JP2002370971A - 安定な腸溶性糖衣錠の製造法 - Google Patents
安定な腸溶性糖衣錠の製造法Info
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Abstract
後、水溶性高分子及び/又は水溶性糖類から成る膜厚2
0〜300μmの層を形成し、次いで糖衣層を形成する
ことを特徴とする、安定な腸溶性糖衣錠の製造法。 【効果】 糖衣錠の変色やびパンク、ひび割れのない、
安定な腸溶性糖衣錠を製造することができる。
Description
錠の製造法に関するもので、特に経時的な糖衣錠の変色
及びパンクを防止した腸溶性糖衣錠の製造法に関するも
のである。
種多様であり、ノウハウ化されて明らかにされていない
ことが多いが、「医薬品のコーティング」(日本工業技
術連盟)や、「医薬品開発基礎講座18製剤工学」(地
人書館)によれば、概ね中心錠の上にフィルム層、サブ
コーティング層、スムージング層を順次形成し、さらに
水分の透過を防ぐ緻密なショ糖の層を形成し、最後にワ
ックス類で艶出しすることにより製造される。
ためのサブコーティング(通例、糖衣液としてゼラチ
ン、アラビアゴム末、白糖の水溶液、散布剤としては沈
降炭酸カルシウム、タルク、白糖及びアラビアゴム末の
混合物)、表面を滑らかにするためのスムージング(通
例、糖衣液としてゼラチン、アラビアゴム末、白糖の水
溶液に沈降炭酸カルシウムあるいはタルクを加えたも
の)、さらに滑らかで緻密な着色層を作るためのカラー
リング(通例、着色剤及びゼラチンを加えた単シロップ
液を淡色のものから始め漸次濃厚色液を用いる)、仕上
げのフィニシング(通例、着色剤を加えた単シロップ
液)、及びつや出しのポリシング(通例、白ろう又はカ
ルナウバロウ)からなる。これらの各操作は糖衣液(サ
ブコーティングでは適量の散布剤を混ぜる)を交互に繰
り返し被覆することにより行われる。糖衣層の通気性・
浸透性の抑制効果は、白糖結晶からなる緻密なカラーリ
ング層に依存している。
リで溶解する腸溶性高分子をコーティングした後、サブ
コーティング層、スムージング層、カラーリング層及び
フィニシング層からなる糖衣層を形成して製造する。腸
溶性製剤は、酵素類のように胃液によって失活するか又
は効果を低減する薬剤やアスピリンなどのように胃を刺
激したり、胃の消化作用の障害を招く薬剤や腸内濃度を
高める必要のある薬剤の製剤に用いられる。
ス系、ビニル系又はアクリル系等の、酸性で実質的に不
溶性であるがアルカリ性にて溶解性の高分子材料が使わ
れている。これらの腸溶性コーティング剤は、有機溶媒
に溶解してコーティングするか、ヒドロキシプロピルメ
チルセルロースアセテートサクシネート(HPMCA
S)、カルボキシメチルエチルセルロース(CMEC)
のようなセルロース系高分子は水に分散してコーティン
グされている。また、オイドラギットL30D55のよ
うにラテックスタイプの水系コーティング剤を使用する
ことも多い。また、最近では、ヒドロキシプロピルメチ
ルセルロースアセテートサクシネート(HPMCAS)
を液状の可塑剤を噴霧しながら乾式コーティングする方
法も開発されている。
は、ひび割れやパンク及び色調の経時変化を起こしやす
い等の問題点があった。これらの問題は主として、サブ
コーティング層、スムージング層の糖衣の各層形成が、
ゼラチン、アラビアゴム末、ショ糖、沈降炭酸カルシウ
ム、カオリン、タルクなどを水に溶解又は分散した糖衣
液を素錠に添加する工程と乾燥する工程とを交互に繰り
返し被覆する工程から成るが、この糖衣操作中で、糖衣
液中の水分が中心錠に若干侵入することが避けられず、
しかも糖衣層の最後の層であるカラーリング層は水蒸気
の透過性が極めて低いため、外部からの水蒸気の遮断は
完全にするが中心錠に侵入した水分を放出することがで
きず、中心錠が水分に不安定な薬物の場合、薬剤の分解
を促進することになる、ということに起因する。また、
このことが糖衣錠のパンクやひび割れ、変色の原因にも
なる。特に、水系コーティング及び乾式コーティングで
は可塑剤を多く使用するため、これらのコーティング剤
で腸溶性の糖衣錠を製造した場合、可塑剤の影響も加わ
り、さらに糖衣錠のひび割れ、パンクや変色といった問
題が生じることになる。
時の錠剤の乾燥を十分に実施することや、中心錠にあら
かじめ防水用のフィルムをコーティングし、その後サブ
コーティング層形成以降の糖衣操作に移行する方法をと
ることも考えられる。この防水フィルムを形成する工程
をプロテクティブコーティングと呼んでいるが、使用す
るフィルムは、水分に対してバリアー性のものである必
要があるため、セラックや水に不溶なコーティング剤な
どがよく使用される。そのためフィルムの厚さが直接錠
剤の崩壊性・溶出性に影響を及ぼすため、フィルム厚さ
の制御に注意が必要である等の難点があり、糖衣錠のひ
び割れ、パンク、変色の防止策としては完全なものとは
言い難い。
ラーリング層やフィニシング層にピグメントや結合剤を
添加して糖衣層の剥離やひび割れを防止する方法が;特
開平11−116467号には、糖衣錠に水及び低級ア
ルコールの双方に可溶性の高分子から成る膜を施すこと
により糖衣錠の強度を高める方法が;特開平7−558
98号には、糖衣材料としてショ糖の代わりに高純度の
マルチトールとプルランを使用して耐衝撃性を高め、ひ
び割れ、破損、経時的な変化を防止する方法が、それぞ
れ記載されている。しかしながら、いずれの方法でも完
璧な方法とは言い難い。従って、経時的な糖衣錠の変色
及び糖衣錠のパンクのない、安定な腸溶性の糖衣錠の製
造方法が強く求められていた。
高分子をコーティングした後、水溶性高分子及び/又は
水溶性糖類から成る膜厚20〜300μmの層を形成
し、次いで糖衣層を形成することを特徴とする、腸溶性
糖衣錠の製造法である。
ては、セルロース系高分子、例えばセルロースアセテー
トフタレート(CAP)、ヒドロキシプロピルメチルセ
ルロースフタレート(HPMCP)、ヒドロキシプロピ
ルメチルセルロースアセテートサクシネート(HPMC
AS)、又はカルボキシメチルエチルセルロース(CM
EC)等;ビニル系高分子、例えばポリビニルアルコー
ルアセテートフタレート(PVAP);アクリル系高分
子、例えばメタアクリル酸とアクリル酸エチルの共重合
体(メタアクリル酸コポリマーL、S)等、酸性で実質
的に不溶性であるがアルカリ性にて溶解性の高分子材料
が使用できる。好ましい腸溶性コーティング剤はHPM
CASである。腸溶性コーティングは、液体状の可塑剤
を素錠に噴霧しながら微粉末状の腸溶性高分子材料を乾
式コーティングすることにより行うことができる。さら
に、腸溶性コーティング剤を有機溶媒に溶解してコーテ
ィングするか、水に分散してコーティングするか、ある
いはラテックスタイプの液をコーティングしてもよい。
溶性高分子及び/又は水溶性糖類の層の水溶性高分子と
しては、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒ
ドロキシフィルムメチルセルロース(HPMC)、メチ
ルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウ
ム、ヒドロキシエチルセルロース、メチルヒドロキシエ
チルセルロース等の水溶性セルロース系高分子;及びプ
ルラン、ポリビニルアルコールなどを使用することがで
きる。これらのうち、水溶性セルロース系高分子、特に
ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)が好
ましい。水溶性糖類としては、ショ糖、マンニトール、
ブドウ糖、乳糖などを使用することができる。これらの
うち、ショ糖が好ましい。上記の水溶性高分子及び水溶
性糖類は、それぞれを単独で用いても、両者を混合した
ものを用いても、あるいは水溶性高分子上に水溶性糖類
を又は水溶性糖類上に水溶性高分子をコーティングして
もよい。
膜厚は、20μm以上、通常22〜300μm、好まし
くは40〜200μm、特に好ましくは48〜150μ
mである。詳しくは、水溶性糖類単独の場合、前記層の
膜厚は通常40〜300μm、好ましくは48〜200
μm、特に好ましくは60〜150μmである。水溶性
高分子単独又は水溶性高分子と水溶性糖類との併用の場
合、前記層の膜厚は通常20〜300μm、好ましくは
22〜200μm、特に好ましくは50〜150μmで
ある。20μm未満では充分なパンク防止及び変色防止
の効果が得られない。水溶性高分子の層と水溶性糖類の
層を別個にコーティングする場合は、両者の層の膜厚の
合計が上記範囲になるようにすればよい。上記の水溶性
高分子及び水溶性糖類は、それぞれ水溶液の形態で腸溶
性コーティング錠剤上に塗布する。例えば、ショ糖等の
糖類を用いた場合は10〜80(重量)%の水溶液の形
態で、そしてHPMC等の水溶性高分子を用いた場合は
1〜30(重量)%の水溶液の形態で用いることができ
る。
形成した後の糖衣層形成は、通常、サブコーティング、
スムージング、カラーリング及びフィニシングの1種以
上を含む糖衣操作により行われ、その後、必要に応じて
ポリシング(艶出し)を行う。
ティング層を形成させた後、水溶性糖類の層を形成し、
その上に水溶性高分子(特にHPMC)の層を形成し、
最後にショ糖のシロップを用いてカラーリング層を形成
して糖衣錠とすることもできる。
するが、本発明はこれに限定されるものではない。
m、4.5Rの杵にて1錠あたり55mgで作製した。そ
の錠剤硬度は2.8kgで、崩壊時間(試験液:水)は6
〜8分であった。この錠剤4.7kgを通気式パンコーテ
ィング機器(Hicoater HCT-48 フロイント産業(株)
製)に仕込み、吸気温度50℃、品温45℃、回転数1
6rpmで、クエン酸トリエチル/グリセリン脂肪酸エス
テル(35/20)の可塑剤液をスプレー速度20g/
minで噴霧しながら、ヒドロキシプロピルメチルセルロ
ースアセテートサクシネート(商品名AS−MF信越化
学工業(株)製)/タルク比(10/6)を均一に混合
した粉体を58g/minで散布して乾式コーティングを
行い、1錠67mgの腸溶性フィルム錠を得た。
ーティング機器(ハイコーター48型 フロイント産業
(株)製)を用いて、65%ショ糖シロップで1錠あた
り5mg、膜厚48μmのショ糖の層(皮膜)を形成し
た。さらに、カオリン10%、炭酸カルシウム10%、
タルク5%、酸化チタン5%、アラビアゴム末4%及び
ショ糖40%よりなる水懸濁液で1錠あたり35mgのス
ムージング層を形成した。最後に、タール色素を添加し
た65%ショ糖シロップを用いて1錠あたり5mgのカラ
ーリング層を形成し、ワックスで艶出しをして腸溶性の
糖衣錠を得た。
ーティング機器(ハイコーター48型 フロイント産業
(株)製)を用いて65%ショ糖のシロップでショ糖9
mg、膜厚86μmの皮膜を形成した。さらに、実施例1
と同様にスムージング層及びカラーリング層の形成、艶
出しをして、腸溶性の糖衣錠を得た。
ーティング機器(ハイコーター48型 フロイント産業
(株)製)を用いて65%ショ糖のシロップでショ糖1
3mg、膜厚124μmの皮膜を形成した。さらに、実施
例1と同様にスムージング層及びカラーリング層の形
成、艶出しをして、腸溶性の糖衣錠を得た。
コーティング機器(ハイコーター48型 フロイント産
業(株)製)を用いて6%ヒドロキシプロピルメチルセ
ルロース(HPMC)(TC−5 R 信越化学工業
(株)製)水溶液でヒドロキシプロピルメチルセルロー
ス3mg、膜厚22μmの水溶性皮膜を形成した。さら
に、実施例1と同様にスムージング層及びカラーリング
層の形成、艶出しをして腸溶性の糖衣錠を得た。
ーティング機器(ハイコーター48型 フロイント産業
(株)製)を用いて6%ヒドロキシプロピルメチルセル
ロース(TC−5 R 信越化学工業(株)製)水溶液
でヒドロキシプロピルメチルセルロース7mg、膜厚52
μmの水溶性皮膜を形成した。さらに、実施例1と同様
にスムージング層及びカラーリング層の形成、艶出しを
して、腸溶性の糖衣錠を得た。
コーティング機器(ハイコーター48型 フロイント産
業(株)製)を用いて6%ヒドロキシプロピルメチルセ
ルロース(TC−5 R 信越化学工業(株)製)水溶
液でヒドロキシプロピルメチルセルロース10mg、膜厚
75μmの水溶性皮膜を形成した。さらに、実施例1と
同様にスムージング層及びカラーリング層の形成、艶出
しをして、腸溶性の糖衣錠を得た。
コーティング機器(ハイコーター48型 フロイント産
業(株)製)を用いて65%のショ糖のシロップでショ
糖3mg、膜厚28μmの層を形成し、次に6%ヒドロキ
シプロピルメチルセルロース(TC−5 R 信越化学
工業(株)製)水溶液でヒドロキシプロピルメチルセル
ロース10mg、膜厚75μmの水溶性皮膜を形成した。
さらに、最後に、タール色素を添加した65%ショ糖シ
ロップで1錠あたり5mgのカラーリング層を形成し、ワ
ックスで艶出しをして腸溶性の糖衣錠を得た。
コーティング機器(ハイコーター48型 フロイント産
業(株)製)を用いて65%のショ糖のシロップでショ
糖6mg、膜厚57μmの層を形成し、次に6%ヒドロキ
シプロピルメチルセルロース(TC−5 R 信越化学
工業(株)製)水溶液でヒドロキシプロピルメチルセル
ロース10mg、膜厚75μmの水溶性皮膜剤層を形成し
た。さらに、最後に、タール色素を添加した65%ショ
糖シロップで1錠あたり5mgのカラーリング層を形成
し、ワックスで艶出しをして腸溶性の糖衣錠を得た。
コーティング機器(ハイコーター48型 フロイント産
業(株)製)を用いて炭酸カルシウム10%、タルク5
%、酸化チタン5%、アラビアゴム末4%及びショ糖4
0%よりなる水懸濁液で1錠あたり35mgのスムージン
グ層を形成した。次に、タール色素を添加した65%シ
ョ糖シロップで1錠あたり5mgのカラーリング層を形成
し、ワックスで艶出しをして腸溶性の糖衣錠を得た。
コーティング機器(ハイコーター48型 フロイント産
業(株)製)を用いて65%のショ糖のシロップでショ
糖2mg、膜厚19μmの層を形成した。さらに、実施例
1と同様にスムージング層及びカラーリング層の形成、
艶出しをして、腸溶性の糖衣錠を得た。
コーティング機器(ハイコーター48型 フロイント産
業(株)製)を用いて6%のヒドロキシプロピルメチル
セルロース(TC−5 R 信越化学工業(株)製)水
溶液でヒドロキシプロピルメチルセルロース2mg、膜厚
15μmの水溶性皮膜層を形成した。さらに、実施例1
と同様にスムージング層及びカラーリング層の形成、艶
出しをして、腸溶性の糖衣錠を得た。
を50℃の条件で保存し、1ヵ月後の糖衣錠のパンク及
び外観変化を観察した。その結果を、表2に示す。
工業(株)製)にて各検体の製造時をターゲットして5
0℃、1ヵ月の検体を測定した値を示した。 ΔE=3以下:製造時と比較し、変化なし ΔE=3〜5:製造時と比較し、わずかに変化している ΔE=5〜10:製造時と比較し、明らかに変化している
高分子及び/又は水溶性糖類をコーティングすることに
より、糖衣錠の変色及びパンクなどのない安定な腸溶性
糖衣錠を製造することが可能となる。
Claims (3)
- 【請求項1】 素錠に腸溶性高分子をコーティングした
後、水溶性高分子及び/又は水溶性糖類から成る膜厚2
0〜300μmの層を形成し、次いで糖衣層を形成する
ことを特徴とする、腸溶性糖衣錠の製造法。 - 【請求項2】 水溶性高分子及び/又は水溶性糖類の層
がヒドロキシプロピルメチルセルロースを含む、請求項
1記載の腸溶性糖衣錠の製造法。 - 【請求項3】 素錠への腸溶性高分子のコーティング
が、素錠に可塑剤を噴霧しながら微粉末状の腸溶性高分
子を散布被覆する乾式コーティング法によることを特徴
とする、請求項1又は2記載の腸溶性糖衣錠の製造法。
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