JP2002372710A - 液晶表示装置 - Google Patents

液晶表示装置

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JP2002372710A
JP2002372710A JP2002135665A JP2002135665A JP2002372710A JP 2002372710 A JP2002372710 A JP 2002372710A JP 2002135665 A JP2002135665 A JP 2002135665A JP 2002135665 A JP2002135665 A JP 2002135665A JP 2002372710 A JP2002372710 A JP 2002372710A
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正之 岡本
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肇 平木
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 視認性に優れ、かつ、高解像度表示が可能で
あり、反射光と透過光とを共に表示に利用することがで
きる液晶表示装置を提供する。 【解決手段】 照度を変化させたときの知覚明度(S
r)の値は、半透過型の液晶表示装置における表示可能
領域の反射表示部の割合によって異なる。透過表示部の
一部を反射表示部に変更することにより10bril以
上の知覚明度を確保するためには、曲線612に示すよ
うに、Sr=0.1とする必要がある。また、反射表示
部の一部を透過表示部に変更することにより10bri
l以上の知覚明度を確保するためには、曲線614に示
すように、Sr=0.9とする必要がある。また、曲線
617に示す、表面反射による知覚明度と照度との関係
から、Sr≧0.3であることが、より良好な表示を行
う上で好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ワードプロセッ
サ、ノート型パソコン等の情報機器や、各種映像機器お
よびゲーム機器、携帯型VCR、ディジタルカメラ等に
使用される液晶表示装置に関するものであり、より詳し
くは、特に、屋外および屋内共に使用される液晶表示装
置や、自動車、航空機、船舶等の、照明環境の変化の激
しい環境にて使用される液晶表示装置に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】従来、電気的に表示内容の書き換えが可
能な自発光型表示装置として、陰極線管(CRT;Catho
de Ray Tube )や、エレクトロルミネッセンス(EL;E
lectroLuminescence )素子、プラズマディスプレイパ
ネル(PDP;Plasma DisplayPanel )等が実用化され
ている。
【0003】しかしながら、自発光型表示装置は、表示
光そのものを発光させて表示に用いるため、電力消費量
が大きいという問題点を有している。さらに、自発光型
表示装置の発光面は、それ自体、高い反射率を有する表
示面であることから、自発光型表示装置を用いた場合、
発光輝度に比べて使用環境の周囲光が強い状況、例えば
直射日光下等において、表示光が観察できなくなるいわ
ゆるウォッシュアウト現象が避けられない。
【0004】一方、表示光そのものは発光せずに、特定
の光源からの光の透過光量を調節することによって文字
や画像を表示するカラーディスプレイとして、液晶表示
装置が実用に付されている。該液晶表示装置(LCD;
Liquid Crystal Display)は、透過型液晶表示装置と、
反射型液晶表示装置とに大別することが可能である。
【0005】そのうち、カラー液晶表示装置として現在
特に広く用いられているものは、背景、即ち、液晶セル
の背面に、いわゆる背景照明(バックライト)と呼ばれ
る光源を用いた透過型液晶表示装置である。該透過型液
晶表示装置は、薄型、軽量等の利点を有し、各種分野に
おいてその用途が拡大しているが、その一方で、背景照
明(バックライト)を発光させるために多量の電力を消
費し、液晶の透過率変調に用いる電力が少ないにも拘ら
ず、比較的大きな電力を要する。
【0006】しかしながら、このような透過型液晶表示
装置(即ち、透過型カラー液晶表示装置)においては、
前記自発光型表示装置に見られるウォッシュアウト現象
は低減される。これは、透過型カラー液晶表示装置に便
用されているカラーフィルタ層の表示面の反射率が、ブ
ラックマトリクスを用いたカラーフィルタ層の低反射率
化技術等によって低減されているためである。
【0007】しかしながら、透過型カラー液晶表示装置
を用いた場合であっても、周囲光が非常に強く、相対的
に表示光が弱い場合には、表示光の観察が困難になる。
このため、このような問題点を解決すべく、さらに背景
照明光を増強させると、より多くの電力を消費するとい
う問題を招来する。
【0008】以上のような発光型表示装置や透過型液晶
表示装置に対し、反射型液晶表示装置は、周囲光を利用
して表示を行うため、周囲光量に比例した表示光を得る
ことができる。このため、反射型液晶表示装置は、上記
のウォッシュアウト現象を起こさないという原理的利点
を有し、直射日光の当たるような非常に明るい場所で
は、却ってより鮮明に表示を観察することができる。さ
らに、反射型液晶表示装置は、その表示において背景照
明(バックライト)を必要としないため、背景照明(バ
ックライト)を発光させるための電力を削減することが
可能である等の利点を有している。このため、反射型液
晶表示装置は、携帯情報端末機器やデジタルカメラ、携
帯ビデオカメラ等の屋外での使用に特に適している。
【0009】しかしながら、これら従来の反射型液晶表
示装置では、周囲光を表示に利用するため、表示輝度が
周辺環境に依存する度合いが非常に高く、周囲光の弱い
環境下では表示内容を確認することができないという問
題点を有している。特に、色彩表示(カラー表示)を実
現するために用いられているカラーフィルタを用いた場
合、カラーフィルタが光を吸収するため、更に表示が暗
くなる。従って、このような場合、上記の問題はより一
層顕著になる。
【0010】そこで、反射型液晶表示装置を周囲光の弱
い環境下でも使用することができるように、フロントラ
イトと呼ばれる照明装置が補助照明として開発されてい
る。反射型液晶表示装置は、液晶層の背面に反射板が設
置されており、透過型液晶表示装置のような背景照明
(バックライト)を用いることができない。このため、
反射型液晶表示装置に用いられる照明装置(フロントラ
イト)は、反射型液晶表示装置を前方、即ち、表示面側
から照明するようになっている。
【0011】一方、反射型液晶表示装置の利点を生か
し、かつ、周囲照明光が弱い環境下での使用を可能にす
る液晶表示装置として、入射光の一部を透過し、残りの
入射光は反射させる、いわゆる半透過性の反射膜を用い
た液晶表示装置が実用化されている。このように透過光
と反射光とを共に用いる液晶表示装置は、一般に半透過
型液晶表示装置と呼ばれている。
【0012】例えば、特開昭59−218483号公報
(特願昭58−92885号公報に対応)等には、TN
(ツイステッドネマティック)方式や、STN(スーパ
ーツイステッドネマティック)方式等の、透過光強度を
変調する液晶表示方式を用いて明度変調を行う半透過型
液晶表示装置が開示されている。また、特開平7−31
8929号公報には、液晶層に近接して配置されている
反射膜が半透過性を有する半透過型液晶表示装置が開示
されている。さらに、特開平6−160878号公報に
は、広い視野角を実現する技術として、インプレインス
イッチング法を用いた透過型液晶表示装置が開示されて
いる。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特開昭
59−218483号公報に記載の半透過型液晶表示装
置は、観察者側からみて液晶セルの裏面に半透過性の反
射膜を配しているため、以下に示すような問題点(1) お
よび(2) を有している。
【0014】つまり、まず、(1) 表示の見易さを左右す
る明度の設定に困難を伴う。つまり、半透過型液晶表示
装置の明度を反射表示を行う場合の明度に合わせて設定
する場合には、該明度を、周囲光が不足するような条件
での使用に備えて高く設定する必要がある。しかしなが
ら、明度を高くするために、例えば、TN方式において
用いる偏光板の透過率を高く設定すると、透過表示にお
いては、明表示の明度を暗表示の明度で除して定義され
るコントラスト比が不足し、視認性を悪化させる。一
方、上記の明度を、透過表示を行う場合の明度に合わせ
て設定する場合には、該明度を、コントラスト比を高め
るように設定することが望ましいが、この場合、反射表
示において明度が不足し、視認性を悪化させる。
【0015】また、(2) 反射表示においては、基板に挟
持された液晶層を通過する光を、液晶セルの裏面に設け
られた反射膜で反射させて表示を観察するため、反射表
示における視差(二重像)が見られ、解像度の低下を引
き起こし、高解像度表示は困難となる。
【0016】また、前記特開平7−318929号公報
に記載の半透過型液晶表示装置は、反射膜自体が半透過
性を有しているため、反射表示部と透過表示部とに適し
た光学設計が不可能であるという問題点を有している。
【0017】さらに、前記特開平6−160878号公
報にて開示されているインプレインスイッチング方式
は、透過型液晶表示装置に使用されているが、櫛形電極
上の液晶配向は、表示に寄与しない。これは、この電極
配線が多くの場合、透光性のない金属にて作製されるた
めではなく、液晶配向変化が透過表示には不十分な為で
ある。
【0018】そこで、これらの課題を解決すべく、本願
発明者等は、視差の抑制が可能な反射型液晶表示に用い
られている表示方式を、半透過型液晶表示装置に適用す
ることを試みた。具体的には、(a) 液晶層に二色性を有
する色素(二色性色素)を混入した液晶組成物を配した
GH(ゲストホスト)方式、(b) 偏光板を1枚利用した
反射型液晶表示方式(以下、1枚偏光板方式と略記す
る)の2つの方式を半透過表示に利用することを鋭意検
討した。
【0019】尚、上記(a) および(b) の2方式に示すよ
うな、視差を生じさせない表示方式の利用の検討に際
し、反射膜を液晶層に略接するように配置し、反射光に
加えて透過光も表示に利用できるようにするため、反射
膜には透過開口部分を設けた。
【0020】この結果、さらに、以下の問題点が明らか
になった。まず、(a) GH方式では、液晶組成物に混入
する二色性色素の濃度を、反射表示に適するように調整
すると、透過表示部では、明度は高いもののコントラス
ト比が不足し、良好な表示を得ることができない。一
方、液晶組成物に混入する上記二色性色素の濃度を、透
過表示に適するように調整すると、透過表示部では良好
なコントラスト比が得られるものの、反射表示部では明
度が低下し、良好な反射表示を得ることはできない。
【0021】また、(b) 1枚偏光板方式を半透過表示に
用いる場合、光学特性を決定する液晶配向や液晶層厚、
あるいは、それらを駆動する液晶に印加される電圧等の
設定は、反射表示部に合わせて設定するか、あるいは、
表示面の背面にさらに偏光板等を追加して透過表示を行
い(2枚偏光板方式)、この透過表示に合わせて設定す
るかの二通りが考えられる。
【0022】まず、液晶層厚を反射表示に適した層厚に
設定した場合の透過表示部における表示について説明す
る。反射表示に適した液晶層の設定を行った場合におけ
る液晶層の電界等の外場による配向変化に伴う偏光状態
の変化の量は、前方、即ち、表示面側から液晶層を通っ
て入射した光が再び液晶層を通って表示面側に出射する
ことにより液晶層を往復して十分なコントラスト比が得
られる程度である。しかしながら、この設定において
は、透過表示部では、液晶層を通過した光の偏光状態の
変化量が不十分である。このため、反射表示に用いる液
晶セルの観察者側、即ち、表示面側に設置された偏光板
に加え、透過表示のみに使用する偏光板を観察者側から
みて液晶セルの背面に設置しても、透過表示部では十分
な表示は得られない。つまり、液晶層の配向条件を反射
表示に適した液晶層の配向条件(液晶層厚、液晶配向
等)に設定した場合、透過表示部では、明度が不足する
か、あるいは、明度が十分であっても、暗表示の透過率
が低下せず、表示に十分なコントラスト比が得られな
い。
【0023】さらに詳細に説明すると、反射表示を行う
場合、液晶層を一度だけ通過する光に対して概ね1/4
波長の位相差が付与されるように、上記液晶層における
液晶の配向状態が上記液晶層に印加される電圧によって
制御されている。このような位相差を液晶層を通過する
光に付与すべく設定された液晶層を用いて、液晶層を通
過する光に1/4波長の位相変調を与える電圧変調のみ
を行って透過表示を行うと、透過表示部が暗表示のとき
の透過率を十分に低下させる場合には、透過表示部が明
表示のときには光の出射側の偏光板で約半分の強度の光
が吸収され、十分な明表示が得られない。また、透過表
示部が明表示のときの明度を増すために偏光板、位相差
補償板等の光学素子の配置を行うと、透過表示部が暗表
示のときの明度は、明表示のときの明度の約1/2の明
度となり、表示のコントラスト比が不十分となる。
【0024】次に、液晶層の配向条件を透過表示に適し
た条件に設定した場合の反射表示部における表示につい
て説明する。透過表示に適した液晶層で反射表示を行う
場合、液晶層を一度だけ通過する光の偏光状態が、ほぼ
直交する二つの偏光状態の間で変調するように、電圧変
調により液晶配向を制御する必要がある。ここで、直交
する二つの偏光状態とは、直交する振動面を有する二つ
の直線偏光であってもよいし、また、左右の円偏光であ
ってもよく、さらに、同じ楕円率の二つの楕円偏光で長
軸方位が直交して光電界の回転方向が反転したものであ
ってもよい。これらの直交する二つの偏光状態の組み合
わせの間での偏光状態の変調を実現するためには、液晶
層にて透過光に対して1/2波長の位相差が付与される
ように電圧変調する必要がある。このように直交する二
つの偏光状態の間で光の偏光状態が変調する場合には、
何れの場合でも、偏光板の作用と、必要に応じて用いら
れる位相差補償板の作用とにより、透過表示において、
十分な明度とコントラスト比とが実現可能である。
【0025】しかしながら、このような制御を実現すべ
く上記の液晶層の設定を行った場合、透過表示では、明
表示から暗表示に一度だけ変化する間に、反射表示にお
いては、反射率の変動が明表示から暗表示になり、さら
に明表示になる等、液晶の配向変化手段が同じ場合(例
えば液晶層の層厚が同じで初期配向も同様であって、さ
らに同じ電圧で駆動される場合)、同じ明暗の表示が実
現できない。尚、上記(a) ・(b) の場合に生じる課題
は、前記特開平7−318929号公報に記載の半透過
型液晶表示装置においても同様である。
【0026】また、液晶表示装置に重ねて使用される押
圧感知入力装置(タッチパネル)は、それ自身が光に対
する反射性を有しているために視認性を悪化させやすい
という問題点を有しており、特に反射型液晶表示装置に
おいてその傾向は顕著である。
【0027】また、周囲光が暗い環境での反射型液晶表
示装置の視認性を改善するフロントライトユニットは、
多くは平面状のライトパイプ構造であり、表示内容がこ
のライトパイプ越しに観察されるため、視認性が悪化し
やすいという間題点を有している。
【0028】本発明は、上記の問題点に鑑みなされたも
のであり、その目的は、視認性に優れ、かつ、高解像度
表示が可能であり、反射光と透過光とを共に表示に利用
することができる液晶表示装置を提供することにある。
また、本発明のさらなる目的は、視認性に優れ、かつ、
高解像度なカラー表示が可能であり、反射光と透過光と
を共に表示に利用することができる液晶表示装置を提供
することにある。
【0029】
【課題を解決するための手段】本発明にかかる請求項1
記載の液晶表示装置は、上記の課題を解決するために、
対向する一対の基板と、該一対の基板間に挟持された液
晶層とを有する液晶表示素子を備えた液晶表示装置であ
って、反射表示部と透過表示部とを備え、上記反射表示
部と透過表示部との合計の面積に対する反射表示部の面
積の占める割合が、30%以上、90%以下であること
を特徴としている。
【0030】透過表示部と反射表示部との比率は、視認
性を考慮して設定される必要がある。人の視覚の適応現
象を考慮した、視覚によって知覚される明るさ(知覚明
度)は、表示面の輝度だけでなく、順応輝度によっても
影響される。視覚を観察対象物の反応面に順応させてい
るような観察者の順応について考察すると、観察対象物
の輝度面が反射面である場合、順応輝度は、観察者が順
応する対象面を照明する照明光源による、その対象面で
の照度に一定の値を乗じた値で示される。通常の人間の
観察対象の平均的な反射率を有しているといわれてい
る、マンセル色票N5の面の反射率を用い、ある照度に
よって照らされたマンセル色票N5の面の輝度を順応輝
度として考慮し、さらに、観察対象の代表であるマンセ
ル色票N5の面を照明している照明光源は、順応対象、
即ち、マンセル色票N5の面だけではなく、その順応条
件のもとで知覚明度が評価される対象サンプル面も同時
に照明していると仮定すると、液晶表示装置を観察する
場合の反射表示部の知覚明度が、順応輝度を通じて、そ
の液晶表示装置を照明する照度と結びつく。
【0031】照度を変化させたときの知覚明度の値は、
半透過型の液晶表示装置における表示可能領域の反射表
示部の割合(Sr)によって異なる。半透過型の液晶表
示装置の表示輝度を用いて照度を変化させて知覚明度を
求めた結果から、Sr値が0.1〜0.9において、知
覚明度が10bril以上、30bril未満の良好な
表示を行うことができることが判る。また、液晶表示装
置の表面に生じる表面反射を考慮すれば、反射表示部の
面積は、反射表示部の面積と透過表示部の面積との和の
30%以上(即ちSr≧0.3)であることが、より良
好な表示を行う上で好ましい。
【0032】以上の解析によれば、反射表示部と透過表
示部とで共に色彩表示を行う場合、反射表示部の面積と
透過表示部の面積との和における反射表示部の面積の割
合が30%以上、90%以下である場合に良好な表示を
行うことができることが判る。尚、反射表示および透過
表示のうち、少なくとも一方にカラー表示を用いない場
合にも、上述した方法と同様の方法によって、良好な表
示を行うための各表示部の面積の割合を解析することが
可能であるが、何れの場合にも、反射表示部の面積と透
過表示部の面積との和における反射表示部の面積の割合
が上述した範囲内にある場合に良好な表示を実現するこ
とができる。
【0033】本発明にかかる請求項2記載の液晶表示装
置は、上記の課題を解決するために、対向する表面に配
向手段(例えば配向膜)が施された一対の基板と、該一
対の基板間に挟持された液晶層とを有する液晶表示素子
を備えた液晶表示装置であって、上記液晶層における表
示に利用される任意でかつ異なる領域に同時に少なくと
も二種類の異なる配向状態をとらせるための配向機構を
具備し、かつ、上記液晶層において異なる配向状態を示
す領域のうち少なくとも一つの領域に反射手段が配さ
れ、上記異なる配向状態を示す領域が反射表示部と透過
表示部とに用いられており、上記反射表示部と透過表示
部との合計の面積に対する反射表示部の面積の占める割
合が、30%以上、90%以下であることを特徴として
いる。
【0034】上記の構成によれば、請求項1に記載の効
果を奏すると共に、液晶配向が同時に異なる配向状態を
有することで、例えば、表示に二色性色素等の色素を用
いる場合には光の吸収量(吸収率)、光学異方性を用い
る場合には位相差といった各光学的物理量の変調量の大
きさを、液晶配向が異なる領域毎に変更することが可能
になる。このため、上記の構成によれば、液晶層の配向
状態に応じた光学的物理量の変調量の大きさに基づく透
過率または反射率を得ることができ、これにより、透過
表示部と反射表示部とで光学パラメータを独立に設定す
ることが可能となる。従って、上記の構成によれば、視
差がなく、高コントラスト比を実現することができ、周
囲が暗い場合の視認性を向上させることが可能であると
共に、周囲光が強い場合でも良好な視認性を得ることが
できる。このため、上記の構成によれば、視認性に優
れ、かつ、高解像度表示が可能であり、反射光と透過光
とを共に表示に利用することができる半透過型の液晶表
示装置を提供することができる。
【0035】なお、液晶層の配向とは、液晶層のある点
での液晶分子の平均の配向方位だけではなく、層状の液
晶層の層の法線方向にとった座標に対する平均配向方位
の座標依存性をも示しているものとする。
【0036】本発明にかかる請求項3記載の液晶表示装
置は、上記の課題を解決するために、対向する表面に配
向手段(例えば配向膜)が施された一対の基板と、該一
対の基板間に挟持された液晶層とを有する液晶表示素子
を備えた液晶表示装置であって、反射表示部と透過表示
部とを備え、上記反射表示部の液晶層厚は透過表示部の
液晶層厚よりも薄く、かつ、上記反射表示部と透過表示
部との合計の面積に対する反射表示部の面積の占める割
合が、30%以上、90%以下であることを特徴として
いる。
【0037】光の吸収量や光学異方性による位相差等の
各光学的物理量の変調量の程度を反射表示部と透過表示
部とで独立に変更する場合、電圧の印加による液晶の配
向方向が、液晶層の表示に利用するための領域全体でほ
ぼ同様である場合でも、液晶層の液晶層厚が異なる領域
では、実質的に、該領域において液晶層の配向方向を変
更した場合と同様の作用を有する。特に、二色性色素等
の色素を使用し、光の吸収を利用するGH方式や、複屈
折や旋光現象を利用する偏光板方式において、液晶層で
生じる光の吸収、複屈折の各現象は、何れも、光の伝播
に伴う現象であり、各現象とも液晶層における光の伝播
距離とそれらの現象の程度との間に関連性を有してい
る。さらに、表示光は、反射表示部においては液晶層
を、往復により二度通過し、透過表示部においては、液
晶層を一度しか通過しないため、液晶配向がほぼ同様で
ある場合に、液晶層厚が、反射表示部と透過表示部とで
同様に設定されている場合は、十分な明度やコントラス
ト比が得られない。
【0038】しかしながら、上記の構成によれば、請求
項1に記載の効果を奏すると共に、液晶層厚が異なる領
域における光学的物理量の変調量の大きさに基づく透過
率または反射率を得ることができ、これにより、透過表
示部と反射表示部とで光学パラメータを独立に設定する
ことが可能となる。尚、上記液晶表示装置において、少
なくとも反射表示部には反射手段が配されている。上記
の構成によれば、視差がなく、高コントラスト比を実現
することができ、周囲が暗い場合の視認性を向上させる
ことが可能であると共に、周囲光が強い場合でも良好な
視認性を得ることができる。このため、上記の構成によ
れば、視認性に優れ、かつ、高解像度表示が可能であ
り、反射光と透過光とを共に表示に利用することができ
る半透過型の液晶表示装置を提供することができる。
【0039】本発明によれば、上述した手段や配向機構
により、反射表示部と透過表示部とで共に良好な表示を
実現することができるが、色彩表示(カラー表示)を行
うか白黒表示を行うか、あるいは、反射表示を主体とし
て表示を行うか透過表示を主体として表示を行うか等、
所望する表示によって、反射表示部と透過表示部との比
率には、良好な表示を行うための最適な比率が存在す
る。
【0040】また、視認性の観点からは、反射表示部と
透過表示部とで表示内容が反転していないことが望まし
い。これは、照明環境が変化したり、照明環境の変化が
予測困難な状況において、反射表示部と透過表示部とで
表示内容が反転していると、周囲光の強度によって表示
のコントラスト比が大きく変動するためであり、視認性
の点からは、このようなコントラスト比の変動は、ウォ
ッシュアウトと同様の現象となり、視認性の大幅な悪化
を招く。
【0041】そこで、透過表示部が明表示のときに反射
表示部が明表示を同時に表示し、透過表示部が暗表示の
ときに反射表示部が暗表示を同時に表示することは、視
認性を確保する上で、非常に重要である。
【0042】このため、本発明にかかる請求項4記載の
液晶表示装置は、上記の課題を解決するために、請求項
2または3記載の液晶表示装置において、上記透過表示
部が明表示のときに同時に反射表示部が明表示となり、
上記透過表示部が暗表示のときに同時に反射表示部が暗
表示となることを特徴としている。
【0043】また、反射表示部と透過表示部とで共に良
好な表示を行うための表示方式としては、偏光板を用い
て複屈折や旋光現象を表示に利用する方式を用いること
も有効である。
【0044】このため、本発明にかかる請求項5記載の
液晶表示装置は、上記の課題を解決するために、請求項
1〜4の何れか1項に記載の液晶表示装置において、上
記一対の基板のうち、少なくとも一方の基板における液
晶層との非接触面側に偏光板が配置されていることを特
徴としている。
【0045】上記の構成によれば、反射表示部と透過表
示部とで、複屈折を適正化することができ、良好な表示
を行うことができる。このとき、反射表示部に偏光板方
式を用い、上記請求項3記載の液晶表示装置で透過表示
部において十分な表示を確保するには、表示面側のみな
らず、透過表示部の光の入射側にも偏光板を有すること
が必要である。
【0046】また、上記請求項5記載の液晶表示装置に
おいて、液晶層の電圧による配向変化でもたらされる光
の位相差の変化量は、反射表示部では液晶層を往復する
光に適するように設定し、透過表示部では、液晶層を透
過する光に適するように設定することが、表示の切替え
を行う上で望ましい。
【0047】このため、本発明にかかる請求項6記載の
液晶表示装置は、上記の課題を解決するために、請求項
5記載の液晶表示装置において、上記液晶層に電圧を印
加する電圧印加手段(例えば電極)を備え、該電圧印加
手段は、電圧印加時における反射表示部の反射手段上で
の表示光の位相差が、明表示のときと暗表示のときとで
概ね90度の差異となり、かつ、透過表示部において液
晶層を出射する表示光の位相差が、明表示のときと暗表
示のときとで概ね180度の差異となるように電圧を印
加することを特徴としている。
【0048】この場合、上記液晶層における液晶配向
は、具体的には、請求項7に示すように、上記液晶層
が、上記一対の基板間で、60度以上、100度以下の
ツイスト角でツイスト配向しているか、あるいは、請求
項8に示すように、上記液晶層が、上記一対の基板間
で、0度以上、40度以下のツイスト角でツイスト配向
していることが好ましい。
【0049】上記液晶層が、上記一対の基板間で、60
度以上、100度以下のツイスト角でツイスト配向する
ように上記液晶表示装置を構成することで、透過表示部
の液晶層においては、液晶の配向の捩じれにしたがった
旋光に近い偏光の変化を表示に利用することができ、反
射表示部においては、旋光とリタデーションとの制御に
よる偏光の変化を表示に利用することができる。
【0050】また、上記液晶層が、上記一対の基板間
で、0度以上、40度以下のツイスト角でツイスト配向
するように上記液晶表示装置を構成することで、透過表
示部の液晶層においても、反射表示部の液晶層において
も、ともにリタデーションの変化を表示に利用すること
ができる。
【0051】本発明にかかる請求項9記載の液晶表示装
置は、上記の課題を解決するために、請求項1〜6の何
れか1項に記載の液晶表示装置において、上記一対の基
板のうち、少なくとも一方の基板は、上記液晶層との接
触面における上記反射表示部および透過表示部のうち少
なくとも一方に対応する領域に、垂直配向性を有する配
向膜を備えていることを特徴としている。
【0052】このように、上記基板が垂直配向性を有す
る配向膜を備え、液晶が基板に対して垂直に配向してい
る垂直配向である場合には、表示のコントラスト比が良
好になる利点があり、しかも、上記請求項1〜6に記載
の液晶表示装置において、良好な表示を行う上で有効に
作用する。
【0053】また、本発明の液晶表示装置を用いてカラ
ー表示を行う場合、液晶層だけでなく、発色に重要なカ
ラーフィルタ層の設計が重要である。本願発明者らの検
討によると、半透過型の液晶表示装置の主たる使用形態
は二通りある。
【0054】一つは、通常使用においては透過表示を主
に利用し、反射表示を付加的に用いることにより、周囲
光の非常に強い照明環境下でのウォッシュアウトを防止
し、発光型表示装置や透過表示のみの液晶表示装置と比
較して、使用可能な照明環境の大幅な多様性を確保す
る、透過表示を主体とする使用形態であり、もう一つ
は、通常使用においては、電力消費量が少ないという反
射表示の性質を生かし、かつ、照明の弱い環境下では、
いわゆるバックライトと呼ばれる照明装置を点灯して使
用することにより、先の使用形態と同様に使用可能環境
の大幅な多様性を確保する、反射表示を主体とする使用
形態である。
【0055】先の使用形態(透過表示を主体とする使用
形態)においては、上記一対の基板のうち一方の基板に
おける、各画素の表示領域を構成する領域のうち少なく
とも透過表示部に対応する領域に、透過色彩を有するカ
ラーフィルタを配することで、視認性に優れ、かつ、高
解像度なカラー表示が可能であり、反射光と透過光とを
共に表示に利用することができる液晶表示装置を提供す
ることができる。
【0056】そして、このようにカラー表示を行う場
合、各画素には、少なくとも透過表示部に透過色彩を有
するカラーフィルタを配し、かつ、反射表示部には、カ
ラーフィルタを用いないか、または、反射表示部の少な
くとも一部に透過表示部に配したカラーフィルタと同じ
明度を有するカラーフィルタを配するか、それよりも明
度の高い透過色彩を有するカラーフィルタを配すること
が特に有効である。
【0057】これは、反射表示部に透過表示部のカラー
フィルタをそのまま用いると明度が不足するためであ
り、反射表示部でもカラー表示を行う場合は、カラーフ
ィルタを用いない領域を反射表示部に設けるか、反射表
示部に透過表示部よりも明度の高い透過色彩を有するカ
ラーフィルタを配することで、明度を補うことができ、
反射表示に対してもカラー表示が可能になり、かつ、反
射表示部に必要な反射率を確保することができるためで
ある。
【0058】そして、反射表示部では、カラーフィルタ
を表示光が2回通過することを考慮すれば、反射表示部
には、透過表示部よりも明度の高い透過色彩を有するカ
ラーフィルタを配することが望ましい。
【0059】また、透過表示を主体とする使用形態にお
いて、反射表示部に、カラーフィルタを設けない領域を
有する構成とする場合、透過表示に必要な表示電圧信号
は色彩表示に適した信号であり、反射表示に必要な表示
電圧信号は、反射表示部にカラーフィルタを全く使用し
ない例においては白黒表示に適した信号である。従っ
て、反射表示部にカラーフィルタを設けない構成とする
場合、各色の画素が明度に寄与する割合が、透過表示部
では各色の視感透過率に比例するが、反射表示部では、
各色で等しくなるため、反射表示部に、カラーフィルタ
を設けない構成とする場合には、透過表示に用いるカラ
ーフィルタの各色の視感透過率に合わせて、反射表示部
の色彩表示を行わない領域の面積を変更することが望ま
しい。
【0060】即ち、本発明にかかる請求項10記載の液
晶表示装置は、上記の課題を解決するために、請求項1
〜9の何れか1項に記載の液晶表示装置において、上記
一対の基板のうち一方の基板における、各画素の表示領
域を構成する領域のうち透過表示部に対応する領域に、
透過色彩を有するカラーフィルタが配され、かつ、上記
表示領域を構成する領域のうち反射表示部に対応する領
域の少なくとも一部に、上記基板における透過表示部に
対応する領域に配されたカラーフィルタと同じ明度を有
するカラーフィルタが配されていることを特徴としてい
る。
【0061】また、本発明にかかる請求項11記載の液
晶表示装置は、上記の課題を解決するために、請求項1
〜9の何れか1項に記載の液晶表示装置において、上記
一対の基板のうち一方の基板における、各画素の表示領
域を構成する領域のうち透過表示部に対応する領域に、
透過色彩を有するカラーフィルタが配され、かつ、上記
表示領域を構成する領域のうち反射表示部に対応する領
域の少なくとも一部に、上記基板における透過表示部に
対応する領域に配されたカラーフィルタよりも明度が高
い透過色彩を有するカラーフィルタが配されていること
を特徴としている。
【0062】さらに、本発明にかかる請求項12記載の
液晶表示装置は、上記の課題を解決するために、請求項
1〜11の何れか1項に記載の液晶表示装置において、
上記一対の基板のうち一方の基板における、各画素の表
示領域を構成する領域のうち、少なくとも透過表示部に
対応する領域に、透過色彩を有するカラーフィルタが配
され、かつ、上記カラーフィルタの透過色彩の視感透過
率に合わせて、反射表示部の色彩表示を行わない領域の
面積が設定されていることを特徴としている。
【0063】また、二つ目の使用形態(反射表示を主体
とする使用形態)においては、上記一対の基板のうち一
方の基板における、各画素の表示領域を構成する領域の
うち少なくとも反射表示部に対応する領域に、透過色彩
を有するカラーフィルタを配することで、視認性に優
れ、かつ、高解像度なカラー表示が可能であり、反射光
と透過光とを共に表示に利用することができる液晶表示
装置を提供することができる。
【0064】そして、このようにカラー表示を行う場
合、各画素には、少なくとも反射表示部に透過色彩を有
するカラーフィルタを配して色彩表示を行い、かつ、透
過表示部には、カラーフィルタを用いないか、または、
透過表示部の少なくとも一部に、反射表示部に配したカ
ラーフィルタと同じ彩度を有するかそれよりも彩度の高
い透過色彩を有するカラーフィルタを配することが特に
有効である。
【0065】反射表示を主体とする使用形態において、
透過表示部ではカラーフィルタを用いず、白黒表示を行
った場合、光の透過率が上昇することから、透過表示部
をさらに小さく設定することが可能である。これによ
り、反射表示部の面積をより大きく確保することがで
き、通常使用時の反射表示においてより良好な表示を得
ることができる。
【0066】また、反射表示を主体とする使用形態にお
いて、反射表示に用いるカラーフィルタの各色の視感透
過率に合わせて、透過表示部の色彩表示を行わない領域
の面積を変更することにより、各画素における透過表示
部の白黒表示の明度への寄与を、視感透過率を考慮して
適正に設定することができる。
【0067】即ち、本発明にかかる請求項13記載の液
晶表示装置は、上記の課題を解決するために、請求項1
〜9の何れか1項に記載の液晶表示装置において、上記
一対の基板のうち一方の基板における、各画素の表示領
域を構成する領域のうち少なくとも反射表示部に対応す
る領域に、透過色彩を有するカラーフィルタが配されて
いることを特徴としている。
【0068】また、本発明にかかる請求項14記載の液
晶表示装置は、上記の課題を解決するために、請求項1
3記載の液晶表示装置において、上記カラーフィルタの
透過色彩の視感透過率に合わせて、透過表示部の色彩表
示を行わない領域の面積が設定されていることを特徴と
している。
【0069】さらに、本発明にかかる請求項15記載の
液晶表示装置は、上記の課題を解決するために、請求項
1〜9の何れか1項に記載の液晶表示装置において、上
記一対の基板のうち一方の基板における、各画素の表示
領域を構成する領域のうち反射表示部に対応する領域
に、透過色彩を有するカラーフィルタが配され、かつ、
上記表示領域を構成する領域のうち透過表示部に対応す
る領域の少なくとも一部に、上記基板における反射表示
部に対応する領域に配されたカラーフィルタと彩度が同
等以上の透過色彩を有するカラーフィルタが配されてい
ることを特徴としている。
【0070】また、本発明にかかる請求項16記載の液
晶表示装置は、上記の課題を解決するために、請求項1
〜3の何れか1項に記載の液晶表示装置において、上記
反射表示部の反射手段には凹凸が形成されていることを
特徴としている。
【0071】表示面側の基板と対向配置された基板に反
射手段として光反射性を有する膜を形成し、該光反射性
を有する膜が凹凸構造を有していることは透過表示部の
表示性能を損なうことなく解像度を損なわない反射表示
の鏡面性防止手段として有効である。絶縁膜が上記光反
射性を有する膜の凹凸構造と同様の凹凸構造を有するこ
とで、凹凸構造を有する上記光反射性を有する膜を容易
に形成することができる。
【0072】
【発明の実施の形態】本発明による液晶表示装置は、反
射表示部の液晶配向と透過表示部の液晶配向とが、同時
刻に異なる状態を取り得ることを特徴としている。ここ
で、液晶配向とは、液晶層のある点での液晶分子の平均
配向方位だけではなく、層状の液晶層の層の法線方向に
とった座標に対する平均配向方位の座標依存性をも示す
ものとする。そこで、本発明では、反射表示部と透過表
示部とで異なる液晶配向を実現する方法並びに該方法に
用いられる配向機構に関し、大きく3種類に分類して説
明する。
【0073】第1の方法は、液晶層のある条件が透過表
示部と反射表示部とで異なるように作製された配向機構
を用いることにより反射表示部の液晶配向と透過表示部
の液晶配向とを異ならせる方法である。
【0074】上記第1の方法としては、具体的には、例
えば、(1) 液晶配向が透過表示部と反射表示部とで全く
異なるツイスト角を有するようにツイスト配向させる配
向機構を用いる方法、(2) 液晶配向の基板に対する傾斜
角を大きく変更させる配向機構を用いる方法等が挙げら
れる。また、上記第1の方法には、(3) 透過表示部と反
射表示部とで異なる液晶材料を配置する方法や、(4) 液
晶材料に混入される色素の種類や濃度を、透過表示部と
反射表示部とで異ならせる方法(この場合、透過表示部
と反射表示部とで、同様の液晶材料を用いてもよい)等
が含まれ、本発明にかかる液晶表示装置は、このような
方法を実現する際になされた機構を、本発明の配向機構
として具備している。また、上記第1の方法並びに該方
法に用いられる配向機構は、これら(1) 〜(4) の方法を
組み合わせたものであってもよく、これらの方法並びに
該方法に用いられる配向機構により、反射表示部と透過
表示部とで異なる液晶配向を実現することができる。
【0075】第2の方法は、時間の経過に伴って表示内
容を書き換える表示内容書換手段により液晶配向を透過
表示部と反射表示部とで異ならせる方法(即ち、液晶配
向を透過表示部と反射表示部とで異ならせる配向機構
が、表示内容書換手段と同一である方法)である。この
方法を採用する場合に用いられる、表示内容書換手段と
しては、既存の、表示の書き換え手段を用いることがで
きる。
【0076】上記第2の方法としては、具体的には、例
えば、(5) 透過表示部と反射表示部とで異なる電極を配
向機構として用いる等の方法により、液晶配向を書き換
える方法、即ち、表示内容書換手段として用いられる電
圧そのものを、透過表示部と反射表示部とで変更する方
法を採用することができる。また、上記第2の方法とし
て、(6) 電極は同一であるが、液晶配向に実質的に印加
される電圧を変更する方法を用いてもよい。上記(6) の
方法を採用する場合、例えば、液晶層とそれを駆動する
電極との間に、反射表示部と透過表示部とで異なる層厚
の絶縁体(例えば絶縁膜)を配置することにより、共通
の電極で駆動される透過表示部の液晶配向と反射表示部
の液晶配向とを変化させてもよい。また、(7) 透過表示
部と反射表示部とで電界の方向を異ならせる方法を用い
てもよい。例えば、液晶層を挟持する基板の一方に平行
に配置され、液晶層に各々異なる電位を与える電極群に
よって、液晶配向方向を液晶層面内で変更して表示を行
う場合、電極間と電極上とでは液晶配向が大きく異なる
ため、この液晶配向が異なる領域を各々反射表示と透過
表示とに用いてもよい。さらに、同様の電極群によっ
て、基板に対して垂直に配向した液晶層に各々異なる電
位を与える方法を採用してもよい。上記第2の方法を採
用する場合、上記の方法を実現する際に用いられた例え
ば電極や絶縁体、あるいはこれらの組み合わせ等が、本
発明の配向機構に相当し、得られた液晶表示装置は、こ
れらの配向機構を具備したものとなっている。
【0077】第3の方法は、液晶配向そのものは大きく
は違わないが、光学特性を決定する要素である液晶層の
層厚を、反射表示部と透過表示部とで異ならせる方法で
あり、この方法の実現には、例えば、反射表示部と透過
表示部とで異なる膜厚に形成された絶縁膜や、反射表示
部と透過表示部とで異なる層厚あるいは形状に形成され
た基板等が、上記配向機構として用いられる。
【0078】上記第3の方法を採用する場合、液晶配向
には、例えば、偏光板を2枚用いる液晶表示装置で用い
られるTN方式のように、一様にツイストした液晶配向
を用いていてもよい。この場合、液晶配向は、液晶層を
挟持する基板間で基板に対して平行に配向し、その配向
方向は一方の基板からの距離に応じて基板平面内で方向
を変えながらツイスト配向している。この液晶配向を液
晶層厚を変更して反射表示部と透過表示部とに用いれ
ば、光学特性は液晶層厚によって異なるため、反射表示
部と透過表示部とで共に良好な表示が実現できる。
【0079】また、GH方式においても、液晶層厚の変
化によって実質的に色素濃度を変更した場合と同様の効
果があるため、液晶配向そのものは反射表示部と透過表
示部とでほぼ同様であっても、反射表示部と透過表示部
の各々に良好な表示を実現することができる。
【0080】以上のように、反射表示部と透過表示部と
で異なる液晶配向を実現する方法並びに該方法に用いら
れる配向機構は、大きく3種類に分類されるが、これら
の方法や配向機構により実現される本発明にかかる液晶
表示装置において用いられる液晶表示方式は、液晶の配
向変化を表示に用いる方式群から適宜選択すればよく、
特に限定されるものではない。本発明において用いられ
る上記の液晶表示方式としては、具体的には、液晶組成
物のネマティック相を表示に利用するモードである、例
えば、TN方式、STN方式、ネマティック双安定モー
ド、垂直配向モード、ハイブリッド配向モード、ECB
(electrically controlled biriefringence ;電界制御
複屈折)モード等の各種モードを使用することができ
る。また、散乱を利用するモードである、例えば、高分
子分散型液晶モード、ダイナミックスキャッタリング方
式等も本発明において用いられる上記液晶表示方式とし
て利用することができる。さらに、強誘電性液晶組成物
を用いた表面安定化強誘電液晶表示方式や、反強誘電性
液晶を用いた無閾スイッチング反強誘電液晶表示方式
も、配向変化を表示に用いるため、本発明において用い
られる上記液晶表示方式として利用可能である。
【0081】また、上記第3の方法を採用する場合、本
発明において用いられる上記液晶表示方式は、TN方式
のように旋光性の変調を用いる方式であってもよく、E
CBモードのようにリタデーションの変調を用いる方式
であってもよく、GH方式のように光の吸収率(吸光
度)が変調される方式であってもよい。上記第3の方法
を採用する場合には、これらの方式を含めて、液晶層厚
が光学特性の主要な決定要因となっている方式であっ
て、透過表示部で液晶層厚を厚く設定し、反射表示部で
液晶層厚を薄く設定することが良好な表示特性実現の効
果を有する全ての方式を採用することができる。
【0082】本発明では、以上のように、液晶表示装置
が、対向する表面に配向手段が施された一対の基板と、
該一対の基板間に挟持された液晶層とを有する液晶表示
素子を備えた液晶表示装置であって、上記液晶層におけ
る表示に利用される任意でかつ異なる領域に同時に少な
くとも二種類の異なる配向状態をとらせるための配向機
構を具備し、かつ、上記液晶層において異なる配向状態
を示す領域のうち少なくとも一つの領域に反射手段が配
され、上記異なる配向状態を示す領域が、反射表示を行
う反射表示部と、透過表示を行う透過表示部とに用いら
れていることで、液晶層の配向状態に応じた光学的物理
量の変調量の大きさに基づく透過率または反射率を得る
ことができ、視差がなく、高コントラスト比を実現する
ことができる。この結果、周囲が暗い場合の視認性を向
上させることが可能であると共に、周囲光が強い場合で
も良好な視認性を得ることができる。
【0083】また、光の吸収量や光学異方性による位相
差等の各光学的物理量の変調量の程度を反射表示部と透
過表示部とで独立に変更する場合、電圧の印加による液
晶の配向方向が、液晶層の表示に利用するための領域全
体でほぼ同様である場合でも、液晶層の液晶層厚が異な
る領域では、実質的に、該領域において液晶層の配向方
向を変更した場合と同様の作用を有することから、本発
明にかかる液晶表示装置は、対向する表面に配向手段が
施された一対の基板と、該一対の基板間に挟持された液
晶層とを有する液晶表示素子を備えた液晶表示装置であ
って、上記液晶層における表示に利用される領域が、少
なくとも二種類の異なる液晶層厚を有する領域よりな
り、かつ、上記液晶層厚が異なる各々の領域が反射表示
部と透過表示部とに用いられていると共に、少なくとも
反射表示部には反射手段が配され、上記反射表示部の液
晶層厚は透過表示部よりも小さく設定されている構成と
してもよい。
【0084】上記の構成においても、液晶層厚が異なる
領域における光学的物理量の変調量の大きさに基づく透
過率または反射率を得ることができ、これにより、透過
表示部と反射表示部とで光学パラメータを独立に設定す
ることが可能となる。従って、上記の構成によれば、視
差がなく、高コントラスト比を実現することができ、周
囲が暗い場合の視認性を向上させることが可能であると
共に、周囲光が強い場合でも良好な視認性を得ることが
できる。
【0085】以下、特に、反射表示部と透過表示部とで
液晶層厚を変更することにより、良好な反射表示並びに
良好な透過表示を行う液晶表示装置について、主に、実
施の形態1および実施の形態2により説明する。
【0086】〔実施の形態1〕本実施の形態では、GH
方式を用いた液晶表示装置について、主に図1を参照し
て以下に説明する。
【0087】図1は、本実施の形態1に係る液晶表示装
置の要部断面図である。該液晶表示装置は、図1に示す
ように、液晶セル100(液晶表示素子)を備えると共
に、必要に応じて、背景照明手段としてのバックライト
13(照明装置)を備えている。これら液晶セル10
0、バックライト13は、観察者(使用者)側から、液
晶セル100、バックライト13の順で配置されてい
る。
【0088】液晶セル100は、図1に示すように、液
晶層1が、該液晶層1と接する側(液晶層1に接する第
1の基板上の界面)に配向膜2を備えた電極基板101
(第1の基板)と、液晶層1と接する側(液晶層1に接
する第2の基板上の界面)に配向膜3を備えた電極基板
102(第2の基板)とによって挟持された構成を有し
ている。
【0089】上記電極基板101には、透光性を有する
ガラス基板等からなる基板4上に、液晶層1に電圧を印
加するための電極6(電圧印加手段)が設けられ、該電
極6を覆うように、ラビング処理が施された配向膜2
(配向機構)が形成されている。
【0090】一方、液晶層1を挟んで上記電極基板10
1に対向して設けられた上記電極基板102には、液晶
層1に電圧を印加すべく、透光性を有する基板5上に、
絶縁膜11を介して、電極6に対向する対向電極として
の電極7(電圧印加手段)が形成されている。
【0091】上記絶縁膜11は、上記液晶層1における
表示に利用される領域が少なくとも二種類(本実施の形
態では二種類)の異なる液晶層厚を有するように、上記
液晶層1における表示に利用される領域に対応する領域
において、部分的に異なる膜厚を有するように形成され
ている。より詳しくは、上記絶縁膜11は、透過表示部
10に対応する領域で、反射表示部9に対応する領域よ
りも膜厚が薄くなるように形成されている。
【0092】上記電極基板102における反射表示部9
に対応する領域には、上記電極7を覆う反射膜8(反射
手段)が形成され、さらに、ラビング処理が施された配
向膜3(配向機構)が、これら電極7並びに反射膜8を
覆うように形成されている。
【0093】ここで、電極6・7は、例えば、ITO
(インジウムすず酸化物)によって形成された透明電極
である。また、電極6・7には、液晶層1に電界を生じ
させるための電圧が印加されるようになっており、表示
内容に即した電圧が印加されることで表示が制御される
ようになっている。
【0094】また、反射膜8は、光反射性を有し、例え
ば、アルミニウムや銀等の金属や、誘電体多層膜ミラー
等によって作製される。反射膜8が導体で作製された場
合には、該反射膜8は、電極7の代わりに電極としての
機能を兼務していてもよい。即ち、反射膜8は、液晶層
1を駆動する液晶駆動電極と反射手段とを兼ねる反射画
素電極であってもよい。さらに、上記反射膜8は、可視
光より適宜選択された波長帯域の光を反射する色彩反射
膜であってもよい。
【0095】尚、上記電極基板101・102を構成す
る各部材の材質や形成方法等は、必ずしも上記の記載に
限定されるものではなく、従来公知の材料および常用の
方法を用いることができる。また、上記液晶表示装置の
構成も上記の構成に限定されるものではなく、例えば、
後述する実施の形態にて説明するタッチパネル(押圧座
標検出型入力手段)等からの信号により、液晶セル10
0の外部から直接、反射表示部9および透過表示部10
に対応する電極6・7に電圧が印加される構成を有して
いてもよい。また、スイッチング素子として、TFT素
子、MIM等のアクティブ素子が設けられている構成を
有していてもよい。
【0096】上記電極基板101・102は、図1に示
すように、配向膜2・3が対向するように対向配置さ
れ、封入シール剤等を用いて貼り合わされ、その空隙に
液晶組成物を導入することにより、液晶層1が形成され
ている。
【0097】また、バックライト13は、観察者(使用
者)から見て上記液晶セル100の背面側、即ち、電極
基板102裏面側に配置される。該バックライト13
は、主として光源13aおよび導光体13bによって構
成されている。光源13aは、例えば、導光体13bの
側面に沿って配設され、これにより、導光体13bは、
例えば光源13a配設側の側面を入射面とし、光源13
aから入射した光を被照明物である液晶セル100へ出
射するようになっている。尚、上記バックライト13と
しては、既存の照明装置を用いることができる。
【0098】上記の構成を有する液晶表示装置におい
て、反射膜8が形成された反射表示部9では、基板4
側、即ち観察者側から表示面に入射する周囲光の反射強
度を、液晶配向の変化によって制御し、表示を行うよう
になっている。また、反射膜8が形成されていない透過
表示部10では、基板5側から表示面へ入射する光の透
過光強度を液晶配向の変化によって制御し、表示を行う
ようになっている。この場合、必要に応じて、液晶セル
100背面に設置したバックライト13による照明光を
利用してもよい。
【0099】図1に示す上記液晶表示装置は、上述した
ように、反射表示部9と透過表示部10とで異なる液晶
層厚に作製されている。これにより、上記液晶表示装置
は、反射表示部9と透過表示部10とで実質的に異なる
液晶配向を有している。
【0100】ここで、反射表示部9と透過表示部10と
で異なる液晶膜厚を得るための液晶表示装置の構成につ
いて以下に説明する。
【0101】反射表示部9と透過表示部10とで異なる
液晶膜厚を得るためには、例えば、図1に示すように、
絶縁膜11を、反射表示部9と透過表示部10とで異な
る膜厚を有するように形成すればよい。
【0102】尚、反射表示部9と透過表示部10とで液
晶層厚を変化させるための構成は、液晶を挟持している
基板(即ち、上記電極基板101・102)の少なくと
も何れか一方が有してさえいればよい。
【0103】従って、上記絶縁膜11は、基板5上では
なく、基板4上に配されていてもよい。但し、このよう
な場合であっても、反射膜8は、電極基板102側(即
ち、表示面側(電極基板101側)とは、液晶層1を挟
んで反対側)の基板5上に形成される。
【0104】尚、図1に示す液晶表示装置では、絶縁膜
11における、反射表示部9に対応する領域と透過表示
部10に対応する領域とで、絶縁膜11の膜厚を変更す
ることにより反射表示部9と透過表示部10とで液晶層
厚を変化させる構成としたが、基板4あるいは基板5そ
のものを、図1に示す絶縁膜11と同様の形状に形成す
ることにより、反射表示部9と透過表示部10とで液晶
層厚を変化させる構成としてもよい。
【0105】また、絶縁膜11における、反射表示部9
に対応する領域と透過表示部10に対応する領域とで、
その膜厚を変更する場合、図1に示すように、透過表示
部10に対応する領域の絶縁膜11が、反射表示部9に
対応する領域の絶縁膜11の膜厚よりも薄くなるように
形成してもよいし、あるいは、反射表示部9に対応する
領域には絶縁膜11が形成されていて、透過表示部10
に対応する領域には絶縁膜11が形成されていない構成
としてもよい。
【0106】さらに、反射表示部9および透過表示部1
0における液晶層1の液晶層厚を所定の値に保つため
に、液晶層1には、スペーサ(図示せず)を配してもよ
く、他の手法によって液晶層厚が所定の値に保たれてい
てもよい。例えば液晶層1に球状のスペーサを配する場
合、液晶層厚が薄い反射表示部9における液晶層厚がこ
のスペーサの直径にほぼ等しい層厚となる。
【0107】以上のようにして準備された基板対、即
ち、上記電極基板101・102によって挟持された液
晶層1は、上述したように液晶組成物からなっている。
該液晶層1による液晶表示方式としては、例えば、図1
に示すように、二色性色素12を液晶に混入させた液晶
組成物を使用し、液晶層1に電界を生じさせて液晶配向
を制御すると同時に二色性色素12の配向方向を同時に
変化させ、二色性による吸収係数の変化を用いて表示を
行うGH方式を用いることができる。
【0108】次に、GH方式による液晶層1の動作、並
びに、反射表示部9における液晶膜厚と透過表示部10
における液晶層厚とが異なる場合の表示原理について、
図1を参照して以下に説明する。
【0109】図1に示す液晶表示装置を用いて表示を行
う場合、透過表示部10では、矢印で示すように、バッ
クライト13等、液晶層1後方からの光を、液晶層1を
一度だけ通過させて表示面から出射し、表示光とするこ
とで表示を行うようになっている。このとき、液晶層1
に配された液晶組成物中に混入された二色性色素12
は、液晶配向によって光の吸収率が変化する。このた
め、透過表示部10は、透過表示部10aに示すよう
に、液晶が表示面(電極基板101)に対して平行に配
向(以下、平行配向と称する)しているときには、この
部分における二色性色素12が液晶層1を通過する光を
強く吸収することから暗表示となり、透過表示部10b
に示すように、液晶が表示面(電極基板101)に対し
て垂直に配向(以下、垂直配向と称する)しているとき
には、二色性色素12による光の吸収が弱いことから明
表示となって表示が可能になる。
【0110】これに対し、反射表示部9では、観察者側
から表示面に入射した光を表示に利用する。つまり、表
示面に入射した光は、矢印で示すように、液晶層1を通
過した後、反射膜8によって反射され、再び液晶層1を
通過し、表示面から出射して表示光になる。このとき、
反射表示部9は、反射表示部9aに示すように、液晶が
平行配向しているときには、この部分における二色性色
素12が光を強く吸収することから暗表示となり、反射
表示部9bに示すように、液晶が垂直配向しているとき
には、二色性色素12による光の吸収が弱いことから明
表示となって表示が可能になる。
【0111】従って、電極6と電極7との間に電位差を
与えて液晶配向を制御することで明表示と暗表示とが可
能になる。尚、この場合、液晶の初期配向状態は、特に
限定されるものではなく、例えば、電圧を印加しないと
きに平行配向していてもよく、さらにツイストしていて
もよいし、逆に、電圧を印加しないときに垂直配向して
いてもよい。前者の場合(即ち、電圧を印加しないとき
の液晶配向が平行配向であるか、あるいは、さらにツイ
ストしている場合)、液晶には、誘電率異方性が正の液
晶を使用することができる。一方、後者の場合(即ち、
電圧を印加しないときの液晶配向が垂直配向である場
合)、液晶としては、誘電率異方性が負の液晶を使用す
ることができる。このように、液晶の初期配向状態は、
特に限定されるものではないが、使用する液晶配向の形
態に適した液晶層厚が得られるように、絶縁膜11の膜
厚を調整することが必要である。
【0112】また、図1に示すように、液晶層1を容易
に作製するためには、通常の液晶表示装置と同様、液晶
層1が、反射表示部9および透過表示部10、あるい
は、複数の表示画素に渡って連通した構造を有している
ことが好ましい。
【0113】このように液晶層1が反射表示部9と透過
表示部10との間で連通している場合であっても、液晶
層厚が透過表示部10と反射表示部9とで異なる場合、
最終的に表示光となる光が液晶層1を通過する間の距離
は、この光が、透過表示部10において液晶層1を一度
だけ通過する距離と、この光が、反射表示部9におい
て、液晶層1を往復する距離とで、ほぼ同様に設定する
ことが可能となる。
【0114】このため、反射表示部9の反射明度と透過
表示部10の透過明度とは、ほぼ同程度に設定すること
ができると共に、反射表示部9におけるコントラスト比
と透過表示部10におけるコントラスト比とをほぼ同程
度に設定することができる。換言すると、二色性色素1
2による光の吸収を利用するGH方式において、反射表
示部9と透過表示部10とで液晶層厚を変更すること
は、実質的に、色素濃度を変更した場合と同様の効果が
あるため、透過表示部10と反射表示部9とで液晶層厚
を変更することにより、液晶組成物に対する、反射表示
部9に適した二色性色素12の混入濃度と透過表示部1
0に適した二色性色素12の混入濃度とをほぼ等しくす
ることができる。従って、反射表示部9と透過表示部1
0とが連通している液晶層1によって、反射表示部9と
透過表示部10とが、同時に良好な表示を実現すること
ができる。即ち、反射表示部9と透過表示部10とで、
表示コントラスト比が同程度で、かつ、明表示の明度も
同程度になる。
【0115】尚、この場合の明度は、反射表示部9また
は透過表示部10において、液晶層1に入射する光のう
ち、表示光として観察者に観察される割合を示し、コン
トラスト比は、明表示の明度を暗表示の明度で除して定
義するものとする。
【0116】また、一般に、反射表示に適したコントラ
スト比と透過表示に適したコントラスト比とを比較した
場合、反射表示に適したコントラスト比よりも透過表示
に適したコントラスト比の方が高いことが要求される。
従って、この要求を満たすために、反射表示部9におけ
るコントラスト比と透過表示部10におけるコントラス
ト比とを等しく設定するよりも、透過表示部10におけ
る液晶層厚を反射表示部9における液晶層厚よりも厚く
設定し、透過表示部10におけるコントラスト比が反射
表示部9におけるコントラスト比を上回るようにするこ
とが、良好な表示を行う上で、有効である。
【0117】以下、本実施の形態に係る液晶表示装置に
ついて、上述した表示原理に基づいて、図1〜図3を参
照して、具体的な実施例および比較例を挙げて説明する
が、本実施の形態に係る液晶表示装置は、以下の実施例
により何ら限定されるものではない。
【0118】〔実施例1〕本実施例では、液晶層1に電
圧を印加していない時に液晶が表示面法線に対してほぼ
垂直に配向し、液晶層1に電圧を印加することによっ
て、液晶が表示面に対して傾斜して配向する、誘電率異
方性が負の液晶を用いたGH方式の液晶層1を表示に用
いる液晶表示装置について説明する。先ず、該液晶表示
装置の製造方法について以下に説明する。
【0119】先ず、透明な基板4上に、にスパッタリン
グによってITOを140nm形成し、フォトリソグラ
フィーを用いてエッチング処理することによって所定の
パターンの電極6(透明電極)を作製した。尚、上記基
板4としては、ガラス基板を用いた。
【0120】次に、この基板4における電極6形成面上
に、さらに、垂直配向膜をオフセット印刷によって配置
し、これを200℃のオーブンにて焼成することによ
り、配向膜2を形成した。その後、ラビングにより配向
膜2に配向処理を施し、観察者側基板としての電極基板
101を作製した。
【0121】ここで、垂直配向膜は、液晶を膜面の法線
方位に配向させる性質を有し、さらにラビング等の配向
処理によって、その法線方向から液晶配向を数度程度傾
斜配向させる性質を有する。この傾斜のため、電圧印加
後の液晶配向は、上記配向処理方向に向かってさらに大
きく傾斜する。
【0122】一方、基板5上に、絶縁性を有する感光樹
脂をスピンコートによって塗布し、さらに紫外光のマス
ク照射によって、透過表示部10には感光樹脂が残存せ
ず、反射表示部9では、該感光樹脂が3μmの層厚に形
成されるように絶縁膜11をパターン形成した。このと
き、絶縁膜11のパターンエッジ部分は、後工程にて形
成される電極7が、該絶縁膜11の段差によって断裂さ
れることがないように、十分になだらかな段差形状に形
成した。尚、上記基板5には、基板4と同様の透明なガ
ラス基板を用いた。
【0123】さらに、この基板5における絶縁膜11形
成面上に、スパッタリングによってITOを140nm
成膜し、その上に、さらに、光反射性の電極として機能
するアルミニウムをスパッタリングによって200nm
成膜した。次いで、得られたアルミニウム膜を、該アル
ミニウム膜が反射表示部9(即ち、絶縁膜11を形成す
べく感光樹脂をパターニングする際に、感光樹脂を残存
させた部分)にのみ残存するようにフォトリソグラフィ
ーとドライエッチングによってパターニングして反射膜
8を形成した。そして、さらに、この反射膜8の下層の
ITO膜を、フォトリソグラフィーを用いてエッチング
処理することによって所定のパターンの電極7(透明電
極)を作製した。
【0124】次に、この基板5における上記電極7、反
射膜8形成面上に、観察者側基板である上記電極基板1
01の配向膜2と同様の方法により、配向膜3を形成し
た。その後、ラビングにより上記配向膜3に配向処理を
施し、電極基板102を作製した。
【0125】上記のようにして作製された電極基板10
1・102のうち、一方の電極基板の周囲に、封入シー
ル剤としてのシール樹脂(図示せず)を配し、他方の電
極基板における配向膜形成面上に、直径4.5μmの球
状のプラスティックスペーサを散布し、図1に示すよう
に、電極面を対向させてシール樹脂を加圧下にて硬化
し、液晶注入用の液晶セルを作製した。この液晶注入用
の液晶セルの反射表示部9および透過表示部10におけ
る液晶注入用空隙の厚み(即ち、液晶層1の層厚)を反
射光スペクトルの測定によって計測したところ、反射表
示部9では4.5μm、透過表示部10では7.5μm
であった。
【0126】さらに、誘電率異方性が負の液晶に二色性
色素12を混入してなる液晶組成物を上記液晶注入用の
液晶セルに導入するにあたり、二色性色素12の濃度
は、反射表示部9と透過表示部10とで十分なコントラ
スト比が得られるような濃度に調整した。さらに、上記
液晶組成物に、液晶の配向に捩じれを付与するカイラル
添加剤を添加し、配向膜2・3に施した配向処理ととも
に、液晶層1の上下の電極基板101・102間での液
晶配向の捩じれが、暗表示に用いる電圧印加状態での反
射表示部9と透過表示部10とで、同様になるように設
定した。さらに、液晶組成物を真空注入法によって上記
液晶注入用の液晶セルに導入し、液晶表示装置を作製し
た。
【0127】得られた液晶表示装置における反射表示部
9の反射率および透過表示部10の透過率を顕微鏡によ
って測定しながら液晶層1に電圧を印加したところ、図
2に示す表示特性が得られた。液晶層1に印加した電圧
は、17msecごとに極性反転している矩形波であ
り、図2において、横軸は印加電圧の実効値を示し、縦
軸は明度(反射率または透過率)を示す。また、同図に
おいて、曲線111は、反射表示部9の反射率の電圧依
存性を示し、曲線112は、透過表示部10の透過率の
電圧依存性を示す。
【0128】曲線111、曲線112に示すように、上
記の液晶表示装置では、反射表示部9および透過表示部
10における明度(反射率または透過率)が、共に、電
圧の印加に伴って低下している。また、印加電圧が1.
8Vのとき、反射表示部9の反射率は55%であり、透
過表示部10の透過率は52%であり、また、印加電圧
が5Vのとき、反射表示部9の反射率は11%、透過表
示部10の透過率は10%であった。
【0129】即ち、上記の液晶表示装置によれば、反射
表示部9に対しても透過表示部10に対しても、共に、
明表示の明度が50%を超える高い値を示すと共にコン
トラスト比が約5であり、視認性に優れた表示を実現す
ることができた。
【0130】〔比較例1〕ここで、上記の実施例1の比
較例を示す。該比較例1では、実施例1に示すGH方式
を用いた液晶表示装置において、反射表示部9における
液晶層厚と透過表示部10における液晶層厚とが同じに
なるように設計した以外は、実施例1に示す液晶表示装
置の製造方法に準じて比較用の液晶表示装置を作製し
た。
【0131】より具体的には、本比較例では、実施例1
の基板5上に作製したような絶縁膜11を作製せず、反
射表示部9における液晶層厚と透過表示部10における
液晶層厚とが共に4.5μmの液晶表示装置を作製し
た。つまり、液晶層1を挟んで対向する上下の電極基板
が、共に、反射表示部9と透過表示部10とで平滑な液
晶注入用の液晶セルを作製し、この液晶注入用の液晶セ
ルに実施例1と同様の二色性色素12とカイラル添加剤
とを混入した液晶組成物を導入することにより、液晶表
示装置を作製した。
【0132】得られた液晶表示装置における反射表示部
9の反射率と透過表示部10の透過率とを実施例1と同
様の方法により測定して得られた表示特性を図3に示
す。
【0133】〔比較例2〕該比較例2では、比較例1と
同様の液晶セルに、比較例1よりも二色性色素12の濃
度を高くした液晶組成物を導入し、透過表示部10の明
度とコントラスト比とが最適となるように設定した液晶
表示装置を作製した。
【0134】得られた液晶表示装置における反射表示部
9の反射率と透過表示部10の透過率とを実施例1と同
様の方法により測定して得られた表示特性を、比較例1
の結果と併せて図3に示す。
【0135】図3において、横軸は印加電圧の実効値を
示し、縦軸は明度(反射率または透過率)を示す。ま
た、同図において、曲線121は、比較例1の反射表示
部9の反射率の電圧依存性を示し、曲線122は、比較
例1の透過表示部10の透過率の電圧依存性を示す。ま
た、曲線123は比較例2の反射表示部9の反射率の電
圧依存性を示し、曲線124は比較例2の透過表示部1
0の透過率の電圧依存性を示す。
【0136】曲線121、曲線122に示すように、比
較例1で得られた液晶表示装置では、反射表示部9およ
び透過表示部10における明度(反射率または透過率)
は、共に、電圧の印加に伴って低下しているが、印加電
圧が1.8Vのときの反射表示部9の反射率が51%で
あったのに対し、透過表示部10の透過率は66%であ
り、また、印加電圧が5Vのときの反射表示部9の反射
率は11%、透過表示部10の透過率は22%であっ
た。
【0137】即ち、上記比較例1で得られた液晶表示装
置によれば、反射表示部9では50%を超える高い明度
と、5程度のコントラスト比とが得られたものの、透過
表示部10では、該透過表示部10における液晶層厚が
反射表示部9における液晶層厚と同じであることから、
液晶層1の明度は高いものの、コントラスト比が3程度
と低く、表示品位が低いものであった。
【0138】また、曲線123、曲線124に示すよう
に、比較例2で得られた液晶表示装置では、反射表示部
9および透過表示部10における明度(反射率または透
過率)は、共に、電圧の低下に伴って低下しているが、
印加電圧が1.8Vのときの反射表示部9の反射率が2
9%であったのに対し、透過表示部10の透過率は51
%であり、また、印加電圧が5Vのときの反射表示部9
の反射率は3%、透過表示部10の透過率は10%であ
った。
【0139】即ち、上記比較例2で得られた液晶表示装
置によれば、透過表示部10では50%を超える高い明
度と、5程度のコントラスト比とが得られたものの、反
射表示部9では、該反射表示部9における液晶層厚が透
過表示部10における液晶層厚と同じであることから、
コントラスト比は10程度と高いものの、明度が30%
に満たず、暗い表示となった。
【0140】上記実施例1と比較例1・2との比較から
明らかなように、GH方式の液晶表示装置において、透
過表示部10のコントラスト比を、反射表示部9のコン
トラスト比と同等かまたはより高くするには、透過表示
部10の液晶層1の層厚を反射表示部9の液晶層1の層
厚よりも大きく設定することが有効であることが判っ
た。
【0141】〔実施の形態2〕前記実施の形態1では、
GH方式を用いた液晶表示装置について説明したが、本
発明に係る液晶表示方式としては、上記GH方式以外に
も、図4に示すように、基板4・5を偏光板14・15
で挟持し、液晶層1のリタデーションや旋光(以下、ま
とめて偏光変換作用と略記する)を表示に利用する方式
を採用してもよい。
【0142】そこで、本実施の形態では、上記偏光変換
作用を表示に利用した液晶表示装置について、主に図4
を参照して以下に説明する。尚、説明の便宜上、前記実
施の形態1と同様の機能を有する構成要素には同一の番
号を付し、その説明を省略する。
【0143】図4は、本実施の形態に係る液晶表示装置
の要部断面図である。図4に示す液晶表示装置は、液晶
セル200(液晶表示素子)を備えると共に、必要に応
じて、前記バックライト13(照明装置)を備えてい
る。これら液晶セル200、バックライト13は、観察
者(使用者)側から、液晶セル200、バックライト1
3の順で配置されている。
【0144】液晶セル200は、図4に示すように、液
晶層1が、該液晶層1と接する側(液晶層1に接する第
1の基板上の界面)に配向膜2を備えた電極基板201
(第1の基板)と、液晶層1と接する側(液晶層1に接
する第2の基板上の界面)に配向膜3を備えた電極基板
202(第2の基板)とによって挟持され、さらに、電
極基板201の外側(即ち、電極基板202との対向面
とは反対側)に、位相差補償板16と偏光板14とを備
えると共に、電極基板202の外側(即ち、電極基板2
01との対向面とは反対側)に、位相差補償板17と偏
光板15とを備えた構成を有している。尚、上記位相差
補償板16・17は、必要に応じて設けられ、使用され
る。
【0145】本発明において必要に応じて使用される上
記の位相差補償板16・17には、延伸高分子フイル
ム、液晶配向固定高分子フイルム、液晶性高分子フイル
ム等の各種位相差補償板を利用することができる。その
光学的作用は、位相差補償板16・17を用いられない
ときにしばしば見られる着色の防止、電極6・7の電位
差に対する明度の依存性の変更、さらに、表示視野角の
変更等のために使用される。
【0146】また、上記電極基板201には、透光性を
有するガラス基板等からなる基板4上に、液晶層1に電
圧を印加するための電極6が設けられ、該電極6を覆う
ように、ラビング処理が施された配向膜2が形成されて
いる。
【0147】一方、液晶層1を挟んで上記電極基板20
1に対向して設けられた上記電極基板202には、液晶
層1に電圧を印加すべく、透光性を有する基板5上に、
絶縁膜11を介して、電極6に対向する対向電極として
の電極7が形成されている。但し、図4に示す液晶表示
装置では、反射表示部9における電極7と透過表示部1
0における電極7とは電気的に絶縁されていて液晶セル
外部から別々に電圧が印加されるような構成を有してい
る。そして、上記電極基板202における反射表示部9
に対応する領域には、反射膜8が形成され、さらに、ラ
ビング処理が施された配向膜3が、これら電極7並びに
反射膜8を覆うように形成されている。また、上記絶縁
膜11は、該絶縁膜11における、透過表示部10に対
応する領域の膜厚が、反射表示部9に対応する領域の膜
厚よりも薄くなるように形成されている。
【0148】上記電極基板201・202は、図4に示
すように、配向膜2と配向膜3とが対向するように対向
配置され、封入シール剤等を用いて貼り合わされ、その
空隙に液晶組成物を導入することにより、液晶層1が形
成されている。
【0149】上記液晶表示装置では、明表示において、
上述した液晶組成物からなる液晶層1が、反射表示部9
と透過表示部10との間で連通した構造を有している。
この液晶層1の液晶は、図4において、反射表示部9b
および透過表示部10bに示すように平行配向している
ときには、液晶層1を通過する光に対して偏光変換作用
が生じ、暗表示となる。一方、反射表示部9aおよび透
過表示部10aに示すように、液晶層1の液晶が垂直配
向しているときには、偏光変換作用は弱く、明表示とな
る。
【0150】従って、反射表示部9a・9b、透過表示
部10a・10bにおける配向変化を、液晶層1を挟持
して配置されている表示面側の偏光板14とバックライ
ト13側の偏光板15とによる直線偏光選択透過作用
で、表示光の強度変化として表示に利用することで、明
表示と暗表示とが可能になる。尚、前述のように、この
場合、液晶層1の屈折率差の波長依存性を補償するた
め、あるいは、必要に応じて液晶層1で変調される明度
の電圧依存性を変更するため、あるいは、表示の視野角
を変更するため、図4に示すような、位相差補償板16
・17が用いられていてもよい。
【0151】このように光学異方性を表示に利用する場
合にも、液晶の初期配向状態は、特に限定されるもので
はなく、例えば、電圧無印加状態での液晶層1が、表示
面に対して平行に配向した状態であってもよく、垂直に
配向した状態であってもよい。前者の場合(即ち、電圧
無印加状態での液晶配向が平行配向である場合)、液晶
には、誘電率異方性が正の液晶を使用することができ
る。一方、後者の場合(即ち、電圧無印加状態での液晶
配向が垂直配向である場合)、液晶としては、誘電率異
方性が負の液晶を使用することができる。
【0152】このように、光学異方性を表示に利用する
場合にも、液晶の初期配向状態は、特に限定されるもの
ではないが、使用する液晶配向の形態に適した液晶層厚
が得られるように、絶縁膜11の膜厚を調整することが
有効である。
【0153】上記反射表示部9で暗表示を実現するため
には、まず、偏光板14で直線偏光にした光を準備す
る。そして、必要に応じて位相差補償板16によって偏
光状態を変化させ、透過表示部10よりも層厚が薄く設
定された、反射表示部9の液晶層1で、さらに偏光状態
を変化させる。この時、理想的な暗表示に必要な条件
は、結果として反射膜8上での偏光状態を、左右どちら
廻りでもよい円偏光とすることである。また、同じ反射
表示部9で理想的な明表示を実現するために必要な条件
は、反射膜8上での偏光状態を直線偏光とすることであ
る。そして、この暗表示と明表示との間で電気的に液晶
配向を制御できれば、表示の切り替えが可能になる。
【0154】つまり、暗表示を実現する場合に液晶層1
に入射した光が反射膜8に到達するまでに液晶層1が光
に対して与える位相差(反射膜8上での表示光の位相
差)と、明表示を実現する場合に液晶層1に入射した光
が反射膜8に到達するまでに液晶層1が光に対して与え
る位相差(反射膜8上での表示光の位相差)との間に、
実質的に1/4波長(概ね90度)の差異があり、それ
を実現する液晶配向が、例えば電気的に制御可能、即
ち、暗表示における円偏光と明表示における直線偏光と
の間で制御可能であればよい。この時、明表示を実現す
る反射膜8上での直線偏光の偏光方位は任意の方位でよ
い。
【0155】また、透過表示部10では、偏光板15で
直線偏光にした光を、その偏光状態を必要に応じて位相
差補償板17で変化させ、次いで、反射表示部9よりも
層厚が厚く設定された液晶層1で変化させ、さらに、必
要に応じて位相差補償板16によって変化させて偏光板
14から出射することで表示が行われる。
【0156】この場合、表示に利用するのは、偏光板1
4に入射する直前での偏光状態の変化である。従って、
明表示を行う場合には、偏光板14に入射する直前での
偏光状態を、偏光板14の透過軸方位の振動方向を有す
る直線偏光となるように調整すればよく、暗表示を行う
場合には、偏光板14に入射する直前での偏光状態を、
偏光板14の吸収軸方位の振動面を有する直線偏光とな
るように調整すればよい。
【0157】つまり、明表示を行う場合に透過表示部1
0の液晶層1を通過する光に与える位相差(液晶層1を
出射する表示光の位相差)と、暗表示を行う場合に透過
表示部10の液晶層1を通過する光に与える位相差(液
晶層1を出射する表示光の位相差)との差が、実質的に
1/2波長(概ね180度)となるように液晶層1の配
向の変化を電圧の印加により電気的に制御すれば、表示
の切り替えを行うことが可能である。
【0158】ここで、1/2波長の位相制御とは、液晶
層1側より偏光板14に入射する直線偏光の偏光方位を
制御することに相当し、屈折率主軸が一様に平行に配向
したリタデーションによる位相差の制御だけでなく、液
晶層1の屈折率主軸が液晶配向の捩じれに伴って捩じ
れ、その配向の捩じれの電圧による変化に伴って直線偏
光の偏光方位が変化する旋光現象等も含む偏光変換作用
である。これを実現する液晶層1の偏光変換作用は、位
相差補償板16や位相差補償板17の適用も考慮した場
合には、一般の直交した偏光状態間での偏光変換作用で
ある。
【0159】以上のような偏光状態の制御(光の位相制
御)を実現する偏光変換作用を可能とする液晶配向は、
基板4・5に平行(表示面に対して平行)かつ一様な平
行配向(ホモジニアス配向)であってもよく、基板4・
5に平行(表示面に対して平行)かつ基板4・5間(液
晶層1を挟んで対向した上下基板間)で捩じれた配向
(ツイスト配向)であってもよく、また、基板4・5に
垂直(表示面に対して垂直)な垂直配向(ホメオトロピ
ック配向)であってもよい。さらに、液晶層1の一方の
界面が平行配向で、他方が垂直配向であるハイブリッド
配向等も利用可能である。
【0160】この場合、上記ツイスト配向としては、具
体的には、上記基板4・5間で60度以上、100度以
下に設定されているか、あるいは、0度以上、40度以
下に設定されていることが望ましい。この理由は、透過
表示部10と反射表示部9とでラビング方位を変更しな
くても、反射表示部9に適した条件と透過表示部10と
に適した条件とを両立させることが可能となるためであ
る。
【0161】液晶表示装置を量産する場合、最も好まし
い液晶層1の光学設計としては、液晶層1に印加する駆
動電圧の範囲の上限と下限との間で、表示明度(反射率
または透過率)が単調増加または単調減少するように変
化する設計である。
【0162】以上の駆動の条件を考慮する場合、最も単
純な液晶層1の光学設計は、表示面に実質的に垂直に配
向した液晶と、表示面に実質的に平行に配向した液晶と
の間で、表示明度が単調増加または単調減少するように
表示が制御される電気光学特性が達成されるような設計
である。
【0163】この場合、特に、平行配向膜を使用して、
電圧無印加での液晶配向として表示面に平行な液晶配向
を実現した場合には、反射表示に適した条件と透過表示
に適した条件とが明確に存在する。そこで、この条件
を、いわゆる、Jones マトリクス法による計算によって
求め、ツイスト角の適切な範囲を求めた。
【0164】この結果、反射表示で良好な表示を得るた
めには、ツイスト角が0度以上、100度以下に設定さ
れている必要があることが明らかになった。
【0165】つまり、まず、本願発明者等は、反射表示
において良好な表示を実現する液晶層1では、偏光変換
作用を有する液晶配向(平行配向膜を使用した場合には
実質的に電圧無印加の場合の液晶配向に等しい)におい
て、円偏光を直線偏光に効率よく変換する作用が必要で
あることを見い出し、これを評価するために、液晶層1
に円偏光を入射した場合の反射率を上記計算法によって
求めた。尚、計算は、光が、偏光板14、90度の位相
差を与える位相差補償板16、液晶層1、反射膜8の順
に液晶セル200に入射し、これを逆に反射膜8から偏
光板14までを伝播して出射した光の反射率を求めた。
【0166】その結果、液晶層1のツイスト角毎に液晶
層1の液晶の屈折率差(Δn)と液晶層厚(d)との積
(Δn・d)を調整することにより、ツイスト角が0度
以上、70度以下の範囲内では、円偏光を完全な直線偏
光に変換することが可能であることが明らかとなった。
また、70度を越えて100度までの範囲内では、円偏
光を完全な直線偏光にすることはできないが、良好な表
示は可能であることを見い出した。そして、ツイスト角
が70度までの反射率の、可視波長における最大値を1
00%とした場合には、ツイスト角毎に液晶層1のΔn
・dを調整することにより、特定の波長における、ツイ
スト角が80度での反射率は97%、ツイスト角が90
度での反射率は83%、ツイスト角が100度での反射
率は72%となり、良好な反射率を得ることができる。
しかしながら、ツイスト角が100度を越えると、例え
ばツイスト角が110度での反射率は54%、ツイスト
角が120度での反射率は37%となり、円偏光を直線
偏光に効率良く偏光することは不可能となる。つまり、
反射表示部9における液晶層1では、ツイスト角を、0
度以上、100度以下の範囲内に設定することが必要で
ある。
【0167】尚、上記の説明では、反射表示部9におけ
る液晶層1の偏光変換作用を評価するために円偏光を計
算に用いたが、実際の表示においては、反射表示部9の
液晶層1に必ずしも円偏光を入射させる必要はなく、液
晶層1を上述したように設計し、該液晶層1に直線偏光
を入射させても、反射表示部9で良好な表示を得ること
ができる。
【0168】一方、透過表示部10で良好な表示を得る
ためには、液晶配向が、ツイスト角が小さい(0度以
上、40度以下)配向であるか、あるいは、ツイスト角
が大きい(60度以上、110度以下)配向である必要
がある。
【0169】透過表示部10で良好な表示を得るために
必要な偏光変換作用は、基本的な光学作用(第1の条
件)と、この基本的な光学作用(第1の条件)と反射表
示部9との関連によって決まる現実的な光学作用(第2
の条件)とを満たす必要がある。
【0170】その理由は、例えば、上記第1の条件の場
合、偏光変換作用を有する液晶配向(平行配向膜を使用
した場合には、実質的に電圧無印加の場合の配向に等し
い)において、透過表示部10における液晶層1では、
ある偏光(直線偏光、円偏光、あるいは楕円偏光であっ
て、偏光状態が指定された偏光)を、効率良く、それに
直交する偏光(直線偏光の場合は光の振動電界が含まれ
る面が直交する直線偏光、円偏光の場合は回転方向の反
転した円偏光、楕円偏光の場合は楕円主軸方位が直交し
た同じ楕円率の楕円偏光で、回転方向が反転した楕円偏
光)に変換する作用を必要とするためである。
【0171】そこで、本願発明者等は、透過表示部10
に必要な性質として上記の作用を評価するために、偏光
変換作用を上記計算法(Jones マトリクス法)によって
求めたが、このために必要なツイスト角の範囲に反して
は、特に制限はないことが明らかとなった。
【0172】また、上記第2の条件は、本発明において
は、反射表示部9と透過表示部10とで共通の表示面側
の光学フィルム(偏光板14および位相差補償板16)
を使用するために生じる制約である。反射表示部9およ
び透過表示部10における光学フィルムは、反射表示を
良好に行うように設定されている。そして、液晶表示装
置の表示面と逆の面には、異なる光学フィルムの設定が
可能であるが、この光学フィルムは、透過表示部10の
表示を、表示面側の光学フィルムである上記偏光板14
および位相差補償板16と、透過表示部10側の液晶層
1と協動して良好にするような配置に設定することが好
ましい。このような設定を行うためには、透過表示部1
0における液晶層1の偏光変換作用は、単に、上記第1
の条件を満たすだけではなく、円偏光を逆廻りの円偏光
に良好に変換できること、あるいは、直線偏光を直交す
る直線偏光に良好に変換できることが重要である。
【0173】そこで、透過表示部10における液晶層1
に対する、上記第2の条件を満たす具体的な条件を評価
するために、液晶層1に円偏光を入射したときに、逆廻
りの円偏光になる光の強度を上記の計算法によって求め
た。尚、計算は、光が、第1の偏光板としての偏光板1
5、90度の位相差を与える第1の位相差補償板として
の位相差補償板17、液晶層1、90度の位相差を与え
る第1の位相差補償板と直交した遅相軸を有する第2の
位相差補償板としての位相差補償板16、上記第1の偏
光板と直交する第2の偏光板としての偏光板14の順に
伝播した場合の透過率を求めた。
【0174】この結果、本願発明者等は、ツイスト角毎
に液晶層1のΔn・dを調整すると、ツイスト角が0度
以上、40度以下の範囲内にあるときには、円偏光が逆
廻りの円偏光に良好に変換されることを見い出した。具
体的には、ツイスト角0度のときの可視波長における光
の透過率を100%とした場合、ツイスト角が30度の
ときの光の透過率は88.6%、ツイスト角が40度の
ときの光の透過率は80.8%、ツイスト角が50度の
ときの光の透過率は72.0%、ツイスト角が60度の
ときの光の透過率は62.4%となり、円偏光を逆廻り
の円偏光に変換する偏光変換作用を透過率で評価した場
合、透過率はツイスト角の増大とともに低下する。この
ため、ツイスト角の上限は、上記の結果から、40度程
度に定めることが適当であるとの結論を得た。
【0175】一方、直線偏光を直交する直線偏光に効率
良く変換する透過表示部10のツイスト角の設定は、光
の波長を一つの波長に限定した場合には、ツイスト角が
0度以上の任意のツイスト角で、充分に効率の良い透過
率が実現できる。しかし、可視波長の広い領域で高い透
過率を得るには、ツイスト角に最適値が存在する。具体
的には、ツイスト角を変更して、可視波長範囲の中心波
長である550nmが最大透過率となるように液晶層1
のΔn・dを調整し、550nmの透過率を100%と
したときに、90%以上の透過率が得られる波長の上限
と下限とを除いた波長幅を求めた。尚、透過率の計算
は、光が、上記第1の偏光板としての偏光板15、液晶
層1、第1の偏光板と直交する第2の偏光板としての偏
光板14を通過するとき、液晶層1の層厚方向の中央に
ある液晶配向が、偏光板14・15の透過軸とは45度
の角をなすように配置し、そのときの透過率を求めてい
る。
【0176】この結果、ツイスト角が0度のときの波長
幅(波長範囲)は230nm、ツイスト角が10度のと
きの波長幅は235nm、ツイスト角が20度のときの
波長幅は240nm、ツイスト角が30度のときの波長
幅は245nm、ツイスト角が40度のときの波長幅は
250nm、ツイスト角が50度のときの波長幅は25
5nm、ツイスト角が60度のときの波長幅は265n
m、ツイスト角が70度のときの波長幅は280nm、
ツイスト角が80度のときの波長幅は310nm、ツイ
スト角が90度のときの波長幅は330nm、ツイスト
角が100度のときの波長幅は305nm、ツイスト角
が110度のときの波長幅は255nm、ツイスト角が
120度のときの波長幅は210nmとなった。
【0177】以上のような検討から、ツイスト角が60
度以上、110度以下の範囲内で高い透過率が広い波長
幅(波長範囲)で実現し、良好な偏光変換作用が実現さ
れ、良好な表示が可能となることが判った。従って、以
上の円偏光に対する偏光変換作用および直線偏光に対す
る偏光変換作用から、上記第2の条件を満たす透過表示
部10の液晶のツイスト角は、0度以上、40度以下の
範囲内、または、60度以上、110度以下の範囲内に
限定される。
【0178】以上のようにして、反射表示部9には0度
以上、100度以下の範囲内、透過表示部10には0度
以上、40度以下の範囲内、または、60度以上、11
0度以下の範囲内のツイスト角が良好な表示を与えるこ
とが明らかとなった。つまり、本発明の実施の形態の一
例として、反射表示部9と透過表示部10とで共に良好
な表示を得るためのツイスト角としては、0度以上、4
0度以下の範囲内、あるいは、60度以上、100度以
下の範囲内が適当である。
【0179】尚、以下に示す実施例において、反射表示
部9と透過表示部10とにおける液晶層1のツイスト角
が等しい例(実施例2〜実施例9、および実施例11)
においては、ツイスト角が0度で円偏光を使用する典型
的な例は、実施例11であり(液晶配向は垂直配向)、
ツイスト角が0度で直線偏光を使用する典型的な例は実
施例3(位相差補償板により良好な明表示となるように
調整している)である。また、ツイスト角が70度付近
で直線偏光を使用する典型的な例は、実施例5(位相差
補償板により良好な明表示となるように調整している)
である。
【0180】上述した検討によれば、反射表示部9と透
過表示部10とで、ともに良好な表示を得るための液晶
層1のツイスト角は、0度以上、40度以下の範囲内、
または、60度以上、100度以下の範囲内となる。
【0181】以上の説明においては、ツイスト角の大き
さを正の符号に関してのみ説明したが、絶対値が同じで
負の符号(ツイスト方向が逆に捩じれているもの)に関
しても、同様の議論が有効であることは言うまでもな
い。
【0182】ツイスト角を小さく設定する場合、何れの
場合にも、偏光状態の変化が屈折率差(Δn)と液晶層
厚(d)との積(Δn・d)の関数になり、しかも、反
射表示部9では入射光が液晶層1を往復し、透過表示部
10では入射光が液晶層1を一度だけ通過することか
ら、透過表示部10における液晶層厚は反射表示部9に
おける液晶層厚に比して厚く設定されることが望まし
い。
【0183】尚、通常の旋光を利用するTN液晶表示装
置においても、液晶層厚が薄い場合には、旋光とリタデ
ーションによる偏光状態の変化とが区別できない状態に
なり、一般的には楕円偏光を表示に利用するため、上記
TN液晶表示装置において用いられる旋光を、上述した
偏光変換作用を用いた明表示および暗表示に用いること
ができることは言うまでもない。本発明における偏光変
換作用には、これら旋光による透過光強度の変調も含ま
れる。
【0184】さらに、上記偏光変換作用において、偏光
状態を変化させ得る液晶配向の変化には、上述したよう
に、液晶の配向状態が基板4・5に平行であるか垂直で
あるかを制御するもののみならず、表面安定化強誘電性
液晶や反強誘電性液晶のように、液晶が、基板4・5に
ほぼ平行な配向方位を保ったまま配向方向のみが変化す
るものや、ネマティック液晶を利用し、電極構造を変更
して液晶の配向方向を表示面に平行な面内に保ったまま
配向方位を変化させるものも含まれる。
【0185】また、上記の液晶表示装置において、偏光
板14・15の設置方位(貼付方位)は、適宜設定する
ことができる。例えば、反射表示部9に合わせて偏光板
14の設置方位を設定すれば、必然的に、透過表示部1
0を透過する表示光に対しても同じ偏光板14が作用す
るため、該偏光板14の設置方位に合わせて偏光板15
の設置方位を定めればよい。
【0186】以上のように、捩じれを持たない液晶配向
を表示に用いる場合、反射表示部9が、例えば暗表示を
示すときに、透過表示部10も、同様に、例えば暗表示
を示した。しかしながら、例えば、偏光板14の設置方
位はそのままで偏光板15の設置方位を90度変更する
と、反射表示部9と透過表示部10とで表示の反転が起
こる。つまり、そのままでは、良好な表示が得られな
い。そこで、このような表示の反転を防止するために
は、偏光板15の設置方位を元に戻すか、あるいは、反
射表示部9と透過表示部10とに各々独立した電極を与
えて、電気的駆動そのものを反射表示部9または透過表
示部10の一方のみで反転させて表示の明暗を一致させ
てもよい。
【0187】次に、図4に示す液晶表示装置における反
射表示部9および透過表示部10での表示原理について
さらに詳細に説明する。
【0188】まず、反射表示部9での表示原理について
以下に説明する。尚、説明を簡略化するため、以下の説
明では位相差補償板16・17を用いることなく、ま
た、液晶層1の液晶配向は、反射表示部9bおよび透過
表示部10bで捩じれを有していないものとする。さら
に、波長550nmの光が液晶層1を1度だけ透過する
場合に、反射表示部9b、透過表示部10bが、各々、
1/4波長、1/2波長の位相差を有するように、反射
表示部9および透過表示部10の層厚が調整されている
ものとし、液晶組成物は正の誘電率異方性を有し、電圧
無印加の場合の液晶配向は基板4・5に対し概ね平行で
あり、その配向方位は偏光板14の吸収軸方位に対し、
45度の角度をなしているものとする。
【0189】この場合、電圧無印加状態における反射表
示部9および透過表示部10での液晶配向は、反射表示
部9bおよび透過表示部10bに示す液晶配向となり、
電圧の印加によって変化した、反射表示部9および透過
表示部10での液晶配向は、反射表示部9aおよび透過
表示部10aに示す液晶配向となる。
【0190】上記反射表示部9bでは、液晶組成物の屈
折率差(Δn)と液晶層厚(d)との積(Δn・d)
は、1/4波長条件が成立している。このため、周囲光
は入射の際、偏光板14で直線偏光となり、さらに液晶
層1のリタデーションによって、反射膜8に到達すると
きは円偏光となる。このとき、入射光は、反射膜8で進
行方向が反転し、円偏光は振動電界の回転方向を保存し
て進行方向のみが反転するために、入射時の偏光に対し
て直交した円偏光、つまり、左右が反転した円偏光にな
る。この円偏光は、再び反射表示部9bの液晶層1を通
過して偏光板14の吸収軸方位と平行な直線偏光にな
り、偏光板14によって吸収され、暗表示となる。
【0191】また、このとき、透過表示部10bでは、
液晶組成物の屈折率差(Δn)と液晶層厚(d)との積
(Δn・d)は1/2波長条件が成立している。このた
め、液晶層1は、入射した直線偏光の振動面の方位を液
晶配向方向に対して線対称に変換する作用を有してい
る。従って、透過表示部10bへの光の入射側の偏光板
15の吸収軸方位は、液晶層1の上述した作用を受け
て、偏光板14を通過する光が偏光板14によって吸収
されて暗表示となるように、偏光板14および偏光板1
5の透過軸方位と平行になるように決定される。
【0192】このように、偏光板14および偏光板15
が、それらの透過軸方位が平行、かつ、該透過軸方位か
ら液晶配向が45度の角度をなすように配置されると、
反射表示部9b、透過表示部10bが共に暗表示になる
ことが判った。
【0193】次に、上記反射表示部9bおよび透過表示
部10bに示す電圧無印加状態(液晶の初期配向状態)
から、電極6および電極7に電位差を与えることによ
り、液晶の配向状態を、反射表示部9aおよび透過表示
部10aに示すように、表示面に対してほぼ垂直に変化
させた場合の作用について以下に説明する。
【0194】この場合、反射表示部9aでは、周囲光が
偏光板14によって直線偏光になり、液晶層1はその直
線偏光に対してリタデーションを持たないため、入射光
は、偏光状態が変化することなく反射膜8に到達し、さ
らに進行方向が反転した後、液晶層1を再び通過し、偏
光板14の吸収軸方位に直交した直線偏光の方位を保っ
たまま偏光板14から出射する。
【0195】また、透過表示部10aにおいても、反射
表示部9aと同様に、入射光が偏光板15によって直線
偏光になり、その直線偏光の方位を概ね維持したまま偏
光板14を通り抜ける。
【0196】以上のような光学異方性による偏光変換作
用を表示に利用する場合、この偏光変換作用の量は、例
えば、液晶が平行配向していて液晶層1に電圧が印加さ
れていない場合には、液晶層1の配向のツイスト角と、
液晶層厚(d)と液晶組成物の屈折率差(Δn)との積
(Δn・d)とで決定される。このため、本発明のよう
に透過表示部10が反射表示部9よりも厚い液晶層厚を
有することは、透過光および反射光を表示に利用する液
晶表示装置において、表示の明度およびコントラスト比
を、反射表示部9および透過表示部10で共に両立させ
るために有効である。尚、ツイスト角は、反射表示部9
と透過表示部10とで各々異なっていても構わない。
【0197】また、上記液晶表示装置が、位相差補償板
16・17を備えている場合、可視光域の複数の波長の
光に対して、十分な明度とコントラスト比とを確保する
ことができ、この結果、さらに良好な表示が実現可能で
ある。
【0198】また、液晶層1の液晶組成物や配向が上記
の説明と同様であっても、位相差補償板16・17の作
用によって、上記の表示の変化を反転させることが可能
である。つまり、例えば位相差補償板16・17として
1/4波長板を用いれば、反射表示部9bでは、周囲光
は、位相差補償板16によって、液晶層1に入射の際に
円偏光になり、さらに、液晶層1の光学異方性による偏
光変換作用によって、反射膜8に到達するときは直線偏
光になり、反射膜8で進行方向が反転した後、偏光板1
4の透過成分に再び変換されて偏光板14から出射され
ることから、明表示になり、液晶配向が、反射表示部9
aに示すように変化した場合には、周囲光は、円偏光の
まま反射膜8に到達するため暗表示になる。
【0199】また、上記の説明では、電極6と電極7と
の電位差の増加に伴って、暗表示から明表示へと表示が
変化する場合について説明したが、該表示の変化は、こ
れに限定されるものではなく、例えば、前述したよう
に、液晶層1に用いる液晶組成物の誘電率異方性を負に
し、液晶の初期配向状態を垂直配向とすることで、反転
することができる。
【0200】ここで、液晶の初期配向状態を垂直配向に
設定する場合には、初期配向の偏光変換作用が液晶層厚
の作製精度に大きく影響されることがないという技術的
特徴を備えている。従って、この特徴を生かすために、
表示品位を大きく左右する黒表示が安定するように、初
期配向状態を黒表示に割り当てることは、量産性の高い
手段となり得る。特にこれを実現するには、垂直に配向
した液晶層1の偏光変換作用がほぼ消失した状態で表示
を黒にする必要があり、位相差補償板16には、良好な
円偏光化作用が必要である。つまり、位相差補償板16
としては、可能な限り広い波長で円偏光となるような構
成を有していることが重要である。
【0201】また、透過表示部10は、例えば、位相差
補償板17と位相差補償板16とが直交する遅相軸方位
を有するように配置され、かつ、偏光板14と偏光板1
5とが、互いに直交する吸収軸方位を有するように配置
されている場合に、透過表示部10bに示す液晶配向で
明表示、透過表示部10aに示す液晶配向で暗表示とな
る。
【0202】液晶層1の配向が、平行配向、垂直配向の
何れの場合であっても、本発明にかかる液晶表示装置に
おいて、反射表示部9と透過表示部10とで液晶層厚を
変化させた場合、反射表示部9と透過表示部10とで、
明度とコントラスト比とを両立させるためには、上述し
たように、反射表示部9では、表示面側から液晶層1を
通って入射した光が再び液晶層1を通って表示面側に出
射することにより表示を行い、透過表示部10では、背
面側(バックライト13側)から入射した光が液晶層1
を一度だけ通過して表示面側に出射することにより表示
を行うときに、透過表示部10における液晶層厚が、反
射表示部9における液晶層厚よりも厚く設定され、その
結果として、前述の条件を満足することが有効である。
【0203】以下、本実施の形態に係る液晶表示装置の
うち、偏光板14・15を使用して液晶層1の偏光変換
作用による偏光状態の変化を表示に利用する液晶表示装
置について、図4〜図8を参照して、具体的な実施例お
よび比較例を挙げて説明するが、本実施の形態に係る液
晶表示装置は、以下の実施例により何ら限定されるもの
ではない。
【0204】〔実施例2〜実施例4〕実施例2〜実施例
4では、実施例1の液晶注入用の液晶セルの作製方法と
同様の方法により、透過表示部10が7.5μm、反射
表示部9が4.5μmの液晶層厚(d)を有している液
晶注入用の液晶セルを作製した。つまり、実施例2〜実
施例4においても、透過表示部10には感光樹脂が残存
せず、反射表示部9では、該感光樹脂が3μmの層厚に
形成されるように絶縁膜11をパターン形成することに
より、反射表示部9よりも透過表示部10の方が液晶層
厚が厚くなるように設定した。但し、実施例2〜実施例
4では、図4に示すように、反射表示部9の電極7と透
過表示部10の電極7とが電気的に絶縁されていて、反
射表示部9の電極7と透過表示部10の電極7とに、外
部から別々に電圧が印加されるように電極パターンを作
製した。
【0205】さらに、実施例2〜実施例4では、上記液
晶注入用の液晶セルに、カイラル剤を含まない液晶組成
物の屈折率差(Δn)が0.065であり、正の誘電率
異方性を有する液晶組成物を、真空注入法によって導入
することにより、液晶層1を形成した。
【0206】そして、このようにして得られた液晶セル
における各電極基板の外側に、位相差補償板16・17
および偏光板14・15を貼付して液晶表示装置を作製
した。このとき、実施例2〜4では、位相差補償板17
を2枚の位相差補償板で構成し、位相差補償板16を、
実施例3では1枚の位相差補償板で構成し、実施例2・
4では2枚の位相差補償板で構成した。これら位相差補
償板16・17および偏光板14・15の貼付方位は、
液晶の配向方向(配向方位)に対応して決定した。
【0207】また、実施例2では、液晶配向はホモジニ
アス配向とし、表示には、NB(ノーマリーブラック)
モードを用いた。実施例3では、液晶配向はホモジニア
ス配向とし、表示には、NW(ノーマリーホワイト)モ
ードを用いた。そして、実施例4では、これらを混合
(反射表示にNBモードを使用し、透過表示にNWモー
ドを使用)したものを用いた。
【0208】但し、電圧を印加しないときに液晶が表示
面に平行に配向するように、上記実施例2〜実施例4で
は、配向膜2・3に、平行配向性の配向膜を用いると共
に、配向膜2・3のラビング交差角を180度に設定し
て配向処理を行った。
【0209】ここで、ラビング交差角とは、図5に示す
ように、液晶注入用の液晶セルにおいて、液晶層1を挟
持する一対の電極基板のうち、観察者側基板である電極
基板における配向膜2(即ち、基板4側の配向膜2)の
配向処理方位であるラビング方位Xを基準にして、他方
の電極基板における配向膜3(即ち、基板5側の配向膜
3)の配向処理方位であるラビング方位Yを反時計周り
に測定した角度と定義する。
【0210】配向処理された配向膜2・3によって挟持
されている液晶層1における液晶分子の配向状態は、電
界、磁界等が存在しない場合、配向膜2・3の配向性
と、液晶に固有のツイストを与えるカイラル添加剤の添
加量と、ラビング交差角とによって決定される。
【0211】ラビング交差角が例えば180度のとき、
カイラル添加剤が混入されていない液晶組成物は、ツイ
ストすることなく配向する。また、カイラル添加剤が例
えば液晶に左捩じれのツイストを誘起する場合には、カ
イラル添加剤の添加量が、ある一定量に達するまでは液
晶層1はツイストせずに配向し、ある一定量を越えると
180度左巻きにツイスト配向(180度左ツイスト配
向)する。そして、上記カイラル添加剤の添加量をさら
に増加すると、カイラル添加剤の増加にしたがって、1
80度の整数倍だけのツイストが実現する。
【0212】従って、本実施の形態において、上述した
ラビング交差角(180度)によって実現する配向膜3
上の液晶の配向方位は、液晶層1の上側の電極基板に配
された配向膜2のラビング方位Xをx度とする場合に
は、カイラル添加剤を添加しない場合にはx度、カイラ
ル添加剤を増量して上下の電極基板間で180度左にツ
イストしている場合には、(180+x)度と表現する
こととする。
【0213】尚、このような配向処理において、配向膜
2・3が、液晶を配向膜面に対して平行に配向させるい
わゆる平行配向膜であり、カイラル添加剤が混入されて
いない、誘電率異方性が正のネマティック液晶を用いる
場合には、液晶分子は、電圧を印加しない場合には、液
晶層1を挟む上下の電極基板にほぼ平行で捩じれのない
配向(即ち、ホモジニアス配向)状態をとり、電圧の印
加に伴って、液晶層1の層厚方向中央部の液晶から電圧
に応じて配向変化が生じる。
【0214】表1に、実施例2〜実施例4で得られた各
液晶表示装置における、偏光板14・15、位相差補償
板16・17、および液晶層1の光学配置(即ち、偏光
板14・15および位相差補償板16・17の貼付方
位、並びに、液晶の配向方位)を各々の例において共通
の方位の基準を用いて示す。
【0215】尚、表1に示す光学配置は、観察者が表示
面を観察するときの、表示面での各々の光学要素配置で
あり、位相差補償板16あるいは位相差補償板17が複
数の位相差補償板によって構成されている場合には、上
記位相差補償板16・17を構成する各位相差補償板
は、観察者側からの実際の配置の順に記載している。
【0216】また、液晶層1はツイストしない配向をと
っているため、電圧無印加時の液晶層1全体の配向方位
(液晶分子長軸の配向方位)を記載しているが、この配
向方位は、基板4側の配向膜2に施された配向処理の方
位である。
【0217】尚、各々の方位は、表示面上に任意にとっ
た基準方位からの方位を度の単位で表し、各位相差補償
板のリタデーション(即ち、位相差補償板の面内の屈折
率差と厚みとの積)は波長550nmの単色光に対する
値をnm単位で示す。
【0218】
【表1】
【0219】また、上記実施例2、実施例3、実施例4
で得られた各液晶表示装置の表示特性を、各々、図6、
図7、図8に示す。尚、これらの表示特性は、何れも、
実施例1と同様の方法により測定したものであり、上記
各図において、横軸は印加電圧の実効値を示し、縦軸は
明度(反射率または透過率)を示す。また、偏光板14
・15が共に貼付されていない透過表示部10の透過率
を透過率100%とし、偏光板14を貼付する前の反射
表示部9の反射率を反射率100%とする。
【0220】図6において、曲線211は、実施例2で
得られた液晶表示装置における電極6と電極7との間の
電圧に対する反射表示部9の反射率の電圧依存性を示
し、曲線212は、実施例2で得られた液晶表示装置に
おける電極6と電極7との間の電圧に対する透過表示部
10の透過率の電圧依存性を示す。
【0221】図6に示すように、実施例2では、印加電
圧が1V〜2Vの区間では、印加電圧の上昇に伴って反
射率、透過率が共に上昇している。また、印加電圧が1
Vのときの反射表示部9の反射率は3%、透過表示部1
0の透過率は2%であり、印加電圧が2Vのときの反射
表示部9の反射率および透過表示部10の透過率は共に
40%であった。
【0222】また、図7において、曲線221は、実施
例3で得られた液晶表示装置における電極6と電極7と
の間の電圧に対する反射表示部9の反射率の電圧依存性
を示し、曲線222は、実施例3で得られた液晶表示装
置における電極6と電極7との間の電圧に対する透過表
示部10の透過率の電圧依存性を示す。
【0223】図7に示すように、実施例3では、印加電
圧が1V〜2Vの区間では、印加電圧の上昇に伴って反
射率、透過率が共に減少している。また、印加電圧が1
Vのときの反射表示部9の反射率および透過表示部10
の透過率は共に40%であり、印加電圧が2Vのときの
反射表示部9の反射率は3%、透過表示部10の透過率
は2%であった。
【0224】また、図8において、曲線231は、実施
例4で得られた液晶表示装置における電極6と電極7と
の間の電圧に対する反射表示部9の反射率の電圧依存性
を示し、曲線232は、実施例4で得られた液晶表示装
置における電極6と電極7との間の電圧に対する透過表
示部10の透過率の電圧依存性を示す。
【0225】図8に示すように、実施例4では、印加電
圧が1V〜2Vの区間では、印加電圧の上昇に伴って反
射率が上昇する一方、透過率は減少している。また、印
加電圧が1Vのときの反射表示部9の反射率は3%、透
過表示部10の透過率は40%であり、印加電圧が2V
のときの反射表示部9の反射率は40%、透過表示部1
0の透過率は2%であった。
【0226】以上のように、上記実施例2〜実施例4で
得られた液晶表示装置は、何れも、該液晶表示装置への
印加電圧の変化に伴って、透過率並びに反射率が変化す
るものであり、反射表示と透過表示とが共に可能であっ
た。
【0227】さらに、目視観察を実施したところ、実施
例2および実施例3においては、反射表示部9における
電極7と透過表示部10における電極7とに対して同一
の電圧を印加することにより、電極6と電極7とによっ
て液晶層1に加えられる電圧を反射表示部9と透過表示
部10とで同様に保って表示を行っていることから、反
射表示部9と透過表示部10とで明暗の変化が同様であ
り、表示の明暗の反転が生じないことを確認した。ま
た、この表示の際に、周囲光の強度を観察途中で変化さ
せても表示内容の変化は見られなかった。つまり、反射
表示部9が暗表示のときに透過表示部10も暗表示とな
り、反射表示部9が明表示のときに透過表示部10も明
表示となった。このため、前記図1に記載のように反射
表示部9と透過表示部10とに同一の電極7を用いて駆
動した場合においても表示の反転は生じなかった。
【0228】これに対し、実施例4においては、実施例
2および実施例3と同様に電圧を印加した場合、つま
り、1Vの電圧を印加した場合、透過表示部10は明表
示となり、反射表示部9は暗表示となった。また、2V
の電圧を印加した場合、透過表示部10は暗表示とな
り、反射表示部9は明表示となった。このため、透過表
示部10と反射表示部9とでは、表示の明暗が反転し
た。この反転のため、周囲光の弱い環境で表示を行い、
主に透過表示部10を観察している場合に周囲光を強く
して反射表示を行うと、表示の明暗が反転し、表示内容
の確認に困難を生じた。このことから、実施例4に示す
ように、反射表示部9における電極7と透過表示部10
における電極7とに対して同一の電圧を印加した場合、
NBとNWとの混合モードとすると、反射表示部9と透
過表示部10との表示の反転が大きく、視認性を悪化さ
せることが確認された。
【0229】一方、実施例4において、反射表示部9が
明表示のときに同時に透過表示部10も明表示となり、
反射表示部9が暗表示のときに同時に透過表示部10も
暗表示となるように、反射表示部9における電極7と透
過表示部10における電極7とに対して異なる電圧を印
加、つまり、電極6・7(配向機構)により反射表示部
9に、該反射表示部9が暗表示を示す電圧(1V)を印
加するときには、透過表示部10には、該透過表示部1
0が暗表示となる電圧(2V)を印加し、反射表示部9
に、該反射表示部9が明表示となる電圧(2V)を印加
するときには、透過表示部10には、該透過表示部10
が明表示となる電圧(1V)を印加することで、表示の
明暗の反転が解消し、実施例2および実施例3と同様の
良好な表示状態が得られた。
【0230】以上のことから、上記実施例2〜実施例4
の各液晶表示装置は、何れも、反射表示部9に対しても
透過表示部10に対しても共に明表示の明度とコントラ
スト比とを両立することができると共に、反射表示部9
と透過表示部10とで表示の明暗を一致させることがで
き、視認性に優れた表示を実現することができることが
判る。また、上記実施例2〜実施例4の各液晶表示装置
は、何れも、透過表示部10におけるコントラスト比が
反射表示部9におけるコントラスト比を上回ることか
ら、より一層表示品位を高め、良好な表示を行うことが
できることが判る。
【0231】次に、本実施の形態に係る液晶表示装置の
うち、液晶層1のツイスト配向による液晶層1の偏光変
換作用を表示に利用する液晶表示装置について、図9及
び図10を参照して、具体的な実施例および比較例を挙
げて説明するが、本実施の形態に係る液晶表示装置は、
以下の実施例により何ら限定されるものではない。
【0232】〔実施例5〕本実施例では、実施例1の液
晶注入用の液晶セルの作製方法と同様の方法により、透
過表示部10が7.5μm、反射表示部9が4.5μm
の液晶層厚を有している液晶注入用の液晶セルを作製し
た。つまり、本実施例においても、透過表示部10には
感光樹脂が残存せず、反射表示部9では、該感光樹脂が
3μmの層厚に形成されるように絶縁膜11をパターン
形成することにより、反射表示部9よりも透過表示部1
0の方が液晶層厚が厚くなるように設定した。
【0233】但し、本実施例では、実施例2〜4と同
様、図4に示すように、反射表示部9の電極7と透過表
示部10の電極7とが電気的に絶縁されていて、反射表
示部9の電極7と透過表示部10の電極7とに、外部か
ら別々に電圧が印加されるように電極パターンを作製し
た。
【0234】また、上記の液晶セルにおける各電極基板
の外側には、位相差補償板16・17および偏光板14
・15を貼付した。尚、本実施例では、位相差補償板1
7を1枚の位相差補償板で構成し、位相差補償板16を
2枚の位相差補償板で構成した。これら位相差補償板1
6・17および偏光板14・15の貼付方位は、液晶の
配向方向(配向方位)に対応して決定した。
【0235】本実施例では、液晶層1のツイスト配向
(液晶の配向の捩じれ角(ツイスト角)が70度となる
ように、液晶表示装置を作製した。具体的には、配向膜
2・3に、電圧を印加しないときの液晶配向が平行配向
となるように、平行配向性の配向膜を用い、そのラビン
グ交差角が250度となるようにラビング処理を施すこ
とにより、配向処理を行った。尚、ラビング交差角は、
前述の定義に従うものとする。そして、上記液晶注入用
の液晶セルにおける電極基板間に、屈折率差(Δn)が
0.065の正の誘電率異方性を有する液晶組成物を真
空注入法によって導入することにより、液晶層1を形成
した。このような配向処理と液晶組成物に添加したカイ
ラル添加剤の作用により、上述したように、液晶の配向
の捩じれ角(ツイスト角)を70度とすることができ
る。このように配向させられた液晶層1は、電圧の印加
に伴って、液晶層1の層厚方向中央部の液晶から電圧に
応じて配向変化が生じる。
【0236】表2に、本実施例で得られた液晶表示装置
における、偏光板14・15、位相差補償板16・1
7、および液晶層1の光学配置(即ち、偏光板14・1
5および位相差補償板16・17の貼付方位、並びに、
液晶の配向方位)を共通の方位の基準を用いて示す。
【0237】〔実施例6〕本実施例でも、実施例5と同
様、実施例1の液晶注入用の液晶セルの作製方法と同様
の方法により、透過表示部10が7.5μm、反射表示
部9が4.5μmの液晶層厚(d)を有している液晶注
入用の液晶セルを作製した。また、図4に示すように、
反射表示部9の電極7と透過表示部10の電極7とが電
気的に絶縁されていて、反射表示部9の電極7と透過表
示部10の電極7とに、外部から別々に電圧が印加され
るように電極パターンを作製した。
【0238】上記の液晶セルにおける各電極基板の外側
には、位相差補償板16・17および偏光板14・15
を貼付した。尚、本実施例では、位相差補償板16およ
び位相差補償板17に、各々、1枚の位相差補償板を用
いた。これら位相差補償板16・17および偏光板14
・15の貼付方位は、液晶の配向方向(配向方位)に対
応して決定した。
【0239】本実施例では、液晶層1のツイスト配向
(液晶の配向の捩じれ角(ツイスト角))が90度とな
るように、液晶表示装置を作製した。具体的には、配向
膜2・3に、電圧を印加しないときの液晶配向が平行配
向となるように、平行配向性の配向膜を用い、そのラビ
ング交差角が270度となるようにラビング処理を施す
ことにより、配向処理を行った。尚、ラビング交差角
は、前述の定義に従うものとする。そして、上記液晶注
入用の液晶セルにおける電極基板間に、屈折率差(Δ
n)が0.065の正の誘電率異方性を有する液晶組成
物を真空注入法によって導入することにより、液晶層1
を形成した。このような配向処理と液晶組成物に添加し
たカイラル添加剤の作用により、上述したように、液晶
の配向の捩じれ角(ツイスト角)を90度とすることが
できる。このように配向させられた液晶層1は、電圧の
印加に伴って、液晶層1の層厚方向中央部の液晶から電
圧に応じて配向変化が生じる。
【0240】表2に、本実施例で得られた液晶表示装置
における、偏光板14・15、位相差補償板16・1
7、および液晶層1の光学配置(即ち、偏光板14・1
5および位相差補償板16・17の貼付方位、並びに、
液晶の配向方位)を共通の方位の基準を用いて示す。
【0241】尚、表2に示す光学配置は、観察者が表示
面を観察するときの、表示面での各々の光学要素配置で
あり、位相差補償板16あるいは位相差補償板17が複
数の位相差補償板によって構成されている場合には、上
記位相差補償板16・17を構成する各位相差補償板
は、観察者側からの実際の配置の順に記載している。
【0242】また、液晶層1の配向方位(液晶分子長軸
の配向方位)は、基板4側では、基板4側の配向膜2に
施されたラビング処理の方位に等しく、基板5側では、
基板5側の配向膜3に施されたラビング処理の方位に等
しい。但し、配向膜2に接する液晶の配向方位を配向膜
3側まで追跡した場合には、左90度ツイスト配向をし
ている。このように液晶配向を追跡した場合には、配向
膜2へのラビング処理方位を基板4側の配向方位(以
下、基板4配向方位と略記する)と考えた場合には、配
向膜3のラビング方位は、液晶の配向をツイストにした
がって追跡した方位とは180度反転した方位となる。
以下、基板5側の配向方位(以下、基板5配向方位と略
記する)を、基板4配向方位から液晶の配向をツイスト
にしたがって追跡した基板5上の液晶配向として定義す
る。
【0243】尚、表2における各々の方位は、表示面上
に任意にとった基準方位からの方位を度の単位で表し、
各位相差補償板のリタデーションは波長550nmの単
色光に対する値をnm単位で示す。
【0244】
【表2】
【0245】また、上記実施例5、実施例6で得られた
各液晶表示装置の表示特性を、各々、図9、図10に示
す。尚、これらの表示特性は、何れも、実施例1と同様
の方法により測定したものであり、上記各図において、
横軸は印加電圧の実効値を示し、縦軸は明度(反射率ま
たは透過率)を示す。また、偏光板14・15が共に貼
付されていない透過表示部10の透過率を透過率100
%とし、偏光板14を貼付する前の反射表示部9の反射
率を反射率100%とする。
【0246】図9において、曲線241は、実施例5で
得られた液晶表示装置における電極6と電極7との間の
電圧に対する反射表示部9の反射率の電圧依存性を示
し、曲線242は、実施例5で得られた液晶表示装置に
おける電極6と電極7との間の電圧に対する透過表示部
10の透過率の電圧依存性を示す。
【0247】図9に示すように、実施例5では、印加電
圧が1.2V以上の区間では、印加電圧の上昇に伴って
反射率、透過率が共に上昇している。また、印加電圧が
1Vのときの反射表示部9の反射率は3%、透過表示部
10の透過率は2%であり、印加電圧が4Vのときの反
射表示部9の反射率は41%、透過表示部10の透過率
は40%であった。
【0248】また、図10において、曲線251は、実
施例6で得られた液晶表示装置における電極6と電極7
との間の電圧に対する反射表示部9の反射率の電圧依存
性を示し、曲線252は、実施例6で得られた液晶表示
装置における電極6と電極7との間の電圧に対する透過
表示部10の透過率の電圧依存性を示す。
【0249】図10に示すように、実施例6でも、実施
例5同様、印加電圧が1.2V以上の区間では、印加電
圧の上昇に伴って反射率、透過率が共に上昇している。
また、実施例6では、印加電圧が1Vのときの反射表示
部9の反射率は3%、透過表示部10の透過率は2%で
あり、印加電圧が4Vのときの反射表示部9の反射率は
35%、透過表示部10の透過率は37%であった。
【0250】以上のように、上記実施例5、実施例6で
得られた液晶表示装置は、何れも、該液晶表示装置への
印加電圧の変化に伴って、透過率並びに反射率が変化す
るものであり、反射表示と透過表示とが共に可能であっ
た。
【0251】さらに、目視観察を実施したところ、実施
例5および実施例6においては、反射表示部9における
電極7と透過表示部10における電極7とに対して同一
の電圧を印加することにより、電極6と電極7とによっ
て液晶層1に加えられる電圧を反射表示部9と透過表示
部10とで同様に保って表示を行っている場合において
も、反射表示部9と透過表示部10とで明暗の変化が同
様であり、表示の明暗の反転が生じないことを確認し
た。また、この表示の際に、周囲光の強度を観察途中で
変化させても表示内容の変化は見られなかった。つま
り、反射表示部9が暗表示のときには透過表示部10も
暗表示となり、反射表示部9が明表示のときには透過表
示部10も明表示となった。このため、上記実施例5、
実施例6において、前記図1に記載のように反射表示部
9と透過表示部10とに同一の電極7を用いて駆動した
場合においても表示の反転は生じなかった。
【0252】従って、上記実施例5および実施例6の各
液晶表示装置は、何れも、反射表示部9に対しても透過
表示部10に対しても共に明表示の明度とコントラスト
比とを両立することができると共に、反射表示部9と透
過表示部10とで表示の明暗を一致させることができ、
視認性に優れた表示を実現することができる。また、上
記実施例5および実施例6の各液晶表示装置は、何れ
も、透過表示部10におけるコントラスト比が反射表示
部9におけるコントラスト比を上回ることから、より一
層表示品位を高め、良好な表示を実現することができ
る。
【0253】また、実施例6は、実施例5と比較して使
用する位相差補償板の枚数が少なく、視認性に優れ、か
つ、高解像度な色彩表示(カラー表示)が可能な、反射
光と透過光とを共に表示に利用する液晶表示装置をより
安価に提供することができる。
【0254】以上の実施の形態では、反射表示部と透過
表示部とで液晶層厚を変更することにより、良好な反射
表示並びに良好な透過表示を行う液晶表示装置について
説明した。以下の説明では、反射表示部における液晶層
厚と透過表示部における液晶層厚とが等しくなるように
設定し、かつ、良好な反射表示並びに良好な透過表示を
行う液晶表示装置について説明する。
【0255】〔実施の形態3〕本実施の形態では、反射
表示部における液晶層厚と透過表示部における液晶層厚
とが等しい場合に、反射表示部と透過表示部とで印可す
る電圧を変更して液晶配向を反射表示部と透過表示部と
で異ならせることにより、良好な反射表示並びに良好な
透過表示を実現する液晶表示装置について説明する。
【0256】本実施の形態では、このような液晶表示装
置について、前記実施の形態2に記載の、偏光板14・
15を使用し、液晶層1のリタデーションを表示に利用
する液晶表示装置において、反射表示部9と透過表示部
10とで液晶層厚が等しくなるように設定した場合を例
に挙げて、図4および図11〜図16を参照して、具体
的な実施例および比較例を用いて説明する。しかしなが
ら、本実施の形態に係る液晶表示装置は、以下の実施例
により何ら限定されるものではない。
【0257】尚、説明の便宜上、前記実施の形態1およ
び実施の形態2と同様の機能を有する構成要素には同一
の番号を付し、その説明を省略する。また、本実施の形
態にかかる液晶表示装置の具体的な全体構成について
は、反射表示部9と透過表示部10とで液晶層厚が等し
くなるように設定されている以外は前記実施の形態2と
同様であるので、ここではその説明は省略する。
【0258】本実施の形態に示すように反射表示部9と
透過表示部10とで液晶層厚が等しくなるように設定す
るためには、例えば、前記基板5上に形成した絶縁膜1
1を形成することなく、基板5上に、電極7を直接形成
すればよい。
【0259】〔実施例7〕本実施例では、実施例1にお
いて、基板5上に、絶縁性を有する感光樹脂からなる絶
縁膜11を形成せず、また、図4に示すように、反射表
示部9の電極7と透過表示部10の電極7とが電気的に
絶縁されていて、反射表示部9の電極7と透過表示部1
0の電極7とに、液晶セル外部から別々に電圧が印加さ
れるように電極パターンを作製した以外は、実施例1の
液晶注入用の液晶セルの作製方法と同様の方法により、
反射表示部9および透過表示部10が、共に4.5μm
の液晶層厚(d)を有している液晶注入用の液晶セルを
作製した。
【0260】そして、上記液晶注入用の液晶セルに、カ
イラル剤を含まない液晶組成物の屈折率差(Δn)が
0.065であり、正の誘電率異方性を有する液晶組成
物を、真空注入法によって導入することにより、液晶層
1を形成した。
【0261】上記の液晶セルにおける各電極基板の外側
には、位相差補償板16・17および偏光板14・15
を貼付した。尚、本実施例では、位相差補償板17を2
枚の位相差補償板で構成すると共に、位相差補償板16
を2枚の位相差補償板で構成した。これら位相差補償板
16・17および偏光板14・15の貼付方位は、液晶
の配向方向(配向方位)に対応して決定した。
【0262】本実施例では、液晶層1に、液晶が、基板
4・5に対して平行(表示面に対して平行)に配向し、
かつ、ツイスト配向していない液晶層を用いると共に、
液晶表示方式として、液晶層1のリタデーションを表示
に利用する複屈折モードを用いた。
【0263】また、本実施例では、反射表示に適したリ
タデーションを透過表示部10に用いた。ここで、反射
表示部9は、前記実施の形態2における実施例2の反射
表示部9と同様に設定されているが、透過表示部10
は、その液晶層厚が反射表示部9と等しく設定されてお
り、実施例2とは異なっている。このため、本実施例で
は、実施例2において、再度、光学設計を行って、偏光
板14・15の光学配置並びに位相差補償板16・17
の光学配置を決定している。本実施例では、これら偏光
板14・15並びに位相差補償板16・17の光学配置
を、透過表示部10の暗表示が良好となるように設定し
た。
【0264】また、本実施例では、前記実施例2と同
様、電圧を印加しないときに液晶が表示面に平行に配向
するように、配向膜2・3に、平行配向性の配向膜を用
いると共に、配向膜2・3のラビング交差角を180度
に設定して配向処理を行った。
【0265】このような配向処理では、液晶の配向の捩
じれ角(ツイスト角)は0度であり、電圧の印加に伴っ
て、液晶層1の層厚方向中央部の液晶から電圧に応じて
配向変化が生じる。
【0266】表3に、本実施例で得られた液晶表示装置
における、偏光板14・15、位相差補償板16・1
7、および液晶層1の光学配置(即ち、偏光板14・1
5および位相差補償板16・17の貼付方位、並びに、
液晶の配向方位)を共通の方位の基準を用いて示す。
【0267】〔比較例3〕ここで、上記の実施例7の比
較例を示す。該比較例3では、実施例7に示す液晶表示
装置において、位相差補償板16を2枚の位相差補償板
で構成する一方、位相差補償板17を1枚の位相差補償
板で構成し、透過表示部10の明表示が良好となるよう
に偏光板14・15並びに位相差補償板16・17の光
学配置を設定した以外は、実施例7に示す液晶表示装置
と同様に設計された液晶表示装置を作製した。上記位相
差補償板16・17および偏光板14・15の貼付方位
は、液晶の配向方向(配向方位)に対応して決定した。
【0268】また、本比較例でも、前記実施例7と同
様、電圧を印加しないときに液晶が表示面に平行に配向
するように、配向膜2・3に、平行配向性の配向膜を用
いると共に、配向膜2・3のラビング交差角を180度
に設定して配向処理を行った。
【0269】このような配向処理では、液晶の配向の捩
じれ角(ツイスト角)は0度であり、電圧の印加に伴っ
て、液晶層1の層厚方向中央部の液晶から電圧に応じて
配向変化が生じる。
【0270】表3に、本比較例で得られた液晶表示装置
における、偏光板14・15、位相差補償板16・1
7、および液晶層1の光学配置(即ち、偏光板14・1
5および位相差補償板16・17の貼付方位、並びに、
液晶の配向方位)を共通の方位の基準を用いて示す。
【0271】〔実施例8〕本実施例では、実施例7に示
す液晶表示装置において、反射表示部9における液晶層
厚(d)と透過表示部10における液晶層厚(d)とが
共に7.5μmであり、透過表示に適したリタデーショ
ンを反射表示部9に用いて、反射表示が良好となるよう
に偏光板14・15並びに位相差補償板16・17の光
学配置を設定した以外は、実施例7に示す液晶表示装置
と同様に設計された液晶表示装置を作製した。
【0272】より具体的には、本実施例では、実施例1
において、基板5上に、絶縁性を有する感光樹脂からな
る絶縁膜11を形成せず、また、図4に示すように、反
射表示部9の電極7と透過表示部10の電極7とが電気
的に絶縁されていて、反射表示部9の電極7と透過表示
部10の電極7とに、液晶セル外部から別々に電圧が印
加されるように電極パターンを作製した以外は、実施例
1の液晶注入用の液晶セルの作製方法と同様の方法によ
り、反射表示部9および透過表示部10が、共に7.5
μmの液晶層厚(d)を有している液晶注入用の液晶セ
ルを作製した。
【0273】そして、上記液晶注入用の液晶セルに、カ
イラル剤を含まない液晶組成物の屈折率差(Δn)が
0.065であり、正の誘電率異方性を有する液晶組成
物を、真空注入法によって導入することにより、液晶層
1を形成した。
【0274】上記の液晶セルにおける各電極基板の外側
には、位相差補償板16・17および偏光板14・15
を貼付した。尚、本実施例では、位相差補償板17を2
枚の位相差補償板で構成すると共に、位相差補償板16
を2枚の位相差補償板で構成した。これら位相差補償板
16・17および偏光板14・15の貼付方位は、液晶
の配向方向(配向方位)に対応して決定した。
【0275】本実施例では、液晶層1に、液晶が、基板
4・5に対して平行(表示面に対して平行)に配向し、
かつ、ツイスト配向していない液晶層を用いると共に、
液晶表示方式として、液晶層1のリタデーションを表示
に利用する複屈折モードを用いた。
【0276】また、本実施例では、透過表示に適したリ
タデーションを反射表示部9に用いた。ここで、透過表
示部10は、前記実施の形態2における実施例2の透過
表示部10と同様に設定されているが、反射表示部9
は、その液晶層厚が透過表示部10と等しく設定されて
おり、実施例2とは異なっている。このため、本実施例
では、実施例2において、再度、光学設計を行って、偏
光板14・15の光学配置並びに位相差補償板16・1
7の光学配置を決定している。本実施例では、これら偏
光板14・15並びに位相差補償板16・17の光学配
置を、反射表示が良好となるように設定した。
【0277】また、本実施例では、前記実施例2と同
様、電圧を印加しないときに液晶が表示面に平行に配向
するように、配向膜2・3に、平行配向性の配向膜を用
いると共に、配向膜2・3のラビング交差角を180度
に設定して配向処理を行った。
【0278】このような配向処理では、液晶の配向の捩
じれ角(ツイスト角)は0度であり、電圧の印加に伴っ
て、液晶層1の層厚方向中央部の液晶から電圧に応じて
配向変化が生じる。
【0279】表3に、本実施例で得られた液晶表示装置
における、偏光板14・15、位相差補償板16・1
7、および液晶層1の光学配置(即ち、偏光板14・1
5および位相差補償板16・17の貼付方位、並びに、
液晶の配向方位)を共通の方位の基準を用いて示す。
【0280】尚、表3に示す光学配置は、観察者が表示
面を観察するときの、表示面での各々の光学要素配置で
あり、位相差補償板16あるいは位相差補償板17が複
数の位相差補償板によって構成されている場合には、上
記位相差補償板16・17を構成する各位相差補償板
は、観察者側からの実際の配置の順に記載している。
【0281】また、液晶層1はツイストしない配向をと
っているため、電圧無印加時の液晶層1全体の配向方位
(液晶分子長軸の配向方位)を記載しているが、この配
向方位は、基板4側の配向膜2に施されたラビング処理
の方位である。
【0282】尚、各々の方位は、表示面上に任意にとっ
た基準方位からの方位を度の単位で表し、各位相差補償
板のリタデーションは波長550nmの単色光に対する
値をnm単位で示す。
【0283】
【表3】
【0284】〔比較例4〕本比較例では、実施例7に示
す液晶表示装置において、液晶層1に、液晶が、基板4
・5に対して平行(表示面に対して平行)に配向し、か
つ、70度ツイスト配向した液晶層を使用し、この液晶
層1のツイスト配向による液晶層1の偏光変換作用を表
示に利用した以外は、実施例7に示す液晶表示装置と同
様に設計された液晶表示装置を作製した。
【0285】より具体的には、本比較例では、実施例1
において、基板5上に、絶縁性を有する感光樹脂からな
る絶縁膜11を形成せず、また、図4に示すように、反
射表示部9の電極7と透過表示部10の電極7とが電気
的に絶縁されていて、反射表示部9の電極7と透過表示
部10の電極7とに、液晶セル外部から別々に電圧が印
加されるように電極パターンを作製した以外は、実施例
1の液晶注入用の液晶セルの作製方法と同様の方法によ
り、反射表示部9および透過表示部10が、共に4.5
μmの液晶層厚(d)を有している液晶注入用の液晶セ
ルを作製した。
【0286】また、上記の液晶セルにおける各電極基板
の外側には、位相差補償板16・17および偏光板14
・15を貼付した。尚、本比較例では、位相差補償板1
7を2枚の位相差補償板で構成すると共に、位相差補償
板16を2枚の位相差補償板で構成した。これら位相差
補償板16・17および偏光板14・15の貼付方位
は、液晶の配向方向(配向方位)に対応して決定した。
【0287】さらに、本比較例では、配向膜2・3に、
電圧を印加しないときの液晶配向が平行配向となるよう
に、平行配向性の配向膜を用い、そのラビング交差角が
250度となるようにラビング処理を施すことにより、
配向処理を行った。尚、ラビング交差角は、前述の定義
に従うものとする。そして、上記液晶注入用の液晶セル
における電極基板間に、屈折率差(Δn)が0.065
の正の誘電率異方性を有する液晶組成物を真空注入法に
よって導入することにより、液晶層1を形成した。この
ような配向処理と液晶組成物に添加したカイラル添加剤
の作用により、上述したように、液晶の配向の捩じれ角
(ツイスト角)を70度とすることができる。尚、上記
カイラル添加剤は、上記したツイスト角が得られるよう
にその添加量を調整している。このように配向させられ
た液晶層1は、電圧の印加に伴って、液晶層1の層厚方
向中央部の液晶から電圧に応じて配向変化が生じる。
【0288】また、本比較例では、反射表示に適した液
晶組成物の屈折率差(Δn)と液晶層厚(d)との積
(Δn・d)を透過表示部10に用いた。ここで、反射
表示部9は、前記実施の形態2における実施例5の反射
表示部9と同様に設定されているが、透過表示部10
は、その液晶層厚が反射表示部9と等しく設定されてお
り、実施例5とは異なっている。このため、本比較例で
は、実施例5において、再度、光学設計を行って、偏光
板14・15の光学配置並びに位相差補償板16・17
の光学配置を決定している。本比較例では、これら偏光
板14・15並びに位相差補償板16・17の光学配置
を、透過表示部10の暗表示が良好となるように設定し
た。
【0289】表4に、本比較例で得られた液晶表示装置
における、偏光板14・15、位相差補償板16・1
7、および液晶層1の光学配置(即ち、偏光板14・1
5および位相差補償板16・17の貼付方位、並びに、
液晶の配向方位)を共通の方位の基準を用いて示す。
【0290】〔比較例5〕本比較例では、比較例4に示
す液晶表示装置において、透過表示部10の明表示が良
好となるように偏光板14・15並びに位相差補償板1
6・17の光学配置を設定した以外は、比較例4に示す
液晶表示装置と同様に設計された液晶表示装置を作製し
た。即ち、本比較例では、実施例7に示す液晶表示装置
において、透過表示部10の明表示が良好となるように
偏光板14・15並びに位相差補償板16・17の光学
配置を設定し、かつ、液晶層1に、液晶が、基板4・5
に対して平行(表示面に対して平行)に配向し、かつ、
70度ツイスト配向した液晶層を使用し、この液晶層1
のツイスト配向による液晶層1の偏光変換作用を表示に
利用した以外は、実施例7に示す液晶表示装置と同様に
設計された液晶表示装置を作製した。
【0291】表4に、本比較例で得られた液晶表示装置
における、偏光板14・15、位相差補償板16・1
7、および液晶層1の光学配置(即ち、偏光板14・1
5および位相差補償板16・17の貼付方位、並びに、
液晶の配向方位)を共通の方位の基準を用いて示す。
【0292】〔実施例9〕本実施例では、実施例8に示
す液晶表示装置において、位相差補償板16を2枚の位
相差補償板で構成する一方、位相差補償板17を1枚の
位相差補償板で構成し、液晶層1に、液晶が、基板4・
5に対して平行(表示面に対して平行)に配向し、か
つ、70度ツイスト配向した液晶層を使用し、この液晶
層1のツイスト配向による液晶層1の偏光変換作用を表
示に利用した以外は、実施例8に示す液晶表示装置と同
様に設計された液晶表示装置を作製した。
【0293】より具体的には、本実施例では、実施例1
において、基板5上に、絶縁性を有する感光樹脂からな
る絶縁膜11を形成せず、また、図4に示すように、反
射表示部9の電極7と透過表示部10の電極7とが電気
的に絶縁されていて、反射表示部9の電極7と透過表示
部10の電極7とに、液晶セル外部から別々に電圧が印
加されるように電極パターンを作製した以外は、実施例
1の液晶注入用の液晶セルの作製方法と同様の方法によ
り、反射表示部9および透過表示部10が、共に7.5
μmの液晶層厚(d)を有している液晶注入用の液晶セ
ルを作製した。
【0294】また、上記の液晶セルにおける各電極基板
の外側には、位相差補償板16・17および偏光板14
・15を貼付した。尚、本実施例では、位相差補償板1
7を1枚の位相差補償板で構成し、位相差補償板16を
2枚の位相差補償板で構成した。これら位相差補償板1
6・17および偏光板14・15の貼付方位は、液晶の
配向方向(配向方位)に対応して決定した。
【0295】そして、本実施例では、液晶層1のツイス
ト配向(液晶の配向の捩じれ角(ツイスト角))が70
度となるように、液晶表示装置を作製した。具体的に
は、配向膜2・3に、電圧を印加しないときの液晶配向
が平行配向となるように、平行配向性の配向膜を用い、
そのラビング交差角が250度となるようにラビング処
理を施すことにより、配向処理を行った。尚、ラビング
交差角は、前述の定義に従うものとする。そして、上記
液晶注入用の液晶セルにおける電極基板間に、液晶組成
物の屈折率差(Δn)が0.065の正の誘電率異方性
を有する液晶組成物を真空注入法によって導入すること
により、液晶層1を形成した。このような配向処理と液
晶組成物に添加したカイラル添加剤の作用により、上述
したように、液晶の配向の捩じれ角(ツイスト角)を7
0度とすることができる。尚、上記カイラル添加剤は、
上記したツイスト角が得られるようにその添加量を調整
している。このように配向させられた液晶層1は、電圧
の印加に伴って、液晶層1の層厚方向中央部の液晶から
電圧に応じて配向変化が生じる。
【0296】また、本実施例では、透過表示に適した液
晶組成物の屈折率差(Δn)と液晶層厚(d)の積(Δ
n・d)を反射表示部9に用いた。ここで、透過表示部
10は、前記実施の形態2における実施例5の透過表示
部10と同様に設定されているが、反射表示部9は、そ
の液晶層厚が透過表示部10と等しく設定されており、
実施例5とは異なっている。このため、本実施例では、
実施例5において、再度、光学設計を行って、偏光板1
4・15の光学配置並びに位相差補償板16・17の光
学配置を決定している。本実施例では、これら偏光板1
4・15並びに位相差補償板16・17の光学配置を、
反射表示が良好となるように設定した。
【0297】表4に、本実施例で得られた液晶表示装置
における、偏光板14・15、位相差補償板16・1
7、および液晶層1の光学配置(即ち、偏光板14・1
5および位相差補償板16・17の貼付方位、並びに、
液晶の配向方位)を共通の方位の基準を用いて示す。
【0298】尚、表4に示す光学配置は、観察者が表示
面を観察するときの、表示面での各々の光学要素配置で
あり、位相差補償板16あるいは位相差補償板17が複
数の位相差補償板によって構成されている場合には、上
記位相差補償板16・17を構成する各位相差補償板
は、観察者側からの実際の配置の順に記載している。ま
た、表4における各々の方位は、表示面上に任意にとっ
た基準方位からの方位を度の単位で表し、各位相差補償
板のリタデーションは波長550nmの単色光に対する
値をnm単位で示す。
【0299】
【表4】
【0300】以上のように、4.5μmの液晶層厚
(d)を有する、実施例7および比較例3〜5にかかる
液晶表示装置では、液晶層厚を、反射表示に適するよう
に設定している。このため、上記実施例7および比較例
3〜5では、反射表示のみに関係している偏光板14と
位相差補償板16との光学配置は反射表示に適するよう
に設定している。一方、透過表示部10は、その液晶層
厚が、前記実施の形態2の各実施例における液晶表示装
置の透過表示部10の液晶層厚とは異なる液晶層厚に設
定されている。このため、上記実施例7および比較例3
〜5では、各々の液晶表示装置の透過表示部10の光学
特性に併せて位相差補償板17および偏光板15の光学
配置を設定した。つまり、実施例7および比較例4で
は、良好な暗表示を実現することができる液晶表示装置
を作製し、比較例3および比較例5では、良好な明表示
を実現できる液晶表示装置を作製した。
【0301】これに対し、7.5μmの液晶層厚(d)
を有する、実施例8および実施例9にかかる液晶表示装
置では、液晶層厚を、透過表示に適するように設定して
いる。このため、上記実施例8および実施例9では、透
過表示に関係している偏光板14、位相差補償板16、
位相差補償板17、偏光板15の光学配置を、透過表示
に適するように設定している。従って、上記実施例8お
よび実施例9では、反射表示部9は、透過表示に合わせ
て設定された偏光板14および位相差補償板16の光学
配置によって表示特性が決定される。
【0302】また、上記実施例7、比較例3、実施例
8、比較例4、比較例5、実施例9で得られた各液晶表
示装置の表示特性を、各々、図11、図12、図13、
図14、図15に示す。尚、これらの表示特性は、何れ
も、実施例1と同様に顕微鏡を用いて測定したものであ
り、上記各図において、横軸は印加電圧の実効値を示
し、縦軸は明度(反射率または透過率)を示す。また、
偏光板14・15が共に貼付されていない透過表示部1
0の透過率を透過率100%とし、偏光板14を貼付す
る前の反射表示部9の反射率を反射率100%とする。
【0303】図11において、曲線261は、実施例7
で得られた液晶表示装置における電極6と電極7との間
の電圧に対する反射表示部9の反射率の電圧依存性を示
し、曲線262は、実施例7で得られた液晶表示装置に
おける電極6と電極7との間の電圧に対する透過表示部
10の透過率の電圧依存性を示す。
【0304】図11に示すように、実施例7では、印加
電圧が1V〜3Vの区間では、印加電圧の上昇に伴って
透過率が上昇する一方、反射率は、印加電圧が1V〜2
Vの区間では印加電圧の上昇に伴って上昇し、それ以降
は印加電圧の上昇に伴って減少している。また、印加電
圧が1Vのときの反射表示部9の反射率は3%、透過表
示部10の透過率は3%であり、印加電圧が2Vのとき
の反射表示部9の反射率は40%、透過表示部10の透
過率は18%であり、印加電圧が3Vのときの反射表示
部9の反射率は28%、透過表示部10の透過率は33
%であった。
【0305】また、図12において、曲線271は、比
較例3で得られた液晶表示装置における電極6と電極7
との間の電圧に対する反射表示部9の反射率の電圧依存
性を示し、曲線272は、比較例3で得られた液晶表示
装置における電極6と電極7との間の電圧に対する透過
表示部10の透過率の電圧依存性を示す。
【0306】図12に示すように、比較例3では、印加
電圧が1V〜2Vの区間では、印加電圧の上昇に伴って
反射率、透過率が共に上昇している。また、印加電圧が
1Vのときの反射表示部9の反射率は3%、透過表示部
10の透過率は18%であり、印加電圧が2Vのときの
反射表示部9の反射率は40%、透過表示部10の透過
率は40%であった。
【0307】図13において、曲線281は、実施例8
で得られた液晶表示装置における電極6と電極7との間
の電圧に対する反射表示部9の反射率の電圧依存性を示
し、曲線282は、実施例8で得られた液晶表示装置に
おける電極6と電極7との間の電圧に対する透過表示部
10の透過率の電圧依存性を示す。
【0308】図13に示すように、実施例8では、印加
電圧が1V〜2Vの区間では、印加電圧の上昇に伴って
透過率が上昇する一方、反射率は、印加電圧が0.7V
〜1.2Vの区間で印加電圧の上昇に伴って上昇した
後、一旦、印加電圧が1.2V〜1.7Vの区間で印加
電圧の上昇に伴って減少し、その後、印加電圧が1.7
V〜2.3Vの区間で、再度、印加電圧の上昇に伴って
上昇している。また、印加電圧が1Vのときの反射表示
部9の反射率は24%、透過表示部10の透過率は3%
であり、印加電圧が1.2Vのときの反射表示部9の反
射率は40%、印加電圧が1.7Vのときの反射表示部
9の反射率は3%であり、印加電圧が2Vのときの反射
表示部9の反射率は27%、透過表示部10の透過率は
39%であった。
【0309】図14において、曲線291は、比較例4
で得られた液晶表示装置における電極6と電極7との間
の電圧に対する反射表示部9の反射率の電圧依存性を示
し、曲線292は、比較例4で得られた液晶表示装置に
おける電極6と電極7との間の電圧に対する透過表示部
10の透過率の電圧依存性を示す。
【0310】図14に示すように、比較例4では、印加
電圧が1.2V〜3Vの区間では、印加電圧の上昇に伴
って反射率、透過率が共に上昇している。また、印加電
圧が1.2Vのときの反射表示部9の反射率は3%、透
過表示部10の透過率は1%であり、印加電圧が3Vの
ときの反射表示部9の反射率は36%、透過表示部10
の透過率は16%であった。
【0311】図15において、曲線311は、比較例5
で得られた液晶表示装置における電極6と電極7との間
の電圧に対する反射表示部9の反射率の電圧依存性を示
し、曲線312は、比較例5で得られた液晶表示装置に
おける電極6と電極7との間の電圧に対する透過表示部
10の透過率の電圧依存性を示す。
【0312】図15に示すように、比較例5では、印加
電圧が1.2V〜3Vの区間では、印加電圧の上昇に伴
って反射率、透過率が共に上昇している。また、印加電
圧が1.2Vのときの反射表示部9の反射率は3%、透
過表示部10の透過率は21%であり、印加電圧が3V
のときの反射表示部9の反射率は39%、透過表示部1
0の透過率は35%であった。
【0313】図16において、曲線321は、実施例9
で得られた液晶表示装置における電極6と電極7との間
の電圧に対する反射表示部9の反射率の電圧依存性を示
し、曲線322は、実施例9で得られた液晶表示装置に
おける電極6と電極7との間の電圧に対する透過表示部
10の透過率の電圧依存性を示す。
【0314】図16に示すように、実施例9では、印加
電圧が1.2V〜3Vの区間では、印加電圧の上昇に伴
って透過率が上昇する一方、反射率は、印加電圧が0.
9V〜1.7Vの区間で印加電圧の上昇に伴って、一
旦、減少し、それ以降、印加電圧の上昇に伴って上昇し
ている。また、印加電圧が1.2Vのときの反射表示部
9の反射率は7%、透過表示部10の透過率は32%で
あり、印加電圧が1.7Vのときの反射表示部9の反射
率は3%であり、印加電圧が3Vのときの反射表示部9
の反射率は37%、透過表示部10の透過率は36%で
あった。
【0315】以上の実施例および比較例から明らかなよ
うに、偏光板14・15を使用して液晶層1のリタデー
ションや旋光等の偏光変換作用による偏光状態の変化を
表示に利用する液晶表示装置において、液晶層1の液晶
層厚を反射表示部9と透過表示部10で一致させた場
合、反射表示部9における電極7と透過表示部10にお
ける電極7とに対して同一の電圧を印加したとき(反射
表示部9と透過表示部10とを共通の電圧で駆動したと
き)には、実施例7および比較例3〜5に示すように、
明表示の明度とコントラスト比とを反射表示部9で十分
に両立できる電圧の印加時には透過表示部10の明表示
の明度とコントラスト比との両立が十分でなく、実施例
8および実施例9に示すように、明表示の明度とコント
ラスト比とを透過表示部10で十分に両立できる電圧の
印加時には反射表示部9の明度の変化と透過表示部10
の明度の変化とが一致せず、良好な表示にならない。
【0316】しかしながら、実施例7、実施例8、およ
び実施例9で得られた液晶表示装置は、何れも、反射表
示部9における電極7と透過表示部10における電極7
とに対して異なる電圧を印加する(反射表示部9と透過
表示部10とを異なる電圧で駆動する)ことで、良好な
表示とすることができる。
【0317】つまり、上記実施例7〜実施例9の各液晶
表示装置は、何れも、反射表示部9における電極7と透
過表示部10における電極7とに対して異なる電圧を印
加することで、反射表示部9に対しても透過表示部10
に対しても共に明表示の明度とコントラスト比とを両立
することができると共に、反射表示部9と透過表示部1
0とで表示の明暗を一致させることができ、視認性に優
れた表示を実現することができることが判る。
【0318】本実施の形態と前記実施の形態2とを比較
した結果、偏光板14・15を使用して液晶層1のリタ
デーションや旋光等の偏光変換作用を表示に利用する液
晶表示装置において、反射表示部9と透過表示部10と
で共に明表示の明度とコントラスト比とを両立させるに
は、透過表示部10における液晶層1の層厚を反射表示
部9における液晶層1の層厚より大きく設定することが
有効であることが判る。
【0319】尚、本実施の形態および前記実施の形態2
における各実施例では、液晶表示モードとして、電圧を
印加していない状態での液晶配向が表示面の平面方向に
対して平行なものを示したが、上記各実施例で例示した
液晶材料とは異なる性質の液晶材料を用いたり、例示し
た配向膜とは異なる性質の配向膜を用いることにより、
垂直配向モードや、ハイブリッド配向モード等を使用す
ることができることは言うまでもない。
【0320】さらに、液晶表示モードが、液晶層1のリ
タデーションまたは旋光を利用した何れのモードであっ
ても、液晶層厚が光学特性に影響し、反射表示部9にお
ける液晶層厚が、透過表示部10における液晶層厚より
も薄い方が適するものは、全て本発明によって良好な光
学特性が実現することは言うまでもない。
【0321】また、実施例4および実施例7〜実施例9
は、電極6・7(配向機構)によって反射表示部9と透
過表示部10とで異なる電圧を与えることで、良好に表
示することが可能となることが判る。この場合、例え
ば、実施例4および実施例7では、透過表示部10に電
圧を十分に印加することで透過表示部10の表示も良好
にすることが可能になる。また、実施例8および実施例
9は何れも反射表示部9の電圧を調整することにより、
良好な表示が可能になる。従って、本実施の形態並びに
前記実施の形態2によれば、反射表示部9と透過表示部
10とで液晶層厚を変更する方法以外にも、反射表示部
9と透過表示部10とで電圧が変更できるように液晶セ
ルを予め作製することで、良好な表示を実現することが
できることが判る。
【0322】〔実施の形態4〕本実施の形態では、液晶
配向を決定する基板上の配向処理方位(ラビング方
位)、即ち、各電極基板に設けられた配向膜の配向処理
方位を反射表示部と透過表示部とで変更して液晶配向を
反射表示部と透過表示部とで異ならせることにより、良
好な反射表示並びに良好な透過表示を実現する液晶表示
装置について説明する。
【0323】本実施の形態では、液晶層を一様に配向さ
せるために、いわゆるラビング法を使用する。本実施の
形態では、各電極基板に設けられた配向膜の配向処理方
位を反射表示部と透過表示部とで変更するために、配向
膜のラビング処理に際し、配向膜表面をフォトレジスト
等で覆っておくことで、少なくとも2種類の液晶配向を
実現することが可能である。該方法によれば、反射表示
に適した液晶配向と、透過表示に適した液晶配向とを同
時に実現することができ、この結果、良好な反射表示並
びに良好な透過表示を実現することが可能となる。
【0324】以下、本実施の形態にかかる液晶表示装置
についてより詳細に説明するが、説明の便宜上、前記実
施の形態1〜実施の形態3と同様の機能を有する構成要
素には同一の番号を付し、その説明を省略する。
【0325】先ず、図17および図18(a)〜(e)
を用いて、本実施の形態にかかる液晶表示装置に用いる
基板(電極基板40)の配向処理工程を説明する。
【0326】先ず、図18(a)に示すように、液晶セ
ルを構成する基板41(電極6形成後の基板4あるいは
電極7形成後の基板5に相当)における液晶層1との接
触面に配向膜材料を塗布し(S1)、プリベーク(S
2)、キュアリング(S3)を行って、上記基板41に
おける液晶層1との接触面に配向膜42(配向膜2また
は配向膜3に相当)を形成する。
【0327】次いで、上記配向膜42をラビング処理す
ることにより、上記基板41上における液晶層1との界
面に配向膜42を備えた電極基板40の配向処理を行
う。この際、本実施の形態では、先ず、図18(b)に
示すように、ラビング処理が部分的に行われるように、
ラビング処理スクリーン用のレジスト43によるスクリ
ーンが行われる。この場合、先ず、上記配向膜42上
に、ラビング処理スクリーン用のレジスト材料を塗布し
(S4)、プリベーク(S5)後、上記配向膜42の一
部(第1の配向処理領域42a)が露出されるように、
UVマスク露光(S6)、現像(S7)、キュアリング
(S8)を行い、その後、上記第1の配向処理領域42
aにラビング処理を施す(S9)。次いで、このラビン
グ処理後の電極基板40を洗浄(S10)した後、図1
8(c)に示すように、上記レジスト43を剥離する
(S11)。
【0328】続いて、上記第1の配向処理領域42aに
おける液晶配向とは異なる液晶配向を実現するために、
図18(d)に示すように、既にラビングされた部分
(第1の配向処理領域42a)をラビング処理スクリー
ン用のレジスト44により保護し、未処理部分のラビン
グ処理が行われる。つまり、レジスト43を剥離した配
向膜42上にラビング処理スクリーン用のレジスト材料
を塗布し(S12)、プリベーク(S13)後、上記配
向膜42上における、第1の配向処理領域42a以外の
配向処理領域(第2の配向処理領域42b)が露出され
るように、UVマスク露光(S14)、現像(S1
5)、キュアリング(S16)を行い、その後、上記第
2の配向処理領域42bに、上記第1の配向処理領域4
2aとは処理方位が別々になるようにラビング処理を施
す(S17)。次いで、このラビング処理後の電極基板
40を洗浄(S18)した後、図18(e)に示すよう
に、上記レジスト44を剥離する(S19)。これによ
り、二種類の異なる方位に配向処理された配向膜42
(配向機構)が得られた。
【0329】このように、本実施の形態では、レジスト
によってパターニングされた配向処理が2回以上行われ
る。このとき、配向処理毎に処理方位を変更する(上記
の説明では、2回の配向処理により、2方位の配向処理
が行われている)ことで、少なくとも2種類の液晶配向
(例えば、配向方向の異なる複数種類の平行配向)を実
現することが可能である。そして、このように、配向処
理方位を少なくとも一方の基板(電極基板)で変更する
ことにより、反射表示部9と透過表示部10との配向を
独立して設定することができ、良好な表示が可能とな
る。
【0330】次に、上述した方法により反射表示部9と
透過表示部10とで異なる液晶配向を実現すると共に偏
光板14・15を使用した液晶表示装置について、具体
的な実施例を用いて以下に説明する。しかしながら、本
実施の形態に係る液晶表示装置は、以下の実施例により
何ら限定されるものではない。
【0331】〔実施例10〕本実施例では、前記比較例
5に示す液晶表示装置の製造方法に準じて液晶表示装置
の作製を行った。具体的には、実施例1において、基板
5上に、絶縁性を有する感光樹脂からなる絶縁膜11を
形成せず、また、図4に示すように、反射表示部9の電
極7と透過表示部10の電極7とが電気的に絶縁されて
いて、反射表示部9の電極7と透過表示部10の電極7
とに、外部から別々に電圧が印加されるように電極パタ
ーンを作製した以外は、実施例1の液晶注入用の液晶セ
ルの作製方法と同様の方法により、反射表示部9および
透過表示部10が、共に4.5μmの液晶層厚(d)
(セルギャップ)を有している液晶注入用の液晶セルを
作製した。そして、この液晶セルにおける各電極基板の
外側に、位相差補償板16・17および偏光板14・1
5を貼付した。上記位相差補償板16および位相差補償
板17は、各々、2枚ずつの位相差補償板で構成した。
【0332】但し、本実施例では、図17および図18
(a)〜図18(e)に示した方法と同様の方法によ
り、配向膜3のラビング処理に際して配向分割を行っ
た。つまり、本実施例では、基板4側の配向膜2に対し
ては、反射表示部9と透過表示部10とで同じ方位にラ
ビングを行い、基板5側の配向膜3(配向機構)に対し
ては、反射表示部9と透過表示部10とで液晶配向方位
が異なるように、反射表示部9と透過表示部10とで異
なる方位にラビングを行った。
【0333】また、本実施例では、反射表示部9には、
表示面に平行(基板4・5に平行)で、かつ、ツイスト
した液晶配向を利用した液晶表示モードを使用し、透過
表示部10には、表示面に平行(基板4・5に平行)
で、かつ、ツイストしていない液晶配向を利用した表示
モードを使用した。
【0334】また、本実施例では、反射表示部9におけ
る液晶層1のΔn・dが約270nm、かつ、液晶の配
向の捩じれ角(ツイスト角)が70度であり、透過表示
部10における液晶層1のΔn・dが約270nm、か
つ、液晶の配向の捩じれ角(ツイスト角)が0度の液晶
表示装置を作製した。この結果、反射表示部9と透過表
示部10とで連通した液晶層1を有し、セルギャップを
変更することなく、反射表示部9と透過表示部10とで
共に良好な表示を行うことが可能な液晶表示装置が得ら
れた。
【0335】表5に、本実施例で得られた液晶表示装置
の反射表示部9並びに透過表示部10における、偏光板
14・15、位相差補償板16・17、および液晶層1
の光学配置(即ち、偏光板14・15および位相差補償
板16・17の貼付方位、並びに、液晶の配向方位)を
共通の方位の基準を用いて示す。
【0336】尚、表5に示す光学配置は、観察者が表示
面を観察するときの、表示面での各々の光学要素配置で
あり、上記位相差補償板16・17を構成する各位相差
補償板は、観察者側からの実際の配置の順に記載してい
る。また、表5における各々の方位は、表示面上に任意
にとった基準方位からの方位を度の単位で表し、各位相
差補償板のリタデーションは波長550nmの単色光に
対する値をnm単位で示す。
【0337】
【表5】
【0338】次に、本実施の形態における各光学素子の
動作について以下に説明する。先ず、液晶層1に電圧が
印加されていない場合について説明する。この場合、上
記液晶層1における液晶は、該液晶層1に接する基板界
面の配向、即ち、各電極基板に設けられた配向膜2・3
の配向処理方位にしたがって配向している。例えば、上
記実施例10で得られた液晶表示装置では、液晶組成物
にカイラル添加剤を混入しない場合、反射表示部9では
左70度にツイスト配向し、透過表示部10ではツイス
トしていない、0度ツイスト配向状態となっている。
【0339】このため、液晶層1に電圧が印加されてい
ない場合、反射表示部9では、液晶層1のΔn・dが2
70nm程度に設定されていると、該液晶層1は、円偏
光が入射すると、それを直線偏光に変換して透過させる
ように作用する。偏光板14側から液晶層1に入射する
光は、位相差補償板16によって円偏光に変換され、液
晶層1によって円偏光から直線偏光にさらに変換されて
反射膜8に到達して反射される。反射膜8で反射された
光は、反射膜8上で直線偏光である場合、偏光板14の
透過成分に再び変換されることから、上記の液晶表示装
置において、液晶層1に電圧が印加されていない場合、
反射表示部9の表示は明表示となる。
【0340】また、液晶層1に電圧が印加されていない
場合、透過表示部10では、液晶層1のΔn・dが25
0nm〜270nm程度に設定されていると、液晶層1
が1/2波長板として作用する。つまり、液晶層1に入
射された円偏光は、入射された円偏光と直交する円偏光
となり、例えば、右円偏光(右回り円偏光)が入射され
た場合には、該右円偏光は左円偏光(左回り円偏光)に
変換され、左円偏光が入射された場合には、該円偏光は
右円偏光に変換される。透過表示部10に入射した光
は、偏光板15を通過し、位相差補償板17によって円
偏光に変換されて液晶層1に入射される。上記実施例1
0では、上記位相差補償板17から液晶層1に入射され
る円偏光は、偏光状態がほぼ左回りの円偏光になってお
り、この円偏光が液晶層1に入射して右回りの円偏光に
変換される。そして、位相差補償板16では、右回り円
偏光は、偏光板14の透過軸方向の直線偏光に変換さ
れ、左回り円偏光は吸収軸方向の直線偏光に変換される
ため、上記の液晶表示装置において液晶層1に電圧が印
加されていない場合、透過表示部10の表示は明表示と
なる。
【0341】次に、液晶層1に電圧が印加された場合に
ついて説明する。液晶層1に電圧が印加されていると、
該液晶層1における液晶は、反射表示部9であるか透過
表示部10であるかに拘らず、電圧に応じて基板4・5
に垂直に配向し、それに伴って上記の偏光変換作用が弱
まる。つまり、位相差補償板16・17によって準備さ
れた円偏光がそのまま液晶層1を通過するため、反射表
示部9においても透過表示部10においても暗表示が実
現する。
【0342】尚、上記実施例10では、位相差補償板1
7には、115nmのリタデーションの位相差補償板を
用いている。位相差補償板17のみで良好な円偏光を実
現するには、該位相差補償板17のリタデーションは、
135nm程度であることが望ましいが、透過表示部1
0の液晶層1は、実用的な電圧においてはそのリタデー
ションが完全には消失しないため、これを考慮して良好
なコントラストが得られるように上記位相差補償板17
のリタデーションが設定されている。
【0343】また、位相差補償板16は、反射表示部9
の液晶層1に入射する光の偏光状態を広い波長の円偏光
に変換する作用を有している。そして、上記の液晶表示
装置では、反射表示部9における液晶層1は、70度ツ
イスト配向し、そのΔn・dは270nmに設定されて
いる。このため、上記の液晶表示装置における反射表示
部9では、液晶層1に入射する光は円偏光であり、この
円偏光は、液晶層1で直線偏光に変換されて液晶層1を
通過して反射膜8へと到達する。そして、反射膜8上で
直線偏光となった光は、反射膜8の鏡面で反射し、それ
までとは逆の順序で各光学素子を通過して、最終的に偏
光板14の透過軸方位の振動電界を有する直線偏光にな
る。このため、上記反射表示部9では明表示となる。
【0344】また、使用した液晶組成物には、液晶の配
向に固有の左捩じれを生じさせるカイラル剤が混入され
ている。このカイラル剤は、その添加量によって、該カ
イラル剤が混入された液晶組成物に固有のヘリカルピッ
チを変化させる。このため、このヘリカルピッチを調整
し、ヘリカルピッチによって液晶配向が変化し始める最
小の電圧が変化することを利用して反射表示部9と透過
表示部10とで明度の電圧依存性を一致させることが可
能になる。
【0345】このようにして作製された、実施例10に
記載の液晶表示装置の表示特性を図19に示す。尚、図
19に示す表示特性は、実施例1と同様の方法により測
定したものであり、横軸は印加電圧の実効値を示し、縦
軸は明度(反射率または透過率)を示す。
【0346】図19において、曲線331は、実施例1
0で得られた液晶表示装置における反射表示部9の反射
率の電圧依存性を示し、曲線332は、実施例10で得
られた液晶表示装置における透過表示部10の透過率の
電圧依存性を示す。
【0347】図19から判るように、実施例10で得ら
れた上記の液晶表示装置は、電圧を印加しないときには
明表示を行うようになっており、該液晶表示装置では、
電圧の印加に伴って反射率および透過率が減少するいわ
ゆるノーマリーホワイト(NW)モードによる表示が実
現した。また、上記の液晶表示装置は、反射表示部9と
透過表示部10とでコントラスト比をほぼ同程度に設定
することができると共に、反射表示部9と透過表示部1
0とで表示の明暗を一致させることができ、視認性に優
れた表示を実現することができる。
【0348】以上のように、液晶配向を反射表示部9と
透過表示部10とで変更するための具体的な手段とし
て、反射表示部9と透過表示部10とで液晶層1のツイ
スト角が異なるように設定することは、反射表示部9と
透過表示部10とで共に良好な表示を実現するために有
効である。
【0349】尚、上記の実施例10では、反射表示部9
と透過表示部10とで液晶層1のツイスト角を変更する
ために、反射表示部9と透過表示部10とで異なる方位
のラビング処理を行い、反射表示部9の液晶層1はツイ
スト配向しているが、透過表示部10の液晶層1はツイ
スト配向していない組み合わせを用いたが、反射表示部
9と透過表示部10とで液晶層1のツイスト角を変更す
るための手段は、特に限定されるものではない。
【0350】例えば、実施例10に示す上記の組み合わ
せ以外に、(1) 反射表示部9における液晶層1と透過表
示部10における液晶層1とは共にツイスト配向してい
るがそのツイスト角やツイストの向きが異なっている組
み合わせや、(2) 反射表示部9における液晶層1はツイ
ストしていないが透過表示部10における液晶層1はツ
イストしている組み合わせを使用してもよく、(3) 基板
4・5に対する液晶の傾斜(いわゆるプレティルト)が
反射表示部9と透過表示部10とで異なっている組み合
わせであってもよい。また、(4) 基板界面での液晶配向
の変化を本発明の他の手段と組み合わせるものであって
もよく、(5) 反射表示部9と透過表示部10とでセルギ
ャップが異なるものや、(6) 反射表示部9と透過表示部
10とで電界が異なるものであってもよい。
【0351】〔実施の形態5〕前記実施の形態2〜4に
おける各実施例では、基板に対して液晶が平行に配向し
ている液晶表示装置を用いて良好な反射表示並びに良好
な透過表示を実現するための構成について説明したが、
本実施の形態では、前記実施の形態1における実施例1
同様、液晶の配向方位が基板に対して垂直な液晶表示装
置について説明する。但し、本実施の形態では、液晶層
に二色性色素を混入することなく、偏光板を使用して液
晶の複屈折または旋光性(偏光変換作用)を利用した表
示を行うための設計を行った。尚、説明の便宜上、以
下、前記実施の形態1〜実施の形態4と同様の機能を有
する構成要素には同一の番号を付し、その説明を省略す
る。
【0352】本実施の形態にかかる液晶表示装置では、
液晶層1に、誘電率異方性が負の液晶を使用する。ま
た、液晶層1を挟持する配向膜2・3に、液晶を垂直に
配向させる垂直配向膜を用いる。この場合、液晶分子
は、液晶層1に電圧を印加していない時には基板4・5
(表示面)に対してほぼ垂直に配向しているが、電圧の
印加とともに、基板4・5の法線方向から傾斜して配向
し、層状の液晶層1の層の法線方向に通過する光に対し
て偏光変換作用を生じる。
【0353】液晶が基板に平行に配向する配向膜2・3
を用いた液晶表示装置と本実施の形態にかかる液晶表示
装置との違いは、本実施の形態にかかる液晶表示装置で
は、電圧を印加しなくても液晶層1における電極基板と
の界面の層まで、液晶が基板4・5の法線方向に配向す
ることである。そこで、これを有効に利用するため、本
実施の形態では、表示に、電圧を印加しない場合には黒
表示になるNB(ノーマリーブラック)モードを用い
る。具体的には、反射表示部9では、液晶層1に円偏光
を入射させて表示を行う。また、透過表示部10では、
反射表示にも利用される位相差補償板16が液晶層1か
らの出射光の偏光に作用することから、上記液晶層1
を、反射表示部9と透過表示部10とを電気的に接続す
る電極対で駆動し、かつ、同時に暗表示を実現するため
に、透過表示においても液晶層1が基板4・5に垂直に
配向していることを考慮して液晶層1に円偏光を入射す
る。このため、偏光板14・15と位相差補償板16・
17との組合せにおいて、位相差補償板17を構成する
複数の位相差補償板のうち、液晶層1により近い側に配
置された位相差補償板のリタデーションを135nmに
設定する。これにより、本実施の形態では、良好なNB
表示を実現することができる。
【0354】次に、偏光板14・15と位相差補償板1
6・17との上述した組合せにおいて、良好な明表示を
与える液晶層1の設定について説明する。
【0355】本実施の形態では、液晶層1は、上述した
ように、電圧の印加とともに基板4・5の法線方向から
傾斜して配向する。該液晶層1としては、該液晶層1に
十分に電圧を印加した状態では、反射表示部9に対して
は、円偏光を直線偏光に変換するように作用し、透過表
示部10に対しては、円偏光を、逆廻りの円偏光に変換
するように作用することが望ましい。上記液晶層1が上
記の変換作用を奏する場合には良好な明表示を実現する
ことができる。
【0356】上記液晶層1が上記の変換作用を奏するた
めには、例えば、液晶にツイストを生じさせないように
配向膜2・3を配向処理し、液晶組成物にはカイラル添
加剤を使用しないことが望ましい。つまり、液晶層1の
リタデーションが、該液晶層1への電圧の印加によっ
て、入射光の波長をλとしたとき、反射表示部9ではλ
/4変化し、透過表示部10ではλ/2変化するように
液晶層1が設定されていることが望ましい。
【0357】反射表示部9における液晶層1の層厚と透
過表示部10における液晶層1の層厚とが異なるように
設定されている場合、液晶層1が上記の変換作用を奏す
るべく、液晶層1を上述したように設定することは容易
である。
【0358】以下、本実施の形態にかかる液晶表示装置
について、具体的な実施例を挙げて説明するが、本実施
の形態に係る液晶表示装置は、以下の実施例により何ら
限定されるものではない。
【0359】〔実施例11〕本実施例では、実施例1の
液晶注入用の液晶セルの作製方法と同様の方法により、
反射表示部9と透過表示部10とで液晶層厚が異なる液
晶注入用の液晶セルを作製し、配向膜2・3に、液晶を
基板4・5に対して垂直に配向させる作用を有する垂直
配向膜を用いた。上記配向膜2・3には、ラビングによ
り、液晶が、基板4・5の法線方位(垂直方向)から若
干傾斜して配向するように配向処理を行った。
【0360】但し、本実施例では、反射表示部9におけ
る液晶層厚(d)を3μm、透過表示部10における液
晶層厚(d)を6μmとし、液晶材料に、屈折率差(Δ
n)が0.06の負の誘電率異方性を有する液晶を用い
て液晶層1を形成すると共に、上記の液晶セルにおける
各電極基板の外側に、位相差補償板16・17および偏
光板14・15を貼付して液晶表示装置を作製した。上
記位相差補償板16および位相差補償板17は、各々、
2枚ずつの位相差補償板で構成した。
【0361】表6に、本実施例で得られた液晶表示装置
の反射表示部9並びに透過表示部10における、偏光板
14・15、位相差補償板16・17、および液晶層1
の光学配置(即ち、偏光板14・15および位相差補償
板16・17の貼付方位、並びに、液晶の配向方位)を
共通の方位の基準を用いて示す。
【0362】尚、表6に示す光学配置は、観察者が表示
面を観察するときの、表示面での各々の光学要素配置で
あり、上記位相差補償板16・17を構成する各位相差
補償板は、観察者側からの実際の配置の順に記載してい
る。また、表6における各々の方位は、表示面上に任意
にとった基準方位からの方位を度の単位で表し、各位相
差補償板のリタデーションは波長550nmの単色光に
対する値をnm単位で示す。
【0363】
【表6】
【0364】このようにして作製された、本実施例に記
載の液晶表示装置の表示特性を図20に示す。尚、図2
0に記載の表示特性は、実施例1と同様の方法により測
定したものであり、横軸は印加電圧の実効値を示し、縦
軸は明度(反射率または透過率)を示す。
【0365】図20において、曲線341は、実施例1
1で得られた液晶表示装置における反射表示部9の反射
率の電圧依存性を示し、曲線342は、実施例11で得
られた液晶表示装置における透過表示部10の透過率の
電圧依存性を示す。
【0366】図20から判るように、実施例11で得ら
れた上記の液晶表示装置は、電圧を印加しないときには
暗表示を行うようになっており、該液晶表示装置では、
電圧の印加に伴って反射率および透過率が増加するいわ
ゆるNBモードによる表示が実現した。また、上記の液
晶表示装置は、反射表示部9と透過表示部10とでコン
トラスト比をほぼ同程度に設定することができると共
に、反射表示部9と透過表示部10とで表示の明暗を一
致させることができ、視認性に優れた表示を実現するこ
とができる。
【0367】以上のように、本実施の形態によれば、反
射表示部9と透過表示部10とで、同時に異なる液晶配
向を実現する本発明にかかる液晶表示装置において、反
射表示部9または透過表示部10のうち少なくとも一方
に、液晶を、該液晶(液晶層1)に接する基板面に垂直
に配向させる配向手段(垂直配向膜)を用いることによ
り、反射表示部9と透過表示部10とで共に良好な表示
を行うことができる半透過型の液晶表示装置が実現する
ことが確認された。
【0368】〔実施の形態6〕本実施の形態では、液晶
配向を電圧で変化させて表示を行うときに、反射表示部
または透過表示部の少なくとも一方において、液晶の配
向状態を表示面(基板)に対して平行な状態に維持した
まま、液晶の配向方位を変更して表示を行う液晶表示装
置について説明する。即ち、本実施の形態にかかる液晶
表示装置では、液晶分子が、反射表示部または透過表示
部の少なくとも一方において、電圧の印加により表示面
(基板)に対して平行に回転するようになっている。
【0369】以下、本実施の形態にかかる液晶表示装置
について、具体的な実施例を用いて説明するが、本実施
の形態に係る液晶表示装置は、以下の実施例により何ら
限定されるものではない。尚、説明の便宜上、前記実施
の形態1〜実施の形態5と同様の機能を有する構成要素
には同一の番号を付し、その説明を省略する。
【0370】〔実施例12〕本実施例では、透過型液晶
表示装置で広視野角を実現するために用いられているI
PS(インプレイン・スイッチング)モードを半透過型
液晶に利用することで、基板に対して面内方向の横電界
で液晶分子を基板に対して平行に回転させ、光スイッチ
機能をもたせた液晶表示装置について、図21(a)お
よび図21(b)を参照して以下に説明する。
【0371】尚、従来、IPSモード自体は、透過型液
晶表示装置の分野において使用されてはいるが、該IP
Sモード使用時に用いられる櫛形電極上では液晶配向変
化が透過表示には不十分なため、上記櫛形電極上の液晶
配向は表示に寄与せず、良好な表示を実現することはで
きなかった。しかしながら、本実施例によれば、従来の
IPS方式では使用できなかった櫛形配線上の領域で反
射表示が実現し、光の利用効率が高い半透過型の液晶表
示装置を得ることができる。
【0372】図21(a)は、本実施例にかかる液晶表
示装置の電圧無印加時における要部断面図であり、図2
1(b)は、図21(a)に示す液晶表示装置の電圧印
加時における要部断面図である。尚、図21(a)およ
び図21(b)は、何れも、該液晶表示装置における液
晶セルを、該液晶セルに設けられた櫛形電極の電極配線
(端子)が延びる方位に垂直な面で切断したときの断面
を示す。
【0373】図21(a)および図21(b)に示す液
晶表示装置は、液晶層1が、透光性を有する基板51
と、光反射性を有する櫛形電極53(表示内容書換手
段、電圧印加手段、配向機構)を備えることで光反射性
を具備する基板54とで挟持され、さらに、基板51の
外側(即ち、基板54との対向面とは反対側)に、位相
差補償板16と偏光板14とを備えると共に、基板54
の外側(即ち、基板51との対向面とは反対側)に、位
相差補償板17と偏光板15とを備えた構成を有してい
る。尚、本実施例では、位相差補償板16を1枚の位相
差補償板で構成し、位相差補償板17を2枚の位相差補
償板で構成した。
【0374】本実施例でも、上記液晶表示装置は、上記
液晶層1を挟んで設けられた一対の基板のうち、一方の
基板54(電極基板)において、ガラス基板52上に、
絶縁性を有する感光樹脂をスピンコートによって塗布
し、さらに紫外光のマスク照射によって、透過表示部1
0には感光樹脂が残存せず、反射表示部9では、該感光
樹脂が所定の層厚に形成されるように絶縁膜11(配向
機構)がパターン形成されている。これにより、透過表
示部10における液晶層1の層厚は、反射表示部9にお
ける液晶層1の層厚よりも薄く設定されている。
【0375】また、本実施例にかかる上記の液晶表示装
置において、上記ガラス基板52上には、上記絶縁膜1
1を覆うように、光反射性を有する櫛形電極53(配向
機構)が形成されている。該櫛形電極53は、液晶層1
を駆動する液晶駆動電極と反射膜(反射手段)とを兼ね
る反射画素電極であり、光の反射率の高い金属で作製さ
れている。
【0376】上記液晶表示装置において、透過表示部1
0では、櫛形電極53によって印可されている電界によ
って液晶分子1aの配向状態が変化する。また、反射表
示部9では、上記櫛形電極53による電界で液晶層1が
駆動されると共に、上記櫛形電極53の反射作用を表示
に用いている。
【0377】尚、本実施例では、反射手段に、櫛形電極
53の配線を用いているが、該櫛形電極53には、光散
乱性を付与するために、その表面に凹凸構造が形成され
ていてもよく、また、ガラス基板51の外側における櫛
形電極53に対向する領域に、光散乱性を有する膜がさ
らに形成されていてもよい。
【0378】図21(a)および図21(b)に示す液
晶表示装置において、互いに隣り合う櫛形電極53a・
53bには、互いに異なる電位が与えられ、上記櫛形電
極53a・53b間には電界が生じる。図21(b)に
示すように、透過表示部10は櫛形電極53a・53b
の間隙部に相当し、この部分では、液晶配向は、上記櫛
形電極対(櫛形電極53a・53b)によってその配向
方位がガラス基板52に平行な方位を保って大きく変化
する。また、反射表示部9は、櫛形電極53(櫛形電極
53a・53b)の直上に相当し、この部分では、液晶
配向は、ガラス基板52の平面に沿った方位の変化だけ
でなく、ガラス基板52に対して垂直な方位にも変化す
る。これは、図21(b)に示すように、透過表示部1
0では電気力線(図中、破線で示す)がガラス基板52
に対してほぼ平行に延びているのに対し、反射表示部9
では電気力線がガラス基板52に垂直な成分を有してい
るためである。
【0379】表7に、本実施例にかかる液晶表示装置の
反射表示部9並びに透過表示部10における、偏光板1
4・15、位相差補償板16・17、および液晶層1の
光学配置(即ち、偏光板14・15および位相差補償板
16・17の貼付方位、並びに、液晶の配向方位)を共
通の方位の基準を用いて示す。
【0380】尚、表7に示す光学配置は、観察者が表示
面を観察するときの、表示面での各々の光学要素配置で
あり、上記位相差補償板17を構成する各位相差補償板
は、観察者側からの実際の配置の順に記載している。
【0381】また、液晶層1の配向方位(液晶分子1a
の長軸の配向方位)は、基板51側では基板51表面に
おけるラビング処理方位に等しく、基板54側では、基
板54表面におけるラビング処理方位に等しい。以下、
基板51側の液晶層1の配向方位を基板51配向方位、
基板54側の液晶層1の配向方位を基板54配向方位と
記す。
【0382】また、表7における各々の方位は、表示面
上に任意にとった基準方位からの方位を度の単位で表
し、各位相差補償板のリタデーションは波長550nm
の単色光に対する値をnm単位で示す。
【0383】ここで櫛形電極53の電極配線(端子)が
延びている方向は、65度方位であり、電圧の印加に伴
って、液晶配向は、透過表示部10と反射表示部9と
で、共に75度方位を向いている液晶分子1aが75度
方位よりも大きな方位を有するように変化した。また、
上記液晶表示装置において、反射表示部9における液晶
層1のΔn・dは130nm前後、透過表示部10にお
ける液晶層1のΔn・dは240nm前後に設定されて
いる。
【0384】
【表7】
【0385】上記のように設定された液晶表示装置で
は、液晶層1に電圧を印加しないときには反射表示部9
および透過表示部10は共に暗表示になる。そして、こ
の状態から液晶層1に電圧を印加すると、液晶分子1a
は、櫛形電極53の電極配線(端子)が延びる方位(上
記設定では65度方位)から逸れるように、その配向方
位が変化する。従って、上記の液晶表示装置では、電圧
印加時の液晶の配向方位を変化させることにより、明表
示を実現している。
【0386】このようにして作製された、本実施例にか
かる液晶表示装置の表示特性を図22に示す。尚、図2
2に記載の表示特性は、実施例1と同様の方法により測
定したものであり、横軸は印加電圧の実効値を示し、縦
軸は明度(反射率または透過率)を示す。
【0387】図22において、曲線351は、実施例1
2で得られた液晶表示装置における反射表示部9の反射
率の電圧依存性を示し、曲線352は、実施例12で得
られた液晶表示装置における透過表示部10の透過率の
電圧依存性を示す。尚、反射表示部9は、櫛形電極53
上の位置によって光学特性に違いがあるが、ここでは代
表的な部分の光学特性を記載している。
【0388】図22から判るように、実施例12で得ら
れた上記の液晶表示装置は、電圧を印加しないときに
は、反射表示部9および透過表示部10は共に暗表示を
行うようになっており、該液晶表示装置では、電圧の印
加に伴って反射率および透過率が増加する。また、印加
電圧が2Vのときの反射表示部9の反射率および透過表
示部10の透過率は共に3%であり、印加電圧が5Vの
ときの反射表示部9の反射率は35%、透過表示部10
の透過率は38%であった。従って、上記の液晶表示装
置によれば、反射表示部9に対しても透過表示部10に
対しても共に明表示の明度とコントラスト比とを両立す
ることができ、視認性に優れた表示を実現することがで
きる。また、上記の液晶表示装置によれば、透過表示部
10におけるコントラスト比が反射表示部9におけるコ
ントラスト比を上回ることから、より一層表示品位を高
め、良好な表示を行うことができる。
【0389】以上のように、上記実施例12によれば、
従来のIPS方式では表示に使用できなかった櫛形配線
53上の領域で反射表示が実現し、光の利用効率が高い
半透過型の液晶表示装置を得ることができることを確認
した。
【0390】本実施の形態において、上述した液晶配向
を実現する方法としては、上述したIPSモードのよう
にネマティック液晶を利用する方法以外にも、強誘電性
液晶表示モードを利用する方法や反強誘電性液晶表示モ
ードを利用する方法等を用いることができる。
【0391】そこで、以下の実施例13では、上述した
液晶配向を実現する他の液晶表示装置として、強誘電性
液晶表示モードを表示に使用した液晶表示装置について
説明する。
【0392】〔実施例13〕本実施例では、実施例1に
示す液晶表示装置において、液晶材料に表面安定化強誘
電性液晶を使用し、液晶層厚(d)が透過表示部10で
1.4μm、反射表示部9で0.7μmとなるように設
定し、該液晶層1のΔn・dが反射表示部9で130n
m、透過表示部10で260nm程度となるように設定
すると共に、反射表示部9に対応する電極7上に反射膜
8を形成する代わりに、電極として、反射表示部9に対
応する領域に反射電極を用いた以外は、実施例1に示す
液晶セルと同様に設計された液晶セルを作製した。
【0393】具体的には、基板5(ガラス基板)上に、
透過表示部10には感光樹脂が残存せず、反射表示部9
では、該感光樹脂が0.7μmの層厚に形成されるよう
に絶縁膜11をパターン形成し、該絶縁膜11形成部
(反射表示部9)には反射電極を作製し、絶縁膜11非
形成部(透過表示部10)には透明電極を作製した。そ
して、この基板5における上記電極形成面上に配向膜3
を形成し、ラビングにより配向処理を施すことにより、
電極基板を作製した。尚、該電極基板に対向配置する電
極基板(対向基板)の構成は、実施例1に記載のものと
同様である。そして、上記の両電極基板間に上記表面安
定化強誘電性液晶を含む強誘電性液晶組成物を導入して
液晶セルを作製し、該液晶セルにおける各電極基板の外
側に位相差補償板16・17および偏光板14・15を
貼付して液晶表示装置を作製した。尚、本実施例では、
位相差補償板16を1枚の位相差補償板で構成し、位相
差補償板17を2枚の位相差補償板で構成した。
【0394】表8に、本実施例で得られた液晶表示装置
における、偏光板14・15、位相差補償板16・1
7、および液晶層1の光学配置(即ち、偏光板14・1
5および位相差補償板16・17の貼付方位、並びに、
明表示および暗表示の液晶の配向方位)を共通の方位の
基準を用いて示す。
【0395】尚、表8に示す光学配置は、観察者が表示
面を観察するときの、表示面での各々の光学要素配置で
あり、上記位相差補償板17を構成する各位相差補償板
は、観察者側からの実際の配置の順に記載している。ま
た、表8における各々の方位は、表示面上に任意にとっ
た基準方位からの方位を度の単位で表し、各位相差補償
板のリタデーションは波長550nmの単色光に対する
値をnm単位で示す。
【0396】
【表8】
【0397】このようにして作製された液晶表示装置
は、反射表示部9と透過表示部10とでどちらも良好な
明度とコントラスト比とを有する液晶表示装置であっ
た。
【0398】以上のように、反射表示部9と透過表示部
10とで、同時に異なる液晶配向並びに液晶層厚を実現
する液晶表示装置であれば、電圧の印可による液晶層1
の配向変化方向が液晶層平面内で変化するものであって
も、本発明の半透過型の液晶表示装置として良好な表示
を得ることができる。そして、上記液晶表示装置がIP
Sモードを利用したものである場合には、同じくIPS
モードを利用した従来の透過型液晶表示装置よりも光の
利用効率を改善することが可能である。また、本実施の
形態にかかる上記の液晶表示装置は、強誘電性液晶等の
モードによっても使用可能である。
【0399】〔実施の形態7〕本実施の形態では、本発
明にかかる液晶表示装置の構成を可能にするアクティブ
マトリクス駆動の具体的な素子基板およびカラーフィル
タ基板について説明する。
【0400】画像表示を目的として本発明にかかる液晶
表示装置を作製する場合、透過表示部と反射表示部との
比率は、透過表示に利用する場合と、反射表示に利用す
る場合との使用頻度に応じて設計することが実用上、重
要である。
【0401】つまり、第1の使用形態は、現在用いられ
ている透過型液晶表示装置と同様に、背景照明手段とし
ての照明装置(バックライト)からの透過光を主たる表
示に用い、反射表示部をウォッシュアウトの防止に用い
る使用形態(以下、透過主体半透過と略す)である。
【0402】また、第2の使用形態は、反射表示を主た
る表示に用いる使用形態であり、電力消費の大きいバッ
クライトは状況に応じてしばしば消灯して消費電力の低
減を図ると共に、周囲の照明光が弱く、反射表示のみで
は表示内容の確認ができない場合にはバックライトを点
灯して使用する使用形態(以下、反射主体半透過と略
す)である。
【0403】このような二通りの使用形態においては、
主たる表示を透過表示にて行うか反射表示にて行うかが
異なるため、透過表示部と反射表示部との表示面積の比
率や、カラー表示の場合のカラーフィルタの色彩の設計
がそれぞれ異なったものになる。
【0404】そこで、先ず、アクティブマトリクス方式
の一つであるTFT素子を表示に用いる液晶表示装置を
例に挙げて、透過を主体とした透過主体半透過型の液晶
表示装置について、以下に説明する。尚、説明の便宜
上、前記実施の形態1〜実施の形態6と同様の機能を有
する構成要素には同一の番号を付し、その説明を省略す
る。
【0405】先ず、TFT素子を表示に用いる透過主体
半透過型の液晶表示装置の基板構造について、図23
(a)〜図25を参照して以下に説明する。
【0406】図23(a)は、本実施の形態7にかかる
透過主体半透過型の液晶表示装置を実現するためのTF
T素子基板の要部平面図であり、図23(b)は、図2
3(a)に示すTFT素子基板における反射表示部9
(図1、図4、図24、図25参照)の駆動電極19を
示す図であり、図23(c)は、図23(a)に示すT
FT素子基板における透明画素電極20を示す図であ
る。
【0407】また、図24は図23(a)に示すTFT
素子基板のA−A’線矢視断面図であり、より詳しく
は、図23(a)に示すTFT素子基板を、TFT素子
21から駆動電極19と透明画素電極20とを通ってさ
らに補助容量部26を通る断面にて示す図である。さら
に、図25は、図23(a)に示すTFT素子基板のB
−B’線矢視断面図であり、隣り合う画素同士の境界部
分の断面構造を示している。
【0408】液晶層1(図1および図4参照)を駆動す
る画素電極18は、図23(a)、図24、および図2
5に示すように、反射表示部9の駆動電極19(表示内
容書換手段、電圧印加手段)とITOからなる透明画素
電極20(表示内容書換手段、電圧印加手段)とによっ
て構成されている。尚、上記の駆動電極19はそれ自身
が反射性を有する反射電極であってもよい。また、駆動
電極19と透明画素電極20とは、表示に利用する液晶
表示方式が同じ電圧で表示を行っても明暗の反転を示さ
ない表示方式の場合、互いに電気的に接続されていても
よい。
【0409】上記駆動電極19と透明画素電極20と
は、表示に用いる電圧を各画素単位で制御するTFT素
子21のドレイン端子22に接続されている。また、駆
動電極19には、透過表示用開口部19aが形成され、
上記の駆動電極19が反射電極である場合には、この透
過表示用開口部19a形成領域が透過表示部10とし
て、透過表示に用いられる。
【0410】上記駆動電極19の下層には、TFT素子
21、配線23および配線24、補助容量部26および
補助容量線27が配置されている。但し、これらの構成
要素には金属等の遮光性のある材質が用いられるため、
本実施の形態では、これらの構成要素が透過表示用開口
部19a内に配置されないように上記TFT素子基板を
作製している。尚、図23(a)では、駆動電極19を
二点鎖線にて示す。
【0411】また、図24に示すように、画素電極18
を構成している反射表示部9に電圧を印加する、該反射
表示部9の駆動電極19の主たる部分は、上記TFT素
子21の駆動用の配線23・24および上記TFT素子
21が形成された基板19表面(TFT素子基板面)と
は、有機絶縁膜25によって隔てられている。この有機
絶縁膜25は、誘電率の低い有機絶縁材料にて形成さ
れ、かつ、膜厚が3μmとなるように形成されている。
これは、TFT素子21のゲート配線となる配線23や
TFT素子21のソース配線となる配線24と画素電極
18との間に形成される寄生容量成分が、TFT素子2
1の開閉動作を制御するゲート信号波形やソース信号波
形を遅延させたり歪ませることを防止し、解像度の高い
ドットマトリクス表示を可能にするためであると同時
に、本実施の形態にかかる液晶表示装置における反射表
示部9および透過表示部10での光学特性を良好にする
ためである。
【0412】上記の画素電極18は、上記TFT素子2
1のドレイン端子22に接続されている。該ドレイン端
子22は、n型にドープされたn+ アモルファスシリコ
ン層であり、TFT素子21のドレイン電極として作用
する。本実施の形態にかかる上記TFT素子基板では、
このドレイン端子22に接するように配置されているI
TO層を透明画素電極20として利用し、さらにその透
明画素電極20の一部を被覆するようにパターニングさ
れた有機絶縁膜25上に、反射表示部9の駆動電極19
が形成されている。つまり、図24に示すTFT素子基
板を用いた透過主体半透過型の液晶表示装置では、透過
表示に用いられる上記透明画素電極20と反射表示に用
いられる上記駆動電極19とは、有機絶縁膜25のパタ
ーン境界部で電気的に接続されている。また、反射表示
部9の駆動電極19には、表示面の鏡面化防止を目的と
して、図24および図25に示すように、その表面に、
滑らかな凹凸が形成されていてもよい。
【0413】また、図25に示すように、上記TFT素
子基板における隣り合う画素同士の境界部分では、有機
絶縁膜25は、TFT素子21のソース端子28に接続
された配線24を覆うように形成され、該有機絶縁膜2
5上に反射表示部9の駆動電極19が形成されている。
【0414】このように作製されたTFT素子基板は、
有機絶縁膜25の膜厚と誘電率との関係を適切に設定す
ることで、有機絶縁膜25を介して画素電極18と配線
23・24とが形成する寄生容量成分を抑制することが
できるので、図23(a)に示すように、配線23・2
4の直上まで反射表示部9の駆動電極19を伸ばすこと
が可能である。この場合、隣り合う画素電極18同士の
間隙を狭く設計することが可能になり、画素間隙では、
配線23・24から液晶層1への漏洩電界が少なくなる
ため、液晶層1の配向が乱れにくい。従って、有機絶縁
膜25の膜厚と誘電率との関係を適切に設定すること
で、液晶層1の液晶配向の制御が画素電極18同士の境
界付近まで可能になり、いわゆる開口率の高い透過主体
半透過型の液晶表示装置のTFT素子基板を作製するこ
とができる。本実施の形態では、上記有機絶縁膜25
を、比誘電率が3.5の有機絶縁材料にて膜厚が3μm
となるように形成した。
【0415】上述のようにして、本実施の形態では、透
過表示に利用できる面積が画素全体の面積の45%、反
射表示に利用できる面積が画素全体の38%を占めるT
FT素子基板を作製した。該TFT素子基板は、従来よ
り広く用いられている透過型のTFT液晶表示装置の透
過表示部の開口率が50%前後であることと比較して、
ほぼ同等の透過表示部10の割合を確保し、かつ、反射
表示部9の表示光強度が透過表示光に加算されて表示を
行うため、表示に利用できる光の利用効率の高い透過主
体半透過型の液晶表示装置のTFT素子基板であると言
える。
【0416】このように、本実施の形態で高い光利用効
率が実現できるのは、反射表示部9に、TFT素子21
や配線23・24、補助容量部26、補助容量線27等
の、光を透過しない構成要素を配置することが可能であ
るためであり、これらの構成要素によって液晶表示に利
用する光が損なわれないためである。
【0417】次に、このように作製されたTFT素子基
板に対向させて用いるカラーフィルタ基板について図2
6(a)および図26(b)を参照して以下に説明す
る。
【0418】上記カラーフィルタ基板には、図26
(a)および図26(b)に示すように、赤(R)、緑
(G)、青(B)の3色のカラーフィルタ61R・61
G・61Bが形成されている。これら3色のカラーフィ
ルタ61R・61G・61Bは、各々、顔料を分散した
光感光性の樹脂によって形成され、フォトリソグラフィ
ー技術によって、ガラス基板62上に、TFT素子基板
の画素に合わせたストライプ状の平面形状に形成されて
いる着色層であり、各色毎に隔てて形成されている。
【0419】さらに、上記ガラス基板62におけるカラ
ーフィルタ61R・61G・61B形成面上には、図2
6(b)に示すように、これらカラーフィルタ61R・
61G・61Bを覆うように、透明アクリル系樹脂によ
って平滑化層501が設けられ、その上に、TFT素子
基板における画素電極18の対向電極502(表示内容
書換手段、電圧印加手段)として、140nm厚のIT
Oが、所定の領域以外を覆う遮蔽マスクを用いて、スパ
ッタリングによって成膜されている。これにより、上記
カラーフィルタ61R・61G・61Bは、各色毎に透
明な領域で隔てられている。
【0420】上記カラーフィルタ基板とTFT素子基板
との重ね合わせの位置関係は、図26(a)に示す通り
であり、TFT素子基板の反射表示部9に形成された駆
動電極19の透過表示用開口部19a(即ち、透過表示
部10)が、R、G、Bのストライプ状のカラーフィル
タ61R・61G・61Bによって完全に覆われる一
方、反射表示部9では、上記駆動電極19におけるカラ
ーフィルタ61R・61G・61Bの延伸方向の部分の
みが上記カラーフィルタ61R・61G・61Bによっ
て覆われ、このカラーフィルタ61R・61G・61B
間の透明領域は、反射表示部9に形成された駆動電極1
9のその他の領域(上記カラーフィルタ61R・61G
・61Bの延伸方向以外の部分)に対向配置されてい
る。
【0421】図27に、反射表示部9および透過表示部
10とカラーフィルタ61R・61G・61Bとの配置
について、上記カラーフィルタ基板とTFT素子基板と
を組み合わせて示す。図27は、カラーフィルタ基板と
TFT素子基板とを液晶表示装置として使用する位置に
重ね合せ、上記カラーフィルタ基板とTFT素子基板と
を図26(a)におけるC−C’の位置で切断した、上
記図26(a)に記載の液晶表示装置の要部のC−C’
線矢視断面図である。
【0422】このように、透過表示部10には、各々、
R、G、Bの何れかのカラーフィルタ61R・61G・
61Bが形成され、反射表示部9における上記カラーフ
ィルタ61R・61G・61Bの延伸方向以外の部分
は、上記カラーフィルタ61R・61G・61B間の透
明領域に対応している。
【0423】これにより、反射表示部9の一部に、透過
表示に用いるカラーフィルタ61R・61G・61Bと
同様のカラーフィルタ61R・61G・61Bが作用
し、残りの反射表示部9には、カラーフィルタ61R・
61G・61Bは作用しない。これによって、反射表示
に対しても色彩表示(カラー表示)が可能になり、か
つ、反射表示部に必要な反射率が確保できる。
【0424】尚、前記図26(a)および図26(b)
に示すように作製されたカラーフィルタ基板を透過した
光に現れる透過色は、R、G、B、各々の画素毎に、透
過型液晶表示装置において用いられるR、G、Bの透過
色と同様の色彩を有していてもよいし、さらに用途に応
じて適宜調整されてもよい。
【0425】上記図26(a)および図27に示すTF
T素子基板とカラーフィルタ基板との組み合わせにおい
ては、透過表示部10は、全て、カラーフィルタ61R
・61G・61Bを通過する光で表示を行い、反射表示
部9は、その一部は透過表示部10と同様のカラーフィ
ルタ61R・61G・61Bを用いた表示を行い、残り
の部分で、カラーフィルタ61R・61G・61Bを用
いないで表示を行っている。これは、反射表示部9に透
過表示部10のカラーフィルタ61R・61G・61B
をそのまま用いると明度が不足するため、カラーフィル
タ61R・61G・61Bを用いない部分を反射表示部
9に設け、明度を補うことを目的としているためであ
る。
【0426】さらに、本実施の形態のように、反射表示
部9には、カラーフィルタ61R・61G・61Bを表
示光が2回通過することを考慮して、透過表示部10に
おけるカラーフィルタ61R・61G・61Bよりも明
度の高いカラーフィルタ61R・61G・61Bを設け
てもよい。
【0427】また、本実施の形態では、使用目的に合わ
せて、少なくとも透過表示部10にカラーフィルタ61
R・61G・61Bを形成し、反射表示部9にはカラー
フィルタ61R・61G・61Bを設けない領域(部
分)を有する構成としてもよく、透過表示部10にのみ
カラーフィルタ61R・61G・61Bを用いて反射表
示部9にはカラーフィルタ61R・61G・61Bを設
けない構成としてもよい。
【0428】反射表示部9にカラーフィルタ61R・6
1G・61Bを設けない構成とする場合、透過表示に必
要な表示電圧信号は色彩表示に適した信号であり、反射
表示に必要な表示電圧信号は、白黒表示に適した信号で
ある。このため、例えば、R、G、Bのそれぞれの画素
が明度に寄与する割合が、透過表示部10では各色の視
感透過率(Y値)に比例するが、反射表示部9では、各
画素で全く等しくなるといった駆動上の問題点が生じ
る。
【0429】つまり、例えば、Bの画素だけが明表示で
ある場合とGの画素だけが明表示である場合との表示の
明度を比較した場合には、カラーフィルタ61R・61
G・61Bが配置された透過表示部10では視感透過率
を考慮した明度が異なっているが、カラーフィルタ61
R・61G・61Bが配置されていない反射表示部9で
は明度が同じになってしまうという不具合である。
【0430】このような不具合を防止する方法として
は、透過表示に用いるカラーフィルタ61R・61G・
61BのR、G、Bの各色のY値に合わせて、反射表示
部9の色彩表示を行わない領域の面積を、R、G、Bの
各画素ごとに変更する方法が挙げられる。これにより、
R、G、Bの各画素における反射表示部9の白黒表示か
らの明度への寄与を反射表示部9の面積を変更すること
によって調整し、この反射表示部9の面積に基づく白黒
表示の明度を各色の表示輝度に反映させることができ
る。
【0431】また、反射表示部9のカラーフィルタ被覆
率を小さい順からG、R、Bの順になるように設計する
ことによっても同様の効果がある。この方法によれば、
さらに、通常の偏光板に見られる若干の緑色の着色を補
正できるという利点もある。また、図26(a)に示す
ようにカラーフィルタ基板とTFT素子基板とを重ね合
わせて配置する場合、TFT素子基板とカラーフィルタ
基板との重ね合わせの位置精度が比較的大きく取れると
いう利点もある。これは、一つの画素の両側に反射表示
部9のカラーフィルタ非形成部が存在するために、それ
らのどちらかが位置ずれによって増加した場合には他方
が減少するためである。
【0432】以上のようなTFT素子基板とカラーフィ
ルタ基板とを用いると、透過表示を行っている場合に
は、背景照明手段としての照明装置(バックライト)の
併用により、従来の透過表示のTFT液晶表示装置と同
様の表示が可能になり、さらに、周囲光が非常に強い場
合にも反射光が透過表示の表示内容に近い表示を行って
いるために、表示内容の確認が可能になり、周囲光が強
い場合でもウォッシュアウトがなく、視差のない高解像
度のカラー液晶表示装置を実現することができる。
【0433】次に、TFT素子基板とカラーフィルタ基
板との構成を変更して、主たる使用状況を周囲光の反射
光を表示に用いて消費電力の少ない液晶表示装置として
用い、周囲光の強度が十分でない場合にのみ透過表示を
用いるような反射主体半透過型の液晶表示装置の基板構
造について、図28、図29(a)および図29(b)
を参照して以下に説明する。
【0434】図28は、本実施の形態7にかかる反射主
体半透過型の液晶表示装置を実現するためのTFT素子
基板の要部平面図であり、反射を主体としたTFT素子
基板の構成を示している。尚、図28では、駆動電極1
9を二点鎖線にて示す。
【0435】図28に示すように、上記反射主体半透過
型の液晶表示装置は、駆動電極19における透過表示用
開口部19aの大きさおよび透明画素電極20の大きさ
を、前記透過主体半透過型の液晶表示装置に用いられる
TFT素子基板におけるそれよりも小さく設定した以外
は、前記透過主体半透過型の液晶表示装置と同様の構成
を有している。
【0436】つまり、上記反射主体半透過型の液晶表示
装置においても、液晶層1(図1および図4参照)を駆
動する画素電極18は、図28に示すように、反射表示
部9の駆動電極19とITOからなる透明画素電極20
とによって構成されており、上記駆動電極19と透明画
素電極20とは、表示に用いる電圧を各画素単位で制御
するTFT素子21のドレイン端子22に接続されてい
る。また、駆動電極19には、透過表示用開口部19a
が形成され、上記の駆動電極19が反射電極である場合
には、この透過表示用開口部19a形成領域が透過表示
部10(図24、図25、および図27参照)として、
透過表示に用いられる。
【0437】また、上記駆動電極19の下層には、TF
T素子21、配線23および配線24、補助容量部26
および補助容量線27が配置され、これらの構成要素は
上記透過表示用開口部19a内に配置されないように配
置されている。
【0438】但し、図28に示すTFT素子基板は、図
23(a)〜図27に示す前記透過主体半透過型の液晶
表示装置に用いられるTFT素子基板よりも、透過表示
部10の割合がより小さく、反射表示部9(図24、図
25、および図27参照)の割合が大きくなるように設
定されている。
【0439】このようにして、本実施の形態では、反射
主体半透過型の液晶表示装置用のTFT素子基板とし
て、透過表示に利用できる面積が画素全体の面積の13
%、反射表示に利用できる面積が画素全体の70%を占
めるTFT素子基板を作製した。
【0440】上記反射主体半透過型の液晶表示装置用の
TFT素子基板における透過表示部10の割合は13%
と、前記透過主体半透過型の液晶表示装置用のTFT素
子基板における透過表示部10の割合と比較して小さ
い。しかしながら、該TFT素子基板を用いた反射主体
半透過型の液晶表示装置は、反射表示によって表示内容
が確認できない場合に限って透過表示を行う場合には、
背景照明手段としての照明装置(バックライト)の点灯
時間の制限により消費電力の低減を図ることができるた
め、十分な実用性を確保することができる。
【0441】次に、このTFT素子基板と組み合わせて
用いるカラーフィルタ基板の構成について、図29
(a)および図29(b)を参照して以下に説明する。
【0442】図29(a)および図29(b)に示すよ
うに、反射主体半透過型の液晶表示装置用のカラーフィ
ルタ基板にも、図26(a)および図26(b)に示す
透過主体半透過型の液晶表示装置用のカラーフィルタ基
板と同様に、ガラス基板62上に、赤(R)、緑
(G)、青(B)の3色のカラーフィルタ61R・61
G・61Bがストライプ状に形成され、上記ガラス基板
62におけるカラーフィルタ61R・61G・61B形
成面上には、これらカラーフィルタ61R・61G・6
1Bを覆うように、透明アクリル系樹脂によって平滑化
層501が設けられ、その上にTFT素子画素電極の対
向電極502として、ITOが、所定の領域以外を覆う
遮蔽マスクを用いて、スパッタリングによって成膜され
ている。
【0443】但し、図29(a)および図29(b)に
示す反射主体半透過型の液晶表示装置用のカラーフィル
タ基板は、図26(a)および図26(b)に示す透過
主体半透過型の液晶表示装置用のカラーフィルタ基板と
はカラーフィルタ61R・61G・61Bの平面形状お
よび各色毎の分光透過率が異なるように設定されてい
る。
【0444】具体的には、反射主体半透過型の液晶表示
装置用のカラーフィルタ基板では、TFT素子基板の反
射表示部9をカラーフィルタ61R・61G・61B
(着色層)で全て覆うようにカラーフィルタ61R・6
1G・61Bが形成されており、かつ、このカラーフィ
ルタ61R・61G・61Bは、反射表示において良好
な表示を示すように、反射表示部9では表示光がカラー
フィルタ61R・61G・61Bを2回通過することを
考慮し、表示光がカラーフィルタ61R・61G・61
Bを2回通過して良好な明度になるように高明度に作製
されている。
【0445】このため、反射表示部9では、上述したよ
うに反射表示部9の割合の大きいTFT素子基板と、上
述したようにそれに合わせたカラーフィルタ基板との組
み合わせによって、良好な反射表示が実現する。
【0446】また、透過表示部10では透過表示用開口
部19aの割合は小さいが、背景照明手段としての照明
装置(バックライト)の併用により、周囲光が不十分な
場合に限って使用する透過表示においても、表示内容を
確認することができる。この点で、本実施の形態にかか
る反射主体半透過型の液晶表示装置は、従来の反射型液
晶表示装置と異なっている。本実施の形態にかかる反射
主体半透過型の液晶表示装置は、反射表示用に調整され
たカラーフィルタ61R・61G・61Bによって透過
表示を行った場合、彩度が不十分ではあるものの、表示
色の確認は可能である。
【0447】そこで、上記反射主体半透過型の液晶表示
装置にてカラー表示を行う場合、各画素には、少なくと
も反射表示部にカラーフィルタ61R・61G・61B
を配してカラー表示を行い、かつ、透過表示部10に
は、カラーフィルタ61R・61G・61Bを用いない
か、または、透過表示部10の少なくとも一部に反射表
示部9に配したカラーフィルタ61R・61G・61B
と同等以上の彩度を有するカラーフィルタ61R・61
G・61Bを配することが特に有効である。
【0448】このように、上記反射主体半透過型の液晶
表示装置では、少なくとも反射表示部にカラーフィルタ
61R・61G・61Bを形成し、透過表示部10はカ
ラーフィルタ61R・61G・61Bを設けない領域
(部分)を有する構成としてもよく、透過表示部10に
はカラーフィルタ61R・61G・61Bを用いずに、
透過表示部10で白黒表示を行ってもよい。後者の場
合、光の透過率が上昇することから、透過表示部10を
さらに小さく設定することが可能である。これにより、
反射表示部9の面積をより大きく確保することができ、
通常使用時の反射表示においてより良好な表示を得るこ
とができる。
【0449】この場合、透過主体半透過型の液晶表示装
置と同様に、上記反射主体半透過型の液晶表示装置にお
いても、色彩表示を行わない表示部の面積、即ち、この
場合は、透過表示部10の色彩表示を行わない領域の面
積を、カラーフィルタ61R・61G・61BのR、
G、Bの各色のY値に合わせて、R、G、Bの各画素ご
とに変更してもよい。つまり、R、G、Bの各画素にお
ける透過表示部10の白黒表示の明度への寄与を、視感
透過率を考慮して適正に設定するために、R、G、Bの
画素毎に透過表示面積の割合が異なるように、上記の各
基板を作製してもよい。
【0450】一方、背景照明手段としての照明装置(バ
ックライト)点灯時の消費電力は増すものの、該照明装
置(バックライト)の照明光を十分に強くすることで、
透過表示部10に透過表示に合わせた高彩度のカラーフ
ィルタを用いることも可能である。この場合、彩度のみ
ならず、透過表示の色再現性を確保することもできる。
何れの場合においても、上記照明装置(バックライト)
の点灯時間を最小限にすることは、消費電力を低減させ
るために重要である。
【0451】以上のように、本実施の形態によれば、通
常の使用においては消費電力を削減することができると
共に、反射表示部9でウォッシュアウトを起こすことが
なく、また、必要に応じて、背景照明手段(バックライ
ト)を用いた透過表示を行うことができる反射主体半透
過型の液晶表示装置を実現することができる。
【0452】尚、上記の説明では、アクティブマトリク
ス方式のスイッチング素子としてTFT素子21を用い
ると共に、該TFT素子21として、ボトムゲート型の
アモルファスシリコンTFT素子を例に挙げて説明した
が、本実施の形態において用いられる上記スイッチング
素子としては、特にこれに限定されるものではなく、例
えば、ポリシリコンTFT素子や、2端子素子であるM
IM(Metal Insulator Metal )素子等であってもよ
い。また、これらのアクティブ素子を必ずしも用いる必
要はないことは言うまでもない。
【0453】また、本実施の形態にかかる各液晶表示装
置においては、上述したように、表示用電極である駆動
電極19と配線23・24とを有機絶縁膜25で隔てた
構造を有するTFT素子基板を用いることにより、有機
絶縁膜25の膜厚だけ反射表示部9と透過表示部10と
で液晶層厚を変更することが可能である。しかも、これ
らの液晶表示装置においては、上記有機絶縁膜25の膜
厚を、TFT素子基板の配線抵抗、寄生容量の点から高
容量表示が可能となる3μm程度の値に設定しても、前
記実施の形態1および2に示したように、上記反射表示
部9と透過表示部10とで共に良好な表示を実現するこ
とが十分に可能な液晶層厚差を得ることができる。
【0454】従って、図23(a)または図28に記載
した構造を有するTFT素子基板と実施の形態1または
2に記載の液晶表示方式とを採用することにより、高容
量表示が可能な液晶表示装置を実現することができる。
【0455】さらに、上述したような有機絶縁膜25を
用いた構造のTFT素子基板は、透過表示のみの通常の
TFT素子駆動方式の液晶表示装置において、既に一部
実用化されており、量産上も技術的課題が少なく、実用
性が高い。
【0456】尚、本願発明者らは、反射型液晶表示装置
において、表示面の鏡面化防止等の目的で、反射膜に滑
らかな凹凸を付与し、良好な反射特性の反射膜の作製に
関し検討を重ねている。この結果、本発明において用い
る有機絶縁膜25においても、同様の凹凸面の作製が可
能であることを見い出し、図23(a)〜図27に示す
透過主体半透過型の液晶表示装置用のTFT素子基板に
おいては、反射表示部9に対応する部分に凹凸を形成し
ている。
【0457】以上のように、本実施の形態では、液晶表
示装置の使用形態に、透過主体半透過型と反射主体半透
過型との二通りの使用形態があり、主たる表示を透過表
示にて行うか反射表示にて行うかによって、透過表示部
と反射表示部との表示面積の比率や、カラー表示の場合
のカラーフィルタの色彩の設計がそれぞれ異なることを
説明した。
【0458】そこで、以下の実施の形態8では、本発明
にかかる液晶表示装置における透過表示部と反射表示部
との比率に関して説明する。
【0459】〔実施の形態8〕透過表示部と反射表示部
との比率は、視認性を考慮して設定される必要がある。
人の視覚の適応現象を考慮した、視覚によって知覚され
る明るさ(知覚明度)は、Stevens 等(“Brightness F
unction : Effect of Adaptation”, Journalof the Op
tical Society of America, Vol. 53, No.3, p375) に
よって調査されている。この文献によると、人間の目は
同じ輝度のものを見ているときであっても、知覚される
明るさは順応している明るさに依存し、そこには数量的
な関係があることが判る。
【0460】図30に、Stevens 等の文献から単位を変
換して作製した、5bril〜45brilまでの等値
の知覚明度を与える順応輝度とサンプル輝度との関係を
示す。図30において、横軸は、これからサンプルを観
察する人が、それまでに順応している順応輝度(単位:
cd/m2 )を示し、縦軸は、その人に提示されたサン
プルの輝度(サンプル輝度(単位:cd/m2 ))を示
している。
【0461】図30において、点Aは、1cd/m2
順応輝度に順応した人が10cd/m2 の輝度面を有す
るサンプルを観察したときの知覚明度であり、点Bは、
1700cd/m2 の順応輝度に順応した人が300c
d/m2 の輝度面を有するサンプルを観察したときの知
覚明度を表している。図30から、点Aと点Bとで知覚
明度が共に同じ値(9.4bril)であることから、
人の知覚的な明度は、表示面の輝度だけでなく、順応輝
度によっても影響されることが判る。
【0462】そこで、次に、液晶表示装置の表示面の観
察者の順応について考察する。先ず、観察者が順応する
対象について考察する。人が、何らかの物を観察してそ
の物の明るさに順応する場合、その順応する対象は、視
環境の周囲の視認対象となる物の表面の輝度であり、こ
の視認対象となる物の表面の輝度は、一般的には、様々
な環境条件に依存する。しかしながら、一つの指標とし
て、順応対象を考慮すること、即ち、観察対象物の表面
が周囲光を反射する反射面と仮定し、この場合を考慮す
ることは有用である。この理由は、室内であっても、屋
外であっても、人が、発光している光源そのものを見て
それに順応する状況が、その光源によって照らされた物
の反射面に順応する状況よりも少ないと考えることが自
然であるためである。以下、視覚を観察対象物の反射面
に順応させているような観察者の順応について考察す
る。
【0463】観察対象物の輝度面が反射面である場合、
図30に記載の順応輝度とは、観察者が順応する対象面
を照明する照明光源による、その対象面での照度に一定
の値を乗じた値で示される。照度をL(単位:ルクス
(lux))、輝度をB(単位:cd/m2 )とした場
合、完全拡散反射面に対する反射率がRの反射率を有す
る面の輝度(B)は、B=L×R/πとなる。ここで
は、通常の人間の観察対象の平均的な反射率を有してい
るといわれている、マンセル色票N5の面の反射率を用
い、ある照度によって照らされたマンセル色票N5の面
の輝度を順応輝度として考慮することが適当である。こ
の場合、Rは0.2となる。
【0464】さらに、観察対象の代表であるマンセル色
票N5の面を照明している照明光源は、順応対象、即
ち、マンセル色票N5の面だけではなく、その順応条件
のもとで知覚明度が評価される対象サンプル面も同時に
照明していると仮定する。この仮定によって、液晶表示
装置を観察する場合の反射表示部の知覚明度が、順応輝
度を通じて、その液晶表示装置を照明する照度と結びつ
く。これによって、心理物理実験のデータに基づいて、
反射率や、反射表示部の面積の割合の具体的な選択が可
能となる。
【0465】本願発明者等の検討によると、知覚明度の
具体的な目安は、表9に示すような明度に換言できる。
これは、実際に順応輝度とサンプル輝度との組合せをい
くつか再現し、このような明度表現が適当であるとの結
論に至ったものであり、知覚明度による反射表示部の設
定の尺度となる。
【0466】
【表9】
【0467】ここで、反射型液晶表示装置の代表的な反
射率(R)は、偏光板方式で30%程度となるため、こ
の数値を使用して、本発明にかかる半透過型の液晶表示
装置の動作について説明する。
【0468】図30に記載の直線601は、反射率30
%の液晶表示装置の表示の動作を示している。つまり、
観察者が順応する輝度面を照明する照明光源の照度をL
(単位:ルクス)とした場合、マンセル色票N5の面に
よる順応輝度は、該マンセル色票N5の面の反射率(R
=20%)が、同じ照明によって照らされた完全拡散反
射面の輝度(L/π)にかかるため、0.2×L/πと
なる。同様に、同じ照明によって照らされた反射率が3
0%の液晶表示装置(対象サンプル)の表示面のサンプ
ル輝度は、0.3×L/πとなる。つまり、照度(L)
を様々に変化させて、横軸0.2L/π、縦軸0.3L
/πの関係を満たす点を各々プロットして得られた直線
が、直線601である。また、30%の反射率を有する
上記の液晶表示装置を対象サンプルとした場合と同様
に、10%の反射率を有する液晶表示装置を対象サンプ
ルとして、横軸0.2L/π、縦軸0.1L/πの関係
を満たす点を各々プロットして得られた直線が直線60
2である。
【0469】次に、30%の反射率を有する上記の液晶
表示装置の使用可能環境について以下に考察する。日常
生活において人が体験する最も明るい照明条件である晴
天時の直射目光の照度(約10万ルクス)においては、
マンセル色票N5の面による順応輝度は、約6000c
d/m2 となる。この時、30%の反射率を有する液晶
表示装置の表示面の知覚明度は、図30に示すように、
順応輝度6000cd/m2 を示す直線605と直線6
01との交点における知覚明度である約30brilと
なり、表9に示したように、眩しさを感じる値である。
また、これより暗い照明の下での知覚明度は上記の知覚
明度よりも低い値であり、知覚明度10brilを確保
出来る照度は、対応した順応輝度の数値を用いて前述し
た式を逆算することにより、約450ルクスとなる。つ
まり、仮に10bril以上、30bril以下の明表
示を必要とする場合、最低照度が450ルクス、最大照
度は10万ルクスとなり、上記の液晶表示装置は、通常
の日中の屋外および450ルクス以上の照度となる室内
(例えば450ルクス以上の照明をつけた室内)では使
用可能であるが、それより暗い所では、照度が十分では
なく、知覚困難となる。
【0470】また、反射率を50%としたときの順応輝
度とサンプル輝度との関係を直線603(図30)にて
示す。該直線603から判るように、通常の白色の紙の
様に、50%以上の反射率で反射表示が実現した場合、
1800ルクス以上(例えば、明るい窓際の室内、直射
日光下等)の高照度環境下では知覚明度が30bril
を超えてしまう。これは、このような環境では白色の紙
が眩しく感じることを示している。従って、このように
50%以上の反射率を有する表示面を高照度環境下で使
用することは視認性の点から不適当であり、このような
環境下で反射表示を行う場合、表示面(輝度面)の反射
率は30%程度であることが望ましいことが判る。
【0471】一方、直線601・602で示される、反
射率30%での反射表示と反射率10%での反射表示と
において、10brilの知覚明度を与える照度は、各
々、約450ルクスと3000ルクスである。つまり、
反射率が1/3になると、6.7倍明るい照明を与える
必要が生じる。このことは、液晶表示装置の反射率が落
ちたために照明を強くすると、人の目が、液晶表示装置
以外の明るい反射体に順応し、反射率の変化比の逆数以
上に照明を強くする必要が生じることを示している。
【0472】さらに、図30から判るように、一定の輝
度を有する表示体(例えば一般の発光型表示装置)にお
ける表示は、特に、周囲が明るい場合には、非常に暗く
感じるという問題点を有している。
【0473】しかしながら、本発明にかかる半透過型の
液晶表示装置では、透過表示部における背景照明光と透
過率とによって決定される一定の輝度と、反射表示部に
おける一定の反射率によって決定される輝度(サンプル
輝度)との和が表示に利用される。つまり、本発明にか
かる半透過型の液晶表示装置では、例えば、図30に示
す曲線604に示す表示輝度による表示が実現する。こ
の曲線604に示すように、本発明にかかる半透過型の
液晶表示装置では、照明の照度が高い場合には、反射表
示によって視認性を確保し、照明の照度が低い場合に
は、背景照明手段としての照明装置(バックライト)を
使用した透過表示により、視認性を確保することができ
る。
【0474】さらに、上記半透過型の液晶表示装置の表
示輝度を用いて照度を変化させて知覚明度を求めた結果
を図31に示す。また、比較として、透過型の液晶表示
装置における照度と知覚明度との関係、並びに、反射型
の液晶表示装置における照度と知覚明度との関係を、図
31に併せて示す。ここで、上記知覚明度の計算は、表
示領域全てが反射カラー表示の場合の反射率を30%、
表示領域全てが透過カラー表示の場合の透過率を7.5
%、バックライト輝度を2000cd/m2 、観察者が
順応している面での照度は、液晶表示装置の表示面での
照度に等しく、順応対象面の反射率は、マンセル色票N
5の明度を想定して20%とした。
【0475】図31において、照度を変化させたときの
知覚明度の値は、上記半透過型の液晶表示装置における
表示可能領域の反射表示部の割合(Sr)によって異な
る。曲線611は、Sr=0、即ち、透過表示のみで反
射表示を行わない通常の透過型液晶表示装置における照
度と知覚明度との関係を示す。該透過型液晶表示装置に
おける表示面の輝度は、150cd/m2 であり、照度
が約6000ルクス以上のときには、知覚明度が10b
ril以下になる。従って、透過表示部の一部を反射表
示部に変更することにより、10bril以上の知覚明
度を確保するためには、曲線612に示すように、Sr
=0.1、即ち、表示可能領域の1/10の面積を反射
表示部とする必要がある。
【0476】また、曲線613は、Sr=1、即ち、反
射表示のみを行う反射型液晶表示装置における照度と知
覚明度との関係を示す曲線である。該反射型液晶表示装
置の表示面の反射率は完全拡散反射面との比較で30%
であり、照度が約450ルクス以下のときには、知覚明
度が10bril以下になる。従って、反射表示部の一
部を透過表示部に変更することにより、10bril以
上の知覚明度を確保するためには、曲線614に示すよ
うに、Sr=0.9、即ち、表示可能領域の1/10の
面積の透過表示部を設ける必要がある。
【0477】また、図31によれば、Sr値0.1〜
0.9において、知覚明度が10bril以上、30b
ril未満の良好な表示を行うことができることが判る
と共に、上記Srが0.30(曲線615)あるいは
0.50(曲線616)に設定されている場合、知覚明
度が20bril以上、30bril未満の、明るい良
好な表示を行うことができることが判る。
【0478】また、液晶表示装置の表面には表面反射が
生じる。この表面反射による表示妨害の作用は、周囲の
照度が大きいほど顕著である。上記図31に、この表面
反射による知覚明度と照度との関係を併せて示す(曲線
617)。表面反射は、表面処理によって大きく影響さ
れるが、曲線617では、屈折率1.5の媒体と空気と
の界面に生じる表面反射が、完全拡散面と同様の拡散性
を有している場合(即ち、表面反射による反射率が4%
の場合)の、その面の知覚明度と照度との関係を示す。
従って、表面反射を考慮すれば、反射表示部の面積は、
反射表示部の面積と透過表示部の面積との和の30%以
上(即ち、Sr≧0.3)であることが、より良好な表
示を行う上で好ましい。
【0479】以上の解析によれば、本実施の形態によれ
ば、反射表示部と透過表示部とで共に色彩表示を行う場
合、反射表示部の面積と透過表示部の面積との和におけ
る反射表示部の面積の割合が30%以上、90%以下で
ある場合に良好な表示を行うことができることが判る。
【0480】尚、反射表示および透過表示のうち、少な
くとも一方にカラー表示を用いない場合にも、上述した
方法と同様の方法によって、良好な表示を行うための各
表示部の面積の割合を解析することが可能であるが、何
れの場合にも、反射表示部の面積と透過表示部の面積と
の和における反射表示部の面積の割合が上述した範囲内
にある場合に良好な表示を実現することができる。尚、
前述の実施の形態7に記載の透過主体半透過型の液晶表
示装置および反射主体半透過型の液晶表示装置ともに、
反射表示部の面積と透過表示部の面積との和における反
射表示部の面積の割合は、上記の好ましい割合にて作製
されている。
【0481】〔実施の形態9〕本実施の形態では、前記
実施の形態1および実施の形態2に記載の液晶表示方式
を用いたアクティブマトリクス型の液晶表示装置、より
具体的には、TFT素子基板を用いてカラー表示を実現
した液晶表示装置について、具体的な実施例を挙げて説
明するが、本実施の形態に係る液晶表示装置は、以下の
実施例により何ら限定されるものではない。
【0482】本実施の形態にかかる上記アクティブマト
リクス型の液晶表示装置の作製工程は、TFT素子基板
を作製する工程と、カラーフィルタ基板を作製する工程
と、これらTFT素子基板およびカラーフィルタ基板を
用いて液晶注入用の液晶セルを作製する工程と、得られ
た液晶注入用の液晶セルに液晶を注入して液晶表示装置
として組み立てる工程とからなっている。
【0483】そこで、先ず、本実施の形態において以下
の各実施例にかかるアクティブマトリクス型の液晶表示
装置の製造方法について、上記TFT素子基板の作製工
程から順に説明する。
【0484】TFT素子基板は、図23(a)〜図25
に示すように、透光性を有する基板29上に、以下に示
す工程によって、各画素毎にTFT素子21が形成され
た構成を有している。
【0485】上記TFT素子21を形成する上記基板2
9としては、アルカリ成分を含まない無アルカリガラス
等からなるガラス基板を用いた。先ず、この基板29上
に、ゲート配線としての配線23や補助容量線27とな
るタンタルをスパッタリングによって成膜し、さらにパ
ターニングすることにより、配線23および補助容量線
27を形成した。このとき、これら配線23および補助
容量線27は、各配線(配線23、補助容量線27)の
段差がなだらかになるようにパターニングし、これらの
配線の上に形成される、後述の配線24の被覆性を良好
にすることで断線を防止している。
【0486】さらに、上記配線23および補助容量線2
7には、陽極酸化工程によって酸化タンタル(Ta2
5 )層を形成し、その上に、ゲート絶縁膜となる窒化シ
リコンを成膜した。さらに、その上に、TFT素子21
のスイッチング領域となる真性半導体層(i層)として
の水素化アモルファスシリコン層とエッチングストッパ
ー層としての窒化シリコン層とを、この順に、モノシラ
ンガスを用いた化学気相成長(CVD)法およびスパッ
タリング(窒化シリコン)によって形成した。次に最上
層のエッチングストッパー層としての窒化シリコン層を
パターニングしたのち、フォスフィンガスを混合したモ
ノシランガスを用いたCVDによって、TFT素子21
のソース端子28およびドレイン端子22となるn+
を形成した。次いで、上記n+ 層およびi層をパターニ
ングし、さらにゲート絶縁膜のパターニングを行った。
このとき、配線23(ゲート配線)における表示領域外
部の接続端子部分の窒化シリコンを併せて除去した。
【0487】次に、透明画素電極20となるITOを、
ソース端子28およびドレイン端子22に接触するよう
にスパッタリングによって成膜し、さらに、ソース配線
としての配線24となるタンタルをスパッタリングによ
って成膜した。このタンタルをパターニングして配線2
4とし、さらに、その下層に成膜されているITO膜を
パターニングして透明画素電極20を形成した。この透
明画素電極20は上述したようにソース端子28および
ドレイン端子22と接しており、これらの端子(ソース
端子28、ドレイン端子22)と配線23・24とのオ
ーミックコンタクトを形成する役割も果たしている。
【0488】次に、上記TFT素子21上に反射表示部
用絶縁膜として、表面に凹凸構造を有する有機絶縁膜2
5を形成し、この有機絶縁膜25に設けた透過表示用開
口部となるコンタクトホールで透明画素電極20と接す
るように反射表示部9の駆動電極19となるアルミニウ
ムをスパッタリングで成膜し、得られたアルミニウム膜
をドライエッチングでパターニングすることにより、上
記有機絶縁膜25表面の凹凸構造と同様の凹凸構造を有
する、反射電極としての駆動電極19を形成した。
【0489】上記の各パターニング工程では、各構成要
素を、フォトリソグラフィーの手法で設計に基づく必要
な形状に形成している。これらフォトリソグラフィー工
程には、感光樹脂膜(レジスト)塗布・乾燥工程、パタ
ーン露光工程、現像工程、レジスト焼成硬化工程、ドラ
イエッチング工程やウェットエッチング工程、レジスト
剥離除去工程を組み合わせて用いた。
【0490】また、反射表示部9に形成される凹凸構造
は、絶縁性の光重合性樹脂材料を塗布し、パターン露光
工程および現像工程および硬化処理工程を用いて作製し
た。つまり、現像工程でドット状のパターンが形成され
るとともに、このドットパターンの上にさらに同様の材
料にて平滑化層を形成した。尚、上記有機絶縁層25
は、透過表示部10には形成していない。
【0491】上記のような工程で作製したTFT素子基
板には、TFT素子21が各画素に配され、各画素は反
射表示部9と透過表示部10とで構成されている。ここ
で、TFT素子基板は、図23(a)に示すTFT素子
基板と図28に示すTFT素子基板との2種類を作製
し、その透過表示部10と反射表示部9との割合は、前
記実施の形態7において、各々の液晶表示装置の説明に
て記載した通りの割合とした。
【0492】次に、カラーフィルタ基板の作製工程につ
いて説明する。カラーフィルタ基板の作製工程は、基板
に、R、G、Bの着色層(カラーフィルタ)を作製する
工程、該カラーフィルタ上に平坦化層を作製する工程、
該平坦化層上に、前記TFT素子21によって駆動され
るTFT素子基板側の透明画素電極20と対向する対向
電極を形成する工程とからなっている。
【0493】本実施の形態において、上記カラーフィル
タ基板は、図26(b)または図29(b)に示すよう
に、ガラス基板62上に、赤(R)、緑(G)、青
(B)の3色のカラーフィルタ61R・61G・61B
をストライプ状に形成し、上記ガラス基板62における
カラーフィルタ61R・61G・61B形成面上に、こ
れらカラーフィルタ61R・61G・61Bを覆うよう
に平滑化層501を形成し、その上に、対向電極502
を形成することにより作製した。
【0494】上記カラーフィルタ基板の形成において、
カラーフィルタ61R・61G・61Bは、光感光性樹
脂に顔料を分散させた樹脂材料をフォトリソグラフィー
法によりパターニングして形成した。尚、該カラーフィ
ルタ61R・61G・61Bの製造方法としては、上記
した顔料の分散を用いる方法以外の方法、例えば、電着
法、フイルム転写法、染色法等を採用することができ、
特に限定されるものではない。
【0495】平坦化層501は、上記ガラス基板62に
おけるカラーフィルタ61R・61G・61B形成面上
に、光透過率の高いアクリレート樹脂を塗布し、熱によ
って硬化させて形成した。また、この平坦化層501上
に形成された対向電極502は、TFT素子21により
駆動される画素電極18に対向する対向電極であり、透
明電極としてITOをスパッタリングによりマスクを通
して堆積させ、必要な平面形状とすることにより形成し
た。
【0496】本実施の形態では、上記カラーフィルタ基
板は、透過表示に合わせて彩度を高く設定したカラーフ
ィルタ基板と、反射表示に合わせて明度を高く設定した
カラーフィルタ基板との2種類を作製した。そして、彩
度を高く設定したカラーフィルタ基板は、図26(a)
および図26(b)に示すパターンに作製し、明度を高
く設定したカラーフィルタ基板は、図29(a)および
図29(b)に示すパターンに作製した。
【0497】次に、以上のようにして作製されたTFT
素子基板とカラーフィルタ基板とを用いて液晶表示装置
を作製するために、これらTFT素子基板とカラーフィ
ルタ基板とを対向配置させて液晶注入用の液晶セルを作
製する工程について説明する。
【0498】該工程においては、先ず、TFT素子基板
およびカラーフィルタ基板における互いの対向面(上記
TFT素子基板におけるTFT素子21形成面およびカ
ラーフィルタ基板におけるカラーフィルタ61R・61
G・61B形成面)における液晶表示領域に、可溶性ポ
リイミド溶液をオフセット印刷法によって配置し、乾
燥、焼成工程を経て配向膜を形成した。さらに、この配
向膜に、液晶配向方向を決める配向処理をラビング法に
よって行った。尚、配向膜が平行配向性であるか垂直配
向性であるかは、後述する各例により異なっている。
【0499】続いて、このように処理したTFT素子基
板およびカラーフィルタ基板の一方に、粒径の揃った球
状スペーサを散布し、他方に、液晶層を封入すると共に
上記TFT素子基板およびカラーフィルタ基板を固定す
るための封入シール剤を印刷すると共に、TFT素子基
板側からカラーフィルタ基板側に対向電極502の導通
をとる導電性ペーストを配置した。
【0500】そして、上記TFT素子基板におけるTF
T素子21形成面とカラーフィルタ基板におけるカラー
フィルタ61R・61G・61B形成面とを対向配置
し、両基板(TFT素子基板およびカラーフィルタ基
板)の位置合わせを行って加圧下で封入シール剤および
導電ぺーストを硬化させた。
【0501】以上の工程により、液晶注入用の液晶セル
が複数配置されたマザーガラス基板21を作製し、さら
に、このマザーガラス基板を分断して液晶注入用セルを
作製した。
【0502】その後、液晶未注入の上記液晶セルに、真
空注入法によって液晶組成物を導入し、導入した液晶層
が外気と触れることがないように、液晶導入口に光重合
性樹脂を塗布して紫外光によって重合硬化することで、
液晶セルを作製した。
【0503】次に、TFT素子21の静電破壊防止を目
的として各配線端子を短絡するようにTFT素子基板端
部に配置されているショートリング部分を除去し、TF
T素子21を駆動する外部回路を接続した。さらに、透
過表示の光源となるバックライトを配置して本実施の形
態にかかるアクティブマトリクス型の液晶表示装置を作
製した。
【0504】〔実施例14〕本実施例にかかるアクティ
ブマトリクス型の液晶表示装置は、GH方式を用いた、
透過主体半透過型の液晶表示装置であり、前記実施の形
態1の実施例1におけるGH方式を、表示に用いた液晶
表示装置である。
【0505】本実施例に用いた液晶組成物は、前記実施
の形態1の実施例1に合わせて調製されている。つま
り、本実施例では、前記実施例1に記載の二色性色素
(二色性色素12)を用いた液晶組成物を使用した。ま
た、本実施例では、配向膜に垂直配向性を有する垂直配
向膜を用い、一様な垂直配向が得られるようにラビング
による配向処理を行った。尚、本実施例では、液晶組成
物に二色性色素を用いたGH方式を採用しているため、
上記液晶セルに位相差補償板および偏光板は貼付してい
ない。
【0506】また、本実施例では、透過表示を主に用い
るため、カラーフィルタ61R・61G・61Bは、従
来の透過表示方式のカラーフィルタと同様に彩度を高く
設計し、カラーフィルタ基板は、図26(a)および図
26(b)に示すように配置した。このカラーフィルタ
基板に組み合わせるTFT素子基板は、図23(a)に
示すように、透過表示用開口部19aが大きく、透過表
示部10が広く設定されたTFT素子基板を用いた。
【0507】本実施例にかかる上記の液晶表示装置で
は、図26(a)および図26(b)に示すように、反
射表示部9における駆動電極19は、その一部(駆動電
極19における、カラーフィルタ61R・61G・61
Bの延伸方向においてカラーフィルタ61R・61G・
61Bと対向する部分)のみが、透過表示部10となる
透過表示用開口部19a形成領域と同様のカラーフィル
タ61R・61G・61Bによって覆われており、カラ
ーフィルタが無く、白色光を通過させる表示部分も有し
ている。
【0508】このようにして作製された上記の液晶表示
装置に表示信号を入力し、目視観察を行った。この結
果、本実施例では、常時バックライトの点灯が必要であ
った。しかしながら、バックライトを点灯した場合に
は、明度とコントラスト比とが共に良好であり、常に十
分な表示が可能であった。また、直射日光下でも表示内
容の視認が可能であり、ウォッシュアウトは生じなかっ
た。
【0509】つまり、本実施例では、周囲光の弱い環境
では従来の透過型液晶表示装置と同様にバックライトに
よって明度が高い液晶表示装置が実現する一方、周囲光
が強い場合には、反射表示部9が周囲光に比例して明度
を変化させるため、表示内容の確認が可能になり、従来
の発光表示装置や透過型液晶表示装置で生じるウォッシ
ュアウトが生じず、視差のない高解像度のカラー液晶表
示装置を実現することができる。また、本実施例では、
視差(二重像)のない非常に良好な反射表示が実現され
た。
【0510】〔実施例15〕本実施例にかかるアクティ
ブマトリクス型の液晶表示装置は、GH方式を用いた、
反射主体半透過型の液晶表示装置であり、前記実施の形
態1の実施例1におけるGH方式を、表示に用いた液晶
表示装置である。
【0511】本実施例でも、上記実施例14同様、液晶
組成物は、前記実施の形態1の実施例1に合わせて調製
されている。つまり、本実施例でも、前記実施例1に記
載の二色性色素(二色性色素12)を用いた液晶組成物
を使用した。また、本実施例では、配向膜に垂直配向性
を有する垂直配向膜を用い、一様な垂直配向が得られる
ようにラビングによる配向処理を行った。尚、本実施例
では、液晶組成物に二色性色素を用いたGH方式を採用
しているため、上記液晶セルに位相差補償板および偏光
板は貼付していない。
【0512】また、本実施例では、反射表示を主に用い
るため、カラーフィルタ61R・61G・61Bは、従
来の透過型液晶表示装置に用いられているカラーフィル
タよりも高明度となるように作製し、カラーフィルタ基
板は、図29(a)および図29(b)に示すように配
置した。このカラーフィルタ基板に組み合わせるTFT
素子基板は、図28に示すように、透過表示用開口部1
9aが小さく、反射表示部9が大きく設定されたTFT
素子基板を用いた。
【0513】このようにして作製された上記の液晶表示
装置に表示信号を入力し、目視観察を行った。この結
果、本実施例にかかる上記の液晶表示装置は、日中の照
明・外光環境下では、バックライトの点灯は必要なく、
反射表示が可能であった。本実施例では、視差(二重
像)のない非常に良好な反射表示が実現された。また、
反射光による観察が不可能な程度に周囲光が暗い場合に
は、バックライトを点灯することにより、表示内容の視
認が可能であった。
【0514】つまり、本実施例では、上述したように、
反射表示に合わせたカラーフィルタ61R・61G・6
1Bおよびカラーフィルタ基板を用いているため、反射
光のみによるカラー表示が可能である。このため、通常
の室内照明や日中の屋外ではバックライトを消灯して反
射表示のみによって使用することが可能である。また、
必要に応じてバックライトを点灯することにより、照明
が暗い場合でも視認性を確保することができる。
【0515】本実施の形態にかかる液晶表示装置では、
従来の透過型液晶表示装置のように、バックライトを常
時点灯している必要はなく、消費電力を削減することが
できると共に、反射表示部9でウォッシュアウトを起こ
すことがなく、また、必要に応じて、バックライトを用
いた透過表示を行うことができる。
【0516】〔実施例16〕本実施例にかかるアクティ
ブマトリクス型の液晶表示装置は、液晶層の偏光変換作
用を表示に用いた、透過主体半透過型の液晶表示装置で
あり、前記実施の形態2の実施例5における偏光板方式
を、表示に用いた液晶表示装置である。
【0517】本実施例に用いた液晶組成物は、前記実施
の形態2の実施例5に合わせて調製されている。また、
本実施例では、液晶が注入された液晶セル(TFT液晶
パネル)に、位相差補償板(位相差補償板16・17)
および偏光板(偏光板14・15)を貼付した。さら
に、本実施例では、ラビング法により、ラビング交差角
が250度となるように、平行配向性の配向膜に配向処
理を行った。
【0518】また、本実施例では、前記実施例14同
様、透過表示を主に用いるため、カラーフィルタ61R
・61G・61Bは、従来の透過表示方式のカラーフィ
ルタと同様の透過色彩に設計し、カラーフィルタ基板
は、図26(a)および図26(b)に示すように配置
した。このカラーフィルタ基板に組み合わせるTFT素
子基板は、図23(a)に示すように、透過表示用開口
部19aが大きく、透過表示部10が広く設定されたT
FT素子基板を用いた。
【0519】本実施例にかかる上記の液晶表示装置で
は、図26(a)および図26(b)に示すように、反
射表示部9の駆動電極19は、その一部(駆動電極19
における、カラーフィルタ61R・61G・61Bの延
伸方向においてカラーフィルタ61R・61G・61B
と対向する部分)のみが、透過表示部10となる透過表
示用開口部19a形成領域と同様のカラーフィルタ61
R・61G・61Bによって覆われており、カラーフィ
ルタが無く、白色光を反射させる表示部分も有してい
る。
【0520】このようにして作製された上記の液晶表示
装置に表示信号を入力し、目視観察を行った。この結
果、本実施例では、常時バックライトの点灯が必要であ
った。しかしながら、バックライトを点灯した場合に
は、明度とコントラスト比とが共に良好であり、常に十
分な表示が可能であった。また、直射日光下でも表示内
容の視認が可能であり、ウォッシュアウトは生じなかっ
た。
【0521】つまり、本実施例では、周囲光の弱い環境
では従来の透過型液晶表示装置と同様にバックライトに
よって明度が高い液晶表示装置が実現する一方、周囲光
が強い場合には、反射表示部9が周囲光に比例して明度
を変化させるため、表示内容の確認が可能になり、従来
の発光表示装置や透過型液晶表示装置で生じるウォッシ
ュアウトが生じないことが判る。また、本実施例では、
視差(二重像)のない非常に良好な反射表示が実現され
た。
【0522】〔実施例17〕本実施例にかかるアクティ
ブマトリクス型の液晶表示装置は、液晶層の偏光変換作
用を表示に用いた、反射主体半透過型の液晶表示装置で
あり、前記実施の形態2の実施例5における偏光板方式
を、表示に用いた液晶表示装置である。
【0523】本実施例でも、上記実施例16同様、液晶
組成物は、前記実施の形態2の実施例5に合わせて調製
されている。また、本実施例でも、液晶が注入された液
晶セル(TFT液晶パネル)に、位相差補償板(位相差
補償板16・17;実施例5参照)および偏光板(偏光
板14・15)を貼付した。本実施例では、ラビング法
により、ラビング交差角が250度となるように、平行
配向性の配向膜に配向処理を行った。
【0524】また、本実施例では、前記実施例15同
様、反射表示を主に用いるため、カラーフィルタ61R
・61G・61Bは、従来の透過型液晶表示装置に用い
られているカラーフィルタよりも高明度となるように作
製し、カラーフィルタ基板は、図29(a)および図2
9(b)に示すように配置した。このカラーフィルタ基
板に組み合わせるTFT素子基板は、図28に示すよう
に、透過表示用開口部19aが小さく、反射表示部9が
大きく設定されたTFT素子基板を用いた。
【0525】このようにして作製された上記の液晶表示
装置に表示信号を入力し、目視観察を行った。この結
果、本実施例にかかる上記の液晶表示装置は、日中の照
明・外光環境下では、バックライトの点灯は必要なく、
反射表示が可能であった。本実施例では、視差(二重
像)のない非常に良好な反射表示が実現された。また、
反射光による観察が不可能な程度に周囲光が暗い場合に
は、バックライトを点灯することにより、表示内容の視
認が可能であった。
【0526】つまり、本実施例では、上述したように、
反射表示に合わせたカラーフィルタ61R・61G・6
1Bおよびカラーフィルタ基板を用いているため、反射
光のみによるカラー表示が可能である。このため、通常
の室内照明や日中の屋外ではバックライトを消灯して反
射表示のみによって使用することが可能である。また、
必要に応じてバックライトを点灯することにより、照明
が暗い場合でも視認性を確保することができる。
【0527】本実施の形態にかかる液晶表示装置では、
従来の透過型液晶表示装置のように、バックライトを常
時点灯している必要はなく、消費電力を削減することが
できると共に、反射表示部9でウォッシュアウトを起こ
すことがなく、また、必要に応じて、バックライトを用
いた透過表示を行うことができる。
【0528】以上のように、上記実施例14〜17によ
り、本実施の形態によれば、前記実施の形態1および実
施の形態2に示した液晶表示方式を実現する高解像度の
アクティブマトリクス液晶表示装置を実現することがで
きることが示された。
【0529】尚、上記実施例14〜17ではアクティブ
マトリクス基板(TFT素子基板)に、有機絶縁膜25
(絶縁膜11に相当)により、反射表示部9と透過表示
部10とで液晶層厚が異なる液晶表示装置を作製した
が、その他の本願発明による液晶表示原理によっても、
同様の効果が期待できることは言うまでもない。
【0530】〔実施の形態10〕本実施の形態では、本
発明にかかる液晶表示装置に用いられるバックライトの
輝度の変更について以下に説明する。
【0531】バックライトの輝度を変更する目的は、主
に3通りある。第1の目的は、視認性の確保である。前
記実施の形態8に示したように、人の知覚明度は、順応
輝度と表示面の輝度とによって規定される。従って、良
好な視認性の表示を実現するためには、順応輝度に応じ
てバックライトの輝度を人の目の知覚明度に合わせて変
更することが有効であり、前記実施の形態8に示すよう
に、知覚明度が10bril以上、30bril未満と
なるように、順応輝度に応じて、バックライトの輝度を
制御することで表示面の輝度を変更することが望まし
い。即ち、上記バックライトは、表示面輝度変更手段を
兼ねている。これにより、透過表示が主に表示に寄与し
ている状況での視認性を改善することができる。ここ
で、前記実施の形態8において規定した知覚明度の値
は、人が順応している順応輝度に比例した表示面の輝度
を想定しているため、概ね、上記知覚明度にしたがって
バックライトの輝度を変化させることで、良好な表示を
得ることができる。
【0532】第2の目的は、消費電力の低減である。バ
ックライトを点灯しても消灯しても視認性に大きな影響
を与えないような場合がある。例えば、液晶表示装置が
半透過型の液晶表示装置であり、該液晶表示装置を周囲
から照明する照明光の照度が十分に高く、表示面の輝度
が主に反射表示部によって維持されている場合である。
このような場合、たとえ透過表示における輝度が高くて
も、表示面の輝度に影響しない場合があり、このような
場合には、消費電力の削減の為、バックライトが消灯さ
れることが望ましい。
【0533】第3の目的は、反射表示および透過表示の
うち何れか一方にのみ色彩表示が行われている場合に、
バックライトの点灯により、色彩表示と白黒表示とが切
り替えられるような使用状態を意図的に造り上げること
で、一つの液晶表示装置に複数の機能を持たせることで
ある。
【0534】例えば、反射表示部にはカラーフィルタを
配置せず、白黒表示を行い、透過表示部にのみカラーフ
ィルタを配置してカラー表示を行うとき、反射表示の解
像度は、カラーフィルタを用いて複数の画素で一つの白
黒単位を表示する透過表示部より高くとることが可能に
なるため、反射表示は、高い解像度の白黒表示を行い、
透過表示は、解像度は高くないが色彩表示が可能であ
る。また、逆に、反射表示においてのみカラーフィルタ
が使用されるようにすることも可能である。この場合、
一つの液晶表示装置で異なる用途の機能を持たせること
が可能になる。従って、バックライトの点灯によって色
彩表示と白黒表示とを切り替えたり、発光色を変更する
ことで、その点灯状態によって表示内容を大きく変更す
ることが可能である。
【0535】上述したように、バックライトの輝度は、
使用目的や使用状況に合わせて、その都度、適当な信号
によって制御することができる。バックライトの輝度を
上述した順応輝度にしたがって変化させる場合、上記バ
ックライトの輝度は、視認性の向上を目的として、例え
ば、表示面に入射する照明の照度や液晶表示装置の表示
の種類等、視環境に応じて制御することが可能である。
【0536】上記バックライトの輝度を照度によって制
御する場合、照度が高い場合にはバックライトを消灯
し、照度が低い場合には眩しさを避けるためにバックラ
イトを弱く点灯し、照度がその中間の場合にはバックラ
イトを強く点灯するといった、バックライトの点灯状態
の制御を行うことが望ましい。
【0537】この場合、使用者の状態等に応じて、液晶
セルあるいは液晶表示装置に接続された、外部の各種機
器からの信号やタイマー制御等によって、バックライト
の点灯の有無や輝度の制御を行えば、不必要な電力消費
を削減することができる。
【0538】さらに、バックライトの輝度の制御に際
し、例えば、使用者が、上記液晶表示装置を備えた機器
に対して何らかの操作を加えた場合や、それから一定の
期間にのみバックライトを点灯させることで、機器全体
の消費電力の削減と、使用者に対する良好な表示の提供
とを両立させることができる。尚、バックライトの輝度
は、上記したように表示面に入射する照明の照度以外
に、他の種々の信号によって制御されていてもよい。
【0539】また、使用者が液晶セルの表示面に重ねて
配置したタッチパネル(押圧座標検出型入力手段)に入
力した信号によりバックライトの点灯の有無や輝度、あ
るいは、反射表示部や透過表示部における液晶配向を制
御したり、その他の使用者に何らかの注意を促す信号に
連動させてバックライトの輝度を制御することも、上述
した目的を達成する上で、非常に有効である。このよう
に、表示面の輝度を、液晶セル外部から制御すること
で、視認性と低消費電力との両立が可能な液晶表示装置
を得ることができる。
【0540】〔実施の形態11〕本実施の形態では、本
発明の液晶表示装置の主な利用分野である携帯機器にお
ける情報入力手段としてタッチパネル(押圧座標検出型
入力手段)を用いた場合の、本発明にかかる液晶表示装
置の具体的な構成について説明する。尚、説明の便宜
上、前記実施の形態1〜10と同様の機能を有する構成
要素には同一の番号を付し、その説明を省略する。
【0541】本実施の形態では、前記実施の形態9にお
ける実施例17の液晶表示装置にタッチパネルを重ね
て、入力装置一体型の半透過型の液晶表示装置を作製し
た。本実施の形態にかかる入力装置一体型の液晶表示装
置の構成を図32に示す。尚、本実施の形態にかかる液
晶表示装置における、タッチパネル71以外の基本的な
構成、即ち、液晶セルおよびバックライト13の構成
は、前記実施の形態9における実施例17および前記実
施の形態2の実施例5と同様であるので、ここでは省略
する。
【0542】上記タッチパネル71は、透明電極層72
が設けられた可動基板73と、透明電極層74が設けら
れた支持基板75とを備えている。これら可動基板73
と支持基板75とは、透明電極層72と透明電極層74
とが互いに対向すると共に、通電状態において各々の透
明電極層同士が接触しないように図示しないスペーサに
より、所定の間隙を有して対向配置されている。これに
より、上記可動基板73に設けられた透明電極層72と
上記支持基板75に設けられた透明電極層74とは、通
常状態においては互いに接触しないが、上記可動基板7
3が指あるいはペンで指示(押圧)されることにより、
指示された箇所において互いに接触するようになってい
る。このため、上記タッチパネル71は、可動基板73
に加えられた押圧力による、上記透明電極層72と透明
電極層74との接触位置(座標位置)を検出することに
よって入力装置として機能する。
【0543】上記タッチパネル71は、上記可動基板7
3上に、位相差補償板16と偏光板14とを貼付するこ
とで、位相差補償板16と液晶セルの基板4との間に、
上記位相差補償板16および偏光板14と一体的に配置
されている。本実施の形態では、前記実施例17におけ
る偏光板の効果を、タッチパネル71上に貼付された偏
光板14にて得るために、上記タッチパネル71を構成
する可動基板73および支持基板75を、複屈折の無い
材料にて作製している。
【0544】また、本実施の形態では、上記の液晶表示
装置を、該液晶表示装置に、タッチパネル71と液晶セ
ルの基板4との間で押圧力伝達防止効果を持たせるべ
く、タッチパネル71の支持基板75と液晶セルの基板
4との間に間隙を設け、この間隙を一定に保つことによ
って、押圧力緩衝部材を用いることなく、タッチパネル
71ヘの押圧力が液晶セルに伝わらない構成とした。
【0545】このように構成した上記入力装置一体型の
液晶表示装置は、バックライト13の輝度をタッチパネ
ル71の信号によって変化させることにより、使用者が
表示を観察していない場合にはバックライト13を消灯
し、タッチパネル71への情報の入力に伴ってバックラ
イト13を点灯させることが可能である。従って、本実
施の形態によれば、良好な表示と消費電力の低減とを両
立した液晶表示装置を実現することができた。また、本
実施の形態によれば、上記偏光板14とタッチパネル7
1と液晶セルとを上述した順に配置することで、偏光板
14による吸収が、タッチパネル71による不要反射光
をも吸収し、該不要反射光を低減することができるた
め、視認性を向上することができる。
【0546】以上のように、本願発明者等は、従来の液
晶表示装置の問題点の原因は、上記GH方式、偏光板方
式の何れの場合も、同時刻における液晶層の配向が透過
表示部と反射表示部とで同様に設定されているためであ
るとの結論を見い出した。
【0547】ここで、液晶層の配向とは、液晶層のある
点での液晶分子の平均の配向方位だけではなく、層状の
液晶層の層の法線方向にとった座標に対する平均配向方
位の座標依存性をも示しているものとする。
【0548】即ち、第1の液晶表示装置は、対向する表
面に配向手段(例えば配向膜)が施された一対の基板
と、該一対の基板間に挟持された液晶層とを有する液晶
表示素子を備えた液晶表示装置であって、上記液晶層に
おける表示に利用される任意でかつ異なる領域に同時に
少なくとも二種類の異なる配向状態をとらせるための配
向機構(例えば上記液晶層における表示に利用される任
意でかつ異なる領域に異なる電圧を与えたり、異なる電
界を生じさせる電極や、印加された電圧、あるいは、上
記液晶層における表示に利用される任意でかつ異なる領
域に各々設けられ、少なくとも二種類の異なる方位に配
向処理された配向膜、あるいは、上記液晶層における表
示に利用される領域で少なくとも二種類の異なる厚みを
有するように形成された絶縁膜や基板、特定の液晶材
料、各々独立して駆動されるように形成された液晶層構
造、偏光板、位相差補償板、あるいはそれらの組み合わ
せ等)を具備し、かつ、上記液晶層において異なる配向
状態を示す領域のうち少なくとも一つの領域に反射手段
(例えば反射膜や反射電極)が配され、上記異なる配向
状態を示す領域が、反射表示を行う反射表示部と、透過
表示を行う透過表示部とに用いられている構成を有して
いる。
【0549】上記の構成によれば、液晶配向が同時に異
なる配向状態を有することで、例えば、表示に二色性色
素等の色素を用いる場合には光の吸収量(吸収率)、光
学異方性を用いる場合には位相差といった各光学的物理
量の変調量の大きさを、液晶配向が異なる領域毎に変更
することが可能になる。このため、上記の構成によれ
ば、液晶層の配向状態に応じた光学的物理量の変調量の
大きさに基づく透過率または反射率を得ることができ、
これにより、透過表示部と反射表示部とで光学パラメー
タを独立に設定することが可能となる。従って、上記の
構成によれば、視差がなく、高コントラスト比を実現す
ることができ、周囲が暗い場合の視認性を向上させるこ
とが可能であると共に、周囲光が強い場合でも良好な視
認性を得ることができる。このため、上記の構成によれ
ば、視認性に優れ、かつ、高解像度表示が可能であり、
反射光と透過光とを共に表示に利用することができる半
透過型の液晶表示装置を提供することができる。
【0550】さらに、第2の液晶表示装置は、第1の液
晶表示装置において、上記配向機構が、時間の経過に伴
って表示内容を書き換える表示内容書換手段である構成
を有している。
【0551】上記の構成によれば、表示内容書換手段と
上記配向機構とを同一の手段によって実現することがで
き、新たな構成を付加することなく、上記第1の液晶表
示装置を得ることができる。この場合、液晶配向が異な
った複数の状態をとるために用いられる上記表示内容書
換手段としては、時間の経過に伴って表示内容を書き換
えるために現在広く用いられている電気的な液晶配向制
御手段、即ち、電極等の、電圧印加に用いられる各種手
段であっても可能なことは言うまでもない。この場合、
例えば、透過表示部と反射表示部とで異なる電極を用い
たり、電圧そのものを、透過表示部と反射表示部とで変
更することにより、液晶層内に、液晶配向が異なる配向
状態を有する複数の領域を設けることができる。
【0552】また、光の吸収量や光学異方性による位相
差等の各光学的物理量の変調量の程度を反射表示部と透
過表示部とで独立に変更する場合、電圧の印加による液
晶の配向方向が、液晶層の表示に利用するための領域全
体でほぼ同様である場合でも、液晶層の液晶層厚が異な
る領域では、実質的に、該領域において液晶層の配向方
向を変更した場合と同様の作用を有する。特に、二色性
色素等の色素を使用し、光の吸収を利用するGH方式
や、複屈折や旋光現象を利用する偏光板方式において、
液晶層で生じる光の吸収、複屈折の各現象は、何れも、
光の伝播に伴う現象であり、各現象とも液晶層における
光の伝播距離とそれらの現象の程度との間に関連性を有
している。さらに、表示光は、反射表示部においては液
晶層を、往復により二度通過し、透過表示部において
は、液晶層を一度しか通過しないため、液晶配向がほぼ
同様である場合に、液晶層厚が、反射表示部と透過表示
部とで同様に設定されている場合は、十分な明度やコン
トラスト比が得られず、前記課題は解決されない。
【0553】そこで、第3の液晶表示装置は、対向する
表面に配向手段(例えば配向膜)が施された一対の基板
と、該一対の基板間に挟持された液晶層とを有する液晶
表示素子を備えた液晶表示装置であって、上記液晶層に
おける表示に利用される領域が、少なくとも二種類の異
なる液晶層厚を有する領域よりなり、かつ、上記液晶層
厚が異なる各々の領域が反射表示部と透過表示部とに用
いられていると共に、少なくとも反射表示部には反射手
段(例えば反射膜や反射電極)が配され、上記反射表示
部の液晶層厚は透過表示部よりも小さい構成を有してい
る。
【0554】上記の構成によれば、液晶層厚が異なる領
域における光学的物理量の変調量の大きさに基づく透過
率または反射率を得ることができ、これにより、透過表
示部と反射表示部とで光学パラメータを独立に設定する
ことが可能となる。従って、上記の構成によれば、視差
がなく、高コントラスト比を実現することができ、周囲
が暗い場合の視認性を向上させることが可能であると共
に、周囲光が強い場合でも良好な視認性を得ることがで
きる。このため、上記の構成によれば、視認性に優れ、
かつ、高解像度表示が可能であり、反射光と透過光とを
共に表示に利用することができる半透過型の液晶表示装
置を提供することができる。
【0555】第4の液晶表示装置は、上記第1〜第3の
何れかの液晶表示装置において、上記一対の基板のう
ち、少なくとも一方の基板における上記液晶層の表示に
利用される領域に接触する接触面上の領域に、少なくと
も二種類の異なる配向方向をそれに接する液晶層界面の
配向に与えるように配向手段が施されている構成を有し
ている。
【0556】このように、液晶配向が同時に異なる配向
状態を有するための手段としては、例えば前記表示内容
書換手段以外に、例えば、上記液晶層に接する基板上の
界面に施され、少なくとも二種類の異なる配向方向をそ
れに接する液晶層界面の配向に与えるように配向処理さ
れた配向膜等を用いることができる。このように、上記
基板表面における、上記液晶層の表示に利用される領域
に接触する接触面上の領域に、少なくとも二種類の異な
る配向方向をそれに接する液晶層界面の配向に与えるよ
うに配向手段が施されていることで、上記液晶層が、電
圧印加時に、該液晶層における表示に利用するための任
意でかつ異なる領域において、同時に少なくとも二種類
の異なる配向状態を示し、上記液晶層における配向状態
の異なる領域で反射表示と透過表示とを行うことができ
る。
【0557】この場合、液晶配向の基板に対する仰角
や、その方位角を変更することで、光学特性を決定する
液晶の配向と、電圧を印加した場合の配向変化との両方
を変化させることができ、反射表示部と透過表示部とで
各表示に適した表示を行うことが可能になる。
【0558】上述した手段や配向機構によれば、反射表
示部と透過表示部とで共に良好な表示を実現することが
できるが、色彩表示(カラー表示)を行うか白黒表示を
行うか、あるいは、反射表示を主体として表示を行うか
透過表示を主体として表示を行うか等、所望する表示に
よって、反射表示部と透過表示部との比率には、良好な
表示を行うための最適な比率が存在する。
【0559】つまり、第5の液晶表示装置は、第1〜第
4の何れかの液晶表示装置において、上記反射表示部と
透過表示部との合計の面積に対する反射表示部の面積の
占める割合が、30%以上、90%以下である構成を有
している。
【0560】上記の構成によれば、上記反射表示部と透
過表示部とで共にカラー表示を行う場合に、上記反射表
示部と透過表示部とで共に良好な表示を行うことができ
る。
【0561】また、視認性の観点からは、反射表示部と
透過表示部とで表示内容が反転していないことが望まし
い。これは、照明環境が変化したり、照明環境の変化が
予測困難な状況において、反射表示部と透過表示部とで
表示内容が反転していると、周囲光の強度によって表示
のコントラスト比が大きく変動するためであり、視認性
の点からは、このようなコントラスト比の変動は、ウォ
ッシュアウトと同様の現象となり、視認性の大幅な悪化
を招く。
【0562】そこで、透過表示部が明表示のときに反射
表示部が明表示を同時に表示し、透過表示部が暗表示の
ときに反射表示部が暗表示を同時に表示することは、視
認性を確保する上で、非常に重要である。
【0563】このため、第6の液晶表示装置は、第1〜
第5の何れかの液晶表示装置において、上記透過表示部
が明表示のときに同時に反射表示部が明表示となり、上
記透過表示部が暗表示のときに同時に反射表示部が暗表
示となる構成を有している。
【0564】上記の構成によれば、上記第6の液晶表示
装置は、上記第1または第3の液晶表示装置の構成を備
えることで、上記透過表示部が明表示のときに同時に反
射表示部が明表示とし、上記透過表示部が暗表示のとき
に同時に反射表示部が暗表示とすることが可能である。
特に、上記液晶表示装置によれば、そのままでは反射表
示部と透過表示部とで表示内容が反転する場合であって
も、例えば前記配向機構に、前記表示内容書換手段を用
い、反射表示部と透過表示部とで表示内容の書き換えを
個別に制御することで、容易に表示を揃えることができ
る。従って、上記の構成によれば、良好な視認性を確保
することができる。
【0565】また、第7の液晶表示装置は、第1〜第6
の何れかの液晶表示装置において、上記液晶層が、液晶
に二色性を有する色素を混入してなる液晶組成物からな
る構成を有している。
【0566】上記の構成によれば、上記液晶層が、液晶
に二色性を有する色素を混入してなる液晶組成物からな
ることにより、反射表示部と透過表示部とで、光の吸収
量を適正化することができる。
【0567】また、反射表示部と透過表示部とで共に良
好な表示を行うための表示方式としては、偏光板を用い
て複屈折や旋光現象を表示に利用する方式を用いること
も有効である。
【0568】このため、第8の液晶表示装置は、第1〜
第7の何れかの液晶表示装置において、上記一対の基板
のうち、少なくとも一方の基板における液晶層との非接
触面側に偏光板が配置されている構成を有している。
【0569】上記の構成によれば、反射表示部と透過表
示部とで、複屈折を適正化することができ、良好な表示
を行うことができる。このとき、反射表示部に偏光板方
式を用い、上記第3の液晶表示装置で透過表示部におい
て十分な表示を確保するには、表示面側のみならず、透
過表示部の光の入射側にも偏光板を有することが必要で
ある。
【0570】また、上記第8の液晶表示装置において、
液晶層の電圧による配向変化でもたらされる光の位相差
の変化量は、反射表示部では液晶層を往復する光に適す
るように設定し、透過表示部では、液晶層を透過する光
に適するように設定することが、表示の切替えを行う上
で望ましい。
【0571】このため、第9の液晶表示装置は、第8の
液晶表示装置において、上記液晶層に電圧を印加する電
圧印加手段(例えば電極)を備え、該電圧印加手段は、
電圧印加時における反射表示部の反射手段上での表示光
の位相差が、明表示のときと暗表示のときとで概ね90
度の差異となり、かつ、透過表示部において液晶層を出
射する表示光の位相差が、明表示のときと暗表示のとき
とで概ね180度の差異となるように電圧を印加する構
成を有している。
【0572】この場合、上記液晶層における液晶配向
は、具体的には、第10の液晶表示装置に示すように、
上記液晶層が、上記一対の基板間で、60度以上、10
0度以下のツイスト角でツイスト配向しているか、ある
いは、第11の液晶表示装置に示すように、上記液晶層
が、上記一対の基板間で、0度以上、40度以下のツイ
スト角でツイスト配向していることが好ましい。
【0573】上記液晶層が、上記一対の基板間で、60
度以上、100度以下のツイスト角でツイスト配向する
ように上記液晶表示装置を構成することで、透過表示部
の液晶層においては、液晶の配向の捩じれにしたがった
旋光に近い偏光の変化を表示に利用することができ、反
射表示部においては、旋光とリタデーションとの制御に
よる偏光の変化を表示に利用することができる。
【0574】また、上記液晶層が、上記一対の基板間
で、0度以上、40度以下のツイスト角でツイスト配向
するように上記液晶表示装置を構成することで、透過表
示部の液晶層においても、反射表示部の液晶層において
も、ともにリタデーションの変化を表示に利用すること
ができる。
【0575】よって、第10の液晶表示装置は、上記液
晶層が、上記一対の基板間で、60度以上、100度以
下のツイスト角でツイスト配向している構成を有してい
る。
【0576】第11の液晶表示装置は、上記液晶層が、
上記一対の基板間で、0度以上、40度以下のツイスト
角でツイスト配向している構成を有している。
【0577】上記第9〜第11の液晶表示装置によれ
ば、反射表示部と透過表示部とで、各々反射表示あるい
は透過表示に適した位相差の変化量を得ることができ、
明表示と暗表示との表示の切替えが可能となる。
【0578】また、上記第1〜第6、第8または第9の
何れかの液晶表示装置においては、液晶の配向変化は、
基板に平行な面内での方位の変更だけであっても、十分
な表示が可能である。
【0579】即ち、第12の液晶表示装置は、第1〜第
6、第8または第9の何れかの液晶表示装置において、
上記液晶表示素子は、上記反射表示部および透過表示部
のうち少なくとも一方で、液晶分子を基板に対して平行
に回転させることにより液晶層の配向状態を変化させて
表示を行う構成を有している。
【0580】さらに、以下の構成によれば、従来のイン
プレインスイッチング方式の課題である低い光透過率の
原因となる液晶配向の不十分さを、反射表示として積極
的に表示に利用することにより、インプレインスイッチ
ング方式の光利用効率の低さを克服することができる。
【0581】即ち、第13の液晶表示装置は、第12の
液晶表示装置において、上記液晶表示素子は、上記液晶
層に基板の面内方向に電界を生じさせる電圧印加手段
を、上記反射表示部および透過表示部のうち何れか一方
に対応して備えている構成を有している。
【0582】また、液晶層の配向は、従来より表示に多
く用いられている平行配向であってもよいが、液晶が基
板に対して垂直に配向している垂直配向であってもよ
い。
【0583】第14の液晶表示装置は、第1〜第9、第
12または第13の何れかの液晶表示装置において、上
記一対の基板のうち、少なくとも一方の基板は、上記液
晶層との接触面における上記反射表示部および透過表示
部のうち少なくとも一方に対応する領域に、垂直配向性
を有する配向膜を備えている構成を有している。
【0584】このように、上記基板が垂直配向性を有す
る配向膜を備え、液晶が基板に対して垂直に配向してい
る垂直配向である場合には、表示のコントラスト比が良
好になる利点があり、しかも、第1〜第9、第12また
は第13の液晶表示装置において、良好な表示を行う上
で有効に作用する。
【0585】また、第15の液晶表示装置は、第1〜第
14の何れかの液晶表示装置において、上記一対の基板
のうち、少なくとも一方の基板が、上記反射表示部およ
び透過表示部のうち少なくとも反射表示部に対応する領
域に絶縁膜を備え、該絶縁膜は、その膜厚が、上記反射
表示部に対応する領域の方が透過表示部に対応する領域
よりも厚くなるように形成されている構成を有してい
る。
【0586】つまり、上記の液晶表示装置は、液晶層を
挟持する少なくとも一方のほぼ平滑な基板上に絶縁膜を
有し、該絶縁膜は、透過表示部に対応する領域で、反射
表示部に対応する領域よりも膜厚が薄くなるように形成
されているか、あるいは、反射表示部に対応する領域に
のみ絶縁層が形成されていて、透過表示部に対応する領
域には絶縁膜が形成されていない。
【0587】上記の構成によれば、液晶層における表示
に利用される領域が、少なくとも二種類の異なる液晶層
厚を有する液晶表示装置(即ち、反射表示部と透過表示
部とで液晶層厚の異なる液晶表示装置)を容易に得るこ
とができる。
【0588】また、上記絶縁膜は、液晶層厚の調整手段
として作用するのみならず、反射表示部において上記の
絶縁膜が液晶層と接する面に表示用の電極を形成するこ
とで、液晶層を駆動する電圧を損失なく液晶層に印加す
ることができる。
【0589】この場合、表示面側の基板と対向配置され
た基板に反射手段として光反射性を有する膜を形成し、
該光反射性を有する膜が凹凸構造を有していることは透
過表示部の表示性能を損なうことなく解像度を損なわな
い反射表示の鏡面性防止手段として有効であり、上記の
絶縁膜が、上記光反射性を有する膜の凹凸構造と同様の
凹凸構造を有することで、凹凸構造を有する上記光反射
性を有する膜を容易に形成することができる。
【0590】また、上記各液晶表示装置を用いてカラー
表示を行う場合、液晶層だけでなく、発色に重要なカラ
ーフィルタ層の設計が重要である。本願発明者らの検討
によると、半透過型の液晶表示装置の主たる使用形態は
二通りある。
【0591】一つは、通常使用においては透過表示を主
に利用し、反射表示を付加的に用いることにより、周囲
光の非常に強い照明環境下でのウォッシュアウトを防止
し、発光型表示装置や透過表示のみの液晶表示装置と比
較して、使用可能な照明環境の大幅な多様性を確保す
る、透過表示を主体とする使用形態であり、もう一つ
は、通常使用においては、電力消費量が少ないという反
射表示の性質を生かし、かつ、照明の弱い環境下では、
いわゆるバックライトと呼ばれる照明装置を点灯して使
用することにより、先の使用形態と同様に使用可能環境
の大幅な多様性を確保する、反射表示を主体とする使用
形態である。
【0592】先の使用形態(透過表示を主体とする使用
形態)においては、上記一対の基板のうち一方の基板に
おける、各画素の表示領域を構成する領域のうち少なく
とも透過表示部に対応する領域に、透過色彩を有するカ
ラーフィルタを配することで、視認性に優れ、かつ、高
解像度なカラー表示が可能であり、反射光と透過光とを
共に表示に利用することができる液晶表示装置を提供す
ることができる。
【0593】そして、このようにカラー表示を行う場
合、各画素には、少なくとも透過表示部に透過色彩を有
するカラーフィルタを配し、かつ、反射表示部には、カ
ラーフィルタを用いないか、または、反射表示部の少な
くとも一部に透過表示部に配したカラーフィルタと同じ
明度を有するカラーフィルタを配するか、それよりも明
度の高い透過色彩を有するカラーフィルタを配すること
が特に有効である。
【0594】これは、カラー表示を行う場合、反射表示
部に透過表示部のカラーフィルタをそのまま用いると明
度が不足するためであり、反射表示部でもカラー表示を
行う場合は、カラーフィルタを用いない領域を反射表示
部に設けるか、反射表示部に透過表示部よりも明度の高
い透過色彩を有するカラーフィルタを配することで、明
度を補うことができ、反射表示に対してもカラー表示が
可能になり、かつ、反射表示部に必要な反射率を確保す
ることができるためである。
【0595】そして、反射表示部では、カラーフィルタ
を表示光が2回通過することを考慮すれば、反射表示部
には、透過表示部よりも明度の高い透過色彩を有するカ
ラーフィルタを配することが望ましい。
【0596】また、透過表示を主体とする使用形態にお
いて、反射表示部に、カラーフィルタを設けない領域を
有する構成とする場合、透過表示に必要な表示電圧信号
は色彩表示に適した信号であり、反射表示に必要な表示
電圧信号は、反射表示部にカラーフィルタを全く使用し
ない例においては白黒表示に適した信号である。従っ
て、反射表示部にカラーフィルタを設けない構成とする
場合、各色の画素が明度に寄与する割合が、透過表示部
では各色の視感透過率に比例するが、反射表示部では、
各色で等しくなるため、反射表示部に、カラーフィルタ
を設けない構成とする場合には、透過表示に用いるカラ
ーフィルタの各色の視感透過率に合わせて、反射表示部
の色彩表示を行わない領域の面積を変更することが望ま
しい。
【0597】即ち、第16の液晶表示装置は、第1〜第
15の何れかの液晶表示装置において、上記一対の基板
のうち一方の基板における、各画素の表示領域を構成す
る領域のうち透過表示部に対応する領域に、透過色彩を
有するカラーフィルタが配され、かつ、上記表示領域を
構成する領域のうち反射表示部に対応する領域の少なく
とも一部に、上記基板における透過表示部に対応する領
域に配されたカラーフィルタと同じ明度を有するカラー
フィルタが配されている構成を有している。
【0598】上記の構成によれば、明度を補い、透過表
示のみならず反射表示に対してもカラー表示が可能にな
ると共に、反射表示部に必要な反射率を確保することが
でき、透過表示を主体とし、カラー表示可能な半透過型
の液晶表示装置を提供することができる。
【0599】また、第17の液晶表示装置は、第1〜第
15の液晶表示装置において、上記一対の基板のうち一
方の基板における、各画素の表示領域を構成する領域の
うち透過表示部に対応する領域に、透過色彩を有するカ
ラーフィルタが配され、かつ、上記表示領域を構成する
領域のうち反射表示部に対応する領域の少なくとも一部
に、上記基板における透過表示部に対応する領域に配さ
れたカラーフィルタよりも明度が高い透過色彩を有する
カラーフィルタが配されている構成を有している。
【0600】上記の構成によれば、カラー表示を行う場
合に、明度を補い、透過表示のみならず反射表示に対し
てもカラー表示が可能になると共に、反射表示部に必要
な反射率を確保することができ、透過表示を主体とし、
カラー表示可能な半透過型の液晶表示装置を提供するこ
とができる。この場合、反射表示部では、カラーフィル
タを表示光が2回通過する。このため、反射表示部に対
応する領域に、上記基板における透過表示部に対応する
領域に配されたカラーフィルタよりも明度が高い透過色
彩を有するカラーフィルタを配することで、より明度を
高め、より良好なカラー表示を行うことができる。
【0601】さらに、第18の液晶表示装置は、第1〜
第17の何れかの液晶表示装置において、上記一対の基
板のうち一方の基板における、各画素の表示領域を構成
する領域のうち、少なくとも透過表示部に対応する領域
に、透過色彩を有するカラーフィルタが配され、かつ、
上記カラーフィルタの透過色彩の視感透過率に合わせ
て、反射表示部の色彩表示を行わない領域の面積が設定
されている構成を有している。
【0602】上記の構成によれば、各色の画素が明度に
寄与する割合を各色の視感透過率によって変更すること
ができ、この結果、良好な表示を実現することができ
る。
【0603】また、二つ目の使用形態(反射表示を主体
とする使用形態)においては、上記一対の基板のうち一
方の基板における、各画素の表示領域を構成する領域の
うち少なくとも反射表示部に対応する領域に、透過色彩
を有するカラーフィルタを配することで、視認性に優
れ、かつ、高解像度なカラー表示が可能であり、反射光
と透過光とを共に表示に利用することができる液晶表示
装置を提供することができる。
【0604】そして、このようにカラー表示を行う場
合、各画素には、少なくとも反射表示部に透過色彩を有
するカラーフィルタを配して色彩表示を行い、かつ、透
過表示部には、カラーフィルタを用いないか、または、
透過表示部の少なくとも一部に、反射表示部に配したカ
ラーフィルタと同じ彩度を有するかそれよりも彩度の高
い透過色彩を有するカラーフィルタを配することが特に
有効である。
【0605】反射表示を主体とする使用形態において、
透過表示部ではカラーフィルタを用いず、白黒表示を行
った場合、光の透過率が上昇することから、透過表示部
をさらに小さく設定することが可能である。これによ
り、反射表示部の面積をより大きく確保することがで
き、通常使用時の反射表示においてより良好な表示を得
ることができる。
【0606】また、反射表示を主体とする使用形態にお
いて、反射表示に用いるカラーフィルタの各色の視感透
過率に合わせて、透過表示部の色彩表示を行わない領域
の面積を変更することにより、各画素における透過表示
部の白黒表示の明度への寄与を、視感透過率を考慮して
適正に設定することができる。
【0607】即ち、第19の液晶表示装置は、第1〜第
15の何れかの液晶表示装置において、上記一対の基板
のうち一方の基板における、各画素の表示領域を構成す
る領域のうち少なくとも反射表示部に対応する領域に、
透過色彩を有するカラーフィルタが配されている構成を
有している。
【0608】上記の構成によれば、反射表示を主体とす
る表示を行う場合に、視認性に優れ、かつ、高解像度な
カラー表示を行うことができる液晶表示装置を提供する
ことができる。この場合、特に、反射表示部ではカラー
表示を行い、透過表示部ではカラーフィルタを用いずに
白黒表示を行うことで、光の透過率が上昇する。このた
め、このような場合には、透過表示部をさらに小さく設
定することが可能であり、反射表示部の面積をより大き
く確保することができ、通常使用時の反射表示において
より良好な表示を得ることができる。
【0609】また、第20の液晶表示装置は、第19の
液晶表示装置において、上記カラーフィルタの透過色彩
の視感透過率に合わせて、透過表示部の色彩表示を行わ
ない領域の面積が設定されている構成を有している。
【0610】上記の構成によれば、反射表示を主体とす
る表示を行う場合に、各画素における透過表示部の白黒
表示からの明度への寄与を、視感透過率を考慮して適正
に設定することができるので、より良好な表示を得るこ
とができる。
【0611】さらに、第21の液晶表示装置は、第1〜
第15の液晶表示装置において、上記一対の基板のうち
一方の基板における、各画素の表示領域を構成する領域
のうち反射表示部に対応する領域に、透過色彩を有する
カラーフィルタが配され、かつ、上記表示領域を構成す
る領域のうち透過表示部に対応する領域の少なくとも一
部に、上記基板における反射表示部に対応する領域に配
されたカラーフィルタと彩度が同等以上の透過色彩を有
するカラーフィルタが配されている構成を有している。
【0612】上記の構成によれば、反射表示部および透
過表示部で共に良好なカラー表示を行うことができる、
反射表示を主体とする半透過型の液晶表示装置を提供す
ることができる。
【0613】また、上記の液晶表示装置は、上述したよ
うに反射表示部を備えているため、従来の反射型液晶表
示装置における低消費電力という特徴を合わせて有して
いる。しかしながら、消費電力の大きな照明光を用い
て、これを点灯状態に保ち続けることは、消費電力の増
大を招く。
【0614】そこで、第22の液晶表示装置は、第1〜
第21の何れかの液晶表示装置において、上記液晶表示
素子に該液晶表示素子の背面から光を入射する照明装置
を備え、該照明装置が、表示面の輝度を変更する表示面
輝度変更手段を兼ねている構成を有している。
【0615】上記の構成によれば、照明装置により表示
面の輝度を変更することで、低消費電力と視認性との両
立を図ることができる。
【0616】さらに、第23の液晶表示装置は、第22
の液晶表示装置において、上記照明装置は、順応輝度に
応じて、知覚明度が10bril以上、30bril未
満となるように表示面の輝度を変更する構成を有してい
る。
【0617】上記知覚明度は、順応輝度と表示面の輝度
とによって規定される。このとき、上記の照明装置が、
液晶表示装置の表示内容や、照明等の視環境によって変
化する順応輝度に応じて、点灯、消灯、あるいは照明の
強度を変更することで、上記の知覚明度が得られるよう
に表示面の輝度を変更することは、低消費電力と視認性
との両立を図る上で非常に好ましい。特に、上記照明装
置がタッチパネル等の押圧座標検出型入力手段等により
液晶表示素子外部から制御される場合、上記の効果はよ
り一層顕著なものとなる。
【0618】また、上記の構成によれば、透過表示が主
に表示に寄与している状況での視認性を改善することが
でき、良好な視認性を実現することができると共に、低
消費電力化を図ることができる。
【0619】また、上記のような半透過型の液晶表示装
置においては、いわゆるフロントライトを利用した反射
型液晶表示装置と比較してタッチパネル等の押圧座標検
出型入力手段の使用が容易であり、この点で大きな利点
がある。従って、このような押圧座標検出型入力手段を
用いた半透過型で良好な表示を実現することは、良好な
入力装置一体型の消費電力の小さい液晶表示装置のため
に有効である。
【0620】即ち、第24の液晶表示装置は、第1〜第
23の何れかの液晶表示装置において、表示面に重ねて
配置され、押圧されることによって押圧された座標位置
を検出する押圧座標検出型入力手段を具備している構成
を有している。
【0621】よって、上記の構成によれば、良好な入力
装置一体型の消費電力の小さい液晶表示装置を提供する
ことができる。
【0622】さらに、このような押圧座標検出型入力手
段を利用した場合には、該押圧座標検出型入力手段の信
号によって、観察者が表示装置を使用していることが容
易に検知されるため、この信号にしたがって液晶表示装
置の消費電力を左右する照明装置の輝度を変更して表示
面の輝度を変更することや、液晶配向を変更すること
は、消費電力の削減と良好な視認性とを両立するために
有効である。
【0623】そこで、第25の液晶表示装置は、第22
または第23の液晶表示装置において、表示面に重ねて
配置され、押圧されることによって押圧された座標位置
を検出する押圧座標検出型入力手段を具備し、上記照明
装置は、上記押圧座標検出型入力手段の出力信号に連動
して表示面の輝度を変更する構成を有している。
【0624】上記の構成によれば、上記押圧座標検出型
入力手段の信号によって、観察者が表示装置を使用して
いることが容易に検知されるため、この信号にしたがっ
て液晶表示装置の消費電力を左右する照明装置の輝度を
変更し、表示面の輝度を変更すれば、消費電力の削減と
良好な視認性とを両立することができる。
【0625】また、第26の液晶表示装置は、第1また
は第2の液晶表示装置において、表示面に重ねて配置さ
れ、押圧されることによって押圧された座標位置を検出
する押圧座標検出型入力手段を具備し、上記配向機構
は、上記押圧座標検出型入力手段の出力信号に連動して
上記反射表示部および透過表示部のうち少なくとも一方
における液晶層の配向状態を変更する構成を有してい
る。
【0626】上記の構成によれば、上記押圧座標検出型
入力手段の信号によって、観察者が表示装置を使用して
いることが容易に検知されるため、この信号にしたがっ
て液晶配向を変更すれば、消費電力の削減と良好な視認
性とを両立することができる。
【0627】また、上記の液晶表示装置が上記押圧座標
検出型入力手段と偏光板とを共に備える場合、上記押圧
座標検出型入力手段と偏光板とは、偏光板、押圧座標検
出型入力手段、液晶表示素子の順に配置される。
【0628】即ち、第27の液晶表示装置は、第1〜第
26の何れかの液晶表示装置において、表示面に重ねて
配置され、押圧されることによって押圧された座標位置
を検出する押圧座標検出型入力手段と偏光板とを具備
し、上記偏光板と押圧座標検出型入力手段と液晶表示素
子とがこの順に配置されている構成を有している。
【0629】上記の構成によれば、偏光板と押圧座標検
出型入力手段とを備え、複屈折を表示に利用する、入力
装置一体型の消費電力の小さい液晶表示装置を提供する
ことができる。
【0630】また、上記偏光板と押圧座標検出型入力手
段と液晶表示素子とをこのように配置することで、偏光
板による吸収が、押圧座標検出型入力手段による不要反
射光をも吸収し、該不要反射光を低減することができ
る。従って、上記の構成によれば、液晶表示装置の視認
性を向上することができ、良好な視認性を実現する。
【0631】
【発明の効果】請求項1記載の発明にかかる液晶表示装
置は、以上のように、対向する一対の基板と、該一対の
基板間に挟持された液晶層とを有する液晶表示素子を備
えた液晶表示装置であって、反射表示部と透過表示部と
を備え、上記反射表示部と透過表示部との合計の面積に
対する反射表示部の面積の占める割合が、30%以上、
90%以下である構成である。
【0632】上記の構成によれば、半透過型の液晶表示
装置の表示輝度を用いて照度を変化させて知覚明度を求
めた結果並びに表面反射を考慮した結果から良好な表示
を実現することができるという効果を奏する。
【0633】請求項2記載の発明にかかる液晶表示装置
は、以上のように、対向する表面に配向手段が施された
一対の基板と、該一対の基板間に挟持された液晶層とを
有する液晶表示素子を備えた液晶表示装置であって、上
記液晶層における表示に利用される任意でかつ異なる領
域に同時に少なくとも二種類の異なる配向状態をとらせ
るための配向機構を具備し、かつ、上記液晶層において
異なる配向状態を示す領域のうち少なくとも一つの領域
に反射手段が配され、上記異なる配向状態を示す領域が
反射表示部と透過表示部とに用いられており、上記反射
表示部と透過表示部との合計の面積に対する反射表示部
の面積の占める割合が、30%以上、90%以下である
構成である。
【0634】上記の構成によれば、請求項1に記載の効
果を奏すると共に、液晶配向が同時に異なる配向状態を
有することで、例えば、表示に二色性色素等の色素を用
いる場合には光の吸収量(吸収率)、光学異方性を用い
る場合には位相差といった各光学的物理量の変調量の大
きさを、液晶配向が異なる領域毎に変更することが可能
になる。このため、上記の構成によれば、液晶層の配向
状態に応じた光学的物理量の変調量の大きさに基づく透
過率または反射率を得ることができ、これにより、透過
表示部と反射表示部とで光学パラメータを独立に設定す
ることが可能となる。従って、上記の構成によれば、視
認性に優れ、かつ、高解像度表示が可能であり、反射光
と透過光とを共に表示に利用することができる半透過型
の液晶表示装置を提供することができるという効果を奏
する。
【0635】請求項3記載の発明にかかる液晶表示装置
は、以上のように、対向する表面に配向手段が施された
一対の基板と、該一対の基板間に挟持された液晶層とを
有する液晶表示素子を備えた液晶表示装置であって、反
射表示部と透過表示部とを備え、上記反射表示部の液晶
層厚は透過表示部の液晶層厚よりも薄く、かつ、上記反
射表示部と透過表示部との合計の面積に対する反射表示
部の面積の占める割合が、30%以上、90%以下であ
る構成である。
【0636】上記の構成によれば、請求項1に記載の効
果を奏すると共に、液晶層厚が異なる領域における光学
的物理量の変調量の大きさに基づく透過率または反射率
を得ることができ、これにより、透過表示部と反射表示
部とで光学パラメータを独立に設定することが可能とな
る。従って、上記の構成によれば、視認性に優れ、か
つ、高解像度表示が可能であり、反射光と透過光とを共
に表示に利用することができる半透過型の液晶表示装置
を提供することができるという効果を奏する。
【0637】また、本発明によれば、上述した手段によ
り、反射表示部と透過表示部とで共に良好な表示を実現
することができるが、カラー表示を行うか白黒表示を行
うか、あるいは、反射表示を主体として表示を行うか透
過表示を主体として表示を行うか等、所望する表示によ
って、反射表示部と透過表示部との比率には、良好な表
示を行うための最適な比率が存在する。上記の構成によ
れば、上記反射表示部と透過表示部とで共にカラー表示
を行う場合に、上記反射表示部と透過表示部とで共に良
好な表示を行うことができるという効果を奏する。
【0638】請求項4記載の発明の液晶表示装置は、以
上のように、上記透過表示部が明表示のときに同時に反
射表示部が明表示となり、上記透過表示部が暗表示のと
きに同時に反射表示部が暗表示となる構成である。
【0639】本発明によれば、上記請求項4記載の発明
の液晶表示装置は、上記請求項2または3の構成を備え
ることで、上記透過表示部が明表示のときに同時に反射
表示部が明表示とし、上記透過表示部が暗表示のときに
同時に反射表示部が暗表示とすることが可能である。特
に、本発明によれば、そのままでは反射表示部と透過表
示部とで表示内容が反転する場合であっても、例えば前
記配向機構に、前記表示内容書換手段を用い、反射表示
部と透過表示部とで表示内容の書き換えを個別に制御す
ることで、容易に表示を揃えることができる。従って、
上記の構成によれば、良好な視認性を確保することがで
きるという効果を奏する。
【0640】請求項5記載の発明の液晶表示装置は、以
上のように、上記一対の基板のうち、少なくとも一方の
基板における液晶層との非接触面側に偏光板が配置され
ている構成である。
【0641】上記の構成によれば、反射表示部と透過表
示部とで、複屈折を適正化することができ、良好な表示
を行うことができるという効果を奏する。
【0642】請求項6記載の発明の液晶表示装置は、以
上のように、上記液晶層に電圧を印加する電圧印加手段
を備え、該電圧印加手段は、電圧印加時における反射表
示部の反射手段上での表示光の位相差が、明表示のとき
と暗表示のときとで概ね90度の差異となり、かつ、透
過表示部において液晶層を出射する表示光の位相差が、
明表示のときと暗表示のときとで概ね180度の差異と
なるように電圧を印加する構成である。
【0643】また、請求項7記載の発明の液晶表示装置
は、以上のように、上記液晶層が、上記一対の基板間
で、60度以上、100度以下のツイスト角でツイスト
配向している構成である。このように構成することで、
透過表示部の液晶層においては、液晶の配向の捩じれに
したがった旋光に近い偏光の変化を表示に利用すること
ができ、反射表示部においては、旋光とリタデーション
の制御による偏光の変化を表示に利用することができ
る。
【0644】請求項8記載の発明の液晶表示装置は、以
上のように、上記液晶層が、上記一対の基板間で、0度
以上、40度以下のツイスト角でツイスト配向している
構成である。このように構成することで、透過表示部の
液晶層においても、反射表示部の液晶層においても、と
もにリタデーションの変化を表示に利用することができ
る。
【0645】上記請求項6〜8の構成によれば、反射表
示部と透過表示部とで、各々反射表示あるいは透過表示
に適した位相差の変化量を得ることができ、明表示と暗
表示との表示の切替えが可能となるという効果を奏す
る。
【0646】請求項9記載の発明の液晶表示装置は、以
上のように、上記一対の基板のうち、少なくとも一方の
基板は、上記液晶層との接触面における上記反射表示部
および透過表示部のうち少なくとも一方に対応する領域
に、垂直配向性を有する配向膜を備えている構成であ
る。
【0647】本発明では、液晶層の配向は、上述したよ
うに従来より表示に多く用いられている平行配向であっ
てもよいが、液晶が基板に対して垂直に配向している垂
直配向であってもよい。このように、上記基板が垂直配
向性を有する配向膜を備え、液晶配向が、液晶が基板に
対して垂直に配向している垂直配向である場合には、表
示のコントラスト比が良好になる利点があるという効果
を奏する。
【0648】請求項10記載の発明の液晶表示装置は、
以上のように、上記一対の基板のうち一方の基板におけ
る、各画素の表示領域を構成する領域のうち透過表示部
に対応する領域に、透過色彩を有するカラーフィルタが
配され、かつ、上記表示領域を構成する領域のうち反射
表示部に対応する領域の少なくとも一部に、上記基板に
おける透過表示部に対応する領域に配されたカラーフィ
ルタと同じ明度を有するカラーフィルタが配されている
構成である。
【0649】カラー表示を行う場合、反射表示部に透過
表示部のカラーフィルタをそのまま用いると明度が不足
するが、上記の構成によれば、明度を補い、透過表示の
みならず反射表示に対してもカラー表示が可能になると
共に、反射表示部に必要な反射率を確保することがで
き、透過表示を主体とし、カラー表示可能な半透過型の
液晶表示装置を提供することができるという効果を奏す
る。
【0650】請求項11記載の発明の液晶表示装置は、
以上のように、上記一対の基板のうち一方の基板におけ
る、各画素の表示領域を構成する領域のうち透過表示部
に対応する領域に、透過色彩を有するカラーフィルタが
配され、かつ、上記表示領域を構成する領域のうち反射
表示部に対応する領域の少なくとも一部に、上記基板に
おける透過表示部に対応する領域に配されたカラーフィ
ルタよりも明度が高い透過色彩を有するカラーフィルタ
が配されている構成である。
【0651】上記の構成によれば、カラー表示を行う場
合に、明度を補い、透過表示のみならず反射表示に対し
てもカラー表示が可能になると共に、反射表示部に必要
な反射率を確保することができ、透過表示を主体とし、
カラー表示可能な半透過型の液晶表示装置を提供するこ
とができるという効果を奏する。この場合、反射表示部
では、カラーフィルタを表示光が2回通過する。このた
め、反射表示部に対応する領域に、上記基板における透
過表示部に対応する領域に配されたカラーフィルタより
も明度が高い透過色彩を有するカラーフィルタを配する
ことで、より明度を高め、より良好なカラー表示を行う
ことができる。
【0652】請求項12記載の発明の液晶表示装置は、
以上のように、上記一対の基板のうち一方の基板におけ
る、各画素の表示領域を構成する領域のうち、少なくと
も透過表示部に対応する領域に、透過色彩を有するカラ
ーフィルタが配され、かつ、上記カラーフィルタの透過
色彩の視感透過率に合わせて、反射表示部の色彩表示を
行わない領域の面積が設定されている構成である。
【0653】上記の構成によれば、各色の画素が明度に
寄与する割合を各色の視感透過率によって変更すること
ができ、この結果、良好な表示を実現することができる
という効果を奏する。
【0654】請求項13記載の発明の液晶表示装置は、
以上のように、上記一対の基板のうち一方の基板におけ
る、各画素の表示領域を構成する領域のうち少なくとも
反射表示部に対応する領域に、透過色彩を有するカラー
フィルタが配されている構成である。
【0655】上記の構成によれば、反射表示を主体とす
る表示を行う場合に、視認性に優れ、かつ、高解像度な
カラー表示を行うことができる液晶表示装置を提供する
ことができる。この場合、特に、反射表示部ではカラー
表示を行い、透過表示部ではカラーフィルタを用いずに
白黒表示を行うことで、光の透過率が上昇する。このた
め、このような場合には、透過表示部をさらに小さく設
定することが可能であり、反射表示部の面積をより大き
く確保することができ、通常使用時の反射表示において
より良好な表示を得ることができるという効果を奏す
る。
【0656】請求項14記載の発明の液晶表示装置は、
以上のように、上記カラーフィルタの透過色彩の視感透
過率に合わせて、透過表示部の色彩表示を行わない領域
の面積が設定されている構成である。
【0657】上記の構成によれば、反射表示を主体とす
る表示を行う場合に、各画素における透過表示部の白黒
表示からの明度への寄与を、視感透過率を考慮して適正
に設定することができるので、より良好な表示を得るこ
とができるという効果を奏する。
【0658】請求項15記載の発明の液晶表示装置は、
以上のように、上記一対の基板のうち一方の基板におけ
る、各画素の表示領域を構成する領域のうち反射表示部
に対応する領域に、透過色彩を有するカラーフィルタが
配され、かつ、上記表示領域を構成する領域のうち透過
表示部に対応する領域の少なくとも一部に、上記基板に
おける反射表示部に対応する領域に配されたカラーフィ
ルタと彩度が同等以上の透過色彩を有するカラーフィル
タが配されている構成である。
【0659】上記の構成によれば、反射表示部および透
過表示部で共に良好なカラー表示を行うことができる、
反射表示を主体とする半透過型の液晶表示装置を提供す
ることができるという効果を奏する。
【0660】請求項16記載の発明の液晶表示装置は、
以上のように、上記反射表示部の反射手段には凹凸が形
成されている構成である。
【0661】上記の構成によれば、透過表示部の表示性
能を損なうことなく解像度を損なわない反射表示の鏡面
性防止手段として有効であるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1に係る液晶表示装置の要
部断面図である。
【図2】実施例1に記載の液晶表示装置の表示特性図で
ある。
【図3】比較例2および比較例3に記載の液晶表示装置
の表示特性図である。
【図4】本発明の実施の形態2に係る液晶表示装置の要
部断面図である。
【図5】ラビング交差角の定義を説明する図である。
【図6】実施例2に記載の液晶表示装置の表示特性図で
ある。
【図7】実施例3に記載の液晶表示装置の表示特性図で
ある。
【図8】実施例4に記載の液晶表示装置の表示特性図で
ある。
【図9】実施例5に記載の液晶表示装置の表示特性図で
ある。
【図10】実施例6に記載の液晶表示装置の表示特性図
である。
【図11】実施例7に記載の液晶表示装置の表示特性図
である。
【図12】比較例3に記載の液晶表示装置の表示特性図
である。
【図13】実施例8に記載の液晶表示装置の表示特性図
である。
【図14】比較例4に記載の液晶表示装置の表示特性図
である。
【図15】比較例5に記載の液晶表示装置の表示特性図
である。
【図16】実施例9に記載の液晶表示装置の表示特性図
である。
【図17】本発明の実施の形態4にかかる液晶表示装置
に用いる基板の配向処理工程図である。
【図18】(a)〜(e)は、図17に示す配向処理工
程を概略的に示す断面模式図である。
【図19】実施例10に記載の液晶表示装置の表示特性
図である。
【図20】実施例11に記載の液晶表示装置の表示特性
図である。
【図21】(a)は、実施例12にかかる液晶表示装置
の電圧無印加時における要部断面図であり、(b)は、
(a)に示す液晶表示装置の電圧印加時における要部断
面図である。
【図22】実施例12に記載の液晶表示装置の表示特性
図である。
【図23】(a)は、本発明の実施の形態7にかかる透
過主体半透過型の液晶表示装置を実現するためのTFT
素子基板の要部平面図であり、(b)は、(a)に示す
TFT素子基板における反射表示部の駆動電極を示す図
であり、(c)は、(a)に示すTFT素子基板におけ
る透明画素電極を示す図である。
【図24】図23(a)に示すTFT素子基板のA−
A’線矢視断面図である。
【図25】図23(a)に示すTFT素子基板のB−
B’線矢視断面図である。
【図26】(a)は、本発明の実施の形態7にかかる透
過主体半透過型の液晶表示装置のカラーフィルタ基板に
形成されたカラーフィルタと、図23(a)に示すTF
T素子基板における反射表示部に形成された駆動電極の
透過表示用開口部との位置関係を、上記カラーフィルタ
基板の一部破断にて示す、上記透過主体半透過型の液晶
表示装置の要部平面図であり、(b)は、(a)に示す
カラーフィルタ基板の断面図である。
【図27】図26(a)に示す液晶表示装置の要部のC
−C’線矢視断面図である。
【図28】本発明の実施の形態7にかかる反射主体半透
過型の液晶表示装置を実現するためのTFT素子基板の
要部平面図である。
【図29】(a)は、本発明の実施の形態7にかかる反
射主体半透過型の液晶表示装置のカラーフィルタ基板に
形成されたカラーフィルタと、図28に示すTFT素子
基板における反射表示部に形成された駆動電極の透過表
示用開口部との位置関係を、上記カラーフィルタ基板の
一部破断にて示す、上記反射主体半透過型の液晶表示装
置の要部平面図であり、(b)は、(a)に示すカラー
フィルタ基板の断面図である。
【図30】等値の知覚明度を与える順応輝度とサンプル
輝度との関係を示す等値線図である。
【図31】本発明の実施の形態8にかかる半透過型の液
晶表示装置における照度と知覚明度との関係を示す特性
図である。
【図32】本発明の実施の形態11にかかる入力装置一
体型の液晶表示装置の概略構成を示す要部断面図であ
る。
【符号の説明】
1 液晶層 1a 液晶分子 2 配向膜(配向機構) 3 配向膜(配向機構) 4 基板 5 基板 6 電極(表示内容書換手段、電圧印加手段、配向機
構) 7 電極(表示内容書換手段、電圧印加手段、配向機
構) 8 反射膜(反射手段) 9 反射表示部 10 透過表示部 11 絶縁膜(配向機構) 12 二色性色素(配向機構) 13 バックライト(照明装置、表示面輝度変更手
段) 14 偏光板 15 偏光板 16 位相差補償板 17 位相差補償板 18 画素電極(表示内容書換手段、電圧印加手段) 19 駆動電極(表示内容書換手段、電圧印加手段) 19a 透過表示用開口部 20 透明画素電極(表示内容書換手段、電圧印加手
段) 21 TFT素子 22 ドレイン端子 23 配線 24 配線 25 有機絶縁膜 26 補助容量部 27 補助容量線 28 ソース端子 29 基板 40 電極基板 41 基板 42 配向膜(配向機構) 42a 配向処理領域 42b 配向処理領域 52 ガラス基板 53 櫛形電極(表示内容書換手段、電圧印加手段、
配向機構) 54 基板 61R カラーフィルタ 61G カラーフィルタ 61B カラーフィルタ 62 ガラス基板 71 タッチパネル(押圧座標検出型入力手段) 72 透明電極層 73 可動基板 74 透明電極層 75 支持基板 100 液晶セル(液晶表示素子) 101 電極基板 102 電極基板 200 液晶セル(液晶表示素子) 201 電極基板 202 電極基板 501 平滑化層 502 対向電極(表示内容書換手段、電圧印加手段)
フロントページの続き (72)発明者 三ツ井 精一 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シ ャープ株式会社内 Fターム(参考) 2H089 HA07 RA05 TA02 TA04 TA12 TA15 TA17 2H090 LA01 LA09 LA15 LA20 MA01 MA02 MA07 MA15 2H091 FA02Y FA08X FA08Z FA15Y FA16Y FD04 FD23 FD24 GA02 GA06 HA07 KA04 LA13 2H092 GA12 KB23 KB26 NA01 PA02 PA08 PA12 QA07

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】対向する一対の基板と、該一対の基板間に
    挟持された液晶層とを有する液晶表示素子を備えた液晶
    表示装置であって、 反射表示部と透過表示部とを備え、上記反射表示部と透
    過表示部との合計の面積に対する反射表示部の面積の占
    める割合が、30%以上、90%以下であることを特徴
    とする液晶表示装置。
  2. 【請求項2】対向する表面に配向手段が施された一対の
    基板と、該一対の基板間に挟持された液晶層とを有する
    液晶表示素子を備えた液晶表示装置であって、 上記液晶層における表示に利用される任意でかつ異なる
    領域に同時に少なくとも二種類の異なる配向状態をとら
    せるための配向機構を具備し、かつ、上記液晶層におい
    て異なる配向状態を示す領域のうち少なくとも一つの領
    域に反射手段が配され、上記異なる配向状態を示す領域
    が反射表示部と透過表示部とに用いられており、上記反
    射表示部と透過表示部との合計の面積に対する反射表示
    部の面積の占める割合が、30%以上、90%以下であ
    ることを特徴とする液晶表示装置。
  3. 【請求項3】対向する表面に配向手段が施された一対の
    基板と、該一対の基板間に挟持された液晶層とを有する
    液晶表示素子を備えた液晶表示装置であって、 反射表示部と透過表示部とを備え、上記反射表示部の液
    晶層厚は透過表示部の液晶層厚よりも薄く、かつ、上記
    反射表示部と透過表示部との合計の面積に対する反射表
    示部の面積の占める割合が、30%以上、90%以下で
    あることを特徴とする液晶表示装置。
  4. 【請求項4】上記透過表示部が明表示のときに同時に反
    射表示部が明表示となり、上記透過表示部が暗表示のと
    きに同時に反射表示部が暗表示となることを特徴とする
    請求項2または3記載の液晶表示装置。
  5. 【請求項5】上記一対の基板のうち、少なくとも一方の
    基板における液晶層との非接触面側に偏光板が配置され
    ていることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記
    載の液晶表示装置。
  6. 【請求項6】上記液晶層に電圧を印加する電圧印加手段
    を備え、該電圧印加手段は、電圧印加時における反射表
    示部の反射手段上での表示光の位相差が、明表示のとき
    と暗表示のときとで概ね90度の差異となり、かつ、透
    過表示部において液晶層を出射する表示光の位相差が、
    明表示のときと暗表示のときとで概ね180度の差異と
    なるように電圧を印加することを特徴とする請求項5記
    載の液晶表示装置。
  7. 【請求項7】上記液晶層が、上記一対の基板間で、60
    度以上、100度以下のツイスト角でツイスト配向して
    いることを特徴とする請求項5または6記載の液晶表示
    装置。
  8. 【請求項8】上記液晶層が、上記一対の基板間で、0度
    以上、40度以下のツイスト角でツイスト配向している
    ことを特徴とする請求項5または6記載の液晶表示装
    置。
  9. 【請求項9】上記一対の基板のうち、少なくとも一方の
    基板は、上記液晶層との接触面における上記反射表示部
    および透過表示部のうち少なくとも一方に対応する領域
    に、垂直配向性を有する配向膜を備えていることを特徴
    とする請求項1〜6の何れか1項に記載の液晶表示装
    置。
  10. 【請求項10】上記一対の基板のうち一方の基板におけ
    る、各画素の表示領域を構成する領域のうち透過表示部
    に対応する領域に、透過色彩を有するカラーフィルタが
    配され、かつ、上記表示領域を構成する領域のうち反射
    表示部に対応する領域の少なくとも一部に、上記基板に
    おける透過表示部に対応する領域に配されたカラーフィ
    ルタと同じ明度を有するカラーフィルタが配されている
    ことを特徴とする請求項1〜9の何れか1項に記載の液
    晶表示装置。
  11. 【請求項11】上記一対の基板のうち一方の基板におけ
    る、各画素の表示領域を構成する領域のうち透過表示部
    に対応する領域に、透過色彩を有するカラーフィルタが
    配され、かつ、上記表示領域を構成する領域のうち反射
    表示部に対応する領域の少なくとも一部に、上記基板に
    おける透過表示部に対応する領域に配されたカラーフィ
    ルタよりも明度が高い透過色彩を有するカラーフィルタ
    が配されていることを特徴とする請求項1〜9の何れか
    1項に記載の液晶表示装置。
  12. 【請求項12】上記一対の基板のうち一方の基板におけ
    る、各画素の表示領域を構成する領域のうち、少なくと
    も透過表示部に対応する領域に、透過色彩を有するカラ
    ーフィルタが配され、かつ、上記カラーフィルタの透過
    色彩の視感透過率に合わせて、反射表示部の色彩表示を
    行わない領域の面積が設定されていることを特徴とする
    請求項1〜11の何れか1項に記載の液晶表示装置。
  13. 【請求項13】上記一対の基板のうち一方の基板におけ
    る、各画素の表示領域を構成する領域のうち少なくとも
    反射表示部に対応する領域に、透過色彩を有するカラー
    フィルタが配されていることを特徴とする請求項1〜9
    の何れか1項に記載の液晶表示装置。
  14. 【請求項14】上記カラーフィルタの透過色彩の視感透
    過率に合わせて、透過表示部の色彩表示を行わない領域
    の面積が設定されていることを特徴とする請求項13記
    載の液晶表示装置。
  15. 【請求項15】上記一対の基板のうち一方の基板におけ
    る、各画素の表示領域を構成する領域のうち反射表示部
    に対応する領域に、透過色彩を有するカラーフィルタが
    配され、かつ、上記表示領域を構成する領域のうち透過
    表示部に対応する領域の少なくとも一部に、上記基板に
    おける反射表示部に対応する領域に配されたカラーフィ
    ルタと彩度が同等以上の透過色彩を有するカラーフィル
    タが配されていることを特徴とする請求項1〜9の何れ
    か1項に記載の液晶表示装置。
  16. 【請求項16】上記反射表示部の反射手段には凹凸が形
    成されていることを特徴とする請求項1〜3の何れか1
    項に液晶表示装置。
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