JP2002365971A - 感光体評価装置及びこれを用いた感光体評価方法、電子写真装置及びこれを用いた電子写真方法 - Google Patents

感光体評価装置及びこれを用いた感光体評価方法、電子写真装置及びこれを用いた電子写真方法

Info

Publication number
JP2002365971A
JP2002365971A JP2001169762A JP2001169762A JP2002365971A JP 2002365971 A JP2002365971 A JP 2002365971A JP 2001169762 A JP2001169762 A JP 2001169762A JP 2001169762 A JP2001169762 A JP 2001169762A JP 2002365971 A JP2002365971 A JP 2002365971A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
photoconductor
photoreceptor
contact
charging
particles
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001169762A
Other languages
English (en)
Inventor
Masaya Kawada
将也 河田
Toshiyuki Ebara
俊幸 江原
Satoshi Furushima
聡 古島
Hironori Owaki
弘憲 大脇
Kazuhiko Takada
和彦 高田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Canon Inc
Original Assignee
Canon Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Canon Inc filed Critical Canon Inc
Priority to JP2001169762A priority Critical patent/JP2002365971A/ja
Publication of JP2002365971A publication Critical patent/JP2002365971A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Electrostatic Charge, Transfer And Separation In Electrography (AREA)
  • Length Measuring Devices With Unspecified Measuring Means (AREA)
  • Photoreceptors In Electrophotography (AREA)
  • Cleaning In Electrography (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 電子写真装置の長寿命化及びメンテナンスフ
リー化を達成するために、耐摩耗性に優れた感光体を実
機に対応して促進評価するとともに、感光体の摩耗性を
考慮した装置設計を行うことで電子写真装置の高耐久化
を図る。 【解決手段】 感光体評価装置は、帯電手段101内の
帯電部材の感光体102に対する周速差比、帯電部材と
感光体102との当接幅、帯電部材の感光体102への
当接圧の何れかが制御可能である。帯電手段101は、
弾性部材表面に導電性粒子を付与したものや磁気ブラシ
等を使用する。感光体102の摩耗性評価の際には、上
記の周速差比、当接幅、当接圧の何れか1つ以上を制御
して評価を行う。また、電子写真装置を上記と同様の構
成とし、感光体の外径D[mm]、感光体表面の移動速
度S[mm/sec]とした時に、感光体1回転当りの
摩耗量X[nm/回転]が0.003×D/S以下とす
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、帯電部材に電圧を
印加し、この帯電部材と像担持体である被帯電体、即ち
感光体とを、その当接部位に少なくとも粒子が介在する
状態で当接させて感光体の被帯電面を帯電し、その被帯
電面に可視光、ライン走査レーザー光により画像情報の
書き込みをして画像形成を行う方式の電子写真装置に関
する。
【0002】より具体的には、上記の様な電圧印加方式
の帯電部材を感光体の帯電手段として用い、良好な画質
を極めて長期にわたって安定して得るための電子写真装
置、及び該電子写真装置に用いられる感光体の摩耗速度
を評価するための感光体評価方法に関する。
【0003】
【従来の技術】1.[電子写真装置] 電子写真装置は、従来の原稿を複写するいわゆる複写機
のみならず、近年需要の伸びの著しいコンピュータ、ワ
ードプロセッサの出力手段であるプリンターとして広く
利用されている。こうしたプリンターは従来のオフィス
ユースのみならず、パーソナルユースが増大した為、低
コスト、メンテナンスフリーといった経済性が重視され
ている。更に、エコロジーの観点から、両面コピー、再
生紙利用等紙の消費低減、消費電力低減の省エネルギ
ー、オゾン量低減等近隣生物への影響対策が、経済性と
同様の重要度で求められている。
【0004】従来の電子写真装置においては、コロナ帯
電器が帯電方式の主流であった。この種のコロナ帯電器
は、φ50〜100μm程度の金属ワイヤーに5〜10
kV程度の高電圧を印加し、雰囲気を電離して対向物に
帯電を付与する。その過程において、ワイヤー自身にも
汚れが吸着し、定期的な清掃、交換が必要となる。ま
た、コロナ放電にともない、オゾンが大量に発生してし
まう。
【0005】一方、近年、電子写真装置に使用される電
子写真感光体は、耐刷枚数の増大を図る為に表面硬度が
高くなっており、繰り返し使用によりコロナ帯電器から
発生するオゾンにより生成されるコロナ生成物の影響で
被帯電体である感光体の表面が湿度に敏感となる。この
ため、感光体表面は特に高湿環境下で水分を吸着し易く
なり、これが感光体表面の電荷の横流れの原因となり、
画像流れといわれる画像品質低下を引き起こすという欠
点がある。
【0006】この様な画像流れを防止する為の方法とし
ては、実公平1−34205号公報に開示されているよ
うに、ヒーターにより感光体を加熱する方法や、特公平
2−38956号公報に開示されているように、マグネ
ットローラー及び磁性トナーから形成されたブラシによ
り被帯電体である像担持体、例えば感光体表面を摺擦し
てコロナ生成物を取り除く方法や、特開昭61−100
780号公報に開示されているように、弾性ローラーに
より感光体表面との摺擦でコロナ生成物を取り除く方法
等が用いられてきた。
【0007】感光体表面を摺擦する方法は、感光体とし
て極めて硬度の高いアモルファスシリコン感光体を用い
る場合に使用される方法であるが、クリーニング装置
(以下、「クリーナー」と称する)が大きくなる等、装
置の小型化が困難となる。また、ヒーターによる常時加
熱は消費電力量の増大を招く。
【0008】高湿環境下での感光体の画像流れを防止、
除去する為の手段としては、感光体内面に熱源を設ける
ことが周知であり、面状または棒状の電熱ヒーターを円
筒状の感光体内面に配設する手段が最も一般的である。
こうしたヒーターの容量は通常15Wから80W程度で
あるため、必ずしも大電力量といった印象を得ないが、
ヒーターは夜間も含め常時通電されているケースがほと
んどであり、一日あたりの消費電力量としては、電子写
真装置全体の消費電力量の5〜15%にも達する。
【0009】また、こうした画像流れの元凶であるオゾ
ンは、電子写真装置周囲の人や生物に健康障害を与える
おそれがあるため、従来より、オゾン除去フィルターで
オゾンを分解無害化した上で電子写真装置から排出して
いた。特にパーソナルユースの場合、排出オゾン量は極
力低減しなければならない。このように経済面からも帯
電時に発生するオゾン量を大幅に低減する方式が求めら
れている。
【0010】こうした状況から、新たな帯電部材、帯電
装置、電子写真装置としての発生オゾン量が皆無、或い
は低減された帯電装置が求められている。 2.[帯電装置] 上述の問題点を解決すべく、各種の接触帯電装置が提案
されている。
【0011】接触帯電装置は、像担持体等の被帯電体
に、ローラー型(帯電ローラー)、ファーブラシ型、磁
気ブラシ型、ブレード型等の導電性の帯電部材(接触帯
電部材・接触帯電器)を接触させ、この帯電部材に所定
の帯電バイアスを印加して被帯電体の被帯電面を所定の
極性・電位に帯電させるものである。
【0012】接触帯電の帯電機構(帯電のメカニズム、
帯電原理)には、放電帯電機構と、直接注入帯電機
構との2種類の帯電機構が混在しており、どちらが支配
的であるかにより各々の特性が現れる。 放電帯電機構 放電帯電機構とは、接触帯電部材と被帯電体との微小間
隙に生じる放電現象により被帯電体表面を帯電する機構
のことである。
【0013】放電帯電機構は、接触帯電部材と被帯電体
に一定の放電閾値を有するため、帯電電位よりも大きな
電圧を接触帯電部材に印加する必要がある。また、コロ
ナ帯電器に比べればオゾンの発生量は格段に少ないが、
放電生成物を生じることが原理的に避けられないため、
オゾンなど活性イオンによる弊害は避けられない。 直接注入帯電機構 直接注入帯電機構とは、接触帯電部材から被帯電体に直
接に電荷を注入することで被帯電体表面を帯電する機構
のことである。直接帯電、あるいは注入帯電、あるいは
電荷注入帯電とも称される。
【0014】直接注入帯電機構は、より詳しくは、中抵
抗の接触帯電部材を被帯電体表面に接触させ、放電現象
を介さずに、つまり放電を基本的に用いることなく被帯
電体表面に直接電荷注入を行うものである。
【0015】よって、接触帯電部材への印加電圧が放電
閾値以下の印加電圧であっても、被帯電体を印加電圧に
相当する電位に帯電することができる。直接注入帯電系
はイオンの発生を伴わないため放電生成物による弊害は
生じない。しかし、直接注入帯電であるため、接触帯電
部材の被帯電体への接触性が帯電性を大きく左右する。
そこで、より高い頻度で被帯電体に接触する構成とする
ため、接触帯電部材はより密な接触点を持つ、被帯電体
との速度差を多く持つ等の構成が必要となる。
【0016】接触帯電装置は、接触帯電部材として導電
ローラー(帯電ローラー)を用いたローラー帯電方式が
広く用いられている。
【0017】従来のローラー帯電における帯電機構は、
上述の放電帯電機構が支配的である。帯電ローラー
は、導電あるいは中抵抗のゴム材あるいは発泡体を用い
て作製される。更に、これらを積層して所望の特性を得
たものもある。また、帯電ローラーは、被帯電体との一
定の接触状態を得るために弾性を持たせているが、その
ために摩擦抵抗が大きく、多くの場合、被帯電体に従動
あるいは若干の速度差をもって駆動される。従って、直
接注入帯電を行うにしても、絶対的帯電能力の低下や接
触性の不足やローラー形状による接触むらや被帯電体の
付着物による帯電むらは避けられない。
【0018】図4は、電子写真方法における接触帯電の
帯電効率の一例を表わしたグラフである。なお、図4に
おいて、横軸は接触帯電部材に印加したバイアス、縦軸
はその時に得られた被帯電体、即ち感光体の帯電電位を
表わしている。
【0019】ローラー帯電方式の帯電特性は、感光体の
誘電率等により所定の放電閾値(図4では−500V)
を過ぎてから帯電が始まる。従って、図4の例では、感
光体を−500Vに帯電する場合は−1000Vの直流
電圧を印加するか、あるいは、−500V直流の帯電電
圧に加えて、放電閾値以上の電位差を常に持つようにピ
ーク間電圧、例えば1200Vppの交流電圧を印加し
て感光体電位を帯電電位に収束させる方法が一般的であ
る。
【0020】より具体的に説明すると、感光体に対して
帯電ローラーを加圧当接させた場合には、ある一定の閾
値電圧以上の電圧を印加すれば感光体の表面電位が上昇
し始め、それ以降は印加電圧に対して1またはそれ以下
の所定の傾きで線形に感光体表面電位が増加する。この
閾値電圧を帯電開始電圧Vthと定義する。
【0021】つまり、電子写真に必要とされる感光体表
面電位Vdを得るためには帯電ローラーにはVd+Vt
hのDC電圧、すなわち、必要とされる感光体表面電位
Vd以上のDC電圧が必要となる。このようにDC電圧
のみを接触帯電部材に印加して帯電を行なう方法を「D
C帯電方式」と称する。
【0022】しかし、DC帯電方式においては、環境変
動等によって接触帯電部材の抵抗値やVthが変動する
ため、感光体の電位を所望の値にすることが困難であっ
た。このため、更なる帯電の均一化を図るために特開昭
63−149669号公報に開示されているように、所
望のVdに相当するDC電圧に2×Vth以上のピーク
間電圧を持つAC成分を重畳した電圧を接触帯電部材に
印加する「AC帯電方式」が用いられている。この方式
は、AC電圧による感光体表面電位のならし効果を目的
としたものであり、感光体の電位はAC電圧のピークの
中央であるVdに収束し、環境等の外乱には影響される
ことはない。
【0023】ところが、このようなAC帯電方式を用い
た接触帯電装置においても、その本質的な帯電機構は、
接触帯電部材から感光体への放電現象を用いているた
め、先に述べたように接触帯電部材に印加する電圧は感
光体表面電位以上の値が必要とされ、微量のオゾンが発
生する。
【0024】また、帯電均一化のためにAC帯電を行な
った場合には、さらなるオゾンの発生、AC電圧の電界
による接触帯電部材と感光体との振動による騒音(AC
帯電音)の発生等が顕著になり、これらが新たな問題点
となっていた。
【0025】帯電むらを防止し安定した均一帯電を行う
ために、接触帯電部材における被帯電体面との接触面に
粉末を塗布する構成が特公平7−99442号公報に開
示されている。しかしながら、この構成は、接触帯電部
材(帯電ローラー)が被帯電体(感光体)に従動回転
(速度差駆動なし)するものであり、スコロトロン等の
コロナ帯電器と比べるとオゾン生成物の発生は格段に少
なくなっているが、帯電原理は上述のローラー帯電の場
合と同様に依然として放電帯電機構を主としている。ま
た、より安定した帯電均一性を得るためにDC電圧にA
C電圧を重畳した電圧を印加しているため、放電による
オゾン生成物の発生はより多くなってしまう。従って、
長期にわたって装置を使用した場合には、オゾン生成物
による画像流れ等の弊害が現れやすい。更に、クリーナ
ーレスの電子写真装置に適用した場合には、塗布した粉
末が転写残トナーの混入により均一に帯電部材に付着し
ていることが困難となり、均一帯電を行なう効果が薄れ
てしまう。
【0026】また、特開平5−150539号公報に
は、接触帯電を用いた画像形成方法において、長時間画
像形成を繰り返すうちにブレードクリーニングしきれな
かったトナー粒子やシリカ微粒子が帯電部材の表面に付
着・蓄積することによる帯電阻害を防止するために、ト
ナー中に、少なくとも顕画粒子と、顕画粒子よりも小さ
い平均粒径を有する導電性粒子を含有する技術が開示さ
れている。しかし、この技術で用いられている接触帯電
或いは近接帯電は放電帯電機構によるものであり、直接
注入帯電機構ではないため、放電帯電による上述の問題
が残る。更に、クリーナーレスの電子写真装置へ適用し
た場合には、クリーナーを有する場合と比較して多量の
導電性粒子及び転写残トナーが帯電工程を通過すること
による帯電性への影響や、これらの多量の導電性粒子及
び転写残トナーの現像工程における回収性や、現像手段
に回収された導電性粒子及び転写残トナーによるトナー
の現像特性への影響等に関して何ら考慮されていない。
更に、接触帯電に直接注入帯電機構を適用した場合に
は、導電性粒子が接触帯電部材に必要量供給されず、転
写残トナーの影響による帯電不良を生じてしまう。
【0027】また、近接帯電では、多量の導電性粒子及
び転写残トナーの影響により感光体を均一帯電すること
が困難であり、転写残トナーのパターンを均す効果が得
られないため、転写残トナーのパターンにより画像露光
が遮光され、パターンゴーストが発生する。更に、画像
形成中の電源の遮断時或いは紙詰まり時にはトナーによ
る機内汚染が著しくなる。 [直接注入帯電]上記の直接注入帯電機構に関し、一
連の接触帯電部材が様々な方法で改善されており、その
中で、特開昭59−133569号公報等に開示されて
いる様に、磁性体と磁性粒子(或いは粉体)からなる磁
気ブラシ状の接触帯電部材を像担持体に接触させ、該像
担持体に帯電を付与する機構の新方式が提案されてい
る。
【0028】また、特開昭57−046265号公報等
に開示されている様に、導電性の繊維からなるファーを
用いたファーブラシ状の接触帯電部材を像担持体に接触
させ、該像担持体に帯電を付与する機構の新方式が提案
されている。
【0029】ここで、直接注入帯電方式に用いられる注
入帯電用の帯電部材の構成について図3に従って説明す
る。
【0030】弾性部材と帯電粒子とからなる注入帯電用
の帯電部材の一実施態様を図3(a)に示す。
【0031】帯電部材301は、芯金301−3と、芯
金301−3上に形成された低抵抗或いは中抵抗の弾性
部材301−2と、帯電面のうち少なくとも感光体との
当接部に帯電粒子である導電性粒子が介在する粒子層3
01−1とからなる。
【0032】芯金301−3は、必要に応じて設けられ
るものである。
【0033】弾性部材301−2は、抵抗や硬度、また
導電性粒子を介在させるための微小な凹凸或いはセル等
が、使用する電子写真装置の仕様等に応じて調整され
る。
【0034】粒子層301−1上の導電性粒子は、磁性
/非磁性の何れでも使用可能であり、その抵抗値、粒径
が、使用する電子写真装置の仕様等に応じて調整され
る。
【0035】磁気ブラシからなる注入帯電用の帯電部材
の一実施態様を図3(b)に示す。
【0036】注入帯電部材302は、磁性部材302−
2と、帯電面に磁性粒子が介在する粒子層302−1と
からなる。
【0037】磁性部材302−2は、磁極が内包された
所謂スリーブ状、或いはマグネットローラー状であり、
使用する電子写真装置の仕様等に応じて、磁極の方向や
磁束密度が適宜調整される。
【0038】粒子層302−1上の磁性粒子には、Cu
−Zn−Fe−O系などの磁性酸化鉄(フェライト)
粉、マグネタイト粉、樹脂中にフェライトやマグネタイ
ト等の磁性材料を分散させたもの、周知の磁性トナー材
等が一般的に用いられる。 [電子写真プロセス]電子写真装置の一実施態様を図2
に示す。
【0039】図2に示す電子写真装置は、像担持体であ
る感光体202と、帯電手段201と、画像信号付与手
段203と、画像信号付与手段203と、現像手段20
4と、給紙系205と、転写手段206(a)と、分離
手段206(b)と、クリーニング手段(クリーナー)
207と、除電手段208と、内部電位計209と、搬
送系210と、定着手段211と、原稿台214と、画
像読み込み用光源215と、スキャナー216と、画像
信号光源217と、ミラー218と、給紙経路219
と、レジスタローラー220とから構成されている。
【0040】感光体202は、矢印Aの時計方向に所定
の周速度(プロセススピード)で回転駆動されるドラム
型の電子写真感光体である。
【0041】帯電手段201は、感光体202に直接注
入帯電を行うものであり、図3(a)或いは(b)に示
したように、抵抗等が規定された部材と、少なくとも感
光体202の当接部に介在し、抵抗や粒径等が規定され
た粒子とからなる。なお、部材の抵抗値は、使用される
環境、高帯電効率、或いは感光体202の表面層の耐圧
特性等に応じて適宜選択される。
【0042】また、帯電部材201は、不図示の電圧印
加電源により直流電圧Vdc単独、或いは直流電圧Vd
cに交流電圧Vacが重畳された電圧が印加されること
で、回転駆動されている感光体202の外周面を均一に
帯電する。
【0043】以下に、上記のように構成された電子写真
装置における電子写真プロセスについて説明する。
【0044】感光体202は、その外周面が帯電手段2
01により一様に帯電された後、画像信号付与手段20
3により潜像が形成され、次の現像手段204により潜
像に応じたトナー像(顕像)が形成される。
【0045】画像信号付与手段203による潜像形成は
次のように行われる。
【0046】まず、原稿台214に載置された原稿21
3にて画像読み込み用光源215からの照射光が反射
し、その反射光がスキャナ216にて記憶される。続い
て、スキャナ216に記憶された信号に応じてレーザー
等からなる画像信号光源218が走査し、画像信号が強
度変調され、その画像信号の光がミラー218にて反射
する。その後、ミラー218にて反射した光が、画像信
号付与手段203に入射され、その入射光に応じて画像
信号付与手段203にて潜像形成が行われる。なお、ス
キャナ216は、原稿213にて反射した反射光ではな
く、外部のコンピュータ等からの信号が直接記憶される
場合もある。
【0047】一方、紙などである転写材Pは、給紙系2
05の給紙経路219を通過後、レジスタローラー22
2等によりタイミングが制御され、感光体202側に供
給される。更に、転写材Pは、転写手段206(a)に
より感光体202表面のトナー像が転写され、分離手段
206(b)により感光体202の表面から分離され
る。
【0048】その後、分離手段206(b)により分離
された転写材Pは、搬送系210を経由して定着手段2
11に搬送され、定着手段211内の定着ローラー21
2によりトナー像が定着され、装置外に排出される。
【0049】一方、感光体202上の転写残トナーは、
クリーニング手段(クリーナー)207によりクリーニ
ングされて感光体202から除去される。なお、クリー
ナーが設けられていない構成、いわゆるクリーナレス構
成の場合、感光体202上の転写残トナーは現像手段2
04に回収され、再度現像に寄与することになる。
【0050】また、感光体202の表面に残留する静電
潜像は、除電手段208により除電された後、再度帯電
工程へと供される。 3.[感光体] [有機光導電体(OPC)]電子写真感光体の光導電材
料として、近年、種々の有機光導電材料の開発が進み、
特に電荷発生層と電荷輸送層とを積層した機能分離型感
光体が既に実用化され、複写機やレーザービームプリン
ターに搭載されている。
【0051】しかしながら、このような感光体は一般的
に耐久性が低いことが1つの大きな欠点であった。耐久
性は、感度、残留電位、帯電能、画像ぼけ等の電子写真
物性面の耐久性と、摺擦による感光体表面の摩耗や引っ
掻き傷等の機械的耐久性とに大別され、いずれの耐久性
も感光体の寿命を決定する大きな要因となっている。
【0052】この内、電子写真物性面の耐久性、特に画
像ぼけに関しては、コロナ帯電器から発生するオゾン、
NOx等の活性物質により、感光体表面層に含有される
電荷輸送物質が劣化することが原因で悪化することが知
られている。
【0053】また、機械的耐久性に関しては、感光体表
面層に対して、紙、ブレード/ローラー等のクリーニン
グ部材、トナー等が物理的に接触して摺擦することが原
因で悪化することが知られている。
【0054】電子写真物性面の耐久性を向上させる為に
は、オゾン、NOx等の活性物質により劣化されにくい
電荷輸送物質を用いることが重要であり、酸化電位の高
い電荷輸送物質を選択することが知られている。
【0055】また、機械的耐久性を向上させる為には、
紙やクリーニング部材による摺擦に耐え得る為に、表面
の潤滑性を上げ摩擦を小さくすること、トナーのフィル
ミング融着等を防止する為に表面の離形性をよくするこ
とが重要であり、フッ素系樹脂粉体粒子、フッ化黒鉛、
ポリオレフィン系樹脂粉体等の滑材を感光体表面層に配
合することが知られている。 [アモルファスシリコン系感光体(a−Si)]電子写
真において、感光体の感光層を形成する光導電材料とし
ては、高感度で、SN比[光電流(Ip)/暗電流(I
d)]が高く、照射する電磁波のスペクトル特性に適合
した吸収スペクトルを有すること、光応答性が早く所望
の暗抵抗値を有すること、使用時に人体に対して無害で
あること等の特性が要求される。特に、事務機としてオ
フィスで使用される電子写真装置は、大量に且つ長期に
わたり複写されることを考えると、その電子写真装置内
に組み込まれる電子写真装置用感光体には、画質、画像
濃度についてのを長期の安定性も重要な点である。
【0056】この様な点に優れた性質を示す光導電材料
として水素化アモルファスシリコン(以下、「a−S
i:H」と表記する)があり、これを電子写真装置用感
光体に応用した応用例が、例えば、特公昭60−350
59号公報に開示されている。
【0057】a−Si:Hを応用した電子写真装置用感
光体は、一般的には、導電性支持体を50℃〜400℃
に加熱し、この支持体上に真空蒸着法、スパッタリング
法、イオンプレーティング法、熱CD法、光CD法、プ
ラズマCD法等の成膜法によりa−Siからなる光導電
層を形成する。中でもプラズマCD法、すなわち、原料
ガスを直流または高周波あるいはマイクロ波グロー放電
によって分解し、導電性支持体上にa−Siからなる光
導電層を形成する方法が好適なものとして実用に付され
ている。
【0058】また、特開昭54−83746号公報にお
いては、導電性支持体と、ハロゲン原子を構成要素とし
て含むa−Si(以下、「a−Si:X」と表記する)
光導電層とからなる電子写真装置用感光体が開示されて
いる。この公報においては、a−Siにハロゲン原子を
1〜40原子%含有させることにより、耐熱性が高く、
電子写真装置用感光体の光導電層として良好な電気的、
光学的特性を得ることができるとしている。
【0059】また、特開昭57−115556号公報に
おいては、a−Si堆積膜で構成された光導電層を有す
る光導電部材の暗抵抗値、光感度、光応答性等の電気
的、光学的、光導電的特性及び耐湿性等の使用環境特
性、更には経時的安定性についての改善を図るため、シ
リコン原子を母体としたアモルファス材料で構成された
光導電層上に、シリコン原子及び炭素原子を含む非光導
電性のアモルファス材料で構成された表面障壁層を設け
る技術が開示されている。
【0060】更に、特開昭60−67951号公報にお
いては、アモルファスシリコン、炭素、酸素及び弗素を
含有してなる透光絶縁性オーバーコート層を積層する感
光体についての技術が開示され、特開昭62−1681
61号公報においては、表面層として、シリコン原子と
炭素原子と41〜70原子%の水素原子とを構成要素と
して含む非晶質材料(a−SiC)を用いる技術が開示
されている。
【0061】また更に、特開昭57−158650号公
報においては、水素を10〜40原子%含有し、赤外吸
収スペクトルの2100cm-1と2000cm-1の吸収
ピークの吸収係数比が0.2〜1.7であるa−Si:
Hを光導電層に用いることにで高感度かつ高抵抗な電子
写真装置用感光体が得られる技術が開示されている。
【0062】一方、特開昭60−95551号公報にお
いては、アモルファスシリコン感光体の画像品質向上の
ために、感光体表面近傍の温度を30〜40℃に維持し
て帯電、露光、現像及び転写といった画像形成行程を行
うことにより、感光体表面での水分の吸着による表面抵
抗の低下とそれに伴って発生する画像流れを防止する技
術が開示されている。
【0063】これらの技術により、電子写真装置用感光
体の電気的、光学的、光導電的特性及び使用環境特性が
向上し、それに伴って画像品質も向上してきた。 4.[磨耗評価方法/電子写真方法] 特開平11−184121号公報においては、アモルフ
ァスカーボン(a−C)表面層の評価にSiCラッピン
グテープを使用し、所定条件での磨耗速度が0.25Å
/回転以下である感光体の例が開示されている。
【0064】また、特開平10−074021号公報に
おいては、有機感光体を使用し、0.5〜5μm/10
4プリントの研磨速度で有機感光体を研磨することによ
り、感光体の疲労を解消する例が開示されている。
【0065】また、特開平06−075384号公報に
おいては、感光体周辺のオゾン濃度を5ppm以上、5
0ppm以下とし、かつ感光層の摩耗量が、感光体10
00回転あたり300Å以下とする例が示されている。
【0066】また、特開平05−040381号公報に
おいては、高硬度なa−SiC表面層を使用して耐磨耗
性を向上させる例が示されている。
【0067】また、特開平05−088525号公報に
おいては、硬度を規定したa−C膜を感光体表面に形成
することにより磨耗量を低減させる例が示されている。
【0068】また、特開平06−035275号公報に
は、膜厚を規定したa−C表面層を有するa−Si系感
光体に対し、磁気ブラシにより注入帯電を行う例が示さ
れている。
【0069】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記の様な
接触帯電、特に、感光体表面と相対速度を持って帯電部
材を接触駆動させる直接注入帯電を行う電子写真装置に
おいては、非接触のコロナ帯電や、従動接触のローラー
帯電等と比較して、オゾン、NOx等の発生を抑え、画
像流れを防止することができる一方で、格段に感光体の
磨耗が増大する。
【0070】特に、硬度がそれほど高くない感光体を用
いた電子写真装置においては、その影響は大きくなる。
【0071】一方、硬度が高く、長寿命であるとされる
a−Si系感光体を用いた電子写真装置としては、感光
体寿命が数十万〜数百万枚相当である装置が製品化され
ている。しかしながら、直接注入帯電を行う場合は、磨
耗速度の低減が大きな課題となる。また、a−Si系感
光体は高速機、即ちプロセススピードが速い電子写真装
置に搭載されることが多いが、高速機は所定期間中に出
力される枚数が増大する傾向にある。また、a−Si系
感光体の外径が小さい場合は、電子写真を出力する枚数
に対して、感光体の回転回数が多くなるため、磨耗とい
う観点では、大径の感光体を使用した場合に比べてより
厳しくなる。
【0072】感光体の磨耗という課題を解決すること
は、電子写真装置の長寿命化及びメンテナンスフリー化
等を達成するためにも、非常に重大な課題となる。
【0073】従って、電子写真装置及び電子写真方法を
設計する際には、上述した感光体の磨耗という課題を解
決することができるように、感光体の電子写真物性、機
械的耐久性など総合的な観点からの改良を図るととも
に、帯電部材、帯電装置、電子写真装置の一段の改良を
図る必要がある。
【0074】また、上記の機械的耐久性については、感
光体の磨耗が大きな課題であるため、感光体表面の磨耗
性の評価が重要である。
【0075】感光体表面の磨耗性の評価方法としては、
上述した特開平11−184102号公報、特開平10
−074021号公報、特開平08−234469号公
報、特開平06−075384号公報、特開平05−0
88525号公報等には、実機による耐久試験方法が開
示され、また、特開平11−184121号公報には、
SiC研磨テープを用いて研磨耐久実験を行い、該測定
方法にて0.025nm/回転以下の磨耗速度である感
光体が良好であることが開示されている。
【0076】感光体表面の磨耗性評価の効率向上のため
に、実機よりも更に促進して磨耗評価を行うことができ
る手法が求められている。
【0077】一方、促進磨耗評価手段としての評価方法
の選択に関し、磨耗はその形態としてアブレッシブ磨
耗、ディラミネーション(疲労)磨耗、凝着磨耗、化学
(腐食)磨耗というように分類され、使用する電子写真
プロセスや材料等により、主体になる磨耗形態が異なる
場合がある。
【0078】従って、促進磨耗評価を行う場合には、磨
耗が発生するメカニズム、形態のずれを防止するため
に、電子写真装置の構成、材料等に準じたもの、或いは
電子写真装置における現象方法との対応が確認されてい
る構成や材料等で評価を行うことが好ましい。
【0079】実際に使用する電子写真装置と異なる材料
や構成で磨耗評価を行う場合、その磨耗メカニズム、対
応を明確にすることが困難な場合がある。その場合、促
進評価から得られた結果に基づいて設計された感光体
が、実際の電子写真装置において、促進評価結果から想
定される所望の特性を有さない場合がある。
【0080】本発明は上述したような従来の技術が有す
る問題点に鑑みてなされたものであって、電子写真装置
の長寿命化及びメンテナンスフリー化を達成するための
感光体評価装置及びこれを用いた感光体評価方法、電子
写真装置及びこれを用いた電子写真方法を提供すること
を目的とする。
【0081】より具体的には、電子写真装置の長寿命化
及びメンテナンスフリー化を達成するために、耐摩耗性
に優れた感光体を実機に対応して促進評価することがで
きる感光体評価装置及びこれを用いた感光体評価方法を
提供するとともに、感光体の摩耗性を考慮して装置設計
を行うことにより高耐久化を図ることができる電子写真
装置及びこれを用いた電子写真方法を提供する。
【0082】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明は、感光体を所定のプロセススピードで回転駆
動させるとともに、弾性部材表面に粒子が付与された当
接部材を前記感光体に当接させた状態で該感光体に対し
て所定の周速差比で接触駆動させることで、前記感光体
の摩耗速度を評価する感光体評価装置において、前記当
接部材の前記周速差比、前記当接部材と前記感光体との
前記感光体回転方向の当接幅、前記当接部材の前記感光
体に対する当接圧の何れか1つ以上が制御可能であるこ
とを特徴とする。
【0083】また、前記弾性部材のアスカーC硬度が1
5度以上60度以下であることを特徴とする。
【0084】また、前記粒子が導電性粒子であることを
特徴とする。
【0085】また、前記粒子の平均粒径が0.1μm以
上10μm以下であることを特徴とする。
【0086】また、前記粒子の前記弾性部材表面への塗
布量が制御可能であることを特徴とする。
【0087】また、感光体を所定のプロセススピードで
回転駆動させるとともに、磁性部材表面に磁性粒子が保
持された磁気ブラシを前記感光体に当接させた状態で該
感光体に対して所定の周速差比で接触駆動させること
で、前記感光体表面の摩耗速度を評価する感光体評価装
置において、前記磁気ブラシの前記周速差比、前記磁気
ブラシと前記感光体との前記感光体回転方向の当接幅、
前記磁気ブラシの前記感光体への侵入量の何れか1つ以
上が制御可能であることを特徴とする。
【0088】また、前記磁性粒子の平均粒径が10μm
以上50μm以下であることを特徴とする。
【0089】また、前記磁性部材上の前記磁性粒子のコ
ート量が制御可能であることを特徴とする。
【0090】また、前記感光体評価装置を用いた感光体
評価方法であって、前記周速差比、前記当接幅、前記当
接圧の何れか1つ以上を制御して前記感光体の摩耗速度
評価を行うことを特徴とする。
【0091】また、前記感光体評価装置を用いた感光体
評価方法であって、前記周速差比、前記当接幅、前記侵
入量の何れか1つ以上を制御して前記感光体の摩耗速度
評価を行うことを特徴とする。
【0092】また、前記感光体の摩耗速度評価と同時
に、前記感光体の電気特性評価を行うことを特徴とす
る。
【0093】また、前記感光体の摩耗速度評価後に、前
記感光体の電気特性評価を行うことを特徴とする。
【0094】また、感光体を所定のプロセススピードで
回転駆動させるとともに、弾性部材表面に粒子が付与さ
れた当接部材を前記感光体に当接させた状態で該感光体
に対して所定の周速差比で接触駆動させることで、前記
感光体を接触帯電させる電子写真装置において、前記当
接部材の前記周速差比、前記当接部材と前記感光体との
前記感光体回転方向の当接幅、前記当接部材の前記感光
体に対する当接圧の何れか1つ以上が制御可能であるこ
とを特徴とする。
【0095】また、前記プロセススピードをS[mm/
sec]、前記感光体の外径をD[mm]としたとき、
前記感光体の1回転当りの摩耗量X[nm/回転]が
0.003×D/S以下であることを特徴とする。
【0096】また、前記弾性部材のアスカーC硬度が1
5以上60度以下であることを特徴とする。
【0097】また、前記粒子が導電性粒子であることを
特徴とする。
【0098】また、前記粒子の平均粒径が0.1μm以
上10μm以下であることを特徴とする。
【0099】また、前記プロセススピードが80mm/
sec以上350mm/sec以下であることを特徴と
する。
【0100】また、前記感光体の最表面に形成された表
面層が主として炭素原子を主成分とする非晶質材料から
なることを特徴とする。
【0101】また、前記感光体の前記表面層がフッ素を
含有する非晶質炭素からなることを特徴とする。
【0102】また、感光体を所定のプロセススピードで
回転駆動させるとともに、磁性部材表面に磁性粒子が保
持された磁気ブラシを前記感光体に当接させた状態で該
感光体に対して所定の周速差比で接触駆動させること
で、前記感光体を接触帯電させる電子写真装置におい
て、前記磁気ブラシの前記周速差比、前記磁気ブラシと
前記感光体との前記感光体回転方向の当接幅、前記磁気
ブラシの前記感光体への侵入量の何れか1つ以上が制御
可能であることを特徴とする。
【0103】また、前記プロセススピードをS[mm/
sec]、前記感光体の外径をD[mm]としたとき、
前記感光体の1回転当りの摩耗量X[nm/回転]が
0.003×D/S以下であることを特徴とする。
【0104】また、前記磁性粒子の平均粒径が10以上
50μm以下であることを特徴とする。
【0105】また、前記プロセススピードが80mm/
sec以上350mm/sec以下であることを特徴と
する。
【0106】また、前記感光体の最表面に形成された表
面層が主として炭素原子を主成分とする非晶質材料から
なることを特徴とする。
【0107】また、前記感光体の前記表面層がフッ素を
含有する非晶質炭素からなることを特徴とする。
【0108】また、感光体を所定のプロセススピードで
回転駆動させるとともに、弾性部材表面に粒子が付与さ
れた当接部材を前記感光体に当接させた状態で該感光体
に対して所定の周速差比で接触駆動させることで、該感
光体を接触帯電させる電子写真方法であって、前記プロ
セススピードをS[mm/sec]、前記感光体の外径
をD[mm]としたとき、前記感光体の1回転当りの摩
耗量[nm/回転]が0.003×D/S以下であるこ
とを特徴とする。
【0109】また、感光体を所定のプロセススピードで
回転駆動させるとともに、磁性部材表面に磁性粒子が保
持された磁気ブラシを前記感光体に当接させた状態で該
感光体に対して所定の周速差比で接触駆動させること
で、該感光体を接触帯電させる電子写真方法であって、
前記プロセススピードをS[mm/sec]、前記感光
体の外径をD[mm]としたとき、前記感光体の1回転
当りの摩耗量[nm/回転]が0.003×D/S以下
であることを特徴とする。
【0110】また、前記周速差比、前記当接幅、前記当
接圧の何れか1つ以上を制御して前記摩耗量の調整を行
うことを特徴とする。
【0111】(作用)上記のように構成された本発明の
感光体評価装置は、弾性部材表面に粒子が付与された当
接部材を感光体に接触駆動させて感光体の摩耗速度評価
を行う装置であって、当接部材の感光体に対する周速差
比、当接部材と感光体との当接幅、当接部材の感光体に
対する当接圧の何れか1つ以上が制御可能である。
【0112】本発明の感光体評価方法は、上記の感光体
評価装置を使用し、周速差比、当接幅、当接圧の何れか
1つ以上を制御して感光体の摩耗速度評価を行う。
【0113】詳細は後述するが、感光体の摩耗速度は、
周速差比、当接圧、当接幅にそれぞれ依存する。このた
め、実際に使用する電子写真装置の使用条件に応じて、
周速差比、当接圧、当接幅のいずれか1つ以上を制御し
て感光体の摩耗速度評価を行えば、その電子写真装置と
の相関が良い促進評価結果を得ることが可能になる。
【0114】また、本発明の電子写真装置は、弾性部材
表面に粒子が付与された当接部材を感光体と接触駆動さ
せて感光体の帯電を行う装置であって、当接部材の感光
体に対する周速差比、当接部材と感光体との当接幅、当
接部材の感光体に対する当接圧の何れか1つ以上が制御
可能である。
【0115】本発明の電子写真方法は、上記の電子写真
装置を、感光体の外径をD[mm]、感光体表面の移動
速度をS[mm/sec]とした時に、感光体1回転当
りの摩耗量X[nm/回転]が0.003×D/S以下
となるように使用する。なお、感光体の摩耗速度は、上
述したように、周速差比、当接圧、当接幅にそれぞれ依
存するため、周速差比、当接幅、当接圧の何れか1つ以
上を制御して摩耗量Xを調整することになる。
【0116】このように、感光体の摩耗速度を所定の条
件に規定した上で電子写真装置を使用することにより、
耐久後の画質や感光体の帯電特性について良好な状態を
維持することが可能となる。
【0117】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施の形態につ
いて図面を参照して説明する。
【0118】図1は、本発明の感光体評価装置の一構成
例を示す模式的説明図である。
【0119】図1に示す感光体評価装置は、所定のプロ
セススピードで回転駆動される感光体102と、感光体
102を帯電/磨耗する帯電手段101と、帯電手段1
01内の帯電部材表面に粒子を供給する粒子補給機構1
10と、帯電手段101から漏れた粒子を捕獲するクリ
ーナー109と、感光体102の表面に画像信号を露光
して静電潜像を形成する画像信号付与手段105と、感
光体102の表面層の層厚を測定する表面層厚測定手段
103と、感光体102の表面電位を測定する感光体表
面電位測定手段106,107と、感光体102の表面
温度を測定する感光体表面温度測定手段108と、感光
体102の表面を除電する除電光源104とから構成さ
れており、帯電手段101内の帯電部材の感光体102
に対する周速差比、帯電部材と感光体102との当接
幅、帯電部材の感光体102に対する当接圧の何れか1
つ以上が制御可能である。
【0120】帯電手段101は、弾性部材に導電性粒子
が付与された帯電部材や、磁性部材に磁性粒子が保持さ
れた、いわゆる磁気ブラシである帯電部材を用いて構成
することができる。このような構成の帯電手段を用いた
場合には、その帯電手段の駆動速度を任意に調整できる
ようにした。
【0121】なお、帯電手段101は、上述した構成の
他、スコロトロンなどのコロナ帯電器、或いはローラー
帯電器等を準備し、いずれかを装着することも可能であ
る。
【0122】粒子補給機構110は、不図示のシーケン
サ等の制御により、所定の速度で導電性粒子や磁性粒子
を帯電手段101内の帯電部材表面に供給するものであ
るが、新トナー、転写残トナー、転写紙から出る紙粉、
繊維等、上記導電性粒子以外の供給も可能であり、これ
らを所定の割合で混合して帯電部材表面に供給すること
により、実機耐久に対応する精度良い促進耐久評価が可
能になる。
【0123】なお、帯電手段101内の帯電部材表面の
導電性粒子の量の制御方法としては、上記のシーケンサ
等の制御による方法以外にも、帯電手段101内のブレ
ード111により帯電部材表面の過剰な粒子を除去する
等の方法があり、それらの方法を併用しても良い。
【0124】本発明の感光体評価方法は、上記のように
構成された感光体評価装置を使用し、帯電部材の感光体
102に対する周速差比、帯電部材と感光体102との
当接幅、帯電部材の感光体102に対する当接圧の何れ
か1つ以上を制御して感光体102の摩耗速度の評価を
行うものである。
【0125】一方、本発明の電子写真方法は、上記の感
光体評価装置と同様に、帯電部材の感光体に対する周速
差比、帯電部材と感光体との当接幅、帯電部材の感光体
に対する当接圧の何れか1つ以上が制御可能な電子写真
装置を、感光体の外径をD[mm]、感光体の移動速度
をS[mm/sec]とした時に、感光体1回転当りの
摩耗量X[nm/回転]が0.003×D/S以下とな
るように使用するものである。
【0126】具体的には、帯電部材の感光体に対する周
速差比、帯電部材と感光体との当接幅、帯電部材の感光
体に対する当接圧の何れか1つ以上を制御することによ
り、上記の摩耗量Xを調整する。
【0127】以下に、本発明の電子写真装置の各要所に
ついて詳細に説明する。なお、図1に示した感光体評価
装置の各要所は、実際に使用する電子写真装置との対応
を取るために、以下に説明する電子写真装置の各要所の
構成に準じたものとなる。 [帯電手段]帯電手段としては、図3(a)に示した弾
性部材と粒子層とからなる注入帯電用の帯電部材301
や、図3(b)に示した磁気ブラシからなる注入帯電用
の帯電部材302を用いることができる。
【0128】まず、図3(a)に示した帯電部材301
について説明する。
【0129】帯電部材301は、芯金301−3と、芯
金301−3上に形成された低抵抗或いは中抵抗の弾性
部材301−1と、帯電面のうち少なくとも感光体との
当接部に帯電粒子が介在する粒子層301−1とからな
る。
【0130】弾性部材301−2は、形状としては図3
(a)に示したようなローラー状、またはベルト状、フ
ァー状、その他或いは回動可能な帯電ブラシロールな
ど、駆動可能であり且つ感光体表面との当接を維持でき
る構成であれば良い。
【0131】以下の記載では、説明の簡略化のために、
弾性部材301−2の形状がローラー状であるものと
し、弾性部材301−2を導電性弾性ローラー301−
2と称して説明するが、以下に示す構成に限定されるも
のではない。
【0132】帯電部材301は、感光体との間に、粒子
層301−1の導電性粒子を介在させた当接部を設ける
上で弾性を有することが好ましく、また、帯電部材30
1に電圧を印加して感光体を帯電する上で導電性である
ことが好ましい。従って、導電性弾性ローラー301−
2が好適に用いられる。
【0133】導電性弾性ローラー301−2の硬度が低
すぎると、形状が安定しないために感光体との接触性が
悪くなり、更に、感光体との当接部に導電性粒子を介在
させることで表面が削られ或いは傷つけられ、安定した
帯電性が得られない。一方、硬度が高すぎると感光体と
の当接部を確保できないだけでなく、感光体表面へのミ
クロな接触性が悪くなる。このため、導電性弾性ローラ
ー301−2の硬度は、アスカーC硬度で15〜60度
が好ましい範囲である。
【0134】導電性弾性ローラー301−2は、上述の
如く弾性を持たせて感光体との十分な接触状態を得ると
同時に、移動する感光体を帯電するために十分な低い抵
抗を有する電極として機能することが重要である。その
一方で、感光体にピンホールなどの欠陥部位が存在した
場合に電圧のリークを防止することが重要である。従っ
て、導電性弾性ローラー301−2の抵抗は、十分な帯
電性と耐リーク性を得るために、103〜108Ωである
ことが良く、より好ましくは104〜107Ωであること
が良い。なお、導電性弾性ローラー301−2の抵抗
は、芯金301−3に総圧1kgの加重がかかるよう
に、使用する感光体と同外径の円筒状アルミシリンダー
に弾性部材301−2を圧接した状態で、芯金301−
3とアルミシリンダーとの間に100Vの電圧を印加し
て、計測した。
【0135】例えば、導電性弾性ローラー301−2
は、芯金301−3上に可撓性部材としてのゴムあるい
は発泡体の中抵抗層を形成することにより作製される。
この中抵抗層は樹脂(例えばウレタン)、導電性粒子か
らなる帯電粒子(例えばカーボンブラック)、硫化剤、
発泡剤等により処方され、芯金301−3の上にローラ
ー状に形成する。その後、必要に応じて切削、表面研磨
等を行うことで導電性弾性ローラー301−2を作製す
ることができる。
【0136】また、導電性弾性ローラー301−2は、
感光体上の転写残トナーを一時的に回収するとともに、
粒子層301−1の導電性粒子を担持し直接注入帯電を
優位に実行する上でも、可撓性部材であることが好まし
い。
【0137】導電性弾性ローラー301−2の表面は、
感光体との当接部に粒子層301−1の導電性粒子を介
在させるために微少なセルまたは凹凸を有していること
が好ましい。この凹凸は、少なくとも表面が球形換算で
の平均セル径が5〜300μmである窪みであって、こ
の窪みを空隙部とした時の導電性弾性ローラー301−
2表面の空隙率は15〜90%であることが好ましい。
【0138】導電性弾性ローラー301−2の材料とし
ては、エチレン−プロピレン−ジエンポリエチレン(E
PDM)、ウレタン、ブタジエンアクリロニトリルゴム
(NBR)、シリコーンゴム、イソプレンゴム等に抵抗
調整のためにカーボンブラックや金属酸化物等の導電性
物質を分散したゴム材や、これらのゴム材を発泡させた
ものが挙げられる。また、導電性物質を分散せずに或い
は導電性物質と併用して、イオン導電性の材料を用いて
抵抗調整をすることも可能である。
【0139】導電性弾性ローラー301−2と感光体表
面との当接部に介在させる導電性粒子は、感光体を帯電
させる、いわゆる帯電粒子として働く。
【0140】粒子層301−1の導電性粒子は、その抵
抗が好ましくは109Ω・cm以下が良い。導電性粒子
の抵抗が109Ω・cmよりも大きい場合、導電性粒子
を帯電部材と感光体との当接部或いはその近傍の帯電領
域に介在させ、この導電性粒子を介して感光体との緻密
な接触性を維持させても、良好な帯電性を得るための帯
電促進効果が得られない。また、導電性粒子の帯電促進
効果を十分に引き出し、良好な帯電性を安定して得るた
めには、導電性粒子の抵抗が、導電性弾性ローラー30
1−2の表面部或いは感光体との接触部の抵抗よりも小
さいことが好ましい。
【0141】更に、粒子層301−1の導電性粒子の抵
抗は、帯電部材に絶縁性の転写残トナーが付着・混入す
ることによる帯電阻害を防止し、感光体の帯電をより良
好に行なわせるためには、106Ω・cm以下であるこ
とが好ましい。一方、感光体の欠陥などによる帯電不良
を防止する等の観点からは、102Ω・cm以上である
ことが好ましい。
【0142】本発明において、粒子層301−1の導電
性粒子の抵抗測定は、錠剤法により測定し正規化して求
めた。即ち、底面積2.26cm2の円筒内に約0.5
gの粉体試料(導電性粒子)を入れ、上下電極に15k
gの加圧を行うと同時に100Vの電圧を印加して抵抗
値を計測し、その後正規化して比抵抗を算出した。
【0143】粒子層301−1の導電性粒子の体積平均
粒子径は、0.1〜10μmであることが好ましく良
い。導電性粒子の平均粒子径が小さいと、特にクリーナ
ーを設けていないクリーナーレス構成の場合、現像性の
低下を防ぐために導電性粒子のトナー全体に対する含有
量が小さくなるように設計しなければならない。導電性
粒子の平均粒子径が0.1μm未満では、導電性粒子の
有効量を確保できず、帯電工程において、帯電部材に絶
縁性の転写残トナーが付着・混入することによる帯電阻
害を防止して感光体の帯電を良好に行なわせるのに十分
な量の導電性粒子を帯電部材と感光体との当接部或いは
その近傍の帯電領域に介在させることができず、帯電不
良を生じ易くなる。この観点から、導電性粒子の平均粒
子径は好ましくは0.8μm以上、更に好ましくは1.
1μm以上5μm未満が良い。また、導電性粒子の平均
粒子径が10μmよりも大きいと、帯電部材から脱落し
た導電性粒子が静電潜像を書き込むための露光光を遮光
或いは拡散し、静電潜像の欠陥を生じ画像品位を低下さ
せる。更に、導電性粒子の平均粒子径が大きいと、単位
重量当りの粒子数が減少するため、帯電部材からの導電
性粒子の脱落等による減少や劣化を考慮する必要があ
る。導電性粒子の減少や劣化を考慮すると、導電性粒子
を帯電部材と感光体との当接部或いはその近傍の帯電領
域に供給し続け介在させるためには、また、帯電部材が
導電性粒子を介して感光体への緻密な接触性を維持し良
好な帯電性を安定して得るためには、導電性粒子のトナ
ー全体に対する含有量を大きくしなければならない。し
かしながら、導電性粒子の含有量を大きくしすぎると、
特に高湿環境下でのトナー全体としての帯電能や現像性
を低下させ、画像濃度低下やトナー飛散を生ずる場合が
ある。このような観点から、導電性粒子の平均粒子径は
好ましくは5μm以下が良い。
【0144】また、粒子層301−1の導電性粒子は、
透明、白色或いは淡色の導電性粒子であることが、転写
材上に転写される導電性粒子がカブリとして目立たない
ために好ましく良い。また、潜像形成工程における露光
光の妨げとならない意味でも導電性粒子は、透明、白色
或いは淡色の導電性粒子であることがよく、より好まし
くは、導電性粒子の露光光に対する透過率が30%以上
であることが良い。
【0145】本発明において、粒子層301−1の導電
性粒子の透過性については以下の手順で測定した。
【0146】まず、片面に接着層を有する透明フィルム
のみの透過率と、その接着層に導電性粒子を一層分固定
した状態での透過率とを測定する。このとき、フィルム
の鉛直方向から光を照射し、フィルム背面に透過した光
を集光して光量を測定する。
【0147】そして、フィルムのみのときの光量と粒子
を付着したときの光量との差分を正味の光量とし、これ
を導電性粒子の透過率として算出した。なお、実際の測
定にはX−Rite社製310T透過型濃度計を用い
た。
【0148】粒子層301−1の導電性粒子としては、
例えば、カーボンブラック、グラファイトなどの炭素微
粉末や、銅、金、銀、アルミニウム、ニッケルなどの金
属微粉末や、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化すず、酸化ア
ルミニウム、酸化インジウム、酸化珪素、酸化マグネシ
ウム、酸化バリウム、酸化モリブデン、酸化鉄、酸化タ
ングステンなどの金属酸化物や、硫化モリブデン、硫化
カドミウム、チタン酸カリなどの金属化合物や、これら
の複合酸化物などを必要に応じて粒度及び粒度分布を調
整したものを使用することができる。これらの中でも酸
化亜鉛、酸化すず、酸化チタン等の無機酸化物微粒子が
特に好ましい。また、導電性無機酸化物の抵抗値を制御
する等の目的で、アンチモン、アルミニウムなどの元素
をドープした金属酸化物、導電性材料を表面に有する微
粒子なども使用できる。例えば、酸化スズ・アンチモン
で表面処理された酸化チタン微粒子、アンチモンでドー
プされた酸化第二スズ微粒子、あるいは酸化第二スズ微
粒子などである。
【0149】本発明において、粒子層301−1の導電
性粒子の平均粒径及び粒度分布の測定は、コールター社
製LS−230型レーザー回折式粒度分布測定装置にリ
キッドモジュールを取付けて0.04〜2000μmの
測定範囲で測定を行った。測定法としては、純水10c
cに微量の界面活性剤を添加し、これに導電性粒子の試
料10mgを加えたものを超音波分散機(超音波ホモジ
ナイザー)にて10分間分散した後、測定時間90秒、
測定回数1回で測定し、その結果を元に体積平均粒径を
算出した。
【0150】本発明において、粒子層301−1の導電
性粒子の粒度及び粒度分布の調整方法としては、導電性
粒子の一次粒子が製造時において所望の粒度及び粒度分
布が得られるように製造法、製造条件を設定する方法が
ある。この方法以外にも、一次粒子の小さな粒子を凝集
させる方法、一次粒子の大きな粒子を粉砕する方法或い
は分級による方法等を用いることが可能であり、更に
は、所望の粒度及び粒度分布の基材粒子の表面の一部も
しくは全部に導電性粒子を付着或いは固定化する方法、
所望の粒度及び粒度分布の粒子に導電性成分が分散され
た形態を有する導電性粒子を用いる方法等を用いること
も可能であり、これらの方法を組み合わせて導電性粒子
の粒度及び粒度分布を調整することも可能である。導電
性粒子が凝集体として構成されている場合の粒径は、そ
の凝集体としての平均粒径として定義される。導電性粒
子は、一次粒子の状態で存在するだけでなく二次粒子の
凝集した状態で存在したとしても問題はない。どのよう
な凝集状態であれ、凝集体として帯電部材と感光体との
当接部或いはその近傍の帯電領域に介在し、帯電補助或
いは促進の機能が実現できればその形態は問わない。
【0151】導電性弾性ローラー301−2は、被帯電
体である感光体に対して所定の押圧力で圧接させて配設
されることで、導電性弾性ローラー301−2と感光体
との当接部に帯電当接部を形成する。この帯電当接部幅
は特に制限されるものではないが、導電性弾性ローラー
301−2と感光体との安定した密な密着性を得るため
には1mm以上、より好ましくは2mm以上が良い。
【0152】また、導電性弾性ローラー301−2は可
撓性を有していることが、帯電部材と感光体との当接部
にて粒子層301−1の導電性粒子が感光体に接触する
機会を増加させ、高い接触性を得ることができ、直接注
入帯電性を向上させる点で好ましく良い。すなわち、帯
電部材が粒子層301−1の導電性粒子を介して密に感
光体と接触し、この導電性粒子が感光体表面を隙間なく
摺擦することで、帯電部材による感光体の帯電は放電現
象を用いることなく安定かつ安全な直接注入帯電が支配
的となる。これにより、従来のローラー帯電等では得ら
れなかった高い帯電効率が得られ、帯電部材に印加した
電圧とほぼ同等の電位を感光体に付与することができ
る。
【0153】更に、導電性弾性ローラー301−2の表
面の移動速度と感光体の表面の移動速度とに相対的速度
差を設けることで、帯電部材と感光体の当接部にて粒子
層301−1の導電性粒子が感光体に接触する機会を格
段に増加させ、より高い接触性を得ることができ、直接
注入帯電性を向上させる点で好ましく良い。
【0154】導電性弾性ローラー301−2と感光体と
の当接部に粒子層301−1の導電性粒子を介在させ、
この導電性粒子の潤滑効果(摩擦低減効果)を発揮させ
ることにより、導電性弾性ローラー301−2と感光体
との間の大幅なトルクの増大が抑制され、かつ導電性弾
性ローラー301−2及び感光体表面の顕著な削れ等が
抑制されつつ、両者の間に相対速度差を設けることが可
能となる。
【0155】導電性弾性ローラー301−2と感光体と
の間に相対速度差を設ける構成としては、感光体だけで
なく、帯電部材をも回転駆動する構成が挙げられる。
【0156】クリーナーレス構成の場合は、感光体上の
転写残トナーを帯電部材に一時的に回収し均すために、
導電性弾性ローラー301−2と感光体とは互いに逆方
向に移動させることが好ましく良い。例えば、導電性弾
性ローラー301−2を回転駆動し、更に、その回転方
向を感光体表面の移動方向とは逆(カウンター)方向と
することが望ましい。即ち、逆方向回転によって感光体
上の転写残トナーを一旦引き離した状態で帯電を行なう
ことにより、直接注入帯電を優位に行なうことが可能で
ある。
【0157】なお、導電性弾性ローラー301−2を感
光体表面の移動方向と同じ方向(順方向)に回転させて
相対速度差をもたせることも可能であるが、直接注入帯
電の帯電性は感光体と帯電部材との周速差に依存するた
め、順方向に帯電部材を回転させる場合、帯電部材を逆
方向に回転させている時と同じ周速差比を得るために
は、帯電部材の回転数が逆方向の時に比べて大きくな
る。このため、帯電部材を逆方向に移動させる方が帯電
部材の回転数を低減できる点で有利である。
【0158】上述した周速差比(相対速度差とも称す
る)は、 周速差比(%)=(感光体周速−帯電部材周速)/感光
体周速×100 として定義される。感光体の移動方向を正とする。従っ
て、例えば、帯電部材の周速は、帯電部材が感光体表面
に対し従動駆動している状態では周速差比0%、帯電部
材が停止している状態では周速差比100%、帯電部材
が感光体に対しカウンターで駆動している状態では10
0%を超える値となる。
【0159】帯電部材と感光体との当接部における粒子
層301−1の導電性粒子の介在量は、少なすぎると、
該粒子による潤滑効果が十分に得られず、感光体と導電
性弾性ローラー301−2との摩擦が大きくなり、該導
電性弾性ローラー301−2を感光体に相対速度差を持
って回転駆動させることが困難となる。つまり、駆動ト
ルクが過大となる他、無理に回転させると導電性弾性ロ
ーラー301−2の表面の損耗が発生するなどの不具合
が発生する場合がある。更に、粒子層301−1の導電
性粒子による感光体との接触機会の増加という効果が得
られないこともあり十分な帯電性能が得られない。一
方、粒子層301−1の導電性粒子の介在量が多過ぎる
と、帯電部材からの導電性粒子の脱落が著しく増加し潜
像形成工程で悪影響が出る、感光体表面の磨耗速度が増
大する等の不具合が発生する場合がある。そのため、導
電性粒子の塗布量は適宜調整することが好ましい。
【0160】次に、図3(b)に示した帯電部材302
について説明する。
【0161】磁気ブラシである帯電部材302は、磁性
部材302−2と、帯電面に磁性粒子が介在する粒子層
302−1とからなる。
【0162】磁性部材302−2は、形状としては磁極
を内包し外周面が駆動可能なスリーブ状や、多極磁性体
等が表面に付加されたベルト状など、磁性キャリアを保
持し且つ感光体表面と当接部を維持しながら駆動可能な
構成であれば良い。
【0163】以下の記載では、説明の簡略化のために、
磁性部材302−2の形状がスリーブ状であるものと
し、磁性部材302−2を磁性スリーブ302−2と称
して説明するが、以下に示す構成に限定されるものでは
ない。
【0164】磁性スリーブ302−2は、粒子層302
−1の磁性粒子を表面に保持した状態で、感光体と相対
速度を持って駆動される。
【0165】磁性スリーブ302−2は、導電性で、透
磁性で、ある程度の強度を有していることが好ましく、
一般の磁性トナー現像器に使用されているスリーブが使
用可能であり、材質としてはアルミニウム等が好ましく
使用できる。
【0166】磁性スリーブ302−2は、粒子層302
−1の磁性粒子を搬送するために適度な表面粗さを有し
ていることが好ましい。また、粒子層302−1の磁性
粒子を保持するために磁束密度は大きい方がよい。その
磁力線密度はその使用するプロセススピード、印加電圧
と非帯電部との電位差による電界、感光体の誘電率や表
面性等多くの要因により異なり、それらの条件に応じて
適宜選択されるものであるが、磁性スリーブ302−2
の表面から1mmの距離において測定される、磁極位置
における磁力線密度で500ガウス(G)以上が好まし
い。より好ましくは900G以上である。
【0167】粒子層302−1の磁性粒子は、製法、粒
径分離法等により粒径が規定される。
【0168】例えば、帯電工程前に前露光を行う前露光
手段を有する電子写真装置、その中でもアモルファスシ
リコン系感光体を使用した電子写真装置においては、帯
電部材に印加中の電圧により該帯電部材から感光体に電
流が流れ、多い場合には数10μA/cm2(全電流で
数100μA)という電流が流れる。
【0169】その際、粒子層302−1の磁性粒子と感
光体との接触機会を多く取ることにより、微視的な電荷
の移動がスムーズになり、帯電むらや、磁性粒子等が電
荷を持ったまま移動すること等を防ぐ。
【0170】粒子層302−1の磁性粒子の体積平均粒
径は、帯電均一性の観点から小さい方が好ましいが、そ
の一方で小さすぎると感光体への磁性粒子の付着が生じ
やすく、また磁気ブラシとした時の磁性粒子の搬送性が
劣る。従って、体積平均粒径は10〜50μmが好まし
い。更に好ましくは、15〜30μmである。
【0171】粒子層302−1の磁性粒子の分級方法や
分級装置は、特に限定されるものではないが、本発明に
おいて要求される粒度を効率良く得るためには、傾斜型
慣性分級機であるエルボージェットや、遠心分離機であ
るディスパージョンセパレータ(DS)や、ターボプレ
ックス、その他篩い分け等を用いることが好ましい。
【0172】本発明において、粒子層302−1の磁性
粒子の体積平均径及び粒度分布の測定には、レーザー回
折式粒度分布測定装置HELOS(日本電子製)に乾式
分散ユニットRODOS(日本電子製)を組合わせて用
いる。そして、レンズ焦点距離200mm、分散圧3.
0×105Pa、測定時間1〜2秒の測定条件で粒径
0.5μm〜350.0μmの範囲を31チャンネルに
分割して測定し、体積分布の50%粒径(メジアン径)
を体積平均径として求めると共に、体積基準の頻度分布
から各粒径範囲の粒子の体積%を求めた。レーザー回折
式粒度分布測定装置HELOSは、フランホーファ回折
原理を用いて測定を行う装置である。この測定原理を簡
単に説明すれば、レーザー光源から測定粒子にレーザー
ビームを照射すると、レーザー光源の反対側のレンズの
焦点面に回折像ができ、その回折像を検出器によって検
出し、この検出結果を演算処理することにより、測定粒
子の粒度分布を算出するものである。
【0173】粒子層302−1の磁性粒子は、体積抵抗
が1×103Ωcm以上、1×109Ωcm以下であるこ
とが好ましい。1×103Ωcmよりも低いと、ピンホ
ールリークを起こす傾向にあり、1×109Ωcmを越
えると、感光体の帯電が不十分となる。磁性粒子漏れを
考慮すると、磁性粒子の抵抗値は、1×106Ωcm以上
が更に好ましい。
【0174】本発明において、粒子層302−1の磁性
粒子の体積抵抗の測定方法は、図5に示すセルAに磁性
粒子を充填し、磁性粒子に接するように電極1,2を配
置し、該電極1,2間に定電圧装置6により電圧を印加
し、その時流れる電流を電流計4で測定することで得
た。測定条件は、23℃、65%の環境下において、充
填する磁性粒子と電極1,2との接触面積2cm2、磁
性粒子の厚みd1mm、電極1,2による加圧10k
g、定電圧装置6による印加電圧100Vである。な
お、図5において、3はガイドリング、4は電流計、5
は電圧計、6は定電圧装置、7は測定サンプル、8は絶
縁物である。
【0175】粒子層302−1の磁性粒子の抵抗分布
は、比較的粒径の小さい粒子と比較的粒径の大きな粒子
との抵抗差が小さいことが好ましい。
【0176】粒子層302−1の磁性粒子は、フェライ
ト、マグネタイトの如き導電性金属の単一あるいは混晶
の種々の材料が使用可能である。他に導電性及び磁性を
有する微粒子をバインダーポリマーと混練し、粒状に成
型することによって得られた導電性及び磁性を有する微
粒子がバインダーポリマー中に分散された粒子や、上記
の導電性磁性粒子を更に樹脂でコートする構成とするこ
とができる。これらの構成の中でもフェライト粒子が好
ましく用いられる。フェライトの組成としては、銅、亜
鉛、マンガン、マグネシウム、鉄、リチウム、ストロン
チウム、バリウム等の金属元素を含むものが好適に使用
される。
【0177】粒子層302−1の磁性粒子の飽和磁化
は、15〜70Am2/kgであることが好ましい。飽
和磁化が70Am2/kgを超える場合には、磁気拘束
力が大きくなり、磁性粒子の穂が硬くなり、自由な動き
が出来ず感光体との接触性が低下し帯電不良になった
り、穂が硬いために感光体を摩耗したりする傾向があ
る。飽和磁化が15Am2/kg未満の場合には、磁気
拘束力が小さくなり、磁性粒子が感光体に転移したまま
磁性スリーブ302−2上に戻らなくなり、磁性粒子の
減少による帯電劣化や、現像、転写、定着の各工程に悪
影響を与えてしまう。
【0178】本発明において、粒子層302−1の磁性
粒子の飽和磁化の測定は、振動磁力計VSM−3S−1
5(東英工業製)により、1kエルステッド下において
行ない、その磁化量を飽和磁化とした。
【0179】粒子層302−1の磁性粒子は,抵抗調整
やトナーに対する摩擦帯電極性を制御する等を行う目的
で表面層を有した形態が好ましい。表面層の形態は、磁
性粒子の表面を蒸着膜、樹脂膜、導電性樹脂膜、導電剤
を分散した樹脂膜、カップリング剤等でコートしたもの
である。この表面層は必ずしも磁性粒子を完全に被覆す
る必要は無く、本発明の効果が得られる範囲で磁性粒子
が露出していても良い。つまり表面層が不連続に形成さ
れていても良い。
【0180】結着樹脂としては、スチレン、クロルスチ
レン等のスチレン類;エチレンプロピレン、ブチレン、
イソブチレン等のモノオレフィンや、酢酸ビニル、プロ
ピオン酸ビニル、安息香酸ビニル、酪酸ビニル等のビニ
ルエステルや、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、
アクリル酸ブチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オ
クチル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メ
タクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸
ドデシル等のα−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステ
ルビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニ
ルブチルエーテル等のビニルエーテル;ビニルメチルケ
トン、ビニルヘキシルケトン、ビニルイソプロペニルケ
トン等のビニルケトン類の単独重合体あるいは共重合体
などが挙げられ、特に導電性微粒子の分散性やコート層
としての成膜性、生産性という観点などから、ポリスチ
レン、スチレン−アクリル酸アルキル共重合体、スチレ
ン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン
共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエ
チレン、ポリプロピレンが挙げられる。更に、ポリカー
ボネート、フェノール樹脂、ポリエステル、ポリウレタ
ン、エポキシ樹脂、ポリオレフィン、フッ素樹脂、シリ
コーン樹脂、ポリアミド等が好ましい。ここで、フッ素
樹脂としては、例えばポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビ
ニリデン、ポリトリフルオロエチレン、ポリクロロトリ
フロオロエチレン、ポリジクロロジフルオロエチレン、
ポリテトラフルオロエチレン、ポリヘキサフルオロプロ
ピレンなどと、他のモノマーが共重合した溶媒可溶の共
重合体が挙げられる。結着樹脂に分散する導電剤として
は、銅、ニッケル、鉄、アルミニウム、金、銀等の金属
あるいは酸化鉄、フェライト、酸化亜鉛、酸化スズ、酸
化アンチモン、酸化チタン等の金属酸化物更にはカーボ
ンブラック等の電子伝導性の導電紛が挙げられ、更にイ
オン導電剤として、過塩素酸リチウム、4級アンモニウ
ム塩などが挙げられる。カップリング剤としては、イソ
プロポキシトリイソステアロイルチタネート、ジヒドロ
キシビス(ラクタト)チタン、ジイソプロポキシビス
(アセチルアセナト)チタン等のチタネート系、アセトアル
コキシアルミニウムジイソプロピレート等のアルミニウ
ム系、ジメチルアミノプロピルトリメトキシシラン、n
−オクタデシルジメチルメメトキシシラン、n−ヘキシ
ルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキ
シシラン、n−オクタデシルトリメトキシシラン等のシラ
ン系カップリング剤等が挙げられ、適宜アミノ基やフッ
素などの様々な官能基を導入してもよい。カップリング
剤の場合、分子レベルの極薄い被膜を磁性粒子表面に形
成するので、磁性粒子の抵抗値に与える影響が少なく、
磁性粒子であるコアの抵抗さえ調整すれば、被覆層への
抵抗調整の処理は行わなくても構わない。
【0181】感光体表面と磁性スリーブ302−2との
最近接間隔は、粒子層302−1の厚さ(コート厚)に
より異なる。感光体の回転方向における粒子層302−
1の当接幅を安定に制御することが好ましい。また一
方、感光体表面と磁性スリーブ302−2との間隔が大
きすぎると、粒子層302−1が該間隔方向に伸び、磁
気力による保持能力の不足により磁性粒子が感光体表面
側に漏れる、いわゆるキャリア漏れが発生するため、こ
れを防止するように、感光体表面と磁性スリーブ302
−2との間隔は適宜な範囲に調整されることが好まし
い。
【0182】粒子層302−1の厚さ(コート厚)の調
整の方法としては、コート厚調整用の規制手段を用いた
方法がある。具体的には、磁性スリーブ302−2に接
触するブレード(不図示)を用い、このブレードと磁性
スリーブ302−2との間隔(S−Bギャップ)を調整
する方法などがある。
【0183】次に、帯電部材と感光体との当接幅制御方
法について説明する。なお、この方法は、図3(a)及
び(b)にそれぞれ示した帯電部材301,302に共
通する方法である。
【0184】帯電部材と感光体との当接幅制御方法とし
ては、コロ(不図示)やスペーサー等、適宜な方法で、
適宜な距離に設定する方法などが挙げられる。
【0185】帯電部材と感光体との間の距離は50〜2
000μmの範囲が好ましく、より好ましくは100〜
1000μmである。その他にニップ(当接部)調整用
の機構を設けても良い。また、特に、帯電部材が磁気ブ
ラシである場合には、磁性粒子のコート厚を調整するこ
とも有効である。
【0186】次に、帯電部材と感光体との周速差比制御
方法について説明する。なお、この方法は、図3(a)
及び(b)にそれぞれ示した帯電部材301,302に
共通する方法である。
【0187】帯電部材と感光体との周速差比制御方法と
しては、感光体だけでなく、帯電部材をも回転駆動する
方法などが挙げられ、帯電部材は感光体に対して適宜な
周速差比で回転することが好ましく、或いは振動してい
てもよい。
【0188】上記の様な構成の直接注入帯電用の帯電部
材を使用することで、帯電均一性を良好に保持するほ
か、感光体表面且つ/又は導電性粒子又は磁性粒子を機
械的に損傷する危険性が減少し、装置の長寿命化、メン
テナンスフリーに有利である。
【0189】また、帯電手段の一部又は全部の交換、追
加等のサービンスメンテナンス間隔の延長或いはメンテ
ナンスフリーが可能となる。
【0190】この作用により、プロセススピードや感光
体の帯電設定等の電子写真装置の設定変更に対し、耐久
性その他、広範囲に対応することが出来る。 [感光体]感光体も帯電手段と同様に、電子写真装置の
メンテナンス間隔、即ち耐久性を向上させるべく、耐磨
耗性の高い表面性を有していることが好ましい。
【0191】本発明に使用する感光体は、高硬度な表面
層を有するアモルファスシリコン系感光体や、表面層を
硬化させたOPCや等が好適に用いられる。 [アモルファスシリコン系感光体(a−Si)]本発明
に好適に用いられるなアモルファスシリコン系感光体
(以下「a−Si系感光体」と称する)について以下に
述べる。
【0192】本発明に用いられるa−Si系感光体は、
導電性支持体と、シリコン原子を母体とする非単結晶材
料から成る光導電層を有する感光層とから構成される周
知の感光体でも構わないが、必要に応じて特性を向上さ
せたものを用いる。
【0193】以下、a−Si系感光体について図面に従
って詳細に説明する。
【0194】図6は、本発明の電子写真方法に用いられ
る電子写真装置用感光体の層構成を説明するための模式
的構成図である。
【0195】図6(a)に示す電子写真装置用感光体6
00は、支持体601上に感光層602が設けられてい
る。該感光層602は、a−Si:H,Xからなり光導
電性を有する光導電層603から構成されている。
【0196】図6(b)に示す電子写真装置用感光体6
00は、支持体601上に感光層602が設けられてい
る。該感光層602は、a−Si:H,Xからなり光導
電性を有する光導電層603と、アモルファスシリコン
(a−Si)系表面層604及び/又は非晶質炭素を主
体とするアモルファスカーボン(a−C)系表面層60
4’とから構成されている。
【0197】図6(c)に示す電子写真装置用感光体6
00は、支持体601上に感光層602が設けられてい
る。該感光層602は、a−Si:H,Xからなり光導
電性を有する光導電層603と、a−Si系表面層60
4及び/又はa−C系表面層604’と、a−Si電荷
注入阻止層605及び/又は605’とから構成されて
いる。
【0198】図6(d)に示す電子写真装置用感光体6
00は、支持体601上に感光層602が設けられてい
る。該感光層602は、光導電層603を構成するa−
Si:H,Xからなる電荷発生層607及び電荷輸送層
608と、a−Si系表面層604及び/又はa−C系
表面層604’と、a−Si電荷注入阻止層605’と
から構成されている。
【0199】図6(e)に示す電子写真装置用感光体6
00は、支持体601上に感光層602が設けられてい
る。該感光層602は、光導電層603を構成するa−
Si:H,Xからなる電荷発生層607及び電荷輸送層
608と、a−Si系表面層604及び/又はa−C系
表面層604’と、a−Si電荷注入阻止層605及び
/又は605’とから構成されている。
【0200】図6(f)に示す電子写真装置用感光体6
00は、支持体601上に感光層602が設けられてい
る。該感光層602は、図6(e)に示した感光層に対
して、電荷発生層607と電荷輸送層608とが入れ替
わった構造である。また、表面層は、a−SiC等のa
−Si系表面層604’及びa−C系表面層604の両
方が使用されていても良く、一方のみが使用されても良
い。 (1)支持体 支持体601としては、導電性でも電気絶縁性であって
もよい。導電性の支持体としては、Al、Cr、Mo、
Au、In、Nb、Te、V、Ti、Pt、Pd、Fe
等の金属、及びこれらの合金、例えばステンレス等が挙
げられる。また、ポリエステル、ポリエチレン、ポリカ
ーボネート、セルロースアセテート、ポリプロピレン、
ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリアミド等の合成樹
脂のフィルムまたはシート、ガラス、セラミック等の電
気絶縁性支持体の少なくとも感光層を形成する側の表面
を導電処理した支持体も用いることができる。
【0201】支持体601の形状は、平滑な表面あるい
は凹凸状の表面の円筒状または板状無端ベルト状であ
る。また、支持体601の厚さは、所望通りの電子写真
装置用感光体600を形成し得るように適宜決定される
が、支持体601は製造上及び取り扱い上、機械的強度
等の点から通常は10μm以上とされる。
【0202】特にレーザー光などの可干渉性光を用いて
潜像形成を行う場合には、可視画像において現れる、い
わゆる干渉縞模様による画像不良をより効果適に解消す
るために、光生成キャリアの減少が実質的にない範囲内
で、支持体601の表面に凹凸を設けてもよい。なお、
支持体601の表面に設けられる凹凸は、特開昭60−
168156号公報、特開昭60−178457号公
報、特開昭60−225854号公報、特開昭61−2
31561号公報等に開示された公知の方法により作製
される。
【0203】また、レーザー光等の可干渉光を用いた場
合の干渉縞模様による画像不良をより効果的に解消する
更に別の方法として、支持体601と感光層602との
間、或いは感光層602内に、光吸収層等の干渉防止層
或いは領域を設けても良い。
【0204】また、支持体601の表面に微細なキズを
つけることにより感光体表面の微細粗さを制御すること
もできる。キズの作製は研磨材を使用しても良いし、化
学反応によるエッチングやプラズマ中のいわゆるドライ
エッチング、スパッタリング法等を用いても良い。この
際にキズの深さ、大きさは光生成キャリアの減少が実質
的にない範囲内に設定すれば良い。 (2)光導電層 光導電層603は、本発明の目的を効果的に達成するた
めに、支持体601上、或いは必要に応じて電荷注入層
605上に形成され、感光層602の一部を構成する。
また、光導電層603は、堆積膜形成方法により、所望
特性が得られるように適宜成膜パラメーターの数値条件
が設定され作製される。具体的には、例えば、グロー放
電法(低周波CVD法若しくは高周波CVD法若しくは
マイクロ波CVD法等の交流放電CVD法、または直流
放電CVD法等)、スパッタリング法、真空蒸着法、イ
オンプレーティング法、光CVD法、熱CVD法などの
数々の堆積膜形成方法によって形成することができる。
これらの堆積膜形成方法は、製造条件、設備資本投資下
の負荷程度、製造規模、作製される電子写真装置用感光
体に要求される特性等の要因によって適宜選択される
が、所望の特性を有する電子写真装置用感光体を製造す
る上での条件の制御が比較的容易であることから、グロ
ー放電法、特にRF帯、μW帯またはVHF帯の電源周
波数を用いた高周波グロー放電法が好適である。
【0205】グロー放電法によって光導電層603を形
成するには、基本的には周知のごとくシリコン原子(S
i)を供給し得るSi供給用の原料ガス、水素原子
(H)を供給し得るH供給用の原料ガスまたは/及びハ
ロゲン原子(X)を供給し得るX供給用の原料ガスを、
減圧可能な反応容器内に所望のガス状態で導入して、該
反応容器内にグロー放電を生起させ、あらかじめ所定の
位置に設置された所定の支持体601上にa−Si:
H,Xからなる層を形成すればよい。
【0206】また、シリコン原子の未結合手を補償し、
層品質の向上、特に光導電性及び電荷保持特性を向上さ
せるために、光導電層603中に水素原子または/及び
ハロゲン原子が含有させる必要があるが、水素原子また
はハロゲン原子の含有量、すなわち水素原子とハロゲン
原子の和の量は、シリコン原子、水素原子または/及び
ハロゲン原子の和に対して10〜30原子%、より好ま
しくは15〜25原子%とすることが望ましい。
【0207】そして、形成される光導電層603中に水
素原子を構造的に導入し、水素原子の導入割合の制御が
更に容易になるように図り、本発明の目的を達成する膜
特性を得るために、上述した原料ガスに更にH2及び/
またはHeあるいは水素原子を含む珪素化合物のガスも
所望量混合して層形成を行う必要がある。また、各ガス
は単独種のみでなく所定の混合比で複数種混合しても差
し支えない。
【0208】また、本発明において使用されるハロゲン
原子供給用の原料ガスとして有効なのは、例えばハロゲ
ンガス、ハロゲン化物、ハロゲンをふくむハロゲン間化
合物、ハロゲンで置換されたシラン誘導体等のガス状の
またはガス化し得るハロゲン化合物が好ましく挙げられ
る。また、更にはシリコン原子とハロゲン原子とを構成
要素とするガス状のまたはガス化し得るハロゲン原子を
含む水素化珪素化合物も有効なものとして挙げることが
できる。本発明において好適に使用し得るハロゲン化合
物としては、弗素ガス(F2)、BrF、ClF、Cl
3、BrF3、BrF5、IF3、IF7等のハロゲン間
化合物を好ましいものとして挙げることができる。ハロ
ゲン原子を含む珪素化合物、いわゆるハロゲン原子で置
換されたシラン誘導体としては、例えば、SiF4、S
26等の弗化珪素が好ましいものとして挙げることが
できる。
【0209】光導電層603中に含有される水素原子ま
たは/及びハロゲン原子の量を制御するには、例えば、
支持体601の温度、水素原子または/及びハロゲン原
子を含有させるために使用される原料物質の反応容器内
への導入量、放電電力等を制御すればよい。
【0210】本発明においては、光導電層603には必
要に応じて伝導性を制御する原子を含有させることが好
ましい。伝導性を制御する原子は、光導電層603中に
万偏なく均一に分布した状態で含有されても良いし、あ
るいは層厚方向には不均一な分布状態で含有されている
部分があってもよい。
【0211】伝導性を制御する原子としては、半導体分
野における、いわゆる不純物を挙げることができ、p型
伝導特性を与える周期律表13(IIIb)族に属する原
子(以後「13族原子」と略記する)、またはn型伝導
特性を与える周期律表15(Vb)族に属する原子(以
後「15族原子」と略記する)等を用いることができ
る。
【0212】13族原子としては、具体的には、硼素
(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、イ
ンジウム(In)、タリウム(Tl)等があり、特に
B、Al、Gaが好適である。また、15族原子として
は、具体的には、燐(P)、砒素(As)、アンチモン
(Sb)、ビスマス(Bi)等があり、特にP、Asが
好適である。
【0213】光導電層603に含有される伝導性を制御
する原子の含有量としては、好ましくは1×10-2〜1
×104原子ppm、より好ましくは5×10-2〜5×
103原子ppm、最適には1×10-1〜1×103原子
ppmとするのが望ましい。
【0214】伝導性を制御する原子、例えば、13族原
子あるいは15族原子を構造的に導入するには、光導電
層の層形成の際、光導電層603を形成するための他の
原料ガスとともに、第IIIb族原子導入用の原料物質あ
るいは第Vb族原子導入用の原料物質をガス状態で反応
容器中に導入すればよい。13族原子導入用の原料物質
あるいは15族原子導入用の原料物質となり得るものと
しては、常温常圧でガス状のまたは少なくとも光導電層
の層形成条件下で容易にガス化し得るものが採用される
のが望ましい。
【0215】13族原子導入用の原料物質として有効に
使用されるのは、例えば、硼素原子導入用としては、B
26、B410、B59、B511、B610、B612
614等の水素化硼素、BF3、BCl3、BBr3等の
ハロゲン化硼素等が挙げられる。この他、AlCl3
GaCl3、Ga(CH33、InCl3、TlCl3
も13族原子導入用の出発物質の有効なものとして挙げ
ることができる。
【0216】15族原子導入用の原料物質として有効に
使用されるのは、例えば、燐原子導入用としては、PH
3、P24等の水素化燐、PH4I、PF3、PF5、PC
3、PCl5、PBr3、PBr5、PI3等のハロゲン
化燐が挙げられる。この他、AsH3、AsF3、AsC
3、AsBr3、AsF5、SbH3、SbF3、Sb
5、SbCl3、SbCl5、BiH3、BiCl3、B
iBr3等も15族原子導入用の出発物質の有効なもの
として挙げることができる。
【0217】また、これらの伝導性を制御する原子導入
用の原料物質を必要に応じてH2及び/またはHeによ
り希釈して使用してもよい。
【0218】更に、本発明においては、光導電層603
に炭素原子及び/または酸素原子及び/または窒素原子
を含有させることも有効である。炭素原子及び/または
酸素原子/及びまたは窒素原子の含有量は、シリコン原
子、炭素原子、酸素原子及び窒素原子の和に対して、好
ましくは1×10-5〜10原子%、より好ましくは1×
10-4〜8原子%、最適には1×10-3〜5原子%が望
ましい。炭素原子及び/または酸素原子及び/または窒
素原子は、光導電層中に万遍なく均一に含有されても良
いし、光導電層の層厚方向に含有量が変化するような不
均一な分布をもたせた部分があっても良い。
【0219】本発明において、光導電層603の層厚は
所望の電子写真特性が得られること及び経済的効果等の
点から適宜所望に従って決定され、好ましくは20〜5
0μm、より好ましくは23〜45μm、最適には25
〜40μmとされるのが望ましい。
【0220】更に、光導電層603を形成する際の支持
体601の温度は、光導電層の層設計に従って適宜最適
範囲が選択されるが、通常の場合、好ましくは200〜
350℃、より好ましくは220〜330℃、最適には
230〜310℃とするのが望ましい。
【0221】光導電層603を形成するための支持体6
01の温度、ガス圧等の条件は通常は独立的に別々に決
められるものではなく、所望の特性を有する感光体を形
成すべく相互的且つ有機的関連性に基づいて最適値を決
めるのが望ましい。 (3)表面層 表面層604,604’は、自由表面606を有してい
る。この自由表面606は、主に耐湿性、連続繰り返し
使用特性、電気的耐圧性、使用環境特性、耐久性におい
て本発明の目的を達成するために設けられる。
【0222】表面層604,604’の抵抗値は、その
電荷保持能、帯電効率等の電気的特性を良好なものとす
る為に、かつ電圧により表面層が損傷する、いわゆるピ
ンホールリークを防止する為に、1×1010〜5×10
15Ωcmなる抵抗を有することが好ましい。より好まし
くは1×1012〜1×1014Ωcmである。
【0223】本発明において、表面層604,604’
の抵抗値の測定には、HIOKI社製のMΩテスターを
使用し、250〜1kVの電圧を印加した時の抵抗値と
した。
【0224】特に、本発明のような直接注入帯電の系で
感光体を使用する場合には、表面層604,604’の
耐磨耗性が重要な特性である。
【0225】本発明において、支持体601上に形成さ
れた光導電層603の上に、a−SiC等のアモルファ
スシリコン(a−Si)系の表面層(以下、「a−Si
系表面層」と称する)604を使用しても良いが、非晶
質炭素(a−C:H)を主成分とする表面層(以下、
「a−C系表面層」と称する)604’を使用すること
がより好ましい。a−C系表面層は撥水性に優れ、環境
対策ヒーターを除去した状態においても高湿環境下での
画像流れを防止することができるという効果がある。ま
た、a−Si系表面層と同等以上の高硬度であり、ま
た、低摩擦であり、直接注入帯電における、帯電手段の
粒子の機械的な摩擦による感光体への移動や、感光体の
摩耗を低減できる。
【0226】a−Si系表面層604、a−C系表面層
604’は光導電層603の上に、それぞれ単独で設け
られても良いし、a−Si系表面層604とa−C系表
面層604’とを積層して成っても良い。また、表面層
は均一な組成で作製されていても、また、膜厚方向で組
成が変化する領域を有していても良い。
【0227】a−Si系表面層604は、a−Si系の
材料であれば何れの材質でも構成可能であるが、例え
ば、水素原子(H)及び/またはハロゲン原子(X)を
含有し、更に炭素原子を含有するアモルファスシリコン
(以下「a−SiC:H,X」と称する)や、水素原子
(H)及び/またはハロゲン原子(X)を含有し、更に
酸素原子を含有するアモルファスシリコン(以下「a−
SiO:H,X」と称する)や、水素原子(H)及び/
またはハロゲン原子(X)を含有し、更に窒素原子を含
有するアモルファスシリコン(以下「a−SiN:H,
X」と称する)や、水素原子(H)及び/またはハロゲ
ン原子(X)を含有し、更に炭素原子、酸素原子、窒素
原子の少なくとも一つを含有するアモルファスシリコン
(以下「a−SiCON:H,X」と称する)等の材料
が好適に用いられる。
【0228】a−C系表面層604’は、炭素原子を主
成分とし、更に水素原子(H)及び/またはハロゲン原
子(X)を含有するアモルファスカーボン(以下「a−
C:H,X」と称する)が好適に用いられる。更に、a
−C系表面層604’のハロゲン原子(X)としては、
ハロゲン原子であれば何れでも良いが、特にフッ素
(F)が摩擦低減効果の点から好ましい。フッ素は、a
−C系表面層604’の内部且つ/又は最表面で炭素原
子と結合していることが好ましい。
【0229】表面層604,604’は、例えば、グロ
ー放電法(低周波CVD法若しくは高周波CVD法若し
くはマイクロ波CVD法等の交流放電CVD法、または
直流放電CVD法等)、スパッタリング法、真空蒸着
法、イオンプレーティング法、光CVD法、熱CVD法
など周知の堆積膜形成方法によって形成することができ
る。これらの堆積膜形成方法は、製造条件、設備資本投
資下の負荷程度、製造規模、作製される電子写真装置用
感光体に要求される特性等の要因によって適宜選択され
るが、感光体の生産性から光導電層と同等の方法による
ことが好ましい。
【0230】表面層604,604’をa−SiCを主
成分として構成する場合の炭素量は、シリコン原子と炭
素原子の和に対して30%から90%の範囲が好まし
い。また、この場合のa−Si系表面層604内の水素
含有量を30原子%以上70%以下に制御することで、
電気的特性面及び高速連続使用性において飛躍的な向上
を図り、表面層の高い硬度を確保できる。
【0231】また、表面層604,604’をa−Cを
主成分として構成する場合、水素含有量を35〜55%
とすることで、高硬度で且つ注入帯電性をより向上させ
ることが可能である。また、更に例えばフッ素原子等の
ハロゲン原子を含有させることは撥水性や摩擦低下など
に有効であり、a−C:H,Fは撥水性、低摩擦の効果
がより顕著である。その場合には水素と含有させたハロ
ゲン原子の総和が35〜55%とすることで上記の効果
が十分に得られる。
【0232】表面層604,604’中の水素含有量
は、H2ガスの流量、支持体温度、放電パワー、ガス圧
等によって制御し得る。表面層604,604’中に含
有される水素原子または/及びハロゲン原子の量を制御
するには、例えば支持体601の温度、水素原子または
/及びハロゲン原子を含有させるために使用される原料
物質の反応容器内へ導入する量、放電電力等を制御すれ
ばよい。
【0233】表面層604,604’は、炭素原子及び
/または酸素原子及び/または窒素原子が表面層中に万
遍なく均一に含有されても良いし、表面層の層厚方向に
含有量が変化するような不均一な分布をもたせた部分が
あっても良い。
【0234】更に、本発明においては、表面層604,
604’には、必要に応じて伝導性を制御する原子を含
有させることが好ましい。伝導性を制御する原子は、表
面層604,604’中に万偏なく均一に分布した状態
で含有されても良いし、あるいは層厚方向には不均一な
分布状態で含有している部分があってもよい。
【0235】伝導性を制御する原子としては、半導体分
野における、いわゆる不純物を挙げることができ、第II
Ib族原子または第Vb族原子を用いることができる。
また、これらの伝導性を制御する原子導入用の原料物質
を必要に応じてH2、He、Ar、Ne等のガスにより
希釈して使用してもよい。
【0236】本発明における表面層の層厚は、該表面層
の使用中の磨耗や、電気的、機械的なストレスによる損
傷を防止する観点から、また一方では残電、感度低下な
どの電子写真特性の低下を防止する観点から、これらを
総合的に判断して選択されることが好ましい。
【0237】a−Si系表面層604の層厚は、通常
0.01〜3μm、好適には0.05〜2μm、最適に
は0.1〜1.5μmとされるのが望ましい。層厚が
0.01μmよりも薄いと感光体の使用中に摩耗等の理
由により表面層が失われてしまい、3μmを越えると、
残留電位が増加する等、電子写真特性の低下がみられ
る。
【0238】a−C系表面層604’の層厚は、上記の
a−Si系表面層604と同等の層厚の範囲でも良い
が、a−Si系表面層よりも耐磨耗性がより優れている
ため、a−Si系表面層よりも薄い膜厚で同等以上の十
分な機能を有する。このため、a−C系表面層604’
の層厚としては、通常0.01〜2μm、好適には0.
05〜0.8μm、最適には0.1〜0.3μmが好ま
しい。
【0239】本発明の目的を達成し得る特性を有する表
面層604,604’を形成するためには、支持体60
1の温度、反応容器内のガス圧を所望に従って適宜設定
する必要がある。
【0240】表面層604,604’を形成するための
支持体温度、ガス圧等の条件は通常は独立的に別々に決
められるものではなく、所望の特性を有する感光体を形
成すべく相互的且つ有機的関連性に基づいて最適値を決
めるのが望ましい。
【0241】更に、本発明においては、光導電層603
と表面層604,604’との間に、炭素原子、酸素原
子及び窒素原子の含有量を表面層よりも減らした電荷注
入阻止層(下部表面層)605’を設けることも帯電能
等の特性を更に向上させるためには有効である。
【0242】a−C系表面層604’を、光導電層60
3上またはa−Si系表面層604上に積層する場合、
表面層604’とその下の層(光導電層603上または
a−Si系表面層604)との間に、光導電層603に
向かって炭素原子の含有量が減少、珪素原子の含有量が
増加するように変化する領域を設けても良い。また、a
−Si系表面層604と光導電層603との間に、光導
電層603に向かって炭素原子及び/または酸素原子及
び/または窒素原子の含有量が減少するように変化する
領域を設けても良い。これらの領域を設けることによ
り、表面層と光導電層との密着性を向上させ、界面での
光の反射による干渉の影響をより少なくすることができ
る。 (4)電荷注入阻止層 本発明においては、支持体601側からの電荷の注入を
阻止するためには、支持体601と光導電層603との
間に電荷注入阻止層605を設けることが、より効果的
である。
【0243】すなわち、電荷注入阻止層605は感光層
602が一定極性の帯電処理をその自由表面に受けた
際、支持体601側より光導電層603側に電荷が注入
されるのを阻止する機能を有し、逆の極性の帯電処理を
受けた際にはそのような機能は発揮されない、いわゆる
極性依存性を有している。そのような機能を付与するた
めに、電荷注入阻止層605には伝導性を制御する原子
を光導電層603に比べ比較的多く含有される。
【0244】電荷注入阻止層605に含有される伝導性
を制御する原子としては、半導体分野における、いわゆ
る不純物を挙げることができ、13族原子または15族
原子を用いることができる。電荷注入阻止層605に含
有される伝導性を制御する原子は、該電荷注入阻止層中
に万偏なく均一に分布されても良いし、あるいは層厚方
向には万偏なく含有されてはいるが、不均一に分布する
状態で含有している部分があってもよい。分布濃度が不
均一な場合には、支持体601側に多く分布するように
含有させるのが好適である。いずれの場合にも支持体6
01の表面と平行面内方向においては、均一な分布で万
偏なく含有されることが面内方向における特性の均一化
をはかる点からも必要である。
【0245】電荷注入阻止層605の層厚は、所望の電
子写真特性が得られること、及び経済的効果等の点から
好ましくは0.1〜5μm、より好ましくは0.3〜4
μm、最適には0.5〜3μmとされるのが望ましい。
【0246】本発明においては、電荷注入阻止層605
を形成するための希釈ガスの混合比、ガス圧、放電電
力、支持体温度の望ましい数値範囲として、上述した範
囲が挙げられるが、これらの層形成ファクターは通常は
独立的に別々に決められるものではなく、所望の特性を
有する表面層を形成すべく相互的且つ有機的関連性に基
づいて各層形成ファクターの最適値を決めるのが望まし
い。
【0247】また、本発明においては、支持体601と
光導電層603あるいは電荷注入阻止層605との間の
密着性の一層の向上を図る目的で、例えば、Si34
SiO2、SiOあるいはシリコン原子を母体とし、水
素原子及び/またはハロゲン原子と、炭素原子及び/ま
たは酸素原子及び/または窒素原子とを含む非晶質材料
等で構成される密着層を設けても良い。更に、上述のご
とく、支持体601からの反射光による干渉模様の発生
を防止するための光吸収層を設けても良い。 (5)a−Si系感光体の製造装置 上記(2)〜(4)の各層は、例えば、図7や図8に示
される様な周知の感光体製造装置により製造される。
【0248】図7は、電源周波数としてRF帯の周波数
を用いた高周波プラズマCVD法(以後「RF−PCV
D」と略記する)による感光体製造装置の一例を示す模
式的な構成図である。
【0249】図7に示す感光体製造装置は、大別する
と、減圧可能な反応容器3111を具備する堆積装置3
100と、反応容器3111内に原料ガスを供給するた
めの原料ガス供給装置3200と、反応容器3111内
を減圧するための排気装置(不図示)とから構成されて
いる。
【0250】反応容器3111内には、円筒状支持体3
112、支持体加熱用ヒーター3113及び原料ガス導
入管3114が設置され、更に、反応容器3111は高
周波マッチングボックス3115が接続されている。
【0251】原料ガス供給装置3200は、SiH4
GeH4、H2、CH4、B26、PH 3等の原料ガスのボ
ンベ3221〜3226、バルブ3231〜3236、
3241〜3246、3251〜3256及びマスフロ
ーコントローラー3211〜3216から構成され、各
原料ガスのボンベはバルブ3260を介して反応容器3
111内のガス導入管3114に接続されている。
【0252】また、電源周波数としてVHF帯の周波数
を用いた高周波プラズマCVD(以後「VHF−PCV
D」と略記する)による感光体製造装置は、例えば、図
7に示した堆積装置3100を図8に示す堆積装置41
00に交換し、この堆積装置4100を原料ガス供給装
置3200と接続することで得ることができる。
【0253】図8に示す堆積装置4100を用いた製造
装置は、大別すると、減圧可能な反応容器4111を具
備する堆積装置4100の他、反応容器4111内に原
料ガスを供給するための原料ガス供給装置3200と、
反応容器4111内を減圧するための排気装置(不図
示)とから構成されている。
【0254】反応容器4111内には、円筒状支持体4
112、支持体加熱用ヒーター4113、原料ガス導入
管4114、電極4115が設置されており、更に、電
極4115には高周波マッチングボックス4116が接
続されている。なお、図8において、原料ガス導入管4
114は電極4115を兼ねている。
【0255】また、反応容器4111内は排気管412
1を通じて不図示の拡散ポンプに接続されている。ま
た、反応容器4111の外部には円筒状支持体4112
を回転させるための支持体回転用モーター4120が接
続されている。
【0256】なお、原料ガス供給装置3200は、原料
ガスのボンベ、バルブ及びマスフローコントローラー等
の構成が図7に示したものに準ずるものであっても良
い。
【0257】また、円筒状支持体4112によって取り
囲まれた放電空間4130が放電空間を形成している。
【0258】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
るが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではな
い。
【0259】(実施例1)図7に示すRF−PCVD法
による感光体製造装置を使用し、円筒状支持体3112
として直径108mm(φ108)の鏡面加工を施した
アルミニウムシリンダーを用い、このアルミニウムシリ
ンダー上に表1及び表2に示すそれぞれの処方により、
電荷注入阻止層(UBL層)と、光導電層(或いは、光
導電層及び電荷注入阻止層(TBL層))と、表面層と
を順次積層して感光体を作製した。なお、表1はネガ帯
電a−Si系感光体作製処方の一例を示し、表2はポジ
帯電a−Si系感光体作製処方の一例を示している。
【0260】更に、光導電層中のSiH4とH2との混合
比、及び放電電力を変更することによって、種々の感光
体を作製した。
【0261】
【表1】
【0262】
【表2】
【0263】電子写真装置は、キヤノン製複写機GP6
05を、画像露光としてのレーザーを波長670nmに
変更し、解像度は1200dpiとし、また除電光は6
60nmにピーク波長を有するLEDに変更した。更
に、電圧印加条件、露光量を可変にする等、分離手段を
付加しなかったことを除き、プロセススピードを可変に
するなど、評価用に改造した。GP605にはローラー
状の転写手段が用いられているが、ベルト状の転写手段
であっても良く、また分離手段を追加しても良い。その
場合は、図2に示したように、転写手段106(a)、
分離帯電器106(b)をローラー帯電器、またはベル
ト状帯電器とし、この部位でのコロナ放電によるオゾン
発生を極力抑制する様にする事が好ましい。帯電手段
は、次に行う感光体の電気特性評価のために、製品のコ
ロナ帯電器のままとした。
【0264】上記のGP605改造機に、作製した感光
体をセットし、300mm/secのプロセススピード
で帯電能の温度依存性(温度特性)、光メモリー及び画
像欠陥を評価した。なお、トナーはGP605で通常使
用するトナーを用いた。
【0265】温度特性は、感光体の表面温度を室温から
約45℃まで変えて帯電能を測定し、このときの温度1
℃当たりの帯電能の変化を測定し、これを温度特性とし
た。
【0266】また、光メモリーについては、画像露光が
照射されない時の感光体表面電位(Vd)と、画像露光
が照射された時の感光体表面電位(Vl)とが所定の値
となるように調整し、感光体表面電位がVlとなる光量
の画像露光を照射した時の1周後の感光体表面電位と、
画像露光を照射しない時の1周後の感光体表面電位との
電位差を測定し、これを光メモリーとした。
【0267】なお、本実施例では、帯電手段にDC電圧
を印加することで感光体表面電位を調整し、温度特性測
定においては室温時、それ以外の測定においては測定時
に、Vdが−450V(ポジa−Si系感光体の場合は
+450V)、Vlが−50V(ポジa−Si系感光体
の場合は+50V)になるように調整した。
【0268】その結果、感光体として、温度特性が2V
/deg以内、且つ光メモリーの電位差が7V以内のも
のを合格とし、合格した感光体を以下の評価に使用し
た。
【0269】[帯電手段]更に、上記のGP605改造
機の帯電手段を以下の如く改造した。
【0270】帯電手段は、導電性の弾性ローラーの表面
に導電性粒子が付与された帯電部材、すなわち図3
(a)に示すような帯電部材301を用いた構成とし、
この帯電部材を以下のような条件で製作した。
【0271】弾性ローラーは、φ10mmの芯金上にロ
ーラー状の弾性部材をφ16mmとなるように成形し
た。この弾性ローラーのアスカーC硬度は20度であっ
た。
【0272】更に、弾性ローラーの表面に導電性粒子を
塗布するための機構(不図示)を別途作製し、これを帯
電手段の近傍に設置し、弾性ローラーの表面に導電性粒
子を塗布した。
【0273】また、感光体への帯電部材の侵入量をコロ
により規制し、感光体と帯電部材との当接幅が2〜3m
mとなるように制御した。
【0274】以下の記載では、図3(a)に示したよう
に、弾性部材の表面に導電性粒子が付与された帯電部材
301を用いた帯電手段の構成を「帯電構成1」と称
し、また、図3(b)に示したように、磁性部材の表面
に磁性性粒子が保持された帯電部材302を用いた帯電
手段の構成を「帯電構成2」と称する。
【0275】上記のように改造したGP605改造機、
及び上記の合格した感光体を使用し、GP605改造機
内の環境対策ヒーターをOFFにした状態で感光体の帯
電能力を評価した。
【0276】その結果、弾性部材の抵抗値が1×103
〜1×108Ωである時に、帯電特性、画像流れ等、総
合的に良好な特性が得られた。また、弾性部材の抵抗値
が1×104〜1×107Ωである時には、総合的に更に
良好な特性が得られた。また、弾性部材の抵抗値が1×
108Ωよりも高い場合には、印加電圧に対する帯電電
位が低下したり、帯電均一性が低下したり、部分的な画
像の濃淡が発生したりする場合があった。一方、弾性部
材の抵抗値が1×103Ωよりも低い場合には、感光体
上に微小な欠陥がある時に、該当する部位に電流が集中
し、該部位を含む範囲において感光体が帯電しない現象
が発生する場合があった。
【0277】また、導電性粒子の抵抗が102Ω・cm
以上、109Ω・cm以下である時に良好な帯電性が得
られた。また、導電性粒子の抵抗が106Ω・cm以下
である時には、更に良好な帯電性が得られた。また、導
電性粒子の抵抗が109Ω・cmよりも高いと帯電性能
の低下が発生し、また導電性粒子の抵抗が102Ω・c
mよりも低いと感光体上の欠陥部位を含む範囲での帯電
不良が発生する場合があった。
【0278】また、導電性粒子の粒径が0.1〜10μ
mである時、良好な画像が得られた。導電性粒子の粒径
が10μmよりも大いと、機械的に粒子を拘束する「帯
電構成1」においては、粒子の流動性が阻害され、帯電
均一性が低下した。また、導電性粒子の粒径が極端に大
きい場合には、セルで該粒子を保持することが困難にな
った。いずれにせよ、導電性粒子の粒径が上記の範囲を
超えた場合には、微視的な帯電むらによると思われる画
像上のすじ、いわゆる「掃きむら」が発生した。一方、
導電性粒子の粒径が0.1μmよりも小さいと、導電性
粒子が弾性部材中のセルの奥に捕獲される等のため、新
旧粒子の入替えが不足することに起因すると思われる帯
電性の低下や、導電性粒子の漏れ、或いはセルの表面側
の粒子が弾性部材の回転に伴い飛散する等の現象が増加
した。
【0279】[感光体評価装置]更に、図1に示した感
光体評価装置を以下の如く新規に作製した。
【0280】図1を参照して説明すると、帯電手段10
1は、アスカーC硬度が20度、30度、40度或いは
50度のいずれかの弾性ローラーの表面に導電性粒子が
付与された帯電部材を用いた「帯電構成1」とした。ま
た、その帯電部材の駆動速度を可変とした。
【0281】粒子補給機構110は、不図示のシーケン
サ等の制御により、所定の速度で導電性粒子を帯電手段
101内の帯電部材表面に供給するものとした。
【0282】表面層厚測定手段103は、大塚電子社製
反射分光計MCPD−2000とした。なお、図1には
該反射分光計のプローブが図示されている。
【0283】除電光源104は、中心波長660nmの
LEDとし、また、画像付与手段105は、中心波長6
70nmのレーザー光源とした。なお、画像付与手段1
05は、LEDで代用することも可能である。
【0284】感光体表面電位測定手段106,107は
TRek社製344の表面電位計とし、現像手段相当位
置(図2参照)に感光体表面電位測定手段106を配置
し、その感光体回転方向上流側に感光体表面電位測定手
段107を配置した。
【0285】表面温度測定手段108は、TASCO社
製の非接触温度センサーTHI−301Lとした。な
お、感光体102の内部には不図示のドラムヒータを配
置し、必要に応じて感光体102の表面温度の調整を可
能としてある。
【0286】その他、転写手段、給紙手段、定着手段及
び排紙手段を設置しないこと、画像信号付与手段105
の光路の構成が異なること以外は、図2に示した電子写
真装置に準じて各手段を配置し、更にプロセススピード
を可変とした。
【0287】また、感光体102外周に配置された各手
段は、感光体102の長軸方向の全長にわたって配置さ
れる必要はなく、本実施例では、例えば、帯電手段10
1の感光体長軸方向の長さを5cmとした。また、各ユ
ニットは感光体長軸方向の任意の位置に移動可能であ
り、感光体1本で複数の条件の評価が可能である。
【0288】電気的特性についても上記の構成で評価を
行うことが可能である。また、図1中の各手段は感光体
の周方向で任意の角度に設置可能である。また、感光体
中心から放射線状に移動可能であり、感光体の径に応じ
て再配置することができる。
【0289】なお、クリーナー109は、帯電手段10
1の感光体回転方向下流側に設置しているが、図2に示
した電子写真装置と同様に、除電手段104の感光体回
転方向上流側に設置することもでき、また、帯電手段1
01から漏れた粒子の捕獲等のために別のクリーナーを
除電手段104の感光体回転方向上流側に設置すること
もできる。
【0290】ここで、図1に示した感光体評価装置の帯
電手段101をスコロトロン帯電器の構成に変更し、上
記のGP605改造機(実機)で行った感光体電気的特
性評価と同様の評価を行った。
【0291】その結果、実機で得られた結果と良く一致
する結果が得られた。これにより、感光体の電気的特性
評価に関しては、上記の実機及び感光体評価装置の双方
で評価する必要はなく、何れか一方で評価を行えばよい
ことになる。
【0292】なお、本実施例においては、汎用性という
観点から、感光体の外径、電子写真プロセスの各手段の
大きさや配置等が異なる系においても評価可能なよう
に、図1に示した感光体評価装置を新規に作製して使用
したが、例えば、上記の複写機GP605などの実機
を、図1に示した感光体評価装置のごとく改造した評価
機を使用しても差し支えない。
【0293】[電気特性/摩耗性評価方法]図1に示し
た感光体評価装置の帯電手段101を再度「帯電構成
1」に改造したもの、上記の合格した感光体を使用し、
プロセススピードや弾性ローラーの駆動速度に起因する
周速差比、弾性ローラーの硬度等に起因する当接圧、当
接幅の条件のうち、各々1つの条件のみを振って、各条
件とも30時間の磨耗評価を行った。帯電手段101の
基準条件としては、弾性ローラーの硬度を30度、弾性
ローラーの駆動速度を周速差比220%(相対速度12
0%)、感光体102との当接幅を2.5mmとし、導
電性粒子には酸化亜鉛を使用した。また、当接幅、当接
圧を振る場合には、上記の弾性ローラーをベルト状の弾
性部材に変更したものや、弾性ローラーの外径が異なる
ものを使用した。また、ばね等の不図示の当接圧制御手
段を使用し、該当接圧制御手段を調整して、当接圧を制御
した。
【0294】弾性ローラーの当接圧力の測定は、感光体
102及び帯電手段101がともに停止した状態で、ニ
ッタ社製圧力測定器「ハンディスキャン」を使用して測
定した。
【0295】感光体102の表面層の磨耗速度は、表面
層厚測定手段103として、上述の大塚電子社製反射分
光計MCPD−2000を使用し、磨耗評価前及び磨耗
評価後の反射スペクトルを測定し、該反射スペクトル及
び表面層材料の屈折率等から算出した表面層厚の差によ
って求めた。
【0296】また、感光体表面電位測定手段106,1
07、及び不図示の電源や電流計等を使用し、感光体1
01の帯電特性等の電気的特性も同時に評価した。
【0297】また、表面層厚測定手段103における表
面層圧測定時には、弾性ローラー、粒子補給機構110
を評価装置から取り外し、該弾性ローラー、粒子補給機
構110の状態の確認、及び粒子の追加等のメンテナン
スを行った。
【0298】その結果、図9〜図11に示すように、感
光体102の磨耗速度は、帯電手段101内の弾性ロー
ラーの、駆動速度の周速差比、弾性ローラー硬度や侵入
量等に起因する当接圧、当接幅に依存することが判明し
た。また、弾性ローラーや粒子補給機構110等に異常
は認められなかった。
【0299】上記の結果より、感光体の磨耗速度は、弾
性ローラーの周速差比、当接圧、当接幅にほぼリニアに
依存することがわかる。
【0300】従って、感光体の磨耗評価としては、実際
に使用する電子写真装置の周速差比、当接圧、当接幅の
条件を、更に厳しくした条件で評価を行うことにより、
促進効果が向上すると考えられる。
【0301】また、感光体102の帯電特性について
は、画像信号付与手段105により画像露光を照射しな
い場合、及び画像露光をハーフトーン電位(ハーフトー
ン画像を出力する時の平均電位相当)になるように照射
した場合のそれぞれで評価を行った。具体的には、感光
体表面電位測定手段106,107にて測定される表面
電位の平均値(Vd_ave)、感光体の回転方向に直
角な方向における表面電位のばらつき(ΔV_ax)、
及び不図示の電流計による感光体102への流れ込み電
流のdc成分値(Id)を求め、これらを用いて帯電特
性を評価した。なお、上記の電位ばらつきは、画像上で
は、すじ状の帯電不良部位によるすじ、いわゆる「掃き
むら」となる要因である。事前に、本実施例で用いた帯
電部材と外径が互いに同一の帯電ローラーで、所定のV
d_ave(ref)になるように設定した場合のId
(ref)、ΔV_ax(ref)を測定した。本実施
例では、上記の基準条件において、Vd_aveをVd
_ave(ref)としたとき、Id、ΔV_axは各
々Id(ref)、ΔV_ax(ref)と同等であっ
た。この状態をレベル5とし、摩耗評価後の感光体につ
いてId、ΔV_axを測定して下記の基準で5段階評
価した。その結果を図12に示す。 レベル5(非常に良好);上記の状態 レベル4(良好);Id、ΔV_axのrefとの差が
5%未満(良好) レベル3(やや良好);Id、ΔV_axのrefとの
差が10%未満 レベル2(実用上問題無);Id、ΔV_axのref
との差が20%未満 レベル1(実用上問題の場合有);Id、ΔV_axの
refとの差が20%以上 図12(a)に示すように、帯電手段101内の弾性ロ
ーラーの周速差比が0%、いわゆる従動回転の条件や、
周速差比が100%、いわゆるローラー停止状態、及び
それらの近傍の条件では、帯電特性が低下するが、それ
以外の範囲での帯電特性は実用上問題ないレベルであっ
た。特に、カウンター回転方向(周速差比が100%以
上)では帯電特性が良好であった。
【0302】また、図12(b)に示すように、帯電手
段101内の帯電部材と感光体102との当接幅が小さ
すぎると、帯電電位が低下するなど、帯電特性が低下し
た。
【0303】[電子写真装置との対応]上記の感光体評
価装置を用いて行った評価と同様の評価を、上記のGP
605改造機でも実施した。具体的には、「帯電構成
1」の帯電手段を有するGP605改造機(実機)を使
用し、プロセススピード300mm/secとし、クリ
ーナ有り、クリーナーレスの双方の系について、上記の
基準条件、及び周速差比、当接圧、当接幅を振って10
00k枚の耐刷試験を行い、耐刷試験前後の感光体表面
層の層厚差によって感光体の摩耗速度の評価した。ま
た、帯電特性についても、上記の感光体評価装置と同様
の評価を行った。
【0304】その結果、実機での磨耗速度評価の結果
は、上記の感光体評価装置における評価結果と良く一致
した。また、帯電特性についても同様に一致が見られ
た。
【0305】また、耐刷試験終了時の画質に関しては、
目視判断の他、転写残トナー等が用紙に移動すること、
或いは局所的な帯電不良などによる、局所的な画像濃度
変化や、白地部位にトナーが現像される、いわゆる「か
ぶり」を測定した。
【0306】画像濃度測定は、ベタ白画像及びハーフト
ーン画像をマクベス社製反射濃度計により測定すること
で行った。画質について、下記の基準で5段階評価した
結果を図13に示す。 レベル5(非常に良好);掃きむらなし、かぶり(ma
x、ave)共1%以内 レベル4(良好);掃きむらなし、かぶり(max)
1.5%以内、かぶり(ave)1%以内 レベル3(やや良好);掃きむらなし、かぶり(ma
x)2%以内、かぶり(ave)1.5%以内 レベル2(実用上問題無);画像上の掃きむら50mm
2以内、かぶり(max)2.5%以内、かぶり(av
e)2%以内 レベル1(実用上問題の場合有);掃きむら及び/又は
かぶりが上記の範囲外 その結果、図13(a)及び(b)に示すように、画質
は周速差比、当接幅に依存することがわかる。また、帯
電手段内の弾性ローラーの周速差比が0%の場合や、周
速差比が100%及びそれらの近傍である場合には、
「掃きむら」等により画質の低下が生じるが、それ以外
の範囲、特にカウンター方向回転のとき、画質が良好に
維持された。
【0307】特に、クリーナーが無い(クリーナレス構
成)場合、順方向回転(周速差比が100%以下)で
は、「かぶり」が生じ、画質が低下することがあった。
このような画質の低下は転写残トナーを回収する機構を
現像器に付加することで解消若しくは改善した。なお、
上記の機構を現像器に付加する以外にも、転写残トナー
の影響を解消し得る機構であれば、別の手段を用いても
良い。
【0308】また、500k時、1000k終了時に、
画質、帯電性について評価を行った。更に、当接圧、当
接幅を振って同様の耐久評価を個なった。これらの結果
を表3に示す。なお、表中の記号は、下記の通りであ
る。 ◎(非常に良好);画質、帯電性が初期の状態を良好に
維持。初期の画質4〜5。 ○(良好);画質、帯電性が初期の状態を維持。初期の
画質3。 △(実用上問題無);表面層の残りが少、帯電性の低下
がやや見られる或いは初期の画質2。 ×(実用上問題の場合有);表面層消失、帯電性の著し
い低下によると思われる画質の低下など また、表面層厚測定、及び顕微鏡観察を行った。表中の
記号は下記の通りである。なお、表面層厚は反射分光式
干渉計(大塚電子(株)製MCPD2000)により干渉度合を
測定し、この値と既知の屈折率から算出する。 ◎(非常に良好);局所的・全体ともに表面層厚が電気
的特性維持に対して十分残っている。表面層の形状が初
期の状態を維持している。 ○(良好);局所的・全体ともに表面層厚が電気的特性
維持に対して十分残っている。表面層の形状が初期の状
態をほぼ維持している。 △(実用上問題無);局所的或いは全体に表面層厚が電
気的特性維持に対して薄い部分があるが画像上の問題無
し。形状変動がやや大きい。 ×(実用上問題の場合有);表面層消失部位有り、画質
に影響が出る、微視的又は巨視的な表面層の消失が観察
される。など表3より、感光体外径Dとプロセススピー
ドSとしたとき、摩耗速度Xが、0.003×D/S以
下の時に、良好な結果が得られた。また、プロセススピ
ードが350mm/sec以下のとき、帯電性を維持し
ながらX≦0.003×D/Sを得る事が出来た。プロ
セススピードがそれ以上の高速では、帯電性やムラなど
の帯電均一性と摩耗速度を両立する事が困難な場合があ
った。
【0309】一方、80mm/secよりも低速の場合
には、特にa−Si系感光体特有の暗減衰特性のため、
必要な帯電電圧が増加したり、該暗減衰に起因すると思
われる電位ムラが発生する場合があった。
【0310】(実施例2) [感光体評価装置]実施例1で合格品として使用したも
のと同じ感光体を使用し、図1に示した感光体評価装置
の帯電手段101を「帯電構成1」から「帯電構成2」
の帯電手段に変更した。
【0311】磁性スリーブは、外径16mmとし、磁束
密度が内包した磁極に対向する、スリーブ外周面から1
mmの位置で1000Gaussとなるようにした。ま
た、駆動速度及び駆動方向を可変とした。
【0312】また、磁性粒子としては、平均粒径30μ
m、体積抵抗値が2×105〜5×106Ωcmのものを
使用した。磁性スリーブと感光体との間隔は、当接幅が
3mmとなるようにコロにより規制した。また、磁性ス
リーブ上の磁性粒子の平均厚さは、S−Bギャップ(磁
性スリーブ表面の磁性粒子量を規制するブレードとスリ
ーブとの間隔)を調整し侵入量が0.3mm、当接幅が
5mmになるように規制した。
【0313】[電気特性/摩耗性評価方法]上記の感光
体評価装置及び感光体を使用し、実施例1と同様に、プ
ロセススピード300mm/sec、帯電手段101の
基準条件を、帯電部材の周速差比220%、当接幅3m
mとし、周速差比、当接幅、磁気ブラシの感光体への侵
入量(以下、「帯電構成1」の場合と同様に「当接圧」
と称する)を変化させて帯電特性、磨耗速度の評価を行
った。
【0314】また、実施例1で用いたGP605改造機
(実機)の帯電手段を「帯電構成2」に変更したものを
使用し、実施例1と同様に、帯電性、画質、磨耗速度の
評価を行った。
【0315】なお、磁気ブラシには、DC電圧に3KH
z、400VppのAC電圧を重畳した重畳電圧を印加
し、画像露光が照射されない時の感光体表面電位(V
d)を450V(ポジa−Si感光体の場合は+450
V)に設定した後、画像露光が照射された時の感光体表
面電位(Vl)が−50V(ポジa−Si感光体の場合
は+50V)となるように画像露光の光量を調整した。
【0316】周速差比はプロセススピード及び/又は磁
性スリーブの駆動速度で調整し、当接幅はコート厚や磁
性スリーブ径の変更で調整し、当接圧はコート厚やスリ
ーブ−感光体間の距離の変更等により調整した。
【0317】感光体の帯電特性の周速差比及び当接幅へ
の依存性をそれぞれ図14(a)及び(b)に、画質の
周速差比及び当接幅への依存性をそれぞれ図15(a)
及び(b)に、感光体の磨耗速度の周速差比依存性を図
16に、感光体の磨耗速度の当接圧依存を図17に、感
光体の磨耗速度の当接幅への依存性を図18に示す。
【0318】本実施例の結果は、実施例1での結果とほ
ぼ同様であり、帯電性、画質、磨耗速度共に、周速差
比、当接圧、当接幅に依存性を有している。また、上記
の実機及び感光体評価装置のそれぞれで同様に行った帯
電性評価、摩耗性評価については、その結果が良く一致
していた。
【0319】また、実施例1の如く、当接幅、侵入量を
変化させて耐久試験及び評価を行った。結果を表3に示
す。表3より、X≦0.003×D/Sの時に良好な結
果を得られた。また、実施例1と同様にプロセススピー
ドが80〜350mm/secの時に帯電性と摩耗速度
を両立する事が出来た。
【0320】帯電部材として磁気ブラシを用いた系にお
いては、かぶりは、トナーのみならず、磁気ブラシ上の
磁性粒子が現像器或いは用紙に移動すること等、複数の
要因から生じるものであるが、磁気ブラシを順方向回転
よりもカウンター方向に駆動させた方が、特にかぶり等
の画質特性が良好であった。
【0321】また、磁気ブラシの周速差比が0%の条件
や、周速差比が100%及びそれらの近傍の範囲では、
帯電性、画質の低下が見られた。
【0322】また、本実施例において、感光体の磨耗速
度の周速差比依存性に関しては、周速差比を増大させ、
一定値を超えた場合に、磨耗速度が飽和傾向にあった。
これは、磁気ブラシ上の磁性粒子がスリーブ上で滑るな
どして、磁気ブラシと感光体との周速差比が飽和してい
るのではないかと考えられる。
【0323】(実施例3)実施例1で合格品として使用
したものと同様の感光体、「帯電構成1」の帯電手段を
有するGP605改造機(実機)を使用し、実施例1の
評価の結果、帯電性、画質が良好な範囲において、周速
差比、当接幅、当接圧を振って、N/N環境(23℃/
60%RH)、H/H環境(35℃/85%RH)、N
/L環境(23℃/5%RH)の各環境下で、クリーナ
ー有り、クリーナーレスの双方の系について、1000
k枚の連続耐刷試験を行った。
【0324】その結果のうち、摩耗速度が最大の物につ
いて表3に示す。表3より、感光体の磨耗速度が0.0
01nm/回転以下、即ちX≦0.003×D/Sのと
きには、掃きむらが無く、また、クリーナ有りの系にお
いてはクリーニング不良も無く、画質、帯電性能共に、
良好に維持された。
【0325】また、実施例1同様にプロセススピードが
80〜350mm/secの時に総合的に良好な結果を
得る事が出来た。
【0326】一方、磨耗速度が大きいときは耐久終盤で
表面層が消耗し、帯電性能の低下が見られ、ひどい場合
には表面層が磨耗により消失し、所望の画像が得られな
い場合があった。特に、クリーナレスの系においては、
摩擦速度が大きいときに、「掃きむら」が発生する場合
があった。
【0327】(実施例4)実施例2で合格品として使用
したものと同様の感光体、「帯電構成2」の帯電手段を
有するGP605改造機(実機)を使用し、実施例2の
評価の結果、帯電性、画質が良好な範囲において、周速
差比、当接幅、当接圧を振って、N/N環境(23℃/
60%RH)、H/H環境(35℃/85%RH)、N
/L環境(23℃/5%RH)の各環境下で、クリーナ
ー有り、クリーナーレスのそれぞれの系について、10
00k枚の連続耐刷試験を行った。
【0328】その結果うち、摩耗速度が最大の物につい
て表3に示す。表3より、感光体の磨耗速度が、0.0
01nm/回転以下、即ちX≦0.003×D/Sのと
き、掃きむら等も無く、画質、帯電性能共に良好な結果
が得られた。一方、磨耗速度が大きいときは耐久終盤で
表面層が消耗して帯電性能が低下し、表面層の消耗がひ
どい場合には表面層が磨耗により消失し、所望の画像が
得られない場合があった。
【0329】また、実施例1同様にプロセススピードが
80〜350mm/secの時に総合的に良好な結果を
得る事が出来た。
【0330】
【表3】
【0331】(実施例5)図7に示すRF−PCVD法
による感光体製造装置を使用し、円筒状支持体3112
として直径108mm(φ108)の鏡面加工を施した
アルミニウムシリンダーを用い、このアルミニウムシリ
ンダー上に表4及び表5に示す処方により、電荷注入阻
止層(UBL層)と、光導電層(或いは、光導電層及び
電荷注入阻止層(TBL層))と、表面層1と、表面層
2とを順次積層して感光体を作製した。なお、表4はネ
ガ帯電a−Si系感光体作製処方の一例を示し、表5は
ポジ帯電a−Si系感光体作製処方の一例を示してい
る。
【0332】
【表4】
【0333】
【表5】
【0334】更に、最表面がa−C系表面層となるよう
に、a−SiC系表面層上に更にa−C系表面層を積層
した表4及び表5に示したタイプの感光体とは別に、a
−SiC系表面層を積層せずに、光導電層またはTBL
層上に直接a−C系表面層を積層したタイプの感光体
と、a−C系表面層を積層せずに、光導電層またはTB
L層上にa−SiC系表面層のみを積層したタイプの感
光体とを作製した。なお、これらの表面層の総厚はいず
れも1.0μmとした。
【0335】a−C系表面層は、表4及び表5の処方の
如く積層しても良く、また、C、H、Siなどの含有元
素の組成比率が変化する領域を有していても良い。ま
た、表面層がa−SiC系表面層とa−C系表面層とか
らなる場合、表面層がa−C単体からなる場合ともに、
その厚さは上述の表面層の好適な範囲にあればよい。
【0336】上記のように作製した感光体について、図
1に示した感光体評価装置の帯電手段101をコロナ帯
電器としたものを使用し、実施例1と同様に温度特性及
び光メモリーの評価を行い、温度特性が2V/degか
つ光メモリーの電位差が7V以内の感光体を合格とし
た。
【0337】更に、合格した感光体について、図1に示
した感光体評価装置の帯電手段101を「帯電構成1」
としたもの、及び「帯電構成1」の帯電手段を有するG
P506改造機(実機)を用いて磨耗速度の評価を行っ
た。このとき、帯電手段の周速差比を150%として評
価を行った。
【0338】感光体表面層の耐磨耗性を、最表面にa−
C系表面層が形成された感光体、及び最表面にa−Si
C系表面層が形成された感光体のそれぞれについて評価
した結果を図19に示す。なお、図19においては、表
4或いは表5に示したタイプの感光体を「a−C」と
し、a−SiC系表面層を積層せずに、光導電層または
TBL層上に直接a−C系表面層を積層したタイプの感
光体を「a−CNo.2」とし、光導電層またはTBL
層上にa−SiC系表面層のみを積層したタイプの感光
体を「SiC」としている。
【0339】その結果、図19に示すように、a−C系
表面層は、a−C、a−CNo.2共に、a−SiC系
表面層に対して、磨耗速度が約1/10となっており、
約10倍の耐磨耗性を有することが判明した。また、上
記の感光体評価装置及びGP605改造機(実機)のそ
れぞれで同様に行った評価結果は良く一致していた。ま
た、帯電手段の条件を固定して、プロセススピードを振
ったときの摩耗速度の変化を評価した。結果を図20に
示す。図20より、感光体の磨耗速度はプロセススピー
ドに依存することがわかる。
【0340】更に、最表面にa−C系表面層が形成され
た感光体について、実施例3と同様のGP605改造機
を用いて実施例3と同様の方法で、a−Cについて耐刷
試験を行った結果を同様に表6に示す。なお、a−CN
o.2でも同等の結果を得られた。
【0341】表6より、帯電性、画質共に非常に良好な
結果が得られた。
【0342】
【表6】
【0343】また、最表面にa−C系表面層が形成され
た感光体は、上記の如く耐磨耗性に優れているため、周
速差比、当接幅、当接圧等の表面層磨耗要因を振ること
が可能であり、すなわち、使用条件のラチチュードが広
い。
【0344】また、最表面にa−C系表面層が形成され
た感光体を用いて実機耐刷試験を行った際、耐久初期、
耐久後共に、帯電手段や感光体の駆動トルクの絶対値が
小さく、また、耐久による変動も小さく安定していた。
更に、帯電均一性に優れ、1ドット1スペースの画像
等、微小な帯電むらを確認するための画像における画質
も非常に良好であった。また、特にクリーナレスの系に
おいて、周速差比を低下させても画質が良好に維持され
た。このとき、感光体表面を観察した所、a−SiC系
表面層のときと比較して、転写残トナーが減少してい
た。これについても、磨耗特性のみならず、摩擦特性、
離形性に優れたa−C系表面層の効用と思われる。ま
た、a−C系表面層にフッ素を含有若しくは表面をフッ
素処理したものについても同様の実験を行った。その結
果、特に帯電均一性が向上し、耐磨耗性も向上が見られ
た。これは、a−C系表面層にフッ素を作用させること
により、摩擦特性が向上し、感光体との当接部において
粒子の流動性が良好に維持され、上記の良好な結果が得
られたものと考える。
【0345】また、プロセススピードや当接幅、当接圧
を振って耐久試験を行った結果を表3に示す。表3よ
り、X≦0.003×D/Sのとき良好な結果を得られ
た。また、プロセススピードが80〜350mm/se
cのとき、非常に良好な結果を得る事が出来た。
【0346】(実施例6)実施例5で合格品として使用
したものと同様の感光体、「帯電構成2」の帯電手段1
01を有する感光体評価装置、及び「帯電構成2」の帯
電手段を有するGP605改造機(実機)を使用し、実
施例5と同様に、磨耗評価、帯電性評価及び耐刷試験を
行った。
【0347】その結果、a−C系表面層は、実施例5と
同様に、a−SiC系表面層の約10倍の耐磨耗性を有
していた。また、耐刷試験結果においても、実施例5と
同様に、a−SiC系表面層よりも良好な結果が得られ
た。また、耐久による帯電手段からの磁性粒子の漏れ
や、帯電手段の抵抗及び/又は形状変化などといった劣
化も低減された。磁性粒子の漏れは、磁気的な拘束力と
電流や摩擦等の非磁気的な拘束力との相関に依存する。
最表面がa−C系表面層であることで、摩擦力、離形性
が良好な状態に維持され、磁性粒子の漏れがより防止さ
れたためと考えられる。また、摩擦による帯電手段の形
状変化を防止することで劣化が防止され、更に、磁性粒
子が微粒子となることを防止でき、磁性粒子の漏れ防止
への効果も有していると考えられる。また、a−C系表
面層にフッ素を含有若しくは表面をフッ素処理したもの
についても、「帯電構成1」及び「帯電構成2」で同様
の実験を行った結果、特に帯電均一性が向上し、耐磨耗
性も向上が見られた。これは、a−C系表面層にフッ素
を作用させることにより、摩擦特性が向上し、感光体と
の当接部において粒子の流動性が良好に維持され、上記
の良好な結果が得られたものと考える。
【0348】その結果を、実施例5と同様に表6に示
す。表6より、X≦0.003×D/Sのとき良好な結
果を得られた。また、プロセススピードが80〜350
mm/secのとき、非常に良好な結果を得る事が出来
た。
【0349】(実施例7)直径30mm(φ30)の鏡
面加工を施したアルミニウムシリンダーを用いた以外
は、実施例5と同様の処方で感光体を作製した。なお、
本実施例では、最表面にa−C系表面層が形成された感
光体のみを作製した。
【0350】感光体評価装置は、図1に示した感光体評
価装置の帯電手段101を「帯電構成1」とし、感光体
の径に合わせて感光体外周囲の各手段を再配置した。
【0351】一方、電子写真装置は、キヤノン社製複写
機GP405を、画像露光としてのレーザーを波長67
0nmに変更し、解像度は1200dpiとし、また除
電光は660nmにピーク波長を有するLEDに変更し
た。更に、電圧印加条件、露光量を可変にする等、分離
手段を付加しなかったことを除き、評価用に改造した。
帯電手段は、感光体の電気的特性評価のために、製品で
あるローラー帯電のままとした。
【0352】まず、上記のGP405改造機を使用し、
実施例1と同様に温度特性や光メモリー等の電気的特性
の評価を行い、この評価に合格した感光体を、以下の評
価に使用した。
【0353】続いて、上記の感光体評価装置を使用し、
プロセススピードを300mm/secとして磨耗評価
を行った。
【0354】その結果、感光体の外径の差異によらず、
実施例5と同様の磨耗速度が得られた。また、周速差
比、当接圧や当接幅への依存性も同様の結果が得られ
た。また、プロセススピードをGP405と同様に21
0mm/secにした場合、磨耗速度はプロセススピー
ドに応じて低減した。なお、プロセススピード依存性の
詳細は前述の通りである。
【0355】一方、上記のGP405改造機の帯電手段
を、更に実施例1と同様に、「帯電構成1」の構成に変
更し、上記の感光体評価装置と同様の評価を行った。
【0356】その結果、上記の感光体評価装置でプロセ
ススピードを210mm/secとした時の結果と同一
の結果が得られた。
【0357】更に、上記の「帯電構成1」の帯電手段を
有するGP405改造機を用いて、プロセススピード2
10mm/secで、N/N環境、H/H環境、N/L
環境の各環境下で、500k枚の耐刷試験を行った。
【0358】なお、一般に高速機には大径の感光体が使
用される傾向にあり、また高速機はCV(コピーボリュ
ーム)が大きい傾向にある。従って、本発明では、φ8
0以上の感光体を使用する耐刷試験では1000k枚、
φ60以下の感光体の場合には500k枚の耐刷試験を
行うものとした。本実施例では、φ30の感光体を用い
ているため、500k枚の耐刷試験を行っている。
【0359】その結果を表7に示す。
【0360】
【表7】
【0361】表7より、感光体の摩耗速度が0.000
4nm/回転以下、即ちX≦0.003×D/Sのとき
に、帯電性、画質共に、非常に良好な結果が得られた。
また、本実施例においては、最表面にa−C系表面層が
形成された感光体を用いているため、耐久初期、耐久後
共に、帯電手段や感光体駆動のトルクの絶対値、及び耐
久による変動が小さく安定していた。更に、帯電均一性
に優れ、1ドット1スペースの画像等、微小な帯電むら
を確認するためのハーフトーン画像における画質も非常
に良好であった。また、特にクリーナレスの系におい
て、周速差比を低下させても画質が良好に維持された。
【0362】同様の磨耗評価を、上記の感光体評価装置
の帯電手段101を「帯電構成2」の構成に変更したも
の、及び、上記のGP405改造機の帯電手段を「帯電
構成2」の構成に変更したものを用いて行った結果、感
光体評価装置と実機との対応は良好であった。
【0363】また、上記の「帯電構成2」の帯電手段を
有するGP405改造機を用いて耐刷試験を行った結
果、感光体の摩耗速度が0.0004nm/回転以下、
即ちX≦0.003×D/Sのときに、帯電性、画質共
に良好な結果が得られた。帯電構成1、同2共に、更に
プロセススピード、当接幅や、当接圧或いは侵入量を振
って500K枚の耐久試験を行った結果を表7に示す。
表7より、X≦0.003×D/Sのとき、良好な結果
を得る事が出来た。特にa−C系の表面層では、SiC
表面層に対して、当接幅や当接圧等の帯電手段の条件に
対してラチチュードが広がっていた。また、プロセスス
ピードが80〜350mm/secの時、総合的に非常
に良好な結果を得られた。
【0364】感光体が小径の場合、電子写真装置の出力
枚数に対する該感光体の回転数が増加するため、磨耗速
度としては大径の感光体の場合よりも、更に低減する必
要がある。そのためにも、耐磨耗性に優れたa−C系表
面層は有効である。
【0365】(実施例8)直径80mm(φ80)の鏡
面加工を施したアルミニウムシリンダーを用いた以外
は、実施例5と同様の処方で感光体を作製した。なお、
本実施例では、最表面に1.0μmのa−SiC系表面
層が形成された感光体と、最表面に1.0μmのa−C
系表面層が形成された感光体とをそれぞれ作製した。
【0366】感光体評価装置は、図1に示した感光体評
価装置の帯電手段101を「帯電構成1」及び「帯電構
成2」の構成に変更し、感光体の径に合わせて感光体周
囲の各手段を再配置した。
【0367】一方、電子写真装置は、キヤノン社製複写
機NP6260を、原稿台部を改造して図2の如くスキ
ャナーを配し、画像露光としてのレーザーを波長670
nmに変更し、解像度は1200dpiとし、また除電
光は660nmにピーク波長を有するLEDに変更し
た。また、プロセススピードは300mm/secと
し、60枚/分の画像形成を行えるようにした。更に、
電圧印加条件、露光量を可変にする等、評価用に改造し
た。帯電手段は、感光体の電気的特性評価のために、製
品であるスコロトロン帯電器のままとした。
【0368】まず、上記のNP6260改造機を使用
し、実施例1と同様に温度特性や光メモリー等の電気的
特性の評価を行い、この評価に合格した感光体を、以下
の評価に使用した。なお、上記の感光体評価装置の帯電
手段をスコロトロン帯電器とした時の電気的特性の評価
結果もNP6260改造機の結果と同等であった。
【0369】更に、上記のNP6260改造機の帯電手
段を「帯電構成1」及び「帯電構成2」に改造した。
【0370】続いて、上記のNP6260改造機及び感
光体評価装置をそれぞれ用いて感光体の磨耗評価を行っ
た。その結果、上記のNP6260改造機及び感光体評
価装置における評価結果は、絶対値、及び周速差比や当
接圧等への依存性について良く一致した。また、本実施
例においても、a−C系表面層の耐磨耗性はa−SiC
系表面層の約10倍であった。
【0371】更に、上記のNP6260改造機にa−C
系表面層を有する感光体を設置し、クリーナ有り、クリ
ーナレスの双方の系について、N/N環境、H/H環
境、N/L環境の各環境下で、1000k枚の耐刷試験
を行った。
【0372】その結果、感光体の磨耗速度が0.000
8nm/回転以下、即ちX≦0.003×D/Sの時
に、帯電性、画質ともに良好な結果が得られた。また、
最表面にa−C系表面層が形成された感光体を用いた場
合は、帯電手段の回転トルクの変動が小さくなり、特に
クリーナレスの場合に転写残トナー量が低減され、当接
幅内で粒子が均一に感光体に接触しているためと思われ
る帯電均一性が向上した。
【0373】また、耐久による帯電手段からの導電性粒
子や磁性粒子の漏れや、帯電手段の抵抗及び/又は形状
変化などといった劣化が低減された。また、「帯電構成
1」の帯電手段に改造した時の弾性部材のセル形状など
も、感光体の最表面がa−C系表面層である場合には良
好に維持されていた。また、「帯電構成2」の帯電手段
に改造した時の磁性粒子の漏れは磁気的な拘束力と電流
や摩擦等の非磁気的な拘束力との相関に依存する。感光
体の最表面がa−C系表面層であることで、摩擦力、離
形性が良好な状態に維持され、磁性粒子の漏れがより防
止されたと考えられる。また、摩擦による帯電手段の形
状変化を防止することで劣化が防止され、更に磁性粒子
が微粒子となることが防止され、磁性粒子の漏れ防止へ
の効果も有していると考えられる。更にプロセススピー
ド、当接幅、当接圧等の条件を振って同様に1000k
枚の耐久試験を行った結果を表7に示す。表7より、X
≦0.003×D/Sの時に良好な結果を得られた。ま
た、プロセススピードが80〜350mm/secの時
に良好な結果を得られた。
【0374】(実施例9)直径60mm(φ60)の鏡
面加工を施したアルミニウムシリンダーを用いた以外
は、実施例5と同様の処方で感光体を作製した。なお、
本実施例では、最表面にa−SiC系表面層が形成され
た感光体と、最表面にa−C系表面層が形成された感光
体とをそれぞれ作製した。
【0375】感光体評価装置は、図1に示した感光体評
価装置の帯電手段101を「帯電構成1」及び「帯電構
成2」の構成に変更し、感光体の径に合わせて感光体周
囲の各手段を再配置した。
【0376】一方、電子写真装置は、キヤノン社製複写
機CLC1000を、画像露光としてのレーザーを波長
670nmに変更し、解像度は1200dpiとし、ま
た除電光は660nmにピーク波長を有するLEDに変
更した。更に、プロセススピードを150mm/sec
とし、30枚/分の画像形性を行えるようにした。帯電
手段は、感光体電気的特性評価のために、スコロトロン
帯電器のままとし、実施例1と同様に温度特性や光メモ
リー等の電気的特性の評価を行い、この評価に合格した
感光体を、以下の評価に使用した。
【0377】更に、上記のCLC1000改造機の帯電
手段を「帯電構成1」及び「帯電構成2」の構成に改造
し、クリーナ有り、クリーナレスの双方の系を構成する
ための準備した。
【0378】続いて、実施例5と同様に、上記のCLC
1000改造機及び感光体評価装置をそれぞれ用いて感
光体の磨耗評価を行った。
【0379】その結果、上記のCLC1000改造機及
び感光体評価装置における耐磨耗性の評価結果は、絶対
値、及び周速差比や当接圧等への依存性について良く一
致した。
【0380】更に、上記のCLC1000改造機を用
い、クリーナ有り、クリーナレスの双方の系について、
N/N環境、H/H環境、N/L環境の各環境下で、5
00k枚の耐刷試験を行った。
【0381】その結果のうち、摩耗速度が最大の時のも
のを表8に示す。表8より、感光体の磨耗速度が0.0
012nm/回転以下、即ちX≦0.003×D/Sの
時に、帯電性、画質ともに良好な結果が得られた。ま
た、最表面にa−C系表面層が形成された感光体を用い
た場合は、実施例5と同様に、帯電均一性、転写残トナ
ーの低減などに効果が見られた。また、プロセススピー
ドを振って同様の試験を行った結果を同様に表8に示
す。プロセススピードが80〜350m/secの時、
良好な結果を得られた。
【0382】
【表8】
【0383】これらの実施例の結果より、感光体の外径
をD[mm]、プロセススピードをS[mm/sec]
とすると、感光体の磨耗速度X[nm/回転]が0.0
03×D/S以下であるときに、耐刷試験で帯電性、画
質ともに良好な状態を維持できることが判明した。
【0384】また、最表面にa−C系表面層が形成され
た感光体を用いた場合は、上記の磨耗速度を確保するた
めのプロセス条件のラチチュードが広いほか、摩擦特
性、離形性に優れ、帯電手段の劣化が防止された。ま
た、転写残トナーが減少するため、特にクリーナレスに
有効である。
【0385】また、プロセススピードは80〜350m
m/scの時に、電気的特性も含めて総合的に、更に良
好である事が判明した。
【0386】
【発明の効果】本発明は、以上説明したように構成され
ているため次のような効果を奏する。
【0387】すなわち、本発明の感光体評価装置は、弾
性部材表面に粒子が付与された当接部材を感光体と接触
駆動させて感光体の摩耗速度評価を行う装置であって、
当接部材の感光体に対する周速差比、当接部材と感光体
との当接幅、当接部材の感光体に対する当接圧の何れか
1つ以上が制御可能なように構成されている。
【0388】本発明の感光体評価方法は、上記の感光体
評価装置を使用し、周速差比、当接幅、当接圧の何れか
1つ以上を制御して感光体の摩耗速度評価を行う。
【0389】ここで、感光体の摩耗速度は、上述した実
施例中で明らかにしたように、周速差比、当接圧、当接
幅にそれぞれ依存する。このため、実際に使用する電子
写真装置の使用条件に応じて、周速差比、当接圧、当接
幅、侵入量といった帯電手段の条件の、のいずれか1つ
以上を制御して感光体の摩耗速度評価を行えば、その電
子写真装置との相関が良い促進評価結果を得ることがで
きる。また、周速差比、当接圧、当接幅のいずれか1つ
以上を、実際に使用する電子写真装置の使用条件よりも
更に厳しい条件に変更すれば、感光体の摩耗速度の促進
評価の効果がより向上する。
【0390】このように、本発明の感光体評価方法にお
いては、実際に使用する電子写真装置との相関が良い促
進評価結果を得ることが可能となるため、本促進評価結
果に基づいて耐摩耗性に優れた感光体を選定し、その選
定した感光体を電子写真装置に用いることで、耐久後の
画質や感光体の帯電特性について良好な状態を維持する
ことが可能となり、これにより、電子写真装置の長寿命
化及びメンテナンスフリー化を達成することが可能とな
る。
【0391】なお、磁性部材表面に磁性粒子が保持され
た磁気ブラシを感光体と接触駆動させて感光体の摩耗速
度評価を行う感光体評価装置及び感光体評価方法の場合
も、上記と同様の効果が得られる。
【0392】一方、本発明の電子写真装置は、弾性部材
表面に粒子が付与された当接部材を感光体と接触駆動さ
せて感光体を帯電させる装置であって、当接部材の感光
体に対する周速差比、当接部材と感光体との当接幅、当
接部材の感光体に対する当接圧の何れか1つ以上が制御
可能なように構成されている。
【0393】本発明の電子写真方法は、上記の電子写真
装置を、感光体の外径をD[mm]、感光体表面の移動
速度をS[mm/sec]とした時に、感光体1回転当
りの摩耗量X[nm/回転]が0.003×D/S以下
となるように使用する。
【0394】具体的には、周速差比、当接幅、当接圧の
何れか1つ以上を制御することで上記の摩耗量Xを調整
することが可能となる。これは、上述したように、感光
体の摩耗速度は、周速差比、当接圧、当接幅にそれぞれ
依存するためである。
【0395】このように、本発明の電子写真方法におい
ては、感光体の摩耗速度を所定の条件に規定した上で電
子写真装置を使用しているため、耐久後の画質や感光体
の帯電特性について良好な状態を維持することが可能と
なり、これにより、電子写真装置の長寿命化及びメンテ
ナンスフリー化を達成することが可能となる。
【0396】また、電子写真装置の構成を、感光体上の
転写残トナーを除去するクリーニング手段を設けずに、
転写残トナーを現像器で回収するクリーナーレス構成と
した場合にも、高画質な画像を長期にわたって安定して
得ることができ、また、メンテナンスフリー化について
も同様の効果が得られた。
【0397】更に、予期せぬ効果として、感光体上の突
起物等に起因する画像欠陥或いは該画像欠陥の成長が低
減した。これは、当接部材上の粒子と感光体の流動性等
が向上し、微細な異常放電等が防止されることで感光体
表面に均一な帯電がなされるとともに、感光体の磨耗速
度を規制したことで突起物等の損傷が抑制され、抵抗が
低い領域が露出したり、突起が剥れ落ちる等の欠陥部の
損傷が防止され、画像欠陥の成長が抑制されたためであ
ると考えられる。
【0398】また、融着(感光体に付着したトナーが感
光体から剥れにくくなり、画像に黒スジ状の欠陥が生る
現象)が抑制された。これは、当接部材が感光体を均一
かつ綿密に摺擦することで、感光体上のトナーのクリー
ニング効果が向上したためであると考えられる。
【0399】なお、磁性部材表面に磁性粒子が保持され
た磁気ブラシを感光体と接触駆動させて感光体を帯電さ
せる電子写真装置及び電子写真方法の場合も、上記と同
様の効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の感光体評価装置の一構成例を示す模式
的説明図である。
【図2】本発明の電子写真装置の一構成例を示す模式的
説明図である。
【図3】本発明の電子写真装置及び感光体評価装置に用
いられる注入帯電用の帯電部材の構成を説明するための
図であり、(a)は弾性部材と導電性粒子とからなる帯
電部材の一例を示す模式的説明図、(b)は磁気ブラシ
からなる帯電部材の一例を示す模式的説明図である。
【図4】放電を伴う帯電手段における帯電特性の模式的
説明図である。
【図5】磁気ブラシ上の磁性粒子の体積抵抗評価装置の
一例を示す概略図である。
【図6】本発明の電子写真装置及び感光体評価装置に用
いられる感光体の層構成を説明するための模式的説明図
である。
【図7】本発明の電子写真装置及び感光体評価装置に用
いられる感光体を製造するための感光体製造装置の一構
成例を示す模式的説明図であり、RF帯の高周波を用い
たグロー放電法による感光体製造装置を示している。
【図8】本発明の電子写真装置及び感光体評価装置に用
いられる感光体を製造するための感光体製造装置の他の
構成例を示す模式的説明図であり、VHF帯の高周波を
用いたグロー放電法による感光体製造装置を示してい
る。
【図9】図3(a)に示した帯電部材を用いた場合にお
ける、感光体の磨耗速度の周速差比依存性を示すグラフ
である。
【図10】図3(a)に示した帯電部材を用いた場合に
おける、感光体の磨耗速度の当接圧依存性を示すグラフ
である。
【図11】図3(a)に示した帯電部材を用いた場合に
おける、感光体の磨耗速度の当接幅依存性を示すグラフ
である。
【図12】図3(a)に示した帯電部材を用いた場合に
おける、感光体の帯電性の評価結果を示すグラフであ
り、(a)は感光体の帯電性の周速差比依存性を示すグ
ラフ、(b)は感光体の帯電性の当接幅依存性を示すグ
ラフである。
【図13】図3(a)に示した帯電部材を用いた場合に
おける、画質の評価結果を示すグラフであり、(a)は
画質の周速差比依存性を示すグラフ、(b)は画質の当
接幅依存性を示すグラフである。
【図14】図3(b)に示した帯電部材を用いた場合に
おける、感光体の帯電性の評価結果を示すグラフであ
り、(a)は感光体の帯電性の周速差比依存性を示すグ
ラフ、(b)は感光体の帯電性の当接幅依存性を示すグ
ラフである。
【図15】図3(b)に示した帯電部材を用いた場合に
おける、画質の評価結果を示すグラフであり、(a)は
画質の周速差比依存性を示すグラフ、(b)は画質の当
接幅依存性を示すグラフである。
【図16】図3(b)に示した帯電部材を用いた場合に
おける、感光体の磨耗速度の周速差比依存性を示すグラ
フである。
【図17】図3(b)に示した帯電部材を用いた場合に
おける、感光体の磨耗速度の当接圧依存性を示すグラフ
である。
【図18】図3(b)に示した帯電部材を用いた場合に
おける、感光体の磨耗速度の当接幅依存性を示すグラフ
である。
【図19】感光体の表面層としてa−SiC系表面層を
用いた場合とa−C系表面層を用いた場合とで感光体の
耐摩耗性を比較したグラフである。
【図20】感光体の磨耗速度のプロセススピード依存性
を示すグラフである。
【符号の説明】
101 帯電手段 102 感光体 103 表面層厚測定手段 104 除電光源 105 画像信号付与手段 106,107 感光体表面電位測定手段 108 感光体表面温度測定手段 109 クリーナー 110 粒子補給機構 111 ブレード 201 帯電手段 202 感光体 203 画像信号付与手段 204 現像手段 205 給紙系 206(a) 転写手段 206(b) 分離手段 207 クリーニング手段(クリーナー) 208 除電手段 209 内部電位計 210 搬送系 211 定着手段 212 定着ローラー 213 原稿 214 原稿台 215 画像読み込み用光源 216 スキャナ 217 画像信号光源 218 ミラー 219 給紙経路 220 レジスタローラー 301 帯電部材 301−1 粒子層 301−2 弾性部材 301−3 芯金 302 帯電部材 302−1 粒子層 302−2 磁性部材 600 感光体 601 導電性基板 602 感光層 603 光導電層 604 a−Si系表面層 604’ a−C系表面層 605 下部電荷注入阻止層 605’ 上部電荷注入阻止層 606 自由表面 607 電荷発生層 608 電荷輸送層 3100 堆積装置 3111 反応容器 3112 支持体 3113 支持体加熱用ヒーター 3114 原料ガス導入管 3115 高周波マッチングボックス 3200 原料ガス供給装置 3211〜3216 マスフローコントローラー 3221〜3226 原料ガスボンベ 3231〜3236 原料ガスボンベバルブ 3241〜3246 ガス流入バルブ 3251〜3256 ガス流出バルブ 3261〜3266 圧力調整器 4111 反応容器 4112 円筒状支持体 4113 支持体加熱用ヒーター 4114 原料ガス導入管 4115 電極 4116 高周波マッチングボックス 4120 支持体回転用モーター 4121 排気管 4130 放電空間
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G03G 15/02 102 G03G 15/02 102 (72)発明者 古島 聡 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 大脇 弘憲 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 高田 和彦 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 Fターム(参考) 2F069 AA24 AA46 BB40 CC05 DD06 GG01 GG04 GG07 GG20 GG63 HH02 JJ17 LL04 RR03 2H068 DA05 DA12 2H134 QA02 2H200 FA02 FA09 GA18 GA23 GA24 GA34 HA03 HA29 HB12 HB17 HB23 HB43 HB45 HB46 HB47 LA18 LA20 MA03 MA08 MA12 MA14 MA20 MB01 MB04 MC01 MC02 MC13 MC15 MC20 PA11 PA14

Claims (29)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 感光体を所定のプロセススピードで回転
    駆動させるとともに、弾性部材表面に粒子が付与された
    当接部材を前記感光体に当接させた状態で該感光体に対
    して所定の周速差比で接触駆動させることで、前記感光
    体の摩耗速度を評価する感光体評価装置において、 前記当接部材の前記周速差比、前記当接部材と前記感光
    体との前記感光体回転方向の当接幅、前記当接部材の前
    記感光体に対する当接圧の何れか1つ以上が制御可能で
    あることを特徴とする感光体評価装置。
  2. 【請求項2】 前記弾性部材のアスカーC硬度が15度
    以上60度以下であることを特徴とする請求項1に記載
    の感光体評価装置。
  3. 【請求項3】 前記粒子が導電性粒子であることを特徴
    とする請求項1または請求項2に記載の感光体評価装
    置。
  4. 【請求項4】 前記粒子の平均粒径が0.1μm以上1
    0μm以下であることを特徴とする請求項1乃至3のい
    ずれか1項に記載の感光体評価装置。
  5. 【請求項5】 前記粒子の前記弾性部材表面への塗布量
    が制御可能であることを特徴とする請求項1乃至4のい
    ずれか1項に記載の感光体評価装置。
  6. 【請求項6】 感光体を所定のプロセススピードで回転
    駆動させるとともに、磁性部材表面に磁性粒子が保持さ
    れた磁気ブラシを前記感光体に当接させた状態で該感光
    体に対して所定の周速差比で接触駆動させることで、前
    記感光体表面の摩耗速度を評価する感光体評価装置にお
    いて、 前記磁気ブラシの前記周速差比、前記磁気ブラシと前記
    感光体との前記感光体回転方向の当接幅、前記磁気ブラ
    シの前記感光体への侵入量の何れか1つ以上が制御可能
    であることを特徴とする感光体評価装置。
  7. 【請求項7】 前記磁性粒子の平均粒径が10μm以上
    50μm以下であることを特徴とする請求項6記載の感
    光体評価装置。
  8. 【請求項8】 前記磁性部材上の前記磁性粒子のコート
    量が制御可能であることを特徴とする請求項6または請
    求項7に記載の感光体評価装置。
  9. 【請求項9】 請求項1乃至5のいずれか1項に記載の
    感光体評価装置を用いた感光体評価方法であって、 前記周速差比、前記当接幅、前記当接圧の何れか1つ以
    上を制御して前記感光体の摩耗速度評価を行うことを特
    徴とする感光体評価方法。
  10. 【請求項10】 請求項6乃至8のいずれか1項に記載
    の感光体評価装置を用いた感光体評価方法であって、 前記周速差比、前記当接幅、前記侵入量の何れか1つ以
    上を制御して前記感光体の摩耗速度評価を行うことを特
    徴とする感光体評価方法。
  11. 【請求項11】 前記感光体の摩耗速度評価と同時に、
    前記感光体の電気特性評価を行うことを特徴とする請求
    項9または請求項10に記載の感光体評価方法。
  12. 【請求項12】 前記感光体の摩耗速度評価後に、前記
    感光体の電気特性評価を行うことを特徴とする請求項9
    または請求項10に記載の感光体評価方法。
  13. 【請求項13】 感光体を所定のプロセススピードで回
    転駆動させるとともに、弾性部材表面に粒子が付与され
    た当接部材を前記感光体に当接させた状態で該感光体に
    対して所定の周速差比で接触駆動させることで、前記感
    光体を接触帯電させる電子写真装置において、 前記当接部材の前記周速差比、前記当接部材と前記感光
    体との前記感光体回転方向の当接幅、前記当接部材の前
    記感光体に対する当接圧の何れか1つ以上が制御可能で
    あることを特徴とする電子写真装置。
  14. 【請求項14】 前記プロセススピードをS[mm/s
    ec]、前記感光体の外径をD[mm]としたとき、前
    記感光体の1回転当りの摩耗量X[nm/回転]が0.
    003×D/S以下であることを特徴とする請求項13
    に記載の電子写真装置。
  15. 【請求項15】 前記弾性部材のアスカーC硬度が15
    以上60度以下であることを特徴とする請求項13また
    は請求項14に記載の電子写真装置。
  16. 【請求項16】 前記粒子が導電性粒子であることを特
    徴とする請求項13乃至15のいずれか1項に記載の電
    子写真装置。
  17. 【請求項17】 前記粒子の平均粒径が0.1μm以上
    10μm以下であることを特徴とする請求項13乃至1
    6のいずれか1項に記載の電子写真装置。
  18. 【請求項18】 前記プロセススピードが80mm/s
    ec以上350mm/sec以下であることを特徴とす
    る請求項13乃至17のいずれか1項に記載の電子写真
    装置。
  19. 【請求項19】 前記感光体の最表面に形成された表面
    層が主として炭素原子を主成分とする非晶質材料からな
    ることを特徴とする請求項13乃至18のいずれか1項
    に記載の電子写真装置。
  20. 【請求項20】 前記感光体の前記表面層がフッ素を含
    有する非晶質炭素からなることを特徴とする請求項19
    に記載の電子写真装置。
  21. 【請求項21】 感光体を所定のプロセススピードで回
    転駆動させるとともに、磁性部材表面に磁性粒子が保持
    された磁気ブラシを前記感光体に当接させた状態で該感
    光体に対して所定の周速差比で接触駆動させることで、
    前記感光体を接触帯電させる電子写真装置において、 前記磁気ブラシの前記周速差比、前記磁気ブラシと前記
    感光体との前記感光体回転方向の当接幅、前記磁気ブラ
    シの前記感光体への侵入量の何れか1つ以上が制御可能
    であることを特徴とする電子写真装置。
  22. 【請求項22】 前記プロセススピードをS[mm/s
    ec]、前記感光体の外径をD[mm]としたとき、前
    記感光体の1回転当りの摩耗量X[nm/回転]が0.
    003×D/S以下であることを特徴とする請求項21
    に記載の電子写真装置。
  23. 【請求項23】 前記磁性粒子の平均粒径が10以上5
    0μm以下であることを特徴とする請求項21または請
    求項22に記載の電子写真装置。
  24. 【請求項24】 前記プロセススピードが80mm/s
    ec以上350mm/sec以下であることを特徴とす
    る請求項21乃至23のいずれか1項に記載の電子写真
    装置。
  25. 【請求項25】 前記感光体の最表面に形成された表面
    層が主として炭素原子を主成分とする非晶質材料からな
    ることを特徴とする請求項21乃至24のいずれか1項
    に記載の電子写真装置。
  26. 【請求項26】 前記感光体の前記表面層がフッ素を含
    有する非晶質炭素からなることを特徴とする請求項25
    に記載の電子写真装置。
  27. 【請求項27】感光体を所定のプロセススピードで回転
    駆動させるとともに、弾性部材表面に粒子が付与された
    当接部材を前記感光体に当接させた状態で該感光体に対
    して所定の周速差比で接触駆動させることで、該感光体
    を接触帯電させる電子写真方法であって、 前記プロセススピードをS[mm/sec]、前記感光
    体の外径をD[mm]としたとき、前記感光体の1回転
    当りの摩耗量[nm/回転]が0.003×D/S以下
    であることを特徴とする電子写真方法。
  28. 【請求項28】感光体を所定のプロセススピードで回転
    駆動させるとともに、磁性部材表面に磁性粒子が保持さ
    れた磁気ブラシを前記感光体に当接させた状態で該感光
    体に対して所定の周速差比で接触駆動させることで、該
    感光体を接触帯電させる電子写真方法であって、 前記プロセススピードをS[mm/sec]、前記感光
    体の外径をD[mm]としたとき、前記感光体の1回転
    当りの摩耗量[nm/回転]が0.003×D/S以下
    であることを特徴とする電子写真方法。
  29. 【請求項29】 前記周速差比、前記当接幅、前記当接
    圧の何れか1つ以上を制御して前記摩耗量の調整を行う
    ことを特徴とする請求項27または請求項28に記載の
    電子写真方法。
JP2001169762A 2001-06-05 2001-06-05 感光体評価装置及びこれを用いた感光体評価方法、電子写真装置及びこれを用いた電子写真方法 Pending JP2002365971A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001169762A JP2002365971A (ja) 2001-06-05 2001-06-05 感光体評価装置及びこれを用いた感光体評価方法、電子写真装置及びこれを用いた電子写真方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001169762A JP2002365971A (ja) 2001-06-05 2001-06-05 感光体評価装置及びこれを用いた感光体評価方法、電子写真装置及びこれを用いた電子写真方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2002365971A true JP2002365971A (ja) 2002-12-20

Family

ID=19011797

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001169762A Pending JP2002365971A (ja) 2001-06-05 2001-06-05 感光体評価装置及びこれを用いた感光体評価方法、電子写真装置及びこれを用いた電子写真方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2002365971A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US7873298B2 (en) Cleaning device, process cartridge, and image forming apparatus
US20040213600A1 (en) Image forming apparatus using a contact or a proximity type of charging system
JP3796352B2 (ja) 画像形成方法
US6171742B1 (en) Photosensitive member to be used for image-forming apparatus and image-forming apparatus comprising such photosensitive member
JP5031454B2 (ja) クリーニング装置、並びに、これを備えた画像形成装置及びプロセスカートリッジ
JP3302326B2 (ja) 画像形成装置
JP2002229303A (ja) 電子写真装置
JP3352292B2 (ja) 画像形成装置
JP2004077650A (ja) 電子写真装置
JP2004219855A (ja) 画像形成装置
JP2003122098A (ja) 画像形成方法
JP2002311613A (ja) 電子写真用感光体、電子写真装置、電子写真用感光体の表面評価方法
JP5423272B2 (ja) 画像形成装置、及びプロセスカートリッジ
JP2009092939A (ja) クリーニング装置及び画像形成装置
JP2002365971A (ja) 感光体評価装置及びこれを用いた感光体評価方法、電子写真装置及びこれを用いた電子写真方法
JP2004347870A (ja) 画像形成装置
JP2003280334A (ja) 画像形成装置
JP2003156925A (ja) 摩擦帯電評価方法、及び電子写真方法
JP2002229234A (ja) 電子写真方法および電子写真装置
JP2003255668A (ja) 画像形成装置
US5732313A (en) Charge apparatus and image forming apparatus
JP3535664B2 (ja) 電子写真装置
JP3559665B2 (ja) 画像形成装置
JP3247283B2 (ja) 帯電装置及び画像形成装置
JPH11143176A (ja) 帯電部材および画像形成装置