JP2002506128A - 金属部材の熱処理方法 - Google Patents

金属部材の熱処理方法

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JP2002506128A JP2000535787A JP2000535787A JP2002506128A JP 2002506128 A JP2002506128 A JP 2002506128A JP 2000535787 A JP2000535787 A JP 2000535787A JP 2000535787 A JP2000535787 A JP 2000535787A JP 2002506128 A JP2002506128 A JP 2002506128A
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ドレビヨン、ベルナール
ベルトラン、ニコラ
ロスタイン、ジャン−クリストフ
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レール・リキード・ソシエテ・アノニム・プール・レテュード・エ・レクスプロワタシオン・デ・プロセデ・ジョルジュ・クロード
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    • C23COATING METALLIC MATERIAL; COATING MATERIAL WITH METALLIC MATERIAL; CHEMICAL SURFACE TREATMENT; DIFFUSION TREATMENT OF METALLIC MATERIAL; COATING BY VACUUM EVAPORATION, BY SPUTTERING, BY ION IMPLANTATION OR BY CHEMICAL VAPOUR DEPOSITION, IN GENERAL; INHIBITING CORROSION OF METALLIC MATERIAL OR INCRUSTATION IN GENERAL
    • C23GCLEANING OR DE-GREASING OF METALLIC MATERIAL BY CHEMICAL METHODS OTHER THAN ELECTROLYSIS
    • C23G5/00Cleaning or de-greasing metallic material by other methods; Apparatus for cleaning or de-greasing metallic material with organic solvents
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B08CLEANING
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    • B08B7/00Cleaning by methods not provided for in a single other subclass or a single group in this subclass
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、脱酸、および/または、脱脂を目的とした金属部材(12)の表面処理方法を提供する。 【解決手段】 本発明は、次の工程から構成される。処理対象の金属部材(12)が収容されている密閉された反応室(16)の中を、低圧の還元性混合ガスで満たす。この反応室内のゾーンであって、前記金属部材が置かれているゾーンから離れたゾーンの中に、静磁場を発生させる。そして、反応室の中に電磁波を照射して、前記還元性混合ガスを励起させる。これによって、前記還元性混合ガス中に処理用のプラズマを発生させる。ここで、前記静磁場の強度は、前記反応室内に均一に分布させた電子サイクロトロン共鳴に対応している。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、脱酸、および/または、クリーニングを目的とした、大型の金属部
材(12)の表面の熱処理方法に係る。本発明は、特に、圧延機から出た状態の
金属シートについて、その体積性能( volume properties )を維持しつつ、表 面性能( surface properties )を変えるための方法に係る。
【0002】
【従来の技術】
この様な金属部材は、通常、その表面に、約0.1から0.5μm程度のサイ
ズの不規則性を有している。それらは、潤滑材の残りや酸化の跡である。これら
のために、当該金属部材の表面に施されるコーティングの付着性が損なわれる。
【0003】 一般的に、後続の表面処理に先立って、特に、その表面に施されるコーティン
グの付着性を増す目的で、行われる金属シート表面の予備処理は、必須のステッ
プとして、金属シートのクリーニング及び脱酸のステップを備えている。
【0004】 このために、広く採用されている予備処理方法は、処理対象の金属部材を酸、
ベース・ケミカル( base chemical bath )、または有機溶剤の中に浸漬するこ
とである。
【0005】 この種の予備処理方法によれば、かなり大きなサイズの金属部材を処理するこ
とが可能であり、また、処理時間もかなり短い。しかし、処理の際に、環境的に
有害な廃液が排出される。
【0006】 これに対して、例えば、米国特許US−5,376,223号や、Sakamoto et
al.による論文(日本応用物理学会誌,1980年5月、p.839)には、特 にシリコンについて、ECR(電子サイクロトロン共鳴)条件の下で、水素プラ
ズマを用いて表面処理を行うことが提案されている。
【0007】 ここで、ECRとは、ある特定の方法であって、プラズマの電子ガス中へ電磁
場のエネルギーを共鳴結合させ、これによって、プラズマ状態を維持させるもの
である。
【0008】 上記の二つの文献は、共に、ECR反応器(電子サイクロトロン共鳴反応器)
を構成するために使用される従来の方法の代表的なものである。これらの方法で
は、導波管から絶縁体製の窓を介して真空反応室の中へ、マイクロ波を照射して
いる。(因みに、上記の米国特許公報中のFig.1において、1が反応室、5
が導波管、4が窓である。) この分野における本願出願人による詳細な研究の結果、上記のような構成は、
本発明の様な目的の場合には、即ち、大型の金属部材(特に、金属シート)の表
面性状を変えるための表面処理の場合には、満足できるものではないことが判明
した。
【0009】 その理由は、誘導コイル(上記の米国特許公報中のFig.1において、参照
符号2で表されている)によって、反応室内のかなり広い領域に渡って、静磁場
が発生するからである。従って、マイクロ波のフィールドから電子ガスへのエネ
ルギー移転によってプラズマが形成される領域の直径は、必然的に、導波管の断
面サイズによって制限されると考えられる。なお、誘導コイルの下流側では、プ
ラズマは、径方向に拡がりながら基板方向へ拡散するが、しかし、この様な拡散
が存在するにも拘わらず、当然ながら、プラズマ中に径方向の濃度勾配が生じて
いる。
【0010】 更に、次のことについても、強調しておく必要がある。即ち、磁場は、誘導コ
イル(上記の米国特許公報中のFig.1において、参照符号2で表されている
)の外側において、突然に消失するものではない。そうではなく、磁場は、誘導
コイルの間の空間を超えて、基板方向に拡がる磁場勾配を有しており、この磁場
は、プラズマ中のイオンを基板の方向へ加速する効果を有している。この現象は
、中心軸から離れるに従って、一層、顕著になる。その結果、以上から分かるよ
うに、径方向の不均一性が増大する。
【0011】 従って、以上の検討結果は、200mmまたは300mmよりも大きな表面領
域を有する基板の表面処理を、その様なECR反応器を用いて行うことは、非現
実的であることを示しているように見える。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、ECRに伴う以上の様な不都合を軽減することによって、所
要時間が短く、大型の金属部材に対して適用することが可能で、後続の処理工程
が実施される場所の近くで実施することができる、金属部材の表面処理方法を提
供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明の金属部材の表面処理方法は、 脱酸、および/または、クリーニングを目的とした金属部材(12)の表面処
理方法であって、下記ステップを備える: −処理対象の金属部材(12)が収容されている密閉された反応室(16
)の中を、低圧の還元性混合ガスで満たす; −この反応室(16)内の領域であって、前記金属部材が置かれている領
域から離れた領域に静磁場を発生させる;そして、 −反応室(16)の中に電磁波を照射して、前記還元性混合ガスを励起さ
せ、これによって、前記還元性混合ガス中に処理用のプラズマを発生させる; −ここで、前記静磁場の強度は、反応室内に分布させた状態で形成された
電子サイクロトロン共鳴に対応している。
【0014】 後の説明によって理解できるように、本発明の方法に依れば、処理対象の金属
部材の初期状態に応じて、金属部材を脱酸およびクリーニングすることができる
。本発明の方法は、静磁場と還元性混合ガス中でのプラズマ励起とを組み合わせ
ることにより構成される。ここで、上記の静磁場は、反応室内の領域であって、
処理対象の金属部材が置かれている領域から離れた領域の中に形成され、上記の
還元性混合ガス中でのプラズマ励起によって、分布させた状態のECR(電子サ
イクロトロン共鳴)の条件が形成される。
【0015】 この様なプラズマ励起に関する1980年代及び1990年代の先行技術とし
て、特に、以下の二つの文献を挙げておく。その一つは、 M. Pichot et al. に
よる論文( Review of Scientific Instruments , 1988, July, Vol.59, p.1072
)であり、他の一つは、 Pelletier et al. による論文( Thin Solid Films,
1994, Vol.241, p.240 )である。
【0016】 当業者にとっては明らかな様に、本発明に基づく方法は、「低圧」条件を採用
している。この「低圧」条件とは、電子サイクロトロン共鳴(ECR)条件の下
において、プラズマの実際の励起を生じさせ得る圧力条件を意味するものと解釈
されるべきである。なお、これよりも高い圧力では、多極磁場による効果(マグ
ネトロン・レジュ−ム: magnetron regime )のみが、プラズマを閉じ込めるこ
とができる。
【0017】 本願出願人による詳細な研究によって判明したことは、このマグネトロン・レ
ジュ−ムは、当業者には良く知られている方法であるが、本願発明の対象の様な
表面処理に適用する場合には、不十分な結果しかもたらさない。
【0018】 従って、好ましくは、還元性混合ガス圧力を、0.5から10mTorr(0
.067〜1.33Pa)の範囲とする。より好ましくは、1から10mTor
r(0.133〜1.33Pa)の範囲とする。
【0019】 同様に、照射される電磁波の周波数に関しては、一方では、望ましいECRレ
ジュ−ム( ECR regime )を、他方では、励起される還元性混合ガスの性質を考
慮する必要がある。また、この際、商業的な利用可能性及びコストについての実
際的及び技術的問題(国内使用のための周波数)、及び電気通信に関する国際的
な規制に関係する問題についても、忘れてはいけない。
【0020】 これら全てのファクターを考慮に入れると、使用する電磁波の周波数は、約2
.45GHz、または5.85GHzとするのが好ましい。
【0021】 本発明に基づく「分布させた電子サイクロトロン共鳴」の概念から、次のこと
を理解しなければならない。即ち、使用される励起手段は、少なくとも一つフィ
ールド・アプリケータ( field applicator ) を備え、このアプリケータは、全
体として管状の形状を備え、マイクロ波の発生源に接続され、当該アプリケータ
の近傍に、当該アプリケータの全長に実質的に対応する長さに渡って、電子サイ
クロトロン共鳴に対応する強度で、静磁場を発生させる手段を備えている。
【0022】 本発明に基づく表面処理方法は、以下に示す特徴の内の一つまたはそれ以上を
、単独にあるいは技術的に可能なあらゆる組み合わせで、更に備えることができ
る。
【0023】 −前記電磁波は、少なくとも一つのアプリケータによって照射され、この
アプリケータは、管状の形状を備え、マイクロ波の発生源に接続され、その中に
永久磁石を備えている。
【0024】 −前記アプリケータ(単数または複数)は、処理対象の金属部材の寸法の
一つと等しいまたはそれ以上の長さを備えている。
【0025】 −前記還元性混合ガスは水素を含有している。
【0026】 −処理対象の前記金属部材は、基板ホルダの上を移動( running over )
する鋼板である。
【0027】 −本発明の方法は、前記基板ホルダに対して高周波電界をかけるステップ
を、更に備え、これによって、前記基板ホルダ及び処理対象の金属部材にバイア
スを与える。
【0028】 本発明のその他の特徴及び効果については、以下の実施例の説明の中で述べる
。なお、これらは、例として示したものに過ぎず、本発明の技術的範囲を何ら制
限するものではない。
【0029】
【発明の実施の形態】
図1に、金属部材の処理のための電子サイクロトロン反応器を示す。この反応
器の全体は、参照符号10で示されている。
【0030】 この電子サイクロトロン反応器は、金属部材12の表面処理に使用される。こ
の金属部材12は、例えば、鋼のシートであり、脱酸、および/または、クリー
ニングの目的で、基板ホルダ14の上に置かれている。
【0031】 図1に見られるように、反応室16は、符号18で示すように、一組の還元性
混合ガスの導入用のノズルを備えている。
【0032】 この反応室16は、更に、反応室とポンピング・ステーション(図示せず)を
接続するダクト20を備えている。このダクト20は、ノズル18を介して反応
室内に還元性混合ガスを供給するとともに、この還元性混合ガスの圧力を所定の
値(例えば、1〜10mTorr)に維持する。
【0033】 図1から更に分かるように、この反応室16は、本発明に基づく励起用デバイ
ス22を備えている。この励起用デバイス22は、電子サクロトロン共鳴によっ
て還元性混合ガスの中にプラズマを励起させる。
【0034】 この励起用デバイス22は、符号24で示す様に、数個のフィールド・アプリ
ケータ( field applicator )を備えている。各アプリケータ24は、管状の形
状を備え、一方の端部において、同軸ケーブルなどの適切な手段によって、マイ
クロ波領域内(例えば、周波数2.45GHz)のエネルギー源(図示せず)に
接続されている。
【0035】 更に、アプリケータ24は、DECR( Distributed Electron Cyclotron Re
sonance :分布させた電子サクロトロン共鳴)アプリケータと言う名称で知られ
ているアプリケータで構成されている。
【0036】 更に、各アプリケータ24は、アプリケータ自身の近傍に、電子サイクロトロ
ン共鳴に対応する強度で静磁場を発生させる手段を備えている。即ち、その静磁
場の強度“B”と、この静磁場内にある電子の励起の周波数“f”との関係は、
下記の式によって規定されている。
【0037】 B=(2π・m・f)/e 但し、“m”は電子の質量、“e”は電子の電荷を表している。
【0038】 従って、例えば、照射されるマイクロ波の周波数が2.45GHzの時、各ア
プリケータの近傍に発生させる静磁場の強度は875ガウスになる。
【0039】 図1に示された実施例において、静磁場を発生させる手段は、長い形を備えた
永久磁石26からなり、各アプリケータ24の中に配置されている。
【0040】 この様に構成することによって、静磁場の強度を、処理対象の金属部品12が
収容されている領域において比較的速やかに減少させ、従って、低い値(場合に
よりゼロ)にすることが可能になる。更に、各アプリケータの近傍におけるマイ
クロ波フィールドによる強い吸収のために、基板の直ぐ近くでは、プラズマの励
起は起こらない。これによって、基板にダメージが生ずる危険を減少させている
【0041】 最後に、図1は、反応器10が、この他に、一組の金属製のバ−25を備えて
いることを示している。これらの金属製のバー25は、反応器10を横切る様に
、アプリケータ24に対して平行に伸びている。これらのバー25は、接地され
ている。即ち、これらのバー25は、各アプリケータ24に沿って接地電位を形
成するために、反応室16の壁に接続されていて、これによって、この領域内に
マイクロ波フィールドを形成し、入射波の伝播を容易にしている。
【0042】 最後に、この実施例では、反応器10は、電源30を備えている。ここで、こ
の電源30は、例えば、13.56MHzの周波数を備えている。これによって
、電源30は、以下において説明するように、基板ホルダ14にバイアスを与え
ることを可能にしている。
【0043】 以上において説明した反応器10による金属部品12のクリーニング及び脱酸
は、下記の様に行われる。
【0044】 なお、以下で説明する例において、金属部材12は、従来の駆動手段(図示せ
ず)によって駆動される基板ホルダ14の上を移動( running over )している
鋼のシートである。
【0045】 先ず、鋼のシート12を、基板ホルダ14の上に置いた後、反応室16内を、
ノズル18を使用して低圧の還元性混合ガスで満たす。この還元性混合ガスの圧
力は、好ましくは、1mTorrから10mTorrの範囲である。
【0046】 例えば、この還元性のガスは、水素を含有している。また、この還元性のガス
は、アルゴンまたはその他の不活性ガスと水素の混合ガスであっても良い。
【0047】 本発明を実施する際に、水素は好ましいガスではあるが、他の還元性ガスも、
当然、使用を想定することが可能である。
【0048】 次に、マイクロ波のエネルギーは、各アプリケータ24によって、各導入ノズ
ル18の近傍に、同時にまたは連続させて、照射される。これによって、この領
域に、静磁場(先に述べた様に、その強度は電子サイクロトロン共鳴に対応して
いる)が形成される。即ち、静磁場は、反応室16内で、処理対象の鋼のシート
12が置かれている領域から離れたこの領域に形成される。
【0049】 注目すべきことは、この様に形成された磁場のラインは、互いに隣接する二つ
の永久磁石の間に、ループを形成する。従って、多極磁場( multipole magneti
c field )構造は、アプリケータの間に限定される。
【0050】 この領域の中では、電子は、マイクロ波及び電子サイクロトロン共鳴効果の作
用を受け、それによって、高いエネルギーに到達する。最もエネルギーが高い電
子は、プラズマの自己一貫性のある電磁場( self-consistent electromagnetic
field )の作用によって、あまり影響を受けず、反応室のボリュームの方向へ 向かうプラズマの拡散に対して責任があり、従って、この多極磁場のラインの上
にトラップされて留まる。
【0051】 これらの高いエネルギーに到達した電子は、イオン化させる非弾性衝突の結果
として、この領域に存在する還元性混合ガスの中で、中性の種を分裂させる。こ
れによって、二次電子及びイオン化された種、特にHイオン(または、H
びArイオン)を発生させる。Hイオンは、プラズマの自己一貫性のある電
磁場( self-consistent electromagnetic field )の作用のために、トラッピ ング領域の外に拡散することができる。これにより、プラズマの中に活性種が形
成される。この様にして、反応室16の内部の全ての領域が、実質的にプラズマ
によって満たされる。
【0052】 この様にして、分離度が高く、非常に活性に富んだ低圧水素プラズマが得られ
、これによって、鋼のシートの表面処理が可能になる。
【0053】 ここで注意すべきことは、先にも述べた様に、基板ホルダ14に、オプション
として、高周波電場の作用を及ぼしても良い。これによって、基板ホルダ14に
、バイアスを与えることができる。
【0054】 その理由は、以下の通りである。即ち、基板ホルダ14が、電源30により形
成される電場の正の半サイクルの影響を受けているとき、電子は金属シート12
の方向へ引き付けられる。これに対して、板ホルダ14が、負の半サイクルの影
響を受けているとき、正のイオンは(この場合にはHイオン)、金属シート1
2の方向へ引き付けられる。
【0055】 理解できるように、電子は、イオンと比較してより動き易いので、基板ホルダ
にバイアスが与えられる。このバイアスは、電源30をコントロールすることに
よって、調整可能である。
【0056】 この様にして、処理対象の金属シート12の表面をたたくイオンのエネルギー
をコントロールすることができる。
【0057】 図2に、オージェ電子分光分析装置(“AES”)を用いて得られたオージェ
・プロフィールを示す。このオージェ・プロフィールは、従来の方法によって処
理された鋼のシートについて、表面からの深さ“P”の関数として表したもので
ある。従って、この金属シートは、問題としているユーザー・サイト(金属シー
トをクリーンニングするために、液相を使用するそのような従来の処理方法を使
用している)において、現時点において、「クリーンである」とみなされている
ものと考えて良い。
【0058】 図3に、本発明に基づく水素プラズマを用いて処理された鋼のシートについて
、オージェ・プロフィールを、表面からの深さ“P”の関数として表したものを
示す。なお、この場合には、基板ホルダにバイアスを与えていない。
【0059】 ここで注意すべきことは、処理反応室16から取り出してオージェ電子分光分
析装置へ装着するまでの間に、供試体が再酸化されるのを防ぐため、表面処理の
直後に、その反応室内で、供試体の上に、水素化されたアモルファス・シリコン
による封緘層を堆積させてあることである。この封緘層の厚さは、数十ナノメー
タ、典型的には30から50ナノメータ程度の厚である。なお、オージェ電子分
光分析により、供試体の深さ方向の組成プロフィールを調べる際、この封緘層は
、供試体の他の部分と容易に区別することができる。
【0060】 先ず、第2図を見ると、酸素及び炭素が、かなりの量で、鋼の生地とシリコン
の封緘層の間の遷移領域の中に存在していることが分かる。当然、酸素は酸化物
に起因するものである。これに対して、炭素は、溶剤を用いたクリーニングの後
でも炭化水素による汚染が残っていることを示している。
【0061】 次に、第3図を見ると、鋼の表面(即ち、封緘層と鋼の表面との間の遷移領域
)において、酸素及び炭素が大幅に減少していることが分かる。
【0062】 この様に、本発明による水素プラズマ処理によれば、元々の鉄酸化物を減らす
だけではではなく、炭化水素の痕跡を取り除くこともできる。
【0063】 以上で説明した表面処理方法は、表面に残留している炭化水素を取り除き、且
つ、表面の脱酸化を可能にし、更に、それに次いで行われるコーティングの付着
性を相当程度改善することができる。
【0064】 図4に、この様にして表面処理が施された表面に、薄膜として堆積されたシリ
カ・コーティングの付着性を評価するために行われた試験の結果を示す。この試
験は、供試体に並進運動を行わせながら、コーティングの上に硬いスパイクを押
し付け、その押し付け力を徐々に増加して行くものである。ここで、クリティカ
ル荷重“Lc”は、コーティング膜に剥落が生じたときの荷重を意味している。
【0065】 表面を従来の方法(即ち、溶剤を用いる方法)によって処理した場合、図4に
よれば、クリティカル荷重“Lc”は約0.35ニュートンであり、付着性は相
対的に劣っている。
【0066】 これに対して、水素プラズマによって処理された表面は、クリティカル荷重“
Lc”が約1.2ニュートンであり、従来の場合と比較すると4倍程度大きくな
っている。
【0067】 この様に、本発明による表面処理方法は、それに続いて行われるコーティング
の付着性を改善する大きな効果を備えており、特に、塗装、あるいはシリカ層な
どの耐腐食層をコーティングする際に顕著な効果を発揮する。
【0068】 この他、本発明の表面処理方法によれば、金属部品の表面を処理する際に必要
となる時間を大幅に減らすことができる。
【0069】 以上において、本発明による方法について、特定の実施例を用いて説明したが
、本発明は、これによって何ら限定されるものではない。本発明は、特許請求の
範囲に規定された事項の範囲内において、当業者にとって明白な様々な変形を加
えて実施することが可能である。
【0070】 例えば、“低圧”と言う概念は、上記の例では、0.5〜10mTorrの範
囲となっているが、この概念は、先にも述べた様に、電子サイクロトロン共鳴(
ECR)条件の下において、プラズマの実際の励起を生じさせ得る圧力条件を意
味するものと理解すべきである。従って、ECRレジュ−ムのための条件が満た
されていれば、上記の数値範囲から若干外れていても、本発明の技術的範囲内に
は含まれることになる。
【0071】
【実施例】
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に基づく処理用のプラズマを発生させるために使用される分布させた電
子サイクロトロン共鳴反応器の概略断面図。
【図2】 従来の方法によって処理された金属シートのオージェ・プロフィール。
【図3】 本発明による方法を用いた水素プラズマによって処理された金属シートのオー
ジェ・プロフィール。
【図4】 本発明による方法によって処理された表面の上に堆積されたコーティングの付
着性を示す図。
【符号の説明】
10・・・電子サイクロトロン共鳴反応器( ECR reactor )、 12・・・(処理対象の)金属部材、 14・・・基板ホルダ、 16・・・反応室、 18・・・還元性混合ガス導入用のノズル、 20・・・ダクト、 22・・・プラズマ励起手段、 24・・・フィールド・アプリケータ、 25・・・金属製のバ−、 26・・・永久磁石、 30・・・バイアス用の電源。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ロスタイン、ジャン−クリストフ フランス国、エフ−78530 ビュク、プラ ース・デュ・マルシェ 24 Fターム(参考) 3B116 AA08 AB01 BB89 BC01 4K053 PA12 QA01 RA03 SA01 XA50

Claims (19)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 脱酸、および/または、クリーニングを目的とした金属部材
    (12)の表面処理方法であって、下記ステップを備える: −処理対象の金属部材(12)が収容されている密閉された反応室(16
    )の中を、低圧の還元性混合ガスで満たす; −この反応室(16)内の領域であって、前記金属部材が置かれている領
    域から離れた領域に静磁場を発生させる;そして、 −反応室(16)の中に電磁波を照射して、前記還元性混合ガスを励起さ
    せ、これによって、前記還元性混合ガス中に処理用のプラズマを発生させる; −ここで、前記静磁場の強度は、反応室内に分布させた状態で形成された
    電子サイクロトロン共鳴に対応している。
  2. 【請求項2】 次の特徴を備えた請求項1に記載の表面処理方法: 前記静磁場の生成と、前記還元性混合ガスの励起を同時に起こさせる。
  3. 【請求項3】 次の特徴を備えた請求項1に記載の表面処理方法: 前記静磁場の生成と、前記還元性混合ガスの励起を連続して起こさせる。
  4. 【請求項4】 次の特徴を備えた請求項1から3のいずれかに記載の表面処
    理方法: 前記電磁波は、少なくとも一つのアプリケータ(24)によって照射され、こ
    のアプリケータは、管状の形状を備え、マイクロ波の発生源に接続され、その中
    に永久磁石(26)が収容されている。
  5. 【請求項5】 次の特徴を備えた請求項4に記載の表面処理方法: 前記アプリケータ(単数または複数)は、処理対象の金属部材の寸法の一つと
    等しいまたはそれ以上の長さを備えている。
  6. 【請求項6】 次の特徴を備えた請求項1から5のいずれかに記載の表面処
    理方法: 前記還元性混合ガスは、水素を含有している。
  7. 【請求項7】 次の特徴を備えた請求項1から6のいずれかに記載の表面処
    理方法: 前記還元性混合ガスの圧力は、0.5mTorrから10mTorr(0.0
    67〜1.3Pa)の範囲である。
  8. 【請求項8】 次の特徴を備えた請求項1から7のいずれかに記載の表面処
    理方法: 入射させる前記電磁波の周波数は、約2.45GHzである。
  9. 【請求項9】 次の特徴を備えた請求項1から7のいずれかに記載の表面処
    理方法: 入射させる前記電磁波の周波数は、約5.85GHzである。
  10. 【請求項10】 次の特徴を備えた請求項1から9のいずれかに記載の表面
    処理方法: 処理対象の前記金属部材(12)は、鋼板からなり、基板ホルダ(14)の上
    を移動している。
  11. 【請求項11】 次の特徴を備えた請求項10に記載の表面処理方法: 前記基板ホルダ(14)にバイアスを与えるため、前記基板ホルダに対して高
    周波電界をかけるステップを、更に、有している。
  12. 【請求項12】 次の特徴を備えた請求項1から9のいずれかに記載の表面
    処理方法: 処理対象の前記金属部材(12)は、基板ホルダ(14)の上に置かれ、 当該表面処理方法は、基板ホルダ(14)にバイアスを与えるため、前記基板
    ホルダに対して高周波電界をかけるステップを、更に、有している。
  13. 【請求項13】 処理対象の金属部材(12)が収容される密閉された反応
    室(16)と、 前記反応室の中を、低圧の還元性混合ガスで満たすための還元性混合ガスの発
    生源と、 前記反応室内の領域であって、前記金属部材が置かれている領域から離れた領
    域に静磁場を発生させるために使用される静磁場発生手段(26)と、 前記反応室(16)の中に電磁波を照射して前記還元性混合ガスを励起させ、
    これによって、前記還元性混合ガスの中に処理用のプラズマを発生させる励起手
    段(24)と、 を備えた、脱酸、および/または、クリーニングを目的とした金属部材(12
    )の表面処理装置であって、下記特徴を備える: −前記静磁場の強度は、反応室内に分布させた状態で形成された電子サイ
    クロトロン共鳴に対応し、 −前記励起手段は、少なくとも一つのアプリケータ(24)を備え、 −このアプリケータは、管状の形状を備え、マイクロ波の発生源に接続さ
    れ、アプリケータ自身の近傍に、電子サイクロトロン共鳴に対応する強度で、静
    磁場を発生させる手段を備えている。
  14. 【請求項14】 次の特徴を備えた請求項13に記載の表面処理装置: 前記アプリケータ(単数または複数)は、処理対象の金属部材の寸法の一つと
    等しいまたはそれ以上の長さを備えている。
  15. 【請求項15】 次の特徴を備えた請求項13または14に記載の表面処理
    装置: 前記アプリケータの近傍に静磁場を発生させる前記手段は、各アプリケータの
    中に収容された永久磁石(26)を備えている。
  16. 【請求項16】 次の特徴を備えた請求項13から15のいずれかに記載の
    表面処理装置: 前記還元性混合ガスは水素を含有している。
  17. 【請求項17】 次の特徴を備えた請求項13から16のいずれかに記載の
    表面処理装置: 当該表面処理装置は、処理対象の前記金属部材を保持する基板ホルダを備えて
    いる。
  18. 【請求項18】 次の特徴を備えた請求項17に記載の表面処理装置: 当該表面処理装置は、処理対象の前記金属部材(12)に、前記基板ホルダ(
    14)の上を移動させる手段を備えている。
  19. 【請求項19】 次の特徴を備えた請求項17または18に記載の表面処理
    装置: 当該表面処理装置は、前記基板ホルダに対して高周波電場をかける手段(30
    )を、更に備え、これによって、前記基板ホルダ(14)にバイアスを与える。
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