JP2002352943A - 加熱装置および画像形成装置 - Google Patents

加熱装置および画像形成装置

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JP2002352943A
JP2002352943A JP2001156895A JP2001156895A JP2002352943A JP 2002352943 A JP2002352943 A JP 2002352943A JP 2001156895 A JP2001156895 A JP 2001156895A JP 2001156895 A JP2001156895 A JP 2001156895A JP 2002352943 A JP2002352943 A JP 2002352943A
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Osamu Watanabe
督 渡辺
Toshinori Nakayama
敏則 中山
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Canon Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】ウォームアップ時間が余計にかかったり、定着
不良が発生するため、コイルの温度の方が加熱部材より
高くなることを考慮して立ち上げ電力を決定すると、加
熱部材温度のオーバーシュートが大きくなったり、装置
全体で必要とされる電力が増えてしまうという弊害があ
った。 【解決手段】磁気誘導加熱方式の加熱装置において、被
加熱材を加熱する加熱工程の前に磁性金属部材に高周波
磁界を与える仮加熱工程を設け、制御手段は前記仮加熱
工程での検知温度の上昇率に応じて加熱工程時の磁束の
量を切り替えるようにしたものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁気(電磁)誘導
加熱方式の加熱装置、および該加熱装置を加熱定着手段
の熱源として備えた画像形成装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】電子写真式の複写機などの画像形成装置
には、被加熱材の記録媒体である記録紙ないし転写材な
どのシート上に直接または関接(転写)に形成されたト
ナー像を該シートに定着させる加熱定着装置(以下、定
着装置と略称する)が設けられている。この定着装置
は、例えば、シート上のトナーを熱溶融させる加熱ロー
ラとも指称される定着ローラと、当該定着ローラに圧接
してシートを挟持する加圧ローラとを有している。
【0003】定着ローラは中空状に形成され、この定着
ローラの中心軸上には、発熱体が保持手段により保持さ
れている。発熱体は、例えば、ハロゲンランプなどの管
状発熱ヒータより構成され、所定の電圧が印加されるこ
とにより発熱するものである。このハロゲンランプは定
着ローラの中心軸に位置しているため、ハロゲンランプ
から発せられた熱は定着ローラ内壁に均一に輻射され、
定着ローラの外壁の温度分布は円周方向において均一と
なる。
【0004】定着ローラの外壁は、その温度が定着に適
した温度(例えば、150〜200℃)になるまで加熱
される。この状態で定着ローラと加圧ローラは圧接しな
がら互いに逆方向へ回転し、トナーが付着したシートを
挟持する。定着ローラと加圧ローラとの圧接部(以下、
ニップ部ともいう)において、シート上のトナーは定着
ローラの熱により溶解し、両ローラから作用する圧力に
よりシートに定着される。
【0005】しかし、上記定着装置においては、発熱体
としてハロゲンランプからの輻射熱を利用して定着ロー
ラを加熱するため、電源を投入した後、定着ローラの温
度が定着に適した所定温度に達するまでの時間(以下、
「ウォームアップタイム」という)に、比較的長時間を
要していた。その間、使用者は複写機を使用することが
できず、長時間の待機を強いられるという問題があっ
た。
【0006】その一方、ウォームアップタイムの短縮を
図ってユーザの操作性を向上すべく多量の電力を定着ロ
ーラに印加したのでは、定着装置における消費電力が増
大し、省エネルギー化に反するという問題が生じてい
た。このため、複写機などの商品の価値を高めるために
は、定着装置の省エネルギー化(低消費電力化)と、ユ
ーザの操作性向上(クイックプリント)との両立を図る
ことが一層注目され重視されてきている。
【0007】かかる要請に応える装置として、特開昭5
9−33787号公報に示されるように、加熱源として
高周波誘導を利用した誘導加熱方式の定着装置が提案さ
れている。この誘導加熱定着装置は、金属導体からなる
中空の定着ローラ(加熱部材)の内部にコイルが同心状
に配置されており、このコイルに高周波電流を流して生
じた高周波磁界により定着ローラに誘導渦電流を発生さ
せ、定着ローラ自体の表皮抵抗によって定着ローラその
ものをジュール発熱させるようになっている。この誘導
加熱方式の定着装置によれば、発熱位置を被加熱材に近
くすることができ、電力−熱変換効率がきわめて向上す
るため、ウォームアップタイムの短縮化が可能となる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記誘
導加熱方式の加熱定着装置においては、加熱部材はウォ
ームアップタイムの短縮を図るためにより低熱容量化さ
れており、薄肉の金属ローラや、金属フィルム等を用い
ている。これに対し、磁場発生手段であるコイルに磁界
の集中をさせるために用いられる励磁コアは比較的熱容
量が大きくなっている。このため、転写材の通紙、停止
という動作を繰り返すうちに、加熱部材とコイル、コア
との温度に違いが生じてくる。具体的に述べれば、
(a)ウォームアップ時は加熱部材の温度がコイルの温
度と同等であるの対し、(b)連続通紙後放置した後、
数分後再加熱させる場合には、コイルの温度のほうが加
熱部材より高いことがある。
【0009】立ち上げ電力として所定電力を印加する場
合、加熱部材の温度は同じであっても、コイルの温度は
(a)よりも(b)のほうが高いため、コイル自体のイ
ンピーダンスが大きくなり、電流が流れにくくなって、
加熱部材から発生する熱量が少なくなるため、ウォーム
アップ時間が余計にかかったり、定着不良が発生する。
このため、(b)の場合を考慮して、立ち上げ電力を決
定すると、加熱部材温度のオーバーシュートが大きくな
ったり、装置全体で必要とされる電力が増えてしまうと
いう弊害があった。
【0010】本発明は、上記のような弊害を解消するた
めになされたもので、特に、上記後者の磁気誘導加熱方
式の加熱装置について、オーバーシュートのない安定し
た高精度の温度制御を可能にし、また定着不良の生じな
い、高信頼性の加熱装置及び該加熱装置を加熱定着装置
の熱源として適用して高品質の画像形成を行う画像形成
装置を提供することを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は下記の構成を有
することを特徴とする加熱装置および画像形成装置であ
る。
【0012】(1)磁性金属部材と、前記磁性金属部材
に交番磁界を与える磁束発生手段と、前記磁性金属部材
の温度を検知する温度検知手段と、前記磁束発生手段の
発生する磁束の量を制御する制御手段とを有し、前記磁
束発生手段により発生する磁束により前記磁性金属部材
に渦電流を発生させて発熱させ、その熱により被加熱材
を加熱する加熱装置において、前記被加熱材を加熱する
加熱工程の前に前記磁性金属部材に高周波磁界を与える
仮加熱工程を設け、前記制御手段は前記仮加熱工程での
検知温度の上昇率に応じて加熱工程時の磁束の量を切り
替えることを特徴とする加熱装置。
【0013】(2)磁性金属部材は固定部材、あるいは
回転体もしくは走行移動有端部材であることを特徴とす
る(1)に記載の加熱装置。
【0014】(3)仮加熱行程においては、磁性金属部
材が回転体もしくは走行移動有端部材であっても停止さ
せておくことを特徴とする(2)に記載の加熱装置。
【0015】(4)磁性金属部材は磁性金属層を含む積
層部材、もしくはそれ自体磁性金属の部材であることを
特徴とする(1)〜(3)のうちの何れか1項記載の加
熱装置。
【0016】(5)磁性金属部材に被加熱材を直接もし
くは間接的に密着させる加圧部材を有することを特徴と
する(1)〜(4)のうちの何れか1項記載の加熱装
置。
【0017】(6)加圧部材は回転駆動されるあるいは
従動回転する加圧回転体であることを特徴とする(5)
に記載の加熱装置。
【0018】(7)被加熱材は加熱処理すべき画像を担
持させた記録材であることを特徴とする(1)〜(6)
のうちの何れか1項記載の加熱装置。
【0019】(8)記録材に担持された画像を加熱処理
する像加熱装置として適用することを特徴とする(1)
〜(7)のうちの何れか1項記載の加熱装置。
【0020】(9)被加熱材上に単色もしくは複数色の
トナー像を形成する画像形成手段と、前記被加熱材上の
トナー像を該被加熱材に加熱定着する加熱定着手段とを
有する画像形成装置において、前記加熱定着手段の熱源
として前記(1)〜(8)のうちの何れか1項記載の加
熱装置を備えていることを特徴とする画像形成装置。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の一形態を図
面について説明する。
【0022】〈実施例1〉(図1〜図5) (1)装置の全体的概略構成 図1は本発明の加熱装置を定着装置13の熱源として適
用した画像形成装置を示す概略構成図であり、図示の画
像形成装置はレーザー走査式・電子写真カラープリンタ
である。
【0023】図1において、3は有機感光体やアモルフ
ァスシリコン感光体でできた感光体ドラムであり、矢示
の時計方向に所定の周速度(プロセススピード)をもっ
て回転駆動される。この回転時、感光体ドラム3は帯電
ローラー4によりその周面が所定の極性・電位に一様に
帯電される。
【0024】一方、不図示の画像読み取り装置やコンピ
ュータ等の画像信号発生装置から入力された目的の画像
情報の時系列電気デジタル画素信号に対応して変調(オ
ン/オフ変換)されたレーザー光6をレーザー光学箱8
から出力させ、このレーザー光6を反射ミラー7で偏向
させて、感光体ドラム3の帯電面に走査露光することに
より、画像情報の静電潜像が形成される。
【0025】5は現像器であり、イエロートナー現像器
5Y、マゼンタトナー現像器5M、シアントナー現像器
5Cを順次現像位置に移動させる回転切り替え式のカラ
ー現像器と、黒用のブラックトナー現像器5Bから構成
されている。
【0026】16は感光体ドラム3に接触若しくは接近
させて配設してある中間転写体ドラムであり、感光体ド
ラム3の回転と逆方向に感光体ドラム3とほぼ同一周速
度で回転駆動される。そして、感光体ドラム3に対し
て、目的のフルカラー画像の色分解像に各対応する静電
潜像の形成、その静電潜像のトナー現像が順次に実行さ
れ、その各トナー像の中間転写体ドラム16に対する順
次重ね合わせ転写がなされて該中間転写体ドラム16の
面に目的のフルカラー画像の鏡像に対応したフルカラー
トナー像が合成形成される。12は中間転写体ドラム1
6に対するトナー像転写後の感光体ドラム3の面を清掃
するクリーナーである。
【0027】この中間転写体ドラム16に対して、給紙
カセット11から被記録材としての転写材Pが給紙ロー
ラー10により一枚給紙されて、この転写材Pに対して
中間転写体ドラム16側の鏡像フルカラートナー像が転
写ローラー9により転写されて該転写材面にフルカラー
トナー像が形成される。転写ローラー9は転写材Pの背
面からトナーと逆極性の電荷を供給する事で中間転写体
ドラム16から転写材Pにトナー像を転写する。フルカ
ラートナー像の転写を受けた転写材Pは、中間転写体ド
ラム16から分離されて定着装置13へ導入され、トナ
ー像の加熱定着を受け、排紙トレー14に排出される。
【0028】次にモノクロの画像として、黒色の単色画
像を形成する場合について説明する。カラー画像形成時
と同様に感光ドラム3上に潜像が形成され、黒色トナー
が入った現像器5Bによって感光ドラム3にトナー画像
が担持され、中間転写体ドラム16上に一次転写が行わ
れる。そして、ここで形成された単色のトナー画像のみ
を転写材Pに二次転写し、上記と同様に定着装置13に
て加熱定着することにより、黒色の単色トナー画像が得
られる。
【0029】以上の実施例装置は転写式の電子複写装置
であるが、画像形成のプロセス・手段はエレクトロファ
ックス紙・静電記録紙等に直接トナー画像を形成担持さ
せる直接式や、磁気記録画像形成式、その他適宜の画像
形成プロセス・手段で記録材上に加熱溶融性トナーによ
る画像を形成し、それを加熱定着する方式の複写機・レ
ーザビームプリンタ・ファクシミリ・マイクロフィルム
リーダプリンタ・ディスプレイ装置、記録機等の各種の
画像形成装置における加熱定着装置として本発明は有効
に適用できるものである。
【0030】(2)加熱定着装置 図2は本発明の特徴を最もよく表す図面であり、本発明
の加熱装置を熱源とする像加熱装置の断面の模式図であ
る。磁性金属部材としての定着ローラ101は外径40
[mm]、厚さ0.7[mm]の鉄製の芯金シリンダに
表面の離型性を高めるために例えばPTFE10〜50
[μm]や、PFA10〜50[μm]の層を設けたも
のである。また定着ローラの他の材料として、例えば磁
性ステンレスのような磁性材料(磁性金属)といった、
比較的透磁率μが高く、適当な抵抗率ρを持つ物を用い
てもよい。さらに非磁性材料でも、金属などの導電性の
ある材料を薄膜にする事などにより使用可能である。
【0031】磁性金属部材としての定着ローラに被加熱
材を直接もしくは間接的に密着させる加圧部材として加
圧ローラ102は、外径20[mm]の鉄製の芯金11
3の外周に厚さ5[mm]のSiゴムの層114と定着
ローラ101と同様に表面の離型性を高めるために例え
ばPTFE10〜50[μm]や、PFA10〜50
[μm]の離型層115を設けており、外径は30[m
m]である。
【0032】上記の定着ローラ101と加圧ローラ10
2は不図示の装置本体に回転自在に支持されており、定
着ローラ101のみを駆動する構成になっている。加圧
ローラ102は定着ローラ101の表面に圧接してい
て、回転部材あるいは圧接部(ニップ部)での摩擦力で
従動回転する様に配置してある。また、加圧ローラ10
2は定着ローラ101の回転軸方向にバネなどを用いた
図示しない機構によって加圧されている。加圧ローラ1
02は約294N(約30[Kg重])で荷重されてお
り、その場合、圧接部の幅(ニップ幅)は約6[mm]
になる。しかし都合によっては荷重を変化させてニップ
幅を変えてもよい。
【0033】搬送ガイド107は、未定着のトナー画像
119を担持しながら搬送される用紙(被加熱材)P
を、定着ローラ101と加圧ローラ102とのニップ部
へ案内する位置に配置される。分離爪110は、定着ロ
ーラ101の表面に当接して配置され、用紙Pがニップ
部通過後に定着ローラ101に張り付いてしまった場
合、強制的に分離してジャムを防止するためのものであ
る。
【0034】本発明の加熱装置は加熱定着装置に限ら
ず、例えば画像を担持した記録材(被加熱材)を加熱し
てつや等の表面性を改質する装置、仮定着する装置等、
その他、広くシート状の被加熱材を加熱処理する手段、
装置として使用できる。
【0035】なお、本実施例では加熱部材として定着ロ
ーラを用いているが、薄膜金属フィルムからなる構成を
採用することももちろん可能である。定着ローラ101
の内部には、当該定着ローラ101に誘導電流(渦電
流)を誘起させてジュール発熱させるために、高周波磁
界を生じるコイルユニット120が配設されている。こ
のコイルユニット120は、ホルダ112の内部に保持
されている。ホルダ112は、図示しない定着ユニット
フレームに固定され非回転となっている。
【0036】コイルユニット120は、磁性材からなる
コア104(芯材に相当する)と、定着ローラ101に
誘導電流を誘起させて加熱する誘導コイル103(誘導
加熱源に相当する)とを有する。コア104としては、
透磁率が大きく自己損失の小さい材料がよく、例えばフ
ェライト、パーマロイ、センダスト等が適している。そ
して、コイルユニット120は前記ホルダ112内に、
外部に露呈しないように収納されている。なお、上記定
着ローラ101は、回転体として図示したが、固定部材
もしくは走行移動有端部材であってもよい。
【0037】(3)温度制御系 図4は本実施例の誘導コイル103への電力制御の仕組
みを示す説明図である。60はマイクロコンピュータを
含む制御回路(温度制御、印加電力制御、共振出力制御
の複合機能を有す)であり、定着ローラ101の表面に
当接するサーミスタ106の検知温度に応じて、MOS
−FET、IGBT等のスイッチング手段73を制御し
電源61から誘導コイル103に供給する交流電流の周
波数或いは電流振幅を変動させることで供給電力を制御
する。これにより定着ローラ101に作用する磁束の量
が制御され、定着ローラ101の表面温度が所定の一定
温度になる様自動制御される。
【0038】本実施例で温度センサ106として接触式
サーミスタを定着ローラ外表面に設けているが、これは
非接触式のものでかまわない。また、定着ローラ内面に
配しても構わない。
【0039】(4)制御加熱(仮加熱)工程と定着(加
熱)工程 誘導コイル103の銅線を形成する銅の温度に対するイ
ンピーダンスの変化は次に示す関係の式で成立してい
る。
【0040】R(f,T)=R(f,T1)(1+(T
−T0)/(234.5+T1)) R(f,T):温度Tでのコイルのインピーダンス
(Ω) R(f,T1):温度T1でのコイルのインピーダンス
(Ω) T:コイルの温度(℃) T1:コイルの温度(℃) T0:周囲温度(℃) f:周波数 例えば25℃環境下でコイルの温度を200℃まで上昇
させた場合のインピーダンスの変化率は 1+(200−25)/(234.5+25)=1.8
6(倍) となる。
【0041】このように温度によりコイルのインピーダ
ンスが変化するため、同じ電力を印加しても定着ローラ
101の温度の立ち上がりは異なってくる。
【0042】ところで、 誘導コイル103へある一定
の時間、一定の周期、一定の電流振幅の高周波電流を通
電した時の通電時間内における定着ローラ温度Trの上
昇分をΔTrとする。発明者らの実験によると図3のよ
うに、ΔTrは誘導コイルへの印加電力W=R(f,
T)・I2に対し正の相関があった。
【0043】ここで係数Aを印加電力Wに比例する係数
とすると A=kW=kR(f,T)・I2 となり、係数Aも温度上昇分ΔTrと正の相関がある。
【0044】従って、温度上昇分ΔTrと係数Aの関係
をあらかじめ実験で求め、制御回路60(図4のブロッ
ク図)に入力しておけば、たとえ誘導コイルのインピー
ダンスが変化しても温度上昇分ΔTrを測定することで
正しい係数Aの値を求めることができる。つまり係数A
の値は室温、加熱体周辺の初期温度によって変化する
が、制御加熱工程でこれらの要因による係数Aの値の変
動を検出可能となる。
【0045】図5は画像形成装置(第1図)の制御加熱
工程と定着工程のシーケンスである。
【0046】.時刻t0で電源ON .時刻t1で画像形成開始スイッチをONすると、定
着ローラの回転が開始され、続いて時刻t2から時刻t
3まで、周波数及び電流振幅を固定した一定電力で、加
熱昇温特性検知工程(以後制御加熱工程と称す) .制御加熱工程終了後、時刻t4から時刻t5まで定
着工程(加熱工程) .定着工程終了後、時刻t6で画像形成動作完了 制御加熱工程における動作は、 1)誘導コイルに温度上昇分ΔTrと係数Aの関係を求
めたのと同一条件で電力印加し、その時の定着ローラ温
度Trの温度上昇量ΔTrを測定する。
【0047】2)制御回路60で温度上昇分ΔTrの測
定値に応じて係数Aの値を決定する。
【0048】定着工程においては、制御加熱工程で求め
た係数Aの値を用い、周波数を変調することで電力制御
を行い、加熱部材の極大温度を所定の温度範囲に制御す
る。
【0049】本実施例では、制御加熱工程の時間は約5
秒(t2〜t3)とり、印加電力が1100W(30K
Hz)となっている。前述のように本実施例において
は、制御加熱工程で係数Aの値を検出可能であり、係数
Aの値が変動しても、定着工程において常に加熱部材の
極大温度を一定の温度範囲に収める適切な通電加熱が可
能である。
【0050】(5)比較例 一方、本実施例において制御加熱工程を設けず、A=A
0=一定として印加電力を決定し、定着工程を行なうと
以下のような不都合が生ずる。即ち、A<A0なら電力
が小さくなり、加熱部材の極大温度は定着に必要な温度
より低くなり、A>A0なら電力が大きくなりすぎて、
加熱部材の極大温度はより高くなる。AOはコイルの温
度によらず、常に一定の値である。
【0051】.電力最小時のとき 加熱部材のピーク温度が150℃までしか上昇しない。
そのため加熱部材により、加熱される転写材(被加熱
材)上のトナーは、定着不良を生ずる。
【0052】.電力最大時のとき オーバーシュートにより加熱部材のピーク温度が260
℃に達する。そのため立ち上がり後1枚目において、高
温オフセットが発生する。
【0053】〈実施例2〉第6図は実施例2を用いた画
像形成装置(第1図)の制御加熱工程と定着工程のシー
ケンスである。
【0054】実施例1では、制御加熱工程の前に定着ロ
ーラ101の回転が行われる。定着ローラ101は低熱
容量であるが、回転をしながら制御加熱工程を行う場
合、比較的長い制御加熱工程を必要とする。
【0055】本実施例2では、定着ローラ101を停止
したまま、制御加熱工程を行う。誘導加熱方式では誘導
コイルに対向した部分のみが加熱されるので、この場
合、定着ローラの一部のみが迅速に昇温する。さらに、
定着ローラの回転に必要な電力を、定着ローラの加熱に
使用できるため、制御加熱が短時間で行える。本実施例
2では印加電力が1300Wで制御加熱工程に要する時
間は約1秒であった。
【0056】本実施例の構成により、短い立ち上げ時間
のなかでより精度の高い制御が行える。
【0057】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、磁気誘導
加熱方式の加熱装置において、被加熱材を加熱する加熱
工程の前に磁性金属部材に高周波磁界を与える仮加熱工
程を設け、制御手段は前記仮加熱工程での検知温度の上
昇率に応じて加熱工程時の磁束の量を切り替えるように
構成したので、オーバーシュートのない安定した高精度
の温度制御を可能にした加熱装置を得ることができる。
【0058】この発明によれば、仮加熱行程において
は、磁性金属部材が回転体もしくは走行移動有端部材で
あっても停止させておくように構成したので、仮加熱行
程が短時間で行え、短い立ち上げ時間の中でより精度の
高い制御を行うことができる。
【0059】この発明によれば、加熱定着手段の熱源と
して上記本発明の加熱装置を適用したので、定着工程時
の電力の切り換えが間に合い、加熱体、コイルの状態や
環境条件が変動しても定着工程における加熱部材の最高
温度を一定に保つことができ、定着不良を生じさせずに
良好な定着画像を安定して出力できる高信頼性の画像形
成装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1の画像形成装置の概略構成を示す横
断面摸式図
【図2】 実施例1の加熱定着装置の概略構成を示す横
断面摸式図
【図3】 実施例1の加熱定着装置の定着ローラ温度の
変化量ΔTrと誘導コイルへの印加電力Wの関係を示す
特性図
【図4】 実施例1の画像形成装置の制御系ブロック図
【図5】 実施例1の画像形成装置の制御加熱工程と定
着工程のシーケンス図
【図6】 実施例2の画像形成装置の制御加熱工程と定
着工程のシーケンス図
【符号の説明】
13:加熱装置(画像定着装置) 101:定着ローラ(加熱部材、磁性金属部材) 102:加圧ローラ 103:誘導コイル 104:コア 106:サーミスタ(温度検知手段) 60:制御回路 61:高周波電源
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H05B 6/14 H05B 6/14 Fターム(参考) 2H030 AD04 AD18 2H033 AA30 AA32 BA25 BA30 BB03 BB18 BB37 BE06 CA07 CA27 3K059 AB19 AC33 AD02 CD03

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 磁性金属部材と、前記磁性金属部材に交
    番磁界を与える磁束発生手段と、前記磁性金属部材の温
    度を検知する温度検知手段と、前記磁束発生手段の発生
    する磁束の量を制御する制御手段とを有し、前記磁束発
    生手段により発生する磁束により前記磁性金属部材に渦
    電流を発生させて発熱させ、その熱により被加熱材を加
    熱する加熱装置において、 前記被加熱材を加熱する加熱工程の前に前記磁性金属部
    材に高周波磁界を与える仮加熱工程を設け、前記制御手
    段は前記仮加熱工程での検知温度の上昇率に応じて加熱
    工程時の磁束の量を切り替えることを特徴とする加熱装
    置。
  2. 【請求項2】 磁性金属部材は固定部材、あるいは回転
    体もしくは走行移動有端部材であることを特徴とする請
    求項1に記載の加熱装置。
  3. 【請求項3】 仮加熱行程においては、磁性金属部材が
    回転体もしくは走行移動有端部材であっても停止させて
    おくことを特徴とする請求項2に記載の加熱装置。
  4. 【請求項4】 磁性金属部材は磁性金属層を含む積層部
    材、もしくはそれ自体磁性金属の部材であることを特徴
    とする請求項1〜請求項3のうちの何れか1項記載の加
    熱装置。
  5. 【請求項5】 磁性金属部材に被加熱材を直接もしくは
    間接的に密着させる加圧部材を有することを特徴とする
    請求項1〜請求項4のうちの何れか1項記載の加熱装
    置。
  6. 【請求項6】 加圧部材は回転駆動されるあるいは従動
    回転する加圧回転体であることを特徴とする請求項5に
    記載の加熱装置。
  7. 【請求項7】 被加熱材は加熱処理すべき画像を担持さ
    せた記録材であることを特徴とする請求項1〜請求項6
    のうちの何れか1項記載の加熱装置。
  8. 【請求項8】 記録材に担持された画像を加熱処理する
    像加熱装置として適用することを特徴とする請求項1〜
    請求項7のうちの何れか1項記載の加熱装置。
  9. 【請求項9】 被加熱材上に単色もしくは複数色のトナ
    ー像を形成する画像形成手段と、前記被加熱材上のトナ
    ー像を該被加熱材に加熱定着する加熱定着手段とを有す
    る画像形成装置において、前記加熱定着手段の熱源とし
    て前記請求項1〜請求項8のうちの何れか1項記載の加
    熱装置を備えていることを特徴とする画像形成装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2010002523A (ja) * 2008-06-19 2010-01-07 Konica Minolta Business Technologies Inc 電磁誘導加熱装置、定着装置および画像形成装置

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