JP2002344246A - 偶高調波ミキサおよびそれを用いた高周波通信回路装置 - Google Patents

偶高調波ミキサおよびそれを用いた高周波通信回路装置

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JP2002344246A JP2001147668A JP2001147668A JP2002344246A JP 2002344246 A JP2002344246 A JP 2002344246A JP 2001147668 A JP2001147668 A JP 2001147668A JP 2001147668 A JP2001147668 A JP 2001147668A JP 2002344246 A JP2002344246 A JP 2002344246A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 変換損が小さく十分な出力を得る。 【解決手段】 アンチパラレルダイオードペア21の一
端に第1伝送線路22の一端を接続し、この第1伝送線
路22の他端32に先端開放スタブ24を接続してい
る。また、アンチパラレルダイオードペア21の他端に
第2伝送線路23の一端を接続し、この第2伝送線路2
3の他端33に先端短絡スタブ25を接続している。こ
のように、アンチパラレルダイオードペア21の両側に
伝送線路22,23を設けて先端開放スタブ24の電気
長を調整することによって、アンチパラレルダイオード
ペア21を構成するダイオードの接合容量がキャンセル
され、偶高調波ミキサの周波数変換特性および出力特性
が向上する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、マイクロ波ミリ
波通信装置に用いられる偶高調波ミキサ、及び、それを
用いた高周波通信回路装置に関する。
【0002】
【従来の技術】図9は、例えば、特許第2795972
号に記載されている従来の偶高調波ミキサの構成図であ
る。この偶高調波ミキサにおいては、高周波信号(周波
数frf)と局発信号(周波数flo)とを入力し、中間周波
信号(周波数fif)としてfloの偶数倍とfrfとの差の周
波数の局波数を出力するダウンコンバータ用偶高調波ミ
キサの例である。
【0003】図9において、1は高周波信号端子、2は
局発信号端子、3は中間周波信号端子、4a,4bはダイ
オードである。このダイオード4a,4bは、逆極性で並
列接続されており、アンチパラレルダイオードペア5を
構成している。また、6は中間周波信号を通過させる低
域通過フィルタ、7は高周波信号を通過させる帯域通過
フィルタであり、共にアンチパラレルダイオードペア5
の第1の端子8に接続されている。さらに、この第1の
端子8には、局発信号周波数に対して略1/4波長の先
端開放スタブ10が接続されている。一方、アンチパラ
レルダイオードペア5の第2の端子9には、局発信号周
波数に対して略1/4波長の先端短絡スタブ11が接続
されている。尚、低域通過フィルタ6及び帯域通過フィ
ルタ7で、分波器12を構成している。
【0004】上記構成を有するダウンコンバータ用偶高
調波ミキサは次のように動作する。すなわち、局発信号
端子2から周波数floの局発信号を入力して、アンチパ
ラレルダイオードペア5の第2の端子9に加える。一
方、高周波信号端子1から周波数frfの高周波信号を入
力して、帯域通過フィルタ7を介してアンチパラレルダ
イオードペア5の第1の端子8に加える。そうすると、
次式で与えられる混合波(周波数fout)が、アンチパラ
レルダイオードペア5の両端に発生する。 fout=|frf±2mflo| ここで、m:整数 そして、この混合波のうち、例えば次式で与えられる周
波数fifの信号を選択して、中間周波信号として中間周
波信号端子3から出力するのである。 fif=frf−2mflo
【0005】ここで、上記中間周波信号の周波数fif
が、周波数frfと比較して十分小さい場合には、局発信
号周波数floに対して略1/4波長の先端開放スタブ1
0との接続点8は、高周波信号frfに対しては開放、局
発信号floに対しては短絡として機能する。一方、局発
信号周波数floに対して略1/4波長の先端短絡スタブ
11との接続点9は、高周波信号frfに対しては短絡、
局発信号floに対しては開放として機能する。局発信号
と高周波信号はお互いにアイソレーションが取れる。ま
た、局発信号の偶高調波信号は、アンチパラレルダイオ
ードペア5内でキャンセルされるために、どこからも出
力されない。
【0006】尚、上記構成を有するダウンコンバータ用
偶高調波ミキサは、中間周波信号を中間周波信号端子3
に入力し、局発信号を局発信号端子2に入力して、高周
波信号を高周波信号端子1から出力するアップコンバー
タ用ミキサとして機能させてもよい。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の偶高調波ミキサにおいては、使用する周波数が非常
に高い場合には、ダイオード4a,4bの接合容量のため
に、変換損が増大したり十分な出力が得られない等の間
題がある。
【0008】そこで、この発明の目的は、変換損が小さ
く十分な出力が得られる偶高調波ミキサおよびそれを用
いた高周波通信回路装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、第1の発明は、2つのダイオードを夫々の極性を逆
にして並列に接続して成るアンチパラレルダイオードペ
アを有する偶高調波ミキサにおいて、上記アンチパラレ
ルダイオードペアの両端における少なくとも一方に伝送
線路の一端が接続され、上記アンチパラレルダイオード
ペアの一端またはこの一端に接続された上記伝送線路
に,先端開放スタブが接続され、上記アンチパラレルダ
イオードペアの他端またはこの他端に接続された上記伝
送線路に,先端短絡スタブが接続され、上記アンチパラ
レルダイオードペアまたは伝送線路と上記先端開放スタ
ブとの接続点に,高周波信号用伝送線路および中間周波
信号用伝送線路の一端が接続され、上記アンチパラレル
ダイオードペアまたは伝送線路と上記先端短絡スタブと
の接続点に,局発信号用伝送線路の一端が接続されると
共に、上記各伝送線路の電気長の合計が,高周波信号の
波長に対して20゜以上且つ60゜以下であることを特徴
としている。
【0010】ここで、上記電気長は、 θ=2π・l/λ と定義される。但し、θは電気長であり、lは伝送線路
の長さであり、λは伝送線路における実効波長である。
【0011】上記構成によれば、アンチパラレルダイオ
ードペアの両端または何れか一方に接続されている伝送
線路によって、上記アンチパラレルダイオードペアを構
成する2つのダイオードの接合容量がキャンセルされ
る。したがって、本偶高調波ミキサの周波数変換特性お
よび出力特性が向上される。
【0012】また、1実施例では、上記第1の発明の偶
高調波ミキサにおいて、上記先端短絡スタブの電気長が
高周波信号の波長に対して略180゜であり、上記先端
開放スタブの電気長が高周波信号の波長に対して200
゜以上且つ240゜以下であることを特徴としている。
【0013】この実施例によれば、上記先端短絡スタブ
は、接続点において高周波信号に対しては短絡と見なせ
るのに対して、局発信号に対しては開放と見なすことが
できるため、何も接続されていないのに等しい。したが
って、上記先端開放スタブの電気長が調整されることに
よって、上記アンチパラレルダイオードペアの接合容量
がより厳密にキャンセルされる。
【0014】また、1実施例では、上記第1の発明の偶
高調波ミキサにおいて、上記中間周波信号用伝送線路の
他端に,一端が接地されたキャパシタの他端が接続さ
れ、上記中間周波信号用伝送線路とキャパシタとの接続
点に中間周波信号用端子を設けると共に、上記中間周波
信号用伝送線路およびキャパシタの実効的な電気長が高
周波信号の波長に対して略90゜であることを特徴とし
ている。
【0015】この実施例によれば、上記中間周波信号用
伝送線路およびキャパシタの実効的な電気長が高周波信
号の波長に対して略90゜になっているので、高周波信
号に対して上記中間周波信号用伝送線路は開放に見え、
何も接続されていないのと等しくなる。その結果、本偶
高調波ミキサの周波数変換特性および出力特性が向上す
ることに加えて、上記高周波信号,局発信号および中間
周波信号がお互いにアイソレーションが取れるようにな
る。
【0016】また、1実施例では、上記第1の発明の偶
高調波ミキサにおいて、上記中間周波信号用伝送線路の
他端に低域通過フィルタの一端が接続され、上記低域通
過フィルタの他端に中間周波信号用端子を設けたことを
特徴としている。
【0017】この実施例によれば、上記先端開放スタブ
の電気長が高周波信号の波長に対して略180゜であ
り、上記中間周波信号用伝送線路の電気長が高周波信号
の波長に対して20゜以上且つ60゜以下である場合に
は、上記低域通過フィルタは高周波信号に対して開放と
見えるため、上記中間周波信号用伝送線路は、高周波信
号に対して電気長が20゜以上且つ60゜以下の先端開放
スタブと等価になる。その場合には、上記中開局波信号
用伝送線路で実現された等価的な先端開放スタブの電気
長を調整することによって、上記アンチパラレルダイオ
ードペアの接合容量をより厳密にキャンセルすることが
可能になる。
【0018】また、1実施例では、上記中間周波信号用
伝送線路に上記低域通過フィルタが接続された偶高調波
ミキサにおいて、上記低域通過フィルタは、直列に接続
された第1インダクタと第2インダクタとの接続点に、
一端が接地されたキャパシタの他端が接続されて構成さ
れていることを特徴としている。
【0019】また、1実施例では、上記中間周波信号用
伝送線路に低域通過フィルタが接続された偶高調波ミキ
サにおいて、上記先端短絡スタブの電気長が高周波信号
の波長に対して略180゜であり、上記先端開放スタブ
の電気長が高周波信号の波長に対して略180゜であ
り、上記中間周波信号用伝送線路の電気長が高周波信号
の波長に対して20゜以上且つ60゜以下であることを特
徴としている。
【0020】この実施例によれば、上記先端開放スタブ
は、その電気長が高周波信号の波長に対して略180゜
となっているため上記高周波信号に対しては開放とな
り、何も接続されていないのと等しい。一方、上記低域
通過フィルタは高周波信号に対して開放と見え、且つ、
上記中間周波信号用伝送線路の電気長は高周波信号の波
長に対して20゜以上且つ60゜以下であるため、中間周
波信号用伝送線路は、高周波信号から見ると電気長が2
0゜以上且つ60゜以下の先端開放スタブと等価になる。
【0021】したがって、上記中開局波信号用伝送線路
で実現された等価的な先端開放スタブの電気長が調整さ
れることによって、上記アンチパラレルダイオードペア
の接合容量がより厳密にキャンセルされるのである。
【0022】また、第2の発明の高周波通信回路装置
は、上記第1の発明の偶高調波ミキサを、アップコンバ
ータおよびダウンコンバータの少なくとも一方として使
用したことを特徴としている。
【0023】上記構成によれば、アップコンバータとし
て上記第1の発明の偶高調波ミキサを用いた場合には、
上記アップコンバータの変換損は小さくなり、出力も大
きくなる。したがって、所望の送信機出力を得る場合に
おけるアンプの段数低減が可能になる。また、ダウンコ
ンバータとして上記第1の発明の偶高調波ミキサを用い
た場合には、受信機の低雑音化が可能になる。
【0024】
【発明の実施の形態】以下、この発明を図示の実施の形
態により詳細に説明する。 <第1実施の形態>図1は、本実施の形態の偶高調波ミ
キサにおける構成を示す図である。尚、ここでは、中間
周波信号(周波数fIF)と局発信号(周波数fLO)とを入力
し、周波数fLOの2倍と周波数fIFとを混合した周波数
の高周波信号(周波数fRF)を出力するアップコンバータ
用偶高調波ミキサである場合を例に説明する。すなわ
ち、周波数fRFと周波数fIFと周波数fLOとの間には、
以下の関係があるのである。 fRF=2×fLO±fIF
【0025】本偶高調波ミキサは、2つのダイオードを
夫々の極性を逆にして並列接続して成るアンチパラレル
ダイオードペア21と、第1伝送線路22と、第2伝送
線路23と、先端開放スタブ24と、先端短絡スタブ2
5と、中間周波信号用伝送線路26と、高周波信号用伝
送線路27と、局発信号用伝送線路28と、キャパシタ
29,30,31で構成される。
【0026】上記アンチパラレルダイオードペア21の
一端に第1伝送線路22の一端が接続され、第1伝送線
路22の他端32に先端開放スタブ24が接続されてい
る。また、アンチパラレルダイオードペア21の他端に
第2伝送線路23の一端が接続され、第2伝送線路23
の他端33に先端短絡スタブ25が接続されている。第
1伝送線路22と先端開放スタブ24との接続点32
に、高周波信号用伝送線路27および中間周波信号用伝
送線路26の一端が接続されている。また、第2伝送線
路23と先端短絡スタブ25との接続点33に、局発信
号用伝送線路28が接続されている。
【0027】上記中間周波信号用伝送線路26の他端3
4にはキャパシタ29の一端が接続されると共に、キャ
パシタ29の他端は接地されている。また、高周波信号
用伝送線路27の他端および局発信号用伝送線路28の
他端には、キャパシタ30およびキャパシタ31の一端
が接続されている。そして、中間周波信号用伝送線路2
6とキャパシタ29との接続点34が中間周波信号用端
子35となり、キャパシタ30およびキャパシタ31の
他端が高周波信号用端子36および局発信号用端子37
となっている。
【0028】上記先端短絡スタブ25の電気長は、高周
波信号の波長に対して略180゜となっており、先端開
放スタブ24の電気長は高周波信号の波長に対して22
0゜となっている。また、第1伝送線路22および第2
伝送線路23の電気長は、夫々高周波信号の波長に対し
て略20゜となっている。また、中間周波信号用伝送線
路26は高周波信号に対して略90゜となっている。さ
らに、中間周波信号の周波数fIFが高周波信号の周波数
RFと比較して非常に小さい場合には、 fRF≒2×fLO となるために、先端短絡スタブ25の電気長は局発信号
の波長に対して略90゜となり、先端開放スタブ24の
電気長は局発信号の波長に対して略110゜となる。
【0029】先端短絡スタブ25は、接続点33におい
て高周波信号に対しては短絡と見なせるのに対して、局
発信号に対しては開放と見なすことができ、何も接続さ
れていないのに等しい。一方、先端開放スタブ24は、
高周波信号に対しては、電気長40゜の先端開放スタブ
と同インピーダンスとなる。これは、高周波信号に対し
ては容量 C=1/(ωZc)・tan(40゜) ここで、ω:高周波信号の角周波数 Zc:先端開放スタブの特性インピーダンス のシャントキャパシタと等価に機能する。
【0030】上記構成の偶高調波ミキサは、以下のよう
に動作する。すなわち、上記中間周波信号用端子35か
ら入力された中間周波信号は、中間周波信号用伝送線路
26および第1伝送線路22を通して、アンチパラレル
ダイオードペア21に入力される。一方、局発信号用端
子37から入力された局発信号は、キャパシタ31,局
発信号用伝送線路28および第2伝送線路23を通過し
て、アンチパラレルダイオードペア21に入力される。
こうして、アンチパラレルダイオードペア21に入力さ
れた中間周波信号と局発信号とは、ダイオードの非線型
性によって混合されて高周波信号が高周波信号用端子3
6から出力される。
【0031】上記中間周波信号は、周波数fIFが低いの
で、キャパシタ30およびキャパシタ31を殆ど通過せ
ず、高周波信号用端子36および局発信号用端子31に
は殆ど漏れない。また、先端開放スタブ24の接続点3
2は、局発周波数に対して低インピーダンスとなり、局
発信号(周波数fLO)は中間周波信号用端子35および高
周波信号用端子36には殆ど出力されない。また、局発
信号の2倍波(周波数2fLO)は、アンチパラレルダイオ
ードペア21内でキャンセルされるため、何れの端子3
5,36,37にも出力されない。
【0032】上記第1伝送線路22と第2伝送線路23
は、高周波信号に対してインダクタ的に機能する。した
がって、本偶高調波ミキサの構成を高周波信号に対する
等価回路で示すと、図2に示すように表すことができ
る。尚、ここでは、アンチパラレルダイオードペア21
を構成する各ダイオードの等価回路を、接合容量と非線
型抵抗との並列回路だけの理想的なものとして表してい
る。
【0033】図2に示す等価回路は、上記アンチパラレ
ルダイオードペア21の接合容量41および非線型抵抗
42と、第1インダクタ43と、第2インダクタ44
と、シャントキャパシタ45と、高周波信号用伝送線路
46で構成される。ここで、第1インダクタ43,第2
インダクタ44,シャントキャパシタ55および高周波
信号用伝送線路46は、図1に示す偶高調波ミキサにお
ける第1伝送線路22,第2伝送線路23,先端開放スタ
ブ24および高周波信号用伝送線路27に対応してい
る。
【0034】上記等価回路において、上記第1インダク
タ43および第2インダクタ44と接合容量41とは互
いに打ち消し合うために高周波特性が向上する。すなわ
ち、シャントキャパシタ45の容量をアンチパラレルダ
イオードペア21の動作時の接合容量41と略等価にな
るように設定し、第1インダクタ43と第2インダクタ
44とのインピーダンスの合計を、シャントキャパシタ
45のインピーダンスの絶対値と等しくなるように設定
すれば、線分A‐A'から左を見たインピーダンスZ
は、 Z=(ωL)2/R ここで、L:第1インダクタ43および第2インダクタ
44の合計インダクタンス R:非線型抵抗42の動作時抵抗値 となり、その虚部は0となって接合容量41が完全にキ
ャンセルされる。こうして、接合容量41がキャンセル
される結果、高周波特性が向上するのである。
【0035】ここで、図1において、上記第1伝送線路
22および第2伝送線路23の電気長が等しくなるよう
に設定したが、それらの電気長の合計が高周波信号の波
長に対して電気長40゜となっていれば、どのような長
さ配分となっていても差し支えないのである。
【0036】図3は、図1に示す構成を有する偶高調波
ミキサを、砒化ガリウム基板上に形成した具体例であ
る。但し、図3(a)は平面図であり、図3(b)は図3(a)
におけるB‐B'矢視断面図である。基板のサイズは9
00ミクロン×900ミクロンであり、基板の厚さは1
00ミクロンである。高周波信号は60GHz、局発信
号は29.5GHz、中間周波信号は1GHzである。
【0037】図3において、51はアンチパラレルダイ
オードペア、52は第1伝送線路、53は第2伝送線
路、54は先端開放スタブ、55は先端短絡スタブ、5
6は中間周波信号用伝送線路、57は高周波信号用伝送
線路、58は局発信号用伝送線路、59,60,61はM
IM(金属‐絶縁物‐金属)キャパシタである。ここで、
第1伝送線路52,第2伝送線路53,先端開放スタブ5
4,先端短絡スタブ55,高周波信号用伝送線路57およ
び局発信号用伝送線路58は、特性インピーダンスが略
50Ωとなるように線路の幅を65ミクロンに形成して
いる。また、中間周波信号用伝送線路56は、特性イン
ピーダンスが略70Ωとなるように線路幅を30ミクロ
ンに形成している。さらに、MIMキャパシタ59,6
0,61は、中間周波信号に対しては高インピーダンス
となり、高周波信号および局発信号に対しては低インピ
ーダンスとなるように、その容量を0.4pFに設定して
いる。
【0038】上記先端短絡スタブ55の電気長は上記高
周波信号の波長に対して180゜となり、先端開放スタ
ブ54の電気長は高周波信号の波長に対して略220゜
となっている。先端短絡スタブ55は、先端がパッド6
2及びスルーホール63を介して接地されており、上記
先端短絡スタブ55の電気長をスルーホール63の電気
長をも含んで定義している。したがって、60GHzに
対する電気長180゜は870ミクロンとなるので、先
端開放スタブ54の実効長は1050ミクロン、先端短
絡スタブ55の伝送線路部の実効長は720ミクロン、
パッド62およびスルーホール63の実効長は150ミ
クロンに夫々設定してある。
【0039】上記第1伝送線路52および第2伝送線路
53は、夫々高周波信号の波長に対して略20゜であ
り、すなわち夫々の実効値は100ミクロンとなってい
る。また、中間周波信号用伝送線路56の電気長は、第
1伝送線路52との接続点において、高周波信号に対し
て開放となるように設定してある。すなわち、中間周波
信号用伝送線路56とMIMキャパシタ59とスルーホ
ール64との電気長の合計が、高周波信号に対して略9
0゜となっている。つまり、中間周波信号用伝送線路5
6は300ミクロンである。
【0040】本実施の形態における偶高調波ミキサと従
来の偶高調波ミキサとにおけるミキサとの特性を比較し
たものを図4に示す。図4は、1GHzの中間周波信号
を入力して出力として60GHzの高周波信号を取り出
した場合における中間周波信号の入力電力(横軸)と高周
波信号の出力電力(縦軸)との関係を示す。図4によれ
ば、本実施の形態による偶高調波ミキサの場合、従来の
構成の偶高調波ミキサに比較して、変換損および出力共
に2dB以上改善されることが分る。
【0041】以上のように、本実施の形態においては、
2つのダイオードを夫々の極性を逆にして並列接続して
成るアンチパラレルダイオードペア21の一端に第1伝
送線路22の一端を接続し、この第1伝送線路22の他
端32に先端開放スタブ24を接続している。また、ア
ンチパラレルダイオードペア21の他端に第2伝送線路
23の一端を接続し、この第2伝送線路23の他端33
に先端短絡スタブ25を接続している。さらに、第1伝
送線路22と先端開放スタブ24との接続点32に、高
周波信号用伝送線路27および中間周波信号用伝送線路
26を接続している。また、第2伝送線路23と先端短
絡スタブ25との接続点33に、局発信号用伝送線路2
8を接続している。そして、第1伝送線路22と第2伝
送線路23との電気長の合計を、高周波信号の波長に対
して40゜にしている。
【0042】さらに、上記先端短絡スタブ25の電気長
を高周波信号の波長に対して略180゜にしているた
め、先端短絡スタブ25は、接続点33において高周波
信号に対しては短絡と見なせるのに対して、局発信号に
対しては開放と見なすことができるため、何も接続され
ていないのに等しい。また、先端開放スタブ24の電気
長を高周波信号の波長に対して220゜にしており、高
周波信号に対しては電気長40゜のオープンスタブと等
価になる。
【0043】このように、上記アンチパラレルダイオー
ドペア21の両側に伝送線路22,23を追加し、先端
開放スタブ24の電気長を調整することによって、アン
チパラレルダイオードペア21を構成するダイオードの
接合容量がキャンセルされ、偶高調波ミキサの周波数変
換特性および出力特性が向上するのである。
【0044】さらに、上記中間周波信号用伝送線路26
の他端34にはキャパシタ29の一端を接続し、このキ
ャパシタ29の他端を接地している。したがって、中間
周波信号用伝送線路26およびキャパシタ29の実効的
な電気長が高周波信号の波長に対して略90゜となり、
高周波信号に対して中間周波信号用伝送線路26は開放
に見え、何も接続されていないのと等しくなる。
【0045】以上の構成を取ることによって、偶高調波
ミキサの周波数変換特性および出力特性が向上すること
に加えて、高周波信号,局発信号および中間周波信号の
互いのアイソレーションが取れるようになる。
【0046】尚、上記実施の形態においては、上記第1
伝送線路22と第2伝送線路23との電気長の合計を高
周波信号の波長に対して40゜にしている。しかしなが
ら、この発明は、上記40゜に限定されるものではな
い。但し、各伝送線路の高周波信号の波長に対する電気
長の合計は、20゜よりも小さくなると図2におけるA
‐A'から左を見たインピーダンスがキャパシティブに
なり、60゜よりも大きくなると上記インピーダンスが
インダクティブになり、何れの場合も上述の効果を殆ど
得ることができない。したがって、20゜以上且つ60゜
以下に設定することが望ましい。また、上記実施の形態
においては、先端開放スタブ24の電気長を高周波信号
の波長に対して220゜にしている。しかしながら、こ
の発明は、上記220゜に限定されるものではない。但
し、先端開放スタブ24の高周波信号の波長に対する電
気長は、200゜よりも小さくなると図2におけるA‐
A'から左を見たインピーダンスがインダクティブにな
り、240゜よりも大きくなると上記インピーダンスが
キャパシティブになり、何れの場合も上述の効果を殆ど
得ることができない。したがって、200゜以上且つ2
40゜以下に設定することが望ましい。
【0047】<第2実施の形態>図5は、本実施の形態
の偶高調波ミキサにおける構成を示す図である。図5に
おいて、アンチパラレルダイオードペア71,先端開放
スタブ73,先端短絡スタブ74,中間周波信号用伝送線
路75,高周波信号用伝送線路76,局発信号用伝送線路
77,キャパシタ78・79・80,中間周波信号用端子8
1,高周波信号用端子82および局発信号用端子83
は、上記第1実施の形態における図1に示すアンチパラ
レルダイオードペア21,先端開放スタブ24,先端短絡
スタブ25,中間周波信号用伝送線路26,高周波信号用
伝送線路27,局発信号用伝送線路28,キャパシタ29
・30・31,中間周波信号用端子35,高周波信号用端子
36および局発信号用端子37と同じである。
【0048】伝送線路72は、その両端が上記アンチパ
ラレルダイオードペア71と先端開放スタブ73とに接
続されて、図1における第1伝送線路22と第2伝送線
路23の代わりを勤めている。そして、その電気長は高
周波信号の波長に対して略40゜となっている。このよ
うに、伝送線路をアンチパラレルダイオードペア71の
片側のみに接続しても、上記第1実施の形態のごとく、
第1伝送線路22および第2伝送線路23の二つの伝送
線路をアンチパラレルダイオードペア21の両端に接続
した場合と、略同様の効果を得ることができるのであ
る。
【0049】<第3実施の形態>図6は、本実施の形態
の偶高調波ミキサにおける構成を示す図である。図6に
おいて、アンチパラレルダイオードペア91,先端開放
スタブ93,先端短絡スタブ94,中間周波信号用伝送線
路95,高周波信号用伝送線路96,局発信号用伝送線路
97,キャパシタ98・99・100,中間周波信号用端子
101,高周波信号用端子102および局発信号用端子
103は、上記第1実施の形態における図1に示すアン
チパラレルダイオードペア21,先端開放スタブ24,先
端短絡スタブ25,中間周波信号用伝送線路26,高周波
信号用伝送線路27,局発信号用伝送線路28,キャパシ
タ29・30・31,中間周波信号用端子35,高周波信号
用端子36および局発信号用端子37と同じである。
【0050】伝送線路92は、その両端が上記アンチパ
ラレルダイオードペア91と先端短絡スタブ94とに接
続されて、図1における第1伝送線路22と第2伝送線
路23の代わりを勤めている。そして、その電気長は高
周波信号の波長に対して略40゜となっている。このよ
うに、伝送線路92を、アンチパラレルダイオードペア
91の両端子における上記第2実施の形態の伝送線路7
2の場合とは逆の端子に接続しても、上記第1,第2実
施の形態の場合と略同様の効果を得ることができるので
ある。
【0051】つまり、上記第1実施の形態における図1
に示す第1伝送線路22と第2伝送線路23はその電気
長の合計が略40゜であればよく、極端な長さ配分の例
が上記第2実施の形態および第3実施の形態なのであ
る。
【0052】<第4実施の形態>図7は、本実施の形態
の偶高調波ミキサにおける構成を示す図である。図7に
示す偶高調波ミキサは、2つのダイオードを夫々の極性
を逆にして並列接続して成るアンチパラレルダイオード
ペア111と、第1伝送線路112と、第2伝送線路1
13と、先端開放スタブ114と、先端短絡スタブ11
5と、中間周波信号用伝送線路116と、高周波信号用
伝送線路117と、局発信号用伝送線路118と、キャ
パシタ119,120と、インダクタ121,122およ
びシャントキャパシタ123で成る低域通過フィルタ1
24で構成される。
【0053】上記アンチパラレルダイオードペア111
の一端に第1伝送線路112の一端が接続され、第1伝
送線路112の他端125に先端開放スタブ114が接
続されている。また、アンチパラレルダイオードペア1
11の他端に第2伝送線路113の一端が接続され、第
2伝送線路113の他端126に先端短絡スタブ115
が接続されている。第1伝送線路112と先端開放スタ
ブ114との接続点125には、高周波信号用伝送線路
117および中間周波信号用伝送線路116の一端が接
続されている。また、第2伝送線路113と先端短絡ス
タブ115との接続点126には、局発信号用伝送線路
118が接続されている。
【0054】上記高周波信号用伝送線路117の他端お
よび局発信号用伝送線路118の他端には、キャパシタ
119およびキャパシタ120の一端が接続されてい
る。そして、キャパシタ119およびキャパシタ120
の他端が高周波信号用端子127および局発信号用端子
128となっている。尚、先端短絡スタブ115の電気
長は高周波信号の波長に対して略180゜となってい
る。
【0055】上記中間周波信号用伝送線路116の他端
には、低域通過フィルタ124を構成するインダクタ1
22およびインダクタ121を順次直列に接続し、イン
ダクタ121とインダクタ122との接続点にシャント
キャパシタ123の一端を接続している。そして、シャ
ントキャパシタ123の他端を接地し、インダクタ12
1の先端を中間周波信号用端子129としている。
【0056】本実施の形態は、上記第1実施の形態と、
上記先端開放スタブ114の電気長が高周波信号の波長
に対して略180゜となっている点、中間周波信号用伝
送線路116の電気長が高周波信号に対して略40゜と
なっている点、中間周波信号用伝送線路116の先端に
インダクタ121,122およびシャントキャパシタ1
23で成る低域通過フィルタ124が接続されている点
において異なる。
【0057】このように、上記先端開放スタブ114
は、その電気長が高周波信号の波長に対して略180゜
となっているので高周波信号に対しては開放となり、何
も接続されていないのと等しい。一方、低域通過フィル
タ124は高周波信号に対して開放と見え、中間周波信
号用伝送線路116は、その電気長が高周波信号に対し
て略40゜となっているために、高周波信号からみると
電気長が略40゜の先端開放スタブと等価になる。した
がって、本実施の形態における偶高調波ミキサは、高周
波信号に対しては、上記第1実施の形態における図2に
示す等価回路で表わすことができ、上記第1実施の形態
の場合と全く同じ効果が得られるのである。その場合、
第1インダクタ43,第2インダクタ44,シャントキャ
パシタ55及び高周波信号用伝送線路46は、図7に示
す偶高調波ミキサにおける第1伝送線路112,第2伝
送線路113,中開局波信号用伝送線路116で実現さ
れた等価的な先端開放スタブ及び高周波信号用伝送線路
117に対応している。また、中間周波信号は低域通過
フィルタ124を通過することが可能なのに対して、局
発信号波は低域通過フィルタ124を通過することがで
きない。以上のことより、本実施の形態は、上記第1実
施の形態の場合と全く同様の機能を持つのである。
【0058】尚、上記低域通過フィルタ124を構成す
るインダクタ121,122とシャントキャパシタ12
3の具体的な値の一例として、例えば高周波信号60G
Hz,中間周波信号1GHz,局発信号29.5GHzである
場合には、夫々のインダクタは3nH、シャントキャパ
シタは1pFが適当である。また、本実施の形態におい
ては、低域通過フィルタ124を、直列に接続されたイ
ンダクタ121,122と、両インダクタ121,122
の接続点に接続されたシャントキャパシタ123とで構
成している。しかしながら、この発明は、これに限定さ
れるものではない。
【0059】また、上記第1伝送線路112と第2伝送
線路113とは、上記第1実施の形態で述べたようにそ
れらの電気長の合計が高周波信号に対して略40゜であ
ればよい。したがって、上記第2あるいは第3実施の形
態の場合と同様に、伝送線路をアンチパラレルダイオー
ドペア111の何れか片側の端子にまとめてしまっても
差し支えない。
【0060】また、上記実施の形態の場合にも、上記第
1伝送線路112と第2伝送線路113との高周波信号
の波長に対する電気長の合計は、上記40゜に限定され
るものではなく、20゜以上且つ60゜以下であればよ
い。また、中間周波信号用伝送線路116の電気長を高
周波信号に対して略40゜にしている。しかしながら、
この発明は、上記40゜に限定されるものではない。但
し、中間周波信号用伝送線路116の高周波信号の波長
に対する電気長は、20゜よりも小さくなると図2にお
けるA‐A'から左を見たインピーダンスがインダクテ
ィブになり、60゜よりも大きくなると上記インピーダ
ンスがキャパシティブになり、何れの場合も上述の効果
を殆ど得ることができない。したがって、20゜以上且
つ60゜以下に設定することが望ましい。
【0061】<第5実施の形態>本実施の形態は、上記
第1〜第4実施の形態における偶高調波ミキサをアップ
コンバータおよびダウンコンバータとして用いた高周波
通信回路装置に関する。図8は、本高周波通信回路装置
におけるブロック図である。図8において、送信機13
1は、変調信号源133,アップコンバータ134,帯域
通過フィルタ135,パワーアンプ136,アンテナ13
7および局発信号源138で構成される。また、受信機
132は、チューナ139,ダウンコンバータ140,帯
域通過フィルタ141,ローノイズアンプ142,アンテ
ナ143および局発信号源144で構成される。
【0062】上記構成を有する高周波通信回路装置は、
以下のように動作する。すなわち、送信機131の変調
信号源133で生成される中間周波信号は1GHzから
2GHzの間を占めており、アップコンバータ134の
中間周波信号用端子(35,81,101,129に相当)
に入力される。一方、局発信号源138で生成される局
発信号は周波数29.5GHzの正弦波であり、アップコ
ンバータ134の局発信号用端子(37,83,103,1
28に相当)に入力される。そして、上記中間周波信号
と局発信号とはアップコンバータ134内で混合され
る。こうして、アップコンバータ134から発生する信
号のうち、周波数60GHzから61GHzの間の高周波
信号のみが帯域通過フィルタ135を通過し、パワーア
ンプ136で増幅され、アンテナ137から高周波電波
145として放射される。
【0063】上記放射された高周波電波145は、上記
受信機132のアンテナ143で受信されて受信機の高
周波信号となり、ローノイズアンプ142で増幅され
る。さらに帯域通過フィルタ141を通過して、ダウン
コンバータ140の高周波信号用端子(36,82,10
2,127に相当)に入力される。一方、局発信号源14
4で生成された周波数29.5GHzの正弦波の信号は、
ダウンコンバータ140の局発信号用端子に入力され
る。そして、高周波信号は、ダウンコンバータ140の
内部で局発信号と混合され、再び周波数1GHzから2
GHzの間の中間周波信号に変換される。こうして得ら
れた中間周波信号はチューナ139に入力されて、所望
の情報に変換される。
【0064】上述したように、上記アップコンバータ1
34およびダウンコンバータ140は、上記第1〜第4
実施の形態における偶高調波ミキサを用いており、アッ
プコンバータ134とダウンコンバータ140として全
く同じ構成のものを使用することが可能である。また、
パワーアンプ136とローノイズアンプ142、アンテ
ナ137とアンテナ143、局発信号源138と局発信
号源144は、夫々同じ構成のものを用いてもよい。
【0065】特に、上記高周波信号の周波数がミリ波帯
のような非常に高い周波数である場合には、高周波アン
プ1段当りの利得は低くなる。そのために、所望の送信
機出力を得るためには、アップコンバータ134の変換
損が小さく且つ出力が大きいことが望ましい。また、受
信側も、ダウンコンバータ140の変換損ができるだけ
小さいことが低雑音化の観点から望ましい。
【0066】すなわち、本実施の形態によれば、上記第
1〜第4実施の形態における偶高調波ミキサを本高周波
通信回路装置のアップコンバータ134とダウンコンバ
ータ140とに用いることによって、アンプの段数の低
減が可能となり、小型で低価格な高周波通信回路装置を
実現することが可能になる。さらに、第1〜第4実施の
形態における偶高調波ミキサをダウンコンバータ140
として用いることによって、受信機132の低雑音化が
可能になり、通信可能な距離を伸ばすことができる。
尚、必ずしもアップコンバータ134とダウンコンバー
タ140との両方に上記第1〜第4実施の形態における
偶高調波ミキサを適用する必要はなく、いずれか一方の
みに適用しても差し支えない。
【0067】
【発明の効果】以上より明らかなように、第1の発明の
偶高調波ミキサは、アンチパラレルダイオードペアの両
端における少なくとも一方に伝送線路を接続し、上記ア
ンチパラレルダイオードペアの一端または上記伝送線路
に先端開放スタブを接続し、上記アンチパラレルダイオ
ードペアの他端または上記伝送線路に先端短絡スタブを
接続し、上記アンチパラレルダイオードペアまたは伝送
線路と上記先端開放スタブとの接続点に高周波信号用伝
送線路および中間周波信号用伝送線路を接続し、上記ア
ンチパラレルダイオードペアまたは伝送線路と上記先端
短絡スタブとの接続点に局発信号用伝送線路を接続し、
上記各伝送線路の電気長の合計を高周波信号の波長に対
して20゜以上且つ60゜以下にしたので、上記アンチパ
ラレルダイオードペアの両端における少なくとも一方に
接続されている伝送線路によって、上記アンチパラレル
ダイオードペアを構成する2つのダイオードの接合容量
をキャンセルできる。したがって、本偶高調波ミキサの
周波数変換特性および出力特性を向上することができ
る。
【0068】また、1実施例の偶高調波ミキサは、上記
先端短絡スタブの電気長を高周波信号の波長に対して略
180゜とし、上記先端開放スタブの電気長を高周波信
号の波長に対して200゜以上且つ240゜以下としたの
で、上記先端短絡スタブは、接続点において高周波信号
に対しては短絡と見なせる一方、局発信号に対しては開
放と見なすことができるため、何も接続されていないの
に等しいと見なすことができる。したがって、上記先端
開放スタブの電気長を調整することによって、上記アン
チパラレルダイオードペアの接合容量をより厳密にキャ
ンセルすることができる。
【0069】また、1実施例の偶高調波ミキサは、上記
中間周波信号用伝送線路の他端にキャパシタを接続して
接地し、上記中間周波信号用伝送線路とキャパシタとの
接続点に中間周波信号用端子を設け、上記中間周波信号
用伝送線路およびキャパシタの実効的な電気長を高周波
信号の波長に対して略90゜としたので、高周波信号に
対して上記中間周波信号用伝送線路は開放に見え、何も
接続されていないのと等しくなる。したがって、上記高
周波信号,局発信号および中間周波信号の互いのアイソ
レーションを取ることができる。
【0070】また、1実施例の偶高調波ミキサは、上記
中間周波信号用伝送線路の他端に低域通過フィルタを接
続し、上記低域通過フィルタの端に中間周波信号用端子
を設けたので、上記中間周波信号用伝送線路の電気長が
高周波信号の波長に対して20゜以上且つ60゜以下であ
る場合には、上記中間周波信号用伝送線路は、高周波信
号に対して電気長が20゜以上且つ60゜以下の先端開放
スタブと等価になる。その場合には、上記中開局波信号
用伝送線路で実現された等価的な先端開放スタブの電気
長を調整することによって、上記アンチパラレルダイオ
ードペアの接合容量をより厳密にキャンセルすることが
可能になる。
【0071】また、1実施例の偶高調波ミキサは、上記
先端開放スタブの電気長を上記高周波信号の波長に対し
て略180゜としたので、上記高周波信号に対しては開
放となり、上記アンチパラレルダイオードペアの一端に
は伝送線路以外は何も接続されていないのと等しくな
る。また、上記先端短絡スタブの電気長を上記高周波信
号の波長に対して略180゜としたので、接続点におい
て高周波信号に対しては短絡と見なせるのに対し、局発
信号に対しては開放と見なすことができるため、何も接
続されていないのに等しい。また、上記中間周波信号用
伝送線路の電気長を高周波信号の波長に対して20゜以
上且つ60゜以下としたので、上記低域通過フィルタが
高周波信号に対して開放と見えるため、上記中間周波信
号用伝送線路の電気長は高周波信号から見ると20゜以
上且つ60゜以下の先端開放スタブと等価になる。
【0072】したがって、上記中開局波信号用伝送線路
で実現された等価的な先端開放スタブの電気長を調整す
ることによって、上記アンチパラレルダイオードペアの
接合容量を厳密にキャンセルできる。すなわち、本偶高
調波ミキサの周波数変換特性および出力特性を更に向上
することができるのである。
【0073】また、第2の発明の高周波通信回路装置
は、上記第1の発明の偶高調波ミキサを、アップコンバ
ータおよびダウンコンバータの少なくとも一方として使
用したので、上記第1の発明の偶高調波ミキサを上記ア
ップコンバータとして用いた場合には、上記アップコン
バータの変換損を小さくでき、出力も大きくできる。し
たがって、所望の送信機出力を得る場合におけるアンプ
の段数を低減できる。また、上記ダウンコンバータとし
て用いた場合には、受信機の低雑音化が可能になる。す
なわち、この発明によれば、小型で低価格な且つ高性能
な高周波通信回路装置を実現することができるのであ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の偶高調波ミキサにおける構成を示
す図である。
【図2】 図1に示す偶高調波ミキサの構成を高周波信
号に対する等価回路で表した図である。
【図3】 図1に示す偶高調波ミキサを砒化ガリウム基
板上に形成した具体例を示す図である。
【図4】 図1に示す偶高調波ミキサと従来の偶高調波
ミキサとの特性の比較図である。
【図5】 図1とは異なる偶高調波ミキサの構成図であ
る。
【図6】 図1及び図5とは異なる偶高調波ミキサの構
成図である。
【図7】 図1,図5及び図6とは異なる偶高調波ミキ
サの構成図である。
【図8】 この発明の高周波通信回路装置におけるブロ
ック図である。
【図9】 従来の偶高調波ミキサにおける構成図であ
る。
【符号の説明】
21,51,71,91,111…アンチパラレルダイオー
ドペア、 22,52,112…第1伝送線路、 23,53,113…第2伝送線路、 24,54,73,93,114…先端開放スタブ、 25,55,74,94,115…先端短絡スタブ、 26,56,75,95,116…中間周波信号用伝送線
路、 27,46,57,76,96,117…高周波信号用伝送
線路、 28,58,77,97,118…局発信号用伝送線路、 29,30,31,78,79,80,98,99,100,1
19,120…キャパシタ、 35,81,101,129…中間周波信号用端子、 36,82,102,127…高周波信号用端子、 37,83,103,128…局発信号用端子、 41…接合容量、 42…非線型抵抗、 43…第1インダクタ、 44…第2インダクタ、 45,123…シャントキャパシタ、 59,60,61…MIMキャパシタ、 62…パッド、 63,64…スルーホール、 72,92…伝送線路、 121,122…インダクタ、 124…低域通過フィルタ、 131…送信機、 132…受信機、 133…変調信号源、 134…アップコンバータ、 135,141…帯域通過フィルタ、 136…パワーアンプ、 137,143…アンテナ、 138,144…局発信号源、 139…チューナ、 140…ダウンコンバータ、 142…ローノイズアンプ、 145…高周波電波。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 2つのダイオードを夫々の極性を逆にし
    て並列に接続して成るアンチパラレルダイオードペアを
    有する偶高調波ミキサにおいて、 上記アンチパラレルダイオードペアの両端における少な
    くとも一方に伝送線路の一端が接続され、 上記アンチパラレルダイオードペアの一端またはこの一
    端に接続された上記伝送線路に、先端開放スタブが接続
    され、 上記アンチパラレルダイオードペアの他端またはこの他
    端に接続された上記伝送線路に、先端短絡スタブが接続
    され、 上記アンチパラレルダイオードペアまたは伝送線路と上
    記先端開放スタブとの接続点に、高周波信号用伝送線路
    および中間周波信号用伝送線路の一端が接続され、 上記アンチパラレルダイオードペアまたは伝送線路と上
    記先端短絡スタブとの接続点に、局発信号用伝送線路の
    一端が接続されると共に、 上記各伝送線路の電気長の合計が、高周波信号の波長に
    対して20゜以上且つ60゜以下であることを特徴とする
    偶高調波ミキサ。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の偶高調波ミキサにおい
    て、 上記先端短絡スタブの電気長が高周波信号の波長に対し
    て略180゜であり、上記先端開放スタブの電気長が高
    周波信号の波長に対して200゜以上且つ240゜以下で
    あることを特徴とする偶高調波ミキサ。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載の偶高調波ミキサにおい
    て、 上記中間周波信号用伝送線路の他端に、一端が接地され
    たキャパシタの他端が接続され、 上記中間周波信号用伝送線路とキャパシタとの接続点に
    中間周波信号用端子を設けると共に、 上記中間周波信号用伝送線路およびキャパシタの実効的
    な電気長が高周波信号の波長に対して略90゜であるこ
    とを特徴とする偶高調波ミキサ。
  4. 【請求項4】 請求項1に記載の偶高調波ミキサにおい
    て、 上記中間周波信号用伝送線路の他端に低域通過フィルタ
    の一端が接続され、 上記低域通過フィルタの他端に中間周波信号用端子を設
    けたことを特徴とする偶高調波ミキサ。
  5. 【請求項5】 請求項4に記載の偶高調波ミキサにおい
    て、 上記低域通過フィルタは、直列に接続された第1インダ
    クタと第2インダクタとの接続点に、一端が接地された
    キャパシタの他端が接続されて構成されていることを特
    徴とする偶高調波ミキサ。
  6. 【請求項6】 請求項4に記載の偶高調波ミキサにおい
    て、 上記先端短絡スタブの電気長が高周波信号の波長に対し
    て略180゜であり、 上記先端開放スタブの電気長が高周波信号の波長に対し
    て略180゜であり、 上記中間周波信号用伝送線路の電気長が高周波信号の波
    長に対して20゜以上且つ60゜以下であることを特徴と
    する偶高調波ミキサ。
  7. 【請求項7】 請求項1に記載の偶高調波ミキサを、ア
    ップコンバータおよびダウンコンバータの少なくとも一
    方として使用したことを特徴とする高周波通信回路装
    置。
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JP2009094693A (ja) * 2007-10-05 2009-04-30 Toshiba Corp ミキサー回路

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