JP2002511738A - ニュールツリン受容体 - Google Patents

ニュールツリン受容体

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Abstract

(57)【要約】 NTNRα、NTNRα細胞外ドメイン(ECD)、NTNRα変異体、キメラNTNRα(例えばNTNRαイムノアドヘシン)、及びこれらに結合する抗体(アゴニスト及び中和抗体を含む)が開示される。NTNRα−リガンド、例えばNTNに対する応答によって、細胞へNTNRαを提供することによって、細胞活性及び生存を変調する方法を含む、これらの分子の様々な用途が記述される。

Description

【発明の詳細な説明】 ニュールツリン受容体 緒言 技術分野 本願発明は、NTNRαと(またGFRα2とも)命名されたニュールツリン (neurturin:「NTN」)受容体に関するものであり、NTNRαをコードす る核酸及びアミノ酸配列を提供する。特に、本発明は、天然のNTNRα配列、 NTNRα変異体、NTNRα細胞外ドメインを含む可溶性NTNRα変異体、 キメラNTNRα、NTNRαに結合する抗体(アゴニスト及び中和抗体を含む )、並びにこれらの分子の様々な用途に関するものである。本発明はまたNTN Rαに対するリガンドの検出アッセイ系、NTNの生理学的役割の研究系、NT Nが関与する疾患の同定のための診断手法、NTNが関与する疾患とNTNRα が関与する疾患の治療方法、及びNTNRαと相同的な分子を同定するための方 法に関連する。 背景 インスリン様成長因子、神経成長因子、脳由来神経栄養因子、ニューロトロフ ィン−3、−4/5及び−6、毛様体神経栄養因子、GDNF、及びニュールツ リンのような神経栄養因子が、例えば、筋萎縮性側索硬化症、アルツハイマー病 、脳卒中、癲癇、ハンチントン病、パーキンソン病あるいは外延神経障害のよう な神経系の疾患に対する治療方法として特定のニューロン細胞の生存率を向上さ せる可能性がある手段として提案されている。この目的に対して更なる治療法を 提供することが望まれる。脊椎動物の神経系の成長と発達に影響を及ぼすタンパ ク神経栄養因子、すなわちニューロトロフィンは、脳と末梢の多種多様なニュー ロン群の分化、生存及び機能の促進において重要な役割を担っていると考えられ ている。神経栄養因子は、神経成長因子(NGF)で証明された先例に部分的に 基づいて、神経組織において重要なシグナル伝達機能を持っていると考えられて いる。NGFは、インビトロ及びインビボの双方における交感神経、感覚及び前 脳基底核ニューロンの生存を支援する。外来性NGFの投与は、発達過程でニュ ー ロンが細胞死することを防止する。逆に、抗NGF抗体の投与による内在性NG Fの排除又は隔離はそのような細胞死を促進する(Heumann,J.Exp.Biol.,13 2:133-150(1987);Hefti,J.Neurosci.,6:2155-2162(1986);Thoenenほか,Annu .Rev.Physiol.,60:284-335(1980))。 その後、NGFに関連した更なる神経栄養因子が同定された。これらには、脳 由来神経栄養因子(BDNF)(Leibrockら,Nature,341:149-152(1989))、 ニューロトロフィン−3(NT−3)(Kaishoほか,FEBS Lett.,266:187(1990 );Maisonpierreほか,Science,247:1446(1990);Rosenthalほか,Neuron,4:767 (1990))及びニューロトロフィン4/5(NT−4/5)(Berkmeierほか,Neu ron,7:857-866(1991))が含まれる。 ほかのポリペプチド成長因子と同様に、ニューロトロフィンは、細胞表面受 容体との相互作用を通じてその標的細胞に影響をもたらす。我々の現在の理解に よれば、2種類の膜貫通型糖タンパクが既知のニューロトロフィンの受容体とし て作用する。平衡結合性の研究から、ニューロトロフィンに応答するニューロン 細胞は、典型的にはp75LNGFR又はp75と称される普通の低分子量(650 00−80000ダルトン)の低親和性受容体と高分子量(130000−15 0000ダルトン)の受容体を持っていることが示されている。高親和性受容体 は受容体チロシンキナーゼのtrkファミリーのメンバーである。 受容体チロシンキナーゼは、細胞の増殖、分化及び生存を促進する様々なタン パク因子の受容体となることが知られている。trk受容体以外に、受容体チロ シンキナーゼとして知られているものには、上皮成長因子(EGF)、線維芽細 胞成長因子(FGF)及び血小板由来成長因子(PDGF)の受容体群がある。 典型的には、これらの受容体は、細胞膜を貫通し、その一部は細胞内にあって細 胞質と接触し、残りの一部は細胞外に露出している。受容体の細胞外部分にリガ ンドが結合すると、受容体の細胞内部分のチロシンキナーゼ活性が誘導され、細 胞シグナル伝達経路に関わる様々な細胞内タンパクがリン酸化される。 グリア株化細胞由来神経栄養因子(「GDNF」)とニュールツリン(「NT N」)は交感感覚及び中枢神経系ニューロンに対する2つの最近同定された構造 的に関連する有力な生存因子である(Linら,Science 260:1130-1132(1993);H endersonら,Science 266:1062-1064(1994);Buj-Belloら,Neuron 15:821-828(1 995);Kotzbauerら,Nature 384:467-470(1996))。最近、GNDFは、(GDN FRαと命名され;またGFR−アルファ−1とも命名された)グリコシルホス ファチジルイノシトール(GPI)結合タンパク質と膜貫通受容体チロシンキナ ーゼRetからなる多成分性受容体系を通してその作用を媒介することが示され た(Treanorら,Nature 382:80-83(1996);Jingら,Cell 85:1113-1124(1996);Tr uppら,Nature 381:785-789(1996);Durbecら,Nature 381:789-793(1996))。N TNシグナルが伝達される機構は解明されていない。 受容体チロシンキナーゼ(「RTK」)の異常発現は形質転換能と相関する。 例えば、肝臓癌、肺癌、乳癌、大腸癌においてはEphRTKの発現の上昇が見 られる。他の多くのチロシンキナーゼとは異なり、この発現の上昇は遺伝子の増 幅あるいは再構成を伴わずに生じうる。更に、ヒトRTKのHekは、プレB細 胞白血球細胞株の表面に存在する白血球特異的マーカーとして同定された。Ep h同様、Hekもまた、遺伝子の増幅あるいは再構成なしに、例えば造血性腫瘍 やリンパ系の腫瘍細胞株中で過剰発現する。Myk−1(ヒトHtkのマウスホ モログ(Bennettほか,J.Biol.Chem.,269(19):14211-8(1994)))の過剰発現 は、トランスジェニックマウスの未分化で侵食性のある、Ha−ras癌遺伝子 を発現している乳房の腫瘍でみられた(Andresほか,Oncogene,9(5):1461-7(1 994)及びAndresほか,Oncogene,9(8):2431(1994))。c−retプロトオンコ ジーンの産物であるRetは、受容体チロシンキナーゼスーパーファミリーのメ ンバーである。 複数の膜貫通型チロシンキナーゼは、発癌における役割に加えて、発生過程に おいても重要な役割を果たしていると報告されている。受容体チロシンキナーゼ のうちの幾つかは、発生段階で制御され、胚性組織で主に発現する。FGFのサ ブクラスに属するCek1、並びにCek4及びCek5チロシンキナーゼがそ の例である(Pasqualeほか,Proc.Natl.Acad.Sci.,USA,86:5449-5453(1989 );Sajjadiほか,New Biol.,3(8):769-78(1991);及びPasquale,Cell Regulatio n,2:523-534(1991))。Ephファミリーのメンバーは、神経系、あるいは特に ニューロンで発現するいくつかのファミリーメンバーと共に、多くの 異なった成熟組織で発現する(Maisonpierreほか,Oncogene,8:3277-3288(1993 );Laiほか,Neuron,6:691-704(1991))。 これら受容体チロシンキナーゼの何れかが異常発現しあるいは制御不能状態に なると、異なった悪性疾患及び病理学的障害を引き起こす。従って、受容体チロ シンキナーゼ経路関与障害及び細胞過程に対する診断と治療の新規で更なる手段 を提供するために、受容体チロシンキナーゼ(「RTK」)とその関連するリガ ンドまたはGPI−結合受容体を調節、制御及び操作する手段を特定する必要が ある。本願は、あるRTK受容体と特異的に相互作用する新規な分子を提供する ことによって、そのような手段を診療医及び研究者に提供する。ここで提供する これら化合物とその使用方法により、精巧な治療管理と特異性が実現する。従っ て、神経系の疾患及びある種の神経栄養のシグナル伝達経路がある役割を担う神 経系の疾患に対して改良された予防法及び/又は治療法を提供することが本発明 の目的のである。 本願発明の上記の目的及び他の目的は、明細書の全体を通じて当業者に明らか になるであろう。 概要 NTNRαと称するNTN受容体、該受容体の可溶形態、NTNRαの細胞外 ドメイン(「ECD」)がここに開示される。また、必要に応じて血清の半減期を 延長する分子と抱合あるいは融合され、かつ必要に応じて生理学的に受容できる 担体との製薬組成物として製剤されるNTNRαポリペプチドも開示される。 リガンド結合能、好ましくはNTN結合能と、受容体シグナル伝達機能(Re t受容体チロシンキナーゼを経由した)を持つ、例えばNTNRαECDイムノ アドヘシン(長い血清半減期を有する)及びエピトープタグNTNRαECDの ようなキメラNTNRαを含む、可溶性NTNRαは、細胞に対するNTNRα リガンド(好ましくはNTN)の応答性の付与、回復、増強に用いることができ る。この応答性は、リガンドとの結合、Retチロシンのリン酸化及び、生存あ るいは成長といった細胞活性を調節する、Retが仲介する下流側の活性を含む 。この実施態様は、インビボ、インビトロ又はエキソビボで使用される。NTN に は結合するが、Retとは相互作用をせず活性化しない可溶性NTNRα型は、 内因性のNTNRαの活性化を抑制するため、(NTNに結合し隔絶することに より)NTNリガンドのアンタゴニストとして用いることができる。このことは 、哺乳動物内でNTNリガンド量が過多、及び/又はNTNRαの活性化が過剰 な疾患に対して有効である。(例えば、NTNRα−リガンド結合活性を他のサ イトカイン又は神経栄養因子受容体のリガンド結合ドメインと組合せる)二特異 的イムノアドヘシンは、NTNRα−リガンドと他の因子の高親和性結合複合体 を形成することができ、アンタゴニスト活性(Ret活性化機能がない場合)か 付着リガンドの送達を高める手段を提供する。 可溶性NTNRα、好ましくはECDの製薬組成物は、NTNRαリガンド、 好ましくはNTNを更に任意に含むことができる。このような組成物は、リガン ドの半減期の延長、リガンドのゆっくりとした除放性をもたらし、標的細胞への NTNRαリガンド応答性の付与、及び/又は内因性細胞NTNRαあるいはRe tの活性を直接的に活性化又は向上させる。場合によっては、組成物は一又は複 数のサイトカイン、神経栄養因子、それらのアゴニスト抗体を含んでも良い。 更に、NTNRαに結合及び/又はこれを活性化する分子を同定するための方 法が提供される。しかして、NTNRαのアゴニストあるいはアンタゴニストで あるNTNRαリガンド分子(ペプチド、抗体、小分子等)をスクリーニングあ るいは同定する検定方法が提供される。そのような方法は、固定化されたNTN Rαをそれに結合する可能性があると思われる分子にさらし、固定化されたNT NRαへの分子の結合の有無を決定し及び/又は当該分子がNTNRαを活性化 するか(又は活性化を阻害するか)否かを評価することを一般に含む。そのよう なNTNRαリガンドを同定するために、NTNRαを細胞の表面に発現させ、 合成候補化合物あるいは天然に存在する化合物(例えば血清や細胞のような内在 的ソースからのもの)のライブラリをスクリーニングするために使用できる。N TNRαはまた内在性あるいは外来性のNTNRαリガンドの血清中での濃度を 測定するための診断ツールとしても用いることができる。 更なる実施態様においては、NTNRαリガンドを精製する方法が提供される 。この方法は該受容体に結合する治療的に活性な分子の商業的な生産と精製に用 い られる。一実施態様においては、(一般的には1種あるいはそれ以上の不純物を 含む組成物中の)対象分子を、固定化NTNRα(例えば、プロテインA樹脂上 に固定化されたNTNRαイムノアドヘシン)に吸着する。不純物は、NTNR αに結合することができないので、一般的にはその樹脂に結合しない。したがっ て、リガンド分子が固定化された受容体から放出されるように溶出条件を変える ことで、対象分子を樹脂から回収することができるようになる。 NTNRαに特異的に結合する抗体が提供される。好ましい抗体は、ヒトには 非免疫原性で、受容体の細胞外ドメインのエピトープに結合するモノクローナル 抗体である。好ましい抗体は、少なくとも106L/mole、更に好ましくは107L/ moleの親和性でNTNRαと結合するものである。好適な抗体はアゴニスト抗体 である。 NTNRαに結合する抗体を、場合によっては異種性ポリペプチドと融合させ ることができる。抗体あるいは融合物には、NTNRαを受容体源から分離し精 製するという特定の用途が見出される。 更なる側面では、受容体を含んでいると思われる試料とNTNRα抗体を接触 させ、結合が生じたか否かを検出する工程を含むインビトロ及びインビボでのN TNRαの検出方法が提供される。 ある応用例においては、アゴニスト抗体があることが望ましい。かかるアゴニ スト抗体は、NTNのようなNTNRαリガンドに対して記載されたようにNT NRαを活性化するのに有用である。更に、これらの抗体は、有効量のNTNR αの活性化が哺乳動物において治療効果につながる疾患を治療するのに有用であ る。例えば、アゴニスト抗体は、NTNRα及び好ましくはRetを含む細胞に おいてNTN応答を誘発するために使用することができる。治療用途としては、 アゴニスト抗体及び生理学的に許容される担体を含む組成物を調製するのが望ま しい。場合によっては、該組成物は一又は複数のサイトカイン、神経栄養因子、 あるいはそのアゴニスト抗体を更に含む。 他の実施態様では、抗体は中和抗体である。そのような分子は、NTNRαの 望ましくない又は過剰な活性化により特徴付けられる疾患を治療するために使用 することができる。 上記のものに加えて、本発明は、ここに記載されているようなNTNRαの組 換え生産に使用することができるNTNRαをコードする単離核酸分子、発現ベ クター及び宿主細胞を提供するものである。単離核酸分子及びベクターは、遺伝 子組換え動物の生産、NTNRαの欠陥を持つ患者の治療又はNTNRαリガン ドに対する細胞の応答性を向上させる、あるいは(アンチセンス核酸の使用によ り)NTNRα活性を抑制する遺伝子療法に利用できる。 図面の簡単な説明 図1A−1Bは、全長のヒトNTNRαをコードするcDNAの有意鎖の核酸 配列(配列番号1)、hNTNRαのコード配列(配列番号2)及び全長hNT NRαの推定アミノ酸配列(配列番号3)を示す。有意鎖の初めからヌクレオチ ドに番号をふった。アミノ酸残基はアミノ酸配列の初めから番号をふった。 図2A−2Bは、全長のラットNTNRαをコードするcDNAの有意鎖の核 酸配列(配列番号4)、rNTNRαのコード配列(配列番号5)及び全長rN TNRαの推定アミノ酸配列(配列番号6)を示す。有意鎖の初めからヌクレオ チドに番号をふった。アミノ酸残基はアミノ酸配列の初めから番号をふった。 図3A−3BはhNTNRα、rNTNRα、及びrGDNFRαをコードし ている核酸を比較している。 図4は、hNTNRα、rNTNRα、及びrGDNFRαタンパク質の比較 で、特徴を示している。シグナルペプチドは実線で示す。シグナル切断部位は矢 印で示す。潜在的なグリコシル化部位には影をつける。GPI結合部位の疎水性 ドメインは二重下線で示す。GPI結合タンパク質の切断/結合部位を構成する 小アミノ酸残基はアステリスクで示す。コンセンサスシステイン残基は実線の円 で示す。細胞外ドメイン(「ECD」)は、シグナルペプチド及びGPI結合部 位の脇に位置する。 図5はhNTNRαとhGDNFRαのアミノ酸配列の比較である。 図6A−6Dは、I125NTNとGDNFのNTNRα又はGDNFRα発現 細胞との結合及び非標識NTNによる置換を示す。図6Aと6Cは、それぞれ、125 IマウスNTN(125I−mNTN)のラットGDNFRα(「rGDNF Rα」)又はラットNTNRα(「rNTNRα」)との結合を示す。図6Bと 6Dは、それぞれ、125IrGDNF(125I−rGDNF)のラットGDNFR α(「rGDNFRα」)又はラットNTNRα(「rNTNRα」)との結合 を示す。図6Bの挿入図に示されたスキャッチャード分析に示されているように 、GDNFは3pMのKd値でGDNFRαに結合する。細胞ベースアッセイで 同様なKdが報告されている(Jingほか,Cell 85:1113-1124(1996))。マウスN TNは10pMのKd値でrNTNRαを結合する(図6Cの挿入を参照)。ヒ トNTNRαはラットNTNRαと同様の結合特異性を示した(データは示さず )。これらの実験においてはGDNFRαへの125I NTNの結合(図6A)と125 IrGDNFのNTNRαへの結合(図6D)は検出されなかったが、ビオ チン化NTNとGDNFで行った実験ではGDNFRαへのNTN及びその逆の 低親和性結合(1mMを超えるKd)が明らかになった。 図7A−7Fは、NTN、NTNRα及びRet間の相互作用を示す。図7A は、NTNRαを発現する細胞への125I NTNの結合を示す。NTNRαがG DI結合タンパク質であるという予想に一致して、NTNRαを発現する細胞へ の125I NTNの結合はPIPLCでの処理に続いて50−70%減少した。図 7Bは、胚性ラット脊髄運動ニューロンのGDNF又はNTNに対する生存応答 を示す。その受容体分布に一致して、NTNは脊髄運動ニューロンの有力な生存 因子である。図7Cは、PIPLCの存在下でのNTNもしくはBDNF及び可 溶性NTNRαに対する胚性ラット脊髄運動ニューロンの生存応答を示す。PI PLC処理は、BDNFへの応答を変化させないで、NTNへの生存応答を50 −90%減少させた。可溶性NTNRα(sRα)はNTNへのPIPLC処理 運動ニューロンの応答を回復する。図7Dは神経芽細胞腫のTGW−1細胞にお けるRetのチロシンリン酸化のNTN誘導を示す。図7Eは、TGW−1にお けるERKのリン酸化のNTN誘導を示す。図7Fは、Ret発現細胞に対する NTN−可溶性NTNRα複合体によりもたらされるNTN−応答性(例えばR etリン酸化)を示す。記号:(Con)=非形質導入細胞。(Ret)=Re tのみが形質移入された細胞。(Rα+Ret)=RetとNTNRαが形質移 入された細胞。全ての場合、細胞はNTN(100ng/ml)に暴露され、 ついでNTN抗血清で免疫沈降処理がなされた。 図8Aないし8Cは、NTNRα及びGDNFRα細胞外ドメインの可溶性R et活性化型に対するドーパミン作動性ニューロンの生存応答を示す。 図9は、一つの線条体にNTN、NTNRαの可溶型、NTNとNTNRαの 双方、又はビヒクルが注入されたラットの様々な脳領域、特に線条体におけるド ーパミンに対するDOPACの比(非注入側のパーセントとして注入側を表した もの:平均±標準偏差)を示す。 詳細な説明 本発明の説明においては、以下の用語を下記のように用い定義する。 本説明において用いる「NTNRα」(またGFR−アルファ−2とも命名さ れる)又は「NTNRαポリペプチド」は、天然配列NTNRα;NTNRαの 変異体;NTNRα細胞外ドメイン;及びキメラNTNRα(いずれもここで定 義される)を意味する。場合によっては、NTNRαは天然のグリコシル化とは 無関係の場合がある。「天然のグリコシル化」とは、天然に由来した哺乳動物細 胞において産生されたときにNTNRαに共有結合的に結合している炭水化物部 分を言う。したがって、非ヒト細胞において産生されたヒトNTNRαは、「天 然のグリコシル化と関連していない」NTNRαの例である。時には、NTNR αはグリコシル化されていない場合がある(例えば、原核生物において組換えに よって生産された場合)。 「天然配列NTNRα」は、天然由来のNTNRαと同一のアミノ酸配列を有 するポペプチドを含んでなる。しかして、天然配列NTNRαは、天然に生じる ラットNTNRα、マウスNTNRα、ヒトNTNRαあるいは他の哺乳動物種 由来のNTNRαのアミノ酸配列を有し得る。かかる天然配列NTNRαポリペ プチドは、自然から単離することができるか組換えあるいは合成手段によって生 産することができる。「天然配列NTNRα」なる用語は、NTNRαの天然に 生じる切断形、天然に生じる変異体型(例えば他のスプライス型)、及びNTN Rαの天然に生じる対立遺伝子変異体をさす。好ましい天然配列NTNRαは成 熟天然配列NTNRαである。ヒトとラットのNTNRα配列を図1A−1B及 び2A−2Bに示す。好ましい分子は、中程度の、より好ましくは厳密なハイブ リダイゼーション条件下において、図1A−1Bに示すヒトNTN受容体をコー ドしているDNA配列とハイブリダイズ可能な核酸分子を含んでなるものである 。一実施態様では、NTNRα核酸は、42℃、20%ホルムアミド中で、図1 A−1Bに示すNTN受容体をコードしているDNA配列とハイブリダイズする 。他の実施態様では、核酸分子は、42℃、20%ッホルムアミド中で、図1A −1B又は2A−2Bに示す完全型NTN受容体の一部をコードしている少なく とも10の近接塩基、好ましくは少なくとも20の近接塩基、より好ましくは少 なくとも45の近接塩基、更により好ましくは少なくとも60の塩基のDNA配 列とハイブリダイズ可能である。好ましい配列は、同様の条件下ではGDNFR α配列とはハイブリダイズしない。 「NTNRα細胞外ドメイン」(ECD)は、NTNRαの膜貫通及び細胞質ド メインを本質的に有しないものNTNRαの形態であり、つまり、そのようなド メインを1%未満、好ましくはそのようなドメインを0.5%から0%、更に好 ましくはそのようなドメインを0.1%から0%だけ有する。通常、NTNRα ECDは、例えばNTNRαあるいはここに提供するマウス配列のような対応す る配列に対して図1A−1B又は2A−2Bに示されるように、NTNRαのE CDのアミノ酸配列と少なくとも約60%、好ましくは少なくとも65%、更に 好ましくは少なくとも75%、更により好ましくは少なくとも80%、更により 好ましくは少なくとも90%、更に好ましくは95%のアミノ酸配列同一性を有 し、更には少なくとも99%のアミノ酸配列同一性、最終的には100%の同一 性を有するアミノ酸を有し、従って以下に規定するNTNRα変異体を含む。好 ましい配列は、少なくとも16のアミノ酸長、更に好ましくは少なくとも20の アミノ酸長さ、更により好ましくは少なくとも40のアミノ酸長である。 「NTNRα変異体」とは、例えば、NTNRαに対して図1A−1B又は2 A−2Bに示される推定アミノ酸配列を持つNTNRα又はここに提供される配 列と100%未満(しかし少なくとも60%の同一性)の配列同一性を有する以 下に示す生物学的に活性なNTNRαを意味する。このようなNTNRα変異体 には、NTNRα配列のN末端あるいはC末端に、あるいはその配列内部に一又 は複数のアミノ酸残基が付加されたNTNRαポリペプチド;約1ないし30の アミノ酸残基が欠失され、場合によっては一又は複数のアミノ酸残基によって置 換されたポリペプチド;及び上記のポリペプチドの誘導体で、生じた生成物が非 天然のアミノ酸を有するようにアミノ酸が共有結合的に修飾されたものが含まれ る。通常は、生物学的に活性なNTNRα変異体は、天然に存在するNTNRα のアミノ酸配列(図1A−1B又は2A−2Bに示すものあるいはここに提供す る対応する配列)と約60%のアミノ酸配列同一性を有し、好ましくは少なくと も約65%、より好ましくは少なくとも約75%が、更により好ましくは少なく とも約80%、更により好ましくは少なくとも約90%が、更に好ましくは95 %が、更に好ましくは少なくとも99%、最終的には100%の同一性を有する 。 「キメラNTNRα」は、全長NTNRαを含むかその一又は複数のドメイン (例えば細胞外ドメイン)を異種性ポリペプチドに融合あるいは結合させたポリ ペプチドである。キメラNTNRαは、NTNRαと共通する少なくとも一つの 生物学的性質を有している。キメラNTNRαの例としては、イムノアドヘシン 及びエピトープタグNTNRαがある。 「イムノアドヘシン」なる用語は、「NTNRα免疫グロブリンキメラ」なる 表現と同義的に用いられ、NTNRαの一部(一般にはその細胞外ドメイン)を 免疫グロブリン配列と組合せるキメラ分子を意味する。免疫グロブリン配列は、 好ましくは、ただし非制限的に、免疫グロブリン定常ドメインを指す。本発明の キメラ内の免疫グロブリン部分は、IgG1、IgG2、IgG3又はIgG4 サブタイプ、IgA、IgE、IgD又はIgMから得ることができるが、好ま しくはIgG1又はIgG3から得ることができる。 「エピトープタグ」なる用語は、ここで用いられるときは、「タグポリペプチ ド」に融合したNTNRαを含んでなるキメラポリペプチドを指す。タグポリペ プチドは、その抗体が産生され得るエピトープを提供するに十分な数の残基を有 しているが、その長さはNTNRαの生物学的活動を阻害しないよう充分に短い 。また、タグポリペプチドは、好ましくは、それに対して形成される抗体が他の エピトープと実質的に交差反応をしないようにかなり独特である。好適なタグポ リペプチドは、一般に、少なくとも6のアミノ酸残基、通常は約8−50のアミ ノ 酸残基(好ましくは約9−30の残基)を有する。好ましいものは、タグタンパ ク質を、例えば記載されているように(LindsayほがNeuron 17:571-574(1996)) Ni−NTAクロマトグラフィーで分離することを可能にするニッケルを結合す るポリヒスチジン配列である。 「単離されたNTNRα」は、NTNRα源から精製されたかあるいは組換え もしくは合成法によって調製されたNTNRαであって、(1)スピニングカップ シークエネーターあるいは市販されている最良のアミノ酸シークエネーターを使 用することにより、又は本出願の出願日に刊行されている方法により修正して、 少なくとも15、好ましくは20のN末端あるいは内部アミノ酸配列のアミノ酸 残基を得るのに充分なほど、あるいは、(2)クーマシーブルーあるいは好ましく は銀染色を用いた非還元あるいは還元条件下でのSDS−PAGEによる均一性 が得られるように充分なほど、他のペプチド又はタンパク質を含んでいないNT NRαを意味する。ここで、均一性とは、他の供給源タンパク質での汚染が約5 %未満であることを意味する。 「本質的に純粋な」タンパク質とは、組成物の全重量に対して少なくとも約9 0重量%、好ましくは少なくとも約95重量%のタンパク質を含む組成物を意味 する。「本質的に均一な」タンパク質とは、組成物の全重量に対して少なくとも 約99重量%のタンパク質を含む組成物を意味する。 「生物学的性質」は、これが「NTNRα」あるいは「単離されたNTNRα 」について用いられた場合、(天然か変性されたコンフォメーションかにかかわ らず)天然配列NTNRαによって直接又は間接に引き起こされあるいはなされ るエフェクターあるいは抗原機能又は活性を有することを意味する。エフェクタ ー機能は、リガンド結合及び細胞の生存、分化及び/又は増殖(特に細胞の増殖 )の向上を含む。しかしながら、エフェクター機能は天然配列NTNRαに対し て産生された抗体と交差反応し得るエピトープあるいは抗原部位の保持を含まな い。 「抗原機能」とは、天然配列NTNRαに対して産生された抗体と交差反応可 能なエピトープあるいは抗原部位を有することを意味する。NTNRαポリペプ チドの主要な抗原機能は、それが天然配列NTNRαに対して産生された抗体に 少なくとも約106L/moleの親和性をもって結合することである。通常、該ポリ ペプチドは少なくとも約107L/moleの親和性をもって結合する。「抗原機能」 を定義するために用いられる抗体は、完全フロイントアジュバント中にNTNR αを処方し、この処方物を皮下的に注入し、抗NTNRα抗体の抗体価がプラト ーに達するまでこの処方物を腹腔内に注射して免疫反応を追加免疫して産生され るウサギポリクローナル抗体である。 「生物学的に活性な」は、これが「NTNRα」あるいは「単離されたNTN Rα」と共に用いられた場合は、天然配列NTNRαのエフェクター機能を示す か共有し、(必ずしも必要ではないが)更に抗原機能を有するNTNRαポリペ プチドを意味する。NTNRαの主要なエフェクター機能は、NTNを結合する その能力である。NTNRαの他の主要なエフェクター機能はRetチロシンキ ナーゼを活性化して(Retの自己リン酸化をもたらし)Retシグナル伝達機 能を媒介して下流経路を活性化することである。 「抗原的に活性な」NTNRαは、NTNRαの抗原機能を有し、(必ずしも 必要ではないが)エフェクター機能を更に有するポリペプチドとして定義される 。 NTNRα配列に関する「パーセントアミノ酸配列同一性」は、配列を整列さ せ最大のパーセント配列同一性を得るために必要なら間隙を導入し、配列の同一 性の一部として如何なる保存的な置換も行わない状態での、NTNRα配列の残 基と同一である候補配列中のアミノ酸残基のパーセントとしてここに定義される 。候補NTNRα配列に対するN末端、C末端、もしくは内部の伸長、欠失、又 は挿入は何れも、配列の同一性あるいは相同性に影響を与えるとはみなされない 。 「NTNリガンド」とは、天然配列NTNRαに結合し、好ましくはこれを活 性化する分子を意味する。ある分子のNTNRαに結合する能力は、例えば、検 定プレート上に塗布されたNTNRαに結合する推定リガンドの能力によって決 定することができる。結合の特異性は、GDNFRαに対する結合と比較するこ とによって決定することができる。NTNのNTNRαへの競合的結合はリガン ドの好ましい性質である。チミジン取り込みアッセイは、NTNRα機能を活性 化するリガンドをスクリーニングする他の手段を提供する。 「チミジン取り込みアッセイ」は、NTNRαを活性化する分子をスクリーニ ングするために用いることができる。この検定を行うためには、IL−3依存性 Baf3細胞(Palaciosほか,Cell,41:727-734(1985))を、ここに記載した全長 の天然配列NTNRα及びRetに安定に形質移入する。このようにして生産し たNTNRα/Ret/Baf3細胞を、37℃で5%のCO2と空気中の加湿 インキュベーターにおいて24時間IL−3飢餓させる。IL−3飢餓に続いて 、潜在的なアゴニストを有する試験試料(このような試験試料は場合によって希 釈する)と共にあるいは試験試料なしで細胞を96ウェルの培養皿に蒔き、細胞 培養インキュベーター中で24時間培養する。最後の6−8時間の間に各ウェル に3Hチミジンの1μCiを含む20μlの無血清RPMI培地を添加する。次 に細胞を96ウェルのフィルター皿に取出して水で洗浄する。次に、フィルター を例えばパッカードトップカウントマイクロプレートシンチレーション計数機(P ackard Top Count Microplate Scintillation Counter)でカウントする。アゴニ ストは、対照に対して、統計上有意な程度の3H取り込みの増加を誘発するもの と予想される。好ましいアゴニストの場合、対照の少なくとも2倍の3H取り込 みの増加になる。他の検定方法はここに記載する。 「単離された」NTNRα核酸分子は、NTNRα核酸の天然源に通常は伴っ ている少なくとも1つの汚染核酸分子から同定され分離された核酸分子である。 単離されたNTNRα核酸分子は天然に見出される形態あるいは様相以外のもの である。ゆえに、単離されたNTNRα核酸分子は、天然の細胞中に存在するN TNRα核酸細胞とは区別される。しかし、単離されたNTNRα核酸分子は、 例えば、核酸分子が天然の細胞の場合とは異なった染色体位置にあるNTNRα を通常発現する細胞に含まれるNTNRα核酸分子を含む。 「対照配列」という表現は、特定の宿主生物において機能的に関連付けられた コード配列を発現するために必要なDNA配列を指す。例えば原核生物に好適な 対照配列は、プロモーター、場合によってはオペレータ配列、リボソーム結合部 位、更には今のところ十分には解明されていない他の配列を含む。真核生物の細 胞は、プロモーター、ポリアデニル化シグナル及びエンハンサーを使用すること が知られている。 核酸は、他の核酸配列と機能的な関係にあるときに「作用的に関連付けられ」 ている。例えば、プレ配列あるいは分泌リーダーのDNAは、ポリペプチドの分 泌に寄与するプレタンパク質として発現されているならそのポリペプチドのDN Aに機能的に関連付けられている;プロモーター又はエンハンサーは、配列の転 写に影響を及ぼすならばコード配列に機能的に関連付けられている;又はリボソ ームの結合部位は、もしそれが翻訳を容易にするような位置にあるならコード配 列と機能的に関連付けられている。一般的に、「機能的に関連付けられる」とは 、関連付けられたDNA配列が近接しており、分泌リーダーの場合には近接して おり読みフェーズにある。しかし、エンハンサーは必ずしも近接しているわけで はない。結合は簡便な制限部位でのライゲーションにより達成される。そのよう な部位が存在しない場合は、通常の手法にしたがって、合成されたオリゴヌクレ オチドアダプターあるいはリンカーが使用される。 「細胞」、「株化細胞」及び「細胞培養」なる表現は相互に交換可能に用いら れ、これら全ての表記は子孫を含む。「形質転換体」あるいは「形質転換細胞」 は、初代対象細胞と何度転換したかに関わらずそれから由来した培養を含む。全 ての子孫が、意図的な突然変異あるいは意図せざる突然変異のために、完全に同 一のDNAを有するわけではないことも理解される。最初に形質転換した細胞に 対してスクリーニングされたものと同じ機能あるいは生物的活性を共有する突然 変異子孫も含まれる。特に区別して表記されなければならない場合は、文脈から 明瞭に理解されるはずである。 「抗体」という用語は最も広い意味において使用され、特にモノクローナル抗 体、多エピトープ特異性抗体組成物、二重特異性抗体、ダイアボディー(diabodi es)、及び単鎖分子、並びに抗体断片(例えばFab、F(ab')2及びFv)を、 それらが所望の生物学的特性を有する限り、包含する。 ここで使用される「モノクローナル抗体」という用語は、実質的に均一な抗体 の集団から得られる抗体を意味する、すなわち、集団を構成する個々の抗体が、 少量存在しうる自然に生じる可能な突然変異を除いて同一である。モノクローナ ル抗体は高度に特異的であり、一つの抗原部位に対応する。更に、異なる決定基 (エピトープ)に対応する異なる抗体を典型的に含む通常の(ポリクローナル)抗 体とは異なり、各モノクローナル抗体は抗原の単一の決定基に対応する。その特 異性に加えて、モノクローナル抗体は、他の免疫グロブリンによって汚染されて いないハイブリドーマ培養から合成される点で優れている。「モノクローナル」 との形容は、実質的に均一な抗体集団から得られたという抗体の性質を示し、抗 体を何か特定の方法で生産しなければならないことを意味するものではない。例 えば、本発明に従って使用されるモノクローナル抗体は、最初にKohlerほかによ ってネイチャー(256:495(1975))に掲載されたハイブリドーマ法によって作る ことができ、あるいは組換えDNA法(例えば米国特許第4816567号(Cabi llyほか)を参照)によって作ることができる。「モノクローナル抗体」は例えばC lacksonほか(624-628(1991))及びMarksほか(J.Mol.Biol.222:581-597(199 1))に記載された技術を用いてファージ抗体ライブラリから単離してもよい。 ここで、モノクローナル抗体は、重鎖及び/又は軽鎖の一部が特定の種由来の 抗体あるいは特定の抗体クラス又はサブクラスに属する抗体の対応する配列と同 一であるか相同であり、鎖の残りの部分は他の種由来の抗体あるいは他の抗体ク ラスあるいはサブクラスに属する抗体の対応する配列と同一であるか相同である 「キメラ」抗体(免疫グロブリン)、並びにそれが所望の生物的活性を有する限 りそれら抗体の断片を特に含む(Cabillyほか,前掲;Morrisonほか,Proc.Natl .Acad.Sci.USA,81:6851-6855(1984))。 非ヒト(例えばマウス)抗体の「ヒト化」形とは、キメラ免疫グロブリン、免 疫グロブリン鎖あるいは断片(例えばFv、Fab、Fab’、F(ab')2ある いは抗体の他の抗原結合配列)であって、非ヒト免疫グロブリンに由来する最小 配列を含むものである。大部分においてヒト化抗体はレシピエントの相補性決定 領域(CDR)の残基が、マウス、ラット又はウサギのような所望の特異性、親 和性及び能力を有する非ヒト(ドナー抗体)のCDRの残基によって置換された ヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)である。ある場合には、ヒト免疫グロ ブリンのFvフレームワーク領域(FR)残基は、対応する非ヒト残基によって置 換されている。更に、ヒト化抗体は、レシピエント抗体にも、移入されたCDR もしくはフレームワーク配列にも見出されない残基を含んでもよい。これらの変 更は抗体の特性を更に洗練し、最適化するために行われる。一般に、ヒト化抗体 は、全てあるいはほとんど全てのCDR領域が非ヒト免疫グロブリンのものに対 応し、全てあるいはほとんど全てのFR領域がヒト免疫グロブリン配列のもので ある、少なくとも1つ、典型的には2つの可変ドメインの実質的に全てを含む。 ヒト化抗体は、最適には免疫グロブリン定常領域(Fc)、典型的にはヒトの免 疫グロブリンの定常領域の少なくとも一部を含んでなる。更なる詳細については 、Jonesほか,Nature,321:522-525(1986);Reichmannほか,Nature,332:323-32 9(1988);及びPresta,Curr.Op Struct.Biol.,2:593-596(1992)を参照された い。ヒト化抗体は、抗体の抗原結合領域が対象抗体でマカクザルを免疫化するこ とにより生産された抗体から由来するプリマタイズした(PrimatizedTM)抗体を 含む。 「ヒトにおいて非免疫原性である」とは、生理学的に許容される担体中の治療 的に有効量の対象ポリペプチドをヒトの適当な組織に接触させたときに、適当な 潜伏期間(例えば8日〜14日)をおいて対象ポリペプチドの2回目の投与時に対 象ポリペプチドに対する感受性又は抵抗性が証明できないことを意味する。 「アゴニスト抗体」とは、天然配列NTNRαを活性化し得るNTNRαリガ ンドである抗体を意味する。 「中和抗体」とは、天然配列NTNRαのエフェクター機能を阻害するが有意 に減少させることのできる抗体である。例えば、中和抗体は、神経突起生存検定 、NTN結合検定、あるいはここで教示するか従来から既知の他の検定において 決定されるNTNリガンドによるNTNRαの活性を阻害あるいは減少させるこ とができる。 「細胞の増殖を増大させる」とは、インビトロ又はインビボで未処理細胞に対 して細胞の成長あるいは/又は再生の度合いを増大させる工程を包含する。細胞 培養における細胞の増殖は、対象分子に曝露前及び曝露後の細胞数を数えること によって検出することができる。増殖の度合いは、集密度合いを顕微鏡で検査す ることで定量化できる。細胞増殖は、ここに記載するチミジン取り込みアッセイ を使用しても定量化できる。 「細胞の分化を増大させる」とは、元となった細胞とは異なる一又は複数の特 徴あるいは機能を獲得あるいは保有する度合いを増大させる行為を意味する(例 えば細胞特殊化)。これは細胞の発現型の変化をスクリーニングすることによっ て(例えば、細胞の形態学的変化の同定)検出可能である。 「生理学的に許容できる」担体、賦形剤、あるいは安定化剤は、使用された用 量及び濃度ではこれらに暴露された細胞あるいは哺乳動物に対して非毒性である ものである。生理的に許容可能な担体はしばしば水性pH緩衝溶液である。生理 的に許容可能な担体の例には、例えば、リン酸塩、クエン酸塩、及び他の有機酸 ;アスコルビン酸を含む酸化防止剤;低分子量の(約10残基未満の)ポリペプ チド;血清アルブミン、ゼラチン又は免疫グロブリンのようなタンパク質;ポリ ビニルピロリドンのような親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギ ン、アルギニン又はリシンのようなアミノ酸;単糖類、二糖類、及びグルコース 、マンノース、又はデキストリンを含む他の炭水化物;EDTAのようなキレー ト剤;マンニトールあるいはソルビトールのような糖アルコール;ナトリウムの ような塩形成対イオン;及び/又はトウイーン(Tween)、プルロニック(Pluronic s)又はポリエチレングリコール(PEG)のような非イオン性界面活性剤がある 。 ここで使用される「サルベージ受容体結合エピトープ」とは、IgG分子のイ ンビボ血清半減期を延長する原因であるIgG分子(例えば、IgG1、IgG 2、IgG3及びIgG4)のFc領域のエピトープを意味する。サルベージ受 容体結合エピトープの具体例には、HQNLSDGK;HQNISDGK;HQ SLGTQ;VISSHLGQ;及びPKNSSMISNTPがある。 「サイトカイン」という用語は、一つの細胞集団から放出されるタンパク質で あって、他の細胞に対して細胞間メディエータとして作用するものの包括的な用 語である。そのようなサイトカインの例としては、リンフォカイン、モノカイン 、及び伝統的なポリペプチドホルモンを挙げることができる。サイトカインには 、成長ホルモン、例えばヒト成長ホルモン、N−メチオニルヒト成長ホルモン、 及びウシ成長ホルモン;副甲状腺ホルモン;チロキシン;インスリン;プロイン スリン;リラクシン;プロリラクシン;卵胞刺激ホルモン(FSH)のような糖 タンパク質;副甲状腺刺激ホルモン(TSH)、及び黄体形成ホルモン(LH) ;肝臓成長因子;繊維芽細胞成長因子;プロラクチン;胎盤ラクトゲン;腫瘍壊 死因子−α及び−β;マレリアン(mullerian)阻害物質;マウス性腺刺激ホルモ ン 関連ペプチド;インヒビン;アクチビン;血管内皮成長因子;インテグリン;ト ロンボポエチン(TPO);NGF−β、NT−3、NT−4、NT−6、BDN F、CNTF、GDNF、AL−1あるいは他のeph受容体ファミリーのリガ ンド等の神経因子あるいは神経成長因子;血小板成長因子;TGF−αあるいは TGF−βのようなトランスフォーミング成長因子(TGF);インスリン様成 長因子I及びII;エリスロポイエチン(EPO);オステオインダクティブ因子; インターフェロンα、β、γのようなインターフェロン;マクロファージ−CS F(M−CSF)のようなコロニー刺激因子(CSF);顆粒球−マクロファー ジ−CSF(GM−CSF)及び顆粒球−CSF(G−CSF);IL−1、IL −1α、IL−2、IL−3、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL −8、IL−9、IL−11、IL−12等のインターロイキン(IL);及び LIF及びキットリガンド(KL)を含む他のポリペプチド因子が含まれる。本 明細書において、サイトカインなる用語は天然源由来あるいは組換え細胞培養由 来のタンパク質及び天然配列サイトカインの生物的に活性な等価物を含む。更に 、TrkA−IgGあるいは他の可溶性受容体キメラのようなサイトカイン活性 を持つ遺伝子操作分子も含まれる。 「治療」は治療的処置及び予防的あるいは防護的措置の双方を意味する。治療 を要するものには、障害を既に持つもの並びに障害を防止すべきものが含まれる 。 治療目的で「哺乳動物」と言うときは、ヒト、家及び牧場の動物、及び動物園 の動物、運動用の動物、愛玩用動物、例えばイヌ、ウマ、ネコ、ウシ等々を含む 哺乳動物として分類されるあらゆる動物を意味する。好ましくは哺乳動物はヒト である。 「固相」とは、対象となる試薬(例えばNTNRαあるいはそれに対する抗体 )が付着しうる非水性のマトリックスを意味する。固相の例には、例えば全部又 は一部がガラス(調整穴明きガラス)、多糖類(例えばアガローズ)、ポリアク リルアミド、ポリスチレン、ポリビニルアルコールあるいはシリコーンからなる ものが含まれる。ある実施態様においては、文脈によっては、固相は検定プレー トのウエルからなりうる;他の実施態様では(アフィニティークロマトグラフィ ーカラムのような)精製カラムである。この用語には更に米国特許第4275 149号に記載されているもののような分散粒子の不連続な固相も含まれる。 本願発明の実施形態をここに提供する。グリア株化細胞由来神経栄養因子(「 GDNF」)とニュールツリン(「NTN」)は交感感覚及び中枢神経系ニュー ロンに対する2つの構造的に関連する有力な生存因子である(Linほか,Science 260:1130-1132(1993);Hendersonほか,Science 266:1062-1064(1994);Buj-Bell oほか,Neuron 15:821-828(1995);Kotzbauerほか,Nature 384:467-470(1996)) 。GNDFは(GDNFRαと命名された)グリコシルホスファチジルイノシト ール(GPI)結合タンパク質と膜貫通受容体チロシンキナーゼRetからなる 多成分性受容体系を通してその作用を媒介することが示されているが(Treanor ほか,Nature 382:80-83(1996);Jingほか,Cell 85:1113-1124(1996);Truppほか ,Nature 381:785-789(1996);Durbecほか,Nature 381:789-793(1996))、NT Nシグナルが伝達される機構は過去には解明されていない。ここに記載するのは 、NTNRαと命名されたGPI結合タンパク質とその遺伝子の単離、配列、及 び組織分布であり、これはNTNへの応答を変調するがGDNFへの応答は変調 しないことが示される。それがGDNFRαに構造的に関連していることがここ で示される。無細胞系において組換えタンパク質を用いて、NTNRαがNTN (Kd〜10pM)を結合するがGDNFは結合せず、NTNは高親和性ではG DNFRαを結合しないことが示されている。NTNに対する細胞応答にはNT NRαの存在が必要であることもまた示されている。リガンド結合NTNRαは チロシンキナーゼ受容体Retのリン酸化を誘導する。これらの知見は、Ret とNTNRαをそれぞれNTNと関連リガンドの受容体のシグナル及びリガンド 結合成分として同定する。これは、共有膜貫通タンパクチロシンキナーゼ(Re t)とリガンド特異的GPI結合タンパク質(NTNRα)を含む受容体の新規 な神経栄養及び分化因子受容体ファミリーを定める。 グリア株化細胞由来神経栄養因子(「GDNF」)(その記載の全体を出典明 示によりここに取込むLinほか,Science,260:1130-1132(1993);WO 93/06116)は 、パーキンソン病(Hirschほか,Nature,334:345-348(1988);Hornykiewicz,Mt .Sinai J.Med.,55:11-20(1988))、筋萎縮性側策硬化症(Hirano,Amyotrophic Lateral Sclerosis and Other Motor Neuron Diseases, P.Rowland編(New York:Raven Press Inc.)pp.91-101(1991))、及びアルツハイ マー病(Marcynuikほか,J.Neurol.Sci.,76:335-345(1986);Cashほか,Neurol ogy,37:42-46(1987);Chan-Palayほか,Comp.Neurol.,287:373-392(1989))に おいて変性する中脳ドーパミン作動性(Linほか,Science,260:1130-1132(1993 );Stroembergほか,Exp.Neurol.,124:401-412(1993);Beckほか,Nature,373: 339-341(1995);Kearnsほか,Brain Res.,672:104-111(1995);Tomacほか,Natur e,373:335-339(1995))脊髄運動(Hendersonほか,Science,266:1062-1064(19 94);Oppenheimほか,Nature,373:344-346(1995);Yanほか,Nature,373:341-34 4(1995))及びノルアドレナリン作動性ニューロン(Arenasほか,Neuron,15:146 5-1473(1995))の有力な生存因子である。GDNFを遺伝子的操作によって欠失 したマウスに基づいてGDNFの更なる生物学的役割:腸内、交感、及び知覚ニ ューロン及び腎臓系の発達及び/又は生存、が報告されているが、中央神経系( CNS)におけるカテコールアミン作動性ニューロンについてではない(Moore ほか,Nature 382:73-76(1996);Pichelほか,Nature 382:73-76(1996);Sanchezほ か,Nature 382:70-73(1996))。GDNFの生理学的かつ臨床的重要性にも拘ら ず、その作用機序についてはあまり知られていない。 サイトカイン受容体はしばしば集合して多サブユニット複合体を形成する。時 には、この複合体のαサブユニットは同族成長因子の結合に関与し、βサブユニ ットは細胞にシグナルを伝達する能力を有する。理論に拘束されることは望まな いが、これらの受容体は形成された複合体に応じて3種のサブファミリーに分類 される。サブファミリー1はEPO、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)、 インターロイキン−4(IL−4)、インターロイキン−7(IL−7)、成長 ホルモン(GH)、及び催乳ホルモン(PRL)に対する受容体を含む。このサブ ファミリーに属する受容体に結合するリガンドは、受容体のホモ二量体化に帰着 すると考えられる。サブファミリー2は、IL−3、顆粒球マクロファージコロ ニー刺激因子(GM−CSF)、インターロイキン−5(IL−5)、インター ロイキン−6(IL−6)、白血病抑制因子(LIF)、オンコスタチンM(O SM)、毛様体神経成長因子(CNTF)に対する受容体を含む。サブファミリ ー2受容体は、リガンド結合にαサブユニットを有し、シグナル伝達にβサブユ ニット(IL−6、GM−CSF及びIL−5受容体の共有βサブユニットある いはIL−6、LIF、OSMあるいはCNTFのgp130サブユニット)を 有するヘテロ二量体である。サブファミリー3は、インターロイキン−2(IL −2)に対する受容体のみを含む。IL−2受容体複合体のβ及びγサブユニッ トは、無関係のTac抗原のαサブユニットに随伴するサイトカイン受容体ポリ ペプチドである。 本発明は、高い親和性を持ってNTNを結合するタンパク質NTNRαの発見 に基づくものである。本明細書に記載された実験により、この分子はNTNに対 する応答を媒介する役割を担っていると思われる受容体であることが実証される 。特にこの受容体は、ニューロンを含む様々な組織及び細胞集団中に存在するこ とが見出され、従って、アゴニスト抗体のようなNTNリガンドをNTNRαあ るいはRetを含有する細胞の増殖、成長、生存、分化、代謝あるいは再生を刺 激するために使用できることが示される。 NTNRαの生産に適した方法は当業者によく知られており、内因性ポリペプ チド源からのNTNRαの分離、(ペプチドシンセサイザーを用いた)ペプチド 合成及び組換え技術(又はこれらの技術の任意の組み合わせ)を含む。NTNR αの望ましい生産方法は、以下に述べる組換え技術による方法である。 以下に記載する内容はNTNRα核酸を含むベクターで形質転換された細胞を 培養し、細胞培養からポリペプチドを回収する組換え技術によるNTNRαの生 産方法に関わるものである。更に本発明のNTNRαは、1991年5月16日 に公開されたWO91/06667に記載された相同性組換え法によって得ても よい。 簡単に言えば、当該方法はNTNRαをコードする遺伝子を含む一次ヒト細胞 を、(ジヒドロフォレートリダクターゼ(DHFR)又は以下に記載するそれ以 外のもののような)増殖可能な遺伝子とNTNRα遺伝子の増殖をもたらすため のNTNRα遺伝子のコード領域の座位にDNAと相同である少なくとも約15 0bpの長さの少なくとも一つのフランキング領域を含んでなる作成物(すなわ ちベクター)で形質転換することを含む。増殖可能な遺伝子はNTNRα遺伝子 の発現を阻害しない位置にあるものでなければならない。形質転換は、増殖可能 な領域を定めるために、作成物が一次細胞のゲノムに相同的に組込まれるように 行われる。 作成物を有する一次細胞は次に増幅可能な遺伝子又は作成物中に存在するマー カによって選択される。マーカ遺伝子の存在は作成物の存在と宿主ゲノムへの組 み込みを可能にする。二次宿主において選別が行われる為、一次細胞をそれ以上 選別する必要はない。必要ならば、PCRを用いて、結果として得られる増幅し たDNA配列を配列決定するか、正確に相同的な組み込み体からのDNAがあり 、そのような断片を含む細胞のみを拡張している場合にはPCR断片の適当な長 さを決定することで、相同的組換え事象の発生を測定することができる。また、 もし必要であれば、選別された細胞に(遺伝子がDHFRならばメトトレクセー トのような)適当な増幅剤でストレスをかけてこの点で増殖させ、標的遺伝子の 複数のコピーが得られる。好ましくは、しかし、増幅工程は、以下に記載する第 二の形質転換の後まで行われない。 選別工程の後に、増幅領域全体を含むのに充分に大きいゲノムのDNA部分を 、選別した一次細胞から単離する。二次哺乳動物の発現宿主細胞をゲノムDNA 部分で形質転換しクローン化し、増幅可能領域を含むクローンを選別する。つい で、増幅可能領域を、一次細胞中でまだ増幅されていなければ、増幅剤により増 幅させる。最後に、NTNRαを含む増幅可能領域の複数コピーを含んでなる二 次発現宿主細胞を成長させ、遺伝子を発現しタンパク質を生産する。 哺乳類NTNRαの保存構造と配列、並びにラット及びマウス受容体をコード するcDNA配列、並びにここに開示されたヒト配列の解明が、NTNRαをコ ードする他の哺乳動物からの遺伝子配列のクローン化を可能にする。ここに開示 された配列を用いて、ヒトNTNRα分子をクローン化する能力は本発明の特に 興味深いところである。NTNRαをコードするDNAは、実施例としてここに 記載したように、NTNRαmRNAを有すると考えられており検出可能な程度 にそれを発現する組織から調製される任意のcDNAライブラリから得ることが できる。したがって、NTNRαDNAは、例えば哺乳動物の胎児肝臓、脳、筋 肉、腸及び外縁神経等から調製されたcDNAのライブラリから簡便に得ること ができる。NTNRαをコードする遺伝子はゲノムライブラリあるいはオリゴヌ クレオチド合成法によっても得ることができる。 ライブラリは、対象となる遺伝子あるいはその遺伝子によりコードされるタン パク質を同定するために設計された(NTNRαに対する抗体又はおよそ20− 80塩基のオリゴヌクレオチド等の)プローブによってスクリーニングされる。 選択されたプローブによるcDNA又はゲノムライブラリのスクリーニングはSa mbrookほか,Molecular Cloning:A laboratory Manual(New York:Cold Spring H arbor Laboratory Press,1989)の第10−12章に記載された標準的な方法を使 用して実施することができる。NTNRαをコードする遺伝子を単離する他の方 法は、Sambrookほかのセクション14に記載されているようなPCR法を使用す るものである。 本発明を実施する好ましい方法は、好ましくはヒト胎児肝臓である種々のヒト 組織からcDNAライブラリをスクリーニングするために慎重に選別したオリゴ ヌクレオチド配列を用いることである。プローブとして選択されたオリゴヌクレ オチド配列は、充分な長さで、擬陽性が最小化されるのに充分に明瞭でなければ ならない。好ましい配列はここに開示した天然に生じるNTNRαから得られる 。 オリゴヌクレオチドは、スクリーニングされるライブラリ内のDNAとのハイ ブリダイズ時に検出可能であるように標識されなければならない。標識化の好ま しい方法は、当該分野において良く知られているように、32P標識ATPをポリ ヌクレオチドキナーゼと共に用いてオリゴヌクレオチドを放射標識するものであ る。しかし、これらに限定されるわけではないが、ビオチン標識あるいは酵素標 識を含むオリゴヌクレオチドの他の標識方法を使用することもできる。 NTNRαのアミノ酸配列変異体はNTNRαDNAに適当なヌクレオチド変 化を導入することによって、あるいは所望のNTNRαポリペプチドの合成によ って調製することができる。これらの変異体は、図1A−1B又は2A−2Bに 示したNTNRαあるいは本明細書に記載した配列のような天然に生じるNTN Rαのアミノ酸配列の内部もしくは一端あるいは両端における残基の挿入、置換 、及び/又は特定の欠失を表す。好ましくは、これら変異体は成熟配列の内部も しくは一端又は両端での挿入及び/又は置換、及び/又は、NTNRαのシグナ ル 配列の内部もしくは一端又は両端における挿入、置換及び/又は特定の欠失であ る。任意の組合せの挿入、置換、及び/又は特定の欠失が、最終の作成物が本明 細書で示す望ましい生物学的活性を有する限り、最終作成物を得るために実施さ れる。アミノ酸の変化は、グリコシル化部位の数と位置の変化、膜結合特性の変 化、及び/又は挿入、削除あるいはNTNRαのリーダー配列に影響を与えるこ とによるNTNRαの細胞間位置の変更のような、NTNRαの翻訳後の工程を また変更しうる。 天然の配列の変異は、ここで特に明細書に取り込む米国特許第5364934 号に記載された保存的あるいは非保存的突然変異に関する任意の技術とガイドラ インを使用して発生させることができる。これらにはオリゴヌクレオチド媒介( 部位特異的)変異誘発、アラニンスキャニング、及びPCR変異誘発が含まれる 。変更、付加あるいは欠失のためのアミノ酸の選別についてはそこの表Iと該表 に関しての関連する記載を参照されたい。 NTNRαをコードする核酸(例えば、cDNA又はゲノムDNA)が、更に クローン化するために(DNAの増幅)又は発現のために複製可能なベクター内 に挿入される。多くのベクターが入手可能である。ベクター成分としては、一般 に、非限定的であるが、次のものの一又は複数が含まれる:単一の配列、複製開 始点、一又は複数のマーカー遺伝子、エンハンサーエレメント、プロモータ、及 び転写終結配列。 本発明のNTNRαは直接的に組換え手法によって生産されるだけではなく、 好ましくはシグナル配列あるいは成熟タンパク質あるいはポリペプチドのN末端 に特異的切断部位を有する他のペプチドである異種性ポリペプチドとの融合ペプ チドとしても生産される。一般に、シグナル配列はベクターの成分であるか、ベ クターに挿入されるNTNRαDNAの一部である。好ましく選択された異種シ グナル配列は宿主細胞によって認識され加工される(すなわち、シグナルペプチ ダーゼによって切断される)ものである。NTNRαシグナル配列を認識し加工 しない原核生物宿主細胞の場合、シグナル配列は、例えばアルカリホスファター ゼ、ペニシリナーゼ、lppあるいは熱安定なエンテロトキシンIIリーダーの群 から選択される原核生物シグナル配列によって置換される。酵母の分泌に関し ては、天然シグナル配列は、例えば酵母インベルターゼリーダー、(酵母菌属( Saccharomyces)α−因子リーダー及び1991年4月23日に登録された米国 特許第5010182号に記載されたクルイベロマイシス(Kluyveromyces)α −因子リーダーを含む)α因子リーダー、酸ホスファターゼリーダー、及び白体 (C.albicans)グルコアミラーゼリーダー(1990年4月4日発行の欧州特許 362179)、又は1990年11月15日に公開のWO90/13646に よって置換することができる。哺乳動物細胞の発現においては、他の動物NTN Rα由来のシグナル配列、及び同一あるいは関連ある種の分泌ポリペプチド由来 のシグナル配列、単純ヘルペスgDシグナルのようなウィルス分泌リーダーのよ うな他の哺乳動物のシグナル配列が適しているが、天然シグナル配列(例えば、 インビボでヒト細胞からNTNRαの分泌を指示するNTNRαプレ配列)が十 分である。 そのような前駆体領域のDNAは、成熟NTNRαあるいはその可溶性変異体 をコードするDNAにリーディングフレームが結合される。 発現ベクターとクローン化ベクターは共に一又は複数の選択された宿主細胞に おいてベクターの複製を可能にする核酸配列を含む。一般に、この配列はクロー ン化ベクターにおいて、宿主染色体DNAとは独立にベクターが複製することを 可能にするものであり、複製開始点又は自律的複製配列を含む。そのような配列 は様々な細菌、酵母及びウイルスに対してよく知られている。プラズミドpBR 322に由来する複製開始点は大部分のグラム陰性細菌に好適であり、2μプラ ズミド開始点は酵母に適しており、様々なウイルス開始点(SV40、ポリオー マ、アデノウイルス、VSV又はBPV)は哺乳動物細胞におけるクローン化ベ クターに有用である。一般には、哺乳動物の発現ベクターには複製開始点成分は 不要である(SV40開始点は典型的には初期プロモーターを有しているために 用いられる)。 多くの発現ベクターは「シャトル」ベクターである、すなわち、それらは少な くとも一つのクラスの生物において複製可能であるが、発現のために他の生物に 形質移入され得る。例えば、大腸菌においてベクターがクローン化され、そのベ 同じクターが酵母あるいは哺乳動物細胞に形質移入され、宿主細胞染色体と独立 して複製することはできないとしても、発現する。 DNAはまた宿主ゲノムへの挿入によって増幅され得る。これは、例えばベク ターにバシラスゲノムDNAに見られる配列と相補的なDNA配列をベクターに 含めることにより、宿主としてバシラス(Bacillus)種を用いて容易に達成され る。このベクターでのバシラスの形質移入は、ゲノムとの相同的組換え及びNT NRαDNAの挿入をもたらす。しかし、NTNRαをコードするゲノムDNA の回収は、NTNRαDNAを切除するのに制限酵母による消化が必要となるた めに、外来的に複製したベクターの場合よりも複雑である。 発現及びクローニングベクターは、選択性マーカーとも称される選択遺伝子を 含まなければならない。この遺伝子は、選択的培地で成長させた形質転換宿主細 胞の生存又は成長に必要なタンパク質をコードする。選択遺伝子を含むベクター と共に形質転換していない宿主細胞は培地で生存しない。典型的な選択遺伝子は 、(a)アンピシリン、ネオマイシン、メトトレキサートあるいはテトラサイクリ ンのような抗生物質あるいは毒素に対する耐性を与え、(b)栄養要求性欠陥を補 い、(c)例えばバシリ(Bacilli)に対する遺伝子コードD−アラニンセマーゼの ような、複合培地から得られない重要な栄養素を供給する、タンパク質をコード する。 選択技術の一例においては、宿主細胞の成長を抑止する薬品が用いられる。異 種性遺伝子で首尾よく形質転換した細胞は、抗薬品性を付与し、従って選択工程 を生存するタンパク質を生産する。そのような優性の選択の例としては、ネオマ イシン、ミコフェノール酸及びハイグロマイシンが利用される。 哺乳動物の細胞の選択的マーカーのほかの適当な例は、DHFRあるいはチミ ディンキナーゼのように、NTNRα核酸を捕捉することのできる細胞を特定す ることのできるものである。哺乳類の細胞からの形質転換細胞は、マーカーを捕 捉することによって当該形質転換細胞のみが生存できるように独特に適応化され た淘汰圧下に置かれる。淘汰圧は、培地中の選択剤の濃度が次第に変化する環境 下で形質転換細胞を培養することにより課し、選択遺伝子とNTNRαをコード するDNAの双方を増幅させる。増幅は、成長に必須のタンパク質の生産に対す る要求度が高い遺伝子が、組換え細胞の後の世代の染色体内に直列に反復される プロセスである。増幅されたDNAから増大したNTNRα量が合成される。増 幅可能な遺伝子のほかの例には、メタロチオネインI及びII、好ましくは霊長 類メタロチオネイン遺伝子、アデノシンデアミナーゼ、オルニチンデカルボキシ ラーゼ等々がある。好ましいベクター系は米国特許第5561053号に開示さ れている。 例えば、DHFR選択遺伝子によって形質転換された遺伝子は、まず、DHF Rの競合的アンタゴニストであるメトトリキセート(Mtx)を含む培地において 形質転換物の全てを培養することで同定される。野生型DHFRを用いた場合の 好適な宿主細胞は、Urlaubほか(Proc.Natl.Acad.Sci.USA,77:4216(1980) )により記載されているようにして調製され増殖されたDHFR活性に欠陥のあ るチャイニーズハムスター卵巣(CHO)株化細胞である。形質転換した細胞は 次に濃度の高いメトトレキセートに接触させる。これによりDHFRの複数コピ ーが合成され、同時に、NTNRαをコードするDNAのような発現ベクターを 含む他のDNAの複数コピーが作られる。この増幅方法は、もしMtxに高度に 耐性である変異体DHFR遺伝子が使用されたような場合には内在性DHFRの 存在にかかわらず、他の適当な宿主、例えば、ATCC番号CCL61CHO− K1を使用することができる(EP117060)。 あるいは、NTNRαをコードするDNA配列、野生型DHFRタンパク質、 及びアミノグリコシド3’−ホスホトランスフェラーゼ(APH)のような選択的 マーカーで形質転換あるいは同時形質転換した宿主細胞(特に、内在性DHFR を含む野生型宿主)は、カナマイシン、ネオマイシンあるいはG418のような アミノグリコシド抗生物質のような選択可能マーカーの選択剤を有する培地にお ける細胞成長により選択することができる。米国特許第4965199号参照。 酵母中での使用に好適な選択遺伝子は酵母プラズミドYRp7に存在するtr p1遺伝子である(Stinchcombほか,Nature,282:39(1979))。trp1遺伝子 は、例えば、ATCC第44075号あるいはPEP4−1のようなトリプトフ ァン内で成長する能力に欠ける酵母の突然変異株に対する選択マーカーを提供す る(Jones,Genetics,85:12(1977))。酵母宿主細胞ゲノムにtrp1破壊が存在 することは、トリプトファンの不存在下における成長による形質転換を検出する 環境を提供する。同様に、Leu2欠陥を有する酵母株(ATCC20622 あるいは38626)は、Leu2遺伝子を有する既知のプラズミドによって補 完することができる。 更に、1.6μmの円形プラズミドpKD1由来のベクターは、クルイヴェロ マイシス(Kluyveromyces)酵母の形質転換に用いることができる(Bianchiほか., Curr.Genet.,12:185(1987))。より最近の例としては、子ウシのキモシンの大量 生産のための発現系がK.ラクティス(lactis)に対して報告されている。Van de n Berg,Bio/Technology,8:135(1990)。クルイヴェロマイシスの工業的な菌株 からの、組換えによる成熟したヒト血清アルブミンを分泌する複数の発現ベクタ ーも開示されている。Fleerほか.,Bio/Technology,9:968-975(1991)。 発現及びクローニングベクターは、通常、宿主生物によって認識され、NTN Rα核酸に機能的に結びついているプロモータを有する。プロモータは、作用的 に結合しているNTNRα核酸配列のような特定の核酸配列の転写あるいは翻訳 を制御する構造的な遺伝子(通常約100ないし1000bp)の開始コドンの 上流側(5')に位置する未翻訳配列である。プロモータは典型的には、誘発的 なクラス及び構成的なクラスの2つのクラスに属する。誘発的なプロモータは、 養分の存在あるいは不存在、温度変化等の培養条件の変化に対応してその制御の 下でDNAからの転写レベルを上昇させるプロモータである。現時点において多 種の宿主細胞から認識される非常に多くのプロモータが良く知られている。これ らのプロモータは、制限酵素の消化によって供給源DNAからプロモータを排除 し、単離したプロモーター配列を挿入することで、NTNRαをコードするDN Aに作用的に結合している。天然NTNRαプロモーター配列及び多くの非相同 的プロモータはいずれもNTNRαDNAの増幅及び/又は発現に用いることが できる。しかし、異種性プロモータが、天然のNTNRαプローモータに比較し て多量の転写が可能でありNTNRαの収量が大きくなるために好ましい。 原核生物宿主に好適なプロモータはβ−ラクタマーゼ及びラクトースプロモー タ系(Changほか.,Nature,275:615(1978),Goeddelほか.,Nature,281:544(197 9))、アルカリホスファターゼ、トリプトファン(trp)プロモータ系(Goeddel ,Nucleic Acids Res.,8:4057(1980);EP 36,776)、及び、tacプロモータの ようなハイブリッドプロモータを含む(deBoerほか.,Proc.Natl. Acad.Sci.USA,80:21-25(1983)。しかし、他の既知の細菌プロモータも好適で ある。これらのヌクレオチド配列は発表されており、よって当業者は任意の所望 の制限部位を提供するためにリンカーあるいはアダプターを使用することでNT NRαをコードするDNA(Siebenlistほか.,Cell,20:269(1980))にそれらを 結合させることが可能である。細菌系で使用するプロモータもまたNTNRαを コードするDNAと作用的に結合したSD配列を有する。 真核生物に対してもプロモータ配列が知られている。ほとんど全ての真核生物 の遺伝子は、転写開始部位からおよそ25ないし30塩基上流に見出されるAT リッチ領域を有する。多数の遺伝子の転写開始位置から70ないし80塩基上流 に見出される他の配列は、Xが任意のヌクレオチドであるCXCAAT領域であ る。大部分の真核生物遺伝子の3'末端には、コード配列の3'末端にA尾部が付 加されていることを示すシグナルであるAATAAA配列がある。これらの配列 は全て真核生物の発現ベクターに好適に挿入される。 酵母宿主と共に用いて好適なプロモータ配列の例としては、3−ホスホグリセ ラートキナーゼ(Hitzemanほか,J.Biol.Chem.,255:2073(1980))又は他の糖分 解酵素(Hessほか,J.Adv.Enzyme Reg.,7:149(1968))、例えばエノラーゼ、グ リセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ、ヘキソキナーゼ、ピルビン散 デカルボキシラーゼ、ホスホフルクトキナーゼ、グルコース−6−ホスフェート イノメラーゼ、3−ホスホグリセレートムターゼ、ピルビン酸キナーゼ、トリオ セホスフェートイソメラーゼ、ホスホグルコースイソメラーゼ、及びグルコキナ ーゼがある。 他の酵母プロモータとしては、成長条件によって転写が制御される更なる効果 を有する誘発的プロモータであり、アルコールデヒドロゲナーゼ2、イソサイト クロムC、酸ホスファターゼ、窒素代謝と関連する分解性酵素、メタロチオネイ ン、グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ、及びマルトース及びガ ラクトースの利用を支配する酵素がある。酵母の発現に好適に用いられるベクタ ーとプロモータは欧州特許73657号に更に記載されている。酵母エンハンサ ーもまた酵母プロモーターと共に好適に用いられる。 哺乳動物の宿主細胞におけるベクターからのNTNRα転写は、例えば、ポリ オーマウィルス、伝染性上皮腫ウィルス(1989年7月5日公開の英国特許221 1504)、アデノウィルス(例えばアデノウィルス2)、ウシ乳頭腫ウィルス 、トリ肉腫ウィルス、サイトメガロウィルス、レトロウィルス、B型肝炎ウィル ス及び最も好ましくはサルウィルス40(SV40)のようなウィルスのゲノム から得られるプロモータ、異種性哺乳動物プロモーター、例えばアクチンプロモ ーター又は免疫グロブリンプロモータ、熱衝撃プロモータ、そしてNTNRα配 列に通常付随するプロモータによって、このようなプロモータが宿主細胞系に適 合し得る限り、調節される。 SV40ウィルスの初期及び後期プロモータは、SV40複製起点をまた含む SV40制限断片として簡便に得られる。Fiersほか,Nature,273:113(1978);M ulliganほか,Science,209:1422-1427(1980);Pavlakisほか,Proc.Natl.Acad .Sci.USA,78:7398-7402(1981).ヒトサイトメガロウィルスの最初期プロモー ターは、HindIIIE制限断片として簡便に得られる。Greenawayほか,Gene,18:3 55-360(1982)。ベクターとしてウシ乳頭腫ウィルスを用いて哺乳動物宿主でDN Aを発現する系が、米国特許第4419446号明細書に開示されている。この 系の修飾は米国特許第4601978号に開示されている。サルの細胞での免疫 インターフェロンをコードしているcDNAの発現について、Grayほか,Nature ,295:503-508(1982);単純ヘルペスウィルス由来のチミジンキナーゼプロモー ターの調節下でのマウス細胞におけるヒトβインターフェロンcDNAの発現に ついて、Reyesほか,Nature,297:598-601(1982);培養されたマウス及びウサギ の細胞におけるヒトインターフェロンβ1遺伝子の発現についてCanaaniほか,P roc.Natl.Acad.Sci.USA,79:5166-5170(1982);及び、プロモーターとして ラウス肉腫ウィルスの長い末端反復配列を用いたCV−1サル腎臓細胞、ニワト リ胚線維芽細胞、チャイニーズハムスター卵巣細胞、HeLa細胞、及びマウス NIH−3T3細胞における細菌CAT配列の発現について、Gormanほか,Proc .Natl.Acas.Sci.USA,79:6777-6781(1982)も参照のこと。 より高等の真核生物による本発明のNTNRαをコードしているDNAの転写 は、ベクター中にエンハンサー配列を挿入することによってしばしば増強される 。 エンハンサーは、通常は約10から300bpで、プロモーターに作用してその 転写を増強するDNAのシス作動要素である。エンハンサーは、相対的に方向及 び位置に独立しており、転写ユニットの5’(Laiminsほか,Proc.Natl.Acad .Sci.USA,78:993(1981))及び3’(Luskyほか,Mol.Cell Bio.,3:1108(1983 ))、イントロン内部(Banerjiほか,Cell,33:729(1983))並びにコーディング 配列自身の内部に見出されている。Osbornほか,Mol.Cell Bio.,4:1293(1984) 。現在は哺乳動物の遺伝子由来の多くのエンハンサー配列が知られている(グロ ビン、エラスターゼ、アルブミン、α−フェトプロテイン及びインスリン)。し かしながら、典型的には、真核細胞ウィルス由来のエンハンサーが用いられるで あろう。例としては、複製起点の後期側のSV40エンハンサー(bp100− 270)、サイトメガロウィルス初期プロモーターエンハンサー、複製起点の後 期側のポリオーマエンハンサー及びアデノウィルスエンハンサーが含まれる。真 核生物のプロモーターの活性化のための増強要素については、Yaniv,Nature,2 97:17-18(1982)もまた参照のこと。エンハンサーは、NTNRαコード化配列の 5'又は3'位でベクター中にスプライスされ得るが、好ましくはプロモーターか ら5'位に位置している。 真核生物宿主細胞(酵母、真菌、昆虫、植物、動物、ヒト、又は他の多細胞生 物由来の有核細胞)に用いられる発現ベクターは、また転写の終止及びmRNA の安定化に必要な配列を含む。このような配列は、真核生物又はウィルスのDN A又はcDNAの5'、時には3'の非翻訳領域から一般に取得できる。これらの 領域は、NTNRαをコードしているmRNAの非翻訳部分にポリアデニル化断 片として転写されるヌクレオチドセグメントを含む。 一又は複数の上に列挙した成分を含む適切なベクターの組立てには標準的なラ イゲーション技術を用いる。分離されたプラスミド又はDNA断片を開裂させ、 整え、そして必要とされるプラスミドの生成のために望ましい型に再ライゲーシ ョンする。 組立てられたプラスミドが正しい配列であることを確認する分析のために、ラ イゲーション混合物を用いて、大腸菌K12菌株294(ATCC31446) を形質転換し、適当な場合にはアンピシリン又はテトラサイクリン耐性によって 選択する。形質転換体からプラスミドを調製し、制限エンドヌクレアーゼ消化に より分析し、及び/又はMessingほか,Nucleic Acids Res.,9:309(1981)の方法 又はMaxamほか,Methods in Enzymology,65:499(1980)の方法によって配列決定 する。 本発明の実施に特に有用であるのは、哺乳動物細胞におけるNTNRαをコー ドしているDNAの一過性発現を提供する発現ベクターである。一般に、一過性 発現は、宿主細胞が発現ベクターの多くのコピーを蓄積し、次にその発現ベクタ ーによってコードされている所望のポリペプチドを高レベルで合成するように、 宿主細胞中で効果的に複製できる発現ベクターを使用することを含む。Sambrook ほか,supra,pp.16.17-16.22。一過性発現系は、適切な発現ベクターと宿主細 胞を含むが、クローニングされたDNAによりコードされているポリペプチドの 簡便で正の同定並びに所望の生物学的又は生理学的性質についてのポリペプチド の迅速なスクリーニングを可能にする。したがって、一過性発現系は、本発明に おいて、生物学的に活性なNTNRαであるNTNRαの類似体及び変異体を同 定する目的のために特に有用である。 組換え脊椎動物細胞培養でのNTNRαの合成に適応するのに適切な他の方法 、ベクター及び宿主細胞は、Gethingほか,Nature,293:620-625(1981);Mantei ほか,Nature,281:40-46(1979);EP 117,060;及びEP 117,058に記載されている 。NTNRαの哺乳動物細胞培養発現にとって特に有用なプラスミドは、pRK 5(EP307247)又はpSVI6Bである。1991年6月13日に公開されたW O91/08291。 ここに記載のベクターにDNAをクローン化あるいは発現するために適切な宿 主細胞は、原核生物、酵母、又は上述の高等真核生物細胞である。この目的にと って適切な原核生物は、真正細菌、例えばグラム陰性又はグラム陽性生物体、例 えばエシェリチアのような腸内菌科、例えば大腸菌、エンテロバクター、エルウ ィニア(Erwinia)、クレブシエラ、プロテウス、サルモネラ、例えばネズミチ フス菌、セラチア属、例えばセラチア・マルセスキャンス及び赤痢菌属、並びに 桿菌、例えば枯草菌及びバシリ・リチェニフォルミス(licheniformis)(例え ば、1989年4月12日に公開されたDD266710に開示されたバシリ・ リチェニフォルミス41P)、シュードモナス属、例えば緑膿菌及びストレプト マイセス属を含む。大腸菌B、大腸菌X1776(ATCC31537)及び大 腸菌W3110(ATCC27325)のような他の菌株も適切ではあるが、一 つの好ましい大腸菌クローン化宿主は大腸菌294(ATCC31446)である 。これらの例は限定するものではなく、例示のためのものである。菌株W311 0は、組換えDNA産物発酵のための一般的な宿主菌株であるので、特に好適な 宿主又は親宿主である。好ましくは、宿主細胞は最小量のタンパク質分解酵素を 分泌すべきである。例えば、菌株W3110は、タンパクをコードしている遺伝 子に遺伝的突然変異が起こるように修飾されてもよく、そのような宿主の例には E.coli W3110菌株27C7がある。27C7の完全な遺伝子型はtonAΔptr3pho AΔE15Δ(argF-lac)169ompTΔdegP41kanrである。菌株27C7はATTC55 244としてアメリカン・タイプ・カルチュア・コレクション(American Type Culture Collection)に1991年10月30日に寄託された。また、1990 年8月7日に発行された米国特許第4946783号に開示された突然変異体ペ リプラズムプロテアーゼを持つ大腸菌株を用いても良い。更にまた、クローニン グ法、例えばPCR又はその他の核酸ポリメラーゼ反応も適切である。 原核生物に加えて、糸状菌又は酵母菌のような真核微生物は、NTNRαをコ ードしているベクターのための適切なクローニング又は発現宿主である。サッカ ロミセス・セレヴィシア、又は一般的なパン酵母は下等真核生物宿主微生物のな かで最も一般的に用いられる。しかしながら、例えばシゾサッカロミセス・ポン ベ(分裂酵母)(Beachほか,Nature,290:140(1981);1985年5月2日発行 のEP139383);クルイヴェロミセス宿主(米国特許第4943529;前 掲のFleerほか)、例えばK.ラクティス(MW98-8C,CBS683,CBS4574;Louvencou rtほか,J.Bacteriol.,737(1983)),K.フラギリス(ATCC12424), K.ブルガリカス(ATCC16045),K.ウィッケラミイ(ATCC241 78),K.ワルティイ(ATCC56500),K.ドゥロソフィラルム(ATC C36906;前掲のVan den Bergほか),K.サーモトレランス、及びK.マル クシアヌス;ヤロウィア(EP402226);ピチア・パストリ ス(EP183070;Sreekrishnaほか,J.Basic Microbiol.,28:265-278(1988 ));カンディダ;トリコルデルマ・リーシア(EP244234);ニューロスポラ ・クラッサ(Caseほか,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,76:5259-5263(1979));シ ュワニオミセス・オクシデンタリスのようなシュワニオミセス(1990年10 月31日発行のEP394538);及び糸状菌、例えばニューロスポラ、ペニシ リウム、トリポクラディウム(WO91/00357、1991年1月10日公 開),及びアスペルギルス宿主、例えばA.ニデュランス(Ballanceほか,Bioch em Biophys.Res.Commun.,112;284-289(1983);Tilburnほか,Gene,26:205-221 (1983);Yeltonほか,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,81:1470-1474(1984)及びク ロカビ(Kellyほか,EMBO J.,4:475-479(1985)のような、多数のほかの属、種 、及び菌株が一般に利用でき、本発明において有用である。 グリコシル化NTNRαの発現に適切な宿主細胞は、多細胞生物から誘導され る。このような宿主細胞は、複雑なプロセシング及びグリコシル化活動が可能で ある。原則的には、脊椎動物であろうと無脊椎動物培養由来であろうと、任意の より高等の真核生物細胞培養が利用できる。無脊椎動物細胞の例としては植物及 び昆虫細胞が含まれる。多数のバキュロウィルス株及び変異体及び対応する許容 可能な昆虫宿主細胞、例えばスポドプテラ・フルギペルダ(毛虫)、アエデス・ アエジプティ(蚊)、アエデス・アルボピクトウス(蚊)、ドウロソフィラ・メ ラノガスター(ショウジョウバエ)、及びボンビクス・モリ(カイコ)が特定さ れている。例えば、Luckowほか,Bio/Technology,6:47-55(1988);Millerほか, Genetic Engineering,Setlowほか,eds.,Vol.8(Plenum Publlshing,1986), pp.277-279;及びMaedaほか,Nature,315:592-594(1985)を参照のこと。トラン スフェクションのための種々のウィルス株が公に利用できる。例えば、オートグ ラファ・カリフォルニカNPVのL−1変異体とボンビクス・モリNPVのBm −5株があり、このようなウィルスは本発明によるウィルスとして、特にスポド プテラ・フルギペルダ細胞のトランスフェクションに使用することができる。 綿花、コーン、ジャガイモ、大豆、ペチュニア、トマト、及びタバコのような 植物細胞培養を宿主として用いることができる。典型的には、NTNRαをコー ドしているDNAを前もって含むように操作しておいた細菌アグロバクテリウム ・トゥメファシエンスのある菌株と共にインキュベートすることによって植物細 胞をトランスフェクトする。A.トゥメファシエンスと共に植物細胞培養をイン キュベートする間に、NTNRαをコードしているDNAが、植物細胞宿主がト ランスフェクトされるようにその植物細胞宿主に移され、そして適切な条件下で NTNRαをコードしているDNAを発現する。加えて、例えば、ノパリンシン ターゼプロモーター及びポリアデニル化シグナル配列のような、植物細胞と適合 しうる調節及びシグナル配列が利用できる。Depickerほか,J.Mol.Appl.Gen. ,1:561(1982)。また、T−DNA780遺伝子の上流領域から分離されるDN Aセグメントは、組換えDNAを含む植物細胞中の植物発現遺伝子の転写レベル を活性化又は増強しうる。1989年6月21日公開のEP 321,196。 しかしながら、脊椎動物細胞への関心が最も高く、培養(組織培養)中での脊 椎動物細胞の増殖は常套的手法になっている。例えば、Tissue Culture,Academ ic Press,編者Kruse and Patterson(1973)を参照のこと。有用な哺乳動物宿主セ ルラインの例は、SV40によって形質転換されたサル腎臓CV1株(COS-7,ATCC C RL 1651);ヒト胚腎臓株(293又は懸濁培養での増殖のためにサブクローン化 された293細胞、Grahamほか,J.Gen Virol.,36:59(1977));ハムスター乳 児腎細胞(BHK,ATCC CCL 10);チャイニーズハムスター卵巣細胞/−DHFR (CHO,Urlaubほか,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,77:4216(1980));マウスの セルトリ細胞(TM4,Mather,Biol.Reprod.,23:243-251(1980));サルの腎細 胞(CVI ATCC CCL 70);アフリカミドリザルの腎細胞(VERO-76,ATCC CRL-1587 );ヒト子宮頸癌細胞(HELA,ATCC CCL 2);イヌ腎細胞(MDCK,ATCC CCL 34);バッ ファローラット肝臓細胞(BRL 3A,ATCC CRL 1442);ヒト肺細胞(W138,ATCC CCL 75);ヒト肝細胞(Hep G2,HB 8065);マウス乳房腫瘍細胞(MMT 060562,ATTC CCL5 1);TRI細胞(Motherほか,Annals N.Y.Acad.Sci.,383:44-68(1982));MRC5 細胞;FS4細胞;及びヒト肝癌ライン(Hep G2)である。 宿主細胞をトランスフェクトし、そして好ましくは上述のNTNRαの発現又 はクローニングベクターで好ましくは形質転換し、プロモーターを誘導し、形質 転換体を選択し、又は所望の配列をコードしている遺伝子を増幅するために適当 に修飾された常套的栄養培地で培養する。 トランスフェクションは、如何なるコード配列が実際に発現されるが否かにか かわらず、宿主細胞による発現ベクターの取り上げを意味する。多数のトランス フェクションの方法が当業者に知られている。例えば、CaPO4及びエレクト ロポレーションである。このベクターの操作のあらゆる徴候が宿主細胞内で生じ たときに成功したトランスフェクションが一般に認められる。 形質転換は、染色体外のエレメントとしてであろうと染色体成分によってであ ろうと、DNAが複製可能であるように、生物体中にDNAを導入することを意 味する。用いられる宿主細胞に応じて、そのような細胞に対して適した標準的な 方法を用いて形質転換はなされる。前掲のSambrookほかの1.82項に記載され た塩化カルシウムを用いるカルシウム処理又はエレクトロポレーションは、原核 生物又は実質的な細胞壁障壁を含む他の細胞に対して用いられる。アグロバクテ リウム・トゥメファシエンスによる感染が、Shawほか,23:315(1983)及び1989年 6月29日公開のWO 89/05859に記載されたように、ある種の植物細胞の形質転換 に用いられる。加えて、1991年1月10日に公開されたWO91/0035 8に記載されているように、超音波処理を用いて植物をトランスフェクトするこ ともできる。 このような細胞壁のない哺乳動物の細胞に対しては、Grahamほか,Virology, 52:456-457(1978)のリン酸カルシウム沈殿法が好ましい。哺乳動物細胞の宿主系 形質転換の一般的な側面は1983年8月16日に発行された米国特許第439 9216号に記載されている。酵母中の形質転換は、典型的には、Van solingen ほか,J.Bact.,130:946(1977)及びHsiaoほか,Proc.Natl.Acad.Sci.USA, 76:3829(1979)の方法によって実施する。しかしながら、DNAを細胞中に導入 する他の方法、例えば、核マイクロインジェクション、エレクトロポレーション 、無傷の細胞、又はポリカチオン、例えばポリブレン、ポリオルニチン等々を用 いる細菌プロトプラスト融合もまた用いることもできる。哺乳動物細胞を形質転 換するための種々の方法については、Keownほか,Methods in Enzymology,185:527-537(1990)及びMansourほか,Nature,336:348-352(1988) を参照のこと。 本発明のNTNRαポリペプチドをつくるために用いられる原核細胞は、前掲 のSambrookほかに一般的に記載されているような適切な培地で培養される。 本発明のNTNRαをつくるために用いられる哺乳動物の宿主細胞は種々の培 地において培養することができる。例えばハム(Ham)のF10(Sigma)、最小 必須培地((MEM)Sigma)、RPMI−1640(Sigma)及びダルベッコの改良 イーグル培地((DMEM),Sigma)のような市販培地が当該宿主細胞の培養に適し ている。又、Hamほか,Meth.Enz.,58:44(1979),Barnesほか,Anal.Biochem. ,102:255(1980),米国特許4,767,704;4,657,866;4,927,762;4,560,655;5,122,4 69;WO 90/03430;WO 87/00195;米国再発行特許30,985に記載された任意の培地を 宿主細胞の培養培地として用いることができる。これらの培地はいずれも、ホル モン及び/又は他の成長因子(例えばインスリン、トランスフェリン、又は表皮 成長因子)、塩類(例えば、塩化ナトリウム、カルシウム、マグネシウム及びリ ン酸塩)、バッファー(例えばHEPES)、ヌクレオシド(例えばアデノシン 及びチミジン)、抗生物質(例えば、ゲンタマイシン(商標)薬)、微量元素( 最終濃度がマイクロモル範囲で通常存在する無機化合物と定義される)及びグル コース又は同等のエネルギー源を必要に応じて補充することができる。任意の他 の必要な補充物質も又当業者に知られている適当な濃度で含むことができる。培 養条件、例えば温度、pH等々は、発現のために選ばれた宿主細胞について従来 用いられているものであり、当業者には明らかであろう。 一般に、哺乳動物の細胞培養の生産性を最大にするための原理、プロトコール 、及び実用技術は、Mammalian Cell Biotechnology:a Practical Approach,M. Butler編(IRL Press,1991)に見出すことができる。 この明細書において言及される宿主細胞は培養中の細胞並びに宿主動物内にあ る細胞を包含する。 遺伝子の増幅及び/又は発現は、ここに記載された配列に基づき、適切に標識 されたプローブを用い、良く知られたサザンブロット法、mRNAの転写を定量 化するノーザンブロット法(Thomas,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,77:5201- 5205(1980))、ドットブロット法(DNA分析)、又はインシトゥハイブリッド 形成法によって、直接的に試料中で測定することができる。種々の標識を用いる ことができ、最も一般的なものは放射性同位元素、特に32Pである。しかしなが ら、他の方法、例えばポリヌクレオチド中への導入のためのビオチン修飾された ヌクレオチドを用いる方法も又使用することができる。ついで、このビオチンは 、例えば放射性核種、蛍光剤、酵素等のような広範囲の標識で標識することがで きるアビジン又は抗体への結合部位として働く。又、DNA二本鎖、RNA二本 鎖及びDNA−RNAハイブリッド二本鎖又はDNA−タンパク二本鎖を含む、 特異的二本鎖を認識することができる抗体を用いることもできる。ついで、抗体 を標識し、検定を実施することができ、ここで二本鎖は表面に結合しており、そ の結果二本鎖の表面での形成の時点でその二本鎖に結合した抗体の存在を検出す ることができる。 また、遺伝子の発現は、遺伝子産物の発現を直接的に定量する免疫学的な方法 、例えば組織切片の免疫組織化学的染色及び細胞培養又は体液の検定によって、 測定することもできる。免疫組織化学的染色技術では、細胞試料を、典型的には 脱水と固定によって調製し、結合した遺伝子産物に対し特異的な標識化抗体と反 応させるが、この標識は通常は視覚的に検出可能であり、例えば酵素的標識、蛍 光標識、ルミネサンス標識等である。本発明における使用に適した特に感度の良 好な染色法は、Hsuほか,Am.J.Clin.Path.,75:734-738(1980)に記載されて いる。 試料液の免疫組織化学的染色及び/又はアッセイに有用な抗体は、モノクロー ナルでもポリクローナルでもよく、ここに記載されるようにして調製することが できる。 NTNRα(例えばNTNRαECD)は、宿主細胞の溶菌液から回収しても よいが、好ましくは分泌されたポリペプチドとして培養基から回収される。NT NRαが膜結合性であるならば、適切な洗浄液(例えばトリトン−X100)を 用いて膜から引き離すことができる。 NTNRαがヒト起源以外の組換え細胞でつくられるときは、NTNRαはヒ ト起源のタンパク質又はポリペプチドを全く含んでいない。しかしながら、NT NRαに関して実質的に相同である調製物を得るには、組換え体胞タンパク又は ポリペプチドからNTNRαを精製する必要がある。第一段階として、培養培地 又は可溶化液を遠心分離して粒状の細胞残屑を除去することができる。ついで、 NTNRαを、汚染した可溶性タンパク質及びポリペプチドから、適切な精製手 順の例である次の手順により精製することができる:すなわち、イオン交換カラ ムでの分画;エタノール沈殿;逆相HPLC;シリカクロマトグラフィー;クロ マトフォーカシング;免疫アフィニティー;エピトープタグ結合樹脂;SDS− PAGE;硫酸アンモニウム沈殿;例えばセファデックスG−75を用いるゲル 濾過;及びIgGのような汚染物を除くプロテインAセファロースカラムである 。 残基が欠失され、挿入され、又は置換されたNTNRα変異体は、その変異に よってしばしば惹起された実質的な性質変化を考慮に入れて、天然配列NTNR αと同じようにして回収される。免疫親和性樹脂、例えばモノクローナル抗NT NRα樹脂を、少なくとも一つの残りのエピトープに結合させることによってN TNRα変異体を吸収するために用いることができる。 例えばフェニルメチルスルホニルフルオリド(PMSF)のようなプロテアー ゼインヒビターもまた精製の間のタンパク分解を阻害するのに有用であり、偶発 的な汚染物質の成長を防止するために抗生物質を含めることができる。 NTNRαポリペプチドの共有結合的修飾は本発明の範囲内に含まれる。天然 配列NTNRαとNTNRαのアミノ酸配列変異体の双方は共有結合的に修飾す ることができる。NTNRαの共有結合的修飾の一つの型は、NTNRαの標的 アミノ酸残基を、N末端残基、C末端残基と反応できる有機誘導体形成試薬又は 選択された側鎖と反応させることによって分子内に導入することができる。 システイニル残基は最も一般的にはα−ハロアセタート(及び対応するアミン )、例えば、クロロ酢酸又はクロロアセトアミドと反応し、カルボキシメチル又 はカルボキシアミドメチル誘導体を生じる。システイニル残基もまたブロモトリ フルオロアセトン、α−ブロモ−β−(5−イミドゾイル)プロピオン酸、クロロ アセチルホスファート、N−アルキルマレイミド、3−ニトロ−2−ピリジルジ スルフィド、メチル−2−ピリジルジスルフィド、p−クロロ水銀ベンゾアート 、2−クロロ水銀−4−ニトロフェノール、又はクロロ−7−ニトロベンゾ− 2−オキサ−1,3−ジアゾールとの反応によって誘導体化される。 ヒスチジル残基はpH5.5−7.0でジエチルピロカルボナートとの反応に よって誘導体化されるが、これは、この試薬がヒスチジル側鎖に対して相対的に 特異的であるからである。パラ−ブロモフェナシルブロミドもまた有用である; この反応は、好ましくはpH6.0で0.1Mのカコジル酸ナトリウム中で行わ れる。 リジニル及びアミノ末端残基はスクシン又は他のカルボン酸無水物と反応させ られる。これらの試薬を用いた誘導体形成は、リシニル残基の電荷を逆転させる 効果を有する。α−アミノ含有残基を誘導体化する他の適当な試薬は、イミドエ ステル、例えば、メチルピコリンイミダート、リン酸ピリドキサル、ピリドキサ ル、クロロボロヒドリド、トリニトロベンゼンスルホン酸、O−メチルイソ尿素 、2,4−ペンタンジオン、及びグリオキシラートを用いたトランスアミナーゼ により触媒される反応である。 アルギニル残基は一あるいは幾つかの従来の試薬との反応によって修飾され、 とりわけ、フェニルグリオキサール、2,3−ブタンジオン、1,2−シクロヘ キサンジオン及びニンヒドリンがある。アルジニン残基の誘導体化は、グアニジ ン官能基の高いpKaのために反応がアルカリ性条件下で行われることを必要と する。更に、これらの試薬はリジンの基並びにアルギニンのイプシロン−アミノ 基と反応するかも知れない。 チロシル残基の特異的修飾は、芳香族ジアゾニウム化合物又はテトラニトロメ タンとの反応によるチロシル残基内へのスペクトル標識の導入に特に興味を持っ て、なされる。最も一般的には、N-アセチルイミジゾールとテトラニトロメタン を使用して、それぞれがO−アセチルチロシル種と3−ニトロ誘導体を形成する 。チロシル残基はラジオイムノアッセイ用の標識化タンパクを調製するために12 5 I又は131Iを用いてヨウ素化され、クロラミンT法が適切である。 カルボキシル側基(アスパルチル又はグルタミル)がカルボジイミド(R−N =C=N−R’)(ここで、RとR’は異なったアルキル基)、例えば、1−シ クロヘキシル−3−(2−モルホリニル−4−エチル)カルボジイミド又は1− エチル−3−(4−アゾニア−4,4−ジメチルペンチル)カルボジイミドとの 反応によって選択的に修飾される。 二官能性試薬による誘導体形成は、抗NTNRα抗体を精製する方法に使用す る水不溶性支持体マトリックス又は表面へのNTNRαの架橋に有用であり、又 その逆も同様である。良く用いられる架橋剤は、例として、1,1−ビス(ジア ゾアセチル)−2−フェニルエタン、グルタルアルデヒド、N-ヒドロキシスクシ ンイミドエステル、例えば、4−アジドサリチル酸とそのエステル、3,3’− ジチオビス(スクシンイミジルプロピオナート)のようなジスクシンイミジルエス テルを包含するホモ二官能性イミドエステル、及びビス−N−マレイミド−1, 8−オクタンのような二官能性マレイミドを含む。メチル−3−[(p−アジゾ フェニル)ジチオ]プロピオイミダートのような誘導体化剤は、光の存在下で架 橋を形成することができる光活性化中間体を生じる。また、臭化シアン活性化炭 水化物のような反応性の水不溶性マトリックス及び米国特許第3969287号 ;3691016号;4195128号;4247642号;4229537号 及び4330440号に記載されている反応性基質がタンパク固定に用いられる 。 グルタミニル及びアスパラギニル残基はしばしば各々対応するグルタミル及び アスパルチル残基にそれぞれ脱アミド化される。これらの残基は中性又は塩基性 条件下で脱アミド化される。これらの残基の脱アミド化型は本発明の範囲内に入 る。 その他の修飾は、プロリンとリジンのヒドロキシル化、セリル又はスレオニル 残基のヒドロキシル基のリン酸化、リジン、アルギニン、及びヒスチジン側鎖の αアミノ基のメチル化(T.E.Creighton,Proteins:Structure and Molecular P roperties,W.H.Freeman & Co.,San Francisco,PP.79-86(1983))、N末端ア ミンのアセチル化及び任意のC末端カルボキシル基のアミド化を含む。 本発明の範囲内に含まれるNTNRαポリペプチドの共有結合的修飾の他のタ イプは、ポリペプチドの天然グリコシル化パターンを変更することを含む。変更 とは、天然NTNRαに見出される一以上の炭水化物部分を欠失させ、及び/又 は天然NTNRαに存在しない一以上のグリコシル化部位を付加することを意味 する。 ポリペプチドのグリコシル化は、典型的には、N結合又はO結合の何れかであ る。N結合とは、アスパラギン残基の側鎖への炭水化物部分の結合を意味する。 アスパラギン−X−セリン及びアスパラギン−X−スレオニン(ここでXはプロ リンを除く任意のアミノ酸)というトリペプチド配列は、アスパラギン側鎖への 炭水化物部分の酵素的結合のための認識配列である。したがって、ポリペプチド 中にこれらのトリペプチドの何れかが存在すると、可能性の有るグリコシル化部 位が作り出される。O結合グリコシル化は、ヒドロキシルアミノ酸、最も一般的 にはセリン又はスレオニン(5−ヒドロキシプロリン又は5−ヒドロキシリジン も又用いられるが)に、N−アセチルガラクトーサミン、ガラクトース、又はキ シロースの糖の一つが結合することを意味する。 NTNRαポリペプチドへのグリコシル化部位の付加は、簡便には、アミノ酸 配列を、それが一以上の上述したトリペプチド配列(N結合グリコシル化部位の もの)を含むように変化させることによって達成される。この変化は、天然のN TNRα配列への一以上のセリン又はスレオニン残基の付加、又はこれによる置 換によってもなされる(O結合グリコシル化部位の場合)。簡単にするには、N TNRαアミノ酸はDNAレベルでの変化によって、特にNTNRαポリペプチ ドをコードしているDNAを、所望のアミノ酸に翻訳するコドンが産生されるよ うに予め選んだ塩基で突然変異することによって、好ましくは変更される。この DNA突然変異は、上記に記載され前掲の米国特許第5364934号に記載さ れた方法を用いてなされる。 NTNRαポリペプチド上の炭水化物部分の数を増加させる他の手段は、該ポ リペプチドへのグリコシドの化学的又は酵素的結合による。これらの手順は、N 結合又はO結合グルコシル化のためのグリコシル化能を有する宿主細胞中でポリ ペプチドを生産させる必要がないという点で有利である。用いられる結合様式に 応じて、糖(一以上)は、(a)アルギニンとヒスチジンに、(b)遊離のカル ボキシル基に、(c)遊離のスルフヒドリル基、例えばシステインのものに、( d)セリン、スレオニン又はヒドロキシプロリンのもののような遊離のヒドロキ シル基に、(e)フェニルアラニン、チロシン又はトリプトファンのような芳香 族残基、又は(f)グルタミンのアミノ基に結合される。これらの方法は198 7年9月11日発行のWO87/05330及びAplinほか,CRC Crit.Rev. Biochem.,259-306(1981)に示されている。 NTNRαポリペプチド上に存在する炭水化物部分の除去は、化学的又は酵素 的になされる。化学的脱グリコシル化は、化合物トリフルオロメタンスルホン酸 、又は等価な化合物への該ポリペプチドの曝露を必要とする。この処理により、 該ポリペプチドを無傷のまま残しながら、結合糖(N−アセチルグルコサミン又 はN−アセチルガラクトサミン)を除く殆ど又は全ての糖の開裂がなされる。化 学的脱グリコシル化は、Hakimuddinほか,Arch.Biochem Biophys.,259:52(198 7)及びEdgeほか,Anal.Biochem.,118:131(1981)により示されている。ポリペ プチド上の炭水化物部分の酵素的開裂は、Thotakuraほか,Meth.Enzymol.,138 :350(1987)に記載されているように、種々のエンド及びエキソグリコシダーゼを 使用して達成することができる。 潜在的なグリコシル化部位でのグリコシル化は、Duskinほか,J.Biol.Chem. ,257:3105(1982)によって記載されているように、化合物ツニカマイシンを使用 して防ぐことができる。ツニカマイシンはタンパク質−N−グルコシド結合の形 成を阻害する。 NTNRαの共有結合修飾の他のタイプは、米国特許番第4640835号; 第4496689号;第4301144号;第4670417号;第47911 92号又は第4179337号に記載されているように、NTNRαポリペプチ ドを、種々の非タンパク性ポリマーの一つ、例えばポリエチレングリコール、ポ リプロピレングリコール、又はポリオキシアルキレンに結合させることを含む。 変異体はここに教示するようにして検定することができる。例えば所定の抗体 に対する親和性のような、NTNRα分子の免疫学的性質の変化は、競合型免疫 アッセイによって測定することができる。例えばレドックス又は熱安定性、疎水 性、タンパク分解の受けやすさ、又は担体との又はマルチマー内への凝集傾向の ようなタンパク質又はポリペプチドの性質の他の潜在的な修飾は、従来からよく 知られている方法によって検定することができる。 本発明は、異種性のポリペプチドと融合したNTNRαを含むキメラポリペプ チドを包含する。キメラNTNRαはここに定義したNTNRαの変異体の一タ イプである。一つの好ましい実施態様では、キメラポリペプチドは、抗タグ抗体 又は分子が選択的に結合するエピトープを提供するタグペプチドとのNTNRα の融合体含む。エピトープタグは一般にNTNRαのアミノ又はカルボキシ末端 に付与される。NTNRαのこのようなエピトープタグが付けられた形は、その 存在をタグポリペプチドに対する標識抗体を用いて検出することができるので、 望ましい。又、エピトープタグを供給すると、NTNRαを抗タグ抗体を用いて アフィニティー精製によって直ぐに精製することができる。抗体を含むアフィニ ティー精製法及び診断アッセイはここに後で記載する。 タグポリペプチドとその各抗体は従来から良く知られている。例には、fluH Aタグポリペプチドとその抗体12CA5(Fieldほか,Mol.Cell.Biol.,8:2 159-2165(1988));c−mycタグとそれに対する8F9、3C7、6E10、 G4、B7及び9E10抗体(Evanほか,Molecular and Cellular Biology,5: 3610-3616(1985));及び単純ヘルペスウィルス糖タンパクD(gD)タグとそ の抗体が含まれる。Paborskyほか,Protein Engineering,3(6):547-553(1990) 。他のタグポリペプチドも開示されている。例には、フラッグ−ペプチド(Flag -peptide)(Hoppほか,BioTechno1ogy,6:1204-1210(1988));KT3エピトー プペプチド(Matinほか,Science,255:192-194(1992));αチューブリンエピ トープペプチド(Skinnerほか,J.Biol.Chem.,266:15163-15166(1991));及 びT7遺伝子10タンパクペプチドタグが含まれる。Lutz-Freyermuthほか,Pro c.Natl.Acad.Sci.USA,87:6393-6397(1990)。ひとたびタグポリペプチドが 選択されれば、それに対する抗体を、ここに開示した方法を用いて産生すること ができる。C末端ポリヒスチジン配列タグが好ましい。ポリヒスチジン配列は、 例えば(Lindsayほか,Neuron 17:571-574(1996))記載されているようなNi− NTAクロマトグラフィーによってタグタンパクを単離することを可能にする。 エピトープタグNTNRαの作成と生産に適切な一般的方法は、これまでに開 示したものと同じである。NTNRαタグポリペプチド融合体は、NTNRαを インフレームでコードしているcDNA配列をタグポリペプチドDNA配列に融 合させ、適当な宿主細胞に結果のDNA融合作成物を発現させることによって最 も簡便に作成される。通常は、本発明のNTNRαタグポリペプチドキメラを調 製するときは、NTNRαをコードしている核酸を、タグポリペプチドのN末端 をコードしている核酸にその3’端で融合させるが、5’融合も又可能である。 エピトープタグNTNRαは、抗タグ抗体を用いてアフィニティークロマトグ ラフィーによって簡便に精製することができる。アフィニティー抗体が付着され る基質は非常に多くの場合アガロースであるが、他の基質も利用できる(例えば 、調整穴明きガラス又はポリ(スチレンジビニル)ベンゼン)。エピトープタグ 付きNTNRαは、例えばバッファーpH又はイオン強度を変化させ、あるいは カオトロピック(chaotropic)剤を添加することによってアフィニティーカラム から溶出させることができる。 適当な免疫グロブリン定常ドメイン配列(イムノアドヘシン)に連結した受容 体配列から作成されるキメラが従来から知られている。文献において報告されて いるイムノアドヘシンは、T細胞受容体*(Gascoigneほか,Proc.Natl.Acad. Sci.USA,84:2936-2940(1987));CD4*(Caponほか,Nature 337:525-531(1989) );Trauneckerほか,Nature,339:68-70(1989);Zettmeisslほか,DNA Cell Biol .USA,9:347-353(1990);Byrnほか,Nature,344:667-670(1990));L−セレク チン(ホーミングレセプター)((Watsonほか,J.Cell Biol.,110:2221-2229( 1990));Watsonほか,Nature,349:164-167(1991));CD44*(Aruffoほか,Ce ll,61:1303-1313(1990));CD28*及びB7*(Linsleyほか,J.Exp.Med., 173:721-730(1991));CTLA−4*(Lisleyほか,J.Exp.Med 174:561-569(1 991));CD22*(Stamenkovicほか,Cell,66:1133-1144(1991));TNF受容 体(Ashkenaziほか,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,88:10535-10539(1991);Lessl auerほか,Eur.J.Immunol.,27:2883-2886(1991);Peppelほか,J.Exp.Med. ,174:1483-1489(1991));NP受容体(Bennettほか,Biol.Chem.266:23060-2 3067(1991));及びIgE受容体α*(Ridgwayほか,J.Cell Biol.,115:abstr .1448(1991))の融合物を含む。ここで星印(*)は受容体が免疫グロブリンス ーパーファミリーのメンバーであることを示している。 最も簡単で最も直接的なイムノアドヘシンの設計は、「アドヘシン」タンパク 質の結合領域(一以上)を免疫グロブリン重鎖のヒンジ及びFc領域と結合させ る。通常は、本発明のNTNRαイムノグロブリンキメラを調製するときは、N TNRαの細胞外ドメインをコードしている核酸が、免疫グロブリンの定常ドメ イン配列のN末端をコードしている配列に融合されるが、N末端融合も又可能で ある。 典型的には、そのような融合では、コードキメラポリペプチドは、免疫グロブ リンの重鎖の少なくとも機能的に活性なヒンジ及び定常領域のCH2及びCH3 ドメインを保持する。融合はまた定常ドメインのFc部分のC末端、又は重鎖の CH1のN末端に直ぐ、又は軽鎖の対応する領域になされる。 融合がなされる正確な部位は重要ではない;特定の部位は、良く知られており 、NTNRα免疫グロブリンキメラの生物学的活性、分泌又は結合特性を最適化 するために選択することができる。 いくつかの実施態様では、WO91/08298に例証されているように、N TNRα免疫グロブリンキメラは、モノマー、又はヘテロ−又はホモ−マルチマ ー、そして特にはダイマー又はテトラマーとして構築される。 好ましい実施態様では、NTNRα細胞外ドメイン配列は、免疫グロブリンの 効果機能、例えば免疫グロブリンG1(IgG1)を含む、抗体(特にFcドメ イン)のC末端部分のN末端に融合される。NTNRαの細胞外ドメイン配列に 全重鎖定常領域を融合させることができる。しかしながら、より好ましくは、パ パイン切断部位(化学的にIgGFcを定める;重鎖の定常領域の最初の残基を 114として残基216、又は他の免疫グロブリンの類似の部位)の丁度上流側 のヒンジ領域に始まる配列が融合に用いられる。特に好ましい実施態様では、N TNRαアミノ酸配列はIgG1、IgG2又はIgG3重鎖のヒンジ領域及び CH2及びCH3、又はCH1、ヒンジ、CH2及びCH3領域に融合される。 融合がなされる正確な部位は重要ではなく、最適な部位は日々の実験で決定する ことができる。 いくつかの実施態様では、NTNRα免疫グロブリンキメラは、マルチマー、 特にホモダイマー又はテトラマーとして構築される。一般には、これらの構築免 疫グロブリンは既知の単位構造を有している。基本的な4鎖の構造単位はIgG 、IgD及びIgEが存在する形である。4つの単位がより大なる高分子量の免 疫 グロブリンにおいて繰り返される;IgMが一般にジスルフィド結合によって一 緒になる4単位に対して基本的なペンタマーとして存在する。IgAグロブリン 、そして時折IgGグロブリンは又血清中にマルチマー形で存在する。マルチマ ーの場合は、各4単位は同一でも異なっていてもよい。 又、NTNRα細胞外ドメイン配列は、免疫グロブリンの重鎖と軽鎖の間に、 キメラ重鎖を含む免疫グロブリンが得られるように、挿入することができる。こ の実施態様では、NTNRα配列は、ヒンジとCH2ドメインの間か、CH2と CH3ドメインの間において、免疫グロブリンの各アームの免疫グロブリン重鎖 の3’末端に融合される。同様の作成物はHoogenboomほか,Mol.Immunol.,28: 1027-1037(1991)によって報告されている。 免疫グロブリンの軽鎖の存在は本発明のイムノアドヘシンでは必要とされない が、免疫グロブリン軽鎖が、NTNRα免疫グロブリン重鎖融合ポリペプチドに 関連して共有結合的か、あるいはNTNRα細胞外ドメインに直接的に融合され て存在するかもしれない。前者の場合には、免疫グロブリン軽鎖をコードしてい るDNAがNTNRα免疫グロブリン重鎖の融合タンパクをコードしているDN Aと典型的には同時発現される。分泌時には、ハイブリッド重鎖と軽鎖が共有結 合的に結合して、2つのジスルフィド結合免疫グロブリン重鎖−軽鎖対を含む免 疫グロブリン様構造を提供する。このような構造の調製に適切な方法は、例えば 1989年3月28日に発行された米国特許第4816567号に開示されてい る。 好ましい実施態様では、本発明のイムノアドヘシンの作成に用いられる免疫グ ロブリン配列は、IgG免疫グロブリン重鎖定常ドメインからのものである。ヒ トイムノアドヘシンに対して、IgG1とIgG3の免疫グロブリン配列の使用 が好ましい。IgG1を用いる主な利点は、IgG1イムノアドヘシンが固定タ ンパクAで効率的に精製できることである。これに対して、IgG3の精製には 、著しく用途が少ない培地であるタンパクGが必要である。しかしながら、免疫 グロブリンの他の構造的及び機能的性質を、特定のイムノアドヘシン作成のIg 融合パートナーを選択するときは考慮するべきである。例えば、IgG3のヒン ジはより長く、よりフレキシブルであり、IgG1に融合されるとき、適切に機 能 しなかったり折りたたまれないより大きなアドヘシンドメインを収容することが できる。他に考慮することは結合価である;IgGイムノアドヘシンは2価のホ モ二量体であり、IgAとIgMのようなIgサブタイプはそれぞれ基本的Ig ホモ二量体単位の二量体又は五量体構造になる。インビボでの応用に設計された NTNRαイムノアドヘシンについては、Fc領域によって特定される薬物動態 学的性質と効果機能も又重要である。IgG1、IgG2及びIgG4は全て2 1日のインビボ半減期を有するが、補体系を活性化するその相対的な効力は異な っている。IgG4は補体を活性化せず、IgG2はIgG1よりも補体活性が 有意に弱い。更に、IgG1とは異なり、IgG2は単核細胞又は好中球のFc 受容体に結合しない。IgG3は補体活性には最適である一方、そのインビボの 半減期は他のIgGアイソタイプのおよそ1/3である。ヒトの治療に用いられ るように設計されたイムノアドヘシンの他の重要な考慮事項は、特定のアイソタ イプのアロタイプ変異体の数である。一般に、血清学的に定義されたアロタイプ がより少ないIgGアイソタイプが好ましい。例えば、IgG1は血清学的に定 義されたアロタイプ部位を4つだけ有し、その内の二つ(G1mと2)がFc領 域に位置している;そしてこれらの部位の一つG1m1は非免疫原生である。こ れに対して、IgG3には12の血清学的に定義されたアロタイプがあり、その 全てがFc領域にある;これらの部位の3つ(G3m5、11及び21)が非免 疫原生である一つのアロタイプを持っている。従って、γ3イムノアドヘシンの 潜在的な免疫原生はγ1イムノアドヘシンのそれよりもより大きい。 親の免疫グロブリンに関しては、有用な結合点は、2つの重鎖の間のジスルフ ィド結合を形成するヒンジのシステインの丁度上流である。頻繁に用いられる設 計では、分子のNTNRα部分のC末端残基のコドンがIgG1ヒンジ領域の配 列DKTHTCPPCPのコドンの直ぐ上流に位置される。 イムノアドヘシンの作成と発現に適した一般的な方法は、NTNRαに関して これまでに開示したものと同じである。NTNRαイムノアドヘシンは、NTN Rα部分をインフレームでコードしているcDNAをIgcDNA配列に融合さ せることによって最も簡便に作成される。しかしながら、ゲノムIg断片への融 合も又用いることができる(例えばGascoigneほか,Proc.Natl.Acad.Sci. USA,84:2936-2940(1987);Aruffoほか,Cell,61:1303−1313(1990);Stamenkovi cほか,Cell,66:1133-1144(1991)を参照のこと)。後者の融合タイプは、発現 にIg制御配列の存在を必要とする。IgG重鎖定常領域をコードしているcD NAは、ハイブリッド形成法又はポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法によって脾 臓又は末梢血リンパ球から由来するcDNAライブラリからの発表された配列に 基づいて単離できる。NTNRαとイムノアドヘシンのIg部分をコードしてい るcDNAは、選択された宿主細胞において効果的な発現を方向付けるプラスミ ドベクター内に直列に挿入される。哺乳動物の細胞における発現では、pRK5 −系ベクター(Schallほか,Cell.61:361-370(1990))及びCDM8系ベクター (Seedほか,Nature,329:840(1989))を用いることができる。正確な接合部は 、オリゴヌクレオチド特異的欠失変異誘発を用いて設計接合部コドン間の余分の 配列を除去することによってつくられる(Zollerほか,Nucleic Acids Res.,10 :6487(1982);Caponほか,Nature,337:525-531(1989))。各半分が所望の接合部 の何れかの側の配列と相補的であり;理想的には36ないし48マー(mer)であ る合成オリゴヌクレオチドを用いることができる。又、PCR法を用いてインフ レームの分子の2つの部分を適当なベクターと結合させることができる。 NTNRαイムノアドヘシンの発現に対しての宿主株化細胞の選択は、主に発 現ベクターに依存する。他の考慮事項は必要とされるタンパク質の量である。ミ リグラム量をしばしば一過性トランスフェクションによってつくることができる 。例えば、アデノウィルスEIA形質転換293ヒト胚腎臓株化細胞は効果的な イムノアドヘシンの発現を可能にする修正リン酸カルシウム法によってpRK5 系ベクターで過渡的にトランスフェクトされうる。CDM8系ベクターはDEA Eデキシトラン法によってCOS細胞をトランスフェクトするために用いること ができる(Aruffoほか,Cell,61:1303-1313(1990);Zettmeisslほか,DNA Cell Biol.US,9:347-353(1990))。もし多量のタンパク質が所望されるならば、イ ムノアドヘシンは、宿主株化細胞の安定名トランスフェクションの後に発現する ことができる。例えば、pRK5系ベクターはジヒドロ葉酸還元酵素(DHFR )をコードしG418に対する抵抗性を付与する更なるプラスミドの存在下デ チャイニーズハムスターの卵巣(CHO)細胞内に導入することができる。G4 18に対して抵抗性のあるクローンが培養において選択できる;これらのクロー ンは増加量のDHFR阻害薬であるメトトレキセートの存在下で成長させられる ;イムノアドヘシン配列とDHFRをコードしている遺伝子コピーの数が共に増 幅されるクローンが選ばれる。もしイムノアドヘシンがそのN末端に疎水性のリ ーダー配列を含んでいれば、トランスフェクション細胞によってプロセシングさ れて分泌される。更に複雑な構造のイムノアドヘシンの発現には、独特の適した 宿主細胞が必要となる;例えば、軽鎖又はJ鎖のような成分がある種のミエロー マ又はハイブリドーマ宿主細胞によって提供される(Gascoigneほか,1987,上 掲,Martinほか,J.Virol.,67:3561-3568(1993))。 イムノアドヘシンはアフィニティークロマトグラフィーによって簡便に精製す ろことができる。アフィニティーリガンドとしてのタンパクAの適切性は、キメ ラに用いられる免疫グロブリンのFcドメインのアイソタイプと種に依存する。 タンパクAは、ヒトのγ1、γ2、又はγ4の重鎖に基づくイムノアドヘシンを 精製するために用いることができる(Lindmarkほか,J.Immunol.Meth.,62:1- 13(1983))。タンパクGは全てのマウスのアイソタイプ及びヒトのγ3に対して 推奨される(Gussほか,EMBO J.,5:1567-1575(1986))。アフィニティーリガン ドが付着する基質は、最も頻繁にはアガロースであるが、他の基質も利用できる 。機械的に安定な基質、例えばコントロール穴明きガラス又はポリ(スチレンジ ビニル)ベンゼンは、アガロースで達成できるよりもより速い流量とより短いプ ロセス時間を可能にする。タンパクA又はGアフィニティーカラムにイムノアド ヘシンを結合させる条件は、Fcドメインの特性によって完全に支配される;す なわち、その種とアイソタイプに支配される。一般には、適切なリガンドが選ば れた場合には、効果的な結合が無条件培養流体から直接的に生じる。イムノアド ヘシンの一つの目立つ特徴は、ヒトのγ1分子に対しては、タンパクAに対する 結合能力が同じFc型の抗体に対していささか消失する。結合性イムノアドヘシ ンは酸性のpH(3.0あるいはそれ以上)か、あるいは穏やかにカオトロピッ クな塩を含む中性pHのバッファー中で効果的に溶出され得る。このアフィニテ ィークロマトグラフィーの工程により、純度が>95%であるイムノア ドヘシン調製物を得ることができる。 プロテインA又はGについてアフィニティークロマトグラフィーの代わりに、 又はそれに加えて、従来知られている他の方法もイムノアドヘシンを精製するた めに用いることもできる。イムノアドヘシンは、チオフィリック(thiophilic) ゲルクロマトグラフィー(Hutchensほか,Anal.Biochem.,159:217-226(1986) )と固定金属キレート(Al-Mashikhiほか,J.Dairy Sci.,71:1756-1763(1988) )における抗体と同様に挙動する。しかしながら、抗体とは異なり、イオン交換 カラムでの挙動は、それらの等電点によってばかりではなく、そのキメラ性によ り分子内に存在する双極子電荷によっても又支配される。 所望されるならば、イムノアドヘシンは二特異性(bispecific)とされ得る。 従って、本発明のイムノアドヘシンは、NTNRαの細胞外ドメインと、他のサ イトカイン又は神経栄養因子受容体サブユニットの、細胞外ドメインのようなド メインを組合せることもできる。そのような二特異性イムノアドヘシン分子が作 られ得る例示的なサイトカイン受容体としては、TPO(又はmplリガンド) 、EPO、G−CSF、IL−4、IL−7、GH、PRL、IL−3,GM− CSF、IL−5,IL−6,LIF、OSM、CNTF、GDNF及びIL− 2受容体が含まれる。二特異性分子には、抗体様構造の一つの腕にキメラ抗体の 重鎖を、他の腕にキメラ抗体の重鎖−軽鎖対を含んでなるトリマー分子が、精製 の容易性のために有利である。10のテトラマーの混合物をつくる、二特異的イ ムノアドヘシンの生産に伝統的に用いられる抗体生産クアドローマとは対照的に 、トリマーイムノアドヘシン構造の3つの鎖をコードしている核酸でトランスフ ェクトされた細胞が3つの分子だけの混合物をつくり、この混合物からの所望の 生成物の精製が従ってより容易である。 NTNRαタンパク質とNTNRα遺伝子は、NTN活性に関連するあるいは NTN応答性が有益となる疾病あるいは疾患の治療において、哺乳動物、特にヒ トに投与するエクスビボ又はインビボでの治療用途があると考えられる。出典を 明示して特にここに取り込まれるKotzbauerほか(Nature 384:467-470(1996)) を参照されたい。本発明の実施態様での治療で特に受け入れられる症状は、Re tの発現に関与するもの又はRet活性化が有益となるもの、特にRetによっ て媒介される下流経路のものである。TreanorほかNature 382:80-83(1996);Jin gほかCell 85:1113-1124(1996);TruppほかNature 381:785-789(1996);及びDur becほかNature 381:789-793(1996)を参照されたい。特に好ましいものは、神経 性障害、好ましくは中枢神経系障害、腎臓の障害、脾臓に関連する造血障害、及 び腸内神経系障害である。患者には本発明の有効量のNTNRαタンパク質、ペ プチド断片又は変異体が投与される。治療方法は、NTNRα、NTNRαアゴ ニスト(例えばNTN)、(内因性NTNと競合しこれを結合するがRetを活 性化しない)NTNRαアンタゴニスト、抗NTNRα抗体を投与することを含 む治療方法も本発明の範囲内にあある。本発明は、またNTNRαタンパク質、 ペプチド断片、又は誘導体を適切な薬理的担体中に含有する製薬組成物をも提供 する。NTNRαタンパク質、ペプチド断片、又は変異体は全身的にあるいは局 所的に投与することができる。ここに教示した方法に適用できるが、受容体タン パク質は、必要に応じて、NTN又は他のNTNRαリガンドの前に、後に、あ るいは好ましくは同時に(又は複合して)投与することができる。ここに教示さ れているように、NTNRαはNTNが存在しない標的細胞に設けて、続いて投 与されるNTN又はNTNアゴニストに対するこれらの細胞の応答性を増加させ ることができる。 ある状態では、NTN(又は他のNTNRαリガンド)の応答性の増大が有益 となり得る。従って、そのような症状を患っている患者の細胞内におけるNTN Rαの数及び結合親和性を増大させることが有益であり得る。これは、可溶性の NTNRα、必要に応じてNTNRαリガンド、好ましくはNTNで複合化され たものの投与によって、あるいはNTNRαをコードしている核酸を用いる遺伝 子療法によって、達成することができる。適当な細胞中における組換えNTNR αの選択的発現は、組織特異性又は誘発性のプロモータによって調節されたNT NRα遺伝子を用いて、あるいは組換えNTNRα遺伝子を担持する複製欠陥ウ ィルスでの局所的感染をつくりだすことによって達成することができる。NTN に対して感受性が増加すると有益である症状は、限定するものではないが、筋萎 縮性側索硬化症、ヴェルディヒ−ホフマン病、慢性近位脊柱筋萎縮、そしてギラ ン−バレ症候群を含む運動ニューロン疾患である。更なる症状は、交感神経細胞 に関与するもの、特に増加した生存又はNTN応答性が望ましいものである。ド −パミン作動性ニューロンを含む、中枢神経系ニューロンと、末梢感覚神経を含 む、感覚神経の増加した生存又はNTN応答性が望ましい症状が、本発明の実施 態様により好適に治療される。従って、糖尿病、パーキンソン病、アルツハイマ ー病、及びハンチントン舞踏病に伴う神経性疾患の治療がここで提供される。N TNはパーキンソン病の治療に特定の用途が見出される。本方法は、NTNRα を発現する非神経細胞に関連した症状にもまた適用できる。実際、NTNRαは Retを活性化するので、Ret発現細胞におけるRet活性経路に関連する症 状を本発明の実施態様で治療することができる。 神経細胞及び/又はその軸索突起の生存又は機能が妥協されるならば、疾病又 は医療疾患は神経損傷であると考えられる。そのような神経損傷は、結果的な症 状として含まれるものは:(a)身体的損傷で、損傷部位の近くの軸索突起及び /又は神経細胞体の変性を引き起こすもの;(b)脳卒中のような虚血;(c) 癌及びエイズの化学療法薬、例えばシスプラチン及びジデオキシチジン(ddC )のような、神経毒への暴露;(d)糖尿病又は腎不全のような慢性代謝病;及 び(e)パーキンソン病、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)の ような神経変性疾患で、これらは特定のニューロン集団の変性をもたらす。神経 損傷に関与する症状は、パーキンソン病、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化 症、脳卒中、糖尿病性多発神経障害、中毒性神経症、及び神経系の物理的損傷、 例えば脳及び脊髄の物理的損傷又は腕及び手又は身体の他の部分の座滅又は切創 によって惹起されるものであり、脳卒中におけるように神経系の部分への血流の 一次的又は永久的休止を含む。 NTNRα遺伝子は、筋肉細胞及び関連するニューロンに発現される。従って 、本発明は、本発明の組成物をそのような治療を必要としている患者に投与する ことを含んでなる、NTNR発現筋肉細胞疾患を治療する方法を提供する。この ような治療が有益な筋肉細胞疾患は、限定するものではないが、次の進行性筋ジ ストロフィー:デュシエーヌ、ベッカー、エメリー−ドライフス、ランドジー− デジェリーヌ、肩甲上骨、肢帯、フォン・グラッフェ−フュクス(Von Graefe-F uchs)、眼咽頭、筋緊張性及び先天性の筋ジストロフィーを含む。加えて、こ のような分子は、先天性(中央コア(central core)、ネマリン、中心核及び先 天性線維型不均衡)及び後天性(毒性、炎症性)ミオパシーの治療に使用できる 。本発明は、有効量のNTNRαタンパク質又はその活性部分を患者に投与する ことを含んでなる、筋肉細胞疾患を治療する方法を更に提供する。 本発明の更なる実施態様では、NTNRα遺伝子をコードしている領域に対応 するアンチセンスRNA又はアンチセンスオリゴデオキシリボヌクレオチドの有 効量を投与することによって、過剰のNTNR、NTNに対する過敏症、過剰の NTN等々を煩っている患者を治療することができる。 本発明の化合物と方法は、造血細胞の減少に関連した症状に使用することがで きる。これらの疾病の例としては、貧血(大球性及び再生不良性貧血を含む); 血小板減少症;発育不全;播種性血管内血液凝固(DIC):脊髄形成異常;免 疫(自己免疫)血小板減少性紫斑病(ITP);及びHIV誘発ITPがある。 また、NTNRα分子は、骨髄増殖性疾患並びに炎症症状からの血小板増多症の 治療及び鉄分不足に有用である。造血細胞増殖の増大を導くNTNRαポリペプ チド及びNTNRα遺伝子は、化学又は放射線療法もしくは骨髄移植療法を受け た細胞における成熟血球系列の再増殖を高めるために使用することもできる。一 般に、NTNRα分子は造血細胞の増殖及び/又は分化(しかし特に増殖)を高 めるものと期待される。好ましい実施態様は、脾臓で生じる造血を高める治療法 を提供する。 NTNRα及びNTNRα遺伝子の他の可能性の有る治療用途は、腎臓又は肝 臓細胞の成長、生存及び修復を促進する治療を含む。例えば、急性腎不全はそれ までに正常な腎機能の突然の破壊を意味する。この深刻な臨床症状は、循環系の 不全(ショック)、血管妨害、糸球体腎炎、尿流閉塞を含む非常に広範なメカニ ズムから生じうる。急性腎不全はしばしば腹部又は又は血管手術の合併症として 生じる。又、出生前の継続した改善による肺と心臓問題を克服して生存する少な い出生時体重のハイリスク新生児は、感染又は薬物毒性によって惹起される急性 腎不全の合併症によって死亡しうる。特に臨床的に重要であるのは、外傷、敗血 症、術後の合併症、又は投薬、特に抗生物質に関連する急性腎不全の場合である 。特に、本発明の化合物は、腸内神経系又は腎臓系の不全に直接的に又は間接的 に 関連する病因学に使用用途がある。GIに影響する特定の症状は、これに限定す るものではないが、噴門痙攣、食道スパスム、強皮症(食道の平滑筋部分の筋萎 縮、食道本体部の下方2/3の収縮の弱さ、及び食道下方の括約筋の機能不全に 関連し、又免疫抑制剤での治療によっても引き起こされる)、十二指腸潰瘍のよ うな疾患、ゾリンガー−エリソン症候群(遺伝子因子、喫煙、神経的影響を含む 因子によって引き起こされる酸過多)、胃酸過多、吸収不全症、例えば胃アトニ ー、吐き気、嘔吐などが少なくとも部分的に交感/副交感神経系の不全に関連し ている糖尿病(及び副甲状腺機能低下症、甲状腺機能亢進症、及び副腎不全)を 含む。更なる疾患は、憩室症/憩室炎;ハーシュスプラング病(通常は肛門に近 い遠位結腸の小セグメントにおける神経節細胞の不在によって引き起こされる先 天性疾患(マイスナー及びアオエルバッハの神経叢)で、典型的には乳児にみら れ、深刻でない場合は、青年期又は成人期初期になるまで診断されない);他の 型の巨大結腸症(ハーシュスプラングのものは巨大結腸のタイプである);腸の 筋層の交感神経支配の異常による深刻な運動性異常であり、強皮症、糖尿病、ア ミロイド症、他の神経性疾患、薬物又はセプシスから起因する急性又は慢性の仮 性腸閉塞;及び患者に精神遅滞又は神経性疾患を持つ患者に深刻な問題であり、 寄与因子が不順な腸運動性である慢性便秘を含む。更なる症状は、限定するもの ではないが、腸内神経系の明確な破壊による脊髄機能不全;ギライン・バレ症候 群:多発性硬化症;パンディソウトノミア(Pandysautonomia)(自律神経系の 機能不全);振せん麻痺(不順な胃腸運動をしばしば伴う);特徴として不順な 腸運動を持つと文献で報告されている多発系萎縮症(Multiple System Atrophy )(シャイドレーガー症候群);及びニューロパチーによって現れ、しばしばG I運動性障害を伴う拡散性疾患であるポリフィリン及びアミロイド症を含む。 NTNR発現又はNTN応答性組織の壊死又は損傷は、微生物又はウィルス感 染による壊死、例えば、ウィルス性肝炎、結核、腸チフス熱、野兎病、ブルセラ 病、黄熱病等、又はショック、心臓発作等から起因する虚血症による壊死、又は 薬物及び毒性物質、例えば化学療法、クロロホルム、四塩化炭素、亜リン酸中毒 等のようなでの急性又は慢性反応による壊死を含む。ここに教示されるように、 本発明の組成物と方法は、腎臓を神経支配する神経細胞と腎臓上皮細胞のような 腎臓細胞のものを含む細胞成長促進によって腎臓疾患を治療するのに有用である 。本発明の組成物と方法は腎臓損傷の修復をなさしめる。理論に限定されるのも のではないが、神経支配ニューロンを含む腎細胞を刺激して成長させ分割するこ とによって直接的又は間接的にこれが達成できると考えられる。従って、ここに 開示したNTNRαアゴニスト(例えばNTNと複合化されていてもよい可溶性 NTNRα)を、薬理学的に許容可能な担体又は更なる成長因子もしくはサイト カインと必要に応じて組合せて、調製し、該組成物に腎臓組織を接触させる腎臓 組織を再生する方法が提供される。該組成物の治療的量が投与される。局所的注 射又は移植片が好ましい移送(送達)方法である。又、損傷した腎臓を除去し、 エクスビボで処理し、腎臓の修復後に宿主に戻すこともできる。 NTNを含むNTNRαアゴニストは、血液透析の間に投与することができる 。血液透析は、血液から毒素を抽出又は分離する目的で患者から血液を一時的に とり、同じ患者に清浄血液を戻すこととして定義される。血液透析は、腎臓機能 障害又は不全が存在する患者、すなわち血液が腎臓によって適切に又は十分に清 浄化されていない(特に水分を除去する)場合に指示される。慢性的な機能障害 の場合は、透析は繰り返す形で実施されなければならない。例えば、腎臓移植が 可能ではなかったり、禁忌指示されている末期の腎臓疾患では、患者は年に約1 00から150回透析を受けなければならない。これは、患者の残りの人生にわ たって活発な血液透析をなすために数千回血流へのアクセスがなされるという結 果になる。 本発明は腎障害の副作用を有する免疫抑制療法に使用できる。例えば自己免疫 反応を抑制するように構成された方法によるヒトにおけるIDDMの治療に使用 できる。糖尿病にシクロスポリンAを用いた治療は腎障害をもたらす可能性があ る。本発明は腎障害となりうる疾患もしくは症状に使用できる。例えば、糖尿病 は腎臓における血管の遅発性障害をもたらすことがある。 他の例としては、例えば、糸球体腎炎、急性腎不全、移植の拒絶反応やネフロ ーゼ性物質による腎障害、腎臓移植、腎臓の毒性障害等の免疫学的に又は非免疫 学的に発生する腎臓病がある。更に、本発明は、移植時にドナーから除核した臓 器が無事運ばれることを保証するために臓器を保管し、移植手術までに問題が発 生することを避け、該臓器が良い状態で保存されることを保証する臓器輸送体等 を含み、臓器移植に有用である。好適な臓器はNTNR保持又はNTN応答性細 胞を有するものである。特定の一実施態様では、臓器は腎臓である。NTNを含 むNTNRαアゴニストの使用や処置では、腎臓機能の維持の成功を保証する。 ここで述べるように、本発明の目的は機能障害性胃腸筋又は身体の他の部位に 平滑筋障害を有する哺乳類の治療方法を提供するである。胃腸筋は他の部位の筋 肉とは非常に異なる形で組織化され、制御される。胃腸管の骨格筋及び平滑筋は 両方とも、運動、分泌及び吸収を含む消化プロセスを全面的に制御し、胃腸壁内 に存在する非常に複雑な神経や筋肉のネットワークである腸神経系の支配下にあ る。腸神経は、神経叢と称する、相互接続するネットワークに組織化されている 。この内、円形筋層と縦筋層の間に位置する腸筋層間神経叢が胃腸運動の主調節 機構である。(迷走性及び交感性経路を介して)中央神経系及び局所的反射経路 から信号を受ける。抑制的及び興奮性信号を両方隣接する筋に出力する。よって 、胃腸管の筋肉緊張を制御する最終的神経経路は腸筋層間神経叢の神経細胞であ る。胃腸管における総合的筋肉活動が、一方は筋肉を(主にアセチルコリンによ って)短縮させ、他方は弛緩させる腸筋層間神経叢内の二つの神経系の対向する 作用のバランスによるものと見なすと分かり易い。しかし、両種類の神経細胞と も腸筋層間神経叢内のアセチルコリンによって活動する。つまり、胃腸筋緊張の 制御におけるアセチルコリンの役割は複雑である。筋肉の近辺でエフェクター神 経から直接放出されるアセチルコリンは弛緩させるが、神経叢内では抑制作用又 は興奮作用を引き起こす。それに対して、胃腸管外の骨格筋は中央神経系の神経 によって直接支配される。胃腸管外の骨格筋における神経と筋肉との相互作用は 遥かに単純であり、神経がアセチルコリンを放出すると、それが筋肉を弛緩させ る。最後に、胃腸管の筋緊張において腸筋層間神経叢が多分最も重要であるが、 決定要因はそれだけではない。実は、基礎平滑筋緊張は、神経活動の他に内因性 (筋原性)緊張や循環性ホルモンを含む様々な因子の総合作用によるものと見な すことができる。胃腸平滑筋のインビトロ調製に対するボツリヌス毒素の効果に 関して孤立した報告があるが、胃腸筋の調節は非常に複雑で、ヒト又は生存動物 にお いて(ボツリヌスのような毒素を使用することにより)神経伝達物質放出を阻害 という生理学的な結果は本発明のなされる前では予想できなかった。本発明はア カラシア、下部食道括約筋の他の障害、オッディ括約筋機能不全、刺激反応性腸 管症候群(irritable bowel syndrome)及び他の障害等を含む胃腸障害を治療す るための組成物、方法及びデバイスを提供する。 例えば、腸の習性の変化、腹痛及び検出可能な病理の非存在を特徴とする運動 疾患である刺激反応性腸管症候群(IBS)の治療方法を提供する。IBSは、 精神的因子やストレスを伴う状況等によってかなり影響されるその症状によって 認識できる。胃腸科に訪れる患者の内20%から50%がIBSに悩まされてい る。それ以外正常に思われる人の内、約14%にIBSの症状が現れる。この症 候群は、同様に発現する複数の疾患から成っている。IBSの主な症状(腸の習 性の変化、腹痛及び鼓脹)は腸内の運動性の増加や胃酸の過剰分泌の発現である 。胃腸管の活動は、副交感性及び交感性神経支配を介して中央神経系(CNS) 、及び胃腸管自体に存在する腸神経系(ENS)によって神経的に調節される。 他の側面では、内在性NTNRαレベルが低いか欠損のNTNRα遺伝子を有 する哺乳類に、好ましくはそのようなレベルの低下が病理学的疾患を引き起こす おそれがある場合やNTNRα及びRetの活性がない場合に、NTNRαを投 与する。これらの実施形態では、全長のNTNRαを患者に投与する場合、遺伝 子療法で受容体をコードしている遺伝子を患者に投与することが考えられる。 遺伝子療法では、例えば欠損の遺伝子を交換するために、治療に効果的な遺伝 子産物のインビボ合成の目的で細胞内に遺伝子を導入する。遺伝子療法とは、一 度の処理で持続する効果を得る従来の遺伝子療法も、治療に効果的なDNA又は mRNAを一度又は何度も投与する遺伝子治療剤投与法も含む。アンチセンスR NA及びDNAは、インビボで特定の遺伝子の発現を阻止する治療剤として利用 できる。短かいアンチセンスオリゴヌクレオチドは細胞内に導入すると、細胞膜 への取り込み制限により、細胞内濃度が低いにも関わらず、抑制剤として機能す ることは既に発表済みである(Zamecnikら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,83:41 43-4146(1986))。オリゴヌクレオチドは、例えば陰性リン酸ジエステル基を無 荷電基で置換することで、取り込みを増強するように変更できる。 生細胞に核酸を導入する方法は様々である。それら方法は、試験管内で培養細 胞内にトランスフェクトするか宿主の細胞内に生体内でトランスフェクトするか によって異なる。試験管内で哺乳類細胞に核酸をトランスフェクトするのに適す る方法として、例えばリポソームの使用、電気穿孔法、微量注入、細胞融合、D EAE−デキストラン、リン酸カルシウム沈殿法等がある。現在好まれている生 体内遺伝子転移法としては、ウイルス(通常レトロウイルス)ベクターを用いた 形質移入やウイルス性コートタンパク質―リポソーム形質移入(Dzauほか,Tren ds in Biotechnology,11:205-210(1993))等がある。状況によっては、例えば 細胞表面膜タンパク質又は標的細胞に特異性を有する抗体や標的細胞上の受容体 に対するリガンド等、標的細胞をターゲットする薬剤を核酸源に設けることが好 ましい。リポソームを用いる場合、エンドサイトーシスに関連する細胞表面膜タ ンパク質と結合するタンパク質、例えば特定の細胞型に対して向性であるキャプ シドタンパク質又はその断片、サイクリングの際に内部移行するタンパク質の抗 体、及び細胞内局所性をターゲットし、細胞内半減期を延長するタンパク質等を ターゲティング及び/又は取り込みを容易化するために使用できる。受容体介入 エンドサイトーシス法は、例えばWuほか,J.Biol.Chem.,262:4429-4432(1987 )及びWagnerほか,Proc.Natl.Acad Sci.USA,87:3410-3414(1990)に記載され ている。現在知られている遺伝子マーキング及び遺伝子治療プロトコルについて はAndersonほか,Science,256:808-813(1992)を参照。 本発明はNTNRα活性に対するアンタゴニスト(例えばNTNRαアンチセ ンス核酸、中和抗体)も提供する。増加又は過剰レベルの内在性NTNRα活性 を有する哺乳類に、特にそのような増加又は過剰レベルのNTNRα又はRet 活性が病理的障害をもたらす可能性がある場合、NTNRαアンタゴニストを投 与することが考えられる。 一実施態様では、体内で内在性リガンドを結合するためにNTNRαアンタゴ ニスト分子を用い、特に血清内のNTNリガンドレベルが正常の生理的レベルを 越えている場合に、非感受性のNTNRαをNTNリガンドに応答するようにす る。また、望まれない細胞応答(例えば腫瘍細胞の増殖)を活性化している内因 性NTNリガンドを結合するのに有用である。 可溶性NTNRαの医薬組成物は、更にNTN又は他のNTNRαアゴニスト も含むことが可能である。NTNの半減期を延長すること、NTNの遅放性リザ ーバを設けること、内在性NTNRα又はRetを活性化すること、及び/又は NTNRαに欠ける標的Ret発現性細胞にそれを補充し、その細胞をNTNに 応答するようにすることが治療的に効果的であれば、このような例えばNTN/ NTNRα複合体等を含む二成分組成物は有利である。 NTNRαの治療用製剤は、所望の純度のNTNRαを、凍結乾燥ケーキ又は 水溶液の形態の生理的に許容できる担体、賦形剤又は安定剤と任意に混合する( Remington's Pharmaceutical Sciences,16th edition,Osol,A.,Ed.,(1980) )ことにより調製され保管される。許容できる担体、賦形剤又は安定剤は、適用 する投与量及び濃度では受給者にとって無毒性のものを意味し、リン酸、クエン 酸及び他の有機酸等の緩衝液、アスコルビン酸等の抗酸化剤、低分子量(約10 残基未満)ポリペプチド、血清アルブミン、ゼラチン又は免疫グロブリン等のタ ンパク質、ポリビニルピロリドン等の親水性重合体、グリシン、グルタミン、ア スパラギン、アルギニン又はリシン等のアミノ酸、グルコース、マンノース又は デキストリン等の単糖類、二糖類又は他の炭水化物、EDTA等のキレート剤、 マンニトール又はソルビトール等の糖アルコール類、ナトリウム等の塩基形成対 イオン及び/又はトゥィーン(tween)、プルロニックス(pluronics)又はポリ エチレングリコール(PEG)等の非イオン性界面活性剤等を含む。 また、NTNRαは、コアセルベーション法や界面重合法によって得た(例え ば、ヒドロキシメチルセルロース又はゼラチンマイクロカプセル及びポリー(メ チルメタクリレート)マイクロカプセル等)、コロイド薬剤送達系(例えば、リ ポソーム、アルブミンミクロスフィア、マイクロエマルション、ナノ粒子又はナ ノカプセル等)、又はマクロエマルション中に封入することもできる。このよう な方法はRemingtonのPharmaceutical Sciences(上掲)に開示されている。 インビボ投与に使用するNTNRαは無菌性であることが必要である。これは 、凍結乾燥及び再構成の前又は後に、無菌の濾過膜で濾過することで容易に実施 できる。NTNRαは通常凍結乾燥状態又は溶液内で保存する。 NTNRαの治療用組成物は、通常は無菌のアクセスポートを有する容器、例 えば静脈内溶液袋又は皮下用注射針で貫通可能のストッパを有するバイアル等の 中に設ける。 NTNRαの投与経路は周知の方法に従い、例えば特定の場合について上述す る経路や静脈内、腹腔内、脳内、筋肉内、眼内、動脈内又は病巣内注射又は注入 等の一般的経路や下記の徐放系等がある。NTNRαは、連続的に注入するか又 は大量瞬時注射することで投与する。一般に、病状が許すならば、NTNRαを 部位特異性送達用に製剤し、投与するべきである。投与法は、連続的又は定期的 のいずれであっても良い。投与法は、定常運動又はプログラマブル流量の埋込み 式ポンプ、又は定期的注射によって実施できる。 徐放性製剤の好適な例としては、タンパク質を含む固体疎水性重合体の半透過 性マトリックスがあり、マトリックスはフィルム状又はマイクロカプセル状等の 形付けられた物である。徐放性マトリックスの例としては、ポリエステル、Lang erほか,J.Biomed.Mater.Res.,15:167-277(1981)及びLanger,Chem.Tech. ,12:98-105(1982)に記載されているヒドロゲル(例えばポリ(2−ヒドロキシ エチル―メタクリレート)等)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ乳酸(米国特 許第3,773,919号、EP 58,481)、L−グルタミン酸とγエチル−L−グルタミン 酸の共重合体(Sidmanほか,Biopolymers,22:547-556(1983))、非分解性エチ レン―酢酸ビニル(上記Langerほか)、Lupron Depot(商標)(乳酸―グリコル 酸共重合体及び酢酸ロイプロリドからなる注入可能な微粒子)等の分解性乳酸― グリコル酸共重合体及びポリーD−(−)−3−ヒドロキシ酪酸(EP1339 88)等がある。 エチレン―酢酸ビニルや乳酸−グリコール酸等の重合体は100日以上分子を 放出できるが、特定のヒドロゲルはより短い時間タンパク質を放出する。カプセ ル化タンパク質は、長時間体内に残存すると、37℃で水分に曝されることで、 変性又は凝集し、生理活性の喪失や免疫原生の変化のおそれがある。かかる機構 によって安定性を得るための合理的な処置が考えられる。例えば、凝集機構がチ オ−ジスルフィド交換による分子間S−S結合であることが分かったら、スルフ ヒドリル残基を変更し、酸性溶液から凍結乾燥し、水分量を調整し、適当な添加 物を使用し、特定の重合体マトリックス化合物を開発することで安定性を保証す ることができる。 NTNRαの徐放性組成物は、リポソーム的に取り込まれたNTNRαを含む 。NTNRαを含有するリポソームは、それ自体周知である方法、例えば、DE 3 ,218,121、Epsteinほか,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,82:3688-3692(1985)、H wangほか,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,77:4030-4034(1980)、EP52322 、EP36676、EP88046、EP143949、EP142641、日 本国特許出願83−1118008、米国特許第4485045号及び第454 4545号、及びEP102324等による方法によって生成する。通常、リポ ソームは、脂質含有量が約30モル%以上コレステロールであり、選択される割 合が最適な治療法に対して調整された微小(約200−800オングストローム )な単層状のものである。 NTNRαは、局所的に適用する場合には、担体及び/又はアジュバント等の 他の成分と適宜組み合わせる。それら他の成分の特徴については、生理的に許容 でき、投与法に有効であり、組成物の主成分の活性を劣化しないものであれば特 に限定しない。適切なビヒクルの例には、精製コラーゲンを伴うか伴わない、軟 膏、クリーム、ゲル、又は懸濁液がある。組成物はまた経皮的パッチ、プラスタ ー、及び包帯、好ましくは液体もしくは半液体状のものに含浸させることができ る。 ゲル製剤を得るには、液体組成物として製剤したNTNRαを、局所的に塗布 するために適した粘性のゲルを得るために有効な量でPEG等の水溶性多糖類又 は合成重合体を混合することができる。使用可能な多糖類としては、例えば、メ チルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、 ヒドロキシプロピルメチルセルロース又はヒドロキシプロピルセルロース等のア ルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース及びアルキルヒドロキシアル キルセルロースを含むエーテル化セルロース誘導体等のセルロース誘導体、デン プン又は分画デンプン、寒天、アルギン酸又はアルギン酸塩、アラビアゴム、プ ルラン、アガロース、カラゲナン、デキストラン、デキストリン、フルクタン、 イヌリン、マンナン、キシラン、アラビナン、キトサン、グリコゲン、グルカン 、合成生体高分子、及びキサンタンゴム、グアルゴム、ローコストゴム、アラビ ア ゴム、トラガカンスゴム又はカラヤゴム等のゴム類、又はそれらの誘導体又は混 合物がある。ここで、ゲル化剤としては、生理系に対して無活性であり、無毒性 であり、容易に製剤でき、薄すぎず、固すぎず、中に含まれるNTNRαを不安 定化しないものが好ましい。 多糖類は好ましくはエーテル化セルロース誘導体であり、更に好ましくは、例 えばヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース及びヒドロキ シプロピルメチルセルロース等のメチルセルロースやヒドロキシアルキルセルロ ースの誘導体のような明瞭に定まり、精製され、USPに掲載されたものである 。この内メチルセルロースが最も好ましい。 ゲル化に有用なポリエチレングリコールは、典型的には適当な粘性を得るため 低分子量PEGと高分子量PEGの混合物である。例えば、分子量400-60 0のPEGと分子量1500のものとの混合物は、ペーストを得るのに妥当な割 合で混合するとこの目的には有効である。 多糖類やPEGについて適用される「水溶性」という用語は、コロイド溶液や 分散液も含む。一般には、セルロース誘導体の水溶性はエーテル基の置換度によ り決定され、ここで使用される安定化誘導体は水溶性に成し得るに足りる量のエ ーテル基をセルロース鎖の無水グルコース一単位当たりに有することが望ましい 。一般的に、エーテル置換度は無水グルコース一単位当たり少なくとも0.35 のエーテル基で十分である。また、セルロース誘導体はLi、Na、K又はCs 等のアルカリ金属塩の形態であっても良い。 ゲルにメチルセルロースが使用される場合、それは、好ましくはゲルの2−5 %の割合、更に好ましくは3%の割合で存在し、NTNRαはゲルの1ml当た り300−1000mgの量で存在する。 ある状況において、インプラント可能な半透過性隔膜装置は薬剤の投与手段と して有用である。例えば、可溶性NTNRα又はキメラを分泌する細胞をカプセ ル化し、その装置を患者の体内、例えばパーキンソン病の患者の脳内等にインプ ラントすることができる。Aebischerほかの米国特許第4892538号、Aebis cherほかの米国特許第5011472号、Aebischerほかの米国特許第5106 627号、PCT特許出願WO91/10425号、PCT特許出願WO 91/10470号、Winnほか,Exper.Neurology,113:322-329(1991)、Aebis cherほか,Exper.Neurology,111:269-275(1991)及びTrescoほか,ASAIO,38:1 7-23(1992)等を参照のこと。よって、特定の条件によってそれを必要とする患者 の体内にNTNRα、そのアゴニスト又はアンタゴニストを分泌する細胞をイン プラントすることを含む神経への損傷又はここで教示するような腎臓等のNTN R発現性又はNTN応答性細胞への損傷を防止又は治療する方法をも包含する。 最後に、本発明は神経の損傷又はここで教示するような他の細胞への損傷を防止 又は治療する、NTNRα(又はそのアゴニストもしくはアンタゴニスト)に対 して透過性であり、細胞に有害な患者からの成分に対して不透過性である半透過 性隔膜及びその隔膜内にカプセル化されるNTNRα(又は特定の条件によって はそのアゴニストもしくはアンタゴニスト)を分泌する細胞を含むインプラント 装置を包含する。NTN又はNTNRαをエキソビボで生成するように形質転換 された患者自身の細胞を直接的に、場合によってはカプセル化しないで、患者の 体内にインプラントすることも可能である。生存細胞の隔膜カプセル化技術は当 業者には周知であり、カプセル化細胞の調製及び患者内へのインプラントは実験 を行わなくとも実施できる。 本発明は、従って、必要とする患者の体内へ細胞をインプラントすることによ り神経損傷を予防もしくは治療する方法であり、細胞はNTNRαを生成するそ の自然の能力を有するものが選択されるかNTNRαを分泌するように設計され る。好ましくは、患者がヒトである場合、分泌NTNRαは可溶性のヒト成熟N TNRαである。埋込体は好ましくは非免疫原性であり及び/又はインプラント された免疫原性細胞を免疫系によって認識されることを防ぐ。CNS送達におい ては、好ましいインプラント部位は脊髄の脳脊髄液内である。 NTNRαの治療的に適用するのに有効な量は、例えば、治療目的、投与経路 、患者の状態等に依る。そのため、診療医は最適の治療効果を得るために、必要 な投与量を滴定し、投与経路を変更する必要がある。通常、望ましい結果が得ら れる投与量に到達するまでNTNRαを投与する。全身治療に対する典型的な一 日の用量は、上述した因子に応じて、1μg/kgないし10mg/kgあるい はそれ以上の範囲である。他の一般的な提案として、組織内に約0.1ng/c c より多く、効果的であるが必要以上毒性ではない最大量までのNTNRαの濃度 を確立できる量のNTNRαを処方し、目的部位又は組織内に送達させる。この 組織内濃度は可能であれば、連続注入、徐放、局所投与、NTNRαの発現性細 胞インプラント、又は実験的に決定された頻度での注射で保持するべきである。 この治療の進行状態は治療される病用の周知検定によって容易に監視できる。N TNRαをNTNと複合又は併用して投与する場合、NTNRα対NTN二量体 の比率が100:1ないし1:100であることが有効である。比率は、好まし くは10:1ないし1:10、より好ましくは1:1、更に好ましくはNTNR αのNTNに対する天然の結合比を反映する2:1である。所望の効果を得るの に有効なNTN量が投与される。全身的な治療に対する典型的な一日の投与量は 、上述した因子に依存して、約1μg/kgから10mg/kgまであるいはそ れ以上の範囲であろう。 NTNRα核酸はここで例を挙げる組換え方法によるNTNRαポリペプチド の調製に有用である。そのNTNRαは以下に述べる様々な用途を有する抗NT NRα抗体の生成に利用できる。 NTNRα(ポリペプチド又は核酸)は試験管内で細胞のNTN応答性を増加 させる(よって細胞生存率を増加し、Ret仲介下流経路を変調する)のに使用 できる。それら細胞は細胞表面Retを含むか含むよう変形されてなければなら ない。エキソビボで培養されるこれら細胞は、同時に、ここで述べるような他の 既知の神経栄養性因子又はサイトカインに暴露されてあっても良い。 本発明の更なる側面では、NTNRαを、自然又は人工リガンドの内、NTN Rαに結合するリガンドのアフィニティー精製する目的で使用できる。精製され るリガンドの内、NTNが好ましい。簡単に説明すると、この方法は(a)精製 されるべきNTNリガンドが選択的に固定されたNTNRαに吸着する状況にお いてNTNリガンド源を固定受容体に接触させ、(b)無吸着物を除去するため にNTNRα及びその支持体を洗浄し、(c)溶出緩衝液によってNTNリガン ドを固定NTNRαから溶出する工程を含む。アフィニティー精製の特に好まし い実施形態では、NTNRαは不活性かつ多孔性の基質又は樹脂(例えば、臭化 シアンとの反応を経たアガローズ)に共有結合をしている。特に好ましくはプロ テインAカラムに固定されたNTNRαイムノアドヘシンである。次に、NTN リガンドを含有する溶液をクロマトグラフィー材料を通過させる。NTNリガン ドはカラムに吸着し、その後溶出条件を変えることで(例えば、pHやイオン性 を変えることで)離脱される。新規リガンドはI125やビオチン化NTN等の周 知の標識NTNRαリガンドの置換を監視することで検出できる。 NTNRαはNTNRαに結合する可能性のあるアゴニストやアンタゴニスト の競合的スクリーニングに使用できる。これらのようなアゴニストやアンタゴニ ストはそれぞれ不充分又は過度のNTNRα活性化に特徴を有する疾患を治療す るための治療薬を構成できる。 NTNRαに結合する分子を同定するための好ましい方法はアッセイプレート の穴等の固相に付着したキメラ受容体(例えば、エピトープタグNTNRα又は NTNRαイムノアドヘシン)を利用する。任意に標識(例えば、放射標識)で きる候補分子の固定受容体への結合を測定することができる。あるいは、I125 NTN等の周知の標識されたNTNRαリガンドへ結合するための競合を測定す ることができる。アンタゴニストのスクリーニングのためには、NTNRαをN TNリガンドに暴露してから推定上のアンタゴニストに暴露し、又は同時にNT NリガンドとアンタゴニストをNTNRαに加え、アンタゴニストの受容体活性 化を阻止する能力を評価できる。 また、本発明は、NTNRαを強く発現し、つまりかなり低濃度のNTNやN TN式分子に対しても高い感受性を有する細胞を含む、NTN活性を検出する検 定システムをも提供する。本発明は、ペプチドや非ペプチド化合物への暴露によ るNTN活性又はNTN活性に似た活性を発明のNTNRα分子を発現するNT Nに応答する細胞又は株細胞におけるNTNに対する生理反応を測定することで 検出できる検定システムを提供する。生理反応はNTNのいずれの生物学的作用 を含むが、それはここで述べるものを含むが、それには限定されず、他に特定の 核酸配列の転写活性(例えば、プロモータ/エンハンサーエレメント並びに構造 遺伝子)、NTN関連処理、翻訳又はリン酸化、Ret仲介作用を含むNTNに よって直接的又は間接的に誘発されるプロセスに反応する二次プロセスの誘発、 及び神経突起発芽又は下神経節や後根神経節細胞、運動神経細胞、ドーパミン作 動性神経細胞、感覚神経細胞、プルキンエ細胞又は海馬細胞等の細胞の生存を支 持する能力などの形態学的変化をも含む。 本発明の一実施形態では、自己リン酸化Retタンパク質あるいはリン酸化E RK−1又はERK−2相同体(上記Kotzbauerほか参照)の発生の増加を検出 することによって、NTNとNTNRαとの機能的相互作用を観測できる。 本発明はNTN又はNTN様活性を検出する目的で化合物をスクリーニングす るために使用できる新規検定システムの開発にも役立つ。NTNと結合する標的 細胞は、NTNRαをコードする核酸の形質移入により産生でき、例えば蛍光活 性細胞選別、ロゼットの沈降又は限界希釈等により確認及び隔離できる。一度標 的細胞の株が産生か認識されると、NTNに対して極めて高感受性である細胞を 選出することが望ましい。そのような標的細胞はNTNRα分子をより多く有し ている可能性があり、例えば高発現性のものをフルオロホアでタッギングされた NTNでマークした後、免疫蛍光検出や細胞選別をすることでNTNRαを比較 的大量に有する標的細胞はNTNを多く結合する標的細胞を選択することで確認 できる。又、NTNに極めて高感受性である細胞はNTN結合に対して比較的強 力な生理反応、例えばRet仲介作用又はc−fosやc‐jun等の最初期遺 伝子産物の急激な増加を示す可能性がある。NTNに対して極めて高感受性であ る標的細胞を使用した検定システムを開発することで、本発明は低レベルのNT N活性も検出可能な、NTN又はNTN様活性を検出する目的のスクリーニング 方法を提供する。 特に、本発明は組換DNA技術を使用し、NTNに対して高感受性となるよう に操作されたNTN標的細胞を提供する。例えば、元々NTN応答性である細胞 にNTN受容遺伝子を挿入し、組換えNTNRα遺伝子を高レベルで発現するよ うにし、得られた操作後の標的細胞が細胞表面において多数のNTNRを発現す るようにしても良い。又、標的細胞は、NTN/受容体結合に反応して高レベル で発現される組換遺伝子を含むように操作することもできる。このような組換遺 伝子は、好ましくは容易に検出できる物質と付随している。例えば、これに限定 されないが、最初期遺伝子の転写制御領域(すなわち、プロモータ/エンハンサ 領域)を標的細胞に導入された構造体のレポータ遺伝子の発現を制御するために 利用できる。最初期遺伝子/レポータ遺伝子構造体は、強力なプロモータ/エン ハンサあるいは高いコピー数によって標的細胞において高レベルに発現されると 、NTNRα結合に対して増幅応答を発生することに利用できる。例えば、これ に限定されないが、NTN応答性のプロモータはβガラクトシダーゼ、成長ホル モン、クロラムフェニコールアセチル転移酵素、ネオマイシンリン酸転移酵素、 ルシフェラーゼ又はβグルクロニダーゼ等の検出可能なレポータ遺伝子の発現を 制御することに利用できる。当業者には周知であるこれらレポータ遺伝子産生物 の検出は医薬化合物のNTN又はNTN様活性に敏感な指標として利用できる。 ここで述べるNTNRαコードもしくはレポーター遺伝子作成物(例えば、可 溶性ECD)は、形質移入、電気穿孔、リン酸カルシウム/DEAEデキストラ ン法及びセルガンを含むがこれに限定されないこの分野において既知であるいず れの方法を使用しても標的細胞中に挿入できる。作成物や操作標的細胞は説明し た方法を使用してその中からNTNRα発現性標的細胞を選択できる、上記作成 物を導入遺伝子として有するトランスジェニック動物の産生に使用できる。 NTNRをコードする、望ましくは例えばマウスやラットのタンパク質のよう な非ヒト種の核酸、トランスジェニック動物かあるいはノックアウト動物を産生 するのに使用でき、これらは治療的に有用な試薬の開発やスクリーニングに使用 できる。トランスジェニック動物(例えばマウス)とは、出生前、例えば胚段階 で、その動物又はその動物の祖先に導入された導入遺伝子を含む細胞を有する動 物である。導入遺伝子とは、トランスジェニック動物が発生する細胞のゲノムに 組み込まれたDNAである。一実施形態では、NTNRαをコードするヒト及び /又はラットのcDNA、又はその適当な配列を、確立された方法によりNTN RαをコードするゲノムDNAをクーロン化するために使用し、NTNRをコー ドするDNAを発現する細胞を有するトランスジェニック動物を生産するために ゲノム配列を用いる。特にマウス等の動物のトランスジェニック動物を産生する 方法は周知であり、例えば米国特許第4736866号や第4870009号に 記されている。典型的には、特定の細胞を組織特異的エンハンサーでのNTNR α導入遺伝子の導入の標的にし、これによって治療で望む効果を得ることが可能 である。胚段階で動物の生殖系列に導入されたNTNRαをコードする導入遺伝 子のコピーを含むトランスジェニック動物はNTNRをコードするDNAの増大 した発現の効果を調べるために使用できる。このような動物は、例えばNTNに 関連した疾患を予防すると思われる試薬のテスター動物として利用できる。発明 の本実施形態では、動物を試薬で治療し、導入遺伝子を有する未治療の動物に比 べ疾患の出現率が低ければ、疾患に対する治療的処置の可能性を示す。 現在はミニ遺伝子を有するトランスジェニックマウスが好ましいとされる。先 ず、実施例で述べるように、融合酵素発現性作成物を作成し、細胞培養の発現に 基づき選択する。次いで、既知の方法によりその融合酵素を発現可能なミニ遺伝 子を作成する。特に好適な宿主は、発現に組織特異性である転写制御因子を含む ミニ遺伝子作成物を持つものである。 NTNRαミニ遺伝子を発現するトランスジェニックマウスは、例えば受精卵 の回収、雄性前核内へのDNA作成物の微量注入、及びホルモン操作された偽妊 娠の乳母の子宮への受精トランスジェニック卵の再注入を含む既知の方法を使用 して産生する。あるいは、例えば宿主種の胚幹細胞(Rossantほか,Philos.Tra ns.R.Soc.Lond.Biol.339:207-215(1993))又は始原生殖細胞(Vickほが,P hilos.Trans.R.Soc.Lond.Biol.251:179-182(1993))を使用した既知の方 法によりキメラを産生する。導入遺伝子の挿入は子孫マウスの尾から調製したD NAのサザンブロットによって評価できる。そのようなトランスジェニックマウ スは戻し交配してホモ接合体を得る。 導入遺伝子は、5'側にイントロンを含み、そのイントロンが天然に生じるイ ントロンである場合より効率的に発現されることは既に確認されている(Brinst erほか,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,85:836(1988)、Yokodeほか,Science 25 0:1273(1990))。 NTNRαミニ遺伝子を発現するトランスジェニックマウスはトランスジェニ ックマウスを産生するための周知の方法を使用して産生する。トランスジェニッ クマウスは現在は標準的な方法によって作成する(ほか,Proc.Natl.Acad.Sc i.USA,85:836(1988);Yokodeほか,Science 250:1273(1990);Rubinほか,Pro c.Natl.Acad.Sci.USA,88:434(1991);Rubinほか,Nature,353:265(1991) )。時間制限交尾による受精卵はPBSで軽く洗浄して卵管から収集し、 100ナノリットル未満のDNA溶液を微量注入して雄性前核中に約104個の DNA分子を送り込む。注入が成功した卵子は次に卵管転移によって偽妊娠の乳 母に再移植する。微量注入された卵子の内、トランスジェニック子孫が得られる のは僅か5%にも満たなく、この内僅か1/3しか能動的に導入遺伝子を発現し ない。この数はおそらく導入遺伝子がゲノムに導入される部位に影響される。 トランスジェニック子孫は、好ましくは短い尾の断片からDNAを調製し、サ ザンブロットにより導入遺伝子の有無について分析すること「テイルブロット」 でゲノム内への微量注入された導入遺伝子の導入を確かめることによって確認さ れる。好ましいプローブは導入遺伝子にのみ存在し、マウスゲノムには存在しな いミニ遺伝子融合作成物のセグメントである。あるいは、導入遺伝子内のコドン の天然配列を同一ペプチドをなおコードする異なる配列で置換するとDNA及び RNA分析によって確認できる独特の領域が得られる。このようにして確認され たトランスジェニック開祖マウスを通常のマウスと繁殖させてヘテロ接合体を得 、これを戻し交配してトランスジェニックマウスの系統を作る。その系統が確立 してホモ接合性になるまで、各世代の各マウスのテイルブロットを分析する。そ れぞれの首尾よく作られた開祖マウス及びその系統は、マウスゲノムに挿入され た導入遺伝子の場所及びコピー数において他の系統とは異なり、そのため導入遺 伝子の発現性も大きく異なる。各々確立した系統から複数の動物を選択し、生後 二ヶ月で屠殺し、肝臓、筋肉、脂肪、腎臓、脳、肺、心臓、脾臓、性線、副腎及 び腸のRNAのノーザンブロットにより導入遺伝子の発現性を分析する。 あるいは、NTNRαの非ヒト相同体は、動物の胚性細胞に導入された変更ゲ ノムNTNRαDNAと内在性のNTNRα遺伝子との間の相同的組換えによっ て、NTNRα「ノックアウト」動物、すなわちNTNRをコードする欠陥又は 変更遺伝子を有する動物を作成するために使用できる。例えば、マウスのNTN RαcDNAは周知の方法によりゲノム性NTNRaDNAのクローニングに使 用できる。ゲノム性NTNRαDNAの一部(例えば、細胞外ドメイン等をコー ドするエキソン)を欠失したり、組み込みを監視するために使用する選択可能な マーカーをコードする遺伝子等の他の遺伝子で置換することができる。典型的に は、無変化のフランキングDNA(5'と3'端両方)の数キロベースがベクター に含められる(相同的組換えベクタについてはThomas and Capecchi,Cell 51:5 03(1987)参照)。ベクターは胚性幹細胞に(例えば電気穿孔法等によって)導入 し、導入されたDNAが内在性DNAと相同的に再結合した細胞を選択する(例 えば、Liほか,Cell 69:915(1992)参照)。選択された細胞は次に動物(例えば マウス)の胚盤胞内に注入され、集合キメラを形成する(Bradley,in Teratoca rcinomas and Embryonic Stem Cells:A Practical Approach,E.J.Robertson ,ed.(IRL,Oxford,1987),pp.113-152参照)。その後、キメラ性胚を適切な 偽妊娠の雌性乳母に移植し、孵化させてノックアウト動物を作る。胚細胞に相同 的に組替えられたDNAを有する子孫は標準的な方法によって確認し、それらを 利用して動物の全細胞が相同的に組替えられたDNAを含む動物を繁殖させるこ とができる。ノックアウト動物は移植を許容し、腫瘍を拒絶し、感染症に対して 防御する能力によって特徴付けられ、基礎的な免疫生物学の研究に使用できる。 本発明の実施により組換えDNA分子と形質転換宿主動物を産生するために使 用できる上記の方法の他に、他の周知の方法とその変更方法を使用して発明を実 施することができる。例えば、米国特許第4736866号は胚細胞及び体細胞 が胚段階で動物又は動物の祖先に導入された遺伝子配列を含むトランスジェニッ ク非ヒト真核動物を産生するためのベクター及び方法を開示する。米国特許第5 087571号は(1)全ての胚細胞及び体細胞が胚段階で導入された組換え遺 伝子配列を含むトランスジェニック非ヒト哺乳類を提供し、(2)該体細胞を一 つ以上培養することを含む細胞培養の提供方法を開示する。米国特許第5175 385号は体細胞及び胚細胞が、好ましくは微量注入によって、胚段階でマウス 又はそのマウスの祖先に導入された遺伝子を含み、その遺伝子を所望の表現型を 得るのに十分なレベルで発現するトランスジェニックマウスを産生するためのベ クター及び方法を開示する。異種性遺伝子発現を促進するために部分的に構成的 なプロモータ、すなわちメタロチオネインプロモータが使用された。米国特許第 5175384号は胚を導入遺伝子を含むレトロウイルスに感染させることで胚 に導入遺伝子を導入する方法を開示する。米国特許第5175383号はマウス の泌尿生殖器において遺伝子を発現するために有効である異種性及び誘導性のプ ロモータと操作可能に連結された宿主細胞に対して相同的な遺伝子を有し、導入 遺伝子は胚段階でマウスに導入してトランスジェニックマウスを産生する、DN A作成物を開示する。相同性の遺伝子が導入されても、内因性コード配列の位置 とは異なる部位でマウスの染色体に遺伝子を組み込むことができる。適当な誘導 性プロモータとして重要なMMTVプロモータが開示される。米国特許第516 2215号はトランスジェニック動物を産生するために多能性幹細胞を使用して ニワトリ、シチメンチョウ、ウズラ又はカモ等の家畜種を含む鳥類のためのトラ ンスジェニックベクター及び方法を開示する。米国特許第5082779号は遺 伝子の組織特異性発現性を有するトランスジェニック動物を産生するために使用 できる下垂体特異性発現プロモータを開示する。米国特許第5075229号は 、胎児の造血生肝細胞のゲノムに組み込まれるよう、ベクターを宿主胎児の腹腔 に注入することで、造血生肝細胞が肝臓特異性プロモータによって促進される機 能性遺伝子を含み、発現するトランスジェニックのキメラ動物を産生するベクタ ー及び方法を開示する。 上記の特許及び文献の内いずれかは本発明の範囲に属しない特定の遺伝子産物 又は物質の産生又は使用に関するが、そこに記述された方法は、発酵や遺伝子工 学の分野における当業者によって本明細書で説明した本発明の実施に対して容易 に変更可能である。 本発明の検定システムは、NTN関連疾患の治療に使用する製薬化合物の効率 的なスクリーニングを可能とする。例えば、これに限定されるものではないが、 小脳の退化に対するNTN活性及び治療効能に関して製薬剤をスクリーニングす ることが望ましい。本発明の一実施態様では、NTNに反応する細胞を確認し、 単離し、多穴培養皿の微小穴内で培養する。被験剤添加又はNTN添加培地を多 数の希釈度で適切な対照と共にウェルに加える。その後、細胞を生存率の改善及 び神経突起の発芽等について調べ、被験剤及びNTNの活性又は関連する活性を 定測する。例えば、NTNのように毒性攻撃や軸索切断に対し運動神経細胞死を 防止できるNTN様化合物を確認できる。NTN応答性運動神経は、運動神経疾 患の治療に有用な化合物を確認するための検定システムに使用できる。特定の疾 患が特定の組織において欠陥のNTN応答に関連付けられると、その疾患に対す る合理的な治療法は患者に外来性のNTNを供給することである。しかし、内在 性のNTNより長い半減期を有し、又はNTNアゴニストとして機能し、又は特 定の組織を標的にする分子を開発することが望ましい。よって、本発明の方法は 、所望の性質を有する分子を同定するために使用できる効率的かつ感度の良好な スクリーニングシステムを得るために使用できる。同様の検定システムを使用し て、NTNアンタゴニストも同定できる。 また、本発明はNTN及びその受容体の生理的役割を研究するための実験的モ デル系を提供する。このような系は(i)NTN結合について細胞受容体との競 合する循環性NTNRαペプチドに曝され、NTN不全状態になっている動物、 (ii)NTNRによって免疫化された動物、(iii)NTNRαを高レベルで発 現し、NTNに対して過敏性であるトランスジェニック動物又は(iv)胚性幹細 胞技術を使用してゲノムから内在性NTNRα遺伝子が除去された動物等の動物 モデルを含む。 更に、本発明はNTN及びその受容体の生理的役割を研究するための実験的モ デル系を提供する。これらモデル系では、NTNRαタンパク質、ペプチド断片 又はその誘導体は系に供給されても系内で産出されても良い。このようなモデル 系はNTN過剰又はNTN不全の作用を調べるために使用できる。実験的モデル 系は、細胞又は組織培養内、動物全体内、動物全体又は組織培養系における特定 の細胞や組織内、あるいはNTNRα発現が誘発性又は発達的に制御されたプロ モータによって調節される実施形態では特定の時間経過(胚形成時も含む)にお けるNTNに対する反応の低下又は増加の効果を研究するのに使用できる。本発 明の特定の実施形態では、CMVプロモータをトランスジェニック動物における NTNRαの発現の制御に使用できる。ここで述べるトランスジェニック動物は 、微量注入法、細胞融合法、形質移入法及び電気穿孔法を含むがこれらに限定さ れない当該分野において周知のあらゆる方法によって産生できる。 本発明はNTNRαに対して自己免疫反応を起こす自己免疫疾患のモデル系を 提供する。このようなモデルは免疫原性量のNTNRαで免疫化され、好ましく は抗NTNRα抗体及び/又は細胞仲介免疫性を作り出すことが見出される動物 を含む。モデル系を作るためには、NTNRαを免疫性アジュバントと共に投与 することが望ましい。 これに限定されるものではないが、例えば、過剰NTN活性の効果を研究する ための実験的モデル系を作成できる。このような系ではモデル系の細胞を、操作 されていない細胞に比べ、より多数のNTNRを含むよう操作し、NTNに対す る応答性を増大させる。これらの細胞はRet、又はNTNRαと相互作用を成 し得、NTNシグナルを仲介できるシグナル伝達分子をも発現するべきである。 通常はNTNRを発現する細胞に選択的により多数のNTNRを設けることが望 ましい。細胞は、本発明のNTNRα遺伝子を保有するウイルスで感染すること によって、NTNRαをより多数産出するように操作できる。あるいは、形質移 入によって、細胞にNTNRα遺伝子を設けても良い。モデル系が動物である場 合、NTNRα遺伝子を保有するウイルスによる感染又はここで述べる他の方法 で組換えNTNRα遺伝子を動物の細胞内に導入することができる。例えば、N TNRα遺伝子を導入遺伝子として有するトランスジェニック動物を産生できる 。NTNRの発現を確実にするためには、NTNRα遺伝子を適当なプロモータ 配列の制御下に置く。NTNRα遺伝子を構成的及び/又は組織特異性プロモー タの制御下に置くことが望ましい。細胞NTNRの数を増やすことで、内在性N TNに対する応答性を増大させることができる。モデル系にはNTNが少量しか 存在しないか全く存在しない場合、系にNTNを添加することができる。過剰N TN活性の効果を評価するために、モデル系に更なるNTNを追加することもま た望ましい。NTN(又は分泌されたNTN)の過剰発現は、NTNRを既に発 現している細胞に対する高レベルのNTNの効果を調べるために望ましい方法で ある。更に望ましくは、全細胞においてNTNRαを発現し(一般発現)、どの 細胞がNTNに対する機能的応答性を付与されたかを判断することで、存在する ならば、第2の受容体成分を確認できるようになる。 NTN活性の低下の作用について研究を行うために使用できる実験的モデル系 を作成できる。この系は、NTNを必要とし治療の対象になり得るプロセスや神 経細胞の同定を可能とする。このような系では、細胞の表面には結合していない かあるいはNTNに対する応答を伝達しにくくなるよう操作された組換えNTN Rを提供することでNTN応答性を軽減することができる。例えば、NTNRα タンパク質、ペプチド又は誘導体を系に供給し、供給された受容体が内在性NT NRαとNTN結合について競合し、NTN応答性を軽減するようにできる。N TNRαは系に追加されるかあるいは系によって産生される無細胞受容体であっ ても良い。例えば、産生する細胞から分泌される無アンカーNTNRαのような 、膜貫通ドメインを有しないNTNRαタンパク質が系内の細胞によって産生さ れる。あるいは、NTNRαタンパク質、ペプチド又は誘導体を系内の細胞外空 間に添加することができる。本発明の更なる実施形態では、相同体組換えによっ て内在性遺伝子を無活性化あるいはノックアウトするために組換えNTNRα遺 伝子を使用して、低NTNRαの細胞、組織又は動物を作ることができる。例え ば、これに限定されるものではないが、NTNRαを無活性化するネオ遺伝子等 の挿入性変異を含むように組換えNTNRα遺伝子を操作する。このような作成 物は、適当なプロモータの制御下で、形質移入、形質導入、注入等々の方法によ って胚幹細胞等の細胞に導入する。その後、作成物を含む細胞をG418抵抗性 により選択できる。無傷のNTNRα遺伝子を持たない細胞は、例えばサザンブ ロットノーザンブロット又は発現性検定により同定できる。無傷のNTNRα遺 伝子を含まない細胞は初期胚細胞に融合して、NTNR欠乏性のトランスジェニ ック動物を産生する。そのような動物を内在性NTNを発現しない動物と比較す ると、二つの表現型は完全に一致するか一致しないかが明らかになり、一致しな い場合、他のNTN様因子や受容体の存在を裏付ける。そのような動物は、通常 NTN又はその受容体に依存する神経細胞集団等の特定の細胞集団や任意の他の インビボプロセスを定めるために利用できる。よって、その動物がNTNRを発 現できなく、そのためNTNに反応できない場合、それら集団やプロセスは影響 を受けることが予想できる。あるいは、内在性の受容体とNTNについて競合す る組換えNTNRαタンパク質、ペプチド又は誘導体を、系内の細胞の表面上に 発現しても良い、NTN結合に対する応答を伝達しないように操作しても良い。 上記の組換えNTNRαタンパク質、ペプチド又は誘導体は、NTNに対する内 在性NTNRαの親和性と同様であるかあるいは異なる親和性でNTNと結合す る。より効果的にNTNに対する応答性を下げるには、NTNRαタンパク質、 ペプチド又は誘導体は、天然の受容体が示すより高い親和性でNTNと結合する ことが好 ましい。NTNRαタンパク質、ペプチド又は誘導体がモデル系内で産生される のであれば、そのNTNRαタンパク質、ペプチド又は誘導体をコードする核酸 を感染、形質導入、形質移入等によって、又は導入遺伝子として、系に供給する ことができる。上述したように、NTNRα遺伝子は適当なプロモータによって 制御されても良く、それは例えば組織特異性プロモータ又は誘発性プロモータ又 は発生的に調節されるプロモータであっても良い。本発明の具体的な実施形態で は、細胞の内在性NTNRα遺伝子は相同性組換えにより変異体NTNRα遺伝 子で置換される。本発明の更なる実施形態では、NTNRαタンパク質の発現を 低下させるために有効な量のNTNRαアンチセンスRNA又はDNAをNTN Rα発現性細胞に与えることによってNTNR発現を低下させる。 本発明のポリペプチドはまた動物の食料添加物として使用される。本発明の核 酸はこれらのポリペプチドを調製する際に使用される。 NTNRαポリペプチドは分子量マーカーとしても有用である。NTNRαポ リペプチドを分子量マーカーとして使用するには、分子量を実質的に通常の方法 で求めたいタンパク質を分類するために、例えばゲル濾過クロマトグラフィー又 はSDS−PAGEを使用する。ある範囲の分子量を得るためにNTNRα、好 ましくは可溶性NTNR及び他の分子量マーカーを基準として使用する。例えば 、ホスホリラーゼb(mw=97,400)、ウシ血清アルブミン(mw=68 ,000)、卵白アルブミン(mw=46,000)、トリプシン阻害剤(mw =20,100)及びリゾチーム(mw=14,400)をMWマーカーとして 使用できる。ここで述べた他の分子量マーカーはイリノイ州、アーリングトン・ ハイツのアマシャム・コーポレーションから購入できる。分子量マーカーは通常 その検出を容易にするために標識が付される。例えば、マーカーをビオチニル化 し、分離後、多種のマーカーが光検出によって確認できるようにストレプトアビ ジン―西洋わさびペルオキシダーゼでインキュベートすることができる。 精製されたNTNRα及びそれをコードする核酸は、正常な成長と発達、並び に異常な成長と発達、例えば悪性な成長におけるNTNRα及びNTNリガンド の役割を調べるためのNTNRα及びそのリガンドの機構研究の試薬としても販 売できる。NTNRαプローブは、正常状態又は疾患状態においてNTNに応答 性を有する細胞や組織を同定するために使用できる。例えば、NTN関連疾患に かかっている患者はNTNR発現に異常を示す場合がある。本発明は細胞におけ るNTNRα発現を検出することからなるNTN応答性の細胞を同定する方法を 提供する。NTNRα発現はNTNRα・mRNAの転写やNTNRαタンパク 質の生成によって示される。NTNRα発現はNTNRα核酸やタンパク質を認 識するプローブを使用して検出できる。NTNRα発現の検出に使用できる一種 のプローブとしては、インサイツハイブリッド形成法、ノーザンブロット分析法 又はPCRによる方法等を含むが、これらに限定されないこの分野において既知 のあらゆる方法によってNTNRをコードするRNAを検出するために使用でき る核酸プローブがある。他に使用できるプローブとしては、ここで述べるタグN TNがある。 本発明では、タグNTNは、細胞に対するNTNの結合又は付着を促進する条 件下で上記細胞と共にインキュベートする。多くの場合、これは標準の培養条件 で十分である。例えば、本発明の一実施形態では、タグNTNの存在下で細胞を 約30分間インキュベートする。タグが抗体分子の場合、NTNを先ず細胞に結 合させ、次いで細胞を洗浄して未結合分子を除き、次いで抗NTN抗体タグを添 加することが望ましい。本発明の他の実施形態では、NTN応答性細胞の表面上 のタグNTNは、タグに結合可能なインディケータ細胞を、タグNTNを有する 細胞と共にインキュベートし、標的細胞のタグNTNに付着させ、結合したイン ディケータ細胞がNTNタグ保有細胞の周囲にロゼット様クラスターを形成する ようにするロゼット検定法によって確認する。これらロゼットは標準的顕微鏡法 によりプレート上の細胞で見ることができ、あるいは密度遠心法によりロゼット 化細胞と非ロゼット化細胞の分離を可能とする。本発明の好適な特定の実施形態 では、神経細胞等の標的細胞。本発明の他の実施例では、タグと反応する分子、 好ましくは抗体が、直接的又は間接的に蛍光を発生する免疫蛍光法を利用して標 的細胞の表面上のタグNTNを検出する。蛍光は顕微鏡で観察するかあるいは蛍 光活性化細胞選別法によりタグNTN保有細胞を隔離するために使用される。本 発明は色素生産性タグや触媒作用性タグ等の他の種類のタグを検出する方法も提 供する。抗NTNRα抗体をプローブとして使用することもできる。特定のタグ の検出方法はタグからシグナルを発生させるために必要な条件によるが、当業者 にとっては明らかであろう。 NTNRα変異体は、使用される分析系によって認識できるもの、例えば抗N TNRα抗体等であれば、例えばELISA、RIA又はRRA等のNTNRα 検定法における標準や対照として使用できる。 一般に、ポリクローナル抗体は動物において、該当する抗原及びアジュバント を数回皮下(sc)又は腹腔内(ip)注射することで産生させる。好ましいエ ピトープはNTNRαのECD内にあるため、NTNRaECD又はECDを含 む分子(例えば、NTNRαイムノアドヘシン等)をポリクローナル及びモノク ローナル抗体の産生のための抗原として使用することが望ましい。関連した抗原 を、例えばマレイミドベンゾイルスルホスクシンイミドエステル(システイン残 基による抱合)、Nヒドロキシスクシンイミド(リシン残基による)、グルタル アルデヒド、無水コハク酸、SOCl2又はR1N=C=NR(ここで、R及びR1 は異なるアルキル基である)等の二官能性又は誘導体化剤を使用してキーホー ルリンペットヘモシアニン、血清アルブミン、ウシサイログロブリン又は大豆ト リプシンインヒビターのような免疫化される種において免疫原性のタンパク質に 抱合することが有用である。 動物は、1mg又は1μgのペプチド又は抱合体(ウサギ又はマウスにそれぞ れ)を3容量のフロイント完全アジュバントと混合して得た溶液を複数の部位に 皮内注射することで抗原、免疫原性抱合体又は誘導体に対して免疫化する。一ヶ 月後、動物をフロイント完全アジュバントに入れたペプチド又は抱合体の元の1 /5から1/10の量を複数の部位に皮下注射して追加免疫する。7日から14 日後、動物から採血し、血清を検定して抗体価を求める。抗体価がプラトーに達 するまで追加免疫する。望ましくは、動物は同一の抗原の抱合体で追加免疫する が、他のタンパク質に及び/又は他の架橋試薬によって抱合する。抱合体はタン パク質融合体として組換え細胞培養中に形成できる。また、免疫反応を増強する ためミョウバン等の凝集剤を使用する。 モノクローナル抗体は実質的に均質の抗体集団から得る、すなわち集団を構成 する各抗体は、僅かに存在する天然に生じる突然変異を除いて同一である。従っ て、モノクローナルという修飾語は別々の抗体の混合体ではないという抗体の特 徴を示す。 モノクローナル抗体は、例えばKohlerほか,Nature,256:495(1975)において 初めて記されたハイブリドーマ法又は組換えDNA法(上記Cabillyほか)によ って生成できる。 ハイブリドーマ法では、マウス又はハムスター等の適当な宿主動物を上述する 方法で免疫化することで、免疫化に用いるタンパク質に特異的に結合する抗体を 生成するかあるいは生成する機能を有するリンパ球を誘発する。あるいは、リン パ球をインビトロで免疫化することもできる。次いで、ポリエチレングリコール 等の適当な融合剤を用いてリンパ球を骨髄腫細胞に融合させ、ハイブリドーマ細 胞を形成する(Goding,Monoclonal Antibodies:Principles and Practice,pp .59-103(Academic Press,1986))。 こうして調製されたハイブリドーマ細胞は、好ましくは未融合の親骨髄腫細胞 の成長又は生存を阻止する一又は複数の物質を含有する適切な培地で播種し、生 育させる。例えば、親骨髄腫細胞が酵素のヒポキサンチングアニンホスホリボシ ルトランスフェラーゼ(HGPRT又はHPRT)を欠いていると、ハイブリド ーマの培地は典型的にはヒポキサンチン、アミノプテリン及びチミジン(HAT 培地)を含み、この物質がHGPRT欠乏性細胞の成長を阻止する。 効率的に融合し、選択された抗体生成細胞による安定した高レベルの抗体生成 を支援し、HAT培地のような培地に対して感受性である骨髄腫細胞が望ましい 。その内、望ましい骨髄腫株化細胞として、米国カリフォルニア州、サンディエ ゴのSalk Institute Cell Distribution Centerより入手可能であるMOPC− 21及びMPC−11マウス腫や米国メリーランド州、ロックヴィルのアメリカ ンタイプ カルチャー コレクションより入手可能であるSP−2細胞から得ら れるようなマウス骨髄腫株がある。ヒトモノクローナル抗体を生成するためのヒ ト骨髄腫及びマウス−ヒト異種骨髄腫株化細胞も開示されている(Kozbor,J.I mmunol.,133:3001(1984)、Brodeurほか,Monoclonal Antibody Production Tec hniques and Applications,pp.51-63(Marcel Dekker,Inc.,New York,1987 ))。 ハイブリドーマ細胞が成長している培地を抗原に対するモノクローナル抗体の 生成について検定する。好ましくは、ハイブリドーマ細胞によって生成されたモ ノクローナル抗体の結合特異性は免疫沈降又はラジオイムノアッセイ(RIA) や酵素結合免疫測定法(ELISA)等のインビトロ結合検定法によって求める 。 モノクローナル抗体の結合親和性は、例えばMunsonほか,Anal.Biochem.,10 7:220(1980)によるスキャッチャード分析法によって求めることができる。 所望の特異性、親和性及び/又は活性を示す抗体を生成するハイブリドーマ細 胞が確認されたら、クローンを制限希釈工程を経てサブクローニングし、標準的 な方法で成長させることができる(上記Goding)。この目的のための適当な培地 としては、例えばD−MEMやRPMI−1640倍地等がある。更に、ハイブ リドーマ細胞は動物においてインビボで腹水腫として成長させることもできる。 サブクローンによって分泌されるモノクローナル抗体は、例えばプロテインA セファロース法、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィー、ゲル電気泳動法 、透析法又はアフィニティークロマトグラフィー等の通常の免疫グロブリン精製 方法によって培地、腹水液又は血清から適切に分離する。 NTNと受容体への結合を阻止するMAbの能力は、入手可能な試薬(NTN Rαを発現する安定な形質移入CHO株化細胞であるrhNTNr−IgG)を 用いてELISA及び生物検定によって評価できる。中和活性は神経細胞生存率 検定法によって評価できる。 NTNR特異性MAbは、例えば受容体イムノアドヘジン及び形質移入株化細 胞を使用して、潜在的なアゴニストやアンタゴニストとして利用できるNTNR 特異性MAbを生成するための新しい免疫化プロトコールを導入する目的や免疫 組織化学、免疫細胞化学及びアッセイ開発のために開発できる。免疫化動物の融 合により生成されるMAbは生物検定法(例えば、ニューロン生存率検定法、シ グナル伝達/リン酸化、腎細胞生存率検定法)並びにELISA及びFACS( NTN−NTNRα結合の機能的ブロッキング)によってアゴニスト及びアンタ ゴニスト活性についてスクリーニングできる。適切な方法は、例えばLucasほか ,J.Immunol.145:1415-1422(1990)、Hoogenraadほか,J.Immunol.Methods 6 :317-320(1983)、Moksほか,Eur.J.Biochem.85:1205-1210(1986)、 Laemmli,Nature(London)227:680-685(1970)及びTowbinほか,Proc.Natl.Ac ad.Sci.USA 76:4350-4354(1979)に記されている。 モノクローナル抗体をコードするDNAは通常の方法によって(例えば、マウ ス抗体の重鎖及び軽鎖をコードする遺伝子に特異的に結合可能なオリゴヌクレオ チドプローブを使用して)単離及び配列決定することができる。ハイブリドーマ 細胞はそのようなDNAの好ましい供給源である。一度単離されたら、DNAは 発現ベクター内に配することができ、発現ベクターは、大腸菌、サルCOS細胞 、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞又はその他免疫グロブリンタンパ ク質を生成しない骨髄腫細胞等の宿主細胞に形質移入することで、組換え宿主細 胞内でモノクローナ抗体の合成を達成できる。抗体をコードするDNAの細菌中 での組換え発現に関する論文として、Skerraほか,Curr.Opinion in Immunol. , 挙げられる。 更なる実施形態では、McCaffertyほか,Nature,348:552-554(1990)による方 法を利用して、抗体又は抗体断片を、産生された抗体ファージライブラリから単 離できる。Clacksonほか,Nature,352:624-628(1991)及びMarksほか,J.Mol. Biol.,222:581-597(1991)は、それぞれファージライブラリを使用したマウス及 びヒト抗体の単離を記す。その後の文献では、鎖シャフリングによる高親和性( nM領域)ヒト抗体の産生(Markほか,Bio/Technology,10:779-783(1992))並 びに大規模のファージライブラリを構成するための方策としての組み合わせ感染 及びインビボ組換え(Waterhouseほか,Nuc.Acids.Res.21:2265-2266(1993) )が記されている。これらの方法はモノクローナル抗体を単離するための従来の モノクローナル抗体ハイブリドーマ法に代わる有力な方法である。 DNAは、例えば相同生マウス配列をヒトの重鎖及び軽鎖定常ドメインで置換 すること(上記Cabillyほか、Morrisonほか,Proc.Nat.Acad.Sci.USA,81:6 851(1984))あるいは免疫グロブリンコード配列に非免疫グロブリンポリペプチ ドのコード配列の一部又は全部を共有的に結合させることで変更できる。 典型的にはそのような非免疫グロブリンポリペプチドは抗体の定常ドメインの 代わりに置換するが、抗体の一つの抗原結合部位の可変ドメインの代わりに置換 し、ある抗原に対する特異性を有する抗原結合部位及び異なる抗原に対する特異 性を有する他の抗原結合部位を含むキメラ二価抗体を産生する。 キメラ又はハイブリッド抗体は架橋剤を用いるものを含む合成タンパク質化学 における既知の方法を使用してインビトロで調製することができる。例えば、ジ スルフィド交換反応を使用して又はチオエーテル結合を形成することにより免疫 毒素を構築できる。この目的に適する試薬としてイミノチオレート及びメチル− 4−メルカプトブチリミデートがある。 非ヒト抗体をヒト化する方法は周知である。一般的に、ヒト化抗体は非ヒト由 来の一又は複数のアミノ酸残基その中に導入される。これら非ヒトアミノ酸残基 は、しばしば、典型的には「移入物」可変ドメインから得られる「移入」残基と 称されている。ヒト化は本質的にげっ歯類のCDR又はCDR配列でヒト抗体の 該当する配列を置換することにより、ウインター及び共同研究者(Jonesほか,N ature,321:522-525(1986)、Riechmannほか,Nature,332:323-327(1988)、Verh oeyenほか,Science,239:1534-1536(1988))の方法に従って実施できる。よっ て、かかるヒト化抗体は、無償のヒト可変ドメインより実質的に少ない分が非ヒ ト種由来の該当する配列で置換されたキメラ性抗体(上記Cabillyほか)である 。実際には、ヒト化抗体は典型的にはある程度のCDR残基及び場合によっては いくらかのFR残基がげっ歯類抗体の類似する部位からの残基によって置換され るヒト抗体である。 抗原性を軽減するには、ヒト化抗体を産生するために使用するヒトの軽及び重 可変ドメインの両方の選択が非常に重要である。いわゆる「ベストフィット」法 では、げっ歯類抗体の可変ドメインの配列を既知のヒト可変ドメインライブラリ 全体に対してスクリーニングする。げっ歯類のものと最も類似するヒト配列を次 にヒト化抗体のヒトフレームワーク(FR)として認める(Simsほか,J.Immun ol.,151:2296(1993)、Chothiaほか,J.Mol.Biol.,196:901(1987))。他の方 法では、軽又は重鎖の特定のサブグループのヒト抗体全てのコンセンサス配列か ら引き出す特定のフレームワークを使用する。同じフレームワークをいくつかの 異なるヒト化抗体に使用できる(Carterほか,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,89 :4285(1992)、Prestaほか,J.Immunol.151:2623(1993))。 更に、抗体は、抗原に対する高親和性や他の好ましい生物学的性質を保持した 状態でヒト化されることが重要である。この目標を達成するべく、好ましい方法 では、親及びヒト化配列の三次元モデルを使用して、親配列及び様々な概念的ヒ ト化産物の分析工程を経てヒト化抗体を調製する。三次元免疫グロブリンモデル は容易に入手可能であり、当業者にはよく知られている。選択された候補免疫グ ロブリン配列の推測三次元高次構造的構造を図解し、表示するコンピュータプロ グラムは購入可能である。これらの表示を見ることで、候補免疫グロブリン配列 の機能における残基の可能な役割の分析、すなわち候補イムノグログリンの抗原 を結合する能力に影響を及ぼす残基の分析を可能とする。このようにして、例え ば標的抗原に対する高親和性等の望ましい抗体特性が得られるように、FR残基 をコンセンサス及び移入配列から選択し、組み合わせることができる。 その他、現在では、免疫化することで、内在性免疫グロブリンが生成されない 状態でもヒト抗体の完全リパートリを生成することができるトランスジェニック 動物(例えばマウス)を産生することが可能である。例えば、キメラ及び生殖系 列変異体マウスにおける抗体重鎖結合領域(JH)のホモ接合性欠失は内在性抗 体生成の完全阻止を招くことが記されている。そのような生殖系列変異体マウス にヒト生殖系列免疫グロブリン遺伝子配列を移すと、抗原による誘発時にはヒト 抗体の生成を引き起こす。例えば、Jakobovitsほか,Proc.Natl.Acad.Sci.U SA,90:2551(1993)、Jakobovitsほか,Nature,362:255-258(1993)、Bruggerman ほか,Year in Imnluno.,7:33(1993)を参照。ヒト抗体はファージ表示ライブラ リ(Hoogenboomほか,J.Mol.Biol.,227:381(1991)、Marksほか,J.Mol.Bio l.,222:581(1991))において産生することもできる。 二特異性抗体(BsAb)とは、少なくとも二つ以上の異なる抗原に対して結 合特異性を有する抗体である。BsAbは腫瘍のターゲティング剤又はイメージ ング剤として使用でき、NTNRαを含む細胞に酵素や毒素等をターゲティング するために使用できる。そのような抗体は、全長抗体又は抗体断片(例えばF( ab')2二特異性抗体)から得られる。本発明によると、BsAbはNTNRα を結合する一つのアームとサイトカイン又はTPO、EPO、G−CSF、IL −4、IL−7、GH、PRL等の受容体、IL−3、GM−CSF、IL−5 、 IL−6、LIF、OSM及びCNTF受容体のα又はβサブユニット、又はI L−2受容体複合体のα、β又はyサブユニット等の他のサイトカイン受容体( 又はそのサブユニット)と結合する別のアームを有している。 二特異性抗体を生成する方法は当該技術分野において周知である。従来の全長 二特異性抗体生産は、二つの鎖が異なる特異性を持つ二つの免疫グロブリン重鎖 一軽鎖対の同時発現(Millsteinほか,Nature,305:537-539(1983))に基づく。 免疫グロブリンの重鎖と軽鎖のランダムな混合のため、これらハイブリドーマ( クアドローマ)は10種の異なる抗体分子の潜在的混合物を生成し、その内一種 のみが正しい二特異性構造を有する。正しい分子の精製は、アフィニティークロ マトグラフィー工程によって通常行われるが、かなり厄介であり、収率は低い。 同様な方法は1993年5月13日公開のWO 93/08829及びTrauneckerほか,EMB O J.,10:3655-3656(1991)に開示されている。 他のより好ましいアプローチによれば、所望の結合特異性(抗体―抗原組合せ 部位)を有する抗体可変ドメインを免疫グロブリン定常ドメイン配列に融合する 。融合は、好ましくは少なくともヒンジ、CH2及びCH3領域の一部を含む免 疫グロブリン重鎖定常ドメインとである。少なくとも一つの融合には軽鎖結合に 必要な部位を含む第一の重鎖定常領域(CH1)が存在することが望ましい。免 疫グロブリン重鎖融合をコードするDNAと、所望されれば免疫グロブリン軽鎖 を、別々の発現ベクター中に挿入し、適当な宿主生物内に同時形質移入する。こ れは、構築に使用される三つのポリペプチド鎖の不等の比が最高の収率をもたら す態様において、三つのポリペプチド断片の相互の比率を調整する際に大なる柔 軟性をもたらす。しかし、少なくとも二つ以上のポリペプチド鎖が同比率で発現 すると高収率が得られる場合や比率が特に重要ではない場合には、一つの発現ベ クターに二つ又は三つ全てのポリペプチド鎖のコード配列を挿入することができ る。 このアプローチの好適な形態では、二特異性抗体は、一方のアームの第一結合 特異性を有するハイブリッド免疫グロブリン重鎖と、他方のアームのハイブリッ ド免疫グロブリン重鎖―軽鎖対(第二の結合特異性を提供する)からなる。この ような非対称的構造は、二特異性分子の半分にのみ免疫グロブリン軽鎖が存在す ると容易に分離できるので、所望の二特異性化合物を不要な免疫グロブリン鎖の 組み合わせから分離し易くすることが見出された。このアプローチは1994年 3月3日発行のWO 94/04690に開示された。二特異性抗体を産生するための更な る詳細については、Sureshほか,Methods in Enzumology,121:210(1986)を参照 されたい。 二特異性抗体は架橋抗体又は「ヘテロ抱合」抗体を含む。例えば、ヘテロ抱合 体の一方の抗体がアビジンと結合し、他方はビオチンと結合しうる。このような 抗体は、例えば、免疫系細胞を不要な細胞に対してターゲティングさせるため( 米国特許第4676980号)及びHIV感染の治療(WO 91/00360、WO 92/200 373及びEP 03089)のために提案された。ヘテロ抱合抗体は任意の簡便な架橋方 法を使用して生成できる。当該分野において、適切な架橋剤は周知であり、多く の架橋法と共に米国特許第4676980号に開示されている。 二特異性抗体を抗体断片から作り出す方法も文献に開示されている。次の方法 は、必ずしも二特異性ではなくても、二価抗体断片の生成に用いることもできる 。これらの方法によれば、Fab'−SH断片を大腸菌から回収し、化学的に結 合させて、二価抗体を生成する。Shalabyほか,J.Exp.Med.,175:217-225(199 2)には、完全にヒト化されたBsAbF(ab')2分子の生成が記されている。 各Fab'片は、大腸菌から別々に分泌され、インビトロで方向性、化学カップ リングを受け、BsAbを形成する。こうして得られたBsAbはHER2受容 体を過剰に発現する細胞や正常のヒトT細胞に結合することができ、ヒト乳腫瘍 標的に対してのヒト細胞毒性リンパ球の溶解活性を若起した。Rodriguezほか,I nt.J.Cancers,(Suppl.)7:45-50(1992)を参照されたい。 組換え細胞培養から直接二価抗体片を生成し、単離する様々な方法も記されて いる。例えば、ロイシンジッパを使用して二価ヘテロ二量体が生成された。Kost elnyほか,J.Immunol.,148(5):1547-1553(1992)。Fos及びJunタンパク 質からのロイシンジッパペプチドを遺伝子融合によって二つの異なる抗体のFa b'部分と結合させた。抗体ホモ二量体はヒンジ領域において還元してモノマー を形成し、再酸化して抗体ヘテロ二量体を得た。Hollingerほか,Proc.Natl.A cad.Sci.USA,90:6444-6448(1993)に開示された「ジアボディー」技術はBs Ab断片を生成するための代替方法を提供した。断片は、一の鎖におい て二つのドメイン間の対合を可能にしないほど短いリンカーによって軽鎖可変ド メイン(VL)に結合された重鎖可変ドメイン(VH)からなる。従って、一つの 断片のVHドメインとVLドメインは他の断片の相補のVL及びVHドメインと対合 を強いられ、二つの抗原結合部位を形成する。単鎖Fv(sFv)二量体を使用 してBsAb断片を生成する方法もまた報告されている。Gruberほか,J.Immun ol.,152:5368(1994)を参照されたい。 本発明のNTNRαアゴニスト(NTNを含む)及びアゴニストNTNRα抗 体は、脾臓の造血を促進するために使用でき、化学療法又は放射線療法及び移植 を受けた患者の血液細胞系譜の再増殖を可能とする。一般的に、抗体は脾臓内で 造血細胞の増殖及び/又は分化(特に増殖)を促進させるように働く。理論に縛 られるものではないが、NTNRαアゴニストは脾臓内の造血細胞の成長、生存 又は分化因子として直接働くか、及び/又は脾臓の間質性環境に間接的に働き( おそらくは脾臓の神経支配に関わる神経細胞)、造血系譜の維持に関与する他の 因子を生成しうる。とにかく、ここで教示するように、NTNを含むNTNRα アゴニストは、放射線療法又は化学療法後の骨髄の脾臓的移植の容易化や、貧血 (赤血球)、慢性感染(好中球)、骨髄不全(全系譜)及び免疫不足(リンパ球 )による赤血球生成の増加が要求される疾患における(げっ歯類では通常である がヒトにおいては通常みられない)脾臓内の延髄外造血を刺激するための治療的 効果を有する。同様に、アゴニストは赤血球の減少を特徴とする疾患の治療に有 用である。これら疾患の例としては、貧血(大赤血球性及び再生不良性貧血を含 む);血小板減少症;発育不全;免疫(自己免疫)血小板減少性紫斑病(ITP );及びHIV誘発ITPがある。また、アゴニストは出血の患者の治療にも使 用できる。 NTNRα中和抗体の治療適用例としては、NTNRα発現の部位における代 謝疾患及び細胞腫瘍、特にNTNRαの過剰発現に特徴付けられる腫瘍の治療が ある。 治療的応用においては、本発明のNTN又はNTNRα抗体は、大量瞬時投与 、経時的に連続注入するヒト静脈内投与、又は筋肉内、腹腔内、脳脊髄内、皮下 、関節内、滑膜内、くも膜下腔内、経口、局所的及び吸入投与等の生理的に許容 さ れる投与形態で哺乳類、好ましくはヒトに、投与される。抗体は、腫瘍内、腫瘍 周囲、病巣内、病巣周囲又はリンパにも適切投与することで、局所的及び全身的 治療効果を発揮する。 このような投与形態は、本来無毒性及び無治療性である生理的に許容される担 体を含む。このような担体の例としては、イオン交換体、アルミナ、ステアリン 酸アルミニウム、レシチン、ヒト血清アルブミン等の血清タンパク質、リン酸塩 等の緩衝物質、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、植物性飽和脂肪酸 の部分的グリセリド混合物、水、塩類、又は硫酸プロタミン、リン酸水素二ナト リウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩、コロイド性シリカ、三 ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、セルロース系物質及びPEG等の 電解液がある。NTNRα抗体の局所的又はゲル系形態の担体としては、ナトリ ウムカルボキシメチルセルロース又はメチルセルロース等の多糖類、ポリビニル ピロリドン、ポリアクリレート、ポリオキシエチレン―ポリオキシプロピレンブ ロックポリマー、PEG及び木質ワックスアルコール等がある。全ての投与形態 において、従来からの適当なデポ形態が使用される。その形態は、例えばマイク ロカプセル、ナノカプセル、リポソーム、硬膏剤、吸入形態、点鼻スプレー、舌 下錠及び徐放性調製物を含む。NTNRの抗体は、典型的には約0.1mg/m lないし100mg/mlの濃度でそのようなビヒクル中に処方される。 徐放性調製物の適切な例としては、NTNRα抗体を含む固体疎水性重合体の 半透過性マトリックスがあり、そのマトリックスはフィルム状又はマイクロカプ セル等の形状物品の形態である。徐放性マトリックスの例としては、ポリエステ ル、上記Langerほか及び上記Langerに示すようなヒドロゲル(例えばポリ(2− ヒドロキシエチル―メタクリレート)等)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ乳 酸(米国特許第3773919号)、L−グルタミン酸とγエチル−L−グルタ マートの共重合体(上記Sidmanほか)、非分解性エチレン―酢酸ビニル(上記La ngerほか)、Lupron Depot(TM)(乳酸―グリコル―酸共重合体及び酢酸ロイ プロリドからなる注入可能なミクロスフィア)等の分解性乳酸―グリコルー酸共 重合体、及びポリ−D−(−)−3−ヒドロキシ酪酸があげられる。エチレン― 酢酸ビニルや乳酸―グリコルー酸などの重合体は100日以上も分子を放 出できるが、特定のヒドロゲルはより短時間の間タンパク質を放出する。カプセ ル化された抗体が体内に長時間残存する場合、37℃で水分に曝されることで、 変性又は凝集し、生理活性を失ったり、免疫原生が変化する可能性がある。関与 する機構に応じて安定性を得るための合理的な方策が案出できる。例えば、凝集 機構がチオ−ジスルフィド交換による分子間S−S結合であることが分かったら 、スルフヒドリル残基を修飾し、酸性溶液から凍結乾燥し、水分量を調整し、適 当な添加物を使用し、特定の重合体マトリックス組成物を開発することで安定性 を達成することができる。 徐放性NTNRα抗体組成物は、リポソーム的に取込まれた抗体をまた含む。 NTNRの抗体を含むリポソームは、Epsteinほか,Proc.Natl.Acad.Sci.US A,82:3688(1985)、Hwangほか,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,77:4030(1980)及 び米国特許第4485045号及び4544545号に記載されるような当業者 に周知である方法によって調製される。通常、リポソームは、脂質含有量が約3 0モル%以上コレステロールであり、選択される割合が最適なNTNRの抗体治 療を得るように調整された微小(約200−800オングストローム)な単層状 のものである。米国特許第5013556号には、循環時間が増強されたリポソ ームが開示される。 疾患の防止や治療に対して、NTNRα抗体の適切な投与量は上述したような 疾患の種類、疾患の重症度及び過程、抗体が防止目的か治療目的で投与されるか 、以前の治療、患者の病歴及び治療にあたる医師の裁量に依存する。抗体は患者 に一度に、又は一連の治療過程において適切に投与される。 疾患の種類及び重症度によって、患者への最初の投与量としてNTNRα抗体 を、一又は複数の別個の投与か又は連続注入のいずれであれ、約1μg/kgな いし15mg/kg投与する。上述した因子に依存して、典型的には、一日量は 約1μg/kgから100mg/kg又はそれ以上の範囲であろう。数日間以上 の繰り返し投与の場合、状態によって、疾患の症状が望ましい程度抑えられるま で治療を維持する。しかし、他の投与療法も有効になる可能性もある。この治療 の進行状態は通常の方法及び検定法で容易にモニターできる。 本発明の化合物や方法による効果を評価するために動物モデルが利用できる。 例えば、成長に影響する組成物で損傷した腎臓の治療効果を評価するために(To bak,1997、Tobackほか,1997)、ラットに、体重1kgにつきHgCl2の形態 で水銀を1.0ないし1.1mg静脈注射し、急性非乏尿性急性腎不全の可逆症 候群を引き起こした。一日後、血清尿素の窒素濃度(SUN)とナトリウム及び タンパク質の尿中排泄、近位尿細管の壊死が大幅に増加した。二日目には、リン 脂質、DNA及びRNAの合成や分裂指数が増加し、細胞再生が開始したこと示 した。三日目には、SUNが最大値に達し、細管の基底膜に扁平上皮細胞が出現 する。五日目には、SUNが正常値に戻り、リン脂質合成が最大速度に達し、よ り成熟した細胞が細管に復帰する。自己分泌成長因子の組成物の注入の腎臓構造 に対する効果を、上述の昇コウ誘発急性細管壊死症候群の過程において、無処置 ラット及びビヒクルのみ注入した動物と比較する。 本発明の抗体は親和性精製剤としても有用である。この方法では、NTNRα に対する抗体を、当分野で周知な方法を使用して、セファデックス樹脂や濾過紙 等の適当な支持体に固定化する。次に、固定化された抗体を、精製するべきNT NRαを含有するサンプルと接触させ、その後、支持体を、固定化された抗体に 結合したNTNRα以外の試料内の物質を実質的に全て除去する適当な溶媒で洗 浄する。最後に、pH5.0のグリシン緩衝液のような、NTNRαを抗体から 離脱させる他の適当な溶媒で洗浄する。 NTNRα抗体は、NTNRαの診断検定、例えば特異的細胞、組織又は血清 中の発現を検出するためにも有用である。診断に適用する場合、抗体は、典型的 には検出可能なシグナルを作り出すことができる部分によって標識する。この検 出可能部分は、直接的であろうと間接的であろうと検出可能なものであれば、ど のようなものでも良い。例えば、検出可能部分は、3H、14C、32P、35S又は1 25 I等の放射性同位元素;蛍光イソチオシアネート、ローダミン又はルシフェリ ン等の蛍光又は化学発光化合物、125I、32P、14C又は3H等の放射性同位元素 標識;又はアルカリホスファターゼ、βガラクトシダーゼ又は西洋わさびペルオ キシダーゼ等の酵素であっても良い。 Hunterほか,Nature,144:945(1962);Davidほか,Biochemistry,13:1014(19 74);Painほか,J.Immunol.Meth.,40:219(1981);及びNygrenほか,J. Histochem.and Cytochem.,30:407(1982)により記載された方法を含む、ポリペ プチド変異体を検出可能部分に別々に抱合させる、当該分野において周知の任意 の方法が使用できる。 本発明の抗体は、競合的結合検定、直接的又は間接的サンドイッチ検定、及び 免疫沈降検定等の如何なる周知の検定方法においても使用できる。Zola,Monocl onal Antibodies:A Manual of Techniques,pp.147-158(CRC Press,Inc.,1987 )。 競合的結合検定は、限定された量の抗体との結合に対して被験試料分析物と競 合する標識標準物質の能力に依存する。被験試料内のNTNRα量は抗体に結合 する標準物質の量と反比例する。結合する量を測定し易くするため、競合前又は 競合後に抗体を一般に不溶性化させて、結合しないで残った標準物質及び分析物 から、結合した標準物質及び分析物を簡便に分離できるようにする。 サンドイッチ検定では、検出するべきタンパク質の異なる免疫原性部分又はエ ピトープにそれぞれ結合し得る二つの抗体を用いる。サンドイッチ検定では、被 験試料分析物を固体支持体に固定される第一抗体と結合させ、その後分析物に第 二抗体を結合させ、不溶性の三部複合体を形成する。例えば、米国特許第437 6110号を参照。第二抗体は、それ自体を検出可能部分で標識する(直接サン ドイッチ検定)か、検出可能部分で標識される抗免疫グロブリン抗体を使用して 測定する(間接サンドイッチ検定)。例えば、サンドイッチ検定の一つのタイプ はELISA検定であり、この場合には検出可能部分は酵素である。 本発明を実施するための特定の実施態様の次の実施例は、発明を説明するため にのみ提供されるもので、本発明の範囲を決して限定することを意図するもので はない。 ここで引用した全ての文献、特許及び特許出願の開示の全体を出典明示により ここに取り込む。 実施例 実施例1 ヒトNTNRαのクローニング 8種の部分的ヒトcDNA(ジェンバンク受託番号:R02249(配列番号 :7)、H12981(配列番号:8)、W73681(配列番号:9)、W7 3633(配列番号:10)、H05619(配列番号:11)、R02135 (配列番号:12)、T03342(配列番号:13)、及びHSC1KA11 1(配列番号:14)が、GDNF受容体α成分と類似性を有するものとして同 定されたが(JingほかCell 85:1113-1124(1996);TreanorほかNature 382:80-83( 1996))、GDNFR配列とは同一ではなかった。これらの発現配列タグ(「E ST」)cDNA配列を整列化させて決定しDNA配列を、製造者により提供さ れた条件を用いてヒト脾臓mRNAについての5'及び3'マラソンRACE反応 (クローンテック・インク)を使用して伸長し、ヒトcDNAクローンの最初の セットを得た。更なるcDNAクローンを、標準的なプロトコールを使用してヒ ト胎児脳cDNAライブラリ(ストラタジーン)をスクリーニングして同定した 。ラムダcDNAライブラリを標準的なプロトコールを使用してプレーティング し、3'及び5'RACE情報を使用してNTNRα遺伝子のPCR増幅により得 られたコード領域プローブをライブラリにハイブリダイズした。クローン化ヒト cDNA配列の整列化から、全長cDNA配列が得られ(配列番号:1)、ヒト ニュールツリン受容体α(「hNTNRα」)cDNA配列と命名した。この配 列は、一本鎖464アミノ酸タンパク質配列(配列番号:3)をコードするオー プンリーディングフレーム配列(配列番号:2)を含んでおり、これはヒトニュ ールツリン受容体α(「hNTNRα」)と命名された。 ヒトNTNRα(「hNTNRα」)は、hGDNFRαとrGDNFRαの 双方に対してアミノ酸レベルで47%の全体の類似性を示す。 hGDNFRαと同様に、hNTNRαは、グリコシル−ホスファチジルイノ シトール(「GPI」)修飾を介して細胞外膜に結合している細胞外タンパク質 である。これは、分泌のためのアミノ末端シグナルペプチド、3つの潜在的なグ リコシル化部位、及びGPI結合に対する切断/結合部位となる(図4;Micano vicほか,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,87:157-161(1990);Moranほか,J.Biol .Chem.,266:1250-1257(1991))一群の3個の小アミノ酸(グリシン、セリン、 アスパラギン)が先行している17のカルボキシ末端疎水性アミ ノ酸の伸展を有している。その30個のシステイン残基の位置はNTNRαとG DNFRαの間で完全に保存されている(図5)。細胞外ドメイン(「ECD」 )にはシグナルペプチドとGPI結合部位が隣接している。 実施例2 ラットNTNRα(「rNTNRα」)のクローニング 標準的なプロトコールを使用してラット脳cDNAライブラリ(クローンテッ ク)をスクリーニングしてラットNTNRα(「rNTNRα」)をクローン化 した。中程度の厳密性(例えば、42℃で30%のホルムアミド、55℃で0. 1xSSC中で洗浄)でラットcDNAライブラリに全長ヒトNTNRαプロー ブをハイブリダイズした。(配列番号:4)を有し完全型オープンリーディング フレーム(配列番号:5)を含むcDNAをrNTNRαcDNAと命名した。 オープンリーディングフレーム配列は一本鎖464アミノ酸タンパク質配列(配 列番号:6)をコード化しており、これはラットニュールツリン受容体α(「r NTNRα」)と命名した。 ラットNTNRαとヒトNTNRαはアミノ酸レベルで94%の全体の類似性 を示す。DNAレベルでは97%の同一性が認められた。ラットNTNRαはタ ンパク質レベルでラットGDNFRαとヒトGDNFRαの双方に対して46% の同一性を有している。ラットNTNRαはDNAレベルでラットGDNFRα に対して53%の同一性を有している。 rGDNFRα、hGDNFRα、及びhNTNRαと同様に、rNTNRα は、グリコシル−ホスファチジルイノシトール(「GPI」)修飾を介して細胞 外膜に結合している細胞外タンパク質である。これは、分泌のためのアミノ末端 シグナルペプチド、3つの潜在的なグリコシル化部位、及びGPI結合に対する 切断/結合部位となる一群の3個の小アミノ酸(グリシン、セリン、アスパラギ ン)が先行している17のカルボキシ末端疎水性アミノ酸の伸展を有している( 図4)。驚いたことに、ヒトとラットのGDNFRαの間で保存されている30 個のシステイン残基の位置は、ヒトとラットのNTNRαの間で保存されている (図5)。これらのシステイン残基はNTNRαとGDNFRαの間で完全に保 存されている(図5)。細胞外ドメイン(「ECD」)にはシグナルペプチドと GPI結合部位が隣接している。 実施例3 膜結合及び可溶性NTNRαの発現ベクター 哺乳動物のタンパク質発現のためにヒトNTNRαの完全型オープンリーディ ングフレームをPCRを使用して増幅し、CMVベースの発現ベクターpRK5 もしくはpRK7中にクローニングした。プラスミドをヒトNTNRに対してp RK−hNTNRαと命名した。 可溶型ラット及びヒトNTNRαを調製するために、ヒトFc配列の前の(G PI結合部位を欠く)各受容体の最初の432のアミノ酸をクローニングして、 ラットとヒトの双方のNTNRα−IgG発現作成物を作成した。例えば、ヒト Fc(IfF2a)配列の前の(GPI結合部位を欠く)受容体の最初の432 のアミノ酸をクローニングしてNTNRα−IgG発現作成物を作成した。プラ スミドは、hNTNRα融合に対してはpRK−hNTNRα−IgG、ラット NTNRα融合に対してはpRK−rNTNRα−IgGと命名した。ヒト遺伝 子融合をコードしている核酸配列は配列番号15であり、これはヒト融合タンパ ク質配列番号16をコードしている。ECDへの構造の付着の好適な位置は、N TNRαECDのCFTELTTNIIPG配列の内部、あるいは好ましくはそ のC末端である。ラット遺伝子融合をコードしている核酸配列は配列番号47で あり、これはラット融合タンパク質配列番号18をコードしている。 実施例4 NTNRαの組織分布 NTNRαmRNAの組織分布をインサイツハイブリッド形成分析法を用いて 調べた。その分布をGDNFRαの分布と比較した。 インサイツハイブリッド形成では、E15.5ラット胎仔を4%のパラホルム アルデヒドに一晩浸漬固定し、15%のスクロースで一晩凍結保護した。成体ラ ットの脳と脊髄を新鮮凍結した。全ての組織を16μmの切片とし、記載された ように(DavisほかScience 259:1736-1739(1993))33P−UTP標識RNAプロ ーブを用いてインサイツハイブリッド形成用のプロセッシングを行なった。セン ス及びアンチセンスプローブをT7ポリメラーゼを用いてGDNFRαのN末端 領域から引き出した。NTNRαRNAは、hNTNRαから誘導され、hNT NRα.T7インサイツプローブ(配列番号:19)と命名されたプローブで検 出した。 胎仔及び成体のラット神経系において、NTNRαのmRNAは、ドーパミン 作動性ニューロンが位置している前中脳中に、運動ニューロンが位置する前脊髄 の一部中に、及び感覚神経がある後根神経節(DRG)中に見出された。また、 高レベルのNTNRα転写物が、例えば胎仔腸、膀胱、心臓刺激伝導系及び横隔 膜のような組織に見出された。成体ラットの脳においては、NTNRαは、主に 黒質、皮質及び嗅球並びに脊髄後角に見出された。NTNRαはGDNFRαを 発現する組織中に時折見出されたが、2つの転写物は、非常によく互いに隣接し て存在していた。例えば、肢においては、GDNFRαは筋細胞中に発現される が、NTNRαは筋肉を弱める腕神経叢神経中に見出される。同様に、胎仔の膀 胱中では、NTNRαは筋層中に発現される一方、GDNFRαは下にある上皮 に発現される。最後に、腸においては、NTNRαは、粘膜上皮中に発現される 一方、GDNFRαは隣接平滑筋中にのみ発現される。発現のこのパターンは、 NTNRαが神経系の内側並びに外側でシグナルを媒介するという考えと一致し ており、NTNRαとGDNFRαに対する区別される相補的な生物学的役割を 示唆している。 実施例5 NTNRαはNTNを特異的に結合する NTNに対するNTNRαの結合を決定するために平衡結合実験を実施した。 pRK−hNTNRα−IgGあるいはpRK−rNTNRα−IgG作成物の 何れかが一過性に形質移入された293細胞由来の条件培地が可溶性受容体をも たらした。条件培地は、2mg/mlのBSA(シグマ)及び0.05%のBr ij96(フルカ)を含むPBS中に入れた異なった濃度の適当なコールドリガ ンドと共に室温で4時間5pMの125Iヒトニュールツリン、マウスニュールツ リン、又はrGDNFとインキュベートした。リガンドは受容体に対して過剰で ある。ついで、受容体/リガンド複合体を室温で更に1時間の間、プロテインA セファロースCL−4B(ファーマシア)と共にインキュベートした。0.2m g/mlのBSAを含むPBSで洗浄した後、特異的な知覚可能な数を計測した 。IGORプログラムを使用してKdを決定した。ヒトとマウスの125I−NT Nの双方が、組換え可溶性ヒトNTNRα(データは示さず)又は可溶性rNT NRαタンパク質に、およそ10pMのKdで特異的かつ可逆的に結合しうるこ とが見出された(図6Cに挿入)。これに対して、ヒトNTN(データは示さず )もマウスNTNも何れもrGDNFRαから125I−rGDNFを置換するこ とができず、rGDNFRαに対するヒトもしくはマウスの125I−NTNの高 親和的結合は検出されなかった(図6A)。従って、NTNは特異的にNTNR αに結合し、rGDNFRαではなくNTNRαと高親和性をもって相互作用を する。NTNRαがNTNに対する特異的な受容体であることを更に確認するた めに、125I−rGDNFを使用して競合結合実験を実施した。組換え可溶性r GDNFRαに対する置換可能な高親和的結合が即座に認められた(3pMのK d)(図6Bの挿入);しかし、ヒトあるいはラットNTNRαの何れに対する (ボルトン・ハンター法によりチロシンか、ラクトペルオキシダーゼを使用して リシンがヨウ素化された)125I−rGDNFの結合も検出されなかった。GD NFはNTNRαではなくGDNFRαと高親和性をもって相互作用をする。そ して、NTNはNTNRαに特異的に結合する。NTNとGDNFRαの間に高 親和的相互作用は検出されなかったが、より高濃度の未標識NTN(10nm) がGDNFRαから標識rGDNFを置換したとき、低親和的相互作用(Kd> 1nM)が認められた。 記載されたようにして実施された細胞ベース平衡結合分析により(Treanorほ かNature 382:80-83(1996))、GDNFとニュールツリンに対するGDNFRα とNTNRαの特異性がそれぞれ確認された。全長NTNRα発現作成物(又は GDNFRα)か無関係な(対照)作成物が一過性に形質移入された293細胞 が膜結合型受容体をもたらした。未修飾受容体を発現する細胞への競合結合法 を用いてGDNFとGDNFRαの間及びNTNとNTNRαの間の観察された 特異的会合は可溶性受容体データ(データは示さず)と一致した。 膜結合受容体のホスホイノシチド−特異的ホスホリパーゼC(「PIPLC」 )処理のリガンド結合効果を決定した。PIPLCはGPI結合を特異的に切断 する酵素である(KokeほかProt.Express.Purification 2:51-58(1991);Shukla, Life Sci.,10:1323-1335(1982);RheeほかScience,244:546-550(1989))。全長 NTNRα発現作成物か無関係な(対照)作成物が一過性に形質移入された29 3細胞を、PIPLCの指示量の存在下で室温で90分間〜20000cpm12 5 IヒトNTNと共にインキュベートした(図7A)。0.2mg/mlのBS Aを含む氷冷PBSで細胞を洗浄し、ついで細胞会合125Iを測定した。NTN RαがGPI結合により細胞表面に結合しているという予想と一致して、NTN Rαを発現している細胞に対する125I−NTNの結合は次の処理で著しく減少 した(図7A)。従って、NTNRαはNTNに対する特異的な高親和性GPI −連結タンパク質である。 実施例6 NTNRαがNTNに対する生物学的応答を媒介する NTNRαがNTNに対する生物学的応答を媒介することを確認するために、 NTNRαを発現する細胞の生存に対するNTNの効果を決定した。生存アッセ イに対して、E14ラットの運動ニューロンを、記載されたようにして単離し、 三つ組のウェルに蒔き生育させた。指示された成長因子の添加後、生存している ニューロンの数を72時間後に測定した(図7B)。NTNは、(インサイツハ イブリッド形成により測定される)NTNRαを発現する一次運動ニューロンの 死を防止することができることが認められた(図7B)。更に、NTNとGDN Fが区別される受容体を利用するという知見と一致して、2つの因子に対する運 動ニューロンの生存応答の定量的差異が検出された:飽和濃度ではGDNFは1 00%のBDNF−応答性運動ニューロンの生存を促進した;その受容体が運動 ニューロンが常在する胎仔前角にまばらに分散したNTNはこれらの細胞の50 %だけの死を防止することができる(図7B)。NTNはNTNRαを発現する 一次胎仔ドーパミン作動性ニューロンの死を防止することができることもまた観 察された。 NTNRαがNTNシグナルの必要とされるメディエータであることを更に確 認するために、胎仔運動ニューロンをPIPLCで処理し、NTN又はBDNF の存在下でのその生存を培養中でモニターした。E14ラットの運動ニューロン を、記載されたようにして単離し、三つ組のウェルプレートに蒔き、生育させた 。表示された成長因子の添加前1−2時間、並びに添加後12時間及び24時間 に表示サンプルにPIPLC(2−4ug/ml)を添加し、生存しているニュ ーロンの数を72時間後に決定した(図7C)。飽和濃度のNTNで生存してい る胎仔ラット脊髄運動ニューロンの数は、PIPLC処理後に70−90%減少 したが、PIPLC−処理ニューロンの脳由来神経栄養因子(BDNF)に対す る応答には減少が認められなかった。更に、可溶性NTNRα(IgG融合)と 組み合わせてNTNがこれら運動ニューロンに加えられたとき、NTNに対する 応答が回復した(図7C)。従って、NTNRαはNTNシグナル伝達カスケー ドの必須成分であると思われ、機能性NTN受容体のリガンド結合サブユニット の予想特性を有している。また、可溶性NTNRα受容体は、細胞表面NTNR αを欠く細胞にNTN−応答性を付与することができるが、相補のRet膜貫通 型タンパク質を発現しうる。 実施例7 NTNRαはRetを介して作用しうる GDNFRαのように、NTNRαは細胞質ドメインを欠き、GPIを介して 細胞の外表面に結合しているようなので、細胞内部へのNTNシグナルの伝達に は更なるタンパク質が関与している。チロシンキナーゼ受容体Retは、それ自 身はGDNFもしくはNTNを高親和性で結合しないが(JingほかCell 85:1113 -1124(1996);TreanorほかNature 382:80-83(1996);データは示さず)、GDNF 受容体のシグナル伝達成分であると思われるので、NTNRαへのNTNの結合 に続くNTN応答のRet伝達を決定した。チロシンリン酸化を検査するために 組織をPIPLCと共に又はPIPLCなしで37℃で1時間イ ンキュベートし、ついで様々な濃度のNTNに暴露した。次に、PBS中の2m MのEDTAでプレートから細胞を取り除き、氷冷バッファー(10mMのリン 酸ナトリウム(pH7.0)、100mMのNaCl、1%のNP40、5mM のEDTA、100mMのバナジン酸ナトリウム、2mMのPMSF、及び0. 2単位のアプロチニン)で溶解し、Retの19のアミノ酸カルボキシル末端に 対して産生した抗血清での免疫沈降に使用し、プロテインAセファロースに結合 させた。免疫沈降タンパク質をSDA試料バッファー中での煮沸により放出させ 、8%のSDS−ポリアクリルアミドゲルで分離し、ニトロセルロース膜に移し 、抗ホスホチロシン抗体(アップステート・バイオテクノロジー・インク)と反 応させた;検出はECLウェスタンブロット検出システム(アメリカン・ライフ ・サイエンス)で行った。内因性c−retを発現するヒト神経芽細胞腫株化細 胞、TGW−1(IkedaほかOncogene 5:1291(1991);TakahashiほかOncogene 6:2 97(1991))をNTNに5分間暴露し、Retチロシンリン酸化のレベルを測定し た。NTNは明らかにRet(図7D)、並びにこの株化細胞中の受容体チロシ ンキナーゼ応答性細胞質キナーゼERK(すなわち、MARK)のリン酸化を誘 導したが、調べられた4種の他の神経芽細胞腫株化細胞では見られなかった(デ ータは示さず)。更に、NTNRαがNTNとRetの間の必須のメディエータ であるという仮説と一致して、NTNはPIPLCで処理された細胞においてR etに有意なチロシンリン酸化は誘導できなかった(図7F)。同様の結果がG DNFについて得られた。NTNを可溶性NTNRαと共に添加したとき、PI PLC−処理TGW−1細胞においてチロシンリン酸化Retタンパク質を直ぐ に検出した。 これらの知見は、RetがNTNシグナルの伝達に関与していることを示唆し ているので、Retが推定上のNTN受容体複合体の一部であるかどうかを決定 した。NTNへの暴露時におけるタンパク質複合体の生成を調べるために、免疫 共沈降実験を、500ng/mlのNTNに暴露したNTNRα−発現TGW− 1細胞について実施した。暴露後、細胞を温和な洗浄剤brij96(シグマ) で溶解した(Davisら1993)。哺乳動物タンパク質発現では、完全型オープンリ ーディングフレームをPCRを使用して増幅し、CMVベース発現ベクター中 にクローン化した。共沈降実験では、NTNRαの成熟コード配列とシグナルペ プチドの間にエピトープタグを挿入した。タンパク質複合体をRetに対するモ ノクローナル抗体で免疫沈降させ、ついでNTNに対するポリクローナル抗体を 使用するウェスタンブロットで分析したとき、NTNはRet抗体によって即座 に共免疫沈降させられたが、これは、NTNとRetが細胞表面で物理的に相互 作用するという考えに一致している。NTNRαがNTN/Retタンパク質複 合体の一部であることを確認するために、ヒト胎児の腎臓293細胞を発現ベク ター、Retのみ又はc−retの発現ベクターとエピトープタグ付NTNRα の組み合わせを一過性に形質移入し、NTNに暴露し、温和な洗浄剤brij9 6(シグマ)で溶解した(Davisほか1993)。推定上の免疫複合体をRetに対 するポリクローナル抗体で免疫沈降させ、ニトロセルロースフィルター上に移し 、エピトープタグ付NTNRαに対するポリクローナル抗体で分析した。NTN RαとRetタンパク質複合体中に見出すことができるという考え方に一致して 、NTNが無い場合ではなくある状態でNTNRαがRet抗体により直ぐに共 免疫沈降させられた。これらの発見は、NTN、NTNRα及びRetが細胞表 面上で複合体を形成することができ、RetとNTNRαが機能性NTN受容体 の成分であり、NTNRαがNTNとRetの間の相互作用の中間物であること を証明している。 神経栄養因子に対する発達中のニューロンの生存応答におけるNTNRαの潜 在的な役割を明確にしその機能をGDNFRαの機能と比較するために、マイク ロインジェクションを用いて、GDNFかニュールツリンの何れかに応答して通 常は生存しない培養ニューロン中にNTNRαとGDNFRαをコードしている 発現プラスミドを導入した。幾つかの異なったニューロン集団の調査から、遅発 性胎仔ラット交感神経細胞の生存をニュールツリンは促進するが(Kotzbauer,19 96)、出生4日(P4)マウスの上頚交感神経節(SCG)の交感神経細胞は培 養のニュールツリンとGDNFの何れによっても支援されていないことがここで 見出された。これらのニューロンはまたマイクロインジェクションが比較的容易 であり、神経栄養因子を欠く既知の培地中で迅速に死亡するので、ニューロンの 生存と神経栄養因子の応答性におけるNTNRαの関与を調べるの に非常に有用である。SCGニューロンにおけるNTNRαかGDNFRαの何 れかのみの異所性発現は、GDNFかニュールツリンの何れかに対するこれらニ ューロンの生存応答に対する効果は無視できるものであった(NTNRα又はG DNFRαの何れかの発現プラスミドでの注入に続いてこれらの因子を含む培地 中で生存するのは5%未満)。これは、GDNFRαもNTNRαの単独の何れ もGDNFとニュールツリンに対する生存応答を媒介し得ないことを示唆してい る。このことは、GPI−連結受容体が、GDNFRαの場合はRetのような 適当な膜貫通シグナル伝達タンパク質なしでは(Treanorほか,1996;JIngほか,1 996)、またCNTFRαの場合はgp130とLIFRβなしでは(Davisほか ,1993)そのリガンドに対する応答を媒介することができないという考えに一致 する。 RetはGDNF受容体複合体の必須のシグナル伝達成分として報告されて いる(Treanorほか,1996;Jingほか,1996;Truppほか,1996;Durbecほか,1996;Vega ,1996)。これらの受容体成分の双方を発現するニューロンがGDNFとニュー ルツリンに対する特異的な生存応答を示すかどうかを調べるために、ニューロン にRet及びNTNRα又はGDNFRαの発現プラスミドを同時注入した。R etのみの異所性発現はニュールツリン又はGDNFの存在下で生存するSCG ニューロンの数に対してほんの僅かな効果を有しているものであった(10と1 5%の間)。しかし、NTNRαプラスRetを同時発現するニューロンは、R etだけを発現するニューロンより著しく大きい大幅に高められたニュールツリ ンへの生存応答を有していた(p=0.0003、t−テストn=6)。同様に 、GDNFRαプラスRetを同時発現するニューロンは、Retだけを発現す るニューロンより著しく大きい大幅に高められたGDNFへの生存応答を有して いた(p=0.0002、t−テスト、n=9)。これに対して、GDNFRα プラスRetを同時発現するニューロンはニュールツリンに対して増大した生存 応答を示さず、Ret−発現ニューロンより、ニュールツリンで生存するRet /GDNFRα発現ニューロンは多くはなかった。同様に、GDNFで生存する Ret/NTNRα−発現ニューロンの数はこの因子で生存するRet−発現ニ ューロンの数とは大きくは異なっていなかった(p=0.2、t− テスト、n=9)。これらのデータは上記において報告した結果を確認するもの である。 実施例8 NTNはインビボにおけるニューロン生存因子である NTNが中脳DAニューロンの生存を促進する作用をなしうるかどうかを決定 するために、DAニューロンがリッチにされたE14ラットの前中脳の培養を調 査した。この培養系は、GDNFと同様に、NTNが発育している中脳のチロシ ン水酸化酵素発現細胞の生存に強力な作用をもたらしうることを明らかにした。 NTNの作用強度と効力はGDNFのものと同様であり、NTNは最大有効用量 のGDNFで見られるものよりも多い数の細胞の生存を促進する傾向を示した。 胎仔ラット中脳DAニューロンのインビトロ生存を促進するNTNの能力は、 NTNが無傷の成体の脳のDAニューロンの生存を促進するのに効果的でありう ることを示唆している。ここに示したように、チロシンキナーゼRetはGDN FとNTNの双方の受容体複合体の重要な成分であり、成体ラットの中脳DAニ ューロン中に発現される。NTNRαが成体の黒質DAニューロン中に発現され るがどうかを調べるために、インサイツハイブリッド形成法を使用した。成体ラ ットの前中脳の切片は、黒質緻密部と腹側被蓋野に主に限局されているGDNF Rαに対して強いシグナルを示したが、NTNRαのシグナルに対してより温和 で散在したシグナルが前中脳において観察された。チロシン水酸化酵素に対して 染色された切片において、TH+黒質細胞の大部分はNTNRαの弱く又は曖昧 なシグナルを示したが、強いハイブリッド形成が黒質のTH+細胞と組み合わせ てGDNFRαに対して認められた。NTNRαに対する強いシグナルは、しか しながら、脚間核、副視索の内側及び外側核、及び黒質緻密部の背外側側面に境 を接する細胞を含む中脳DAニューロンに直ぐに隣接する領域に認められた。成 体黒質DAニューロン中及び近傍における可溶性NTNRαの発現能をとると、 これらの結果は、NTNが成体黒質ニューロンに作用していることを示唆してい る。 NTNの黒質内注入が線条体6−OHDA投与に続いてDAニューロンの生存 とTH発現を促進することが可能で、NTNの作用強度と効力はGDNFのそれ に類似していることがここで決定された。黒質DAニューロンの生存度と表現型 発現を独立に評価するために、逆行性蛍光トレーサー、フルオロゴールドと、チ ロシン水酸化酵素の免疫細胞化学の双方を使用して細胞をカウントした。6−O HDA投与に続いて1週間投与した1又は10ugのNTNの1回の黒質内注入 は、ビヒクル処理動物に見られるよりも1ヶ月後の破壊で(逆行性トレーサーフ ルオロゴールドにより評価して)ほぼ3倍高い細胞生存度に至った。チロシン水 酸化酵素を発現する細胞の数を調べたところ、1マイクログラムではなく10マ イクログラムのNTNで処理したラットにおいて有意な保護があることが明らか になった。細胞生存とTH発現についてのNTNの1回の注入の効果は匹敵する GDNF量の場合に見られるものと区別がつかなかった。NTNとGDNFの双 方が、神経毒性もしくは外傷性障害に続く黒質ニューロンの生存を促進すること ができる。 ここに示されているように、NTNは、発育中及び成体の黒質線条体系中に発 現され、黒質ドーパミン作動性ニューロンの生存及び表現型発現に対して強い影 響をもたらしうる。DAニューロンを保護し6−OHDAの投与に続くTH発現 を促進するNTNの作用は、この因子がパーキンソン病の治療における有用な薬 剤となりうることを示している。 実施例9 NTNRα及びGDNFRα細胞外ドメインが受容体アゴニストとして作用する 受容体アゴニストとしてのGDNFRα及びNTNRα細胞外ドメインの効果 を、外因的に添加した各受容体の細胞外ドメインで治療した前中脳、胎仔ラット ドーパミン作動性ニューロンの生存を観察することにより調べた。前中脳のドー パミン作動性ニューロンがリッチにされた培養を、0日が膣栓が最初に出現した 日であったE14ラットから解体した。組織を、少しの例外を除いて記載されて いるようにして(Poulsenほか,Neuron13(5):1245-52(1994))、酵素で処理し、 単一の細胞懸濁液に倍散し、プレート培養した。細胞をガラスに蒔き、全ての成 長因子を、(培地中に20uMのHClの最終濃度となる)最終の希釈前に1m MのHClの20X濃縮溶液中に先ず希釈した。あらゆる因子をプレーティング の時に一度に添加した。培地中のインスリン濃度を5um/mlから2.5ug /mlまで減少させた。培養を三つ組プレート培養した。1ug/mlでGDN FRαかNTNRαの何れかを、細胞プレーティングから2時間後に培養に添加 した。同時に、並行して培養はGDNFRα又はNTNRαプラス50ng/m lのGDNFがNTNを受け入れるか、外因的に受容体を加えないで50ng/ mlのGDNF又はNTNを受け入れた。培養4日後に、細胞を固定し、ドーパ ミン作動性ニューロンのマーカーであるチロシン水酸化酵素(TH)を染色し、 各条件におけるTH+細胞の数をカウントし、対照培養(因子を添加しないで成 長させた並行培養)と比較した。GDNFRαとNTNRαの両方の細胞外ドメ インがC末端にヒスチジンタグ(6ヒスチジン残基)を含んでおり、これが細胞 外ドメインの精製に対する簡便な操作手段となった。Hisタグ付GDNFRα ECDのC末端はDGLAGASSHHHHHHであり、ここでGDNFR配列 中に通常存在するHis残基の一つをタグ配列の部分を提供するために使用した 。分子は(一過性形質移入、形質移入96時間後に収集された上清により)29 3細胞に産生され、標準的なIMAC精製法を使用してNi−NTAカラム上で 精製した。単離ECDをPBS中に透析し、ついで4℃で貯蔵した。 3種の別個の実験において、外因的に添加されたリガンドの不存在及び存在下 で、GDNFRα及びNTNRα細胞外ドメインが、対照培養より著しく大なる ドーパミン作動性ニューロンの生存を促進した(図8Aから8C)。それぞれの 場合において、生存量はリガンド(GDNF又はNTN)のみでの生存量よりも 僅かに多いか等しかった。生存は、リガンドとその特定の受容体細胞外ドメイン (例えばNTN+NTNRα、GDNF+GDNFRα)の双方が一緒に添加さ れたとき、更に増大した。(因子の添加なしに)対照培養に添加された抗NTN モノクローナル抗体は、細胞成長の観測されたバックグラウンドレベルの減少に は至らず、テスト期間中のバックグラウンド成長が、あるとすれば、内因性NT Nによるものではないことを示している。これらの結果は、リガンドなしに、こ のファミリーの受容体の受容体細胞外ドメインの添加が対照に対して有意なニュ ーロン生存効果を促進することを示している。 実施例10 NTNRα及びNTNはインビボでのドーパミン利用性を向上させる 可溶性NTNRαが無傷の成体ラットの黒質線条体ドーパミン作動系における NTNの効果を向上させると判定された。NTNと共にNTNRαを投与すると 、ドーパミンに対するDOPAC(ジヒドロキシフェニル酢酸、ラットの主要な ドーパミン代謝産物)の比を増加させ、これはドーパミン作動性ニューロンの機 能アップレギュレーションを示している。成体SDラット(295−345g、 n=23)に、26sのゲージ針を持つ10μlのハミルトンシリンジを使用し て、ブレグマに対して前方に0.5mm、側方に3.0mm及び硬膜に対して腹 側に4.5mmの定位固定座標で、右腺条体に、hNTN(0.1μg)、可溶 性his−タグhNTNRα(0.6μg)、hNTN(0.1μg)と可溶性 his−タグhNTNRα(0.6μg)の双方、又はビヒクル(4%マンニト ール、10mMのHEPES)の1回の2μlの注射を行った。術後7日に、選 択された脳領域からの組織をドーパミン及びドーパミン代謝産物含有量の分析の ため収集した。ラットの断頭に続いて、脳を迅速に取除き、氷冷リン酸緩衝食塩 水中に30秒間浸漬し、1mmの冠状切片を冷却金属脳マトリックスの助けを借 りて切断し、線条体の3つの領域(前側、中央及び後部)、側坐核、及び黒質の 組織パンチを11、13及び16ゲージ針をそれぞれ使用して採取した。組織パ ンチを内部基準としてDHBAを含む200μlの0.1M過塩素酸でホモジェ ナイズした。ホモジェネートを23000−28000xgで20分間遠心分離 し、上清を電気化学的検出を伴うイオン対逆相高速液体クロマトグラフィーを使 用してドーパミン及びDOPAC含有量について分析した。DOPAC/ドーパ ミン比を注入及び非注入側で計算し、非注入側に対する注入側のパーセントとし て表した。図9に示されるように、NTNとNTNRαの組合わせは、ビヒクル 、NTNRα単独、及びNTN単独と比較して線条体におけるDOPAC/ドー パミン比を増大させた。これらの結果は、NTNとNTNRαの組合せが線条体 におけるドーパミンの利用を強力に向上させ、パーキンソン病の治療に有用であ ることを示している。 ここに提供したものは、GDNFタンパク質ファミリーの最近発見されたメン バーであるニュールツリンに対する新規な受容体をコードしている新規な配列で ある。ここに提供した結果は、成長及び分化因子に対する多成分受容体の新規な ファミリーの存在を明らかにする。受容体複合体は、共有シグナル伝達サブユニ ット−膜貫通型チロシンキナーゼ受容体Ret−及びGPI−連結の受容体特異 的リガンド結合サブユニット−NTNRα(NTNの場合)及びGDNFRα( GDNFの場合)からなる。これらの発見から、NTNとGDNFRの分子レベ ルでの作用機構の更なる詳細を決定することができる。また、GDNF/NTN タンパク質ファミリーの区別できる生物学的活性が、異なったシグナル伝達系を 活性化する能力によるよりも、その各々のリガンド結合受容体成分の区別される 組織分布により決定されることが明白である。最後に、ここに示したデータは、 (LindsayとYancopoulos(Neuron17:571-574(1996)によりレビューされた)チロシ ンキナーゼ受容体を活性化する不必要に複雑な方法であると過去に思われていた ものの関与に対して対比でき簡単な生物学的原理を提供する。リガンド結合アク セサリー分子を変更することが複数の成長因子に使用できる同じシグナル伝達系 を補充する最も経済的な方法であり、GPI結合タンパク質が経済的なリガンド 結合アクセサリー分子であることが明らかになった。複数の成長因子による一つ の膜貫通型シグナル伝達系の使用は、サイトカインにより(StahlとYancopolulo s,Ann.Rev.Biophys.Biomol.Struct.24:269-291(1994))、並びに形質転換成長 因子タンパク質ファミリーのメンバーにより(WranaほかNature 370:341-347(19 94))なされると思われる。同様に、GPI結合タンパク質は、幾つかの多成分 受容体、例えば菌体内毒素受容体(LeeほかProc.Natl.Acad.Sci.USA 90:993 0-9934(1993);PuginほかProc.Natl.Acad.Sci.USA 90:2744-2748(1993))及 び毛様体神経栄養因子の受容体(DavisほかScience 259:1736−1739(1993))に おけるリガンド結合アクセサリー分子として使用される。ここに提供した受容体 と関連する受容体系の発見は、シグナル伝達において新規なパラダイムを定め、 脊椎動物の神経系において細胞外シグナルを伝達するために使用される広範な方 策を強調し、医師が利用できる治療様式を拡張する細胞活性と生存を変調し制御 する手段を提供する。
【手続補正書】特許法第184条の8第1項 【提出日】平成11年4月21日(1999.4.21) 【補正内容】 請求の範囲 1. (a)配列番号3のアミノ酸配列のアミノ酸残基23と447の間を有す るヒトニュールツリン受容体−α(NTNRα)細胞外ドメインアミノ酸配列; (b) 配列番号3のNTNRαアミノ酸配列と少なくとも60%のアミノ酸配 列同一性を有する(a)の対立形質変異体又は哺乳類相同体; (c) (a)又は(b)をコードする核酸に厳密な条件下(20%ホルムアミ ド中42℃)でハイブリダイズする核酸によりコードされる配列であって、ニュ ールツリン(NTN)を結合する生物学的活性を有する配列; (iv) (a)のアミノ酸配列の一あるいは数個のアミノ酸の置換、欠失又は 付加によって(a)から得られる配列であって、配列番号3のNTNRαアミノ 酸配列と少なくとも60%の配列同一性を有する配列;及び (v) (a)の少なくとも16の近接アミノ酸をコードする配列 からなる群から選ばれろ配列を含んでなるポリペプチド。 2. 配列番号3又は配列番号6のNTNRaECDのアミノ酸配列を含んでな る、請求項1のポリペプチド。 3. 配列番号3又は配列番号6の成熟NTNRαのアミノ酸配列を含んでなる 、請求項2のポリペプチド。 4. ニュールツリンを特異的に結合する、請求項3のポリペプチド。 5. 血清半減期を増加させる分子に抱合又は融合されている、請求項4のポリ ペプチド。 6. 可溶性NTNRαである、請求項1のポリペプチド。 7. 請求項1のポリペプチドと生理学的に許容可能な担体を含んでなる組成物 。 8. キメラNTNRαである、請求項1のNTNRα。 9. 免疫グロブリン配列に融合したNTNRαアミノ酸配列を含む、請求項8 のキメラNTNRa。 10. エピトープタグ配列に融合したNTNRαアミノ酸配列を含む、請求項 8のキメラNTNRα。 11. NTNRαに結合する分子を同定する方法において、NTNRαをそれ に結合すると思われる分子にさらし、該分子のNTNRαへの結合を決定する方 法。 12. NTNRαが可溶性NTNRαである、請求項11の方法。 13. Retチロシンキナーゼの活性化でNTNRαを活性化する分子を同定 する方法において、NTNRαを活性化しうると思われる分子に、請求項1ない し10の何れか1項に記載のNTNRαをさらし、NTNRαの活性化を測定す る方法。 14. 請求項1ないし10の何れか1項に記載のNTNRαに結合する分子を 精製する方法において、固相に固定されたNTNRαに分子を吸着させ、固定さ れたNTNRαから分子を回収する方法。 15. NTNRαがキメラNTNRαである請求項14の方法において、免疫 グロブリン定常ドメイン配列へNTNRα細胞外ドメイン配列を融合する方法。 16. 請求項1のNTNRαに特異的に結合する抗体。 17. モノクローナル抗体である、請求項16の抗体。 18. 請求項17の抗体と生理学的に許容可能な担体を含んでなる組成物。 19. サイトカイン又は神経栄養性因子を更に含んでなる、請求項18の組成 物。 20. NTNRαを、NTNRαを活性化するのに有効な請求項16のアゴニ スト抗体にさらす、細胞中でNTNRαを活性化する方法。 21. NTNに対する細胞の生理的応答を変調する方法において、細胞のNT Nへの応答を変調するのに有効な量の、請求項1ないし10の何れか1項に記載 のNTNRαと細胞を接触させる方法。 22. Ret発現細胞の生存を増大させる方法において、Ret発現細胞に、 生存促進に有効量の、請求項1ないし10の何れか1項に記載の可溶性NTNR α又は可溶性GDNFRαを投与する方法。 23. 細胞表面にRetを活性化させる方法において、細胞に、Ret活性化 に有効量の、請求項1ないし10の何れか1項に記載の可溶性NTNRα又は可 溶性GDNFRαを投与する方法。 24. NTNRαの存在を判定する方法において、NTNRαを含むと思われ る被験試料を請求項16の抗体にさらし、被験試料への該抗体の結合を判定する 方法。 25. 請求項1のポリペプチドをコードする配列を含んでなる単離核酸分子。 26. 請求項2のポリペプチドをコードする配列を含んでなる単離核酸分子。 27. 請求項8のポリペプチドをコードする単離核酸分子。 28. 核酸分子に作用可能に結合したプロモーターを更に含む、請求項25の 核酸分子。 29. 請求項25の核酸分子を含む発現ベクターであって、該ベクターで形質 転換される宿主細胞によって認識される対照配列に作用可能に結合したベクター 。 30. 請求項29のベクターを含む宿主細胞。 31. NTNRαをコードしている核酸分子を使用してNTNRαを産生する 方法において、NTNRαの発現を許容する条件下で請求項30の宿主を培養す る方法。 32. 更に宿主細胞培養物からNTNRαを回収する、請求項31の方法。 33. 請求項1のポリペプチドを含んでなる核酸を発現する細胞を含む、非ヒ ト遺伝子組換え動物。 34. マウスである請求項33の動物。 35. 変更したNTNRα遺伝子を持つ細胞を含む、非ヒト遺伝子組換え動物 。 36. マウスである請求項35の動物。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C07K 16/46 C07K 19/00 19/00 C12P 21/08 C12N 5/10 G01N 33/53 D C12P 21/08 A61K 39/395 D G01N 33/53 A61P 25/16 // A61K 38/00 C12N 15/00 ZNAA 39/395 5/00 B A61P 25/16 A61K 37/02 (31)優先権主張番号 08/957,063 (32)優先日 平成9年10月24日(1997.10.24) (33)優先権主張国 米国(US) (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF ,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE, SN,TD,TG),AP(GH,GM,KE,LS,M W,SD,SZ,UG,ZW),EA(AM,AZ,BY ,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),AL,AM ,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY, CA,CH,CN,CU,CZ,DE,DK,EE,E S,FI,GB,GE,GH,GM,GW,HU,ID ,IL,IS,JP,KE,KG,KP,KR,KZ, LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV,MD,M G,MK,MN,MW,MX,NO,NZ,PL,PT ,RO,RU,SD,SE,SG,SI,SK,SL, TJ,TM,TR,TT,UA,UG,UZ,VN,Y U,ZW (72)発明者 ハイネス,マリー エイ. アメリカ合衆国 カリフォルニア 94402, サン マテオ,レキシントン アヴェニュ ー 1768

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1. (a)ヒトNTNRα細胞外ドメインアミノ酸配列; (b) (a)の対立形質変異体又は哺乳類相同体; (c) (a)又は(b)をコードする核酸に厳密な条件下でハイブリダイズす る核酸によりコードされる配列; (iv) (a)又は(b)のアミノ酸配列の一あるいは数個のアミノ酸の置換 、欠失又は付加によって(a)又は(b)から得られる配列、 (v)(a)、(b)又は(c)の少なくとも16の近接アミノ酸をコードする 配列 からなる群から選ばれる配列を含んでなるポリペプチド。 2. 配列番号3又は配列番号6のNTNRαECDのアミノ酸配列を含んでな る、請求項1のポリペプチド。 3. 配列番号3又は配列番号6の成熟NTNRαのアミノ酸配列を含んでなる 、請求項2のポリペプチド。 4. ニュールツリンを特異的に結合する、請求項3のポリペプチド。 5. 血清半減期を増加させる分子に抱合又は融合されている、請求項4のポリ ペプチド。 6. 可溶性NTNRαである、請求項1のポリペプチド。 7. 請求項1のポリペプチドと生理学的に許容可能な担体を含んでなる組成物 。 8. キメラNTNRαである、請求項1のNTNRα。 9. 免疫グロブリン配列に融合したNTNRαアミノ酸配列を含む、請求項8 のキメラNTNRα。 10. エピトープタグ配列に融合したNTNRαアミノ酸配列を含む、請求項 8のキメラNTNRα。 11. NTNRαに結合する分子を同定する方法において、NTNRαをそれ に結合すると思われる分子にさらし、該分子のNTNRαへの結合を決定する方 法。 12. NTNRαが可溶性NTNRαである、請求項11の方法。 13. NTNRαを活性化する分子を同定する方法において、NTNRαを活 性化しうると思われる分子にNTNRαをさらし、NTNRαの活性化を測定す る方法。 14. NTNRαに結合する分子を精製する方法において、固相に固定された NTNRαに分子を吸着させ、固定されたNTNRαから分子を回収する方法。 15. NTNRαがキメラNTNRαである請求項14の方法において、免疫 グロブリン定常ドメイン配列へNTNRα細胞外ドメイン配列を融合する方法。 16. 請求項1のNTNRαに特異的に結合する抗体。 17. モノクローナル抗体である、請求項16の抗体。 18. 請求項17の抗体と生理学的に許容可能な担体を含んでなる組成物。 19. サイトカイン又は神経栄養性因子を更に含んでなる、請求項18の組成 物。 20. NTNRαを、NTNRαを活性化するのに有効な請求項16のアゴニ スト抗体にさらす、細胞中でNTNRαを活性化する方法。 21. NTNに対する細胞の生理的応答を変調する方法において、細胞のNT Nへの応答を変調するのに有効な量のNTNRαと細胞を接触させる方法。 22. Ret発現細胞の生存を増大させる方法において、Ret発現細胞に、 生存促進に有効量の可溶性NTNRα又は可溶性GDNFRαを投与する方法。 23. 細胞表面にRetを活性化させる方法において、細胞に、Ret活性化 に有効量の可溶性NTNRα又は可溶性GDNFRαを投与する方法。 24. NTNRαの存在を判定する方法において、NTNRαを含むと思われ る被験試料を請求項16の抗体にさらし、被験試料への該抗体の結合を判定する 方法。 25. 請求項1のポリペプチドをコードする配列を含んでなる単離核酸分子。 26. 請求項2のポリペプチドをコードする配列を含んでなる単離核酸分子。 27. 請求項8のポリペプチドをコードする単離核酸分子。 28. 核酸分子に作用可能に結合したプロモーターを更に含む、請求項25の 核酸分子。 29. 請求項25の核酸分子を含む発現ベクターであって、該ベクターで形質 転換される宿主細胞によって認識される対照配列に作用可能に結合したベクター 。 30. 請求項29のベクターを含む宿主細胞。 31. NTNRαをコードしている核酸分子を使用してNTNRαを産生する 方法において、NTNRαの発現を許容する条件下で請求項30の宿主を培養す る方法。 32. 更に宿主細胞培養物からNTNRαを回収する、請求項31の方法。 33. 請求項1のポリペプチドを含んでなる核酸を発現する細胞を含む、非ヒ ト遺伝子組換え動物。 34. マウスである請求項33の動物。 35. 変更したNTNRα遺伝子を持つ細胞を含む、非ヒト遺伝子組換え動物 。 36. マウスである請求項35の動物。
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