきである。大量生産された合成ペ
プチドの同様の組み合わせが多大の成功裏に最近使用されていた〔Patarroyo, V
accine, 10:175-178 (1990)〕。 また、PARP活性の既知のインヒビターがin situ及び/又はin vivoでタンキラ
ーゼ活性を抑制するのに使用でき、それによりテロメア長さの調節を助けること
ができる。テロメア延長は非腫瘍細胞の寿命の延長だけでなく、腫瘍細胞増殖の
抑制の両方に有益であろう。PARP活性のインヒビターが当技術分野で知られてお
り、3-アミノベンゾアミド(3ab)及び関連インヒビターを含む〔Durkaczmら, Nat
ure, 283:593-596 (1980); Oikawaら, Biochem. Biophys. Res. Commun., 97:13
11-1316 (1980)〕。
【0109】 投与 本発明によれば、治療組成物の一種以上の成分、例えば、本発明のタンキラー
ゼ又はタンキラーゼインヒビター、例えば、3-アミノベンゾアミド及び医薬上許
される担体が非経口、経粘膜、例えば、経口、鼻、もしくは直腸、又は経皮で導
入し得る。投与は、例えば、静脈内注射による非経口であることが好ましく、ま
た細動脈内、筋肉内、皮内、皮下、腹腔内、心室内、及び頭蓋内の投与を含むが
、これらに限定されない。 好ましい局面において、本発明のタンキラーゼは細胞又は核の膜を横切ること
ができ、これは静脈内又は経口の投与を可能にするであろう。戦略が分子の疎水
性を増大すること;分子をコンジュゲートとしてキャリヤーに、例えば、リガン
ドを特定の受容体に導入すること(受容体にターゲッティングされる)等を含む
が、これらに限定されない、このような交差に利用できる。
【0110】 また、本発明はターゲッティング分子をタンキラーゼに結合することを提供す
る。本明細書に使用される“ターゲッティング分子”は、in vivo投与された時
に、一つ以上の所望の位置に局在化する分子を意味すべきである。種々の実施態
様において、ターゲッティング分子はペプチドもしくはタンパク質、抗体、レク
チン、炭水化物、又はステロイドであってもよい。一実施態様において、ターゲ
ッティング分子は標的細胞の受容体のペプチドリガンドである。特別な実施態様
において、ターゲッティング分子は抗体である。ターゲッティング分子はモノク
ローナル抗体であることが好ましい。一実施態様において、架橋を促進するため
に、抗体が二つのH鎖及びL鎖ヘテロダイマーに還元でき、又はF(ab')2フラグ
メントが還元され、還元スルフヒドリルによりタンキラーゼに架橋し得る。 ターゲッティング分子としての使用のための抗体は細胞表面抗原に特異性であ
る。一実施態様において、抗原が受容体である。例えば、Tリンパ球受容体の受
容体に特異性の抗体が毛細管拡張性運動失調の治療に使用し得る。本発明はその
他のターゲッティング分子、例えば、レクチン、炭水化物、タンパク質及びステ
ロイドの使用を更に提供する。
【0111】 別の実施態様において、治療化合物は小胞、特にリポソーム中でデリバリーし
得る〔Langer, Science, 249:1527-1533 (1990); Treatら, Liposomes in the T
herapy of Infectious Disease and Cancer, Lopez-Berestein及びFidler(編集
), Liss: New York, 353-365頁(1989); Lopez-Berestein, 上記文献, 317-327
頁を参照のこと;一般に上記文献を参照のこと〕。その全身副作用を低下するた
めに、これがタンキラーゼを導入するのに好ましい方法であるかもしれない。 更に別の実施態様において、治療化合物が除放系中でデリバリーし得る。例え
ば、ポリペプチドは静脈内注入、移植可能な浸透圧ポンプ、経皮パッチ、リポソ
ーム、又はその他の投与の様式を使用して投与し得る。一実施態様において、ポ
ンプが使用し得る〔Langerらの上記文献; Sefton, CRC Crit. Ref. Biomed. Eng
., 14:201 (1987); Buchwaldら, Surgery, 88:507 (1980); Saudekら, N. Engl.
J. Med., 321:574 (1989)を参照のこと〕。別の実施態様において、ポリマー物
質が使用し得る〔Medical Applications of Controlled Release, Langer及びWi
se(編集), CRC Press: Boca Raton, Florida (1974); Controlled Drug Bioav
ailability, Drug Product Design and Performance, Smolen及びBall(編集),
Wiley: New York (1984); Ranger及びPeppas, J. Macromol. Sci. Rev. Macrom
ol. Chem., 23:61 (1983)を参照のこと;また、Levyら, Science, 228:190 (198
5); Duringら, Ann. Neurol., 25:351 (1989); Howardら, J. Neurosurg., 71:1
05 (1989)を参照のこと〕。更に別の実施態様において、除放系は治療標的、即
ち、脳に接近して置くことができ、従って、全身投薬量の一部のみが必要となる
〔例えば、Goodson, Medical Applications of Controlled Release, 上記文献,
2巻, 115-138頁(1984)を参照のこと〕。除放装置は不適な免疫活性化又は腫瘍
の部位に接近して被験者に導入されることが好ましい。その他の除放系がLanger
による総説〔Science, 249:1527-1533 (1990)〕に説明されている。
【0112】 医薬組成物 本発明の更に別の局面において、上記の医薬組成物が提供される。このような
医薬組成物は注射、又は経口、肺、鼻もしくはその他の投与の形態のための投与
のためであってもよい。一般に、医薬上許される希釈剤、防腐剤、可溶化剤、乳
化剤、アジュバント及び/又は担体と一緒に本発明の有効量の一種以上の低分子
量成分、又は誘導体生成物を含む医薬組成物が本発明により包含される。このよ
うな組成物は種々の緩衝剤含量(例えば、トリス-HCl、酢酸塩、リン酸塩)、pH
及びイオン濃度の希釈剤;添加剤、例えば、洗剤及び可溶化剤(例えば、トウィ
ーン80、ポリソルベート80)、酸化防止剤(例えば、アスコルビン酸、メタ重亜
硫酸ナトリウム)、防腐剤(例えば、チメロサール、ベンジルアルコール)及び
増量物質(例えば、ラクトース、マンニトール);ポリマー化合物、例えば、ポ
リ乳酸、ポリグリコール酸等の粒状製剤又はリポソームへの物質の混入を含む。
ヒアルロン酸がまた使用されてもよい。このような組成物は本発明のタンパク質
及び誘導体の物理的状態、安定性、in vivo放出の速度、及びin vivoクレアラン
スの速度に影響し得る。例えば、本明細書に参考として含まれるレミントンの医
薬科学, 第18編〔1990, Mack Publishing Co., Easton, PA 18042〕1435-1712頁
を参照のこと。組成物は液体形態で調製されてもよく、又は乾燥粉末、例えば、
凍結乾燥形態であってもよい。
【0113】 経口デリバリー 経口固体投薬形態が本発明における使用に意図されており、これらがレミント
ンの医薬科学, 第18編1990(Mack Publishing Co., Easton, PA 18042)89章(
これが本明細書に参考として含まれる)に一般に記載されている。固体投薬形態
として、錠剤、カプセル、ピル、トローチ又はロゼンジ、カシェ剤又はペレット
が挙げられる。また、リポソーム封入又はプロテノイド封入が本組成物を製剤化
するのに使用し得る(例えば、米国特許第4,925,673号に報告されているプロテ
ノイド微小球体)。リポソーム封入が使用されてもよく、リポソームが種々のポ
リマーで誘導体化されてもよい(例えば、米国特許第5,013,556号)。治療用に
可能な固体投薬形態の記載が本明細書に参考として含まれるMarshall, K. Moder
n Pharmaceutics G.S. Banker及びC.T. Rhodesによる編集10章, 1979により示さ
れている。一般に、製剤はタンキラーゼ(又はその化学的に修飾された形態)と
胃の環境に対する保護、及び腸中の生物学的活性物質の放出を可能にする不活性
成分とを含むであろう。
【0114】 また、一種以上の上記の誘導体化成分の経口投薬形態が特に意図されている。
一種以上の成分は誘導体の経口デリバリーが有効であるように化学的に修飾され
てもよい。一般に、意図される化学的修飾は成分分子それ自体への少なくとも一
つの部分の結合であり、この場合、前記部分は(a)タンパク質分解の抑制;及び(
b)胃又は腸から血流への吸収を可能にする。また、一種以上の成分の総合の安定
性の増大及び生体中の循環時間の増大が所望される。このような部分の例はポリ
エチレングリコールである。 成分(又は誘導体)について、放出の部位は胃、小腸(十二指腸、空腸、又は
回腸)、又は大腸であってもよい。当業者は、胃に溶解しないが十二指腸又は腸
中のその他の場所で物質を放出する利用可能な製剤を有している。放出はタンパ
ク質(又は誘導体)の保護又は腸中のような胃の環境を超えての生物学的活性物
質の放出により胃の環境の有害な作用を回避することが好ましいであろう。
【0115】 治療薬は約1mmの粒子サイズのグラニュール又はペレットの形態の微細な多粒
状物として製剤中に含まれる。カプセル投与用の物質の製剤はまた粉末、軽度に
圧縮されたプラグ又は更には錠剤であってもよい。治療薬は圧縮により調製し得
る。 治療薬の容積を不活性物質で希釈又は増大してもよい。これらの希釈剤として
、炭水化物、特にマンニトール、a-ラクトース、無水ラクトース、セルロース、
蔗糖、修飾デキストラン及び澱粉が挙げられる。三リン酸カルシウム、炭酸マグ
ネシウム及び塩化ナトリウムを含む或る種の無機塩がまた充填剤として使用され
てもよい。幾つかの市販の希釈剤はファスト-フロ(Fast-Flo)、エムデックス(Em
dex)、STA-Rx 1500、エムコンプレス(Emcompress)及びアビセル(Avicell)である
【0116】 崩壊剤が固体投薬形態への治療薬の製剤化に含まれてもよい。崩壊剤として使
用される物質として、澱粉をベースとする商用の崩壊剤、エクスプロタブを含む
澱粉が挙げられるが、これらに限定されない。結合剤がまた治療薬を一緒に保持
して硬質錠剤を形成するのに使用されてもよく、天然産物からの物質、例えば、
アカシア、トラガカント、澱粉及びゼラチンを含む。 抗摩擦剤が治療薬の製剤に含まれてもよく、製剤化プロセス中の粘着を防止し
得る。滑剤が治療薬とダイ壁の間の層として使用されてもよい。また、製剤化中
の薬物の流動性を改良し、圧縮中の再配置を助ける滑剤が添加されてもよい。滑
剤として、澱粉、タルク、熱分解法シリカ及び水和ケイアルミン酸塩が挙げられ
る。 加えて、水性環境への治療薬の溶解を助けるために、表面活性剤が湿潤剤とし
て添加されてもよい。タンパク質(又は誘導体)の吸収を潜在的に増進する添加
剤は、例えば、脂肪酸、オレイン酸、リノール酸及びリノレン酸である。
【0117】 鼻内デリバリー タンキラーゼ又はその誘導体の鼻内デリバリーがまた意図されている。鼻内デ
リバリーは治療生成物を鼻に投与した直後に、肺中の生成物の付着を必要としな
いで、血流へのタンパク質の通過を可能にする。鼻内送出の製剤はデキストラン
又はシクロデキストランを含む製剤を含む。 鼻内投与について、有益な装置は計量投薬噴霧器が取り付けられている小さい
硬質のびんである。一実施態様において、計量された投薬が本発明の医薬組成物
溶液を特定の体積のチャンバーに吸引することにより送出され、そのチャンバー
はチャンバー中の液体が圧縮される時に噴霧を形成することにより製剤をエアゾ
ールにするような寸法の孔を有する。チャンバーが圧縮されて本発明の医薬組成
物を投与する。特別な実施態様において、チャンバーがピストン配置である。こ
のような装置が市販されている。 また、圧搾された時に噴霧を形成することによりエアゾール製剤をエアゾール
にするような寸法の孔又は開口部を有するプラスチック圧搾びんが使用されても
よい。開口部は通常びんの上部にあり、その上部は一般にテーパー付きであり、
エアゾール製剤の有効投与のために鼻内通路中で部分的にフィットする。鼻内吸
入器が薬物の計量投薬量の投与のために計量された量のエアゾール製剤を与える
ことが好ましい。
【0118】 経皮投与 種々かつ多数の方法が、例えば、経皮パッチによる、薬物の経皮投与について
当技術分野で知られている。経皮パッチが、例えば、Rolandoらに1995年4月18
日に発行された米国特許第5,407,713号;Fallonらに1994年10月4日に発行され
た米国特許第5,352,456号;D'Angeloらに1994年8月9日に発行された米国特許
第5,332,213号;Sibalisに1994年8月9日に発行された米国特許第5,336,168号
;Farhadiehらに1994年3月1日に発行された米国特許第5,290,561号;Tuckerら
に1993年10月19日に発行された米国特許第5,254,346号;Bergerらに1992年11月1
7日に発行された米国特許第5,164,189号;Sibalisに1992年11月17日に発行され
た米国特許第5,163,899号;両方ともSibalisに1992年2月18日に発行された米国
特許第5,088,977号及び同第5,087,240号;Beneckeらに1991年4月16日に発行さ
れた米国特許第5,008,110号;並びにSibalisに1990年5月1日に発行された米国
特許第4,921,475号(これらの夫々の開示が参考として本明細書にそのまま含ま
れる)に記載されている。 投与の経皮経路は皮膚浸透増進剤、例えば、米国特許第5,164,189号(上記文
献)、米国特許第5,008,110号(上記文献)、及びArugaらに1989年11月7日に発
行された米国特許第4,879,119号(これらの夫々の開示が参考として本明細書に
そのまま含まれる)に記載されている増進剤の使用により増進し得ることが容易
に理解される。
【0119】 肺デリバリー 本発明の医薬組成物の肺デリバリーがまた本明細書で意図されている。本発明
の医薬組成物は吸入中に哺乳類の肺にデリバリーされ、肺上皮ライニングを横切
って血流に移動する。これのその他の論文として、Adjeiら, Pharmaceutical Re
search, 7:565-569 (1990); Adjeiら, International Journal of Pharmaceutic
s, 63:135-144 (1990)(ロイプロリドアセテート); Braquetら, Journal of Ca
rdiovascular Pharmacology, 13(suppl. 5):143-146 (1989)(エンドセリン-1)
;Hubbardら, Annals of Internal Medicine, III巻, 206-212頁(1989)(α1-ア
ンチトリプシン);Smithら, J. Clin. Invest., 84:1145-1146 (1989)(α-1-プ
ロテイナーゼ);Osweinら, “Aerosolization of Proteins”, Proceedings of
Symposium on Respiratory Drug Delivery II, Keystone, Colorado,3月(1990)
(組換えヒト成長ホルモン);Debsら, J. Immunol., 140:3482-3488 (1988)(
インターフェロン-γ及び腫瘍壊死因子α);Platzらの米国特許第5,284,656号
(顆粒球コロニー刺激因子)が挙げられる。全身効果のための薬物の肺送出のた
めの方法及び組成物がWongらに1995年9月19日に発行された米国特許第5,451,56
9号に記載されている。
【0120】 ネブライザー、計量投薬吸入器、及び粉末吸入器(これらの全てが当業者に良
く知られている)を含むが、これらに限定されない、治療生成物の肺デリバリー
用に設計された広範囲の機械装置が本発明の実施における使用について意図され
ている。送出装置の構成に関して、噴霧びん、液体製剤の噴霧化、噴霧化又はポ
ンプエアゾール化、及び乾燥粉末製剤のエアゾール化を含むが、これらに限定さ
れない、当技術分野で知られているあらゆる形態のエアゾール化が本発明の実施
に使用し得る。 全てのこのような装置が本発明の医薬組成物(又は誘導体)の分配に適した製
剤の使用を必要とする。典型的には、夫々の製剤が使用される装置の型に特異性
であり、治療に有益な通常の希釈剤、アジュバント及び/又は担体に加えて、適
当な噴射剤の使用を伴い得る。また、リポソーム、マイクロカプセルもしくは微
小球体、封入複合体、又はその他の型の担体の使用が意図されている。本発明の
化学的に修飾された医薬組成物は化学的修飾の型又は使用される装置の型に応じ
て異なる製剤中で調製し得る。
【0121】 ジェット又は超音波のネブライザーによる使用に適した製剤は典型的には溶液
1mL当り本発明の医薬組成物の生物学的活性成分約0.1-25mgの濃度で水に溶解さ
れた本発明の医薬組成物(又は誘導体)を含むであろう。製剤はまた緩衝剤及び
単純な糖(例えば、本発明の組成物の安定化及び浸透圧の調節のため)を含んで
もよい。ネブライザー製剤はまたエアゾールを生成する際の溶液の噴霧化により
生じる本発明の医薬組成物の表面誘導凝集を軽減又は防止するために表面活性剤
を含んでもよい。 液体エアゾール製剤は生理学上許される希釈剤中に本発明の医薬組成物及び分
散剤を含む。本発明の乾燥粉末エアゾール製剤は本発明の医薬組成物の微細な固
体形態及び分散剤からなる。液体又は乾燥粉末エアゾール製剤のいずれでも、製
剤がエアゾール化される必要がある。即ち、それはエアゾール化投薬が鼻通路の
粘膜又は肺に実際に到達することを確実にするために液体又は固体粒子に分解さ
れる必要がある。“エアゾール粒子”という用語は鼻内投与又は肺投与に適し、
即ち、粘膜に到達する液体又は固体粒子を記載するために本明細書に使用される
。その他の考慮、例えば、デリバリー装置の構成、製剤中の付加的な成分、及び
粒子特性が重要である。薬物の鼻内投与又は肺投与のこれらの局面は当技術分野
で公知であり、製剤の操作、エアゾール化手段及びデリバリー装置の構成は当業
者によりせいぜいルーチン実験を必要とするだけである。
【0122】 しばしば、肺への吸入のための液体又は乾燥粉末製剤のエアゾール化は噴射剤
を必要とするであろう。噴射剤は当技術分野で一般に使用されるあらゆる噴射剤
であってもよい。このような有益な噴射剤の特別な非限定例はクロロフルオロカ
ーボン、ヒドロフルオロカーボン、ヒドロクロロフルオロカーボン、又はトリフ
ルオロメタン、ジクロロジフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタノール
、及び1,1,2,2-テトラフルオロエタンを含む炭化水素、又はこれらの組み合わせ
である。 エアゾールデリバリーの系、例えば、加圧計量投薬吸入器及び乾燥粉末吸入器
がNewman, S.P., Aerosols and the Lung, Clarke, S.W.及びDavia, D.編集者,
197-22頁に開示されており、本発明と一緒に使用し得る。 一般に、以下に詳しく記載されるように、本発明の医薬組成物は哺乳類の体重
1kg当り約0.01mgから前記哺乳類体重1kg当り約1mgまでの量でエアゾール形態で
被験者に導入される。特別な実施態様において、投薬量は必要に応じて投与され
る。当業者は本発明のエアゾール製剤中の本発明の医薬組成物の濃度に基づいて
この投薬量に相当するエアゾールの体積又は重量を容易に決定し得る。
【0123】 液体エアゾール製剤 本発明はエアゾール製剤及び投薬形態を提供する。一般にこのような投薬形態
は医薬上許される希釈剤中に本発明の医薬組成物を含む。医薬上許される希釈剤
として、無菌水、食塩水、食塩加緩衝液、デキストロース溶液等が挙げられるが
、これらに限定されない。 製剤は担体を含んでもよい。担体は循環系に可溶性であり、かつ生理学上許さ
れる巨大分子であり、この場合、生理学的許容は当業者が治療レジメの一部とし
て患者への前記担体の注射を受け入れることを意味する。担体はクレアランスに
許されるプラズマ半減期で循環系中で比較的安定であることが好ましい。このよ
うな巨大分子として、大豆レシチン、オレイン酸及びソルビタントリオレエート
が挙げられるが、これらに限定されず、ソルビタントリオレエートが好ましい。 本実施態様の製剤はまたpH維持、溶液安定化、又は浸透圧の調節に有益なその
他の薬剤を含んでもよい。
【0124】 エアゾール乾燥粉末製剤 本エアゾール製剤は本発明の医薬組成物の微細な粉末形態及び分散剤を含む乾
燥粉末製剤として調製し得ることが意図されている。 粉末吸入器装置から分配するための製剤は本発明の医薬組成物(又は誘導体)
を含む微細な乾燥粉末を含み、また装置からの粉末の分散を促進する量、例えば
、製剤の50-90重量%の増量剤、例えば、ラクトース、ソルビトール、蔗糖、又
はマンニトールを含んでもよい。本発明の医薬組成物(又は誘導体)は最も有利
には10mm(又はミクロン)未満、遠位の肺への最も有効な送出のために最も好ま
しくは0.5-5mmの平均粒子サイズを有する粒状形態で調製されるべきである。 更なる局面において、タンキラーゼ遺伝子で形質転換され、高レベルのポリペ
プチドを発現する組換え細胞がタンキラーゼを必要とする被験者に移植し得る。
タンキラーゼで形質転換された自己細胞が移植されて拒絶を回避することが好ま
しい。また、免疫認識及び拒絶を阻止するポリマーマトリックス中で可溶性因子
を生成する技術が非自己細胞を遮蔽するのに利用できる。 治療の方法、医薬品の調製方法。本発明の更に別の局面において、治療方法及
び医薬品の製造方法が提供される。本誘導体の投与により軽減又は調節される症
状は先に示されたものである。
【0125】 投薬量 上記分子の全てについて、更なる研究が行われるにつれて、種々の患者の種々
の症状の治療に適した投薬量レベルに関する情報が出現し、当業者は、治療状況
、レシピエントの年齢及び全般の健康を考慮して、適当な投薬を確かめることが
できるであろう。
【0126】 タンキラーゼの投与が有効治療レジメである被験者はヒトであることが好まし
いが、あらゆる動物であってもよい。したがって、当業者により容易に認められ
るように、本発明の方法及び医薬組成物はあらゆる動物、特に哺乳類への投与に
特に適しており、これらとして、家畜、例えば、ネコ被験者又はイヌ被験者、牧
畜動物、例えば、ウシ、ウマ、ヤギ、ヒツジ、及びブタ被験者、野生動物(荒野
又は動物園中を問わない)、獣医療用の研究動物、例えば、マウス、ラット、ウ
サギ、ヤギ、ヒツジ、ブタ、イヌ、ネコ、等、鳥類種、例えば、ニワトリ、シチ
メンチョウ、鳴き鳥等が挙げられるが、これらに限定されない。 本発明が以下の非限定実施例を参考にして良く理解され、その実施例は本発明
の例示として示される。以下の実施例は本発明の好ましい実施態様を更に十分に
説明するために示される。しかしながら、それは本発明の広い範囲を限定するも
のと見なされるべきではない
【0127】 (実施例) タンキラーゼ、ヒトテロメアのPARP関連酵素 序: ヒトの染色体末端は、特異的蛋白質と結合したテロメアTTAGGG反復配列のタン
デム配列から成る(Bilaud et al., Nature Gen., 17:236-239(1997);Chong et a
l., Science, 270:1663-1667(1995); Broccoli et al., Nature Gen., 17:231-2
35(1977))。通常のDNAポリメラーゼは染色体末端を複製できないので、テロメア
配列は細胞分裂のたびに失われる(Cooke & Smith, Cold Spring Harbor Sym. Qu
ant. Biol., L1:213-219(1986); Harley et al., Nature, 345:458-460(1990);
Hastie et al., Nature, 346:866-868;(概説) Harley, Telomeres and Ageing,
In Telomeres(ed. Blackburn & Grieder), Cold Spring Harbor Press, 247-265
) 。生殖細胞系列並びに不朽化細胞および腫瘍では、テロメアDNAはテロメラー
ゼによって維持される。テロメラーゼは、染色体の3'末端にTTAGGG反復配列を付
加する逆転写酵素である((概説)Greider, Ann. Rev. Biochem., 65:337-365(19
96); Morin, Seminars in Cell Dev. Biol., 7:5-15(1996))。体細胞では、テロ
メラーゼのレベルが低いかまたは存在しないので、細胞分裂のたびにテロメアは
50−200塩基対ずつ短縮する。このプログラムされたテロメアの短縮は形質
転換細胞の増殖能力を制限する腫瘍抑制メカニズムであるという考えが一番有力
である(de Lange, Science, 279:333-335(1998))。確かに、テロメアの長さは
ヒトの正常細胞の増殖能力と強い相関性を有し(Allosopp et al., Proc. Natl.
Acad. Sci. USA, 89:10114-10118(1992))、テロメラーゼの触媒サブユニット(
hTERT)はヒトの腫瘍および不朽化細胞でアップレギュレートされ(Meyers
on et al., Cell, 90:785-795(1997); Nakamura et al., Science, 277:955-959
(1997))、ヒトの初代細胞でのテロメラーゼの活性化は、規定された老化点を越
える細胞寿命の延長をもたらす(Bodnar et al., Science, 270:349-352(1998);
Vaziri & Benchimol, Curr. Biol., 8:279-282(1998))。
【0128】 哺乳類のテロメアの成分でただ1つ知られているものはTRF蛋白質で、これ
は、染色体の分裂間期および中期のテロメアに分布する二重鎖TTAGGG反復配列結
合因子である(Zhong et al., Mol. Cell. Biol., 13:4834-4943(1992); Chong
et al., Science, 270:1663-1667(1995); Lud・rus et al., J. Cell Biol., 13
5:867-881(1996); Broccoli et al., Hum. Mol. Genetics, 6:69-76(1997);(
概説)Smith & de Lange, Trends in Genetics, 13:21-26(1997))。ヒトTRF1(
hTRF1)は、全てのヒト細胞および組織の核抽出物で認められる低アバンダンス
活性で、同様な活性は他の脊椎動物でも存在する(Zhong et al., Mol. Cell. B
iol., 13:4834-4943(1992); Chong et al., Science, 270:1663-1667(1995))。
TRF2(orf2とも称される)は、最近TRF1相同体と特定された(Bilaud et al., N
ucl. Acids Res., 24:1294-1303(1996))。TRFの機能は完全には確定されてい
ないが、一方、酵母における類似の二重鎖テロメアDNA結合活性について、テロ
メアの長さの制御、テロメアの安定性およびテロメアサイレンシングにおける関
与が示唆された((概説)Shore, Trends Gen., 10:408-412(1994); Zakian, Sacc
hromyces telomere: function, structureand replication, Cold Spring Harbo
r Laboratory Press, Cold Spring Harbor, pp.107-138(1995a); McEachern & B
lackburn, Nature, 376:403-409(1995); Krauskopf & Blackburn, Nature, 383:
354-357(1996))。
【0129】 TRF1はin vitroでDNA結合特性を有するが、これは染色体末端の二本鎖テロメ
ア反復配列に沿ってそれが存在することと合致する。TRF1は、DNA末端の存在に
関係なく二重鎖TTAGGG反復配列と効果的に結合する(Zhong et al., Mol. Cell.
Biol., 13:4834-4943(1992))。一本鎖テロメアDNAは効果的なTRF1基質ではな
く、異種のテロメア配列(例えば二本鎖列のTTGGGG、TTAGGC、TTTAGGG、TTAGGGGGお
よびTAGGG反復配列)も同様である(Zhong et al., Mol. Cell. Biol., 13:4834
-4943(1992); Hanish et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 91:8861-8865(199
4); Chong et al., Science, 270:1663-1667(1995))。TRF1のこの配列特異性は
ヒト細胞でのde novoでのテロメア形成のための配列要求と合致し、TRF蛋白
質がこのプロセスに必要であることが示唆される(Hanish et al., Proc. Natl.
Acad. Sci. USA, 91:8861-8865(1994))。
【0130】 本明細書で開示するように、細胞周期を通してヒトのテロメアに分布し、TRF1
と結合する新規なヒトテロメア蛋白質、タンキラーゼが単離された。タンキラー
ゼは、テロメア長の定常性はさらに別のTRF1関連およびテロメラーゼ関連蛋白質
を必要とするという前提の下に、TRF1による2−ハイブリッドスクリーンを用い
て単離された。タンキラーゼのドメイン構造は、それによってTRF1がテロメラー
ゼを調節している可能性があるメカニズムを示唆している。
【0131】 方法: タンキラーゼcDNAクローニング:完全長タンキラーゼcDNAのTT20は、41
34個のヌクレオチド(nt)の挿入物をベクターpBKCMV中に含有する。
それは、CGAAGATGG開始コドン(5'末端から6ntだけ内側に存在)(これは翻
訳開始に有利である)で始まる1327個のアミノ酸のORFを有する。他の2
つのオーバーラップする単離物、TT6およびTT18(これらはTT20の5'
末端に23ntを含む)は、開始コドンATGの上流にフレーム内終止コドンを
含み、翻訳開始部位を担保している。TT20の3'末端は、終止コドンを含み、
その後に146ntの3'非翻訳配列が続いている。
【0132】 TT20cDNAはいくつかの工程で単離された。先ず最初に、TR1L−4から
作製したPCR生成物(配列番号:2の973−1163のアミノ酸をコードす
る)をプローブとして用いて、HeLa細胞cDNAライブラリーをスクリーニングした
。2つのオーバーラップするcDNA、32および21(8901ntを包含する)
が単離された。これらのクローンは配列番号:2のアミノ酸235−1327を
コードしていた。その3'末端は、3'非翻訳配列の5539ntおよびポリ(A)
ストレッチの19nt上流にAATAAAポリアデニル化部位を有していた。5'末端配
列はRACE法を用いて伸長し、514ntのクローンRACE4C(配列番号
:2のアミノ酸83−253をコードする)を得た。連続した開放読み枠(OR
F)を構築し(RACE4C+32)、この構築物に由来するPCRプローブ(
配列番号:2のアミノ酸183−303をコードする)を用いて、ヒト精巣ライ
ブラリー(Stratagene)をスクリーニングして上記のTT20を単離した。
【0133】 他の2つの精巣ライブラリー単離物およびTT9の性状を決定した。DNA配列
分析によって、それらはTT20と同じ5'末端を有することが示された。制限消
化およびネストPCR分析によって、それぞれ約100ntの挿入物をもつこと
を除いてそれらは全長にわたってTT20と類似していることが示された。すな
わち、TT7は配列番号:2のアミノ酸640の後に(ANK反復配列14内に)
挿入物をもち、TT9は配列番号:2のアミノ酸881の後に(ANK反復配列2
1内に)挿入物をもつ。両挿入物は終止コドンを含み、切端蛋白質を生じる(こ
れはin vitro翻訳で確認された)。
【0134】 タンキラーゼ発現構築物: FLAG-タンキラーゼ1(配列番号:2のアミノ酸337−1149をコード)
を以下によって構築した:クローニング部位の5'にFLAGエピトープを含む改
変pRc/CMV発現ベクター(Invitrogen)のNotI-ApaIクローニング部位で
PCR増幅断片をクローニングする。PCRは、順方向プライマーとして5’TTG
CGGCCGCAGACGAACTCCTAGAAGCT3’を、逆方向プライマーとして5’GCGGGCCCTATCGA
ATGACATTGTATCTGT3’を用いて鋳型としてプラスミドTR1L−4により実施し
た。FLAG-タンキラーゼ(配列番号:2のアミノ酸2−1327をコード)は2
段階で構築した。最初に、中間体構築物CMV−IMC(配列番号:2のアミノ
酸2−182をコード)を、上記の改変pRc/CMVベクターのNotI-ApaIクローニン
グ部位でPCR増幅断片をクローニングすることによって作製した。PCRは、
順方向プライマーとして5’TTGCGGCCGCGGCGGCGTCGCGTCGCT3’を、逆方向プライ
マーとして5’TGCGGCGTCCACCACGGT3’を用いて鋳型としてプラスミドTT20を
もとに実施した。その後の消化で配列番号:2のアミノ酸182で天然のApaI部
位を切断した。次に、TT20のApaI断片(配列番号:2のアミノ酸183−1
327、終止コドン、3'非翻訳配列の146ntおよびベクターポリリンカー配
列をコード)をCMV−IMCのApaI部位でクローニングし、正しい向きについ
てスクリーニングしFLAG-タンキラーゼを得た。
【0135】 酵母2−ハイブリッド分析:TR1L−4およびTR1L−12を、pGad
10で作製したヒト肝2−ハイブリッドcDNAライブラリー(Clontech)から単離
した。このライブラリーは、LexAと融合させたヒト完全長TRF1cDNA(Lex
A−TRF1)(Bianchi et al., EMBO J., 16:1785-1794(1997))を用いて酵母株L
40で記載(Hollenberg et al., Mol. Cell Biol., 15:3813-3822(1995))にし
たがってスクリーニングした。2−ハイブリッド分析をBianchiらの記載(EMBO
J., 16:1785-1794(1997))にしたがって実施した。2−ハイブリッド分析のため
のβ−ガラクトシダーゼアッセイは、Bianchiらの記載(EMBO J., 16:1785-1794
(1997))にしたがって実施した。
【0136】 抗タンキラーゼ抗体:ベクターpET-22b(+)(Novagen)中にタンキラーゼのサブ
ドメイン(配列番号:2のアミノ酸973−1149をコード)を含むAnk2
プラスミドを大腸菌(E. coli)中で融合蛋白質として発現させた。この蛋白質を
封入体として単離し、ウサギ(#465)の免疫に用いた。得られた免疫血清(
ウサギ抗タンキラーゼ)465を、CnBr活性化セファロース(Sigma Bioche
micals)に結合させたAnk2蛋白質に対し標準的方法を用いてアフィニティー
精製した(Harlow & Lane, "Antibodies, A Laboratory Manual", Cold Spring
Harbor Press, (1988))。
【0137】 PARPアッセイをバキュロウイルス由来タンキラーゼを用いて本質的にはSimoni
nら(268:8529(1993))の記載にしたがい(ただしDNAを添加せずに)実施した。
バキュロウイルス由来蛋白質を生成するために、ヒトタンキラーゼのN末端に〔
His〕6タグをもつ融合蛋白質を発現ベクターpFastBacHTb(Gibco BRL, Grand Is
land)で生成し、組換えプラスミドをDH10Bac大腸菌で産生するために用
いた。この組換えDNAを用いて、SF21昆虫細胞をトランスフェクトし、組換
えウイルスを単離して増幅した。バキュロウイルス由来TRF1についての記載(Bi
anchi et al., EMBO J., 16:1785-1794(1997))にしたがって蛋白質を精製した。
タンキラーゼ(0−4μg)およびTRF1(0−4μg)(Bianchi et al., EMBO
J., 16:1785-1794(1997))を含むサンプルをアッセイ緩衝液0.1ml中で25℃で
30分保温した(アッセイ緩衝液は以下を含む:50mMトリス−HCl(pH8.0
)、4mMのMgCl2、0.2mMジチオスレイトール(DTT)、1.3μM〔32P〕NAD+(4
μCi)および濃度を変えた非標識NAD+(0−1mM))。反応は20%トリクロロ
酢酸(TCA)の添加により停止させた。酸不溶性蛋白質を遠心で採集し、5%
TCAで洗浄し、レムリ(Laemmli)のローディング緩衝液に懸濁し、SDS−P
AGEで分画した。クーマシーブルー染色およびオートラジオグラフィーで蛋白
質を可視化した。免疫ブロット分析の場合は、反応は同じように実施したが、た
だし〔32P〕NAD+は除いた。サンプルで以下に記載したように免疫ブロットを実
施し、プローブとして10H(ポリペプチド(ADP−リボース)に対して作製し
たマウスモノクローナル抗体)(1:250)を(Kawamitsu et al., Biochemi
stry 23:3771(1984))を用い、続いてマウスIgG(Amersham)に対するセイヨウ
ワサビペルオキシダーゼ結合ヒツジ抗体を用いて調べた。
【0138】 ノーザンブロット:ノーザンブロット(Clontech)は、記載にしたがってTR
1L−4から単離したタンキラーゼcDNAを用いて実施した(Chong et al., Scie
nce, 270:1663-1667(1995))。 細胞抽出および蛋白質の分画:HeLa細胞を直接レムリのローディング緩衝液に
懸濁した。ラットの精巣抽出物の場合、低張溶解の後で粗核を単離し、0.4M KCl
で抽出し、沈降させ、さらにレムリ緩衝液に懸濁した(Chong et al., Science,
270:1663-1667(1995))。ラットの核は記載にしたがって調製した(Blobel & P
otter, Science, 154:1662-1665(1996))。核エンベロープはMutanisら(J. Cell
. Biol., 135:1451-1470(1996))にしたがって調製した。塩洗浄核エンベロープ
(文献にしたがって調製:Snow et al., J. Cell. Biol., 104:1143-1156(1987)
)を文献(Wormam, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 85:8531-8534(1988))にした
がって尿素で抽出した。
【0139】 ウェスタンブロッティングおよびノーザンブロッティング:蛋白質サンプルを
SDSポリアクリルアミドゲルで分画し、電気泳動によってニトロセルロースに
移し、0.1%トゥイーン20含有PBS中の5%ミルクでブロックした。抗体インキ
ュベーションは0.1%トゥイーン20含有PBS中の1%ミルク中で実施した。ブロ
ットをアフィニティー精製ウサギ抗タンキラーゼ(4μg/ml)、抗タンキラ
ーゼウサギの免疫前血清(1:500)またはアフィニティー精製ウサギ抗TRF1
の620.1(1:50)とともに保温し、続いてセイヨウワサビペルオキシダ
ーゼ結合ロバ抗ウサギIgG(1:2500)で保温した。結合抗体を増感化学発
光キット(Amersham)を用いて検出した。ノーザンブロット(Clontech)はBroc
coliら(Mol. Cel Biol., 16:3765-3722(1996))にしたがってTRIL−4から
単離したタンキラーゼcDNAをプローブとして調べた。
【0140】 免疫ブロットの場合は、HeLa細胞をレムリのローディング緩衝液に直接懸濁し
、レーン当たり約50000細胞をロードした。粗核は低張溶解の後でラット精巣か
ら単離し、0.4MのKClで抽出し、ペレットを作製しレムリ緩衝液に懸濁した。in
vitro翻訳タンキラーゼは、転写/翻訳連携網状赤血球システム(Promega)を用
いて生成した。1μgのTT20を標準的な条件下でT3RNAポリメラーゼと保
温し、レーン当たり反応物の10%をロードした。蛋白質サンプルをSDSポリ
アクリルアミドゲルで分画し、ニトロセルロースに移し、0.1%トゥイーン20
含有燐酸緩衝食塩水(PBS)中の5%ミルクでブロックした。1%トゥイーン2
0中で抗体と保温した。ブロットを最初ウサギ抗タンキラーゼ抗体(4μg/m
l)またはウサギ免疫前血清(1:500)と保温し、続いて抗ウサギ免疫グロ
ブリンG(IgG)セイヨウワサビペルオキシダーゼ共役ロバ抗体(1:2500
)(Amersham)と保温した。結合抗体は増感化学発光(Amersham)で検出した。
【0141】 免疫沈澱の場合は、1mlの緩衝液D(100mMKCl含有20mMヘペス(pH7.9)、2
0%グリセロール、0.2mMエチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)、0.2mMエチレン
グリコール−ビス(β−アミノエチルエーテル)-N,N,N,N-テトラ酢酸(EGTA)、
1mMDTT、0.5mMフェニルメチルスルフォニルフルオリド(PMSF)、0.1%NP40、0.
1%トリトンX100、および1mgBSA/ml)中の80μgタンキラーゼを無関係の
ウサギ血清と室温で1時間保温して予め清澄にし、続いてプロテインGセファロ
ース(Pharmacia)を添加した。非特異的抗体複合体および蛋白質凝集物を遠心に
よって除去し、上清を免疫沈澱分析に用いた。0.5mlの上清を2μgの抗タンキ
ラーゼ抗体または同じウサギの2μgの免疫前IgG(プロテインGセファロース
でアフィニティークロマトグラフィーにより精製)と1時間室温で保温した。抗
原抗体複合物をプロテインGビーズに集め、緩衝液Dで3回洗浄し、さらに50mM
のトリス−HCl(pH8.0)で2回洗浄した。続いて、50mMトリス−HCl(pH8.0
)、4mMのMgCl2、0.2mMのDTT、および1.3μMの〔32P〕NAD+(0.8μCi)を含
む20μlを添加し、これらのビーズをPARP活性についてアッセイした。反応物
を上記のように保温し、処理した。
【0142】 ゲルシフトアッセイは、プラスミドpTH12(Z. Zhong et al., Mol. Cell. Bio
l., 12:4834(1992))由来の末端標識を施した142bpのHindIII-Asp718断片
(12のTTAGGGタンデム反復配列を含む)を用いて実施した。バキュロウイルス
由来TRF1(13から120ng)(Bianchi et al., EMBO J. 16:1785(1997))を
20μlの反応物中で室温で30分保温した。この反応物は以下を含んでいた:
20mMヘペス−KOH(pH7.9)、100mM KCl、0.5mM DTT、5%グリセロール、0.1
%NP40、100ngの剪断大腸菌DNA、100ngのβ−カゼインおよび1ng
の標識プローブ。いくつかの事例では、反応物にNAD+(0.2mM)およびバキュロ
ウイルス由来ヒトタンキラーゼ(2.5から200ng)を補充した。サンプルを0.1x
TBE(8.9mMトリス基剤、8.9mMホウ酸、および0.2mMのEDTA)中で130ボル
ト1時間室温で0.7%アガロースゲル泳動で分画した。ゲルをワットマンDE8
1ペーパー上で乾燥させ、オートラジオグラフィーを実施した。
【0143】 タンキラーゼ蛋白質はまた以下のヒト細胞株でウェスタン分析によって検出さ
れた:293(形質転換された胎児腎細胞)、IMR90およびWI38(初代肺線維芽細胞)WI3
8 VA13/2RA(不死化肺線維芽細胞);GM847(SV40不死化線維芽細胞);DaudiおよびRa
ji(リンパ腫);HT1080(線維肉腫);およびMCF(乳房腺癌)。これらの細胞株の
いくつかはより大きなセットのタンキラーゼmRNA(6−10キロベース)のみを
発現していることが見出された。このことは142kDのポリペプチドはこれら
の転写物の1つから発現されることを示唆している。
【0144】 トランスフェクション:HelaI細胞に電気穿孔によってFLAG-タンキラーゼま
たはFLAG-タンキラーゼ−1および発現ベクターpcDNA3(Invitrogen)中でクロ
ーン化されたpcDNA3-hTRF1をトランスフェクトした。細胞を16時間増殖させ、
続いて下記のように免疫蛍光または免疫沈澱のために処理した。
【0145】 間接免疫蛍光:HelaIまたはHela1.2.11細胞(20kb以上のテロメアを含む
HeLaIのサブクローン)を氷冷メタノールで−20℃で10分または、PBS中の
3.7%ホルムアルデヒドで10分固定し、続いてPBS中の0.5NP40で10分
間処理して透過性にした。染色体のスプレッド標本のために、Hela1.2.11細胞を
コルセミド(0.1μg/ml、60分)で処理し、トリプシンで処理して採集し、10mMト
リス(pH7.4)、10mMNaClおよび5mMMgCl2中で低張処理して膨潤させ、ソー
バル(Sorvall)RT6000B卓上遠心器で3000rpmで15秒間カバース
リップ上に沈澱させた。続いて25%PBS中の3.7%ホルムアルデヒドで10分固定
し、さらに25%のPBS中の0.5%NP40で10分処理して透過性にした。サンプルを
25%PBS中の1%BSAでブロックし、続いて1%BSA/PBSで希釈した一次抗体と保
温した。内因性タンキラーゼはアフィニティー精製ウサギ抗タンキラーゼ465
(1−4μg/ml)で検出した。FLAG-タンキラーゼは、マウスモノクローナ
ル抗体M2抗FLAG(Eastman-Kodak)(2−10μg/ml)で検出した。核
孔複合体蛋白質はマウスモノクローナル抗体414(Davis & Blobel, Cell, 45
:699-709(1986))(上清、1:100)で検出した。非トランスフェクト細胞の
中心体蛋白質は、以下に対するマウスのモノクローナル抗体で検出した:NuM
A1F1(Compton et al., J.Cell Biol., 124:795-805(1994))(腹水、1:1
00)、セントリン20H5(Sanders & Salisbury, J. Cell Biol., 124:795-
805(1994))(腹水、1:2000)、およびγ−チュブリン(腹水、1:200
0)(Sigma)。トランスフェクト細胞ではγ−チュブリンはウサギ抗ペプチド抗
体XGC−1−4(1:2000)で検出された。Hela1.2.11細胞の内因性TRF1
は、完全長TRF1に対して作製したマウスポリクローナル血清(1:10000)
で検出した。HeLa細胞のTRF1は、非トランスフェクト細胞についてはウサギ抗TR
F1抗体371(van Steensel & de Lange, Nature, 385:740-743(1997))、0.4
μg/mlで、トランスフェクト細胞については0.04μg/mlで検出した。一次抗体は
FITC結合またはTRITC結合ロバ抗マウスもしくはウサギ抗体(1:10
0)(Jackson Laboratories)で検出した。DNAはDAPI(0.2μg/ml)で染色した。
顕微鏡写真はツァイスアキシオプラン(Zeiss Axioplan)顕微鏡でフォトメトリ
ックCCDカメラで記録した。画像はアドビフォトショップ(Adobe Photpshop)
で処理し結合させた。細胞周期時のHeLa細胞の分布免疫分析によって、タンキラ
ーゼのさらに詳しい細胞内分布が示唆された。
【0146】 免疫沈澱:全細胞抽出物を報告(van Steensel et al., 92:401-413(1998))に
したがってトランスフェクト細胞から調製した。抗タンキラーゼ抗体465(1μ
g/ml)、抗TRF1抗体371(0.1μg/ml)またはコントロールとして無関係のウサギ
血清を添加して、蛋白質を氷上で一晩免疫沈澱させた。抗体抗原複合体をプロテ
インGビーズ上に集め、報告(Broccoli et al., Nature Gen., 17:231-235(199
7))にしたがって処理した。
【0147】 免疫電子顕微鏡法:組織培養皿のHelaI細胞を0.5%トリトンX100/PBSで
15秒処理して透過性にし、PBS中で2回洗浄して3%ホルムアルデヒド/PBS中
で10分固定し、さらに1%BSA/PBSでブロックした。細胞をアフィニティー精
製ウサギ抗タンキラーゼ抗体465(5μg/ml)と保温し、続いて5nmの金共
役抗ウサギ抗体と保温した。サンプルを薄切切片作製および電子顕微鏡のために
文献(Pain et al., Nature, 347:444-449(1990))のように処理した。
【0148】 アミノ酸のアラインメント:24ANK反復配列のアラインメントは、ヒトアン
キリン1(Genbank #M28880)、同2(Genbank #X56958)および同3(Genbank #U
13616)のANK反復配列ドメインをもつタンキラーゼANK反復配列ドメインのメガラ
インクラスタルアラインメント(ギャップペナルティー10、ギャップ長ペナル
ティー10)を基準にした。タンキラーゼのPARP関連およびSAMドメインの他の
蛋白質との比較をクラスタルW1.6(ギャップ開始ペナルティー10、ギャッ
プ伸長ペナルティー0.05)を用いて実施した。
【0149】 タンキラーゼcDNAの単離およびその予想一次構造の分析:餌(bait)としてヒト
TRF1を用いる酵母の2−ハイブリッドスクリーンを実施した。ヒト胎児肝2−ハ
イブリッドライブラリーの1x107個の形質転換体のスクリーニングで、13
の陽性物が得られた。そのうちの12が同一の2.4kb挿入物(TR1L−4と
称する)を含み、1つは1kbの挿入物(TR1L−12と称する)を含んでい
た。TR1L−12はTR1L−4内に含まれていた(図1A参照)。DNA配列
分析は、TR1L−4は部分的cDNAあることを示唆した。cDNAの概念的翻訳によ
って、それが新規な蛋白質であることが明らかにされた。ただし、それは以前に
認識された20コピーのANK反復配列モチーフ(下記参照)を含んでいた。ヒト
精巣ライブラリーから単離された完全長cDNA(配列番号:1)(タンキラーゼ(
TRF1−相互反応性アンキリン)と称される)は、1327アミノ酸(配列番号:
2)の開放読み枠を含み、142kDの蛋白質をコードすると予想された。
【0150】 タンキラーゼの予想一次構造の模式図は図1Aに示されている。アミノ末端H
PSドメインは、ホモヒスチジン、プロリンおよびセリン索から成る。プロリン
富裕配列は、SH3ドメインのための結合部位として機能することが示された。
驚くべき特性は24ANK反復配列を含む中央のドメインで、33アミノ酸モチー
フは蛋白−蛋白相互反応を仲介することが示された(Bork, Proteinn, 17:363-3
74(1993); Michaely & Bennett, Trends Cell Biol., 2:127-129(1992))。ANK
反復配列は、マルチコピーとして(典型的には4から8)、機能的に多様化した
蛋白質の1群として見出された。これは、膜に不可欠な蛋白質をその下に存在す
る細胞骨格に連結させる構造蛋白質の1つの族であるアンキリンを含む(概論:
Bennett, J. Biol. Chem., 267:8703-8706(1992))。
【0151】 アンキリンは、異常に多い(24)ANK反復配列を含むことで区別される。幾
つかの観察は、タンキラーゼは単なるANK反復配列含有蛋白質ではなく、アンキ
リン族の新規な一員であることを示唆している。第一に、タンキラーゼおよびア
ンキリンのANK反復配列は、他の蛋白質に存在するANK反復配列とは異なる特性を
共有する。それらは、例えば位置3に存在する疎水性アミノ酸、および位置29の
NまたはDの存在である(図1B)(Peters & Lux, Semin. Hematol., 30:85-1
18(1993))。第二には、アンキリンは24、完璧には33アミノ酸の反復配列か
ら成る(ただし反復配列5では29アミノ酸である)。一方、タンキラーゼはよ
り不規則な反復配列から成り、そのもっとも短い反復配列はまた反復配列5で、
これは25アミノ酸である。全体的に、アンキリンの反復配列ドメインは、タン
キラーゼの830−アミノ酸反復配列ドメインと32−39%同一である。総合
すれば、これらの観察は、タンキラーゼはアンキリン族と関係があり、そのよう
なものとして細胞内で構造的役割を果たす可能性を示唆している。しかしながら
、ANK反復配列ドメインを別にして、タンキラーゼとアンキリンとの相同性は検
出できない。
【0152】 タンキラーゼのカルボキシ末端ドメインは、蛋白−蛋白相互作用で機能すると
説明されている別のモチーフを含んでいた。SAM(不稔アルファモチーフ(steri
le alpha motif))は、発生のプロセスに関与する多様な蛋白質の1群に1−3
コピーで見いだされる65−70アミノ酸ドメインである(Ponting, Protein S
cience, 4:1928-1930(1995); Schultz et al., Protein Science, 6:249-253(19
97))。このモチーフと無関係の3つのSAM含有蛋白質とのアラインメントを図1
Cに示す。SAMドメインについて2つのタイプの相互作用が示された;他のSAMド
メインとのホモ型またはヘテロ型相互作用(Barr et al., Mol. Cell Biol., 16
:5597-5603(1996))または保存チロシンの燐酸化によるSH2ドメインとの結合
(Stein et al., J. Biol. Chem., 271:23588-23593(1996))である。タンキラー
ゼのSAMドメインはSH2ドメインに結合するために必要な保存チロシンを含ま
ないので、その結合パートナーはおそらく別のSAMドメインであろう。
【0153】 最後に、タンキラーゼのカルボキシ末端の150アミノ酸ドメインは、ほとん
どの真核細胞(酵母(S. cerevisiae)を除く)で見いだされる高度に保存された
核蛋白質であるポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼ(PARP)と相同性を示した
(概説:de Murcia & de Murcia, Trends Biochemical Sciences, 19:172-176(1
994); Jeggo, Curr. Biol., 8:R49-51(1998); Lindahl et al., Trends in Bioc
hemical Sciences, 20:405-411(1995))。DNA損傷に応答して、PARPは、NAD+
基質として用いて蛋白質受容体上でのポリ(ADP−リボース)の生成を触媒する
。この相同性は、NAD+と結合するPARPの触媒ドメイン内に位置する。構造分析に
よって、このドメインは二次構造ユニット(多数のβ鎖および1つのαヘリック
ス(図1Dに提示))から成ることが示唆された(Ruf et al., Proc. Natl. Acad
. Sci. USA, 93:7481-7485(1996))。この構造はNAD+−結合フォールドとして知
られている空洞を形成する(このフォールドは、全てのADPリボシル化トキシン
にもまた存在する三次元構造である)(Domenighini et al., Mol. Microbiol.,
14:41-50(1994))。PARPおよびこれらのトキシンはADP−リボシル−トランスフ
ェラーゼのスーパーファミリーを構成する(Ruf et al., Proc. Natl. Acad. Sc
i. USA, 93:7481-7485(1996))。タンキラーゼとPARPとの間の同一性は、これら
の二次構造ユニット内に位置する。図1Dは、ヒトとショウジョウバエ(EST
データベースの508nt配列に由来する)のタンキラーゼ、ヒトとショウジョ
ウバエのPARP、およびデータベース中の性質不明のヒトのcDNA(KIA0077
)(これはタンキラーゼと同様にこのドメインでのみPARPと相同である)のアラ
インメントを示す。いくつかの特徴が注目に値する。第一に、NAD+結合または触
媒が暗示されているPARPの全てのアミノ酸がタンキラーゼで保存されている。こ
れらには、真核細胞PARPと原核細胞ADP−リボシル化トキシン、DT(二量体ジ
フテリアトキシン(dimeric diphtheria toxin))およびETA(緑膿菌(Pseu
domonas aeruginosa)のエキソトキシンA)との間で保存されている重要なアミ
ノ酸が含まれる(Ruf et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 93:7481-7485(199
6)を参照)。第二に、ヒトおよびショウジョウバエのタンキラーゼは、ヒトおよ
びショウジョウバエのPARP(65%同一)よりもこの領域(80%同一)でより
多く保存されており、タンキラーゼにおけるこのドメインの重要性を際立たせて
いる。第三に、3つのヒト蛋白質(タンキラーゼ、PARPおよびKIA0077)
はこのドメインで28−30%の同一性を共有している。再度繰り返せば、全て
の重要な残基が保存され、同一残基のほとんどが、NAD+−結合フォールドの二次
構造ユニット内に位置している。したがって、これらの観察を基に、タンキラー
ゼは、そのもっとも近縁なものとしてPARPとともにADP−リボシル−トランスフ
ェラーゼ酵素スーパーファミリーのうちの新規な一員であると結論される。NAD+ −結合および触媒のために重要なアミノ酸の保存は、タンキラーゼが同様な酵素
活性をコードすることを示唆している。
【0154】 タンキラーゼは普遍的に発現される:タンキラーゼの発現パターンを、ヒトの
多様な組織から得たRNAのノーザンブロット分析によって調べた(図2A)。タ
ンキラーゼcDNAは、TRF1およびTRF2と同じ普遍的発現パターンで約6、8および
10kbの3つのmRNAとハイブリダイズした(Broccoli et al., Nature Gen., 17
:231-235(1997); Chong et al., Science, 270:1663-1667(1995))。タンキラー
ゼメッセージは特に精巣で豊富であった。ここにはさらに別の約2.5および4.5kb
の2つのメッセージが存在していた。精巣ライブラリーから単離した4.2kbのタ
ンキラーゼcDNAは、豊富な4.5kb転写物を表すに十分大きく、このcDNAはほぼ完
全長であることを示唆している。ほとんどの組織に存在しているより大きな転写
物はより長い3'非翻訳領域のためであろう。実際のところ、HeLa細胞ライブラリ
ーから単離したタンキラーゼcDNAのDNA配列分析は、完全長の4.5kbのcDNAと同じ
配列を明らかにしたが、それが3'非翻訳配列に付加5kbをもつことを明らかに
した。このcDNAのもっとも3'側をノーザンブロットでプローブとして用いた場合
、それはもっぱらもっとも大きな(10kb)転写物とハイブリダイズし、より
大きな転写物は付加的な3'非翻訳領域(UTR)を反映しているという考えを支
持した。
【0155】 タンキラーゼ蛋白質の発現を分析するために、ポリクローナル抗体を大腸菌で
融合蛋白質として発現させたタンキラーゼのサブドメイン(ANK2と表示、図1
A参照)に対して作製した。アフィニティー精製抗アンキリン抗体による免疫ブ
ロット分析(図2B)は、約142kD(予想分子量)のただ1つのポリペプチ
ドをラット精巣細胞抽出物(図2B、レーン1)およびヒトHeLa全細胞溶解物(
図2B、レーン2)で示した。この蛋白質は、免疫反応性を有するin vitro翻訳
タンキラーゼ(図2B、レーン3)と一緒に泳動し、cDNAは完全長の蛋白質をコ
ードしたことを示唆した。多数のタンキラーゼ転写物はその3'非翻訳領域でのみ
異なっているという考えと一致して、ただ1つの免疫反応性ポリペプチドが転写
物の複雑なパターンにかかわらず発現された(特に精巣で)。この抗体の特異性
は免疫前血清との反応性がないことによって確認された(図2B、レーン4−6
)。
【0156】 外因性タンキラーゼのテロメアへの分布はTRF1依存性である:最初にタンキラ
ーゼcDNAを用いて、この蛋白質の細胞内分布を調べた。完全長タンキラーゼcDNA
を含む構築物(これはまたFLAGエピトープをタンキラーゼのN−末端でコー
ドする)を調製した。この構築物をHeLa細胞で一過性トランスフェクションによ
って発現させた。抗FLAG抗体による間接免疫蛍光によって、トランスフェク
トされた蛋白質細胞質染色パターンが示された(図3A)。TRF1抗体による同時
染色(図3B)によって、タンキラーゼはTRF1と同じ位置に局在しないことが示
され、実際のところ、それは核から排除されていた(図3C)。タンキラーゼを
TRF1と同時にトランスフェクトした場合、異なる分布パターンが示された。すな
わち、FLAG-タンキラーゼは細胞質から核へ位置が移動し、テロメアの分布と一
致して斑点模様として(図3G)TRF1と同じ位置に分布した(図3E)。同様に
、同時にトランスフェクトされた有糸分裂細胞では、FLAG-タンキラーゼは、テ
ロメアに対する分布と一致するパターンでTRF1と同じ位置に局在した(図3K)
。タンキラーゼのためのテロメア染色パターンはTRF1を過剰発現している細胞で
のみ観察された。これらの実験では、抗TRF1抗体は外因性および内因性TRF1を区
別できないことに留意されたい。しかしながら、TRF1トランスフェクト細胞は、
発現レベルの増加によって容易に認識された。これらの所見は、TRF1とタンキラ
ーゼは哺乳類細胞で相互作用することを示すことによって2−ハイブリッドの結
果を確認し、さらにタンキラーゼの核内テロメアへの移動はTRF1合成と連携して
いることを示唆した(下記参照)。
【0157】 タンキラーゼおよびTRF1が細胞内で実際に物理的に複合体を形成するか否かを
決定するために、トランスフェクト細胞の抽出物で同時免疫沈澱実験を実施した
。完全長タンキラーゼトランスフェクションによる一過性発現の効率の低さのた
めに、これらの実験をより効率的な発現プラスミド、タンキラーゼ−1を用いて
実施した。このプラスミドは、部分的タンキラーゼORF(TR1L−4、図1
A参照)をそのアミノ末端にFLAGエピトープとともに含んでいる。抗FLA
G抗体による間接免疫蛍光実験は、トランスフェクトされたタンキラーゼ−1は
、TRF1と同時にトランスフェクトした場合は完全長タンキラーゼと同様にテロメ
アに分布することを示した。タンキラーゼ−1/TRF1トランスフェクト細胞から
調製した抽出物で免疫沈澱分析を実施し、続いて免疫ブロッティングを施した。
図4Aに示したように、TRF1は抗タンキラーゼ抗体で免疫沈澱し(図4A、レー
ン2)、逆にトランスフェクトしたタンキラーゼ−1は抗TRF1抗体で免疫沈澱し
(図4A、レーン5)、これら蛋白質がin vivo・で複合体を形成したことを顕
示した。各事例で、全蛋白質のほんのわずかな部分が同時に免疫沈澱し、同時ト
ランスフェクト細胞での染色パターンと一致した(例えば図3Eを参照)。
【0158】 2−ハイブリッド分析を用いて、タンキラーゼとTRF1との相互作用ドメインを
決定した。最初の2−ハイブリッドスクリーンから単離した最小単離物、TR1
L−12(図1A参照)は、わずか10個の内部ANK反復配列(ANK反復配列9−
19)から成り、それによってタンキラーゼはそのANK反復配列を介してTRF1と
相互作用することを明らかにした。TRF1のタンキラーゼ相互作用ドメインを決定
するために、GAL4活性化ドメインに融合させたTR1L−12の10−ANK
反復配列(GAD−タンキラーゼ)並びにLexAに融合させたTRF1完全長およ
び欠失構築物を用いて2−ハイブリッド分析を実施した。図4Bに示したように
、LexA融合完全長TRF1およびGAD−タンキラーゼの同時発現は、TRF1およ
びタンキラーゼ配列の両方に依存する、lacZレポーター遺伝子の転写活性化
をもたらした。以前に観察されたように、TFR1のアミノ末端酸性ドメイン(LexA
d68-C)は、GAD融合パートナーにタンキラーゼ配列が存在しない場合でさえ
転写を活性化させた。しかしながら、この活性は、GAD融合パートナーがタン
キラーゼ配列を含む場合は、12.0から50.4ユニットに顕著に増加した。TRF1の酸
性ドメインの欠失(ΔN66-LexA)はGAD−タンキラーゼとの相互作用を消失さ
せた。総合すれば、これらの結果はTRF1のアミノ末端酸性ドメインは、タンキラ
ーゼの10−ANK反復配列ドメインとの相互作用のために必要にして充分である
ことを顕示している。
【0159】 タンキラーゼは分裂間期の核孔複合体および有糸分裂時の中心体に分布する: 次に、内因性タンキラーゼの細胞内分布を決定した。アフィニティー精製抗タ
ンキラーゼ抗体によるHeLa細胞の間接免疫蛍光によって、タンキラーゼは、分裂
間期の核エンベロープに、および有糸分裂時の中心体に分布することが示された
(図5A、パネル1)。この染色パターンは、免疫蛍光反応の前に抗体を組換え
タンキラーゼ融合蛋白質(この蛋白質に対して抗体が作製された)(Ank2、
図1A参照)と予備保温した場合は妨害された。核辺縁の斑点染色は核孔複合体
の染色を思い出させた。実際、MAb414、核孔複合体蛋白質族を認識するモノクロ
ーナル抗体(Davis & Blobel, Cell, 45:699-709(1986))は、核辺縁で全く同じ
染色パターンを示したが、中心体では異なっていた(図5A、パネル1と2を比
較された)。タンキラーゼの核エンベロープにおける分布はラット肝の細胞成分
分画の免疫ブロット分析によって確認された(図5B)。タンキラーゼは核エン
ベロープ画分に極めて豊富で(図5B、レーン5)、0.5MのNaClおよび8M尿素
による抽出後でさえも結合したままで(図5B、レーン5)、核エンベロープと
の堅固な結合を示唆した。8M尿素による抽出(これは、堅固に結合した核ラミ
ンを含む周囲膜蛋白質を除去する;図5B、上部パネル、レーン7参照)に対す
る耐性は、通常は不可欠な膜蛋白質の特性である。しかしながら、タンキラーゼ
の予想されるアミノ酸配列は強力なトランスメンブレンドメインを示していない
ので(in vitroで同時翻訳したとき、それはミクロソーム膜と結合しないので)
、タンキラーゼはおそらく膜蛋白質の不可欠な成分ではないであろう。タンキラ
ーゼと核エンベロープとの堅固な結合はANK反復配列ドメインの通常ではない特
性を反映している。
【0160】 この核エンベロープにおける分布をさらに調べるために、アフィニティー精製
抗タンキラーゼ抗体による免疫金粒子電子顕微鏡法を実施した。(細胞染色およ
び細胞分画から)予想されたように、タンキラーゼは、核エンベロープ、特に核
孔複合体の細胞質面に分布していた(図5C)。タンキラーゼはしばしば、核孔
複合体から細胞質に出てくる繊維の先端に局在しているようにみえる。優勢な細
胞質側の分布に加えて、時には1つまたは2つの金粒子が核孔複合体の核側に出
現した。核孔複合体の核側のこの低レベルのシグナルは抗体がタンキラーゼに接
近できないためであろう。核孔複合体のタンキラーゼの免疫金粒子標識は、固定
前にトリトンX100による細胞の予備処理を必要とし、このことは、タンキラ
ーゼエピトープが接近不能であることを示唆している。それにもかかわらず、用
いた条件下では、タンキラーゼは主に核孔複合体の細胞質面に分布し、わずかな
部分(おそらくそれよりは多く)が核側に分布する。
【0161】 図5Aに示したように、タンキラーゼは有糸分裂時の中心体に分布していた。
タンキラーゼは、まず最初に分裂前期の初期に中心体に出現し、有糸分裂中は分
裂終期までそこに留まるが中期に蓄積が最大となる(図5A、パネル1参照)。
タンキラーゼの中心体局在を、以前に性状が調べられた中心体の蛋白質に対して
作製した抗体を用いて一連の二重標識免疫蛍光実験によってさらに精査した。こ
れら抗原となる中心体の蛋白質には以下が含まれる:セントリン、中心小体の成
分(概説:Salisbury, Curr. Opin. Cell Biol., 7:39-45(1995))、γ−チュブ
リン、中心小体周辺マトリックス蛋白質(Stearns et al., Cell, 65:825-836(1
991); Zheng et al., Cell, 65:817-823(1991))およびNuMA、これは中心小体周
辺マトリックス蛋白質の周辺に核エンベロープ崩壊時に蓄積する(概説:Clevel
and, Trends Cell Biol., 5:60-64(1995))。図6に示したように、タンキラーゼ
はセントリン(図6C)ともγ−チュブリン(図6F)とも一緒に存在せず、タ
ンキラーゼはそれ自体中心体の不可欠成分ではないことを示している。しかしな
がら、タンキラーゼは、中心小体周辺マトリックス領域の周辺にNuMA(図6
)と一緒に分布した。抗タンキラーゼ抗体以外の手段によって中心体におけるタ
ンキラーゼの局在を確認するために、有糸分裂時の外因性FLAG-タンキラーゼの
分布を調べた。図6Jおよび6Lに示したように、FLAG-タンキラーゼは、内因
性タンキラーゼ(γ−チュブリン染色によって示したとおり,図6K)と同様に
中心体、中心小体周辺マトリックス領域の周辺に分布した。
【0162】 タンキラーゼは細胞周期を通してテロメアに分布する:外因性タンキラーゼは
TRF1と相互作用し、さらにテロメア染色パターンではTRF1と一緒に存在していた
ので、内因性タンキラーゼがテロメアに存在しないことは驚くべきことである。
したがって、テロメアにおけるタンキラーゼの量は検出レベル以下で、したがっ
てより長いテロメアをもつ細胞はテロメアのタンキラーゼの検出を可能にするか
もしれないという可能性がある。これを調べるために、HeLaI.2.11(長いテロメ
ア(20kb以上)をもつHeLaIの単離クローン)で間接免疫蛍光実験を実施し
た。これらの実験のために、メタノールで細胞を固定した(これによりホルムア
ルデヒド固定細胞で観察される核エンベロープ染色パターンが排除される(図5
A、パネル1参照))。図7で示されるように、メタノール固定HeLaI.2.11細胞の
抗タンキラーゼ抗体による染色は、TRF1染色と同時に出現する、分裂中期細胞で
の核斑点パターンを示し(図7C)、分裂中期におけるタンキラーゼのテロメア
での分布を示唆した。ホルムアルデヒド固定細胞(図5A、パネル1)で認めら
れたパターンと異なり、メタノール固定はまた、タンキラーゼの残留する細胞質
分布も明示した(図7A)。タンキラーゼが有糸分裂中の染色体に局在するか否
かを調べるために、HeLaI.2.11細胞の中期スプレッド標本で間接免疫蛍光実験を
実施した。タンキラーゼを検出するために、先ず最初に分裂中期スプレッド標本
を低張緩衝液で膨潤させ、低張緩衝液中で続いてホルムアルデヒドで固定した。
図7Dに示したように、タンキラーゼはもっぱら染色体末端で検出された。ほと
んどの分裂中期染色体は、TRF1が一緒に分布するそれら染色体末端部にタンキラ
ーゼを有していた(図7F)。時には、タンキラーゼのないテロメアが観察され
たが、これはランダムな出現のようで、おそらくは検出の難しさを反映している
のであろう。これらの結果は、タンキラーゼは細胞周期を通してin vivo・でテ
ロメアに局在することを示している。
【0163】 タンキラーゼがPARP活性を有しているか否かを調べるために、〔32P〕NAD+
基質として用いて放射能標識ADP−リボースの蛋白質受容体への付加を測定する
アッセイでバキュロウイルス由来組換え蛋白質をテストした(上記の方法の項を
参照されたい)。1.3μMの放射能標識NAD+の存在下でタンキラーゼを保温したと
き、タンキラーゼと一緒に泳動する32P標識物質種が生成され、タンキラーゼは
それ自体をADP−リボシル化する能力を有することを示唆した(図9A)。NAD+
のより高濃度(0.04から1mM)ではより大きな生成物が得られ、これはおそらく
ポリ(ADP−リボース)のタンキラーゼへの付加を反映しているのであろう。ADP
−リボシレートタンキラーゼの生成はタンキラーゼの濃度に依存し(図9A)、
熱による酵素の不活化によって失われた。ADP−リボシル化活性はまた抗タンキ
ラーゼ抗体による免疫沈澱によって排除できた(図9Bおよび方法の項を参照さ
れたい)。これらの結果はPARP活性はタンキラーゼの固有の特性であることを示
唆している。
【0164】 タンキラーゼはまたTRF1を修飾する能力を有する。低濃度のNAD+(1.3μM)
では、ADP−リビシレート生成物はTRF1と同時に泳動するが、一方、高濃度のNAD + (0.04から1mM)では、より遅い種々の移動度の標識生成物が得られ、TRF1のポ
リ(ADP−リボシル)化が示唆された(図9A)。クーマシーブルー染色を施し
たSDS−PAGEの精査では、タンキラーゼ仲介TRF1修飾によるより大きな分
子量種は認められなかった。これは、たとえタンキラーゼの濃度が高くても、反
応ではTRF1のほんのわずかの部分が修飾されただけであることを示唆している。
したがって、タンキラーゼはこれらの条件下ではプロセッシブ型ポリ(ADP−リ
ボース)ポリメラーゼとして機能する。TRF2は、TRF2とタンキラーゼとの間で
蛋白−蛋白相互作用を欠いていることから予想されるように、in vitroでは改変
のための基質ではない。
【0165】 タンキラーゼによる標識反応はPARP触媒ポリ(ADP−リボシル)化と類似して
いることを確認するために、特異的なPARP抑制物質、3−アミノベンズアミド(
3AB)を反応に添加した(Purnell & Whish, Biochem. J., 185:775(1980))。
TRF1およびタンキラーゼの修飾は3ABによって強力に抑制された(図9C)。
さらにまた、修飾タンキラーゼおよびTRF1は、ポリ(ADP−リボース)に対して
作製したモノクローナル抗体と反応した(図9D、方法の項参照)。このことは
、それらがADP−リボースポリマーを含むことと合致する。これらのデータは、
タンキラーゼが、少なくとも2つの基質、TRF1およびタンキラーゼそれ自体を有
する真正のポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼであることを示唆している。
【0166】 TRF1のテロメアDNA結合活性に対するタンキラーゼの作用を、プローブとして
二本鎖の〔TTAGGG〕12列を用いてin vitroのゲルシフトアッセイで調べた(上記
の方法の項を参照されたい)。TRF1は同種二量体としてDNAと結合し、さらにそ
のような二量体のいくつかは1つの〔TTAGGG〕12分子を高いTRF1濃度で占有した
(図9E)。NAD+の非存在下でTRF1をバキュロイルス由来タンキラーゼと保温し
た場合、TRF1のDNA結合活性にわずかな亢進が生じ、より大きな規模の複合体形
成が、特に高濃度のタンキラーゼでもたらされた。しかしながら、TRF1のこの亢
進はまた全昆虫細胞蛋白質でも生じ、したがってタンキラーゼの特異的な作用を
表しているとは思われない。同様なTRF1の非特異的な強化は、β−カゼインおよ
びいくつかの他の蛋白質ついて報告された(Chong et al., Science, 270:1663(
1995))。対照的に、NAD+をTRF1タンキラーゼ混合物中で保温したとき、TRF1活性
の劇的な低下がもたらされた(図9E)。この作用は活性なタンキラーゼの添加
に依存し、これはADP−リボシル化がTRF1抑制の原因であることと一致している
【0167】 考察: TRF1はタンキラーゼのテロメアへの局在を仲介する:全細胞タンキラーゼのわ
ずかな部分のみが核のテロメアに存在する。ここに提示したデータは、実際トラ
ンスフェクトされたタンキラーゼは核から排除されることを示唆した。タンキラ
ーゼの一次配列の調査では、コンセンサスNLS(核局在シグナル(nuclear lo
calization signal)の頭文字をとって)との確信できるマッチングは明瞭ではな
く、どのようにしてタンキラーゼが核に進入するのかという疑問が生じた。TRF1
とタンキラーゼの同時トランスフェクションはタンキラーゼの核への移動を引き
起こすことが明らかとなり、”台車輸送(piggy back)”メカニズムの可能性が
示唆された。したがって、新規に合成されたTRF1(これは2つのオーバーラップ
する二部構成NLSを含む:Chong et al., Science, 270:1663-1667(1995))は
、タンキラーゼのANK反復配列ドメインと結合し、それをテロメアに運搬するこ
とができるであろう。興味深いことには、最近の報告によってシス作動性NLS
としていくつかの異なる蛋白質内にANK反復配列が特定された(Sachdev et al.,
Mol. Cell Biol., 18:2524-2534(1998))。したがって、ANK反復配列ドメインの
より一般的な機能は、おそらくNLS非含有ANK反復配列蛋白質とNLS含有蛋
白質との間の相互作用を仲介し、それによってNLS非含有ANK反復配列蛋白質
をNLS含有蛋白質によって調節された態様で輸送することを可能にするのであ
ろう。このシナリオでは、タンキラーゼのテロメアへの局在はTRF1合成によって
緊密に調節されるであろう。
【0168】 タンキラーゼのテロメアへの局在のまた別の、さらに必ずしも唯一のものでは
ないメカニズムは有糸分裂で発生し、核エンベロープの崩壊に際して、タンキラ
ーゼは可溶性およびテロメア結合性TRF1の両方にアクセスできるであろうという
ものである。興味深いことに、同時にトランスフェクトされた有糸分裂細胞では
、タンキラーゼはほとんど例外なくテロメアで見いだされたが(図3I)、一方
、外因性TRF1はテロメアおよび細胞全体で見いだされた(図3F)。同様に、同
時にトランスフェクトされた分裂間期の細胞では、タンキラーゼはTRF1とテロメ
アに一緒に局在したが、核質内で過剰発現されたTRF1とは一緒に存在しなかった
(図3G)。これらの観察は、タンキラーゼはテロメア結合TRF1に対して遊離TR
F1よりも高い親和性をもつことを示唆している。したがって、テロメア複合体は
タンキラーゼ結合部位の高密度供給源として機能するであろう。2ハイブリッド
分析(図4B参照)はTRF1に対するタンキラーゼについて弱い親和性を表示して
いるので、高濃度のTRF1部位が効率的なタンキラーゼの結合に要求されるであろ
う。最近の実験では、テロメア索が長く、TRF1濃度が高いことを条件として、TR
F1は、in vitroでテロメア索の平行対合生成を促進できることが示された(Grif
fith et al., J. Mol. Biol., 278:79-88(1998))。したがって、十分なTRF1を有
する長いテロメアは、テロメアの高次コイル構造をもたらす分子内対合形成を誘
発することができると提唱される。そのような基質は、テロメアの長さの負の調
節のために長いテロメアがタンキラーゼを補充するために手段を提供することが
できるであろう(図8Bのモデルおよび下記を参照されたい)。
【0169】 核孔複合体のタンキラーゼ:免疫金粒子電子顕微鏡法によって、タンキラーゼ
は、核孔複合体から細胞質内に放射される繊維の先端に特異的に位置しているこ
とが示された(図5C)。この場所は、おそらく基質が核孔複合体を通って移動
するマルチドッキング部位の通路のための進入部位であろう。実際、ただ2つの
他の哺乳類蛋白質がこの細胞質繊維の先端に存在していた。これらはSUMO1修飾R
anGap1(Mahajan et al., Cell, 88:97-107(1997); Matunis et al., J. Cell B
iol., 135:1457-1470(1996))およびヌクレオポリンNup358(Wu et al., J. Biol
. Chem., 270:14209-14213(1995); Yokoyama et al., Nature, 376:184-188(199
5))で、前者はタンキラーゼのように有糸分裂時の中心体にも存在する。SUMO1-
修飾RanGAP1およびNup358は互いに結合し(Mahajan et al., Cell, 88:97-107(1
997); Matunis et al., J. Cell Biol., 135:1457-1470(1996))、さらにRanに結
合する。Ranは、Ras様GTPアーゼで、核孔を通過する二方向輸送のための分子スイッ
チとして機能する(概説:Rush et al., Bioessays, 18:103-112(1996))。さら
に、Nup358は短いペプチド反復配列を含み(ヌクレオポリンのサブセット
に共通の特性)、これは、重要な基質−レセプター複合体が核孔を通って移動す
るとき、それらのためのドッキング部位として機能すると提唱された(Radu et
al., Cell, 81:215-222(1995))。タンキラーゼは、前記の繊維またはNup358に結
合し、核孔複合体繊維に局在するために、そのSAMドメインまたはANK反復配列を利
用するであろう。
【0170】 タンキラーゼの局在は核内通行のための進入孔にとって重要であろう。タンキ
ラーゼはこの部位で構造的な役割を果たし、さらに(アンキリンのように)核孔
複合体の細胞質繊維と細胞骨格との間のリンカーとして機能するであろう。この
場所で、そのPARP様活性は核輸送の調節で役割を果たすであろう。また別には、
タンキラーゼの核孔複合体における局在は、TRF1によってピックアップされ、核
孔複合体をとおってテロメアに移動し、したがってテロメアへのその分布がTRF1
によって緊密に制御されること可能にするために待機するタンキラーゼの準備プ
ールを提供するために機能するかもしれない。
【0171】 中心体のタンキラーゼ:有糸分裂に対する考えられる関係:本実施例での間接
免疫蛍光実験によって、タンキラーゼはそれ自体中心体の不可欠成分ではないが
、むしろ中心小体周辺マトリックスの周辺に分布し、ここでタンキラーゼはNu
MAと一緒に存在する(図6I)ことが示された。Nudaのように、タンキラ
ーゼは、中心体から現れる微小管と結合しているかもしれない。NuMAは、細
胞質ダイネインおよびダイナシンとの複合体中に存在し、有糸分裂の紡錘体極の
集合および安定化に要求されるようである(Merdes et al., Cell, 87:447-458(
1996))。したがって、タンキラーゼは紡錘体機能および安定化に役割を果たすか
もしれない。
【0172】 これは、テロメアおよび中心体の両方に分布する蛋白質の最初の報告である。
一見して、これら2つに構造間のつながりを想像するのは難しい。通常は有糸分
裂時の中心体と結合するのはテロメアではなくむしろ動原体である。テロメアと
中心体との間の結合は確かに発生するが、しかしそれは有糸分裂時ではなく減数
分裂時である(図8A)。第一減数分裂(対合形成およびその後の相同染色体の
組換えのために必須であろうと思われるプロセス)の前期の哺乳類細胞では、テ
ロメアは核エンベロープに付着し、核の一方の極に集まって花束期を形成する(
Bass et al., J. Cell Biol., 137:5-18(1998); Scherthan et al., J. Cell Bi
ol., 134:1109-1125(1996))。興味深いことに、この花束基部は中心体に対して
常に平行に並び、初期の細胞学的証拠は中心体とテロメアとの間の連結を示唆し
ている(Dernberg et al., "Telimeres", Blackburn & Greider, eds.(Cold Spr
ing Harbor Press), pp.295-338(1995))。タンキラーゼはこのプロセスで多くの
役割を果たすことができるかもしれない(図8A)。第一に、タンキラーゼは構
造的な役割(アンキリンのように)を果たし、内側の核膜へのテロメアの付着を
仲介することができるであろう。第二に、タンキラーゼは中心体で”シンク(sin
k)”として作用しテロメアを花束基部に補充することができるであろう。減数分
裂における提唱された役割と合致して、精巣組織中の豊富でまた別のタンキラー
ゼ転写物が観察された(図2A)。さらに、レート精巣の精製細胞集団における
免疫ブロット分析によって、タンキラーゼは第一減数分裂前期で高度に発現され
ることが示唆された。TRF1が減数分裂で機能するか否かはまだ明らかではないが
、テロメア索のin vitroにおける平行対合形成を促進する能力(Griffith et al
., J. Mol. Biol., 278:79-88(1998))は、そのような役割と合致するであろう。
興味深いことには、Taz1p(TRF1と構造的機能的類似性をもつサッカロミセス・
ポンベ(S. pombe)のテロメア蛋白質)は、第一減数分裂前期のホーステール期
で重要な役割を果たすことが最近判明した。ここではテロメアは紡錘体極小体(
頭文字をとってSPB、中心体の酵母での同等物)で集塊となり、核に移動して
相同染色体の整列を促進する(Chikashige et al., Science, 264:270-273(1994
); Chikasige et al., EMBO J. 16:193-202(1997))。Taz1pは、テロメアの
SPBへの連結、ホーステールの移動およびそれに続く相同染色体の分断と組換
えに必要である(Cooper et al., Nature, 392:828-831(1998); Nimmo et al.,
Nature, 392:825-828(1998); (概説)de Lange, Nature, 392:753-754(1998))。
【0173】 テロメアの長さの調節におけるADPリボシル化のための役割:タンキラーゼの
カルボキシ末端ドメインは、PARPの触媒ドメインと顕著な相同性を示す(PARPは
、DNAの損傷に応答して、基質としてNAD+を用いて蛋白質受容体のグルタメート
残基に対してポリ(ADP−リボース)の生成を触媒する核蛋白質である)。この
相同性はタンキラーゼの酵素活性を反映している。なぜならば、NAD+結合および
触媒に要求される重要なアミノ酸の全てがタンキラーゼとPARPの間で保存されて
いるからである。抑制物質、優性のネガティブ変異体または遺伝子破壊のいずれ
かを用いるPARP活性を排除する機能実験では、全てがゲノムの完全性維持におけ
るPARPの役割を示している。PARPの最も必然性の高い生理学的基質はPARPそれ自
体であるが、in vitroで認識される他の基質には、ヒストン、核ラミン、RNAポ
リメラーゼIIおよびDNA複製酵素(トポイソメラーゼI、DNAポリメラーゼαお
よびβ、並びにDNAリガーゼIIを含む)が含まれる(Oei et al., Biochemistr
y, 37:1465-1469(1998); Yoshihara et al., Biochem. Biophys. Res. Commun.,
128:61-67(1985);概説:Althaus & Richter, Mol. Biol. Biochem. Biophys.,
37:1-237(1987))。その分子メカニズムは不明であるが、PARPはDNA損傷部位での
組換えを抑制または阻害するために作用し、したがって正常なDNA修復の発生を
もたらすというモデルが提唱されている。組換えの抑制はいくつの異なるメカニ
ズムにより達成できる。すなわち以下のものである:PARPはそれ自体を改変し、
組換え酵素へのアクセスを阻害するDNA損傷部における構造物を生成することが
できる;PARPは組換えに必要な別の蛋白質を改変および不活化できる;またはPA
RPは、ヒストンまたは他のクロマチン結合蛋白質を改変することによってより高
次のクロマチン構造における変化を誘発することができる。
【0174】 以前の実験では、TRF1はテロメアの長さに対する負の調節物質として機能する
ことが示唆されていた。TRF1はテロメアの発現に影響を与えないので、TRF1は、
個々の染色体末端でシス作動的にテロメアを抑制するのかもしれない。このモデ
ルに従えば(図8B参照)、長いテロメアは大量のTRF1をリクルートし、テロメ
ラーゼ抑制をもたらすであろう。結果としてテロメアはTRF1の量がもはや伸長反
応抑制に十分でなくなるまで短くなるであろう。したがって、テロメアは、テロ
メラーゼが末端部で活性を示す開放状態と当該酵素が各々の末端部でスイッチを
切る閉鎖状態との間で動的平衡状態にあると考えられる。最近のin vitro実験で
は、TRF1は、それがTTAGGG反復配列の付加のために用いられる3'末端の直ぐそば
に存在するときでさえ、テロメラーゼ活性に影響を与えないことが示され、TRF1
のテロメラーゼ調整における役割はおそらく間接的なものであろうと予想される
【0175】 タンキラーゼの特定によって、今やTRF1がテロメラーゼ仲介テロメア維持を調
節するまた別のメカニズムが提唱される。タンキラーゼのPARPドメインの存在に
よって、テロメアタンキラーゼはADP−リボースユニットを直接テロメラーゼに
添加し、当該酵素を不活化するか、そうでなければ伸長反応を制限することがで
きる。また別には、タンキラーゼは、間接的に、おそらくはPARPの作用態様とし
て提唱された多くの間接的標的の1つを用いて作用することができるであろう。
考えられる標的は、TRF1のアミノ末端ドメインが多くのグルタメート残基を含む
のでTRF1それ自体であろう。好ましくは、長いテロメアは、TRF1との相互反応を
介してタンキラーゼをリクルートし、PARP(様の)活性の局所的な増加を長いテ
ロメアにもたらすことができるであろう(図8B参照)。これと一致して、本明
細書に提示したデータは、テロメア上のTRF1の量は染色体末端のタンキラーゼの
豊富さを決定することを示唆している。例えば、テロメアのタンキラーゼは、非
常に長いTTAGGG反復配列(大量のTRF1を含む)をもつ細胞、またはTRF1を過剰発
現している細胞でのみ検出された。したがって、この提唱モデルでは、TRF1はテ
ロメアの長さについてのセンサーとして機能し、タンキラーゼはこのシグナルを
ADPリボシル化によってテロメラーゼに伝える。
【0176】 テロメアのポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼが特定されたことによって、
ヒトテロメアの機能はこのタイプの蛋白質改変によって調節されるという可能性
が出てきた。ADP−リボシル化は通常は蛋白質活性を抑制する(概説:Altheas &
Richer, Mol. Biol. Biochem. Beefiest, 37:1(1987); Obi et al., Biochem.
37:1465(1998))ので、タンキラーゼは、テロメアで作用する別の因子の負の調
節物質として作用することができるであろう。本明細書で開示したin vitro実験
から、TRF1は現在のところ最も有力な候補物質である。なぜならば、それはin v
itroでのタンキラーゼの基質であり、ADP−リボシル化はテロメアDNAに結合する
TRF1の能力を抑制するからである。
【0177】 しかしながら、タンキラーゼのPARP活性は、テロメラーゼを含む他のテロメア
結合因子にも向けられ、(ADP−リボシル)化は標的蛋白質の活性を抑制するよ
りはむしろ強化するであろう(Ruscetti et al., J. Biol. Chem., 273:14461(1
998))。PARPは以前にはDNA損傷に対する細胞反応に関与すると考えられた(9
)。テロメアにPARPが存在することはまた、不適切なDNA損傷のプロセッシング
活性からテロメアを保護するタンキラーゼの役割を示唆するであろう。
【0178】 本発明は本明細書に示した特定の実施態様に制限されるべきではない。実際の
ところ、本明細書で開示したものに加えて、本発明の多様な改変が前述の記載お
よび添付の図面から当業者には明らかであろう。そのような改変は添付の請求の
範囲に含まれるものである。 さらにまた、全ての塩基サイズまたはアミノ酸サイズ、および全ての分子量ま
たは分子質量値は、核酸またはポリペプチドについて与えられる場合は概数であ
り、説明のために提供されていることは理解されよう。 本明細書に引用された種々の文献は参照により本明細書に含まれる。
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1A−1Dは、ヒトタンキラーゼcDNAが、24個のANK反復配列、SAMモチ
ーフ及びPARP−関連ドメインを含む142−kDタンパク質をコードしていることを
示している。図1Aは、タンキラーゼ及びTRF1のドメイン構造を示している。概略
図の下側の線は、抗体産生のための組換えタンパク質作成に使用された名称をつ
けたプラスミドに含まれた挿入断片を示している。数値は、タンキラーゼのアミ
ノ酸残基を示している。図1Bは、タンキラーゼの推定アミノ酸配列を示している
。24個のANK反復配列が並置されている。これらの反復配列中のダッシュはギャ
ップを示し、かつ反復配列の右側の配列は同列の下線のアミノ酸の後に生じた挿
入断片を示している。明影(light shading)は、Michaely及びBennett [Trend Ce
ll Biol., 2:127-129 (1992)]又はBork [Proteins、17:363-374 (1993)]から得
たANK反復配列コンセンサスとのマッチを示し、かつ陰影は、Peters及びLux [Se
min Hematol.、30:85-118 (1993)]から得たアンキリン−特異性ANK反復配列コン
センサスとのマッチを示している。SAMモチーフには二本下線をつけ、かつPARP
−関連ドメインは一本下線をつけた。図1Cは、タンキラーゼのSAMモチーフとDm
Bicaudal-C (ショウジョウバエのメラノガスター(melanogaster)、Genbank #U15
928)、Hs Diacyl (ヒト(Homo sapiens)のジアシルグリセロールキナーゼδ、Gen
bank #D73409)、及びGg CEK9 (Gallusガラス・チキン胚キナーゼ9、Genbank # U
23783)のアミノ酸配列の整列を示す。HSタンキラーゼ及び少なくとも1種の他の
配列において認められた同一の残基は影をつけた。左側の数値は、相応する配列
中のアミノ酸残基を示している。図1Dは、タンキラーゼのPARP−関連ドメインと
、Dm タンキラーゼ(ショウジョウバエのメラノガスターEST、Genbank #AA391467
)、Hs PARPの触媒ドメイン(ヒト、Genbank # M32721)、及びDmPARP (ショウジョ
ウバエのメラノガスター、Genbank # D13806)、及びHs KIAA0177のPARP−関連ド
メイン(ヒト、Genbank #D79999)のアミノ酸配列の整列を示している。Hsタンキ
ラーゼ及び少なくとも2種の配列において認められた同一の残基は、影をつけた
。二次構造は、c、d、e、f、g、m、n (β−鎖)及びL (α−ヘリックス)の印をつ
けた線で示した。原核細胞毒素DT (ジフテリヤ毒素)及びETA (エキソトキシンA)
において保存された同一のアミノ酸は、アミノ酸につけたアスタリスクで確定し
た。左側の数字は、相応する配列中のアミノ酸残基を示している。
【図2】 図2A−2Bは、タンキラーゼmRNA及びタンパク質の発現を示している。
図2Aは、タンキラーゼcDNAでプローブされた指定されたヒト組織に由来したポリ
アデニル化したRNAのノーザンブロットである。アスタリスクは、タンキラーゼ
転写物を示している。ブロットは、β−アクチンプローブで再ハイブリダイゼー
ションした。PBLは、末梢血白血球である。図2Bは、10%SDS−PAGEで分離し、ニ
トロセルロースに移し、かつ抗−タンキラーゼ抗体(レーン1−3)又は免疫化前血
清(レーン4−6)でプローブしたタンパク質の免疫ブロットを示している。タンパ
ク質試料は以下のようである:ラット精巣の塩で抽出した核ペレット(Testis) (
レーン1及び4)、HeLa細胞の全細胞溶解液(HeLa) (レーン2及び5)、並びにタンキ
ラーゼcDNAでプログラムされたin vitro転写/翻訳反応の組合せの産物(IVTL) (
レーン3及び6)。
【図3】 図3A−3Lは、外因性タンキラーゼのテロメアへの局在が、TRF1によっ
て決まることを示している。FLAG−タンキラーゼでトランスフェクションされた
Hela 1細胞(図3A−3D)、又はFLAG−タンキラーゼ及びTRF1 (図3E−3L)は、メタ
ノール−固定し、かつ間接免疫蛍光法により処理した。細胞は、抗−FLAG抗体M2
(図3A、3E及び3I)(緑)及び抗−TRF1抗体371(図3B、3F及び3J)(赤)で二重染色し
た。(図3C、3G及び3K)は、赤及び緑の画像を重ねて示し;黄は、赤及び緑シグナ
ルの同時局在を示している。DNAは、DAPI(D、H及びL)で染色した(青)。
【図4】 図4A−4Bは、免疫沈降法及び2−ハイブリッドアッセイによる、タン
キラーゼ及びTRF1の相互作用の分析を示している。図4Aは、TRF1及びFLAG−タン
キラーゼ−1で一過性にトランスフェクションしたHeLa 1細胞から調製した細胞
抽出物を、免疫沈降しその後免疫ブロット分析した結果を示している。タンパク
質は、対照として無関係のウサギ血清 (C) (レーン1及び4)、抗−タンキラーゼ
抗体(Tankyrase)(レーン2及び6)又は抗−TRF1抗体371(TRF1)(レーン3及び5)によ
り免疫沈降した。試料を調製し、Laemmli緩衝液中に懸濁し、かつ半分に分割し
た。1セットは加熱せず(左側パネル)及び他方を100℃で5分間加熱した(右側パネ
ル)。タンパク質は、10%SDS−PAGEで分離し、ニロトセルロースに移し、かつ抗
−TRF1抗体371(左側パネル)又は抗−タンキラーゼ抗体(右側パネル)でプロービ
ングした。非加熱試料においては、IgGは完全に還元されず、80キロダルトンタ
ンパク質として泳動されたことに注意。図4Bは、2−ハイブリッドシステムを用
いる、TRF1及びタンキラーゼの相互作用ドメインの確定を示している。β−ガラ
クトシダーゼレベルを、GAL4活性化ドメイン(GAD)又は10個の内部ANK反復配列(9
−19)を含むGAD−タンキラーゼハイブリッドを発現しているプラスミドと共に、
LexA又は様々なLexA-TRF1ハイブリッドを発現しているプラスミドを含む株につ
いて測定した。これらの値は、3個の個別の形質転換体の平均を示している。値
<0.01は、0と示した。
【図5】 図5A−5Cは、核膜孔複合体への内因性タンキラーゼ局在を示している
。図5Aは、間接免疫蛍光法による、内因性タンキラーゼの核膜孔複合体タンパク
質との同時局在を示している。ホルムアルデヒドで固定したHela 1細胞を、抗−
タンキラーゼ抗体(1)及び核膜孔複合体タンパク質ファミリーを認識するモノク
ローナル抗体であるMAb414(2)で、二重染色した。図5Bは、タンキラーゼと核膜
の同時画分の免疫ブロット分析を示している。ラット肝の細胞レベル下分画は以
下のようである:サイトゾル(C)(レーン1)、粗核(CN)(レーン2)、核(N)(レーン3
)、核のDNAase消化後の核内容物を含有する上清(S)(レーン4)及び核膜を含有す
るペレット(P)(レーン5) 、核膜の0.5M NaClによる抽出後の上清(S)(レーン6)、
並びに塩洗浄した核膜の8M尿素による抽出後の上清(S)(レーン7)及びペレット(P
)(レーン8) 。各画分について負荷した試料の量は、細胞の開始数に任意の数を
掛けた(x)ものに等しい細胞数を基にした:1 x (レーン1及び2)、100 x (レーン
3及び4)、並びに1000 x (レーン5−8)。試料は、10%SDS-PAGEによる分離及びク
ーマシーブルー染色により可視化したタンパク質(上側パネル)、もしくは6.5%S
DS-PAGEによる分離、ニトロセルロースへの移し、及び抗−タンキラーゼ抗体に
よるプロービング(下側パネル)のいずれかで調べた。上側パネルのアスタリスク
は、ラミンA、B及びCを示している。免疫反応性タンキリンは、下側パネルにお
いてアスタリスクで示した。図5Cは、免疫電子顕微鏡による、タンキラーゼの核
膜孔複合体への局在を示している。ホルムアルデヒドで固定したHela 1細胞を、
抗−タンキラーゼ抗体でプロービングし、その後5nmの金と複合した抗−ウサギ
抗体でプロービングした。試料は、薄片化し、その後の電子顕微鏡分析により調
べた。3枚のパネルに描かれている典型的パターンは、金標識した核膜孔複合体
を示した。倍率は、82,500(上側パネル)、107,000(下側パネル)である。
【図6】 図6A−6Lは、外因性及び内因性タンキラーゼの有糸分裂細胞の中心小
体周辺マトリックスの周りへの局在を示している。図6A−6Iは、メタノール固定
しかつ抗−タンキラーゼ抗体(図6A、6 D、及び6G、緑)及び抗−セントリン抗体(
図6B、赤)又は抗−γ−チューブリン抗体(図6E、赤)又は抗−NuMA抗体(図6I、赤
)で二重染色したHeLa 1.2.11細胞のものである。図6J−6Lは、外因性タンキラー
ゼの間接免疫蛍光法分析を示している。Hela 1細胞を、FLAG−タンキラーゼでト
ランスフェクションし、メタノールで固定し、抗−FLAG抗体M2(図6J、緑)及び抗
−γ−チューブリン抗体(図6K、赤)で二重染色した。(Merge)図6C、6F、6I及び6
Lは、赤及び緑の画像が重なることを示し;黄は、赤及び緑シグナルの同時局在
を示している。DNAのDAPI染色は青を示した。
【図7】 図7A−7Fは、 内因性タンキラーゼのTRF1とのテロメアへの同時局在
を示している。間接免疫蛍光分析したメタノール固定したHeLa 1.2. 11細胞(図7
A−7C)、ホルムアルデヒド固定した中期スプレッドのHela 1.2.11細胞(図7D−7F
)、又は抗−タンキラーゼ抗体(図7A及び7 D、緑)及び抗−TRF1抗体#2の二重染色
(図7B及び7E、赤)を示した。(Merge)図7C及び7Fは、赤及び緑の画像が重なるこ
とを示し;黄は、赤及び緑シグナルの同時局在を示している。DNAのDAPI染色は
青を示した。
【図8】 図8A−8Bは、減数分裂及びテロメア長調節におけるヒトタンキラーゼ
の役割を示している。図8Aは、タンキラーゼが、減数分裂Iの前期において、ブ
ーケ型構造の集合体において役割を果たすことを示している。タンキラーゼは、
テロメアの核膜への付着を媒介し、その後中心体でテロメアをクラスター化する
。図8Bは、TRF1がタンキラーゼを長テロメアへ集め、テロメラーゼを阻害するこ
とを示している。長テロメア又はTRF1発現の増加は、タンキラーゼ結合を促進す
るより高次の構造を示す。タンキラーゼは、テロメラーゼをADP−リボシル化し
、不活性化する。
【図9】図9A−9Eは、タンキラーゼが、TRF1をin vitroにおいて阻害するポリ(A
DP−リボース)ポリメラーゼであることを示している。図9Aにおいて、タンキラ
ーゼは、それ自身及びTRF1をADP−リボシル化することが示されている。タンキ
ラーゼは、[32P]NAD+の存在下で、それ自身及びTRF1を修飾することができ、か
つ生成物は、SDS−PAGEゲル(上記実施例1参照)のクーマシーブルー染色(左)及び
オートラジオグラフィー(右)により分析した。レーンの上に示したタンパク質を
含んだ反応液は、以下の量とした:TRF1の4μg(+)、タンキラーゼの4μg(+)、
又は範囲0、0.8、及び4μg(△)。全ての反応液は、1.3μM[32P]NAD+(+)を含有
し、かつ3種の反応液には更に非放射性NAD+ (0.04、0.2、及び1mM、△)の漸増量
を補った。図9Bは、ADP−リボシル化活性が、タンキラーゼに固有であることを
示している。タンキラーゼは、指示のように免疫化前又はα−タンキラーゼ抗体
により免疫沈降し、PARPアッセイにおいて、[32P]NAD+と共にインキュベーショ
ンし、生成物をオートラジオグラフィーにより検出した(上記実施例1参照)。図9
Cは、タンキラーゼが、PARPインヒビターである3−アミノベンズアミド(3AB)で
阻害されることを示している。反応液は、4μgタンキラーゼ(+)、4μg TRF1非
含有(−)又は含有(+)、及び1.3μM[32P]NAD+と共に、1mM 3AB非含有(−)又は含
有(+)でインキュベーションし、図9Aのように処理した。図9Dは、タンキラーゼ
産物がポリ(ADP−リボース)を含有することを示している。タンキラーゼ及びTRF
1は、図9Cのパネルのように添加した。左パネルの反応液は、NAD+(−) 又は1.3
μM[32P]NAD+を含み、1μM又は1mM非放射性NAD+を補充した(△)。右側パネルの
反応液は、標識したNAD+を含まない以外は、左側反応液と同じであった。生成物
はニトロセルロースに移し、かつオートラジオグラフィー(左)又はポリ(ADP−リ
ボース)に対するモノクローナル抗体10Hを用いる免疫ブロット(右パネル)により
分析した(上記実施例1参照)。図9Eは、タンキラーゼによるTRF1の阻害を示して
いる。TRF1のTTAGGG反復配列結合活性に関するゲルシフトアッセイは、二重鎖[T
TAGGG]12 DNAをプローブとして用いて行った。この成分を含有した結合反応は、
レーンの上に示した。タンキラーゼは、3倍希釈法により、2.5〜200ng/20μlイ
ンキュベーションで変動させた(△)。 TRF1は、13ng (+)又は、3倍希釈法によ
る120〜13ngの変動(△)のいずれかで存在させた。NAD+は、0(−)又は0.2mM(+)
とした。アスタリスクは、抗体超シフト実験において決定された、TRF1−含有複
合体の位置を示している。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61K 39/395 A61K 48/00 45/00 A61P 35/00 48/00 43/00 111 A61P 35/00 C07K 16/40 43/00 111 C12N 9/12 C07K 16/40 C12Q 1/48 C12N 9/12 G01N 33/15 Z C12Q 1/48 33/50 Z G01N 33/15 C12N 15/00 ZNA 33/50 A61K 37/52 (31)優先権主張番号 09/196,387 (32)優先日 平成10年11月19日(1998.11.19) (33)優先権主張国 米国(US) (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SL,SZ,UG,ZW),E A(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ ,TM),AE,AL,AM,AT,AU,AZ,BA ,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,CU, CZ,DE,DK,EE,ES,FI,GB,GD,G E,GH,GM,HR,HU,ID,IL,IN,IS ,JP,KE,KG,KP,KR,KZ,LC,LK, LR,LS,LT,LU,LV,MD,MG,MK,M N,MW,MX,NO,NZ,PL,PT,RO,RU ,SD,SE,SG,SI,SK,SL,TJ,TM, TR,TT,UA,UG,US,UZ,VN,YU,Z A,ZW

Claims (50)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 TRF1に結合する脊椎動物のタンキラーゼをコードする単離核
    酸であって、前記脊椎動物のタンキラーゼが配列番号:2のアミノ酸配列と少な
    くとも25%の同一性を有するアミノ酸配列をもち、さらに以下を含む前記単離
    核酸: a)アンキリン特異的(ANK)反復配列コンセンサスドメイン; b)不稔アルファモチーフ(SAM)モチーフ;および c)ポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼ(PARP)関連ドメイン。
  2. 【請求項2】 タンキラーゼが、哺乳類蛋白質である請求項1記載の単離核
    酸。
  3. 【請求項3】 タンキラーゼがヒト蛋白質である請求項2記載の単離核酸。
  4. 【請求項4】 タンキラーゼが、配列番号:2のアミノ酸配列または保存的
    アミノ酸置換をもつ配列番号:2のアミノ酸配列を含むヒト蛋白質である請求項
    3記載の単離核酸。
  5. 【請求項5】 核酸が配列番号:1のコード配列を含む請求項4記載の単離
    核酸。
  6. 【請求項6】 さらに異種ヌクレオチド配列を含む請求項1記載の単離核酸
  7. 【請求項7】 機能的に発現制御配列に連結された組換えDNA分子であって
    、前記組換えDNA分子が請求項1記載の核酸を含む前記DNA分子。
  8. 【請求項8】 請求項7記載の組換えDNA分子を含む発現ベクター。
  9. 【請求項9】 請求項8記載の発現ベクターを含む細胞で組換えタンキラー
    ゼ蛋白質を発現させる方法であって、組換えタンキラーゼの前記細胞による発現
    を提供する条件下で前記細胞を適切な培養媒体中で培養することを含む前記方法
  10. 【請求項10】 さらに前記組換えタンキラーゼを精製する工程を含む請求
    項9記載の方法。
  11. 【請求項11】 請求項10記載の組換えタンキラーゼの精製形態。
  12. 【請求項12】 TRF1の酸性ドメインに結合することができるタンキラーゼ
    の断片をコードするヌクレオチド配列を含む組換えDNA分子であって、前記断片
    が、タンキラーゼのANK反復配列コンセンサスドメインの少なくとも一部分を含
    む前記組換えDNA分子。
  13. 【請求項13】 さらに異種ヌクレオチド配列を含む請求項12記載の組換
    えDNA分子。
  14. 【請求項14】 タンキラーゼの断片が、配列番号:2のアミノ酸436か
    ら796、または保存的アミノ酸置換をもつ配列番号:2のアミノ酸436から
    796を含む請求項12記載の組換えDNA分子。
  15. 【請求項15】 タンキラーゼの断片が、配列番号:2のアミノ酸181か
    ら1005、または保存的アミノ酸置換をもつ配列番号:2のアミノ酸181か
    ら1005を含む請求項14記載の組換えDNA分子。
  16. 【請求項16】 タンキラーゼの断片が、配列番号:2のアミノ酸336か
    ら1163、または保存的アミノ酸置換をもつ配列番号:2のアミノ酸336か
    ら1163を含む請求項14記載の組換えDNA分子。
  17. 【請求項17】 配列番号:2のアミノ酸1159から1314、または保
    存的アミノ酸置換をもつ配列番号:2のアミノ酸1159から1314を含むPA
    RPドメインを含むタンキラーゼの断片をコードするヌクレオチド配列を含む組換
    えDNA分子。
  18. 【請求項18】 配列番号:2のアミノ酸1023から1088、または保
    存的アミノ酸置換をもつ配列番号:2のアミノ酸1023から1088を含むSA
    Mモチーフを含むタンキラーゼの断片をコードするヌクレオチド配列を含む組換
    えDNA分子。
  19. 【請求項19】 請求項5記載の単離された核酸のためのヌクレオチドプロ
    ーブ。
  20. 【請求項20】 機能的に発現制御配列に連結された組換えDNA分子であっ
    て、前記DNA分子が請求項12記載の核酸を含む前記組換えDNA分子。
  21. 【請求項21】 請求項20記載の組換えDNA分子を含む発現ベクター。
  22. 【請求項22】 請求項21記載の発現ベクターを含む細胞で組換えタンキ
    ラーゼ蛋白質を発現させる方法であって、組換えタンキラーゼ断片の前記細胞に
    よる発現を提供する条件下で前記細胞を適切な培養媒体中で培養することを含む
    前記方法。
  23. 【請求項23】 さらに前記組換えタンキラーゼ断片を精製する工程を含む
    請求項22記載の方法。
  24. 【請求項24】 請求項23記載の組換えタンキラーゼ断片の精製形態。
  25. 【請求項25】 TRF1に結合する単離された脊椎動物のタンキラーゼであっ
    て、前記脊椎動物のタンキラーゼが配列番号:2のアミノ酸配列と少なくとも2
    5%の同一性を有するアミノ酸配列をもち、さらに以下を含む前記脊椎動物のタ
    ンキラーゼ: a)アンキリン特異的(ANK)反復配列コンセンサスドメイン; b)不稔アルファモチーフ(SAM)モチーフ;および c)ポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼ(PARP)関連ドメイン。
  26. 【請求項26】 哺乳類蛋白質である請求項25記載の単離タンキラーゼ。
  27. 【請求項27】 タンキラーゼが、配列番号:2のアミノ酸配列または保存
    的アミノ酸置換をもつ配列番号:2のアミノ酸配列を含むヒト蛋白質である請求
    項26記載の単離タンキラーゼ。
  28. 【請求項28】 請求項27記載のタンキラーゼの蛋白分解性断片。
  29. 【請求項29】 融合蛋白質である請求項25記載の単離タンキラーゼ。
  30. 【請求項30】 TRF1の酸性ドメインに結合することができる単離タンキラ
    ーゼ断片であって、前記断片が、タンキラーゼのANK反復配列コンセンサスドメ
    インの少なくとも一部分を含む前記単離タンキラーゼ断片。
  31. 【請求項31】 請求項30記載の断片を含む融合蛋白質。
  32. 【請求項32】 配列番号:2のアミノ酸436から796、または保存的
    アミノ酸置換をもつ配列番号:2のアミノ酸436から796を含む単離タンキ
    ラーゼ断片。
  33. 【請求項33】 配列番号:2のアミノ酸181から1005、または保存
    的アミノ酸置換をもつ配列番号:2のアミノ酸181から1005を含む請求項
    32記載の単離タンキラーゼ断片。
  34. 【請求項34】 配列番号:2のアミノ酸336から1163、または保存
    的アミノ酸置換をもつ配列番号:2のアミノ酸336から1163を含む請求項
    32記載の単離タンキラーゼ断片。
  35. 【請求項35】 配列番号:2のアミノ酸1159から1314、または保
    存的アミノ酸置換をもつ配列番号:2のアミノ酸1159から1314を含むPA
    RPドメインを含む単離タンキラーゼ断片。
  36. 【請求項36】 配列番号:2のアミノ酸1023から1088、または保
    存的アミノ酸置換をもつ配列番号:2のアミノ酸1023から1088を含むSA
    Mモチーフを含む単離タンキラーゼ断片。
  37. 【請求項37】 請求項25記載の蛋白質に対する抗体。
  38. 【請求項38】 ポリクローナル抗体である請求項37記載の抗体。
  39. 【請求項39】 モノクローナル抗体である請求項37記載の抗体。
  40. 【請求項40】 請求項39記載のモノクローナル抗体を産生した不死化細
    胞株。
  41. 【請求項41】 タンキラーゼをコードする内因性対立遺伝子座内に破壊を
    含む遺伝子導入ノックアウトマウスであって、前記破壊が、前記対立遺伝子座か
    ら機能的タンキラーゼが発現されるのを妨げる前記遺伝子導入ノックアウトマウ
    ス。
  42. 【請求項42】 さらにタンキラーゼをコードする第二の内因性対立遺伝子
    座内に破壊を含む請求項41記載の遺伝子導入ノックアウトマウスであって、前
    記破壊が、前記ノックアウトマウスの機能的内因性タンキラーゼ発現を妨げる前
    記遺伝子導入ノックアウトマウス。
  43. 【請求項43】 以下の工程を含むタンキラーゼとTRF1の結合に干渉する候
    補薬剤を選別する方法: (a)TRF1の酸性ドメインを含む第一の蛋白質またはペプチド、および請求項
    30記載の単離タンキラーゼ断片を含む第二の蛋白質またはペプチドと候補薬剤
    を、第一の蛋白質またはペプチドと第二の蛋白質またはペプチドが前記候補薬剤
    の非存在下で結合する条件下で接触させ;さらに、 (b)第一の蛋白質またはペプチドと第二の蛋白質またはペプチドとの間の結
    合を決定し、前記薬剤の存在下で決定した結合量がその非存在下でのものよりも
    測定可能な量で少ないときの候補薬剤を選択する。
  44. 【請求項44】 以下の工程を含むタンキラーゼのPARP活性を抑制する候補
    薬剤を選別する方法: (a)PARP活性をもつタンキラーゼまたはタンキラーゼの断片、NAD+およびポ
    リADP−リボシル化基質と前記候補薬剤を、タンキラーゼまたはその断片が前記
    候補薬剤の非存在下で前記基質をポリADP−リボシル化する条件下で接触させ;
    さらに、 (b)前記基質のポリADP−リボシル化状態を決定し、前記薬剤の存在下で決
    定した基質のポリADP−リボシル化状態がその非存在下で決定したものよりも測
    定可能な量で少ないときの候補薬剤を選択する。
  45. 【請求項45】 タンキラーゼに対する抑制物質を投与することを含む細胞
    の寿命を延長する方法。
  46. 【請求項46】 前記抑制物質が3−アミノベンズアミドである請求項45
    記載の方法。
  47. 【請求項47】 前記細胞がヒトの細胞である請求項45記載の方法。
  48. 【請求項48】 タンキラーゼに対する抑制物質を投与することを含む腫瘍
    細胞の増殖を抑制する方法。
  49. 【請求項49】 前記抑制物質が3−アミノベンズアミドである請求項48
    記載の方法。
  50. 【請求項50】 前記細胞がヒトの細胞である請求項48記載の方法。
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