JP2002372339A - 吸収式冷凍機用伝熱管とそれを用いた吸収式冷凍機 - Google Patents

吸収式冷凍機用伝熱管とそれを用いた吸収式冷凍機

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JP2002372339A JP2001183074A JP2001183074A JP2002372339A JP 2002372339 A JP2002372339 A JP 2002372339A JP 2001183074 A JP2001183074 A JP 2001183074A JP 2001183074 A JP2001183074 A JP 2001183074A JP 2002372339 A JP2002372339 A JP 2002372339A
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tube
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Kenichi Kawashima
憲一 川島
Hiroshi Sasaki
佐々木  洋
Yutaka Ito
伊藤  豊
Masahiro Kiyofuji
雅宏 清藤
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Hitachi Ltd
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Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】吸収式冷凍機の熱交換性能の向上を図るため親
水性能の塗膜を有する吸収式冷凍機用伝熱管(5,6,
7)の提供。 【解決手段】伝熱管アクリル・ビニルアルコール系の塗
料、または、ポリエチレングリコールおよびアミノ基と
アルコキシシラン残基とを有する化合物を含む塗料を塗
布し、熱処理して親水性塗膜を形成した吸収式冷凍機用
伝熱管。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、吸収式冷凍機の熱
交換器に用いるに好適な伝熱管、並びに、この伝熱管を
用い構成された吸収式冷凍機に関する。
【0002】
【従来の技術】単効用サイクル吸収式冷凍機は、冷媒
(水)を真空下に在る伝熱管の外表面で蒸発させて、該
伝熱管内を流れる負荷回路の水を冷却(この冷却水は、
例えば、室内の冷房に供される)する蒸発器と、再生器
内で冷媒を分離,蒸発して濃縮再生された吸収液を冷却
管表面に散布または滴下して冷却する際に、前記蒸発器
内の伝熱管表面で発生した前記冷媒蒸気を吸収液に吸収
させる吸収器と、吸収器内で冷媒を吸収して希釈された
吸収液を加熱して冷媒を蒸発,分離する再生器、該再生
器内で発生した冷媒蒸気を冷却管で冷却して凝縮させる
凝縮器の4つの容器を備えている。
【0003】これら4つの容器を効率良く連結する冷媒
管路、負荷回路用水管路、冷却水管路、吸収液循環ポン
プおよび冷媒液循環ポンプなどから構成される。
【0004】吸収式冷凍機の効率は蒸発器、吸収器およ
び凝縮器の伝熱効率、特に、相変化を伴う蒸発器の伝熱
管、および、物質移動と熱移動とを伴う吸収器の伝熱管
の伝熱性能に大きく依存する。
【0005】これら伝熱管外表面における伝熱性能を向
上させるためには、伝熱管の外表面を伝熱面として有効
に利用することが必要条件となる。
【0006】このための方法としては、伝熱管外表面に
微小な凹凸を設けることによって、管外表面積を拡大す
る技術や、管外表面に親水性皮膜を形成して、管外表面
を流れる流体と伝熱管との間の熱交換性を高める技術、
および、両技術を組合せた技術などが開示されている。
【0007】例えば、特開平10−263195号公報
では、銅製伝熱管の表面に粒度#30のサンドブラスト
加工を施し、微細な凹凸を設けることによって管外表面
積を増加させると共に、酸素雰囲気中で加熱して前記凹
凸面に酸化皮膜を形成して親水性を向上させている。
【0008】しかし、この方法では銅管外表面に付着し
たり、あるいは、銅管外表面に突き刺さった微小な砥粒
は、エアブローなどでは完全に除去することはむずかし
い。
【0009】上記の砥粒を完全に除去しないと、冷媒液
循環ポンプや吸収液循環ポンプの摩耗の原因となる。
【0010】また、特開平10−185488号公報で
は、伝熱管外表面に有機金属化合物と酸化珪素、酸化ア
ルミニウム、酸化チタン、酸化ジルコニウムなどの金属
酸化物微粒子を含む処理液を、コーティングして加熱処
理するで、伝熱管外表面の親水性を高める方法が開示さ
れている。
【0011】吸収式冷凍機に使用される代表的な熱交換
器は、シェルアンドチューブ型である。該熱交換器の概
略構造は、複数の伝熱管を横に数列、縦に数段、並列に
並べて伝熱管の両端にそれぞれヘッダプレートを設け、
全体をシェル(外殻)で覆っている。
【0012】伝熱管の内側には、片側端から他側端へ向
かって流体を流し、伝熱管の外側には上記流体とは別の
流体を流し、両流体間で熱交換を行う。熱交換器が大型
で伝熱管の長さ(両ヘッダープレート間の距離)が長い
場合には、両ヘッダプレートと伝熱管との間に、伝熱間
のたわみによる応力集中を避けるため、伝熱管支持プレ
ートを複数段設けるのが通例である。
【0013】支持プレートはヘッダプレートと同じ列ピ
ッチ、段ピッチで伝熱管の外径より僅かに大きい孔が設
けられており、片方の伝熱管先端部からこの孔を通して
その先のヘッダプレートの孔に差し込まれる。
【0014】このような形の熱交換器に、特開平10−
185488号公報に開示された伝熱管を採用すると、
予め、穿孔された支持プレートの孔に、伝熱管を通す際
に伝熱管表面のコーテイングされた金属酸化物微粒子の
剥離を回避できない。伝熱管の外表面の親水性塗膜が剥
離すると、親水性が得られなくなる。
【0015】また、上記以外に、脱落した金属酸化物微
粒子が、冷媒液循環ポンプや吸収液循環ポンプの軸受お
よび軸シールの摩耗を誘発するなど二次的な悪影響を及
ぼすことになる。
【0016】また、特開平9−280784号公報には
銅、または、銅合金製の伝熱管外表面に、電解酸化法に
よって酸化第二銅と酸化第一銅の皮膜を形成することで
親水性を向上させる方法が開示されている。
【0017】この方法は、電解酸化法であるため、例え
ば、外表面に塑性加工(例えば、ローレット加工)によ
り、微小な凹凸を設けた伝熱管に適用すると、該凹凸の
山の部分の皮膜が厚く、逆に谷の部分が薄くなるなど、
膜の厚さを均一にするための電極の形状が極めて複雑に
なると云う問題がある。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、長期
間、高い信頼性を維持できる伝熱管および吸収式冷凍機
を提供することにある。
【0019】それには、長期間に亘り伝熱管外表面から
の親水性塗膜の剥離を回避して親水性を維持させると共
に、塗膜が剥離しても冷媒循環ポンプや吸収液循環ポン
プの摩耗を進展させないようにすることにある。
【0020】
【課題を解決するための手段】上記目的を解決する本発
明の要旨は下記のとおりである。
【0021】(1)アクリル・ビニルアルコール系、ま
た、ポリエチレングリコールおよびアミノ基とアルコキ
シシラン残基とを有する化合物を含む塗料を塗布し、熱
処理することで親水性塗膜を形成した吸収式冷凍機用伝
熱管にある。
【0022】(2)吸収式冷凍機の少なくとも蒸発器に
用いる伝熱管の表面に、前記塗膜を形成し、熱処理し
て、親水性塗膜とした吸収式冷凍機にある。
【0023】
【発明の実施の形態】本発明で用いるアクリル・ビニル
アルコール系塗料は、ポリエチレングリコール、ポリア
クリル酸、および、ポリビニルアルコールを混合したも
のが基本組成となっている。
【0024】これらを混合した塗料を銅管に塗布後、加
熱することでポリアクリル酸のカルボキシル基がポリエ
チレングリコールとポリビニルアルコールの水酸基とエ
ステル結合を形成し、水に難溶性の膜に変化する。
【0025】なお、塗膜の親水性が維持できれば、上記
組成の塗料に異なる親水材料や架橋剤を加えてもよい。
また、上記の組成に類似する塗料としては、日本ペイン
ト株式会社製のサーフアルコート240等が挙げられ
る。
【0026】本発明で用いるポリエチレングリコールお
よびアミノ基とアルコキシシラン残基とを有する化合物
を含む塗料は、ポリエチレングリコールとアミノ基とア
ルコキシシラン残基とを有する化合物が、溶媒に溶解し
た状態となっている。
【0027】ポリエチレングリコールはその分子量に特
に規定はないが、低分子量(具体的には平均分子量80
00以下)のものが、溶媒に対する溶解性が良好であ
る。しかし、高分子量(具体的には平均分子量2000
0以上)のものを用いた方が、膜が平坦になり易い。
【0028】上記塗料の溶媒は水、エーテル類(ジオキ
サン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジブチ
ルエーテル等)、アルコール(メタノール、エタノー
ル、直鎖あるいは分岐のプロパノール、ブタノール
等)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、シク
ロヘキサノン、イソホロン等)、エステル類(酢酸エチ
ル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸ブ
チル等)が挙げられる。これらのうちで、特に水、テト
ラヒドロフランは高分子量のポリエチレングリコールを
溶解できるので好ましい。
【0029】アミノ基とアルコキシシラン残基とを有す
る化合物としては、チッソ株式会社や信越シリコン株式
会社等から市販されている。例えば、3−アミノプロピ
ルトリメトキシシラン(S360)、3−アミノプロピ
ルトリエトキシシラン(S330)、N−(2−アミノ
エチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン
(S310)、N−(2−アミノエチル)−3−アミノ
プロピルトリメトキシシラン(S320)等が挙げられ
る(なお、これらの括弧内はチッソ株式会社の商品名で
ある)。
【0030】また、これらの材料のアルコキシシラン残
基同士が結合することで、数分子重合した材料(MS3
201、MS3301)も挙げられる。
【0031】次ぎに、本発明の対象となる吸収式冷凍機
の作動原理について単効用サイクルを例に説明する。
【0032】単効用サイクル吸収式冷凍機は、図1に示
すように真空下で冷媒(水)を蒸発させる蒸発器1と、
蒸発器1で発生した冷媒蒸気を真空下で吸収する吸収器
2と、吸収器2で希釈された吸収液(臭化リチウムな
ど)を加熱して冷媒を分離,蒸発させる再生器3と、再
生器3で分離した冷媒蒸気を凝縮する凝縮器4で構成さ
れている。
【0033】蒸発器1には冷水を流す伝熱管5が、吸収
器2および凝縮器4には冷却水を流す伝熱管6,7が設
けられている。
【0034】まず、吸収器2で冷媒(水)を吸収して低
濃度となり、吸収能力が低下した希釈吸収液を再生器3
においてガス等の熱源により加熱し冷媒を分離させる。
分離された冷媒蒸気は凝縮器4に流入し、図示しない冷
却塔から循環する冷却水により冷却されて凝縮し液化す
る。
【0035】凝縮器4で液化した冷媒液(水)は蒸発器
1へ至り、冷媒循環ポンプ8で汲み上げられて冷媒散布
管9により伝熱管5上に散布(または滴下)され、真空
下において伝熱管5の表面で蒸発する。このとき、伝熱
管5内を流れる負荷回路の水を冷却する。蒸発器1の伝
熱管5の表面で蒸発した冷媒蒸気は吸収器2に至る。
【0036】一方、前述のように再生器3で冷媒を分
離,蒸発して高濃度に濃縮された吸収液は、溶液熱交換
器10で冷却された後、吸収器2に流入し、溶液散布管
11により吸収器2内の伝熱管6の表面に散布(または
滴下)される。伝熱管6の表面で蒸発器1から流入して
きた冷媒蒸気は、吸収液に吸収されて吸収液循環ポンプ
12で再生器3へ汲み上げられる。このように、冷媒蒸
気を連続的に吸収させることにより、吸収器2と蒸発器
1の圧力は高真空に維持される。
【0037】凝縮器4および吸収器2内の伝熱管6,7
には冷却水が流れており、吸収器2および凝縮器4で発
生する吸収熱および凝縮熱を系外に運び去る役割を果た
している。
【0038】以上、単効用サイクルを例に吸収式冷凍機
の作動原理を説明したが、二重効用サイクルにあっても
作動原理は同じである。
【0039】このように、吸収式冷凍機の性能は蒸発器
1、吸収器2、凝縮器4の伝熱性能、特に相変化を伴う
蒸発器1の伝熱管5および物質移動と熱移動を伴う吸収
器2の伝熱管6の伝熱性能に大きく依存する。
【0040】〔実施例 1〕図2は本実施例を示す図で
あり、伝熱管5、6の母材13表面に親水性塗膜14を
形成した伝熱管の断面構造を示す。
【0041】本発明では、蒸発器1および吸収器2に用
いる伝熱管5,6を対象とするが、これらの伝熱管の構
造は同じであるから、以下の説明においては伝熱管の符
号を全て伝熱管5として示す。
【0042】図2は管外に塑性加工などによってフィン
を形成していないベア伝熱管に親水性塗膜を形成した例
である。伝熱管5の肉厚に対して親水性塗膜の厚さを誇
張して厚く描いているが、実際には伝熱管5の肉厚が約
1mm程度であるのに対し、塗膜厚さは1〜2μmであ
る。
【0043】図3(a)は、管外に塑性加工によってフ
ィン15を成形したフィン付き伝熱管に親水性塗膜14
を形成した例を示す。
【0044】伝熱管の外径はベア管と同一であるが、管
外表面には塑性加工を施してあるため、伝熱管の最小肉
厚は約0.6mmである。
【0045】本実施例で用いた親水性塗料は、アクリル
・ビニルアルコール系の半透明乳白色水性塗料で、日本
ペイント株式会社製の商品名サーファルコート240を
用いた。塗料中の固形成分比率は約5重量%である。
【0046】まず、外径約16mm×内径約14mm×
長さ約100mmの銅管を、5重量%濃度の硫酸水溶液
で洗浄,脱脂した。表面の硫酸水溶液を蒸留水で洗浄
後、窒素ブローして銅管表面に付着した水を除去し、銅
管の両端に栓をして外表面にのみ前記親水性塗料をスプ
レー塗布した。その後、160℃,5分間加熱して所望
の親水性塗膜を形成した。塗膜厚さは約1.5μmであ
った。なお、伝熱管5にはベア管とフィン付き管の両方
を使用し、それぞれに親水性塗膜を形成した。
【0047】〔実施例 2〕本実施例は、上記アクリル
・ビニルアルコール系塗料に変えてグリコール・アルコ
キシシラン系水性塗料を用いた。塗料の組成成分は下記
のとおりである。
【0048】平均分子量が3000のポリエチレングリ
コール1重量部と、水3重量部を混合しよく撹拌する。
エタノール9重量部に対して、アミノ基とアルコキシシ
ラン残基の両方を有する化合物としてチッソ株式会社製
サイラエースMS3201を2重量部秤量し、両者を撹
拌,溶解させる。これに上記ポリエチレングリコールの
水溶液4重量部を加えて撹拌し塗料を得た。
【0049】試料の作成に当たっては、外径約16mm
×内径約14mm×長さ約100mmの銅管をヘキサン
で脱脂した後、5重量%濃度の硫酸水溶液で洗浄した。
蒸留水で硫酸水溶液を洗浄後、窒素ブローして銅管表面
に付着した水を除去し、銅管外表面にのみ前記親水性塗
料をスプレーした後、140℃,20分間加熱して所望
の親水性塗膜を得た。塗膜厚さは約1.5μmである。
【0050】伝熱管5には、ベア管とフィン付き管の両
方を使用し、それぞれに上記の親水性塗膜を形成した。
【0051】〔比較例 1〕本比較例では、実施例2の
グリコール・アルコキシシラン系塗料に変えて水溶性ウ
レタン樹脂にシリカゾルを分散した塗料を用いた。
【0052】固形成分の比率でウレタン樹脂とシリカと
の比率が1対9(重量部)になるよう秤量し、固形成分
15重量部に対し水85重量部の塗料を作成した。
【0053】試料の作成に当たっては、外径約16mm
×内径約14mm×長さ約100mmの銅管を、5重量
%濃度の硫酸水溶液で洗浄,脱脂した。
【0054】蒸留水で管外表面に付着した希硫酸水溶液
を洗浄後、窒素ブローして銅管表面に付着した水を除去
し、銅管の両端にキャップを取り付け、この銅管を塗料
液中に浸漬後、すぐに取出して水切した後、220℃,
5分間熱処理して所望の親水性塗膜を得た。塗膜厚さは
約1.5μmである。
【0055】伝熱管5には、ベア管とフィン付き管の両
方を使用し、それぞれに親水性塗膜を形成したものを試
料とした。
【0056】〔実施例 3〕上記各実施例の伝熱管5
を、シェルアンドチューブ型熱交換器に使用する場合に
は、図4に示すように伝熱管5の一端をヘッダープレー
トに穿けた孔(図示せず)に差し込んだ後、マンドレル
などの拡管治具23を用いて、内径を拡大することでヘ
ッダープレートと伝熱管5とを密着させる。
【0057】密着性を向上させるために、伝熱管5の両
側先端部分にはヘッダプレートの板厚に相当する部分5
aには、親水性塗膜を形成しないのが一般的である。従
って親水性塗膜は両側のヘッダープレート挿入部外の中
間部分に形成する。
【0058】図5は、大型のシェルアンドチューブ型熱
交換器の内部構造を示したものである。大型のシェルア
ンドチューブ型熱交換器では、前述したようにヘッダー
プレート17a、17bと伝熱管5との接合部における
応力集中を回避するため、両ヘッダープレート17a、
17b間に支持プレート16a、16b、16c…を設
置する。
【0059】支持プレート16は、伝熱管5が大きくた
わむのを回避する目的で設置されているから、支持プレ
ートの支持孔18の直径は伝熱管6の外形より0.5〜
1.0mm大きい。
【0060】熱交換器構造に組立るには、伝熱管5の一
端を図5の支持プレート16aの孔18a、支持プレー
ト16bの孔18b、支持プレート16cの孔18c…
を通し、右側のヘッダープレート17bの孔に通す。
【0061】最後に伝熱管5の左端部にヘッダープレー
ト17aを組み付け、伝熱管の両端から管内にマンドレ
ルなどの拡管治具23を通して両ヘッダープレート17
a、17bに圧着する。
【0062】この際、伝熱管5の外周は支持プレート1
6の孔18と摺れるのでこの部分の親水性塗膜が剥離し
て、目的とする親水性が得られなくなる可能性がある。
加えて、塗膜と伝熱管とが強固に密着していなければ、
吸収液循環ポンプ12や冷媒循環ポンプ8による流体振
動や、ポンプ自身の機械振動などによって、剥離した部
分からクラックが進展し、次々に塗膜の剥離が起こる。
【0063】ベア伝熱管の場合は、支持プレート16の
孔18と摺れた部分の親水性塗膜は殆ど剥離するから損
傷が大きい。これに対して、フィン付き伝熱管の場合に
は、比較的損傷は軽微である。その理由を以下に述べ
る。
【0064】図3(a)の円で囲んだc部の拡大図を図
3(b)に、また、図3(b)の円で囲んだd部の拡大
図を図3(c)に示す。
【0065】伝熱管5の外周に、塑性加工による凹凸を
設けると図3(c)に示すように凸部分に突起19がで
きる。伝熱管5と支持プレート16の孔18とは、この
突起の先端部分でのみ接触する。加えて、管外表面に形
成された親水性塗膜の厚さは、突起19の先端部分では
殆ど0であるから、伝熱管5を支持プレート16の孔1
8に通したときに、伝熱管5から剥離する親水性塗膜の
量は極めて少量であると推測される。
【0066】そこで、ベア伝熱管とフィン付き伝熱管と
の剥離量の違いを見るために、前記実施例1,2並びに
比較例1で作成した伝熱管を用いて下記の実験を行っ
た。
【0067】まず、親水性塗膜を形成する前後の伝熱管
の重さを秤量した。これらの重量差を塗膜固形分の比重
で除し、さらに伝熱管外表面の面積で除して、親水性塗
膜の平均膜厚を得た。フィン付き伝熱管の管外表面積は
ベア伝熱管の1.9倍であった。
【0068】次ぎに、外径約17mmの孔を設けた幅1
0mmの鉄製リングに、200gの荷重を架けながら親
水性塗膜形成後の伝熱管の外周を滑らせることによっ
て、親水性塗膜を故意に剥離させた後、伝熱管の重さを
秤量した。鉄製リングを用いて伝熱管外表面の親水性塗
膜を故意に剥離させた結果は、剥離前に伝熱管に形成さ
れていた塗膜の重さを100%とすると、ベア伝熱管の
剥離量は約6%、フィン付き伝熱管の剥離量は約1.5
%であった。
【0069】次ぎに、これらの伝熱管を水槽に浸漬させ
た状態で、水槽の大きさが縦200mm×横200mm
×深さ180mmで60W、47kHzの超音波洗浄機
を用いて100時間加振した。
【0070】実験に際しては、水槽内に水を張り、伝熱
管が水槽と接触せず、しかも水平になるよう上部から吊
り下げ水没させて加振した。10時間毎に伝熱管を水槽
から取出して表面を蒸留水で洗浄後、60℃の電気炉で
2時間加熱,乾燥し、重さを秤量すると同時に伝熱管表
面に直径3mmの水滴を付着させて、管の円筒面に対し
直角方向から水滴を観察し、概略の接触角を測定した。
【0071】100mmの伝熱管に対して円周上で4箇
所、軸方向で5箇所の合計20箇所の接触角を測定し
た。
【0072】フィン付き伝熱管についての結果を図6,
図7に示した。図6は実施例1,2並びに比較例1につ
いて、鉄製リングを用いて伝熱管外表面の塗膜を剥離し
たものと剥離しなかったものについて、加振時間に対す
る塗膜付着量の変化を見たものである。
【0073】実施例1と実施例2とは全く同一の値を示
したので、一つの記号で示した。親水性塗膜に剥離がな
いもの同士を比較すると、実施例1(実施例2も同値)
では100時間加振しても塗膜の剥離が生じないのに対
し、比較例1の塗膜では30時間を超えると、徐々に塗
膜の剥離が進行する。
【0074】鉄製リングで予め親水性塗膜を剥離させた
もの同士を比べると、鉄製リングを用いて予め剥離させ
た伝熱管の塗膜付着量は前記のように、初期値の約9
8.5%に減少した。
【0075】剥離がある状態で加振すると、実施例1,
2では100時間加振しても塗膜付着量は低下しなかっ
たが、比較例1では加振開始直後から60時間まではほ
ぼ直線的に塗膜付着量が減少した。なお、60時間以降
は塗膜の低減量が減少した。
【0076】また、管外表面における水との接触角を図
7に示すが、親水性塗膜に剥離がない伝熱管についてみ
ると、実施例1,2共に100時間加振後においても接
触角は20度までしか増大しなかった。
【0077】これに対し、比較例1では図6において親
水性塗膜の剥離が起こり始める40時間以降は加振時間
の増加に伴って接触角が増加している。これは伝熱管の
母材(本実施例では銅)と親水性塗膜との密着性が、実
施例1,2に比べて比較例1の方が弱いことによるもの
である。
【0078】鉄製リングで親水性塗膜を剥離させた伝熱
管について見ると、実施例1,2は100時間加振後も
接触角の増加は10度以内に抑えられており、しかも2
0箇所の測定点のばらつき範囲が小さい。これに対し
て、比較例1では図6に示したように加振時間の増加に
伴って塗膜保持量が減少し、これに伴い接触角が大きく
なるのみならず、加振時間の増加に伴って20箇所の測
定点のばらつき大きくなっている。
【0079】ベア伝熱管についても上記と同一の加振試
験を実施した。結果については図示しないが、実施例
1,2の親水性塗膜では剥離なしの状態で100時間加
振しても伝熱管から親水性塗膜が剥離することはなかっ
た。しかし、100時間加振後の接触角は図7と同様に
20度まで増加した。
【0080】一方、比較例1の親水性塗膜では図6と同
様に40時間後から剥離が生じ、100時間後には伝熱
管外表面の塗膜保持量が50%まで低下した。この結
果、親水性塗膜の水との接触角は45度まで上昇した。
【0081】予め、鉄製リングで剥離を生じさせた伝熱
管について見ると、実施例1,2の親水性塗膜では、前
記のように、加振前の塗膜保持量が94%に低下した
が、加振したことによる塗膜の剥離はなかった。
【0082】一方、比較例1の伝熱管を加振すると、鉄
製リングで傷つけられた部分の周辺からの剥離が著し
く、加振50時間後には親水性塗膜の付着量はフィン付
き伝熱管より10%小さい40%にまで減少した。特
に、故意に剥離させた部分の接触角は80度に達した。
但し、20点の平均値は図7とほぼ同値の65度であっ
た。以上の結果から、ベア伝熱管の場合には鉄製リング
による剥離の影響が大きい。
【0083】伝熱管外表面の接触角は、実用上40度以
下であれば冷凍機起動時に熱交換量不足に陥ることはな
いと云われている。
【0084】比較例1の親水性塗膜は、鉄製リングで塗
膜を剥離させていない伝熱管であっても、加振時間が約
80時間で接触角が40度に達し、鉄製リングで塗膜に
傷をつけたものでは、約40時間後に接触角が40度に
達する。
【0085】これに対し、伝熱管の母材との密着性が強
い実施例1,2の親水性塗膜では、100時間経過後で
あっても20度以上に増加することはない。
【0086】このように、吸収式冷凍機の再生器および
/あるいは凝縮器の伝熱管表面にアクリル・ビニルアル
コール系親水性塗膜あるいはグリコール・アルコキシシ
ラン系親水性塗膜を形成することによって、伝熱管の母
材と親水性塗膜との密着性を高めることができる。
【0087】その結果、吸収液循環ポンプおよび/また
は冷媒循環ポンプの流体振動や外部からの機械振動等に
より、伝熱管表面からの親水性塗膜の剥離を防止できる
と云う効果がある。
【0088】吸収液循環ポンプおよび冷媒循環ポンプに
は、モータ軸と共に回転する、円板に流線形の板を放射
状に複数枚設置した構造の容量型ポンプが用いられてい
る。同ポンプで加圧した吸収液あるいは冷媒を、ポンプ
の軸受部に供給し潤滑している。軸受にはすべり軸受を
用いており、図8に運転中のすべり軸受部の模式断面図
を示す。
【0089】この状態では、ポンプの回転軸21は軸受
部材20と隙間δを保持しながら流体潤滑状態で回転し
ている。この状態で異物が軸受隙間に流入してきた場合
を想定する。
【0090】異物が隙間δより小さければ潤滑剤(ここ
では吸収液または冷媒で、その主成分は水である)と共
に隙間を通過してしまうから、軸受(回転軸と軸受部
材)が摩耗することはない。また、異物が隙間δより大
きければ異物は隙間には入り込まないから軸受が摩耗す
ることはない。
【0091】しかし、実際の機械では流体力による荷重
の変動があり、回転軸および軸受部材の真円度や円筒度
には、設計上許された範囲で寸法誤差(公差)があるか
ら、軸受隙間はδを中心にして変化している。従って、
軸受の材質、寸法精度、荷重変動、潤滑剤、回転速度、
運転時間、軸受温度などを一定にして、上記潤滑剤中に
シリカの微粉末を混入させて運転すると、図9のグラフ
に示すような摩耗特性が得られる。つまり、軸受荷重を
変動荷重の平均値として理論上得られる隙間δに近い大
きさのシリカを混入した時の摩耗量が最も多く、これよ
り±Δの範囲にある大きさのシリカであっても軸受が摩
耗する。
【0092】これは上記のように運転中の軸受隙間が最
小(δ‐Δ)から最大(δ+Δ)の範囲で変化している
ことを示している。
【0093】比較例1の親水性塗膜について、加振実験
を行った後の水について粒度分布を分析したところ、設
計上の理論隙間δが5μmに対して、塗膜の大きさ(面
の寸法)はいずれも8μm以上であった。従って、剥離
片がこのままの大きさを保っている限りにおいては、面
の方向からは軸受隙間に入ることはないから軸受が摩耗
することはない。
【0094】塗膜厚さは平均1.5μmであるから、単
一の剥離片が厚さ方向から軸受隙間に流入しても、隙間
を通過するから軸受を摩耗させることはない。しかし、
シリカ同士を結合している物質は、ウレタン樹脂である
から、循環ポンプ内で流体力が作用したり、ポンプの軸
受隙間内で機械的な荷重を受けると、シリカ単独の大き
さ(10〜200nm程度)まで破砕される。
【0095】この中間サイズの剥離片が軸受隙間に入っ
て軸受部材に刺さる(軸受部材は回転軸より硬度の小さ
い材質を用いるのが一般的である)と、軸受部材がヤス
リになって回転軸の摩耗を促進させる。
【0096】一方、実施例1,2では加振試験におい
て、親水性塗膜の剥離がなかったので比較例1の親水性
塗膜のように軸受摩耗を促進するようなことは全くない
が、仮に、伝熱管を支持プレートの孔に通す際に、剥離
した塗膜片がサイクル内に残存したとしても、塗膜は有
機化合物であるからその硬度は回転軸や軸受材質に比べ
て極めて小さい。従って、親水性塗膜の剥離片によっ
て、軸受摩耗が促進されることはない。
【0097】〔実施例 4〕図10は、吸収式冷凍サイ
クルをオフイスなどの空気調和装置に使用する場合の1
日の運転サイクルの一例を示したものである。
【0098】吸収式冷凍サイクルは密閉系であるから、
運転中に冷凍サイクルの外部から異物や汚染物質が混入
することはない。しかし、各機器を構成する鉄系材料の
表面残存する防錆剤や、伝熱管の引抜き加工時に用いた
潤滑油などが親水性塗膜の表面に付着すると、親水性が
低下(水との接触角が増加)する。
【0099】そして冷凍サイクルの休止中に伝熱管表面
の水が蒸発して、接触角が前記の40度を超えると、次
の起動時に冷凍サイクルの効率が著しく低下し、運転を
継続できなくなることがある。
【0100】上記の回避には、夜間の運転休止時間中に
伝熱管表面から水が無くなるのを防ぎ、常に、伝熱管表
面が水で濡れている状態を保つことが重要である。
【0101】ここでは、空気調和装置の運転を停止した
直後からの、時間に対する伝熱管表面の保水量の変化を
見るために下記の実験を行った。
【0102】まず、実施例1,2並びに比較例1の親水
性塗膜を形成した伝熱管の重さを秤量する。次ぎに、伝
熱管を水平に静置して家庭用の霧吹きで水を散布し、伝
熱管の外表面下部まで十分に水膜が回り込んでいること
を確認後、水の散布を停止する。その後、速やかに伝熱
管の下部に存在する水滴を布で吸収,除去してから伝熱
管の重さを秤量する。
【0103】ここでは水を散布する前後の重量差をもっ
て冷凍サイクルを停止した直後における管外表面の保水
量とした。
【0104】その後、25℃相対湿度65%の大気中に
11時間(夜間の運転休止時間)静置し、1〜3時間毎
に重さを秤量して保水量の時間変化(結果を図10に併
記)を見た。なお、図10の時刻は実験を行った時刻を
示すものではなく、同図に記した空調機の運転状態に合
わせたものである。
【0105】この結果、実施例1と比較例1は、共に最
大保水量が約30g/m2であり、大気中に静置して2
時間後には保水量が0になる。これに対して、実施例2
の親水性塗膜は、最大保水量が約53g/m2であり、
静置してから11時間後にも約7g/m2の水が存在す
る。これはウレタン・シリカ系親水性塗膜およびアクリ
ル・ビニルアルコール系親水性塗膜は、塗膜自身に保水
性がないのに対して、グリコール・アルコキシシラン系
親水性塗膜は、塗膜自身が吸水して水を保持する能力を
有していることによる。親水性塗膜自身が水を保持して
いると云うことは、親水性を有していることを意味する
から、伝熱管の外表面が何らかの理由で汚れた場合に
も、親水性が低下する現象を回避できると云う効果があ
る。
【0106】〔実施例 5〕吸収式冷凍機の蒸発器で
は、真空中で冷媒(水)を断熱的に膨張させることによ
って冷水をつくり、管内を温水が流れる伝熱管の外表面
にこの冷水を散布(あるいは滴下)して、管内を流れる
水の温度を低下させ、例えば、空気調和機の低熱源とし
て利用する。従って、管内外を流れる流体の間で効率良
く熱交換することが吸収式冷凍機の生命線となる。
【0107】そこで、蒸発器用伝熱管を想定して下記の
実験を行った。図11は実験装置の概略構造図である。
【0108】ヘッダー管24a、24bの間に伝熱管5
a、5b、5cを上下方向に対して一列に3段設置し、
ヘッダー管24aの下部から35℃の温水を流し込み、
ヘッダー管24bの下部から排水した。
【0109】ヘッダー管24aの入口とヘッダー管24
bの出口の水温TiおよびToを測定した。伝熱管5a
の真上に散布管22を設け、散布管22の下部に設けた
多数の小孔から冷水を伝熱管5aに滴下した。散布管2
2の上流部には散布水の水温を低下させるために冷却水
と熱交換する熱交換器26が設けてある。
【0110】散布管22の上流部には温度計を設置して
あり、この水温Twが10℃一定となるように、冷却水
弁27の開度を自動制御した。また、上記熱交換器26
の散布水配管出口に二方弁28を設けて、散布管22に
給水しない時は常時冷水を水槽29へ戻し、ポンプ30
により散布水を循環させている。散布管22へ給水する
場合には二方弁28の開度を調節することで散布水の水
量を制御した。
【0111】伝熱管5で加熱された水を、ポンプ31に
て水槽29へ戻した。散布管22、伝熱管5およびヘッ
ダー管24は、全て容器25内に設置し、その外側は断
熱材で断熱した。
【0112】ヘッダー管24aを介して伝熱管5a、5
b、5cに35℃の温水を流し、ヘッダー管24b出口
の水温が35℃に到達し、かつ、散布水の温度が10℃
になったことを確認後、二方弁28を予め設定された開
度まで開き測定を開始した。
【0113】測定項目は、二方弁28を開いてからの時
間と、温水出入口の温度ToおよびTiである。図12
に二方弁28を開いてからの時間sに対する温水出入口
の温度差Δt(Ti−To)を示す。同図の実験に用い
た伝熱管5は全てフィン付き伝熱管である。実施例1,
2および比較例1については鉄製リングを用いて初期剥
離を設けた伝熱管を、それぞれ超音波洗浄機で100時
間加振したものを用いた。また、実施例2の初期剥離が
無く、しかも加振していない伝熱管についても併せて評
価した。伝熱管は外径約16mm×内径約14mm×長
さ約1000mmで。温水の流量は300ml/分であ
る。
【0114】まず、実施例1,2の初期剥離あり加振1
00時間の伝熱管と、実施例2の初期剥離なし加振なし
の伝熱管とを比較すると、s=3分以内の間では実施例
2の初期剥離なし加振なしの伝熱管の方が、他の2本の
伝熱管に比べて僅かにΔtが大きい値を示している。し
かし、4分以降になると両者のΔtは同値を示してい
る。
【0115】次ぎに、これら3種類の伝熱管と比較例1
の初期剥離あり加振100時間の伝熱管とを比較する。
s=0ではΔt=0である。実施例1,2の初期剥離あ
り加振100時間の伝熱管と、実施例2の初期剥離なし
加振なしの伝熱管とは1分後からΔt>0となるのに対
し(温水出口温度Toが低下し始める)、比較例1の初
期剥離あり加振100時間の伝熱管では2分要する(温
水出口温度が低下し始める時間は2分後である)。
【0116】また、前者の3本の伝熱管では、約4分後
にはΔt=10℃に達したのに対して後者の伝熱管は4
分後でもΔt=7℃である。冷水の散布を開始してから
10分経過しても未だ両者の間に差がある。
【0117】また、比較例1の初期剥離なし加振100
時間の伝熱管については結果を示さなかったが、前者3
本の伝熱管と後者の伝熱管とのほぼ中間の値であった。
【0118】ベア伝熱管についての実験結果は図示しな
かったが、実施例3で述べた加振試験の結果に対応した
特性が得られた。即ち、ベア伝熱管では管外の表面積が
フィン付き伝熱管に比べて1.9分の1だから、Δtは
フィン付き伝熱管の1.9分の1となるが、管外冷却水
と管内温水との温度差が大きくなるので、その分交換熱
量が増加する。従って、Δtの到達温度は、本実験の条
件下ではフィン付き伝熱管が約12℃であるのに対しベ
ア伝熱管では約7℃である。
【0119】実験の結果、冷水散布開始から10分後の
Δtを見ると、比較例1の初期剥離あり加振100時間
の伝熱管が最もΔtが小さく約4℃で、比較例1の初期
剥離なし加振100時間の伝熱管のΔtは約4.5℃で
あった。
【0120】実施例1,2の初期剥離あり加振100時
間の伝熱管と、実施例2の初期剥離なし加振なしの伝熱
管ではΔtは6.5℃に達した。
【0121】上記したように、比較例1の伝熱管は初期
剥離の有無にかかわらず、また、ベア伝熱管、フィン付
き伝熱管共にこれを加振することによって、伝熱管の外
表面に形成した親水性塗膜が剥離するから、伝熱管外表
面に散布した冷水と管内を流れる温水との間の熱交換量
が低下し、温水の出口温度が設計温度まで低下するのに
時間がかかる。
【0122】これに対して、実施例1,2の伝熱管では
初期剥離がある状態で100時間加振しても、初期剥離
なしで加振しない伝熱管とほぼ同等の熱交換量が得られ
る。つまり、吸収式冷凍機の蒸発器用伝熱管に実施例
1,2の親水性塗膜を形成することによって、長期間に
亘って高効率で運転できると云う効果がある。
【0123】
【発明の効果】本発明によれば、伝熱管の母材と親水性
塗膜との結合力が強い塗膜が得られるので、流体や機械
の加振力によって、親水性塗膜が伝熱管表面から剥離す
ることが無く、これによって長期間に亘り高い親水性を
維持できる。
【0124】さらに、吸収式冷凍機を効率良く運転でき
ると云う効果がある。特に、グリコール・アルコキシシ
ラン系の親水性塗膜は塗膜自身に吸水性があるから、防
錆剤や潤滑油などによって、親水性塗膜の表面が汚染さ
れた場合にも親水性を保持できると云う優れた効果があ
る。
【0125】また、本発明の親水性塗膜は有機化合物で
あるから、熱交換器組立て時に生じた親水性塗膜の剥離
片が残存していても、吸収液循環ポンプや冷媒循環ポン
プの軸受の摩耗を促進することがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】単効用型吸収式冷凍機の冷凍サイクルの機器構
成を示す模式図である。
【図2】ベア伝熱管外表面に親水性塗膜を形成したとき
の伝熱管の断面図である。
【図3】フィン付き伝熱管外表面に、親水性塗膜を形成
したときの伝熱管の断面図である。
【図4】フィン付き伝熱管の一方の端部を示す構造図で
ある。
【図5】はシェルアンドチューブ型熱交換器の伝熱管と
ヘッダープレート、支持プレートとの構造を示す模式断
面図である。
【図6】実施例3における実験結果を示すグラフであ
る。
【図7】実施例3における実験結果を示すグラフであ
る。
【図8】循環ポンプのすべり軸受の構造を示す模式断面
図である。
【図9】潤滑剤中の硬質粒子(砥粒)の大きさと軸受の
摩耗量との関係を示すグラフである。
【図10】実施例4における空気調和装置の運転状況と
伝熱管外表面の保水量との関係を示すグラフである。
【図11】本発明の伝熱管を吸収式冷凍機の蒸発器の伝
熱管に用いた実験装置の構成を示す概略図である。
【図12】本発明の伝熱管を吸収式冷凍機の蒸発器に使
用した場合の効果を比較したグラフである。
【符号の説明】
1…蒸発器、2…吸収器、3…再生器、4…凝縮器、
5,6,7…伝熱管、8…冷媒循環ポンプ、9…冷媒散
布管、10…溶液熱交換器、11…溶液散布管、12…
吸収液循環ポンプ、13…母材、14…浸水性塗膜、1
5…フィン、16…指示プレート、17…ヘッダープー
レト、18…孔、19…突起、20…軸受部材、21…
回転軸、22…散布管、23…拡管治具、24…ヘッダ
ー管、25…容器、26…熱交換器、27…冷却水弁、
28…二方弁、29…水槽、30,31…ポンプ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 伊藤 豊 茨城県日立市大みか町七丁目1番1号 株 式会社日立製作所日立研究所内 (72)発明者 清藤 雅宏 茨城県土浦市木田余町3550番地 日立電線 株式会社土浦工場内 Fターム(参考) 3L093 LL18 LL20 MM04 MM05

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アクリル・ビニルアルコール系の塗料、
    または、ポリエチレングリコールおよびアミノ基とアル
    コキシシラン残基とを有する化合物を含む塗料を塗布
    し、熱処理して親水性塗膜を形成したことを特徴とする
    吸収式冷凍機用伝熱管。
  2. 【請求項2】 冷媒を伝熱管の外表面で蒸発させ、該伝
    熱管内を流れる負荷回路の水を冷却する蒸発器、再生器
    内で冷媒を分離,蒸発して濃縮再生する吸収器、該吸収
    器内で冷媒を吸収して希釈された吸収液を加熱して冷媒
    を蒸発,分離する再生器、該再生器内で発生した冷媒蒸
    気を冷却して凝縮させる凝縮器と、これら連結する管
    路、吸収液および冷媒の循環させるポンプを備えた吸収
    式冷凍機において、少なくとも前記蒸発器に用いる伝熱
    管の表面に、アクリル・ビニルアルコール系の水性塗
    料、または、ポリエチレングリコールおよびアミノ基と
    アルコキシシラン残基とを有する化合物を含む塗料を塗
    布し、熱処理して親水性塗膜を形成したことを特徴とす
    る吸収式冷凍機。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20230088340A (ko) 2020-10-13 2023-06-19 쿠리타 고교 가부시키가이샤 순환냉각수의 처리방법 및 냉각성능 향상방법

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