JP2002360712A - 生体用誘導加熱方法及びその装置 - Google Patents

生体用誘導加熱方法及びその装置

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JP2002360712A
JP2002360712A JP2001170948A JP2001170948A JP2002360712A JP 2002360712 A JP2002360712 A JP 2002360712A JP 2001170948 A JP2001170948 A JP 2001170948A JP 2001170948 A JP2001170948 A JP 2001170948A JP 2002360712 A JP2002360712 A JP 2002360712A
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induction heating
transformer
living body
resonance circuit
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JP2001170948A
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Koichi Igarashi
功一 五十嵐
Hideo Nagae
英夫 長江
Kenji Terai
健二 寺井
Kenji Tazawa
賢次 田澤
Isamu Nagano
勇 長野
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KOMATSU POWERTRON KK
MITANI SANGYO KK
Meito Sangyo KK
Mitani Sangyo Co Ltd
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KOMATSU POWERTRON KK
MITANI SANGYO KK
Meito Sangyo KK
Mitani Sangyo Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 場所を選ばずに治療できる等の低出力での誘
導加熱の利点を活かし、その上で、正常細胞に障害を発
生させずに癌細胞等の病巣を選択的に加熱する。 【解決手段】 生体内のDMを誘導加熱するための交流
磁界を発生させる加温コイル23と共振コンデンサ43
により構成される直列共振回路25を高周波トランス4
5の二次側に接続し、その一次側を流れる交流電流の大
きさが、直列共振回路25の共振周波数に等しい高周波
トランス45の二次側や一次側の交流電流の周波数に、
高調波インバータ39のFET39aのスイッチング周
波数が合致した場合に現れるような大きな値となるよう
に、高周波トランス45の一次側の交流電流の位相と、
高周波インバータ39の各FET39aに対するゲート
ドライバ41からのゲート信号の位相を、PLL制御部
75により位相比較しつつ両者が合致するように調整す
る構成とした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、生体内の癌細胞等
の病巣を治療のために生体外から局所的に加熱する際に
用いられる生体用誘導加熱方法とその装置に関する。
【0002】
【従来の技術】癌治療法の一つとして研究されている温
熱療法(ハイパーサーミア法)は、癌細胞又は癌組織
(以下、「癌病巣等」という場合がある。)が、熱に弱
く正常細胞よりも熱感受性が高いという性質を利用した
もので、例えば43゜C前後で一定時間加温する等し
て、体温よりも高い温度で癌病巣等を壊死させる治療法
であるが、これを実際に用いる場合には、癌細胞のみの
選択的な加熱をどれだけ正確に行えるかが、正常細胞の
生理機能に障害が発生する可能性を極力排除する上で大
きなポイントとなる。
【0003】現在実用化されている癌温熱療法装置は、
生体そのものを誘電加熱する方式であり、癌病巣等に電
磁波の焦点を設定したり、小型の電磁波発生プローブを
癌病巣等の近くに挿入する形式を採っており、これらの
実用化装置によっても、癌性疼痛の軽減等の効果は認め
られる。
【0004】しかし、その発熱原理から分かるように誘
電加熱方式では、癌病巣等のみを選択的に加熱すること
が難しく癌病巣等の周辺の正常部分まで加熱されてしま
うので、上記した実用化装置では、癌病巣等の周辺の正
常部分を火傷させて治療が継続できなくなったり、正常
部分は火傷させないが癌病巣等の治療が不十分に終わっ
てしまうことが、問題になっている。
【0005】これに対し、磁性体を加熱する誘導加熱で
は、磁性体を癌病巣等に配置すれば、生体を殆ど加熱さ
せずに癌病巣等を選択的に加熱させることが、理論的に
は可能であるが、現実に生体に刺入、注入、又は、埋設
できる磁性体を開発することは困難であり、また、生体
内の磁性体を加熱させるのに十分な強い磁場を発生さ
せ、且つ、それを保つようにコントロールすることも困
難であるため、実用化されていないのが実状である。
【0006】即ち、誘導加熱による癌病巣等の治療方法
として、以前、釘や針の形状とした磁性体を癌病巣に何
本も刺入し、これを生体外から誘導加熱する方法が試み
られた。
【0007】しかし、この方法は、強力な磁場を発生さ
せなくても磁性体が効率よく発熱するので比較的容易に
実施できるというメリットがあるにも拘わらず、患者へ
の侵襲が強く苦痛を伴うことや、磁性体の近傍では必要
以上に癌病巣等が加熱される一方で磁性体と他の磁性体
との間では癌病巣等が十分に加熱されず、治療効果を十
分に挙げることができないというデメリットがあるの
で、広く実施されるには至っていない。
【0008】そこで、微細な磁性体を水に懸濁して注射
等により癌病巣等に投与する方法が検討されたが、その
ような懸濁液は生体内での安定性が悪く、容易に凝集し
て均一に分布しないので、癌病巣等の選択的な加熱治療
という面で効果を十分に挙げることができないという問
題がある。
【0009】そればかりか、凝集した磁性体が必要以上
に高温に加熱されてその凝集部分に著しい火傷を起こさ
せる可能性があり、しかも、そもそも微細な磁性体は発
熱能力が低いので、癌病巣等を治療できる程度に微細な
磁性体を誘導加熱するには、著しく強い磁場を発生させ
なければならないという問題もある。
【0010】以上の問題を解決したのが、特許第284
7789号の磁性流体を利用して誘導加熱する方法であ
り、例えば、この特許にて磁性流体として示されている
デキストラン又はその誘導体と磁性酸化鉄との複合体か
らなる水性ゾルは、生体内での安定性がよく、癌病巣等
に均等に分布させ易く、しかも、同じ大きさの微細な磁
性体粒子よりも発熱能力が高いという特性を有してい
る。
【0011】しかし、発熱能力が高いといっても、釘や
針等の大きさの磁性体に比べれば、上記した水性ゾルの
発熱能力は低く、釘や針等の磁性体を誘導加熱する場合
に比べて強力な磁場を発生させなければならないので、
実用化に向けての最大の課題は、強力な磁場を発生させ
ることのできる誘導加熱装置の開発に移ったわけであ
る。
【0012】ところで、強力な磁場を得るには、装置の
出力を上げて磁場強度を高くするというのが常識的な手
法であるため、上記した水性ゾルのような磁性流体の誘
導加熱装置の開発も、そのような手法を基軸にして進め
られたが、実際に実験を行ってみると、誘導加熱の理論
に反して、癌病巣等以外の磁性流体を投与していない部
分に、誘電加熱とも考えられるような温度上昇が認めら
れた。
【0013】しかも、仮に磁性流体を投与していない部
分に温度上昇が起こらないとしても、強力な磁場を得る
ために装置の出力を上げて磁場強度を高くするとなる
と、それ相応の電磁波が放出されるので、生命維持装置
等、電磁波からの隔離を必要とする医療機器類が多数存
在する医療機関においては、電磁波シールドを施した施
設や室内でしか治療を行うことができないという問題が
あった。
【0014】加えて、実際の癌温熱療法では、治療する
癌病巣等を正確に一定の温度に保つことが非常に重要と
なるが、磁場強度を高くするために出力を上げる装置に
おいて、磁場を一定の強さに保って治療する癌病巣等を
正確に一定の温度に保つことは、非常に難しいという現
実があることから、水性ゾルのような磁性流体を、出力
を上げた装置により発生させた強い磁場によって加熱す
るという手法は、臨床で実用化することが不可能である
ことが判明した。
【0015】しかし、その後の開発によって、装置の出
力を上げて磁場強度を高くしなくても、特定の条件の下
では、上記した水性ゾルのような磁性流体を誘導加熱に
より癌病巣等の治療に十分な温度に選択的に加熱できる
ことが分かったので、その後は、磁気シールド設備等の
強磁場に対する対策を施した大がかりな建物設備や部屋
でなくても場所を選ばずに治療できる、小型化が可能な
低出力の誘導加熱装置に開発の対象が移って、今日に至
ったわけである。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】ところで、誘導加熱は
一般に、トランスの一次側に接続した半導体スイッチン
グ素子からなるインバータの交流出力を、トランスの二
次側に接続した加温コイルと共振コンデンサとの直列共
振回路に、電磁誘導作用により伝達して、加温コイルに
交流磁界を発生させることによって行う。
【0017】ここで、電磁誘導作用によりインバータか
ら直列共振回路に伝達される交流出力の周波数が、直列
共振回路の共振周波数に合致していないと、直列共振回
路のインピーダンスが大きくなって直列共振回路を流れ
る電流の値が小さくなり、そのために、必要な大きさの
交流磁界を加温コイルに発生させることができなくなる
ので、誘導加熱においては、直列共振回路の共振周波数
で半導体スイッチング素子をスイッチングさせるのが通
常である。
【0018】しかも、半導体スイッチング素子を直列共
振回路の共振周波数でスイッチングさせれば、方形波で
あるインバータの交流出力のうち、波形成分として最も
多くエネルギを持つ基本波の部分から、トランスの二次
側に電力が伝達されることになり、トランスの一次側か
ら二次側に高効率で電力を伝達できることにもなるの
で、電力伝達効率上も好ましい。
【0019】ところが、温度環境の変化により共振コン
デンサの特性が変化して直列共振回路の共振周波数が変
化すると、半導体スイッチング素子のスイッチングと周
波数が合致しなくなり、その結果、直列共振回路のイン
ピーダンスが大きくなって直列共振回路を流れる電流の
値が小さくなり、そのために、必要な大きさの交流磁界
を加温コイルに発生させることができなくなる。
【0020】しかも、直列共振回路の共振周波数が変化
して、半導体スイッチング素子のスイッチングと周波数
が合致しなくなると、方形波であるインバータの交流出
力の基本周波数が、直列共振回路の変化後の共振周波数
との間に差を持つことになって、トランスの一次側のイ
ンピーダンスが大きくなるため、トランスの一次側から
二次側に伝達される電力が非常に低くなり、トランスの
二次側に接続されている直列共振回路に流れる電流が小
さくなって、その結果、加温コイルに発生する交流磁界
も下がってしまう。
【0021】そして、加温コイルに発生する交流磁界が
下がってしまうと、誘導加熱される生体内の磁性流体の
加熱温度も下がってしまうことになる。
【0022】よって、場所を選ばずに治療できるという
誘導加熱の利点を最大限に生かして生体内の磁性流体を
誘導加熱させるとなると、加温コイルと共振コンデンサ
のスペックにより予め定まる直列共振回路の共振周波数
で、インバータの半導体スイッチング素子をスイッチン
グさせるだけでなく、その後の、必ずしも一定温度であ
る保証のない生体付近の温度環境の変化による磁性流体
の加熱温度の変化(低下)に対して、対策を講じる必要
がある。
【0023】しかも、そのような対策を講じるに当たっ
ては、場所を選ばずに治療できるという誘導加熱の利点
を損ねることの無いように、交流磁界が発生する加温コ
イルを、磁性流体が摂取されている癌細胞の生体内にお
ける位置になるべく近い生体外箇所にレイアウトできる
ように、構造上の工夫を施しておく必要がある。
【0024】このように、磁性流体を磁性体として用い
て癌細胞の誘導加熱を行う治療方法を実行するに当たっ
ては、加熱温度の一定化という純医学的な要求と、治療
場所の自由度という作業面からの要求とを、いずれも満
たすような工夫が必要になる訳である。
【0025】本発明は前記事情に鑑みなされたもので、
本発明の目的は、場所を選ばずに治療できる等の低出力
での誘導加熱の利点を最大限活かし、その上で、正常細
胞の生理機能に障害を発生させずに癌細胞等の病巣を選
択的に所望の温度で安定して加熱することのできる生体
用誘導加熱方法と、この方法を実施する際に用いて好適
な生体用誘導加熱装置とを提供することにある。
【0026】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成する請求
項1乃至請求項4記載の本発明は生体用誘導加熱方法に
関するものであり、請求項5乃至請求項8記載の本発明
は生体用誘導加熱装置に関するものである。
【0027】そして、請求項1に記載した本発明の生体
用誘導加熱方法は、半導体スイッチング素子からなるイ
ンバータの交流出力を、該インバータに一次側を接続し
たトランスの二次側に接続されている加温コイルと共振
コンデンサとの直列共振回路に供給して、前記加温コイ
ルに交流磁界を発生させ、該交流磁界により、生体内の
病巣に投与した磁性流体を生体外から誘導加熱させるに
当たり、前記半導体スイッチング素子のスイッチング信
号の周波数を、前記直列共振回路における共振が開始さ
れた後の、前記トランスの一次側に流れる交流電流の周
波数に合致させ、前記直列共振回路の少なくとも加温コ
イルを、前記トランスの一次側の要素から分離して前記
生体の近傍に配置するようにしたことを特徴とする。
【0028】また、請求項2に記載した本発明の生体用
誘導加熱方法は、請求項1に記載した本発明の生体用誘
導加熱方法において、前記トランスの一次側に流れる交
流電流と位相が合致するように前記スイッチング信号の
位相を調整することで、該スイッチング信号の周波数を
前記トランスの一次側に流れる交流電流の、前記直列共
振回路の共振周波数の変化に伴って変化した後の周波数
に、合致させるようにした。
【0029】さらに、請求項3に記載した本発明の生体
用誘導加熱方法は、請求項2に記載した本発明の生体用
誘導加熱方法において、前記スイッチング信号の位相調
整を、フェーズロックドループ回路を用いて行うように
した。
【0030】また、請求項4に記載した本発明の生体用
誘導加熱方法は、請求項1、2又は3に記載した本発明
の生体用誘導加熱方法において、前記直列共振回路の共
振周波数を、生体外からの前記磁性流体の誘導加熱を行
う環境下において129KHz以上604KHz以下と
なるようにした。
【0031】さらに、請求項5に記載した本発明の生体
用誘導加熱装置は、生体内の病巣に投与した磁性流体を
生体外から誘導加熱させる際に用いられ、半導体スイッ
チング素子からなるインバータの交流出力を、該インバ
ータに一次側を接続したトランスの二次側に接続されて
いる加温コイルと共振コンデンサとの直列共振回路に供
給して、前記磁性流体の誘導加熱用の交流磁界を前記加
温コイルに発生させる生体用誘導加熱装置であって、前
記直列共振回路における共振が開始された後の、前記半
導体スイッチング素子のスイッチング信号と前記トラン
スの一次側に流れる交流電流との周波数の差に応じた物
理量を検出する周波数差検出手段と、前記周波数差検出
手段が検出した物理量に応じて、前記スイッチング信号
の周波数を、前記トランスの一次側に流れる交流電流の
周波数に合致するように補正するスイッチング周波数補
正手段とを備えており、少なくとも前記トランスの一次
側の要素が本体内に収容されていると共に、前記直列共
振回路の少なくとも加温コイルが前記本体の外部に配置
されていることを特徴とする。
【0032】また、請求項6に記載した本発明の生体用
誘導加熱装置は、請求項5に記載した本発明の生体用誘
導加熱装置において、前記周波数差検出手段が、前記ト
ランスの一次側に流れる交流電流と前記スイッチング信
号との位相差に応じた値を前記物理量として検出し、前
記スイッチング周波数補正手段が、前記トランスの一次
側に流れる交流電流と前記スイッチング信号との位相差
に応じた値に応じて、前記トランスの一次側に流れる交
流電流と位相が合致するように前記スイッチング信号の
位相を調整することで、該スイッチング信号の周波数
を、前記トランスの一次側に流れる交流電流の、前記直
列共振回路における共振が開始された後の周波数に合致
するように補正するものとした。
【0033】さらに、請求項7に記載した本発明の生体
用誘導加熱装置は、請求項6に記載した本発明の生体用
誘導加熱装置において、前記周波数差検出手段及び前記
スイッチング周波数補正手段がフェーズロックドループ
回路を用いて構成されているものとした。
【0034】また、請求項8に記載した本発明の生体用
誘導加熱装置は、請求項5、6又は7に記載した本発明
の生体用誘導加熱装置において、前記直列共振回路が、
生体外からの前記磁性流体の誘導加熱を行う環境下にお
ける共振周波数が129KHz以上604KHz以下と
なるように構成されているものとした。
【0035】さらに、請求項9に記載した本発明の生体
用誘導加熱方法又は生体用誘導加熱装置は、請求項4記
載の生体用誘導加熱方法又は請求項8記載の生体用誘導
加熱装置において、前記磁性流体が、多糖類又はその誘
導体と磁性金属酸化物との複合体からなる水性ゾルであ
るものとした。
【0036】また、請求項10に記載した本発明の生体
用誘導加熱方法又は生体用誘導加熱装置は、請求項4記
載の生体用誘導加熱方法又は請求項8記載の生体用誘導
加熱装置において、前記磁性流体が、デキストラン又は
その誘導体と磁性酸化鉄との複合体からなる水性ゾルで
あるものとした。
【0037】請求項1に記載した本発明の生体用誘導加
熱方法によれば、トランスの一次側に交流電力が与えら
れると、電磁誘導作用により電力が伝達されたトランス
の二次側にも、トランスの一次巻線と二次巻線との巻線
比の逆数比に応じた振幅の交流の電流が流れて、トラン
スの二次側に接続されている直列共振回路に共振が発生
し、この共振により、トランスの二次側に流れる交流電
流の周波数が、直列共振回路の共振周波数と同じ周波数
となる。
【0038】そして、トランスの二次側に流れる交流電
流の周波数が、直列共振回路の共振周波数と同じ周波数
になると、直列共振回路のインピーダンスが殆どゼロに
なるので、トランスを理想トランスとして見ることがで
きる状態となって、トランスの一次側に流れる交流電流
の周波数も、インバータの半導体スイッチング素子のス
イッチング信号周波数とは無関係に、直列共振回路の共
振周波数と同じ周波数になる。
【0039】ところで、直列共振回路の共振開始により
トランスの二次側に流れる電流の周波数が直列共振回路
の共振周波数になった後において、インバータの半導体
スイッチング素子のスイッチング信号周波数が共振周波
数に合致していないと、直列共振回路のインピーダンス
が大きくなって直列共振回路を流れる電流の値が小さく
なり、そのために、必要な大きさの交流磁界を加温コイ
ルに発生させることができなくなる。
【0040】そこで、トランスの一次側に接続されたイ
ンバータの出力する電力を、トランスの二次側に接続さ
れた直列共振回路に伝達するのに当たっては、加温コイ
ルと共振コンデンサのスペックにより予め定まる直列共
振回路の共振周波数で、インバータの半導体スイッチン
グ素子をスイッチングさせることになる。
【0041】これにより、方形波であるインバータの交
流出力のうち、波形成分として最も多くエネルギを持つ
基本波の部分から、トランスの二次側に電力が伝達され
ることになるので、トランスの一次側から二次側に高効
率で電力が伝達される。
【0042】ところで、上記のようにして直列共振回路
の共振が開始され、それに合わせて、インバータの半導
体スイッチング素子のスイッチング信号周波数が直列共
振回路の共振周波数と同じ周波数に調整された後に、温
度環境が変化すると、直列共振回路の共振コンデンサの
特性が変化して、次のようなことが起こる。
【0043】即ち、共振コンデンサの特性変化の影響で
直列共振回路の共振周波数が変化して、直列共振回路の
変化後の共振周波数と同じトランスの二次側に流れる交
流電流の周波数と、変化前の共振周波数に予め合致させ
ているインバータの半導体スイッチング素子のスイッチ
ング信号周波数との間に差が生じる。
【0044】すると、方形波であるインバータの交流出
力の基本周波数が、直列共振回路の変化後の共振周波数
との間に差を持つことになって、トランスの一次側のイ
ンピーダンスが大きくなるため、トランスの一次側から
二次側に伝達される電力が非常に低くなり、二次側に接
続されている直列共振回路に流れる電流が小さくなって
しまう。
【0045】そして、共振周波数の変化に伴って生じた
直列共振回路の共振周波数と、インバータの交流出力の
基本周波数との間に生じる差が、大きければ大きいほ
ど、トランスの一次側のインピーダンスが大きくなっ
て、トランスの一次側から伝達される電力によりトラン
スの二次側の直列共振回路に流れる電流が小さくなり、
直列共振回路の加温コイルに発生する交流磁界が弱くな
って、生体内の磁性流体の加熱温度が下がる。
【0046】しかし、トランスの二次側の直列共振回路
には、変化後の共振周波数と同じ周波数の交流電流が流
れていることから、直列共振回路のインピーダンスは引
き続き殆どゼロの状態にあり、トランスは相変わらず理
想トランスとして見ることができるので、トランスの一
次側に流れる交流電流の周波数は、インバータの半導体
スイッチング素子のスイッチング信号周波数とは無関係
に、変化後の直列共振回路の共振周波数と同じ周波数に
なる。
【0047】したがって、トランスの一次側に流れる交
流電流の周波数に半導体スイッチング素子のスイッチン
グ信号の周波数を合致させると、温度環境の変化により
共振コンデンサが特性変化を起こして直列共振回路の共
振周波数が変化しても、それに追従して半導体スイッチ
ング素子のスイッチング信号の周波数が変化することに
なるから、トランスの二次側に流れる交流電流や直列共
振回路の加温コイルに発生する交流磁界は一定の値に維
持されて、生体内の磁性流体の加熱温度も一定に保たれ
る。
【0048】そして、トランスの二次側に流れる交流電
流や直列共振回路の加温コイルに発生する交流磁界を一
定の値に維持し、生体内の磁性流体の加熱温度を一定に
保つために必要となる、トランスの一次側に流れる交流
電流の周波数に半導体スイッチング素子のスイッチング
信号の周波数を合致させる操作が、トランスの一次側の
要素側において行われることから、この操作を行うため
の要素を設けることに伴う大型化は、直列共振回路の少
なくとも加温コイルを含む生体の近傍に配置される要素
側においては、発生しないことになる。
【0049】尚、請求項2に記載した本発明の生体用誘
導加熱方法によれば、請求項1に記載した本発明の生体
用誘導加熱方法において、スイッチング信号の周波数を
トランスの一次側に流れる交流電流の周波数に合致させ
る操作が、トランスの一次側に流れる交流電流と位相が
合致するようにスイッチング信号の位相を調整すること
で実現されることになる。
【0050】さらに、請求項3に記載した本発明の生体
用誘導加熱方法によれば、請求項2に記載した本発明の
生体用誘導加熱方法において、トランスの一次側に流れ
る交流電流と位相が合致するようにスイッチング信号の
位相を調整する操作が、フェーズロックドループ回路を
用いて実現されることになる。
【0051】また、請求項4に記載した本発明の生体用
誘導加熱方法によれば、請求項1、2又は3に記載した
本発明の生体用誘導加熱方法において、直列共振回路の
共振周波数を、生体内の病巣に投与した磁性流体の生体
外からの誘導加熱を行う環境下において129KHz以
上604KHz以下とすると、磁性流体が、病巣を壊死
させるのに極めて適した理想的な温度で安定して、正常
細胞の生理機能に障害が発生しないように選択的に加熱
されることになる。
【0052】請求項5に記載した本発明の生体用誘導加
熱装置によれば、トランスの一次側に交流電力が与えら
れると、電磁誘導作用により電力が伝達されたトランス
の二次側にも、トランスの一次巻線と二次巻線との巻線
比の逆数比に応じた振幅の交流の電流が流れて、トラン
スの二次側に接続されている直列共振回路に共振が発生
し、この共振により、トランスの二次側に流れる交流電
流の周波数が、直列共振回路の共振周波数と同じ周波数
となる。
【0053】そして、トランスの二次側に流れる交流電
流の周波数が、直列共振回路の共振周波数と同じ周波数
になると、直列共振回路のインピーダンスが殆どゼロに
なるので、トランスを理想トランスとして見ることがで
きる状態となって、トランスの一次側に流れる交流電流
の周波数も、インバータの半導体スイッチング素子のス
イッチング信号周波数とは無関係に、直列共振回路の共
振周波数と同じ周波数になる。
【0054】ところで、直列共振回路の共振開始により
トランスの二次側に流れる電流の周波数が直列共振回路
の共振周波数になった後において、インバータの半導体
スイッチング素子のスイッチング信号周波数が共振周波
数に合致していないと、直列共振回路のインピーダンス
が大きくなって直列共振回路を流れる電流の値が小さく
なり、そのために、必要な大きさの交流磁界を加温コイ
ルに発生させることができなくなる。
【0055】そこで、トランスの一次側に接続されたイ
ンバータの出力する電力を、トランスの二次側に接続さ
れた直列共振回路に伝達するのに当たっては、加温コイ
ルと共振コンデンサのスペックにより予め定まる直列共
振回路の共振周波数で、インバータの半導体スイッチン
グ素子をスイッチングさせることになる。
【0056】これにより、方形波であるインバータの交
流出力のうち、波形成分として最も多くエネルギを持つ
基本波の部分から、トランスの二次側に電力が伝達され
ることになるので、トランスの一次側から二次側に高効
率で電力が伝達される。
【0057】ところで、上記のようにして直列共振回路
の共振が開始され、それに合わせて、インバータの半導
体スイッチング素子のスイッチング信号周波数が直列共
振回路の共振周波数と同じ周波数に調整された後に、温
度環境が変化すると、直列共振回路の共振コンデンサの
特性が変化して、次のようなことが起こる。
【0058】即ち、共振コンデンサの特性変化の影響で
直列共振回路の共振周波数が変化して、直列共振回路の
変化後の共振周波数と同じトランスの二次側に流れる交
流電流の周波数と、変化前の共振周波数に予め合致させ
ているインバータの半導体スイッチング素子のスイッチ
ング信号周波数との間に差が生じる。
【0059】すると、方形波であるインバータの交流出
力の基本周波数が直列共振回路の変化後の共振周波数と
の間に差を持つことになって、トランスの一次側のイン
ピーダンスが大きくなるため、トランスの一次側から二
次側に伝達される電力が非常に低くなり、二次側に接続
されている直列共振回路に流れる電流が小さくなってし
まう。
【0060】そして、共振周波数の変化に伴って生じた
直列共振回路の共振周波数と、インバータの交流出力の
基本周波数との間に生じる差が、大きければ大きいほ
ど、トランスの一次側のインピーダンスが大きくなっ
て、トランスの一次側から伝達される電力によりトラン
スの二次側の直列共振回路に流れる電流が小さくなり、
直列共振回路の加温コイルに発生する交流磁界が弱くな
って、生体内の磁性流体の加熱温度が下がる。
【0061】しかし、トランスの二次側の直列共振回路
には、変化後の共振周波数と同じ周波数の交流電流が流
れていることから、直列共振回路のインピーダンスは引
き続き殆どゼロの状態にあり、トランスは相変わらず理
想トランスとして見ることができるので、トランスの一
次側に流れる交流電流の周波数は、インバータの半導体
スイッチング素子のスイッチング信号周波数とは無関係
に、変化後の直列共振回路の共振周波数と同じ周波数に
なる。
【0062】よって、温度環境の変化により共振コンデ
ンサが特性変化を起こして直列共振回路の共振周波数が
変化すると、その変化した後の共振周波数と同じトラン
スの一次側に流れる交流電流との周波数と、半導体スイ
ッチング素子のスイッチング信号との差に応じた物理量
を、周波数差検出手段が検出するようになり、また、そ
の物理量に応じて、スイッチング信号の周波数をトラン
スの一次側に流れる交流電流の周波数に合致するように
スイッチング周波数補正手段が補正するようになる。
【0063】したがって、温度環境の変化により共振コ
ンデンサが特性変化を起こして直列共振回路の共振周波
数が変化しても、それに追従するように半導体スイッチ
ング素子のスイッチング信号の周波数をスイッチング周
波数補正手段が補正することになるから、トランスの二
次側に流れる交流電流や直列共振回路の加温コイルに発
生する交流磁界は一定の値に維持されて、生体内の磁性
流体の加熱温度も一定に保たれる。
【0064】そして、トランスの二次側に流れる交流電
流や直列共振回路の加温コイルに発生する交流磁界を一
定の値に維持し、生体内の磁性流体の加熱温度を一定に
保つために必要となる、周波数差検出手段やスイッチン
グ周波数補正手段が、トランスの一次側の要素を収容す
る本体内に設けられることになることから、周波数差検
出手段やスイッチング周波数補正手段を設けることに伴
う大型化は、本体においてのみ発生し、生体内の磁性流
体を生体外から誘導加熱させるために生体の近傍に配置
する必要のある、直列共振回路の少なくとも加温コイル
を含む要素側においては、発生しないことになる。
【0065】尚、請求項6に記載した本発明の生体用誘
導加熱装置によれば、請求項5に記載した本発明の生体
用誘導加熱装置において、トランスの一次側に流れる交
流電流とスイッチング信号との位相差に応じた値を、両
者の周波数の差に応じた物理量として、周波数差検出手
段が検出し、トランスの一次側に流れる交流電流と位相
が合致するようなスイッチング信号の位相調整を、両者
の周波数が合致するようなスイッチング信号の周波数の
補正として、スイッチング周波数補正手段が行うことに
なる。
【0066】さらに、請求項7に記載した本発明の生体
用誘導加熱装置によれば、請求項6に記載した本発明の
生体用誘導加熱装置において、周波数差検出手段によ
る、トランスの一次側に流れる交流電流とスイッチング
信号との位相差に応じた値の検出と、スイッチング周波
数補正手段による、トランスの一次側に流れる交流電流
と位相が合致するようなスイッチング信号の位相調整と
が、フェーズロックドループ回路を用いて実現されるこ
とになる。
【0067】また、請求項8に記載した本発明の生体用
誘導加熱装置によれば、請求項5、6又は7に記載した
本発明の生体用誘導加熱装置において、生体内の病巣に
投与した磁性流体の生体外からの誘導加熱を行う環境下
における共振周波数が129KHz以上604KHz以
下となるように直列共振回路を構成すると、磁性流体
が、病巣を壊死させるのに極めて適した理想的な温度で
安定して、正常細胞の生理機能に障害が発生しないよう
に選択的に加熱されることになる。
【0068】さらに、請求項9に記載した本発明の生体
用誘導加熱方法又は生体用誘導加熱装置によれば、請求
項4記載の生体用誘導加熱方法又は請求項8記載の生体
用誘導加熱装置において、多糖類又はその誘導体と磁性
金属酸化物との複合体からなる水性ゾルによって、生体
内の病巣に投与する磁性流体が構成されることになる。
【0069】また、請求項10に記載した本発明の生体
用誘導加熱方法又は生体用誘導加熱装置によれば、請求
項4記載の生体用誘導加熱方法又は請求項8記載の生体
用誘導加熱装置において、デキストラン又はその誘導体
と磁性酸化鉄との複合体からなる水性ゾルによって、生
体内の病巣に投与する磁性流体が構成されることにな
る。
【0070】
【発明の実施の形態】以下、本発明による生体用誘導加
熱方法を生体用誘導加熱装置と共に、図面を参照して説
明するが、その前に、前提説明として、生体内の病巣を
選択的に誘電加熱するために用いる磁性流体の一例とし
てのデキストランマグネタイト(以下、「DM」と略記
する。)と、その病巣への投与のプロセスとについて、
一通り説明しておく。
【0071】まず、DMは、デキストランと金属磁性体
又は金属化合物磁性体との複合体を有効成分として含有
するものであり、このデキストランと金属磁性体又は金
属化合磁性体との複合体は、デキストランと金属磁性体
または金属化合物磁性体とを化学的に反応させることに
より製造される。
【0072】そして、デキストランと金属磁性体又は金
属化合磁性体との複合体の調製に使用されるデキストラ
ンとしては、それ自体既知のものを使用することがで
き、殊に、重量平均分子量が1000〜100000、
好ましくは4000〜10000の範囲内のものが、コ
ロイド安定性や温度上昇効果等の点で好適である。
【0073】また、デキストランは未変性のものが使用
可能であるが、それ自体既知の方法、例えばアルカリ、
ハロゲンまたは亜ハロゲン酸で処理することにより還元
性末端を改質したデキストラン;或いはシアナイドイオ
ンで処理後加水分解することにより還元性末端を改質し
たデキストランもまた使用することができ、且つ、その
方が好ましい(改質法としては、例えば、特公昭45−
5557号公報、特公昭59−1321号、特開昭61
−233001号公報等を参照されたい。)。
【0074】従って、本明細書における「デキストラ
ン」なる語は、未変性のデキストランのみならず、上記
の如く改質されたデキストランをも包含する意味で使用
する。
【0075】一方、上記デキストランと反応せしめられ
る金属磁性体または金属化合物磁性体は、誘導加温によ
り発熱する金属または金属化合物の磁性体のことであ
り、強磁性体及び超常磁性体が包含される。この種の磁
性体は一般に微細粒子状で使用され、その粒子径は通常
平均粒子径で30〜500Å、好ましくは50〜150
Åの範囲内にあるものが適している。
【0076】そして、金属磁性体としては、例えば、
鉄、ニツケル、コバルト、ガドリニウム等の遷移金属が
挙げられ、中でも鉄が好適である。また、金属化合物と
しては、例えば、鉄、ニツケル、コバルト等の遷移金属
の酸化物やフエライト等が挙げられ、特に四三酸化鉄及
びγ−酸化鉄が好適である。
【0077】以上述べたデキストランと金属磁性体また
は金属化合物磁性体との反応は、例えば、特公昭59−
13521号公報に記載の方法に従い、金属磁性体また
は金属化合物磁性体の水性ゾルにデキストラン又はその
水溶液を添加し、中性ないし弱酸性条件下に約90゜C
ないし還流温度間の温度で約30〜約120分間加熱す
ることにより行なうことができる。
【0078】また米国特許第4101435号明細書に
記載の方法に従い、デキストラン、好ましくはアルカリ
処理した改質デキストランの存在下に水性媒体中で金属
化合物磁性体、例えば磁性酸化鉄を製造し、次いで中性
ないし弱酸性条件下に約90゜Cないし還流温度間の温
度で約30〜約120分間加熱することにより行なうこ
とによっても複合体を製造することができる。
【0079】以上に述べた如くして調製されるデキスト
ランと金属磁性体又は金属化合物磁性体とを複合体は、
本発明に従い、温熱療法用剤として使用する場合、その
投与に適した剤形に調製される。その投与の方法として
は、一般に、静脈内、腫瘍組織内、動脈内、膀胱内等へ
の注射、注入(点滴)が用いられるが、処置すべき疾患
によっては経口投与、直腸内投与等の方法で投与するこ
ともできる。
【0080】そして、注射、注入等の投与に対しては、
上記複合体を製薬学の分野で通常の方法に従い、従え
ば、注射用蒸留水または生理食塩水に通常1〜60%
(w/v)、好ましくは5〜20%(w/v)の濃度で
溶解させることができる。
【0081】また、添加剤として、例えば塩化ナトリウ
ム等の無機塩;ブドウ糖等の単糖類;マンニトール、ソ
ルビトール等の糖アルコール類;クエン酸塩、酒石酸塩
塔の有機酸塩;リン酸緩衝剤、トリス緩衝剤等の生理学
的に許容される種々の助剤を適宜配合してもよい。
【0082】一方、経口投与、直腸投与に対しては、製
薬学の分野の常法に従い、適当な製薬助剤と共に、上記
複合体を含む錠剤、顆粒剤、カプセル剤、シロツプ、散
剤、坐剤等の形態に製剤化することができる。
【0083】尚、DMの投与量は処置すべき患者の症状
の軽重、年令、疾患の部位等に依存し一概にいうことは
できないが、少なくとも生体がもつ冷却能に打ち勝つだ
けの組織内または体液内濃度を保持できるように投与す
ることが必要であり、その濃度は大体0.5〜5.0%
(w/v)の範囲内である。
【0084】例えば悪性腫瘍に組織内投与する場合、悪
性腫瘍容積1cm3 当り金属換算で1〜50mgの量で
投与するのが適当である。しかし、この投与量は一応の
目安であり医者の診断に基いてかかる範囲より少ないか
または多い量を投与することもできる。
【0085】このようにして調整されるDMは、有効成
分としてデキストランと金属磁性又は金属化合物磁性体
とが化学的に反応して得られる複合体を使用しているた
め、コロイド状態での安定性に優れ、生体内での特定組
織への均一分散性が良好であることから、温熱療効率に
優れており、しかも毒性が少なく代謝性も良好であっ
て、悪性腫瘍(癌)、前立腺肥大、創傷等の温熱療法に
広く使用することができる。
【0086】そこで次に、上記したDMに代表される磁
性流体を用いて生体内の病巣の生体外からの誘導加熱を
行う際に用いて好適な、本発明の一実施形態に係る生体
用誘導加熱方法と、この方法を実施するに当たって用い
られる本発明の一実施形態に係る生体用誘導加熱装置と
を、詳細に説明する。
【0087】図1は本発明の一実施形態に係る生体用誘
導加熱装置の概略構成を示す正面図であり、図1中引用
符号1で示す本実施形態の生体用誘導加熱装置(以下、
「誘導加熱装置」と略記する。)は、その筐体(本体に
相当。)3の正面パネル5上に、電源スイッチ7や運転
スイッチ9といったスイッチ類、電源オンを報知する電
源ランプ11や過電圧・過電流のエラーを報知するエラ
ーランプ13といったインジケータ類、最終出力電力の
調整の際に操作されるボリューム15、インバータ出力
電流を表示する電流メータ17、最終出力電力を表示す
る電力メータ19等を有しており、筐体3の側面から延
設された可撓性のケーブル21の先端に、交流磁界発生
用の加温コイル23が接続されている。
【0088】尚、本実施形態では、加温コイル23とし
て図2に示すソレノイド型(螺旋状)コイルを用いた。
【0089】この筐体3内に収容された装置回路の概要
を示すのが図3の回路図であり、これに示すように、筐
体3内には、200Vの商用交流電源を全波整流する整
流器31、パルス幅変調(以下、「PWM」と略記す
る。)方式の昇降圧コンバータ33、この昇降圧コンバ
ータ33にパルス幅変調用のゲート信号を供給するゲー
トドライバ35、昇降圧コンバータ33からのPWMさ
れた不連続な電流及びスイッチングノイズが商用交流電
源側に漏出するのを防止するために整流器31の前段に
設けられるノイズフィルタ37が収容されている。
【0090】また、前記筐体3内には、昇降圧コンバー
タ33の直流出力を交流に変換する高周波インバータ3
9(インバータに相当。)、この高周波インバータ39
にスイッチング用のゲート信号(スイッチング信号に相
当。)を供給するゲートドライバ41、前記加温コイル
23と直列接続されて直列共振回路25を構成する交換
可能な共振コンデンサ43、直列共振回路25が二次側
に接続され一次側には高周波インバータ39が接続され
る高周波トランス45(トランスに相当。)、及び、以
上の各要素をコントロールする制御ユニット47等が、
さらに収容されている。
【0091】尚、本実施形態では、高周波インバータ3
9が、単相ブリッジ接続された4つのパワーMOSFE
T(以下、「FET」と略記する、半導体スイッチング
素子に相当。)39aで構成されている。
【0092】前記制御ユニット47は、電圧制御部49
とフェーズロックドループ制御部(以下、「PLL制御
部」と略記する。)75とを有している。
【0093】前記電圧制御部49は、電圧帰還回路部5
1と電流積演算部57とを有している。
【0094】このうち電圧帰還回路部51は、昇降圧コ
ンバータ33に対して設定された直流出力電圧と実際の
昇降圧コンバータ33の出力電圧との差分を増幅する電
圧エラーアンプ53の出力を、電源同期信号生成回路7
1にて生成される誘導加熱装置1の電源電圧の全波整流
信号により乗算回路55で変調し、これを昇降圧コンバ
ータ33の交流入力電流に対する電流制限信号として出
力するものである。
【0095】また、電流積演算部57は、整流器31か
らの全波整流された正弦半波をゲートドライバ35から
のゲート信号によってPWM変調した波形の、昇降圧コ
ンバータ33の実際の直流入力電流を、発振回路73か
らのPMWキャリア信号の源信号の周期に合わせて時間
積分することで、高調波成分を除去した昇降圧コンバー
タ33の等価的な直流入力電流信号を生成するものであ
る。
【0096】そして、電圧制御部49では、電流積演算
部57で生成された昇降圧コンバータ33の等価的な直
流入力電流信号を、PMWコンパレータ59によって、
乗算回路55から出力された昇降圧コンバータ33の直
流入力電流に対する電流制限信号と比較して、擬似正弦
波状のPMW信号を生成し、さらに、等価的な直流入力
電流信号<電流制限信号の場合には、本来パルス信号と
はならないPMW信号を、発振回路73からの高調波キ
ャリア信号の源信号を用いてフリップフロップ回路61
によりパルス信号化して、昇降圧コンバータ33のゲー
トドライバ35に供給するように構成されている。
【0097】さらに、電圧制御部49においては、昇降
圧コンバータ33の直流出力電圧が所定値以上になった
ことを低電圧検出回路63が検出した場合に、この低電
圧検出回路63が出力する低電圧インターロック信号に
基づいて、高周波インバータ39のFET39aの破壊
を防ぐために、フリップフロップ回路61から昇降圧コ
ンバータ33のゲートドライバ35へのPMW信号の供
給が停止される。
【0098】尚、図3中引用符号65は、昇降圧コンバ
ータ33の直流出力電圧に対する過電圧検出回路、同じ
く引用符号67は、昇降圧コンバータ33の直流出力電
流に対する過電流検出回路、同じく引用符号69は、フ
リップフロップ回路61と昇降圧コンバータ33のゲー
トドライバ35との間に介設されたインターロック回路
であり、このインターロック回路69は、フリップフロ
ップ回路61から昇降圧コンバータ33のゲートドライ
バ35へ供給されるパルス信号化されたPMW信号を、
外部からのインターロック信号の入力に従って禁止す
る。
【0099】前記PLL制御部75は、PLL回路部7
7と、パルス密度変調(Pulse Density Modulation、以
下、「PDM」と略記する。)回路部91と、デッドタ
イム生成回路97とを有している。
【0100】このうちPLL回路部77は、高周波トラ
ンス45の一次電流の大きさを測定する出力電流値測定
回路78、この出力電流値測定回路78が測定した高周
波トランス45の一次電流の大きさに応じて、高周波イ
ンバータ39のFET39aのスイッチング周波数を直
列共振回路25の共振周波数に誘導するための位相基準
信号を生成、出力する基準周波数・位相検出部回路8
0、高周波トランス45の一次電流を全波整流及びパル
ス化する出力電流整形回路79、高周波トランス45の
一次電流の本来の位相との位相ずれ量に応じたパルス幅
及び周波数のパルス信号を出力する位相比較器81、及
び、この位相比較器81が出力するパルス信号から高周
波成分を除去してアナログ電圧化するローパスフィルタ
(以下、「LPF」と略記する。)83を有している。
【0101】また、PLL回路部77は、LPF83か
らのアナログ電圧を、基準周波数・位相検出部回路80
が生成、出力する位相基準信号の電圧と比較しその差分
を増幅する位相エラーアンプ85、この位相エラーアン
プ85の出力に応じて、直列共振回路25の標準共振周
波数の2倍に対して周波数を増減させたパルス信号を発
振する電圧制御発振器87、及び、この電圧制御発振器
87からのパルス信号を1/2に分周する分周回路89
を有している。
【0102】尚、本実施形態では、出力電流値測定回路
78、基準周波数・位相検出部回路80、出力電流整形
回路79、位相比較器81、LPF83、及び、位相エ
ラーアンプ85によって、請求項中の周波数差検出手段
が構成されており、また、この位相エラーアンプ85及
び電圧制御発振器87によって、請求項中のスイッチン
グ周波数補正手段が構成されている。
【0103】一方、PDM回路部91は、高周波インバ
ータ39のゲートドライバ41に対して電圧制御発振器
87からのパルス信号をゲート信号として供給する単位
時間幅当たりの時間長を、電圧制御発振器87からのパ
ルス信号の周波数に対応して、不揮発性メモリ95に格
納された複数のパターンから選択して設定する、マイク
ロコンピュータ等からなるPDMパターン生成部93と
を有している。
【0104】そして、PDMパターン生成部93が時間
長を選択、設定すると、高周波インバータ39から高周
波トランス45に対する交流電力の出力が、図4の説明
図で模式的に示すように、1サイクルを構成する8周期
のうち、PDMパターン生成部93が選択、設定した時
間長に応じた1〜8の周期の期間のみに制限される。
【0105】前記デッドタイム生成回路97は、高周波
インバータ39の正相及び逆相の両FET39aが同時
に導通するアーム短絡を起こさぬよう、電圧制御発振器
87からのゲート信号にデッドタイムを持たせるもので
ある。
【0106】尚、電圧制御部49において、昇降圧コン
バータ33の直流出力電圧が所定値以上になったことを
検出した低電圧検出回路63が出力する低電圧インター
ロック信号に基づいて、誘導加熱装置1の電源電圧の全
波整流信号の生成を電源同期信号生成回路71が停止し
ている間、この電源同期信号生成回路71から本来出力
されるはずのゼロクロス同期信号が出力されなくなる
と、このゼロクロス同期信号が入力される、昇降圧コン
バータ33のゲートドライバ41とデッドタイム生成回
路97との間に介設されたインターロック回路99によ
り、PDMパターン生成部93からゲートドライバ41
へのゲート信号の供給が禁止される。
【0107】また、インターロック回路99は、過電流
検出回路65が昇降圧コンバータ33の直流出力電圧に
対する過電圧状態を検出したり、過電流検出回路67が
昇降圧コンバータ33の直流出力電流に対する過電流状
態を検出した場合に、それらから入力される過電圧信号
や過電流信号に従って、PDMパターン生成部93から
ゲートドライバ41へのゲート信号の供給を禁止する。
【0108】次に、上述のように構成された本実施形態
の誘導加熱装置1の動作(作用)について説明する。
【0109】誘導加熱装置1を使用する際には、電源ス
イッチ7をオンさせ、電源ランプ11の点灯とエラーラ
ンプ13の消灯を確認した上で、加温コイル23のコイ
ル中心軸の延長線上に患者の病巣箇所が位置するように
患者の生体に加温コイル23を近接させ、この状態にお
いて、運転スイッチ9をオンさせる。
【0110】すると、加温コイル23を流れる交流電流
により、加温コイル23のコイル中心軸を磁束中心とす
る交流磁界が加温コイル23に発生し、この交流磁界に
より、生体内の病巣に投与したDMが生体外から誘導加
熱される。
【0111】ちなみに、誘導加熱装置1を使用して治療
する癌病巣が腕や指等の表層癌である場合は、加温コイ
ル23の中にそれらを挿入して治療を行うことになり、
治療する癌病巣が加温コイル23の中に挿入できない部
位にある場合は、加温コイル23をその部位に体の外側
からかざして治療を行うことになる。
【0112】このとき、高周波トランス45の一次側
に、高周波インバータ39からの高調波成分を含んだ交
流電流が流れると、電磁誘導作用により電力が伝達され
た高周波トランス45の二次側にも、高周波トランス4
5の一次巻線と二次巻線との巻線比の逆数比に応じた振
幅の交流の電流が流れて、高周波トランス45の二次側
に接続されている直列共振回路25に共振が発生し、こ
の共振により、高周波トランス45の二次側に流れる電
流の周波数が、直列共振回路25の共振周波数と同じ周
波数となる。
【0113】ちなみに、本実施形態では、高周波トラン
ス45の一次巻線と二次巻線との巻線比を18:1とし
ている。
【0114】そして、高周波トランス45の二次側に流
れる交流電流の周波数が、直列共振回路25の共振周波
数と同じ周波数になると、直列共振回路25のインピー
ダンスが殆どゼロになるので、高周波トランス45を理
想トランスとして見ることができる状態となって、高周
波トランス45の一次側に流れる交流電流の周波数も、
高周波インバータ39のFET39aのスイッチング信
号周波数とは無関係に、直列共振回路25の共振周波数
と同じ周波数になる。
【0115】ところで、上記のように、共振を開始した
直列共振回路25の共振周波数と同じ周波数の交流電流
が、高周波トランス45の二次側や一次側に流れるよう
になっても、高周波インバータ39のFET39aのス
イッチング周波数は、直列共振回路25の共振周波数と
同じ周波数になるわけではなく、むしろ異なっている。
【0116】そして、高周波インバータ39のFET3
9aのスイッチング信号周波数が共振周波数に合致して
いない状態では、直列共振回路25のインピーダンスが
大きくなって直列共振回路25を流れる交流電流の値が
小さくなるので、出力電流値測定回路78によって測定
される、理想トランスとして見ることができる高周波ト
ランス45を挟んで直列共振回路25の反対側にある一
次電流は、小さい値となる。
【0117】そのため、基準周波数・位相検出部回路8
0では、出力電流値測定回路78によって測定される高
周波トランス45の一次電流が大きい値となるように、
電圧制御発振器87が発信するパルス信号の周波数をス
イープさせるための、現在とは異なる電圧値の位相基準
信号が生成され、この位相基準信号の電圧をLPF83
からのアナログ電圧と比較しその差分を増幅する位相エ
ラーアンプ85の出力に応じて、電圧制御発振器87が
発振するパルス信号の周波数が、現在の周波数に対して
増加、又は、減少される。
【0118】そして、電圧制御発振器87が発振するパ
ルス信号の周波数が増減された結果、高周波インバータ
39のFET39aのスイッチング信号周波数が共振周
波数に極めて接近すると、直列共振回路25のインピー
ダンスが急激に小さくなって直列共振回路25を流れる
交流電流の値が大きくなるので、出力電流値測定回路7
8によって測定される、理想トランスとして見ることが
できる高周波トランス45を挟んで直列共振回路25の
反対側にある一次電流の値も、増加する。
【0119】すると、基準周波数・位相検出部回路80
が、新たに生成する位相基準信号の現在の電圧値からの
変化量を徐々に減らし、これにより、位相基準信号の電
圧をLPF83からのアナログ電圧と比較しその差分を
増幅する位相エラーアンプ85の出力に応じた、電圧制
御発振器87が発振するパルス信号の周波数の、現在の
周波数に対する増加、又は、減少幅が、徐々に小さくな
って行き、やがては、直列共振回路25の共振周波数と
同じ周波数に収斂する。
【0120】電圧制御発振器87が発振するパルス信号
の周波数が、直列共振回路25の共振周波数と同じ周波
数に収斂すると、出力電流値測定回路78によって測定
される高周波トランス45の一次電流が前回の測定値と
変わらなくなるので、基準周波数・位相検出部回路80
が新たに生成する位相基準信号の電圧値が現在の値に固
定され、この位相基準信号の電圧とLPF83からのア
ナログ電圧との差分に応じた、電圧制御発振器87が発
振するパルス信号の周波数が、直列共振回路25の共振
周波数と同じ周波数に固定されるようになる。
【0121】このようにして、電圧制御発振器87が発
振するパルス信号の周波数が、直列共振回路25の共振
周波数と同じ周波数に固定されて、直列共振回路25の
共振周波数で高周波インバータ39のFET39aがス
イッチングされるようになると、方形波である高周波イ
ンバータ39の交流出力のうち、波形成分として最も多
くエネルギを持つ基本波の部分から、高周波トランス4
5の二次側に電力が伝達されることになるので、高周波
トランス45の一次側から二次側に高効率で電力が伝達
されるようになる。
【0122】ところで、上記のようにして直列共振回路
25の共振が開始され、それに合わせて、高周波インバ
ータ39のFET39aのスイッチング信号周波数が直
列共振回路25の共振周波数と同じ周波数に調整された
後に、誘導加熱装置1の使用場所の温度環境が変化する
と、直列共振回路25の共振コンデンサ43の特性が変
化して、次のようなことが起こる。
【0123】即ち、共振コンデンサ43の特性変化の影
響で直列共振回路25の共振周波数が変化して、直列共
振回路25の変化後の共振周波数と同じ高周波トランス
45の二次側に流れる交流電流の周波数と、変化前の共
振周波数に予め合致させている高周波インバータ39の
FET39aのスイッチング信号周波数との間に差が生
じる。
【0124】すると、方形波である高周波インバータ3
9の交流出力の基本周波数が直列共振回路25の変化後
の共振周波数との間に差を持つことになって、トランス
の一次側のインピーダンスが大きくなるため、高周波ト
ランス45の一次側から二次側に伝達される電力が非常
に低くなり、二次側に接続されている直列共振回路25
に流れる電流が小さくなってしまう。
【0125】そして、共振周波数の変化に伴って生じた
直列共振回路25の共振周波数と、高周波インバータ3
9の交流出力の基本周波数との間に生じる差が、大きけ
れば大きいほど、高周波トランス45の一次側のインピ
ーダンスが大きくなって、一次側から伝達される電力に
より高周波トランス45の二次側の直列共振回路25に
流れる電流が小さくなり、直列共振回路25の加温コイ
ル23に発生する交流磁界が弱くなって、生体内のDM
の加熱温度が下がる。
【0126】しかし、高周波トランス45の二次側の直
列共振回路25には、変化後の共振周波数と同じ周波数
の交流電流が流れていることから、直列共振回路25の
インピーダンスは引き続き殆どゼロの状態にあり、高周
波トランス45は相変わらず理想トランスとして見るこ
とができるので、高周波トランス45の一次側に流れる
交流電流の周波数は、高周波インバータ39のFET3
9aのスイッチング信号周波数とは無関係に、直列共振
回路25の変化後の共振周波数と同じ周波数になる。
【0127】よって、温度環境の変化により共振コンデ
ンサ43が特性変化を起こして直列共振回路25の共振
周波数が変化すると、高周波インバータ39のFET3
9aのスイッチング信号周波数が共振周波数に合致しな
くなり、直列共振回路25のインピーダンスが大きくな
って直列共振回路25を流れる交流電流の値が小さくな
るので、出力電流値測定回路78によって測定される、
理想トランスとして見ることができる高周波トランス4
5を挟んで直列共振回路25の反対側にある一次電流も
下がる。
【0128】すると、出力電流値測定回路78によって
測定される高周波トランス45の一次電流が大きくなる
方向に、電圧制御発振器87が発信するパルス信号の周
波数がスイープされるように、基準周波数・位相検出部
回路80で生成される位相基準信号の電圧値が、現在と
は異なる電圧値に更新され、この更新された位相基準信
号の電圧をLPF83からのアナログ電圧と比較する位
相エラーアンプ85の差動増幅出力が変化して、電圧制
御発振器87が発振するパルス信号の周波数が、変化後
の直列共振回路25の共振周波数に近づくように増加、
又は、減少される。
【0129】そして、電圧制御発振器87が発振するパ
ルス信号の周波数が増減された結果、高周波インバータ
39のFET39aのスイッチング信号周波数が共振周
波数に極めて接近して、直列共振回路25のインピーダ
ンスが急激に小さくなって直列共振回路25を流れる交
流電流の値が大きくなり、出力電流値測定回路78によ
って測定される高周波トランス45の一次電流の値が増
加すると、基準周波数・位相検出部回路80で生成され
る位相基準信号の現在の電圧値からの変化量が徐々に減
り、その結果、やがては、電圧制御発振器87が発振す
るパルス信号の周波数が、直列共振回路25の変化後の
共振周波数と同じ周波数に収斂する。
【0130】そして、基準周波数・位相検出部回路80
が新たに生成する位相基準信号の電圧値が現在の値に固
定され、この位相基準信号の電圧とLPF83からのア
ナログ電圧との差分に応じた、電圧制御発振器87が発
振するパルス信号の周波数が、直列共振回路25の変化
後の共振周波数と同じ周波数に、再び固定される。
【0131】したがって、共振コンデンサ43内部の発
熱や配線の発熱等、温度環境の変化により、共振コンデ
ンサ43が特性変化を起こして直列共振回路25の共振
周波数が変化しても、それに追従して、ゲートドライバ
41からFET39aに供給されるゲート信号の周波数
が変化することから、高周波トランス45の二次側に流
れる交流電流や直列共振回路25の加温コイル23に発
生する交流磁界が一定の値に維持されて、生体内のDM
の加熱温度も一定に保たれることになる。
【0132】そして、高周波トランス45の二次側に流
れる交流電流や直列共振回路25の加温コイル23に発
生する交流磁界を一定の値に維持し、生体内のDMの加
熱温度を一定に保つために必要となる、高周波トランス
45の一次側に流れる交流電流の周波数に、ゲートドラ
イバ41からFET39aに供給されるゲート信号の周
波数を合致させる操作が、高周波トランス45の一次側
に接続された制御ユニット47のPLL制御部75にお
いて行われることから、PLL制御部75を設けること
に伴う大型化は、生体の近傍に配置される加温コイル2
3側においては発生しないことになる。
【0133】ちなみに、DMの温度上昇が交流磁界の周
波数に比例することから、生体内のDMの加熱温度を変
更するには、交流磁界を発生させる加温コイル23を流
れる、即ち、直列共振回路25を流れる交流電流の周波
数を変更すればよく、具体的には、共振コンデンサ43
を異なる容量のものに交換して直列共振回路25の共振
周波数の設定を変更し、これに合わせて、不図示の調整
用ボリュームの操作等により、位相エラーアンプ85に
与えられる直列共振回路25の標準共振周波数に相当す
る基準電圧を調整すればよい。
【0134】また、DMの温度上昇が交流磁界の強さに
比例することから、生体内のDMの加熱温度を変更する
別の方法としては、加温コイル23に発生する磁界の強
さを変更すればよく、具体的には、高周波インバータ3
9の入力である昇降圧コンバータ35の出力電力を、ボ
リューム15の操作により調整すればよい。
【0135】さらに、PDM回路部91のPDMパター
ン生成部93が不揮発性メモリ95の格納内容から選択
するパターンを変更させ、これにより、高調波インバー
タ39のゲートドライバ41に対して電圧制御発信器8
7からのパルス信号をゲート信号として供給する単位時
間当たりの時間長を、増減することによっても、加温コ
イル23に発生する交流磁界の強さ、ひいては、生体内
のDMの加熱温度を変更することができる。
【0136】したがって、加温コイル23に発生する交
流磁界の強さ、ひいては、生体内のDMの加熱温度を変
更するための構成としては、上記した3つの方法のいず
れか1つのみを実現するのに必要なものだけを採用し、
他を省略してもよい。
【0137】ちなみに、直列共振回路25のQ(直列共
振回路25の全エネルギに対する損失エネルギの比)を
高くすることで、直列共振回路25の共振によって高周
波トランス45の二次側に大きな電流を発生させて、小
さな入力電流でも加温コイル23に大きな交流磁場を発
生させることができるのは、勿論のことである。
【0138】以上のように、本実施形態の誘導加熱装置
1によれば、生体内のDMを誘導加熱するための交流磁
界を発生させる加温コイル23と共振コンデンサ43に
より構成される直列共振回路25を高周波トランス45
の二次側に接続し、その一次側を流れる交流電流の大き
さが、直列共振回路25の共振周波数に等しい高周波ト
ランス45の二次側や一次側の交流電流の周波数に、高
調波インバータ39のFET39aのスイッチング周波
数が合致した場合に現れるような大きな値となるよう
に、高周波トランス45の一次側の交流電流の位相と、
高周波インバータ39の各FET39aに対するゲート
ドライバ41からのゲート信号の位相を、PLL制御部
75により位相比較しつつ両者が合致するように調整す
る構成とした。
【0139】このため、筐体3の外部に設けられて治療
を行う患者の生体の近傍に配置する加温コイル23の大
型化を招くことなく、また、使用感環境下における温度
環境の変化により加熱温度が変化してしまうことを防ぎ
つつ、場所を選ばずに治療できるという誘導加熱の利点
を最大限活かして、正常細胞の生理機能に障害を発生さ
せずに癌細胞等の病巣を選択的に所望の温度で安定して
加熱することができる。
【0140】尚、本実施形態では生体内の病巣に投与す
る磁性流体として、デキストランと金属磁性体又は金属
化合物磁性体との複合体を有効成分として含有するDM
を用いる場合について説明したが、デキストランの誘導
体と磁性酸化鉄との複合体からなる水性ゾルや、多糖類
又はその誘導体と磁性金属酸化物との複合体からなる水
性ゾルを、生体内の病巣に投与する磁性流体として用い
てもよい。
【実施例】
【0141】発明の実施の形態において説明した誘導加
熱装置1を用いた各実験例の実施条件は、以下の通りで
ある。
【0142】まず、生体中のDMを実際に加熱する臨床
試験と同等のコンディションを成立させて評価実験を行
うために、生体の代わりとなる擬似生体(寒天ファント
ム)をDMと加温コイル23との間に介在させる必要が
あるのか否かを確認する目的で、次の実験例1〜実験例
4を行った。
【0143】[実験例1]まず、加温コイル23に対す
る相対位置を示す座標として、加温コイル23の中心軸
方向をZ、この中心軸方向と直交する加温コイル23の
半径方向をX、これらX,Zの両方向と直交する加温コ
イル23の半径方向をYとし、X,Yの両方向について
は加温コイル23の中心軸上を座標値=0、Z方向につ
いては、加温コイル23の中心軸上であって、その中心
軸上における加温コイル23の一方の端部箇所を座標値
=0と定義する。
【0144】尚、以下の説明において、座標値(X,
Y,Z)の値は全てmmを示すものとし、X≧0,Y≧
0,Z≧0、座標値Zについては、加温コイル23の外
側に向かう方向を正方向とする。
【0145】その上で、加温コイル23の内部を筒状の
寒天ファントムで埋め、この寒天ファントム内であって
座標値(X,Y,Z)=(0,0,0)の箇所に、バル
ーンに充填したDM(濃度=28Fe mg/mL)を
配置して、直列共振回路25の共振周波数fがf=29
9kHz、加温コイル23に発生する磁場強度BがB=
5.2mTである誘導加熱装置1を用い、DMを誘導加
熱させた。
【0146】その結果得られた対誘導加熱時間のDM温
度上昇特性は、図5のグラフにおける実線で示す内容で
あった。
【0147】[実験例2]加温コイル23の内部から寒
天ファントムを除去し、その他の条件を実験例1と全く
同じにした上で、DMを誘導加熱させた結果得られた対
誘導加熱時間のDM温度上昇特性は、図5のグラフにお
ける点線で示す内容であった。
【0148】[実験例3]直列共振回路25の共振周波
数fがf=418kHzである誘導加熱装置1を用い、
その他の条件を実験例1と全く同じにした上で、DMを
誘導加熱させた結果得られた対誘導加熱時間のDM温度
上昇特性は、図6のグラフにおける実線で示す内容であ
った。
【0149】[実験例4]加温コイル23の内部から寒
天ファントムを除去し、その他の条件を実験例3と全く
同じにした上で、DMを誘導加熱させた結果得られた対
誘導加熱時間のDM温度上昇特性は、図6のグラフにお
ける点線で示す内容であった。
【0150】以上のとおり、実験例1と実験例2とでは
概ね同様の結果が得られ、また、直列共振回路25の共
振周波数fを変えて行った実験例3と実験例4とでも、
概ね同様の結果が得られたことから、実験例1〜実験例
4の結果から、直列共振回路25の共振周波数fに拘わ
らず、DMと加温コイル23との間に擬似生体(寒天フ
ァントム)を介在させなくても(勿論介在させてもよい
が)、生体中のDMを実際に加熱する臨床試験と同等の
コンディションを成立させて、評価実験を行えることが
判った。
【0151】次に、加温コイル23に対するDMの位置
関係が、DMの温度上昇特性に如何なる影響を及ぼすか
を確認するために、次の実験例5〜実験例8を行った。
【0152】[実験例5]バルーンに充填したDMの配
置を、座標値(X,Y,Z)=(0,15,0)の箇所
とし、その他の条件を実験例2と全く同じにした上で、
DMを誘導加熱させた結果得られた対誘導加熱時間のD
M温度上昇特性は、図7のグラフにおける短い点線で示
す内容であった。
【0153】[実験例6]バルーンに充填したDMの配
置を、座標値(X,Y,Z)=(0,30,0)の箇所
とし、その他の条件を実験例2や実験例5と全く同じに
した上で、DMを誘導加熱させた結果得られた対誘導加
熱時間のDM温度上昇特性は、図7のグラフにおける長
い点線で示す内容であった。
【0154】尚、図7のグラフにおける実線は、実験例
2により得られた対誘導加熱時間のDM温度上昇特性で
ある。
【0155】ちなみに、以上の実験例5や実験例6で
は、Y軸方向におけるDMの位置のみを、実験例2にお
けるDMの位置に対して変えたが、加温コイル23の半
径方向である点ではY軸とX軸とは同じであることか
ら、X軸方向におけるDMの位置のみを、実験例2にお
けるDMの位置に対して変えても、実験例5や実験例6
と同様の結果が得られるものと思われる。
【0156】したがって、以上の実験例2、実験例5、
及び、実験例6の結果から、加温コイル23の半径方向
においてDMの位置が変わっても、DMの温度上昇特性
には殆ど影響がないことが判った。
【0157】[実験例7]バルーンに充填したDMの配
置を、座標値(X,Y,Z)=(0,0,30)の箇所
とし、その他の条件を実験例4と全く同じにした上で、
DMを誘導加熱させた結果得られた対誘導加熱時間のD
M温度上昇特性は、図8のグラフにおける短い点線で示
す内容であった。
【0158】[実験例8]バルーンに充填したDMの配
置を、座標値(X,Y,Z)=(0,0,45)の箇所
とし、その他の条件を実験例4や実験例7と全く同じに
した上で、DMを誘導加熱させた結果得られた対誘導加
熱時間のDM温度上昇特性は、図8のグラフにおける長
い点線で示す内容であった。
【0159】尚、図8のグラフにおける実線は、実験例
4により得られた対誘導加熱時間のDM温度上昇特性で
ある。
【0160】以上の実験例4、実験例7、及び、実験例
8の結果から、加温コイル23の中心軸方向においてD
Mの位置が変わると、加温コイル23から離れれば離れ
るほど、DMの温度上昇特性が相対的には低下すること
が判った。
【0161】但し、少なくとも座標値(X,Y,Z)=
(0,0,0)〜(0,0,45)の範囲では、DMが
温度上昇する傾向が明らかに見られることから、加温コ
イル23の中心軸方向においてDMの位置が変わっても
DMは誘導加熱され、後は、DMを目的の温度に加熱し
それを必要時間持続させるために、PDM回路部91等
を用いて単位時間当たりのDMの誘導加熱時間の長短を
調整すれば足りることが判った。
【0162】次に、加温コイル23に発生する磁場強度
が、DMの温度上昇特性に如何なる影響を及ぼすかを確
認するために、次の実験例9〜実験例14を行った。
【0163】[実験例9]加温コイル23に発生する磁
場強度BをB=1.3mTとし、その他の条件を実験例
2と全く同じにした上で、DMを誘導加熱させた結果得
られた対誘導加熱時間のDM温度上昇特性は、図9のグ
ラフにおける短い点線で示す内容であった。
【0164】[実験例10]加温コイル23に発生する
磁場強度BをB=2.6mTとし、その他の条件を実験
例2や実験例9と全く同じにした上で、DMを誘導加熱
させた結果得られた対誘導加熱時間のDM温度上昇特性
は、図9グラフにおける長い点線で示す内容であった。
【0165】[実験例11]加温コイル23に発生する
磁場強度BをB=3.9mTとし、その他の条件を実験
例2、実験例9、及び、実験例10と全く同じにした上
で、DMを誘導加熱させた結果得られた対誘導加熱時間
のDM温度上昇特性は、図9グラフにおける一点鎖線で
示す内容であった。
【0166】尚、図9のグラフにおける実線は、実験例
2により得られた対誘導加熱時間のDM温度上昇特性で
ある。
【0167】[実験例12]加温コイル23に発生する
磁場強度BをB=1.3mTとし、その他の条件を実験
例4と全く同じにした上で、DMを誘導加熱させた結果
得られた対誘導加熱時間のDM温度上昇特性は、図10
のグラフにおける短い点線で示す内容であった。
【0168】[実験例13]加温コイル23に発生する
磁場強度BをB=2.6mTとし、その他の条件を実験
例4や実験例12と全く同じにした上で、DMを誘導加
熱させた結果得られた対誘導加熱時間のDM温度上昇特
性は、図10グラフにおける長い点線で示す内容であっ
た。
【0169】[実験例14]加温コイル23に発生する
磁場強度BをB=3.9mTとし、その他の条件を実験
例4、実験例12、及び、実験例13と全く同じにした
上で、DMを誘導加熱させた結果得られた対誘導加熱時
間のDM温度上昇特性は、図10グラフにおける一点鎖
線で示す内容であった。
【0170】尚、図10のグラフにおける実線は、実験
例4により得られた対誘導加熱時間のDM温度上昇特性
である。
【0171】以上の実験例2、実験例4、及び、実験例
9〜実験例14の結果から、直列共振回路25の共振周
波数fに拘わらず、加温コイル23に発生する磁場強度
Bが変わると、磁場強度Bが低ければ低いほど、DMの
温度上昇特性が相対的には低下することが判った。
【0172】但し、少なくとも磁場強度BをB=1.3
mTとした場合を除けば、DMが温度上昇する傾向が明
らかに見られることから、加温コイル23に発生する磁
場強度Bが変わっても、少なくとも磁場強度BがB=
2.6mT以上であれば、直列共振回路25の共振周波
数fに拘わらずDMは誘導加熱され、後は、DMを目的
の温度に加熱しそれを必要時間持続させるために、PD
M回路部91等を用いて単位時間当たりのDMの誘導加
熱時間の長短を調整すれば足りることが判った。
【0173】次に、直列共振回路25の共振周波数f
が、DMの温度上昇特性に如何なる影響を及ぼすかを確
認するために、次の実験例15〜実験例17を行った。
【0174】[実験例15]直列共振回路25の共振周
波数fがf=129kHzである誘導加熱装置1を用
い、その他の条件を実験例1や実験例3と全く同じにし
た上で、DMを誘導加熱させた結果得られた対誘導加熱
時間のDM温度上昇特性は、図11のグラフにおける実
線で示す内容であった。
【0175】[実験例16]直列共振回路25の共振周
波数fがf=511kHzである誘導加熱装置1を用
い、その他の条件を実験例1、実験例3、及び、実験例
15と全く同じにした上で、DMを誘導加熱させた結果
得られた対誘導加熱時間のDM温度上昇特性は、図11
のグラフにおける一点鎖線で示す内容であった。
【0176】[実験例17]直列共振回路25の共振周
波数fがf=604kHzである誘導加熱装置1を用
い、その他の条件を実験例1、実験例3、実験例15、
並びに、実験例16と全く同じにした上で、DMを誘導
加熱させた結果得られた対誘導加熱時間のDM温度上昇
特性は、図11のグラフにおける二点鎖線で示す内容で
あった。
【0177】尚、図11のグラフにおける短い点線は、
実験例1により得られた対誘導加熱時間のDM温度上昇
特性であり、また、図11のグラフにおける長い点線
は、実験例3により得られた対誘導加熱時間のDM温度
上昇特性である。
【0178】以上の実験例1、実験例3、及び、実験例
15〜実験例17の結果から、直列共振回路25の共振
周波数fが変わると、共振周波数fが低ければ低いほ
ど、DMの温度上昇特性が相対的には低下することが判
った。
【0179】但し、少なくとも直列共振回路25の共振
周波数fがf=129〜604kHzの範囲では、DM
が温度上昇する傾向が明らかに見られることから、直列
共振回路25の共振周波数fが変わっても、少なくとも
f=129〜604kHzの範囲ではDMは誘導加熱さ
れ、後は、DMを目的の温度に加熱しそれを必要時間持
続させるために、PDM回路部91等を用いて単位時間
当たりのDMの誘導加熱時間の長短を調整すれば足りる
ことが判った。
【0180】次に、加熱コイル23の形状が、DMの温
度上昇特性に如何なる影響を及ぼすかを確認するため
に、次の実験例18〜実験例25を行った。
【0181】尚、次の実験例18〜実験例25では、加
温コイル23として図12に示すパン型コイルを用い
た。
【0182】[実験例18]加温コイル23をパン型コ
イルに変えて、座標値(X,Y,Z)=(0,0,1
5)の箇所に、バルーンに充填したDM(濃度=28F
e mg/mL)を配置し、直列共振回路25の共振周
波数fがf=266kHz、加温コイル23に発生する
磁場強度BがB=5.2mTである誘導加熱装置1を用
いて、DMを誘導加熱させた。
【0183】その結果得られた対誘導加熱時間のDM温
度上昇特性は、図13のグラフにおける実線で示す内容
であった。
【0184】[実験例19]バルーンに充填したDMの
配置を、座標値(X,Y,Z)=(0,0,30)の箇
所とし、その他の条件を実験例18と全く同じにした上
で、DMを誘導加熱させた結果得られた対誘導加熱時間
のDM温度上昇特性は、図13のグラフにおける短い点
線で示す内容であった。
【0185】[実験例20]バルーンに充填したDMの
配置を、座標値(X,Y,Z)=(0,0,45)の箇
所とし、その他の条件を実験例18や実験例19と全く
同じにした上で、DMを誘導加熱させた結果得られた対
誘導加熱時間のDM温度上昇特性は、図13のグラフに
おける長い点線で示す内容であった。
【0186】[実験例21]バルーンに充填したDMの
配置を、座標値(X,Y,Z)=(0,0,60)の箇
所とし、その他の条件を実験例18、実験例19、及
び、実験例20と全く同じにした上で、DMを誘導加熱
させた結果得られた対誘導加熱時間のDM温度上昇特性
は、図13のグラフにおける一点鎖線で示す内容であっ
た。
【0187】以上の実験例18〜21の結果から、加温
コイル23の中心軸方向においてDMの位置が変わる
と、加温コイル23から離れれば離れるほど、DMの温
度上昇特性が相対的には低下することが判った。
【0188】但し、少なくとも座標値(X,Y,Z)=
(0,0,15)〜(0,0,60)の範囲では、DM
が温度上昇する傾向が明らかに見られることから、加温
コイル23の中心軸方向においてDMの位置が変わって
もDMは誘導加熱され、後は、DMを目的の温度に加熱
しそれを必要時間持続させるために、PDM回路部91
等を用いて単位時間当たりのDMの誘導加熱時間の長短
を調整すれば足りることが判った。
【0189】[実験例22]加温コイル23をパン型コ
イルに変えて、座標値(X,Y,Z)=(0,0,1
5)の箇所に、バルーンに充填したDM(濃度=28F
e mg/mL)を配置し、直列共振回路25の共振周
波数fがf=378kHz、加温コイル23に発生する
磁場強度BがB=5.2mTである誘導加熱装置1を用
いて、DMを誘導加熱させた。
【0190】その結果得られた対誘導加熱時間のDM温
度上昇特性は、図14のグラフにおける実線で示す内容
であった。
【0191】[実験例23]バルーンに充填したDMの
配置を、座標値(X,Y,Z)=(0,15,15)の
箇所とし、その他の条件を実験例22と全く同じにした
上で、DMを誘導加熱させた結果得られた対誘導加熱時
間のDM温度上昇特性は、図14のグラフにおける短い
点線で示す内容であった。
【0192】[実験例24]バルーンに充填したDMの
配置を、座標値(X,Y,Z)=(0,30,15)の
箇所とし、その他の条件を実験例22や実験例23と全
く同じにした上で、DMを誘導加熱させた結果得られた
対誘導加熱時間のDM温度上昇特性は、図13のグラフ
における長い点線で示す内容であった。
【0193】[実験例25]バルーンに充填したDMの
配置を、座標値(X,Y,Z)=(0,45,15)の
箇所とし、その他の条件を実験例22、実験例23、及
び、実験例24と全く同じにした上で、DMを誘導加熱
させた結果得られた対誘導加熱時間のDM温度上昇特性
は、図14のグラフにおける一点鎖線で示す内容であっ
た。
【0194】ちなみに、以上の実験例22〜25では、
Y軸方向におけるDMの位置のみを変化させたが、加温
コイル23の半径方向である点ではY軸とX軸とは同じ
であることから、X軸方向におけるDMの位置のみを変
化させても、実験例22〜25と同様の結果が得られる
ものと思われる。
【0195】したがって、以上の実験例22〜25の結
果から、加温コイル23の半径方向においてDMの位置
が変わると、加温コイル23の中心軸上から離れれば離
れるほど、DMの温度上昇特性が相対的には低下するこ
とが判った。
【0196】但し、少なくとも座標値(X,Y,Z)=
(0,0,15)〜(0,45,15)の範囲では、D
Mが温度上昇する傾向が明らかに見られることから、加
温コイル23の中心軸方向においてDMの位置が変わっ
てもDMは誘導加熱され、後は、DMを目的の温度に加
熱しそれを必要時間持続させるために、PDM回路部9
1等を用いて単位時間当たりのDMの誘導加熱時間の長
短を調整すれば足りることが判った。
【0197】尚、図15に、以上の実験例で用いた、図
2に示すソレノイド型の加温コイル23の、直列共振回
路25の共振周波数f毎に異なる詳細なスペックを示
し、同様に、図16に、図2に示すソレノイド型の加温
コイル23を有する誘導加熱装置1の、直列共振回路2
5の共振周波数f毎に異なる詳細なスペックを示す。
【0198】また、図17に、以上の実験例で用いた、
図12に示すパン型の加温コイル23の、直列共振回路
25の共振周波数fがf=378kHzである場合の詳
細なスペックを示し、同様に、図18に、図12に示す
パン型の加温コイル23を有する誘導加熱装置1の詳細
なスペックを示す。
【0199】ちなみに、これら図15乃至図18の各図
において示した数値は、いずれも、実効値である。
【0200】
【発明の効果】以上説明したように請求項1に記載した
本発明の生体用誘導加熱方法によれば、正常細胞の生理
機能に障害を発生させずに癌細胞等の病巣を選択的に所
望の温度で安定して加熱し壊死に導くという命題を、生
体の近傍に配置する直列共振回路の少なくとも加温コイ
ルから分離されるトランスの一次側の要素側において解
決させて、その解決のために必要な操作を、生体の近傍
に配置する直列共振回路の少なくとも加温コイル側にて
行わずに済むようにし、以て、場所を選ばずに治療でき
るという誘導加熱の利点を損ねずに、正常細胞の生理機
能に障害を発生させずに病巣を選択的に加熱し壊死に導
くことができる。
【0201】尚、請求項2に記載した本発明の生体用誘
導加熱方法によれば、請求項1に記載した本発明の生体
用誘導加熱方法において、スイッチング信号の周波数
を、直列共振回路における共振が開始された後の、トラ
ンスの一次側に流れる交流電流の周波数に合致させる操
作を、トランスの一次側に流れる交流電流と位相が合致
するようにスイッチング信号の位相を調整することで実
現することができる。
【0202】また、請求項3に記載した本発明の生体用
誘導加熱方法によれば、請求項2に記載した本発明の生
体用誘導加熱方法において、トランスの一次側に流れる
交流電流と位相が合致するようにスイッチング信号の位
相を調整する操作を、フェーズロックドループ回路を用
いて実現することができる。
【0203】また、請求項4に記載した本発明の生体用
誘導加熱方法によれば、請求項1、2又は3に記載した
本発明の生体用誘導加熱方法において、場所を選ばずに
治療できるという誘導加熱の利点を最大限活かしつつ、
正常細胞の生理機能に障害が発生せず、かつ、病巣を壊
死させるのに極めて適した理想的な温度で安定して、生
体内の病巣に投与した磁性流体を選択的に加熱させるこ
とができる。
【0204】さらに、請求項5に記載した本発明の生体
用誘導加熱装置によれば、正常細胞の生理機能に障害を
発生させずに癌細胞等の病巣を選択的に所望の温度で安
定して加熱し壊死に導くという命題を、トランスの一次
側の要素を収容する本体内に設ける周波数差検出手段と
スイッチング周波数補正手段とにより解決させて、生体
内の磁性流体を生体外から誘導加熱させるために生体の
近傍に配置する必要のある、直列共振回路の少なくとも
加温コイルを含む要素側に、周波数差検出手段やスイッ
チング周波数補正手段を設けずに済むようにし、以て、
生体の近傍に配置する要素側の大型化を防いで、場所を
選ばずに治療できるという誘導加熱の利点を損ねずに、
正常細胞の生理機能に障害を発生させずに病巣を選択的
に加熱し壊死に導くことができる。
【0205】また、請求項6に記載した本発明の生体用
誘導加熱装置によれば、請求項5に記載した本発明の生
体用誘導加熱装置において、直列共振回路における共振
が開始された後の、トランスの一次側に流れる交流電流
の周波数とスイッチング信号の周波数との差に応じた物
理量の、周波数差検出手段による検出を、両者の位相差
に応じた値の検出として実現でき、また、直列共振回路
における共振が開始された後の、トランスの一次側に流
れる交流電流の周波数に合致するようなスイッチング信
号の周波数の補正を、トランスの一次側に流れる交流電
流の位相に合致するようなスイッチング信号の位相調整
として、スイッチング周波数補正手段が実現できるよう
にして、周波数差検出手段やスイッチング周波数補正手
段を一般的なディスクリート回路により容易に構成する
ことができる。
【0206】さらに、請求項7に記載した本発明の生体
用誘導加熱装置によれば、請求項6に記載した本発明の
生体用誘導加熱装置において、フェーズロックドループ
回路を用いて周波数差検出手段やスイッチング周波数補
正手段を極めて容易に実現することができる。
【0207】また、請求項8に記載した本発明の生体用
誘導加熱装置によれば、請求項5、6又は7に記載した
本発明の生体用誘導加熱装置において、直列共振回路に
おける共振が開始された後の、半導体スイッチング素子
のスイッチング信号とトランスの一次側に流れる交流電
流との周波数の差に応じた物理量の周波数差検出手段に
よる検出と、その物理量に応じて、直列共振回路におけ
る共振が開始された後のトランスの一次側に流れる交流
電流の周波数に合致するようにスイッチング周波数補正
手段が行う、スイッチング信号の周波数の補正とによ
り、場所を選ばずに治療できるという誘導加熱の利点を
最大限活かしつつ、正常細胞の生理機能に障害が発生せ
ず、かつ、病巣を壊死させるのに極めて適した理想的な
温度で安定して、生体内の病巣に投与した磁性流体を選
択的に加熱させることができる。
【0208】さらに、請求項9に記載した本発明の生体
用誘導加熱方法又は生体用誘導加熱装置によれば、請求
項4記載の生体用誘導加熱方法又は請求項8記載の生体
用誘導加熱装置において、多糖類又はその誘導体と磁性
金属酸化物との複合体からなる水性ゾルによって、生体
内の病巣に投与する磁性流体を構成することができる。
【0209】また、請求項10に記載した本発明の生体
用誘導加熱方法又は生体用誘導加熱装置によれば、請求
項4記載の生体用誘導加熱方法又は請求項8記載の生体
用誘導加熱装置において、デキストラン又はその誘導体
と磁性酸化鉄との複合体からなる水性ゾルによって、生
体内の病巣に投与する磁性流体を構成することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る生体用誘導加熱装置
の概略構成を示す正面図である。
【図2】図1の加温コイルの一例としてのソレノイド型
コイルの説明図である。
【図3】図1の筐体内に収容された装置回路の概要を示
す回路図である。
【図4】図2のパルス密度変調パターン生成部が選択、
設定する時間長によって高周波インバータから高周波ト
ランスに対する交流電力の出力が制限される状況を模式
的に示す説明図である。
【図5】擬似生体として寒天ファントムを用いた場合と
用いない場合との誘導加熱時間に対するデキストランマ
グネタイトの温度上昇特性の相関を示すグラフである。
【図6】擬似生体として寒天ファントムを用いた場合と
用いない場合との誘導加熱時間に対するデキストランマ
グネタイトの温度上昇特性の相関を示すグラフである。
【図7】図2の加温コイルの半径方向に位置を変化させ
た場合の誘導加熱時間に対するデキストランマグネタイ
トの温度上昇特性の相関を示すグラフである。
【図8】図2の加温コイルの中心軸方向に位置を変化さ
せた場合の誘導加熱時間に対するデキストランマグネタ
イトの温度上昇特性の相関を示すグラフである。
【図9】図2の加温コイルに発生する磁場強度を変化さ
せた場合の誘導加熱時間に対するデキストランマグネタ
イトの温度上昇特性の相関を示すグラフである。
【図10】図2の加温コイルに発生する磁場強度を変化
させた場合の誘導加熱時間に対するデキストランマグネ
タイトの温度上昇特性の相関を示すグラフである。
【図11】図3の直列共振回路の共振周波数を変化させ
た場合の誘導加熱時間に対するデキストランマグネタイ
トの温度上昇特性の相関を示すグラフである。
【図12】図1の加温コイルの他の一例としてのパン型
コイルの説明図である。
【図13】図12の加温コイルの中心軸方向に位置を変
化させた場合の誘導加熱時間に対するデキストランマグ
ネタイトの温度上昇特性の相関を示すグラフである。
【図14】図12の加温コイルの半径方向に位置を変化
させた場合の誘導加熱時間に対するデキストランマグネ
タイトの温度上昇特性の相関を示すグラフである。
【図15】図2の加温コイルの共振周波数毎に異なる詳
細なスペックを示す説明図である。
【図16】図2の加温コイルを有する誘導加熱装置の共
振周波数毎に異なる詳細なスペックを示す説明図であ
る。
【図17】図12の加温コイルの共振周波数毎に異なる
詳細なスペックを示す説明図である。
【図18】図12の加温コイルを有する誘導加熱装置の
共振周波数毎に異なる詳細なスペックを示す説明図であ
る。
【符号の説明】
1 生体用誘導加熱装置 3 筐体(本体) 23 加温コイル 25 直列共振回路 39 高周波インバータ(インバータ) 39a パワーMOSFET(半導体スイッチング素
子) 43 共振コンデンサ 45 高周波トランス(トランス) 77 フェーズロックドループ回路部(周波数差検出手
段) 78 出力電流値測定回路(周波数差検出手段) 79 出力電流整形回路(周波数差検出手段) 80 基準周波数・位相検出部回路(周波数差検出手
段) 81 位相比較器(周波数差検出手段) 83 ローパスフィルタ(周波数差検出手段) 85 位相エラーアンプ(周波数差検出手段、スイッチ
ング周波数補正手段) 87 電圧制御発振器(スイッチング周波数補正手段) 91 パルス密度変調回路部91(スイッチング周波数
補正手段)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H05B 6/10 311 A61B 17/39 (72)発明者 五十嵐 功一 石川県小松市白江町ネ117番地 小松パワ ートロン株式会社内 (72)発明者 長江 英夫 愛知県春日井市東野町2−8−7 (72)発明者 寺井 健二 石川県金沢市玉川町1番5号 三谷産業株 式会社内 (72)発明者 田澤 賢次 富山県射水郡小杉町南太閤山7丁目18番地 (72)発明者 長野 勇 石川県金沢市長坂台17番30号 Fターム(参考) 3K059 AA02 AA07 AA16 AB14 AB28 AC07 AC12 AC14 AD02 AD10 AD15 AD40 BD01 CD03 CD40 CD72 CD73 4C053 LL01 LL02 LL18 4C060 KK50 MM24 4C106 AA03 AA05 BB23 CC03 FF01 FF11 FF12 FF20

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 半導体スイッチング素子からなるインバ
    ータの交流出力を、該インバータに一次側を接続したト
    ランスの二次側に接続されている加温コイルと共振コン
    デンサとの直列共振回路に供給して、前記加温コイルに
    交流磁界を発生させ、該交流磁界により、生体内の病巣
    に投与した磁性流体を生体外から誘導加熱させるに当た
    り、 前記半導体スイッチング素子のスイッチング信号の周波
    数を、前記直列共振回路における共振が開始された後
    の、前記トランスの一次側に流れる交流電流の周波数に
    合致させ、 前記直列共振回路の少なくとも加温コイルを、前記トラ
    ンスの一次側の要素から分離して前記生体の近傍に配置
    するようにした、 ことを特徴とする生体用誘導加熱方法。
  2. 【請求項2】 前記トランスの一次側に流れる交流電流
    と位相が合致するように前記スイッチング信号の位相を
    調整することで、該スイッチング信号の周波数を、前記
    トランスの一次側に流れる交流電流の、前記直列共振回
    路の共振周波数の変化に伴って変化した後の周波数に、
    合致させるようにした請求項1記載の生体用誘導加熱方
    法。
  3. 【請求項3】 前記スイッチング信号の位相調整を、フ
    ェーズロックドループ回路を用いて行うようにした請求
    項2記載の生体用誘導加熱方法。
  4. 【請求項4】 前記直列共振回路の共振周波数を、生体
    外からの前記磁性流体の誘導加熱を行う環境下において
    129KHz以上604KHz以下となるようにした請
    求項1、2又は3記載の生体用誘導加熱方法。
  5. 【請求項5】 生体内の病巣に投与した磁性流体を生体
    外から誘導加熱させる際に用いられ、半導体スイッチン
    グ素子からなるインバータの交流出力を、該インバータ
    に一次側を接続したトランスの二次側に接続されている
    加温コイルと共振コンデンサとの直列共振回路に供給し
    て、前記磁性流体の誘導加熱用の交流磁界を前記加温コ
    イルに発生させる生体用誘導加熱装置であって、 前記直列共振回路における共振が開始された後の、前記
    半導体スイッチング素子のスイッチング信号と前記トラ
    ンスの一次側に流れる交流電流との、周波数の差に応じ
    た物理量を検出する周波数差検出手段と、 前記周波数差検出手段が検出した物理量に応じて、前記
    スイッチング信号の周波数を、前記トランスの一次側に
    流れる交流電流の周波数に合致するように補正するスイ
    ッチング周波数補正手段とを備えており、 少なくとも前記トランスの一次側の要素は本体内に収容
    されていると共に、 前記直列共振回路の少なくとも加温コイルは前記本体の
    外部に配置されている、 ことを特徴とする生体用誘導加熱装置。
  6. 【請求項6】 前記周波数差検出手段は、前記トランス
    の一次側に流れる交流電流と前記スイッチング信号との
    位相差に応じた値を前記物理量として検出し、前記スイ
    ッチング周波数補正手段は、前記トランスの一次側に流
    れる交流電流と前記スイッチング信号との位相差に応じ
    た値に応じて、前記トランスの一次側に流れる交流電流
    と位相が合致するように前記スイッチング信号の位相を
    調整することで、該スイッチング信号の周波数を、前記
    トランスの一次側に流れる交流電流の、前記直列共振回
    路における共振が開始された後の周波数に合致するよう
    に補正する請求項5記載の生体用誘導加熱装置。
  7. 【請求項7】 前記周波数差検出手段及び前記スイッチ
    ング周波数補正手段はフェーズロックドループ回路を用
    いて構成されている請求項6記載の生体用誘導加熱装
    置。
  8. 【請求項8】 前記直列共振回路は、生体外からの前記
    磁性流体の誘導加熱を行う環境下における共振周波数が
    129KHz以上604KHz以下となるように構成さ
    れている請求項5、6又は7記載の生体用誘導加熱装
    置。
  9. 【請求項9】 前記磁性流体は、多糖類又はその誘導体
    と磁性金属酸化物との複合体からなる水性ゾルである請
    求項4記載の生体用誘導加熱方法又は請求項8記載の生
    体用誘導加熱装置。
  10. 【請求項10】 前記磁性流体は、デキストラン又はそ
    の誘導体と磁性酸化鉄との複合体からなる水性ゾルであ
    る請求項4記載の生体用誘導加熱方法又は請求項8記載
    の生体用誘導加熱装置。
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