JP2002340859A - 遺伝子診断装置及び遺伝子診断方法 - Google Patents

遺伝子診断装置及び遺伝子診断方法

Info

Publication number
JP2002340859A
JP2002340859A JP2002042943A JP2002042943A JP2002340859A JP 2002340859 A JP2002340859 A JP 2002340859A JP 2002042943 A JP2002042943 A JP 2002042943A JP 2002042943 A JP2002042943 A JP 2002042943A JP 2002340859 A JP2002340859 A JP 2002340859A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
dna
separation
electrode
abnormal
conjugate
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2002042943A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3781689B2 (ja
Inventor
Kazuyoshi Mori
一芳 森
Hideaki Hashimoto
英明 橋本
Takeshi Nishida
毅 西田
Mizuo Maeda
瑞夫 前田
Yoshiki Katayama
佳樹 片山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Matsushita Electric Industrial Co Ltd filed Critical Matsushita Electric Industrial Co Ltd
Priority to JP2002042943A priority Critical patent/JP3781689B2/ja
Publication of JP2002340859A publication Critical patent/JP2002340859A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3781689B2 publication Critical patent/JP3781689B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Investigating Or Analysing Biological Materials (AREA)
  • Apparatus Associated With Microorganisms And Enzymes (AREA)
  • Measuring Or Testing Involving Enzymes Or Micro-Organisms (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 一塩基以上の遺伝子異常を短時間、且つ簡
単、正確に検出することができ、小型、軽量、安価に、
少ないランニングコストで、診断を自動化することがで
きる遺伝子診断装置及び遺伝子診断方法を提供すること
を目的とする。 【解決手段】 本発明の遺伝子診断装置は、密閉流路の
緩衝液の中に、DNA試料に水素結合可能な塩基配列と
高分子化合物とが結合し、結合力の差からDNA試料を
正常DNAと異常DNAとノイズDNAに分離する分離
用DNAコンジュゲートと、DNA試料とを備え、電圧
の絶対値を増加させることにより密閉流路内のDNA試
料が電気泳動され、検出部が正常DNAと異常DNAの
通過量をそれぞれ測定することを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、遺伝子異常の有無
を簡単、正確に検出できる遺伝子診断装置及び遺伝子診
断方法に関する。
【0002】
【従来の技術】全ての疾患には、遺伝性要因と環境要因
が種々の確率で関与しているが、先天性代謝異常症・癌
・糖尿病・高血圧・アルツハイマー・自己免疫疾患・ア
トピー・肥満・アルコール依存などの疾患は、遺伝性要
因が非常に大きな割合を占めている。一方、環境要素の
寄与が大きい疾患は感染症や外傷の後遺症から誘因され
る疾患等である。
【0003】ところで、近年分子生物学の急速な進展に
よって、様々な疾患において遺伝的要素、すなわち遺伝
子の関与がかなり正確に解明されるようになり、遺伝子
をターゲットにした医療に注目が集まるようになってき
ている。現在、最も注目されているのはSNPs(スニ
ップス)と呼ばれるものである。これは、single
nucleotide polymorphismの
略で「1塩基多型」と一般に訳されており、個人間の遺
伝子における1暗号(1塩基)の違いの総称である。
【0004】人を含め地球上の全ての生命体遺伝子(ま
たは遺伝子の全集合体を意味するゲノム)は、共通の4
つの塩基から成り立っており、この塩基の配列によって
様々なタンパク質が作られ、各生物特有の生命活動が行
われている。全ての生物に共通する4つの塩基とは、ア
デニン(Aと表記される)、グアニン(Gと表記され
る)、チミン(Tと表記される)、シトシン(Cと表記
される)である。人の遺伝子は、約30〜32億塩基配
列で構成されているといわれているが、各個人で数百か
ら1000塩基に1ヶ所程度の割合で他の人と1つの塩
基が異なっている場所が存在する。通常、この1塩基の
変化が、あるヒト集団の全人口中1%以上の頻度で存在
しているものを、SNPsと呼んでいる。
【0005】従って、全遺伝子(ゲノム)中には、30
0万〜1000万のSNPsが存在しているといわれ、
現在世界中でSNPsの探索が続けられている。SNP
sが注目されている理由は、SNPsの分類により、統
計的に各個人の遺伝子が関与しているといわれている多
くの疾患に対する罹患率が推測できると考えられている
からである。例えば、乳がんを例にとると、乳がんにか
かった患者群と正常な群とのSNPsの比較により、乳
がんにかかりやすい人に共通のSNPsを特定すること
ができる。そして、健康診断時に、遺伝子を調査しその
SNPsを持った人、すなわち現在は正常でも将来乳が
んにかかりやすい体質の人を見つけることが可能にな
る。
【0006】この診断によって、乳がんにかかりやすい
体質の人は、頻繁に検査をすることで万一癌に罹患して
も、超早期に治療が行え生存の可能性が向上する。それ
と同様のことが、糖尿病や高血圧などの生活習慣病につ
いても言え、世界中で多くの人が苦しんでいる病気に対
して発病の前から食事や生活指導を正確にすることが可
能になる。
【0007】また、病気の治療に用いている薬剤に関し
てもSNPsは重要な役割を期待されている。治療の際
に用いられる薬剤は全ての人に均等に効果を示すもので
はない。一般に薬剤は、ある割合の人には効果があって
も他の人には全く効果が無く、かえって副作用等で逆の
結果を招くことがあることも広く知られている。因み
に、アメリカにおける死亡原因の中で薬剤による副作用
が上位に位置しているのは周知のことである。薬剤の効
果はその人がもつ体質に深く関与しており、その体質も
SNPsの分類によって区別可能であると言われてい
る。すなわち、SNPsの解析による分類で、ある薬剤
に対してあらかじめ効果や感受性が予測でき適正な処方
をすることが可能になり、患者個々人の体質に合わせた
最適な薬剤の投与や副作用の危険性の回避が期待されて
いる。このような医療のことをテーラーメイド医療また
はオーダーメイド医療と呼び、将来の実用化が確実視さ
れている。
【0008】また癌は、正常な細胞においては重要な役
割をする遺伝子上の特定の部位に例えば紫外線や変異原
性物質の作用によって突然変異が生じることによって引
き起こされることがわかっている。ある特定の遺伝子上
の変異を読み取ることで細胞が癌化しているか否かを早
い段階から診断できるようになる。そして、犯罪捜査に
おける犯人の特定や曖昧な親子関係の確定さらには本人
であるか否かの識別にもSNPsは、威力を発揮する。
前述したように、各個人には300万〜1000万のS
NPsが存在しており、両親からそれぞれ別々のSNP
sを引き継ぐため、地球上に親子兄弟といえども全く同
じSNPsをもつ人間は絶対に存在しないと言われてい
る。これが個人の完全な特定を可能にする理由である。
【0009】このように、特定の遺伝子中の1塩基に起
きた変異を観察することで医療をはじめ様々の事柄に多
大な貢献をもたらす可能性がある。しかしながら現在、
特定の遺伝子の変異を観察する方法は以下に述べるよう
な非常に複雑な操作あるいは高価な装置を必要とし、ラ
ンニングコストも非常に嵩むため、広く利用されるまで
には至っていない状況にある。
【0010】現在最も一般的に用いられているSNPs
を調べる方法は、DNAの塩基配列を端から直接読んで
いくシーケンシング(塩基配列の決定)と呼ばれている
方法である。遺伝子は1種類のタンパク質を形成するた
めの塩基配列情報をもったDNAの単位であるから、塩
基配列を端から読んでいけばSNPsが解明することが
できる。シーケンシングを行う方法としては、いくつか
の報告があるが、最も一般的に行われているのは以下に
述べるジデオキシシーケンシング(Sanger法)で
ある。この方法を含めいずれの方法も、分離能の高い変
性ポリアクリルアミドゲル電気泳動かキャピラリー電気
泳動によって1塩基長の長さの違いを分離・識別できる
技術が基になって成り立っている。
【0011】ジデオキシシーケンシング(Sanger
法)は、酵素的シーケンシングとも呼ばれ、1本鎖鋳型
DNAの相補的鎖を合成するためにDNAポリメラーゼ
を用い、さらに人工的につくった特殊な4種類のジデオ
キシヌクレオチドを利用するのが特徴である。シーケン
シング操作としては、塩基配列を行いたい1本鎖DNA
の3’末端を相補する合成塩基配列をプライマーとして
用い、そのプライマーからDNAポリメラーゼと均等に
加えられたデオキシヌクレオチドを酵素反応によって伸
長させる操作を行うが、この時同時に4つの反応容器を
準備しておき、それぞれにATGC4つの塩基の3’末
端に水酸基を持たない、従ってこれ以上DNA伸長反応
を続けることができない塩基アナログであるジデオキシ
ヌクレオチドを別々に少量混入させておく。これによ
り、伸長中のDNAの末端にジデオキシヌクレオチドが
付加された時点でDNA合成がストップし、それぞれの
反応容器中に様々な長さを持った、しかし端は必ず加え
た塩基アナログである2本鎖DNAが形成される。この
反応容器にS1エンドヌクレアーゼを反応させ、1本鎖
DNAを全て消化し2本鎖DNAのみとする。こうして
得られた4つの反応容器のDNA鎖をゲル電気泳動また
はキャピラリー電気泳動し、分離されたDNAを短い方
(速く移動したもの)から順に読めば、鋳型鎖と相補的
なDNAの塩基配列がわかる。この際、泳動結果の識別
は、例えば加えるジデオキシヌクレオチドのリンまたは
イオウを放射性標識したり蛍光を発する化学物質を結合
させたりして行う。放射性標識の場合はフィルムへの露
光での検出、蛍光化学物質の場合はレーザービームを照
射し蛍光を検出する。最近では、A,T,G,Cの4種
類の塩基アナログを、それぞれ4種類の蛍光波長の異な
る試薬により標識し、その4色の蛍光を同時に検出する
方法も開発されている。
【0012】このように、従来は被験者から分離・精製
した遺伝子の正確な塩基配列をこのジデオキシシーケン
シング(Sanger法)あるいはその他の塩基配列決
定法により決定し、正常あるいは標準的な塩基配列と比
較することによってSNPsの有無や突然変異の有無の
確認、個人の識別等を行っている。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】以上説明したように、
従来からの遺伝子配列決定法を利用した、遺伝子診断や
遺伝子による個人の識別は、ターゲットとする遺伝子を
単離したのち、増幅・精製し、遺伝子の塩基配列決定用
装置を用いて、目的遺伝子の塩基配列を読むことによっ
て行っていたため、実験に膨大な作業量と非常に長い時
間、さらには多大のランニングコストを要していた。ま
た塩基配列決定のための自動化した装置は、非常に高価
で、大きなスペースを占有し、しかも高価な試薬を大量
に必要とするものであった。
【0014】そこで、従来のこのような問題を解決する
ため本発明は、一塩基以上の遺伝子異常を短時間、且つ
簡単、正確に検出することができ、小型、軽量、安価
に、しかも非常に少ないランニングコストで、診断を自
動化することができる遺伝子診断装置を提供することを
目的とする。
【0015】さらに、本発明は、一塩基以上の遺伝子異
常を短時間、且つ簡単、正確に判定できる遺伝子診断方
法を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に本発明の遺伝子診断装置は、第1容器と第2容器間を
リニアポリマーとDNA結合制御剤を含む緩衝液を充た
して連絡した密閉流路と、可変電源部を制御して第2電
極と第1電極間に印加する電圧の絶対値を増加させる制
御部と、内部を通過するDNAの通過量を検出する検出
部を備え、さらに密閉流路は、緩衝液の中に、DNA試
料に水素結合可能な塩基配列と高分子化合物とが結合
し、結合力の差からDNA試料を正常DNAと異常DN
AとノイズDNAに分離する分離用DNAコンジュゲー
トと、DNA試料とを備え、電圧の絶対値を増加させる
ことにより密閉流路内のDNA試料が電気泳動され、検
出部が正常DNAと異常DNAの通過量をそれぞれ測定
することを特徴とする。
【0017】これにより、一塩基以上の遺伝子異常を短
時間、且つ簡単、正確に検出することができ、小型、軽
量、安価に、しかも非常に少ないランニングコストで、
診断を自動化することができる。
【0018】また、本発明の遺伝子診断方法は、第1容
器に緩衝液を収容して第1電極を浸漬するとともに第2
容器にも緩衝液を収容して第2電極を浸漬し、第1容器
と第2容器間をリニアポリマーとDNA結合制御剤を含
む緩衝液を充たして密閉流路で連絡し、次いで、該密閉
流路内の緩衝液の中に、DNA試料に水素結合可能な第
1の塩基配列と高分子化合物とが結合し、結合力の差か
らDNA試料を正常DNAと異常DNAとノイズDNA
に分離する分離用DNAコンジュゲートを充填し、続い
て、DNA試料を加え、その後、第2電極と第1電極間
の電圧の絶対値を増加させて、密閉流路内の緩衝液を電
気泳動させ、正常DNAと異常DNAとノイズDNAを
分離し、正常DNAと異常DNAの比率もしくは異常D
NAを検出することを特徴とする。
【0019】これにより、一塩基以上の遺伝子異常を短
時間、且つ簡単、正確に判定することができる。
【0020】
【発明の実施の形態】請求項1に記載された発明は、緩
衝液を収容し第1電極が浸漬された第1容器と、緩衝液
を収容し第2電極が浸漬された第2容器と、第1容器と
第2容器間をリニアポリマーとDNA結合制御剤を含む
緩衝液を充たして連絡した密閉流路と、第2電極に正電
位を印加するとともに第1電極に負電位を印加する可変
電源部と、可変電源部を制御して第2電極と第1電極間
に印加する電圧の絶対値を増加させる制御部と、密閉流
路に設けられ、内部を通過するDNAの通過量を検出す
る検出部を備え、さらに密閉流路は、緩衝液の中に、D
NA試料に水素結合可能な塩基配列と高分子化合物とが
結合し、結合力の差からDNA試料を正常DNAと異常
DNAとノイズDNAに分離する分離用DNAコンジュ
ゲートと、DNA試料とを備え、電圧の絶対値を増加さ
せることにより密閉流路内のDNA試料が電気泳動さ
れ、検出部が正常DNAと異常DNAの通過量をそれぞ
れ測定することを特徴とする遺伝子診断装置であるか
ら、第2電極と第1電極間に電圧を印加して電圧の絶対
値を増加させると、DNA試料は電気泳動することがで
きるが、分離用DNAコンジュゲートは高分子化合物と
結合したものであるから、泳動速度はDNA試料と比較
すると数%にすぎず(但し、高分子化合物の種類と長さ
に依存する)、相対的には擬似固定状態にすることがで
きる。従って、DNA試料は電気泳動によって、分離用
DNAコンジュゲート部分を通過する。その際に、分離
用DNAコンジュゲートとの水素結合力差を利用して正
常DNAと異常DNA群の泳動速度をノイズDNAに対
して低下させることができる。よって、分離用DNAコ
ンジュゲートの作用を受けないノイズDNAはほぼその
ままの速度で泳動させることができる。
【0021】なお、DNA試料を遅延させる方法として
アフィニティDNAがあるが、アフィニティDNAはキ
ャピラリー管等の密閉流路の壁面に固定することが一般
的であり、その固定処理は難しく、一度使用すると通常
密閉流路を使い捨てにしなければならないが、本発明に
よれば擬似固定であるため使い捨てにする必要はなく、
分離用DNAコンジュゲートや試料の各濃度調整および
分離用DNAコンジュゲートや試料の混合比率の調整が
きわめて容易になる。
【0022】正常DNA及び異常DNAは移動しながら
この分離用DNAコンジュゲートの結合力の作用を受
け、この作用を受けないノイズDNAは、電圧の絶対値
を増加させたとき、最も低い(絶対値が最も小さい)電
圧で一番先に且つ速い速度で泳動されて検出部で検出さ
れる。しかし、異常DNAには、分離用DNAコンジュ
ゲートとの結合力(但し、正常DNAに比べて一塩基分
弱い)が作用し、もう少し高い電圧(絶対値が大きい)
にしないとこの作用を振り切れず、ノイズDNAよりも
遅れて泳動され、ノイズDNAの次に検出部で検出され
る。正常DNAには最大の結合力が作用し、更に高い電
圧にしないとコンジュゲートの作用を振り切れないた
め、ノイズDNAは勿論のこと、異常DNAよりも遅れ
て泳動され、最後に検出部で検出される。これにより絶
対値を増加させた電圧に比例した3つのDNAの検出時
間に差を生じさせることができる。
【0023】このように電気泳動とDNAの水素結合を
利用するから数分〜十数分という短時間のうちにDNA
を分離でき、且つ電圧の絶対値を増加させるから分解能
の高い最適電圧にきわめて簡単に調整でき、正確にDN
Aの異常の有無を検出することができ、小型、軽量、低
ランニングコストの安価な装置とすることができ、診断
の自動化がきわめて容易である。
【0024】請求項2に記載された発明は、密閉流路
が、リニアポリマーとDNA結合制御剤を含む緩衝液で
充たされ、且つ該緩衝液の中に分離用DNAコンジュゲ
ートとDNA試料とが分離状態で、リニアポリマーを挟
んでこの順序で充填された分離用密閉流路カートリッジ
であって、該分離用密閉流路カートリッジを交換可能に
装着する分離部が設けられたことを特徴とする請求項1
記載の遺伝子診断装置であるから、予めリニアポリマー
とDNA結合制御剤を含む緩衝液と、分離用DNAコン
ジュゲート、DNA試料とを充填した分離用密閉流路カ
ートリッジを用意しておくことができ、測定毎に分離部
に分離用密閉流路カートリッジを交換して装着すればよ
く、測定を簡単に且つ容易に行うことができる。
【0025】請求項3に記載された発明は、密閉流路が
1以上設けられたことを特徴とする請求項1または2に
記載の遺伝子診断装置であるから、密閉流路ごとに分離
用DNAコンジュゲートとDNA結合制御剤を変化させ
て、DNA試料の正常DNAと異常DNAの分離環境を
密閉流路ごとに変化させることができる。
【0026】請求項4に記載された発明は、DNAコン
ジュゲートがビニル化したDNAであることを特徴とす
る請求項1〜3のいずれかに記載の遺伝子診断装置であ
るから、DNA試料の正常DNAと異常DNAを明確に
分離して測定することが可能となる。
【0027】請求項5に記載された発明は、密閉流路内
の液体を20℃〜60℃に調整して正常DNAと異常D
NAを分離することを特徴とする請求項1〜5のいずれ
かに記載の遺伝子診断装置であるから、正常DNAと異
常DNAを温度調整により分離用DNAコンジュゲート
に結合したり離脱させたりすることが可能であり、結合
力を温度で調整でき、分離後それぞれを検出部で測定す
ることが可能となる。
【0028】請求項6に記載された発明は、密閉流路が
内径50〜100μmのフューズドシリカ製キャピラリ
ー管であることを特徴とする請求項1〜5に記載の遺伝
子診断装置であるから、紫外線を90%以上透過でき、
紫外線の通過量を検出することで異常DNAの検出が容
易にできる。
【0029】請求項7に記載された発明は、密閉流路が
溝のある板と紫外線が90%以上透過する板との組み合
わせであることを特徴とする請求項1〜6に記載の遺伝
子診断装置であるから、紫外線を90%以上透過でき、
紫外線の通過量を検出することで異常DNAの検出が容
易にできる。
【0030】請求項8に記載された発明は、第1容器に
緩衝液を収容して第1電極を浸漬するとともに第2容器
にも緩衝液を収容して第2電極を浸漬し、第1容器と第
2容器間をリニアポリマーとDNA結合制御剤を含む緩
衝液を充たして密閉流路で連絡し、次いで、該密閉流路
内の緩衝液の中に、DNA試料に水素結合可能な第1の
塩基配列と高分子化合物とが結合し、結合力の差からD
NA試料を正常DNAと異常DNAとノイズDNAに分
離する分離用DNAコンジュゲートを充填し、続いて、
DNA試料を加え、その後、第2電極に正電位を印加す
るとともに第1電極に負電位を印加し、該第2電極と第
1電極間の電圧の絶対値を増加させて、密閉流路内の緩
衝液を電気泳動させ、正常DNAと異常DNAとノイズ
DNAを分離し、正常DNAと異常DNAの比率もしく
は異常DNAを検出することを特徴とする遺伝子診断方
法であるから、第2電極と第1電極間に電圧を印加して
電圧の絶対値を増加させると、DNA試料は電気泳動す
ることができるが、分離用DNAコンジュゲートは高分
子化合物と結合したものであるから、泳動速度はDNA
試料と比較すると数%にすぎず(但し、高分子化合物の
種類と長さに依存する)、相対的には擬似固定状態にす
ることができる。従って、DNA試料は電気泳動によっ
て、分離用DNAコンジュゲート部分を通過する。その
際に、分離用DNAコンジュゲートとの水素結合力差を
利用して正常DNAと異常DNA群の泳動速度をノイズ
DNAに対して低下させることができる。よって、分離
用DNAコンジュゲートの作用を受けないノイズDNA
はほぼそのままの速度で泳動させることができる。
【0031】なお、DNA試料を遅延させる方法として
アフィニティDNAがあるが、アフィニティDNAはキ
ャピラリー管等の密閉流路の壁面に固定することが一般
的であり、その固定処理は難しく、一度使用すると通常
密閉流路を使い捨てにしなければならないが、本発明に
よれば擬似固定であるため使い捨てにする必要はなく、
分離用DNAコンジュゲートや試料の各濃度調整および
分離用DNAコンジュゲートや試料の混合比率の調整が
きわめて容易になる。
【0032】正常DNA及び異常DNAは移動しながら
この分離用DNAコンジュゲートの結合力の作用を受
け、この作用を受けないノイズDNAは、電圧の絶対値
を増加させたとき、最も低い(絶対値が最も小さい)電
圧で一番先に且つ速い速度で泳動されて検出部で検出さ
れる。しかし、異常DNAには、分離用DNAコンジュ
ゲートとの結合力(但し、正常DNAに比べて一塩基分
弱い)が作用し、もう少し高い(絶対値が大きい)電圧
にしないとこの作用を振り切れず、ノイズDNAよりも
遅れて泳動され、ノイズDNAの次に検出部で検出され
る。正常DNAには最大の結合力が作用し、更に高い電
圧にしないとコンジュゲートの作用を振り切れないた
め、ノイズDNAは勿論のこと、異常DNAよりも遅れ
て泳動され、最後に検出部で検出される。これにより絶
対値を増加させた電圧に比例した3つのDNAの検出時
間に差を生じさせることができる。
【0033】このように電気泳動とDNAの水素結合を
利用するから数分〜十数分という短時間のうちにDNA
を分離でき、且つ電圧の絶対値を増加させるから分解能
の高い最適電圧にきわめて簡単に調整でき、正確にDN
Aの異常の有無を検出することができる。
【0034】(実施の形態1)図1は本発明の実施の形
態1における遺伝子診断装置の外観図、図2は本発明の
実施の形態1における遺伝子診断装置の上蓋開放外観
図、図3は本発明の実施の形態1における遺伝子診断装
置の電気泳動部を含む装置構成図、図4は本発明の実施
の形態1における遺伝子診断装置の制御回路要部図、図
5は本発明の実施の形態1における遺伝子診断装置の密
閉流路内の分離用DNAコンジュゲートとDNA試料と
の導入状態図である。
【0035】図1において、1は遺伝子診断装置の電源
スイッチ、2は装置の種々の操作を行うための操作ボタ
ン、3は表示パネル、4は上蓋、5は装置の筐体であ
る。図2、図3、図4において、6は電気泳動を行うた
めの電気泳動部、7は電気泳動部6を支える支持台、8
は電気泳動を行うための制御や後述する吸引ポンプ2
0、検出部15の制御を行い、検出したデータを演算す
る基板からなる制御演算部である。9は電源ボックス、
9aは電源ボックス9内に設けられた可変電源部であ
る。本遺伝子診断装置ではDNAの種類や濃度、処理条
件ごとに異なった最適印加電圧値が存在するため、後述
のDNA試料23から異常DNAと正常DNAを分離す
るのに最も適した泳動が行えるように、制御演算部8が
可変電源部9aを制御して印加電圧の絶対値を増加さ
せ、最も高分解能の分離が行える電圧に調整する。10
はDNAの2重螺旋(以下、2本鎖)を引き離すための
高温部、11は高温部10と後記する分離部12の温度
を独立にするための断熱部、12は正常DNAと異常D
NAとノイズDNAとを分離するための所定温度に調整
するとともに、この部分でDNAを3つのDNAに分離
する分離部、13は高温部10の温度を調整する第1温
調器、14は分離部12の温度を調整する第2温調器で
ある。
【0036】この分離部12内の構成の詳細については
後述するが、測定開始時には、図5に示すように分離用
DNAコンジュゲート21が分離部12の位置から断熱
部11付近、DNA試料23が高温部10付近になるよ
うに配置する。そして、このように設定された配置と電
圧制御、濃度調整、温度制御等を行うことにより、電気
泳動させながら本遺伝子診断装置はDNA試料23を正
常DNAと異常DNAとノイズDNAに数分〜十数分で
分離するものである。
【0037】このうちDNA試料23は、本実施の形態
1においては2本鎖を備えたまま高温部10に充填、配
置され、第1温調器13を用いて(90℃以上の所定温
度±5℃)の温度になるように加熱、制御される。この
加熱により導入されたDNAの2本鎖が1本鎖に自動的
に分離される。続いて、分離部12から断熱部11にか
けては分離用DNAコンジュゲート21が泳動作用を受
けながら水素結合の結合力の差によってDNA試料23
を正常DNAと異常DNAとノイズDNAを分離できる
ように、高温部10の温度より少なくとも10℃低温、
すなわち15℃〜80℃、望ましくは20℃〜60℃の
温度範囲の所定温度に保つように制御される。正常DN
Aと異常DNAとを分離するためにはDNAの分離に適
したこの所定の温度から±1℃の範囲で制御するのがよ
い。断熱部11は、本来、分離部12と高温部10の間
を熱的に遮断して温度調整するために設けられるもので
あるが、温度的には高温部10の90°以上の温度と分
離部12の20℃〜60℃の温度との中間温度に置か
れ、この温度下での水素結合の結合力差により分離用D
NAコンジュゲート21が泳動作用を受けながら正常D
NAと異常DNAをノイズDNAから分離する。
【0038】15は電気泳動するDNA試料の通過量を
測定する検出部である。図4に基づいて検出部15につ
いて説明すると、15aは紫外線を照射するD2ラン
プ、15bは紫外線を受光するフォトダイオード、15
cはフォトダイオード15bが検出した微弱電流を増幅
するプリアンプ、15dはデジタル量に変換するA/D
コンバータである。これらの詳細は後述する。16は電
気泳動のときに正電位を印加する電極(本発明の第2電
極)、17は電気泳動のときに負電位を印加する電極
(本発明の第1電極)であり、制御演算部8が可変電源
部9aを制御し、電極16と電極17との間の電圧の絶
対値を増加させ、電気泳動の強さを変化させることがで
きる。図3、図4、図5において、18は電気泳動のと
きの電荷の運搬とDNA試料のpHを安定させるための
緩衝液、18aは緩衝液18を収容する陰極側の容器
(本発明の第1容器)、18bは緩衝液18を収容する
陽極側の容器(本発明の第2容器)、18dはDNA結
合制御剤とリニアポリマーを緩衝液18に添加したリニ
アポリマーゲルであり、電気泳動時にDNA試料23が
早い速度で泳動しないように泳動を邪魔する働きを持つ
ものである。この働きにより、DNA試料23は分離用
DNAコンジュゲート21とキャピラリー管19内で充
分遭遇する機会を持つことが可能となる。なお、19は
電気泳動のときにDNA試料23を泳動するためのキャ
ピラリー管(本発明の密閉流路)、20はキャピラリー
管19の中に緩衝液18やDNA試料23、リニアポリ
マーゲル18dなどの試薬を注入するための吸引ポンプ
である。容器18aの緩衝液18の中には電極17が浸
漬され、容器18bの緩衝液18の中に電極16が浸漬
される。容器18aと容器18b内の緩衝液18は、キ
ャピラリー管19内の緩衝液18によって連通される。
従って、分離用DNAコンジュゲート21にも緩衝液1
8が液のベースとして混入しており、キャピラリー管1
9中全ての部分で同じ濃度の緩衝液18が存在してい
る。電極16と電極17間に電圧を印加すると、キャピ
ラリー管19内に電気泳動が誘発され、分離用DNAコ
ンジュゲート21とDNA試料23は負に帯電している
ため、容器18a側から容器18b側へ分離用DNAコ
ンジュゲート21とDNA試料23が移動するが、分離
用DNAコンジュゲート21には分子量が大きい高分子
がついているため、電気泳動によってDNA試料23の
移動量と比較するとほとんど移動はしない。
【0039】次に、本発明の遺伝子診断装置で測定を行
うために必要な詳細について説明する。本遺伝子診断装
置で測定するDNA試料23は、人の細胞や血液等から
入手したDNAである。約30億塩基対あるといわれる
ヒト・ゲノムDNAからPCR(ポリメラーゼ連鎖反
応)などの方法を利用して目的の部分を目的の長さに切
り出して測定用に数を増加させる作業が必要である。た
だ、このPCRに関しては本遺伝子診断装置の説明に必
要がないため具体的な説明を省略する。
【0040】PCRなどで取り出した目的のDNAは塩
基数でいうと6個程度〜1000個程度であるが、約3
0億塩基対あるといわれるヒト・ゲノムDNAの中に、
同じDNA配列が存在しないと確率的に考えられる個数
としては、50個程度であればよい。しかし、これは総
数が50個程度あればよいということであるから、数回
に分けてDNAを切り取る場合は6個〜12個ずつに分
けるのでもよい。そして、本発明者らの実験によると、
本遺伝子診断装置で正常DNAと1塩基違いの異常DN
Aを分離する場合、塩基の個数は6個〜12個が最も効
率よく分離できるという結果を得ている。ただ、この異
常DNAの分離はDNA試料23の濃度(μM、但し、
M=モル/リットル)、分離用DNAコンジュゲート2
1のDNAの濃度(モル%)、測定温度、その他と密接
な関係があるため、適正な条件にしないと分離が起こら
ないから、このような条件を設定することができるか否
かに留意する必要がある。例えば、DNA試料23の濃
度は1〜10(μM)が適当であり、分離用DNAコン
ジュゲート21に含まれるDNAが、基本となるリニア
ポリマーのモルに対して0.0002〜0.05(モル
%)程度が適当であるが、分離用DNAコンジュゲート
21のDNA総量は、DNA試料23の濃度の20〜6
00倍とするのが望ましい。以上説明したように本遺伝
子診断装置のDNA試料は上述のPCRなどにより前処
理によって得られる6個程度〜1000個程度の塩基配
列を持つDNA試料が必要であり、適正な条件設定が必
要である。
【0041】次に、図3、図4、図5のキャピラリー管
19について説明すると、キャピラリー管19にゲルを
入れて電気泳動を行うと、電気浸透流と呼ばれる液の流
れが発生してしまうため、本遺伝子診断装置ではこの現
象が起きないようにする必要がある。このためキャピラ
リー管19の内壁をアクリルアミドなどでコーティング
するのがよい。電気浸透流の発生が阻止できるならコー
ティング方法は他の方法でもよい。例えば、一般に販売
されているコーティングキャピラリー管を使用するので
もよい。なお、キャピラリー管19としては内径50〜
100μmのフューズドシリカ製キャピラリー管が、紫
外線を90%以上透過でき、且つ後述するように紫外線
を利用してDNAを検出するとき、紫外線の通過量を容
易に検出できるから最も適当である。そして、溝のある
板と、紫外線が90%以上透過する板との組み合わせで
キャピラリー管19に相当する密閉流路を構成するので
も、紫外線を90%以上透過でき、紫外線の通過量を検
出することで異常DNAの検出を容易に行うことができ
る。なお、溝のある板を紫外線が透過可能な板にした場
合は透過光を検出し、溝のある板を紫外線が不透過の板
にした場合は、異常DNAを反射光で検出する。反射光
を検出する場合には溝形状を均一な反射面とするため矩
形断面にする等の工夫が必要である。
【0042】容器18a,18bの中やキャピラリー管
19に収容する緩衝液18は、Tris−Borate
(pH7.2〜pH8程度)緩衝液等を利用するのが適
当である。このうちキャピラリー管19に収容する緩衝
液18に必要に応じて混入されるDNA結合制御剤とし
ては、分離用DNAコンジュゲート21に対するDNA
の結合を促進する塩化マグネシウム等の結合促進剤と、
離脱を促す尿素等の離脱剤の2種類が存在する。この2
種類のDNA結合制御剤は、2種類の混合割合や、物質
(例えば、結合促進剤として他の電解質)を選ぶこと
で、DNAに対する多様な泳動速度の制御が可能になる
ものである。リニアポリマーゲル18dに含まれるリニ
アポリマーとしては、ポリアクリルアミドを用いること
ができ、これは分離用DNAコンジュゲート21のコン
ジュゲート作成にも利用されるため、相性がよく適当で
ある。
【0043】次に、キャピラリー管19への充填順序で
あるが、図5に示すように先ずキャピラリー管19内に
リニアポリマーとDNA結合制御剤と緩衝液18を含ん
だリニアポリマーゲル18dを導入し、続いて以下詳述
する分離用DNAコンジュゲート21を加える。分離用
DNAコンジュゲート21導入後にリニアポリマーゲル
18dを導入してもよい。図5の場合導入後に分離状態
で導入している。その後、緩衝液18もしくは純水で希
釈したDNA試料23を導入して電気泳動する。DNA
試料23導入後にリニアポリマーゲル18dを導入して
もよく、図5の場合導入後に分離状態で導入している。
【0044】本実施の形態1では、分離用DNAコンジ
ュゲート21を作成するのにアクリルアミドとDNAを
重合させているため、DNAとの重量差、構造差は大き
く、分離用DNAコンジュゲート21の泳動速度(0.
6cm/分〜0.7cm/分)は、DNAの最適の泳動
速度(13cm/分〜20cm/分)の1/20〜1/
30程度であって、非常に動きが鈍く相対的に擬似的に
固定されているといってもよいような状態が実現され
る。従って、測定開始時、充填物を収容したキャピラリ
ー管19を高温部10、断熱部11、分離部12の間で
位置を調整しながら、分離用DNAコンジュゲート21
を分離部12から断熱部11付近に配置し、高温部10
には後述のDNA試料23を配置する。このようにする
ことにより、高温部10でDNA試料23の2本鎖を1
本鎖に分離できる。そして断熱部11から分離部12に
かけて分離用DNAコンジュゲート21を充填したので
速度差で正常DNAと異常DNAを分離し、ノイズDN
Aも分離することができる。
【0045】なお、遺伝子診断装置のキャピラリー管1
9にDNA試料や分離用DNAコンジュゲート、リニア
ポリマーの各溶液を交換的に導入する機構、例えば図3
に示した吸引ポンプ20のほかに、各DNA試料や分離
用DNAコンジュゲート、リニアポリマーの各溶液をそ
れぞれ保管する容器と、その容器を自動的に交換し、そ
れをキャピラリー管19に接続する機構を装備するのが
望ましい。
【0046】さらに、キャピラリー管19を1本または
複数本単位でユニット化し、これを交換用の分離用密閉
流路カートリッジとして、分離部12と高温部10、断
熱部11に装着可能にし、分離部12内の第2温調器1
4、あるいは高温部10内の第1温調器13で温度制御
するようにするのも適当である。キャピラリー管19内
に、予めリニアポリマーゲル18dとDNA結合制御剤
を含む緩衝液18を充填し、分離用DNAコンジュゲー
ト21とDNA試料23を分離状態で充填して分離用密
閉流路カートリッジとして用意しておくことが可能にな
る。このように構成することで、測定を行うたびに分離
用密閉流路カートリッジごと交換するため、分離用密閉
流路カートリッジごとに分離用DNAコンジュゲート2
1、DNA試料23の配置を予め設定できるから、測定
が簡単に行え、且つ正確な測定が行える。なお、この分
離用密閉流路カートリッジでは、分離用DNAコンジュ
ゲート21とDNA試料23を分離状態にするため、そ
の間にリニアポリマーゲル18dを挟んで充填してい
る。それぞれの中にリニアポリマーゲル18dを混合さ
せて充填するのでもよい。
【0047】続いて、分離用DNAコンジュゲート21
について説明する。図6は本発明の実施の形態1におけ
る遺伝子診断装置の密閉流路内の分離用DNAコンジュ
ゲートとDNA試料との関係概念図である。図6におい
て、21は分離用DNAコンジュゲートである。DNA
は二本鎖を形成するものとこれを分離した一本鎖のもの
と存在するが、DNAのもつA,T,C,G4つの塩基
は互いにAとT、GとCがそれぞれ水素結合し易い性質
をもち、DNAの二本鎖においてはAT,GCで対をな
している。従って、一本鎖のDNAがATCGCGTC
TAGC(配列番号1に記載)と配列されている場合、
残りの鎖のDNAは、TAGCGCAGATCG(配列
番号2に記載)という塩基配列をもっている。この関係
は相補的関係と呼ばれるもので、この相補関係を充たす
限り、AとT、GとCがそれぞれ水素結合により結合
し、二本鎖を形成する。本発明ではこの関係を利用する
ために、図6に示すように分離用DNAコンジュゲート
21のDNA部分にはDNA試料の正常DNAに相補的
な塩基配列を持たせている。従って、DNA試料の正常
DNAの塩基配列がATCGCGTCTAGC(配列番
号1に記載)を含み、異常DNAがATCA*CGTC
TAGC(配列番号3に記載)で、*で示した部分で正
常DNAと異常DNAの塩基が異なっている場合、分離
用DNAコンジュゲート21のDNA部分の配列(本発
明の第1の塩基配列)をTAGCGCAGATCG(配
列番号2に記載)とすると、異常DNAはA*において
分離用DNAコンジュゲート21と相補的ではなくなる
ため水素結合せず、水素結合全体の結合力はDNA試料
の正常DNAの方が異常DNAより1塩基分の結合力分
だけ大きくなる。その結果、後で説明する電気泳動時に
正常DNAの方が異常DNAより強い結合力で長い時間
分離用DNAコンジュゲート21と結合するため、正常
DNAは異常DNAより相対的に遅延するようになる。
というのは、電気泳動時結合力だけでなく電気泳動によ
る引離力も作用するから、多数のDNAが断続的に結合
と離脱を繰り返すような結合状態となるからである。そ
して、この泳動速度を平均的にみると、長い時間結合す
る正常DNAの方が異常DNAより泳動速度が低下する
ことになる。DNA試料の中には、2本鎖のDNAのう
ち測定対象ではない分離した残りの1本鎖DNAのよう
に正常DNAと異常DNA以外のDNAも含まれてお
り、このDNAが後で説明する電気泳動時にノイズとし
て作用するが、このノイズDNAは分離用DNAコンジ
ュゲート21のDNAとはほとんど無反応で結合しない
から、最も速い泳動速度をもち分離されることになる。
なお、分離用DNAコンジュゲート21のDNA総量
は、DNA試料の濃度の20〜600倍とするのが適当
である。
【0048】次に、このような分離用DNAコンジュゲ
ート21の作成・合成方法について説明する。ビニル化
DNAを合成するために、PCRによって、分離用DN
Aコンジュゲート21用のDNAを切り出す。上述の例
では、TAGCGCAGATCG(配列番号2に記載)
が分離用DNAコンジュゲート21のDNAである。次
に、目的の塩基配列を有するDNAの5’末端をアミノ
化(通常は、ヘキシル基を介してアミノ化)する。この
ようにして得られたアミノ化DNAを2.6mMになる
ように滅菌した超純水を加えて希釈する。次いで、MO
SU(メタクリロイドオキシスクシンイミド)を71.
388mMになるようにDMSO(ディメチルスルオキ
シド)で希釈する。そして、このようにして得たアミノ
化DNAとMOSUを1:50の比率になるように加え
て調整する。さらに、この調整溶液に対して、pH調整
用としてpH9になるように炭酸水素ナトリウムと水酸
化ナトリウムで調整した溶液を、アミノ化DNAの量と
等量加える。
【0049】そして、得られた溶液を一晩振とうする。
その後、HPLC(High Performance
Liquid Chromatography:高速
液体クロマトグラフィー)を使用して、振とうした溶液
中のビニル化DNAを、アミノ化DNA,MOSU,そ
の他と分離する。ビニル化DNAは溶離液(TEAA;
トリエチルアミン−酢酸とアセトニトリルの混合溶液)
を含んでいるため、さらに真空乾燥機能を持った遠心エ
バポレーターで減圧濃縮する。
【0050】次いで、重合溶液である10%のAAM
(アクリルアミド)を53μmol窒素置換する。さら
に、重合開始剤である1.34%のTEMD(N,N,
N’N’−テトラメチルエチレンジアミン)を超音波で
脱気した滅菌超純水で希釈する。これを重合開始剤であ
る1.34%のAPS(過硫酸アンモニウム)を同じく
超音波で脱気した滅菌超純水で希釈する。さらに濃縮し
たビニル化DNAを滅菌した超純水で希釈する。そし
て、100μlの分離用DNAコンジュゲートを合成す
るために、上記のAAMを34μl、上記のTEMDと
APSを各々5μl、ビニル化DNAがAAMに対して
0.01%モル〜0.05%モルになるように加え、1
00μlになるように滅菌超純水を追加して、60分程
度放置しておくとアクリルアミド化された分離用DNA
コンジュゲート21が得られる。
【0051】なお、未反応のビニル化DNAを除去する
ために、適当な大きさの孔径選択したゲルろ過を数十回
に分けて行うと、純度の高いDNAコンジュゲートが得
られる。
【0052】続いて、本実施の形態1の遺伝子診断装置
の動作について説明する。先ず遺伝子診断装置内に、D
NA試料や各溶液を導入したキャピラリー管19をセッ
トし、図3、図4に示すように両端に容器18a,18
b内の緩衝液18を浸す。この電極16と電極17間に
可変電源部9aによって電圧の絶対値が増加するように
印加する。最大電圧の大きさとして望ましくは10〜2
0キロボルトが好ましいが、電解質や電極の状態により
100ボルト〜30キロボルトでもよい。例えば、低電
解質濃度の場合や、電極面積が大きな場合には電圧を低
電圧にする。そして、最初から電圧の絶対値を増加させ
るのではなく、まず準備用の30キロボルト以上の高電
圧を印加し、ノイズDNAをいち早く分離すれば、測定
を迅速に行うことができる。そして、その後徐々に電圧
の絶対値を増加させて、高電圧を印加して行く。また、
徐々に電圧の絶対値を増加させる場合、規則的或いは不
規則に増加させても良いが、特に好ましい方法は、電圧
を掃引して印加することである。掃引とは、電圧を単位
時間あたり一定値で変化させる事であり、例えば、0ボ
ルトから1キロボルト/秒で掃引を開始すれば、10秒
後には10キロボルト印加することになる。
【0053】ここで、印加電圧を掃引する理由を説明す
ると、分離用DNAコンジュゲート21に対するDNA
試料23の結合力と、電気泳動力による引離力との差
が、DNAの泳動速度や移動差に大きな影響を与えるた
め、正常DNAと異常DNAとノイズDNAの分離が最
も効果的に行われる電圧を調整するため掃引するもので
ある。掃引により最も泳動速度に差が生じる電圧が分か
ったら、この電圧を保てばよい。印加電圧を掃引するこ
とで、分解能の高い最適電圧にきわめて簡単に調整でき
ると言う効果が得られる。
【0054】というのは、ノイズDNAは、掃引電圧が
低い段階で一番先に泳動されて検出部で検出されるが、
異常DNAは分離用DNAコンジュゲート21に対して
一塩基分弱い結合力を有するため少し高電圧にならない
と、これを振り切って離脱できない。さらに、正常DN
Aはもっと電圧を高くしないと離脱できない。この付近
の電圧を印加しておけば、ノイズDNAと異常DNAと
正常DNAは明確に分離される。但し、これより掃印電
圧を上げると、正常DNAと異常DNAの分解能が低下
するため、正常DNAが泳動を開始する電圧付近に電圧
を保つのが最適となる。
【0055】そして、当初30キロボルト程度以上の準
備電圧を短時間印加した後、掃引開始電圧を簡単に通常
0ボルトから開始するのでよいが、分離用DNAコンジ
ュゲート21とDNA試料の結合条件によっては、30
キロボルト以上を印加した後、5キロボルト〜7キロボ
ルトから掃引を開始してもよい。なお、キャピラリー管
19内のDNAは陽極側に進むため、可変電源部9aは
電極16を正電位、電極17を負電位になるように印加
する必要がある。
【0056】電圧が掃引されるとDNA試料23は泳動
され、分離用DNAコンジュゲート21は正常DNAと
異常DNAとの結合力に一塩基分の差があり、泳動され
ていくとき両者間に移動速度差が生じ、ノイズDNAと
の間で大きな移動差を生じる。なお、掃引に当たって
は、あまりにゆっくりとした掃引は泳動時間を長くしす
ぎることになり、キャピラリー管19内で緩衝液18が
乾燥するので避けなければならない。
【0057】次に、分離が行われる高温部10と分離部
12、断熱部11の説明を行う。上述したように、高温
部10でDNAの2本鎖を離すために90℃以上の(所
定温度±5℃)になるように第1温調器13を用いて制
御する。また、分離部12では、DNA試料の状態によ
っても異なるが、分離用DNAコンジュゲート21とD
NA試料の結合力の差に基づいて正常DNAや異常DN
A、ノイズDNAを分離できるように、高温部10の温
度より10℃程度低温、すなわち15℃〜80℃、望ま
しくは20℃〜60℃の温度範囲の所定温度に保たなけ
ればならない。実施の形態1の遺伝子診断装置では、キ
ャピラリー管19を覆っている分離部12の下部に、シ
リコンラバーヒーターやニクロム線等と熱電対やサーマ
ル等の温度センサーを配置し、第2温調器14で所定の
温度±1℃以下になるように管理する。ただ、環境温度
によっては室温が目的の所定温度を超える場合もあり、
シリコンラバーヒーターやニクロム線等に代えて、ペル
チェ素子等の暖・冷可能な部品を使うのがよい。また、
断熱部11はガラスウールや発砲剤、雲母、多孔質セラ
ミックス等の断熱材もしくは、中身を真空にしたものを
使用するのでもよい。断熱部11付近では高温部10と
分離部12の中間温度となるから、これを利用して分離
用DNAコンジュゲート21で正常DNAと異常DNA
とをノイズDNAから分離することができる。
【0058】続いて、分離用DNAコンジュゲート21
の作用で泳動速度に差を生じ、移動差が生じた正常DN
Aと異常DNA、ノイズDNAを、どのようにして検出
するか説明する。図7は、泳動開始からの経過時間を横
軸にして吸光度を縦軸にしたときの経過時間と吸光度の
関係図である。検出は紫外線の照射が正常DNAと異常
DNA、ノイズDNAによって遮光されたときの吸光度
を測定することで行う。実施の形態1においては、図5
に示すようにキャピラリー管19の一部でガラス部を露
出させ、D2ランプ15aから波長260nmの紫外線
を照射し、このとき得られる紫外線照射光をフォトダイ
オード15bで検出し、吸光度を測定している。制御演
算部8によって可変電源部9aを制御してD2ランプ1
5aを発光させ、フォトダイオード15bで検出した電
流はプリアンプ15cで増幅し、A/Dコンバータ15
dでデジタル量として吸光度に制御演算部8で換算され
る。制御演算部8はタイマ(図示しない)を内蔵し、泳
動開始時間からの経過時間を測定することができる。図
7において、時間的に早い方(I)が、DNAコンジュ
ゲートと結合しないノイズDNA、時間が中位の(I
I)が異常DNA、時間が遅い(III)が正常DNA
である。
【0059】この関係図よりピークの高さと時間とピー
クの数を読み取れば、ピークの数からDNA試料に異常
DNAが含まれていることが分かる。すなわち、ピーク
の数から異常DNAが存在するか否かが判定できる。な
お、印加する電圧やDNA濃度、DNAの長さ(塩基の
個数)によってはピークの数を異常DNAとノイズDN
Aだけにすることができるから、このときは異常DNA
の通過量だけを測定する。また、ピークの高さを比べる
のは、同じ条件下で電気泳動されたDNA中の泳動速度
差のある2つの集合の吸光度差を示すから、異常DNA
と正常DNAの存在比率に相当し、存在比率の判定が可
能になる。異常DNAの存在量の判定は、標準DNA試
料の検出ピーク波形から得られた標準データを制御演算
部8に予め入力しておき、そのデータと測定したデータ
を比較して換算すればよい。
【0060】以上説明したように、本実施の形態1の遺
伝子診断装置と遺伝子診断方法によれば、細胞や血液等
から取り出したDNAの中で、特定のDNAを制限酵素
などで取り出したDNA試料中に含まれる正常DNAと
異常DNAの存在比率等が分かることにより、遺伝子診
断、判定ができる。
【0061】(実施の形態2)本発明の実施の形態2に
おける遺伝子診断装置及び遺伝子診断方法について図
1,図2,図4〜図8に基づいて説明する。図8は本発
明の実施の形態2における遺伝子診断装置の装置構成図
である。実施の形態2の遺伝子診断装置は、実施の形態
1の遺伝子診断装置をDNA試料としてDNAの1本鎖
のものに対応させたものであり、基本的に実施の形態1
の遺伝子診断装置と同一であるから、特徴部分の説明を
行うにとどめ、詳細な説明は実施の形態1に譲って省略
する。
【0062】図8に示すように、実施の形態2の遺伝子
診断装置では、分離用DNAコンジュゲート21と1本
鎖のDNA試料23を直接分離部12内に導入する。す
なわち、電気泳動部6を基本的に分離部12だけで構成
している。実施の形態1の高温部10、断熱部11は存
在しない。分離用密閉流路カートリッジの形式で導入す
る場合は、この順序で分離用DNAコンジュゲート21
とDNA試料23が充填されたキャピラリー管19を、
測定ごとに交換して分離部12に装着する。
【0063】実施の形態1においては、2本鎖のDNA
試料23が供給され、これを自動的に1本鎖にするため
に高温部10が設けられている。しかし、実施の形態2
においてはDNA試料23として供給されるのが1本鎖
のDNAであり、2本鎖のDNAを分離する必要がない
ため高温部10と断熱部11が不要になっている。従っ
て、測定開始時に、分離用DNAコンジュゲート21が
分離部12内、DNA試料23が分離部12の入口付近
になるように配置さえすれば、測定を直ちに実行でき
る。そして、分離部12の第2温調器14は、実施の形
態1と同様に15℃〜80℃、望ましくは20℃〜60
℃の温度範囲の所定温度に保つように制御される。この
ように温度制御することで、DNA試料23を、分離用
DNAコンジュゲート21によって、正常DNAと異常
DNAとノイズDNAに分離することができる。
【0064】このように、実施の形態2の遺伝子診断装
置は、高温部10と断熱部11が不要であるから、診断
装置の構成が簡単化でき、制御も容易で、扱い易いもの
とすることができる。
【0065】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、以下の
ような有利な効果が得られる。
【0066】請求項1に記載された遺伝子診断装置は、
第2電極と第1電極間に電圧の絶対値を増加させて印加
すると、DNA試料は電気泳動することができるが、分
離用DNAコンジュゲートは高分子化合物と結合したも
のであるから、泳動速度はDNA試料と比較すると数%
にすぎず(但し、高分子化合物の種類と長さに依存す
る)、相対的には擬似固定状態にすることができる。従
って、DNA試料は電気泳動によって、分離用DNAコ
ンジュゲート部分を通過する。その際に、分離用DNA
コンジュゲートとの水素結合力差を利用して正常DNA
と異常DNA群の泳動速度をノイズDNAに対して低下
させることができる。よって、分離用DNAコンジュゲ
ートの作用を受けないノイズDNAはほぼそのままの速
度で泳動させることができる。
【0067】なお、DNA試料を遅延させる方法として
アフィニティDNAがあるが、アフィニティDNAはキ
ャピラリー管等の密閉流路の壁面に固定することが一般
的であり、その固定処理は難しく、一度使用すると通常
密閉流路を使い捨てにしなければならないが、本発明に
よれば擬似固定であるため使い捨てにする必要はなく、
分離用DNAコンジュゲートや試料の各濃度調整および
分離用DNAコンジュゲートや試料の混合比率の調整が
きわめて容易になる。
【0068】正常DNA及び異常DNAは移動しながら
この分離用DNAコンジュゲートの結合力の作用を受
け、この作用を受けないノイズDNAは、電圧の絶対値
を増加させたとき、最も低い電圧で一番先に検出部で検
出されるが、異常DNAは、少し高い電圧で検出され、
正常DNAは更に高い電圧で検出される。これにより3
つのDNAに、絶対値を増加させた電圧に比例した検出
時間の差を生じさせることができる。
【0069】電気泳動とDNAの水素結合を利用するか
ら数分〜十数分という短時間のうちにDNAを分離で
き、且つ電圧の絶対値を増加させるから分解能の高い最
適電圧にきわめて簡単に調整でき、正確にDNAの異常
の有無を検出することができ、小型、軽量、低ランニン
グコストの安価な装置とすることができ、診断の自動化
がきわめて容易である。
【0070】これにより、癌・糖尿病・高血圧・アルツ
ハイマーなどの様々な遺伝子の変異に起因する疾患に関
して、その疾患に対する発症の危険性を予知し、発症前
の予防あるいは極めて早期の発見をすることができる。
また、各個人が持つ遺伝子の多様性を調査することで、
薬品の副作用と効果の有無をあらかじめ推測し各個人に
最も適合した医薬品を提供することが可能になる。さら
に、突然変異が起き癌化してしまった組織から採取した
遺伝子の変異を速やかに決定して利用することができ
る。個人を特定し、犯罪捜査や親子関係の特定、各個人
のセキュリティーの確保に決定的な信頼性を遺伝子診断
装置によって付与することができる。
【0071】請求項2に記載された遺伝子診断装置は、
予めリニアポリマーとDNA結合制御剤を含む緩衝液
と、分離用DNAコンジュゲート、DNA試料とを充填
した分離用密閉流路カートリッジを用意しておくことが
でき、測定毎に分離部に分離用密閉流路カートリッジを
交換して装着すればよく、測定を簡単に且つ容易に行う
ことができる。
【0072】請求項3に記載された遺伝子診断装置は、
密閉流路ごとに分離用DNAコンジュゲートとDNA結
合制御剤を変化させて、DNA試料の正常DNAと異常
DNAの分離環境を密閉流路ごとに変化させることがで
きる。
【0073】請求項4に記載された遺伝子診断装置は、
DNA試料の正常DNAと異常DNAを明確に分離して
測定することが可能となる。
【0074】請求項5に記載された遺伝子診断装置は、
密閉流路内の液体を20℃〜60℃に調整して正常DN
Aと異常DNAを分離するから、正常DNAと異常DN
Aを温度調整により分離用DNAコンジュゲートに結合
したり離脱させたりすることが可能であり、結合力を温
度で調整でき、分離後それぞれを検出部で測定すること
が可能となる。
【0075】請求項6に記載された遺伝子診断装置は、
密閉流路が内径50〜100μmのフューズドシリカ製
キャピラリー管であるから、紫外線を90%以上透過で
き、紫外線の通過量を検出することで異常DNAの検出
が容易にできる。
【0076】請求項7に記載された遺伝子診断装置は、
密閉流路が溝のある板と紫外線が90%以上透過する板
との組み合わせであるから、紫外線を90%以上透過で
き、紫外線の通過量を検出することで異常DNAの検出
が容易にできる。
【0077】請求項8に記載された遺伝子診断方法は、
第2電極と第1電極間に電圧の絶対値を増加させて印加
すると、DNA試料は電気泳動することができるが、分
離用DNAコンジュゲートは高分子化合物と結合したも
のであるから、泳動速度はDNA試料と比較すると数%
にすぎず(但し、高分子化合物の種類と長さに依存す
る)、相対的には擬似固定状態にすることができる。従
って、DNA試料は電気泳動によって、分離用DNAコ
ンジュゲート部分を通過する。その際に、分離用DNA
コンジュゲートとの水素結合力差を利用して正常DNA
と異常DNA群の泳動速度をノイズDNAに対して低下
させることができる。よって、分離用DNAコンジュゲ
ートの作用を受けないノイズDNAはほぼそのままの速
度で泳動させることができる。
【0078】なお、DNA試料を遅延させる方法として
アフィニティDNAがあるが、アフィニティDNAはキ
ャピラリー管等の密閉流路の壁面に固定することが一般
的であり、その固定処理は難しく、一度使用すると通常
密閉流路を使い捨てにしなければならないが、本発明に
よれば擬似固定であるため使い捨てにする必要はなく、
分離用DNAコンジュゲートや試料の各濃度調整および
分離用DNAコンジュゲートや試料の混合比率の調整が
きわめて容易になる。
【0079】正常DNA及び異常DNAは移動しながら
この分離用DNAコンジュゲートの結合力の作用を受
け、この作用を受けないノイズDNAは、電圧の絶対値
を増加させたとき、最も低い電圧で一番先に検出部で検
出されるが、異常DNAは、少し高い電圧で検出され、
正常DNAは更に高い電圧で検出される。これにより3
つのDNAに、絶対値を増加させた電圧に比例した検出
時間の差を生じさせることができる。
【0080】電気泳動とDNAの水素結合を利用するか
ら数分〜十数分という短時間のうちにDNAを分離で
き、且つ電圧の絶対値を増加させるから分解能の高い最
適電圧にきわめて簡単に調整でき、正確にDNAの異常
の有無を検出することができる。この遺伝子診断方法に
よれば、遺伝子の変異に起因する疾患に関して、その疾
患に対する発症の危険性を予知し、予防と極めて早期の
発見をすることができる。また、各個人が持つ遺伝子の
多様性を調査することで、薬品の副作用と効果の有無を
あらかじめ推測し、各個人に最も適合した医薬品を提供
することが可能になる。さらに、癌化してしまった組織
から採取した遺伝子の変異を速やかに決定することがで
きる。個人を特定し、犯罪捜査や親子関係の特定、各個
人のセキュリティーの確保に決定的な信頼性を与えるこ
とができる。
【0081】
【配列表】 SEQUENCE LISTING <110> Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. et al. <120> The apparatus and method for genetic testing <130> 2913040056 <140> <141> <150> JP P2001-051687 <151> 2001-02-27 <160> 3 <170> PatentIn Ver. 2.1 <210> 1 <211> 12 <212> DNA <213> Homo sapiens <400> 1 atcgcgtcta gc 12 <210> 2 <211> 12 <212> DNA <213> Homo sapiens <400> 2 tagcgcagat cg 12 <210> 3 <211> 12 <212> DNA <213> Homo sapiens <400> 3 atcacgtcta gc 12
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1における遺伝子診断装置
の外観図
【図2】本発明の実施の形態1における遺伝子診断装置
の上蓋開放外観図
【図3】本発明の実施の形態1における遺伝子診断装置
の電気泳動部を含む装置構成図
【図4】本発明の実施の形態1における遺伝子診断装置
の制御回路要部図
【図5】本発明の実施の形態1における遺伝子診断装置
の密閉流路内の分離用DNAコンジュゲートとDNA試
料との導入状態図
【図6】本発明の実施の形態1における遺伝子診断装置
の密閉流路内の分離用DNAコンジュゲートとDNA試
料との関係概念図
【図7】経過時間と吸光度の関係図
【図8】本発明の実施の形態2における遺伝子診断装置
の装置構成図
【符号の説明】
1 電源スイッチ 2 操作ボタン 3 表示パネル 4 上蓋 5 筐体 6 電気泳動部 7 支持台 8 制御演算部 9 電源ボックス 9a 可変電源部 10 高温部 11 断熱部 12 分離部 13 第1温調器 14 第2温調器 15 検出部 15a D2ランプ 15b フォトダイオード 15c プリアンプ 15d A/Dコンバータ 16,17 電極 18 緩衝液 18a,18b 容器 18d リニアポリマーゲル 19 キャピラリー管 20 吸引ポンプ 21 分離用DNAコンジュゲート 23 DNA試料
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12N 15/09 ZNA G01N 33/483 F C12Q 1/68 33/50 P G01N 33/483 27/26 311Z 33/50 C12N 15/00 ZNAA G01N 27/26 315K 325A 325E (72)発明者 森 一芳 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 橋本 英明 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 西田 毅 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 前田 瑞夫 福岡県福岡市東区箱崎3丁目1番14号503 (72)発明者 片山 佳樹 福岡県福岡市西区横浜3丁目4番20号 Fターム(参考) 2G045 DA12 DA13 FB05 4B024 AA11 CA01 CA09 HA12 HA19 4B029 AA07 AA12 AA21 AA23 BB20 CC03 FA15 4B063 QA01 QA12 QA18 QA19 QQ02 QQ42 QR32 QR38 QR55 QS16 QS20 QS28 QS34 QS39 QX01

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】緩衝液を収容し第1電極が浸漬された第1
    容器と、 緩衝液を収容し第2電極が浸漬された第2容器と、 前記第1容器と前記第2容器間をリニアポリマーとDN
    A結合制御剤を含む緩衝液を充たして連絡した密閉流路
    と、 前記第2電極に正電位を印加するとともに前記第1電極
    に負電位を印加する可変電源部と、 前記可変電源部を制御して前記第2電極と前記第1電極
    間に印加する電圧の絶対値を増加させる制御部と、 前記密閉流路に設けられ、内部を通過するDNAの通過
    量を検出する検出部を備え、 さらに前記密閉流路は、前記緩衝液の中に、 DNA試料に水素結合可能な塩基配列と高分子化合物と
    が結合し、結合力の差から前記DNA試料を正常DNA
    と異常DNAとノイズDNAに分離する分離用DNAコ
    ンジュゲートと、DNA試料とを備え、 前記電圧の絶対値を増加させることにより前記密閉流路
    内のDNA試料が電気泳動され、前記検出部が正常DN
    Aと異常DNAの通過量をそれぞれ測定することを特徴
    とする遺伝子診断装置。
  2. 【請求項2】前記密閉流路が、リニアポリマーとDNA
    結合制御剤を含む緩衝液で充たされ、且つ該緩衝液の中
    に前記分離用DNAコンジュゲートとDNA試料とが分
    離状態で、リニアポリマーを挟んでこの順序で充填され
    た分離用密閉流路カートリッジであって、該分離用密閉
    流路カートリッジを交換可能に装着する分離部が設けら
    れたことを特徴とする請求項1記載の遺伝子診断装置。
  3. 【請求項3】前記密閉流路が1以上設けられたことを特
    徴とする請求項1または2に記載の遺伝子診断装置。
  4. 【請求項4】前記分離用DNAコンジュゲートがビニル
    化したDNAであることを特徴とする請求項1〜3のい
    ずれかに記載の遺伝子診断装置。
  5. 【請求項5】前記密閉流路内の液体を20℃〜60℃に
    調整して正常DNAと異常DNAを分離することを特徴
    とする請求項1〜4のいずれかに記載の遺伝子診断装
    置。
  6. 【請求項6】前記密閉流路が内径50〜100μmのフ
    ューズドシリカ製キャピラリー管であることを特徴とす
    る請求項1〜5に記載の遺伝子診断装置。
  7. 【請求項7】前記密閉流路が溝のある板と紫外線が90
    %以上透過する板との組み合わせであることを特徴とす
    る請求項1〜6に記載の遺伝子診断装置。
  8. 【請求項8】第1容器に緩衝液を収容して第1電極を浸
    漬するとともに第2容器にも緩衝液を収容して第2電極
    を浸漬し、 前記第1容器と前記第2容器間をリニアポリマーとDN
    A結合制御剤を含む緩衝液を充たして密閉流路で連絡
    し、 次いで、該密閉流路内の緩衝液の中に、前記DNA試料
    に水素結合可能な第1の塩基配列と高分子化合物とが結
    合し、結合力の差から前記DNA試料を正常DNAと異
    常DNAとノイズDNAに分離する分離用DNAコンジ
    ュゲートを充填し、 続いて、DNA試料を加え、 その後、前記第2電極に正電位を印加するとともに前記
    第1電極に負電位を印加し、該第2電極と第1電極間の
    電圧の絶対値を増加させて、前記密閉流路内の緩衝液を
    電気泳動させ、正常DNAと異常DNAとノイズDNA
    を分離し、正常DNAと異常DNAの比率もしくは異常
    DNAを検出することを特徴とする遺伝子診断方法。
JP2002042943A 2001-02-27 2002-02-20 遺伝子診断装置及び遺伝子診断方法 Expired - Lifetime JP3781689B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002042943A JP3781689B2 (ja) 2001-02-27 2002-02-20 遺伝子診断装置及び遺伝子診断方法

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001051687 2001-02-27
JP2001-51687 2001-02-27
JP2002042943A JP3781689B2 (ja) 2001-02-27 2002-02-20 遺伝子診断装置及び遺伝子診断方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2002340859A true JP2002340859A (ja) 2002-11-27
JP3781689B2 JP3781689B2 (ja) 2006-05-31

Family

ID=26610155

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002042943A Expired - Lifetime JP3781689B2 (ja) 2001-02-27 2002-02-20 遺伝子診断装置及び遺伝子診断方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3781689B2 (ja)

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004283141A (ja) * 2003-03-25 2004-10-14 Matsushita Electric Ind Co Ltd 遺伝子診断装置
WO2005064339A1 (ja) * 2003-12-26 2005-07-14 Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. 生体サンプル判別装置、生体サンプル判別方法、及び生体サンプル判別用プレート
JP2006158275A (ja) * 2004-12-06 2006-06-22 Institute Of Physical & Chemical Research Dnaコンジュゲート、及びdna検出方法
JP2006158276A (ja) * 2004-12-06 2006-06-22 Institute Of Physical & Chemical Research Dnaコンジュゲート、dnaコンジュゲートの作製方法、及びdna検出方法
JP2006337214A (ja) * 2005-06-02 2006-12-14 Matsushita Electric Ind Co Ltd 生体サンプル判別装置、生体サンプル判別用プレートカートリッジ、及び生体サンプル判別用プレート供給装置
JP2007093230A (ja) * 2005-09-27 2007-04-12 National Institute Of Advanced Industrial & Technology 標的dna解析方法及び解析装置

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004283141A (ja) * 2003-03-25 2004-10-14 Matsushita Electric Ind Co Ltd 遺伝子診断装置
WO2005064339A1 (ja) * 2003-12-26 2005-07-14 Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. 生体サンプル判別装置、生体サンプル判別方法、及び生体サンプル判別用プレート
JPWO2005064339A1 (ja) * 2003-12-26 2007-12-20 松下電器産業株式会社 生体サンプル判別装置、生体サンプル判別方法、及び生体サンプル判別用プレート
JP4646809B2 (ja) * 2003-12-26 2011-03-09 パナソニック株式会社 生体サンプル判別装置、生体サンプル判別方法、及び生体サンプル判別用プレート
JP2006158275A (ja) * 2004-12-06 2006-06-22 Institute Of Physical & Chemical Research Dnaコンジュゲート、及びdna検出方法
JP2006158276A (ja) * 2004-12-06 2006-06-22 Institute Of Physical & Chemical Research Dnaコンジュゲート、dnaコンジュゲートの作製方法、及びdna検出方法
JP2006337214A (ja) * 2005-06-02 2006-12-14 Matsushita Electric Ind Co Ltd 生体サンプル判別装置、生体サンプル判別用プレートカートリッジ、及び生体サンプル判別用プレート供給装置
JP2007093230A (ja) * 2005-09-27 2007-04-12 National Institute Of Advanced Industrial & Technology 標的dna解析方法及び解析装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP3781689B2 (ja) 2006-05-31

Similar Documents

Publication Publication Date Title
DK2299275T3 (en) Classification of oncofetal fetronectin level for pregnancy-related indications
Zhang et al. Programming nanopore ion flow for encoded multiplex microRNA detection
US5458761A (en) Method for analyzing nucleic acid or protein and apparatus therefor
RU2721916C2 (ru) Способы прогнозирования рака предстательной железы
van Ginkel et al. Liquid biopsy: a future tool for posttreatment surveillance in head and neck cancer?
JP3781687B2 (ja) 遺伝子診断装置及び遺伝子診断方法
JP2005283560A (ja) 被検体評価装置および被検体評価方法
JP2002340859A (ja) 遺伝子診断装置及び遺伝子診断方法
JP2002372533A (ja) 血液の検査方法、検査用チップ、並びに検査装置
JP2002340858A (ja) 遺伝子診断装置及び遺伝子診断方法
KR100571822B1 (ko) 마이크로 pcr 장치, 그를 이용한 핵산의 증폭방법 및pcr 증폭 산물의 농도를 측정하는 방법
JP3781686B2 (ja) 遺伝子診断装置及び遺伝子診断方法
JP3783617B2 (ja) 遺伝子診断装置及び遺伝子診断方法
JPS5840099A (ja) 光−放射ポリヌクレオチドの交雑診断方法
JP3804538B2 (ja) 遺伝子診断装置及び遺伝子診断方法
JP4090821B2 (ja) 遺伝子診断装置及び遺伝子診断方法
JP4265256B2 (ja) 変異遺伝子分離用電気泳動装置
US20060257924A1 (en) Process for the isolation of the extrachromosomal DNA and method for the diagnosis based on the electrophoretic analysis of such DNA
JP3783616B2 (ja) 遺伝子診断装置
JP4445611B2 (ja) 反復配列の多型分析用装置
CN110088629A (zh) 通过识别对fgfr抑制剂治疗敏感的患者来治疗癌症的改进方法
KR20200004982A (ko) 고형암을 유발할 수 있는 유전자 변이를 검출하기 위한 프로브와 제조 및 검출 방법
JP2004283141A (ja) 遺伝子診断装置
Pan et al. Fast genotyping of K-RAS codons 12 and 13 based on streptavidin magnetic microbeads equipped with biotin-coupled single base-pair mismatch PCR (SM-PCR)
CN111690735A (zh) 用于检测单基因糖尿病的相关基因的引物组、试剂盒及方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20040519

RD01 Notification of change of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7421

Effective date: 20050824

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20050824

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20051220

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20060126

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20060221

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20060307

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 3781689

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090317

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100317

Year of fee payment: 4

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110317

Year of fee payment: 5

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110317

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120317

Year of fee payment: 6

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130317

Year of fee payment: 7

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130317

Year of fee payment: 7

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313117

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

EXPY Cancellation because of completion of term