JP2002504340A - ヒト腫瘍細胞類を感作しおよびヒト腫瘍細胞の増殖を阻害するための組成物および方法 - Google Patents

ヒト腫瘍細胞類を感作しおよびヒト腫瘍細胞の増殖を阻害するための組成物および方法

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Abstract

(57)【要約】 【目的】 カルボキシルエステラーゼ酵素をコードするポリヌクレオチド類および化学療法プロドラッグおよびその不活性代謝物を活性薬物に代謝可能で前記ポリヌクレオチド類によってコードされるポリぺプチド類の提供、および腫瘍細胞類をプロドラッグ化学療法剤に感作させ本酵素によって腫瘍増殖を阻害するための組成物類および方法類の提供、さらに、本酵素によって活性化される薬物類の同定のためのスクリーニングアッセイの説明。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 本発明は、米国政府国立衛生研究所(NIH)グラント番号CA−66124
およびCA−63512からの資金によって一部援助を受けており、したがって
、米国政府は、本発明においてある権利を有することができる。
【0002】 (産業上の利用分野) 本発明は、カルボキシルエステラーゼ酵素をコードする同定されかつ塩基配列
決定された新規ポリヌクレオチド類、これらのポリヌクレオチド類によってコー
ドされるポリぺプチド類、およびベクター類およびこれらのベクター類を含み前
記酵素を発現する宿主細胞類に関する。この酵素は、化学療法のプロドラッグ類
および不活性代謝物類を活性ドラッグに代謝できる。本発明は、したがって、こ
れらのポリヌクレオチド類を含む組成物類、および選択された腫瘍細胞に対して
疾病特異的応答性プロモータの制御下においたポリヌクレオチドをトランスフェ
クションさせることによって、前記腫瘍細胞を化学療法のプロドラッグに感作さ
せる方法類に関する。感作された腫瘍細胞を次に化学療法プロドラッグに接触さ
せ、腫瘍細胞増殖を阻害することができる。本発明の組成物類は、また、化学療
法プロドラッグと併用して、骨髄から腫瘍細胞を浄化することができる。本発明
は、さらに、本酵素によって活性化される化学療法プロドラッグ類を同定するた
めの新規薬物スクリーニングアッセイ類も含む。
【0003】 (発明の背景) 癌は、ゲノムレベルにおける複数の変化によって生じる疾病である。これらの
変化は、究極的には細胞サイクル機構の機能不良をおこし、最終的には自律的細
胞増殖が起こる。悪性形質転換には4種の遺伝子類が関与しており、オンコジー
ン類、腫瘍抑制遺伝子類、変異誘発遺伝子類およびアポトーシス遺伝子類である
。異なる種類の癌は、これらの遺伝子類のいずれか1種またはそれらのいずれか
の組み合わせの改変を伴っている。
【0004】 mycファミリのプロトオンコジーン類は、乳癌、結腸癌、子宮頚癌、頭頚部
癌および脳腫瘍を含むさまざまな異なる種類のヒト腫瘍類において過剰発現され
る。多くの固形腫瘍はc−mycを増幅するかまたは過剰発現し、健常細胞に比
べて腫瘍細胞におけるc−myc RNAが50倍まで増加することが報告され ている(Yamada、H.ら、1986。Jpn.J.Cancer Res .77:370−375)。たとえば、6種の最も一般的な固形腫瘍のうちの3
種として結腸腺癌、乳癌および子宮頚癌があり、その100%、57%および3
5%までが、c−myc蛋白質増加を示す。非腫瘍化細胞においてc−mycを
強制的に発現させると、不死化を起こすが形質転換は起こさない;しかし、良性 癌類および健常分化組織においては、c−myc蛋白質のレベル上昇はまれであ
る。固形腫瘍は外科的に除去できることが多いが、c−mycの過剰発現は、c
−myc遺伝子の増幅と関連づけられてきており、予後不良と再燃リスク上昇と
相関している(Nagai、 M.A.ら、1992。Dis.Colon Re
ctum 35:444−451;Orian、J.M.ら、1992。Br. J.Cancer 66:106−112;Riou、G.ら、1987。La ncet 2:761−763;Field、J.K.ら、1989。Onco gene 4:1463−1468)。
【0005】 mycオンコジーンファミリのもうひとつの一員であるN−mycは、若年小
児における神経芽細胞腫の発生に関連づけられてきた。プロトオンコジーン類の
mycファミリのこの一員の過剰発現は、また、疾病の進行期および予後不良と
相関している(Brodeur、G.M.ら、1997。J.Ped.Hema
tol.Oncol.19:93−101)。この特異的条件において原発性腫
瘍は、通常、腹部に発生し、患者の70%もが、診断時に骨髄転移を有している
(Matthay、K.E.1997。Oncology 11:1857−1 875)。外科、化学療法および自家または同種間浄化骨髄移植によるステージ
4疾病を有する小児の治療は、移植後4年にわたり、患者の非進行性生存率を2
5から49%としてきた(Matthay,K.K.ら、1994。J.Cli
n.Oncol.12:2382−2389)。自家移植後の再燃の大半は、重
大な疾病部位および/または以前に関連した部位で発生する。局所再発率の推定
値は、研究により異なっている。しかし、原発部位における腫瘍再発は、神経芽
細胞腫高リスク患者の約25%で発生すると推定されてきた。
【0006】 さらに、遺伝子マーキング研究による決定的証拠によれば、標準的臨床および
形態基準によって悪性細胞を全く含んでいないとされた自家骨髄は、髄質部位お
よび髄質外部位の両者で再燃に寄与する(Rill、D.R.ら、1994。B
lood 84:380−383)。最近の試験的臨床研究では、骨髄関与の診 断は、自家浄化骨髄を受けた小児において当部位における特異的再燃と相関して
いた(Matthay、K.K.、1993。J.Clin.Oncol.11
:2226−2233)。したがって、外科手術の改良、腫瘍辺縁の検出、新規
抗腫瘍剤の開発または新規療法の適用が、局所腫瘍再増殖を防止するために必要
である。特に、より効果的な治療戦略が、腫瘍摘出術または骨髄から腫瘍細胞を
浄化した後の疾病部位に少数の腫瘍細胞が存在することから生じる2 最小残留疾
病2 すなわち2 MRD2 を消失させるために、必要である。
【0007】 CPT−11(イリノテカン、7−エチル−10−{4−(1−ピペリジノ)
−1−ピペリジノ}カルボニルオキシカンプトテシン)は、腫瘍治療のために現
在研究されているプロドラッグであり、SN−38(7−エチル−10−ハイド
ロキシ−カンプトテシン)として公知の活性薬物に変換される(Tsuji、T
.ら、1991。J.Pharmacobiol.Dynamics 14:3 41−349;Satoh、Tら、1994。Biol.Pharm.Bull
.17:662−664)。SN−38は、細胞中で阻害されるとDNA損傷お
よびアポトーシス誘導を生じる酵素であるトポイソメラーゼI(Tanizaw
a、A.ら、1994。J.Natl.Cancer Inst.86:836 −842;Kawato、Y.ら1991。Cancer Res.51:41 87−4194 )の強力な阻害剤である(Hsiang、Y−H.ら、198 9。Cancer Res.49:5077−5082)。インビボでCPT− 11の活性化に関与しているこの特異的酵素は、数種の哺乳類由来の血清または
肝ホモジネートがCPT−11をSN−38に変換する活性を有することが明ら
かにされているにもかかわらず、まだ、同定されていない(Tsuji、T.ら
、1991。J.Pharmacobiol.Dynamics 14:341 −349;Senter、P.D.ら、1996。Cancer Res.56 :1471−1474;Satoh、T.ら、1994。Biol.Pharm
.Bull.17:662−664)。これらの活性は、どれも画一的にカルボ
キシルエステラーゼ(CE)の特徴を有している(Tsuji、T.ら、199
1。J.Pharmacobiol.Dynamics 14:341−349 ;Senter、P.D.ら、1996。Cancer Res.56:147 1−1474;Satoh、T.ら、1994。Biol.Pharm.Bul
l.17:662−664)。実際、SN−38は、CPT−11投与数分後の
動物およびヒトの血しょう中で検出でき(Stewart、C.F.ら、199
7。Cancer Chemother.Pharmacol.40:259− 265;Kaneda、N.ら、1990。Cancer Res.50:17 15−1720;Rowinsky、E.K.ら、1994。Cancer R es.54:427−436)、このことは、血清または組織のいずれかに存在
するCE酵素が、カンプトテシンアナログをその活性代謝物に変換できることを
示唆している。
【0008】 CE類は、さまざまな生体異物の解毒に関与すると考えられているいたるとこ
ろに存在するセリンエステラーゼ酵素類である。CE類は主に肝と血清中に存在
するが、この酵素属の生理的役割は、まだ同定を待たねばならない。13種のC
E類の最近の生化学的分析では、CPT−11をSN−38に代謝する能力を比
較した。変換効率は酵素間で異なったが、げっ歯類から単離されたものが最も効
率的であった(Sato,T.ら、1994。Biol.Pharm.Bull .17:662−664)。ウサギ肝CEのアミノ酸配列が、開示されている(
Korza、G.およびJ.Ozols、1988。J.Biol.Chem.
263:3486−3495)。さらに、現在、GenBankおよびEMBL
データベースには、ラット血清およびラット肝ミクロゾームCEを含めてCEを
コードする13種のcDNA配列がある。おもしろいことに、ヒト組織から精製
されたCE類は、CPT−11のSN−38変換効率が最も低く、プロドラッグ
の5%未満しか活性薬物に変換されないことが分かった(Leinweber, F.J.1987。Drug Metab.Rev.18:379−439;R ivory,L.P.ら、1997。Clin.Cancer Res.3:12
61−1266)。
【0009】 SN−38への代謝に加えて、ヒトCPT−11では、APCとして公知の化
合物に代謝される(Haaz、M.C.ら、1998。Cancer Res. :58:468−472)。APCは、もしあるにしてもわずかの抗腫瘍活性し
か有しておらず、ヒトでは、活性代謝物に変換されない(Rivory、L.P
.ら、1996。Cancer Res.56:3689−3694)。 前臨床研究では、CPT−11をヒト腫瘍異種移植片を有する免疫不良マウス
に投与すると、神経膠芽腫、横紋筋肉腫(RMS)、神経芽細胞腫および結腸腺
癌の完璧な退縮をもたらす(Houghton、P.J.ら、1995。Can
cer Chemother.Pharmacol.36:393−403;H oughton、P.J.ら、1993。Cancer Res.53:282 3−2829 )。しかし、CPT−11による研究では、腫瘍退縮を維持する ことは薬物投与計画に依存しているようであり、このことは、生腫瘍細胞が治療
後も生存することを示唆している(すなわち、最小残留疾病(MRD))。これ
らの研究は、また、投与薬物用量と腫瘍退縮誘発の間には強い用量−応答関係が
あることを示した。たとえば、毎日CPT−11 20mg/kg/日を5日間 、2週間にわたり投与すると、Rh18 RMS異種移植片の完璧な退縮をもた らしたが、一方、同一スケジュールで10mg/kg/日投与すると、部分腫瘍
退縮しかもたらさなかった。SJGC3A結腸腺癌移植片を有するマウスを20
mg/kg用量と比較してCPT−11 40mg/kgで処置しても、同様の 効果が観察された。
【0010】 CPT−11による初期の臨床知見では、このプロドラッグがまたヒトにおい
て多くの異なる種類の固形腫瘍にたいして抗腫瘍活性を有していることを示唆し
ている。しかし、骨髄抑制と分泌性下痢が、患者に投与できる薬物量を制限して
いる。したがって、この将来性のある抗腫瘍剤を使用して成果をあげることがで
きる前に、これらの用量を制約する毒性を克服しなければならない。
【0011】 腫瘍に対する新しい有効な治療戦略の開発は、特異的な薬物スクリーニングア
ッセイ類が入手できるかどうかに依存している。特異的薬物スクリーニングアッ
セイ類では、単離された標的組織モデル類、すなわち、ウサギ類、ラット類およ
びモルモット類などの動物由来の単離された心臓、回腸、脈管系または肝を必要
とすることがあり、前記標的組織は、動物から除去されこの標的細胞の選択され
た活性を候補薬物に暴露する前後の両方で測定する。新規腫瘍剤同定のための薬
物スクリーニングアッセイ類において測定する選択活性の例として、トポイソメ
ラーゼIまたはIIのような酵素類の活性があり、これらは、細胞死を調節する
ことが公知である。このようなアッセイ類を用いてまた、選択された組織中で活
性代謝物に変換される潜在的プロドラッグ類をスクリーニングしまたはプロドラ
ッグをその活性代謝物に変換できる選択された組織を同定することもできる。
【0012】 しかし、新規化合物属によって修飾されることが示される分子的事象であれば
いかなるものも、治療法開発のために最も有望な化合物類の選択のためのスクリ
ーニングアッセイとして開発することができる。実際、最近では、ゲノムレベル
で細胞を調節するという考えが、癌のような疾病の治療に適用されてきた。癌治
療のための遺伝子療法は、米国国立衛生研究所組換DNA顧問委員会に承認され
た多数の臨床知見の主眼となってきたし、その知見の多くは臨床的適用成功を明
らかにしている(Hananiaら、1995。Am.Jour.Med.99
:537−552;Johnsonら、1995。J.Am.Acad.Der
m.32(5):689−707;Barnesら、1997。Obstetr
ics and Gynecology、89:145−155;Davisら、
1996。Current Opinion in Oncology 8:499
−508;Roth and Cristiano 1997、J.Natl.C anc.Inst.89(1):21−39)。悪性細胞を特異的に標的にし健
常細胞を救うためには、癌遺伝子療法では、選択的遺伝子運搬と特異的遺伝子発
現、特異的遺伝子産物活性、およびおそらく特異的薬物活性化を併用せねばなら
ない。最近、ウイルス(レトロウイルス、アデノウイルス、アデノ関連ウイルス
)法および非ウイルス(リポゾーム、遺伝子銃、注入)法の両者を用いる腫瘍部
位へのDNAの効率的運搬にかなりの進歩が見られた。遺伝子類は、スクレープ
ローディングまたは弾道的透過のような物理的手段、リン酸カルシウムとのDN
Aの共沈またはリポゾームカプセル封入のような化学的手段によって、またはエ
レクトロポレーションのような電気生理学的手段によって、細胞中に移入させる
ことができる。しかし、最も広く使用されている方法は、ウイルス感染工程の相
対的効率性という利点を利用して、組換えウイルスによる遺伝子類の形質導入を
利用している。現在の遺伝子療法では、所望の遺伝子を含む複製欠失組換えウイ
ルス類による生物類の感染を利用している。最も広く使用されている複製欠失ウ
イルス類として、レトロウイルス類、アデノウイルス類、アデノ関連ウイルス類
、レンチウイルス類およびヘルペスウイルス類があげられる。ウイルス媒介遺伝
子運搬の効率性は100%に近づけることができ、インビボで細胞の形質導入の
ためにこれらのウイルス類を潜在的に使用できるようにしている。
【0013】 特に、アデノウイルスベクター系は、いくつかの利点を有している。これらに
は、非分割細胞を形質導入できること;形質導入されたDNAは宿主細胞DNA
に取り込まれないこと;それによって挿入的変異誘発が無視できること、アデノ
ウイルスベクター類の設計では、7kbまでの外来DNAがウイルスゲノム中に
取り込まれるようにできること;非常に高ウイルス力価が得られ感染性を喪失す
ることなく保存できること;および適切なプラスミド類および封入細胞系統が感
染性、複製欠失ウイルスの迅速生成のために利用可能であることなどの事実が挙
げられる(Yang、N.S.1992、Crit.Rev.Biotechn
ol.12:335−356)。遺伝子類のアデノウイルス媒介培養哺乳類細胞
中および動物中への運搬の有効性は、実証されている。
【0014】 癌治療のための遺伝子療法の特異性と安全性を高めるために、標的細胞内部で
の治療遺伝子の発現もまた、厳密に制御しなければならない。腫瘍治療のため、
胸部、前立腺およびメラノーマ特異的プロモータ類および癌胎児性抗原、HER
−2/neu、Myc−Max 応答要素類、DF3/MUCのような疾病特異 的応答性プロモータ類を用いて、標的遺伝子発現が解析されてきた。Dachs
、D.U.ら、1997。Oncol.Res.9(6−7):313−25。
たとえば、Myc−Max応答要素、CACGTG(SEQ ID NO:22)
が4個繰り返し連結した単純疱疹ウイルスチミジンキナーゼ(HSV−TK)遺
伝子のガンシクロビアによる肺癌治療のための遺伝子療法剤としての用途は、C
−、L−またはN−myc−過剰発現小細胞肺癌(SCLC)細胞系統において
検討された(Kumagai、T.ら、1996。Cancer Res.56 (2):354−358)。このCACGTG(SEQ ID NO:22)コア
連結HSV−TK遺伝子の形質導入は、インビトロにおいて親細胞よりもガンシ
クロビアに対して3種のSCLC系統のすべての各クローン類の感受性を高め、
このことは、したがって、CACGTG担持HSV−TK遺伝子がいかなる種類
のmycファミリオンコジーンを過剰発現しているSCLCであってもその治療
に有効であるかもしれないことを示唆している。c−mycによるさらなる実験
では、オルニチンデカルボキシルラーゼ(ODC)プロモーター遺伝子の使用に
注目している。ODC遺伝子の第1イントロン内部には2個のCACGTG2 E
ボックス類2 があり、maxとして公知のそのパートナー蛋白質に結合するとき
にc−myc蛋白質に対して結合部位を提供している。Eボックス配列の変異の
結果、c−mycはODCプロモータのトランス活性化ができなくなる。先の報
告では、第二エクソンに直接隣接しているクロラムフェニコールアセチルトラン
スフェラーゼ遺伝子の上流に融合されたODCプロモータを含有するレポータ構
築体類はc−myc過剰発現細胞中で活性化された(Bello−Fernan
dez,C.ら、1993。Proc.Natl.Acad.Sci.USA 9
0:7804−7808)。対照的に、Eボックス類が{CACGTG(SEQ
ID NO:22)がCACCTG(SEQ ID NO:25)に}変異してい
るプロモータ構築体類の一過性トランスフェクションは、より有意に低いレポー
タ遺伝子活性を明らかにした。これらのデータは、c−myc応答ODCプロモ
ータの制御下に特定遺伝子類の転写が活性化できることを示唆している。N−m
ycの場合、N−myc蛋白質は、基本的ヘリックス−ループ−ヘリックス(B
HLH)蛋白質であり、同属の蛋白質類とダイマー類を形成できる。N−myc
は、BHLH蛋白質maxとダイマーを形成し、ODCのような遺伝子プロモー
タ中に存在するCACGTGモチーフに結合する複合体を形成し、その結果、こ
の配列を含む特定遺伝子類のトランス活性化および発現を起こす(Lutz、W
.、1996。Oncogene 13:803−812)。神経芽細胞腫細胞 系統および腫瘍類における研究では、そのコンセンサスDNA結合配列とのN−
mycの結合はN−myc発現と相関しており、このデータは、神経芽細胞腫細
胞中のN−mycレベルが、CACGTG配列を含むプロモータ制御下における
蛋白質類の発現の決定因子であることを示唆している(Rashella、G.
ら、1994。Cancer Res.54:2251−2255)。腫瘍増殖 阻害手段としてのアンチセンスオリゴヌクレオチド類によるc−myc遺伝子の
発現阻害も、また、開示されている{Kawasaki,H.ら、1996。A rtif.Organs 20(8):836−48}。
【0015】 本発明では、カルボキシルエステラーゼ酵素類またはその活性断片類をコード
するポリヌクレオチド類、および化学療法プロドラッグCPT−11およびその
不活性代謝物APCを活性薬物SN−38に代謝できそれによってコードされる
ポリぺプチド類が開示される。APCと併用して本酵素を使用すると、この不活
性代謝物を有用な化学療法プロドラッグにすることができる。また、本発明のポ
リヌクレオチドおよび疾病特異的応答性プロモータを含む組成物は選択された腫
瘍細胞類に運搬され、化学療法プロドラッグCPT−11に前記腫瘍細胞を感作
させ、それによって、腫瘍細胞増殖を阻害できることも見い出された。
【0016】 (発明の要約) 本発明の目的は、化学療法プロドラッグおよびその不活性代謝物類を活性薬物
に代謝できるカルボキシルエステラーゼをコードするポリヌクレオチド類を提供
することである。 本発明のもうひとつの目的は、これらのポリヌクレオチド類によってコードさ
れるポリぺプチド類を提供することである。 本発明のもうひとつの目的は、これらのポリヌクレオチド類を含むベクター類
およびこれらのベクター類を有しカルボキシルエステラーゼを発現する宿主細胞
類を提供することである。 さらに本発明の目的は、カルボキシルエステラーゼをコードするポリヌクレオ
チドおよび選択された腫瘍細胞の疾病特異的応答性プロモータまたはCMVのよ
うなプロモータを含む組成物を提供することである。 本発明の更なる目的は、化学療法プロドラッグに腫瘍細胞を感作させる方法を
提供し、前記方法は、選択された腫瘍細胞に、カルボキシルエステラーゼをコー
ドするポリヌクレオチドおよび前記選択された腫瘍細胞の疾病特異的応答性プロ
モータを含む組成物を移入させることを含む。 本発明のもうひとつの目的は、選択された腫瘍細胞を感作することを含む選択
された腫瘍細胞の増殖阻害方法を提供し、前記方法は、選択された腫瘍細胞をカ
ルボキシルエステラーゼによって活性薬物に代謝された化学療法プロドラッグに
感作させ化学療法プロドラッグを投与することを含む。 本発明のもうひとつの目的は、腫瘍治療においてプロドラッグとしてAPCを
用いる方法を提供することである。 さらに本発明の目的は、カルボキシルエステラーゼによって活性化された化合
物類の同定のための薬物スクリーニングアッセイ類を提供することである。
【0017】 (発明の詳細な説明) CPT−11は、患者に投与すると、ヒトカルボキシルエステラーゼによって
その活性代謝物SN−38に変換される有望な抗腫瘍プロドラッグである。しか
し、前記のヒト酵素は比較的非効率であり、前記プロドラッグの5%未満しかS
N−38に代謝されない(Rivory,L.P.ら、1997。Clin. C
ancer Res. 3:1261−1266)。患者では、このプロドラッグ
はAPCにも代謝される(Haaz、M−C.ら、1998。Cancer R es.58:468−472)。APCは活性な抗腫瘍活性を有するにしてもわ
ずかしか有しておらず、ヒトでは活性代謝物に変換されない(Rivory,L .P.ら、1996。Cancer Res. 3:3689−3694)。した
がって、インビボで有効レベルの活性薬物を得るためには、このプロドラッグを
高濃度で投与しなければならない。しかし、骨髄抑制や分泌性下痢によって、患
者に投与できるプロドラッグの量が制限される。
【0018】 本発明では、腫瘍細胞増殖を阻害するために必要なプロドラッグの有効量を減
らすために腫瘍細胞を感作する方法が提供され、本法は、mycプロモータのよ
うな疾病特異的応答性プロモータの制御下に選択した腫瘍細胞にポリヌクレオチ
ドを移入することを含む。本発明は、前記mycファミリオのンコジーン類の腫
瘍特異的過剰発現を利用して化学療法プロドラッグによって選択的死滅をもたら
す。
【0019】 本発明の一つの1面では、化学療法プロドラッグおよびその不活性代謝物類を
活性薬物に代謝できるカルボキシルエステラーゼをコードするポリヌクレオチド
類が提供される。2 ポリヌクレオチド類2 とは、本酵素またはその活性断片をコ
ードするcDNAまたはゲノムDNAまたはmRNAのようなDNAまたはRN
Aのいかなる形態をも意味しており、前記ポリヌクレオチド類は、クローニング
によって得られるかまたは周知の化学技術によって合成によって生成される。D
NAは、二重鎖であっても一重鎖であってもよい。一重鎖DNAは、コードすな
わちセンス鎖または非コードすなわちアンチセンス鎖を含むことができる。した
がって、用語ポリヌクレオチドは、また、緊縮条件下で上記のポリヌクレオチド
類にハイブリダイゼーションするポリヌクレオチド類も含む。本文で使用する場
合、用語“緊縮条件”とは、2´ SSC緩衝液で60° Cのハイブリダイゼー
ション条件下で少なくとも60%の相同性を意味する。好適な態様では、前記ポ
リヌクレオチドは、第4図に示したcDNA(SEQ ID NO:20)または
その相同配列または断片を含み、このウサギ肝CE酵素の活性と類似の活性を有
するポリぺプチドをコードする。遺伝コードの縮重のゆえに、本発明のポリヌク
レオチド類は、また、この酵素をコードする他の核酸配列類、およびその誘導体
類、変異体類または活性断片類を含むことができる。本発明は、また、このポリ
ヌクレオチドの天然由来であってもよい変異体類すなわち対立変異体類、または
周知の変異誘発技術によって調製した突然変異体類に関する。
【0020】 また、本発明では、本発明のポリヌクレオチド類を含むベクター類、および本
発明のベクター類によって遺伝子工学的に処理されCEまたはこの酵素の活性断
片類を生成する宿主細胞類を提供する。通常、ポリヌクレオチド類を維持し、増
加させ、または発現させ宿主細胞で本酵素を生成させるのに適したいかなるベク
ターも、この観点から発現に使用することができる。本発明のこの面によれば、
前記ベクターは、たとえば、プラスミドベクター、一重鎖または二重鎖ファージ
ベクター、または一重鎖または二重鎖RNAまたはDNAウイルスベクターであ
ることができる。このようなベクター類として、細菌プラスミド類、バクテリオ
ファージ類、酵母エピゾーム類、酵母染色体要素類、およびバキュロウイルス類
、パポバウイルス類、SV40、ワクチニアウイルス類、アデノウイルス類、家
禽ポックスウイルス類、仮性狂犬病ウイルス類およびレトロウイルス類などのウ
イルス類に由来するベクター類のような染色体、エピゾームおよびウイルス由来
ベクター類、およびプラスミドおよびバクテリオファージ遺伝要素類、コスミド
類およびファージミド類に由来するもののようにそれらの組み合わせに由来する
ベクター類があげられるが、それらに限定されない。適切なプロモータを選択し
mRNA転写と発現ベクター類の構築を誘導することは周知である。しかし、一
般に、発現構築体類は、転写開始および終始のための部位を含み、かつ転写領域
には翻訳のためのリボゾーム結合部位を含むであろう。前記構築体類によって発
現された成熟転写体類のコード部分は、翻訳されることになるポリぺプチドのは
じめに翻訳開始コドンを含み末尾に適切に位置する終始コドンを含むであろう。
発現ベクター類に通常使用される真核生物プロモータ類の例として、CMV超早
期(immediate early)プロモータ、HSVチミジンキナーゼプ ロモータ、早期および後期SV40プロモータ類、ルイスザルコーマウイルス(
RSV)のプロモータのようなレトロウイルスLTR類のプロモータ類、および
マウスメタロチオネイン−Iプロモータのようなメタロチオネインプロモータが
あげられるが、それらに限定されない。前記ポリヌクレオチド類を含むベクター
類は、感染、形質導入、トランスフェクション、トランスベクションおよび形質
転換を含む周知の技術をいくつでも用いることで、宿主細胞中に導入できる。前
記ポリヌクレオチド類は、宿主に単独でまたはたとえば選択可能なマーカーをコ
ードする付加的ポリヌクレオチド類とともに宿主に導入することもできる。種々
の発現構築体類の宿主細胞類は周知で、当業者であれば通常、本発明のこの面に
従ってウサギ肝CE酵素を発現する宿主細胞を選択できる。本発明で有用な哺乳
類発現系の例として、C127、3T3、CHO,HeLa、ヒト腎293およ びBHK細胞系統、およびサル腎線維芽細胞類のCos-7系統があげられるが、
これらに限定されない。これとは別に、本文にも例示してあるが、ウサギCEは
、バキュロウイルスベクターによってスポドプテラ・フルギペルダ(Spodo
ptera frugiperda) Sf21細胞類中で発現できる(実施例3
参照)。
【0021】 本発明は、また、本発明のポリヌクレオチドを含む組成物類に関し、それらは
、前記プロドラッグとCE酵素の併用療法によって腫瘍細胞をCPT−11細胞
毒性に感作させる際に有用であると見出された。本発明は、したがって、腫瘍細
胞をプロドラッグ腫瘍剤に感作させる方法類を提供する。本文では、“感作させ
ること”とは、本発明の組成物類および方法類を使用して前記プロドラッグの有
効量を低減できることを意味している。有意な毒性の出現または用量を制約する
毒性の出現によって前記プロドラッグ治療活性が限定される場合、前記プロドラ
ッグに対する腫瘍細胞の感作は、特に有用である。
【0022】 一つの態様において、選択された腫瘍細胞は、本発明のcDNAによってトラ
ンスフェクションされ、CMVプロモータのような周知のプロモータ、より好適
には前記選択された腫瘍細胞類を特異的に標的にする疾病特異的応答性プロモー
タによって発現される。腫瘍細胞中における標的遺伝子発現は、癌胎児性抗原、
HER−2/neu、Myc−Max応答要素類、およびDF3/MUCのよう
な疾病特異的応答性プロモータ類を用いて達成されてきた。したがって、cDN
Aウサギ肝CEおよびこれらのような疾病特異的応答性プロモータを含む組成物
を用いて、前記の疾病特異的応答性プロモータを含有する腫瘍細胞類をトランス
フェクションしかつ感作することができる。したがって、本発明は、疾病特異的
応答性プロモータに関連する腫瘍特異的発現を利用する手段を提供し、腫瘍類の
選択的療法を提供する。
【0023】 myc発現はさまざまなヒト腫瘍中で脱制御されているので、mycは、化学
療法にとって魅力的な標的である。公知の薬物でc−mycまたはN−mycと
特異的に相互作用するものはない。しかし、mycオンコジーンを過剰発現する
細胞は、myc特異的プロモータの制御下に本発明のポリヌクレオチドを含む本
発明の組成物類によって標的となることができる。したがって、本発明を用いて
c−mycおよびN−mycの腫瘍特異的過剰発現を利用して、化学療法剤によ
る選択的死滅をもたらすことができる。特に、N−mycまたはc−mycのい
ずれかのCACGTG(SEQ ID NO:22)結合配列を含むプロモータの
制御下に遺伝子の転写を、これらのmyc−遺伝子類を過剰発現する細胞中で正
の方向に制御し、化学療法プロドラッグCPT−11を活性化できる前記CEコ
ードポリヌクレオチドの腫瘍細胞特異的発現をもたらす。
【0024】 プロモータの遺伝子発現制御能は、c−myc、SJ−G2およびNCI−H
82細胞(c−mycを過剰発現する)およびRh28細胞(検出可能なレベル
のc−myc蛋白質を有していない)を過剰発現する細胞系統で確認された。こ
れらの実験において、細胞は、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラー
ゼのレポータ遺伝子の発現を制御するODCプロモータを含むプラスミドで一過
性にトランスフェクションさせた。c−mycトランス活性化ドメイン類が点変
異によって不活化された変異ODCプロモータを対照として用いた。変異プロモ
ータ配列に比較して、天然のODCプロモータを含むプラスミドでトランスフェ
クションした後、SJ−G2細胞およびNCI−H82細胞中でそれぞれ4から
5倍のレポータ活性の増加が観察された。Rh28細胞中では、有意なプロモー
タ活性の増加は全く観察されなかった。これらの結果は、ODCプロモータ内部
のコグネイト配列に結合することによるc−myc媒介転写活性化と一致してい
る。さらに、活性化レベルは、c−mycの強制的同時発現がCV−1およびN
IH−3T3細胞のトランスフェクション時に起こる際レポータ構築体によって
見られるレベルと類似していた。
【0025】 第4図に示したcDNA(SEQ ID NO:20)は、公表されたウサギC
E蛋白質配列(Korza,G.およびJ.Ozols、1988。J.Bio l.Chem.263:3486−3495)のアミノ酸残基1−5(SEQ ID NO:6)および518−524(SEQ ID NO:10)から縮重し たオリゴヌクレオチド類を合成することによって単離した。構築したオリゴヌク
レオチド類は、第2図に示した。PCRによって前記ウサギcDNAを増幅する
ため、cDNAをウサギ肝polyA+mRNAから調製し、オリゴヌクレオチ
ドプライマー類組み合わせを含有する複数試料を調製した。PCR技術を用いて
、1組の反応から単一生成物を得たが、これは、DNA配列決定すると、前記の
ウサギCEをコードすることが明らかになった。
【0026】 これは部分cDNAを意味しているので、5¢ および3¢ 両者のRACEを
用いて全コード配列を増幅した。この部分DNA配列から独自のプライマー類を
設計した。これらのオリゴヌクレオチド類をAP1プライマーと併用し、マラソ
ン(Marathon)適応ウサギ肝cDNAから調製した配列類を増幅した。
タッチダウンPCR(Don、R.Hら、1991。Nucleic Acid s Res.19:4008)は、マラソン(Marathon) cDNA増幅
プロトコールによって実施した。 ウサギ肝CEのcDNAの完全な配列(SEQ ID NO:20)およびそれ
に由来するアミノ酸配列(SEQ ID NO:21)を第4図に示した。ウサギ
肝由来polyA+mRNAの[32P]標識cDNAによるノーザン解析によ
って、約1.84kntの唯一の転写物の存在が確認された。他のいかなるmR
NAとも全く交差反応は観察されず、このcDNAが独自のRNA種を示してい
ることと一致していた。
【0027】 さらに、本発明のcDNAによってコードされたポリぺプチドのアミノ酸配列
とウサギCEについて公表されているアミノ酸配列(スイスプロット(Swis
sprot)寄託番号P12337;Korza、G.およびJ.Ozols、
1988。J.Biol.Chem.263:3486−3495)を比較し、
3個のミスマッチが明らかになった。さらに、本発明のcDNAによってコード
されたポリぺプチドは、アミノ酸8個のインサート1個とN末端にアミノ酸18
個のリーダー配列を1つ含み、これは、前記の公表された配列には含まれていな
い。したがって、本発明の別の面は、本発明のポリヌクレオチド類によってコー
ドされる新規ポリぺプチド類に関する。2 ポリぺプチド2 とは、第4図に示した
SEQ ID NO:21のアミノ酸配列、および基本的にこのウサギ肝CEと同
様の生物活性および/または機能を保持する断片類、誘導体類およびアナログ類
を意味する。
【0028】 このウサギcDNAは細菌中で発現された。1.7kbのこのcDNAをpE
T32bに連結し、大腸菌L21に形質転換した(DE3)。T7プロモータに
関して正しい(pETRABFL)または正しくない(pETLFBAR) )方向のいずれかでウサギcDNAを含む2個のクローンを単離した。IPTG
により液体培養で発現誘発後に、細胞抽出物をSDS−PAGEおよびウェスタ
ンブロッティングによって解析した。75kDaの蛋白質が、pETRABFL
においてチオレドキシン蛋白質とウサギCEの融合によって生じた。ラット肝ミ
クロゾームCE抗体および西洋わさびパーオキシダーゼ(HRP)結合蛋白質S
によるウェスタン解析によって、pETRABFLによってコードされた前記の
75kDa蛋白質がウサギCEを含有することを確認した。他のCE類はERに
局在化しかつこのウサギ酵素の一次配列が類似の特徴的リーダーおよびアンカー
配列類を含有している(Satoh、T.およびM.Hosokawa、199
5。Toxicol.Lett.82/83:439−445)ので、CEのE
Rへのコンパートメント化が酵素活性に必要であるようである。実際、ヒト肺胞
マクロファージCEの大腸菌中における過剰発現はCE活性をもたらすことがで
きなかったが、哺乳類細胞を同cDNAでトランスフェクションすると、全細胞
抽出物によってo−NPAの有意な変換をもたらした。さらに、前記のウサギC
Eは、ヒト肺胞マクロファージCEと85%を超える相同性を示したが、後者の
酵素は、哺乳類細胞においてCPT−11をSN−38に変換できなかった。こ
のことは、CE類が広範囲の基質特異性を有することができる一方、異なる種の
類似酵素類が特定基質を利用できる効率が顕著に異なることを示唆している。
【0029】 前記cDNAがCEをコードすることを確認するため、前記の1.7kbのE
coRI断片をpCIneoに連結しpCIRABFLを生成させ、このプラス
ミドを一過性にCos7細胞にトランスフェクションさせた。pCIneoは、
SV40複製開始点を有しており、ラージT抗原を発現するCos7のような細
胞におけるプラスミド増幅を可能とする。CE発現細胞のCPT−11のIC 値は、親細胞系統のそれに比較して約8−80倍、さらに最も典型的には約5
6倍も小さかった。このことは、本酵素がCPT−11に対して哺乳類細胞を感
作したことを示唆している(第5図参照)。
【0030】 ウサギCEは、バキュロウイルスベクターによってスポドプテラ・フルギペル
ダ(Spodoptera frugiperda) S21細胞中でも発現され
た。これらの細胞中で分泌されたCEは限外ろ過によって約1mlまで濃縮し、
それは酵素活性約30,000マイクロモル/mlを有していた。
【0031】 本発明のもうひとつの面は、カルボキシルエステラーゼをコードするポリヌクレ
オチドおよび選択された腫瘍細胞類の疾病特異的応答性プロモータを含む本発明
の組成物類の前記腫瘍細胞類を化学療法プロドラッグに感作させる能力に関する
。ヒト腫瘍細胞をCPT−11に感作させる能力を、本発明のウサギCEとCP
T−11を併用した場合について調べた。最初に、本発明のCE活性によって生
成される代謝物がインビトロで生物活性であることを確認する実験を行った。次
に、Rh30細胞を各反応の生成物に1時間暴露させ、増殖阻害百分率を求めた
。予測どおり、加熱によって不活化した1から5単位のCEに暴露したRh30
細胞は細胞増殖を全く阻害しなかった。対照的に、活性CE 1から5単位とイ ンキュベートしたCPT−11の反応生成物は、細胞増殖を30−60%阻害し
た。これらのデータは、これらの細胞中におけるCEによるCPT−11のSN
−38への変換と一致している。
【0032】 トランスフェクションされた細胞の抽出物のCE活性を次に調べた。本発明の
ウサギ肝CE cDNAを安定的に形質移入されたかまたはpIRESベクター だけを移入したRh30横紋筋肉腫細胞におけるCPT−11のIC50値も求
めた。CE cDNAを移入した細胞は、対照細胞に比べて約60倍高いCE活 性を有していた。Rh30pIRES細胞(CE cDNAなし)のCPT−1 1のIC50値は、4.33´ 10−6Mであり、一方、Rh30pIRES rabbit 細胞のIC50値は5.76´ 10−7であった。したがって、 移入細胞は、CPT−11に対して8倍を超えるほど感受性が高かった。これら
のデータは、本発明のCEを移入した細胞におけるCPT−11のSN−38へ
の変換上昇と一致している。
【0033】 また、本発明のCEが不活性代謝物APCをSN−38に変換可能なことを明
らかにする実験を行った。これらの化合物類の構造は、第8図に示した。第6図
は、本発明のウサギCEによって濃度依存的にAPCがSN−38に変換される
インビトロ実験結果を示している。これらのデータから、プロドラッグCPT−
11を活性化する本発明のCEの独自の能力ならびにその代謝物類のひとつを活
性化する独自の能力が確認される。さらに、本発明のCEを発現するU−373
細胞中における実験では、これらの細胞類がAPCの増殖阻害効果に感作された
ことを示している(第7図参照)。
【0034】 腫瘍細胞類をCPT−11に感作する本発明のCEのインビボにおける有効性
は、また、異なる2種の腫瘍細胞類で明らかにされた。マウスモデルで実施した
実験では、本発明のCEがCPT−11の増殖阻害効果に細胞類を感作できるこ
とを明らかにする。 第1群の実験では、免疫不良マウスで異種移植片として増殖させたRh30横
紋筋肉腫ヒト腫瘍細胞類を感作するウサギCEの能力を明らかにした。この前臨
床モデルでは、トランスフェクションされたウサギCE cDNAの発現は、少 なくとも12週間維持された。CPT−11による治療が開始される前に腫瘍類
が進行していた(容積1cmよりも大きい)ことが重要である。第9B図に示
したように、CE発現マウスをCPT−11 2.5mg/kg/日で2週間に わたり各週5日間(1治療サイクル)処置し、21日おきに総計3サイクル(8
週にわたり)繰り返したマウスでは、腫瘍類は完全に退縮し12週間の本研究時
においては再増殖しなかった。対照的に、CEを発現しない腫瘍類はCPT−1
1処置により一過性には退縮したが、CPT−11処置停止1週間以内に再増殖
が起こった(第9図参照)。 第2の実験群では、ウサギ肝CE発現ヒトU373神経膠芽腫異種移植片は、
対照プラスミド移入異種移植片(ウサギCEなし)よりもCPT−11により感
受性であることを示した。ウサギCEをコードするプラスミドを移入した細胞類
から樹立した異種移植片は完全に退縮し、対照プラスミド移入細胞類から樹立し
た異種移植片は、安定疾病を示したが有意な退縮は示さなかった(第10図参照
)。
【0035】 したがって、これらのデータは、本発明のCEをコードするポリヌクレオチド
とCPT−11を併用し、腫瘍細胞増殖の阻害をもたらすかまたはCPT−11
に対して前記腫瘍細胞類を感作できることを裏付けている。これらのデータは、
また、腫瘍患者においてCPT−11の用量低減を可能とし、したがって、用量
限定性の毒性の可能性を低減するための本発明の用途を裏付けている。さらに、
これらの実験によって明らかにされたように、比較的無毒であるAPCも、また
、本発明のCEと併用して化学療法プロドラッグとして使用し、毒性副作用を最
小としつつ腫瘍特異的細胞死をもたらすことができる。
【0036】 したがって、本発明は、副作用を低減し癌を治療する方法にも関する。一つの
態様では、遺伝子トランスファー操作を用いて、本発明のポリヌクレオチドをウ
イルスベクターに挿入する。好適なウイルスベクター類として、レトロウイルス
、アデノウイルス、ヘルペスウイルス、ワクチニアウイルスおよびアデノ関連ウ
イルスベクター類があげられるが、これらに限定されない。この態様では、好適
には、前記ベクターがさらに疾病特異的応答性プロモータを含む。前記ベクター
類は、その後、CPT−11のようなプロドラッグの全身投与とともに腫瘍除去
部位に注入し、腫瘍の外科摘出後に存在する残留腫瘍細胞類による腫瘍類の再発
を阻害することができる。
【0037】 これとは別に、このウイルスベクターを用いて自家移植時に夾雑する腫瘍細胞
類を骨髄から浄化することができる。アデノウイルスのような本発明のCEを発
現するウイルスベクターによる骨髄浄化は、エクスビボで実施される。夾雑腫瘍
細胞類の除去効率は、浄化した試料のPCRアッセイによって求める。データか
ら、本発明の方法が、実施例6に記載したような神経芽細胞腫細胞を骨髄から浄
化する動物モデルに適用可能であることが示唆される。前記ベクター類調製方法
、投与方法、およびプロドラッグの適切な用量は、当業者に周知である。化学的
およびリポゾーム媒介遺伝子トランスファーのような遺伝子運搬、受容体媒介D
NA取り込み、および遺伝子銃またはエレクトロポレーションによる物理的トラ
ンスファーの他の方法も同様に使用することができる。
【0038】 選択した腫瘍細胞類にCE類を運搬する別法では、抗体特異的酵素プロドラッ
グ療法(ADEPT)を必要とする。この方法では、腫瘍特異的マーカー抗体と
ウサギ肝CEのような分子を連結することによって、ヒト腫瘍を標的とする。前
記複合体の細胞取り込みおよび活性CEの放出が生じ、前記マーカーの抗原を発
現する細胞に特異的なCPT−11活性化が起こる。細胞表面で発現されたマー
カー分子類の並びかたは各腫瘍種類に応じて異なるので、各標的腫瘍種類に特異
的なマーカー類を適切に選択することができる。同様に、アビジン−ビオチン結
合分子類を標的腫瘍細胞類に使用すること(Moro、M.ら、1997。Ca
ncer Res.57:1922−1928)も細胞表面にCE類を局在化さ せるために適用でき、その後、標的細胞で薬物活性化が起こる。
【0039】 ウサギ肝CEは、小胞体に局在化している。前記6個の末端アミノ酸類を除去
することで、細胞外環境へ活性蛋白質が分泌されることになる。分泌された蛋白
質および小胞体限局蛋白質の両者ともCPT−11をSN−38に変換できる。
したがって、前記分泌された酵素を発現する細胞に由来する第3者的効果の可能
性が存在する。同様の第3者的効果は他の酵素/プロドラッグ組合わせについて
も明らかにされており、たとえば、HSVtkおよびガンシクロビアがそうであ
り(Dilber、M.S.ら、1997。Cancer Res.57:15 23−1528)、その結果、細胞毒性が高まる。CPT−11の細胞外活性化
の結果、外因性に産生されたSN−38による非感染隣接腫瘍細胞類の死滅とい
う点でMRDのより効率的な根絶が生じることがある。CTP−11と分泌CE
との組合わせによる遺伝子療法プロトコールは、したがって、残留腫瘍細胞の消
滅により適しているかもしれない。したがって、本態様では、ポリぺプチドをコ
ードするポリヌクレオチドの断片を使用することが好適で、それは分泌される。
たとえば、ウサギ肝について、第4図に示した前記6個の末端アミノ酸類を含ま
ない蛋白質をコードするcDNAまたは第4図のアミノ酸1−543(SEQ ID NO:26)から構成されるウサギ肝CE酵素をコードするcDNAが好 適であろう。さらに、最近の報告によると、細胞外細胞表面に薬物活性化酵素が
つなぎとめられる結果、適切なプロドラッグと併用すると、ヒト腫瘍異種移植片
中に抗腫瘍活性がもたらされる(Marais、R.ら、1997.Natur
e Biotech.15:1373−1377)。前記蛋白質は血しょう中を 自由に循環しないので、つなぎとめられた酵素は局所的第3者効果をもたらす。
本発明のCEを細胞表面に結合すると、CPT−11のSN−38への細胞外活
性化が局部的に起こり、局所細胞死を高めるはずである。骨髄からの夾雑腫瘍細
胞類の浄化は細胞内酵素によって達成され、一方、MRDの根絶は、CPT−1
1を細胞外の場所で活性化する酵素によってよりよく達成される。
【0040】 本発明のCE類は、CPT−11中でエステル結合として存在するCOOC結
合を切断し、SN−38を生成する(第8図参照)。本酵素はまたこのような結
合を含む他の化合物類の活性化も触媒できるので、本発明は、また、この部分お
よび関連部分を含む化合物類のスクリーニングのためのアッセイ類を提供する。
一つの態様において、本発明のアッセイは、たとえば、酵母、バキュロウイルス
、またはヒト腫瘍細胞系統を用いて細胞系で実施する。この態様において、CE
によって活性化される化合物類は、本発明のCEを発現するかまたは欠失してい
る細胞を用いて、増殖阻害またはクロノジェン細胞生存アッセイによって抗腫瘍
活性を同定し評価されるであろう。これとは別に、本酵素を発現する宿主細胞か
ら単離された本発明のCEを用いて、細胞非含有アッセイ類でスクリーニングで
きる。この態様において、候補化合物のCOOCエステル結合を切断する本酵素
の能力は、本発明のCE含有標準酵素アッセイ緩衝系で直接測定できる。公知濃
度の候補化合物類を、pH7.4のHEPESのような生物学的緩衝液および前
記酵素を含むアッセイ試験管に添加し、選択した時間中37° Cでインキュベー トできる。その後、本反応を、メタノール添加によって停止する。アッセイ試験
管をその後遠心分離し、その上清について、切断化合物断片の存在を分析する。
上清の分析は、分光蛍光分析、高速液体クロマトグラフィまたはマス分光分析を
含む周知の技術をいくつでも用いて実施できるが、これらに限定されない。これ
らのスクリーニングアッセイ類で潜在的抗腫瘍プロドラッグ類として同定された
化合物類は、それらの抗腫瘍活性を最適化するための化学的修飾を必要とするこ
とがある。 下記の非限定性実施例は、請求の範囲に記載の発明を例示するために示した。
【0041】
【実施例】
実施例1:CE類の同定 CPT−11を活性型SN−38に変換するために適したCE酵素は、種々の
試料を試験することによって、同定した。このスクリーニングでは、迅速蛍光ア
ッセイを用い、一群の血清、細胞抽出物および市販のCE類に由来する酵素類が
含まれる。これらの酵素類のあるものは、CPT−11代謝において活性を示す
。 部分精製CE類は商業的に入手できたので、これらのうちのいくつかについて
も同様にCPT−11代謝能力を試験した。ウサギおよびブタ両者の肝CE類は
、CPT−11を効率的に代謝した。前記の市販ブタCEは、数種の蛋白質類を
含有していた。しかし、主なバンド類は分子量で非常に類似しており、SDS−
PAGEを用いても分離しなかった。対照的に、前記ウサギ調製物は、1個の主
要バンドと1個のマイナーバンドのみから構成されていた。したがって、ウサギ
蛋白質類を以後の研究に選んだ。 前記のウサギ蛋白質類を自動N末端アミノ酸配列決定に供した。両者のバンド
類ともに、前記ぺプチド類がN末端をブロックされていないことを示す蛋白質配
列決定をもたらした。誘導アミノ酸配列類を、FastaおよびBLAST比較
プログラムを用いて、コンピュータサーチによって解析した。バンド1(約60
kDa)は、GenBankおよびスイスプロット(Swissprot)デー
タベースに存在するウサギCEを含むいくつかのCE配列類に有意な相同性を示
した(第1図)。しかし、ウサギCE蛋白質をコードする核酸配列は開示されて
いない。さらに、本発明のcDNAによってコードされるポリぺプチドのアミノ
酸配列をウサギCEの公表されたアミノ酸配列と比較すると、3個のミスマッチ
が示された。さらに、本発明のcDNAによってコードされたポリぺプチドは、
アミノ酸8個のインサートおよびN末端にアミノ酸18個のリーダー配列を有し
ており、それは、公表された前記配列には含まれていない。したがって、ウサギ
肝カルボキシルエステラーゼ蛋白質の公表されたアミノ酸配列(スイスプロット
(Swissprot)寄託番号P12337;Korza,GおよびJ.Oz ols、1988。J.Biol.Chem.263:3486−3495 ) は、本発明のcDNAによってコードされるポリぺプチドとは異なっている。
【0042】 実施例2:ウサギカルボキシルエステラーゼのクローニング 本発明のウサギCE蛋白質をコードするcDNAは、ウサギ肝CEの公表され
た蛋白質配列のアミノ酸残基1−5(SEQ ID NO:6)および518−5
24(SEQ ID NO:10)から縮重オリゴヌクレオチド類を合成すること
によって、単離された(Korza、GおよびJ.Ozols、1988。J.
Biol.Chem.263:3486−3495 )。前記構築されたオリゴ ヌクレオチド類は、第2図に示してある。PCRによって前記ウサギcDNAを
増幅するため、cDNAをウサギ肝polyA+mRNAから調製し、オリゴヌ
クレオチドプライマー類の組み合わせを含む複数の試料を調製した。95° C で5分間加熱後、アニーリング温度でポリメラーゼを添加し、反応を下記のよう
にサイクルさせた:94° Cで45秒間、アニーリング温度(46−58° C
)で1分間、72° Cで90秒間とした。通常、増幅25サイクルを実施した 。1組の反応でただ1個の生成物が得られ、それは、DNA配列決定すると、新
規ウサギCEをコードすることが示された。 これは部分cDNAを示していたので、5¢ および3¢ 両者のRACEを用
いて全コード配列を増幅した。この部分DNA配列からそれぞれ5¢ および3 ¢ 末端に対応する27および28個のヌクレオチド類の独自のプライマー類を 設計した。これらのオリゴヌクレオチド類をAP1プライマーと併用し、マラソ
ン(Marathon)適応ウサギ肝cDNAから調製した配列類を増幅した。
タッチダウンPCR(Don、R.Hら、1991。Nucleic Acid s Res.19:4008)は、マラソン(Marathon) cDNA増幅
プロトコールにしたがって実施した。約420bpの唯一の生成物が3¢ プラ イマーによって生成したが、5¢ オリゴヌクレオチド類では全く生成物が観察 されなかった。標準PCR増幅プロトコール類(94° Cで45秒間、60°
Cで1分間、72° Cで1分間を30サイクル)の結果、約280bpのとこ ろにマイナーバンドを有するわずかのDNA生成物が生じた。前記反応の特異性
を高めようと試みたが、成功しなかった。したがって、DNAは、アガロースゲ
ルから単離し、その後pCRII−TOPOに連結した。DNA配列決定によっ
て、両方の試料中でオリゴヌクレオチドRACEプライマー類の存在が示唆され
た。前記の3¢ RACE生成物はこの特異的プライマーから407bpだけ伸 長しており、公表されたデータと一致する末端アミノ酸類をコードしていた(K
orza、GおよびJ.Ozols、1988。J.Biol.Chem.26
3:3486−3495 )。さらに、polyAテイルが存在したが、もとも とのマラソン(Marathon) cDNA合成プライマー配列類は同定でき なかった。前記の5¢ RACE生成物はこのCE特異的プライマーから247 bpだけ伸長しており、公表されたアミノ酸配列をコードしていた。メチオニン
開始コドンから始まる18残基の付加的疎水性リーダー配列が同定され、他の種
由来のCE類のN末端に存在するアミノ酸類と一致していた(第3図)。5¢ および3¢ の両者の非翻訳配列類を含む全転写物は、RACE実験によって求 められたように、1886nt長であり、ノーザン解析で示唆されたものと極め
て類似していた。これによって、これらの実験で記載されたcDNAが全長であ
ることが確認された。
【0043】 全長ウサギCE cDNAを増幅するため、オリゴヌクレオチドプライマー類 RabNTERM(GGCAggaattCTGCCATGTGGCTCTG;
SEQ ID NO:23)および RabCTERM (CGGGAATTCAC
ATTCACAGCTCAATGT;SEQ ID NO:24)を設計し、AT
G開始コドン上流9bpおよびTGA終始コドンの下流8bpにEcoRI部位
類を作成した。これらを用いて、Pfuポリメラーゼを用いるウサギ肝cDNA
増幅を行った。増幅の最初の5サイクルは、下記のように行った:94° Cで4
5秒、50° Cで1分、72° Cで90秒とし、その後の25サイクルについ
て、アニーリング温度は56° Cまで上昇させた。この結果、cDNA末端に EcoRI制限部位類が形成できた。約1700bpの生成物が得られ、Eco
RI制限pUC9に連結し、全DNAを配列決定した。
【0044】 実施例3:スポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugi perda) Sf21におけるウサギCEの発現 細胞(4´ 10)を、インテグラ(Integra) CL1000フラス
コ(Integra Biosciences,Ijamsville、MD)の
下部チェンバーに入れ、インセクトエスプレス(Insect Xpress)
媒体(BioWhittaker、Walkersville、MD)45ml
中においた。前記細胞の適切な増殖を確保するため、フラスコの上部チェンバー
に完全グレース(Grace)媒地を添加した。27° Cで2日間インキュベ ート後、バキュロウイルスを下部チェンバーの細胞に添加し、感染回数20回と
した。下部チェンバー中の媒地は、24時間ごとにカルボキシルエステラーゼ(
CE)活性をアッセイし、通常、120時間後に採取した。分泌されたCEは、
限外ろ過によって濃縮し試料約1mlを得たが、これは、酵素活性約30,00
0マイクロモル/mlを含んでいた。
【0045】 実施例4:ウサギCEのインビトロ生物活性 ウサギ肝CEのインビトロ活性を腫瘍細胞系統で調べた。CPT−11の増殖
阻害は、活性ウサギCEを有する細胞と有していない細胞中で比較した。使用し
た細胞は、リン酸緩衝生理食塩水容量200マイクロリットル中で20マイクロ
グラムのIRESプラスミドDNAまたはCE cDNAを含むプラスミドでエ レクトロポレーションしておいたRh30細胞(10)であった。エレクトロ
ポレーションの最適条件は、180Vおよび960マイクロFを用いて達成され
た。細胞を75cmのフラスコ中の新鮮媒地中に入れ、トランスフェクション
48時間後に500マイクログラムのG418/mlを添加し、neo遺伝子お
よびCEを発現する細胞を選択した。細胞は最低でも10日間増殖させ、増殖阻
害実験に使用した。
【0046】 最初のアッセイでは、CPT−11をウサギ肝CEでプレインキュベートし、
細胞を薬物に暴露する前にSN−38を産生させた。具体的には、CE0.5か
ら5単位を1マイクロモルのCPT−11とDMEM媒地中で37° Cで2日 間インキュベートした。各反応混合物をその後ろ過滅菌し、Rh30細胞を薬物
に1時間暴露させた。その間、媒地は、薬物非含有血清含有媒地と交換した。全
く酵素を添加しない薬物またはCPT−11とインキュベートする前に沸騰を5
分間行い不活化した酵素を、陰性対照として用いた。細胞を3細胞倍加時間にわ
たり増殖させ、細胞数を求めた。 第2の増殖阻害アッセイでは、pIRES親プラスミドDNAまたはウサギC
E cDNAを含むプラスミドによってトランスフェクションしたRh30細胞 を異なる濃度のCPT−11に暴露した。2時間にわたり安定にトランスフェク
ションされた細胞系統のそれぞれの組織培養媒地に薬物を添加し、その後、前記
媒地を薬物非含有媒地に交換した。その後、細胞を前と同じく3細胞倍加時間だ
け増殖させた。結果は、対照細胞の50%に細胞増殖を低下させるために要する
薬物濃度、すなわちIC50値として示した。
【0047】 o−ニトロフェニル酢酸のo−ニトロフェノールへの転換によって求めたとこ
ろ、結果は、トランスフェクション細胞の抽出物が対照の60倍を超える活性を
有していることを示した。さらに、ウサギCEによってトランスフェクションさ
れたRh30pIRES細胞は、IC50値の低下によって示されるように、対
照よりもCPT−11に8倍を超えてより感受性であった。したがって、ウサギ
CEに安定的にトランスフェクションされたRh30細胞は、ウサギCEのcD
NAを含まない細胞よりもCPTによる増殖阻害により感受性であった。
【0048】 実施例5:ウサギCEは新規プロドラッグAPCを活性化する CPT−11を効率的に活性化合物SN−38に変換することに加えて、不活
性最終代謝生成物APCをSN−38に変換するウサギ肝CEの能力を明らかに
する実験を同様に行った。第6図は、インビトロ反応においてウサギ肝CE50
単位によるAPCのSN−38への変換動態を示している。第7図は、ウサギ肝
CEは発現するがこのウサギ酵素と85%相同であるヒト肺胞マクロファージカ
ルボキシルエステラーゼは発現しないU−373グリオーマ細胞がAPCの増殖
阻害効果に感受性であることを示している。したがって、上記に述べたようにA
PCとウサギ肝CEによる選択された腫瘍細胞の感作の組合わせを用いることに
よって、化学療法剤投与と関連する毒性副作用を最小としつつ腫瘍特異的細胞死
をもたらすことができる。
【0049】 実施例6:MRDのためのインビボモデルにおけるウサギCEの使用 MRDのための異種移植片モデルを開発し、MRD防止におけるウサギCEと
プロドラッグ併用の有効性を明らかにした。このモデルにおいては、ヒトNB−
1691異種移植片を有する免疫不良マウスすなわちSCIDマウスに対してC
PT−11を1日10mg/kgで5日間、2週連続処置し、腫瘍の完全退縮を
見た。しかし、4−6週以内に腫瘍が当初異種移植片を埋め込んだ場所と全く同
じ場所で触知できる。これらの腫瘍類は最初の化学療法サイクルに耐え生き延び
た細胞から生じているので、したがって、このモデルは原発腫瘍の外科的摘出後
に患者に観察される結果とその後の同一部位における再増殖を模倣している。
【0050】 ヒトRn30とRh30pIRESrabbit異種移植片を有するマウスの
応答を比較するため、このモデルで実験を実施した。Rh30横紋筋肉腫異種移
植片は、ウサギ肝CEcDNAを有するRh30pIRESneoプラスミドで
トランスフェクションし、G418で選択した。CE発現は、CE基質o−NP
Aを用いて生化学アッセイによって確認し、少なくとも12週間維持した。2つ
の群のSCIDマウスに対して、その後、形質移入Rh30pIRESrabb it 細胞を側面に皮下注入した。第3群の対照マウスには、前記プラスミドを移
入していないRh30細胞を同様に注入した。腫瘍が約1cmの大きさに達し
た時、2.5mg/kg/dayのCPT−11を移入Rh30pIRESra bbit 細胞を注入されたマウス群と第3群の対照マウスに対して、各週5日2
週間(1治療サイクル)にわたり投与し、21日おきに計3サイクル(8週にわ
たり)繰り返した。 ウサギCE発現腫瘍類は12週におよぶ本研究の間完全に退縮し再増殖しなか
った(第9B図)。対照的に、CE非発現腫瘍類は一過性には退縮したが、CP
T−11処置を停止後1週以内に再増殖した(第9C図)。 pIRESneoプラスミドまたはウサギ肝CEのcDNA含有pIRESn
eoを移入しG418で選択されたU373神経膠芽腫細胞を用いて、同様の研
究を行った。腫瘍細胞中におけるCEの発現は、基質o−NPAを用いて生化学
アッセイによって確認した。細胞を、SCIDマウスの側面に皮下注射した。腫
瘍が大きさ約1cmに達したとき、CPT−11を7.5mg/kg/日で上
記のように各週毎日5日間、3サイクル投与した。 ウサギCEを発現したU373細胞は、また、CPT−11により感受性であ
った。ウサギCEコードプラスミドを移入した細胞から樹立した異種移植片は完
全に退縮する一方、対照プラスミドを移入した細胞由来の異種移植片は、有意な
退縮を全くみせず安定な疾病を示した。2種の異なるヒト腫瘍細胞種類における
これらのデータから、CPT−11に対して腫瘍細胞を感作させるウサギCEの
インビボ効率が明らかとなる。
【0051】 腫瘍が存在していない4−6週時において本モデルに異種移植片を埋め込みそ
の後低用量のCPT−11で処置した前記モデルのインプラント部位に皮下投与
した腫瘍特異的プロモータの制御下にウサギCEを発現するアデノウイルスは、
また、MRD防止において前記ウイルスの有効性を実証する。典型的には、腫瘍
退縮は、CPT−11治療開始後3週で完了するので、アデノウイルス/薬物投
与は第4週に開始する。最初の実験では、アデノウイルスは、月曜日、水曜日、
金曜日に投与し、CPT−11は、2サイクルにわたり火曜日から土曜日までず
っと毎日投与する。これによって、最も寛容かつ有効なアデノウイルスおよびC
PT−11投与計画および用量が決定でき、疾病再発が最も長く遅延するように
なる。これらの結果を用いて、ヒトMRD治療の適切な用量が決定される。動物
実験の開始時点は、本発明のウサギCEを含有するアデノウイルスの10から
10pfuの注入となる。
【0052】 実施例7:骨髄の腫瘍細胞浄化におけるウサギCE/プロドラッグの用途 免疫不良マウスへのヒト神経膠芽腫NB−1691腫瘍細胞の静注の結果、広
範囲の転移疾病が発生し、死亡が第36−38日に起こる。シナプトファイシン
およびチロシンハイドロキシラーゼの両者の発現は神経膠芽腫細胞に特異的であ
るので、これらのmRNAのRT/PCT解析で混合細胞集団に存在する腫瘍細
胞を検出できる。循環している神経膠芽腫細胞は、NB−1691注入後36日
にこれらの動物の末梢血中で検出できる。その後、これら同一動物の骨髄が神経
膠芽腫細胞を含むかどうかを、調べて決定するであろう。ウサギ肝CE/CPT
−11併用による骨髄のエクスビボ浄化の成功は、浄化された骨髄を致死的照射
マウスに移植することで実証される。もしマウスが長期にわたり無病であれば、
このことは、このアデノウイルスCE/プロドラッグ浄化療法がドナー骨髄の神
経膠芽腫細胞を殺細胞することを示唆する。
【0053】 実施例8:ヒトにおける最小残留疾病(MRD)の治療 本酵素によって活性化したCPT−11または他のプロドラッグ併用ウサギC
Eを用いて、自家骨髄移植前に残留腫瘍細胞を骨髄から除去し、外科手術または
化学療法によって肥大化した腫瘍を除去した後の局所MRD再発を防止する。原
発腫瘍の摘出後(debulking)、腫瘍応答性プロモータの制御下にウサ
ギ肝CEを含むアデノウイルスを、外科手術時点、または定位注入によってまた
は徐放性高分子または他の物質の埋め込みによってのいずれかで腫瘍辺縁に適用
する。外科手術時における単回適用の抗腫瘍効果を、アデノウイルス構築体類の
繰り返しまたは徐放性使用によってもたらされる効果と比較する。アデノウイル
スの腫瘍内注入で有効であると報告されているのと同様、アデノウイルス用量は
、10から1010プラーク形成単位の範囲である(Heise、C.ら、1
977。Nature Med.3:639−645)。CPT−11は、明く る1週間から4週間にわたり投与し、腫瘍選択的細胞死を惹起する。CPT−1
1の用量および投与計画は、CPT−11それ自体の臨床治験およびヒト移植片
モデル系において最大腫瘍効果をもたらすように決定される。
【0054】 実施例9:ヒトにおける腫瘍細胞の骨髄からの浄化 自家移植に使用した骨髄に夾雑する腫瘍細胞類は、腫瘍再燃に寄与する。した
がって、適切なプロドラッグとウサギ肝CEを併用し、移植に用いる骨髄試料中
の腫瘍細胞を根絶する。この手法では、再構成に必要な造血細胞の生存を維持す
る。骨髄試料は、腫瘍細胞の100%に感染するであろう感染回数(moi)を
用いてウサギ肝CE cDNAを含むアデノウイルスをエクスビボで形質導入す る。典型的には、0.5から10の感染回数が腫瘍細胞には適しており、一方、
主要な造血始原細胞類を形質導入するためには100から1,000の感染回数
が必要である。アデノウイルス形質導入2日後において、通常は50nMから1
00マイクロモルの範囲であるCPT−11濃度に細胞を2時間暴露させる。薬
物暴露2日後に、骨髄試料を採取し患者への再注入および無腫瘍骨髄の再構築の
ために保存する。
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】 ウサギ肝カルボキシルエステラーゼ(CE)酵素(SEQ ID NO:1)の
N末端アミノ酸配列と、ウサギ(P12337;SEQ ID NO:2)、ヒト
(P23141;SEQ ID NO:3)、ラット(P10959;SEQ I D NO:4)およびマウス(P23953;SEQ ID NO:5)を含む他 の公知のCE類 との相同性を示したものである。垂直線は、配列決定CEとス イスプロット(Swissprot)データベース中のウサギ蛋白質との相同性
を示している。ウサギ配列中の下線を付した残基類は、あらゆるCE蛋白質類中
で保存されるアミノ酸類を示している。
【図2】 縮退PCR用に使用したオリゴヌクレオチド類の設計を示している。ウサギC
Eの残基1から5までのアミノ酸配列(SEQ ID NO:6)およびそのコー
ド配列を、対応するオリゴヌクレオチドRab51(SEQ ID NO:8)お
よびRab52(SEQ ID NO:9)とともに示している。また、ウサギC
Eの残基518から524までのアミノ酸配列(SEQ ID NO:10)、コ
ード配列(SEQ ID NO:11)および逆相補体(リバースコンプレメント
reverse complement)(SEQ ID NO:12)を、オリ ゴヌクレオチドRab31(SEQ ID NO:13)およびRab32(SE
Q ID NO:14)とともに示している。
【図3】 ウサギ肝CE(SEQ ID NO:15)およびラット(P10959;SE
Q ID NO:16)、ヒト(P23141;SEQ ID NO:17)、ラッ
ト(P16303;SEQ ID NO:18)およびマウス(P23953;S
EQ ID NO:19)を含む他の公知のCE類のN末端シグナル配列の並びか
たを示している。全CE類に共通する残基類には下線を付し、18残基リーダー
配列はイタリック体で示してある。スイスプロット(Swissprot)寄託
番号は、括弧内に示してある。
【図4】 ウサギ肝CEの完全なコード配列(SEQ ID NO:20)およびそれによ
ってコードされるアミノ酸配列(SEQ ID NO:21)を示している。16
98bpのORFは、62.3kDaの蛋白質をコードする。そのN末端疎水性
リーダー配列はイタリック体としてあり、5¢ および3¢ RACE配列には下
線を付し、その潜在的活性部位セリンは、星印で示してある。アミノ酸208−
223および114−124のカルボキシルエステラーゼB−1およびB−2モ
チーフ類には、二重下線を付してある。
【図5】 X軸上に示した種々の濃度のCPT−11における%細胞生存率を比較してY
軸上に示した線グラフである。対照Cos7細胞(黒四角)は、CE移入Cos
7細胞(黒三角)に比べて、CPT−11に対しておよそ350倍感受性である
【図6】 用量単位0(黒十字)、10(黒六角形)、25(黒三角)、50(黒丸)ま
たは100(黒四角)のウサギ肝CEの活性によって、X軸上にナノモル濃度で
示したAPCのY軸上にナノモル濃度で示したSN−38へのインビトロでの転
換を示した線グラフである。示したデータは、各用量レベルにおける平均応答を
示している。
【図7】 APC暴露U−373グリオーマ細胞の感作をY軸上の%生存率として、X軸
上の10−8から10−5Mの濃度のlog[APC]に対して示し、ウサギ肝C
E(黒四角)およびヒト肺胞マクロファージCE(黒丸)のインサイチュ発現と
比較して示した線グラフである。細胞は、APCに2時間暴露させた。
【図8】 CPT−11、APCおよびSN−38の化学構造を示している。
【図9A】 CPT−11処置に対するRh30およびRh30pIRESrabbit
紋筋肉腫異種移植片を有するマウスの応答を示した線グラフである。各グラフ上
の各線は、各腫瘍の増殖を示している。腫瘍増殖速度は、腫瘍容積として各グラ
フのY軸に示し、週単位時間の関数として(X軸)にプロットした。第9A図は
、CPT−11非処置細胞のウサギCE(Rh30pIRESrabbit)発
現を示している。
【図9B】 CPT−11処置に対するRh30およびRh30pIRESrabbit
紋筋肉腫異種移植片を有するマウスの応答を示した線グラフである。各グラフ上
の各線は、各腫瘍の増殖を示している。腫瘍増殖速度は、腫瘍容積として各グラ
フのY軸に示し、週単位時間の関数として(X軸)にプロットした。第9B図は
、ウサギCE(Rh30pIRESrabbit)を発現するがその後CPT−
11で処置した細胞を示し、完全な腫瘍退縮を示し、12週までには消失したこ
とを示している。
【図9C】 CPT−11処置に対するRh30およびRh30pIRESrabbit
紋筋肉腫異種移植片を有するマウスの応答を示した線グラフである。各グラフ上
の各線は、各腫瘍の増殖を示している。腫瘍増殖速度は、腫瘍容積として各グラ
フのY軸に示し、週単位時間の関数として(X軸)にプロットした。第9C図は
、CPT−11暴露対照細胞(Rh30)を示し、当初は退縮したが再増殖を示
している。
【図10】 ウサギCE発現U373神経膠芽腫異種移植片に対するCPT−11処置の効
果を示した線グラフである。異種移植片を有するマウスをCPT−11(7.5
mg/kgで5日間)で治療サイクルを3回行った。腫瘍増殖速度は、腫瘍容積
としてY軸上に示し、週単位時間(X軸)の関数としてプロットしてある。白丸
は、ウサギCE発現非処置U373異種移植片の腫瘍容積を示している。黒三角
は、CPT−11処置対照異種移植片(ウサギCEなし)の応答を示している。
黒四角は、ウサギCE発現細胞をCPT−11で処置した場合の応答を示してい
る。前記データは、腫瘍退縮がウサギCE発現処置細胞でのみ見られたことを示
している。各点は、各マウス7匹における14個の腫瘍の平均を示している。
【手続補正書】
【提出日】平成12年8月21日(2000.8.21)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正内容】
【特許請求の範囲】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61P 35/00 C12N 1/15 4C084 C12N 1/15 1/19 4C085 1/19 1/21 4C086 1/21 9/18 5/10 C12Q 1/44 9/18 G01N 33/15 Z C12Q 1/44 33/50 Z G01N 33/15 C12N 15/00 ZNAA 33/50 5/00 A (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SZ,UG,ZW),EA(AM ,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM) ,AL,AM,AT,AU,AZ,BA,BB,BG, BR,BY,CA,CH,CN,CU,CZ,DE,D K,EE,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM ,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE, KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LS,L T,LU,LV,MD,MG,MK,MN,MW,MX ,NO,NZ,PL,PT,RO,RU,SD,SE, SG,SI,SK,SL,TJ,TM,TR,TT,U A,UG,US,UZ,VN,YU,ZW (72)発明者 ホックトン,ペーター ジェイ. アメリカ合衆国 テネシー州38103、メン フィス、ハーバー ヴィレッジ ドライブ 122 Fターム(参考) 2G045 AA28 AA40 BB20 CB01 CB02 DA12 DA13 DA14 DA20 DA78 FB02 FB03 4B024 AA01 AA11 BA11 CA01 EA04 GA11 HA01 4B050 CC03 DD11 KK03 KK18 LL01 4B063 QA18 QQ61 QR12 QS36 QX02 4B065 AA90X AA90Y AC14 CA02 CA25 CA28 CA44 4C084 AA13 AA20 MA02 NA05 NA13 NA15 ZB261 ZB262 4C085 AA21 CC01 EE03 4C086 AA01 AA02 CB05 MA01 MA02 MA04 NA05 NA15 ZB26 ZC02

Claims (22)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 化学療法プロドラッグおよびその不活性代謝物を活性薬物に
    代謝することができるカルボキシルエステラーゼをコードする単離ポリヌクレオ
    チド。
  2. 【請求項2】 図4のcDNA(SEQ ID NO:20)からなる請求項
    1記載の単離ポリヌクレオチド。
  3. 【請求項3】 図4のアミノ酸1−543(SEQ ID NO:26)から
    なるカルボキシルエステラーゼをコードするcDNAからなる請求項1記載の単
    離ポリヌクレオチド。
  4. 【請求項4】 請求項1記載のポリヌクレオチドとハイブリダイズ可能な単
    離ポリヌクレオチド。
  5. 【請求項5】 請求項1記載のポリヌクレオチドを含むベクター。
  6. 【請求項6】 請求項5記載のベクターを含む宿主細胞。
  7. 【請求項7】 請求項1記載のポリヌクレオチドによってコードされるポリ
    ぺプチド。
  8. 【請求項8】 請求項1記載のポリヌクレオチドおよび疾病特異的応答性プ
    ロモータを含む組成物。
  9. 【請求項9】 疾病特異的応答性プロモータがmycプロモータである請求
    項8記載の組成物。
  10. 【請求項10】 mycプロモータがODCである請求項9記載の組成物。
  11. 【請求項11】 選択された腫瘍細胞に請求項8記載の組成物をトランスフ
    ェクトさせることを含む、化学療法プロドラッグに対する腫瘍細胞の感作方法。
  12. 【請求項12】 (a)請求項11記載の方法によって腫瘍細胞を感作する
    こと、および (b)前記感作腫瘍細胞を化学療法プロドラッグに接触させ、腫瘍細胞増殖を
    阻害させること、 を含む腫瘍細胞増殖阻害方法。
  13. 【請求項13】 化学療法プロドラッグがCPT−11およびAPCからな
    る群から選択される請求項12記載の方法。
  14. 【請求項14】 (a)腫瘍を患者から外科的に除去すること、 (b)腫瘍摘出部位に請求項8記載の組成物を投与すること、および (c)化学療法プロドラッグを全身投与し、腫瘍再発を阻害すること、 を含む患者における腫瘍再発を阻害する方法。
  15. 【請求項15】 化学療法プロドラッグがCPT−11およびAPCからな
    る群から選択される請求項14記載の方法。
  16. 【請求項16】 (a)骨髄細胞を患者から除去すること、および (b)前記骨髄細胞を請求項8記載の組成物および化学療法プロドラッグに接
    触させること、 を含む腫瘍細胞類の骨髄浄化方法。
  17. 【請求項17】 患者に対して請求項8記載の組成物およびAPCを投与す
    ることを含む患者における腫瘍増殖を阻害する方法。
  18. 【請求項18】 (a)培養細胞を請求項1記載のポリヌクレオチドでトラ
    ンスフェクトすること、 (b)前記細胞類を候補薬物と接触させること、および (c)前記候補薬物の存在下における前記細胞の増殖または生存を定量するこ
    と、 を含むカルボキシルエステラーゼ酵素によって活性化される薬物の同定のための
    薬物スクリーニングアッセイ。
  19. 【請求項19】 (a)COOCエステル結合を含有する公知濃度の試験化
    合物を生物学的緩衝液および請求項7記載のポリぺプチドを含有するアッセイ試
    験管に添加すること、 (b)前記アッセイ試験管をインキュベートすること、および (c)前記試験化合物の前記COOCエステル結合部における切断断片であっ
    て、前記切断断片の存在が前記カルボキシルエステラーゼ酵素による前記化合物
    の活性を示す、前記の切断片について前記アッセイ試験管の内容物を解析するこ
    と、 を含むカルボキシルエステラーゼ酵素によって活性化されるCOOCエステル結
    合含有化合物の同定のための薬物スクリーニングアッセイ。
  20. 【請求項20】 (a)選択された腫瘍細胞上のマーカーに特異的な抗体を
    選択すること、 (b)前記腫瘍特異的マーカーに対する抗体を前記カルボキシルエステラーゼ
    に結合させ、複合体を形成させること、および (c)前記複合体を投与し、前記カルボキシルエステラーゼ類を前記選択され
    た腫瘍細胞類に運搬させること、 を含む前記選択された腫瘍細胞へのカルボキシルエステラーゼ類の運搬方法。
  21. 【請求項21】 請求項20記載の方法に従って患者中の選択された腫瘍細胞
    にカルボキシルエステラーゼ類を運搬することを含む、患者における選択された
    腫瘍細胞類の増殖阻害方法。
  22. 【請求項22】 さらに、カルボキシルエステラーゼ類によって活性薬物に代
    謝される化学療法プロドラッグおよびその不活性代謝物を患者に投与することを
    含む請求項21記載の方法。
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