JP2002349662A - 電動アクチュエータ - Google Patents

電動アクチュエータ

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JP2002349662A
JP2002349662A JP2001155539A JP2001155539A JP2002349662A JP 2002349662 A JP2002349662 A JP 2002349662A JP 2001155539 A JP2001155539 A JP 2001155539A JP 2001155539 A JP2001155539 A JP 2001155539A JP 2002349662 A JP2002349662 A JP 2002349662A
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nut
electric actuator
reciprocating shaft
shaft
axial direction
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JP2001155539A
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Masaaki Tomita
雅明 富田
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Toyota Motor Corp
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Toyota Motor Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電動アクチュエータの小型軽量化を促進する
と共に、速度・位置決め制御に関する精度の向上、応答
速度の向上を図る。 【解決手段】 ネジ軸10がケース9に回転不能に固定さ
れているので、ネジ軸10の支持剛性、固定剛性を容易に
高めることができる。可動子12の突起12dと、スリーブ
13のガイドレール13aとは、「互いに回転不能かつ軸方
向に摺動自在」に係合している。スリーブ13を回転駆動
すると、ナット11は回転しながらネジ軸10の軸方向へと
移動する。往復シャフト16は、ナット11の運動を受け
て、ネジ軸10に沿った直線運動をし、軸方向の推力を発
生させる。この際、可動子12の突起12dは、スリーブ13
のガイドレール13aに対し軸方向に摺動することができ
るので、ナット11および可動子12の軸方向への移動が阻
害されることはなく、かつ、スリーブ13がアキシャル荷
重を受けることもない。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電動アクチュエー
タの改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から、往復直線運動を発生させるア
クチュエータとして広く用いられている油圧(空圧)シ
リンダは、配管、作動油(高圧エア)、ポンプ、コント
ロール系といった、複数の構成要素が必要不可欠なもの
である。また、速度・位置決め制御に関する精度を向上
させることが困難で、小型、軽量かつ高速で作動するこ
とが望まれるアクチュエータには、好適なものとは言え
ない。また、速度・位置決め制御に関する精度の向上
や、応答速度の向上を図るために、電動位置決め機構を
付加した油圧(空圧)シリンダも用いられているが、油
圧(空圧)系統と電動系統の二系統の制御系が必要であ
り、かつ、モータ、ギヤ等を付加する分だけユニット全
体の大型化を避けることができない、という欠点を有す
るものであった。
【0003】そこで、上記の油圧・空圧シリンダとは全
く異なる構成を有するアクチュエータとして、電動アク
チュエータが用いられるようになっている。電動アクチ
ュエータは、電動モータの回転運動を直線運動に変換
し、軸方向の推力を発生させるものであり、特に、小
型、軽量かつ高速で作動することが望まれるアクチュエ
ータに適している。
【0004】図3には、従来の電動アクチュエータの一
例を模式的に示している。この電動アクチュエータ1
は、ケース2にステータ3を固定し、マグネット4を備
えるロータ5を中空軸とした、いわゆる中空モータを内
蔵している。また、ロータ5の円筒内部にネジ軸6を一
体回転可能に固定している。また、ロータ5の円筒内周
面で、ネジ穴7aを有する往復シャフト7をガイドして
いる。そして、ネジ軸6とネジ穴7aとはネジ嵌合して
いるので、ロータ5を回転させることにより、往復シャ
フト7は、ロータ5と一体に回転するネジ軸6に駆動さ
れて、ネジ軸6の軸方向へと移動することができる。
【0005】また、図示は省略するが、図3のネジ軸6
とネジ穴7aに代えて、往復シャフト7にボールネジの
ネジ軸を用い、かつ、ロータ5の円筒内周面にボールネ
ジのナットを固定した電動アクチュエータも存在する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
電動アクチュエータ1は、次のような課題を包含してい
た。従来の電動アクチュエータ1は、往復シャフト7の
アキシャル荷重を、全てネジ軸6で受ける構造となって
いる。ところが、ネジ軸6は、ロータ5に対して固定さ
れていることから、往復シャフト7のアキシャル荷重
は、結局のところ、ロータ5で支える構造となってい
る。したがって、ロータ5を、往復シャフト7のアキシ
ャル荷重に耐え、かつ、駆動振動の発生を抑えることが
可能な精密な軸受構造で軸支する必要があり、電動アク
チュエータ1の小型軽量化を困難とする要因となってい
た。
【0007】また、アキシャル荷重を受けるネジ軸6お
よびロータ5の剛性を考慮して、ネジ軸6のリードを比
較的小さくする必要があり、応答速度の点でも要求を十
分に満足することができない場合があった。また、ねじ
軸6のリードを比較的小さくしていることから、往復シ
ャフト7の移動速度を高めるために、中空モータを高速
回転させる必要があり、それに伴う熱対策や危険速度へ
の考慮が必要となった。以上の課題は、往復シャフト7
をボールネジのネジ軸とし、かつ、ロータ5の円筒内周
面にボールネジのナットを固定した構造の電動アクチュ
エータの場合も、同様である。
【0008】本発明は上記課題に鑑みてなされたもので
あり、その目的とするところは、電動アクチュエータの
小型軽量化を促進すると共に、速度・位置決め制御に関
する精度の向上、応答速度の向上を図ることにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
の、本発明の請求項1に係る電動アクチュエータは、電
動モータの回転運動をボールネジによって直線運動に変
換し、軸方向の推力を発生させる電動アクチュエータで
あって、ケースに回転不能に固定されるボールネジのネ
ジ軸と、電動モータの動力を受けてボールネジのナット
を回転駆動する動力伝達機構と、前記ネジ軸に対する前
記ナットの運動を受けて前記ネジ軸に沿った直線運動を
する往復シャフトと、を備えることを特徴とする。
【0010】本発明では、前記動力伝達機構により、前
記ナットをネジ軸に対し回転駆動することで、前記ナッ
トはボールネジに案内されて軸方向へと移動する。かか
るナットの運動を受けて、前記往復シャフトは、前記ネ
ジ軸に沿った直線運動をし、軸方向の推力を発生させ
る。このとき、前記往復シャフトのアキシャル荷重は、
前記ナットを介して前記ネジ軸で受けるが、該ネジ軸は
ケースに回転不能に固定されているので、前記ネジ軸の
支持剛性、固定剛性を十分に確保することが可能であ
り、前記往復シャフトの軸方向の推力を増大させても、
その反力をケースによって十分に受けることができる。
【0011】また、本発明の請求項2に係る電動アクチ
ュエータは、請求項1記載の電動アクチュエータにおい
て、前記ナットと前記往復シャフトとの連結部分に軸受
を介在させ、前記往復シャフトを前記ネジ軸に対し回転
不能かつ軸方向に摺動自在に支持したものである。
【0012】この構成によれば、前記ナットと前記往復
シャフトとの連結部分に軸受を介在させることによっ
て、前記ナットの軸方向の推力のみ前記往復シャフトへ
と伝達され、前記ナットの回転運動が伝達されることは
ない。しかも、前記往復シャフトを、前記ネジ軸に対し
回転不能かつ軸方向に摺動自在に支持したことにより、
前記往復シャフトは、前記ネジ軸に対し回転することな
く、軸方向の推力を発生させることとなる。
【0013】また、本発明の請求項3に係る電動アクチ
ュエータは、請求項2記載の電動アクチュエータにおい
て、前記軸受をスラスト軸受としたものである。したが
って、前記往復シャフトと前記ナットとの間で、大きな
アキシャル荷重を、比較的小さな軸受で伝達することが
可能となる。
【0014】また、本発明の請求項4に係る電動アクチ
ュエータは、請求項3記載の電動アクチュエータにおい
て、前記往復シャフトに、直径方向の突起部を設け、該
突起部を軸方向からスラスト軸受で挟持し、該スラスト
軸受を連結部材で軸方向から挟み込み、該連結部材を前
記ナットに固定したものである。
【0015】本発明によれば、前記ナットによって前記
往復シャフトを押す場合(前記往復シャフトを伸ばす場
合)と、引く場合(前記往復シャフトを縮める場合)の
何れの場合でも、前記往復シャフトから前記ナットへ
と、大きなアキシャル荷重を、前記スラスト軸受で伝達
することが可能となる。
【0016】また、本発明の請求項5に係る電動アクチ
ュエータは、請求項1から4のいずれか1項記載の電動
アクチュエータにおいて、前記動力伝達機構は、前記ネ
ジ軸を中心として回転可能に配置され、前記ナットに対
し回転不能かつ軸方向に摺動自在に係合するガイド部材
を有し、該ガイド部材を介して、前記電動モータの回転
運動を前記ナットへと伝達するものである。
【0017】本発明によれば、前記電動モータの回転運
動を、前記ガイド部材を介して前記ナットへと伝達する
ことで、前記ナットをネジ軸に対し回転させる。そし
て、前記ナットは、ボールネジに案内されて軸方向へと
移動する。この際、前記ナットは、前記ガイド部材に対
し軸方向に摺動することができるので、前記ガイド部材
との係合により、当該軸方向への移動が阻害されること
はなく、かつ、前記ガイド部材がアキシャル荷重を受け
ることもない。
【0018】また、本発明の請求項6に係る電動アクチ
ュエータは、請求項5記載の電動アクチュエータにおい
て、前記電動モータは、前記ガイド部材を円筒内周面に
備えたスリーブを、ロータとして備える中空モータとな
っている。この構成によれば、当該中空モータと、前記
動力伝達機構と、前記ボールネジと、前記往復シャフト
とを、全て、同心状に配置することができる。また、当
該中空モータに要求される回転トルクに応じ、前記スリ
ーブの長さを変えることなく、中空モータのマグネット
およびステータの軸方向の長さのみ変えることで、中空
モータの出力を増減させることができる。
【0019】また、本発明の請求項7に係る電動アクチ
ュエータは、請求項6記載の電動アクチュエータにおい
て、前記スリーブの円筒外周面と前記ケース内周面と
に、回転角センサを設けたことを特徴とする。
【0020】本発明によれば、前記スリーブは、その円
筒内周面に、前記ガイド部材と、前記ナットと、前記ボ
ールネジと、前記往復シャフトとを全て同心状に配置し
得るだけの直径を有しているので、前記回転角センサの
回転子を、前記スリーブの円筒外周面に設けた場合に
は、当該回転子の直径も大径化し、高分解能化が容易と
なる。
【0021】また、本発明の請求項8に係る電動アクチ
ュエータは、請求項5から7のいずれか1項記載の電動
アクチュエータにおいて、前記ガイド部材は、前記ナッ
トの可動範囲にわたって伸びる、ガイドレールを用いて
いる。そして、当該ガイドレールにより、前記電動モー
タの回転運動を、前記ナットへと伝達する。
【0022】また、本発明の請求項9に係る電動アクチ
ュエータは、請求項1から8のいずれか1項記載の電動
アクチュエータにおいて、前記ボールネジに、比較的大
リードのボールネジを用いるものである。この構成によ
れば、当該電動アクチュエータの動・静定格推力を大き
くすることができる。また、前記電動モータに低速大ト
ルク型のモータを用いても、前記往復シャフトの送り速
度を高めることが可能であり、反応速度も向上させるこ
とができる。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を添付
図面に基づいて説明する。なお、図1には、本発明の実
施の形態に係る電動アクチュエータ8の、軸方向の断面
図を示しており、図2には、軸直角方向の断面図を示し
ている。
【0024】電動アクチュエータ8のケース9は、一端
部が開口した円筒形を有している。そして、ケース9の
非開口端部には他の部材との締結部9aを設け、開口端
部を蓋9bで塞いでいる。ケース9の内部には、先端部
10aを自由端としたボールネジのネジ軸10を配置し、そ
の基端部10bを、ケース9の円筒底部に直接固定してい
る。ネジ軸10とネジ嵌合するナット11には、ネジ軸10と
の連結部材である可動子12が、一体的に固定されてい
る。
【0025】可動子12は、本体12a、カバー12b、止め
ナット12cの各部材に分離可能となっている。本体12a
には、一つ以上の突起12dを設けている。そして、ネジ
軸10を中心として回転可能に配置されたスリーブ13の、
円筒内周面に設けられた凹状溝のガイドレール13a(突
起12dと同数)と、突起12dとを、係合させている。突
起12dとガイドレール13aとの係合関係は、「互いに回
転不能かつ軸方向に摺動自在」となっている。また、ガ
イドレール13aは、可動子12の可動範囲にわたって伸び
ている。
【0026】なお、スリーブ13は、後述するように中空
モータのロータとして機能するものである。また、後述
のごとくスリーブ13にはアキシャル荷重がかからないた
め、スリーブ13は、ケース9の円筒内周面に対し、低コ
ストのラジアル玉軸受14,15を介して支持されている。
さらに、本発明の実施の形態では、組立性を考慮して、
ナット11と可動子12とを別体構造としたが、可動子12を
ナット11と一体構造とすることも可能である。
【0027】また、ネジ軸10と同心状に、往復シャフト
16を配置している。往復シャフト16は、一端部が開口し
た円筒状部を有しており、往復シャフト16とネジ軸10と
の係合関係は、「互いに回転不能かつ軸方向に摺動自
在」となっている。往復シャフト16の非開口端部には、
他の部材との締結部16aを設け、開口端部には、直径方
向の突起部であるフランジ16bを設けている。そして、
フランジ16bを軸方向から挟む位置に、スラスト軸受1
7,18を配置している。さらに、スラスト軸受17,18を、
可動子12の本体12aとカバー12bとで、軸方向から挟み
込むように支持している。なお、往復シャフト16は、ケ
ース9の蓋9bを貫通していることから、ケース9内部
への異物の侵入を防ぐため、蓋9bには、スクレーパ19
が設けられている。
【0028】スリーブ13の円筒外周面には、複数のマグ
ネット20が固定されている。一方、モータステータ21
は、ケース9の円筒内周面に固定されており、ステータ
コア21aと巻線21bとで構成されている。よって、電動
アクチュエータ8は、スリーブ13をロータとして備える
電動アクチュエータを、内蔵するものである。なお、マ
グネット20およびステータ21の軸方向の設置範囲は、必
ずしも図1に示すように広範囲にわたっている必要はな
く、必要に応じて伸縮させることで、当該中空モータの
回転トルクを増減させることができる。
【0029】さらに、ケース9の開口端部の近傍に、ス
リーブ13の円筒外周面とケース9の内周面との位相差を
検出する、回転角センサ22を設けている。図1には、回
転角センサ22としてレゾルバを用いた場合を示してい
る。そして、回転角センサ22の検出信号をコントロール
部23により受けて、コントロール部23から駆動回路24へ
と制御信号を送り、駆動回路24によりスリーブ13(中空
モータ)を駆動し、往復シャフト16の速度・位置を制御
するものである。
【0030】続いて、電動アクチュエータ8の動作につ
いて説明する。スリーブ13をケース9に対して回転させ
ると、ガイドレール13aと突起12dとの前記係合関係に
よって、可動子12およびナット11を回転駆動することが
できる。そして、ナット11を回転させると、ナット11お
よび可動子12は、ネジ軸10に案内されて、スリーブ13の
中空スペース内をネジ軸10の軸方向へと移動する。この
とき、ガイドレール13aと突起12dとの前記係合関係に
よって、当該軸方向の移動が阻害されることはない。
【0031】ナット11および可動子12を回転させつつ図
1の左方向へと移動させる際には、スラスト軸受17を介
して、ナット11および可動子12の軸方向の推力のみ往復
シャフト16へと伝達され、ナット11および可動子12の回
転運動は往復シャフト16へと伝達されることはない。よ
って、往復シャフト16は、回転することなく、図1に二
点鎖線で示す前進端部位置へと移動する。
【0032】一方、ナット11および可動子12を逆回転さ
せて図1の右方向へと移動させる際には、スラスト軸受
18を介して、ナット11および可動子12の軸方向の推力の
み往復シャフト16へと伝達され、往復シャフト16は、回
転することなくナット11および可動子12に引張られて、
図1に実線で示す後退端部位置へと復帰する。
【0033】上記構成をなす本発明の実施の形態に係る
電動アクチュエータ8によれば、以下のような作用効果
を得ることができる。まず、ネジ軸10がケース9に回転
不能に固定されているので、ネジ軸10の支持剛性、固定
剛性を容易に高めることができる。また、ネジ軸10は、
ナット11、可動子12、スリーブ13、ラジアル玉軸受14,
15を介してケース9にも支えられていることによって
も、ネジ軸10の支持剛性を高めることができる。
【0034】また、可動子12の突起12dと、スリーブ13
の円筒内周面に設けられたガイドレール13aとで、前記
中空モータの動力を受けてナット11を回転駆動する動力
伝達機構を構成しているので、ナット11をネジ軸10に対
し回転駆動すると、ナット11は軸方向へと移動し、かか
るナット11の運動を受けて、往復シャフト16は、ネジ軸
10に沿った直線運動をし、軸方向の推力を発生させる。
この際、可動子12の突起12dは、スリーブ13のガイドレ
ール13aに対し軸方向に摺動することができるので、ナ
ット11および可動子12の軸方向への移動が阻害されるこ
とはなく、かつ、スリーブ13がアキシャル荷重を受ける
こともない。
【0035】そして、往復シャフト16のアキシャル荷重
は、スラスト軸受17,18、可動子12およびナット11を介
してネジ軸10で受けるが、ネジ軸10はケース9に固定さ
れているので、往復シャフト16の軸方向の推力を増大さ
せても、その反力を、ケース9によって十分に受けるこ
とができる。よって、電動アクチュエータ8は、重負荷
用途に適したものとなる。また、長尺部品であるネジ軸
10が、回転運動をする機械要素から外されているので、
駆動イナーシャの低減を図り、応答性を向上させること
ができる。
【0036】また、前述のごとく、可動子12と往復シャ
フト16との連結部分に、スラスト軸受17,18を介在させ
ることによって、ナット11および可動子12の軸方向の推
力のみ往復シャフト16へと伝達され、ナット11および可
動子12の回転運動が、往復シャフト16へと伝達されるこ
とはない。しかも、往復シャフト16を、ネジ軸10に対し
回転不能かつ軸方向に摺動自在に支持したことにより、
往復シャフト16は、ネジ軸10に対し回転することなく、
軸方向の推力を発生させることとなる。しかも、スラス
ト軸受17,18を採用したことにより、往復シャフト16と
ナット11および可動子12との、アキシャル荷重の授受
を、比較的小さな軸受で行うことが可能となる。
【0037】なおかつ、往復シャフト16のフランジ16b
を軸方向から挟む位置に、スラスト軸受17,18を配置
し、可動子12の本体12aとカバー12bとで、スラスト軸
受17,18を軸方向から挟み込むように支持することで、
ナット11および可動子12によって往復シャフト16を押し
出す場合と、引張る場合の何れの場合にも対応すること
ができる。
【0038】以上のように、ネジ軸10の支持剛性、固定
剛性は高く、かつ、スリーブ12(ロータ)はアキシャル
荷重を受けないので、ネジ軸10およびナット11を比較的
大リードのボールネジとすることが可能となる。この、
比較的大リードのボールネジを用いることで、電動アク
チュエータ8の動・静定格推力を大きくすることができ
る。また、比較的大リードのボールネジを用いること
で、中空モータに低速大トルク型のモータを用いても、
往復シャフト16の送り速度を高めることが可能であり、
反応速度も向上させることができる。
【0039】さらに、電動モータとして、スリーブ13を
ロータとする中空モータを内蔵することで、ケース9、
ネジ軸10、ナット11、可動子12、スリーブ13および往復
シャフト16を、全て、同心状に配置することが可能とな
り、ユニット全体としての小型化を図ることができる。
しかも、中空モータの回転トルクを、減速機を介すこと
なく直接的にナット11へと伝達することができるので、
エネルギー損失や駆動イナーシャの低減を図ることがで
き、小型、軽量化も容易となる。また、当該中空モータ
に要求される回転トルクに応じ、前記スリーブの長さを
変えることなく、中空モータのマグネット20およびモー
タステータ21の、軸方向の長さのみ変えることで、中空
モータの出力を増減させることができる。
【0040】加えて、スリーブ13は、その内部に、ネジ
軸10、ナット11、可動子12および往復シャフト16を、全
て同心状に配置し得るだけの直径を有しているので、ス
リーブ13の円筒外周面とケース9の内周面との位相差を
検出する、回転角センサ22を設けることにより、回転角
センサ22の回転子の直径も、スリーブ13の円筒外周面に
合わせて大径化され、容易に高分解能化を図ることがで
きる。よって、位置制御精度を向上させることができ
る。しかも、ケース9の開口端部の近傍に回転角センサ
22を配置したことで、回転角センサ22の調整・メンテナ
ンスも容易となる。
【0041】その他の有利な特徴点として、ケース9は
連結部9a、ネジ軸10の固定部分を含め、一体製作する
ことが可能である。また、ケース9の形状が単純な筒状
に近いものであるため、内部の構成部品を、順次挿入
し、組み付けることができ、組付性が良好である。さら
に、ケース9の外部に目立った凹凸等がなく、単純形状
であるため、連結部9aの設置場所に制約を受けること
がない、等が挙げられる。
【0042】なお、電動アクチュエータ8の構造上の応
用例として、以下の変更を施すことも可能である。例え
ば、スラスト軸受17,18を省略して、可動子12と往復シ
ャフト16とを直接的に固定し(又は可動子12、往復シャ
フト16を一体部品とし)、往復シャフト16を回転させな
がら送る構造とする。同時に、往復シャフト16と被駆動
部材との連結部分を、スラスト軸受17,18と同等の機能
部品で連結することで、往復シャフト16の回転を相殺す
る。位置制御精度を重視しなくても良い用途の場合に
は、ユニット内の中空モータを回転角センサの不要な形
式(誘導機、ステッピングモータ等)とし、可動子12に
ドグ機能を持たせて、ケース9に可動限度を決めるリミ
ットスイッチを取り付ける。
【0043】また、全長は増加するが、中空モータに変
えて、ネジ軸9と直列に配置した中空軸を持たない電動
モータで、スリーブ13を駆動することも可能である。さ
らに、可動子12の突起12dと、スリーブ13の円筒内周面
に設けられたガイドレール13aとからなる動力伝達機構
に、低摩擦化・損失低減のため、スライドプレート等を
使用したり、他の直動機構(ボールスプライン、スプラ
インナット等、低損失の動力伝達機構)へと置換するこ
とも可能である。
【0044】以上のごとく、本発明の実施の形態に係る
電動アクチュエータ8は、小型軽量化を促進すると共
に、速度・位置決め制御に関する精度の向上、応答速度
の向上を図ることが可能であり、様々な技術分野への応
用が可能となる。例えば、電動アクチュエータ8を複数
組み合わせることで、複雑な運動制御を可能とし、内骨
格型のロボット等の、アクチュエータとして使用するこ
とが可能となる。また、電動アクチュエータ8にトルク
または推力検出手段を付加して、自動車用サスペンショ
ンのショックアブソーバとして使用すれば、ダンパ制
御、推力のアクティブコントロール、エネルギー回生が
可能となり、車両の運動性の向上を図ることができる。
【0045】
【発明の効果】本発明はこのように構成したので、以下
のような効果を有する。まず、請求項1記載の電動アク
チュエータによれば、電動アクチュエータの小型軽量化
を促進すると共に、速度・位置決め制御に関する精度の
向上、応答速度の向上を図ることが可能となる。そし
て、様々な技術分野に利用可能な、高精度、大出力の電
動アクチュエータを提供することが可能となる。
【0046】また、請求項2記載の電動アクチュエータ
によれば、電動モータの回転運動をボールネジによって
直線運動に変換し、往復シャフトを回転させることなく
直線運動させて、軸方向の推力を発生させることが可能
となる。
【0047】また、請求項3記載の電動アクチュエータ
によれば、前記往復シャフトと前記ナットとの間で、大
きなアキシャル荷重を、比較的小さな軸受で伝達するこ
とが可能となり、電動アクチュエータの小型化を促進す
ることができる。
【0048】また、請求項4記載の電動アクチュエータ
によれば、前記往復シャフトを伸ばす場合と、前記往復
シャフトを縮める場合の何れの場合でも、前記往復シャ
フトと前記ナットとの間で、大きなアキシャル荷重を、
前記スラスト軸受で伝達することが可能となり、電動ア
クチュエータの小型化を促進することができる。
【0049】また、請求項5記載の電動アクチュエータ
によれば、電動モータの動力を受けてボールネジのナッ
トを回転駆動する際に、前記動力伝達機構がアキシャル
荷重を受けることがないので、電動アクチュエータの大
出力化に対応することが容易となる。
【0050】また、請求項6記載の電動アクチュエータ
によれば、必要な構成要素を、全て、同心状に配置する
ことができ、小型化を促進することができる。また、電
動アクチュエータに要求される出力に応じた構成を取る
ことが容易となる。
【0051】また、請求項7記載の電動アクチュエータ
によれば、位置制御精度を向上させることができ、請求
項8記載の電動アクチュエータによれば、ガイドレール
により、前記電動モータの回転運動を前記ナットへと伝
達する、動力伝達機構を構成することが可能となる。さ
らに、請求項9記載の電動アクチュエータによれば、動
・静定格推力の増大、反応速度の向上を図ることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る電動アクチュエータ
の、軸方向の断面図である。
【図2】図1に示す電動アクチュエータの、軸直角方向
の断面図である。
【図3】従来の電動アクチュエータの、概略断面図であ
る。
【符号の説明】
8 電動アクチュエータ 9 ケース 10 ネジ軸 10b 基端部 11 ナット 12 可動子 12d 突起 13 スリーブ 13a ガイドレール 14,15 ラジアル玉軸受 16 往復シャフト 16b フランジ 17,18 スラスト軸受 20 マグネット 21 モータステータ 22 回転角センサ 23 コントロール部 24 駆動回路

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電動モータの回転運動をボールネジによ
    って直線運動に変換し、軸方向の推力を発生させる電動
    アクチュエータであって、ケースに回転不能に固定され
    るボールネジのネジ軸と、電動モータの動力を受けてボ
    ールネジのナットを回転駆動する動力伝達機構と、前記
    ネジ軸に対する前記ナットの運動を受けて前記ネジ軸に
    沿った直線運動をする往復シャフトと、を備えることを
    特徴とする電動アクチュエータ。
  2. 【請求項2】 前記ナットと前記往復シャフトとの連結
    部分に軸受を介在させ、前記往復シャフトを前記ネジ軸
    に対し回転不能かつ軸方向に摺動自在に支持したことを
    特徴とする請求項1記載の電動アクチュエータ。
  3. 【請求項3】 前記軸受は、スラスト軸受であることを
    特徴とする請求項2記載の電動アクチュエータ。
  4. 【請求項4】 前記往復シャフトに、直径方向の突起部
    を設け、該突起部を軸方向からスラスト軸受で挟持し、
    該スラスト軸受を連結部材で軸方向から挟み込み、該連
    結部材を前記ナットに固定したことを特徴とする請求項
    3記載の電動アクチュエータ。
  5. 【請求項5】 前記動力伝達機構は、前記ネジ軸を中心
    として回転可能に配置され、前記ナットに対し回転不能
    かつ軸方向に摺動自在に係合するガイド部材を有し、該
    ガイド部材を介して、前記電動モータの回転運動を前記
    ナットへと伝達するものであることを特徴とする請求項
    1から4のいずれか1項記載の電動アクチュエータ。
  6. 【請求項6】 前記電動モータは、前記ガイド部材を円
    筒内周面に備えたスリーブを、ロータとして備える中空
    モータであることを特徴とする請求項5記載の電動アク
    チュエータ。
  7. 【請求項7】 前記スリーブの円筒外周面と前記ケース
    内周面とに、回転角センサを設けたことを特徴とする請
    求項6記載の電動アクチュエータ。
  8. 【請求項8】 前記ガイド部材は、前記ナットの可動範
    囲にわたって伸びる、ガイドレールであることを特徴と
    する請求項5から7のいずれか1項記載の電動アクチュ
    エータ。
  9. 【請求項9】 前記ボールネジに、比較的大リードのボ
    ールネジを用いることを特徴とすることを特徴とする請
    求項1から8のいずれか1項記載の電動アクチュエー
    タ。
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