【発明の詳細な説明】
ホットメルト接着剤用耐ブロック性被膜
発明の分野
本発明は、接着剤などの基体(又は下地)を被覆するために有用な材料に関す
る。更に詳しくは、本発明は高分子ホットメルト接着剤用の耐ブロッキング性被
膜のためになされたものであり、ホットメルト接着剤が粒子の形態で船積みされ
るときのブロッキングを防止するのに特に有用である。
発明の背景
ホットメルト接着剤は、種々の基体、例えば木、紙、プラスチック、織物及び
その他の材料を互いに接合するために有用である。ホットメルト接着剤は、接着
剤としての最終用途によって、多様な形態で調製され船積みされる。例えば、ホ
ットメルト接着剤は、フィルム状、棒状及び粒子状の形態で調製され船積みされ
うる。ホットメルト接着剤に対する包装及び船積みの状態は、ポリマーに関する
安定性及び貯蔵寿命のため、並びに、接着材料の船積み又は貯蔵中のブロッキン
グもしくは凝塊形成のおそれがあるために重要である。船積み中の粒子状ホット
メルト接着剤のブロッキングを防止することは、最終的なホットメルトの配合の
ため混合器中で混合されるためには、その粒子が自由に流動しなければならない
ので、特に重要である。特にブロッキングしやすいホットメルト接着剤には、米
国特許第5,543,488号、同第5,552,495号、同第5,571,876号及び同第5,605,764号
に記載されている水分散性ポリエステルが含まれる。
上記に照らして、現在市販されているホットメルト接着剤の望ましい性質を維
持した、耐ブロッキングの被覆を有するホットメルト接着剤を製造することは非
常に望ましいことである。
発明の要約
出願人は意外にも、二安息香酸エステル、すなわち二安息香酸エステル部分を
含む化合物(以下「二安息香酸エステル化合物」と称する)が、接着材料の他の
接着材料へのブロッキングを防止する、改良された耐ブロッキング性被膜を提供
するということを見出した。このように一つの側面において、本発明は、被膜及
び基体からなる被覆された基体であって、その被膜が二安息香酸エステル化合物
を含んでなる被覆基体を提供する。別の側面において、本発明は、接着材料を二
安息香酸エステル化合物と接触させることを含んでなる接着材料の被覆方法を提
供する。さらに別の側面において、本発明は、接着剤粒子をブロッキングを防止
するのに効果的な量の二安息香酸エステル化合物と接触させることを含んでなる
粒子状接着剤組成物にブロッキング防止性を付与する方法を提供する。被覆され
た基体は卓越したホットメルト接着剤の性質を有している。好ましい態様におい
て、二安息香酸エステルは水分散性接着材料を被覆するが、そのブロッキング防
止被膜もまた水分散性であり、それによって全体としてリサイクル可能な被覆さ
れた基体が提供される。その組成物は完全に再パルプ化することができ、そして
使い捨ての製品に使用された木や紙の繊維から容易に除去することができる。
本発明のさらなる利点は、一部は以下の説明中に述べられ、一部はその説明よ
り明らかになり、或いは本発明の実施により体得することができる。本発明の利
点は、添付された請求の範囲で特に示された要素及び組み合わせの手段によって
実現され、達成される。前
記の一般的記載及び以下の詳細な説明は、あくまでも例示的な説明のためのもの
であり、請求された本発明を限定するものではないということはいうまでもない
。
説明
本発明は、以下の発明の態様の詳細な説明及びそこに含まれる実施例を参照す
ることによって、より容易に理解される。しかしながら、本発明の化合物、組成
物及び方法を開示し記載する前に、本発明が特定の合成法又は、特定の物質もし
くは配合物に限定されるものではなく、それ自体、勿論変形しうるものであると
いうことはいうまでもない。ここで用いられる用語は特定の態様を記載するため
のみのものであり、限定することを意図するものではないこともまた理解される
べきである。
さらに、本明細書及び添付された請求の範囲で用いられているように、文脈か
らそうでないことが明らかでない限り、単数形の“a”、“an”及び“the”は
複数の指示対象を含むものであるということに留意すべきである。従って、例え
ば「芳香族化合物」という表記は、芳香族化合物の混合物も含むものである。
本明細書では、範囲はしばしば、「約」1つの特定値から及び/又は「約」も
う1つの特定値まで、というように表記する。そのように範囲が表記されるとき
、1つの態様にはその一方の特定値から及び/又は他方の特定値まで含まれてい
る。同様に、数値が先行詞「約」を用いて近似として表されているときには、そ
の特定の数値は別の態様となる。
以下の本明細書及び請求の範囲において、次の意味を持つと限定される多くの
用語を参照する:
組成物又は物品における特定の要素もしくは成分の重量部は、その組成物又は
物品における、重量部が表記されているその要素もし
くは成分と、その他の要素もしくは成分との間の重量の関係を示す。従って、2
重量部の成分X及び5重量部の成分Yを含む化合物において、X及びYに重量比
2:5で存在し、その化合物にさらなる成分が含まれているかどうかに拘わりな
くそのような比率で存在する。
化学種の残基は、本明細書及び請求の範囲において用いられるとき、特定の反
応系、それに続く配合又は化学的生成物におけるその化学種から得られる生成物
である部分を表し、その部分が実際にその化学種から得られるかどうかには拘わ
らない。従って、ポリエステルにおけるエチレングリコール残基は、そのポリエ
ステル中の1つまたはそれ以上の−OCH2CH2O−単位を表し、エチレングリコール
がそのポリエステルを調製するために使用されたかどうかには拘わらない。同様
に、ポリエステルにおけるセバシン酸残基は、そのポリエステル中の1つまたは
それ以上の−CO(CH2)8CO−部分を表し、その残基がそのポリエステルを得るため
にセバシン酸又はそのエステルを反応することによって得られるかどうかには拘
わらない。
「必要に応じての」又は「必要に応じて」は次に記載される事項もしくは環境
が起こっても又は起こらなくてもよく、その記載が、該事象もしくは環境が起こ
る場合と起こらない場合とを含むことを意味している。例えば、「必要に応じて
置換された低級アルキル」という語は、低級アルキル基が置換されていてもよく
置換されていなくてもよいことを意味し、その記載は非置換低級アルキル及び置
換のある低級アルキルの両方を含む。
本明細書で用いる、化合物又は性質の「効果的な量」なる用語は、効果的な量
で表現されている化合物又は性質がその機能を発揮することのできるような量を
意味する。以下に指摘するように、必要とされる正確な量は、認識される可変要
素、例えば用いられる化合
物や観察される操作条件によって操作毎に変動する。従って、正確な「効果的な
量」を特定することは不可能である。しかしながら適切な効果的な量は、当業者
が単なる日常的な実験によって決定することができる。
本明細書において使用する「変性された」なる用語は、ポリマーを記載するの
にしばしば用いられており、典型的には純粋なポリマーを形成した特定のモノマ
ー単位が、そのモノマー単位と通常の重合能を共有する別のモノマー単位で置き
換えられていることを意味している。従って、例えばポリ(エチレングリコール
)におけるグリコールをジオール残基で置き換えることは可能であり、その場合
ポリ(エチレングリコール)はそのジオールで「変性された」ことになる。ポリ
(エチレングリコール)があるモル%のジオールで変性された場合、その時には
そのようなモル%は、変性がなかったら純粋なポリマー中に存在したであろうグ
リコールの合計モル数に基づく。従って、ジオールで50モル%変性されたポリ(
エチレングリコール)においては、ジオールとグリコール残基は同じ量で存在し
ている。
「ポリエステル」なる用語はコポリエステルを含む。
「二安息香酸エステル化合物」なる用語は、1つまたはそれ以上の二安息香酸
エステル部分を含有する化合物を含む。
1つの側面において、本発明は、被膜及び基体を含んでなる被覆された基体で
あって、その被膜が二安息香酸エステル化合物を含んでなる被覆基体を提供する
。別の側面では、本発明は、接着材料を二安息香酸エステル化合物と接触させる
ことを含んでなる接着材料を被覆する方法を提供する。さらに別の側面では、本
発明は、接着剤粒子のブロッキング防止に効果的な量の二安息香酸エステル化合
物と接触させることを含んでなる粒子状接着剤組成物にブロッキン
グ防止性を付与する方法を提供する。
好ましい二安息香酸エステル化合物は室温で固体であり、好ましくは23℃より
高いガラス転移温度を有し、より好ましくは45℃より高いガラス転移温度を有し
、更に好ましくは約60℃より上のガラス転移温度を有し、さらにまた好ましくは
約80℃より上のガラス転移温度を有する。何れにしてもガラス転移温度は、好ま
しくは200℃を超えず、より好ましくは120℃を超えない。別の態様において、二
安息香酸エステル化合物は、約80〜約140℃の、より好ましくは約105〜約120℃
のリングホール軟化点(ASTM E−28で測定)を有している。
多くの態様において、本発明の被覆された基体は、実質的に水に分散又は溶解
可能であり、従ってその被覆された基体が適用された材料のリサイクルを容易に
する。好ましい態様では、被覆された基体の0.5gまたはそれ以上の量(好まし
くは1.0gまたはそれ以上の量)が、室温で中性のpHを有する水100mlに分散又は
溶解可能である。しかしながら、ある態様においては、その好ましく及びより好
ましく溶解した量が水100mlに完全に溶解又は分散できるのは、40℃より上の温
度でのみ、もしくは60℃より上の温度でのみ、又はアルカリ性条件下でのみであ
る。
本発明の多くの態様の驚くべき側面は、その二安息香酸エステル化合物と本発
明の基体との相互作用であり、その結果として起こる被覆基体の溶解性又は分散
性である。多くの態様において、例えば二安息香酸エステル化合物は、その被覆
基体が実質的に溶解又は分散可能な条件下では、それ自体、本質的に不溶性又は
非分散性である。これらの驚くべき結果は、しばしば、その基体と被膜がそれぞ
れ同じ二安息香酸エステル部分を含むときに得られる。
殊に好ましい二安息香酸エステル化合物は、二安息香酸−1,3
−又は1,4−シクロヘキサンジメタノール、さらに好ましくは二安息香酸−1
,4−シクロヘキサンジメタノールである。そのような製造物の一例は、Velsic
ol Chemical CorporationからのBenzoflex 352である。しかしながら、本発明の
実施に際して、その他の二安息香酸エステル化合物も使用できる。
別の好ましい二安息香酸エステル化合物は、1,3−又は1,4−シクロヘキ
サンジメタノール(好ましくは1,4−)及びテレフタル酸もしくはイソフタル
酸(好ましくはテレフタル酸)の残基を含む線状ポリエステルの種類の中から選
ばれる。特に好ましいポリエステルは、イソフタル酸残基約75〜90モル%及び5
−ナトリウムスルホイソフタル酸モノマー残基約10〜25モル%である二塩基酸モ
ノマー残基;並びに約45モル%より多いジエチレングリコールモノマー残基及び
約55モル%未満の1,4−シクロヘキサンジメタノール残基からなるジオールモ
ノマー残基を含む。
その二安息香酸エステル化合物は、好ましくは少ない添加レベルで、当該技術
分野で公知の方法、例えば浸漬塗工、高速塗工機又は噴霧塗工により基体上に塗
布される。好ましい態様においては、溶融した二安息香酸エステル化合物を177
℃の温度にして、基体の小粒子をその溶融した可塑物中で浸漬塗工する。その粒
子は、被覆された粒子の重量に基づいて、好ましくは約0.5〜約5.0重量%、より
好ましくは約0.9〜約1.3重量%の二安息香酸エステル化合物で被覆される。
1つの態様において、基体は、好ましくは水分散性のホットメルト接着剤組成
物である。この基体は、典型的にはポリエステル、ポリアミド又はポリエステル
アミドであり、好ましくは約0〜約90℃のガラス転移温度を有する。本発明の基
体としては、分岐状スルホポリエステル、とりわけ下記(II)の分岐状スルホポ
リエステルが
特に好ましい組成物である。
別の態様では、基体は2つのポリエステルのブレンドであり、それぞれ線状で
あっても又は分岐状であってもよいが、好ましくは、そのブレンドは線状及び分
岐状のポリエステルの混合物であるのが好ましい。別の好ましい態様では、被覆
された組成物は、約20〜80重量%の線状水分散性ポリエステル(I)及び約20〜
80重量%の分岐状水分散性ポリエステル(II)を含んでおり、ここで(I)及び
(II)は以下に記載するとおりである。
線状水分散性ポリエステル(I)は次の反応生成物の残基又は部分から調製す
る:
(i)スルホモノマーではない、少なくとも1種の二官能性ジカルボン酸;
(ii)芳香族環に結合した少なくとも1つのスルホン酸塩の基を含み、その官
能基がヒドロキシル、カルボキシル又はアミノである、少なくとも1種の二官能
性スルホモノマーの残基を、全ての酸、ヒドロキシル及びアミノ当量の合計に基
づいて約4〜10モル%;
(iii)(a)式H(−OCH2CH2−)nOH及びHRN−(O−CH2CH2−O)n−NHR、(
式中、nは2〜約20であり、Rは水素もしくはC1〜C6アルキルである)、
を有するジオールもしくはジアミンを、ジオール部分もしくはジオール及
びジアミン部分の合計モル%に基づいて少なくとも15モル%、又は
(b)式H(−OCH2CH2−)nOH、(式中、nは2〜約500である)、
を有するポリ(エチレングリコール)部分を、ジオール部分もしくはジオ
ール及びジアミン部分の合計モル%に基づいて
、約0.1〜約15モル%未満
を含んでなる少なくとも1種のジオール又はジオールとジアミンの混合物
;
(iv)必要に応じて、ヒドロキシカルボン酸、アミノカルボン酸及びアミノア
ルカノールから選ばれる少なくとも1種の官能性モノマー反応物の部分;
から調製され、ポリマーは、酸当量(100モル%)並びにジオールもしくはジオー
ル及びジアミンの当量(100モル%)を実質的に等モル割合で含有しており、そこ
ではモノマー単位部分を結合する基の少なくとも20重量%はエステル結合であり
、且つそのインヘレント粘度は、重量部で60/40のフェノール/テトラクロロエ
タン溶液中、25℃、溶媒100ml中のポリマー約0.25gの濃度で測定して、少なく
とも0.1dL/gである。この線状水分散性ポリエステル組成物(I)は、米国特
許第3,734,874号;同第3,779,993号;同第4,233,196号;及び同第4,335,220号に
詳細に記載されており、それら開示は引用により全体としてここに組み込まれる
。
スルホン酸塩含有、水分散性線状ポリエステル(I)は、スルホモノマーでは
ない1種またはそれ以上のジカルボン酸及び、1種またはそれ以上のジオール又
は、1種またはそれ以上のジオールと1種またはそれ以上のジアミンとの組み合
わせの繰り返し、交互残基もしくは部分を有する、ポリエステルアミドを包含す
るポリエステルを含んでなり、ここではモル%は、ジカルボン酸残基100モル%
及び、ジオール残基又はジオールとジアミンの残基100モル%、合計200モル%に
基づいている。或いは、ポリエステルは、例えばヒドロキシカルボン酸、アミノ
カルボン酸及び/又はアミノアルカノールなどの混成官能性モノマーの残基を含
むこともできる。
水分散性ポリエステル(I)は、重量部で60/40のフェノール/
テトラクロロエタン溶液中、25℃及び溶媒100mL中ポリマー約0.25gの濃度で測
定して、少なくとも0.1dL/g、好ましくは約0.28〜0.45dL/gのインヘレント
粘度を有している。残基(i)を形成するのに用いられる二官能性ジカルボン酸
モノマーの適当な例には、脂肪族ジカルボン酸、脂環族ジカルボン酸、芳香族ジ
カルボン酸、又はこれらの酸の2種またはそれ以上の混合物が含まれる。好まし
いジカルボン酸の例には、コハク酸;グルタル酸;アジピン酸;アゼライン酸;
セバシン酸;フマル酸;マレイン酸;イタコン酸;1,4−シクロヘキサンジカ
ルボン酸;フタル酸;テレフタル酸及びイソフタル酸が含まれる。ポリエステル
のジカルボン酸成分としてテレフタル酸が用いられる場合、それ以外の酸の1種
が少なくとも5モル%併用されるときに卓越した結果が達成される。これらの酸
の対応する無水物、エステル、及び酸クロリドの使用も「ジカルボン酸」の用語
中に含まれるものであることはいうまでもない。
二官能性スルホモノマー成分(ii)は、好ましくは金属スルホン酸塩の基を含
むジカルボン酸もしくはそのエステル、金属スルホン酸塩の基を含むグリコール
、又は金属スルホン酸塩の基を含むヒドロキシ酸である。スルホン酸塩のカチオ
ンは、NH4 +又は金属イオンLi+,Na+,K+,Mg++,Ca++,Cu++,Ni++,Fe++,Fe+ ++
等である。本発明のポリエステルにおける残基又は反応物(ii)は、芳香族の
核に結合している−SO3M基を含む二官能性モノマーであり、ここでMは、水素、
NH4 +又は金属イオンである。二官能性モノマ一成分は、−SO3M基を含むジカルボ
ン酸であってもよく又はジオール付加物であってもよい。スルホン酸塩基のカチ
オンは、NH4 +又は金属イオンLi+,Na+,K+,Mg++,Ca++,Cu++,Ni++,Fe++,F
e+++等であることができる。水中の安定性が要求されるときには、好ましいもの
は単価のカチオン、例えばNH4 +であり、リチウム
、ナトリウム、カリウムの単価のカチオンである。
−SO3M基は、芳香族の核に結合しており、その核の例には、ベンゼン、ナフタ
レン、アントラセン、ジフェニル、オキシジフェニル、スルホニルジフェニル及
びメチレンジフェニルが含まれる。必要に応じて反応物(ii)中に存在する非金
属スルホン酸塩の基の非金属部分は、25℃の水中で10-3〜10-10、より好ましく
は10-5〜10-8のイオン化定数を有する脂肪族、脂環族又は芳香族塩基性化合物で
あることができる窒素含有塩基から誘導される、窒素ベースのカチオンである。
特に好ましい窒素含有塩基は、アンモニア、ジメチルエタノールアミン、ジエタ
ノールアミン、トリエタノールアミン、ピリジン、モルホリン及びピペリジンで
ある。それらから誘導されるこのような窒素含有塩基及びカチオンは、米国特許
第4,304,901号に記載されており、その開示は引用により全体的に本明細書に組
み込まれる。反応物(ii)は4〜25モル%の量で存在することが好ましく、より
好ましくは8〜18モル%であり、最も好ましくは約10モル%である。
適当なポリ(エチレングリコール)(iii)の例には、比較的高分子量のポリ
エチレングリコールが含まれ、それらの幾つかは、Union Carbide製の商品名「
カーボワックス(“Carbowax”)」として商業的に入手できる。分子量約500〜5
000のポリ(エチレングリコール)が特に適当である。
グリコール成分の残りの部分は、脂肪族、脂環族及びアラルキルグリコールか
らなることができる。これらのグリコールの例には、エチレングリコール;プロ
ピレングリコール;1,3−プロパンジオール;2,4−ジメチル−2−エチル
ヘキサン−1,3−ジオール;2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール;
2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール;2−エチル−2−イソブ
チル−1,3−プロパンジオール;1,3−ブタンジオール;1,4−ブタンジ
オール;1,5−ペンタンジオール;1,6−ヘキサンジオール;2,2,4−
トリメチル−1,6−ヘキサンジオール;チオジエタノール;1,2−シクロヘ
キサンジメタノール;1,3−シクロヘキサンジメタノール;1,4−シクロヘ
キサンジメタノール;2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジ
オール;p−キシリレンジオールが含まれる。コポリマーは2種またはそれ以上
の上記グリコールから調製されることができる。
ジアミンである二官能性モノマー成分(iii)の有利な例には、エチレンジアミ
ン;ヘキサメチレンジアミン;2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン
;4−オキサヘプタン−1,4−ジアミン;4,7−ジオキサデカン−1,10−
ジアミン;1,4−シクロヘキサンビスメチルアミン;1,3−シクロヘキサン
ビスメチルアミン;ヘプタメチレンジアミン;ドデカメチレンジアミン等が含ま
れる。
アミノアルコールすなわちアミノアルカノールである有利な二官能性成分の例
には、成分(iv)として、芳香族、脂肪族、複素環族及びその他のタイプが含ま
れる。具体例には、5−アミノペンタノール−1,4−アミノメチルシクロヘキ
サンメタノール、5−アミノ−2−エチル−ぺンタノール−1,2−(4−β−
ヒドロキシエトキシフェニル)−1−アミノエタン、3−アミノ−2,2−ジメ
チルプロパノール、ヒドロキシエチルアミン等が含まれる。一般に、これらのア
ミノアルコールは2〜20の炭素原子、1つの−NRH基及び1つの−CR2−OH基を含
む。
アミノカルボン酸である有利な二官能性モノマー成分の例には、成分(iv)と
して、芳香族、脂肪族、複素環族及びその他のタイプが含まれ、またラクタムが
含まれる。具体例には、6−アミノカプ
ロン酸;カプロラクタムとして知られるそのラクタム、ω−アミノウンデカン酸
、3−アミノ−2−ジメチルプロピオン酸、4−(β−アミノエチル)安息香酸
、2−(β−アミノプロポキシ)安息香酸、4−アミノメチルシクロヘキサンカ
ルボン酸、2−(β−アミノプロポキシ)シクロヘキサンカルボン酸等が含まれ
る。一般に、これらの化合物は2〜20の炭素原子を含む。
好ましい水分散性線状ポリエステル(I)は、イソフタル酸残基約75〜90モル
%及び5−ナトリウムスルホイソフタル酸モノマー残基約10〜25モル%である二
塩基酸モノマー残基;並びに、ジエチレングリコールモノマー残基約45〜100モ
ル%及び0〜55モル%以下の1,4−シクロヘキサンジメタノール残基からなる
ジオールモノマー残基を含む。より好ましい水分散性線状ポリエステル(I)は
、ポリスチレン標準に基づいた気相クロマトグラフィーによる、約4,000〜6,000
の範囲の平均分子量、及び約25〜88℃、好ましくは約29〜55℃のTgを有している
。
好ましい態様において、分岐状水分散性ポリエチレン(II)は:
(a)スルホモノマーではない、少なくとも1種の二官能性ジカルボン酸;
(b)芳香族環に結合した少なくとも1つのスルホン酸塩の基を含み、その官
能基がヒドロキシル、カルボキシル又はアミノである、少なくとも1種の二官能
性スルホモノマーの残基を、酸、ヒドロキシル及びアミノ当量の合計に基づいて
約1〜20モル%;
(c)グリコールが2つの−C(R1)2−OH基を含む(ここで、反応物中のR1
はそれぞれ同一でも異なっていてもよく、独立して水素又は炭素原子1〜6のア
ルキル基から選ばれる)グリコール又は、グリコールと2つの−NRH基を有する
ジア
ミンとの混合物から選ばれる少なくとも1種の二官能性反応物;
(d)1つの−C(R−)2−OH基を有するヒドロキシカルボン酸、1つの−NRH
基を有するアミノカルボン酸、1つの−C(R−)2−OH基と1つの−NRH基とを有
するアミノアルコール、又は該二官能性反応物の混合物から選ばれる二官能性反
応物(ここで反応物中のRは同一でも異なっていてもよく、独立して水素又は炭
素原子1〜6のアルキル基から選ばれる)二官能性反応物約0〜40モル%;及び
(e)ヒドロキシル、カルボキシル、アミノ及びそれらの混合物から選ばれる
少なくとも3つの官能基を含む「多官能性」すなわち「分岐導入」反応物1〜40
モル%;
の反応生成物の部分から形成され;ここでポリマーは4より高い分岐前のpHを有
し、前述の全てのモル%は、200モル%に等しい反応物中に含まれる全ての酸、
ヒドロキシル及びアミンの合計に基づくものであり、そしてポリマーは、酸基含
有反応物(酸100モル%)の、ヒドロキシル基及びアミノ基含有反応物(100モル
%)に対する割合が、EQ(塩基)をEQ(酸)で除した値が1〜1.6の間となるよう
に含んでいる。
分岐状水分散性ポリエステル(II)は、米国特許第5,218,042号に詳細に開示
されており、その開示は引用により全体的に本明細書に組み込まれる。米国特許
第5,218,042号は水中での分散物の安定性向上に向けられており、そして分散物
の安定性を維持するために、酸基を末端封鎖するか(endcaps)又はジカルボン酸
スルホモノマーのジオール付加物を形成する。しかしながら、本発明は安定なエ
マルジョンを維持することを目指す必要はなく、単にホットメルト接着剤が繊維
から分離される程度に、パルプ化され、水中に分散さ
れてエマルジョンを形成することを目指せばよい。従って、末端処理してスルホ
モノマーのジオール付加物を形成することは、単に一つの選択肢であり、本発明
の必要要件ではない。
ポリエステル(II)は、ヒドロキシル、カルボキシル及びアミノから選ばれる
少なくとも3つの官能基を含む多官能反応物が存在することによって分岐する。
スルホモノマー(a)ではない二官能性ジカルボン酸は、(i)におけるそれと
同様に、同一であっても異なっていてもよく、一般に上記ポリエステル(I)の
(i)におけると同様のジカルボン酸から選ばれる。二官能性スルホモノマー(
b)もまた、上記ポリエステル(I)における(i)で用いられ、又は上記に開
示された適当な二官能性スルホモノマーから選ばれる二官能性スルホモノマーと
同じであることができる。
反応物(c)はグリコール又はグリコールの混合物であることが好ましい。グ
リコール成分は脂肪族、脂環族及びアラルキルグリコールからなることができる
。これらのグリコールの例には、エチレングリコール;プロピレングリコール;
1,3−プロパンジオール;2,4−ジメチル−2−エチル−ヘキサン−1,3
−ジオール;2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール;2−エチル−2−
ブチル−1,3−プロパンジオール;2−エチル−2−イソブチル−1,3−プ
ロパンジオール;1,3−ブタンジオール;1,4−ブタンジオール;1,5−
ペンタンジオール;1,6−ヘキサンジオール;2,2,4−トリメチル−1,
6−ヘキサンジオール;チオジエタノール;1,2−シクロヘキサンジメタノー
ル;1,3−シクロヘキサンジメタノール;1,4−シクロヘキサンジメタノー
ル;2,2,4,4−テトラメチル−1,3,−シクロブタンジオール;p−キ
シリレンジオールが含まれる。その他の適当なグリコールの例には、ジエチレン
グリコール、トリエチレングリコール、
テトラエチレングリコール、ペンタエチレングリコール、ヘキサエチレングリコ
ール、ヘプタエチレングリコール、オクタエチレングリコール、ノナエチレング
リコール、デカエチレングリコール及びそれらの混合物を包含するポリ(エチレ
ングリコール)が含まれる。本発明のポリエステルに採用される好ましいポリ(
エチレングリコール)は、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール又は
それらの混合物である。コポリマーは2種またはそれ以上の上記グリコールから
調製されることができる。好ましいグリコールには、エチレングリコール;ジエ
チレングリコール;2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール;2−エチル
−2−ブチル−1,3−プロパンジオール;2,2,4−トリメチル−1,3−
ペンタンジオール;1,4−シクロヘキサン−ジメタノール;1,3−シクロ−
ヘキサンジメタノール;ヒドロキシピバリルヒドロキシピバラート;ジプロピレ
ングリコール;1,6−ヘキサンジオール;1,10−デカンジオール;1,3−
ブタンジオール;水素化ビスフェノールA;1,4−ブタンジオール等が含まれ
る。
アミノアルコールである有利な二官能性成分には、成分(d)として芳香族、
脂肪族、複素環族及びその他のタイプが含まれる。具体例には、5−アミノペン
タノール−1,4−アミノメチルシクロヘキサンメタノール、5−アミノ−2−
エチル−ペンタノール−1,2−(4−β−ヒドロキシエトキシフェニル)−1
−アミノエタン、3−アミノ−2,2−ジメチルプロパノール、ヒドロキシエチ
ルアミン等が含まれる。一般に、これらのアミノアルコールは2〜20の炭素原子
、1つの−NRH基及び1つの−C(R)2−OH基を含む。
アミノカルボン酸である有利な二官能性モノマー成分には、成分(d)として
、芳香族、脂肪族、複素環族及びその他のタイプが含
まれ、またラクタムが含まれる。具体例には、6−アミノカプロン酸、カプロラ
クタムとして知られるそのラクタム、ω−アミノウンデカン酸、3−アミノ−2
−ジメチルプロピオン酸、4−(β−アミノエチル)一安息香酸、2−(β−ア
ミノプロポキシ)安息香酸、4−アミノメチルシクロヘキサンカルボン酸、2−
(β−アミノプロポキシ)シクロヘキサンカルボン酸等が含まれる。一般に、こ
れらの化合物は2〜20の炭素原子を含む。
ジアミンである二官能性モノマー成分(d)の有利な例には、エチレンジアミ
ン;ヘキサンメチレンジアミン;2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミ
ン;4−オキサヘプタン−1,4−ジアミン;4,7−ジオキサデカン−1,10
−ジアミン;1,4−シクロヘキサンビスメチルアミン;1,3−シクロヘプタ
メチレンジアミン;ドデカメチレンジアミン等が含まれる。
好ましい多官能性反応物(e)の例には、トリメチルプロパン(TMP)、トリメ
チロールエタン(TME)、グリセリン、ペンタエリトリトール、エリトリトール、
トレイトール、ジペンタエリトリトール、ソルビトール、無水トリメリット酸、
二無水ピロメリット酸及びジメチロールプロピオン酸があり、TMPが最も好まし
い。好ましい分岐状水分散性ポリエステル(II)において、ジカルボン酸(a)
はイソフタル酸又はアジピン酸及びそれらの混合物から選ばれ、ジカルボン酸ス
ルホモノマー(b)は5−ナトリウムスルホイソフタル酸であり、(c)におけ
るグリコール成分はネオペンチルグリコールであり、(d)成分はなく、多官能
性反応物(e)はTMPである。例えばナトリウムスルホイソフタル酸などのスル
ホモノマー(b)のモル%は、存在する二官能性ジカルボン酸モノマーの合計モ
ル数に基づいて、約3〜6モル%、より好ましくは約3〜4モル%の濃度で存在
することがさらに好ましい。好ましい(e)の量は、
約3〜15モル%であり、(e)が約7〜8モル%存在するのが最も好ましい。
(I)及び(II)の両方を含む本発明の水分散性ホットメルト接着剤を調製す
るために、水分散性線状ポリエステル組成物(I)を分岐状水分散性ポリエステ
ル組成物(II)と、200℃より高い温度、好ましくは約225℃で少なくとも2時間
ブレンドすることができる。2種のポリエステルの相対的な量は、ポリエステル
(I)が約20〜80重量%及びポリエステル(II)が約20〜80重量%の間で変動す
る。この態様に従えば、ホットメルト接着剤組成物におけるこれら2種のポリエ
ステルの濃度は、好ましくはポリエステル(I)が30重量%より多いが80重量%
より少なく、且つポリエステル(II)が20重量%より多いが70重量%より少ない
。2種のポリエステルの濃度は、より好ましくは(I)が約40〜77重量%で、且
つ(II)が約23〜60重量%であり、さらに好ましくは(I)が約60〜75重量%で
且つ(II)が約25〜40重量%であり、最も好ましくは、2つのポリエステルの濃
度が、(I)が約70重量%で且つ(II)が約30重量%である。
ポリエステル(I)の量を多くすればするほど最終的な接着剤組成物の融点が
上昇する。ポリエステル(I)の量が80重量%より高くなると、接着剤の融点は
実用には高すぎる。ポリエステル(II)の量を多くすればするほど最終的な接着
剤組成物の融点が低下する。ポリエステル(II)の量が80重量%より高く、また
時には70より高くなると、接着剤の融点は実用には低すぎる。
最終的なホットメルト接着剤組成物基材は、ポリスチレン標準に基づいて気相
クロマトグラフィーで測定して、好ましくは重量平均分子量約2,000〜10,000、
より好ましくは約5,000〜5,500を有している。本発明に従う最終接着剤組成物の
好ましいTgは、約4〜22
℃、好ましくは約4〜8℃の間で変動する。本発明の最終ホットメルト接着剤組
成物は、好ましくは350°F(175℃)で約1,500〜30,000cP、より好ましくは350°F
(175℃)で約5,000〜20,000cPの粘度を有する。
本発明のホットメルト接着剤組成物は、それらの性質の組み合わせのよさによ
って特に有用であり、多くの態様においてそれらが容易にリサイクルされ、再パ
ルプ化されるため、紙製品及び木材パルプの接着剤として用いるのが特に適当で
ある。本発明のホットメルト接着剤は、リサイクル/再パルプ化性であり、従来
技術の再パルプ化性ホットメルト接着剤組成物よりも、セット時間、温度感応性
、相溶性、貯蔵安定性、剪断強度、引張強度、粘度及び耐低温流動性が改善され
る。
本発明のホットメルト接着剤はまた、不織布集合体を接着結合するために、例
えば不織布材料をポリエチレン又はその他のポリオレフィンのフィルムに接着結
合するために使用することができる。実際、本発明のホットメルト接着剤は、好
ましくはポリアミド、ポリイミド及びポリオレフィンを含む多くの材料に適用す
ることができる。最も好ましくは、そのような材料は約0.2〜約1.0のインフレン
ト粘度を有しており、そして別の態様では約60℃より高い溶融温度を有している
。特定の態様において、本発明の被覆された基体は、女性用衛生製品、ダイヤパ
ー及びタバコのフィルターに接着剤として用いられる。
本発明のホットメルト接着剤組成物はまた、安定剤、好ましくは約0.1〜約0.5
重量%の安定剤を含む標準的な添加剤を含有することができる。適当な安定剤に
は酸化防止剤タイプが含まれ、一般に立体的に封鎖されたフェノール又は硫黄も
しくは隣で置換されたフェノールからなる。特に有用な酸化防止剤は、ペンタエ
リトリトー
ルテトラキス−3(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロ
ピオナートであるイルガノックス(Irganox)1010(Ciba−Geigy,Hawthorne,NY
から)である。その他の添加剤、例えば可塑剤(例えばフェノール類及びフタル
酸エステル)、UV光吸収剤、着色料、粘着剤及び充填剤が、必要によって及び接
着剤分野公知のように少量で存在することができる。実施例
以下の実施例は、当業者に、本明細書に請求された化合物をどのようにして製
造し、評価するかについての完全な開示及び記載を提供するために述べられるが
、それらは単に本発明を例示しようとするためのものであって、本発明者らが発
明とみなすものの範囲を限定しようとするものではない。数字(例えば、量、温
度等)に関してその正確さを確かめる努力はなされているが、幾らかの誤差や偏
差は見込まれるべきである。別段に表記されていなければ、部は重量部であり、
温度は℃又は室温であり、そして圧力は大気圧又はその近傍の値である。
以下の実施例において、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)
を分子量分布平均:Mw,Mn,Mw/Mn(多分散性)及びMzの測定に用いる。試料約
60mgを計量し、トルエン(内部標準)を0.3%(v/v)のレベルで含むテトラ
ヒドロフラン(THF)20mlに溶解する。試料は(必要なら)濾過し、次いでGPCシス
テムにかける。データシステムは(1x)分子量分布平均(2x)時間毎のレポ
ート(time slice report)及び(3x)Polymer Laboratoriesから購入した、分
子量範囲580〜1,030,000にわたる標準品を表すレポートを作成する。検量の方法
は「MW狭幅標準ピーク位置」法(“Narrow MW Standard Peak Positions”)であ
る。例1−線状水分散性ポリエステル組成物Iの調製
その上部が磨りガラスの、攪拌軸、窒素導入口及びサイドアームを装備した50
0mL丸底フラスコに、イソフタル酸73.87g(0.445モル)、5−ナトリウムスルホ
イソフタル酸14.74g(0.055モル)、ジエチレングリコール81g(0.75モル)、四イ
ソプロポキシ化チタン0.19g及び酢酸ナトリウム四水和物0.847g(0.0055モル)
を装填した。フラスコは窒素を吹き込みながら200℃で2時間ベルモント浴(a B
elmont bath)に浸漬した。加熱を止め、コポリエステルをフラスコから取り出
した。ポリマーは、ASTM D3835−79によるインヘレント粘度0.45dL/g及び、示
差走査熱量測定(DSC)分析によって測定したときのガラス転移温度29℃を有して
いた。ポリマーは、透明で非晶性であり、押出成形してペレット化した。ポリマ
ーは、ポリスチレン標準を用いてGPCで測定して、重量平均分子量(Mw)8,924及
び数平均分子量(Mn)5,422であった。例2−分岐状水分散性ポリエステル組成物IIの調製
機械攪拌機、流体部分冷却器、ディーン・スターク捕集器(a Dean−Stark tr
ap)及び水冷却器を装備した丸底三つ口フラスコに、次の反応物を装填した:ネ
オペンチルグリコール(363.38g、3.49モル)、5−ナトリウムスルホイソフタ
ル酸(29.30g、0.109モル)及び触媒、ファスキャット(Fascat)4100(Atochem N
orth American,Inc.)(0.56g)。その混合物を150℃に加熱し、N2雰囲気下に攪
拌し、次いで温度を220℃まで徐々に高め、そしてその混合物が透明になるまで
、(約1時間)溜出物(水)をディーン・スターク捕集器に集めた。酸価が0に
近いことを測定して、混合物は150℃に冷却した。次いで第二段階の反応物、ト
リメチロールプロパン(75.4g、0.563モル)、イソフタル酸(329.01g、1.98
モル)及びアジピン酸(202.25g、1.38モル)を添加した。温度を徐々に
220℃にまで高め、反応をさらに4時間続けて酸価3.6の樹脂を得た。ポリマー
は、ポリスチレン標準を用いてGPCにより測定して、重量平均分子量(Mw)6,241
、数平均分子量(Mn)1,740、多分散性指数3.6であった。例3−水分散性ホットメルト接着剤の調製
接着剤組成物を製造するために、例1におけるように調製した線状水分散性ポ
リエステルポリマーI(70重量部)及び例2の分岐状水分散性ポリエステルポリ
マーII(30重量部)のブレンドを、2つのポリマーを一緒にして約225℃で2時
間攪拌することによって調製した。組成物はTg約11℃、重量平均分子量5,410、
数平均分子量1,554、及びBrookfield HV:II粘度計で測定した350°F(175℃)に
おける粘度19,450cPを有していた。接着剤は、段ボール板基体上での標準的な方
法(TAPPI Symposium、リサイクル性/再泥漿化性ホットメルト−概要−U.S.A a
nd Europe,1990年6月、MichaelJ.Ambrosini刊行)による測定での迅速なセッ
ト時間、良好な重ね剪断強度(lap shear strength)(ASTM D1002試験法)及び良好
な引張強度(ASTM 412試験法)を有していた。熱水(65〜80℃)100ml中に、接
着剤の小片0.5gを混合した。ゆっくりした攪拌で15分以内に接着剤は完全にそ
の水中に分散して、ミルク状の混合物を形成した。例4
接着剤組成物を、例1におけるように調製した線状水分散性ポリマー60重量部
を、例2の分岐状水分散性ポリエステル40重量部とブレンドすることにより調製
し、そしてポリマーの性質及びポリマーと接着剤の性質を上記例3におけると同
様に測定した。例3と同様に、接着剤の小片は15分以内に熱水中に分散した。接
着剤は良好な再パルプ化性を有し、Tg約8.4℃、重量平均分子量5,272、数平均
分子量1,563、及び350°F(175℃)における粘度17,400cPであった。例5
接着剤組成物を、例1におけるようにして調製した線状水分散性ポリマー40重
量部を、例2の分岐状水分散性ポリエステル60重量部とブレンドすることにより
調製し、そして接着剤組成物の性質を例3におけると同様に測定した。例3と同
様に、接着剤の小片は15分以内に熱水中に分散した。その接着剤は良好な再泥漿
化性を有し、Tg 4.2℃、重量平均分子量7,622、数平均分子量1,715、及び350°
F(175℃)における粘度2,500cPであった。例6
接着剤組成物を、例1におけるように調製した線状水分散性ポリマー30重量部
を例2の分岐状水分散性ポリエステル70重量部とブレンドすることにより調製し
、そして接着剤組成物の性質を例3におけると同様に測定した。接着剤の小片を
例3と同様に熱水中に分散させようと試みたが、僅かに部分的な分散が生じただ
けであった。その接着剤は辛うじて再パルプ化性があり、Tg 4.4℃、重量平均分
子量7,316、数平均分子量1,831、及び350°Fにおける粘度2,490cPであった。例7
インヘレント粘度0.6及び177℃におけるブルックフィールドサーモセルによる
溶融粘度約350,000〜550,000cpsを有する分岐状スルホポリエステルを0.9〜1.7
gに切断した。ポリエステルのそれぞれの粒子を二安息香酸−1,4−シクロヘ
キサンジメタノールの溶融浴中に浸漬塗工した。分岐状スルホポリエステルに対
する二安息香酸のおおよその付加量は1.1〜1.7重量%であった。上記の粒子を次
いで、その頂部に500g重量の錫板が置かれている幅が3イ
ンチの段付きチューブ中に入れた。このテスト組体は105〜110°Fの送風炉中に
9日間置いた。9日後被覆されたポリエステル粒子を、炉から取り出した後直ち
に耐ブロッキングで自由に流動する状態で試験した。この実験で試験された粒子
は自由に流動するように観察された。例8
インヘレント粘度0.40dL/gを有する例2の分岐状スルホポリエステルを二安
息香酸−1,4−シクロヘキサンジメタノール約1.1〜1.%で被覆した。この被
覆スルホポリエステルを、次いで慣用の添加剤、例えば芳香族炭化水素粘着剤、
セット時間調節剤としての追加の1,4−シクロヘキサンジメタノールと共に、
また慣用の酸化防止安定剤と共にホットメルト接着剤に調合した。その材料の成
分及びその材料の特性を表Iに報告する。
物理試験:
粘度(177℃) 18,450cp
RBS PC(ASTM E-28) 102
水分散性 1gホットメルトが水100g中、
室温で4時間以内に100%
本発明において、その発明の範囲又は精神から逸脱することなく様々な変性及
び変更がなされうることは、当業者にとって明らかである。本発明のその他の態
様は、本明細書に開示された本発明の明細書及び実施例を熟慮することにより、
当業者にとって明らかである。この明細書及び実施例はあくまでも例示として意
図されており、本発明の真の範囲及び精神は以下の請求項により示す通りである
。