JP2002369875A - 生体材料およびその製造方法 - Google Patents

生体材料およびその製造方法

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JP2002369875A
JP2002369875A JP2001180924A JP2001180924A JP2002369875A JP 2002369875 A JP2002369875 A JP 2002369875A JP 2001180924 A JP2001180924 A JP 2001180924A JP 2001180924 A JP2001180924 A JP 2001180924A JP 2002369875 A JP2002369875 A JP 2002369875A
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Kikuji Yamashita
菊治 山下
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Abstract

(57)【要約】 【課題】石灰化能を備え、生体親和性および強度が高
く、生体への使用が可能であり、生体以外に使用した場
合に廃棄処理が容易である生体材料およびその製造方法
を提供する。 【解決手段】生体内に埋め込まれて使用される材料であ
って、基礎材料10の表面にカルシウム化合物の層13
が形成されており、基礎材料10のカルシウム化合物の
層13の表面に、架橋コラーゲン14が結合された。こ
のため、基礎材料10がどのような素材であっても、生
体親和性を向上させることができる。しかも、カルシウ
ム化合物の層13の表面には、架橋コラーゲン14が結
合されているので、生体材料1の生体親和性をさらに高
めることができるので、生体内に埋め込んだときに、生
体に悪影響を与えることを防ぐことができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、生体材料およびそ
の製造方法に関する。さらに詳しくは、人体において、
損傷した骨や関節の補強材や人工骨、人工関節として使
用され、また人体以外にも、一般的な家庭用品や建築材
料、自動車部品などに使用される生体材料およびその製
造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、骨折した骨同士を固定するた
めの補強部材や、欠損した骨の代用として、強度の高い
チタン製の生体材料が使用されている。チタンは、石灰
化能を有しており、人体内において、その表面に骨の成
分であるハイドロキシアパタイトの層を形成するため、
チタン製の生体材料とその周辺の骨との親和性が良く、
また、チタンは化学的にも安定であるので、人体内に埋
め込んでも人体に悪影響を与えることがない。
【0003】また、手術用の縫合糸やGTR膜、骨再建
用プレートとしてポリ乳酸やポリグリコール酸等の生体
吸収性材料が使用されている。この生体吸収性材料は、
その成分が人体を構成する成分に近いため、人体内に埋
め込んでおくと、人体に吸収されたり、骨等と同一化す
るという特徴がある。このため、縫合糸に使用した場
合、抜糸が不要であるし、骨再建用プレートとして使用
すれば、骨再建用プレートが骨と同一化し、そのまま骨
の一部として使用できるという特徴がある。
【0004】一方、前記生体吸収性材料を、生体材料だ
けでなく、一般的な家庭用品等に使用することが試みら
れている。例えば、使い捨ての皿等の材料として生体吸
収性材料を使用すれば、使用後土に埋めれば、皿が土中
のバクテリアによって分解されてしまうので、廃棄処理
が容易になり、環境を汚染することもない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかるに、チタンは、
その強度が高いため加工が難しく、また高価であるの
で、それほど強度を必要としない個所には、チタン以外
の安価で加工が容易な金属材料を使用したい。しかし、
チタン以外の金属材料は、石灰化能を有していないもの
がほとんどであり、そのような金属材料は細胞毒性を有
しており、人体に使用すれば、周辺組織を壊死させる
か、あるいは結合組織により被包化され生体より排除さ
れてしまうという問題がある。また、チタンやチタン以
外の金属表面にリン酸カルシウムをコートして生体親和
性を向上させたものや、金属表面にカルシウムイオンを
注入して石灰化能を付与した材料もある。しかし、前者
はリン酸カルシウムと金属の界面には、両者が混在する
層が形成されていないので、リン酸カルシウムと金属と
の結合が弱い。このため、リン酸カルシウムの表面にハ
イドロキシアパタイトの層ができても、ハイドロキシア
パタイトの層はリン酸カルシウムとともに金属材料の表
面から剥がれてしまう。一方、後者は金属材料の表面
に、ハイドロキシアパタイトと金属材料の混在する層が
形成されるが、カルシウムイオンを注入するための高度
な機械と技術が必要であり、製造が難しく、製造コスト
が高くなるという問題がある。かといって、チタンの代
わりに生体吸収性材料を使用すれば、生体との親和性が
高いので、人体に悪影響は与えないが、生体吸収性材料
はその強度が低く、また強度が低いため所望の3次元形
状を形成し維持させることが困難である。したがって、
生体吸収性材料は、限られた部分にしか使用できないと
いう問題がある。現在、生体吸収性材料の表面に、ハイ
ドロキシアパタイトをコーティングしたり、コラーゲン
と結合させてグルタールアルデヒド処理したりする方法
も研究されているが、いずれも生体吸収性材料の強度を
十分に亢進できていない。さらに、生体吸収性材料を、
日用品や様々な家庭用品、自動車等の部品の素材として
使用すれば、その廃棄処理が容易になるし、廃棄物によ
る環境汚染の問題を解決する上で非常に有効である。し
かし、生体吸収性材料は、強度が低いだけではなく、耐
熱性も低いので、実際に日用品等の材料として使用する
には、さらなる研究開発が必要である。
【0006】本発明はかかる事情に鑑み、石灰化能を備
え、生体親和性および強度が高く、生体への使用が可能
であり、生体以外に使用した場合に廃棄処理が容易であ
る生体材料およびその製造方法を提供することを目的と
する。
【0007】
【課題を解決するための手段】請求項1の生体材料は、
生体内に埋め込まれて使用される材料であって、基礎材
料の表面にカルシウム化合物の層が形成されており、該
基礎材料のカルシウム化合物の層の表面に、架橋コラー
ゲンが結合されたことを特徴とする。請求項2の生体材
料は、請求項1の発明において、前記カルシウム化合物
の層の表面および架橋コラーゲンに珪素が含浸されたこ
とを特徴とする。請求項3の生体材料は、請求項1また
は2記載の発明において、前記架橋コラーゲンの表面
が、カルシウム化合物によって覆われたことを特徴とす
る。請求項4の生体材料は、生体内に埋め込まれて使用
される材料であって、基礎材料の表面に珪素が含浸され
たことを特徴とする。請求項5の生体材料は、請求項
1、2、3または4記載の発明において、前記基礎材料
が、その表面にチタンまたはチタン合金の層を有するこ
とを特徴とする。請求項6の生体材料は、生体内に埋め
込まれて使用される材料であって、その表面にチタンま
たはチタン合金の層が形成されたことを特徴とする。請
求項7の生体材料は、請求項5または6記載の発明にお
いて、前記チタンまたはチタン合金の層の表面に珪素が
含浸されたことを特徴とする。請求項8の生体材料は、
請求項1、2、3、4、5、6または7記載の発明にお
いて、前記基礎材料が、生体吸収性材料であることを特
徴とする。請求項9の生体材料の製造方法は、(1)前
記基礎材料の表面にカルシウム化合物の層を形成させる
第一工程と、(2)前記カルシウム化合物の層の表面
に、架橋コラーゲンを結合させる第二工程とからなるこ
とを特徴とする。請求項10の生体材料の製造方法は、
請求項9記載の発明において、前記第二工程が、前記カ
ルシウム化合物の層にコラーゲンを結合させる前工程
と、前記コラーゲンを、架橋コラーゲンに変質させる後
工程とからなることを特徴とする。請求項11の生体材
料の製造方法は、請求項9または10記載の発明におい
て、前記第一工程を行う前に、前記基礎材料の表面にチ
タンの層を形成させることを特徴とする。請求項12の
生体材料の製造方法は、請求項9、10または11記載
の発明において、前記第一工程を行う前に、前記基礎材
料の表面に珪素を含浸させることを特徴とする。請求項
13の生体材料の製造方法は、請求項9、10、11ま
たは12記載の発明において、前記第二工程の終了後
に、前記カルシウム化合物の層および前記架橋コラーゲ
ンに珪素を含浸させることを特徴とする。請求項14の
生体材料の製造方法は、請求項9、10、11、12ま
たは13の発明において、前記第二工程の終了後に、前
記架橋コラーゲンの表面にカルシウム化合物を結合させ
ることを特徴とする。
【0008】請求項1の発明によれば、基礎材料の表面
にカルシウム化合物の層が形成されているので、基礎材
料がどのような素材であっても、生体親和性を付与する
ことができる。しかも、このカルシウム化合物の層の表
面には、架橋コラーゲンが結合されているので、基礎材
料の生体親和性をさらに高めることができる。したがっ
て、生体内に埋め込んだときに、生体に悪影響を与える
ことを防ぐことができる。また、架橋コラーゲンは強度
が高いので、たとえ基礎材料の強度が低く脆いものであ
っても、その強度を高くすることができる。請求項2の
発明によれば、カルシウム化合物の層、および架橋コラ
ーゲンに珪素を含浸させることによって、カルシウム化
合物および架橋コラーゲンの石灰化能を向上させること
ができる。請求項3の発明によれば、生体材料の表面全
体がカルシウム化合物によって覆われているので、生体
材料の強度をさらに高くすることができ、耐熱性を高く
することができ、しかも、その表面を滑らかにすること
ができる。請求項4の発明によれば、基礎材料に石灰化
能を付与することができる。したがって、基礎材料の表
面にカルシウム化合物の層を形成させれば、基礎材料が
どのような材料であっても、生体親和性を付与すること
ができる。したがって、生体内に埋め込んだときに、生
体に悪影響を与えることを防ぐことができる。しかも、
カルシウム化合物の層は、珪素、基礎材料およびカルシ
ウム化合物が混在する層を介して基礎材料と強固に結合
される。よって、生体内に使用しても、カルシウム化合
物の層が基礎材料から剥がれて、基礎材料が直接生体と
接触することを防ぐことができる。請求項5の発明によ
れば、チタンおよびチタン合金は石灰化能を有している
ので、基礎材料に生体親和性を付与することができる。
しかも、チタン等は強度が高いので、基礎材料がどのよ
うな材料であっても、基礎材料の強度を高くすることが
できる。請求項6の発明によれば、チタンおよびチタン
合金は石灰化能を有しているので、基礎材料に生体親和
性を付与することができる。このため、生体内に埋め込
んだときに、生体に悪影響を与えることを防ぐことがで
きる。しかも、チタン等は強度が高いので、基礎材料が
どのような材料であっても、生体材料の強度を高くする
ことができる。請求項7の発明によれば、チタンおよび
チタン合金の表面に珪素を含浸させることによって、チ
タンおよびチタン合金の石灰化能をさらに向上させるこ
とができるので、生体材料の生体親和性をさらに向上さ
せることができる。請求項8の発明によれば、生体吸収
性材料の強度が、チタンや架橋コラーゲンによって強化
されているので、生体の骨の代替品や、生体材料以外の
部材、例えば一般的な家庭用品や建築材料、自動車部品
などを形成することができる。とくに、生体材料の表面
をカルシウム化合物によって覆ってしまえば、建築材
料、自動車部品等のうち特に強度が必要とされるもので
あっても形成することができる。そして、生体吸収性材
料を基礎材料とする生体材料で形成された部材を、生体
の骨の代替品として使用すれば、基礎材料が生体を構成
する成分と同等の構成を有しているので、生体内に埋め
込んだときに、生体に悪影響を与えることを防ぐことが
できる。しかも、長期間生体内に使用すれば、生体と同
一化され、そのまま骨の一部として使用することができ
る。また、生体吸収性材料を基礎材料とする生体材料で
形成された部材を、生体材料以外に使用すれば、土に埋
めるかバクテリア槽に浸漬すればバクテリアによって分
解されるので、家庭用品等の廃棄処理を容易にすること
ができるし、環境を損なうこともない。請求項9の発明
によれば、基礎材料の表面にカルシウム化合物の層を形
成させれば、基礎材料がどのような素材であっても、生
体親和性を付与することができる。しかも、このカルシ
ウム化合物の層の表面に、架橋コラーゲンを結合させる
ので、基礎材料の生体親和性をさらに高めることができ
る。したがって、生体内に埋め込んだときに、生体に悪
影響を与えない生体材料を製造することができる。ま
た、架橋コラーゲンは強度が高いので、たとえ基礎材料
の強度が低く脆いものであっても、その強度が高い生体
材料を製造することができる。請求項10の発明によれ
ば、コラーゲンをカルシウム化合物の層に結合させてか
ら架橋化するので、架橋コラーゲンとカルシウム化合物
を容易に結合させることができ、その結合も強固にな
る。そして、カルシウム化合物の層の表面に、架橋コラ
ーゲンを結合させるので、基礎材料の生体親和性をさら
に高めることができる。したがって、生体内に埋め込ん
だときに、生体に悪影響を与えない生体材料を製造する
ことができる。また、架橋コラーゲンは強度が高いの
で、たとえ基礎材料の強度が低く脆いものであっても、
その強度が高い生体材料を製造することができる。請求
項11の発明によれば、チタンおよびチタン合金は石灰
化能を有しているので、基礎材料の表面に、カルシウム
化合物の層を容易に形成することができる。しかも、チ
タン等は強度が高いので、基礎材料がどのような材料で
あっても、基礎材料の強度を高くすることができる。請
求項12の発明によれば、基礎材料がどのような材料で
あっても、基礎材料に石灰化能が付与されるので、基礎
材料の表面に、容易にカルシウム化合物の層を形成する
ことができる。しかも、カルシウム化合物の層は、珪
素、基礎材料およびカルシウム化合物が混在する層を介
して基礎材料と強固に結合される。したがって、生体内
に使用しても、カルシウムの層が基礎材料から剥がれ
て、基礎材料が直接生体と接触することを防ぐことがで
きるので、生体に悪影響を与えることを防ぐことができ
る。請求項13の発明によれば、カルシウム化合物の
層、および架橋コラーゲンに珪素を含浸させることによ
って、カルシウム化合物および架橋コラーゲンの石灰化
能を向上させることができる。請求項14の発明によれ
ば、生体材料の表面全体をカルシウム化合物によって覆
うことができるので、生体材料の強度をさらに高くする
ことができ、しかも、その表面を滑らかにすることがで
きる。
【0009】
【発明の実施の形態】つぎに、図面に基づき本発明の実
施形態を説明する。本実施形態の生体材料は、生体内に
埋め込まれて使用される材料であり、基礎材料の表面に
種々の処理を行うことによって、基礎材料の生体親和性
及びその強度を向上させたことが特徴である。
【0010】まず、第1実施形態の生体材料1Aについ
て説明する。図1は、第1実施形態の生体材料1Aの概
略断面図である。同図に示すように、第1実施形態の生
体材料1Aは、基礎材料10Aの表面に、カルシウム化
合物の層13Aが形成され、カルシウム化合物の層13
Aの表面に架橋コラーゲン14が結合されたものであ
る。
【0011】図1に示すように、基礎材料10Aは、基
盤材料11Aと、チタンの層12Aから構成されてい
る。基盤材料11Aの素材は、例えばコバルトクロム合
金やステンレス鋼等の金属である。この基盤材料11A
の表面には、チタンTiが蒸着されており、チタンの層
12Aが形成されている。このチタンの層12Aのチタ
ンTi原子と基盤材料11Aの金属原子とは金属結合す
るので、両者は非常に強固に結合される。
【0012】なお、基盤材料11Aの表面には、チタン
Tiの代わりにTi−V−AI合金やTi−Ni合金等
のチタン化合物を蒸着してもよい。さらになお、基盤材
料11Aとして、チタンを使用してもよい。この場合、
基盤材料11Aの表面に、チタンTiやチタン化合物を
蒸着しなくてもよく、基盤材料11Aをそのままで基礎
材料10Aとして使用することができる。
【0013】このチタンの層12Aの表面には、例えば
リン酸カルシウムやハイドロキシアパタイト、炭酸カル
シウム等のカルシウム化合物の層13Aが形成されてい
る。チタンTiは、石灰化能を有しており、チタンの層
12Aとカルシウム化合物の層13Aの界面には、カル
シウム化合物Caとニ酸化チタンTibが混在した層1
7Aが形成される。この層17Aに含まれるニ酸化チタ
ンTibは、チタンTiと結合しているので、チタンの
層12Aとカルシウム化合物の層13Aは、その界面に
形成された層17Aを介して強固に結合される。
【0014】カルシウム化合物の層13Aの表面には、
架橋コラーゲン14が結合している。架橋コラーゲン1
4とは、複数のコラーゲンが架橋によって結合したもの
である。この架橋コラーゲン14は、その一部分がカル
シウム化合物の層13Aに取り込まれて、カルシウム化
合物Caと強固に結合されている。
【0015】しかも、架橋コラーゲン14の表面には、
カルシウム化合物30が結合しており、このカルシウム
化合物30が架橋コラーゲン14の表面全体、つまり生
体材料1Aの全体を覆っている。
【0016】上記のごとく、第1実施形態の生体材料1
Aによれば、基盤材料11Aの表面にはチタンの層12
Aが形成されており、また、チタンの層12Aの表面に
はカルシウム化合物の層13Aが形成されている。この
ため、基礎材料10Aの基盤材料11Aがどのような素
材であっても、生体親和性を向上させることができる。
しかも、カルシウム化合物の層13Aの表面には、架橋
コラーゲン14が結合されているので、生体材料1Aの
生体親和性をさらに高めることができる。したがって、
第1実施形態の生体材料1Aを生体内に埋め込んだとき
に、生体に悪影響を与えることを防ぐことができる。ま
た、基礎材料10Aの基盤材料11Aから架橋コラーゲ
ン14までが強固に結合されているので、架橋コラーゲ
ン14やカルシウム化合物の層13Aが、基礎材料10
Aから剥がれることがなく、基盤材料11Aの表面から
チタンの層12Aが剥がれることもない。したがって、
生体内に埋め込んでも、基礎材料10Aの基盤材料11
Aが直接生体と接触することを防ぐことができるので、
基盤材料11Aがどのような金属であっても、生体に悪
影響を与えることを防ぐことができる。さらに、基礎材
料10Aは、基盤材料11Aの表面にチタンの層12A
を有しているので基盤材料11Aの強度が低く脆いもの
であっても、基礎材料10Aの強度を高くすることがで
きる。しかも、生体材料1Aの表面には架橋コラーゲン
14が結合されており、架橋コラーゲン14は強度が高
いので、生体材料1Aの強度をさらに高くすることがで
きる。さらに、生体材料1Aの表面全体がカルシウム化
合物30によって覆われているので、生体材料1Aの強
度をさらに高くすることができ、耐熱性を高くすること
ができ、しかも、その表面を滑らかにすることができ
る。
【0017】つぎに、第1実施形態の生体材料1Aの製
造方法を説明する。図2は第1実施形態の生体材料1A
を製造する製造工程のフローチャートである。同図に示
すように、まず、基盤材料11Aを、例えば真空蒸着器
に入れて、その表面にチタンTiを蒸着すると(P1
1)、基盤材料11Aの表面にチタンの層12Aが形成
され、基礎材料10Aが製造される。
【0018】つぎに、基礎材料10Aを、疑似体液また
は海水中に浸漬する。疑似体液または海水中には、リン
酸イオンやカルシウムイオンが過飽和な状態で溶解して
おり、また、チタンは石灰化能を有しているので、基礎
材料10Aのチタンの層12Aの表面に、カルシウムイ
オンが吸着され、カルシウム化合物Caが形成される。
すると、チタンの層12Aの表面に、二酸化チタンTi
bとカルシウム化合物Caとが混在した層17Aが形成
される。そして、層17Aが形成された基礎材料10A
を、疑似体液または海水中に浸漬したままにしておく
と、層17Aの表面に、ハイドロキシアパタイト等から
なるカルシウム化合物の層13Aが形成され(S1
1)、カルシウム結合材料11Sが製造される。
【0019】このカルシウム結合材料11Sを、架橋コ
ラーゲン水溶液に浸して水分を蒸発させれば、カルシウ
ム化合物の層13Aに架橋コラーゲン14が結合され
(S12)、架橋コラーゲン結合材料14Sが製造され
る。
【0020】最後に、架橋コラーゲン結合材料14S
を、再び擬似体液または海水中に浸漬すれば、架橋コラ
ーゲン結合材料14Sの表面全体にカルシウム化合物3
0が結合され、第1実施形態の生体材料1Aが製造され
る。
【0021】なお、カルシウム結合材料11Sの表面に
架橋コラーゲン14を結合させるときには、架橋コラー
ゲン水溶液に代えて、コラーゲン水溶液に、カルシウム
結合材料11Sを浸漬させてもよい。つまり、コラーゲ
ン水溶液に、カルシウム結合材料11Sを浸漬させれ
ば、カルシウム結合材料11Sのカルシウム化合物の層
13Aにコラーゲンが結合される。そして、コラーゲン
が結合されたカルシウム結合材料11Sを、グルタール
アルデヒド溶液に浸漬すれば、カルシウム化合物の層1
3Aに結合しているコラーゲンを架橋コラーゲン14と
することができる。この場合、コラーゲンをカルシウム
化合物の層13Aに結合させてから架橋化するので、架
橋コラーゲン14とカルシウム化合物の層13Aを容易
に結合させることができ、その結合も強固になる。
【0022】さらになお、基礎材料10Aを、炭化珪素
15と二酸化珪素の混合溶液中で、自動研磨機によって
攪拌して、基礎材料10Aのチタンの層12Aの表面に
珪素15を含浸させてもよい。この場合、チタンTiの
石灰化能を向上させることができるので、基礎材料10
Aの表面にカルシウム化合物の層13Aを容易に形成さ
せることができる。
【0023】さらになお、第1実施形態の生体材料1A
を、炭化珪素と二酸化珪素の混合溶液中で、自動研磨機
によって攪拌して、カルシウム化合物の層13A及び架
橋コラーゲン14に珪素15を含浸させてもよい。この
場合、カルシウム化合物の層13A及び架橋コラーゲン
14の石灰化能を向上させることができ、骨との親和性
や結合性が向上する。
【0024】さらになお、チタンの層12Aやカルシウ
ム化合物の層13A、架橋コラーゲン14に珪素15を
含浸させる方法は上記の方法に限らず、チタンの層12
A等の表面に、均一に珪素15を含浸させることができ
る方法であれば、どのような方法を用いてもよい。
【0025】さらになお、第1実施形態の生体材料1A
の表面に、α−TCPの焼結体を塩化カルシウムとリン酸
水素ナトリウムと混ぜて結合させることによりハイドロ
キシアパタイトをコーティングすれば、生体材料1Aの
表面を滑らかにすることができる。
【0026】また、図3に示すように、第1実施形態の
生体材料1Aにおいて、基盤材料11Aの表面にチタン
Tiを蒸着した基礎材料10Aの代わりに、基盤材料1
1Aの表面に珪素15含浸させて、珪素含浸層16Bを
形成したものを基礎材料10Bとして用いてもよい。こ
の場合、珪素15の石灰化能によって、珪素含浸層16
Bの表面にカルシウム化合物Caが吸着されて、カルシ
ウム化合物の層13Bを形成させることができる。しか
も、カルシウム化合物Caは、基礎材料10B内に含浸
されている珪素15と結合するため、珪素含浸層16B
とカルシウム化合物の層13Bとの界面には、基盤材料
11Aと珪素15およびカルシウム化合物Caが混在す
る層17Bが形成される。このため、基盤材料11Aと
カルシウム化合物の層13Bは層17Bを介して強固に
結合され、カルシウム化合物の層13Bが、基礎材料1
0Bから剥がれることがない。したがって、生体内に埋
め込んでも、基盤材料11Aが直接生体と接触すること
を防ぐことができるので、基盤材料11Aがどのような
金属であっても、生体に悪影響を与えることを防ぐこと
ができる。
【0027】つぎに、第2実施形態の生体材料1Cにつ
いて説明する。図4は第2実施形態の生体材料1Cの概
略断面図である。同図に示すように、第2実施形態の生
体材料1Cは、第一実施形態で示した基礎材料10Aの
表面または基礎材料10Bの表面に何も処理をせずに、
そのまま生体材料1Cとして用いたものである。
【0028】基礎材料10Aを生体材料1Cとした場
合、チタンTiは生体親和性が高いので、基盤材料11
Aがどのような素材であっても、生体親和性を向上させ
ることができ、生体内に埋め込んだときに、生体に悪影
響を与えることを防ぐことができる。しかも、チタンT
iは基盤材料11Aと強固に結合しており、基盤材料1
1Aから剥がれることがないので、生体内に埋め込んで
も、基盤材料11Aが直接生体と接触することを防ぐこ
とができ、基盤材料11Aがどのような金属であって
も、生体に悪影響を与えることを防ぐことができる。ま
た、チタンTiは強度が高いので、たとえ基盤材料11
Aの強度が低く脆いものであっても、その強度を高くす
ることができる。さらに、チタンの層12Aの表面に珪
素15を含浸させれば、チタンTiの石灰化能を向上さ
せることができるので、生体材料1Cの生体親和性がさ
らに高くなり、しかも、生体内において、基礎材料10
Aの表面にカルシウム化合物の層を容易に形成させるこ
とができる。
【0029】基礎材料10Bを生体材料1Cとした場
合、生体内に埋め込む前に、珪素含浸層16Bに含まれ
る珪素15の石灰化能によって、基礎材料10Bの表面
全体にカルシウム化合物の層を形成させれば、基礎材料
10Bの表面全体をカルシウム化合物によって覆うこと
ができる。このため、基盤材料11Aがどのような材料
であっても生体親和性を付与することができ、しかも、
基盤材料11Aが直接生体と接触することを防ぐことが
できるので、生体に悪影響を与えることを防ぐことがで
きる。しかも、カルシウム化合物の層は、珪素15、基
盤材料11Aおよびカルシウム化合物Caが混在する層
を介して基礎材料10Bと強固に結合されるので、生体
内に使用しても、カルシウム化合物の層が基礎材料10
Bから剥がれて、基礎材料10Bが直接生体と接触する
こともない。
【0030】つぎに、第3実施形態の生体材料1Dにつ
いて説明する。図5は、第3実施形態の生体材料1Dの
概略断面図である。同図に示すように、第3実施形態の
生体材料1Dは、基礎材料10Dの表面に、カルシウム
化合物の層13Dが形成され、カルシウム化合物の層1
3Dの表面に架橋コラーゲン14が結合されたものであ
る。
【0031】図5に示すように、基礎材料10Dは、基
盤材料11Dと、混合層20Dから構成されている。基
盤材料11Dの素材は、例えばガラスやセラミック等の
無機物質や、ポリ乳酸やポリグリコール酸、ポリカーボ
ネート、ヒアルロン酸、キチン、コラーゲン等の高分子
ポリマーや生体高分子である。この基盤材料11Dの表
面には、チタンTiと前記基盤材料11Dが混合した混
合層20Dが形成されており、基盤材料11Dと混合層
20Dとが非常に強固に結合されている。なお、混合層
20Dには、チタンTiの代わりにTi−V−AI合金
やTi−Ni合金等のチタン化合物を混合してもよい。
【0032】この混合層20Dの表面には、例えばリン
酸カルシウムやハイドロキシアパタイト、炭酸カルシウ
ム等のカルシウム化合物の層13Dが形成されている。
チタンTiは、石灰化能を有しており、混合層20Dと
カルシウム化合物の層13Dの界面には、カルシウム化
合物Caとニ酸化チタンTibが混在した層17Dが形
成される。この層17Dに含まれるニ酸化チタンTib
は、混合層20D中のチタンTiと結合しているので、
混合層20Dとカルシウム化合物の層13Dは、その界
面に形成された層17Dを介して強固に結合される。
【0033】カルシウム化合物の層13Dの表面には、
架橋コラーゲン14が結合している。架橋コラーゲン1
4とは、複数のコラーゲンが架橋によって結合したもの
である。この架橋コラーゲン14は、その一部分がカル
シウム化合物の層13Dに取り込まれて、カルシウム化
合物Caと強固に結合されている。
【0034】しかも、架橋コラーゲン14の表面には、
カルシウム化合物30が結合しており、このカルシウム
化合物30が架橋コラーゲン14の表面全体、つまり生
体材料1Dの全体を覆っている。
【0035】上記のごとく、第3実施形態の生体材料1
Dによれば、基盤材料11Dの表面には混合層20Dが
形成されており、また、混合層20Dの表面にはカルシ
ウム化合物の層13Dが形成されている。このため、基
礎材料10Dの基盤材料11Dがどのような素材であっ
ても、生体親和性を向上させることができる。しかも、
カルシウム化合物の層13Dの表面には、架橋コラーゲ
ン14が結合されているので、生体材料1Dの生体親和
性をさらに高めることができる。したがって、第3実施
形態の生体材料1Dを生体内に埋め込んだときに、生体
に悪影響を与えることを防ぐことができる。また、基礎
材料10Dの基盤材料11Dから架橋コラーゲン14ま
でが強固に結合されているので、架橋コラーゲン14や
カルシウム化合物の層13Dが、基礎材料10Dから剥
がれることがなく、基盤材料11Dの表面から混合層2
0Dが剥がれることもない。したがって、生体内に埋め
込んでも、基礎材料10Dの基盤材料11Dが直接生体
と接触することを防ぐことができるので、基盤材料11
Dがどのような金属であっても、生体に悪影響を与える
ことを防ぐことができる。さらに、基礎材料10Dは、
基盤材料11Dの表面に混合層20Dを有しているので
基盤材料11Dの強度が低く脆いものであっても、基礎
材料10Dの強度を高くすることができる。しかも、生
体材料1Dの表面には架橋コラーゲン14が結合されて
おり、架橋コラーゲン14は強度が高いので、生体材料
1Dの強度をさらに高くすることができる。さらに、生
体材料1Dの表面全体がカルシウム化合物30によって
覆われているので、生体材料1Dの強度をさらに高くす
ることができ、耐熱性を高くすることができ、しかも、
その表面を滑らかにすることができる。
【0036】さらに、基礎材料10Dの基盤材料11D
の素材として、ポリ乳酸やポリグリコール酸等の生体吸
収性材料を使用した場合、生体吸収性材料の強度が、チ
タンTiや架橋コラーゲン14によって強化されている
ので、生体の骨の代替品や、例えば一般的な家庭用品や
建築材料、自動車部品などの素材として使用することが
できる。とくに、生体材料1Dの表面をカルシウム化合
物30によって覆ってしまえば、建築材料、自動車部品
等のうち特に強度が必要とされるものであっても形成す
ることができる。そして、生体吸収性材料を基盤材料1
1Dとする生体材料1Dで形成された部材を、生体の骨
の代替品として使用すれば、基盤材料11Dが生体を構
成する成分と同等の構成を有しているので、生体内に埋
め込んだときに、生体に悪影響を与えることを防ぐこと
ができる。しかも、長期間生体内に使用すれば、生体と
同一化され、そのまま骨の一部として使用することがで
きる。また、生体吸収性材料を基盤材料11Dとする生
体材料1Dによって形成された家庭用品等は、土に埋め
たり、バクテリア槽に浸漬したりすれば、バクテリアに
よって分解されるので、家庭用品等の廃棄処理を容易に
することができるし、環境を損なうこともない。
【0037】つぎに、第3実施形態の生体材料1Dの製
造方法を説明する。図6は第3実施形態の生体材料1D
を製造する製造工程のフローチャートである。。同図に
示すように、まず、基盤材料11Dの素材を有機溶剤に
溶融し、この溶融した材料にチタンTiを混合して溶融
材料とする。そして、この溶融材料を、そのまま基盤材
料11Dの表面に塗ると(P21)、基盤材料11Dの
表面も溶融し、溶融材料と、溶融した基盤材料11Dの
表面とが混ざり合う。その状態から基盤材料11Dを乾
燥させれば、基盤材料11Dの表面に混合層20Dが形
成され、基礎材料10Dが製造される。
【0038】つぎに、基礎材料10Dを、疑似体液また
は海水中に浸漬する。疑似体液または海水中には、カル
シウムイオンとリン酸イオンが過飽和な状態で溶解して
おり、また、チタンは石灰化能を有しているので、基礎
材料10Dの混合層20Dの表面に、カルシウムイオン
が吸着され、カルシウム化合物Caが形成される。する
と、混合層20Dの表面に、二酸化チタンTibとカル
シウム化合物Caとが混在した層17Dが形成される。
そして、層17Dが形成された基礎材料10Dを、疑似
体液または海水中に浸漬したままにしておくと、層17
Dの表面に、ハイドロキシアパタイト等からなるカルシ
ウム化合物の層13Dが形成され(S21)、カルシウ
ム結合材料21Sが製造される。
【0039】カルシウム結合材料21Sを、架橋コラー
ゲン水溶液に浸して水分を蒸発させれば、カルシウム化
合物の層13Dに架橋コラーゲン14が結合され(S2
2)、架橋コラーゲン結合材料24Sが製造される。
【0040】最後に、架橋コラーゲン結合材料24S
を、再び擬似体液または海水中に浸漬すれば、架橋コラ
ーゲン結合材料24Sの表面全体にカルシウム化合物3
0が結合され、第3実施形態の生体材料1Dが製造され
る。
【0041】なお、カルシウム結合材料21Sの表面に
架橋コラーゲン14を結合させるときには、架橋コラー
ゲン水溶液に代えて、コラーゲン水溶液に、カルシウム
結合材料21Sを浸漬させてもよい。つまり、コラーゲ
ン水溶液に、カルシウム結合材料21Sを浸漬させれ
ば、カルシウム結合材料21Sのカルシウム化合物の層
13Dにコラーゲンが結合される。そして、コラーゲン
が結合されたカルシウム結合材料21Sを、グルタール
アルデヒド溶液に浸漬すれば、カルシウム化合物の層1
3Dに結合しているコラーゲンを架橋コラーゲン14と
することができる。この場合、コラーゲンをカルシウム
化合物の層13Dに結合させてから架橋化するので、架
橋コラーゲン14とカルシウム化合物の層13Dを容易
に結合させることができ、その結合も強固になる。
【0042】さらになお、溶融材料に珪素15を混合し
て、基礎材料10Dの混合層20Dを珪素15も含む層
としてもよい。この場合、混合層20Dの石灰化能を向
上させることができるので、基礎材料10Dの表面にカ
ルシウム化合物の層13Dを容易に形成させることがで
きる。
【0043】さらになお、第3実施形態の生体材料1D
を、炭化珪素と二酸化珪素の混合溶液中で、自動研磨機
によって攪拌して、カルシウム化合物の層13D及び架
橋コラーゲン14に珪素15を含浸させてもよい。この
場合、カルシウム化合物の層13D及び架橋コラーゲン
14の石灰化能を向上させることができ、骨との親和性
や結合性が向上する。
【0044】さらになお、カルシウム化合物の層13D
および架橋コラーゲン14に珪素15を含浸させる方法
は上記の方法に限られず、カルシウム化合物の層13D
等の表面に、均一に珪素15を含浸させることができる
方法であれば、どのような方法を用いてもよい。
【0045】さらになお、第3実施形態の生体材料1D
を、再び疑似体液または海水中に浸漬して、生体材料1
Dの表面全体にカルシウム化合物を結合させれば、生体
材料1Dの表面を滑らかにすることができる。
【0046】さらになお、第3実施形態の生体材料1D
の表面に、α−TCPの焼結体を塩化カルシウムとリン酸
水素ナトリウムと混ぜて結合させることによりハイドロ
キシアパタイトをコーティングすれば、生体材料1Dの
表面を滑らかにすることができる。
【0047】また、図7に示すように、第3実施形態の
生体材料1Dにおいて、基盤材料11Dの表面にチタン
Tiを含む混合層20Aが形成された基礎材料10Dの
代わりに、基盤材料11Dの表面に珪素15を含む珪素
混合層16Eを形成したものを基礎材料10Eとして用
いてもよい。この場合、珪素15の石灰化能によって、
基盤材料11Dの表面にカルシウム化合物Caが吸着さ
れて、カルシウム化合物の層13Eを形成させることが
できる。しかも、カルシウム化合物Caは、珪素混合層
16Eの珪素15と結合するため、珪素混合層16Eと
カルシウム化合物の層13Eとの界面には、基盤材料1
1Dと珪素15およびカルシウム化合物Caが混在する
層17Eが形成される。このため、珪素混合層16Eと
カルシウム化合物の層13Eは層17Eを介して強固に
結合され、カルシウム化合物の層13Eが、基礎材料1
0Eから剥がれることがない。したがって、生体内に埋
め込んでも、基盤材料11Dが直接生体と接触すること
を防ぐことができるので、基盤材料11Dがどのような
素材であっても、生体に悪影響を与えることを防ぐこと
ができる。
【0048】つぎに、第4実施形態の生体材料1Fにつ
いて説明する。図8は第4実施形態の生体材料1Fの概
略断面図である。同図に示すように、第4実施形態の生
体材料1Fは、第3実施形態で示した基礎材料10Dの
表面または基礎材料10Eの表面に何も処理せずに、そ
のまま生体材料1Fとして用いたものである。
【0049】基礎材料10Dを生体材料1Fとした場
合、チタンTiは生体親和性が高いので、基盤材料11
Dがどのような素材であっても、生体親和性を向上させ
ることができ、生体内に埋め込んだときに、生体に悪影
響を与えることを防ぐことができる。しかも、チタンT
iは基盤材料11Dと強固に結合しており、基盤材料1
1Dから剥がれることがないので、生体内に埋め込んで
も、基盤材料11Dが直接生体と接触することを防ぐこ
とができ、基盤材料11Dがどのような素材であって
も、生体に悪影響を与えることを防ぐことができる。ま
た、チタンTiは強度が高いので、たとえ基盤材料11
Dの強度が低く脆いものであっても、その強度を高くす
ることができる。さらに、混合層20Dの表面に珪素1
5を含浸させれば、チタンTiの石灰化能を向上させる
ことができるので、生体材料1Fの生体親和性がさらに
高くなり、しかも、生体内において、基礎材料10Dの
表面にカルシウム化合物の層を容易に形成させることが
できる。
【0050】基礎材料10Eを生体材料1Fとした場
合、生体内に埋め込む前に、珪素混合層16Eに混合さ
れた珪素15の石灰化能によって、基礎材料10Eの表
面全体にカルシウム化合物の層を形成させれば、基礎材
料10Eの表面全体をカルシウム化合物によって覆うこ
とができる。このため、基盤材料11Dがどのような材
料であっても生体親和性を付与することができ、しか
も、基盤材料11Dが直接生体と接触することを防ぐこ
とができるので、生体に悪影響を与えることを防ぐこと
ができる。しかも、カルシウム化合物の層は、珪素1
5、基盤材料11Dおよびカルシウム化合物Caが混在
する層を介して基礎材料10Eと強固に結合されるの
で、生体内に使用しても、カルシウム化合物の層が基礎
材料10Bから剥がれて、基礎材料10Bが直接生体と
接触することもない。
【0051】
【発明の効果】請求項1の発明によれば、基礎材料がど
のような材料であっても、生体親和性を付与することが
でき、生体内に埋め込んだときに、生体に悪影響を与え
ることを防ぐことができ、その強度を高くすることがで
きる。請求項2の発明によれば、カルシウム化合物の
層、および架橋コラーゲンに珪素を含浸させることによ
って、カルシウム化合物および架橋コラーゲンの石灰化
能を向上させることができる。請求項3の発明によれ
ば、生体材料の表面全体がカルシウム化合物によって覆
われているので、生体材料の強度をさらに高くすること
ができ、耐熱性を高くすることができ、しかも、その表
面を滑らかにすることができる。請求項4の発明によれ
ば、基礎材料がどのような材料であっても、生体親和性
を付与することができ、生体内に埋め込んだときに、生
体に悪影響を与えることを防ぐことができ、基礎材料が
直接生体と接触することを防ぐことができる。請求項5
の発明によれば、基礎材料に生体親和性を付与すること
ができ、基礎材料の強度を高くすることができる。請求
項6の発明によれば、基礎材料がどのような材料であっ
ても、生体親和性を付与することができ、生体内に埋め
込んだときに、生体に悪影響を与えることを防ぐことが
でき、生体材料の強度を高くすることができる。請求項
7の発明によれば、チタンおよびチタン合金の表面に珪
素を含浸させることによって、チタンおよびチタン合金
の石灰化能をさらに向上させることができるので、生体
材料の生体親和性をさらに向上させることができる。請
求項8の発明によれば、生体内に埋め込んだときに、生
体に悪影響を与えることを防ぐことができ、生体材料以
外に使用すれば、その廃棄処理を容易にすることができ
る。請求項9の発明によれば、基礎材料がどのような材
料であっても、生体親和性を付与することができ、生体
内に埋め込んだときに、生体に悪影響を与えない生体材
料を製造することができ、たとえ基礎材料の強度が低く
脆いものであっても、その強度が高い生体材料を製造す
ることができる。請求項10の発明によれば、基礎材料
の生体親和性をさらに高めることができ、生体内に埋め
込んだときに、生体に悪影響を与えない生体材料を製造
することができ、たとえ基礎材料の強度が低く脆いもの
であっても、その強度が高い生体材料を製造することが
できる。請求項11の発明によれば、基礎材料の表面
に、容易にカルシウム化合物の層を形成することがで
き、基礎材料がどのような材料であっても、基礎材料の
強度を高くすることができる。請求項12の発明によれ
ば、基礎材料の表面に、容易にカルシウム化合物の層を
形成することができ、生体に悪影響を与えることを防ぐ
ことができる。請求項13の発明によれば、カルシウム
化合物の層、および架橋コラーゲンに珪素を含浸させる
ことによって、カルシウム化合物および架橋コラーゲン
の石灰化能を向上させることができる。請求項14の発
明によれば、生体材料の表面全体をカルシウム化合物に
よって覆うことができるので、生体材料の強度をさらに
高くすることができ、しかも、その表面を滑らかにする
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態の生体材料1Aの概略断面図であ
る。
【図2】第1実施形態の生体材料1Aを製造する製造工
程のフローチャートである。
【図3】基礎材料10Bを用いた生体材料1Aの概略断
面図である。
【図4】第2実施形態の生体材料1Cの概略断面図であ
る。
【図5】第3実施形態の生体材料1Dの概略断面図であ
る。
【図6】第3実施形態の生体材料1Dを製造する製造工
程のフローチャートである。
【図7】基礎材料10Eを用いた生体材料1Dの概略断
面図である。
【図8】第4実施形態の生体材料1Fの概略断面図であ
る。
【符号の説明】
1 生体材料 10 基礎材料 12 チタンの層 13 カルシウム化合物の層 14 架橋コラーゲン 15 珪素 Ti チタン Ca カルシウム化合物
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61L 27/00 A61L 27/00 L M Fターム(参考) 4C081 AB03 AB05 BA12 BA16 BB08 CA171 CA201 CD081 CD091 CD121 CF011 CF012 CF031 CF032 CF111 CF131 CF132 CG02 CG03 CG04 CG05 DA01 DB07 DC02 DC03 DC04 DC14 EA02 EA06

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】生体内に埋め込まれて使用される材料であ
    って、基礎材料の表面にカルシウム化合物の層が形成さ
    れており、該基礎材料のカルシウム化合物の層の表面
    に、架橋コラーゲンが結合されたことを特徴とする生体
    材料。
  2. 【請求項2】前記カルシウム化合物の層の表面および架
    橋コラーゲンに珪素が含浸されたことを特徴とする請求
    項1記載の生体材料。
  3. 【請求項3】前記架橋コラーゲンの表面が、カルシウム
    化合物によって覆われたことを特徴とする請求項1また
    は2記載の生体材料。
  4. 【請求項4】生体内に埋め込まれて使用される材料であ
    って、基礎材料の表面に珪素が含浸されたことを特徴と
    する生体材料。
  5. 【請求項5】前記基礎材料が、その表面にチタンまたは
    チタン合金の層を有することを特徴とする請求項1、
    2、3または4記載の生体材料。
  6. 【請求項6】生体内に埋め込まれて使用される材料であ
    って、その表面にチタンまたはチタン合金の層が形成さ
    れたことを特徴とする生体材料。
  7. 【請求項7】前記チタンまたはチタン合金の層の表面に
    珪素が含浸されたことを特徴とする請求項5または6記
    載の生体材料。
  8. 【請求項8】前記基礎材料が、生体吸収性材料であるこ
    とを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6または7
    記載の生体材料。
  9. 【請求項9】(1)前記基礎材料の表面にカルシウム化
    合物の層を形成させる第一工程と、(2)前記カルシウ
    ム化合物の層の表面に、架橋コラーゲンを結合させる第
    二工程とからなることを特徴とする生体材料の製造方
    法。
  10. 【請求項10】前記第二工程が、前記カルシウム化合物
    の層にコラーゲンを結合させる前工程と、前記コラーゲ
    ンを、架橋コラーゲンに変質させる後工程とからなるこ
    とを特徴とする請求項9記載の生体材料の製造方法。
  11. 【請求項11】前記第一工程を行う前に、前記基礎材料
    の表面にチタンの層を形成させることを特徴とする請求
    項9または10記載の生体材料の製造方法。
  12. 【請求項12】前記第一工程を行う前に、前記基礎材料
    の表面に珪素を含浸させることを特徴とする請求項9、
    10または11記載の生体材料の製造方法。
  13. 【請求項13】前記第二工程の終了後に、前記カルシウ
    ム化合物の層および前記架橋コラーゲンに珪素を含浸さ
    せることを特徴とする請求項9、10、11または12
    記載の生体材料の製造方法。
  14. 【請求項14】前記第二工程の終了後に、前記架橋コラ
    ーゲンの表面にカルシウム化合物を結合させることを特
    徴とする請求項9、10、11、12または13記載の
    生体材料の製造方法
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2006231056A (ja) * 2005-02-22 2006-09-07 Taiyen Biotech Co Ltd 骨インプラント

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