JP2002369679A - α−マンノシダーゼ - Google Patents
α−マンノシダーゼInfo
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Abstract
より糖蛋白質糖鎖に対する酵素活性が強く、中性付近で
作用し、また酵母のマンノース-1-リン酸結合を有する
糖蛋白質糖鎖からマンノースを切り出すことが容易であ
る新規α-マンノシダーゼを提供する。 【解決手段】 至適pHが6〜9.5のα-マンノシダー
ゼ、及び該α-マンノシダーゼを含有し、かつエンド-α
-マンノシダーゼ、β-マンノシダーゼ、およびエンド-
β-N-アセチルグルコサミニダーゼを実質的に有さない
ことを特徴とする、α-マンノシダーゼを含有する画分
を提供する。
Description
α-マンノシド結合を含有する多糖またはオリゴ糖のα-
マンノシド結合に特異的に作用する新規な酵素α-マン
ノシダーゼ、及びその製造方法に関するものである。
年)には、α-マンノシダーゼは、α-マンノピラノシド
結合を加水分解するエキソグリコシダーゼである旨、お
よびα-マンノシダーゼは動物組織に広く分布し、また
高等植物や放線菌にも存在する旨が記載されている。
め多くのα-マンナンの構造決定のための生化学試薬と
して、更には酵母表層を覆っているマンナン類を改変し
てその物性を変化させることで種々の酵母を利用する生
産技術の発展を図るためなど多くの用途が考えられる。
を利用してα-マンノシド結合を含む高マンノース型オ
リゴ糖の合成への利用も考えられている。また、出芽酵
母やメタノール酵母などの主にα-マンノシド結合から
なる糖鎖を削ることにより、糖蛋白質の糖鎖部分を除去
した構造安定的な蛋白質を回収できる。糖蛋白質糖鎖は
蛋白質の結晶化に不都合であることから、糖鎖の除去に
より結晶構造解析に適した蛋白質の生産が可能である。
からα-1,2-マンノシダーゼ、α-1,6-マンノシダ
ーゼ、α-1,2;1,3-マンノシダーゼ、α-1,
3;1,6-マンノシダーゼ、および非特異的に切断す
るα-マンノシダーゼなどが知られている。α-1,2-
マンノシダーゼは非還元末端側からα-1,2-マンノシ
ド結合を切断する酵素で、糸状菌(特開昭57-545
88)や担子菌(Lipari et al., Biochemistry, 38, 1
111-1118 (1999) ; Maras et al., J. Biotechnol., 7
7, 255-63 (2000))などが知られており、いずれも組み
換え体が市販されている。α-1,6-マンノシダーゼと
α-1,2;1,3-マンノシダーゼは、Xanthomonas s
p. 由来のものが市販されている(Womg-Madden and Lan
dry, Glycobiology, 5, 19-28 (1995); Scaman et al.,
Glycobiology, 6, 265-270 (1996))。α-1,3;
1,6-マンノシダーゼは、主に動物細胞のゴルジ体で
糖蛋白質糖鎖のプロセシングに関わる酵素として知られ
ており、マンノシダーゼIIとも呼ばれる(Moremen and
Robbins, J. Cell Biol., 115, 1521-1534 (1991) ; Mi
sago etal., Proc. Natl. Acad. Sci. U S A., 92, 117
66-11770 (1995))。
対し、非特異的に切断するα-マンノシダーゼはすべて
のα結合のマンノースを切断できる。真核生物で比較的
よく保存されているのがリソソーマルマンノシダーゼ
(酵母では液胞マンノシダーゼ)と呼ばれるもので、弱
酸性領域に至適pHを有し、細胞内で不溶になった糖蛋白
質糖鎖部分を分解・再利用するのに利用されている。し
かしながら細胞内では膜に結合して存在し、比較的疎水
性の高い蛋白質であることが多いため、精製が容易でな
い。
もっとも知られているのは、タチナタマメ(Jack Bea
n)由来のα-マンノシダーゼである。この酵素は1966年
に発見され(Li, J. Biol. Chem., 241, 1010-1012 (19
66))、以後数多くの研究が行われてきた(Snaith, Bio
chem. J., 147, 83-90 (1975) ; Hara et al., Biosci.
Biochem. Biotech., 58, 60-63 (1994)など)。この酵
素は市販され、構造決定のための生化学試薬として利用
されている。他にサザエ由来のα-マンノシダーゼ(生
化学工業社製)が市販されているが、いずれも糖蛋白質
の糖鎖そのものに対しては比較的酵素活性が弱く長時間
の反応が必要であるため、糖蛋白質の糖鎖部分を除去し
た構造安定的な蛋白質の回収には不適である。また弱酸
性側に至適pHを有する(pH=4.5)ため、弱酸性側で不安
定な蛋白質は失活する恐れがある。したがって、更に酵
素活性が強く、精製も容易であり、かつ蛋白質が安定な
中性のpHで作用できる新規のα-マンノシダーゼが求め
られている。
ノースのほかに、コア糖鎖部分および糖外鎖部分にマン
ノース-1-リン酸が付加した酸性糖鎖も生成することが
わかっている。この修飾は、動物細胞と異なり、酵母で
は液胞(動物細胞のリソソームに相当するオルガネラ)
局在性糖蛋白質のsorting signalとしては機能しないこ
とが報告されている。従って、酵母におけるこのリン酸
化糖鎖の生理機能は不明のままである[Kukuruzinska et
al, Ann. Rev. Biochem., Vol.56, p915-944(1987)]。
のひとつであるリソソームでは、数多くの酸性加水分解
酵素が存在し、細胞内外からリソソームに取り込まれた
物質の分解を担っている。ヒトリソソームに局在する酵
素群の多くは、生合成されゴルジ体に輸送されると、そ
のハイマンノース型糖鎖の非還元末端のマンノース残基
の6位にリン酸基が付加し、酸性糖鎖をもつ糖蛋白質に
変換され、これがリソソーム酵素特異的な認識マーカー
となる。そしてその高親和性受容体であるマンノース-6
-リン酸受容体(MPR)との結合を介して、他の蛋白質か
ら選別され、プレリソソームへ運ばれ、酸性条件下でMP
Rから解離した後、さらにリソソームへと輸送される(v
on Figura and Hasilik, Annu. Rev. Biochem., 54, 16
7-193 (1984))。マンノース-6-リン酸受容体(M6PR)
との結合にはマンノース-6-リン酸を1本の糖鎖内に1
分子以上含むことが必要である。このリソソーム酵素特
異的なリン酸基の付加反応は、2種の酵素反応により行
なわれている。W. Canfieldらはマンノース-6-リン酸
合成に関与する2種の酵素(GlcNAc-phosphotransferas
e、GlcNAc-phosphodiester-GlcNAc'ase)の遺伝子クロ
ーニングに成功している(Abstract of the XV Interna
tional Symposium on Glycoconjugates. Glycoconjugat
e Journal Vol. 16 No. 4/5 S41 (1999))。したがっ
て、マンノース-6-リン酸、あるいはそれを含有する糖
蛋白質を作製できれば、リソソームやマンノース-6-リ
ン酸受容体(MPR)の機能解明、さらにはリソソーム酵
素を欠損したヒトの治療薬への応用が期待できる。
H1 mnn1)を用いて糖蛋白質を生産させ、これにMNN6遺
伝子産物を生体内または生体外で働かせることにより、
マンノース-1-リン酸が付加した酸性糖鎖を得て、これ
を酸処理することによりリソソーム輸送シグナルとして
有効な哺乳類と同様な糖鎖を得る方法を提案している
(特開平9-135689)。しかしこの方法では極度の変性条
件下(0.01N塩酸中、100℃、30分間)におくため殆ど
の糖蛋白質は変性してしまう。よって生理活性を有する
糖蛋白質を得る方法としては十分なものではなかった。
すなわち、特開平9-135689に記載されているような酵母
を利用して、マンノース-6-リン酸を含有した糖蛋白質
を得るためには、フォスフォジエステル結合したα-マ
ンノースを温和な条件で切断する酵素が求められてい
た。
たα-マンノースを温和な条件で切断するためには、ア
グリコンとなる部分に特異性が低いことが重要であると
考えられる。これまでの実験ではフォスフォジエステル
結合したα-マンノースを切断できたのはタチナタマメ
由来のα-マンノシダーゼのみである(Herscovics eta
l., J. Biol. Chem., 250, 8079-8084 (1975))。この
タチナタマメ由来のα-マンノシダーゼは合成基質であ
るp-ニトロフェニル-α-マンノシドや4-メチルウンベ
リフェリル-α-マンノシドを切断できるが、前述のよう
に至適pHが低いことが問題である。
してCellulomonas属のα-マンノシダーゼが考えられた
(Takegawa et al., Biochim. Biophys. Acta, 991, 43
1-437(1989);Takegawa, J. Ferm. Bioeng., 69, 129-1
31 (1990))。しかしこれらは合成基質であるp-ニトロ
フェニル-α-マンノシドをほとんど切断できない。した
がってフォスフォジエステル結合したα-マンノースを
切断することは難しいと考えられた。
する課題は、従来知られている公知のα-マンノシダー
ゼより糖蛋白質糖鎖に対する酵素活性が強く、中性付近
で作用し、また酵母のマンノース-1-リン酸結合を有す
る糖蛋白質糖鎖からマンノースを切り出すことが容易で
ある新規α-マンノシダーゼ、および当該α-マンノシダ
ーゼを含有する画分を提供することである。
解決すべく鋭意研究を重ねた結果、土壌中より高マンノ
ース型糖鎖を有する糖蛋白質などのα-マンノシド結合
に特異的に作用する新規なα-マンノシダーゼを生産す
るグラム陽性菌を分離した。そのグラム陽性菌の生産す
る高マンノース型糖鎖を有する糖蛋白質などのα-マン
ノシド結合を含有する糖鎖に作用する新規なα-マンノ
シダーゼ(本発明酵素)の分離を試み、本発明を完成さ
せるに至った。
酵素学的性質を有することを特徴とするα-マンノシダ
ーゼ、及び該α-マンノシダーゼを含有し、かつエンド-
α-マンノシダーゼ、β-マンノシダーゼ、およびエンド
-β-N-アセチルグルコサミニダーゼを実質的に含有しな
いことを特徴とする、α-マンノシダーゼ画分(以下、
「本発明酵素画分」ともいう)を提供するものである。 (1)作用:α-D-マンノピラノシド(α-Man)のα-マ
ンノシド結合を特異的に分解し、マンノースを遊離す
る。およびフォスフォジエステル結合しているα-D-マ
ンノピラノシド(α-Man)を特異的に分解し、マンノー
スを遊離する。 (2)以下の基質特異性のうち少なくとも一つを有す
る: (a)β-D-マンノピラノシド(β-Man)の分解活性、お
よびエンド-α-マンノシダーゼ活性(エンド型分解活
性)は検出されない。 (b)下記構造式1で示される糖鎖に作用し、最終的に
構造式2で示される糖鎖を生成する。
グルコサミン残基を、α1-2はα1-2グリコシド結合を、
α1-3はα1-3グリコシド結合を、α1-6はα1-6グリコシ
ド結合を、β1-4はβ1-4グリコシド結合を、PAはピリジ
ルアミノ基をそれぞれ示す。]
含有する糖蛋白質に作用し、最終的に下記構造式4で示
される糖鎖構造を含有する糖蛋白質を生成する。
グルコサミン残基を、α1-2はα1-2グリコシド結合を、
α1-3はα1-3グリコシド結合を、α1-6はα1-6グリコシ
ド結合を、β1-4はβ1-4グリコシド結合をそれぞれ示
す。]
作用し、マンノース-6-リン酸(構造式8)を非還元末
端に含有する糖鎖を生成する。
含有する糖蛋白質に作用し、マンノース-6-リン酸(構
造式8)を非還元末端に含有する糖鎖構造を含有する糖
蛋白質を生成する。
を基質とした場合) 好ましくは、上記(1)〜(3)の酵素学的な性質に加
え、更に下記(4)〜(6)の酵素学的性質を有すること
を特徴とする、α-マンノシダーゼを提供する。 (4)至適温度:30〜55℃(4-MU-α-Manを基質とした場
合) (5)安定温度:55℃以下(4-MU-α-Manを基質とした場
合) (6)阻害及び活性化:1 mM Ca2+によって僅かに(10
%)活性化される。Hg2+、エチレンジアミン四酢酸(E
DTA)によって活性が100%阻害されるが、Ca2 +の添
加によって活性が回復する。 (7)ミハエリス定数:0.32 mM-1(4-MU-α-Manを基質
とした場合) エンド-α-マンノシダーゼ、β-マンノシダーゼ、およ
びエンド-β-N-アセチルグルコサミニダーゼは、その基
質が本発明酵素の基質と共通するグリコシダーゼであ
る。従って、これら類縁のグリコシダーゼを実質的に含
有しない本発明画分は、たとえ前記類縁のグリコシダー
ゼ以外の酵素が混入していても、本発明酵素とほぼ同様
に利用することができる。
本発明酵素画分は、下記の(1)〜(3)の酵素学的性質
を有することを特徴とするα-マンノシダーゼ(本発明
酵素)を含有し、かつエンド-α-マンノシダーゼ、β-
マンノシダーゼ、およびエンド-β-N-アセチルグルコサ
ミニダーゼを実質的に含有しないことを特徴とするもの
である。
an)のα-マンノシド結合を特異的に分解し、マンノー
スを遊離する。およびフォスフォジエステル結合してい
るα-D-マンノピラノシド(α-Man)を特異的に分解
し、マンノースを遊離する。この点で既知のCellulomon
as属のα-マンノシダーゼとは区別される。尚、基質と
しては、天然の基質の他、分解活性の確認のため等に、
例えば4-メチルウンベリフェリル-α-D-マンノピラノシ
ド等の合成基質を使用することもできる。
一つを有する: β-D-マンノピラノシド(β-Man)の分解活性、および
エンド-α-マンノシダーゼ活性(エンド型分解活性)は
検出されない。これらの点で公知のβ-マンノシダー
ゼ、エンド-α-マンノシダーゼとは区別される。下記構
造式1で示される糖鎖に作用し、最終的に下記構造式2
で示される糖鎖を生成する。
グルコサミン残基を、α1-2はα1-2グリコシド結合を、
α1-3はα1-3グリコシド結合を、α1-6はα1-6グリコシ
ド結合を、β1-4はβ1-4グリコシド結合を、PAはピリジ
ルアミノ基をそれぞれ示す。] 構造式5〜7で示される糖鎖に作用し、マンノース-6-
リン酸(構造式8)を非還元末端に含有する糖鎖を生成
する。
い。例えば、2-アミノベンズアミドなどの他の標識体で
も構わないし、蛋白質に結合した状態でも構わない。
を基質とした場合) 本発明の酵素:α-マンノシダーゼの至適pHは、より
望ましくは7〜8、最も望ましくは7.5である。ここ
でいう至適pHは、実施例で示された実験によって計測
された相対活性が50%以上の範囲を指す。該酵素の至
適温度は、30〜55℃、より望ましくは35〜45
℃、最も望ましくは40℃である。ここでいう至適温度
は、実施例で示された実験によって計測された相対活性
が50%以上の範囲となる温度を指す。該酵素の安定温
度は55℃以下、より望ましくは40℃以下、最も望ま
しくは30℃以下である。ここでいう安定温度は、実施
例で示された実験によって計測された相対活性が50%
以上の範囲となる温度を指す。
は、糖鎖及び糖鎖構造を含有する蛋白質に対してα-
1,2、α-1,3、α-1,6マンノシド結合をいずれ
も分解することができる。従って、構造式1に示す糖
鎖、あるいは構造式3に示す糖鎖構造を含有する糖蛋白
質に対して作用した場合、上記のマンノシド結合を、構
造式2に示す糖鎖、あるいは構造式4に示す糖鎖構造を
含有する糖蛋白質まで順次分解し得る。従って、本明細
書において、「最終的に」とは、複数の分解反応を経て
生成物が得られることを意味する。
当な培地に接種して培養し、培養後の培養物(液体培養
の時は培養液)から菌体を分離除去し(遠心分離、凝集
分離、濾過など)、次いで一般的な酵素の分離精製法
(例、「入門酵素化学」、昭和48年7月1日、(株)
南江堂発行 参照)を適用することによって必要とされ
る精製度の酵素標品として採取される。
たものであるが、本発明酵素画分が得られるかぎりにお
いてその由来は限定されない。例えば動物由来であって
もよく、また遺伝子工学的手法等により製造されたもの
であってもよい。これらの中でも細菌由来のものが好ま
しく、グラム陽性菌由来のものがより好ましい。本発明
において特に好適に使用できるものは、Cellulomonas属
に属する細菌由来のものである。本発明者等は、本発明
において特に好適な細菌として、Cellulomonas属に属す
るSO-5株を、日本国茨城県つくば市東1丁目1番地1
中央第6 独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物
寄託センターに2001年6月12日付けでFERM BP-7628と
いう受託番号で国際寄託されている。本発明酵素の製造
方法も、最終的に本発明酵素画分が取得できる限りにお
いて特に限定されない。例えば上述したような細菌等を
培養し、その培養物から本発明酵素画分を精製すること
により製造することができる。
源(酵母エキス、ペプトン、肉エキス、コーンスティー
プリカー、大豆粕などの有機窒素源;硫安、尿素、硝酸
アンモニウムなどの無機窒素源)、無機塩(鉄、マグネ
シウム、カルシウム、カリウムなどの硫酸塩、リン酸
塩、塩酸塩など)などを含む培地に、酵母マンナンなど
の本発明酵素画分が誘導されるような炭素源を加え、好
気的な培養法(振盪培養、攪拌培養、通気培養など)に
よって生育に適した温度で8時間〜数日間培養すること
によって培地中に酵素を生産させることができる。培養
に際し、培地に酵母エキスを添加すると生育が盛んにな
り、培地単位体積あたりの酵素活性を上昇させることが
できる。
ら、例えば硫酸アンモニウム、硫酸ナトリウム等による
塩析;エタノール、アセトン、イソプロパノール、テト
ラヒドロフラン等の有機溶媒による沈澱法;ヒドロキシ
アパタイト(水酸化リン酸カルシウム)等による吸着ク
ロマトグラフ法;ジエチルアミノエチル(DEAE)
基、トリエチルアミノエチル基等の交換基を有する陰イ
オン交換体等によるイオン交換クロマトグラフ法;アフ
ィニティークロマトグラフ法;ゲル濾過クロマトグラフ
法;分子ふるい膜等による限外濾過法;電気泳動法など
公知の酵素精製法によって目的とする精製度の酵素標品
を得ることができる。本発明酵素画分に特徴的な活性
は、例えば後述の[実施例1]に従って測定することがで
きる。本発明酵素画分は、少なくとも本発明酵素を含有
しており、かつエンド-α-マンノシダーゼ、β-マンノ
シダーゼ、およびエンド-β-N-アセチルグルコサミニダ
ーゼを実質的に含有しない限りにおいて特に限定されな
い。
この言葉のかかる状態が、いわゆる当業者において、そ
の状態であると認識するのに十分な実質を備えている状
態を意味する。例えば「実質的に含有しない」とは、全
く含有しない、又は含有しているとしてもその含有量が
わずかであって、いわゆる当業者において検出できな
い、もしくは検出できたとしても微量であって、測定誤
差範囲内と認識される状態であることを意味するもので
ある。
てもよく、本発明酵素の作用が発揮でき、かつ本発明酵
素の利用上好ましくない物質を含まない限りにおいて、
部分精製されたものであってもよい。「本発明酵素の利
用上好ましくない物質」は、本発明の利用の目的・態様
に応じて、当業者が適宜決定でき、除去できる。部分精
製された酵素画分の酵素学的性質を分析し、本発明によ
り開示された本発明酵素画分の酵素学的性質と比較する
ことにより、本発明酵素画分の製造が確認できる。
ダーゼ、β-マンノシダーゼ、およびエンド-β-N-アセ
チルグルコサミニダーゼ以外の成分であって、かつ本発
明酵素の活性を実質的に害さないかぎり、他の成分を含
有していてもよい。例えば通常の試薬の調製に用いられ
る賦形剤、緩衝剤、安定化剤、保存剤等を含有せしめる
こともできる。上記本発明のα-マンノシダーゼは、種
々の用途に使用することができる。例えば、マンノース
-6-リン酸を非還元末端に含有する糖鎖構造を含有する
糖蛋白質を製造することができる。
るが、これらの実施例は本発明の一例を示すものであ
り、これらに限定されるものではない。
活性測定法 スクリーニングの際のマンナン分解活性の測定は、α-
マンナンを基質として反応を行い、遊離した糖の還元力
を測定することによって行なった。すなわち、α-マン
ナン(終濃度0.1%)と酵素液を含む反応液(0.4 M リ
ン酸緩衝液、pH 7.0)中、37℃で10分間、反応を行
い、反応後マンノースを標準として還元糖をネルソン・
ソモジ(Nelson Somogi)法によって測定した(福井作
蔵、生物化学実験法シリーズ1,還元糖の定量法(学会
出版センター)、p. 10(1979))。
のα-マンノシダーゼ活性の測定は、4-メチルウンベリ
フェリル(MU)-α-マンノピラノシドを基質として反応
を行い、遊離する4-MUを測定することによって行なっ
た。すなわち、0.5 mM 4-MU-α-マンノピラノシドと酵
素液を含む反応液70 μl(0.15 M NaClを含む20 mMリ
ン酸緩衝液、 pH 7.5)中、37℃で30分間反応後、0.2 M
グリシン緩衝液(pH 10.7)を700μl加えて反応を停止
した。うち100 μlをとり、遊離した4-MUの蛍光量をマ
イクロプレートリーダー(Ex:385 nm, Em:450 nm)で測
定した。酵素活性の単位は、上記反応において1分間に1
μmoleの4-MUを遊離する酵素量を1ユニット(以下
「U」と略す)とした。
行なった。エンド-α-マンノシダーゼ活性の測定は、α
-1,6-マンナンを基質として反応を行い、遊離した糖の
還元力を測定することによって行なった。すなわち、α
-1,6-マンナン(終濃度0.1%)と酵素液を含む反応液
(0.4 M リン酸緩衝液、pH 7.0)中、37℃で10分
間、反応を行い、反応後マンノースを標準として還元糖
をネルソン・ソモジ(Nelson Somogi)法によって測定
した(福井作蔵、生物化学実験法シリーズ1,還元糖の
定量法(学会出版センター)、p. 10(1979))。
ロフェニル(pNP)-β-D-マンノピラノシドを基質とし
て反応を行い、遊離するpNPを測定することによって行
なった。すなわち、5 mM pNP-β-D-マンノピラノシドと
酵素液を含む反応液70 μl(0.15 M NaClを含む20 mM
リン酸緩衝液、 pH 7.5)中、37℃で24時間反応後、0.2
M グリシン緩衝液(pH 10.7)を700μl加えて反応を停
止した。うち100 μlをとり、遊離した4-MUの蛍光量を
マイクロプレートリーダー(Ex:385 nm, Em:450 nm)で
測定した。酵素活性の単位は、上記反応において1分間
に1 μmoleの4-MUを遊離する酵素量を1ユニット(以下
「U」と略す)とした。
クリーニング マンノシダーゼを誘導生産するための培地(マンナン液
体培地)は以下の通りに作成した。パン酵母マンナン2
g、硫酸アンモニウム[(NH4)2SO4]500 mg、硫酸第二
鉄[Fe2SO4] 20 mg、硫酸マグネシウム[MgSO4・7H
2O] 400 mg、塩化カルシウム[CaCl2・2H2O] 60 mg、
酵母エキス 1 g、第二リン酸カリウム[K2HPO4] 7.54
g、第一リン酸カリウム[KH2PO4] 2.32 gに水を加えて
1Lとした。またマンノシダーゼ生産菌を単離するため
の平板培地は、上記マンナン液体培地に寒天末を1.5%に
なるように加えたものを用いた。
に、土壌懸濁水から植菌耳で植菌し、30℃、2晩振盪培
養した。この培養液を植菌耳で新しい2 mlのマンナン液
体培地に植え継ぎし、再び30℃、2晩振盪培養した。2晩
の振盪培養を計3回行なった後、1晩の振盪培養を2回行
なった。培養液を遠心し、培養上清を10 mMリン酸カリ
ウム緩衝液(pH 7.0)に対して透析した粗酵素液を、マ
ンナン分解酵素活性の測定に用いた。活性のあった土壌
サンプルについて、さらにα-マンノシダーゼ生産菌の
スクリーニングを進めた。
にて平板プレートに植菌して、30℃で培養した。数日
後、現れたコロニーを拾い、マンナン液体培地に植菌し
て30℃、2晩振盪培養した。培養液を遠心し、培養上清
を10 mMリン酸カリウム緩衝液(pH 7.0)に対して透析
した粗酵素液について、α-マンナンと合成基質をもち
いて酵素活性を測定した。
コロニーを拾って完全なα-マンノシダーゼ生産菌の単
離を行なった。この生産菌をSO-5と命名した。なお、こ
のSO-5株は、日本国茨城県つくば市東1丁目1番地1
中央第6 独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物
寄託センターに2001年6月12日付けでFERM BP-7628と
いう受託番号で国際寄託されている。
産菌SO-5の同定 リボゾームRNA遺伝子の塩基配列の相同性は分子系統、
分類上重要であり、遺伝子のコピー数、構成は種によっ
て異なっている。したがってリボゾームRNAの塩基配列
により細菌の同定が可能である。
ion Kit(プロメガ社製)を用いてゲノムDNAを単離し
た。これをテンプレートDNAとし、リボゾームRNA領域を
コードする部分の塩基配列をPCRにて増幅した。プライ
マーはSPF1(AGAGTTTGATCCTGGCTCAG:配列番号1)とSPR
1(GGTTACCTTGTTACGACTT:配列番号2)を用い、得られ
た約1.5 kbの断片をPGEM-T vector(プロメガ社製)に
クローニングした後、ジデオキシ法により部分塩基配列
を決定した。その結果を配列番号3に示した。
eから利用できるBLASTシステムを用いて相同性検索を行
なったところ、Oerskovia xanthineolyticaならびにCel
lulomonas属と高い相同性がみられた。Oerskovia属は樹
枝状に成長するが、SO-5株は普通の丸いコロニーを形成
する。これらの結果から、SO-5株はCellulomonas sp.で
あることが推定された。
分精製 α-マンノシダーゼを誘導生産するため、実施例2で得
られたSO-5をマンナン液体培地で30℃、一晩培養を行な
った。培養後、4℃、15,000 x gで10分遠心し、菌体を
除去した。上清を2 mMの塩化カルシウムを含む10 mM HE
PES-Na緩衝液(pH 7.0)で透析を行ない、粗酵素液とし
た。
うに硫酸アンモニウムを添加したあと、4℃で一晩混合
した。これを遠心し、沈殿を除いた上清に対し、さらに
終濃度1.7 Mとなるように硫酸アンモニウムを添加した
あと、4℃で一晩混合した。次に4℃、15,000 x gで10分
遠心し、沈殿する蛋白質を回収した。得られた沈殿物を
H2Oに溶解し、2 mMの塩化カルシウムを含む10 mM HEPES
-Na緩衝液(pH 7.0)で透析を行なった。これを2 mMの
塩化カルシウムを含む10 mM HEPES-Na緩衝液(pH 7.0)
で平衡化したHiTrap Qカラムに供した。NaClの濃度を1
Mまで増加させるグラジエント溶出を行ない、活性画分
を得た。これを2 mMの塩化カルシウムを含む10 mM HEPE
S-Na緩衝液(pH 7.0)で透析を行ない、部分精製標品と
した。
ノシダーゼ活性、エンド-α-マンノシダーゼ活性、β-
マンノシダーゼ活性を測定した。比活性は31.9 mU/mg
で、エンド-α-マンノシダーゼ活性(エンド型分解活
性)、β-マンノシダーゼ活性は検出されなかった。
素学的性質 測定は実施例4で得られた精製酵素を用いて行なった。 (a)至適pH:本酵素について酢酸ナトリウム緩衝液
(pH 4.0〜6.5)、リン酸緩衝液(pH 6.0〜8.0)、トリ
ス緩衝液(pH7.5〜10.0)を用いて37℃、30分間の酵素
反応を行い、至適pHを調べたところ、図1に示すよう
にpH6〜9.5、特に7.5付近であった。 (b)至適温度:本酵素について20〜80℃の各温度でリ
ン酸緩衝液(pH 7.5)中、30分間反応させて至適温度
を調べたところ、図2に示すように30〜55℃、特に40℃
付近であった。 (c)安定温度:本酵素について0.1 Mリン酸緩衝液
(pH 7.5)中、0〜80℃の範囲で30分間処理した後、37
℃、30分間の酵素反応によって残存活性(相対活性)を
調べたところ、図2に示すように55℃まで安定であっ
た。 (d)金属イオンの影響:本酵素について無機イオンお
よび阻害剤による影響を、反応系に添加して37℃、30分
間の酵素反応によって調べた。Ca2+によって僅かに(1
0%)活性化された。またHg2+、エチレンジアミン四酢
酸(EDTA)によって活性が100%阻害されるが、Ca
2+の添加によって活性が回復した。 (e)ミハエリス定数:本酵素の4-MU-α-マンノピラノ
シドに対するミハエリス定数(Km)を、基質濃度の逆数
と反応速度の逆数をプロットとして求めたところ、Km=
0.32 mM-1であった(図3)。なお、高濃度の基質(1 m
M以上)では、基質阻害が見られた。
酵素を高マンノース型糖鎖に作用させたときの切断様式
を図5に示す。アミノカラムを用いたHPLCでは、蛍光標
識された(PA化)オリゴ糖をその鎖長によって分離する
ことが可能である。カラムはSHODEX AsahiPak NH2P-50
(4.6 x 250 mm、昭和電工製)を使用し、溶媒は、200
mM酢酸-トリエチルアミン緩衝液(pH 7.0)とアセトニ
トリルとの30:70の混合液(A液)、200 mM酢酸-トリエ
チルアミン緩衝液(pH 7.0)とアセトニトリルとの50:
50の混合液(B液)を調製した。予め溶媒Aを流速1.0 ml
/minで流すことによりカラムを平衡化し、試料注入直後
から溶媒Bの割合を50分かけて100%まで直線的に上昇さ
せ、PA化オリゴ糖を溶出した。PA化糖鎖は蛍光検出器
(励起波長:320nm, 蛍光波長:400nm)にて検出した。反
応は糖鎖100 pmolに対し、本発明酵素画分20 μUを加
え、0.1 M リン酸カリウム緩衝液(pH 7.0)中、37℃で
10分から2時間反応した。Man8GlcNAc2-PA(構造式1、M
8)を基質とした場合、Man5GlcNAc2-PA(M5)まで比
較的早く分解されたあと、さらにMan4GlcNAc2-PA(M
4)が徐々に生成し、Man2GlcNAc2-PA(M2)もわずか
ながら生成している(図4)。2時間反応後では、Man4
GlcNAc2-PAの他に、Man3GlcNAc2-PA(M3)、Man2GlcN
Ac2-PA(M2)、Man1GlcNAc2-PA(M1)の3本のピー
クが見られた。このことから、本酵素は、α-1,2-マ
ンノシド結合、α-1,3-マンノシド結合、α-1,6-
マンノシド結合に関わらず、非還元末端から非特異的に
α-マンノシド結合に作用することから、エンド-α-マ
ンノシダーゼ活性(エンド型分解活性)がないことがわ
かった。またこの結果からエンド-β-N-アセチルグルコ
サミニダーゼ活性は共存しないことが予想された。
対する作用:p-ニトロフェニル-β-D-マンノシドを基
質とした際には活性が見られなかったことから、β-マ
ンノシドには作用しないことが明らかとなった。 (h)酵母リン酸含有酸性糖鎖に対する作用:酵母の生
産する糖鎖中にはマンノースリン酸を含有する糖鎖が知
られている(Kukuruzinska et al, Ann. Rev. Bioche
m., 56, 915-944 (1987))。(構造式7)に示したよう
な構造を有する糖鎖に対する作用を調べた。その結果を
図5に示した。なお、分析にはSuperQ 5PW(東ソー製)
を使用し、溶媒は、2 mM酢酸ナトリウム緩衝液(pH 5.
0)(A液)、0.25 M酢酸ナトリウム緩衝液(pH 5.0)
(B液)を調製した。予め溶媒Aを流速1.0 ml/minで流す
ことによりカラムを平衡化し、試料注入直後から溶媒B
の割合を30分かけて100%まで直線的に上昇させ、PA化
オリゴ糖を溶出した。反応は糖鎖100 pmolに対し、本発
明酵素画分20μUを加え、0.1 M リン酸カリウム緩衝液
(pH7.0)中、37℃で一晩反応した。リン酸に結合した
マンノースが切断された糖鎖はリン酸の負電荷が増える
ため、遅い保持時間で溶出されるようになる。コントロ
ール(酵素なし)の糖鎖が10分付近に溶出される(図5
A)のに対し、本酵素を作用させたものは12分過ぎに新
たなピークが見られた(図5C)。この溶出位置は(構
造式6)の糖鎖を化学的に処理し、リン酸に結合したマ
ンノースを除去した糖鎖の溶出位置と一致した(図5
B)ことから、本酵素はフォスフォジエステル結合のα
-マンノースも切断することが可能であることが明らか
となった。
有する糖蛋白質として知られている。リボヌクレアーゼ
B 20 μgに対し、[実施例2]で得られたα-マンノシダー
ゼ画分を100 μU加え、0.1 M リン酸カリウム緩衝液(p
H 7.0)存在下で、37℃、14時間反応させた。なお、コ
ントロールとしてα-マンノシダーゼ画分の代わりに緩
衝液のみを等量加えた。それぞれをSDS-PAGEで分析した
ところ、コントロールに対し、α-マンノシダーゼ画分
を加えたものでは見かけの分子量が減少していた(図
6)。この分子量はペプチド部分の配列が同じで、糖鎖
のみを欠損したリボヌクレアーゼ A(RNase A)のもの
と近似していた。これらのリボヌクレアーゼ活性を測定
したところ、反応前と比べ活性の減少はほとんど見られ
なかった。従ってこれらのことから、本発明酵素画分を
加えたものでは、高マンノース型糖鎖のα-マンノシド
結合部分のみが切断され、糖鎖の根元部分に当たるMan
β1-4GlcNAcβ1-4GlcNAcが残ったものの、蛋白質部分に
は影響がないことが示唆された。
の酵素に比べて酵素活性が数十倍高く、糖蛋白質糖鎖に
対する親和性が高く、中性付近で安定性の優れた新規な
α-マンノシダーゼを提供することができる。また、本
酵素は細菌を液体培養することによって培地中に生産で
きるので、公知の酵素より生産が容易である。更に本酵
素は、α-マンノシド結合を含有する多糖またはオリゴ
糖を加水分解する目的だけでなく、フォスフォジエステ
ル結合のα-マンノースをも切断することが可能であ
り、本酵素を利用することでマンノース-6-リン酸型の
糖鎖を出芽酵母から生産するのに利用できる。
示す。
度、及び安定温度を示す。
ス定数(Km値)を求めるための、基質・反応速度の二重
逆数プロットを示す。
c2-PA(構造式1、M8)に10分、60分、及び12
0分作用させたときの分解産物を、HPLCで解析した結果
を示す。
Man8GlcNAc2-PA(構造式7)に作用させた後の分解産物
を、HPLCで解析した結果を示す。 (A)(Man-P)2Man8GlcNAc2-PA糖鎖 (B)(Man-P)2Man8GlcNAc2-PAを0.01 N HCl中で、100
℃、30分間処理した糖鎖 (C)(Man-P)2Man8GlcNAc2-PAを本発明酵素(α-マンノ
シダーゼ)を加え、処理した糖鎖
レアーゼBに作用させたときのSDS-PAGEの結果を示す。 レーン1:リボヌクレアーゼB レーン2:本発明酵素(α-マンノシダーゼ)で処理した
リボヌクレアーゼB レーン3:リボヌクレアーゼA(糖鎖を欠損したリボヌク
レアーゼBと同質の酵素)
Claims (7)
- 【請求項1】 下記(1)〜(3)の酵素学的性質を有する新
規α-マンノシダーゼ。 (1)作用:α-D-マンノピラノシド(α-Man)のα-マ
ンノシド結合を特異的に分解し、マンノースを遊離す
る。およびフォスフォジエステル結合しているα-D-マ
ンノピラノシド(α-Man)を特異的に分解し、マンノー
スを遊離する。 (2)以下の基質特異性のうち少なくとも一つを有す
る: (a)β-D-マンノピラノシド(β-Man)の分解活性、お
よびエンド-α-マンノシダーゼ活性(エンド型分解活
性)は検出されない。 (b)下記構造式1で示される糖鎖に作用し、最終的に
下記構造式2で示される糖鎖を生成する。 【化1】 [式中、Manはマンノース残基を、GlcNAcはN-アセチル
グルコサミン残基を、α1-2はα1-2グリコシド結合を、
α1-3はα1-3グリコシド結合を、α1-6はα1-6グリコシ
ド結合を、β1-4はβ1-4グリコシド結合を、PAはピリジ
ルアミノ基をそれぞれ示す。] (c)下記構造式3で示される糖鎖構造を含有する糖蛋
白質に作用し、最終的に下記構造式4で示される糖鎖構
造を含有する糖蛋白質を生成する。 【化2】 [式中、Manはマンノース残基を、GlcNAcはN-アセチル
グルコサミン残基を、α1-2はα1-2グリコシド結合を、
α1-3はα1-3グリコシド結合を、α1-6はα1-6グリコシ
ド結合を、β1-4はβ1-4グリコシド結合をそれぞれ示
す。] (d)下記構造式5〜7で示される糖鎖に作用し、マン
ノース-6-リン酸(構造式8)を非還元末端に含有する
糖鎖を生成する。 【化3】 (e)構造式5〜7で示される糖鎖構造を含有する糖蛋
白質に作用し、マンノース-6-リン酸(構造式8)を非
還元末端に含有する糖鎖構造を含有する糖蛋白質を生成
する。 (3)至適pH:6〜9.5(4-MU-α-Manを基質とした
場合) - 【請求項2】 更に下記(4)〜(6)の酵素学的性質を
有することを特徴とする、請求項1に記載のα-マンノ
シダーゼ。 (4)至適温度:30〜55℃(4-MU-α-Manを基質とした場
合) (5)安定温度:55℃以下(4-MU-α-Manを基質とした場
合) (6)阻害及び活性化:1 mM Ca2+によって僅かに(10
%)活性化される。Hg2+、エチレンジアミン四酢酸(E
DTA)によって活性が100%阻害されるが、Ca2 +の添
加によって活性が回復する。 - 【請求項3】 Cellulomonas属に属する細菌由来であ
る、請求項1または2に記載のα-マンノシダーゼ。 - 【請求項4】 Cellulomonas属に属する SO−5株の産生
する請求項3に記載のα-マンノシダーゼ。 - 【請求項5】 請求項3または4に記載のα-マンノシ
ダーゼ生産能を有する細菌を培養し、その培養物からα
-マンノシダーゼを採取することを特徴とするα-マンノ
シダーゼの製造方法。 - 【請求項6】 請求項1〜4のいずれか1項に記載のα
-マンノシダーゼを含有し、かつエンド-α-マンノシダ
ーゼ、β-マンノシダーゼ、およびエンド-β-N-アセチ
ルグルコサミニダーゼを実質的に含有しないことを特徴
とする、α-マンノシダーゼ画分。 - 【請求項7】 請求項1〜4のいずれか1項に記載のα
-マンノシダーゼを用いて、マンノース-6-リン酸(構造
式8)を非還元末端に含有する糖鎖構造を含有する糖蛋
白質を製造する方法。
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-
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