JP2002355048A - リボヌクレオチド還元酵素r1とその阻害ペプチド - Google Patents

リボヌクレオチド還元酵素r1とその阻害ペプチド

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JP2002355048A
JP2002355048A JP2001164997A JP2001164997A JP2002355048A JP 2002355048 A JP2002355048 A JP 2002355048A JP 2001164997 A JP2001164997 A JP 2001164997A JP 2001164997 A JP2001164997 A JP 2001164997A JP 2002355048 A JP2002355048 A JP 2002355048A
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rnr
peptide
protein
spindle
cell
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JP2001164997A
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Hirohisa Masuda
裕久 升田
Yasushi Hiraoka
泰 平岡
Saeko Takada
左恵子 高田
Takehiko Shibata
武彦 柴田
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RIKEN Institute of Physical and Chemical Research
Original Assignee
Communications Research Laboratory
RIKEN Institute of Physical and Chemical Research
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Abstract

(57)【要約】 【課題】紡錘体活性化に関与するタンパク質の発見とそ
の阻害ペプチドのスクリーニングを行った。 【解決手段】リボヌクレオチド還元酵素(RNR−1)
が紡錘体活性化に関与することを明らかにしたので、任
意に紡錘体活性化を引き起こすことができる試薬として
使用できる。また、RNR−1の紡錘体活性化を抑制す
るペプチドの発明を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、リボヌクレオチド
還元酵素R1の紡錘極体活性化作用とその阻害ペプチド
のアミノ酸配列に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、リボヌクレオチド還元酵素は、塩
基に区別なく、リボヌクレオチド2リン酸のリボースの
2位のOH基を還元して、デオキシリボース体を合成す
ることが知られており(Elledge,ST.at el,333-339,15,
BioEsays,1993/Takeda,S. at el,4173-4187,11,Molecul
ar Biology of the Cell,2000)、この酵素はDNA生合
成及びDNA修復上の重要酵素である。リボヌクレオチ
ド還元酵素(RNR)は、85KDaの大きいサブユニ
ット(RNR−R1)と45KDaの小さいサブユニッ
ト(RNR−R2)から成り、この2つのサブユニット
が相互作用して共同で機能していることが予想されてい
る。
【0003】しかし、このリボヌクレオチド還元酵素の
機能は、DNA生合成及びDNA修復に関係しているこ
とが知られているだけで、それ以外の機能は予想されて
いなかった。本発明において、発明者は細胞分裂の際に
起こる紡錘極体活性・微小管中心体活性に必須なタンパ
クとして、このリボヌクレオチド還元酵素の大きなサブ
ユニットであるRNR−R1があることを明らかにし
た。紡錘極体は、有糸分裂において、核分裂前期の終わ
りに、核膜が消失するのに先立って現れてくる極帽の繊
維構造をいう。この繊維構造が発達してくると、紡錘形
をした紡錘体となり、染色体が両極に移動する際の場と
して重要な役割を果たす。
【0004】さらに、多くのタンパク質、特に酵素等の
機能研究、及び病気に関連する酵素等においては、酵素
活性を喪失させる阻害剤、及び酵素の活性部位に結合す
る抗体若しくは、競争阻害ペプチドは必須であり、その
研究開発が行われている。本発明においても、RNR−
R1による紡錘極体活性・微小管中心体活性を阻害する
競争阻害ペプチドを提供した。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明において、発明
者は、有糸分裂期(M期)の紡錘極体活性・微小管中心
体の活性化に関与するタンパクの同定を試みた。そし
て、従来DNA生合成及びDNA修復に関係しているこ
とが知られているRNR−R1タンパクが同定された。
そして、リコンビナントに作成したRNR−R1タンパ
ク単体においても、同様の紡錘極体活性・微小管中心体
の活性化が起こるか定量的に評価した。また、RNR−
R1タンパクによる紡錘極体活性・微小管中心体の活性
化を阻害する競争阻害ペプチドのスクリーニングを行っ
た。本発明において、これらの阻害効果を定量的に評価
し、阻害ペプチドを提供するものである。さらに、その
阻害ペプチドに対応するRNR−R1タンパクのアミノ
酸配列に変異を加えることで、同様の効果を得ることが
できるか確認し、当該RNR−R1変異タンパクを提供
するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明では、リボヌクレオチド還元酵素の85KD
aの大きいサブユニット(RNR−R1)が細胞の紡錘
体活性化を引き起こす機能を有することを明らかにし
た。次いで、その単体のタンパクを発現・精製し、細胞
の紡錘極体活性化を引き起こす試薬として提供する。ま
た、使用者が自ら容易に、そのタンパクを得ることがで
きるように、Hisタグ等を付加して、大腸菌・Sf9
細胞等で発現するベクターに挿入したプラスミドとし
て、若しくは、動物細胞・分裂酵母で強制発現できるベ
クターに挿入したプラスミドとして提供するものであ
る。
【0007】また、RNR−R1タンパクによる紡錘極
体活性・微小管中心体の活性化を阻害する競争阻害ペプ
チドをスクリーニングし、阻害効果を有するRNR−R
1タンパクのアミノ酸配列の一部のAsn−Val−A
sn−Pro−Thr−Asp−Leu−Trp−As
p−Trp−Ala−Gluのアミノ酸配列のペプチド
を提供するものである。また、このアミノ酸配列におい
て1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加
されたアミノ酸配列からなるペプチド、又は、これらの
ペプチドのアミノ酸配列を含んだペプチドからなり、R
NR−R1タンパクによる細胞の紡錘極体活性化を抑制
する阻害ペプチドとして提供してもよい。
【0008】さらに、RNR−R1タンパクによる紡錘
極体活性・微小管中心体の活性化の阻害化合物を得るた
めに、当該ペプチド若しくは、RNR−R1の当該ペプ
チドに対応するドメイン用いて、スクリーニングする方
法を提供するものである。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明では、有糸分裂期(M期)
のアフリカツメガエルの卵母細胞から、紡錘体活性因子
(SPB Activator)を精製した。プロテアーゼ阻害
剤を添加した注出用溶液XB/EB buffer(10mM HEPES, 70
mM KCl,5.9mM MgCl2,9.5mM EGTA,24mMβ-glycerophosph
ate,35mM sucrose, 0.1mM trolox, pH 7.6)に上記の卵
母細胞を入れ、遠心分離機での処理(10000rpm,10mim,1
6℃)を行う。これにより、卵母細胞から物理的に細胞
質内の抽出液を得ることができる。次に、energy mixtu
reとして(7.5mM ceratine phosphate,1mM ATP, 0.1mM
EGTA, 1mM MgCl2, pH 7.6)を加えて、抽出液のATP濃
度を保持する。その後、遠心分離(15000rpm,15min,4
℃)を行い、その上清を抽出し、再度、その抽出液の1
/2倍量のXB/EB bufferとenergy mixtureを加えて、洗
い作業を行った。最後に、この溶液を遠心分離(80000r
pm,30min,4℃)を行い、その上清を卵母細胞の注出液と
した。
【0010】上記過程での注出液を分子量が160-200Kda
程度のタンパクを得るため、ゲル濾過クロマトグラフィ
ー(HiLoad Superdex 200-pg,Amersham Pharmacia Biot
echLtd.)を行った。この時のランニングバッファーは、
XB/EB(II) buffer(10mM HEPES, 5.9mM MgCl2,1mM EGT
A, 35mM sucrose, 0.1mM trolox, 1mM DDT,pH 7.6)に
タンパク分解酵素阻害剤を添加したものを使用した。そ
の後、20-45%の硫化アムモニウムで、硫安沈殿を行い
タンパクを得た。さらに、タンパク分解酵素阻害剤を添
加したXB/EB(III) buffer(10mM HEPES,5.9mM MgCl2, 1
mM EGTA, 35mM sucrose, 0.1mM trolox, 1mM DDT,pH 7.
6)で、再度サスペンドを行った。このようにした得た
溶液を、陰イオン交換クロマトグラフィー(LiChrosphe
r1000TMAE,Merck)を用いて、0-1.0MのKClの濃度勾
配により、各フラクションを溶出した(紡錘極体活性を
有するのは、0-150mMで溶出したフラクションであっ
た)。この後、その各フラクションに、0.8M (NH4)2SO4
を添加したXB/EB(III) bufferを加えた。これを疎水性
クロマトグラフィー(Phenyl Superose HR5/5,Amersham
Pharmacia Biotech Ltd.)を用いて、0-1.0M (NH4)2SO
4の濃度勾配により、各フラクションを溶出した(紡錘
極体活性を有するのは、320-480mMで溶出したフラクシ
ョンであった)。最後に、この各フラクションにXB/EB(I
II) bufferを加え、再度陰イオン交換クロマトグラフィ
ー(LiChrospher1000TMAE,Merck)を用いて、0-500mMの
KClの濃度勾配により、各フラクションを溶出した。
このようにして精製したタンパク溶液は、1つの大きな
ピークと数本の小さなピークが検出される程度のタンパ
クであった。
【0011】次に、精製されたタンパクが紡錘極体活性
・微小管中心体の活性化を引き起こすか否か以下に記載
する方法で評価した。紡錘極体(若しくは中心体)活性
化の測定方法は、間期の分裂酵母細胞を等張条件下で、
細胞壁を消化するZymolyaseで処理し、細胞壁を部分破
壊する。次に、酵母細胞を界面活性剤Triton X-100で処
理をして細胞膜、核膜等を可溶化し、細胞内の可溶性成
分を取り除く。ここで、上述して得た各フラクションを
加え、一定時間の懸濁し、そのタンパク溶液をおおよそ
取り除いた後に、ブタ脳若しくはウシ脳から精製したチ
ューブリンを加えて、再度一定時間の懸濁する。続い
て、上記処理をした酵母細胞を固定し、紡錘極体の構成
成分であるγチューブリン及びαチューブリン抗体を用
いた蛍光抗体法によって、紡錘極体とチューブリンが重
合して形成された微小管を顕微鏡下で、当該微小管を持
つ紡錘極体の割合をカウントした。ここで、紡錘極体活
性化とは、紡錘極体の構成成分であるαチューブリン及
びγチューブリン抗体を用いた蛍光抗体法で、紡錘極体
とチューブリンが重合して形成された微小管が確認され
るものとする(以下に同様である)。一方で、当該活性
がない場合には、微小管はほとんど見えず、γチューブ
リンの存在は確認できるが、そこからのびた微小管もほ
とんど確認できない。
【0012】この結果、最終的に得られた49個のフラ
クションの内、フラクション番号45から49では、溶
液のみのコントロールに比して、2.5〜4倍の紡錘極体
活性化能を示した。
【0013】他方で、各々の分離したフラクションの一
部をSDS−ポリアクリルアミドゲルを用いて、電気泳
動にかけ、クマシーブルー染色を行った。脱色後、数本
のみのバンドが検出され、特に85KDa付近のバンド
に注目した。このバンドを切り出し、アミノ酸マイクロ
シークエンスを行い、配列表2及び3に記載した本タン
パク質の一部のアミノ酸配列が決定された。その配列情
報を基に、データーベースからホモロジー検索をした結
果、リボヌクレオチド還元酵素の大きいサブユニット
(RNR−R1)であることが明らかになった。
【0014】上記のRNR−R1遺伝子をクローニング
するために、カエル及びマウスのcDNAライブラリーから
PCR法を用いて、予想される1.6-KbのcDNAを得る
ことができた。
【0015】次に、単体のRNR−R1が紡錘極体活性
化因子であることを試験した。先ず、単体であるHis-ta
g(6個のHis)が付加したRNR−R1を、BAC-TO-BAC
baculovirus expression system(GIBCO BRL)を用いて作
成した。マウスから得られた全長cDNAを、baculovirus
に特異的なPolyhedrin promotorを有するpFASTBACHベク
ターに挿入した。このプラスミドを、attTn7 target si
teを有するbaculovirus shattle vector (bacmid)及びh
elper plasmidを持つ、DH10BAC大腸菌コンピテントセル
にトランスホームした。次いで、大腸菌内で、pFASTBAC
Hベクターのmini-Tn7 elementが、helper plasmidから
産出された組換えタンパクによって、bacmidのattTn7 t
arget siteに組換えられる。つまり、ここで相同的組換
えによって外来遺伝子をウイルスゲノム中に組込むこと
ができる。そして、このウイルスゲノムであるリコンビ
ナントなbacmidを、上記の大腸菌内から回収した。
【0016】一方で、Sf9昆虫細胞は、5% fetal bovi
ne serum, 50U/ml penicillin及び50ug/ml streptomyci
nを加えたsf900IISFM(GIBCO BRL)液体培地で培養した。
Sf9細胞にCELLFECTIN regent(GIBCO BRL)を用いて、こ
のウイルスゲノムを挿入させた。その後、細胞培地の上
清に出てきたbaculovirusを回収した。この時のウイル
スのタイターは低いので、この回収されたウイルスをさ
らにSf9細胞に感染させた。感染開始から72時間後の
細胞から高いタイターを有するbaculovirusを回収する
ことができ、タンパク発現用のbaculovirusを用意でき
た。このbaculovirusを用いて感染させ、感染開始から
4−5日後に培養プレートから細胞を集めた。この細胞
をPBSでサスペンドして遠心分離を行い、洗い作業を行
った。この細胞を液体窒素して−80℃で保存し、後の
タンパクの回収に使用した。
【0017】次に、Sf9細胞からのタンパクの分離・回
収について説明する。−80℃で保存した細胞を温度を
上げ溶解し、再度−80℃で凍結するといった凍結溶解
作業を行い、細胞の構造を破壊した。次いで、1%のTr
itonX-100とタンパク分解酵素阻害剤を添加したBinding
buffer(20mM Tris-HCl, 500mM NaCl, 5mM imidazole)
を、上記の処理をした細胞に加え、氷上で1時間放置し
て、細胞膜を溶解させた。その後、ソニケーションによ
り細胞を完全に破壊し、遠心分離(40000g,30min,4℃)
し、その上清液を分離した。他方で予め、2.5mlのPro-B
ond metal affinity resin(Invitrogen)の入ったcolou
mnを、タンパク分解酵素阻害剤を添加したbinding buff
er で平衡化をした後、Wash buffer(20mM Tris-HCl,500
mM NaCl,60mM imidazole)で洗い作業を行い、カラムの
準備をした。このカラムに上記の上清液を流し、imidaz
oleの濃度勾配を用いて精製した。さらに、XB/EB buffe
rで平衡化したmicrospin G-25カラム(Amersham Pharma
cia Biotech Ltd.)を用いて、His-tagの付いたタンパ
ク(His-RNR−R1)を精製した。このようにして、
ほぼ純品であるRNR−R1を得て、以下に行う紡錘極
体活性化の試験に用いた。
【0018】RNR−R1による紡錘極体活性化を観察
するために、上述した酵母細胞の処理を行い、RNR−
R1の添加の影響を、抗αチュブリン抗体で免疫染色す
ることにより、αチュブリンの形態変化、すなわち、紡
錘極体活性化を形態的に確認した。結果は、単体のRN
R−R1の添加によっても、紡錘極体活性化が起こるこ
とが確認された。次に、RNR−R1添加の濃度依存性
による、分裂酵母の紡錘極体活性化を測定した。結果
は、RNR−R1の濃度を高くすると、紡錘極体活性化
が上昇するが、一定以上の濃度からはその上昇が鈍化
し、それ以上の上昇は見られなくなった。この濃度依存
性のデータから、約5uMのRNR−R1添加によっ
て、最大紡錘体活性の半値が求められた(図1−1)。
さらに、RNR−R1投与による紡錘極体活性化のAT
P依存性を測定した。ATP存在下での30uMのRN
R−R1の投与で、ATP非存在下でのRNR−R1の
投与の場合と比して、約2.6倍の紡錘極体活性化の上
昇が示された(図1−2)。尚、ATP投与のみの測定
値は、ATP非存在下でのRNR−R1投与の測定値と
ほぼ同様であり、紡錘極体活性化は見られず、低い値で
あった。これらの実験により、単体のRNR−R1タン
パクを、分裂酵母に作用させることで、紡錘極体活性化
を起こすものであることが明らかになった。さらに、こ
の活性化には、ATPが必須であることが示された。
【0019】次に、このRNR−R1による紡錘極体活
性化を抑制する阻害ペプチドをスクリーニングした。表
1に示すマウス、ヒト、分裂酵母及びアフリカツメガエ
ルのRNR−R1タンパクの一部のアミノ酸配列を有す
るペプチドを作製した。阻害効果の測定は、高い紡錘極
体活性化能を有する有糸分裂期のカエルの卵母細胞から
注出した200Kのタンパクを含んだフラクションをポ
ジチブコントロールとし、各々のペプチドを1.2mM
を投与して、紡錘極体活性化能の抑制効果を測定した。
【表1】
【0020】測定結果は、PM1及びPM1Bが紡錘極
体活性の高い抑制効果を示し、X384も比較的高い抑
制効果を示した。また、M572、RNR−C及びM7
83についても紡錘極体活性の抑制効果を有することが
示された(図2−1)。
【0021】さらに、紡錘極体活性の高い抑制効果を示
したPM1の濃度依存的な阻害効果を測定するために、
0mMから1.2mMまでの5点でのそれぞれでのPM
1の濃度で実験を行った。結果は、0.5mM以下のP
M1で十分に、紡錘極体活性の阻害効果を示した(図2
−2)。
【実施例】
【0022】RNR−R1は、動物培養細胞及び分裂酵
母等に挿入・添加することで、微小管中心・紡錘極体が
活性化されるので、そのメカニズムを解明するための研
究試薬として使用できる。この場合、純品としてのタン
パクとして提供してもよく、使用者にそのタンパクを容
易に作成できるように、Hisタグ、GST(glutathi
one S-transferase)及び、MBP(マルトース結合タン
パク)等を付加し、Sf9細胞や大腸菌等で発現するプ
ラスミドにDNAとして挿入したプラスミドとして提供
してもよい。
【0023】PM1及びPM1B等のRNR−R1の紡
錘体活性の阻害ペプチドは、RNR−R1に依存する紡
錘極体活性化の細胞メカニズムを解明する、又は細胞分
裂・細胞周期等の研究試薬として広く使用できるもので
ある。この場合も、これらのペプチドの遺伝子を発現ベ
クターに組み込むことで、細胞内でそのペプチドを発現
させてもよい。また、短いペプチドは細胞内で不安定な
ため、GFP等のキャリアタンパク質と結合させること
によって安定性を増すこととしてもよい。
【0024】リボヌクレオチド還元酵素は、ガン細胞に
おいて活性が上昇していることから(Weber,G:Biochemi
cal startegy of cancer cells and the design of che
motherapy:GHA.Clowes memorial lecture.Cancer Res 4
3:3466-92,1983)、抗ガン剤の標的の1つとして挙げら
れいる。そこで、阻害ペプチドを細胞内に導入すること
によって、RNR−R1の機能を阻害し、細胞増殖を抑
制する可能性が考えられる。細胞内に当該阻害ペプチド
を導入する方法としては、リポソーム内にペプチドを取
り込ませて、細胞と融合させる、細胞膜を通過できる小
さなタンパク質とカップルさせる、又は、発現ベクター
に遺伝子として挿入する等の方法が挙げられる。ここ
で、発現ベクターを使用する場合は、先と同様に短いペ
プチドは細胞内で不安定なため、GFP等のキャリアタ
ンパク質と結合させることによって安定性を増すことと
してもよい。
【0025】また、別の態様として、RNR−R1のア
ミノ酸配列の内、当該阻害ペプチドの領域を欠損させた
RNR−R1変異体又は、その領域のアミノ酸配列の一
部若しくは、全部に変異を持つRNR−R1変異体を、
細胞内で発現させることによって、細胞の増殖を阻害す
ることができる。又は、これら変異体タンパクをタンパ
ク製剤として同様の効果を得ることが挙げられる。図3
には、RNR−R1変異体に分裂細胞に発現させた場合
に、細胞の増殖の抑制効果を示したものである。この態
様の場合は、上記の細胞増殖の抑制効果の有するRNR
−R1変異体をコードする遺伝子を発現ベクターに挿入
して、遺伝子治療するためのプラスミド又は、研究試薬
としても提供できる。
【0026】
【発明の効果】本発明において、RNR−R1が、紡錘
極体活性化を引き起こす過程で重要なタンパクであるこ
とを初めて明らかにした。本タンパクを用いることで、
任意に紡錘極体活性化を引き起こす試薬として提供でき
る。また、本発明における阻害ペプチドを提供すること
で、RNR−R1による紡錘極体活性化を抑制すること
ができる。この抑制効果は、試験研究目的の他に、RN
R−R1が抗ガン剤の標的分子の1つになっているの
で、腫瘍細胞にこれらのペプチドを発現若しくは、挿入
することで、その細胞増殖を抑制することが挙げられ
る。さらに、本発明における阻害ペプチドが作用するR
NR−R1の当該部位を欠損させたRNR−R1変異タ
ンパク若しくは、このドメインにアミノ酸の置換等の変
異をRNR−R1変異タンパクを、タンパク製剤若しく
は遺伝子治療用ベクターにこれらのタンパクをコードす
る遺伝子を導入しても、同様の効果が得られる。
【0027】
【配列表】
SEQUENCE LISTING <110>Communications Researh Laboraty /RIKEN <120>Rebonucleotide Reductase Protein RI and
its Inhibitor <160>3 <210>1 <211>12 <212>PRT <213>Schizosaccharomyces pombe <400>Asn-Val-Asn-Pro-Thr-Asp-Leu-Trp-Asp-Trp-
Ala-Glu <210>2 <211>15 <212>PRT <213>Xenopus <400>Thr-Asp-Ile-Asp-Ala-Ala-Ile-Glu-Thr-Asn-
Leu-Leu-Ser-Glu-Lys <210>3 <211>21 <212>PRT <213>Xenopus <400>Gly-Ala-Phe-Ile-Asp-Gln-Ser-Gln-Ser-Lys-
Asn-Ile-His-Val-Ala-Glu-Pro-Asn-Tyr-Gly-Lys
【0028】
【図面の簡単な説明】
【図1−1】His-Tagを付加したマウスのRNR−R1
による紡錘体活性化の濃度依存性を示したグラフ。
【図1−2】RNR−R1による紡錘極体活性化のおけ
るATP依存性を示したグラフ
【図2−1】M期のアフリカツメガエルからの注出画分
の紡錘極体活性化における各種ペプチドによる抑制効果
を示したグラフ。
【図2−2】図2−1での阻害ペプチドPM1の濃度依
存的な抑制効果を示したグラフ
【図3】阻害ペプチドに対応するRNR−R1の部位を
欠損・置換をしたRNR−R1変異体による分裂酵母の
細胞増殖の影響を示したグラフ。横軸は、培養時間
(時)であり、縦軸は細胞するを示す。○は野生株の分
裂酵母、△は阻害ペプチドに対応する部位を欠損させた
RNR−R1変異タンパクを発現した分裂酵母、□は当
該部位のPro-Thr-Aspのアミノ酸配列をLys-Ile-Tyrに置
換させたをRNR−R1変異タンパクを発現した分裂酵
母。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C07K 7/08 C12N 9/02 14/39 9/99 C12N 9/02 C12Q 1/26 9/99 C12N 15/00 ZNAA C12Q 1/26 A61K 37/50 (72)発明者 平岡 泰 東京都小金井市貫井北町4−2−1 独立 行政法人通信総合研究所内 (72)発明者 高田 左恵子 埼玉県和光市広沢2番1号 理化学研究所 内 (72)発明者 柴田 武彦 埼玉県和光市広沢2番1号 理化学研究所 内 Fターム(参考) 4B024 AA01 AA20 BA08 CA04 DA02 DA06 EA04 GA11 4B050 CC03 CC10 DD11 LL10 4B063 QA01 QA18 QQ20 QQ95 QR02 QR48 QR67 QR76 QS24 QS28 4C084 AA02 AA07 AA13 BA01 BA08 BA18 BA23 CA53 DC23 NA14 ZB22 ZB26 4H045 AA10 AA30 BA16 BA41 CA15 DA55 EA20 FA74

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】少なくともリボヌクレオチド還元酵素の8
    5KDaの大きいサブユニット(RNR−R1)領域を
    有するタンパクを有する、細胞の紡錘極体若しくは中心
    体活性化を引き起こす組成物。
  2. 【請求項2】請求項1のタンパク若しくはこのアミノ酸
    配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若
    しくは付加された,細胞の紡錘極体若しくは中心体活性
    化を引き起こす特徴を持つタンパクのアミノ酸配列をコ
    ードする遺伝子を、昆虫細胞、動物細胞、酵母、大腸菌
    の発現ベクター若しくは遺伝子治療用ベクターのいずれ
    かの発現ベクターに挿入したプラスミド。
  3. 【請求項3】請求項1又は2に記載のタンパクによる、
    細胞の紡錘極体若しくは中心体活性化機能を阻害する特
    徴を有する、下記のペプチド又は下記のペプチドを含む
    ペプチド。 (1)配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるペプ
    チド。 (2)配列番号1で表されるアミノ酸配列において、1
    若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加され
    たアミノ酸配列からなるペプチド。
  4. 【請求項4】少なくとも請求項3のペプチドをコードす
    る遺伝子を昆虫細胞、動物細胞、酵母、大腸菌の発現ベ
    クター若しくは遺伝子治療用ベクターに挿入したプラス
    ミド。
  5. 【請求項5】細胞内で安定性を有しながら発現できる請
    求項3のペプチドをキャリアータンパク質に結合したタ
    ンパク質をコードする遺伝子を昆虫細胞、動物細胞、酵
    母、大腸菌若しくは遺伝子治療用ベクター発現ベクター
    に挿入したプラスミド。
  6. 【請求項6】請求項3に記載のペプチド又は、RNR−
    R1の当該ペプチドに対応するドメインを用いて、RN
    R−R1による紡錘極体若しくは中心体活性化を阻害す
    る化合物をスクリーニングする方法。
  7. 【請求項7】腫瘍細胞の増殖抑制又は紡錘極体若しくは
    中心体活性化を阻害する、RNR−R1の請求項3に記
    載のアミノ酸配列に対応するドメインの欠損させたRN
    R−R1変異体タンパク、又は当該ドメインに1又は2
    以上のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたRNR
    −R1変異体タンパク。
  8. 【請求項8】請求項7に記載の変異タンパクをコードす
    る遺伝子を昆虫細胞、動物細胞、酵母、大腸菌の発現ベ
    クター若しくは遺伝子治療用ベクターのいずれかの発現
    ベクターに挿入したプラスミド。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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