【発明の詳細な説明】
発明の名称
ディジタル式放射線写真パネルの製造方法
発明の分野
本発明は、ディジタル式イメージングへの使用に適した大型画像捕捉パネルを
製造する方法に関する。特に、本発明はタイル状に大型エックス線画像捕捉パネ
ルを形成するのに適したモジュールの製造方法に関する。
発明の背景
従来のフィルム−スクリーンエックス線放射線写真は首尾よくこの100年あ
まり使用されてきたが、未だに多くの欠陥がある。フィルムを、過剰にまたは過
小に露光できるように、フィルムスクリーンシステムの露光範囲は制限されてい
る。フィルムの露出表示寛容度およびコントラストもまた制限されている。フィ
ルムは湿式化学処理を必要とする。化学処理は不都合なだけでなく、画像へのア
クセスを遅延させる。
ディジタル式放射線写真が、従来の放射線の問題の解決策を提供する。
様々なシステムが、ソリッドステート構成要素を使用してエックス線のパター
ンを捕捉するよう開発されている。このようなシステムは典型的に、エックス線
感応蛍光体、増感剤、あるいは光伝導性物質を使用し、エックス線パターンを電
気信号に変換する。これらのシステムは通常、それぞれ画素(ピクセル)を示す
細密なセンサが複数の行および列に配列されてエックス線画像パターンを電気信
号に変換する複数のセンサの使用を必要とし、この電気信号は、後でエックス線
画像の視覚表示を生
成するのに使用される。米国特許5,319,206は、このような放射線写真画像捕捉
パネルと照射エックス線を捕捉するのに使用されるセンサ構造を開示している。
殆どの医学および産業上放射線写真の応用に適した実用パネルは、大体14イ
ンチ×17インチ(約35.6cm×43.2cm)の大きさの画像を捕捉すること
が要求される。この画像サイズでは、約750万ピクセルが必要である。最新技
術をもってしても、このような膨大なピクセルを備えたパネルの歩留まりは非常
に低く、従って、この大きさのパネルは非常に高価になってしまう。実用的には
、10インチ×10インチより大きいパネルは、商用としてはあまりにも高価す
ぎる。
この大きさの制限を克服するために、大型ソリッドステートエックス線画像捕
捉パネルは、複数のより小さいソリッドステートエックス線検出器またはモジュ
ールから組み立てられる。
このようなパネルを製造する際、モジュールは、パネル上に放射線検出層が堆
積される前に、精密研削され、および基板上に並列に、あるいは「タイル状に」
並べられる。モジュールの組み立てに続き、連続した放射線検出層がモジュール
上にわたって配置されて検出パネルを形成する。セレニウムなどの光伝導層にお
ける電気的電荷の発生を通じて達成される放射線検出をするこのようなパネルの
形成と、各ピクセルにおける個別の電荷蓄積コンデンサ内に発生した電荷の捕捉
については、例えば、ジェロミン等の米国特許5,381,014に開示されており、こ
こでは文献を援用する。
より小さなモジュールを使用して、より大きなパネルを組み立てるとき、これ
らのモジュールが組み立てられ、継ぎ目を埋めた後に、放射線捕捉層は堆積され
る。組み立てられたパネルの間に隙間が存在するため、これは部分的な効果しか
ない。検出層が組み立てられたモジュール上を
覆って堆積されたとき、この隙間のため、隙間とその隙間付近の検出層の厚さが
変化する。この変化はエッジから反対にセンサ上にわたって広がる。エックス線
への応答は、センサ上の放射線検出層の厚さに依存するので、エックス線への応
答が不規則な領域がモジュール間の継ぎ目付近に形成されてしまう。これは表示
された画像にとって、好ましくない人工物となってしまう。
タイル張りするよりも前に、モジュールが放射線検出層で被覆された場合、こ
の問題点は回避することができるであろう。このような場合、検出層は、モジュ
ールのエッジまで、均一に厚くなければならず、さらにモジュール表面に垂直で
、かつモジュール光沢側面と実質的に同一平面となる実質的に平ら側面を形成す
る必要がある。不規則な継ぎ目ではなく規則的な継ぎ目がモジュール間に形成さ
れるように、検出層の側面は、モジュールの全長と同一にする必要がある。
しかしながら、もしもより大きなパネルを組み立てる前に、放射線層がモジュ
ール上に堆積された場合、堆積された放射線検出層は、鋭利で、モジュール表面
に垂直で、かつモジュール光沢側面と実質的に同一平面となる実質的に平らな側
面を形成せずに、丸く膨らんで、モジュールの端々に向かって少しずつ薄くなっ
ていく傾向があることが分かっている。この結果もまた、特に、隙間に隣接する
ピクセルにおいて層の厚さを不均一にしてしまう。
始めにモジュール上に放射線検出層を被覆して、次にモジュール側面を研削し
、研磨してみても、その成果は見込めない。なぜなら検出層を形成するのに典型
的に使用される物質はもろく、研削および研磨処理中に壊れたり、はがれ落ち易
いからである。
また、堆積中に保護層を使用することもあまり期待できない。なぜなら保護層
を除去するときも、除去される保護層と一緒に検出層が剥がれ
落ちたり、壊れたりし易いからである。
このように、モジュールのエッジに延在する均一な検出層を備えるとともに、
モジュール表面に垂直で、かつモジュール光沢エッジと実質的に同一平面となる
実質的に平らなエッジを形成するモジュールを形成する方法のニーズがある。
発明の要旨
本発明は、上面と、該上面に実質的に垂直な平面上に延在する少なくとも一つ
の細密仕上げ側面と、を有する支持体を、大規模な画像捕捉パネルの組み立ての
使用に適した急斜エッジを有する放射線検出層で被覆する方法であって、前記方
法は以下の順にステップを有する。
A) 基準上面と、該基準上面に実質的に垂直な平面にある基準側面と、を有す
る基準エッジ小片部品に前記支持体を対峙させ、該支持体の精密仕上げ側面と前
記基準側面が平行になるように前記支持体を配置するステップと、
B) 前記支持体精密仕上げ側面と前記基準側面とを互いに一定の距離で実質的
に平行に保つような方向に、前記支持体と前記基準小片部品のうち少なくとも一
つを相対的に同時に移動しながら、前記支持体と前記基準小片部品の上面の上に
放射線検出物質を真空堆積して大規模画像捕捉パネルの組み立ての使用に適した
急斜エッジを有する前記放射線検出層を形成するステップと、を有する。
一実施例において、本発明を使用して、険しく均一な側面を有する均一な放射
線検出層を含む放射線検出モジュールを形成する。この側面は、このようなモジ
ュール複数を有するより大きなパネルの組み立てに有用である。
他の実施例において、本発明を使用して、険しく均一な側面を有する
均一な放射線検出層をそれぞれ含む二つ以上のモジュールをタイル張りして大規
模放射線検出パネルを形成する。
図面の簡単な説明
図1は、本発明に係る方法で製造された4つのモジュールを使用して組み立て
られた大きな放射線検出パネルを示している。
図2は、基準面とモジュール端面の相対移動が第1の方向または鉛直方向であ
る場合に、モジュール上に放射線検出層を堆積する装置を示している。
図3は、モジュール上に放射線検出層を堆積する装置内での、モジュールと基
準面間の相対的な位置および移動を示しており、ここでは、基準面が第2の方向
または水平方向に配置される。
図4は、モジュール上に放射線検出層を堆積する装置内での、モジュールと二
つの基準面間の相対的な位置および移動を示しており、ここでは、第1面が垂直
方向に配置され、第2面が水平方向に配置される。
図5は、本発明によって製造されたパネルにおける二つの隣接するモジュール
間の連結部の概略図を示している。
図6は、本発明によって製造されたパネルの他の実施例において、二つの隣接
するモジュール間の連結部の概略図を示している。
図7は、放射線検出層が複数の光ファイバ上部の上に配置された本発明の他の
実施例を示している。
発明の詳細な説明
本発明は、図面を参照して以下に説明され、ここで異なる図面上での同様な要
素は同じ番号で識別してある。
図1について簡単に言及すると、4つのより小さい放射線検出モジュ
ール12、14、16および18を合体させて組み立てた大きな放射線検出パネ
ル10の概略図が示されている。モジュール12から18のそれぞれは、複数の
放射線センサ19を備えている。これらの放射線センサ19は、互いの間に介在
する空間によって離隔する行および列に配置され、この空間において、センサを
アクセスする導電性ストリップ(図示せず)がランアクセスされる。パネルへの
アクセスは、ストリップ20および22の連結を介して行われ、これらのストリ
ップは電子制御信号の入力と、パネル内のセンサから信号を運ぶ情報の取り出し
を可能にする。
放射線センサは、典型的に相当数の電子部品を含み、例えば、スイッチング素
子、電荷捕捉および蓄積素子、センサ内の素子アクセス用の導体への接続、およ
びその他、各ピクセルにおける画像情報を示す電気信号を捕捉して取り出すため
の各ピクセルに必要なものは何でも含む。
放射線検出層が光伝導性物質であるとき、モジュール12、14などは、複数
のTFTトランジスタをその上面上に配列して支持する誘電支持体(通常はガラ
ス)と、支持体の上面上に配列され、TFTトランジスタに接続された導電性内
部マイクロプレートをそれぞれ有する複数の電荷蓄積コンデンサと、TFTトラ
ンジスタを電気的に活性化させるとともに、各コンデンサを個別にアクセスする
手段と、を含む。支持体の代わりに、モジュールは、誘電層をさらに含んでもよ
く、トランジスタとコンデンサが誘電層上に配列されるように、この誘電層は、
支持体と、トランジスタおよびコンデンサと、の間で、支持体上に介在する。各
コンデンサが、エックス線画像内の一つのピクセルに相当する。放射線検出物質
の連続層は、コンデンサおよびトランジスタを含む支持体の表面上に配置される
。
このような典型的なセンサとモジュールは、前記のリー等の米国特許
番号5,319,206およびその他に記載されている。
放射線検出物質がシンチレーション物質であるとき、モジュールは上記のトラ
ンジスタ−コンデンサ群の代わりに、複数のトランジスタ−フオトダイオード群
を含む。フォトダイオードは、典型的には、厚さが25〜100ナノメートルの
非結晶質シリコンのp型ドープ層とn型ドープ層の間に堆積した非結晶質シリコ
ンの1ミクロン単位厚さの層である。様々な層の厚さは、シンチレーション物質
のスペクトル放射に依存して、応答が最大になるように調節可能である。
エックス線がシンチレーション物質にぶつかるとき、可視光が発生する。画像
内の各ピクセルで発生した光の量が読みとられてコンピュータ内に保存される。
データは再生されエックス線画像を形成することができる。
特定のセンサ構造は、本発明を理解して実施する上では重要ではない。本発明
は、センサの電子部品を覆う放射線検出物質の連続層がある、あらゆる例に同様
に適用でき、この放射線物質連続層のモジュール活性表面全域にわたる均一性は
、放射線露光に対するセンサの安定した応答を達成する上で重要である。
放射線検出物質
真空堆積技術によって堆積可能であれば、放射線検出層は、適切なエックス線
検出物質の何れでもよい。これは、シンチレーション物質(すなわち、蛍光体)
およびエックス線光伝導性物質を含む。
シンチレーション物質は、エックス線を吸収し、より長い波長の放射線、典型
的には紫外放射線または可視放射線を放出する。真空堆積の候補であるシンチレ
ーション物質は、ヨウ化セシウムである。
エックス線光伝導性物質は、エックス線非存在下で、高い固有抵抗を
有するが、エックス線存在下では、比較的低い抵抗になる。エックス線光伝導性
の多くの半導体は、真空堆積の候補である。これらは、HgI2、PbI2、Pb
O、TlBrおよびBiI3などの半導体だけでなく、例えば、CdS、CdS
eおよびCdTeなどのIIB−IVB族半導体と、IIIB−VB族半導体と、As2
S3およびAs2Se3などのカルコゲニドと、を含む。
使用される特殊な種類の物質は、望ましいエックス線吸収効率、電荷発生効率
および電荷転送特性などに依存するであろう。セレニウムおよびあらゆるセレニ
ウムの合金は、例えば、ヒ素重量が約0.1〜0.5%のセレニウム−ヒ素合金
などは、好ましいエックス線光伝導体である。
放射線検出物質は、典型的には入射エックス放射線の少なくとも一つの実質的
な部分を吸収するのに十分な厚さを有し、放射線検出において高い効率を有する
。例えば光学繊維束とともに使用されるヨウ化セシウム層の厚さは、典型的には
100マイクロメートルから200マイクロメートルである。
適用によっては、セレニウムの光伝導層の厚さは、典型的には約100マイク
ロメートルから約600マイクロメートルである。乳房レントゲン撮影では、セ
レニウム層の厚さは典型的には100マイクロメートルから150マイクロメー
トルである。胸部エックス線では、セレニウム層の厚さは、典型的には約450
マイクロメートルから500マイクロメートルである。
エックス線画像捕捉パネルの製造
ここから先、本記載において、TFTモジュールという言葉は、たとえTFT
トランジスタを含まないモジュールであっても、放射線検出層
を堆積する前のモジュールを説明するのに使用する。
実際上は、TFTモジュールは技術的に公知のトランジスタおよびコンデンサ
のミクロ製造技術を使用して組み立てられる。例えば、ソリッドステートデバイ
ス上のモジューラーシリーズ、ミクロ電子工学の製造入門の第5巻、アール.シ
ー.ジェイガー、アディソン−ウェスレー、ニューヨーク州、1988年、およ
び、ミクロ製造のイメージング、ジェイ.エム.ショー、画像処理と物質の第1
8章、ジェイ.エム.ストリュージ、ヴイ.ウォルワース、およびエイ.シェッ
プ版、ヴァン ノーストランド レインホールド、ニューヨーク州、1989年
、567〜586頁を参照のこと。
大型パネルの組立に有用なTFTモジュールは、好ましくは、長方形および、
少なくとも一つ、好ましくは二つの非常に均一な光沢精密仕上げ側面を有する必
要がある。典型的な応用として、医学放射線写真に有用な14インチ×17イン
チの放射線検出パネルは、4つのモジュールを組み合わせて形成され、センサは
、前述のリー等の米国特許5,319,206に開示されたタイプのものが複数、平行な
行および列に配列される。このパネルは、例えば180ピクセル/インチの解像
度が得られることが要求され、その典型的な面積および耐性は以下に示される。
180ピクセル/インチの解像度を得るためには、隣接するピクセル中心線間
の距離「S」は約140ミクロンである。モジュール間の結合部において、一つ
のピクセル損失のみが容認可能な場合、モジュールを切断研削および研磨するの
に使用可能な空間は、140ミクロンの半分すなわち70ミクロンである。研磨
平滑さを15ミクロンのオーダーとすると、モジュールの側面は、エッジに沿っ
た一番端の列のピクセルから50ミクロン以下より内側を維持しなければならな
い。つまり、堆積した放射線検出層の厚さは、モジュールのエッジから最大50
ミクロン、
好ましくは50ミクロン未満に一定に保つ必要があり、これにより、センサの一
番端の列は、均一な厚さの放射線検出層によって確実に被覆されることになる。
これらの条件を満足するエッジを有する放射線検出層は、以下、急斜エッジ層と
呼び、放射線検出層が急斜エッジであるモジュール側面は、精密仕上げ急斜端側
面と呼ぶものとする。
TFTモジュールそれ自身も、非常に均一な精密仕上げ側面を有する必要があ
る。この均一精密仕上げ側面の製造技術としては、例えば、けがき、粉砕、精密
研削、ダイシング、または精密レーザ切断などが使用できる。精密研削によって
精密仕上げモジュール側面を製造する装置は、1996年7月16日に出願し、
1997年3月14日に許可された米国特許出願08/680,952に開示されており、
ここでは文献を援用する。
放射線検出層は、従来の真空堆積技術を使用するTFTモジュールに適用され
る。これらの技術は、たとえば物理真空堆積法、化学真空堆積法、プラズマ強化
化学真空堆積法、フラッシュ蒸着法、スパッタリング、電子ビーム蒸着法および
イオン補助蒸着法などを含む。
真空堆積法の装置と技術は、これらの技術に精通した者にとって良く知られる
ものである。真空堆積技術は、例えば、フィルムおよびコーティングの堆積技術
ハンドブック、第2版、アール.エフ.バンシャー、ノイズ出版編集、パーク
リッジ、ニュージャージー州、1994年に記載されている。セレニウムの物理
真空堆積法は、例えば、ビクスビーの米国特許番号2,753,278に記載されている
。
次に、本発明に係るモジュールを製造する装置の概略図が示されている図2に
ついて言及する。図示される装置は、モジュールが一つの精密仕上げ側面を有す
る適用において有用であり、さらに、各モジュールが有する一つの精密仕上げ側
面を互いに反対となるように配置した二つのモジュールを含む大型パネルの組み
立てにおいて有用である。
真空室40内で、蒸発ソース42が、ヒートプレート44、好ましくは蒸発ボ
ート上にセレニウム(Se)を置いて形成される。ソース42は、好ましくは矢
印46の方向に沿って移動でき、大きなTFTモジュールを被覆できるようにす
る。合金、または半導体などの化合物を堆積させる場合、二つ以上の蒸発ソース
を使用して合金または化合物の成分を蒸発させることもできる。真空手段51は
、真空室40に連結され、室内を必要な真空度にして維持する。
加熱時、セレニウムは蒸発ソースから蒸発して、矢印48で示されるように、
堆積すべき部材の表面に向かって直接移つる。セレニウムは、ボートから堆積す
べき部材に直通路を通るべきである。蒸発ソースからセレニウムが堆積すべき部
材への直通路があり、かつ約10−5〜10−6トル(約1.3×10−2〜1
.3×10−2N/m2)の真空において蒸発を実行するとき、良い結果が得ら
れる。
例えば、フェンダーの米国特許番号4,770,965を参照しても分かるように、技
術的に公知であるが、堆積したセレニウム合金の組成や、堆積幾何学や、蒸発ソ
ースの加熱温度および加熱速度や、セレニウムが堆積している部材の温度や、圧
力、セレニウムを堆積して目的の応用に最大限利用される検出層を得るためのク
リーニングおよびアニール手順など、を変える必要がしばしばある
真空堆積の間、TFTモジュール50は、基準エッジ小片部品52に対峙して
配置される。基準エッジ小片部品は、好ましくは精密仕上げされた基準側面54
を有し、この面はその上面に実質的に垂直である。TFTパネルもまた精密仕上
げ側面56を有する。TFTモジュールの精密仕上げ側面56は、基準エッジ小
片部品52の精密仕上げ基準側面54に対峙して、ともに平面支持表面58上に
配置される。アレイモジュールの上面およびエッジ小片部品の上面は、本質的に
同一平面となるの
が好ましい。モジュールと基準小片部品間の隙間は、できる限り小さくすべきで
ある。研磨の程度にもよるが、35ミクロン以下が好ましく、10ミクロン以下
がより好ましい。
基準エッジ小片部品52は、TFTモジュールの厚さ、典型的には0.5〜1
.5mm、とほぼ同じ厚さのガラス小片部品であってもよい。TFTモジュールは
ガラス支持体上に形成されるので、ガラス基準エッジ小片部品とアレイモジュー
ルは、本質的に同じ熱伝達特性を有するであろう。このように基準エッジ小片部
品とTFTモジュールは、被覆中、ほぼ同じ温度を維持することになる。さらに
、ガラスTFTモジュール上に研磨側面を形成するのに使用される同じ技術が、
ガラスエッジ小片部品上に光沢基準側面を形成するのに使用できる。
一実施例において、基準エッジ小片部品52は、他のTFTモジュールであっ
てもよい。TFTモジュールと基準エッジ小片部品が同じ物質からできていない
場合、各部品の温度は個別に制御する必要がある。
支持体58は、基準小片部品52を支持する移動部60を含む。移動機構62
は、移動部60に取り付けられ、基準小片部品52をモジュール上面に垂直な矢
印64および66の方向、以下、鉛直方向とも呼ぶ方向、に移動するのに使用さ
れる。TFTモジュールと基準エッジ小片部品間の隙間を実質的に一定に維持し
、かつモジュール精密仕上げ側面がエッジ小片部品の基準側面に平行となるよう
な方向で、この移動は行われる。
放射線検出物質は、TFTモジュールと基準エッジ小片部品の両方の上面上に
堆積する。堆積中、TFTモジュールと基準エッジ小片部品は、互いに相対的に
移動する。図2では、移動している部品は、基準小片部品52であるが、TFT
モジュールと基準エッジ小片部品の何れか、あるいは、TFTモジュールとエッ
ジ小片部品の両方を、堆積中に移動で
きる。
図3に示されるように、TFTモジュール50と基準エッジ小片部品52は、
鉛直方向ではなく水平方向に矢印70に沿って互いに相対的に移動する。これに
より、TFTモジュールとエッジ小片部品間の隙間が実質的に一定に保つととも
に、TFTモジュールの上面と、エッジ小片部品の上面も実質的に同一平面に維
持されるようにTFTモジュールとエッジ小片部品を移動できる。
TFTモジュールとエッジ小片部品は、連続的にあるいは同時に、そして水平
および鉛直に、互いに相対的に移動してもよい。TFTモジュールと基準エッジ
小片部品が同時に水平および鉛直に互いに相対的に移動するとき、TFTモジュ
ールとエッジ小片部品間の距離のみが相対的に一定に維持されるであろう。
二つ以上の精密仕上げの急斜エッジを有するTFTモジュールが望まれるとき
、例えば、隣接する二つのエッジがタイル張りに適した角を有するアレイモジュ
ールの形成が必要な場合、多数の基準エッジ小片部品を使用して堆積を行っても
よい。
角の形成は、例えば二つの基準エッジ小片部品を使用し、TFTモジュールの
隣り合う二つの精密仕上げエッジのそれぞれに対峙させて配置してもよい。被覆
中、基準エッジ小片部品は、始めに一方のエッジ小片部品が角を越えて水平移動
でき、次いで、他方のエッジ小片部品が、角を越えて水平移動できるが、両方の
エッジ小片部品が同時に角を越えて水平移動はしない。
他の実施例において、図4に示されるように、一方の基準エッジ小片部品、す
なわち基準エッジ小片部品82がTFTモジュール50の角を越えて延在しても
よく、第2の基準エッジ小片部品72は、エッジ小片部品82に対峙して隣接し
てもよい。基準小片部品72は、第1機構を
使用して、矢印Bで示される鉛直方向に移動してもよく、第2の基準エッジ小片
部品82は、機構86を使用して矢印Aに沿って水平に移動してもよい。TFT
パネルは、二つの精密仕上げエッジ56および56'を、二つの基準エッジ74
および84にそれぞれ対峙させて配置する。
堆積中、基準エッジ72は、鉛直に移動し、一方、基準エッジ小片部品82は
、水平に移動する。モジュールは、二つの精密仕上げの急斜エッジが90度の角
度をなすので、4つのモジュールのパネルを組み立てるのに最適となる。
移動の頻度は、堆積速度に依存する。毎秒0.1ミクロンの放射線検出物質よ
り少ない堆積速度において、数ヘルツから数十ヘルツの頻度が適している。より
早い堆積速度では、より高い頻度が要求される。典型的に、水平方向および/ま
たは鉛直方向に5ミクロン〜500ミクロンの振幅を使用する。
一つの小片部品あるいは複数の小片部品は、モータおよびカムなどの従来の機
構手段によって移動可能である。あるいは、ピエゾ電気装置によっても移動でき
る。ピエゾ電気装置は、ポリテック ピーアイ インク.23ミッドステート
ドライブ、スウィート212、アーバン、マサチューセッツ州01501で入手
してもよい。
被覆されたモジュールは、組み立てられて(タイル張りされて)、大型画像捕捉
パネルを形成する。各被覆されたモジュール上の放射線検出物質の堆積層の厚さ
は、実質的に同じにすべきである。組み立てを実施する際、複数の被膜されたモ
ジュールは、各モジュールの底面と基板の上面を付着させ、基板上面上に並列に
配置される。モジュールの上面が実質的に同一平面となるようにモジュールは並
列に配置されなければならない。各モジュールの鋭い急斜エッジのコーティング
を有する精密仕上げ側面は、少なくとも一つの他のモジュールの鋭い急斜エッジ
のコー
ティングを有する精密仕上げ側面と対峙するように配置され、モジュールの2次
元アッセンブリを形成する。好ましくは、4つのモジュールを使用して一つのパ
ネルを完成する。このように各モジュールは二つの隣接する精密仕上げ側面と、
外部からモジュール上の電子部品にアクセス可能な二つのより隣接した側面と、
を有する。
モジュールが、前記のリー等の米国特許5,319,206に開示されたこの種の放射
線センサを含むとき、このセンサの操作のために、上部導電電極は、連続した導
電層として、組み立てられたモジュール上を覆って被膜されるのが好ましい。通
常タイル張りされた後に、画像を形成するのに使用される放射線を透過するイン
ジウム−スズ酸化物、アルミニウム、金、銅または他の導電性物質の層が光伝導
層上部の上に配置されて、この上部導電電極が形成される。
導電性物質の薄膜層は、スパッタリングや電子ビーム熱蒸着法などの公知の真
空堆積法を使用して、誘電層の上に配置される。好ましい実施例において、約1
50Åの厚さのクロム金属の層が使用できる。
上述のリー等の米国特許5,319,206にも開示されるように、好ましくは、導電
性物質の層が追加される前に、誘電層が光伝導性検出層上に配置される。ポリエ
チレンテレフタレートシートと、紫外線治療可能接着剤を使用して、組立パネル
を覆い、この誘電層上に層状に配置してもよい。10ミクロンより厚い厚さを有
するポリエチレンテレフタレートフィルムが、ラミネーションプロセスでの使用
に良く適合する。
誘電層は、スピン、ディップ、またはブレードコーティングなどの湿式被覆プ
ロセスを使用して、パネル上に形成されてもよい。誘電層は好ましくは10ミク
ロンより厚い厚さを有する。ポリ(メチルメタクリレート)または溶媒可溶性ポ
リイミド、などのアクリレートポリマーなどの、技術的に公知の多くの誘電物質
が、これらのプロセスによって付着
できる。
図5は、組み立てモジュールを備えた第1実施例のパネルの二つの隣接するモ
ジュールエッジの概略立面断面を示しており、光伝導層は、本発明のモジュール
上に堆積しており、連続した、好ましくは透明な、誘電層92がパネル表面を完
全に覆って堆積し、連続した導電性透明層から形成された上部電極94がこの層
の上にある。
パネルは、接着層89で基板88上に張り付けられて組み立てられる。また、
各パネルは、誘電支持体87および87'と、複数のセンサ85および85'と、
光伝導性放射線検出層90および90'と、をそれぞれ備えている。
二つのモジュールは、研削されかつ研磨されて約15ミクロンの仕上げられた
隣接するエッジ96および96'を有する。接着層95は、任意に、隣接する端
側面間に配置されてもよい。総距離「d」は、好ましくは約30ミクロン以下に
維持される。放射線検出層が、一番最後のセンサ上、次にモジュール間の隙間、
さらに隙間に続く一番最初のセンサ上を覆って、均一の厚さを保てるように、放
射線検出層端側面の急斜エッジ100および100'は、十分な険しさを維持す
る。好ましくは、各モジュールにおける放射線層斜面の始まりの間の距離「D」
は、二つの隣接するセンサの中心線間の距離である距離「S」以下である。
二つのモジュール間の隙間は、実質的に放射線検出層の上面になる接着剤95
が充填される。好ましくは、接着剤は、取り除かれ、除去に続いて、随意の誘電
および上部導電性層が、隣接するパネル間の隙間を橋渡しする一つの連続層とし
て組み立てられたパネル上に堆積する。
あるいは、導電性物質の薄い層、および任意に誘電層が、タイル張りの前にモ
ジュール上に配置されてもよい。
図6は、パネルを形成する二つのモジュールの隣接するエッジの概略
立面断面を示しており、上部電極は、組み立てられたパネル上に連続しては、延
在していない。この場合、上部導電層97および97'(および何れの任意の誘
電層も)は、一つのパネルにモジュールを組み立てる前に、放射線検出層上に配
置される。モジュールは、再び接着層89で基板88上に張り付けて、組み立て
られる。各モジュールは、さらに誘電支持体87および87'と、複数のセンサ
85および85'と、放射線検出層90および90'と、をそれぞれ備えている。
各モジュールは、透明な上部電極97および97'を含む。任意の接着剤95'を
使用して、さらにモジュール間の隙間を充填してもよい。層90および90'は
、さらに図5の構造で定義されるような急斜エッジを有してもよい。
上部電極と、任意の誘電層がパネルの組み立ての前にモジュール上に配置され
たとき、隣接するモジュール間の隙間を橋渡しする層は無く、その結果パネルは
、各モジュールが電気的に独立するので有利である。このように、もしモジュー
ルが破損し、または他の理由で取り替えなければならない場合、モジュールを取
り除き、取り替えることによって、破損したパネルを修理できる。このように、
画像捕捉パネル全体を破棄する必要がない。
図5および6に図示された発明は、上述のリー等の米国特許番号5,319,206に
開示されるタイプのモジュールを示している。図7は、他の実施例を示しており
、画像検出パネルは、放射線検出層がシンチレーション層である場合のモジュー
ルアッセンブリを備えている。特に、二つの隣接するモジュール110および1
10'は、精密な隣接するエッジ107および107'を有するように示されてい
る。モジュールは、シンチレーション層101および101'を備え、この層は
それぞれ、本発明のプロセスによって被覆されたヨウ化セシウム層であってもよ
い。光学繊維束テーパ102および102'は、医学診断用エックス線照射
などの放射線に曝露されたとき、シンチレーション層101および101'によ
って照射された光の光路を提供し、この光は、支持体104および104'上の
複数のCCDタイプのセンサ103および103'に向けられ、これらは通常、
センサだけでなく、他センサを駆動してそこからデータを得るための電子部品も
含むシリコンウェハを備えている。モジュールは、接着剤105を使用して、基
板108上の上述したような同様な方法で組み立てられる。追加の接着剤106
を使用して、モジュール間の隙間を充填してもよい。
医学応用において、CCDタイプの検出器に光繊維束テーパを介して連結され
たシンチレーション層を使用する放射線検出器の使用は、技術的に良く知られて
おり、さらに、特に、アンドリュー ディー.エイ.メイドメントおよびマーテ
ィン ジェイ.ヤッフェによる題名「光学的ディジタル式乳房レントゲン写真検
出器の空間周波数依存DQEの分析」、医学物理学21(6)で1994年6月
に出版された論文にも開示されている。
産業上の適用可能性
本発明は、特に、大型エックス線画像捕捉パネルの製造に最適であり、より小
さく、より低価格でより高い歩留まりで製造可能なモジュールを使用して、大型
規模の画像を捕捉するのに有用である。このような大型規模の画像捕捉装置は、
特にディジタル式放射線写真に有用である。
使用時、エックス線照射源が、エックス線光線を供給する。被験物、すなわち
医学診断画像の場合には患者が、エックス線光路内に配置される。被験物のあら
ゆる部位毎にエックス線の吸収率が異なるので、イメージワイズ手法で被験物内
を通過するエックス線の強度が変調される。
本発明を図解するのに広範囲に使用されるリー等の特許の実施例にお
いて、パネルがエックス線照射に曝露されるとき、エックス線画像は、入射放射
線強度に比例する電気的電荷分布の形態で、パネルによって捕捉され保存される
。より多くのエックス線照射に曝露されるパネルの領域で、より多くの電荷が発
生し電荷蓄積コンデンサ内に蓄積される。曝露に続いて、ピクセル毎に蓄積コン
デンサ内に蓄積された電荷の大きさを読み出すことによって画像が復元される。
典型的には、結果として得られる電気信号出力が増幅され、ディジタル化される
。そして蓄積され、任意の画像処理が施される。このようなパネルからの電荷の
回収技術と、様々なディジタル化および画像処理技術は、技術的に良く知られて
おり、本発明の範疇ではない。
組み立てられたパネルの上記記載から明らかなように、二つの隣接するモジュ
ール間の連結部において、全画像から欠落する行または列があり、そこには活性
な検出センサはない。この欠落行は、図1に点線で示されたピクセル17の行で
ある。画像再生時には、ピクセルの新たな列または行を生成して、ピクセルシー
ケンス内に生じた隙間をマスクしなければならない。これは、周辺のピクセルの
値を使用して欠落ピクセル用に新たなピクセル値を補間することによってなされ
る。このようなピクセル値の補正または置換のための補間技術は、技術的に良く
知られている。例えば、1989年5月23日にラバーリッジ等に付与された米
国特許4,833,723を参照のこと。ディジタル画像処理およびフィルタリング技術
をより一般的に議論するには、ジョン ウィレイ アンド サンズ インク.か
ら1991年に出版されたウィリアム ケイ.プラットによるディジタル画像処
理、第2版を参照のこと。
このようにして得られたディジタル情報は、好ましくはメモリに記憶され、デ
ィスプレイに情報を表示することによって表示される。このディスプレイ内の各
ピクセルの幾何学上の位置は、パネル内の対応するセ
ンサの幾何学的位置に対応する。これはパネル上に入射した放射線の強度変調を
示す画像を生成する。即座に画像を見るためにCRT上に表示してもよく、ある
いは、印刷してハードコピーを作成してもよい。データは、コンピュータ内に記
憶されてもよく、あるいは、長期間保存用の公文書メモリに保存されてもよい。
遠隔地で見るために電気的に転送することもできる。
例
例1
セレニウム堆積は、従来の円柱真空堆積室内で実施した。室は、直径が約3フ
ィート(約0.9M)で、高さが4フィート(約1.2M)で、ステンレス鋼製
の囲い板を備えている。サンプルは約30インチ(約0.75M)上の約5イン
チ×8インチ(約13cm×20cm)のボートに載置される。
サンプルは、厚さ約1.1mmの薄膜フィルムトランジスタアレイモジュールの
約5cm×7.5cmの小片である。サンプルは、けがいて、砕いて、平坦なエッジ
を形成した。エッジ小片部品は、アレイモジュールとほぼ同じ厚さを有する、1
インチ×3インチ(約2.5cm×7.5cm)の標準顕微鏡スライドとした。エッ
ジ小片部品とサンプルの被覆される表面が実質的に同一平面になるように、エッ
ジ小片部品は、サンプルに対峙して載置された。エッジ小片部品とサンプル間の
隙間は、約25ミクロンと推測された。基板とエッジ小片部品は、水冷銅ブロッ
ク上に載置され、堆積中、70°±1℃に維持された。
エッジ小片部品は、堆積中、サンプルのエッジに沿って前後に移動できるよう
に載置された。エッジ小片部品は、ピエゾ電気装置(ラジオシャックから入手で
きる)によって移動した。移動の振幅は15ミクロンとした。周波数は10ヘル
ツである。
堆積は従来の手法によって行った。堆積開始前に、室を約10−6トル(約1
.3×10−3N/m2)に真空引きした。セレニウムショットは、ボート内で
約220℃に加熱された。セレニウムを厚さ約500ミクロンのコーティングと
して堆積させるには、約100分を要した。
被膜されたサンプルを光学顕微鏡で検査すると、急斜エッジがセレニウム層に
観察された。
例2
エッジ小片部品をサンプルのエッジに沿って鉛直方向に移動する以外は、例1
の手順を繰り返した。被膜されたサンプルを光学顕微鏡で検査すると、急斜エッ
ジがセレニウム層に観察された。
本発明を記載する上で、我々は後述およびこれらの同等物をここに請求する。
【手続補正書】特許法第184条の8第1項
【提出日】平成11年6月11日(1999.6.11)
【補正内容】
番号5,319,206およびその他に記載されている。
放射線検出物質がシンチレーション物質であるとき、モジュールは上記のトラ
ンジスタ−コンデンサ群の代わりに、複数のトランジスタ−フォトダイオード群
を含む。フォトダイオードは、典型的には、厚さが25〜100マイクロメート
ルの非結晶質シリコンのp型ドープ層とn型ドープ層の間に堆積した非結晶質シ
リコンの1マイクロメートル単位厚さの層である。様々な層の厚さは、シンチレ
ーション物質のスペクトル放射に依存して、応答が最大になるように調節可能で
ある。
エックス線がシンチレーション物質にぶつかるとき、可視光が発生する。画像
内の各ピクセルで発生した光の量が読みとられてコンピュータ内に保存される。
データは再生されエックス線画像を形成することができる。
特定のセンサ構造は、本発明を理解して実施する上では重要ではない。本発明
は、センサの電子部品を覆う放射線検出物質の連続層がある、あらゆる例に同様
に適用でき、この放射線物質連続層のモジュール活性表面全域にわたる均一性は
、放射線露光に対するセンサの安定した応答を達成する上で重要である。
放射線検出物質
真空堆積技術によって堆積可能であれば、放射線検出層は、適切なエックス線
検出物質の何れでもよい。これは、シンチレーション物質(すなわち、蛍光体)
およびエックス線光伝導性物質を含む。
シンチレーション物質は、エックス線を吸収し、より長い波長の放射線、典型
的には紫外放射線または可視放射線を放出する。真空堆積の候補であるシンチレ
ーション物質は、ヨウ化セシウムである。
エックス線光伝導性物質は、エックス線非存在下で、高い固有抵抗を
有するが、エックス線存在下では、比較的低い抵抗になる。エックス線光伝導性
の多くの半導体は、真空堆積の候補である。これらは、HgI2、PbI2、Pb
O、TlBrおよびBiI3などの半導体だけでなく、例えば、CdS、CdS
eおよびCdTeなどのIIB−IVB族半導体と、IIIB−VB族半導体と、As2
S3およびAs2Se3などのカルコゲニドと、を含む。
使用される特殊な種類の物質は、望ましいエックス線吸収効率、電荷発生効率
および電荷転送特性などに依存するであろう。セレニウムおよびあらゆるセレニ
ウムの合金は、例えば、ヒ素重量比が約0.1〜0.5のセレニウム−ヒ素合金
などは、好ましいエックス線光伝導体である。
放射線検出物質は、典型的には入射エックス放射線の少なくとも一つの実質的
な部分を吸収するのに十分な厚さを有し、放射線検出において高い効率を有する
。例えば光学繊維束とともに使用されるヨウ化セシウム層の厚さは、典型的には
100マイクロメートルから200マイクロメートルである。
適用によっては、セレニウムの光伝導層の厚さは、典型的には約100マイク
ロメートルから約600マイクロメートルである。乳房レントゲン撮影では、セ
レニウム層の厚さは典型的には100マイクロメートルから150マイクロメー
トルである。胸部エックス線では、セレニウム層の厚さは、典型的には約450
マイクロメートルから500マイクロメートルである。
エックス線画像捕捉パネルの製造
ここから先、本記載において、TFTモジュールという言葉は、たとえTFT
トランジスタを含まないモジュールであっても、放射線検出層を堆積する前のモ
ジュールを説明するのに使用する。
実際上は、TFTモジュールは技術的に公知のトランジスタおよびコンデンサ
のミクロ製造技術を使用して組み立てられる。例えば、ソリッドステートデバイ
ス上のモジューラーシリーズ、ミクロ電子工学の製造入門の第5巻、アール.シ
ー.ジェイガー、アディソン−ウェスレー、ニューヨーク州、1988年、およ
び、ミクロ製造のイメージング、ジェイ.エム.ショー、画像処理と物質の第1
8章、ジェイ.エム.ストリュージ、ヴイ.ウォルワース、およびエイ.シェッ
プ版、ヴァン ノーストランド レインホールド、ニューヨーク州、1989年
、567〜586頁を参照のこと。
大型パネルの組立に有用なTFTモジュールは、好ましくは、長方形および、
少なくとも一つ、好ましくは二つの非常に均一な光沢精密仕上げ側面を有する必
要がある。典型的な応用として、医学放射線写真に有用な35.56cm(14イ
ンチ)×43.18cm(17インチ)の放射線検出パネルは、4つのモジュール
を組み合わせて形成され、センサは、前述のリー等の米国特許5,319,206に開示
されたタイプのものが複数、平行な行および列に配列される。このパネルは、例
えば180ピクセル/インチ(457.2ピクセル/cm)の解像度が得られるこ
とが要求され、その典型的な面積および耐性は以下に示される。
180ピクセル/インチ(457.2ピクセル/cm)の解像度を得るためには
、隣接するピクセル中心線間の距離「S」は約140マイクロメートルである。
モジュール間の結合部において、一つのピクセル損失のみが容認可能な場合、モ
ジュールを切断研削および研磨するのに使用可能な空間は、140マイクロメー
トルの半分すなわち70マイクロメートルである。研磨平滑さを15マイクロメ
ートルのオーダーとすると、モジュールの側面は、エッジに沿った一番端の列の
ピクセルから50マイクロメートル以下より内側を維持しなければならない。つ
まり、堆積
した放射線検出層の厚さは、モジュールのエッジから最大50マイクロメートル
、好ましくは50マイクロメートル未満に一定に保つ必要があり、これにより、
センサの一番端の列は、均一な厚さの放射線検出層によって確実に被覆されるこ
とになる。これらの条件を満足するエッジを有する放射線検出層は、以下、急斜
エッジ層と呼び、放射線検出層が急斜エッジであるモジュール側面は、精密仕上
げ急斜端側面と呼ぶものとする。
TFTモジュールそれ自身も、非常に均一な精密仕上げ側面を有する必要があ
る。この均一精密仕上げ側面の製造技術としては、例えば、けがき、粉砕、精密
研削、ダイシング、または精密レーザ切断などが使用できる。精密研削によって
精密仕上げモジュール側面を製造する装置は、1996年7月16日に出願し、
1997年3月14日に許可された米国特許出願08/680,952に開示されており、
ここでは文献を援用する。
放射線検出層は、従来の真空堆積技術を使用するTFTモジュールに適用され
る。これらの技術は、たとえば物理真空堆積法、化学真空堆積法、プラズマ強化
化学真空堆積法、フラッシュ蒸着法、スパッタリング、電子ビーム蒸着法および
イオン補助蒸着法などを含む。
真空堆積法の装置と技術は、これらの技術に精通した者にとって良く知られる
ものである。真空堆積技術は、例えば、フィルムおよびコーティングの堆積技術
ハンドブック、第2版、アール.エフ.バンシャー、ノイズ出版編集、パーク
リッジ、ニュージャージー州、1994年に記載されている。セレニウムの物理
真空堆積法は、例えば、ビクスビーの米国特許番号2,753,278に記載されている
。
次に、本発明に係るモジュールを製造する装置の概略図が示されている図2に
ついて言及する。図示される装置は、モジュールが一つの精密仕上げ側面を有す
る適用において有用であり、さらに、各モジュールが
有する一つの精密仕上げ側面を互いに反対となるように配置した二つのモジュー
ルを含む大型パネルの組み立てにおいて有用である。
真空室40内で、蒸発ソース42が、ヒートプレート44、好ましくは蒸発ボ
ート上にセレニウム(Se)を置いて形成される。ソース42は、好ましくは矢
印46の方向に沿って移動でき、大きなTFTモジュールを被覆できるようにす
る。合金、または半導体などの化合物を堆積させる場合、二つ以上の蒸発ソース
を使用して合金または化合物の成分を蒸発させることもできる。真空手段51は
、真空室40に連結され、室内を必要な真空度にして維持する。
加熱時、セレニウムは蒸発ソースから蒸発して、矢印48で示されるように、
堆積すべき部材の表面に向かって直接移つる。セレニウムは、ボートから堆積す
べき部材に直通路を通るべきである。蒸発ソースからセレニウムが堆積すべき部
材への直通路があり、かつ約10-5〜10-6トル(約1.3×10-2〜1.3×
10-2N/m2)の真空において蒸発を実行するとき、良い結果が得られる。
例えば、フェンダーの米国特許番号4,770,965を参照しても分かるように、技
術的に公知であるが、堆積したセレニウム合金の組成や、堆積幾何学や、蒸発ソ
ースの加熱温度および加熱速度や、セレニウムが堆積している部材の温度や、圧
力、セレニウムを堆積して目的の応用に最大限利用される検出層を得るためのク
リーニングおよびアニール手順など、を変える必要がしばしばある
真空堆積の間、TFTモジュール50は、基準エッジ小片部品52に対峙して
配置される。基準エッジ小片部品は、好ましくは精密仕上げされた基準側面54
を有し、この面はその上面に実質的に垂直である。TFTパネルもまた精密仕上
げ側面56を有する。TFTモジュールの精密仕上げ側面56は、基準エッジ小
片部品52の精密仕上げ基準側面5
4に対峙して、ともに平面支持表面58上に配置される。アレイモジュールの上
面およびエッジ小片部品の上面は、本質的に同一平面となるのが好ましい。モジ
ュールと基準小片部品間の隙間は、できる限り小さくすべきである。研磨の程度
にもよるが、35マイクロメートル以下が好ましく、10マイクロメートル以下
がより好ましい。
基準エッジ小片部品52は、TFTモジュールの厚さ、典型的には0.5〜1
.5mm、とほぼ同じ厚さのガラス小片部品であってもよい。TFTモジュールは
ガラス支持体上に形成されるので、ガラス基準エッジ小片部品とアレイモジュー
ルは、本質的に同じ熱伝達特性を有するであろう。このように基準エッジ小片部
品とTFTモジュールは、被覆中、ほぼ同じ温度を維持することになる。さらに
、ガラスTFTモジュール上に研磨側面を形成するのに使用される同じ技術が、
ガラスエッジ小片部品上に光沢基準側面を形成するのに使用できる。
一実施例において、基準エッジ小片部品52は、他のTFTモジュールであっ
てもよい。TFTモジュールと基準エッジ小片部品が同じ物質からできていない
場合、各部品の温度は個別に制御する必要がある。
支持体58は、基準小片部品52を支持する移動部60を含む。移動機構62
は、移動部60に取り付けられ、基準小片部品52をモジュール上面に垂直な矢
印64および66の方向、以下、鉛直方向とも呼ぶ方向、に移動するのに使用さ
れる。TFTモジュールと基準エッジ小片部品間の隙間を実質的に一定に維持し
、かつモジュール精密仕上げ側面がエッジ小片部品の基準側面に平行となるよう
な方向で、この移動は行われる。
放射線検出物質は、TFTモジュールと基準エッジ小片部品の両方の上面上に
堆積する。堆積中、TFTモジュールと基準エッジ小片部品は、互いに相対的に
移動する。図2では、移動している部品は、基準小片部
品52であるが、TFTモジュールと基準エッジ小片部品の何れか、あるいは、
TFTモジュールとエッジ小片部品の両方を、堆積中に移動できる。
図3に示されるように、TFTモジュール50と基準エッジ小片部品52は、
鉛直方向ではなく水平方向に矢印70に沿って互いに相対的に移動する。これに
より、TFTモジュールとエッジ小片部品間の隙間が実質的に一定に保つととも
に、TFTモジュールの上面と、エッジ小片部品の上面も実質的に同一平面に維
持されるようにTFTモジュールとエッジ小片部品を移動できる。
TFTモジュールとエッジ小片部品は、連続的にあるいは同時に、そして水平
および鉛直に、互いに相対的に移動してもよい。TFTモジュールと基準エッジ
小片部品が同時に水平および鉛直に互いに相対的に移動するとき、TFTモジュ
ールとエッジ小片部品間の距離のみが相対的に一定に維持されるであろう。
二つ以上の精密仕上げの急斜エッジを有するTFTモジュールが望まれるとき
、例えば、隣接する二つのエッジがタイル張りに適した角を有するアレイモジュ
ールの形成が必要な場合、多数の基準エッジ小片部品を使用して堆積を行っても
よい。
角の形成は、例えば二つの基準エッジ小片部品を使用し、TFTモジュールの
隣り合う二つの精密仕上げエッジのそれぞれに対峙させて配置してもよい。被覆
中、基準エッジ小片部品は、始めに一方のエッジ小片部品が角を越えて水平移動
でき、次いで、他方のエッジ小片部品が、角を越えて水平移動できるが、両方の
エッジ小片部品が同時に角を越えて水平移動はしない。
他の実施例において、図4に示されるように、一方の基準エッジ小片部品、す
なわち基準エッジ小片部品82がTFTモジュール50の角を
越えて延在してもよく、第2の基準エッジ小片部品72は、エッジ小片部品82
に対峙して隣接してもよい。基準小片部品72は、第1機構を使用して、矢印B
で示される鉛直方向に移動してもよく、第2の基準エッジ小片部品82は、機構
86を使用して矢印Aに沿って水平に移動してもよい。TFTパネルは、二つの
精密仕上げエッジ56および56'を、二つの基準エッジ74および84にそれ
ぞれ対峙させて配置する。
堆積中、基準エッジ72は、鉛直に移動し、一方、基準エッジ小片部品82は
、水平に移動する。モジュールは、二つの精密仕上げの急斜エッジが90度の角
度をなすので、4つのモジュールのパネルを組み立てるのに最適となる。
移動の頻度は、堆積速度に依存する。毎秒0.1マイクロメートルの放射線検
出物質より少ない堆積速度において、数ヘルツから数十ヘルツの頻度が適してい
る。より早い堆積速度では、より高い頻度が要求される。典型的に、水平方向お
よび/または鉛直方向に5マイクロメートル〜500マイクロメートルの振幅を
使用する。
一つの小片部品あるいは複数の小片部品は、モータおよびカムなどの従来の機
構手段によって移動可能である。あるいは、ピエゾ電気装置によっても移動でき
る。ピエゾ電気装置は、ポリテック ピーアイ インク.23ミッドステート
ドライブ、スウィート212、アーバン、マサチューセッツ州01501で入手
してもよい。
被覆されたモジュールは、組み立てられて(タイル張りされて)、大型画像捕捉
パネルを形成する。各被覆されたモジュール上の放射線検出物質の堆積層の厚さ
は、実質的に同じにすべきである。組み立てを実施する際、複数の被膜されたモ
ジュールは、各モジュールの底面と基板の上面を付着させ、基板上面上に並列に
配置される。モジュールの上面が実質的に同一平面となるようにモジュールは並
列に配置されなければな
らない。各モジュールの鋭い急斜エッジのコーティングを有する精密仕上げ側面
は、少なくとも一つの他のモジュールの鋭い急斜エッジのコーティングを有する
精密仕上げ側面と対峙するように配置され、モジュールの2次元アッセンブリを
形成する。好ましくは、4つのモジュールを使用して一つのパネルを完成する。
このように各モジュールは二つの隣接する精密仕上げ側面と、外部からモジュー
ル上の電子部品にアクセス可能な二つのより隣接した側面と、を有する。
モジュールが、前記のリー等の米国特許5,319,206に開示されたこの種の放射
線センサを含むとき、このセンサの操作のために、上部導電電極は、連続した導
電層として、組み立てられたモジュール上を覆って被膜されるのが好ましい。通
常タイル張りされた後に、画像を形成するのに使用される放射線を透過するイン
ジウム−スズ酸化物、アルミニウム、金、銅または他の導電性物質の層が光伝導
層上部の上に配置されて、この上部導電電極が形成される。
導電性物質の薄膜層は、スパッタリングや電子ビーム熱蒸着法などの公知の真
空堆積法を使用して、誘電層の上に配置される。好ましい実施例において、約1
50Åの厚さのクロム金属の層が使用できる。
上述のリー等の米国特許5,319,206にも開示されるように、好ましくは、導電
性物質の層が追加される前に、誘電層が光伝導性検出層上に配置される。ポリエ
チレンテレフタレートシートと、紫外線治療可能接着剤を使用して、組立パネル
を覆い、この誘電層上に層状に配置してもよい。10マイクロメートルより厚い
厚さを有するポリエチレンテレフタレートフィルムが、ラミネーションプロセス
での使用に良く適合する。
誘電層は、スピン、ディップ、またはブレードコーティングなどの湿式被覆プ
ロセスを使用して、パネル上に形成されてもよい。誘電層は好ましくは10マイ
クロメートルより厚い厚さを有する。ポリ(メチルメ
タクリレート)または溶媒可溶性ポリイミド、などのアクリレートポリマーなど
の、技術的に公知の多くの誘電物質が、これらのプロセスによって付着できる。
図5は、組み立てモジュールを備えた第1実施例のパネルの二つの隣接するモ
ジュールエッジの概略立面断面を示しており、光伝導層は、本発明のモジュール
上に堆積しており、連続した、好ましくは透明な、誘電層92がパネル表面を完
全に覆って堆積し、連続した導電性透明層から形成された上部電極94がこの層
の上にある。
パネルは、接着層89で基板88上に張り付けられて組み立てられる。また、
各パネルは、誘電支持体87および87'と、複数のセンサ85および85'と、
光伝導性放射線検出層90および90'と、をそれぞれ備えている。
二つのモジュールは、研削されかつ研磨されて約15マイクロメートルの仕上
げられた隣接するエッジ96および96'を有する。接着層95は、任意に、隣
接する端側面間に配置されてもよい。総距離「d」は、好ましくは約30マイク
ロメートル以下に維持される。放射線検出層が、一番最後のセンサ上、次にモジ
ュール間の隙間、さらに隙間に続く一番最初のセンサ上を覆って、均一の厚さを
保てるように、放射線検出層端側面の急斜エッジ100および100'は、十分
な険しさを維持する。好ましくは、各モジュールにおける放射線層斜面の始まり
の間の距離「D」は、二つの隣接するセンサの中心線間の距離である距離「S」
以下である。
二つのモジュール間の隙間は、実質的に放射線検出層の上面になる接着剤95
が充填される。好ましくは、接着剤は、取り除かれ、除去に続いて、随意の誘電
および上部導電性層が、隣接するパネル間の隙間を橋渡しする一つの連続層とし
て組み立てられたパネル上に堆積する。
あるいは、導電性物質の薄い層、および任意に誘電層が、タイル張りの前にモ
ジュール上に配置されてもよい。
図6は、パネルを形成する二つのモジュールの隣接するエッジの概略立面断面
を示しており、上部電極は、組み立てられたパネル上に連続しては、延在してい
ない。この場合、上部導電層97および97'(および何れの任意の誘電層も)
は、一つのパネルにモジュールを組み立てる前に、放射線検出層上に配置される
。モジュールは、再び接着層89で基板88上に張り付けて、組み立てられる。
各モジュールは、さらに誘電支持体87および87'と、複数のセンサ85およ
び85'と、放射線検出層90および90'と、をそれぞれ備えている。各モジュ
ールは、透明な上部電極97および97'を含む。任意の接着剤95'を使用して
、さらにモジュール間の隙間を充填してもよい。層90および90'は、さらに
図5の構造で定義されるような急斜エッジを有してもよい。
上部電極と、任意の誘電層がパネルの組み立ての前にモジュール上に配置され
たとき、隣接するモジュール間の隙間を橋渡しする層は無く、その結果パネルは
、各モジュールが電気的に独立するので有利である。このように、もしモジュー
ルが破損し、または他の理由で取り替えなければならない場合、モジュールを取
り除き、取り替えることによって、破損したパネルを修理できる。このように、
画像捕捉パネル全体を破棄する必要がない。
図5および6に図示された発明は、上述のリー等の米国特許番号5,319,206に
開示されるタイプのモジュールを示している。図7は、他の実施例を示しており
、画像検出パネルは、放射線検出層がシンチレーション層である場合のモジュー
ルアッセンブリを備えている。特に、二つの隣接するモジュール110および1
10'は、精密な隣接するエッジ107および107'を有するように示されてい
る。モジュールは、
シンチレーション層101および101'を備え、この層はそれぞれ、本発明の
プロセスによって被覆されたヨウ化セシウム層であってもよい。光学繊維束テー
パ102および102'は、医学診断用エックス線照射などの放射線に曝露され
たとき、シンチレーション層101および101'によって照射された光の光路
を提供し、この光は、支持体104および104'上の複数のCCDタイプのセ
ンサ103および103'に向けられ、これらは通常、センサだけでなく、他セ
ンサを駆動してそこからデータを得るための電子部品も含むシリコンウェハを備
えている。モジュールは、接着剤105を使用して、基板108上の上述したよ
うな同様な方法で組み立てられる。追加の接着剤106を使用して、モジュール
間の隙間を充填してもよい。
医学応用において、CCDタイプの検出器に光繊維束テーパを介して連結され
たシンチレーション層を使用する放射線検出器の使用は、技術的に良く知られて
おり、さらに、特に、アンドリュー ディー.エイ.メイドメントおよびマーテ
ィン ジェイ.ヤッフェによる題名「光学的ディジタル式乳房レントゲン写真検
出器の空間周波数依存DQEの分析」、医学物理学21(6)で1994年6月
に出版された論文にも開示されている。
産業上の適用可能性
本発明は、特に、大型エックス線画像捕捉パネルの製造に最適であり、より小
さく、より低価格でより高い歩留まりで製造可能なモジュールを使用して、大型
規模の画像を捕捉するのに有用である。このような大型規模の画像捕捉装置は、
特にディジタル式放射線写真に有用である。
使用時、エックス線照射源が、エックス線光線を供給する。被験物、すなわち
医学診断画像の場合には患者が、エックス線光路内に配置され
る。被験物のあらゆる部位毎にエックス線の吸収率が異なるので、イメージワイ
ズ手法で被験物内を通過するエックス線の強度が変調される。
本発明を図解するのに広範囲に使用されるリー等の特許の実施例において、パ
ネルがエックス線照射に曝露されるとき、エックス線画像は、入射放射線強度に
比例する電気的電荷分布の形態で、パネルによって捕捉され保存される。より多
くのエックス線照射に曝露されるパネルの領域で、より多くの電荷が発生し電荷
蓄積コンデンサ内に蓄積される。曝露に続いて、ピクセル毎に蓄積コンデンサ内
に蓄積された電荷の大きさを読み出すことによって画像が復元される。典型的に
は、結果として得られる電気信号出力が増幅され、ディジタル化される。そして
蓄積され、任意の画像処理が施される。このようなパネルからの電荷の回収技術
と、様々なディジタル化および画像処理技術は、技術的に良く知られており、本
発明の範疇ではない。
組み立てられたパネルの上記記載から明らかなように、二つの隣接するモジュ
ール間の連結部において、全画像から欠落する行または列があり、そこには活性
な検出センサはない。この欠落行は、図1に点線で示されたピクセル17の行で
ある。画像再生時には、ピクセルの新たな列または行を生成して、ピクセルシー
ケンス内に生じた隙間をマスクしなければならない。これは、周辺のピクセルの
値を使用して欠落ピクセル用に新たなピクセル値を補間することによってなされ
る。このようなピクセル値の補正または置換のための補間技術は、技術的に良く
知られている。例えば、1989年5月23日にラバーリッジ等に付与された米
国特許4,833,723を参照のこと。ディジタル画像処理およびフィルタリング技術
をより一般的に議論するには、ジョン ウィレイ アンド サンズ インク.か
ら1991年に出版されたウィリアム ケイ.プラットによるディジタル画像処
理、第2版を参照のこと。
このようにして得られたディジタル情報は、好ましくはメモリに記憶され、デ
ィスプレイに情報を表示することによって表示される。このディスプレイ内の各
ピクセルの幾何学上の位置は、パネル内の対応するセンサの幾何学的位置に対応
する。これはパネル上に入射した放射線の強度変調を示す画像を生成する。即座
に画像を見るためにCRT上に表示してもよく、あるいは、印刷してハードコピ
ーを作成してもよい。データは、コンピュータ内に記憶されてもよく、あるいは
、長期間保存用の公文書メモリに保存されてもよい。遠隔地で見るために電気的
に転送することもできる。
例
例1
セレニウム堆積は、従来の円柱真空堆積室内で実施した。室は、直径が約3フ
ィート(約0.9メートル)で、高さが4フィート(約1.2メートル)で、ス
テンレス鋼製の囲い板を備えている。サンプルは約30インチ(約0.75メー
トル)上の約5インチ×8インチ(約13cm×20cm)のボートに載置される。
サンプルは、厚さ約1.1mmの薄膜フィルムトランジスタアレイモジュールの
約5cm×7.5cmの小片である。サンプルは、けがいて、砕いて、平坦なエッジ
を形成した。エッジ小片部品は、アレイモジュールとほぼ同じ厚さを有する、1
インチ×3インチ(約2.5cm×7.5cm)の標準顕微鏡スライドとした。エッ
ジ小片部品とサンプルの被覆される表面が実質的に同一平面になるように、エッ
ジ小片部品は、サンプルに対峙して載置された。エッジ小片部品とサンプル間の
隙間は、約25マイクロメートルと推測された。基板とエッジ小片部品は、水冷
銅ブロック上に載置され、堆積中、70℃±1℃に維持された。
エッジ小片部品は、堆積中、サンプルのエッジに沿って前後に移動で
きるように載置された。エッジ小片部品は、ピエゾ電気装置(無線室から入手で
きる)によって移動した。移動の振幅は15マイクロメートルとした。周波数は
10ヘルツである。
堆積は従来の手法によって行った。堆積開始前に、室を約10-6トル(約1.
3×10-3N/m2)に真空引きした。セレニウムショットは、ボート内で約2
20℃に加熱された。セレニウムを厚さ約500マイクロメートルのコーティン
グとして堆積させるには、約100分を要した。
被膜されたサンプルを光学顕微鏡で検査すると、急斜エッジがセレニウム層に
観察された。
例2
エッジ小片部品をサンプルのエッジに沿って鉛直方向に移動する以外は、例1
の手順を繰り返した。被膜されたサンプルを光学顕微鏡で検査すると、急斜エッ
ジがセレニウム層に観察された。
本発明を記載する上で、我々は後述およびこれらの同等物をここに請求する。
特許請求の範囲
1. 支持体の上面での大規模な画像捕捉パネルの組み立ての使用に適した急斜
エッジを有する放射線検出層で被覆する方法において、前記支持体が、その上面
に実質的に垂直な平面上に延在する少なくとも一つの精密仕上げ側面を備え、前
記方法が、
A) 基準上面と、該基準上面に実質的に垂直な平面にある基準側面と、を有す
る基準エッジ小片部品に前記支持体を対峙させ、該支持体の精密仕上げ側面と前
記基準側面が平行になるように前記支持体を配置するステップと、
B) 前記支持体精密仕上げ側面と前記基準側面とを互いに一定の距離で実質的
に平行に保つような方向に、前記支持体と前記基準小片部品のうち少なくとも一
つを他方と相対的に同時に移動しながら、前記支持体と前記基準小片部品の上面
の上に放射線検出物質を真空堆積して前記放射線検出層を形成するステップと、
を順に含む放射線検出層を被覆する方法。
2. 前記放射線検出層が光伝導層である請求項1の方法。
3. 前記光伝導層がセレニウムを含む請求項2の方法。
4. 前記放射線検出層がシンチレーション層である請求項1に記載の方法。
5. 前記シンチレーション層がヨウ化セシウムを含む請求項4に記載の方法。
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(72)発明者 チュン ローレンス ケイ.
アメリカ合衆国 ペンシルバニア州
19312 バーウィン グリーンヒル サー
クル 1520