【発明の詳細な説明】
乳房の疾患の検出に有用な試薬および方法 発明の背景
本発明は、一般に、乳房の疾患の検出に関する。更に、本発明は乳房の疾患の
検出のための試薬及び方法にも関する。特に、本発明は、ポリヌクレオチド配列
、それにコードされるポリペプチド配列及びこれらの配列を用いる方法に関する
。これらポリヌクレオチド及びポリペプチド配列は、乳癌などの乳房の疾患また
は状態の検出、診断、病期分類、モニター、予後判定、予防もしくは治療または
素因の判定に有用である。
乳癌は、米国において女性に生じる癌の最も一般的な形態である。米国におけ
る乳癌の発生に関しては、180,300の症例が診断され、43,900件の関連死が1998
年に生じたと推定されている(American Cancer Societyの統計)。世界的にみ
て、乳癌の発症は、1985年の700,000件から1990年の約900,000件に増加している
(G.N.Hortobagyiら,CA Cancer J Clin 45:199-226(1995))。
乳癌などの乳房の疾患または状態の検出、診断、病期分類、
モニター、予後判定、予防もしくは治療または素因の判定のための方法は、患者
の成り行きに非常に重要である。例えば、初期乳癌と診断された患者は、90%を
超える5年相対生存率を有するが、遠隔転移乳癌と診断された患者の生存率は約
20%である(American Cancer Societyの統計)。現在のところ、初期乳癌の最
良の初期指標は、乳房の検診および乳房撮影である(J.R.Harrisら,Cancer:Pr inciples and Practice of Oncology
,第4版,pp.1264-1332,Philadelphia,
PA:J/B.Lippincott Co.(1993))。乳房撮影は、乳癌が検診により検出される前
に乳癌を検出することが可能であるが、それにも限界がある。例えば、乳房撮影
の予測値は、観察者の技量と乳房X線像の質とに左右される。また、疑わしい乳
房X線像の80〜93%は偽陽性であり、乳癌の女性の10〜15%が偽陰性の乳房X線
像を有する(C.J.Wrightら,Lancet 346:29-32(1995))。より高感度であり初
期乳癌の検出に特異的な新規診断方法が必要とされているのは明らかである。
乳癌患者は、療法に対する応答を判定し持続性もしくは再発性の疾患または初
期遠隔転移を検出するために、初期療法後およびアジュバント療法中に綿密にモ
ニターされる。乳癌をモニ
ターするための現在の診断方法には、乳房撮影、骨スキャン、胸部X線写真、肝
機能試験および血清マーカーに関する試験が含まれる。患者をモニターするため
に最も一般的に使用される血清腫瘍マーカーは、癌胎児性抗原(CEA)およびCA
15-3である。CEAの限界としては、転移性疾患の女性の約40%において血清レベ
ルの上昇が認められないことなどが挙げられる。さらに、アジュバント療法中の
CEAの上昇は、再発と関連せずに、臨床的に重要でない他の要因と関連している
可能性がある。また、CA 15-3は、かなりの数の進行性疾患患者において陰性と
なる可能性があり、したがって転移を予測するものではない。CEAおよびCA 15-3
は共に、悪性でない良性状態において上昇することがあり、偽陽性結果を与えう
る。したがって、癌再発の検出の際により高感度で特異的である乳癌関連マーカ
ーを見出すことは、臨床的に有益であろう(J.R.Harrisら,前掲;M.K.Schwart
zら,Cancer:Principles and Practice of Oncology ,Vol.1,第4版,pp.531
-542,Philadelphia,PA:J/B.Lippincott Co.(1993))。
乳癌の処置におけるもう1つの重要な段階は、患者の病期を決定することであ
る。なぜなら、病期は潜在的な予後的価値を
有し、最適療法の設計のための基準を与えるからである。現在のところ、乳癌の
病理学的病期分類が、臨床的病期分類より好ましい。なぜなら、前者は、より正
確な予後判定を与えるからである(J.R.Harrisら,前掲)。一方、臨床的病期
分類が病理学的病期分類と少なくとも同程度の精度である場合には、臨床的病期
分類が好ましいであろう。なぜなら、それは、病理学的評価用の組織を得るため
の侵襲的な方法に依存しないからである。異なる侵襲段階を識別しうる血清中ま
たは尿中の新規マーカーを検出することにより、乳癌の病期分類を改善すること
が可能であろう。そのようなマーカーは、原発性乳癌に由来するが血液、骨髄ま
たはリンパ節中に存在する細胞により発現されるmRNAまたはタンパク質マーカー
であることが可能であり、これらの遠位器官に対する転移に関する高感度の指標
となる可能性がある。例えば、乳上皮細胞に関連した特異的なタンパク質抗原お
よびmRNAが、それぞれ免疫組織化学的技術およびRT-PCRにより、乳癌患者の骨髄
、リンパ節および血液中で検出されており、転移を示唆している(K.Pantelら
,Onkologie 18:394-401(1995))。
そのような診断方法には、免疫学的方法により検出可能で侵
襲性が可能な限り小さい方法により得られる血液、血漿、血清、尿などの試験サ
ンプル中の種々の疾患マーカーの出現に基づく免疫学的アッセイを含めることが
できるであろう。これらの診断方法は、乳房の疾患を有する患者を医師が処置す
るのを助ける情報を、患者にとって軽い負担で提供するであろう。前立腺特異的
抗原(PSA)およびヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)などのマーカーが存在し、
そのようなマーカーは、それぞれ前立腺癌および精巣癌に関して患者をスクリー
ニングするために臨床的に使用されている。例えば、PSAは、通常、前立腺から
高レベルで精液中に分泌されるが、正常な前立腺を有する男性の血液中には非常
に低レベルでしか存在しない。上昇したレベルの血清中PSAタンパク質は、無症
候の男性における前立腺の癌または疾患の初期検出において用いることができる
。例えば、G.E.Hanksら,Cancer:Principles and Practice of Oncology,Vol
.1,第4版,pp.1073-1113,Philadelphia,PA:J.B.Lippincott Co.1993、M
.K.Schwarzら,Cancer:Principles and Practice of Oncology,Vol.1,第4
版,pp.531-542,Philadelphia,PA:J.B.Lippincott Co.1993を参照されたい
。同様に、乳房中で正常に発現されるが、乳房の疾患の結果、不
適当な身体画分中に、上昇した量で見出される新規マーカーを利用することによ
り、乳房疾患の処置を改善することが可能であろう。
また、初期乳癌の生物学的挙動を予想しうる新規マーカーも、非常に貴重であ
ろう。患者の生命を脅かす又は脅かすことになる初期乳癌は、それを脅かさない
又は脅かすことにならないものより臨床的に重要である(G.E.Hanks,前掲)。
組織学的に陰性のリンパ節を有するいずれの患者に癌が再発するかを予想するた
めに、また、上皮内導管癌のいずれの症例が侵襲性乳癌に進展するのかを予想す
るために、そのようなマーカーが必要とされている。より正確な予後マーカーは
、積極的に治療しなければ進行し転移する乳房限局性初期癌を医師が正確に同定
することを可能にするであろう。さらに、侵襲性癌に関するマーカーが患者に存
在しないことを示すことができれば、該患者は、高価で無益な治療を受けなくて
すむであろう(J.R.Harrisら,前掲、E.R.Frykbergら,Cancer 74:350-361(19
94))。
したがって、乳房の疾患または状態の検出、診断、病期分類、モニター、予後
判定、予防もしくは治療または素因の判定のための特異的な方法および試薬を提
供することは有益であろう。
そのような方法は、乳房に関連した疾患および状態(例えば、癌)において過剰
発現される遺伝子の産物に関して試験サンプルをアッセイすることを含むであろ
う。また、そのような方法は、乳房に関連した疾患または状態(例えば、癌)に
より改変した遺伝子の産物に関して試験サンプルをアッセイすることを含むかも
しれない。さらに、そのような方法は、身体の種々の組織および画分中の分布が
乳房関連疾患または状態(例えば、癌)により改変している遺伝子の産物に関し
て試験サンプルをアッセイすることを含むかもしれない。そのような方法は、試
験サンプル中のmRNAからcDNAを調製し、必要に応じて、該遺伝子またはその断片
に対応するcDNAの一部を増幅し、癌などの疾患または状態の存在の指標としてcD
NA産物を検出し、または遺伝子配列を含むmRNAの翻訳産物を該疾患の存在の指標
として検出することを含むであろう。有用な試薬には、生検組織、血液または他
の試験サンプルから抽出したmRNAの逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)、PC
Rまたはハイブリダイゼーションアッセイなどの診断方法において使用しうるポ
リヌクレオチドまたはその断片;またはそのようなmRNAの翻訳産物であるタンパ
ク質;またはこれらのタンパク質に対する抗体が含まれ
る。そのようなアッセイは、該遺伝子の産物に関してサンプルをアッセイし該産
物を乳房の疾患の指標として検出するための方法を含むであろう。乳房の疾患お
よび状態(例えば、癌)に対する薬物治療または遺伝子治療は、これらの同定さ
れた遺伝子配列またはそれらの発現されたタンパク質に基づくことが可能であり
、いずれかの特定の療法の効力をモニターすることが可能である。さらに、初期
段階の乳房疾患(例えば、癌)を検出しうる代替的な非外科的診断方法が利用可
能になれば、有益であろう。発明の概要
本発明は、試験サンプル中の標的BS124ポリヌクレオチドを検出する方法を提
供する。本方法は、該試験サンプルを、少なくとも1つのBS124特異的ポリヌク
レオチドと接触させ、該試験サンプル中の標的BS124ポリヌクレオチドの存在を
検出することを含むことを特徴とする。BS124特異的ポリヌクレオチドは、配列
番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5およびそれらの断片
または相補体よりなる群から選ばれるポリヌクレオチドに対して少なくとも50%
の同一性を有する。また、該方法を行なう前に、BS124特異的ポリヌクレオチド
を
固相に結合させることも可能である。
本発明はまた、試験サンプル中のBS124mRNAを検出する方法であって、少なく
とも1つのプライマーで逆転写(RT)を行なってcDNAを得、得られたcDNAを、BS
124オリゴヌクレオチドをセンスプライマーおよびアンチセンスプライマーとし
て使用して増幅して、BS124アンプリコンを得、試験サンプル中のBS124mRNAの存
在の指標として該BS124アンプリコンの存在を検出することを含んでなり、該BS1
24オリゴヌクレオチドが、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、
配列番号5およびそれらの断片または相補体よりなる群から選ばれる配列に対し
て少なくとも50%の同一性を有することを特徴とする方法を提供する。増幅は、
ポリメラーゼ連鎖反応により行なうことができる。また、該方法を行なう前、増
幅の前または検出の前に、該試験サンプルを固相と反応させることが可能である
。この反応は、直接的または間接的な反応であることが可能である。さらに、該
検出工程は、測定可能なシグナルを生成しうる検出可能な標識の使用を含む。こ
の検出可能な標識は、固相に結合させることが可能である。
本発明はさらに、標的BS124ポリヌクレオチドを含有する疑
いのある試験サンプル中の標的BS124ポリヌクレオチドの検出方法を提供する。
本方法は、(a)該試験サンプルを、センスプライマーとしての少なくとも1つ
のBS124オリゴヌクレオチドおよびアンチセンスプライマーとしての少なくとも
1つのBS124オリゴヌクレオチドと接触させ、それを増幅して第1段階反応産物
を得、(b)該第1段階反応産物を少なくとも1つの他のBS124オリゴヌクレオチ
ドと接触させて、第2段階反応産物を得(ただし、前記の、他のBS124オリゴヌ
クレオチドは、工程(a)で使用するBS124オリゴヌクレオチドの3'側に位置し
、該第1段階反応産物に相補的である)、(c)該試験サンプル中の標的BS124オ
リヌクレオチドの存在の指標として該第2段階反応産物を検出することを含むこ
とを特徴とする。該方法において試薬として選択するBS124オリゴヌクレオチド
は、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5およびそれ
らの断片または相補体よりなる群から選ばれる配列に対して少なくとも50%の同
一性を有する。増幅は、ポリメラーゼ連鎖反応により行なうことができる。また
、該方法を行なう前、または増幅の前、または検出の前に、直接的または間接的
に該試験サンプルを固相と反応させることが可能である。また、
該検出工程は、測定可能なシグナルを生成しうる検出可能な標識の使用を含む。
さらに、この検出可能な標識は、固相に結合させることが可能である。また、試
験サンプル中の標的BS124ポリヌクレオチドを検出するのに有用な試験キットで
あって、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5および
それらの断片または相補体よりなる群から選ばれる少なくとも1つのBS124特異
的ポリヌクレオチドを含有する容器を含んでなる試験キットを提供する。これら
の試験キットはさらに、試験サンプル(例えば、血液、尿、唾液および糞便)を
採集するのに有用な手段を有する容器を含む。そのような手段には、血液を採集
し安定化するためのランセットおよび吸収紙または布、唾液を採集し安定化する
ためのスワブ、ならびに尿または糞便サンプルを採集し安定化するためのカップ
が含まれる。該サンプルの変性または不可逆的吸着を避けるために、所望により
、紙、布、スワブ、カップなどの採集材料を処理することが可能である。また、
試料の完全性を維持するのを助けるために、該採集材料を保存剤、安定化剤また
は抗微生物剤で処理したり、該採集材料に保存剤、安定化剤または抗微生物剤を
含有させることが可能である。
本発明はまた、BS124遺伝子に由来する精製されたポリヌクレオチドまたはそ
の断片をも提供する。該精製ポリヌクレオチドは、BS124遺伝子またはその相補
体の核酸に選択的にハイブリダイズする能力を有する。該ポリヌクレオチドは、
(a)配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5およびそ
れらの相補体、並びに(b)配列番号1、配列番号2及配列番号3の断片よりな
る群から選ばれるポリヌクレオチドに対して少なくとも50%の同一性を有する。
さらに、該精製ポリヌクレオチドは、組換えおよび/または合成技術により製造
することができる。該精製組換えポリヌクレオチドは、組換えベクター中に含有
されていることが可能である。本発明はさらに、組換えベクターでトランスフェ
クトされた宿主細胞を含む。
本発明はさらに、BS124に由来するオープンリーディングフレームを含む核酸
配列を含んでなる組換え発現系を提供する。該核酸配列は、配列番号1、配列番
号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5およびそれらの断片または相補体よ
りなる群から選ばれる配列に対して少なくとも50%の同一性を有する。該核酸配
列は、所望の宿主に和合性の制御配列に作動的に結合している。また、この組換
え発現系でトランスフェクトされた細胞
を提供する。
本発明はまた、BS124にコードされるポリペプチドを提供する。該ポリペプチ
ドは、組換え技術により製造し、精製形態で提供することが可能であり、または
合成技術により製造することが可能である。該ポリペプチドは、配列番号22、配
列番号23、配列番号24、配列番号25、配列番号およびそれらの断片よりなる群か
ら選ばれるアミノ酸配列に対して少なくとも50%の同一性を有するアミノ酸配列
を含む。
また、少なくとも1つのBS124エピトープに特異的に結合する抗体を提供する
。該抗体は、ポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体であることが可能で
ある。該エピトープは、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25およ
びそれらの断片よりなる群から選ばれるアミノ酸配列に由来する。試験サンプル
中のBS124抗原または抗BS124抗体の存在を判定するためのアッセイキットも含ま
れる。1つの実施態様では、該アッセイキットは、配列番号22、配列番号23、配
列番号24、配列番号25およびそれらの断片よりなる群から選ばれるアミノ酸配列
に対して少なくとも50%の同一性を有する少なくとも1つのBS124ポリペプチド
を含有する容器を含む。さらに、該
試験キットは、試験サンプル(例えば、血液、尿、唾液および糞便)を採集する
のに有用な手段を有する容器を含む。そのような手段には、血液を採集し安定化
するためのランセットおよび吸収紙または布、唾液を採集し安定化するためのス
ワブ、ならびに尿または糞便サンプルを採集し安定化するためのカップが含まれ
る。該サンプルの変性または不可逆的吸着を避けるために、所望により、紙、布
、スワブ、カップなどの採集材料を処理することが可能である。また、試料の完
全性を維持するのを助けるために、これらの採集材料を保存剤、安定化剤または
抗微生物剤で処理したり、該採集材料に保存剤、安定化剤または抗微生物剤を含
有させることが可能である。また、該ポリペプチドを固相に結合させることが可
能である。
本発明のその他の態様では、BS124抗原に対する抗体又はその断片を、疾患又
は状態の検出又は診断の目的で患者体内の抗原の検出又は局在位置のイメージン
グに使用することが可能である。このような抗体は、ポリクローナル若しくはモ
ノクローナル抗体又は分子生物学的手法で合成されたものであることが可能であ
り、これらに限定されないが、放射性同位体及び常磁性金属その他の様々な検出
可能な標識で標識することが可能で
ある。更に、抗体又はその断片は、それがモノクローナル若しくはポリクローナ
ル抗体又は分子生物学的手法により合成された抗体の別に関わりなく、BS124抗
原の発現を特徴とする疾患の治療薬として使用することが可能である。治療に使
用する場合には、誘導体化せずに、又は、放射性同位体、酵素、毒素、医薬、プ
ロドラッグなどの他の細胞傷害性物質で誘導体化して抗体を使用することが可能
である。
試験サンプル中のBS124抗原または抗BS124抗体の存在を判定するためのもう1
つのアッセイキットは、BS124抗原に特異的に結合する抗体を含有する容器を含
んでなり、該BS124抗原が、少なくとも1つのBS124にコードされたエピトープを
含むことを特徴とする。該BS124抗原は、配列番号16、配列番号17、配列番号22
、配列番号23、配列番号24、配列番号25およびそれらの断片よりなる群から選ば
れるBS124にコードされた抗原の配列に対して少なくとも60%の配列類似性を有
する。さらに、該試験キットは、試験サンプル(例えば、血液、尿、唾液および
糞便)を採集するのに有用な手段を有する容器を含む。そのような手段には、血
液を採集し安定化するためのランセットおよび吸収紙または布、唾液を採集し安
定化するためのスワブ、
ならびに尿または糞便サンプルを採集し安定化するためのカップが含まれる。該
サンプルの変性または不可逆的吸着を避けるために、所望により、紙、布、スワ
ブ、カップなどの採集材料を処理することが可能である。また、試料の完全性を
維持するのを助けるために、これらの採集材料を保存剤、安定化剤または抗微生
物剤で処理したり、該採集材料に保存剤、安定化剤または抗微生物剤を含有させ
ることが可能である。また、該抗体を固相に結合させることが可能である。
BS124のエピトープの少なくとも1つを含有するポリペプチドの製造法であっ
て、発現ベクターでトランスフェクトされた宿主細胞をインキュベートすること
を含んでなる製造法を提供する。このベクターは、配列番号22、配列番号23、配
列番号24、配列番号25およびそれらの断片よりなる群から選ばれるBS124アミノ
酸配列に対して少なくとも50%の同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチ
ドをコードするポリヌクレオチド配列を含む。
また、BS124抗原を含有する疑いのある試験サンプル中のBS124抗原を検出する
方法を提供する。該方法は、BS124抗原のエピトープの少なくとも1つに特異的
に結合する抗体またはそ
の断片と該試験サンプルとを、抗体/抗原複合体の形成に十分な時間および条件
下で接触させ、該抗体を含有するそのような複合体の存在を、該試験サンプル中
のBS124抗原の存在の指標として検出することを含む。該抗体は、固相に結合さ
せることが可能であり、モノクローナル抗体またはポリクローナル抗体であるこ
とが可能である。さらに、該抗体は、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配
列番号25およびそれらの断片よりなる群から選ばれる少なくとも1つのBS124抗
原に特異的に結合する。
これらの抗体を含有する疑いのある試験サンプル中のBS124抗原に特異的に結
合する抗体を検出する、もう1つの方法を提供する。該方法は、BS124ポリヌク
レオチドにコードされるアミノ酸またはその断片に対して少なくとも50%の同一
性を有するアミノ酸配列を含む少なくとも1つのBS124エピトープを含有するポ
リペプチドと該試験サンプルとを接触させることを含む。接触は、抗原/抗体複
合体の形成が可能となるのに十分な時間および条件下で行なう。該方法はさらに
、該ポリペプチドを含有する複合体を検出することを含む。該ポリペプチドは、
固相に結合させることが可能である。さらに、該ポリペプチド
は、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25およびそれらの断片より
なる群から選ばれるアミノ酸配列に対して少なくとも50%の同一性を有する組換
えタンパク質または合成ペプチドであることが可能である。
本発明は、BS124抗原のエピトープの少なくとも1つ又はその断片をコードす
るBS124核酸配列でトランスフェクトされた細胞を提供する。該核酸配列は、配
列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5およびそれらの断
片または相補体よりなる群から選ばれる。
また、BS124抗原に対する抗体の製造法であって、少なくとも1つのBS124エピ
トープを含む単離された免疫原性ポリペプチドまたはその断片を個体に投与する
ことを含んでなる製造法を提供する。この免疫原性ポリペプチドは、免疫応答を
引き起こすのに十分な量を投与される。この単離された免疫原性ポリペプチドは
、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25およびそれらの断片よりな
る群から選ばれるアミノ酸配列を含む。
BS124抗原に特異的に結合する抗体のもう1つの製造法であって、配列番号22
、配列番号23、配列番号24、配列番号25お
よびそれらの断片よりなる群から選ばれるアミノ酸配列に由来する少なくとも1
つのBS124エピトープをコードする核酸配列を含むプラスミドを個体に投与する
ことを含んでなる製造法を開示する。このプラスミドは、体内で細胞に取り込ま
れ、免疫応答を生ずるのに十分なレベルで発現されるような量が投与される。
また、(a)配列番号1、配列番号2、配列番号4、配列番号5およびそれらの
相補体並びに、(b)配列番号1、配列番号2及び配列番号3の断片よりなる群か
ら選ばれるポリヌクレオチドに対して少なくとも50%の同一性を有する少なくと
も約10〜12ヌクレオチドのBS124ポリヌクレオチドを含んでなる組成物を提供す
る。BS124ポリヌクレオチドは、少なくとも1つのBS124エピトープを有するアミ
ノ酸配列をコードする。本発明が提供するもう1つの組成物は、約8〜10アミノ
酸のBS124エピトープの少なくとも1つを有するポリペプチドを含む。該ポリペ
プチドは、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25およびそれらの断
片よりなる群から選ばれるアミノ酸配列に対して少なくとも50%の同一性を有す
るアミノ酸配列を含む。また、配列番号16に対して少なくとも50%の同一性を有
する
BS124ポリペプチドをコードする遺伝子またはその断片、および配列番号4また
は配列番号5に対して少なくとも50%の同一性を有するDNAを含んでなる遺伝子
またはその断片を提供する。図面の簡単な説明
図1A及び1Bは、クローン1730294(配列番号1)、1213903(配列番号2)、g
1285139(配列番号3)、クローン1730291の全長の配列(クローン1730294IHと
命名(配列番号4))およびそれらに由来するコンセンサス配列(配列番号5)
のヌクレオチドアラインメントを示す。
図2は、重複するクローン1730294(配列番号1)、1243903(配列番号2)、
g2185139(配列番号3)及び1730294IH(配列番号4)のヌクレオチドアライン
メントからのコンセンサスヌクレオチド配列(配列番号5)の形成を表すコンテ
ィグ地図(contig map)を示す。
図3Aは、種々の組織からのRNAの、臭化エチジウムで染色されたアガロースゲ
ルのスキャン、およびBS124放射能標識プローブを使用するRNAの対応するノーザ
ンブロットである。図3Bは、様々な乳房組織由来のRNAの、臭化エチジウムで染
色されたアガロースゲルのスキャン、およびBS124放射能標識プロー
ブを使用するRNAの対応するノーザンブロットである。
図4Aは、正常乳房及び癌化乳房組織のRNAからのBS124RNA
キャンである。図4Bは、正常又は癌化胎盤、肺及び大腸組織の
アガロースゲルのスキャンである。
図5Aは、BS124特異的転写体及びT-47D乳癌細胞からの
ゲルのスキヤンである。
図6A及び6Bは、BS124合成ペプチド(配列番号23のBS124ペプチド)に対する抗
血清でプロービングした、組織蛋白質抽出物のパネル上で実施したウエスタンブ
ロッティングの結果を示す。発明の詳細な説明
本発明は、配列番号16に対して少なくとも約50%の同一性を有するBS124ポリ
ペプチドをコードする遺伝子またはその断片を提供する。本発明はさらに、配列
番号4または配列番号5に対して少なくとも約50%の同一性を有するDNAを含ん
でなるBS124遺伝子またはその断片を含む。
本発明は、BS124と称される乳房組織遺伝子の産物に関して試験サンプルをア
ッセイするための方法であって、該試験サンプル中のmRNAからcDNAを調製し、乳
房組織遺伝子BS124の存在の指標として該cDNAを検出することを含んでなる方法
を提供する。該方法は、BS124に由来する、該遺伝子またはその断片に対応する
1以上のmRNA部分を増幅する増幅工程を含む。また、BS124の翻訳産物に関して
アッセイするための方法を提供する。本発明で提供する方法によりアッセイしう
る試験サンプルには、組織、細胞、体液および分泌物が含まれる。本発明はまた
、これらの方法を実施するのに有用なオリゴヌクレオチドプライマー、ポリペプ
チドなどの試薬を提供する。
本明細書で開示する核酸配列の一部は、RNAの逆転写のための、またはcDNAの
増幅のためのプライマーとして、あるいは試験サンプル中の或るmRNA配列の存在
を判定するためのプローブとして有用である。また、診断用イムノアッセイにお
ける基準または試薬として、医薬スクリーニングアッセイの標的として、および
/または、種々の療法のための成分または標的部位として有用なコードされるポ
リペプチド配列の製造を可能にする核酸配列を開示する。これらのポリペプチド
配列内に含有さ
れる少なくとも1つのエピトープに対するモノクローナル抗体およびポリクロー
ナル抗体は、治療剤の運搬剤として有用であり、また、診断試験に有用であり、
BS124に関連した疾患または状態(特に乳癌)のスクリーニングに有用である。
関心のある遺伝子の他の部分の配列の単離は、これらの核酸配列に由来するプロ
ーブまたはPCRプライマーを用いて行なうことができる。これは、確認すべき関
心のあるmRNAまたはcDNAおよび対応するコードされるポリペプチド配列の追加
的なプローブを可能にする。これらの追加的な分子は、本明細書に開示するBS12
4により特徴づけられる乳房の疾患および状態(例えば、乳癌)の検出、診断、
病期分類、モニター、予後判定、予防もしくは治療または素因の判定に有用であ
る。
アミノ酸配列の「類似性」を判定するための技術は、当該技術分野でよく知ら
れている。一般に、「類似性」は、アミノ酸が同一である場合または類似した化
学的および/または物理的特性(例えば、電荷または疎水性)を有する場合には
、適当な位置における2以上のポリペプチドの厳密なアミノ酸対アミノ酸の比較
を意味する。したがって、いわゆる「類似性の割合(%)」は、比較されるポリ
ペプチド配列の間で決定すること
ができる。核酸およびアミノ酸配列の同一性を判定するための技術も、当該技術
分野でよく知られており、その遺伝子に関するmRNAのヌクレオチド配列を決定し
(通常は、cDNA中間体を介して)、それにコードされるアミノ酸配列を決定し、
これともう1つのアミノ酸配列とを比較することを含む。一般に、「同一性」は
、2つのポリヌクレオチドまたはポリペプチド配列の、それぞれ、厳密なヌクレ
オチド対ヌクレオチドまたはアミノ酸対アミノ酸の一致を意味する。2以上のポ
リヌクレオチド配列は、それらの「同一性(%)」を決定することにより比較す
ることができる。同様に、2以上のアミノ酸配列は、それらの「同一性の割合(
%)」を決定することにより比較することができる。Wisconsin Sequence Analy
sis Package,Version 8(Genetics Computer Group,Madison,WIから入手可能
)において入手可能なプログラム、例えばGAPプログラムは、2つのポリヌクレ
オチド間の同一性と、2つのポリペプチド配列間の同一性および類似性との両方
を計算する能力を有する。配列間の同一性または類似性を計算するための他のプ
ログラムが、当該技術分野で公知である。
本明細書に記載の組成物および方法は、乳房組織の疾患また
は状態の指標としての或るマーカーの同定を可能にし、それから得られる情報は
、BS124に関連した疾患および状態(特に乳癌)の検出、診断、病期分類、モニ
ター、予後判定、予防もしくは治療または素因の判定の助けとなるであろう。試
験方法には、例えば、本発明で提供する配列を利用し核酸増幅方法、例えばポリ
メラーゼ連鎖反応(PCR)、リガーゼチェイン反応(LCR)およびハイブリダイゼ
ーションを利用しうるプローブアッセイが含まれる。また、本発明で提供するヌ
クレオチド配列は、免疫原性エピトープを見出すことが可能なオープンリーディ
ングフレームを含有する。このエピトープは、BS124に関連した病態または状態
に特有であると考えられている。また、BS124遺伝子によりコードされるポリヌ
クレオチドまたはポリペプチドおよびタンパク質は、マーカーとして有用である
と考えられている。このマーカーは、乳癌などの疾患において上昇するか、乳癌
などの疾患において変化するか、または正常なタンパク質として存在するが不適
当な身体画分中に出現する。該エピトープの特有性は、BS124遺伝子にコードさ
れるタンパク質およびポリペプチドに対する抗体に対するその免疫反応性および
特異性、および(ii)他の任意の組織マーカーに対するその無反応
性により測定することができる。免疫反応の測定方法は、よく知られており、例
えば、ラジオイムノアッセイ(RIA)、酵素結合抗体免疫吸着アッセイ(ELISA)
、赤血球凝集反応(HA)、蛍光偏光イムノアッセイ(FPIA)、化学発光イムノア
ッセイ(CLIA)などを含むが、これらに限定されるものではない。適当な方法の
いくつかの例は、本明細書に記載されている。
特に示さない限り、以下の用語は以下の意義を有するものとする。
示されている配列に「由来」する又は「特異的」なポリヌクレオチドは、示さ
れているヌクレオチド配列の領域に対応する(すなわち、一致した又は相補的で
ある)少なくとも約6ヌクレオチド、好ましくは少なくとも約8ヌクレオチド、
より好ましくは少なくとも約10〜12ヌクレオチド、より一層好ましくは少なくと
も約15〜20ヌクレオチドの連続した配列を含むポリヌクレオチド配列を意味する
。該配列は、当該技術分野で公知の技術で判定した場合に、ある特定のポリヌク
レオチド配列に特有の配列と相補的または同一であることが可能である。示され
ている配列の特有性を判定する方法として、例えば、データバンク中の配列との
比較を用いることができる。配列が由来す
る領域には、特異的エピトープをコードする領域、ならびに非翻訳および/また
は非転写領域が含まれるが、これらに限定されるものではない。
該由来ポリヌクレオチドは、必ずしも、研究中の関心のあるヌクレオチド配列
に物理的に由来するとは限らず、該ポリヌクレオチドが由来する領域中の塩基配
列から得られる情報に基づく化学合成、複製、逆転写または転写を含む(これら
に限定されるものではない)任意の方法で生成させることが可能であろう。その
ような場合、それは、元のポリヌクレオチドのセンスまたはアンチセンス配向に
相当することが可能である。さらに、示されている配列の領域に対応する領域の
組合せを、意図する用途に適合するように、当該技術分野で公知の方法で修飾す
ることができる。
特定されているポリヌクレオチドの「断片」は、示されているヌクレオチド配
列の領域に対応する(すなわち、一致した又は相補的である)少なくとも約6ヌ
クレオチド、好ましくは少なくとも約8ヌクレオチド、より好ましくは少なくと
も約10〜12ヌクレオチド、より一層好ましくは少なくとも約15〜20ヌクレオチド
の連続した配列を含むポリヌクレオチド配列を意味
する。
「プライマー」なる語は、標的ヌクレオチド配列に相補的であり該標的ヌクレ
オチド配列にハイブリダイズさせるのに使用する特異的なオリゴヌクレオチド配
列を意味する。プライマーは、DNAポリメラーゼ、RNAポリメラーゼまたは逆転写
酵素により触媒されるヌクレオチドの重合の開始点として働く。
「プローブ」なる語は、相補的配列を含有するサンプル中に存在する特異的な
ポリヌクレオチドを同定するために使用しうる一定の核酸セグメント(またはヌ
クレオチド類似体セグメント、例えば、後記で定義するPNA)を意味する。
「コード(される)」は、ポリペプチド配列が核酸配列にコードされているこ
とを意味する(該ポリペプチドまたはその一部は、該核酸配列にコードされるポ
リペプチドからの少なくとも3〜5アミノ酸、より好ましくは少なくとも8〜10
アミノ酸、より一層好ましくは少なくとも15〜20アミノ酸のアミノ酸配列を含有
する)。また、該配列にコードされるポリペプチドで免疫学的に同定可能なポリ
ペプチド配列が含まれる。したがって、「ポリペプチド」、「タンパク質」また
は「アミノ酸」配列は、BS124アミノ酸配列に対して少なくとも約50%の同一性
、
好ましくは約60%の同一性、より好ましくは約75〜85%の同一性、最も好ましく
は約90〜95%以上の同一性を有する。さらに、BS124「ポリペプチド」、「タン
パク質」または「アミノ酸」配列は、BS124のポリペプチドまたはアミノ酸配列
に対して少なくとも約60%の類似性、好ましくは少なくとも約75%の類似性、よ
り好ましくは約85%の類似性、最も好ましくは約95%以上の類似性を有すること
が可能である。このアミノ酸配列は、配列番号22、配列番号24、配列番号25およ
びそれらの断片よりなる群から選ぶことが可能である。
本明細書では互換的に用いることがある「組換えポリペプチド」、「組換えタ
ンパク質」または「組換え技術により製造されたポリペプチド」なる語は、本来
的に又は操作により、天然で結合しているポリペプチドの全部または一部と結合
していないポリペプチド、および/または、天然で結合しているポリペプチド以
外のポリペプチドに結合しているポリペプチドを意味する。組換え又はコード化
ポリペプチドまたはタンパク質は、必ずしも、示されている核酸配列から翻訳さ
れるわけではない。それはまた、化学合成または組換え発現系の発現を含む任意
の方法で得ることが可能である。
本発明で用いる「合成ペプチド」なる語は、当業者によく知られている方法で
化学的に合成することが可能な、任意の長さのアミノ酸の重合形態を意味する。
これらの合成ペプチドは、種々の用途において有用である。
本発明で用いる「ポリヌクレオチド」なる語は、リボヌクレオチドまたはデオ
キシリボヌクレオチドの、任意の長さのヌクレオチドの重合形態を意味する。こ
の用語は、該分子の一次構造のみをさす。したがって、該用語は、二本鎖および
一本鎖のDNAならびに二本鎖および一本鎖のRNAを含む。また、それは、該ポリヌ
クレオチドのメチル化体またはキャップ形成体などの修飾体、および非修飾形態
を含む。「ポリヌクレオチド」、「オリゴマー」、「オリゴヌクレオチド」およ
び「オリゴ」は、本明細書中では互換的に用いる。
「cDNAに対応する配列」は、該配列が、示されているDNA中の配列と同一また
は相補的であるポリヌクレオチド配列を含有することを意味する。cDNAに対する
同一性または相補性の程度(または割合(%))は、約50%以上、好ましくは少
なくとも約70%以上、より好ましくは少なくとも約90%以上となろう。同定され
ているcDNAに対応する配列は、少なくとも約50ヌク
レオチド長、好ましくは少なくとも約60ヌクレオチド長、より好ましくは少なく
とも約70ヌクレオチド長となろう。関心のある遺伝子または遺伝子断片と該cDNA
との間の対応度は、当該技術分野で公知の方法により決定することができ、例え
ば、配列決定された物質と、記載されているcDNAとの直接比較、またはハイブリ
ダイゼーション、および一本鎖ヌクレアーゼによる消化、およびそれに続く、該
消化断片のサイズの測定を含む。
「精製(された)ポリヌクレオチド」は、該ポリヌクレオチドが天然で結合し
ているタンパク質を実質的に含まない(例えば、その約50%以上、好ましくは約
70%以上、より好ましくは約90%以上を含有しない)関心のあるポリヌクレオチ
ドまたはその断片を意味する。関心のあるポリヌクレオチドを精製するための技
術は、当該技術分野でよく知られており、例えば、ポリヌクレオチドを含有する
細胞をカオトロピック試薬で破壊すること、およびイオン交換クロマトグラフィ
ー、アフィニティークロマトグラフィーおよび密度に応じた沈降によるポリヌク
レオチドおよびタンパク質の分離を含む。
「精製(された)ポリペプチド」または「精製(された)タンパク質」は、関
心のあるポリペプチドが天然で結合している
細胞成分を実質的に含まない(例えば、その約50%以上、好ましくは約70%以上
、より好ましくは約90%以上を含有しない)関心のあるポリペプチドまたはその
断片を意味する。関心のあるポリペプチドを精製するための方法は、当該技術分
野で公知である。
「単離(された)」なる語は、該物質が、その元の環境(例えば、それが天然
に生じるものである場合には天然環境)から取り出されていることを意味する。
例えば、生きた動物中に存在する天然に生じるポリヌクレオチドまたはポリペプ
チドは、単離されていないが、天然系中の共存物質の一部または全部から分離さ
れている同じポリヌクレオチドまたはDNAまたはポリペプチドは、単離されてい
る。そのようなポリヌクレオチドがベクターの一部となることが可能であり、お
よび/または、そのようなポリヌクレオチドまたはポリペプチドが組成物の一部
となることが可能であり、それらもまた、該ベクターまたは組成物がその天然環
境の一部でないため単離されている。
「ポリペプチド」および「タンパク質」は、本明細書中では互換的に用い、共
有結合および/または非共有結合で結合したアミノ酸の分子鎖の少なくとも1つ
を示す。これらの用語は、
特定の長さの該産物を意味するものではない。したがって、ポリペプチドの定義
には、ペプチド、オリゴペプチドおよびタンパク質が含まれる。これらの用語は
、該ポリペプチドの翻訳後修飾、例えばグリコシル化、アセチル化、リン酸化な
どを含む。また、タンパク質断片、類似体、突然変異または変異タンパク質、融
合タンパク質などが、ポリペプチドの意義に含まれる。
特定されているポリペプチドの「断片」は、その特定されているポリペプチド
に由来する少なくとも約3〜5アミノ酸、より好ましくは少なくとも約8〜10ア
ミノ酸、より一層好ましくは少なくとも約15〜20アミノ酸を含むアミノ酸配列を
意味する。
「組換え宿主細胞」、「宿主細胞」、「細胞」、「細胞系」、「細胞培養」お
よび単細胞体として培養された微生物または高等真核細胞系を示す他のそのよう
な用語は、組換えベクターまたは他の導入DNAのレシピエントとして使用しうる
又は使用されている細胞を意味し、トランスフェクトされた元の細胞の初代後代
(original progeny)を含む。
本発明で用いる「レプリコン」は、細胞内でポリヌクレオチド複製の自律単位
として挙動するプラスミド、染色体、ウイルスなどの任意の遺伝要素を意味する
。
「ベクター」は、別のポリヌクレオチドセグメントが結合しているレプリコン
であり、例えば該結合セグメントの複製および/または発現を引き起こす。
「制御配列」なる語は、それが結合しているコード配列の発現を引き起こすた
めに必要なポリヌクレオチド配列を意味する。そのような制御配列の性質は、宿
主生物によって異なる。原核生物では、そのような制御配列は、一般に、プロモ
ーター、リボソーム結合部位およびターミネーターを含み、真核生物では、その
ような制御配列は、一般に、プロモーター、ターミネーター、および場合によっ
てはエンハンサーを含む。したがって、「制御配列」なる語は、発現するために
存在することを要する全成分を最低限含むと意図され、また、存在すれば有利で
ある追加的な成分(例えば、リーダー配列)を含むことが可能である。
「作動的に結合」は、記載されている成分が、それらの意図される様態で機能
しうる関係で存在している状況を意味する。したがって、例えば、コード配列に
「作動的に結合」している「制御配列」は、該制御配列に適合しうる条件下で該
コード配列の発現が達成されるように連結されている。
「オープンリーディングフレーム」または「ORF」は、ポリペプチドをコード
するポリヌクレオチド配列の領域を意味する。この領域は、コード配列の一部ま
たは全コード配列に相当する。
「コード配列」は、適当な調節配列の制御下に配置された場合に、mRNAに転写
されポリペプチドに翻訳されるポリヌクレオチド配列である。該コード配列の境
界は、5'末端の翻訳開始コドンと、3'末端の翻訳停止コドンとにより定められ
る。コード配列には、mRNA、cDNAおよび組換えポリヌクレオチド配列を含めるこ
とが可能であるが、これらに限定されるものではない。
「免疫学的に同定可能」なる語は、示されているポリペプチド中に存在しそれ
に特有なエピトープおよびポリペプチドの存在を意味する。免疫学的同一性は、
抗体結合および/または結合における競合により判定することができる。これら
の技術は、当業者に公知であり、本明細書にも記載されている。また、エピトー
プの特有性は、エピトープをコードするポリヌクレオチド配列に関するGenBank
などの公知データバンクのコンピューター検索により、また、他の公知タンパク
質とのアミノ酸配列の比較により判定することができる。
本発明で用いる「エピトープ」は、ポリペプチドまたはタン
パク質の抗原決定基を意味する。エピトープは、該エピトープに特有の空間コン
ホメーションにおいて3個のアミノ酸を含むことが可能である、と考えられる。
一般に、エピトープは、少なくとも5個のそのようなアミノ酸よりなり、通常、
それは、少なくとも8〜10個のアミノ酸よりなる。空間コンホメーションを調べ
る方法は、当該技術分野で公知であり、例えば、X線結晶解析および二次元核磁
気共鳴を含む。
「コンホメーションエピトープ」は、免疫学的に認識可能な構造のアミノ酸の
特異的な並置を含むエピトープであり、そのようなアミノ酸は、連続的または不
連続的な順序で同一ポリペプチド上に存在するか又は異なるポリペプチド上に存
在する。
ポリペプチド内に含有される特異的エピトープの抗体認識により該ポリペプチ
ドが抗体に結合する場合、該ポリペプチドは抗体に対して「免疫反応性」である
。免疫反応性は、抗体結合により、より詳しくは抗体結合の速度論により、およ
び/または、該抗体に対するエピトープを含有する公知ポリペプチドを競合体と
して用いる結合における競合により測定することができる。ポリペプチドが抗体
に対して免疫反応性であるか否かを判定する方法は、当該技術分野で公知である
。
本発明で用いる「関心のあるエピトープを含有する免疫原性ポリペプチド」は
、関心のある天然に生じるポリペプチドまたはその断片、および他の手段(例え
ば、化学合成、または組換え生物中での該ポリペプチドの発現)で製造されたポ
リペプチドを意味する。
「トランスフェクション」なる語は、原核性または真核性宿主細胞内に外因性
ポリヌクレオチドを導入することを意味し、その導入に用いる方法には無関係で
ある。「トランスフェクション」なる語は、ポリヌクレオチドの安定な導入およ
び一過性の導入の両方を意味し、ポリヌクレオチドの直接取込み、形質転換、形
質導入およびf接合を含む。外因性ポリヌクレオチドは、宿主細胞内に導入され
たら、非組込みレプリコン(例えば、プラスミド)として維持されることが可能
であり、あるいは宿主ゲノム内に組込まれることが可能である。
「治療」は、予防および/または療法を意味する。
本発明で用いる「個体」なる語は、脊椎動物、特に哺乳動物種のメンバーを意
味し、家畜、競技用動物、霊長類およびヒトを含むが、これらに限定されるもの
ではない。この用語は、特にヒトを意味する。
本発明で用いる「センス鎖」または「プラス鎖」(または「+」)なる語は、該
ポリペプチドをコードする配列を含有する核酸を意味する。「アンチセンス鎖」
または「マイナス鎖」(または「−」)は、「プラス」鎖の配列に相補的な配列
を含有する核酸を意味する。
「試験サンプル」なる語は、被検体(例えば、関心のある抗体または関心のあ
る抗原)の起源である個体の身体の成分を意味する。これらの成分は当該技術分
野でよく知られている。試験サンプルは、典型的には、標的配列を含有する疑い
のあるものである。試験サンプルは、当該技術分野でよく知られた方法により、
例えば、個体から試料を得、必要に応じて、それが含有するいずれかの細胞を破
壊して標的核酸を遊離させることにより調製することができる。これらの試験サ
ンプルには、本明細書に記載の本発明の方法により試験することができる生物学
的サンプルが含まれ、ヒトおよび動物の体液、例えば、全血、血清、血漿、脳脊
髄液、痰、気管支洗液、気管支吸引液、尿、リンパ液、および気道、腸管および
尿生殖路の種々の外分泌物、涙、唾液、乳、白血球、骨髄腫など;生物学的液体
、例えば、細胞培養上清;固定しうる組織試料;および固定しうる細胞試
料が含まれる。
「精製(された)産物」は、該産物が通常結合している細胞構成成分から、ま
た、関心のあるサンプル中に存在しうる他の型の細胞から単離されている産物の
調製物を意味する。
「PNA」は、標的の存在を判定するための本明細書に記載のアッセイなどの方
法で使用しうる「ペプチド核酸類似体」を意味する。「MA」は、標的の存在を判
定するための本明細書に記載のアッセイなどの方法で使用しうる「モルホリノ類
似体」を意味する。例えば、米国特許第5,378,841号を参照されたい。PNAは、RN
A標的またはDNAに指向しうる中性に荷電している部分である。例えば本発明のDN
Aプローブの代わりにアッセイで使用するPNAプローブは、DNAプローブを使用し
た場合には達成できない利点をもたらす。これらの利点には、製造可能性、大規
模標識、再現性、安定性、イオン強度の変化に対する不感受性、およびDNAまた
はRNAを用いる方法において存在する酵素分解に対する抵抗性が含まれる。これ
らのPNAは、フルオレセイン、放射性ヌクレオチド、化学発光性化合物などのシ
グナル生成化合物で標識(「結合」)することができる。したがって、DNAまた
はRNAの代わりに、PNAまたは他の核酸類似体、例えば
MAを、アッセイ方法において使用することができる。本明細書には、DNAプロー
ブを使用するアッセイが記載されているが、RNAまたはDNAの代わりにPNAまたはM
Aを使用し、必要に応じて、アッセイ試薬における適当な変更を加えることは、
当業者の技量の範囲内に含まれる。
本発明で用いる「被検体」は、試験サンプル中に存在する可能性かある検出す
べき物質である。該被検体は、天然に生じる特異的結合メンバー(例えば、抗体
)に対する物質、または特異的結合メンバーを与えうる任意の物質であることが
可能である。したがって、被検体は、アッセイにおいて1以上の特異的結合メン
バーに結合しうる物質である。また、「被検体」は、任意の抗原物質、ハプテン
、抗体およびそれらの組合せを含む。天然に生じる特異的結合パートナー(ペア
)を用いて(例えば、ビタミンB12を測定するために特異的結合ペアのメンバー
として内因子タンパク質を使用して、あるいは葉酸を測定するために葉酸結合タ
ンパク質を使用して、あるいは炭水化物を測定するために特異的結合ペアのメン
バーとしてレクチンを使用して)、該被検体を特異的結合ペアのメンバーとして
検出することができる。該被検体には、タンパク質、ポリペプチド、アミ
ノ酸、ヌクレオチド標的などを含めることができる。披検体は、血液、血液血漿
、血液血清、尿その他の体液中に可溶性である。被検体は、細胞表面上或いは細
胞内の何れかで組織中に存在し得る。被検体は、血液、尿、胸部吸引液(breast
aspirate)等の体液中に拡散している細胞又は生検サンプルとして得られた細
胞の表面上又は内部に存在し得る。
本発明で用いる「乳房の疾患」または「乳房疾患」または「乳房の状態」は、
異型過形成、線維腺腫、乳腺嚢胞症および癌を含む(これらに限定されるもので
はない)乳房の任意の疾患または状態を意味するものとして互換的に使用される
。
本発明で用いる「乳癌」は、上皮内導管癌、上皮内小葉性癌、浸潤性導管癌、
髄様癌、管状癌、粘液癌、浸潤性小葉性癌、浸潤性面飽癌および炎症様癌を含む
(これらに限定されるものではない)乳房の任意の悪性疾患を意味する。
「発現しているタグ配列」または「EST」は、組織から抽出されたmRNAの逆転
写およびそれに続くベクター内への挿入により作製されたcDNA挿入断片の部分配
列を意味する。
「転写産物イメージ」は、ライブラリー中のESTの量的分布を示す表または一
覧を意味し、該ライブラリーが由来する組織
内で活性な遺伝子を表す。
本発明は、特異的結合メンバーを使用するアッセイを提供する。本発明で用い
る「特異的結合メンバー」は、特異的結合ペアのメンバーである。すなわち、2
つの異なる分子のうちの一方が、化学的または物理的手段により、もう一方の分
子に特異的に結合する。したがって、一般的なイムノアッセイの抗原および抗体
特異的結合ペアに加えて、他の特異的結合ペアとして、ビオチンおよびアビジン
、炭水化物およびレクチン、相補的ヌクレオチド配列、エフェクターおよび受容
体分子、補因子および酵素、酵素阻害剤および酵素などを含めることができる。
さらに、特異的結合ペアには、元の特異的結合メンバーの類似体(例えば、類似
体)であるメンバーを含めることができる。免疫反応性特異的結合メンバーには
、組換えDNA分子により形成されたものを含む、抗原、抗原断片、抗体および抗
体断片(モノクローナルおよびポリクローナルの両方ならびにそれらの複合体)
が含まれる。
本発明で用いる「ハプテン」なる語は、抗体に結合する能力を有するが、担体
タンパク質に結合しない限り抗体形成を惹起する能力を有さない部分抗原または
非タンパク質結合メンバー
を意味する。
本発明で用いる「捕捉試薬」は、サンドイッチアッセイにおいては該被検体に
特異的な、あるいは競合アッセイにおいては指示試薬に特異的な、あるいは間接
アッセイにおいては補助的特異的結合メンバー(それ自体は、該被検体に特異的
である)に特異的な未標識の特異的結合メンバーを意味する。該アッセイの実施
前または該アッセイの実施中に、該捕捉試薬を固相材料に直接的または間接的に
結合させて、試験サンプルから固定化複合体を分離できるようにすることが可能
である。
「指示試薬」は、特異的結合メンバーにコンジュゲート(「結合」)している
、外的手段により検出可能な測定可能なシグナルを生成する能力を有し該シグナ
ルを生成する「シグナル生成化合物」(「標識」)を含む。該指示試薬は、特異
的結合ペアの抗体メンバーであることに加えて、ハプテン−抗ハプテン系(例え
ば、ビオチンまたは抗ビオチン、アビジンまたはビオチン、炭水化物またはレク
チン、相補的ヌクレオチド配列、エフェクターまたは受容体分子、酵素補因子お
よび酵素、酵素阻害剤または酵素など)を含む任意の特異的結合ペアのメンバー
となることも可能である。免疫反応性の特異的結合メンバーは、
サンドイッチアッセイにおける関心のあるポリペプチド、または競合アッセイに
おける捕捉試薬、または間接アッセイにおける補助的特異的結合メンバーのいず
れかに結合する能力を有する抗体、抗原または抗体/抗原複合体であることが可
能である。プローブおよびプローブアッセイを説明する場合に、「レポーター分
子」なる語を用いることがある。レポーター分子は、特異的結合ペアの特異的結
合メンバーに結合した前記のシグナル生成化合物(例えば、カルバゾールまたは
アダマンタン)を含む。
意図される種々の「シグナル生成化合物」(標識)には、発色性物質(chroma
gens)、触媒(例えば、酵素)、発光性化合物(例えば、フルオレセインおよび
ローダミン)、化学発光性化合物(例えば、ジオキセタン、アクリジニウム、フ
ェナントリジニウムおよびルミノール)、放射性要素および直視(direct visua
l)標識が含まれる。酵素には、例えば、アルカリホスファターゼ、ホースラデ
ィッシュペルオキシダーゼ、β-ガラクトシダーゼなどが含まれる。個々の標識
の選択は、決定的に重要ではないが、それ自体で又は1以上の追加的物質と共に
シグナルを生成する能力を有するものでなければならない。
「固相」(「固体支持体」)は、当業者に公知であり、反応トレーのウェル壁
、試験管、ポリスチレンビーズ、磁性または非磁性ビーズ、ニトロセルロース小
片、膜、微粒子(例えば、ラテックス粒子)、ヒツジ(または他の動物の)赤血
球および
可能な、ピルビン酸アルデヒドおよびホルムアルデヒドで「固定」された赤血球
)などを含む。「固相」は決定的に重要なものではなく、当業者であれば選択す
ることが可能である。例えば、ラテックス粒子、微粒子、磁性または非磁性ビー
ズ、膜、プラスチック管、マイクロタイターウェルの壁、ガラスまたはシリコン
チップ、ヒツジ(または他の適当な動物の)赤血球お
相上に固定化するための適当な方法には、イオン性、疎水性、共有結合相互作用
などが含まれる。本発明で用いる「固相」は、不溶性であるか又は後続の反応で
不溶性にすることが可能な任意の材料を意味する。固相は、捕捉試薬を誘引し固
定化するその固有能力に関して選択することができる。あるいは、固相は、捕捉
試薬を誘引し固定化する能力を有する追加的な受容体を保有することが可能であ
る。追加的な受容体には、捕捉試薬自体
とは反対に荷電した、あるいは捕捉試薬に結合した荷電物質とは反対に荷電した
荷電物質を含めることが可能である。あるいはまた、該受容体分子は、特異的結
合反応により捕捉試薬を固定化する能力を有し固相上に固定化(結合)されてい
る任意の特異的結合メンバーであることが可能である。該受容体分子は、アッセ
イの実施前またはアッセイの実施中に捕捉試薬が固相材料に間接的に結合するの
を可能にする。したがって、固相は、プラスチック、誘導プラスチック、磁性ま
たは非磁性金属、試験管のガラスまたはシリコン表面、マイクロタイターウェル
、シート、ビーズ、微粒子、チップ、ヒツジ(または他の適当な
あることが可能である。
検出抗体の接近を許容するのに十分な多孔性と、抗原を結合させる適当な表面
親和性とを有する、適当な任意の多孔性材料を、固相が含むことも可能であると
意図され、そのような場合も本発明の範囲内に含まれる。多孔性構造が一般に好
ましいが、水和化状態のゲル構造を有する材料も使用できる。そのような有用な
固体支持体には、ニトロセルロースおよびナイロンが含まれるが、これらに限定
されるものではない。本明細書に記載
のそのような多孔性固体支持体は、好ましくは、約0.01〜0.5mm、好ましくは約0
.1mmの厚さのシートの形態であると意図される。該孔径は、広範囲の値を取るこ
とが可能であり、好ましくは約0.025〜15ミクロン、特に好ましくは約0.15〜15
ミクロンである。そのような支持体の表面は、該支持体に対する抗原または抗体
の共有結合を引き起こす化学的方法により活性化することができる。しかしなが
ら、一般には、十分には理解されていない疎水性力による多孔性材料上での吸着
により、抗原または抗体の不可逆的結合を得る。他の適当な固体支持体は、当該
技術分野で公知である。
試薬
本発明は、関心のある乳房組織に由来しBS124と称されるポリヌクレオチド配
列、それにコードされるポリペプチド、これらのポリペプチドに特異的な抗体な
どの試薬を提供する。本発明はまた、開示されているポリヌクレオチドおよびこ
れらのポリヌクレオチドに相補的な核酸配列に由来するオリゴヌクレオチド断片
などの試薬を提供する。本発明のポリヌクレオチド、ポリペプチドまたは抗体を
使用して、乳房の疾患または状態(例えば、癌)の検出、診断、病期分類、モニ
ター、予後判定、予
防もしくは治療または素因の判定につながる情報を得ることができる。本明細書
に開示の配列は、遺伝子転写活性の特異的プロフィールを得るために又はアッセ
イで使用しうる特有のポリヌクレオチドを代表する。そのようなアッセイは、欧
州特許第0373203B1号および国際公開WO 95/11995に開示されている。
選択したBS124由来ポリヌクレオチドを、正常な又は改変された遺伝子発現の
検出のために本明細書に記載の方法で使用することができる。そのような方法で
は、BS124ポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチド、それらの断片もしくは
誘導体、またはそれらに相補的な核酸配列を使用することが可能である。
本明細書に開示のポリヌクレオチド、それらに相補的な配列、またはそれらの
いずれかの断片を、乳房組織の疾患または状態に関連した遺伝子、核酸、cDNAま
たはmRNAの検出、増幅または定量のためのアッセイで使用することができる。ま
た、それらを使用して、BS124ポリペプチドのコード領域の全部または一部を同
定することができる。さらに、それらは、アッセイ用のキットの形態で個々の容
器内に提供したり、あるいは個々の組成物として提供することができる。アッセ
イ用のキットで提供する場合には、緩衝液、結合体などの他の適当な試薬を含有
させることが可能である。
該ポリヌクレオチドは、RNAまたはDNAの形態であることが可能である。DNA、c
DNA、ゲノムDNA、核酸類似体および合成DNAの形態のポリヌクレオチドは、本発
明の範囲内に含まれる。該DNAは、二本鎖または一本鎖であることが可能であり
、一本鎖である場合には、コード(センス)鎖または非コード(アンチセンス)
鎖であることが可能である。該ポリペプチドをコードするコード配列は、本発明
で提供するコード配列と同一であることが可能であり、遺伝暗号の重複または縮
重の結果、本発明で提供するDNAと同じポリペプチドをコードする異なるコード
配列であることが可能である。
このポリヌクレオチドは、該ポリペプチドのコード配列のみを含んでいたり、
あるいは該ポリペプチドのコード配列と追加的なコード配列(例えば、リーダー
または分泌配列またはプロタンパク質配列)とを含んでいたり、あるいは該ポリ
ペプチドのコード配列(および所望により追加的なコード配列)と非コード配列
(例えば、該ポリペプチドのコード配列の5'および/または3'側の非コード配
列)とを含んでいることが可能である。
また、本発明は、ポリヌクレオチドの欠失、置換または付加
などの修飾を含有する変異ポリヌクレオチドと、該変異ポリヌクレオチド配列か
ら生じる任意のポリヌクレオチド修飾体を含む。また、本発明のポリヌクレオチ
ドは、本発明で提供するコード配列の天然に生じる対立遺伝子変異体であるコー
ド配列を有することが可能である。
さらに、該ポリペプチドのコード配列は、宿主細胞におけるポリペプチドの発
現および分泌を補助するポリヌクレオチド配列(例えば、細胞からのポリペプチ
ドの輸送を制御するための分泌配列として機能するリーダー配列)に、同じリー
ディングフレームで融合させることができる。リーダー配列を有するポリペプチ
ドはプレタンパク質であり、それは、該ポリペプチドを形成するために宿主細胞
により切断されるリーダー配列を有することが可能である。また、該ポリヌクレ
オチドは、該タンパク質と追加的な5'アミノ酸残基とを含むプロタンパク質を
コードすることが可能である。プロ配列を有するタンパク質は、プロタンパク質
であり、場合によっては、該タンパク質の不活性形態であることが可能である。
プロ配列が切断されると、活性タンパク質が残される。したがって、本発明のポ
リヌクレオチドは、タンパク質をコードしたり、あるいはプロ配列を有す
るタンパク質をコードしたり、あるいはプレ配列(リーダー配列)とプロ配列と
を有するタンパク質をコードすることが可能である。
また、本発明のポリヌクレオチドは、本発明のポリペプチドの精製を可能にす
るマーカー配列とインフレームで融合したコード配列を有することが可能である
。該マーカー配列は、細菌宿主の場合には、該マーカーと融合したポリペプチド
の精製をもたらすための、pQE-9ベクターにより供給されるヘキサヒスチジンタ
グであることが可能であり、あるいは例えば、哺乳動物宿主(例えば、COS-7細
胞系)を使用する場合には、該マーカー配列は赤血球凝集素(HA)タグであるこ
とが可能である。HAタグは、インフルエンザ血球凝集素タンパク質に由来するエ
ピトープに対応する。例えば、I.Wilsonら,Cell 37:767(1984)を参照されたい
。
ポリヌクレオチドと本発明で提供する配列との間で少なくとも50%、好ましく
は少なくとも70%、より好ましくは少なくとも90%の同一性があれば、該ポリヌ
クレオチドは該配列にハイブリダイズするとみなされるものと意図される。
本発明はまた、精製されたBS124ポリペプチドを使用して産
生された抗体であって、該ポリペプチドの少なくとも一部が、本発明が提供する
ポリヌクレオチドから選ばれるBS124ポリヌクレオチドにコードされることを特
徴とする抗体を提供する。これらの抗体は、試験サンプル中のBS124抗原の検出
のために本発明で提供する方法で使用することができる。試験サンプル中のBS12
4抗原の存在は、乳房の疾患または状態の存在を示す。該抗体はまた、治療目的
に使用することが可能であり、例えば、改変した又は異常な発現に関連した状態
におけるBS124ポリペプチドの活性の中和において使用することができる。
本発明はさらに、本発明で提供する推定アミノ酸配列を有するBS124ポリペプ
チド、ならびにそのようなポリペプチドの断片、類似体および誘導体に関する。
本発明のポリペプチドは、組換えポリペプチド、天然の精製ポリペプチドまたは
合成ポリペプチドであることが可能である。BS124ポリペプチドの断片、誘導体
または類似体は、該アミノ酸残基の1以上が同類アミノ酸残基または非同類アミ
ノ酸残基(好ましくは、同類アミノ酸残基)で置換されているものであることが
可能である。そのような置換アミノ酸残基は、遺伝暗号によりコードされていて
もコードされていなくてもよい。あるいはそれは、アミノ酸残基
の1以上が置換基を含むものであることが可能である。あるいはそれは、該ポリ
ペプチドが別の化合物(例えば、該ポリペプチドの半減期を増加させる化合物、
例えばポリエチレングリコール)に融合しているものであることが可能である。
あるいはそれは、追加的なアミノ酸(例えば、リーダーもしくは分泌配列、また
は該ポリペプチドの精製のために使用する配列、またはプロタンパク質配列)が
該ポリペプチドに融合しているものであることが可能である。そのような断片、
誘導体および類似体は、本発明の範囲内に含まれる。本発明のポリペプチドおよ
びポリヌクレオチドは、好ましくは、単離(好ましくは精製)された形態で提供
される。
したがって、本発明のポリペプチドは、天然に生じるポリペプチドのアミノ酸
配列と同じであるか又は1以上のアミノ酸の置換による小さな変異により異なる
アミノ酸配列を有することが可能である。該変異は、典型的には、約1〜5アミ
ノ酸の範囲の「同類変化」であることが可能であり、この場合、該置換アミノ酸
は、類似した構造的または化学的特性を有する(例えば、ロイシンからイソロイ
シンへの置換またはトレオニンからセリンへの置換)。これに対して、変異には
、非同類変化(例えば、
グリシンからトリプトファンへの置換)を含めることができる。また、類似した
小さな変異には、アミノ酸の欠失または挿入またはそれらの両方を含めることが
できる。生物学的または免疫学的活性の変化を引き起こさずに置換し挿入し又は
欠失させるアミノ酸の種類および個数を決定する際の指針は、当該技術分野でよ
く知られているコンピュータープログラム、例えばDNASTARソフトウェア(DNAST
AR Inc.,Madison WI)を用いて得ることができる。
本発明のポリヌクレオチド配列に従い構築したプローブを、種々のタイプの分
析を行なうための種々のアッセイ方法で使用することができる。例えば、そのよ
うなプローブは、染色体分析を行なうために蛍光in situハイブリダイゼーショ
ン(FISH)技術で使用することが可能であり、また、染色体の広がりから認めら
れるか又はPCR産生および/または対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドプロー
ブ、対立遺伝子特異的増幅を用いて若しくは直接シークエンス法により検出可能
な欠失または転座などの染色体中の癌特異的構造改変を同定するために使用する
ことができる。また、プローブは、放射性同位体、直接的または間接的に検出可
能なハプテン、または蛍光性分子で標識するこ
とができ、組織試料または細胞中のポリヌクレオチドを含む遺伝子のmRNA発現を
評価するためのin situハイブリダイゼーション研究で使用することができる。
また、本発明は、本発明で提供するポリヌクレオチドおよびポリペプチドの製
造に関する教示を提供する。
プローブアッセイ
試験サンプル中の核酸の検出のためのアッセイで使用しうるプローブを得るた
めに、本発明で提供する配列を使用することができる。該プローブは、関心のあ
るポリヌクレオチドの保存ヌクレオチド領域から、または関心のあるポリヌクレ
オチドの非保存ヌクレオチド領域から設計することができる。アッセイの最適化
のためのそのようなプローブの設計は、当業者の技量の範囲内である。一般には
、最大の特異性を望む場合には、非保存領域またはユニーク領域から核酸プロー
ブを得、例えば多遺伝子ファミリーの異なるメンバーに密接に関連しているヌク
レオチド領域またはマウスおよびヒトなどの関連種におけるヌクレオチド領域に
関してアッセイする場合には、保存領域から核酸プローブを得る。
ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)は、核酸中またはその混合物中
に含有されている所望の核酸配列(標的)を増幅するための技術である。PCRで
は、一対のプライマーを過剰に使用して、標的核酸の相補鎖とハイブリダイズさ
せる。標的核酸を鋳型として使用して、該プライマーのそれぞれをポリメラーゼ
により伸長させる。該伸長産物は、元の標的鎖から解離した後、それ自体が標的
配列となる。ついで新たなプライマーをハイブリダイズさせ、ポリメラーゼによ
り伸長させ、このサイクルを繰返して、標的配列分子の数を幾何級数的に増加さ
せる。PCRは、米国特許第4,683,195号および第4,683,202号に開示されている。
リガーゼチェイン反応(LCR)は、核酸の増幅のためのもう1つの方法である
。LCRでは、2個の一次(第1および第2)プローブと2個の二次(第3および
第4)プローブとを含むプローブペアを使用し、それらはすべて、標的に対して
過剰モルで使用する。第1プローブを標的鎖の第1セグメントにハイブリダイズ
させ、第2プローブを標的鎖の第2セグメントにハイブリダイズさせる。該一次
プローブが5'リン酸−3'ヒドロキシルの関係で互いに隣接するよう、また、リ
ガーゼがそれらの2個のプローブを融合産物に共有的に融合または連結させるこ
とが可能となるよう、第1セグメントと第2セグメントとは隣接して
いる。さらに、第3(二次)プローブは第1プローブの一部にハイブリダイズす
ることが可能であり、第4(二次)プローブは、同様の隣接様態で第2プローブ
の一部にハイブリダイズすることが可能である。勿論、該標的が最初に二本鎖で
ある場合は、二次プローブは、最初の標的の相補体にもハイブリダイズすること
になる。一次プローブのライゲーションした鎖が標的鎖から分離すると、それは
第3および第4プローブにハイブリダイズすることになり、それらはライゲーシ
ョンされて相補的な二次ライゲーション産物を形成しうる。該ライゲーション産
物が標的またはその相補体のいずれかと機能的に等価であると認識することが重
要である。ハイブリダイゼーションとライゲーションとの反復サイクルにより、
標的配列の増幅が達成される。この技術は、1989年6月16日付け公開のK.Backm
anのEP-A-320 308および1991年7月31日付け公開のK.BackmanらのEP-A-439 182
に更に詳しく記載されている。
mRNAの増幅の場合には、mRNAをcDNAに逆転写し、ついでポリメラーゼ連鎖反応
を行なうこと(RT-PCR)、あるいは米国特許第5,322,770号に記載されていると
おり、両工程で単一の酵素を使用すること、あるいはR.L.Marshallら,PCR Met hods and Applications
4:80-84(1994)に記載のとおり、mRNAをcDNAに逆転写し、ついで不
斉ギャップリガーゼチェイン反応を行なうこと(RT-AGLCR)が、本発明の範囲内
に含まれる。
本発明で使用しうる他の公知増幅方法には、J.C Guatelliら,PNAS USA 87:18
74-1878(1990)およびJ Compton,Nature 350(No 6313):91-92(1991)に記載の
いわゆる「NASBA」または「3SR」技術、欧州特許出願公開(EPA)第4544610号に記
載のQ-β増幅、鎖置換増幅(strand displacement amplification)(G.T.Walker
ら,Clin .Chem.42:9-13(1996)および欧州特許出願第684315号に記載)、およ
び国際公開WO 93/22461に記載の標的媒介増幅(target mediated amplification
)が含まれるが、これらに限定されるものではない。
BS124の検出は、当該技術分野で現在よく知られている検出方法および将来現
れうる検出方法を含む適当な任意の検出方法を用いて行なうことができる。例え
ば、米国特許第5,582,989号および5,210,015号を参照されたい。そのような検出
方法には、例えば、標的増幅方法およびシグナル増幅技術が含まれる。現在公知
の検出方法には、例えば、PCR、LCR、NASBA、SDA、RCRおよびTMAと称される核酸
増幅技術が含まれるであろう。例え
ば、Caskeyら,米国特許第5,582,989号およびGelfandら,米国特許第5,210,015
号を参照されたい。また、Snitmanら,米国特許第5,273,882号などに開示されて
いるシグナル増幅を用いて、検出を行なうことができる。標的またはシグナルの
増幅が現在では好ましいが、増幅を必要としない超高感度の検出方法を本発明で
使用することが可能であると考えられ、本発明の範囲内に含まれる。
種々の不均一または均一な検出様式を用いて、増幅型または非増幅型の両方の
検出を(組合せて)行なうことができる。不均一検出様式の具体例は、Snitman
ら,米国特許第5,273,882号、Albarellaら,EP-84114441.9、Urdeaら,米国特許
第5,124,246号、Ullmanら,米国特許第5,185,243号およびKouriskyら,米国特許
第4,581,333号に開示されている。均一検出様式の具体例は、Caskeyら,米国特
許第5,582,989号、Gelfandら,米国特許第5,210,015号に開示されている。また
、ハイブリダイゼーションアッセイにおける複数のプローブの使用(その使用に
より、BS124シグナルの感度および増幅が改善される)が意図され、本発明の範囲
内に含まれる。例えば、Caskeyら,米国特許第5,582,989号およびGelfandら,米
国特許第
5,210,015号を参照されたい。
1つの実施態様では、本発明は、一般に、標的ポリヌクレオチド配列を含有す
る疑いのある試験サンプルを、アンプリコン配列の内部領域にハイブリダイズし
うる検出プローブと増幅プライマーとを含む増幅反応試薬と接触させる工程を含
む。本発明で提供する方法に従い使用するプローブおよびプライマーは、捕捉標
識および検出標識で標識し、この場合、プローブは1つのタイプの標識で標識し
、プライマーは別のタイプの標識で標識する。さらに、プライマーおよびプロー
ブは、該プローブ配列が、該プライマー配列より低い融解温度を有するように選
択する。増幅試薬、検出試薬および試験サンプルは、標的配列の存在下で該標的
配列のコピー(アンプリコン)を産生させる増幅条件下に配置する。通常の場合
、プライマーは標的配列とその相補的鎖とを増幅するように与えられるため、該
アンプリコンは二本鎖である。ついで該二本鎖アンプリコンを熱変性させて、一
本鎖アンプリコンメンバーを得る。該一本鎖アンプリコンメンバーが形成したら
、該プローブと一本鎖アンプリコンメンバーとの複合体の形成が可能となるよう
に該混合物を冷却する。
該一本鎖アンプリコン配列およびプローブ配列を冷却するにつれて、該プロー
ブ配列は該一本鎖アンプリコンメンバーに優先的に結合する。該プローブ配列が
、一般に、該プライマー配列より短くなるように選択され、したがって該プライ
マーより低い融解温度を有すると仮定すると、この知見は反直感的なものである
。したかって、該プライマーにより産生されるアンプリコンの融解温度も、該プ
ローブより高い融解温度を有するはずである。したがって、該混合物が冷却する
につれて、二本鎖アンプリコンの再形成が予想されるであろう。しかしながら、
前記のとおり、それはこの場合には当てはまらない。該プローブは、該一本鎖ア
ンプリコンメンバーに優先的に結合することが判明している。さらに、このよう
なプローブ/一本鎖アンプリコン結合の優先性は、該プライマー配列を該プロー
ブに対して過剰に加えた場合にも存在する。
該プローブ/一本鎖アンプリコンメンバーのハイブリッドが形成した後、それ
らを検出する。該プライマーおよびプローブ上に存在する検出標識および捕捉標
識を使用して該ハイブリッドを検出するには、標準的な不均一アッセイ様式が適
している。該ハイブリッドを、該捕捉標識により固相試薬に結合させ、該
検出標識により検出することが可能である。該検出標識が直接的に検出可能な場
合には、検出可能なシグナルを該標識に生成させ、必要に応じて該シグナルを検
出することにより、該固相上のハイブリッドの存在を検出することができる。該
標識が直接的に検出されない場合には、直接的に検出可能な標識に結合した結合
メンバーを一般に含む結合体と該捕捉ハイブリッドとを接触させることが可能で
ある。該結合体が該複合体に結合するようになり、該複合体上の結合体の存在を
、その直接的に検出可能な標識で検出することができる。このようにして、固相
試薬上のハイブリッドの存在を判定することができる。ハイブリダイズしていな
いアンプリコンまたはプローブおよび未結合結合体を洗い落とすために洗浄工程
を実施しうる、と当業者に認識されるであろう。
標的配列は一本鎖として記載されているが、標的配列が実際には二本鎖であり
、増幅プライマー配列とのハイブリダイゼーションの前に、該標的配列がその相
補体から分離されるにすぎない場合も含むと意図される。この方法においてPCR
を用いる場合には、通常は、標的配列の末端が既知である。好ましい方法におい
てLCRまたはその変法を用いる場合には、通常は、全
標的配列が既知である。典型的には、標的配列は、RNA、DNAなどの核酸配列であ
る。
本発明で提供する方法は、熱サイクル反応混合物を含む良く知られた増幅反応
において、特にPCRおよびギャップLCR(GLCR)において用いることができる。増
幅反応では、典型的には、標的核酸配列(該標的配列は、通常、より一層大きな
核酸配列の小さな領域である)のコピーを反復的に産生させるためにプライマー
を使用する。プライマー自体は、標的配列の領域に相補的な核酸配列である。増
幅条件下、これらのプライマーは、標的配列の相補的領域にハイブリダイズまた
は結合する。標的配列のコピーは、典型的には、該ハイブリダイゼーションプラ
イマーにヌクレオチドを加え及び/又は隣接プローブ対をライゲーションするた
めにポリメラーゼまたはリガーゼ活性を有する酵素を別々に又は組合せて用いる
プライマー伸長および/またはライゲーションの過程により生じる。単量体また
は予め生成したオリゴマーとしてプライマーまたはプローブに加えるヌクレオチ
ドもまた、標的配列に相補的である。プライマーまたはプローブが、十分に伸長
し及び/又はライゲーションしたら、例えば、相補的核酸鎖が解離する温度であ
る「融解温度」
まで該反応混合物を加熱することにより、それらを標的配列から分離する。この
ようにして、標的配列に相補的な配列が形成する。
ついでいずれかの二本鎖配列を分離して、プライマーまたはプローブがそれら
の各々の標的にハイブリダイズするのを可能にし、ハイブリダイズしたプライマ
ーまたはプローブを伸長および/またはライゲーションさせ、再分離することに
より、標的配列数を更に増幅するために、新たな増幅サイクルを行なうことがで
きる。増幅サイクルにより産生される相補的配列は、標的配列数を更に増幅する
ためにプライマーを伸長させるため又は2個のプローブのギャップを埋めるため
の鋳型として働くことが可能である。典型的には、反応混合物を20〜100サイク
ルに付す。より典型的には、反応混合物を25〜50サイクルに付す。サイクル数の
決定は、当業者において可能である。このようにして、多コピーの標的配列およ
びその相補的配列を得る。したがって、プライマーが増幅条件下に存在する場合
には、該プライマーが標的配列の増幅を開始させる。
一般には、PCRにおいては、標的鎖の一部とその相補体とに相補的な2個のプ
ライマーを使用する。LCRでは、一般に、4個
のプローブ(そのうちの2個は標的配列に相補的であり、残りの2個は、同様に
、標的の相補体に相補的である)を使用する。前記のプライマーセットおよび酵
素に加えて、核酸増幅反応混合物は、よく知られている他の試薬を含むことも可
能であり、それらには、酵素補因子(例えば、マンガン)、マグネシウム塩、ニ
コチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)、およびデオキシヌクレオチド三
リン酸(dNTP)(例えば、デオキシアデニン三リン酸、デオキシグアニン三リン
酸、デオキシシトシン三リン酸およびデオキシチミン三リン酸)が含まれるが、
これらに限定されるものではない。
増幅プライマーは標的配列の増幅を開始させるが、検出(またはハイブリダイ
ゼーション)プローブは増幅に関与しない。検出プローブは、一般に、核酸配列
または非荷電核酸類似体、例えば、国際公開WO 92/20702に開示されているペプ
チド核酸、米国特許第5,185,444号、第5,034,506号および第5,142,047号に記載
されているモルホリノ類似体などである。該プローブが担持する標識のタイプに
応じて、増幅反応により生じるアンプリコンの捕捉または検出に、該プローブを
使用する。該プローブは標的配列の増幅に関与せず、したがって、追加的なdNTP
を該プローブに加えることができない点で該プローブを「伸長不可能」なものと
する必要があるかもしれない。通常、類似体自体はもともと伸長不可能である。
核酸プローブは、該プローブの3'末端を修飾してヒドロキシル基がもはや伸長
に関与できなくなるようにすることにより、伸長不可能にすることが可能である
。例えば、該プローブの3'末端を捕捉または検出標識で官能基化して、ヒドロ
キシル基を消費させるか又は保護する。あるいは、3'ヒドロキシル基を単に切
断し、置換し又は修飾することが可能である。1993年4月19日付け出願の米国特
許出願第07/049,061号には、プローブを伸長不可能にするのに使用しうる修飾が
記載されている。
プローブに対するプライマーの比は、重要ではない。したがって、プローブま
たはプライマーのいずれかを過剰に反応混合物に加えて、一方の濃度を他方の濃
度より大きくすることが可能である。あるいは、プライマーおよびプローブを同
等の濃度で使用することができる。しかしながら、好ましくは、プローブに対し
て過剰のプライマーを反応混合物に加える。したがって、プライマー対プローブ
の比は、例えば5:1であり、20:1が好ましい。
プライマーおよびプローブの長さは様々となることが可能であるが、プローブ
配列がプライマー配列より低い融解温度を有するように、プローブ配列を選択す
る。したがって、プライマー配列は、一般に、プローブ配列より長い。典型的に
は、プライマー配列は、20〜50ヌクレオチド長の範囲であり、より典型的には、
20〜30ヌクレオチド長の範囲である。典型的なプローブは、10〜25ヌクレオチド
長の範囲である。
プライマーおよびプローブを合成するための種々の方法が、当該技術分野でよ
く知られている。同様に、プライマーまたはプローブに標識を結合させるための
方法も、当該技術分野でよく知られている。例えば、通常のヌクレオチドホスホ
ルアミジット化学と、Applied Biosystems,Inc.(Foster City,CA)、DuPont(
Wilmington,DE)または、Milligen(Bedford MA)から入手可能な装置とを用い
て、所望の核酸プライマーまたはプローブを合成するのが、常套手段である。本
発明のプライマー、プローブなどのオリゴヌクレオチドを標識するための多数の
方法が、既に記載されている。Enzo Biochemical(New York,NY)およびClonte
ch(Palo Alto,CA)は共に、プローブ標識技術を記載し、商業化している。例
えば、3'-Amin-ON CPGTM(Clontech,
Palo Alto,CA)を使用して、第一級アミンを3'オリゴ末端に
(Clontech)を使用して、第一級アミンを5'オリゴ末端に結合させることがで
きる。通常の活性化および結合の化学的方法を用いて、該アミンを種々のハプテ
ンと反応させることができる。また、1990年12月11日付け出願の同時係属米国特
許出願第625,566号および1990年12月20日付け出願の第630,908号は、それぞれ5
'および3'末端でプローブを標識するための方法を教示している。1992年6月25
日付け公開の国際公開WO92/10505および1992年7月9日付け公開のWO92/11388は
、それぞれ5'および3'末端でプローブを標識するための方法を教示している。
オリゴヌクレオチドを標識するための1つの公知方法では、標識-ホスホルアミ
ジット試薬を調製し使用して、該標識をオリゴヌクレオチドに、その合成中に付
加する。例えば、N.T Thuongら,Tet .Letters 29(46):5905-5908(1988)またはJ
.S.Cohenら,公開米国特許出願第07/246,688号(NTIS ORDER No.PAT-APPL-7-2
46,688)(1989)を参照されたい。好ましくは、プローブは、その3'および5'末
端で標識する。
捕捉標識は、プライマーまたはプローブに結合させる。該捕
捉標識は、固相試薬の特異的結合メンバーと結合ペアを形成する特異的結合メン
バーであることが可能である。プライマーまたはプローブ自体が捕捉標識として
機能しうると理解されるであろう。例えば、固相試薬の結合メンバーが核酸配列
である場合には、それは、プライマーまたはプローブの相補的部分に結合して該
プライマーまたはプローブを固相に固定化するように選択することができる。プ
ローブ自体が結合メンバーとして機能する場合には、該プローブは、一本鎖アン
プリコンメンバーに相補的でない配列または「テイル」を含有する、と当業者に
認識されるであろう。プライマー自体が捕捉標識として機能する場合には、該プ
ライマーの少なくとも一部は、固相上の核酸に自由にハイブリダイズすることが
できるであろう。なぜなら、該プローブは、プライマー配列に対して完全には相
補的とならないように選ばれるからである。
一般に、不均一系イムノアッセイを行なうために一般的に用いる技術を用いて
、プローブ/一本鎖アンプリコンメンバー複合体を検出することができる。好ま
しくは、この実施態様では、
Park,IL)装置で用いるプロトコールに従い、検出を行なう。
試験サンプルを一対のプライマーと接触させ、増幅を行ない、ハイブリダイゼ
ーションプローブを加え、検出を行なう典型的なPCRアッセイにおいて、本明細
書に開示するプライマーおよびプローブは有用である。
本発明が提供するもう1つの方法は、試験サンプルを複数のポリヌクレオチド
(少なくとも1つのポリヌクレオチドは、本明細書に記載のBS124分子である)
と接触させ、該試験サンプルを複数のポリヌクレオチドにハイブリダイズさせ、
ハイブリダイゼーション複合体を検出することを含む。ハイブリダイゼーション
複合体を同定し、定量して、乳房組織の疾患(例えば、乳癌)を示すプロフィー
ルを集める。さらに、発現されたRNA配列を、逆転写と、ポリメラーゼ連鎖反応
(PCR)などの当該技術分野でよく知られている方法によるDNAの増幅とにより検
出することができる。
薬物のスクリーニングおよび遺伝子治療
本発明はまた、本発明のポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドなどのア
ンチセンスBS124由来分子を、乳房組織の疾患または状態(特に、乳癌)に関連
したポリヌクレオチドの異常な発現に関連した状態を有する患者内に導入するた
めの、遺
伝子治療方法の用途を含む。アンチセンスRNAおよびDNA断片ならびにリボザイム
を含むこれらの分子は、BS124-mRNAの翻訳を抑制するように設計し、BS124ポリ
ヌクレオチドの改変された又は異常な発現に関連した状態の治療において治療的
に使用することができる。
あるいは、前記のオリゴヌクレオチドを、当該技術分野で公知の方法で細胞に
運搬して、該アンチセンスRNAまたはDNAをインビボで発現させて、前記のとおり
にBS124ポリペプチドの産生を抑制することが可能である。したがって、BS124ポ
リヌクレオチドに対するアンチセンス構築物は、BS124転写産物の作用を逆転さ
せ、乳房組織の病態(例えば、乳癌)の治療に使用することができる。また、こ
れらのアンチセンス構築物は、腫瘍転移を治療するために使用することができる
。
本発明はまた、BS124ポリペプチドに特異的に結合する少なくとも1つの化合
物を同定するために、BS124ポリペプチドまたはその任意の断片に対する特異的
結合に関して複数の化合物をスクリーニングする方法を提供する。そのような方
法は、少なくとも1つの化合物を準備し、結合を許容するのに十分な時間、適当
な条件下でBS124ポリペプチドと各化合物とを一緒に
し、各化合物に対する該BS124ポリペプチド結合を検出する工程を含む。
そのような試験で使用するポリペプチドまたはペプチド断片は、溶液中で遊離
していることも、固相に固定されていることも、細胞表面上に担持されているこ
とも、あるいは細胞内に局在していることも可能である。1つのスクリーニング
方法では、該ポリペプチドまたはペプチド断片を発現しうる組換え核酸で安定に
トランスフェクトされた真核性または原核性宿主細胞を使用する。そのようなト
ランスフェクト化細胞に対して競合結合アッセイにおいて、薬物、化合物または
他の任意の物質をスクリーニングすることができる。例えば、ポリペプチドと被
検体との複合体の形成は、生存細胞または固定細胞のいずれかにおいて測定する
ことができる。
したがって、本発明は、BS124に関連した疾患を治療するために使用しうる薬
物、化合物または他の任意の物質に関してスクリーニングする方法を提供する。
これらの方法は、該物質をポリペプチドまたはその断片と接触させ、該物質と該
ポリペプチドとの複合体の存在に関して、または該ポリペプチドと該細胞との複
合体の存在に関してアッセイすることを含む。競合的
結合アッセイにおいては、典型的には、該ポリペプチドを標識する。適当なイン
キュベーションの後、遊離(または未複合体化)ポリペプチドまたはその断片を
、結合形態で存在するポリペプチドまたはその断片から分離し、遊離または未複
合体化標識の量を、その個々の物質が該ポリペプチドに結合する又はポリペプチ
ド/細胞複合体を妨害する能力の尺度として用いる。
本発明はまた、ポリペプチドに結合する能力を有する中和抗体を、該ポリペプ
チドまたはその断片に対する結合に関して試験剤と特異的に競合させる競合的ス
クリーニングアッセイの用途を含む。このようにして、本発明で提供するBS124
ポリペプチドと1以上の抗原決定基を共有する、試験サンプル中のいずれかのポ
リペプチドの存在を検出するために、該抗体を使用することができる。
もう1つの物質スクリーニング方法は、本明細書に開示するBS124の少なくと
も1つのポリペプチドに対して適当な結合親和性を有する化合物に関する高処理
量のスクリーニングをもたらす。簡単に説明すると、多数の異なる小さなペプチ
ド試験化合物を、例えば、プラスチックピンまたは他の何らかの表面などの固相
上で合成する。該ペプチド試験化合物を、ポリペプチ
ドと反応させ、洗浄する。そのように固相に結合しているポリペプチドを、当該
技術分野でよく知られている方法で検出する。また、本明細書に記載のスクリー
ニング方法で使用するために、精製ポリペプチドをプレート上に直接コーティン
グすることができる。さらに、非中和抗体を使用して、該ポリペプチドを捕捉し
、それを固相上に固定化することができる。例えば、1984年9月13日付け公開の
EP 84/03564を参照されたい。
合理的な薬物設計の目標は、関心のある生物学的に活性なポリペプチドの又は
小分子の構造類似体(それらが相互作用するアゴニスト、アンタゴニストまたは
阻害剤を含む)を得ることである。また、そのような構造類似体を使用して、該
ポリペプチドのより活性な又は安定な形態である又はポリペプチドの機能をイン
ビボで増強または阻害する薬物を設計することができる(J.Hodgson,Bio/Tech nology
9:19-21(1991))。
例えば、1つのアプローチでは、ポリペプチドまたはポリペプチド−阻害剤複
合体の三次元構造を、X線結晶解析、コンピューターモデリングまたは最も一般
的にはそれらの2つのアプローチの組合せにより決定する。該ポリペプチドのの
構造を解明し、その活性部位を決定するためには、該ポリペプチドの形
状および電荷の両方を確認しなければならない。該ポリペプチドの構造に関する
有用な情報が、同種タンパク質の構造に基づくモデリングにより得られることは
、それほど多くない。どちらの場合も、関連した構造情報を用いて、類似したポ
リペプチド様分子を設計したり、あるいは効率的な阻害剤を同定する。
合理的な薬物設計の有用な具体例には、S.Braxtonら,Biochemistry 31:7796
-7801(1992)に示されているとおり、改善された活性または安定性を有する分子
、またはS.B.P.Athaudaら,J .Biochem.(Tokyo)113(6):742-746(1993)に示され
ているとおり、天然ペプチドの阻害剤、アゴニストまたはアンタゴニストとして
作用する分子を含めることができる。
また、前記のアッセイにより選択された標的特異的抗体を単離し、ついでその
結晶構造を決定することが可能である。原則として、このアプローチは、後続の
薬物設計の基礎となりうるファーマコフォア(pharmacophore)を与える。さら
に、機能的な薬理学的に活性な抗体に対する抗イディオタイプ抗体(「抗id」)
を産生させることにより、タンパク質の結晶解析を全く行なわないで済ませるこ
とが可能である。抗idの結合部位は、鏡像の鏡像として、もとの受容体の類似体
となる。したがって、
抗idを使用して、化学的または生物学的に得られたペプチドのバンクからペプチ
ドを同定し、単離することができる。ついで、単離されたペプチドは、ファーマ
コフォア(すなわち、原型(prototype)医薬)として機能することが可能であ
る。
X線結晶解析などの分析的研究を行なうのに十分な量の本発明の組換えポリペ
プチドを入手可能とすることができる。さらに、本発明で提供する核酸配列から
導き出すことができる該ポリペプチドのアミノ酸配列の知見は、X線結晶解析の
代わりに又はそれに加えてコンピューターモデリング技術を用いる者に指針を与
えるであろう。
さらに、BS124ポリペプチドに特異的な抗体(例えば、抗BS124抗体)を使用して
、該ポリペプチドに対する結合により該ポリペプチドの生物学的作用を阻害する
ことができる。このようにして、該抗体を、例えば、乳癌およびその転移を含む
乳房組織疾患を治療するための療法において使用することができる。
さらに、そのような抗体は、試験サンプル中のBS124ポリペプチドの存在また
は不存在を検出することができ、したがって乳房組織の疾患または状態(特に、
乳癌)の診断のための診断マーカーとして有用である。また、そのような抗体は
、乳房組
織の病態(例えば、乳癌)に関する診断マーカーとして機能しうる。本発明はま
た、本発明のポリペプチドのアンタゴニストおよび阻害剤に関する。該アンタゴ
ニストおよび阻害剤は、該ポリペプチドの機能を阻害または除去するものである
。したがって、例えば、アンタゴニストは、本発明のポリペプチドに結合し、そ
の機能を阻害または除去しうる。該アンタゴニストは、例えば、BS124ポリペプ
チドに結合することによりBS124ポリペプチドの活性を除去するポリペプチドに
対する抗体であることが可能であろう。場合によっては、該アンタゴニストは、
オリゴヌクレオチドであることが可能である。小分子阻害剤には、例えば、小さ
なペプチドまたはペプチド様分子が含まれるが、これらに限定されるものではな
い。
該アンタゴニストおよび阻害剤は、食塩水、緩衝化食塩水、デキストロース、
水、グリセロール、エタノールおよびそれらの組合せを含む(これらに限定され
るものではない)医薬上許容される担体と共に組成物として使用することができ
る。BS124ポリペプチド阻害剤の投与は、好ましくは、全身投与である。本発明
はまた、そのようなポリペプチドの作用を阻害する抗体を提供する。
アンチセンス技術を用いて、三重らせんの形成またはアンチセンスDNAもしく
はRNAにより遺伝子発現を減少させることができ、それらの方法は共に、DNAまた
はRNAに対するポリヌクレオチドの結合に基づく。例えば、本発明のポリペプチ
ドをコードするポリヌクレオチド配列の5'コード部分を用いて、10〜40塩基対
長のアンチセンスRNAオリゴヌクレオチドを設計する。DNAオリゴヌクレオチドは
、転写に関与する遺伝子の領域に相補的であることにより転写およびBS124ポリ
ペプチドの産生を妨げるように設計する。三重らせんに関しては、例えば、Lee
ら,Nuc.Acids Res,6:3073(1979);Cooneyら,Science 241:456(1988)およびDerv
anら,Science 251:1360(1991)を参照されたい。該アンチセンスRNAオリゴヌク
レオチドは、インビボでmRNAにハイブリダイズし、mRNA分子からBS124ポリペプ
チドへの翻訳を遮断する。アンチセンスに関しては、例えば、Okano,J .Neuroc hem
,56:560(1991)および“Oligodeoxynucleotides as Antisense Inhibitors o
f Gene Expression”,CRC Press,Boca Raton,Fla.(1988)を参照されたい。
アンチセンスオリゴヌクレオチドは、ヌクレオチド切断に対して該分子を抵抗性
にする人工的ヌクレオチド間結合を含有するように修飾されている場
合に、より大きな効力で作用する。そのような人工的ヌクレオチド間結合には、
メチルホスホナート、ホスホロチオラートおよびホスホロアミダートヌクレオチ
ド間結合が含まれるが、これらに限定されるものではない。
組換え技術
本発明は、本発明のBS124ポリヌクレオチドを含んでなる宿主細胞および発現
ベクター、およびそれがコードするポリペプチドの製造法を提供する。そのよう
な製造法は、BS124ポリヌクレオチドの発現に適した条件下で該宿主細胞を培養
し、該細胞培養からBS124ポリヌクレオチドを回収することを含む。
本発明はまた、本発明のBS124ポリヌクレオチドを含むベクター、本発明のベ
クターで遺伝的に操作された宿主細胞、および組換え技術による本発明のポリペ
プチドの製造を提供する。
宿主細胞は、クローニングベクターまたは発現ベクターであることが可能な本
発明のベクターで遺伝的に操作する(トランスフェクト、形質導入または形質転
換する)。該ベクターは、プラスミド、ウイルス粒子、ファージなどの形態であ
ることが可能である。操作された宿主細胞は、プロモーターを活性化しトランス
フェクト化細胞を選択し又はBS124遺伝子を増幅する
ために必要に応じて改変された通常の栄養培地中で培養することができる。温度
、pHなどの培養条件は、発現用に選択された宿主細胞で既に用いられているもの
であり、当業者には明らかなものである。
本発明のポリヌクレオチドは、組換え技術によるポリペプチドの製造に使用す
ることができる。したがって、ポリペプチドを発現させるためのいずれか1つの
種々の発現ビヒクル(特に、ベクターまたはプラスミド)中に該ポリヌクレオチ
ド配列を含めることが可能である。そのようなベクターには、染色体、非染色体
および合成DNA配列、例えば、SV40の誘導体、細菌プラスミド、ファージDNA、酵
母プラスミド、プラスミドおよびフアージDNAの組合せに由来するベクター、ウ
イルスDNA(例えば、ワクシニア、アデノウイルス、鶏痘ウイルスおよび仮性狂
犬病ウイルス)が含まれる。しかしながら、宿主内で増殖可能かつ生存可能であ
る限り、他の任意のプラスミドまたはベクターを使用することも可能である。
適当なDNA配列を、種々の方法によりベクター中に挿入することができる。一
般には、該DNA配列を、当該技術分野で公知の方法により、適当な制限エンドヌ
クレアーゼ部位内に挿入す
る。そのような方法および他の方法は、当業者の技量の範囲内であると考えられ
る。該発現ベクター中のDNA配列は、mRNA合成を指令する適当な発現制御配列(
プロモーター)に作動的に結合させる。そのようなプロモータの代表例には、LT
RまたはSV40プロモーター、大腸菌(E.coli)lacまたはtrp、ファージλP subL
プロモーター、および原核性もしくは真核性細胞またはそれらのウイルス内で遺
伝子の発現を制御することが知られている他のプロモーターが含まれるが、これ
らに限定されるものではない。発現ベクターはまた、翻訳の開始のためのリボソ
ーム結合部位および転写ターミネーターを含有する。該ベクターはまた、配列の
増幅のための適当な配列を含むことが可能である。さらに、該発現ベクターは、
好ましくは、トランスフェクト化宿主細胞の選択のための表現型形質を与える遺
伝子(例えば、真核細胞培養におけるジヒドロ葉酸レダクターゼまたはネオマイ
シン耐性、または大腸菌(E.coli)におけるテトラサイクリンまたはアンピシリ
ン耐性)を含有する。
前記の適当なDNA配列と適当なプロモーターまたは制御配列とを含有するベク
ターを使用して、適当な宿主にトランスフェクトして、該宿主が該タンパク質を
発現できるようにすること
が可能である。適当な宿主の代表例としては、細菌細胞、例えば大腸菌(E.coli)
、サルモネラ・ティフィムリウム(Salmonella typhimurium);ストレプトマイセ
ス・エスピー(Streptomyces sp);真菌細胞、例えば酵母;昆虫細胞、例えば
ショウジョウバエおよびSf9;動物細胞、例えばCHO、COSまたはBowes黒色腫;植
物細胞などが挙げられる。適当な宿主の選択は、本明細書の教示に基づけば当業
者の技量の範囲内に含まれると考えられる。
より詳しくは、本発明はまた、前記で広く記載されている配列の1以上を含ん
でなる組換え構築物を含む。該構築物は、本発明の配列が順配向または逆配向で
挿入されているベクター(例えば、プラスミドまたはウイルスベクター)を含む
。この実施態様の好ましい態様では、該構築物はさらに、該配列に作動的に結合
した調節配列(例えば、プロモーターなど)を含む。多数の適当なベクターおよ
びプロモーターが当業者に公知であり、商業的に入手可能である。以下のベクタ
ーを例示する:細菌性:pINCY(Incyte Pharmaceuticals Inc.,Palo Alto,CA
)、pSPORT1(Life Technologies,Gaithersburg,MD)、pQE70、pQE60、pQE-9
(Qiagen)pBs、phagescript、psiX174、pBluescript SK、
pBsKS、pNH8a、pNH16a、pNH18a、pNH46a(Stratagene);pTrc99A、pKK223-3、p
KK233-3、pDR540、pRIT5(Pharmacia);真核性:pWLneo、pSV2cat、pOG44、pXT
1、pSG(Stratagene)pSVK3、pBPV、pMSG、pSVL(Pharmacia)。しかしながら、
宿主内で複製可能で生存可能である限り、他の任意のプラスミドまたはベクター
を使用することが可能である。
プラスミドpINCYは、一般には、それがポリリンカー(マルチクローニング部
位)中に2つの修飾を有することを除きプラスミドpSPORT1(Life Technologies
,Gaithersburg,MDから入手可能)と同一である。これらの修飾は、(1)それ
がHindIII制限部位を欠き、(2)そのEcoRI制限部位が、異なる位置に存在する
ことである。pSPORT1をHindIIIとEcoRIとの両方で切断し、該ポリリンカーの切
り出された断片を合成DNA断片(配列番号6および配列番号7)で置換することに
より、pINCYをpSPORT1から作製する。この置換は、当業者に公知の任意の方法で
行なうことができる。例えば、それらの2つのヌクレオチド配列(配列番号6お
よび配列番号7)を、5'末端リン酸を有するように合成的に生成させ、共に混
合し、ついで、HindIIIとEcoRIとで切断されたpSP0RT1プラスミド中に、付着末
端の
ライゲーションを行なうための標準的な条件下でライゲーションすることができ
る。ついで適当な宿主細胞(例えば、大腸菌(E.coli)DH5∝細胞)を、そのラ
イゲーションされたDNAでトランスフェクトし、アンピシリン耐性に関して組換
えクローンを選択する。ついで個々のクローンからプラスミドDNAを調製し、制
限酵素分析またはDNA配列決定に付して、挿入配列が適切な配向で存在すること
を確認する。当業者に公知の他のクローニング方法を用いることも可能である。
プロモーター領域は、CAT(クロラムフェニコールトランスフェラーゼ)ベク
ターまたは選択マーカーを有する他のベクターを使用して、所望の任意の遺伝子
から選択することができる。2つの適当なベクターとして、pKK232-8およびpCM7
が挙げられる。挙げられる個々の細菌性プロモーターには、lacI、lacZ、T3、SP
6、T7、gpt、λP sub R、P sub L、およびtrpが含まれる。真核性プロモーター
には、サイトメガロウイルス(CMV)最初期、単純ヘルペスウイルス(HSV)チミ
ジンキナーゼ、初期および後期SV40、レトロウイルス由来のLTR、およびマウス
メタロチオネインIが含まれる。適当なベクターおよびプロモーターの選択は、
当業者の技量の範囲内に十分に含まれるものであ
る。
もう1つの実施態様では、本発明は、前記構築物を含有する宿主細胞を提供す
る。該宿主細胞は、哺乳動物細胞などの高等真核細胞、または酵母細胞などの下
等動物細胞であることが可能であり、あるいは該宿主細胞は、細菌細胞などの原
核細胞であることが可能である。該宿主細胞内への該構築物の導入は、リン酸カ
ルシウムトランスフェクション、DEAE-デキストラン媒介性トランスフェクショ
ンまたはエレクトロポレーション(L.Davisら,“Basic Methods in Molecular
Biology”,第2版,Appleton and Lang,Paramount Publishing,East Norwal
k,CT(1994))により行なうことができる。
宿主細胞内の構築物は、該組換え配列によりコードされる遺伝子産物を産生さ
せるために常法で使用することができる。あるいは、本発明のポリペプチドは、
通常のペプチド合成装置により合成的に製造することができる。
組換えタンパク質は、適当なプロモーターの制御下、哺乳動物細胞、酵母、細
菌または他の細胞内で発現させることができる。また、本発明のDNA構築物に由
来するRNAを使用してそのようなタンパク質を製造するために、無細胞翻訳系を
使用する
ことができる。原核性または真核性宿主と共に使用するための適当なクローニン
グおよび発現ベクターは、Sambrookら,Molecular Cloning:A Laboratory Manua l
,第2版(Cold Spring Harbor,N.Y.,1989)に記載されている。
本発明のポリペプチドをコードするDNAの高等真核生物による転写は、該ベク
ター中にエンハンサー配列を挿入することにより増強される。エンハンサーは、
プロモーターに作用してその転写を増強する、通常約10〜300bpのシス作用性要
素である。具体例には、SV40エンハンサー(複製起点の後期側、bp100〜270)、
サイトメガロウイルス初期プロモーターエンハンサー、ポリオーマエンハンサー
(複製起点の後期側)およびアデノウイルスエンハンサーが含まれる。
一般には、組換え発現ベクターは、複製起点、宿主細胞のトランスフェクショ
ンを可能にする選択マーカー(例えば、大腸菌(E.coli)のアンピシリン耐性遺
伝子およびエス・セレビシエ(S.cerevisiae)TRP1遺伝子)、および下流の構
造配列の転写を指令するための、高度に発現される遺伝子に由来するプロモータ
ーを含むであろう。そのようなプロモーターは、とりわけ3-ホスホグリセリン
酸キナーゼ(PGK)、α因子、酸ホス
ファターゼまたは熱ショックタンパク質などの解糖酵素をコードするオペロンに
由来することが可能である。該異種構造配列を、翻訳開始配列および終結配列、
および好ましくは、周辺腔または細胞外培地中への翻訳タンパク質の分泌を指令
しうるリーダー配列と、適当な段階で合体させる。所望により、該異種配列は、
所望の特性(例えば、発現された組換え産物の安定化または簡便な精製)を付与
するN末端同定ペプチドを含む融合タンパク質をコードすることが可能である。
細菌において使用するための有用な発現ベクターは、作動可能な読取りを機能
的プロモーターと一致させて適当な翻訳開始および終結シグナルと共に所望のタ
ンパク質をコードする構造DNA配列を挿入することにより構築する。該ベクター
は、該ベクターの維持を保証し、所望により該宿主内での増幅をもたらすための
、1以上の形質選択マーカーと複製起点とを含むであろう。トランスフェクショ
ンのための適当な原核性宿主には、大腸菌(E.coli)、バシラス・サチリス(Ba
cillus subtilis)、サルモネラ・ティフィムリウム(Salmonella typhimurium
)、およびシュードモナス(Pseudomonas)属、ストレプトマイセス(Streptomy
ces)属およびスタヒロコッカス(Staphylococcus)
属内の種々の種が含まれるが、その他の原核性宿主を通常の選択物として使用す
ることも可能である。
細菌において使用するための有用な発現ベクターは、選択マーカーと細菌性複
製起点(よく知られたクローニングベクターpBR322(ATCC37017)の遺伝要素を含
むプラスミドに由来するもの)とを含む。他のベクターには、PKK223-3(Pharma
cia Fine Chemicals,Uppsala,Sweden)およびGEMI(Promega Biotec,Madison
,WI)が含まれるが、これらに限定されるものではない。これらのpBR322「バッ
クボーン」切片を、適当なプロモーターおよび発現させる構造配列と合体させる
。
適当な宿主にトランスフェクトし、該宿主を適当な細胞密度まで増殖させた後
、選択されたプロモーターを適当な手段(例えば、温度変化または化学的誘導)
により抑制解除し、細胞を更に一定期間培養する。細胞は、典型的には、遠心分
離により収穫し、物理的または化学的手段により破壊し、得られた粗抽出物を更
なる精製のために保存する。タンパク質の発現において使用した微生物細胞は、
凍結融解サイクル、音波処理、機械的破壊または細胞溶解剤の使用を含む簡便な
任意の方法で破壊することができる。そのような方法は、当業者によく知られて
いる。
組換えタンパク質を発現させるためには、種々の哺乳動物細胞培養系を使用す
ることができる。哺乳動物発現系には、例えば、Gluzman,Cell 23:175(1981)に
記載のサル腎線維芽細胞のCOS-7系、および和合性ベクターを発現する能力を有
する他の細胞系(例えば、C127、HEK-293、3T3、CHO、HeLaおよびBHK細胞系)が
含まれる。哺乳動物発現ベクターは、複製起点、適当なプロモーターおよびエン
ハンサーならびに必要な任意のリボソーム結合部位、ポリアデニル化部位、スプ
ライス供与および受容部位、転写終結配列および5'フランキング非転写配列を
含むであろう。SV40ウイルスゲノムに由来するDNA配列(例えば、SV40起点、初
期プロモーター、エンハンサー、スプライスおよびポリアデニル化部位)を使用
して、必要な非転写遺伝要素を得ることが可能である。代表的で有用なベクター
には、pRc/CMVおよびpcDNA3(Invitrogen,San Diego,CAから入手可能)が含ま
れる。
アフィニティークロマトグラフィー、硫安沈殿、エタノール沈殿、酸抽出、陰
イオンまたは陽イオン交換クロマトグラフィー、ホスホセルロースクロマトグラ
フィー、疎水性相互作用ク
ロマトグラフィー、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィーまたはレクチンク
ロマトグラフィーなどの公知方法により、BS124ポリペプチドを組換え細胞培養
から回収し、精製する。精製中に存在するカルシウムイオンを低濃度(約0.1〜5
mM)にするのが好ましい(Priceら,J .Biol.Chem.244:917(1969))。該ポリ
ペプチドの立体配置を完全なものにする際に、必要に応じて、タンパク質のリフ
ォールディング工程を行なうことが可能である。最後に、最終精製工程として高
速液体クロマトグラフィー(HPLC)を行なうことができる。
このように、本発明のポリペプチドは、高発現細胞系から発現された天然に精
製された産物、または化学方法により又は原核性もしくは真核性宿主から(例え
ば、培養における細菌、酵母、高等植物、昆虫および哺乳動物細胞により)組換
え技術で得られた産物であることが可能である。組換え製造法で使用する宿主に
応じて、本発明のポリペプチドを哺乳動物または他の真核生物の炭水化物でグリ
コシル化したり、あるいは非グリコシル化形態とすることが可能である。また、
本発明のポリペプチドには、開始メチオニンアミノ酸残基を含めることができる
。
出発プラスミドは、入手可能なプラスミドから、公開されて
いる公知方法に従い構築することができる。さらに、記載されているものと同等
のプラスミドが、当該技術分野において公知であり、当業者には明らかであろう
。
以下は、cDNAクローンの単離および分析のための一般的な方法である。本明細
書に開示する特定の実施態様においては、mRNAを乳房組織から単離し、cDNAライ
ブラリーの作製のために使用した。乳房組織を、患者から外科的切除により得、
それが病理学者により腫瘍または非腫瘍組織に分類された。
該乳房組織ライブラリーのランダム単離物からのcDNA挿入断片を、部分的に配
列決定し、実施例に記載のとおりに詳細に分析した。それは、配列番号1、配列
番号2および配列番号3として配列表に開示されている。クローン1730294(ク
ローン1730294IHと命名(配列番号4))の全長の配列が実施例にも詳細に分析
され、配列表に開示されている。これらの挿入断片のコンセンサス配列は、配列
番号5として記載されている。これらのポリヌクレオチドは、ある特定の遺伝子
に関する関連調節配列を有する又は有さない全オープンリーディングフレームを
含有することが可能であり、あるいはそれらは、関心のある遺伝子の一部のみを
コードすることが可能である。これは、遺伝
子の多くが数百塩基長、時には数千塩基長であり、ベクターの制約、第1鎖の不
完全な逆転写または第2鎖の不完全な複製のため、現在の技術では、その全体を
クローニングすることができないという事実に起因する。追加的なヌクレオチド
配列を含有する連続的な二次クローンは、当業者に公知の種々の方法を用いて得
ることができる。
DNA配列決定の方法は、当該技術分野でよく知られている。通常の酵素法では
、関心のあるDNA鋳型にアニーリングしたオリゴヌクレオチドプライマーからDNA
鎖を伸長するために、DNAポリメラーゼ、Klenow断片、Sequenase(US Biochemica
l Corp,Cleveland,OH)またはTaqポリメラーゼを使用する。一本鎖および二本
鎖の両方の鋳型を使用するための方法が、開発されている。チェインターミネー
ション反応生成物を、尿素/ポリアクリルアミドゲル上で電気泳動し、オートラ
ジオグラフィー(放射性ヌクレオチド標識前駆体の場合)または蛍光(蛍光標識前
駆体の場合)により検出することができる。蛍光検出方法を用いる機械化された
反応調製、配列決定および分析における最近の改良は、Applied Biosystems 377
DNA Sequencers(Applied Biosystem,Foster City,CA)などの装置を使用し
て1日当た
りに測定しうる配列数の拡大を可能にした。
ヌクレオチド配列のリーディングフレームは、いくつかのタイプの分析で確認
することができる。第1に、コード配列内に含有されているリーディングフレー
ムは、開始コドンATGおよび停止コドンTGA、TAAまたはTAGの存在に関して分析す
ることができる。典型的には、1つのリーディングフレームが、cDNA配列の主部
分にわたって続き、他のリーディングフレームは、多数の停止コドンを含有する
傾向にある。そのような場合には、リーディングフレームの決定は直接的である
。それより困難な他の場合には、さらなる分析が必要となる。
各推定コドントリプレットにおける個々のヌクレオチド塩基の出現頻度を分析
するためのアルゴリズムが作製されている。例えば、J.W.Fickett,Nuc Acids Res
10:5303(1982)を参照されたい。特定の生物(細菌、植物および動物)に関
するコードDNAは、あるトリプレット周期性内で或るヌクレオチドを含有する傾
向にある(例えば、第3コドン位にピリミジンの優先性が有意に認められる)。
これらの優先性は、所定のDNA伸長のコード可能性(coding potential)(およ
びフレーム)を判定するために使用しうる広く利用可能なソフトウェアに取込ま
れている。アルゴリズム由来の情報を開始/停止コドンの情報と一緒に使用して
、適切なフレームを高い確実性で決定することができる。そしてこれは、正確な
リーディングフレーム内の配列を適当な発現ベクター中にクローニングするのを
容易に可能にする。
本明細書に開示する核酸配列は、十分に確立されている組換えDNA技術により
、関心のある他の種々のポリヌクレオチド配列およびベクターに結合させること
が可能である。J Sambrookら,前掲を参照されたい。関心のあるベクターには、
プラスミド、コスミド、ファージ誘導体、ファジミドなどのクローニングベクタ
ーならびに配列決定、複製および発現ベクターなどが含まれる。一般に、そのよ
うなベクターは、少なくとも1つの生物において機能的な複製起点、簡便な制限
エンドヌクレアーゼ消化部位、および個々の宿主細胞に適した選択マーカーを含
有する。該ベクターは、当業者に公知の種々の手段により、所望のDNA、RNAまた
はポリペプチドを産生する適当な宿主細胞内に導入することができる。
時には、配列決定またはランダム逆転写の誤りのために、適当なオープンリー
ディングフレームまたは調節要素の存在が隠
されてしまう。そのような場合には、ポリペプチドの発現を試み、標準的なペプ
チドマッピングおよび配列決定技術によりアミノ酸配列を決定することにより、
正確なリーディングフレームを決定することが可能である。F.M.Ausubelら,Cu rrent Protocols in Molecular Biology
,John Wiley & Sons,New York,NY(19
89)を参照されたい。さらに、ある与えられたヌクレオチド配列の実際のリーデ
ィングフレームは、合計3個の潜在的リーディングフレームを含有するベクター
で宿主細胞をトランスフェクトすることより決定することができる。正しいリー
ディングフレームのヌクレオチド配列を有する細胞だけが、予想される長さのペ
プチドを産生することになる。
本発明で提供するヌクレオチド配列は、現在の最高水準の自動化された方法で
製造されており、それ自体が、未同定のヌクレオチドを含有している可能性があ
る。このことは、本発明を実施することを望む当業者に問題を提議することには
ならないであろう。J Sambrookら(前掲)またはその定期的最新版に記載されて
いる標準的な組換え技術を用いるいくつかの方法を用いて、欠けている配列情報
を完全なものにすることができる。本明細書に記載の完全長配列を得るために用
いるのと同じ技術
を、ヌクレオチド配列を得るために用いることができる。
cDNAを適当な発現ベクター中にサブクローニングし、このベクターを適当な発
現宿主中にトランスフェクトすることにより、ある特定のcDNAの発現を行なうこ
とができる。乳房組織のcDNAライブラリーの作製に使用するクローニングベクタ
ーは、ある特定のcDNAのmRNAの転写に使用することができ、β-ガラクトシダー
ゼに関するプロモーター、アミノ末端のmetおよびそれに続くβ-ガラクトシダー
ゼの7アミノ酸残基を含有する。これらの8残基の直後に、人工的なプライミン
グおよび転写に有用な操作されたバクテリオファージプロモーターならびにクロ
ーニング用の多数のユニーク制限部位(例えば、EcoRI)が存在する。該ベクタ
ーは、大腸菌(E.coli)の適当な宿主株内にトランスフェクトすることができる
。
単離された細菌株を標準的な方法によりイソプロピルチオガラクトシド(IPTG
)で誘導することにより、β-ガラクトシダーゼの最初の7残基、リンカーの約1
5残基、および該cDNA内にコードされるペプチドを含有する融合タンパク質が得
られるであろう。cDNAクローンの挿入断片は、実質的にランダムな方法で作製さ
れるため、含まれるcDNAが適切な翻訳のための正確な
フレームで存在する機会は、3回のうちの1回である。該cDNAが適切なリーディ
ングフレームにない場合は、インビトロ突然変異誘発、エキソヌクレアーゼIII
もしくはヤエナリ(mungbean)ヌクレアーゼでの消化またはオリゴヌクレオチド
リンカーの取込みなどの良く知られた方法による適当な数の塩基の欠失または挿
入により、正しいフレームを得ることができる。
該cDNAは、特定の宿主内でのタンパク質の発現に有用であることが知られてい
る他のベクターに対して往復(シャトル)させることができる。クローニング部
位と標的DNAの両端の伸長にハイブリダイズするのに十分なDNAセグメントとを含
有するオリゴヌクレオチドプライマーは、標準的な方法で化学的に合成すること
ができる。ついでこれらのプライマーを使用して、PCRにより所望の遺伝子セグ
メントを増幅することができる。得られた新たな遺伝子セグメントは、標準的な
条件下、適当な制限酵素で消化し、ゲル電気泳動により単離することができる。
あるいは、該cDNAを適当な制限酵素で消化し、欠けている遺伝子セグメントを、
化学的に合成されたオリゴヌクレオチドで埋めることにより、同様の遺伝子セグ
メントを得ることができる。複数の遺伝子に由来するコード配列のセグメントを
一緒にライ
ゲーションし、適当なベクター中にクローニングして、組換え配列の発現を最適
化することができる。
そのようなキメラ分子のための適当な発現宿主には、チャイニーズハムスター
卵巣(CHO)、ヒト胎児腎(HEK)293細胞などの哺乳動物細胞、Sf9細胞などの昆
虫細胞、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)などの酵母
細胞および大腸菌(E.coli)などの細菌が含まれるが、これらに限定されるもの
ではない。これらの各細胞系に関して、有用な発現ベクターは、細菌内での増殖
を可能する複製起点と、細菌内での選択を可能にする選択マーカー(例えば、β
-ラクタマーゼ抗生物質耐性遺伝子)とを含むことも可能である。さらに、該ベ
クターは、トランスフェクトされた真核性宿主細胞における選択を可能にするも
う1つの選択マーカー(例えば、ネオマイシンホスホトランスフェラーゼ遺伝子
)を含むことが可能である。真核性発現宿主において使用するためのベクターで
は、関心のある配列がポリAを欠く場合には、3'ポリAテイルの付加が必要とな
るかもしれない。
さらに、該ベクターは、遺伝子発現を増強するプロモーターまたはエンハンサ
ーを含有することが可能である。そのような
プロモーターは、宿主特異的であり、CHO細胞の場合にはMMTV、SV40またはメタ
ロチオニンプロモーター、細菌宿主の場合にはtrp、lacまたはT7プロモーター、
あるいは酵母の場合にはα因子、アルコールオキシダーゼまたはPGHプロモータ
ーを含むが、これらに限定されるものではない。転写エンハンサー(例えば、ラ
ウス肉腫ウイルス(RSV)エンハンサー)を有する又は有さないアデノウイルス
ベクターを使用して、哺乳動物細胞系におけるタンパク質の発現を駆動すること
ができる。組換え細胞の均一培養が得られたら、多量の組換え産生タンパク質を
、調整培地から回収し、当該技術分野でよく知られているクロマトグラフィー法
で分析することができる。多量の分泌タンパク質のもう1つの製造法は、哺乳動
物胚のトランスフェクション、およびトランスジェニックウシ、ヤギ、ヒツジな
どが産生する乳から該組換えタンパク質を回収することを含む。ポリペプチド、
および密接に関連している分子は、タンパク質の精製を容易にするような方法で
組換え的に発現させることができる。1つのアプローチは、ヒトポリペプチド上
に天然には存在しない1以上の追加的ポリペプチドドメインを含むキメラタンパ
ク質の発現を含む。精製を容易にするそのようなドメインには、固定
化された金属上での精製を可能にする金属キレート化ペプチド(例えば、ヒスチ
ジン-トリプトファンドメイン)、固定化された免疫グロブリン上での精製を可
能にするプロテインAドメイン、およびFLAGS伸長/アフィニティー精製系(Immu
nex Corp,Seattle,WA)で使用されるドメインが含まれるが、これらに限定され
るものではない。切断可能なリンカー配列、例えばXA因子またはエンテロキナー
ゼ(Invitrogen,San Diego,CAから入手可能)を該ポリペプチド配列と該精製
ドメインとの間に含有させることは、該ポリペプチドの回収に有用かもしれない
。
イムノアッセイ
BS124ポリペプチド(その断片、誘導体および類似体を含む)またはそのよう
なポリペプチドを発現する細胞は、乳房組織に対する抗体の検出のための種々の
アッセイ(そのうちの多数が本明細書に記載されている)で使用することができ
る。また、それらを免疫原として使用して、抗体を産生させることができる。こ
れらの抗体は、例えば、ポリクローナルもしくはモノクローナル抗体、キメラ、
一本鎖およびヒト化抗体およびFab断片、またはFab発現ライブラリーの産物であ
ることが可能である。そのような抗体および断片の産生のためには、当該技術分
野で公知の種々の方法を用いることができる。
例えば、本発明の配列を含むポリペプチドに対して産生される抗体は、該ポリ
ペプチドを動物に直接注入することにより、あるいは該ポリペプチドを動物(例
えば、マウス、ウサギ、ヤギまたはヒト)に投与することにより得ることができ
る。マウス、ウサギまたはヤギが好ましい。該ポリペプチドは、配列番号22、配
列番号23、配列番号24、配列番号25およびそれらの断片よりなる群から選ばれる
。ついで、そのようにして得た抗体が、該ポリペプチド自体に結合することとな
る。このように、該ポリペプチドの断片だけをコードする配列でさえ、天然ポリ
ペプチドに結合する抗体を産生させるために使用することができる。ついで、そ
のような抗体を使用して、そのポリペプチドを含有する疑いのある組織などの試
験サンプルから該ポリペプチドを単離することができる。モノクローナル抗体の
製造には、連続継代細胞培養により産生される抗体を与える任意の技術を用いる
ことができる。具体例には、KohlerおよびMilstein,Nature 256:495-497(1975)
に記載のハイブリドーマ技術、トリオーマ技術、Kozborら,Immun .Today 4:72(
1983)に記載のヒトB細胞ハイブリドーマ技術、およびColeら,Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy
,Alan R.Liss,Inc,New York,NY,pp.77-9
6 (1985)に記載のヒトモノクローナル抗体を産生させるためのEBV-ハイブリドー
マ技術が含まれる。一本鎖抗体の産生のための記載されている技術を、本発明の
免疫原性ポリペプチド産物に対する一本鎖抗体を産生させるために適用すること
ができる。例えば、米国特許第4,946,778号を参照されたい。
本発明の抗体は、「サンドイッチ」イムノアッセイおよびプローブアッセイを
含む種々のアッセイ様式において使用することができる。例えば、本発明の抗体
またはその断片は、試験サンプル中のBS124抗原の存在を判定するための種々の
アッセイ系で使用することができる。例えば、第1のアッセイ様式では、固相上
にコーティングされている、ポリクローナルもしくはモノクローナル抗体または
その断片、またはこれらの抗体の組合せを、試験サンプルと接触させて、第1混
合物を形成させる。この第1混合物を、抗原/抗体複合体の形成に十分な時間お
よび条件下でインキュベートする。ついで、シグナル生成化合物が結合している
モノクローナルもしくはポリクローナル抗体またはその断片、またはこれらの抗
体の組合せを含む指示試薬を、
該抗原/抗体複合体と接触させて、第2混合物を形成させる。ついで、この第2
混合物を、抗体/抗原/抗体複合体の形成に十分な時間および条件下でインキュ
ベートする。シグナル生成化合物により生成した測定可能なシグナルを検出する
ことにより、固相上に捕捉され試験サンプル中に含まれうるBS124抗原の存在を
判定する。試験サンプル中に存在するBS124抗原の量は、生成したシグナルに比
例する。
もう1つのアッセイ様式では、(1)BS124抗原に特異的に結合するポリクロ
ーナル抗体、モノクローナル抗体もしくはその断片、または固体支持体に結合し
たそのような抗体の組合せ、(2)試験サンプル、および(3)シグナル生成化
合物が結合している、異なるBS124抗原に特異的に結合するモノクローナル抗体
、ポリクローナル抗体もしくはその断片(またはこれらの抗体の組合せ)を含む
指示試薬を接触させることにより、混合物を得る。この混合物を、抗体/抗原/
抗体複合体の形成に十分な時間および条件下でインキュベートする。該シグナル
生成化合物により生成した測定可能なシグナルを検出することにより、試験サン
プル中に存在し固相上に捕捉されたBS124抗原の存在を判定する。試験サンプル
中に存在するBS124抗原の量は、
生成したシグナルに比例する。
もう1つのアッセイ様式では、本発明の少なくとも2つのモノクローナル抗体
の一方または組合せを、BS124抗原に対する抗体の検出のための競合プローブと
して使用することができる。例えば、BS124ポリペプチド(例えば、本明細書に
開示の組換え抗原)を、単独で又は組合せて、固相上にコーティングする。つい
で、BS124抗原に対する抗体を含有する疑いのある試験サンプルを、シグナル生
成化合物と本発明の少なくとも1つのモノクローナル抗体とを含む指示試薬と共
に、固相に結合している試験サンプルおよび指示試薬または固相に結合している
指示試薬のいずれかの抗原/抗体複合体の形成に十分な時間および条件下でイン
キュベートする。固相に対するモノクローナル抗体の結合の減少を定量的に測定
することができる。
さらにもう1つの検出方法では、本発明のモノクローナルまたはポリクローナ
ル抗体のそれぞれを、免疫組織化学的分析による組織切片中または細胞中のBS12
4抗原の検出において使用することができる。組織切片は、凍結又は化学的に固
定した組織のサンプルのいずれからも切り出すことが可能である。細胞中の抗原
を検出する場合には、細胞は、血液、尿、胸部吸引液
その他の体液から単離することができる。細胞は、外科的に、または針を用いて
、生検によって得ることができる。本願発明の抗体で染色する特定の細胞フラク
ションを富化させるために、遠心分離または、磁石粒子又は鉄溶液で標識した後
に磁石吸引することにより細胞を単離することが可能である。これらの抗体を直
接的に標識(例えば、フルオレセイン、金コロイド、ホースラディッシュペルオ
キシダーゼ、アルカリホスファターゼなどでの標識)したり又は二次標識化抗種
抗体を使用して標識(本明細書に例示する種々の標識)して、疾患の組織病理を
追跡する細胞化学的分析も、本発明の範囲内に含まれる。
さらに、これらのモノクローナル抗体を、CNBr活性化セファロースに類似した
マトリックスに結合させて、細胞培養または生物学的組織からの特異的BS124ポ
リペプチドのアフィニティー精製(例えば、組換え及び天然BS124タンパク質の
精製)に使用することができる。
また、本発明のモノクローナル抗体は、治療用途または他の同様の用途のため
のキメラ抗体の産生に使用することができる。
モノクローナル抗体またはその断片は、BS124抗原の検出のために個々に提供
されることが可能である。また、本発明で提
供するモノクローナル抗体(およびその断片)の組合せを、他のBS124領域に特
異的に結合する抗体(各抗体は、異なる結合特異性を有する)と共に、本発明の
少なくとも1つのBS124抗体の混合物または「カクテル」中の成分として一緒に
使用することができる。したがって、このカクテルは、本明細書に開示のBS124
ポリペプチドに対する本発明のモノクローナル抗体と、BS124抗原または他の関
連タンパク質の他の抗原決定基に特異的な他のモノクローナル抗体とを含むこと
が可能である。
アッセイ様式で使用しうるポリクローナル抗体またはその断片は、BS124ポリ
ペプチドまたは該アッセイで追加的に使用する他のBS124ポリペプチドに特異的
に結合すべきである。好ましく使用されるポリクロナール抗体は、BS124ポリペ
プチドに結合する、ヒト、ヤギ、ウサギまたはヒツジポリクローナル抗体などの
哺乳動物に由来するものである。最も好ましくは、該ポリクローナル抗体は、ウ
サギに由来するものである。該アッセイで使用するポリクローナル抗体は、単独
で又はポリクローナル抗体のカクテルとして使用することができる。該アッセイ
様式で使用するカクテルは、BS124ポリペプチドに対する異なる結合親和性を有
するモノクローナル抗体またはポリクローナ
ル抗体を含むため、それらは、乳癌などの乳房の疾患または状態の検出、診断、
病期分類、モニター、予後判定、予防もしくは治療または素因の判定に有用であ
る。
組換え抗原の使用により、あるいは合成ペプチドまたは精製ペプチド(該ペプ
チドは、BS124のアミノ酸配列を含む)の使用により、アッセイにおいてBS124抗
原の検出が可能となることが意図され、それが本発明の範囲内に含まれる。その
ようなポリペプチドのアミノ酸配列は、配列番号22、配列番号23、配列番号24、
配列番号25およびそれらの断片よりなる群から選ばれる。また、BS124の異なる
エピトープを定める異なる合成、組換えまたは精製ペプチドを、乳癌などの乳房
の疾患または状態の検出、診断、病期分類、モニター、予後判定、予防もしくは
治療または素因の判定のためのアッセイにおいて併用することも、本発明の範囲
内に含まれる。この場合、これらのペプチドすべてを固相上にコーティングした
り、あるいはそれぞれ分離したペプチドを、分離した固相(例えば、微粒子)上
にコーティングし、ついで、後にアッセイにおいて使用しうるペプチド混合物を
形成するように合体させることが可能である。さらに、乳癌などの乳房の疾患ま
たは状態の検出、診断、病期分類、
モニター、予後判定、予防もしくは治療または素因の判定のために、異なる抗原
からのエピトープを定める複数のペプチドを使用することができると意図される
。ついで、固相上にコーティングされた又は検出可能な標識で標識されたペプチ
ドを、一定量の抗体に関して、患者のサンプル中に存在する(存在する場合)ペ
プチドと競合させる。該抗体に対する該合成、組換えまたは精製ペプチドの結合
の減少は、患者のサンプル中のBS124抗原の存在の指標となる。BS124抗原の存在
は、患者における乳房組織の疾患、特に乳癌の存在を示す。アッセイ様式の変形
は、当業者に公知であり、本明細書において後に検討する。
もう1つのアッセイ様式では、以下のとおり、抗BS124抗体および/またはBS1
24抗原の存在を同時に検出することができる。試験サンプルを、同時に、第1被
検体の捕捉試薬(該捕捉試薬は、固相に結合した第1被検体に特異的な第1結合
メンバーを含む)および第2被検体の捕捉試薬(該捕捉試薬は、第2固相に結合
した第2被検体に対する第1結合メンバーを含む)と接触させて、混合物を得る
。この混合物を、捕捉試薬/第1被検体および捕捉試薬/第2被検体複合体の形
成に十分な時間および条件下でインキュベートする。ついで、そのようにして
形成したこれらの複合体を、シグナル生成化合物で標識された第1被検体に特異
的な結合ペアのメンバーとシグナル生成化合物で標識された第2被検体に特異的
な結合ペアのメンバーとを含む指示試薬に接触させて、第2混合物を得る。この
第2混合物を、捕捉試薬/第1被検体/指示試薬複合体および捕捉試薬/第2被
検体/指示試薬複合体の形成に十分な時間および条件下でインキュベートする。
いずれかの又は両方の固相上で形成した複合体に関して生成したシグナルを、試
験サンプル中の1以上の被検体の存在の指標として検出することにより、1以上
の被検体の存在を判定する。このアッセイ様式では、本明細書に開示する発現系
に由来する組換え抗原、および本明細書に開示の発現系に由来するタンパク質か
ら産生したモノクローナル抗体を使用することができる。例えば、このアッセイ
系では、BS124抗原を第1被検体とすることが可能である。そのようなアッセイ
系は、EP公開第0473065号に、より詳しく記載されている。
さらにもう1つのアッセイ様式では、本明細書に開示するポリペプチドを使用
して、試験サンプル中のBS124抗原に対する抗体の存在を検出することができる
。例えば、試験サンプルを、
少なくとも1つのポリペプチド(例えば、組換えタンパク質または合成ペプチド
)が結合している固相と共にインキュベートする。該ポリペプチドは、配列番号
22、配列番号23、配列番号24、配列番号25およびそれらの断片よりなる群から選
ばれる。これらを、抗原/抗体複合体の形成に十分な時間および条件下で反応さ
せる。インキュベーション後、該抗原/抗体複合体を検出する。選択するアッセ
イ系に応じて、検出を容易にするために、指示試薬を使用することができる。も
う1つのアッセイ様式では、試験サンプルを、本明細書に記載のとおりに産生さ
せた組換えタンパク質が結合している固相と接触させ、また、指示試薬で好まし
くは標識されている、該タンパク質に特異的なモノクローナルまたはポリクロー
ナル抗体と接触させる。抗体/抗原複合体の形成に十分な時間および条件下でイ
ンキュベーションした後、固相を遊離相から分離し、該標識をBS124抗原に対す
る抗体の存在の指標として該固相中または該遊離相中で検出する。本明細書に開
示する組換え抗原を使用する他のアッセイ様式が意図される。これらは、第1起
源からの少なくとも1つの抗原が結合している固相と試験サンプルとを接触させ
、抗原/抗体複合体の形成に十分な時間および条件下で該固相と
試験サンプルとをインキュベートし、ついで該固相を標識抗原(該抗原は、第1
起源とは異なる第2起源に由来する)と接触させることを含む。例えば、大腸菌
(E.coli)などの第1起源に由来する組換えタンパク質を、固相上の捕捉抗原
として使用し、そのように調製された固相に試験サンプルを加え、必要に応じて
標準的なインキュベーションおよび洗浄工程の後、異なる起源(すなわち、非大
腸菌(E.coli))に由来する組換えタンパク質を、後に検出する指示試薬の一
部として使用する。同様に、固相上の組換え抗原と合成ペプチド(指示相中)と
の組合せも可能である。第1起源から産生した又はそれに由来するBS124に特異
的な捕捉抗原としての抗原と、異なる第2起源からのBS124に特異的な抗原とを
使用する任意のアッセイ様式が意図される。このように、組換え抗原の種々の組
合せ、および合成ペプチド、精製タンパク質などの使用が、本発明の範囲内に含
まれる。このアッセイおよび他のアッセイは、本出願と同一所有権を享受する米
国特許第5,254,458号に記載されている。
また、種々の他の固相を使用する他の実施態様も意図され、本発明の範囲内に
含まれる。例えば、速い液相免疫化学的反応を行なうために、負に荷電した重合
体との固定化可能反応複合
体を固定化するためのイオン捕捉法(EP公開第0326100号およびEP公開第0406473
号に記載されている)を本発明で使用することができる。固定化可能な免疫複合
体は、その負に荷電したポリ-アニオン/免疫複合体と、予め処理されている正
に荷電した多孔性マトリックスとの間のイオン相互作用により該反応混合物の残
部から分離され、既に記載されている種々のシグナル生成系(例えば、EPO公開
第0273,115号に記載の化学発光シグナルの測定において記載されているもの)を
用いて検出される。
また、固相が微粒子(磁性または非磁性)を含む微粒子技術を用いる系(例え
ば、自動化系および半自動化系)での使用に、本発明の方法を適合させることが
可能である。そのような系には、例えば、公開されているEPO出願EP 0 425 633
およびEP 0 424 634にそれぞれ記載されている系が含まれる。
イムノアッセイにおける走査型プローブ顕微鏡検査法(scanning probe micro
scopy)(SPM)の使用も、本発明のモノクローナル抗体を容易に適合させること
が可能な技術として挙げられる。走査型プローブ顕微鏡検査法、特に原子間力顕
微鏡検査法においては、捕捉相、例えば、本発明のモノクローナル抗体の少なく
とも1つを固相に付着させ、走査型プローブ顕
微鏡を使用して、固相の表面上に存在しうる抗原/抗体複合体を検出する。通常
、多数のイムノアッセイ系においては、抗原/抗体複合体を検出するために標識
を使用しなければならないが、走査型トンネル顕微鏡検査法を使用すると、その
ような標識が不要になる。特異的結合反応をモニターするためのSPMの使用は、
多数の方法で実施することが可能である。1つの実施態様では、特異的結合パー
トナーのメンバーの1つ(本発明のモノクローナル抗体である被検体特異的物質
)を、走査に適した表面に結合させる。該被検体特異的物質の結合は、当業者に
公知の方法に従って行なう、プラスチックまたは金属表面の固相を含む試験片に
対する吸着によるものであることが可能である。あるいは、誘導体化プラスチッ
ク、金属、シリコン(ケイ素)またはガラスの固相を含む試験片に対する特異的
結合パートナー(被検体特異的物質)の共有結合を用いることが可能である。共
有結合方法は、当業者に公知であり、特異的結合パートナーを試験片に不可逆的
に結合させるための種々の手段を含む。該試験片がシリコンまたはガラスである
場合には、特異的結合パートナーを結合させる前に、該表面を活性化する必要が
ある。また、特異的結合パートナーを試験片の表面上に化学的
方法で固定化するために、混成電極相互作用(polyelectrolyteinteraction)を用
いることができる。好ましい結合方法は、共有的手段によるものである。特異的
結合メンバーの結合の後、非特異的結合を最小限に抑えるために、該表面を血清
、タンパク質または他のブロッキング剤などの物質で更に処理することができる
。また、アッセイ目的に対する適合性を確認するために、該表面を、製造部位ま
たは使用点において走査することができる。走査過程は、試験片の特異的結合特
性を改変しないと考えられる。
本発明は、主として固相の使用に関して開示されているが、本発明の抗体、タ
ンパク質、ペプチドなどの試薬は、非固相アッセイ系においても使用可能である
と意図される。これらのアッセイ系は、当業者に公知であり、本発明の範囲内に
含まれるとみなされる。
アッセイに使用する試薬は、バイアル、ボトルなどの1以上の容器を有する試
験キットの形態で提供されることが可能であると意図される。その各容器は、該
アッセイで使用するプローブ、プライマー、モノクローナル抗体、またはモノク
ローナル抗体のカクテル、またはポリペプチド(例えば、組換え的、合
成的に製造または精製されたもの)などの別個の試薬を含有する。該ポリペプチ
ドは、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25およびそれらの断片よ
りなる群から選ばれる。当業者に公知の他の成分(例えば、緩衝液、対照など)
を、そのような試験キットに含めることが可能である。また、利用可能な体液(
例えば、血液、尿、唾液および糞便)を含む試験サンプルを採集するための手段
を有する試験キットを提供することが意図される。採集に有用なそのような手段
(「採集材料」)には、血液を採集し安定化するためのランセットおよび吸収紙
または布、唾液を採集し安定化するためのスワブ、尿または糞便サンプルを採集
し安定化するためのカップが含まれる。該サンプルの変性または不可逆的吸着を
避けるために、所望により、採集材料、紙、布、スワブ、カップなどを処理する
ことが可能である。また、試料の完全性を維持するのを助けるために、該採集材
料を保存剤、安定化剤または抗微生物剤で処理したり、該採集材料に保存剤、安
定化剤または抗微生物剤を含有させることが可能である。手術または針生検によ
り得た試験試料の採集、安定化および保存のために設計された試験キットも有用
である。すべてのキットは、別個に提供されることが可能な2つ
の成分(その一方の成分は、試料の採集および運搬のためのものであり、もう一
方は、試料の分析のためのものである)に構成することができると意図される。
例えば、採集成分は、公開市場の消費者に提供することが可能であり、一方、分
析用成分は、被検体の存在、不存在または量の測定のために研究者などに提供す
ることが可能である。さらに、試験試料の採集、安定化および保存のためのキッ
トは、熟練していない者による使用を意図して構成することが可能であり、家庭
で使用された後、該試験サンプルの分析のために研究室に運搬されることを意図
して、公開市場において入手可能とすることができる。
In Vivo での抗体の使用
本発明の抗体は、in vivoにおいて利用し得る。即ち、これらの抗体を、乳房
の疾患を有する又は有するおそれがある患者に、治療又は診断の目的で注射する
ことが可能である。In vivoでの診断目的で抗体を使用することは、当業界でよ
く知られたことである。Sumerdonらは、Nucl.Med.Biol,17,247-254(1990)で、イ
ンジウム-111を標識として用いて、癌胎児抗原(CEA)発現腫瘍のラジオイムノ
シントグラムイメージングに適した抗原-キレート化剤について記載している。G
riffinらは、
J.Clin.Onc,9,631-640(1991)で、再発性結腸直腸癌の疑いがある患者における
、癌の検出のためのこの試薬の使用について記載している。常磁性体で標識した
同様の試薬を、核磁気共鳴イメージングに使用することは、業界で知られたこと
である(R.B.Lauffer,Magnetic Resonance in Medicine,22,339-342(1992))
。BS124抗原に対する抗体を、診断または患者の病期を分類するために乳癌その
他の乳房疾患を有するおそれのある患者に注射することが可能であると期待され
る。使用される標識は、選択されるイメージングの様式によって様々である。イ
ンジウム-111、テクネシウム-99m、ヨウ素-131などの放射活性標識は、2次元ス
キャン又は単光子射出コンピユーター断層撮影(SPECT)に使用し得る。MRIには
、ガドリニウム(III)又はマンガン(II)等の磁性イオンが使用し得る。乳房
内又は乳房外における標識の局部限定によって、病巣拡大の診断が可能となる。
乳房内部の標識の定量によって、乳癌の存在あるいは不在の判断が可能となる。
乳房の疾患を有することが明らかな患者に、BS124抗原に対する抗体を注射す
ることは、治療上の利益がある。抗体は、組織又は臓器上に発現するBS124抗原
に結合することによって、
連結試薬を使用することなく、効果を奏することができる。或いは、治療効果を
向上させるために、抗体に薬物、毒素又は放射性核種などの細胞傷害性の薬物を
結合させることも可能である。Garnett及びBaldwinは、Cancer Research,46,2
407-2412(1986)で薬物-モノクローナル抗体複合体について記載している。Pasta
nらは、Cell,47,641-648(1986)で、様々な癌の治療用モノクローナル抗体に結合
した毒物の使用に関する総説を発表している。Goodwin及びMearesは、Cancer su
pplement,80,2675-2680(1997)に、正常組織に対する毒性を制限しつつも、腫
瘍に対する薬物濃度を最も高くするための様々な戦略におけるイットリウム-90
標識モノクローナル抗体の使用について記載している。銅-67、ヨウ素-131及び
レニウム-186を含むその他既知の細胞傷害性放射性核種も、全て乳癌治療用抗BS
124モノクローナル抗体の標識に使用し得る。
大腸菌(E.coli)(クローン1730294)は、American Type Culture Collection(A
.T.C.C.)、12301 Parklawn Drive,Rockville,Maryland 20852に1997年6月25
日に寄託されている。本寄託は、ブダペスト条約の条項に基づき、寄託の日から
30年間または寄託に関する最終請求後5年間または該米国特許の存続期間
のうち最も遅い時まで保管されることとなる。該寄託および本明細書に記載され
る他の任意の寄託物質は、便宜上与えられているにすぎず、本明細書の教示を考
慮して本発明を実施することは必ずしも要求されない。それらの全寄託物質にお
けるcDNA配列を、参考として本明細書に組入れるものとする。クローン1730294
には、A.T.C.C.受託第98466号が付与されている。
つぎに、実施例により本発明を説明するが、これらの実施例は例示にすぎす、
本発明の範囲を限定するものではない。
実施例実施例1:乳房組織ライブラリーBS124遺伝子特異的クローンの同定 A .発現しているタグ配列(EST)または転写イメージの、ライブラリーにおけ る比較
cDNAクローン挿入断片の部分配列、いわゆる「発現しているタグ配列」(EST
)を、乳房腫瘍組織、乳房非腫瘍組織および多数の他の組織(腫瘤および非腫瘍
の両方)から作製したcDNAライブラリーから導き出し、遺伝子転写イメージとし
てデータベース(Incyte Pharmaceuticals,Palo Alto,CAから入手可能なLIFES
EQTMデータベース)に入力した。国際公開WO 95/20681
を参照されたい(転写イメージは、ある与えられた組織ライブラリーにおける代
表遺伝子のそれぞれに関するEST数の一覧である。相互配列重複の領域を共有す
るESTは、クラスターに分類される。クラスターには、代表的5'ESTからのクロ
ーン番号が割り当てられる。しばしば、関心のあるクラスターを、そのコンセン
サス配列と、自動化クラスタリングの基準を満足しなかった他のESTの配列との
比較により伸長させることが可能である。入手可能な全クラスターおよび単一ES
Tのアラインメントは、コンセンサス配列が導かれるコンティグを表す)。つい
で該転写イメージを評価して、主として乳房組織ライブラリーを代表するEST配
列を同定した。ついで、これらの標的クローンを、標的ライブラリー中のそれら
の存在量(出現頻度)と、バックグラウンドライブラリーにおけるそれらの不存
在とに基づきランク付けした。低いバックグラウンド出現頻度を有する、より高
い存在量のクローンには、より高い研究優先度を与えた。乳房組織ライブラリー
の5.9%(34例中2例)においてBS124のコンセンサス配列に対応するESTが確認
された。乳房以外のデータベースにおける他のライブラリーの0.3%(640例中2
例)においてのみ、コンセンサス配列配列番号5(またはその
断片)に対応するESTが確認された。従って、コンセンサス配列又はその断片は
、それ以外の組織に比較し、乳房において19倍以上の頻度で確認された。重複ク
ローン1730294(配列番号1)、1213903(配列番号2)g2185139(配列番号3
)をそれぞれ、さらなる研究のために同定した。これらは、クローン1730294(
以後クローン1730294IH、配列番号4と呼称する)の全長の配列に加えて、本明
細書に記載するコンセンサス配列(配列番号5)を導き出すもとになった、BS12
4コンティグを形成するのに必要な最小数のクローンを代表する。
B .コンセンサス配列の作製
クローン1730294(配列番号1)、1213903(配列番号2)、g2185139(配列番
号3)及び1730294IH(配列番号4)のヌクレオチド配列を、SequencherTMプロ
グラム(Gene Codes Corporation,Ann Arbor,MIから人手可能)に入力して、
ヌクレオチドアライメント(コンティグ地図)を得、ついでそれらのコンセンサ
ス配列(配列番号5)を得た。図1A及び1Bは、これらのクローンのヌクレオチド
配列アラインメント、および得られたそれらのヌクレオチドコンセンサス配列(
配列番号5)を示す。図2は、BS124遺伝子の重複領域を形成する該クロー
ン1730294(配列番号1)、1213903(配列番号2)、g2185139(配列番号3)及
び1730294IH(配列番号4)を示すコンティグ地図と、これらのクローンから得
られたコンセンサスヌクレオチド配列(配列番号5)とを図示的に表す。これの
後、該コンセンサス配列(配列番号5)上で3フレーム翻訳を行なった。第3フ
ォワードフレームは、170残基のアミノ酸配列をコードするオープンリーディン
グフレームを有することが判明し、これを配列番号22として示す。オープンリー
ディングフレームは、配列番号5のヌクレオチド45-554に対応する。104残基のB
S124ポリペプチドをソフトウエア及び業界で公知の技術を用いて、刊行されてい
る配列との比較を行った。リポカリンスーパーファミリーの一員であるヒトフォ
ンエブナー腺蛋白質(von Ebner's gland protein)のポリペプチド配列が部分
的に前記104残基BS124ポリペプチドと相同性を有することが確認された。ヒトフ
ォンエブナー腺蛋白質は、Blakerらによって、Biochem.Biophys.Acta.1172:131
-137(1993)において詳述されており、また、その配列は、GenBankにおいて受
託番号L14927で寄託されている。実施例2:BS124 EST特異的クローンの配列決定
BS124遺伝子コンティグの最も5'側のESTを含むクローン1730294IHのDNA配列
(配列番号4)を、公知方法に従い、色素ターミネーターを使用するジデオキシ
ターミネーション配列決定法で決定した(F Sangerら,PNAS U.S.A. 74:5463(19
77))。
pINCYベクター(Incyte Pharmaceuticals,Inc.,Palo Alto.CAより入手可能)は
、該挿入断片の3'および5'ライゲーション結合部に直接隣接したプライミング
部位を含有するため、2種類の普遍的プライマー(配列番号8および配列番号9
。それぞれ、New England Biolabs,Beverly,MAおよびApplied Biosystems Inc
,Foster City,CAより入手可能)を使用して該挿入断片の約300塩基を両方向に
配列決定した。該配列決定反応を、ポリアクリルアミド変性ゲル上で行ない、Ap
plied Biosystems 377 Sequencer(Applied Biosystems,Foster City,CAから
入手可能)または他の配列決定装置により、該配列を決定した。追加的な配列決
定プライマーBS124.F1およびBS124.R1(それぞれ配列番号10乃至14)を、コンセン
サス配列(配列番号5)の配列情報から設計した。ついで、これらのプライマー
を使用して、既に記載されているとおりに、各DNA鎖からのクローン化挿入
断片の残りのDNA配列を決定した。実施例3:核酸 A .組織からのRNAの抽出
乳房組織および非乳房組織から全RNAを単離した。当該技術分野で公知であり
文献記載されている塩化リチウム/尿素法(Katoら,J .Virol. 61:21-2191,(1
987))、UltraspecTM(Biotecx Laboratories,Inc.,Houston Texas)およびTR
IzolTM(Gibco-BRL,GrandIsland,NY)を含む(これらに限定されるものではない
)種々の方法を用いた。
簡単に説明すると、該組織を氷上の無菌円錐管中に配置し、10〜15容量の3M L
iCl、6M尿素、5mM EDTA、0.1M β-メルカプトエタノール、50mM Tris-HCl(pH7.5
)を加えた。該組織を、氷
Westbury,NY)で30〜50秒間ホモジナイズした。該溶液を15mlプラスチック遠心
管に移し、−20℃で一晩放置した。該管を9,000×g、0〜4℃で90分間遠心し、該
上清を直ちにデカントした。ついで10mlの3M LiClを加え、該管を5秒間ボルテ
ックスした。チューブを11,000×g、0〜4℃で45分間遠心した。これらのデカン
ト、LiClへの再懸濁および遠心分離を繰返し、最終
ペレットを風乾し、2mlの1mM EDTA、0.5% SDS、10mM Tris(pH7.5)に再懸濁し
た。20μlのプロテイナーゼK(20mg/ml)を加え、溶液を、時々混合しながら37
℃で30分間インキュベートした。10分の1容量(0.22〜025ml)の3M NaClを加え
、該溶液をボルテックスした後、2mlのフェノール/クロロホルム/イソアミル
アルコール(PCI)を含有する別の管に移した。該管を1〜3秒間ボルテックスし
、3,000×g、10℃で20分間遠心した。PCI抽出を繰返し、ついでクロロホルム/
イソアミルアルコール(CI)での同様の抽出を2回行なった。最終水溶液を、6m
lの無水エタノールを含有する予め冷却した15mlコレックスガラス管に移し、該
管をパラフィンで覆い、−20℃で一晩放置した。該管を10,000×g、0〜4℃で30
分間遠心し、該エタノール上清を直ちにデカントした。該RNAペレットを10mlの7
5%氷冷エタノールで4回洗浄し、最終ペレットを室温で15分間風乾した。該RNA
を0.5mlの10mM TE(pH7.6、1mM EDTA)に懸濁し、その濃度を分光光度的に測定し
た。RNAサンプルを等分割し、エタノール沈殿物として−70℃で保存した。
該RNAの量を、アガロースゲル電気泳動(実施例5、ノーザンブロット解析を参
照されたい)および0.5ng/mlの臭化エチ
ジウムでの1時間の染色により測定した。無傷リボソームRNAを含有しないRNAサ
ンプルを、該研究から除外した。
RT-PCR分析には、1mlのUltraspec RNA試薬を、2.0mlポリ
ホモジナイザー(Brinkman Instruments,Inc.,Westbury,NY)で50秒間ホモジ
ナイズし、氷上に5分間放置した。ついで0.2mlのクロロホルムを各サンプルに
加え、ついで15秒間ボルテックスした。該サンプルを氷中に更に5分間放置し、
ついで12,000×g、4℃で15分間遠心した。該上層を集め、RNアーゼを含まない別
の2.0mlミクロ遠心管に移した。等容量のイソプロパノールを各サンプルに加え
、該溶液を氷上に10分間放置した。該サンプルを12,000×g、4℃で10分間遠心し
、該上清を捨てた。残ったペレットを冷75%エタノールで2回洗浄し、ボルテッ
クスにより再懸濁し、再懸濁した該物質をついで、7,500×g、4℃で5分間遠心
分離により再ペレット化した。最後に、該RNAペレットをスピードバック(Speed
vac;Gibco-BRL,Grand Island.NY)中で少なくとも5分間乾燥し、RNアーゼを含
まない水中で再構成した。B .血液単核細胞からのRNA抽出
単核細胞を、以下のとおりFicoll-Hypaqueを使用する遠心分離により、患者か
らの血液サンプルから単離する。10ml容量の全血を、等容量のRPMI培地(Gibco-
BRL,Grand Island,NY)と混合する。ついでこの混合物の下に10mlのFicoll-Hypa
que(Pharmacia,Piscataway,NJ)を配置し、200×gで30分間遠心する。該単核
細胞を含有するバフィーコートを取り出し、Dulbecco PBS(Gibco-BRL,Grand Is
land,NY)で50mlまで希釈し、該混合物を200×gで10分間遠心した。2回の洗浄
の後、得られたペレットをDulbecco PBSに再葱濁して、1mlの最終容量とする。
Katoら(J.Virology 61:2182-2191(1987))に記載のとおりに、単離した単核
細胞からRNAを調製する。簡単に説明すると、該ペレット化単核細胞を1mlの最終
容量にし、ついで250μLのPBSに再懸濁し、2.5mlの3M LiCl、6M尿素、5mM EDTA
、0.1M 2-メルカプトエタノール、50mM Tris-HCl(pH7.5)と混合する。得られた
混合物をホモジナイズし、−20℃で一晩インキュベートする。該ホモジネートを
、Beckman J2-21Mローター中、8,000RPM、0〜4℃で90分間遠心する。該ペレット
を、ボルテックスするこ
とにより10mlの3M LiClに再懸濁し、ついでBeckman J2-21Mローター遠心機中、1
0,000RPM、0〜4℃で45分間遠心する。ついで該再懸濁工程およびペレット化工程
を繰返す。該ペレットを、ポルテックスしながら2mlの1mM EDTA、0.5%SDS、10mM
Tris(pH7.5)および400μgプロテイナーゼKに再懸濁し、ついでそれを、振とう
しながら37℃で30分間インキュベートする。ついで10分の1の容量の3M NaClを
加え、該混合物をボルテックスする。フェノール/クロロホルム/イソアミルア
ルコール(PCI)での2サイクルの抽出、およびそれに続くクロロホルム/イソア
ミルアルコール(CI)での1回の抽出により、タンパク質を除去する。6mlの無水
エタノールを加え、ついで−20℃で一晩インキュベートすることにより、RNAを
沈殿させる。該沈殿RNAを遠心により集めた後、該ペレットを75%エタノール中
で4回洗浄する。ついで該ペレット化RNAを1mM EDTA、10mM Tris-HCl(pH7.5)を
含む水溶液に溶解する。
非乳房組織を陰性対照として使用する。さらにポリアデニル化RNAの単離のた
めのオリゴdTセルローススピンカラム(Pharmacia,Uppsala,SwedenからのRedi
ColTM)などの商業的に入手可能なキットを使用して、該mRNAを全RNAから精製す
ることができる。全RNAまたはmRNAは、リボヌクレアーゼ保護アッセイにおける
分析のために溶解緩衝液(5Mグアニジンチオシアナート、0.1M EDTA、pH7.0)中
に溶解することができる。
C .ポリソームからのRNA抽出
組織を、4℃、食塩水中で細かく刻み、6mM 2-メルカプトエタノールを含有す
るTK150M(150mM KCl、5mM MgCl2、50mM Tris-HCl、pH7.4)溶液中、2.5容量の0
.8Mショ糖と混合する。該組織を、Teflon-ガラスPotterホモジナイザー中、100
〜200rpm、5往復で、ついでDounceホモジナイザー中、6往復でホモジナイズす
る(B.Mechler,Methods in Enzymology 152:241-248(1987)に記載のとおり
)。ついで該ホモジネートを、12,000×g、4℃で15分間遠心して、核を沈降させ
る。2mlの該上清を、TK150M中の2.5Mショ糖6mlと混合し、この混合物を38mlポリ
アロマー管内のTK150M中の4mlの2.5Mショ糖の上に重層することにより、該ポリ
ソームを単離する。追加的な2つのTK150M溶液を、該抽出画分の上に順次重層す
る(13mlの2.05Mショ糖の第1層およびそれに続く6mlの1.3Mショ糖の第2層)。
該勾配を90,000×g、4℃で5時間遠心することにより、該ポリソームを単離する
。つ
いで該画分をシリコーン化パスツールピペットで1.3Mショ糖/2.05Mショ糖界面
から取り、等量のTE(10mM Tris-HCl、pH7.4、1mM EDTA)中に希釈する。等容量
の90℃のSDS緩衝液(1%SDS、200mM NaCl、20mM Tris-HCl、pH7.4)を加え、該溶
液を沸騰水浴中で2分間インキュベートする。つぎにタンパク質をプロテイナー
ゼK(50mg/ml)で37℃で15分間消化する。等容量のフェノール/クロロホルムで
抽出し、ついで0.1容量の2M酢酸ナトリウム(pH5.2)および2容量の100%エタ
ノールで−20℃で一晩沈殿させることにより、該mRNAを精製する。その沈殿した
RNAを、12,000×g、4℃で10分間の遠心分離により回収する。該RNAを乾燥し、TE
(pH7.4)または蒸留水に再懸濁する。ついで該再懸濁化RNAをスロットブロット
またはドットブロットハイブリダイゼーションアッセイで使用して、BS124mRNA
の存在を確認することができる(実施例6を参照されたい)。
核酸およびタンパク質の量は、用いる製造方法に左右される。標的分子の単離
効率を最大にするためには、各サンプルは、異なる調製技術を必要とするかもし
れない。これらの調製技術は、当業者の技量の範囲内に含まれる。実施例4:リボヌクレアーゼ保護アッセイ A .標識化相補的RNA(cRNA)ハイブリダイゼーションプローブおよび未標識セ ンス鎖の合成
標識アンチセンス及び非標識センスリボプローブを、対抗するSP6及びT7RNAポ
リメラーゼプロモーターに隣接するBS124遺伝子cDNA配列から転写した。この配
列は適当なBS124cDNA挿入を含むpINCYベクター(Incyte Pharmaceuticals.Inc.P
alo Alto.CA)由来である。対抗するSP6及びT7RNAポリメラーゼポルモーターに
隣接するBS124遺伝子cDNA配列を含む上記プラスミド、クローン1730294を、Qiag
en Plasmid Purificationキット(Qiagen,Chatsworth,CA)を使用して精製し
た。続いて、10μgのプラスミドDNAを制限酵素DdelI及びHindIIIで37℃にて1時
間処理し、切断することによって線状化した。この線状化したプラスミドDNAをQ
IAquick kit(Qiagen,Chatsworth,CA)を用いて精製し、250ngを使用して、標識
とし10μM(α32P)CTP(Amersham Life Science.Inc.Alington
ョンシステム(Promega Corporation,Madison,WI)製造元の記載通りに用いて
T7プロモーターからアンチセンス転写体を
合成した。センス鎖を合成するために、精製プラスミドDNA10μgを制限酵素NotI
及びSal1で切断し、500μMの非標識CTPを用いる点を除いて上記と同様にしてSP6
プロモーターから250ngの転写体を得た。スピンカラムクロマトグラフィーを用
いて、センス及びアンチセンス鎖を精製した。非標識センス鎖を260nmでの吸光
度によって定量した。
B .標的に対する標識プローブのハイブリダイゼーション
凍結した組織を、液体窒素下で粉砕して粉末にし、100〜500mgを適量の溶解緩
衝液(Qiagen RNeasy Total RNA Kit(Qiagen,Chatsworth,CA))の一成分として
入手可能)に溶解した。その後、提供元の使用説明書の記載に従いRNAを精製し
た。さらに組織ホモジナイザーを使用して溶解を行なった。また、陽性対照とし
て使用するために、酵母RNA(Qiagen,Chatsworth,CA)中の既知量のセンス鎖の
希釈系列を作製した。最後に、2〜5μgの組織RNAまたは希釈されたセンス鎖
を、酢酸アンモニウム及びエタノールで沈殿させ、20μlのハイブリダイゼーシ
ョン緩衝液(RPAIITMRibonuclease Protein Assay Kit(Ambion.Inc.,Austin,TX)
の構成成分である)に懸濁させた5×104cpmの放射能標識プローブ(1.5×109cp
m/μg)と直接混合した。ハイ
ブリダイゼーションを45℃で一晩進行させた。J.J.LeeらのMeth.Enzymol.152:63
3-648(1987)参照。C .RNアーゼ消化
RPAIITMプロトコールに従い、RNアーゼAおよびRNアーゼT1の溶液を37℃で30分
間使用して、プローブにハイブリダイズしていないRNAを該反応から除去した。
ついで、指示書の記載に従って、消化されないように保護されたハイブリダイズ
した断片を沈殿させた。該沈殿物を、12,000×gで20分間の遠心分離により集め
た。
D .断片の分析
該沈殿物を、変性ゲルローディング色素(80%ホルムアミド、10mMEDTA(pH8.0)、1
mg/mlキシレンシアノール、1mg/mlブロモフェノールブルー)に溶解し、熱変性
させ、6%ポリアクリルアミドTBE、8M尿素変性ゲル中で電気泳動した。STORMTM
貯蔵蛍りん光体(storage phosphor)オートラジオグラフィー系(Molecular Dy
namics,Sunnyvale,CA)を使用して、該ゲルをイメージングし、分析した。試
験サンプルから得たピーク領域を、陽性対照センス鎖の既知希釈物からのものと
比較することにより、保護された断片のバンドの定量を行なった(前記B節を参
照された
い)。結果をイメージ評価得点(image rating score)として表示した(表1)
。
表1リボヌクレアーゼ保護結果 配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5及びそれらの
断片又は相補体から成る群より選択される配列を含む産物の検出は、BS124 mRNA
の存在を示しており、このことは、乳癌などの乳房組織疾患又は状態の診断を示
唆している。実施例5:ノーザンブロット法
アガロースゲル電気泳動および核酸ハイブリダイゼーションによりRNAの複合
体集団中の特定のサイズのRNA種を同定するために、ノーザンブロット法を用い
る。簡単に説明すると、40mMモルヒリノプロパンスルホン酸(MOPS)(pH7.0)、1
0mM酢酸ナトリウム、1mM EDTA、2.2Mホルムアルデヒド、50% v/vホルムアミドを
含有する15μlの溶液中で、5〜10μgの全RNA(実施例3核酸調製を参照されたい
)を65℃で15分間インキュベートした。該変性RNAを2μlのローディング緩衝液
(50%グリセロール、1mM EDTA、0.4%ブロモフェノールブルー、0.4%キシレンシ
アノール)と混合し、40mM MOPS(pH7.0)、10mM酢酸ナトリウム、1mM EDTAおよび
2.2Mホルムアルデヒドを含有する変性1.0%アガロースゲル中にローディングし
た。該ゲルを60Vで1.5時間電気泳動し、RNアーゼを含まない水中でリンスした。
ゲルを、0.5μg/mlの臭化エチジウムで1時間染色し、RNアーゼを含まない水中
で30〜45分間リンスする。下向性アルカリキャピラリートランスファー法(down
ward alkaline capillary transfer method)(Chomczynski,Anal .Biochem. 2
01:134-139,1992)を用いて、RNAを該ゲルからナイロンメンブレン
(Brightstar-Plus,Ambion,Inc.,Austin,TX)に1.5時間トランスファーした
。該フィルターを1×SSCでリンスし、StratalinkerTM(Stratagene,Inc.,La J
olla,CA)を自動架橋(autocrosslinking)モードで使用してRNAを該フィルタ
ーに架橋し、15分間乾燥した。ついで該メンブレンを、予め加熱した20mlのプレ
ハイブリダイゼーション溶液(5×SSC、50%ホルムアミド、5×デンハルト液、10
0μg/ml変性サケ精子DNA)を含有するハイブリダイゼーション管に入れ、42℃の
ハイブリダイゼーションオーブン中で少なくとも3時間インキュベートした。該
ブロットがプレハイブリダイズしている間に、製造業者(Gibco−BRL,GrandIsla
nd,NY)の指示に従い用いBS124挿入断片を使用して、32Pで標識されたランダム
プライムドプローブを生成させた。該プローブの半分を10分間煮沸し、氷上で急
冷し、該ハイブリダイゼーション管内に加えた。ハイブリダイゼーションを42℃
で少なくとも12時間行なった。該ハイブリダイゼーション溶液を捨て、該フィル
ターを30mlの3×SSC、0.1%SDS中、42℃で15分間洗浄(2回)し、ついで0.3×SS
C、0.1%SDS中、60℃で15分間洗浄(2回)した。該フィルターをサランラップで
包み、Kodak XAR-Omatフィルムに8〜120時間
さらし、該フィルムを現像して分析した。様々な正常組織のノーザンブロット接
触パネルへのBS124ハイブリダイゼーションの分析結果を、エチジウムブロマイ
ド(EtBr)染色RNAゲル及び対応するBS124ノーザンブロットを含む図3Aに示す
。RNAサイズ基準の位置(kb単位)を、各パネルの左側に示す。対照(レーン12
)は24時間感光させ、それ以外のブロットは196時間感光させた。図3Aに示すよ
うにBS124特異的プローブは、正常組織(レーン10)において、約0.5kbのRNAを
検出した。BS124プラスミドを含む大腸菌から単離したRNAの陽性対照を含むレー
ン12も、BS124ハイブリダイゼーションで陽性であった。
様々な乳房組織抽出(正常乳房及び乳癌組織)を含むノーザンブロットへのBS
124ハイブリダイゼーションの分析結果を図3Bに示す。図3Bは、エチジウムブロ
マイド(EtBr)染色RNAゲル及び対応するBS124ノーザンブロットを含む。RNAサ
イズ標準(kb)の位置を各パネルの左側に示す。対照(レーン12)は24時間感光
させ、それ以外のブロットは196時間感光させた。図3Bに示すように、BS124特異
的プローブは、乳癌サンプル6例中2例(レーン10及び11)において、約0.5kb
のRNAを検出したが、正常乳房サンプル5例の何れにおいても、該RNAは
検出されなかった(レーン1〜5)。BS124を含む大腸菌から単離されたRNAの陽性
対照を含むレーン12もBS124ハイブリダイゼーションに陽性を示した。
配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5及びそれらの
断片及び相補体から成る群より選択される配列を含む産物の検出は、BS124 mRNA
の存在の指標であり、乳癌などの乳房組織疾患又は状態の診断を示唆している。実施例6:ドットブロット/スロットブロット
ドットおよびスロットブロットアッセイは、複雑な核酸混合物中の特異的核酸
配列の存在を評価するための迅速な方法である。そのようなアッセイを行なうた
めに、50μgまでのRNAを50μlの50%ホルムアミド、7%ホルムアルデヒド、1×
SSC中で混合し、68℃で15分間インキュベートし、ついで氷上で冷却する。つい
で100μlの20×SSCを該RNA混合物に加え、調製されたニトロセルロースまたは
ナイロンメンブレンを有するマニホールド装置上に真空下でローディングする。
該メンブレンを水、20×SSCに1時間漬け、20×SSCで予め湿らせたWhatman#3濾
紙の2枚のシート上に配置し、スロットブロットまたはドットブロット真空マニ
ホールド装置中にローディングする。該スロット
ブロットを、前記実施例4に記載のとおりに調製され標識されたプローブで分析
する。配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5およびそれら
の断片または相補体よりなる群から選ばれる配列に対応するmRNAの検出は、BS12
4の存在の指標となり、乳癌などの乳房組織の疾患または状態の診断を示唆する
。
実施例5および6に記載(ただし、ここでは、特に詳細に記載されているわけ
ではない)の方法で使用しうる他の方法および緩衝液は、当該技術分野で公知で
あり、J.Sambrookら(前掲)に記載されている。実施例7:In Situハイブリダイゼーション
この方法は、検出可能な核酸ハイブリダイゼーションプローブを使用して細胞
中の特異的標的核酸配列を直接検出するのに有用である。
細胞RNAの保持を最大にするためのパラホルムアルデヒド、グルタルアルデヒ
ドなどの架橋固定剤を用いて、組織を調製する。L.Angererら,Methods in Cel l Biol.
35:37-71(1991)を参照されたい。簡単に説明すると、該組織を、50mM
リン酸ナトリウム(pH7.5)中の5容量以上の1%グルタルアルデヒド中
に4℃で30分間放置する。該溶液を、新鮮なグルタルアルデヒド溶液(1%グルタ
ルアルデヒド、50mMリン酸ナトリウム中(pH7.5))と交換して、さらに30分間
固定する。該固定溶液は、約0.375%NaClの浸透圧モル濃度を有するべきである
。該組織を等張NaCl中で1回洗浄して、該リン酸を除去する。
ついで該固定化組織を、以下のとおり、パラフィン中に包埋する。50%(2回
)、70%(2回)、85%、90%、ついで100%(2回)の一連のエタノール濃度
により、それぞれ15分間、該組織を脱水する。つぎに、該組織をキシレン(2回
交換)に、室温でそれぞれ20分間漬ける。ついで該組織を、キシレンおよびパラ
フィンの1:1混合物(2回交換)に60℃でそれぞれ20分間、ついでパラフィン
(3回の最終交換)にそれぞれ15分間漬ける。
つぎに、該組織を、標準的なミクロトームを使用して5μmの切片に切断し、3-
アミノプロピルトリエトキシシランなどの組織接着剤で予め処理されたスライド
上に配置する。
キシレンに10分間2回漬けることにより、該組織からパラフィンを除去し、99
%(2回)、95%、85%、70%、50%、30%の一連のエタノール濃度中、ついで蒸留
水(2回)中で再水和化する。
該切片を、0.2M HClで10分間、前処理し、37℃で15分間、2μg/mlプロテイナー
ゼKで透過性を上昇させる。
BS124遺伝子プラスミドから転写された標識リボプローブ(実施例4を参照され
たい)を、その調製された組織切片にハイブリダイズさせ、3×標準食塩水抽出物
および50%ホルムアミド中、56℃で一晩インキュベートする。2×標準クエン酸
食塩水および50%ホルムアミド中で洗浄し、ついで100μg/ml RNアーゼAで37℃
で30分間消化することにより、過剰なプローブを除去する。蛍光プローブを、顕
微鏡下での紫外(UV)光による照明により可視化する。細胞質中の蛍光は、BS12
4 mRNAを示している。別法として、該切片をオートラジオグラフィーで可視化す
ることができる。実施例8:逆転写PCR A .一工程RT-PCRアッセイ
当該技術分野で公知の方法を用いる逆転写PCRにより前記標的配列を検出する
ために、標的特異的プライマーを設計する。一工程RT-PCRは、RTおよびPCRの両
方を単一反応混合物中で行なう逐次的方法である。該方法は、50mM(N,N-ビス[2
-ヒドロキシエチル]グリシン)(pH8.15)、81.7mM KOAc、33.33mM KOH、
0.01mg/mlウシ血清アルブミン、0.1mMエチレンジアミン四酢酸、0.02mg/ml NaN3
、8%w/vグリセロール、150μMの各dNTP、0.25μMの各プライマー、5U rTthポリ
メラーゼ、3.25mM Mn(OAc)2および5μlの標的RNA(実施例3を参照されたい)
を含有する200μlの反応混合物中で行なう。RNAおよび該rTthポリメラーゼ酵素
は、Mn(OAc)2の存在下では不安定であるため、該Mn(OAc)2は、標的の添加の直前
に加えるべきである。当業者であれば、cDNA合成およびサーマルサイクリングの
ための最適条件を容易に決定することが可能である。該反応を、Perkin-Elmer T
hermal Cycler480中でインキュベートする。当業者であれば、cDNA合成およびサ
ーマルサイクリングのための最適条件を容易に決定することが可能である。有用
であると考えられる条件には、60℃〜70℃で15〜45分間のcDNA合成、および94℃
で1分間、55〜70℃で1分間、72℃で2分間の30〜45サイクルの増幅が含まれる
。また、一工程RT-PCRは、Taqポリメラーゼと逆転写酵素(例えば、MMLVまたはA
MV RT酵素)とを使用する二重酵素法を用いて行なうことができる。
B .伝統的なRT-PCR
伝統的な二工程RT-PCR反応を、K.Q.Huら,Virology
181:721-726(1991)に記載のとおりに行なった。簡単に説明すると、0.5μgの抽
出されたmRNA(実施例3を参照されたい)を、1×PCR II緩衝液(Perkin-Elmer
)、5mM MgCl2、1mM各dNTP、20U RNasin、2.5μMランダムヘキサマーおよび50U
MMLV(モロニーマウス白血病ウイルス)逆転写酵素(RT)を含有する20μlの反
応混合物中で逆転写した。逆転写は、PE-480サーマルサイクラー(Perkin-Elmer
)中、室温で10分間、42℃で30分間行ない、ついで95℃で5分間インキュベート
して、該RTを不活性化した。PCRは、1XPCRII緩衝液(Perkin-Elmer)、50mM KCl
、1.5mM MgCl2、200μM dNTP、0.5μMの各センスおよびアンチセンスプライマー
(それぞれ配列番号15および配列番号16)および2.5UのTaqポリメラーゼを含有
する50μlの最終PCR反応容量中、2μlの該cDNA反応液を使用して行なった。該
反応を、PE-480サーマルサイクラー(Perkin-Elmer)中で以下のとおりにインキ
ュベートした:35サイクルの増幅(94℃で45秒間、62℃で45秒間、70℃で2分間
)、最終伸長(72℃で7分間)および4℃での浸漬。
C .PCR断片の分析 Eugene,OR)によるゲル電気泳動を用いるサイズの決定により確認した。ゲルは
、1×TBE中の1:10,000希釈のSYBR Green Iで45分間染色した。図4A及び4Bに示
すゲルを、STORMイメージングシステム(Molecural Dynamics,Sunnyvale.CA)を
用いてイメージングした。図4Aは、レーン3〜11において100bp BS124特異的PCR
増幅産物を表示し、試験した正常及び乳癌サンプル10例中9例において、BS124m
RNAが存在することを示している。図4Bでは、100bpのBS124特異的PCR増幅産物が
、正常サンプルの1例のみにおいて(わずかに)観察された。このことは、BS12
4が乳房特異的であることを示唆している。配列番号1、配列番号2、配列番号
3、配列番号4、配列番号5及びそれらの断片又は相補体を含む群から選択され
た配列を含む産物の検出は、BS124 mRNAの存在を示し、乳癌などの乳房組織の疾
患又は状態を示唆している。実施例9:OH-PCR A .プローブの選択および標識
オリゴヌクレオチドハイブリダイゼーションPCRにより前記標的配列を検出す
るために、標的特異的プライマー(配列番号17及び配列番号18)及びプローブ(
配列番号19)を設計する。
1992年6月25日付け公開の国際公開WO 92/10505および1992年7月9日付け公開
のWO 92/11388は、それぞれ5'末端および3'末端でオリゴヌクレオチドを標識
するための方法を開示している。標識−ホスホルアミジット試薬を調製し、それ
を使用して、該標識を該オリゴヌクレオチドに、その合成中に付加した。[N.T
.Thuongら,Tet .Letters 29(46):5905-5908(1988)またはJ.S.Cohenら,公開
されている米国特許出願第07/246,688号(NTIS ORDER No.PAT-APPL-7-246,688
)(1989)を参照されたい。]プローブを、その3'末端で標識して、PCRへの関与
および望ましくない伸長産物の形成を妨げる。一工程OH-PCRでは、該プローブは
、該プライマーのTMより少なくとも15℃低いTMを有していた。当該技術分野でよ
く知られている標準的なホスホルアミジット化学および/または合成後標識法を
用いて、該プライマーおよびプローブを、検出可能な標識を有する又は有さない
特異的結合メンバーとして使用した。
B .一工程オリゴハイブリダイゼーションPCR
50mM(N,N-ビス[2-ヒドロキシエチル]グリシン)(pH8.15)、81.7mM KOAc、3
3.33mM KOH、0.01mg/mlウシ血清アルブミン、0.1mMエチレンジアミン四酢酸、0.
02mg/ml NaN3、8% w/vグリ
セロール、150μMの各dNTP、0.25μMの各プライマー、5.0nMのプローブ、5U rTt
hポリメラーゼ、3.25mM Mn(OAc)2および標的RNA(実施例3を参照されたい)を
含有する200μlの反応中で、OH-PCRを行なう。RNAおよび該rTthポリメラーゼ酵
素は、Mn(OAc)2の存在下では不安定であるため、該Mn(OAc)2は、標的の添加の直
前に加えた。該反応を、Perkin-Elmer Thermal Cycler480中でインキュベートす
る。当業者であれば、cDNA合成およびサーマルサイクリングのための最適条件を
容易に決定することが可能である。有用であった条件には、cDNA合成(60℃、30
分間)、30〜45サイクルの増幅(94℃で40秒間、60℃で30秒間)が含まれる。オ
リゴハイブリダイゼーションに先立ち、
た。オリゴハイブリダイゼーションを、増幅(97℃、5分間;12℃浸漬)に続い
て実施した。正常な反応産物は、少なくとも1つのPCR産物の鎖及び内部でハイ
ブリダイズしたプローブを含んでいた。
ガロースゲルのスキャンである。本図は、BS124転写RNA(レーン2)、T−47D細
胞RNA(非希釈)(レーン3)、T−47D細胞
RNA(10倍希釈)(レーン4)。ヒト乳癌T-47D細胞株(ATCCHTB133,Rockvill,MD)
。レーン1は、試薬陰性対照(水)を示し、一方、レーン5は、胎盤DNA陰性対
照である。ヒト胎盤DNA対照は、2.25kbのアンプリコンを示さず、このことは、
レーン2〜4中に観察される2.25kbのアンプリコンは、mRNAの増幅によるもので
あり、DNAの増幅によるものではないことを示唆している。試薬対照は、何れの
も生じさせず、OH-PCR試薬自身では増幅させ得ないことを示唆している。
C .OH-PCR産物の分析 Park,ILから入手可能)上で検出する。簡単に説明すると、抗体で標識された微
粒子により、該ハイブリダイゼーションプローブ上の捕捉可能部位で、正しい反
応産物を捕捉させ、PCR産物に対する検出可能な抗体結合体の結合により該複合
体を検出する。該内部プローブにハイブリダイズしたPCR鎖を含有する
テムで分析した点を除いて、同じサンプル由来の検出可能なOH-PCR増幅産物を示
す。BS124RNA特異的転写物を希釈し、
ルのPCR増幅を行った場合に、10分子数のBS124が検出可能であった。更に、ヒト
乳房細胞株であるT-47D細胞から単離した非希釈RNAは、45サイクルのPCR増殖で
検出された。したがって、この複合体の検出は、BS124 mRNAの存在を示し、乳癌
などの乳房の疾患または状態の診断を示唆する。
増幅された又は増幅されていないBS124由来核酸配列の存在を検出するために
当業者が使用および/または修飾しうる多数の他の検出様式が存在し、それらに
は、リガーゼチェイン反応(LCR,Abbott Laboratories,Abbott Park,IL);Q
βレプリカーゼ(Gene-TrakTM,Naperville,Illinois)、ブランチトチェイン
(branched chain)反応(Chiron,Emeryville,CA)および鎖置換(strand disp
lacement)アッセイ(Becton Dickinson,Research Triangle Park,NC)が含まれ
るが、これらに限定されるものではない。実施例10:合成ペプチドの製造
合成ペプチドを、BS124コンセンサス配列(実施例1参照)の推定アミノ酸配
列に基づいて設計し調製した。特に、配列番号23、配列番号24及び配列番号25を
含む、配列番号22のBS124ポリペプチド配列由来の多くのBS124ペプチドが調製さ
れた。
すべてのペプチドは、FMOC化学、標準的なサイクルおよびin situ HBTU活性化を
用いてSymphony Peptide Synthesizer(Rainin Instrument Co,Emeryville CA
から入手可能)または同様の機器上で合成した。切断および脱保護の条件は以下
のとおりであった:2.5mlの容量の切断試薬(77.5%v/vトリフルオロ酢酸、15% v
/vエタンジチオール、2.5% v/v水、5% v/vチオアニソール、1〜2%w/vフェノール
)を該樹脂に加え、室温で2〜4時間攪拌した。ついで該濾液を取り出し、該ペ
プチドを冷ジエチルエーテルで該切断試薬から沈殿させた。ついで各ペプチドを
濾過し、水/アセトニトリル/0.1%TFA勾配を用いる逆相分取HPLCで精製し、凍
結乾燥した。該産物を質量分析で確認した。
ついで該精製ペプチドを動物の免疫に使用した(実施例14を参照されたい)。実施例11a:プラスミド577を使用する、細胞系内でのタンパク質の発現 A .BS124発現プラスミドの構築
6月7日付け出願の米国出願第08/478,073号に記載のプラスミド577は、永久
細胞系内での分泌抗原の発現用に構築されて
いる。このプラスミドは、以下のDNAセグメントを含有する:(a)細菌性β-ラ
クタマーゼとDNA複製起点とを含有するpBR322の2.3kbの断片、(b)HSV-1チミジ
ンキナーゼプロモーターおよびポリA付加シグナルの制御下でネオマイシン耐性
遺伝子の発現を指令する1.8Kbのカセット、(c)SV-40プロモーターおよびポリA
付加シグナルの制御下でのジヒドロ葉酸レダクターゼ遺伝子の発現を指令する1.
9Kbのカセット、(d)シミアンウイルス40T-Agプロモーターおよび転写エンハン
サー、B型肝炎ウイルス表面抗原(HBsAg)エンハンサーIおよびそれに続くポリA
付加シグナルを与える単純ヘルペスウイルス1(HSV-1)ゲノムの断片の制御下
で、修飾C型肝炎ウイルス(HCV)E2タンパク質に融合したウサギ免疫グロブリン
重鎖シグナル配列の発現を指令する3.5Kbのカセット、(e)このプラスミド内で
機能しないシミアンウイルス40ゲノム後期領域の、残りの0.7Kb断片。該ベクタ
ーの全セグメントを、分子生物学の当業者に公知の標準的な方法で合体させた。
選択可能なBS124タンパク質の発現のためのプラスミドは、プラスミド577中の
C型肝炎ウイルスE2タンパク質コード配列を、配列番号1、配列番号2、配列番号3
、配列番号4、配列番
号5およびそれらの断片または相補体よりなる群から選ばれるBS124ポリヌクレオ
チド配列で以下のとおりに置換することにより構築する。XbaIでのプラスミド57
7の消化により、C型肝炎ウイルスE2遺伝子断片が遊離する。得られたプラスミド
バックボーンは、発現されたタンパク質を該細胞の分泌経路に導くウサギ免疫グ
ロブリン重鎖シグナル配列の下流のBS124 cDNA挿入断片の挿入を可能にする。該
BS124 cDNA断片は、標準的な方法を用いるPCRにより得る。該センスPCRプライマ
ー配列内にコードされているのは、XbaI部位であり、その直後には、シグナルプ
ロテアーゼのプロセシング、効率的な分泌および培養流体内の最終産物の安定性
を向上させるアミノ酸配列Ser-Asn-Glu-Leu(「SNEL」)をコードする12ヌクレ
オチドの配列が続く。該プライマーは、この12ヌクレオチドの配列の直後に、BS
124遺伝子のアミノ酸をコードする鋳型配列に相補的なヌクレオチドを含有する
。該アンチセンスプライマーは、以下の8アミノ酸をコードする配列を、停止コ
ドンの直前に取込む:Asp-Tyr-Lys-Asp-Asp-Asp-Asp-Lys(配列番号26)。この
配列内に、BS124タンパク質産物の分析および精製を容易にするための認識部位
が取込まれる。抗FLAG M2(Eastman Kodak,Co.,
New Haven,CT)と称される商業的に入手可能なモノクローナル抗体に認識され
る認識部位(「FLAG」と称される)ならびに他の比較しうる配列およびそれらの
対応抗体を使用することが可能である。例えば、Perkin-Elmer-Cetusから入手さ
れる
PCRプライマーは、0.5μMの最終濃度で使用する。PCRは、BS124プラスミド鋳型
上、100μlの反応液中、35サイクル(94℃で30秒間、55℃で30秒間、72℃で90
秒間)、ついで72℃で10分間の伸長サイクルで行なう。
B. ジヒドロ葉酸レダクターゼ欠損チャイニーズハムスター卵巣細胞へのトラン スフェクション
前記プラスミドをCHO/dhfr細胞(DXB-111,Uriacioら,PNAS 77:4451-4466(1980
))中にトランスフェクトする。これらの細胞は、A.T.C.C.,12301 Parklawn Dr
ive,Rockville,MD 20852から受託第CRL 9096号として入手可能である。トラン
スフェクションは、P.L.Felgnerら,PNAS 84:7413-7414(1987)に記載のカチオ
ニックリポソーム媒介法を用いて行なう。特に、CHO/dhfr細胞を、10%ウシ胎仔
血清、L-グルタミン(1mM)で補足されたHam F-12培地内で培養し、フラスコ内
に5〜8×105
細胞/フラスコの密度で新たに播く。トランスフェクションのために、60〜80%
の集密度になるまで該細胞を増殖させる。20マイクログラム(20μg)のプラス
ミドDNAを1.5mlのOpti-MEM I培地に加え、100μlのLipofectin Reagent(Gibco
-BRL;Grand Island,NY)を、Opti-MEM I培地のもう1つの1.5ml部分に加える。
それらの2つの溶液を混合し、室温で20分間インキュベートする。該培地を該細
胞から除いた後、該細胞を5mlのOpti-MEM I培地で3回リンスする。ついで該Opt
i-MEM I-Lipofectin-プラスミドDNA溶液を該細胞上に重層する。該細胞を37℃で
3時間インキュベートし、ついで該Opti-MEM I-Lipofectin-DNA溶液を、選択前
に更に24時間、培地と交換する。
C .選択および増幅
トランスフェクションの1日後に、細胞を1:3継代し、dhfr/G418選択培地
(以下、「F-12マイナス培地G」と称する)と共にインキュベートする。選択培
地は、L-グルタミンを含有しヒポキサンチン、チミジンおよびグリシンを含有し
ないHamF-12(JRH Biosciences,Lenexa,Kansas)ならびに300μg/mlのG418(G
ibco-BRL;Grand Island,NY)である。培地の容量
対表面積比を、5ml/25cm2に維持する。約2週間後、F-12マイナス培地G内での継
代および連続的維持が可能となるようにDHFR/G418細胞を増殖させる。
トランスフェクトしたBS124 cDNA配列のそれぞれの増幅は、メトトレキセート
によるDHFR+、G418+細胞の逐次的選択により行なう(R.Schimke,Cell 37:705-
713(1984)の総説)。耐性コロニーが出現するまで、150nMメトトレキセート(MTX
)(Sigma,St.Louis,MO)を含有するF-12マイナス培地Gと共に細胞を約2週間イ
ンキュベートする。さらに、遺伝子増幅を、5μM MTXによる150nM適合細胞の選
択により行なう。
D .抗原の産生
5μM MTXで補足されたF-12マイナス培地Gを、ちょうど集密な単層上に5%CO2
中37℃で12〜24時間重層する。該増殖培地を除き、該細胞をDulbeccoリン酸緩衝
食塩水(PBS)(カルシウムおよびマグネシウムを含有)(Gibco-BRL:Gland Isl
and,NY)で3回リンスして、存在しうる残りの培地/血清を除く。ついで細胞
を、VAS特注(custom)培地(HEPESと共にL-グルタミンを含有しフェノールレッ
ドを含有しないVAS特注製剤、JRH Bioscience;Lenexa KSから入手可能、製品番
号52-08678P)
と共に、5%CO2中37℃で1時間インキュベートする。ついで細胞を、5ml/Tフラ
スコで製造するためにVASで覆う。7日間のインキュベーションの後、培地を除
去し、維持し、ついで収穫2、3および4と共に精製するまで凍結する。3回の
7日間の収穫のために、該単層をVASで覆う。
E .乳房組織遺伝子BS124抗原の発現の分析
BS124タンパク質構築物を発現する細胞からのVAS上清のアリコートを、標準的
な方法および当該技術分野で公知の試薬(Laemmli不連続ゲル)を用いるSDSポリ
アクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)により、または質量分析により分析す
る。
F .精製
ヒドラジン結合でアガロースに共有結合している抗FLAG M2モノクローナル抗
体を含むアフィニティーマトリックス(Eastman Kodak Co.,New Haven,CT)を
使用するイムノアフィニティークロマトグラフィーにより、FLAG配列を含有する
BS124タンパク質の精製を行なう。アフィニティー精製の前に、ローラーボトル
からのプール化VAS培地収穫物中のタンパク質を、Sephadex G-25(Pharmacia Bi
otech Inc.,Uppsala,Sweden)カラムを使用して50mM Tris-HCl(pH7.5)、150mM
NaCl緩衝液中
に交換する。この緩衝液中のタンパク質を、抗FLAG M2抗体アフィニティーカラ
ムに適用する。該カラムを50mM Tris-HCl(pH7.5)、150mM NaCl緩衝液で洗浄する
ことにより、未結合タンパク質を溶出する。50mM Tris-HCl(pH7.5)、150mM NaCl
中の過剰のFLAGペプチドを使用して、結合タンパク質を溶出する。その過剰のFL
AGペプチドは、ゲル電気泳動またはHPLCにより該精製BS124タンパク質から除去
することができる。
この実施例ではプラスミド577を使用しているが、比較しうる他の発現系(例
えば、CMV)を、試薬および/または技術に適当な改変を加えて本発明で使用す
ることが可能であることが当業者に公知であり、当業者の技量の範囲内に含まれ
る。
BS124遺伝子のコード領域を含有する最大のクローン化挿入断片を、(i)例え
ばサイトメガロウイルス(CMV)プロモーターおよび/またはタンパク質融合可
能配列(タンパク質の発現および検出を助けるもの)を含有しうる真核発現ベク
ター、または(ii)スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)およびCMP-KDOシンタ
ーゼ(CKS)または他のタンパク質融合遺伝子(該タンパク質配列の発現のため
のもの)を含有する細菌性発現ベクター中にサブクローニングする。SODの融合
配列を含有するポ
リペプチドの製造に有用な方法およびベクターは、1986年10月1日付け公開のEP
O 0196056に記載されており、CKSの融合配列を含有するものは、1989年9月13日
付け公開のEPO公開第0331961号に記載されている。このようにして精製したタン
パク質は、動物の免疫研究、固相イムノアッセイなどを含む(これらに限定され
るものではない)種々の技術において使用することができる。実施例11b:pcDNA3.1/Myc-Hisを使用する、細胞系内でのタンパク質の発現 A .BS124発現プラスミドの構築
プラスミドpcDNA3.1/Myc-His(Cat.# V855-20,Invitrogen,Carlsbad.CA)は
、ほとんどの哺乳動物細胞系による分泌抗原の発現用に開発されている。発現さ
れるタンパク質挿入断片は、myc-hisペプチドタグと融合している。該myc-hisタ
グは、配列:Glu-Gln-Lys-Leu-Ile-Ser-Glu-Glu-Asp-Leu-Asn-Met-His-Thr-Glu-H
is-His-His-His-His-His(配列番号27)を有する21残基アミノ酸配列であり、抗
mycもしくは抗hisアフィニティーカラムまたは金属タンパク質結合カラムを使用
する発現融合タンパク質の精製に有用なc-myc腫瘍タンパク質エピトープお
よびポリヒスチジン配列を含む。
分泌可能なBS124タンパク質の発現用のプラスミドは、クローン1730294(配列
番号1)由来のBS124ポリヌクレオチド配列をpcDNA3.1/Myc-Hisベクター中に挿入
することにより構築した(このプラスミドは、pc1730294-M/Hと呼称する)。該p
c1730294-M/Hを構築する前に、まず該BS124 cDNA配列を
Inc.(LaJolla.CA)から入手可能な試薬を製造業者の指示に従い使用して行なうPC
Rにより産生させた。PCRプライマーは、0.5μMの最終濃度で使用した。5Uのpfu
ポリメラーゼ(Stratagene,La Jolla,CA)を使用するPCRを、BS124プラスミド鋳
型(実施例2)上、50μlの反応液中、30サイクル(94℃で1分間、65℃で1.5分
間、72℃で3分間)およびそれに続く72℃で10分間の伸長サイクルで行なった。
該センスPCRプライマー配列(配列番号20)は、pINCYベクター内のBS124遺伝子
挿入部位の直ぐ上流に認められる配列と同一である。該アンチセンスプライマー
配列(配列番号21)は、5'NotI制限配列と、最も3'側のインフレーム停止コド
ンの直ぐ上流のBS124 cDNA挿入断片
の3'末端に相補的な配列とを取込んでいた。得られた平滑末端化PCR産物の5マ
イクロリットル(5μl)を、25ngの線状化
て、該ベクターの致死ccdB遺伝子を遮断した。One ShotTM形質転換キット(Invi
trogen,Carlsbad,CA)を製造業者の指示に従い使用して、得られた連結ベクタ
ーをTOP10大腸菌(E.coli)(Invitrogen,Carlsbad,CA)中に形質転換した。該
形質転換細胞を、LB-Kan(50μg/mlカナマイシン)選択プレート上、37℃で増殖
させた。遮断されたccdB遺伝子を有するプラスミドを含有する細胞だけが、形質
転換後に増殖する(Grant,S.G.N.,PNAS 87:4645-4649(1990))。形質転換された
コロニーを拾い、3ml
Santa Clarita,CA)方法を製造業者の指示に従い使用して、プラスミドDNAを単
離した。該DNAをEcoRIおよびNotI制限酵素
LEアガロース(FMC,Rockland,ME)/0.5μg/ml臭化エチジウム/TEゲル上で電気
泳動し、UV照射により可視化し、QIAquickTM(Qiagen Inc,Santa Clarita,CA
)法を製造業者の指示に従い使用して切り出し精製した。
pcDNA3.1/Myc-HisプラスミドDNAを、該プラスミドDNAのポリリンカー領域中に
存在するEcoRIおよびNotI部位での消化により線状化した。精製したBS124断片を
、咄乳類細胞中において発現を指示するCMVプロモーターの下流の、得られたBS1
24配列を有するプラスミドDNAバックボーンにライゲーションし、た。供給業者
の指示に従いDH5アルファTM細胞(GibcoBRL Gaithersburg,MD)中に形質転換し
た。簡単に説明すると、BS124挿入断片を含有する10ngのpcDNA3.1/Myc-Hisを、5
0μlのコンピテントDH5アルファ細胞に加え、該含有物を穏やかに混合した。該
混合物を氷上で30分間インキュベートし、37℃で20秒間加熱刺激し、氷上に更に
2分間放置した。0.95mlのLB培地を加えたら、225rpmで振とうしながら該混合物
を37℃で1時間インキュベートした。ついで該形質転換細胞を100mm LB/Amp(50
μg/mlアンピシリン)プレート上にプレーティングし、37℃で増殖させた。コロ
ニーを拾い、3mlのLB/Ampブロス中で増殖させた。QIAprepキットを使用して、プ
ラスミドDNAを精製した。該挿入断片の存在は、これらに限定されないが、当業
者に知られている制限消化およびゲル分析(J.Sambrookら,前掲)により確認
した。B .ヒト胎児腎293細胞のトランスフェクション
前記A節に記載のBS124発現プラスミドを、DH5アルファ細胞中に再形質転換し
、LB/アンピシリン寒天上にプレーティングし、10mlのLB/アンピシリンブロス中
で増殖させる(前記のとおり)。該プラスミドを、QIAfilterTM Maxiキット(Qi
agen,Chatsworth,CA)を使用して精製し、HEK293細胞(F.L.Grahamら,J .Ge n.Vir
.36:59-72(1977))中にトランスフェクトする。これらの細胞は、A.T.C.
C.,12301 Parklawn Drive,Rockville,MD 20852から、受託番号CRL 1573とし
て入手可能である。P.Hawley-Nelsonら,Focus 15:73(1993)に記載のカチオニ
ックリポフェクタミン媒介法を用いて、トランスフェクションを行なう。特に、
HEK293細胞を、10%ウシ胎仔血清(FBS)、L-グルタミン(2mM)で補足された10
ml DMEM培地内で培養し、12×100mm培養プレート内に8×106細胞/プレートの密
度で新たに播いた。トランスフェクションのために、70〜80%のコンフルエンシ
ーになるまで該細胞を37℃で増殖させる。8マイクロ
(Gibco-BRL;Grand Island,NY)に加え、48〜96μlのLipofectamineTMReagent
(Gibco-BRL;GrandIsland,NY)を、
Opti-MEM I培地のもう1つの800μl部分に加える。それらの2つの溶液を混合
し、室温で15〜30分間インキュベートした。該培地を該細胞から除いた後、該細
胞を10mlの無血清DMEM培地で1回洗浄する。ついで該Opti-MEM I-Lipofectamine
-プラスミドDNA溶液を、6.4mlの無血清DMEM中に希釈し、該細胞上に重層する。
該細胞を37℃で5時間インキュベートし、ついで20%FBSを含有する追加的な8ml
のDMEMを加える。18〜24時間後、その古い培地を吸引し、該細胞に、10%FBSを
含有する5mlの新鮮なDMEMを重層する。トランスフェクションの72時間後に、上
清および細胞抽出物を、BS124遺伝子活性に関して分析する。
C .乳房組織遺伝子BS124抗原の発現の分析
前記培養上清を、低温チューブ(cryotube)に移し、氷上で保存した。HEK293
細胞を、10mlの冷Dulbecco PBSで2回洗浄し1.5mlのCAT溶解緩衝液(Boehringer
Mannhein,Indianapolis,IN)を加えて溶解することにより収穫し、ついで室温
で30分間インキュベートした。ライセートを1.7mlポリプロピレンミクロ遠心管
に移し、1000×gで10分間遠心した。該上清を新たな低温チューブに移し、氷上
で保存した。細胞からの上清のアリコートと、該BS124タンパク質構築物を発現
する細胞のライセ
ートとを、BS124組換えタンパク質の存在に関して分析した。当該技術分野で公
知の標準的な方法および試薬を用いるSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS
-PAGE)により、該アリコートを分析した(J.Sambrookら,前掲を参照されたい
)。続いて、ゲルをニトロセルロース、ニトラン等の個体媒体にブロットし、抗
mycエピトープ若しくは抗ヒスチジンモノクローナル抗体(Invitrogen,Carlsbad
,CA)又は抗BA124ポリクローナル血清(実施例14参照)を使用して、BS124蛋白
質のバンドを可視化した。或いは、発現したBA124組変え蛋白質は、質量分析計
により分析することが可能である。
D. 精製
ポリヒスチジン残基に特異的に結合するニッケル充填アガロ
ー系(Invitrogen Carlsbad,CA)を使用して、myc-his配列を含有するBS124組
換えタンパク質の精製を行なう。前記のとおりに調製した、10×100mmプレート
からの上清を、プールし、該ニッケル充填カラムに通す。該カラムを50mM Tris-
HCl(pH7.5)/150mM NaCl緩衝液で洗浄することにより、非結合タンパク質を溶出
すると、myc-his融合タンパク質だけが残る。
ついで、過剰のイミダゾールもしくはヒスチジンまたは低pH緩衝液を使用して、
結合BS124組換えタンパク質を該カラムから溶出する。別法として、ヒドラジン
または他の結合によりアガロース樹脂に結合した抗mycまたは抗ヒスチジンモノ
クローナル抗体よりなるアフィニティーカラムにmyc-his配列にて結合させ、そ
れぞれ過剰のmycペプチドまたはヒスチジンで溶出することにより、該組換えタ
ンパク質を精製することも可能である。
ついで該精製組換えタンパク質を、N-ヒドロキシスクシンイミド活性化セファ
ロースカラム(Pharmacia Biotech,Piscataway,NJ)などの固相に供給業者の
指示に従い共有的に架橋することができる。ついで、共有結合したBS124組換え
タンパク質を含有するカラムを使用して、ウサギまたはマウス血清から抗BS124
抗体を精製することができる(実施例13および14を参照されたい)。
E .BS124発現タンパク質によるマイクロタイタープレートのコーティング
前記100mmプレートからの上清を、適当な容量のPBS中に希釈する。ついで、得
られた混合物の100μlを、Reaci-BindTM金
属キレートマイクロタイタープレート(Pierce,Rockford,IL)の各ウェル中に
配置し、振とうしながら室温でインキュベート
で3回洗浄する。ついで、その調製されたマイクロタイタープレートを使用して
、抗BS124抗体の存在に関してポリクローナル抗血清をスクリーニングすること
ができる(実施例17を参照されたい)。
この実施例ではpcDNA3.1/Myc-Hisを使用しているが、他の比較しうる発現系を
、試薬および/または技術に適当な改変を加えて本発明で使用することが可能で
あることが当業者に公知であり、当業者の技量の範囲内に含まれる。該BS124遺
伝子のコード領域を含有する最大のクローン化挿入断片を、(i)例えばサイト
メガロウイルス(CMV)プロモーターおよび/またはタンパク質融合可能配列(
タンパク質の発現および検出を助けるもの)を含有しうる真核発現ベクター、ま
たは(ii)スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)およびCMP-KDOシンターゼ(CK
S)または他のタンパク質融合遺伝子(該タンパク質配列の発現のためのもの)
を含有する細菌性発現ベクター中にサブクローニングする。SODの融合配列を含
有するポリペプチドの製造に有
用な方法およびベクターは、1986年10月1日付け公開の欧州特許出願EP 0 196 0
56に記載されており、CKSの融合配列を含有するベクターは、1989年9月13日付
け公開の欧州特許出願EP 0 331961号に記載されている。該精製タンパク質は、
動物の免疫研究、固相イムノアッセイなどを含む種々の技術において使用するこ
とができる。実施例12:乳房組織タンパク質の化学的分析 A .MSによるトリプシンペプチド断片の分析
乳癌などの乳房疾患を有する患者からの血清、乳房疾患を有さない患者からの
血清、乳癌などの乳房疾患を有する患者からの乳房組織または細胞の抽出物、乳
房疾患を有さない患者からの乳房組織または細胞の抽出物、および患者の他の非
疾患または疾患器官からの組織または細胞の抽出物を、標準的な方法を用いてポ
リアクリルアミドゲル上で移動させ、クーマシーブルーで染色する。該未知ポリ
ペプチドを含有する疑いのあるゲルの切片を切り出し、ゲル内還元、アセトアミ
ド化およびトリプシン消化に付す(P.Jenoら,Anal .Bio.224:451-455(1995
)およびJ.Rosenfeldら,Anal .Bio.203:173(1992))。該ゲル切片を100mM NH4
HCO3およびアセトニトリルで洗浄する。収縮
したゲル片を、消化緩衝液(50mM NH4HCO3、5mM CaCl2および12.5μg/mlトリプ
シン)中、4℃で45分間膨潤させる。該上清を吸引し、トリプシンを含有しない5
〜10μlの消化緩衝液と置換し、37℃で一晩インキュベートする。ペプチドを、
5%ギ酸およびアセトニトリルの3回の交換により抽出し、蒸発乾固させる。該
ペプチドを、延伸したガスクロマトグラフィー毛管の先端に捕捉された約0.1μ
lのPOROS R2吸着剤(Perseptive Biosystems,Framingham,Massachusetts)に
、それらを10μlの5%ギ酸に溶解しそれを該毛管に通すことにより吸着させる
。吸着したペプチドを水洗し、60%メタノール中の5%ギ酸で溶出する。ナノエ
レクトロスプレー質量分析による分析のために、該溶出液をAPI III質量分析計
(Perkin-Elmer Sciex,Thornhill,Ontario,Canada)の噴霧毛管中に直接通過
させる(M.Wilmら,Int .J.Mass Spectrom.Ion Process 136:167-180(1994)お
よびM.Wilmら,Anal .Chem.66:1-8(1994))。該トリプシンペプチドの質量を
、第1四極子から得た質量スペクトルから測定する。さらに、予想されるペプチ
ドに対応する質量をMS/MSモードで分析して、該ペプチドのアミノ酸配列を得る
ことができる。B .LC/MSによるペプチド断片の分析
また、増殖性疾患組織中で見出されたmRNA配列から推定されるポリペプチドの
存在を、液体クロマトグラフィー/タンデム質量分析法(LC/MS/MS)で確認する
ことができる(D.Hessら,METHODS.A Companion to Methods in Enzymology 6:
227-238(1994))。該患者からの血清試料または腫瘍抽出物をSDSで変性させ、ジ
チオトレイトール(1.5mg/ml)で90℃で30分間還元し、ついでヨードアセトアミ
ド(4mg/ml)で25℃で15分間アルキル化する。アクリルアミド電気泳動の後、該
ポリペプチドをカチオンメンブレン上にエレクトロブロットし、クーマシーブル
ーで染色する。染色後、該メンブレンを洗浄し、該未知ポリペプチドを含有する
と考えられる切片を切断し、小片に切断する。該メンブレンを500μlミクロ遠
心管中に配置し、10〜20μlのタンパク質分解消化緩衝液(0.1M NaCl、10%アセ
トニトリル、2mM CaCl2および5μg/mlトリプシンを含有する100mMTris-HCl、pH
8.2)(Sigma,St.Louis,MO)に漬ける。37℃で15時間後、3μlの飽和尿素お
よび1μlの100μg/mlトリプシンを加え、さらに37℃で5時間インキュベートす
る。該消化混合物を3μlの10%トリフルオロ酢酸で酸性化し、遠心して、
上清をメンブレンから分離する。該上清をミクロホア逆相HPLCカラム上に直接注
入し、0.05%トリフルオロ酢酸中のアセトニトリルの直線勾配で溶出する。該溶
出液を、物質の容量を調節するために必要に応じて流動スプリッターに通した後
、エレクトロスプレー質量分析計に送り込む。実施例12第A節に記載の方法に従
い、データを分析する。実施例13:遺伝子免疫化プロトコール A .インビトロでの抗原の発現
遺伝子免疫化(gene immunization)は、適当な発現ベクターの接種後に抗原
をインビボで直接発現させることにより、タンパク質の精製工程を不要にする。
また、この方法による抗原の産生は、正しいタンパク質フォールディングおよび
グリコシル化を可能にしうる。なぜなら、該タンパク質は、哺乳動物組織内で産
生されるからである。該方法では、CMVプロモーターを含有するプラスミド内へ
の該遺伝子配列の挿入、該プラスミドの増殖および精製、ならびに動物の筋肉組
織内への該プラスミドDNAの注入を行なう。好ましい動物には、マウスおよびウ
サギが含まれる。例えば、H.Davisら,Human Molecular Genetics 2:1847-1851(
1993)を参照されたい。1回または2回のブース
ター免疫化の後、該動物を出血させ、腹水液を集めたり、あるいはハイブリドー
マの産生のために該動物の脾臓を採集することができる。
B .プラスミドの調製および精製
BS124 cDNA配列は、実施例11に記載される手順に従って、適当な5'制限部位
を含む適当なPCRプライマーを使用して、BS124 cDNA含有ベクターから合成した
。PCR産物を適当な制限酵素で切断し、CMVプロモーターを含むベクター内(例え
ば、Invitrogen、San Diego.CAからのpRc/CMV又はpcDNA3ベクター)に挿入した
。その後、プラスミドを適当な菌株内で増殖させ、CsCl又はQiagenプラスミドDN
A精製カラムを用いて、細胞溶解液から精製した。これらの技術は全て、当業者
または分子生物学者に公知のものである。C .免疫化プロトコール
麻酔した動物を、PBSまたは他のDNA取込み増強剤(Cardiotoxin、25%ショ糖)
中に希釈された0.1〜100μgの該精製プラスミドで筋肉内にて免疫する。例えば
、H.Davisら,Human Gene Therapy 4:733-740(1993)およびP.W.Wolffら,Bio techniques
11:474-485 (1991)を参照されたい。1回または
2回のブースター注射を、1ヵ月間隔で行なう。
D .抗血清の試験および使用
動物を出血させ、得られた血清を、当該技術分野で公知の技術(例えば、ウエ
スタンブロット法またはEIA技術)により、公知遺伝子配列から合成されたペプ
チドを使用して抗体に関して試験する。ついで、この方法により産生した抗血清
を使用して、患者の組織もしくは細胞抽出物中または患者の血清中の抗原の存在
をELISAまたはウエスタンブロット法(例えば、実施例15〜18に記載のもの)で
検出することができる。実施例14:BS124に対する抗体の製造 A .ポリクローナル抗血清の製造
BS124コンセンサスヌクレオチド配列(配列番号5)の推定アミノ酸配列に由
来する配列を有するペプチドをウサギに注射することにより、BS124に対する抗
血清を調製した。BS124ペプチドの例(例えば、配列番号23、配列番号24及び配
列番号25)が実施例10に記載されている。免疫原として使用するペプチドは、キ
ーホールリンペットヘモシアニン(KLH)などのキャリアーに結合していない(
即ち、それらは非結合型である)。
動物の免疫化
雌の白色New Zealandウサギ(体重2kg以上)を使用して、ポリクローナル抗血
清を産生させた。1ペプチド(それぞれ配列番号23、配列番号24又は配列番号25
)につき1匹の動物を免疫した。初回免疫の1週間前に、非免疫前採血サンプル
として、該動物から5〜10mlの血液サンプリルを得た。
非結合型BS124ペプチド(配列番号23、配列番号24及び配列番号25)を使用し
、0.5mlの該ペプチドを2mg/mlの濃度で、0.5mlの完全フロイントアジュバント(
CFA)(Difco,Detroit,MI)を含むPBS(pH7.2)中に乳化することにより、一次
免疫原を調製した。該免疫原を、皮下、腹腔内および筋肉内の投与経路により該
動物のいくつかの部位に注射した。該初回免疫の4週間後、ブースター免疫を投
与した。ブースター免疫投与に使用した免疫原は、0.5mlの不完全フロイントア
ジュバント(IFA)(Difco,Detroit,MI)で1mg/mlまで希釈されている以外は
一次免疫原で使用したのと同じ非結合型ペプチド0.5mlを乳化することにより調
製した。ここでもまた、該ブースター投与をいつくかの部位に行ない、皮下、腹
腔内および筋肉内の経路を介して注射した。ブースター免疫の2週間後、該動物
から採血(5ml)し、後記のペプチドに対する免疫反応性に関して各血清
を試験した。適当な力価が得られるまで、該ブースターおよび採血の手順を4週
間隔で繰返した。抗血清の力価または濃度は、後記実施例17に記載のマイクロタ
イターEIAにより測定した。1:500以上の抗体力価が、さらなる使用および研究
に適した力価と考えられた。
表2 抗BS124ペプチド家兎血清の力価(11週間後の採血) B .モノタローナル抗体分子の製造
1.免疫化プロトコール
マウスにおけるモノクローナル抗体の産生のための末結合または結合ペプチド
の量が、ウサギにおけるポリクローナル抗血清の産生のために使用した量の10分
の1となる点を除いて、前記のとおりに調製したKLHなどのキャリアーに結合さ
せることが可能なペプチド[以下に記載するように調整される、又は非結合型(
即ちKLHなどのキャリアーに結合していない)]を使用して、マウスを免疫する。
したがって、一次免疫原は、0.1mlのCFAエマルション中の100μgの未結合または
結合ペプチドより
なり、一方、ブースター免疫化に使用する免疫原は、0.1mlのIFA中の50μgの未
結合または結合ペプチドよりなる。標準的な技術を用いて、モノクローナル抗体
産生用のハイブリドーマを調製し、スクリーニングする。モノクローナル抗体産
生に用いた方法は、KohlerおよびMilstein,Nature 256:494(1975)に詳細に記
載されており総説としてJ.G.R.Hurrel編,Monoclonal Hybridoma Antibodies:T echniques and Applications
,CRC Press,Inc,Boca Raton,FL(1982)に記載さ
れている当該技術分野で公知の手順に従った。KohlerおよびMilsteinの方法に基
づくモノクローナル抗体産生のためのもう1つの方法は、L.T.Mimmsら,Virolo gy
176:604-619(1990)の方法である。
該免疫化方式(マウス1匹当たり)は、追加的ブースター免疫化を伴う一次免
疫化よりなる。一次免疫化に使用する一次免疫原は、50μlのCFA中に予め乳化
されている50μlのPBS(pH7.2)中の100μgの未結合または結合ペプチドよりな
る。一次免疫化の約2週間および4週間後に行なうブースター免疫化は、50μl
のIFAで乳化されている50μlのPBS(pH7.2)中の50μgの未結合または結合ペプ
チドよりなる。合計100μlのこの免疫原を各マウスの腹腔内および皮下に接種
する。三次免
疫化の約4週間後に、実施例17に記載のマイクロタイタープレート酵素イムノア
ッセイ(EIA)により、免疫応答に関して個々のマウスをスクリーニングする。
三次免疫化の約15週間後に、PBS(pH7.2)中の50μgの未結合または結合ペプチ
ドをマウスの静脈内、脾臓内または腹腔内に接種する。
この静脈内ブースト(追加抗原刺激)の3日後に、脾細胞を、ポリエチレング
リコール(PEG)法により例えばSp2/0-Ag14骨髄腫細胞(Milstein Laboratories
,England)と融合させる。該融合体を、10%ウシ胎仔血清(FCS)と1%ヒポキ
サンチン、アミノプテリンおよびチミジン(HAT)とを含有するIscove's Modifi
ed Dulbecco's Medium(IMDM)中で培養する。実施例17のプロトコールに従いマ
イクロタイタープレートEIAにより、バルク培養をスクリーニングする。免疫原
として使用したペプチドには反応性であり他のペプチド(すなわち、免疫原とし
て使用していないBS124のペプチド)には無反応性であるクローンを、最終増殖
のために選択する。このようにして選択したクローンを増殖させ、等分割し、10
%FCSおよび10%ジメチルスルホキシド(DMSO)を含有するIMDM中で凍結させる
。
2.ペプチド結合
Chemical Company.Rockford.ILより商業的に入手可能)に結合
性マレイミド基を含んでいる。活性化KLHは、リン酸緩衝生理的食塩液(PBS、p
H8.4)中に、約7.7mg/mlの濃度で溶解している。ペプチドは、ペプチド配列中
に存在するシステインを介して、又は、結合部位を与えるために合成ペプチドに
予め付加してあるシステインを介して結合する。ペプチドを、DMSO(Sigma Chemi
cal Company.St.Louis.MO)に溶解し、KLHに結合している活性化マレイミド1分
子当り1.5分子の割合で、活性化KLHと反応させる。ペプチドの結合方法を以下に
記載する。ペプチド結合を最適化するために、この手順における総量、時間及び
条件は、様々に変更し得ることは、当業者に公知の事実である。
以下の結合反応は、約0.77μmoleの反応マレイミド基を含むKLHペプチド結合
体3mgを得ることを基準とする。ペプチド結合体のこの量は、一般に、ウサギに
おいて1次免疫及び4回の追加免疫に適している。簡単に説明すると、ペプチド
を1.16μmole/100μlの濃度でDMSOに溶解する。上記のように調製
した活性化KLH溶液380μlに100μlのDMSOを加え、20μlのPBS(pH8.4)を加
えて全量500μlとする。反応液を攪拌しながら室温で一晩インキュベートする
。反応混合液中の未反応チオールの総量を定量することにより反応程度を測定す
る。最初のチオール濃度と最終的な濃度の差が活性化KLHに結合したペプチドの
濃度と推定される。未反応のチオールの量は、Ellman試薬(5.5'-ジチオビス(2
-ニトロ安息香酸)、Pierce Chemical Company,Rockford.IL)を用いて測定し
た。標準システインは塩酸システイン(Pierce Chemical Company,Rockford.IL
)35mgを10mlのPBS(pH7.2)に溶解し、該ストック溶液を所望の濃度に希釈するこ
とにより、0、0.1、0.5、2.5及び20mMの濃度に調製した。吸光度測定によるチオ
ールの濃度を200μlのPBS
Chantilly.VA)に分注して行う。続いて、10μlの標準又は反応混合液を各穴に
加える。最後に、PBS(pH8.4)中1mg/mlの濃度のEllman試薬20μlを各穴に加える
。プレートを室温で10分間インキュベートし、全穴の吸光度をBioRadModel3550.
BioRad.Richmond.CA等のマイクロプレートリーダーを用いて415nmで測定した。
標準液の吸光度を用いて標
準曲線を作成し、この標準曲線から反応混液のチオール濃度を定量する。非結合
チオールの濃度の減少は、結合反応が成功裏に進行したことを示す。PBS(pH7.2)
に対して室温で6時間透析することにより未反応ペプチドを除去する。直ちに使
用する場合は結合体を2〜8℃で保存し、それ以外の場合は-20℃以下で保存する
。
3.モノクローナル抗体を含有する腹水液の製造
前記のとおりに調製した凍結ハイブリドーマ細胞を融解し、増殖培養内に配置
する。生存可能なハイブリドーマ細胞を、Pristane処理マウスの腹腔内に接種す
る。腹水液を該マウスから取り出し、プールし、0.2μフィルターで濾過し、免
疫グロブリンクラスG(IgG)分析に付して、該精製に必要なプロテインAカラム
の容量を測定する。
4.腹水液からのモノクローナル抗体の精製
簡単に説明すると、濾過し融解した腹水液を等容量のプロテインAセファロー
ス結合緩衝液(1.5Mグリシン、3.0M NaCl、pH8.9)と混合し、0.2μフィルター
で再濾過する。プロテインAカラムの容量を、腹水液中に存在するIgGの量から求
める。ついで該溶出液を、2〜8℃で一晩、PBS(pH7.2)に対して透析す
る。透析されたモノクローナル抗体を滅菌濾過し、アリコートに分注する。該精
製モノクローナル抗体の免疫反応性は、免疫原として使用するペプチドにそれが
特異的に結合する能力を実施例17のEIAマイクロタイタープレートアッセイ法で
測定することにより確認する。該精製モノクローナル抗体の特異性は、それが無
関係なペプチド(例えば、免疫原として使用していないBS124のペプチド)に結
合しないことを判定することにより確認する。このようにして調製し特徴づけた
精製抗BS124モノクローナルは、短期保存には2〜8℃、長期保存には−80℃で放
置する。
5.モノクローナル抗体の更なる特徴づけ
前記のとおりに製造したモノクローナル抗体のアイソタイプおよびサブタイプ
は、商業的に入手可能なキット(Amersham.Inc.,Arlington Heights,ILから
入手可能)を用いて決定することができる。また、安定性試験は、該モノクロー
ナル抗体のアリコートを2〜8℃で連続保存し、ある期間の経過全体にわたって光
学密度(OD)をアッセイすることにより、該モノクローナル抗体上で行なうこと
ができる。C .免疫原としての組換えタンパク質の使用
本明細書に記載のとおりに製造した組換えタンパク質を、当業者に公知の試薬
および技術に付随的変更を加えて、ポリクローナルおよびモノクローナル抗体の
製造における免疫原として使用することは、本発明の範囲内に含まれる。実施例15:BS124ペプチドに特異的に結合する血清抗体の精製
前記実施例13および/または14に記載のとおりに得た免疫血清を、実施例10に
記載のとおりに調製した固定化合成ペプチドまたは実施例11に記載のとおりに調
製した組換えタンパク質を使用してアフィニティー精製する。希釈された該粗製
抗血清をプロテインAカラム(Affi-Gel protein A,Bio-Rad,Hercules,CA)に
通過させることにより、該抗血清のIgG画分を得る。緩衝液(該製造業者により
供給された結合緩衝液)での溶出により、免疫グロブリン以外の実質的にすべて
のタンパク質が除去される。0.1M緩衝化グリシン(pH3)での溶出により、アル
ブミンおよび他の血清タンパク質を実質的に含まない免疫グロブリン調製物が得
られる。
特異的抗原結合性抗体のより高い画分を有する調製物を得るために、免疫アフ
ィニティークロマトグラフィーを行なう。該抗血清を産生させるために使用した
ペプチドを、クロマトグラ
フィー樹脂上に固定化し、そのエピトープに対する特異的抗体を該樹脂に吸着さ
せる。非結合成分を洗い落とした後、該特異的抗体を0.1Mグリシン緩衝液(pH2.
3)で溶出する。抗体画分を1.0M Tris緩衝液(pH8.0)で直ちに中和して、免疫
反応性を維持する。選択するクロマトグラフィー樹脂は、該ペプチド中に存在す
る反応性基に左右される。該ペプチドがアミノ基を有する場合には、Affi-Gel 1
0またはAffi-Gel 15(Bio-Rad,Hercules,CA)などの樹脂を使用する。該ペプ
チド上のカルボキシ基を介して結合させたい場合には、Affe-Gel 102(Bio-Rad,
Hercules,CA)を使用することができる。該ペプチドが遊離スルフヒドリル基を
有する場合には、Affi-Gel 501が使用し得る(Bio-Rad,Hercules,CA)。
別法として、脾臓を採取し、当該技術分野で公知の通常の前記方法に従いモノ
クローナル抗体を製造するためのハイブリドーマの製造に使用することができる
。実施例16:組織サンプルのウエスタンブロット法
0.1M Tris-HCl(pH7.5)、15%(w/v)グリセロール、0.2mM EDTA、1.0mM 1,4-
ジチオトレイトール、101ig/mlロイペプチンおよび1.0mMフェニルメチルスルホ
ニルフルオリド(S.R.Kainら、Biotechniques 17:982(1994)中で組織サンプルを
ホモジナイズ
することにより、タンパク質抽出物を調製した。ホモジナイズした後、該ホモジ
ネートを4℃で5分間遠心して、上清を残渣から分離した。タンパク質の定量で
は、3〜10μlの上清を1.5mlのビシンコニン酸(bicinchoninicacid)試薬(Sigma
,St.Louis,MO)に加え、562nmで得られた吸光度を測定した。
SDS-PAGEでは、サンプルを、Tricine Buffer(Novex,SanDiego,CA)で所望の
タンパク質濃度に調節し、等容量の2×Tricineサンプル緩衝液(Novex,San Die
go,CA)と混合し、サーマルサイクラー中100℃で5分間加熱した。ついでサン
プルを、プレキャストされたNovex10〜20%Tricineゲルに適用して、電気泳動し
た。電気泳動後、サンプルを該ゲルからNovex Tris-グリシントランスファー緩
衝液中のニトロセルロースメンブレンにトランスファーした。ついでメンブレン
を、Western LightsまたはWestern Lights Plus(Tropix,Bedford,MA)化学発
光検出試薬で提供される試薬および方法を用いて特異的抗ペプチド抗体でプロー
ブした。展開したメンブレンをHyperfilm ECL(Amersham,Arlington Heights,
IL)にさらすことにより、化学発光バンドを可視化した。
また、フィルム上のバンドの可視化の後、5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリルホ
スファート(BCIP)などの発色性基質の添加お
よび展開により該バンドをメンブレン上で直接可視化することができた。この発
色性溶液は、100mM NaCl、5mM MgCl2および100mM Tris-HCl(pH9.5)を含有する
溶液中に0.016% BCIPを含有する。該バンドが所望の強度で展開されるまで、該
フィルターを該溶液中室温でインキュベートした(1〜2日)。光源を用いて透過
光で像をとらえ、Alpha Imager 2000(Alpha Innotech Corporation.San Leandr
o,CA)を用いて記録した。染色前分子量基準(Novex,San Diego,CA)またはビ
オチン化分子量基準(Tropix,Bedford,MA)の移動度に基づいて、分子量の測
定を行なった。
図6Aは、配列番号23のBS124合成ペプチド(実施例14参照)に対する抗血清を
用いて、組織抽出液のパネル上で実施したウエスタンブロットの結果を示す。図
6Aの各レーンは、異なった組織蛋白抽出液を示す:(1)正常腎臓:(2)正常膀胱
:(3)大腸癌:(4)正常肺:(5〜13)乳癌:(14)分子量マーカー(kD)。21k
D付近のバンドが乳癌組織抽出液9例中7例、および大腸癌組織抽出液(レーン
3)において検出された。図6Bは、同様なデータを示す。図6Bの各レーンは、異
なった組織蛋白抽出液を示す:(1)BPH:(2)前立腺癌:(3)肺癌:(4)正常大
腸:(5)大腸癌:(6)膀胱:(7)膀胱癌:(8)
正常膀胱:(9)膀胱癌:(10〜12)正常乳房:(13)乳癌:(14)分子量マーカー(k
D)。21kD近辺のバンドが乳癌組織抽出液(レーン13)中において観察された
が、正常乳房組織抽出液(レーン6及び8)中には観察されなかった。正常膀胱組
織抽出液中に21kD近辺にわずかなバンドか観察されたが、膀胱癌組織抽出液(
レーン7及び9)においては、より顕著な21kDのバンドが観察された。BPH組織
抽出液(レーン1)、前立腺癌組織抽出液(レーン2)、肺癌組織抽出液(レーン
3)、正常大腸組織抽出液(レーン6及び8)及び大腸癌組織抽出液(レーン7及び
9)においては、様々な暗度の21kDのバンドが観察された。
以下の点を除いて、上記方法と同様の方法により競合実験を実施した:ニトロ
セルロースフィルターに合わせる前に、1次抗体(抗-BS124ペプチドポリクロナ
ール抗血清)に様々な濃度のペプチド免疫原を加えて4℃でインキュベートした
。ウエスタンの実施は上記のように進行させた。乳癌サンプルにおいて、21kD
のバンドへの抗体の結合は、2.6μMの濃度のBS124ペプチド(配列番号23)抗体
で抑制された。実施例17:EIAマイクロタイタープレートアッセイ
抗血清、特に好ましくは実施例14に記載されているようにして得られたウサ
ギ血清の免疫反応性を、以下のようにしてマ
イクロタイタープレートEIA法により測定した。簡単に説明すると、実施例10に
記載の配列番号23、配列番号24及び配列番号25の合成BS124ペプチドを炭酸緩衝
液(50mM,pH9.6)に、最終濃度が2μg/mlになるよう溶解させた。続いて、100
μl
レート(Dynex Technologies,Chantilly,VA)の各ウェル内に分注した。プレー
トを室温で一晩インキュベートし、脱イオン
Company,Rockford,IL)等の適当な蛋白質ブロッキング試薬125μlを加えること
によってウェルをブロックし、溶液を直ちに捨てた。このブロッキング方法を3
回行った。前記のように調製した、免疫ウサギ又はマウスから得られた抗血清を
0.05%
(Sigmsa Chemical Company,St.Louis,MO)及び1:100、1:500、1:2500、1:12,
500及び1:62,500を含むPBS中の蛋白質ブロッ
したマイクロタイタープレートの各ウェル内に分注した。その後、ウエルを室温
で3時間インキュベートした。各ウェルを脱
ナトリウムを含むリン酸緩衝生理的食塩液中の3%
抗家兎IgGヤギ血清又は抗マウスIgGヤギ血清を各ウェルに分注した。ウェルを室
温で2時間インキュベートした。続いて、核ウェルを脱イオン水で4回洗浄した
後、パラニトロフェニルホスフェート基質(Kirgegaard and Perry Laboratorie
s,Gaithersburg,MD)100μlを各ウェルに分注した。ウェルを室温で30分間イ
ンキュベートした。各ウエルの405nmでの吸光度を測定した。試験ウェル内の405
nmの吸光度が、非免疫血清(陰性対照)による吸光度に比較し上昇していること
をもって、陽性反応を特定した。陽性反応は、検出可能な抗BS124抗体が存在す
ることを示していた。抗-ペプチド抗血清の抗体価を先に記載した抗血清の希釈
液により算出し、A405nm=0.5ODとなる算出希釈(calculated dilution)として
定義した。実施例18:固相粒子のコーティング A.BS124 抗原に特異的に結合する抗体による微粒子のコーティング
BS124タンパク質に特異的に結合するアフィニティー精製された抗体(実施例1
5を参照されたい)を、約0.1〜20μmの範囲内の半径を有するポリスチレン、カ
ルボキシル化ポリスチレン、ポリメチルアクリラートの微粒子または同様の粒子
上にコ
ーティングする。微粒子は、受動的または能動的のいずれかでコーティングする
ことが可能である。1つのコーティング方法は、EDAC(1-(3-ジメチルアミノプ
ロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩(Aldrich Chemical Co.,Milwaukee,W
I))で活性化されたカルボキシル化ラテックス微粒子を、BS124タンパク質に特
異的に結合する抗体で、以下のとおりにコーティングすることを含む。簡単に説
明すると、最終的に0.375%の樹脂固体懸濁液で洗浄されたカルボキシル化ラテ
ックス微粒子(Bangs Laboratories,Carmel,INまたはSerodyn,Indianapolis,
INから入手可能)を、適当な容器内で、50mM MES緩衝液(pH4.0)と150mg/lのア
フィニティー精製された抗BS124抗体(実施例14を参照されたい)とを含有する
溶液中で15分間混合する。EDAC結合剤を、5.5μg/mlの最終濃度になるまで該混
合物に加え、室温で2.5時間混合する。
ついで0.2μm Microgon Filtrationモジュールを使用するタンジェンシャルフ
ロー(tangential flow)濾過により、該微粒
で洗浄する。洗浄した微粒子は、希薄な界面活性剤および無関係なタンパク質(
ブロッキング剤)を通常は含有する適当な緩衝液中に、必要になるまで保存する
。B .1/4インチのビーズのコーティング
また、BS124抗原に特異的に結合する抗体を、当該技術分野で公知の常法(Sni
tmanら,米国特許第5,273,882号)により1/4インチのポリスチレンビーズの表面
上にコーティングし、競合結合またはEIAサンドイッチアッセイにおいて使用す
ることができる
まず、ポリスチレンビーズを、10mM NaHCO3緩衝液(pH8.0)中で約15秒間超音
波処理に付すことにより清浄化する。ついで、すべての細粒が除去されるまで、
該ビーズを脱イオン水で洗浄する。ついでビーズを、10mM炭酸緩衝液(pH8.0〜9
.5)中の抗体溶液に漬ける。該抗体溶液は、高親和性モノクローナル抗体の場合
には1μg/mlと同程度に、あるいはアフィニティー精製されていないポリクロー
ナル抗体の場合には約500μg/mlの濃度と同程度に希薄であることが可能である
。ビーズを、室温で少なくとも12時間コーティングし、ついで脱イオン水で洗浄
する。ビーズは、風乾するか、または湿ったまま保存(PBS,pH7.4中)すること
が可能である。また、それらは、タンパク質安定化剤(例えば、ショ糖)、また
は非特異的結合ブロッカー(例ど)として使用されるタンパク質ブロッキング剤でオーバーコ
ーティングすることができる。実施例19:微粒子酵素イムノアッセイ(MEIA)
標準的な抗原競合EIAまたは抗体サンドイッチEIAを行ない微粒子(MEIA)など
の固相を使用することにより、患者の試験
Analyzer(Abbott Laboratories,Abbott Park,IL)などの自動分析装置上で行
なうことができる。
A .抗体サンドイッチEIA
簡単に説明すると、抗原/抗体複合体を形成させるために、BS124抗原を含有
する疑いのあるサンプルを、抗BS124抗体でコーティングされた微粒子(実施例1
7に記載のとおりに調製したもの)の存在下でインキュベートする。ついで該微
粒子を洗浄し、シグナル生成化合物(すなわち、アルカリホスファターゼ、ホー
スラディッシュペルオキシダーゼなどの酵素)に結合した抗体を含む指示試薬を
該抗原/抗体複合体または該微粒子に加え、インキュベートする。該微粒子を洗
浄し、シグナル生成化合物と反応して測定可能なシグナルを生成する基質(例え
ば、それぞれ4-メチルウンベリフェリルホスファート(MUP)またはOPD/ペルオ
キシド)を加えることにより該結合抗体/抗原/抗体複合体を検出する。陰性対
照から生じたシグナルと比
べて上昇した試験サンプル中のシグナルにより、BS124抗原の存在が検出される
。試験サンプル中のBS124抗原の存在は、乳癌などの乳房の疾患または状態の診
断を示す。
B .競合結合アッセイ
該競合結合アッセイでは、抗ペプチド抗体でコーティングされた微粒子と標識
ペプチドとを接触させた場合に測定可能シグナルを生成するペプチドまたはタン
パク質を使用する。このア
IL)上で行なうことができる。該標識ペプチドを、BS124抗原を含有する疑いの
ある試験サンプルの存在下、BS124抗体でコーティングされた微粒子(実施例17
に記載のとおりに調製したもの)に加え、標識BS124ペプチド(または標識タン
パク質)/結合抗体複合体および/または患者のBS124抗原/結合抗体複合体の
形成に十分な時間および条件下でインキュベートする。試験サンプル中のBS124
抗原は、該微粒子上の結合部位に関して標識BS124ペプチド(またはBS124タンパ
ク質)と競合する。該アッセイにおいて、試験サンプル中のBS124抗原は、標識
ペプチドまたは抗体でコーティングされた微粒子の結合を低下させる。なぜなら
、試験サンプル中の抗原と、該BS124ペプチドまたはBS124タンパク質とが、抗体
結合部位に関して
競合するからである。低下したシグナル(対照と比べた場合)は、試験サンプル
中のBS124抗原の存在を示す。BS124抗原の存在は、乳癌などの乳房の疾患または
状態の診断を示唆する。
本発明で提供し前記で検討したBS124ポリヌクレオチドおよびそれにコードさ
れるタンパク質は、乳房組織の疾患、特に乳癌のマーカーとして有用である。血
液、血漿、血清などの試験サンプルにおけるこのマーカーの出現に基づく試験は
、安価かつ非侵襲的に診断情報を提供して、癌の診断を行なう医帥を助け、療法
プロトコールを選択したり又は選択した療法の達成度をモニターするのを助ける
。このマーカーは、血液、尿、糞便などの容易に利用可能な体液中に、免疫学的
方法により検出可能な疾患組織由来の抗原として出現しうる。このマーカーは、
病態において上昇したり、病態において変化したり、あるいは不適当な身体画分
中に出現する乳房の正常タンパク質であることが可能である。実施例20 BS124蛋白質の免疫組織学的検出
様々な正常及び疾患組織の免疫学的染色に、配列番号23(先の実施例14に記載
)のBS124ペプチドに対する抗血清を使用した。簡単に説明すると、組織の凍結
塊を6ミクロンの切片に切断し、顕微鏡スライド上にのせた。冷やしたアセトン
中で固定
した後、この切片を室温で乾燥させ、生理的リン酸緩衝食塩水で洗浄し、ブロッ
キングした。スライドを、75倍希釈した配列番号23のBS124ペプチドとインキュ
ベートし、洗浄した。ビオチン化抗家兎抗体ヤギ血清とインキュベートし、再度
洗浄した後、ホースラディシュペルオキシダーゼで標識したアビジンとインキュ
ベートした。洗浄した後、スライドを赤色に発色する3-アミノ-9-エチレンカ
ルバゾール基質とインキュベートした。スライドは、ヘマトキシリンで後染色し
、マウントした後、病理学者により顕微鏡下で観察された。
抗BS124抗体で染色した乳房組織は、全ての良性及び悪性乳房標本の上皮内に
おいて強度の細胞質免疫反応を示した。尿路乳頭細胞、大腸及び気管支上皮細胞
のなかには、弱い細胞質免疫反応が観察されるものがあった。
全ての組織の試験結果を表3に示す。「POS」と表示した欄には、全標本中の
陽性標本の数を示す。「%」と表示した欄には、試験した全組織において平均化
した、陽性細胞の%を示す。表3 抗BS124抗血清による組織染色
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考)
C12N 1/21 C12P 21/02 C
5/10 C12Q 1/68 A
C12P 21/02 C12P 21/08
C12Q 1/68 (C12P 21/08
// C12P 21/08 C12R 1:91)
(C12P 21/08 C12N 15/00 ZNAA
C12R 1:91) 5/00 B
(72)発明者 コルピツツ,トレイシー・エル
アメリカ合衆国、イリノイ・60073、ラウ
ンド・レイク、ノース・サークル・ドライ
ブ・34365
(72)発明者 フリードマン,ポーラ・エヌ
アメリカ合衆国、イリノイ・60015、デー
アフイールド、カムノー・コート・462
(72)発明者 ゴードン,ジユリアン
アメリカ合衆国、イリノイ・60044、レイ
ク・ブラフ、イースト・シエリダン・ロー
ド・307
(72)発明者 グラナドス,エドワード・エヌ
アメリカ合衆国、イリノイ・60061、バー
ノン・ヒルズ、モンゴメリー・レイン・19
(72)発明者 ホツジス,ステイーブン・シイ
アメリカ合衆国、イリノイ・60089、バツ
フアロ・グローブ、ストーンゲイト・ロー
ド・169
(72)発明者 クラス,マイケル・アール
アメリカ合衆国、イリノイ・60048、リバ
テイービル、マルベリイ・ドライブ・1606
(72)発明者 クラトクビル,ジヨン・デイー
アメリカ合衆国、ウイスコンシン・53143、
ケノーシヤ、フイフス・アベニユー・7101
(72)発明者 ラツセル,ジヨン・シイ
アメリカ合衆国、ウイスコンシン・53142、
ケノーシヤ、シクステイーフオース・コー
ト・8275
(72)発明者 シエツフエル,クリステイ・ピイ
アメリカ合衆国、イリノイ・60060、マン
デレイン、バンバリイ・925
(72)発明者 ストロープ,ステイーブン・デイー
アメリカ合衆国、イリノイ・60048、リバ
テイービル、ウイルシヤー・ドライブ・
945
(72)発明者 ユイ,ホン
アメリカ合衆国、イリノイ・60089、バツ
フアロ・グローブ、シヤデイー・グロー
ブ・レイン・851