JP2002504198A - 建物の浮揚装置 - Google Patents

建物の浮揚装置

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アクレー,レイモンド
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Abstract

(57)【要約】 水密地下室(540)の床及び壁群(615)を形成するコンクリート製一体物を有する水密地下室(540)を備えた建物(300)の浮揚装置が開示される。水密地下室(540)には複数のローラ(610)が取付けられる。洪水の水が増加又は減少するに従って、それらローラ(610)は、水密地下室(540)の複数の角部に設置された複数の案内支柱(310)に沿って転動する。それら案内支柱(310)には、水密地下室(540)をそれら案内支柱(310)に沿って移動させるとともに所望高さに維持するためのラチェット装置(620)が取付けられる。1つの好適な実施形態は、洪水の水が押し寄せる前に建物(300)を持ち上げるための複数の加圧シリンダ(1550)を備える。1つの実施形態では、浮揚装置は、洪水の水位上昇の前にコンクリートスラブ(1720)から基礎(1725)及び建物構造(1725)を持ち上げるための複数の加圧シリンダ(1740)を備える。

Description

【発明の詳細な説明】 建物の浮揚装置 クロスレファレンス 本件は、1995年1月19日に出願され現在許可されている出願番号08/374,867号 の一部継続出願として、1996年11月20日に出願された現在係属中の出願番号08/7 49,361号の、一部継続出願である。 発明の分野 本発明は浮揚式建物の構造(a liftable building structure)に関する。特に 、洪水の際に案内支柱に沿って浮揚でき、洪水の前には加圧シリンダによっても 浮揚できる建物に関する。 発明の背景 海岸や水路近くの不動産は、住居用にも商業用にも格別の魅力がある。水際の 財産又は水辺近くに所在する地所は、しばしばその美観に対しても、レクリエー ションから農業経営(farming)に及ぶ多くの用途に対しても高度な要求がなされ る。例えば、巨大な旅行レクレーション産業が水路近くにしばしば進出している のである。加えて、水路に近いということは、例えば、利便性に富む海運や輸送 等の他の多くの有利さを与える。大抵の場合、農業用地として最も肥沃な土地は 水路近くである。 自然の美と多くの水利により、水辺に商業用及び住居用建物が建設されてきた 。この傾向は、特に人口が増加しているし、いずれの不動産も開発が検討されて いるので、鈍化する兆しがない。しかし、水路近くあるいは低地の不動産では洪 水になりやすく、その場合 には建物に住めなくなり、内部も損害を受け、結局は人々は移動し、ビジネスは 中断されてしまう。 氾濫原の区域では、図1のように、従来型の建物100は高くした基礎105 の上に建設される。固定ピア110は、構造体115を地盤面125上で事前に 設定した高さ120に恒久的に持ち上げるために使用される。これにより洪水の 水は、構造体115そのものには事実上浸水せずに、構造体115の下を通過す るようになる。この伝統的な氾濫原用の構造は、本質的には海岸の埠頭の構造で あって、文明の初期から変わらずに利用してきたものである。 固定ピア110はしばしば、比較的体裁の良くないピア110を隠す装飾的な 幅木130で覆われて、持ち上げた構造体115をあたかもそうでないように外 観を変えている。しかしながら、これら建物は地盤面上から恒久的に持ち上げら れたままなので、訪問客や住人は、持ち上げられた構造体115に近づくには、 多くの段数の階段135を使用しなければならない。これでは、一般の人々ばか りでなく、虚弱な人、身障者、車椅子の人も大層不便である。 乾燥地の地盤面に建物を作る技術が提案されてきている。このような一つの技 術が米国特許第5,347,949号に、コロラド州エングルウッドの発明者Paul K.Win stonによって開示された。以下、これをWinstonとして引用する。Winstonは図2 に示すように、洪水の多い地域で使用するプレハブ式のモジュラー家屋ユニット 200を開示する。 図2はWinstonの家屋ユニット200で、洪水の水205の上に浮かんでいる 。家屋ユニット200は、プラスチックライナ220に収容された発泡体215 からなる複数の浮き要素210を使用している。浮き要素210は、通常の根太 構造に固定された周囲が木の梁構造からなる基礎225の下に取り付けられる。 家屋ユニット200は、一連の木杭240に組合された一連の伸長可能なピア 230を介して、建築敷地に据付られる。木杭240は、固定された乾燥地の基 礎として作用する。 Winstonの家屋ユニット200は、本質的には、浮き要素210の上に家屋ユ ニット200が浮いている浮きドック様式の装置である。Winstonの家屋ユニッ ト200には、多くの不利な点がある。延長可能な入れ子式のピア230は、引 き込み位置でさえも露出される。時が経つと、伸長可能な入れ子式ピア230の 露出した部分が腐食してくる。これが入れ子式ピア230の伸長を阻止してしま う。洪水の水が上昇し、入れ子式ピア230が延びると、付加的な腐食が生じる 。水が伸長した入れ子式ピア230を満たすまでになると、水圧によるロック効 果が生じる。これはグリースを洗い流し、さらなる腐食を加速する。さらに、Wi nstonの家屋ユニット200の浮きドックは時間的劣化を伴い、横荷重に対応し ていない。 加えて、Winstonの家屋ユニット200は浮いた時には不安定で、荷重の注意 深いバランスが要求される。家屋ユニット200の重量部分には、より大きな発 泡体の浮き要素210が必要である。家屋ユニット200における荷重分布は、 家具を備えることによって変化する。荷重の変化を補償するために、家屋ユニッ ト200の各角部に空気溜め250が必要になる。空気溜め250は、安定した 水平な浮揚を維持するように適量の空気で満たされている。このような構成は、 水平浮揚を達成するのに、圧縮機を用いて各空気溜めの水平微調整(すなわち繰 り返しの膨張収縮)を何度も行わなければならず、複雑で、非効率的で、無駄に 時間を消費してしまう。例えば、最初の空気溜めを膨張させると、しばしば残り の3個の空気溜め250内の空気の再調整が必要になり、それがさらに最初の空 気溜めの再調整を必要にすることもある。 さらに、洪水の水によって生じる吸引力により、浮きドック型のWinstonの家 屋ユニット200は決して浮上しないであろう。洪水その他の懸念から、Winsto nの家屋ユニット200及び氾濫原区域の近傍における通常の建物は、地盤面の 下方に地下室を伸ばすことはしない。地下室を持つことは建物の望ましい特徴で あるが、氾濫原区域近傍の通常の建物には装備されていない。 したがって本発明の目的は、先行技術の不利な点を克服することである。特に 本発明の目的は、延長式の柱を備えず、したがって柱のグリス供給及び延長動作 の支障がない浮揚式家屋(a floatable house)を提供することである。本発明の もう一つの目的は、浮き要素をなくして、それらのバランスを取る必要をなくす ことである。さらなる目的は、浮揚する水密な地下室(a watertight basement) を提供することである。 本発明のさらに他の目的は、洪水の水位が増加する前に、建物構造を浮揚させ ることができる複数の加圧シリンダを提供することである。洪水の水位が増加す る前に建物構造を浮揚させることは、しばしば鉄砲水に関連することであるが、 洪水の最初に押し寄せる水から建物構造を保護する手助けにもなろう。 発明の要約 本発明は、洪水の水位上昇によって浮上する水密地下室を備えた建物浮揚装置 を提供することにより、上記及び他の目的を達成するものである。建物構造は水 密地下室に搭載される。例として、複数の案内支柱は、水密地下室の複数の角部 の近傍に配置されたケーソンに埋設される鋼製H型ビームである。洪水の水位上 昇に先駆けて又は必要に応じて建物を持ち上げるために、複数の加圧シリンダを 設置することが好ましい。 一実施形態では、浮揚装置は、水密地下室に取付けられる複数のローラを備え る。それらローラはゴム製であることができ、水密地下室の鉛直移動の間に案内 支柱に沿って転動する。各案内支柱の一端は、水密地下室の下方に延びるケーソ ンに封入される。案内支柱の他端は、建物の壁内に封入される。 水密地下室は、水密地下室の床及び壁群を形成する一回打ちのセメントを用い たコンクリートの一体物として構成される。或いはまた、二回打ちのセメントが 用いられる。最初の注入セメントは床を形成する。床のセメントが硬化した後に 、次の注入セメントが壁群を形成する。この場合、床及び壁群は、床と壁群との 間に水密性の連結構造を付与する協働する継ぎ溝を備える。 他の実施形態では、複数の加圧シリンダが、コンクリート製のアンカー構造の 内壁に据え付けられる。持ち上げ板は、コンクリートアンカー構造に向かって外 方へ延びる基礎のコンクリート壁に埋設される。この持ち上げ板は、複数の加圧 シリンダのブームに載せられる。加圧シリンダが始動すると、上向きの圧力が持 ち上げ板に加えられ、さらに基礎に加えられる。以て建物の鉛直移動が生じる。 加圧シリンダは、建物を持ち上げた後にそれを下降させるためにも使用できる。 他の実施形態では、例えば洪水の水が退いた後や加圧シリンダを下げるときに 、水密地下室を上昇位置に保持するために、各案内支柱に沿ってラチェットが設 けられる。ラチェットは可動歯を備え、可動歯は、固定歯群を上方へ自在に通過 する一方でその下方移動中に固定歯群に係合する。これにより水密地下室は、洪 水の水に伴って上昇できるが、洪水の水が退いた後の下降が阻止される。 水密地下室を下降できるようにするために、可動歯は縒り合せたロープによっ て後方へ引っ張られる。このロープは、一端で可動歯 に取付けられ、かつ他端で地下室の壁の穴を貫通してハンドルに終端する。可動 歯は、地下室の壁の内面に取付けた突起内にハンドルを引き込んで係留すること により、引込位置に固定することもできる。 浮揚可能な建物はさらに、浮揚のための持ち上げロッドを備えることができる 。洪水の水が退いて浮揚可能な建物が(ラチェットの可動歯と固定歯群との係合 により)上昇位置に残された後、浮揚可能な建物は、持ち上げロッドから持ち上 げられる。これにより、ラチェットの可動歯を後方へ引いて固定歯群から離脱で き、浮揚可能な建物が下降できるようになる。 持ち上げロッドは、地下室の壁に埋設される下方部分を備え、末端で、地下室 の床内に延びるベースプレートに取付けられる。持ち上げロッドの上方部分は、 建物の壁内に配置され、建物の屋根を通って延びて、末端でトッププレートに取 付けられる。トッププレートは、例えば浮揚可能な建物を持ち上げるために使用 されるクレーンのフックを受容する穴を備える。持ち上げロッドは鋼製であるこ とができ、屋根を通って延びる上方部分は、トッププレートと共に亜鉛メッキ処 理できる。複数の加圧シリンダの代わりに、複数の持ち上げロッドを使用して、 浮揚可能な建物を持ち上げることもできる。 さらに他の実施形態では、浮揚装置はさらに、洪水の水位上昇により水密地下 室の床下に生じる真空を排除するための真空排除装置を備える。水密地下室の床 上に設置される真空排除装置は、例として圧縮CO2容器を備えるCO2式真空排 除装置である。この容器は弁に接続され、弁は配管に接続される。配管は地下室 の床の下に延び、開弁時に、圧縮CO2が地下室の床の下に放出される。 さらに浮揚装置は、水密地下室に設置される予備ユーティリティ 装置を備える。これは、ポンプ、真水タンク、下水保持タンク及びジェネレータ から構成される。予備ユーティリティ装置は、浮揚可能な建物の外部からの主要 ユーティリティシステムを切断した後に、浮揚可能な建物の既存ユーティリティ 設備に接続される。 要約すれば、建物の浮揚装置は、複数のローラ及び複数のラチェトを有する水 密地下室を備える。水密地下室は、その複数の角部の近傍に配置された複数の案 内支柱に沿って鉛直方向へ移動する。各案内支柱の一端は、水密地下室の下に延 びるケーソンに取り込まれる。案内支柱の他端は、建物の壁内に取り込まれる。 このような浮揚装置は、簡単で、信頼でき、安定的である。グリース及び定期 的維持を要する延長可能な支柱を排除することにより、メンテナンスが著しく減 少する。固定式の案内支柱を有することにより、浮揚装置が単純化されるだけで なく、安定した浮揚がもたらされ、したがってあらゆる負荷平衡化ないし浮揚安 定化要素が排除される。固定式案内支柱の付加的な安定性は、竜巻に対する防御 をももたらす。また水密地下室は、竜巻に耐えるコンクリートシェルターを構成 する。 さらに、水密地下室はアルキメデスの原理により艀のように浮上するので、浮 揚要素は必要とされない。浮揚可能な建物は、浮揚可能な建物自体の重量よりも 大きな重量を有する水を排除することにより浮上する。 従来技術による浮揚装置とは異なり、本発明の浮揚装置は、洪水を起こし易い 地域に位置する通常の建物では洪水を恐れてしばしば排除されている、建物にお ける望ましい特徴である浮上式の水密地下室を提供する。また水密地下室は、そ の上に支持される構造と共に、見た目の悪いピアが無ければ従来構造に似ている 。本発明の浮揚可能な建物は、恒久的に持ち上げられてはいない。したがって、 階段及び斜面は最小限にされ、特に体の弱い人にとって都合の良い出入りを提供 する。 さらに他の実施形態では、中実のコンクリート基礎が水密地下室に取って代わ る。コンクリート基礎は、コンクリートスラブ上に直接に載せられ、コンクリー ト基礎に取付けられた流体圧式持ち上げ装置によって、コンクリートスラブから 持ち上げることができる。この実施形態は、建物構造の浮上に依存せず、洪水の 水が押し寄せる前に人が建物構造を持ち上げることを可能にする。洪水の水が押 し寄せる前に建物構造を持ち上げることにより、通常そのような押し寄せに関連 して生じる潜在的な損傷を回避することができる。 図面の簡単な説明 図1は、氾濫原に構築された通常の高床式建物の側面図である。 図2は、先行技術による浮きドック型の浮揚家屋の断面図である。 図3は、本発明による浮揚式家屋の正面端面図で、前部のケーソン及び案内支 柱を示す。 図4は、本発明による浮揚式家屋のケーソン及び案内支柱の詳細図である。 図5は、本発明による浮揚式家屋の切欠側面図である。 図6は、本発明による浮揚式家屋のケーソン、案内支柱、ローラ及びラチェッ トの切欠側面図である。 図7A〜図7Cは、ローラ及びラチェットの詳細図である。 図8は、持ち上げロッドと本発明による浮揚式家屋の屋根上に伸びるトッププ レートとの立面図である。 図9は、本発明による浮揚式家屋の持ち上げロッドの切欠側面図である。 図10は、本発明による水密地下室と真空排除装置との断面図である。 図11は、真空排除装置の他の実施形態の断面図である。 図12は、本発明による水密地下室の断面図である。 図13A及び図13Bは、互いに継ぎ合わされる継ぎ溝を有した水密地下室の 壁と床との断面図である。 図14は、本発明による予備ユーティリティ装置を示す水密地下室の鳥瞰図で ある。 図15は、建物を上昇位置に持ち上げる加圧シリンダ装置を備えた水密地下室 の断面図である。 図15Aは、図15に示す加圧シリンダ装置の詳細図である。 図16は、下降位置における加圧シリンダ装置の拡大断面図である。 図17は、建物構造が下降位置にあるときの本発明の他の実施形態を示す。 図18は、図17に示した実施形態を浮揚位置で示す。 好適な実施形態の詳細な説明 本発明の一つの実施形態によれば、浮揚式家屋300は図3に示すような通常 家屋の外観を有する。浮揚式家屋300は、家屋構造305を支持する水密な地 下室(後述)を有する。家屋構造305は、現場で建設されるものでも、また現 場で組立てるようにしたプレハブ式のモジュラー構造を有するものでもよい。浮 揚式家屋300は氾濫原区域に建設され、洪水の間に上昇する水面に浮かぶもの である。本発明は、住居用の浮揚式家屋だけでなく、商業用の浮揚式建物等の他 の浮揚式建物を含むものであり、浮揚式家屋300は図示した一例として使用さ れる。 浮揚式家屋300の各角部の近傍に位置するケーソン315に、それぞれ案内 支柱310が埋めこまれる。それら案内支柱310は、浮揚式家屋300までそ の内壁群とサイディング320との間を延びる。例として、サイディング320 は6インチ(約15cm)の木のよろい張り下見である。 浮揚式家屋300は、例えば洪水の水によって浮揚式家屋300が昇降動作す るとき等、浮揚式家屋300が鉛直移動する間に、それぞれの案内支柱310に 沿って転動する複数のローラ(図6で610)を備えている。図3は、2本の案 内支柱310が浮揚式家屋300の正面角部近傍に位置していることを示してい る。案内支柱310はケーソン315に据付られる。例として、ケーソン315 はコンクリートケーソンであり、型として作用するとともに長い年月をかけて崩 壊する耐水性の厚紙で製造された円筒形のソナ管(sona tubes)に、セメントを注 ぎこんで製造する。 ケーソン315は、既存地盤面325で始まり、土壌密度と浮揚式家屋300 の寸法/重量とで決まる距離330まで地中へ延びている。好ましくは距離33 0は、既存地盤面325の下方少なくとも8フィート(約244cm)である。土 壌及び家屋寸法の仕様はまた、ケーソン315及び案内支柱310の大きさを決 める。図4を参照すると、ケーソン315の好ましい直径335は、案内支柱3 10の幅広部分345の寸法340の2倍である。幅広部分345は、2個の小 部分350の間に存在する。例として、案内支柱310は4インチ×8インチ( 約10cm×約20cm)のH型鋼であり、ケーソン315の直径335は、案内支 柱310の寸法8インチの2倍の16インチ(約41cm)である。 再び図3を参照すると、浮揚式家屋300の前部は、整地後の地盤面360を 構成する埋戻し355によって整地され、埋戻しが浮 揚式家屋300から斜めに延びる。これにより、雨水等の水は浮揚式家屋300 の前から離れた状態にされる。埋戻し355は、砂、土、砂利又は他の適当な材 料から構成できる。 案内支柱310はケーソン315から上方に突出している。これら案内支柱3 10は浮揚式家屋300の前部に配置されており、埋戻し355に囲まれた露出 部分365を備えている。露出部分365は、前部の2つのケーソン315と整 地後の地盤面360との間に位置し、腐食防止のため亜鉛メッキされている。図 5に示すように、浮揚式家屋300の後部の角部510付近の案内支柱310は 、露出部分を有さないようにすることが有利である。 浮揚式家屋300は通常の家屋に似ている。また、浮揚式家屋300は通常の 家屋が備える設備の多くを備えている。例えば、図5の浮揚式家屋300の切欠 き図に示すように、浮揚式家屋300の前部には、家屋300から傾斜して延び る斜路512が設けられる。斜路512の一方の端部517は、ガレージの床5 20と同じ高さに設定されている。例として、家屋300はフロントポーチ52 2とバックポーチ524とを備え、これらポーチは錬鉄や木で作製できる手すり 526、528により囲まれる。フロントポーチ522の片持ち構造のプラット フォーム532からは、木製の柱530がポーチの屋根534まで延びる。 図5はまた、平底船と同じように水に浮かぶ水密地下室540を切欠いて示す 。浮くときには、浮揚式家屋300は家屋300自体の重量よりも大きな重量の 水を排除する。したがって、アルキメデスの原理により浮揚式家屋300は浮上 する。浮揚式家屋300の前部515の詳細を図6に示す。 図6は、水密地下室540のコンクリート壁615に固定された円筒ローラ6 10を示す。このローラ610は、案内支柱310に 沿って転動する。すなわち、ローラ610は案内支柱310の幅広部分345( 図4)に沿って転動する。 ローラ610の下方には、水密地下室540の壁615と案内支柱310との 間に、ラチェット620(模式的に図示)が配置される。ラチェット620は、 水密地下室540が、洪水による水位上昇に応じて案内支柱310に沿って自由 に上昇することを可能にする。その反面、ラチェット620は、洪水の水が退い たときには水密地下室540が下降することを防止する。水密地下室540の下 の敷地に堆積した堆積物を清掃して、水密地下室540を下降させる前に敷地を 適宜整備するためには、洪水の水が退いた後も水密地下室540を上昇したまま に保持することが好ましいのである。 浮揚式家屋300のそれぞれの角部近くには、案内支柱310が、水密地下室 540と、この地下室に支持される家屋構造305との両方に沿って延びている 。案内支柱310は、既存地盤面325よりも下にあるケーソン315から延設 される。埋戻し355が浮揚式家屋300の前部に使用されており、整地後の地 盤面360を形成している。 案内支柱310は、ケーソン315から浮揚式家屋300の根太625まで、 家屋300の角部近くで水密地下室540の壁615の外側に延設される。また 、整地後の地盤面360の上方では、案内支柱310は家屋構造305内に延び ている。整地後の地盤面360と根太625との間では、案内支柱310は水密 地下室540のコンクリート壁615と浮揚式家屋300の外壁630との間に ある。浮揚式家屋300の根太625は、水密地下室540のコンクリート壁6 15の上に置かれている。 浮揚式家屋300の根太625の上方では、案内支柱310は浮揚式家屋30 0の内壁635と外壁630との間にある。例として 案内支柱310は、水密地下室540の壁615と浮揚式家屋300の内壁63 5とから約3インチ(約7.6cm)離される。 図7A〜図7Cは、ローラ610及びラチェット620の詳細を示す。ローラ 610は、水密地下室540の壁615の外面710に取り付けられる。またラ チェット620は、2つの構成部分715、720を備える。第1の構成部分7 15は案内支柱310に取り付けられ、第2の構成部分720は壁615の外面 710に取り付けられる。水密地下室540の各角部近くに位置する各案内支柱 310と、それに対応する水密地下室の壁615とは、それぞれに専用のラチェ ット620及びローラ610を備えている。 ローラ610は案内支柱310の幅広部分345に沿って転動する。ローラ6 10は、ボルト、2つのJ型フック、或いは1つのU字形状に曲げたJ型フック 725を用いて、水密地下室540の壁にボルト留め又は埋め込みにより固定で きる。また、ローラ610はゴム、ポリテトラフルオロエチレン、硬質プラスチ ック、ゴムで被覆した金属等とすることができる。例としてローラ610は、図 7a〜図7cに示すようにラチェット620の上方に配置される。或いは、ロー ラ610をラチェット620に隣接して配置しても良い。ローラ610をラチェ ット620に隣接して配置することにより、ラチェット620の第1の構成部分 715を案内支柱310のさらに上方まで延設することが可能になり、水密地下 室540をさらに高い位置に固定した状態に保持することが可能となる。ラチェ ット620は、洪水の水が退いた後、或いはクレーンや加圧シリンダにより水密 地下室540が持ち上げられた後に、水密地下室540を上昇位置に保持する。 ラチェット620の第1の構成部分715は、例えば図7bに示すボルト73 0によるボルト留めなどにより、案内支柱310に取 り付けられる。第1の構成部分715は、部分740により互いに隔てられた複 数の固定歯735を有する。ラチェット620の第2の構成部分720は、例え ばボルト750等により壁615の外面710に取り付けられた本体745を備 える。さらに、第2の構成部分720は可動歯755を備えており、この可動歯 755は、可動歯755の頂部に位置するヒンジ757を介して本体745に取 り付けられる。固定歯735は、第2の構成部分720の可動歯755と噛み合 って、水密地下室540が下降することを防止する。 第2の構成部分720の可動歯755は、可動歯755の背面762に取り付 けられた、ばね付勢されたロッド760により前方に押されている。可動歯75 5の面764、766と第1の構成部分715の固定歯735の面768、77 0とは、互いに協働して水密地下室540の上昇を許容する一方でその下降を防 止するように作用する。可動歯755の面764は下向きに傾斜し、固定歯73 5の面768は上向きに傾斜することが好ましい。この構成により、可動歯75 5の面764が固定歯735の面768と噛み合ったときに、水密地下室540 の下降が一層効果的に防止されることになる。 浮揚式家屋300の動作について以下に説明する。洪水の水位が上昇すると、 ローラ610は水密地下室540の上昇とともに案内支柱310に沿って転動す る。また、水密地下室540が上昇すると、可動歯755は、複数の固定歯75 5上を滑りながら上昇する際に壁615に向けて押し戻される。可動歯755が 固定歯735の一つを越えると、ばね付勢されたロッド760が可動歯755を 案内支柱310に向けて前方に押す。これにより、可動歯755が固定歯735 の上に延出して、水密地下室540の下降を防止する。 水密地下室540の下降を可能にするためには、可動歯755を人手により引 き戻し、図7cに示す引込位置に固定する。例として、金属等からなる縒り合せ たロープ775の一端が、ばね付勢されたロッド760に取り付けられる。 ロープ775の他端は、壁615に設けた孔777を通して水密地下室540 内に導入され、末端にハンドル780が取り付けられる。或いは、ばね付勢され たロッド760を使用せずに、ロープ775を可動歯755に直接取り付けるよ うにしても良い。この場合には、ロッド760の周りにばねを巻き付ける代りに 、壁615の外面710と可動歯755との間にあるロープ775の一部分の周 りにばねを巻き付ける。ロープ775の周りに巻き付ける場合もロッド760の 周りに巻き付ける場合も、ばねの径はロープ775やロッド760が通過する孔 777の径より大きくされている。これにより、ばねは壁615の外面710と 可動歯755との間に保持される。上記に代えて、或いは上記ばねに加えて、可 動歯755のヒンジ757をばね付勢して、可動歯755を案内支柱310に向 けて前方に押圧付勢するようにしても良い。 可動歯755はハンドル780を引くことにより後退する。可動歯755を後 退位置に固定するために、図7cに示すように、ハンドル780は壁615の内 面790に取り付けた突起785に係止される。 さらに、セーフティピン792を可動歯755の側面に設けた孔794に挿入 することも可能である。この場合、孔を設けた固定板(図示せず)が可動歯75 5の他の側面に配置される。挿入されたセーフティピン792はさらに固定板の 孔にも進入し、それにより可動歯755が引込位置に固定される。可動歯755 が上記引込位置にあるときは、水密地下室540は自由に案内支柱310を滑っ て下降することができる。 可動歯755は、2つの固定歯735の間の部分740に位置する場合には容 易に引き戻すことができる。しかし、可動歯755が固定歯735上に載ってお り、水密地下室540が下降しないようにその重量を支えている状態では、可動 歯755を引き戻すことはほとんど不可能である。したがって、浮揚式家屋30 0の重量を支えている状態で可動歯755を引き戻すことを可能にするためには 、浮揚式家屋300を持ち上げる必要がある。浮揚式家屋300を持ち上げるこ とにより、可動歯755から浮揚式家屋300の重量が取り除かれ、可動歯75 5を図7cに示す引込位置に引き戻すことが可能となる。浮揚式家屋300は、 加圧シリンダを用いて上昇させることができる。この方法は簡単でしかも費用が 少なくて済むため、浮揚式家屋300を上昇させるための第1位の方法である。 可動歯755の固定歯735との係合を解除するためには、浮揚式家屋300を 約1/4インチ(約0.6cm)上昇させるだけで良い。浮揚式家屋300を上昇 させるための第2の方法を用いることもできる。この場合、浮揚式家屋は図8及 び図9に示すように、持ち上げロッド815に接続されたトッププレート810 にフックをかけてクレーンを用いて持ち上げることができる。 図8は、屋根820の真上で持ち上げロッド815に溶接等により取り付けら れたトッププレート810を示す。トッププレート810は、浮揚式家屋300 を持ち上げるためにクレーンのフックを掛けられるよう、貫通孔825を有して いる。例として、孔825は3インチ(約7.6cm)の直径を有し、トッププレ ート810は、幅6インチ(約15cm)、長さ11インチ(約28cm)、厚さ3 /4インチ(約1.9cm)とされる。トッププレート810は、屋根820の傾 斜に合わせるために、下部を傾斜縁830としても良 い。トッププレート810の上部835は鋭い角部ができないように曲面にする ことができる。 例として持ち上げロッド815は、直径1と3/4インチ(約4.5cm)の鋼 製とされる。屋根820の上方の持ち上げロッド815の露出端840とトップ プレート810とは、腐食を防止するために亜鉛メッキされる。持ち上げロッド 815は、浮揚式家屋300のそれぞれの角部付近に設けるようにしても良い。 さらに、浮揚式家屋300の寸法と形状とに応じて、追加の持ち上げロッド81 5を家屋の角部の間に設けることもできる。例えば、30フィート×60フィー ト(約9m×約18m)の家屋には8本の持ち上げロッド815が使用される。 図9は、屋根820の上方に延びる持ち上げロッド815とトッププレート8 10とを備えた浮揚式家屋300の断面を示す。例として持ち上げロッド815 は、2つの部分905及び910から成っている。第1の部分905は水密地下 室540の壁615内に配置される。第1の部分905の一端920はベースプ レート930に、例えば溶接等によって取り付けられる。例としてベースプレー ト930は、トッププレート810と同様に、6インチ×11インチ×3/4イ ンチ(約15cm×約28cm×約1.9cm)の鋼製とされる。ベースプレート93 0は、持ち上げロッドの第1の部分905の一端920に垂直に取り付けられ、 水密地下室540の床935内に延設される。持ち上げロッドの第1の部分90 5とそれに取り付けられたベースプレート930とは、水密地下室540のコン クリート壁615と床935とに埋め込まれる。この埋め込みは、持ち上げロッ ドの第1の部分905とそれに取り付けられたベースプレート930とを水密地 下室540形成用の型の内部に配置して、その後、型内にセメントを注入して水 密地下室540を形成する ことにより行われる。 持ち上げロッドの第1の部分905の第2端940は、ねじが切られて、水密 地下室540の壁から複数の根太625の間に突出する。継手950が、持ち上 げロッドの第1の部分905のねじ付き端940を、持ち上げロッドの第2の部 分910のねじ付き端955に接続する。第2の部分910は浮揚式家屋300 の壁の中(すなわち外壁630と内壁635との間)及び例えば2インチ×6イ ンチ(約5cm×約15cm)の縦桟960の間を延び、屋根820を横切って、末 端でトッププレート810に接続される。このようにして、ベースプレート93 0とトッププレート810と持ち上げロッド815とが、浮揚式家屋300を持 ち上げる手段を提供する。 再び図5を参照して説明すると、水密地下室540を形成する前に、敷地は以 下の要領で整地される。すなわち、水密地下室540のセメントを注入する領域 970は、最初に数インチの厚さの土を除去する。その後、領域970の残りの 土975を充分に突き固めてその上を多孔の砂利の盛土で覆い、この盛土をさら に突き固めて厚さ3インチ〜4インチ(約7.6cm〜約10cm)のショルダース トーン部(shoulder stones)980を形成する。ショルダーストーン部980は 、水密地下室540の床935の下に水が溜まることを防止するとともに、ショ ルダーストーン部980を通り抜けて空気が流通できるようにするものである。 これにより、床935の下にぬかるみや真空が生じることが防止される。 ショルダーストーン部980は通気性があるので、水密地下室540の浮上を 妨げる可能性がある洪水の水による吸引効果を防ぐことができる。洪水の水によ り水密地下室540の床935の下に真空ないし吸引力が生じた場合に備えて、 真空排除装置(avacuum break system)985が設けられている。真空排除装置 985は、洪 水の水位上昇により床935の下に生成される真空を破壊して、水密地下室54 0を押し上げる作用を行う。 図10は、真空排除装置985の詳細を示す。真空排除装置985は、水密地 下室540の床935の上に配置された容器1010を備える。例として容器1 010は、圧縮炭酸ガス(CO2)を収容する。浮揚式家屋300の寸法と土壌 の特性とに応じて、1つ以上の容器1010を使用するようにしても良い。図1 0には、2つの容器1010が示されている。各容器1010は、一連の配管1 020に接続された弁1015を備える。それら配管1020は継手1025に より相互に接続される。 配管1020は、容器1010に沿って下へ延び、床935を這い、壁615 の内面710に沿って上に延び、壁615を乗り越え、壁615の外面790に 沿って下へ延びる。或いは、容器1010は壁615の近傍に設置される。これ は、床935を這って壁615に達する配管1020の必要性を軽減する。 壁615の外面下部1030において、配管1020は、保持スカート部10 40の穴1035を通って延びる。保持スカート部1040は、床935の下方 に位置する壁615の一部である。こうして配管1020は、床935と土壌9 75との間に位置するショルダーストーン部980内へ床935の下で延びる。 ショルダーストーン部980内に配置される配管1020は、末端にノズル10 50を有することができる。 増加する洪水の水が水密地下室540に対し吸引効果を生じてその上昇を妨げ ようとするときに、容器1010の弁1015が開かれて圧縮CO2を流出させ る。流出した圧縮CO2は、洪水の水の吸引作用を無効にして、水密地下室54 0を押し上げるように作用する。それにより水密地下室540は、浮上し始めて 、洪水の水と 共に上昇する。 図11は、真空排除装置985の変形実施形態を示す。この実施形態では、配 管1010は浮揚可能な地下室540の床935に設けた穴1110を通って延 びる。この穴1110は水密式に封止され、地下室540が浮上するときに、洪 水の水の浸出を防止するようになっている。穴1110は一体構造の床935に おける漏れ許容部位になり得るので、図10に示す実施形態による真空排除装置 985が好ましいといえる。 図12に示す水密地下室540は、セメント絆を建造するのと同様に建造され ても良い。乾燥した建造敷地において、浮揚可能な地下室540は、3500ps iセメントのような標準セメントから作られる。湿地における建造のためには、 空気によって乾燥させられる代わりに化学的に乾燥させられる水硬性セメントが 使用される。 水密地下室540は、一回打ち又は二回打ちのセメントを使用して建造できる 。水密地下室540を一回打ちで建造する場合、型枠の予め製造された部分を一 体に組立てて、水密地下室540の壁615のための型を形成することができる 。プラスチック板材がショルダーストーン部980の好ましくは6インチ(約1 5cm)上方に広げられ、床型が形成される。プラスチック板材は、水密地下室5 40の床935に平滑な上面1210を付与する。 次にセメントを、壁型と、突き固めたショルダーストーン部980とプラスチ ック板材との間の床型とへ注入する。それにより、一回打ちで複数の壁615と 共に6インチの床935が形成される。床935の厚さが6インチであると同様 に、壁615の厚さも6インチである。しかし、土壌特性及び水密地下室540 上に建造される家屋構造305の寸法に応じて、これとは異なる厚さの壁615 及び床935を建造することもできる。同様に、土壌及び負荷の仕 様に応じて、ワイヤメッシュや切梁を型内に配置して、その後にセメントを打つ こともできる。それにより、補強されたコンクリートからなる壁615及び床9 35を有する水密地下室540が形成される。一回打ち工程により、水密地下室 540はコンクリートの一体物として構築される。 これに対し、図13A及び図13Bは、セメントの二回打ちによって形成され る水密地下室540を示す。先ず、水密地下室540の床935は、床935の 周囲に沿った継ぎ溝1310を備えて形成される。継ぎ溝1310は、壁615 に設けた対応の継ぎ溝に継ぎ合わされて、壁615と床935との間に水密性の 接続構造を付与する。最初に床の敷地を画定して床型を形成する。V形や矩形( 図13Bの1320)であることができる継ぎ溝1310は、床型の枠に近接し て床敷地の周囲に、V形帯材又は2インチ×4インチ(約5cm×約10cm)の縦 桟を配置することによって形成される。 V形帯材(又は2インチ×4インチの縦桟)の頂部は、床935の頂面121 0と同一面に置かれる。それにより継ぎ溝1310は、床935の上半分に位置 決めされる。その後にセメントが打たれる。セメントの乾燥後、枠及びV形帯材 (又は2インチ×4インチの縦桟)は、図13A及び図13Bに示すように周囲 に継ぎ溝1310を有した床935を残して取り外される。 次に、複数の壁枠を組立てて壁型を形成し、壁型にセメントを注入して水密地 下室540の壁615を形成する。注入された壁のセメントは、床935の継ぎ 溝1310を満たす。それにより、床935の継ぎ溝1310に継ぎ合わされる 継ぎ溝を有する壁615が本質的に形成され、壁615と床935との間に水密 性の接続構造が付与される。壁615の内側710は、継ぎ溝1310を覆うよ うに床935の上に延びる。壁615の外側790は、床935の 下面1330の下方少なくとも4インチ(約10cm)まで延びて、保持スカート 部1040を形成する。保持スカート部1040は、床935の下に位置する厚 さ3インチ〜4インチ(約7.6cm〜約10cm)のショルダーストーン部980 を取り囲んで保持する。 図14に示す予備ユーティリティ装置は、浮揚式家屋300が長引く洪水期間 中に洪水の水1405に浮かんでいる間に、家屋300を自給自足型にするもの である。図14は、洪水の水1405に浮かんでいる浮揚式家屋300の切欠き 鳥瞰図である。喫水線1410は、水密地下室540の壁615の下方部分を取 り囲む保持スカート部1040と、ガレージ床1420との間である。 予備ユーティリティ装置は、好ましくは水密地下室540内に設置され、ポン プ1430と、1000ガロンの真水タンク1435と、1000ガロンの化学 処理済下水保持タンク1440と、200lbsのプロパンタンクに接続されたプ ロパン発生器1445とを有している。緊急物資及び食料は、貯蔵室1450に 貯蔵される。洪水の水1405が水密地下室540を持ち上げる兆しを見せ始め ると、電気、ガス及び水道のような主要ユーティリティラインは、手動で切断さ れ、適切に塞がれる。 例えば、主要ユーティリティラインは、簡単な切断及び再接続のための安全急 速継手を有している。或いは急速継手は、水密地下室540の上昇により切断張 力が負荷されたときに自動的に切断かつ封止するように自動化されていても良い 。主要ユーティリティライン及び下水管の急速継手は、容易な操作のために、ま た切断前に水密地下室540の若干の移動を許容するために、ある程度の適応性 を有することもできる。下水管の急速継手は、消火栓への接続のために消防車で 使用される急速接続/切断継手と同様のものである。 図15及び図16は、浮揚式家屋を上昇させるために流体装置(a hydraulic system)を使用する建物の実施形態を示す。図15は、基礎1510 に埋設された持ち上げ板1540を有する浮揚式家屋の基礎1510を示してい る。持ち上げ板1540は、鋼(例えば1インチの厚さ)又は負荷される力に耐 えることができる他のあらゆる材料から形成できる。この持ち上げ板は、一端で 持ち上げ板1540に、かつ他端で基礎1510に接続された支持体1535に よって補強されていても良い。加圧シリンダ1550は、基部1505と、ブー ム部1575と、頂部1555とを有している。基部1505は、アンカーロッ ド1565を有する据え付け板1560に溶接されて、コンクリート製のアンカ ー構造1520に据え付けられている。加圧シリンダ1550は、空気又は油に よって作動可能である。 ブーム部1575は、望ましくは三段式であり、少なくとも10フィート(約 305cm)まで延長できる。加圧シリンダ1550の頂部1555は、持ち上げ 板1540の下側部分へ段差無く当接される。持ち上げ板1540は、加圧シリ ンダ1550の頂部1555に当接されるだけであって、頂部に取り付けられて はいない。このことは、浮揚式家屋がアンカー構造に拘束されずに案内支柱に沿 って浮上できなけらばならないから、重要である。望ましくは持ち上げ板154 0は、加圧シリンダ1540の頂部1555を嵌入する凹部1545(図15A に示す)を有している。持ち上げ板1540の凹部1545は、持ち上げ板に加 圧シリンダを実際に接続せずに、加圧シリンダ1550のずれを防止できる。 加圧流体管1570は、ポンプ1580から加圧シリンダ1550の基部15 05に位置する入口部1530へ、基礎1510を通って延びる。四つの加圧シ リンダが好適であるが、対称的に分配配置された少なくとも二つの加圧シリンダ が、浮揚式家屋を平衡に昇 降するために必要とされる。 ポンプ1580が作動すると、油又は空気が加圧シリンダ1550の入口部1 530へ圧送され始め、加圧シリンダ1550のブーム部が上昇を開始する。ブ ーム部1575は、補強された持ち上げ板1540へ鉛直上方への力を負荷し、 それにより、基礎及び浮揚式家屋を持ち上げる。ポンプ1580は、停電時には 、予備の12ボルトバッテリ1595に接続された発電機1590によって電力 供給可能である。 図15は、家屋を持ち上げた全延長位置にある加圧シリンダ1550を示し、 また図16は、下降位置にある加圧シリンダを示す。加圧シリンダが下降位置に あるときには、水密地下室は地表面に置かれ、持ち上げ板1540が加圧シリン ダ1550の頂部1555に当接されている。 要約すれば、建物の浮揚装置は壁のローラ及び各角部近傍に位置するラチェッ トを備えた水密地下室を有することを説明した。水密地下室は、洪水の水の上昇 によって、又はその代わりに加圧シリンダ装置によって、持ち上げられる。水密 地下室を持ち上げる方法に関わらず、水密地下室の複数のローラは、ケーソンに 埋設された複数の案内支柱を上方へ転動する。 加圧シリンダ装置は、洪水の水が押し寄せる前に家屋を持ち上げるために使用 でき、それにより水の圧力及び浮遊破片による損傷が回避される。加圧シリンダ 装置は、ラチェット装置に関連して使用することもでき、それにより、洪水の水 が退いた後に、浮揚可能な建物を固定側ラチェットから持ち上げて地表面に戻す ことができる。 ラチェットは、水密地下室が加圧シリンダ装置又は洪水の水によって上昇する ことを許容するが、加圧シリンダが非作動のとき、又 は洪水の水が退いたときには、水密地下室の下降を阻止する。前述したように加 圧シリンダ装置は、家屋を上昇させてラチェットを外し、水密地下室の下降を可 能にするために使用される。 水密地下室は、セメント一回打ちを用いて形成されたコンクリートの一体物で あることができる。或いは、セメント二回打ち、すなわち水密地下室の床のため の第一セメント打ち及び壁群のための第二セメント打ちが用いられる。後者の場 合、床及び壁群は、良好な継ぎ合せ及び封止を付与する協働する継ぎ溝を有する 。浮揚式家屋は、主要ユーティリティ(公共設備)の安全で容易な切断のために 、適応性のある急速切断継手を有する。自足自給の目的で、浮揚式家屋は予備ユ ーティリティを備える。 浮揚式家屋は、建造の信頼性、安定性及び単純さを有する。浮揚式家屋は、固 定した複数の案内支柱に囲まれてそれら支柱に沿って摺動するので、竜巻に耐え る。水密地下室も、竜巻に耐えるコンクリートシェルターを構成する。固定した 案内支柱に囲まれた浮揚式家屋は、特に家が上昇ないし浮揚するときに、入れ子 式延長可能な支柱群に支持された家屋に比較して、極めて高い安定性を有する。 案内支柱に囲まれた艀状の浮揚式家屋は平衡して浮上する。これは、水準装置や 負荷分布の移動を不要にする。固定した案内支柱を隠すことにより、メンテナン スが著しく削減され、入れ子式延長可能な支柱に対して必要とされた定期的グリ ース供給が不要になる。 鋼製案内支柱及び持ち上げロッドの腐食は、露出部分を低減すること及び露出 部分を亜鉛メッキすることによって最小限になる。本発明の浮揚式家屋は、いか なる特別な安定化要素も補強用の鋼製ロッドも複雑な建造技術も必要としない。 加えて、水密地下室の壁群の存在によって、家屋構造と地面との間のスカート部 又は覆い部は不要である。 さらに、浮揚式家屋は通常の家屋に似ている。浮揚式家屋は、洪水の多い地域 において、高くした基礎に家屋を建造する必要性をなくし、地下室又は家屋が水 に漬かる恐れのない望ましい地下室を提供する。加えて、水密地下室を現存の家 屋の隣に建造し、現存の家屋を水密地下室上に移動して設置するようにしても良 い。これにより、現存の通常の家屋が浮揚式家屋に変わる。 図17及び図18は、浮揚可能な建物構造のもう一つの実施形態を示しており 、本実施形態において、建物は水密地下室の代わりにコンクリートスラブに載せ られている。この浮揚可能な建物構造は、洪水の水位上昇に依存せず、流体圧式 持ち上げ装置の作動によりコンクリートスラブから持ち上げられる。 図17は、下降位置にある浮揚可能な建物構造1700の一部分を示す図で、 この建物構造は壁1710と床1715とを有する基礎1725を備えている。 基礎の床1715はコンクリート製である。建物構造を搭載するコンクリート製 の基礎1725は、コンクリートスラブ1720に直接に取付けられる。コンク リートスラブ1720は、建物構造の真下の地表面上に直接に設置するか、又は 地面に埋設することができる。海面より低い場所では、コンクリートスラブを地 表面上に設置できる。海面より高い場所では、コンクリートスラブを地面に埋設 できる。いずれにしても、コンクリートスラブ1720は、浮揚可能な建物のた めの支持体を構成する。 コンクリートスラブ1720の真下には、加圧シリンダ1795の基部に位置 合せして、コンクリートピラスター1730が配置される。コンクリートピラス ター1730は、基礎の床1715の、流体装置の作動時に最も大きな力を受け る部分に対する追加の支持体を構成する。コンクリートピラスター1730は、 地面内に数フィートに渡って延設できる。 加圧シリンダ1740は、コンクリート基礎の床1715を貫通して延び、延 長されない流体圧ステージ1790が床に受容される。流体圧ステージ1790 の基部1795は、コンクリート基礎の床1715の上面に設置される補強板1 750に溶接される。補強板1750は、ラグボルト1780によって基礎の床 1715に取付けられる。基礎の床1715の上面と補強板1750の下面との 間には、圧縮ゴムシール1760が介在する。 圧縮ゴムシール1760は、加圧シリンダ1740を補強板1750に取付け る溶接部の周囲に、水密シールを付与する。圧縮ゴムシール1760はショック アブソーバとしても作用し、流体装置の作動時にコンクリート基礎の床に加わる 応力を軽減する。 流体装置が作動すると、加圧ライン1735を介して加圧シリンダ1740に 接続されるポンプ1745が、加圧流体を加圧シリンダ1740に送給し始める 。ポンプ1745は、接続ライン1755によって流量分配器に接続される。流 量分配器は、ポンプ1745によって送給される流体を、加圧シリンダ1740 及び他の加圧シリンダ(図示せず)に平均的に分配する。加圧シリンダ1740 に流体が満たされ始めると、流体圧ステージ1790は加圧シリンダ1740か ら延出し始め、コンクリートスラブ1720に押し下げ力を負荷する。コンクリ ートスラブ1720の、この押し下げ力による応力の大半を受ける部分は、コン クリートピラスター1730によってさらに支持される。この押し下げ力により 、基礎1725はコンクリートスラブ1720から持ち上げられる。 図18は、コンクリート基礎1725を上昇位置で示す。上昇位置では、流体 圧ステージ1790は加圧シリンダ1740から延出している。流体圧ステージ 1790は、少なくとも約10フィートまで延長可能な三段式ブームから構成で きる。 1つの特定的実施形態では、加圧シリンダ1740及び他の加圧シリンダ(図 示せず)に接続されるポンプ1745(図17に示す)は、ポンプに電力を供給 する発電機1757(図17に示す)に接続される。 流体圧シリンダ1740から流体を放出することにより、基礎1725をコン クリートスラブ1720上に下降させて戻すことができる。 この実施形態は、洪水の水位上昇が鉄砲水の結果であるような状況下で使用で きる。このような状況で、流体圧式持ち上げ装置を作動させることにより、建物 構造をコンクリートスラブから持ち上げることができる。押し寄せる洪水の水の 進路内から建物を持ち上げることにより、構造体への潜在的損傷を回避すること ができる。 幾つかの特定的実施形態を参照して本発明を説明したが、これは例示のみを目 的とするものであって、発明の精神を限定しようとするものではない。添付の請 求の範囲に記載した精神及び範囲から逸脱することなく、当業者は多くの代替的 な実施形態を考察することができよう。
【手続補正書】 【提出日】平成12年1月13日(2000.1.13) 【補正内容】 請求の範囲 1.建物構造と、 前記建物構造が搭載される基礎と、 前記基礎が載せられるスラブであって、該基礎及び前記建物構造を支持するス ラブと、 記スラブを押圧する部材を延長するように作動され、それにより前記基礎及 び前記建物構造を該スラブから離すように持ち上げる加圧流体式持ち上げ装置と 、 前記スラブの下に配置されて地中に延びるピラスターであって、該スラブの支 持体となるピラスターと、 を具備する浮揚可能な建物。 .前記加圧流体式持ち上げ装置が複数の加圧シリンダを具備し、各加圧シリ ンダが多段ブームを備えて前記延長可能な部材として作用する請求項1に記載の 浮揚可能な建物。 .前記ブームが三段ブームであり、少なくとも約10フィートに延長できる 請求項に記載の浮揚可能な建物。 .複数のラグボルトによって前記基礎に取付けられる複数の補強板をさらに 具備し、該補強板が前記加圧シリンダに溶接される請求項に記載の浮揚可能な 建物。 .前記複数の補強板と前記基礎との間で前記複数の加圧シリンダの周りに配 置され、該加圧シリンダの周りに防水シールを提供する複数のゴムシールをさら に具備する請求項に記載の浮揚可能な建物。 .加圧ラインを介して前記複数の加圧シリンダに接続され、該複数の加圧シ リンダを作動して前記基礎を前記スラブから持ち上げさせるポンプをさらに具備 する請求項に記載の浮揚可能な建物。 .前記ポンプに接続され、該ポンプに電力を供給する発電機をさらに具備す る請求項に記載の浮揚可能な建物。 .前記ポンプから前記複数の加圧シリンダへの流体を分配する流れ分配器を さらに具備する請求項に記載の浮揚可能な建物。.前記基礎及び前記スラブがコンクリートから構築される請求項1に記載の 浮揚可能な建物。 10.前記加圧流体式持ち上げ装置における流体が空気である請求項1に記載 の浮揚可能な建物。 11.前記加圧流体式持ち上げ装置における流体が液体である請求項1に記載 の浮揚可能な建物。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF ,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE, SN,TD,TG),AP(GH,KE,LS,MW,S D,SZ,UG),AM,AU,BB,BG,BR,B Y,CA,CN,CZ,EE,FI,GE,HU,IS ,JP,KG,KP,KR,KZ,LK,LR,LT, MD,MG,MN,MX,NO,NZ,PL,RO,R U,SG,SI,SK,TJ,TM,TT,UA,UG ,UZ,VN (72)発明者 アクレー,レイモンド アメリカ合衆国,ニューヨーク 10981, シュガー ローフ,ピー.オー.ボックス 49

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.建物構造と、 前記建物構造が搭載される基礎と、 前記基礎が載せられるスラブであって、該基礎及び前記建物構造を支持するス ラブと、 前記基礎及び前記スラブに取付けられる流体圧式持ち上げ装置であって、前記 スラブを押圧する部材を延長するように作動でき、それにより前記基礎及び前記 建物構造を該スラブから離すように持ち上げる流体圧式持ち上げ装置と、 を具備する浮揚可能な建物。 2.前記スラブの下に配置されて地中に延びるピラスターであって、該スラブ の支持体となるピラスターをさらに具備する請求項1に記載の浮揚可能な建物。 3.前記流体圧式持ち上げ装置が複数の加圧シリンダを具備し、各加圧シリン ダが多段ブームを備えて前記延長可能な部材として作用する請求項1に記載の浮 揚可能な建物。 4.前記ブームが三段ブームであり、少なくとも約10フィートに延長できる 請求項3に記載の浮揚可能な建物。 5.複数のラグボルトによって前記基礎に取付けられる複数の補強板をさらに 具備し、該補強板が前記加圧シリンダに溶接される請求項3に記載の浮揚可能な 建物。 6.前記複数の補強板と前記基礎との間で前記複数の加圧シリンダの周りに配 置され、該加圧シリンダの周りに防水シールを提供する複数のゴムシールをさら に具備する請求項5に記載の浮揚可能な建物。 7.加圧ラインを介して前記複数の加圧シリンダに接続され、該 複数の加圧シリンダを作動して前記基礎を前記スラブから持ち上げさせるポンプ をさらに具備する請求項3に記載の浮揚可能な建物。 8.前記ポンプに接続され、該ポンプに電力を供給する発電機をさらに具備す る請求項7に記載の浮揚可能な建物。 9.前記ポンプから前記複数の加圧シリンダへの流体を分配する流れ分配器を さらに具備する請求項7に記載の浮揚可能な建物。 10.前記基礎及び前記スラブがコンクリートから構築される請求項1に記載 の浮揚可能な建物。
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