JP4614472B2 - 乳房の疾患の検出に有用な試薬および方法 - Google Patents
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Description
本発明は、一般に、乳房の疾患の検出に関する。特に、本発明は、ポリヌクレオチド配列、それにコードされるポリペプチド配列などの試薬、およびこれらの配列を利用する方法に関する。これらは、乳癌などの乳房の疾患または状態の検出、診断、病期分類、モニター、予後判定、予防もしくは治療または素因の判定に有用である。
乳癌は、米国において女性に生じる癌の最も一般的な形態である。米国における乳癌の発生に関しては、180,200の症例が診断され、43,900件の関連死が1997年に生じたと推定されている(American Cancer Societyの統計)。世界的にみて、乳癌の発生は、1985年の700,000件から1990年の約900,000件に増加している(G.N.Hortobagyiら,CA Cancer J Clin 45:199-226(1995))。
乳癌などの乳房の疾患または状態の検出、診断、病期分類、モニター、予後判定、予防もしくは治療または素因の判定のための方法は、患者の成り行きに非常に重要である。例えば、初期乳癌と診断された患者は、90%を超える5年相対生存率を有するが、遠隔転移乳癌と診断された患者の生存率は約20%である(American Cancer Societyの統計)。現在のところ、初期乳癌の最良の初期指標は、乳房の検診および乳房撮影である(J.R.Harrisら,Cancer: Principles and Practice of Oncology,第4版,pp.1264-1332,Philadelphia,PA: J/B.Lippincott Co.(1993))。乳房撮影は、乳癌が検診により検出される前に乳癌を検出することが可能であるが、それにも限界がある。例えば、乳房撮影の予測値は、観察者の技量と乳房X線像の質とに左右される。また、疑わしい乳房X線像の80〜93%は偽陽性であり、乳癌の女性の10〜15%が偽陰性の乳房X線像を有する(C.J.Wrightら,Lancet 346:29-32(1995))。より高感度であり初期乳癌の検出に特異的な新規診断方法が必要とされているのは明らかである。
乳癌患者は、療法に対する応答を判定し持続性もしくは再発性の疾患または初期遠隔転移を検出するために、初期療法後およびアジュバント療法中に綿密にモニターされる。乳癌をモニターするための現在の診断方法には、乳房撮影、骨スキャン、胸部X線写真、肝機能試験および血清マーカーに関する試験が含まれる。患者をモニターするために最も一般的に使用される血清腫瘍マーカーは、癌胎児性抗原(CEA)およびCA 15-3である。CEAの限界としては、転移性疾患の女性の約40%において血清レベルの上昇が認められないことなどが挙げられる。さらに、アジュバント療法中のCEAの上昇は、再発と関連せずに、臨床的に重要でない他の要因と関連している可能性がある。また、CA 15-3は、かなりの数の進行性疾患患者において陰性となる可能性があり、したがって転移を予測するものではない。CEAおよびCA 15-3は共に、悪性でない良性状態において上昇することがあり、偽陽性結果を与えうる。したがって、癌再発の検出の際により高感度で特異的である乳癌関連マーカーを見出すことは、臨床的に有益であろう(J.R.Harrisら,前掲;M.K.Schwartzら,Cancer: Principles and Practice of Oncology,Vol.1,第4版,pp.531-542,Philadelphia,PA: J/B.Lippincott Co.(1993))。
乳癌の処置におけるもう1つの重要な段階は、患者の病期を決定することである。なぜなら、それは、潜在的な予後的価値を有し、最適療法の設計のための基準を与えるからである。現在のところ、乳癌の病理学的病期分類が、臨床的病期分類より好ましい。なぜなら、前者は、より正確な予後判定を与えるからである(J.R.Harrisら,前掲)。一方、臨床的病期分類が病理学的病期分類と少なくとも同程度の精度である場合には、臨床的病期分類が好ましいであろう。なぜなら、それは、病理学的評価用の組織を得るための侵襲的な方法に依存しないからである。異なる侵襲段階を識別しうる血清中または尿中の新規マーカーを検出することにより、乳癌の病期分類を改善することが可能であろう。そのようなマーカーは、原発性乳癌に由来するが血液、骨髄またはリンパ節中に存在する細胞により発現されるmRNAまたはタンパク質マーカーであることが可能であり、これらの遠位器官に対する転移に関する高感度の指標となる可能性がある。例えば、乳上皮細胞に関連した特異的なタンパク質抗原およびmRNAが、それぞれ免疫組織化学的技術およびRT-PCRにより、乳癌患者の骨髄、リンパ節および血液中で検出されており、転移を示唆している(K.Pantelら,Onkoloie 18:394-401(1995))。
そのような方法には、免疫学的方法により検出可能で侵襲性が可能な限り小さい方法により得られる血液、血漿、血清、尿などの試験サンプル中の種々の疾患マーカーの出現に基づくアッセイを含めることができるであろう。これらの方法は、乳房の疾患を有する患者を医師が処置するのを助ける情報を、患者にとって軽い負担で提供するであろう。前立腺特異的抗原(PSA)およびヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)などのマーカーが存在し、そのようなマーカーは、それぞれ前立腺癌および精巣癌に関して患者をスクリーニングするために臨床的に使用されている。例えば、PSAは、通常、前立腺から高レベルで精液中に分泌されるが、正常な前立腺を有する男性の血液中には非常に低レベルでしか存在しない。上昇したレベルの血清中PSAタンパク質は、無症候の男性における前立腺の癌または疾患の初期検出において用いることができる。例えば、G.E.Hanksら,Cancer: Principles and Practice of Oncology,Vol.1,第4版,pp.1073-1113,Philadelphia,PA: J.B.Lippincott Co.1993、M.K.Schwarzら,Cancer: Principles and Practice of Oncology,Vol.1,第4版,pp.531-542,Philadelphia,PA: J.B.Lippincott Co.1993を参照されたい。同様に、乳房中で正常に発現されるが、乳房の疾患の結果、不適当な身体画分中に、上昇した量で見出される新規マーカーを利用することにより、乳房疾患の処置を改善することが可能であろう。
また、初期乳癌の生物学的挙動を予想しうる新規マーカーも、非常に貴重であろう。患者の生命を脅かす又は脅かすことになる初期乳癌は、それを脅かさない又は脅かすことにならないものより臨床的に重要である(G.E.Hanks,前掲)。組織学的に陰性のリンパ節を有するいずれの患者に癌が再発するかを予想するために、また、上皮内導管癌のいずれの症例が侵襲性乳癌に進展するのかを予想するために、そのようなマーカーが必要とされている。より正確な予後マーカーは、積極的に治療しなければ進行し転移する乳房限局性初期癌を医師が正確に同定することを可能にするであろう。さらに、侵襲性癌に関するマーカーが患者に存在しないことを示すことができれば、該患者は、高価で無益な治療を受けなくてすむであろう(J.R.Harrisら,前掲、E.R.Frykbergら,Cancer 74:350-361(1994))。
したがって、乳房の疾患または状態の検出、診断、病期分類、モニター、予後判定、予防もしくは治療または素因の判定のための特異的な方法および試薬を提供することは有益であろう。そのような方法は、乳房に関連した疾患および状態(例えば、癌)において過剰発現される遺伝子の産物に関して試験サンプルをアッセイすることを含むであろう。また、そのような方法は、乳房に関連した疾患または状態(例えば、癌)により改変した遺伝子の産物に関して試験サンプルをアッセイすることを含むかもしれない。さらに、そのような方法は、身体の種々の組織および画分中の分布が乳房関連疾患または状態(例えば、癌)により改変している遺伝子の産物に関して試験サンプルをアッセイすることを含むかもしれない。そのような方法は、試験サンプル中のmRNAからcDNAを調製し、必要に応じて、該遺伝子またはその断片に対応するcDNAの一部を増幅し、癌などの疾患または状態の存在の指標としてcDNA産物を検出し、または遺伝子配列を含むmRNAの翻訳産物を該疾患の存在の指標として検出することを含むであろう。有用な試薬には、生検組織、血液または他の試験サンプルから抽出したmRNAの逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)、PCRまたはハイブリダイゼーションアッセイなどの診断方法において使用しうるポリヌクレオチドまたはその断片;またはそのようなmRNAの翻訳産物であるタンパク質;またはこれらのタンパク質に対する抗体が含まれる。そのようなアッセイは、該遺伝子の産物に関してサンプルをアッセイし該産物を乳房の疾患の指標として検出するための方法を含むであろう。乳房の疾患および状態(例えば、癌)に対する薬物治療または遺伝子治療は、これらの同定された遺伝子配列またはそれらの発現されたタンパク質に基づくことが可能であり、いずれかの特定の療法の効力をモニターすることが可能である。さらに、初期段階の乳房疾患(例えば、癌)を検出しうる代替的な非外科的診断方法が利用可能になれば、有益であろう。
発明の概要
本発明は、試験サンプル中の標的BS106ポリヌクレオチドを検出する方法であって、該試験サンプルを、少なくとも1つのBS106特異的ポリヌクレオチドと接触させ、該試験サンプル中の標的BS106ポリヌクレオチドの存在を検出することを含んでなる方法を提供する。BS106特異的ポリヌクレオチドは、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5およびそれらの断片または相補体よりなる群から選ばれるポリヌクレオチドに対して少なくとも50%の同一性を有する。また、該方法を行なう前に、BS106特異的ポリヌクレオチドを固相に結合させることも可能である。
本発明はまた、試験サンプル中のBS106 mRNAを検出する方法であって、少なくとも1つのプライマーで逆転写(RT)を行なってcDNAを得、得られたcDNAを、BS106オリゴヌクレオチドをセンスプライマーおよびアンチセンスプライマーとして使用して増幅して、BS106アンプリコンを得、試験サンプル中のBS106 mRNAの存在の指標として該BS106アンプリコンの存在を検出することを含んでなり、該BS106オリゴヌクレオチドが、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5およびそれらの断片または相補体よりなる群から選ばれる配列に対して少なくとも50%の同一性を有することを特徴とする方法を提供する。増幅は、ポリメラーゼ連鎖反応により行なうことができる。また、該方法を行なう前、増幅の前または検出の前に、該試験サンプルを固相と反応させることが可能である。この反応は、直接的または間接的な反応であることが可能である。さらに、該検出工程は、測定可能なシグナルを生成しうる検出可能な標識の使用を含む。この検出可能な標識は、固相に結合させることが可能である。
本発明はさらに、標的BS106ポリヌクレオチドを含有する疑いのある試験サンプル中の標的BS106ポリヌクレオチドの検出方法であって、(a)該試験サンプルを、センスプライマーとしての少なくとも1つのBS106オリゴヌクレオチドおよびアンチセンスプライマーとしての少なくとも1つのBS106オリゴヌクレオチドと接触させ、それを増幅して第1段階反応産物を得、(b)該第1段階反応産物を少なくとも1つの他のBS106オリゴヌクレオチドと接触させて、第2段階反応産物を得(ただし、前記の、他のBS106オリゴヌクレオチドは、工程(a)で使用するBS106オリゴヌクレオチドの3′側に位置し、該第1段階反応産物に相補的である)、(c)該試験サンプル中の標的BS106オリヌクレオチドの存在の指標として該第2段階反応産物を検出することを含んでなる方法を提供する。該方法において試薬として選択するBS106オリゴヌクレオチドは、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5およびそれらの断片または相補体よりなる群から選ばれる配列に対して少なくとも50%の同一性を有する。増幅は、ポリメラーゼ連鎖反応により行なうことができる。また、該方法を行なう前、または増幅の前、または検出の前に、直接的または間接的に該試験サンプルを固相と反応させることが可能である。また、該検出工程は、測定可能なシグナルを生成しうる検出可能な標識の使用を含む。さらに、この検出可能な標識は、固相に結合させることが可能である。また、試験サンプル中の標的BS106ポリヌクレオチドを検出するのに有用な試験キットであって、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5およびそれらの断片または相補体よりなる群から選ばれる少なくとも1つのBS106特異的ポリヌクレオチドを含有する容器を含んでなる試験キットを提供する。これらの試験キットはさらに、試験サンプル(例えば、血液、尿、唾液および糞便)を採集するのに有用な手段を有する容器を含む。そのような手段には、血液を採集し安定化するためのランセットおよび吸収紙または布、唾液を採集し安定化するためのスワブ、ならびに尿または糞便サンプルを採集し安定化するためのカップが含まれる。該サンプルの変性または不可逆的吸着を避けるために、所望により、紙、布、スワブ、カップなどの採集材料を処理することが可能である。また、試料の完全性を維持するのを助けるために、該採集材料を保存剤、安定化剤または抗微生物剤で処理したり、該採集材料に保存剤、安定化剤または抗微生物剤を含有させることが可能である。
本発明は、BS106遺伝子に由来する精製されたポリヌクレオチドまたはその断片を提供する。該精製ポリヌクレオチドは、BS106遺伝子またはその相補体の核酸に選択的にハイブリダイズする能力を有する。該ポリヌクレオチドは、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5およびそれらの断片または相補体よりなる群から選ばれるポリヌクレオチドに対して少なくとも50%の同一性を有する。さらに、該精製ポリヌクレオチドは、組換えおよび/または合成技術により製造することができる。該精製組換えポリヌクレオチドは、組換えベクター中に含有されていることが可能である。本発明はさらに、該ベクターでトランスフェクトされた宿主細胞を含む。
本発明はさらに、BS106に由来するオープンリーディングフレームを含む核酸配列を含んでなる組換え発現系を提供する。該核酸配列は、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5およびそれらの断片または相補体よりなる群から選ばれる配列に対して少なくとも50%の同一性を有する。該核酸配列は、所望の宿主に和合性の制御配列に作動的に結合している。また、この組換え発現系でトランスフェクトされた細胞を提供する。
本発明はまた、BS106にコードされるポリペプチドを提供する。該ポリペプチドは、組換え技術により製造し、精製形態で提供することが可能であり、または合成技術により製造することが可能である。該ポリペプチドは、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20および配列番号17〜20の断片よりなる群から選ばれるアミノ酸配列に対して少なくとも50%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。
また、少なくとも1つのBS106エピトープに特異的に結合する抗体を提供する。該抗体は、ポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体であることが可能である。該エピトープは、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20およびそれらの断片よりなる群から選ばれるアミノ酸配列に由来する。試験サンプル中のBS106抗原または抗BS106抗体の存在を判定するためのアッセイキットも含まれる。1つの実施態様では、該アッセイキットは、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20およびそれらの断片よりなる群から選ばれるアミノ酸配列に対して少なくとも50%の同一性を有する少なくとも1つのBS106ポリペプチドを含有する容器を含む。さらに、該試験キットは、試験サンプル(例えば、血液、尿、唾液および糞便)を採集するのに有用な手段を有する容器を含む。そのような手段には、血液を採集し安定化するためのランセットおよび吸収紙または布、唾液を採集し安定化するためのスワブ、ならびに尿または糞便サンプルを採集し安定化するためのカップが含まれる。該サンプルの変性または不可逆的吸着を避けるために、所望により、紙、布、スワブ、カップなどの採集材料を処理することが可能である。また、試料の完全性を維持するのを助けるために、これらの採集材料を保存剤、安定化剤または抗微生物剤で処理したり、該採集材料に保存剤、安定化剤または抗微生物剤を含有させることが可能である。また、該ポリペプチドを固相に結合させることが可能である。
試験サンプル中のBS106抗原または抗BS106抗体の存在を判定するためのもう1つのアッセイキットは、BS106抗原に特異的に結合する抗体を含有する容器を含んでなり、該BS106抗原が、少なくとも1つのBS106にコードされたエピトープを含むことを特徴とする。該BS106抗原は、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20およびそれらの断片よりなる群から選ばれるBS106にコードされた抗原の配列に対して少なくとも60%の配列類似性を有する。さらに、該試験キットは、試験サンプル(例えば、血液、尿、唾液および糞便)を採集するのに有用な手段を有する容器を含む。そのような手段には、血液を採集し安定化するためのランセットおよび吸収紙または布、唾液を採集し安定化するためのスワブ、ならびに尿または糞便サンプルを採集し安定化するためのカップが含まれる。該サンプルの変性または不可逆的吸着を避けるために、所望により、紙、布、スワブ、カップなどの採集材料を処理することが可能である。また、試料の完全性を維持するのを助けるために、これらの採集材料を保存剤、安定化剤または抗微生物剤で処理したり、該採集材料に保存剤、安定化剤または抗微生物剤を含有させることが可能である。また、該抗体を固相に結合させることが可能である。
BS106のエピトープの少なくとも1つを含有するポリペプチドの製造法であって、発現ベクターでトランスフェクトされた宿主細胞をインキュベートすることを含んでなる製造法を提供する。このベクターは、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20およびそれらの断片よりなる群から選ばれるBS106アミノ酸配列に対して少なくとも50%の同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列を含む。
また、BS106抗原を含有する疑いのある試験サンプル中のBS106抗原を検出する方法を提供する。該方法は、BS106抗原のエピトープの少なくとも1つに特異的に結合する抗体またはその断片と該試験サンプルとを、抗体/抗原複合体の形成に十分な時間および条件下で接触させ、該抗体を含有するそのような複合体の存在を、該試験サンプル中のBS106抗原の存在の指標として検出することを含む。該抗体は、固相に結合させることが可能であり、モノクローナル抗体またはポリクローナル抗体であることが可能である。さらに、該抗体は、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20およびそれらの断片よりなる群から選ばれる少なくとも1つのBS106抗原に特異的に結合する。
これらの抗体を含有する疑いのある試験サンプル中のBS106抗原に特異的に結合する抗体を検出する、もう1つの方法を提供する。該方法は、BS106ポリヌクレオチドにコードされるアミノ酸またはその断片に対して少なくとも50%の同一性を有するアミノ酸配列を含む少なくとも1つのBS106エピトープを含有するポリペプチドと該試験サンプルとを接触させることを含む。接触は、抗原/抗体複合体の形成が可能となるのに十分な時間および条件下で行なう。該方法はさらに、該ポリペプチドを含有する複合体を検出することを含む。該ポリペプチドは、固相に結合させることが可能である。さらに、該ポリペプチドは、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20およびそれらの断片よりなる群から選ばれるアミノ酸配列に対して少なくとも50%の同一性を有する組換えタンパク質または合成ペプチドであることが可能である。
本発明は、BS106抗原のエピトープの少なくとも1つ又はその断片をコードするBS106核酸配列でトランスフェクトされた細胞を提供する。該核酸配列は、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5およびそれらの断片または相補体よりなる群から選ばれる。
また、BS106抗原に対する抗体の製造法であって、免疫応答を引き起こすのに十分な量の少なくとも1つのBS106エピトープを含む単離された免疫原性ポリペプチドまたはその断片を個体に投与することを含んでなる製造法を提供する。この単離された免疫原性ポリペプチドは、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20およびそれらの断片よりなる群から選ばれるアミノ酸配列を含む。
BS106抗原に特異的に結合する抗体のもう1つの製造法であって、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20およびそれらの断片よりなる群から選ばれるアミノ酸配列に由来する少なくとも1つのBS106エピトープをコードする核酸配列を含むプラスミドを哺乳動物に投与することを含んでなる製造法を開示する。
また、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5およびそれらの断片または相補体よりなる群から選ばれるポリヌクレオチドに対して少なくとも50%の同一性を有する少なくとも約10〜12ヌクレオチドのBS106ポリヌクレオチドを含んでなる組成物を提供する。BS106ポリヌクレオチドは、少なくとも1つのBS106エピトープを有するアミノ酸配列をコードする。本発明が提供するもう1つの組成物は、約8〜10アミノ酸のBS106エピトープの少なくとも1つを有するポリペプチドを含む。該ポリペプチドは、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、および配列番号17〜20の断片よりなる群から選ばれるアミノ酸配列に対して少なくとも50%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。また、配列番号16に対して少なくとも50%の同一性を有するBS106ポリペプチドをコードする遺伝子またはその断片、および配列番号4または配列番号5に対して少なくとも50%の同一性を有するDNAを含んでなる遺伝子またはその断片を提供する。
【図面の簡単な説明】
図1は、クローン1662885(配列番号1)、893988(配列番号2)、1209814(配列番号3)およびそれらに由来するコンセンサス配列(配列番号4)のヌクレオチドアラインメントを示す。該コンセンサス配列の54位のG/T多型は「K」として、該コンセンサス配列の312位のC/T多型は「Y」として示されている。
図2は、重複するクローン1662885(配列番号1)、893988(配列番号2)および1209814(配列番号3)のヌクレオチドアラインメントからのコンセンサスヌクレオチド配列(配列番号4)の形成を表すコンティグ地図(contig map)を示す。
図3Aは、種々の組織からのRNAの、臭化エチジウムで染色されたアガロースゲルのスキャン、およびBS106放射能標識プローブを使用するRNAの対応するノーザンブロットである。図3Bは、正常な乳房および乳癌の組織からのRNAの、臭化エチジウムで染色された別のアガロースゲルのスキャン、およびBS106放射能標識プローブを使用するRNAの対応するノーザンブロットである。
図4Aおよび4Bは、BS106特異的プライムド(primed)PCR増幅産物の染色アガロースゲルのスキャンである。
発明の詳細な説明
本発明は、配列番号16に対して少なくとも約50%の同一性を有するBS106ポリペプチドをコードする遺伝子またはその断片を提供する。本発明はさらに、配列番号4または配列番号5に対して少なくとも約50%の同一性を有するDNAを含んでなるBS106遺伝子またはその断片を含む。
本発明は、BS106と称される乳房組織遺伝子の産物に関して試験サンプルをアッセイするための方法であって、該試験サンプル中のmRNAからcDNAを調製し、乳房組織遺伝子BS106の存在の指標として該cDNAを検出することを含んでなる方法を提供する。該方法は、BS106に由来する、該遺伝子またはその断片に対応する1以上のmRNA部分を増幅する増幅工程を含む。また、BS106の翻訳産物に関してアッセイするための方法を提供する。本発明で提供する方法によりアッセイしうる試験サンプルには、組織、細胞、体液および分泌物が含まれる。本発明はまた、これらの方法を実施するのに有用なオリゴヌクレオチドプライマー、ポリペプチドなどの試薬を提供する。
本明細書で開示する核酸配列の一部は、RNAの逆転写のための、またはcDNAの増幅のためのプライマーとして、あるいは試験サンプル中の或るmRNA配列の存在を判定するためのプローブとして有用である。また、診断用イムノアッセイにおける基準または試薬として、医薬スクリーニングアッセイの標的として、および/または、種々の療法のための成分または標的部位として有用なコードされるポリペプチド配列の製造を可能にする核酸配列を開示する。これらのポリペプチド配列内に含有される少なくとも1つのエピトープに対するモノクローナル抗体およびポリクローナル抗体は、治療剤の運搬剤として有用であり、また、診断試験に有用であり、BS106に関連した疾患または状態(特に乳癌)のスクリーニングに有用である。関心のある遺伝子の他の部分の配列の単離は、これらの核酸配列に由来するプローブまたはPCRプライマーを用いて行なうことができる。これは、確認すべき関心のあるmRNAまたはcDNAおよび対応するコードされるポリペプチド配列の追加的なプローブを可能にする。これらの追加的な分子は、本明細書に開示するBS106により特徴づけられる乳房の疾患および状態(例えば、乳癌)の検出、診断、病期分類、モニター、予後判定、予防もしくは治療または素因の判定に有用である。
アミノ酸配列の「類似性」を判定するための技術は、当該技術分野でよく知られている。一般に、「類似性」は、アミノ酸が同一である場合または類似した化学的および/または物理的特性(例えば、電荷または疎水性)を有する場合には、適当な位置における2以上のポリペプチドの厳密なアミノ酸対アミノ酸の比較を意味する。したがって、いわゆる「類似性の割合(%)」は、比較されるポリペプチド配列の間で決定することができる。核酸およびアミノ酸配列の同一性を判定するための技術も、当該技術分野でよく知られており、その遺伝子に関するmRNAのヌクレオチド配列を決定し(通常は、cDNA中間体を介して)、それにコードされるアミノ酸配列を決定し、これともう1つのアミノ酸配列とを比較することを含む。一般に、「同一性」は、2つのポリヌクレオチドまたはポリペプチド配列の、それぞれ、厳密なヌクレオチド対ヌクレオチドまたはアミノ酸対アミノ酸の一致を意味する。2以上のポリヌクレオチド配列は、それらの「同一性(%)」を決定することにより比較することができる。同様に、2以上のアミノ酸配列は、それらの「同一性の割合(%)」を決定することにより比較することができる。Wisconsin Sequence Analysis Package,Version 8(Genetics Computer Group,Madison,WIから入手可能)において入手可能なプログラム、例えばGAPプログラムは、2つのポリヌクレオチド間の同一性と、2つのポリペプチド配列間の同一性および類似性との両方を計算する能力を有する。配列間の同一性または類似性を計算するための他のプログラムが、当該技術分野で公知である。
本明細書に記載の組成物および方法は、乳房組織の疾患または状態の指標としての或るマーカーの同定を可能にし、それから得られる情報は、BS106に関連した疾患および状態(特に乳癌)の検出、診断、病期分類、モニター、予後判定、予防もしくは治療または素因の判定の助けとなるであろう。試験方法には、例えば、本発明で提供する配列を利用し核酸増幅方法、例えばポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、リガーゼチェイン反応(LCR)およびハイブリダイゼーションを利用しうるプローブアッセイが含まれる。また、本発明で提供するヌクレオチド配列は、免疫原性エピトープを見出すことが可能なオープンリーディングフレームを含有する。このエピトープは、BS106に関連した病態または状態に特有であると考えられている。また、BS106遺伝子によりコードされるポリヌクレオチドまたはポリペプチドおよびタンパク質は、マーカーとして有用であると考えられている。このマーカーは、乳癌などの疾患において上昇するか、乳癌などの疾患において変化するか、または正常なタンパク質として存在するが不適当な身体画分中に出現する。該エピトープの特有性は、BS106遺伝子にコードされるタンパク質およびポリペプチドに対する抗体に対するその免疫反応性および特異性、および(ii)他の任意の組織マーカーに対するその無反応性により測定することができる。免疫反応の測定方法は、よく知られており、例えば、ラジオイムノアッセイ(RIA)、酵素結合抗体免疫吸着アッセイ(ELISA)、赤血球凝集反応(HA)、蛍光偏光イムノアッセイ(FPIA)、化学発光イムノアッセイ(CLIA)などを含むが、これらに限定されるものではない。適当な方法のいくつかの例は、本明細書に記載されている。
特に示さない限り、以下の用語は以下の意義を有するものとする。
示されている配列に「由来」する又は「特異的」なポリヌクレオチドは、示されているヌクレオチド配列の領域に対応する(すなわち、一致した又は相補的である)少なくとも約6ヌクレオチド、好ましくは少なくとも約8ヌクレオチド、より好ましくは少なくとも約10〜12ヌクレオチド、より一層好ましくは少なくとも約15〜20ヌクレオチドの連続した配列を含むポリヌクレオチド配列を意味する。該配列は、当該技術分野で公知の技術で判定した場合に、ある特定のポリヌクレオチド配列に特有の配列と相補的または同一であることが可能である。示されている配列の特有性を判定する方法として、例えば、データバンク中の配列との比較を用いることができる。配列が由来する領域には、特異的エピトープをコードする領域、ならびに非翻訳および/または非転写領域が含まれるが、これらに限定されるものではない。
該由来ポリヌクレオチドは、必ずしも、研究中の関心のあるヌクレオチド配列に物理的に由来するとは限らず、該ポリヌクレオチドが由来する領域中の塩基配列から得られる情報に基づく化学合成、複製、逆転写または転写を含む(これらに限定されるものではない)任意の方法で生成させることが可能であろう。そのような場合、それは、元のポリヌクレオチドのセンスまたはアンチセンス配向に相当することが可能である。さらに、示されている配列の領域に対応する領域の組合せを、意図する用途に適合するように、当該技術分野で公知の方法で修飾することができる。
特定されているポリヌクレオチドの「断片」は、示されているヌクレオチド配列の領域に対応する(すなわち、一致した又は相補的である)少なくとも約6ヌクレオチド、好ましくは少なくとも約8ヌクレオチド、より好ましくは少なくとも約10〜12ヌクレオチド、より一層好ましくは少なくとも約15〜20ヌクレオチドの連続した配列を含むポリヌクレオチド配列を意味する。
「プライマー」なる語は、標的ヌクレオチド配列に相補的であり該標的ヌクレオチド配列にハイブリダイズさせるのに使用する特異的なオリゴヌクレオチド配列を意味する。プライマーは、DNAポリメラーゼ、RNAポリメラーゼまたは逆転写酵素により触媒されるヌクレオチドの重合の開始点として働く。
「プローブ」なる語は、相補的配列を含有するサンプル中に存在する特異的なポリヌクレオチドを同定するために使用しうる一定の核酸セグメント(またはヌクレオチド類似体セグメント、例えば、後記で定義するPNA)を意味する。
「コード(される)」は、ポリペプチド配列が核酸配列にコードされていることを意味する(該ポリペプチドまたはその一部は、該核酸配列にコードされるポリペプチドからの少なくとも3〜5アミノ酸、より好ましくは少なくとも8〜10アミノ酸、より一層好ましくは少なくとも15〜20アミノ酸のアミノ酸配列を含有する)。また、該配列にコードされるポリペプチドで免疫学的に同定可能なポリペプチド配列が含まれる。したがって、「ポリペプチド」、「タンパク質」または「アミノ酸」配列は、BS106アミノ酸配列に対して少なくとも約50%の同一性、好ましくは約60%の同一性、より好ましくは約75〜85%の同一性、最も好ましくは約90〜95%以上の同一性を有する。さらに、BS106「ポリペプチド」、「タンパク質」または「アミノ酸」配列は、BS106のポリペプチドまたはアミノ酸配列に対して少なくとも約60%の類似性、好ましくは少なくとも約75%の類似性、より好ましくは約85%の類似性、最も好ましくは約95%以上の類似性を有することが可能である。このアミノ酸配列は、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20およびそれらの断片よりなる群から選ぶことが可能である。
本明細書では互換的に用いることがある「組換えポリペプチド」、「組換えタンパク質」または「組換え技術により製造されたポリペプチド」なる語は、本来的に又は操作により、天然で結合しているポリペプチドの全部または一部と結合していないポリペプチド、および/または、天然で結合しているポリペプチド以外のポリペプチドに結合しているポリペプチドを意味する。組換え又はコード化ポリペプチドまたはタンパク質は、必ずしも、示されている核酸配列から翻訳されるわけではない。それはまた、化学合成または組換え発現系の発現を含む任意の方法で得ることが可能である。
本発明で用いる「合成ペプチド」なる語は、当業者によく知られている方法で化学的に合成することが可能な、任意の長さのアミノ酸の重合形態を意味する。これらの合成ペプチドは、種々の用途において有用である。
本発明で用いる「ポリヌクレオチド」なる語は、リボヌクレオチドまたはデオキシリボヌクレオチドの、任意の長さのヌクレオチドの重合形態を意味する。この用語は、該分子の一次構造のみをさす。したがって、該用語は、二本鎖および一本鎖のDNAならびに二本鎖および一本鎖のRNAを含む。また、それは、該ポリヌクレオチドのメチル化体またはキャップ形成体などの修飾体、および非修飾形態を含む。「ポリヌクレオチド」、「オリゴマー」、「オリゴヌクレオチド」および「オリゴ」は、本明細書中では互換的に用いる。
「cDNAに対応する配列」は、該配列が、示されているDNA中の配列と同一または相補的であるポリヌクレオチド配列を含有することを意味する。cDNAに対する同一性または相補性の程度(または割合(%))は、約50%以上、好ましくは少なくとも約70%以上、より好ましくは少なくとも約90%以上となろう。同定されているcDNAに対応する配列は、少なくとも約50ヌクレオチド長、好ましくは少なくとも約60ヌクレオチド長、より好ましくは少なくとも約70ヌクレオチド長となろう。関心のある遺伝子または遺伝子断片と該cDNAとの間の対応度は、当該技術分野で公知の方法により決定することができ、例えば、配列決定された物質と、記載されているcDNAとの直接比較、またはハイブリダイゼーション、および一本鎖ヌクレアーゼによる消化、およびそれに続く、該消化断片のサイズの測定を含む。
「精製(された)ポリヌクレオチド」は、該ポリヌクレオチドが天然で結合しているタンパク質を実質的に含まない(例えば、その約50%以上、好ましくは約70%以上、より好ましくは約90%以上を含有しない)関心のあるポリヌクレオチドまたはその断片を意味する。関心のあるポリヌクレオチドを精製するための技術は、当該技術分野でよく知られており、例えば、ポリヌクレオチドを含有する細胞をカオトロピック試薬で破壊すること、およびイオン交換クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィーおよび密度に応じた沈降によるポリヌクレオチドおよびタンパク質の分離を含む。
「精製(された)ポリペプチド」または「精製(された)タンパク質」は、関心のあるポリペプチドが天然で結合している細胞成分を実質的に含まない(例えば、その約50%以上、好ましくは約70%以上、より好ましくは約90%以上を含有しない)関心のあるポリペプチドまたはその断片を意味する。関心のあるポリペプチドを精製するための方法は、当該技術分野で公知である。
「単離(された)」なる語は、該物質が、その元の環境(例えば、それが天然に生じるものである場合には天然環境)から取り出されていることを意味する。例えば、生きた動物中に存在する天然に生じるポリヌクレオチドまたはポリペプチドは、単離されていないが、天然系中の共存物質の一部または全部から分離されている同じポリヌクレオチドまたはDNAまたはポリペプチドは、単離されている。そのようなポリヌクレオチドがベクターの一部となることが可能であり、および/または、そのようなポリヌクレオチドまたはポリペプチドが組成物の一部となることが可能であり、それらもまた、該ベクターまたは組成物がその天然環境の一部でないため単離されている。
「ポリペプチド」および「タンパク質」は、本明細書中では互換的に用い、共有結合および/または非共有結合で結合したアミノ酸の分子鎖の少なくとも1つを示す。これらの用語は、特定の長さの該産物を意味するものではない。したがって、ポリペプチドの定義には、ペプチド、オリゴペプチドおよびタンパク質が含まれる。これらの用語は、該ポリペプチドの翻訳後修飾、例えばグリコシル化、アセチル化、リン酸化などを含む。また、タンパク質断片、類似体、突然変異または変異タンパク質、融合タンパク質などが、ポリペプチドの意義に含まれる。
特定されているポリペプチドの「断片」は、その特定されているポリペプチドに由来する少なくとも約3〜5アミノ酸、より好ましくは少なくとも約8〜10アミノ酸、より一層好ましくは少なくとも約15〜20アミノ酸を含むアミノ酸配列を意味する。
「組換え宿主細胞」、「宿主細胞」、「細胞」、「細胞系」、「細胞培養」および単細胞体として培養された微生物または高等真核細胞系を示す他のそのような用語は、組換えベクターまたは他の導入DNAのレシピエントとして使用しうる又は使用されている細胞を意味し、トランスフェクトされた元の細胞の初代後代(original progeny)を含む。
本発明で用いる「レプリコン」は、細胞内でポリヌクレオチド複製の自律単位として挙動するプラスミド、染色体、ウイルスなどの任意の遺伝要素を意味する。
「ベクター」は、別のポリヌクレオチドセグメントが結合しているレプリコンであり、例えば該結合セグメントの複製および/または発現を引き起こす。
「制御配列」なる語は、それが結合しているコード配列の発現を引き起こすために必要なポリヌクレオチド配列を意味する。そのような制御配列の性質は、宿主生物によって異なる。原核生物では、そのような制御配列は、一般に、プロモーター、リボソーム結合部位およびターミネーターを含み、真核生物では、そのような制御配列は、一般に、プロモーター、ターミネーター、および場合によってはエンハンサーを含む。したがって、「制御配列」なる語は、発現するために存在することを要する全成分を最低限含むと意図され、また、存在すれば有利である追加的な成分(例えば、リーダー配列)を含むことが可能である。
「作動的に結合」は、記載されている成分が、それらの意図される様態で機能しうる関係で存在している状況を意味する。したがって、例えば、コード配列に「作動的に結合」している「制御配列」は、該制御配列に適合しうる条件下で該コード配列の発現が達成されるように連結されている。
「オープンリーディングフレーム」または「ORF」は、ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列の領域を意味する。この領域は、コード配列の一部または全コード配列に相当する。
「コード配列」は、適当な調節配列の制御下に配置された場合に、mRNAに転写されポリペプチドに翻訳されるポリヌクレオチド配列である。該コード配列の境界は、5′末端の翻訳開始コドンと、3′末端の翻訳停止コドンとにより定められる。コード配列には、mRNA、cDNAおよび組換えポリヌクレオチド配列を含めることが可能であるが、これらに限定されるものではない。
「免疫学的に同定可能」なる語は、示されているポリペプチド中に存在しそれに特有なエピトープおよびポリペプチドの存在を意味する。免疫学的同一性は、抗体結合および/または結合における競合により判定することができる。これらの技術は、当業者に公知であり、本明細書にも記載されている。また、エピトープの特有性は、エピトープをコードするポリヌクレオチド配列に関するGenBankなどの公知データバンクのコンピューター検索により、また、他の公知タンパク質とのアミノ酸配列の比較により判定することができる。
本発明で用いる「エピトープ」は、ポリペプチドまたはタンパク質の抗原決定基を意味する。エピトープは、該エピトープに特有の空間コンホメーションにおいて3個のアミノ酸を含むことが可能である、と考えられる。一般に、エピトープは、少なくとも5個のそのようなアミノ酸よりなり、通常、それは、少なくとも8〜10個のアミノ酸よりなる。空間コンホメーションを調べる方法は、当該技術分野で公知であり、例えば、X線結晶解析および二次元核磁気共鳴を含む。
「コンホメーションエピトープ」は、免疫学的に認識可能な構造のアミノ酸の特異的な並置を含むエピトープであり、そのようなアミノ酸は、連続的または不連続的な順序で同一ポリペプチド上に存在するか又は異なるポリペプチド上に存在する。
ポリペプチド内に含有される特異的エピトープの抗体認識により該ポリペプチドが抗体に結合する場合、該ポリペプチドは抗体に対して「免疫反応性」である。免疫反応性は、抗体結合により、より詳しくは抗体結合の速度論により、および/または、該抗体に対するエピトープを含有する公知ポリペプチドを競合体として用いる結合における競合により測定することができる。ポリペプチドが抗体に対して免疫反応性であるか否かを判定する方法は、当該技術分野で公知である。
本発明で用いる「関心のあるエピトープを含有する免疫原性ポリペプチド」は、関心のある天然に生じるポリペプチドまたはその断片、および他の手段(例えば、化学合成、または組換え生物中での該ポリペプチドの発現)で製造されたポリペプチドを意味する。
「トランスフェクション」なる語は、原核性または真核性宿主細胞内に外因性ポリヌクレオチドを導入することを意味し、その導入に用いる方法には無関係である。「トランスフェクション」なる語は、ポリヌクレオチドの安定な導入および一過性の導入の両方を意味し、ポリヌクレオチドの直接取込み、形質転換、形質導入およびf接合を含む。外因性ポリヌクレオチドは、宿主細胞内に導入されたら、非組込みレプリコン(例えば、プラスミド)として維持されることが可能であり、あるいは宿主ゲノム内に組込まれることが可能である。
「治療」は、予防および/または療法を意味する。
本発明で用いる「個体」なる語は、脊椎動物、特に哺乳動物種のメンバーを意味し、家畜、競技用動物、霊長類およびヒトを含むが、これらに限定されるものではない。この用語は、特にヒトを意味する。
本発明で用いる「センス鎖」または「プラス鎖」(または「+」)なる語は、該ポリペプチドをコードする配列を含有する核酸を意味する。「アンチセンス鎖」または「マイナス鎖」(または「−」)は、「プラス」鎖の配列に相補的な配列を含有する核酸を意味する。
「試験サンプル」なる語は、被検体(例えば、関心のある抗体または関心のある抗原)の起源である個体の身体の成分を意味する。これらの成分は当該技術分野でよく知られている。試験サンプルは、典型的には、標的配列を含有する疑いのあるものである。試験サンプルは、当該技術分野でよく知られた方法により、例えば、個体から試料を得、必要に応じて、それが含有するいずれかの細胞を破壊して標的核酸を遊離させることにより調製することができる。これらの試験サンプルには、本明細書に記載の本発明の方法により試験することができる生物学的サンプルが含まれ、ヒトおよび動物の体液、例えば、全血、血清、血漿、脳脊髄液、痰、気管支洗液、気管支吸引液、尿、リンパ液、および気道、腸管および尿生殖路の種々の外分泌物、涙、唾液、乳、白血球、骨髄腫など;生物学的液体、例えば、細胞培養上清;固定しうる組織試料;および固定しうる細胞試料が含まれる。
「精製(された)産物」は、該産物が通常結合している細胞構成成分から、また、関心のあるサンプル中に存在しうる他の型の細胞から単離されている産物の調製物を意味する。
「PNA」は、標的の存在を判定するための本明細書に記載のアッセイなどの方法で使用しうる「ペプチド核酸類似体」を意味する。「MA」は、標的の存在を判定するための本明細書に記載のアッセイなどの方法で使用しうる「モルホリノ類似体」を意味する。例えば、米国特許第5,378,841号を参照されたい。PNAは、RNA標的またはDNAに指向しうる中性に荷電している部分である。例えば本発明のDNAプローブの代わりにアッセイで使用するPNAプローブは、DNAプローブを使用した場合には達成できない利点をもたらす。これらの利点には、製造可能性、大規模標識、再現性、安定性、イオン強度の変化に対する不感受性、およびDNAまたはRNAを用いる方法において存在する酵素分解に対する抵抗性が含まれる。これらのPNAは、フルオレセイン、放射性ヌクレオチド、化学発光性化合物などのシグナル生成化合物で標識(「結合」)することができる。したがって、DNAまたはRNAの代わりに、PNAまたは他の核酸類似体、例えばMAを、アッセイ方法において使用することができる。本明細書には、DNAプローブを使用するアッセイが記載されているが、RNAまたはDNAの代わりにPNAまたはMAを使用し、必要に応じて、アッセイ試薬における適当な変更を加えることは、当業者の技量の範囲内に含まれる。
本発明で用いる「被検体」は、試験サンプル中に存在する可能性がある検出すべき物質である。該被検体は、天然に生じる特異的結合メンバー(例えば、抗体)に対する物質、または特異的結合メンバーを与えうる任意の物質であることが可能である。したがって、被検体は、アッセイにおいて1以上の特異的結合メンバーに結合しうる物質である。また、「被検体」は、任意の抗原物質、ハプテン、抗体およびそれらの組合せを含む。天然に生じる特異的結合パートナー(ペア)を用いて(例えば、ビタミンB12を測定するために特異的結合ペアのメンバーとして内因子タンパク質を使用して、あるいは葉酸を測定するために葉酸結合タンパク質を使用して、あるいは炭水化物を測定するために特異的結合ペアのメンバーとしてレクチンを使用して)、該被検体を特異的結合ペアのメンバーとして検出することができる。該被検体には、タンパク質、ポリペプチド、アミノ酸、ヌクレオチド標的などを含めることができる。
本発明で用いる「乳房の疾患」または「乳房疾患」または「乳房の状態」は、異型過形成、線維腺腫、乳腺嚢胞症および癌を含む(これらに限定されるものではない)乳房の任意の疾患または状態を意味する。
本発明で用いる「乳癌」は、上皮内導管癌、上皮内小葉性癌、浸潤性導管癌、髄様癌、管状癌、粘液癌、浸潤性小葉性癌、浸潤性面皰癌および炎症様癌を含む(これらに限定されるものではない)乳房の任意の悪性疾患を意味する。
「発現しているタグ配列」または「EST」は、組織から抽出されたmRNAの逆転写およびそれに続くベクター内への挿入により作製されたcDNA挿入断片の部分配列を意味する。
「転写産物イメージ」は、ライブラリー中のESTの量的分布を示す表または一覧を意味し、該ライブラリーが由来する組織内で活性な遺伝子を表す。
本発明は、特異的結合メンバーを使用するアッセイを提供する。本発明で用いる「特異的結合メンバー」は、特異的結合ペアのメンバーである。すなわち、2つの異なる分子のうちの一方が、化学的または物理的手段により、もう一方の分子に特異的に結合する。したがって、一般的なイムノアッセイの抗原および抗体特異的結合ペアに加えて、他の特異的結合ペアとして、ビオチンおよびアビジン、炭水化物およびレクチン、相補的ヌクレオチド配列、エフェクターおよび受容体分子、補因子および酵素、酵素阻害剤および酵素などを含めることができる。さらに、特異的結合ペアには、元の特異的結合メンバーの類似体(例えば、被検体類似体)であるメンバーを含めることができる。免疫反応性特異的結合メンバーには、組換えDNA分子により形成されたものを含む、抗原、抗原断片、抗体および抗体断片(モノクローナルおよびポリクローナルの両方ならびにそれらの複合体)が含まれる。
本発明で用いる「ハプテン」なる語は、抗体に結合する能力を有するが、担体タンパク質に結合しない限り抗体形成を惹起する能力を有さない部分抗原または非タンパク質結合メンバーを意味する。
本発明で用いる「捕捉試薬」は、サンドイッチアッセイにおいては該被検体に特異的な、あるいは競合アッセイにおいては指示試薬に特異的な、あるいは間接アッセイにおいては補助的特異的結合メンバー(それ自体は、該被検体に特異的である)に特異的な未標識の特異的結合メンバーを意味する。該アッセイの実施前または該アッセイの実施中に、該捕捉試薬を固相材料に直接的または間接的に結合させて、試験サンプルから固定化複合体を分離できるようにすることが可能である。
「指示試薬」は、特異的結合メンバーにコンジュゲート(「結合」)している、外的手段により検出可能な測定可能なシグナルを生成する能力を有し該シグナルを生成する「シグナル生成化合物」(「標識」)を含む。該指示試薬は、特異的結合ペアの抗体メンバーであることに加えて、ハプテン−抗ハプテン系(例えば、ビオチンまたは抗ビオチン、アビジンまたはビオチン、炭水化物またはレクチン、相補的ヌクレオチド配列、エフェクターまたは受容体分子、酵素補因子および酵素、酵素阻害剤または酵素など)を含む任意の特異的結合ペアのメンバーとなることも可能である。免疫反応性の特異的結合メンバーは、サンドイッチアッセイにおける関心のあるポリペプチド、または競合アッセイにおける捕捉試薬、または間接アッセイにおける補助的特異的結合メンバーのいずれかに結合する能力を有する抗体、抗原または抗体/抗原複合体であることが可能である。プローブおよびプローブアッセイを説明する場合に、「レポーター分子」なる語を用いることがある。レポーター分子は、特異的結合ペアの特異的結合メンバーに結合した前記のシグナル生成化合物(例えば、カルバゾールまたはアダマンタン)を含む。
意図される種々の「シグナル生成化合物」(標識)には、発色性物質(chromagens)、触媒(例えば、酵素)、発光性化合物(例えば、フルオレセインおよびローダミン)、化学発光性化合物(例えば、ジオキセタン、アクリジニウム、フェナントリジニウムおよびルミノール)、放射性要素および直視(directvisual)標識が含まれる。酵素には、例えば、アルカリホスファターゼ、ホースラディッシュペルオキシダーゼ、β-ガラクトシダーゼなどが含まれる。個々の標識の選択は、決定的に重要ではないが、それ自体で又は1以上の追加的物質と共にシグナルを生成する能力を有するものでなければならない。
「固相」(「固体支持体」)は、当業者に公知であり、反応トレーのウェル壁、試験管、ポリスチレンビーズ、磁性または非磁性ビーズ、ニトロセルロース小片、膜、微粒子(例えば、ラテックス粒子)、ヒツジ(または他の動物の)赤血球およびDuracytes▲R▼(Abbott Laboratories,Abbott Park,ILから入手可能な、ピルビン酸アルデヒドおよびホルムアルデヒドで「固定」された赤血球)などを含む。「固相」は決定的に重要なものではなく、当業者であれば選択することが可能である。例えば、ラテックス粒子、微粒子、磁性または非磁性ビーズ、膜、プラスチック管、マイクロタイターウェルの壁、ガラスまたはシリコンチップ、ヒツジ(または他の適当な動物の)赤血球およびDuracytes▲R▼はすべて、適当な具体例である。ペプチドを固相上に固定化するための適当な方法には、イオン性、疎水性、共有結合相互作用などが含まれる。本発明で用いる「固相」は、不溶性であるか又は後続の反応で不溶性にすることが可能な任意の材料を意味する。固相は、捕捉試薬を誘引し固定化するその固有能力に関して選択することができる。あるいは、固相は、捕捉試薬を誘引し固定化する能力を有する追加的な受容体を保有することが可能である。追加的な受容体には、捕捉試薬自体とは反対に荷電した、あるいは捕捉試薬に結合した荷電物質とは反対に荷電した荷電物質を含めることが可能である。あるいはまた、該受容体分子は、特異的結合反応により捕捉試薬を固定化する能力を有し固相上に固定化(結合)されている任意の特異的結合メンバーであることが可能である。該受容体分子は、アッセイの実施前またはアッセイの実施中に捕捉試薬が固相材料に間接的に結合するのを可能にする。したがって、固相は、プラスチック、誘導プラスチック、磁性または非磁性金属、試験管のガラスまたはシリコン表面、マイクロタイターウェル、シート、ビーズ、微粒子、チップ、ヒツジ(または他の適当な動物の)赤血球、Duracytes▲R▼および当業者に公知の他の形態であることが可能である。
検出抗体の接近を許容するのに十分な多孔性と、抗原を結合させる適当な表面親和性とを有する、適当な任意の多孔性材料を、固相が含むことも可能であると意図され、そのような場合も本発明の範囲内に含まれる。多孔性構造が一般に好ましいが、水和化状態のゲル構造を有する材料も使用できる。そのような有用な固体支持体には、ニトロセルロースおよびナイロンが含まれるが、これらに限定されるものではない。本明細書に記載のそのような多孔性固体支持体は、好ましくは、約0.01〜0.5mm、好ましくは約0.1mmの厚さのシートの形態であると意図される。該孔径は、広範囲の値を取ることが可能であり、好ましくは約0.025〜15ミクロン、特に好ましくは約0.15〜15ミクロンである。そのような支持体の表面は、該支持体に対する抗原または抗体の共有結合を引き起こす化学的方法により活性化することができる。しかしながら、一般には、十分には理解されていない疎水性力による多孔性材料上での吸着により、抗原または抗体の不可逆的結合を得る。他の適当な固体支持体は、当該技術分野で公知である。
試薬
本発明は、関心のある乳房組織に由来しBS106と称されるポリヌクレオチド配列、それにコードされるポリペプチド、これらのポリペプチドに特異的な抗体などの試薬を提供する。本発明はまた、開示されているポリヌクレオチドおよびこれらのポリヌクレオチドに相補的な核酸配列に由来するオリゴヌクレオチド断片などの試薬を提供する。本発明のポリヌクレオチド、ポリペプチドまたは抗体を使用して、乳房の疾患または状態(例えば、癌)の検出、診断、病期分類、モニター、予後判定、予防もしくは治療または素因の判定につながる情報を得ることができる。本明細書に開示の配列は、遺伝子転写活性の特異的プロフィールを得るために又はアッセイで使用しうる特有のポリヌクレオチドを代表する。そのようなアッセイは、欧州特許第0373203B1号および国際公開WO 95/11995に開示されている。
選択したBS106由来ポリヌクレオチドを、正常な又は改変された遺伝子発現の検出のために本明細書に記載の方法で使用することができる。そのような方法では、BS106ポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチド、それらの断片もしくは誘導体、またはそれらに相補的な核酸配列を使用することが可能である。
本明細書に開示のポリヌクレオチド、それらに相補的な配列、またはそれらのいずれかの断片を、乳房組織の疾患または状態に関連した遺伝子、核酸、cDNAまたはmRNAの検出、増幅または定量のためのアッセイで使用することができる。また、それらを使用して、BS106ポリペプチドのコード領域の全部または一部を同定することができる。さらに、それらは、アッセイ用のキットの形態で個々の容器内に提供したり、あるいは個々の組成物として提供することができる。アッセイ用のキットで提供する場合には、緩衝液、結合体などの他の適当な試薬を含有させることが可能である。
該ポリヌクレオチドは、RNAまたはDNAの形態であることが可能である。DNA、cDNA、ゲノムDNA、核酸類似体および合成DNAの形態のポリヌクレオチドは、本発明の範囲内に含まれる。該DNAは、二本鎖または一本鎖であることが可能であり、一本鎖である場合には、コード(センス)鎖または非コード(アンチセンス)鎖であることが可能である。該ポリペプチドをコードするコード配列は、本発明で提供するコード配列と同一であることが可能であり、遺伝暗号の重複または縮重の結果、本発明で提供するDNAと同じポリペプチドをコードする異なるコード配列であることが可能である。
このポリヌクレオチドは、該ポリペプチドのコード配列のみを含んでいたり、あるいは該ポリペプチドのコード配列と追加的なコード配列(例えば、リーダーまたは分泌配列またはプロタンパク質配列)とを含んでいたり、あるいは該ポリペプチドのコード配列(および所望により追加的なコード配列)と非コード配列(例えば、該ポリペプチドのコード配列の5′および/または3′側の非コード配列)とを含んでいることが可能である。
また、本発明は、ポリヌクレオチドの欠失、置換または付加などの修飾を含有する変異ポリヌクレオチドと、該変則ポリヌクレオチド配列から生じる任意のポリヌクレオチド修飾体を含む。また、本発明のポリヌクレオチドは、本発明で提供するコード配列の天然に生じる対立遺伝子変異体であるコード配列を有することが可能である。
さらに、該ポリペプチドのコード配列は、宿主細胞におけるポリペプチドの発現および分泌を補助するポリヌクレオチド配列(例えば、細胞からのポリペプチドの輸送を制御するための分泌配列として機能するリーダー配列)に、同じリーディングフレームで融合させることができる。リーダー配列を有するポリペプチドはプレタンパク質であり、それは、該ポリペプチドを形成するために宿主細胞により切断されるリーダー配列を有することが可能である。また、該ポリヌクレオチドは、該タンパク質と追加的な5′アミノ酸残基とを含むプロタンパク質をコードすることが可能である。プロ配列を有するタンパク質は、プロタンパク質であり、場合によっては、該タンパク質の不活性形態であることが可能である。プロ配列が切断されると、活性タンパク質が残される。したがって、本発明のポリヌクレオチドは、タンパク質をコードしたり、あるいはプロ配列を有するタンパク質をコードしたり、あるいはプレ配列(リーダー配列)とプロ配列とを有するタンパク質をコードすることが可能である。
また、本発明のポリヌクレオチドは、本発明のポリペプチドの精製を可能にするマーカー配列とインフレームで融合したコード配列を有することが可能である。該マーカー配列は、細菌宿主の場合には、該マーカーと融合したポリペプチドの精製をもたらすための、pQE-9ベクターにより供給されるヘキサヒスチジンタグであることが可能であり、あるいは例えば、哺乳動物宿主(例えば、COS-7細胞系)を使用する場合には、該マーカー配列は赤血球凝集素(HA)タグであることが可能である。HAタグは、インフルエンザ血球凝集素タンパク質に由来するエピトープに対応する。例えば、I.Wilsonら,Cell 37:767(1984)を参照されたい。
ポリヌクレオチドと本発明で提供する配列との間で少なくとも50%、好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも90%の同一性があれば、該ポリヌクレオチドは該配列にハイブリダイズするとみなされるものと意図される。
本発明はまた、精製されたBS106ポリペプチドを使用して産生された抗体であって、該ポリペプチドの少なくとも一部が、本発明が提供するポリヌクレオチドから選ばれるBS106ポリヌクレオチドにコードされることを特徴とする抗体を提供する。これらの抗体は、試験サンプル中のBS106抗原の検出のために本発明で提供する方法で使用することができる。試験サンプル中のBS106抗原の存在は、乳房の疾患または状態の存在を示す。該抗体はまた、治療目的に使用することが可能であり、例えば、改変した又は異常な発現に関連した状態におけるBS106ポリペプチドの活性の中和において使用することができる。
本発明はさらに、本発明で提供する推定アミノ酸配列を有するBS106ポリペプチド、ならびにそのようなポリペプチドの断片、類似体および誘導体に関する。本発明のポリペプチドは、組換えポリペプチド、天然の精製ポリペプチドまたは合成ポリペプチドであることが可能である。BS106ポリペプチドの断片、誘導体または類似体は、該アミノ酸残基の1以上が同類アミノ酸残基または非同類アミノ酸残基(好ましくは、同類アミノ酸残基)で置換されているものであることが可能である。そのような置換アミノ酸残基は、遺伝暗号によりコードされていてもコードされていなくてもよい。あるいはそれは、アミノ酸残基の1以上が置換基を含むものであることが可能である。あるいはそれは、該ポリペプチドが別の化合物(例えば、該ポリペプチドの半減期を増加させる化合物、例えばポリエチレングリコール)に融合しているものであることが可能である。あるいはそれは、追加的なアミノ酸(例えば、リーダーもしくは分泌配列、または該ポリペプチドの精製のために使用する配列、またはプロタンパク質配列)が該ポリペプチドに融合しているものであることが可能である。そのような断片、誘導体および類似体は、本発明の範囲内に含まれる。本発明のポリペプチドおよびポリヌクレオチドは、好ましくは、単離(好ましくは精製)された形態で提供される。
したがって、本発明のポリペプチドは、天然に生じるポリペプチドのアミノ酸配列と同じであるか又は1以上のアミノ酸の置換による小さな変異により異なるアミノ酸配列を有することが可能である。該変異は、典型的には、約1〜5アミノ酸の範囲の「同類変化」であることが可能であり、この場合、該置換アミノ酸は、類似した構造的または化学的特性を有する(例えば、ロイシンからイソロイシンへの置換またはトレオニンからセリンへの置換)。これに対して、変異には、非同類変化(例えば、グリシンからトリプトファンへの置換)を含めることができる。また、類似した小さな変異には、アミノ酸の欠失または挿入またはそれらの両方を含めることができる。生物学的または免疫学的活性の変化を引き起こさずに置換し挿入し又は欠失させるアミノ酸の種類および個数を決定する際の指針は、当該技術分野でよく知られているコンピュータープログラム、例えばDNASTARソフトウェア(DNASTAR Inc.,Madison WI)を用いて得ることができる。
本発明のポリヌクレオチド配列に従い構築したプローブを、種々のタイプの分析を行なうための種々のアッセイ方法で使用することができる。例えば、そのようなプローブは、染色体分析を行なうために蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)技術で使用することが可能であり、また、染色体の広がりから認められるか又はPCR産生および/または対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドプローブ、対立遺伝子特異的増幅を用いて若しくは直接シークエンス法により検出可能な欠失または転座などの染色体中の癌特異的構造改変を同定するために使用することができる。また、プローブは、放射性同位体、直接的または間接的に検出可能なハプテン、または蛍光性分子で標識することができ、組織試料または細胞中のポリヌクレオチドを含む遺伝子のmRNA発現を評価するためのin situハイブリダイゼーション研究で使用することができる。
また、本発明は、本発明で提供するポリヌクレオチドおよびポリペプチドの製造に関する教示を提供する。
プローブアッセイ
試験サンプル中の核酸の検出のためのアッセイで使用しうるプローブを得るために、本発明で提供する配列を使用することができる。該プローブは、関心のあるポリヌクレオチドの保存ヌクレオチド領域から、または関心のあるポリヌクレオチドの非保存ヌクレオチド領域から設計することができる。アッセイの最適化のためのそのようなプローブの設計は、当業者の技量の範囲内である。一般には、最大の特異性を望む場合には、非保存領域またはユニーク領域から核酸プローブを得、例えば多遺伝子ファミリーの異なるメンバーに密接に関連しているヌクレオチド領域またはマウスおよびヒトなどの関連種におけるヌクレオチド領域に関してアッセイする場合には、保存領域から核酸プローブを得る。
ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)は、核酸中またはその混合物中に含有されている所望の核酸配列(標的)を増幅するための技術である。PCRでは、一対のプライマーを過剰に使用して、標的核酸の相補鎖とハイブリダイズさせる。標的核酸を鋳型として使用して、該プライマーのそれぞれをポリメラーゼにより伸長させる。該伸長産物は、元の標的鎖から解離した後、それ自体が標的配列となる。ついで新たなプライマーをハイブリダイズさせ、ポリメラーゼにより伸長させ、このサイクルを繰返して、標的配列分子の数を幾何級数的に増加させる。PCRは、米国特許第4,683,195号および第4,683,202号に開示されている。
リガーゼチェイン反応(LCR)は、核酸の増幅のためのもう1つの方法である。LCRでは、2個の一次(第1および第2)プローブと2個の二次(第3および第4)プローブとを含むプローブペアを使用し、それらはすべて、標的に対して過剰モルで使用する。第1プローブを標的鎖の第1セグメントにハイブリダイズさせ、第2プローブを標的鎖の第2セグメントにハイブリダイズさせる。該一次プローブが5′リン酸−3′ヒドロキシルの関係で互いに隣接するよう、また、リガーゼがそれらの2個のプローブを融合産物に共有的に融合または連結させることが可能となるよう、第1セグメントと第2セグメントとは隣接している。さらに、第3(二次)プローブは第1プローブの一部にハイブリダイズすることが可能であり、第4(二次)プローブは、同様の隣接様態で第2プローブの一部にハイブリダイズすることが可能である。勿論、該標的が最初に二本鎖である場合は、二次プローブは、最初の標的の相補体にもハイブリダイズすることになる。一次プローブのライゲーションした鎖が標的鎖から分離すると、それは第3および第4プローブにハイブリダイズすることになり、それらはライゲーションされて相補的な二次ライゲーション産物を形成しうる。該ライゲーション産物が標的またはその相補体のいずれかと機能的に等価であると認識することが重要である。ハイブリダイゼーションとライゲーションとの反復サイクルにより、標的配列の増幅が達成される。この技術は、1989年6月16日付け公開のK.BackmanのEP-A-320 308および1991年7月31日付け公開のK.BackmanらのEP-A-439 182に更に詳しく記載されている。
mRNAの増幅の場合には、mRNAをcDNAに逆転写し、ついでポリメラーゼ連鎖反応を行なうこと(RT-PCR)、あるいは米国特許第5,322,770号に記載されているとおり、両工程で単一の酵素を使用すること、あるいはR.L.Marshallら,PCR Methods and Applications 4:80-84(1994)に記載のとおり、mRNAをcDNAに逆転写し、ついで不斉ギャップリガーゼチェイン反応を行なうこと(RT-AGLCR)が、本発明の範囲内に含まれる。
本発明で使用しうる他の公知増幅方法には、J.C Guatelliら,PNAS USA 87:1874-1878(1990)およびJ Compton,Nature 350(No 6313):91-92(1991)に記載のいわゆる「NASBA」または「3SR」技術、欧州特許出願公開(EPA)第4544610号に記載のQ-β増幅、鎖置換増幅(strand displacement amplification)(G.T.Walker)ら,Clin.Chem.42:9-13(1996)および欧州特許出願第684315号に記載)、および国際公開WO 93/22461に記載の標的媒介増幅(target mediated amplification)が含まれるが、これらに限定されるものではない。
BS106の検出は、当該技術分野で現在よく知られている検出方法および将来現れうる検出方法を含む適当な任意の検出方法を用いて行なうことができる。例えば、Caskeyらの米国特許第5,582,989号およびGelfandらの米国特許第5,210,015号を参照されたい。そのような検出方法には、例えば、標的増幅方法およびシグナル増幅技術が含まれる。現在公知の検出方法には、例えば、PCR、LCR、NASBA、SDA、RCRおよびTMAと称される核酸増幅技術が含まれるであろう。例えば、Caskeyら,米国特許第5,582,989号およびGelfandら,米国特許第5,210,015号を参照されたい。また、Snitmanら,米国特許第5,273,882号などに開示されているシグナル増幅を用いて、検出を行なうことができる。標的またはシグナルの増幅が現在では好ましいが、増幅を必要としない超高感度の検出方法を本発明で使用することが可能であると考えられ、本発明の範囲内に含まれる。
種々の不均一または均一な検出様式を用いて、増幅型または非増幅型の両方の検出を(組合せて)行なうことができる。不均一検出様式の具体例は、Snitmanら,米国特許第5,273,882号、Albarellaら,EP-84114441.9、Urdeaら,米国特許第5,124,246号、Ullmanら,米国特許第5,185,243号およびKouriskyら,米国特許第4,581,333号に開示されている。均一検出様式の具体例は、Caskeyら,米国特許第5,582,989号、Gelfandら,米国特許第5,210,015号に開示されている。また、ハイブリダイゼーションアッセイにおける複数のプローブの使用(その使用により、BS106シグナルの感度および増幅が改善される)が意図され、本発明の範囲内に含まれる。例えば、Caskeyら,米国特許第5,582,989号およびGelfandら,米国特許第5,210,015号を参照されたい。
1つの実施態様では、本発明は、一般に、標的ポリヌクレオチド配列を含有する疑いのある試験サンプルを、アンプリコン配列の内部領域にハイブリダイズしうる検出プローブと増幅プライマーとを含む増幅反応試薬と接触させる工程を含む。本発明で提供する方法に従い使用するプローブおよびプライマーは、捕捉標識および検出標識で標識し、この場合、プローブは1つのタイプの標識で標識し、プライマーは別のタイプの標識で標識する。さらに、プライマーおよびプローブは、該プローブ配列が、該プライマー配列より低い融解温度を有するように選択する。増幅試薬、検出試薬および試験サンプルは、標的配列の存在下で該標的配列のコピー(アンプリコン)を産生させる増幅条件下に配置する。通常の場合、プライマーは標的配列とその相補的鎖とを増幅するように与えられるため、該アンプリコンは二本鎖である。ついで該二本鎖アンプリコンを熱変性させて、一本鎖アンプリコンメンバーを得る。該一本鎖アンプリコンメンバーが形成したら、該プローブと一本鎖アンプリコンメンバーとの複合体の形成が可能となるように該混合物を冷却する。
該一本鎖アンプリコン配列およびプローブ配列を冷却するにつれて、該プローブ配列は該一本鎖アンプリコンメンバーに優先的に結合する。該プローブ配列が、一般に、該プライマー配列より短くなるように選択され、したがって該プライマーより低い融解温度を有すると仮定すると、この知見は反直感的なものである。したがって、該プライマーにより産生されるアンプリコンの融解温度も、該プローブより高い融解温度を有するはずである。したがって、該混合物が冷却するにつれて、二本鎖アンプリコンの再形成が予想されるであろう。しかしながら、前記のとおり、それはこの場合には当てはまらない。該プローブは、該一本鎖アンプリコンメンバーに優先的に結合することが判明している。さらに、このようなプローブ/一本鎖アンプリコン結合の優先性は、該プライマー配列を該プローブに対して過剰に加えた場合にも存在する。
該プローブ/一本鎖アンプリコンメンバーのハイブリッドが形成した後、それらを検出する。該プライマーおよびプローブ上に存在する検出標識および捕捉標識を使用して該ハイブリッドを検出するには、標準的な不均一アッセイ様式が適している。該ハイブリッドを、該捕捉標識により固相試薬に結合させ、該検出標識により検出することが可能である。該検出標識が直接的に検出可能な場合には、検出可能なシグナルを該標識に生成させ、必要に応じて該シグナルを検出することにより、該固相上のハイブリッドの存在を検出することができる。該標識が直接的に検出されない場合には、直接的に検出可能な標識に結合した結合メンバーを一般に含む結合体と該捕捉ハイブリッドとを接触させることが可能である。該結合体が該複合体に結合するようになり、該複合体上の結合体の存在を、その直接的に検出可能な標識で検出することができる。このようにして、固相試薬上のハイブリッドの存在を判定することができる。ハイブリダイズしていないアンプリコンまたはプローブおよび未結合結合体を洗い落とすために洗浄工程を実施しうる、と当業者に認識されるであろう。
標的配列は一本鎖として記載されているが、標的配列が実際には二本鎖であり、増幅プライマー配列とのハイブリダイゼーションの前に、該標的配列がその相補体から分離されるにすぎない場合も含むと意図される。この方法においてPCRを用いる場合には、通常は、標的配列の末端が既知である。好ましい方法においてLCRまたはその変法を用いる場合には、通常は、全標的配列が既知である。典型的には、標的配列は、RNA、DNAなどの核酸配列である。
本発明で提供する方法は、熱サイクル反応混合物を含む良く知られた増幅反応において、特にPCRおよびギャップLCR(GLCR)において用いることができる。増幅反応では、典型的には、標的核酸配列(該標的配列は、通常、より一層大きな核酸配列の小さな領域である)のコピーを反復的に産生させるためにプライマーを使用する。プライマー自体は、標的配列の領域に相補的な核酸配列である。増幅条件下、これらのプライマーは、標的配列の相補的領域にハイブリダイズまたは結合する。標的配列のコピーは、典型的には、該ハイブリダイゼーションプライマーにヌクレオチドを加え及び/又は隣接プローブ対をライゲーションするためにポリメラーゼまたはリガーゼ活性を有する酵素を別々に又は組合せて用いるプライマー伸長および/またはライゲーションの過程により生じる。単量体または予め生成したオリゴマーとしてプライマーまたはプローブに加えるヌクレオチドもまた、標的配列に相補的である。プライマーまたはプローブが、十分に伸長し及び/又はライゲーションしたら、例えば、相補的核酸鎖が解離する温度である「融解温度」まで該反応混合物を加熱することにより、それらを標的配列から分離する。このようにして、標的配列に相補的な配列が形成する。
ついでいずれかの二本鎖配列を分離して、プライマーまたはプローブがそれらの各々の標的にハイブリダイズするのを可能にし、ハイブリダイズしたプライマーまたはプローブを伸長および/またはライゲーションさせ、再分離することにより、標的配列数を更に増幅するために、新たな増幅サイクルを行なうことができる。増幅サイクルにより産生される相補的配列は、標的配列数を更に増幅するためにプライマーを伸長させるため又は2個のプローブのギャップを埋めるための鋳型として働くことが可能である。典型的には、反応混合物を20〜100サイクルに付す。より典型的には、反応混合物を25〜50サイクルに付す。サイクル数の決定は、当業者において可能である。このようにして、多コピーの標的配列およびその相補的配列を得る。したがって、プライマーが増幅条件下に存在する場合には、該プライマーが標的配列の増幅を開始させる。
一般には、PCRにおいては、標的鎖の一部とその相補体とに相補的な2個のプライマーを使用する。LCRでは、一般に、4個のプローブ(そのうちの2個は標的配列に相補的であり、残りの2個は、同様に、標的の相補体に相補的である)を使用する。前記のプライマーセットおよび酵素に加えて、核酸増幅反応混合物は、よく知られている他の試薬を含むことも可能であり、それらには、酵素補因子(例えば、マンガン)、マグネシウム塩、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)、およびデオキシヌクレオチド三リン酸(dNTP)(例えば、デオキシアデニン三リン酸、デオキシグアニン三リン酸、デオキシシトシン三リン酸およびデオキシチミン三リン酸)が含まれるが、これらに限定されるものではない。
増幅プライマーは標的配列の増幅を開始させるが、検出(またはハイブリダイゼーション)プローブは増幅に関与しない。検出プローブは、一般に、核酸配列または非荷電核酸類似体、例えば、国際公開WO 92/20702に開示されているペプチド核酸、米国特許第5,185,444号、第5,034,506号および第5,142,047号に記載されているモルホリノ類似体などである。該プローブが担持する標識のタイプに応じて、増幅反応により生じるアンプリコンの捕捉または検出に、該プローブを使用する。該プローブは標的配列の増幅に関与せず、したがって、追加的なdNTPを該プローブに加えることができない点で該プローブを「伸長不可能」なものとする必要があるかもしれない。通常、類似体自体はもともと伸長不可能である。核酸プローブは、該プローブの3′末端を修飾してヒドロキシル基がもはや伸長に関与できなくなるようにすることにより、伸長不可能にすることが可能である。例えば、該プローブの3′末端を捕捉または検出標識で官能基化して、ヒドロキシル基を消費させるか又は保護する。あるいは、3′ヒドロキシル基を単に切断し、置換し又は修飾することが可能である。1993年4月19日付け出願の米国特許出願第07/049,061号には、プローブを伸長不可能にするのに使用しうる修飾が記載されている。
プローブに対するプライマーの比は、重要ではない。したがって、プローブまたはプライマーのいずれかを過剰に反応混合物に加えて、一方の濃度を他方の濃度より大きくすることが可能である。あるいは、プライマーおよびプローブを同等の濃度で使用することができる。しかしながら、好ましくは、プローブに対して過剰のプライマーを反応混合物に加える。したがって、プライマー対プローブの比は、例えば5:1であり、20:1が好ましい。
プライマーおよびプローブの長さは様々となることが可能であるが、プローブ配列がプライマー配列より低い融解温度を有するように、プローブ配列を選択する。したがって、プライマー配列は、一般に、プローブ配列より長い。典型的には、プライマー配列は、20〜50ヌクレオチド長の範囲であり、より典型的には、20〜30ヌクレオチド長の範囲である。典型的なプローブは、10〜25ヌクレオチド長の範囲である。
プライマーおよびプローブを合成するための種々の方法が、当該技術分野でよく知られている。同様に、プライマーまたはプローブに標識を結合させるための方法も、当該技術分野でよく知られている。例えば、通常のヌクレオチドホスホルアミジット化学と、Applied Biosystems,Inc.(Foster City,CA)、DuPont(Wilmington,DE)または、Milligen(Bedford MA)から入手可能な装置とを用いて、所望の核酸プライマーまたはプローブを合成するのが、常套手段である。本発明のプライマー、プローブなどのオリゴヌクレオチドを標識するための多数の方法が、既に記載されている。Enzo Biochemical(New York,NY)およびClontech(Palo Alto,CA)は共に、プローブ標識技術を記載し、商業化している。例えば、3′-Amin-ON CPGTH(Clontech,Palo Alto,CA)を使用して、第一級アミンを3′オリゴ末端に結合させることができる。同様に、Aminomodifier II▲R▼(Clontech)を使用して、第一級アミンを5′オリゴ末端に結合させることができる。通常の活性化および結合の化学的方法を用いて、該アミンを種々のハプテンと反応させることができる。また、1990年12月11日付け出願の同時係属米国特許出願第625,566号および1990年12月20日付け出願の第630,908号は、それぞれ5′および3′末端でプローブを標識するための方法を教示している。1992年6月25日付け公開の国際公開WO92/10505および1992年7月9日付け公開のWO92/11388は、それぞれ5′および3′末端でプローブを標識するための方法を教示している。オリゴヌクレオチドを標識するための1つの公知方法では、標識-ホスホルアミジット試薬を調製し使用して、該標識をオリゴヌクレオチドに、その合成中に付加する。例えば、N.T Thuongら,Tet.Letters 29(46):5905-5908(1988)またはJ.S.Cohenら,公開米国特許出願第07/246,688号(NTIS ORDER No.PAT-APPL-7-246,688)(1989)を参照されたい。好ましくは、プローブは、その3′および5′末端で標識する。
捕捉標識は、プライマーまたはプローブに結合させる。該捕捉標識は、固相試薬の特異的結合メンバーと結合ペアを形成する特異的結合メンバーであることが可能である。プライマーまたはプローブ自体が捕捉標識として機能しうると理解されるであろう。例えば、固相試薬の結合メンバーが核酸配列である場合には、それは、プライマーまたはプローブの相補的部分に結合して該プライマーまたはプローブを固相に固定化するように選択することができる。プローブ自体が結合メンバーとして機能する場合には、該プローブは、一本鎖アンプリコンメンバーに相補的でない配列または「テイル」を含有する、と当業者に認識されるであろう。プライマー自体が捕捉標識として機能する場合には、該プライマーの少なくとも一部は、固相上の核酸に自由にハイブリダイズすることができるであろう。なぜなら、該プローブは、プライマー配列に対して完全には相補的とならないように選ばれるからである。
一般に、不均一系イムノアッセイを行なうために一般的に用いる技術を用いて、プローブ/一本鎖アンプリコンメンバー複合体を検出することができる。好ましくは、この実施態様では、商業的に入手可能なAbbott LCx▲R▼(Abbott Laboratories,Abbott Park,IL)装置で用いるプロトコールに従い、検出を行なう。
試験サンプルを一対のプライマーと接触させ、増幅を行ない、ハイブリダイゼーションプローブを加え、検出を行なう典型的なPCRアッセイにおいて、本明細書に開示するプライマーおよびプローブは有用である。
本発明が提供するもう1つの方法は、試験サンプルを複数のポリヌクレオチド(少なくとも1つのポリヌクレオチドは、本明細書に記載のBS106分子である)と接触させ、該試験サンプルを複数のポリヌクレオチドにハイブリダイズさせ、ハイブリダイゼーション複合体を検出することを含む。ハイブリダイゼーション複合体を同定し、定量して、乳房組織の疾患(例えば、乳癌)を示すプロフィールを集める。さらに、発現されたRNA配列を、逆転写と、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)などの当該技術分野でよく知られている方法によるDNAの増幅とにより検出することができる。
薬物のスクリーニングおよび遺伝子治療
本発明はまた、本発明のポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドなどのアンチセンスBS106由来分子を、乳房組織の疾患または状態(特に、乳癌)に関連したポリヌクレオチドの異常な発現に関連した状態を有する患者内に導入するための、遺伝子治療方法の用途を含む。アンチセンスRNAおよびDNA断片ならびにリボザイムを含むこれらの分子は、BS106-mRNAの翻訳を抑制するように設計し、BS106ポリヌクレオチドの改変された又は異常な発現に関連した状態の治療において治療的に使用することができる。
あるいは、前記のオリゴヌクレオチドを、当該技術分野で公知の方法で細胞に運搬して、該アンチセンスRNAまたはDNAをインビボで発現させて、前記のとおりにBS106ポリペプチドの産生を抑制することが可能である。したがって、BS106ポリヌクレオチドに対するアンチセンス構築物は、BS106転写産物の作用を逆転させ、乳房組織の病態(例えば、乳癌)の治療に使用することができる。また、これらのアンチセンス構築物は、腫瘍転移を治療するために使用することができる。
本発明はまた、BS106ポリペプチドに特異的に結合する少なくとも1つの化合物を同定するために、BS106ポリペプチドまたはその任意の断片に対する特異的結合に関して複数の化合物をスクリーニングする方法を提供する。そのような方法は、少なくとも1つの化合物を準備し、結合を許容するのに十分な時間、適当な条件下でBS106ポリペプチドと各化合物とを一緒にし、各化合物に対する該BS106ポリペプチド結合を検出する工程を含む。
そのような試験で使用するポリペプチドまたはペプチド断片は、溶液中で遊離していることも、固相に固定されていることも、細胞表面上に担持されていることも、あるいは細胞内に局在していることも可能である。1つのスクリーニング方法では、該ポリペプチドまたはペプチド断片を発現しうる組換え核酸で安定にトランスフェクトされた真核性または原核性宿主細胞を使用する。そのようなトランスフェクト化細胞に対して競合結合アッセイにおいて、薬物、化合物または他の任意の物質をスクリーニングすることができる。例えば、ポリペプチドと被検体との複合体の形成は、生存細胞または固定細胞のいずれかにおいて測定することができる。
したがって、本発明は、BS106に関連した疾患を治療するために使用しうる薬物、化合物または他の任意の物質に関してスクリーニングする方法を提供する。これらの方法は、該物質をポリペプチドまたはその断片と接触させ、該物質と該ポリペプチドとの複合体の存在に関して、または該ポリペプチドと該細胞との複合体の存在に関してアッセイすることを含む。競合的結合アッセイにおいては、典型的には、該ポリペプチドを標識する。適当なインキュベーションの後、遊離(または未複合体化)ポリペプチドまたはその断片を、結合形態で存在するポリペプチドまたはその断片から分離し、遊離または未複合体化標識の量を、その個々の物質が該ポリペプチドに結合する又はポリペプチド/細胞複合体を妨害する能力の尺度として用いる。
本発明はまた、ポリペプチドに結合する能力を有する中和抗体を、該ポリペプチドまたはその断片に対する結合に関して試験剤と特異的に競合させる競合的スクリーニングアッセイの用途を含む。このようにして、本発明で提供するBS106ポリペプチドと1以上の抗原決定基を共有する、試験サンプル中のいずれかのポリペプチドの存在を検出するために、該抗体を使用することができる。
もう1つの物質スクリーニング方法は、本明細書に開示するBS106の少なくとも1つのポリペプチドに対して適当な結合親和性を有する化合物に関する高処理量のスクリーニングをもたらす。簡単に説明すると、多数の異なる小さなペプチド試験化合物を、例えば、プラスチックピンまたは他の何らかの表面などの固相上で合成する。該ペプチド試験化合物を、ポリペプチドと反応させ、洗浄する。そのように固相に結合しているポリペプチドを、当該技術分野でよく知られている方法で検出する。また、本明細書に記載のスクリーニング方法で使用するために、精製ポリペプチドをプレート上に直接コーティングすることができる。さらに、非中和抗体を使用して、該ポリペプチドを捕捉し、それを固相上に固定化することができる。例えば、1984年9月13日付け公開のEP 84/03564を参照されたい。
合理的な薬物設計の目標は、関心のある生物学的に活性なポリペプチドの又は小分子の構造類似体(それらが相互作用するアゴニスト、アンタゴニストまたは阻害剤を含む)を得ることである。また、そのような構造類似体を使用して、該ポリペプチドのより活性な又は安定な形態である又はポリペプチドの機能をインビボで増強または阻害する薬物を設計することができる(J.Hodgson,Bio/Technology 9:19-21(1991))。
例えば、1つのアプローチでは、ポリペプチドまたはポリペプチド−阻害剤複合体の三次元構造を、X線結晶解析、コンピューターモデリングまたは最も一般的にはそれらの2つのアプローチの組合せにより決定する。該ポリペプチドのの構造を解明し、その活性部位を決定するためには、該ポリペプチドの形状および電荷の両方を確認しなければならない。該ポリペプチドの構造に関する有用な情報が、同種タンパク質の構造に基づくモデリングにより得られることは、それほど多くない。どちらの場合も、関連した構造情報を用いて、類似したポリペプチド様分子を設計したり、あるいは効率的な阻害剤を同定する。
合理的な薬物設計の有用な具体例には、S.Braxtonら,Biochemistry 31:7796-7801(1992)に示されているとおり、改善された活性または安定性を有する分子、またはS.B.P.Athaudaら,J.Biochem.(Tokyo)113(6):742-746(1993)に示されているとおり、天然ペプチドの阻害剤、アゴニストまたはアンタゴニストとして作用する分子を含めることができる。
また、前記のアッセイにより選択された標的特異的抗体を単離し、ついでその結晶構造を決定することが可能である。原則として、このアプローチは、後続の薬物設計の基礎となりうるファーマコフォア(pharmacophore)を与える。さらに、機能的な薬理学的に活性な抗体に対する抗イディオタイプ抗体(「抗id」)を産生させることにより、タンパク質の結晶解析を全く行なわないで済ませることが可能である。抗idの結合部位は、鏡像の鏡像として、もとの受容体の類似体となる。したがって、抗idを使用して、化学的または生物学的に得られたペプチドのバンクからペプチドを同定し、単離することができる。ついで、単離されたペプチドは、ファーマコフォア(すなわち、原型(prototype)医薬)として機能することが可能である。
X線結晶解析などの分析的研究を行なうのに十分な量の本発明の組換えポリペプチドを入手可能とすることができる。さらに、本発明で提供する核酸配列から導き出すことができる該ポリペプチドのアミノ酸配列の知見は、X線結晶解析の代わりに又はそれに加えてコンピューターモデリング技術を用いる者に指針を与えるであろう。
さらに、BS106ポリペプチドに特異的な抗体(例えば、抗BS106抗体)を使用して、該ポリペプチドに対する結合により該ポリペプチドの生物学的作用を阻害することができる。このようにして、該抗体を、例えば、乳癌およびその転移を含む乳房組織疾患を治療するための療法において使用することができる。
さらに、そのような抗体は、試験サンプル中のBS106ポリペプチドの存在または不存在を検出することができ、したがって乳房組織の疾患または状態(特に、乳癌)の診断のための診断マーカーとして有用である。また、そのような抗体は、乳房組織の病態(例えば、乳癌)に関する診断マーカーとして機能しうる。本発明はまた、本発明のポリペプチドのアンタゴニストおよび阻害剤に関する。該アンタゴニストおよび阻害剤は、該ポリペプチドの機能を阻害または除去するものである。したがって、例えば、アンタゴニストは、本発明のポリペプチドに結合し、その機能を阻害または除去しうる。該アンタゴニストは、例えば、BS106ポリペプチドに結合することによりBS106ポリペプチドの活性を除去するポリペプチドに対する抗体であることが可能であろう。場合によっては、該アンタゴニストは、オリゴヌクレオチドであることが可能である。小分子阻害剤には、例えば、小さなペプチドまたはペプチド様分子が含まれるが、これらに限定されるものではない。
該アンタゴニストおよび阻害剤は、食塩水、緩衝化食塩水、デキストロース、水、グリセロール、エタノールおよびそれらの組合せを含む(これらに限定されるものではない)医薬上許容される担体と共に組成物として使用することができる。BS106ポリペプチド阻害剤の投与は、好ましくは、全身投与である。本発明はまた、そのようなポリペプチドの作用を阻害する抗体を提供する。
アンチセンス技術を用いて、三重らせんの形成またはアンチセンスDNAもしくはRNAにより遺伝子発現を減少させることができ、それらの方法は共に、DNAまたはRNAに対するポリヌクレオチドの結合に基づく。例えば、本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列の5′コード部分を用いて、10〜40塩基対長のアンチセンスRNAオリゴヌクレオチドを設計する。DNAオリゴヌクレオチドは、転写に関与する遺伝子の領域に相補的であることにより転写およびBS106ポリペプチドの産生を妨げるように設計する。三重らせんに関しては、例えば、Leeら,Nuc.Acids Res,6:3073(1979);Cooneyら,Science 241:456(1988)およびDervanら,Science 251:1360(1991)を参照されたい。該アンチセンスRNAオリゴヌクレオチドは、インビボでmRNAにハイブリダイズし、mRNA分子からBS106ポリペプチドへの翻訳を遮断する。アンチセンスに関しては、例えば、Okano,J.Neurochem,56:560(1991)および“Oligodeoxynucleotides as Antisense Inhibitors of Gene Expression”,CRC Press,Boca Raton,Fla.(1988)を参照されたい。アンチセンスオリゴヌクレオチドは、ヌクレオチド切断に対して該分子を抵抗性にする人工的ヌクレオチド間結合を含有するように修飾されている場合に、より大きな効力で作用する。そのような人工的ヌクレオチド間結合には、メチルホスホナート、ホスホロチオラートおよびホスホロアミダートヌクレオチド間結合が含まれるが、これらに限定されるものではない。
組換え技術
本発明は、本発明のBS106ポリヌクレオチドを含んでなる宿主細胞および発現ベクター、およびそれがコードするポリペプチドの製造法を提供する。そのような製造法は、BS106ポリヌクレオチドの発現に適した条件下で該宿主細胞を培養し、該細胞培養からBS106ポリヌクレオチドを回収することを含む。
本発明はまた、本発明のBS106ポリヌクレオチドを含むベクター、本発明のベクターで遺伝的に操作された宿主細胞、および組換え技術による本発明のポリペプチドの製造を提供する。
宿主細胞は、クローニングベクターまたは発現ベクターであることが可能な本発明のベクターで遺伝的に操作する(トランスフェクト、形質導入または形質転換する)。該ベクターは、プラスミド、ウイルス粒子、ファージなどの形態であることが可能である。操作された宿主細胞は、プロモーターを活性化しトランスフェクト化細胞を選択し又はBS106遺伝子を増幅するために必要に応じて改変された通常の栄養培地中で培養することができる。温度、pHなどの培養条件は、発現用に選択された宿主細胞で既に用いられているものであり、当業者には明らかなものである。
本発明のポリヌクレオチドは、組換え技術によるポリペプチドの製造に使用することができる。したがって、ポリペプチドを発現させるためのいずれか1つの種々の発現ビヒクル(特に、ベクターまたはプラスミド)中に該ポリヌクレオチド配列を含めることが可能である。そのようなベクターには、染色体、非染色体および合成DNA配列、例えば、SV40の誘導体、細菌プラスミド、ファージDNA、酵母プラスミド、プラスミドおよびファージDNAの組合せに由来するベクター、ウイルスDNA(例えば、ワクシニア、アデノウイルス、鶏痘ウイルスおよび仮性狂犬病ウイルス)が含まれる。しかしながら、宿主内で増殖可能かつ生存可能である限り、他の任意のプラスミドまたはベクターを使用することも可能である。
適当なDNA配列を、種々の方法によりベクター中に挿入することができる。一般には、該DNA配列を、当該技術分野で公知の方法により、適当な制限エンドヌクレアーゼ部位内に挿入する。そのような方法および他の方法は、当業者の技量の範囲内であると考えられる。該発現ベクター中のDNA配列は、mRNA合成を指令する適当な発現制御配列(プロモーター)に作動的に結合させる。そのようなプロモータの代表例には、LTRまたはSV40プロモーター、大腸菌(E.coli)lacまたはtrp、ファージλP subLプロモーター、および原核性もしくは真核性細胞またはそれらのウイルス内で遺伝子の発現を制御することが知られている他のプロモーターが含まれるが、これらに限定されるものではない。発現ベクターはまた、翻訳の開始のためのリボソーム結合部位および転写ターミネーターを含有する。該ベクターはまた、配列の増幅のための適当な配列を含むことが可能である。さらに、該発現ベクターは、好ましくは、トランスフェクト化宿主細胞の選択のための表現型形質を与える遺伝子(例えば、真核細胞培養におけるジヒドロ葉酸レダクターゼまたはネオマイシン耐性、または大腸菌(E.coli)におけるテトラサイクリンまたはアンピシリン耐性)を含有する。
前記の適当なDNA配列と適当なプロモーターまたは制御配列とを含有するベクターを使用して、適当な宿主にトランスフェクトして、該宿主が該タンパク質を発現できるようにすることが可能である。適当な宿主の代表例としては、細菌細胞、例えば大腸菌(E.coli)、サルモネラ・ティフィムリウム(Salmonella typhimurium);ストレプトマイセス・エスピー(Streptomycessp);真菌細胞、例えば酵母;昆虫細胞、例えばショウジョウバエおよびSf9;動物細胞、例えばCHO、COSまたはBowes黒色腫;植物細胞などが挙げられる。適当な宿主の選択は、本明細書の教示に基づけば当業者の技量の範囲内に含まれると考えられる。
より詳しくは、本発明はまた、前記で広く記載されている配列の1以上を含んでなる組換え構築物を含む。該構築物は、本発明の配列が順配向または逆配向で挿入されているベクター(例えば、プラスミドまたはウイルスベクター)を含む。この実施態様の好ましい態様では、該構築物はさらに、該配列に作動的に結合した調節配列(例えば、プロモーターなど)を含む。多数の適当なベクターおよびプロモーターが当業者に公知であり、商業的に入手可能である。以下のベクターを例示する:細菌性:pINCY(Incyte Pharmaceuticals Inc.,Palo Alto,CA)、pSPORT1(Life Technologies,Gaithersburg,MD)、pQE70、pQE60、pQE-9(Qiagen)pBs、phagescript、psiX174、pBluescript SK、pBsKS、pNH8a、pNH16a、pNH18a、pNH46a(Stratagene);pTrc99A、pKK223-3、pKK233-3、pDR540、pRIT5(Pharmacia);真核性:pWLneo、pSV2cat、pOG44、pXT1、pSG(Stratagene)pSVK3、pBPV、pMSG、pSVL(Pharmacia)。しかしながら、宿主内で複製可能で生存可能である限り、他の任意のプラスミドまたはベクターを使用することが可能である。
プラスミドpINCYは、一般には、それがポリリンカー(マルチクローニング部位)中に2つの修飾を有することを除きプラスミドpSPORT1(Life Technologies,Gaithersburg,MDから入手可能)と同一である。これらの修飾は、(1)それがHindIII制限部位を欠き、(2)そのEcoRI制限部位が、異なる位置に存在することである。pSPORT1をHindIIIとEcoRIとの両方で切断し、該ポリリンカーの切り出された断片を合成DNA断片(配列番号6および配列番号7)で置換することにより、pINCYをpSPORT1から作製する。この置換は、当業者に公知の任意の方法で行なうことができる。例えば、それらの2つのヌクレオチド配列(配列番号6および配列番号7)を、5′末端リン酸を有するように合成的に生成させ、共に混合し、ついで、HindIIIとEcoRIとで切断されたpSPORT1プラスミド中に、付着末端のライゲーションを行なうための標準的な条件下でライゲーションすることができる。ついで適当な宿主細胞(例えば、大腸菌(E.coli)DH5∝細胞)を、そのライゲーションされたDNAでトランスフェクトし、アンピシリン耐性に関して組換えクローンを選択する。ついで個々のクローンからプラスミドDNAを調製し、制限酵素分析またはDNA配列決定に付して、挿入配列が適切な配向で存在することを確認する。当業者に公知の他のクローニング方法を用いることも可能である。
プロモーター領域は、CAT(クロラムフェニコールトランスフェラーゼ)ベクターまたは選択マーカーを有する他のベクターを使用して、所望の任意の遺伝子から選択することができる。2つの適当なベクターとして、pKK232-8およびpCM7が挙げられる。挙げられる個々の細菌性プロモーターには、lacI、lacZ、T3、SP6、T7、gpt、λP sub R、P sub L、およびtrpが含まれる。真核性プロモーターには、サイトメガロウイルス(CMV)最初期、単純ヘルペスウイルス(HSV)チミジンキナーゼ、初期および後期SV40、レトロウイルス由来のLTR、およびマウスメタロチオネインIが含まれる。適当なベクターおよびプロモーターの選択は、当業者の技量の範囲内に十分に含まれるものである。
もう1つの実施態様では、本発明は、前記構築物を含有する宿主細胞を提供する。該宿主細胞は、哺乳動物細胞などの高等真核細胞、または酵母細胞などの下等動物細胞であることが可能であり、あるいは該宿主細胞は、細菌細胞などの原核細胞であることが可能である。該宿主細胞内への該構築物の導入は、リン酸カルシウムトランスフェクション、DEAE-デキストラン媒介性トランスフェクションまたはエレクトロポレーション(L.Davisら,“Basic Methods in Molecular Biology”,第2版,Appleton and Lang,Paramount Publishing,East Norwalk,CT(1994))により行なうことができる。
宿主細胞内の構築物は、該組換え配列によりコードされる遺伝子産物を産生させるために常法で使用することができる。あるいは、本発明のポリペプチドは、通常のペプチド合成装置により合成的に製造することができる。
組換えタンパク質は、適当なプロモーターの制御下、哺乳動物細胞、酵母、細菌または他の細胞内で発現させることができる。また、本発明のDNA構築物に由来するRNAを使用してそのようなタンパク質を製造するために、無細胞翻訳系を使用することができる。原核性または真核性宿主と共に使用するための適当なクローニングおよび発現ベクターは、Sambrookら,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,第2版(Cold Spring Harbor,N.Y.,1989)に記載されている。
本発明のポリペプチドをコードするDNAの高等真核生物による転写は、該ベクター中にエンハンサー配列を挿入することにより増強される。エンハンサーは、プロモーターに作用してその転写を増強する、通常約10〜300bpのシス作用性要素である。具体例には、SV40エンハンサー(複製起点の後期側、bp100〜270)、サイトメガロウイルス初期プロモーターエンハンサー、ポリオーマエンハンサー(複製起点の後期側)およびアデノウイルスエンハンサーが含まれる。
一般には、組換え発現ベクターは、複製起点、宿主細胞のトランスフェクションを可能にする選択マーカー(例えば、大腸菌(E.coli)のアンピシリン耐性遺伝子およびエス・セレビシエ(S.cerevisiae)TRP1遺伝子)、および下流の構造配列の転写を指令するための、高度に発現される遺伝子に由来するプロモーターを含むであろう。そのようなプロモーターは、とりわけ3-ホスホグリセリン酸キナーゼ(PGK)、α因子、酸ホスファターゼまたは熱ショックタンパク質などの解糖酵素をコードするオペロンに由来することが可能である。該異種構造配列を、翻訳開始配列および終結配列、および好ましくは、周辺腔または細胞外培地中への翻訳タンパク質の分泌を指令しうるリーダー配列と、適当な段階で合体させる。所望により、該異種配列は、所望の特性(例えば、発現された組換え産物の安定化または簡便な精製)を付与するN末端同定ペプチドを含む融合タンパク質をコードすることが可能である。
細菌において使用するための有用な発現ベクターは、作動可能な読取りを機能的プロモーターと一致させて適当な翻訳開始および終結シグナルと共に所望のタンパク質をコードする構造DNA配列を挿入することにより構築する。該ベクターは、該ベクターの維持を保証し、所望により該宿主内での増幅をもたらすための、1以上の形質選択マーカーと複製起点とを含むであろう。トランスフェクションのための適当な原核性宿主には、大腸菌(E.coli)、バシラス・サチリス(Bacillus subtilis)、サルモネラ・ティフィムリウム(Salmonella typhimurium)、およびシュードモナス(Pseudomonas)属、ストレプトマイセス(Streptomyces)属およびスタヒロコッカス(Staphylococcus)属内の種々の種が含まれるが、その他の原核性宿主を通常の選択物として使用することも可能である。
細菌において使用するための有用な発現ベクターは、選択マーカーと細菌性複製起点(よく知られたクローニングベクターpBR322(ATCC37017)の遺伝要素を含むプラスミドに由来するもの)とを含む。他のベクターには、PKK223-3(Pharmacia Fine Chemicals,Uppsala,Sweden)およびGEM1(Promega Biotec,Madison,WI)が含まれるが、これらに限定されるものではない。これらのpBR322「バックボーン」切片を、適当なプロモーターおよび発現させる構造配列と合体させる。
適当な宿主にトランスフェクトし、該宿主を適当な細胞密度まで増殖させた後、選択されたプロモーターを適当な手段(例えば、温度変化または化学的誘導)により抑制解除し、細胞を更に一定期間培養する。細胞は、典型的には、遠心分離により収穫し、物理的または化学的手段により破壊し、得られた粗抽出物を更なる精製のために保存する。タンパク質の発現において使用した微生物細胞は、凍結融解サイクル、音波処理、機械的破壊または細胞溶解剤の使用を含む簡便な任意の方法で破壊することができる。そのような方法は、当業者によく知られている。
組換えタンパク質を発現させるためには、種々の哺乳動物細胞培養系を使用することができる。哺乳動物発現系には、例えば、Gluzman,Cell 23:175(1981)に記載のサル腎線維芽細胞のCOS-7系、および和合性ベクターを発現する能力を有する他の細胞系(例えば、C127、HEK-293、3T3、CHO、HeLaおよびBHK細胞系)が含まれる。哺乳動物発現ベクターは、複製起点、適当なプロモーターおよびエンハンサーならびに必要な任意のリボソーム結合部位、ポリアデニル化部位、スプライス供与および受容部位、転写終結配列および5′フランキング非転写配列を含むであろう。SV40ウイルスゲノムに由来するDNA配列(例えば、SV40起点、初期プロモーター、エンハンサー、スプライスおよびポリアデニル化部位)を使用して、必要な非転写遺伝要素を得ることが可能である。代表的で有用なベクターには、pRc/CMVおよびpcDNA3(Invitrogen,San Diego,CAから入手可能)が含まれる。
アフィニティークロマトグラフィー、硫安沈殿、エタノール沈殿、酸抽出、陰イオンまたは陽イオン交換クロマトグラフィー、ホスホセルロースクロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィーまたはレクチンクロマトグラフィーなどの公知方法により、BS106ポリペプチドを組換え細胞培養から回収し、精製する。精製中に存在するカルシウムイオンを低濃度(約0.1〜5mM)にするのが好ましい(Priceら,J.Biol.Chem.244:917(1969))。該ポリペプチドの立体配置を完全なものにする際に、必要に応じて、タンパク質のリフォールディング工程を行なうことが可能である。最後に、最終精製工程として高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を行なうことができる。
このように、本発明のポリペプチドは、高発現細胞系から発現された天然に精製された産物、または化学方法により又は原核性もしくは真核性宿主から(例えば、培養における細菌、酵母、高等植物、昆虫および哺乳動物細胞により)組換え技術で得られた産物であることが可能である。組換え製造法で使用する宿主に応じて、本発明のポリペプチドを哺乳動物または他の真核生物の炭水化物でグリコシル化したり、あるいは非グリコシル化形態とすることが可能である。また、本発明のポリペプチドには、開始メチオニンアミノ酸残基を含めることができる。
出発プラスミドは、入手可能なプラスミドから、公開されている公知方法に従い構築することができる。さらに、記載されているものと同等のプラスミドが、当該技術分野において公知であり、当業者には明らかであろう。
以下は、cDNAクローンの単離および分析のための一般的な方法である。本明細書に開示する特定の実施態様においては、mRNAを乳房組織から単離し、cDNAライブラリーの作製のために使用した。乳房組織を、患者から外科的切除により得、それが病理学者により腫瘍または非腫瘍組織に分類された。
該乳房組織ライブラリーのランダム単離物からのcDNA挿入断片を、部分的に配列決定し、実施例に記載のとおりに詳細に分析した。それは、配列番号1、配列番号2および配列番号3として配列表に開示されている。これらの挿入断片のコンセンサス配列は、配列番号4として記載されている。これらのポリヌクレオチドは、ある特定の遺伝子に関する関連調節配列を有する又は有さない全オープンリーディングフレームを含有することが可能であり、あるいはそれらは、関心のある遺伝子の一部のみをコードすることが可能である。これは、遺伝子の多くが数百塩基長、時には数千塩基長であり、ベクターの制約、第1鎖の不完全な逆転写または第2鎖の不完全な複製のため、現在の技術では、その全体をクローニングすることができないという事実に起因する。追加的なヌクレオチド配列を含有する連続的な二次クローンは、当業者に公知の種々の方法を用いて得ることができる。
DNA配列決定の方法は、当該技術分野でよく知られている。通常の酵素法では、関心のあるDNA鋳型にアニーリングしたオリゴヌクレオチドプライマーからDNA鎖を伸長するために、DNAポリメラーゼ、Klenow断片、Sequenase(US Biochemical Corp,Cleveland,OH)またはTaqポリメラーゼを使用する。一本鎖および二本鎖の両方の鋳型を使用するための方法が、開発されている。チェインターミネーション反応生成物を、尿素/ポリアクリルアミドゲル上で電気泳動し、オートラジオグラフィー(放射性ヌクレオチド標識前駆体の場合)または蛍光(蛍光標識前駆体の場合)により検出することができる。蛍光検出方法を用いる機械化された反応調製、配列決定および分析における最近の改良は、Applied Biosystems 377 DNA Sequencers(Applied Biosystem,Foster City,CA)などの装置を使用して1日当たりに測定しうる配列数の拡大を可能にした。
ヌクレオチド配列のリーディングフレームは、いくつかのタイプの分析で確認することができる。第1に、コード配列内に含有されているリーディングフレームは、開始コドンATGおよび停止コドンTGA、TAAまたはTAGの存在に関して分析することができる。典型的には、1つのリーディングフレームが、cDNA配列の主部分にわたって続き、他のリーディングフレームは、多数の停止コドンを含有する傾向にある。そのような場合には、リーディングフレームの決定は直接的である。それより困難な他の場合には、さらなる分析が必要となる。
各推定コドントリプレットにおける個々のヌクレオチド塩基の出現頻度を分析するためのアルゴリズムが作製されている。例えば、J.W.Fickett,Nuc Acids Res 10:5303(1982)を参照されたい。特定の生物(細菌、植物および動物)に関するコードDNAは、あるトリプレット周期性内で或るヌクレオチドを含有する傾向にある(例えば、第3コドン位にピリミジンの優先性が有意に認められる)。これらの優先性は、所定のDNA伸長のコード可能性(coding potential)(およびフレーム)を判定するために使用しうる広く利用可能なソフトウェアに取込まれている。アルゴリズム由来の情報を開始/停止コドンの情報と一緒に使用して、適切なフレームを高い確実性で決定することができる。そしてこれは、正確なリーディングフレーム内の配列を適当な発現ベクター中にクローニングするのを容易に可能にする。
本明細書に開示する核酸配列は、十分に確立されている組換えDNA技術により、関心のある他の種々のポリヌクレオチド配列およびベクターに結合させることが可能である。J Sambrookら,前掲を参照されたい。関心のあるベクターには、プラスミド、コスミド、ファージ誘導体、ファジミドなどのクローニングベクターならびに配列決定、複製および発現ベクターなどが含まれる。一般に、そのようなベクターは、少なくとも1つの生物において機能的な複製起点、簡便な制限エンドヌクレアーゼ消化部位、および個々の宿主細胞に適した選択マーカーを含有する。該ベクターは、当業者に公知の種々の手段により、所望のDNA、RNAまたはポリペプチドを産生する適当な宿主細胞内に導入することができる。
時には、配列決定またはランダム逆転写の誤りのために、適当なオープンリーディングフレームまたは調節要素の存在が隠されてしまう。そのような場合には、ポリペプチドの発現を試み、標準的なペプチドマッピングおよび配列決定技術によりアミノ酸配列を決定することにより、正確なリーディングフレームを決定することが可能である。F.M.Ausubelら,Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley & Sons,New York,NY(1989)を参照されたい。さらに、ある与えられたヌクレオチド配列の実際のリーディングフレームは、合計3個の潜在的リーディングフレームを含有するベクターで宿主細胞をトランスフェクトすることより決定することができる。正しいリーディングフレームのヌクレオチド配列を有する細胞だけが、予想される長さのペプチドを産生することになる。
本発明で提供するヌクレオチド配列は、現在の最高水準の自動化された方法で製造されており、それ自体が、未同定のヌクレオチドを含有している可能性がある。このことは、本発明を実施することを望む当業者に問題を提議することにはならないであろう。J Sambrookら(前掲)またはその定期的最新版に記載されている標準的な組換え技術を用いるいくつかの方法を用いて、欠けている配列情報を完全なものにすることができる。本明細書に記載の完全長配列を得るために用いるのと同じ技術を、ヌクレオチド配列を得るために用いることができる。
cDNAを適当な発現ベクター中にサブクローニングし、このベクターを適当な発現宿主中にトランスフェクトすることにより、ある特定のcDNAの発現を行なうことができる。乳房組織のcDNAライブラリーの作製に使用するクローニングベクターは、ある特定のcDNAのmRNAの転写に使用することができ、β-ガラクトシダーゼに関するプロモーター、アミノ末端のmetおよびそれに続くβ-ガラクトシダーゼの7アミノ酸残基を含有する。これらの8残基の直後に、人工的なプライミングおよび転写に有用な操作されたバクテリオファージプロモーターならびにクローニング用の多数のユニーク制限部位(例えば、EcoRI)が存在する。該ベクターは、大腸菌(E.coli)の適当な宿主株内にトランスフェクトすることができる。
単離された細菌株を標準的な方法によりイソプロピルチオガラクトシド(IPTG)で誘導することにより、β-ガラクトシダーゼの最初の7残基、リンカーの約15残基、および該cDNA内にコードされるペプチドを含有する融合タンパク質が得られるであろう。cDNAクローンの挿入断片は、実質的にランダムな方法で作製されるため、含まれるcDNAが適切な翻訳のための正確なフレームで存在する機会は、3回のうちの1回である。該cDNAが適切なリーディングフレームにない場合は、インビトロ突然変異誘発、エキソヌクレアーゼIIIもしくはヤエナリ(mungbean)ヌクレアーゼでの消化またはオリゴヌクレオチドリンカーの取込みなどの良く知られた方法による適当な数の塩基の欠失または挿入により、正しいフレームを得ることができる。
該cDNAは、特定の宿主内でのタンパク質の発現に有用であることが知られている他のベクターに対して往復(シャトル)させることができる。クローニング部位と標的DNAの両端の伸長にハイブリダイズするのに十分なDNAセグメントとを含有するオリゴヌクレオチドプライマーは、標準的な方法で化学的に合成することができる。ついでこれらのプライマーを使用して、PCRにより所望の遺伝子セグメントを増幅することができる。得られた新たな遺伝子セグメントは、標準的な条件下、適当な制限酵素で消化し、ゲル電気泳動により単離することができる。あるいは、該cDNAを適当な制限酵素で消化し、欠けている遺伝子セグメントを、化学的に合成されたオリゴヌクレオチドで埋めることにより、同様の遺伝子セグメントを得ることができる。複数の遺伝子に由来するコード配列のセグメントを一緒にライゲーションし、適当なベクター中にクローニングして、組換え配列の発現を最適化することができる。
そのようなキメラ分子のための適当な発現宿主には、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)、ヒト胎児腎(HEK)293細胞などの哺乳動物細胞、Sf9細胞などの昆虫細胞、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)などの酵母細胞および大腸菌(E.coli)などの細菌が含まれるが、これらに限定されるものではない。これらの各細胞系に関して、有用な発現ベクターは、細菌内での増殖を可能する複製起点と、細菌内での選択を可能にする選択マーカー(例えば、β-ラクタマーゼ抗生物質耐性遺伝子)とを含むことも可能である。さらに、該ベクターは、トランスフェクトされた真核性宿主細胞における選択を可能にするもう1つの選択マーカー(例えば、ネオマイシンホスホトランスフェラーゼ遺伝子)を含むことが可能である。真核性発現宿主において使用するためのベクターでは、関心のある配列がポリAを欠く場合には、3′ポリAテイルの付加が必要となるかもしれない。
さらに、該ベクターは、遺伝子発現を増強するプロモーターまたはエンハンサーを含有することが可能である。そのようなプロモーターは、宿主特異的であり、CHO細胞の場合にはMMTV、SV40またはメタロチオニンプロモーター、細菌宿主の場合にはtrp、lacまたはT7プロモーター、あるいは酵母の場合にはα因子、アルコールオキシダーゼまたはPGHプロモーターを含むが、これらに限定されるものではない。転写エンハンサー(例えば、ラウス肉腫ウイルス(RSV)エンハンサー)を有する又は有さないアデノウイルスベクターを使用して、哺乳動物細胞系におけるタンパク質の発現を駆動することができる。組換え細胞の均一培養が得られたら、多量の組換え産生タンパク質を、調整培地から回収し、当該技術分野でよく知られているクロマトグラフィー法で分析することができる。多量の分泌タンパク質のもう1つの製造法は、哺乳動物胚のトランスフェクション、およびトランスジェニックウシ、ヤギ、ヒツジなどが産生する乳から該組換えタンパク質を回収することを含む。ポリペプチド、および密接に関連している分子は、タンパク質の精製を容易にするような方法で組換え的に発現させることができる。1つのアプローチは、ヒトポリペプチド上に天然には存在しない1以上の追加的ポリペプチドドメインを含むキメラタンパク質の発現を含む。精製を容易にするそのようなドメインには、固定化された金属上での精製を可能にする金属キレート化ペプチド(例えば、ヒスチジン-トリプトファンドメイン)、固定化された免疫グロブリン上での精製を可能にするプロテインAドメイン、およびFLAGS伸長/アフィニティー精製系(Immunex Corp,Seattle,WA)で使用されるドメインが含まれるが、これらに限定されるものではない。切断可能なリンカー配列、例えばXA因子またはエンテロキナーゼ(Invitrogen,San Diego,CAから入手可能)を該ポリペプチド配列と該精製ドメインとの間に含有させることは、該ポリペプチドの回収に有用かもしれない。
イムノアッセイ
BS106ポリペプチド(その断片、誘導体および類似体を含む)またはそのようなポリペプチドを発現する細胞は、乳房組織に対する抗体の検出のための種々のアッセイ(そのうちの多数が本明細書に記載されている)で使用することができる。また、それらを免疫原として使用して、抗体を産生させることができる。これらの抗体は、例えば、ポリクローナルもしくはモノクローナル抗体、キメラ、一本鎖およびヒト化抗体およびFab断片、またはFab発現ライブラリーの産物であることが可能である。そのような抗体および断片の産生のためには、当該技術分野で公知の種々の方法を用いることができる。
例えば、本発明の配列を含むポリペプチドに対して産生される抗体は、該ポリペプチドを動物に直接注入することにより、あるいは該ポリペプチドを動物(例えば、マウス、ウサギ、ヤギまたはヒト)に投与することにより得ることができる。マウス、ウサギまたはヤギが好ましい。該ポリペプチドは、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20およびそれらの断片よりなる群から選ばれる。ついで、そのようにして得た抗体が、該ポリペプチド自体に結合することとなる。このように、該ポリペプチドの断片だけをコードする配列でさえ、天然ポリペプチドに結合する抗体を産生させるために使用することができる。ついで、そのような抗体を使用して、そのポリペプチドを含有する疑いのある組織などの試験サンプルから該ポリペプチドを単離することができる。モノクローナル抗体の製造には、連続継代細胞培養により産生される抗体を与える任意の技術を用いることができる。具体例には、KohlerおよびMilstein,Nature 256:495-497(1975)に記載のハイブリドーマ技術、トリオーマ技術、Kozborら,Immun.Today 4:72(1983)に記載のヒトB細胞ハイブリドーマ技術、およびColeら,Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy,Alan R.Liss,Inc,New York,NY,pp.77-96(1985)に記載のヒトモノクローナル抗体を産生させるためのEBV-ハイブリドーマ技術が含まれる。一本鎖抗体の産生のための記載されている技術を、本発明の免疫原性ポリペプチド産物に対する一本鎖抗体を産生させるために適用することができる。例えば、米国特許第4,946,778号を参照されたい。
本発明の抗体は、「サンドイッチ」イムノアッセイおよびプローブアッセイを含む種々のアッセイ様式において使用することができる。例えば、本発明の抗体またはその断片は、試験サンプル中のBS106抗原の存在を判定するための種々のアッセイ系で使用することができる。例えば、第1のアッセイ様式では、固相上にコーティングされている、ポリクローナルもしくはモノクローナル抗体またはその断片、またはこれらの抗体の組合せを、試験サンプルと接触させて、第1混合物を形成させる。この第1混合物を、抗原/抗体複合体の形成に十分な時間および条件下でインキュベートする。ついで、シグナル生成化合物が結合しているモノクローナルもしくはポリクローナル抗体またはその断片、またはこれらの抗体の組合せを含む指示試薬を、該抗原/抗体複合体と接触させて、第2混合物を形成させる。ついで、この第2混合物を、抗体/抗原/抗体複合体の形成に十分な時間および条件下でインキュベートする。シグナル生成化合物により生成した測定可能なシグナルを検出することにより、固相上に捕捉され試験サンプル中に含まれうるBS106抗原の存在を判定する。試験サンプル中に存在するBS106抗原の量は、生成したシグナルに比例する。
もう1つのアッセイ様式では、(1)BS106抗原に特異的に結合するポリクローナル抗体、モノクローナル抗体もしくはその断片、または固体支持体に結合したそのような抗体の組合せ、(2)試験サンプル、および(3)シグナル生成化合物が結合している、異なるBS106抗原に特異的に結合するモノクローナル抗体、ポリクローナル抗体もしくはその断片(またはこれらの抗体の組合せ)を含む指示試薬を接触させることにより、混合物を得る。この混合物を、抗体/抗原/抗体複合体の形成に十分な時間および条件下でインキュベートする。該シグナル生成化合物により生成した測定可能なシグナルを検出することにより、試験サンプル中に存在し固相上に捕捉されたBS106抗原の存在を判定する。試験サンプル中に存在するBS106抗原の量は、生成したシグナルに比例する。
もう1つのアッセイ様式では、本発明の少なくとも2つのモノクローナル抗体の一方または組合せを、BS106抗原に対する抗体の検出のための競合プローブとして使用することができる。例えば、BS106ポリペプチド(例えば、本明細書に開示の組換え抗原)を、単独で又は組合せて、固相上にコーティングする。ついで、BS106抗原に対する抗体を含有する疑いのある試験サンプルを、シグナル生成化合物と本発明の少なくとも1つのモノクローナル抗体とを含む指示試薬と共に、固相に結合している試験サンプルおよび指示試薬または固相に結合している指示試薬のいずれかの抗原/抗体複合体の形成に十分な時間および条件下でインキュベートする。固相に対するモノクローナル抗体の結合の減少を定量的に測定することができる。
さらにもう1つの検出方法では、本発明のモノクローナルまたはポリクローナル抗体のそれぞれを、免疫組織化学的分析による組織切片中または細胞中のBS106抗原の検出において使用することができる。これらの抗体を直接的に標識(例えば、フルオレセイン、金コロイド、ホースラディッシュペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼなどでの標識)したり又は二次標識化抗種抗体を使用して標識(本明細書に例示する種々の標識)して、疾患の組織病理を追跡する細胞化学的分析も、本発明の範囲内に含まれる。
さらに、これらのモノクローナル抗体を、CNBr活性化セファロースに類似したマトリックスに結合させて、細胞培養または生物学的組織からの特異的BS106ポリペプチドのアフィニティー精製(例えば、組換え及び天然BS106タンパク質の精製)に使用することができる。
また、本発明のモノクローナル抗体は、治療用途または他の同様の用途のためのキメラ抗体の産生に使用することができる。
モノクローナル抗体またはその断片は、BS106抗原の検出のために個々に提供されることが可能である。また、本発明で提供するモノクローナル抗体(およびその断片)の組合せを、他のBS106領域に特異的に結合する抗体(各抗体は、異なる結合特異性を有する)と共に、本発明の少なくとも1つのBS106抗体の混合物または「カクテル」中の成分として一緒に使用することができる。したがって、このカクテルは、本明細書に開示のBS106ポリペプチドに対する本発明のモノクローナル抗体と、BS106抗原または他の関連タンパク質の他の抗原決定基に特異的な他のモノクローナル抗体とを含むことが可能である。
アッセイ様式で使用しうるポリクローナル抗体またはその断片は、BS106ポリペプチドまたは該アッセイで追加的に使用する他のBS106ポリペプチドに特異的に結合すべきである。好ましく使用されるポリクロナール抗体は、BS106ポリペプチドに結合する、ヒト、ヤギ、ウサギまたはヒツジポリクローナル抗体などの哺乳動物に由来するものである。最も好ましくは、該ポリクローナル抗体は、ウサギに由来するものである。該アッセイで使用するポリクローナル抗体は、単独で又はポリクローナル抗体のカクテルとして使用することができる。該アッセイ様式で使用するカクテルは、BS106ポリペプチドに対する異なる結合親和性を有するモノクローナル抗体またはポリクローナル抗体を含むため、それらは、乳癌などの乳房の疾患または状態の検出、診断、病期分類、モニター、予後判定、予防もしくは治療または素因の判定に有用である。
組換え抗原の使用により、あるいは合成ペプチドまたは精製ペプチド(該ペプチドは、BS106のアミノ酸配列を含む)の使用により、アッセイにおいてBS106抗原の検出が可能となることが意図され、それが本発明の範囲内に含まれる。そのようなポリペプチドのアミノ酸配列は、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20およびそれらの断片よりなる群から選ばれる。また、BS106の異なるエピトープを定める異なる合成、組換えまたは精製ペプチドを、乳癌などの乳房の疾患または状態の検出、診断、病期分類、モニター、予後判定、予防もしくは治療または素因の判定のためのアッセイにおいて併用することも、本発明の範囲内に含まれる。この場合、これらのペプチドすべてを固相上にコーティングしたり、あるいはそれぞれ分離したペプチドを、分離した固相(例えば、微粒子)上にコーティングし、ついで、後にアッセイにおいて使用しうるペプチド混合物を形成するように合体させることが可能である。さらに、乳癌などの乳房の疾患または状態の検出、診断、病期分類、モニター、予後判定、予防もしくは治療または素因の判定のために、異なる抗原からのエピトープを定める複数のペプチドを使用することができると意図される。ついで、固相上にコーティングされた又は検出可能な標識で標識されたペプチドを、一定量の抗体に関して、患者のサンプル中に存在する(存在する場合)ペプチドと競合させる。該抗体に対する該合成、組換えまたは精製ペプチドの結合の減少は、患者のサンプル中のBS106抗原の存在の指標となる。BS106抗原の存在は、患者における乳房組織の疾患、特に乳癌の存在を示す。アッセイ様式の変形は、当業者に公知であり、本明細書において後に検討する。
もう1つのアッセイ様式では、以下のとおり、抗BS106抗体および/またはBS106抗原の存在を同時に検出することができる。試験サンプルを、同時に、第1被検体の捕捉試薬(該捕捉試薬は、固相に結合した第1被検体に特異的な第1結合メンバーを含む)および第2被検体の捕捉試薬(該捕捉試薬は、第2固相に結合した第2被検体に対する第1結合メンバーを含む)と接触させて、混合物を得る。この混合物を、捕捉試薬/第1被検体および捕捉試薬/第2被検体複合体の形成に十分な時間および条件下でインキュベートする。ついで、そのようにして形成したこれらの複合体を、シグナル生成化合物で標識された第1被検体に特異的な結合ペアのメンバーとシグナル生成化合物で標識された第2被検体に特異的な結合ペアのメンバーとを含む指示試薬に接触させて、第2混合物を得る。この第2混合物を、捕捉試薬/第1被検体/指示試薬複合体および捕捉試薬/第2被検体/指示試薬複合体の形成に十分な時間および条件下でインキュベートする。いずれかの又は両方の固相上で形成した複合体に関して生成したシグナルを、試験サンプル中の1以上の被検体の存在の指標として検出することにより、1以上の被検体の存在を判定する。このアッセイ様式では、本明細書に開示する発現系に由来する組換え抗原、および本明細書に開示の発現系に由来するタンパク質から産生したモノクローナル抗体を使用することができる。例えば、このアッセイ系では、BS106抗原を第1被検体とすることが可能である。そのようなアッセイ系は、EP公開第0473065号に、より詳しく記載されている。
さらにもう1つのアッセイ様式では、本明細書に開示するポリペプチドを使用して、試験サンプル中のBS106抗原に対する抗体の存在を検出することができる。例えば、試験サンプルを、少なくとも1つのポリペプチド(例えば、組換えタンパク質または合成ペプチド)が結合している固相と共にインキュベートする。該ポリペプチドは、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20およびそれらの断片よりなる群から選ばれる。これらを、抗原/抗体複合体の形成に十分な時間および条件下で反応させる。インキュベーション後、該抗原/抗体複合体を検出する。選択するアッセイ系に応じて、検出を容易にするために、指示試薬を使用することができる。もう1つのアッセイ様式では、試験サンプルを、本明細書に記載のとおりに産生させた組換えタンパク質が結合している固相と接触させ、また、指示試薬で好ましくは標識されている、該タンパク質に特異的なモノクローナルまたはポリクローナル抗体と接触させる。抗体/抗原複合体の形成に十分な時間および条件下でインキュベーションした後、固相を遊離相から分離し、該標識をBS106抗原に対する抗体の存在の指標として該固相中または該遊離相中で検出する。本明細書に開示する組換え抗原を使用する他のアッセイ様式が意図される。これらは、第1起源からの少なくとも1つの抗原が結合している固相と試験サンプルとを接触させ、抗原/抗体複合体の形成に十分な時間および条件下で該固相と試験サンプルとをインキュベートし、ついで該固相を標識抗原(該抗原は、第1起源とは異なる第2起源に由来する)と接触させることを含む。例えば、大腸菌(E.coli)などの第1起源に由来する組換えタンパク質を、固相上の捕捉抗原として使用し、そのように調製された固相に試験サンプルを加え、必要に応じて標準的なインキュベーションおよび洗浄工程の後、異なる起源(すなわち、非大腸菌(E.coli))に由来する組換えタンパク質を、後に検出する指示試薬の一部として使用する。同様に、固相上の組換え抗原と合成ペプチド(指示相中)との組合せも可能である。第1起源から産生した又はそれに由来するBS106に特異的な捕捉抗原としての抗原と、異なる第2起源からのBS106に特異的な抗原とを使用する任意のアッセイ様式が意図される。このように、組換え抗原の種々の組合せ、および合成ペプチド、精製タンパク質などの使用が、本発明の範囲内に含まれる。このアッセイおよび他のアッセイは、本出願と同一所有権を享受する米国特許第5,254,458号に記載されている。
また、種々の他の固相を使用する他の実施態様も意図され、本発明の範囲内に含まれる。例えば、速い液相免疫化学的反応を行なうために、負に荷電した重合体との固定化可能反応複合体を固定化するためのイオン捕捉法(EP公開第0326100号およびEP公開第0406473号に記載されている)を本発明で使用することができる。固定化可能な免疫複合体は、その負に荷電したポリ-アニオン/免疫複合体と、予め処理されている正に荷電した多孔性マトリックスとの間のイオン相互作用により該反応混合物の残部から分離され、既に記載されている種々のシグナル生成系(例えば、EPO公開第0273,115号に記載の化学発光シグナルの測定において記載されているもの)を用いて検出される。
また、固相が微粒子(磁性または非磁性)を含む微粒子技術を用いる系(例えば、自動化系および半自動化系)での使用に、本発明の方法を適合させることが可能である。そのような系には、例えば、公開されているEPO出願EP 0 425 633およびEP 0 424 634にそれぞれ記載されている系が含まれる。
イムノアッセイにおける走査型プローブ顕微鏡検査法(scanning probe microscopy)(SPM)の使用も、本発明のモノクローナル抗体を容易に適合させることが可能な技術として挙げられる。走査型プローブ顕微鏡検査法、特に原子間力顕微鏡検査法においては、捕捉相、例えば、本発明のモノクローナル抗体の少なくとも1つを固相に付着させ、走査型プローブ顕微鏡を使用して、固相の表面上に存在しうる抗原/抗体複合体を検出する。通常、多数のイムノアッセイ系においては、抗原/抗体複合体を検出するために標識を使用しなければならないが、走査型トンネル顕微鏡検査法を使用すると、そのような標識が不要になる。特異的結合反応をモニターするためのSPMの使用は、多数の方法で実施することが可能である。1つの実施態様では、特異的結合パートナーのメンバーの1つ(本発明のモノクローナル抗体である被検体特異的物質)を、走査に適した表面に結合させる。該被検体特異的物質の結合は、当業者に公知の方法に従って行なう、プラスチックまたは金属表面の固相を含む試験片に対する吸着によるものであることが可能である。あるいは、誘導体化プラスチック、金属、シリコン(ケイ素)またはガラスの固相を含む試験片に対する特異的結合パートナー(被検体特異的物質)の共有結合を用いることが可能である。共有結合方法は、当業者に公知であり、特異的結合パートナーを試験片に不可逆的に結合させるための種々の手段を含む。該試験片がシリコンまたはガラスである場合には、特異的結合パートナーを結合させる前に、該表面を活性化する必要がある。また、特異的結合パートナーを試験片の表面上に化学的方法で固定化するために、混成電極相互作用(polyelectrolyteinteraction)を用いることができる。好ましい結合方法は、共有的手段によるものである。特異的結合メンバーの結合の後、非特異的結合を最小限に抑えるために、該表面を血清、タンパク質または他のブロッキング剤などの物質で更に処理することができる。また、アッセイ目的に対する適合性を確認するために、該表面を、製造部位または使用点において走査することができる。走査過程は、試験片の特異的結合特性を改変しないと考えられる。
本発明は、主として固相の使用に関して開示されているが、本発明の抗体、タンパク質、ペプチドなどの試薬は、非固相アッセイ系においても使用可能であると意図される。これらのアッセイ系は、当業者に公知であり、本発明の範囲内に含まれるとみなされる。
アッセイに使用する試薬は、バイアル、ボトルなどの1以上の容器を有する試験キットの形態で提供されることが可能であると意図される。その各容器は、該アッセイで使用するプローブ、プライマー、モノクローナル抗体、またはモノクローナル抗体のカクテル、またはポリペプチド(例えば、組換え的、合成的に製造または精製されたもの)などの別個の試薬を含有する。該ポリペプチドは、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20およびそれらの断片よりなる群から選ばれる。当業者に公知の他の成分(例えば、緩衝液、対照など)を、そのような試験キットに含めることが可能である。また、利用可能な体液(例えば、血液、尿、唾液および糞便)を含む試験サンプルを採集するための手段を有する試験キットを提供することが意図される。採集に有用なそのような手段(「採集材料」)には、血液を採集し安定化するためのランセットおよび吸収紙または布、唾液を採集し安定化するためのスワブ、尿または糞便サンプルを採集し安定化するためのカップが含まれる。該サンプルの変性または不可逆的吸着を避けるために、所望により、採集材料、紙、布、スワブ、カップなどを処理することが可能である。また、試料の完全性を維持するのを助けるために、該採集材料を保存剤、安定化剤または抗微生物剤で処理したり、該採集材料に保存剤、安定化剤または抗微生物剤を含有させることが可能である。手術または針生検により得た試験試料の採集、安定化および保存のために設計された試験キットも有用である。すべてのキットは、別個に提供されることが可能な2つの成分(その一方の成分は、試料の採集および運搬のためのものであり、もう一方は、試料の分析のためのものである)に構成することができると意図される。例えば、採集成分は、公開市場の消費者に提供することが可能であり、一方、分析用成分は、被検体の存在、不存在または量の測定のために研究者などに提供することが可能である。さらに、試験試料の採集、安定化および保存のためのキットは、熟練していない者による使用を意図して構成することが可能であり、家庭で使用された後、該試験サンプルの分析のために研究室に運搬されることを意図して、公開市場において入手可能とすることができる。
大腸菌(E.coli)(クローン1662885)は、ブダペスト条約の条項に基づき、American Type Culture Collection(A.T.C.C.)、12301 Parklawn Drive,Rockville,Maryland 20852に11/20/96に寄託されており、寄託の日から30年間または寄託に関する最終請求後5年間または該米国特許の存続期間のうち最も遅い時まで保管されることとなる。該寄託および本明細書に記載の他の任意の寄託物質は、便宜上与えられているにすぎず、本明細書の教示を考慮して本発明を実施することは必ずしも要求されない。それらの全寄託物質におけるcDNA配列を、参考として本明細書に組入れるものとする。クローン1662885には、A.T.C.C.受託第98256号が付与されている。
つぎに、実施例により本発明を説明するが、これらの実施例は例示にすぎず、本発明の範囲を限定するものではない。
実施例
実施例1:乳房組織ライブラリーBS106遺伝子特異的クローンの同定
A.発現しているタグ配列(EST)または転写イメージの、ライブラリーにおける比較
cDNAクローン挿入断片の部分配列、いわゆる「発現しているタグ配列」(EST)を、乳房腫瘍組織、乳房非腫瘍組織および多数の他の組織(腫瘍および非腫瘍の両方)から作製したcDNAライブラリーから導き出し、遺伝子転写イメージとしてデータベース(Incyte Pharmaceuticals,Palo Alto,CAから入手可能なLIFESEQTMデータベース)に入力した。国際公開WO 95/20681を参照されたい(転写イメージは、ある与えられた組織ライブラリーにおける代表遺伝子のそれぞれに関するEST数の一覧である。相互配列重複の領域を共有するESTは、クラスターに分類される。クラスターには、代表的5′ESTからのクローン番号が割り当てられる。しばしば、関心のあるクラスターを、そのコンセンサス配列と、自動化クラスタリングの基準を満足しなかった他のESTの配列との比較により伸長させることが可能である。入手可能な全クラスターおよび単一ESTのアラインメントは、コンセンサス配列が導かれるコンティグを表す)。ついで該転写イメージを評価して、主として乳房組織ライブラリーを代表するESTクラスターを同定した。ついで、これらの標的クラスターを、標的ライブラリー中のそれらの存在量(ESTメンバーの出現頻度)と、バックグラウンドライブラリーにおけるそれらの不存在とに基づきランク付けした。低いバックグラウンド出現頻度を有する、より高い存在量のクラスターには、より高い研究優先度を与えた。重複クローン1662885(配列番号1)、893988(配列番号2)および1209814(配列番号3)を、さらなる研究のために同定した。これらは、本明細書に記載するコンセンサス配列(配列番号4)を導き出すもとになった、BS106コンティグを形成するのに必要な最小数のクローンを代表した。
B.コンセンサス配列の作製
ESTクローン1662885(配列番号1)、893988(配列番号2)および1209814(配列番号3)のヌクレオチド配列を、SequencherTMプログラム(Gene Codes Corporation,Ann Arbor,MIから入手可能)に入力して、ヌクレオチドアライメント(コンティグ地図)を得、ついでそれらのコンセンサス配列(配列番号4)を得た。図1は、これらのクローンのヌクレオチド配列アラインメント、および得られたそれらのヌクレオチドコンセンサス配列(配列番号4)を示す。図2は、BS106遺伝子の重複領域を形成する該クローン1662885(配列番号1)、893988(配列番号2)および1209814(配列番号3)を示すコンティグ地図と、これらのクローンから得られたコンセンサスヌクレオチド配列(配列番号4)とを図示的に表す。これの後、該コンセンサス配列(配列番号4)上で3フレーム翻訳を行なった。第1フォワードフレームは、90残基のアミノ酸配列をコードするオープンリーディングフレームを有することが判明し、これを配列番号16として示す。図1は、該コンセンサス配列の54位のG/T多型を示し(「K」として示されている)、それぞれの2個のヌクレオチドが、LIFESEQTMデータベースにおいてほぼ等しい頻度で認められた。メチオニン残基(潜在的翻訳開始部位)の10ヌクレオチド上流に位置する54位の多型が、このタンパク質の発現レベルの調節に関与している可能性があると考えられた。また、図1は、該コンセンサス配列の312位のC/T多型を示す(「Y」として示されている)。LIFESEQTMデータベースにおいて認められる312位におけるTに対するCの比は、3:1であった。
C.コンセンサス配列に対応するESTの発現の特異性
前記B節で得たコンセンサス配列を、BLAST検索ツールを用いて最新LIFESEQTMデータベース(1997年9月)の全体と比較した。該コンセンサス配列に対応するESTは、乳房ライブラリーの85.7%(28個中24個)、および非乳房ライブラリーの0.2%(455個中1個)で見出された。したがって、該コンセンサス配列またはその断片は、乳房組織中では非乳房組織中に比べて389倍以上大きな頻度で見出された。
実施例2:BS106 EST特異的クローンの配列決定
BS106遺伝子コンティグの最も5′側のESTを含むクローン1662885のDNA配列(配列番号5)を、公知方法に従い、色素ターミネーターを使用するジデオキシターミネーション配列決定法で決定した(F Sangerら,PNAS U.S.A.74:5463(1977))。配列番号5における543位のA/G多型を、「R」として示す。
pINCYベクター(Life Technologies,Gaithersburg,MD)は、該挿入断片の3′および5′ライゲーション結合部に直接隣接したプライミング部位を含有するため、普遍的プライマー(配列番号8および配列番号9)(それぞれ、New England Biolabs,Beverly,MAおよびApplied Biosystems Inc,Foster City,CA)を使用して該挿入断片の約300塩基を両方向に配列決定した。該配列決定反応を、ポリアクリルアミド変性ゲル上で行ない、Applied Biosystems 377 Sequencer(Applied Biosystems,Foster City,CAから入手可能)または他の配列決定装置により、該配列を決定した。追加的な配列決定プライマーBS106.F1およびBS106.R1(それぞれ配列番号10および配列番号11)を、その2つのDNA鎖の3′末端付近において最初の配列決定反応により決定された配列から設計した。ついで、これらのプライマーを使用して、既に記載されているとおりに、各DNA鎖からのクローン化挿入断片の残りのDNA配列を決定した。
実施例3:核酸の調製
A.組織からのRNAの抽出
固形乳房組織または細胞および非乳房組織から全RNAを単離した。当該技術分野で公知であり文献記載されている塩化リチウム/尿素法(Katoら,J.Virol.61:21-2191,(1987))、UltraspecTM(Biotecx Laboratories,Inc.,Houston Texas)およびTRIzolTM(Life Technologies,Inc.,Gaithersburg,MD)を含む(これらに限定されるものではない)種々の方法を用いた。
ノーザンブロット分析では、該組織を氷上の無菌円錐管中に配置し、10〜15容量の3M LiCl、6M尿素、5mM EDTA、0.1M β-メルカプトエタノール、50mM Tris-HCl(pH7.5)を加えた。該組織を、氷上でPolytron▲R▼ホモジナイザー(Brinkman Instruments,Inc.,Westbury,NY)で30〜50秒間ホモジナイズした。該溶液を15mlプラスチック遠心管に移し、−20℃で一晩放置した。該管を9,000×g、0〜4℃で90分間遠心し、該上清を直ちにデカントした。ついで10mlの3M LiClを加え、該管を5秒間ボルテックスし、11,000×g、0〜4℃で45分間遠心した。これらのデカント、LiClへの再懸濁および遠心分離を繰返した。最終ペレットを風乾し、2mlの1mM EDTA、0.5% SDS、10mM Tris(pH7.5)に再懸濁した。ついで、20μlのプロテイナーゼK(20mg/ml)を加え、得られた溶液を、時々混合しながら37℃で30分間インキュベートした。10分の1容量(0.22〜025ml)の3M NaClを加え、該溶液をボルテックスした後、2mlのフェノール/クロロホルム/イソアミルアルコール(PCI)を含有する別の管に移した。該管を1〜3秒間ボルテックスし、3,000×g、10℃で20分間遠心した。PCI抽出を更に2回繰返し、ついでクロロホルム/イソアミルアルコールでの同様の抽出を2回行なった。最終水溶液を、6mlの100%無水エタノールを含有する予め冷却した15mlコレックスガラス管に移し、該管をパラフィンで覆い、−20℃で一晩放置した。該管を10,000×g、0〜4℃で30分間遠心し、該エタノール上清を直ちにデカントした。該RNAペレットを10mlの75%氷冷エタノールで4回洗浄し、各回の後に10,000×gで10分間遠心した。最終ペレットを室温で15分間風乾した。該RNAを0.5mlの10mM Tris(pH7.6)、1mM EDTAに懸濁し、その濃度を分光光度的に測定した。RNAサンプルを等分割し、エタノール沈殿物として−70℃で保存した。
該RNAの量を、アガロースゲル電気泳動(実施例5を参照されたい)および0.5μg/mlの臭化エチジウムでの1時間の染色により測定した。無傷28S/18S rRNAを含有しないRNAサンプルを、該研究から除外した。
あるいは、RT-PCR分析では、1mlのUltraspec RNA試薬を、2.0mlポリプロピレンミクロ遠心管120mgの微粉砕組織に加え、Polytron▲R▼ホモジナイザー(Brinkman Instruments,Inc.,Westbury,NY)で50秒間ホモジナイズし、氷上に5分間放置した。ついで0.2mlのクロロホルムを各サンプルに加え、ついで15秒間ボルテックスした。該サンプルを氷中に更に5分間放置し、ついで12,000×g、4℃で15分間遠心した。該上層を集め、RNアーゼを含まない別の2.0mlミクロ遠心管に移した。等容量のイソプロパノールを各サンプルに加え、該溶液を氷上に10分間放置した。該サンプルを12,000×g、4℃で10分間遠心し、該上清を捨てた。残ったペレットを冷75%エタノールで2回洗浄し、ボルテックスにより再懸濁し、再懸濁した該物質をついで、7,500×g、4℃で5分間遠心分離により再ペレット化した。最後に、該RNAペレットをスピードバック(speedvac)中で少なくとも5分間乾燥し、RNアーゼを含まない水中で再構成した。
B.血液単核細胞からのRNA抽出
単核細胞を、以下のとおりFicoll-Hypaqueを使用する遠心分離により、患者からの血液サンプルから単離する。10ml容量の全血を、等容量のRPMI培地(Life Technologies,Gaitherburg,MD)と混合する。ついでこの混合物の下に10mlのFicoll-Hypaque(Pharmacia,Piscataway,NJ)を配置し、200×gで30分間遠心する。該単核細胞を含有するバフィーコートを取り出し、Dulbecco PBS(Life Technologies,Gaitherburg,MD)で50mlまで希釈し、該混合物を200×gで10分間遠心した。2回の洗浄の後、得られたペレットをDulbecco PBSに再懸濁して、1mlの最終容量とする。
Katoら(前掲)に記載のとおりに、単離した単核細胞からRNAを調製する。簡単に説明すると、該ペレット化単核細胞を1mlの最終容量にし、ついで250μLのPBSに再懸濁し、2.5mlの3M LiCl、6M尿素、5mM EDTA、0.1M 2-メルカプトエタノール、50mM Tris-HCl(pH7.5)と混合する。得られた混合物をホモジナイズし、−20℃で一晩インキュベートする。該ホモジネートを、Beckman J2-21Mローター中、8,000RPM、0〜4℃で90分間遠心する。該ペレットを、ボルテックスすることにより10mlの3M LiClに再懸濁し、ついでBeckman J2-21Mローター遠心機中、10,000RPM、0〜4℃で45分間遠心する。ついで該再懸濁工程およびペレット化工程を繰返す。該ペレットを、ボルテックスしながら2mlの1mM EDTA、0.5%SDS、10mM Tris(pH7.5)および400μgプロテイナーゼKに再懸濁し、ついでそれを、振とうしながら37℃で30分間インキュベートする。ついで10分の1の容量の3M NaClを加え、該混合物をボルテックスする。フェノール/クロロホルム/イソアミルアルコールでの2サイクルの抽出、およびそれに続くクロロホルム/イソアミルアルコールでの1回の抽出により、タンパク質を除去する。6mlのエタノールを加え、ついで−20℃で一晩インキュベートすることにより、RNAを沈殿させる。該沈殿RNAを遠心により集めた後、該ペレットを75%エタノール中で4回洗浄する。ついで該ペレット化RNAを1mM EDTA、10mM Tris-HCl(pH7.5)に溶解する。
非乳房組織を陰性対照として使用する。さらにポリアデニル化RNAの単離のためのオリゴdTセルローススピンカラム(Pharmacia,Uppsala,SwedenからのRediColTM)などの商業的に入手可能なキットを使用して、該mRNAを全RNAから精製することができる。全RNAまたはmRNAは、リボヌクレアーゼ保護アッセイにおける分析のために溶解緩衝液(5Mグアニジンチオシアナート、0.1M EDTA、pH7.0)中に溶解することができる。
C.ポリソームからのRNA抽出
組織を、4℃、食塩水中で細かく刻み、6mM 2-メルカプトエタノールを含有するTK150M(150mM KCl、5mM MgCl2、50mM Tris-HCl、pH7.4)溶液中、2.5容量の0.8Mショ糖と混合する。該組織を、Teflon-ガラスPotterホモジナイザー中、100〜200rpm、5往復で、ついでDounceホモジナイザー中、6往復でホモジナイズする(B.Mechler,Methods in Enzymology 152:241-248(1987)に記載のとおり)。ついで該ホモジネートを、12,000×g、4℃で15分間遠心して、核を沈降させる。2mlの該上清を、TK150M中の2.5Mショ糖6mlと混合し、この混合物を38mlポリアロマー管内のTK150M中の4mlの2.5Mショ糖の上に重層することにより、該ポリソームを単離する。追加的な2つのTK150M溶液を、該抽出画分の上に順次重層する(13mlの2.05Mショ糖の第1層およびそれに続く6mlの1.3Mショ糖の第2層)。該勾配を90,000×g、4℃で5時間遠心することにより、該ポリソームを単離する。ついで該画分をシリコーン化パスツールピペットで1.3Mショ糖/2.05Mショ糖界面から取り、等量のTE(10mM Tris-HCl、pH7.4、1mM EDTA)中に希釈する。等容量の90℃のSDS緩衝液(1%SDS、200mM NaCl、20mM Tris-HCl、pH7.4)を加え、該溶液を沸騰水浴中で2分間インキュベートする。つぎにタンパク質をプロテイナーゼK(50mg/ml)で37℃で15分間消化する。等容量のフェノール/クロロホルムで抽出し、ついで0.1容量の2M酢酸ナトリウム(pH5.2)および2容量の100%エタノールで−20℃で一晩沈殿させることにより、該mRNAを精製する。その沈殿したRNAを、12,000×g、4℃で10分間の遠心分離により回収する。該RNAを乾燥し、TE(pH7.4)または蒸留水に再懸濁する。ついで該再懸濁化RNAをスロットブロットまたはドットブロットハイブリダイゼーションアッセイで使用して、BS106 mRNAの存在を確認することができる(実施例6を参照されたい)。
核酸およびタンパク質の量は、用いる製造方法に左右される。標的分子の単離効率を最大にするためには、各サンプルは、異なる調製技術を必要とするかもしれない。これらの調製技術は、当業者の技量の範囲内に含まれる。
実施例4:リボヌクレアーゼ保護アッセイ
A.標識化相補的RNA(cRNA)ハイブリダイゼーションプローブおよび未標識センス鎖の合成
対抗するSP6およびT7ポリメラーゼプロモーターに隣接するBS106遺伝子のcDNA配列挿入断片(クローン1662885)を含有するpINCYプラスミドを、Qiagen Plasmid Purificationキット(Qiagen,Chatsworth,CA)を使用して精製した。ついで10μgの該プラスミドを、10UのDdeI制限酵素で37℃で1時間で切断した。その切断されたプラスミドを、QIAprepキット(Qiagen,Chatsworth,CA)を使用して精製し、Riboprobe▲R▼インビトロTranscription System(Promega Corporation,Madison,WI)を該供給業者の指示書の記載のとおりに使用して、6.3μM(α32P)UTP(800Ci/mmol)(Amersham Life Sciences,Inc.Arlington Heights,IL)で標識されたアンチセンス転写産物をSP6プロモーターから合成するために該プラスミドを使用した。該センス鎖を得るために、10μgの該精製プラスミドを、10UのXbaIおよび10UのNotI制限酵素で切断し、精製し、0.25μgのプラスミドを、前記のとおりにT7プロモーターから転写した。センスおよびアンチセンスの両方の転写鎖を、スピンカラムクロマトグラフィーにより単離した。未標識センス転写鎖を、260nmのUV吸収により定量した。
B.標的に対する標識プローブのハイブリダイゼーション
凍結した組織を、液体窒素下で粉砕して粉末にし、100〜500mgを1mlの溶解緩衝液(DirectProtectTMLysate RNase Protectionキット(Ambion,Inc.,Austin,TX)の一成分として入手可能)に溶解した。さらに組織ホモジナイザーを使用して溶解を行なった。また、陽性対照として使用するために、マウス肝臓ライセート中の既知量のセンス鎖の希釈系列を作製した。最後に、45μlの可溶化組織または希釈されたセンス鎖を、5μlの溶解緩衝液中の1×105cpmの放射能標識プローブ(1.5×109cpm/μg)と直接混合した。ハイブリダイゼーションを37℃で一晩進行させた。
C.RNアーゼ消化
DirectProtectTMプロトコールに従い、RNアーゼAおよびRNアーゼT1の溶液を37℃で30分間使用して、プローブにハイブリダイズしていないRNAを該反応から除去し、ついでサルコシルナトリウムの存在下でのプロテイナーゼK消化によりRNアーゼを除去した。ついで等容量のイソプロパノールの添加により、消化されないように保護されたハイブリダイズした断片を沈殿させ、−70℃で3時間放置した。該沈殿物を、12,000×gで20分間の遠心分離により集めた。
D.断片の分析
該沈殿物を、変性ゲルローディング色素(80%ホルムアミド、10mM EDTA(pH8.0)、1mg/mlキシレンシアノール、1mg/mlブロモフェノールブルー)に溶解し、熱変性させ、6%ポリアクリルアミドTBE、8M尿素変性ゲル中で電気泳動した。STORMTM貯蔵蛍りん光体(storage phosphor)オートラジオグラフィー系(Molecular Dynamics,Sunnyvale,CA)を使用して、該ゲルをイメージングし、分析した。試験サンプルから得たピーク領域を、陽性対照センス鎖の既知希釈物からのものと比較することにより、保護された断片のバンドの定量(フェムトグラム(fg)単位で表す)を行なった(前記B節を参照されたい)。また、該ライセート中のDNAの濃度をアッセイして、該試験サンプルライセート中の細胞数を評価した。その結果を、BS106 RNA分子/細胞およびイメージ評価得点として表す(表1)。配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5およびそれらの断片または相補体よりなる群から選ばれる配列に対応するmRNAの高レベルの発現は、BS106 mRNAの存在を示し、乳癌などの乳房組織の疾患または状態の診断を示唆している。
実施例5:ノーザンブロット法
アガロースゲル電気泳動および核酸ハイブリダイゼーションによりRNAの複合体集団中の特定のサイズのRNA種を同定するために、ノーザンブロット法を用いた。簡単に説明すると、40mMモルヒリノプロパンスルホン酸(MOPS)(pH7.0)、10mM酢酸ナトリウム、1mM EDTA、2.2Mホルムアルデヒド、50% v/vホルムアミドを含有する15μlの溶液中で、5μgの全RNA(実施例3を参照されたい)を65℃で15分間インキュベートした。該変性RNAを2リットルのローディング緩衝液(50%グリセロール、1mM EDTA、0.4%ブロモフェノールブルー、0.4%キシレンシアノール)と混合し、40mM MOPS(pH7.0)、10mM酢酸ナトリウム、1mM EDTAおよび2.2Mホルムアルデヒドを含有する変性1.0%アガロースゲル中にローディングした。該ゲルを60Vで1.5時間電気泳動し、RNアーゼを含まない水中でリンスした。ゲルを、RNアーゼを含まない水中の0.5g/mlの臭化エチジウムで染色し、UV光で照明して、リボソームRNAバンドを可視化した。下向性アルカリキャピラリートランスファー法(downward alkaline capillary transfer method)(Chomczynski,Anal.Biochem.201:134-139,1992)を用いて、RNAを該ゲルからナイロンメンブレン(Brightstar-Plus,Ambion,Inc.,Austin,TX)に1.5時間トランスファーした。該フィルターを1×SSCでリンスし、Stratalinker(Stratagene,Inc.,La Jolla,CA)を自動架橋(autocrosslinking)モードで使用してRNAを該フィルターに架橋し、15分間乾燥した。ついで該メンブレンを、予め加熱した20mlのプレハイブリダイゼーション溶液(5×SSC、50%ホルムアミド、5×デンハルト液、100g/ml変性サケ精子DNA)を含有するハイブリダイゼーション管に入れ、42℃のハイブリダイゼーションオーブン中で少なくとも3時間インキュベートした。該ブロットがプレハイブリダイズしている間に、Random Primer DNA Labeling System(Life Technologies,Inc.,Gaithersburg,MD)を製造業者の指示に従い用いBS106挿入断片(クローン1662885をXbaIおよびNotIで消化することにより得たもの)を使用して、32Pで標識されたランダムプライムドプローブを生成させた。該プローブの半分を10分間煮沸し、氷上で急冷し、該ハイブリダイゼーション管内に加えた。ハイブリダイゼーションを42℃で少なくとも12時間行なった。該ハイブリダイゼーション溶液を捨て、該フィルターを30mlの3×SSC、0.1%SDS中、42℃で15分間洗浄(2回)し、ついで0.3×SSC、0.1%SDS中、60℃で15分間洗浄(2回)した。該フィルターをサランラップで包み、Kodak XAR-Omatフィルムに24〜96時間さらし、該フィルムを現像して分析した。臭化エチジウムで染色したアガロースゲルおよび対応するノーザンブロット(図3Aおよび3Bにそれぞれ示す、乳房組織および前立腺組織からの並びに正常乳房および乳癌組織からのRNAにハイブリダイズしたBS106プローブを使用)を用いたRNAの質の分析の結果を、それぞれ図3AおよびBに示す。RNAサイズ基準の位置(kb単位)を、各パネルの左側に示す。図3Aに示すとおり、該BS106プローブは、正常乳房組織3個中3個および前立腺癌組織3個中1個において約0.7kbのRNAバンドにハイブリダイズしたが、3個の正常前立腺組織または前立腺もしくは乳房癌細胞系においてはRNAバンドが検出されなかった。図3Bは、BS106プローブが正常乳房RNAサンプル6個において及び乳房癌RNAサンプル6個中2個において約0.7KbのRNAにハイブリダイズしたことを示す。
実施例6:ドットブロット/スロットブロット
ドットおよびスロットブロットアッセイは、複雑な核酸混合物中の特異的核酸配列の存在を評価するための迅速な方法である。そのようなアッセイを行なうために、50μgまでのRNAを50μlの50%ホルムアミド、7%ホルムアルデヒド、1×SSC中で混合し、68℃で15分間インキュベートし、ついで氷上で冷却する。ついで100μlの20×SSCを該RNA混合物に加え、調製されたニトロセルロースまたはナイロンメンブレンを有するマニホールド装置上に真空下でローディングする。該メンブレンを水、20×SSCに1時間漬け、20×SSCで予め湿らせたWhatman#3濾紙の2枚のシート上に配置し、スロットブロットまたはドットブロット真空マニホールド装置中にローディングする。該スロットブロットを、前記実施例4に記載のとおりに調製され標識されたプローブで分析する。配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5およびそれらの断片または相補体よりなる群から選ばれる配列に対応するmRNAの検出は、BS106の存在の指標となり、乳癌などの乳房組織の疾患または状態の診断を示唆する。
実施例5および6に記載(ただし、ここでは、特に詳細に記載されているわけではない)の方法で使用しうる他の方法および緩衝液は、当該技術分野で公知であり、J.Sambrookら(前掲)に記載されている。
実施例7:In Situハイブリダイゼーション
この方法は、検出可能な核酸ハイブリダイゼーションプローブを使用して細胞中の特異的標的核酸配列を直接検出するのに有用である。
細胞RNAの保持を最大にするためのパラホルムアルデヒド、グルタルアルデヒドなどの架橋固定剤を用いて、組織を調製する。L.Angererら,Methods in Cell Biol.35:37-71(1991)を参照されたい。簡単に説明すると、該組織を、50mMリン酸ナトリウム(pH7.5)中の5容量以上の1%グルタルアルデヒド中に4℃で30分間放置する。該溶液を、新鮮なグルタルアルデヒド溶液(1%グルタルアルデヒド、50mMリン酸ナトリウム中(pH7.5))と交換して、さらに30分間固定する。該固定溶液は、約0.375%NaClの浸透圧モル濃度を有するべきである。該組織を等張NaCl中で1回洗浄して、該リン酸を除去する。
ついで該固定化組織を、以下のとおり、パラフィン中に包埋する。50%(2回)、70%(2回)、85%、90%、ついで100%(2回)の一連のエタノール濃度により、それぞれ15分間、該組織を脱水する。つぎに、該組織をキシレン(2回交換)に、室温でそれぞれ20分間漬ける。ついで該組織を、キシレンおよびパラフィンの1:1混合物(2回交換)に60℃でそれぞれ20分間、ついでパラフィン(3回の最終交換)にそれぞれ15分間漬ける。
つぎに、該組織を、標準的なミクロトームを使用して5μmの切片に切断し、3-アミノプロピルトリエトキシシランなどの組織接着剤で予め処理されたスライド上に配置する。
キシレンに10分間2回漬けることにより、該組織からパラフィンを除去し、99%(2回)、95%、85%、70%、50%、30%の一連のエタノール濃度中、ついで蒸留水(2回)中で再水和化する。該切片を、0.2M HClで10分間、前処理し、37℃で15分間、2μg/mlプロテイナーゼKで透過性を上昇させる。
BS106遺伝子プラスミドから転写された標識リボプローブ(実施例4を参照されたい)を、その調製された組織切片にハイブリダイズさせ、3×標準食塩水抽出物および50%ホルムアミド中、56℃で一晩インキュベートする。2×標準クエン酸食塩水および50%ホルムアミド中で洗浄し、ついで100μg/ml RNアーゼAで37℃で30分間消化することにより、過剰なプローブを除去する。蛍光プローブを、顕微鏡下での紫外(UV)光による照明により可視化する。細胞質中の蛍光は、BS106 mRNAを示している。別法として、該切片をオートラジオグラフィーで可視化することができる。
実施例8:逆転写PCR
A.一工程RT-PCRアッセイ
当該技術分野で公知の方法を用いる逆転写PCRにより前記標的配列を検出するために、標的特異的プライマーを設計する。一工程RT-PCRは、RTおよびPCRの両方を単一反応混合物中で行なう逐次的方法である。該方法は、50mM(N,N-ビス[2-ヒドロキシエチル]グリシン)(pH8.15)、81.7mM KOAc、33.33mM KOH、0.01mg/mlウシ血清アルブミン、0.1mMエチレンジアミン四酢酸、0.02mg/ml NaN3、8%w/vグリセロール、150μMの各dNTP、0.25μMの各プライマー、5U rTthポリメラーゼ、3.25mM Mn(OAc)2および5μlの標的RNA(実施例3を参照されたい)を含有する200μlの反応混合物中で行なう。RNAおよび該rTthポリメラーゼ酵素は、Mn(OAc)2の存在下では不安定であるため、該Mn(OAc)2は、標的の添加の直前に加えるべきである。当業者であれば、cDNA合成およびサーマルサイクリングのための最適条件を容易に決定することが可能である。該反応を、Perkin-Elmer Thermal Cycler480中でインキュベートする。当業者であれば、cDNA合成およびサーマルサイクリングのための最適条件を容易に決定することが可能である。有用であると考えられる条件には、60℃〜70℃で15〜45分間のcDNA合成、および94℃で1分間、55〜70℃で1分間、72℃で2分間の30〜45サイクルの増幅が含まれる。また、一工程RT-PCRは、Taqポリメラーゼと逆転写酵素(例えば、MMLVまたはAMV RT酵素)とを使用する二重酵素法を用いて行なうことができる。
B.伝統的なRT-PCR
伝統的な二工程RT-PCR反応を、K.Q.Huら,Virology 181:721-726(1991)に記載のとおりに行なった。簡単に説明すると、0.5μgの抽出されたmRNA(実施例3を参照されたい)を、1×PCR II緩衝液(Perkin-Elmer)、5mM MgCl2、1mM dNTP、20U RNasin、2.5μMランダムヘキサマーおよび50U MMLV(モロニーマウス白血病ウイルス)逆転写酵素(RT)を含有する20μlの反応混合物中で逆転写した。逆転写は、PE-480サーマルサイクラー中、室温で10分間、42℃で60分間行ない、ついで95℃で5分間インキュベートして、該RTを不活性化した。PCRは、10mM Tris-HCl(pH8.3)、50mM KCl、2mM MgCl2、200μM dNTP、0.5μMの各センスおよびアンチセンスプライマー(それぞれ配列番号12および配列番号13)および2.5UのTaqポリメラーゼを含有する50μlの最終PCR反応容量中、2μlの該cDNA反応液を使用して行なった。該反応を、MJ Research Model PTC-200中で以下のとおりにインキュベートした:40サイクルの増幅(94℃で20秒間、58℃で30秒間、72℃で30秒間)、最終伸長(72℃で10分間)および4℃での浸漬。
C.PCR断片の分析
正しい産物を、SYBR▲R▼ Green核酸ゲル染色(Molecular Probes,Eugene,OR)によるゲル電気泳動を用いるサイズの決定により確認した。ゲルは、1×TBE中の1:10,000希釈のSYBR Green Iで45分間染色した。ついでゲルを1×TBE中で30分間脱染色し、STORMイメージングシステムを用いてイメージングした(図4Aおよび4Bを参照されたい)。図4Aは、正常(レーン1〜5)および癌性(レーン6〜10)の両方の乳房組織のRNAに由来する201塩基の位置のDNAバンドを示す。このバンドは、BS106 mRNA特異的RT-PCR産物を示す。図4Bに示すとおり、肺(レーン1〜5)または結腸(レーン6〜10)の組織から単離されたRNAを用いた場合には、該産物は検出されなかった。配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5およびそれらの断片または相補体よりなる群から選ばれる配列を含む産物の検出は、BS106 mRNAの存在を示し、乳癌などの乳房組織の疾患または状態の診断を示唆する。
実施例9:OH-PCR
A.プローブの選択および標識
オリゴヌクレオチドハイブリダイゼーションPCRにより前記標的配列を検出するために、標的特異的プライマーおよびプローブを設計する。1992年6月25日付け公開の国際公開WO 92/10505および1992年7月9日付け公開のWO 92/11388は、それぞれ5′末端および3′末端でオリゴヌクレオチドを標識するための方法を開示している。オリゴヌクレオチドを標識するための1つの公知方法によれば、標識−ホスホルアミジット試薬を調製し、それを使用して、該標識を該オリゴヌクレオチドに、その合成中に付加する。例えば、N.T.Thuongら,Tet.Letters 29(46):5905-5908(1988)またはJ.S.Cohenら,公開されている米国特許出願第07/246,688号(NTIS ORDER No.PAT-APPL-7-246,688)(1989)を参照されたい。好ましくは、プローブを、その3′末端で標識して、PCRへの関与および望ましくない伸長産物の形成を妨げる。一工程OH-PCRでは、該プローブは、該プライマーのTMより少なくとも15℃低いTMを有するべきである。当該技術分野でよく知られている標準的なホスホルアミジット化学および/または合成後標識法を用いて、該プライマーおよびプローブを、検出可能な標識を有する又は有さない特異的結合メンバーとして使用する。
B.一工程オリゴハイブリダイゼーションPCR
50mM(N,N-ビス[2-ヒドロキシエチル]グリシン)(pH8.15)、81.7mM KOAc、33.33mM KOH、0.01mg/mlウシ血清アルブミン、0.1mMエチレンジアミン四酢酸、0.02mg/ml NaN3、8% w/vグリセロール、150μMの各dNTP、0.25μMの各プライマー、3.75nMのプローブ、5U rTthポリメラーゼ、3.25mM Mn(OAc)2および標的の血液等価体5μl(実施例3を参照されたい)を含有する200μlの反応中で、OH-PCRを行なう。RNAおよび該rTthポリメラーゼ酵素は、Mn(OAc)2の存在下では不安定であるため、該Mn(OAc)2は、標的の添加の直前に加えるべきである。該反応を、Perkin-Elmer Thermal Cycler480中でインキュベートする。当業者であれば、cDNA合成およびサーマルサイクリングのための最適条件を容易に決定することが可能である。有用であると考えられる条件には、cDNA合成(60℃、30分間)、30〜45サイクルの増幅(94℃で40秒間、55〜70℃で60秒間)、オリゴ−ハイブリダイゼーション(97℃で5分間、15℃で5分間、15℃での浸漬)が含まれる。正しい反応産物は、該PCR産物の鎖の少なくとも1つと、内部でハイブリダイズしたプローブとを含有する。
C.OH-PCR産物の分析
増幅反応産物を、LCx▲R▼分析系(Abbott Laboratories,Abbott Park,ILから入手可能)上で検出する。簡単に説明すると、抗体で標識された微粒子により、該PCR産物鎖上または該ハイブリダイゼーションプローブ上の捕捉可能部位で、正しい反応産物を捕捉させ、該プローブ上または該PCR鎖上の検出可能部位に対する検出可能な抗体結合体の結合により該複合体を検出する。該内部プローブにハイブリダイズしたPCR鎖を含有する複合体だけが、検出可能である。したがって、この複合体の検出は、BS106 mRNAの存在を示し、乳癌などの乳房の疾患または状態の診断を示唆する。
増幅された又は増幅されていないBS106由来核酸配列の存在を検出するために当業者が使用および/または修飾しうる多数の他の検出様式が存在し、それらには、リガーゼチェイン反応(LCR,Abbott Laboratories,Abbott Park,IL);Qβレプリカーゼ(Gene-TrakTM,Naperville,Illinois)、ブランチトチェイン(branched chain)反応(Chiron,Emeryville,CA)および鎖置換(strand displacement)アッセイ(Becton Dickinson,Research Triangle Park,NC)が含まれるが、これらに限定されるものではない。
実施例10:合成ペプチドの製造
それぞれ配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20で表される合成ペプチドを、BS106のオープンリーディングフレームの推定アミノ酸配列(配列番号16)に基づき製造した(実施例1を参照されたい)。すべてのペプチドは、Fmoc化学、標準的なサイクルおよびin situ HBTU活性化を用いてSymphony Peptide Synthesizer(Rainin Instrument Co,Emeryville Californiaから入手可能)上で合成した。切断および脱保護の条件は以下のとおりであった:2.5mlの容量の切断試薬(77.5% v/vトリフルオロ酢酸、15% v/vエタンジチオール、2.5% v/v水、5% v/vチオアニソール、1〜2%w/vフェノール)を該樹脂に加え、室温で2〜4時間攪拌した。ついで該濾液を取り出し、該ペプチドを冷ジエチルエーテルで該切断試薬から沈殿させた。ついで各ペプチドを濾過し、水/アセトニトリル/0.1%TFA勾配を用いる逆相分取HPLCで精製し、凍結乾燥した。該産物を質量分析で確認した(データは示していない)。
ついで該精製ペプチドをアジュバントと混合し、ウサギに注射した(実施例14を参照されたい)。別法として、該精製ペプチドを、グルタルアルデヒドでキーホールリンペットヘモシアニンに結合させ、アジュバントと混合し、ウサギに注射することも可能である(実施例14を参照されたい)。
実施例11a:プラスミド577を使用する、細胞系内でのタンパク質の発現
A.BS106発現プラスミドの構築
1995年6月7日付け出願の米国出願第08/478,073号に記載のプラスミド577は、永久細胞系内での分泌抗原の発現用に構築されている。このプラスミドは、以下のDNAセグメントを含有する:(a)細菌性β-ラクタマーゼとDNA複製起点とを含有するpBR322の2.3kbの断片、(b)HSV-1チミジンキナーゼプロモーターおよびポリA付加シグナルの制御下でネオマイシン耐性遺伝子の発現を指令する1.8Kbのカセット、(c)SV-40プロモーターおよびポリA付加シグナルの制御下でのジヒドロ葉酸レダクターゼ遺伝子の発現を指令する1.9Kbのカセット、(d)シミアンウイルス40 T-Agプロモーターおよび転写エンハンサー、B型肝炎ウイルス表面抗原(HBsAg)エンハンサーIおよびそれに続くポリA付加シグナルを与える単純ヘルペスウイルス1(HSV-1)ゲノムの断片の制御下で、修飾C型肝炎ウイルス(HCV)E2タンパク質に融合したウサギ免疫グロブリン重鎖シグナル配列の発現を指令する3.5Kbのカセット、(e)このプラスミド内で機能しないシミアンウイルス40ゲノム後期領域の、残りの0.7Kb断片。該ベクターの全セグメントを、分子生物学の当業者に公知の標準的な方法で合体させた。
選択可能なBS106タンパク質の発現のためのプラスミドは、プラスミド577中のC型肝炎ウイルスE2タンパク質コード配列を、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5およびそれらの断片または相補体よりなる群から選ばれるBS106ポリヌクレオチド配列で以下のとおりに置換することにより構築する。XbaIでのプラスミド577の消化により、C型肝炎ウイルスE2遺伝子断片が遊離する。得られたプラスミドバックボーンは、発現されたタンパク質を該細胞の分泌経路に導くウサギ免疫グロブリン重鎖シグナル配列の下流のBS106 cDNA挿入断片の挿入を可能にする。該BS106 cDNA断片は、標準的な方法を用いるPCRにより得る。該センスPCRプライマー配列内にコードされているのは、XbaI部位であり、その直後には、シグナルプロテアーゼのプロセシング、効率的な分泌および培養流体内の最終産物の安定性を向上させるアミノ酸配列Ser-Asn-Glu-Leu(「SNEL」)をコードする12ヌクレオチドの配列が続く。該プライマーは、この12ヌクレオチドの配列の直後に、BS106遺伝子のアミノ酸をコードする鋳型配列に相補的なヌクレオチドを含有する。該アンチセンスプライマーは、以下の8アミノ酸をコードする配列を、停止コドンの直前に取込む:Asp-Tyr-Lys-Asp-Asp-Asp-Asp-Lys(配列番号21)。この配列内に、BS106タンパク質産物の分析および精製を容易にするための認識部位が取込まれる。坑FLAG M2(Eastman Kodak,Co.,New Haven,CT)と称される商業的に入手可能なモノクローナル抗体に認識される認識部位(「FLAG」と称される)ならびに他の比較しうる配列およびそれらの対応抗体を使用することが可能である。例えば、Perkin-Elmer-Cetusから入手されるGeneAmp▲R▼試薬を供給業者の指示に従い使用して、PCRを行なう。PCRプライマーは、0.5μMの最終濃度で使用する。PCRは、BS106プラスミド鋳型上、100μlの反応液中、35サイクル(94℃で30秒間、55℃で30秒間、72℃で90秒間)、ついで72℃で10分間の伸長サイクルで行なう。
B.ジヒドロ葉酸レダクターゼ欠損チャイニーズハムスター卵巣細胞へのトランスフェクション
前記プラスミドをCHO/dhfr細胞(DXB-111,Uriacioら,PNAS 77:4451-4466(1980))中にトランスフェクトする。これらの細胞は、A.T.C.C.,12301 Parklawn Drive,Rockville,MD 20852から受託第CRL 9096号として入手可能である。トランスフェクションは、P.L.Felgnerら,PNAS 84:7413-7414(1987)に記載のカチオニックリポソーム媒介法を用いて行なう。特に、CHO/dhfr細胞を、10%ウシ胎仔血清、L-グルタミン(1mM)で補足されたHam F-12培地内で培養し、フラスコ内に5〜8×105細胞/フラスコの密度で新たに播く。トランスフェクションのために、60〜80%の集密度になるまで該細胞を増殖させる。20マイクログラム(20μg)のプラスミドDNAを1.5mlのOpti-MEM I培地に加え、100μlのLipofectin Reagent(Gibco-BRL;Grand Island,NY)を、Opti-MEM I培地のもう1つの1.5ml部分に加える。それらの2つの溶液を混合し、室温で20分間インキュベートする。該培地を該細胞から除いた後、該細胞を5mlのOpti-MEM I培地で3回リンスする。ついで該Opti-MEM I-Lipofectin-プラスミドDNA溶液を該細胞上に重層する。該細胞を37℃で3時間インキュベートし、ついで該Opti-MEM I-Lipofectin-DNA溶液を、選択前に更に24時間、培地と交換する。
C.選択および増幅
トランスフェクションの1日後に、細胞を1:3継代し、dhfr/G418選択培地(以下、「F-12マイナス培地G」と称する)と共にインキュベートする。選択培地は、L-グルタミンを含有しヒポキサンチン、チミジンおよびグリシンを含有しないHam F-12(JRH Biosciences,Lenexa,Kansas)ならびに300μg/mlのG418(Gibco-BRL;Grand Island,NY)である。培地の容量対表面積比を、5ml/25cm2に維持する。約2週間後、F-12マイナス培地G内での継代および連続的維持が可能となるようにDHFR/G418細胞を増殖させる。
トランスフェクトしたBS106 cDNA配列のそれぞれの増幅は、メトトレキセートによるDHFR+、G418+細胞の逐次的選択により行なう(R.Schimke,Cell 37:705-713(1984)の総説)。耐性コロニーが出現するまで、150nMメトトレキセート(MTX)(Sigma,St.Louis,MO)を含有するF-12マイナス培地Gと共に細胞を約2週間インキュベートする。さらに、遺伝子増幅を、5μM MTXによる150nM適合細胞の選択により行なう。
D.抗原の産生
5μM MTXで補足されたF-12マイナス培地Gを、ちょうど集密な単層上に5%CO2中37℃で12〜24時間重層する。該増殖培地を除き、該細胞をDulbeccoリン酸緩衝食塩水(PBS)(カルシウムおよびマグネシウムを含有)(Gibco-BRL:Gland Island,NY)で3回リンスして、存在しうる残りの培地/血清を除く。ついで細胞を、VAS特注(custom)培地(HEPESと共にL-グルタミンを含有しフェノールレッドを含有しないVAS特注製剤、JRH Bioscience;Lenexa KSから入手可能、製品番号52-08678P)と共に、5%CO2中37℃で1時間インキュベートする。ついで細胞を、5ml/Tフラスコで製造するためにVASで覆う。7日間のインキュベーションの後、培地を除去し、維持し、ついで収穫2、3および4と共に精製するまで凍結する。3回の7日間の収穫のために、該単層をVASで覆う。
E.乳房組織遺伝子BS106抗原の発現の分析
BS106タンパク質構築物を発現する細胞からのVAS上清のアリコートを、標準的な方法および当該技術分野で公知の試薬(Laemmli不連続ゲル)を用いるSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)により、または質量分析により分析する。
F.精製
ヒドラジン結合でアガロースに共有結合している抗FLAG M2モノクローナル抗体を含むアフィニティーマトリックス(Eastman Kodak Co.,New Haven,CT)を使用するイムノアフィニティークロマトグラフィーにより、FLAG配列を含有するBS106タンパク質の精製を行なう。アフィニティー精製の前に、ローラーボトルからのプール化VAS培地収穫物中のタンパク質を、Sephadex G-25(Pharmacia Biotech Inc.,Uppsala,Sweden)カラムを使用して50mM Tris-HCl(pH7.5)、150mM NaCl緩衝液中に交換する。この緩衝液中のタンパク質を、抗FLAG M2抗体アフィニティーカラムに適用する。該カラムを50mM Tris-HCl(pH7.5)、150mM NaCl緩衝液で洗浄することにより、未結合タンパク質を溶出する。50mM Tris-HCl(pH7.5)、150mM NaCl中の過剰のFLAGペプチドを使用して、結合タンパク質を溶出する。その過剰のFLAGペプチドは、ゲル電気泳動またはHPLCにより該精製BS106タンパク質から除去することができる。
この実施例ではプラスミド577を使用しているが、比較しうる他の発現系(例えば、CMV)を、試薬および/または技術に適当な改変を加えて本発明で使用することが可能であることが当業者に公知であり、当業者の技量の範囲内に含まれる。
BS106遺伝子のコード領域を含有する最大のクローン化挿入断片を、(i)例えばサイトメガロウイルス(CMV)プロモーターおよび/またはタンパク質融合可能配列(タンパク質の発現および検出を助けるもの)を含有しうる真核発現ベクター、または(ii)スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)およびCMP-KDOシンターゼ(CKS)または他のタンパク質融合遺伝子(該タンパク質配列の発現のためのもの)を含有する細菌性発現ベクター中にサブクローニングする。SODの融合配列を含有するポリペプチドの製造に有用な方法およびベクターは、1986年10月1日付け公開のEPO 0196056に記載されており、CKSの融合配列を含有するものは、1989年9月13日付け公開のEPO公開第0331961号に記載されている。このようにして精製したタンパク質は、動物の免疫研究、固相イムノアッセイなどを含む(これらに限定されるものではない)種々の技術において使用することができる。
実施例11b:pcDNA3.1/Myc-Hisを使用する、細胞系内でのタンパク質の発現
A.BS106発現プラスミドの構築
プラスミドpcDNA3.1/Myc-His(Cat.# V855-20,Invitrogen,Carlsbad.CA)は、これまでに、ほとんどの哺乳動物細胞系による分泌抗原の発現用に構築されている。発現されるタンパク質挿入断片は、myc-hisペプチドタグと融合している。該myc-hisタグ(配列番号22)は、抗mycもしくは抗hisアフィニティーカラムまたは金属タンパク質結合カラムを使用する発現融合タンパク質の精製に有用なc-myc腫瘍タンパク質エピトープおよびポリヒスチジン配列を含む。
分泌可能なBS106タンパク質の発現用のプラスミドは、クローン1662885由来のBS106ポリヌクレオチド配列をpcDNA3.1/Myc-Hisベクター中に挿入することにより構築した。該BS106発現プラスミドを構築する前に、まず該BS106 cDNA配列をpCR▲R▼-Bluntベクター中にクローニングした。該BS106 cDNA断片は、Stratageneから入手可能なStratagene▲R▼試薬を供給業者の指示に従い使用して行なうPCRにより産生させた。PCRプライマーは、0.5μMの最終濃度で使用する。5Uのpfuポリメラーゼ(Stratagene,La Jolla,CA)を使用するPCRを、BS106プラスミド鋳型(実施例2)上、50μlの反応液中、30サイクル(94℃で1分間、65℃で1.5分間、72℃で3分間)およびそれに続く72℃で8分間の伸長サイクルで行なった。該センスPCRプライマー配列(配列番号14)は、該BS106遺伝子挿入断片の直ぐ上流のpINCYベクターと同一のヌクレオチドを含む。該アンチセンスプライマー(配列番号15)は、5′NotI制限配列と、最も3′側のインフレーム停止コドンの直ぐ上流のBS106 cDNA挿入断片の3′末端に相補的な配列とを取込む。得られた平滑末端化PCR産物の5マイクロリットル(5μl)を、25ngの線状化pCR▲R▼-Bluntベクター(Invitrogen,Carlsbad,CA)中に連結して、該ベクターの致死ccdB遺伝子を遮断した。One ShotTM形質転換キット(Invitrogen,Carlsbad,CA)を供給業者の指示に従い使用して、得られた連結ベクターをTOP10大腸菌(E.coli)(Invitrogen,Carlsbad,CA)中に形質転換した。該形質転換細胞を、LB-Kan(50μg/mlカナマイシン)選択プレート上、37℃で増殖させた。遮断されたccdB遺伝子を有するプラスミドを含有する細胞だけが、形質転換後に増殖した(Grant,S.G.N.,PNAS 87:4645-4649(1990))。形質転換されたコロニーを拾い、3mlのLB-Kanブロス中、37℃で増殖させた。QIAprep▲R▼(Qiagen Inc.,Santa Clarita,CA)方法を製造業者の指示に従い使用して、プラスミドDNAを単離した。該DNAをEcoRIおよびNotI制限酵素で消化して、BS106挿入断片を遊離させた。該断片を1%Seakem▲R▼ LEアガロース(FMC,Rockland,ME)/0.5μg/ml臭化エチジウム/TEゲル上で電気泳動し、UV照明により可視化し、QIAquickTM(Qiagen Inc,Santa Clarita,CA)法を供給業者の指示に従い使用して切り出し精製した。
pcDNA3.1/Myc-HisプラスミドDNAを、該プラスミドDNAのポリリンカー領域中に存在するEcoRIおよびNotI部位での消化により線状化した。前記のBS106精製断片を、CMVプロモーターの下流の、得られたプラスミドDNAバックボーンにライゲーションし、供給業者の指示に従いDH5アルファTM細胞(GibcoBRL Gaithersburg,MD)中に形質転換した。簡単に説明すると、BS106挿入断片を含有する10ngのpcDNA3.1/Myc-Hisを、50μlのコンピテントDH5アルファ細胞に加え、該含有物を穏やかに混合した。該混合物を氷上で30分間インキュベートし、37℃で20秒間加熱し、氷上に更に2分間放置した。0.95mlのLB培地を加えたら、225rpmで振とうしながら該混合物を37℃で1時間インキュベートした。ついで該形質転換細胞を100mm LB/Amp(50μg/mlアンピシリン)プレート上にプレーティングし、37℃で増殖させた。コロニーを拾い、3mlのLB/アンピシリンブロス中で増殖させた。QIAprepキットを使用して、プラスミドDNAを精製した。該挿入断片の存在は、制限酵素消化およびゲル分析(J.Sambrookら,前掲)により確認した。
B.ヒト胎児腎293細胞のトランスフェクション
前記A節に記載のBS106発現プラスミドを、DH5アルファ細胞中に再形質転換し、LB/アンピシリン寒天上にプレーティングし、10mlのLB/アンピシリンブロス中で増殖させる(前記のとおり)。該プラスミドを、QIAfilterTM Maxiキット(Qiagen,Chatsworth,CA)を使用して精製し、HEK293細胞(F.L.Grahamら,J.Gen.Vir.36:59-72(1977))中にトランスフェクトした。これらの細胞は、A.T.C.C.,12301 Parklawn Drive,Rockville,MD 20852から、受託番号CRL 1573として入手可能である。P.Hawley-Nelsonら,Focus 15:73(1993)に記載のカチオニックリポフェクタミン媒介法を用いて、トランスフェクションを行なった。特に、HEK293細胞を、10%ウシ胎仔血清(FBS)、L-グルタミン(2mM)で補足された10ml DMEM培地内で培養し、12×100mm培養プレート内に8×106細胞/プレートの密度で新たに播いた。トランスフェクションのために、70〜80%のコンフルエンシーになるまで該細胞を37℃で増殖させる。8マイクログラム(8μg)のプラスミドDNAを800μlのOpti-MEM I▲R▼培地(Gibco-BRL;Grand Island,NY)に加え、48〜96μlのLipofectamineTM Reagent(Gibco-BRL;Grand Island,NY)を、Opti-MEM I培地のもう1つの800μl部分に加えた。それらの2つの溶液を混合し、室温で15〜30分間インキュベートした。該培地を該細胞から除いた後、該細胞を10mlの無血清DMEM培地で1回洗浄した。ついで該Opti-MEM I-Lipofectamine-プラスミドDNA溶液を、6.4mlの無血清DMEM中に希釈し、該細胞上に重層した。該細胞を37℃で5時間インキュベートし、ついで20%FBSを含有する追加的な8mlのDMEMを加える。18〜24時間後、その古い培地を吸引し、該細胞に、10%FBSを含有する5mlの新鮮なDMEMを重層した。トランスフェクションの72時間後に、上清および細胞抽出物を、BS106遺伝子活性に関して分析した。
C.乳房組織遺伝子BS106抗原の発現の分析
前記培養上清を、低温チューブ(cryotube)に移し、氷上で保存した。HEK293細胞を、10mlの冷Dulbecco PBSで2回洗浄し1.5mlのCAT溶解緩衝液(Boehringer Mannhein,Indianapolis,IN)を加えて溶解することにより収穫し、ついで室温で30分間インキュベートした。ライセートを1.7mlポリプロピレンミクロ遠心管に移し、1000×gで10分間遠心した。該上清を新たな低温チューブに移し、氷上で保存した。細胞からの上清のアリコートと、該BS106タンパク質構築物を発現する細胞のライセートとを、BS106組換えタンパク質の存在に関して分析した。当該技術分野で公知の標準的な方法および試薬を用いるSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)により、該アリコートを分析した(J.Sambrookら,前掲を参照されたい)。特に、サンプルを、Tricine緩衝液(Novex,San Diego,CA)で所望のタンパク質濃度に調整し、等容量の2×Tricineサンプル緩衝液(Novex,San Diego,CA)と混合し、サーマルサイクラー中100℃で5分間加熱した。ついでサンプルを、プレキャストされたNovex10〜20%Tricineゲル(Novex,San Diego,CA)に適用して、電気泳動した。電気泳動後、サンプルを該ゲルからNovex Tris-グリシントランスファー緩衝液中のNovexニトロセルロースメンブレンに電気泳動的にトランスファーした。該BS106タンパク質のバンドを、抗mycエピトープモノクローナル抗体(Invitrogen Carlsbad,CA)を1:5000の希釈度で使用するウエスタンブロット法により可視化し、Western Lights Plus化学発光検出試薬(Tropix,Bedford,MA)に結合させた。該細胞ライセートは、抗mycモノクローナル抗体で特異的に染色された以下の2つの濃いバンドを示した:約20kDの明らかなバンド、および約120〜200kDのより広いバンド。該上清は、BS106の細胞内型と分泌型との間の翻訳後修飾の相違を示す30〜45kDの単一の濃い広いバンドを与えた。別法として、抗BS106ポリクローナル血清(実施例14を参照されたい)を使用して該組換えBS106タンパク質を検出したり、あるいは該発現BS106組換えタンパク質を質量分析により分析することができる(実施例12を参照されたい)。
D.精製
ポリヒスチジン残基に特異的に結合するニッケル充填アガロース樹脂を含有するXpress▲R▼アフィニティークロマトグラフィー系(Invitrogen Carlsbad,CA)を使用して、myc-his配列を含有するBS106組換えタンパク質の精製を行なう。前記のとおりに調製した、10×100mmプレートからの上清を、プールし、該ニッケル充填カラムに通す。該カラムを50mM Tris-HCl(pH7.5)/150mM NaCl緩衝液で洗浄することにより、非結合タンパク質を溶出すると、myc-his融合タンパク質だけが残る。ついで、過剰のイミダゾールもしくはヒスチジンまたは低pH緩衝液を使用して、結合BS106組換えタンパク質を該カラムから溶出する。別法として、ヒドラジンまたは他の結合によりアガロース樹脂に結合した抗mycまたは抗ヒスチジンモノクローナル抗体よりなるアフィニティーカラムにmyc-his配列にて結合させ、それぞれ過剰のmycペプチドまたはヒスチジンで溶出することにより、該組換えタンパク質を精製することも可能である。
ついで該精製組換えタンパク質を、N-ヒドロキシスクシンイミド活性化セファロースカラム(Pharmacia Biotech,Piscataway,NJ)などの固相に供給業者の指示に従い共有的に架橋することができる。ついで、共有結合したBS106組換えタンパク質を含有するこれらのカラムを使用して、ウサギまたはマウス血清から抗BS106抗体を精製することができる(実施例13および14を参照されたい)。
E.BS106発現タンパク質によるマイクロタイタープレートのコーティング
前記100mmプレートからの上清を、適当な容量のPBS中に希釈する。ついで、得られた混合物の100μlを、Reaci-BindTM金属キレートマイクロタイタープレート(Pierce,Rockford,IL)の各ウェル中に配置し、振とうしながら室温でインキュベートし、ついで0.05% Tween▲R▼20を含有するそれぞれ200μlのPBSで3回洗浄する。ついで、その調製されたマイクロタイタープレートを使用して、抗BS106抗体の存在に関してポリクローナル抗血清をスクリーニングすることができる(実施例17を参照されたい)。
この実施例ではpcDNA3.1/Myc-Hisを使用しているが、他の比較しうる発現系を、試薬および/または技術に適当な改変を加えて本発明で使用することが可能であることが当業者に公知であり、当業者の技量の範囲内に含まれる。該BS106遺伝子のコード領域を含有する最大のクローン化挿入断片を、(i)例えばサイトメガロウイルス(CMV)プロモーターおよび/またはタンパク質融合可能配列(タンパク質の発現および検出を助けるもの)を含有しうる真核発現ベクター、または(ii)スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)およびCMP-KDOシンターゼ(CKS)または他のタンパク質融合遺伝子(該タンパク質配列の発現のためのもの)を含有する細菌性発現ベクター中にサブクローニングする。SODの融合配列を含有するポリペプチドの製造に有用な方法およびベクターは、1986年10月1日付け公開の欧州特許出願EP 0 196 056に記載されており、CKSの融合配列を含有するベクターは、1989年9月13日付け公開の欧州特許出願EP 0 331 961号に記載されている。該精製タンパク質は、動物の免疫研究、固相イムノアッセイなどを含む種々の技術において使用することができる。
実施例12:乳房組織タンパク質の化学的分析
A.MSによるトリプシンペプチド断片の分析
乳癌などの乳房疾患を有する患者からの血清、乳房疾患を有さない患者からの血清、乳癌などの乳房疾患を有する患者からの乳房組織または細胞の抽出物、乳房疾患を有さない患者からの乳房組織または細胞の抽出物、および患者の他の非疾患または疾患器官からの組織または細胞の抽出物を、標準的な方法を用いてポリアクリルアミドゲル上で移動させ、クーマシーブルーで染色する。該未知ポリペプチドを含有する疑いのあるゲルの切片を切り出し、ゲル内還元、アセトアミド化およびトリプシン消化に付す(P.Jenoら,Anal.Bio.224:451-455(1995)およびJ.Rosenfeldら,Anal.Bio.203:173(1992))。該ゲル切片を100mM NH4HCO3およびアセトニトリルで洗浄する。収縮したゲル片を、消化緩衝液(50mM NH4HCO3、5mM CaCl2および12.5μg/mlトリプシン)中、4℃で45分間膨潤させる。該上清を吸引し、トリプシンを含有しない5〜10μlの消化緩衝液と置換し、37℃で一晩インキュベートする。ペプチドを、5%ギ酸およびアセトニトリルの3回の交換により抽出し、蒸発乾固させる。該ペプチドを、延伸したガスクロマトグラフィー毛管の先端に捕捉された約0.1μlのPOROS R2吸着剤(Perseptive Biosystems,Framingham,Massachusetts)に、それらを10μlの5%ギ酸に溶解しそれを該毛管に通すことにより吸着させる。吸着したペプチドを水洗し、60%メタノール中の5%ギ酸で溶出する。ナノエレクトロスプレー質量分析による分析のために、該溶出液をAPI III質量分析計(Perkin-Elmer Sciex,Thornhill,Ontario,Canada)の噴霧毛管中に直接通過させる(M.Wilmら,Int.J.Mass Spectrom.Ion Process 136:167-180(1994)およびM.Wilmら,Anal.Chem.66:1-8(1994))。該トリプシンペプチドの質量を、第1四極子から得た質量スペクトルから測定する。さらに、予想されるペプチドに対応する質量をMS/MSモードで分析して、該ペプチドのアミノ酸配列を得ることができる。
B.LC/MSによるペプチド断片の分析
また、増殖性疾患組織中で見出されたmRNA配列から推定されるポリペプチドの存在を、液体クロマトグラフィー/タンデム質量分析法(LC/MS/MS)で確認することができる(D.Hessら,METHODS.A Companion to Methods in Enzymology 6:227-238(1994))。該患者からの血清試料または腫瘍抽出物をSDSで変性させ、ジチオトレイトール(1.5mg/ml)で90℃で30分間還元し、ついでヨードアセトアミド(4mg/ml)で25℃で15分間アルキル化する。アクリルアミド電気泳動の後、該ポリペプチドをカチオンメンブレン上にエレクトロブロットし、クーマシーブルーで染色する。染色後、該メンブレンを洗浄し、該未知ポリペプチドを含有すると考えられる切片を切断し、小片に切断する。該メンブレンを500μlミクロ遠心管中に配置し、10〜20μlのタンパク質分解消化緩衝液(0.1M NaCl、10%アセトニトリル、2mM CaCl2および5μg/mlトリプシンを含有する100mM Tris-HCl、pH8.2)(Sigma,St.Louis,MO)に漬ける。37℃で15時間後、3μlの飽和尿素および1μlの100μg/mlトリプシンを加え、さらに37℃で5時間インキュベートする。該消化混合物を3μlの10%トリフルオロ酢酸で酸性化し、遠心して、上清をメンブレンから分離する。該上清をミクロボア逆相HPLCカラム上に直接注入し、0.05%トリフルオロ酢酸中のアセトニトリルの直線勾配で溶出する。該溶出液を、物質の容量を調節するために必要に応じて流動スプリッターに通した後、エレクトロスプレー質量分析計に送り込む。実施例12第A節に記載の方法に従い、データを分析する。
実施例13:遺伝子免疫化プロトコール
A.インビトロでの抗原の発現
遺伝子免疫化(gene immunization)は、適当な発現ベクターの接種後に抗原をインビボで直接発現させることにより、タンパク質の精製工程を不要にする。また、この方法による抗原の産生は、正しいタンパク質フォールディングおよびグリコシル化を可能にしうる。なぜなら、該タンパク質は、哺乳動物組織内で産生されるからである。該方法では、CMVプロモーターを含有するプラスミド内への該遺伝子配列の挿入、該プラスミドの増殖および精製、ならびに動物の筋肉組織内への該プラスミドDNAの注入を行なう。好ましい動物には、マウスおよびウサギが含まれる。例えば、H.Davisら,Human Molecular Genetics 2:1847-1851(1993)を参照されたい。1回または2回のブースター免疫化の後、該動物を出血させ、腹水液を集めたり、あるいはハイブリドーマの産生のために該動物の脾臓を採集することができる。
B.プラスミドの調製および精製
EcoRIおよびNotI制限酵素での消化により、実施例11bに記載のBS106ベクターからBS106 cDNA挿入断片を遊離させた。消化されたプラスミド断片を1% Seakem KEアガロース/0.5μg/ml臭化エチジウム/TEゲル上で電気泳動し、該バンドをUV照明により可視化した。前記のQIAquick法を用いて、該挿入断片を該ゲルから切り出し、精製する。該断片を、EcoRI/NotIで消化されたpcDNA3.1ベクター(Invitrogen,Carlsbad,CA)中にライゲーションし、DH5アルファ細胞中に形質転換した(前記のとおり)。QIAprepカラムを用いて、該プラスミドDNAを該細菌ライセートから精製した。これらのすべての技術は、分子生物学の当業者に良く知られているものである。
C.免疫化プロトコール
麻酔した動物を、PBSまたは他のDNA取込み増強剤(Cardiotoxin、25%ショ糖)中に希釈された0.1〜100μgの該精製プラスミドで筋肉内にて免疫する。例えば、H.Davisら,Human Gene Therapy 4:733-740(1993)およびP.W.Wolffら,Biotechniques 11:474-485(1991)を参照されたい。1回または2回のブースター注射を、1ヵ月間隔で行なう。
D.抗血清の試験および使用
動物を出血させ、得られた血清を、当該技術分野で公知の技術(例えば、ウエスタンブロット法またはEIA技術)により、公知遺伝子配列から合成されたペプチドを使用して抗体に関して試験する。ついで、この方法により産生した抗血清を使用して、患者の組織もしくは細胞抽出物中または患者の血清中の抗原の存在をELISAまたはウエスタンブロット法(例えば、実施例15〜18に記載のもの)で検出することができる。
実施例14:BS106に対する抗体の製造
A.ポリクローナル抗血清の製造
BS106コンセンサス配列(配列番号4)の推定アミノ酸配列に由来する配列を有するペプチドをウサギに注射することにより、BS106に対する抗血清を調製する。ペプチド(配列番号17、配列番号18、配列番号19および配列番号20)の合成は、実施例10に記載されている。
1.ペプチドの結合
マレイミド活性化キーホールリンペットヘモシアニン(KLH、Imject▲R▼として商業的に入手可能、Pierce Chemical Company,Rockford,ILから入手可能)にペプチドを結合させる。Imject▲R▼は、ヘモシアニン1モル当たり約250モルの反応性マレイミド基を含有する。該活性化KLHを、約7.7mg/mlの濃度でリン酸緩衝食塩水(PBS、pH8.4)溶解する。該ペプチドは、該ペプチド配列中に存在するシステインを介して結合させるか、または結合点を付与するために該合成ペプチドに予め付加されたシステインに結合させる。該ペプチドをジメチルスルホキシド(DMSO,Sigma Chemical Company,St.Louis,MO)に溶解し、該KLHに結合している反応性マレイミド1モル当たりペプチド約1.5モルのモル比で該活性化KLHと反応させる。ペプチドの結合のための方法は、後記で説明する。そのような方法における量、時間および条件を種々変化させてペプチド結合を最適化することが可能であることは、当業者に公知である。
後記の結合反応は、約0.77μモルの反応性マレイミド基を含有する3mgのKLHペプチド結合体(「結合ペプチド」)の入手に基づく。ペプチド結合体のこの量は、通常、ポリクローナル抗血清をウサギに産生させるための1回の初回注射および4回のブースター注射に適したものである。簡単に説明すると、ペプチドをDMSOに、DMSO 100μl当たり1.16μモルの濃度で溶解する。100μlの該DMSO溶液を、前記のとおりに調製した活性化KLH溶液380μlに加え、20μlのPBS(pH8.4)を加えて容量を500μlにする。該反応を、攪拌しながら室温で一晩インキュベートする。該反応混合物中の未反応チオールの量を測定することにより、反応の度合を判定する。チオールの出発濃度と最終濃度との差が、該活性化KLHに結合したペプチドの濃度と考えられる。残存チオールの量を、Ellman試薬(5,5′-ジチオビス(2-ニトロ安息香酸)、Pierce Chemical Company,Rockford,IL)を使用して測定する。35mgのシステインHCl(Pierce Chemical Company,Rockford,IL)を10mlのPBS(pH7.2)に溶解し、該ストック溶液を所望の濃度まで希釈することにより、システイン標準物を0、0.1、0.5、2、5および20mMの濃度で作製する。Immulon 2▲R▼マイクロウェルプレート(Dynex Technologies,Chantilly,VA)の各ウェル内に200μlのPBS(pH8.4)を配置することにより、チオール濃度の光度的測定を行なう。つぎに、10μlの標準物または反応混合物を各ウェルに加える。最後に、PBS(pH8.4)中1mg/mlの濃度のEllman試薬20μlを各ウェルに加える。該ウェルを室温で10分間インキュベートし、全ウェルの吸光度をマイクロプレートリーダー(例えば、BioRad Model 3550,BioRad,Richmond,CA)で415nmにて読取る。該標準物の吸光度を用いて標準曲線を作成し、該反応混合物のチオール濃度を該標準曲線から求める。遊離チオールの濃度の減少は、成功した結合反応を示す。また、マレイミド活性化KLHを加える前および該反応の完了時の該ペプチド溶液中の遊離チオールの計算は、各ペプチド×KLH結合に関する、ペプチドのモル/KLHのモルの置換比率の測定を可能にする。すべての場合において、該ペプチド結合体のそれぞれに関してKLH1分子当たり約250ペプチドが得られるように該反応は完了するであろう。いずれの未反応ペプチドも、PBS(pH7.2)に対して室温で6時間透析することにより除去される。該結合体は、直ちに使用する場合には2〜8℃で保存し、そうでない場合には−20℃以下で保存する。
2.動物の免疫化
雌の白色New Zealandウサギ(体重2kg以上)を使用して、ポリクローナル抗血清を産生させた。1ペプチド(それぞれ配列番号17、配列番号18、配列番号19および配列番号20)につき1匹の動物を免疫した。初回免疫の1週間前に、非免疫前採血サンプルとして、該動物から5〜10mlの血液を得た。
配列番号17、配列番号18、配列番号19および配列番号20の各ペプチドを使用し、0.5mlの該ペプチドを2mg/mlの濃度で、0.5mlの完全フロイントアジュバント(CFA)(Difco,Detroit,MI)と共にPBS(pH7.2)中に乳化することにより、一次免疫原を調製した。該免疫原を、皮下、腹腔内および/または筋肉内の投与経路により該動物のいくつかの部位に注射した。該初回免疫の4週間後、ブースター免疫を投与した。ブースター免疫投与に使用した免疫原は、0.5mlの不完全フロイントアジュバント(IFA)(Difco,Detroit,MI)で1mg/mlまで希釈されている以外は一次免疫原で使用したのと同じペプチド0.5mlを乳化することにより調製した。ここでもまた、該ブースター投与をいつくかの部位に行ない、皮下、腹腔内および筋肉内の注射様式を用いた。ブースター免疫の2週間後、該動物から採血(5ml)し、後記のペプチドに対する免疫反応性に関して該血清を試験した。適当な力価が得られるまで、該ブースターおよび採血の手順を4週間隔で繰返す。抗血清の力価または濃度は、後記実施例17に記載のマイクロタイターEIAにより測定する。また、該抗血清のいくつかに関して、見掛けアフィニティー値[Kd(app)]を求める(実施例17を参照されたい)。1:500以上の抗体力価が、さらなる使用および研究に適した力価と考えられる。
B.モノクローナル抗体分子の製造
1.免疫化プロトコール
マウスにおけるモノクローナル抗体の産生のための未結合または結合ペプチドの量がウサギにおけるポリクローナル抗血清の産生のために使用した量の10分の1となる以外は前記のとおりに調製した免疫原を使用して、マウスを免疫する。したがって、一次免疫原は、0.1mlのCFAエマルション中の100μgの未結合または結合ペプチドよりなり、一方、ブースター免疫化に使用する免疫原は、0.1mlのIFA中の50μgの未結合または結合ペプチドよりなる。標準的な技術を用いて、モノクローナル抗体産生用のハイブリドーマを調製し、スクリーニングする。モノクローナル抗体産生に用いた方法は、KohlerおよびMilstein,Nature 256:494(1975)に詳細に記載されており総説としてJ.G.R.Hurrel編,Monoclonal Hybridoma Antibodies:Techniques and Applications,CRC Press,Inc,Boca Raton,FL(1982)に記載されている当該技術分野で公知の手順に従った。KohlerおよびMilsteinの方法に基づくモノクローナル抗体産生のためのもう1つの方法は、L.T.Mimmsら,Virology 176:604-619(1990)の方法である。
該免疫化方式(マウス1匹当たり)は、追加的ブースター免疫化を伴う一次免疫化よりなる。一次免疫化に使用する一次免疫原は、50μlのCFA中に予め乳化されている50μlのPBS(pH7.2)中の100μgの未結合または結合ペプチドよりなる。一次免疫化の約2週間および4週間後に行なうブースター免疫化は、50μlのIFAで乳化されている50μlのPBS(pH7.2)中の50μgの未結合または結合ペプチドよりなる。合計100μlのこの免疫原を各マウスの腹腔内および皮下に接種する。三次免疫化の約4週間後に、実施例17に記載のマイクロタイタープレート酵素イムノアッセイ(EIA)により、免疫応答に関して個々のマウスをスクリーニングする。三次免疫化の約15週間後に、PBS(pH7.2)中の50μgの未結合または結合ペプチドをマウスの静脈内、脾臓内または腹腔内に接種する。
この静脈内ブースト(追加抗原刺激)の3日後に、脾細胞を、ポリエチレングリコール(PEG)法により例えばSp2/0-Ag14骨髄腫細胞(Milstein Laboratories,England)と融合させる。該融合体を、10%ウシ胎仔血清(FCS)と1%ヒポキサンチン、アミノプテリンおよびチミジン(HAT)とを含有するIscove′s Modified Dulbecco′s Medium(IMDM)中で培養する。実施例17のプロトコールに従いマイクロタイタープレートEIAにより、バルク培養をスクリーニングする。免疫原として使用したペプチドには反応性であり他のペプチド(すなわち、免疫原として使用していないBS106のペプチド)には無反応性であるクローンを、最終増殖のために選択する。このようにして選択したクローンを増殖させ、等分割し、10%FCSおよび10%ジメチルスルホキシドを含有するIMDM中で凍結させる。
2.モノクローナル抗体を含有する腹水液の製造
前記のとおりに調製した凍結ハイブリドーマ細胞を融解し、増殖培養内に配置する。生存可能なハイブリドーマ細胞を、Pristane処理マウスの腹腔内に接種する。腹水液を該マウスから取り出し、プールし、0.2μフィルターで濾過し、免疫グロブリンクラスG(IgG)分析に付して、該精製に必要なプロテインAカラムの容量を測定する。
3.腹水液からのモノクローナル抗体の精製
簡単に説明すると、濾過し融解した腹水液を等容量のプロテインAセファロース結合緩衝液(1.5Mグリシン、3.0M NaCl、pH8.9)と混合し、0.2μフィルターで再濾過する。プロテインAカラムの容量を、腹水液中に存在するIgGの量から求める。ついで該溶出液を、2〜8℃で一晩、PBS(pH7.2)に対して透析する。透析されたモノクローナル抗体を滅菌濾過し、アリコートに分注する。該精製モノクローナル抗体の免疫反応性は、免疫原として使用するペプチドにそれが特異的に結合する能力を実施例17のEIAマイクロタイタープレートアッセイ法で測定することにより確認する。該精製モノクローナル抗体の特異性は、それが無関係なペプチド(例えば、免疫原として使用していないBS106のペプチド)に結合しないことを判定することにより確認する。このようにして調製し特徴づけた精製抗BS106モノクローナルは、短期保存には2〜8℃、長期保存には−80℃で放置する。
4.モノクローナル抗体の更なる特徴づけ
前記のとおりに製造したモノクローナル抗体のアイソタイプおよびサブタイプは、商業的に入手可能なキット(Amersham.Inc.,Arlington Heights,ILから入手可能)を用いて決定することができる。また、安定性試験は、該モノクローナル抗体のアリコートを2〜8℃で連続保存し、ある期間の経過全体にわたって光学密度(OD)をアッセイすることにより、該モノクローナル抗体上で行なうことができる。
C.免疫原としての組換えタンパク質の使用
本明細書に記載のとおりに製造した組換えタンパク質を、当業者に公知の試薬および技術に付随的変更を加えて、ポリクローナルおよびモノクローナル抗体の製造における免疫原として使用することは、本発明の範囲内に含まれる。
実施例15:BS106ペプチドに特異的に結合する血清抗体の精製
前記実施例13および/または14に記載のとおりに得た免疫血清を、実施例10に記載のとおりに調製した固定化合成ペプチドまたは実施例11に記載のとおりに調製した組換えタンパク質を使用してアフィニティー精製する。希釈された該粗製抗血清をプロテインAカラム(Affi-Gel protein A,Bio-Rad,Hercules,CA)に通過させることにより、該抗血清のIgG画分を得る。緩衝液(該製造業者により供給された結合緩衝液)での溶出により、免疫グロブリン以外の実質的にすべてのタンパク質が除去される。0.1M緩衝化グリシン(pH3)での溶出により、アルブミンおよび他の血清タンパク質を実質的に含まない免疫グロブリン調製物が得られる。
特異的抗原結合性抗体のより高い画分を有する調製物を得るために、免疫アフィニティークロマトグラフィーを行なう。該抗血清を産生させるために使用したペプチドを、クロマトグラフィー樹脂上に固定化し、そのエピトープに対する特異的抗体を該樹脂に吸着させる。非結合成分を洗い落とした後、該特異的抗体を0.1Mグリシン緩衝液(pH2.3)で溶出する。抗体画分を1.0M Tris緩衝液(pH8.0)で直ちに中和して、免疫反応性を維持する。選択するクロマトグラフィー樹脂は、該ペプチド中に存在する反応性基に左右される。該ペプチドがアミノ基を有する場合には、Affi-Gel 10またはAffi-Gel 15(Bio-Rad,Hercules,CA)などの樹脂を使用する。該ペプチド上のカルボキシ基を介して結合させたい場合には、Affe-Gel 102(Bio-Rad,Hercules,CA)を使用することができる。該ペプチドが遊離スルフヒドリル基を有する場合には、Affi-Gel 501(Bio-Rad,Hercules,CA)、SulkfoLinkTM(Pierce,Rockford,IL)などの有機水銀樹脂を使用することができる。該樹脂上に固定化するペプチドの量は、Nano OrangeTM(Molecular Probes,Eugene,OR)を用いて決定することができる。
別法として、脾臓を採取し、当該技術分野で公知の通常の前記方法に従いモノクローナル抗体を製造するためのハイブリドーマの製造に使用することができる。
実施例16:組織サンプルのウエスタンブロット法
0.1M Tris-HCl(pH7.5)、15%(w/v)グリセロール、0.2mM EDTA、1.0mM 1,4-ジチオトレイトール、10μg/mlロイペプチンおよび1.0mMフェニルメチルスルホニルフルオリド(Kainら,Biotechniques,17:982(1994))中で組織サンプルをホモジナイズすることにより、タンパク質抽出物を調製する。ホモジナイズした後、該ホモジネートを4℃で5分間遠心して、上清を残渣から分離する。タンパク質の定量では、3〜10μlの上清を1.5mlのビシンコニン酸(bicinchoninic acid)試薬(Sigma,St.Louis,MO)に加え、562nmで得られた吸光度を測定する。
SDS-PAGEでは、サンプルを、Tricine Buffer(Novex,San Diego,CA)で所望のタンパク質濃度に調節し、等容量の2×Tricineサンプル緩衝液(Novex,San Diego,CA)と混合し、サーマルサイクラー中100℃で5分間加熱する。ついでサンプルを、プレキャストされたNovex10〜20%Tricineゲルに適用して、電気泳動する。電気泳動後、サンプルを該ゲルからNovex Tris-グリシントランスファー緩衝液中のニトロセルロースメンブレンにトランスファーする。ついでメンブレンを、Western LightsまたはWestern Lights Plus(Tropix,Bedford,MA)化学発光検出試薬で提供される試薬および方法を用いて特異的抗ペプチド抗体でプローブする。展開したメンブレンをHyperfilm ECL(Amersham,Arlington Heights,IL)にさらすことにより、化学発光バンドを可視化する。
該ニトロセルロースフィルターにさらす前に該一次抗体(抗ペプチドポリクローナル抗血清)を種々の濃度のペプチド免疫原と共に室温で30分間プレインキュベートする以外は前記と同様の方法で、競合実験を行なう。該ウエスタンの展開を、前記のとおりに行なう。
また、フィルム上のバンドの可視化の後、5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリルホスファート(BCIP)などの発色性基質の添加および展開により該バンドをメンブレン上で直接可視化することができる。この発色性溶液は、100mM NaCl、5mM MgCl2および100mM Tris-HCl(pH9.5)を含有する溶液中に0.016% BCIPを含有する。該バンドが所望の強度で展開されるまで、該フィルターを該溶液中室温でインキュベートする。染色前分子量基準(Novex,San Diego,CA)またはビオチン化分子量基準(Tropix,Bedford,MA)の移動度に基づいて、分子量の測定を行なう。
実施例17:EIAマイクロタイタープレートアッセイ
実施例13または実施例14に記載のとおりにウサギまたはマウスから得た抗血清の免疫反応性は、以下のとおり、マイクロタイタープレートEIAにより測定する。実施例10に記載のとおりに調製した合成ペプチドまたは実施例11に記載のとおりに調製した組換えタンパク質を、50mM炭酸緩衝液(pH9.6)に溶解して、2μg/mlの最終濃度とする。つぎに、100μlの該ペプチドまたはタンパク質溶液を、Immulon2▲R▼マイクロタイタープレート(Dynex Technologies,Chantilly,VA)の各ウェル中に配置する。該プレートを室温で一晩インキュベートし、ついで脱イオン水で4回洗浄する。リン酸緩衝食塩水(PBS,pH7.4)中の125μlの適当なタンパク質ブロッキング剤(例えば、Superblock▲R▼(Pierce Chemical Company,Rockford,IL))を各ウェルに加え、ついで直ちに該溶液を捨てることにより、該ウェルをブロッキングする。このブロッキング手順を3回行なう。既に記載されているとおりに調製した免疫化ウサギまたはマウスから得た抗血清を、0.05%Tween-20▲R▼(モノラウラートポリオキシエチレンエーテル)(Sigma Chemical Company,St.Louis,MO)と1:500、1:2500、1:12,500、1:62,500および1:312,500の希釈度の0.05%アジ化ナトリウムとを含有するPBS中のタンパク質ブロッキング剤(例えば、3%Superblock▲R▼溶液)中に希釈し、該コート化マイクロタイタープレートの各ウェル内に配置する。ついで該ウェルを室温で3時間インキュベートする。各ウェルを脱イオン水で4回洗浄する。0.05%Tween-20▲R▼と0.05%アジ化ナトリウムとを含有するリン酸緩衝食塩水中の3% Superblock▲R▼溶液中1:2000に希釈した100μlのアルカリホスファターゼ結合ヤギ抗ウサギIgGまたはヤギ抗マウスIgG抗血清(Southern Biotech,Birmingham,AB)を、各ウェルに加える。該ウェルを室温で2時間インキュベートする。つぎに、各ウェルを脱イオン水で4回洗浄する。ついで100μlのパラニトロフェニルホスファート基質(Kirkegaard and Perry Laboratories,Gaithersburg,MD)を各ウェルに加える。該ウェルを室温で30分間インキュベートする。各ウェルの405nmにおける吸光度を読取る。該試験ウェル中の405nmでの吸光度が、非免疫血清(陰性対照)から得られる吸光度に比べて増加することにより、陽性反応を同定する。陽性反応は、検出可能な抗BS106抗体の存在を示している。
力価の他に、見掛けアフィニティー[Kd(app)]も、該抗ペプチド抗血清のいくつかについて求めることができる。EIAマイクロタイタープレートアッセイの結果を用いて、ミカエリス−メンテン式の類似式(V.Van Heyningen,Methods in Enzymology,Vol.121,p.472(1986)、さらにX Quiら,Journal of Immunology,Vol.156,p.3350(1996)に記載されている):
(式中、[Ag-Ab]は抗原−抗体複合体の濃度を、[Ag-Ab]maxは最大複合体濃度を、[Ab]は抗体濃度を、Kdは解離定数を示す)に基づき、見掛け解離定数(Kd)を導くことができる。曲線の当てはめの際に、[Ag-Ab]を、所与Ab濃度におけるOD405nmの、バックグラウンドを差し引いた値で置換する。Kdおよび[OD405nm]max([Ag-Ab]maxに対応するもの)は共に、適合(fitted)パラメーターとして扱う。曲線の当てはめには、ソフトウェアプログラムOriginを使用することができる。
実施例18:固相粒子のコーティング
A.BS106抗原に特異的に結合する抗体による微粒子のコーティング
BS106タンパク質に特異的に結合するアフィニティー精製された抗体(実施例15を参照されたい)を、約0.1〜20μmの範囲内の半径を有するポリスチレン、カルボキシル化ポリスチレン、ポリメチルアクリラートの微粒子または同様の粒子上にコーティングする。微粒子は、受動的または能動的のいずれかでコーティングすることが可能である。1つのコーティング方法は、EDAC(1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩(Aldrich Chemical Co.,Milwaukee,WI))で活性化されたカルボキシル化ラテックス微粒子を、BS106タンパク質に特異的に結合する抗体で、以下のとおりにコーティングすることを含む。簡単に説明すると、最終的に0.375%の樹脂固体懸濁液で洗浄されたカルボキシル化ラテックス微粒子(Bangs Laboratories,Carmel,INまたはSerodyn,Indianapolis,INから入手可能)を、適当な容器内で、50mM MES緩衝液(pH4.0)と150mg/lのアフィニティー精製された抗BS106抗体(実施例14を参照されたい)とを含有する溶液中で15分間混合する。EDAC結合剤を、5.5μg/mlの最終濃度になるまで該混合物に加え、室温で2.5時間混合する。
ついで0.2μm Microgon Filtrationモジュールを使用するタンジェンシャルフロー(tangential flow)濾過により、該微粒子を8容量のTween20▲R▼/リン酸ナトリウム洗浄緩衝液(pH7.2)で洗浄する。洗浄した微粒子は、希薄な界面活性剤および無関係なタンパク質(ブロッキング剤)を通常は含有する適当な緩衝液中に、必要になるまで保存する。
B.1/4インチのビーズのコーティング
また、BS106抗原に特異的に結合する抗体を、当該技術分野で公知の常法(Snitmanら,米国特許第5,273,882号)により1/4インチのポリスチレンビーズの表面上にコーティングし、競合結合またはEIAサンドイッチアッセイにおいて使用することができる
まず、ポリスチレンビーズを、10mM NaHCO3緩衝液(pH8.0)中で約15秒間超音波処理に付すことにより清浄化する。ついで、すべての細粒が除去されるまで、該ビーズを脱イオン水で洗浄する。ついでビーズを、10mM炭酸緩衝液(pH8.0〜9.5)中の抗体溶液に漬ける。該抗体溶液は、高親和性モノクローナル抗体の場合には1μg/mlと同程度に、あるいはアフィニティー精製されていないポリクローナル抗体の場合には約500μg/mlの濃度と同程度に希薄であることが可能である。ビーズを、室温で少なくとも12時間コーティングし、ついで脱イオン水で洗浄する。ビーズは、風乾するか、または湿ったまま保存(PBS,pH7.4中)することが可能である。また、それらは、タンパク質安定化剤(例えば、ショ糖)、または非特異的結合ブロッカー(例えば、無関係なタンパク質、Carnation脱脂乳,Superblock▲R▼など)として使用されるタンパク質ブロッキング剤でオーバーコーティングすることができる。
実施例19:微粒子酵素イムノアッセイ(MEIA)
標準的な抗原競合EIAまたは抗体サンドイッチEIAを行ない微粒子(MEIA)などの固相を使用することにより、患者の試験サンプル中のBS106抗原を検出する。該アッセイは、IMx▲R▼ Analyzer(Abbott Laboratories,Abbott Park,IL)などの自動分析装置上で行なうことができる。
A.抗体サンドイッチEIA
簡単に説明すると、抗原/抗体複合体を形成させるために、BS106抗原を含有する疑いのあるサンプルを、抗BS106抗体でコーティングされた微粒子(実施例17に記載のとおりに調製したもの)の存在下でインキュベートする。ついで該微粒子を洗浄し、シグナル生成化合物(すなわち、アルカリホスファターゼ、ホースラディッシュペルオキシダーゼなどの酵素)に結合した抗体を含む指示試薬を該抗原/抗体複合体または該微粒子に加え、インキュベートする。該微粒子を洗浄し、シグナル生成化合物と反応して測定可能なシグナルを生成する基質(例えば、それぞれ4-メチルウンベリフェリルホスファート(MUP)またはOPD/ペルオキシド)を加えることにより該結合抗体/抗原/抗体複合体を検出する。陰性対照から生じたシグナルと比べて上昇した試験サンプル中のシグナルにより、BS106抗原の存在が検出される。試験サンプル中のBS106抗原の存在は、乳癌などの乳房の疾患または状態の診断を示す。
B.競合結合アッセイ
該競合結合アッセイでは、抗ペプチド抗体でコーティングされた微粒子と標識ペプチドとを接触させた場合に測定可能シグナルを生成するペプチドまたはタンパク質を使用する。このアッセイは、IMx▲R▼ Analyzer(Abbott Laboratories,Abbott Park,IL)上で行なうことができる。該標識ペプチドを、BS106抗原を含有する疑いのある試験サンプルの存在下、BS106抗体でコーティングされた微粒子(実施例17に記載のとおりに調製したもの)に加え、標識BS106ペプチド(または標識タンパク質)/結合抗体複合体および/または患者のBS106抗原/結合抗体複合体の形成に十分な時間および条件下でインキュベートする。試験サンプル中のBS106抗原は、該微粒子上の結合部位に関して標識BS106ペプチド(またはBS106タンパク質)と競合する。該アッセイにおいて、試験サンプル中のBS106抗原は、標識ペプチドまたは抗体でコーティングされた微粒子の結合を低下させる。なぜなら、試験サンプル中の抗原と、該BS106ペプチドまたはBS106タンパク質とが、抗体結合部位に関して競合するからである。低下したシグナル(対照と比べた場合)は、試験サンプル中のBS106抗原の存在を示す。BS106抗原の存在は、乳癌などの乳房の疾患または状態の診断を示唆する。
本発明で提供し前記で検討したBS106ポリヌクレオチドおよびそれにコードされるタンパク質は、乳房組織の疾患、特に乳癌のマーカーとして有用である。血液、血漿、血清などの試験サンプルにおけるこのマーカーの出現に基づく試験は、安価かつ非侵襲的に診断情報を提供して、癌の診断を行なう医師を助け、療法プロトコールを選択したり又は選択した療法の達成度をモニターするのを助ける。このマーカーは、血液、尿、糞便などの容易に利用可能な体液中に、免疫学的方法により検出可能な疾患組織由来の抗原として出現しうる。このマーカーは、病態において上昇したり、病態において変化したり、あるいは不適当な身体画分中に出現する乳房の正常タンパク質であることが可能である。
配列表
(2)配列番号1の情報:
(i)配列の特徴:
(A)長さ:229塩基対
(B)型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(xi)配列:配列番号1:
(2)配列番号2の情報:
(i)配列の特徴:
(A)長さ:308塩基対
(B)型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(xi)配列:配列番号2:
(2)配列番号3の情報:
(i)配列の特徴:
(A)長さ:197塩基対
(B)型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(xi)配列:配列番号3:
(2)配列番号4の情報:
(i)配列の特徴:
(A)長さ:482塩基対
(B)型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ix)特徴
(A)特徴を表す記号:base_polymorphism
(B)存在位置:54
(D)他の情報:(注)「K」は、この位置におけるG/T多型を表す。
(ix)特徴
(A)特徴を表す記号:base_polymorphism
(B)存在位置:312
(D)他の情報:(注)「Y」は、この位置におけるC/T多型を表す。
(xi)配列:配列番号4:
(2)配列番号5の情報:
(i)配列の特徴:
(A)長さ:553塩基対
(B)型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ix)特徴
(A)特徴を表す記号:base_polymorphism
(B)存在位置:543
(D)他の情報:(注)「R」は、この位置におけるA/G多型を表す。
(xi)配列:配列番号5:
(2)配列番号6の情報:
(i)配列の特徴:
(A)長さ:68塩基対
(B)型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(xi)配列:配列番号6:
(2)配列番号7の情報:
(i)配列の特徴:
(A)長さ:68塩基対
(B)型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(xi)配列:配列番号7:
(2)配列番号8の情報:
(i)配列の特徴:
(A)長さ:24塩基対
(B)型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(xi)配列:配列番号8:
(2)配列番号9の情報:
(i)配列の特徴:
(A)長さ:18塩基対
(B)型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(xi)配列:配列番号9:
(2)配列番号10の情報:
(i)配列の特徴:
(A)長さ:20塩基対
(B)型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(xi)配列:配列番号10:
(2)配列番号11の情報:
(i)配列の特徴:
(A)長さ:19塩基対
(B)型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(xi)配列:配列番号11:
(2)配列番号12の情報:
(i)配列の特徴:
(A)長さ:20塩基対
(B)型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(xi)配列:配列番号12:
(2)配列番号13の情報:
(i)配列の特徴:
(A)長さ:23塩基対
(B)型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(xi)配列:配列番号13:
(2)配列番号14の情報:
(i)配列の特徴:
(A)長さ:23塩基対
(B)型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(xi)配列:配列番号14:
(2)配列番号15の情報:
(i)配列の特徴:
(A)長さ:27塩基対
(B)型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(xi)配列:配列番号15:
(2)配列番号16の情報:
(i)配列の特徴:
(A)長さ:90アミノ酸
(B)型:アミノ酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)配列の種類:なし
(xi)配列:配列番号16:
(2)配列番号17の情報:
(i)配列の特徴:
(A)長さ:39アミノ酸
(B)型:アミノ酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)配列の種類:なし
(xi)配列:配列番号17:
(2)配列番号18の情報:
(i)配列の特徴:
(A)長さ:39アミノ酸
(B)型:アミノ酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)配列の種類:なし
(xi)配列:配列番号18:
(2)配列番号19の情報:
(i)配列の特徴:
(A)長さ:21アミノ酸
(B)型:アミノ酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)配列の種類:なし
(xi)配列:配列番号19:
(2)配列番号20の情報:
(i)配列の特徴:
(A)長さ:21アミノ酸
(B)型:アミノ酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)配列の種類:なし
(xi)配列:配列番号20:
(2)配列番号21の情報:
(i)配列の特徴:
(A)長さ:8アミノ酸
(B)型:アミノ酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(xi)配列:配列番号21:
(2)配列番号22の情報:
(i)配列の特徴:
(A)長さ:21アミノ酸
(B)型:アミノ酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(xi)配列:配列番号22:
Claims (24)
- 試験サンプル中のBS106標的ポリヌクレオチドの存在を乳癌の指標として検出する方法であって、
(a)該試験サンプルを、BS106標的ポリヌクレオチドにハイブリダイズし得る少なくとも1つのBS106特異的ポリヌクレオチドと接触させ、
(b)該試験サンプル中のBS106標的ポリヌクレオチドの存在を検出することを含んでなり、
該BS106特異的ポリヌクレオチドが、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5およびそれらの相補体よりなる群から選ばれる配列を有することを特徴とする方法。 - 工程(a)を行なう前に、該標的ポリヌクレオチドを固相に結合させる、請求項1に記載の方法。
- 配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5およびそれらの相補体よりなる群から選ばれる配列を有することを特徴とする試験サンプル中の乳癌を検出するための精製されたポリヌクレオチド。
- 試験サンプル中のBS106ポリヌクレオチドを検出するのに有用な試験キットであって、請求項3に記載の少なくとも1つのポリヌクレオチドを含有する容器を含んでなる試験キット。
- 該ポリヌクレオチドが組換え技術または合成技術により製造された、請求項3に記載の精製されたポリヌクレオチド。
- 所望の宿主に和合性の制御配列に作動的に結合しているオープンリーディングフレームを含む核酸配列を含んでなる組換え発現系であって、該核酸配列が、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5およびそれらの相補体よりなる群から選ばれる試験サンプル中の乳癌を検出し得る配列を有することを特徴とする組換え発現系。
- 請求項6に記載の組換え発現系でトランスフェクトされた単離された細胞。
- 配列番号16のアミノ酸配列を有する試験サンプル中の乳癌を検出するためのポリペプチド。
- 該ポリペプチドが組換え技術または合成技術により製造された、請求項8に記載のポリペプチド。
- 少なくとも1つのBS106エピトープに特異的に結合する抗体であって、該BS106エピトープが、配列番号16であることを特徴とする試験サンプル中の乳癌を検出するための抗体。
- 試験サンプル中のBS106抗原または抗BS106抗体の存在を判定するためのアッセイキットであって、請求項8に記載のポリペプチドを含有する容器を含んでなるアッセイキット。
- 該ポリペプチドが固相に結合している、請求項11に記載のアッセイキット。
- 少なくとも1つのエピトープを含む試験サンプル中の乳癌を検出するためのポリペプチドの製造法であって、配列番号16のアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列を含有する発現ベクターでトランスフェクトされた宿主細胞をインキュベートすることを含んでなる製造法。
- BS106抗原を含有する疑いのある試験サンプル中のBS106抗原を検出する方法であって、
(a)配列番号16のBS106抗原のエピトープに特異的に結合する抗体と該試験サンプルとを、抗体/抗原複合体の形成に十分な時間および条件下で接触させ、
(b)該複合体の存在を、試験サンプル中の該抗原および乳癌の存在の指標として検出することを含んでなる方法。 - 該抗体が固相に結合している、請求項14に記載の方法。
- 試験サンプル中の乳癌の存在の指標である少なくとも1つのエピトープをコードする核酸配列でトランスフェクトされた単離された細胞であって、該核酸配列が、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5およびそれらの相補体よりなる群から選ばれることを特徴とする細胞。
- 乳癌検出のためのin vitro BS106抗原検出方法において使用するための抗体の製造における単離された免疫原ポリペプチドの使用であって、当該抗体がBS106抗原に特異的に結合し、当該使用が非ヒト哺乳動物に当該免疫原ポリペプチドを投与することを含み、当該免疫原ポリペプチドが配列番号16であることを特徴とする前記使用。
- 乳癌検出のためのin vitro BS106抗原検出法において使用するための抗体を産生するための発現産物の製造における配列番号16のアミノ酸配列を有するポリペプチドに由来する少なくとも1つのBS106エピトープをコードする配列を含むプラスミドの使用であって、該抗体がBS106抗原に特異的に結合し、当該使用が前記発現産物を非ヒト哺乳動物に投与することを含む前記使用。
- 請求項3に記載のポリヌクレオチドを含む組成物。
- 請求項9に記載の少なくとも1つのエピトープを含有するポリペプチドを含んでなる組成物。
- 該サンプルの採集に有用な手段を有する容器をさらに含み、該手段が、ランセット、吸収紙、布、スワブおよびカップよりなる群から選ばれる、請求項4または11に記載のキット。
- 配列番号16のアミノ酸配列を含む乳癌のタンパク質マーカーをコードする遺伝子。
- 乳癌のマーカーとして有用であり配列番号4または配列番号5を含む配列を有するDNAを含んでなる遺伝子。
- (a)第2抗原の第2エピトープに特異的な第2抗体と試験サンプルとを、第2抗体/第2抗原複合体の形成が可能となるのに十分な時間および条件下で接触させ、
(b)試験サンプル中の第2被検体の存在の指標として当該第2抗体/第2抗原複合体の存在を検出することを更に含む請求項14に記載の方法。
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