JP2002507408A - 麻疹ウイルスもしくはヒト呼吸合胞体ウイルスサブグループbの弱毒化の原因である突然変異 - Google Patents

麻疹ウイルスもしくはヒト呼吸合胞体ウイルスサブグループbの弱毒化の原因である突然変異

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シドウ,モヒンデルジート・エス
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アメリカン・サイアナミド・カンパニー
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Abstract

(57)【要約】 定義された弱毒化突然変異を有する、単離された組換え的に発生された弱毒化麻疹ウイルスおよびRSVサブグループBウイルスが記述される。こうしたウイルスおよび生理学的に許容できる担体を含んで成るワクチンが処方される。該ワクチンは、個体を免疫して麻疹ウイルスもしくはRSサブグループBウイルスに対する保護を誘導するために使用される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 (発明の分野) 本発明は、特定の弱毒化突然変異を有する単離された組換え的に発生された弱
毒化麻疹ウイルスもしくはヒト呼吸合胞体ウイルスサブグループBに関する。本
発明は公衆衛生局(Public Health Service)により与え
られる助成金のもとで政府の援助を用いてなされた。政府は本発明においてある
種の権利を有する。
【0002】
【発明の背景】
エンベロープをもつ(enveloped)負センス(negative-sense)の一本鎖RNAウ イルスは独特に組織化かつ発現される。負センスの一本鎖ウイルスのゲノムRN
Aは、ヌクレオキャプシドの情況で2種の鋳型機能(メッセンジャーRNA(m
RNA)の合成のための鋳型およびアンチゲノム(+)鎖の合成のための鋳型と
して)を供する。負センスの一本鎖RNAウイルスはそれら自身のRNA依存性
RNAポリメラーゼをコードしかつパッケージングする。メッセンジャーRNA
は、ヌクレオキャプシドが感染した細胞の細胞質に進入してのみ合成される。ウ
イルス複製がmRNAの合成後に起こり、そしてウイルスタンパク質の連続的合
成を必要とする。新たに合成されたアンチゲノム(+)鎖は(−)鎖のゲノムR
NAのさらなるコピーを生じさせるための鋳型としてはたらく。
【0003】 該ポリメラーゼ複合体は、該ゲノムの3’端、とりわけプロモーター領域でシ
スに作用するシグナルを従事させる(engaging)ことにより転写および複製を起動
かつ達成する。ウイルス遺伝子がその後、その3’からその5’端まで一方向的
に該ゲノム鋳型から転写される。常に、それらの上流の隣接物(neighbors)(す なわち核タンパク質遺伝子(N))に関して下流の遺伝子(例えばポリメラーゼ
遺伝子(L))から作成されるより少ないmRNAが存在する。従って、常に、
該ゲノムの3’端に関して該遺伝子の位置に従ってmRNAの夥しさの勾配が存
在する。
【0004】 ウイルスの分類に関する国際委員会(the International
Committee on the Taxonomy of Viruses
)による1993年の改訂された再分類に基づき、モノネガウイルス(Mono
negavirales)と呼称される1種の目が確立された。この目は、負の
極性の一本鎖の非セグメント化(nonsegmented)RNAゲノム(負センス)をもつ
エンベロープをもつウイルスの3種の科を含有する。これらの科は、パラミクソ
ウイルス科(Paramyxoviridae)、ラブドウイルス科(Rhab
doviridae)およびフィロウイルス科(Filoviridae)であ
る。パラミクソウイルス科(Paramyxoviridae)は2種の亜科す
なわちパラミクソウイルス亜科(Paramyxovirinae)およびニュ
ーモウイルス亜科(Pneumovirinae)にさらに分割されている。パ
ラミクソウイルス亜科(Paramyxovirinae)は、3種の属すなわ
ちパラミクソウイルス属(Paramyxovirus)、ルブラウイルス属(
Rubulavirus)およびモルビリウイルス属(Morbillivir
us)を含有する。ニューモウイルス亜科(Pneumovirinae)はニ
ューモウイルス属(Pneumovirus)を含有する。
【0005】 該新分類は、形態学的基準、ウイルスゲノムの構成、生物学的活性ならびに遺
伝子および遺伝子産物の配列の関係に基づく。パラミクソウイルス亜科(Par
amyxovirinae)のエンベロープをもつウイルスのあいだでの形態学
的な顕著な特徴はヌクレオキャプシドの大きさおよび形状(直径18mm、長さ
1mm、5.5nmのピッチ)であり、これは左旋性のらせん状の対称性を有す
る。生物学的基準は、1)ある属のメンバー間での抗原性の交差反応性、および
2)パラミクソウイルス属(Paramyxovirus)、ルブラウイルス属
(Rubulavirus)でのノイラミニダーゼ活性の存在およびモルビリウ
イルス属(Morbillivirus)でのその非存在である。加えて、P遺
伝子のコードする潜在能力の変動が、ルブラウイルス(Rubulavirus
)での余分の遺伝子(SH)の存在がそうであるように、考慮される。
【0006】 ニューモウイルスは、それらが幅の狭いヌクレオキャプシドを含有するために
パラミクソウイルス亜科(Paramyxovirinae)と形態学的に識別
することが可能である。加えて、ニューモウイルスは、タンパク質をコードする
シストロンの数(パラミクソウイルス亜科(Paramyxovirinae)
での6個に対してニューモウイルスで10個)、およびパラミクソウイルス亜科
(Paramyxovirinae)のものと非常に異なる付着タンパク質(G
)に大きな差異を有する。パラミクソウイルスおよびニューモウイルスは、機能
で対応するようである6個のタンパク質(N、P、M、G/H/HN、Fおよび
L)を有するとは言え、後者の2種のタンパク質のみが該2種の亜科の間の有意
の配列の関連を表わす。いくつかのニューモウイルスのタンパク質はパラミクソ
ウイルスの大部分の対照物すなわち非構造タンパク質NS1およびNS2、小さ
な疎水性タンパク質SHならびに第二のタンパク質M2を欠く。いくつかのパラ
ミクソウイルスのタンパク質すなわちCおよびVはニューモウイルスの対照物を
欠く。しかしながら、ニューモウイルスおよびパラミクソウイルスの基礎的なゲ
ノム構成は同一である。同じことがラブドウイルスおよびフィロウイルスでも真
実である。表1は各属の例と一緒にこれらのウイルスの現在の分類学的分類を提
示する。 表1 モノネガウイルス目(Order Mononegavirales)のセグメ
ントに分けられない負センスの一本鎖RNAウイルスの分類 パラミクソウイルス科(Paramyxoviridae) パラミクソウイルス亜科(Paramyxovirinae) パラミクソウイルス属(Paramyxovirus) センダイウイルス(マウスパラインフルエンザウイルスタイプ1) ヒトパラインフルエンザウイルス(PIV)タイプ1および3 ウシパラインフルエンザウイルス(BPV)タイプ3 ルブラウイルス属(Rubulavirus) シミアンウイルス5(SV)(イヌパラインフルエンザタイプ2) ムンプスウイルス ニューカッスル病ウイルス(NDV)(トリパラミクソウイルス1) ヒトパラインフルエンザウイルスタイプ2、4aおよび4b モルビリウイルス属(Morbillivirus) 麻疹ウイルス(MV) イルカモルビリウイルス イヌジステンパーウイルス(CDV) 小反芻動物病ウイルス アザラシジステンパーウイルス 牛疫ウイルス ニューモウイルス亜科(Pneumovirinae) ニューモウイルス属(Pneumovirus) ヒト呼吸合胞体ウイルス(RSV) ウシ呼吸合胞体ウイルス マウス肺炎ウイルス シチメンチョウ鼻気管炎ウイルス ラブドウイルス科(Rhabdoviridae) リッサウイルス属(Lyssavirus) 狂犬病ウイルス ベシクロウイルス属(Vesiculovirus) 水疱性口内炎ウイルス エフェメロウイルス属(Ephemerovirus) ウシ流行熱ウイルス フィロウイルス科(Filoviridae) フィロウイルス属(Filovirus) マールブルグウイルス これらのウイルスの多くについてはいかなる種類のワクチンも入手可能でない
。従って、こうしたヒトおよび動物の病原体に対するワクチンを開発する必要性
が存在する。こうしたワクチンはレシピエントで保護的免疫応答を導き出さなけ
ればならないとみられる。こうした好都合な応答の定性的および定量的特徴は、
天然のウイルス感染症の生存者[彼らは一般にその後若干の有意の期間の間同一
のもしくは高度に関係するウイルスによる再感染から保護される]でみられるも
のから外挿される。
【0007】 (1)精製された個々のウイルスタンパク質のワクチン(サブユニットワクチ
ン);(2)不活性化全ウイルス製剤;および(3)生弱毒化ウイルスの使用を
包含する多様なアプローチが、こうしたワクチンを開発するための探求で考慮さ
れる可能性がある。
【0008】 サブユニットワクチンは、純粋、限定可能、および、組換えDNA発現法を包
含する多様な手段により豊富に比較的容易に産生されるという望ましい特徴を有
する。今日まで、B型肝炎表面抗原の顕著な例を除き、ウイルスサブユニットワ
クチンは、とりわけ免疫を受けたことのないレシピエントにおいて、一般に、導
き出された短命のおよび/もしくは不十分な免疫のみを有する。
【0009】 急性灰白髄炎(IPV)およびA型肝炎のホルマリン不活性化全ウイルス製剤
は安全かつ有効と判明している。対照的に、呼吸合胞体ウイルスおよび麻疹ウイ
ルスのワクチンのような類似に不活性化された全ウイルスでの免疫感作は、ワク
チン接種を受けた者を天然のもしくは「野生型」ウイルスにその後直面される場
合に誇張されたもしくは異常な疾患に罹りやすくする、不利な免疫応答および/
もしくは応答プロフィルを導き出した。
【0010】 小児にワクチン注射をするための早期の試み(1966)は、非経口で投与さ
れるホルマリン不活性化RSVワクチンを使用した。不幸なことに、このワクチ
ンのいくつかの実地試験は重大な有害反応、すなわちRSVへのその後の天然の
感染後の異常な特徴をもつ重症の疾病の発症(参考書目登録1,2)を示した。
このホルマリン処理されたRSV抗原が、ワクチン接種を受けた者をRSV疾患
に罹りやすくする異常なもしくは均衡を欠いた免疫応答プロフィルを導き出した
ことが示唆された(3,4)。
【0011】 その後、生弱毒化RSVワクチン候補が、寒冷継代(cold passage)もしくは化
学的突然変異誘発により生じられた。これらのRSV株は血清陽性の成体で低下
された毒性を有することが見出された。不幸なことに、それらは、血清陰性の幼
児に与えられる場合に過剰弱毒化されたかもしくは過小弱毒化されたかのいずれ
かと判明し;いくつかの場合にはそれらは遺伝的安定性を欠くこともまた見出さ
れた(5,6)。生ウイルスの非経口投与を使用する別のワクチン接種のアプロ
ーチは無効であり、そしてこの線に沿った努力は中断された(7)。とりわけ、
これらの生RSVワクチンは、上述されたホルマリン不活性化RSVワクチンで
観察されたような疾患の増強を伴わなかった。現在、ヒトへの投与のため承認さ
れたRSVワクチンは存在しないが、とは言え、A2およびB−1と呼称される
RSVの寒冷継代された化学的に突然変異誘発された株を用いる臨床試験が現在
進行中である。
【0012】 野生型ウイルスの適切に弱毒化された生誘導体は、ワクチン候補として明確な
利点を提供する。生存する複製する病原体として、それらはレシピエントでの感
染を開始し、その間、ウイルス遺伝子産物がワクチン接種を受けた者の特異的な
MHCクラスIおよびII分子の情況で発現され、プロセシングされそして提示
され、体液性および細胞媒介性の免疫応答、ならびに天然の感染症の生存者の保
護的免疫プロフィルに近似する同等のサイトカインおよびケモカインパターンを
導き出す。
【0013】 この好都合な免疫応答パターンは、典型的には主に体液性免疫監視アームに制
限される、不活性化もしくはサブユニットワクチンにより導き出される限界を定
められた応答と対比される。さらに、若干のホルマリン不活性化全ウイルスワク
チン、例えば1960年代に開発された麻疹および呼吸合胞体ウイルスワクチン
により導き出される免疫応答プロフィルは、持続性の保護を提供することに失敗
したのみならず、しかし実際のところ、ワクチンのレシピエントが後に野生型ウ
イルスに直面された場合に異常な誇張されたそして致死的でさえある疾病に対す
る疾病素因につながった。
【0014】 生弱毒化ウイルスはワクチン候補として高度に望ましい特徴を有する一方、そ
れらは開発するのが困難であることが判明した。その困難の最重要点は、レシピ
エントを感染させそして十分な夥しさで所望の免疫応答プロフィルを導き出すの
に十分な複製能力を保持しつつ、その疾患を生じさせる潜在能力(すなわち毒性
)を喪失した野生型ウイルスの誘導体を単離する必要性に存する。
【0015】 歴史的には、毒性と弱毒化との間のこの扱いにくい均衡は、(温度のような)
変動する成長条件のもとで多様な宿主組織もしくは細胞による野生型ウイルス単
離物の連続的継代により達成されている。この過程が、おそらくウイルス変異体
(突然変異体)の成長に味方し、変異体のいくつかは弱毒化の好都合な特徴を有
する。ときに、さらなる弱毒化が化学的突然変異誘発により同様に達成される。
【0016】 この増殖/継代スキームは、典型的には、温度感受性の寒冷適応され(cold-ad
apted)、そして/もしくはそれらの宿主範囲で変えられるウイルス誘導体の出現
につながり、その1種もしくは全部が野生型の疾患を引き起こすウイルスからの
変化、すなわち弱毒化を伴うかも知れない変化である。
【0017】 麻疹およびおたふくかぜ(パラミクソウイルスである)の予防、ならびに急性
灰白髄炎および風疹(正鎖RNAウイルスである)に対する保護のためのものを
包含するいくつかの生ウイルスワクチンがこのアプローチにより生じられ、そし
て世界中で現在の小児の免疫感作レジメンの中心となるものを提供する。
【0018】 にもかかわらず、弱毒化生ウイルスワクチン候補を生じさせるためのこの手段
は長たらしく、そしてせいぜい予測不可能であり、主として望ましい弱毒化の特
徴をもつそれらの無作為に発生するゲノム突然変異体の選択的な生成を頼みとす
る。生じるウイルスはインビトロで所望の表現型を有するかも知れず、そして、
動物モデルにおいて弱毒化されるようでさえある。しかしながら、まったく度を
過ごして、それらは、そのためにそれらがワクチン候補として意図されるヒトも
しくは動物宿主で過小弱毒化されたかもしくは過剰弱毒化されたかのいずれかの
ままである。
【0019】 使用されている現在のワクチンに関してさえ、より有効なワクチンに対する必
要性がなお存在する。例えば、現在の麻疹ワクチンは理にかなって良好な保護を
提供する。しかしながら、最近の麻疹の突発的流行は現在のワクチンの効力の不
足を示唆する。母体の免疫感作にもかかわらず、高率の急性麻疹感染が1歳以下
の小児で発生しており、野生型の麻疹の感染後に発生されるものに匹敵する抗麻
疹抗体レベルを誘導することの該ワクチンの無能力を反映する(8,9,10)
。結果として、ワクチンで免疫された母親は、人生の最初の数ヶ月を越えて新生
児を保護するための十分な経胎盤的に生じられる受動抗体を彼らの幼児に提供す
ることがより少なく可能である。
【0020】 以前に免疫された青年および若年の成体での急性麻疹感染は付加的な問題を指
摘する。これらの二次的なワクチンの失敗は、豊富かつ持続性の双方である抗ウ
イルス保護を誘導かつ維持する現在のワクチンの能力における限界を示す(11
,12,13)。最近、なお別の潜在的な問題が示された。過去15年にわたっ
て単離された野生型の麻疹のヘマグルチニンタンパク質はワクチン株からの累進
的に増大する距離を示した(14)。この「抗原性の移動」は、該ワクチン株が
至適の保護を提供するのに必要とされる理想的な抗原性のレパートリーを含有し
ないかも知れないという道理に合った懸念を提起する。従って、改良されたワク
チンに対する必要性が存在する。
【0021】 理にかなったワクチンの設計は、これらのウイルスのより良好な理解、とりわ
け毒性のウイルスにコードされる決定子ならびに弱毒化の原因であるゲノムの変
化の同定により補助されるとみられる。
【0022】 既に、米国仮出願第60/026,823号および国際特許出願第PCT/U
S97/16718号[その双方はこれにより引用により組み込まれる]におい
て、3’のゲノムプロモーター領域中に最低1個の弱毒化突然変異を有しかつR
NAポリメラーゼ遺伝子中に最低1個の弱毒化突然変異を有するモノネガウイル
ス目(Order Mononegavirales)の組換え的に発生された
弱毒化されたセグメントに分けられない負センスの一本鎖RNAウイルスの発生
および単離が開示された。これらのウイルスのゲノムの他の領域中の弱毒化する
変化の同定は理にかなったワクチン設計をさらに補助するとみられる。
【0023】 (発明の要約) 従って、突然変異がそれらのウイルスの弱毒化をもたらさす、麻疹ウイルスお
よびヒト呼吸合胞体ウイルスサブグループBのゲノムの付加的な領域を同定する
ことが、本発明の一目的である。
【0024】 それらのゲノム中にこうした弱毒化突然変異を組み込む組換え的に発生された
ウイルスを製造することが、本発明のさらなる一目的である。
【0025】 こうした弱毒化ウイルスを含有するワクチンを処方することが、本発明のなお
さらなる一目的である。
【0026】 これらおよび以下で論考されるような本発明の他の目的は、特定の弱毒化突然
変異を有する組換え的に発生された弱毒化麻疹ウイルスもしくはヒト呼吸合胞体
ウイルスサブグループBの発生および単離により達成される。
【0027】 麻疹ウイルスの場合には、1個もしくはそれ以上の弱毒化突然変異が、(1)
N遺伝子について、残基129(グルタミン→リシン)、148(グルタミン酸
→グリシン)および479(セリン→トレオニン)より成る群から選択されるア
ミノ酸に変化を生じさせるヌクレオチド変化;(2)P遺伝子について、残基2
25(グルタミン酸→グリシン)、275(システイン→チロシン)および43
9(ロイシン→プロリン)より成る群から選択されるアミノ酸に変化を生じさせ
るヌクレオチド変化;(3)C遺伝子について、残基73(アラニン→バリン)
、104(メチオニン→トレオニン)および134(セリン→チロシン)より成
る群から選択されるアミノ酸に変化を生じさせるヌクレオチド変化;ならびに(
4)F遺伝子終了シグナル(gene-end signal)(シスに作用する転写終止シグナ ル)について、ヌクレオチド7243(T→C)の変化より成る群から選択され
、ここでこれらのヌクレオチドならびに本出願で詳細に叙述される他者は(別に
述べられない限り)、正鎖のアンチゲノム、すなわちメッセージ(コーディング
)センス中に提示される。
【0028】 ヒト呼吸合胞体ウイルスサブグループBの場合には、M遺伝子終了シグナル(
シスに作用する転写終止シグナル)中のヌクレオチド4199(T→C)に1個
の弱毒化突然変異が存在し、ここでこれらのヌクレオチドは正鎖のアンチゲノム
、すなわちメッセージ(コーディング)センス中に提示される。
【0029】 本発明の別の態様において、これらの弱毒化麻疹もしくはヒトRSVサブグル
ープBウイルスは、野生型の形態の各ウイルスに対する保護的免疫応答を導き出
すワクチンを製造するのに使用される。
【0030】 本発明のなお別の態様において、完全なウイルスのヌクレオチド配列(野生型
ウイルスのものにしろ非組換え手段により弱毒化されたウイルスのものにしろ)
を有する単離された正鎖のアンチゲノムのメッセージセンス核酸分子(もしくは
単離された負鎖のゲノムのセンス核酸分子)が、単離された組換え的に発生され
た弱毒化麻疹もしくはヒトRSVサブグループBウイルスを発生させるように本
明細に記述される弱毒化突然変異の1種もしくはそれ以上を導入することにより
操作される。各弱毒化ウイルスはその後野生型の形態の各ウイルスに対する保護
的免疫応答を導き出すワクチンを製造するのに使用される。
【0031】 (発明の詳細な記述) 負センスの一本鎖RNAウイルスゲノムの転写および複製は、リボ核タンパク
質コア(ヌクレオキャプシド)に作用する多量体タンパク質の酵素的活動により
達成される。裸のゲノムRNAは鋳型としてはたらき得ない。代わりに、これら
のゲノムの配列は、それらがNタンパク質によりヌクレオキャプシド構造に完全
に包膜化される場合にのみ認識される。ゲノムおよびアンチゲノムの末端プロモ
ーター配列が転写もしくは複製の経路を開始するよう認識されるのはその情況に
おいてのみである。
【0032】 全部のパラミクソウイルスは、これらのポリメラーゼ経路が進行するために2
種のウイルスタンパク質LおよびPを必要とする。RSVを包含するニューモウ
イルスもまた、転写経路が効率的に進行するために転写伸長因子M2を必要とす
る。おそらくウイルスにコードされるNS1およびNS2タンパク質、ならびに
おそらく宿主細胞にコードされるタンパク質を包含する付加的な補助因子もまた
ある役割を演じているかも知れない。
【0033】 しかしながら、かなりの証拠が、リボヌクレオチドの重合、mRNA転写物の
キャッピングおよびポリアデニル酸化、Pタンパク質のメチル化およびおそらく
特定のホスホリル化の開始および終了を包含する転写および複製に関連する全部
でない場合は大部分の酵素的過程を実施するのはLタンパク質であることを示す
。ゲノムの転写および複製におけるLタンパク質の中心的役割は、その大きな大
きさ、突然変異に対する感受性および転写的に活性のウイルス複合体におけるそ
の触媒レベルの夥しさにより援助される(16)。
【0034】 これらの考慮は、Lタンパク質が、その連鎖状構造が別々の機能を統合する直
線状の一列のドメインより成る(17)という提案につながった。事実、負セン
スのウイルスのLタンパク質内の3種のこうした限界を定められた別々の要素が
、他の十分に特徴づけられたタンパク質の定義された機能的ドメインに対するそ
れらの関連に基づいて同定されている。これらは、(1)推定のRNAの鋳型の
認識および/もしくはホスホジエステル結合形成ドメイン;(2)RNA結合要
素;ならびに(3)ATP結合ドメインを包含する。セグメントに分けられない
負センスの一本鎖RNAウイルスのLタンパク質の全部の以前の研究はこれらの
推定の機能的要素を示した(17)。
【0035】 以下により束縛されることなく、これらのタンパク質をコードしないプロモー
ターおよび他のシスに作用するゲノムの調節ドメインが、麻疹ウイルス(MV)
およびモノネガウイルス目(Order Mononegavirales)の
他のウイルスによる転写および複製がLタンパク質と共同して実現される効率の
重要な決定子であること、また、それらは従って同様にこれらのウイルスの毒性
の決定子であるかも知れないことを推定することは道理に合っている。
【0036】 要するに、本発明は、該ウイルスの複製する十分な能力を保持しつつ各ウイル
スの弱毒化をもたらす、いくつかの麻疹ウイルス遺伝子および1個のシスに作用
する調節ドメイン中の一組の変化、ならびにRSVサブグループBのシスに作用
する調節ドメイン中の1個の変化を包含すると考えられる。従って、理にかなっ
たワクチン設計の一部として、こうした突然変異は、複製効率および免疫原性の
所望の均衡を提供するよう導入され、その結果該ウイルスワクチンはもはや疾患
を生じさせることは可能でなく、それでもなおワクチン接種を受けた者の細胞を
感染させて望ましい免疫応答の完全なスペクトルおよびプロフィルを導き出すの
に十分に豊富な遺伝子産物を発現しそして導き出された免疫応答の夥しさを最大
化するのに十分に繁殖かつ播種するその能力を保持する。
【0037】 動物研究は、疾病を回避するのに十分だがしかし所望の免疫応答を導き出すの
に十分なウイルス複製の減少を立証した。これはおそらく、転写の減少、ウイル
スにコードされるタンパク質の遺伝子発現の減少および/もしくはアンチセンス
の鋳型の減少、そして従ってより少ない新たなゲノムの産生を表わす。生じる弱
毒化ウイルスは野生型より有意により小さく毒性である。
【0038】 本明細書に記述される弱毒化突然変異は、2個の方法、すなわち (1)化学的突然変異誘発物質が添加されている細胞培養物中でのウイルスの
成長の間の化学的突然変異誘発、温度感受性および/もしくは寒冷適応(cold ad
apted)突然変異を選択するために至適に及ばない温度で継代にかけられたウイル
スの選択、細胞培養物中で小さなプラークを産生する突然変異体ウイルスの同定
、ならびに宿主範囲の突然変異について選択するための異種宿主を通じての継代
のような慣習的手段。これらのウイルスをその後、動物モデルでのそれらの生物
学的活性の減弱についてスクリーニングする。弱毒化ウイルスをそれらのコーデ
ィング領域および遺伝子間領域のヌクレオチド配列決定にかけて弱毒化突然変異
の部位の位置をつきとめる。これがなされれば方法(2)をその後実施する。
【0039】 (2)弱毒化突然変異の導入の好ましい一手段は、予め決められた突然変異を
、部位特異的突然変異誘発を使用して作成することを含んで成る。これらの突然
変異を、方法(1)もしくはその弱毒化突然変異が既に知られている緊密に関係
したウイルスへの参照のいずれかにより同定する。本明細書で定義されるような
1個もしくはそれ以上の突然変異を麻疹ウイルスもしくはRSVサブグループB
株に導入する。コーディングおよび非コーディングの変化の多様な組み合わせの
累積的効果もまた評価し得る。 によりウイルス株中に導入されてよい。
【0040】 麻疹ウイルスのN、Pおよび/もしくはC遺伝子、ならびに/またはF遺伝子
終了シグナル、あるいはRSVサブグループBのM遺伝子終了シグナルへの突然
変異を、標準的組換えDNA法によりウイルスゲノムの1個のDNAコピー中に
導入する。これは、野生型もしくは(方法(1)により改変されたウイルスのよ
うな)改変ウイルスゲノムの背景であることができ、それにより新たなウイルス
を生じさせる。これらの弱毒化突然変異を含有する感染性のクローンもしくは粒
子が、センダイウイルス(18);麻疹ウイルス(19);呼吸合胞体ウイルス
(20);PIV−3(21);狂犬病(22);水疱性口内炎ウイルス(VS
V)(15);および牛疫ウイルス(23)[これらの参考文献はこれにより引
用により組み込まれる]を包含する多様なウイルスに適用されているcDNAの
「レスキュー」系を使用して生じられる。麻疹ウイルスのレスキューについては
、米国を指定する公開国際特許出願第WO97/06270号(24);RSV
のレスキューについては、米国を指定する公開国際特許出願第WO97/120
32号(25)を参照されたい;これらの出願はこれにより引用により組み込ま
れる。
【0041】 簡潔には、全部のモノネガウイルス(Mononegavirales)のレ
スキュー系は以下のとおり要約し得る。すなわち、それぞれは、適するDNA依
存性RNAポリメラーゼプロモーター(例えばT7 RNAポリメラーゼプロモ
ーター)と、増殖可能な細菌プラスミド中に挿入される自己切断型リボザイム配
列(例えば肝炎デルタリボザイム)との間に置かれるウイルスゲノム全体のクロ
ーニングされたDNA同等物を必要とする。この転写ベクターは、それから該R
NAポリメラーゼ(例えばT7 RNAポリメラーゼ)が正確なもしくはほぼ正
確な5’および3’末端をもつウイルスアンチゲノム(もしくはゲノム)の一本
鎖RNAの1個のコピーを忠実に転写し得る、容易に操作可能なDNA鋳型を提
供する。該ウイルスゲノムのDNAのコピーならびに隣接するプロモーターおよ
びリボザイム配列の向きが、アンチゲノムのRNA同等物が転写されるかもしく
はゲノムのRNA同等物が転写されるかどちらかを決定する。裸の一本鎖のウイ
ルスのアンチゲノムもしくはゲノムのRNA転写物を機能的なヌクレオキャプシ
ドの鋳型中に包膜化するのに必要とされるウイルス特異的なトランスに作用する
タンパク質、すなわちウイルスヌクレオキャプシド(NもしくはNP)タンパク
質、ポリメラーゼ会合リンタンパク質(P)およびポリメラーゼ(L)タンパク
質もまた、新たなウイルス子孫のレスキューに必要とされる。これらのタンパク
質は活性のウイルスRNA依存性RNAポリメラーゼを含んで成り、それはこの
ヌクレオキャプシドの鋳型を転写および複製を達成するよう従事させなければな
らない。
【0042】 麻疹ウイルスのレスキューに必要とされるトランスに作用するタンパク質は、
包膜化タンパク質Nならびにポリメラーゼ複合体タンパク質PおよびLである。
RSVについては、ウイルス特異的なトランスに作用するタンパク質はN、Pお
よびL、ならびに付加的な1タンパク質M2(RSVにコードされる転写伸長因
子)を包含する。
【0043】 典型的には、これらのウイルスのトランスに作用するタンパク質は、必要とさ
れるタンパク質をコードする1種もしくはそれ以上のプラスミド発現ベクターか
ら生じられるとは言え、必要とされるトランスに作用するタンパク質のいくつか
もしくは全部が、安定な形質転換体としてこれらのウイルス特異的遺伝子および
遺伝子産物を含有かつ発現するよう工作された哺乳動物細胞内で産生されてよい
【0044】 レスキューのための典型的な(とは言え必ずしも限定的でない)環境は、その
中にT7ポリメラーゼがウイルスゲノムのcDNAを含有する転写ベクターから
アンチゲノム(もしくはゲノム)の一本鎖RNAの転写を駆動するために存在す
る適切な哺乳動物細胞環境を包含する。その後、共転写的にもしくは短くのいず
れかで、このウイルスアンチゲノム(もしくはゲノム)RNA転写物はヌクレオ
キャプシドタンパク質により機能的鋳型中に包膜化され、そして、必要とされる
ウイルス特異的なトランスに作用するタンパク質をコードするコトランスフェク
ションされた発現プラスミドから付随して産生される必要とされるポリメラーゼ
成分により束縛される。これらの事象および過程は、ウイルスのmRNAの前も
って必要な転写、新たなゲノムの複製および増幅、ならびにそれにより新規ウイ
ルス子孫の産生すなわちレスキューにつながる。
【0045】 狂犬病、VSVおよびセンダイのレスキューのためには、T7ポリメラーゼが
組換えワクシニアウイルスVTF7−3により提供される。この系は、しかしな
がら、レスキューされたウイルスが、物理的もしくは生化学的手段、またはポッ
クスウイルスにとって良好な宿主でない細胞もしくは組織での反復される継代に
より、ワクシニアウイルスから分離されることを必要とする。MVのcDNAの
レスキューのためには、この要件はT7ポリメラーゼならびにウイルスのNおよ
びPタンパク質を発現する細胞系を創製することにより回避される。レスキュー
は、ゲノム発現ベクターおよびL遺伝子発現ベクターをヘルパー細胞系にトラン
スフェクションすることにより達成される。T7 RNAポリメラーゼを発現す
るがしかし哺乳動物細胞中でほとんどもしくは全く感染性の子孫を生じさせない
ワクシニアウイルスの宿主範囲の突然変異体MVA−T7の利点が、RSV、牛
疫ウイルスおよびMVをレスキューするために活用される。必要な包膜化タンパ
ク質の同時発現の後に、合成の完全長のアンチゲノムのウイルスRNAが包膜化
され、複製されかつウイルスのポリメラーゼタンパク質により転写され、そして
複製されたゲノムが感染性のビリオン中にパッケージングされる。こうしたアン
チゲノムに加えて、ゲノム類似物が今やセンダイおよびPIV−3について成功
裏にレスキューされている(21,26)。
【0046】 該レスキュー系は、かように、包膜化、転写および複製に必要なトランスに作
用するタンパク質(例えば、麻疹ウイルスについてN、PおよびL;RSVにつ
いてN、P、LおよびM2)をコードする最低1種の単離された核酸分子を含ん
で成る最低1種の発現ベクターと一緒に、(a)麻疹ウイルスについてはN、P
もしくはC遺伝子またはF遺伝子終了シグナル中の最低1個の弱毒化突然変異;
および(b)RSVサブグループBについてはM遺伝子終了シグナル中の最低1
個の弱毒化突然変異を有する、モノネガウイルス目(Order Monone
gavirales)のセグメントに分けられない負センスの一本鎖RNAウイ
ルスのゲノムもしくはアンチゲノムをコードする単離された核酸分子を含んで成
る転写ベクターを含んで成る組成物を提供する。宿主細胞をその後、ちょうど記
述された最低2種の発現ベクターで形質転換もしくはトランスフェクションする
。該宿主細胞を、感染性の弱毒化ウイルスを産生するようにこれらのベクターの
共発現を可能にする条件下で培養する。
【0047】 レスキューされた感染性ウイルスをその後、最初にインビトロ手段によりその
所望の表現型(温度感受性、寒冷適応、プラークの形態、ならびに転写および複
製の減弱)について試験する。麻疹ウイルスのN、PもしくはC遺伝子またはF
遺伝子終了シグナル中、およびRSVサブグループBのM遺伝子終了シグナル中
の突然変異もまた、必要とされるトランスに作用する包膜化およびポリメラーゼ
活性が野生型もしくはワクチンヘルパーウイルス、または遺伝子特異的弱毒化突
然変異をもつN、Pおよび多様なL遺伝子を発現するプラスミドにより提供され
る、ミニレプリコン系を使用して試験する(19,27,83)。
【0048】 レスキューされたウイルスの弱毒化された表現型が存在する場合、攻撃実験を
適切な動物モデルを用いて実施する。非ヒトの霊長類はヒト疾患の病因論のため
の好ましい動物モデルを提供する。これらの霊長類を、最初に、弱毒化された組
換え的に発生されたウイルスを用いて免疫し、その後野生型の形態の該ウイルス
を用いて攻撃する。サルを、接種の鼻内、気管内もしくは皮下経路を包含するが
しかしこれらに制限されない多様な経路により感染させる(28)。実験的に感
染したアカゲザルおよびカニクイザルは、麻疹に対するワクチン誘導性の保護の
研究のための動物モデルとしてもまたはたらいている(29)。RSV突然変異
体の弱毒化レベルを評価するため、コトンラットもしくはマウスモデルもまた使
用してよい(30,31)。保護を、疾患の兆候および症状、生存、ウイルスの
発散(shedding)および抗体力価のような基準により測定する。所望の基準が合致
される場合は、該弱毒化された組換え的に発生されたウイルスはヒトでの試験の
ための実現可能なワクチン候補と考えられる。「レスキューされた」ウイルスは
、それもまた弱毒化突然変異を組み込む該ウイルスの子孫および後の世代がそう
であるように「組換え的に発生される」と考えられる。
【0049】 「レスキューされた」ウイルスがワクチンの使用のための至適のレベルに関し
て過小弱毒化もしくは過剰弱毒化される場合でさえ、これはこうした至適の株を
開発するために貴重である情報である。
【0050】 至適には、弱毒化点突然変異を含有するコドンを、該弱毒化点突然変異のみを
もつコドンによりコードされるアミノ酸を変えることなく該コドン中に第二のも
しくは第二および第三の突然変異を導入することにより安定化してよい。弱毒化
および安定化突然変異を含有する感染性ウイルスクローンもまた、上述されたc
DNAの「レスキュー」系を使用して生じられる。
【0051】 本発明の一態様においては麻疹ウイルスの突然変異が評価される。なぜなら、
配列データが、疾患を引き起こす野生型ウイルスおよび有効性の立証された歴史
を有する疾患を予防するワクチンについて本明細書で記述されるとおり現在入手
可能であるからである。
【0052】 麻疹ウイルスは、最初、デイヴィッド・エドモンストン(David Edm
onston)と命名された感染患者から1954年に組織培養物中で単離され
た(32)。麻疹のこのエドモンストン(Edmonston)株は、米国の現
在のワクチン(アテニュヴァックス[Attenuvax](商標);メルク
シャープ アンド ドーム(Merch Sharp & Dohme)、フィ
ラデルフィア州ウェストポイント)でありかつ1968年に認可されそして有効
であることが判明しているモラテン(Moraten)を包含する多くの生弱毒
化麻疹ワクチンの先祖となった。
【0053】 1960年代半ばから後期に制定された攻撃的免疫感作プログラムは、報告さ
れた麻疹の症例の1965年の700,000近くから1983年の1500ま
での急勾配の落下をもたらした。同時に、他のワクチン株、シュワルツ(Sch
warz)(インスティテュート メリュー(Institut Merieu
x)、フランス・リヨン)、ザグレブ(Zagreb)(ユーゴスラビア・ザグ
レブ)およびAIK−C(日本)もまたエドモンストン(Edmonston)
株から開発された(図1を参照されたい)。これらの他のワクチンもまた有効で
あることが判明しておりそして広範囲に使用されている。初期の反応原性の過小
弱毒化ワクチン株(ルベオヴァックス[Rubeovax](商標):メルク
シャープ アンド ドーム(Merch Sharp & Dohme);これ
はエドモンストン(Edmonston)B株と同一であるかも知れない)が小
児で麻疹様疾病を生じさせ、そしてその使用は従って中断された。そかしながら
、それがさらに成功裏に弱毒化されてモラテン(Moraten)ワクチン株を
製造した(図1を参照されたい)(33)。生麻疹ウイルスワクチンは、有効な
ワクチンの開発の成功物語を提供し、また、セグメントに分けられない負センス
の一本鎖RNAウイルスのあいだのウイルスワクチンの弱毒化の分子機構を理解
するためのモデルを提供する。
【0054】 ヒトの罹患率および死亡率の一主要原因としてのその重大性のため、麻疹ウイ
ルス(MV)は極めて広範囲に研究されている。MVは、それぞれ別個の生物学
的機能を有する2区画、すなわちリポタンパク質膜およびリボ核タンパク質粒子
コアから構成される大型の比較的球状のエンベロープをもつ粒子である(34)
。該ビリオンのエンベロープは、3種のウイルスに特定の(virus-specified)タ ンパク質により修飾された宿主細胞由来の血漿膜である。すなわち、ヘマグルチ
ニン(H;およそ80キロダルトン(kD))および融合(F1,2;およそ60 kD)糖タンパク質がビリオン表面上で突出し、そしてウイルス粒子に宿主細胞
付着および進入の能力を与える(16)。Hおよび/もしくはFに対する抗体は
、それらが感染を開始するウイルスの能力を中和するため、保護的と考えられる
(35,36,37)。マトリックス(M;およそ37kD)タンパク質は該膜
の内表面を内張りする両親媒性タンパク質であり、これはビリオンの形態形成を
編成しそして従ってウイルスの繁殖(reproduction)を完成すると考えられる(3
8)。該ビリオンのコアは15,894ヌクレオチド長のゲノムRNAを含有し
、それに、鋳型活性が、およそ2600分子のおよそ60kDのヌクレオキャプ
シド(N)タンパク質とのその緊密な会合により与えられる(39,40,41
)。ポリメラーゼ補助因子(P;およそ70kD)、およびおそらくなお他のウ
イルスに特定のタンパク質ならびに宿主にコードされたタンパク質と協力してM
Vゲノム配列を転写かつ複製する、酵素的レベルのウイルスのRNA依存性RN
Aポリメラーゼ(L;およそ240kD)が、このおよそ1ミクロン長さのらせ
ん状のリボ核タンパク質粒子とゆるく会合される(42)。
【0055】 国際特許出願第PCT/US97/16718号に先立ち、MVゲノムの全ヌ
クレオチド配列(エドモンストン(Edmonston)B実験室株およびAI
K−Cワクチン株についてのみ)、コーディング能力ならびに構成が報告された
(34)。6種のビリオンの構造タンパク質が6種の連続的な重なり合わない遺
伝子によりコードされ、これらは以下、すなわち3’−N−P−M−F−H−L
−5’のように整列される。今までのところは不確実な機能の2種の付加的なM
V遺伝子産物もまた同定された。C(およそ20kD)およびV(およそ45k
D)として知られるこれらの2種の非構造タンパク質は、双方ともP遺伝子によ
り[前者はPのmRNA内の第二の読み枠により;後者はPのアミノ末端配列お
よび新たなZnフィンガー様のシステイン豊富なカルボキシ末端ドメインを有す
るハイブリッドタンパク質をコードする共転写的にエディティングされたP遺伝
子由来のmRNAにより]コードされる(16)。
【0056】 ウイルスに特定のタンパク質をコードする配列に加え、MVゲノムは、関連す
るウイルスの転写および複製経路を指図するものに似た特徴的なタンパク質をコ
ードしないドメインを含有する(16,43)。これらの調節シグナルは、MV
ゲノムの3’および5’端、ならびに各シストロン間の境界にわたる短い内的領
域中に存する。前者は、ゲノムの転写、ゲノムおよびアンチゲノムの包膜化なら
びに複製を指図する推定のプロモーターおよび/もしくは調節配列要素をコード
する。後者は、各一シストロンのウイルスmRNAの転写終止およびポリアデニ
ル酸化、そしてその後次の遺伝子の転写の再開始の合図をする。一般に、MVポ
リメラーゼ複合体は、他のセグメントに分けられない負鎖のRNAウイルスのR
NA依存性RNAポリメラーゼとほぼ同じようにこれらのシグナルに応答するよ
うである(16,43,44,45)。
【0057】 転写はMVゲノムの3’端もしくはその近くで開始し、そしてその後5’の方
向に進行して一シストロンのmRNAを生じさせる(41,43,46)。ポリ
メラーゼがMVのゲノムの鋳型を横断する際に、それは推定の終止/開始シグナ
ルに遭遇し、それは、3’から5’の順序で、半保存された転写終止/ポリアデ
ニル酸化シグナル(A/G U/C UA A/U NNA4、ここでNは4種 の塩基のいずれであってもよい)[ここで各一シストロンのRNAが完成される
];転写されない遺伝子間の三ヌクレオチドの句読点(punctuation mark)(CU
U;それがCGUであるH:L境界でを除く);および次の遺伝子の転写開始の
ための半保存された開始シグナル(AGG A/G NN C/A A A/G
G A/U、ここでNは4種の塩基のいずれであってもよい)である(46,
47)。いくつかのポリメラーゼ複合体は再開始することに失敗するため、各M
VのmRNAの夥しさは、ゲノムの3’端からのコードする遺伝子の距離と平行
して減少する。このmRNAの勾配は各ウイルスに特定のタンパク質の相対的夥
しさに直接対応する。これは、MVタンパク質の発現が最終的には転写レベルで
制御されることを示す(45)。
【0058】 3’および5’のMVゲノムの末端は、VSVのリーダーおよびトレーラー(t
railer)RNAをコードする領域への別個の平行するもの(parallels)を伴うタン
パク質をコードしない配列を含有する(43)。ヌクレオチド1〜55はゲノム
の3’末端とN遺伝子の始まりとの間の領域を規定する一方、37の付加的ヌク
レオチドをL遺伝子の端と該ゲノムの5’末端との間に見出し得る。しかしなが
ら、VSV、もしくはパラミクソウイルス(paramyxoviruses)
のセンダイおよびNDVさえと異なり、MVはこれらの末端領域を短い改変され
ない(+)もしくは(−)のセンスのリーダーRNAに転写しない(48,49
,50)。代わりに、完全長のポリアデニル酸化されたリーダー:N、リーダー
:N:P、リーダー:N:P:Mおよびもちろん完全長のアンチゲノムのMVの
RNAを包含するリーダーの読み合わせ(readthrough)転写物が転写される(4 9,50)。従って、VSVの一本鎖の負の極性のゲノムの転写から複製への切
り替えを決定する重要な操作上の要素であるこの短いリーダー転写物(51,5
2,53)がMVで非存在のようである。これは、この決定的な繁殖事象につい
ての代替モデルの考慮および探究につながる(43)。
【0059】 麻疹ウイルス、ならびにラブドウイルスを除く全部の他のモノネガウイルス(
Mononegavirales)は、リーダーおよびトレーラーをコードする
配列の限界を越えてその末端の調節ドメインを伸長しているようである(43)
。麻疹に関しては、これらの領域は、107個の3’のゲノムのヌクレオチド(
「伸長されたプロモーター」ともまた称される「3’のゲノムプロモーター領域
」、これはリーダー領域をコードする52ヌクレオチド、次いで3個の遺伝子間
ヌクレオチド、およびNのmRNAの5’非翻訳領域をコードする52ヌクレオ
チドを含んで成る)、ならびに109個の5’端のヌクレオチド(LのmRNA
の3’非翻訳領域をコードする69個、遺伝子間の三ヌクレオチド、およびトレ
ーラーをコードする37ヌクレオチド)を包含する。これらの3’末端内で、ゲ
ノムおよびアンチゲノム双方のおよそ100ヌクレオチドが、共有されるヌクレ
オチド配列の2個の短い領域である:すなわち、ゲノムおよびアンチゲノムの絶
対的3’端の16ヌクレオチドのうち14個が同一である。それらの末端に対し
内的な、絶対配列の同一性の12ヌクレオチドの付加的な一領域が位置を突き止
められている。MVゲノムの転写が開始しなければならずかつ該アンチゲノムの
複製が開始しなければならない部位およびその近くのそれらの位置は、これらの
短い独特の配列のドメインが伸長されたプロモーター領域を包含することを示唆
する。
【0060】 これらの別個の配列要素が、転写開始の代替の部位、すなわちN遺伝子の開始
部位で転写開始を指令する内的ドメインおよびアンチゲノム産生を指図する3’
末端ドメインを命令するのかも知れない(43,49,51)。転写および複製
のシスに作用する決定子としてのそれらの調節の役割に加え、これらの3’の伸
長されたゲノムおよびアンチゲノムのプロモーター領域は、それぞれアンチゲノ
ムおよびゲノムのRNAの発生期の5’端をコードする。これらの発生期のRN
A内に、Nタンパク質の凝集(nucleation)のための今までのところは同定されな
いシグナル、すなわちヌクレオキャプシドの鋳型の形成にそしてその後転写の増
幅および複製に必要とされる別の重要な調節要素が存する。図2は、これらの高
度に保存された推定のシスに作用する調節ドメインの位置および配列を図解で示
す。
【0061】 位置、大きさおよび間隔が類似の末端のタンパク質をコードしない領域が、パ
ラミクソウイルス属(Paramyxoviridae)の他のメンバーのゲノ
ム中に存在するとは言え、それらの絶対的末端のヌクレオチドの8〜11個のみ
がMVにより共有される(43,55)。モルビリウイルス属(Morbill
ivirus)のイヌジステンパーウイルス(CDV)のゲノムの末端は、その
MVの関係物(relatives)とのより大きな程度の相同性を表わす。すなわち、絶 対的3’末端の18個のうち16個、およびそれらの5’端の18個のうち17
個を包含する、これら2種のウイルスのリーダーおよびトレーラー配列のヌクレ
オチドの73%が同一である(56)。MVの伸長されたプロモーターのものに
対する付属の内的CDVゲノムのドメインを共有する相同性は見出されていない
。しかしながら、CDVのゲノムのヌクレオチド85と104、および15,5
87と15,606との間に存する20ヌクレオチド長の伸長が存在し、ここで
20ヌクレオチドのうち15個は相補的である(ジーンバンク(Gene Ba
nk)受託番号AF14953)。これは、CDVが、MVと同様、その非コー
ディングの3’のゲノムおよびアンチゲノムの端内に付加的領域を含有し、これ
は、重要なシスに作用するプロモーターおよび/もしくは調節シグナルを提供し
ているかも知れない(56)ことを示す。
【0062】 加えて、3’のリーダー領域の正確な長さ(55ヌクレオチド)は、パラミク
ソウイルス科(Paramyxoviridae)のいくつかのメンバー(MV
、CDV 、PIV−3、BPV−3、SVおよびNDV)のあいだで同一であ る。これらの伸長されたタンパク質をコードしない領域の重要性についてのさら
なる証拠は、亜急性硬化性全脳炎(SSPE)の脳組織から最近クローン化され
た多数の別個の戻しコピー(copy-back)の不完全妨害(Defective I nterfering)ゲノム(DI)の分析から生じる。95個の5’末端の
ゲノムのヌクレオチドより短い幹をもつDIは見出されなかった。これは、MV
のDIのRNAの複製および包膜化に必要とされる最小のシグナルが、付加的な
内的な推定の調節ドメインを包含するように37ヌクレオチド長のトレーラー配
列を十分に越えて伸長することを示す(57)。
【0063】 全部のパラミクソウイルス(Paramyxovirus)で、複製、転写お
よび包膜化を包含する必須のウイルス機能に必要とされるシスに作用するシグナ
ルが、非コーディングゲノム末端に含有される。機能性のための拘束力のあるト
ランスに作用する要素はN、PおよびL遺伝子中に含有される。これらの領域の
いずれかにおける突然変異は、ウイルスの転写/複製の効率の減弱を包含する生
命機能の変化をもたらすかも知れない。
【0064】 シスに作用する配列要素およびトランスに作用するタンパク質遺伝子中の弱毒
化能力が、それらのゲノムの配列分析によりいくつかのウイルス系で立証された
(58,59)。
【0065】 本発明の麻疹の態様は、先祖のエドモンストン(Edmonston)の野生
型MV単離物由来の入手可能な麻疹ワクチン株と一緒にこの単離物のヌクレオチ
ド配列の分析を必要とした(図1を参照されたい)。独立した他の野生型単離物
を同様に比較の目的上検査した。とりわけ、3’のゲノムプロモーター領域およ
びL遺伝子以外の領域が強調され;それらの領域は国際特許出願第PCT/US
97/16718号の焦点であった。
【0066】 4種の野生型および5種のワクチンの麻疹株の(正鎖のアンチゲノムのメッセ
ージセンスにおける)ヌクレオチド配列を、本明細書に含有される適切な配列番
号への言及とともに以下のとおり示す。すなわち、 ウイルス ヌクレオチド配列 野生型 エドモンストン(Edmonston) 配列番号1 1977 配列番号2 1983 配列番号3 モンティフィオーレ(Montefiore) 配列番号4 ワクチン ルベオヴァックス[Rubeovax](商標) 配列番号5 モラテン(Moraten) 配列番号6 ザグレブ(Zagreb) 配列番号7 AIK−C 配列番号8 上に列挙された各麻疹ウイルスゲノムは長さ15,894ヌクレオチドである
。N遺伝子の翻訳はヌクレオチド108−110のコドンで開始し;翻訳終止コ
ドンはヌクレオチド1683−1685にある。翻訳されたNタンパク質は52
5アミノ酸長である。P遺伝子の翻訳はヌクレオチド1807−1809のコド
ンで開始し;翻訳終止コドンはヌクレオチド3328−3330にある。翻訳さ
れたPタンパク質は506アミノ酸長である。C遺伝子の翻訳はヌクレオチド1
829−1831のコドンで開始し;翻訳終止コドンはヌクレオチド2387−
2389にある。翻訳されたCタンパク質は189アミノ酸長である。F遺伝子
の翻訳はヌクレオチド5449−5451のコドンで開始し;翻訳終止コドンは
ヌクレオチド7108−7110にある。翻訳されたFタンパク質は553アミ
ノ酸長である。F遺伝子の終止/ポリアデニル酸化シグナルはヌクレオチド72
37−7247の11ヌクレオチドの遺伝子終了シグナル、次いでヌクレオチド
7248−7250の遺伝子間領域およびヌクレオチド7251−7260のH
遺伝子開始シグナルを包含する。
【0067】 1983野生型麻疹ウイルスのヌクレオチド2499が配列番号3で「G」と
して示されることに注目されたい。事実、該塩基は実際には「G」および「C」
の混合物である。ルベオヴァックス[Rubeovax](商標)ワクチンウイ
ルスのヌクレオチド2143が配列番号5で「T」として示されることにもまた
注目されたい。配列決定された9クローンでは、この塩基は7種で「T」および
2種で「C」であり;従って、この塩基は「T」もしくは「C」である可能性が
ある。
【0068】 加えて、シュワルツ(Schwarz)ワクチンウイルスゲノムはモラテン(
Moraten)ワクチンウイルスゲノムのもの(配列番号6)に同一である。
【0069】 MVゲノムのコーディングおよび非コーディング(シストロン間)領域の分析
を実施した。エドモンストン(Edmonston)野生型単離物、ワクチン株
、および他の独立に単離された野生型ウイルスのN、PおよびCの遺伝子および
タンパク質配列を識別するヌクレオチドおよびアミノ酸の差異ならびにF/Hシ
ストロン間領域中のF遺伝子終了シグナルを識別するヌクレオチドの差異を比較
かつ整列した(以下の実施例1の表3〜5を参照されたい)。
【0070】 表3に示されるとおり、先祖のエドモンストン(Edmonston)野生型
単離物に比較してMVワクチン株のN遺伝子中に5個のヌクレオチド変化が存在
する。これらの変化のうちヌクレオチド275および623の2個はアミノ酸配
列に対する変化をもたらさなかった保存的変化であった。ヌクレオチド492、
550および1542の3個の変化は、ワクチン株のあるもののアミノ酸配列に
対する変化をもたらした。すなわち(1)ヌクレオチド492の「C」から「A
」への変化は、AIK−Cワクチン株のアミノ酸129のグルタミンからリシン
への突然変異をもたらし;(2)ヌクレオチド550の「A」から「G」への変
化はモラテン(Moraten)およびシュワルツ(Schwarz)ワクチン
株のアミノ酸148のグルタミン酸からグリシンへの突然変異をもたらし;そし
て(3)ヌクレオチド1542の「T」から「A」への変化はルベオヴァックス
[Rubeovax](商標)、モラテン(Moraten)およびシュワルツ
(Schwarz)ワクチン株のアミノ酸479のセリンからトレオニンへの突
然変異をもたらした。これら3種の突然変異のいずれも後の野生型単離物のいず
れにも存在しなかったため、これら3種のN遺伝子の突然変異は該ワクチン株中
で潜在的に弱毒化している。
【0071】 理論により束縛されることなく、これら3種のN遺伝子の突然変異の弱毒化表
現型は以下の論考に基づくかも知れない。Nタンパク質は麻疹ウイルスの生命環
中で多数の機能を果たさなければならない。それは該ウイルスのゲノムRNAお
よびNの他のコピーと相互作用してMVゲノムが常に見出されるヌクレオキャプ
シド複合体を形成することが可能でなければならない。それはポリメラーゼ複合
体と相互作用して転写および複製を可能にする。それが複製複合体から離れたP
タンパク質と相互作用することもまた見出されている。これらの機能の全部が、
突然変異が該ウイルスの複製効率に影響を及ぼすことにより弱毒化をもたらすこ
とができる点である可能性がある。
【0072】 バンカンプ(Bankamp)らの欠失分析(60)に基づけば、エドモンス
トン(Edmonston)ワクチンの系統で観察される変化は以下に概説され
るようなNタンパク質の機能性に影響を及ぼす領域にある。すなわち (1)アミノ酸129(AIK−C中のグルタミンからリシン)およびアミノ
酸148(モラテン(Moraten)およびシュワルツ(Schwarz)中
のグルタミン酸からグリシン)の変化は、双方とも、溶液中のNおよびPタンパ
ク質の相互作用に必要な領域にある。この相互作用は、Nタンパク質が非ヌクレ
オキャプシド特異的様式で凝集しないようにするのを助ける。Pタンパク質はま
た、包膜化での使用のため複製するゲノムにNタンパク質を送達するシャペロン
としてはたらくとも思われる。センダイウイルスにおいては、最初の400アミ
ノ酸はRNAを包膜化する能力にもまた関与するドメインを含んで成り、この領
域の少なくともいくつかの部分がRNAと相互作用することを示唆する。
【0073】 (2)アミノ酸479での変化(ルベオヴァックス[Rubeovax](商
標)、モラテン(Moraten)およびシュワルツ(Schwarz)でのセ
リンからトレオニン)は、欠失される場合に構造化されていない凝集物の形成を
もたらす領域内にあり;これは、それがN:N相互作用の領域であることを示唆
する。Nタンパク質のこのカルボキシ末端領域はまた、センダイウイルスでヌク
レオキャプシドに集成される場合にPタンパク質と相互作用することも示されて
いる。加えて、アミノ酸400からカルボキシ末端(アミノ酸525)までの配
列は、該タンパク質の残部に比較して野生型のMVのNタンパク質のあいだで顕
著により高レベルの変動を示す。
【0074】 表4に示されるとおり、先祖のエドモンストン(Edmonston)野生型
単離物に比較して、MVワクチン株のP遺伝子中の3ヌクレオチドの変化および
C遺伝子中の3ヌクレオチドの変化が存在する。ヌクレオチド2480での「A
」から「G」へのP遺伝子中の第一の変化は、全部のワクチン株のアミノ酸22
5でのグルタミン酸からグリシンへの突然変異をもたらしたが;しかしながら、
この変化は後の野生型単離物のいずれにも存在しなかった。Pタンパク質中のこ
の独特の突然変異は、より少なく保存されたモルビリウイルス属(Morbil
livirus)のアミノ酸の一にある。すなわち、それは牛疫ウイルスの野生
型およびワクチンの双方の株でグルタミン酸、また、イヌジステンパーウイルス
およびアザラシジステンパーウイルス株でシステインである(58)。しかしな
がら、この独特の突然変異は検査された全部のMVワクチン株に共通であるがし
かし後の野生型単離物中に存在しなかったため、それは潜在的に弱毒化する突然
変異とみられる。
【0075】 PおよびVのmRNAは同一の開始コドンを共有し、そしてPおよびVタンパ
ク質の最初の231アミノ酸は同一である。VのmRNAはPのmRNAのヌク
レオチド2498と2499との間に余分の「G」を有する。エディティングが
、余分の鋳型に指図されない「G」残基がヌクレオチド2498と2499との
間に挿入される場合に転写の間に起こり、読み枠のシフトを引き起こし、それに
よりPタンパク質のカルボキシ末端の276アミノ酸がVタンパク質の68アミ
ノ酸のシステイン豊富なカルボキシ末端で置き換えられる。しかしながら、アミ
ノ酸225をコードする突然変異は余分な「G」 の前に配置され、その結果突 然変異はPおよびVタンパク質双方にとって潜在的に弱毒化している。現時点で
はVタンパク質の機能は未知である。
【0076】 ヌクレオチド2630の「G」から「A」へのP遺伝子中の第二の変化は、ア
ミノ酸275のシステインからチロシンへの突然変異をもたらした。ヌクレオチ
ド3122の「T」から「C」へのP遺伝子中の第三の変化はアミノ酸439の
ロイシンからプロリンへの突然変異をもたらした。これら2種の突然変異はAI
K−Cワクチン株に独特であり(それらは他のワクチン株もしくは野生型単離物
のいずれにも存在しなかった)、そして従ってそれらは潜在的に弱毒化するとみ
られる。
【0077】 ヌクレオチド2046の「C」から「T」へのC遺伝子中の第一の変化は、全
部の後の野生型単離物ならびに全部のワクチン株のアミノ酸73のアラニンから
バリンへの突然変異をもたらした。ワクチン株での(しかし先祖の野生型株でで
はない)この突然変異の存在のため、この突然変異は潜在的に弱毒化するとみら
れる。
【0078】 ヌクレオチド2139の「T」から「C」へのC遺伝子中の次の変化は、ルベ
オヴァックス[Rubeovax](商標)、モラテン(Moraten)およ
びシュワルツ(Schwarz)ワクチン株のアミノ酸104のメチオニンから
トレオニンへの突然変異をもたらした。この突然変異は後の野生型単離物のいず
れにも存在しなかったため、このC遺伝子の突然変異はワクチン株で潜在的に弱
毒化している。
【0079】 ヌクレオチド2229の「C」から「A」へのC遺伝子の第三の変化は、アミ
ノ酸134のセリンからチロシンへの突然変異をもたらした。この突然変異はA
IK−Cワクチン株に独特であり(それは他のワクチン株もしくは他の野生型株
のいずれにも存在しなかった)、そして従ってそれは潜在的に弱毒化するとみら
れる。
【0080】 各MV遺伝子の転写の開始および終止を制御するシスに作用する要素を含んで
成る領域は、検査された全部の麻疹ウイルスのあいだで高度に保存されることが
見出された。1例を除き、遺伝子開始および遺伝子終了シグナルの配列は分析さ
れた全部のウイルスについて同一であった。
【0081】 しかしながら、表5に示されるとおり、先祖の野生型MV単離物、他の誘導体
ワクチン株および他の野生型単離物と比較して、ワクチン株の2種(モラテン(
Moraten)およびシュワルツ(Schwarz))で(アンチゲノムのメ
ッセージセンスの)ヌクレオチド7237−7247にわたるF遺伝子終了シグ
ナル中に1個の突然変異が存在した。すなわち、ヌクレオチド位置7243で、
モラテン(Moraten)およびシュワルツ(Schwarz)は「A」を有
した一方、野生型単離物および他のワクチン株は「T」を有した。
【0082】 このF遺伝子終了シグナルの突然変異は転写終止の効率に影響を及ぼすと思わ
れ、それは順にF遺伝子発現、ならびに下流のH遺伝子発現のレベルに影響を及
ぼす可能性がある。FおよびH遺伝子発現の減少は、潜在的に、モラテン(Mo
raten)およびシュワルツ(Schwarz)ワクチン株の弱毒化の部分的
原因である。これはMVのF遺伝子発現の減少が弱毒化の一要因であるかもしれ
ない(61)という示唆と矛盾しない。遺伝子開始および遺伝子終了シグナル中
の突然変異の重要性は、RSVのM2遺伝子開始シグナル中の変化が該ウイルス
に対し甚大な弱毒化効果を有し、そして該ウイルスのts表現型を伴った(62
)という観察結果により例示された。
【0083】 表3および前述の論考に基づけば、MVのNタンパク質の重要な弱毒化部位は
以下のとおり、すなわちアミノ酸残基129(グルタミン→リシン)、148(
グルタミン酸→グリシン)および479(セリン→トレオニン)である。表4お
よび前述の論考に基づけば、PおよびCタンパク質の重要な弱毒化部位は以下の
とおり、すなわちPタンパク質についてアミノ酸残基225(グルタミン酸→グ
リシン)、275(システイン→チロシン)および439(ロイシン→プロリン
)、またCタンパク質についてアミノ酸残基73(アラニン→バリン)、104
(メチオニン→トレオニン)および134(セリン→チロシン)である。
【0084】 これらのアミノ酸変化の原因であるヌクレオチド変化が下の実施例1の表3お
よび4に示されるものに制限されないことが理解され;これらのアミノ酸に翻訳
されるコドンをもたらすヌクレオチド中の全部の変化が本発明の範囲内にある。
【0085】 加えて、表5および前述の論考にもしくは基づけば、F遺伝子終了シグナルの
重要な弱毒化突然変異は(アンチゲノムのメッセージセンス中の)ヌクレオチド
7243(T→C)である。
【0086】 本発明のさらなる一態様において、麻疹ウイルスの表現型は、上に言及された
N、PもしくはC遺伝子またはF遺伝子終了シグナルの突然変異の1個もしくは
それ以上を、国際特許出願第PCT/US97/16718号に記述される同等
の3’のゲノムプロモーター領域およびL遺伝子の突然変異のそれぞれの1種も
しくはそれ以上と組み合わせることによりさらに弱毒化され、それらは以下のと
おりである。すなわち、MVの3’のゲノムプロモーター領域について、突然変
異は、(アンチゲノムのメッセージセンス中の)ヌクレオチド26(A→T)、
ヌクレオチド42(A→TもしくはA→C)およびヌクレオチド96(G→A)
である一方、Lタンパク質については、突然変異はアミノ酸残基331(イソロ
イシン→トレオニン)、1409(アラニン→トレオニン)、1624(トレオ
ニン→アラニン)、1649(アルギニン→メチオニン)、1717(アスパラ
ギン酸→アラニン)、1936(ヒスチジン→チロシン)、2074(グルタミ
ン→アルギニン)および2114(アルギニン→リシン)である。再度、これら
のアミノ酸に翻訳されるコドンをもたらすヌクレオチド中の全部の変化が本発明
の範囲内にあることが理解される。
【0087】 ヒト呼吸合胞体ウイルス(RSV)は別のセグメントに分けられない負センス
の一本鎖のエンベロープをもつRNAウイルスである。RSVはニューモウイル
ス亜科(Pneumovirinae)およびニューモウイルス属(Pneum
ovirus)に属する(表1を参照されたい)。
【0088】 AおよびBと呼称されるヒトRSVの2種の主要なサブグループが、モノクロ
ーナル抗体を用いてFおよびG表面糖タンパク質の反応性に基づいて同定された
(63)。より最近、RSV株のAおよびBの系統が配列分析により確認された
(64,65)。このウイルスのウシ、ヒツジおよびヤギの株もまた単離された
。該ウイルスの宿主特異性はG付着タンパク質と最も明瞭に関連し、これはヒト
とウシ/ヒツジ株との間で高度に不一致であり(66,67)、そして少なくと
も部分的にレセプター結合により影響されることができる。
【0089】 RSVは幼児および小児での重大なウイルス性肺炎および気管支炎の主原因で
ある。重大な疾患、すなわち下部呼吸器系疾患(LRD)は生後6ヶ月未満の幼
児で最も流行している。それは、最も普遍的には、未免疫の幼児のRSVへの最
初の曝露で起こる。RSVは付加的に喘息および過活動性気道と関連し、また、
それは気管支肺異形成および先天性心疾患(CHD)の「高リスク」の小児での
死亡率の重大な一原因である。それはまた、小児で中耳炎に罹りやすくする普遍
的なウイルスの呼吸器感染症の一でもある。成人では、RSVは一般に合併症を
伴わない上気道の疾病として現われるが;しかしながら、高齢者では、それは重
大なLRD、とりわけ細菌性の気管支炎および肺炎の発症における罹りやすくす
る一要因としてインフルエンザと比肩しうる。疾患は、常に、重症の免疫無防備
状態(他の器官への播種が起こる可能性がある)を除き呼吸器系に限定される。
ウイルスは、ウイルスを含有する呼吸器の分泌物で汚染された媒介物により他者
に広げられ、また、感染は、鼻、口もしくは結膜の粘膜を通じて開始する。
【0090】 RSV疾患は季節性であり、そしてウイルスは通常冬の月、例えば北緯で11
月から4月までにのみ単離される。該ウイルスは遍在性であり、そして小児の9
0%以上が2歳までに最低1回は感染している。複数の株が共流布する。(イン
フルエンザAウイルスでみられるもののような)抗原性の変動の直接の証拠は存
在しないが、しかし、Gタンパク質およびSHタンパク質の超可変領域中のアミ
ノ酸変化の蓄積を立証する配列研究が、免疫圧がウイルス進化を駆動するかも知
れないことを示唆する。
【0091】 マウスおよびコトンラットモデルにおいては、RSVのFおよびGタンパク質
の双方が中和抗体を導き出し、そして、これらのタンパク質単独での免疫感作は
再感染に対する長期の保護を提供する(68,69)。
【0092】 ヒトにおいては、RSVに対する完全な免疫は発生せず、そして一生を通じて
再感染が発生するが(70,71);しかしながら、免疫因子が重症の疾患に対
し保護することができるという証拠が存在する。疾患の重症度の減少は2回もし
くはそれ以上の以前の感染に関連し、また、2種の主要なRSVサブグループの
1種に感染した小児は相同なサブグループへの再感染に対していくぶん保護され
るかも知れない(72)という証拠が存在し、生弱毒化ウイルスワクチンが重大
な罹患率および死亡率を予防するのに十分な保護を提供するかも知れないことを
示唆する観察結果である。RSVへの感染は抗体および細胞媒介性双方の免疫を
導き出す。FおよびGタンパク質に対する血清中和抗体は、いくつかの研究では
LRDからの保護を伴ったが、とは言え上気道疾患(URD)の減少は立証され
ていない。幼児での高レベルの血清抗体はLRDに対する保護を伴い、また、高
いRSV中和抗体力価をもつ静脈内免疫グロブリンの投与が高リスクの小児で重
症の疾患に対し保護することが示された(71,73,74)。局所免疫、およ
びとりわけ鼻の抗体の役割が検討されている。
【0093】 RSVのビリオンはリポタンパク質のエンベロープ内に含有されるリボ核タン
パク質コアより成る。ニューモウイルスのビリオンは全部の他のパラミクソウイ
ルスのものに大きさおよび形状が類似である。陰性染色および電子顕微鏡検査に
より可視化される場合、ビリオンは形状が不規則であり、かつ直径が150から
300nmの範囲にわたる(75)。このウイルスのヌクレオキャプシドは、そ
のらせんの直径が18nmよりはむしろ12〜15nmであることを除いて他の
パラミクソウイルスのものに類似の対称的ならせんである。該エンベロープは、
宿主の膜由来である脂質二重層より成り、そしてウイルスにコードされた膜貫通
表面糖タンパク質を含有する。このウイルスの糖タンパク質は付着および浸透を
媒介し、そしてビリオンの突起に別個に組織される。パラミクソウイルスの亜科
の全メンバーは血球凝集活性を有するが、しかしこの機能はニューモウイルスの
規定する特徴でなく、RSVに非存在だがしかしマウスニューモウイルス(PV
M)に存在する(76)。ノイラミニダーゼ活性は、パラミクソウイルス属(P
aramyxovirus)、ルブラウイルス属(Rubulavirus)の
メンバーに存在し、そしてモルビリウイルス属(Morbillivirus)
およびニューモウイルス属(Pneumovirus)に非存在である(76)
【0094】 RSVはAおよびBと呼称される2種のサブグループを保有する。野生型RS
V(株2B)のゲノムは15,218ヌクレオチドの負センスのRNA(配列番
号9)の一本鎖であり、それは11種の遺伝子産物をコードする10種の主要な
サブゲノム(subgenomic)mRNAに転写される。該10種のmRNAのそれぞれ
は1個の主要なポリペプチド鎖をコードする。すなわち、3種は膜貫通表面タン
パク質(G、FおよびSH)であり;3種は該ウイルスのヌクレオキャプシドを
形成するようにゲノムRNAと会合されるタンパク質(N、PおよびL)であり
;2種は感染した細胞中で蓄積するがしかし極微量でビリオン中にもまた存在し
そして転写および複製の調節である役割を演じるかも知れない非構造タンパク質
(NS1およびNS2)であり;1種はグリコシル化されないビリオンマトリッ
クスタンパク質(M)であり;そして最後が、RSVに特定の転写伸長因子であ
ることが最近示された別のグリコシル化されないタンパク質、M2である(図3
を参照されたい)(別の遺伝子産物もまたM2遺伝子によりコードされる)。こ
れらの10種のウイルスタンパク質は該ウイルスのコーディング能力のほぼ全部
の原因である。
【0095】 該ウイルスゲノムは主要なヌクレオキャプシドタンパク質(N)で包膜化され
、そしてリンタンパク質(P)および大型の(L)ポリメラーゼタンパク質を伴
う。これら3種のタンパク質は、cDNAにコードされるRSVミニゲノムのR
NA複製を指図するのに必要かつ十分であることが示された(77)。さらなる
研究は、転写が十分なプロセシングを伴い進行するためにはM2タンパク質(O
RF 1)が必要とされることを示した(75)。M2タンパク質が欠けている
場合、短縮された転写物が支配力をもち、そして完全長のゲノムのレスキューが
起こらない(75)。
【0096】 M(マトリックスタンパク質)およびM2タンパク質の双方が、ヌクレオキャ
プシド構造中に存在しない内的なビリオンに会合されるタンパク質である。他の
セグメントに分けられない負鎖のRNAウイルスとの類似性により、Mタンパク
質は、パッケージングの前にヌクレオキャプシドを転写的に不活性にさせそして
ウイルスエンベロープとのその会合を媒介すると思われる。NS1およびNS2
タンパク質は精製されたビリオン中で非常に少量で検出されるのみあり、そして
この時点で非構造的と考えられる。それらの機能は不確実であるとは言え、それ
らは転写および複製の調節物質であるかも知れない。3種の膜貫通表面糖タンパ
ク質、すなわちG、FおよびSHがビリオン中に存在する。GおよびF(融合)
は、ウイルスの宿主細胞への付着および浸透を媒介することが知られているエン
ベロープ糖タンパク質である。加えて、これらの糖タンパク質は主要な独立した
免疫原を表わす(78)。SHタンパク質の機能は未知であるとは言え、最近の
報告は該ウイルスの融合機能におけるその関与を巻き込んでいる(79)。
【0097】 以下に論考されるとおり、2種の野生型のRSVサブグループB株(2Bおよ
び18537)のゲノムが、国際特許出願第PCT/US9716718号に記
述されるとおりそっくりそのまま配列決定された(配列番号9および10を参照
されたい)。ゲノムRNAはキャッピングもまたポリアデニル酸化もされない(
80)。ビリオンでおよび細胞内の双方で、ゲノムRNAはNタンパク質と密に
会合する。
【0098】 該ゲノムRNAの3’端は、主要なウイルスプロモーターを含有すると仮定さ
れる44ヌクレオチドの遺伝子外リーダー領域より成る(図3)。該3’のゲノ
ムプロモーター領域は、3’−NS1−NS2−N−P−M−SH−G−F−M
2−L−5’という順序(図3)で10種のウイルス遺伝子により後に続かれる
。L遺伝子は145〜149ヌクレオチドの遺伝子外トレーラー領域により後に
続かれる(図3を参照されたい)。各遺伝子は保存された9ヌクレオチドの遺伝
子開始シグナル3’−GGGGCAAAUで開始する(3’−GGGCAAA UであるL遺伝子の10ヌクレオチドの遺伝子開始シグナル;および3’−G
GGGAAAUである2Bおよび18537のSH遺伝子の遺伝子開始シグナ
ルを除く;差異が下線を付けられる)。各遺伝子について、転写は該シグナルの
最初のヌクレオチドで開始する。各遺伝子は、転写終止およびポリアデニル酸化
を指図する半保存された12〜14ヌクレオチドの遺伝子端(3’−A G U
/G U/A ANNN U/A A3-5)(ここでNは4種の塩基のいずれで もあり得る)で終端する(図3)。最初の9遺伝子は重なり合わず、そしてRS
VのB株について大きさが3から56ヌクレオチドまでの範囲にわたる遺伝子間
領域により分離される(図3)。該遺伝子間領域は、いかなる保存されたモチー
フもしくは二次構造のいかなる明らかな特徴も含有せず、そして、ミニレプリコ
ン系の先行するおよび続いて起こる遺伝子発現に対する影響を有しないことが示
されている(図3)。最後の2種のRSV遺伝子は68ヌクレオチドだけ重なり
合う(図3)。L遺伝子の遺伝子開始シグナルはM2遺伝子の後よりはむしろそ
の内側に配置される。この68ヌクレオチドのオーバーラップ配列は、M2のm
RNAの最後の68ヌクレオチド(ポリ−A尾を除外)、ならびにLのmRNA
の最初の68ヌクレオチドをコードする。
【0099】 10種の異なる種のサブゲノムのポリアデニル酸化されたmRNA、および多
数のポリシストロンのポリアデニル酸化された読み合わせ転写物は、ゲノム転写
の産物である(75)。UV光媒介性のゲノム不活性化を使用する転写マッピン
グ研究は、RSV遺伝子が3’端近くの単一のプロモーターからそれらの3’か
ら5’の順序で転写されることを示した(81)。従って、RSV合成は、単一
エントリーすなわち全部のモノネガウイルス(Mononegavirales
)について提案された連続的転写モデルに従うようである(16,82)。この
モデルによれば、ポリメラーゼ(L)は3’のゲノムプロモーター領域でヌクレ
オキャプシドの形態でゲノムRNAを接触し、そして最初のヌクレオチドで転写
を開始する。RSVのmRNAは、mRNAのエディティングもしくはスプライ
シングの証拠を伴わない該遺伝子の共直線状コピー(co-linear copy)である。
【0100】 細胞内のRSVのmRNAの配列分析は、各転写物の合成が該遺伝子の開始シ
グナルの第一のヌクレオチドで開始することを示した(75)。該mRNAの5
’端は構造m7G(5’)ppp(5’)p(ここで下線をつけられたGは該
mRNAの第一の鋳型ヌクレオチドである)でキャッピングされ、そして該mR
NAはそれらの3’端でポリアデニル酸化される(83)。これらの修飾の双方
がウイルスのポリメラーゼにより共転写的になされると思われる。RSVの3’
のゲノムプロモーターの3領域がシスに作用する要素として重要であることが見
出された(84)。これらの領域は、最初の10ヌクレオチド(おそらくプロモ
ーターとして作用する)、ヌクレオチド21−25、およびヌクレオチド45−
53に配置された遺伝子開始シグナルである(84)。麻疹、センダイおよびP
IV−3のような他のパラミクソウイルス科(Paramyxovirinae
)と異なり、RSVのNS1遺伝子のリーダーおよび非コーディング領域の残余
は、挿入、欠失および置換に高度に耐性であることが見出された(84)。
【0101】 加えて、3’のゲノムプロモーター領域の最初の12ヌクレオチド内の飽和突
然変異誘発(各塩基を他の3塩基のそれぞれにより独立に置き換え、そして翻訳
および複製効率について比較する)により、ヌクレオチド6−10に配置された
U領域(tract)が置換に極めて耐えられないことが示された(84)。対照的に 、最初の5ヌクレオチドは多数の置換に比較的耐性であり、そして位置4のそれ
らのうち2種はアップレギュレーション突然変異であり、RSV−CATのRN
Aの複製および転写の4ないし20倍の増大をもたらした。二シストロンのミニ
レプリコン系を使用して、遺伝子開始および遺伝子終了モチーフがmRNA合成
のためのシグナルであり、そして、独立しておりかつ主として隣接した配列の性
質に依存しないようであることが示された(85)。
【0102】 L遺伝子の開始シグナルはM2遺伝子終了シグナルの68ヌクレオチド上流に
存し、遺伝子のオーバーラップをもたらす(図3)(75)。L遺伝子内でのM
2遺伝子終了シグナルの存在はL遺伝子転写物の高頻度の未熟な終止をもたらす
。完全長のLのmRNAはずっとより少なく豊富であり、そしてポリメラーゼが
M2遺伝子終了モチーフを認識することに失敗する場合に作成される。これはL
のmRNAのずっとより少ない転写をもたらす。該遺伝子のオーバーラップは直
線状の連続的転写のモデルと非適合に思われる。M2遺伝子を出るポリメラーゼ
がL遺伝子開始シグナルに後ろ向きに跳ぶかどうか、もしくはL遺伝子の転写の
ための第二の内的プロモーターが存在するかどうかは知られていない(75)。
L遺伝子が、M2遺伝子開始シグナルで転写を開始しそしてL遺伝子開始シグナ
ルまでM2遺伝子を滑走することに失敗するポリメラーゼの小さな画分により接
近可能であることもまた可能である。
【0103】 各RSVのmRNAの相対的夥しさは、おそらく連続的転写の間のポリメラー
ゼの減少により、プロモーターからのその遺伝子の距離とともに減少する(81
)。遺伝子のオーバーラップは、完全長のLのmRNAの合成を低下させる第二
の機構である。また、ある種のmRNAは翻訳の効率を低下させるかも知れない
特徴を有する。SHのmRNAの開始コドンは最適に及ばないのコザック(Ko
zak)配列の情況にある一方、GのORFは該mRNA中の第二のメチオニン
のコドンで開始する。
【0104】 RSVのRNAの複製は、水疱性口内炎ウイルスおよびセンダイウイルスでの
研究(16,82)から提案されたモデルに従うと思われる(75)。これは、
mRNA合成の停止−開始モードから抗ターミネーターの読み合わせへの切り替
えを必要とし、後者はゲノムRNAの正確な相補的コピーである正のセンスの複
製中間体(RI)RNAの合成をもたらす。これは順に子孫のゲノムの合成のた
めの鋳型としてはたらく。抗ターミネーターモードへの切り替えに関与する機構
は、Nタンパク質による発生期のRNAの共転写的包膜化を巻き込むことが提案
されている(16,82)。RSVにおけるRNA複製は、他のセグメントに分
けられない負鎖のRNAウイルスのように、進行中のタンパク質合成に依存する
(86)。予測されたRIのRNAが標準的ウイルスならびにRSV−CATミ
ニゲノムについて検出された(75,86)。RIのRNAは、標準的およびミ
ニゲノム双方の系について、子孫のゲノムであったよりも細胞内で10〜20倍
より少なく豊富であった。
【0105】 本発明のRSVサブグループBの態様は、多様な野生型、ワクチンおよび復帰
変異体のRSV株のヌクレオチド配列の分析を必要とした。とりわけ、3’のゲ
ノムプロモーター領域およびL遺伝子以外の領域が強調され;それらの領域は国
際特許出願第PCT/US97/16718号の焦点であった。
【0106】 多様な野生型、ワクチンおよび復帰変異体のRSVサブグループB株の(正鎖
のアンチゲノムのメッセージセンス中の)ヌクレオチド配列を、本明細書に含有
される適切な配列番号への言及を伴い以下のとおり示す: ウイルス ヌクレオチド配列 ゲノム長 野生型 2B 配列番号9 15218 18537 配列番号10 15229 ワクチン 2B33F 配列番号11 15219 2B20L 配列番号12 15219 復帰変異体 2B33F TS(+) 配列番号13 15219 2B20L TS(+) 配列番号14 15219 M遺伝子の翻訳はヌクレオチド3262−3264のコドンで開始し;翻訳終
止コドンはヌクレオチド4030−4032にある。翻訳されたMタンパク質は
256アミノ酸長である。M遺伝子の終止/ポリアデニル酸化シグナルは、ヌク
レオチド4196−4207の12ヌクレオチドの遺伝子終了シグナル、次いで
ヌクレオチド4208−4216の遺伝子間領域およびヌクレオチド4217−
4225のSH遺伝子開始シグナルを包含する。
【0107】 RSVサブグループBのゲノムのコーディングおよび非コーディング(シスト
ロン間)領域の分析を実施した。多様な野生型、ワクチンおよび復帰変異体のR
SV株のSHの遺伝子およびタンパク質配列を識別するヌクレオチドおよびアミ
ノ酸の差異、ならびにM/SHシストロン間領域中のM遺伝子終了シグナルを識
別するヌクレオチドの差異を実施した(以下の実施例2の表6、7および9を参
照されたい)。
【0108】 各遺伝子の転写終止を制御するシスに作用する要素を含んで成る領域は、検査
された全部のRSVサブグループBのウイルスのあいだで高度に保存されている
ことが見出された。1例を除き、遺伝子開始および遺伝子終了シグナルの配列は
、分析した全部のウイルスについて同一であった。野生型2B、ワクチン2B3
3Fおよび復帰変異体2B33F TS(+)株のM遺伝子終了シグナルの第三
のヌクレオチドはGであった一方、全部の他のRSVサブグループBの遺伝子終
了シグナルの第三のヌクレオチドはTであった。
【0109】 より重要なことには、表7に示されるとおり、(アンチゲノムのメッセージセ
ンス中の)野生型2Bウイルスのヌクレオチド4196−4207にわたりかつ
2B33Fワクチン株および2B33F TS(+)復帰変異体株のヌクレオチ
ド4197−4208にわたるM遺伝子終了シグナル中に1個の突然変異が存在
した。すなわち、ヌクレオチド位置4199で、野生型2Bウイルスは「T」を
有した一方、2B33Fおよび2B33F TS(+)株は対応するヌクレオチ
ド位置4200に「C」を有した(これらの株はそれらの3’のゲノムプロモー
ター領域中に1個の余分なヌクレオチドを有する)。この突然変異は、1853
7野生型株、2B20Lワクチン株もしくはそのTS(+)復帰変異体株のいず
れにも存在しなかった。
【0110】 表11および図4〜6に示されるとおり、M遺伝子終了シグナルの配列はSH
遺伝子発現に強い影響を与える。RSVサブグループBの2B33F突然変異体
およびそのTS(+)復帰変異体は、それらの2Bの親株(ヌクレオチド419
9に)または分析された他のRSVサブグループBもしくはAウイルスのいずれ
でも見出されない、M遺伝子終了シグナルのこの第四の位置に(突然変異体およ
び復帰変異体でヌクレオチド4200に)この独特のヌクレオチドを有する。
【0111】 以下の実施例2に論考されるノーザンブロット分析(図4および6)ならびに
リボヌクレアーゼ保護アッセイ(図5)により示されるとおり、野生型2B株は
、一シストロンのM転写物を上回るわずかな過剰の二シストロンのM:SHを産
生した。対照的に、2B33F突然変異体およびその2B33F TS(+)復
帰変異体は実際上一シストロンのMおよびSH転写物を産生せず;代わりに、そ
れらの転写産物の大部分は二シストロンかつより高分子量の読み合わせ転写物で
あった。これらの二シストロンかつ読み合わせ転写物は、SH遺伝子産物を翻訳
するそれらの能力において抑制されていることがありそうである。従って、この
突然変異を含有する株は2Bの親株に比較してSH発現をダウンレギュレーショ
ンし、また、SHタンパク質を産生することを本質的に停止している。二シスト
ロンの転写産物の優勢へのこの移動、および下流の遺伝子産物すなわちSHの付
随するダウンレギュレーションは、M遺伝子終了シグナル中の該突然変異がこれ
らの2株の弱毒化表現型に寄与するという証拠を提供する。
【0112】 従って、表6〜11、図4〜6および前述の論考に基づけば、M遺伝子終了シ
グナルの重要な弱毒化突然変異は(アンチゲノムのメッセージセンス中の)ヌク
レオチド4199(T→C)である。
【0113】 2B33F突然変異体のSH遺伝子が2Bの親のものに比較してヌクレオチド
変化(偏らされた超突然変異(hypermutation))で膨れている(blistered)ことに
とくに言及することは興味深く(表6を参照されたい)、そのいくつかはSHタ
ンパク質中のアミノ酸置換をもたらすとみられる。2B33Fのヌクレオチド4
498での1変化が予測されるSH翻訳終止コドンをグルタミンに転化する。こ
れは、2B33FのSHタンパク質についての予測される長さをもたらし、それ
は2Bの親のものより本質的により長い。
【0114】 本発明のさらなる一態様においては、RSVサブグループBの表現型が、上で
言及されたM遺伝子終了シグナルの突然変異を、国際特許出願第PCT/US9
7/16718号に記述される同等な3’のゲノムプロモーター領域およびL遺
伝子の突然変異のそれぞれの1種もしくはそれ以上と組み合わせることによりさ
らに弱毒化され、それらは以下のとおりである。すなわち、RSVサブグループ
Bの3’のゲノムプロモーター領域については、該突然変異はヌクレオチド4(
C→G)および(アンチゲノムのメッセージセンス中の)ヌクレオチド6−11
のAの伸長中の1個の付加的なAの挿入である一方、Lタンパク質については、
該突然変異はアミノ酸残基353(アルギニン→リシン)、451(リシン→ア
ルギニン)、1229(アスパラギン酸→アスパラギン)、2029(トレオニ
ン→イソロイシン)および2050(アスパラギン→アスパラギン酸)である。
再度、これらのアミノ酸に翻訳されるコドンをもたらすヌクレオチド中の全部の
変化が本発明の範囲内にあることが理解される。
【0115】 3’のゲノムプロモーター領域が、ヌクレオチド6−11のAの伸長中の1個
の付加的なAの挿入により改変される場合は、M遺伝子終了シグナル中の弱毒化
突然変異がヌクレオチド4199よりむしろヌクレオチド4200でであろうこ
とが理解される。
【0116】 本発明の弱毒化ウイルスは、ヒトおよび動物宿主を感染させる野生型ウイルス
に比較して毒性の本質的な低減を表わす。弱毒化の程度は、感染症の症状が大部
分の免疫された個体で現われることができないが、しかし、該ウイルスは、で感
染性であるために十分な複製能力を保持しかつワクチン中で所望の免疫応答プロ
フィルを導き出すことができるようである。
【0117】 本発明の弱毒化ウイルスはワクチンを処方するのに使用してよい。そうするた
めには、該弱毒化ウイルスを適切な濃度に調節し、そしていずれかの適するワク
チンアジュバント、希釈剤もしくは担体とともに処方する。生理学的に許容でき
る媒体を担体として使用してよい。これらは、適切な等張媒体、リン酸緩衝生理
的食塩水などを包含するがしかしこれらに制限されない。適するアジュバントは
、MPL(商標)(3−O−デアシル化モノホスホリルリピドA;RIBI イ
ミュノケム リサーチ インク(RIBI ImmunoChem Resea
rch,Inc.)、モンタナ州ハミルトン)およびIL−12(ジェネティク
ス インスティテュート(Genetics Institute、マサチュー
セッツ州ケンブリッジ)を包含するがしかしこれらに制限されない。
【0118】 本発明の一態様において、該弱毒化ウイルスを包含する製剤がワクチンとして
の使用に意図される。該弱毒化ウイルスは、凍結防止添加物、またはタンパク質
(例えばアルブミン、ゼラチン)、糖類(例えばショ糖、乳糖、ソルビトール)
、アミノ酸(例えばグルタミン酸ナトリウム)、生理的食塩水もしくは他の保護
剤のような安定剤と混合してよい。本混合物は液体状態で維持されるか、または
その後輸送および貯蔵のため乾燥もしくは凍結乾燥され、そして投与の直前に水
と混合される。
【0119】 本発明の弱毒化ウイルスを含んで成る製剤は、該弱毒化ウイルスの野生型の対
照物による感染に対する保護を誘導するようにヒトもしくは動物の被験体を免疫
するのに有用である。従って、本発明は、上述されたようなモノネガウイルス目
(Order Mononegavirales)のRNAウイルスの弱毒化さ
れた作り替え物(version)を組み込むワクチン製剤の有効な免疫量を被験体に投 与することによる、そのウイルスによる感染症に対する保護を誘導するための被
験体の免疫方法をさらに提供する。
【0120】 適切な数の用量のワクチンの十分な量を、免疫応答を導き出すために該被験体
に投与しなければならない。当業者はこうした量および投薬量を決定することが
容易に可能であろう。投与は、鼻内に、非経口で、経口で、または、エアゾルス
プレーによるような、鼻内、経口、眼、肺、膣もしくは直腸表面のようないずれ
かの粘膜表面に適用される局所でのようないずれかの慣習的な有効な形態によっ
てよい。好ましい投与手段は鼻内投与による。
【0121】 国際特許出願第PCT/US97/16718号とともに、モラテン(Mor
aten)麻疹ウイルスワクチン株のサンプルが、特許手続きの目的上の微生物
の寄託に関するブダペスト条約(the Budapest Treaty f
or the Deposit of Microorganisms for
the Purposes of Patent Procedures)(
「ブダペスト条約(Budapest Treaty)」)の約定のもとに、ア
メリカン タイプ カルチャー コレクション(American Type
Culture Collection)、12301 Parklawn D
rive、米国メリーランド州ロックヴィル、20852に1997年8月21
日に発明者らにより寄託され、そしてATCC受託番号VR2587を割り当て
られ、また、2B野生型RSVウイルスのサンプルが、ブダペスト条約の約定の
もとにアメリカン タイプ カルチャー コレクション(American T
ype Culture Collection)、12301 Parkla
wn Drive、米国メリーランド州ロックヴィル、20852に1997年
8月21日に発明者らにより寄託され、そしてATCC受託番号VR2586を
割り当てられた。
【0122】 これら2種の寄託された株、ならびに本明細書に提供されるこれらおよび他の
株についての配列情報を考えれば、本明細書に記述される全部の株の突然変異を
導入する(もしくは野生型遺伝子型を復帰させる)ための部位特異的突然変異誘
発および上述されたレスキュー技術、ならびに、これらの株を採用しそして以下
の表3〜11に示される一団の突然変異から付加的突然変異を作成することを使
用し得る。
【0123】 本発明をより良好に理解することができるために以下の実施例を示す。該実施
例は具体的説明のみの目的のためであり、そして本発明の範囲を制限するとして
解釈されるべきでない。
【0124】 実施例 標準的分子生物学的技術を、サンブルック(Sambrook)ら(87)に
記述されるプロトコルに従って利用する。 実施例1 麻疹 RNAを配列分析のため作成する前に、モラテン(Moraten)MVワク
チンウイルスを、アテニュヴァックス[Attenuvax](商標)ワクチン
バイアル(ロット#0716B)から直接1回成長させ、シュワルツ(Schw
arz)ワクチンウイルスを1回成長させた(ロット 96G04/M179
G41D)一方、ザグレブ(Zagreb)およびルベオヴァックス[Rube
ovax](商標)ワクチンウイルスは、ベロ(Vero)細胞中でそれぞれ2
回成長させた。MV野生型の単離物モンティフィオーレ(Montefiore
)(57)を、RNA材料の抽出前にベロ(Vero)細胞中で5〜6回継代し
、そして、同様に、MVの野生型単離物1977、1983(14)を、分析の
ための材料を抽出する前に5〜7回成長させた。ビーラー(J.Beeler)
博士(CBER)から受領されたエドモンストン(Edmonston)の野生
型単離物(図1を参照されたい)は、受領前にヒト腎細胞中で7回およびベロ(
Vero)細胞中で3回既に継代されたもともとのエドモンストン(Edmon
ston)単離物であり、そして配列分析に使用する前にベロ(Vero)細胞
中で1回さらに継代した。
【0125】 RNAを、0.1ないし1.0の感染多重度(m.o.i.)でベロ(Ver
o)細胞を感染させることにより調製し、そして収穫される前に最大の細胞病変
に達せさせた。麻疹ウイルスに感染した細胞からの全RNAを、トリゾール[T
orizol](商標)試薬(ギブコ(Gibco)−BRL)を使用して抽出
した。
【0126】 ベロ(Vero)細胞の継代材料から単離された全RNAを、該ウイルスゲノ
ムの3’および5’プロモーター領域ならびにL遺伝子にわたる麻疹(エドモン
ストン(Edmonston)B株(19))特異的なプライマー対を使用する
逆転写酵素PCR(パーキン−エルマー/シータス(Perkin−Elmer
/Cetus))処置により増幅した。表2はこれらのプライマー配列を提示す
る。配列番号15〜34、54、57および58のプライマーはアンチゲノムの
メッセージセンス中にある。配列番号35〜53、55、56および59のプラ
イマーはゲノムの負センスにある。
【0127】
【表1】
【0128】
【表2】
【0129】 完全なウイルスゲノムの重なり合うPCRフラグメントを、双方の鎖を使用す
るジデオキシターミネーター循環配列決定法(ABI プリズム(PRISM)
377シークェンサーおよびABI プリズム(PRISM)配列決定キット)
により、コンセンサス配列を達成するため、クローニングすることなしに直接配
列決定した。絶対的末端の配列を決定するため、既に記述されたライゲーション
手順を使用した(56)。
【0130】 該ヌクレオチド配列を、先祖のエドモンストン(Edmonston)野生型
MV単離物のゲノムプロモーター領域およびL遺伝子以外の領域、この単離物由
来の入手可能なワクチン株、ならびに他の野生型株について決定した。(アンチ
ゲノムのメッセージセンス中の)重要なヌクレオチドおよびアミノ酸の差異をそ
の後比較し、そして表3〜5に示されるとおり整列した(差異は斜体で示す)。
【0131】
【表3】
【0132】
【表4】
【0133】
【表5】
【0134】 実施例2 RSVサブグループB 温度感受性(ts)表現型はインビボでの弱毒化と強く関連し;加えて、いく
つかの非ts突然変異もまた弱毒化しているかも知れない。tsおよび非tsの
弱毒化突然変異の同定を、配列分析、ならびに、ts、寒冷適応(ca)、なら
びにRSV突然変異体および復帰変異体のインビボの成長表現型の評価により達
成した。
【0135】 以下の3種のRSV 2B株、すなわち2Bの野生型の親、2B33Fと呼称
されるそのtsかつca誘導体、および2B33F TS(+)と呼称される1
種のts(+)復帰変異体のゲノムは完全に配列決定されている。2B33F株
は米国第08/059,444号(88)に記述され、これはこれにより引用に
より組み込まれる。2B33F中の突然変異が配置される領域を同定した後、3
9℃でのインビトロ継代、およびアフリカミドリザルもしくはチンパンジーでの
インビボ継代の後に得られた2B33Fの「復帰変異体」の9種の付加的単離物
を、それらの既に同定された突然変異体領域中で配列決定した。これらの復帰変
異体の多くのts、caおよび弱毒化表現型は今や特徴づけられかつ評価された
。ts表現型、ウイルス弱毒化と配列の変化との間の相関を同定した。
【0136】 結果の要約を表6〜11に提示する。
【0137】
【表6】
【0138】
【表7】
【0139】
【表8】
【0140】
【表9】
【0141】
【表10】
【0142】
【表11】
【0143】 RSVに感染したベロ(Vero)細胞から単離されたポリ(A)+RNAの
ノーザンブロット分析を、RSVサブグループAおよびBのウイルスのM遺伝子
に特異的な32P標識リボプローブの混合物を使用して実施して、M遺伝子の転写
に対するM遺伝子終了シグナル配列の影響を決定した。負センスのハイブリダイ
ゼーションプローブは、T7プロモーター配列を含有するPCR産物からインビ
トロで合成されたT7 RNAポリメラーゼ転写物であった。図4に示されると
おり、M遺伝子プローブを使用するノーザンブロット分析は、RSVサブグルー
プAのウイルスについて豊富な一シストロンのM遺伝子転写物を描いた一方、二
シストロンのM:SH転写物はサブグループBのウイルスについて優勢であった
。二シストロンのM:SH転写物はSH遺伝子を翻訳するそれらの能力において
抑制され、そして従ってウイルスのSH遺伝子発現を制御するための潜在的な一
手段を表わすことがありそうである。2B33F突然変異体(レーン5)および
2B33F TS(+)復帰変異体(レーン6)株は実際上一シストロンのM転
写物を産生せず;それらの転写産物の大部分は二シストロンかつより高分子量の
読み合わせ転写物であった。従って、これら2種の株はSHタンパク質を産生す
ることを本質的に停止していた。
【0144】 対照的に、野生型サブグループB株2B、B1および18537は一シストロ
ンのmRNAを上回るわずかな過剰の二シストロンのmRNAを産生した(レー
ン3、4、7)。サブグループAの3Aウイルスは比肩するレベルの一シストロ
ンおよび二シストロン産物を示した(レーン1)。2B突然変異体株について観
察されたものからの他の極端は、A2ウイルスのM遺伝子の転写パターンであっ
た(レーン2)。この株について、一シストロンのM転写物は豊富に産生された
一方、読み合わせ転写は最小限であった。
【0145】 ノーザンブロットの結果を、各RSVサブグループBのウイルスについての二
シストロンのM:SHに対する一シストロンのMおよびSHのmRNAの比を評
価するため、ノーザンブロットに使用した同一のポリ(A)+RNAで実施した
リボヌクレアーゼ保護アッセイにより確認した。M:SHの遺伝子接合部にわた
った長さ284ヌクレオチド(Bウイルス)の負センスのウイルス特異的32P標
識転写物であったリボプローブを使用した。完全長のプローブは二シストロンの
M:SH転写物により主にRNアーゼ消化から保護されるはずである。一シスト
ロンのMおよびSH転写物は、RNアーゼ消化からそれぞれおよそ165および
110ヌクレオチドのプローブフラグメントを保護することが期待される。
【0146】 図5に示される2B、2B33Fおよび2B33F TS(+)ウイルスのR
NAについてのアッセイでは、ウイルスのRNAもしくは対照の酵母RNAを5
×104cpmのプローブとハイブリダイズさせ;その後に、ハイブリダイズさ れたRNAをRNアーゼT1(100倍に希釈された)でその後消化し、エタノ
ールで沈殿させ、そして保護されたプローブフラグメントを変性6%ポリアクリ
ルアミドゲル上で分離した。
【0147】 このリボヌクレアーゼ保護アッセイの結果を図5に描く。このアッセイでは、
各ウイルスについての一シストロンのMのものに関する二シストロンのM:SH
に対応する保護されたプローブフラグメントのシグナル強度は、M遺伝子プロー
ブを用いるノーザンブロッティングにより得られた結果(すなわち、2Bについ
てより大きな一シストロンのシグナルならびに2B33Fおよび2B33F T
S(+)について実際上一シストロンのシグナルがない)と一致した(図5)。
【0148】 下流のSH遺伝子の発現に対するM遺伝子終了シグナルの影響を評価するため
、RSVウイルスのポリ(A)+RNAのノーザンブロット分析をRSVサブグ
ループAおよびB株のSH遺伝子に特異的な負センスの32P標識リボプローブを
使用して実施して、下流のSH遺伝子の発現に対するMのGEシグナルの影響を
評価した(図6を参照されたい)。各ウイルスにより産生されたSH遺伝子転写
物のパターン、すなわち、二シストロンのM:SHに対する一シストロンのSH
のレベルは、M遺伝子転写産物について観察されたものに匹敵した。M遺伝子終
了シグナルでのM遺伝子の転写の終了で無効であったRSVウイルスは、一シス
トロンのSH転写物の合成でもまた欠陥を生じさせられた。2B33F突然変異
体およびそのTS(+)復帰変異体は一シストロン産物を実際上合成しなかった
が、しかし豊富なM:SH転写物を蓄積した。野生型の3A、2B、B1および
18537ウイルスは比肩するレベルの双方の転写産物を蓄積した一方、A2株
はSH遺伝子転写の最も豊富な産物として一シストロンのSHのmRNAを産生
した。ノーザンブロット分析により同定された転写物を、リン光画像形成装置(p
hosphorimager)分析により定量し、そして二シストロンのM:SHに対する一シ
ストロンのSHの相対比を各ウイルスについて決定した。表11に示されるとお
り、該比は0.23から11.1までの範囲にわたり、最低値はM遺伝子終了シ
グナルの第四のヌクレオチドの突然変異(T→C)を含有するRSVサブグルー
プB株について観察された:
【0149】
【表12】
【0150】 いくつかの重要な観察結果をこれらのデータから引き出し得る。すなわち、表
6に示されるとおり、突然変異体株で同定される比較的少ない配列変化が存在す
る。すなわち、RSV 2B33Fは、3’のゲノムプロモーター領域の2個の
変化、M遺伝子終了シグナル中の1個を包含するM遺伝子の非コーディング5’
端の2個の変化、およびRNA依存性RNAポリメラーゼをコードするL遺伝子
中の4個のコードする変化および1個のコードしない(ポリ(A)モチーフ)変
化により、親のRSV 2Bと異なる。加えて、14個の変化がSH遺伝子単独
にマッピングした。
【0151】 弱毒化突然変異は弱毒化ウイルス株2B33FのM遺伝子終了シグナル中で同
定し得る。すなわち、野生型2B株での一シストロンのmRNAを上回るわずか
な過剰の二シストロンのmRNAから、2B33Fワクチン株および2B33F
TS(+)復帰変異体株での二シストロンの転写産物の優勢への移動は、M遺
伝子終了シグナル中の突然変異がこれらの後者の2種のウイルス株の弱毒化表現
型に寄与するという証拠を提供する。
【0152】
【表13】
【0153】
【表14】
【0154】
【表15】
【0155】
【表16】
【0156】
【表17】
【0157】
【表18】
【0158】
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】 発明にかかる、エドモンストン(Edmonston)麻疹ウイルスの継代歴
を描く(15)。略語は以下の意味を有する。すなわち、HK−ヒト腎;HA−
ヒト羊膜;CE(am)−ニワトリ胚;CEF−ニワトリ胚線維芽細胞;DK−
イヌ腎;WI−38−ヒト二倍体細胞;SK−ヒツジ腎;*−プラーククローニ
ング。各略語の後に続く数字は継代の数を表わす。
【図2】 発明にかかる、ゲノムおよびアンチゲノム末端およびその近くの推定のシスに
作用する調節要素を示す麻疹ウイルスゲノムの地図を描く。上−リーダー配列の
52ヌクレオチドを伴う3’端で開始し(1)そしてトレーラー配列(t)の3
7ヌクレオチドを伴い5’末端で終了する麻疹ウイルスゲノムの図解の地図。遺
伝子境界は垂直の棒により示し;シストロンのヌクレオチドの数が各遺伝子の下
にある。下−2個の高度に保存されたドメインAおよびBの位置および配列を示
す、ゲノムおよびアンチゲノムの3’の伸長されたゲノムプロモーター領域の拡
大された図解。介入する遺伝子間の三ヌクレオチドも同様に示す。A’ないしB
’領域を包含する発生期の5’RNAは調節配列[そこでNタンパク質の包膜化
が開始する]を含有することが想定される。
【図3】 発明にかかる、2Bおよび18537と呼称されるRSVサブグループBの野
生型株(上部分)、それらの株の遺伝子間配列(中央部分)ならびにM2とL遺
伝子との間の68ヌクレオチドのオーバーラップ(下部分)の遺伝子地図を描く
。RSV 2B株は、18537株と比較して、Gタンパク質中の2個より少な
いアミノ酸残基をコードするG遺伝子中の6個より少ないヌクレオチドを有する
。2B株は、18537株中の149ヌクレオチドに比較して、5’トレーラー
領域中に145ヌクレオチドを有する。2B株は、18537株に比較して、N
S−1、NS−2およびN遺伝子のそれぞれ中に1個より多いヌクレオチド、な
らびにMおよびF遺伝子のそれぞれ中に1個より少ないヌクレオチドを有する。
【図4】 発明にかかる、RSVサブグループAおよびBウイルスに感染したベロ(Ve
ro)細胞から単離されたポリ(A)+RNAのノーザンブロット分析を描く。
該ブロットの1.5時間のオートラジオグラフを示す。レーン1−2はRSVサ
ブグループA株に感染した細胞から単離されたRNAを含有する(レーン1、3
A;レーン2、A2)。レーン3−7はRSVサブグループB株に感染した細胞
から単離されたRNAを含有する。すなわち、レーン3、B1;レーン4、2B
;レーン5、2B33F;レーン6、2B33F TS(+);レーン7、18
537。一シストロンのM遺伝子および二シストロンのM:SH遺伝子の転写物
を矢印により示す。
【図5】 発明にかかる、各ウイルスについて二シストロンのM:SH転写物に対する一
シストロンのMおよびSHのmRNAの比を評価するためにRSVサブグループ
Bの野生型2B、突然変異体2B33Fおよび2B33F TS(+)復帰変異
体ウイルスに感染したベロ(Vero)細胞から抽出されたポリ(A)+RNA
のリボヌクレアーゼ保護アッセイを描く。ゲルの3時間のオートラジオグラフを
示す。保護されたプローブフラグメントを矢印により示す。放射標識されたRN
Aマーカー(M)を大きさの標準として包含した。すなわち、レーン1、酵母R
NA、RNアーゼなし;レーン2、酵母RNA、RNアーゼあり;レーン3、2
B RNA、RNアーゼあり;レーン4、2B33F RNA、RNアーゼあり
;レーン5、2B33F TS+RNA、RNアーゼあり;レーン6、酵母RN
A、RNアーゼあり;レーン7、酵母RNA、RNアーゼなし。RSV 2B特
異的プローブをレーン1〜3で使用し、また、2B33F特異的プローブをレー
ン4〜7で使用した。
【図6】 発明にかかる、RSVサブグループAおよびBウイルスに感染したベロ(Ve
ro)細胞から単離されたポリ(A)+RNAのノーザンブロット分析を描く。
該ブロットの1.5時間のオートラジオグラフを示す。レーン1〜2はRSVサ
ブグループA株に感染した細胞から単離されたRNAを含有する(レーン1、3
A;レーン2、A2)。レーン3〜7はRSVサブグループB株に感染した細胞
から単離されたRNAを含有する(レーン3、B1;レーン4、2B;レーン5
、2B33F;レーン6、2B33F TS(+);レーン7、18537)。
一シストロンのSH遺伝子および二シストロンのM:SH遺伝子転写物を矢印に
より示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SL,SZ,UG,ZW),E A(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ ,TM),AL,AM,AT,AU,AZ,BA,BB ,BG,BR,BY,CA,CH,CN,CU,CZ, DE,DK,EE,ES,FI,GB,GE,GH,G M,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE ,KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LS, LT,LU,LV,MD,MG,MK,MN,MW,M X,NO,NZ,PL,PT,RO,RU,SD,SE ,SG,SI,SK,SL,TJ,TM,TR,TT, UA,UG,US,UZ,VN,YU,ZA,ZW (72)発明者 シドウ,モヒンデルジート・エス アメリカ合衆国ニユーヨーク州10956ニユ ーシテイ・ローウエルドライブ35 (72)発明者 ランドルフ,バレリー・ビー アメリカ合衆国ニユージヤージイ州07035 リンカーンパーク・パインブルツクロード 535 (72)発明者 ブオナグリオ,デボラ・エイ アメリカ合衆国ニユーヨーク州10580ラ イ・パークウエイドライブ60 Fターム(参考) 4B024 AA01 BA32 CA04 DA02 EA04 GA11 GA18 GA25 HA01 4B065 AA95X AB01 BA02 BA14 BA16 CA45 4C085 AA03 BA58 DD06 DD22 DD23 EE01

Claims (25)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)N遺伝子について、残基129(グルタミン→リシン
    )、148(グルタミン酸→グリシン)および479(セリン→トレオニン)よ
    り成る群から選択されるアミノ酸に変化を生じさせるヌクレオチド変化; (b)P遺伝子について、残基225(グルタミン酸→グリシン)、275(シ
    ステイン→チロシン)および439(ロイシン→プロリン)より成る群から選択
    されるアミノ酸に変化を生じさせるヌクレオチド変化; (c)C遺伝子について、残基73(アラニン→バリン)、104(メチオニン
    →トレオニン)および134(セリン→チロシン)より成る群から選択されるア
    ミノ酸に変化を生じさせるヌクレオチド変化;ならびに (d)F遺伝子終了シグナルについて、ヌクレオチド7243(T→C)の変化
    、 ここで、これらのヌクレオチドが正鎖のアンチゲノムのメッセージセンス中に提
    示される、 より成る群から選択される1個もしくはそれ以上の弱毒化突然変異を有する単離
    された組換え的に発生された弱毒化麻疹ウイルス。
  2. 【請求項2】 (a)ヌクレオチド26(A→T)、ヌクレオチド42(A
    →TもしくはA→C)およびヌクレオチド96(G→A)より成る群から選択さ
    れる3’のゲノムプロモーター領域中の最低1個の弱毒化突然変異であって、こ
    れらのヌクレオチドが正鎖のアンチゲノムのメッセージセンス中に提示される;
    ならびに (b)残基331(イソロイシン→トレオニン)、1409(アラニン→トレオ
    ニン)、1624(トレオニン→アラニン)、1649(アルギニン→メチオニ
    ン)、1717(アスパラギン酸→アラニン)、1936(ヒスチジン→チロシ
    ン)、2074(グルタミン→アルギニン)および2114(アルギニン→リシ
    ン)より成る群から選択される1アミノ酸に変化を生じさせるヌクレオチド変化
    より成る群から選択されるRNAポリメラーゼ遺伝子中の最低1個の弱毒化突然
    変異、 をさらに含んで成る、請求項1の麻疹ウイルス。
  3. 【請求項3】 M遺伝子終了シグナル中のヌクレオチド4199(T→C)
    に1個の弱毒化突然変異を有する単離された組換え的に発生された弱毒化ヒト呼
    吸合胞体ウイルス(RSV)サブグループBであって、これらのヌクレオチドが
    正鎖のアンチゲノムのメッセージセンス中に提示されるRSVサブグループB。
  4. 【請求項4】 (a)ヌクレオチド4(C→G)、およびヌクレオチド6−
    11のAの伸長中の1個の付加的なAの挿入より成る群から選択される3’のゲ
    ノムプロモーター領域中の最低1個の弱毒化突然変異であって、これらのヌクレ
    オチドが正鎖のアンチゲノムのメッセージセンス中に提示される;ならびに (b)残基353(アルギニン→リシン)、451(リシン→アルギニン)、1
    229(アスパラギン酸→アスパラギン)、2029(トレオニン→イソロイシ
    ン)および2050(アスパラギン→アスパラギン酸)より成る群から選択され
    るアミノ酸に変化を生じさせるヌクレオチド変化より成る群から選択されるRN
    Aポリメラーゼ遺伝子中の最低1個の弱毒化突然変異、 をさらに含んで成る、請求項3のRSVサブグループB。
  5. 【請求項5】 M遺伝子終了シグナル中の該弱毒化突然変異(T→C)がヌ
    クレオチド4200でであるようにヌクレオチド6−11のAの伸長中の1個の
    付加的なAの挿入を包含し、これらのヌクレオチドが正鎖のアンチゲノムのメッ
    セージセンス中に提示される、請求項4のRSVサブグループB。
  6. 【請求項6】 請求項1に記載の単離された組換え的に発生された弱毒化麻
    疹ウイルスおよび生理学的に許容できる担体を含んで成るワクチン。
  7. 【請求項7】 請求項2に記載の麻疹ウイルスおよび生理学的に許容できる
    担体を含んで成る、請求項6のワクチン。
  8. 【請求項8】 請求項3に記載の単離された組換え的に発生された弱毒化R
    SVサブグループBおよび生理学的に許容できる担体を含んで成るワクチン。
  9. 【請求項9】 請求項4に記載のRSVサブグループBおよび生理学的に許
    容できる担体を含んで成る、請求項8のワクチン。
  10. 【請求項10】 請求項5に記載のRSVサブグループBおよび生理学的に
    許容できる担体を含んで成る、請求項8のワクチン。
  11. 【請求項11】 請求項6のワクチンを個体に投与することを含んで成る、
    麻疹ウイルスに対する保護を誘導するための個体の免疫方法。
  12. 【請求項12】 ワクチンが請求項7のワクチンである、請求項11の方法
  13. 【請求項13】 請求項8のワクチンを個体に投与することを含んで成る、
    RSVサブグループBに対する保護を誘導するための個体の免疫方法。
  14. 【請求項14】 ワクチンが請求項9のワクチンである、請求項13の方法
  15. 【請求項15】 ワクチンが請求項10のワクチンである、請求項13の方
    法。
  16. 【請求項16】 包膜化、転写および複製に必要なトランスに作用するタン
    パク質N、PおよびLをコードする最低1種の単離された核酸分子を含んで成る
    最低1種の発現ベクターと一緒に、請求項1に記載の麻疹ウイルスのゲノムもし
    くはアンチゲノムをコードする単離された核酸分子を含んで成る1種の転写ベク
    ターを含んで成り、それにより発現に際して感染性の弱毒化ウイルスが産生され
    る組成物。
  17. 【請求項17】 該転写ベクターが、請求項2に記載の麻疹ウイルスをコー
    ドする単離された核酸分子を含んで成る、請求項16の組成物。
  18. 【請求項18】 包膜化、転写および複製に必要なトランスに作用するタン
    パク質N、P、LおよびM2をコードする最低1種の単離された核酸分子を含ん
    で成る最低1種の発現ベクターと一緒に、請求項3に記載のRSVサブグループ
    Bのゲノムもしくはアンチゲノムをコードする単離された核酸分子を含んで成る
    1種の転写ベクターを含んで成り、それにより発現に際して感染性の弱毒化RS
    VサブグループBが産生される組成物。
  19. 【請求項19】 該転写ベクターが、請求項4に記載のRSVサブグループ
    Bをコードする単離された核酸分子を含んで成る、請求項18の組成物。
  20. 【請求項20】 該転写ベクターが、請求項5に記載のRSVサブグループ
    Bをコードする単離された核酸分子を含んで成る、請求項18の組成物。
  21. 【請求項21】 請求項16の最低2種のベクターで宿主細胞を形質転換も
    しくはトランスフェクションすること、そして、感染性の弱毒化麻疹ウイルスを
    産生するようにこれらのベクターの共発現を可能にする条件下で該宿主細胞を培
    養することを含んで成る、感染性の弱毒化麻疹ウイルスの製造方法。
  22. 【請求項22】 該ウイルスが請求項2の麻疹ウイルスである、請求項21
    の方法。
  23. 【請求項23】 請求項18の最低2種のベクターで宿主細胞を形質転換も
    しくはトランスフェクションすること、そして、感染性の弱毒化RSVサブグル
    ープBを産生するようにこれらのベクターの共発現を可能にする条件下で該宿主
    細胞を培養することを含んで成る、感染性の弱毒化RSVサブグループBの製造
    方法。
  24. 【請求項24】 該ウイルスが請求項4のRSVサブグループBである、請
    求項23の方法。
  25. 【請求項25】 該ウイルスが請求項5のRSVサブグループBである、請
    求項23の方法。
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