JP2002353019A - ハードフェライト磁粉およびハードフェライト磁石の製造方法 - Google Patents

ハードフェライト磁粉およびハードフェライト磁石の製造方法

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JP2002353019A
JP2002353019A JP2001158069A JP2001158069A JP2002353019A JP 2002353019 A JP2002353019 A JP 2002353019A JP 2001158069 A JP2001158069 A JP 2001158069A JP 2001158069 A JP2001158069 A JP 2001158069A JP 2002353019 A JP2002353019 A JP 2002353019A
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hard ferrite
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magnet
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JP2001158069A
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English (en)
Inventor
Etsushi Oda
悦志 尾田
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Hitachi Metals Ltd
Original Assignee
Sumitomo Special Metals Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 低い製造コストにて品質特性を向上させた微
細かつ組成の均一なハードフェライト原料粉末を提供す
る。 【解決手段】 鉄の塩化物水溶液を焙焼炉内に噴霧する
ともに、焙焼炉内において鉄の塩化物水溶液が酸化物に
変化する領域に対し、化合物A、化合物B、化合物C、
および化合物Dからなる群から選択された少なくとも一
種の化合物であって、必ず前記化合物Aを含む化合物
を、粉またはスラリーの状態で噴霧する。化合物Aは、
SrCO3および/またはSrSO4、化合物Bは、酸化
物に変化し得るSr化合物、化合物Cは、Laの酸化
物、Coの酸化物、Mnの酸化物、Niの酸化物、およ
び/またはCuの酸化物、化合物Dは、化合物Cに変化
し得る化合物である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、噴霧熱分解法によ
るハードフェライト原料粉末および該ハードフェライト
原料粉末を用いた磁石の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ハードフェライトは二価の陽イオン金属
の酸化物と三価の鉄の酸化物とが作る化合物の総称であ
り、ハードフェライト磁石は各種回転機やスピーカーな
どの種々の用途に使用されている。ハードフェライト磁
石の材料としては、六方晶のM型マグネトプランバイト
構造を持つSrハードフェライト(SrFe1219)ま
たはBaハードフェライト(BaFe1219)が広く用
いられている。M型マグネトプランバイト構造ハードフ
ェライトの基本組成は、通常、AO・6Fe23の化学
式で表現される。元素Aは二価陽イオンとなる金属であ
り、Sr、Ba、Pb、Caなどから選択される。これ
らのハードフェライトは、酸化鉄とストロンチウム(S
r)、バリウム(Ba)などの炭酸塩を原料とし、粉末
冶金法によって比較的安価に製造される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしこのような従来
の製造方法においては次の問題点がある。 (1)固体の原料混合粉末を混合分散するため、組成の
均一混合性が必ずしも十分でなく、製品の磁気特性が十
分なレベルに至らない。 (2)仮焼温度が1150〜1400℃という高温であ
るため、コストが上昇する。 (3)仮焼工程で磁粉が粒成長するため、次工程の粉砕
工程で1μm以下までボールミルなどで機械的に粉砕す
る際に長時間を要し、この際に粉砕媒体の磨耗などによ
る不純物の混入や組成のずれがおこる、微粉砕後の磁粉
の粒度分布がシャープにならないなどの問題が発生し製
品の磁気特性を劣化する。
【0004】本発明はかかる諸点に鑑みてなされたもの
であり、その主な目的は、組成および粒度が均一かつ微
細なハードフェライト原料粉末の製造方法を提供するこ
とにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記問題点
を解決するため、製造コストが低く、効率よく高特性の
ハードフェライト原料粉末を製造する方法について鋭意
検討を行った。その結果、このような目的は、噴霧熱分
解法を応用した下記(1)〜(27)のいずれかの構成
により達成されることを知見した。すなわち、 (1) 鉄の塩化物水溶液を焙焼炉内に噴霧するととも
に、前記焙焼炉内において前記鉄の塩化物水溶液が酸化
物に変化する領域に対して、化合物A、化合物B、化合
物C、および化合物Dからなる群から選択された少なく
とも一種の化合物であって、必ず前記化合物Aを含む化
合物を、粉またはスラリーの状態で噴霧することを特徴
とするハードフェライト原料粉末の製造方法であって、
前記化合物Aは、SrCO3および/またはSrSO4
前記化合物Bは、酸化物に変化し得るSr化合物、前記
化合物Cは、Laの酸化物、Coの酸化物、Mnの酸化
物、Niの酸化物、および/またはCuの酸化物、前記
化合物Dは、前記化合物Cに変化し得る化合物である、
ハードフェライト原料粉末の製造方法。
【0006】(2) 前記鉄の塩化物水溶液は、前記化
合物A、化合物B、化合物C、および化合物Dからなる
群から選択された少なくとも一種の化合物の粉末を含有
している上記(1)に記載のハードフェライト原料粉末
の製造方法。
【0007】(3) 化合物A、化合物B、化合物C、
および化合物Dからなる群から選択された少なくとも一
種の化合物であって、必ず前記化合物Aを含有する鉄の
塩化物水溶液を焙焼炉内に噴霧することを特徴とするハ
ードフェライト原料粉末の製造方法であって、前記化合
物Aは、SrCO3および/またはSrSO4、前記化合
物Bは、酸化物に変化し得るSr化合物、前記化合物C
は、Laの酸化物、Coの酸化物、Mnの酸化物、Ni
の酸化物、および/またはCuの酸化物、前記化合物D
は、前記化合物Cに変化し得る化合物である、ハードフ
ェライト原料粉末の製造方法。
【0008】(4) 前記鉄の塩化物水溶液のpHは6
より小さい、上記(1)から(3)のいずれかに記載の
ハードフェライト原料粉末の製造方法。
【0009】(5) 前記焙焼炉内の温度を600℃以
上1350℃以下にすることを特徴とする(1)から
(4)のいずれかに記載のハードフェライト原料粉末の
製造方法。
【0010】(6) 前記焙焼炉内の温度を1000℃
以上1350℃以下にすることを特徴とする上記(5)
に記載のハードフェライト原料粉末の製造方法。
【0011】(7) 前記鉄の塩化物水溶液の原料とし
て、製鉄所の圧延工程における鋼板等の塩酸酸洗廃液を
用いることを特徴とする上記(1)から(6)のいずれ
かに記載のハードフェライト原料粉末の製造方法。
【0012】(8) 前記焙焼炉として前記製鉄所にお
ける塩酸回収設備を用いることを特徴とする上記(1)
から(7)のいずれかに記載のハードフェライト原料粉
末の製造方法。
【0013】(9) 上記(1)から(8)のいずれか
に記載の製造方法によって製造されたハードフェライト
原料粉末に、SrCO3、SrSO4、La23、Coの
酸化物、Coの水酸化物、Mnの酸化物、Niの酸化
物、Cuの酸化物からなる群から選択された少なくとも
一種の化合物の粉末を添加するハードフェライト原料粉
末の製造方法。
【0014】(10) 上記(1)から(9)のいずれ
かに記載の製造方法によって製造されたハードフェライ
ト原料粉末を800℃以上1400℃以下の温度で仮焼
するハードフェライト原料粉末の製造方法。
【0015】(11) 上記(1)から(10)のいず
れかに記載の製造方法によって製造されたハードフェラ
イト原料粉末を洗浄し、磁粉中の残留塩素濃度を100
0ppm以下にするハードフェライト原料粉末の製造方
法。
【0016】(12) 上記(1)から(11)のいず
れかに記載の製造方法によって製造されたハードフェラ
イト原料粉末を粉砕し、空気透過法で測定した平均粒度
を0.2μm以上2.0μm以下の範囲内にする磁石粉末
の製造方法。
【0017】(13) 上記(1)から(11)のいず
れかに記載の製造方法によって製造されたハードフェラ
イト原料粉末に、CaO、SiO2、Cr23およびA
2 3(CaO:0.3重量%以上1.5重量%以下、
SiO2:0.2重量%以上1.0重量%以下、Cr2
3:0重量%以上5.0重量%以下、Al23:0重量
%以上5.0重量%以下)を添加した混合ハードフェラ
イト原料粉末を用意する工程と、前記混合ハードフェラ
イト原料粉末を粉砕することにより、空気透過法で測定
した平均粒度が0.2μm以上2.0μm以下の範囲内
にあるハードフェライト粉砕粉末を形成する工程と、を
包含する磁石粉末の製造方法。
【0018】(14) 前記粉砕工程において、乾式お
よび/または湿式の振動ミルにより、空気透過法で測定
した平均粒度が3μm以下まで粉砕を行う上記(12)
または(13)に記載の磁石粉末の製造方法。
【0019】(15) 上記(1)から(11)のいず
れかに記載の製造方法によって製造されたハードフェラ
イト原料粉末を含むボンド磁石。
【0020】(16) 上記(12)から(14)のい
ずれかに記載の製造方法によって製造された磁石粉末を
含むボンド磁石。
【0021】(17) 上記(1)から(11)のいず
れかに記載の製造方法によって製造されたハードフェラ
イト原料粉末に対して熱処理を施す工程と、前記熱処理
が施されたハードフェライト原料粉末からボンド磁石を
作製する工程と、を包含する磁石の製造方法。
【0022】(18) 上記(12)から(14)のい
ずれかに記載の製造方法によって製造された磁石粉末に
対して熱処理を施す工程と、前記熱処理が施された磁石
粉末からボンド磁石を作製する工程と、を包含する磁石
の製造方法。
【0023】(19) 前記熱処理を700℃以上11
00℃以下の温度で実行する(17)または(18)に
記載の磁石の製造方法。
【0024】(20) 上記(1)から(11)のいず
れかに記載の製造方法によって製造されたハードフェラ
イト原料粉末から作製された焼結磁石。
【0025】(21) 上記(12)から(14)のい
ずれかに記載の製造方法によって製造された磁石粉末か
ら作製された焼結磁石。
【0026】(22) 上記(1)から(11)のいず
れかに記載の製造方法によって製造されたハードフェラ
イト原料粉末を用意する工程と、前記ハードフェライト
原料粉末を、濃縮、混練、磁場中成形または無磁場中成
形、焼結する工程とを包含する焼結磁石の製造方法。
【0027】(23) 上記(12)から(14)のい
ずれかに記載の製造方法によって製造された磁石粉末を
用意する工程と、前記磁石粉末を、濃縮、混練、磁場中
成形または無磁場中成形、焼結する工程とを包含する焼
結磁石の製造方法。
【0028】(24) 上記(1)から(11)のいず
れかに記載の製造方法によって製造されたハードフェラ
イト原料粉末を用意する工程と、前記ハードフェライト
原料粉末を、濃縮、混練、乾燥、解砕、磁場中成形また
は無磁場中成形、焼結する工程と、を包含する焼結磁石
の製造方法。
【0029】(25) 上記(12)から(14)のい
ずれかに記載の製造方法によって製造された磁石粉末を
用意する工程と、前記磁石粉末を、濃縮、混練、乾燥、
解砕、磁場中成形または無磁場中成形、焼結する工程と
を包含する焼結磁石の製造方法。
【0030】(26) 粉砕時あるいは混練時に分散剤
を固形分比率で0.2重量%以上2.0重量%以下添加
する上記(22)から(25)のいずれかに記載の焼結
磁石の製造方法。
【0031】(27) 上記(15)、(16)、(2
0)または(21)に記載の磁石を備えた回転機。
【0032】
【発明の実施の形態】本発明によるハードフェライト原
料粉末の製造方法では、焙焼炉内に鉄の塩化物水溶液を
噴霧する。そして、焙焼炉内において、この塩化物水溶
液が酸化物に変化する領域に、以下に示す化合物A、化
合物B、化合物C、および化合物Dからなる群から選択
された少なくとも一種の化合物を、粉またはスラリーの
状態で噴霧する。ただし、この化合物は、必ず化合物A
を含むものとする。
【0033】上記の化合物Aは、SrCO3および/ま
たはSrSO4、化合物Bは、酸化物に変化し得るSr
化合物、化合物Cは、Laの酸化物、Coの酸化物、M
nの酸化物、Niの酸化物、および/またはCuの酸化
物、化合物Dは、前記化合物Cに変化し得る化合物であ
る。
【0034】本発明では、上記の化合物A、化合物B、
化合物C、および化合物Dからなる群から選択された少
なくとも一種の化合物を焙焼炉内に噴霧するに際して、
その化合物の一部を予め鉄の塩化物水溶液に混合させ、
鉄の塩化物水溶液とともに噴霧し、かつ、上記化合物の
残りを鉄の塩化物水溶液などが酸化物に変化する領域に
対して噴霧するようにしてもよい。また、噴霧のために
上記の化合物A、化合物B、化合物C、および化合物D
からなる群から選択された少なくとも一種の化合物のす
べてを、鉄の塩化物水溶液に混合させ、この混合物水溶
液を焙焼路内に噴霧するようにしてもよい。
【0035】噴霧により得られるハードフェライト原料
粉末に対しては、SrCO3、SrSO4、La23、C
oの酸化物、Coの水酸化物、Mnの酸化物、Niの酸
化物、および、Cuの酸化物からなる群から選択された
少なくとも一種の化合物の粉末を添加してもよい。ま
た、上記方法で作製したハードフェライト原料粉末に対
して、更に追加的に仮焼を行ってもよい。
【0036】噴霧熱分解法でハードフェライト原料粉末
を作製する場合、Fe、Sr、その他の原料から形成し
た混合塩化物水溶液を焙焼炉内に噴霧すると、各元素の
塩化物としての蒸気圧の違いにより、同時に酸化焙焼が
できず、作製したハードフェライト原料粉末に大きな組
成ずれが生じる等の問題が発生した。このような場合、
後工程で再び不足分の元素を酸化物等の形で混合する必
要が生じ、原料の均一混合性が十分に得られない。ま
た、原料の歩留まりも悪くなり、製造コストも増加す
る。
【0037】これに対し、ハードフェライトの主原料で
あるFeのみを塩化物の水溶液として噴霧する一方、そ
の他の原料であるSr、La、Co、Mn、Ni、Cu
については、Feの塩化物水溶液が酸化物に変化する領
域に、上記元素を含む化合物の粉、溶液、またはスラリ
ーの状態で噴霧すれば、塩化物としての各元素の蒸気圧
差に左右されることなく、各原料を酸化焙焼できること
を見出し、本発明を想到するに到った。
【0038】Sr、La、Co、Mn、Ni、および/
またはCuを含む化合物としては、これらの元素の酸化
物、または、これらの元素の酸化物に変化しうる化合物
を用いることができる。Sr、La、Co、Mn、N
i、および/またはCuの酸化物に変化しえる化合物と
は、例えば、これらの元素の炭酸塩、硫酸塩、硝酸塩、
水酸化物などである。
【0039】本発明によれば、微細かつ粒度分布がシャ
ープで、組成の均一なハードフェライト原料粉末が作製
できる。このため、ハードフェライトの製造工程におい
て、仮焼および粉砕などの諸工程を短縮あるいは省略す
ることができる。更に、このようなハードフェライト原
料粉末を用いることにより、磁気特性の優れたハードフ
ェライト磁石が得られる。
【0040】前記Feの塩化物水溶液に含まれるFeの
塩化物の濃度は、20重量%以上35重量%以下が好ま
しい。Feの塩化物水溶液には、製鉄所の圧延工程にお
ける鋼板等の塩酸酸洗廃液を用いることができる。
【0041】Feの塩化物水溶液は、同時に焙焼炉内に
噴霧するSr、La、Co、Mn、Ni、Cuの酸化
物、もしくは炭酸塩、硫酸塩、硝酸塩、水酸化物等の酸
化物に変化する化合物の一部または全部を、化合物粉末
の形で含有していてもよい。また、上記化合物粉末の一
部がFeの塩化物水溶液中に溶出し、塩化物の水溶液と
なっていてもよい。
【0042】このとき、Feの塩化物水溶液に含まれる
Sr塩化物の濃度は、1.9重量%未満が好ましく、F
eの塩化物水溶液に含まれるLa、Co、Mn、Ni、
Cuの塩化物の濃度は、それぞれ1重量%以下が好まし
い。
【0043】Feの塩化物水溶液には、必要に応じて、
3BO3、B23などを1.0重量%以下程度添加して
もよい、また、他の化合物、例えばCa、Si、Pb、
Al、Ga、Cr、Sn、In、Co、Ni、Ti、M
n、Cu、Ge、Nb、Zr、Li、Mo、Bi、希土
類元素(Yを含む)などを含む化合物を2重量%以下程
度添加してもよい。更に、微量であれば不可避成分など
の不純物を含有していてもよい。
【0044】また、Fe化合物等の沈殿が水溶液中で生
成するのを防ぐため、Feの塩化物水溶液は酸性に保つ
ことが好ましい。このFeの塩化物水溶液は、pH<6
を満足することが好ましく、pH≦2がより好ましい。
【0045】Sr原料の少なくとも一部として硫酸スト
ロンチウムを用いたり、Co原料として水酸化コバルト
を用いれば、ハードフェライト化の反応が促進される。
【0046】上記Sr、La、Co、Mn、Ni、Cu
の化合物を焙焼炉内へ供給する方法としては、5重量%
以上40重量%以下程度に調節した化合物のスラリーを
噴霧ノズルを用いて焙焼炉内へ噴霧したり、化合物の粉
末を圧縮空気や圧縮酸素を用いてノズルから噴霧する方
法を採用することができる。
【0047】上記化合物の噴霧を、Feの塩化物水溶液
が酸化物に変化する領域に対して行うことにより、マグ
ネトプランバイト型ハードフェライトへの反応を効率よ
く起こすことができる。
【0048】Sr、La、Co、Mn、Ni、Cuの化
合物の添加は、焙焼炉内に噴霧する形で行う(噴霧時添
加)ことが好ましいが、Sr以外の元素については、少
なくともSr化合物を焙焼炉内に噴霧して作製したハー
ドフェライト原料粉末に対し、後から添加してもよい
(噴霧後添加)。特に、Co、Mn、Ni、Cuの化合
物に関しては、噴霧後添加の方が、より少ない添加量で
良好な磁気特性を得ることができる。
【0049】Sr、La、Co、Mn、Ni、Cuの化
合物の噴霧時および噴霧後における総添加量は、酸化物
換算モル量でFe231モルに対し、SrOが0.1モ
ル以上0.22モル以下、La23が0モル以上0.0
4モル以下、CoO,MnO,NiOおよびCuOがそ
れぞれ0モル以上0.07モル以下になるように調節す
ることが好ましい。
【0050】Feの塩化物水溶液の噴霧や、Sr、L
a、Co、Mn、Ni、および/またはCuの化合物の
噴霧は、600℃以上1350℃以下の焙焼炉内に行う
ことが好ましい。焙焼炉内温度が600℃より低い場
合、熱分解、酸化反応が十分でなく、例えばFeの塩化
物などが未反応で残留してしまう。また、焙焼炉内温度
が1350℃より高い場合、作製した粒子が凝集した
り、マグネタイトなどの異相が生成しやすくなる。
【0051】焙焼炉内温度が600℃以上でも、Sr、
La、Co、Mn、Ni、Cuの化合物が一部未反応で
残留することがあるが、この場合は追加的にロータリー
キルンや連続炉、バッチ炉等を用いて800℃以上14
00℃以下で仮焼すればよい。この追加的な仮焼によ
り、未反応の粉末同士が容易に反応し、マグネトプラン
バイト型ハードフェライトへの反応が促進される。この
追加的な仮焼は、Sr、La、Co、Mn、Ni、Cu
の化合物を噴霧後添加した場合にも、同様の効果を示
す。作製したハードフェライト原料粉末を焼結磁石の原
料として用いる場合は、焼結と同時にハードフェライト
化反応を起こすことができる。ハードフェライト原料粉
末をボンド磁石用などのように粉末のまま用いる場合に
は、このような追加的な仮焼を施すことが好ましい。
【0052】上記の追加的な仮焼は、作製したハードフ
ェライト原料粉末中に残留する塩化物等の未反応物を十
分に除去するという効果も有している。従って、作製し
たハードフェライト原料粉末が十分にハードフェライト
化されている場合でも、追加的な仮焼を行う意義はあ
る。更に、追加的な仮焼によって、作製したハードフェ
ライト原料粉末を粒成長させ、望ましい平均粒度にコン
トロールしてもよい。
【0053】Feの塩化物水溶液が酸化物に変化する領
域に、酸素ガス、可燃性ガスを吹き込むか、可燃性溶剤
を噴霧しするかしてもよい。これらのガスを吹き込んだ
り、可燃性溶剤を噴霧することにより、ハードフェライ
ト化が起こる領域の温度を効果的に上昇させることがで
き、それによって比較的低い焙焼炉内温度で効率的にハ
ードフェライト原料粉末を作製することができる。
【0054】ハードフェライト原料粉末の作製に用いる
焙焼炉としては、製鉄所の圧延工程における鋼板等の塩
酸酸洗工程で出る廃酸から塩酸を回収する設備を用いれ
ば、効率的にハードフェライト原料粉末の作製を行うこ
とができる。
【0055】ハードフェライト原料粉末中に未反応の残
留塩化物が存在していると、ハードフェライト原料粉末
自体の磁気特性が悪化したり、この後の焼結磁石を作製
する工程に悪影響を及ぼすことがある。このため、上記
ハードフェライト原料粉末を水等で洗浄し、残留塩素濃
度を1000ppm以下にすることが好ましい。
【0056】ハードフェライト原料粉末を粉砕および/
または解砕する粉砕工程を行なえば、本発明によるハー
ドフェライト磁石粉末を得ることができる。その平均粒
度は、好ましくは2μm以下、より好ましくは0.2μ
m以上1μmの範囲内にある。平均粒度のさらに好まし
い範囲は、0.4μm以上0.9μm以下である。この
粉砕工程には、振動ミルによる乾式および/または湿式
粉砕により3μm以下まで粉砕する工程を含むことが好
ましい。なお、これらの平均粒度は空気透過法によって
測定したものである。
【0057】上記ハードフェライト原料粉末やハードフ
ェライト磁石粉末に対して熱処理を施した後、フレキシ
ビリティのあるゴムや硬質軽量のプラスチックなどの各
種バインダと混ぜ固めて、ボンド磁石を作製することも
できる。この場合、本発明のハードフェライト原料粉末
やハードフェライト磁石粉末をバインダと混練した後、
成形加工を行う。混練時には、公知の各種分散剤および
界面活性剤を、固形分比率で0.2重量%以上2.0重
量%以下添加することが好ましい。成形加工は、射出成
形、押し出し成形、ロール成形等の方法によって磁場中
または無磁場中で実行される。
【0058】上記熱処理は、上記ハードフェライト原料
粉末やハードフェライト磁石粉末の粉砕工程時にこれら
の粉末粒子に導入された結晶歪を除去するために行われ
る。700℃以上の熱処理により、粉末粒子中の結晶歪
は緩和されて保磁力が回復する。しかし、1100℃以
上の熱処理では、粉末の粒成長が起こり始めるために保
磁力が低下する。磁化は、熱処理温度が1000℃まで
は保磁力とともに上昇するが、この温度以上では配向度
が低下するために減少する。この理由としては、粉末粒
子同士の融着が起こることが考えられる。以上のことか
ら、上記熱処理は700℃以上1100℃以下の温度で
1秒以上3時間以下行うことが好ましい。熱処理温度の
より好ましい範囲は900℃以上1000℃以下であ
る。
【0059】なお、上記ハードフェライト原料粉末やハ
ードフェライト磁石粉末に対して熱処理を施した後、公
知の各種バインダと混練して塗布することによって塗布
型の磁気記録媒体を作製することもできる。
【0060】次に、本発明によるハードフェライト磁石
の製造方法を説明する。
【0061】まず、前述の方法によって、ハードフェラ
イト原料粉末を製造する。次に、このハードフェライト
原料粉末に必要に応じて、Sr、La、Co、Mn、N
i、Cuの化合物を添加した後、振動ミル、ボールミル
および/またはアトライターを用いた微粉砕工程によっ
てハードフェライト原料粉末を、空気透過法で測定した
平均粒度が0.2μm以上2.0μm以下の範囲内にあ
る微粒子に粉砕する。微粒子の平均粒度は0.4μm以
上0.9μm以下(空気透過法)にすることが好まし
い。微粉砕工程は、乾式粉砕(1μmを超える粗粉砕)
と湿式粉砕(1μm以下の微粉砕)とを組み合わせて行
うことが好ましい。
【0062】得られたハードフェライト微粉砕粉末に対
し、より均一なハードフェライト磁石粉末を得るため、
追加的な仮焼の工程および粉砕工程を行ってもよい。
【0063】微粉砕工程時に、磁気特性の改善の目的
で、仮焼体にCaO、SiO2、Cr23およびAl2
3(CaO:0.3重量%以上1.5重量%以下、Si
2:0.2重量%以上1.0重量%以下、Cr23
0重量%以上5.0重量%以下、Al23:0重量%以
上5.0重量%以下)などを添加してもよい。
【0064】湿式粉砕に際して、水などの水系溶媒や種
々の非水系溶媒を用いることができる。湿式粉砕に際し
て、溶媒とハードフェライト微粉砕粉末とが混合したス
ラリーが生成される。スラリーには公知の各種分散剤お
よび界面活性剤を固形分比率で0.2重量%以上2.0
重量%以下添加することが好ましい。この微粉砕工程時
に、Bi23等を含む他の化合物を1重量%以下程度添
加してもよい。
【0065】その後、スラリー中の溶媒を除去しなが
ら、磁場中または無磁場中でプレス成形する。または、
スラリーを乾燥、解砕、造粒などを行った後、磁場中ま
たは無磁場中でプレス成形する。
【0066】プレス成形の後、脱脂工程、焼結工程、加
工工程、洗浄工程、検査工程などの公知の製造プロセス
を経て、最終的にハードフェライト磁石の製品が完成す
る。焼結工程は、空気中で例えば1100℃以上125
0℃以下の温度で0.5時間以上2時間以下の間行えば
よい。焼結工程で得られる焼結磁石の平均粒度は、例え
ば0.5μm以上2.0μm以下である。
【0067】本発明の回転機は、上記の方法によって製
造されたハードフェライトのボンド磁石や焼結磁石を備
えている点に特徴を有しており、その具体的構造自体は
公知の回転機と同様のものであってよい。
【0068】また、本発明のハードフェライト磁石粉末
を磁気記録媒体の薄膜磁性層に用いてもよい。スパッタ
法によって磁気記録媒体の磁性層を作製する場合、スパ
ッタのためのターゲットに本発明のハードフェライト磁
石を用いてもよい。
【0069】
【実施例】以下、本発明の実施例を説明する。
【0070】[実施例1]まず、FeCl2水溶液(2
8重量%FeCl2)に塩酸を添加することによってp
H=1となる鉄の塩化物水溶液を用意した。この塩化物
水溶液は炉内温度1100℃の焙焼炉内に噴霧されるこ
とになる。本実施例では、この塩化物水溶液が噴霧され
る領域に対し、予め用意しておいた20重量%スラリー
のSrCO3懸濁液を酸化物換算モル量でFe23:S
rO=1:0.17となるように噴霧し、回収した粉末
を純水で洗浄した後、乾燥してハードフェライト原料粉
末を作製した。
【0071】作製したハードフェライト原料粉末の組成
は、90.0:10.0(重量比)であり、ほとんど組
成ずれはみられず、残留塩素濃度も1000ppm以下
であった。また、X線回折分析の結果、Feの酸化物が
若干見られるものの、ほとんどがマグネトプランバイト
型ハードフェライト相であった。加えて、無配向の粉末
試料で試料振動型磁力計(VSM)を用いて磁気特性を
調査したところ、表1に示したような優れた特性が得ら
れた。
【0072】次に、作製した原料粉末を乾式振動ミルで
1時間粉砕し、この粉砕粉末にCaCO3を0.8重量
%、SiO2を0.6重量%添加して、純水溶媒で45
重量%スラリーとし、湿式ボールミルで10時間微粉砕
した。その後、微粉砕スラリー中の溶媒を除去しながら
磁場中でプレス成形した。成形体を大気中、1200℃
で30分間焼結し、焼結磁石を作製した。
【0073】得られた焼結磁石の磁気特性は、表2に示
したような優れた特性が得られた。
【0074】上記方法と同様にして、モータ用のC型形
状焼結磁石を作製し、これを従来の材質の焼結磁石に代
えてモータ中に組み込み、定格条件で作動させたとこ
ろ、良好な特性を得た。また、そのトルクを測定したと
ころ、従来の材質の焼結磁石を用いたモータに比べて上
昇していた。
【0075】また、上記焼結磁石をターゲットとして用
い、スパッタ法により薄膜磁性層を有する磁気記録媒体
を作製したところ、高出力で高いS/Nが得られた。
【0076】[実施例2〜9]まず、FeCl2水溶液
(28重量%FeCl2)に塩酸を添加してpH=1に
した水溶液を用意した。この液を炉内温度1100℃の
焙焼炉内に噴霧する。また、上記水溶液が噴霧される領
域に対して、以下に示すスラリーを噴霧し、回収した粉
末を純水で洗浄した後、乾燥してハードフェライト原料
粉末を作製した。
【0077】上記スラリーは、以下の通りである。
【0078】(実施例2) SrCO3:14.3重量
%、La23:3.9重量%、Co34:1.8重量% (実施例3) SrCO3:14.3重量%、La
23:3.9重量%、Co(OH)3:2.6重量% (実施例4) SrCO3:14.3重量%、La
23:3.9重量%、NiO:1.8重量% (実施例5) SrCO3:14.3重量%、La
23:3.9重量%、Mn34:1.7重量% (実施例6) SrCO3:14.3重量%、La
23:3.9重量%、Co34:1.4重量%、Mn3
4:0.5重量% (実施例7) SrCO3:14.3重量%、La
23:3.9重量%、Co34:1.4重量%、Cu
O:0.4重量% (実施例8) SrCO3:14.3重量%、La
23:3.9重量%、Mn34:1.4重量%、Co3
4:0.5重量% (実施例9) SrCO3:14.3重量%、La
23:3.9重量%、Co34:0.9重量%、Mn3
4:0.9重量%、CuO:0.3重量%
【0079】上記の各スラリーを酸化物換算モル量でF
23:SrO:La23:MO=1:0.14:0.
02:0.04(MはCo、Ni、Mn、Cuなる群か
ら選択される少なくとも1種の元素)となるように噴霧
した。
【0080】得られたハードフェライト原料粉末の組成
は、実施例1と同様にほとんど組成ずれもなく、残留塩
素濃度も1000ppm以下であった。また、X線回折
分析の結果も実施例1と同様であった。加えて、無配向
の粉末試料でVSMを用いて磁気特性を調査したとこ
ろ、表1に示したような優れた特性が得られた。
【0081】次に、作製した原料粉末から実施例1と同
様にして焼結磁石を作製したところ、表2に示したよう
な優れた特性が得られた。
【0082】また、上記FeCl2水溶液と、SrC
3、Co34、Co(OH)3、NiO、Mn34、C
uOのそれぞれのスラリーをFeCl2水溶液の噴霧ノ
ズルの直前で混合して同一ノズルから噴霧し、以後は実
施例1と同様に焼結磁石まで作製したところ、SrCO
3、Co34、Co(OH)3、NiO、Mn34、Cu
Oの一部はFeCl2水溶液中の塩酸と反応して塩化物
として溶解するものの、作製したハードフェライト原料
粉末および焼結磁石とも、本実施例と同様の結果がえら
れた。
【0083】[比較例1]Fe23とSrCO3を原料
とし、酸化物換算重量で酸化物換算モル量でFe23
SrO=1:0.17となるように混合し、大気中にお
いて1300℃で3時間仮焼し、乳鉢で粉砕してハード
フェライト仮焼体粉末を作製した。この粉末を大気中に
おいて1100℃で1時間熱処理し、VSMで磁気特性
を調査したところ、表1に示したような結果が得られ
た。次に、作製したハードフェライト仮焼体粉末から実
施例1と同様にして焼結磁石を作製したところ、表2に
示したような結果が得られた。
【0084】
【表1】
【0085】[実施例10〜14]まず、SrCO3
15.7重量%、La23が4.3重量%のスラリーを
酸化物換算モル量でFe23:SrO:La23=1:
0.14:0.02となるように噴霧した以外は実施例
1と同様にハードフェライト原料粉末を作製した。その
後、CaCO3およびSiO2に加えて、以下に示す化合
物を添加した。
【0086】(実施例10) Co34:1.1重量% (実施例11) NiO:1.1重量% (実施例12) Mn34:1.1重量% (実施例13) Co34:0.6重量%、Mn34
0.6重量% (実施例14) Co34:0.6重量%、Mn34
0.6重量%、CuOを0.3重量%
【0087】その後、実施例1と同様にして焼結磁石を
作製したところ、表2に示したような優れた特性が得ら
れた。
【0088】[実施例15]まず、SrCO3が18重
量%、SrSO4が2重量%のスラリーを酸化物換算モ
ル量でFe23:SrO=1:0.17となるように噴
霧した。この点以外は実施例1と同様にハードフェライ
ト原料粉末を作製したところ、実施例1と同様にほとん
ど組成ずれもなく、残留塩素濃度も1000ppm以下
であった。また、X線回折分析の結果も実施例1と同様
であった。
【0089】次に、作製した原料粉末から実施例1と同
様にして焼結磁石を作製したところ、表2に示したよう
な優れた特性が得られた。
【0090】[実施例16]焙焼炉内温度を600℃と
した以外は実施例1と同様に噴霧してハードフェライト
原料粉末を回収し、その粉末に対して大気中、1200
℃で1時間、追加的な仮焼を行った後、純水で洗浄し、
乾燥してハードフェライト原料粉末を作製した。
【0091】作製したハードフェライト原料粉末の組成
は、実施例1と同様にほとんど組成ずれもなく、残留塩
素濃度も1000ppm以下であった。また、X線回折
分析の結果も実施例1と同様であった。
【0092】次に、作製した原料粉末から実施例1と同
様にして焼結磁石を作製したところ、表2に示したよう
な優れた特性が得られた。
【0093】
【表2】
【0094】[実施例17]実施例1と同様にして作製
したハードフェライト原料粉末に対して、湿式解砕、乾
燥、乾式解砕を行った後、500℃から1200℃の各
温度で熱処理を行うことによりハードフェライト磁石粉
末を作製した。
【0095】得られた粉末を磁気的に配向させた試料を
作製し、VSMを用いて磁気特性を調査した。その結果
を図1に示す。図1から、HcJは1100℃以下の熱処
理で増加し、1100℃を超える高い温度領域では低下
することがわかる。一方、B rは、約1000℃までH
cJとともに上昇するが、1000℃を超える高い温度領
域では低下することがわかる。
【0096】本実施例のハードフェライト磁石粉末から
モータ用の形状のボンド磁石を作製し、これを従来の材
質のボンド磁石に代えてモータ中に組み込み、定格条件
で作動させたところ、良好な特性を得た。また、そのト
ルクを測定したところ、従来の材質のボンド磁石を用い
たモータと同等以上であった。
【0097】本実施例のハードフェライト磁石粉末を磁
気記録媒体に使用したところ、高出力で高いS/N得ら
れた。
【0098】[実施例18]本実施例では、微粉砕時の
添加物として、表3に示すように、CaCO3、Si
2、Cr23およびAl23を添加した点以外は、実
施例1と同様にして焼結磁石を作製した。得られた焼結
磁石の磁気特性を表3に示す。
【0099】
【表3】
【0100】
【発明の効果】本発明によれば、塩化物としての各原料
元素の蒸気圧の違いによらず、微細かつ粒度分布がシャ
ープで、組成も均一なハードフェライト原料粉末を作製
することが可能となる。これにより、従来の仮焼や粉砕
等の工程を省略し、または短縮することが可能になるた
め。製造コストを低減できる。また、本発明によるハー
ドフェライト原料粉末を用いることにより、ハードフェ
ライト磁石粉末や焼結磁石の品質の向上させることがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】FeCl2水溶液(28重量%FeCl2)に塩
酸を添加してpH=1にした水溶液を用意し、この液を
炉内温度1100℃の焙焼炉内に噴霧することにより焙
焼を行う領域に、予め用意しておいた20重量%スラリ
ーのSrCO3懸濁液を酸化物換算モル量でFe23
SrO=1:0.17となるように噴霧して作製した本
発明によるハードフェライト原料粉末について、熱処理
温度と残留磁束密度Brおよび保磁力HcJとの関係を示
すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4G002 AA06 AA08 AA09 AB02 AC02 AE02 4G018 AA01 AA08 AA09 AA13 AA20 AA21 AA22 AA23 AA24 AA28 AA31 AC01 AC02 AC03 AC05 AC11 AC20 4G075 AA27 AA63 BA05 BA06 BB01 BB02 BB05 BB08 BB10 BC02 CA02 CA51 CA66 DA18 EB01 5E040 CA01 HB15 HB17

Claims (27)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鉄の塩化物水溶液を焙焼炉内に噴霧する
    とともに、前記焙焼炉内において前記鉄の塩化物水溶液
    が酸化物に変化する領域に対して、化合物A、化合物
    B、化合物C、および化合物Dからなる群から選択され
    た少なくとも一種の化合物であって、必ず前記化合物A
    を含む化合物を、粉またはスラリーの状態で噴霧するこ
    とを特徴とするハードフェライト原料粉末の製造方法で
    あって、 前記化合物Aは、SrCO3および/またはSrSO4、 前記化合物Bは、酸化物に変化し得るSr化合物、 前記化合物Cは、Laの酸化物、Coの酸化物、Mnの
    酸化物、Niの酸化物、および/またはCuの酸化物、 前記化合物Dは、前記化合物Cに変化し得る化合物であ
    る、ハードフェライト原料粉末の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記鉄の塩化物水溶液は、前記化合物
    A、化合物B、化合物C、および化合物Dからなる群か
    ら選択された少なくとも一種の化合物の粉末を含有して
    いる、請求項1に記載のハードフェライト原料粉末の製
    造方法。
  3. 【請求項3】 化合物A、化合物B、化合物C、および
    化合物Dからなる群から選択された少なくとも一種の化
    合物であって、必ず前記化合物Aを含有する鉄の塩化物
    水溶液を焙焼炉内に噴霧することを特徴とするハードフ
    ェライト原料粉末の製造方法であって、 前記化合物Aは、SrCO3および/またはSrSO4、 前記化合物Bは、酸化物に変化し得るSr化合物、 前記化合物Cは、Laの酸化物、Coの酸化物、Mnの
    酸化物、Niの酸化物、および/またはCuの酸化物、 前記化合物Dは、前記化合物Cに変化し得る化合物であ
    る、ハードフェライト原料粉末の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記鉄の塩化物水溶液のpHは6より小
    さい、請求項1から3のいずれかに記載のハードフェラ
    イト原料粉末の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記焙焼炉内の温度を600℃以上13
    50℃以下にすることを特徴とする請求項1から4のい
    ずれかに記載のハードフェライト原料粉末の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記焙焼炉内の温度を1000℃以上1
    350℃以下にすることを特徴とする請求項5に記載の
    ハードフェライト原料粉末の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記鉄の塩化物水溶液の原料として、製
    鉄所の圧延工程における鋼板等の塩酸酸洗廃液を用いる
    ことを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載のハ
    ードフェライト原料粉末の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記焙焼炉として前記製鉄所における塩
    酸回収設備を用いることを特徴とする請求項1から7の
    いずれかに記載のハードフェライト原料粉末の製造方
    法。
  9. 【請求項9】 請求項1から8のいずれかに記載の製造
    方法によって製造されたハードフェライト原料粉末に、
    SrCO3、SrSO4、La23、Coの酸化物、Co
    の水酸化物、Mnの酸化物、Niの酸化物、Cuの酸化
    物からなる群から選択された少なくとも一種の化合物の
    粉末を添加するハードフェライト原料粉末の製造方法。
  10. 【請求項10】 請求項1から9のいずれかに記載の製
    造方法によって製造されたハードフェライト原料粉末を
    800℃以上1400℃以下の温度で仮焼するハードフ
    ェライト原料粉末の製造方法。
  11. 【請求項11】 請求項1から10のいずれかに記載の
    製造方法によって製造されたハードフェライト原料粉末
    を洗浄し、磁粉中の残留塩素濃度を1000ppm以下
    にするハードフェライト原料粉末の製造方法。
  12. 【請求項12】 請求項1から11のいずれかに記載の
    製造方法によって製造されたハードフェライト原料粉末
    を粉砕し、空気透過法で測定した平均粒度を0.2μm
    以上2.0μm以下の範囲内にする磁石粉末の製造方
    法。
  13. 【請求項13】 請求項1から11のいずれかに記載の
    製造方法によって製造されたハードフェライト原料粉末
    に、CaO、SiO2、Cr23およびAl2 3(Ca
    O:0.3重量%以上1.5重量%以下、SiO2
    0.2重量%以上1.0重量%以下、Cr23:0重量
    %以上5.0重量%以下、Al23:0重量%以上5.
    0重量%以下)を添加した混合ハードフェライト原料粉
    末を用意する工程と、 前記混合ハードフェライト原料粉末を粉砕することによ
    り、空気透過法で測定した平均粒度が0.2μm以上
    2.0μm以下の範囲内にあるハードフェライト粉砕粉
    末を形成する工程と、を包含する磁石粉末の製造方法。
  14. 【請求項14】 前記粉砕工程において、乾式および/
    または湿式の振動ミルにより、空気透過法で測定した平
    均粒度が3μm以下まで粉砕を行う請求項12または1
    3に記載の磁石粉末の製造方法。
  15. 【請求項15】 請求項1から11のいずれかに記載の
    製造方法によって製造されたハードフェライト原料粉末
    を含むボンド磁石。
  16. 【請求項16】 請求項12から14のいずれかに記載
    の製造方法によって製造された磁石粉末を含むボンド磁
    石。
  17. 【請求項17】 請求項1から11のいずれかに記載の
    製造方法によって製造されたハードフェライト原料粉末
    に対して熱処理を施す工程と、前記熱処理が施されたハ
    ードフェライト原料粉末からボンド磁石を作製する工程
    と、を包含する磁石の製造方法。
  18. 【請求項18】 請求項12から14のいずれかに記載
    の製造方法によって製造された磁石粉末に対して熱処理
    を施す工程と、前記熱処理が施された磁石粉末からボン
    ド磁石を作製する工程と、を包含する磁石の製造方法。
  19. 【請求項19】 前記熱処理を700℃以上1100℃
    以下の温度で実行する請求項17または18に記載の磁
    石の製造方法。
  20. 【請求項20】 請求項1から11のいずれかに記載の
    製造方法によって製造されたハードフェライト原料粉末
    から作製された焼結磁石。
  21. 【請求項21】 請求項12から14のいずれかに記載
    の製造方法によって製造された磁石粉末から作製された
    焼結磁石。
  22. 【請求項22】 請求項1から11のいずれかに記載の
    製造方法によって製造されたハードフェライト原料粉末
    を用意する工程と、 前記ハードフェライト原料粉末を、濃縮、混練、磁場中
    成形または無磁場中成形、焼結する工程とを包含する焼
    結磁石の製造方法。
  23. 【請求項23】 請求項12から14のいずれかに記載
    の製造方法によって製造された磁石粉末を用意する工程
    と、 前記磁石粉末を、濃縮、混練、磁場中成形または無磁場
    中成形、焼結する工程とを包含する焼結磁石の製造方
    法。
  24. 【請求項24】 請求項1から11のいずれかに記載の
    製造方法によって製造されたハードフェライト原料粉末
    を用意する工程と、 前記ハードフェライト原料粉末を、濃縮、混練、乾燥、
    解砕、磁場中成形または無磁場中成形、焼結する工程
    と、を包含する焼結磁石の製造方法。
  25. 【請求項25】 請求項12から14のいずれかに記載
    の製造方法によって製造された磁石粉末を用意する工程
    と、 前記磁石粉末を、濃縮、混練、乾燥、解砕、磁場中成形
    または無磁場中成形、焼結する工程とを包含する焼結磁
    石の製造方法。
  26. 【請求項26】 粉砕時あるいは混練時に分散剤を固形
    分比率で0.2重量%以上2.0重量%以下添加する請
    求項22から25のいずれかに記載の焼結磁石の製造方
    法。
  27. 【請求項27】 請求項15、16、20または21に
    記載の磁石を備えた回転機。
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