JP2002367430A - 強誘電体材料およびその製造方法 - Google Patents

強誘電体材料およびその製造方法

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JP2002367430A
JP2002367430A JP2001172627A JP2001172627A JP2002367430A JP 2002367430 A JP2002367430 A JP 2002367430A JP 2001172627 A JP2001172627 A JP 2001172627A JP 2001172627 A JP2001172627 A JP 2001172627A JP 2002367430 A JP2002367430 A JP 2002367430A
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powder
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temperature
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JP2001172627A
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English (en)
Inventor
Shoji Takanashi
昌二 高梨
Yuji Takatsuka
裕二 高塚
Noriyuki Nakayama
徳行 中山
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Sumitomo Metal Mining Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Metal Mining Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 分極・疲労特性に優れた強誘電体薄膜の形成
に使用できるビスマス層状化合物の焼結体、これを加工
したスパッタリングターゲット材料、並びにその製造方
法を提供する。 【解決手段】 ストロンチウム、ビスマス、タンタルお
よび酸素から構成される焼結体であり、原子比でTaを
基準として2.0とした場合、SrxBiyTa2. 0
z(0.55≦x<0.8、2.1≦y<2.8、zは
Sr、Bi、Taが酸化物となったときの酸化数の合計
値)を組成範囲とし、焼結密度が8.5g/cm3以上
である。前記焼結体の平均粒径が3〜7μm、最大空隙
径が2μm以下、JIS規格R1601による抗折強度
が8.0kg/mm2以上を有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、強誘電体材料およ
びその製造方法に関し、特に、不揮発性強誘電体メモリ
等の強誘電体薄膜であるビスマス層状化合物の形成に使
用される焼結体、これを加工したスパッタリングターゲ
ット材料、並びにその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】不揮発性強誘電体メモリ等の作製を目的
として形成される強誘電体薄膜の材料としては、ビスマ
ス層状化合物が主に用いられている。そのうち、BIT
(Bi−Ti−O)薄膜や、SBT(Sr−Bi−Ta
−O)薄膜を用いた開発が盛んに行われ、分極・疲労特
性に優れたSBT薄膜が注目されている。
【0003】なお、ビスマス層状化合物は、(Bi
222+層とペロブスカイト(Am-1m3m+1)の積層
構造をいう。SBTは、ペロブスカイトSrTa27
酸化物化合物で、酸化ビスマス層の間に、ペロブスカイ
ト層が挟まれている。
【0004】このSBT薄膜は、高周波(RF)スパッ
タリング法、ゾルゲル法、MOCVD法等の方法で作製
される。特に、RFスパッタリング法は、膜形成が容易
であることや、電極も連続して形成できる点から有効と
されている。なお、化学量数で表した酸化物は、Sr
O、Bi23、Ta25が安定しているが、SBT薄膜
は非化学量論的化合物である。
【0005】RFスパッタリング法で、分極・疲労特性
に優れた薄膜を得るには、膜形成の制御が重要であり、
一般に、原子比でTaを基準として2.0とした場合S
xBiyTa2.0z(x≦1.0、2.0≦y<2.
1、zはSr、Bi、Taが酸化物となったときの酸化
数の合計値)の組成範囲が好ましいとされている。
【0006】これに対して、使用されるSBTターゲッ
トは、原子比でTaを基準として2.0とした場合、S
xBiyTa2.0z(0.8≦x<1.0、2.0≦y
<2.4、zはSr、Bi、Taが酸化物となったとき
の酸化数の合計値)を組成範囲としたSr-poor・Bi-
rich型のSBTターゲットが多く用いられている。SB
Tターゲットをこのような組成にするのは、RFスパッ
タリング法で成膜すると、各構成元素のスパッタリング
率の違いから、ターゲット組成により、膜組成がSr-r
ich・Bi-poor側になりやすいためである。
【0007】前記Sr-poor・Bi-rich型のSBTター
ゲットの製造方法は、酸化ビスマスに酸化タンタル、炭
酸ストロンチウムを加えて、600〜1000℃で仮焼
を行い、化合物にした粉末を加圧プレス後、常圧焼結法
により焼結体を作製するのが常法である。
【0008】しかし、膜組成がSr-richになりやすい
からといって、原料配合の組成をSr-poor側にする
と、焼結時に焼結体が悪化するので、より高温で焼結を
行う必要が生じ、高温中に焼結体が曝されると、飛散し
やすいBiが消失して、所望の組成を得ることができな
くなる。
【0009】一方、原料配合の組成をBi-rich側にす
ると、焼結中の温度800〜850℃近傍で、過剰に含
むBi23により局所的な反応速度の違いが生じ、その
結果、粗大な空隙が生成される。このため、焼結体から
の脱ガス発生、成膜時の割れ等の問題があった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、分極・疲労
特性に優れた強誘電体薄膜の形成に使用できるビスマス
層状化合物の焼結体、これを加工したスパッタリングタ
ーゲット材料、並びにその製造方法を提供することを目
的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明のビスマス層状化
合物の強誘電体材料は、ストロンチウム、ビスマス、タ
ンタルおよび酸素から構成される焼結体からなり、原子
比でTaを基準として2.0とした場合、SrxBiy
2.0z(0.55≦x<0.8、2.1≦y<2.
8、zはSr、Bi、Taが酸化物となったときの酸化
数の合計値)を組成範囲とし、焼結密度が8.5g/c
3以上である。前記焼結体の平均結晶粒径が3〜7μ
m、最大空隙径が2μm以下、JIS規格R1601に
よる抗折強度が8.0kg/mm2以上を有する。
【0012】本発明のビスマス層状化合物の強誘電体材
料の製造方法は、仮焼前の原料粉末、水、有機溶媒を加
えたスラリ粒子を、機械的な湿式解砕により、粒度分布
の累積の90%にあたる粒径を0.5〜0.9μm、粒
度分布の累積の50%にあたる粒径を0.4〜0.7μ
mの範囲にする。原料粉末の配合比率において得られる
組成SrxBiyTa2.09中のxを0.6以上、0.8
未満とし、yを2.03以上とし、原料粉末を、乾燥造
粒後、650〜800℃で仮焼を行う。焼結条件とし
て、800〜850℃間を、0.1℃/min以上、1
℃/min以下で昇温して、1000〜1200℃間
を、1℃/min以上、10℃/min以下で昇温し
て、焼結温度は1200℃以下とする。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明の特徴を以下に詳述する。
【0014】(1)原子比でTaを基準として2.0と
した場合、SrxBiyTa2.0z(0.55≦x<0.
8、2.1≦y<2.8、zはSr、Bi、Taが酸化
物となったときの酸化数の合計値)を組成範囲としたS
BT焼結体であり、焼結密度が8.5g/cm3以上で
ある。
【0015】(2)SBT焼結体は、平均結晶粒径が3
〜7μm、最大空隙径が2μm以下、JIS規格R16
01による抗折強度が8.0kg/mm2以上を有す
る。
【0016】(3)仮焼前の混合粉末において、Srx
BiyTa2.0z(0.6≦x<0.8、2.03≦
y、zはSr、Bi、Taが酸化物となったときの酸化
数の合計値)の組成範囲とする。
【0017】(4)仮焼前の原料粉末、水、有機分散媒
を加えたスラリ粒子を機械的な湿式解砕により、最大粒
径を1μm以下とし、粒度分布の累積の90%にあたる
粒径を0.5〜0.9μm、粒度分布の累積の50%に
あたる粒径を0.4〜0.7μmの範囲にする。これら
を乾燥造粒する。
【0018】(5)乾燥造粒後、仮焼は、大気もしくは
酸素雰囲気中で、650〜800℃、1〜10h行う。
仮焼により化合物にした粉末を最大粒径が1μm以下に
なるまで十分に湿式粉砕し、乾燥造粒してプレス成形す
る。
【0019】(6)成形体の焼結条件は、大気もしくは
酸素雰囲気中で、800〜850℃間を0.1℃/mi
n以上、1℃/min以下で昇温させ、1000〜12
00℃間を1℃/min以上、10℃/min以下で昇
温させる。焼結温度は1200℃以下とする。
【0020】本発明の詳細を以下に説明する。
【0021】「原料粉末」純度が3N以上であり、酸化
ビスマス粉末、酸化タンタル粉末、炭酸ストロンチウム
粉末を用いる。また、これらの金属アルコキシドを精製
した粉末、水酸化物等を熱分解により調製した粉末を用
いることもできる。特に、炭酸ストロンチウムは、安価
であるので生産上好ましい。
【0022】「組成」ターゲット化して成膜した際に得
られる強誘電特性、特に分極特性に優れた薄膜を得るた
めに、Taを基準として2.0とした場合、SrxBiy
Ta2.0z(0.55≦x<0.8、2.1≦y<2.
8、zはSr、Bi、Taが酸化物となったときの酸化
数の合計値)の組成範囲とした焼結体を作製する必要が
ある。その理由を以下に示す。
【0023】本発明者らは、SBTスパッタ膜について
鋭意研究した結果、次のことが分かった。
【0024】(1)膜組成はターゲット組成よりもSr
-rich・Bi-poor側になる。
【0025】(2)良好な強誘電体特性が得られる膜組
成は、SrxBiyTa2.0z(0.7≦x<0.95、
2.0≦y<2.1、zはSr、Bi、Taが酸化物と
なったときの酸化数の合計値)であった。
【0026】(3)膜組成は、成膜時のArガス圧に左
右され、Arガス圧が高い程、大幅にBi-rich側へ変
動する(Srも若干rich側に移動する)。
【0027】以上から、成膜時に増加傾向にあるSr量
を減じたターゲット組成が必要となる。
【0028】一方、Bi量は成膜時のガス圧に大きく依
存し、その組成はガス圧(Ar:0.5〜3.0Pa)
で制御される。しかし、より高いガス圧側にしても、タ
ーゲット組成より増加することはなく、Bi-rich型タ
ーゲットでないと、膜組成として最適なBi量yである
2.0≦yを得ることができない。
【0029】例えば、SrBi2.79Ta2z組成のター
ゲットを用いた場合、薄膜中のBi量yは、ガス圧が
0.5Paの時、Bi量y=1.1、ガス圧が1.5P
aの時、Bi量y=2.1、ガス圧が3.0Paの時、
Bi量y=2.5が得られる。よって、ターゲット組成
中のBi量yは、最低必要量である2.1≦yとし、ガ
ス圧で制御可能な範囲であるy<2.8とした。
【0030】「調合」仮焼前の原料粉末を調合し、混合
する際に、原子比でTaを基準として2.0とした場
合、SrxBiyTa2.0z中のBi量yを2.03≦y
にしておかなければならない(xは0.6以上、0.8
未満、zはSr、Bi、Taが酸化物となったときの酸
化数の合計値)。
【0031】SrBi2Ta2z粉末の調合で仮焼を行
うと、炭酸ストロンチウムが分解する際に発生する炭酸
ガスによりBiが飛散してしまう。その結果、粉末はB
i-poorとなり、仮焼後の粉末は、局部的にSr−Ta
相が生成してしまう。Sr−Ta相は熱的に安定で、か
つ焼結性が劣るため、焼結時に残存して緻密化に悪影響
を及ぼす。
【0032】この問題を回避するために、予め飛散量を
考慮したBi量yを2.03≦yにしておく必要があ
る。Bi量yを2.03≦yにしておいて、Sr量xが
0.6≦x<0.8であれば、仮焼後のBi量yは2.
0を下回ることはない。
【0033】最終的な焼結体組成で、Bi量yを2.1
≦y<2.8にしたい場合には、得たい焼結体に予め仮
焼により消失するBi量Δyの0.03≦Δy<0.1
を過剰に加えておく方法と、Bi量yを2.03≦yで
調合して仮焼した後、所望分のBi23のみを後添加す
る方法とのいずれかを選ぶことができる。
【0034】「混合・解砕」原料粉末、水、有機分散媒
を加えたスラリ粒子を機械的な湿式解砕により、最大粒
径を1μm以下とし、粒度分布の累積の90%にあたる
粒径を0.5〜0.9μm、粒度分布の累積の50%に
あたる粒径を0.4〜0.7μmの範囲にする必要があ
る。微細に解砕することで、仮焼時のSr−Ta相の生
成を回避することと、反応性に劣る五酸化タンタルを活
性化させて、SBT相の生成する促進する効果が得られ
る。
【0035】混合は、湿式ボールミル、媒体撹拌ミル、
振動ミル等を用いることができるが、本発明にある粒径
を得るには、不純物混入の少ない湿式ボールミルを用い
ることが好ましい。粉砕に用いる際のボールは、φ3〜
5mmのZrO2ボールを用い、回転数100rpm程
度で24〜96hの解砕を行う。解砕時間が短いと、最
大粒径が1μm以下にならず、所望の粒度分布が得られ
ない。
【0036】ボールの充填率は60%程度が好ましい。
水量は粉末の質量に対し、1.0〜2.0倍を添加する
のがよい。有機分散媒は入れなくてもよいが、入れるこ
とで、構成元素の分散性と解砕効率を向上させることが
できる。種類として、ポリカルボン酸アンモニウム塩類
が仮焼時の残留灰分が無く好ましい。
【0037】本発明にある構成元素のうち、最も解砕の
困難なのが五酸化タンタル粉末である。酸化ビスマス粉
末、および炭酸ストロンチウム粉末の解砕は容易で、上
記解砕条件で12hも行えば、本発明の範囲内である粒
度分布を得ることができる。よって、予め五酸化タンタ
ル粉末のみを加えて、24〜96h解砕し、終了後に酸
化ビスマス粉末、および炭酸ストロンチウム粉末を加え
て、12〜24h解砕すれば、より不純物の混入を減少
させることも可能である。
【0038】「スラリ粒度分布」解砕されたスラリ粒子
の粒度は、最大粒径が1μm以下であり、粒度分布の9
0%にあたる粒径を0.5〜0.9μm、粒度分布の累
積の50%にあたる粒径を0.4〜0.7μmの範囲に
あることが重要である。この範囲を超える微粒、粗粒が
存在すると、局所的な焼結性の違いによる焼結体組織が
不均一になり、空隙が生成したり、あるいは緻密性が向
上しない問題があるが、前述の範囲に制御することによ
り、これらの問題が防止できる。
【0039】「仮焼・粉砕」得たスラリを乾燥・造粒
後、650〜800℃で1〜10hの仮焼を行う。仮焼
の雰囲気は、大気中および酸素雰囲気中のいずれかを選
ぶことができる。仮焼は、炭酸ストロンチウムの分解に
よる焼結性の向上を目的とするばかりでなく、組成・焼
結収縮率の均一性をはかる上で重要な工程である。仮焼
後、粉砕・乾燥・造粒と仮焼を数回繰り返すことで、さ
らに均一性を向上させることができ、焼結体に生成する
空隙をより抑制できる効果がある。650℃以下で仮焼
を行っても、炭酸塩の分解が不充分となり、化合物化さ
れていない不安定な粉末しか得られない。一方、800
℃以上で仮焼を行えば、粉末は焼結性が活発化して、粒
成長し、焼結性の劣る粉末となってしまう。
【0040】「成形」仮焼・粉砕時に、PVA,酢酸ビ
ニル等からなるバインダを1〜3質量%添加し、乾燥・
造粒後、成形圧力を500kg/cm2以上として冷間
プレスにて成形を行う。
【0041】「焼結」成形体を大気中もしくは酸素雰囲
気中にて焼結を行い、焼結体を得る。昇温過程で酸素を
導入して焼結を行うと、構成元素の飛散を抑制すること
ができ、より高密度な焼結体が得られる。焼結中の昇温
速度においては、(1)800〜850℃間、(2)1
000〜1200℃間に注意を払わなければならない。
【0042】(1)800〜850℃間の昇温速度 本発明の製造方法では、Bi23を過剰に加えているた
め、仮焼の段階で主相であるSBT相とBi23相が存
在する。Bi23相は、800℃を超えると溶解・溶着
を起こして粗大な液相となる。液相を生成すると同時に
焼結収縮が活発化し、主相との収縮差により局部的な空
隙を生成する。これにより、焼結体は緻密化に至らない
ばかりか、高温に曝されることで液相からBiが飛散す
ることにより、組成が変動する。これを回避するため
に、800〜850℃間の昇温速度を1.0℃/min
以下にする必要がある。つまり、Biが活発化する80
0〜850℃間の昇温速度を緩やかにすることで主相中
への拡散を進行させ、局所的な偏析を解消する効果があ
る。同様な効果として、800〜850℃間の各温度で
保持することでも得ることができる。
【0043】(2)1000〜1200℃間の昇温速度 800〜850℃間の昇温速度を緩やかにして焼結反応
させると、結晶粒成長・粒界面積の減少により、焼結性
が低下してしまう。これを補うために、特に1000〜
1200℃間の昇温速度を1〜10℃/minまで速め
る必要がある。つまり、1000〜1200℃間は、焼
結が最も活発化する温度範囲であり、この間の昇温を速
めることで、800〜850℃間で焼結性が低下した分
を稼ぐ必要がある。この温度範囲での昇温速度が1℃/
minより遅いと、結晶粒成長が著しくなり、高密度が
得られにくくなる。また、昇温速度が10℃/minよ
り速いと焼結炉内の均熱が低下し、その結果、焼結中の
収縮量に分布が生じて焼結体は割れてしまう。
【0044】焼結温度は、高密度を得るには1200℃
以下が好ましい。この際の焼結時間は10h以下とす
る。1200℃を超えたり、焼結時間が長いと、Biが
揮発して所望の組成を得ることができない。さらに、蒸
発、結晶粒成長の活発化による焼結密度の低下を防ぐた
めに、焼結中に5〜20L/minの酸素導入を行うこ
とも効果的である。
【0045】「成膜時の割れ」成膜時のターゲット表面
は、スパッタリングで高温に加熱され、一方、ターゲッ
ト底面は銅製バッキングプレートを介して冷却されてい
る。この表面と底面の温度差により熱応力が起こり、熱
衝撃によって割れが生じると言われている。多くは、焼
結密度、初期の抗折強度、局所的に発生する粗大粒に起
因しており、割れを抑制するために、(1)焼結密度が
低いと気孔に応力が集中して、亀裂が生じやすく、最大
空隙径は2μm以下、焼結密度8.5kg/cm3以上
が必要である。(2)初期抗折強度が低いと、熱応力に
対する抵抗力が低く、8.0kg/mm2以上の抗折強
度が必要である。(3)結晶粒径が大きいと応力に対す
る抵抗力が低下するため、平均結晶粒径を3〜7μmと
する。これらの条件を満足することで、成膜時の割れは
改善される。割れたままのターゲットを使用し、成膜を
続けると、膜中のBi量が変動する等の膜劣化原因にな
る。
【0046】「焼結体の測定方法」本発明における分析
法は以下の通りである。
【0047】(1)抗折強度 焼結体の抗折強度の測定法は、JIS規格R1601に
準じて行われ、得た焼結体から幅10mm、厚さ5m
m、長さ30mmの試験片を10個作製し、3点曲げ強
さ試験から抗折強度を測定し、その平均値を求めた。
【0048】(2)空隙径、結晶粒径 焼結体中央を切断し、切断面を鏡面研磨後、エッチング
を施し、SEM観察により空隙径、結晶粒径を測定し
た。観察箇所は1試料につき10点、場所を変えて測定
した。
【0049】(3)焼結密度 焼結体中央を切断して、高精度比重計で焼結密度を求め
た。
【0050】(4)粒度分布 混合・解砕後に得たスラリを25℃に保った室内で、レ
ーザ回折式粒度分布測定装置((株)島津製作所製、S
ALD2000)で,測定時間30秒で粒度分布を測定
した。
【0051】(実施例1)最大粒径3μmの炭酸ストロ
ンチウム粉末を87.9gに、最大粒径3μmの酸化ビ
スマス粉末を473.8g、最大粒径5μmの五酸化タ
ンタル粉末を438.4gを加え、Sr0.60Bi2.05
2.008.68になるように調合した。酸素は、金属元素
が完全に酸化したとして、SrxBiyTa2zとして、
z=x+3/2・y+5の式を用いて金属の組成比から
計算を行った。
【0052】これに純水1.4kgとカルボン酸アンモ
ニウム塩分散剤(固形分40質量%)5gを加え、φ3
mmのZrO2ボールを用いてボールミル(回転数10
0rpm)で72hの解砕を行った。このスラリの一部
を取り出して、粒度分布を測定した。
【0053】粒度分布の累積の90%にあたる粒径が
0.72μm、粒度分布の累積の50%にあたる粒径が
0.58μmであった。
【0054】スラリを乾燥・造粒後、700℃で2hで
仮焼して粉末を得た。これに再度、純水1.2kgを加
え、φ3mmのZrO2ボールを用いてボールミル(回
転数100rpm)で24hの解砕を行った。スラリを
乾燥・造粒後、700℃、2hで仮焼粉末を得た。
【0055】この仮焼粉末をICP化学分析すると、S
0.60Bi2.02Ta2.008.63の組成であった。この仮
焼粉末に最大粒径3μmの酸化ビスマス粉末のみを6
4.4g加えて、焼結体組成がSr0.60Bi2.30Ta
2.009.05になるように調合した。
【0056】さらに、純水1.0kg、カルボン酸アン
モニウム塩分散剤(固形分40質量%)3g、酢酸ビニ
ル20gを加えて、φ3mmのZrO2ボールを用いて
ボールミル(回転数100rpm)で24hの解砕を行
った。スラリを乾燥造粒後、造粒粉末を得た。この造粒
粉末を500kg/cm2で成形し、直径100mm×
厚さ6mmの成形体を2枚得た。
【0057】この成形体を600℃で脱脂後、大気中で
800〜850℃間を0.5℃/minで昇温し、85
0℃で2h保持後、1000〜1200℃間を2.0℃
/minで昇温し、1200℃、2hで焼結した。前記
温度範囲以外の温度範囲では、1.0℃/minで昇温
した。焼結体には割れもなく、焼結密度は8.66g/
cm3であった。
【0058】この焼結体の組成をICP化学分析する
と、Sr0.60Bi2.26Ta2.008.99であった。また、
平均結晶粒径は4.8μm、最大空隙径は1.2μmで
あった。焼結体の1枚を幅10mm、厚さ5mm、長さ
30mmの試験片に加工して抗折試験を測定した結果、
12.2kg/mm2であった。
【0059】焼結体に加工を施して、スパッタリングタ
ーゲットを作製し、基板(Si/SiO2/Ti/P
t)上にRF:200W、Ar:2.5Paで成膜し
た。ターゲットに割れは認められなかった。Pt下部電
極上に200nmの誘電体膜を堆積した後、酸素:3L
/min導入して、800℃、0.5hで熱処理を施し
た。
【0060】この膜組成をICP化学分析すると、Sr
0.75Bi2.00Ta2.009.00であった。膜のXRD測定
から、膜の構造はBi層状化合物であることが分かっ
た。そのために膜組成は、Bi層状化合物であることを
前提として計算した。さらにPt上部電極を堆積した
後、強誘電率測定装置(axisACCT社製、TF2
000FE)で強誘電体特性を求めた。印加電圧は10
0Hz、5Vとした。ヒステリシス特性から2Pr=1
0.2μC/cm2の値を得た。
【0061】(実施例2)最大粒径3μmの炭酸ストロ
ンチウム粉末を87.9gに、最大粒径3μmの酸化ビ
スマス粉末を473.8g、最大粒径5μmの五酸化タ
ンタル粉末を438.4gを加え、Sr0.60Bi2.05
2.008.68になるように調合した。
【0062】これに純水1.4kgとカルボン酸アンモ
ニウム塩分散剤(固形分40質量%)5gを加え、φ3
mmのZrO2ボールを用いてボールミル(回転数10
0rpm)で48hの解砕を行った。このスラリの一部
を取り出して、粒度分布を測定した。
【0063】粒度分布の累積の90%にあたる粒径が
0.86μm、粒度分布の累積の50%にあたる粒径が
0.67μmであった。
【0064】スラリを乾燥・造粒後、700℃で2hで
仮焼して粉末を得た。これに再度、純水1.2kgを加
え、φ3mmのZrO2ボールを用いてボールミル(回
転数100rpm)で24hの解砕を行った。スラリを
乾燥・造粒後、700℃、2hで仮焼粉末を得た。この
仮焼粉末をICP化学分析すると、Sr0.60Bi2.02
2.008.63の組成であった。この仮焼粉末に最大粒径
3μmの酸化ビスマス粉末のみを64.4g加えて、焼
結体組成がSr0.60Bi2.30Ta2.009.05になるよう
に調合した。
【0065】さらに、純水1.0kg、カルボン酸アン
モニウム塩分散剤(固形分40質量%)3g、酢酸ビニ
ル20gを加えて、φ3mmのZrO2ボールを用いて
ボールミル(回転数100rpm)で24hの解砕を行
った。スラリを乾燥造粒後、造粒粉末を得た。この造粒
粉末を500kg/cm2で成形し、直径100mm×
厚さ6mmの成形体を2枚得た。
【0066】この成形体を600℃で脱脂後、大気中で
800〜850℃間を0.5℃/minで昇温し、85
0℃で2h保持後、1000〜1100℃間を2.0℃
/minで昇温し、1100℃、2hで焼結した。前記
温度範囲以外の温度範囲では、1.0℃/minで昇温
した。焼結体には割れもなく、焼結密度は8.52g/
cm3であった。
【0067】この焼結体の組成をICP化学分析する
と、Sr0.60Bi2.29Ta2.009.04であった。また、
平均結晶粒径は3.1μm、最大空隙径は0.8μmで
あった。焼結体の1枚を幅10mm、厚さ5mm、長さ
30mmの試験片に加工して抗折試験を測定した結果、
8.6kg/mm2であった。
【0068】焼結体に加工を施して、スパッタリングタ
ーゲットを作製し、基板(Si/SiO2/Ti/P
t)上にRF:200W、Ar:2.5Paで成膜し
た。ターゲットに割れは認められなかった。Pt下部電
極上に200nmの誘電体膜を堆積した後、酸素:3L
/min導入して、800℃、0.5hで熱処理を施し
た。
【0069】この膜組成をICP化学分析すると、Sr
0.75Bi2.04Ta2.009.00であった。さらにPt上部
電極を堆積した後、強誘電率測定装置(axisACC
T社製、TF2000FE)で強誘電体特性を求めた。
印加電圧は100Hz、5Vとした。ヒステリシス特性
から2Pr=7.2μC/cm2の値を得た。
【0070】(実施例3)最大粒径3μmの炭酸ストロ
ンチウム粉末を113.8gに、最大粒径3μmの酸化
ビスマス粉末を460.3g、最大粒径5μmの五酸化
タンタル粉末を425.9gを加え、Sr0.80Bi2.05
Ta2.008.88になるように調合した。
【0071】これに純水1.4kgとカルボン酸アンモ
ニウム塩分散剤(固形分40質量%)5gを加え、φ3
mmのZrO2ボールを用いてボールミル(回転数10
0rpm)で72hの解砕を行った。このスラリの一部
を取り出して、粒度分布を測定した。
【0072】粒度分布の累積の90%にあたる粒径が
0.63μm、粒度分布の累積の50%にあたる粒径が
0.51μmであった。
【0073】スラリを乾燥・造粒後、700℃で2hで
仮焼して粉末を得た。これに再度、純水1.2kgを加
え、φ3mmのZrO2ボールを用いてボールミル(回
転数100rpm)で24hの解砕を行った。スラリを
乾燥・造粒後、700℃、2hで仮焼粉末を得た。
【0074】この仮焼粉末をICP化学分析すると、S
0.79Bi2.00Ta2.008.79の組成であった。この仮
焼粉末に最大粒径3μmの酸化ビスマス粉末のみを4
4.1g加えて、焼結体組成がSr0.79Bi2.20Ta
2.009.09になるように調合した。
【0075】さらに、純水1.0kg、カルボン酸アン
モニウム塩分散剤(固形分40質量%)3g、酢酸ビニ
ル20gを加えて、φ3mmのZrO2ボールを用いて
ボールミル(回転数100rpm)で24hの解砕を行
った。スラリを乾燥造粒後、造粒粉末を得た。この造粒
粉末を500kg/cm2で成形し、直径100mm×
厚さ6mmの成形体を2枚得た。
【0076】この成形体を600℃で脱脂後、大気中で
800〜850℃間を0.5℃/minで昇温し、85
0℃で2h保持後、1000〜1100℃間を2.0℃
/minで昇温し、1100℃、2hで焼結した。前記
温度範囲以外の温度範囲では、1.0℃/minで昇温
した。焼結体には割れもなく、焼結密度は8.71g/
cm3であった。
【0077】この焼結体の組成をICP化学分析する
と、Sr0.79Bi2.19Ta2.009.08であった。また、
平均結晶粒径は5.1μm、最大空隙径は1.3μmで
あった。焼結体の1枚を幅10mm、厚さ5mm、長さ
30mmの試験片に加工して抗折試験を測定した結果、
10.4kg/mm2であった。
【0078】焼結体に加工を施して、スパッタリングタ
ーゲットを作製し、基板(Si/SiO2/Ti/P
t)上にRF:200W、Ar:2.8Paで成膜し
た。ターゲットに割れは認められなかった。Pt下部電
極上に200nmの誘電体膜を堆積した後、酸素:3L
/min導入して、800℃、0.5hで熱処理を施し
た。
【0079】この膜組成をICP化学分析すると、Sr
0.93Bi2.00Ta2.009.00であった。さらにPt上部
電極を堆積した後、強誘電率測定装置(axisACC
T社製、TF2000FE)で強誘電体特性を求めた。
印加電圧は100Hz、5Vとした。ヒステリシス特性
から2Pr=3.8μC/cm2の値を得た。
【0080】(実施例4)最大粒径3μmの炭酸ストロ
ンチウム粉末を101.3gに、最大粒径3μmの酸化
ビスマス粉末を519.6g、最大粒径5μmの五酸化
タンタル粉末を379.1gを加え、Sr0.80Bi2.60
Ta2.009.70になるように調合した。
【0081】これに純水1.4kgとカルボン酸アンモ
ニウム塩分散剤(固形分40質量%)5gを加え、φ3
mmのZrO2ボールを用いてボールミル(回転数10
0rpm)で72hの解砕を行った。このスラリの一部
を取り出して、粒度分布を測定した。
【0082】粒度分布の累積の90%にあたる粒径が
0.81μm、粒度分布の累積の50%にあたる粒径が
0.62μmであった。
【0083】スラリを乾燥・造粒後、700℃で2hで
仮焼して粉末を得た。これに再度、純水1.2kgを加
え、φ3mmのZrO2ボールを用いてボールミル(回
転数100rpm)で24hの解砕を行った。スラリを
乾燥・造粒後、700℃、2hで仮焼粉末を得た。
【0084】この仮焼粉末をICP化学分析すると、S
0.78Bi2.54Ta2.009.59の組成であった。
【0085】さらに、純水1.0kg、カルボン酸アン
モニウム塩分散剤(固形分40質量%)3g、酢酸ビニ
ル20gを加えて、φ3mmのZrO2ボールを用いて
ボールミル(回転数100rpm)で24hの解砕を行
った。スラリを乾燥造粒後、造粒粉末を得た。この造粒
粉末を500kg/cm2で成形し、直径100mm×
厚さ6mmの成形体を2枚得た。
【0086】この成形体を600℃で脱脂後、大気中で
800〜850℃間を0.5℃/minで昇温し、85
0℃で2h保持後、1000〜1050℃間を2.0℃
/minで昇温し、1050℃、2hで焼結した。前記
温度範囲以外の温度範囲では、1.0℃/minで昇温
した。焼結体には割れもなく、焼結密度は8.79g/
cm3であった。
【0087】この焼結体の組成をICP化学分析する
と、Sr0.78Bi2.53Ta2.009.58であった。また、
平均結晶粒径は6.2μm、最大空隙径は1.7μmで
あった。焼結体の1枚を幅10mm、厚さ5mm、長さ
30mmの試験片に加工して抗折試験を測定した結果、
9.1kg/mm2であった。
【0088】焼結体に加工を施して、スパッタリングタ
ーゲットを作製し、基板(Si/SiO2/Ti/P
t)上にRF:200W、Ar:1.5Paで成膜し
た。ターゲットに割れは認められなかった。Pt下部電
極上に200nmの誘電体膜を堆積した後、酸素:3L
/min導入して、800℃、0.5hで熱処理を施し
た。
【0089】この膜組成をICP化学分析すると、Sr
0.90Bi2.00Ta2.009.00であった。さらにPt上部
電極を堆積した後、強誘電率測定装置(axisACC
T社製、TF2000FE)で強誘電体特性を求めた。
印加電圧は100Hz、5Vとした。ヒステリシス特性
から2Pr=5.1μC/cm2の値を得た。
【0090】(実施例5)最大粒径3μmの炭酸ストロ
ンチウム粉末を74.8gに、最大粒径3μmの酸化ビ
スマス粉末を551.5g、最大粒径5μmの五酸化タ
ンタル粉末を373.6gを加え、Sr0.60Bi2.8
2.009.80になるように調合した。
【0091】これに純水1.4kgとカルボン酸アンモ
ニウム塩分散剤(固形分40質量%)5gを加え、φ3
mmのZrO2ボールを用いてボールミル(回転数10
0rpm)で72hの解砕を行った。このスラリの一部
を取り出して、粒度分布を測定した。
【0092】粒度分布の累積の90%にあたる粒径が
0.88μm、粒度分布の累積の50%にあたる粒径が
0.67μmであった。スラリを乾燥・造粒後、800
℃で2hで仮焼して粉末を得た。
【0093】この粉末をICP化学分析すると、Sr
0.60Bi2.75Ta2.009.73の組成であった。
【0094】さらに、純水1.0kg、カルボン酸アン
モニウム塩分散剤(固形分40質量%)3g、酢酸ビニ
ル20gを加えて、φ3mmのZrO2ボールを用いて
ボールミル(回転数100rpm)で48hの解砕を行
った。スラリを乾燥造粒後、造粒粉末を得た。この造粒
粉末を500kg/cm2で成形し、直径100mm×
厚さ6mmの成形体を2枚得た。
【0095】この成形体を600℃で脱脂後、大気中で
800〜850℃間を0.3℃/minで昇温し、85
0℃で2h保持後、1000〜1050℃間を2.0℃
/minで昇温し、1050℃、2hで焼結した。前記
温度範囲以外の温度範囲では、1.0℃/minで昇温
した。焼結体には割れもなく、焼結密度は8.62g/
cm3であった。
【0096】この焼結体の組成をICP化学分析する
と、Sr0.60Bi2.74Ta2.009.71であった。また、
平均結晶粒径は5.7μm、最大空隙径は1.2μmで
あった。焼結体の1枚を幅10mm、厚さ5mm、長さ
30mmの試験片に加工して抗折試験を測定した結果、
9.4kg/mm2であった。
【0097】焼結体に加工を施して、スパッタリングタ
ーゲットを作製し、基板(Si/SiO2/Ti/P
t)上にRF:200W、Ar:1.5Paで成膜し
た。ターゲットに割れは認められなかった。Pt下部電
極上に200nmの誘電体膜を堆積した後、酸素:3L
/min導入して、800℃、0.5hで熱処理を施し
た。
【0098】この膜組成をICP化学分析すると、Sr
0.70Bi2.10Ta2.009.00であった。さらにPt上部
電極を堆積した後、強誘電率測定装置(axisACC
T社製、TF2000FE)で強誘電体特性を求めた。
印加電圧は100Hz、5Vとした。ヒステリシス特性
から2Pr=5.3μC/cm2の値を得た。
【0099】(実施例6)最大粒径3μmの炭酸ストロ
ンチウム粉末を79.3gに、最大粒径3μmの酸化ビ
スマス粉末を489.2g、最大粒径5μmの五酸化タ
ンタル粉末を431.5gを加え、Sr0.55Bi2.15
2.008.78になるように調合した。
【0100】これに純水1.4kgとカルボン酸アンモ
ニウム塩分散剤(固形分40質量%)5gを加え、φ3
mmのZrO2ボールを用いてボールミル(回転数10
0rpm)で72hの解砕を行った。このスラリの一部
を取り出して、粒度分布を測定した。
【0101】粒度分布の累積の90%にあたる粒径が
0.75μm、粒度分布の累積の50%にあたる粒径が
0.61μmであった。スラリを乾燥・造粒後、750
℃で2hで仮焼して粉末を得た。
【0102】この粉末をICP化学分析すると、Sr
0.55Bi2.13Ta2.008.75の組成であった。
【0103】さらに、純水1.0kg、カルボン酸アン
モニウム塩分散剤(固形分40質量%)3g、酢酸ビニ
ル20gを加えて、φ3mmのZrO2ボールを用いて
ボールミル(回転数100rpm)で48hの解砕を行
った。スラリを乾燥造粒後、造粒粉末を得た。この造粒
粉末を500kg/cm2で成形し、直径100mm×
厚さ6mmの成形体を2枚得た。
【0104】この成形体を600℃で脱脂後、大気中で
800〜850℃間を0.5℃/minで昇温し、85
0℃で2h保持後、1000〜1200℃間を3.0℃
/minで昇温し、1200℃、2hで焼結した。前記
温度範囲以外の温度範囲では、1.0℃/minで昇温
した。焼結体には割れもなく、焼結密度は8.58g/
cm3であった。
【0105】この焼結体の組成をICP化学分析する
と、Sr0.55Bi2.12Ta2.008.73であった。また、
平均結晶粒径は4.1μm、最大空隙径は1.1μmで
あった。焼結体の1枚を幅10mm、厚さ5mm、長さ
30mmの試験片に加工して抗折試験を測定した結果、
9.8kg/mm2であった。
【0106】焼結体に加工を施して、スパッタリングタ
ーゲットを作製し、基板(Si/SiO2/Ti/P
t)上にRF:200W、Ar:3.0Paで成膜し
た。ターゲットに割れは認められなかった。Pt下部電
極上に200nmの誘電体膜を堆積した後、酸素:3L
/min導入して、800℃、0.5hで熱処理を施し
た。
【0107】この膜組成をICP化学分析すると、Sr
0.71Bi2.00Ta2.009.00であった。さらにPt上部
電極を堆積した後、強誘電率測定装置(axisACC
T社製、TF2000FE)で強誘電体特性を求めた。
印加電圧は100Hz、5Vとした。ヒステリシス特性
から2Pr=5.8μC/cm2の値を得た。
【0108】(比較例1)最大粒径3μmの炭酸ストロ
ンチウム粉末を139.9gに、最大粒径3μmの酸化
ビスマス粉末を441.4g、最大粒径5μmの五酸化
タンタル粉末を418.7gを加え、Sr1.00Bi2.00
Ta2.009.00になるように調合した。
【0109】これに純水1.4kgを加え、φ3mmの
ZrO2ボールを用いてボールミル(回転数100rp
m)で12hの解砕を行った。このスラリの一部を取り
出して、粒度分布を測定した。
【0110】粒度分布の累積の90%にあたる粒径が
1.17μm、粒度分布の累積の50%にあたる粒径が
0.89μmであった。スラリを乾燥・造粒後、900
℃で2hで仮焼して粉末を得た。
【0111】この粉末をICP化学分析すると、Sr
0.98Bi1.93Ta2.008.88の組成であった。
【0112】さらに、純水1.0kg、酢酸ビニル20
gを加えて、φ3mmのZrO2ボールを用いてボール
ミル(回転数100rpm)で12hの解砕を行った。
スラリを乾燥造粒後、造粒粉末を得た。この粉末を50
0kg/cm2で成形し、直径100mm×厚さ6mm
の成形体を2枚得た。
【0113】この成形体を600℃で脱脂後、1200
℃、2hで焼結した。前記温度範囲以外の温度範囲で
は、1.0℃/minで昇温した。焼結体には割れもな
く、焼結密度は8.25g/cm3であった。
【0114】この焼結体の組成をICP化学分析する
と、Sr0.98Bi1.91Ta2.008.85であった。この焼
結体を加工すると、大きな割れが生じた。
【0115】再度、大気中、1300℃、2hで焼結し
た。前記温度範囲以外の温度範囲では、1.0℃/mi
nで昇温した。焼結体には外観上、割れもなく、焼結密
度は8.53g/cm3であった。
【0116】この焼結体の組成をICP化学分析する
と、Sr0.97Bi1.84Ta2.008.73となり、組成変動
が著しいために成膜まで至らなかった。
【0117】(比較例2)最大粒径3μmの炭酸ストロ
ンチウム粉末を118.8gに、最大粒径3μmの酸化
ビスマス粉末を525.3g、最大粒径5μmの五酸化
タンタル粉末を355.8gを加え、Sr1.00Bi2.80
Ta2.0010.20になるように調合した。
【0118】これに純水1.4kgとカルボン酸アンモ
ニウム塩分散剤(固形分40質量%)5gを加え、φ3
mmのZrO2ボールを用いてボールミル(回転数10
0rpm)で12hの解砕を行った。このスラリの一部
を取り出して、粒度分布を測定した。粒度分布の累積の
90%にあたる粒径が1.22μm、粒度分布の累積の
50%にあたる粒径が0.94μmであった。
【0119】スラリを乾燥・造粒後、900℃、2hで
仮焼粉末を得た。この仮焼粉末をICP化学分析する
と、Sr0.98Bi2.72Ta2.0010.06の組成であっ
た。
【0120】さらに、純水1.0kg、酢酸ビニル20
gを加えて、φ3mmのZrO2ボールを用いてボール
ミル(回転数100rpm)で12hの解砕を行った。
スラリを乾燥造粒後、造粒粉末を得た。この造粒粉末を
500kg/cm2で成形し、直径100mm×厚さ6
mmの成形体を2枚得た。
【0121】この成形体を600℃で脱脂後、大気中で
900℃、2hで焼結した。前記温度範囲以外の温度範
囲では、1.0℃/minで昇温した。焼結体には割れ
もなく、焼結密度は8.44g/cm3であった。
【0122】この焼結体の組成をICP化学分析する
と、Sr0.98Bi2.71Ta2.0010.0 5あった。また、
平均結晶粒径は6.2μm、最大空隙径は3.1μmで
あった。焼結体の1枚を幅10mm、厚さ5mm、長さ
30mmの試験片に加工して抗折試験を測定した結果、
7.3kg/mm2であった。
【0123】焼結体に加工を施して、スパッタリングタ
ーゲットを作製し、基板(Si/SiO2/Ti/P
t)上にRF:200W、Ar:1.2Paで成膜し
た。ターゲットに割れが生じたが、そのまま使用した。
Pt下部電極上に200nmの誘電体膜を堆積した後、
酸素:3L/min導入して、800℃、0.5hで熱
処理を施した。
【0124】この膜組成をICP化学分析すると、Sr
1.13Bi2.00Ta2.009.00であった。さらにPt上部
電極を堆積した後、強誘電率測定装置(axisACC
T社製、TF2000FE)で強誘電体特性を求めた。
印加電圧は100Hz、5Vとした。角形ヒステリシス
ループが得られなかった。
【0125】(比較例3)最大粒径3μmの炭酸ストロ
ンチウム粉末を88.9gに、最大粒径3μmの酸化ビ
スマス粉末を467.7g、最大粒径5μmの五酸化タ
ンタル粉末を443.5gを加え、Sr0.60Bi2.00
2.008.60になるように調合した。
【0126】これに純水1.4kgとカルボン酸アンモ
ニウム塩分散剤(固形分40質量%)5gを加え、φ3
mmのZrO2ボールを用いてボールミル(回転数10
0rpm)で12hの解砕を行った。このスラリの一部
を取り出して、粒度分布を測定した。
【0127】粒度分布の累積の90%にあたる粒径が
1.07μm、粒度分布の累積の50%にあたる粒径が
0.82μmであった。スラリを乾燥・造粒後、700
℃で2hで仮焼して粉末を得た。これに再度、純水1.
2kgを加え、φ3mmのZrO2ボールを用いてボー
ルミル(回転数100rpm)で12hの解砕を行っ
た。
【0128】スラリを乾燥・造粒後、700℃、2hで
仮焼粉末を得た。
【0129】この仮焼粉末をICP化学分析すると、S
0.59Bi1.95Ta2.008.52の組成であった。この仮
焼粉末に最大粒径3μmの酸化ビスマス粉末のみを8
4.4g加えて、焼結体組成がSr0.59Bi2.35Ta
2.009.12になるように調合した。
【0130】さらに、純水1.0kg、カルボン酸アン
モニウム塩分散剤(固形分40質量%)3g、酢酸ビニ
ル20gを加えて、φ3mmのZrO2ボールを用いて
ボールミル(回転数100rpm)で24hの解砕を行
った。スラリを乾燥造粒後、造粒粉末を得た。この造粒
粉末を500kg/cm2で成形し、直径100mm×
厚さ6mmの成形体を2枚得た。
【0131】この成形体を600℃で脱脂後、大気中で
1200℃、2hで焼結した。前記温度範囲以外の温度
範囲では、1.0℃/minで昇温した。焼結体には割
れもなく、焼結密度は8.43g/cm3であった。
【0132】この焼結体の組成をICP化学分析する
と、Sr0.58Bi2.21Ta2.008.90であった。また、
平均結晶粒径は4.6μm、最大空隙径は2.5μmで
あった。焼結体の1枚を幅10mm、厚さ5mm、長さ
30mmの試験片に加工して抗折試験を測定した結果、
7.8kg/mm2であった。
【0133】焼結体に加工を施して、スパッタリングタ
ーゲットを作製し、基板(Si/SiO2/Ti/P
t)上にRF:200W、Ar:2.5Paで成膜し
た。ターゲットに割れが生じたが、そのまま使用した。
Pt下部電極上に200nmの誘電体膜を堆積した後、
酸素:3L/min導入して、800℃、0.5hで熱
処理を施した。
【0134】この膜組成をICP化学分析すると、Sr
0.73Bi1.93Ta2.009.00であった。さらにPt上部
電極を堆積した後、強誘電率測定装置(axisACC
T社製、TF2000FE)で強誘電体特性を求めた。
印加電圧は100Hz、5Vとした。角形ヒステリシス
ループが得られなかった。
【0135】
【発明の効果】本発明により得られるビスマス層状化合
物の焼結体、これを加工したスパッタリングターゲット
材料を使用することにより、分極・疲労特性に優れた強
誘電体薄膜を形成できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中山 徳行 千葉県市川市中国分3−18−5 住友金属 鉱山株式会社中央研究所内 Fターム(参考) 4G030 AA09 AA21 AA43 BA10 CA05 GA08 GA11 GA27 GA28 4G048 AA05 AB01 AB05 AC02 AD06 AE05 4K029 BA50 BC00 BD01 CA05 DC05 DC09 5G303 AA10 AB20 BA03 BA09 CA01 CB05 CB32 CB33 DA04 DA05 DA06

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ストロンチウム、ビスマス、タンタルお
    よび酸素から構成される焼結体からなり、原子比でTa
    を基準として2.0とした場合、SrxBiyTa2.0z
    (0.55≦x<0.8、2.1≦y<2.8、zはS
    r、Bi、Taが酸化物となったときの酸化数の合計
    値)を組成範囲とし、焼結密度が8.5g/cm3以上
    であることを特徴としたビスマス層状化合物の強誘電体
    材料。
  2. 【請求項2】 前記焼結体の平均結晶粒径が3〜7μ
    m、最大空隙径が2μm以下、JIS規格R1601に
    よる抗折強度が8.0kg/mm2以上を有することを
    特徴とした請求項1に記載のビスマス層状化合物の強誘
    電体材料。
  3. 【請求項3】 請求項1または2に記載のビスマス層状
    化合物の強誘電体材料を製造する方法であり、仮焼前の
    原料粉末、水、有機溶媒を加えたスラリ粒子を、機械的
    な湿式解砕により、粒度分布の累積の90%にあたる粒
    径を0.5〜0.9μm、粒度分布の累積の50%にあ
    たる粒径を0.4〜0.7μmの範囲にすることを特徴
    としたビスマス層状化合物の強誘電体材料の製造方法。
  4. 【請求項4】 原料粉末の配合比率において得られる組
    成SrxBiyTa2. 0z中のxを0.6以上、0.8未
    満およびyを2.03以上とすることを特徴とした請求
    項3に記載のビスマス層状化合物の強誘電体材料の製造
    方法。
  5. 【請求項5】 原料粉末を、650〜800℃で仮焼を
    行うことを特徴とした請求項3に記載のビスマス層状化
    合物の強誘電体材料の製造方法。
  6. 【請求項6】 焼結条件として、800〜850℃間
    を、0.1℃/min以上、1℃/min以下で昇温し
    て、1000〜1200℃間を、1℃/min以上、1
    0℃/min以下で昇温して、焼結温度は1200℃以
    下とすることを特徴とする請求項5に記載のビスマス層
    状化合物の強誘電体材料の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2008231313A (ja) * 2007-03-22 2008-10-02 Kumamoto Univ 酸化物ナノシート蛍光体及びその製造方法

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