【発明の詳細な説明】
平胸類オイルまたはその活性画分を含有する組成物および
それら組成物の昆虫忌避剤としての使用方法
技術分野
本発明は、局所的な昆虫忌避剤の分野にある。特に、平胸類(アメリカダチョ
ウ、エミュー、ダチョウ、キーウィおよびヒクイドリを含む)由来のオイル、平
胸類オイルの活性画分、ならびに平胸類オイルまたはその活性画分およびシトロ
ネラまたはシトロネラおよびサポニンを含有する組成物を含有する、効果的な、
天然のおよび安全な、サシバエ忌避剤を、提供する。平胸類オイルまたはその活
性画分および少なくとも1つの他の昆虫忌避剤を含有する組成物をまた、提供す
る。さらに、脂肪酸の混合物を含有する、刺撃昆虫を忌避するための組成物を、
提供する。そのような組成物を適用する工程を包含する、昆虫を忌避するための
方法もまた、提供される。
背景技術
本発明は、昆虫を忌避するための組成物および方法に関し、そして特に、天然
の成分、平胸類(アメリカダチョウ、エミュー、ダチョウ、キーウィおよびヒク
イドリを含む)由来のオイル、そのようなオイルの活性画分、ならびに平胸類オ
イルまたはその活性画分およびシトロネラまたはDEETのような他の昆虫忌避剤の
少なくとも1つを含有する組成物(必要に応じてさらにサポニンを含有する)を
使用する、蚊およびサシバエ(例えば、ヌカカ科(ceratopogonid)のハエ)のよ
うな刺撃昆虫を忌避するための組成物および方法に関する。特定の脂肪酸の混合
物を含有する昆虫を忌避するための組成物、および特定の脂肪酸を含有するその
ような組成物を適用する工程を包含する、昆虫を忌避するための方法もまた含ま
れる。
昆虫を忌避する公知の天然オイルには、ロタンダイアル(rotundial)(Vitex
rotundifoliaの葉由来、Watanabe Kら(1995)Biotech Biochem 59(10):1979-
1980);シトロネラオイル(例えば、米国特許第5,346,922号);ユーカリオイ
ル(Watanabeら(1993)J.Agric.Food Chem.41:2164-2166);ニーム(neem)
オイル(Sharma VPら(1993)J.American Mosquito Control Association 9(3)
:359-360);およびHedeoma pulgtoidesのオイル、アニサム(anisum)のオイ
ルおよびキクのオイル(米国特許第5,208,209号)が挙げられる。忌避活性を有
する別の天然のオイルは、サポニンである(Sapindus由来のクロダ(Croda))。
サポニンは、シラミを撃退することが示されており、また、忌避剤組成物の塗布
粘稠度の改善、および油っこさの減少に役立つ。
しかしながら、局所的に付与される昆虫忌避剤として最も広く使用される化合
物は、N,N-ジエチル-m-トルアミド(DEET)である。DEETは、子供の皮膚に適用
された場合に、痙攣を引き起こすことに関係している。DEETはまた、特定のプラ
スチックおよび合成ゴムと反応して、皮膚に刺激を引き起こすことが知られてい
る(Watanabeら(1993)、前出)。これらの問題および他の副作用の結果として、
ニューヨーク州は、100% DEETから構成される製品を禁止した。
天然の昆虫忌避剤の活性画分もまたあまり知られていない。不均質化合物を化
学種に分解する方法は、当該技術分野で周知である。例えば、シリカゲルフラッ
シュクロマトグラフィーは、有機化合物の高速分解を提供する(例えば、米国特
許第4,293,422号を参照のこと)。分離後、溶出した画分は、回収され得、そし
て目的の活性について試験され得る。
Franz Bencsits(米国特許第5,589,181号)は、特定のC1〜C4脂肪酸アルキルエ
ステルおよび脂肪性アルコール(好ましくは5〜18の炭素原子を有する)が昆
虫忌避活性を有することを報告している。Bencsitsは、C1〜C4脂肪酸アルキルエ
ステルが、菜種油、ヒマワリ油、ピーナッツ油、ピーナッツバター、大豆油、サ
フラワー種油、クフェア油、ココナツオイル、パーム核油、パーム油、および魚
油中に存在するC5〜C9脂肪酸より得られ得ることを開示する。脂肪性アルコール
は、パラフィンおよび/またはエテンより得られ得る。Bencsitsは、活性物質、
C1−C4脂肪酸アルキルエステルおよび/または脂肪性アルコールのエバポレーシ
ョンを減速するために、天然または天然と同一の植物および/または動物油から
なるキャリアを提供し得ることを、さらに開示する。しかし、Bencsitsは、本発
明の組成物を教示も示唆もしていない。
従って、皮膚に局所的に適用される場合、昆虫(特に刺撃昆虫)を忌避する作
用をする天然の安全な物質の必要性が残存する。そのような物質の活性画分もま
た、平胸類オイルまたはその活性画分を含有する効果的な組成物、および少なく
とも1つの他の昆虫忌避剤(例えば、シトロネラ、DEETまたはサポニン)と組み
合わせた平胸類オイルまたはその活性画分を含有する組成物と同様に必要とされ
る。昆虫を効果的に忌避する脂肪酸の混合物を含有する組成物もまた、必要とさ
れる。
発明の要旨
本発明は、昆虫(特に刺撃昆虫)を忌避するための方法を提供し、この方法は
、平胸類オイル、平胸類オイルの活性画分または脂肪酸の混合物を含有する組成
物を、被験体に対し局所的に適用する工程を包含する。昆虫(特に刺撃昆虫)を
忌避するための方法であり、平胸類オイル、その活性画分または脂肪酸の混合物
および少なくとも1つの他の昆虫忌避剤(例えば、シトロネラまたはDEET)を含
有する組成物を被験体の皮膚に局所的に適用する工程を包含する方法もまた提供
される。本発明は、平胸類オイルの活性画分または脂肪酸の混合物、あるいは平
胸類オイル、その活性画分または脂肪酸の混合物および少なくとも1つの他の昆
虫忌避剤(例えば、シトロネラ、DEETまたはサポニン)を含有する組成物を含有
する、刺撃昆虫を忌避するための組成物をさらに提供する。
図面の簡単な説明
図1は、水、スクロース、またはスクロースおよび希釈エミューオイル(サン
プル776)で処理した濾紙上に存在する蚊の数を、2.5分間隔で示す。▲(黒三角
)は、水処理した濾紙コントロールを示す。□(白い四角)は、スクロース処理
した濾紙を示す。■(黒い四角)は、未希釈のサンプル776で覆ったスクロース
処理濾紙を示す。△(白い三角)は、サンプル776の50%希釈物で覆ったスクロ
ース処理濾紙を示す。○(白い丸)は、25%に希釈されたサンプル776で覆った
スクロース処理濾紙を示す。
図2は、水、スクロース、またはスクロースおよびサンプル776の画分で処理
した濾紙上に存在する蚊の数を、5分間隔で示す。■(黒い四角)は、水処理し
た紙を示す。□(白い四角)は、その上をスクロース処理した紙を示す。▲(黒
い三角)は、サンプル776で覆ったスクロース処理紙を示す。△(白い三角)は
、画分F1で覆ったスクロース処理紙を示す。●(黒い丸)は、画分F2で覆っ
たスクロース処理紙を示す。
図3は、エミューオイルのF1画分の1H NMRスペクトルを示す。
図4は、エミューオイルのF2画分の1H NMRスペクトルを示す。
図5は、10分間隔ごとに試験肢を刺撃した蚊の平均数を示す。
発明の実施の形態
本明細書を通じて、種々の文献、特許および特許出願は、同定される引用によ
り引用される。これらの刊行物、特許および特許出願の開示は、本発明が関係す
る技術の状況をさらに詳細に記述するために、本明細書中で参考として援用され
ている。
本発明は、昆虫(特に刺撃昆虫)を忌避する方法を提供し、この方法は、平胸
類(アメリカダチョウ、エミュー、ダチョウ、キーウィおよびヒクイドリを含む
)由来のオイルを用い、このオイルは天然のそして安全な物質である。本発明は
また、平胸類オイルの活性画分を適用する工程を包含する昆虫を忌避する方法を
含む。本発明はまた、忌避効果を有する脂肪酸を含有する昆虫を忌避するための
組成物を提供する。本発明はまた、脂肪酸の混合物を含有するそのような組成物
を局所的に適用する工程を包含する昆虫を忌避する方法を提供する。好ましい実
施態様において、純粋な平胸類オイルが、皮膚に適用される。別の好ましい実施
態様において、希釈された平胸類オイルが、局所的に適用される。さらに別の実
施態様において、平胸類オイルの活性画分が、皮膚に適用される。さらに好まし
い実施態様において、平胸類オイルまたはその活性画分および少なくとも1つの
他の昆虫忌避剤を含有する組成物が、皮膚に適用される。平胸類オイルまたはそ
の活性画分と組み合わせられ得る適切な昆虫忌避剤としては、N,N-ジエチル-m-
トルアミド(DEET)、シトロネラオイル、ロタンダイアルオイル、ユーカリ
オイル、ニームオイル、Hedeoma pulgioidesのオイル、アニサムのオイル、キク
のオイルおよびサポニンが挙げられるが、これらに限定されない。
本発明は、平胸類オイル、平胸類オイルの活性画分または脂肪酸の混合物を含
有する刺撃昆虫を忌避するための組成物をさらに提供する。平胸類オイル、その
活性画分または脂肪酸の混合物および少なくとも1つの他の昆虫忌避剤を含有す
る組成物もまた含まれる。平胸類オイル、その活性画分または脂肪酸の混合物を
含有する組成物と組み合わせら得る適切な昆虫忌避剤としては、N,N-ジエチル-
m-トルアミド(DEET)、シトロネラオイル、ロタンダイアルオイル、ユーカリ
オイル、ニームオイル、Hedeoma pulgioidesのオイル、アニサムのオイル、キク
のオイルおよびサポニンが挙げられるが、これらに限定されない。
平胸類オイル、その活性画分または脂肪酸の混合物および少なくとも1つの他
の昆虫忌避剤を含有する組成物は、驚くべきことに、予想外の相乗的効果を示す
ことが見出された。これらの組成物の忌避活性は、平胸類オイル、平胸類オイル
の活性画分、脂肪酸の混合物または他の昆虫忌避剤単独よりも、非常に大きかっ
た。この相乗的効果はまた、平胸類オイル、および別の昆虫忌避剤の希釈調製物
においても観察された。
以下の実施例は、当業者に対し、さらなる詳しい指針として提示されて、如何
ようにも本発明を限定するものとは解釈されるべきでない。
実施例 実施例1: 蚊の着地および刺撃の頻度に対するエミューオイルの効果
エミューオイルが有効な蚊忌避剤であるかどうかを決定するために、純粋なエ
ミューオイル(Zoogen,Inc.,Davis,Ca)を、ボランティアの片手に適用した
。他方の手は未処置のままにした。それぞれの手を、蚊(Aedes aegypti)を含
むナイロンメッシュかごに入れ、そして30秒間に着地し、そして/または刺撃し
た蚊の数を記録した。この実験を2回行なった。これらの実験の結果を平均し、
表1にまとめる。 これらの結果は、局所的に適用されたエミューオイルが有効な蚊忌避剤である
ことを証明する。局所的に適用されたエミューオイルは、着地する蚊の数を著し
く減らし、刺撃を完全に除去する。実施例2 時間の経過に伴う蚊忌避剤としてのエミューオイルの有効性
局所的に適用されたエミューオイルが、蚊忌避剤として、その効能をどのくら
いの期間維持するかを決定するために、処置した手を、適用後15分、30分および
60分で、蚊を入れたかごに曝した。各時点において、着地および刺撃の数を、未
処置の手と比較した。2回の実験から得た結果を平均し、表2に提示する。
これらの結果は、エミューオイルが、少なくとも30分間、有効な蚊忌避剤であ
り続けることを示す。実施例3 希釈エミューオイルの有効性
希釈エミューオイルの有効性を決定するために、エミューオイルを、固定割合
に酢酸エチルで希釈し、片手に適用し、そして蚊を入れたかごに挿入した。着地
数を記録した。これらの実験を、各希釈レベルにて2回行なった。結果を表3に
示す。 これらの結果は、希釈量のエミューオイルが蚊を有効に忌避することを証明す
る。1%程度の希釈でも、エミューオイルは、着地する蚊の数を半分に減少させ
る。25%エミューオイルでは、蚊の着地数は、未処置の手への着地の10分の1に
低下する。従って、エミューオイルは、1%以上の濃度で、有効な昆虫忌避剤で
ある。実施例4 エミューオイルの分画およびその画分の有効性
Stillら(1978)J.Organic Chem.43:2923に記載されるのと本質的に同様に
、エミューオイルのサンプル(776)(850mg)を水蒸気蒸留し、そしてシリカフラ
ッシュクロマトグラフィー(Bakerシリカゲル、40μm)を用いて分画した。100
%ヘキサンおよび25%酢酸エチル/ヘキサンを用いて、このカラムから、このサ
ンプルの2個の主要成分を溶出した。画分を、50%ヘキサン/酢酸エチルで展開
するシリカプレート上での薄層クロマトグラフィー(TLC)により分析した。プ
レートをUV光に暴露し(紫外光発色団を示す)、バニリン/硫酸でプレートをス
プレーする(高級アルコール類、ステロール類、フェノール類またはエッセンシ
ャルオイル類の存在を示す)ことにより、TLCプレート上の成分を観察した。F
2と称する430mgの透明オイルは、UV活性であり、そしてバニリン/硫酸に対して
反応性であることが見出された。第2の成分であるF1と称する380mgの淡黄色
のオイルは、UV活性がなく、そしてバニリンで染色されなかった。F1画分およ
びF2画分を、図3および図4で示すように、1H NMR(300MHz、CDCl3)により
分析した。
濾紙のウェッジ(wedge)をスクロースで処理し、粗サンプル776、F1または
F2のいずれかのアリコートで覆うことにより、蚊忌避剤バイオアッセイを行な
った。水またはスクロースで処理した濾紙をコントロールとして供給した。F1
およびF2のサンプルを、最大強度(full-strength)で試験するか、またはコ
ーンオイルでの最大強度の50%または25%への希釈物で試験した。等間隔の時間
で、濾紙のウェッジに着地して摂食した蚊の数を記録した。結果を、図1および
図2に示す。
図1に示されるように、最大強度の25%まで希釈した場合でも、粗サンプル(7
76)は、スクロース処理紙(sucrose paper)上に着地する蚊の数を著しく減少さ
せる。さらに、図2は、最大強度のおよび最大強度の50%または25%まで希釈し
たサンプル776のF1画分およびF2画分の両方が、スクロース処理コントロー
ルと比較すると、蚊の忌避に有効であったことを示す。実施例5 ダニ忌避剤としてのエミューオイルの効果
エミューオイルが有効なダニ忌避剤であるかどうかを決定するために、試験被
験体の手をエミューオイルで処置したが、手の指を未処置のままとした。ポジテ
ィブコントールとして、手にUltrathon(3M、Minneapolis、MN)を適用し、指を
未処置のままとした。未処置の手を、ネガティブコントロールとして使用した。
Unfed nymphal Western Black-leggedダニを、これらの手の指に置き、それらが
、手の処置した皮膚または未処置の皮膚に向かって登っていくのを観察した。処
置した皮膚を横断したダニを、「横断(crossing)」と判定した。横断しなかっ
たものを、「忌避」と判定した。1回の判定を記録した後で、ダニを取り除いた
。忌避度は、全試験に対してダニが忌避した割合として計算する。例えば、10回
の試験のうち8回忌避すれば、忌避度80%となる。この研究において、各被験体
は、15分間隔で2時間15分間、ダニ試験をした。これらの結果を、以下に示す:
ネガティブコントロール(未処置の皮膚)− 忌避度0%
ポジティブコントロール(Ultrathon(3M))− 忌避度70%
エミューオイル− 忌避度40%
2時間の試験期間にわたって、忌避度が低下したという徴候はなかった。実施例6 蚊刺撃の頻度に対する、エミューオイルおよびシトロネラの組成物の効果
シトロネラが、エミューオイルの蚊忌避効果を高めるかどうかを決定するため
に、エミューオイル単独、ならびにエミューオイルおよびシトロネラを含有する
組成物(100%シトロネラオイル30滴/純粋なエミューオイル25mL)の忌避活性
31%DEET)と比較した。シトロネラ(Cymbopagon nardus)のオイルを、Aura Ca
cia(Weaverville、CA)から入手した。
試験を、Florida Keys、すなわち、Big Pine KeyおよびLittle Pine Keyで行
なった。試験中、大気温度は、24〜26℃であり、快晴で微風があった。Aedes ta
eniorhynchusは、被験体に接近するかまたは攻撃した蚊のうちの>99%を占めた
。
第一の研究では、3人の被験体を純粋なエミューオイルで適用し、1人の被験
体をUltrathonを適用し、そして2人の被験体をネガティブコントロールとして
提供した。第2の研究において、エミューオイルに、シトロネラのオイルを添加
した。3人の被験体をエミューオイルおよびシトロネラを含有する組成物で適用
し、2人の被験体をUltrathonを適用し、そして2人の被験体をネガティブコン
トロールとして提供した。6人の参加者は、Monroe County、Florida、Mosquito
Control Serviceの従業員であった。処置は、脚および腕の表面に一様に分けら
た。適用の前に、各被験体について、処置表面の表面積を算出した。これらの試
験物質を、およそ3mL/表面積650平方センチメートルの投薬率で適用した。
試験被験体を、一連の10分期間で刺撃を数え、記録した。数をデータシートに
記録した。第1の研究において、試験期間は2時間であり、12回連続の10分間の
記録期間であった。第2の研究において、試験領域内で、より多産の場所(すな
わち、より高い刺撃率を有する場所)に移動する必要性により、試験を2回の風
の強い短い期間にわたって中断した。結果として、この中断を含む全試験期間は
、2時間25分間であった。
未処置のコントロール肢を有する被験体による研究を通じて、環境刺撃割合を
測定した。平均の環境刺撃割合は、両方の研究での試験には充分であり、10分間
の間隔あたり、17刺撃と70刺撃の間の範囲であった(平均=38.5;図5を参照の
こと)。
エミューオイルおよびポジティブコントロール(Ultrathon)の両方は、この
試験期間にわたって蚊を忌避した。エミューオイルおよびシトロネラオイルを含
有する組成物は、忌避剤として特に有効であった(図5を参照のこと)。エミュ
ーオイル単独の忌避特性は、刺撃の数を10分間あたり平均5.7刺撃に低下させた
。エミューオイルおよびシトロネラを含有する組成物は、ポジティブコントロー
ル(Ultrathon)に近く、Ultrathonについての10分間あたり0.2刺撃と比較して
、エミューオイル/シトロネラ組成物については10分間あたり0.8刺撃であった。
この試験期間にわたって、エミューオイル、エミューオイルおよびシトロネラを
含有する組成物、ならびにUltrathonは、Aedes taeniorhynchusからの刺撃の割
合を実質的に低下させた。エミューオイルおよびシトロネラを含有する組成物は
、エミューオイル単独よりもずっと有効であったので、米国環境保護局(EPA)に
登録された蚊忌避剤により提供される保護に匹敵する保護を提供する。エミュー
オ
イルおよびシトロネラについては、時間の経過に伴って忌避性が減じる傾向は認
められなかった。実施例7 ヌカカ科の刺撃ハエの刺撃頻度に対するエミューオイル、シトロネラおよびサポ ニン組成物の効果
刺撃昆虫忌避剤としてのエミューオイル、シトロネラおよびサポニンを含有す
る組成物の有効性を決定するために、8人のヒト被験体が、実験に参加し、ここ
で3人の被験体をエミューオイル単独で処置するか、またはシトロネラおよびサ
ポニンとともにエミューオイルで処置した。3人の別の被験体をネガティブコン
トロールとし、一方2人の被験体は2つの市販の昆虫忌避剤であるUltrathonTM(
DEETベースの忌避剤)およびTreoTM(植物ベースの忌避剤)で処置した。試験は、
3つの場所で行われた:a)Big Pine Key,フロリダにて;b)Fair child Tro
pical Gardens、マイアミ、フロリダにて;およびc)Hopkins Village、Belize
、中央アメリカ。各試験期間中に、温度の範囲は、21〜24℃であり、天候は晴れ
、微風であった。
2つのエミューオイルの調製物を試験のために調製した:a)100%エミュー
オイル単独;ならびにb)20mLエミューオイル+30滴のシトロネラオイルおよ
び2mLのサポニン(Sapindus由来のクロダ(Croda))。
比較コントロールとして使用した2つの市販忌避剤は、以下の通りであった:
ベースの製品、約32%DEET);およびb)TreoTM(Primavera Laboratories,Inc
.
ネガティブコントロールは、未処置の皮膚であった。
試験物質を、試験する被験体の前腕または下腿のいずれかの皮膚に適用した。
処置された皮膚の表面の面積を、適用の前に各被験体について計算した。試験物
質の適用(Ultrathonを除く)を、3.0mL/650cm2の投薬量で行った。これはEPA登
録のために植物起源(herbal)の忌避剤の研究において使用された投薬量に匹敵
する。Ultrathonを、製造業者の推奨する1mL/650cm2の投薬量で適用した。
各試験被験体は、10分おきに開始する連続するサンプリング時間の間、処置
表面およびコントロール表面でヌカカ科の刺撃ハエより受けた刺撃の数を記録し
た。全体の持続試験時間は約1時間であった。EPAは、小刺撃ハエに対する忌避
性の主張のために必要な保護持続時間として、1時間を承認する。結果を、以下
の表4に示す。 刺撃速度は、各試験物質において、コントロールよりも非常に低かった。エミ
ューオイルならびにエミューオイル、シトロネラおよびサポニン組成物を用いる
刺撃の速度は、コントロールよりも非常に低く、そしてEPA登録の植物起源の忌
避剤であるTreoよりも低かった。エミューオイル、シトロネラおよびサポニン組
成物は、多くのサンプリング時間において全体で刺撃を妨げた。根深い刺撃(刺
撃後30分以内に別の刺撃が続く)は、第1のサンプリング時間において被験体
1においてのみ、そして第3のサンプリング時間において被験体3においてのみ
記録された。従って、エミューオイルは、シトロネラのような植物起源の忌避剤
と組み合わせられる場合に、明白な相乗的効果を有する。実施例8 エミューオイルの相乗的忌避剤効果
エミューオイル調製物を、エタノールを用いてエミューオイルの最終濃度を0.
02%に希釈して調製した。OFF!SkintasticTM(S.C.Johnson)をエタノールを用い
て、最終濃度0.01%に希釈した。希釈OFF!および希釈エミューオイルの1:1溶
液(容量基準)を調製した。10mLの希釈0.01%OFF!、10mLの希釈0.02%エミュ
ーオイル、および10mLのエタノールからなる1:1:1溶液を調製した。
エミューオイルが相加的および/または相乗的効果を他の昆虫忌避剤と組み合
わせた場合に有するか否かを決定するために、これらの調製物を単独および組み
合わせて試験した。各調製物をボランティアの手に適用し、20秒間、Aedes aegy
pti蚊の集団に曝露した。各調製物について、試験を3回繰り返した。ポジティ
ブコントロール調製物は、100%エミューオイルまたは100%OFF!のいずれかであ
った。ネガティブコントロールは、未処置皮膚であった。この試験の結果を、以
下の表5に示す。
これらの結果は、希釈したエミューオイルが、他の希釈忌避剤(この場合はDE
ETベースの忌避剤)と組み合わせた場合、相加的忌避効果および相乗的忌避効果
の両方を有したことを示す。実施例9
上記の実施例4において特徴付けられたエミューオイルの活性画分のNMRスペ
クトルは、脂肪酸のスペクトルと対応することが見出された。エミューオイルに
存在することが公知の特定の脂肪酸の種々の割合を含有する組成物を調製し、そ
して忌避活性について試験した。以下の表6は、1つのそのような組成物の化学
組成、ならびに以前に忌避剤でないことが示されているコーンオイル、および近
年BiteBlockerTM(Consep,Inc.,Bend,OR)として市場に導入された昆虫忌避剤
の成分である大豆油と比較した場合の情報を示す。表6に載せたコーンオイルお
よび大豆油中の脂肪酸の割合は、deMan,John M,PRINCIPLES OF FOOD CHEMISTR
Y(Avi publishing Co.,1980)からである。エミューオイルにおける脂肪酸の割
合は、FASTRAX Ratites,Inc.,Santa Ynez,CAから入手し、そしてエミューオ
イルの抗炎症活性を報告したWO92/08470(Ghoshら)において公開された。試験は、前述の実施例において報告された以前の実験における通りに行った。試
験は、ニューメキシコ(New Mexico)における野生生物区域において屋外で行っ
た。ここでの優勢な蚊の種は、Aedes vexans(攻撃的な刺撃昆虫)である。試験
は、夏に午後早く(14:30〜16:30、試験1)および午後遅く/夕方早く(15:15
〜19:15、試験2)に、小川の近くで、標高約2500メートルにおいて行った。2
つの別個の試験において、全員で4人の被験体に、一方の前腕に対して、表6に
示す約2.5mLの脂肪酸組成物を適用した。各被験体の他方の前腕は、処置せず
、コントロールとした。試験1
試験1において、3人の被験体が、2時間の時間、曝露された。周囲の刺撃を
、各未処置前腕において、1分あたり3刺撃で概算した。2時間の試験時間にわ
たり、いずれの試験被験体の処置された腕の表面も、刺撃を受けなかった。試験2
試験2において、1人の被験体が、4時間の時間、曝露された。前腕あたりの
周囲の刺撃速度を、各24-10分の時間において測定した。周囲の刺撃速度は、平
均で1分間に0.5刺撃であり、1分間に0〜1.5刺撃の範囲内である。試験被験体
は、組成物の適用後、約225分で、処置された前腕表面に1つの刺撃を受けた。
対照的に、試験被験体は、240分の試験時間の間、未処置コントロール前腕表面
に全部で116の刺撃を受けた。
従って、これらの結果は、平胸類オイル中に存在する脂肪酸の混合物を含有す
る組成物が昆虫忌避剤として効果的であることを実証する。
本発明をここで充分に記述してきたが、当業者は、同様のことを、本発明の精
神および範囲から逸脱することなく、また過度の実験を行なうことなく、広範囲
の等価なパラメーター、濃度および条件内で行ない得ると理解する。本発明は、
それらの特定の実施態様に関連して記述されているが、さらなる改変が可能であ
ることが理解される。本願は、本発明の任意の変形、使用または適応(これらは
、一般に、本発明の原理に従っており、本発明が関係する技術範囲内の公知また
は
通例の実施に入るような本開示からの逸脱、および添付の請求の範囲に従って前
述の必須の特徴に適用され得る本開示からの逸脱を含めて)を包含することを意
図している。
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フロントページの続き
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY,
DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I
T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ
,CF,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,
NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,KE,L
S,MW,SD,SZ,UG,ZW),EA(AM,AZ
,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),AL
,AM,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,
BY,CA,CH,CN,CU,CZ,DE,DK,E
E,ES,FI,GB,GE,GH,HU,ID,IL
,IS,JP,KE,KG,KP,KR,KZ,LC,
LK,LR,LS,LT,LU,LV,MD,MG,M
K,MN,MW,MX,NO,NZ,PL,PT,RO
,RU,SD,SE,SG,SI,SK,SL,TJ,
TM,TR,TT,UA,UG,US,UZ,VN,Y
U,ZW