JP2002515493A - 熱的に安定なトリメトレキサートおよびその製造プロセス - Google Patents

熱的に安定なトリメトレキサートおよびその製造プロセス

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Abstract

(57)【要約】 本発明は、2,4-ジアミノ-5-メチル-6-[(3,4,5-トリメトキシアニリノ)メチル]キナゾリンまたはトリメトレキサートの熱的に安定な形態を提供する。空間群

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】1.発明の分野 本発明は、医薬品において有用なトリメトレキサートの熱的に安定な形態に関
する。特に本発明は、トリメトレキサート一水和物、および精製された結晶形態
を含めたその調製のためのプロセスに関する。トリメトレキサート一水和物は無
水形態よりも改善された予想外の熱安定性を有し、それ故、バルク製剤物質とし
ておよび/またはトリメトレキサート塩の調製のために特に有用である。
【0002】2.発明の背景 トリメトレキサート、すなわち2,4-ジアミノ-5-メチル-6-[(3,4,5-トリメトキ
シアニリノ)メチル]キナゾリンは、抗腫瘍性、駆虫性および抗細菌性の活性を有
することが知られている有用な医薬化合物である。トリメトレキサート遊離塩基
は次の構造を有する。
【0003】
【化4】 トリメトレキサートは、DNAおよびRNAのヌクレオチド前駆体の合成を触媒する
ことが知られている酵素ジヒドロ葉酸レダクターゼ (DHFR)の阻害剤である。ト
リメトレキサートグルクロン酸塩は葉酸アンタゴニストとして分類され、臨床試
験されたところ、現在、後天性免疫不全症候群(AIDS)患者のニューモシスティ
スケリニ肺炎(Pneumocystis carinii pneumonia;PCP)の治療における使用が認
められている(Physicians' Desk Reference, 51st ed. (1997))。DHFR酵素の阻
害は、RNAおよびDNAの合成を含めた様々な細胞プロセスに必要な還元型葉酸の細
胞における枯渇をもたらし、最終的には細胞死をもたらす。この特性がトリメト
レキサートに抗腫瘍性、駆虫性および抗細菌性の活性を与える。
【0004】 トリメトレキサートは、in vivoおよびin vitroにおいて、広範な実験用マウ
スおよびヒト腫瘍細胞株に対する抗腫瘍活性が示されている。例えば、トリメト
レキサートはL1210, L5178Y, S-180, W-256などのマウス細胞株に対するin vitr
oでの抗腫瘍活性が示されている。さらにトリメトレキサートは、乳房細胞、大
腸細胞、肺細胞、卵巣細胞、腎臓細胞およびメラノーマ細胞に由来するヒト腫瘍
細胞株に対するin vitroでの抗腫瘍活性が示されている。in vivo研究によって
、トリメトレキサートが、B16メラノーマ、大腸26および38、L1210およびp388白
血病ならびにCD8F乳癌などのマウス腫瘍に対する治療上の有用性を有することが
実証されている。トリメトレキサートについてのその他の可能な用途としては、
マラリアの治療、乾せん症の治療、慢性関節リウマチの治療および ニューモシ
スティスカリニ肺炎に対する予防が挙げられる。
【0005】 遊離塩基としてのトリメトレキサートは親油性であり、水溶解性が非常に低い
(<0.1mg/mL)。水溶解性がより高い様々なトリメトレキサート塩が知られている
。Colbryの米国特許第4,376,858号(「Colbry」)は、トリメトレキサートグル
クロン酸塩を、その優れた水溶解性(>50mg/mL)、安定性およびグルクロン酸
の低毒性により、好ましい塩として開示する。Colbryはさらに、トリメトレキサ
ートグルクロン酸塩の調製方法を開示する。該方法では、トリメトレキサートお
よびグルクロン酸を暖かいメタノールおよび酢酸エチルに溶解し、続いて該溶液
を冷却してグルクロン酸塩を沈殿させる。さらなるトリメトレキサート塩および
それらの製造方法についてはPCT公開公報WO96/21451に記載されている。
【0006】 Hicksら(J. Labelled Compounds Radiopharm., 29, 415 (1991))は、トリメ
トレキサートグルクロン酸塩の別の製造方法を開示する。この方法では、トリメ
トレキサートおよびグルクロン酸をアンプル中の水溶液に添加し、続いて凍結乾
燥して固体の非晶質塩を形成させる。
【0007】 トリメトレキサートは、商品名Neutrexin(登録商標)(U.S. Biosciences)で
、市販の薬物製品として入手できる。該薬物製品は、Warner-Lambert/Parke-Dav
isによって、25 mgのトリメトレキサートおよび15.35 mgのD-グルクロン酸を含
有する5 ccフリントガラスバイアル(USP タイプI)で提供される注射剤として開
発された。グルクロン酸は、本質的には水に不溶なトリメトレキサートの溶解を
補助するために、製剤中に存在する。Neutrexin(登録商標)は、トリメトレキ
サートグルクロン酸塩を凍結乾燥粉末として提供し、免疫不全患者(例えばAIDS
患者)における中度から重度のニューモシスティスカリニ肺炎の治療のために、
使用の前にロイコボリンとともに再形成する(U.S. Bioscience's Neutrexin for
PCP, Scripp 1886/87, 31 (1994))。
【0008】 先行技術のトリメトレキサート遊離塩基(以下「トリメトレキサート」という
。)は長期の貯蔵に対して安定でなく、急速に分解する。この貯蔵安定性の問題
を克服するために、いくつかのトリメトレキサート塩において安定性の向上がみ
られたことに鑑み、トリメトレキサートは典型的には塩として貯蔵される。Stet
sonら(J. Chromatography, 464, 163-171 (1989))は、Warner Lambert/Parke-D
avis, Pharmaceutical Research Divisionから得たトリメトレキサートグルクロ
ン酸塩の安定性を検討する。この塩は明らかに、米国特許第4,376,858号に開示
されたプロセスによって得られたものである。Stetson は、該グルクロン酸塩の
溶液中における半減期が、37℃で51.6±0.8日であることを示す。
【0009】 トリメトレキサートの不安定性は多数の不利益をもたらす。バルクトリメトレ
キサートおよび最終医薬製剤を異なる設備で製造して、異なる製造プラントにお
ける特殊化、および製造、輸送、パッケージング、貯蔵などにおける経済性の利
点を利用することができれば便利である。しかし、先行技術におけるトリメトレ
キサートの不安定性は、この目的の達成を困難にする。さらに、製造と最終的な
製剤化の間でのトリメトレキサートの分解は、該薬物の収率を不都合なまでに低
下させ、医薬品グレードの製品を製造するために必要な製造プロセスにおける追
加のコストを生じさせる。
【0010】 トリメトレキサートの不利な点にもかかわらず、医薬への適用において有用な
、その他のより安定な塩でない形態のトリメトレキサートは、同定されていない
。実際、USANおよびUSP薬物名辞典(USAN and USP Dictionary of Drug Names)
は2種類の形態のトリメトレキサート(無水遊離塩基(トリメトレキサート)およ
びトリメトレキサートグルクロン酸塩)を示すにすぎない。
【0011】 Hempelら(Cancer Biochem. Biophys., 10, 25-30 (1988)、「Hempel」)は、
結晶質トリメトレキサート酢酸塩一水和物の分子構造を開示する。さらにHempel
は、十分には特性づけされていない、多価水和トリメトレキサート遊離塩基を同
定している。Hempelは、トリメトレキサート多価水和物をメタノール/水 DMSO溶
液から結晶化し、X線回折によって特性づけした。トリメトレキサート多価水和
物結晶はC2/c空間群に属し、a=36.051オングストローム、b=11.765オングストロ
ーム、c=10.623オングストロームおよびβ=105.69°の構造パラメーターを有す
る。しかし、Hempelによって得られた多価水和物は、十分には特性づけされてお
らず、水和数は未知であり、無秩序な水分子を数個含む低品質の結晶からなる。
さらに、Hempelは、多価水和トリメトレキサート形態の安定性における優位性を
何ら示していない。
【0012】 Suttonら(J. Med. Chem., 30, 1843-48 (1987) 、「Sutton」)は、トリメト
レキサートのDMSO-H2O付加物であるトリメトレキサートジメチルスルホキシド水
和物の結晶構造を報告する。トリメトレキサートがDMSO水和物として結晶化され
、該結晶がX線回折によって解析された。トリメトレキサートDMSO-H2O付加物の
結晶は、P-1空間群に属し、a=9.423オングストローム、b=11.180オングストロー
ム、c=12.399オングストロームおよびβ=75.10°の構造パラメーターを有する3
斜であることが見出された。しかし、製造されて解析されたトリメトレキサート
の形態は、DMSO-H2O付加物のみであった。さらに、SuttonはDMSO-H2O付加物の熱
安定性における優位性を何ら示していない。安定な、塩でない形態のトリメトレ
キサートはこれまで製造および特性づけされていない。
【0013】 以上のことから、最終的なトリメトレキサート医薬製品をより効率的にかつよ
り経済的に製造するために使用することができる、安定なトリメトレキサートの
バルク薬剤物質が必要とされていることは明らかであろう。さらに、この安定な
バルク薬剤物質の効率的かつ迅速な合成が必要とされている。
【0014】3.発明の概要 本発明は、先行技術におけるトリメトレキサートと比較して改善された熱安定
性を有する、トリメトレキサート一水和物(TMH)などの新規な塩でない形態のト
リメトレキサートに関する。この安定な、塩でない形態(以前には知られていな
い)は、予想外なことに、該薬物の貯蔵ならびに経口投与および静脈投与におい
て、トリメトレキサートの他の形態よりも増強された安定性を提供する。さらに
、トリメトレキサート一水和物は非吸湿性であり、適した流動特性を含めた好ま
しい製造特性を有する。本発明はまた該一水和物の無菌形態をも包含する。
【0015】 その結晶形態において、この好ましい熱的に安定なトリメトレキサート(TMH
)は、寸法がa=7.699オングストローム、b=9.606オングストロームおよびc=13.0
12オングストロームで、空間群 に属する3斜単位格子(triclinic unit cell)によって特徴付けられる。TMHの
物性および構造を、質量分析、示差走査熱量分析、熱重量分析および低温X線結
晶解析によって特性づけした。
【0016】 本発明はまた、トリメトレキサート一水和物を製造するための新規な化学プロ
セスを提供する。好ましい一方法においては、TMHを水和酢酸塩から出発して製
造する。概説すると、該プロセスは以下の工程: a. トリメトレキサート酢酸塩水和物をアンモニアで処理することによって粗
製トリメトレキサートを調製する工程、 b. 粗製トリメトレキサートをジメチルホルムアミド(DMF)とともに再結晶さ
せて純粋なトリメトレキサートDMF付加物を製造する工程、 c. トリメトレキサートDMF付加物を、グルコン酸と反応させることによって中
間体トリメトレキサートグルコネートを生成させて、酢酸でグルコン酸分子を除
去することによって、トリメトレキサート塩酸塩に変換する工程、および d. トリメトレキサート塩酸塩をアンモニアで処理することによって純粋な結
晶質TMHを生成させる工程、 を含んでなる。
【0017】 このプロセスは、既存の供給源であるトリメトレキサート酢酸水和物塩を本発
明の安定なトリメトレキサート一水和物に変換することを可能にする。
【0018】 別の好ましい方法においては、キナゾリンアルデヒドをトリメトキシアニリン
とカップリングさせることによって、中間物であるシッフ塩基を経てTMHを製造
する。このシッフ塩基を水素化ほう素ナトリウムで還元すると、トリメトレキサ
ート一水和物が得られる。このプロセスは、以下の工程: a. キナゾリンアルデヒドホルマートまたはキナゾリンアルデヒドジホルマー
トをアンモニアと反応させることによってキナゾリンアルデヒド塩基を製造する
工程、 b. キナゾリンアルデヒド塩基をトリメトキシアニリンとカップリングさせて
キナゾリンシッフ塩基を製造する工程、 c. キナゾリンシッフ塩基を水素化ほう素ナトリウムと反応させることによっ
て、トリメトレキサート酢酸塩水和物に還元する工程、および d. トリメトレキサート酢酸塩水和物から2-メトキシプロパノール付加物を経
て純粋なトリメトレキサート一水和物を調製し、TMH生成物を精製する工程、 を含んでなる。
【0019】 キナゾリンシッフ塩基、2,4-ジアミノ-5-メチル-6-[(3,4,5-トリメトキシフェ
ニルイミノ)-メチニル]キナゾリン、トリメトレキサートDMF付加物、および ト
リメトレキサート2-メトキシプロパノール付加物もまた、新規な化合物である。
熱的に安定な塩でないトリメトレキサート、トリメトレキサート一水和物および
キナゾリンシッフ塩基、ならびにこれらの調製プロセスまたは合成プロセスを以
下により詳細に記載する。
【0020】4.図面の簡単な説明 (図面の簡単な説明については下記参照)5.発明の詳細な説明 本発明は、熱的に安定な塩でない形態のトリメトレキサートの初めての開示で
あるものと考えられる。本発明以前において、トリメトレキサートが熱的に不安
定であることが知られており、そのためトリメトレキサートグルクロン酸塩およ
びトリメトレキサート酢酸塩などのトリメトレキサートの塩形態が、製造および
生成において使用された。しかし、以下に記載されるのは、熱的に安定であると
考えられる塩でない形態のトリメトレキサートである。従って、本発明は熱的に
安定なトリメトレキサートを包含し、ここで該トリメトレキサートは塩でない。
本発明の範囲に含まれる熱的に安定なトリメトレキサートの具体例を以下に記載
する。
【0021】5.1. トリメトレキサート一水和物 一実施形態において、本発明は、トリメトレキサートよりも増強された安定性
を示すトリメトレキサート一水和物(TMH)遊離塩基を提供する。その結晶形態に
おいて、TMHは図1に示すX線回折パターンによって特徴づけられる。図1は、TMH
の単結晶の、-175℃でのMo-Kα放射を用いたX線回折について、2θに対する標
準化した相対強度を示す。この回折パターンを得るための手順は、以下の実施例
1に詳細に記載されている。
【0022】 図2は、TMHの結晶形態の分子構造を示す。図2中の原子は、実施例1の表2〜
4に示したデータに対応するように番号が付されている。図が示すように、トリ
メトレキサート分子は、複素環の位置2のアミノ基(N3)の近くで、トリメトレ
キサートに対してはっきりと決まった位置にある水分子と会合している。キナゾ
リン環を形成する原子は、トリメトキシアニリノ基を含む平面に関して約107.5
°の二面角を有する平面を決定する(表5参照)。
【0023】 結晶質トリメトレキサート一水和物は空間群 に属し、以下の寸法の3斜単位格子で結晶化する。
【0024】 a = 7.699(2)オングストローム α = 77.702(8)° b = 9.606(3)オングストローム β = 85.529(4)° c = 13.012(3)オングストローム γ = 83.600(4)° V = 932.9(4)オングストローム3 図3aは、TMH単位格子における二つのトリメトレキサート分子といくつかの会
合した水分子の相対的位置を示す。図3bは、原子位置を示すために図3aの単位格
子をわずかに回転させ、濃淡を付けたものを示している。図3b中の点線は、水素
結合の相互作用を示す。図から明らかなように(表6も参照されたい)、TMHは、TM
H結晶内の隣接するトリメトレキサート分子間の分子間水素結合相互作用、単一
のトリメトレキサート分子内の分子内水素結合相互作用、ならびにトリメトレキ
サートと近くの会合水分子との水素結合によって特徴づけられる。この高度の水
素結合が、安定性の低いトリメトレキサートと比較して、驚くべき、そして予想
外のTMHの安定性に寄与している可能性が高い。
【0025】 この熱的に安定なトリメトレキサートの発見は、医薬品産業にとって特に重要
である。なぜなら、上述のような様々な疾患の治療に使用されるトリメトレキサ
ートの製薬用の塩を調製するために、この物質を容易に使用することができるか
らである。
【0026】5.2. トリメトレキサート酢酸水和物塩からのトリメトレキサート一水和物の製
造方法 本発明はまた、トリメトレキサート一水和物の製造方法を包含する。これまで
に既知の方法で合成されたトリメトレキサートは、その不安定性ゆえ、しばしば
酢酸塩などの塩に変換された。本発明は、精製されたまたは粗製の酢酸塩から出
発してトリメトレキサートのより安定な一水和物形態を製造する方法を提供する
【0027】 トリメトレキサート酢酸塩は、以下に記載したスキーム1として示すプロセス
に従って純粋なトリメトレキサート一水和物に変換できる。スキーム1に従う合
成の詳細な例は以下の「実施例」に示す。
【0028】 TMH製造の一工程において、工程1に示すように、粗製トリメトレキサート酢酸
塩を、会合した酢酸分子を除去することによって、粗製トリメトレキサートに変
換する。
【0029】工程1
【化5】 高純度の医薬品グレードのTMH生成物を製造するためには、出発物質である粗
製トリメトレキサート酢酸塩は特に純粋である必要はない。特に、トリメトレキ
サート酢酸塩は、分解生成物を有意な量で含有していてもよく、それでもなお本
発明の方法における使用に適している。
【0030】 工程1において、トリメトレキサート酢酸塩を極性溶媒または水性アルコール
溶媒などの溶媒混合物、好ましくはn-ブタノールと水の混合物、最も好ましくは
n-ブタノールと水の比が約10:1〜約1:2(約4:1の比が最も好ましい)の混合物に
溶解する。塩基(好ましくはアンモニア水)を添加して酢酸分子と反応させると
酢酸アンモニウムとして失われる。好ましくは、わずかな触媒量のメタ重亜硫酸
ナトリウムも添加する。また、トンシル(Tonsil;ベントナイト)およびSuperce
lなどの補助剤を添加してもよい。反応は、溶液を穏やかに還流するまで、好ま
しくは約90℃まで加熱し、約10分間攪拌することによって促進する。続いて該混
合物を濾過および洗浄し、そして約70℃まで加熱し、アンモニアを添加する。次
に結晶化した粗製トリメトレキサート塩基を、水またはアルコールなどの極性溶
媒、好ましくは水とエタノールの混合物で洗浄する。
【0031】 別の工程において、粗製トリメトレキサート塩基を純粋なジメチルホルムアミ
ド(DMF)付加物に変換する。
【0032】工程2
【化6】 粗製トリメトレキサート塩基をDMFと水の混合物(好ましくはv/v比が約10:1の
もの)に溶解する。最初に溶液を約100℃まで加熱し、次に溶液が結晶化の起こ
る約55〜60℃まで冷めたら、アルコールなどの極性成分(好ましくはエタノール
)を添加する。そして、得られた結晶をエタノールで洗浄すると、純粋なトリメ
トレキサートDMF付加物が産出する。このトリメトレキサートDMF付加物は、それ
自体が新規な化合物であり、本発明の範囲に含まれる。
【0033】 別の工程において、該DMF付加物を、中間体トリメトレキサートグルコネート
を経てトリメトレキサート塩酸塩に変換する。
【0034】工程3
【化7】 該グルコネートは、湯中に該DMF付加物を懸濁し、グルコン酸などのグルコン
酸分子の供給源を添加することにより容易に形成される。好ましくは、Supercel
(登録商標)および少量の活性炭も添加する。混合物を約50℃にて約10分間攪拌
し 、濾過する。塩酸塩は、該グルコネートを酢酸などの好適な酸と反応させ、
塩化ナトリウム水溶液とともに約50℃にて約10分間攪拌することによって生成で
きる。得られた結晶を濾過し、水もしくはアルコール(好ましくはエタノール)
またはこれらの混合物で洗浄すると、トリメトレキサート塩酸塩を得ることがで
きる。
【0035】 最終的に、最後の工程において、トリメトレキサート塩酸塩を純粋なトリメト
レキサート一水和物に変換する。
【0036】工程4
【化8】 反応は、約80℃の極性溶媒または溶媒混合物中で行う。好適な溶媒には、水と
混和性であることが当業者に公知である種々のアルコールが含まれる。好ましく
は、溶媒は、該溶媒の大部分が水であるような水とn-ブタノールの混合物(好ま
しくは約3:1の比)である。塩基を添加することにより、トリメトレキサート一
水和物が沈殿する。該塩基は、トリメチルアミンもしくはエタノールアミンなど
の水溶性の有機アミンまたは好ましくはアンモニアでありうる。沈殿したトリメ
トレキサート一水和物を濾過して洗浄し(エタノール/水)、減圧下で乾燥させ、
場合により滅菌することができる。
【0037】 こうして得られたTMHを、必要であれば、場合によりふるいにかけ、混ぜ合わ
せてもよい。
【0038】5.3. キナゾリンアルデヒドホルマートまたはキナゾリンアルデヒドジホルマー
トからのトリメトレキサート一水和物の製造方法 本発明はまた、以下に記載したスキーム2として示されるプロセスに従って、
キナゾリンアルデヒドホルマートまたはキナゾリンアルデヒドジホルマートから
出発して、TMHを製造する方法を包含する。スキーム2に従う合成の詳細な例は
、以下の「実施例」に示す。
【0039】 プロセス中の一工程において、キナゾリンアルデヒドホルマートまたはキナゾ
リンアルデヒドジホルマートを2,4-ジアミノ-5-メチル-6-キナゾリンカルボック
スアルデヒド(carboxaldehyde)水和物 (キナゾリンアルデヒド塩基)に変換する
【0040】工程1
【化9】 出発物質、キナゾリンアルデヒドホルマートまたはキナゾリンアルデヒドジホ
ルマートは、相当するニトリルである2,4-ジアミノ-5-メチル-6-キナゾリンカル
ボニトリルをラネー(Raney)ニッケルおよびギ酸で還元することによって合成で
きる (参照により本明細書に組み入れるBiochem. Pharmacology, 33, 3251 (198
4)を参照されたい)。キナゾリンアルデヒドホルマートまたはキナゾリンアルデ
ヒドジホルマートを、極性溶媒またはアルコール水性溶媒などの溶媒混合物(好
ましくはn-ブタノールと水の比が約1.5: 1の混合物)に溶解する。遊離のアルデ
ヒド塩基は、該溶液を、トリエチルアミン、アンモニアおよび少量のエチレンジ
アミン四酢酸(EDTA)の存在下、約90℃の穏やかな還流温度にて約20分間攪拌す
ることによって得られる。得られた結晶を濾過し、アルコールおよび水、好まし
くはn-ブタノールで洗浄する。場合により、該結晶を異なるアルコールもしくは
水、またはこれらの混合物で繰り返し洗浄してもよい。好ましくは、n-ブタノー
ル、エタノールを使用し、続いて水を使用する。
【0041】 別の工程において、キナゾリンアルデヒドをトリメトキシアニリンとカップリ
ングさせて、2,4-ジアミノ-5-メチル-6-[(3,4,5-トリメトキシフェニルイミノ)-
メチニル]キナゾリン(キナゾリンシッフ塩基)を製造する。
【0042】工程2
【化10】 溶媒は好ましくは、水と共沸混合物を形成する脂肪族アルコールと炭化水素の
混合物である。好適なアルコールとしては、限定するものではないが、n-ブタノ
ールが挙げられ、そして好適な炭化水素としては、限定するものではないが、ト
ルエン、キシレンまたはクロロベンゼンが挙げられる。溶媒は、好ましくは、n-
ブタノールとトルエンの比が約5:1の混合物である。該反応は、湿ったキナゾリ
ンアルデヒド塩基をアルコール/トルエン溶媒中で共沸点まで加熱して、脱水し
た水を留去することによって実施するのが都合が良い。n-ブタノールおよびトル
エンを5:1の比で使用した場合、蒸留温度は最初の約89℃から約 110℃まで変化
する (液相温度)。得られたシッフ塩基を濾過して取り出し、アルコール(好ま
しくはn-ブタノール)およびエーテル(好ましくはt-ブチルメチルエーテル)で
洗浄することができる。
【0043】 別の工程において、該キナゾリンシッフ塩基をトリメトレキサートに還元して
、酢酸塩として沈殿させる。
【0044】工程3
【化11】 シッフ塩基は容易に加水分解されるので、工程2に続いてすぐに還元を行うべ
きであろう。使用する溶媒は好ましくは、テトラヒドロフラン(THF)と水の比が
約 4:1の混合物である。しかし、1,4,-ジオキサンなどの当業者に公知のその他
のエーテルもまた使用できる。炭酸ナトリウム、トリメトキシアニリンおよびキ
ナゾリンシッフ塩基を約45℃まで加熱し、水素化ほう素ナトリウム水溶液を数時
間にわたってゆっくりと添加する。その間、反応を窒素保護下に置く。
【0045】 還元の完了後、THFの大部分(約90%)を蒸留して取り出すことができ、次にアル
コール-水混合物を添加する。当業者に公知の種々のアルコールを使用しうるが
、選択するアルコールは水と完全に混和性であってはならない。好適なアルコー
ルには、イソブタノールおよび n-ブタノールが含まれる。好ましくは、n-ブタ
ノールと水の比が2:1の混合物を使用する。該混合物を濾過し、水で洗浄するこ
とができ、これにより、粗製トリメトレキサート塩基が生成する。酢酸塩は、該
粗製塩基をエタノール/水混合物などの極性溶媒中に懸濁し、約 70℃まで加熱し
、乳酸および酢酸を添加し、該溶液をトンシルおよび少量の活性炭と混合するこ
とによって生成させる。濾液を酢酸ナトリウムおよび酢酸と約30分間、70〜75℃
にて混合し、続いて20℃まで冷却し、濾過して酢酸で洗浄する。
【0046】 最終的に、純粋なTMH生成物を該酢酸塩から生成する。
【0047】工程4
【化12】 最初に、トリメトレキサート酢酸塩を2-メトキシプロパノール付加物に変換し
、続いて遊離塩基として再結晶させる。トリメトレキサート2-メトキシプロパノ
ール付加物はそれ自体が、本発明の範囲に含まれる新規な化合物である。トリメ
トレキサート一水和物生成物を減圧下で乾燥させ(40〜80℃、好ましくは約50℃
で、2〜40時間、好ましくは約4〜8時間)、場合によりふるいにかけ、かき混ぜ、
そして滅菌する。
【0048】5.4. キナゾリンシッフ塩基 本発明はまた、次の化学式:
【化13】 を有する新規化合物を包含する。この化合物、2,4-ジアミノ-5-メチル-6-[(3,4,
5-トリメトキシフェニルイミノ)-メチニル]キナゾリン(キナゾリンシッフ塩基)
は、上述のスキーム2における方法によって製造する。キナゾリンシッフ塩基は
分子式C19H21N5O3および式量367.41 g/molを有する黄色粉末である。この化合物
の特性は以下の「実施例」に記載する。
【0049】 本発明の特定の実施形態を以下の実施例によって例示するが、これらに限定す
るものではない。
【0050】6.実施例 6.1. 実施例1:TMHのX線結晶学 結晶質トリメトレキサート一水和物の分子および結晶構造を、X線回折によっ
て決定した。結晶調査、単位格子決定およびデータ収集は、-175℃でのMo-Kα放
射線により行った。単位格子定数の予備的分析では三斜晶系単位格子であること
が示された。データ収集の間に得られた強度統計は、中心対称空間群の存在を示
し、空間群P-1を示唆した。構造を直接法により解析した。
【0051】 水素以外の全ての原子を、最初に等方性温度因子、続いて異方性温度因子を使
用して精密化した。重複するデータを平均化し、0.065のRavを得た。水素原子を
電子密度差異地図の試験により配置したが、精密化しなかった。水素原子を付加
した後、さらに3回の完全マトリックス精密化を行った。
【0052】データ収集 約0.13×0.15×0.40mmの寸法を有する、C19H23O3N5・H2O透明な針状結晶をグラ
ス繊維上に配置した。全ての測定は、Rigaku AFC7回折計と連結させたQuantum C
CDエリアディテクターにより、黒鉛で単色化したMo-Kα線を用いて行った。
【0053】 データ収集に関する単位格子定数および方向マトリックスは、下記の寸法を有
する単純三斜晶格子に対応していた。
【0054】 Z=2および式量387.44の場合、密度の計算値は1.38g/cm3である。成功した構造の
精密化、および強度分布の統計的分析に基づき、空間群は と決定された。
【0055】 データを-175±1℃で、58.5°の最大2θ値まで収集した。データは98.0秒の曝
露で、0.50°の振動(oscillation)で収集した。データの掃引(sweep)は、0.0〜1
90.0°φ振動を使用してχ=0°で行い、第二の掃引は-17.0〜23.0°のω振動を
使用してχ=90.0°で行った。結晶と検出器との距離は38.60mmであった。検出器
の振動(swing)角度は-5.00°であった。
【0056】データ換算 収集された7355の反射のうち、3379は独立したものであった(Rint=0.065);等
価な反射は統合した。Mo-Kα線に関する線形吸収係数μは1.0cm-1である。デー
タをローレンツ(Lorentz)効果および分極効果に関して補正した。二次消衰(exti
nction)に関する補正を適用した(係数=1.54877×10-6)。
【0057】構造解析および精密化 構造を直接法により解析した(SAPI91:Fan Hai-Fu(1991):Structure Analysis
Program with Intelligent Control, Rigaku Corporation, Tokyo, Japan)。水
素以外の原子を、異方性で精密化した。水素原子は含まれるが、精密化されなか
った。完全マトリックス最小二乗精密化の最後のサイクルは、1537の観測した反
射(I>3.00σ(I))と254の可変パラメーターに基づくものであり、加重していない
以下の同意因子(agreement factor): により収束させた(最大のパラメーターシフトは、そのe.s.d.の0.02倍)。
【0058】 単位重量(unit weight)の観測の標準偏差は、以下の関数: (上記式においてN0およびNvは、それぞれ観測数と可変因子の数である)で定義
され、その値は2.41であった。加重スキームは計数統計学に基づいており、強反
射を下方加重ための因子(p=0.040)を含めた。Σw(|F0|-|Fc|)2の|F0|に対するプ
ロット、データ収集における反射オーダー(order)、sinθ/λおよび種々のクラ
スの指数は、異常な傾向を示さなかった。最終差異フーリエ地図上の最大ピーク
および最小ピークは、それぞれ0.31および-0.37e-/(オングストローム)3に一
致していた。
【0059】 中性原子散乱因子をCromerおよびWeber(International Tables for X-ray Cry
stallography, Vol. IV, Kynoch Press, Birmingham, England, Table 2.2A(197
4))から採った。異常分散効果(disperse effect)を、Fcalcに含めた(Ibers, J.A
.およびHamilton, W. C.;Acta Crystallogr., 17, 781(1964))。Δf’およびΔf
’’の値はCreaghおよびMcAuley(International Tables for Crystallography,
Vol. C, (A.J.C. Wilson, 編), Kluwer Academic Publishers, Boston, Table 4
.2.6.8, 219〜222頁(1992))のものである。マス(mass)減衰係数の値はCreaghお
よびHubbell(International Tables for Crystallography, Vol. C, (A.J.C. Wi
lson, 編), Kluwer Academic Publishers, Boston, Table 4.2.4.3, 200〜206頁
(1992))のものである。全ての計算を、teXsan結晶学ソフトウェアパッケージ(ウ
インドウズ用のteXsan: 結晶構造解析パッケージ, Molecular Structure Corpor
ation(1997))を用いて行った。
【0060】 実験の詳細を表1にまとめて示す。原子の位置、結合の長さ、結合角、最小二
乗面、および水素結合距離および角度を表2〜表6に示す。
【0061】
【表1】
【表2】
【表3】
【表4】
【表5】
【表6】 6.2. 実施例2:TMHの元素分析 トリメトレキサート一水和物の2つのサンプルを、炭素、水素および窒素含量
について分析した。両方のサンプルについての結果を表7に示す。トリメトレキ
サート一水和物、C19H23O3N5・H2Oは、387.44g/molの分子量を有する。表7に示
されている理論値は、一水和物の元素組成に基づいている。このデータは、一水
和物について期待される結果と良好に合致するものである。
【0062】
【表7】 6.3. 実施例3:質量分析 トリメトレキサート一水和物の2つのサンプルに対して質量分析を行った。ス
ペクトルを、双曲線四重極質量フィルターを有するHewlett-Packard 5989A MS E
ngine質量分析計で測定した。イオン化法は直接電子衝撃イオン化法であり、イ
オン化エネルギーを70eVとした。プローブを、45℃から250℃まで25℃/minの昇
温速度でプログラム化した。
【0063】 2つのサンプルに対する質量スペクトルは等価なものであった。分子イオンお
よび塩基m/z=187イオン(M+からトリメトキシアニリノ部分を引いたもの)が明瞭
に存在した。観察された主要断片イオン、それらの相対的強度および帰属された
化学種を表8に示す。
【0064】
【表8】 TMA=トリメトレキサートの3,4,5-トリメトキシアニリノ部分6.4. 実施例4:熱比重測定分析 トリメトレキサート一水和物の2つのサンプルを、DuPont 951 TGAモジュール
およびTA Instruments Termal Analyst 2000インターフェースを使用して分析し
た。データをDuPont TGA v5.14Aソフトウェアを使用して分析した。分析した各
サンプルは、5〜6mgの大きさであった。装置が、正確にこのサイズのサンプルを
確実に分析するように、対照実験を、スルファグアニジン標準品(Sigma)を用い
て行った。スルファグアニジンは、7.5%の揮発物の理論的損失を有する。対照実
験においては、スルファグアニジンのサンプル6.0870mgを使用した。サンプルを
25℃から150℃まで℃/minの昇温速度、50cc/minの窒素ガス流速で加熱した。7.8
37%の揮発分の損失が観察されたが、これは約4.5%の陽性誤差(positive error)
に相当する。
【0065】 続いてTMHの2つのサンプルを、温度範囲を約210℃まで広げたことを除いて、
スルファグアニジン対照実験と同様の条件下で分析した。5.5440mgのTMHサンプ
ルは、0.2601mgの揮発分損失(4.692%)を、そして5.4350mgのサンプルは、0.2578
mgの損失(4.743%)を示した。TMHについての理論上の揮発分損失は4.65%である。
2つのTMHサンプルのうちの1つ(5.5440mgのサンプル)について得られたTGA曲線を
図4に示す。
【0066】 さらに2つのTMHのサンプルを、TGA Analysis V2.0 ソフトウェアで操作するDu
Pont 1090 Thermal Analyzerを使用して分析した。正確に重さを計量した、同じ
重量のサンプルを、25℃から200℃へ、10℃/minの昇温速度で加熱した。2つのサ
ンプルは、4.57%と4.56%の損失を示した。
【0067】6.5. 実施例5:示差走査熱量測定 TMHの2つのサンプルを、Interactive DSC V3.0ソフトウェアで操作するDuPon
t 1090 Termal Analyzerを使用して分析した。正確に重さを計量した、同じ重量
のサンプルを、25℃から300℃へ、10℃/minの昇温速度で加熱した。
【0068】 2つのサンプルのうちの1つについてのDSC走査を、図5に示す。2つのサンプ
ルそれぞれについて2つの吸熱が同様の温度で、下記の通りに観察された。
【0069】吸熱 サンプル1 サンプル2 第一 166.5〜172.3℃ 159.9〜169.9℃ 第二 216.4〜219.8℃ 217.5〜220.7℃ 第一の吸熱は結晶マトリックスからの水の損失と一致し、第二の吸熱は融解に
相当する。この結論を、Buchi融点装置により同じ様式で加熱したサンプルを、
視覚的に観察して確認した。160〜170℃の温度範囲では、サンプルの融解または
「湿潤化(wetting)」は認められなかった。サンプル1は、219.5〜222.5℃で融解
することが観察され、サンプル2は、218.5〜221.5℃で融解することが観察され
た。
【0070】 トリメトレキサート一水和物の熱に対する挙動を、異なる加熱パターンを使用
してさらに調べた。2つのサンプルを、最初の吸熱後まで(180℃まで)加熱し、冷
却し、次いで再度25℃から230℃へ加熱した。第二の加熱サイクルにおいては、
約220〜221℃での吸熱のみが観察された。この結果は、第一の加熱サイクルの間
の水損失に一致する。第一の加熱サイクルの間に結晶から水が失われると、水は
再びトリメトレキサート分子と、同じ様式では会合できない。従って、第二の加
熱サイクルは、融解に相当する単一の吸熱のみを示す。DSCトレースを図6に示
す。
【0071】6.6. 実施例6:無水トリメトレキサートと比較したTMHの熱安定性 トリメトレキサート一水和物と無水トリメトレキサートのサンプルを分析して
、無水トリメトレキサートの熱安定性を、本発明のトリメトレキサート一水和物
と比較した。
【0072】無水トリメトレキサート 無水トリメトレキサートを、トリメトレキサート一水和物を脱水して調製した
【0073】 トリメトレキサート一水和物のサンプル(約30g)をペトリ皿中に配置し、減圧デ
シケーター中で五酸化リンで脱水した。サンプルを約100ミクロンの圧力で、6日
間乾燥させた。
【0074】検定方法 以下の方法を用いて、トリメトレキサート一水和物および無水トリメトレキサ
ートのサンプルの純度を検定した。化合物のサンプルはHPLCによって分析した。
【0075】 移動相を調製するにあたって、最初にドデシル硫酸ナトリウム(Aldrich 86, 2
01-0または相当物)5gを1100mLの水に溶解し、氷酢酸(約5mL)を用いてpHを3.0に
調整した。続いてHPLCグレードのアセトニトリル825mLを添加し、この溶液を過
剰に泡立たないようにしながら十分に混合した。次いで濾過していない溶液を5
分間超音波処理して脱気した。この溶液を使用直前に、および一日の初めにに脱
気した。
【0076】 トリメトレキサート基準化合物を移動相溶液中に濃度0.2mg/mLで含む標準溶液
を、2通り調整した(「STD-1」および「STD-2」)。標準溶液は、使用しない時
は冷蔵して保存し、新しい溶液を毎日調製した。また、無水トリメトレキサート
およびトリメトレキサート一水和物のサンプル溶液を、移動相溶液中に0.2mg/mL
の濃度で調製した。サンプル溶液を試験する前に、標準トリメトレキサート溶液
(STD-1)を6回注入する場合のトリメトレキサートのピーク面積測定値の再現性
、トリメトレキサートのピーク対称性、および2通りの標準調製物間の一致を分
析することによりこの系をチェックした。許容基準は下記の通りである: 再現性:≦2.0% RSD 対称性:≦2.0 (テーリング係数) 標準物の一致:<2% トリメトレキサートの平均ピーク面積を、補正された標準面積を計算するため
に、下記の通り用いた。
【0077】 検定データについて、HPLC操作パラメーターは下記の通りである: 流速: 1.5mL/分 検出波長: 235nm 注入量: 10μL カラム温度: 室温(15-30℃) 処理時間: 12分(トリメトレキサートのピーク後1分) 典型的インテグレーション: 最初の8分間はアテニュエーション32、 次いで512 各サンプル溶液を処理し、純度を計算した。
【0078】 不純物の定量のために、全ての存在しうる不純物および/または分解生成物を
検出するために処理時間を30分に延長した以外は、操作パラメーターを前の通り
にし、そしてアテニュエーション32を使用した。移動相ブランクを最初に処理し
、続いてサンプル溶液を処理した。
【0079】 計算は下記の通りに行う: CSTD=(mg STD×純度STD(小数として))÷100mL 補正標準面積=標準ピーク面積÷CSTD 平均補正標準面積=(補正標準面積(STD-1)+補正標準面積(STD-2))÷2 実測mg=(サンプル面積÷平均補正標準面積)×希釈液mL 純度(% w/w)=[(実測mg×100%)÷計量したサンプルのmg]×[100÷(100-M)] Mは水分の%である。
【0080】 不純物の計算のために、ブランクのクロマトグラム中に存在しない(しかも溶
媒によるフロント妨害に由来するものではない)ピークを確認し、下記の計算を
行った。
【0081】 相対保持時間(RRT)=rimp/rTMTX ピーク面積(%)=[ピーク面積(imp)÷(Σピーク面積(全不純物+TMTX))]×100結果 無水および一水和物化合物のサンプルを、純度および水分含量について最初に
検定した。サンプルを25℃または50℃のいずれかで、4週間貯蔵した。HPLCクロ
マトグラムを、各温度で貯蔵したサンプルについて、貯蔵開始の3日後、1週間後
、2週間後、および4週間後に記録し、各々の時間的間隔でサンプルを、純度、不
純物および水分含量について調べた。
【0082】 図7に、50℃で4週間貯蔵したサンプルのHPLCクロマトグラムを示す。図7に
おいては、トレースAは無水物サンプルについてのクロマトグラムを示し、Bはト
リメトレキサート一水和物を示し、Cは溶媒ブランクを示す。約13分のところに
あるピークが分解されていない化合物に対応する。この図では、Y軸を拡大し不
純物を示すためにピークを切り取ってある。図7は、無水物サンプル中の2〜7分
領域にある不純物と、約20分のところにあるにある大量の不純物を示す。無水物
サンプルとは対照的に、トリメトレキサート一水和物は、50℃で4週間経過した
後も、顕著な分解生成物を示さない。表9に、安定性データをまとめて示す。
【0083】
【表9】 表9における「アミン」のエントリーは、図7において、無水物サンプル中の
約20分のところの大きなピークとして現れるアミン分解生成物に合致する。この
分解生成物を単離したところ、それは6-アミノエチル-5-メチル-2,4-キナゾリン
ジアミンであると同定された。この化合物は淡黄色粉末であり、分子式C10H13N5 と式量203.25g/molを有する。この化合物の構造は下記の通りである。
【0084】 分解生成物の紫外線吸収スペクトルをIBM 9420 UV/VIS分光光度計を使用して
測定した。この化合物の0.005g/Lメタノール溶液を調製し、スペクトルを1.0cm
のセルを用いて測定した。3つの主要な吸収極大のモル吸光係数を表10に示す。
【0085】
【表10】 6.7 実施例7:トリメトレキサート酢酸塩水和物からのトリメトレキサート一水
和物の調製 トリメトレキサート一水和物をトリメトトレキサート酢酸塩水和物から、スキ
ーム1の方法によって調製した。
【0086】6.7.1. 材料 使用した材料、およびそれらの供給源、または代表的な供給源を表11に示す。
合成の各工程において、試薬用容器(スチール製反応器)を最初に洗浄し、乾燥
させ、窒素でパージした。
【0087】
【表11】 6.7.2. 工程1:トリメトレキサート塩基、粗製 反応器に41.5Lのn-ブタノールおよび10.4Lの脱イオン水を入れた。続いて粗製
トリメトレキサート酢酸塩6.3kgを添加した。次いで、メタ重亜硫酸ナトリウム3
g、アンモニア0.65L、トンシル(tonsil) 1kgおよびスーパーセル(Supercel) 1kg
を添加した。
【0088】 反応混合物を90℃まで加熱し、温和な条件下で還流し、10分間攪拌した。
【0089】 その後、予め加熱したフィルターチューブを用いて、約1barでPE-ドラム中に
加圧濾過した。その後で、4Lのn-ブタノールと1Lの脱イオン水の混合物でチュー
ブを洗った。
【0090】 濾液を洗浄した反応器(n-ブタノール/脱イオン水の4:1混合物5Lで洗浄したも
の)に移し、70℃まで加熱した。続いて1.95Lのアンモニアを添加した。塩基は
約5分後に結晶化した。反応混合物を20℃まで冷却し、減圧下で濾過した。濾過
ケーキを続いて脱イオン水5Lとエタノール5L (80%、4容量部のエタノールと1容
量部の水)で洗浄した。得られたのは約5.6kgの湿った物質、または4.4±0.5kgの
乾燥生成物(計算した値)であり、これは粗製トリメトレキサート酢酸塩に対して
84±10%の収率に相当する。
【0091】6.7.3. 工程2:トリメトレキサート塩基、DMF付加物 反応容器にジメチルホルムアミド(DMF) 10.4Lと脱イオン水1.04Lを入れ、続い
て工程1のトリメトレキサート塩基4.35kg(乾燥)を添加した。溶液を100℃まで加
熱し、次いで75℃まで冷却し、エタノール5.2Lを添加した。この溶液をさらに55
〜60℃まで冷却し、結晶化が起こるまで保持した。結晶化後、溶液を10℃まで冷
却し減圧下で濾過した。結晶をエタノール(80% v/v)2.6Lで2回洗浄した。あるい
は、同じ手順を用いて、工程1のトリメトレキサート塩基の湿った生成物4.7kg(
乾燥物質に基づいて)から出発することもできる。
【0092】 得られたのは3.9±0.5kgの湿った生成物または3.0±0.3kgの乾燥した物質(計
算値)で、出発原料の粗製トリメトレキサート塩基に対して69±7%の収率に相当
する。
【0093】6.7.4. 工程3:トリメトレキサート塩酸塩 工程2のトリメトレキサートDMF付加物2.85kg(乾燥物質に基づく)を、加温し
た脱イオン水45L中に懸濁して50℃まで加熱した。グルコン酸3.9kg(35-55%水溶
液;50%の含量に基づく重量)を添加すると、暗色の濁った溶液となった。活性炭
0.05kgとスーパーセル(Supercel) 0.1kgを添加し、混合物を50℃で10分間攪拌し
た。続いて混合物を0.5barでPEドラム中に加圧濾過し、フィルターパイプライン
を加温した脱イオン水5Lで洗った。
【0094】 反応容器を加温水で十分に洗浄し、濾液を容器中に再投入した。氷酢酸0.167L
を50℃で添加し、続いて脱イオン水2.5L中の塩化ナトリウム0.583kgの溶液を添
加した。この操作の間、生成物が結晶化し始める。懸濁液を45〜50℃で10分間攪
拌し、その後20℃まで冷却した。続いてそれを濾過し、脱イオン水5Lとエタノー
ル(80% v/v)5Lで洗浄した。湿った物質の収量は4.0±0.5kg、すなわち乾燥物質2
.6±0.3kgであり、出発原料のトリメトレキサート塩基DMF付加物に対して87±10
%の収率に相当する。
【0095】6.7.5. 工程4:トリメトレキサート一水和物 工程3のトリメトレキサート塩酸塩2.86kgを、脱イオン水30Lとn-ブタノール1
0L中に懸濁した。この混合物を80℃まで加熱し、そしてさらに加熱することなく
アンモニア(25%)0.833Lを添加した。塩酸塩が最初に溶解したが、約2分後に塩基
が沈殿した。この混合物を70〜80℃で10分間攪拌し、その後10℃まで冷却し、続
いて真空ブフナー漏斗(nutsche)を用いて濾過した。濾液を脱イオン水5Lとエタ
ノール(80% v/v)5Lで洗浄した。湿った物質を、20〜30mbarの減圧下で15〜20時
間、60℃の真空トレードライヤー中で乾燥させるか、または好ましくは50℃で約
4〜8時間、ロータリー真空ドライヤー中で乾燥させる。
【0096】 乾燥後ただちに、生成物を0.5mmのメッシュで、最大回転速度で篩い分けする
。PEインサート(折りたたみ袋)を有するバッチ式ユニット容器(ファイバードラ
ム;fibre drum)を直接、篩分け装置の出口漏斗に張力ベルト(tension belt)に
より接続する。操作プラットホームから乾燥生成物を、篩分け装置の投入スペー
ス中に小分けして供給する。
【0097】 篩分け後すぐに、生成物をブレンダーに移し、この物質を30分間ブレンドする
【0098】 湿った物質の収量は2.9±0.5kgすなわち篩分けした物質2.4±0.2kgであり、こ
れは出発原料のトリメトレキサート塩酸塩に対して収率92±8%に相当する。
【0099】6.8. 実施例8:トリメトレキサート一水和物の、キナゾリンアルデヒドホルマ
ートからの調製 トリメトレキサート一水和物は、キナゾリンアルデヒドホルマートまたはジホ
ルマートから、スキーム2の方法に従って調製できる。以下は、出発原料ジホル
マートを用いる、トリメトレキサート一水和物の典型的なバッチ(3.5kg)の製造
工程である。
【0100】6.8.1. 原料 全ての原料は種々の商業上の供給者から容易に入手し得る。出発原料、キナゾ
リンアルデヒドホルマートまたはジホルマートは、対応するニトリルである2,4-
ジアミノ-5-メチル-6-キナゾリンカルボニトリルを、ラネーニッケルおよびギ酸
で還元して合成できる(Biochem. Pharmacology, 33, 3251(1984)を参照されたい
)。合成の各工程においては、試薬用容器(スチール製反応器)を最初に洗浄し、
乾燥させ、窒素でパージする。
【0101】6.8.2. 工程1:キナゾリンアルデヒド塩基 反応容器(400Lのエナメル化ステンレススチール反応器)に、n-ブタノール13.5
Lと水9Lとの混合物を入れる。これにキナゾリンアルデヒドジホルマート5.4kgを
添加する。EDTA 90gを添加した後、混合物を80℃まで加熱する。この温度でTEA
0.9Lとアンモニア2.25Lを添加し、pHを8.5より上にする。混合物を90℃まで加熱
(穏やかに還流)し、この温度で20分間攪拌する。
【0102】 その後、懸濁液を20〜25℃まで冷却し、吸引濾過する。濾過された部分を少な
くとも、n-ブタノール1.8L、エタノール1.8L、水1.8Lで洗浄する。サンプルを、
外観(オリーブの褐色〜黄色の粉末、湿っている)とNMRスペクトルによる対照試
験用に採取する。
【0103】 典型的な収量は、3.6〜3.9kg(乾燥ベース)であり、出発原料であるキナゾリン
アルデヒドジホルマートに対して収率89〜97%に相当する。
【0104】6.8.3. 工程2:キナゾリンシッフ塩基 反応容器(400Lのエナメル化ステンレススチール反応器)に、n-ブタノール22L
とトルエン4.4Lを入れる。湿ったキナゾリンアルデヒド塩基3.87kg(工程1より、
乾燥重量に基づく)および3,4,5-トリメトキシアニリン3.38kgを添加し、この混
合物を、液相温度89℃から110℃までの共沸蒸留により脱水し、約0.64Lの水相を
得た。生成された水の量を、反応の進行度をモニターするための対照として使用
した。
【0105】 その後、混合物を20〜25℃に冷却し、シッフ塩基を吸引濾過した。濾過部分は
少なくともn-ブタノール3.5Lおよびt-ブチルメチルエーテル2.5Lで洗浄する。サ
ンプルを、外観(黄色〜褐色の小板状)とNMRスペクトルによる対照試験用に採取
し、またシッフ塩基の加水分解されやすい性質のために水分(湿気)との接触を最
小限とするように、次の工程のために直接採取した(上記の5.4節を参照されたい
)。
【0106】 典型的な収量は5.3〜6.4kg(乾燥ベース)であり、出発原料であるキナゾリンア
ルデヒド塩基に対して収率82〜99%に相当する。
【0107】6.8.4. 工程3:トリメトレキサート酢酸塩 反応容器(400Lのエナメル化ステンレススチール反応器)に、テトラヒドロフラ
ン(THF)30Lと水7.3L、炭酸ナトリウム270g、キナゾリンシッフ塩基(工程2より、
乾燥重量に基づく)5.85kg、および3,4,5-トリメトキシアニリン165gを入れる。
この混合物を約45℃まで加熱する。2.7Lの水に溶解させた水素化ホウ素ナトリウ
ム0.55kgの溶液および5mLの水酸化ナトリウムを、ゆっくりと3〜5時間かけて反
応器に加え、その間反応器に窒素を流した。水素化ホウ素ナトリウム溶液の添加
を完了させた後、反応物を63〜65℃で10分間攪拌する。反応の進行度はTLCによ
りモニターする。出発原料の量が0.5%を上回る場合には、追加量の水素化ホウ素
ナトリウム(モルベースで計算)を還流中の反応物に添加する。
【0108】 THF約27Lを、常圧、65〜68℃で留去した。n-ブタノール10L、および水5Lを添
加した。THF/ブタノール/水の混合物約5Lを、反応混合物の温度が85℃に達する
まで留去する。続いて反応物を5〜10℃に冷却し、二相混合物を減圧下で濾過し
た。各濾過部分を少なくとも水10Lで洗浄した。
【0109】 湿った粗トリメトレキサート塩基(5.65kg)を、エタノール32Lと水9Lの混合物
中に懸濁した。この懸濁液を70℃まで加熱し、乳酸0.76Lと酢酸0.685Lを添加し
た。その結果得た溶液を、Tonsil 0.35kgおよび活性炭0.1kgと混合し、溶液を70
℃、0.5barで加圧濾過した。
【0110】 濾液に、2.3Lの水中の酢酸ナトリウム0.59kgと氷酢酸1Lを添加した。混合物を
、70〜75℃で30分間攪拌した。20℃まで冷却した後、得られた懸濁液を減圧下で
濾過した。各濾過部分を少なくとも酢酸4.5Lで洗浄した。サンプルを、外観(黄
色〜緑色の固体、湿っている)、HPLC保持時間、およびHPLC検定(NLT 98% w/w、
無水物ベース)のために採取した。
【0111】 典型的な収量は5.5〜6.5kg(乾燥ベース)であり、これは出発原料であるキナゾ
リンシッフ塩基に対して収率77〜91%に相当する。
【0112】6.8.5. 工程4:トリメトレキサート一水和物 反応容器(400Lのエナメル化ステンレススチール反応器)に、n-ブタノール47L
と水8Lを入れる。トリメトレキサート酢酸塩6kg(工程3より、乾燥重量に基づく)
、アスコルビン酸140g、およびアンモニア0.54Lを添加した。混合物を90℃まで
加熱し、全ての原料が溶解するまで30分間にわたって攪拌した。反応混合物にTo
nsil 0.3kgを添加し、反応物を90℃で10分間にわたり攪拌し、その後0.5bar、80
℃で加圧濾過した。
【0113】 濾液を、水酸化ナトリウム0.67Lおよびアンモニア1.48Lと約80℃で混合する。
混合物を15〜20℃まで冷却し、この温度で30分間にわたって攪拌した。得られた
懸濁液を、減圧下で濾過した。各濾過部分を少なくとも、水4Lおよび2-プロパノ
ール2.7Lで洗浄した。
【0114】 反応容器に窒素を流し、生成物中にある痕跡量の2-プロパノールを以下の手順
により除去した。2-メトキシプロパノール(31L)および湿ったトリメトレキサー
ト塩基を反応器中に導入した。混合物を110〜115℃まで加熱し、2-プロパノール
の痕跡を除去し、続いて105℃まで放冷した。Tonsil(0.5kg)を混合物中に添加し
た。反応物を再び110〜115℃へ加熱し、0.5bar、110℃で加圧濾過した。濾液を1
5〜20℃へ冷却して結晶化させた。20℃で20分間攪拌した後、生成物を減圧下で
濾過した。各濾過部分を少なくとも、2-プロパノール4Lで洗浄した。
【0115】 2-メトキシプロパノール付加物の、遊離塩基への変換は以下の通り行った。反
応器にエタノール27L、水4.9Lおよび2-メトキシプロパノール付加物を入れた。
続いて混合物を78〜80℃まで還流させながら加熱し、この温度で30分間にわたり
攪拌した。15〜20℃へ冷却して結晶化させ、生成物を減圧下で濾過した。各濾過
部分を少なくとも、水4Lで洗浄した。
【0116】 湿った生成物を、70℃、20〜30mbarで15〜20時間真空トレードライヤーで乾燥
させるか、または好ましくは50℃、20〜30mbarで約4〜8時間、ロータリー真空ド
ライヤー中で乾燥させる。乾燥させたトリメトレキサート一水和物塩基は篩い分
けし(500μL)、ブレンドした。代表的なサンプルを、放出試験のために取り除い
た。
【0117】 典型的な収量は4.1〜5.0kg(乾燥ベース)であり、出発原料であるトリメトレキ
サート酢酸塩に対して収率79〜96%に相当する。
【0118】 合成のいずれかの工程で、対照試験の規格を満たす物質を製造できない場合に
は、本明細書中で各工程について記載した同様の手順によって物質をさらに再結
晶させてもよい。工程4における水または溶媒含量が規格外である場合には、乾
燥、篩分けおよびブレンドの部分を繰り返してもよい。
【0119】6.9. 実施例9:キナゾリンシッフ塩基の特性づけ キナゾリンシッフ塩基2,4-ジアミノ-5-メチル-6-[(3,4,5-トリメトキシフェニ
ルイミノ)-メチニル]-キナゾリンの構造と化学種を、種々の分析方法を使用して
確認した。
【0120】紫外線吸収 キナゾリンシッフ塩基の紫外線吸収スペクトルをPerkin-Elmer Lambda 2 UV分
光光度計を使用して測定した。キナゾリンシッフ塩基の0.005g/Lメタノール溶液
を調製し、スペクトルを1.0cmのセルを使用して得た。観察された3つの主要な吸
収極大での化合物のモル吸光係数を、表12に示す。
【0121】
【表12】 赤外線吸収 Nicolet Model 740赤外線分光光度計を使用して、赤外線スペクトルを記録し
た。臭化カリウムのペレットを、約0.5%(w/w)の濃度で調製した。主なスペクト
ル上の特徴およびそれらの帰属を、表13に示す。
【0122】
【表13】 プロトンおよび13C NMR 化合物のプロトン(1H)NMRスペクトルを、Bruker AMX300 NMRスペクトロメータ
ーを使用して300.136 MHzで測定した。4504.5 Hzのスペクトル幅を、32Kデータ
ポイント、16スキャンのシグナル平均化を使用して測定した。1.0mLのジメチル
スルホキシド-d6中に37mgを溶解させてサンプルを調製し、TMSを基準として添加
した。スペクトルのデータを表14に示す。
【0123】
【表14】 差分NOE実験を行い、イミン二重結合のまわりの立体構造を決定し、キナゾリ
ン環のC7上のプロトンの、化学シフトの帰属を確認した。この実験については、
選択した共鳴をパルスディレイの間に照射した。照射プロトンの5〜7オングスト
ロームの範囲にあるプロトンは、それらのシグナルを増加させた。シグナルを増
加させたプロトンは、通常のスペクトルを増加されたスペクトルから差し引くこ
とにより同定した。
【0124】 イミンのプロトンを差分NOE実験のために照射すると、トリメトキシアニリン
環の2’、6’のプロトン、およびキナゾリン部分の5-メチルプロトンにおいて強
い増加が見られた。この増加は、予想されるトランス立体構造がイミン二重結合
のまわりに存在することを示す。なぜなら、シス立体構造では2’、6’プロトン
のNOE増加とはなり得ないからである。8.14ppmでの共鳴には、より弱い増加が認
められ、これはキナゾリン環上のプロトン7として同定される。
【0125】 13C NMRスペクトルも記録したが、それはキナゾリンシッフ塩基構造と一致す
るものであった。
【0126】質量分析 化合物の質量スペクトルを、直接インレット(inlet)電子衝撃イオン化法を使
用して得た。スペクトルは双曲線四重極質量フィルターを有するHP 5989A MS En
gine質量スペクトロメーターを使用して測定した。プローブを、25℃/minで、35
℃から250℃までにプログラム化した。イオン化エネルギーは70eVであった。質
量スペクトルを表15に表示する。
【0127】
【表15】 TMA=トリメトレキサートの3,4,5-トリメトキシアニリノ部分水分含量 サンプル中の水を、Karl Fisher滴定により測定した。サンプルは1.0%(0.21mo
l)の水を含むことが判明した。
【0128】融点 Shimazu DSC-50装置を使用して、示差走査熱量測定法により融解範囲を測定し
た。融解範囲は245.4〜247.5℃であることが判明した。
【0129】元素分析 化合物をC、HおよびN含量に関して、CEC Model 240-XA CHN分析器を使用して
分析した。結果を表16に示す。
【0130】
【表16】 本明細書において記載し、権利の請求をする発明は、本明細書において開示さ
れた特定の実施形態によって範囲を制限されるものではない。なぜならこれらの
実施形態は、本発明のいくつかの態様を例示するものであるからである。同様の
実施形態は、本発明の範囲内に含まれるものとする。実際に、本明細書において
開示され示された本発明に加え、種々の改変が、前記のことから当業者には明白
となるであろう。このような改変もまた、添付の特許請求の範囲内に含まれるも
のである。
【0131】 本出願において引用した全ての参考文献の全体が、参照により本明細書に組み
込まれるものとする。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、本発明の結晶質トリメトレキサート一水和物のX線回折についての回折
角に対する強度の図である。
【図2】 図2は、X線結晶解析のデータから得られた結晶質TMHの構造を示す。
【図3】 図3aは、結晶質TMH単位格子中におけるトリメトレキサート分子およびその会
合した水分子の相対的位置を示す。 図3bは、原子の位置を強調するために図3aの単位格子をわずかに回転させ、か
つ濃淡を付けたものである。点線は、単位格子内の、単一のトリメトレキサート
分子内の分子内水素結合相互作用、隣接するトリメトレキサート分子間の分子間
水素結合相互作用、およびトリメトレキサートと水の間の水素結合相互作用を示
す。
【図4】 図4は、TMHサンプルについての熱重量分析(TGA)の結果を示す。
【図5】 図5は、TMHサンプルについての示差走査熱量測定(DSC)の結果を示す。
【図6】 図6は、このDSCデータをとる前に、180℃に加熱し、そして25℃に冷ましたTMH
サンプルのDSCスキャンを示す。
【図7】 図7は、無水トリメトレキサートに対するTMHの相対的安定性を示すHPLCクロマ
トグラムである。無水サンプルにおける、約2〜7分にあるピークおよび約20分に
ある大きなピークは、サンプルの分解を示している。約20分に現われる分解生成
物である、6-アミノメチル-5-メチル-2,4-キナゾリンジアミンの構造およびUV吸
光特性は、実施例6に示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SL,SZ,UG,ZW),E A(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ ,TM),AE,AL,AM,AT,AU,AZ,BA ,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,CU, CZ,DE,DK,EE,ES,FI,GB,GD,G E,GH,GM,HR,HU,ID,IL,IN,IS ,JP,KE,KG,KP,KR,KZ,LC,LK, LR,LS,LT,LU,LV,MD,MG,MK,M N,MW,MX,NO,NZ,PL,PT,RO,RU ,SD,SE,SG,SI,SK,SL,TJ,TM, TR,TT,UA,UG,UZ,VN,YU,ZA,Z W (72)発明者 グラフェ、インゴマール ドイツ連邦共和国 ディー−90482 ニュ ーンベルグ、アウエルバッハー シュトラ ーセ 4 (72)発明者 モルスドルフ、ヨハン ドイツ連邦共和国 ディー−90579 ラン ゲンゼン、スポートプラッツ シュトラー セ 4 Fターム(参考) 4C086 AA03 AA04 BC46 NA03 ZB26 ZB35 ZB39

Claims (62)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 塩でない化合物である、熱的に安定な2,4-ジアミノ-5-メチ
    ル-6-[(3,4,5-トリメトキシアニリノ)メチル]キナゾリン。
  2. 【請求項2】 水和物である、請求項1に記載の熱的に安定な2,4-ジアミノ
    -5-メチル-6-[(3,4,5-トリメトキシアニリノ)メチル]キナゾリン。
  3. 【請求項3】 2,4-ジアミノ-5-メチル-6-[(3,4,5-トリメトキシアニリノ)
    メチル]キナゾリン一水和物。
  4. 【請求項4】 結晶質2,4-ジアミノ-5-メチル-6-[(3,4,5-トリメトキシアニ
    リノ)メチル]キナゾリン一水和物。
  5. 【請求項5】 本質的に図1と同一のX線粉末回折パターンを有する、請求
    項4に記載の結晶質2,4-ジアミノ-5-メチル-6-[(3,4,5-トリメトキシアニリノ)
    メチル]キナゾリン一水和物。
  6. 【請求項6】 本質的に表1と同一のX線粉末回折パターンを有する、請求
    項4に記載の結晶質2,4-ジアミノ-5-メチル-6-[(3,4,5-トリメトキシアニリノ)
    メチル]キナゾリン一水和物。
  7. 【請求項7】 空間群 に属し、寸法がa=7.699オングストローム、b=9.606オングストロームおよびc=13
    .012オングストロームの3斜格子(triclinic cell)を有する、結晶質 2,4-ジア
    ミノ-5-メチル-6-[(3,4,5-トリメトキシアニリノ)メチル] キナゾリン一水和物
  8. 【請求項8】 無菌の化合物である、請求項1,2または3のいずれか一項
    に記載の熱的に安定な化合物。
  9. 【請求項9】 無菌の化合物である、請求項4、5、6、または7のいずれ
    か一項に記載の結晶質 2,4-ジアミノ-5-メチル-6-[(3,4,5-トリメトキシアニリ
    ノ)メチル] キナゾリン一水和物。
  10. 【請求項10】 2,4-ジアミノ-5-メチル-6-[(3,4,5-トリメトキシアニリノ
    )メチル]キナゾリン一水和物を製造する方法であって、 a. トリメトレキサート酢酸塩水和物から粗製トリメトレキサート塩基を調製
    する工程、 b. 粗製トリメトレキサート塩基をジメチルホルムアミド(DMF)で再結晶させ
    、純粋なトリメトレキサートDMF付加物を製造する工程、 c. トリメトレキサートDMF付加物をトリメトレキサート塩酸塩に変換する工程
    、および d. トリメトレキサート塩酸塩を純粋な結晶質トリメトレキサート一水和物に
    変換する工程、 を含んでなる前記方法。
  11. 【請求項11】 工程(a)を、水、C2〜C4の脂肪族アルコール、またはこ
    れらの混合物中で実施する、請求項10に記載の方法。
  12. 【請求項12】 溶媒がn-ブタノールと水の混合物である、請求項11に記
    載の方法。
  13. 【請求項13】 n-ブタノールと水の比が1:1〜10:1である、請求項12
    に記載の方法。
  14. 【請求項14】 工程(a)が、n-ブタノールと水の基礎混合物中にトリメト
    レキサート酢酸塩溶液を調製し、該溶液を触媒量のメタ重亜硫酸ナトリウムの存
    在下で加熱し、該溶液を濾過し、該溶液を約50℃〜90℃の温度までさらに加熱し
    、そしてアンモニア水を添加して粗製トリメトレキサート塩基を結晶化させるこ
    とを含んでなる請求項10に記載の方法。
  15. 【請求項15】 濾過を約1barの圧力下で行う、請求項14に記載の方法
  16. 【請求項16】 粗製トリメトレキサート塩基が結晶化した後に該溶液を室
    温まで冷却し、該粗製トリメトレキサート塩基を濾過し、そして該粗製トリメト
    レキサート塩基を洗浄することをさらに含む、請求項14に記載の方法。
  17. 【請求項17】 粗製トリメトレキサート塩基をエタノール、水またはこれ
    らの混合物で洗浄する、請求項16に記載の方法。
  18. 【請求項18】 工程(b)が、粗製トリメトレキサート塩基をジメチルホ
    ルムアミドを含む溶媒に溶解し、該DMF溶液を加熱し、C2〜C4アルコールを添加
    し、そして該DMF溶液をトリメトレキサートDMF付加物が結晶化する温度まで冷却
    することを含んでなる請求項10に記載の方法。
  19. 【請求項19】 トリメトレキサートDMF付加物を濾過することをさらに含
    む、請求項18に記載の方法。
  20. 【請求項20】 濾過したトリメトレキサートDMF付加物をC2〜C4アルコー
    ルで洗浄することをさらに含む、請求項19に記載の方法。
  21. 【請求項21】 工程(c)において、トリメトレキサートDMF付加物を中
    間体トリメトレキサートグルコネートを経てトリメトレキサート塩酸塩に変換す
    る、請求項10に記載の方法。
  22. 【請求項22】 前記中間体トリメトレキサートグルコネートを、トリメト
    レキサートDMF付加物をグルコン酸分子の供給源と接触させることにより製造す
    る、請求項21に記載の方法。
  23. 【請求項23】 中間体トリメトレキサートグルコネートを、酢酸および塩
    化ナトリウム水溶液を用いてトリメトレキサート塩酸塩に変換して、トリメトレ
    キサート塩酸塩を結晶化する、請求項21に記載の方法。
  24. 【請求項24】 トリメトレキサートグルコネート溶液を加熱することをさ
    らに含む、請求項23に記載の方法。
  25. 【請求項25】 トリメトレキサート塩酸塩を濾過することをさらに含む、
    請求項23に記載の方法。
  26. 【請求項26】 濾過したトリメトレキサート塩酸塩を水、C2〜C4アルコー
    ル、またはこれらの混合物で洗浄することをさらに含む、請求項25に記載の方
    法。
  27. 【請求項27】 工程(d)が、トリメトレキサート塩酸塩を水とC2〜C4
    ルコールの混合物中で加熱し、そして懸濁液のpHを上昇させてトリメトレキサー
    ト一水和物を沈殿させることを含む、請求項10に記載の方法。
  28. 【請求項28】 トリメトレキサート一水和物を濾過し、洗浄し、そして減
    圧下で乾燥することをさらに含む、請求項27に記載の方法。
  29. 【請求項29】 トリメトレキサート一水和物をふるいにかけ、場合により
    混ぜ合わせることをさらに含む、請求項10に記載の方法。
  30. 【請求項30】 2,4-ジアミノ-5-メチル-6-[(3,4,5-トリメトキシアニリノ
    )メチル]キナゾリン一水和物を製造する方法であって、 a. キナゾリンアルデヒドホルマートまたはキナゾリンアルデヒドジホルマー
    トを2,4-ジアミノ-5-メチル-6-キナゾリンカルボックスアルデヒド(2,4-diamino
    -5-methyl-6-quinazoline carboxaldehyde)水和物に変換する工程、 b. 2,4-ジアミノ-5-メチル-6-キナゾリンカルボックスアルデヒド水和物をト
    リメトキシアニリンとカップリングして2,4-ジアミノ-5-メチル-6-[(3,4,5-トリ
    メトキシフェニルイミノ)メチル]キナゾリンを製造する工程、 c. 2,4-ジアミノ-5-メチル-6-[(3,4,5-トリメトキシフェニルイミノ)メチル]
    キナゾリンをトリメトレキサート酢酸塩水和物に還元する工程、および d. トリメトレキサート酢酸塩水和物をアンモニアで処理してトリメトレキサ
    ート一水和物生成物を精製することにより、純粋なトリメトレキサート一水和物
    を調製する工程、 を含んでなる前記方法。
  31. 【請求項31】 工程(a)が、キナゾリンアルデヒドホルマートまたはキナ
    ゾリンアルデヒドジホルマートの溶液を、EDTA、トリエチルアミンおよび溶液を
    塩基性pHにするのに十分な量のアンモニアの存在下で、還流温度まで、かつ2,4-
    ジアミノ-5-メチル-6-キナゾリンカルボックスアルデヒド水和物が結晶化するの
    に十分な時間にわたって加熱することを含んでなる、請求項30に記載の方法。
  32. 【請求項32】 キナゾリンアルデヒドホルマートまたはキナゾリンアルデ
    ヒドジホルマートの溶液を極性水性溶媒中で調製する、請求項31に記載の方法
  33. 【請求項33】 極性水性溶媒が水、C2〜C4アルコール、またはこれらの混
    合物である、請求項32に記載の方法。
  34. 【請求項34】 溶媒がn-ブタノールと水の混合物である、請求項33に記
    載の方法。
  35. 【請求項35】 溶媒が、n-ブタノールと水の比が0.5:1〜3:1の混合物で
    ある、請求項34に記載の方法。
  36. 【請求項36】 前記塩基性pHが約8.0〜約10.0であり、前記還流温度が約7
    0℃〜約100℃であり、かつ前記時間が約5〜60分である、請求項31に記載の方
    法。
  37. 【請求項37】 2,4-ジアミノ-5-メチル-6-キナゾリンカルボックスアルデ
    ヒド水和物を濾過することをさらに含む、請求項31に記載の方法。
  38. 【請求項38】 2,4-ジアミノ-5-メチル-6-キナゾリンカルボックスアルデ
    ヒド水和物を、少なくとも少量のC2〜C4アルコールおよび少なくとも少量の水で
    洗浄することをさらに含む、請求項33に記載の方法。
  39. 【請求項39】 工程(b)が、ブタノールとトルエンの混合物中の2,4-ジ
    アミノ-5-メチル-6-キナゾリンカルボックスアルデヒド水和物を共沸点まで加熱
    し、水和水を留去して2,4-ジアミノ-5-メチル-6-[(3,4,5-トリメトキシフェニル
    イミノ)メチル]キナゾリンを含有する相を残すことを含んでなる、請求項30に
    記載の方法。
  40. 【請求項40】 2,4-ジアミノ-5-メチル-6-[(3,4,5-トリメトキシフェニル
    イミノ)メチル]キナゾリンを濾過することをさらに含む、請求項39に記載の方
    法。
  41. 【請求項41】 濾過した2,4-ジアミノ-5-メチル-6-[(3,4,5-トリメトキシ
    フェニルイミノ)メチル]キナゾリンをブタノールおよびエーテルで洗浄すること
    をさらに含む、請求項40に記載の方法。
  42. 【請求項42】 工程(c)が、テトラヒドロフランと水の混合物中の2,4-
    ジアミノ-5-メチル-6-[(3,4,5-トリメトキシフェニルイミノ)メチル]キナゾリン
    を還元剤の存在下で加熱して粗製トリメトレキサート塩基を製造し、該粗製トリ
    メトレキサート塩基をトリメトレキサート酢酸塩に変換することを含んでなる、
    請求項30に記載の方法。
  43. 【請求項43】 還元剤が水素化ほう素ナトリウムまたは水素化ほう素ナト
    リウム水溶液である、請求項42に記載の方法。
  44. 【請求項44】 水素化ほう素ナトリウム水溶液を1〜10時間の期間にわた
    って少しずつ添加する、請求項43に記載の方法。
  45. 【請求項45】 工程(c)を、窒素、アルゴンおよびへリウムからなる群か
    ら選択される不活性ガスの雰囲気下で実施する、請求項30に記載の方法。
  46. 【請求項46】 約90%のテトラヒドロフランを留去し、アルコールおよび
    水を添加し、テトラヒドロフラン、アルコールおよび水をさらに留去し、そして
    冷却して粗製トリメトレキサート塩基を含有する2相系を生成させることをさら
    に含む、請求項42に記載の方法。
  47. 【請求項47】 粗製トリメトレキサート塩基をトリメトレキサート酢酸塩
    に変換する工程が、極性溶媒中または溶媒混合物中の粗製トリメトレキサート塩
    基を加熱し、乳酸、酢酸、トンシル(tonsil)および触媒量の活性炭を添加し、濾
    過して濾液をとり、該濾液を酢酸ナトリウムおよび酢酸の存在下で加熱し、濾液
    を冷却し、そして減圧濾過してトリメトレキサート酢酸塩を得ることを含んでな
    る、請求項42に記載の方法。
  48. 【請求項48】 トリメトレキサート酢酸塩を酢酸で洗浄することをさらに
    含む、請求項47に記載の方法。
  49. 【請求項49】 工程(d)において、トリメトレキサート酢酸塩を2-メトキ
    シプロパノール付加物を経てトリメトレキサート一水和物に変換する、請求項3
    0に記載の方法。
  50. 【請求項50】 トリメトレキサート酢酸塩をアルコール水溶液中でアスコ
    ルビン酸およびアンモニアとともに加熱し、濾過して濾液をとり、該濾液のpHを
    上昇させて冷却して2-メトキシプロパノールトリメトレキサート付加物の懸濁液
    を得て、そして該付加物を濾過して少なくとも少量の水および少なくとも少量の
    2-プロパノールで洗浄することによって、2-メトキシプロパノール付加物を製造
    する、請求項49に記載の方法。
  51. 【請求項51】 前記付加物を洗浄する請求項50に記載の方法。
  52. 【請求項52】 前記アルコール水溶液がブタノール-水である請求項50
    に記載の方法。
  53. 【請求項53】 濾過工程を加圧下で実施する請求項50に記載の方法。
  54. 【請求項54】 2-メトキシプロパノール付加物を精製することをさらに含
    む、請求項50に記載の方法。
  55. 【請求項55】 2-メトキシプロパノール付加物の溶液を、C2〜C4アルコー
    ルと水の混合物を含む溶媒で調製し、還流温度まで加熱し、そして冷却してトリ
    メトレキサート一水和物を結晶化することによって、2-メトキシプロパノール付
    加物をトリメトレキサート一水和物に変換する、請求項49に記載の方法。
  56. 【請求項56】 トリメトレキサート一水和物を減圧濾過することおよび水
    で洗浄することをさらに含む、請求項55に記載の方法。
  57. 【請求項57】 トリメトレキサート一水和物を減圧下で乾燥させることを
    さらに含む、請求項55に記載の方法。
  58. 【請求項58】 乾燥を約1〜50 mbarの圧力下、約40℃〜80℃の温度で、約
    2〜40時間の時間にわたって行う、請求項57に記載の方法。
  59. 【請求項59】 トリメトレキサート一水和物をふるいにかけ、そして混ぜ
    合わせることをさらに含む、請求項30に記載の方法。
  60. 【請求項60】 以下の化学式: 【化1】 を有する化合物または製薬上許容されるその塩、その溶媒和物もしくはその水和
    物。
  61. 【請求項61】 以下の化学式: 【化2】 を有する化合物または製薬上許容されるその塩、その溶媒和物もしくはその水和
    物。
  62. 【請求項62】 以下の化学式: 【化3】 を有する化合物または製薬上許容されるその塩、その溶媒和物もしくはその水和
    物。
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