JP2002343270A - 電子銃構体及びこの電子銃構体を備えた陰極線管装置 - Google Patents

電子銃構体及びこの電子銃構体を備えた陰極線管装置

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JP2002343270A
JP2002343270A JP2001141740A JP2001141740A JP2002343270A JP 2002343270 A JP2002343270 A JP 2002343270A JP 2001141740 A JP2001141740 A JP 2001141740A JP 2001141740 A JP2001141740 A JP 2001141740A JP 2002343270 A JP2002343270 A JP 2002343270A
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electron beam
electron gun
electrode
electron
bead glass
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Noriyuki Miyamoto
紀幸 宮本
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Toshiba Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】ビードガラスとの高い支持強度を得ることが可
能な構造の電極を備えて構成される電子銃構体及び陰極
線管装置を提供することを目的とする。 【解決手段】電子銃構体7は、電子ビームを放出する陰
極Kと、電子ビームを通過させる電子ビーム通過孔を有
する複数の電極G1乃至G4と、複数の電極を埋設支持
するビードガラス13と、を備えている。複数の電極の
少なくとも1つの電極は、ビードガラスとの埋設部Gb
だけを電子ビーム進行方向に異なる種類の複数の金属材
料を重ね合わせて構成されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、電子銃構体及び
この電子銃構体を備えた陰極線管装置に係り、特に、複
数の電極をビードガラスにて支持した陰極線管装置用電
子銃構体に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、カラー陰極線管装置などに適用
される電子銃構体は、陰極、この陰極からの電子放出を
制御する電極、及び放出された電子ビームを加速・フォ
ーカスする電極など、複数個の電極を備えて構成されて
いる。さらに、その各々の電極には、陰極から放出され
た電子ビームを通過させる電子ビーム通過孔が形成され
ている。これらの電極は、一般にビードガラスによって
支持されている。
【0003】図7は、カラー陰極線管装置に配置される
従来の電子銃構体の垂直断面図であり、各種方式のもの
があるが、そのうち、BPF(Bi−Potentia
lFocus)型方式を示したものである。この電子銃
構体は、一列配置の3個の陰極Kから蛍光体スクリーン
に向かってに順次配置された一体構造の第1電極G1乃
至第4電極G4を備えている。各電極は、一列配置の3
個の陰極Kに対応して3個の電子ビーム通過孔を備えて
いる。この電子銃構体では、陰極には約190Vの電圧
が印加され、第1電極は接地され、第2電極には約80
0Vの電圧が印加され、第3電極には約8kVの電圧が
印加され、第4電極には約30kVの高電圧が印加され
る。これらが一対のビードガラス13により一体に支持
固定されている。
【0004】従来、このような陰極線管装置用電子銃構
体の電極は、例えば装置の動作中に発生する熱や磁界を
考慮して、電子銃特性を安定させるために、それぞれ低
熱膨張特性を有するFe−Ni系合金、Fe−Ni−C
o系合金、または、非磁性特性を有するFe−Ni−C
r系合金などによって形成されている。
【0005】その選択理由として、例えば動作開始時に
おける陰極から発生する熱は、輻射により第1電極をは
じめ、各電極を構成する材料に熱膨張を発生させる。こ
のとき、電極材料の熱膨張特性が大きすぎたり、各電極
間での熱膨張特性が大きく異なっている場合には、時間
の経過とともに互いに隣接する電極同士の間隔に変化が
生じ、電子銃特性が不安定となる。つまり、電極材料と
して低熱膨張特性の材料を用いるか、隣接する電極同士
で電極材料の熱膨張特性を調整する必要が生じる。
【0006】一方、陰極から発生した電子ビームは、陰
極線管装置の外部に取り付けられる電磁コイルや、磁石
を利用した磁界によってその軌道をコントロールされて
いる。このため、磁性材料のみで構成された電極を使用
した場合、外部から電子ビームの軌道をコントロールす
ることが困難となり、この場合は、非磁性材料の使用が
要求される。
【0007】この他、電極によっては形成するレンズ特
性のために特殊な成型加工が必要なものもある。この場
合、物理特性のほかに、絞り、孔あけ、張り出し形成な
どのプレス加工性が電極材料に要求される。
【0008】これらのことから、従来、各電極を構成す
る材料は、Fe−Ni系合金、Fe−Ni−Co系合
金、Fe−Ni−Cr系合金などの金属の中から適当な
ものを選択して、組み合わせて使用している。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】ところで、近年、市場
では、カラー陰極線管装置の大画面化、高精細化の要求
が高まっており、これに伴って、電子ビームの発生、制
御源である電子銃構体への要求も高まっている。この対
策のために、組み合わせる電子レンズが複雑化し、高精
度に配置する傾向にある。
【0010】一方、電子銃構体は、電極をビードガラス
に埋設して支持固定している。この電極の固定は、ビー
ドガラスを軟化点以上の高温に加熱し、埋設部を埋設し
た後に、急冷して行う。このとき、電極もビードガラス
に埋設される際に加熱されることになるため、冷却は、
ビードガラスと電極とで同時に行われることになる。し
かしながら、電子銃構体は、複数の電極から構成される
ため、また前述したように、各電極の特性に対応した電
極材料が選択されるため、それぞれ異なる電極材料を使
用している。この結果、電極ごとに電極材料とビードガ
ラスとで熱膨張特性が異なってしまう。
【0011】この熱膨張特性の違いは、電極とビードガ
ラスとの埋設強度の低下や、ビードガラスの埋設部に残
留応力を生じさせる原因になる。この結果として、ビー
ドガラスにクラックを生じさせたり、電極の配置制度の
劣化による電子レンズの精度の劣化といった問題を生じ
る。
【0012】一般に、金属の熱膨張特性は、含有される
元素とその含有量に支配される。この元素の含有量は、
同時にその他の物理特性のほか、化学特性、機械加工性
などにも深く関与しているため、簡単には操作できない
のが現状である。このため、電極の材料選択は、あくま
でも電極個々において最も重要な要求特性が優先され
る。
【0013】従来、電極の支持強度を向上させる方法と
しては、特開平6−325700号公報や、特開平11
−7903号公報、あるいは、特開平11−19138
1号公報に開示された電極のビードガラスへの埋設部の
構造による改善法が知られている。しかしながら、これ
らの方法は、いずれも埋設部の形状、構造のみに着目し
ており、適用できる電極が限定されてしまったり、ビー
ドガラス内に生じる歪みについては、全く考慮されてい
ないといった問題がある。
【0014】この発明は、上述した問題点に鑑みなされ
たものであって、その目的は、ビードガラスとの高い支
持強度を得ることが可能な構造の電極を備えて構成され
る電子銃構体及びこの電子銃構体を備えた陰極線管装置
を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決し目的を
達成するために、請求項1に記載の電子銃構体は、電子
ビームを放出する陰極と、電子ビームを通過させる電子
ビーム通過孔を有する複数の電極と、前記電極を埋設支
持するビードガラスと、を備えた電子銃構体において、
前記複数の電極の少なくとも1つの電極は、前記ビード
ガラスとの埋設部だけを電子ビーム進行方向に異なる種
類の複数の金属材料を重ね合わせて構成されたことを特
徴とする。
【0016】請求項8に記載の陰極線管装置は、電子ビ
ームを発生する電子ビーム発生部及びこの電子ビーム発
生部から発生された電子ビームをフォーカスする電子レ
ンズ部を構成する複数の電極と、前記電極を埋設支持す
るビードガラスと、を有する電子銃構体と、前記電子銃
構体から放出された電子ビームを偏向する偏向磁界を発
生する偏向ヨークと、を備えた陰極線管装置において、
前記複数の電極の少なくとも1つの電極は、前記ビード
ガラスとの埋設部だけを電子ビーム進行方向に異なる種
類の複数の金属材料を重ね合わせて構成されたことを特
徴とする。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、この発明の電子銃構体及び
この電子銃構体を備えた陰極線管装置の一実施の形態に
ついて図面を参照して説明する。
【0018】図1に示すように、この陰極線管装置、す
なわちインライン型カラー陰極線管装置は、パネル1、
ネック5、及びパネル1とネック5とを一体に接合する
漏斗状のファンネル2からなる外囲器を有している。パ
ネル1は、その内面に、青、緑、赤に発光するドット状
またはストライプ状の3色蛍光体層からなる蛍光体スク
リーン3を備えている。シャドウマスク4は、その内面
に多数のアパーチャを有し、蛍光体スクリーン3に対向
して配置されている。
【0019】ネック5は、その内部に配設された、イン
ライン型電子銃構体7を備えている。この電子銃構体7
は、同一水平面上を通るセンタービーム6Gおよび一対
のサイドビーム6B,6Rからなる一列配置の3電子ビ
ーム6B,6G,6Rを放出する。
【0020】偏向ヨーク8は、ファンネル2の径大部か
らネック5にかけて装着されている。この偏向ヨーク8
は、電子銃構体7から放出された3電子ビーム6B,6
G,6Rを水平方向(X)及び垂直方向(Y)に偏向す
る非斉一な偏向磁界を発生する。この非斉一磁界は、ピ
ンクッション型の水平偏向磁界及びバレル型の垂直偏向
磁界によって形成される。
【0021】電子銃構体7から放出された3電子ビーム
6B、6G、6Rは、偏向ヨーク8の発生する非斉一磁
界により偏向され、シャドウマスク4を介して蛍光体ス
クリーン3を水平方向X及び垂直方向Yに走査する。こ
れにより、カラー画像が表示される。
【0022】図2及び図3に示すように、電子銃構体7
は、水平方向(X)に一列に配置された3個のカソード
K(R、G、B)、これらカソードK(R、G、B)を
個別に加熱する3個のヒーター、および4個の電極を有
している。4個の電極、すなわち第1グリッドG1,第
2グリッドG2,第3グリッド(フォーカス電極)G
3、及び第4グリッド(アノード電極)G4は、カソー
ドK(R、G、B)から蛍光体スクリーンに向かって順
次配置されている。これらヒーター、カソードK(R、
G、B)、及び4個の電極は、一対の絶縁支持体すなわ
ちビードガラス13によって一体に固定されている。
【0023】第1及び第2グリッドG1,G2は、それ
ぞれ一体構造の板状電極によって構成されている。これ
らの板状電極は、3個のカソードK(R、G、B)に対
応して水平方向Xに一列に形成された3個の円形電子ビ
ーム通過孔を有している。第3グリッドG3は、一体構
造の筒状電極によって構成されている。この筒状電極
は、その両端面、すなわち第2グリッドG2との対向面
及び第4グリッドG4との対向面に、3個のカソードK
(R、G、B)に対応して水平方向Xに一列に形成され
た3個の円形電子ビーム通過孔を有している。第4グリ
ッドG4は、一体構造の筒状電極によって構成されてい
る。この筒状電極は、その両端面、すなわち第3グリッ
ドG3との対向面及び蛍光体スクリーン側の端面に、3
個のカソードK(R、G、B)に対応して水平方向Xに
一列に形成された3個の円形電子ビーム通過孔を有して
いる。
【0024】上述した構成の電子銃構体7において、カ
ソードK(R、G、B)には、約150Vの直流電圧に
映像信号が重畳された電圧が印加される。第1グリッド
G1は、接地されている。第2グリッドG2には、約6
00Vの直流電圧が印加される。第3グリッドG3に
は、約6kVのフォーカス電圧Vfが印加される。第4
グリッドG4には、約26kVの陽極電圧Ebが印加さ
れる。
【0025】電子銃構体7は、各グリッドに上述したよ
うな電圧を印加することにより、電子ビーム発生部、プ
リフォーカスレンズ、及び、主レンズを形成する。電子
ビーム発生部は、カソードK、第1グリッドG1、及び
第2グリッドG2によって形成される。この電子ビーム
発生部は、電子ビームを発生し、かつ主レンズに対する
物点を形成する。プリフォーカスレンズは、第2グリッ
ドG2及び第3グリッドG3によって形成される。この
プリフォーカスレンズは、電子ビーム発生部から発生さ
れた電子ビームを予備集束する。主レンズは、第3グリ
ッドG3(フォーカス電極)、及び第4グリッドG4
(アノード電極)によって形成される。この主レンズ
は、プリフォーカスレンズにより予備集束された電子ビ
ームを最終的に蛍光体スクリーン上に集束する。
【0026】ところで、図3に示すように、電子銃構体
7に備えられる各グリッドG1乃至G4は、一対のビー
ドガラス13に埋設される埋設部Gbを有している。各
グリッドG1乃至G4は、それぞれの埋設部Gbだけ、
電子ビームの進行方向(管軸方向Z)に異なる種類の複
数の金属材料を重ね合わせたクラッド材によって構成さ
れている。
【0027】すなわち、各グリッドG1乃至G4の埋設
部Gbは、電極の基盤を構成する第1金属材料M1と、
埋設部Gbだけを構成する第2金属材料M2とによって
構成されている。埋設部Gbは、重ね合わせる複数の金
属材料の電子ビーム進行方向の厚さの比率を調整するこ
とにより、30℃から300℃におけるビードガラス1
3と埋設部Gbとの熱膨張係数の差の絶対値が、10×
10−7/℃以下となるように設定されている。
【0028】電極の基盤を構成する第1金属材料M1
は、例えば、Fe(鉄)−Ni(ニッケル)系合金、F
e−Ni−Cr(クロム)系合金、あるいはFe−Ni
−Co(コバルト)系合金の中から選ばれる少なくとも
1種類の金属材料である。また、埋設部Gbのみを構成
する第2金属材料M2は、例えば、Fe−Ni−Co系
合金である。
【0029】この実施の形態では、図4の(a)及び
(b)に示すように、第1グリッドG1は、電極の基盤
を構成する第1金属材料M1として、Fe−Ni系合金
の一種である42%Niで残部がFeからなる金属材料
(通称42アロイ)を用いている。また、埋設部Gbの
みを構成する第2金属材料M2として、Fe−Ni−C
o系合金の一種である32%Ni、5%Coで残部がF
eからなる金属(通称スーパーアンバー)を用いてい
る。つまり、この第1グリッドG1の埋設部Gbは、4
2アロイとスーパーアンバーとを電子ビーム進行方向に
重ね合わせて構成されている。
【0030】この実施の形態では、第1グリッドG1の
埋設部Gbを構成する複数の金属材料の総合的な熱膨張
係数は、42アロイとスーパーアンバーとの電子ビーム
進行方向の厚さ比率をコントロールすることによって調
整されており、ビードガラスの熱膨張係数とほぼ同等に
調整されている。
【0031】埋設部Gbを形成するために、複数の金属
材料の重ね合わせは、クラッド材の製造方法として既に
知られている方法、例えば、機械的な圧延による圧着に
よるクラッド方式のうち、部分的に異種金属材料を貼り
合せるインレイクラッド方式によって行われる。
【0032】一般に、42アロイの30℃から300℃
までの範囲での熱膨張係数は、そのままでは50乃至5
5×10−7/℃であり、ビードガラスの25乃至30
×10−7/℃に比べて高い。しかしながら、この実施
の形態のように、ビードガラスより低い熱膨張係数(約
6×10−7/℃)を有する金属材料としてスーパーア
ンバーを42アロイに重ね合わせることにより、埋設部
Gb自体の熱膨張係数をビードガラスとほぼ同等に調整
することが可能となる。
【0033】このように、電子銃構体を構成するグリッ
ドの埋設部のみをビードガラスの熱膨張係数に近い本発
明の範囲内にコントロールできるため、グリッドが必要
とする諸特性を保持しつつ、ビードガラスとの優れた支
持強度を得ることができる。
【0034】次に、各グリッドの埋設部とビードガラス
との熱膨張係数の関係が、室温(30℃)以上300℃
以下でその差の絶対値が10×10−7/℃以下である
理由について説明する。
【0035】図5は、グリッドの埋設部を構成する金属
の厚さを変えて熱膨張係数を調整した場合における、各
グリッドの埋設部のビードガラスへの支持強度の評価結
果を示す図である。電極の基盤を構成する第1金属材料
として、Fe−Ni系合金の1種である42%Niで残
部がFeからなる金属(通称42アロイ)、あるいは、
Fe−Ni−Cr系合金の1種である18%Cr、8%
Niで残部がFeからなる金属(通称18−8ステンレ
ス)を選択し、一方、ビードガラスとの埋設部だけを構
成する第2金属材料として、Fe−Ni−Co系合金の
1種である32%Ni、5%Coで残部がFeからなる
金属(通称スーパーアンバー)を選択した。
【0036】これら第1金属材料と第2金属材料との重
ね合わせる厚さの比を変更して、熱膨張係数の条件を調
整した。このとき、熱膨張係数は、室温(30℃)から
300℃の範囲での値とした。ちなみに、ビードガラス
の熱膨張係数は、28×10−7/℃であった。また、
スーパーアンバーのみの熱膨張係数は、6×10−7/
℃であった。なお、各グリッドにおける埋設部のビード
ガラスへの支持強度は、電極へ強制的に振動を加えた後
の電極自身のぐらつき量にて評価した。
【0037】図5に示したように、埋設部を42アロイ
のみまたは18−8ステンレスのみで構成した場合に
は、埋設部の熱膨張係数とビードガラスの熱膨張係数と
の差が大きすぎ、埋設後の冷却により、ビードガラスに
クラックを生じたり、埋設部とビードガラスとの間に隙
間が形成されるなどして、十分な支持強度を得ることが
できなかった。
【0038】第1金属材料に第2金属材料を重ね合わせ
た場合であっても、埋設部の熱膨張係数とビードガラス
の熱膨張係数との差が大きすぎる場合には、同様に、十
分な支持強度を得ることができなかった。
【0039】これに対して、埋設部の熱膨張係数とビー
ドガラスの熱膨張係数との差の絶対値が10×10−7
/℃の範囲では、十分な支持強度を得ることができるこ
とがわかった。
【0040】次に、埋設部の熱膨張係数を一定とし、第
1金属材料と第2金属材料との重ね合わせ面積の大小に
対する電極変形の有無を測定した。
【0041】図6は、2種類の金属材料の重ね合わせ面
積に対する電極変形の有無の測定結果を示す図である。
電極の基盤を構成する第1金属材料としては、42アロ
イまたは18−8ステンレスを用い、これに重ね合わせ
る第2金属材料としては、スーパーアンバーを用いた。
このとき、埋設部自体の熱膨張係数は、25×10
/℃となるように、2種類の金属材料の厚さの比を調整
した。重ね合わせ面積は、ビードガラスに埋設される埋
設部の面積を1.0とした場合の比率である。
【0042】図6に示すように、2種類の金属材料の重
ね合わせ面積がビードガラスに埋設される面積の1.5
倍を越えた場合には、電極基盤を構成する第1金属材料
と埋設部のみを構成する第2金属材料との熱膨張係数の
差により、温度上昇とともにバイメタル効果で、電極に
変形が生じた。したがって、重ね合わせ面積は、ビード
ガラスに埋設される面積の1.5倍以内とすることによ
り、電極の変形を防止することが可能となる。
【0043】また、以上の実験を、埋設部を構成する2
種の金属のうち、1種にFe−Ni−Co系合金、もう
1種の金属に、Fe−Ni−Co系合金、Fe−Ni系
合金、あるいは、Fe−Ni−Cr系合金の中から選ん
だ他の組み合わせにて実施したが、いずれも同様な傾向
を示した。
【0044】このように、従来では電極に必要な諸特性
を最優先するために、ビードガラスとの熱膨張特性の関
係を犠牲にしていたため、電極のビードガラスでの支持
強度が不足するといった問題があったが、本発明による
手法を取り入れることで、電極の所定特性を保持した状
態で、十分なビードガラスによる支持強度を得ることが
できる。また、この効果により、陰極線管装置のThe
rmal特性、Flying特性のような熱特性をはじ
めとする諸特性を改善することも可能になる。
【0045】上述した実施の形態では、ビードガラスへ
の埋設部の重ね合わせをスーパーアンバー/42アロイ
またはスーパーアンバー/18−8ステンレスというよ
うに、2層で構成しているが、この例に限定されること
はなく、重ねる層が、スーパーアンバー/42アロイ/
スーパーアンバーまたはスーパーアンバー/18−8ス
テンレス/スーパーアンバーというような3層としても
構わない。また、埋設部の熱膨張係数をビードガラスの
熱膨張係数に近づけるために、金属材料を3種類以上使
用しても構わない。
【0046】また、上述した実施の形態では、バイポテ
ンシャル型の電子銃構体を例に説明したが、この例に限
定されることはなく、この発明の範囲内であれば、どの
ような電子銃方式にも適用することができる。例えば、
ユニポテンシャル型電子銃構体や、バイポテンシャル型
とユニポテンシャル型との複合型電子銃構体、ハイユニ
ポテンシャル型電子銃構体など種々適用可能である。ま
た、モノクロの陰極線管装置用の電子銃構体にも適用で
きることは言うまでもない。
【0047】
【発明の効果】以上説明したように、この発明によれ
ば、物理特性や機械特性などの所定特性を保持した状態
で、ビードガラスとの高い支持強度を得ることが可能な
構造の電極を備えて構成される電子銃構体及びこの電子
銃構体を備えた陰極線管装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、この発明の陰極線管装置の一実施の形
態に係るカラー陰極線管装置の構造を概略的に示す水平
断面図である。
【図2】図2は、この発明の一実施の形態に係る電子銃
構体の構造を概略的に示す水平断面図である。
【図3】図3は、図2に示した電子銃構体の構造を概略
的に示す垂直断面図である。
【図4】図4の(a)は、図2に示した電子銃構体の第
1グリッドの構造を概略的に示す正面図であり、図4の
(b)は、図4の(a)に示した第1グリッドの埋設部
におけるA−B線で切断した時の構造を概略的に示す断
面図である。
【図5】図5は、電極の埋設部を構成する金属材料の熱
膨張係数と埋設部の支持強度との関係を示す図である。
【図6】図6は、電極の埋設部を構成する金属材料の重
ね合わせ面積と電極変形の有無との関係を示す図であ
る。
【図7】図7は、従来の電子銃構体の構成を概略的に示
す垂直断面図である。
【符号の説明】
1…パネル 2…ファンネル 3…蛍光体スクリーン 4…シャドウマスク 5…ネック 6(R、G、B)…電子ビーム 7…電子銃構体 13…ビードガラス G1…第1グリッド G2…第2グリッド G3…第3グリッド G4…第4グリッド Gb…埋設部 M1…第1金属材料 M2…第2金属材料

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】電子ビームを放出する陰極と、電子ビーム
    を通過させる電子ビーム通過孔を有する複数の電極と、
    前記電極を埋設支持するビードガラスと、を備えた電子
    銃構体において、 前記複数の電極の少なくとも1つの電極は、前記ビード
    ガラスとの埋設部だけを電子ビーム進行方向に異なる種
    類の複数の金属材料を重ね合わせて構成されたことを特
    徴とする電子銃構体。
  2. 【請求項2】前記電極の埋設部は、クラッド材料で構成
    されたことを特徴とする請求項1に記載の電子銃構体。
  3. 【請求項3】30℃から300℃における前記ビードガ
    ラスと前記埋設部との熱膨張係数の差の絶対値は、10
    ×10−7/℃以下であることを特徴とする請求項1に
    記載の電子銃構体。
  4. 【請求項4】前記埋設部は、前記電極の基盤を構成する
    第1金属材料と、埋設部だけを構成する第2金属材料と
    によって形成されたことを特徴とする請求項1に記載の
    電子銃構体。
  5. 【請求項5】前記第1金属材料は、Fe−Ni系合金、
    Fe−Ni−Cr系合金、あるいはFe−Ni−Co系
    合金の中から選ばれる少なくとも1種類の金属材料であ
    ることを特徴とする請求項1に記載の電子銃構体。
  6. 【請求項6】前記第2金属材料は、Fe−Ni−Co系
    合金であることを特徴とする請求項1に記載の電子銃構
    体。
  7. 【請求項7】前記第2金属材料は、前記埋設部の前記ビ
    ードガラスに埋設されている面積以上、前記ビードガラ
    スへの埋設面積の1.5倍以内の領域に配設されたこと
    を特徴とする請求項1に記載の電子銃構体。
  8. 【請求項8】電子ビームを発生する電子ビーム発生部及
    びこの電子ビーム発生部から発生された電子ビームをフ
    ォーカスする電子レンズ部を構成する複数の電極と、前
    記電極を埋設支持するビードガラスと、を有する電子銃
    構体と、 前記電子銃構体から放出された電子ビームを偏向する偏
    向磁界を発生する偏向ヨークと、 を備えた陰極線管装置において、 前記複数の電極の少なくとも1つの電極は、前記ビード
    ガラスとの埋設部だけを電子ビーム進行方向に異なる種
    類の複数の金属材料を重ね合わせて構成されたことを特
    徴とする陰極線管装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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