JP2002367229A - 光学的情報記録媒体およびその製造方法 - Google Patents

光学的情報記録媒体およびその製造方法

Info

Publication number
JP2002367229A
JP2002367229A JP2002072904A JP2002072904A JP2002367229A JP 2002367229 A JP2002367229 A JP 2002367229A JP 2002072904 A JP2002072904 A JP 2002072904A JP 2002072904 A JP2002072904 A JP 2002072904A JP 2002367229 A JP2002367229 A JP 2002367229A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
film
recording medium
information recording
optical information
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2002072904A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4061095B2 (ja
Inventor
Norihisa Mino
規央 美濃
Eiji Ono
鋭二 大野
Hidemi Isomura
秀己 磯村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Matsushita Electric Industrial Co Ltd filed Critical Matsushita Electric Industrial Co Ltd
Priority to JP2002072904A priority Critical patent/JP4061095B2/ja
Publication of JP2002367229A publication Critical patent/JP2002367229A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4061095B2 publication Critical patent/JP4061095B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Silicon Polymers (AREA)
  • Optical Record Carriers And Manufacture Thereof (AREA)
  • Manufacturing Optical Record Carriers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】光ディスク表面に汚れ防止膜を形成し、汚れに
くく、汚れても容易に除去できる光学的情報記録媒体と
その製造方法を提供する。 【解決手段】光学的情報記録媒体の基体11の上に少なく
とも反射膜17と記録膜14と保護膜16を備え、保護膜16は
基体11と対向する側の表層に形成されている光学的情報
記録媒体であって、基体11および保護膜16から選ばれる
少なくとも一方の外層に、ハードコート樹脂層17と、ハ
ードコート樹脂層17の外層に、少なくとも一般式R
4-m-nSiR'mn−(但し、Rは炭素数3〜25の炭素
鎖基を含む基、ZはO,NまたはS、nは1,2または
3、R'は水素または炭素数1〜3のアルキル基、mは
0,1または2)で示される有機シラン分子からなる化
学吸着膜18がハードコート層17と共有結合して形成され
ている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は光磁気記録媒体など
光によって書き込み、読み出しを行う高密度記録媒体に
関するもので、より詳しくは、加水分解性基を有する化
合物、例えばシラン化合物を基体表面に化学結合させた
超薄コーティング膜と樹脂膜を具備した記録媒体とその
製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に表面コーティングは従来から開発
されており、その例としてフッ素樹脂コーティングがあ
る。フッ素樹脂コーティングトは防汚コーティングとし
て洗濯、炊事などの水回りの製品に多く用いられてい
る。その防汚コーティングとしての効果は大きい。
【0003】一方、シランカップリング剤を例とする表
面改質材が近年多用されており、ガラス防汚処理表面加
工、硝子撥水処理表面加工などがその例である。
【0004】上述のフッ素樹脂は金属加工品の表面にコ
ートされたりしているが、高価である。また、防汚コー
トとしての離型性機能が下地の金属との密着性や剥離に
よる耐久性を落とす原因ともなり、下地を荒らすことや
フィラーを入れることで密着性向上を行っている。その
ため、フッ素樹脂コーティングの厚みも厚くなる傾向に
あり、数ミクロンメートル以上の厚みとなっている。そ
のため、フッ素樹脂コーティングが半透明もしくは不透
明なコートとなり、透明性を要求する基材には適用する
ことが出来ない。
【0005】一方、シランカップリング剤は金属表面な
どの無機物の表面改質するために使用されているが、有
機物の表面改質には適しておらず、その利用に制限があ
った。
【0006】光によって書き込み、読み出しを行う高密
度記録メディアの一例であるデジタルビデオディスク
(DVD)はポリカーボネイトを基材にして記録層を形
成したものであり、その光記録もしくは光読み出しは透
明樹脂層を介して行われ、傷付きなどを防止する目的で
その表層は樹脂膜材料を用いた保護層で覆っている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかし、前記保護層は
汚れやすい性質がある。高密度記録メディアは、表面の
汚れなどによる記録間違い、読み出し間違いが懸念さ
れ、記録密度が増加するに従ってその汚れの影響が大き
なものとなる。例えば、人間の指で高密度記録メディア
に触れたことによる指の油の転写も問題になる。また、
従来は高密度記録メディアをケース内に保管した状態で
使用していたが、今後コンパクトディスクなどのように
ケースから手で取り出して使用することが想定されてお
り、その汚れ対策が望まれていた。とくに最近のDVD
ディスクは、高密度記録および読み出しのため、青色レ
ーザ光を採用しており、人間の指紋等の汚れが致命的な
欠陥になるおそれがある。したがって、光ディスク表面
の汚れ防止が要請されている。
【0008】本発明は、前記従来の問題を解決するた
め、光ディスク表面に汚れ防止膜を形成し、汚れにく
く、汚れても容易に除去できる光学的情報記録媒体とそ
の製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するた
め、本発明の光学的情報記録媒体は、光学的情報記録媒
体の基体の上に少なくとも反射膜と記録膜と保護膜を備
え、前記保護膜は前記基体と対向する側の表層に形成さ
れている光学的情報記録媒体であって、前記基体および
保護膜から選ばれる少なくとも一方の外層に、ハードコ
ート樹脂層と、前記ハードコート樹脂層の外層に、少な
くとも一般式R4-m-nSiR'mn−(但し、Rは炭素数
3〜25の炭素鎖基を含む基、ZはO,NまたはS、n
は1,2または3、R'は水素または炭素数1〜3のア
ルキル基、mは0,1または2)で示される有機シラン
分子からなる化学吸着膜が前記ハードコート層と共有結
合して形成されていることを特徴とする。
【0010】次に本発明の光学的情報記録媒体の製造方
法は、光学的情報記録媒体の基体の上に少なくとも反射
膜と記録膜と保護膜を備え、前記保護膜は前記基体と対
向する側の表層に形成されている光学的情報記録媒体の
製造方法であって、前記基体および保護膜から選ばれる
少なくとも一方の外層に、ハードコート樹脂材料を含む
塗布液を回転塗布し、硬化してハードコート樹脂膜を形
成し、前記樹脂膜表面を乾燥した状態で一般式R4-m-n
SiR'mn(但し、Rは炭素数3〜25の炭素鎖基を
含む基、Xはハロゲノ基,アルコキシ基,イソシアネー
ト基またはエステル基、nは1,2または3、R'は水
素または炭素数1〜3のアルキル基、mは0,1または
2)で示される有機シラン化合物を含む化学吸着膜材料
を回転塗布し、前記有機シラン化合物の反応基と前記ハ
ードコート樹脂膜表面の活性水素との間で脱離反応を起
こさせることにより、前記有機シラン分子を薄膜状態で
前記ハードコート層と共有結合させることを特徴とす
る。
【0011】
【発明の実施の形態】指の油などが付着した汚れを除
く、もしくはその汚れを影響ないようにするためには次
の二つのいずれかの手段で解決することができる。
【0012】第1番目は、油をはじく機能を有する表面
に仕上げることで、この様な表面を形成できれば油は付
くものの、油の玉となって集まるため、また油が表面か
らとれやすくなっているので油の汚れを拭き取りなどの
操作によって除去しやすい。水性のよごれもはじくので
同様の操作で汚れを取りやすくできる。このような表面
はフッ素で覆うことにより実現できる。しかし、指紋な
どの油脂を放置すると凝集して大きな欠陥になり易い。
【0013】第2番目は、油を表面に拡げることで油膜
を拡散して汚れを目立たせなくすることである。この様
な表面ができれば、油はその表面全体に均一に拡がる。
また、水性の汚れは逆にはじくので拭き取りなどの操作
によって除去しやすい。このような表面は炭化水素基を
含む分子で覆うことにより実現できる。本発明は、第2
番目の手段を採用したものである。
【0014】シランカップリング剤の中で分子末端に加
水分解性基、例えばイソシアネートシリル基、アルコキ
シシリル基、ハロゲノシリル基、エステルシリル基を有
する化合物は反応活性な化合物である。特にイソシアネ
ートシリル基、ハロゲノシリル基は非常に活性である。
この化合物を表面が活性水素を有する基材と接触させる
ことで、脱離反応が生じ、薄膜を形成することができ
る。ここでいう脱離反応は、ハロゲノシリル基を有する
化合物の場合は脱ハロゲン化水素反応であり、イソシア
ネートシリル基を有する化合物の場合は脱イソシアネー
ト反応であり、アルコキシシリル基を有する化合物の場
合は脱アルコール反応であり、エステルシリル基を有す
る化合物の場合は脱エステル反応である。このような脱
離反応により多くの分子が配列した膜状物を、当業界で
は化学吸着膜またはセルフアッセンブリング膜(self as
sembling film)とも呼ばれている。
【0015】本発明においては、炭化水素系シランカッ
プリング剤を使用することで表面に炭化水素基を露出す
ることができる。とくに炭化水素基を表面に露出させる
と、指紋などの油脂汚れが拡散し、レーザ光線の入射ま
たは反射が阻害されず、好ましい。すなわち、被膜が親
油性であるので、この被膜に指紋が付着した場合には、
被膜と脂質を主成分とする指紋との親和性が強くなる。
この結果、付着した指紋は被膜上を拡散する。すなわ
ち、指紋が付着している部分には、脂質を主成分とする
層が形成されている。親油性の被膜上で、この指紋が流
れ広がることにより、この層は広がり、あたかも被膜上
にさらに薄い脂質を主成分とする膜が形成されたように
なる。従って、指紋自体が目立たなくなり、基材の汚れ
の目立ちを防止することができる。
【0016】この被膜の親油性は、生体由来脂質成分に
対する親油性であることが望ましい。光学的情報記録媒
体保護膜層の汚れの原因の多くは、皮脂等の生体由来脂
質成分による指紋等によるため、これらの汚れをより効
果的に目立たなくすることができるからである。
【0017】本発明の防汚性化学吸着膜は、表面エネル
ギーを15mN/m以上70mN/m以下にしておくこ
とが好ましい。被膜の表面エネルギーが上記の範囲にあ
れば、被膜の濡れ性が向上し、被膜の表面に皮脂等の生
体由来脂質成分が付着した場合に、この生体由来脂質成
分自体の凝集に打ち勝って、生体由来脂質成分が被膜表
面に広がり易くなるからである。
【0018】具体的には、膜素材に炭化水素基を含む物
質あるいはエステル基を含む物質を用いることで、被膜
の表面エネルギーを上記範囲に制御できる。より具体的
には、炭化水素基を有する分子で構成された化学吸着膜
の場合は、15mN/m以上40mN/m以下の範囲と
なり、脂肪酸エステル基を有する分子で構成された化学
吸着膜の場合は、30mN/m以上70mN/m以下の
範囲となる。
【0019】前記化学吸着膜の厚みは0.1nm以上
0.5μm以下であることが好ましい。
【0020】以下に、親油性の被膜の例として、被膜を
構成する分子が官能基として親水性基と親油性基とを有
する化学吸着物質の化学結合したものである場合につい
て説明する。この防汚性被膜は、少なくとも親油性基を
有し、かつ親油性基が基材の外方に配向し、分子の一部
が基材に化学結合した分子の集合群からなるものであ
る。
【0021】化学吸着物質が有している親油性の官能基
としては、例えば、脂肪酸エステル基、芳香族エステル
基などの炭化水素基が挙げられる。好ましくは、生体由
来脂質成分に構造が似ている理由から、脂肪酸エステル
基である。
【0022】上記脂肪酸エステル基を有する化学吸着物
質としては、特に制限されず、公知の脂肪酸エステル基
を有する化学吸着物質が使用できるが、好ましくは下記
一般式(1)に示される脂肪酸エステル基を有する化学
吸着物質である。
【0023】R’−COOR”− (1) (但し、R’及びR”は、同一又は異なっており、それ
ぞれ炭素数1〜25の飽和または不飽和の直鎖または分
枝の脂肪族炭化水素基を示す。) ただし、R’及びR”は、全体で炭素数2〜30程度の
物を用いると、扱いやすく、好ましい。不飽和脂肪族炭
化水素基の場合は、分子内に少なくとも1の二重結合及
び/又は三重結合を有していてもよい。
【0024】これらの脂肪酸エステル基を有している化
学吸着物質は、単独で用いてもよいし、2種以上混合し
て用いてもよい。
【0025】R’及びR”のうち被膜の親油性により多
くの影響を与えるのは、R’である。R’の炭化水素基
を適宜選択することで、被膜の親油性の程度を変えるこ
とができる。例えば、親油性が生体由来脂質成分に対す
る親油性である場合には、その親和性からみて、カプロ
ン酸エステル基、カプリル酸エステル基、カプリン酸エ
ステル基、ラウリン酸エステル基、ミリスチン酸エステ
ル基、パルミチン酸エステル基、ステアリン酸エステル
基、アラキジン酸エステル基、オレイン酸エステル基、
エルシン酸エステル基、リノール酸エステル基、リノレ
ン酸エステル基等の脂肪酸エステル基を含むものが好ま
しい。
【0026】次に、親油性被膜の別の例として、被膜を
構成する物質に、さらに親油性物質が分散添加されてい
る場合について説明する。この場合にも、この親油性物
質が上記、被膜を構成する物質が有している親油性の官
能基と同様の働きをするので、汚れを防止できる。
【0027】分散添加される好ましい親油性物質として
は、例えば脂肪酸等、より具体的にはステアリン酸、オ
レイン酸、リノール酸、リノレン酸、またはパルミチン
酸等が挙げられる。
【0028】膜を構成する物質に、さらに親油性物質が
分散添加されている被膜を作成するのは、膜を構成する
物質に親油性物質を分散添加したものを、公知の方法
で、積層すればよい。
【0029】次に、本発明の防汚性被膜の製造方法につ
いて説明する。ここでは、親水性基と親油性基とを有す
る化学吸着物質を用いた防汚性被膜を例に、図面を用い
て説明する。
【0030】先ず、非水系有機溶媒に、親水性基と親油
性基とを有する化学吸着物質、例えば、下記一般式
(2)で表される官能基を有する化学吸着物質を非水系
溶媒に溶解した吸着溶液を調整する(吸着溶液調整工
程)。
【0031】A−SiXqp (2) (式中、Aは上記一般式(1)で表される脂肪族エステ
ル基を含む有機基、Xはハロゲノ基,アルコキシ基,イ
ソシアネート基またはエステル基、Yは水素または炭素
数1〜3のアルキル基、qは1、2または3、p+qは
3を示す。) なお、この吸着溶液の調整は、相対湿度35%以下の乾
燥雰囲気下で行うことが好ましい。
【0032】使用する非水性有機溶媒としては、光情報
記録媒体の基板や保護膜(ハードコート膜)などを侵さ
ない溶媒を用いる。具体的には非水系ジメチルシリコー
ン、非水系ヘキサメチルジシロキサンなどのシロキサン
などが挙げられる。
【0033】これらの非水性有機溶媒は、単独でも、二
種以上混合して使用してもよい。
【0034】ここで、ハードコート膜とは、耐摩耗性(w
ear resistance)を有する膜をいい、布などでこすって
も傷がつかない膜をいう。とくに表面硬度が重要な場合
は、硬化可能な樹脂を用いることが好ましく、例えばア
クリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレ
タン樹脂、メラミン樹脂などの単独系または複合系が好
ましく使用される。また、表面硬度、耐熱性、耐薬品
性、透明性等の特性を考慮した場合では、有機高分子と
してシリコーン樹脂を用いることが好ましい。
【0035】次に、上記吸着溶液作製工程にて作製した
吸着溶液を、光情報記録媒体の保護膜側に接触させる
(被膜形成工程)。これにより、前記化学吸着物質が保
護膜(ハードコート膜)表面に化学吸着して固定され
る。例えば化学吸着分子の反応基として、トリクロロシ
リル基(−SiCl3基)を用いた場合、前記ハードコ
ート膜表面に多数存在する活性水素を有する官能基(こ
の例では、水酸基)との間で縮合反応が起こり、脱塩化
水素反応が起こり、シロキサン結合が形成される。この
反応を下記化学反応式(3)に示す。 A-SiCl3 + HO-|ハードコート膜 → A-SiCl2-O-|ハードコート膜 (3) この工程で得られる被膜は、分子の一部がハードコート
膜と化学結合し、親油性基側が外方に配向している分子
の集合群からなる単分子膜である。さらに、この単分子
膜の上に未反応の化学吸着物質が付着している。したが
って、未反応の化学吸着物質を除去する必要がある場合
は、非水溶液で洗浄するのが好ましい。
【0036】また、上記基材表面に存在する活性水素を
有する官能基としては、水素を供与できる官能基であれ
ば、特に制限されず、上記水酸基の他に、カルボキシル
基、アミノ基、チオール基、スルフィン酸基、スルホン
酸基などが挙げられる。さらに、上記官能基の活性水素
が、それぞれアルカリ金属又はアルカリ土類金属で置換
された官能基であってもよい。
【0037】基材表面に活性水素を有する官能基が存在
しないか、存在していても少ない場合は、ハードコート
膜表面に活性水素を有する官能基を付与する処理をすれ
ばよい。この処理は、例えばコロナ放電処理、UV/オ
ゾン処理、酸素プラズマ処理、過マンガン酸カリウム溶
液等の化合物酸化剤処理などの公知の方法で行う。
【0038】次に洗浄工程について説明する。前記した
とおり洗浄工程では、非水系有機溶液を用いて、前記ハ
ードコート膜上に残った未反応の上記化学吸着物質を洗
浄除去して(洗浄工程)、一様の膜厚を有する単分子膜
状の防汚性被膜を形成する。
【0039】尚、このとき、洗浄工程を行わなければ、
上記の単分子膜に付着している化学吸着物質が除去され
ないので、ポリマー状(非単分子膜状)の防汚性被膜を
形成できる。ポリマー状であっても、薄膜であれば実用
化には差し支えない。
【0040】洗浄に使用できる有機溶液は、非水系であ
れば、上記の有機溶媒を含め、公知の有機溶媒を使用で
きる。非水系の有機溶媒を用いるのは、親水性基の存在
によって、ハードコート表面に直接結合している上記分
子同士や、この分子と未反応の上記化学吸着物質とが反
応して、架橋構造を形成することを防止するためであ
る。洗浄溶液も、非水系ジメチルシリコーン、非水系ヘ
キサメチルジシロキサンなどのシロキサンなどが好まし
い。
【0041】洗浄は、被膜が形成面を拭き取る、非水性
有機溶液に浸漬する、洗浄剤に浸漬した状態で超音波処
理等の機械力を付与する、洗浄剤を加温するなどの公知
の方法で行えばよい。
【0042】この洗浄工程における洗浄条件としては、
特に制限されるものではなく、未反応の化学吸着物質の
被洗浄物に対する付着の程度、被洗浄物の大きさや形
状、材質、希望する被膜の厚さ等を勘案して、洗浄液の
温度、洗浄回数、洗浄時間、洗浄液の量等を適宜選択す
ればよい。
【0043】得られた被膜を空気中の水と反応させる
と、A-Si(OH)2-O-|基材 になり、さらに脱水して A-Si
(-O-)2-O-|基材 で表される構造となる。
【0044】次にハードコート樹脂膜材料としては、例
えばアルキルトリアルコキシシランまたは4官能性ケイ
素化合物の加水分解物を主成分とする高硬度塗料組成物
が挙げられる。別の例としては、R1 a2 bSi(O
34-a-b(但し、R12 bは各々アルキル基、アルケ
ニル基、アリール基、ハロゲノ基、エポキシ基、グリシ
ド基、アミノ基、メルカプト基、メタクリルオキシ基お
よびシアノ基を有する炭化水素基から選ばれる少なくと
も一つの基、R3は加水分解性基、aおよびbは0また
は1である。)で示される有機ケイ素化合物またはその
加水分解物を主成分とする高硬度塗料組成物が挙げられ
る。加熱硬化型シリコーン樹脂ハードコート材料として
は、信越化学工業社製商品名"X-12-2450","X-12-220
6","X-12-2138A","KP-50A","KP-60A","KP-854"(プライ
マー"PC-7A"との併用)、紫外線硬化型シリコーン樹脂ハ
ードコート材料としては、信越化学工業社製商品名"X-4
1-2415","X-24-2400"、その他のハードコート材料とし
ては、JSR社製商品名"Z7501","KZ7824H"、ソニーケ
ミカル社製商品名"SKシリーズ"、大日本インキ化学工業
社製商品名"SD715"などがある。
【0045】前記ハードコート樹脂層の厚みは、0.1
〜100μmの範囲が好ましい。
【0046】また、光硬化型有機高分子材料もしくは熱
硬化型高分子材料からなる樹脂膜材料を用いて膜を形成
し、硬化させると膜表面に活性水素基を露出することが
できる。この表面と前記シランカップリング剤を組み合
わせることで樹脂膜上に均一な前記シランカップリング
剤からなるコーティング膜を形成することができる。
【0047】本発明に適用可能な光ディスクは、例えば
ライトワンス型CD−R,DVD−R、リライタブル型
MO,MD,CD−RW,DVD−RAM,DVD−R
W,DVD+RWなどがある。
【0048】
【実施例】以下に本発明の具体的な実施例について図面
を用いて説明する。
【0049】(実施例1)本実施例で用いたディスク構
成は、0.34ミクロン毎にグルーブとランドが交互に
形成された直径120mm、厚み0.6mmのポリカー
ボネート製信号記録用トラックを持つ基板を用いた。
【0050】図1に示すように、ディスク状のポリカー
ボネート基板11の上にAg反射層12を厚さ100n
mにスパッタリングで形成し、第1の誘電体層13とし
てZnS−SiO2混合膜を厚さ100nmにスパッタ
リングで形成し、記録層14としてGe:Sb:Te=
20:25:55の原子%比の組成物を厚さ12nmに
スパッタリングで形成した。その表面に第2の誘電体層
15としてTa25を厚さ50nmにスパッタリングで
形成し、その表面に光硬化アクリル樹脂をスピンコート
法で塗布し、紫外線(UV)を用いて厚み10μmの透
明保護膜16を形成した。この光情報ディスクは、青色
レーザ光をハードコート膜側から入射するタイプのDV
Dディスクである。
【0051】次に透明保護膜16の表面に、ハードコー
ト膜17を形成した。ハードコート膜17は、信越化学
工業社製シリコン光硬化性材料(シリコーンハードコー
ト剤X−12−2450を100重量部と助剤DX−2
400を5重量部)をスピンコートにより塗布し、その
後80W低圧水銀灯により紫外線照射で紫外線硬化を行
って形成した。膜厚は2μmであった。
【0052】次に乾燥した雰囲気においてシランカップ
リング剤としてオクタデシルトリクロロシラン(octadec
yltrichlorosilane,CH3(CH2)17SiCl3)(チッソ社製)を
1質量%の割合でストレートシリコーンオイル(信越化
学工業社製KF96L)に溶かした塗布溶液を回転塗布
し、その後に前記ストレートシリコーンオイル溶液で洗
浄して、シランカップリング剤分子からなる防汚性化学
吸着膜18を形成した。得られた化学吸着膜18のクロ
ロシリル基はハードコート膜と共有結合を形成してい
た。膜厚は約1.5nmであった。
【0053】この防汚性化学吸着膜18上に油の例とし
てヘキサデカンを滴下したところ、その接触角は75〜
85度であった。また、水滴を滴下した場合の接触角は
112〜120度であった。
【0054】この油の例としてヘキサデカンを滴下した
試料を水にイソプロピルアルコールを数%混合した溶液
を含ませた布で拭いたところ、試料上のヘキサデカンは
除去され、溶液が乾いた後にヘキサデカンの残りは認め
られなかった。
【0055】このヘキサデカンを拭き取った試料を用い
て光書き込み操作を行ったところ書き込み誤りした箇所
への再書き込み動作は全くなかった。すなわち書き込み
誤りは発生しなかった。人間の指で触った実験も行った
が、同様に書き込み誤りは発生しなかった。
【0056】比較例として上記基板の拭き取りを行わな
かった場合(汚れたままの状態を想定)は再書き込みが
500回程度に増え、実用に値しないものであった。
【0057】以上のことから、本発明の効果が大きいこ
とが確かめられた。
【0058】(実施例2)実施例1で用いた光情報ディ
スク基板の透明保護膜16にプライマー層21とハード
コート層22と防汚性化学吸着膜23を次のように形成
した。
【0059】まず、信越化学工業社製プライマー(PC
−7A)21をスピンコートにより塗布し、10分間風
乾させた後に、120℃で30分間キュアした。膜厚は
1μmであった。
【0060】次に信越化学工業社製シリコン熱硬化性材
料(シリコーンハードコート剤KP−851)をスピン
コートにより塗布し、10分間乾燥させた後に120℃
で60分間加熱することにより熱硬化を行ない、ハード
コート膜22を形成した。膜厚は2μmであった。
【0061】次に乾燥した雰囲気においてシランカップ
リング剤としてオクタデシルトリクロロシラン(octadec
yltrichlorosilane,CH3(CH2)17SiCl3) (チッソ社製)
を1質量%、環状シリコーンオイル(信越化学工業社製
KF995)に溶かし塗布溶液とした。この塗布溶液を
スピンコートで回転塗布し、その後に前記環状シリコー
ンオイルで洗浄し、シランカップリング剤分子からなる
化学吸着膜23を形成した。この化学吸着膜23はその
膜表面に炭素水素基が露出する構造となり、薄膜23を
構成しているシランカップリング剤分子のシリル基はハ
ードコート膜22と共有結合を形成していた。膜厚は約
1.5nmであった。
【0062】この、防汚性化学吸着膜24上に油の例と
してヘキサデカンを滴下したところ、その接触角は15
度以下であった。また、水滴を滴下した場合の接触角は
105〜115度であった。
【0063】このヘキサデカンを滴下してある試料を用
いて光書き込み操作を行ったところ書き込み誤りした箇
所への再書き込み動作は2回であった。すなわち書き込
み誤りは2回発生したことを示した。これは実用的には
問題のないレベルであった。
【0064】以上のことから、本発明の効果が大きいこ
とが確かめられた。
【0065】また、炭化水素系シランカップリング剤と
してオクタデシルトリクロロシランを例示したが、末端
にメチル基があれば同様の効果があると期待され、例え
ば、テトラデシルトリクロロシラン、ペンタデシルトリ
クロロシラン、ヘキサデシルトリクロロシラン、ヘプタ
デシルトリクロロシラン、ノナデシルトリクロロシラン
なども有効であった。
【0066】(実施例3)実施例1で説明したDVDデ
ィスクにおける表面のハードコート膜17を分子レベル
まで拡大し示したのが図3である。すなわち、表面には
水酸基32の活性水素が存在する。
【0067】次に、実施例1の化学吸着剤に代えて、2
−(トリクロロシリル)エチルステアレート(CH3(CH2)
16COOCH2CH2SiCl3)を約2質量%、非水系溶媒のフッ素
系不活性液体(住友3M社製PF5080)に溶解さ
せ、化学吸着塗布液を調製した。
【0068】次に、この化学吸着塗布液をハードコート
膜17の表面に滴下し、乾燥雰囲気中(相対湿度35%
以下)でスピンコート法により、均一に塗布した。これ
により、図3に示すハードコート膜17表面に多数存在
する水酸基32と、前記吸着溶液中に含まれるクロロシ
リル基(-SiCl基)とが、脱塩化水素反応を起こし、下記
化学反応式(4)に示すようにシロキサン結合基を介し
て化学結合した。 CH3(CH2)16COOCH2CH2SiCl3 + HO-|ハードコート膜 → CH3(CH2)16COOCH2CH2SiCl2-O-|ハードコート膜 (4) 次に、非水系溶液のフッ素系不活性液体(住友3M社製
PF5080)を用いてスプレー洗浄し、未反応の化学
吸着物質を除去した。更に、室温で10分程度、流水を
用いて水洗を行って、未反応のCl基をOH基に置換さ
せた。
【0069】次いで、乾燥させると、隣接する分子のO
H基同士の脱水反応を起こして架橋構造が形成された。
【0070】これにより、図4に示すように、ハードコ
ート表面17と化学結合した状態の脂肪酸エステル基を
含む単分子膜33が約2nmの膜厚で形成できた。得ら
れた化学吸着膜の防汚性は、実施例1と同様に優れてい
た。
【0071】図5Aは、本実施例の防汚性化学吸着膜の
効果を説明するために示した指紋汚れの経時変化を概念
的に示した概略断面図であり、指を押しつけた当初の概
略断面図、図5Bは図5Aの状態から5日間が経過した
後の概略断面図である。
【0072】図5Aに示すように、指を押しつけた当初
は指紋35が見えていたが、図5Bに示すように、5日
間が経過するにつれて、指紋に含まれる脂質分が化学吸
着膜33に濡れて約10倍の面積に薄く広がり、拡散指
紋36のように変化した。このように拡散するとレーザ
光の照射は悪影響を受けることがない。尚、単分子膜3
3の表面エネルギーは約35mN/mであった。
【0073】(実施例4)図6は、本発明の実施例3で
使用したハードコート表面17に形成されたポリマー状
の防汚性化学吸着膜34を分子レベルまで拡大した概略
断面図である。
【0074】前記実施例3では、未反応化学吸着物質を
洗浄除去したが、本実施例では未反応化学吸着物質を洗
浄除去せずに、そのまま用いた。洗浄以外は、実施例3
と同様にした。その結果、シロキサン結合基を介して結
合した膜厚が100〜300nmのポリマー状の被膜3
4が形成できた。得られた化学吸着膜の防汚性は、実施
例1と同様に優れていた。
【0075】また、前記実施例3−4では、脂肪酸エス
テル基として、ステアリン酸エステル基を有する物質を
用いたが、パルミチン酸エステル基、アラキジン酸エス
テル基、オレイン酸エステル基、エルシン酸エステル
基、リノール酸エステル基、リノレン酸エステル基等の
脂肪酸エステル基を有する化学吸着物質を用いてもほぼ
同様の効果が確かめられた。
【0076】(実施例5)図1のハードコート膜17の
表面を200Wで30秒程度コロナ処理(エキシマUV
処理の場合は、空気中で、1500mJ/cm2程度の
照射)して、表面を親水性にした。
【0077】非水系溶媒であるジメチルシリコーンに、
化学吸着物質である2−(トリクロロシリル)エチル リ
ノレート(CH3(CH2)4CH=CHCH2CH=CH(CH2)7COOCH2CH2SiC
l3)を約1質量%となるように溶解させ、化学吸着塗布
液を調整した。
【0078】次に、この化学吸着塗布液を前記親水性に
したハードコート膜の表面に滴下し、乾燥雰囲気中(相
対湿度18%)でスピンコート法により、均一に塗布し
た。その後、非水系溶媒であるジメチルシリコーンで表
面を洗浄し、水洗し乾燥した。これにより、下記化学式
(5)に示すように化学吸着物質がシロキサン結合基を
介して化学結合した。 CH3(CH2)4CH=CHCH2CH=CH(CH2)7COOCH2CH2Si(-O-)3−|ハードコート膜 (5 ) 得られた化学吸着単分子膜の膜厚は約2nmであった。
この化学吸着膜の防汚性も、実施例1と同様に優れてい
た。
【0079】(実施例6)前記実施例5では、未反応化
学吸着物質を洗浄除去したが、本実施例では、未反応化
学吸着物質を洗浄除去せずに、そのまま用いた。洗浄以
外は、実施例5と同様にした。この結果、膜厚が約20
0nmのポリマー状の被膜を形成した。この化学吸着膜
の防汚性も、実施例1と同様に優れていた。
【0080】(実施例7) (1)ハードコート膜用塗布液組成物の調製 回転子を備えた反応器中にγ−グリシドキシプロピルト
リメトキシシラン95.3gを仕込み、液温を10℃に
保ち、マグネチックスターラーで攪拌しながら0.01
規定の塩酸水溶液21.8gを徐々に滴下した。滴下終
了後冷却を止めて、γ−グリシドキシプロピルトリメト
キシシランの加水分解物を得た。この加水分解物に、メ
タノール216g、ジメチルホルムアミド216g、フ
ッ素系界面活性剤0.5g、ビスフェノールAエポキシ
樹脂(シェル化学社製、商品名”エピコート827”)
67.5gを添加混合し、さらにコロイド状5酸化アン
チモンゾル(日産化学社製、商品名”アンチモンゾルA
−2550”、平均粒子径60nm)270g、さらに
触媒としてアルミニウムアセチルアセトネート13.5
gを添加し、十分攪拌した後、コーティング溶液とし
た。これをハードコート膜用塗布液組成物という。 (2)ハードコート樹脂膜の形成 図7に示す0.34ミクロン毎にグルーブとランドが交
互に形成された直径120mm、厚み0.6mmのポリ
カーボネート製信号記録用トラックを持つディスク基板
41の外側表面に、前記のハードコート膜用塗布液組成
物を滴下し、スピンコート法により均一に塗布し、その
後82℃で12分の予備硬化と、93℃で4時間の処理
により硬化反応させた。得られたハードコート樹脂膜4
2の厚みは5μmであった。 (3)光学的情報記録媒体の形成 図1に示すように、ディスク状のポリカーボネート基板
41の上に第1の誘電体層43としてZnS−SiO2
混合膜を厚さ100nmにスパッタリングで形成し、そ
の上に記録層44としてGe:Sb:Te=20:2
5:55の原子%比の組成物を厚さ12nmにスパッタ
リングで形成し、その表面に第2の誘電体層45として
Ta25を厚さ50nmにスパッタリングで形成し、そ
の表面にAg反射層46を厚さ100nmにスパッタリ
ングで形成し、その表面に厚み0.1mmの透明ポリカ
ーボネートシート47をエポキシ樹脂接着剤で貼り付け
た。この光情報ディスクは、青色レーザ光を基板41側
から入射するタイプのDVDディスクである。 (4)化学吸着膜の形成 前記ハードコート樹脂膜42の表面に、乾燥した雰囲気
においてシランカップリング剤としてオクタデシルトリ
クロロシラン(octadecyltrichlorosilane, CH3(CH2)17S
iCl3)(チッソ社製)を1質量%、環状シリコーンオイ
ル(信越化学工業社製KF995)に溶かし塗布溶液と
した。この塗布溶液をスピンコートで回転塗布し、その
後に前記環状シリコーンオイルで洗浄し、シランカップ
リング剤分子からなる化学吸着膜48を形成した。この
化学吸着膜48はその膜表面に炭素水素基が露出する構
造となり、薄膜48を構成しているシランカップリング
剤分子のシリル基はハードコート膜42と共有結合を形
成していた。膜厚は約1.5nmであった。この化学吸
着膜48の防汚性も、実施例1と同様に優れていた。
【0081】(実施例8)実施例2に従ってプライマー
層を形成し、さらにハードコート膜を形成した。このハ
ードコート膜はシリコーン材料で表面には多くの水酸基
が露出している。次に実施例2と同じくデシルトリクロ
ロシランを用いてシランカップリング剤からなるコーテ
ィング膜を形成した。このコーティング膜表面の臨界表
面エネルギーを求めた。その方法はエチレングリコール
と水を適宜の割合で混合した試薬を数種作成し、その液
滴を上記コーティング膜に滴下し、その液滴がコーティ
ング膜上で形成する接触角を形成し、その形成した角度
の正弦値を求めた。作成した試薬の混合比により試薬の
表面エネルギーを知り、X軸に試薬の表面エネルギー
を、Y軸にその試薬の液滴がコーティング膜上で形成す
る接触角の正弦値をプロットし、その各プロット点が作
る線の延長線と正弦値が0(直線Y=0)の交点をそのコ
ーティング膜の臨界表面エネルギーとしたところ、本実
施例で求めた値は23mN/mであった。 <光書き込み試験>実施例2に従ってハードコート膜ま
で形成した基板に様々なシランカップリング剤を用いて
コーティング膜を形成し、その表面が与える臨界表面エ
ネルギーを求めた。その結果を表1に示す。同時にオイ
ル成分の液としてヘキサデカンを滴下し、その濡れ性を
確認し、濡れの拡がりから光書き込みの動作ができるか
否かの判定を示した。
【0082】なお、光書き込み試験は光読み出し試験よ
りも重要な試験であり、光書き込み試験を合格した試料
は光読み出し試験に対しても合格となる。
【0083】
【表1】 以上のことから、濡れ性の拡がりの判定から鑑み、炭化
水素基を有する分子で構成された化学吸着膜の場合は、
15mN/m以上で40mN/m以下の範囲が好ましい臨界表面エ
ネルギー範囲であった。このような臨界表面エネルギー
を形成しうるコーティング物質を選ぶことが重要である
ことを確認した。注意しなければならないことはここで
使用したカップリング剤に限らず、この臨界表面エネル
ギーの範囲内に入る臨界表面エネルギーを実現する物質
でコーティングすればよいこととなる。なお、フッ化炭
素基が露出する表面は本光書き込み試験においては判定
で不合格となるが、これは濡れの拡がり性から判断した
ものであって、第1の実施例の記載したようにオイル成
分が完全に除去出来れば光書き込み操作で何も問題がな
いことは自明である。よって、除去可能な表面と濡れを
拡がらせる表面とは少なくともその一部において補完的
な状態であると考えられる。上記臨界表面エネルギーの
範囲内で特に望ましい臨界表面エネルギー値は23mN/m
から33mN/mの範囲であった。
【0084】
【発明の効果】本発明により、従来はケース内に保管し
た状態で使用していた高密度記録メディアを、コンパク
トディスクなどのようにケースから取り出して使用する
ことしても支障ない記録メディアを提供できることが可
能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1における光硬化ハードコート
樹脂膜上に炭化水素系化学吸着膜を形成した光学的情報
記録媒体を示す断面図。
【図2】本発明の実施例2における熱硬化性樹脂膜上に
炭化水素系化学吸着膜を形成した光学的情報記録媒体を
示す断面図。
【図3】本発明の実施例3における光学的情報記録媒体
表面を分子レベルまで拡大した概略断面図。
【図4】本発明の実施例3における化学吸着単分子膜を
分子レベルまで拡大した概略断面図。
【図5】A−Bは本発明の実施例3における化学吸着単
分子膜の汚れが拡散する状態を示した概略断面図であ
り、Aは指脂が付着した直後の概略断面図であり、Bは
日数が経過した後の概略断面図である。
【図6】本発明の実施例4における化学吸着ポリマー膜
を分子レベルまで拡大した概略断面図。
【図7】本発明の実施例6における化学吸着単分子膜を
分子レベルまで拡大した概略断面図。
【符号の説明】
11,41 基板 17,22,42 ハードコート膜 18,23,33,34,48 化学吸着膜
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // C08G 77/14 C08G 77/14 (72)発明者 磯村 秀己 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 Fターム(参考) 4J035 BA02 CA13N EA01 EB02 LA03 LB20 5D029 LA05 LB03 LB13 LC13 LC21 5D121 AA04 EE22 EE23

Claims (21)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光学的情報記録媒体の基体の上に少なく
    とも反射膜と記録膜と保護膜を備え、前記保護膜は前記
    基体と対向する側の表層に形成されている光学的情報記
    録媒体であって、 前記基体および保護膜から選ばれる少なくとも一方の外
    層に、ハードコート樹脂層と、 前記ハードコート樹脂層の外層に、少なくとも一般式R
    4-m-nSiR'mn−(但し、Rは炭素数3〜25の炭素
    鎖基を含む基、ZはO,NまたはS、nは1,2または
    3、R'は水素または炭素数1〜3のアルキル基、mは
    0,1または2)で示される有機シラン分子からなる化
    学吸着膜が前記ハードコート層と共有結合して形成され
    ていることを特徴とする光学的情報記録媒体。
  2. 【請求項2】 前記ハードコート樹脂層が、シリコーン
    樹脂硬化層である請求項1に記載の光学的情報記録媒
    体。
  3. 【請求項3】 前記シリコーン樹脂硬化層が、光硬化お
    よび熱硬化から選ばれる少なくとも一つの硬化層である
    請求項2に記載の光学的情報記録媒体。
  4. 【請求項4】 前記一般式のRが炭化水素基および脂肪
    酸エステル基から選ばれる少なくとも一つである請求項
    1に記載の光学的情報記録媒体。
  5. 【請求項5】 前記化学吸着膜の表面が親油性である請
    求項1に記載の光学的情報記録媒体。
  6. 【請求項6】 前記化学吸着膜の厚みが0.1nm以上
    0.5μm以下である請求項1に記載の光学的情報記録
    媒体。
  7. 【請求項7】 前記化学吸着膜の表面エネルギーが15
    mN/m以上70mN/m以下である請求項1に記載の
    光学的情報記録媒体。
  8. 【請求項8】 前記脂肪酸エステル基が、カプロン酸エ
    ステル基、カプリル酸エステル基、カプリン酸エステル
    基、ラウリン酸エステル基、ミリスチン酸エステル基、
    パルミチン酸エステル基、ステアリン酸エステル基、ア
    ラキジン酸エステル基、オレイン酸エステル基、エルシ
    ン酸エステル基、リノール酸エステル基およびリノレン
    酸エステル基から選ばれる少なくとも一つの基である請
    求項4に記載の光学的情報記録媒体。
  9. 【請求項9】 前記ハードコート樹脂層の厚みが、0.
    1〜100μmの範囲である請求項1に記載の光学的情
    報記録媒体。
  10. 【請求項10】 前記保護膜とハードコート樹脂層との
    間に、さらにプライマー層を備えた請求項1に記載の光
    学的情報記録媒体。
  11. 【請求項11】 光学的情報記録媒体の基体の上に少な
    くとも反射膜と記録膜と保護膜を備え、前記保護膜は前
    記基体と対向する側の表層に形成されている光学的情報
    記録媒体の製造方法であって、 前記基体および保護膜から選ばれる少なくとも一方の外
    層に、ハードコート樹脂材料を含む塗布液を回転塗布
    し、硬化してハードコート樹脂膜を形成し、 前記樹脂膜表面を乾燥した状態で一般式R4-m-nSiR'
    mn(但し、Rは炭素数3〜25の炭素鎖基を含む基、
    Xはハロゲノ基,アルコキシ基,イソシアネート基また
    はエステル基、nは1,2または3、R'は水素または
    炭素数1〜3のアルキル基、mは0,1または2)で示
    される有機シラン化合物を含む化学吸着膜材料を回転塗
    布し、 前記有機シラン化合物の反応基と前記ハードコート樹脂
    膜表面の活性水素との間で脱離反応を起こさせることに
    より、前記有機シラン分子を薄膜状態で前記ハードコー
    ト層と共有結合させることを特徴とする光学的情報記録
    媒体の製造方法。
  12. 【請求項12】 前記有機シラン化合物を回転塗布した
    後に、前記化合物の残余分を除去する請求項11に記載
    の光学的情報記録媒体の製造方法。
  13. 【請求項13】 前記ハードコート樹脂層が、シリコー
    ン樹脂硬化層である請求項11に記載の光学的情報記録
    媒体の製造方法。
  14. 【請求項14】 前記ハードコート樹脂の硬化が、熱硬
    化および光照射による硬化から選ばれる少なくとも一つ
    の硬化である請求項11に記載の光学的情報記録媒体の
    製造方法。
  15. 【請求項15】 前記一般式のXがイソシアネート基、
    アルコキシ基、ハロゲンおよびエステル基から選ばれる
    少なくとも一つの基である請求項11に記載の光学的情
    報記録媒体の製造方法。
  16. 【請求項16】 前記ハードコート樹脂膜の表面の活性
    水素が、−OH基、−NH2基、−NH基、−COOH
    基および−SH基から選ばれる基の水素である請求項1
    1に記載の光学的情報記録媒体の製造方法。
  17. 【請求項17】 前記一般式のRが炭化水素基および脂
    肪酸エステル基から選ばれる少なくとも一つである請求
    項11に記載の光学的情報記録媒体の製造方法。
  18. 【請求項18】 前記コーティング膜の表面が親油性で
    ある請求項11に記載の光学的情報記録媒体の製造方
    法。
  19. 【請求項19】 前記有機シラン分子で構成される薄膜
    の厚みが0.1nm以上0.5μm以下である請求項1
    1に記載の光学的情報記録媒体の製造方法。
  20. 【請求項20】 前記有機シラン分子で構成される薄膜
    の表面エネルギーが、15mN/m以上70mN/m以
    下である請求項11に記載の光学的情報記録媒体の製造
    方法。
  21. 【請求項21】 前記脂肪酸エステル基が、カプロン酸
    エステル基、カプリル酸エステル基、カプリン酸エステ
    ル基、ラウリン酸エステル基、ミリスチン酸エステル
    基、パルミチン酸エステル基、ステアリン酸エステル
    基、アラキジン酸エステル基、オレイン酸エステル基、
    エルシン酸エステル基、リノール酸エステル基およびリ
    ノレン酸エステル基から選ばれる少なくとも一つの基で
    ある請求項17に記載の光学的情報記録媒体の製造方
    法。
JP2002072904A 2001-03-23 2002-03-15 光学的情報記録媒体およびその製造方法 Expired - Fee Related JP4061095B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002072904A JP4061095B2 (ja) 2001-03-23 2002-03-15 光学的情報記録媒体およびその製造方法

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001-84766 2001-03-23
JP2001084766 2001-03-23
JP2002072904A JP4061095B2 (ja) 2001-03-23 2002-03-15 光学的情報記録媒体およびその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2002367229A true JP2002367229A (ja) 2002-12-20
JP4061095B2 JP4061095B2 (ja) 2008-03-12

Family

ID=26611898

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002072904A Expired - Fee Related JP4061095B2 (ja) 2001-03-23 2002-03-15 光学的情報記録媒体およびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4061095B2 (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2004061836A1 (ja) * 2002-12-27 2004-07-22 Tdk Corporation 光情報媒体の製造方法
JP2004342182A (ja) * 2003-05-14 2004-12-02 Tdk Corp 光情報媒体
EP2157120A1 (en) 2008-08-21 2010-02-24 Shinetsu Chemical Co., Ltd. Fluorine-containing surface treating agent and an article surface-treated therewith
US8071195B2 (en) 2007-12-12 2011-12-06 Tdk Corporation Multi-layered object comprising hard coat layer and light transmitting layer, and method for producing the same
US8247468B2 (en) 2007-12-12 2012-08-21 Tdk Corporation Composition for hard coat, article having hard coat layer and method for producing the article

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2004061836A1 (ja) * 2002-12-27 2004-07-22 Tdk Corporation 光情報媒体の製造方法
JP2004342182A (ja) * 2003-05-14 2004-12-02 Tdk Corp 光情報媒体
US8071195B2 (en) 2007-12-12 2011-12-06 Tdk Corporation Multi-layered object comprising hard coat layer and light transmitting layer, and method for producing the same
US8247468B2 (en) 2007-12-12 2012-08-21 Tdk Corporation Composition for hard coat, article having hard coat layer and method for producing the article
EP2157120A1 (en) 2008-08-21 2010-02-24 Shinetsu Chemical Co., Ltd. Fluorine-containing surface treating agent and an article surface-treated therewith
US8263724B2 (en) 2008-08-21 2012-09-11 Shin-Etsu Chemical Co., Ltd. Fluorine-containing surface treating agent and an article surface-treated therewith

Also Published As

Publication number Publication date
JP4061095B2 (ja) 2008-03-12

Similar Documents

Publication Publication Date Title
TWI272975B (en) Article with complex hard coat layer and process for forming complex hard coat layer
US6866884B2 (en) Optical information medium
TWI261247B (en) Object having composite hardcoat layer and method forming the composite hardcoat layer
KR100646557B1 (ko) 복합 하드 코트층이 부여된 물체 및 복합 하드 코트층의형성방법
US7493801B2 (en) Artificial finger print liquid, testing method for optical information medium using it, and optical information medium
US6706359B2 (en) Optical information recording medium and method for manufacturing the same
WO2004084206A1 (ja) 光情報媒体の評価方法
JP4061095B2 (ja) 光学的情報記録媒体およびその製造方法
JP2004083877A (ja) 複合ハードコート層付き物体及び複合ハードコート層の形成方法
JP3779663B2 (ja) 光情報媒体の試験方法
JP2004152418A (ja) 光情報媒体
JP4111818B2 (ja) 複合ハードコート層付き物体及び複合ハードコート層の形成方法
JP4153937B2 (ja) 複合ハードコート層付き物体及び複合ハードコート層の形成方法
JP4153941B2 (ja) 複合ハードコート層付き物体及び複合ハードコート層の形成方法
JP3886520B2 (ja) 光情報媒体
JP2006147149A (ja) 光情報媒体の試験方法
JP2004082713A (ja) 複合ハードコート層付き物体及び複合ハードコート層の形成方法
EP1947152A2 (en) Artificial finger print liquid, testing method for optical information medium using it and optical information medium
JPH0227029B2 (ja)
JPS60502277A (ja) 光学記録媒体用の改良されたオ−バコ−ト
JP2006120317A (ja) 光情報媒体の試験方法
JPH06187663A (ja) 光記録媒体

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20041116

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20060323

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20060327

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20060526

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20071129

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20071221

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101228

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4061095

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101228

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111228

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111228

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121228

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121228

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131228

Year of fee payment: 6

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees