JP2005253813A - Mri治療システム - Google Patents

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徹 丹羽
Taiji Takemura
泰司 竹村
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Abstract

【課題】 ハイパーサーミアによる癌治療と、治療効果の判定・確認とを実質的に同時に行うことができるMRI治療システムを提供する。
【解決手段】 MRI治療システムは、MRI装置(1)と、MRI装置のRF磁界に共振して発熱する共振回路とから構成される。共振回路は、癌細胞に伝熱可能に接するように体内に埋込み可能な体内インプラント機器(10)を構成する。インプラント機器の表面温度は、共振回路の発熱によって、少なくとも42℃以上の温度に上昇する。
【選択図】 図1

Description

本発明はMRI治療システムに関するものであり、より詳細には、ハイパーサーミアによる癌治療と、その治療効果の判定・確認とを実質的に同時に行うことができるMRI治療システムに関するものである。
NMR(Nuclear Magnetic Resonance:核磁気共鳴)現象による原子核の共鳴を利用した画像診断装置として、MRI(Magnetic Resonance Imaging:磁気共鳴イメージング)装置が、多くの病院等において生体診断・検査装置として使用されている。一般に、MRI装置は、1.5T(テスラ)程度の直流磁界を発生させる静磁界発生装置、XYZ各方向の微弱な直流磁界を発生させる微弱静磁界発生装置、RF磁界を発生させる高周波磁界発生装置等を備える。静磁界発生装置及び微弱静磁界発生装置は、三次元的に傾斜した磁界空間(勾配磁界)を形成し、高周波磁界発生装置は、このような静磁界においてプロトンを共鳴させるための交流磁界を発生させる。交流磁界は、1.5T程度の静磁界の下で、通常は、63.87MHz、0.1〜数エルステッド(Oe)程度の周波数及び強度に設定され、傾斜磁界に対応すべく、±0.2MHz程度の変調を許容されている。MRI装置は、各磁界発生装置を制御するための電子制御機器(スイッチング電源、コントローラ等)を備えるとともに、MR信号からMRI画像を生成すべく所定のプログラムに従って作動する電子制御装置(操作ユニット)を備える。
ここに、腫瘍治療の分野においては、特に悪性新生物(癌)の治療の多くは、長年に亘って外科的手術に依存してきたが、近年、癌治療技術の一種としてのハイパーサーミア(温熱療法)が注目されている。ハイパーサーミアは、正常細胞と比べて熱の作用を受け易い癌細胞の性質を利用した治療技術として知られている。現状では、約42℃(体温+約6.5℃)以上の温度で癌細胞を加熱することにより、癌細胞を死滅させる効果が得られることが確認されている。正常な細胞は熱抵抗性を有することから、細胞の温度を適切に設定すれば、癌細胞のみを死滅させることが可能となるであろう。
癌細胞の加熱方法として、マイクロ波等の電磁波を外部から患部に照射する方法等が試みられている。この種の治療法は、皮膚癌や舌癌等の如く生体外部から直に接近可能な患部に対しては有効に使用し得るかもしれない。例えば、針型インプラント器具を舌癌の患部に挿入し、42℃以上の温度にインプラント器具を加熱する臨床実験例等が、既に報告されている。この他、エネルギー密度が高い電磁波の吸収エネルギーを体内で熱に変換する方式のマイクロ波加温装置、RF誘電加温装置、RF誘導加温装置等が近年開発され、癌治療の分野において臨床的に使用されつつある。
照射電磁界の周波数と共振可能な共振回路を有する体内インプラント機器が、特開2003−38548号公報に開示されている。共振回路は、コイル及びコンデンサを備え、比較的高強度の交番磁界又は電磁波を外部から照射することにより発熱するように構成される。このような共振回路によれば、共振回路の共振周波数特性は、コンデンサの温度特性に相応して発熱時に変化するので、極度な高温時には共振周波数がずれ、発熱が停止する。従って、共振回路の過熱又は異常高温をも防止することができると考えられる。
特開2003−38548号公報
ハイパーサーミアによる癌治療を実施するには、患部を加熱する手段として、一般に高価な機械を新たに導入する必要が生じ、これは、この種の治療方法の普及を妨げる要因となっている。仮に、この種の機械を比較的容易に導入し得たとしても、体外から患部を直接加熱する加温装置を使用した場合、皮膚火傷や、皮膚の損傷、更には、患者の苦痛等の副作用又は弊害を回避し難く、また、マイクロ波の照射(マイクロ波加温装置)や、高周波電磁界の印加により癌細胞を加熱する従来の装置では、原理上、生体表面が生体深部よりも相対的に高温加熱され易く、生体深部の癌細胞のみを熱により死滅させることは、治療技術上の困難を伴う。この他、高周波電極を用いて高周波電流を生体に通電して加温するRF誘電加温は、我が国で比較的普及しているが、この方式においても又、高抵抗部分である皮膚近傍に比較的多量の熱が発生し易く、生体深部の癌細胞のみを熱により死滅させることは難しい。
これに対し、カテーテルを用いて生体外から体内患部を治療し、或いは、カテーテルによって薬剤又は微小器具等を体内に導入し又は体内物質を体外に排除する治療技術又は体内デリバリー技術が既に確立されている現状を考慮すると、このような技術を利用して磁性体等を侵襲的に患部に誘導し又は埋込み、高周波磁界の印加により磁性体を発熱させる方法や、共振回路を有するインプラント発熱機器(特開2003−38548号公報)等を体内深部の腫瘍部位に導入し、癌細胞のみを熱で死滅させ、或いは、癌の成長を阻止する方法が考えられる。
しかしながら、このような癌治療法を採用し得たとしても、発熱体の体内デリバリー、患部の加熱および治療効果の判定・確認の各過程は、各過程に適した装置を夫々使用して個別に実施する必要があり、このため、類似した医療行為の反復や、治療過程の錯綜、更には、患者の負荷の増大等の問題が生じる。
他方、MRI装置は、任意方向の断層像、血流等の生化学情報を得る上で極めて効果的な診断装置として使用され、現在では、画像診断装置として国内各地の病院等に広く普及している。しかし、MRI装置の交流磁界は、高強度静磁界の存在を前提とした極めて微弱な磁界であり、その用途は、あくまで画像診断に限られるすぎない。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ハイパーサーミアによる癌治療と、治療効果の判定・確認とを実質的に同時に行うことができるMRI治療システムを提供することにある。
本発明者は、現状では画像診断用途に限られているMRI装置が、微弱な交流磁界を撮像時に発生させている点に着目し、鋭意研究を重ねた結果、MRI装置が発生させる微弱な交流磁界によって共振回路が実際に発熱する現象を確認し、かかる知見に基づき、本発明を達成したものである。
即ち、本発明は、MRI装置と、該MRI装置が発生させる所定周波数の交流磁界に共振して発熱する共振回路とから構成され、該共振回路は、癌細胞に伝熱可能に接するように体内に埋込み可能な体内インプラント機器を構成し、前記共振回路は、前記交流磁界に共振して前記インプラント機器の表面温度を42℃以上に上昇させることを特徴とするMRI治療システムを提供する。
本発明の上記構成によれば、共振回路は、MRI装置が発生させる微弱な交流磁界に反応し、発熱する。インプラント機器の表面温度は、共振回路の発熱によって42℃以上に上昇し、インプラント機器に接する癌細胞を死滅させる。従って、MRI装置が画像診断のために形成する磁場環境の下で、共振周波数を適切に設定した共振回路を有する発熱体を使用することによって、ハイパーサーミアによる癌治療を遂行し得る。これは、従来なし得なかった癌治療の形態、即ち、ハイパーサーミアと、その効果判定・確認との同時進行を可能にする。しかも、MRI装置を既に保有する医療施設においては、共振回路を有する発熱体のみを新たに必要とするにすぎず、体外から発熱体を発熱させる特定の発熱体作動機器等を新たに設備導入することを要しない。
本発明は、MRI装置の高い画像診断能、MRI装置を用いたリアルタイム画像表示(MRI透視)、MRI装置を用いた温度モニター等の技術を併用することで、診断、共振回路の体内デリバリー、温熱治療、治療中の温度モニター、更には、治療効果の判定・確認に至る一連の過程を実質的にMRI装置のみで効果的に行う新たな治療形態を可能にする。このような治療形態によれば、患者の負担が少ない安全なハイパーサーミアが実現するだけではなく、類似した医療行為の反復や、治療過程の錯綜等を回避し得る。
共振回路は、コンデンサ及びコイルを直列接続したLC回路により形成することができ、1〜2mmに小型化することが可能である。所望により、シリコンゴム又はシリコン樹脂等の外皮又はカプセル内に共振回路を収容し、或いは、コンデンサの面を利用して共振回路自体をカプセル化することが可能である。共振回路を内蔵し、或いは、共振回路自体が形成する小型発熱体は、カテーテル操作等により比較的容易に体内インプラント可能に設計することができる。体内デリバリー技術により体内の治療目的部位にインプラントされた発熱体は、MRI装置の交流磁界に反応して発熱し、発熱体に接する癌細胞を死滅させる。これにより、従来困難であった体内深部の腫瘍治療が可能となるとともに、体内深部の腫瘍に関し、正常組織への影響を極力を減らした治療、即ち、腫瘍部位のみの治療行為が可能となる。
好ましくは、上記共振回路は、コイル及びコンデンサを直列接続したLC回路からなり、共振回路の共振周波数は、MRI装置の交流磁界の中心周波数に対し、該周波数±0.6MHz、好適には、周波数±0.5MHz、更に好適には、周波数±0.4MHzの範囲内に設定される。一般に、高度先進医療を行う医療施設では、1.5Tの静磁界強度のMRI装置が使用されており、このような現状を考慮し、共振回路の共振周波数を63.4MHz〜 64.3MHzの範囲内に設定するようにしても良い。好ましくは、コイルは、非磁性材料で作製されるが、少量の磁性材料を含む材料でコイルを作製しても良い。また、所望ならば、磁性材料の芯材、例えば、鉄芯をコイル内に挿入することも可能である。
他の観点より、本発明は、癌細胞に伝熱可能に接するように体内に埋込み可能な発熱体からなり、該発熱体は、MRI装置が発生させる直流磁界及び交流磁界の環境において発熱する共振回路を有し、該共振回路の共振周波数は、前記MRI装置が発生させる微弱な交流磁界の周波数と実質的に一致し、前記発熱体の表面温度は、前記共振回路の発熱によって、少なくとも42℃以上の温度に加熱されることを特徴とする体内インプラント機器を提供する。
好適には、体内インプラント機器は、共振回路を被覆し又は収容する外皮又はカプセルを有し、最大部分の外寸値が2mm以下に設定される。
更に他の観点より、本発明は、MRI装置の交流磁界で共振して発熱する共振回路を備えた発熱体をMRI装置の直流磁界及び交流磁界の環境に配置し、該発熱体内の共振回路を前記交流磁界によって発熱させ、前記発熱体の表面温度を42℃以上の温度に上昇させることを特徴とする体内インプラント機器の加熱方法を提供する。
本発明によれば、ハイパーサーミアによる癌治療と、治療効果の判定・確認とを実質的に同時に行うことができるMRI治療システムを提供することができる。
本発明は又、画像診断装置として普及したMRI装置を用いた癌治療を可能にする体内インプラント機器を提供することができる。
本発明は更に、MRI装置が画像診断用に形成する磁場を用いて体内インプラント機器を発熱させる体内インプラント機器の加熱方法を提供することができる。
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るMRI治療システムを概略的に示す斜視図である。
MRI治療システムは、画像診断装置として使用可能な通常のMRI装置1と、患者Pの体内にインプラント可能な発熱体10とから構成される。MRI装置1は、患者Pの生体Bをほぼ全体的に受入れ可能な円筒状ガントリー2と、患者Pをガントリー2内に移送するテーブル4と、静磁場中の生体Bに所定周波数の高周波磁場を印加するRFコイル(図示せず)と、均一な静磁場を発生させる超伝導磁石6と、MR信号に空間的情報を付与するための微弱な傾斜磁場を発生させる傾斜磁場発生コイル(図示せず)と、MR信号を検出するMR信号検出コイル(図示せず)と、磁界補正のための補正コイル(図示せず)と、MR信号検出コイルの検出信号を処理して生体Bの断層像を画像化し且つ記憶する操作ユニット5とを有する。なお、超伝導磁石6、RFコイル、傾斜磁場発生コイル、MR信号検出コイル及び補正コイルは、ガントリー2の筐体内の所定位置に配設され、操作ユニット5及びガントリー2は信号線(図示せず)を介して接続される。操作ユニット5は、演算処理部、入出力部、表示部、記憶部、制御部等を備えており、一般に、MRI装置本体、コントローラ、操作・演算装置、コンピューターシステム、オペレーションシステム等の名称で呼ばれている。
本実施形態では、静磁界強度1.5TのMRI装置1が使用され、MRI装置1は、超伝導磁石6は、高強度(1.5T)の静磁界(直流磁界)を発生させ、傾斜磁場発生コイルは、微弱なx,y,z各方向の静磁界(直流磁界)を発生させる。超伝導磁石6及び傾斜磁場発生コイルは、三次元的に傾斜した磁界空間(勾配磁界)をガントリー2内に形成する。体内のプロトンHは、このような静磁場の中で歳差運動する。RFコイルは、プロトンHを共鳴させる交流磁界を形成し、RFコイルの高周波磁界(RF磁界)は、体内のプロトンHの歳差運動に影響を及ぼす。MR信号検出コイルには、プロトンHの磁気共鳴現象により電磁誘導が生じる。RF磁界が遮断されると、各々のプロトンHは、RF磁界が作用する前の状態に戻ろうとし、操作ユニット5は、この緩和過程において放出されるエネルギーを検出し、これをMR信号の差として画像化する。
RFコイルのRF磁界は、1.5Tの静磁界の下で63.87MHzに設定される。但し、傾斜磁界に対応すべく、±0.2MHzの変調が許容される。なお、静磁界の強度を増大することにより、MRI装置1の検出能力及び分解能を向上することが可能であるかもしれないが、現状では、静磁界強度1.5TのMRI装置が高度先進医療を行う施設で普及している。
ここに、プロトンHの共鳴周波数は 、ω(角周波数)=γ(定数)×B(静磁界の大きさ)として表されるが、これを周波数として示すと、f=63.87MHzである。この周波数は、磁界強度1.5TのMRI装置1におけるRF磁界の中心周波数となる。今後のマグネット技術の進展や、診断装置としての制約の緩和などを考慮したとしても、直流磁界(静磁界)の強度は、その実用的観点より0.5T〜3Tの範囲内であろうと考えられ、仮に静磁界強度を増大し得たとしても、数T程度が限界であろうと考えられる。このような静磁界強度に適応するようにRF磁界の周波数が設定変更される場合には、RF磁界の周波数は、21.29〜127.74MHz程度の値に設定変更されることになろう。
図2は、RF磁界の波形を示す波形図である。
RF磁界は、シンク波としてRFコイルから出力される.RF磁界の強度は、0.1エルステッド(Oe)から数Oe程度の範囲内であると考えられている。診断用として人体に作用するRF磁界の強度は、静磁界強度と同様、厳格な制約を受ける。RF磁界の強度を任意に増大させることはできない。このため、高強度の静磁界の環境に存在する微弱な交流磁界(RF磁界)によって発熱体を発熱させる試みは、今日まで全く行われておらず、そのような着想又は提案も、未だ公表されていない。
図3は、発熱体10の構造を例示する概略姿図及び回路図である。
発熱体10は、所定周波数の交流磁界に共振する共振回路を備える。共振回路は、所望により、シリコンゴム又はシリコン樹脂等のカプセル又は外皮15内に収容される。共振回路は、非磁性材料からなるコイル11及びコンデンサ12を直列接続したLC回路からなる。図3に示す発熱体10の場合、ガラス棒の芯13がコイル11内に挿入されている。発熱体10の全体寸法(全長、全幅、全高、又は直径)は、1〜2mm程度に設定される。
発熱体10は、患者の患部(腫瘍部位)にインプラントされ、患者は、MRI装置1のガントリー2内に導入される。MRI装置1内の生体Bには、超伝導磁石6が生起する高強度(1.5T)の静磁界(直流磁界)、傾斜磁場発生コイルが生起する微弱な静磁界(直流磁界)、更には、RFコイルの高周波磁界(RF磁界)が作用し、操作ユニット5は、生体Bの断層像を画像化し且つ記憶する。発熱体10の共振回路は、RF磁界に共振し、コイル11の磁界エネルギーとコンデンサ12の静電エネルギーとが交互に増減を反復する。共振回路の共振点frでは、インピーダンスが最小になり、回路を流れる電流値が最大になる。共振回路は、回路内に含まれる抵抗成分の作用で発熱する。即ち、共振回路の抵抗成分によるエネルギー損失が熱エネルギーに変換され、発熱体10の表面温度が上昇する。
コイル11及びコンデンサ12の内部抵抗R(=RL+RC)と、共振回路のインピーダンスZとの関係において、共振回路の発熱量は、RT/Z2 に比例する。RTは回路構成により決定されるが、周波数依存性はなく、Z2 は、周波数に依存する。従って、共振回路の発熱量の磁界周波数依存性は、周波数変化に応答した1/Z2 の変化として説明することができる。
図4は、交流磁界の周波数と、発熱体10の表面温度との関係を示す線図である。
交流磁界の周波数変化に関連する理論曲線(1/Z2)の変化が、図4に示されており、1/Z2の値は、共振周波数frにおいて最大値を示し、共振周波数frの前後で急激に低下する。図4には又、発熱体10の温度測定値が、交流磁界の周波数との関係で示されている。温度測定試験において、共振回路は、簡易断熱され、10 Oeの交流磁界が共振回路に印加された。なお、コイル11は、印加磁界に対して鎖交する方向に配置された。
図4に示す如く、発熱体10の表面温度は、共振周波数frの交流磁界を印加した時に顕著に上昇し、交流磁界の周波数が共振周波数frからずれると、急激に降下した。交流磁界周波数及び発熱体表面温度の関係は、理論曲線(1/Z2)の変化と類似し、両者は、概ね一致すると考えられる。
図5は、磁界印加後に生じる発熱体10の温度上昇の計測結果を示す線図である。
発熱体10の表面温度は、磁界印加後、約2分程度で一定温度に上昇し、その後は、一定温度を維持した。交流磁界周波数の相違により、昇温後の温度はかなり相違するが、いずれの周波数においても、同様な傾向が観られる。従って、共振回路は、RF磁界に共振して数分で所定温度に温度上昇するが、昇温後は、少なくとも或る時間内、ほぼ一定の温度を持続する。
図4及び図5に示す計測結果より、共振回路の共振周波数をMRI装置1のRF磁界の中心周波数(63.87MHz)に適合するように厳密に設計された発熱体10は、MRI装置1のガントリー2内に導入されると、迅速に温度上昇し、少なくとも或る時間内は、所定温度を持続すると考えられる。また、発熱体10の共振周波数がRF磁界の中心周波数(63.87MHz)に適合しない場合、発熱体10は、比較的低い温度に上昇し、この温度を維持するにすぎない。
本発明者は、中心周波数63.87MHzのRF磁界と共振点が一致する共振回路として、素子の回路定数をL=1.23μH、C=5.0pFに設定した第1共振回路(共振周波数=63.8MHz)を作製するとともに、RF磁界の周波数(63.87MHz)と僅かに相違する共振点を有する共振回路として、共振周波数63.2MHzの第2共振回路を作製した後、MRI装置1のRF磁界を各共振回路に印加して各共振回路の温度上昇を計測した。
第1共振回路の共振周波数(63.8MHz)は、RF磁界の中心周波数(63.87MHz)と実質的に一致する。第2共振回路の共振周波数(63.2MHz)は、RF磁界の中心周波数(63.87MHz)と僅かに相違するにすぎない。しかしながら、第1共振回路は、磁界印加後3分経過時に5.7℃温度上昇し、磁界印加後10分経過時に6.1℃温度上昇したのに対し、第2共振回路は、磁界印加後3分経過時及び10分経過時に2℃以下の温度上昇を示したにすぎなかった。
このような試験結果より、MRI装置1のRF磁界に共振し且つ発熱する共振回路の共振周波数の許容範囲は、極めて狭い範囲に限定され、共振回路は、最適な共振周波数を保有するように厳密に設計する必要があるが、一旦最適値に設計された共振回路は、微弱なRF磁界に反応し、共振し且つ発熱し、回路の発熱により確実に温度上昇することが判明した。
このような共振回路を有する発熱体10は、使用において、カテーテル操作により体内腫瘍部位にインプラントされる。所望により、MRI装置1による画像診断又はリアルタイム画像表示(MRI透視)を利用し、カテーテル操作を実行しても良い。
図1に示す如く、患者Pは、MRI装置1のガントリー2内に導入される。体内の発熱体10は、MRI装置1のRF磁界に共振し且つ発熱し、発熱体10の表面温度は、42℃以上に上昇する。今日までに得られたハイパーサーミア技術の知識の下では、発熱体10に接する癌細胞は、42℃以上の温度に加熱されると、死滅する。しかも、このようなMRI治療システムによれば、MRI装置1の温度モニター機能及びリアルタイム画像表示(MRI透視)機能を利用し、癌細胞の受熱状況や、発熱体10による治療効果の判定・確認を同時に行うことができる。
かくして、上記構成のMRI治療システムによれば、装置発熱体10の体内デリバリー、温熱治療、治療中の温度モニター、更には、治療効果の判定・確認に至る一連の過程を実質的にMRI装置1のみで効果的に行う新たな治療形態が実現する。MRI装置を既に所有する医療施設においては、新たに導入すべきものは、上述の発熱体10のみであるにすぎず、本発明は、ハイパーサーミアによる癌治療を普及させる上で極めて有益である。しかも、このような治療形態によれば、腫瘍部位の診断、ハイパーサーミア及び治癒効果の判定・確認をMRI装置1によって一元管理することが可能となるので、類似した医療行為の反復や、治療過程の錯綜等を防止することができる。このような治療形態は、患者の負担を減じるとともに、医療の安全性を確保する上で極めて有利である。
以上、本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の範囲内で種々の変形又は変更が可能である。
例えば、上記発熱体の形状、寸法、表面材質及び構造等は、インプラントの方法に応じて適宜設計変更することができる。
また、上記共振回路は、RF磁界の周波数特性と関連して、最適な共振周波数を備えるように適宜設計変更することができる。
更に、発熱時の温度変化による共振周波数の変化などを利用し、上記共振回路の発熱時間を適切に設定し又は制御することも可能である。
また、抵抗素子を直列接続した回路により上記共振回路を形成することも可能である。
本発明は、ハイパーサーミアによる癌治療のための医療設備に適用される。本発明のMRI治療システムによれば、ハイパーサーミアと、その治療効果の判定・確認とを実質的に同時に行うことができる。
本発明の実施形態に係るMRI治療システムを概略的に示す斜視図である。 RF磁界の波形を示す波形図である。 発熱体の構造を例示する概略姿図及び回路図である。 交流磁界の周波数と、共振回路の温度との関係を示す線図である。 磁界印加後に生じる共振回路の温度上昇の計測結果を示す線図である。
符号の説明
1 MRI装置
2 ガントリー
4 テーブル
5 操作ユニット
6 超伝導磁石
10 発熱体
11 コイル
12 コンデンサ
P 患者
B 生体

Claims (8)

  1. MRI装置と、該MRI装置が発生させる所定周波数の交流磁界に共振して発熱する共振回路とから構成され、該共振回路は、癌細胞に伝熱可能に接するように体内に埋込み可能な体内インプラント機器を構成し、前記共振回路は、前記交流磁界に共振して前記インプラント機器の表面温度を42℃以上に上昇させることを特徴とするMRI治療システム。
  2. 癌細胞に伝熱可能に接するように体内に埋込み可能な発熱体からなり、該発熱体は、MRI装置が発生させる直流磁界及び交流磁界の環境において発熱する共振回路を有し、該共振回路の共振周波数は、前記MRI装置が発生させる微弱な交流磁界の周波数と実質的に一致し、前記発熱体の表面温度は、前記共振回路の発熱によって、少なくとも42℃以上の温度に加熱されることを特徴とする体内インプラント機器。
  3. MRI装置の交流磁界で共振して発熱する共振回路を備えた発熱体をMRI装置の直流磁界及び交流磁界の環境に配置し、該発熱体内の共振回路を前記交流磁界によって発熱させ、前記発熱体の表面温度を42℃以上の温度に上昇させることを特徴とする体内インプラント機器の加熱方法。
  4. 前記共振回路は、コイル及びコンデンサを直列接続したLC回路からなることを特徴とする請求項1に記載のMRI治療システム。
  5. 前記共振回路の共振周波数は、前記MRI装置の交流磁界の中心周波数に対し、該周波数±0.6MHz の範囲内に設定されることを特徴とする請求項1又は4に記載のMRI治療システム。
  6. 前記共振回路の共振周波数は、63.4MHz〜 64.3MHzの範囲内に設定されることを特徴とする請求項1又は4に記載のMRI治療システム。
  7. 前記共振回路を被覆し又は収容する外皮又はカプセルを有することを特徴とする請求項2に記載の体内インプラント機器。
  8. 最大部分の外寸値が2mm以下に設定されたことを特徴とする請求項2又は7に記載の体内インプラント機器。


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